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久保亘君 まあいいでしょう。もう少し積極的な答えをしないと、せっかくあなたに来てもらったのに……。なかなか難しい問題だと思うから、それはそれでいいです。
最後に、時間が短くなりましたので、
鹿児島県菱刈町の地盤沈下
対策についてお尋ねをいたしますが、先般この問題でお尋ねいたしました際には、原因
調査検討委員会の中間報告の
段階でございました。いずれも最終報告が出てから対応を
考えたいという御
回答をいただいたのでございまして、きょうは、五月三十日に
調査検討委員会が最終報告を発表いたしましたので、その報告に基づいてお尋ねしたいと思います。既に最終報告が出されてから半月を経過いたしておりますから、それぞれの担当の省におきましては十分御
検討のことだと思うのでございます。
この最終報告は、原因が「極めて特殊な複合
災害である。」と言っておるのであります。大きくは三つに分けているんですね。一つは、シラス土壌の変質に伴う陥没ですね。それからもう一つは、温泉の圧力が下がったという、この温泉の圧力が下がったという原因に、住友金属鉱山株式会社菱刈鉱山の採鉱に伴う抜湯が原因となっている可能性があるということを言っておりますね。もう一つは、
地元の温泉がくみ上げてきたことによる水位の低下ということを言っております。これが温泉水の圧力減と。それから三つ目は、川内川水位の変動に伴う地盤にかかる重量の変化ということを言っておるのであります。
そうすると、やっぱり
地元で言われていた原因が、菱刈鉱山の抜湯にあるのではないかということと、川内川の水位の変動をもたらした可動せきの運転操作にあるのではないかという問題が複合
災害という言い方でもってその中に含められているように思うんです。もちろん、
委員長はこの
説明に当たって川内川のそのせきについてはそうだということを言っておられないわけでありますね。ただ、川内川の水位の変動ということが複合原因の一つであるということになれば、水位の変動は何がもたらしているのかということをまた
検討してみなければならぬのでありますが、いずれにせよ、こういうことによって複合
災害として最終報告が発表されました。
しかし、この報告は非常に政治的
配慮を加えたものだということを
委員長がこの発表に当たっての会見で述べられている。政治的
配慮というのは私が言っている言葉であります。なぜそういうことを言うかといいますと、この原因の度合いを見ていくのは、どこがその原因の度合いが大きいか、どこが小さいか、つまり割合の問題を決めるのはこれは政治的な判断によらざるを得ない、つまり政治的因子として話し合いで決まる性質のものである、こういうことを言っておられるのであります。これは裏返して言えば、
地元住民のための救済と
地域の復旧のために円満に話し合って可能な限りのことをやってくださいというのがこの
検討委員会の裏側に込められていた
意思ではないかというふうな気がいたします。そこで、私もあえてこの原因がどれが強いんだというような議論をきょうはしようとは思いませんが、
委員長のそういうような会見でのコメントを伴う最終報告を
考えてみますと、これは明らかに民生の安定、
地域の
振興のために政治的な大岡裁きを求めた、こういうようなことを感ぜざるを得ないわけです。
そこで、通産省はこの最終報告をどういうふうに受けとめておられるか、そしてこの最終報告を受けとめた上で住友金属鉱山に対してどのような行政指導や助言等を行われたか、また行われるつもりであるかお聞かせいただきたいと思うんです。