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1985-04-04 第102回国会 参議院 環境特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         粕谷 照美君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 石井 道子君                 梶木 又三君                 藤田  栄君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 片山 甚市君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 木本平八郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石本  茂君    政府委員        公害等調整委員        会委員長     大塚 正夫君        公害等調整委員        会事務局長    菊池 貞二君        環境庁長官官房        長        岡崎  洋君        環境庁長官官房        会計課長     八木 規夫君        環境庁企画調整        局長       山崎  圭君        環境庁自然保護        局長       加藤 陸美君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        外務省国際連合        局経済課長    斎藤 正樹君        文部省初等中等        教育局小学校課        長        熱海 則夫君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    加藤 三郎君        農林水産省農蚕        園芸局農薬対策        室長       田中 良明君        林野庁指導部造        林課長      依田 和夫君        通商産業省機械        情報産業局電気        機器課長     広野 允士君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁))     ─────────────
  2. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  昨日に引き続き、予算委員会から審査を委嘱されました昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 いろいろお尋ねいたします前に、私の方へいただきました一般会計歳出予算目明細書というのがございますが、これの百六十七ページをちょっとごらんになっていただきたいのですが、この百六十七ページ金額がどうも私納得がいかぬのです。私の勘定間違いかもしれませんのでお尋ねいたしますが、公害防止等調査研究費というのが八億八千四百十一万と、こう組んでございますね。これは項ですが、事項のところへ行きますと公害防止等調査研究に必要な経費としまして七億七千五十万ですか、こう書いていますね。そしてその下の目の区分というところに諸謝金とか職員旅費とか委員等旅費とか公害調査費とか、公害調査等委託費と、こういうのがずっと並んでおります。それで、諸謝金職員旅費委員等旅費、それから公害調査費、これを全部寄せますとそれだけで六千四百八十八万二千円となるわけです。そうしてその下に書いてある公害調査等委託費、これが五億八百七万一千円とこうなっておりますね。これを全部寄せますと五億七千二百九十五万三千円とこうなりまして、それが公害防止調査研究に必要な経費の七億七千五十万六千円というのとどうも合わない。その前のページ公害防止等調査研究費全部が八億八千四百十一万円なんですね。どうも数字がばらばらなので、一体これはどういうことになっておるのか、何か抜けておるのか、ここに書いてあるのが抜けておるためにこうなっておるのかどうか、そういう点について御説明いただきたいと思います。
  4. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 大変恐縮でございますけれども、今、先生の御指摘いただきました資料あるいはそれぞれの項目につきましてちょっと手元に何ページ云々というのがよくわかりませんでしたので、暫時時間をかしていただきましてチェックさしていただきたいと思います。
  5. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 百六十八ページですね。その問題ひとつ御研究願います。  それからその次に、細かい問題で恐縮ですが、予算の話だからお尋ねいたしますが、百五十五ページ国際機関等派遣職員給与というのがございます。国際機関等派遣職員というのは環境庁の方の職員なのかあるいはそういう職員民間から雇って派遣されておるものなのか。これはよく外務省の方がこういう職員を派遣しておられる例があるんですよ。それでお尋ねいたします。具体的にはどういう性質の職員なのだろうか。環境庁のお役人なのか、そうでないのか。そして、そうでないということになりますと、これの給与が書いてありますが、年金問題はどうなるだろうか、外国に行っておる者の年金ですね。こういう点について御研究、御調査があればお答え願います。これは予算のことだからもうわかっているんでしょう。
  6. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 今、先生おっしゃいました百五十五ページ国際機関等派遣職員給与、これにつきましては、私ども職員国連等に出向いたしまして、そのときの給与あるいは手当等でございまして、その年間のものでございます。後段の年金等は、これは身分といたしまして国家公務員でございますから、ずっと通算されていく形になっております。
  7. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 ついでにもう一つ、細かい点で恐縮ですが、これは百六十六ページから百六十七ページに関するものですが、国立機関公害防止等試験研究費というのがございます。この国立機関公害防止等試験研究費というのはどこの機関にお いて行われておるのでございましょうか。
  8. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) これは私ども公害あるいは環境についての各官庁調整機関ということになっておりまして、それにかかわる調査研究をなさいます例えば厚生省、農林省、通産省等試験研究機関公害環境に関していろいろ勉強いたす経費等予算要求につきましては所要の調整をいたして、重複がないとかあるいは優先順位を決めまして、私どもが一括取りまとめた形で予算要求をするものでございまして、各省の関係機関研究費がまとめて入っておる項目でございます。
  9. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは次に、その次のページですが、百六十七ページ職員旅費というのが組んでございますね。この職員旅費職員は、これは環境庁職員じゃなしに、そのほかの官庁職員旅費でございますか。
  10. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) おっしゃるとおりでございまして、関係省庁の今申しました研究機関職員旅費でございます。
  11. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それではその次の問題に入りますが、環境庁研究所としまして国立公害研究所というのがございます。これがこの予算書に載っておりますが、これの項目を見ますと、研究員外国留学とかあるいは研究所職員外国旅費というものがどうも見当たりませんが、そういうものは要らないという趣旨なんでしょうか。それともどこかほかに費目がございますか。あれば費目を教えてください。
  12. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 公害研究所旅費の中には御指摘のとおり確かに外国旅費は入っておりません。したがいまして、必要な外国旅費環境庁全体の外国旅費の中で配分をしていく、こういう建前になっております。
  13. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 環境庁全体の外国旅費から出すという御趣旨でしたが、環境庁全体の外国旅費というのはどのぐらいございますか。
  14. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 先生、お手元資料の百五十五ページの下から数行目のところに外国旅費というのがございまして、お願いいたしております六十年度予算額では二千四百六十九万三千円を要求額として掲げてございます。
  15. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 環境関係のいろいろの国際会議があると思います。その国際会議環境庁の人がお出かけになりますと、この金額ではそれだけで終わってしまうのではないか。とても公害研究所まで回らないような気がいたしますが、これはもし公害研究所も含むということであれば、もう少し増額をするとか、あるいは別口に公害研究所外国旅費の目の区分を決められるとかする必要があると思いますが、その点についての御見解を承ります。
  16. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 外国旅費トータル自体が十分であるかどうかということにつきましては、全体の予算の中でいろいろやりくりしながらこういう数字を一応計上してあるわけでございます。形といたしまして公害研究所の中に別項目を立ててというような考え方もございますけれども、今までのところは、環境庁全体として調整を図りながらやっていくのが現実的であろうという形でこういう形をとっておるわけでございます。もちろん金額の多寡につきましては私どももできるだけ多い方が望ましいわけでございまして、その点につきましては毎年毎年財政当局にも大いに力説してお願いしておるわけでございますが、結果としては御指摘のとおり必ずしも多いとは言えないような数字でございまして、私どもとしてもどうやってこれの優先順位をつけて使おうかということにつきましては、執行の段階でいつも大変頭を悩ましておるというのが現状でございます。
  17. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 百五十五ページ外国留学旅費というのが載っていまして三百五十万四千円ですね。三百五十万四千円で外国留学が何人できるか大変疑わしいんですが、しかもこれは公害研究所の分まで含んでいるということになるとどういうことなんでございましょうか。
  18. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 現実の問題といたしまして、三百五十数万という数字は私どもの非常に若い職員外国の大学に勉強に行っているものを掲げておるわけでございまして、研究員が腰を落ちつけて外国のいろいろな機関勉強に行くというようなところまでは手が回っていないというのが実情でございます。
  19. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、予算の点はいろいろまだお尋ねしなければならぬ不審な点がございますけれども今回はやめておきまして、予算に関連する事項について御質問申し上げます。  ことしは国際森林年だということを国連の方で決められたという話なんですが、これにつきまして我が国においてはどのような対応をなさる御計画でございましょうか。
  20. 依田和夫

    説明員依田和夫君) お答えいたします。  お尋ね国際森林年に関します我が国の取り組みにつきましては、やはり森林林業の的確な発展とか振興といったようなことを視座に据えまして、まず森林林業に関します国民理解を深めるということが重要かというふうに考えまして、私どもといたしましてはまず国際森林年記念の森の造成というようなこと、それから国際的な記念シンポジウムの開催というようなこと、それから森林林業展というようなことを内容といたします国際森林年グリーンフェスティバルというようなことを考えております。また、次代を担います中学生を対象といたしまして、森林林業役割を解説いたしましたビデオとか副読本、このようなものを作成いたしまして、これを配布するといったような国際森林年に関します記念事業計画いたしておるわけでございます。  以上でございます。
  21. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 森林というものの民生における価値でございますが、これは緑という問題が最近取り上げられてきております。緑を世界じゅうにばらまこうとか日本じゅうにばらまこうということが政策の上で大変よく言われておりますが、その意味はどこにあるのでしょうか、お尋ねします。
  22. 依田和夫

    説明員依田和夫君) お尋ねの点につきましてはかなり広範な内容を含んでおる点がございまして、どういうポイントについてお答え申し上げたら先生の御趣旨に合うかについて若干戸惑っておりますけれども、一応私ども林野庁といたしましては、緑というものにつきましては人類のいわゆる文化のふるさとであるというようなこと等、非常に広範な意味を持っておる。もちろん私ども林野庁といたしましては、木材の生産とか、それから環境保全、それから水資源の涵養といったようないわゆる国民生活に極めて重要な内容を持ちます緑につきまして、これを大いに育成保全するということが重要だというふうに考えておる次第でございます。
  23. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 林野庁の方のお答えをいただいたわけですが、この問題は林野庁所管もあるでしょうが、同時に環境庁の方でも御関心があると思いますよ。環境保全のためには緑をふやしていくんだということはかねがねおっしゃっているんですが、この国際森林年に当たりまして環境庁はどういう行政施策をなさろうとしておるのかお伺いします。
  24. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) かねてから、先生森林の問題につきましていろいろ御教示を賜っておるところでございますけれども、ただいま御質問にもございましたとおり、国際森林年に当たって特にという問題と、常日ごろからあるいは将来とも続けていかなければいかぬ問題と両面あるわけでございます。  まず基本的には、先ほど林野庁の方からもお答えがございましたとおり森林はいろいろな働きを持っておりまして、そのうち環境保全の面で果たす役割というのは非常に大きいものがございます。私ども特に自然保護関係所管いたしております自然公園国立公園国定公園県立自然公園等でございますが、これもその大部分森林部分でございます。これはもともと日本列島そのもの森林に非常に恵まれておる、ないしは非常に貴重な森林を持っておるというところから来ると ころでございまして、当然なことと思っております。ことしたまたま国際森林年ということで、一つのエポックといいますかエベントをいろいろ考えておられることは先ほど林野庁の方からお話ありましたとおりでございますが、その一つの柱といいますか中心になる機関といたしまして国際森林年推進会議というのを持っておられることはもう先生御承知のとおりだと存じますが、環境庁もその一員に加わっておりまして、そこでいろいろ御論議いただいておるところでございますが、今後その中からいろいろな素材が出てくるわけでございますけれども、結局は、環境庁といたしまして従来からもやってきており、また今後進めていきたいということを森林年ということを契機にして大きく伸ばしていきたいと考えておりますので、今後さらに具体的なものが次々と出てまいると思いますが、それに環境庁としては全面的に協力し、また一般世論へのPR、それから環境教育ないしは私どもの方で行っております緑の国勢調査実施段階での国民との対話なども、この際強力に進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  25. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 大体わかりましたが、どうも漠然としておるのでもう少しお尋ねします。  せっかく国際森林年ということで太鼓をたたいておるわけなんですが、そういう観念が国民の中に余り浸透していないのではないかと思いますがね。これはもう日本政府挙げてもう少しPRをしないと都合が悪いのではないかと思われるんですよ。そこで、広く国民の参加を求めるために、マスコミにお願いをして太鼓をたたいてもらうとか、あるいは具体的に予算を組んで緑化運動を進めるとか、あるいは都道府県にお願いしてやってもらうとか、いろいろなことがあるはずなんですが、こういうことについて、林野庁とか建設省とか、あるいは環境庁とか、そういう方面ではどういう計画をお立てになって実施しようとされておるのですか。
  26. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 私どもの方からお答え申し上げます。  若干詳しく、長くなるかもしれませんが、お許しいただきます。先ほども若干触れましたが、環境庁におきましては、自然公園法あるいは自然環境保全法に基づく緑の保全ベースとしてやっておるわけでございますが、それに加えまして、特に最近の国民皆様方関心の高まりも踏まえまして、まず市町村を実施主体とする都会地近傍、これは大都会地だけではございません、中小の都市も含めてでございますが、その近くにおいて小鳥のさえずる森という名前をつけておりますが、これは、森がベースにあるわけでございます。小鳥のさえずる森の確保を図る運動を進めております。それから、身近な自然に力点を置きまして、特にこれは大都市近傍になりますが、自然に親しむための自然観察の森というものを企画いたしております。これは既に始めております。それと、従来から続けてやってきておるものでございますが、東海自然歩道を初めとします長距離自然歩道整備、これらを通じまして、国民が緑に親しむ場を整備していこうといたしておるわけでございます。なお、私ども所管公益法人でございますゴルファーの緑化促進協力会とかいうような諸団体も通じまして、学校、病院などの公共施設緑化などに協力していただくという運動も進めております。  いずれにいたしましても、緑の保全と、それから創出に関する施策を効果的に推進してまいりますためには、先生おっしゃいましたとおり、国民皆様の御理解と御協力を得ることが非常に重要であると思っております。そのため環境庁といたしましては、広く新聞社テレビ各社の御協力を求めております。また、政府といたしましても、政府広報の活用あるいは各種パンフレットの作成、配布というようなことをいたしてまいりたいと思っております。従来もやっておりますが、今後も強力にしていきたいと思っております。それから、自然公園大会を初め、いろいろな催しを通じて、これは特に子供さん方への浸透が図れる機会でございますので、これを進めてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、これらの手段、方法を通じまして、また花と緑というようなキャッチフレーズと、それから内閣を挙げてのPRを進め、国民理解協力を得てこの仕事を進めてまいりたいと思っております。
  27. 依田和夫

    説明員依田和夫君) ただいまお尋ねいただきました森林重要性、意義づけ等につきまして、国民に大いに知らしめるということにつきましては、御指摘のように極めて重要だというふうに私ども考えておりますので、先ほど環境庁さんの方からお答えいただきましたように、私どもといたしましては、まず広く各省庁皆様方に御協力を賜らなければいかぬということで、まず既に政府の内部におきまして、緑化推進連絡会議というものを各省庁間で設けられておるわけでございます。ここにお諮りいたしまして御協力をいただくということ、それからあと、民間皆様方、それから関係のお役所等におきまして、いわゆる国際森林年推進連絡会議というふうなものを設けさせていただきましたほか、民間皆様方国際森林年推進協議会というようなものもつくっていただきまして、先ほど先生お尋ね内容等につきまして広く国民PRし、知らしめるというようなことについていろいろと御協力をいただいている次第でございます。  また、都道府県におきましても、これから緑化シーズンになりますので、例年いろいろな行事等が行われますが、ことしの国際森林年の、いわゆるFAOからの私どもの国に対する要請の中身といたしましては、青少年を大いに緑化等に参加させよというような要請がございますので、ただいま申し上げましたような都道府県の各緑化行事において、青少年等を大いに参加させていただくようないろいろなプログラムを組んでいただくようなことを都道府県要請いたしておるところでございます。
  28. 熱海則夫

    説明員熱海則夫君) お答え申し上げます。  文部省では、従来、学校教育の中でも、もちろん森林教育といった面については配慮して指導しているわけですが、従来から緑化運動推進という立場で、具体的に例えば特別活動などという時間がございますが、そういった時間を通じて一鉢運動とか、花壇づくりとか、記念植樹とか、こういったことを積極的にやるようにというような指導とか、あるいは学校において学校林、こういったものをできるだけふやして、これを利用した緑化活動をやってほしい。あるいは緑化環境整備、例えば学校学校の森といったものをつくるとか、いろんな形で文部省としてもそういった緑化運動推進を図ってきているところであります。なお、実際の教科の学習などでも、もちろん森林の公益的な機能だとか、人間生活のかかわりとか、こういった面については各発達段階に応じてやっておるところでありますし、教科書などについても十分その点は配慮しているつもりでございます。
  29. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、実際の施策としまして、都市とか工場周辺緑化するということが行われていますが、この場合に植える樹木ですが、これはCO2分解作用、つまり炭酸ガスを分解して酸素をつくるという作用を年じゅう続けるというためには、やはり常緑樹でなければならぬのじゃないか、しかも常緑樹も針葉樹じゃなくて濶葉樹である方がいいのではないかというようなことが言われておるわけです。  そこで、例えばシイとかカシとかいったようなものですね。そういう樹木に現在植えられておるような落葉樹を植えかえさせるという作業、こういうようなことについてはどのようにお考えになっているでしょうか。
  30. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) まず、私の方からお答えさせていただきます。  先生の御指摘、立派なお考え方と承ります。常緑広葉樹の持っておる機能というものは、いろいろ非常に難しい研究を要する問題であるそうでございますけれども、確かに常識的にもそういうことは言われておりますし、一つ考え方であろう かと存じます。特に、現在でも工場周辺緑化ととかいう場合には、観賞効果も大きいということもございまして、常緑広葉樹シイとかタブとかいうものと存じますが、常緑広葉樹が多く用いられております。なお、すべてがそうであるかという点につきましては、緑化一般について見た場合に例えば街路樹のお話なども、これは考え方でございますが、秋風とともに葉を落とす木、マロニエとかプラタナスというようなもの、つまり落葉広葉樹が合うというケースもありましょうし、どのような樹木を植えるかということにつきましては、緑化という趣旨と地域の実情と両面を考えながら判断されるべきものではないかと一応考えておる次第でございます。
  31. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 現在、新聞などの報道機関が伝えるところによりますと熱帯林が最近非常に減少してきておる、戦火あるいはいろいろの天然現象で減少してきておるということが伝えられております。そこで、そういう熱帯における森林というものが従来炭酸ガスを分解するのに非常に役立ってきた、その力が減ってきておるわけなんですが、こういうものを回復させることが今日必要ではないかというふうに考えるわけでございます。  実は、この東京タイムズの記事でございますが、東北大学の理学部の超高層物理学研究施設主任教授田中正之教授が発表しておられる。それによりますと、現在のような状況でCO2がふえ続けていくならば、二〇五〇年には産業革命以前に比べ倍増するということが予想される。そうなるというとその結果どういうことになるかといいますと、短期的には寒冷化の時期がある、寒くなる時期があるが、長期的には温室効果による温暖化が寒冷化を上回る。そして地球上に現在とは全く変わった状態が生じてくる。現在砂漠じゃない北米あたりはもうこれは砂漠化する。それからヨーロッパも砂漠化する。雨の多いところと少ないところがはっきり分かれてくるということが書いてありまして、また、温暖化した場合に氷が解ける。南極、北極における氷が解ければ当然現在の沿岸都市は水没する、そういう状態が生ずることは目に見えておるんだ、そういう事態が来ないようにするための対策が必要である、こういうことを書いておられます。これは学者が勝手に言っておることだといって笑ってしまえばそれまでのものですけれども、何かそういうこともあり得るのではないかと思われるわけであります。  そこで、そのようなことにならない対策を今日は地球的規模で、つまり国連が中心となって全世界的な規模で運動を起こすことが必要ではないかということが考えられるわけであります。まず、我が国の立場からいきますと、御承知のように歴史を見ますと、はっきり歴史の本に書いてありますが、中国大陸の中国の中部及び我が国は昔は照葉樹林帯であった。そういう森林帯であったのが現在はそれが失われてしまったということが書いてあります。こういう問題は歴史の問題として見逃すんでなしに、再び中国から我が国においては照粟樹林帯を積極的に建設していくという運動が必要ではないかと、このように思われるわけであります。ところが、そういうことのためには日本だけがひとり考えておるだけではだめでして、世界的な規模で行う。熱帯横林をふやすということも必要なんだが、そういう温帯地帯においてもそれが必要なので、そういうことについて外務省ではどのような対策をお考えになっておるのか。外国との間の交渉あるいは共同作業といったようなことをやる上においての問題ですが、お伺いいたします。
  32. 斎藤正樹

    説明員(斎藤正樹君) お答えいたします。  先生から先日、照葉樹が全滅しつつあるという問題点の御指摘がございました後、早速我が方の北京大使館を通じまして中国林業部にその事実関係につきまして照会いたしました。中国林業部の回答によりますれば、現在のところ特定の地域で特定の樹木が甚大な被害を受けているとの報告はないということでございました。ただ、一般的に既に中国を含めまして林業分野での国際協力という点につきましては、関係省庁と御相談しまして推進しておるところでございまして、この照葉樹の問題につきましても、あるいはその他の面で林業分野での協力が中国側からございますれば、我々としてもさらにどういう形態の協力が可能であるかということについて検討するつもりでございます。
  33. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは次の問題に入ります。  除虫剤の問題でございますが、以前は松に虫がついたときに除虫剤を散布しておりましたが、その除虫剤というものは生物に影響があるというふうに言われておりますが、人間に対して影響はないのかという問題。それから除虫剤に関連しまして除草剤がございますね。こういうものの毒性の程度はどうかということについてお伺いをいたしたいと思います。そうした薬剤で草を取ったり虫をとったりするということが自然に対してどれだけの害悪を及ぼすか、あるいは害悪を及ぼさないかという問題について御質問申し上げます。これらの関係官庁、これはどちらでしょうか。
  34. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) ただいま御指摘のマツクイムシの防除には農薬MEPないしNACが用いられているところでございます。これは農薬一般について言えることでございますが、登録されない農薬については一切販売が禁止されているわけでございます。その登録に当たりましては、各種毒性試験、それから急性毒性試験、慢性毒性試験、それから次世代に対する影響、それから催奇性、変異原性というようなことについてかなり詳細にチェックが行われておるわけでございまして、私どもとしては少なくとも人の健康については問題ないというふうに判断しているわけでございます。  また、水産動植物に対する影響につきましてもチェックが行われているわけでございまして、その限りでは問題ないというふうに判断しているわけでございまして、除草剤についても同様のことが試みられておるわけでございます。ただ、除草剤にいたしましても、それから殺虫剤にいたしましても、動物ないし植物に対して影響があるからこそ有効に働くわけでございまして、その使い方いかんによっては人間の健康ないし環境、生態への影響が出るおそれなしとしないわけでございますので、私どもは今後ともさらに慎重に現状を調査検討いたしまして、必要があれば改善を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  35. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 毒性があるかないかの問題は、これは企業に任せておきますと非常に甘い判断になってしまうわけですね。かつてPCBの問題がございましたが、PCBは毒性の問題を十分研究しないで通産省が製造を許可し奨励した。つくり上げたところがカネミの問題が起こって、毒性があるということで現在まで大変なことになっていますね。そういうように処置を誤りますと困ったことになると思います。  そこで最近新聞などを見ていますと、この除草剤汚染ということがしばしば出てくるんですよ。新聞に除草剤の大気汚染という問題が出てくるということになりますと、これは放置しておくわけにはいかないのではないか、監督官庁として、それこそ公害研究所があるんですから公害研究所研究させるべきであると私は思いますが、そういう研究を現在どこかでさせておるかどうか、そしてチェックする準備をしておるかどうか、お尋ねいたします。
  36. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 最近、農薬は一般に使用量は横ばいから減少傾向をたどっておりますが、その中で除草剤が占める割合が伸びているわけでございます。特に除草剤につきましては有機塩素系の除草剤が多く用いられておりまして、この有機塩素系の除草剤は非常に安定的で分解しにくいというような特徴があるわけでございます。私ども、先ほど申し上げましたように、農薬の登録に際しましては当面の毒性以外にも作物における残留性、土壌における残留性、それから水質汚濁性、簡単に申せば水の中における農薬の機能をチェックしているわけでございますが、その中で一応現在問題ないとは判断しておりますけれど も、このように有機塩素系の農薬の除草剤の割合がふえております現状から、水質汚濁性というようなことについて水中の藻類あるいはその藻類を食べる魚等を通じて生物濃縮が行われ、最終的に人への影響が出るのではないかというような点がいろいろ指摘されておりまして、このような観点から現在三つの主要な検討項目に絞りまして検討を進めておるわけでございます。  一つは農薬の不純物の安全性をチェックするために簡単な試験方法を開発することで、これは農薬そのものについては不純物を含む農薬について毒性チェックがされておるわけで、一応現在問題はないと思いますけれども、特にCNPについては1・3・6・8ダイオキシンが含まれているというような指摘もございますので、不純物を不純物としてチェックするための試験研究を、簡易なテストをする方法を開発するために勉強しております。  第二点といたしましては、農薬の生態系への影響ということで、特に第一次的な生産者である藻類への影響を簡単にチェックするための試験研究を現在続けておるわけでございます。  さらにまた、第三点といたしましては水質汚濁性への影響、これは現在水質汚濁系農薬の基準では必ずしもこれは有効に働いてない面もございますので、これを登録保留基準等を新たにつくることを検討しているわけでございまして、いずれにいたしましても早急に結論を出し、御指摘のような御懸念のないように万全を期してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  37. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 その点はわかりましたが、それでは除草剤の製造とか輸入とか保管について、特定の基準を設けて現在何か実施しておられますか。
  38. 田中良明

    説明員田中良明君) 先生指摘の除草剤の製造、輸入及び保管等につきまして御説明さしていただきます。  除草剤に限らず、農薬一般につきましては農薬取締法に基づきましてその製造業者あるいは輸入業者の方々は、その農薬につきまして農林水産大臣の登録を受けなければ販売することができないという仕組みになっておるわけでございまして、その登録検査に当たりましては、農薬の見本やら各種の毒性試験成績に基づきまして安全性が厳しく検査されているということでございまして、こういった安全性の確認されたもののみが販売されているというわけでございます。また農薬の取り締まり職員は、その販売されております農薬につきまして現地等に赴きまして集め取って検査をいたしまして、登録の際の見本と同一の品種であるかどうか、そういうことを確認したり、あるいは農薬工場への立入検査を行いましての製造面からも品質性、安全性の確保につきまして十分な指導を行っておるわけでございます。  また、農薬の保管につきましても、農薬の登録検査を通じまして、さまざまの農薬がございますので、その農薬の特性に応じた貯蔵方法が決められておるわけでございまして、これはラベルに表示させることになっておるわけでございまして、このような農薬の適正な保管につきまして、私ども農林水産省といたしましては、毎年六月には全国的に農薬の被害防止運動といったようなものを通じましてその指導を行っておるところでございますし、また都道府県段階におきましては県の病害虫防除所といったような組織を通じましてその地域の実情に応じました濃密な指導を行っているというのが現状でございます。
  39. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは時間がなくなってきましたので、最後に動植物の保護対策の問題についてお尋ねいたしますが、保護を要する鳥類、獣類、魚類、いろいろあると思います。そういうものに対する愛護思想教育ですね、これはどのような方法でやられておるか、こういう問題をお尋ねいたしまして、その後、先ほど予算の点で不十分であった点についての御説明をお願いするということで、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 愛護思想というお話でございます。確かにこういう問題は制度的な対応ももとよりでございますけれども、まず基本的なものといたしまして国民のみんなが大事にするという思想、もちろん適切な大事にするでなければならぬわけでございますけれども、その対策のベースとしては、先生指摘ございましたように、思想の普及と申しますかPRと申しますか、それと重要なことは青少年、特に学校等における環境教育の中にそういう心構えを自然に溶け込ませていただくといいますか、心に刻み込んでいっていただくということが大事であろうと思っております。その手段といたしましては、先ほども若干触れましたが、森づくりの運動であるとか、あるいは自然調査に積極的に参加していただいて……
  41. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 時間がありませんので、簡単に答弁を。
  42. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) はい。どういうものが身近にあるかというようなことを見ながら、その思想を深めていっていただくということをお願いしたいと思っております。
  43. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) お時間をいただきまして恐縮でございます。  先ほどの百六十八ページ数字につきまして、御指摘公害防止等調査研究に必要な経費七億七千五十万六千円、これの内訳でございますが、そのページの目の区分で五項目挙がっておりますが、実は大変遠くの方で恐縮ですが、その次のページ百六十九ページの下から七、八行目のところに目の区分といたしまして公害医療研究費補助金というのが一億九千七百五十五万三千円ございます。ここまでを足したものが先ほどの七億七千万になるわけでございまして、これで合計になるわけでございます。
  44. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 八億八千四百でしょう。
  45. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 七億七千五十万六千円……
  46. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 いや、百六十七ページ
  47. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 恐縮ですけれども、その数字的なものについては後で……
  48. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) はい、後ほど御説明に上がります。
  49. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 環境基準をどう達成するかということは私は環境行政の基本であると思います。  そこで、前回に引き続きまして新幹線騒音について質問したいと思います。国鉄の方の五十九年十二月測定によりますと、線路の中心から二十五メートル離れた標準点で平均が七十七ホン、この数字を五十六年の名古屋市の調査結果等を見てみますと、二十五メートル地点では七十八ホン、一ホンよくなっているように見えますが、ただ熱田区のこの地域は大体七十七ホン地域でありまして大した改善になってないんではないかと思うんです。さらに十二・五メートル地点を見てみると、七十六年段階で七十九ホン、さらにこの熱田の地域ですと八十をはるかに超えていると、こういう点で見てみますと、若干の改善が三年間に見られたとしてもそれは極めて微々たるものであって、環境基準の達成という点から考えますとあと三カ月ではとても達成できるものではない、むしろこのままでは達成は先の先になってしまうと、こう思うんです。  そこで、大気保全局長、前回私の方、で達成はもう絶望ではないか、となれば、それを前提とした勧告なり指導をなすべきではないかという指摘をしたんですが、それに対しての答弁は、ともかくも達成期間が来てから調査した結果にまちたいと。しかし、わかっているんだったらそのときに達成できないこととして原則などそういう実効ある措置をとるべきではないか、こういう指摘をしましたけれども、それも調査結果をまってからということなんです。これは恐らく原則ということを具体的に頭に置いたものだから、今からそういったことまでは言えないというんですが、言えることは、もし環境基準が期間が来ても達成できない場合には環境庁としては実効ある措置を勧告するということはこれ当然だと思うんですが、どうですか。
  50. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 前回お答えいたしましたことの繰り返しのようになるかもしれませんが、 御指摘のように、東海道・山陽新幹線につきましては今年の七月に環境基準の最終達成目標期限が到来するということはもう決まっておるわけでございます。私どもといたしましては、この新幹線鉄道の沿線地域におきまして達成状況把握のための調査を行う、そしてその調査結果を踏まえた上で関係機関に必要な働きかけを行ってまいりたいという点につきましては変わりはないわけでございます。今、先生いろいろとおっしゃったわけでございますが、私どもの今の考え方は、前回もお答えいたしましたが、期限の到来までになお多少時間が残されております。それから関係機関におきましても、環境基準達成に向けて最善の努力が続けられているというふうに私どもは期待しているわけでございますので、現段階におきまして見込みに基づいて云々するということは適当ではないのではないかということで、前回もあのようにお答えいたしましたし、その考え方は今日も変わっていないわけでございます。
  51. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 見込みといいましても既に平均が七十一ホンぐらいまでいっておる。年々一ホンずつよくなっている、だから期待もできるんですよ。ところが、はるかに遠い国鉄の調査でも七十七ホンなんという、これは七十五ホン地域もありますから、それはいいけれども、しかし七十七ホンという、しかも改善が微々たるものだとなれば、これはもう当然予測できると思うんです。それはさておきます。  問題は、しかし期限が到来し調査した結果、環境基準を達成していない、その場合には当然勧告すると思うんです。勧告の中身として今までのようなことだと実効性は大変薄いんですよね。となれば、やっぱり実効性のある勧告をする、具体的中身は今特に問いません。しかし少なくとも実効性ある勧告をすると、これは当然でしょう。もしそれを今言えないとすれば、環境庁環境基準達成については責任を負わないということになるんじゃないですか。せっかく私の方で実効性ある勧告と、言葉は多少抽象化して答弁を準備してあげているんだから、どうですか、そういう答弁はできませんか。
  52. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 御指摘のように現状が改善されなくてはこれはもう達成できないということになりますから、当然達成に向けて実効のある内容のものを少しでも進めていただくということになろうかと思っております。
  53. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に、今度は東北・上越新幹線で、これは北区住民との間に裁判の和解ができました。その和解条項における努力目標として七十ホンであります。そこで、これは試運転期間もありましたし、操業後も三週間近くたっています。そこで、国鉄として上野ー大宮間の騒音、振動の測定はしておりますか。しておったとすればそれを御答弁いただきたいと思います。
  54. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 東北新幹線の東京都北区内におきます列車走行による騒音、振動につきましては走行開始後直ちに調査実施しておりますが、まだ現在十分なデータを取りまとめるまでには至っておりません。しかしながら、これまでの測定結果によりますと環境庁告示の環境基準等を下回っておりまして、またこの区間は線形上の制約から列車速度が時速百十キロ以下ということになっておりますために、騒音は線路に近接いたしました高層建築物の上層階等ごく一部の特殊な箇所を除きまして和解条項におきます努力目標を達成いたしております。
  55. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の方で事前に何度か関係部局の方にそのデータ、調査結果を教えてほしいと言うんですが、これはまだ公表できる段階ではないんでしょうか。
  56. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 現在の段階でまだ十分なデータがとれておりませんので公表できる段階ではございませんが、いずれ北区でも調査をなさっておりますし、そういったものとの整合をとりながら公表することを考えてまいりたいというふうに思っております。
  57. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは、北区の方ではこの基準をオーバーしたというデータがあるということで、その辺の調整を図っておるとなると、これは一体どういうことになるのか、ちょっと疑念に思うのです。  そこで環境庁、こちらの方はもう既に操業後直ちに環境基準を達成しなければならない場所ですから、環境庁としてはこの調査、これはどうなんですか。
  58. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 今、国鉄からも御答弁がございましたように、調査結果そのものはまだ公表されておりませんので、私どもも今おおよその状況を伺ったわけでございますが、御指摘の上野—大宮間につきましては、これはもう開業時直ちに八十ホンを達成するようにということになっておるわけでございます。それから今お話ございましたように、北区において国鉄当局と住民との間で環境基準を下回った目標のようなものを何か設定しておられるというように伺っておりますが、今のお答えですと八十ホン以下であるということだけは確認できるように思います。
  59. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この場合にはやはり住民との協定、これは努力目標であります七十ホンを基準にして考えるべきだし、それから見てどうかということで環境庁もいろいろ指導すべきだと思うんです。それはそれとして、環境庁独自の調査、これはあってしかるべきじゃないかと思うのですが、その調査をするのかしないのか、その予算的裏づけ、これはどうですか。
  60. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 環境基準の達成にかかわります調査予算のことは前に先生お答えしたかもしれませんが、六十年度の予算額はまだ今御審査いただいておる予算の中に計上されておる額でございますが、これが九百七十五万一千円でございます。これは最終達成期限が到来いたしております東海道・山陽新幹線沿線の約百地点程度を目標にいたしました金額でございまして、中間達成期限の分は今回の予算には実は計上されておらないわけでございまして予算そのものはないわけでございます。ただ、最終達成期限の到来しておりません線区につきましては、沿線の地方公共団体に協力を求めまして、実態を把握してまいりたいというように考えております。その際、測定の時期、方法などにつきましてはできるだけ全国的に斉一を期して行っていただくということが評価の上でも必要でございますので、そういうことで協力要請しておるということでございます。
  61. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ここはもう当然三月操業ということがわかっておったわけですから、直ちに達成期間到達ということになるわけですから、これは当然それに対する予算的裏づけをとってしかるべきだったと、こう思うのです。  次に進みますが、騒音問題とは直接関係ないんですが、国鉄が北区住民との間の和解条項第二項に、建設工事に関する補償責任の存否及び額等について協議を要する事項については、両当事者は、誠意を持って協議するものとする、こういう協定があるんですが、住民の皆さんに聞きますと、国鉄は全然問題にされないで交渉に入れないでいるというのですが、これではやっぱり和解条項を誠実に守る立場とは思えないんですが、その点はどうですか。
  62. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今の先生の御指摘の点につきましては、和解が成立いたしましたのは五十九年十月三日でございますが、それ以降五十九年十二月七日から現在まで四回にわたりましていろいろ住民の方々と、今、協議の対象とすべき項目について御協議を申し上げているという段階でございます。そのうち実際にいろいろお話しのございました中で、実施に移せる部分につきましては例えば家屋調査資料がまだ各戸に配付していない、そういうものを早く配付されたいというようなお話もございましたし、そういった実施できるものについては即座に実施いたしております。
  63. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 国鉄といえども工事で被害を与えたら当然補償するのは当たり前ですので、その辺で誠意を持ってやっていただきたいと思います。  次に、減速問題ですが、これは第一審の判決の中でも、現時点における騒音、振動に対する唯一の即効的効果をこの減速がもたらすということ で、実際、例えば百キロに減速した場合、あるいは百十キロに減速した場合、相当数の騒音の減退があるというのはこれはもう明らかだと思うんです。まずお伺いしたいんですが、この減速によって音が下がる、しかも相当数下がるというこの事実はお認めになりますね。
  64. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 減速によって騒音が減少するということについてはそのとおりでございます。
  65. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは、地域によっても違いますけれども、百キロに減速した場合には多いところでは五ホンから九ホンですね。百十キロに減速した場合でも四ホンから七ないし八ホンというような減速、これは裁判の資料でありますけれども、これは明らかだと思うんです。そこで、減速したことが運行上時間増となって運行に影響が出るんじゃないかということが当然問題になると思うんです。しかし、それはわずかなもので、名古屋のあの周辺で、これは百十キロに減速した場合に下りで二分四十秒、上りで二分十一秒、これは余裕時分に相当吸収されまして列車には余り遅延を来さない。例えば「こだま」ですと名古屋—豊橋間で大体吸収してしまう、「ひかり」だと浜松までで大体吸収できる、こういうことだと思うんですが、これはどうでしょうか。
  66. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 先生指摘の、今の問題の名古屋の七キロ地区で仮に時速百十キロまでの徐行をした場合の影響はどうかということでございますと、先生のおっしゃるように、下り列車につきまして三分、上り列車について三分三十秒、平均いたしますと約三分程度の時間影響が出てくるということになると思います。  また、これと運転上の余裕時分との関係でございますが、運転上の余裕時分と申しますのは、単に漫然と余裕時分を設定しているということだけではなしに、その沿線地区におきましてもろもろの工事等の問題によりまして徐行が必要な場合が出てまいります。そういったたびに一々時刻表を変更するということはできませんので、そういったものを加味いたしまして余裕時分を設けているものでございまして、ダイヤの定時性の確保という点から考えますとこの余裕時分を食っていいということにはならないというふうに考えております。また、減速につきましては、この区間で減速をするということは、やはり公平の原則ということから考えますと当該地区だけにとどまるものではない。したがいまして、これは同等の地区について推定いたしますと、東京—新大阪間におきまして、「ひかり」の運転時分におきましては一時間四十分程度、「こだま」の運転時分におきまして一時間三十分程度の影響が出るというふうに考えております。
  67. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 全線に及ぼす影響はまた別の議論で、余裕時分をどう見るかという問題だと思います。それからまた分は、影響するのは二分四十秒ないし二分十一秒と私は申し上げたので、多少数字は違いますが、それはいずれにしても吸収できることだと思うんです。その議論は時間がないのでやめます。  問題は、今回のダイヤ改正によって、いろんな停車パターンの多様化によって、例えば東京—新大阪間の到達時間はたしか速くなった。三時間八分ですか。しかし、途中でいろんな駅にとまるということで、これは結局本来行くべき時間よりは余計かかるわけですね。そうすると、この問題と名古屋のこの七キロ区間の問題、同じ問題か、むしろ名古屋の方が減速してしかるべきじゃないかと思うんですね。というのは、停車パターンの多様化というのはだれのためか、これは言うまでもなくお客さんの利便、そしてお客さんの利便を図って国鉄にたくさん乗ってもらって国鉄の収益を上げよう、大体そのぐらいだと思うんですよ。要するに営業上の問題ですね。片や、ここは人間がいるところです。  この間私は「人は石垣」という話をしたけれども、人間を大切にすればむしろそこを避けて通るか、あるいはそこで減速して被害を避けられるような措置をとるということだと思うんですが、今回いろんな停車パターンをつくった、それは私は結構だと思うんです。しかし、それができるのなら、これは明らかにスピードを犠牲にしたことは間違いないんだから、それができるのならばなぜこの七キロ区間を同じように扱わないのか。この事実は私は国鉄当局が人命や人体被害よりもみずからの営業の方を大切に考えている、そういう結果にならないかと思うんですが、この批判に対してはどうお答えになりますか。そこに限ってください。
  68. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今回三月十四日に行いましたダイヤ改正におきまして、先生指摘のように、「ひかり」につきましてもお客様のニーズの多様化に伴いましてそういった各停車駅を増加するような形での列車パターンの多様化を行ったわけでございます。その中で、例えば東京—新大阪間につきましては、先生のお話にもございましたけれども、在来三時間十分であったものは今三時間八分に上げるというような措置もとっております。  それはさておきまして、この多様化の目的でございますが、例えば東京から静岡に行くお客様、あるいは東京から浜松に行くお客様、あるいは浜松から名古屋に行くお客様、そういったお客様の中から到達時分の短縮についての御要望が非常に強いということに基づきましてそういう御要請に応じるために実施したものでございまして、一例について申し上げますと、東京—豊橋間につきましては……
  69. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 いや、そういう問題、中身は時間がないから結構です。
  70. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 二時間二十分程度でありましたものが、今回のダイヤ改正によりまして一時間四十分程度ということで、この場合については約四十分程度の短縮を行っているわけでございます。したがいまして、これはお客様のニーズの多様化に応ずるという観点から実施をしたものでございます。
  71. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、ニーズの多様化、それは結構だと思うんです。その多様化にこたえるためにはスピードをダウンしたんですから。そうでしょう。となれば、人命や健康被害が目前にあれば、なぜそれを重視してスピードダウンできないのか、これが私の疑問なんですが、お答えいただきたいと思うんです。  同時に、もう一つ、全線への影響。一時間三十分ないし四十分と申しましたが、これは名古屋大学の吉村功教授の「新幹線公害の計量的比較への一接近」という調査がありますね。これは、影響というのは、例えば二十五メートル地点、それは影響はみんな同じだと思うんですよ。しかし、そこにどの程度の人が住んでおるのか、むしろそこにどれほどの影響を与えるのか、それが大事だという調査なんです。この調査結果は御存じかと思いますが、ずっと全線を調べた結果、最も沿線の周りに人が多いのは東京区間ですね。その次は大阪を超えて名古屋のこの七キロ区間なんです。そしてこの東京区間は御承知のとおり大変な減速をしていますから、影響が一番大きいのはこの七キロ区間で、これに匹敵するほかの場所は存在しないというんですね。それは確かに同じ影響は一人も何人も同じかもしれぬけれども、しかし損害ということを考えれば、こういう調査結果があるんですからこれはぜひとも参考にしていただきたい。そして減速への努力をしてほしいと思うんです。これをもう一つお答えいただきたい。  時間が来てしまったんでもう一つ。いよいよ判決を迎えますが、私は判決という時期は和解成立の、全面的解決の最大のチャンスだと思うんです。今まで衆議院でも、全面解決せよという指摘に対して、まあその気持ちはあると、ただ、判決まではなかなか難しいというような御答弁もありました。だから判決の時期です。これは一つの裁判所、司法機関の判断が下った時期ですね。と同時に、今までのいろんな大きな公害訴訟事件を見ましても、大体この判決時期を契機に全面解決に向かっておるんです。  例を一つ申しますと、私自身が担当したイタイ イタイ病裁判でも、第二審判決直後に全面的な解決ができましたね。その結果、補償はもとよりのこと毎回立入調査を住民がやって、専門家も連れていって被害者と専門家の目で発生状況を見る、そういう協定までできたんです。それ以来着実に十三年間、毎年立入調査をしてきました。そうしますとカドミの発生量がけた違いに落ちて、もう今はppb段階です。今、自然界と同じぐらいのところを目指しているんですね。その結果が、三井金属の公害防止技術も飛躍的に進んだので、恐らく私は世界最高水準だと思うんです。そういうことが本当に国鉄が国民とともに生きていく道だと思うんです。だから、ひとつお勧めしたいことは、この判決を機会に、まさにチャンスとして全面解決へ進むべきじゃないか。この三点について、時間がありませんからそれぞれ簡単にお答えいただき、環境庁長官、ずっとお話をお聞きいただきまして、今、最後に申し上げた判決の時期というのはまさに全面解決のチャンスですので、その時期にそういう方向へのリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、そのことについても端的にお答えいただきたいと思います。
  72. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 時間が来ておりますので、御答弁は簡単にお願いします。
  73. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) まず第一点の、スピードダウンをしたのではないかということにつきましては、東京—新大阪間を御利用になるお客様につきましては全くスピードダウンしておりません。逆にスピードアップしていると。それから先ほど申し上げましたように、豊橋から大阪に行かれるお客様についても時間の速達を図っているということでございまして、全体を減速して全部の列車がおくれてしまうということとは本質的に異なるものであるというふうに考えております。  それから第二番目の、名古屋地区が著しく多いのだからその部分だけでいいのではないかという御指摘につきましては、やはりその地区の住民あるいは住居の多い少ないということだけで差をつけるということはいかがかと、公平の原則に反するのではないかというふうに考えておりまして、そういった主張につきましては第一審判決の中でもお認めいただいた論点ではないかというふうに考えております。  また、今、先生からお話しございました判決後における和解解決と申しますか話し合いにつきましては、私どもといたしましても話し合って解決のできるものにつきましてはぜひそのように図っていきたいと思っておりますし、いずれにしてもその判決の動向を見守らさせていただきたいというふうに考えております。
  74. 石本茂

    ○国務大臣(石本茂君) 先生のお言葉は十分によくわかります。まだ判決以前でございますので、判決を前提としたことになりますので言葉を控えさせていただきたいと思います。
  75. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  76. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 建設省が昨年八月の政府決定に基づきまして環境アセスメントの実施要綱を詰めておったところ、今回通達を出したと聞いておりますが、他の省庁等も含めて具体的な実施スケジュールをまずお伺いいたしたいと思います。
  77. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。  昨年八月の閣議決定に基づきます環境影響評価の制度につきましては、各省庁におきましてそれ以後精力的な準備を行ってきてもおりまして、多少の時期のアンバランスはありますが、恐らく今月中にはそれぞれ通達が出せるように取り運ばれるものと考えております。  なお、対象事業の種類あるいは対象事業者の数の多さなどから周知徹底に要する期間が多少差がございますので、具体的な通達の発出時期につきましては若干の違いが出ることはあると存じます。  またなお、実際にこれが実施されるまでには技術面の整備が非常に大事でございまして、私ども技術指針と呼んでおりますが、その準備を終えました後に半年程度のリードタイムを置きまして、いわば猶予期間を置きまして全面施行に入る、こういう大まかなスケジュールを各省庁そろってやろう、こういう考え方でございます。
  78. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これを円滑に実施するためには、このような閣議決定に至る経緯から考えまして、一たん廃案になる、それから今度はまたもう一遍提出を図る、それが結局このような形に、私はあえて追い込まれたとこう言いますけれども、そういういきさつの後の閣議決定で実施要綱ということになったんでございますから、やはり主務官庁として環境庁のリーダーシップというものは絶対に欠かせないものだと、こう思いますけれども、どうでしょう。局長、その辺の決意を披瀝していただきたい。
  79. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 先生指摘のように、ああいう経過をもちまして、閣議決定という形式をもっての環境影響評価の実施でございますので、私ども長年にわたる今までの実績も踏まえましてリーダーシップを発揮してまいりたいと思っておりますが、まず何と申しましても、昨年八月の閣議決定は、内閣とも御相談を申し上げつつ環境庁が実質的に取りまとめ、推進を図った責任を持っておるわけであります。なお、この閣議決定で説けられました、各省庁整合のある、足並みをそろえての実施につきましては内閣環境影響評価実施推進会議というものを設けております。そこでも、性質上内閣官房副長官が議長役を果たしますが、私の職にある者が副議長役を果たしておりまして、そういう意味でも全体の取りまとめを運んでおる、こう申し上げることができると思います。また、例えば、要綱の実施の手続につきましては各省庁の共通的な事項があるわけでありまして、それにつきましては、昨年の十一月に私どもがこの実施推進会議でまとめさせていただいた。また、手続の内容につきましても、例えば環境影響評価の調査とか予測とか、あるいは評価という、そういう技術的な、基本的な事項がございまして、これにつきましては環境庁長官が定める、こういうことになっておりまして、これにつきましても、昨年の十一月二十七日でございますが、私どもの責任においてまとめたわけでございます。  また、今後、近々決定が行われる運びでありますところの主務大臣、各省が定めます対象事業の規模の要件でございますとか、あるいは調査のためのさらに調査、予測、評価のための詳しい技術的な指針、これにつきましては、すべて環境庁長官が協議を受ける立場にある、そういうことで私ども省庁からの相談に応じて決定をしていく、こういうことになるわけでございます。そのほか、各省庁における諸般の準備状況の把握でございますとか、あるいはその促進方、こういう面につきましても所要の調整を行っているところでございまして、この閣議決定が法案にかわる代替措置としまして速やかに行われ、また適切に、全体として整合性のある形で実施される、こういう意味でリーダーシップをとってまいりたい、かように考えております。
  80. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今御決意を伺って心強くは思いますが、長官にお尋ねいたしますが、このアセスメント法は歴代の環境庁長官が何としても成立させたいというお気持ちがあったのは事実だと思うんですよ。鯨岡長官のごときは、これは何としても法制化したいということで、辞表を懐にして臨むという御決意も伺ったことが実はありまして、そういう経緯の後に法制化が断念されたわけでございます。これまでの委員会でも私何回もお尋ねさしていただいているんですけれども、地方自治体の方が先にこういったアセスメントを条例をもって制定いたしまして、先に一生懸命やっているような部分があったわけですよね。国がそれでなくても後追いという形であるわけで、それが結局法制化もできないということになったわけで、その点において半歩前進ではあるかもわからぬけれども、やっぱり環境庁としてはいわゆるアセスメント法の法制化に向けては努力を怠るべきでない、私はこう考えております。その辺につきましての長官のお気持ちをお伺いいたしたいと思います。
  81. 石本茂

    ○国務大臣(石本茂君) 今お言葉がございましたように、成立できなかったことを私も残念だと 思っております。しかし当面は、今、局長もいろいろと述べましたように、閣議決定の円滑な実施に努めていかなければならないということと、それから、この実施の状況を見ながら今後引き続き検討してまいるわけでございますが、環境庁としましては法制化を断念したわけではございませんことを申し上げておきます。
  82. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大いにひとつ長官、頑張ってください。  十九日に、中公審が琵琶湖の環境基準を類型IIに指定することを決めた、こういうニュースがございました。石本長官に答申をしたと承っておりますが、この類型IIというのは、IからVまでありまして、この琵琶湖の類型IIに指定されたということは、このIIという指定が妥当なものであるかどうか、さらにまた、妥当であるとすれば、やはり達成のタイムリミットというものが、長期にずれ込むということはぐあいが悪いと思いますけれども、その見通し等についてお伺いいたします。
  83. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 琵琶湖についての窒素及び燐に係る環境基準の当てはめにつきましては、ただいま先生のお話もございました中公審の答申を踏まえまして三月二十六日に閣議了解を行ったところでございまして、四月中に告示することを予定しております。この中で、琵琶湖については類型IIを当てはめたわけでございますけれども、琵琶湖の利用目的、琵琶湖の水の現在の利用状況、それからさらに琵琶湖の水質の現状から見て、IIに当てはめたことは適当ではないか、かように考えているわけでございます。概括的に申し上げますと、現在の琵琶湖の水質は類型IIと類型IIIの間にあるというような状況になっているわけでございます。  また、達成の見通しでございますけれども、現在見込み得る下水道の整備その他の対策を進めるとしても、特に全窒素に係ります類型IIの達成は必ずしも容易でないことは率直に認めなければならないわけでございまして、このために、達成期間については、段階的に暫定目標を達成しつつ環境基準の可及的速やかな達成に努めるということにしたわけでございまして、当面は六十五年の目標を示すことといたしまして、その後は暫定目標をおおむね五年ごとに見直すこととし、各方面の協力を得ながら着実にこの水質改善を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  84. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 なるたけ早く達成できるように、こういうものは、例えば六十五年と決めてやっていきましても、実際やっていったら早まることはなくて、おくれるケースの方が過去の例から見て非常に多いと思いますので、その点やはり環境庁としても、近畿で一番大きな水がめでございますし、大いにその辺に配慮しつつ、一日も早くこの基準が達成されるようにせっかく御努力をお願いしておきたいと思います。  次に、アメニティー関連予算ですね。一口にアメニティーといいましても、それはいろいろあると思いますけれども、このアメニティー関連予算が今期どの程度ついたのか、それは前年比幾らぐらいの増額になるのか、それから、例えば過去五年とか十年の累年のこのアメニティー関連予算の増減の度合いというものをお伺いいたしたいと思います。
  85. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) アメニティ、先生今御指摘のように大変広範あるいは多義的な概念でございまして、アメニティー関連予算ということにつきましても、いろいろその範囲なり何なり確定することがそもそもない概念でございますので、無理なところがありますが、直接的に私どもがアメニティーを提唱し、私どもの行政の中で一つ芽を出した事業がございます。それは実は五十九年度予算からでございまして、快適環境づくりを積極的に推進していくために、市町村におけるアメニティータウンの計画の策定に着目いたしまして、わずかではございますが助成を行ってきたのでございまして、一市町村当たり七百万円の補助で二十カ町村を考えておりまして一億四千万、これが五十九年度の財政事情が大変厳しい中における補助金の獲得であったわけでございますが、今年度、ただいま御審議いただいております予算におきましても、同額の一億四千万円が計上されているところでございます。  以上、非常に狭い範囲で事柄を申し上げましたが、そういうことになっております。
  86. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それで、局長は、今狭い範囲とおっしゃいましたが、もう少し概念的に広げて我我の快適な居住条件を保全し、かつそれを発展させていくための予算という意味でなら、これまでにも、五十九年以前にもそういう費目に該当するようなものはなかったんでしょうか。
  87. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 私どもが今やっておりますアメニティータウン、快適環境づくりの補助金とほぼ概念的にあるいはねらいの上においても非常に似かよったものとしては幾つか挙げることができます。例えば、建設省におきまして都市景観形成モデル事業というような事業がございまして、これは全体の都市公園あるいは街路、河川環境整備事業、こういったものを総合的に推進するというようなことで、これも全国の中で七つとか、九つとか、十とか、そういう都市を選びまして、たしか五十八年度からの事業でございますが、これは比較的金額が多うございます。これは事業そのものに対する補助でございまして、十九億程度の予算と承知しております。  また、国土庁におきまして、花と緑の都市モデル地区整備事業がございまして、これはやや私どものものに類似しておりますが、修景なり水辺の緑化、こういうものについての計画策定、あるいは一部事業の策定に当たっておりまして、これも二分の一補助で私ども金額より多少低うございますが、一億ちょっとの規模でございます。  それから自治省におきまして、これは補助金ではございませんが、町づくり特別対策事業といたしまして起債枠を認める、こういう姿で市の単独事業で実施します地域づくりに資するように、基幹的な公共施設整備をするような場合、しかもそれがいろいろの各省の補助対象事業でないような、そういう漏れのあるようなものについて起債枠を認めていこう、こういうような考え方がございます。  それから環境庁の中でも、例えば自然公園の局におきましては、例えば従来から自然公園の施設整備を重点的に図ってきておりますが、そのほか都市に比較的近いところで自然観察の森というようなものを積極的に取り上げております。これは従来の国立公園国定公園の概念から一歩出るものでございます。そういうものも大変アメニティーの問題に近接したものだと思っておっております。これも一億円程度の金額で事業実施に入っている、こういうようなことを挙げることができると思います。
  88. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 けさの朝刊だったと思いますが、滋賀県の大津市が、今の大津港を中心になぎさをもう一遍つくり直そうという計画を発表しておりまして、たしか予算は市の予算で一億数千万だったと記憶しておりますが、今のコンクリートでありますとか、ブロックを全部一たん撤去いたしまして、山砂を持ってきて、魚が産卵できるようなきれいな砂浜をもう一遍再現しよう、こういう計画が発表されておりました。例えば、こういうものについても政府は、環境庁は補助はされるわけですかね。
  89. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 今御指摘のように、養浜事業というのでしょうか、従来のコンクリートで固めた砂浜というようなことにつきましては、恐らく建設省サイドにおける何らかの事業にかかわりを持って、補助対象になるかどうかちょっと私定かでございませんが、そういう中に盛り込まれてくることであろうと思っております。環境庁の、先ほどの快適環境づくりに対する予算補助というものは、あくまでそういう計画に着目したプランづくりの補助金でございまして、実際の事業、事業費は直接の対象にしていない。逆に言えば、それは各事業官庁が私どものそういうアイデアを取り入れていただいて、そういうもので確保が図られることを半分期待している、こういうことでございます。
  90. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 最後に、来年の五月にアメリカ・ミシガン州のヒューロン湖にありますマキノ島で第二回の世界湖沼会議が開かれることが決定したということでございます。琵琶湖で第一回がございましたね。こういう場合に、大きな湖を持っております例えば滋賀県の武村知事さんが行かれるんだと思いますけれども、琵琶湖でありました第一回湖沼会議のときにはどういう形でやったか私わかりませんけれども、たしかオブザーバーという形で環境庁からも行かれたと思うんですが、来年の五月に予定されております第二回湖沼会議には環境庁はどのように関与されますか。
  91. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 来年の五月にたしかミシガン州の主催で開催される予定であるというふうに聞いております。私どもも湖沼につきましては各国と共通の問題意識を持っておりますし、さらに各国との情報交換も大変有益なことだろうと思っておりまして、これに対応していかなければいけないと思っております。その具体的な対応の仕方等につきましては、これからもう少し内容等を詰めまして具体的に各関係方面と相談してまいりたい、こんなふうに思っております。
  92. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 局長、これから滋賀県の武村知事さんとお会いになりますね。よろしく言っておいてください。その来年の湖沼会議にも環境庁は大いに協力もするし、できれば、人も出せるものなら出したいというぐらいのリップサービスは大いにやっておいていただけたら幸せでございます。どうもありがとうございました。終わります。
  93. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、乾電池の廃棄処分の問題について少し伺いたいわけです。  きのうこういう質問の全文を関係の通産省、厚生省環境庁にお渡ししたわけです。これに基づいて実はやろうと思ったんですけれども、審議を早くするために、まずこれに基づいて私の勉強したところというか、了解したところをずっと述べたいわけです。それで、間違えているところだけ後でちょっと訂正していただいて、そして議論を先に進めていきたいと考えるわけです。  まず一番初めに、ボタン型水銀乾電池の回収実績はどうなっているか。例えば、月間販売個数に対する回収個数はどうなっているかというのが第一問だったわけです。これに対し私の了解は、大体九%近くが回収されている。多い自治体では一五%ぐらいというふうに了解しているわけです。それで、この水銀乾電池というのは大体年間に四億個ちょっとですか、月間ということになれば、それを十二で割って、それの九%ということになるわけですね。  それから次に、現在、乾電池を分別回収し、保管している自治体はどのぐらいあるか。保管している乾電池の量はどのぐらいあるかということなんですけれども、大体全国の三千二百ぐらいの自治体の中で千六百ぐらいの自治体が回収をやっているんじゃないか。中には六六・三%回収しているというふうな統計もあるんですけれども、今現在ストックされている総量というのは大体二千トンぐらいじゃないかと思うわけですね。町田市のように九十五トンですか、ドラム缶で三百五十本もストックしているというところもあるようなんですね。  その次に、今後、保管を続けていって問題はないか。自治体の悩みをどのようなものと承知しているか。これについては一番大きな問題は処理費の問題で、一トン当たり大体八万円から十万円かかる。イトムカまで持っていく運賃と、そこで一トン当たり八万円の処理費を取られるというようなことで、自治体としては費用上困っている。といって、非常に問題になっているのは、埋めたり焼いたりすることについては非常に住民の、国民の反対があるのでそういう処置もできない、しようがなしに抱えているというのが現状じゃないかと思うわけですね。  次の設問の、現在乾電池を保管している自治体では、乾電池を一般廃棄物と同じように処分場に埋め立てない自治体があるのはどのような理由からだと承知しているか。これはもう端的に言って水銀が含まれている、水銀は有害だ、そんなものを埋めると後でどんどん水銀がにじみ出してきて、水俣病の二の舞になるというふうな国民の非常に反対があるわけですね。これのいい悪いは後で何しますけれども、そういうふうなことがあるんで埋められないと。  次の設問は、NHKや新聞の報道にあったが、最終処分場の土壌中において電池中の無機水銀が有機水銀に変化するとの説があるが、これをどのように評価しているか。これはできれば後で説明聞きたいんですけれども、私の了解では、確かに自然の微生物なんかが無機水銀を有機水銀に変えているということはあるわけですね。一方また、有機水銀を無機水銀に変えているということもあるわけです。人体にとって一番危ないのは要するに有機水銀であって、水俣病というのはこれは人工的につくり出されたメチル水銀とかエチル水銀、アルキル水銀というのは毒性があったので——自然にはああいうものがなかなか発生しにくいというふうに私は了解しているわけです。  それから、廃棄乾電池を埋立処分している管理型の処分場の排水中の無機水銀や有機水銀は、しっかり測定しているか。あるいは埋立処分場の土壌中の無機水銀や有機水銀の測定例はあるか。その結果はどうだったか。これもちょっと後でお聞きしたいんですけれども、私の了解しているところでは、確かに測定をやられたと思います。しかしながら、有害であるという結果がなかなか出ていないということで厚生省もお困りなんじゃないか、環境庁も困っているんじゃないかという感じで私は受けとめているんです。  それから次の設問で、廃棄乾電池を一般ごみと一緒に焼却処分した場合、排煙中に水銀が含まれることとなるが、この排煙を処理する排ガス処理設備が地方でも開発されつつあるというが、このような設備の効果及び費用はどのように承知しているか。これは大阪府あるいは東京なんかでもやっているんですけれども、清掃局で塩化水素を除去するために洗浄液で洗っているわけですけれども、その洗浄液の中に水銀除去用のキレートを入れる。このキレートというのは私もよくわからないんですけれども、水銀と非常に反応性がいいような高分子の化合物、これはプラスチックですかね、それにマンガンや銅などの金属触媒を入れてその煙を通すと水銀は九五%ぐらい除去されるというふうなことで、最近東京都が開発したプラントでは、一日三百トン処理してキレートの費用が二万円ぐらいで済むというふうな新しいプラントも開発されているようですね。  それで、乾電池を製造または使用している事業場から廃棄される乾電池は、一般廃棄物と同様な規格の処分場に埋められているか。一部埋められているものもあるでしょうけれども、先ほど言ったように、事業場としては産業廃棄物として処理しているんじゃないか。ところが、一番問題は、廃棄するときの有害基準がはっきりしてないというところで産業界も困っているというふうに私は了解しているわけですね。  それから、乾電池のように場合によっては有害性が問題となる物質を含み、廃棄物になった場合に安全な処理のために余計な費用がかかる商品については、その処理費用を一般国民が税金の形で負担するのはおかしいとの考え方もあるが、廃棄物行政を預かる厚生省としてどう考えるか。こういうものが確かに生産者責任であるものについては生産者に当然負わすべきである、しかし生産者責任であるということが確定できないのでそういうのは非常に困っているというふうなところじゃないかと思います。  それから次は、乾電池業界が乾電池の低水銀化のための技術開発をしていると聞くが、その成果はどうなっているか。これは水銀の問題が起こっているのは七種類ある乾電池の中で二種類だけ、アルカリ電池と水銀電池だと。この水銀電池の方は一番水銀が多いわけですけれども、二番目の方のアルカリ電池については、一応何かDKジンセルという亜鉛の粉にいわゆる水銀のかわりに金属インジウムを入れて、しかもまたその電池メーカーサイドでは二酸化マンガンの純度をアップし て、少しコストは高くなるけれども、水銀の量を三分の一あるいは六分の一になるような新製品を開発している。この三分の一の物というのはもうことしじゅうにも市場に出てくるというふうな状況だと了解しているわけです。  一応私が調べた範囲はこれなんです。私も素人なものですから一夜づけで勉強しているもので余り詳しくないんですけれども、今までのところで通産省、厚生省、そして環境庁、皆さんに、やっぱりアンダースタンディングのレベルを一定にしなきゃいかぬものですから、私の了解で間違えているところがあれば御指摘いただきたいんです。
  94. 広野允士

    説明員(広野允士君) 最初に御指摘のございました水銀電池の回収実績、これにつきましては昨年、通産省と厚生省両省の要請でもって業界に未然防止の見地から対策を講じてもらうようにしたわけですが、これに関しまして五項目事項を業界としては約束してまいったわけでございます。その一項目に水銀電池の回収を強化するということがございました。これに関しまして昨年上期の実績をまとめたものがございまして、と申しますのは毎月、毎月データをとっていけるというわけではございませんで上期をとったわけでございます。分母は昨年一月から六月までの国内に出回っている出荷量でございます。分子は滞留時間がございますから三月から八月の六カ月間の回収実績でございまして、それをとりまして全国平均いたしますと約一五%というデータでございます。
  95. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 幾つか先生おっしゃられたわけですが、とりあえず私の方から三点ほど申し上げたいと思いますが、まず自治体での使用済み乾電池対策の実施状況でございますが、これは使用済み乾電池に対する市町村の対応が一応出そろった昨年の五十九年九月の段階で私ども調査をいたしておるわけでございますが、全国市町村の六七%、数でいきますと二千百八十六の自治体が分別を実施ないしは計画中ということでございます。  それから第二点の、乾電池を一般ごみと一緒に焼却した場合の排ガスを処理する設備の効果、費用の問題でございますが、私どもが承知している限りでは東京都と京都市におきましていわば実機規模で実験をいたしておるわけでございます。大きく言えばともにいわば湿式処理になるわけでございますが、その使用している薬剤等につきましては若干の変化がございます。いずれにいたしましても、処理効果といたしましては排ガス中に含まれている水銀についていえば大体八〇%から九〇%の回収の実績が得られたというふうに聞いております。また費用につきましては、これまたまだ実験の個数も先ほど言いましたようにわずか二カ所でございますし、そう長いことやっておるわけじゃございませんので、余り確とした数字として御理解いただきとうはございませんが、私どもが得ている一応の数字を申し上げますと、ごみ一トンにつきまして約二十七円、こんなふうな数字を聞いてございます。  それから、乾電池のように廃棄物になった場合に、余計な処理費用がかかるものについて税金で処理するのはおかしいのではないか、こういうことについての私ども考え方を申し上げますと、先生御存じのとおり、ごみ処理は市町村が排出者たる市民へのサービスとして実施している事業でございまして、その費用はいわば一般会計から支出されているわけでございます。そのごみの中に、各種の使用済み製品とか、そういった不要なものが混合して廃棄されるものでありまして、したがって、ごみ中の特定のものに限定して特定の費用負担を現行の体系とは別途に排出者以外の方に求めるということは、排出者が負担するという原則あるいは事業者に対する公平性の確保といったような観点から見ますと困難ではないかというふうに考えているわけでございます。  しかし、廃棄物処理法に三条二項という規定がございまして、その規定では、事業者は事業活動に伴って生ずる製品等が廃棄物となった場合において、市町村の清掃事業が処理困難な事態に陥らないようにしなければならない、そういう事業者の責務を定めていることにかんがみまして、この規定の遵守につき、必要に応じ事業者に対し回収等の措置を講ずることを求めることができるというふうになっております。  それで、問題の乾電池につきましては、現在、私ども厚生省にございます生活環境審議会の中にさらに適正処理専門委員会というのを設けまして、そこで乾電池等のいわば適正な処理を困難としているものについての基本的なあり方を今検討いたしているところでございます。
  96. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 問い一につきましては、先ほど先生から御指摘されたようなことであろうというふうに私ども認識しております。  問い二について、特に評価でございますが、まず事実関係としては、先ほど御発言にもございましたように、自然界においては、無機水銀が有機水銀に変化する場合もあれば、有機水銀が無機水銀に変化する場合もあり得る、こういうことだろうと思います。これの評価でございますけれども、私どもとしては、まず第一点といたしましては、厚生省が四十八年の六月に、魚介類の水銀に関する専門家会議の結論を経まして、日本におけるメチル水銀の暫定的摂取量限度を一応決めておるわけでございます。ということは、人為的にコントロールできない部分である程度入ってくる、しかし、それは健康には影響ない、そういう部分があるんだろうという、そういう事実を、まずこの問題を考える前提として考えなければいけない。  それから、第二点としましては、私どもで、実は水銀については環境基準を定めておるわけでございます。総水銀について言えば、〇・〇〇〇五ミリグラム・パー・リッター、それからアルキル水銀については検出されないことと、こういった環境基準を定めております。この環境基準について守られているか守られていないか、ずっと測定を続けておるわけでございますが、総水銀については三万九百三十検体について、アルキル水銀については八千二百八十検体について検査しましたところ、いずれも環境基準を満たしているわけでございます。  この二つの事実から判断いたしまして、私ども現状で非常に憂慮すべき事態が現に進行しているというふうには判断しておりません。しかしながら、一般の国民の非常な不安ということに対してこたえていくのも、また、行政の一つ役割であろうというような認識から、先ほど厚生省の方からお答えになったような検討が進められているのだろうというふうに判断しているわけでございます。  それから、次に問い三でございますが、これは各地において、自治体あるいは研究者が測定された例があることは私どもも承知しております。私どもとしても、厚生省とともにごみ処理に係る水銀について実態把握を行っているほか、一般環境中における水銀の態様変化に関する知見の集積等、所要の調査検討を行っているところでございます。現在、それらの結果を取りまとめているところでございます。  それから問い四でございますけれども、この点につきましても、先生御案内のように、最終処分場からの放流水は、廃棄物処理法に基づいて水質汚濁防止法の排水基準が適用され、チェックがなされているわけでございまして、環境庁として現在まで承知している限りでは、排水基準を超える濃度の放流水が検出されたとは聞いていないところでございます。
  97. 木本平八郎

    木本平八郎君 実は、私、今回初めていろいろ勉強しまして、結論的に感じたのは、こういう問題こそ、いい意味においてまさに政治が出ていかなければいかぬ、政治家が乗り出さなければいかぬ問題じゃないかという感じを非常に受けたわけですね。といいますのは、まず水銀が非常に危ない、有害だというのは、国民の素朴な心配なんですね。私なんかも、水銀というのは非常に有毒な物質だと、ずっと小さいときからそう思ってきたわけですね。現実に水俣病がああして起こると、これはえらいことだという感じを受けるわけです。  例は余りよくないかもしれないけれども、例えば、原子力発電所の放射能は大変だ大変だというわけですけれども、実際には石炭発電所が燃やしている石炭の方がよっぽど放射能を余計出しているわけですね。そういうふうなちょっと思い込みとか、錯覚が人間にはあるんですけれども、それを必ずしも愚かとは決めつけられないわけですね。あるいは国民の素朴な不安というものが、案外、百年たってみればそうかもしれないということだってあるわけですね。そういうことから国民としては危ないんじゃないかという非常に心配があるわけです。ところが一方、専門家というか、業界もそうですけれども、役所の方は、水銀というのは水には溶けないんだし、有機水銀になることはあってもそういう可能性はないんだし、あるいは大気中に拡散しても人体に害があるほど濃くならない。どういうふうにしても、ちょっとこれ困ったなということで、基準をつくりかねているというところなんです。それで、基準をつくってみたら、電池もみんなその下になっちゃう、下だからいいじゃないかと言ったって、国民の方は納得しないというふうなことで、三者三すくみみたいな形になっているんじゃないかという気はするわけですね。そこで、やっぱり一つの問題というのは、だから仕方ない、いやおれは悪くないんだ、あいつが悪いんだとか言い合ってみても、こういう問題というのは解決しないんですね。  そこで、私はぜひ政府にも考えていただきたいのは、この基本に国民運動があるということなんですね。私は、今後の日本の環境を守っていくということについては、国民運動を非常に大事にしなければいかぬ。市民がやはり環境保全だとか、公害防止だとか、自分たちの国土は自分たちで守るんだとかいう気持ち、これを大事にしなければいかぬ。したがって、乾電池をみんなどんどん集めているわけですね。これは非常にいいことだから、ぜひこれを進めていきたい。これを水ぶっかけるようなことをすると、みんながっかりしちゃって、次はやらなくなるから、何とかこういう運動というのは進めていきたい。いいか悪いかは別にして、こういうのはどんどん進めていきたいということから、やはりこれは政治家というか、政治的な判断でこれはまさに処理しなければいかぬ問題じゃないかというふうに感ずるわけですね。  それで、時間も余りないんで、私のアイデア的なものをまず申し上げますと、乾電池は今七種類あるわけですね。七種類の中で、問題になっているのはアルカリ電池と、それから水銀電池なんですね。ほかのものは全然問題にならない。むしろ自然にある程度しか問題にならないわけです。この二つについて、私は、まず善人と悪人を分けて、五つの方のいい方はいい、悪い方の悪いやつだけ赤マークをつける、これだけはみんなで回収しましょうというふうに持っていくわけですね。これが、いい悪いは別にして、とにかく回収する。あとの五つは、これは一般ごみ並みに処理していただいて結構だと。したがって、Gマークというのは妥当かどうか知りませんけれども、グッドのやつなんだと、善人なんだということで、一般ごみとともに一緒に処理しちゃう、悪い二つだけをマークするということですね。そういうことにして、水銀電池なんかは特別なルートで集めて、これだけは焼却して、先ほどのように水銀を処理して、あとはもう念のために硫化水銀にしてしまうと。硫化水銀にすればこれはいわゆる朱肉と同じですから全然もう毒にならないと。こういうふうにして埋めてしまえばみんなが安心できるのじゃないかという気がするわけですね。  こういうふうにして、国民がみんな安心できるような処置をとるということがやっぱり必要なんじゃないか。業界にもこれはしようがないから、水銀電池を回収してそういうことをやる、それから今のアルカリ電池も基準がオーバーしている分についてはそういうふうな処置をするということを少し協力を求めた方がいいのじゃないか。それで、この基準というのは、水銀というのは水に溶けないから、一億分の一ぐらいしか溶けないわけですから非常に始末に困るんだけれども、一応水質汚濁の環境基準が総水銀排出基準で五〇〇〇PPmですか。それで一般の水銀鉱山の近くの岩や石ころなんというのは大体一〇〇〇PPmぐらいの水銀を含んでいる。日本は火山列島で火山地帯だから水銀が非常に多いわけですね。こういうところから考えて、一応鉱山の近くの岩の半分ぐらいという五〇〇PPm、これがいいかどうかは専門家で検討していただかなければいかぬわけですけれども、五〇〇PPm以下はGマークをつけてやる、これ以上はだめというふうにして当面スタートして、そして業界でアルカリ電池の水銀量が減ってくれば、その基準を下がればGマークに変えてやるというふうなことがやっぱりいいのじゃないかと思うわけですね。  それから、回答いただいていると時間がかかってしまうので、ついでにもう一つ質問してしまいますけれども、もしも日本がこれをやった場合、一番問題は外国品の輸入なんですよ。いろいろな製品が、どんどん電池も一緒に入ってきておるわけですね。それで、もしもアルカリ電池ならアルカリ電池にこういう基準を適用しますと、新たな非関税障壁ということを言われる可能性は十分にあるわけですね。彼らに例えば赤いマークつけてこいと言ったって、いやおれはそんなものはつけないというふうなトラブルが起こってくることがあるので、外国の、乾電池メーカーというのは余り多くないようですから、これをやはり国際的に事前に早い段階で通知して、日本としてはこういうふうにやっていきたいということを通知だけはする必要があるのじゃないかという気がするわけですね。  私は貿易をやっていた人間として、日本としては技術的にいけると思うので、こういうふうに非常に低い水準にしておけば、今度アメリカだってイギリスだって、やっぱり水銀は低い方がいいわけですから、こういうことをわあわあ言えば、日本の電池がばあっとまた輸出できるんじゃないかと思いますけれども、そういうなにも含めて、専門的なことは別にして、一応概括的に長官の御所見をいただいて私の質問を終わります。
  98. 石本茂

    ○国務大臣(石本茂君) 先生いろいろ御提言ありがとうございます。例えば無燐洗剤のような場合でございますと、商品に低公害型であるとかなんとかという旨を表示することは消費者の賢明な選択を助けるという意味では非常によいことだと私は思っておりますが、ただいまのこの問題につきましては、商品によりましては事情も異なりますし、特に外国からの輸入のことも含めまして、統一的な制度とすることにはちょっと難しいいろいろな問題があるように思うわけでございますが、しかし私といたしましては内部的にこの問題は検討さしていただきたいというふうに思っております。
  99. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 以上をもちまして昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会