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国務大臣(
安倍晋太郎君) 今回のゴルバチョフ演説で言及があった全アジア安保会議の開催に関するソ連側の
考え方の詳細は、これは明らかになっていないわけですから、ただ、同書記長の演説の文脈から判断をすると、ソ連は欧州安保
協力会議、いわゆるCSCEと同様の会議をアジアにおいて開催することを意図しておると思うわけでございます。こうした構想が、ブレジネフ時代の一九七〇年代前半からのアジア集団安保構想と同じものであるかどうかということに
一つの問題点があるんじゃないかと思うわけです。このブレジネフ時代のアジア集団安保構想というものに対しては非常に否定的な
立場を
日本はもちろんとっておる。というのは、アジア集団安保構想は国境の不可侵と国家の領土保全に関する
関係国間の同意を含むものと、こういうふうに理解しておるわけですし、したがって、かつて中国からもこの集団安保に対してはソ連が不法に侵略、占領した、他国の領土を固定化し、しかも合法化することに主要なねらいがあるとの批判も
受けた経緯もありますし、また日ソ間では戦後未
解決の北方領土問題がありますし、そういうことですから、今のアジア集団安保構想と軌を一にするものであるならば我々も今申し上げたような
立場に立つわけです。
しかし、ゴルバチョフ書記長が言っておる今度の会議がまたそれとは
内容的に異なっておるといいますか、
内容的に
考えを変えておるということになれば、そしてそれは、先ほど言われましたように、
アメリカがこれはもう全欧安保会議にも参加しておるわけですから、やっぱり
アメリカが、アジア安保を進めるとしても参加しない会議というのは意味がないわけですから、
アメリカが参加をするという、欧州会議と同じように、全欧会議と同じように
アメリカが参加する。あるいはまた、
日本の
基本的な方針であります今の領土問題を、これを今までどおり現状で固定化するというようなことが前提でないということであり、さらに米ソの軍縮がこれから着実に進んでいく、それからソ連がやはり真剣に今のアジアの軍縮というものを志向しているというようなことであるならば、これは
日本としても、ただソ連が言っておるから、いわばブレジネフと同じ
考えだということだけで否定ということもできないんじゃないか。ですから、これはもっと
内容を見なきゃわかりませんが、
内容をもっと
検討してといいますか、
内容を知った上で、今私が申し上げましたような前提があるならばこれは
検討をする必要があるんじゃないか、私はそういうふうに思っております。