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栗林卓司君 それでまたこの表に戻るんですが、上の死者、負傷者を見ましても、事故件数、それから警察統計プラス五%、それぞれ乖離を起こしているわけです。後遺障害がふえている。だから先ほど申し上げましたように、実は後遺障害の前に傷害事案があるんです。今自賠責の事故年度の事故件数と交通事故者数プラス五%の差額、五十八年度で見ますと、大体これが六万件です。これは大ざっぱに言うと、後遺障害が下で伸びているでしょう、伸びていたことによる自動的な結果として伸びてくると見た方が間違いない。だって全部まず傷害が起きて後遺障害ですからね。資料としては両建てになるわけですね。これは資料のつくり方ですからどちらでもいいわけです。大蔵資料はとっておりますから両建てになる。したがってこの差というのは、実は後遺障害がふえたことによって物損による傷害請求
事件がふえている。その差が大体六万でありますから、下の方と見るとそうむちゃな推定ではない、となりますね。大体似かよっているでしょう。そうすると結局、何だふえたのは、後遺症がふえたので、後遺症の障害を頭に入れてもう一遍書き直すとよくわかる理屈じゃないか。考えてみるとそれだけのことかもしれません。
そこで最初に戻るんですけれ
ども、本来だったら五十八年度は黒、とんとんぐらいでしょう。それが二千六十三億の赤になっている。その理由はというんで私なりの推論をしてみたんです。そうすると、後遺障害がふえたその前提として傷害もふえた。そうしたものが乖離の主因だったんだろうか。そこで金額に置き直してみます。まず、後遺障害による慰謝料、これは千三百億ふえています、五十二年度と五十八年度を比べて。裸で比べれば千五百億ですけれ
ども、さっきの一番最初の表のベースでいきますと千三百億ふえている。これは慰謝料だけですよ。では、この表の上にある交通事故者数プラス五%のところと自賠責の事故件数の差が六万件。六万件というのは発生ベースですから、これを契約年度ベースに強引にえいやっと置き直しますと七万件になる。七万件に医療費の平均支払い単価を掛けますと約三百億です。ということは、後遺症で千三百億、その見合いとなっている傷害で三百億、締めて千六百億。もともとずれというのは二千三百億あったわけですから、差額七百億は一体何なんだろうか。
さっき実は最初の表で
大蔵省文句言うかと思ったけれ
ども、言わなかったのであれなんですが、実はあの最初の表は、警察統計は発生ベースでつかまえているものですから、全体が契約年度べースの数字を使っている中で発生ベースで数字だけを入れるということは実は間違いなんです。間違いだけれ
ども、その契約年度ベースの数字はないんです。推定するしかない。どうせ推定するんだったら、異質だけれ
どもぶち込んでしまえというんでやったんですが、ある程度契約年度ベースに直した補正をしておかなきゃいかぬかもしらぬ。ある試算によりますと、その補正というのは三百六十億です。数字を丸めて四百億としてみても間違いないかもしれません。千六百プラス四百、残り三百、三百は何だ。
五十二年度を見ていただきますと、警察統計よりも事故件数は下回っているんですよね。というのはどういったことなんだろうか。事故があったけれ
ども自賠責を要求してないというんですよ。ところが、先日
大蔵省に伺いますと、最近は実に自賠責を使うように皆さんなりましたというあたりが、こう比べてみると数百億の違いになっているのかもしれない。あえて言いますと、後遺症の
関係で千六百億。リトンベースと契約年度のずれの
関係で恐らく四百億はあるかもしれない。そして三百億はみんなが自賠責を利用することになったことによる増、締めて二千三百億、これが私の推論なんです。
御批判はしていただいていいんですよ。
大蔵省とすると、こういう荒っぽいやり方で推論するというのはお
立場上できないでしょうから、私が推論の仕方についてはあんまり大きく違ってないはずだというんでるる申し上げたんです。
そこで、大蔵
大臣に伺いたいんですが、後遺症による障害並びに慰謝料の合計千六百億、五十二年と五十八年比べてです。この千六百億というのは、五十二年度に警察統計の数字、平均支払い保険金の伸びを加味した数字と実際に出ちゃった保険金の差額は二千三百億あると。これを説明しないと料率アップはとても加入者にはお願いできない。ところが、後遺症の千六百億というのは二千三百億の実に七割になるんであります。赤字になった原因の七割がよくわけのわからない後遺症である。
そこで、今私これまで自分なりに推論してきたんですけれ
ども、実はこれ
実態を解明しようとしただけであって、本来のなぜそうなったのかという疑問についてはまだ触れてないんです。赤字になった原因の七割は後遺障害だと。しかも、その後遺障害は物損事故による後遺障害ですよ。わからないのは、物損による傷害がなぜ出たんだろうか。そして、それがそのまま何で後遺障害につながっていくんだろうか。これがわからない限り、なぜ二千三百億、そんなに違っちゃったんだろうか。なぜ神経症状とか、その他本人が悪いと言ったらとにかくうのみにするしかないような症状が激増したんだろうか。これはだれでも思うんです。この姿は自賠責が食い物になっている姿ではないか。こんな状態をほうっておいて料率上げたって、ざるに水をくむようなものではないか。この点について、やはり料率アップを――はい、お答えいただきたいと思います。