-
-
-
-
○
委員長(
佐藤三吾君) 御
異議ないと認め、さよう取り計らいます。
─────────────
-
○
委員長(
佐藤三吾君) それでは、これより
質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
-
-
-
○
丸谷金保君 こういう問題が、問題が起きてから二十年間ほとんど何らの行動も起こさないまま放置されてきたというふうなことについて、
歴代長官御存じでありながら投げてきたのかどうかわかりませんが、私は大変遺憾なことだと思うんです。といいますのは、ここは
士幌と
鹿追という
両町にまたがる
地域で、
両町の
境界がはっきりしていないというふうなこともあって、現在まだ未
解決になっておるということでございますが、私は
現地に入って
調査いたしましたところ、
現実に
士幌町の
鈴木松男さんという方が
牧さくを回して
自衛隊が
鹿追演習場の
用地だと称するところはこの二十年間にわたって平穏に使用しております。こういうことを許されていいんですか。
-
-
○
丸谷金保君 二十数年前から問題のあるところ今までほっといておいて何の
問題解決やったのですか、あなた
たち。
問題解決のために何努めてきましたか。
-
-
○
丸谷金保君
自治省来ていますね。ここは
境界がはっきりしないから地籍が決まらないという答弁なんですがね、
自治省の方では
北海道庁を通じてこの件は
昭和三十七年ころに克明な
調査もやって、結局結論を出すに至らずにおりますね、いかがなんですか。
-
-
○
丸谷金保君 そうするとこれはあれですか、
北海道庁をここに呼ばないと
自治省としては答弁できないということですね。
-
○
説明員(
片山虎之助君) 先ほど申し上げましたように、
法律的には
知事の権限と申しますか、
所掌事務とこういうことになっておりまして、
自治省としては、決まった場合に告示するとかなんとかという後の
手続だけでございます。
-
-
○
説明員(
片山虎之助君) 必ずしも的確なお答えにならないかもしれませんけれども、法的にはそういうことでございます。
-
○
丸谷金保君 場合によっては今のような措置もとらしていただかざるを得ないと思います。
ただ、私が今
北海道庁で調べたところによりますと、
防衛庁、道としては
所有権がどちらにいくかということが決まっていないので、それが片づいたらそれに基づいて
境界を
両町に諮って決めると、こう言っているんです。ところが、今
自衛隊で
買収したという
土地は、その
鈴木松男さんという人が
戦前から
採草放牧地として使用していたところであって、戦後
農地解放で
士幌町の
農業委員会を通じてニツタベルトから
買収した
土地なんです。そしてそのことは
登記上も明らかになっているんです。地番も、それから
買収したときの
図面もあります。地番確定した
士幌町側の
図面はあるんです。それから
鹿追町側は、
登記簿上の
図面も何も全くないんです。これについては、これは
登記所が違うものですから、
自衛隊の方が
登記しておる
登記所というのは
帯広支局なんです、法務局の、
帯広支局の
登記官からは、「本月十一日ご依頼のありました「
鹿追町
字ウリマク一三七番六三」の
土地に関する
図面につきましては、当
支局が保管しております
図面を精査するも発見することができませんでした。
念のため、
鹿追町役場の方も間合わせてみましたが、
国土調査の
除外地域でありますため、
該当地を特定するに足る
図面は見当らないとのことでありました。」ないんだよね、全然。ないけれど、
自衛隊は
公簿上で買ったということで、ここまでがうちの
土地だと、こう言っているんです。しかし
現実にはその
土地は隣町の
鈴木松男さんという
農民が
農地法で
解放を受けて三十数年平穏に使用しているんです。ですから、
二つの問題があります。
買収を
自衛隊がするときになぜ
現状を
確認して、そこが隣町の
農民が
採草放牧地として使用していたところだということを
確認して
買収しなかったかという問題。それから二十九年に
登記したといいますけれども、
登記簿上の何らの
図面はない、いわゆる
現状確認はしていなかったということなんです。それが一点。
それからいずれにいたしましても、
農地法で取得して現に三十数年そのまま平穏に使用しておりましたら、境域が、
両町の
境界がどうあろうと、その
土地は現に使用している者が
所有権を主張できるんですよ、
農地法上。これらをそのまま実はほうっておいたんです。たまたま今問題になりましたのは、ここに最近くいが入りまして、それが
自衛隊が主張するような、やや東に寄ったところにくいが入ったんです。このくいの
違い一つで約百ヘクタールに近い
土地の誤差が出てきます。
公簿上だけで
現地の
調査も実測も何にもしないで買っておいて、西の方からはかってきたら足りないから、ここまでおれの
土地だという、それはちょっとおかしいですよ。しかもそこを使っている人がいる。私は
現場へ行ってきましたが、だれが入れたくいだかわからないから、その
鈴木さん、抜くこともできないと言っているんです。しかし、昔からの
事情がわかっている人がいなくなったら、もうこのくいだ
けが物を言うことになったら大変だと。
私がなぜ
現場へ行ったかというと、
昭和二十八、九年当時、
鹿追演習場を取得するときに、
士幌町も売ってくれという話があったんです。私はそのとき
士幌で
農民運動をやっておりました。一歩も
士幌町内には入れないぞということで
買収の
反対運動をして、
境界の川のところでせきとめたんです。ここからは一歩も入れないと。当時そこの場所に立って私はむしろ旗を立てて頑張った
地域だからわかるんです。行ってみたら、くいの打っているところは、そのときに
自衛隊が仮ぐいを打ったところとは違うんです。私は当時この
境界のそうした
買収問題のときの
反対の中心だったものですからよくわかっているんです。そして、その
鈴木さんはもう七十七、八になりまして、私が死んで息子の代、その次の代とだんだん遅くなれば、昔のことを知っている者はいなくなる。だから私の目の黒いうちに、ここは昔からうちが使っていたんだということを確証しておかないと困るんで、だんだん古い人も死んでいくから、
丸谷さん頼む、こういうことなんです。
行ってみて、それから
十勝支庁その他で
書類を見て、私は非常に憤慨しました。
昭和三十三年ころから問題で、三十七年のときには道庁も中へ入ってやったけれども、
解決つかない。
境界変更は両方の
所有権の問題を決めてからやりますと
書類にも残っているんです、それは。そうなってからでも二十年以上たっているんです。もしも
自衛隊がここは私の
土地だと言うなら、ここに二十数年牛を入れさせ、
牧さくを回し、
使用料も取らないで黙って貸しておくというのはどういうわけですか。そんなことできるんですか、買った
土地に。どうですか、
長官、できますか、それ。
-
-
○
丸谷金保君
昭和三十三年から今までほうっておいて、鋭意その
努力をしたなんということが言えますか。しかもちゃんと私はここへ行って写真も撮ってきたんだけれども、
牧さくも回してあるんですよ、このくいを打っておる
西側に。いいですか。こういうものを認めておきながら、そこが
自衛隊の
土地だということになりますか、三十年もほうっておいて。そのうちにみんな死んでしまえばということじゃないんですか。
長官ね、こういうところまだほかにもあるんですよ、
矢臼別にもあるんです。ひとつ
長官の
時代に、三十三年からほうってあった
用地の
問題解決するというようにひとつお
約束できませんか、一生懸命やると言っているんですから
事務当局は。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) ただいまのお尋ねの件につきまして、私も
施設庁長官を拝名いたしましてから
承知をいたしましたが、
昭和二十九年
保安隊時代の
土地買収に際しましては、先ほど
宇都施設部長から御
説明がございましたように、
鹿追町側の
説明によりまして
パンケチン川でございますか、ちょうどたまたまその上流のところで
二つに分かれまして、また先に行って
一つになっておる、この間の
土地が御
指摘の係争の
土地であろうかと存じます。そして、三十二年に今度は
士幌農業協同組合から
申し出がございまして、三十二年ではもう
防衛施設庁になっておったのでございますが、この問題を
承知をし、自来この
境界線の問題につきまして
関係市町村等とも鋭意
交渉をしてきておるわけでございます。
また、
放牧も認めておるではないか、あるいはいろいろ
耕作もさせておるではないかという点でございますが、
所有権の問題と、いわゆる
耕作権、
地上権の問題とはまた別の問題であろうかと存じます。円満に
解決をしたいということから平穏かつ公然に行われておる
地上権の行使については、
防衛庁側が黙認をしておったということは御
指摘のとおりでございますが、その目的は何とかこの問題を円満に
解決したいという考えからであったかと私推察をいたします。この長い間放置してきた問題を何とか早く
解決をする
約束をせよという
お話でございますが、私
施設庁長官といたしましてこの問題と真剣に取り組みまして、
関係省庁あるいは
中央官庁である
自治省とも
相談をして、鋭意私の代において
努力をいたすというお
約束を申し上げます。しかしながら、私の代に
解決が必ずできるというところまでお
約束をする
立場にございませんが、その
努力をいたしましてこの問題を真剣に取り上げるということを御答弁させていただきまして、何とぞ、長い間続いた問題でございまして、まことに申しわけございませんけれども、御理解を賜りたいと存じます。
-
○
丸谷金保君 鋭意
努力してきたなんて、そういう見え透いたうそを言わないことだ、何にも
努力してないじゃないか、今まで。これから鋭意
努力するというのならわかるよ。今までどこ鋭意
努力している。それから、
使用権と
所有権と違うと。しかし、
農地法によって
農地改革で
使用者に
農地は払い下げたんです。使用してない者から買ったってそれは無効なんだよ、そうでしょう。使用している者に払い下げた。よしんば
境界が
鹿追町の方だとしても
鈴木さんが
戦前から使用していた
採草放牧地は
鈴木さんに払い下げなければならないんだ、
鹿追として。ほかの人に払い下げたことは間違いで、これは取り消さなきゃならないんだよ、使用していれば。そうすると、
農地法によって
使用権者が
所有権者になるんです、既にもうなっているわけだ。このことはあなた
たちよく知っているもんだから
解決しなかっただけじゃないか。
それで、
参考までに
昭和三十二年の七月に調製した
北海道の五万分の地図があります。五万分ですから確実に正確とは言えないけれども、今言った
パンケチン川の
二つの川の流れでは
西側の方を
本流として
図面上では
両町とも、それからその前の
戦前から
境界の場合には必ずここで
括弧書きがついて
本流は
西側だというふうにみんな認めてきたところなんです。たまたまあなた
たちが間違って買ったものだからこういう問題になったんで、それでなきゃ
争いなかったんだよ。
参考までにこの五万分と、いいですか、よく当たってごらんなさい、今度は。それと
牧さくも回して平穏に使っているのと、それからだれが入れたか知らぬけれども、この間から聞いているけれども、
自衛隊としてまだだれがここへこんなくいを打ったんだかわからないということなんで、これはそれ以上聞きません。これらについてはひとつできるだけ早急に
解決するようにしていただきたい。そして、いろんなことをごまかして言っても、私は当時のここの
責任者なんだから、
現場に立てば私が一番よくわかっているんだよ。むしろ旗を私が立ててここから一歩も入れないと言った川は明らかに
西側の川なんです。そこへ私は立ったんだから、
昭和二十九年には。一歩も入らなかったですよ、あなた
たち。入らないものがどうして
調査できるね。我々が断固として日没まで頑張って
調査に来たって入れなかったんだから。入らないところに
調査できるわけないじゃないか。よく考えて、考えてというより、今言ったことできょうはやめておきますけれども、これから毎回やりますから、どこまで進んだというのを。三十何年もぶん投げておいてからに鋭意
努力してきたなんというようなことをぬけぬけと言わないようにしてくださいよ、これから。いいですか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) まさに
先生、三十年前に
現場にいらっしゃった、こういうことでございますので、私ども当時
——施設庁とさっき申し上げましたが、当時まだ
調達庁の
時代の話でございまして、三十二年そういうことがわかってから確かにこの問題が今日まで
解決せずにきたということは事実でございます。私が先ほど御答弁申し上げましたのは、昨年の七月
防衛施設庁長官を拝命いたしましたので、私の
在任期間中にこの問題を
解決すべく鋭意
努力を申し上げますということを御答弁申し上げました。
-
○
丸谷金保君 それだけ言っておけばいいんだよ。三十三年から
努力しているようなことを言うから、うそこけということになるんだよ。
それじゃ、次の問題に入ります。
この間の
日米合同演習、このときに農家の
主婦が砲弾の音に驚いて牛が暴走して
けがをした。これについては
自衛隊は細部をもっと詰めた上で事故の補償をすることになろう、こう言っているんです。この補償しましたか。これまた三十年投げられたら困るんで、やりましたか、どうです。それだけ言ってください。やってないならやってないでいいです。
-
○
政府委員(
宍倉宗夫君) まだその
主婦の方が入院をなすっておられますんで、全部片づいておりませんが、一部は既に
休業賠償をいたしてございます。
-
○
丸谷金保君 それじゃ、その問題は結構です。
次に、こういう
けがを起こす、これは百五十五ミリ
りゅう弾砲ですか、
矢臼別でどんどん何百発か撃ったというふうなことによって起こったんですが、その
日米合同演習についてお伺いいたしたいと思います。
私
たちの調べたところによりますと、これは
昭和五十九年十月二十一日から十一月三日まで、
米軍約四百人、それから武器は
牽引式百五十五ミリ
りゅう弾砲以下いろいろございますね。それで、これで
一つ問題なのは、このときの機材は船で運んでいるんですよね。それから、
米軍は飛行機で、C130Hという
輸送機で沖縄から飛んできているんです。これは
釧路空港を使っているんですね。間違いございませんね。
-
-
-
○
政府委員(
大高時男君) ただいま御
質問の点につきましては、私も
地理的関係が直ちに出てまいりませんけれども、
米軍との
日米共同訓練につきましては相当以前からいろんな角度から
検討をいたしまして、周辺の
飛行場、それからこれに参ります
人員、物資その他の
状況を十分綿密な打ち合わせでやっておりますので、今直ちにどういう
事情でということは具体的に申し上げられませんけれども、そういった
検討の末、今申し上げた
釧路を
人員の
着陸地というふうに選定したものというふうに理解いたします。
-
○
丸谷金保君 確かに
釧路の
空港の方が近いですよ。近いけれども、
人員だけでしょう、空輸したのはね。
帯広の
自衛隊の持っている
飛行場からだろうが
釧路の民間
飛行場からだろうが、時間にしたら二時間足らずです、演習地まで入るのに、どちらにしたって。わざわざ
釧路空港を——
防衛庁長官どうなんですか、こういうときに民間の
飛行場を使うのが訓練の一種だということであえて使ったものなんでしょうか。どうなんです。私は好ましくないと思うんですよ、
二つある場合に。できるだけ自前の
飛行場を使うためにあるんでしょう。どうなんですか。
-
○
政府委員(
大高時男君)
長官お答えの前に、教育訓練
局長でございますけれども、私の方から答弁さしていただきますが、この御
質問につきましては、あらかじめ御通知いただきますれば詳細に調べたわけでございますが、運んでまいります航空機の問題、あるいはまた出発地から到着地までの燃料の問題、その他いろいろな問題があるわけでございまして、こういった点を
検討の上
釧路を選んだものでございまして、今
先生御
指摘のように特に民間
空港であるからという理由で選んだものではないというふうに考えております。
-
○
丸谷金保君
質問通告ないと言うけれども、
日米合同演習について
質問通告しているんだよ。そうすれば当然経路、機材を何で運んだ、
人員がどれだけだ、こんなことおたくの方で調べておくのは当たり前の話でしょう。どういうんですか。
質問通告ないというのは取り消しなさい。
質問通告しているんだから、この問題について。
-
○
政府委員(
大高時男君) この
矢臼別の問題につきまして、共同訓練について御
質問があるということは予期をいたしておりましたが、
空港の問題についての御
質問まで私の方が実は考えておりませんで、そういった点では私の今の発言は取り消さしていただきます。
-
○
丸谷金保君 それから、全然勉強不足だからそういうことになるんだろうけれども、距離の
関係、燃費の
関係、いろんなことを言っているけれども、沖縄からはかれば
帯広の方が少し近いんだよ。だから燃費の
関係で
釧路へ飛んだなんということにはならないんだよ。燃料の
関係とかということにはならないんです。まあいいでしょう、それは。
ただ問題は、この時期あそこへ米兵を連れてきての
日米合同演習の持つ意味は何か。これは純軍事的なことよりも極めて政治的な意味を持ってくることは明らかなんで、この点については
防衛庁長官及び外務大臣に特にお伺いしたいと思います。
昨日、根室の市長、
御存じだと思います、電報いただきました。対ソ漁業危機突破について根室市民大会で三つの議決をしたからそれをぜひ実現するように頑張ってくれと。従来の実績、沿岸漁業の確保、安全操業、そして三つ目には政府は責任を持って北洋漁業の危機を打開するようにやってもらいたいと。しかし、こういう合同演習をやっていることと漁業
交渉が決裂したことには因果
関係全くないとは私は言えないと思うんです。外務大臣、どう思います。片一方でソ連を仮想敵国にして
北海道で
日米合同演習をやりながら、片一方で仲よくしましょうという漁業
交渉。明らかに私はこういうことに対する一連の、これだけでなくて一連の、たくさんまだあります、ほかにも。こうした合同演習その他、ソ連を仮想敵国にするところの
北海道に、あるいは北方海域における
日米合同演習がこういうところにあらわれてきていると思いませんか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 今漁業
交渉についてのソ連の真意まで立ち至って我々として判断はできないわけですが、しかし少なくとも漁業
交渉はこれまで実務的にずっと続けてまいりました。これは私も農林大臣をやってそうした経験があるんですが、いろいろと国際情勢が厳しくなり、あるいは緩和されるという
状況が続いたわけですが、そういう中にあっても、厳しい中にあっても漁業
交渉は実務的に行われてきたわけですし、今回のソ連側が提示した案は極めて厳しいものでありまして、我が国の主張と大きくかけ離れているということは非常に残念で、中断して帰ってきたわけですが、我々は何としてもさらに再
交渉して我々の主張も実現をしなきゃならぬ。
実は私もけさ根室の市長さんとか
釧路の市長さんにお目にかかったわけでありますが、このソ連のそうした提案の背景というのはやはり二百海里、新しい二百海里
時代を迎えた中でのソ連の
立場といいますか、海洋法の
立場というものを背景にした私は主張であろうと思うわけでございますが、しかしこれまでの実績というものもありますし、実務的なこれまでのソ連との
関係もあるわけですから、何とかこれ話し合いで円満にやっていきたい、こういうふうに思っております。
-
○
丸谷金保君 私がこれ極めて政治的な問題だと言うのは、元旦号の東
北海道新聞の中で、第五師団長が非常に数多い政治的な発言をしておるんです。例えば、ソ連の、北方四島に一個師団がいて、これの通常の師団では戦車が二百六十六両、それに対して五師団は戦車が四十六両だというふうなことから説き起こして、だからもっと北の守りをやらなきゃならないというふうなことを盛んに言っているんですが、これは事実をそのまま言ったんでしょうけれども、ただこういう新聞を読みますと、五師団だけで東
北海道を守るのかという錯覚が起きるんですよ。どうなんです、
防衛庁長官。第五師団の戦車の数とソ連の一個師団の戦車の数がこれだけだから、北方四島に一個師団展開しているとすればとてもじゃないけれどかなわないという言い方ですよね。こういう危機感をあおるようなことを
現地の師団長が言っているのは僕はけしからぬと思う。本当は師団長に会いたいと思ったんだけれど会えないんだ、何か
会議やっていて忙しいからというのて。ここで言うよりも真意を本人に確かめようと思ったんです。しかも、さらにその後へいってみると、「
米軍の軍備は弱まって来ており、米ソ間の軍事バランスが崩れ、全面対決という事態にならないためにも日本の防衛
努力が求められている。」と、こういう発言もしているんですよ。
米軍の軍備が弱まってきて米ソ間の軍事バランスが崩れるなんて、こういうことまで
現地の師団長が地元の新聞に言うというのはどういうことです。これは
防衛庁長官なり内閣総理大臣の言う話ならまだそれなりに、全体的なバランスならわかるけれど、
現場の師団長が地元の新聞にこういうことをずっといろいろ書いているんです。これは私は大変
地域の住民にいたずらに危機感を起こさせるものだと。いかがですか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 先ほどの日ソの問題で、それが漁業
交渉に影響を与えたんではないかということが御
質問ありましたけれども、その点もそうなんですけれども、私
たち特にどこの国を仮想敵国と想定いたして訓練をしたり日ごろの教練をしているわけではございません。先ほどの漁業
交渉の件も漁業
交渉そのもの自体の論理で今いろんなつまずきがあったり、また
交渉が再開されたり、いろんな経過があるのだろうと私
たちは思っております。
また第五師団長の発言でございますけれども、新聞等によるだけしか
承知いたしておりませんけれども、やはりいろんな装備をするにしても、私
たちの国の装備というのはいろんな意味の制約がございますから、数限られているところもあると。しかし、いずれにいたしても、国の守りをしっかりと担当するのは人間であると。そういう意味で訓練をしっかりさせたいというような気持ちで、訓練の重要性ということを強調する段階でいろいろ述べた部分はあるかと思いますけれども、私は第一線の部隊長がしっかりとした隊員の訓練をしている姿と理解していただきたいと思っております。
-
○
丸谷金保君 隊員の訓練ならいいんですよ。地方の新聞になんです。しかも、ここでは、「もしソ連が
北海道を自由に出来れば、米国と対等以上の戦略態勢を持つことになる。」と。これはアメリカの参謀本部が言うんならわかりますが、こういう表現です。
それから、どこの国も仮想敵にしていないと言うけれど、今回の一連の戦車のあれも千歳の近くでやっているんです。これらの一連の演習をすべての新聞が、「ソ連仮想敵に対戦車演習」というふうな見出しで取り上げているんです。「専守防衛の
防衛庁は仮想敵は作らない、というのが公式見解だが、
現実にはソ連を仮想敵視した訓練が行われ、ソ連を刺激し本道周辺での緊張を高めることにもなりかねない。」、これは
北海道新聞です。
それから、朝日も「ソ連戦車を迎え撃ったら…想定の演習」、こういうあれです。しかも御丁寧にこのときの戦車の演習では、「ソ連陸軍そのままの「対抗部隊(甲)」の機械化連隊が、上部の師団直属の戦車などで増強されている、という想定で」ということの中で、わざわざマークまてソ連のマークをつけて、そうしてやったというじゃないですか。それを新聞記者に全部観覧させ、それを全部大きく書かしているんてすよ。これで仮想敵国にしないというふうなことはあなたここでだけ言っていたって始まらないじゃないですか。新聞は読んでいると思いますよ、おたくもね。各社全部そうでしょう。しかも、わざわざソ連軍のマークまでつけた戦車を繰り出させて、二十分間で
自衛隊は全滅しちゃったと、突破されたんですから全滅だね、完全に防衛線突破されたと。すべてが昨年のそういう演習の政治的な背景というものは、新たに
帯広に対戦車ヘリ基地をつくるというところへ集約されてくるんですよ。
現地でのこういう訓練の仕方、どうなんです、仮想敵つくらないと言っていますけれども。これだけみんな新聞書いて、明らかにそうだと、それでも
長官は公式見解ということですか。
-
-
○
丸谷金保君 仮想敵をつくらないと
長官が言ったから、ぼくは新聞出したんだよ。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 私
たちは、特定の国を仮想敵と前提として物事を進めておりませんということは私
たちの基本的な方針でございます。
-
○
丸谷金保君 そうすると、
現場でこういう演習をすることは基本的な方針には反しないんですか。明らかに仮想敵というものを想定してすべての演習を、マークまでつけてソ連の戦車のような格好に仮装させてやったというんです、これ。
-
-
○
政府委員(
大高時男君) ただいま
先生御
指摘の訓練でございますが、昨年の十月一日から六日まで、
北海道の大演習場におきまして第七師団の第七一戦車連隊基幹の
人員約二千百、これに対しまして防御側部隊といたしまして第七師団の第二普通科連隊基幹の
人員約千二百名、これが訓練を行ったわけでございますけれども、この訓練は、普通科連隊基幹の部隊が機械化部隊の攻撃を受けまして、これをいかに防御するかという訓練を行ったものでございます。
この訓練の過程におきまして、
自衛隊の方では対抗部隊というのを設けまして、この対抗部隊もそれぞれ訓練の都度ばらばらにいろんな編成でございますとか、装備でございますとか、そういった形でやりますと訓練効率が上がりませんので、あらかじめ陸上幕僚監部におきまして演習対抗部隊甲というものを定めております。この編成に従った機械化部隊の演出を行ったものでございまして、これはいわゆる世界的に各国の装備の
状況を見まして標準的な機械化部隊を設想したものでございまして、特定の対象国、これを仮想したものではございません。
また、それぞれ例えば歩兵戦闘車でございますとか、あるいは戦車でございますとか、そういうものが当然登場するわけでございますが、これに特定の国のマークをつけるというようなことについては私どもは
承知いたしておりません。
また、
長官が御答弁いたしましたように、すべての訓練を通じまして特定の外国を仮想敵国にするようなことは一切しておりませんし、今回の訓練におきましても当然でございます。
-
○
丸谷金保君 まあ赤軍(せきぐん)と書いてある相手部隊を赤軍(あかぐん)と読めばそれは赤軍(せきぐん)じゃないんだということにこじつくかもしれませんよ。しかし、各紙が取り上げているように、あなた
たちが何と言おうと仮想敵ソ連という形での演習だということは
北海道民みんなわかっているわけよ。いろんな点でこれは大きな問題になっている。農家の
主婦が
けがしたり、それからまた爆発事故も起こっているでしょう。
そこで問題に入るんですが、第一次大戦のときに軍人が一千万死亡したのに対して民間が五十万。それから第二次で軍人が二千六百万に対して民間が二千四百万というふうに、第一次と第二次では飛躍的に一般市民の被害が多くなってきている。特に国内が戦場になった場合にその比率は非常に多くなる。日本は原爆というふうなことで特殊な
事情もありますけれども、こういう趨勢にあります。
そこで、
帯広に新たに設けられる対戦車ヘリ基地の問題について、市民が大変心配しているんです。対戦車ヘリ部隊が常置されるということになると、それは当然相手国からの攻撃対象になるだろう。何で町の真ん中にそういう基地をつくらなきゃならぬのか。例えば、先ほど申し上げました
然別演習場とか、人口密集地でないところにも
自衛隊はたくさん
土地持っているじゃないか。ヘリの基地は長い滑走路も要らないんですし、非常に心配と不信感を持っております。これにはいろいろほかにも理由があります。ありますけれど、今ここに積み上げました、六万の
帯広へり基地
反対の署名なんです。これは衆参分けて二十五日に私
たちはこの請願をいたします。六万という数は全国的な
反対運動その他から見れば少ないかもしれませんが、
帯広市民の有権者の過半数、これはもうこの中には自民党から共産党まで幅の広い
反対が一緒にされているんです。このことは既に
防衛庁も知っているはずなんですが、あえてこれをやらなきゃならぬというのはどういうわけなんだろうか。なぜ
帯広へ——どこへ持っていっていいというものでもありませんよ。しかし、
帯広に攻撃用の対戦車ヘリ基地というふうなものを設ければ、当然あれでしょう、今度はそれに対する防空施設その他必要になってまいりますわね、今までの偵察用のヘリなんかと違うんですから。対戦車ヘリ基地だけつくってあとは裸にしておくつもりなんですか、どうなんですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 御
質問の第一、対戦車ヘリコプター隊の配備の考え方をまず申し上げますが、これはもう
先生もよく御
承知のように、我が国の防衛に当たりましては、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、安保体制を堅持をしていくということで侵略の未然防止を図るというのが基本でございますし、また、万一侵略があった場合には、これを速やかに排除できるような体制の整備を図っていっておるわけでございます。このAHISの
帯広配備ということも基本的にはこういった防衛の考え方に沿いまして、
北海道におきます防衛体制を高め、それから抑止力を強化していくというために実施をしているものでございます。
ただいまの御
指摘の防空体制の問題でございますが、これは我が国に対する航空侵攻のおそれというものに対しましては、防空レーダー網でございますとか、あるいは要撃戦闘機あるいは地対空ミサイルなどを有機的に活用いたしまして、総合的な防空作戦を整えていくということが基本でございます。
御
承知のように、航空
自衛隊におきましては、千歳に二個飛行隊の戦闘機を配備をいたしておりますし、それからまた、ナイキ部隊も四個高射隊が
北海道に配備をされております。さらには陸上
自衛隊には八個高射中隊が、ホークでございますが、
北海道に配備をされているというようなこともございまして、全体としての防空体制の整備については今後ともさらに一層留意をしていきたいという考え方に立っているわけでございます。
-
○
丸谷金保君 各地に配備されている今の
自衛隊の基地のあり方にも問題があります。どうも人家の密集地が好きらしいので、一説によれば一朝有事の際には人口密集地にあった方が盾になる、こういう考え方もあるんでないかという話すら出ております。特に対戦車ヘリ、もしも仮想敵が上陸してくるときにそういう基地があってそれをたたかないで戦車が上陸してくるということは考えられませんよね。さあ撃ってくれといって出てくるはずがないのです、いいですか。そうするとそのとき、今のところ丸腰ですよね、あそこにそうした防衛の施設を全部やるとすれば逆にまたそれなりに
帯広市は要塞化してきます。市民のそうした演習時あるいは有事の際の避難体制、これは当然災害時緊急避難命令というのは市町村長が持っています。そうするとこれらのこういう大きな基地の変化について市当局との間には相当詰めた
相談がなされてしかるべきだと思うんですが、昨日現在
帯広市議会での市長の答弁では何らの話がありませんと言うのです。一体どういうことなんですか、これは。
-
○
政府委員(池田
久克君)
十勝飛行場に対戦車ヘリコプターを配備する件につきましては、昨年の四月に当方の
責任者と
帯広の市長との間で環境保全に関する協定書を締結いたしまして、今後とも住民の皆様が一番関心のある安全の保持とか、騒音をできるだけ軽減することとか、あるいはそれに伴って発生する問題に対して当庁としてどう対応するかという点について申し入れをいたしました。我々としては今後とも誠実にこの協定を遵守していくつもりであります。そうしてまた来年度の予算でヘリコプター隊の施設をつくることになっておりますので、これについても御
説明を申し上げまして今後とも御
協力をいただくように連携をとっているところてあります。
-
○
丸谷金保君 協定を結んだからそれでいいのだということに私はならないと思うのですが、大体その協定自体においてもこの協定は四条で従来の騒音より低くするということを入れていますね、協定書ありますでしょう。対戦車ヘリが入ってきて、それから航路を見ますと、これらのヘリがこの基地に入るための航路というのは二本も三本もとって、夜間はこっちだ、昼間はこっちだというふうな航路を見ましても、全部人家密集地の上を飛ばざるを得ないようになっていますね。従来よりも騒音がなくなるというのはどういうことなんですか、低くするなんという協定できますか。協定書をごらんになってください。だから心配ないって市長は言っているのですがね。
-
○
政府委員(池田
久克君) 御
承知のように我々の十勝の
飛行場、十勝の部隊でございまして、現在第五師団の飛行隊が展開しております。これは
帯広の
西側の郊外
地域にございまして、
先生よく御
承知のことと思います。我々としては現在でもこのヘリコプター隊の運用に当たりましては、飛行機の場周経路、いわゆる飛び方であります。これについては極力配意をいたしておりまして、特に夜間には住宅地の上を飛ばないということを自粛して守っております。今度のヘリ隊につきましても御
承知のように訓練は我々現在
矢臼別の演習場で実施したいと考えておりまして、特にヘリ隊がこの
地域で非常に急激な飛行をするとか、あるいは部隊が同時発進するとか、そういうことは考えていないのであります。したがいまして、こういう
状況から考えまして、現在とっておる運用のパターンを維持していくことによって御不満は軽減できるものと思います。しかし、それにしましても飛行機がふえてその分、音がふえることは間違いありませんので、先ほど申しました協定の趣旨に沿って今後とも市当局あるいは住民の皆様方と密接な連携を確保してまいりたいと存じておるところであります。
-
○
丸谷金保君 この協定ではいろいろな問題が起きたら周辺対策費といいますか、こういうふうなもので、騒音がふえてうるさいとなったら二重窓にするとか、そういうことにすれば足りるという考えですね、そうすると。協定の趣旨に沿ってということは。
-
○
政府委員(池田
久克君) 先ほどから申し上げましたように、我々としては安全対策を講じて騒音をできるだけ軽減して、そして住民の皆様に御迷惑かけないようにしていくというのがまず協定の第一の趣旨であります。
第二に、しかし、さはさりながら騒音問題が出たらどうするかというお尋ねと思いますけれども、これは当面
防衛施設庁が所管でありますが、我々としては極力その騒音の軽減のための施策を講じていく所存であります。
-
○
丸谷金保君 中曽根総理はしばしば防衛大綱に従って政策を進めると。「防衛ハンドブック」によりますと、「騒音対策等環境保全に配意し、周辺との調和に努めること。」とありますね。この協定はこれに基づいた協定というふうに理解していいんですか、根拠は。
-
○
政府委員(池田
久克君) この協定そのものは、かねがね
帯広市と我々との間でこういう問題について詰めが必要であるという協議をした長年の
努力の成果であります。今
先生の御
指摘の大綱の問題は
防衛庁全体の考え方てあります。
防衛庁はどちらかというと飛行機とか船とかばっかりつくっておるじゃないかという御
指摘があるやに聞いておりますけれども、そうじゃないんだと、あわせてそういう周辺対策とか基地対策の経費も持っていくんだということがその大綱の趣旨であります。今年度の予算も来年度の我々の提案しておる概算要求も、そういう趣旨で、そういう面に施策を打っているところであります。
-
○
丸谷金保君 この防衛大綱によりますと、これはまあ全国的な一般的なものですわね。
帯広だけは特別に協定したんですね、そうすると。ほかの都市にはない。私はこういうものに基づいてやるとすればこれはわかるんですよ。そうでなくて、別なものだとすれば
帯広だけ別に、特別にやるというのはどういうわけなんですか。ほかだってあるでしょう、たくさんそういう問題。そこは協定しないで。
-
○
政府委員(池田
久克君) 先ほど申し上げましたように、この七月の協定は長い間
帯広市との間での折衝の成果であります。しかし、同じようなことは他の
飛行場でも行われておりまして、ほとんどすべての
飛行場で行われると申し上げてよろしいと思います。今度秋田で救難隊を展開いたしますけれども、そこでも具体的なそういう両者の申し合わせを決めております。また、立川等でも同じような運営になっています。場所によっていろいろ
規定の仕方が違いますけれども、基本的にはそういう話し合いがなされておる。
帯広だけ特別ということではありません。
-
○
丸谷金保君 特に
帯広では前から騒音問題については、
飛行場の移転、民間
飛行場を移転させたら、やれ安心と思ったら
自衛隊入ってきたということで、みんなかんかんになっているんですが、郊外といったってもうあそこは郊外じゃないですよ。もう町の真ん中と言ってもいいくらいなところになってきているんです。あえて郊外という言い方はちょっと問題がありますけれども、ただ、ほかでもいろいろやっている、同じような、全文が同じでないとしても、それぞれそういうことをおやりになっているというのであれば、それはそれでわかるんですが、ただそこで問題なのは、どうして人家の密集地にそういう戦闘部隊を持ってこなきゃならないんだ。それから対戦車ヘリ、これは防御的なものだと言いますけれども、
矢臼別へ行って演習すれば北方四島はもう目の先でしょう。航続距離二百三十キロといいますからね。そうすると問題は、ああいう演習をたくさんやられたあの
地域の住民にしてみますと、非常に心配がたくさん出てくるんです。
外務大臣、明らかにしていただきたいことが
一つあるんですが、私は北方四島の法案のとき
反対しました。しかし、これは衆寡敵せず、一昨年通ったんですがね、振興法案。あの中で戸籍の扱いも、北方四島に本籍を持つことが許されることになったんです、戸籍の扱いが。そのことは明らかに北方四島と称されるものは日本の国土であり本土だという考え方ですわね。戸籍法でも認めたんです。そうしますと、あそこの戦車を攻撃に行く、
矢臼別を飛び立てば行けるんです、
矢臼別で演習すると言っていますからね。
矢臼別で上がったりおりたりするとすぐなんですよ。あそこを攻撃するやつは今の
自衛隊の法の中では許される国内の範囲に入りますわね。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 北方四島は、これは終戦の混乱の中で不法に占拠された日本の固有の領土であると思っております。したがって我々としては、ソ連との間で、重大な我が国とソ連との懸案事項としてこの北方四島の返還を求めて
交渉をしてきましたし、今後とも粘り強く貫いていくということでございます。ただしかし、日本の場合はあくまでも平和的にこの問題を
解決していくというのが北方領土返還に対する日本の基本姿勢でありますから、平和的な
交渉、平和
交渉によって
解決をする、この姿勢は日本の基本姿勢でありますから、これを超えてどうしようこうしようという考えはありません。
-
○
丸谷金保君
防衛庁長官に重ねてお伺いしますけれども、北方四島に
自衛隊を派兵することは海外派兵にはなりませんね。今の外務大臣の御答弁と関連してどうですか。
防衛庁長官、
長官だよ。それはあなた、こんな重大なことを
事務当局に話されたって困るよ。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 北方四島の帰属につきましては、戦後の混乱の中から今日のような
状況ができております。そこで、不法に占拠されているこの現在の
状況の中で、この問題を私
たちは
外務省を通じて平和的に
解決していただきたい、こう思っているわけでございまして、北方四島の問題等につきまして私
たち自衛隊が、
防衛庁がとやかく言う現在の
状況にはないと思っております。
-
○
丸谷金保君 とやかく言う
事情にはなっていないけれども、私は
質問しているんだよ。
北方四島に
自衛隊を派遣することは、
自衛隊の今の法からいって海外派兵にならないというふうに最高
責任者である
防衛庁長官が判断しているかどうかということです。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 御
指摘の海外派兵の問題と申しますのは、武力行使を目的として
自衛隊を海外に派遣するというようなことがその概念でございます。
他方、ただいまの北方四島の問題は、これは我が国の施政が及んでいない、しかし不法に占拠されているという実態があるわけでございます。基本的には我が国の領土でございますから、自衛権はあるわけでございますけれども、現在自衛権は行使をしていないというのが実態でございます。
このことはかねて国会でも御答弁を申し上げていることでございまして、しからばどういう場合に自衛権の行使をするのかということでございますが、それはその三原則に従ってやるということでございまして、現在政府といたしましては、北方四島につきましては外交問題といたしまして外交的に
解決をするべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
-
○
丸谷金保君 どうも
質問に答えてくれないので困るんですが、私の聞いているのは、戸籍法で北方四島に対して本籍地を認めるところまで踏み込んじゃったんです、ことし。私はこれは大変なことだと思うんですけれども。そうすると、もう当然
自衛隊の海外派兵というふうな問題には触れないから、これはときにおいて国内問題として、例えば国会その他に対するいろんなアクションを起こさなくても
自衛隊の判断で、国内の派兵で海外派兵でないという判断ができるんでないですかと聞いているんです。海外派兵ではないという判断ができるんでないですかと。できるかできないかで、ごたごた言っているけれども、結局何にも答えてないんです。これは
事務当局では答えられない問題です。そういうときの決断を下すのは
長官ですからね、そういうことになりませんかと聞いているんです。これによって次のまた
質問が変わってくるんです。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 現在、ごく一般の日本人でさえも今北方四島のところに行けるような
状況になってない中で、
自衛隊が行くとか行かないとか、それが
法律的にどう意味を持つかということは私
たち考えられるような
状況ではありません。私
たち自衛隊が北方四島に行くなんぞということは、決して現在の段階でそういう
状況ではありません。
法律的な意味につきましては
外務省の条約
局長にでもお聞きいただきたいと思います。
-
○
丸谷金保君
長官ね、私の聞いているのは事実
関係を聞いているんじゃないんです。戸籍法でまで本土としてあそこを認めて、あそこで戸籍つくっていられるんですよ、北方四島でね。そうすると、
自衛隊法の中で海外派兵という
規定には入らない
地域だという判断ができるんでないですかと聞いているんです。できない、それは事実行けないことぐらいわかっています、そんなこと。事実
関係聞いているんじゃない。法的にどうですかと聞いているので、すりかえないでもう一度ひとつ私の言っていることを素直に聞いていただいて、できると思うとかできないと思うとかお答え願いたい。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君)
先生おっしゃいましたように、法的にどう思うかという部分でございますので条約
局長からないし専門家がお答え申し上げます。
-
○
丸谷金保君 そういう最終的な判断をするのは
防衛庁長官でないんですか。条約
局長に
相談してからでなきゃ判断できない問題ですか、これ。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) その際には法的な問題をまず条約
局長にお聞きいただきたいと思います、ないし担当の
局長からお聞きいただきたいと思います。
-
○
丸谷金保君 これほど重要な法的な問題を、戸籍法を変えてもう何年もたつんです、
防衛庁長官が自分で判断できないんですか。ずばり言って、これは今の
自衛隊法からいったら海外派兵じゃないでしょう、国内ですもの、日本の国内法から言えば。条約
局長に聞くことじゃないじゃないですか。
それじゃ先へ進めます。
そこで外務大臣、私はこの北方四島の問題、返還とかいろいろ国際的にたくさんあります。しかし、今御論議聞いていてわかると思うんですが、海外派兵にならないんですよ。ということは、逆に言うと、あそこが返ってくれば沖縄と同じように日米安保によってアメリカがあそこに膨大な要塞をこしらえることもできるんです、海外でないんですからね、今の日本の
法律を変えなくても。それで返せ返せと言ったって、それは私は無理だと思うんです。
ここで外務大臣に、特に
地域が非常に心配している、北方四島が返ってきた場合の非武装化宣言、こういうことをまず日本側としてアクションを起こす、そういうことで政府の考え方をまとめていただく、何かそういうことがないと、今のいろんな全体の、これだけ対ソ、仮想敵国でないと言いながらもあれしている中で、漁業問題も含めて袋小路から抜けられないと思うんです。あそこは日本に返ってきても非武装地帯にするんだというふうなことが、やはり緊張緩和の、日本として今やれる大きな外交上の
一つの考え方になるんでないかと思うんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 残念なのは、今の日本の固有の領土である北方四島、ソ連が実質的に支配をして、不法占拠して、それにソ連自体が軍事基地を設けているということなんですね。鳩山内閣のときに、鳩山さんがフルシチョフと
交渉した中で継続になったわけですが、そのときの
状況からすれば、やはりソ連もそういう北方四島は軍事基地等にしないでおくのが、私は、ソ連として、日本との平和
関係といいますか、友好
関係を進める上において非常に正しい道ではないかと思うんですが、その点は残念至極なんです。
それはそれとして、日本はあくまでも平和的にこれは
解決したいという基本姿勢は貫いていかなきゃならぬ、そういう中で粘り強く
交渉をしてまいりたいと思います。なかなか今ソ連が乗ってくるような
状況ではありませんけれども、我々はあくまでもその目標を捨てないで、そして粘り強く
交渉をしていきたい、こういうふうに思っておりますし、我が国は平和国家として平和外交を進めていくし、そしてソ連との間でも北方四島を返還をしてもらって、そして日ソの平和条約を結んで、ソ連との間の真の友好
関係を樹立していくというのが日本の念願でございますから、こうした基本に従って我々はソ連と話し合いを続けていくというふうに考えております。
-
○
丸谷金保君 そう考えていただいて、そのためには、あそこは返してもらっても非武装地帯にして、軍事施設は我が方は一切つくりませんよくらいのことがないと話進まぬと思うんですので、これはひとつ考えておいていただきたい。一歩踏み込んでいく、北方の危機を回避するための
一つの私はあれになると思うんです。
それで、時間がございませんので、続けてやってしまいます。
これは二十五日に国会請願という形で衆参の議長に出そうと思っておりますが、これだけ集まってくる、まだ集まっているんですよ、街頭であれしていると、まだ二千、三千というふうに、二月、三月ずっと引き続いて運動やっています。これはやっぱり
帯広市民が——私は新聞社にどうして集まったと思うと聞かれたんで、無意識の恐怖だと言ったんです。これがあることを、
防衛庁長官、あそこへ基地をつくるということについて十分再考していただきたいし、市民をどう避難させるのか、要塞化しないで丸裸じゃ、こんなことは有事の場合には考えられないことですし、有事は別なところに移してしまうからあそこへ置かないんだというんなら、最初から別なところでも通地は幾らもありますよ。わざわざ
帯広市民が盾に使われるような場所に極めて重要な軍事基地の増設をすることだけは絶対再考していただきたいと思うんです。それが
一つ。
それからもう
一つですね。最後に、実は大韓航空機の撃墜事件、これにつきまして、国防白書の百二十九ページの中で囲いもので出てきたものですから私はおやっと思って読んだんです。これを読んでいて大変不思議に思ったし遺憾に思うのは、なぜこんな言いわけをしなきゃならぬのだろうか。下段から五段目に、「その性格上活動内容は公表しないことを原則とするが、」あるいは「極めて特殊異例の措置として、
防衛庁が収集した」「交信内容を公表した」と、こういうふうなことで一生懸命ここで弁解しているんです、この中で。この際だけ仕方がなかったと。私は暗号兵やったことがあるんだが、ぴんとすぐくるんですがね、ああ稚内のこの基地はこれで当分使えなくなったなと、こう思ったんです。あれだけの我が方がキャッチした内容をあそこで公表すればもうこれは当分使えないてしよう、使えなくなっているだろうと思いますよ、現に。だからこういう言いわけをしなきゃならない、囲いものでね、一生懸命弁解しなきゃならぬ。アメリカだってやっていたんだから、なぜアメリカのレーダーがつかんだあれを公表させないで、日本の
防衛庁が持っている基地の全貌が明らかになるようなああいう資料を日本側が出さなきゃならなかったのか。これは例えばこの中を見ますと、九月一日の午前三時半ころ、最初は強制着陸させられたというような報道が流れましたがね。それから官房
長官が発表するまてのこの間、アメリカとの間に何があったんだ、何を強制させられて日本はせっかくのそういう通信基地を丸裸にして当分使用ができないような、こんな言いわけをしなきゃならないようなことになったのか。そこら辺を明らかにしていただきたいと思います。
以上二点、引き続いてひとつ。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 第一点の
帯広への対戦車ヘリコプター隊の配備につきましては、一番最初に私が御
説明申し上げましたように、我が国全体としての防衛力を高め、抑止力を向上していくという見地からの施策の一環でございまして、その辺のところは十分地元にも御
説明をいたしたいと思っておりますし、御理解を得られるべくさらに
努力を重ねていくということにいたしたいと考えているわけでございます。
それから、第二点の大韓航空機事件のときの交信記録の問題でございますけれども、これはただいま御
指摘の白書にもございますように、こういった情報資料というものは基本的には公表をしないというのが各国の一般の例でございまして、それは国の安全保障に最も密接な関連があるからだと理解をいたしておるわけでございます。そういう意味で、原則的には公表をしないということがいいわけでございますが、あの大韓航空機の事件は、御
承知のように、無抵抗の民間航空機が撃墜されまして二百六十九名ものとうとい人命が失われたという異常な事件であったわけでございます。したがって、この真相の究明ということは、やはり国際的に見ても大変重要な問題であるという判断に立ちまして、事の異常性と重大性にかんがみまして、これは全く特殊、異例の措置としてこれを最終的には公表するところまで踏み切ったわけでございます。その間において外交当局におきましても、ソ連がその事実を認めるようにいろいろな働きかけをされたようでございますが、そういうことに至らずにじんぜん日を送ったわけでございますが、最終的には九月の七日の国連の安全保障理事会におきまして、日米共同でこの交信記録を公開するということに踏み切ったわけでございます。その後、九月の九日に至りまして、ソ連がこの撃墜の事実を認めるに至ったというのがおおよその経過でございます。
私どもといたしましては、このこと自体は、この事件の異常性、特殊性にかんがみましてやむを得ざるものであったというふうに判断をいたしております。それからまた、そういったことをした結果として、支障が起こっているのではないかというふうな御
指摘でございます。この点はこの情報活動の特性というものから、具体的にどういった問題があるかとか、あるいはどういうふうにその後
状況がなっておるかというふうなことを申し上げること自体、我が方の手のうちをさらすことにもなるわけでございますので、その辺のところはひとつどうかお許しをいただきたいと思うわけでございます。
いずれにいたしましても、情報のこの活動につきましては、私どもその後も十分にいろいろと配慮をいたしまして、国の安全のために支障のなきを期してやっておるということを御理解を賜りたいと思う次第でございます。
-
○梶原敬義君 最初に外務大臣並びに
外務省にお尋ねします。
おととしから去年にかけまして、レーガン大統領、コール西ドイツ首相、胡耀邦中国総書記、韓国の全斗煥大統領等々、各国の首脳、要人を御招待いたしましたが、これにかかわる我が国が負担しました国費の総合計ですね、各人ごとに、これはいいとか悪いとか言うつもりはありませんから、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
-
○
説明員(浅見真君) お答え申し上げます。
私どもが外国から国賓ないし公賓をお迎えするに当たりまして各種の予算を計上しておりますが、私ども
外務省のほかにも総理府でございますとかあるいは宮内庁、警察庁等がそれぞれ経費を負担しておりまして、私ども
外務省におきまして、全体でどの程度の経費を必要としているかということについては必ずしも十分把握してないんでおりますが、私ども
外務省がこの国賓あるいは公賓の接遇のために計上しております予算が年間でございますが、約二億七千万でございます。この予算をもちまして年間で十件、あるいは予算の余裕がございますれば……
-
○梶原敬義君 時間がありませんから、四名のことを今聞いたんですから、そのことについて答えてください。
-
○
説明員(浅見真君) はい。したがいまして、一件当たりの費用にいたしますと、
外務省が計上しております予算で申し上げますと、約二千万から三千万ということになります。
外務省予算で申し上げますと、西独のコール首相でございますけれども、これは約二千四百万でございます。それから米国のレーガン大統領が同じように約二千四百万、中国の胡耀邦総書記の場合には滞在日数が若干多うございまして約四千百万、それから韓国の大統領の場合にはこれ二泊三日でございましたが千九百万円でございます。
-
○梶原敬義君 聞いているのは
外務省だけで掌握している数字じゃなくて、特に警備当局が非常に全斗煥さんとかレーガン大統領、こういう人がおいでになったときはたくさんかかったと思うんですね。そういうトータルで大体、端数はいいですから、どのくらいかかったか、それを聞いておるんです。
-
○
説明員(浅見真君) 現時点では数字を把握しておりませんので、
関係省庁の
協力を得まして今後そういう全体の経費がどのくらいかかったか把握するように
努力したいと思います。
-
○梶原敬義君 ぜひお願いをいたします。ということは、それは招待するということは効果はいろいろあるでしょう。ただ、国費は一体どのくらいかかるのかというのをやっぱりどこかでつかんでおるはずなんですね。私はそれを内閣に聞きますと、いやそれは
外務省と、
外務省に聞きましたら、いやそれは警察庁に聞かなきゃわからないと言って、もうたらい回しなんですよね。ですから、この部分については一括して
外務省で、じゃ皆さんからの大体の数字でいいですから、集約して後日報告していただくということですね。
-
-
○梶原敬義君 次に、
外務省に重ねてお尋ねをいたします。
大韓航空機撃墜事件の問題でありますが、この日本人乗客二十八名の遺族に対する補償問題について尋ねたいと思います。
その前に、国会の決議も第百国会で決議をいたしましたが、六項目にわたりまして国会決議を衆参両院とも、内容はほぼ一緒ですが、やっております。その第一項にあります真相究明について「あらゆる方途により、事件の真相究明に努め、大韓航空機が領空侵犯をするに至った原因を含めて可及的速やかに全貌を明らかにすること。」、この国会決議に対して
外務省としてはどのような
努力をしたのか。どうもうやむやになっておって我々はわかりにくいんですが、具体的に報告をしていただきたいんです。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答え申し上げます。
私どもといたしましても大韓航空機事件の真相究明、これは非常に重要なことであると考えております。ただ、本件は非常に異常な事態でございまして、私どもといたしましてはやはりこの真相究明というものは国際的な、中立的な機関で行われるのが一番よいという考えから、まず事件勃発直後国連の安全保障理事会に提訴いたしまして、安全保障理事会で真相究明の
努力をいたしました。さらに、引き続きまして国際民間航空機関におきまして専門家を入れた国際
調査をするということを積極的に推進いたしまして、国際民間航空機関では
調査団を設けまして、我が国に参りましたときはそれに全面的な
協力をいたしました。
なお、国際民間航空機関の報告書は一昨年末作成されておりますが、この
調査をするに当たりましてソ連当局がほとんど
協力をいたしませんでした。まことに遺憾であると思っておりますが、国際民間航空機関の場におきまして、ソ連に対して
協力をするよう繰り返し呼びかけております。また、外務大臣が昨年の二月と九月グロムイコ外務大臣と会談されました際にもこの問題を取り上げまして、真相究明についてのソ連側の誠意ある対応を強く求められた次第でございます。
-
○梶原敬義君 政府の答弁は理解できないことはないんですが、結果として、もう国民の大多数は、結局もう時間がたってまあうやむや、やみの中に真相は葬り去られてしまっていると、こういう受けとめ方がもう大多数だと思うんです、この問題についてはですね。したがって、その点について
外務省の率直なお考えをお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(
山田中正君) 大韓航空機事件の
調査といたしまして真相を究明しなくてはならないのが、大きく分けて二点あると思います。第一点は、もうこれは明らかでございますが、ソ連もそして認めておるわけでございますが、ソ連がこれを民間航空機を撃墜したということでございます。その大韓航空機に対する要撃の過程において、通常の国際ルールを守らなかった疑いが非常に強いということは、ICAOの報告書でも多数で認められておりますので、この面については事態は相当はっきりいたしておると思います。
もう一点は大韓航空機が航路を逸脱した原因でございますが、ここにつきましては大韓航空機のブラックボックスが回収されておりません。また、乗員その他の方がすべて亡くなっておりまして、証言がとれないということもございますし、ソ連側からの資料の提供がないために、推測の域を出ないというのが
現状でございます。
-
○梶原敬義君 今お答えになりました一、二の点につきましては、これは大体わかるんですよね。第三番目に、航路を逸脱したということに対する真相が、これが結局まあ我々もわからないし、国民も一番結局わからないんですね。だから、これはもうブラックボックスがもうないと、みんな死んだということで、これはもうこのままだということですか。
-
○
政府委員(
山田中正君) ICAOが
調査いたしました段階において、我が国、韓国、米国等がいろいろ
協力いたしております。そうして、
状況証拠でございますが、ある程度のことがわかっております。ただ、先ほどから申し上げましたように、本件をより的確に究明するためには、やはりソ連側からの資料というものが国際機関に提供されないと、断定的なことはなかなか結論が出し得ないと思います。ただ、現在の持っております資料でICAOが推定いたしましたこと、これはまあ中立的な国際機関が推定いたしましたことでございますので、相当の信頼度を置いていいと思いますが、航法のミス、入力のミス、この
二つが相当蓋然性の高いものということで、結論が出されておるわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、ソ連側が暫定報告しか出しておりません。最終報告などを出してまいりますと、またこれを再
検討する必要が生ずるかと思います。
-
○梶原敬義君 航路のその逸脱については、今の答弁ではソ連の資料がないからわからないということですね、結論は今の答弁は。そうとっていいんですか。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答え申し上げます。
現在、国際機関が所持いたしております資料だけでは断定的に結論が出せないということでございます。ソ連の公平な資料が出てまいりましたら、それで真相がすべて解明できるかというと、これはやはりその資料が提供されてみないとわからないわけでございますが、ソ連が資料を提供いたしますれば真相解明に大いに役立つことであろうと、このように考えます。
-
○梶原敬義君 ちょっとわかりにくいんですが、航路の逸脱した原因についてソ連が資料を出せばある程度わかるんじゃないかと言われる、出してみなければわからぬけれども、出してみればわかるんじゃないかと。ソ連がどういうような資料を出せばいいんですか。ソ連が飛行機乗ったんじゃないわけですね。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答えを申し上げます。
国際民間航空機関で大韓航空機の航路逸脱の面についての真相究明に当たりまして、いろいろ判断の基準にいたしましたのは、先ほど来申し上げておりますように、アメリカ、日本、韓国等の種々の航空管制に関する通信等をもとにいたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ソ連は大韓航空機を要撃して撃墜いたしておるわけでございますから、ソ連側にも大韓航空機の方向についての直接のレーダーなりいろんなデータがあるはずでございます。そういうデータが出てまいりますと真相究明についてより一層究明が進むと、このように考えておる次第でございます。
-
○梶原敬義君 飛行機を運航しておったのは大韓航空機ですね。そしてインプットミスがあるかどうかとか、あるいはそういうことについてまで、そんなことまでソ連が資料を持っているはずはないわけですね。もしソ連のレーダーで、どういうところをどう飛んでいるかというのはあったかもしれないけれども、真の原因というのは、ソ連がある程度資料出したからわかるというようなものでもないんじゃないですか、この点は。
-
○
政府委員(
山田中正君)
先生の御
指摘の点につきましては、やはりソ連が生のデータを出してこない限り、どういう結果になるかということを予断申し上げるわけにいかないと思います。ただ、米国、韓国、日本等が航空管制等での通信で
承知いたしております限り、乗組員との間の通信において乗組員が航路を逸脱しておることを知っておる
状況が全くないわけでございますが、これがやはり逸脱をした原因の究明の
一つのかぎになると思いますが、その点についてソ連が何らかの新しい情報を持っておるのか、もし持っておらないとすれば、現在の民間航空機関が行いました
調査の一応の結論というものの蓋然性が高まってくるんであろうと、このように考えます。
-
○梶原敬義君 幾ら聞いてもなかなかこれはわかりません。ICAOの報告が根拠になっているような
お話ですが、昨年の十二月十四日の
北海道新聞、ちょっと今持っておりますが、「ICAO報告は根拠薄弱」、航空委員会が結論を撤回、「人為ミス説は白紙に」、こういうことになっておりまして、今ICAOの報告、
一つの唯一の根拠のような
お話でありますが、これもまた信用ならないと思うんですが、要するにもう多くを申し上げませんが、これは国会決議が衆参両院であっている問題でありまして、外務大臣も答えておりますが、これは真相究明については可及的速やかにやると、こういうことです。しかし、もう日がたって、一般国民、我々は、これは真相は、一体なぜあっちの方に飛んだのかというようなことについてはもうやみからやみに葬って、これはそのままになるんだろうと、こういう非常に心配があると思うんです。外務大臣、この点については国会決議とも
関係がありますから、もう少しあなたのこれまで取り組んできた決意と、これから真相究明に対してもうちょっと国民に明らかにすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) この大韓航空機撃墜事件の真相究明につきましては、事件が発生をしまして以来ソ連側に対しまして真相究明を求めてきておりまして、昨年二月と九月の二度にわたりましてグロムイコ外務大臣と会談した際にも私よりこの問題を取り上げましたが、グロムイコ外相は、当該大韓航空機が米国のスパイ機であるという従来の
立場を繰り返しておられまして、ソ連側が誠意のある対応を示していないのは遺憾と言わざるを得ないわけであります。
一方、またICAOとの
関係では、今、
政府委員も
説明したわけでございますが、大韓航空機事件を審議するため、一昨年九月に開催されたICAO理事会特別会合におきまして、我が国は対ソ非難、事件の真相究明及び再発防止を強く訴え、事件の事実
調査をICAO事務
局長に指示する決議の採択のために
努力をいたしました。この決議に基づきまして、
調査のため一昨年十月、来日したICAO事務局
調査団に対し、技術的な事項の
説明、資料提供等積極的に
協力した次第です。ICAO
調査団は、我が国ほか米国及び韓国において
調査を行いまして、一昨年十二月、
調査報告書が提出されたのは御
承知のとおりでございます。昨年の三月、さらにICAO理事会におきまして
調査報告書の審議が行われ、ソ連のICAOの
調査等への非
協力を遺憾とする旨の決議が採択をされたわけてあります。
なお、ソ連はICAO
調査に対して暫定報告書を提出しましたが、その後何ら報告を提出していないというのが今日の実態でございます。
いろいろと
努力は続けておりますが、真相が今に至るまでもはっきりしないという点については我々も残念に思っておりますが、しかしICAO等を中心にいたしまして
努力をしなきゃならぬし、また、日本政府としましても、ソ連政府との間でこの問題についても引き続いてソ連の側のこの真相発表を求めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
-
○梶原敬義君 もうちょっと歯切れのいい
お話を聞けるかと思ったんですが、ソ連のことを随分
お話がありましたが、アメリカに対しては一体どういうように迫ったのかね。極東
米軍のレーダーが大韓航空機があれだけ航路をそれたということをちゃんと握っておったというのが専門家の、知らないはずはないだろうというのが大体の考え方ですよね。よくそう言われております。こういう点について大臣はどう考えるんですか、常識的に考えて。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはなかなか常識的ということは非常に判断が難しいわけでありますが、少なくとも日本は日本として、詳細に
調査した資料というのは、御
承知のように、ICAOにもこれは提供しておりますし、また、アメリカもICAOの
調査には積極的に
協力しておると聞いておりますから、ICAOの
調査というのはそういう意味では比較的公平にそういう面の事実
関係を見ながら進められておる。ただ、もう
一つの撃墜した側のソ連の資料というのがどの程度まで出ておるのか、その点について十分私も
承知しておりませんが、ソ連と私との
交渉の範囲内ではどうもソ連は事実
調査等についても
協力してないというのが実態じゃないか。その辺が非常に残念に思います。
-
○梶原敬義君 外務大臣、要望しますが、やはりこの問題の真相究明は国会決議をしておりますから、ICAO、ICAOと言わなくて、
外務省もやはりアメリカとソ連に対してもう少し正々堂々と、これは真相を知っているのは両方でしょう、ここに対してもう少し本気になって真相究明のやっぱり
努力をすべきだと思うんです。これは要望です。
それから、ということになりますと、あれだけ、もう専門家から言わせますと、普通の状態ではあれだけ航路がそれるということは考えられぬと、こう言っているんですね。これは大韓航空機の私は過失責任というのはあると見ているんですね。大体、断定はされなくても結構ですが、そういう方向で、そう考えていいんですね。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これこそまさに真相が明らかにならない限りは断定もできないわけでありますが、日本としましてもあれだけの日本人の犠牲者も出たわけですから何も手をつかねて見ておったわけじゃありませんで、当時から今日に至るまで全力を挙げて真相の究明には日本なりに政府としても
努力をしたことははっきりと申し上げたいと思います。
なお、韓国に対しましても日本は既に誠意を持って、例えば犠牲者に対する大韓航空、韓国の航空会社の対応を韓国政府に対しても誠意を持って対応するように強く要請をして今日に至っておりますし、また韓国につきましても、韓国からの事実の究明を韓国自体としても積極的に行っていただきたいということも韓国に要請をしてきておるのが今日の段階であります。
-
○梶原敬義君 聞きましたのは、私は後で韓国政府に対する問題は
質問する予定でしたが、過失責任ですね、もうあれだけ航路が、専門家に言わしてみると常識で考えられない、あれだけ航路がやっぱり何回もチェックできるようになっているにもかかわらず、やはりあれだけ航路をどんどんそれていったということは大韓航空機に過失責任があるだろうと、こう判断をしているんです。ですから、そういう方向でひとつ、あるとかないとかなかなか言いにくいでしょうが、まあひとつ常識的に考えてそういう方向だろうと、こういうことで理解していいんですね。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように断定的な結論ではございませんが、国際民間航空機関は大韓航空機の航路逸脱について
二つの蓋然性の高い仮説を立てております。そのいずれにつきましても乗員のミスでございまして、そのいずれかであったとすれば乗務員全員のかなりの程度の不用心、不注意を前提とすると、しかし国際民間航空においては考えられない程度のものではないというのが国際民間航空機関の判断でございます。
ただ、先ほど私申し上げましたように、航路の逸脱がございました場合に国際民間航空の枠組みと申しますのは、そのような航空機をいかに安全に目的地に到達させるかということでございまして、今回の事件の場合はソ連がこれを要撃
手続を尽くさないで撃墜した可能性が非常に高いわけでございますので、直接的な責任はソ連にあると、このように考えます。
-
○梶原敬義君 その話になりますとちょっと困るんですが、国会決議によりますと、第四項は「犠牲者の補償については、ソ連政府並びに大韓航空に対し十分な措置を講ずるよう求める」、こうなっているんですよ。今の答弁によりますと、ソ連に責任があるというならソ連で結構なんですよ。ソ連に、二十八名の我が国の被災者の遺族に対する損害賠償の責任をやってもらえばいいわけですよ。私は、大韓航空機がどんどんそれていった、ここは大韓航空機側にも大きな責任があるんじゃないかと、こう言っているんですよ。
前なら前でどちらかはっきりしてください。一体国会決議、どう思っているんですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これやはり国会決議は我々、私も国
会議員の一人でありますし、政府としてももちろん
立場においてもこれは尊重しなきゃならぬことは当然のことであります。その国会決議に基づきまして、政府としましても全力を挙げて政府なりに真相の追求に
努力をしております。
なお、そうした中でICAOという国際的に権威のある機関が今
局長が申しましたように、断定的な結論を下しているわけではないけれど、大韓航空機のルート逸脱の原因として考えられる仮説として、乗務員の操作ミスに触れておることはこれは事実でありまして、政府として国際的に高い権威を有する本件
調査報告、
調査結果は客観的かつ重みのあるものとして受けとめらるべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
なお、ソ連に対して、直接的な撃ち落とした
責任者としてのソ連に対して賠償要求している、要求して今日に至っておることもこれもそのとおりでございます。ただ、ソ連がこれを受けようとしないと、こういう
状況であります。
-
○梶原敬義君 外務大臣と
局長の答弁の内容少しニュアンスが、大分違うんですけれどもね。結局、私がさっき聞いたのは大韓航空機がどんどん航路をそれていったのは、やはり大韓航空機側に何回も、やはり操縦ミスを、航路を変えるようなチェック機関があったにもかかわらず、これICAOでもある程度
指摘をしておりますが、これをやっぱりやらなかったということに対しては韓国、大韓航空機に過失責任があるのかどうなのか、この点をじゃ答えてください。
局長で結構です。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答え申し上げます。
先生御
指摘のように、ルート逸脱の原因につきましては、先ほども答弁させていただきましたように、もし国際民間航空機関の仮説どおりのものであるとすれば、やはり乗員全体に非常に大きなミスがあったということであろうと思います。ただ、私先ほど申しましたのは、ソ連との
関係でソ連が直接的な責任であると、したがって、ソ連政府に対しては賠償要求しておるということでございますが、一方大韓航空側にもこのようなミスがある可能性が非常に高いわけでございますので、この点につきましても外務大臣から韓国外務
長官に対しては、たびたび大韓航空側が日本の遺族の方々に対して誠意ある対応をするようにという
お話をしておられるわけでございます。
-
○梶原敬義君 聞いているのは大韓航空機に過失責任が私はあるだろうということで、何回もさっきから言っているんですが、それに対する政府の物の考え方はあるとかないとか、断定はできないだろうがやっぱりそういう方向だというような考え方は出ないのですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは今までも
局長からも答弁したとおりでありまして、私からも答弁しましたように、そうした航路を逸脱したということはこれは事実でありますし、それに関連して今権威のあるICAOで断定的な結論を下しているわけではないけれど、大韓航空機のルートの逸脱の原因として考えられる仮説として、乗務員の操作ミスに触れていることは事実でありますから、これは断定しているわけではないですが、そういう仮説として乗務員のミス、操作ミスというものに触れておる。これはやっぱり我々としては重く見なきゃならぬということを申し上げているわけであります。
ただ、民事的なやはり法的な責任云々というものについては、これは例えば裁判所等でこれは結論が下されるべきものじゃないかと、こういうふうに思っております。
政府として言い得るところは、今ぎりぎり私が申し上げたところであろうと、こういうふうに思います。
-
○梶原敬義君 ソ連に対する賠償請求ですね、これは具体的に私はどういうことをどうしているかというのがわからないんですが、どういうような内容なんですか。
-
○
政府委員(小和田恒君) ソ連に対して日本政府が要求をいたしましたのは、第一が公式の陳謝でございます。それから第二番目は、不法行為の再発を防止するための措置をとれという要求でございます。第三点として、この今度の事件の結果として、我が国の国民の生命、財産が損害をこうむったということに関してソ連政府に対する賠償の要求でございます。
一言、先ほど大臣が答弁されましたことに関連して補足させていただきたいと思いますが、本来民事上の、全く司法上の賠償責任の問題と、それから国際法上ソ連の行った不法行為に対する日本国としての、国としての損害賠償の請求というものは一応性格的には別なものでございまして、前者については、大臣の答弁がございましたように裁判所において決める、そのときに大韓航空の責任というものがどの程度立証されるのか、どの程度の関連があるのかということが問題になるであろうと思います。しかし、国と国との請求、国際法上の請求に関しましては、ソ連が直接的にこれを撃ち落としたということによる国際法上の不法行為責任というものは免れ得ないものであるというふうに政府は考えておりますので、先ほど申し上げたような要求を出したということでございます。
-
○梶原敬義君 ソ連に対しても大韓航空機側に対してもしっかり、国会決議がありますから、やってもらいたいと思うんです。どうも今までのやり方、もうこれは遺族の会や何かに任せきりで、政府はこんな難しい問題はどうにもならないということで、私は逃げ回っているしかないと思っておるんですよ。そうでなければ、いやそうじゃないと、どうするということも後で言っていただきたいんですが、二十八名の犠牲者に対して、犠牲者、まあ随分時間がたったんですが、今日、今どのようになっているか、
現状を簡単に
説明をしてください。
それから次に、大韓航空機問題で韓国政府に対して、具体的に遺族の補償問題、これに対して今まさに誠意のないような
状況でありますね。だから、これに対して政府は韓国政府に対してどのように強く要求をしているのか、これが第二番目。
第三番目は、この遺族二十八名の補償問題、これは東京地裁とアメリカの連邦裁判所ですか、二カ所で訴訟を起こしておりますが、これはこれで、政府としては国会決議もあるし、どのように
解決に向かって
努力をするのか、その三点についてお伺いをいたします。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) まず私から答弁いたしますが、これだけの国際的に大きな反響を起こしたこの事件でありますし、そういうような渦中に日本もあったし、日本人の犠牲者も出たわけですから、何も政府がこれを逃げ回っているわけても何でもないので、全力を挙げてこの問題には取り組んできたわけです。例えばソ連との間でも私は恐らく三回、ソ連外相とも談判をいたしました。さらにまた、外交ルートでもソ連に対して何回かソ連の責任を追及し、さらにまた真相の究明を求め、さらに賠償を要求をし続けて今日に至っておることも事実でありますし、あるいはまた韓国との
関係におきましても、私自身も韓国の外務大臣と会いまして、こうした痛ましい事故、そういう中で日本人がこれだけ多くの犠牲者が出ておるわけであるし、どうかひとつ韓国政府としても、この大韓航空株式会社に対して、この遺族の補償等について十分ひとつ配慮をするように、政府としてひとつ影響力を行使してもらいたいということを強く申し入れて今日にきておるわけでありますが、残念ながらこの点については政府自身も、韓国政府自身も
努力はされたと私は思いますけれど、遺族の皆さんが納得する結論に達しないということで裁判ということになったことはまことに残念でございますけれど、しかし我々として、政府としまして力を尽くしてきていることは事実であります。
-
○梶原敬義君 先ほど
山田局長の答弁にもちょっとあったんですが、ソ連に責任があるということに随分力点が置かれたんですが、既に韓国人の乗客については二千四百万円ぐらいで何割か、大多数が示談で片づいておるような話も聞いております。だが、やっぱり韓国、大韓航空機に責任が、これは無過失責任の限度額でありますが、我々としては大韓航空機に過失責任というものの根拠がやっぱりあるとすれば、これは二千四百万やそこらでおさまるものではないわけでありまして、この点についてはやっぱりもう少ししっかり真相究明をしてもらって、早く撃ち落とされた皆さんの遺族にこたえるためにも、政府はもっと
努力をしていただきたいと思います。
これもちょっとはっきりわからないんですが、ちょっと先ほど調べていただいたんですが、大韓航空機は約四億ドルの、イギリスのロイズという保険機構ですか、これに入って、既に保険金を受け取ったやに聞いておるんですが、間違いないですか。
-
○
説明員(谷田正躬君) お答え申し上げます。
大韓航空会社が韓国の保険会社との間で、機体あるいは予備品、乗客、手荷物、貨物等に対しまして支払い限度額四億ドルの保険契約を結んでいたことは
承知いたしております。しかし、実際に保険金が支払われたかどうかということにつきましては、ちょっと私どもは
承知いたしておりません。
-
○梶原敬義君 今
外務省の方で
調査していただいたメモによりますと、支払われたかどうかというのは、はっきりつかんでおりませんか。
-
○
説明員(谷田正躬君) 契約があったということは
承知いたしておりますが、支払われたかどうかということについては
確認いたしておりません。
-
○梶原敬義君 どうも支払われたということを私は聞いておるんですがね。これはすぐ
調査してくれますか。
-
○
説明員(谷田正躬君) はい、できるだけいたします。
-
○梶原敬義君 四億ドルといいますと大変な金額になりますが、日本円にして大体今の相場で幾らになるのですか。
-
-
○梶原敬義君 それじゃ、もし受け取っておれば、あなた、大韓航空機は焼け太りじゃないですか。どうなんですか、この点については。政府もやっぱり遺族の身になって、国会決議もあるんですから、もう少し韓国政府に対しても、四十億ドルの借款をぽんと持っていったり、簡単にああいうことをやりますがね、強く出るところはちゃんと国会決議もあるんだから強く出て、今遺族が一生懸命苦しい裁判をやろうとしている。
解決しないから、しようとしてしているんですよ。好きでやっているんじゃないでしょう。この点について、もう少しなぜ真剣にもっとならぬのですか。どうなんですか。
-
○
説明員(谷田正躬君) 大韓航空とそれから遺族側との間で、事件が発生いたしました後、何回か損害賠償請求の額につきまして、話し合いが実際に行われたわけでございます。しかしながら、両者の提示額と申しますか、遺族方の請求された額と大韓航空側が提示した額との差が非常に間隔が大きく分かれてございまして、結局何度かの話し合いの結果、その
解決ということにいかなくて、遺族側の方で裁判に踏み切ったということで
現状はなっておる次第でございます。
その話し合いの間、政府といたしましても、先ほどお答えいたしましたように、いろいろと韓国政府あるいは大韓航空の方にも円満かつ迅速な
解決ということを我々としても働きかけたわけでございますけれども、この損害賠償の問題は、何といいましてもやはり民事上の当事者間の問題でございますので、政府としても直接介入する
立場にございませんということで、
現状に相なっておるわけでございます。
-
○梶原敬義君 どうも聞いていることは、そういうことを言っているんじゃないんですよ、いいですか。一千億ですか、保険にも入っている。そして幾ら補償を余計もらったって、亡くなった人は返ってくるわけじゃないんですからね。しかし二千四百万やそこらで
解決できるはずはないでしょう、常識的に、今日本の場合。そういうような今の常識というのは皆さんちゃんとわかっているんだから。やはり
解決するために苦しい裁判やっているんだから、裁判やらなくたって政府も入って話し合いしようじゃないかとなぜもう一歩二歩踏み出さないんですか。時間がありませんから外務大臣の決意を伺って、次に移ります。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 政府としまして、また私としましても韓国政府に対しまして、私自身も韓国の外務大臣ともこの問題についてやはり韓国側は誠意を、特に大韓航空会社が誠意を示すべきだと。韓国で補償で始末ができたとしても、日本ではその金額では始末ができない、処理できない。これは日本で日本航空の事故等で明らかじゃないかということで、十分日本側の
立場も踏まえてひとつ配慮してほしい、それは韓国政府から会社の方に強く言ってほしいということを何回も私は言いまして、韓国側としても
努力するということで、それなりの私は
努力はしたとは思いますけれども、大韓航空の側で、どうも遺族の皆さんが納得されるような金額の提示が行われなかった。何回か
交渉が行われたように聞いておりますし、そういう段階でも私
たちも
努力したわけですが、最終的に全く遺族にとりましては不満の一語に尽きるということで、ついに裁判に踏み切られたということであります。裁判ということになれば裁判所の判断に従う以外にない。その場合のやっぱり資料として、先ほどから申し上げましたいろいろな日本の集めた資料あるいはICAOの資料というものが大きな、裁判のこれからの判断の基礎になっていくであろう、こういうふうに私は思っております。
-
○梶原敬義君 もう多く申し上げませんが、要するにやってください。
それから、ICAOの航空委員会の議事録が運輸省にあるはずなんです。これは
外務省の方でひとつ議事録、ちょっと見てみたいんですが、いただきたいんです。いいですね。
-
○
政府委員(
山田中正君) 航空委員会の議事録でございますか。
-
○梶原敬義君 はい。
-
-
○梶原敬義君 ちょっと時間がなくなりましたので、
防衛庁長官にお尋ねをいたします。
加藤長官が大臣に就任をされた後ぐらいだったと思うんですが、防衛費一%問題については何とか守っていくようなニュアンスの
お話が新聞で報道をされました。ところが、本年の一月の十八日の千歳での新聞発表、そして一月十八日の米国のアーミテージ国防次官補との会談の後の報道、それから一月二十二日の日本記者クラブでの講演の報道、報道でこれ、間接にしかわからないんですが、GNP一%枠の問題についてはやっぱりこれは見直す時期が来ているようなニュアンスの
お話をしたのが報道されておるんです。
もう
一つは、防衛計画の大綱見直しについてはする必要はない、これは平和研の報告に対して毅然とした姿勢をとられております。
この点について、日本のGNPというのはアメリカに次いで世界で第二番目で、大変大きな金額であります。それで私はちょっと試算をしてみたんですが、我が国の向こう十年間の経済成長率を大体六%から八%ぐらいに見てはじいてみましたら、六%の場合が大体十年後には我が国のGNPは一・七九倍になるんですね、これは複利みたいな形でずうっといきますから、対前年比で。八%の場合には二・一六倍になるんです。一九八〇年代経済社会の展望と指針のこれによりますと、名目六、七%の経済成長、このときの消費者物価三%、こういう数字が出ております。
それで私は、一%枠は仮に堅持をしても、これは十年後の我が国の防衛費というのは大変大きな金額になるわけですよ。だから、
加藤長官はタカ派かハト派かわからなくなったんですが、就任当時の基本的な考えに立ってやっぱり一%枠は堅持をすると、こういう姿勢をぜひ貫いていただきたいと思うんです。
ちなみに見ますと、これからGNP六%成長した場合の十年後のGNP一・七九倍に対応する防衛費というのは、約五兆五千億ぐらいになるはずなんです。これはあらまし計算したんです。それから、八%のときには六兆七千億ですね。一〇%になりますと八兆を超すんです。大変な防衛費、金額になってくるわけなんですよ、どんどん膨らんでいきますから。だから、もう新しい防衛費の一%枠をどうこうと言わぬで、これでひとつ、そういう方向になってるんですから、きちっとしていただきたいと思うんです。
もう時間がありませんから、もし決意が聞かれるならその決意を聞いて終わりたいと思います。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) GNP一%問題につきまして、私の発言が種々報道されているのは私も存じております。ただ、いろいろそのときどきで発言が変わっているのではないかという御
指摘でございますが、確かにアーミテージさんとお会いした後の記者発表につきましては、
防衛庁側に若干の混乱がありましたものですから少し訂正を申しました。それは、その五九中業の作業とGNP一%の問題というのは、今つなげて論じられるような
状況にはないわけなんですけれども、そういう議論があったかのごとく発表の方で混乱がありましたので、その点については訂正したことは事実でございますけれども、それ以外は私としては一貫して申し上げているつもりでございます。
そのGNP一%の問題につきましては報道されておりますので、ここで時間もないことですから私の現在の
立場を繰り返すことはいたしませんけれども、問題は防衛費の議論、防衛
関係費の議論、日本の防衛がどうあるべきかというそういう議論の際に、私
たちは従来は、少なくとも
昭和五十一年以来は防衛計画の大綱というものを
一つの議論のたたき台として御議論願ってきたというふうに私は理解いたしております。その前は二次防とか三次防とか四次防とかがありまして、五年間に幾らかということで五年間総額を国会で御審議いただいてきたわけですけれども、その過程の中に
一つは
昭和五十一年には石油ショックやなんかで五年先の見通しが立たないということも
一つでございましたし、もう
一つは、国会の中で当時大変な御議論があったのは、もう毎年、毎五年ごとこうやって防衛費をだんだん支出していくけれども行き先はどこなんだろう、どこが歯どめなんだろうと、毎年ベースの話ではなくて日本の防衛体制というのはどの程度でどうあるべきか、またどういうことが可能であろうかという議論が本当に真剣にされまして、防衛計画大綱というものが
防衛庁の中から
一つのたたき台として提出され、それが今日まで議論の、防衛力の内容の実質的な討議の中核にされている、こう思っております。私
たちはそれをしっかりと今のところ守っていきたいと思っておりますし、まだその水準まで達成していないものですから何とか早くその水準を達成していきたい、またそれを定めた当時の国際社会の枠組みも基本的な部分では変わっていないんではないだろうかな、そんなふうに思っておりますので、その大綱についても、またそういった形で守っていきたいし、国会の中でもそれをめぐって御議論いただければと、こんなふうに思っている次第でございます。
-
○
委員長(
佐藤三吾君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
午後零時二十三分休憩
─────・─────
午後一時二十一分開会
-
-
○服部信吾君 まず初めにお伺いしたいことは、本年初頭におきましてレーガン大統領と中曽根総理、日米首脳会談が行われたわけであります。レーガン大統領も昨年圧倒的勝利を得て再選され、中曽根総理も再選、こういうことで会談が行われたわけでありますけれども、最初にその目的とその成果について外務大臣にお伺いいたします。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 御
承知のような中でレーガン大統領が再選を果たされましたし、また中曽根総理も総裁として再選をした。こういうことで、やはり日米
関係、大事でありますから、お互いに久しぶりに会って首脳間の信頼
関係を深めたい、こういうことが基本的に前提としてあるわけでございますが、当面の課題としては正月早々シュルツ国務
長官とグロムイコ・ソ連外務大臣との間で米ソ会談が始まり、それを契機として米ソ間の核軍縮
交渉が進む可能性が出てきた、そういう
状況を踏まえてこれからの世界の平和と軍縮に向かってアメリカがどういう姿勢をとっていくのか、あるいはまたこれに対して日本が、アメリカが行うところの米ソ首脳会談に対して日本なりの
意見も言わなければならないわけでありますし、同時にまた世界のいろいろな
地域におけるところの問題も起こっております。特にアジアにおきましては朝鮮半島をめぐりまして南北対話が進んでおる、あるいはまた中ソの実務的な
関係の改善も行われておる、そうしたアジア問題等につきましてもアメリカとの間で話し合う必要もあるし、さらに二国間の問題としましては、いわゆる日米の経済貿易問題、アメリカの選挙中は日本の
努力もありまして一応日本との間の貿易問題はいわば棚上げされたような形になっておったわけでありますが、しかし今日の時点では日米間に貿易のインバランスが非常に目立ち始めてきた、そしてそれがどんどん拡大をする、こういう
状況にありまして、またアメリカの議会やその他各方面においてこの問題が
指摘されるようになったし、あるいはまた日本との間に残っておる貿易の懸案の問題についてもアメリカからも注文が出ておるわけであります。こうした問題をどういうふうにして日米間で
解決していくか。日本から言わせれば、アメリカにおける高金利の問題とかあるいはまたドル高の問題がありますし、あるいはまたアメリカにおける保護主義のいろいろの立法であるとか措置等が行われておるわけでありますから、やっぱりそうした保護主義というものを防圧をしなければならない。そうしてニューラウンドをともに相携えて実現をしていかなければならない。そうした二国間の問題、国際経済に対する問題、そういうものを踏まえて相互の首脳間でフランクに話し合いをして、そうして一番大事な二国間の
関係であります日米間の基本的な信頼
関係をさらに高めていこうという目的で行われたわけてありますが、わずかな時間でございまして、私も参加をいたしまして、私とシュルツ国務
長官の間でも今申し上げましたような問題点を基本にして率直な話し合いをしたわけでございますが、最終的にはいろいろな面で実りが多かったんじゃないか、こういうふうに考えております。
首脳間の信頼
関係もさらに高まり日米間のいろいろな問題点もはっきりしてきて、そうしてそれが
解決への道も、これから取り組んでいくそうした道筋もできてきたように思うわけであります。
-
○服部信吾君 その中で、国民が大変注目しているのは、レーガン大統領からいわゆるSDI、戦略防衛構想についての
お話があった、このように言われていますけれども、この辺については外務大臣のお考えは。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは、レーガン大統領から直接中曽根総理に対しましてSDIについての
説明がありました。これは宇宙のいわゆる戦略構想といいますか、レーガン大統領に言わせるとこの構想はまさに研究段階であって、実現するには相当先の長い話であるけれど、自分としてはこの研究に非常に熱意を持っておって、この構想が実行段階に入ればいわゆる核兵器というものが無力化してくる、核の絶滅にこれはつながっていくものである、さらにまたこの構想はあくまでも防衛的なものであるし、さらにまた非核である、そういう点で自分はあくまでも核絶滅というものを念願としている、そういう意味においての研究というものは世界の平和に大きく貢献できると思うという趣旨の
説明が大統領からあったわけであります。
-
○服部信吾君 今その様子はわかりました。
そこで、まず
防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、このSDIについて特に防衛的であるということでありますけれども、主務大臣としてこのSDIについてはどのようにお考えですか、特に防衛的という面においては。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) SDIにつきましては私
たちもまだ十分情報がございませんで、今外務大臣がおっしゃいましたように、アメリカの大統領が我が方におっしゃったこと、それから最近それぞれのアメリカの文書で発表されたものというものしか余り存じておりません。したがって、これを防衛面からどういうような評価をするか、技術的にどういう評価をするか、そういうようなことについてまだ私
たち防衛当局として明確にコメントできるような情報を十分持ち合わせていないというのが正確なところだと思います。
-
○服部信吾君 そこで、SDI、戦略防衛構想、いろいろ本を読ましていただいたり、また
お話を聞いたりいろいろあるわけですけれども、どうもいろんな本を読んでみましたり、また
お話聞くとSDI、戦略防衛構想と、それからスターウオーズとありますね。
外務省の皆さんから聞くとSDIとスターウオーズとは全く違うんだと、こういうふうになってるんですけれども、この辺SDIとスターウオーズとの違いですね。大体アメリカの科学者なんかのあれを読んでも、SDI即スターウオーズ、こういうふうにとらえられているんですけれども、何か日本の
外務省だけこのSDIとスターウオーズとは違うんだと。できればBMD、いわゆる弾道ミサイル防衛、この辺の違いがわかれば明らかにしていただきたい。
-
○
政府委員(栗山尚一君) いわゆるSDIと呼ばれておるものは、
先生御
承知のように弾道ミサイルを迎撃するための兵器体系のいわば総称、そういう兵器体系を研究する構想の総称として名づけられておるものであるというふうに理解しております。それで、スターウオーズという名前は、アメリカのジャーナリズムにおきまして、御
承知のような映画があったこともありましてそういうレーガン大統領の提唱しておるストラティジック・ディフェンス・イニシアチブ、すなわち戦略防衛構想というものに対するいわゆる俗称としてジャーナリズムが名づけたものであると、こういうふうに理解しておりますので、実態的にはSDIと言ってもスターウオーズと言っても、それは構想としては同じ内容のものを指しておるというふうに御理解いただいてよろしいと思います。
-
○服部信吾君 要するに
一つのSDIという構想がある、戦略防衛構想と。その中にはASATというやつですね、対衛星攻撃兵器というやつ、これは入るんですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) ASATというのは、私どもの理解によりますると対衛星攻撃兵器の問題でございまして、ただいま御
説明いたしましたストラティジック・ディフェンス・イニシアチブ、すなわち戦略防衛構想というものは、相手側が発射をいたしました弾道ミサイルを途中で迎撃をして、これを破壊する。そのための兵器体系、種々の探知、追跡、それから実際に弾道ミサイルを破壊する兵器、そういう各種の兵器体系を全部総称してそういうものを研究するという構想でございまして、他方におきましてASATと名づけられております対衛星攻撃兵器、これとは全く別個のものでございます。
-
○服部信吾君 これはまた後でちょっとお伺いしたいんですけれども、恐らくアメリカが考えるSDI、戦略防衛構想の中にはASATも入っているんじゃないかという、いろいろあれを聞いてみますとそういう気がします。これは後でちょっとお伺いいたしますけれども。
そこで、当然レーガン大統領と中曽根総理が会って今後の日米
関係について話し合う、そういうことだと思います。その中で当然このSDI、これについてのアメリカ側からの話があるということは、これはもう当然わかっていたと思うんですけれども、特にその中でこのSDIについていろいろ新聞等の報道によりますと大分ニュアンスが変わっているわけですけれども、日米会談に臨むに当たっての当初の
外務省としてのSDIに対する態度というのは、どういう態度であったのか。例えばレーガン大統領からそういう要請をされたときに理解をするとか、あるいは支持をするとか、いろんなあれがあるようですけれども、その辺の当初
外務省として用意されたお考えというのはどういうことであったのですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 首脳会談に当たりまして話題になり得る諸種の問題につきまして
外務省の
事務当局としていろいろ準備をいたしまして、これを総理及び外務大臣にごらんをいただきまして、お諮りをしたということはございますが、その中でいわゆるSDI問題につきましても、当然その内容等につきまして総理、外務大臣に御
説明申し上げたところでございます。
レーガン大統領から話がありました場合にどういうふうに対応するかということにつきまして、あらかじめどういうことであったかということを詳細に申し上げるのは必ずしも適当ではないというふうに存じますが、
現実の首脳会談におきましては、先ほど外務大臣から御
説明申し上げましたとおりに、レーガン大統領の
説明に対して、日本としては、これは理解をする、今後研究が進み、あるいはソ連との
交渉が進展するに応じて、節目ごとに十分な情報の提供等協議をしてほしい。こういうことで総理、外務大臣が応答された次第でございます。
-
○服部信吾君 何か最初はそういうふうに言われたときには、レーガン大統領からそういう要請があったときには、暗黙の了解と、理解も支持もしないという話があったけれども、これはやっぱりそれじゃまずいというので理解に変えた、支持から理解になった、こういうようなあれがあるわけですけれども、その点はどうなんですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはサッチャー首相がアメリカへ行かれまして、レーガン大統領と会われたときに、サッチャー首相は、このSDIを支持すると言ったことは御
承知のとおりであります。その後を受けて日米首脳会談が行われたわけですから、私もこのSDIというのは必ず議題というか話題に出てくると。まあその際に日本の
立場といいますか、態度を求められるか、あるいはまた表明をするか、そういうことになるんであろうし、またそういうふうにマスコミ等も非常に注目しておるであろうと。これは十分予測をして行ったわけであります。事前にいろいろと
相談もいたしまして最終的な日本の態度としてSDI、その研究については理解をいたします、こういうことで統一した総理大臣の答え、こういうことになったわけであります。
-
○服部信吾君 大臣の方から今図らずもそういう
お話があったんですけれども、その理解した内容についても、当初は何か研究開発、この点について、SDIの研究開発については理解をすると。しかし、後になって、これはどうも開発まではまずいのじゃないか。そういうことで研究だけにしたのだ、こういうようなことも言われているわけでありますけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは随分聞いてみますと、これはSDIは先の長い話でありまして、これから随分研究が続くわけで、それから研究が続いた後で実験とか開発とか、そういうことになっていくわけでしょうから長い話なんですが、そういう中で日本としてはそうしたレーガン大統領の言う、これは非核である、あくまでもこれは防御兵器である。そして、これが核絶滅に通ずる世界の平和のための戦略防衛構想である、こういう
説明を受けまして、それはそれなら研究につきまして、我々は理解をいたしますと。しかし今後研究が進んで、いろいろの段階になる
状況に当たってはまた日本に対しても十分ひとつ情報その他もいただかなければなりません、こういうことを言ったわけでありまして、ですから、あくまでもこれは、これから続いていく研究については、レーガン大統領のそうした世界平和、核絶滅に対する熱意、そういうものを踏まえての研究については我々は理解する、こういうことを言っておるわけであります。
-
○服部信吾君 その理解した理由として大体五つぐらい挙げられていますね。その第一に、自由世界の安全のため、これが
一つ、第二に、包括軍縮の一環として、これが第二、それから第三に、核軍縮につながるものとして、第四に、防衛的兵器として、それから第五に非核兵器であると理解している。SDIがこの五項目を達成する、そういうことで理解を示した、こういうことでよろしいわけですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これ政府のスポークスマンの発表でありますし、我々としてもそういう基本的な
立場で理解を示した、こういうことであります。
-
○服部信吾君 その中で総理が、そういう五つの理解を示す中においても、しかし、よくわからない面もあるので情報を提供し、協議していただきたい、国内的には憲法上や国是との関連もあり、どう対処するか
検討したい、こういうふうに述べられているわけでありますけれども、このよくわからない面についてはということですね、これは研究の中身や将来の方向についてよくわからないのか。このよくわからないというのはよくわからないのですけれども、この辺についてちょっと総理の心境というか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは総理もわかりませんし、私もわからないのですが、レーガン大統領の
説明だけで戦略防衛構想の中身というのが全部わかるわけじゃありませんし、レーガン大統領が政治家として、アメリカのもちろん最高
責任者として
説明されたわけですけれども、今言われたような考え方が非常な概略のまた概略を、そしてその兵器が、構想というのがあくまでもディフェンスだと、これはやはり非核であるとか、そういう要点だけを極めて簡単に
説明されたものですから、これが果たしてどういう科学的なものなのか、ビームというかレーザーというか、どういうことなのか、そこまであるいは宇宙との関連どうなのか、そういうことまで実に具体的にわかっているわけじゃないんで、ただレーガン大統領のいわゆるそういう戦略防衛構想の
説明、そしてその世界平和に対する情熱といいますか、核絶滅に対する意欲といいますか、そういうものを踏まえての研究ということでありますから、我々はその研究については理解はいたしますと。しかし、わからぬ点もあるから、これからもいろいろと情報は知らしていただきたい、
相談をしていただきたいということは言われたわけでありまして、これは当然のことじゃないか、恐らくこの構想が総理もわかったと言えるものじゃないだろうと思いますし、私もレーガン大統領の
説明、シュルツさんの
説明だけでは十分わかったと言えるものではない、こういうふうに思うわけであります。ただ、その考え方ですね、それについては我々は理解したということであります。
-
○服部信吾君 なぜこういうことを聞いていますかというと、やっぱりこういう問題は最初が大事だと思うんですね。当然、この構想もやはり五年間の構想ですから、五年間たってこの研究をどうするかということはこれはアメリカが判断する。そのときにはレーガンさんいないですね、恐らくね。ですから、要するにまだこの研究段階どうするかという面において、余り簡単に理解していいのかなというのもやはり国民のある程度疑問があるところじゃないのかと。そういうことで後になっていやあのとき理解したと。ところが、今回簡単によくわからないけれども、要するにこの構想に対して、この計画については理解したんだ、こう言っていますけれども、アメリカの新聞なんか要するに研究開発すべて理解したとか全然違ったフルアンダースタンディングとかいろいろこう言われているわけですよね。ですから、そういう面から言ってその問題をここではっきりしておかないと、これは後々言った言わないとか、こういう解釈の違いだとか、こういうことでいつも大きな問題になるのでこういうことを聞いているわけであります。
そこで、理解したその理由として五つ大体挙げられているわけでありますけれども、特にその中で、SDIは特に一番あれは防衛的兵器だ、こういうことについて理解をしているわけですけれども、この辺本当にこのSDIが防衛的兵器なんでしょうかね、その点わかりやすく御
説明していただきたいと思います。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 防御的兵器というのは、レーガン大統領の
説明その他アメリカ政府が最近公にしております文書等によりますると、あくまでも相手の撃った弾道ミサイルをその目標到達までの段階において捕捉をしてそれを破壊する、こういう目的を持った兵器体系を想定をして研究をしよう、こういうことでありますので、そういう意味においてあくまでも防御的な兵器である、こういうのがアメリカの政府の
説明でございます。防御的というのはそういう意味において防御的である、こういうことだろうと思います。
-
○服部信吾君 まあ防御的と言いますけれども、だから、いろいろアメリカの科学者等の言うことも読んでみますと、例えばソ連、要するにICBM、弾道弾を撃った、そのときに三段階でとらえていくんだ、こういうことを言っていますわね。それをレーザーでとらえるかあるいはビームでとらえるか、やっぱり一番効果的なのは第一段階のブースト段階、この辺でとらえるのが一番いいだろう、こういうこともあるわけですね。そうなったときに、もう当然ここには軍事衛星とかいろんな偵察衛星というのがいっぱい飛んでいるわけですからね。じゃ、一番効果的にやるならば、これはやっぱりサイロをあげた瞬間に撃ち込むのが一番いいんじゃないかという、これはやはり防衛的でありまた攻撃的にもなるわけでありますけれども、そういうことはどうですか、これ。
-
○
政府委員(栗山尚一君) この種の兵器体系が
現実に開発をされて配備をされた場合に、それが全体の東西間の戦略的バランスというものにどのような影響を与えて、これは専門家の戦略議論の一端を御紹介するわけでございますけれども、そういう武器体系というものを開発配備すれば、それはむしろ逆にそういう武器体系を持っている方の第一撃能力を高める意味合いも持ち得るのであるというようなことを専門家が議論しておりますが、私が先ほど申し上げました防御的というのは、あくまでもそういう全体の戦略に及ぼす将来の意味合いというものは一応おきまして、そういう兵器の目的そのものは、相手が攻撃をしかけてくる、そのミサイルを途中で撃破する、そういう意味であくまでも防御的な意味合いを持つ兵器体系である、そういうのがアメリカ政府の
説明である、こういうことを申し上げておる次第でございます。
-
○服部信吾君 じゃ、その理解した理由の中に核軍縮とありますけれども、その核軍縮についての御
意見をお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(栗山尚一君) アメリカ側の
説明は、あくまでもそういう兵器体系をもし有効に開発することができるとすれば、それはひいては当然のことながらそういうものが非常に効果的であるということが前提になりますが、そういうことになれば、核ミサイル、弾道ミサイルによる攻撃を行おうといたしましても、そういう攻撃が今申し上げましたような防御的な兵器によって途中で破壊をされるということによって、先ほど大臣が申し上げましたようにレーガン大統領の言葉をもってすれば核兵器というものが無力化されるということになりますので、そういう観点からアメリカが目指しておりますところの核兵器の大幅な削減というものに非常に貢献し得る可能性がある、そういう意味で核軍縮というものにこのSDIが貢献し得る可能性が少なくとも将来の問題としてはある、こういう考え方であろうと思います。
-
○服部信吾君 核軍縮についてもそれはいろいろ考え方はあると思います。今までの戦いが地上だとすると、これから宇宙で戦いが始まる、宇宙戦略、こういうことですから、これはソ連としても極端な話がアメリカがSDIを用意しておる、その場合に当然攻撃するときには、まずSDIを攻撃してから、そうしてその後に弾道弾を撃ち込むというのがこれはもう常識的な判断であると思うんです。と同時に、このSDI構想というのはとにかく金がかかる。非常に金がかかるけれども、どのぐらいかかるかといったっていろいろ調べてもなかなかはっきりしたあれも出てこない、そういう兵器ですね。ですから、例えばSDIが、これだけの要するに防衛構想をつくったら、じゃ相手はもっと安い——ICBMの方がもっと安いんですから、中にはにせのICBMをつくる。またいろんなこういう構想を発表しただけで、既にもうソ連としては五年以内にこのSDI対抗の新型弾道弾をつくる、こうなると軍縮なんというよりも
反対に私は要するに軍拡になっていく、こういうふうに思います。
その中で、また
一つのあれとしては、自由主義を守るということで、当然これは日本などを防衛する、
西側また日本を守る、こういうふうになると思いますけれども、いずれにしても、日本に応分の、こういう
約束をした以上、米国が巨額な財政赤字を現在抱えているわけですから、今後こういうような負担を求めてくることも十分に考えられるわけですね。そのときに理解した、理解しないとか、いやそれは研究だけだったとか、いや開発じゃない、こういう話になるわけです。そういうことで、この辺の、例えば日本のあたりで、これはこれから先の話でしょうけれども、こういう話が持ち上がったときにはどのように対応するんですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) ただいまの御
質問は、将来の段階において日本に対してそういう研究のための技術について
協力の要請があった場合に、どういうふうに対応するのかという御
質問だろうというふうに理解いたしましたけれども、まさに
先生御
質問の中で言われましたように、本件非常に息の長い話でございますし、今の段階でどういう技術がどういうふうにアメリカとして必要であるか、あるいはどういう面においてほかの第三国の
協力というものをアメリカ自身が必要とするかというようなことについては、これはもう全く雲をつかむような話でございまして、今の段階でどういうことに将来なるか、ヨーロッパあるいは日本のようなほかの先進技術を持っております国との
協力というものがどういうふうになり得るのかということについては、現在の段階で全く仮定の議論しかできない問題でございますので、そういう現段階におきまして、将来日本がどういうふうに対応するかというようなことを申し上げられる
状況にはないというふうに考えます。
-
○服部信吾君 宇宙戦争、宇宙の核拡大の防止等についてはいろいろ国連でも議論がされているわけですけれども、第三十八回国連総会で、宇宙空間における軍備競争の防止、こういう決議が出されていますけれども、この決議案の内容をちょっと簡単に
説明してもらいたいと思います。
-
○
政府委員(
山田中正君) お答え申し上げます。
先生御
指摘の一昨年の総会決議でございますが、主文が十項目から成っておりますが、主なものだけ申し上げますと、まず第一に、宇宙空間が平和目的のためにのみ使用され、また、軍備競争の場とならないことは、効果的国際管理下の全面完全軍縮によって保証されることを再
確認する。
第二点といたしまして、すべての国、特に宇宙活動の大きな能力を有する国に対し、宇宙の平和的使用の目的に積極的に貢献するよう、及び宇宙における軍備競争を防止するための措置を早急にとるよう要請する。
第三点といたしまして、ジュネーブの軍縮
会議に対しまして、本件に関するあらゆる提案を考慮し、あらゆる側面の宇宙における軍備競争防止に関する問題を一層
検討するよう要請する。
第四点といたしまして、同じくジュネーブの軍縮
会議に対しまして、宇宙における軍備競争を防止するための協定の締結についての
交渉を行うために、一九八四年の会期の初めに作業部会を設置するよう要請する。
大体主な点は以上でございます。
-
○服部信吾君 この決議案に我が国は賛成しているわけですね。アメリカは
反対しておる。そうしてイギリスなんかはこれは棄権をしておる。こういう態度でありますけれども、日本の国が賛成した理由はどういうことですか。
-
○
政府委員(
山田中正君) 宇宙空間はやはり人類に残された最後のフロンティアであると思います。そして我が国といたしましては、宇宙空間はやはり専ら平和的目的のために利用されるような枠組みが、国際的な枠組みができることが望ましい。そういう大きな基本的な考えからこの決議に賛成いたしたものでございます。
-
○服部信吾君 外務大臣、今の要するに日本の国が採択した理由というのは今言われたとおりだと思うんですね。かえってアメリカとか英国が筋が通っている、アメリカははっきりこのあれに
反対しているわけですから。
反対しているんですから、今回のSDI構想云々出したって、これはそんなに筋の通らないもんじゃない。また、英国にしてもこれは要するに棄権をしておる。そういう面から言って完全に賛成はしていない。これが八四年にちょっと変わっているようですけれども、そうなりますと我が国が宇宙の平和利用について賛成したということになりますと、SDI構想について大臣は防衛的だということはありますけれども、これは世界的に言って通らないんじゃないですか、これ。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 米国のいわゆるこのSDIは弾道ミサイルに対する非核の防御的手段を講ずることによりまして弾道ミサイルを無力化し、ひいては核兵器の究極的廃絶を目指すものである、こういうふうに
承知しております。
また、SDIは二十一世紀をも見越した極めて長期的な構想でありますし、現在はまだ研究、それも初歩的な研究の段階にある、こういうふうに思います。政府は、したがって、SDIがこのような目的を有するものであることにかんがみまして、米国がSDIの研究を進めることについて理解を示したものですから、したがって、今御
指摘の国連の決議に対して我が国が賛成した、賛成投票を投じたということとは何ら矛盾をするものではない、こういうふうに考えています。
-
○服部信吾君 まだ研究段階でSDIが本当に防衛的なものかどうかということ自体もはっきりしていないでしょう、これ。それはレーガンさんがそれだけ言っているんですから。技術的にこれができるかどうかということもはっきりしてないんじゃないですか。だから、私これは理解するのはいい、ある面からね。だけれども、これは五カ年の計画でしょう、ですから、その時点でアメリカがこれは判断するわけですよ。そのときには恐らくレーガンさんいるかいないかわからない、先ほどから言っておりますようにね。こっちの総理もかわっているかもしれません。しかし、未来に向かって、こういうことでありますけれども、まずアメリカの中で本当にこのSDI問題について要するに合意ができているのか。また、
西側の一員、一員と言いますけれども、じゃ
西側の一員である欧州においてどういうふうなあれになっているのか、この辺についてちょっとお伺いしておきます。
-
○
政府委員(栗山尚一君) レーガン大統領の戦略防衛構想につきましては、アメリカの国内におきましていろいろいわゆる核戦略等の専門家あるいは評論家、マスコミの中で種々議論があるところでございます。それからまた、もちろんヨーロッパにおきましてもこういうものがアメリカの核の傘と申しますか、安全保障のコミットメントにどういう影響を及ぼすかという観点からの議論もございますし、それから英仏のような核兵器保有国はまた、それなりの
立場からこのSDIに対して、国の中で、民間の専門家その他の中でいろいろ議論があるということでございます。これはもちろんひとえに、先ほどから大臣が累次申し上げておりますとおりに、この構想がまだ何と申し上げましても研究、しかも初期の研究の段階にありまして、将来この研究の結果がどういうふうな実際の可能性を持ったものになっていくかということについては不明な点が非常に多い。そういうことからいろいろ議論が、アメリカの国内におきましても、またヨーロッパにおきましてもあるところであろうというふうに理解されます。
-
○服部信吾君 だからこのSDI構想について、これは研究だということでありますけれども、これを本当に防御的と思っているのはレーガンさんと中曽根さんとサッチャーさんか一部の
西側のあれかも。あるいは、私はこれについてまだ防衛的であるか攻撃的であるか、この問題については結論出ないと思いますよ。しかしながら我が国では、要するに、八三年の十二月ですから一年前ぐらいですよ、そのときに宇宙戦争に
反対する国連の決議案に対して賛成しておって、そうして一年たった今ごろになってそういうはっきりわからない構想についてこれを理解するということについては、これはやっぱり国連決議を無視するものじゃないかと思いますけれども、大臣どうですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは防御的であるというのは、アメリカの最高
責任者のレーガン大統領みずから公然と防御的な兵器であるということを発言をされたわけてあります。その限りにおいては、やはり最高
責任者の発言でありますし、専門的に我々がその中身を知っているわけじゃありませんけれども、それを表ではっきりと言われた以上は、日米
関係という信頼
関係につながる
立場の日本の総理大臣として、この大統領の言葉を信頼するというのは私は当然のことだと思います。したがって、その他の非核であるとかあるいは核廃絶に、この構想が実行、実現されることによって核廃絶につながっていくんだ、そして核をそのまま無力化していくんだ、こういう大統領の発言に対しまして、それはわかりましたということです。そして、それは研究の段階においてしかしいろいろと難しい問題もあるでしょうから、今後ともいろいろとまた情報等もいただきたいということを言ったわけでありますから、私は日米間の今の
立場、同盟
関係という
立場、そしてまたレーガン大統領の日米首脳会談で発言された言葉ですから、いわば世界に対してこれは防衛兵器だという最高
責任者としての言葉、それに対して素直に理解を示すというのはこれは私は当然のことじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。
-
○服部信吾君 大臣の言われることもよくわかります。確かに五カ年の計画ですからね。でも私は、それじゃアメリカもどうするかわからないわけでしょう、だから五カ年間に二百六十億ドルの金かけてこの研究をするわけですから、その時点でアメリカもどうするんだ、こういうことになると思うんですね。であるならば、今海の物とも山の物ともわからないようなこういう研究に対して、私は賛成するんじゃなくて、アメリカが例えばこの研究について五年間やってきた、これはもう技術的にも大丈夫だ、これは本当に防御的兵器だ、こういう結論が出て、そうして日本の国に要請してきた、そのときにゴーなりノーなり何か出すべきじゃないか。だって、
防衛庁長官だってまだよく知らないんだ、こう言っている話ですからね。やっぱり我々もわからないし、また
外務省でそんなにわかっていない。そういうことを思いますと、この結論を出すのが何かちょっと早過ぎたんじゃないか。簡単に理解したというけれども、その理解というのは、向こうから見れば、恐らく研究だけじゃなくて当然これは開発も、また今後のあれもということになるんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと理解するにしても、五年後ぐらいにそういう結論が出た時点で、アメリカがどうするかその時点においてやっても決して外交的には遅くないんじゃないかと思うんですけれども、これで最後ですけれども、大臣どうですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 理屈を言うわけじゃありませんが、支持するとそれから理解を示すというのとでは、これは違います。それはそれなりに日本政府としても、もちろん中曽根総理としても慎重に考えて発言をされたわけなんですね。
それから同時にまた、こうしたアメリカの戦略防御構想につきまして大統領から基本方針が
説明をされて、その限りにおいては我々としてもわかるわけですから、また大統領の熱意というものもわかるわけですし、ですから、研究されることは我々は十分理解できますと、こういうことを言うのも自然で、日本としての
立場から当然のことであろうと私は思うわけでありまして、もちろん日本の政府を代表して中曽根総理大臣がそれだけの発言をしたわけですから、それはそれなりに日本政府がその発言に対しては責任を持たなければならないことは、これは当然のことであります。
-
○服部信吾君 そこでちょっと、
一つだけですけれども、七日、八日に米ソ軍縮
会議があったわけです。レーガン大統領の発表したこのSDI構想、これがいろいろな戦略的意味を持つと思うんですけれども、これとの関連、これが再開したということは大変いいことですけれども、この辺についての外務大臣のお考えがありましたらひとつ。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 後で米ソ外相会談の内容につきましては、バートさんという国務次官補が日本にやってまいりまして、我々に対して詳細に
説明をしたわけでございますが、いずれにいたしましても、いよいよ核軍縮あるいはまた宇宙兵器等に関しての軍縮
会議が三グループに分かれてスタートすることになったということは、これは世界の平和のためにまことに喜ばしいことであるし、そしてこれが何とか実りがあることを我々としても心から期待をしておるわけでありますが、しかしいろいろと聞いてみますと、米ソ間にはまだまだ相当、INFにしても、あるいはまたSTARTにしても、あるいはまたこの戦略構想にしても、いろいろと
意見の違いもあるようですから、果たしてスムーズにいくかどうか、その辺のところはこれから十分注目していかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。SDIはアメリカでも研究の段階に入っておりますが、アメリカ政府の発言を聞いてみましても、ソ連においても今そういう研究が相当進んでおる、こういうことでございます。いずれにいたしましても、こういう問題も含めて三グループに分かれておるわけですから、これらの
交渉が進捗しなければ、これはもう世界の緊張が高まるばかりでありますから、何とか
交渉が進むことを、ただ我々としては念願をし、そのために、アメリカに対しましても、日本のいろいろの平和と軍縮に対する日本の熱意、そしてまた考え方、例えばINF等に対してはこれはグローバルな
立場で
交渉すべきである、こういう日本の
立場をこれからも主張し続けたいと、こういうふうに思っております。
-
○服部信吾君 それで、外務大臣が年頭インタビューで、今までは抑止と均衡によって軍拡が行われてきた、抑止と均衡も大事だが、縮小しなければ意味がないと、こう発言されております。この核廃絶に向けての姿勢、これは何となく日米首脳会談においてSDIの開発に理解を示した中曽根総理の考えとちょっと違うんじゃないか、こう思うですけれども、大臣どうですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 別に変わったところはないと思いますが、いずれにしても米ソを中心にして核軍拡がむしろ行われているというふうな
状況で、これは世界の平和のために我々人類として恐るべきことである、こういうふうに考えておりますし、どうしてもこれは米ソが中心ですから、米ソを中心にして核の軍縮が行われなければならない。ただ、
現実の世界の平和という面からいけば、これはそうした抑止と均衡ということが
現実的にはやはり平和の
一つの根幹、前提であると思いますが、しかしこの抑止と均衡も拡大均衡に至っては困るんだ、縮小均衡の方へいかないと世界の平和にとっては脅威であるということを私は強調しておりますし、日本の
立場はそのとおりであります。ですから日本も、これからも軍縮
会議だとか、あるいは国連総会等で、こうした基本姿勢に立って
努力を傾けてまいりたい、こういうふうに決意をしておるわけです。
-
○服部信吾君 次に、対外援助について若干お伺いしたいんですけれども、政府はこの一月下旬から、六十一年度スタートする第三次政府開発援助の中期計画づくりに着手すると、このように言われておりますけれども、この中期計画をつくるに当たって、この基本的な方針をまずお伺いしておきます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) ODAにつきましては、一九八一年から八五年で一応倍増計画が終わることになっております。したがって、六十年度予算につきましても、我々は最後の年度ということで実は
努力をいたしまして、御
承知のように全予算の一般歳出がマイナスという中で一〇%確保したわけでございますから、そういう意味では大変世界からも評価されてしかるべきじゃないかと思います。したがって、そういう中で大体予算的には九八%の達成率ということになるわけですが、ただ、実質的にはこれからの経緯を見ないと判断ができないわけでございますが、日本が倍増計画に
努力をして、そしてこの財政困難な中で大方その目標を達成することができるようになったということにつきましては、我々は非常に感謝をしておりますし、また世界から評価されておると思いますが、これから先どうするかということについては、これは今までの実績等も振り返ってみながら、さらにこれから私は、世界に対して、アフリカの問題等もありますが、日本のODAの役割というのはますます増大するわけでありますから、そうしたまた期待もありますから、それにこたえていかなきゃならぬと思いますが、この点はこれからいろいろと政府の中で
検討をして、そして何らか将来に向かってのODAをこれから大きく伸ばしていく道を開きたい、こういうふうに考えておるわけです。
-
○服部信吾君 この問題についても大臣がシュルツ国務
長官と二日の日にお会いして、いろいろ
お話をされた。その中で、日本のODAが今までは量の増加ということで一生懸命やってきた、しかし今後は、援助対象国という面で世界の平和の安定のためにやっていくんだ、こういうふうな話も報道されておりますけれども、この点についてはどうですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは、私が予算の
説明をしまして、日本はODAに対してこういうふうな
努力をしている、そしてこれはやっぱり日本の国際責任を果たす
努力を傾けた結果だということを
説明をしたわけなんです。
しかし、ODAにはODAの基本的な理念というのがあるわけで、これは人道主義、相互依存というものが大きなODAの基本精神でございます。これに基づいて今後やるんだということも同時に
説明をしたわけですが、そういう中でアメリカはアメリカなりに
努力をしておる。しかし、いろいろと日米間でこの問題について話し合うということも開発途上国に対する援助を効果的に行うという意味においては意味が非常にあるんじゃないかということで、これからも随時協議をして、こういう点については
相談をしながらやろうということも話し合ったわけですが、しかしその中で日本の援助の基本方針というのはこういうことてすよと、アメリカはアメリカの方針があるでしょう。日本は日本の方針でやりますよと、これは方針はそれぞれあるんですと。そういう中で
協力すべきものは
協力していきましょう、こういうことで
一つの協議機関をつくるということに合意したわけであります。
-
○服部信吾君 協議機関の中でどういうことをやるかということなんでしょうけれども、何となくアメリカは、できるだけ今までの日本の援助の仕方を変えて、できるなら、アメリカの一員というんじゃありませんけれども、そちらの方に援助をふやしていこうというような、そのために次官
会議というんですか、これを設けたんじゃないかというふうに言われてもちょっとしようがないような気もするんですけれども、この次官
会議というのはどのような形で行われるんですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは両国のいわゆる
事務当局としてのハイレベルの
会議になるわけでございます。したがって、この
会議は一般的な日米の
協力関係あるいは日米の政策の推進についてお互いに協議する、そういう中の一環として今の経済援助、特にODA、この点について日本とアメリカとが相
協力してやる、あるいは相分担してやるということもそれはあると思います。しかし、それはもちろんその場合においても基本的な姿勢というものは日本は日本のODAのあくまでも基本というものを超えてはできないわけですが、そういう範囲内ての
協力関係を
相談しようということであります。
これは具体的には、例えばタイなんかでも日米でやっておりますし、いろいろとまたアフリカその他でも日米間で
協力して相当効果的にお互いの援助予算を使うという道も私は
相談する中で出てくるんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。
-
○服部信吾君 中には、今回こういう形でシュルツ国務
長官がこの問題に対していろいろと次官
会議等も設けてやっていこうと、こういう形については非常にアメリカが戦略的にやってきたんじゃないかというような批判もあるわけであります。その中でも我が国はGNP一%云々、これ以上なかなか軍備は難しいだろう、そういう面からいって、海外援助について、アメリカさんの言いなりになるというんじゃありませんけれども、そういうような方向にいくんじゃないか、こういう懸念がされているわけです。
そういう中で今回中期計画というものをつくるわけですけれども、そういうことは全くない、こんなふうに考えてよろしいわけですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) アメリカはアメリカとしての援助の方針があると思いますが、日本の援助の方針はあくまでも世界の平和と安定のための、いわゆる人道主義そしてまた相互依存というのが
二つの中心の方針としてこれを展開してきているわけでありますし、この路線を今さら変えるわけじゃない。その路線の中でアメリカと
協力できるものは
協力していこうということでありますから、いろいろと言われておりますが、何かアメリカの戦略的な目的に日本の援助が大いに利用されるんじゃないかと言われるわけでありますけれども、しかし日本のそうした基本路線を踏み出すことはできないわけですから、
法律もありますし。あくまでもそういう中で
協力できるものはしかし
協力していくということでございますから、戦略的ということはちょっと今の日米間の
協力関係を正確に表現するものじゃない、私はそういうふうに思います。
-
○服部信吾君 それではちょっと
防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、GNPの問題でございます。
この一昨日来いろいろ問題になっている諮問機関の問題なんですけれども、中曽根総理の私的諮問機関である、高坂さんの平和問題研究会ですか、そこからいろいろ提言がなされておりますね。これの提言について、新大臣としてはどのようなお考えですか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 防衛問題につきましては国民各層から大変御議論いただいております。国会等でもシビリアンコントロールのもとで大変な御議論をいただいておるわけですが、平和問題研究会のメンバーの方も大変日ごろ安全保障問題に造詣の深い人
たちでございます。その方々がかなりの時間をかけられて提言をおまとめいただいたことは貴重な
参考資料だと思っております。十分私
たち研究して、今後の私
たちの政策を決定する際に
参考になるものは
参考にさせていただきたいと、こう思っております。
-
○服部信吾君 特にこの諮問機関が中曽根総理のということであるわけですね。特にこの中を読んでみますと一%云々があるわけですけれども、この点についてはどうですか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 私
たち政府といたしましては、五十一年の三木内閣の決定、つまり防衛
関係費はGNPの一%を超えない金額をめどとするという政府決定の方針をできるだけ守る
努力をしてやってまいったわけでございますし、また六十年度の予算編成においてもそれはその範囲の中ておさめて予算編成がされたことは御
承知のとおりでございます。今後のことにつきましては、実はGNPが六十年度予算で〇・九九七%という
状況にまで来ておりますのでなかなか今後難しい情勢ではございますけれども、六十年度のGNPがどういう推移になるのか、それから人事院勧告がどの程度のものが出てそしてそれを政府がどう取り扱うのか、幾つか不確定な要素がございますので、今後慎重にその動向を見てまいりたいと思っております。
-
○服部信吾君 これはちょっとまた
外務省にお伺いしたいんですけれども、今回中曽根総理が南太平洋諸国に行かれましたですね、その中で日本の防衛費は対GNP比一%以内と、こういうことで言われて平和国家を強調したと、こういうふうに伝えられておりますけれども、この点はどうですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 大体私も会談には同席をいたしましたが、一%問題を具体的に言われたようには思いませんが、日本が軍事大国にはならない、あくまでも平和憲法のもとに世界の平和に貢献をしていくんだし、また防衛というのはあくまでも専守防衛であって、そして諸外国との間に友好
関係を平和的に進めていくんだと、こういうことを主張されたわけてありまして、したがってオーストラリア、ニュージーランド等も、そうした日本の防衛の考え方についてはよく理解ができる、安全保障の考え方についてはよく理解できると。同時にまたこの
説明の中では、日本の防衛、そうした基本的な考え方のもとにおける防衛
努力とともに、日米
安全保障条約によって日本を守っておるんだと、しかしあくまでもこれは外に対するものじゃないんだと、あくまても日本の防衛ということに徹しておるわけであって、専守防衛で外に対しては何ら野心を持っておらない、政治的野心を持たないと、こういうことを強調されたわけで、これに対して十分理解ができるという評価を得た、こういうふうに思っております。一%がどうだというふうな話は具体的にはなかったように思います。
-
○服部信吾君 まあ一%を守るというようなことで南太平洋諸国に行かれていろいろ言ってきたという事実はあると思います。
そこで、今図らずも
防衛庁長官もおっしゃられたんですけれども、とにかくGNP比一%を守る、こういう考えでありますけれども、例えば過去の三カ年の政府予算案における防衛
関係費のGNP比一%までのシーリングというものを見てみますと、だんだん狭くなってきておるわけですね、これは。例えば五十八年度はシーリングに対して一千二百二十八億円、また五十九年度は三百五十四億円、もうことしはいよいよ二けたになってしまって八十九億円と、こういうことで、守る守るとは言いながら本当にこれを守る姿勢があるのかどうかということが非常に疑わしいと思うんですけれども、予算編成に当たってもう少しこれは、本当に守る気ならこういうような形にならぬのじゃなかったかと思うんですけれども、それについては大臣どう思いますか、今度の予算のこれに対して。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 先ほど申しましたように、六十年度予算の編成の段階ではGNP比一%はその枠の中におさめることができたと思っております。しかし、御
承知のように、そのシーリング、一%の天井と六十年度の政府予算原案の中における防衛
関係費との間がかなりすき間が少なくなったということも事実でございます。今後の動向につきましては、先ほど言いましたように六十年度のGNPがどのように動くか、それから人件費等の動向がどうなるのか、今明確に見通しを申し上げることはちょっと困難であろうと思っております。
-
○服部信吾君 そこでお伺いしたいのですけれども、防衛
関係費の歯どめをGNPに求めるこの閣議決定は、「防衛計画の大綱」における「防衛力整備実施上の方針及び留意事項」のところでの「その具体的実施に際しては、そのときどきにおける経済財政
事情等を勘案し、」という文言、及びさかのぼって「国防の基本方針」における「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」、こういう文言に関連しているのじゃないですか、これは。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 御
承知のように五十一年に「防衛計画の大綱」がつくられまして、その中に今後の経費のめどとしてどういうものを考えるかということは当時政府部内でもいろいろ議論があったと
承知しております。「防衛計画の大綱」の中には具体的にどうあるべきかということは書いてなくて、今
先生おっしゃったような文言になっておるものですから、やはり何らかのめどを、その「防衛計画の大綱」を完成させるスピードとして何らかのめどを書いておくことが必要なのではないかというような政府部内の議論がございました。それから片方、その前まではいわゆる三次防、四次防と言いまして、五年間に総額幾らか、例えば四次防の場合には四兆六千億ぐらい、五年間で四兆六千億ぐらいだったと思いますが、そういうことが政府部内で方針として決まったわけですけれども、当時の
昭和五十一年度はそういう五年先の見通しをなかなか決められるような経済情勢ではなかったと思います。なぜならば、四十九年、五十年のあの石油ショックの中で、二けたのインフレがあるような中でなかなか見通しを立てることが防衛当局でもまた財政当局でも無理だったということがあって、そのときの財政的な見通しも困難ならば、その直前までの十年間ぐらいが大体GNP比一%の中でおさまっていたので、
一つの予算折衝のめどとして一%というのが出てまいったということが当時の経緯だったように思います。そういう意味で、
先生が今おっしゃった「防衛計画の大綱」の中のその文面は、まさに一%問題を引っ張り出したポイントの文章であるように思います。
-
○服部信吾君 そこで、要するにだんだんシーリングの幅が狭まってきたということがあると思います。これはまた仮の話になっちゃうかもしれませんけれども、もしことし、まあ今のいろいろな人勧等のあれによってですけれども、本年度の中間あたりに突破するんじゃないかと、こういうような
状況になるかもしれないし、これはまあわかりませんけれども、突破したらこれはある面から言うと大変な問題になると思います。責任も出てくると思います。しかし、たとえもし六十年度においてそういうことが、そういう不幸な目というか、そういうことがあった場合、この六十一年度、例えばその反省にのっとって、この六十一年度は、この予算編成に当たってまた本当にこのGNP比一%を守ると、そういう決意で大臣はいかれますか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 六十年度でどのようなGNPと、それから人件費も含めた防衛
関係費の形になるのか、その辺が今不確かでございますので、なかなかその将来の見通しは立てにくいところがごさいますと申し上げたことは先ほどのとおりでございます。したがって、六十年、六十一年、そういうような今後のGNP、人勧等の動向をよく見てからまた考えさせていただきたいと思います。
-
○服部信吾君 そのときにやっぱりじゃ何か歯どめを設ける考えがあるのか。でも、今大臣としてはこの一%というのはもう守っていくんだという決意でしょう。であるならば、当然これは、例えば仮に六十年度突破しても六十一年度は一%守るんだと、特にそれを反省してという意味でね。その辺だけちょっと明確にひとつお答えを願いたいと思います。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 今
先生、仮に例えての話、仮定の話なんだが、その六十年度で仮に人勧等で突破した場合に、それはそれとして反省して六十一年度の場合にはまたもとに戻るようにするつもりがあるかと、こういう御
指摘だと思いますが、その点につきましては私は六十年度にもし仮に万が一そういう
状況になったような場合の閣議決定の読み方でございますが、閣議決定には一%を超えない額を当面のめどとすると、こう書いてありまして、そしてこれは一円でも超えたらいかぬことなのか、まあ単年度にちょっとぐらい出た場合には大目に見る余地があるのかというのが、従来国会で大分議論になっていた部分だろうと思います。それにつきましては
鈴木内閣当時、宮澤官房
長官がそれは一円でも超えてはいけないということだと解釈いたしますという政府の答弁がございますので、やはり今
先生がおっしゃいましたように、仮に六十年度にそういうような
状況があるということであれば、そのときに何らの措置もせずに、まあことしの場合は何とか大目に見てくださいという感じで物事を済むことになるだろうとはなかなか思えないと、こう思っております。
-
○服部信吾君 国是でありますから、この一%は守っていただきたい、このように思います。
そこで、次に、これも本年の日米首脳会談においてレーガン大統領あるいはワインバーガー国防
長官等が、この厚木基地の騒音問題について会談がなされたようでありますけれども、その内容をちょっとお伺いしたいんです。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) ワインバーガー国防
長官から首脳会談の席上で今の着艦訓練についてアメリカとしては非常にこれは重要視しているんで、今厚木の基地からほかのところに移すということで日本政府が
努力していただいているけれど、ぜひともひとつ早くこの実を結んでいただきたいという重ねての御要請がありました。それに対しまして中曽根総理から日本としても最大の
努力を今傾けておる最中で、ひとつ日本の
努力を見守っていただきたいという趣旨の答弁が、
説明があったようなわけでございます。
-
○服部信吾君 この首脳会談でこの厚木の問題がやはり取り上げられたということは、これはもういかにこの問題がただ単に騒音というような問題じゃなくて、大きな意義があるというか、この厚木の訓練あるいは横須賀の云々とあると思いますけれども、その背景というのは、それほどアメリカがこの厚木基地の騒音問題に対して興味を持つというか、それに対していろいろ考えられているということは大変大きなあれがあると思うんですけれども、その辺についてはどのように考えていらっしゃいますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは
防衛庁からお答えをした方がいいかもしれませんが、私もワインバーガーさんとも何回も会いましたし、シュルツさんとも会いました中で、この問題は必ずといってもいいくらい出ておるわけでありまして、それはいかにやはり夜間の着艦訓練というものをアメリカが重要視しておるか。これは安保条約を効果的に運用する上においても、あるいはまたアメリカ自体の戦力というものを保持する上においても、いかに重要に考えておるかということは明らかであろうと思うわけでございます。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) このNLPの問題は日米の間で各般のレベルで従来から問題が提起されておりまして、そしてまた今度の一月二日の首脳
会議等でいろんな議論があったということも私
たち外務省からそれなりに真剣な問題として聞いております。そしてこれはアメリカも大変今の厚木における訓練
状況が周辺
地域に対して御迷惑をかけているということも
十分承知であるし、しかし同時にパイロットの練度維持のために、またそれを通じての日米安保体制の信頼性の強化のためにも絶対必要だという片方の要請もなかなか否定できない重要な部分でございます。したがって私
たちも何とかこの問題の
解決は全力を挙げてやらなければならないという気持ちで、本当に真剣なできるだけ早く何とか
解決しなければならない問題であるというふうに思っておりまして、総合的にかなりきめ細かく一生懸命
努力しなければならない、こんなふうに思っております。
-
○服部信吾君 特にこの騒音問題については何かきょうあたりもずっとやられているようなことで、大変なあの
地域の人
たちはもう受忍の限度を超えているというようなことで判決も下っているわけでありますから、早急にこれは
解決していただきたいと思います。
その中で
一つ、いろいろ訓練場の移転ということで三宅島等のいろいろ候補地が挙がっておりますね。当初は向こうから来たんだけれども、今度はまた
反対にやめてくれというような要請もあったようでありますけれども、また今度新しく新村長が生まれたようでありますけれども、何かその辺で
お話し合いしていたらば。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 厚木の騒音問題の
解決につきましてはただいま
防衛庁長官からお答えをいたしましたとおりでございますが、私どもといたしましては、従来も御答弁申し上げておりますように、関東地区その他、横須賀から百五十キロの半径にある既存の
飛行場に分散することができないかどうか、あるいは新しい代替
飛行場を建設することができないかどうか、三番目には浮体滑走路というようなことが技術的に可能かどうか、この三本立てで研究をいたしておりまして、三宅島の問題につきましては、ただいま
先生御
指摘のとおり、村議会の議決によりましてお
申し出があり、それがまた変わった。十一月の村長選におきまして非常に
反対姿勢の強い村長さんが選出をされた。こういう経緯がございますが、私どもといたしましては、三宅島は島嶼部でございまして、騒音問題その他から申しまして候補地の
一つとして非常に条件がよろしいものでございますから、新しい村長さんに対しましても、何とかいろいろなデメリットはございますけれども、この問題についての私ども
防衛施設庁の考え方を聞いていただきたいということで、
説明会を催さしていただきたいというお申し入れをしているわけでございますが、現時点これがまだ拒否されておると、こういう
状況で進展がございません。
-
○服部信吾君
長官の並み並みならぬ決意もありますので、一日も早く
解決をしていただきたいと思います。
時間ありませんのでもう
一つだけ。
池子弾薬庫の件でありますけれども、昨年この問題について前市長のリコールというような問題が出まして、新しい市長が生まれたわけですね。大分今議会の方もいろいろこうやっているようであります。この選挙に金丸幹事長とか、あるいは浜田さんだとか、元環境庁
長官の石原さんだとか、それぞれ池子弾薬庫の住宅建設の賛成派が大分行って、応援に来たけれども、残念ながら負けたと。こういう推進派の市長さんが負けたということもあって、いろいろ今混乱をしているようでありますけれども、この池子弾薬庫における住宅建設についての大臣のひとつお考えをお伺いしておきます。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 詳細は
施設庁長官からお答えいたしますけれども、基本的には何とか御理解いただいてあそこに住宅を建てさしていただきたいと、こんなふうに思っております。
二百九十ヘクタールぐらいの
土地なんでございますけれども、今度そこで宅地として緑がある意味で若干犠牲になる部分はそれの六分の一、たしか四十八町歩程度であったかと思います。緑が大切だということは私
たちも本当にそう思いますし、だからこそかなり気を配った住宅建設計画をつくり、六分の五の緑は守るということまで配慮したつもりでございますが、その辺の計画が、また発想が十分御理解いただいてないままに、すべての緑をつぶしてしまうというような感じの受けとめられ方をしたのは本当に残念だったと思います。その点をもう一度PRしながら御理解していただいて、緑の多い中の住宅をつくらせていただければと、こう思っております。
-
○服部信吾君 その理解を得るために横浜の防衛施設
局長から
自治省あてにいろいろ何か出したそうですね。その中で住宅設置の模型を市庁舎に置かしてくれと。それからあるいは環境影響評価制度、これをやらしてくれと、こういうようなことで通達を出したようでありますけれども、回答はどうなってますか、簡単に。
-
○
政府委員(
宇都信義君)
米軍の家族住宅の建設計画につきまして広く逗子市民の方々に理解を得たいと思いまして、建設計画の模型を市の庁舎内に展示さしていただきたいということをお願いしたところでございますが、この一月十九日、逗子市長さんから御意向に沿いかねるという回答を得ました。
防衛施設庁としましては、ぜひともその市民の方々への御理解を得るための展示でございますので、市長さんに再考をお願いしたいと考えております。
また、環境影響予測評価書案につきましては、今事務的に作業を進めておりまして、三月中に完成し、できるだけ早く神奈川県の方へ提出し、影響評価の
手続を進めてまいりたいと考えております。
-
○服部信吾君 最後に、一応その回答は全部ノーということで、模型なんかの展示は、じゃ市庁舎内はだめだけれども、何かいろいろほかに考えか何かあるのかどうか。その点と、
長官に最後にこの問題に対する御決意をひとつお願いします。
-
○
政府委員(
宇都信義君) 模型の展示につきましては、逗子市庁舎の位置が大変市の位置としてもよろしゅうございますし、また市長さんみずから市庁舎内のホールを市民に開放したいというような御意向もございますので、そういう御意向にも沿ってぜひもう一度お考えいただきたいというふうに考えております。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 先ほど申しましたように、私
たちも貴重な緑、貴重なああいう
地域はできるだけ守りたいと、こう思って、そういうことを配慮しながらかなり面積を抑えた計画を立てたつもりでございますので、何とかその辺を御理解いただきながら、日米
安全保障条約で日本の防衛の義務を負っているアメリカの人
たちに、ちゃんと住宅が供給できるように私
たち努力するのが任務でないだろうかなと、できるだけその辺は御理解いただきたいと、こう思っておる次第でございます。
〔
委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕
-
○安武洋子君 外務大臣にお伺いをいたします。
大臣は、総理とともにニュージーランドにおいでになっておられます。ニュージーランドでは原子力推進艦船と、それから核兵器積載艦、これは領域入域を拒否しているというふうに聞いております。まずこのとおりであったかどうかお伺いいたします。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) ニュージーランド政府の核政策についての基本的な考え方をお聞きしたんですが、今
お話しのような趣旨がニュージーランド政府の方針であると、こういうふうに理解をしております。
-
○安武洋子君 私は、ニュージーランドが核を持ち込ませないために、核兵器積載艦だけではなくて、原子力推進の艦船すら入域を拒否しているというふうなことで大変な決意であるというふうに思うわけですが、大臣はどういう印象をお持ちでございましたでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 私はロンギ首相、今外務大臣も兼摂しておりますが、ロンギさんと去年の国連総会の場、あるいはまた中曽根総理と一緒にインドのガンジー首相の葬儀の際、さらに今回と、三回にわたって会談をしておるわけであります。そういう中でニュージーランド政府の考え方、ニュージーランドの政府の基盤になっている労働党の政策、これを政府の政策として進めておると、こういうふうに理解をするわけで、したがって、この核艦船の入港には
反対だと、こういう姿勢であるというふうに、これはロンギ首相も言っておるわけです。ただ問題は、やはりニュージーランドは自由国家群の一員であると、さらにまたANZUS条約、これは
自分たちはこの条約は守っていきたいと、こういうことも同時に言っておられるわけでございまして、ですから、これからどういうことになりますか、これはもうニュージーランド政府とアメリカ政府のこれから話し合い等が行われるのではないかと、こういうふうに思っております。
-
○安武洋子君 せんだっての外務大臣が訪問なさいましたときに、これはニュージーランドの非核政策ですけれども、議題になさって会談をなさったんでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは議題というよりは、それぞれ日本は日本の核問題に対する日本の考え方、同時にまたニュージーランドはニュージーランドの考え方をお互いに述べ合ったということです。
-
○安武洋子君 ではどのような内容だったのか、日本側はどのようにおっしゃったんでしょうか。それに対してニュージーランド側がどのように言ったのかということをお伺いいたしとうございます。日米首脳会談でアメリカ側からニュージーランドの非核政策について柔軟化を働きかけるようにということを日本政府は頼まれたんだというふうにも聞いておりますが、今私が申し上げたことをお答えいただきとうございます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) まず日米首脳会談でアメリカ側からニュージーランドに対して日本から今のニュージーランドの政策を改めるように働きかけてほしいというふうな要請は、これはありませんでした。
それから今回のニュージーランドとの首脳会談で、日本は、日本の核政策、いわゆる非核三原則、そういう中で日本の防衛というのがいわゆる専守防衛に基づいた最小限の防衛力と日米安保条約によって維持されておる、こういう
説明を総理大臣からされました。同時にまたニュージーランド側から、ニュージランドとして非核地帯構想に対するニュージランドの考え方、あるいはまた核艦船に対しての入港についてのニュージランドのいわば否定的な考え方、そういうものが列挙されたと。お互いにそういうそれぞれの国の
立場を述べ合った、こういうことです。
-
○安武洋子君 日本は、今、外務大臣が言われましたように、非核三原則、これを国是にしております。本当に核を持ち込ませないというふうになりますと、外国の艦船につきましては、神戸市が行っているような核の有無を
確認するというふうなことが一番非核三原則を堅持する方法だというふうに大臣自身お思いにならないでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 私は、安保条約で事前協議条項がありますし、これはお互いの信頼
関係で守っておるわけてありますから、核を持ち込まれる場合は事前協議の対象になるわけですから、その点は安保条約によってきちっとしているし、そういう中で非核三原則は守られておるというのが日本の
立場です。
-
○安武洋子君 いつもそうお答えですけれども、しかし信頼
関係といいましても、アメリカは核の有無を言わないという政策をとっているわけです。ですから、持ち込むとき、これは事前協議にかけると言っておりますけれども、一時寄港とか一時通過、これはもとよりですけれども、核の持ち込みについてもその存在を明らかにしない、こういう政策ですから、事前協議があると言っても、そんなのは口実、フィクションでしかない。だから、政府があの神戸市のような態度をきちっとおとりになることが非核三原則を堅持するという
立場であろうと思いますが、大臣にお伺いいたしますが、神戸市のような方式をとることが何か支障があるのでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 日米安保条約で事前協議制度というものがあります。これはすばらしい制度と私は思います。これによって日本のいわゆる三原則というものが守られておる、また、これからも守られていくと。この制度があるということが一番この安保条約の上においてすばらしいことだ、こういうふうに思います。
-
○安武洋子君 神戸が核の非核証明を出せということで、そういうものがない艦船についての入港を拒否するという態度をとってから米艦船は一隻も入っていないわけです、この十年間。私は大臣に申し上げたいですけれども、世界で唯一の我が国は被爆国です。ですから、日本政府のとるべき方針というのは、ニュージーランドに行かれても、ニュージーランド政府が、我が国は核兵器にかかわる役割は果たさないと、はっきりとこういう態度をとっているわけです。それに賛意を表して、世界の今の流れというのは核廃絶です、その先頭に立たれるのが当たり前ではないかと。事前協議があるから、あるからということで、アメリカが核の存在を明らかにしない、こういう政策であるにもかかわらずこんなことをいつまでも言っておられるというのは、私はやはりきわめつけの核を許すという政府であろうというふうに思うわけです。ですから、ニュージーランドに対しても、今いろいろおっしゃいましたけれども、報道によれば、核の抑止力の必要とか、あるいは
西側の結束とかというふうなことを非常に主張なさったということで、世界の核廃絶の流れに逆らう政府の態度であろうということを私はきつく申し上げておきます。
それで、私はここで軍事予算の問題に移ります。
防衛費の伸びについてお伺いいたしますけれども、六十年度の後年度負担総額、これは二兆三千億円という膨大な額になっております。この後年度負担の六十一年度に歳出化される分、これは幾らでございますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) ちょっとその前に……。
前段の
質問に絡んでちょっと申し上げますが、私も舌足らずでしたけれども、日本とニュージーランドとの首脳会談の中で、いわゆる世界の核軍縮、核廃絶に向かって日本とニュージーランドがともに
努力をしていこうということについては、日本、ニュージーランドの首脳間で大きな合意を見たわけであります。
-
○安武洋子君 それなら反論いたします。
非核三原則をきちっと守るべき方法として神戸の方式をとるのに何の支障があるのかということにはきちっとお答えになっていないんです。安保条約があって事前協議があるからと、それだけなんです。それはだめじゃないですかと。神戸なんかでも、やはり非核証明をとり出してから米艦船は寄港しておりませんよというふうなことを申し上げているわけで、大臣の御答弁は御答弁にならないということで、時間が大変惜しいですので、もう答弁結構ですので先ほどのに答えてください。
-
○
政府委員(
宍倉宗夫君) 二兆三千五十八億でございますが、そのうち六十一年度に支出を一応予定しておりますのは、一兆一千八百億円程度でございます。
-
○安武洋子君 では、その後年度負担の歳出分ですね、その増による六十一年度の防衛費の上昇率、これはどれぐらいなんですか。
-
○
政府委員(
宍倉宗夫君) ことしは、六十年度予算では九百三億の増加でございましたが、来年度は、はっきりはいたしませんけれども、先ほど申し上げましたような、今の段階でのアバウトな計算でございますと約千百億ふえまして、それは今度の予算が三兆一千三百七十一億ですから、それで割りますと約三・五%ぐらいになろうかと思います。
-
○安武洋子君 防衛費の問題につきましては、私どもの党は、一%以内だからそれを認めるというふうな
立場には立っておりません。それどころか、一%といいましてもこれは大変な額で、国民に対して一%以内ならいいだろうというふうな安心感を与えるという悪い役割を果たしている面もあるというふうに私どもは思うわけです。やはり一%以内でも大軍拡予算であると。だから、私どもは昨年末に一兆二千億の減額をすべきだということを打ち出しているわけです。
さて、
防衛庁は五九中業の
検討をされております。一体、五九中業の立案というのは、これはいつまでをめどにしておられるんでしょうか。来年度の概算要求の前なのでしょうか、その後なのでしょうか、この点まずお答えください。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 中期業務見積もりの仕組みは、これは
防衛庁の内部資料といたしまして各年度の概算要求なり業務計画を作成する際の
参考資料にする、こういう性格でございますから、五九中業の場合で申し上げますと、その対象期間は六十一年度からの五年間、これが対象になっているわけでございます。したがいまして、基本的な性格から申しますれば、六十一年度の概算要求を作成する際の
参考資料としてつくっていくというのが基本でございまして、そういう意味から申しますと、ことしの夏ごろまでにはこれをまとめていくということが必要ではないかなというふうに考えておりますし、それは前回の五六中業の場合も、大体前回は七月の末に国防
会議に報告をし、了承をいただいた、こういう経緯がございますので、その辺の前例も
参考にしながら今後作業を詰めていきたいというふうに考えております。
-
○安武洋子君 五九中業でちょっと後でまた聞きます。それで、ちょっとその前に聞いておきますけれども、
防衛庁は新型対空ミサイルシステム、このAEGIS艦、これを五九中業で装備する方針を固めたというふうに報道されておりますけれども、これは事実でしょうか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 海上
自衛隊の防衛力整備に当たりまして艦艇の防空能力、洋上防空の能力について逐次レベルアップをしていかなければいけないという問題がかねてからあることはもう御
承知のとおりでございます。そういった場合に、アメリカでは今御
指摘のAEGIS艦というものが現在整備をされているところでございますけれども、こういったようなものも
一つの
参考といたしまして、もちろんかねてから研究の対象にしているわけではございますけれども、それは
調査の一環としてやっているわけでございまして、現在まだ、五九中業におきまして海上
自衛隊の艦艇の整備方針をどういうふうに具体化していくかということについてはまだ何ら決定を見ていないところでございます。
-
○安武洋子君 AEGIS艦につきましてどのような評価をなさっているんでしょうか。というのは、以前かなり関心を持っていると答弁をなさっているわけなんです。ですから現在も、さらに以前よりも以上の関心を持っていらっしゃるのかどうかということをお伺いいたします。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 一般的な軍事技術の進歩というものが各国において行われておりますから、そういったようなものについての情報収集その他、そういった研究はずうっと続けているわけでございまして、その点は従来と特段に姿勢を変えているわけではございません。
-
○安武洋子君 どちらにしましてもAEGIS艦、これは一そう二千数百億、それで何かミニにされるというふうなことも聞いておりますけれども、それでも六千トン台級、これで千億ぐらいになるというふうなことなんですね。五九中業はGNP一%以内、これを前提として立案をされているんでしょうか、それともこれにこだわらずに五九中業をお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 中期業務見積もりとただいま御
指摘のGNP一%に関する閣議決定の
関係につきましては、これはもう昨年も何回か御
説明を申し上げたことがございますが、まず基本的な性格がちょっと違う点がございます。と申しますのは、中業と申しますのは、先ほども申し上げましたように、
一つには
防衛庁の部内の資料でございますのと、対象期間も五年間について
検討するということでありますし、経費についてもある程度大まかな推計になってくるというふうな面もございます。それに対しまして閣議決定の方は、御
承知のように毎年度の予算を政府レベルで決定をするということの際にその準拠になってきたと、こういう性格のものでございますから、そういう意味で直接の
関係はそこではないわけでございます。
いずれにいたしましても、五九中業を作成するに当たりましては、
長官指示を昨年の五月の八日に出していただきまして、防衛計画の大綱の水準の達成を期するという方針で作業をしておるというのが基本でございます。最終的にどういう形で内容を取りまとめていくかということは、まだ作業中でございますので、現在の時点では具体的に申し上げることはまだできない状態でございます。
-
○安武洋子君 直接に
関係がないといっても中業で考えられたのが予算化されていくというふうになりますし、大綱水準達成ということをおっしゃいましたけれども、では、大綱水準達成の暁も一%枠は守られると、こういうことですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 一%の問題は、まさに先ほど来大臣からもお答えを申し上げているとおりでございまして、五十一年の閣議決定の方針というものを守ることとして六十年度の予算を編成したということは、御
承知のとおりでございます。今後の問題につきましては、将来の問題としてGNPの動向であるとかあるいはその他の防衛費全体の動向というものが毎年度どういうふうになっていくかということは、今の時点で予測することは困難でございまして、そういう意味で、今後どうするかということをただいまの時点で私の口から明確に申し上げることは適当でないかと存ずる次第でございます。
-
○安武洋子君 細かい数字を出すことは困難であっても、今この差というのは〇・〇〇三%ということになっています。その中で大綱の達成を目指すとおっしゃるということであれば、あなた
たちが勝手に決めたことですけれども、一%という枠を守るということは、これは守れないということだけははっきりするんじゃありませんか。
自分たちで一%ということを閣議決定しておく、そして大綱達成だ、これは中業とは直接な
関係がないんだ、こう言いながら、都合が悪くなれば平気でこの一%枠を取り払おうと。取り払わなければ大綱なんて達成できませんでしょう。こういうふうなことで大軍拡を目指していくというふうなことは私は大変けしからぬと思うんです。
防衛庁長官、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 私
たちは五九中業の中で何とか防衛計画の大綱の水準が達成できるように
努力してまいりたいと、こう思っております。
GNP一%の問題とそれから五九中業との
関係は、今
局長が御
説明申しましたように直接
関係のあるものではございませんけれども、今後その作業をいたしてみましてどういうような動向になるか、今のところ、GNPの見通し、それからベースアップの動向等不確定な要素がありますので、明確な見通しを述べられる段階ではございません。
-
○安武洋子君 そんなことはないでしょう。先ほど聞いた後年度負担の歳出分の増だけで押し上げる分が三・五%だと、こういうお答えなんです。ですから、私どもの共産党の主張どおり軍事費をばっさりと削られるということであればそれは別ですけれども、実際にそう言いながら一%枠など念頭に置かないで五九中業をどんどん進めて、大綱達成だということで大軍拡を進められるということを、これは私はきつく抗議をするということで申し上げておきたいと思います。
そして次に移りますけれども、長崎県の佐世保の崎辺地区の問題をお伺いいたします。
ここでは、
米軍の基地をつくる、施設を提供するという、こういう問題が起こっております。報道によりますと、そこは揚陸艦基地にするというふうなことになっておりますけれども、この崎辺地区の基地化計画、これはどのようになっているか、お答えいただきます。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 崎辺地区につきましては、御
承知のように、一たん、佐世保重工によるところの百万トンドックを建設するという条件で米海軍から返還を受け、その後、その計画が実現をしないところから再提供の申し入れと申しますか、そういうことでアメリカ側と現在協議中の問題でございます。
私どもが理解しております範囲では、この崎辺地区を再提供することにもしなったといたしますると、その場合には補給基地というような計画で考えておるというふうに理解をいたしておりまして、特に補給艦の何とかとか、そういう具体的な話はまだ
承知をいたしておりません。
-
○安武洋子君 基地の整備内容について
米軍からの要求というのは全く来ていないと、こういうふうに承ってよろしいんですか。揚陸艦の司令部もつくるとか、あるいは揚陸艦の基地にするとかというふうなことは、これは絶対にそういうようなことはありませんか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 崎辺地区に関しましては、補給基地、そういう性格のものとして再提供を受けたいという申し入れがございますが、具体的にそこにどうするかということは、これは日米合同委員会等にかかって、そこでもって問題になることでございまして、現時点でまだ補給基地として再使用という程度にしか私どもは理解をいたしておりません。
-
○安武洋子君
確認しておきますけれども、補給基地であるということで提供を
申し出てきているというふうなことで、ここを揚陸艦の司令部も含めたような基地にするという計画はないと、こう承ってよろしいか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 補給基地というのは大変広い概念でございまして、例えば、その後弾薬庫にするのか、あるいは家族住宅の建設予定地にするのか、そういう広い意味でいろいろな性格づけをどういうふうにするかというお尋ねだろうかと思いますが、補給基地である以上補給
関係の業務については今おっしゃったようなものが含まれることはあり得ると思いますけれども、現時点においてはまだ具体的に
承知をいたしておりません。
-
○安武洋子君
承知をしていないだけで、報道にあるような揚陸艦の司令部も含めたような基地になるという可能性もあると、こう聞いていいわけですか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 広い意味での米海軍の補給基地でございます。御
承知のことと存じますけれども、現在佐世保地区の米海軍施設におきまして米海軍艦船の配備といたしまして、
昭和五十四年八月に通常型潜水艦のダーター号、五十八年十月に両用戦闘貨物輸送艦セントルイス、この二隻が配備になっておりますので、御
質問の揚陸艦と申しますのがこのセントルイスを含むと解しますれば、もう既にそういうものとして佐世保基地全体は利用をされておるわけでございます。再提供があった場合、これは再提供をどうするかということは施設庁だけの所管事項ではございません
案件でございますので、私ども限りでお答えする問題ではございませんが、現時点におきましては崎辺地区について将来そういう合意が成立をして、再提供した場合には補給基地として使われると、こういうふうに解釈をいたしております。
-
○安武洋子君 今ダーター号とセントルイス号、この
二つの艦名が挙がりましたけれども、じゃ佐世保をいわゆる母港にしている
米軍の艦船名、それを言っていただきたい。それから、揚陸艦で配備予定している艦名、これは把握されているかどうかお伺いいたします。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 厳密に申し上げますと、母港というよりは佐世保に乗組員の家族を居住させる計画を持っておる艦船と、こういうことであろうと思いますが、そういう意味で既に居住計画が実施に移されているのは、先ほど
施設庁長官の方から御
説明がありました潜水艦と輸送艦各一隻。今後の問題といたしましては、現在十月から始まりますアメリカの会計年度で申し上げますが、八五会計年度におきまして、水陸両用の兵員輸送艦のこれはデュビュークという輸送艦でございますが、これが一隻、それから八五、八六会計年度の期間におきましてバーベルという潜水艦が一隻、それから八六会計年度におきまして戦車揚陸艦のサンベルナルディーノというのが一隻、将来の計画といたしましては、今申し上げました三隻が予定されておるというふうにアメリカ側から知らされております。
-
○安武洋子君 ヘリ空母、強襲揚陸艦のイオー・ジマ級、それから多目的強襲揚陸艦のタラワ級の配備というのはこれはいかがなんですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) ただいま申し上げました予定の三隻以外には私どもは聞いておりません。
-
○安武洋子君 では、私が今申し上げましたこれは全く
外務省としては聞いてはいないということで承ってよろしいですね。
-
○
政府委員(栗山尚一君) そのとおりでございます。
-
○安武洋子君 それにしても大変多くの揚陸艦が来るということです。
外務大臣、お伺いいたしますけれども、このようにたくさんの揚陸艦が来るということはどのようなことなんてしょうか。機雷戦能力があるものも候補に挙がってくるというふうなことも報道されているわけです。ですから海峡封鎖とか対ソ、対朝鮮、またフィリピンの政情不安というふうな問題もあるわけですから、こういう
関係なんでしょうか。お伺いいたします。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはやはり日米安保条約の効果的運用というのが基本的な考え方として、それを踏まえたアメリカの配置であろう、こういうふうに思います。
-
○安武洋子君 そんな同じような答弁ばかりあっちでもこっちでも言っていただいたら困るので、もう少し政治的な発言していただきたい。
揚陸艦の目的というのは海兵隊を運ぶのが目的だと思うんです。海兵隊は佐世保に来るんでしょうか。来るとしたら、これは有事なのでしょうか、それとも常駐するんでしょうか。これはどう聞いておられますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 海兵隊そのものが佐世保に来るという話は全く聞いておりません。
-
○安武洋子君 それで揚陸艦だ
けが来るんですか。揚陸艦、何を一体運ぶんですか、こんなたくさん来て。揚陸艦が来て、本当に海兵隊が全然いないというのは全く不思議な話で、そこらをなぜきちっと確かめられないんですか。
日本では海兵隊というのは沖縄にしかいないと。少なくとも有事にはじゃ海兵隊が来るというふうに想定を
外務省はされているんでしょうか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) そういう具体的な部隊の運用構想については私ども
承知しておりません。
有事云々についても私どもは聞いておりません。
-
○安武洋子君 海兵隊を運ぶ揚陸艦はたくさん続々と来るけれども、海兵隊については全く
承知をしていないと。
その上に崎辺地区、ここでは思いやり予算で家族住宅をつくるということが発表されております。これは何戸つくられるんでしょうか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 崎辺地区には家族住宅の建設計画はございませんし、またそういうこと聞いたことございません。
-
○安武洋子君 では
確認しておきますけれども、崎辺地区には絶対にこういう家族住宅はつくらないと。それから、それでしたら海兵隊の隊舎、それから宿舎、弾薬、これの備蓄所、そういうものは一切つくらない、こう承ってよろしいですか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 先ほど申しましたように、その補給基地というのは非常に広い意味があるわけで、弾薬はどうなんだろうかという点も懸念されますけれども、弾薬庫をつくるという計画も聞いておりません。また海兵隊の宿舎を崎辺につくるという話は聞いておりません。ただし、針尾という工業団地がございますが、ここに米海軍の軍人の家族宿舎を建てたい、こういう計画がございまして、これは長崎県あるいは佐世保市、その他のいろいろな協議の結果、針尾地区に米海軍の軍人——海兵隊ではございません、海軍の軍人の家族の住宅を建設するという計画を現在米側が希望をし、
検討をいたしておるという段階でございます。
-
○安武洋子君 何戸ですか。
-
○
政府委員(
宇都信義君) 米海軍の家族住宅につきましては、現在のところ米側の希望を聞いておるところでございますけれども、具体的に針尾に何戸つくるかということを決めている
状況ではございませんが、佐世保地区としまして六十年度の予算の中に五十二戸の住宅を計画しております。
-
○安武洋子君 聞かぬうちからもうちゃんと五十二戸準備してあるんですか。どちらにしましても、海兵隊を運ぶような揚陸艦はどんどん来ると、海兵隊は来ないんだというふうにおっしゃいますけれども、やっぱり私は海兵隊の基地になるというふうな懸念を抱かざるを得ないわけです。こういうものについても本当に、中曽根さんがアメリカに行かれて日本を不沈空母化するんだというふうなことを言ってこられましたけれども、これが着々と進んでいるのではなかろうかという懸念を表明して、こんなことはもうとんでもないと、思いやり予算で建てるなら日本国民に思いやりを持てということを申し上げておきとうございます。
次にパトリオットの問題に移ります。
来年度の予算要求で
防衛庁はパトリオット、現在のナイキJの後継機として購入をされるということでございますが、このパトリオットの選定理由と、それからその経過を教えてください。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 航空
自衛隊がナイキを現在保有をいたしておるわけでございますけれども、この地対空誘導弾ナイキがどういうものかと申しますと、一九五〇年代の技術をベースにいたしまして一九六〇年代の脅威を対象として設計されたシステムでございます。そういうことから既に性能上の限界が来ておりますのでこれを改良いたしまして、ECCM能力、つまり、電波妨害に対する対抗能力でございますが、そういうものとかあるいは同時に多目標のものに対処をする能力等についても向上を図っていくということが必要になってきたわけでございます。しかしながら、現在のナイキはもうそういう古いシステムでございますからそのままではもう到底そういう改良はできないということが
一つでございます。それからまた、補給整備の上におきましても米国の支援の打ち切りなどの
事情がございまして、
昭和六十年代の後半になりますと長期にわたって維持することは困難な
状況に立ち至っわけでございます。こういった
状況になってまいりましたので調達等のリードタイムを考慮いたしまして、できるだけ早期に現有ナイキの更新近代化を図る必要があるということで、かねてから後継機種の
検討を進めてきたわけでございます。
この機種選定の経緯について若干補足いたしますと、
防衛庁におきましては四十八年に
米軍からナイキの維持部品の補給支援が逐次打ち切りになるという通告を受けたわけでありまして、そのときを契機にいたしまして内外の後継候補機種についての
検討を始めたわけであります。その後数回に及びます海外
調査等を行ったわけでございまして、その結果
昭和五十四年に候補機種を絞りまして、
一つは米国が開発をいたしておりますパトリオット、もう
一つは国内開発をいたしますナイキフェニックスと、この
二つの機種に候補を絞ったわけでございます。それから引き続きまして両機種につきまして性能、価格等種々比較
検討を行いました結果、
昭和五十八年に至りましてパトリオットが有力であるというふうに判断をするに至ったわけでございます。
しかしながら、五十九年度の概算要求では概算要求までするには踏み切りませんで、さらに一年をかけまして慎重に整備構想あるいは価格の詳細等について
検討いたしまして、それからNATOの導入
状況等も見ましてそういう
検討を続けてきた結果、
昭和六十年度の概算要求の時点でパトリオットが最適であるということを判断をしたわけでございます。その後概算要求の段階で種々
関係省庁との協議もいたしたわけでございまして、最終的には国防
会議におきましても慎重な御審議をいただきまして、ナイキの後継の機種といたしましてはパトリオットが適当であるという
防衛庁の決定を御了承をいただいたという次第でございまして、最終的には六十年度予算に本件についての導入に関する予算が計上されるということになった次第でございます。
-
○安武洋子君 ナイキフェニックスと比較をしたということですけれども、この比較をしたナイキフェニックス、これは開発を完了しているんでしょうか。開発
状況がどうなっているかということをお伺いいたします。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ナイキフェニックスはまだ
現実のものとしてあるわけではございません。他方、パトリオットの方はアメリカで開発済みのものでございます。したがいまして、私どもこの
二つを比較
検討します場合には机上であるナイキフェニックスとある程度アメリカで実現しつつあるパトリオットというものを比較いたしたわけでございます。したがいまして、開発費が幾らかということはパトリオットの方についてはある程度ありますけれども、ナイキフェニックスの方にはまだそういう段階でございますのでございません。
-
○安武洋子君 じゃあナイキフェニックスは開発するんですか、それとも開発をもう既に中止をしているんですか。どちらなんですか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) どれを採用するかという段階におきましてナイキフェニックスとパトリオットを比較したわけでございます。その性能、あるいは想定される開発費あるいは経費というものを当然比較
検討したわけでございますが、現在パトリオット、つまりナイキの後継機といたしましてはパトリオットを採用することに
防衛庁そしてまた国防
会議が昨年十二月に決めましたものですから、今はパトリオット一本に絞りまして業務をやっているところでございます。
-
○安武洋子君 ということは、ナイキフェニックスはもう開発しない、開発は既にもう中止をしたと、こう承っていいんですか。
-
-
○安武洋子君 では設計中の青写真のナイキフェニックスとそれからこのパトリオットを比較したと、こういうことですね。私は、こんなことが合理的な比較になるというふうには思わないわけです。二機種を比較したとおっしゃいました五十四年ですね、この二機種に絞った五十四年という時点を見てみますと、これはパトリオットは限定生産に入る前年なんですね。片方は全くの青写真、これでどうして比較をしたことになるんでしょうか。そして、これは私はこういうやり方というのは、比較をした比較をしたとおっしゃいますけれども、先にパトリオット導入ありきというふうに思わざるを得ないと、こう思いますが、どうなんてしょうか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ただいま防衛
局長から御
説明いたしましたようにナイキの後継機を選定するタイミングというものがございました。それは
一つはナイキが現下の脅威というものに十分対応できるかどうか、それはまあ相手のあることてございますからそちらの方の性能というものとの比較が
一つございます。もう
一つは、ナイキの方は大分開発をされ、生産され、運用されましてからアメリカにおきましても我が国におきましても相当の年数がかかっておりまして、既にアメリカにおきましてはその生産を中止し、しかも我が国に供給してくれています補用部品にいたしましてももう既にその供給限度に来てまいっておると、そういう
状況下で後継のものを選定するタイミングというものがございました。しかし、パトリオット及びナイキフェニックスというものを比較をしなければならなかったわけでございます。可能な限り入手できる素材、情報をもとにいたしまして慎重に
検討した結果がパトリオットに選定されたという経緯でございます。
-
○安武洋子君 片方は青写真だと、いろいろおっしゃいますけれども、青写真で比較
検討ができるなら、私は何も試作品をつくったりいろいろと限定生産をしてみたりとか、こんなことをする必要全くないてはありませんか、どんなものに限らずね。それを片方は全くの青写真と、片方は限定生産に入る前年と、こういうところで二機種にしたと、そしてそれから比べられた。片方はどんどんそれから限定生産に入っていっているわけです。片方はやっぱり青写真のままと、これでパトリオットが有力だと判断しましたということにはこれは全くならないじゃありませんか。私は、パトリオット導入ありきというもの以外の何物でもない。重ねて申し上げます。こんなことであなた
たちは比較
検討したとおっしゃるんでしょうか、それが一点。
それから私は去年の八月に
質問をいたしております。これは内閣委員会で申し上げたわけですけれども、このパトリオットについてアメリカのカウフマン教授とか、こういう方ですけれども、技術的な問題が多過ぎると、で米国では採用を見合わすべきだというふうに言っておられるわけです。日本がこれを買うという予定があるということを聞かれて余りのことに絶句されたということは私は申し上げて、こういう欠陥のあるような商品というのはこういうものはやめるべきではないかというふうに申し上げております。こういうふうな技術的な問題が多いということ、これはどういうふうに念頭に置かれてどのような
調査を一体なさったんでしょうか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) まず第一点の方を私からお答え申し上げますが、この航空
自衛隊の運用要求を満たすものとしてどういうものがあるだろうかということは、かねてから海外
調査等によって広く調べたわけでございますが、その結果として実在するシステムとしてはパトリオットしかないということが
一つございまして、それからまた国産の構想としてナイキフェニックスというものが航空
自衛隊の運用要求を念頭に設計された
一つの構想段階にあるシステムであったわけでございます。したがって、機種選定に万全を期するためにはこういった構想段階のものも含めまして広く
検討の対象とするのが適当であるということで、この
二つを最終的には比較
検討をしてきた次第でございます。その場合にナイキフェニックスにつきましては設計の段階で構想をしておりますものが完成した場合に、どういった性能を発揮するのであろうかということを詳細に突き合わせていって、その結果として最適機種としてパトリオットの方がすぐれているという判断をした次第でございます。
-
○安武洋子君 実在と、それから構想中のものを比較
検討するというふうなことを結局なさって、それで十分な
検討をしたんだということをおっしゃっているわけです。でも、さっき私の後の
質問にはお答えになっていらっしゃらないんですよ、いかがなんですか。欠陥商品について答弁がないので。
-
○
政府委員(
山田勝久君) 新しい兵器を開発する段階におきましては、いろいろな論評というものがございます。
例えばF15を選定されました数年前におきましても、その過程においてF100というエンジンが多少ぐあいが悪いんではないかという情報もアメリカの雑誌等に出ます。そのたびに、私どもといたしましてはアメリカにそれを問い合わせ、そしてその過程におきまして改善されているのか、その論評が正しいものかどうか、そういうものをチェックしながら選定をいたしているわけございます。
したがいまして、パトリオットにつきましてもいろいろ論評その他ございますが、私ども万全を期して正確な情報を入手し、選定過程というものは適正に行ってきたつもりでございます。
-
○安武洋子君 万全を期してだけならちっとも答弁にならない。どういうふうな
調査をしたのか、そういうことを念頭に置いてどう対処したのかと私は聞いていたわけです。
来年度の予算では、パトリオットの予算としまして三百二十六億円が計上されております。これは三ランチャー分の予算ではないのでしょうか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ただいま
先生御
指摘のように、六十年度予算におきまして総額三百二十六億円を計上してございます。これは教導高射隊に必要な機材〇・五個群分、つまり
二つのファイアーユニット分でございます。その機材は、基本的なファイアーユニットをちょうど半分にした、あるいはその
二つ分であるということではございませんで、教導隊用でございますので、レーダ装置、発射機、射撃管制装置、アンテナ、マスト等々含んでおりますけれども、その数量につきましては、いわゆる基本的な部隊配置になりますファイアーユニットとちょっと異なってございます。
-
○安武洋子君 だから、ランチャーは三ランチャーでしょうと聞いている。
-
-
○安武洋子君 ですから、一ファイアーユニットというのは通常五ランチャーというふうに聞いております。で、一個高射隊すなわち一ファイアーユニット、ランチャー五つですね。この一個高射隊の一ファイアーユニット、この値段は一体幾らなんですか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ただいま予算要求をいたしておりますのは教導高射隊用でございますけれども、その背景にございます私どもの試算によりますと、推定でございますけれども、
一つのファイアーユニットの単価はミサイル二十発を含みまして約二百億円でございます。
-
-
○
政府委員(
山田勝久君) アメリカ軍がアメリカ軍のために調達をいたしておるという資料なかなかございませんけれども、昨年の三月の下院の公聴
会議事録を見てまいりますと、一九八〇年から八四年までの会計年度におきまして、四十三ファイアーユニットを調達をするということになっております。その総経費が三十五億ドルでございます。ただ、その三十五億ドルと、この四十三ファイアーユニットの
関係が、どのシステムがどの程度入っているかにつきましての内容は詳細わかりません。全体として、一九八〇年から八四年までの五年間に四十三ファイアーユニット調達、そしてそれが三十五億ドルという数字でございます。
-
○安武洋子君 そうしたら、
米軍の一ファイアーユニット、これは日本と違って八ランチャーと思うんです、
米軍はね。じゃあこの
米軍の一ファイアーユニット、今のあれでいきますと一体幾らになるんですか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ただいまお答えいたしましたように、四十三ファイアーユニット分、そして弾が千百五十発と、こういう組み合わせでございますけれども、総額三十五億ドルと出ておりますけれども、これが一ファイアーユニットでどうかということになりますと、いろいろの機材、あるいはいろいろな施設等々、入っているか入ってないか、システムとしてどのような範囲をカバーしてるかが詳細わかりませんので、単純にこれを割り算してちょうど我が国と同じようにこのくらいの金額だということは出てまいりません。比較
検討可能なようなものが向こう側の情報では不足しておりますので、出てまいりません。
-
○安武洋子君 しかしね、日本では一個高射隊、一ファイアーユニット、これはどれとどれと、どれとどれとの組み合わせだということは、これはアメリカと変わりませんのでしょう。ですから、アメリカの方が四十三ファイアーユニットだと、こうおっしゃるということになれば、大体の推測が割り算をすればつくんじゃありませんか。多少の違いはありましてもね、相手は八ランチャー、こちらは五ランチャーということは
承知いたしております。単純計算してみてください。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ただいま単純計算をいたしてみますと、三十五億ドル、そして一ドル幾らかでございますけれども、私ども六十年度予算要求に当たりまして統一円・ドル換算二百三十七円と、こういうことになりますと、三十五億ドルというのは大体八千三百億円ということに相なるわけでございます。この八千三百億円を四十三で割りますと約二百億円弱と、こういう計算に相なろうかと思います。
-
○安武洋子君 私どもに八一年の十二月の
米軍の調達価格、これ私どもに知らしてなさるんですよね。これは一個中隊分、九千九百二十万ドル、約二百億というふうにおっしゃっているんです。これは間違いございませんでしょうか。
-
○
政府委員(
山田勝久君) ちょっとただいま資料、記録ございませんので、ただいまそうだということを申し上げられませんけれども、八一年と現在の間には数年たっておりますので、その間アメリカにおきます物価上昇というものはかなりのものがございました。したがいまして、八一年現在の価格と一九八五年と申しますか、
昭和六十年価格におきまするものとの間では価格上昇という要素が入っておるかと思います。
-
○安武洋子君 このパトリオットのライセンス生産で聞きます。ライセンス生産するのは何と何をライセンス生産するんですか。
-
○
政府委員(
山田勝久君)
防衛庁はパトリオットを取得するに当たりまして、まさにこれが防空体制の主力装備である、そして安定した取得、維持、修理等を行いますために、ライセンス生産によることといたしております。これは昨年十二月の国防
会議で決定され、
先生御
承知のとおりでございました。
このパトリオット機材のライセンスで生産するものは何かということでございますけれども、基本的にはアメリカ側もライセンス生産結構であるということになってるわけでございますけれども、どこの部分をライセンス生産にし、どこの部分をアメリカから部品として買っていくかということにつきましての具体的な内容は、今後米国政府と米国企業等との折衝で決まっていくことでございます。ただ、先ほど私申し上げました射撃管制装置、レーダーあるいはミサイル等の主要な機材はライセンス生産になると思っております。今ざっとどのくらいの程度のものがライセンス生産になり、どのくらいの割合のものがアメリカから買ってくるかということは定かではございませんが、おおよそ七〇%がライセンス国産になり、三〇%がアメリカから買ってくるというぐあいではなかろうかと、大ざっぱにお答えできると思います。
-
○安武洋子君 もう時間がないので、固めて言うので固めて答えてください。
開発分担金、それからライセンス料、企業への初度投資、これは幾らぐらい考えているのか、それから、通常ライセンス生産、これは完成品の輸入よりも割高であるというふうに思いますけれども、この点どう考えているかということ。
それからF15、P3Cの初年度投資額、これ、私は
質問しております。この
質問時点でF15は七百億、P3Cは五百億と答弁なさっております。今現在の総額は幾らになっているのか。それからF15、P3C、それぞれごとの金額、それから主な企業名、これを挙げて答えていただきとうございます。
-
○
政府委員(
山田勝久君) たくさんの項目がございますが、ひとつライセンス料あるいは開発分担金をまず第一に答えさせていただきます。
開発分担金につきましては、これから締結することといたしておりますライセンス生産に関する実施細目取り決め、英語でメモランダム・オブ・アンダースタンディング、略しましてMOUということでございますが、ここで
規定されることになっておりますけれども、この金額につきましては申しわけございませんけれども秘扱いとなっておりますので、ただいま申し上げることはできません。
またライセンス料につきましては、日本の生産担当企業、まだ決まっておりませんけれども、これが決まった暁にはこれと米側企業、これはレイセオンという会社でございますけれども、との間で技術導入計画というものが決められます。そこで決められるわけでございますので、まだ日本側の生産担当企業決まっておりませんので、まだライセンスフィーは決まってございません。
それからこの担当企業が決まりまして、ここで初度投資がどのくらいになるかということでございますけれども、いろいろF15、P3C等の経験から言いまして治工具ですとか試験用具ですとか、いろいろのものにかかわってくる金額が出てくるわけでございます。まだはっきりした数字は申し上げられませんけれども、F15、P3Cにつきましての現在までの把握できております分、つまり五十三年度契約分、そしてこの納入は五十七年度で納入された分でございますけれども、先ほど
先生おっしゃいましたようなF15については約七百億円、P3Cにつきましては私ども四百億円と
承知いたしておりますけれども、初度投資がかかっておるわけでございます。
企業名ごとにつきましては、F伍は初度部品とプライムが三菱重工でございます。そのほか参加している企業は川崎重工あるいは富士重工でございます。それぞれにおきまして治工具あるいは試験用の機材が投資をされておるわけでございます。
それからP3C、これはプライム、主契約者は川崎重工でございます。このほかに三菱重工、富士重工あるいは新明和工業、日本飛行機、そういったところが参加をいたしております。それぞれの企業におきまして企業ごとの金額はちょっと現在手持ちございません。
〔理事目黒今朝次郎君退席、
委員長着席〕
-
○三治重信君 外務大臣、四時から御用があるようで、それまで
外務省、先にお願いをいたします。
私、昨年の通常国会が済んで後、参議院の南米視察班に加わりましてブラジル、アルゼンチン、ペルーの三国を
調査したわけですが、その間に
外務省の皆さん方に大変お世話になりました。厚く御礼を申し上げておきます。
その中で一番、何も
外務省の行政にそうくちばし入れるつもりはないんですが、いろいろ情勢ですね、その国の情報なんかを聞いたりすると、そういう主要な情報というのは本省へよく連絡してあるのかと、こう言うと、一番第一線で困るのが、せっかく集めた情報や資料が本省へ届ける通信費が非常に絶対的に不足していてその情報が十分本省へ送れないことだ、これが最大の悩みですと、こういうふうなことを言われたのですが、
外務省はそういうようなことについてどの程度認識しておられるか、またこれに対してどういうふうな配慮をされておられるのか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 全体的にこの外交基盤をひとつ拡充したいということで、これは日本外交を積極的に行う
一つの前提になるわけですからお願いもしまして、非常な財政の苦しい中である程度の
協力は得ておるわけでありますが、しかし全体的に見るとまだまだ日本の
外務省関係の予算は諸外国に比べると、特に先進国に比べると少し落ちておるんじゃないか。これは定員も少ないわけですが、予算の方も全体的に見て少ないように思います。特に、今
お話しのような情報活動、情報収集機能の強化は、これは外交にとっては欠くことのできないものでありますし、いわば在外公館の情報収集機能強化は、その公館にとっては死活的な重要性を持っておるということでありまして、ですから乏しい予算の中では相当力を入れておるわけですけれども、しかし全体的に薄いものですから
お話のようになかなか十分なことができない。ですから、電話であるとかテレックス等の通信費とか旅費、その他情報収集に必要な予算については多少の増額はありますけれども、どうも十分にはまだ行き渡っていないという点がありますが、今後ともこれらの点については皆さん方のひとつ御
協力を得まして順次伸ばしていかなきゃならない、そういうふうに思います。
これからの外交、世界の中で外交の役割というのは非常に重くなってまいりますし、電報料なんかは大変な勢いでふえておりますし、またそれが非常に外交の判断をする上において重要な役割をしておるわけですから、そういう点てはこれからもひとつ力は注いでまいりたい。まあ何分のひとつ御
協力をお願い申し上げます。
-
○三治重信君 一般の経費の節減とこの外交
関係のやつとは質が違うということでぜひやっていただきたいと思うし、日本の生きる道と言えば貿易
関係や国際
関係が正常化していくことが基本なんだから、そこで第一線が一生懸命仕事をしてもその成果が本省へ全然——全然と言っちゃ悪いけれども十分に伝達されないということは、やはりこれは
外務省ひとつ一遍ふんどしを締め直してやってもらわぬといかぬのではないかと、こういうふうに思ったわけでございますから、どうぞひとつ頑張っていただきたい。まあ補助金とか何かほかのことから言えば大した金額じゃないわけなんでね。
それから、ブラジルでは日本人の移民が非常にサンパウロを中心にして活躍しているのですが、この中には県人会なんかが非常に活躍していることは御
承知のとおりでございますが、それで見にいって驚いたのは、各県が相当資金を出して各県人会なんかに補助金を出している。愛知県なんかは立派な愛知県人会館を何か三億とか数億出してつくって提供していると、こういうことなんですね。
そういうことからいくというと、日本で政府の対外援助を非常な勢いで今増加さしているわけなんだが、日本の日系市民が外国で非常に活躍し、そしてその社会に貢献しているという、その中でいろいろのグループをつくってやっている。それは
自分たちの地位の向上や利益の発展もあるかもしれぬけれども、その
地域のために相当活動することが期待されるわけなんですが、こういう方面に政府の対外援助資金というものの一部が使えないものかどうか。県では県会でいとも簡単に出しているみたいなんですけれども、国として出すとすると一般の補助金みたいにはできぬとすると、対外援助費なんかを使ったらどうかと、こう思うんですが、そういうものについてできないものか。まあ南米のブラジルでは非常にそういうことを感じました。
それからペルーでは、あそこは恐らく一番初めは農業の雇用移民契約で入植したんだろうと思うんですが、先輩で偉い人がおって、やはり日本人がそこで働いて地位を確保するのは教育だということで、先人が非常に貧しい中を、いわゆる日本人の子弟のために学校をつくった。そうしたらば、
現地のペルーの人がその日本人学校へ入れてくれ、こういうことから始まって、ペルーの日本人学校では、リマの市の一般の市民が、おれも入れてくれ、これも入れてくれと言って、非常に入学志望者がある。そして、一遍入れたやつはやめるわけにいかぬから、逐次やっているんだけれども、なかなかこういう、今のいわゆる非常なインフレ等不景気な
時代でそれを維持するのが大変だ。これに対して、何とかそういう日本人学校で、
自分たちの子弟はとにかくとして、ペルーのその
土地の、リマの市民を教育をしているんだ。だからそういう費用は、やはり日本で何とか見てもらえぬだろうか、こういうような、非常な切実なる陳情を受けたわけなんですが、これに対してどういうふうに
外務省は対応されるか。
-
○
説明員(谷田正躬君) 最初に、御
質問の中の最初の南米移住の日本人に対する各種の援助につきましてお答え申し上げますが、県人会の
お話がただいまございましたけれども、国の方からは直接に県人会そのものに対しては援助は行っておりません。しかしながら、南米
地域に移住した方々に対して、その自立安定を達成するための援護業務と、それから融資業務という形におきまして国はいろいろな事業を行っております。
それを若干例示申し上げますと、援護業務に関しましては、例えば営農の指導とか農業試験場の運営。それから医療
関係につきましては、診療所とかあるいは医師の派遣。それから教育
関係でございますと、学校施設の整備とかあるいは日本語の普及の教育の補助。それから、そのほかインフラ、まあ社会的な施設といたしまして公民館の建設とかあるいは道路建設、保全。それから移住地の電化の助成。こういったようなものを主として行っております。
それからまた、
都道府県が行っております移住者子弟の留学生受け入れ事業、これは県費留学生と我々言っておりますが、これは県が行っている事業でございますけれども、これに対して国はその費用の一部を補助しているということでございます。
また、そのほか融資業務というのがございまして、これは移住者の方々が
現地で生活の基盤を確立し、営農を発展させるための融資の事業というもので、これはJICA、国際
協力事業団でございますが、これを通じまして、
現地の方々にそういった援護の手を差し伸べているという
状況でございます。
それから学校の問題でございますが、我々の方で
調査いたしましたところ、現在ペルー、リマにございます日本人学校には、ペルー国籍の生徒は存在しておらないということでございます。
それで、一般的に申しまして各国にございます日本人学校に
現地の方々が入りたいという話もときどきあるわけでございますけれども、そもそも海外におきます日本人学校というのは、長期滞在者の子弟が帰国したときに引き続き日本の教育制度に適応しやすいということが本来の目的で設立されたものでございまして、したがいまして、日本人学校におけるカリキュラムというのは、日本の文部省の認める教科課程に従ってやっておりますので、その意味では、
現地でおられる
現地の国籍の方の子弟というものには本来なじまない制度だというふうに我々は思っております。
ただ、中には若干、それでもいいからということで入学されるごく少数の方々があるというふうには
承知いたしておりますが、リマの件に関しましては、実は我々の方で調べた結果は、
現地の方々の生徒はおらないということでございます。
-
○三治重信君 そうですか。それでは日本人学校に入ってないということだよね、報告は。
-
-
○三治重信君 だけれども、日本人がリマの生徒の学校を経営しているということなんで、それならそちらの方で日本人の人が
現地の子弟を教育する学校を経営しているというふうなこと。一緒に食事しながら
現地の人
たちが盛んに言っていたんだが、もしもそういうふうだと、僕の方もちょっとはっきりしたことは言えぬけれども、とにかく日本人の幹部が、日本人の人が非常に教育熱心で、
現地で学校を経営しているから、一遍それを調べて、そういうことに対して、非常にペルーは不景気になって、そしてインフレになって、今までは何とか出していたけれども、こういうような不景気になってくると、学校経営というのはなかなかえらいものね、自分で金出してくるのは。
ということなんだが、それをひとつ一遍ぜひそれじゃ日本人が学校を経営して向こうの教育をやっていると。それに対してペルーの政府から何も援助がない。私立学校ということかな、そういうものに対して援助がないかどうか。それはどうなんですか、もしもそういうことになると。
-
○
説明員(谷田正躬君) ただいま
先生お話しのは
現地の日系の方々が経営しておられる日本語学校の
お話だろうと存じます。それにつきましては、我々の方で実態をよく調べた上で、それに対してどういうことができるかということを
検討いたします。
-
○三治重信君 それは、単に日本語を教えるというばかりじゃなくて、向こうの義務教育にかわる教育をやっているようなことを言っていましたがね。一般の向こうの義務教育にかわる教育をやっている、一般教育をやっているようなことだったと思うんだけれども、そこをひとつそれならば向こうのいわゆる市民教育というカテゴリーでできぬものかどうかということなんですが、これはひとつ向こうでやってもらいたいと思っております。
それから、今言われた、日本人で向こうからこちらの方へ教育に来るもの。これは非常な熱意を持って、まあ南米というのは遠いものだから日本へ帰るチャンスがない。そういうところで、呼んでもらって、いわゆる留学生ということで呼んでもらって、日本を知る、こういうことが非常に幸せなことだと。
これはペルーの方でも、殊に
先生に従事している人
たちがやはり日本精神で一生懸命教育しているんだけれども、全然日本へ一遍も行ったことがないと、とかく違った方向でペルーの市民に教えることになる。そういうことであるから、そこをひとつそういう歴史的に発生して、しかもそれが伝統的に市民の中へ食い込んでいて、そして日本人がそういう向こうの義務教育にかわる、学校教育にかわる行為をしていれば、私は日本人が経営しておっても対外援助基金というもので活用できるんじゃないか、こういうふうに思って、その点については何とかしようと言って、自民党の福田
先生やなんかと一緒になって、我々が帰ったら必ず
外務省にそういうことを言って、ひとつ善処してもらうようにするから、こう言っておったんですが、忙しくて今日に至っているわけなんで、こういう
質疑を通じてひとつお願いをして、これはほかのところでは聞かなかった問題、日本から向こうへ入植した人の中に先覚者がおって、ペルーの市民に日本人が信用を得るためには教育をやったらいいだろう、そしたら非常に集まって入ってきた、そしてペルーの市民の教育をそれをずっと続けているんだ。
まあ南米三国回ったけれども、大変なインフレなんだ。大変なインフレで、そうして少々の利益や生活の基盤が非常に揺すぶられている、だからいわゆる社会事業やいろいろな団体の経費を、いろいろ向こうでは日系の市民がこういうふうにやっていても、
自分たちの生活がだんだんインフレと不況であおられてきたものだから、そういう問題について、我々が行ったものだから何とかならぬか、こういうような陳情を受けてきたわけなんですが、ひとつペルーのやつはもう一遍何というんですか、日本人の教育がどの程度ペルーの市民にやっているか、そういうものに対してどうかというようなことを
調査していただきたい。南米の移民についてのいろいろな政府の施策というものは、そういえばこういうようなことを聞いてまいりましたんですが、非常にそれが効果的に使われている、こういうふうなことを思っております。
どうかひとつ対外援助も外国援助もいいけれども、日本人がせっかく移民していって、そこの社会的な地位を得たりなんかするためには、やはり対外活動援助費も正々堂々使ったらいいと私は思って帰ってきた。そういうことを
参考までに申し上げておきますから、ひとつ今後とも善処していただきたいと思います。
それだけしか通知をしておりませんが、ひとつ関連で、一昨年インドへちょっと党の派遣で行ったんですが、インドは社会主義を標榜している国で、主なやつはやっている。ところが、日本の商社やそれから何か行ってても、ほとんど大きな商談というのは政府の窓口を通じて商社なり何なりが取引をする、こういうこと。そうして、したがってフランスでも、西ドイツでも、イギリスでも、だから在外公館が先頭切って、うちの社のこういう製品はいいからぜひ採用してくれ、こういうふうにインド政府に非常に働きかけてやっている。ところが日本の大使や公使は、それはもう商売のことは商社や会社の駐在員がやることなんで、おれ
たちは知らぬと、日本だ
けが非常にそういうことに対して冷たい。それだからもう少し何というんですか、ほかの国がやっていて、日本の外交官にほかの国の、欧米の、ヨーロッパの国がやっていること以外のことをやってくれというわけじゃないけれども、そういう援助の姿勢、いわゆる社会主義国だから、だから政府が何でも口をきいて注文を取り決める。そこへ商社が直接インド政府の役人とやるのに、外国ではみんなそれを口添えして推進活動をやるというようなことを非常に聞いたわけなんだけれども、日本の在外公館ではそういう社会主義国やなんかの商談なんかに全然ノータッチだということなんだけれども、それは
外務省の方針かな。大臣がいないとわからぬかな。
-
○
政府委員(藤田公郎君) 私経済
協力を管轄しておりますものですから、ただいまの
先生の御
質問のうち経済
協力関係の部分についてお答えをさしていただきます。
一般的に
先生がおっしゃいましたように、ほかの在外公館、大使以下は、ほかの国については一生懸命応援しているけれども、日本だ
けが応援をしないということは、少なくとも援助
関係ということについてはないと思います。ただ、我が国につきまして、もう
先生先刻御
承知のことでございますけれども、若干イギリスですとか、フランス、ドイツ等と比べまして違っております点は、特にインドのようにアジアの国でございますと、日本の企業相互間の競争というのが非常に激しいものでございますから、ほかの国につきましては、例えばインドに出てくる
一つの分野での企業というのはある程度特定されているものですから、そういう意味ではわりと応援はしやすい、その企業を応援することがすなわち自国の利益保護ということになるということかと思いますけれども、我が国の場合には相互にたくさん複数の企業等があるものでございますから、そういう点ではやはり公正中立な
立場をとっていかなきゃいかぬというのが、若干ほかの国と比べますと相違している点ではないかと思われます。一般論でございますけれども、とりあえず。
-
○三治重信君 対外援助活動では外交官を主にしてその国と
交渉してやるのは当然だから、それは御答弁のとおりだろうと思う。僕の言うのは、一般の民間レベルの売り込みなんだよね。それは日本の方が過当競争であれもこれもと足を引っ張るような
交渉、売り込みをやるという欠点はあるんでしょう。しかし、欧米でも必ずしも一社だ
けが来て外交官と結託してやるということでもなさそうだと思うんだが、そこはひとつ、大臣はおられぬけれども、そういう自由な国ならいいですよ。自由主義の国なら通商
関係は、それは向こうも自由だから、政府もそうタッチしないでも。外貨の割り当てから、いろいろ機械の、通信施設なんかでもみんな国有化されているやつの購入なんかは、非常な
交渉力についての格差ができる。こういうものについて、だからしたがって、社会主義国についてはやはり日本の外交官は、どの社を応援しろと、こういうことは言わぬでも、日本のものを売り込んできているやつをひとつできるだけ買ってほしい、どこが買えないかというような情報を向こうと
交渉して情報を提供して有利にしてやる、こういうことはぜひやらぬと、政府が入った経済取引というものについてはやはり外交官はひとつ一肌脱いでもらいたい、こういうふうに思いますから、
一つこれは注文をしておきます。じゃ
外務省結構です。
それから今度は
防衛庁なんですが、
防衛庁、防衛費のGNP一%の問題が非常に言われておりますが、今度の
防衛庁長官はGNP一%厳守は非常に固いようでございますが、これまた政府全般の方針にも
関係するからここで議論しても余り意味がないと思うわけなんですが、しかし、そもそも防衛計画大綱を五十一年につくるときに、これをいつごろまででGNP一%で大体大綱が達成されると当時見込んで大綱を決定し、そしてGNP一%を超えないめどにおいてやるという場合の防衛大綱の達成年月というものはどの程度を大体考えてそういうふうにしたものと考えられますか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 五十一年に防衛計画の大綱が決定されましたときに、これがいつまでにという明確な期限を定めてはいなかったわけでございまして、つまりそれは先ほども大臣からお答えございましたように、それ以前の四次防までが一定期間を区切って整備計画をつくっていたということとはまた違うわけでございます。そういう意味で、いつまでにこれを達成するということではなくて、年々の経済財政
事情等を勘案しながら毎年度予算で決めていくという、一種の単年度主義で逐次防衛力を整備するということを決めたのが大綱の考え方であったと理解をいたしております。ただ、大綱から数日おくれましてできましたただいま御
指摘のGNP一%に関する閣議決定、この中に書いておりますのは、毎年度の防衛力の整備に当たっては、当面GNPの一%を超えないことをめどとしてやっていく、こういう書き方になっておりまして、そのときの当面とはどういうことであるかという議論が当時何回か国会で議論をされたことがございまして、いろいろな答弁ございますけれども、大体は当時のお考えになっていた方々は、当面というのは四、五年ぐらいじゃないかなというふうな御答弁をされている例が多うございます。そういうような
状況はあったように思います。
-
○三治重信君 そういうことだろうと思うんですよね。そいつが今日六十年になっても防衛費は一%を超えちゃならぬというのが、非常に政府もかたい操を立てておられる。これはもちろんそれを超えるとけしからぬということを主張する有力な党もたくさんあるからそういうことだろうと思うんだけれども、そもそも防衛計画大綱というものをつくってそれを達成するというときのひとつ一%を超えない範囲のめどという問題が、安易に書かれたことなのか、それとももう一%で大体現在の—五十一年というと相当経済成長力が四十年代から見ると五十年代の初めというのはぐっと下がったときなんだと思うんですよね、一〇%の成長から見れば半分ぐらいに下がったときの。そう一度に一〇%も経済成長があれしないんで、五、六%ならば五、六年でうまくいくんじゃないかというような甘い考え方であったんじゃないかと思うわけなんですが、そもそも十年たってもなお防衛計画の大綱が実行できないというようなことというものは、それで何というんですか、
防衛庁としては年月はつくらなかったからいいんだと、こういうふうな考え方なのか、防衛計画の大綱というものは一日も早く達成せぬことには五十一年につくった意味がないんだというふうに考えられるのか、防衛計画の大綱というものを早く達成しないことには次の対応ができないというふうにとらざるを得ないような気持ち、それがまだ十年たってもなおとれないということの焦りが若干
防衛庁にあるんじゃないかと思うんですが、その点の考え方というのか、気持ちというものはどういうふうなことなんですか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) 先ほども申しましたように、防衛計画の大綱が設定される以前の防衛政策の基本的な柱は、三次防、四次防にもわかりますように、五年間の期間を区切りましてそしてそれを総額を決めてその金額の範囲内で防衛力を整備していくという考え方でございました。ところが、御
承知のようにそういうことでは毎年平均一兆円ぐらい使っていて一体防衛力の行き着く先はどこかという御議論がありまして、その中で最終の目標の
一つのたたき台として防衛計画の大綱というものが出てきたことは
先生詳しく御案内のとおりであろうと思います。
したがって、この計画が本当にすべての
状況に対応できるかというような議論がいろいろあったり、まあ十分な準備をしてきた場合にはそれにどう対応できるのかとか、いろんな議論がございましたけれども、とりあえず我が国の基盤的防衛力としてはこういうものでやってみようということでつくられました構想でございますので、私
たちとしてはできるだけ早くその達成をやっていきたいと、こんなふうに思っております。
そういう意味で、
防衛庁は焦っているのかというような御
質問でございましたけれども、とにかくできるだけ早くこの水準に到達していきたいというのが私
たちの気持ちでございます。
-
○三治重信君 この五十九年の「日本の防衛」というこの本を見て、この「日本の防衛」の七十四ページに防衛力整備の推移で、表にきちんと色刷りであって、防衛計画の大綱というものが陸上
自衛隊、海上
自衛隊、航空
自衛隊とあって、それで五十九年完成時というのが書いてある。この左側に防衛計画の大綱と。こうやってずうっと見ていくというとほとんど達成されている。海では主要装備のところで船が若干足らない。それから航空
自衛隊のところでこれが作戦用航空機が非常に足らない。しかし基本的な部隊はほとんどできている。こういうことからいくというと、後もう何年ぐらいで一%以内でも防衛力大綱は、これを達成するには何年ぐらいかかるんですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) ただいま御
指摘ございましたその五十九年の「日本の防衛」の七十四ページでごらんいただきますと、ただいまおっしゃったような数字もございますが、例えば海上
自衛隊の主要装備で作戦用航空機の欄をごらんいただきますと、五十九年度予算措置の分が完成したときが百四十六機にしかならないということで、大綱水準が約二百二十機でございますから、ここではまず七十数機、七十機から八十機ぐらいの不足がまだあるわけでございます。それから、航空
自衛隊につきましても作戦用航空機が五九完成時で三百五十四機ということでございますから、これも八十機前後の不足があると。こういうことでございまして、御
承知のように航空機の値段は大変高いものでございます。そういう意味で、先ほどの船の不足数や何かも含めまして未達成分をいかに充足していくかということ自体相当な経費を要する問題であろうと思います。
それからまた、量的な問題と同時に質的な水準におきましてもしばしば申し上げますように継戦能力あるいは抗堪性、即応能力といったような面でまだまだ不十分な点がございまして、大綱水準と言う場合には、その大綱の中にもそういうものをレベルアップするという必要性がうたわれているわけでございますから、私どもはそういった第二の問題である質的水準の問題も考慮しなければならないわけでございます。
それから第三には、やはり正面を整備しただけじゃだめなんで、後方の支援態勢というものも整備をしていくというようなことが必要になろうかと思っておるわけでございます。そういったいろんな要素を整備をしていくということになりますと、これはやはりある程度の金額が必要なわけでありまして、それをまさに五九中業におきまして大綱水準の達成を期するということで現在作業をしている段階でございまして、今この時点で具体的な数字をもってまだ申し上げる
状況ではございませんが、これから鋭意作業を詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
-
○三治重信君 そうすると、十年かかってもまだ達成できぬ、今から何年後に達成できるかわからぬというようなことだとね、これは五十一年の防衛大綱というのはえらい膨大な計画だったということに、逆算をしていくともう到底五年や十年では達成できないようなえらい膨大な防衛力整備計画の大綱だった、こういうふうに判断せざるを得ないわけなんですが、それでいいんですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) ただいま申し上げましたようなことで五九中業の作業をしているわけでございまして、御
承知のように五九中業の対象期間が六十一年から六十五年度までの五カ年間ということでございますから、現在、
防衛庁としては六十五年度までに大綱水準の達成を期するということで鋭意作業をしているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
大綱が作成された五十一年度から今日までもう既に十年近くたっているわけでございますから、いつまでも未達成ということではこれは困るというのが率直に言って
防衛庁の気持ちでございまして、そういう意味で今回五九中業ではぜひ六十五年度までに大綱水準の達成を期したい、こういうことでございます。
-
○三治重信君 そうすると、意地の悪い
質問かもしれぬけれども、今度つくる五九中業で六十五年度までに防衛計画大綱を達成したい、それは一%の範囲内でできる計画なんですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) その点は先ほども申し上げたところでございますが、これは今作業中でございまして、一体どの程度の経費にそれがなるかということがまだ明確につかめる
状況ではございません。それからまた、今後のGNP自体も果たして実際にどういうふうになっていくかというのは、現時点では私どもとしてまた明確にキャッチできているわけでもないわけでございます。そういうことでございますから、今のこの時点で五九中業の内容がGNPとの
関係でどういうものになるかということについては明確には申し上げられないと思います。
いずれにしても、私どもは基本的には大綱水準の達成を期するということでこの作業をまずまとめてみたいというふうに考えております。
-
○三治重信君 そうすると、今度の五九中業が防衛計画の大綱を最終的に達成させる、最後といっちゃ悪いかもしれないけれども、まあ一応防衛計画の大綱が達成できる具体的な計画に五九中業はする予定である、こういうふうに理解していいわけですか。それが一%の枠の中へ入るか入らぬかは別として、今度の五九中業で防衛計画の大綱が達成できる計画のモデルができるんだ、こういうふうに理解していいんですか。
-
○
国務大臣(
加藤紘一君) そのとおりでございます。私の前任者の栗原
防衛庁長官が、昨年の五月に今度五九中業、つまり今
局長申しました
昭和六十一年から六十五年までの期間を対象とする私
たち防衛庁内部の業務計画でございますが、その五九中業の中において、その作成するに際しては水準の達成を完遂できるように考えながら、そういうめどをもって計画を立ててみなさいという指示を出しました。それで、その作業は六十年度の政府の予算案というものが大体固まりました今日の段階で、ますます作業がしやすくなるわけでございますので、今鋭意作業を進めているという
状況でございます。
-
○三治重信君 それは五九中業というのは大体いつごろ完成するんですか。
-
○
政府委員(矢崎新二君) 中業の作業の予定につきましては、例えば五六中業の場合も大体五十七年の七月の末に作業を終わりまして国防
会議への報告をし御了承いただいた、こういう経緯がございます。私どもは大体そういう前例を見ながら作業をしていくつもりでございまして、もともと中業というものが概算要求の
参考資料になるという性格のものでございますから、それに間に合うように作業をしていきたいということでございますので、本年の夏ごろには国防
会議への報告を申し上げ、御了承いただけるように
努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
-
○三治重信君 それからこれはまた別の視点なんですが、最近将補から三佐について十月から一歳定年の延長をした。それについて新聞報道だとそれは人件費の節約をするために定年延長をさしたのだというようなことがちょっと出ていたんですが、本当にそうなのか。退職金の節約といったってそれはもう順送りにいけばいずれそれはまた出てくるやつなんで、当面ことし一年、五十九年の予算あるいは六十年の予算で若干助かるかというだけのことなんですが、もちろん定年制の延長というのは人間の命の延びぐあいによって、一概にいかに自衛官だからといったって延長しちゃいかぬということではないと思うんですが、それが金のために定年が延長されるというのはちょっと困る、主客転倒だろうと思う。やはり人間の命が長くなってきて、それでせっかく経験を積んだ人がたくさんおるのに、非常に健康であるのにそれで首切ってしまうというのはもったいないから、やはりベテランとして残しておいた方がいいという全体計画のもとならばいいわけなんだが、そういう問題は、この新聞なんかにそんなことが出るということになってくると、一年延長されたのは予算のために一年延長してもらったような気になって、そんな人の指揮を受ける兵隊なり将校が、何だあいつ首切られるやつ、ちょっと予算がないために、退職金もらうために一年延びておるのだというような感じを持たれたら、これはえらい部隊の士気に影響すると思うことが
一つ。
それからこれには書いてないのですが、
自衛隊の平均年齢が非常に高くなっている。三十五歳ということを町で聞いたものだからちょっと調べたら三十三歳だと、こういうことなんですけれども、しかし自衛官の任期制、非任期制、自衛官の年齢を見るというと、士——昔の兵隊だな、士というものは十八歳から二十五歳未満の志願者から採る、こういうことになっていると、そんな三十二歳とか三十三歳とかいうような平均年齢に、十八歳から二十五歳未満の志願者が主力となれば、そんな三十二歳、三歳の平均年齢というのは、下士官が五十歳ちょっと超えるともう首だろうね。そうするとそんなのでどうしてそんな高い平均年齢が出るかと思うのですが、それはどういうふうになるんですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 二点お尋ねがございました。
まず初めに五十九年度の定年延長は財政上の見地からやったのではないかというようなお尋ねでございますが、実は定年延長につきましてはお尋ねにもございましたように、近年におきます平均寿命の延伸でございますとか、高齢者の労働能力が相当上がってきたということ、あるいは民間におきます定年が六十歳というものが相当多くなってきておる、こういったものも踏まえまして、あるいは私どもの中の装備が非常に近代化してまいりまして、体力を必要とする部分もだんだん少なくなりつつある、こういう
事情を背景としまして実は五十四年度から実施をいたしてきておるものでございまして、目的といたしますところは、先ほど
お話が出ましたように、
自衛隊におきます人材の有効活用、これは長い期間をかけあるいは経費をかけて養成してきております人材を早期にリタイアさせるのはいかがなものか、まだまだ体力もあり使える者であるならばいま少し
自衛隊のために仕事をしていただこう、こういうことが
一つと、それからやはり隊員の処遇改善という面もございまして、自衛官のちょうどライフサイクルからいきますと、従前の定年五十歳が大体平均的なところでございましたが、その時期はちょうど子弟の教育等で大変出費もかかる、こういう時期でもございますので、次の再就職の問題等も踏まえまして処遇改善を図り士気も上げていく、これがやはり
自衛隊の精強性にもつながるだろうということで実施をしてまいったわけでございます。五十九年度に実施をいたしましたのは、追加をいたしましたのは将補から三佐まででございます。これは五十八年まで実施をいたしました定年延長の結果、佐官クラス、特に二佐から准尉までの間が全部五十三歳という定年になりましたので、階級制を維持いたしております
自衛隊としましてはやはり適切な階級間格差が必要であるということと、佐官クラスと尉官クラスというものの職責上、当然そういった定年格差をつけて十分組織の中でやっていける、こういうような
事情もございまして五十九年度の定年を延長いたしておるわけでございまして、決して財政上の理由、こういった観点から実施をいたしたものではございません。
それから、第二点の高齢化の問題でございます。これにつきましては、確かに士の採用の基準が十八歳から二十五歳、こういうことになっておるわけでございますが、御案内のとおり現在実員でおりますのが、大体二十四万
自衛隊員がおりますが、そのうち士クラスが大体七万三千ばかりでございます。それから曹が十二万五千、それから尉官以上の幹部でございますが、これが約一六%の四万人ぐらいでございます。したがいまして、平均年齢といたしましては、先ほど
お話が出ました三十二歳程度の平均年齢に現在なっておりますが、この年齢は精強性を維持する上からはできるだけ低い方が望ましいという御
意見も当然あるわけでございますが、士の構成いかんによっては引き下げも可能なわけでございますけれども、確かに幹部自衛官、先ほど来の定年延長といったような
事情がございましたので年齢が上がってございます。したがいまして、私どもとしましては幹部クラスの高齢化というものが、やはり精強性を旨とします
自衛隊の隊務遂行上支障が出ては申しわけないということで、人事配置等に十分工夫を凝らし、あるいは定年制の改定も六カ年をかけて逐次実施していく、こういうような形で、精強性をできるだけ損なわないような形で私どもとしては工夫をしながら実施をしてきておるわけでございますが、何せ六年間ずっとやってきておりますので、相当程度高齢化も限界に来ておりますので、今後につきましてはやはりこういった年齢の調整と申しますか、高齢化をこのところで少し食いとめるということが必要ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、今後につきましては当面高齢化の影響をとめますように、人事配置等もさらに工夫を加えまして、十分
自衛隊の任務遂行に支障がないようにしてまいりたい、かように考えております。
-
○三治重信君 これは
質問通知してないことなんだが、これに関連してちょっと御
質問しますが、今、自衛官の方の年金の
関係の適用はどうなっているんですか。曹、尉以上は一般の非現業組合の共済組合法と一緒の適用になり、それから士の方も一緒なのか別なのか、そこをちょっとやってもらいたい。年金なんかが将来ずっと統合されていった場合に、非現業の公務員は、それと一般の厚生年金と統合されていくときに、自衛官の方の年金はどういうふうな考えで対処されようとしているのか。私は、年金の統合として、消防入れるか入れぬかどうかというんだが、警察官と
自衛隊は一般の年金というものと統合しちゃうのはなじまぬのじゃないかと思うわけなんですよ、非現業の。一般非現業の公務員はこれは統合していいと思うんだけれども、国の安全それから治安、秩序を維持する、しかも若いときに活動さして早く定年で首を切っていくというときの年金というのは、特別優遇することが必要じゃないかと常々思っておるわけなんですが、年金統合案が出ているときにちょっと追加して御
質問して、御意向を伺っておこうと思うんです。
-
○
政府委員(
友藤一隆君)
自衛隊員の年金
関係でございますが、任期制隊員は、御案内のとおり任期制ということで一定の任期が参りますと退職をしていくわけでございます。もちろん継続任用ということで可能でございますし、さらには試験等を受けまして非任期制の自衛官になることも可能でございますが、そういった方につきましては非任期制自衛官の例によって年金の制度がつながってまいるわけでございますが、任期制の方はやはり公務員期間がその点短うございますので、共済組合の中に入るわけでございますけれども、やはり期間が比較的短いということで、あと民間のしかるべき職場、あるいは他の公務員になられた場合、そちらの年金制度の方で後を見ていただける、こういう形になりますが、当然勤務期間については通算なり何なりの措置がとられる、こういうことでございます。
それから非任期制の自衛官、定年のある自衛官でございますが、これは一般の共済組合の年金制度の中で処置をいたしております。ただ若年定年でございますので、若干支給開始年齢等については優遇措置と申しますか、特例措置を講じておりまして、五十五歳から年金の支給が受けられる、こういうふうな仕組みに現在なっております。
それから、お尋ねのございました我々
自衛隊につきまして、一般の公務員の年金制度とまた違った角度から考慮すべきではないか、こういうお尋ねでございますが、現在進行いたしております公的年金制度の統合というような観点から、できるだけ制度としては国民年金あるいは厚生年金等含めて一本化をしていきたいというのが一般的な方針のように伺っておりますが、私どもとしましては、やはり若年定年という非常にハンディキャップを負っておりますので、そういったハンディキャップを十分救済できるような形での何らかの御処理が願えれば大変ありがたいと、こういうふうに考えておりまして、鋭意そういった
努力も考えておるところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 私は初めに、去る一月十六日に沖縄の基地の町であります金武町で起こった米兵による刺殺事件、このことについて尋ねたいと思います。このことについては一昨日の当委員会でも
佐藤委員が取り上げられましたが、私も重ねてこのことを取り上げたいと思います。
まず最初にお聞きしたいことは、法務省と
防衛施設庁がこの問題について現時点までの事実の
確認とそれに対してどのような対応をしてこられたか、そのことについてそれぞれ述べてください。
-
○
政府委員(梅岡弘君) お答えいたします。
私ども
防衛施設庁が
現地の那覇の防衛施設局から受けている報告によりますと、去る一月十六日未明、沖縄県の北部にございます金武町というのがありますが、同町には在沖
米軍の中の第三海兵師団のキャンプがございますが、その町内の前泊寛一さん、五十一歳の男性の方が自宅で就寝中に何者かに殺害され、現金が盗まれるという事件が発生いたしました。所轄の石川警察署で捜査本部をつくりまして
米軍と
協力して捜査いたしましたところ、ケルビン・L・ルイスという海兵隊所属の一等兵が容疑者と断定されまして、同人の身柄は米側で拘束されておりますが、ここ数日間石川署におきまして取り調べが続行しているという
状況でございます。
この件に関しまして、私ども防衛施設局といたしましては事態を重大視いたしまして、
現地の
局長、担当
部長、
現地の事務所長等を
米軍に派遣いたしまして、在沖
米軍の四軍調整官以下に対しまして綱紀の粛正、それからかかる事故の再発防止、それから被害者に対する補償への配慮というものを申し入れました。また中央におきましても、去る二十二日、在日
米軍司令部に対しまして同趣旨の申し入れを行っております。米側におきましては、在沖米海兵隊の法務
部長等が沖縄の県の副
知事あるいは地元の金武町長に対して遺憾の意を表明したと
承知しております。私どもとしましては、この事件が大変深刻な事件であるということでございます。
防衛施設庁として、安保条約地位協定に基づきまして施設区域を提供する実際の事務を
現地に行っている
関係から、大変残念なことであると、こういうふうに認識しております。
-
○
説明員(
東條伸一郎君) 事実
関係につきましてはただいま
防衛施設庁の方からお答えいただいたとおりでございまして、検察当局といたしましては右のような
状況の結果、本件の犯人が米海兵隊所属の
米軍構成員であるという疑いが強くなっているということで、現在警察当局で取り調べ中であると、それに対して検察当局としても全面的に捜査に
協力している
状況であると、このように報告を受けております。
-
○
喜屋武眞榮君 沖縄県民はこの事件をとらえて、沖縄県民は虫けらではない、悪逆無道の仕打ちだとこうとらえて、今島ぐるみ怒りの渦を巻かしてエスカレートしつつあるわけです。
それでは、今までにこのような事件が沖縄で何件あったか、法務省にお尋ねします。
-
○
説明員(
東條伸一郎君) 私ども沖縄の所轄をしております那覇地方検察庁の把握している事実を申し上げますと、
昭和四十七年五月沖縄県が復帰したわけでございますが、その後
米軍人による殺人を伴う事件というものが十八件ございます。その中で沖縄県民を被害者とする事件は、今回の事件、これが
米軍の構成員による犯罪ということといたしまして、今回の事件を含めまして合計八件でございます。残りの十件というのは、要するに
米軍の構成員同士の犯罪といいますか、ということでございまして、沖縄県民が直接被害を受けた事件は八件でございます。
御
質問の趣旨を若干出るとは思いますが、これらの事件についての裁判
状況を申し上げますと、いずれも我が方で裁判権を行使いたしまして、それぞれ所要の判決を受けているという事態になっております。
-
○
喜屋武眞榮君 それじゃ重ねてお聞きしますが、このような事件が、本土各県にも基地はあるわけですが、本土では何件ありましたか。
-
○
説明員(
東條伸一郎君) お答え申し上げます。
お尋ねの趣旨は、沖縄県復帰後
米軍人による日本人等を被害者とする殺人を含む凶悪事件で沖縄県以外で起こったものがどのぐらいあるかということと理解しておりますが、沖縄県つまり我が方で言いますと那覇地方検察庁以外の検察庁において四十七年五月以降受理しております
米軍人等による日本人等が被害者になっております殺人事件あるいは傷害致死事件の数を見ますと、全部で六件でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 他県におけるこの事件については尋ねる時間がありませんので、要するにあったとしてもはるかに少ない、ケースとしても悪逆無道に値するものではないということをはっきり言えるでしょうね。私はそう判断いたします。
それでは進めますが、この事件を、沖縄における金武町における事件をいち早くこれを裁かなければいけないわけですが、その障害になっておるのは何でしょうか、法務省。壁になっておるものは何でしょうか。
-
○
説明員(
東條伸一郎君) まあ事件の捜査の壁になるということになりますと、いろいろなことがそれぞれの事件で障害になるわけでございまして、
先生のお尋ねの趣旨がどういうところにあるのか私はちょっとわかりかねるわけでございますけれども……
-
○
喜屋武眞榮君 そういう理解の仕方だから問題の取り組みの姿勢があやしくなるんです。先ほども言った安保と地位協定でしょう。安保と地位協定のためにこれが障害になっておるということなんですよ。
そこで、私は外務大臣に尋ねます。
地位協定は一刻も早く見直さない限り、かかる事件は今後多くなることはあっても減ることはないと私は思っております。その見直すという中には
二つあると思います。
まず、私が思うのに、現
規定においても疑義解釈の仕方によって、そうしてそれを日本政府の姿勢によってまた結果が異なってくるということを私は感じております。例えば地位協定十七条のC項、もう時間がありませんから結論だけ申し上げますと、条文の中にその被疑者を引き取る場合のいきさつを、文言がありますね。「行なうものとする。」というくだりがある。ところが、行わなければならないとはない。ここにニュアンスの違いがあると私は思います。
もう一点は、刑事特別法の十二条、「合衆国軍隊から日本国の法令による罪を犯した者を引き渡す旨の通知があった場合」云々とありますね。これはいかなる場合に引き渡すのかという、またそのことがうたわれておらない。こういうところに私は問題が潜んでおる、潜在しておると思っております。
そこで、このことについてはきょうは触れません。地位協定の
一つの見方でありますが、私はこの地位協定なるものは米側が優位に立って、日本側の対米従属性が明瞭である、こう断じたいと思います。すなわち、よく日米の間はパートナーシップだとかこう言いますけれども、条約とか条文ということは、この協定というのは対等の
立場に立って結ぶべきものが本当の条約や協定の精神でなければいけないと思います。ところが、この地位協定なるものはあくまでも米側が優位に立って、日本側が対米従属性の上下の
立場に立ってこれが結ばれておるというところに、そこから生まれる、起こるところの被害は沖縄県民にこのように類例なく限りなく起こってくる。今後も起こるでしょう。そのことを私は思いまして、この際外務大臣に強く要望したいことは、もっと姿勢を正して、そしてこの根本をなす地位協定のその文言の持つ意味をしっかり解明していただいて、見直さなければ救えないということなんです。
それで第二点は、米兵の身柄を一日も早く日本警察が取り戻して裁かない限り、この問題はいつまでももたもたして、早急に
解決すべき大事な問題がいつまでももたもたするという、この焦りと矛盾をこの際外務大臣はしっかり
確認していただいて、私は結論を申し上げますと、日本側が裁判権を持つ場合の身柄の拘束は基地内といえども日本側が行う、この見地に立たない限り事件が起こっても速やかに処理していくことは困難であろうと私は思います。外務大臣いかがでしょう。
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○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 政府としましては、日米安保条約及び地位協定に基づきまして
米軍の我が国への駐留を認めているわけでございます。こうした
米軍の駐留は我が国の平和と安定を確保するためには重要な役割を果たしておるというのが政府の見解であります。
また、かねてから
米軍の円滑な駐留を期するとともに、
米軍の活動に伴って生ずる周辺住民の生活への影響を最小限に食いとめるように可能な限りの
努力を払っております。もって地元住民の理解と
協力を得ていくことが不可欠と考えておるわけです。
こうした基本的な
立場から、政府としては累次の機会に米側に対しまして施設区域の運営に当たって周辺住民の生活に最大限の配慮を払うよう求めるとともに、不幸にして事件等が発生した場合には米側に対し注意を喚起し、再発防止策をとるよう求めてきておるところでございます。
また米側もこの種事件等が発生した場合には、地位協定及び合同委員会合意等の
規定に基づきまして、日本側当局の捜査等に
協力しておる、こういうふうに
承知しております。そうしたことから政府としましては、今いろいろと
お話がありましたが、地位協定を改正するということは考えておりません。
また、地位協定が米国と不平等の
立場で結ばれておるということはないと、こういうふうに我々としては存じておるわけであります。
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○
喜屋武眞榮君 重ねて申し上げます。
事実は何よりの真実ですからね。アメリカ側、米側からすると二度とこのようなことを起こしませんというこの文句が常に繰り返されることなんです。日本政府はあとう限り
努力しますと、今もおっしゃったが、あとう限り
努力しますという、この中からは
努力したけれども、という答えしかはね返らんでしょう。それは地位協定の壁が立ちはだかっておる。それに対してどう対処するかということを考えてもらわない限り、限りなく事件は今後も起こるでしょう。その被害は比較的沖縄県民が、他県にもないとは言いませんけれども、余りにもかわいそうじゃありませんか、日本国民たる沖縄県民が、ということを申し入れて、結びとしてこのことをもう一遍問います。
外務大臣は、米側が容疑者の取り調べ、そうして公訴する、維持、そうして遺族の補償、これは余りにも当然でありますけれども、このことについて誠意を持って対応すべきである。今さっきも述べられたけれども、私は重ねてそのことを申し上げまして、もう一遍決意のコメントを求めます、大臣の。
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○
国務大臣(
安倍晋太郎君) この事件が発生をしまして、
外務省としましても
関係機関を通じて情報の入手に努めてきております。
また、日米合同委員会事務局を通じまして、米側に対して綱紀粛正の申し入れを行ったところであります。
米側も、本件につきましては、遺憾の意の表明を行うとともに、捜査等に全面的に
協力する、こういうふうに述べておるわけでございまして、したがって私は、これからも捜査が行われるわけでありますが、これに対して米側が全面的な
協力を行うことは、これは間違いないと、こういうふうに思っておりますし、なおこの捜査の結果、犯人が明らかになればこれに対して厳正な処断が行れることは当然のことである、こういうふうに思っておるわけであります。
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○
喜屋武眞榮君 よそごとと思わぬでくださいよ。本当に沖縄県民の
立場に立ってこの問題を受けとめてもらわなければいけないということを重ねて申し入れまして、次に
防衛庁長官に端的に申し上げます。
那覇
空港における弾薬庫建設計画について、建設計画は白紙還元、取りやめてもらいたい、これが結論です。理由は、これはもう簡単に申し上げます。
この認可権は那覇市長にありますね。那覇市長もこれは困るということで、その認可を保留しております。そして保留の状態の中で白紙に還元してほしいということを強硬に申し入れております。
理由は詳しくは申し上げませんが、
一つ、危険性を一層助長する、この中にはいろいろありますが、申し上げません。
二つには、那覇市の都市計画に支障を来しておる。三つには、軍民共用をやめて専用化すべきであるということは一貫した市民、県民の切実な願いであります。次に四つに、あの那覇
空港は、離島県である沖縄の離島、国内、国際、この広がりにおける大事な空路の拠点であるということ。
そこで、今まで私が受けとめる、はね返ってくる声は、法的に違法でなければ認可すべきであるという声が
防衛庁側からちらほら聞こえるわけですが、そういう形で権力でこれを押し切るとするならば、ただは済まぬでしょうということを私は警告しておきます。
こういうことで、とにかく弾薬倉庫の増築は控えてほしい。
もう
一つ裏づけたいのは、運輸省の大阪航空局の那覇
空港事務所の小川達雄
空港長は、この問題に触れて次のようにコメントしておられますことを
御存じでしょう。
空港管理者の
立場から好ましいことではないと表明しておられます。皆さんは皆さんの
立場からいろいろ理由をでっち上げるでしょう。県民は県民の
立場から正しいことを要望、主張するわけなんです。そしてその管理
責任者である運輸省は好ましいことではないと表明しております。政府の中でこのような異なった
意見がある。一体これをどう受けとめるというんですか。
さらに、既にある既存の弾薬庫二百四十三平米、そしてそこに爆弾換算量十七・八トン分の砲弾を貯蔵しておると言われておる。そうすると何ゆえに、今度はさらに爆弾換算量、今設置されようとするものは、十トンのプラスするところの百五十五平米の施設を必要とするという理由は一体何なのか、こういうことをいろいろ
検討した場合に、結論は、断じて強引に押し切ってこれをやるべきじゃないと、私は強く申し入れて、
長官のこれに対する見解を求めます。
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○
国務大臣(
加藤紘一君) 地元の
事情についてはいろいろございましょうし、私
たちもよく聞いております。ただ、この航空
自衛隊の弾薬庫建設は、有事におきます私
たち自衛隊の即応態勢の向上を図るためにもぜひとも必要なものであり、建設に当たりましては関連法規を十分に遵守し、必要な保安距離を十分確保するなど、安全対策に万全を期しておりますので、ぜひ地元の皆様にも御理解いただきたいと、こう思っております。
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○
喜屋武眞榮君 危険はいっぱいあるんですよ。
次は
外務省に、当委員会の沖縄
調査でこれも聞きました。今の弾薬庫問題もそうですが、
外務省は来る四月に、ASEAN諸国から政府
関係者やあるいは民間有識者を招待して人づくりシンポジウムを開催、準備中であると報じておられます。その会場を東京にするか沖縄にするか、まだ
検討中であるという情報を受けております。結論は、ぜひぜひ沖縄で開催していただきたい。
その理由は、ただ勝手に我田引水を申し上げておるわけではありません。
外務省は、ASEAN諸国の国づくりの基礎となる人づくりに対して、重要性から、四年前から、この運動の具体的な取り組みとして無償資金の
協力、技術
協力をしてきておられますね。その技術
協力の一環として沖縄国際センターを実現しておられるわけです。その沖縄国際センター、この前、
調査で一緒に
確認したわけ、
現地を見てきたわけでありますが、四月をめどにしてそれが完成すると、こういうこととそれからそのできばえたるや世界に誇る施設であり設備であるということを胸を張って話しておられました。私
たちもその
現場を見てなるほどと思いました。このことを強く申し上げまして、ぜひむしろタイミンングよろしく、どこでやらぬでもぜひこの際タイミングを合わせて沖縄でやろうと、こういうことになるべきだと、今までの経過からもまた国際センターの使命からも当然そうあるべきだと、こう思いますが、大臣いかがでしょう。
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○
国務大臣(
安倍晋太郎君) この件につきましては、昨年七月、ジャカルタで拡大ASEAN外相
会議が開かれました席上で、人づくりが国づくりの基礎として重要な役割を果たすという観点から、沖縄の国際センターが開館される時期に合わして人づくりに関するシンポジウムの開催を提案しまして、ASEAN諸国の賛同を得たわけであります。
現在、四月下旬の開催を目途に、鋭意、準備を進めておるわけでありますが、私もいろいろと聞いておるわけですけれど、
会議場等の都合上シンポジウム自体は、これは東京で開催すると。まあこれはASEAN諸国の方々の考え方、意向も、気持ちももちろんあるわけでありますが、
会議場、
会議開催、それに伴ういろいろの問題等もありまして、シンポジウムは東京で開催する、しかし、シンポジウム参加者に沖縄の立派な、でき上がった国際センターを視察していただく、こういう方向で具体策を進めておる、こういうことでございますから、ASEANの皆様には会館にはぜひ最終的に集まってもらおう、こういうことでございます。御理解いただきたいと思います。
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○
委員長(
佐藤三吾君) 他に御発言もないようですから、
外務省及び
防衛庁の
決算についての審査はこの程度といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十分散会