○国務
大臣(
村田敬次郎君) 田代
委員の御質問は、非常に重要な問題であろうかと思います。
御
指摘のとおり、まずドール上院院内総務御一行、これは七名の上院議員でございました。八月十九日から二十一日まで
日本においでになりまして、そして中曽根総理やまた私、あるいは安倍外務
大臣等と会談をされたわけでございます。私は通産省でお目にかかりましたのと、それから
アメリカの大使館でお目にかかりました。それから外務
大臣主催の朝食会で飯倉公館でお目にかかりましたのと、三回にわたってお目にかかりました。特に通産省と外務
大臣主催の朝食会では、相当詳細なやりとりをしたわけでございますが、その際にドール上院院内総務は、
アクションプログラムをつくった
日本政府の姿勢は評価できるとしながらも、これは七名の上院議員の方々からそれぞれいろいろな意見がございました。
わけても一番厳しいと思われましたのは、今回の
アクションプログラムの内容はツーリトルである、小さ過ぎる、ツーレートである、遅過ぎる、そういうような印象を非常に持っておるという
指摘がございました。それぞれ総合いたしますと、
アメリカは非常に実証主義的な国民性を持っておりますから、
アクションプログラムで決めたとて、実際にそれによって
アメリカの赤字がどれだけ
日本に対して減るのかとか、そういう問題ではね返ってこないと評価できないという見方も相当強かったように思います。
それから田代
委員が御
指摘になりましたように、
アメリカが言っておる品目、例えば率直に申し上げますが、木
製品だとかあるいはチョコレートだとか、そしてまた航空機であるとか、そういうものについての対応をもっと今後示してもらいたいというような御意見もございました。そしてぎりぎりのところ十月上旬までが待ち得る最大の長い期間である、それまでに何もしないと、今御
指摘になりましたような
アメリカ国内で数十の保護主義的な法案が準備をされておって、それが次々と可決をする可能性がある。また我々は国
会議員であるから、
大臣は同じように政治家であるからよく御存じだろうが、それぞれ自分のふるさと、選挙区を持っておる、そういった事情もよく
考えて、具体的な対応をしてほしいというようなことが総合的な御意見であったかと思います。
わけても、非常に厳しいと思われましたのは、
アメリカの防衛義務について、
貿易と関連をしてなされたある上院議員の発言もあったことでございます。こうしたことに対しまして、安倍外務
大臣良た私が対応したわけでございますが、防衛との関連については、安倍外務
大臣は、防衛と
貿易とは全く切り離して
考えてもらわなければ困るということをきっぱりと言われました。これは、私は非常に正しい応答であったと評価をしながら聞いておったわけでございます。
それから、
アクションプログラムのフォローアップにつきましては、よくわかるので、我々は三年以内にすべての
行動計画の骨格を実現するということであって、すべてに三年間かかるという意味ではない、これはもう具体的速やかに、中曽根総理もおっしゃっておるように、法律の改正を要しないものはどんどん年内からでも取りかかろうし、法律改正を要するものは、できるだけ早急に国会で審議をしていただくようにしよう、そうして
アメリカの要望にこたえようということを率直に申し上げたわけでございます。
この点は、ヤイター通商代表の言われた、
日本政府の
アクションプログラムの意欲は評価できるが、三年間では長過ぎるという御
指摘に対しても、やはり同じ答えを申し上げました。そして、ヤイターさんと私は、七月にカナダの四極
貿易大臣会合、それから、その後にワシントンを訪問した際、前後四日間にわたって
お話をいたしましたので、その間の意思は十分疎通をしておると
考えます。
ただ、はっきり申し上げますと、レーガン大統領の方では、そういう保護主義法案が仮に可決しても、これを拒否するという姿勢を明確に示していただいておるわけでございまして、これは非常に我々は感謝をしておるところでございます。我々といたしましても、そういった保護主義
貿易法案が
一つも通らないことが一番望ましいわけでございまして、したがって、
アクションプログラムのフォローアップというものを通じ、
アメリカ政府と折衝をする過程を通じて最善を尽くしてまいりたい、このように
考えておりますし、また
アメリカの
ドル高、高金利、それから財政赤字、こういったものにも非常に大きな原因があるということと、
アメリカ側の
マクロ経済要因にもいろいろ起因する点を、ひとつ
アメリカとしても直していただかなきゃならぬということも申し上げたことをつけ加えて申し上げる次第でございます。