○下村泰君 いや、安定
局長、考え過ぎなんです。そうじゃないんです。僕の言っているのは、そういうことをおっしゃったということは、今までそういう事例が多くあったんですねということなんです。中間搾取であるとかあるいは強制
労働であるとかということが行われてきたんですねということを私は聞いているんです。安定
局長、少し考え過ぎちゃっている。お疲れですよ、頭がきっと。
それで問題は、今言っているピンはねですとか中間搾取という問題ですけれ
どもね。私の手元にある資料には、これ、私がかつておりました社会のことが書いてあるわけですね、ここに。演芸家を取り扱っている
事業所とあるんですよ。演芸家というと限られるんです。芸能家というと全般になりますけれ
どもね。これがしばしばいわゆる芸能人の場合が取り上げられますけれ
ども、これはまた特別の場合もあるわけですね。これは搾取にならないと思うのです、私が考えた場合には。
例えば松田聖子であるとか、今売れている歌い手がおります。これをプロダクションが一人前にするまでには物すごい投資をするわけですよね。要するに投機と同じなんです、株と。そして、海のものとも山のものともわからない、私らの言葉で化けるか化けないかと言うんですね。一人前になることを化ける、なり損ったのは化けない、化け損なったと言う。化けるか化けないかその目安がない。ある程度はある。ある程度はあるけれ
ども、果たしてこれが化けるか化けないかということで投資をするんですよね。そうしますと、
本人をある一定の形にするまでに、もちろん
本人にかけます。ところが
本人以外に、マスコミに乗せるためにはそれぞれの窓口があるわけ。むしろこれは安定
局長よりも
労働大臣の方が詳しいはずです。そういうところへどんどん投資しなきゃならぬわけですね。投資しなきゃならないんですから、下手をすると今の価格で言えば二億、三億は楽にかかるわけです。だから、それが化けた場合には、やはりこれは
一つの商品ですから、その商品から生み出される利益というのは当然、これで言うと
派遣元ですわな。ここが取り上げる——取り上げるというのはおかしいですね、収入として受け取る、これは私は当然だと思うのですよ。
ところが、この
派遣法によれば、これはその人の持っている能力でしょう、その人の持っている能力を利用して
派遣元になって
事業を行うわけです。ここにあるこまをこっちへ動かすだけのことなんです。うんうんって首振っていますけれ
ども、そういうのがあるんですよ。例えば電算
関係なんかそうなんじゃないですか。私のところに訴えが来ていますよ。例えばあるコンピューター
会社へ入った。そこで自分は当然そこのお仕事をするのかと思ったら、何か一年研修にやられた。研修にやられて親元へ帰ってこれるのかと思ったら、そこから今度ほかの
会社へ
派遣された。そこへ落ちつくのかと思ったらまた次へ回された。だから二つ回されているわけですな。二つ目の先で働いていたら、そこで働いている人たちとの給料の差というのは、そこで働いている人の七割しかもらえない。自分の分は全部向こうへ行っちゃっているんです、
派遣元の方へ。いわゆる
派遣元の方に吸い上げられている。こういう訴えがあるわけですよ。そうすると、ここにあるこまをこっちへ持っていくだけで、ここにいるやつは何もしない、こういう事例がたくさんあるわけです。こういうのを一体どういうふうに取り締まっていくのか、どういうふうに今度の
法案でお考えになっているのか、これは大変な問題だと思うのです。
今度の
法案の一番のしんになるのは何だといったら、やっぱり賃金と
労働条件じゃないかと思うのですよ。ほかのものは大したことないと思う。ここのところ話はちょっとそれますけれ
ども、港湾と建設が外れていますわね。港湾と建設、殊に建設の場合なんかは、東京の山谷にはよくありますね。あるいは横浜の寿へ行くとわかりますよ。朝の三時、四時ごろ手配師が来ていますよ。寿には有名な女手配師というのがいますよ。元OLの出身で、ちょうど体型が安定
局長に似ておるんです。これが大変な女親分なんですよ。大の男を手
配して本当のピンはねをやっている。ああいう人たちを取り締まられたという話は私は余り聞いたことがないですね。
それから山谷でもって毎朝のようにやってますよね。トラック二台も三台も持ってきて、指三本上げたり四本上げたりしてやってますよ。この指を見りゃわかるんです、一日の額が。そうするとその指の上がった方へ行く。お年寄りは、おまえは年寄りだからだめってはねられる。そして若い
労働力をトラックへ乗せてばっと連れていく。こういうのを取り締まったことありますか、失礼ですけれ
ども。一回私は聞きたいと思っていたんだ。こういうのを取り締まったことありますか、
労働省で。