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政府委員(
加藤孝君) 近年、
企業内におきましていろんな専門的な職業群、コンピューター関係であるとかプログラマーだとか、そういうようないろんな専門的な職業群が増加をしてきております。あるいはまた、従来の
労働のパターンと違いまして、自分の都合のいい日に、あるいは都合のいい時間帯に専門的な知識、経験を生かして就業したい、そういうことを
希望する
労働者も出てきた。あるいはまた
企業の方におきましても、コンピューター関係の導入あるいはその設備の運営であるとかいうような一時的なそういう
事情に
対応してこういう人たちを使うというような形での
労働者派遣事業的な形態の事業が増加をしてきておるわけでございます。
これは、一応こういった事業は
労働側にもそういう形の就業の
希望がある、それからまた
企業側にもそういうものに対するニーズがある、こういうようなことで、
労働力需給の調整機能を持ったものという面では、従来の職業紹介であるとか請負であるとか、そういうような形では必ずしも十分に果たし得ないような機能を、役割を担って一応お役に立ってきたというような面がある一方、この事業で働いております
労働者の保護とか
雇用の安定、こういった面では一方いろいろ問題がある。あるいはまた、だれが
雇用の
責任を負うのか、あるいは使用者はだれなんだというような
問題等も起こっておる。さらにまた、大きな問題といたしまして、これが職業安定法の禁止をしております
労働者供給事業に当たるのではないか、こういうような関係の問題も一面抱えておる、こんなような
事情にあるわけでございます。
こういうような新しい
派遣事業的なものが社会経済の中で
一つの役割を果たしている、あるいはまた果たすようになってきた、こういうような
変化というのは
昭和二十二年の職業安定法制定当時では全く
考えられていなかったものでございまして、この
労働者供給事業を禁止しております現行法のこの辺の面から見ますと、形の上では問題があるにいたしましても、果たしてこの
労働者供給事業が本当に禁止をしようとしていた強制
労働の禁止であるとか、あるいはまた中間搾取の排除であるとか、こういったような面から見てそういった反社会性というものがこういう事業に認められないではないかというような形でいろいろこの扱いについての
論議が行われてきたわけでございます。
日時的に見ますと、
昭和五十三年に
行政管理庁からこの問題についての提起がございました。
労働省としては、その年にこの
労働者派遣事業問題の需給システム研究会というものを設けまして研究を進めてまいりました。さらにはその後
労使も入りました三者構成の
労働者派遣事業問題
調査会というような形での研究も進めてまいりました。また、その
調査会報告というものを受けまして、ことしの初めから中央職業安定
審議会におきまして
労働者派遣事業等小
委員会というものが
労使公益三者構成で設けられまして、先月この小
委員会報告が提出をされ、これがまた
審議会の本
委員会におきましても、こういう方向でひとつ早急に立法化に取り組むべきだと、こういうような御報告をいただいた、こういうような
実態の推移、そしてまた研究なり、審議なりの
経過を経まして、私どもこういう事業というものを、
労働者の保護あるいは
雇用の安定というものに十分配慮をしながら一定のルールのもとにこれを認めていく、こういう方向を打ち出していくことが必要である。一方、また、かねて禁止をされておりました
労働者供給事業禁止そのものの基本的な精神というものは厳として維持をしていく、こういうようなことでこの
派遣事業法案というものを今度御提案申し上げていきたい、こんなふうに
考えておるところでございます。