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喜屋武眞榮君 私は、二院クラブ・革新共闘を代表して、
昭和五十七年度
決算外二件に対して、是認しないことを表明し、
委員長提案の警告案に対しましては、賛成の意を表するものであります。
是認しない
理由の第一点として、
昭和五十七年度の
政府の財政経済運営についてであります。
五十七年度に編成された
予算は、歳出カットの名のもとで社会保障、公共事業、文教
関係の経費及び中小企業対策費のような
国民の生活基盤に直接かかわる分野が厳しく圧縮される一方で、防衛費や財政硬直化の要因である国債費が大きく伸びるという、赤字財政のツケを
国民の側に専ら転嫁するものであり、また見せかけの歳出抑制のため
八千億円余の歳出を後年度に繰り延べる
措置がとられたのは、その後の
予算編成をますます難しくしたとともに、
国民の目を欺くものであったと断ぜざるを得ません。
そして
政府は、この年度の経済運営の基本方針として、国内民間需要を中心とした景気の維持拡大や雇用、物価の安定等を掲げ、経済成長の点では率にして名目で八・四%、実質で五・二%という楽観的とも言える高い数字を見込んだのであります。
しかし、経済情勢に対する見通しが甘かったことや、有効適切な経済政策が講じられなかったため、内需を中心に景気は停滞し、経済成長率も実質で三・三%と、
政府当初見通しの五・二%に比較して二ポイント近くも低い数値に終わったのであり、一方では鉄道運賃等の公共料金の値上げが行われ、
国民は生活防衛を余儀なくされたのであります。
雇用の面においても、五十六年度より一層厳しい状況となり、失業者数は百四十三万人に増大し、失業率も二・四六%と高い数値を示し、企業倒産は一万七千件以上に上り、
国民に多大な生活不安をもたらしたのは明白であります。
また、当時
政府は、
昭和五十九年度に赤字国債依存脱却という財政再建目標を掲げていたにもかかわらず、財政再建元年とした
昭和五十六年度は二兆円、五十七年度は一兆八千三百億円の赤字国債を減額するという、
政府の意図とは裏腹に、最初の五十六年度において補正
予算での赤字国債の追加発行で目標が崩れたばかりでなく、この五十七年度では、当初
予算から減額目標を二千六百九十億円下回る一兆五千六百十億円にとどまったのであります。
そして、年度途中で経済情勢が
政府の見通しから大きく乖離し、内需の停滞とともに世界経済の後退で、景気の低迷状態が一層はっきりしてまいり、税収不足も明らかとなる中で財政の非常事態宣言が出されたのであります。
その後、補正
予算の
段階においては六兆一千四百六十億円もの巨額の税収不足が発生し、赤字国債を三兆三千八百五十億円も追加発行せざるを得なくなったのは、五十九年度赤字国債依存脱却という公約を根底から崩したと言ってよく、
政府の財政運営の失敗を如実に示しており、また景気等の経済情勢に対する
政府の見通しの甘さを指摘せざるを得ないのであって、この点
政府は強く反省すべきであったと思うのであります。
是認しない第二の
理由として、
政府の
予算執行の
過程の中で、依然として国費の不正不当な支出や不適切な
会計経理の発生が後を絶たず、五十七年度に
会計検査院が不当、むだ遣いなどと指摘したものは実に二百十三件、二百十八億円余となっており、不当と判断したものだけでも百八十一件、六十二億円余に上っており、これらはまさに全体のごく一部であることを
考えれば、まことに遺憾なことと言わざるを得ないのであります。
また、不当で不適切と指摘を受けた事例の中には、指摘されてからかなりの年月が経過しておるにもかかわらず
改善を見ないものがあり、例えば私がこの
委員会の席上で指摘した国立大学の学外からの資金の受け入れにかかわる不適切な経理の問題もその一つであり、
政府は
国民の声にこたえるためにもこのような問題に対する適切な
改善措置を一刻も早く講ずることを求めるものであります。
以上、反対の
理由を申し述べましたが、
委員長提案の警告に対しては、
政府は謙虚に受けとめ、その趣旨を十分に体して適正な行財政の執行に努めるよう要望して、私の反対討論を終わります。