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井上計君 一度ひとつ御検討をいただきまして、何かそういうふうな道をつくることが、これまた
中小企業の連鎖
倒産を防ぐために必要だという感じがもうひしひしとするんですね。それは今
長官の
お答えの中にも出てまいりましたけれ
ども、リッカーの問題、特にリッカーは、けさの
日本経済に出ておりますけれ
ども、八年間にわたって利益を水増ししておったと、粉飾三百二十九億円だというのが出ていまして問題になりつつあります。まして、そのリッカーの重役の中に銀行派遣の役員がおって、こういうことですから、ほとんどの出入りの
中小企業、下請
中小企業というものは、こんな
実態全く知らぬわけですね。だから、このことがある程度わかっておればもう少し警戒したであろうというふうなことが言えると思います。
それからやはり昨年の例でありますが、大沢商会、実は私の知っている
中小企業が大沢商会に
倒産の三、四カ月前に急に発注が来たと、今までなかなか大沢商会実は入れなかったのが急に注文が来た、そこで喜んで納入をした、ところが手形をもらってすぐ
倒産した、こういうケースが実はあるんですね。後で調べると、やはりある大手
企業が警戒をして大沢商会への納入をやめたために、そのかわりが来た、こういうケースなんですね。これがわかっておればということを大変後で悔やんでおりましたが、そういうケースも実は大型
倒産の場合に非情に多いようでありますから、難しい問題であります、できない相談かもしれませんけれ
ども、しかしそれは
中小企業対策としてぜひひとつ御検討をいただきたい、こう思います。
そこで、今ちょっと申し上げましたが、リッカーの粉飾等々出ておりますが、例の会社更生法についてであります。
私はもう前から、会社更生法というのは、逆な見方をすると下請
中小企業倒産促進法だと、こういうふうに言ったことがしばしばあるんですが、事実従来の会社更生
決定をされた例を見ると、そういう例が案外多いんですね。この会社更生法については裁判所の所管でありますから、
中小企業庁あるいは通産省にお伺いすることも適当でないかと思いますが、どうも聞くところによると、裁判所は余り
委員会に出ることについては適当でないとかというふうなことで断られたものですから、国会でこういうふうな
委員会でこういう
質疑があったということを、
大臣なりあるいは
長官からそういうふうな点でまた申し入れ等もしていただければと、こう思ってお願いをするわけであります。
そこで、会社更生法の資料を、裁判所は資料だけはくれました、簡単な資料。これで見ますと、過去
昭和三十九年以来二十年間に更生法による開始
決定の事件数が約九百五十二件、そのうち終結事件数が五百三十一と、こうなっておるんですね、細かい点わかりません。だから更生法による会社更生をしても、実は更生しなかったという会社がやはりかなりある、こういう数字がわかります。それから、会社更生手続について
調査の方法あるいは
調査事項等々裁判所の所見を資料として簡単にもらいました、基準等もらいましたけれ
ども、この
調査の方法が、「会社の代表取締役、取締役、経理担当者等々の審尋」、それから「主要債権者、主要取引先等からの
意見聴取」、それから「
生産設備、在庫商品等の検証、従業員からの
意見聴取」、それから「その他、事案によっては、保全管理人又は
調査委員を選任して、更生の見込みの有無についての
調査を命じ、
調査報告書を
提出させることも、行っている。」と、こういう
調査方法を行っておるということであります。
ここでやはり問題は、このような
調査というのは、会社を再建さしたいという側に立つ人が大体対象でありますから、どうしてもやはり一般債権にしか取り扱いを受けない多くの
中小企業者というのは、大体こういう
調査に参画できないわけですね、事実、
実態を見ますと。だから
中小企業者のいろんな声を聞きますと、会社更生法の適用を受けない方がいいという
企業がたくさんあるんです。会社更生法の
決定を受けまして更生
計画が始まりますと、かなりの債権をカットされる。残された債権については、それこそ長いのは十年とか十五年とかというふうな長期の分割、だから事実上何もならぬ。むしろそれが一挙に破産をしてくれれば、破産整理によって三割なり四割なりというものが返ってくる、その方がよっぽど助かるんだという
意見がたくさんあることも事実なんですね。
それから御案内のように、
中小企業、下請等の一般の人は全部一般債権扱いになりますから、順位からいうと担保設定されている金融債権あるいは税等の公共債権、それから労働債権等々からずっと下になりますし、そういう面でも大変不利である。まして下請の中には労務賃金が八〇%もあるいは七〇%を占めておるという債権があるわけですね。だから、親会社が更生
決定によって再建をされても、実は出入りの子会社、下請は逆にそのためにつぶれておるというケースが事実過去にあるわけですから、私は会社更生法については、この会社更生法が制定された当時と現在大分客観的な事情が違ってきておりますから、そういう
意味ではこれらのひとつ改正も
考えていくべきであるし、もっとやっぱり
中小企業の
実態に即したような、そのような会社更生法のあり方ということも
考えていく必要があるのではなかろうか、こう
考えておるわけです。これについて通産省としてはどういうふうな御所見をお持ちであるのか。また今後、それらの
問題等について裁判所あるいは法務省等々とまた申し入れ、御協議をいただいて、そういうようなことについての御検討をいただけるかどうか、以上ひとつお尋ねをして
お答えをいただきたいと、こう思います。
私の持ち時間まだうんとあるんですが、
大臣、皆さんお疲れでありますから、これで
質問を終わります。ただ御答弁だけいただきます。