○
対馬孝且君 先般、二十七日の日に、
商工委員会といたしまして大
夕張炭鉱の
現地状況視察をいたしてまいりました。私も、
商工委員の一員としまして
現地へ行っておりますので、まず、大
夕張災害を
中心にしまして、今後の
石炭政策の基本的な第八次答申に臨む
政府の
考え方を、
問題提起をしながら、
結論を出せるような
方向で進めてまいりたい、こう思います。
まず、きのうも私は、
エネルギー対策特別委員会で
政府の
見解をただしていますが、なお重複をしますけれ
ども、一応経過を申し上げます。これは
商工委員会としての
任務を負って行っておりますし、
同僚委員も
現地へ行かれておりますので。
実は私は、六月三日、大
夕張炭鉱の坑内に入坑いたしまして、
坑口から四千六百
メーター、
連坑道八片の
最奥部まで入坑いたしてまいりました。
現場で、この目でやっぱり確かめることが重要でありますので。
現場の
状況は非常に荒れておりましたが、
状況報告を申し上げながら、
問題点をただしてまいりたい、こう思うわけであります。
問題は、当初、
現場へ行った
時点でも私が
指摘をいたしておきましたが、この
災害は
ガス突出ではない、したがって
ガス爆発である、こういうことを前提にいたしまして、
立花札幌鉱山保安監督局長に対しまして、私が
問題点として入坑する前に
指摘をいたしましたのは、
一つは八片
連坑道の
密閉箇所が二カ所ございまして、この
密閉坑道がやっぱり
発火源ではないかということを私なりに
判断をいたしました。
それはどういう
理由かと申しますと、今までの
災害発生をずっと見てまいりますと、
高島の場合もそうでありますけれ
ども、あれはやっぱり仮
密閉、本
密閉の
坑道から
一定の
ガスが
流出をして、それが何かの
火源で
着火をして
爆発した。これは
高島の例はほぼ断定していいと私は思います。それから、前の北海道の
幾つかの
炭鉱災害をずっと見てまいりまして、そのケースがかなりあるわけであります。なぜかといいますと、やっぱり
採炭現場の近くにあるということと、それから、入気、
排気の
関係によっては、どうしても
密閉の
坑道というのは
ガスが滞留しやすい
条件に置かれている、こういう
状況判断をいたしまして、第一はやっぱり
密閉による
ガスの
流出によって
爆発したのではないか。この説を
札幌保安監督局長に申し上げました。これに対して
保安監督局長は、
一つの
考え方としては、我々もその点を
問題点として実はとらえていると、そういうことを
中心に
調査しているということを申しておりました。
第二は、これから申し上げることでございますが、つまり七片、八片の
採炭の
現場の出戸というのでありますが、まあ出口でありますが、三
目抜きあるいは四
目抜きの
あたりに、ちょうど十二座、十三座という
ガスボーリング座がございまして、その
ボーリング座が、やっぱり
問題点として考えられることは、これがちょうど
採炭現場の
入り口ですから、
目抜きのちょうど
入り口にあるわけでございまして、これが非常に
問題点だなと思いましたのは、
一つは、あの周辺で亡くなっている方々の
遺体の
損傷が、非常に熱焼的な
損傷になっているということが第一であります。
それからもう
一つは、御
案内のとおり、この辺は
鉄枠で覆っているわけでありますが、この
鉄枠への
粉じんの吹きつけが、ちょうど十二座、十三座の
ボーリング座の
方向に向けて
粉じんがぱっと吹きつけて、今でも
コンクリートのように固まっているのが、私が入坑した現
段階でも、それがきちっと、実は異常な
粉じんの
鉄枠に付着している
状況が残っています。ただし十二座、十三座の
方向に向けて全部吹きつけておりまして、それは逆から見ると
一つもないわけです。
そこらあたりが、やっぱりちょうど
ボーリング座のすぐ上に向かって
粉じんが
爆発をしてずっと吹きつけていっている。見てまいりましたが、大体
鉄枠の六合目
あたりまでずっと、ほとんど吹きつけで
コンクリート状態になって固まっている、こういう
状況でございました。これが第二の実は
理由でございます。
したがって、あの
状況から見てまいりますと、やっぱり
総合的判断としまして、八片
連坑道の十二ないし十三座というのが
一つの
災害の
発火場所であるということを、私なりに
判断をいたしたわけであります。
したがって、この問題につきましても、
現地でちょうどこれを裏づけるものがございまして、私は、
人車で
坑口からずっと千
メーター入っていきまして、そこで下りて、また切りかえて下りて、千六百
メーター入っていきます。そしてまた千
メーター八片に向けて入っていく。それからまた私、徒歩で千
メーター現場をずっと歩いてみましたが、そういうところから見まして、
池本というさお
取り員の
お話を聞きますと、当時新聞にも出ておりましたが、やっぱりかなりの炭じんがぐっと下から舞い上がってきた、そのときに
衝動を
感じておるということを
池本というさお
取り員が言っているわけであります。
したがって、その点を裏づけますと、大体合いますね。
一つは、
遺体が熱焼的な
状況にあった。それから、さっき言った、ちょうど
ボーリング座の前からの
鉄枠に異常な
粉じんが吹きつけている。それから
池本さお
取り員の証言。
それからもう
一つは、十二座、十三座から
ガスを抜いているわけであります。十六日現在までの総量でございますけれ
ども、これ
資料を持っておると思いますが、これを見ますと、きのうも確認しましたが、十二座で
ガスボーリングは四十四本打っておりまして、十六日現在では、端数を捨てますと、五十一万七千
立米、十三
座が二十二万五千
立米。それで一孔当たり、一本の
穴当たりを見ますと〇・〇五、〇・〇二と、異常な
ガスを実は抜いているわけです。これは間違ってもらうと困るので、引いているということは
炭鉱用語で、
一般論で言うと
ガスを抜いているということでございますから、それだけ
ガス量が多く十二座、十三座に滞留しておったということを裏づける
資料になるわけでありまして、そういう点から言いますと、大体今言った四つの
条件が、この
資料を総合的に見まして、やっぱりこれが八片
連坑道区域が
発火場所である。
その中でも、
密閉説と、もう
一つの今言った
ガスボーリング座の問題、
発火場所ということ、
二つを選定してみますと、やっぱり入ってみてわかったのは、
密閉箇所はないと、まあ、ないと断定はできませんけれ
ども、ほぼないというのがわかったのは、ちょうど入気の
入り口でございまして、入気の
入り口に
密閉箇所がございまして、やっぱり
通気が非常にうまく回転をしている。だから吸い込まれるような
感じでありまして、その
意味からいくと、むしろ中に吸い込まれても、
ガスが出てくるという
状況はなかなかない、この
密閉箇所を見た場合には。そういう
判断を私はいたしました。だから、ウエートとしてはむしろ第二説の十二座、十三座の
ガスボーリング座、何かの
衝動によってそれが
爆発をしたと、こういう
判断は非常にやっぱり考えられる。この点に
重点を置いて、私は
一つの
考え方を今実は絞っているわけであります。
それは何かと申しますと、それじゃ何で
爆発したかと、
衝動なりそういうものが一体あったのか、なかったのかという
あたりが、これは大事なところでございまして、それがなければこれやっぱり
裏打ちになりませんから。そこで問題になるのが、私持っております
資料を見ますと、
南大夕張炭鉱が実は
AE器を設置をしていますが、これは端的に申しますと、
略称音響測定器とこう言っているんですが、単に音だけをキャッチするんじゃなくて、
震動ですね、つまり
地震と同じように
震動をキャッチをする、そういう
二つの役割を持った器械でございますが、
AE器とこう言っているわけでございます。
実は五十四年にも
山鳴りがあって、
炭車がひっくり返っているんですね。これは
札幌監督局もそれを認めておりますし、
会社側もこれを認めています。だから、五十四年に
炭車がひっくり返るような
山鳴り現象があったということは事実でございます。それをこうずっと分析をいたしてまいりますと、今持っております
資料によりますと、ちょうど十二日から実は
AE測定器の
カウントの
状況がずっと細かく出されているわけです。五月十二日現在から十七日までこれずっと測定されているんでありますが、ほぼ大体三十
カウントぐらい、一番多かったのは五月十四日にこれ七十ぐらいまで
カウントがいっているんです。これがやっぱり
一つの予告であったかどうかという見方はありますけれ
ども、これは十四日には七十ぐらいの
カウントが、実は
数字が出されている。
そこで問題は、この
災害の当日五月十七日です。これは百三十七まで行っているんですよ。
通常大体三十前後でずっと推移しているのが、この十七日の
災害の三時三十四分の
AE器の
測定器に入ったあれによりますと、百三十七
カウントまで実は上がったわけです。ここにこれございますから。(
資料を示す)したがって、これが
先ほど言った第十二座、十三
座あたりの
ボーリング座の
衝動があって、
衝動があったことにおいてこの
現象が起きたのではないかということが
裏打ちをされることになるわけです。
ただ、それが
現場の
実態なんですが、
池本さんは三十四分から――
時計を見たわけじゃないけれ
ども、
池本さんは、実は下から
粉じんが舞い上がって、そして彼は
無線で連絡しておるんですね。それが二、三分たったという彼の
判断、
時計見たわけじゃないですから。それで
坑外の方に
無線でもって通報しているわけです。この時間帯が同
時刻であるのか、同時にこれが行ったものか。いわゆる
爆発によってそういう
AE器が測定したか、
カウントが示されたか、あるいは前かという問題がもちろんありますけれ
ども、この時間帯からいうと二、三分はあったと、こう言うんだね、
池本さんに聞くと。あなた、どのぐらいの
感じかと、もっとも
時計を見たわけじゃないですから。対応するのに敏感にやったことは、
経験者ですから敏感にやったようですが、やっぱり三、四分はかかっているんじゃないかということを言っておりました。
しかし、
災害は三十五分と、こうなっているわけですから、その差一分ということになるわけでありますけれ
ども、
そこらあたりがこれ
問題点として実は考えられるところである。したがって、今までのこの
音響測定器、
AE器のあれを見ますと、これは
通常の
カウントのやっぱり十分の一秒間で
一定の測量が出てくるようになっているんですね、これ見ますと。
震動回数をあらわす単位がずっと出ているんでありますが、周波数、
サイクルを見ますと、一分間で
一般の
地震の
衝動の場合
は二十
サイクルだそうですよ。ところが、
炭鉱の
山鳴りの
通常というのは、
一般でも三百
サイクルぐらい周波が入ってきている。三百というのは大体
通常のあれであるというのが、この
測定器の
数字から見ましてそうなっております。
そこで、ちょうど十七日の三時三十四分の、さっき言った百三十七を
カウントしたときの
サイクルというのは八百を超えているわけですよ。これがやっぱり
一つの
衝動、
衝撃になって、
先ほど私申しました十二座、十三座の
一定の
ガス量が出たのではないか。それが何かの
火源で
着火して
爆発をした、こういう想定が実は立つんじゃないか。その前、もちろん
ガスボーリング座ですから、
吸引ホースが入って
ガス抜いているわけですから、その場合の
めくらふたといって
ガス管の
ふたがあるわけですけれ
ども、私が行ったら、黄色い
ビニールの、
ナイロン系の糸でもって縛っておりましたけれ
ども、
そこらあたりから、
吸引ホースの
めくらふたが抜けてメタン
ガスが押し出した、こういう
状況が
一つ考えられるのではないか。こういう
判断を私なりに、今までの
炭鉱災害幾つか
経験をしてみまして、大体これが
一つの有力なこれからの
原因調査の
問題点として、
重点的に
調査をすべきである、こういう
判断に実は立っているわけであります。
したがって、それじゃ
一体火源が何であったかということも、きのうも
立地公害局長とのやりとり、
高木参事官ともやりとりしましたが、
現地、
現場を見まして、やっぱり
電気系統がかなりここへ入っております。
高圧線も入っているし、それから
ケーブルも入っておりますし、それから
電気の
関係は随分ここにありますけれ
ども、
電気ポンプ、
電気局扇、ベルトコンベヤー、電動の
HCあるいは
高圧線、それから乾式の
変圧器な
ども、これ全部入っているわけです。しかし、常識的に言って、
裸火であったかどうかということはちょっと考えられないんじゃないか。
裸火って御
案内のとおりでありまして、
キャップランプであるとか、いろいろなことを考えられるわけでありますけれ
ども、恐らく
裸火ということは考えられない。
自然発火でもない。これはそのとおりですね、
突出でないですから、
自然発火もしてない。
そうすると絞られる点は、ちょうど私が
先ほど申しました図面があるんでありますが、(
資料を示す)この前に、ちょうど四
目抜き、三
目抜きのこの
入り口に十二座、十三座という
ガス抜きボーリング座があるんでありますが、ここに
電気系統で入っているものは、
電気ポンプが六カ所入っているんですね。
局部扇風機がこれでいきますと、二カ所、ここに実はあるわけであります。ちょうど
ガス抜きボーリング座の手前のところであります。そうすると、大体
火源として考えられるとすれば、やっぱり
電気局扇あるいは
電気ポンプ等、この
現場の位置から考えまして大体それが想定される。
そこで、問題としては、これに対して特に問題なのは、
静電気が
一つはやっぱり考えられる、
摩擦を生じて火が生ずるということがありますから。したがって実は私なりに
火源として考えられるのは、
ケーブルのスパークあるいは
電気機器の異常、
局部扇風機、今言った
局扇、
扇風機の場合、
静電気、
迷走電流、こういうものが
一つの
火源として考えられることである、大体こういう
結論を実は私なりに、もちろんこれは
方向性として
結論づけたわけでありますが、この点ひとつきのうもやりとりしておりますから、私は
商工委員会として
調査に行っておりますので、きょうはこの点をひとつ当
委員会に対する義務としてこれをきちっと整理をしなきゃならぬと思いますので、この点まず整理して言いますと、
一つは
発火場所がやっぱり八片
連坑道であるというふうに私は第一考えます。
第二は、二説をとってまいりましたが、
密閉説と、それから
先ほど申しましたような
ガスボーリング座、ここら
あたりが重要な
災害原因ではないか。つまりそれは
山鳴り、
衝動によって、
衝撃による何らかの影響があって
ガス爆発に至った、こういう
考え方を、後者の方に実は絞って考えているところでありまして、この点を再確認の
意味ですが、
政府側としてどう認識をされ、これからどういう点に
重点を絞って
調査を進めようとしているのか、この点を第二としてお聞かせ願いたい。
それから第三の問題としては、これははっきりしておきますけれ
ども、いわゆる
火源としてどういう
問題点が考えられるのか。この三点を一応確認したい、こう思いますが、お伺いしたいと思います。