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説明員(黒木忠正君) 私どもが
外国人登録制度の上で指紋をとっている国がほかにあるかということを
調査いたしました際に、世界じゅうすべての国を
調査するわけではなくて、
アジア周辺諸国、それから南北アメリカ、ヨーロッパ、こういったような
我が国と比較的近い国ないしは法制度の似通った国を中心に実は調べたわけでございます。その結果
外国人登録、
外国人から指紋を押させている国というのが二十四カ国ございました。それから一部、部分的に指紋をとるという国が九カ国ございまして、その他は指紋制度を採用してない、こういうことであるわけですが、今お尋ねの
我が国と同じように一定の年数、三年とか五年ごとに登録証明書の切りかえを行って指紋を押させている国というのが法律制度の上ではっきり書かれているのはたしかポルトガルだけであったと思うんです。ただその他の国について見ましても登録証明書の切りかえ制度というのがございまして、その登録証明書を見ますと、指紋が押されているということでありますので、法律に明示はされていないけれども、切りかえの都度に指紋を押させているという国はかなりあるというふうに思われます。
ただ、大変理屈っぽいことを申し上げますけれども、出入国管理制度とか
外国人登録制度と申しますのは、その国の置かれた国際的な環境とか地理的条件また国内の政治、経済、労働、いろんな要素を勘案してそれぞれの制度を決めておるわけでございまして、例えばヨーロッパの出入国管理制度なんというのは一時は大変緩やかであったわけですけれども、最近は大変厳しいふうになっていると聞きますし、これはやはりそれぞれの置かれた国の
状況によって違うであろうと思うわけでございますが、
我が国の場合、先ほど申し上げた諸
外国の例から見て少し厳し過ぎるという印象をお持ちかと思いますけれども、
我が国の場合この
外国人登録制度が発足しました最初は、実は写真だけで人物を特定するという方式をとっておったわけでございます。ところが、この結果大変な不正登録が行われ、なおかつその不正に二重三重に登録された登録証明書が第三者に、不法入国した密入国した第三者に譲り渡されて本人にすりかわっていくといいますか、こういうような
事件が多発したために、昭和二十七年の現行法を制定いたします際に指紋制度が導入されて、それで指紋によって人物をまず特定する。それから当時は三年でございますけれども、三年ごとの切りかえに当たって改めて指紋を押してもらって、最初に押した人とその三年後に来た人、現在は五年ごとでございますけれども、五年目にあらわれた人が同じ人物であるかどうかということを指紋によって
確認して、この制度を採用したためだけではございませんけれども、現在の
外国人登録が大変に整然としたものになっているという事情がございます。そういった点をぜひ御理解をいただきたいと思うわけです。