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1985-09-03 第102回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年九月三日(火曜日)    午前十時七分開会     ―――――――――――――    委員異動  八月二日     辞任         補欠選任      杉元 恒雄君     安田 隆明君      対馬 孝且君     松本 英一君  八月五日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     杉元 恒雄君  八月二十三日     辞任         補欠選任      松本 英一君     対馬 孝且君  九月二日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     稲村 稔夫君  九月三日     辞任         補欠選任      市川 正一君     近藤 忠孝君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 梶原 敬義君     委 員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 沖  外夫君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 稲村 稔夫君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 近藤 忠孝君                 井上  計君                 木本平八郎君     国務大臣        通商産業大臣   村田敬次郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  金子 一平君        官)     事務局側        常任委員会専門  野村 静二君        員     説明員        公正取引委員会  利部 脩二君        事務局取引部長        公正取引委員会  佐藤徳太郎君        事務局審査部長        経済企画庁調整  赤羽 隆夫君        局長        経済企画庁国民  横溝 雅夫君        生活局長        経済企画庁調査  丸茂 明則君        局長        法務省民事局参  山崎  潮君        事官        外務省北米局北  沼田 貞昭君        米第一課長        通商産業大臣官  松尾 邦彦君        房審議官        通商産業省通商  鈴木 直道君        政策局次長        通商産業省産業  福川 伸次君        政策局長        通商産業省立地  黒田 明雄君        公害局長        通商産業省基礎  岩崎 八男君        産業局長        資源エネルギー  野々内 隆君        庁長官        資源エネルギー  畠山  襄君        庁石油部長        中小企業庁長官  木下 博生君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (経済見通しに関する件)  (経済摩擦市場開放のための行動計画に関す  る件)  (豊田商事の悪徳商法による被害者対策に関す  る件)  (政府開発援助に関する件)  (石炭対策に関する件)  (中小企業対策に関する件)  (石油行政に関する件)  (大型小売店舗出店調整に関する件)     ―――――――――――――
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、対馬孝且君市川正一君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君、近藤忠孝君がそれぞれ選任されました。
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 梶原敬義

    梶原敬義君 両大臣が出席されるまでに三十分ほどかかるということでありますので、先に経済企画庁にお尋ねをいたします。  経済白書ざあっと目を通して、あらましですが読んでみたんですが、その中で一、二点大変ひっかかることがあります。  第一点は、我が国経済は今はアメリカ主導型の、アメリカ景気に引っ張られて景気がよくなった、そして今や、むしろ内需で景気がどんどんよくなりつつある、こういうような書き方をずっとしておるわけでありますが、私はこの夏休みに大分県の選挙区をずっと回ってみましたが、特に中小企業皆さんとも話をしてみたんですが、幾つか非常に厳しい状況を訴えられました。ある小さな市の中小企業経営者は、これは土建とかあるいはいろんな企業をやっておるんですが、ぽっと会って話をするときにはなかなか話に入ってこなかったんですが、だんだん話し出して、まあ中曽根総理大臣というのは貧乏神じゃな、どうかせにゃいかぬのじゃないの、こういう強い話がありましたし、また田舎の竹田市、岡城のある竹田あたりへ行ってみますと、夜、繁華街なんかは全くもう人通りがない、消費力が落ちている、どうにもならない、過疎は進む、こういう話であります。  また、大分あたり小売業者の話を聞いてみましても、中小小売業者ですが、とにかく厳しい、こういうことを訴えられました。別府市あたりでは大きなしにせのホテルがごく最近倒産をいたしました。お客が来ない。そこの信用金庫の理事長あたりは、政府はしかし見かけは景気がよくなっているという話をどんどんするがや、こう言いましたら、いや、しかしそんなことを言うのなら、一度総理大臣あるいは経済企画庁長官あたりは、もっと本当の我々の声を聞いてほしいんだ、こういうことを訴えられました。  また、農家皆さんとも話をしてみても、もうお先真っ暗なんですね。一軒百ドルアメリカ商品を買えという話をよく聞くが、これから先それなら我々がつくっている農産物の消費は一体どうなるのか、こういう話をどんどん聞くわけですが、どうも経済白書の「はじめに」というところからずっと流れている皆さん方マクロ分析と実態というのは、これは地域性のことも、若干地域のアンバランスのことも書いてはありますが、相当かけ離れておるわけなんですね。こういう状況について、もっと深刻な場面は深刻なように受けとめて、それがやっぱり文脈にあらわれてくるようなことが必要ではないのか、こう強く感じたわけであります。これが第一点です。その点について経済企画庁の方のお考えをお伺いしたい。
  5. 丸茂明則

    説明員丸茂明則君) ただいま先生から御指摘がございましたように、今年度の経済白書におきまして、日本経済全体としては、五十八年の初め以来景気回復に転じまして、その後比較的緩やかではございますが、順調な景気拡大過程が現在まで続いているというふうに判断をしているわけでございます。  細かい数字等はもう先生も御承知かと思いますので余りくだくだとは申し上げませんけれども、昨年度の実質成長率は五・七%でございまして、もちろん高度成長期に比べればまだまだ低いわけでございますが、石油ショック後としては最も高い伸び率になりました。五十八年度の間はもっぱら輸出、それも対米輸出増加によって景気が牽引されたことは事実でございますが、五十九年度に入りましてからは、企業収益もかなり改善をいたしまして、民間設備投資が二けたの伸びをする、それも最初の段階では中小企業設備投資が大幅に伸びた、それにややおくれて大企業投資増加をしたという状況でございます。  消費につきましては、考えておりましたよりやや回復のテンポがおくれておりましたが、これにつきましても、ことしに入りましてから消費伸びも、全般的に見ますと、百貨店売り上げ等に見られますように少し高まっているというふうに見ております。また、雇用情勢、これも失業率が、景気回復が始まりましてから、通常ですと九カ月かそこらたちますと失業が減るわけでございますが、今回の場合はその改善がかなりおくれまして、ようやく昨年の秋ぐらいから緩やかに失業率改善する。企業倒産につきましても景気回復下増加が続いておりましたが、これもことしに入りましてから件数でほぼ前年同期に比べて五%から一〇%、月によって違いますが、やや落ちつきを見せてきているという状況でございます。他方、輸出の方は昨年秋以来伸びが鈍化をしておりますが、私どもといたしましては、設備投資消費等国内需要が底がたい動きを続けているというふうな現状判断をしております。  そこで、今先生指摘のような、日本経済全体としては景気拡大が続いているという評価、判断をしているわけでございます。もちろん白書の中にも書いてございますが、地域によりまして、あるいは産業によりまして厳しい状況であるという面があることは私どもも十分に承知をしているつもりでございます。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、そういう面もわからないことはないんですが、経済白書をずっと読んで、読み方にはいろんなとり方もあるでしょうが、我々が地方で見ている場合、あるいは地方で働いている人や、あるいは中小企業皆さん農家皆さんが、この白書というのはどこか遠いよそのことのような感じにとるんですね。だから、そこのところは、せっかくこうして毎年出されるんですから、そこがどうもそういう遠いところに、現実遠いどこかよそのようなことにとられないような、そういう点のやっぱり指摘といいますか、そこが私は必要ではないか、こう思うんですが、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  7. 丸茂明則

    説明員丸茂明則君) 私ども、どうしても統計、それもマクロに偏りがちであるということは十分に反省といいますか、自覚をしておりまして、そのために直接企業の方にお会いしてお話を伺ったり、あるいは私ども地域景気懇談会というのを年に二回、ちょうど今やっているところでございますが、各地方に出向きまして直接現地の方、特に企業経営者の方からお話を伺うというような努力もしているわけでございます。  ただ、経済白書ということになりますと、どうしても日本経済全体の動きということが中心になりがちであったということは事実でございます。先生指摘の点も今後はよく考えさせていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、その地域あるいは産業別のいろいろな問題点ということを決して軽視しているというつもりではございません。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移りますが、経済白書の中で「対外経済摩擦の強まり」という項目、そこをずっと読んでみますと、「五十七年度から五十九年度までの対米貿易収支差拡大幅二百十六億ドルのうち、主としてアメリカの急速な景気拡大に伴う日米間の景気局面の相違によって百億ドル為替レート競争力を反映した水準から乖離してドル高円安)で推移したことによって九十八億ドル説明される。」云々、ここのくだりでありますが、これはこれなりに私は理解できるんですが、日本輸出競争力がやっぱり依然として強い。その輸出競争力の強い部面で、特に自動車にしても、電機にしても、鉄鋼にしても、下請構造を持っているわけです。正規の職員より下請の数の方がそれは随分多い。あるいは関連取引企業協力会社と、今はこういう言い方をするんですが、そういうところに、第一次オイルショック、第二次石油危機の後、非常に厳しい条件取引、あるいは下請あたり合理化をし、そして低賃金で働かしておる。ここの部分は依然として変わっていない。  あるVTRをやっている下請下請ぐらいのところなんですが、従業員が七、八十人おるんです。ことしのベースアップは二千五百円なんですよ。それで、賃金そのものはもう業種別の最低賃金すれすれぐらい、そんなところがずっとあるんですよね。トヨタならトヨタの下にはそんなところがいっぱいある。日産なら日産の下に、日産の電装を組み立ててエンジンをつなぐ、そこの一方で、農業しながら働いておる主婦の皆さんがハンダづけやっているんですよ。非常にそこら辺も賃金が安いんです。ここら辺がもう隠されておるんですね。ここら辺の条件がもう少し人間並みによくなれば、僕はやっぱり日本輸出競争力というのはもう少し緩和できると思うんですよ。  こういうような面、あるいは関連企業に対して、取引企業に対して、今は協力会社と、こう言いながら、そこら辺との取引条件も非常に厳しくなっている。この辺のことを、白書の中でここが問題だと、ここを少しよくせにゃというようにどうして指摘できないのか。アメリカ関係はこうやっている、対米関係はこうこうこうだと。しかし日本の内部にある問題点、ダーティーな問題点についてやっぱりもっとどうして指摘できないのか。私は見て見ぬふりをしているんじゃないか、こう思うんですが、この点について、ここが問題。  それからもう一つは、労働条件にしても、アメリカならアメリカ貿易問題を論ずるなら、日本労働条件、それは末端の本工も、あるいは下請までいって、一体労働条件はどうなのか、労働時間はどうなのか。もうそれは祝祭日の休みなんかないんですからね、下請やあるいはそういう下請孫請というのは。ここがやっぱり一つ輸出競争力を強めている問題じゃないのか。どうしてこの辺に触れられないのか。どうも私これを読んでみて、いいところばかり書いているな、こう思ったんです、どうでしょうか。
  9. 丸茂明則

    説明員丸茂明則君) 御指摘のように、最近一、二年の我が国貿易収支黒字が大幅に拡大した直接の理由といたしましては、今先生指摘されましたところで御指摘のような分析をしているわけでございます。その背後にございます日本輸出競争力の強さにつきまして、ことしの経済白書で直接真正面から分析をしたわけではございませんが、その背後にあるものといたしまして、もちろん生産性が上がった。特に設備投資によって、これは産業全般でございますけれども合理化が進められたということを強調しているわけでございます。  先生指摘のような中小企業あるいは下請企業の問題というようなことにつきましては、特に今年度の白書で集中的に分析をしたということではございませんが、ただ、御指摘のようないろいろと厳しい労働条件、その他厳しい面があるということは十分わきまえておりますし、特に日本労働時間が国際的に見て長いという点につきましては、今回の白書でもかなり問題視をいたしまして、なるべく労働時間の短縮を図るべきであることが望ましいということを強調している次第でございます。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 生産性の問題の差という前に、例えば自動車なら自動車組み立て工場に来るまでに、部品なんかというのは随分人の手を、中小零細の、あるいは家内労働も入れて手を組んでいるところがあるわけなんですよ。そこまで来て、そして部品がそろってやるというならこれは非常に日本は能率がいいですね。しかし、その前の、非常に労働集約的な部品やなんかをこうやるところというのは、随分低賃金で長時間労働で、休日もなくて結局やっているわけなんですよ。ここら辺のところにもう少しスポットライトを当てないと、競争力生産性といういいところだけ見ている、ここが私は問題ではないか。ぜひこの点を指摘をして、次に、まあ通産省もおられますから、経済企画庁も一緒になって、一体どうするか、そういう政策反映をしていただきたいと思います。  ちょっと福間委員から関連質問を……。
  11. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 関連質疑を許します。福間君。
  12. 福間知之

    福間知之君 調査局長にちょっとお伺いかたがたお願いをしたいんですけれども、昨今、特に日米間の貿易戦争といってもいいこの状況の中で、有識者の方々もかなり発言をしているわけでして、そういうのを見ていますと、私もつくづく感ずるんですけれども、例えば、年明け以来、アメリカ側から見れば特定分野、象徴的な製品として、通信機器だとかエレクトロニクス、医療機器・薬品、木材、この四分野が大きく取り上げられて、強い要請が繰り返されてきましたね。関係当局大変御苦労をいただきまして一応しのいできたんですが、ある段階で合意を得るというところに来ると、次にまた新しい要求が出されてくる。こういう繰り返しがこの半年ぐらい続いたと思うんです。  あれを見ておりまして、私は思うんですけれども日本市場閉鎖性ということが指摘されるが、具体的には一体それはどういう実情にあるのかということを、これは私は明らかにする必要があると思うんです。例えば七月に政府がとったアクションプログラムども、もちろんこれは日本の伝統的、文化的な一つ考え方から基準認証制度などの見直しを必要とするという部分はありましたし、これは行われつつあるわけですね。それは、だからそれでいいと思うんですけれども、なお若干の時間も必要といたします。  ところが、そういう部分じゃなくて、日本市場全体の閉鎖性ということがそんなに声高に言われるとするならば、果たして彼我の閉鎖性は、開放度は逆に言えばそんなに違うのかと。この統計は私は通産当局でも握っておられないのじゃないか。  昨今ある統計によれば、日本市場に参入しているアメリカ産業企業というものはほぼ三千社になんなんとしている。その主要な一割の三百社をとってみても、日本での昨年度の生産販売金額というのは約十一兆円に達している、生産販売がですよ。その最たるものは、例えば日本IBMがそうじゃないか、あるいはテキサス・インスツルメンツがそうじゃないか、あるいは古くからはNCRなどもそうじゃないか、富士ゼロックスだってそうじゃないか、数え挙げれば限りなくあるわけです。  そういう、日本に進出して、日本に根をおろして生産販売をしている、例えばテキサス・インスツルメンツであれば、昨年度はほぼ七百五十億から八百億円の生産販売をしている。そのうちの半分は日本からの輸出なんです。日本通関統計に計上される輸出なんです。本来アメリカのこれは輸出なんです、アメリカ資本仕事ですから。要するに、そういう姿というものをとらえてみる必要がある。十一兆円日本に来てやっているアメリカ。我が方は輸出額は多いけれども現地生産がまだ三兆二千億円ぐらいだと言われているんです、昨年度で。要するに昔の流儀の一次産品の交易統計というものから出ていない。今や工業製品というのはどのような資本であろうが、企業であろうが、国境みたいなものは問題じゃない。国境を乗り越えて、そしてそこで生産して、どれだけ利益を上げるかということが問題なんであって、どこで生産しようと、どこの労働者を使おうと、どこの技術を導入しようと、そんなものは余り大きな意味はない。  そういうふうに考えると、私は日本市場開放度合い許容度合いというのは、そんなにアメリカから言われるほど閉鎖的じゃないんです。むしろ金額で言えば、大体アメリカからの日本に対する輸出が五兆円、日本での現地生産が十一兆円で、ちょうど十六兆円になる。日本からアメリカヘ行っているのが大体十二兆円強の輸出で、現地生産が約三兆円、ほぼこれで十六兆円。金額ではもうとんとんである。何も日本だけが一方的に輸出してドルを稼いでいるということではない。そういう実情を去年もおととしも調べてみると、あの統計によれば指摘ができるわけなんですが、当局としてはそういう状況実情というものをどう把握されようとしているのか。  私は、これは非常に重要なことだろうと思うんでございまして、もちろん日本の伝統的なそういう指摘をされる閉鎖性とかあるいは非関税障壁まがい制度は、これは改めるにやぶさかであってはなりません。それはもうそういう前提での話なんですけれども、こういう点ではどうとらまえておられますかね。
  13. 丸茂明則

    説明員丸茂明則君) 先生の御指摘の点、大変大事な点だと私ども考えております。  私ども、もちろん基準認証その他でまだ欧米並みに十分でない面もございますので、そういう点については努力を続ける必要がございますけれども、同時に、別の面、例えば比較的はっきり目に見えます関税その他の輸入障害と申しますか、に関しましては、世界で恐らく一番低く現在ではなっていると、あるいは輸入制限品目の数にいたしましても、国によって日本より少ない国もございますけれども、必ずしも非常に多いというわけではないというようなことで、日本市場が彼らといいますか、欧米人あるいは外国人一般が言っているほど閉鎖的ではないんであるということも、折に触れまして、国際会議あるいは日米その他の交渉あるいは会議を通じまして、私どもといたしましては口が酸っぱくなるくらい主張しているつもりでございますが、その点わかっている人も欧米人の中にもおりますけれども、それはとにかく、アメリカあるいはヨーロッパ製品日本に売れないのは、どうも日本製品市場が閉ざされているからだということで、その根拠として日米あるいは日・EC間の貿易日本にとっての黒字、彼らにとっての赤字というものを主張してくる傾向がございます。  その点につきましては、私どもとしましては、この白書でも申しておりますように、最近の日本貿易収支あるいは経常収支黒字が大幅にふえたその一番大きな理由は、アメリカの高成長もございますが、ドル高にあるということも、これも繰り返して説明をし、主張をしているところでございます。  また、最後に先生がおっしゃいました現地生産と申しますか、そういうことを考えますと、従来の考え方である商品国境を越える物はすべて輸入であり輸出である。これはもちろんそのとおりでございますが、その中には、アメリカ企業が、あるいはヨーロッパ企業日本生産した物が欧米輸出されるというようなものも、御指摘のように非常に多くなっております。したがいまして、そういう点も指摘をしているわけでございますと同時に、そういう観点からも、今後は一段と、単に商品国境を越えての動きだけではなくて、現地進出企業生産というようなものも含めて考えるべきであるという方向を強めていきたいというふうに考えております。
  14. 福間知之

    福間知之君 これはきょうの委員会で結論をどうのこうのじゃないんです。引き続いてこれは私たち国会レベルでも当局とやっぱり話し合いをしていかなきゃならぬと思っているんですけれども、基本的には、哲学として、私は日本は原材料のない国だし、やはり輸出でよい商品を買っていただいて、マテリアルもまた買い入れて付加価値をつけていく、そういうサイクルを繰り返していく以外に発展はないわけですから、今後もそういう基礎、基本は変わらないんですけれども、しかし、今までのような、しゃにむに、言うならば、相手側から言えば余りにもひとりよがりの力ずくで輸出をしていくということについては考えてみなきゃならない時代に入ったと。また、そのことが長い将来にわたって日本海外諸国に信頼と尊敬を得る道でもあると、そういうふうに思うんです。  しかし、先ほど申したようなことで、例えば輸出について厳しい環境になってきたから、じゃ現地自動車生産しましょう、あるいはVTR生産しましょう、半導体を生産しましょうという動きがにわかにクローズアップしてきていますわね。それを私、一定の限度内では必要だし、結構だと思うんです。しかし、結果として国内仕事量雇用に悪影響を及ぼすような程度にまで資本海外進出というものが許容されてはならない。あるいは既に今、物の輸出をめぐっての問題は厳しくなっているけれども日本の資金、資本アメリカの高金利の金利稼ぎをねらって五百億ドル出ていると言われるでしょう、昨年度で。これを一体どう見るか。  今、結果としてその五百億ドルのうち三分の二を日本側が引き揚げることになれば、アメリカ金融事情は一種のパニック状態に入ります。したがって、それも理屈の上ではできても現実にはできない。しかし、今後この五百億ドルが七百億ドルになり、八百億ドルになっていくという可能性は高金利が続く限り多分にある。本来その資金は日本国内により多く投下されて、日本景気の浮揚、経済の拡大に、あるいは雇用の増大に寄与されるべき性格の金である。こういう姿がほっておいて突き進んでいってしまったら、一種の重商主義です。こんな悪い傾向はないわけです。  そういうことを考えると、その資金流出についても、政府当局はやはり一定のチェックをするという気持ちを持たなきゃならない。全くそれは今まで見られない。これは悲しいことです。私はそういうふうに考えるんですよ。だから、日本が力ずくでの今までのような一方的輸出に一二〇%力をかけるという姿は是正を必要とするけれども、一方、アメリカにおいても、現にテレビなどというのはもうアメリカはほとんど外地でつくっているじゃないですか。日本の電機メーカーは、みんなアメリカヘ行ってテレビつくっているじゃないですか。自動車だって、今GMはメキシコに大きな工場を建てようとして国内的に問題になりつつありますけれどもアメリカ企業家が、アメリカ経営者国内から逃避しちゃって、外国で生産をするということがこれ以上強まっていけば、その穴埋めに日本現地へ入って生産するという非常にばかげた状態が現出する。  日本経営者アメリカ現地生産して経営がうまくやっていけるにもかかわらず、なぜアメリカ経営者国内生産しないで、外地へ持っていって生産するのか。そこまで私たちの、彼我の関係というのは複雑になってきていますので、やはり単なる統計の問題じゃなくて、その国の経済なり産業なりの運営のあり方、仕様というものを、やはりある程度我々も言いにくいことも言わなきゃならない。アメリカでちゃんとやってくれれば、日本が進出するにもおのずからそこに歯どめがかかってくるわけですから、結果においてそれは両国にとってプラスじゃないのか、そんな気がしてなりませんので、私は冒頭申し上げた統計上の問題は、自後一遍皆さんの方と少し話し合いをして、資料を私はちょうだいしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 両大臣が見えておりませんので、また別な問題続けますが、経済見通しの改定作業について一体どうなっているのかお尋ねをいたします。  昭和五十五年度は九月、五十六年度十月、五十七年度十月、五十九年度九月、こういうようにそれぞれ改定をしておるわけですが、日経の八月七日の切り抜きちょっと持ってきておりますが、「経済見通し改定 政府引き延ばし」と、こういう見出しで、多分読まれたと思うんですが、これによりますと、三百四十億ドル経常収支黒字がどうも五百億ドルを突破するんではないかということをちょっと指摘をしております。経済見通しが、四・六%の成長率が一体どうなるのか。また、防衛費一%問題をめぐって結局GNPがどうなるのかというのは、これは一番国民の関心のあるところです。今政府は、その一%を、自民党も一緒に総理大臣が変えようとしている。こういう状況ですから、これに対して非常に重要な経済見通し、GNPが一体どうなるのか。こういう問題についてどういう作業をしてどうしているのか、お伺いをいたします。
  16. 赤羽隆夫

    説明員(赤羽隆夫君) 経済見通しの改定問題でございますが、まず、経済動きというものは私ども常にフォローしております。もちろん当初見通しとの関係におきましてどのように実際の動きが展開をしていくか。今御指摘のございましたように、例えば経常黒字でありますけれども、当初三百四十億ドルというふうに予測をいたしましたが、この四月から七月までの統計がもう既に出ております。これの季節調整値、これを年率計算いたしますと大体四百八十億ドルになる。こういうことでございますから、当初の三百四十億ドルは現在時点でいきますとかなり上向きになるだろう。こういう見通しを立てておりますし、こういったような項目は外需に限らずに国内需要についてもすべてチェックをしております。  しかし、これをこの秋の時点におきまして見通しの改定という形で発表するのかどうか、こういったような点につきましては現在のところまだ方針を決めておりません。従来の例から申しますと、見通しの改定というのは大体補正予算を提出をする、あるいは景気政策を中心といたします経済政策におきましてかなり大きな変更をする、こういう時点で行うというのが例でございました。  ただし、昨年のことは昨年の大臣、河本大臣のお考えもございまして、補正予算としてはそういうものはなかったわけでありますけれども、その時点で経済企画庁限りの見直しの数字を発表した、こういう例がございます。そういったような点も踏まえまして今後検討してまいりたい、こう思っております。直接のお答えと申しますと、まだ現在のところどういうふうにするのか決めていない、こういうところでございます。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 その点ですが、やるのかやらないのか、近いうちに。その点だけちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  18. 赤羽隆夫

    説明員(赤羽隆夫君) この点につきましては、ただいま申し上げましたように、まだ決定をしておりません。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 決定をしていない、これは三百四十億ドル経常収支黒字が四百八十億ドルにはね上がるような大幅な見通しが狂って、そしていろんな国民総生産、GNP、防衛費一%問題が議論されるような状況の中で、これは恐らぐ臨時国会で出てくるんではないですか。そういう状況の中で、国民がGNP一%問題を議論するにしても、あなたたちのGNPが一体どうなるかという問題がわからぬまま議論できるわけないじゃないですか。そういうことでやるかやらぬかわからぬということはどういうことですか。
  20. 赤羽隆夫

    説明員(赤羽隆夫君) 政府経済見通しというのは、いわば天気予報のような見通してはない、こういうことでございまして、必ず見通しを改定をいたしますと、その際には、こういったような現状を前提にした上でこれから先どうしていくのか、こういうふうないわば政策努力、こういうものと結び合わせて考えなければいけない、こういうことでございます。  現在、政府におきましては、七月三十日のアクションプログラムの骨格の決定に引き続きまして、内需拡大についての作業をしている、こういうこともございます。さらには、対外的な配慮と申しますか、見通しを改定した場合の対外的なリパーカッジョンでございますね、そういったような問題点につきましても、これを慎重に読む必要がある。そういったような作業がまだ進行中でございますので、今の段階では、するとかしないとかいうお答えができない、こういうふうな状況でございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 金子経済企画庁長官がお見えですけれども、ちょっと経済見通しの改定の問題について今お尋ねをしているんです。  赤羽調整局長は、やるかやらぬかわからぬというようなことで話をしているんですが、これは、これから臨時国会をやるとかやらぬとか、こういう状況に向けて、防衛費一%問題は非常に国民の関心で、国会でも頑張って慎重審議しなければならないときに、これが一体どうなるのかわからないような状況では、これは僕は国民に対しても責任が果たせていないと思うんですよ。だから経済見通しについては、やはり僕はやるべきだと思うんですがいかがでしょうか。  そして、経常収支黒字も、三百四十億ドルの見通しが四百八十億ドルにこれははね上がるというんですね。そういうような状況ですから、今言われましたように、経済見通しというのは天気予報のようではいけない、こういう話ですが、まさに天気予報よりももっと悪いんじゃないの。五十九年度の当初見通しが四・一%、それをあなたたちが去年の九月に改定したのが五・三、そして最終的には五・七%。私は五二二になるのか、もう去年の六月の、国会が終わるぎりぎりに、一体何ぼになるのか、何回聞いても五・三になる。限りなく五・三に近いのか、随分それをオーバーするのか、ぎりぎり聞くけれども、もうすぐそこまで来ているんだけれども、何ぼだって言わなかった。それが五・七に変わった。  今局長が言うように天気予報みたいなものじゃない、天気予報よりもっと当たらない。そういう状況だから、当初見通しが四・六%で、三百四十億ドル経常収支黒字なんというのは、これは狂ってくるんだから、やはりもっと早急に当然修正すべきじゃないか、改定作業に入るべきじゃないか。大臣その点いかがですか。
  22. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 現在の見通しの改定をどうこれから取り扱うか。去年は経済企画庁限りで見通しの修正をやりましたことは、先生承知のとおりでございますけれども、今まだ作業をそこまでやるかどうか、結論を出しておりません。今やっておりますのは、五年ごとにGNPの基準の改定をやることになっておるものですから、その改定の見通しをことしやるという作業を今続けている段階でございまして、ことしの見通しをどうするか、もう少し様子を見ながら結論を出したいと、かように考えておる次第でございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことになりますと、先ほど言いました八月七日の日本経済新聞の切り抜きをちょっと持ってきているんですが、むしろ「十一月までは静かに」と、中曽根総理大臣云々と、こういう文章が載っているんですが、意識的に私はやはり改定作業を延ばしているんじゃないか。どうも今の答弁を聞いておってそうとれてしょうがないんですが、そんなことはないですね。
  24. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) それはもう全くそういう事実はございませんので、五十五年基準のものを改定することで、もう今最大限の努力をしている最中でございまして、同じところで作業をするにしても、やらなきゃいかぬわけですから、もうそれが精いっぱい。後をどうするかにつきましては、これからの問題として、全体の経済動きを見ながら結論を出す以外には手はなかろうかと私は考えておる次第でございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 この点については最後になりますが、長官、先ほど言いましたように、防衛費一%問題をめぐっての議論がどんどん出てきますね、国会でも相当エキサイトするでしょうが。そういう見通しとの絡みからいきましても、これはやっぱりそれに合ったように、経済企画庁としては経済見通しの改定といいますか、大体実勢に近い状況というのはやはりそれに合ったように出してくる必要があるんではないかと思うんですよ。出してもらいたいと思うんですが、重ねてその点について要望したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 御意見は十分に心に受けとめて、これからも努力してまいります。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、市場アクセス改善のためのアクションプログラム――アクションプログラムと言って、何か西部劇に出てくるようなタイトルですが、日本語で言ってもらいたいんですが、アクションプログラムについて質問をいたします。  このアクションプログラムというのをずっと見てみまして、一体対米貿易摩擦、対外貿易摩擦がある程度解消するような内容になっているのかどうなのか。物を決めてやるときというのは、格好だけじゃなくて、見通しを持って、それをやったときには三カ月後あるいは半年、一年後には一体どうなるのか、これがやっぱり一番大事だと思うんですが、この点について実効性が上がるのかどうなのか、ひとつこのアクションプログラムについての政府の実効性についてお伺いしたいと思います。
  28. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 従来の各国からの日本輸入アクセスに対する批判の一つ関税の問題でございまして、これは幾つかの、例えばアメリカとの関係で言えば、合板の問題だとかチョコレートの問題だとか、そういう象徴品目は幾つか残っておりますけれども、我が方の今度の取り上げました関税の引き下げによりまして、関税の水準は世界で最低のところまでまいりますから、これに対する各国の理解は十分得られたと思っております。  それから、もう一つの大きな問題は、非関税障壁の問題ですが、輸入手続がいかにも難しいと、いろんな法律的、行政的な制約を超えて公平な扱いをしていないじゃないかという点についての改善につきましては、アメリカ市場日本商品を扱うと同じような公平な、フェアな、透明度の高い輸入手続を日本でも実行できるようにということで、今いろんな問題を取り上げておるわけでございまして、これは今、各省に手分けをしていただきまして解決を急いでおるわけでございますが、少なくとも私どもといたしましては、例えばホワイトハウス側から一番要請の強うございましたのは、輸入アクセスの手続をフェアにしてほしい、そしてあとは輸出業者の努力次第で日本市場を魅力あるものにしてほしいということが一番最初からの願望でございましたが、大体私はそこまで持っていけるという確信を持っております。  ただ、それじゃこれが実行できたらすぐ黒字が一遍に解消するかというと、それは一つは、日本に対する輸出業者の努力いかんの問題でございましょうし、買うか買わぬかは、とにかく消費者の選択によるわけでございますから、アメリカ市場で売れるから日本で買うのは当たり前だというだけではだめでございまして、日本の業者がアメリカ市場で非常な輸出努力をやっている。その努力をやってもらうことが大事でございますし、同時にまた、為替レートがそのときどういう状況になるかとか、いろんな問題がありますから、即効性を望むことはこれは難しいと思いますけれども、少なくとも日本だけが世界各国に対して門戸を閉鎖しておるぞということは言わせない、それだけのことはしっかりやりたいと考えておる次第でございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 即効性が難しいということで、私もそう思うし、アメリカもそう思っておるだろうし、先ほど局長から聞きましたが、やっぱり経常収支黒字が四百八十億ドルぐらいになるんじゃないか、こういうことをちょっと今聞きましたが、そういう状況ですから、結局はこれがある程度減らなきゃ、いつまでたっても問題は片づかないと思うんですね。  中曽根さんのこのやり方を見てみますと、一月の二日に、どうしてアメリカに自分が先に飛んで行ったのかわからぬけれども、飛んで行って、四つの荷物を背負って帰ってきた。そして、三月末に期待をしたけれども期待どおりにならない。そしてまた七月にアクションプログラム、こういう格好ばっかりつけてきた。これは、ある意味ではアメリカをだましたことにもなる。むしろ企画庁長官が言うように、もっとおまえたちも努力をせいと、日本の中で努力をせいというようなことならわかるんだけれども、何かしらんひょっと荷物を背負って、請け負って帰って、そしていろいろと手を変え品を変えやるけれども、なかなか実効性が上がらない。こういうやり方はもう問題があると私は何回も指摘をしてきたんですがね。  大統領なら、国民総投票によって大統領決まるんで、日本は大統領とは違うんです、首相なんですからね。そういうやり方も改めないと、結局はロン・ヤスだけでいったって、アメリカ内部ではそう簡単に流れは変わらない。だから、そこはやっぱり私はぜひ指摘をさしていただきたいし、このアクションプログラムも実効がない、なきゃ一体どうするのか。この問題について、内需の拡大なんかは一体どうやろうとしているのか、これは同時に車の両輪でやるということのようですが、どう内需の拡大はやろうとしているのか、その点についてお伺いをします。
  30. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 内需の拡大策につきましては、私が委員長を引き受けまして、関係各省というか、全省庁の事務次官に入ってもらいました委員会をつくりまして、第一回を先月やりまして、第二回目の委員会を明日開くことにいたしておりますが、その委員会のもとにそれぞれ、例えば規制緩和の問題だとか、週休二日制の問題だとか、幾つかの作業部会を設けて、それぞれ私どもの方が調整役ということで今作業を進めておるわけでございます。  ある程度の中間報告は九月中にできるようにしたいと思っておりますが、最終的には十月までに結論を出すつもりでおりまして、例えば税制の問題、その他予算関連の問題がありますから、予算関連の問題となるとやっぱり十一月、十二月にずれ込むことになりますけれども、それ以外の問題は、できれば十月中に結論を出すということで今作業を進めておるような状況でございます。  ただ、内需拡大策を大いにやるにしましても、例えば基準認証の問題につきましても、法律を通さなきゃなりません。国会で御審議をいただく必要がございますので、また皆様にもいろいろ御協力をいただくことになるわけでございますが、その法律が通らないと今の輸入の簡素化、輸入アクセスが十分にできないということになりますので、やっぱりある程度タイムラグが出てくる。これは私はやむを得ないし、またホワイトハウスの責任者といろいろ話をいたしましても、その点は十分向こうも理解をしてくれたと私ども考えておる次第でございます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 内需の拡大で、民間活力云々というのがしょっちゅう出るんですが、民間も今まで一生懸命やってきて、それ以上また民間活力をどうして引き出すのか、これは非常に難しいと思うんですが、その中で東京湾に橋をかけたり、あるいは明石大橋ですか、その問題とか、あるいは新幹線整備、こういう問題がよく出ますがね。どうも反対側の九州あたりでいきますと、やっぱり何ぼ民活と言っても、新大阪空港の建設にも政府が金持っていくように、恐らく地方は困るだろうと。政府の金というのは、袋は一つですから、結局地方は困ると、こういう心配をうちの県知事なんかもやっておりましたが、そこのところを、民間活力だけで中央とかあるいは一部のところだけが日の当たるような形じゃなくて、やっぱり全体に光が当たるようにやるべきだと。先ほどその問題については両大臣がお見えになるときに、私はいろんな例で状況の厳しさというのは話したんですが、それはぜひしていただきたいと思う、それが第一点ですね。  それから第二点は、とにかくいつも言います住宅の関係ですね。長官も通産大臣も、住宅やろうということで乗り気になっておられますが、大幅な住宅減税、これはヨーロッパに比較しても、アメリカやその他の諸国に比較しても、非常に日本は率が低い。これを今考えておられるようですが、もう一つは、やっぱり住宅金融公庫に、ああいうような形で一千億円住宅公庫内部が資金調達しなきゃならぬような状況ですから、もう少しそういうところに資金を充当して、そして貸出額ももっとふやすと、大幅にふやしていくと、両面から住宅政策を進めていく必要があるだろう。これで木材の消費量も、この前言いましたように、二割方輸入量だってふえるわけなんですね。それが一つ。  それから公共下水道の工事やなんかも、これは宮澤さんもテレビでこの前言っておりましたが、非常にもうおくれておるんですよ。ちょっとした地方の町へ行きましたら、全部表はいいけれども、裏はやっぱりくみ取り車が来てどんどんくみ取るような状況で、非常におくれているんですよ。こういうような状況に金をどうつぎ込むか。今、金がないからといって辛抱して、十年先に金ができるか。できないでしょうが、やったって、工事費は倍ぐらいになりますから、これは追っかけっこなんです。だから、そういう部面にわたる社会資本の充実については、やっぱり思い切ってやるべきではないか。  この三点について、私は強くきょうは、このアクションプログラムは即効性ないわけですから、もうちょっと国民が期待をしている部面に対して配慮をしてもらうように、ぜひ要請をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  32. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 第一の今の民間活力の導入の問題ですが、例えば関西国際空港につきましてもいろいろの御批判があることは十分承知いたしております。そういう経験を十分反省しながら、これからのいろんな大きなプロジェクトに取り組んでまいりたい。どういうような格好に持っていくか、東京湾の海底トンネル一つ取り上げましても、今いろんな案が出ておるような状況でございまして、十分それは詰めさしていただきたいと思います。  それから、住宅の問題につきましては、これは従来からこの席でもいろいろ申し上げたことがございますが、今、きょうお見えになっておる通産省でも、通産大臣のもとでもいろいろ御検討いただいておりますし、また建設省も熱心にいろんな案を出しておられますが、私としましては、税制上はもちろんでございますが、今お取り上げになりましたような金融公庫の問題につきましても改善を加えてまいりたい。  ただ、役務資金の、財政投融資のコストがちょっと上がっちゃいましたものですから、民間の金融機関の最近の貸出金利と比べますと、財投の金が少し硬直化しちゃったものですから、そういった問題をどうするかというようなことから解きほぐしていかなきゃいかぬなと考えているような状況でございます。まあ住宅は日本の衣食住の中で一番おくれている面ですから、しっかり私どもとしては税制改正でも大々的に取り上げたいと考えております。  それから、公共下水道につきましても、正直言って、地方はもちろんですけれども、東京都内でも大分おくれておるところがあることを、ついこの間も私、都会議員の選挙に回ってみて、知って、びっくりしているようなわけですが、やはり大事なことは、お互いの生活環境の整備をもっとしっかりやる、そのためには必要な公共事業の適正な配分をやる。一体その原資をどう確保するかということは、これはそう思い切った公共事業費増額できませんから、ことしは三・七%、工夫を凝らして去年より伸ばしましたけれども、何かそこら辺をもう一つ一工夫をしてもらいたいというようなことで、今いろいろやっておるような最中であることをお答え申し上げたいと存じます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 では次に、豊田商事の問題に移ります。  まず、八月の三十一日で債権の届け出を一応締め切りまして、あと受け付けるということでありますが、大体、新聞によりますと、その数字というのは拝見をしておるんですが、政府のつかんでいる豊田商事とグループに対する債権者の数あるいは額、この点について最初にお伺いをいたします。
  34. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 豊田商事の債権届け出状況につきましては、大阪地方裁判所におきまして現在集計中でございますが、私どもが昨日問い合わせましたところでは、八月二十八日現在で債権届け出人の数は六千六百七名ということでございます。九月一日の新聞で、八月三十一日現在で大阪地裁に直接届け出分として七千百七件と新聞で報道されておりますが、これは今申し上げました八月二十八日現在以降の分を推計して加えたものと聞いております。これ以外に弁護団が受け付けまして、それを裁判所に持ち込む分がございまして、これは現在整理中のようであります。新聞報道では、御存じのとおり、一万八千件を超える件数が報道されております。  いずれにいたしましても、したがって大阪地裁で受け付けておる正確な数は六千六百七名、八月二十八日現在ということでございますが、相当これを上回る数に最終的にはなると思われます。  それから、金額につきましても、地裁段階では現在集計中ということで、この額ははっきりいたしておりません。  大体以上でございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 まあちょっとそこを、正確なところまでいかなくても、新聞で発表しているぐらいの数字というのはここで出るだろうと思ったんですが、どうして言えないんですか。期待外れですが。
  36. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) この点につきましては、何分にも現在、御存じのとおり八月三十一日が債権届け出の期限でございますので、その最終期日に向かって届け出の数が殺到している状況だと思われますけれども、現在整理中ということで、はっきりいたしていないわけでございます。したがって、タイミングの点でございまして、地裁段階では、はっきりしているのは先ほど申したような数字ということでございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体、当初は、国会が終わるときに、この委員会は八月の上旬ぐらいに豊田商事問題でやろうという、そういう状況も企画庁も察知していると思うんです。九月の三日ということは、八月の三十一日に債権の届け出の集計が出るだろう、それを受けて、一体どうするかという問題が出るだろう、そういう想定をどうしてできなかったか。  今聞きますと、どうも何を言っているのかわからぬ。読売新聞の九月一日の切り抜き、その他各社の新聞を持っておりますが、大体相当近い数字が、これは推計も若干あるんじゃないかと思うんですが、出ておりますよね。これによりますと、二万五千三百七十二人、一千百十七億六千六百万円ですか、こういう数字が出ているじゃないの。これは新聞社が一生懸命苦労して集められたんだと思うんだけれども。新聞社が苦労したぐらいは、経済企画庁皆さん、窓口である皆さん努力して、新聞社と同じぐらい努力した数字は一体どういうことですか。
  38. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 私どもといたしましても、先生おっしゃいますように、八月のこの債権届け出期限が近づきます前からいろいろ問い合わせたりしておるわけでございますけれども、まあ仰せ、やはり裁判所の数が一番正確だと思いまして、その数を申し上げましたが、先生おっしゃいますように、九月一日にいろんな新聞に報道されております数は、今先生おっしゃいました人数にして二万五千三百何がし、金額にして千百十八億程度という数はほぼ一致しておりまして、恐らくそれは余り遠くない数字だろうと私ども存じておる次第でございます。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 もうあなた、質問続けられませんよ、こんなことを言っていて。  いいですか、朝日も読売も数字は一致しておるんですよ。新聞社は、この数字をやっぱり国民に知らそうと思って一生懸命努力して出したんでしょうよ。一致しているんだ。窓口である経済企画庁皆さんが把握している数字というのは、七千百七件で、弁護団の数字が云々。何にもわからないじゃないの。あなたたちが少なくとも、これは新聞社と同じように努力をした数字は、つかんでいるのはこのくらいだと、しかしこうなってこのくらいだというのは、大体それが何ぼ違ったからって、それを問題にするんではない。しかし、物を考えるのに、大体その近い数字ぐらいが出てなくて何が議論できますか。これは質問できませんよ。続けられぬわ、それは。冗談じゃないよ。何の仕事しているんだね。
  40. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 繰り返しになろうかと存じますけれども、債権届け出につきましては、現在集計中でございますので、破産管財人の段階におきましても推計中でございますので、最終的な正確な数字は出ておりませんけれども先生が御指摘になりましたように、各新聞社の御努力等で出ております数字がおよそ近い数字だろうと私ども考えております。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省も経済企画庁もそうなんですが、新聞社がこの数字を出すときには、記者会見か何か、どこかでしているはずです。そうでなきゃ数字がこういうふうに一致するわけはない。そこに、政府としては、どっちでもいいですが、立ち会ったんですか、どうなんですか。
  42. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 破産管財人の事務所にはたびたび問い合わせをいたしておりますけれども、この人数につきまして発表等の場に立ち会ってはございません。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは大臣、この豊田商事の問題というのは、昭和五十七年の七月六日に、本委員会でも馬場議員が質問をして指摘をしているんですよ。そういうように、結局、そのときそのときあいまいにしてきているから、もうどうにもならぬようになって、大変多くの国民が被害をこうむっている。  今度の問題でも、新聞社が三十一日にまとめるということに対して、あなたたちも知っているはずだ。それがどのくらいになるかというのは、現場に、新聞社が記者会見をする場がなんか、公に数字が出る場に、通産省か経済企画庁が、だれも政府が行っていないということはどういうことですか。何の仕事をしているんですか。この問題にどういう問題意識を持っているんですか。大したことはない、ほうっておけと、こういうことですか。
  44. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) これは御承知のとおり、役所の常として、どうも正確な数字を出さなきゃ気が済まないという従来のしきたりがあるものですから、正直言って破産管財人の方からの最終的な数字をもらって発表するつもりで、今日まで努力をしてきたんだろうと思うんでございまして、御指摘のとおり、概数でもいいから三十一日現在幾らだというようなことでやれば、ある程度はっきり申し上げられたと思うのでございますが、梶原さんの御期待にこたえられないでこれはまことに恐縮なんですけれども、横溝局長は、最終的な正確な数字をもってお答えするつもりで努力しておったことは、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 重ねて、くどいようですが言いますと、じゃこの新聞発表か何か、各社同じ数字が全部出ている。この数字が出た場に、通産省があるいは経済企画庁の担当者がたれか、出先の人か何か、現に立ち会っているかどうなのか、それだけ聞かしてください。
  46. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 新聞に出た場とおっしゃいますと、先ほどの御質問と同じ御趣旨がと存じますが、この新聞に出た数字の根拠が発表された場に、同席はいたしておりません。
  47. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 通産省の方も、裁判所等には種々問い合わせはいたしましたが、今、企画庁の申されたような記者発表の場には立ち会ってはおりません。  しかし、私どもの豊田商事一一〇番に出てまいりました相談の関係の内容等から考えてみますと、この新聞の記事は、大きな方向として、正確な集計に際しましても大差のないものが出てくるのではないかというふうに考えております。
  48. 梶原敬義

    梶原敬義君 この集計の、これ読売新聞の記事見ますと、「三十一日、締め切られた。大阪地裁民事六部と豊田商事被害者弁護団連絡会議の集計の結果、」云々と、こうなっているのですよ。  それで、各県がどうなっているかと、その数字も出ている。この数字見ますと、大分県で言うと、二百二十二件、七億五千八百万。だから、そういうことになるかと思いますから、それで先ほど大分県の実際の数字と合っているかどうかちょっと調べたんですよ。豊田商事の関係については、大体県が報告した数字と合うているわけですね。豊田商事の関係が、大体その数字が七億五千万と七億三千万ですから、若干少しずれておりますが、もうほとんど合っているんですよ、数字がね。だから、この数字というのは、民事六部と豊田商事の被害者弁護団連絡会議が集計した数字ですからね。これが各社全部一致していますからね、これはそんなにばらばらになるような内容ではないと見ているんですよ。  私はやっぱり政府のこの姿勢として、一番みんなが関心を持っているこういう状況で、新聞社が先にわかって、政府はそれは同時に、同時ぐらいにはこの内容をつかんでおくというのが、一番国民が期待しておることじゃないですか。そういう立場にある通産省も経済企画庁も、局長お見えですが、どうしてそこのところをあいまいにして、待っていくような姿勢をとるのか、私はどうも理解できないんですよ。私も国会へ来て二年だから、行政というのはそんなものかなと思うんですが、どうも世間の常識とはちょっと違うんだけれども、どうなんですか。
  49. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 現在集計中と申し上げましたが、破産管財人のところで、要するにダブルチェック等、数字の整理をしている段階のようでございます。したがって、それはちょっといつまでに整理が済むかというのは、今のところ私ども問い合わせましてもはっきりいたさないようでございますが、いずれにいたしましても、その正確な被害者の数とか金額とかいうのは、まさに債権の届け出手続完了を待って確定するわけでございますから、そことよく連絡をとってつかむことが一番重要かと存じまして、別の方法で推定するということはやっておらないわけでございますけれども、例えば経済企画庁の国民生活センターあるいは企画庁生活センターと連携をとっております都道府県あるいは政令指定都市に来ております相談件数を見てみますと、五十九年度からことしの七月までの豊田商事、鹿島商事関連の件数は、総件数で一万六千六十八件ございまして、こういう件数から考えましても、相当の数に上がるということは予想しておるわけでございますが、正確な数は債権届け出手続がやはり完了したその主体から聞くということではないかと存じておる次第でございます。
  50. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ、聞いていることは。  では、破産管財人のもとで確保した資産、要するにそれはたくさんあればみんなにたくさん配れるわけですが、その資産の額というのは、現在のところはどれだけ確保したのか、これはどうつかんでおられますか。
  51. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 破産管財人に問い合わせましたところ、資産額につきましては、八月三十一日現在で約十二億二千万円確保したということでございます。
  52. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは、破産管財人は最終的に三十億ぐらいに目標を落としたという記事が載っておりますが、この点についてはどうつかんでおりますか、実態をひっくるめまして。
  53. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 八月三十一日現在ではそういう金額でございますが、もちろんこれでおしまいということではございませんで、あらゆる手段を使って破産管財人におかれましては債権確保に今後とも努力をされることと存じております。  ただ、それが最終的に幾らになるかというのは、ちょっと今のところ私どももはっきりつかんでおりません。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 それも、今の段階もうここまで来たのですから、やっぱりもう少し詰めて、ここで、国会で真剣に審議していものですから、見通しをひっくるめて出してもらいたいなと思ったのですが、国税庁が源泉所得税の関係で押さえている額というのは幾らあるのですか。
  55. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) この租税公課の債権につきましては、守秘義務もありまして、税務当局がその数字を公表しておりませんので、当庁におきましても、金額的にはよく把握いたしておりません。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 では、一般に幾らあると言われておるのですか。――もういいや、新聞でもいいですよ。
  57. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) ちょっと私も、大蔵当局がそういうことでございますので、新聞等は注意して見ておるのでございますけれども、今一番最近の数字がどうであったかというのは、新聞記事もはっきりいたしませんが、ちょっと古い数字で恐縮でございますけれども、七月一日の夕刊のサンケイ新聞に載っております数字では、豊田商事の滞納金額が六億二千万円と出ていたように記憶いたしておりますが、その後いろいろな数字があるようで、正確にはつかんでおりません。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 今幾らと言われたんですか。
  59. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 六億二千万円という数字が七月の一日に新聞に出ていたことがございます。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 もっと多いんじゃないですかね。  どうも大臣、もうそういう状況で、そういう政府の取り組みの姿勢で、私どもが豊田商事問題についていろいろ言ったって、これはもうどうも手がつかないというんですか、そんな感じで、ちょっと質問する気にはなれないんですが、もっとやっぱり刻々状況が出てきているわけですから、両方とも、通産省も経済企画庁も、一体どうするか。もう少し積極的な、できるだけの努力をするというような姿勢がとられない限り、これはもうどうにもならぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  61. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 梶原先生のおっしゃるとおり、三十一日が締め切りになっておりますから、できればきょうくらいもうはっきりした数字を申し上げなきゃいかぬのですけれども、先ほど来局長が申し上げておりますように、まだ集計の最中で、正確な数字が破産管財人の方からも裁判所の方からも、なかなか発表をしてもらえないという段階だということでございます。  私どもとしては、もうこれは一日も早く正確な数字をチェックいたしまして、皆様にも御報告申し上げるように、これは努力しなきゃいかぬという気持ちでおります。その点は大変おくれて申しわけないと思うんですけれども、向こうも今やっておる最中なんですから、わかり次第機を逸せず、それはこっちもつかみたいと、こう考えておる次第だということを御了承いただきたいと思います。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ、大臣の今言われましたような方向で、ひとつ部下といいますか、担当者を叱咤激励をしていただきたいと思います。  この豊田商事問題に関しましては、経済企画庁の中に国民生活センターというがあるんですね。地方には、県なら県の消費生活センターというのがありまして、もう相当多くのところはコンピューターで結ばれておって、逐一状況が報告されるようにもなっておりますね。  大分県の場合、私、ちょっとこの前行って調べてみましたんですが、五十九年の七月ごろから相談がどんどん出て、そしてその都度国民生活センターに緊急情報ということで上げてきた。そしてその数字は六十年の二月末に四十件、三月が十六件、四月が十六件、五月が十二件、六月が百三十二件、七月が四十四件、八月が二十九件で、二百八十九件。特に性別では、女性がそのうちの百九十六人と非常に多い。それから年齢別に見ましても、六十歳以上が、これは全国平均と非常に似ておるんですが、五五・一%、百三十五人。職業別には無職が百四十人、主婦が九十二人。こういうふうに非常に地域地域で毎日毎日まめに頑張っておるわけです。それを逐一中央に、国民生活センターに報告を入れているわけです。通産省は通産省の方にもその状況は行っていると思います。  それからもう一つ、国会では五十七年ごろからいろんな委員会でも取り上げられておりますし、当委員会でも五十七年の七月六日に、馬場委員からこの問題が取り上げられております。何回か私も、決算委員会あるいは商工委員会その他でこの問題が取り上げられておることに対して、経済企画庁、通産省、それから警察庁の答弁をずっと聞いておりまして、あれでいいんだろうかと、結局そう思いながら今日のような行き詰まった状況になってきたわけなんです。  どうも先ほどの八月末の債権の調査の問題でもそうなんです。結局国会でもそういう問題を提起をされながら、一体行政指導をどうするのか、こういうこと。それから地方地方で苦情がどんどん上がってきている。野放しの状況を一体これまで政府は何を具体的に指導してきたのか。あるいは中央の国民生活センターから言われたことについて、非常に古い、五十六年、五十七年、五十八年、一体どういう取り組みをしてきたのか。国会の質問や国会で答弁したことに対して、どういうように具体的に政府としては取り組んできたのか。これは何にもやっていなかったということになってくるわけでしょうか。具体的には何かやっているでしょう。しかし、本当に焦点に突き刺さった効果のある対策は何一つやってこなかった、そう私は見るんですが、これは国の責任だと思うんですよ。責任がある、三分の一は。いやそうじゃない、いやこうこうこうしてきたということをぜひ聞かしていただきたい。
  63. 横溝雅夫

    説明員(横溝雅夫君) 豊田商事に関連します苦情が国民生活センターに初めて出てまいりましたのは昭和五十七年一月十三日でございましたが、それ以来件数的に申しますと、五十六年度、これは五十七年一月でございますから、五十六年度に属するわけでございますが、五十六年度五件が最初でございまして、あと年々数が二けた、五十九年度は百七件と三けたというふうにふえてきて、六十年度に入りますとさらに一層ふえているという状況で、私どももセンターを通じても存じておりますし、それから当然御指摘のように、都道府県等のセンターからも情報はいただいておるわけでございます。  これに対しましては、これも何回かごの国会で御答弁申し上げましたが、五十七年時点で早速、これは消費者が巻き込まれると非常に危い商法であるということで、まず消費者啓発、巻き込まれないようにすることが大事であるということで、五十七年度段階で、国民生活センターを通じます、ラジオとかテレビを通じます啓発活動で消費者啓発の事業をいろいろやりました。  それから、五十七年度の消費者保護会議におきましても、こういう金の現物まがい商法につきましては、違法事犯の取り締まりとか消費者啓発に力を入れるべきであるということを、既に五十七年の消費者保護会議でも決めまして、六省を挙げて取り組む体制をつくったわけであります。そういうことで、五十八年度、五十九年度も消費者保護会議でも同様の決定をいたしましたし、広報活動、PRも鋭意続けてまいったわけでございます。  しかし、先生指摘のように、そういう努力にもかかわらず件数がふえてきて、こういう事態になったではないかという点は私ども深く遺憾と存じ、反省しなきゃいけないと考えておるわけでありますけれども、御存じのとおり、何せ法のすき間をくぐる非常に巧妙な商法でありまして、その商法自体を取り締まるというのは非常に難しかったわけでありまして、苦情相談あるいは消費者啓発というものが中心になってこざるを得なかった次第でございます。  今年度に入りましてますます事件が大きくなりまして、国会でも大変大きく取り上げられるようになりました。そこで、政府といたしましては、可能な限りの対策を講じなければいけないということで、一層力を入れることにいたしまして、六月からは特に法律適用関係で非常に関係の深い六省庁と、私ども以外に、公正取引委員会、警察庁、法務省、大蔵省及び通商産業省でございますけれども、何回も協議をいたしまして、この現物まがい取引などの悪質な商行為の問題点の検討あるいは被害防止のための方策の実施のあり方の検討等を協議してまいっておる次第でございます。  とともに、豊田商事が破産いたしましてからは、被害者の債権の確保が一番大事でございますので、それをこの破産手続にうまく乗せますためにということが一つの大きな目的でありまして、豊田商事関連一一〇番という相談窓口を国民生活センターあるいは都道府県の消費生活センターに特設いたしまして、その債権確保に被害者が遺漏なきように、つながるように努力をいたしてまいった次第でございます。  とともに、特にお年寄りで、私どもがいろいろ消費啓発活動をやりましても、今までのやり方ではそれになかなか接しない、新聞やテレビも余りごらんにならない方が、多くこの被害に遭っているということでございますので、特にお年寄りにPRが行き届くような努力をしなければいけないということで、例えば、お年寄りの皆さん悪徳商法に引っかからないようにというようなリーフレットを、非常にわかりやすくいろいろな悪徳商法を解説し、あるいはそういうのが来たらどう対応したらいいかというようなのをわかりやすく解説いたしましたPRリーフレットを国民生活センターで八月につくりまして、これは二万五千部印刷いたしましたが、これを都道府県に送りましたところ、これ増し刷りして配りたいというのがすでに約百万部要請が来ておりますが、そういうお年寄り向けのリーフレットをつくりまして、これを民生委員とか老人クラブとかホームヘルパーとか、お年寄りに接しやすい方々を通じてお配りして、今後こういう悪質な商法に巻き込まれないようなPRに鋭意努力をいたしておるところでございます。
  64. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省は。
  65. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 通産省といたしましても、いわゆる金の現物まがい商法に対する対策につきまして、かねがね二つの点を基本に進めてまいってきたわけでございます。  つまり、第一は、現金と引きかえに安心して金地金が購入できるような体制をつくるための流通機構の中核的機関として、日本金地金流通協会を設けて、登録店制度を設けて信用ある売買店舗網の拡充に努めたこと。第二は、先ほど経済企画庁からもお話がございましたように、悪質な取引があることを一般消費者に十分理解していただけるように消費者啓発に努力したのが基本でございます。  ところで、本件豊田商事に関しましては、消費者相談が寄せられるようになってまいりましたのに応じまして、五十七年六月には豊田商事に説明に来庁するよう求めましたけれども、責任ある立場の者からの具体的な説明がどうしても得られない、たび重ねての当省の督促にも依然として応じてこなかったという状況にございました。  そこで他方、私どもといたしましては、消費者啓発を豊田商事に的をしぼりまして、例えば「かしこい消費生活へのしおり」というのを、五十八年三月でございますけれども、具体的に豊田商事の名前が、印象が浮かぶような方法で注意を呼びかけたりいたしたわけでございます。  しかし何分にも豊田商事問題は私契約にかかわる問題でもありますし、私どもに立入調査権もないために、行政上の介入には限界がございまして、先ほどの一般的な消費者啓発とあわせまして、個別具体的な消費者相談の段階で相談に応じまして、希望に応じた解約とか返金のあっせん、弁護士会の紹介など、できるだけ対応してまいり、またさらに、本年六月に至りましては、国会での御審議において大臣がお答え申し上げましたように、新規契約による被害の発生を防止する見地から、新規の勧誘を見合わせるよう指導文書を発出し、会社側からは既にその業務を停止している旨の回答も得たところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、このようなことにもかかわりませず、社会的に大きな問題が先生指摘のように発生しました点につきまして、消費者保護の観点から大変ゆゆしいことと認識し、遺憾に存じておるわけでございます。  先ほど経済企画庁からお答え申し上げましたように、関係する省庁も多うございます。先ほどのお話しの関係六省庁とよく連絡をとりながら、今後さらに適切に対処してまいるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  66. 梶原敬義

    梶原敬義君 私はもっとずっと、三光汽船の問題も質問する予定でしたけれども、こういうところで時間がかかって本当に残念です。  今両方の説明を聞いておりまして、私契約の関係で立入権がない、こういうことですが、国会で五十七年の七月に参議院の委員会でもやっておりますし、私は衆議院でもやっているのを全部国会で取り上げた内容について調べて持っておりますが、少なくとも警察庁まで出て、何回もやっておるわけなんですよ。だから、そこで、そこまで立法府でやっておる問題ですから、ただ立入権がないとか、あるいは何かで本当に肝心なところに手を打たないまま、結局は大変な被害者が出たわけですよ。私はやっぱりあなた方の答弁や今までの何回も過去のやつから全部すっと見てみますと、物の考え方に甘さがあったんじゃないですか、行政府としてですね。  ああいう商売は裏づけのない、まさか裏づけはあるだろう、何ぼかあるだろう、ああいうように、結局売り上げの、債権の七十何%が一般管理費に、賃金と家賃、そういう経費にいっているような内容。そうすると、もうあと残るものはないじゃないですか。そういう状況を本当はつかんでいなかったんじゃないか。そして、むしろまあまあそんなことはないだろう。立入権があるとかないとかいう、実際にあの商法の中で、一般管理費が七〇%も占めるような、そういうような問題なら、これは立入権があるとかないとかという問題じゃない。国会で何回もこの議論が、消費生活センターからも何回も上がっている。これに対する政府の問題のとらえ方の判断が甘かったとしか言いようがない。  これは、その点についてはいやそうじゃないと言うなら、ここでやっぱりそうじゃないということをひとつ言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  67. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 確かに、私どもといたしまして、立入調査権限等強制的な権限がございませんでしたけれども、先ほど申し上げましたように、できる限り豊田商事当事者からの説明の聴取に努力いたしましたり、また個別の相談に応じましてきめ細かい対応もいたしたわけでございます。  豊田商事がどのような仕組みで顧客を集めているか、そしてどのような仕組みで配当を行うかということにつきまして、非常に危険性が高いものであるということについては私どもも認識いたしておりましたので、先ほど申し上げました一例として「かしこい消費生活へのしおり」という五十八年三月の資料の中でも、金という相場商品を運用して利益を上げて、確実に顧客に一割の配当を行うには、人件費とか家賃とか莫大な必要経費を考えるとなかなか成り立ちにくい、そして、大勢の顧客が一度に解約を申し出た場合には倒産するおそれも強い。そういうことでもございますから、消費者の方々が十分御注意を持ってこれに臨まれるよう、できる限り啓発に努めたところでございますけれども、やはりこの商法の場合には、ある時期までは解約料もきちんと払われる、配当金も払われるという状態が続いておったわけでございまして、ことしに入りましての、かなりことしの年央に近くなりましてから、具体的に滞る状況が顕著になってきたと申すべきじゃないかと存じます。  それ以前の段階におきまして、一般的な注意啓発以上に出ますことは、直に関係法令に抵触しているという点もない以上、なかなかそこに限界があったということを御理解賜りたいと存ずるわけでございますけれども、今後は、ただいまのような大変貴重な経験を踏まえましてどのように対応していくべきか、関係省庁ともども鋭意検討いたしまして、悪質商法の防止のための最善の努力をいたしたいと考えております。
  68. 梶原敬義

    梶原敬義君 貴重な経験で高い月謝というような、それはわかるけれども、自殺者も出ておりまして、何万人にも及ぶような被害を受けた人の救済というか、政府はそれに対するどう手を差し伸べるか、政府として一体どう努力をするか、これはやっぱり最大の課題だろうと思うんですが、これは最後に答えていただきたいと思うんですがね。国民に、消費者に対してはそういう宣伝はしたと言うけれども、この宣伝も行き渡っていないんですよ、ほとんど知らない。どこかでやっただろうと思うが、行き渡りが足らぬ。そこは一つ問題はもともとあります。  しかし、豊田商事は呼んだけれども来ないとか。じゃ政府の方から、行政の方から豊田商事に出かけていけばいいじゃないか。そして、豊田商事のそういう現物まがいの商法が、配当を一割もして、そして管理費も非常に高い、こういうのでうまくいかないということになれば、それは勘で、もうわかるはずですよ、こういう商法というのは。豊田商事に政府から踏み込んでいって、そして過去に調査したことがあるのかどうなのか。これは経企庁や通産省、両方ともそれはひとつ聞かせていただきたい。  これは重要なことだと思う。国会でそれだけ何回も審議をし、しかも消費生活センターからある、あるいは裁判ざたになる、こういう問題が次々に出ておる。消費者だけに手を打ったんじゃない。これも非常にあいまい。それで、呼んだけれども来ない。じゃ行けばいいじゃないか。五十七年からそんな問題が次々と出ておって、具体的にそこまでやったのかどうなのか。これはむしろここに月謝を払わなきゃいけない、貴重な経験でしたというのでね。
  69. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) ただいま先生指摘のような形で、直接職員が豊田商事に出向いての調査は従来いたしておりませんでした。  先ほど申し上げた五十七年の六月に説明を求めた際には、同社の職員は参りましたけれども、なかなか秩序立った責任ある説明も聴取できませんでしたので、責任者の来庁をさらに強く重ねて求めたわけですけれども、それにも応じない。そして、こちらから出向いても責任ある者に会えるかどうか、なかなか見通しもつきにくいようなこともあったのも事実でございます。  もとより本年の六月になりまして、国会の審議で大臣がお答え申し上げましたような、文書で新規の勧誘を見合わせるよう指導いたしました際には、もし先方がそれに何らの応答もない場合には、みずから職員が乗り込んでやみ意気込みで構えておったところでございましたけれども、その段階では、先方から責任ある立場の者からの回答がありましたので、この本年六月の段階につきましては、会社に行くまでもなく済んだというのが実態であったわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、今後の取り組みにつきましては、いろんな意味で会社に対する接触の仕方につきましては、十分有効な方途をこれからも探求していかなければならないというふうに思っております。
  70. 梶原敬義

    梶原敬義君 国会審議を何と思っておるのかと私は言いたいんです。  やっぱり国会議員というのは行政の皆さんとは違った面もある。それは地域にずっと根を張っているから、動いているから情報は入るわけなんだ。そういう情報を持って国会で判断して、鋭い感覚でとらえて、これはどうもおかしいじゃないかという国会審議が五十七年から何回も繰り返しやられておる。これをいいかげんに聞いておるんだ、あなたたちは。国会審議というのをいいかげんに聞いて、まあそのときだけと。これはやっぱり一つ結果として出ておるんじゃないか。  この点については通産大臣どうですか、大臣もそれは自分のところのことはよくわかるし、世の中のことはわかると思うんですが。
  71. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 先ほど来、梶原委員の御質問を拝聴いたしておりまして、本当にいろいろ御指摘をいただいたことについてよく理解ができるところでございます。  経済企画庁の担当局長、また通産省の松尾審議官からお答えしたとおりでございますが、豊田商事のことが非常に顕在化をいたしましてから、例えばことしの六月十九日に、これ以上の新規契約は見合わせよ、そして被害者の発生を防止するという見地から新規の勧誘を見合わせるべき旨の指導文書を発出しておりますし、また、この参議院の商工委員会からのいろいろなお話がございまして、豊田商事一一〇番をすぐに開設をいたしましたのが六月二十五日でございました。この一一〇番には、開設した当時一週間で七千三百六十件という相談件数があり、七月中には二千四百三十八件、八月には激減いたしまして二百十九件というようなことになったわけでございますが、約二カ月間で一万十七件の相談が寄せられました。  そして、この相談の中では、六十歳代以上の高齢者で、とりわけ女性の相談者が目立っておる。それから、電話だけでなく、契約書などを持参して直接来省する方も多い。相談内容としては、会社は倒産したが支払ったお金は戻ってくるのかとか、解約して金を返還してもらう約束になっていたがどうなるんだ、今後裁判所の手続はどうなるんだ、契約者は何をすればよいのか、弁護士会や被害者の会を教えてほしい、手元にある金が本物かどうかを確かめたい、いろいろな相談がございまして、これに対して一一〇番では、トラブルの状況を詳細に聴取するとともに、破産手続の進行状況や契約者が行うべき手続、内容等について情報提供を行ったり、あるいは被害者弁護団や各地の弁護士会、金の無料鑑定を行う店舗の紹介等を行って、いろいろやってきたところでございますが、これは梶原委員指摘のように、豊田商事の問題が顕在化してからでございまして、非常に遺憾ではないか、こういったことが二度と発生しないようにせよという、非常に消費者保護の立場からおっしゃっていただいた質問の内容を私は十分聴取をいたしました。  今までの答弁にございましたように、六省庁協議をいたしまして、この一つの貴重な経験にかんがみまして、今後こういった事態が起こらないようにいろいろ未然の防止の手を打つことができないか、そういった問題について真剣に検討させていただきたいと思っております。
  72. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後になりますが、一体何%債権者に、消費者に返せるのか。この問題は非常に見通しが暗い、少ない。これは大変なことだと思うんですよ。だから、これについても政府としてはできるだけの私は努力をしてもらいたいと思うんです。  政府の責任はないかと言ったら、それは私は、世間の常識からいきますと、手の打ち方が遅い、国会でも取り上げ、消費生活センターからも上がってきたのに対する手の打ち方が遅い。これはやっぱり一般国民は、政府の責任あるぞ、こういう見方はずっとあるんだがね。この点も勘案の上、やはり政府がもっと前向きに、この問題について責任を感じて、責任を感じないということになると私は困るのですけれどもね、感じてもらって、そして少しでもこのひっかかった皆さん方に対する心の安らぎができるように最大の努力を訴え、両大臣のその点についてのお考えをお伺いして終わりたいと思います。
  73. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) こういった問題は、言うなれば自由主義経済のいわば盲点をついて発生をしているわけでございまして、実はこれは、御質問されておられます梶原先生自体も御承知のように、自由主義経済体制の場合では、民事には行政は極力介入しないという前提がございます。  したがいまして、政府の責任という言葉につきましても、そういった大前提に立った上で対応しなければならないと思うのでございますが、いずれにいたしましても、国民生活に非常な脅威を与えるようなこういった事態が発生することは、政府としては十分留意をして対応しなければなりませんので、ここにおいでになります経済企画庁長官や関係大臣ともよく御相談をいたしまして、今後の方針を検討いたしたいと思います。
  74. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 今、村田通商産業大臣から御答弁のありましたのと全く同じ考え方でございまして、行政としては、法律の根拠なしになかなか民事上の契約に足を突っ込めない、手を突っ込めないというのが建前だものですから、梶原先生、こうごらんになって、今まで何をやっておるかというおしかりをいただいているのは十分わかりますけれども、二度とこういう問題繰り返さぬように、ひとつ今六省庁協議をしまして、後の対策を考えようと進めてまいりたい、こういう努力をしておることを申し上げておきたいと思います。
  75. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  76. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ――――◇―――――    午後一時三分開会
  77. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 まず、貿易摩擦関連につきまして質疑を行いたいと思います。  先月の七日に、アクションプログラム関連につきましては、国民生活・経済に関する調査特別委員会で若干の質疑もさしていただいておりますので、できるだけ重複を避けまして質問いたしたいと思います。  アクションプログラムにつきましては、市場開放並びに輸入拡大を求められている我が国といたしまして、当然のそれぞれの施策とは言いながら、関税分野あるいは基準認証分野、さらには政府調達、さらには投資交流各般にわたりまして、現在の我が国におきましてとり得る最大限のアクションプログラムをとっておられる。この点につきましては高く評価をいたしておるところでありますけれども、問題はやはりこれをいかに実行していくかということにあろうかと思うんです。  既に一カ月以上経過しておりますので、このアクションプログラム関連につきましてその後どのように対応しておられるのか、そういう進捗状況につきましてまず伺ってみたいと思います。
  79. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) アクションプログラム問題は非党に重要な対外経済対策でございまして、今松岡委員がお述べになりましたように、我が国は四月九日に対外経済対策を発表して、中曽根総理自身がテレビの前でこれをお話しになり、そして七月三十日にはアクションプログラムの骨格が決定をしたわけでございます。  その後の反響でございますが、全般的に見て諸外国の反響は、日本が種々の対策を講じだということは評価をいたすわけでございますが、内容の評価については非常に多岐にわたっております。そして、技術的なものが多いということから、詳細の検討が終わるまでは待つというのが大方でございまして、通産省としては、アクションプログラムに盛り込まれた内容をできるだけ迅速かつ誠実に実行しなきゃならぬ、そして日本努力に対して諸外国の理解を得るように努力をしなければならぬということで、早速総理からの御指示もございまして、英文に直ちにアクションプログラムをつくって、そして外務省、通産省その他関係各省で、大使館やあるいはジェトロを通じて対外的なPRにも努めておるところでございます。  そして、具体的にアクションプログラムで全体的の骨格は決まったわけでございますが、個々の問題いろいろ推進をしていかなきゃなりませんので、それをひとつ練っているということでございまして、例えば八月下旬には、アメリカで、ハワイでございますが、四分野の協議等がございました。そして、できるだけこれについてはコンピューターの本体もひとつ関税撤廃をしようというような新しい提案もいたしまして、できるだけ外国の要望にこたえてやっていくということで進めておるわけでございまして、アメリカあるいはヨーロッパ、ASEANその他いろいろ反響はまちまちでございますが、積極的にそれを対応してまいるという姿勢でございます。  特に、アメリカの例を申し上げてみますと、例えば、私は七月にアメリカに参りまして、アクションプログラムの進行状況をブッシュ副大統領やヤイターUSTR代表やボルドリッジ商務長官に説明を申し上げたわけでございますが、七月三十日の骨格発表後は、例えばボルドリッジ商務長官などは、今必要なことはスタディーでなくて行動である。あるいはヤイターUSTRの代表は、三年計画というのは長過ぎる、議会からは、三年がかりでなくてあすにでも実施すべきであるという批判が出るものと危惧をされる。またベーカー財務長官は、正しい方向として歓迎するけれども、具体的な施策及びその実施が出てこなければ最終的評価は行い得ない。つまり、原則としては中曽根総理の非常な努力を高く買うけれども、具体的に、それじやそれでどれだけ日本輸入がふえるのか、あるいはアメリカ貿易赤字が減るのかというようなことではっきり見ないと、それに対する評価はできないという考え方が一般でございます。  これはもっともでございまして、ヤイターUSTR代表は八月の中旬に日本に参りまして、私は真っ先に一時間半ぐらい懇談をしたのでございますが、先ほど申し上げたヤイターさんの、三年計画というのは長過ぎるという言い方に対しまして、三年計画というのは全体をやる年限なんだ、もっともっと片っ端からやれるものはやっていくんだということで、それをはっきりと申し上げましたら、ヤイターさんはそういう努力を評価をしていただいて、その後中曽根総理や安倍外務大臣にも会って帰られたようでございます。  そのほか、アメリカのドール院内総務の御一行でございますとか、いろいろな方々が来られて、このアクションプログラムについての御注文なり御要望なり具体的に承っておるわけでありまして、私どもは七月三十日のアクションプログラムの骨格の発表以後、さらにそういった日本努力が評価をしてもらえるような具体的な行動を個々に努力をしておるところでございます。
  80. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 今回の貿易摩擦につきましては、一貫して我が国政府も主張すべきことは主張しておられますし、また譲るべきところは譲る、断固守るべきところは守っておるという姿勢を貫いておられますので、その点は我々も非常に意を強くいたしておるところでありますけれども貿易摩擦というのは、考えてみますると、それぞれのやはり国々の中での国内の原因があって、それが表面に出てきて結果として摩擦になっているという、そういう現象が非常に多いだろうというふうに思うわけでありまして、その点は今後ともそういう立場できちっとやっていただきたい、かように思うわけです。  ただいま大臣おっしゃいましたように、このところ米国からヤイター通商代表あるいはドール院内総務、ケンプ議員等々いろいろ要人が来ておられます。それぞれの話を聞いてみますると、これはいろいろな受けとめ方もあろうと思うんですけれども、どうも我々の方から見ると、一体アメリカの総合的な真意というものはどこにあるんだろうかなというところが非常にわかりにくい部分があるわけです。  大臣はそういう方々と直接お会いになっておられるわけでありますし、大変御苦心をなさっておられると思うんですけれども、その辺の方々の真意でございますね、さらにこれから九月議会が始まってきますると、いろいろと新聞等の情報を見ますると、大変な保護主義法案が八十二本も用意されているというようなことでありますし、こういうものに対してこれからしのいでいかなきゃいけない、そういう時期に差しかかっておると思うんですけれども、そのような有力者の皆さん方日本に対する発言の真意をどのように把握しておられるのか、そして九月に対してどのような対応をお考えになっておられるのか、その点につきまして御答弁を願いたい。
  81. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 非常に重要な御質問であろうかと思います。  私自身は、先ほど申し上げましたように、ヤイターUSTR新代表ともゆっくり会いましたし、それからドール上院院内総務ですね、これは日本で言うと、自民党の幹事長さんぐらいに当たる大変なポストで、しかもこの方自体は大統領候補の一人に擬せられるぐらいの実力者と聞いておりますが、その方が七人ぐらいの上院議員の一行でおいでになりました。  そのほかケンプ下院議員だとかギボンズ下院議員御一行だとかいろいろございますが、例として、ヤイターさんの話は先ほど申し上げましたから、ドール上院院内総務との会見の模様を申し上げますと、私は三度にわたってお会いしたわけでございます。特に話を詰めて会いましたのは、通産省でお目にかかったのと、それから安倍外務大臣の御主催をされます朝食会でお会いしましたのと、二回でございます。  代表的なそのときの向こうの言い方を御紹介いたしますと、ドールさん以外の方で、例えば今回のアクションプログラムはツーレートである、そしてツーリトルであるという表現をお使いになった方があります。遅過ぎる、そして規模が小さ過ぎるということを言われたわけでございますが、それに対して私どもは、例えば千八百五十三の品目について関税の引き下げや撤廃をいたしました。千八百五十三というのはペリー提督が日本にやってきた年号が一八五三でありますが、品目の数からいって千八百五十三もして、しかも大蔵省等で試算をしていただいているところによると、七百億円前後にも上るという関税の引き下げ、撤廃を行った例は今までにない。そのほか、関税外の問題についても、松岡委員がお述べになりました基準認証でございますとか、緊急輸入でございますとか、あらゆる問題について努力をしておるのであって、このことをひとつ正当に評価をしてほしいということを申し上げましたところ、結論として、ドール院内総務御一行は、一つの期限として十月上旬というのを我々は考えているのである。  これはどういうことかというと、アメリカの国会が休会明けからいよいよ審議に入ると、この貿易摩擦問題以外でいろいろ検討しなければならない問題が前にあるために、一番そういうことの、先ほど言われました数十に及ぶという保護主義的な貿易法案等が国会で最も審議をされるのは九月下旬あるいは十月上旬以降である。そうすると、何といっても三百五十億ドル以上というような日本貿易黒字というものが大変な標的にされることは間違いない。したがって、現在発表されておる行動計画の骨格だけではよく理解ができないので、さらに具体的に個々の問題にどういう対応をしていくかということをひとつ検討してほしいということを言われました。  そして、先ほども申し上げましたが、例えばコンピューターについては、本体等日本はすべて撤廃という方針で臨みましたから、これなどはヤイター通商代表は非常に大きな行動として評価をするということを言っていただいているようでございますが、個々にそういった対応を含めまして、できるだけ行動計画の骨格で示したことを早く実現をするように、そしてまたフォローすべきものはフォローするような努力を懸命に尽くしまして、我々はベストを尽くして、アメリカで保護貿易主義的な法案が通過することを阻止をすると申しますか、それに対応するあらゆる手を打っていこうという考え方で、総理の御指示のもとに努力をしておる、こういうところでございます。
  82. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 今回のアクションプログラムにつきましては、フォローアップ態勢というものが非常にしっかりしておる、また引き続いて次官級レベルで四分野につきましてもかなり詰めた話もしておられる、そういう点は非常に評価できるわけですけれども、やはりこの問題につきましては、あらゆる手を尽くしてお互いが理解し合う努力をしていくということが必要だと思うんです。  そういう中で、今月中だと思いますけれども、昨日、二階堂副総裁が、総理からも言われて、アメリカに議員レベルで話に行くんだということをおっしゃっておられました。特にアメリカの場合は、何といってもプラグマチズムの国でありますから、結果、形がぴしっと出てこないと非常に難しい、それについては非常に難しい時期だということをおっしゃっておられましたけれども、こういうふうに議員レベルでの協議し合う機構をつくっている。これもやはり一つの大きな前進になるだろうというふうに期待をいたしておるところでありますけれども、七月でしたか、日米財界人会議がミネソタでもございました。そのときに、最後の話し合いの中で、政府間の話し合いにアドバイザーとして財界も出ていこうじゃないかという決議をいたしておるようであります。  こういう、それぞれの国は異なっても、同じ業界で仕事をしている皆さん方の交流ということも非常に重要なことだと思うんです。ただ残念ながら、アンチトラスト法の問題もあるし、独禁法の問題もあろう、そういう障害がある。そういう形での業界同士での話し合いというのは、過去におきまして、紙パルプ、そういうものではあるんだというような御説明が通産省でございましたけれども、こういう問題はやはり非常事態でございますから、特にそういう話し合いについての障害があれば、それを何とか一時的にでも除去してやっていくんだというような取り組みが私は必要ではないかなと思うんですけれども、その後、そういう問題につきまして具体的な対応をなされておられるかどうか、なされておればその部分につきましてのお話を伺いたいというふうに思います。
  83. 鈴木直道

    説明員(鈴木直道君) 先生指摘のとおり、日本の政策なりあるいは考え方が十分アメリカの一般の方に知れ渡るということは非常に重要でございます。いわゆる草の根で私どもも理解をしてもらうということだと思いますが、御指摘のように、民間レベルにおきましては、先ほど御指摘の中にございました財界人会議、そのほかアメリカ地域別に、大体四地域ぐらいに分けまして、日本アメリカ産業界レベルの会合も持たれておりますし、さらには、お話の中にありましたような、紙パルプ以外の電子機器等で日米間の産業界の交流の場が持たれております。  我々自身は、そのような日米間におきますいろいろな角度での交流を深めることは非常に重要だと思っておりまして、これにつきましてはいろいろな形でバックアップしたいと思っておりますが、同時に、例えば今回のアクションプログラムの決定等に際しまして、それをできるだけアメリカの方々に知っていただくという意味の広報活動というものも同時に重要だと思っております。私どもにございますジェトロを通じましての広報とか、あるいは私ども直接にやる方法、あるいは各省と協力して、例えば外務省を主体としてやる方法、いろいろな方法がありますが、あらゆる方法を駆使して御承知のような考え方で交流を深めていくということに努力をしたいと思っております。
  84. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ぜひそのようにお願いしたいと思うんです。  貿易摩擦につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、やはり国内のそれぞれの事情もあるわけです。御承知のように、我が国につきましては内需拡大の問題もありますし、アメリカにおきましても高金利の問題、ドル高の問題、財政赤字の問題、さまざまあるわけでありますけれども、せんだって経団連の軽井沢フォーラムの中で、根底に技術摩擦があるんだというような指摘が出ております。  産業構造が非常に、特にアメリカの場合は第二次産業が空洞化しておる。それで、実際にこれにつきましてのデータを調べてみますると、二次産業関係でいわゆる部品として百九十億ドルぐらい日本から買っておるというような状況があるわけです。こういうものにつきまして、産業構造を、アメリカ経済の体質を変えていく、そういう二次産業の少しおくれている部分について若干の手直しをしていくということもこれは必要ではないかと思うんです。  これにつきましては、日本の業界の中でも非常に積極的にそういうものへ協力していこうという考え方もあるやに聞いておるわけですけれども、主として経済的な援助等につきましては、従来開発途上国に開銀、輸銀の融資をしておりますけれども、そういうものが考えられるのかどうなのか、こういうアメリカ産業構造の空洞化というものにつきましてどのようなとらえ方をしておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
  85. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 松岡委員のお触れになったことは、根本問題であると思います。私の考え方を率直に申し上げたいと思います。  何と申しましても、三百五十億ドル以上に上る貿易黒字、これは八兆円という額でありますから、問題になるのは当然であるという前提でありますし、それと同時に、自由主義経済自体同士のぶつかり合いでございますから、言うなれば、貿易摩擦の種というのは、自由主義経済の国々の貿易の問題では常に内包されておる問題だ、これがまず基本的な認識であります。  アメリカ日本とのこの貿易摩擦の問題を考えてみますと、根本的に一番考えなきゃならないのは、御指摘になったアメリカマクロ経済の問題、そして日本の表現で言えば内需の拡大の問題であろうかと思うんでございます。そういった意味で、例えば自動車産業に例をとってみますと、昭和六十年度は二百三十万台以下の対米輸出ということを決定をいたしましたが、その際に、自動車の中にもキャプティブインポートというのがございますね。これはまさに御指摘のように、部品日本がつくって、そして向こうで製品として出すという意味で、アメリカのこういった現象は第二次産業の中で、御指摘のように、今自動車に例をとって申し上げましたが、いろいろあると思います。したがって、根本的にはそういうマクロ経済、あるいは内需の拡大という方向で考えていかないと、貿易摩擦は解決をしない点があるのではないかということが一つ。  それからアメリカ自体に原因がある問題としては、アメリカドル高、高金利、そして膨大な財政赤字というものに原因がございまして、こういった点を、私はブッシュ副大統領にお会いしたときにも、あるいはヤイター通商代表にもボルドリッジ商務長官にも率直に、アメリカもこういう点があるんですよ、考えてみてくださいということを指摘いたしましたが、そのことを認めるのにはやぶさかではありません、それはもうミスター村田の御指摘のとおりであると答えつつ、なお貿易上にいろいろな問題があるので、日本としてはひとつアクションプログラム等で積極的に対応してくれという要望が飛び出すわけでございます。  根本的な解決の方向としては、日本は内需を拡大をして輸出を減らすのじゃなくて、輸出はさらにふやすけれども輸入をさらにさらに拡大をするという方向で貿易黒字を少なくしていくというのが解決の方向であると思いますし、また、アメリカ側から言えば、マクロ経済の問題をよく考えていただいて、ドル高、高金利、あるいはアメリカの膨大な財政赤字にどうやって対応して、第二次産業の空洞化というものを防いでいくのか、またアメリカ労働問題に対応していくのかというような問題にまでさかのぼってまいりませんと、両国間の経済問題、そして貿易問題は解決をしないのではないかという見方をしております。  事実、アメリカ人は非常に実証的な、科学的な国民でありますから、貿易摩擦の問題でもアクションプログラムの問題でも、日本貿易黒字が減らなきゃ納得しないという、そういう実証的な面があるのは事実でありまして、そういった点について、いろいろな点を含めてベストを尽くして折衝をし、また内需の拡大に努力をしていきたい、アメリカにも申し上げるべきことは申し上げるというのが私ども考え方でございます。
  86. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 我が国経済の特性というのは、非常に輸出弾力性が高くて輸入弾力性が低いというところにこれがあるわけでございます。それはそういうことであるわけですけれども、国民に対してこれから内需の拡大をしていく、そういう中で社会資本のおくれとか、我が国の場合は一次産業部分につきまして若干弱い部分がある。この際、恐らく最終的にアメリカ側としても日本に対してそういう内需の拡大、貯蓄と投資のバランスをもっととれというような話になるんじゃないかと思うんです。  そういうときに、国民に対してこういう財政再建、行政改革の時期に予算を拡大するということについていろいろな説明もしなければいけない。そのためにもやはり我が国が持っておる経済の特異体質、輸出弾力性が高くて輸入弾力性が非常に低いということについてもっとやはりPRすべきじゃないかということを、この前国民生活・経済委員会でも申し上げたんですが、経済白書でそれに対応しましょうということでしたが、出てきたのを見ますると、余り十分な説明はなかったというふうに私は見ておるんです。  今後そういう角度でやっていくとしますると、やはりすべて予算関係も、そういうアクションプログラムに対してこれを実行していくために最優先の予算、いわゆるアクションのAをとってマルA予算とでもいいましょうか、そういうものを別枠にするぐらいの気構えがないといけない。しかし、それに至るまでやはりもっと国民に対して説明すべき問題もたくさんあるだろうというふうに考えておるわけですけれども、通産大臣の内需拡大につきましての基本的なお考えというものを伺ってみたいと思うんです。
  87. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 午前中の梶原委員の御質問でも、この問題で非常に具体的に触れておいでになりました。住宅であるとか、あるいは東京湾横断道路であるとか、下水道であるとか、これなどは典型的な例であろうと思います。率直に申し上げて、内需を拡大し、景気を拡大していくのには、政府公共投資あるいは民間の設備投資、住宅建設、これなどは最も典型的な例であるということが従来から言われておりますし、そういうことをやっていけば確かに景気にも好影響を与える、内需の拡大にも資するということだろうと思います。  ただ、日本政府の方向として御指摘になったように、小さな政府を目指しておりまして、したがって今、行政合理化の際に、これ以上の膨大な財政赤字をもたらすような予算は組み得ないという非常に苦しい事情があります。したがって、政府でできないことは民間活力と、こういうような論法も出てくるわけでございまして、それはそれなりに、私はデレギュレーションだとか、規制緩和だとか、それから内需拡大のための民間活力の導入だとか、国公用地の活用であるとか、そういう政府が言っておりますことは、やはり非常に高く評価されるべきものであろうと思います。  ここへ来て、それじゃ一体もう少し予算を大きくして内需を拡大する方向をとるのか、あるいは依然として緊縮財政で、小さな政府を目指しながら貿易摩擦のこれ以上の拡大を防ぐという方向でいくのか、ここに基本的な実は一か二か、一か他が、エントベーダーオーダーという選択があるんでしょうね。私はそれは認めるんです。財界なんかの意見では、この際予算をもう少し大きくしてでもひとつ内需の拡大をやったらどうかというような意見も率直に聞かれます。しかし、私どもが昭和六十一年度予算に対応している姿勢は、やはり現在の厳しい情勢を継続して行政合理化を全うしたいという考え方でございますから、したがって知恵をどういうふうにして出したらいいかという非常に難しい選択を迫られておるのが実態だと思います。  しかし、申し上げてみれば、住宅建設などはやはり一番内需を拡大する、すそ野の広い産業でございますから、こういった意味で、いわゆる公営住宅のような国費のたくさんかかる住宅建設でなくても、住宅金融公庫の融資であるとか、あるいはいろいろなものを組み合わせて住宅建設の方向がさらに拡大をしていくような工夫は可能だと思いますし、また東京湾の横断道路などは、これは知恵の出し方で、事実非常に財政的にもペイする方向があるのではないかというような感じもするわけでございまして、そういった一つ一つの御高見というものは非常に貴重であると思いますので、それを政府段階において関係各省で協議をしながら、通産省としても、建築資材の提供であるとかいろいろな面で公共事業には非常に深い関連を持っておりますから、意見は率直に申し上げていきたいと、このように考えておるわけでございます。
  88. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 先ほど、経済摩擦は技術摩擦の側面があるということを指摘している、そういう話をちょっとしたんですが、ある面では文化摩擦だという声もあるわけであります。やはりそれぞれの国の持っておる固有の国民性あるいは文化、そういうものの相違、価値観の相違、そういうものがあるわけですから、なかなかやはり難しい問題もあろうと思うんです。  実は先日、「汝の敵日本を知れ」というテレビを見ましてびっくりいたしたものですから、八月七日の国民生活・経済委員会の中で、実は外務省に出席を求めておったんですけれども、その後この問題についてのどのような対応をしておられるのか。特にやはりそういう意味におきましては、外務省の情報収集、そしてPR活動は非常に重要な役割があろうと思うんです。  この「汝の敵日本を知れ」というのを見て驚きましたのは、日露戦争から始まりまして、日露戦争も日本が一方的に戦争行為を開始して三日後に宣戦布告をしている、いわゆるリメンバーパールハーバーというような感じのものであります。それから、日本人というのは汗の中から魔術のように戦闘機をつくってくるんだと、汗と人力で。最後はバターンですかどこか、「死の行進」だと思うんですけれども、骸骨のようにやせこけたイギリスかアメリカかの将校の写真とか、そういうものが実は出ておったんです。  そういうものが一体どういう使われ方をしておるのか。これは、我々も実際に、少年時代は鬼畜米英なんということを言われて、やはり人間というのはそういう情報の中で一つの価値観、映像というものができ上がっていくわけですから、これは恐しいことだと思うんですね。そういうものが一体どういう形で米国で使われておるんだろうかなと。一度そういうことになってくると、やはり日本人というのはアンフェアな国民だ、技術なんかについても随分アメリカの指導の中でやってきておるのに、現在そういうことについての恩義は一体どうなっているんだろうか。あるいはアメリカ産業は七〇%ぐらい軍需産業がウエートを占めておるわけですから、そういうものについての日本の防衛に対する取り組みというのは一体どうなっているんだというような話にすぐ連結されがちな時代だと思うんですね。  だから、そういうものについてひとつお調べをいただきたいということを申し上げておったわけでございますけれども、一カ月ぐらい経過しておる。今後こういうことにつきましてやはり迅速に情報を収集され、迅速なる対応を特に外務省にはお願いをいたしたいというふうに思うわけでありまして、その後御調査の経過でもございましたら御答弁をいただきたいと思います。
  89. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、八月七日の国民生活・経済に関する調査特別委員会先生が御提起になりました「汝の敵日本を知れ」というアメリカの宣伝映画の件でございますが、私どもの方で調査いたしましたところ、この映画は八月四日のTBSの「報道特集」において、「米陸軍省制作“汝の敵日本を知れ”終戦直前米国からみた日本の軍国主義」というタイトルで放映されたものということが判明いたしました。その後私どもでさらに調査いたしましたところ、これは戦時中にアメリカがつくった宣伝映画のようでございますが、これは琉球放送が入手されたもののようでございます。  その背景を申し上げますと、昨年ぐらいからでございますが、沖縄県におきまして、沖縄県の民間の有志の方々が、子孫に戦争の悲惨さとかあるいは戦後沖縄が歩んだ道、これを伝えるために民間から寄附金を募られて、アメリカが戦争中に撮影したフィルム等を買い集められて、それをテレビで流されるという運動を組織されておられて、その一環としてアメリカの陸軍省のフィルムライブラリーから入手されたものである由でございます。  この陸軍省のフィルムライブラリーでこのフィルムを入手した際には、このフィルムは当時のいろいろな記録映画と同時に保存されていたそうでございますけれども、ほこりをかぶっているような状態で保存されていたということでございまして、そこから察しまするに、少なくともこのフィルムを、米国政府がいろいろな米国国内における宣伝のために使っているというようなことはまずないのではないかというふうに私ども考えております。  私ども、同時に米国政府、国務省、国防省等に対しても、このフィルムの今の使用状況がどうなっているかということを念のため確認しているところでございますが、何分古いフィルムのことでもあり、まだその回答には接しておりません。  それから、先生がまさに先ほどから御指摘になっておりますように、アメリカとの関係で、私ども日本の取り組んでいるいろいろな姿勢というものを、正しくテレビ等においても伝えるということが私ども非常に重要なことだと認識しておりまして、そのために、先ほど通産大臣から御答弁もありましたように、対外広報、アメリカに対する広報ということに努力しているわけでございますが、その一環といたしまして、テレビとかラジオを通じての、例えばアクションプログラムについての広報というものも非常に重要だと考えまして、八月中旬に至りますまでに、在米の松永大使、あるいはニューヨーク、サンフランシスコあるいはロサンゼルスのそれぞれの総領事が、テレビ、ラジオ等の番組に出演してアクションプログラムの広報に努めておりますが、大使、総領事によるテレビ、ラジオの出演は、八月中旬までに計十回にわたっております。  以上でございます。
  90. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 大変私は結構なことだと思うんです。ですから、この際、このアクションプログラム等についてのPRですね、テレビ、ラジオも結構ですし、新聞とか雑誌とか、そういうものへ積極的にひとつPRをするようにお願いをいたしておきたいと思うんです。  貿易摩擦関連はそれで終わらしていただきたいと思うんですが、次に流水占用料の問題でございます。  二十七日の朝日新聞あるいは二十九日の日本経済新聞を拝見いたしますと、工業用水などに新たに流水占用料を課そうという構想を建設省が打ち出しているようであります。私自身が手に入れました鉄鋼連盟の資料によりますと、これが実現された場合の鉄鋼業の受ける影響というのは五十億円から六十億円、そのほか紙パルプが百億、化学工業が八十億から九十億、その他を合わせて三百十億円ぐらいの影響があるようであります。しかし、御承知のようにこれはもう全部不況産業であるわけですね。それに追い打ちをかけるような状態になる。特に鉄鋼業につきまして五十億から六十億円を捻出するためには、鋼材にいたしまして四百四十万トンぐらい新たにこれを売らなければいけないという状況であるわけです。内需振興や民活の必要性が検討されている一方で、このように必ずしも業況のよくない業界、そういうものに占用料で負担をかけるのはどういうものであろうかなと思いまするし、同時に、新たなこれは増税ということになれば、増税なき財政再建という基本にも反するわけであります。  このように、それぞれの業界が対外摩擦あるいは国内での過当競争あるいは合理化努力、さまざまな状況の中で四苦八苦している状況でありますから、本来のこういう問題についての構想というものにつきまして、非常に私自身疑問を感じるわけでありますけれども、こういうものにつきましての通産大臣の御見解を改めて承っておきたいと思います。
  91. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 松岡委員指摘の流水占用料構想につきましては、ダムの建設だとか河川改修などのための財源確保を目的として、工業用水、水力発電等に公租公課を賦課増強しようというものでございまして、地下水くみ上げによる地盤沈下の防止を目的に展開してまいりました工業用水政策に矛盾をするという点がございます。また同時に、御指摘になりましたように、我が国産業界に過重の負担を強いるとともに、増税なき財政再建という政府の基本方針の趣旨に反するという点で多くの問題点を含んでおる、このように考えております。  治水事業は、もともと国の基礎的な施策でありまして、本来一般財源によってこれを手当てすべきものであって、これを流水占用料のような形で賦課をしようという考え方については、通産省としては基本的に同調することができない、反対であるということを申し上げたいと思います。
  92. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 大変心強い御答弁をいただいたわけです。これからこの問題につきましては、いろいろと議論の場も出てくるんだろうと思うんですけれども、今おっしゃいましたような趣旨に基づいてひとつ大いに頑張っていただきたい、私どももこれは頑張らなければいけないなというふうに考えております。どうかひとつよろしくお願いいたします。  二時から第八次の石炭鉱業審議会に御出席ということでありますけれども、今まで石炭問題につきましては大変通産省御努力をいただいておるわけであります。しかしながら、千二百五十億円の国費を毎年つぎ込んで二千万トン体制、非常に厳しい状況に第七次は置かれておるわけでありまして、これから一体これをどのように展開していくのか。石炭問題は、やはりすぐれて産炭地問題だというふうに思うわけでありまして、石炭関係に三万人の方々が従事しておられるわけですから、大変御苦労もこれは多いことだろうというふうに思います。  しかしながら、先ほどちょっと流水占用料の問題でも触れさせていただきましたけれども、石炭につきましても、電力、鉄鋼というものが大変国内炭を使用することによって協力をしておるという事実もこれはあるわけであります。輸入炭の比率がどんどんふえて、国内炭の比率が減ってきておるわけですけれども、原料炭で見ますると、国内炭が二万四千二百円、輸入炭は一万二千九百円、差し引き一万一千三百円の開きがあるわけです。これを鉄鋼業界の場合は三百五十億円ぐらいの年間の負担になっておるわけですけれども、やはりそういう形で国内炭を使用しておる。これは鉄鋼大手五社の年間の配当額に匹敵する額になるわけですね。不況でそれぞれ厳しい合理化努力を進めながら、そのような協力をしてまいっているということがやはり実情だと思うんです。  片方では、そういう貿易摩擦の中で、諸外国で日本輸出したい国も私はあろうと思います。また、それを一つの武器にすれば非常に当面はしのぎやすい問題もあろうと思います。しかし、片方には産炭地のそういう厳しい現実というものがある。それをどう調整してやっていくかという大きな非常に厳しい時期に差しかかってきている。保安の面で見ましても、だんだん炭鉱の深度が深くなってきているような現実でありまするし、片方では、石油の備蓄もした経過があるんだから、国内炭も少しぐらい将来に備えて備蓄したらどうかという意見もあるように伺っておりますけれども、この第八次の諮問に当たりまして、今後の取り組みにつきましてどのような形で諮問を行われるのか、今後どのように先ほど来申し上げましたような問題を含めて検討なさっていかれるのか、お考えを伺いたいと思います。
  93. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 現在の第七次石炭政策が六十一年度まで続いておりますので、私どもといたしましては、その保安の確保ということに十分配慮しながら、当面第七次策の展開を図っていきたいと考えております。  そこで、第八次策でございますが、御指摘のとおり、きょう二時から石炭鉱業審議会を開催いたしまして、大臣から八次策についての諮問をする予定でございますが、これから一年をかけまして、今後の八次策について検討していきたいと考えております。その際、今おっしゃいましたように、内外炭格差というのは相当開いております現実というものを十分踏まえなきゃならぬと思い史すが、石炭につきましては、御指摘のとおり、産炭地の雇用経済問題あるいはエネルギーとしての安全保障問題、いろいろ念頭に置きながら考えていく必要があるかと思っております。  非常に情勢が厳しいということも十分私ども認識いたしておりますので、ただ、今現在生産目標その他についてどうするかというのは、まだこれから検討に入る段階でございますので、今ここで申し上げる段階ではございませんが、諸般の御指摘のような点も踏まえまして、各方面の御意見も伺い、これから慎重に検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
  94. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 非常に厳しい問題ですし、同時に、今回の成り行きを産炭地の皆さん方は息を詰める思いで見守っておられると思います。しかしながら、片方でのそういう業界の協力というものもこれはあるわけでありますから、その辺については、やはり的確な理解を国民もしてもらうということも私は大切なことではないかと思うんです。現実に安い輸入炭がありながら、しかしやはり政府の指導、協力によって、そういう協力をやはり業界もしておるんだということについてのPR、説明というものも、今後忘れてはならないことではないかなというふうに思うわけであります。  どうぞ大臣、よろしゅうございますから……。  鉄鋼関係の問題でございますけれども、対米の鉄鋼輸出規制であります。  せんだってニュースを聞いておりますると、米国の方で、どうも我が国がそれを守っていないんじゃないかというような批判があるというふうに聞いておりますけれども、この辺の実態はどんなものなんでしょうか。情報があればひとつ教えていただきたいと思います。
  95. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 確かに、アメリカ側通関統計を見ますと、この一-六月の合計で、日本からの鉄鋼輸入は前年同期比一〇八・一ということで、なお前年よりは上回った水準で来ておるということはございます。  ただ、これは先生も御承知のとおり、日米鉄鋼の輸出規制というものが、枠組みは昨年の十月からことしの十二月までの十五カ月間の数量枠でございます。それを細目まで合意いたしまして調印をいたしましたのがこの五月でございまして、現実の輸出規制といいますか、を始めましたのがこの六月一日からでございます。したがいまして、この十五カ月のいわば枠を、六月までの間は各社の配分なしにおのおのがやっておったと、こういうことがございまして、六月以降が現実のこの日米取り決めに基づく輸出規制が始まっておる、こういう実態がございます。  したがいまして、我が方の通関輸出統計で見ますと、この六月、七月と急速に落ち込んでおりまして、七月のごときは前年同月に比べまして四割減というような水準で今輸出がされております。したがいまして、日本側統計アメリカ側統計、普通ほぼ二カ月ぐらいおくれるというのが常識でございますが、そういった我が方側の六月以降の規制の実施に伴いまして、今後対米輸出というのは急速に落ち込みまして、十五カ月期間を通じますと、米側と我が方との協定どおりの水準に落ちつく。それについては、私どもは毫も疑問を持っておりません。  このことについては、ついせんだって定期協議のために参りました米側のこの関係の担当者も、鉄鋼輸出組合等、現実に輸出事務を委託してやってくれておりますところ等も実地に見まして、これならば日本側のこの協定の履行体制というのは完全である、こういった確信を持って、非常に安心して帰ったところであるというふうに私ども考えております。
  96. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そのような理解が双方でできておれば、これはよいだろうというふうに思うわけですけれども我が国はそういう形でアメリカ輸出規制、そして第三国とEC、これもそれぞれ今話し合いをしておるわけですけれども、最近聞くところによりますと、USスチールが随分ダンピングをやっておるというような情報もあるわけですけれども、片方でそういう約束をしながら、国内でどうしてダンピングをしなきゃいけないのか。ECや第三国というものは、それぞれそういう約束事をきちっと守っておるのかどうなのか。その辺の実態をちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。
  97. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 米国は、昨年そういうことで鉄鋼の輸入の直接規制に踏み切りましたんですが、その方針に基づいて、米市場への主要輸出相手国と交渉を続けてまいりました。日本もその一環として、昨年十二月に実質合意に達したわけでございますが、その後、現在十五カ国、日本、それからECを含め十五カ国との間に米国は同様な取り決めを結んでおります。  ただそれが、今日本の例でも申しましたように、通常やはりその協定が実施に移されておりますのは、ことしの二、三月からのものが多うございますし、ECのごときは、ついせんだって、本年の八月、十二月についてようやく合意ができた、こういう状況でございますので、それの実効、実際の効果といいますか、そういうものが米国市場全般としてあらわれてくるというのは、一〇〇%あらわれてくるのはちょっと今からではないか、そういうのが実態だろうと思います。その協定の履行については、これは当然当事者である米政府に任せざるを得ませんけれども、米政府がそういった協定に基づいての監視体制というのは、前からのいろいろな経験もございますし、ほぼ万全なものであろう、私どもはそういうふうに信頼をしている次第でございます。
  98. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 もともとこの輸出規制の問題も、どちらかというと第三国のとばっちりを受けたような部分が多分にあるわけですから、その辺の体制はしっかりアメリカに対しても申し入れをしておいていただきたいと思うんです。  先ほどもちょっと触れましたUSスチールの問題はちょっとお答えがなかったんですけれども、いかがでしょうか。
  99. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 失礼しました。  御承知のとおり、アメリカの鉄鋼業というのは、もう十年来非常な困難の中にありまして、それがとうとう究極的にこういった輸入の直接規制、こういうことにならざるを得なかったわけでございますけれども、私どもとしましても、そうしてせっかくそういった米国の鉄鋼業の再建に協力するという視点から、米国との協定に踏み切ったわけでございますから、ぜひ今後五年間に、米国鉄鋼業がその困難を克服しまして、再建できるということを期待しておるわけでございますが、当面の状況は、今先生指摘のとおり、米国内ではむしろ、まあダンピングという事実があるかどうかわかりませんけれども、シェア争いといったものが激しくて、アメリカ国内の市況等を見ましても、むしろ年初よりは現在の方が各品目にわたって低落している、そういった状況がございます。  ただ、それも先ほど申しましたように、むしろその直接規制という、外国からの競争の緩和という措置がまだ実際の効果を一〇〇%あらわすに至っていない、こういう時期的な問題もあろうかと思います。ただ、あろうかと思いますけれども先生指摘のとおり、せっかくこうして我々が協力しているわけでございますから、米国の政府及び業界自体も、そういう中での米国鉄鋼業界の再建について一丸となって実現してもらうよう、これは我々も折に触れて米国に申し入れておりますけれども、今後ともそのような形になることを期待しておる次第でございます。
  100. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 先ほどちょっと触れましたように、アメリカの二次産業の空洞化、その中に鉄鋼業というものが非常に大きなウエートを占めているわけですから、せっかくそういう問題についても協力をしようという対応を我が国としてはしておるわけですから、今局長御答弁のような姿勢で、ひとつ今後とも対米折衝をお願いいたしたいというふうに思います。  それから投資減税の問題等ちょっと触れたいと思ったんですけれども、時間も参りましたし、大臣も石炭鉱業審議会の方へ出られましたので、それは省略をいたしたいと思うんですが、内需振興の大きな部分を占める投資減税の問題、これは通産省としては来年度に向けて千七百億ぐらいの計画を立てておられるようですけれども、すぐそれを打ち消すように、大蔵省が税の減免は二千億ぐらい何とか削ろうというようなことであります。  アメリカの方は、レーガンの税制というものが相当、非常に思い切った対応をしておる。そういう中でもっと簡素化をすべきじゃないかという意見もあるでしょうけれども、しかしこの投資減税の問題は、アメリカはそれなりの役割はもう既に制度として果たしたからそういう方向づけができるわけですけれども我が国の場合はこれからでありますから、そういう投資促進のための減税あるいは償却年数の短縮、それによってやはり経済を活性化していく、そして内需の拡大に向けるという姿勢をひとつ通産としては貫いていただきたい、かように最後に要望をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  101. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) ただいまの点、私どもも、設備投資が中長期的な日本経済成長の原動力であるということを認識をいたしております。アメリカのように大きな設備投資減税というには、財政上の制約があって十分そのような形になりませんけれども、現在租税特別措置に残っております投資関連の税制というのは、まさに必要最小限度でございます。  私どもも、来年度にエネルギーの需給構造の高度化あるいは情報関連の高度化、さらにはまた産業社会関連、特にソフトなインフラ部門の整備といったあたりに、そういったものに焦点を当てて、設備投資に関する減税制度を要求をいたしておりますが、先生指摘のような趣旨に沿って、私どもとしてもぜひその実現に向けて努力いたしたいと思います。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、豊田商事グループ等の悪徳商法の被害者救済の見通しと行政の対応について若干伺ってまいりたいと思います。  八月三十一日で大阪地裁で被害者の債権届けが一応締め切られました。この被害の概況について、同僚議員が午前中にこの説明を求められたのでございますが、これに対する的確な答弁がされませんでした。私も新聞の切り抜き等を持っておりますが、新聞にある程度克明にこれだけ発表されているにもかかわらず対応がされなかった。まして当委員会については突然開かれたわけではございません。これは一カ月も前から、このときに豊田商事を中心にして委員会をやるぞということも通告をしてありましたけれども、私はこの問題に対する対応というものを、姿勢というものを疑わざるを得ません。だからこういう点については委員長、私、けさの同僚議員の質問を通じまして、これでよいのかという憤りすら感じました。私は当委員会の代表として委員長から、そういう委員会に臨む姿勢というものを、突然開いた委員会ではありませんから、委員長の権限においてひとつ注意を促していただきたいことを、私は委員長に要請したいと思います。よろしくお願いいたします。  この問題について、私は概況を求める予定でありましたけれども、同僚議員の質問と同じように答弁は返ってこないと思います。  そこで私は、具体的にこの被害者救済の見通しについて、じゃどう考えるのか。数字を求めるのではありませんが、どう考えるのか。特に被害者は御承知のとおりに高齢者で、老後のとらの子を取られてしまったという、途方に暮れているような悲惨な例が非常に多いわけなんです。そういう意味において、これらの人々の生活の救済の見通しについてどう考えていらっしやるのか、政府として今後どう取り組まれるのか、この点に対する答弁をお願いいたします。
  103. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 冒頭御指摘のございました地方裁判所への債権の申し立てのことにつきまして、午前中種々御議論いただきましたが、ちょっと一言だけ補足さしていただきたいんでございます。  裁判所といたしましては、締め切りました案件の集計には十日程度時間が必要であるということでございまして、まだ若干の時日を必要としているというのが実情でございますけれども、私どもといたしましても、けさほど御答弁申し上げましたように、弁護団の数字を新聞で報道されておりますあの件数、金額については、私どもの豊田商事一一〇番の相談窓口などを通じて感じました印象ともおおむね符合しておりますので、最終的に裁判所において集計された場合におきましても、大きな差はないのではないかというふうに考えている次第でございまして、裁判所の集計を一日も早く入手するよう、これからも地裁への連絡を密にいたしてまいりたいと考えております。  それから、救済に関係する部分でございますけれども、私ども豊田商事一一〇番に、全体で、六月二十二日以来八月末までに一万件を超える相談が寄せられまして、その件につきまして、相談の実情に応じまして私どもなりに可能な対応をいたしまして、希望に応じました弁護士会の紹介なども含めまして、できるだけのことをいたしてまいってきたわけでございますけれども、既契約者の債権の保全ということになりますと、これもけさほどお答え申し上げましたように、裁判所の民事上の手続によらざるを得ないわけでございますので、私どもとしましては、そういう意味で被害者に対する特段の行政措置は有しておりませんけれども、民事手続の進捗状況を注視しながら、今後とも適切な情報提供に努めてまいりたいと存じますし、御案内のことかと思いますけれども、破産法上まだ債権届け出の道はなお残されているようでございます。引き続き被害者からの御相談に応じまして、債権保全の手続をできるだけ的確に進められるよう情報提供等を図ってまいりたいと思っております。  そのような点を超える問題につきましては、経済企画庁が主催いたしております関係六省庁の会議でもいろいろ議論をいたしておりますけれども、例えば生活困窮世帯に対する生活保護の問題等の機動的な運用などを含め、今後引き続き関係省庁で御相談をさしていただきたいと思っております。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっと法務省にお尋ねをいたしますけれども、この豊田商法につきまして、本年六月、秋田地裁で初判決が出ておりますけれども、この種の訴訟は現在どの程度出ておるのか、ちょっと御説明をいただけないでしょうか。
  105. 山崎潮

    説明員(山崎潮君) お答え申し上げます。  ただいまの件につきまして、私どもとしては正確な調査はしておりませんし、その資料は持ち合わせておりません。そういうことでちょっとわかりかねます。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 これも質問通告しているんです。これを私一番最初に――午前中の同僚議員の質問に対しても、これだけの大きな事件で、我々が委員会でもお聞きをしたのに対して、いきなり質問したわけじゃないんです。これだけのことが出てこないということは、これはちょっと質問する気になりませんよ、これ。
  107. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ちょっと速記をとめてください。    一速記中止一
  108. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記を起こして。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 もうそういうことで時間をとっちゃなんですけれども、今の質問だけじゃございません。委員長も御存じのとおりに、同僚の梶原先生の質問のときに対しても、ある程度それに答えてもらわなければ何のための委員会であるか、これはわかりませんよ。だから、それに対して質問をしようとしているわけなんですから、今さら時間ももったいないですから。  この六月に秋田地裁の判決が出ていることは事実なんですよね。こういうのがどういう状況になっているのかということをある程度準備しておいてもらわなければ……。  問題は、訴訟に持ち込める人はともかくといたしまして、被害の少額な人あるいは法律に余り詳しくない無知な人、そういう人等はどうしていいかわからないから泣き寝入りしてしまっているんです。こういう例も少なくないわけなんです。  そこで、アメリカにおいて消費者保護の有力な武器となっているこのクラスアクション制度の導入を検討したらどうかということを私は思うし、そういう点に対してのお考えを聞きたいと思います。これは御承知のとおりに、実体法上の違いやディスカバリー制度など周辺制度も含めてこの考え方を伺っておきますけれども、これに対するお答えをいただきたいと思います。
  110. 山崎潮

    説明員(山崎潮君) その点につきましてお答え申し上げます。  集団代表訴訟、いわゆるクラスアクションと言われるものがあるわけでございますが、これは一般には商品に欠陥がございまして、そういうものについて個々の被害者の受けた損害は少ないけれども、その被害者が多数であるような場合、こういうような場合に迅速に訴訟を解決させる方法として従前から提唱されております。現にアメリカの方でも立法化されているようでございます。この趣旨は、やはり少額の債権者は訴訟遂行能力もないし、あるいは訴訟費用等の負担能力もない。それで企業側に不当な利益を保留させること自体はやはり社会正義に反するであろう、そういうような趣旨に出ているものだと思われます。  この趣旨は一応理解はできるわけでございますが、この中身につきましてよく考えてみますと、その大きな特徴は、全国に例えば数十万の被害者がおるとしまして、その中の一名または数名の者がその代表となりまして訴訟を遂行するわけでございます。その場合に、その訴訟の結果、いわゆる勝訴に終わる場合、敗訴に終わる場合、いずれの場合におきましても、その集団に含まれる者は全部その裁判の結果に拘束されるというところに大きな特徴がございます。  そうなりますと、ここで問題がございますのは、その集団の範囲はどこの範囲まであるのかということの認定が非常に難しいわけでございます。それで、全くその集団に入っていることを知らない者も、その裁判の結果に拘束されるという事態を生じる可能性がございます。そういう問題がございますので、大変難しいという点でございます。  それともう一点は、それがたとえ勝訴に終わりましても、その勝訴の金額をどのように分けていくかという点につきまして明確な規定がございません。そうすると、その分配におきましてまた裁判が起こるという結果も生じかねないわけでございます。最終的には終局の解決にならないおそれがあるという点が非常に難しい点でございます。  現在の法律でそれに類した規定がございます。それは選定当事者という制度でございます。これは共同の利益を有する集団の人たちがその中で代表者を選びまして、その者に訴訟を遂行させていくという制度でございます。これでかなりの程度はカバーできるのではないかというふうに存じております。そういう趣旨から、クラスアクションを直ちに入れるということは慎重に対処しなければならないというふうに考えております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 これはまた検討の余地があるかと思いますが、こちらももうちょっと研究してみたいと思います。  そこで、今回の悪徳商法のような例で、社員の給与が不当利得に該当すると、そのように思われる場合は、御承知のとおりに労務債権の先取特権の行使制限をしてもよいのではないか、こういう意見があるんですけれども、この意見に対してのお考えはいかがでございましょうか。
  112. 山崎潮

    説明員(山崎潮君) この点につきましては、御承知のとおり、民法に先取特権の規定がございます。雇い人の給料につきまして、最後の六カ月分は先取特権が保証されるという制度でございます。  ところが、株式会社と有限会社の場合におきましては、労務関係から生じました債権につきまして全額先取特権が保証されるということになっております。この豊田商事関係では、株式会社でございますので、その全額について保証がされるという形になるわけでございます。この規定の趣旨は、当然その労働者の保護というところからなっているわけでございます。この精神は破産法上でも引き継がれておりまして、この先取特権につきましては、優先債権として位置づけられております。  この本件の場合におきまして、被害者の方の一般債権と先取特権の対立が生じるわけでございますが、先取特権の行使を制限するような規定は現行法上はございません。  そこで、解釈の問題になるわけでございますが、この事実関係が私どもの方にはよくわかりません、把握できませんので、明確なことは申し上げられないわけでございますが、一般的に解釈いたしますと、このような先取特権の行使を制限するような解釈はかなり難しかろうというふうに思われます。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これに関連いたしまして、訪問販売法についてお伺いをしたいと思います。  現在訪問販売法は、御承知のとおりに、指定商品制度を設けまして四十三の品目分に限定されておりますけれども、これを商品すべてに網をかけまして、支障を生ずるものについてのみ適用除外とする制度を検討したらどうかという考え方一つでございます。  それと、訪問販売法は、クーリングオフ制度によりまして購入者の保護を図っておりますけれども、御承知のとおりに、この現金一括払いのように、契約の履行が完了した場合には適用が認められておりません。だから、そういう立場から、キャッチセールスやアポイントメントセールスなど、攻撃的な販売で、購入意思が不十分なままなされてしまったような場合にも、このクーリングオフを適用すべきではないかという、こういう考え方がありますし、私もそのようにして防げるものならば防いでいくべきだと思いますけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。
  114. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) ただいま先生から二点御指摘がありました。  その第一の、いわゆる指定商品制度の点でございますけれども、これは先生指摘のとおり、主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品につき政令で定めておるわけでございますけれども、これは御案内のことではございますが、一般消費者が日常の消費生活で、訪問販売の形で通常購入する可能性のない品物の販売までこの法律の規制にかからしめますと、過剰規制になるおそれがあることから妥当ではないということで、さように定められてきたわけでございます。しかし、廃止をするとどのような弊害があるかということになりますと、やはり一般消費者が購入する可能性の少ない商品の売買でございますとか、あるいは食料品のように、基本的には店舗販売が一般的な商品をたまたま訪問販売したような場合にも、いろいろ訪問販売法に規定してございます書面の交付とか、クーリングオフなどが義務づけられるようなことになるということで、過剰規制の弊害が出るおそれが大きいという点にかんがみたものでございます。  もう一点の、クーリングオフを現金取引にも適用すべきではないかという点につきましては、クーリングオフが問題となるケースの大半は、やはり割賦販売と申しますか、頭金をまず払って、しかる後、数回の後払いの支払い形態をとる場合が多いわけでございます。もちろん先生指摘のように、現金取引をめぐっても問題がないわけではございませんが、総じて申せば、一般的には先ほど申し上げたような割賦形態のものの方が多いわけでございます。  現金取引にクーリングオフ制度を導入するということも一つ考え方ではございますけれども、契約にかかわる全部の債務の履行が行われて、契約関係の終結した後に契約の解除が無条件に認められるということになりますと、やはり取引の安定性を著しく阻害するおそれが大きいという、こちらの影響も十分考えていく必要がある、必ずしも妥当ではないのではないかというのが私どもの立場でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、現金販売の場合にはクーリングオフがなし得ないのだということにつきまして、消費者の啓発を徹底することとあわせまして、訪問販売業界につきましても、必要に応じ所要の指導を行いまして、今後とも訪問販売にかかわるトラブルが未然に防止が図られるよう配慮はいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 次に、現在御承知のとおりに、サービス関連取引の増大に伴いまして役務に関する消費者トラブルがふえております。これは、個々のあれは時間がありませんから省略をいたしますけれども、しかしながら、現在の訪問販売法は、役務関係取引を規制の対象外としてあるわけでございまして、そこで消費者保護の充実を図るために、役務関係取引も法規制の対象にすべきではないか、このように思いますけれども、これも消費者保護の立場からでございますが、これに対するお考えはいかがでしょう。
  116. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 御指摘の役務取引につきましては、商品の売買の場合と異なりまして、さまざまな形態が存在いたしておりますので、その実態を十分に把握し、それを踏まえた上で対応のあり方を十分検討する必要があると存じておりまして、私どもといたしましても、ただいま産業政策局におきまして研究会を開催いたしまして、関係各界の実務家の方々に集まっていただき、役務取引の実態把握に努めているところでございます。今後具体的な審議、検討の結果を踏まえまして、対応のあり方を検討してまいりたいと考えております。  ちなみに、訪問販売に限りませんけれども、割賦取引につきましては、先生の御指摘の中にも含まれていると思いますけれども、最近商品に役務が附帯した取引も多く、これが消費者トラブルの多くの事例を生んでいることにもかんがみまして、昨年十一月の割賦販売法施行規則の改正によりまして、商品に附帯した役務の内容につきましては、契約書面に明記することを義務づけ、取引内容の明確化など、トラブルの未然防止を図ったところでございます。  とりあえずはそのような措置を講じておりますけれども、今後は、先ほど申し上げました研究会の検討結果を踏まえまして、対応のあり方を鋭意検討してまいりたいと考えております。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 次に、アクションプログラムのことにつきましてお尋ねをしたいと思いますが、同僚議員がこの問題につきましてもただいま質問をされたわけでございますが、諸外国の反応はどうであるかということに対して、大臣の今さっきの答弁がございましたが、大事なことでございますし、具体的にちょっともう一度お尋ねをしたいと思います。  過日、八月の十九日でございましたですか、来日されましたドール上院院内総務が、この行動計画につきまして、問題の緊急性を無視したもので、米国の主要関心品目が少ないという強い不満を漏らされておりました、これは新聞報道等がされておりますが。そういう立場から通商問題の権限は議会が左右するんだという表明もされております。このような行動計画への強い不満についてどうお考えになっているのか。  また、ドール院内総務のほかにも、来日されましたヤイター米通商代表部代表が強調されましたように、秋に開かれるアメリカの議会において、現在提出されている保護主義法案、御承知のとおりに対日報復法案の幾らかは成立するだろうという見通しについてどう考えているのか、また日本としてアメリカの議会の動きにどう対処をしていくのか、この点をお聞きしたいと思います。  それから第三点は、ヤイター米通商代表部代表が、アクションプログラムの早期実施を求められたと伝えておりますけれども、この要求に対してどのように対処されるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  118. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 田代委員の御質問は、非常に重要な問題であろうかと思います。  御指摘のとおり、まずドール上院院内総務御一行、これは七名の上院議員でございました。八月十九日から二十一日まで日本においでになりまして、そして中曽根総理やまた私、あるいは安倍外務大臣等と会談をされたわけでございます。私は通産省でお目にかかりましたのと、それからアメリカの大使館でお目にかかりました。それから外務大臣主催の朝食会で飯倉公館でお目にかかりましたのと、三回にわたってお目にかかりました。特に通産省と外務大臣主催の朝食会では、相当詳細なやりとりをしたわけでございますが、その際にドール上院院内総務は、アクションプログラムをつくった日本政府の姿勢は評価できるとしながらも、これは七名の上院議員の方々からそれぞれいろいろな意見がございました。  わけても一番厳しいと思われましたのは、今回のアクションプログラムの内容はツーリトルである、小さ過ぎる、ツーレートである、遅過ぎる、そういうような印象を非常に持っておるという指摘がございました。それぞれ総合いたしますと、アメリカは非常に実証主義的な国民性を持っておりますから、アクションプログラムで決めたとて、実際にそれによってアメリカの赤字がどれだけ日本に対して減るのかとか、そういう問題ではね返ってこないと評価できないという見方も相当強かったように思います。  それから田代委員が御指摘になりましたように、アメリカが言っておる品目、例えば率直に申し上げますが、木製品だとかあるいはチョコレートだとか、そしてまた航空機であるとか、そういうものについての対応をもっと今後示してもらいたいというような御意見もございました。そしてぎりぎりのところ十月上旬までが待ち得る最大の長い期間である、それまでに何もしないと、今御指摘になりましたようなアメリカ国内で数十の保護主義的な法案が準備をされておって、それが次々と可決をする可能性がある。また我々は国会議員であるから、大臣は同じように政治家であるからよく御存じだろうが、それぞれ自分のふるさと、選挙区を持っておる、そういった事情もよく考えて、具体的な対応をしてほしいというようなことが総合的な御意見であったかと思います。  わけても、非常に厳しいと思われましたのは、アメリカの防衛義務について、貿易と関連をしてなされたある上院議員の発言もあったことでございます。こうしたことに対しまして、安倍外務大臣良た私が対応したわけでございますが、防衛との関連については、安倍外務大臣は、防衛と貿易とは全く切り離して考えてもらわなければ困るということをきっぱりと言われました。これは、私は非常に正しい応答であったと評価をしながら聞いておったわけでございます。  それから、アクションプログラムのフォローアップにつきましては、よくわかるので、我々は三年以内にすべての行動計画の骨格を実現するということであって、すべてに三年間かかるという意味ではない、これはもう具体的速やかに、中曽根総理もおっしゃっておるように、法律の改正を要しないものはどんどん年内からでも取りかかろうし、法律改正を要するものは、できるだけ早急に国会で審議をしていただくようにしよう、そうしてアメリカの要望にこたえようということを率直に申し上げたわけでございます。  この点は、ヤイター通商代表の言われた、日本政府アクションプログラムの意欲は評価できるが、三年間では長過ぎるという御指摘に対しても、やはり同じ答えを申し上げました。そして、ヤイターさんと私は、七月にカナダの四極貿易大臣会合、それから、その後にワシントンを訪問した際、前後四日間にわたってお話をいたしましたので、その間の意思は十分疎通をしておると考えます。  ただ、はっきり申し上げますと、レーガン大統領の方では、そういう保護主義法案が仮に可決しても、これを拒否するという姿勢を明確に示していただいておるわけでございまして、これは非常に我々は感謝をしておるところでございます。我々といたしましても、そういった保護主義貿易法案が一つも通らないことが一番望ましいわけでございまして、したがって、アクションプログラムのフォローアップというものを通じ、アメリカ政府と折衝をする過程を通じて最善を尽くしてまいりたい、このように考えておりますし、またアメリカドル高、高金利、それから財政赤字、こういったものにも非常に大きな原因があるということと、アメリカ側マクロ経済要因にもいろいろ起因する点を、ひとつアメリカとしても直していただかなきゃならぬということも申し上げたことをつけ加えて申し上げる次第でございます。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 今申し上げました、アメリカの要人の方々が来日されましたそのときの主張というものは、具体的内客の違いはあったにいたしましても、摩擦解消のためには、アメリカ輸出が劇的にふえる迅速で具体的な措置が必要ということは、これは一貫した主張ではないか、このように理解をしておりますけれども、この劇的で迅速な具体策とは何を求めているのか。また、我が国といたしましては、画期的と言われるほどこのアクションプログラムにつきましてやった。にもかかわらず、これほど厳しいと。こういうことになってきますと、これから我が国として一体何をどうすればアメリカを納得さすことができるのか。  今、通産大臣が、レーガン大統領は、議会に出て可決されても拒否をしてくださるということも聞いているから、一応は心強く思っているという答弁もありましたけれども、それはそれといたしましても、これだけ努力したものに対してこれだけ激しい非難をされると、何をもってこたえるかということは、それだからよいというものじゃないと思いますけれども、これの中身はどうですか。何をもってこたえるんですか。
  120. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) これは非常に難しい問題だと思います。  実は、午前中の梶原委員の御質問を承りながら考えたことでございますが、日本政府アクションプログラムの骨格を決定いたしました中曽根総理の真意は、こういったことを毎年、あるいは機会あるごとに繰り返すということではなしに、この際、日米貿易摩擦を根本的に解決をする、あるいは貿易摩擦問題に根本的に対処をするという総理の決意があったと思いますし、関係大臣、また各事務当局がそれに対応いたします態度も、こんなことを毎年やるのではなしに、ひとつこのアクションプログラムで根本的な解決を図ろうという考え方が我々には当然あるわけでございます。  なぜこのようなことを申し上げるかと申しますと、キッシンジャー元国務長官が日本においでになりましたときに、中曽根総理にも会われ、また私にも会っていかれたわけでございますが、そのときにも、キッシンジャー元長官が私にアドバイスをしてくだすったのは、こういうことを毎年やっていては切りがありませんよ、ひとつまとめてやるということをお考えなさいということをアドバイスしていただきました。私はそのときに、我が意を得たりという気持ちで、今回のアクションプログラムは、我々としてはそういう大きな行動計画でございますということを申し上げました。したがって、そういう考え方は、アメリカ当局者にも、日本の最高責任者にも当然あるわけでございます。  それで、一つの私はヒントだと思いますのは、例えば関税引き下げの方針を決定いたしましたときに、その後ASEAN地域に参りましたら、例えばマレーシア、パーム油の関税の全面撤廃をすることを決定いたしました。あるいはタイの骨なしチキン、これも関税の引き下げを決定いたしました。そういうところの、こういった象徴品目の関税引き下げの日本考え方というのは、非常に高く評価をされたわけでございます。したがって、自由主義貿易でありますから、こういった関税問題でも貿易問題でも、あらゆる品目に当然及びますけれどもアメリカ指摘しておるような、いわば象徴品目的なものに日本の誠意が特に示されるということが必要ではなかろうかということから、先般のハワイ会談、日米当局者のMOSS協議におきましても、コンピューターの本体、付属装置の関税完全撤廃を日本側からはっきりと提案を申し上げたわけであります。  これは、例えばヤイター通商代表は、グッド・ディシジョンである、非常によい決定であると言って評価をしていただいたようでございますし、こういったものについての日本の誠意の披瀝というものは、当然アメリカ側でも高く評価をしてくれるものと考えておりまして、そういった具体的なものについて、具体的にそしてまたはっきりと誠意を示していくことが必要である、そういう考え方基礎にして最善を尽くす決意でございます。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 そういう対策を現在とっていらっしゃいますけれども、このときに、時を同じくするかのように、自民党の首脳から輸出抑制税制の発言が伝えられております。御承知のとおりに、藤尾政調会長は為替差益への課税だとか、あるいは加藤税調会長は輸出品への物品税の課税と、こういうような発言がされていることは御承知のとおりでございますけれども、これはアメリカ側の意向に反するものではないでしょうか。現にヤイター米通商代表部代表は、対日貿易赤字を減らすために日本輸出規制を求めない、むしろ拡大均衡が望ましいという発言もじかに聞いていらっしゃると思うのです。  こういうところからしますと、今やっていることとこれとは一体どうなるのか。また中曽根総理自身が、自由貿易を死守するというこの大方針も発表していらっしゃる。そういうことから考えるならば、これは与党、自民党内における相反する発言ではないか、これで力を入れて臨んでおりますということは、ちょっとどちらを向いていいかわからない、こういうことに対して、一番の当事者である通産大臣、いかがでございましょうか。
  122. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) はっきりお答え申し上げたいと思うのです。  第一点、輸出課徴金構想という問題につきましては、そもそも自由貿易にもとる措置である。それから第二点として、変動相場制のもとでは所期の効果を達成し得るかどうか疑問であるということ。それから第三点は、相手国における輸入課徴金導入の引き金となるおそれがある。アメリカなどは既に言っているわけですからね。それから第四点は、輸出に依存している中小企業に対し甚大な影響を及ぼすおそれがあるといった種々の問題がありまして、これを導入すべきではないという考え方を私はしております。そしてそのことは、もう二、三カ月前になると思いますが、藤尾政調会長が発表をされたと言われるその翌日、すぐに藤尾政調会長に会いまして、この構想は賛成できないということをはっきり申し上げたところでございます。  それから、ヤイターUSTR代表も、日本輸出抑制ではなくて市場開放を希望するということを発言をしておられまして、これは田代委員私は正しい方向だと思います。つまり日本輸出を減らしたんでは何にもならないのであって、輸入をふやすことによってインバランスを解消するというのが正しい方向であり、ヤイター通商代表の言われるとおりだと思っております。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 関連してちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、現在日本の現状は、御承知のとおりに世界のGNPの一割を担うに至った現状でございます。そこで、ODAを中心に途上国に対する経済協力を積極的に推進することは我が国といたしまして重要な責務であることは当然でありますけれども、このような異常な高まりを見せております対外経済摩擦の緩和策の一つともなり得る問題ではなかろうかと、私はこのように理解をしております。  ことしは、ODAの第二次中期目標である五年倍増計画の最終年になっておりますけれども、昨年までの目的達成率というのは、御承知のとおりに六七%ということで、最終的には目標を達成されるのかどうか簡単にお答えいただきたいと思います。
  124. 鈴木直道

    説明員(鈴木直道君) 御指摘のとおり、ODAすなわち政府開発援助が非常に対外経済政策の中の重要な柱を占めているとおりでございます。具体的には、一九八〇年代前半五カ年間のODAの実績を、七〇年代後半の五年間の総額の倍以上にする、こういうのが一つの目的でございました。それから、予算につきましても同様に、同じ五カ年間ずつを比較いたしまして倍以上にするということを目的としたわけでございます。  まず最初に、予算の面でございますけれども、ODA関係予算は八一年から八五年までの累計が二兆四千三百七億円となりまして、これは、七六年から八〇年までの比較すべき五年間の累計額一兆二千四百四十四億円に比較いたしまして、九八%増というのに相当いたします。ほぼ予算面では目標を達成したと考えております。  実績につきましては、今御指摘の数字があるわけでございますけれども、六十年度の実績がこの段階では出ておりませんが、一応予算面での、また我々としての努力は実現しているわけでございますので、それに対応するように、実績面でも目標を達成するよう期待しているわけではございますが、一方におきまして、為替レートの問題とかあるいは引受国の財政事情等の問題もございまして、予算面に比較いたしますと実績面ではやや下回るという形になると存じます。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 我が国のODAの内容を見てみますと、昨年実績で、御承知のとおりに対GNP比〇・三五%で、この開発援助委員会十七カ国中で十一位という数字が出ておりますけれども、国際目標〇・七%にはるかに及んでおりません。また援助の質的内容を示すグラントエレメントでは、七九・五%という数字が出ておりますけれども、これも十七カ国中十六位と、非常に低い立場になっておりますし、国際目標八六%を達成していないのは、オーストラリアと日本だけであるという、こういうことであります、御承知のとおりでございますけれども。こうした実態に、諸外国からは、日本に対して応分の負担をせよとの批判があるのは当然ではなかろうかと、私もこのように思います。  現在の第二次目標終了後、昭和六十一年以降にも、政府は明確な理念と国民のコンセンサスのもとに思い切った援助目標を設定して、実現に努力をすべきではないかと私は思うのでございますのできればこのたびのアクションプログラム発表に合わせまして、この第三次中期目標を設定できればより効果的であったのではなかろうかと思うのでございますけれども、いつごろまでにこの新しい目標を設定するのか、また内容について現在時点でわかっている範囲内でお答えいただきたい。
  126. 鈴木直道

    説明員(鈴木直道君) ODAの重要性につきましては、政府側の考え方先生と全く同様でございます。  今後の中期目標の点につきましては、本年四月四日、経済協力関係大臣の間で引き続き新しい中期目標を設定すべきである、こういう合意が成立しております。今御指摘のございました七月三十日のアクションプログラムの中でというお話でございますが、その際には同時に発表いたしました総理大臣談話の中で、やはり援助の拡大の重要性にかんがみ、新たな中期目標を設定し、政府開発援助の着実な拡充及び質的改善に努める所存であると、このように総理は申し上げております。  このような考え方に基づき、現在政府部内で検討中でございますが、その目安として、来年度のODAの予算の枠につきましては、一〇%強というのが既に政府内部で決まっておりますので、そのようなことをベースとしながら、今後年末にかけまして、今後の中期目標の設定という方向に向かっていくと思います。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 この我が国の援助につきましては、今申し上げましたほかにも幾つかの要望が出されております。これは御承知かと思いますが、一つにはその内容がプロジェクト中心主義であって、その恩恵というものは発展途上国の指導者層あるいは大企業やそういうようなハイレベルの階級に絞られていた。そして国民生活や福祉の向上への即効性といいますか、こういうものが乏しく、もっと国情に合わせた対応をやってもらいたいという、こういうような要望が出ております。  もう一つは、長期的な観点から、途上国の自立自助に必要なのは人材の育成である、こういう立場から、人的支援の強化を望むというような、こういう要望が出されておりますけれども、これに対する対応はいかがでございましょうか。
  128. 鈴木直道

    説明員(鈴木直道君) 経済協力の進め方につきまして、相手国の実情に相応した適切な経済協力をやるべきだ、この点は全く私どもも同感でございます。相手国の実情を十分考慮しながら、同時に相手国の民生の安定あるいは福祉の向上という面につきまして十分貢献すべきものと考えております。  特に御指摘のございました人づくり協力、この辺につきましても、私ども経済協力の中で非常に重要視している点でございます。いわゆる技術協力と言われる分野は、その人づくり協力という面に相当特化しておりまして、例えば発展途上国からの留学生あるいは研修生の受け入れとか、あるいは相手国に専門家を派遣して人づくりに協力する、その辺が非常に重点になっておりまして、いわゆる技術協力予算の中で六割以上はそのような人づくりに貢献をするという考え方でございますし、今後とも我々といたしましては、人づくりという点につきましては最重点分野だと考えているところでございます、
  129. 田代富士男

    田代富士男君 この後、中小企業に対する影響をお尋ねしようと思いましたが、私の与えられた時間が来てしまいましたものですから、準備していただいたかと思いますけれども、また次回に譲りたいと思いますからよろしくお願いいたします。  それで、最後に大臣にお尋ねいたします。  このアクションプログラムには、いろいろ指摘した面もありますけれども、それ以外にも、安全あるいは健康あるいは環境保全、消費者保護というような、こういう国民の安全確保と大きくかかわり合いのある基準認証制度簡素化の問題等があります。これは重要問題でありますし、改めて詳しく考えを伺いたいと思いますけれども、現在の諸外国の我が国への批判を見てみますと、中には的が外れた批判もありますし、感情的に過ぎたものもあります。  アンフェアと言われる関税率においては、御承知のとおりに、日本の方が開放的であるという認識不足なものもありますが、しかしながら、このような言い分が通用しないほどに、相手国におきましては失業者の増大という国内問題等もありますし、深刻な局面を迎えているからそういうこともあり得るんではないかと、その事実を理解しなくちゃならない面もある程度わかるわけでございますが、そういう立場から、大臣といたしまして我が国経済運営をいかにやっていくのかお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  130. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 御指摘の点は非常に重要な点だと思います。  アクションプログラムその他を通じて日本努力をいたしておりますのは、例えば、相手国の労働問題にも非常に大きくかかわり合っておると、日本輸出が余りにも大きいために相手国の失業率が増大をするというようなことがあれば、非常に国民生活に大きな影響を与えるわけでございますし、そういった点で十分考えていかなければならない種々の問題点があると思います。  御指摘がありましたように、市場アクセスの改善でございますとか、自由開放体制の推進でございますとか、新ラウンドの推進でございますとか、そういった日本政府がとっております問題は、先生の御指摘になられたようなことを趣旨として今推進をしておるものでございまして、したがって、アクションプログラムの骨格を策定した後でも内需拡大の努力が必要であるということで、経済対策閣僚会議に、内需拡大に関する作業委員会が設置をされまして、内需拡大のための具体策を検討しております。  通産省としては、これにも十分参画をいたしますし、また、例えば対米問題にいたしましても、マクロ経済の運営ということを相手国にも十分求めていくことによって国際国家としての責任を相互に果たしていく、そういう責任感のもとに進めてまいりたいと考えております。
  131. 伏見康治

    ○伏見康治君 先ほど通産大臣は、三十分ばかりこの部屋から出ていかれましたが、それは、承るところによると、第八次の石炭政策について石炭鉱業審議会に行かれたんだというふうに伺っておりますが、それに関連して、いい機会でございますので、日本の石炭政策についての御意見を伺っておきたいと思います。  日本の石炭の産業というのは、終戦直後、国の産業回復するための第一歩はエネルギーであるということで、傾斜生産という言葉で非常に保護、育成したんだと思うのでございますが、その後石炭は、ほかのいろいろなエネルギー源に比較いたしましてどうもぐあいが悪くなりまして、要するに一種の、余り周囲に無理のいかないような形でだんだんに収束させるという、安楽死という言葉があるそうですが、石炭産業を安楽死させるというような方向で動いてきたんだと思うんです。  それが、現在動いております第七次の石炭政策では、石油ショックの直後につくられたせいもあって、安楽死しかかっていたものに、何か起死回生の注射をしてしまったような格好になっていて、今非常に考え方が乱れているんではないかと思うのでございますが、そういう際に、改めて根本的に考えていただく機会をおつくりになったことに敬意を表しますが、大臣としてはどういうふうにお考えになっているのかというところを聞かせていただきたいと思います。
  132. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 伏見委員指摘のとおりでございまして、きょう、実は石炭鉱業審議会を開催をいたしておりまして、第八次石炭政策の諮問を、私先ほどお願いをしてきたところでございます。  御承知のように、昭和六十二年度以降の石炭政策については、きょう御諮問を申し上げましたことに対して、一カ年程度をかけて検討を行っていくという予定でございます。  率直に申し上げますと、今、国内炭問題は一つの非常に大きな難しいところに差しかかっておると申し上げていいでしょう。ということは、今石炭業界そしてまたユーザーの方々、さらに政府、この三者が一体になって、現在の石炭対策というものについての今後に期待をかけておるわけでございまして、伏見委員指摘のように、国内炭尊重という立場で貫かれておるわけでございます。  きょう御諮問申し上げたことは、そういった国内炭と外国炭との価格差、それからまた保安の問題、それから石炭産業がございます地域における影響、あるいは労働問題へのいろいろな配慮、そういったものがいろいろと配合されて現在の二千万トン計画になっておるわけでございます。  第八次の石炭計画はきょう諮問を申し上げたばかりでございますから、これについてどうなるとかいったような予測を申し上げる段階ではございませんで、何と申しますか、自由な立場で日本産業のあり方、石炭産業の今後、そういったものを考えながら十分検討していただきたいと、こういう真意でございます。
  133. 伏見康治

    ○伏見康治君 まず、そういう議論をいたしますためには、日本のエネルギーが今後大体どういうふうに変わっていくのかという、エネルギー全体の見通しといったようなもの、またそのエネルギーの中での石炭の位置づけが大体どういうことであるのか、ほかのエネルギiが非常に豊富で、石炭なんかなくてもいいという考え方もあるでしょうし、そのエネルギーの中での、あるいはほかの用途もあり得ると思うんですが、要するに、石炭の重みといったようなものをどういうふうにお考えになっているかという点を伺いたいと思うんです。
  134. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 長期的なエネルギー政策のもとといたしまして、「長期エネルギー需給見通し」というものが策定されておりまして、これが私どものいろんな政策の基本になっているわけでございますが、この「長期エネルギー需給見通し」におきましては、石炭につきましては非常に経済性にもすぐれておりますし、また、供給の安定性と申しましょうか、これも非常にすぐれているということが言えると思います。  と申しますのは、石油に比べますとその資源の存在量も多うございますし、また、資源のある国が先進国等広く分散いたしておりまして、そういう意味で供給の安定性もあるということで、今後とも電力用中心に一般産業などにも一般炭の需要が増加するであろうというふうに考えられておりますので、今後石炭の需要量というものは相当程度増大をするというふうに考えております。  他方、国内炭でございますが、これは第七次答申のときに取り上げられておりますが、これは国内のエネルギi源として非常に安定性もあり、また、エネルギーの安全保障上も非常に重要であるということでございまして、そういう意味で高く評価づけられているわけでございます。  ただ、残念ながら、先ほどからの議論にもございましたように、輸入炭に比較いたしまして価格が倍前後になっているというような問題、あるいは最近の事故というような問題も考えますと、いろいろ考え直さなきゃならない点もあるということでございますが、しかし私どもとしましては、現存の炭鉱を中心にいたしまして、安定的な供給の確保を図りたいというのが基本的な方向でございますし、また、エネルギー源として非常に重要であるという認識をいたしております。
  135. 伏見康治

    ○伏見康治君 石炭問題を考えますときに、世界全体における状態と、日本の特殊性というものを別々に考えないといけないと思うんでございますが、世界全体として考えれば、石炭の埋蔵量というものはほとんど無尽蔵に近いと言っていいくらい非常にたくさんあると思います。それがなくなるような心配は、石油の場合にはしばしば言われておりまして、実は、その後からまた石油のあれが見つかるというようなことがしばしば繰り返されておりますが、石油の方は、事によると、半世紀もすれば相当怪しくなってくるということはあるでしょうけれども、石炭の方は数世紀にわたってなお使えるんじゃないかと思いますね。  そういう意味で世界全体を見渡しますと、石炭の運命というものは、非常に将来ともあるはずだと思うんでございますが、残念ながら、日本の石炭は、もう掘り尽くしたか、掘り尽くされそうになっているということは、これもまた疑いのないところでございますので、日本の石炭産業をどううまく収束させるかという観点でのみしか物は考えられないのではないかというふうに思うわけです。  それで、日本の石炭の技術というものが非常によく開発されておりまして、その技術を何とか生かしたいということが一つあると思うのでございますが、石炭を掘る技術というものは、何も日本だけに使われるはずのものではなくして、世界のどこへ行っても実は使われるというのが技術の性格なものでございますので、私は日本の石炭技術というものを世界に雄飛させるという方向で物事をお考えになるべきだというふうに考えるんですね。  日本の炭鉱だけを何とか維持するというのではなくて、日本のむしろ炭鉱技術を育てる。温存するというよりも、むしろそれを育てていくというような観点で物事をお考えになるということが、むしろ日本の石炭の将来を考える上に重大な考え方ではないかというふうに私は考えておるわけですが、その辺のところ、つまり世界における日本の石炭技術といったようなものについての何かお考えはありますでしょうか。
  136. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 石炭技術といいます場合に、掘る技術と使う技術の二つあると思うのですが、掘る技術につきましては、先生承知のように、日本の石炭というのは非常に深いところから掘っているということでございまして、外国の場合には露天掘りが非常に多うございます。したがいまして、今直ちに日本の石炭採掘技術そのものが外国に適用できるかといいますと、それは直ちにではないと思いますが、将来だんだん露天掘りから坑内掘りに移るに従って、日本の石炭技術というものは外国においても利用可能になろうかという感じはいたしております。当面は、外国におきましては露天掘りが多うございますので、そういう面はないかと思っております。  ただ、石炭の利用技術に関しましては、これは日本は相当進んでおります。特に、公害処理技術につきましてはかなりの進歩がございまして、先般IEA閣僚理事会でも村田大臣も御出席いたしました。私もお供をいたしました。そこで議論されたのは、ヨーロッパにおける酸性雨問題というのがございまして、日本における公害のための処理技術というようなものは、今後そういう国に輸出が可能ではないかというふうに考えております。
  137. 伏見康治

    ○伏見康治君 おっしゃるとおりに二つの面があります。掘る技術とそれから使う技術と、二つの面がありまして、おっしゃるとおりに、使う技術の方が日本としてははるかに役に立つことができるであろうという見通しは正しいと思うんでございます。  ただ、掘る技術の方が全然役に立たないというお考えは、僕は必ずしも賛成できないんです。日本はいろんな意味で先進国でございまして、地球全体の運命を、例えば江戸時代のことを考えますというと、地球全体が今直面している人口をいかにして抑制するかといったような問題、日本人は江戸時代の鎖国政策の中で実はやってきたわけで、三世紀にわたって人口が三千万という一定の値を保ってきたなんというのは、そのやり方がどうであるかは別問題といたしまして、結果において、今全地球が直面している課題をしのいできたという面があるわけですね。  そういう意味で、日本はいろんな意味で世界の先進国としての役割を果たしているんですが、石炭を掘り尽くしているという状態になっているなんというのも先進国だと思うんですね。そして、それをどう始末するかということが、将来全世界の石炭の運命に非常にかかわりがあると私は考えるわけです。そういう意味で、十年先や二十年先で役に立つとは必ずしも、もちろん申しませんけれども、もう少し長い観点で考えたときには、日本の石炭の掘る方の技術というものも、十分に温存していかなけりゃならないものだと思うんです。  それから、使う方の技術について今説明がございましたけれども、新エネルギー総合開発機構、NEDOといったようなものがあって、そこでいろいろ新エネルギーの開発をやっておられるはずでございますが、そこでは具体的には今石炭の利用技術としてどういうことをやっておられるか、もう少しちょっと詳しく伺いたいと思います。
  138. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 新エネルギー総合開発機構、NEDOと申しておりますが、これは民間だけでは行えないような大規模複合的な新しいエネルギー技術開発、こういうものを各方面の知識をまとめまして推進をすると、こういうのが目標になっているわけでございます。  石炭関係では、石炭の液化、ガス化、こういうものがかなり中心になっておりまして、液化につきましては、褐炭、歴青炭というものについてのパイロットプラントの建設あるいは運転が現在行われております。それから、ガス化につきましては、低カロリーガス化と高カロリーガス化がございまして、低カロリーガス化は発電用、複合発電という形での利用を目指して現在研究中でございます。高カロリーガス化は、都市ガスでの利用ということを考えております。それから、燃焼技術といたしましては、流動床あるいは噴流床という形での効率的な燃焼方法というものが現在研究されております。  また、エネルギーの流体化という形で、石油が石炭に勝った一つ理由は、扱いが非常にやりやすいということがございましたので、石炭を流体化してできるだけ扱いやすくするというために、水との混合でございますとか、あるいは油との混合、COMと申しますか、こういうものによりましてハンドリングを非常にやりやすくするというような技術開発、こういうものが現在行われております。
  139. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういう方面での石炭の利用技術というものを高められて、それによって輸入炭と日本の石炭との価格差というものを技術の面で補う。単に同じように燃やしていたんでは、恐らくとても輸入炭にかなわないと思うんですが、新しい技術によって、日本の石炭でなけりゃできないというような点がもし発見できるとすれば、非常にいいのではないかと私は思います。  次に、そういう一般的な政策のお話のほかに、保安問題をひとつ質問したいと思います。  私は、二年数カ月前に国会議員になったんでございますが、そのわずかな二年数カ月の間に三つも大きな事故がございまして、国会議員になったから急にそういうことに気がつくようになったのかなとも思うんですが、どうもそうではなくして、近ごろになって急にそういう事故が頻発するようになってきたということを感じないわけにいかないわけです。  工学部の先生に伺いますというと、ある機械が故障を起こすのは、その初期のときの故障がありまして、それがだんだん手直しをして、その機械が故障を起こさなくなる。ところが、だんだんその機械全体が年をとってまいりますというと、摩滅とかなんとかということが原因になって、また故障が頻発するという話でございますが、日本の石炭鉱業全体が、その初期のいろいろな事故の期間はとっくの昔に過ぎてしまって、そして、今やあらゆるものが年をとってきたために起こってくる事故ではないかというふうに考えます、非常に大ざっぱな考え方をすると。  一つ一つの事故の原因を伺いますというと、それぞれ違った原因でございまして、それぞれ技術的に対応しなけりゃならない問題なんでしょうけれども、その事故全体の運命といったようなものを考えますと、何か日本の石炭鉱業全体が年をとってきたために起こる事故でないかというふうに僕は考えるんです。つまり、例えばいろいろなことに対する細心の注意力といったようなものがなくなってきている。  年をとるといえば、現実の問題として炭鉱労働者の平均年齢も恐らく非常に高くなっているだろうと思うんですが、その組織としての何か年齢が大きくなってしまっている。そのことのために要するに元気がなくなっている。そのことのためにいろいろな悪いことが起こっているのではないかと私は見たいのでございます。  それで、それを救うためには、日本の石炭事業というものが将来に向かって歩いてるんだという希望を持たせるということが一番大事だと思うんです。要するに、みんな安楽死を待ってるんだというような、非常にそういうネガティブな状態で物事をやっていたら、これはまずいことが起こるのは当たり前だと思うんで、要するに石炭事業をやっておられる方に将来への希望を持たせるということが一番大事だと思うんです。先ほどちょっと申し上げました世界の石炭を相手にして石炭技術を磨いておくんだというようなことを申し上げましたのもその気持ちからひとつ申し上げてみたわけでございまして、石炭の事業に関連のある人があすはもっとよくなるんだという、そういう希望を持たせるような施策をひとつしていただきたいと思うんです。  保安的なことを申し上げると言いながら、そういう一般論を申し上げてしまったんですが、そういう意味合いの、石炭を安楽死させるというのではなくして、石炭企業をむしろ上向きにするという方向で物を考えていただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  140. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 御指摘の点は、国内炭の意義というものをどこに見出すかという問題であろうかと思います。  それで、これこそ八次策のメーンテーマとしてこれから議論を続けていただくわけですが、エネルギー面で見ますと、国内資源としての安定供給性、それから技術の保存という意義、それから経済的に見ますと、産炭地経済あるいは産炭地雇用の確保というような積極的な意義があるわけでございますので、そういう意義を踏まえて当然考えることになっております。  ただ、第七次策のときには、内外炭の格差というものが将来縮まるであろうということが予見されたわけでございます。それが、石油が予想以上に安くなったり、あるいは為替の関係もございまして、ついに一対二というような開きになってしまいましたので、今後もいろんな予見によりまして、なかなか予測が難しゅうございますが、内外炭格差というものはどうもなかなか縮まらないのではないかという印象がいたします、正直言いまして。  したがいまして、そういう前提において国内炭の意義をどこに見出すかというのは、実は私ども非常に悩んでいるところでございますが、基本的にはしかし非常に安定供給源である、あるいは一種の備蓄ではないかというような意義、あるいは先生おっしゃいましたような技術というものの温存あるいは開発というものの現場であるというような意義は、当然見出せるのではないかというふうに考えております。
  141. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういう前向きのとにかくいろいろ考え方をひとつ打ち出していただきたいと思うんです。  事故に関連してだんだん次元の低い話に変わってまいりますが、お役所が、通産省の鉱山保安監督局が、いろいろ安全性について見取っておいていただいておることは大変結構なことには相違ないんですけれども、本当にいろいろな事故に対する責任というものがどこにあるのかということが、お役所がいろいろ物を言うために当事者の安全性に対する心配、関心といったようなものをぼやかしてしまって、そのためにかえって事故がふえてしまうのではないか。つまり、お役所が安全のためにこういうことをせい、こういうことをせいという条件を幾つか掲げられるわけですが、当事者はその条件さえ満たせば、もはや安全は保たれるものだという、かえって逆の効果を与えてしまうのではないかということをときどき考えるんですが、その点について、保安監督の立場にあるお役所としてはどういうふうにお考えになっているのかという点をひとつ伺っておきます。
  142. 黒田明雄

    説明員(黒田明雄君) 鉱山の保安に関する責任につきましては、伏見委員指摘のとおり、法律上も、また実際上も、第一次的な責任は鉱業権者にあるということになっておりまして、役所の責任はいわば後見的、補足的なものであると理解いたしております。  私ども、確かに事故が起こりますと、その事故に習う、事故に学ぶという意味で、事故原因を究明し、責任の所在を明らかにし、かっこれを一般化して、多くの石炭鉱山で同種の災害が起こらないようにというような考え方から保安対策を講じていくわけでございますが、私どもやはり事人命に関するということになりますと、どうしてもここらのところはやっていかざるを得ないし、またやるべきであるというふうに思っておりますが、伏見委員指摘のように、それが第一次的な責任を負うべき鉱業権者の自主保安体制の整備という精神に悪影響を及ぼすようなことがあってはならないと思いますので、その点については大いに心がけるとともに、鉱業権者にはそのような注意もあわせて喚起してまいりたいと思います。
  143. 伏見康治

    ○伏見康治君 今は、もはや鉱業権者のしりをたたいて、増産、増産ということを言う時代ではなくなってしまったので、そういう心配はさらさらないとは思うんですけれども生産の方を指導するというその建前と、それから安全を守るという方の建前とが、同じ通産省というところでなされるということに対して、ときどき疑問を感ずるわけなんですがね。  と申しますのは、「むつ」の問題がこじれましたときに、三木総理大臣の時代でございますが、原子力政策懇談会というのができまして、そこの委員を務めさせていただいたことがあるんですが、そこの委員会で決めたことは、原子力委員会というのは推進とそれから保安と両方の面を担当しているのがどうもぐあいが悪いのではないかということになりまして、御承知のとおりに、原子力委員会を二つに分けまして、ただの原子力委員会と原子力安全委員会との二つに分けていただくという結論に達したわけでございますが、いろんな意味で推進をする部局というものと、それから安全性を守るという意味で、いわばくつわをはめる方の部局というものは、独立しておるべきだという考え方がいいと思うんでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになっているのかという点を伺いたいと思います。
  144. 黒田明雄

    説明員(黒田明雄君) いろんな考え方があろうかと私どもも思いますが、現在、石炭鉱山に関する限り、私ども保安を最優先するという原則を掲げてやっておりまして、同じ通産省の中に生産担当と保安担当がございますが、この点についてはいささかの考えの相違もないかと存じております。  生産を所管する通産省が、同時に保安を持つという点については、私どもまた非常にいい点、メリットもあるというふうに考えておりまして、炭鉱におきます生産条件が種々変更していく中で、その生産の態様あるいは将来における生産計画、その生産が実施される現場の諸条件というものを先行的に把握いたしまして、また先行的に保安対策を講じていくことができるという積極的な意味合いがあろうかと思います。今後そういう長所を生かし、またいささかもそういう同じ省庁にあるがゆえに保安対策に抜かりがあるのではないか、生産優先に陥るのではないかというようなそしりを受けることのないように、そういう心構えでやってまいりたいというふうに思います。
  145. 伏見康治

    ○伏見康治君 どうかその線で、しっかり今後再び大きな事故が起こらないように……。  雑誌を見ておりましたら、例えば毎年百人近くの人間を殺す殺人企業といったような形容詞が、もっともこの間の日航機のように、一どきに五百人も殺すと、殺人企業というのはそっちの方に移るのかもしれませんが、そういう汚名をこうむらないようにひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。  最後に、非常に次元の低い話をちょっと伺いたいんですが、前にCO、一酸化炭素マスクの質問をいたしたんですが、その後いろいろ何か事情が変わったように伺っておりますので、現時点ではどういう事態になっておるかという点をちょっと確かめておきたいと思います。
  146. 黒田明雄

    説明員(黒田明雄君) COマスクのJISにおきます基準というのが、事故に関連して問題になったわけでございますが、その後、工業標準調査会に諮問をいたしまして、成案を得て、七月一日付で改正を行ったわけでございます。  改正のいろんな点については省略さしていただきますが、従来から問題となっておりましたJISの規格におきます各種の問題点、これらは大体問題が指摘された点に沿いまして解決することができたというふうに考えております。
  147. 伏見康治

    ○伏見康治君 これで終わりにいたしますが、JISのような問題についても、先ほど申し上げました推進派と、それから安全を守るという方の側との対立関係というものを、もう少し何か考える必要があるのではないかと思うわけです。つまり、JISの規格のようなものは、安全を守るための最低の基準としてつくられるものだろうと思うのですが、それは、使ってみてぐあいが悪かったということが起こったときの責任を全面的に負うような体制でないと、本当のまじめな基準はつくれないのではないかというふうに思うのですね。何かそういう意味の制度といったようなものについて、ひとつぜひお考え願いたいと思うのです。  これで終わります。
  148. 井上計

    ○井上計君 中小企業庁長官に幾つかお伺いをいたします。  六十一年度の予算につきましては、概算要求を終えられていよいよ大蔵当局との具体的な折衝にお入りになるわけであります。そこで、特にこの際、ひとつ長官に強く要望を申し上げておきたいと思います。  言うまでもなく、中小企業を取り巻く経済環境はますます厳しくなっておりますし、また技術革新に対応するためにどうするかということで、どの企業も経営環境まことに厳しい状態の中で苦労しておる。これは長官、もう十二分に御認識いただいているとおりであります。予算要求の中いろいろと伺っておりますけれども、税制面あるいは金融関係の面あるいは新技術に対応する中小企業の転換政策等々、さらにまた、輸入拡大に伴う中小企業の対応等についていろんな予算要求していただいておりますけれども、どれもすべて大切なことばかりであります。  特に、これは長官十分御理解いただいていますけれども、この数年、我が国の財政状態の中でやむを得ないとはいいますけれども中小企業関係の予算が毎年減額されておるんですね。このことについての中小企業者の不安、不満といいますか、特に不安が非常に高まっておるわけです。そういう点も十二分に御配慮いただいて格段のひとつ御努力をお願いをいたしたい、こう思います。  そこで、その中で一、二、さらに具体的な面で御提言を申し上げたいのですけれども政府系三金融機関の経営状態がまことに悪化をしておる。この悪化をしておる理由は、最近の公定歩合の引き下げ、特にまた一般民間金融機関の金利の引き下げ等に伴っての制度金融の金利の引き下げ、これは大変結構なんですけれども、財投金利の七・一%というふうな固定化によって利ざやが大変少なくなった。事実上、特に中小公庫あたりは、この数年、期間損益が毎年大きなマイナスであるというふうなこと。このままでいきますと、中小企業金融が大きな一つ障害になってくるんではなかろうかということを懸念しておりますが、十分長官が御認識のことでありますから具体的なことは申し上げませんけれども、どのような方針で今後対処されるのか、また予算要求の中で何に力点を置いて要求をされたのか、それらの点をちょっと承りたいと思います。
  149. 木下博生

    説明員(木下博生君) 今、先生おっしゃいましたように、中小企業対策費は国全体の財政の悪化を反映いたしまして、毎年シーリング制度で少しずつ落ちてきております。一番ピークでございましたのは昭和五十七年でございましたが、昭和五十七年には、国の中小企業対策費全部で二千五百億円あったわけでございますが、それが毎年落ちてまいりまして、今年度は、一般会計で申しまして、二千五百億円でございましたものが二千百六十二億円に落ちておりまして、しかもその中で、五十七年にはなかった、今先生がおっしゃいましたような、中小企業金融公庫や国民金融公庫に対する利子の補給金というものが三百三十億円入っておりますので、そういう全く後ろ向き的な対策費を引きますと、実質はもう少し落ちでいるという状況でございます。  そのような状況で、私ども中小企業対策費に対して、中小企業の方々と同様非常な危機感を持っておるわけでございまして、大蔵省に対しても中小企業対策の重要性を十分御説明しながら、何とかしてその予算を確保したいというようなことでやっております。  先月末まとめました予算の中で、そういう意味で一番私どもが予算要求案を決めますときに苦労いたしましたのが、今、先生指摘中小企業金融公庫等に対する補給金の問題でございまして、最近はそういう公庫の貸付金利は七・二%でありますが、大蔵省から借ります借入金利は全然下がりませんで、七・一%ということで、〇・一%の差しかございません。本来でございますと、〇・九%ぐらいの差がないとこういう公庫はやっていけないわけでございますが、そのように非常に接近しておりますために赤字がまたふえる状況にあるというようなことで、その状況のままで予算要求いたしますと、大変にその補給金額がふえるような形になりますものですから、ある一定の前提で財投金利が下がるように大蔵省も今努力しておられますので、そういう前提を置いた形での予算要求をさせていただいております。  そういう意味で、私どもとしては、この対策費の予算がどんどん減っていく状況でそういう補給金がふえることのないよう、大蔵省の方に財政投融資の金利自身をできるだけ早く大幅に下げていただくように、関係省庁と折衝していただくようにお願いしているところでございます。  そういうような中身で予算要求案をまとめまして、ただ中小企業をめぐる情勢が非常に厳しいものがございますので、例えばアクションプログラム等に伴う市場開放策で輸入がふえてくれば、当然それに伴って中小企業者の影響を受けるという分野もございますので、そういうものに対する対策として、例えば中小三機関からの低利融資をするとか、設備廃棄の予算要求をふやすとかいうようなことをやると同時に、技術開発とか情報化とかいうことで、大企業におくれをとらないような施策を今後も進めていくような内容をできるだけ織り込んでいきたいというふうに考えております。
  150. 井上計

    ○井上計君 いろいろと御努力をいただいていることは十分承知はいたしておりますけれども、さらに一層の御努力をお願いをしなくちゃいけない、こう思います。  今、金融関係のことについて長官からお答えいただきましたけれども、あわせてこれも特に申し上げる必要なかろうかと思いますが、税制関係の問題、特に今年度で暫定措置が切れる幾つかの中小企業関係の税制措置があるわけです。それらの延長、それから特にメカトロ税制等については延長し、さらに拡大をしていくというふうなこと、何回も言われておりますけれども、民間活力というふうなものをさらに促進という面から見てもこれは重要な課題であろう、こう考えますので、この面についても一層の御努力をお願いしたいと思いますが、現状どういうふうなお考えでありますか承りたい。
  151. 木下博生

    説明員(木下博生君) 先ほど予算中心に申し上げましたけれども中小公庫、商工中金等の財政投融資についても必要な資金の確保をしたいということで要求をいたしておりますし、また御指摘の税制につきましても、いわゆるメカトロ税制が今年度で切れますので、私どもとしてはその延長、拡充をぜひお願いしたいということで大蔵省にも出しております。  それと同時に、エネルギー関係の効率化税制もやはり今年度で切れるということでございまして、中小企業向けに特別の内容のものも入っておりますので、そういうものについても別の形で要求することにいたしておりますし、それから中小企業事業転換対策臨時措置法が来年の十二月で一応期限が切れますが、このような国際経済情勢でございますので、当然延長が必要だろう、より内客の充実したものにする必要があるだろうということで、その関連での租税措置も改めて大蔵省に要求するようなことをしております。  それ以外にも、各種の切れも税制もございますので、そういうものは今後も延長するようにお願いしますし、また従来から要求しておりましたもので実現できないものについても、実現のだめに努力していきたいと考えております。
  152. 井上計

    ○井上計君 次に、官公需についてお伺いしたいんでありますけれども、長い間の景気の低迷、また各産業界においても製品の在庫だぶつきが非常にふえております。したがって、当然のことでありますけれども、著しい過当競争がますますひどくなっておりまして、それが原因で中小企業倒産が最近顕著であろうと、このように考えております。  官公需法によって中小企業に対する発注の増大については、中小企業庁もかなり努力をしていただいていることは承知をいたしておりますけれども、現状をどのように認識をしておられますか。また、今後官公需の中小企業に対する拡大について、特に新しくどのようなことをお考えでありますか。簡単で結構ですから、お伺いをいたします。
  153. 木下博生

    説明員(木下博生君) 官公需につきましては、いわゆる官公需法に基づきまして、できるだけ中小企業が官公需についてその受注の機会を得るように政府としていろいろやっておるわけでございますが、今年度も七月二十三日に閣議決定をいたしまして、今年度の官公需の契約の方針を決めております。  それによりますと、比率で、努力目標三九・五%ということにいたしまして、金額といたしましては三兆一千八百四十億円を考えております。この金額は、去年よりも絶対金額は下がっておりますけれども、これは電電公社あるいは専売公社が民営化したということに伴いまして、その対象から外れたわけでございます。ただ、私どもとしては、そういう対象から外れた企業につきましても、引き続き官公需が確保できるように各省庁に指導方をお願いをしておりますし、それから政府の官公需につきましても、今後ともできるだけ中小企業のその調達比率が上がるように持っていきたいと思っておりますが、ただ予算額が最近非常に抑えられておりますために、なかなかその比率を大幅に上げていくことは事実上非常に難しい情勢に来ているというのが現状でございます。
  154. 井上計

    ○井上計君 官公需については、いろいろと御努力をいただいておりますし、また今後さらに一層そういう面でのひとつ指導をお願いしたいと思っておりますが、今、長官お答えの中にもありましたように、予算額が大変削られているので、そういう中でやはり難しい問題が今後起きるであろうと、こういうことであります。全くそういうふうな事実が、もう既に至るところで起きているということなんです。  実は、実例なんでありますけれども、去る六月でありますが、岐阜県の大垣市でこのような問題が発生をいたしました。あらかじめ申し上げておりますので、もう十分御承知でありますから簡単に申し上げますけれども、大垣市が、市立の小中学校二十五校に対して複写機を一台ずつ設置をすると。これを市が一括して購入するために入札となった。  そこに市内の事務機器の販売業者八社が参加をしたわけでありますけれども、そのうちの一社が、ただの一円で入札をしたという事実が起きたわけですね。定価八十万円の複写機でありますが、二十五台で二千万円であります。ところが、それをたったの一円で入札をしたという問題が起きました。大変大きな問題になりまして、まあ二番札が三百万円だったそうでありますが、この一円という、いわばこれはもう常識を失した入札といいますか、これについてのいろいろな問題もあります。  さて、そこで市としては、この一円の入札者が適法かどうかということを問題にして検討し、県にも問い合わせをし、さらに県から自治省にも問い合わせをし、いろいろと検討をしたようでありますが、残念ながら現在の地方自治法あるいは地方自治法施行令等々、さらに予決令等からいっても、やはり物品でありますから、最低価格落札というふうな、法律上の面から見て適法であるということで、一円でついに購入契約をしたと、こういう事実があるわけですね。  確かに、法律上は適法であろうと、こう思います。しかし、余りにもこれは常識を逸している行為である。そこで、法律では適法であるから、それはもう認められてもやむを得ないのだということが当然のこととして行われますと、これから起きる問題というのは、これは大変なゆゆしき問題が発生するであろう。このように私懸念をいたしまして、去る七月でありますけれども、当院の決算委員会で、自治大臣とそれから大蔵大臣に対してこの地方自治法あるいは施行令等々によってこういうふうなことが適法であるとしても、これは当然行政指導の対象にすべきである、また大蔵省に対しては、予決令等に適法であるとしても、商業モラルを全く無視したようなそういう行動、行為については何らかのここに規制をするような行政指導ができないものかということを質問をしたわけです。  これに対して大蔵大臣も自治大臣も、確かに商業モラルの面から見て大きな問題である、しかし法律上はこれは適法であるので非常に難しい問題があるけれども、今後とも運用面で改善をしていきたい、こういう御答弁をいただいたわけですね。  私は、先ほど同僚議員から豊田商事問題についてのいろいろな御質問もありますし、豊田商事がやったことは全くけしからぬわけでありますけれども、しかし現在いわば法律に触れなければ何をやっても構わない、許されるのだというふうな考え方が、一般的な風潮としてはびこってきておるんですね。  だから、私は単にこれは一円の入札というふうなこの案件だけでとどまらないで、今後もっともっとこれらの問題が大きく波及をしていくとすると大変なことになるんではなかろうか。ただ単にこれは中小企業問題というだけじゃありませんで、すべての問題に波及をしていく。こういうことを懸念をしておるわけですが、このことについて、きょうは公取からもお越しをいただいておりますけれども中小企業庁長官としてはどういうふうな御見解でおられるか、今後どういうふうな指導をしていきたいと思われるのか、またそれについて法的にどういう問題点があるか、お考えをひとつお伺いをいたします。
  155. 木下博生

    説明員(木下博生君) ただいま御指摘の点につきましては、いわゆる官公需という見地から申し上げますと、官公需法の適用は一応国だけになっておりますけれども地方公共団体にも当然それに準じて行ってもらうように閣議決定後、毎年、各県知事に対しまして、傘下の市町村に対しても周知徹底を図るよう要請しておるわけでございます。その官公需の方針に基づきますと、中小企業者が受注機会の増大を図るという幾つかの内容を含めておりまして、その中で適正価格による発注というものも入っております。  今御指摘のこのケースでも、受注しましたのは一応中小企業者にはなっておりますけれども、当然競争の企業中小企業でございまして、お互いに競争している企業同士で、中小企業者でありますが、不当に安い値段で落札したというような形になっておるわけでございまして、国の官公需についての契約の方針によりますと、中小企業者に注文を出すときには、やはり適正な値段で、不当に買いたたいちゃいかぬというような趣旨の条項があるわけでございます。  したがって、私どもとしては、そういう趣旨、精神によれば、当然やはり適正な値段で中小企業者に発注をどんどんやっていくという格好で進めてほしいというふうに考えておりますので、今回のケースは、私ども事前には全然把握できなかった問題でございますけれども、今後はそのような形で適正な値段での中小企業向けの発注ができるように各県に対してお願いをしていきたいというふうに考えております。
  156. 井上計

    ○井上計君 今長官おっしゃるように、一円で入札をした人も中小企業の商社であるようですね。しかし、背後に大企業であるメーカーが実は介在をしていることはもう明らかな事実なんですね。なぜ一円で入札をしたのかということについて、いろいろな人の話を聞いてみますと、やはり一番の目的は、在庫を整理をするというのが一つの目的であったようですが、その次には、これを納入することによって五年間この複写機が使う薬品及びコピー用紙、これらのものを独占をする、これによってある程度当初の一円というか、事実上ただで入れたもののカバーをしていくというのがどうも目的なようですね。それから同時に、大垣市の他の学校等々のやはり複写機が今後更新をされるので、それについてもそれを独占をしていこうというふうな、そういう戦略的な意図がもうありありとしておるということのようです。  しかし、といって、わかっておっても、あるいはそうであるとしても、実は今回購入契約をせざるを得なかったというふうなこと、これは大変なことだなあと、こんなふうに感じたものですから、これについて適切な行政指導を今後ともひとつお願いをしなくちゃいかぬ。  そこで、公取に伺う前にもう一つ長官に伺いますけれども、こういうふうな事態が発生をしたときに、いえば都道府県のそのような担当部署あるいは通産局等に、これらについての申し出といいますか、相談というふうなものをした場合、現在のなにからいうと、それについての適切な処置がタイミングよくなかながなされない。これは現在なされないのは無理もないと思うんですけれども。  そこでそういうことについて、私は、長官としてはやはり公取との問題をいろいろとお考えになっておるであろうと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  157. 木下博生

    説明員(木下博生君) 私ども中小企業施策を進めていく場合に、そういう立場の弱い中小企業者を守るためにいろいろな施策が必要なわけでございまして、その関係公正取引委員会とも非常に密接な連絡をとって従来仕事をさせていただいているわけでございます。したがって、もし今大垣市で起こったような問題が今後起こって、それで関連事業者の方から、もし地元の通産局なり何なりにその事実について通報があるというようなことが起こりますれば、当然私どもは、単に官公需法とかなんとかということではなくて、独禁法の運用等の問題とも関連して、公正取引委員会等と今後十分御相談して、そういう不当な競争が行われることのないように処置していきたいというふうに考えております。
  158. 井上計

    ○井上計君 公取からお越しいただいていますのでお伺いいたします。  今、私の質問並びに中小企業庁長官のお答え等をお聞きいただきまして、さて、公取としてはどのような見解をお持ちであるか、今後の防止策についてどういうふうな方法が考えられるか、おとりいただけるのか、ひとつお伺いいたします。
  159. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 独占禁止法の不公正な取引方法の問題に関連する事柄かと思いますが、甚だ法律解釈、適用でも難しい問題であるように思われます。  一見したところ、不当廉売の禁止の規定がございまして、それにより防止を図る手段もあろうかもしれませんが、どうも御指摘のケースですと、一円で入札した、これは不当廉売といいましても、安い価格で売るという話なんで、安くても価格は価格なんですが、一円の入札というのは価格の名に値しない。どうもそういう意味で、不公正な取引方法で予想しているような不当廉売の類型から外れるような気もいたします、これはもう少し考えてみないといけませんが。そういうケースにそうたびたび遭遇したことがございませんので、不当廉売の問題に関係はありますけれども、どうもそれだけでは難しいように思います。  ただ、今御質問を伺っておりまして考えましたことは、そういう不合理な行動に出た原因が、その後で、紙その他の注文を受けるということを期待して、初めにあえて損をしたということでありますと、これが民間の取引の場合ですと、ある取引で向こう側に対して非常に有利な条件を提示して、それに伴って別の注文を受けるという、そういう商法を意図的に行いますと、これは抱き合わせ販売というふうな規定が働いてくることもございます。ただ、これは官公庁の入札に関係するものでございますから、そういう規定がそのまま働くかどうかというのもひとつ研究してみないといけないかと思いますが、考えられる弊害という点では共通する面があるかと思います。  でございますから、こういう点で、もし、そういう入札、今のようなことで複写機を購入した自治体の方が、そういう安値入札したからといって、後の注文は別なんだと、これはまた改めて公正な入札によって適正な価格をつけた他の企業からきちんとした買い方をするんだということを実施されて、そういうことが知れますと、そういう無謀な入札というのは今後は起きなくなるという面もあるかもしれません。そういう点も総合して考えていきたいと思います。  不公正な取引方法に関連する問題ではございますが、どうも非常に明確に法律解釈を示して措置をお答えするというには少し難しい問題でございます。基本的にはこういうふうに考えております。
  160. 井上計

    ○井上計君 一円というのは価格でないという今のお話、全くそうだと思うんですね。本当はこれ一円なら、むしろその商社にしてみれば、市へ二十五台寄贈した方がよほどすっきりしているわけですけれども、それはまた地方自治法等によりできない、いろんな問題、また厄介な手続もありますからそれはしなかったんでしょうが、じゃ一円じゃなくて一万円なら価格と言うのか、百万円なら価格と言うのか、いろんなこれはまた論議の分かれるところですけれども。  そこで、不公正取引方法の中で、「継続して」云々という、この「継続」という字句が今大変法律的に難しいということ、またお答えにくいという中に、やっぱり「継続」という文字がひっかかると思うんですね。だから、やはり私は、確かに法文上は「継続して」云々ということがありますけれども、継続であるかどうかは別としても、明らかに常識をもう逸したような、どう考えてもこれは不当だというふうな判定をされた場合には、継続であるかないか、継続するかどうかというのとは別の問題なんですね、これは。ですから、そこにやはり、何も最初から違法である、違反であるということでの出動を要請するわけじゃありませんけれども、何らかのやはり行政の指導を、措置を直ちに講ずるということが私は必要だと、法律の運用上必要だというふうに考えるんです。  先ほど長官は、そういうふうな申し出が今後ともあれば、それについて公取と連絡して云々というお話がありました。しかし、実際にそれが公正取引委員会の出先の方へ行っても、法律解釈がこうでああでこうでといううちに、大体今まで二、三カ月から半年たっちゃっているんですね。そこで、これは法律上違法ではないというふうなことで、結局うやむやにおさまっているというケースが、今度のようなこんな特殊なケースは別ですけれども、不当廉売等についての申し出があっても、事実上は今までほとんどといっていいと思いますが、まあスーパー等の目玉商品で、五円の卵だとか一円の豆腐だとかというのが大分数年前問題になりましたが、これは継続ではないということでそういう処理がなされております。今はもう仕方がないということで済んでいますが、スーパー側自体がその後大いに自粛をしましたからそんな問題は少なくなりました。  しかし私は、公正取引委員会としては、法律解釈に余りこだわり過ぎないで、政治的なといいますか、政策的な考え方で対処していただく必要があると、このように考えます。今すぐ、それについてこうするああするというお答えを求めることは無理がと思いますけれども、今後ひとつ、公正取引委員会としてはこういう事態に速やかに対応するためにはどうするか、また、商業秩序というものを維持していくためにどうするかというふうなことを十分御検討いただきたいと、こう思うんですね。  独禁法の趣旨からいうと、総則にありますが、最後の方に、「国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」という目的があるわけですから、やはり、健全な民主的な経済行為というのは、何も高くする協定、高くすることを防御したことを云々ということじゃなくて、極端なこういうふうなことを防止をすることがやはり民主的な経済発展ということになっていこうかと、こう思いますから、十分ひとつ御検討いただくようにお願いをいたしたいと、こう思います。  それから、これは質問通告しておりませんが、ついでにもよっとこれも要望しておきたいと思いますが、豊田商事問題等々いろいろとけさほどからも御質問がありました。我々は過去において、これについては特別集中審議をやったことがありますし、またそれについて私は言ったことがあるんですけれども、問題は類似商号の使用禁止ですね。これは商法から言うとなかなか難しい。不正競争防止法の中に、やはり商号等々の類似使用の問題がありますけれども、豊田商事にしても、豊田商事という名前をつけたことが、これはもう最初から、実はトヨタ自動車グループであるというふうな印象を与えるためにつけたことは明らかなんですね。名古屋支社等においては、豊田通商と同じ番地の隣のビルに豊田商事名古屋支店を設けたわけですからね。どっかの市ではトヨタ自動車の事務所のあるところで社員の採用試験をしたとか、最初からもう明らかなんです。  そのようなことが明らかであっても、なおかつこの不正競争防止法によって防止をできなかったということもひとつ考えていかなくちゃいかぬ。聞くところによりますと、豊田なんとか、住友なんとか、三井なんとか、三菱なんとかというふうな有名な一流商社、大企業の名前に似たような名前を使っておるいわば企業が何百とあるとこう聞いておりますが、それらの企業の目的はみんなそうなんですね。だから、これらについてもぜひひとつお考えをいただきたいと、こう思います。何かお答えいただければ結構ですが。
  161. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) 先生お話しの、不当廉売というものに対して迅速に対処せよということでございますが、それはまことにそのとおりでございまして、大変経済安定期といいますか、あるいは不況期みたいになりますと、この不当廉売関係の申告が非常に多うございます。例えば五十九年度でいいますと、申告全体が五千三百件ほどでございますが、その九割近くは不当廉売でございますので、私どもとしてもいろいろ簡易な手段等考えまして、不当廉売については、お困りの中小企業者の方になるたけ早く解決してあげるということでやっております。  先ほどお話にありました件につきましても、実は地元の同業の方が御相談に名古屋の事務所にお見えになりまして、いろいろ不当廉売の考え方、あるいは独禁法の考え方、あるいは申告という制度もありますからというふうなことで御説明したような経緯もございます。
  162. 木本平八郎

    木本平八郎君 私、きょうは再びといいますか、長官に対しては初めてかもしれませんけれども、石油の自由化の問題について関連してお伺いしたいわけです。  まず一番初めにお伺いしたいのは、今回貿易摩擦の問題をきっかけに、アクションプログラムをつくられましたね。私は再三この委員会、ほかの特別委員会でも申し上げているんですけれども、今度のアクションプログラムには石油製品の自由化の問題というのは全然触れられておりませんね。これは一体どういう理由なのか、もう既に自由化されているから今さらメンションするまでもないんだというふうなことなのか、その辺の事情をまずお伺いしたいわけです。
  163. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 石油製品輸入の問題につきましては、御指摘のとおり、アクションプログラムの中には特に盛り込まれておりません。  この輸入問題につきましては、別途石油審議会の中の小委員会におきまして、六十年代の石油産業政策のあり方ということで現在検討が進められておりますが、その中の一環といたしまして石油製品輸入問題、それから過剰設備の処理問題、あるいは産業体制整備問題、こういうものが検討されているということによるのでございますが、特に石油製品輸入問題につきましては、七月にIEAの閣僚理事会がパリでございまして、これに村田通産大臣が出席し、私もお供をいたしたんですが、その国際的な動きというものをとらえますと、来年に予定されております現在の石油審議会の検討を早めた方がいいという認識を持って、そういう意向を石油審議会に伝えておりまして、私ども、現在の段階では、多分今月中に石油審議会小委員会から、輸入問題並びに過剰設備処理問題についての中間報告が得られるというふうに考えております。  したがいまして、エネルギーという観点からの取り上げでございますが、既に議論されておりますので特にアクションプログラムの中には入れていないという状態でございます。
  164. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは国内事情はそうだろうと思うんです。過去この商工委員会でも何回もそういう説明を承っておりますのでよくわかるんですけれども、問題は、今この貿易摩擦の問題というのは国際的な問題ですね。日本側だけの問題じゃない。  それで、まずお伺いしたいんですけれども、そうすると、この石油製品輸入問題については、外国から全然そういう話が今までのところ出ていないのかどうかという点はいかがですか。
  165. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 石油製品輸入の問題につきまして、外国から全然日本に対して要請がないかという点でございまするけれども、まずアメリカでございますが、アメリカは具体的にバイで、公式に日本は石油製品輸入をもっと自由化すべきであるとかということを言ってきたということは承知はいたしておりません。  ECは、輸入自由化というのとはニュアンスが違いますが、木本委員御案内のとおり、中東でいろいろ製油所ができてきたものでございますから、その中東の製品日本も公平なシェアで引き取ってくれということを言ってきたという事実はございます。
  166. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かに今、欧米の方は日本に対して石油製品を売りたいと、原油も売りたいとも思っていないと思うんですね。問題はやはり今おっしゃった中東が主でしょうね。そういった国は、日本に対して売りたいと。ところが現在その辺の声は、いわゆる声なき声でまだ余り出てきていないわけですね、表面に。  今問題になっているのは、アメリカでありECであるということで、私の感じでは、政府は今のところ対米工作というか、悪く言えばアメリカの御機嫌とりに一生懸命で、それからECのああいう強いところから文句言われるので、もう必死になって対症療法をやっているという感じで、これが終わって次中東から問題があったら、またそのときに慌てふためいて、これはまあ特使を派遣されるかどうかは知りませんけれども、そういうふうなことをやっておられるんじゃないか。  それで、私これもういつも申し上げるんですけれども、今回これだけの問題になっているんだから、貿易摩擦、これは石油以外なんですけれども、なぜこういうものが起こっているかということをやっぱり根本的に考え直さなきゃいかぬじゃないか、背景というか、真の原因というものを。  これは先ほど伏見先生から、ひとつ石炭業界が年をとってきたからこういう問題が起こったんじゃないかという発言をされました。それから井上委員からは、先ほど法に触れなきゃ何でもやってもいいんじゃないかというふうな風潮があるんじゃないかと、こう言われたわけですね。確かに法に触れないけれども法の精神に触れるということ、やはりこういう一つの時代が変わってきているということ。  私よく言うんですけれども、やっぱり小錦が同じボートに乗っていて、あれに暴れられると困るわけですね、赤ちゃんなら幾ら暴れてもいいけれども。それはやっぱり、あれだけ体がでっかくなると遠慮しなきゃいかぬということがあると思うんですよね。そういう点で、やっぱり貿易摩擦の問題というのは、一つ日本経済が抱えている宿命的な、これだけリッチになって、これだけ経済大国になって、もう避けられない問題じゃないかということを考えるわけですね。  それを考えた場合に、確かにエネルギー安保その他の状況から、業界としてはやはりある程度の精製設備を持っていなきゃいかぬという理屈はあると思うんですね。理屈はあるけれども、世界全体から考えたら、日本もそんなに全部が全部自分の方で精製するんじゃなくて、少し製品輸入もした方がいいんじゃないかということを言われるのは当然だと思うんです。それをいつまでも何とか言い逃れしている。  私自身率直に申し上げて、この通産省というかエネルギー庁が今おとりになっている政策というのは、まさに中曽根さんが一番嫌っている、いわゆるずるいという感じがあると思うんですね。何とか引き延ばして、何とか逃げて、ほおかぶりして、言ってこなきゃいいからもうほおかぶりしておこう、言うまで待っていようというふうな感じがあるんですがね。その辺はいかがですか。
  167. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 木本委員から、再三にわたりまして本委員会その他で同様の趣旨の御指摘をいただいているわけでございますけれども、あの折から御説明申し上げておりますように、私どもほおかぶりをするというつもりは無論ございませんで、特に昨年の六月四日でございましたか、石油部会の小委員会で、石油製品輸入問題につきまして、消費地精製方式を堅持しながらも、その枠の中で漸進的な国際化を図っていくべきであるという御報告、御答申をいただいております。  それを踏まえまして、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、ことしの三月から別途拡大小委員会をつくりまして、そして国際化問題その他を検討中でございますので、その結論を今待っているところでございまして、そういう具体的な要請がどこからか出てこなければ、もうほおかぶりして通してしまおうということではないというふうに御理解賜れると幸いでございます。
  168. 木本平八郎

    木本平八郎君 この内閣で非常にずるいと思うのは、やっぱり何とか審議会、何とか審議会にみんな押しつけちゃうというのは、これはもうほかでも問題になっていますけれども、ただやはり日本の役人は世界に冠たる見識を持っているわけですから、日本全体として将来あるいは世界全体における我々のポジションというのをやっぱり考えた場合に、自分が今担当している石油問題だけでショiトサイト的に物を考えずに、やはり全体を見てどうなんだろうと。  それで、例えば今中東から問題は出てきていないけれども、これはもうそこに必ずそういう不満があるとか、あるいは業界も大事でしょうけれども、一億二千万人の国民の生活を考えた場合に、業界の利害というものをある程度まで、一億二千万の方が優先されるべきじゃないかとか、そういう点をぜひとも考えていただかないとこの問題は解決しないと思うんです。  そこで、話をちょっと変えまして、今後の自由化のプログラムなんですけれども、まず非常に哲学的なことを畠山さんにお伺いしたいんですが、今十年後の日本の石油業界ですね、需要の方はちょっと別ですよ、需要の方は別にして一九九五年の時点の供給ですね、例えば今五百万バレルある精製能力がどういうふうになっているだろう、あるいはガソリンスタンドの状況はどうなっているだろう、そういった面はどういうイマジネーションを持っておられるか、お伺いしたいんですがね。
  169. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 第一点の、十年後の石油精製設備がどういうふうになっているかという点でございますが、この点につきましても、先ほどの石油小委員会でまさに今検討中でございまして、現在あります五百万バレルの設備をどこまで縮減をしたらいいのかということが議論になっておりますので、私が、その結論の前に、これぐらいということを申し上げる筋合いにないと思いますけれども、ただ、今五百万バレルございまして、そして現状の原油処理量の状況は三百三十万バレルぐらいでございます。三百三十万バレルぐらいでございますので、稼働率を仮に八割ぐらいといたしますると、まあ四百万バレル強というものがあればいいということに単純計算はできるわけでございます。  その他緊急臨時の場合の供給確保という観点から、どれぐらいもう少しなくちゃいけないかということと、それから先ほど来御指摘の国際化の問題もございますので、製品輸入がもう少し拡大するとすれば、その観点からどうなったらいいのかということでございますが、十年後、よほどの需要見通しの狂いとかそういうものがない限り、やはり五百万バレルということではなくて、それより相当減った精製装置があるというふうに見るのが自然であろうかと思っております。  それから、ガソリンスタンドの数の方でございますが、これは今御案内のとおり約五万九千あるわけでございますが、これは零細中小企業の方々が主体となって経営をしておられまして、その個々の経営者の生存の問題であり、また仮に転業とかなさるとしても、その決断の問題でもございますし、それから私ども、この数につきましては、そういった石油審議会小委員会その他の公式の場でまだ議論もいたしておりませんので、ちょっと公式の場でその見通しを申し上げることは避けさせていただきたいと思います。
  170. 木本平八郎

    木本平八郎君 立場上こういう場所でなかなか自分の見通しとか、個人的な考えとしても今言えないだろうと思うので、かわりに私申し上げるんですけれども、私は十年だたない問にこれはもう完全自由化が当然行われると思うんですね。そうしないと、生れは世界からも問題が起こるし、国内からも起こるし、やはり今のままでは保てないんじゃないか。それで、私はそういう先がわかっていろんなら、これはもう思い切って積極的に自由化をやっぱり進めるべきじゃないかという感じがするわけです。  まずそこで、ちょっとこれ長官に、これは通産行政を長くおやりになっていて、この石油以外にもいろいろな業種の合理化とか構造改善とか、いろいろ手がけてこられたと思うんですけれども、そういう点から、全体的に考えまして、自由化というものがその産業にとって本当に悪なのかどうかということですね。それはもう手術と同じですから、そのときは痛いことは痛いんですけれども、しかし私はやっぱり自由化というのは究極的にはその産業を助けるんじゃないかと思うんですが、その辺はどういう感触を持っておられますか。
  171. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 企業が活力を自由に発揮できるという意味で、私は自由化というのは最も望ましいと思っております。ただ、その物資によりましていろいろ問題があると思います。現在自由化されていない最大のものは農林水産業でございますが、鉱工業ではもうほんのわずかになってまいりましたが、実は石油製品につきまして安全保障上一体我々は何をすればいいのかという点が一番問題かと思います。  アメリカにおきましても現在自由になっておりますが、既に国会の中では、今のように石油製品輸入がふえて国内中小精製業が倒れる状態では、国の安全保障上問題ではないかという議論が提起されているということを伺っておりますが、私どもも、自由になった場合に、石油製品が安定かつ低廉に供給されるかどうかという点を最大に心配しておるわけですから、そういう点を考えて、自由と申しましても、ゼロか全部がということじゃなしに、やはりそのあり方というものがあると思います。  したがいまして、国民経済の効率あるいは安全保障を考えた上で、一体どういう形の自由と申しましょうか、そういうもの、あるいは私どもは今国際化という言葉を使っておりますが、そういうものが望ましいかという議論を行っていくべきではないかというふうに考えております。
  172. 木本平八郎

    木本平八郎君 通産としては、昭和三十年代のまず一番初めの繊維ですね、機屋さんの問題、あるいはその後石油化学もあったし、肥料もあったし、それから砂糖もありましたね。まあ棒鋼だとか、今鉄鋼の高炉の問題なんかもありますね。こういうようなのが一つ産業の寿命みたいなものであり、あるいは日本経済全体の宿命で、あるところまで成長したらやっぱり衰退していく、それで次のまた産業が出てくるというのは避けられないと思うんですね。そういうのとまさに石油も同じ状況にきているんじゃないかという気がするわけです。したがって、私はもうこれは、言い方は、例え方は悪いかもしれませんけれども、やはりもうがんだと思うんですね。こういう年齢に達するともうがんになる、レーガンさんみたいなものでね。こうなると、やっぱり痛い思いをしても今切らなきゃだめだ。それで切って――それが手おくれになると、やはり業界が私っぶれちゃうと思うんです、先ほど長官がおっしゃったように。  日本の農業は、私はもういつもほかの委員会で宣言っているんですが、まさに農林行政が日本の農業をつぶしたと言っているんですけれどもね。あれを過保護を続けたためにチャンスを失った、まだ可能性はあると思いますけれどもね。私はこの石油も、チャンスを失うと、これはもうやっぱり業界全体がつぶれちゃうんじゃないか、ますます手おくれになるんじゃないかという危機感を非常に大きく持つわけです。その点で、過去いろいろ産業界の構造改善合理化を手がけられてきた経験から、私は砂糖なんかも少し手おくれぎみだったんじゃないかという感じは持っているんですけれども、過去いろいろな業界を手がけられまして、手おくれになって、そのために非常にコスト、犠牲が大きかったというふうな経験をお持ちだと思いますけれども、それを踏まえられて、この石油業界のそういう構造改善というのはどういうふうにごらんになっているか、長官にお伺いしたいんですがね。
  173. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 私ども今、消費地精製方式、まあこれは主義とは言わないで方式と言っているわけですが、消費地精製方式を基本とするのがいいと考えておりますのは、原油貿易というものが石油製品貿易に比べて安定をいたしておりますし、また、これを運ぶ方がより容易ではあります。それから、技術的に最近精製業の技術が発達いたしまして、原油から各種の製品がとれる得率をかなりの程度操作ができるというような、いろんな情勢から考えまして、原油を持ってきて精製をするというのが一番安定的ではないかというふうに考えておるわけです。  それで最近確かに石油製品貿易がふえてはまいりました。もう日本の場合は既に二割が輸入になっておりますが、これはまあLPGを含んでおりますけれども。しかし、石油製品の価格の不安定さ、供給の不安定さということを考えますと、すべてこれに依存していいかどうか、ここに一つの問題が発生するわけでございます。例えば今ナフサは半分輸入でございますが、ナフサの価格変動と原油の価格変動と比べますと、圧倒的にナフサの価格変動の方が大きいわけでございます。したがいまして、そういう意味で言うと、今ナフサについては、半分が国内の原油から精製され、半分が製品で入ってくるというようなのも一つの方式かもしれません。そういうふうに石油製品貿易というものの不安定性も考えますと、精製業はもうどうなってもいいということではないんだろうと思います。  その辺が私どもとして一番難しい問題でございまして、将来日本経済にとって最も安定的に石油製品を供給するには、精製業とそれから製品輸入とのベストミックスと申しましょうか、そういうものがいかにあるべきかという、そこにまさに私どもは今頭を悩ましているということだと思います。
  174. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かに、そういうふうな製品と原油のミックスということに落ちついていくと思うんです。ただ、今もう一つちょっと教えていただきたいのは、原油の方が入手しやすいというか、非常に便利だというか、ということですね、製品よりも。ということは、価格の不安定さというのはこれはちょっと別で、これはもうコマーシャルベースで、ほかの商品もいっぱいあるわけですから、その価格のフラクチュエーションというのは。しかし、原油の方がいいというのはどういう理由なんですか。
  175. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 第一に、原油の貿易量が、やはり世界で八割から九割石油のうち原油で供給されておる、製品は一割とか二割とか、そういうウエートでしかないということでございます。  それから第二に、これは素朴な話で恐縮でございますけれども、やはり製品にいたしますためには、製油所というものが向こう側になくちゃいけませんですね。それで、向こう側に製油所がなくちゃいけない製品と、それからなくて済む原油というものの安全性を考えてみますと、製品で供給を受ける場合には、製油所が壊れてもだめですし、それから原油を生むところが壊れてもだめなわけですが、原油で供給を受ける場合には、製油所が攻撃を受けただけでは大丈夫であって、原油のところがやられなければ大丈夫であるというようなこともございますものですから、やはり原油でという方が安全ではないか。それから、原油を産出するところは、発展途上国非常に数がふえてまいっておりますが、それを精製までするに至らないところもございますし、至っても輸出までしないところもございますので、量的な面から申し上げましても、冒頭の点と関連いたしますけれども、原油の供給の方が安定しているということであろうかと思っております。
  176. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういう万一の場合のエネルギー安保という点から考えますと、確かに石油だけを考えるとそうかもしれませんけれども、やはりほかの商品も、食糧以下全部そういう同じ問題があるわけですね。その中で、全体に考えて石油だけ特別扱いというか、特別の考え方をしなきゃいかぬかどうかというのは、議論の余地があると思うんです。  これをやっていると時間がないんで、私は、ただ申し上げたいのは、製品国内消費、これはもう大分変わってきていると思うんですよね。それで、私はこれは環境特別委員会で言っているんですけれども、ディーゼルエンジンがもしも今の規制値をクリアできないと――あれは構造的にできないと言われているわけですね。燃焼温度を高くするとNO、が出るし、それから低くするといわゆる黒煙がどんどん出ちゃう。どっちにしても、もう構造的にだめだと言っているわけですね。構造的にだめなら、ディーゼルエンジンやめて全部ガソリンエンジンにすればいいじゃないか。ガソリンの方が少し燃費が高いとか、少し効率が悪いとかいろいろあっても、日本経済ここまで来たんだから、そんなにわずかな効率を追求することない、むしろそんなスモッグだとか公害を起こすのがマイナスだからやめた方がいいと言っているんです。  しかし私が言っている程度じゃどうにもならないと思いますけれども、将来あるいはディーゼルをやめろということになるかもしれないですね。そうすると、今もう現在、例えば重質油問題、これは後でやりますけれども、そういう問題も出てきていて、必ずしも今までのような製油所で消費地精製主義でやって、ガソリンが出、灯油が出て、そしてディーゼル、重油というふうに、うまくそういうふうにならずに、需要の構造が変わってくると、先ほどの話で、ディーゼルが出てきても、これもう売れないわけですな、まあ輸出するという手もありますけれども。そういうふうな構造が変わってきているという点から、やはり私は、製品輸入を相当やっていくということが、それでバランスとっていくということがやっぱり必要だろうと思うんですね。  それで、そういう議論もあるということですが、それをちょっとおきまして、私は、結論的に申し上げて、今現在石油業界が抱えている諸悪の根源というか、一番の大問題は、要するに設備過剰なんですな。供給過剰体質なんですね。この問題については、これはもう皆さんどなたも異議はないと思うんです。この設備を今後スクラップダウンしていかなきゃいかないと思うんですけれども、これはまあ業界非常に大変だと思うんで、それについて私小し、いろいろの方法もあるんじゃないかということを二、三お伺いしたいんですがね。  まず、これは前に、私この商工委員会でも申し上げたんですけれども、ガソリンスタンドが日曜営業をやめている。もう省エネの時代じゃないんじゃないか。我々というか、サラリーマンがマイカーで土曜日、日曜日行こうったってガソリンがない、とんでもない話だということで、それを早くやめるべきじゃないかということを言ったわけですがね。まずその辺はどうなっていますか。
  177. 畠山襄

    説明員(畠山蕃君) ガソリンスタンドの日曜休業の問題につきましては、省エネルギー意識を定着するという目的で、揮発油販売業法に基づきまして、通産大臣が告示を出しまして実施をしてまいったわけでございますけれども、ことしの三月に出ました流通ビジョン研究会の答申でも、そろそろ省エネルギー意識も定着もしたし、一応の日曜休業の制度も定着を見てきたので、公的に強制して告示でやっていくというのは少し弾力化したらいいのではないかという御指摘もいただきましたし、また、木本委員の方からもそういう御指摘もございまして、この八月の十六日でございましたかに、通産大臣の日曜休業のための告示を廃止いたしまして、後は民間の自主的なことで日曜休業やるのは、これは当然そういう自由がございますから、そういうことにゆだねていくということに変わりました。
  178. 木本平八郎

    木本平八郎君 したがって、もう今の石油業界としては、先ほどと逆の立場で言うんですけれども、今一リッターでもやっぱり売りたいと思うんですよね、売った方がいいと。そういう状況でありながら、例えば供給のパイプがその辺で詰まっていて、日曜日営業しないから、ほんとなら売れるのが売れなくなった。これ以上どんどん売れたら公害問題だとか、車の渋滞とか、いろいろほかにありますけれども、業界としてはそんなこと構っていられないんでね、自分のを一リッターでも売りたいということだろうと思うんですね。  そこで、私もう一つ提案があるんですけれども、外国では、私の知っている範囲では相当無人スタンドというのがあるんですね。日本も、私、無人スタンドやった方がいいんじゃないかと。こういう町の真ん中でやるといろいろ問題があるかもしれませんけれどもね。しかし、それでも私、まあそんな大した問題じゃないんじゃないかと思うんですよね。これ、私の聞いている範囲では、消防庁が許可しないということでだめらしいんですね。しかしながら、ガソリンスタンドの、先ほどおっしゃった五万九千軒のうちの四九%が今赤字だというわけですね。こういう赤字というのは、それがもう一時的じゃなくてずうっと恒常的に赤字だと。こういう経営の圧迫というのはほかにいろいろ原因があると思います。あると思いますけれども、そのうちのやっぱり相当大きい部分を人件費が占めていると思うんですね。  したがって、まあ全部を無人にするというわけにいかないけれども、例えば郊外のガソリンスタンドだとか、あるいはハイウェーでもいいんですけれども、火事になってもそう大きな影響がないところとか、あるいは時間、まあこれはほんとは夜間なんかやってもらいたいんですけれども、夜間なんかは無人スタンドがある。そこで、今駅のキップだって何だってお札で全部出ますよね。そうすると、二千円入れたら二千円分ざあっと出るとかね。コインでもいいし、あるいはテレホンのカードみたいなものでもいいのですし、幾らでもハードウエアはあると思うんですよね。こういうものを、無人スタンドをやはり積極的に進めていくというのは、消費者としても便利だし、それからガソリンスタンド、あるいは売る方としても非常にメリットがあると思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。お考え聞きたいんですがね。
  179. 畠山襄

    説明員(畠山蕃君) 無人スタンドの問題と申しますか、スタンドのセルフ化と申しますか、それは確かに欧米でここのところ急速に進んでおりまして、私どもも非常な関心を持っております。持っておりますが、先ほど申し上げました流通ビジョン研究会の中でもそういう議論はありましたのですけれども、どうもこれはもう少し研究してみる必要がありますが、まず日本人のユーザー、まあドライバーの人々の心理に合うのかどうかという問題が非常に提起をされまして、確かにアメリカでもセルフ化が始まりまして、セルフのスタンドとセルフじゃないスタンドと並列になっております状況のもとで、無論セルフじゃない方が高いわけでございますけれども、セルフじゃない方へお客が並ぶというようなこともあったようでございまして、ですから、一概にドライバーにとってセルフの方が望ましいのかどうか、その辺ももう少し研究をしていかなくちゃいかぬということであろうかと思っております。  それから、これは雇用の問題。スタンドというのは、今二十五万から三十万ぐらいの雇用を抱えておられますので、ほんとに実施するとすれば、その問題との関連も十分考えなくちゃいけないというふうに考えております。
  180. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういういろいろな問題が当然あると思うんですね。しかし、あるけれども、やっぱり一つ一つそれを克服してやっていかないと、例えば今の五万九千軒あるのが、少しでも経営状態をよくする、あるいはリファイナリーの余っている設備を少しでも稼働するということの面から、やはり積極的に進めていただきたい。  もう一つ、過剰の問題で最後に一つまた提案があるんですけれども、今設備が余っていますね。そうすると、例えば今現在、先ほどのように原油の産出国であっても精製設備を持っていないというところがあるわけですね。  ところが、そういったところがやはり自国の消費、あるいは余っているものを日本なんかの設備が余っているところへ委託加工したいという場合、これは委託加工ですから、輸入じゃなくて、例えば一万バレル持ってきて、それで一万バレル分できた製品みんな持っていっちゃうということをやれば、設備も相当動くし、それで喜ばれるんじゃないかと思うんですが、その辺に対するエネ庁のお考えはいかがですか。
  181. 畠山襄

    説明員(畠山蕃君) 今御指摘の点は、委託加工でございますので、日本へ原油を持ってまいりまして、日本の余った設備を利用して製品輸出するということでございますので、製品輸出の問題ということになるわけでございますけれども、石油製品輸出の問題につきましては、先ほどの、昨年の六月四日の石油審議会の小委員会の報告で、やはり少し弾力化を検討すべきじゃないかという御指摘もございまして、現在は、日本の国民が使う製品が不足してはいけませんものですから、比較的厳重な輸出貿易管理令の対象で輸出を抑えておりますけれども、それを弾力化すべきかどうか。先ほどの、今やっております小委員会一つの研究テーマになっておるところでございます。
  182. 木本平八郎

    木本平八郎君 今輸出とおっしゃったけれども、これはあくまで保税加工ですよね。こっちに所有権はないわけですね。だからこれは輸出しゃないと思うし、それから、今石油設備が余っていて、石油会社はひいひい言っているわけですね。日本の供給に不安というのは全然ないわけですよ。明くる日からでも、すぐ供給できるわけでしょう。だから、日本の需要に対する不安というのは全然ないから、むしろ設備を稼働させるということの方の意味が大きいんじゃないかと思うんですね。  これは、私はぜひ石審、まある審というか、それは審議会を通産省がくどくのかどうか知りませんけれども、実質上は通産省がいろいろなにされていると思いますんで、ひとつこれはぜひ前向きにやって進めていただきたいと思うんですがね。感触的にはどうなんですかね、やっぱり相当もまなきゃいけないんですかね。いかがですか。
  183. 畠山襄

    説明員(畠山蕃君) 問題は、国内の、ある意味じゃ貴重な石油製品がどんどん外へ出ていっては困るというところにポイントがあるわけでございますので、昨今の見通しによりますと、少なくとも短中期的には原油の需給、石油の需給というのが逼迫するというような事態はないだろうというふうに予想され始めておりますので、そういった事態を踏まえまして検討を進めてまいりたいと思っております。
  184. 木本平八郎

    木本平八郎君 ちょっと念のためにというんですか、私よく理解できないんですけれども、要するに委託加工で入ってきますね、一万バレル。そして、一万バレル分の製品が全部出ていくわけですね。これは保税扱いになっていますね。ここに便乗して日本の内貨が輸出されたら、これは輸出貿易管理令違反になりますね。法違反になるわけですね。  そうすると、これ石油というのは、ああいう液体ですけれども、しかし私の商社におった経験では、完全に保税で入ってきて、これ人の荷物ですよね。預かって加工しているだけで、でき上がったものをこう片すわけですな。例えば魚屋が魚を一匹お客さんから受け取って、それを刺身にして、その骨からうろこから全部お返しするという場合、そこに内貨が一緒に出ていく可能性というのはないと思うんですよね。いかがでしょうかね。
  185. 畠山襄

    説明員(畠山蕃君) 現在、石油精製工場は、今木本委員指摘のような点もございまして、実はああいう液体でずっとつながっているものでございますから、これを保税工場に全部してしまいますと、税務上の管理が非常に難しくなるというようなことから、一般的に保税工場になっていない状況でございまして、したがいまして、その原油が入ってまいりますると、一応内貨にせざるを得ないというのが一般的な状況でございますものですから、やっぱりちょっと製品輸出ということになる状況になっております。
  186. 木本平八郎

    木本平八郎君 その辺は、私の方が皆さんよりももう輸出入についてはよく知っているんですが。  例えば五百万バレルある石油精製設備の百万バレルを何とか落したいということですね。とりあえずあるA社ならA社の、どこにあるか知りませんが、仮に新潟工場なら新潟工場を一応スクラップダウンの対象にするわけですね。対象にして、ここでは内地向けのやつは一切やらないと、やる必要ないわけですからね。これ今すぐつぶすのはもったいないから、つぶすまでの間これは委託加工用の工場にすると、プラント全体を保税工場にしちゃうわけですね。そうすると、これ全然問題ないと思うんですよね。いかがですか、このアイデアは。
  187. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 論理的なアイデアとしては、まことにそういうことになりますので、失礼でございますが、そういう一つ考え方としてあり得ると思いますので、そういうことも含めまして検討をさせていただきたいと思います。
  188. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、一応私の申し上げることは終わったんですけれども、ぜひこの石油の問題は、私も何も業界を目のかたきにしていつもがつがつかみついているわけじゃなくて、やはり業界がきちっとしてもらって、しゃんと足腰がしないと、やっぱり最終的には消費者が高い物を買わされちゃうわけですな。そのためにまず業界の再編成からやっていただきたいということをお願いしているわけです。  したがって、そういう点も踏まえまして、今私が申し上げた無人スタンドの問題とかあるいはこの委託加工の問題、いろいろ問題もあると思いますけれども、ぜひそういうところを、一方で設備の稼働率を上げながらスクラップダウンしていくというふうなことをお考えいただいて、この両方、ほかにもいろいろアイデアがあると思うんです。あると思いますけれども、とりあえずこういうものを実現していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
  189. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記をとめてください。    〔午後四時三十五分速記中止〕    〔午後四時五十分速記開始〕
  190. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記を起こして。
  191. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 きょうは実は順番を繰り下げまして、私の質問時間、全部大臣の出席をお願いしたかったんですが、時間の関係もありますので進行したいと思います。  この問題は、きょうは大型店の進出問題ですが、その進出によって中小業者、地元業者の生死にかかわる問題が今実際発生をしております。この問題は、六月六日、当委員会市川議員が質問した富山北の森ショッピングプラザの出店問題であります。  前回の答弁をまず確認をいたしますが、この問題は県の指導もありまして、出店者であるクローバー興産が、その建設敷地内の一部を地元業者の共同店舗の出店用地として貸与するたいう、そういう意向を示したこと、地元業者もこれを了承して、商調協での三条結審に同意したという事実ですね、これが第一点。それから、土地問題も含めて、地元業者による共同店舗計画が、事前商調協の結審の際の一つ判断材料であったということ。そして三番目に、したがって今後、当事者間で土地問題解決のための話し合いが促進されるように、県、通産ともに全面的に指導し努力をするという、こういう答弁がありましたが、この方針、また事実確認、これは間違いないでしょうか。
  192. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) ただいま御指摘の富山北の森ショッピングプラザ出店案件に関します商業調整問題につきましては、事前の商調協における審議や五条の受理や正式商調協における審議など、各般の過程におきましていろいろな経緯がございましたわけでございますけれども、その大きなポイントは土地の賃貸借問題でありましたということ、まことに先生のおっしゃったとおりでございまして、その土地問題の早期解決を図りますために、富山県を中心といたしまして、関係者が協力して話し合いのための環境づくりが行われてきてまいっておりまして、現在までに十回ほど話し合いが行われておるわけでございます。  私ども通産省といたしましても、この県の指導によります当事者間の話し合いが一日も早く円満にまとまることを期待するということで、先般の商工委員会で、市川議員の御質問に御答弁申し上げたわけでございますけれども、先ほど先生の御指摘の事実関係、あわせまして私どもの認識につきましても、その当時と変更しているものはございません。
  193. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ところが、土地問題の解決がないまま、八月三十日の商調協において、クローバー興産側、出店側の申請どおりに三千六百平方メートルを認めることで結審をしてしまったわけですね。もっとも、この結審についてはいろいろ事情があって、またあした再開するということですが、前回答弁の、行政の責任が果たされないまま結審に至っておるわけです。このままでは大型店は予定どおりに開店にこぎつける。それから、行政の指導によって始まった地元業者の共同店舗計画は不可能になってしまう。そして、大型店進出によって、従来の地元業者そのほかがこの共同店舗に参加しようというのですが、それもだめになり、かつ従来の営業もだめになってしまうという、こういう壊滅的打撃を受けることはもう必至な状況なわけです。  この問題に入る前に、こういう事態になったことをどのように理解するかという問題としまして、前回矢橋審議官の答弁の中にこういう答弁がありました。途中の過程において約束したという事実があれば、それが以後の審査の中でも、そういった過去の事実を踏まえた話の進行になる。それから、途中の段階での約束ということは大きく物を言う。それから、土地問題を含めて地元業者による共同店舗計画が、事前商調協の結審の際の一つ判断材料だ。ということを言っておられますね。これらの発言を、大店法一条の、従来の地元業者が生きていくようにという趣旨と合わせると、こういう発言をどのように理解したらいいのか。  ということは、一面では、それは何ら行政の指導どおりに土地問題解決しないままこういう状況になっておる。片方こういう発言がある。行政の責任が果たされていないじゃないか、こういう問題なんです。
  194. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 先生指摘のように、六月の御審議の際に、矢橋審議官からいろいろお答え申し上げたとおりでございますが、北の森ショッピングプラザの出店案件に係ります事前商調協の審議経過などから見ますと、やはりその土地問題を含め、地元商業者による共同店舗計画が、まあ前提条件とまでは言えませんけれども、事前商調協の結審の際の一つ判断材料であったと考えられますことは、」私どもも御指摘のとおりだと存じております。  でございますからこそ、そういう観点から、土地問題の早期解決を図りますよう、富山県を中心として関係者が協力して話し合いのための環境づくりが行わ札でまいり、私どもとしましてもできる限りの努力をいたしまして、現在まで、先ほども申し上げましたように、十回にわたりまして当事者間の話し合いが続けられたところでございます。  この出店案件については、五条の届け出が行われました後におきましても、ただいま申し上げましたような経緯を十分踏まえまして、商調協において勧告期間を二回も延長するなど、慎重な審議を続けてきたところでございまして、先ほど先生指摘のように、八月三十日に一応の結論を取りまとめましたけれども、地元商業者からの意見陳述の要望もございますので、再度明日、商調協を開催するというふうに聞いているわけでございます。  通産省といたしましても、当事者間での話し合いが誠心誠意さらに促進されるよう、引き続き一層の努力を私どもとしては粘り強くやってまいりたいと思っております。と同時に、商調協におきます審議も明日また予定されておりますが、関係者の理解を得て、適正、円滑に行われるよう、私どもとしても最大限努力をいたしてまいることによりまして、行政上の責めを果たしてまいりたいと考えております。
  195. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣、きょうは当委員会に出席だけではなくて、いろんな会議をかけ持ちきれて大変お疲れだと思うんですが、私、大臣がいるところで全部質問したいと思っておったその趣旨は、今、果たして通産行政が機能を果たしているのかどうか、こういうことが問われている問題が、実際に大型店問題で出ております。十分お聞きいただいた上で、また大臣の見解を求めたいと思うんです。  そこで、今の答弁との関係で、八月三十日の商調協は一応結審という形になって、ともかく結審したんですね。ところが、なぜ再開ということになったかと申しますと、まず会長がその正式の商調協の審議の際に、共同店舗側の代表の質問に対してこう答えたんです。ということは、共同店舗の計画が、要するに地元業者の方の計画が二千五百平米であることをクローバー興産側に伝えたかと、商調協からですね、そういう代表の質問に対して、会長は明確に伝えたと答えたわけであります。  この問題極めて大事なんですね。というのは、十回とおっしゃった。よく回数はやったと思うんです。ただ、回数が問題でなくて、中身の問題、実が入っているかどうかという問題、また指導が果たせたかという問題なんですが、なぜ十回もやり、県は九回、名古屋通産局は二回行って、そういうような発言はしていることは聞いています。そんなにやったのに、なぜ解決しなかったかというと、出店側のクローバー興産側は五百平米ならば貸しますと。しかし、片や地元業者側、そこに入る人の人数、それから今後競合していくわけですから、それは競争力もつけなければいけませんからね、片や三千六百に対して片や五百ではとても太刀打ちできないんだ。少なくとも、全く同じとは言わぬけれども、一定数、二千五百が一応の基準になりますけれども、二千五百というものを基準考えてほしいと。ところが、全然そんな話は聞いてないということで、幾ら努力をされましても話がまとまらないまま八月三十日に至ったわけなんですね。  そこで大事なことは、もし出店側、クローバー興産側が二千五百という計画があって、それに対して土地を提供するということを了承したことによって、二千五百完全になくていいけれども、それに近いものということでそれで三条結審になったということであれば、全くその後十回あるいはそれ以上に及ぶ交渉はクローバー興産側のこれは背信行為ですよ。行政もだまし、地元業者もだましたということになるわけですね。  そこで、そういう経過を経た地元代表側が、会長さんに二千五百伝えたかと。そしたら伝えたというのですよ。ところが、これは、伝えたというのであれば、完全にもう背信行為ということは明らかですから、それなりの行政措置をお願いしたいんだけれども、ところが後になって、終わってから代表を一人呼んで、実はあの発言取り消したと。じゃ一体何だということで、そこでいろいろ紆余曲折があった結果、覚書を取り交わして、そしてもう一回開くと。そして、この件に関し四者協を開き、また商調協を開催する。そして、次回商調協では地元代表側の意見陳述の場を保証するというような覚書ができたこと、これは御承知のところですね。この経過はお認めになりますか。簡単に……。
  196. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 八月三十日の商調協の状況につきましては、いろいろなことがこの中で審議されましたが、県側からの土地問題についての経過説明とか、地元の商業者の意見陳述とか、土地問題について御指摘ございましたようなことの確認でございますとか、いろいろな議論が行われましたこと、そして北部流通協同組合側の希望する面積について商調協の場でちゃんと伝えておったかどうかという点について、商調協としてこれまでの議事録を確認した上で回答するということになっておった経緯があり、そして先ほど先生指摘のようなことで、具体的な面積は伝えられていないことが明らかになりましたので、先生がおっしゃいますように、再度九月四日に地元中小小売業者の意見陳述と、それから商調協の審議を行うことになったということにつきましては、先生おっしゃったとおりでございます。
  197. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 会長の発言について、議事録を確認した上でお知らせしますというのは、これは作り毒なんです。  私は、そこにおっだ名古屋通産局の畠山課長がそういう報告しかしないというところに、名古屋通産局がもうすっかり向こう側へ取り込まれている。そんなことであれば、もしも議事録を確認した後お伝えしますということであれば、なぜ会長が終わった後代表をごそごそ呼んで、そして取り消しなどというそんなことを言うのか。言う必要ないじゃありませんか。言う必要があるからこそ後で呼んだんですよ。公の場所では、はっきりとクローバー興産側に二千五百は伝えていますと、こう答えたことが、後でこそこそ取り消しなんて言うものだから、それはみんな怒って、話が違うじゃないかと。  どうですか、今の、議事録を見た上でお伝えしますだったら、何もそんな再開する必要ないじゃないですか、結審したものを。そんなインチキな報告を真に受けている、そのことが、私は通産が、出店側、クローバー興産側にばかにされて話が一向に進まない一番の原因だと思うんです。どうですか。
  198. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 先ほど、これまでの議事録を確認した上で回答することとしたということは、扱いの趣旨を申し上げたわけでございますが、先生指摘のように、商調協の会長はいろいろな場で本件の問題について両当事者と話をしてきた経緯もありまして、一たん伝えた旨の発言をいたした。しかしその後、事務局に確認してからまた連絡をするというふうに言い直しをしたというふうに現地から報告を聴しておりまして、その部分を私の方で趣旨を抽象的に申し上げた結果の表現がちょっと違っておったかもしれませんが、現実問題といたしまして、商調協の会長自身が、商調協の場において伝えていると一たん発言した旨、それからその後事務局に確認後連絡する旨付言した旨、報告を受けているところでございます。
  199. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういう議事録確認云々の発言があったら、後で呼んで取り消す必要ないじゃありませんか。なぜ取り消したのか、取り消している事実そのもの、その後私から先ほど紹介したような覚書ができたというその事実、その中に、もう公の場所では、はっきりと二千五百問題を相手に伝えたと発言したんです。まあいいです、この問題余りやっていても時間食うばっかりですから。  そういう意味では大臣、名古屋通産局からの報告を真に受けると間違えるんです。  そこで、なぜ話がまとまらなかったということは、とにかくクローバー興産側が五百しか提供しないということに固執したためであります。そういう中で、たくさんやった話し合いの中で、県はこういう指導をしています。五百平米では解決にならない、クローバー興産側はもっと考えると。それから、名古屋通産局の畠山課長も、これはそのときの発言は私は適切だと思うんですが、地元業者側が確保した宇佐美さんという土地を、クローバー興産側が妨害して契約できないようにしてしまった。それが明らかになったので、畠山課長はクローバー興産側に対して、クローバー側が妨害した賃借問題をクローバー興産の責任において関係回復せよと、こう迫ったんです。これは適切な指導と思いますね。  ところが、その後、そういう指導をしながら、相手方がそのとおりやったかどうかは確認もしない、次の会合にも出てこない。そこまで指導しておきながら、指導が全然貫徹しないうちに結審に同意してしまった、こういっていたらくだからばかにされて、もう幾らでもクローバー興産側は、前回の市川さんの発言、表現によれば、タコつぼに入って嵐が過ぎるのを待っておればもう開店の日が来る、こういう状況なんですね。  しかも、大臣にぜひ聞いていただきたいのは、なぜ地元業者が共同店舗計画を立てたかと申しますと、これは昨年の九月十一日に地元の業者の皆さんは、当時はまだ反対一本やりで、県に陳情に行ったんです、特にここは不況地域だから考えてくれと。ところが、その際に、県の商工労働部の次長から、熱心に地元の共同店舗の必要性をこれらは説得されたんです。翌日、県の経営指導課長の方から、クローバー興産側出店予定地の東側に県が土地を仲介するから、そこでやってはどうかと、そこで共同店舗をつくってはどうかという提案がありました。そしてその翌日、九月十三日には、県が中に入る以上は土地については下手なことはしないと。そして九月二十一日に同課長より土地問題について了解があったという報告があった。  だから、地元業者は、行政がそこまで言うんなら、これはかなり思い切ったことですけれども、ひとつ乗ろうというので、それから一生懸命勉強して共同店舗計画を立てた。そして、しかも商調協の三条結審の際に相手方が土地問題を了承したと。その際には既にもう二千五百は明確に出ておったんです。ですから、そこで、じゃもう結審を了解すると、そこまでいったわけであります。  大臣、そうしますと、全く行政の指導によって共同店舗計画が出てきた、土地問題もあっせんしてくれた、そのあっせんされた中身、それが相手方の背信行為によってこれはもう全く解決しない。行政に言わせると、その契約させることまでは行政はできない。それは、確かに馬に水を飲ませることは無理にできませんね。しかし、馬が水を飲むような環境づくりをしなきゃいかぬのに、やらないままきてしまって結審する。  ここで大臣の見解をお聞きしたいんですが、このままいきますと、結審なり、そして一定時日が過ぎますと、これは五条の届け出がありますから、一定時期に三千六百というクローバー興産の申請どおりの面積で開店が可能なんです。  大臣、こういう経過の中で、まさに行政の指導でここまで来た問題、しかも先ほど来確認してまいりましたけれども、この土地問題が重要な判断材料として結審した。こういう経過の中で、こんな不誠実は出店が、クローバー興産の開店が認められ、同時に、土地問題が解決しない以上はこの共同店舗計画はもうパーです。それがだめになる。そして同時に大型店舗の進出によって従来の営業もだめになる。こういう経過を大臣、許してよろしいのかどうか。これは端的な通産大臣としての見解を承りたいと思うんです。
  200. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 大臣のお答えの前に、ちょっと一言確認をさせていただきたいのでございます。  先ほど先生指摘ございました事前商調協の段階の事実関係なんでございますけれども先生もおっしゃいましたように、富山県の方で共同店舗、商店改造等を地元商業者に提示いたしました結果、地元商業者が共同店舗を計画したものと理解をいたしておりますし、五十九年の九月の事前商協調で、地元商業者の側から共同店舗の計画が表明されまして、その後クローバー興産の方も、土地の一部をこの計画のため貸与することについて善処する旨の意向を表明しておったのは事実でございますが、必ずしも私どもの記録によりますと、具体的な面積等にまで言及した記録にはなっておりませんわけでございます。  そんなわけで、五十九年十一月の事前商調協では、こうした経緯も踏まえて地元商業者によります共同店舗計画に配慮することとし、これとは切り離して一応北の森ショッピングプラザ案件を審議して結審したという報告を受けているわけでございますので、そのような前提のもとに今後のことも考えてまいらなければと思います。  この点に関しまして申しますと、結局通産省の立場といたしましては、これまで十回の話し合い自身が十分な成果を上げておりませんが、私どもといたしましては、当事者間での話し合いがさらに促進されるよう粘り強く引き続き誠心誠意一層の努力をいたすということが大前提でございますし、また商調協自体、明日もまだこれから審議が行われるわけでございますので、関係者の理解を得ながら、商調協の審議が適正円滑に行われるよう努力してまいるのが現時点での私どもの立場ということになろうかと存ずるわけでございまして、これらを注意深く見守るのが、私どもとして現段階でとるべき立場ではないかと考えておる次第でございます。
  201. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 近藤委員にお答え申し上げます。  大型店の出店調整問題につきましては、消費者の利益の保護に配慮をしながら、周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保するというように努めていく所存でございます。特に、周辺中小小売業等の関係者の意見を十分聴取いたしまして、適正かつ円滑な調整を図ることが必要であると認識をしております。  本件は、いろいろ複雑な経緯があると同時に、土地賃貸借をめぐる難しい問題も絡んでおるわけでございまして、関係者がその問題解決のために鋭意努力していると理解をしております。  ただいま松尾審議官から経緯を踏まえての答弁がございましたが、松尾審議官は名古屋通産局長をしておられた人でありまして、非常に私はその判断は公平であるという信頼感を持っております。したがいまして、今後当事者間での話し合いがさらに促進されるように、引き続き誠実に一層努力をしてまいる所存でございます。
  202. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その努力をぜひそれはお願いしたいんだけれども、今まで努力をしてまいりました。前回市川議員の質問以来十回にわたって――これはまた回数というのは大したものですよ。よくやってくれたと思うんです。ただ、中身は、十回やってだめだったんです。要するにタコつぼに入った相手は五百と言っておって、機会が来るのを待っておった。そして結審になりましたね。結審になりますと、まだ正式な結審じゃないかもしれぬけれども、後は向こうは時間を待てばいいのですよ、時間が来るのを。  その場合には、ここをよくお聞きいただきたいのは、クローバー興産側の三千六百だけができちゃうのです。相手ができちゃえば、土地問題解決の必要はなくなりますから、土地問題の解決は余計難しくなるのです。そうしますと、行政の指導によって出発した共同店舗計画がため、土地ができなきゃまた、そこでやらなければ意味がないのですから、ため、そして従来の営業もだめ。  私が質問したのは、通産大臣としてそんな結末を許してよいのかどうか。それについて努力をするのはわかった、この努力をするという、また努力をお願いしたい、それはいいんだけれども大臣の見解としまして、そういう結末がよろしいのかよろしくないのか。特に大店法第一条の趣旨から見まして、それを端的にお答えいただきたいと思うのです。委員長大臣に直接御指名いただきたい、私はもう時間もないのだから。
  203. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) あす商調協があるというふうに承っておりますし、そしてまた、今先生の御主張は、市川委員からのいろいろな御質問、私は承知をいたしておるのです。そして富山県の地元の実情というものを踏まえて、あす商調協が行われるものと承知をしております。その経過も見ながら対応したいと思います。
  204. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 きょうの地元紙の夕刊によりますと、あす商調協が開かれる、そして先ほど間違った発言をした会長は、談話でこう言っています。「もう一度商調協を開いても、結審内容が変わることはない」、これは明らかに、あしたもう一度形だけやりまして、様式だけ整え、そして結審して、そのままほおかぶりでさっといっちゃう、これは明らかじゃありませんか。この事実はつかんでおりますか、これは松尾審議官。  そして大臣、見守ると言ったって、結審内容変わらないと言うのだから、そして結審しちゃうのですよ。もう見守るもくそもないのだね。となれば、私が今指摘したとおり、できるのはクローバー興産側、地元業者はだめ、死んでしまう。法第一条の趣旨が全くだめになる。それでもよろしいのですかと、それが通産の立場ですかというのが私の質問の趣旨です。端的にお答えいただきたい。
  205. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 九月四日の商調協の開催に向けましては、八月三十一日にもいわゆる四者協議も行いまして、商調協の会長の出席を求めて、四者協議の場でもいろいろ地元の中小商業者の意見等について説明を受けたわけでございまして、それを踏まえまして、九月四日に再度商調協を開催するよう四者協議において方向づけをいたした経緯もあるわけでございます。  私どもといたしましては、先生指摘の法律の第一条の精神が十分に生きるように、過去の経緯を十分踏まえながら、これからも一方においては、繰り返しになりますけれども、粘り強く関係者の話し合いを十分に進めてもらうようにいたしたいと思いますし、あしたの商調協も適正な審議が行われることを期待いたしているところでございます。
  206. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ちょっと大臣の前に。  今の審議官の発言だけれども、期待しておると言いましても、その会長が、形式だけ開いてもうそれでおしまいだと言っているのですよ。となれば、私が指摘したような方向にまさにもう一歩、第一歩踏み出すんじゃないか。それを前提に、大臣に先ほどの質問に対するお答えをお願いしたいと思います。
  207. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 今、松尾審議官が非常に誠実に答弁をしておられますから、ひとつこれによって承知をしていただきたいと思います。  あしたの商調協の結果を見ましてから、もう一度判断をよくしてみたいと思います。
  208. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 待つといいますけれども、ちゃんと新聞報道、これうそとは思えませんよね。結論はわかっているんじゃありませんか。一応この新聞報道を前提に、もうあした審議内容を変えないまま結審しちゃうと、そういう事態が迫っておる、そういう前提でお答えいただきたいのです。
  209. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 法的な手続に関して、ちょっと私の方から一言補足させていただきます。  これは先生も御案内のことでございますが、仮にどういう答えが出るかわかりませんけれども、あしたの商調協で結審があった後の手順でございます。これにつきましては、ある要件を満たす場合には、大規模小売店舗審議会、大店審の意見を聞くこともあり得るわけでございます。ただ、大店審の手順を踏むには一定の要件が必要でございます。御案内のことだと存じますけれども、商調協の結審の内容がどういう内容であったか、あるいは商工会議所の意見はその商調協の意見と同一であるかどうか、あるいはまたほかに意見を申し出ている人があるかないか、こういうようなことを総合的に大店審の会長が判断するというのが建前になっているわけでございます。  ただいま申し上げましたように、商調協自体はあしたまた審議をする、こういうことになっておるわけでございますので、私どもが現段階で、じゃその次の法的なステップはどうなるのかということについて、あらかじめ予断を下すのは適当ではないというふうに考えておりますが、ただいま申し上げましたようないろいろな要件が仮に満たされる場合には、次の法的な手続といたしましては、大店審の審議というものがあるということは御理解賜りたいと思います。
  210. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その場合には、まさに通産の一つの独自の場所になりますから、今はその前提段階だから余り意見を言えないという趣旨だと思います。  しかしこれは制度の問題として、じゃ大店審に行った場合、歯どめがあるのかどうか。相手は余計、次の段階へ進んだから開店日に近づいたというので、ますますタコつぼへ入るんですよ。今まで入ってきたんだから。しかも先ほど二千五百が伝わっているかどうかという問題も、議事録にちゃんとあるんですよ。議事録には、ちゃんとこちらの共同店舗側の計画が二千五百であると、そしてそれにこう書いてありますよ。「新たな「共同店舗」出店計画の構想〔(株)クローバー興産の北の森ショッピングプラザ建設駐車場予定地内・店舗面積約二千五百㎡〕が前々回の商調協の席上正式に表明された。」次が大事です。「これに対し、出店者(クローバー興産)は地元小売商業者と共同歩調、」云々と書いて、「新たな「共同店舗」出店計画構想」、当然これは二千五百入っているんだ。ちゃんとこれに対して言ってるんだから。「計画構想に対しては前向きの姿勢を示しこと。ちゃんと知っているんですよ。知っておりながら、知らぬふりして五百にこだわっているからこういう事態になったわけなんです。  ですから、そういう事態であれば、これは名古屋通産局から特別委員として参加してるんですからね、こういう事態をよく見た上での指導が必要なんです。一部指導したけれども指導は中途半端。特に土地の妨害をしたクローバー興産側を強く指摘し、それに対してクローバー興産側は反論もしなかった。そして宇佐美さんのところへ、実際畠山さんに指摘されて行ったようです。それっきりなんです。そこまでいったのなら、なぜもっと一歩踏み込んで、この土地の妨害をやめさせ、かつ五百だけじゃない、もっと両方成り立つような、もう一歩踏み込んだ指導をやり、その指導が貫徹するまで結審なんてとんでもないと、そうすべきじゃなかったのか。なぜそれをしなかったのか。当時のあなたの部下だから、ひとつそういう立場からもう一度発言お願いしたいと思います。
  211. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、本件大変複雑な経緯もございましたわけでございますが、その間通産局の方も、両当事者に、話し合いのテーブルに着き、実質的な話し合いが進むようにいろいろな形で指導さしていただいたわけでございます。  ただこれは、この努力は私どもといたしましては、先ほど申し上げたように、十回ということは、回数だけじゃなくて密度の問題ももちろんあったと思いますけれども、密度についても精いっぱい私どもなりに努力したつもりなんでございます。あくまでこの土地の問題というものが一つの重要な判断要素ということではございますけれども、それがゆえをもってすべてを商調協の審議を全面的に規定するという経緯にはなっておらなかったということもございますので、私どもといたしましては、商調協の審議とあわせて、また仮に商調協の審議が終わりました後におきましても、引き続きこの問題については先ほど来申し上げましたように、粘り強く両当事者がきちんとお話し合いができるように、そしてまた両当事者も互譲の精神を持って、誠意を持って、互譲の精神でこの問題を、かたくなな態度でテーブルに着くのではなくて、両当事者それぞれが相手の立場も認識しながら、ぜひともいい結論に導いていただくよう、これからも誠心誠意努力してまいることにいたしたいと考えている次第でございます。
  212. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 両当事者が互譲の精神とおっしゃったけれども、そうしますと、地元の共同店舗側は二千五百にこだわって頑として譲らぬと、そういう理解をしているんですか。
  213. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) 私は、両当事者それぞれに、お話し合いでございますから互譲の精神が必要だという、一般的な趣旨で申し上げたわけでございまして、お話し合いを円滑に進めていくための心構えという意味で申し上げたわけで、具体的なイメージを申し上げたつもりではございません。
  214. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 地元側も二千五百にこだわらぬと、ただやっぱり両方やっていけるようなものにしてくれということなんですからね。  それから、もう時間ないんで二点だけ確認したいんです。  一つは、あしたの商調協については、これが単なる形式、儀式だけが整えばよろしいというようなものであってはならない、やはり実質的に審議をして、従来の立場、これが貫徹できるような商調協であるべきだと、こういう御認識はお持ちかどうか、これがまず第一点。  それからもう一つは、じゃ大店審へ行った場合の話なんです。これは仮定の問題でなかなか答弁しづらいかもしれませんが、法律上は第七条の第一項「その届出に係る開店日を繰り下げこと、その段階で、土地問題が解決するまで云々というのはちょっと難しいかもしれぬけれども、しかし少なくとも共同店舗側の三条申請なり出店計画がかなり進行するという日まで繰り下げる、クローバー興産側の開店日を繰り下げるという勧告、これは私は法律的に可能だと憩うんですよ。するしないは別ですよ。やれと言うと、すぐ答弁できないだろうけれども、やるかやらぬかは別として、法的に可能かどうか、その二点。  そして大臣、もう一つ、もう一回繰り返しになりますけれども、本当にこのままだと死んじゃうんです、地元の業者は。しかも、行政によって祭り上げられて、それが外されちゃうんだから、これは行政責任ですよ。そんなことが行政の立場からよろしいのかどうか。  この点をそれぞれお答えいただいて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  215. 松尾邦彦

    説明員(松尾邦彦君) ただいま先生指摘の第一点、明日の商調協が実質的な場であるべきであるという点については、全く先生のおっしゃったとおりでございまして、地元の小売業者からの再度の意見陳述を誠実に聞き、それをもとにして厳正な審議が行われることを期待しておりますし、そうあらねばならないと思っております。  第二点、法律上の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、大店審に果たしてこの案件が付議されるかどうかということについては、全く私どもも現段階で予断を下すことは適当ではございませんと存じますけれども、法律の文理解釈だけを申せば、先生指摘のように、第七条の中には、開店日を繰り下げることを勧告することができるという規定があるのは事実でございます。ただ、果たしてこのようなことになるかどうかは、明日を含めまして商調協の審議がどういう結果が出るか、それからまた大店番がどういう判断を下すか、それぞれの法の目的に照らしましての関係者によりますコンセンサスの形成のいかんによる問題であろうというふうに考えます。
  216. 村田敬次郎

    ○国務大臣村田敬次郎君) 九月四日の商調協におきましては、再度の意見陳述を聞いて、商調協としての意見の取りまとめを行うこととしておるというふうに聞いておりますし、そしてまた、今松尾審議官からお答え申し上げましたように、両者が真剣に話し合いをしていただいて、そしてこの問題についてのよき解決の法を見つけてもらうということを期待をしておるところでございます。
  217. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十九分散会