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木本平八郎君 実は、私、今回初めていろいろ
勉強しまして、結論的に感じたのは、こういう問題こそ、いい
意味においてまさに政治が出ていかなければいかぬ、政治家が乗り出さなければいかぬ問題じゃないかという感じを非常に受けたわけですね。といいますのは、まず水銀が非常に危ない、有害だというのは、
国民の素朴な心配なんですね。私なんかも、水銀というのは非常に有毒な物質だと、ずっと小さいときからそう思ってきたわけですね。現実に水俣病がああして起こると、これはえらいことだという感じを受けるわけです。
例は余りよくないかもしれないけれ
ども、例えば、原子力発電所の放射能は大変だ大変だというわけですけれ
ども、実際には石炭発電所が燃やしている石炭の方がよっぽど放射能を余計出しているわけですね。そういうふうなちょっと思い込みとか、錯覚が人間にはあるんですけれ
ども、それを必ずしも愚かとは決めつけられないわけですね。あるいは
国民の素朴な不安というものが、案外、百年たってみればそうかもしれないということだってあるわけですね。そういうことから
国民としては危ないんじゃないかという非常に心配があるわけです。ところが一方、専門家というか、業界もそうですけれ
ども、役所の方は、水銀というのは水には溶けないんだし、有機水銀になることはあってもそういう可能性はないんだし、あるいは大気中に拡散しても人体に害があるほど濃くならない。どういうふうにしても、ちょっとこれ困ったなということで、基準をつくりかねているというところなんです。それで、基準をつくってみたら、電池もみんなその下になっちゃう、下だからいいじゃないかと言ったって、
国民の方は納得しないというふうなことで、三者三すくみみたいな形になっているんじゃないかという気はするわけですね。そこで、やっぱり
一つの問題というのは、だから仕方ない、いやおれは悪くないんだ、あいつが悪いんだとか言い合ってみても、こういう問題というのは解決しないんですね。
そこで、私はぜひ
政府にも考えていただきたいのは、この基本に
国民運動があるということなんですね。私は、今後の日本の
環境を守っていくということについては、
国民運動を非常に大事にしなければいかぬ。市民がやはり
環境保全だとか、
公害防止だとか、自分たちの国土は自分たちで守るんだとかいう気持ち、これを大事にしなければいかぬ。したがって、乾電池をみんなどんどん集めているわけですね。これは非常にいいことだから、ぜひこれを進めていきたい。これを水ぶっかけるようなことをすると、みんながっかりしちゃって、次はやらなくなるから、何とかこういう
運動というのは進めていきたい。いいか悪いかは別にして、こういうのはどんどん進めていきたいということから、やはりこれは政治家というか、政治的な判断でこれはまさに処理しなければいかぬ問題じゃないかというふうに感ずるわけですね。
それで、時間も余りないんで、私のアイデア的なものをまず申し上げますと、乾電池は今七種類あるわけですね。七種類の中で、問題になっているのはアルカリ電池と、それから水銀電池なんですね。ほかのものは全然問題にならない。むしろ自然にある程度しか問題にならないわけです。この二つについて、私は、まず善人と悪人を分けて、五つの方のいい方はいい、悪い方の悪いやつだけ赤マークをつける、これだけはみんなで回収しましょうというふうに持っていくわけですね。これが、いい悪いは別にして、とにかく回収する。あとの五つは、これは一般ごみ並みに処理していただいて結構だと。したがって、Gマークというのは妥当かどうか知りませんけれ
ども、グッドのやつなんだと、善人なんだということで、一般ごみとともに一緒に処理しちゃう、悪い二つだけをマークするということですね。そういうことにして、水銀電池なんかは特別なルートで集めて、これだけは焼却して、先ほどのように水銀を処理して、あとはもう念のために硫化水銀にしてしまうと。硫化水銀にすればこれはいわゆる朱肉と同じですから全然もう毒にならないと。こういうふうにして埋めてしまえばみんなが安心できるのじゃないかという気がするわけですね。
こういうふうにして、
国民がみんな安心できるような処置をとるということがやっぱり必要なんじゃないか。業界にもこれはしようがないから、水銀電池を回収してそういうことをやる、それから今のアルカリ電池も基準がオーバーしている分についてはそういうふうな処置をするということを少し
協力を求めた方がいいのじゃないか。それで、この基準というのは、水銀というのは水に溶けないから、一億分の一ぐらいしか溶けないわけですから非常に始末に困るんだけれ
ども、一応水質汚濁の
環境基準が総水銀排出基準で五〇〇〇PPmですか。それで一般の水銀鉱山の近くの岩や石ころなんというのは大体一〇〇〇PPmぐらいの水銀を含んでいる。日本は火山列島で火山地帯だから水銀が非常に多いわけですね。こういうところから考えて、一応鉱山の近くの岩の半分ぐらいという五〇〇PPm、これがいいかどうかは専門家で検討していただかなければいかぬわけですけれ
ども、五〇〇PPm以下はGマークをつけてやる、これ以上はだめというふうにして当面スタートして、そして業界でアルカリ電池の水銀量が減ってくれば、その基準を下がればGマークに変えてやるというふうなことがやっぱりいいのじゃないかと思うわけですね。
それから、回答いただいていると時間がかかってしまうので、ついでにもう
一つ質問してしまいますけれ
ども、もしも日本がこれをやった場合、一番問題は
外国品の輸入なんですよ。いろいろな製品が、どんどん電池も一緒に入ってきておるわけですね。それで、もしもアルカリ電池ならアルカリ電池にこういう基準を適用しますと、新たな非関税障壁ということを言われる可能性は十分にあるわけですね。彼らに例えば赤いマークつけてこいと言ったって、いやおれはそんなものはつけないというふうなトラブルが起こってくることがあるので、
外国の、乾電池メーカーというのは余り多くないようですから、これをやはり国際的に事前に早い
段階で通知して、日本としてはこういうふうにやっていきたいということを通知だけはする必要があるのじゃないかという気がするわけですね。
私は貿易をやっていた人間として、日本としては技術的にいけると思うので、こういうふうに非常に低い水準にしておけば、今度アメリカだってイギリスだって、やっぱり水銀は低い方がいいわけですから、こういうことをわあわあ言えば、日本の電池がばあっとまた輸出できるんじゃないかと思いますけれ
ども、そういうなにも含めて、専門的なことは別にして、一応概括的に長官の御所見をいただいて私の質問を終わります。