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伏見康治君 数日前の朝日新聞に、リバモアの研究所でノバという高出力のレーザーを使って核融合をさせる研究の装置が完成した。そこに
日本のHOYAというガラス屋さんのガラスが使われているといったような
報告がございましたんですが、それにちょうど匹敵する高出力レーザーによる核融合の研究というのは
日本でも行われておりまして、大阪大学の山中千代衛教授がノバに匹敵する大きな機械をつくってやっておられたし、ノバが使っているHOYAのガラスをつくらせたのは山中教授であると私は思っておりますが、そういう
意味で基礎研究の
段階では
日本のいろんな研究者というものは非常に高い水準にあると私は思っております。そういう方々の御
意見が十分反映されてこないとSDIに対する正しい
判断はできないと思いますので、基礎研究の方々の知識をこの際取り入れるということにやぶさかでないようにひとつ希望しておきたいと思います。
しかし同時に、そういう基礎研究、現
段階で高出力レーザーというものは大変大きなものでございまして、そういうものが例えば宇宙に上るなんていうことは到底考えられないような大きなものですが、それが将来の研究によってどれだけ小さくできるかといったようなことは、おいおいできるかもしれないんですが、それは非常に長い年月をかけるものであろうということはそのレーザー装置を考えただけでも納得がいくわけでございまして、したがって、現在が基礎研究の
段階であるということを非常に強く念頭に置いてやっていただきたいと思います。
同時に、SDIというのは、今いわゆるスターウオーズという言葉で言われているような形で述べられているものは、そういう基礎的なものはもうできているという考えの上に立ってそれをどう組み合わせて、つまり宇宙のどこに何を置いて、鏡をどこに置いて、ブースター
段階で赤外線を検知してといったようなそういう組み合わせ、いわばシステムですね、システムとしての兵器を漫画的に描いて議論しているというのが大部分だと思うんですが、その
段階に入る前に、今申しました個々の要素の研究というものが非常に積み重ねられなきゃ話にならぬと思うんですが、そういう
意味で、議論の大部分というものは本当の基礎研究がどの程度の見通しがあるかというような御議論ではないかと私は想像いたしますので、そういう
意味で、本当の研究をやっている方々、つまり新聞、雑誌を読んでおられる方で特にスターウオーズに幻惑されておられない方々の知識が必要であると私は特に思いますので、その点をお考えおきを願いたいと思います。
ところで、私は安倍さんに伺いたいんですが、スターウオーズというか、SDIというレーガン
大統領の発想は、これはあくまでも核兵器を無力化する新しいものをつくって、そして人類の悲願である核兵器の廃絶というものを何とか現実化しようという大変すばらしい発想から出発したと思うんですね。その限りにおいて、これは特に核廃絶を願っている
日本国民としては頭から拒否できないという面があると思うんですが、それが本当に実現できるかどうか、技術的にできるかどうかという問題が、これから
検討になるんでしょうけれども、とにかくそういうことを考えてみるということ自身は悪いことではないと思うんです。
しかし、これはあくまでも人類共通の敵である核兵器を何とかしようという課題でございますので、それをやる、つまり人類共同の
作業だと思うんですね。そういう
意味で私は、ソビエトと手を組んでやってもいいはずの問題だと思うんです。つまり、基礎研究の
段階の科学研究というものは、御
承知のように国境がなくして自由に交流することによって基礎研究が進められているというのが現状だと思うんですが、例えば、また核融合の話になりますけれども、つい最近原子力研究所がつくり上げたJT60という機械はトカマク型の装置でございますが、このトカマク型というのはソビエトが考え出したもので、
アメリカは最初考えていた、自分自身で考えていたものを途中で捨ててトカマク型に乗りかえたというわけで、つまりそういう基礎研究の
段階では東西の間の知識の交流というものは盛んに現実に行われているわけです。
ソビエト側が西側のいろんな知識を取り入れていることはもちろんですが、逆に東側の知識を我我もいろんなところで取り入れているわけです。そういうことによって基礎研究というものが
進展しているわけでございますから、こういう基礎研究での、しかも目的が核兵器を退治するという人類共通の課題である限り、共通な課題として東西手を取り合ってやるべきだ、本質的にはそうあるべきものだと私は思うんですが、何かSDIに
協力するということが西側の結束を固めるといったような
意味合いに使われている気配があるんですが、その辺のところの大臣のお考えを伺いたい。