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丸谷金保君 場合によっては今のような措置もとらしていただかざるを得ないと思います。
ただ、私が今
北海道庁で調べたところによりますと、
防衛庁、道としては
所有権がどちらにいくかということが決まっていないので、それが片づいたらそれに基づいて
境界を
両町に諮って決めると、こう言っているんです。ところが、今
自衛隊で
買収したという
土地は、その
鈴木松男さんという人が
戦前から
採草放牧地として使用していたところであって、戦後
農地解放で
士幌町の
農業委員会を通じてニツタベルトから
買収した
土地なんです。そしてそのことは
登記上も明らかになっているんです。地番も、それから
買収したときの
図面もあります。地番確定した
士幌町側の
図面はあるんです。それから
鹿追町側は、
登記簿上の
図面も何も全くないんです。これについては、これは
登記所が違うものですから、
自衛隊の方が
登記しておる
登記所というのは
帯広支局なんです、法務局の、
帯広支局の
登記官からは、「本月十一日ご依頼のありました「
鹿追町
字ウリマク一三七番六三」の
土地に関する
図面につきましては、当
支局が保管しております
図面を精査するも発見することができませんでした。
念のため、
鹿追町役場の方も間合わせてみましたが、
国土調査の
除外地域でありますため、
該当地を特定するに足る
図面は見当らないとのことでありました。」ないんだよね、全然。ないけれど、
自衛隊は
公簿上で買ったということで、ここまでがうちの
土地だと、こう言っているんです。しかし
現実にはその
土地は隣町の
鈴木松男さんという
農民が
農地法で
解放を受けて三十数年平穏に使用しているんです。ですから、
二つの問題があります。
買収を
自衛隊がするときになぜ
現状を
確認して、そこが隣町の
農民が
採草放牧地として使用していたところだということを
確認して
買収しなかったかという問題。それから二十九年に
登記したといいますけれども、
登記簿上の何らの
図面はない、いわゆる
現状確認はしていなかったということなんです。それが一点。
それからいずれにいたしましても、
農地法で取得して現に三十数年そのまま平穏に使用しておりましたら、境域が、
両町の
境界がどうあろうと、その
土地は現に使用している者が
所有権を主張できるんですよ、
農地法上。これらをそのまま実はほうっておいたんです。たまたま今問題になりましたのは、ここに最近くいが入りまして、それが
自衛隊が主張するような、やや東に寄ったところにくいが入ったんです。このくいの
違い一つで約百ヘクタールに近い
土地の誤差が出てきます。
公簿上だけで
現地の
調査も実測も何にもしないで買っておいて、西の方からはかってきたら足りないから、ここまでおれの
土地だという、それはちょっとおかしいですよ。しかもそこを使っている人がいる。私は
現場へ行ってきましたが、だれが入れたくいだかわからないから、その
鈴木さん、抜くこともできないと言っているんです。しかし、昔からの
事情がわかっている人がいなくなったら、もうこのくいだ
けが物を言うことになったら大変だと。
私がなぜ
現場へ行ったかというと、
昭和二十八、九年当時、
鹿追演習場を取得するときに、
士幌町も売ってくれという話があったんです。私はそのとき
士幌で
農民運動をやっておりました。一歩も
士幌町内には入れないぞということで
買収の
反対運動をして、
境界の川のところでせきとめたんです。ここからは一歩も入れないと。当時そこの場所に立って私はむしろ旗を立てて頑張った
地域だからわかるんです。行ってみたら、くいの打っているところは、そのときに
自衛隊が仮ぐいを打ったところとは違うんです。私は当時この
境界のそうした
買収問題のときの
反対の中心だったものですからよくわかっているんです。そして、その
鈴木さんはもう七十七、八になりまして、私が死んで息子の代、その次の代とだんだん遅くなれば、昔のことを知っている者はいなくなる。だから私の目の黒いうちに、ここは昔からうちが使っていたんだということを確証しておかないと困るんで、だんだん古い人も死んでいくから、
丸谷さん頼む、こういうことなんです。
行ってみて、それから
十勝支庁その他で
書類を見て、私は非常に憤慨しました。
昭和三十三年ころから問題で、三十七年のときには道庁も中へ入ってやったけれども、
解決つかない。
境界変更は両方の
所有権の問題を決めてからやりますと
書類にも残っているんです、それは。そうなってからでも二十年以上たっているんです。もしも
自衛隊がここは私の
土地だと言うなら、ここに二十数年牛を入れさせ、
牧さくを回し、
使用料も取らないで黙って貸しておくというのはどういうわけですか。そんなことできるんですか、買った
土地に。どうですか、
長官、できますか、それ。