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国務大臣(
中曽根康弘君) まず
内閣の
統合機能に関する問題で
外政調整室の御
質問でございますが、これはまだ正式に
答申を得たわけではないので、部会からそういう
意見が
行革審に上がったということでございますので、いずれ
行革審から正式の
答申がありましたときによく検討した上で
考えたいと思っております。
ただ、言われますように、
外交一元化ということは大事なことでございまして、
外交一元化を貫くという点については今後とも留意してまいりたい、そう思っております。
官邸の問題は、つくりましてから六十年になりまして、一部で雨漏りがするとかあるいは来賓を接待するときに、あの広間へ行くときに便所の前を通らなければいかぬとかあるいは廊下のはしご段のわきを通っていくとか、およそ
外国の
官邸では見られないような
現象がありまして、それを隠すのに随分苦労しているというところで、
国際国家日本となった今日ではもう適当ではないような
情勢にございます。
その上に
官邸としての
機能が、
総理大臣の
応接間というのはありません。閣僚らが集まる控えの間を
応接間みたいに使っている。それから秘書官についても
応接間がないわけでありまして、およそ
応接間というものがあそこにはないわけなんです。お客さんを待たせるのに、二組、三組と参りますとどこへ置いていいかうろうろするという
状態であります。そのほか
内閣として必要ないろいろな係の人間がおります。
参事官とか
審議官とかいろいろおりますが、一緒に同居できないで
総理府の庁舎の方におるというような
現象もございます。
そういう点で
機能的にも非常にうまくいっておりません。特に
最新式の
情報とかあるいは
先端技術を駆使した電子・
電気通信機構とか、そういうものは皆無と言っていいぐらいの
情勢でございます。そういう
意味において近代的な
政治を行うについてまだ
条件としては非常にまずいということで、
官房副
長官を
中心にして今
研究の
委員会をつくらせまして検討しておるところです。近く何か
行革審の方においても
内閣機能の
統合というような面からも今のままではとても
機能的にいかぬというので
改革意見があるやに承っております。そういうもの等もよく検討し、国民の
皆様方のお
考えもよくお聞きしまして検討してみたい、そう思っております。
やっぱり
政治にとっては大きなうちをつくったり、新しいうちをつくるというのは
大変禁物でありまして、やはり先に立つ者は貧しい、質素なものの中にいるということが
東洋政治の要諦のように思います。そういう気持ちで
歴代内閣は今までやってきて、
官邸問題に手をつけることをはばかっておったのでありますが、私は今見ておりましてもうどうしてもこれでは新しい時代の
政治はできない。特に大事なのはハイジャックとかそういうような
非常事態が起きた場合の
電信系統というものは非常に不備でございます。みんな話していることが外へ聞こえちゃう。
新聞記者の
皆さんはちょっと耳を傾けて聞いていれば、すぐ大事な
情報を話し合っているのが聞こえてしまうということもありまして、そういう点からもこれはもう
考え直さなきゃいかぬときだ。そういう
意味で別に私が入るわけじゃないので、今からそういう設計をしたりやっても
安倍さんのときに入れるかどうかあるいはその次になるか、ともかくだれかがこれは
改革意見を持って着手しないといかぬ問題だ、そういう
考えに立って今
研究を始めさせている、こういうことでございます。
それから指紋の問題につきましては、これは五十七年に
法改正もやりました。私と
韓国の
全斗煥大統領との間で
共同声明を東京でやりまして、その中に、
韓国の
皆さん方の
待遇改善の問題について言及もしておるわけで、これを誠実に守っていかなきゃいけない、そう思って努力もしてきておるところです。従来、国籍法を変えるとか大学教授にもできるとか、あるいは国民健康保険とか児童手当の問題も平等にするとか、そういう改善は幾つかやってきて、今回も指紋問題につきましても、手の汚れないような、そして回転式でないこととかあるいは常時携帯義務をもっと簡略化するとか、いろんな改善
措置を実は講じてきておるのであります。そういう
意味におきまして我々の努力もまた認めていただきたいと思うのです。しかし、
韓国側にまだ御不満も残っているやに見受けますので、法のある間はやっぱり法を守っていただかなきゃいけない。我々としては、将来の課題としてこれは引き続き検討してまいりたい、
韓国側のお
考えも頭に置いて検討していきたい、そう思っております。自治体の
皆様方に対しましては
政府としては、拒否者に対しては強制行為は一カ月留保する、それからいろいろ警告してまた一カ月留保する、それから警告してまた一カ月留保する、三カ月留保するという
措置も今度はとって、ソフトに、いろいろ思いをめぐらして実はやっておるわけなので、そういう点もひとつぜひ御了解いただきたい。また、
韓国側国民の
皆様方その他についてもいろいろ御協力を願いたい、そう思っておる次第であります。
それから秋の
臨時国会の問題ですが、今何しろ重要法案成立で一生懸命胸突き八丁を駆け上がっているところでありまして、通常国会をやっているときに
臨時国会のことを言うというのは甚だ不見識である、そう思いまして、全く白紙の
状態であると、そう申し上げる次第です。
それからヨーロッパへ参りますのは、
サミット構成国について私も伺いたいと思って、向こう側からも
皆さんおいでになっておりますから、いろんな国会の都合、何しろ五月の前後にあるものですから、国会の都合等もありまして行けない国もありましたりして、フランスとそれからイタリーとEC、バチカン、こういう国に敬意を表して、いろんな
諸般の問題をお話ししたいし、今
貿易摩擦の問題等についても
日本側の
立場や
考えをよく説明もしたいと思いますし、来年の東京
サミットの問題についてもどういうふうにやったらいいか先方側のお
考えもよく承って、直接トップの方の御
意見を承ってきたい、そういうことで行かせていただきたいと思っております。
豊田商事の
悪徳商法に類することにつきましては、先ほど来申し上げたことでございますが、貸金業法とかあるいは割賦販売に関する法律とかその他の面の間をすり抜けていっているような
感じがしないでもありません。実際は詐欺に類する行為というのは非常に知能犯でありますから、刑事的に構成要件を固めて処理するというのは非常に難しいところがあって、なかなか検事さんが令状を発行してくれない、そういうことでなかなか手がつけられない要素もあるわけです。警察としてもそういうところでいろいろ鋭意探索しておった
状態でございまして、ようやく事情聴取が始まったという途端にああいうことが起きまして、甚だ遺憾な
事態でございます。お亡くなりになりました方には本当にお気の毒で、お見舞いを申し上げたいと思いますが、法の問題は別の問題でありますから、これらについてはよく検討してまいりたい、そう思っております。
救済の問題については、これはよく事情を徹底的に調べ上げまして、そして事実を究明した上で判定すべき問題でありますが、今の
状態で見ますと、本当に
被害者はお年寄りで、とらの子のお金を召し上げられたというようなケースも多いようでありまして、お気の毒でありまして、我々も心を痛めておりますが、国がすぐ賠償するというところへ乗り出すという段階ではない、もう少し法的
関係その他を究明する必要がある、そういうふうに
考えております。