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国務大臣(
木部佳昭君) いろいろ公団の
関係の皆さん方や、また議会の皆さん方や地方のまさに英知を結集しまして大変立派な東洋一という橋が開通されまして、私もテープカットをさせていただいて非常に感激に打たれた次第であります。
それは、率直に申し上げますと、昭和三十九年の五月ごろ、私が宮仕えをさせていただきました今は亡き河野一郎
先生がその構想を打ち上げたわけでございます。それで、ちょうど河野さんが亡くなられましてから私が二十五代目の
建設大臣でございまして、テープカットをさせていただいて非常に感銘を、ある
意味では仏のめぐり合わせだなというふうな、そんな気持ちで受けとめさせていただきました。
私、技術のことはよくわかりませんけれ
ども、あそこは非常に風の強いところでございますそうで、何か飛行機の両翼のように風が余り吹き上げないようなあれをされるとか、それから非常に渦潮で御承知のとおり景勝の地でございますから、自然
環境というものを維持しながらあれだけの橋を完成させたということは、まさに公団を初め
建設省の技術陣の世界に誇れる
一つのものだ。同時にまた、私
どもは今申し上げました自然との調和を維持しながらあれだけの長大橋を
建設させたということで文化の面や二十一世紀に対して大変立派な遺産を残すことができた、そういうふうな私は感動を受けました。
そういう
意味で、これからあの橋が、橋の完成を契機にして、
経済的な問題だけじゃなくして文化の面でも大いに役立っていくような、そういうことを期待申し上げ、またいろいろこの受け皿の方の道路網その他
地域の問題なんかもよく
見直しをしながら
考えていきたい、そういうふうにも実は思っておる次第でございます。
私も率直に申し上げますと、今地元で、明石海峡の方へ約三千六百メーターですが、それだけの橋を延長しないと名実ともに
経済効果も出ないのではないか、こういうふうな実は声もございますし、またこれを早期に着工してくれというような御
意見もございました。この問題につきましては、明石の橋というものができれば世界一に近いものだと言われておるわけでありますが、今まで
建設省といたしますと、ずっとこの
調査をいろいろ進めて、百二十億ぐらいの
調査費というものをずっと毎年継続して
調査はいたしておるわけであります。
私の承知いたしている範囲では、あの橋の構想が打ち上げられて具体的になりましたときに
一つ問題になりましたのは、新幹線の併用でいくべきか、単独橋でいくべきかという
議論が当時あったことを私は承知いたしております。私がお仕え申し上げた河野
先生は故人ですから率直に申し上げますが、当時の河野
建設大臣は、新幹線の時代は終わった、鉄道の時代は、だから単独橋でいった方がいい、そういう政治家としての
意見を持っておられたことも私よく承知をいたしておるわけであります。
ところが、地元の皆さん方からの当時のいろんな陳情その他を私
ども取り次いだりなんかしたことで記憶している範囲では、やっぱり鉄道と併用でいくべきだというような実は
意見がかなりあったわけです。地元でもそういう運動がございました。そのような調整が実はおくれたといいますか、なかなか調整がつかない点も率直に言ってあったと思いますが、ちょうどこれからいよいよ工事にかかるというようなその瞬間にオイルショックが発生いたしまして、一時とんざをしなければならないというような事情等もあったと私は思います。そういうようなことで、昭和五十八年の三月に臨調答申により一時凍結というような、そういう事態が発生をしたことは二宮
先生も御存じだと思います。そういうことで、現在も臨調で凍結をされておるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、地元の強い要望があるということは私もよく知っておりますし、社会
経済情勢が依然厳しい中にもございますが、率直に申し上げて地元は大変そういう運動もありますし、幅広い御
意見もありまして、早く明石の橋に着工できるように
努力してくれというようなことも、切実に私もそう受けとめておる面もございます。しかし、いろんな
意味を
考えてみますと、総合的に
検討、調整を図らなきゃならぬ。例えて申し上げますと、
国土庁長官もおいでになりますが、国土庁の四全総にどういうふうに組み入れるのか、どういう位置づけをするのか、また単独橋でいくべきか、それから鉄道との併用橋でいくべきか、こういう
問題等につきましてもいまだ未調整でございます。
でありますから、そういうふうな問題を
一つ一つやっぱりきちっと位置づけをしていかないと、例えて申し上げれば、新幹線の併用橋の部分だけでも伺うところによると百六十億ぐらいと言われておるわけですね。これだけ行政改革の厳しい中、一体ほおかぶりしてそのまま明石だけが単独橋でいいのか悪いのかというような
問題等なんかも私は率直に言ってあると思います。そういうふうないろいろな
検討を総合的にしていかなければなりませんし、私
ども、運輸省、
建設省、国土庁、この三省庁が寄り寄りそういう
問題等についても協議をしなきゃならぬというふうにも思います。
それから御承知のように
財政的に非常に厳しい中でございますから、地元の
意見としては
民活でどうかというような御
意見もございます。しかし、私
どもは橋というものはなかなか
民活に実際問題としてなじみにくい問題もあるのじゃないかというふうな気持ちもいたします。しかし、そう言っても、これを途中で今まで長い間
調査を進めてきたことを中止するわけにいきませんから、これは鋭意
努力をしてまいらなきゃならない、そういうふうに実は
考えておるわけでございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。