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1985-04-16 第102回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十六日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      抜山 映子君     藤井 恒男君  四月十一日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     抜山 映子君  四月十五日     辞任         補欠選任      和田 教美君     伏見 康治君      関  嘉彦君     栗林 卓司君  四月十六日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     佐藤栄佐久君      栗林 卓司君     関  嘉彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平井 卓志君     理 事                 鳩山威一郎君                 宮澤  弘君                 久保田真苗君                 抜山 映子君     委 員                 大鷹 淑子君                 後藤 正夫君                 佐藤栄佐久君                 中西 一郎君                 中山 太郎君                 原 文兵衛君                 秋山 長造君                 八百板 正君                 黒柳  明君                 伏見 康治君                 立木  洋君                 栗林 卓司君                 秦   豊君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省北米局長  栗山 尚一君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        外務省経済局長  国広 道彦君        外務省経済局次        長        恩田  宗君        外務省経済協力        局長       藤田 公郎君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        内閣審議官    飯島 光雄君        防衛庁防衛局防        衛課長      宝珠山 昇君        防衛庁教育訓練        局教育課長    井上 憲治君        文部大臣官房人        事課長      横瀬 庄次君        文部省学術国際        局国際学術課長  長谷川善一君        厚生省薬務局審        査第一課長    代田久米雄君        農林水産省経済        局国際部国際経        済課長      白井 英男君        林野庁林政部林        産課長      脇元 裕嗣君        通商産業省貿易        局輸入課長    奈須 俊和君        通商産業省産業        政策局国際企業        課長       川口 順子君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  坂井 順行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○万国郵便連合憲章の第三追加議定書締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査  (OECD閣僚理事会に関する件)  (日米経済摩擦に関する件)  (経済協力に関する件)  (米国産穀物の買付けに関する件)  (SDIに関する件)  (アフリカ飢餓救援物資に関する件)  (人種差別撤廃条約に関する件)  (ユネスコ改革に関する件)  (日米共同作戦計画に関する件)     ─────────────
  2. 平井卓志

    委員長平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十日、抜山映子君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。  また、去る十一日、藤井恒男君が委員辞任され、その補欠として抜山映子君が選任されました。  また、昨日、和田教美君及び関嘉彦君が委員辞任され、その補欠として伏見康治君及び栗林卓司君が選任されました。  また、本日、嶋崎均君が委員辞任され、その補欠として佐藤栄佐久君が選任されました。     ─────────────
  3. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事抜山映子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 万国郵便連合憲章の第三追加議定書締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題といたします。  五件の質疑は去る九日終局しておりますので、これより五件を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより順次採決に入ります。  まず、万国郵便連合憲章の第三追加議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  8. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  9. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、五件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 次に、国際情勢等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 八百板正

    八百板正君 外務大臣中心にお尋ねをいたします。  御苦労さんでございました。日本が責められる立場会議であったようで、まことに御苦労さんでございました。何か睡眠不足かな。
  14. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 大丈夫です。
  15. 八百板正

    八百板正君 大丈夫ですか。  まず、経済協力開発機構OECD閣僚理事会に出席なさいました際の様子などのひとつ御報告をお聞かせいただきたいと存じます。
  16. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それでは、OECD閣僚理事会に出席いたしました。金子経済企画庁長官とともに出席したわけでございますが、会議におきましては例年のとおり、開発途上国との関係貿易及びマクロ経済の三議題をめぐりまして討議が行われまして、最後にはコミュニケ採択をされたわけでございます。  本年は回復基調にあるところの世界経済インフレなき持続的成長へ向かう一方、財政赤字失業経済収支均衡等の懸念が生じておるところ、これに対しましてOECD加盟国が全体としていかなる態度で対処するかが大きな論点でありました。  この点に関しまして、各国が自国の経済活動を高めるための国内政策をとるとともに国際的な調和を促進し、開放的な多角的経済体制を強化するような政策を追求することが合意をされまして、協調の精神が確認をされたことは有意義でございました。  貿易分野では、ニューラウンド保護措置緩和撤廃及び混合借款、さらにまた、日本大幅黒字をめぐっての問題が主要な論点でございました。  新ラウンドにつきましては、我が国を初めといたしましてアメリカ、カナダその他の諸国が具体的な開始時期をこの際合意すべきである、すなわち、本年の夏ごろに高級の事務レベル会談を終えて、そして来年、一九八六年から交渉開始を行うべきであるということを主張いたしましたが、これに関しましてEC等が八六年から交渉開始するということを明示することには反対であるということで難色を示しました。ニューラウンドを実施すべきであるということについては基本的に一致したわけでありますが、時期をめぐりまして意見が対立をいたしたわけでございまして、この点につきまして非常に長い間時間をかけまして論議が行われましたが、結局、これについてはいわば両論併記というふうな形で、早急に開始すべきであるということについては全体的な合意が見られたわけですが、八六年早期の開始については幾つかの国がこれを希望しておるということが括弧づきで採択をされるということになったわけでございます。  また、今高まりつつあるところの保護主義保護措置、この緩和撤廃につきましては、従来からの巻き返しの努力を受けつつ改めて整理し直した結果、今後新たな保護措置はとらない及び現存する保護措置緩和撤廃を目指して各国が十月中旬までに計画を提出する、こういうことに合意をいたしました。  混合借款につきましては、許容可能な最低グラントエレメント大幅引き上げを主張する米国と、引き上げには応じられないとするECとの間で激しい議論がなされたわけでございますが、最終的には日本が主張しておりましたいわゆる二五%までの引き上げということで意見一致をいたしまして、さらに今後一層の検討を行うということで合意を見たわけであります。  また、開発途上国との関係につきましては、まず途上国側自助努力が重要であるということは当然としまして、これが実を結ぶような国際経済環境をつくるという意味OECD諸国責任も大であることにつき広く認識の一致があったわけでございます。  また、サハラ以南アフリカの深刻な状況につきまして各国より憂慮の念が示されました。一層の支援の必要性合意をされたわけでございます。その間にあって我が国は、サハラ以南援助については官民一体でこれを推進して強力な成果を上げることができたということを世界に訴えた次第でございます。特に、開発援助、いわゆるODAについては、我が国は一九八六年以降も新たな中期目標を設定して引き続きODAの着実な拡充に努めるとの姿勢を明らかにしたことに対しまして各国から積極的な評価が得られたものと考えております。  なおまた、昨年のこの閣僚理事会で、ちょうど我が国が昨年はOECDに加盟して二十周年になるわけでございまして、その二十周年を記念いたしまして二十周年記念プロジェクトというものを提案したわけでございますが、その検討結果を踏まえましてシンポジウムの開催等今後の具体的な取り進め方につき説明をしたことに対しまして各国からも積極的な反応がありまして、コミュニケにも本研究を歓迎するとの記述が挿入されたわけでございます。  私は、OECDにはこれで通産大臣のときを含めまして四回連続して参加をいたしておるわけでございます。当初、一、二年間は、世界赤字失業不況あるいはインフレ等が大変深刻な状況で、大変暗い空気の中で論議が行われました。去年ことしは少し世界経済が明るくなったということで、OECD空気は比較的明るかったわけでございますが、去年とことしの違いは、去年は我が国経済のパフォーマンスが大変いい。我が国のまた科学技術ハイテク分野、そういう面での進歩が著しいものがあるというむしろ日本に対する評価といいますか、日本に対する称賛の声が次から次へと出されるというふうな状況でございましたが、ことしはこうした日本に対する評価と同時に、日本黒字問題あるいは市場アクセスの問題について各国から批判が出てまいりました。  特に、コミュニケ採択に当たりましては日本大幅黒字というのが国際緊張をもたらしておるということが各国から指摘をされました。我が国は、確かに日本は大きな黒字を持っているけれども、この黒字貿易緊張をもたらしている、その責任がすべて日本にあるということは到底日本としては承服できない。やはり黒字のもたらした背景には、日本のもちろん市場アクセスの問題もあるかもしれないけれども、同時にまた、アメリカドル高であるとか、あるいは高金利であるとか、さらにまたヨーロッパ経済不況であるとか、そういうものが広く前提としてあるんだ、その結果として大幅黒字というものにつながっておるので、我が国だけに黒字責任、あるいはまた貿易障害責任を求められることは到底許容できないものであるということを強く主張したわけでございますが、いずれにしても、我が国に対する批判が相当各国の中で強くなったということを深刻に自覚、痛感をいたしたような次第でございます。
  17. 八百板正

    八百板正君 四回日の会合として、従来に感じなかった日本に対するある意味での風当たりと申しましょうか、厳しい態度が見られたという点でございますが、その後、アメリカシュルツさんにお会いになって、また副大統領にもお会いになったというふうに伺っておりますが、ずっと一連の事柄でございますから続けてひとつ御報告をお願いします。
  18. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 引き続きまして、十三日及び十四日ワシントンを訪問いたしまして、シュルツ国務長官、さらにブッシュ大統領と会見をしたわけでございます。  今回の訪米、私の訪問は、一月の日米首脳会談の結果、両国外相間で日米経済関係に係る作業を総覧することとなったということを受けて行われたものでございますが、この機会をとらえまして、日米経済貿易関係だけではなくて、朝鮮半島の最近の情勢、あるいはまた東西関係、特に米ソ軍縮会談あるいは米ソ首脳会談の見通し、あるいはまた新ラウンドボンサミット等日米両国が共通の関心を持っております諸問題につきましても幅広く意見交換を行ったわけでございます。  今回の訪問は、米国議会中心にいたしまして対日経済関係をめぐりまして保護主義的あるいは対日報復的な空気が高まっている中で行われたわけでございますが、私は四分野日米協議の最近の進展、なかんずく電気通信分野における成果を強調いたしました。また、エレクトロニクス及び医薬品、医療機器分野における協議進展をしており、木材製品に関しましても四月九日の決定の結果、協議進展させる環境ができたことを述べまして、総じてよい方向に向かっており、今後も引き続き努力する方針であることを述べた次第でございます。  これに対しましてシュルツ長官は、四月九日の決定総理談話を含む我が国努力を高く評価しながら、最近の米国における厳しい情勢にかんがみまして、四分野をめぐる一層の具体的成果の達成を期待するとともに、日米間の貿易均衡のより抜本的是正のためには我が国における消費、投資の一層の活発化が必要であるということを述べられた次第であります。  これに対しまして私から、日米貿易均衡ドル高等、我が国のみの努力では対処し得ない側面もあることを指摘いたしました。現下の困難を乗り越えていくためには日米双方のさらなる努力協調が不可欠であることを強調し、シュルツ長官もこれを理解いたしまして、米国としても同様に考えていると述べた次第でございます。  また、ニューラウンドの推進は関する両国間の協力についても話し合ったわけでありますが、この時点で日米経済関係の今後の取り進めぶりにつきまして意見一致を見たことは、すなわち日米両国としてはことしじゅうに準備会談を終えて来年から作業開始する、こういう点について意見一致を見たことは、ボンサミットに向けての地ならしという意味でも有益であったと考えております。  以上のごとく、日米外相間では今後の努力方向につきまして意見一致は見たものの、今後の米国議会等の厳しさにかんがみまして、先行き楽観は決して許されないと思います。四分野協議はもとより、四月九日の決定に基づく個別品目関税の引き下げ、あるいはアクションプログラムの策定に当たっては特に積極的な内容が盛り込まれることが必要であると考えております。  なおブッシュ大統領との会談におきましても、ブッシュ大統領が副大統領と同時に上院のいわゆる議長を兼ねておられるという関係で、議会の非常な厳しい状況を克明に説明をされたわけでありまして、私からは、確かに日本自身が大幅な黒字を持っておるし、あるいは市場アクセス等努力しなきゃならぬ点はよくわかるけれども、アメリカ議会の一部に見られるような黒字責任がすべて日本にあるというふうなことは、これはまだむしろ十分日本理解してないと言わざるを得ない。黒字背景にはアメリカドル高等もあるので、あるいは世界情勢経済情勢等もあるので、その点についてアメリカ議会も冷静にひとつ日米関係を見ていただいて、そして日米関係はやはり大局的に判断をしていただくように日本努力をひとつ評価をして、そしてアメリカ議会がこれに対して冷静に対処するように鎮静化議長としてのブッシュ大統領に要請をしてまいったような次第でございます。  いずれにいたしましても、今度の日米会談を通じまして、この貿易問題については日米政府間においてはアメリカ理解も進みまして一応の道筋は、けじめはできたのじゃないか、こういうふうに思います。もちろんアメリカ政府も、引き続いて日本の今後の四分野並びにアクションプログラム等の結果を見なければ最終的に判断はできないという姿勢でありましたが、一応の理解には到達できた。ただ問題は、やはり議会あるいはアメリカ国民世論、これが私の見るところでは今まで以上に、今までと全くある一面においては違った形での非常な厳しさが出ておるということを痛感をいたしました。まさにこうした日米経済貿易問題というのは一つの危機的な状況になっておる。これを何としても両国努力で解決をしていかなきゃならぬということを痛感したような次第であります。  以上です。
  19. 八百板正

    八百板正君 農務長官にお会いになった報道がございますが、何か軽く扱っている向きもあり、重大に扱っている向きもあり、その辺のところは実際お会いになった感触でお話しいただかぬと判断しにくいのですが、ちょっとお知らせいただきたい。
  20. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) アメリカブロック農務長官にも会いました。  これはちょうどシュルツ長官との会談の際にブロック長官を呼ばれたわけでありますが、その際ブロック長官から、日米のこうした貿易摩擦日本大幅黒字、そういうものを解決する手段としてアメリカからひとつこの際日本黒字ドルが余っておるのだから一千万トンぐらい買って、それを世界の困窮しておる食糧不足の国々にこれを援助したらどうか。これも一つ日米経済摩擦を大きく解決する道である、こういうふうなアイデアが示されたわけでございまして、これについて、こうしたアメリカアイデアについては私もかねがね承知をしておるところである。しかし、日本自身が買うということについては、これは日本アメリカからの最大の農産物の輸入国であることは御承知のとおりであるし、海外にこれを食糧援助に向けるということについても、日本は今毎年三十万トン海外援助をしておるわけであって、そういう点から今一千万トンと言われても、ここですぐ返事をできるような状況でもないし、大変これは難しい問題である。しかし、アイデアとしては承っておきましょうということで、いわば聞きおいたということでございますが、同時にまた、これがなかなか日本の今の財政の状態あるいは日本経済援助、そういう状況の中で大変難しい問題であるということを説明は一応しておいた次第でございます。
  21. 八百板正

    八百板正君 後でもう少し詳しくお尋ねいたしますが、ひとあたりお伺いしておきたいと思うんですが、ODA関係については一応一区切りと申しましょうか、そういう段階で新たな目標を立てられたと、こういうことでございますが、いろいろな経過を若干伺いますと、いろいろ意見があったようでございますが、まず私がお尋ねしたいのは、やはりここで一つの区切りでございますから、この際にこの重要な役割の任務と、それからやった結果に対する評価、これからのやり方、いろんな点を突っ込んでひとつまとめていくべき段階ではないか、こういうふうに私思うんですが、そういう点についてこの実績を調査した評価報告も拝見いたしましたが、本当におざなりの報告で何かさっぱり気乗りしないような報告書のように私は拝見いたしましたが、やはり読む者も情熱を傾けて読むような、そういう評価なり報告であってほしいということを希望しますが、その辺のところどんなふうにお考えでしょうか。
  22. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ODA外務省が取りまとめた報告書につきましては、外務省としましても精魂込めてフォローアップ等しまして、調査をしまして発表したものでありまして、この点について理解が得られなかったことは大変残念に思いますが、しかしODAについてはこれからが大事であると思います。私もODAのこれからの実施についてはやはり量を拡大するとともに質的な面についてもいろいろと検討を要する、こういうふうに思います。これはただ外務省だけでフォローアップするということでなくて、全体的にこれまでのことを反省して、一つ方向を総合的な立場から出していかなきゃならぬ、こういうように思いまして、私のもとで学識経験者皆さんに集まってもらって、ODAについての懇談会を最近発足させる予定にいたしております。そうした懇談会皆さん方にも幅広く再検討していただいて、その御答申をいただいて、さらにODAの今後のあり方についてもひとつ十分勉強してまいりたい、こういうふうに思っております。
  23. 八百板正

    八百板正君 今のお話で、例えば感じる点なんですが、何千億というお金を使っているわけですから、あるいはもっとけたの多いお金を使っているわけですから、その中で三百ページか四百ページぐらいの評価報告書ですが、見るというと、別に金額が多いから特に問題重要だというふうには私も考えませんが、質の問題を中心に特徴的なものはよく調べて評価するというのは結構ですけれども、ほんの数億円ぐらいのものに相当報告があって、大きなところはぼろんと抜けているといいますか、ほとんど触れていないというような感じもいたすわけでありまして、そういう意味で、今この問題をそう深く取り上げようとは思いませんが、ひとつそういう感じを持って評価報告を拝見したということだけを申し上げておきます。  それから、この新しい目標を設定するに当たって、財務当局と外務省がちょっと意見が合わなかったなんという新聞報道もあるんですが、この辺はどんな状況だったんでしょうか。大臣でなくても衝に当たった方。
  24. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この経済協力評価報告書につきましては、これは外務省として、先ほどから申し上げましたように、非常に努力をしてつくったわけでございまして、後で局長からその経緯について説明させます。  それから、ODA中期目標については、これは外務省といいますか、私としましては、日本の国際的な責任を果たしていくためには、大変、ODAは大事だ、それでなくても国際黒字問題だとか、貿易市場アクセスだとか、日本に対する批判が今世界各国から殺到しているだけに、これはやはりODAを拡張するということが非常に重要である、こういうことで強く主張しました。しかし、何といいましても、財政当局の立場からすれば、財政再建とか財政の限界というのがあるわけですから、この点についていろいろと意見もあるわけでございます。しかし、最終的には中期目標をつくる、そしてODAを増額していく、こういうことについては意見一致を見た次第でございます。その限りにおいては、これから中期目標をつくっていくわけでございますが、一つ方向政府の部内において一致したということは世界の期待にこたえることにつながったと思いますし、そして今回これをOECDで発表いたしまして、OECD諸国からの非常な積極的な評価を得たということを御報告申し上げさせていただきます。
  25. 八百板正

    八百板正君 積極的な評価を受けたのは大いに結構なんですが、現実はこれをも含めて世界じゅうから日本は出すものはさっぱり出さないでためるばかりでけしからぬ、こういう意味でいろんな問題を醸している現状でございますから、そういう意味で量、質ともに積極的な取り組みを特に希望を申し上げるわけであります。  また、これに伴ってアメリカサイドでこの活用に当たるという批判も出ておるわけですから、そういう点については日本が、世界の中でこういう立場に立った日本として、あるいは日本という立場を離れて世界全体の経済的、文化的、人類的地位の向上、こういう立場からいってもおくれたところを引き上げるということなしには成立しない二十一世紀への展望といいますか、いずれにいたしましても将来の日本も含めて世界方向だろうと思いますんで、そういう角度でもってこの問題に取り組んでいく。一国の、例えばアメリカならアメリカの戦略目標に沿った形で運営されるということであってはならないと思うんです。これは中曽根・レーガン会談の中でもアメリカの期待に沿ったような形で運営されることを望む、またそれに沿って協力するというふうな話し合いをされたように私は報道で聞いたり見たりしておるんでありまするが、その辺のところはどうですか。
  26. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 御存じのように日本経済援助ODAは基本的な一つ姿勢といいますか、方針があるわけで、これはあくまでも人道的な立場でやる、それから相互依存という立場を踏まえてやる、そして世界開発途上国の特に経済の安定、福祉の向上に寄与していくというのが日本の基本方針でございまして、したがってこの線に沿ってこれまでODAをやっておりますし、この線を今後とも踏まえて拡大をしたいというのが日本の方針であります。  そういう中でやはり日米両国でお互いに援助の基本方針の枠を守りながら協力すべきことはお互いに協力していくことが援助を効率的に実行することにつながるという立場で実は日米間で経済援助についての協力機関を設けておるわけでございます。私はこれはいろいろと批判されておりますようなアメリカの戦略援助アメリカの戦略の目標日本が利用される、そういうことではなくて、あくまでもそれぞれの枠組みの中で協力し合うものは協力していく、それがむしろ開発途上国等に対する援助を効率的に行うゆえんである、こういう観点からこの協議を進めておるわけでありますから、したがっていろいろと批判されておることは、これは間違いでありまして、今回も実はシュルツさんとの間でそうした援助問題についても、お互いに基本は守りながら協力していい成果を上げるように努力をしましょうということを話し合ってまいった次第でありまして、御心配のようなことはあり得ないということを申し上げておきます。
  27. 八百板正

    八百板正君 先ほど農務長官から穀物を日本が、報道では一千万トン、こういうふうな数字が出ておりますが、これは何かアイデアとして伺ったというふうな軽い受けとめ方をしておられまするが、私の判断では、そんな軽いものではないんじゃないかというような感じをいたしております。  これは御承知のように、今アメリカドル高のせいもあって非常に穀物の販路が狭くなって、アメリカ農業には大変苦悩が満ち満ちております。御承知のとおりであります。しかし、アメリカ世界の穀倉と言われるような立場で、農業を第一にして世界経済的な立場を張りめぐらせてきた国でございますから、そういう意味で、やはり保護政策もやりながら農業を育ててきておること、経過は御承知のとおりでございますが、レーガンの方針として、保護助成というようなものはやらない、販売でもって、海外輸出でもってやっていくんだというような方針を立てておりましたが、実際はそういうふうに進みませんで、大分困っておるのは事実のようであります。  そういうところから出てきた一つの発想であって、先ほど来日本アメリカの穀物の最大のお得意さんだというお話もございましたが、確かにそのとおりでありまして、八〇%ぐらいはアメリカのものをいただいておる、こういう関係だろうと思いまして、ぽかっと一千万トンなんていう、子供じゃないんですから、専門家の話なんですから、単なるアイデアというふうに、そういう考え方を示されたというふうに考えるのは少し甘過ぎるんじゃないかというふうに私は思うんです。  御承知のように、アフリカの現状は穀物不足ですけれども、大体において当面は三百万トンぐらいあれば間に合う、こういう状況のようでありますが、一千万トンということになりますというと、アフリカの全体の年間の不足量に匹敵する数字でありまして、これだって偶然にごろがいいから一千万トンと言ったんじゃなくて、やはりちゃんとしたそういう背景の上に立っての話だろうと私は思うんです。  しかも、アフリカに対しては、アメリカは余り好評を受けておらない、どちらかというとそういう立場なんです。もっと端的に言うと嫌われているという感じのアメリカの現状として、国連の立場を支えていくためにも、アフリカに対するよい影響力といいますか立場をつくっておかなくちゃいかぬという立場があるわけでありまして、そういうふうな点を黒字減らしのついでに日本が肩がわりして、アフリカの好評を博するようなやり方をひとつやってもらって、それがアメリカの国際的地位の上にも役立つ、こういうふうな考え方が背景にあるというふうに私は判断をしますので、そういうふうに考えますというと、ちょっとあっさり出てきた話ではなくて、やはりよって来る背景が大いにありありでありまして、そういうことによって、一千万トンといえば御承知のように日本の穀物の主食の配給量を超えるぐらいの数字ですから、仮に一千万トンなんていうとちょっと実感が出ませんけれども、我々の家庭に入っておりまする十キロの米袋がございますが、あれで計算するというと、一千万トンを日本の国民にぱっと仮に、国内に向けるんじゃないにしても、入ってきたらこれは一軒の家であの十キロの袋を四、五十ぐらいずつ買わされる計算になるんでありまして、これは本当に容易ならざる数量でありまして、財政的なこともさることながら、直接日本の国内需要に入るものではないと言っても、この及ぼす影響は、日本の農業に対しては非常に大きな影響を与えるというふうな問題も含んでおるものであります。でありますから、一部有力な閣僚の間には、新聞報道によれば、これはひとつよく言う前向き検討していいんじゃないかというようなことをもう言っておる方もあるようでありまして、単なるアイデアというふうに聞き流すにしては余りにも重大な問題ではないか、こういうふうに私は思っております。  これは外務大臣に申し上げるよりも農林大臣に申し上げた方がいいのかもしれませんが、しかし、日本農業そのものというよりも、やはりアメリカ日本に対する黒字減らしという問題に大きく締まって出てきた話ですから、ひとつもうちょっとその辺のところをお聞きしておきます。
  28. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに、これは日本大幅黒字というものに絡まって対米黒字を減らす一つの方策として一千万トンという構想が出てきたと思います。アメリカ農務長官の直接の示された発想ですから、日本としましてもこの点については十分研究もしまして、またアメリカ側とも話し合う必要がある、私もこういうふうに思いますが、この考え方は、日本の国内の消費に一千万トンを充てるということじゃなくて、一千万トンを備蓄しておって、そして日本がこの一千万トンの備蓄の中から順次食糧不足の国々にこれを援助に向けるべきだ、こういう考えのようでございます。  アメリカは大変食糧も今余っておりますし、一つの考え方としてはそういうことも出てくることもあり得ないことではないと、こういうふうに認識もしておるわけでありますが、しかし、日本援助は大体年間三十万トンぐらいでございます。これは伸ばしていかなきゃならぬと思いますが、一千万トンということになりますと相当膨大なものになりますし、また財政の負担も大きいわけでございます。  ちょっと聞いてみますと、一年間で世界各国からアフリカ等の食糧援助に充てる額は大体七、八百万トンというふうに聞いております。またアメリカは四百万トンぐらいを世界食糧援助に充てておるようでございますので、そうしたいろいろのことを判断しますと、これができればそれは大変結構な話ですけれども、しかし、今の日本財政状況とか、また日本食糧援助の実態等から見まして、なかなかこれは今すぐそれじゃ大変結構な話だということで踏み切るというふうなことは、ちょっと困難でありますし、アメリカの非常に苦しい立場はよくわかりますからアイデアとして受けとめて、今後これからの情勢等も見まして、食糧援助日本がどれだけさらに拡大できるかというふうなこと等も検討いたしまして、その点について十分アメリカにも理解してもらうようなそうした説明もしなきゃならない、こういうふうに思っておりますが、アメリカではただそういう非常に概括的な話を聞いただけで、私が外務大臣としてこれに対して直ちに返事ができるようなことではありませんし、アイデアとして承って検討してまた御返事しましょう、こういうことに相なっておるわけであります。
  29. 八百板正

    八百板正君 この問題はまた尾を引いていく問題ですから、またもっと内容にわたってお伺いする機会があろうと思いますが、農林省の方、お見えになっておれば一言、ひとつどんなふうにこれを受けとめておられるか。
  30. 白井英男

    説明員(白井英男君) お答えいたします。  今回のアメリカの提案の、一千万トンの米国産穀物を我が国援助用として買い付けるということでございますが、今、外務大臣からもお話がございましたように、一千万トンをアメリカに備蓄しておきまして、日本援助として必要な際に、それをそのつど対象国であります開発途上国援助をするということでございまして、我が国に直接その穀物を輸入してくるということではございません。それで、その食糧の援助につきましては、私の方、所管としましては外務省でございますので、いろいろ御相談を受けながらやってきているところでございます。  それで、この一千万トンの米国産穀物を我が国食糧援助として使用する場合の問題点につきましては、今、外務大臣の方からるる御説明がございましたので、私の方から繰り返しになるかもしれませんが、若干詳細にわたりまして申し上げてみたいと思います。  現在の我が国食糧援助の主体はKR食糧援助でございます。国際小麦協定の食糧援助規約によりまして、我が国の拠出する義務量は、年間小麦換算で三十万トンとなっております。アメリカの今回の提案といいますのは、先ほども申し上げましたように一千万トン、これを四年間で実施するということでございますので、年間でまいりますと二百五十万トンということになりますので、このKR食糧援助の枠を大幅に上回るということになるわけでございますので、このアメリカの提案を実施するということになりますと、大変な巨額の財政負担を要するということになるわけでございます。  それから、KR食糧援助におきましては、規約上も、開発途上国産の穀物を優先使用すべしということになっているわけでございますので、大量のアメリカ産の穀物を援助用として使用するということになりますと、タイとかビルマ等の伝統的な輸出国、これに対する配慮が必要であるというふうに思うわけでございます。等々、この提案につきましては、いろいろ難しい問題があるというふうに考えております。
  31. 八百板正

    八百板正君 余り時間もございませんから、これからまたお尋ねすることにいたしますが、いずれにいたしましても、国内の需要、消費じゃないと言っても、    〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕 それだけの数量のものを日本が買い付けるということになれば、それに伴って流通関係とか輸送関係とか、いろいろな問題が伴っていくわけでありますから、そういう面でやはり一つのルートがそこにできるわけであります。ルートができまするというと、そのルートが必ず後にいろいろな形のものを誘っていくわけでありまするから、そういう意味日本の農業なり、海外食糧の、あるいは穀物の輸入に関係がないというものでは全くありませんから、その辺のところはもう言うまでもないことですが、いろんな点から、角度から、ひとつ御検討いただくように、農林省としてもおれの方に関係ないというようなことじゃなくて、大いに関係ありますから、ひとつ部内で御検討いただきたいと思います。  それから海外経済協力援助について、やや内容についてお尋ねしておきたいんですが、この間、中国関係は非常に今まで少なかったので、技術協力とかに対して配慮して、力を入れていく、最重点にするというふうな、新聞報道では見出しで報道されているんですが、このことをちょっと。
  32. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 御承知のように、中国に対します経済協力が一九七九年度から本格的に行われることになりまして、昨年、五十九年度の姿で申しますと円借款が年間でございますが七百十五億円程度、それから無償資金協力が年間で六十億円程度、技術協力が金額にいたしますと三十億円程度というものが年間供与されております。  技術協力につきましては、年間で研修生が約二百名日本に来て学んでおりまして、それから中国に参ります専門家の数が約百名程度ということで、技術協力の面におきましても非常に大きなシェアを占めているという状況にございます。  ちなみに、我が国ODAの総受け取り国ということで見ますと、従来、先生御承知のように、インドネシアそれからタイ、バングラデシュという国が常にトップにおりましたが、一九八二年及び八三年、両年とも中国が我が国の最大のODAの受け取り国ということになっております。これが現在の状況でございます。
  33. 八百板正

    八百板正君 何といっても、人口的に言っても、国土的に言っても、日本の二けた倍以上の国で、また一番近い、お隣ですから、この国の経済の底上げに対して協力するということは日本の長い将来にわたって大切な問題だろうと思います。  ついては、この効果的な協力関係をつくるためにも、細かい話は申し上げればたくさんあるんでございますが、この政府間の援助協力という関係と、民間の関係とをよく連携して、効果の上がるように御配慮をいただきたいという点を希望を申し上げておきます。  これは中国だけではございませんけれども、どの国の援助の場合でも、えてして国家ベースでいわゆる天下り式に計画されて使われていくということになりまするというと、そういう情熱を持っておらないところにつながりができていくという場合が往々にしてあるわけでありまして、効果が非常に薄い。また同時に、どんな協力関係、技術協力にしても、技術供与にしても、あるいはその他の機材関係援助にいたしましても、それを本当に必要として活用できる相手方と、提供する側の方との接触というものはなかなか、何といいますか、かゆいところに手が届くという関係につながりをつけるまでには何年もかかるわけでありまして、そういう意味で、やはり細かい末端の要望でも切実に情熱を持ってやろうという意欲を持ったそういうところと、また、こちらの方も、そういうのに見合うような機関なり、人なり、技術なりがつながっていきませんことには、ただ帳面の上では何件やって、どれだけ金を使ったということになって格好がつきますけれども、実質的にはそういうマイナスの面を抱えていくことになりますから、そういうふうな点でひとつ官民よく経験を生かしてやっていくような御配慮を特段にお願いしたいと思います。
  34. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいま先生の御指摘の官民の協力をよく有機的に進めるようにという御指摘かと思いますけれども、確かに御指摘のとおり、我が国の場合は民間、NGOの行っております協力と申しますのがODAの額に比べますと一%弱程度、ODAが三十七億ドル余りでございますが、八三年でとりますと、NGOの場合は三千万ドル程度ということで規模としては一%ぐらい。西欧諸国が一割、一割五分というくらいの規模のものを行っているのに対して割と少ないということが申せると思います。  また、それと同様ODAの中から民間の活動に対して供与されます補助金といいますか、そういうような額もほぼ同じような規模で、我が国の場合はODAの一%ぐらいが補助金でございまして、他の国に比べては規模が非常に少ないということがございます。    〔理事鳩山域一郎君退席、理事宮澤弘君着席〕 したがいまして、今後とも民間の援助政府との援助をできるだけ有機的に結びつけていこうということで、一つは補助金の問題がございますし、もう一つは、今先生も御指摘の政府援助と民間の援助を並行的に進めていきまして、現地で効果的に結びつけるということを考えております。  中国の例で申しますと、御承知のとおり、本年度、六十年度から中国に派遣されます民間のシルバーボランティアズという高齢退職者の方々の派遣に際しまして、政府が二十名の方の旅費を負担するということで民間活動とそれから政府援助との有機的な結びつきの一助にいたしたいと思います。  それからもう一つは、民間の援助機関相互の連絡をよくしていただこうということで、民間の援助団体の自主性を尊重しながら民間のNGOの組織づくり、それから名簿づくりというものに側面的にお力をかそうという趣旨の予算も六十年度からいただきましたのでこれも活発に進めたいと存じております。  それからもう一つ補足さしていただきますと、先ほど先生から評価報告書のことについていろいろ御忠言いたださましたが、ちょっとお許しを得て二点申し上げさしていただきます。  一つは三回目の評価報告書をお読みいただいたそうでございますが、どうも余り読んでもおもしろくない、本格的に力を入れて書いてないんじゃないかという御指摘でございました。外務大臣からも御説明しましたように、書いておる者は現地に参りまして一生懸命この評価をして書いているわけでございますが、確かにおっしゃるように、読んで非常におもしろい読み物であるということは言えないということは確かかと思いますので、今後この編集の体裁と申しますか、国別だけでなくて分野別ないし問題意識別に編集を考えるとか、お読みいただいて非常におもしろかったといって褒めていただく読みやすいような形のものにできるだけしていきたいというふうに考えております。  それからもう一点御指摘いただきましたのは、割と金額の少ないものを取り上げて大きなものが抜けているんではないかという御指摘でございましたが、毎回、毎会計年度百件ばかりを評価の対象にしておりますが、これは有償資金協力、無償資金協力と合わせまして、金額的には非常に少ないんですけれども技術協力といういわば草の根的な協力評価の対象にしているということでやっておりまして、特にその金額の多寡で差別をするということではございません。大体バランスをとって有償資金協力、無償資金協力、技術協力というものをほぼ毎年、バランスのとれた形で評価していこうという形で評価対象を選んでいるというのが現在の状況でございます。
  35. 八百板正

    八百板正君 評価報告について、朝日新聞でしたかずっと連載したのを読みましたが、ああいうのはおもしろく読める。だからといってああいうふうなものでなければならぬという意味ではございませんので、やった結果の中から、所定のとおりのことをやって結果はうまくいってます、異常なし、報告終わりと、こういうようなものでなく、やはり欠陥や失敗やもっと効果あるようにできるはずだったのがならなかったとか、そういうふうな問題を、むしろそういうふうな点に気をつけて取り上げて、そしてその後の活動に資する、こういう角度の方が私は必要なんじゃないかと思うんですね。やはりお役所式に、どれだけの金を出して、どこのだれとどうして、どこのどういう施設にやって成績はこういうふうに上がってまことに結構だ、所期の目的どおり立派にやった、異常なし、報告終わりと。こういうんじゃなくて、このごろよく言われる民間活力なんていう言葉があるように、もっと血の通った、日本としては私は一番重要な問題だと思うんですね。世界に向かって日本のやるべき問題として最大の重要案件だと思うんです。国際的役割を日本がこんな国になって果たしてないんじゃないかなんて責められておりますときに、    〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕 この問題はそういう意味で非常に重要な問題ですから、申し上げているわけで、どうぞひとつ御配慮を願いたいと思います。  それから、ついでにという形で御答弁ございましたから私もついでにちょっと時間がないんだけれども、農林省の方につけ加えて申し上げておきますが、穀物で海外援助するんだったら、例えば日本の今伝統的な水田を減らして転作をやらしておるんですから、そういうところに小麦でも何でもつくって、そしてもったいないですから、そういうところを活用して、そういうものはまるまる海外食糧不足地に対して援助をするんだというふうな、そんな方向をひとつ出してもらうのがいいんじゃないかと思います。これはお答えはいただかなくても結構です。さっき申し上げようと思って抜けましたからちょっと申し上げておきます。  それから、お尋ねしたいことがたくさんあると思っていろいろ準備をしてきたんですが、もう時間もあと五、六分ぐらいしかないようですからまたの機会にいたします、メモだけ見るというとあとまた三時間ぐらいかかりそうだから。  そこで、せっかく厚生省の方もおいでいただいたんですが時間がありませんので、これは紋切り型で結構ですから、摩擦問題に伴って対応していく状況をちょっと一言だけ。
  36. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 市場開放の重点要望の一つとして医薬品それから医療機器が取り上げられているわけでございますが、これにつきましては本年の三月の十二日、御存じと思いますが、第一回の個別会合が開始されまして、米国側からの外国臨床試験データの受け入れを初めといたしまして、七項目の関心事項が示されております。  これらにつきましては現在鋭意検討を行っておりますが、このうち医療機器それから体外診断薬のうちの人種差に関係がないような臨床試験データにつきましては専門家の意見もよく聞きましてこれを受け入れることといたしました。  それからもう一つ承認審査過程の透明性の問題がございまして、これにつきましていわゆる中央薬事審議会におきまして、外国企業を含めました承認申請企業が直接調査会の指示内容を聞き、それを説明するというような機会をもうけることといたしまして、これを今月の九日に発表されました対外経済対策に盛り込んだところでございます。  これ以外の問題につきましても現在鋭意検討を進めておりまして、医薬品の有効性、安全性の確保にも配慮を十分しながら、米国と次回以降におきましてさらに積極的に対応をするという方針でございます。
  37. 八百板正

    八百板正君 おいでを願って、時間がないと言って申しわけないんですが、通産省の方もおいで願っていますので一言だけお願いしますが、どんな対応を。
  38. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) 通産省といたしましては、ただいまの貿易黒字拡大という問題に対処しますために一つの重要な対策としまして工業製品の輸入促進ということが重要かと思います。こういうことを通じて拡大均衡を達成していくべきではないかと思っております。こういう目的のために、私どもとしましては次のようなことを考えております。  第一に、産業界に対しまして製品等の輸入促進の努力を要請したいと思っております。第二に、インポートフェア等輸入品を我が国で紹介するための機会を拡大していきたいと思っております。第三に、外国政府協力して行います特定の製品についての輸入促進計画、これについても強力に進めてまいりたいと考えております。また、製品輸入金融につきましては既に日本輸出入銀行の製品輸入金利の引き下げが決まっております。第五に、国民各位に対しまして製品輸入促進という重要性を呼びかけて製品輸入拡大の御協力をお願いしたいと思っております。  以上のようなことを重点に拡大均衡を目指して製品輸入を促進してまいりたいと考えております。
  39. 八百板正

    八百板正君 経済企画庁の方も御連絡申し上げておりますので、一言だけお願いしたいと思いますが、その前にちょっとこれは大臣から最後にお伺いしたいと思いますので申し上げておきますが、日本の今日の立場は、例えば経済白書やその他の白書にも見られるように、一昨年あたりまでは一口に言うと物の時代だった。しかし、今や日本は資本供与国として、世界における債権国としての立場に立った。古くイギリスは成熟せる債権国、世界における債権国、金貸し国と。アメリカが次いで台頭した、これらの成熟せる債権国の中で、日本は未成熟なる債権国家として今日立っておる。こういう位置づけをしておるわけであります。そういうことになりますると、日本は一口に言えば世界の高利質し、高利貸しという言葉が悪ければ世界に対する資本提供国と、こういう形になって、成熟せる債権国であるアメリカをしのいで、アメリカを今や債務国家に追い落とそうというぐらいの勢いで、きょうここへ来るまでちょっと聞きました数字などを見ましても、ことしあたりももうぐんぐん黒字がふえていくような勢いだ。こういうふうな見方をしております。しかし、少しさかのぼって日本がここ十年、二十年の経過をずっと見てきまするというと、これは異常なる状態の中で今日の日本経済大国という言葉は言いたくありませんが、そういう立場を築き上げておるのでありまして、これは身をもって明らかなように、あのひどい状態からあるいは朝鮮特需、ベトナム特需あるいはオイルショック、オイルショックに当たって異常な打撃を受けた企業に対して政府が、つまり金を借りてどんどんこれにてこ入れをして、そしてそこで立ち上がったというような経過の中から、この勤勉なる日本の国民と貧しい中に育ってきた日本の長い民族的伝統の上から今日のこういう立場をつくり上げたわけなんですが、それが例えばイギリスにしたってああいう地位をつくるためには半世紀をかけて地位を築き上げております。その後アメリカの場合はまたその半分ぐらいの速さできておりまするが、日本の場合はまたその半分ぐらいの速さでぐんぐんと寒暖計をあぶったように伸ばしてきておるというのが日本の現状であります。こういう現状は非常にこれは病的なものでありまして、文明史的に見ても、あらゆる面から見ても正常な状態ではないんであります。  こういう状態を歴史の中で十分に自己を見詰めて、日本というものは一体世界の中で地球上にどういう立場で長く平和に繁栄し得る国であるかということをよくつかんで、地球儀を見ればわかるのです。やはり節度を持って日本立場というものを組み立てていかなければいけないんでありまして、そういう立場を忘れて今世界から袋だたきに遭っておりまする日本黒字が多過ぎるという問題を考えていかないと大きな誤りを犯すと思います。  だからそういう意味で、これは一言でそんなことを言ってしまうというとちょっと誤解がありますけれども、むしろ日本はもっと節度のある適正な国として、いわば小国、大国ではない、小国だという立場で国の身構え、姿勢というものを打ち出して、いわゆる小国宣言という言葉は適当かどうかわかりませんが、そのぐらいの謙虚さを持ってこの事態に取り組んで、そして果たすべき役割は勇敢に果たしていく、こういう態度が私は必要だと思います。  これはまた、機会を見ていろんな意見を申し上げたいと思いますが、時間も参りましたのでちょっとこの点を申し上げて大臣の所見を伺い、時間がなくて済みませんが、どうしましょうかな、経企庁の方にも伺いますかな。
  40. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) おっしゃるとおりで、やはり輸出にしても輸入にしてもあるいはサービス、金融の面におきましても節度がなきゃいかぬと思います。  今の日本の場合は出るくいは打たれるというような形で急速にあらゆる面が伸び過ぎた。その半面、やはり外国が対応を怠ったという面も私はなきにしもあらずだと思っておりますが、いずれにしてもそういう状況日本だけが突出して経済は大変いい状況になっている、さらにまた黒字も非常に大きくなってきている。そういうことが世界のある意味においてはやっかみを受けて、そしてまた批判を受けておることになっておるんじゃないかと思います。そういう中でこれからやはり大事なことは、日本がただ伸びるというだけじゃなくて、その半面の国際的な責任を積極的に果たしていくということではないだろうかと思うわけで、国際的に批判されておるところの例えば市場アクセスの問題等についても、やはり日本なりにできることは積極的にやっていかなきゃなりませんし、あるいはまた黒字の問題につきましても、拡大均衡という立場でいろいろの角度からこの黒字減らしというものに対しても努力を重ねていかなきゃならぬと思いますし、あるいはまた金融等の問題についてももっと自由化を進めていくとか、さらにまたニューラウンドを推進するとか、いろんな面で日本がそれだけ大きくなりました半面、それだけの責任を果たしていくということが大事である。やはり世界の信用、信頼というものを日本が失ったら全く孤立して、そして日本の今までの積み上げたものが一挙に崩壊してしまうというおそれすら私はないわけではないと思って、その点はこれから政府としてもまた国としても全体的に判断をして反省をしながら節度を持って進んでいかなきゃならぬ、そういうふうに感じております。
  41. 八百板正

    八百板正君 トップランナーだけがランナーじゃないですからね。
  42. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) よくわかっております。     ─────────────
  43. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 委員異動について御報告いたします。  栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として関嘉彦君が選任されました。     ─────────────
  44. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、どうも御苦労さんでした。  お疲れのところでしょうが、内需拡大策をとれ、こういう意見について外務大臣どういう見解をお持ちでしょうか。
  45. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この問題につきましては、日本財政との関係があって、なかなか厳しい状況に直面しているんじゃないかと思います。私も今度のOECDに出ましたし、あるいはまた日米外相会談等も行ってみまして、ひとしく言われておりますのは日本黒字の問題でございますが、その中でやはり一つの議論としては日本黒字問題というのはただ日本市場アクセスを改善するだけでは、これは解決ができないんだ、やはりもっと日本自身の内需の拡大というものが必要になってきているんじゃないか。例えば、シュルツさんは非常に日本世界的に高い貯蓄率というものを指摘しまして、この貯蓄率とそれから日本の投資、国内における投資というものがバランスがとれていない、その辺に黒字が大きくどんどん広がっていく原因があるんじゃないか、その辺のところをひとつ考えていただかなきゃならぬということも演説でも言われ、私にも指摘をされたわけで、私はやはり貯蓄率の高いということが確かに日本は大きな資金を持っていることになるけれども、それが今金利差を求めてアメリカに流出しているということも事実であるし、その辺のところはまたひとつ理解もしていただかなきゃならぬ。ただ、日本の内需については今財政の問題もあって、なかなか財政が出動するということは非常に困難であるけれども、しかしこれから例えば民活を大いに推進するとか、あるいはまたデレギュレーションを推進するとか、諮問委員会で指摘されたような週休二日制をさらに進めて消費を進めていくとか、そういう面で、あらゆる面でできる範囲の内需の振興については努力をしている、しようとしているということを言っておるわけでございまして、私は全体的に見れば日本経済成長というのは昨年もことしも世界的に見て決しておくれておるわけじゃないし、五%以上の経済成長、実質成長というものは確保されるわけで、投資も相当最近の日本の投資はふえておるわけでございますから、決して悲観する状況じゃないと思うわけでございますが、しかし今の黒字問題というものを考えてみるとき、もっとやはり内需に一つのてこ入れをするということはこれからいろいろと研究はしなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
  46. 黒柳明

    ○黒柳明君 政府間では一応めどがついたと、四分野の開放に対してアメリカ側が行政として理解してくれた、議会筋はそんなものじゃない、大臣が行かれての感触を示された。きょうからその攻勢が始まる、私は上下院の友人にいろいろ打診した結果、まあ、議会全体としてはイースター前ののような雰囲気じゃないみたいですけれども、まだまだ強硬派はこれじゃ負けぬぞ、こういう雰囲気、大臣がおっしゃっておるとおりでありますから。この九日の総括的な、総合的な、しかも中期的な対外経済政策、これで三百七十億余の赤字を解消できるなんというのはとても考えられません。まして短期的なんか考えられません。となると、アメリカ議会筋はどこまで説得されるのか、納得するのか、非常に疑問だと思うんですけれども、議会筋を説得するためには今後どうすればいいのか。中期的にまずこの日本の市場開放策をじっと待ってもらうよりほかないのか、その点いかがでしょうか。
  47. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは議会がどう出るか私も全く予測ができません。私が行って非常に感じたことはこれまでと全く違った様相を議会が呈しておるということであります。これまでむしろ日本立場理解し、日本努力評価しておった議員たちまでが一斉に日本批判に回っておるということをブッシュ大統領も指摘をしておりまして、また、今のこの議会状況というものには恐怖を覚えるということをシュルツ長官も言っておられるわけでございまして、それだけにこれはどう出るか予測できないんですが、私は、日本としては誠意を尽くしてこれまでも四分野中心としての努力を行ってきた、その成果も上げてきたし、政府間としてはお互いに理解に到達した、ですからぜひともシュルツ長官もあるいはブッシュ大統領議会に対して冷静なひとつ対応を求めていただきたいということを要請をしてまいっておるわけでございますし、ヨーロッパ、アメリカの新聞等も今の日本努力というものについては一応の評価をしておる。ただ、これから見守っていかなきゃならぬということはこれはもちろん当然のことでありますが、そうして自由貿易というものを守っていくためにただ日本黒字だけを指摘して日本をスケープゴートにするというのはよくないという、こういう姿勢をマスコミ等も保っておるわけでございますから、そうした今の日本政府間の努力日米政府間の努力あるいはマスコミのこれに対する判断、そういうものが選挙区から帰ってき始めている議会人の心理にどういうふうに影響が出てくるか。  私はやはりアメリカとしてもサミットは成功させなきゃならぬということは、これは政府だけじゃなくてレーガン大統領を支持する議員も当然そういうふうに考えておるでしょうし、日本努力というものはそれなりに行われたということはわかってくれておると思いますから、またこの前と同じように一挙に噴き出すという状況じゃないと思いますが、しかし根底的には依然としてまだ日本に対するこの不信の気持ちというのはぬぐわれるような状況には立ち至ってない、こういうように思っております。いずれにしてもまだちょっと予断ができないということで見守ってまいりたいと思います。
  48. 黒柳明

    ○黒柳明君 その議会筋を説得する一つシュルツさんがおっしゃった内需拡大をしてもらいたい、こういう発言にも、要望にも出てきたんではなかろうかと思いますが、期せずして、きのう、外務大臣はいらっしゃらなかった、こういうことであります、確かは物理的に不可能だったわけですから。河本さん、前からこれは内需拡大論者でありますから、河本さん初め宮澤総務会長、あるいは竹下大蔵大臣も聞くところによりますと外務大臣と同じように財政的には困難だけれども何らか手を打たなきゃならない。今外務大臣もてこ入れは必要だ、こういうニュアンスです。ただ、総理だけは現状の市場開放、これを推進しながらだと、こんなニュアンスであります。しょせん私そこの場にいたわけじゃありませんが、活字あるいはブラウン管等を通じますとそういうニュアンスですけれども、反面、内需拡大の矛先を、総理大臣の考えかどうか、外国製品の輸入促進運動なんかをやるみたいですね。ポスターを十万枚張って、あるいはテレビスポットなりいろんな分野でやるみたい。相当これ金かかるらしいですね。また、百ドル国民一人買ってくれれば百二十億ドルになるというふうなこと、ここは外務大臣が出かける直前あるいは留守のうちだったものだからここらあたり外務大臣は御相談にあずかったかどうかちょっと私わからないんですけれども、こういう国民にしわ寄せをする、ある意味においては、こういう考えはどうなんでしょうか。内需拡大策というものは確かに財政的には困難ですけれども、政府あるいは党首脳がそうしなければ、大来さんのあの対外経済問題諮問委員会の中にもこれはもう含まれているわけであります。これがなければやはりアメリカの行政そして議員サイドを説得するだけの短、中期的な施策だけでもとったと言えないんじゃなかろうか。これは結果じゃなくて、施策をまずとる努力をするということです。この努力すらもとったことにならないんじゃないかと、私はこう思うんですが、この辺との関係いかがでしょうか。こういう外国のあれについて外務大臣、相談にあずかっていたんでしょうか。
  49. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん閣僚会議でこういう方向は決まったわけですから、私もその責任はもちろん持つわけでございますが、私は今の内需拡大、内需振興の問題については、先ほどお話しの大来さんを中心とする諮問委員会の答申、これにも出ておりますし、日本もまたこれからアクションプログラム、さらにまた中期計画を粗筋として七月までにつくるということに内需振興も含まれておりますし、恐らく諸外国もこの七月までにできる日本のそういった基本的な中期見通しといいますか、中期政策を見詰めておるんじゃないだろうか。それに対して、いわば注文的な形でいろいろと発言が出ているんじゃないかとも思っております。  私も、そういう意味では、やはりこれから実施本部等もつくってやられるというふうに聞いておりますが、七月に行われる一つの、これは概算要求を前にしての日本の中期的な市場開放、さらにまた国内政策、そういうものを含めた政策中心にこれから進めていけばいいんじゃないか、こういうふうに思っております。  同時に、製品輸入については、これは輸入拡大をするためにいろいろと政府が積極的にやっていこう、国民にも訴えようということで、総理大臣がみずから先頭に立って談話を発表し、いろいろなPRをこれからやっていくということでありますが、この点については、ヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましても、この総理大臣の製品輸入の呼びかけというものは非常に画期的であるということで、むしろ非常に評価されておる。しかし結果を見てまいりたいということで、このアクションというものは、やはり相当な評価につながっておるんじゃないかというふうに私は理解をしております。
  50. 黒柳明

    ○黒柳明君 民間企業はやはり外国製品を関連、関連で輸入しなきゃならない、これは当然だと思います。百ドルということですね。これはあるところに活字になって出ておりましたけれども、外国製品といってもやはりブランド物じゃなければ買う価値はないわけでありまして、かといってある程度豊かになった日本国民というのはブランド製品は飽きるほど持っております。また、高かろうよかろうじゃこれはもうどうしようもありません、百ドルですから。悪かろう安かろうじゃなお困るという中で、通産あたり総理の呼びかけにこたえて品目を出しましたけれども、あの品目を見ましても全く限られているわけであります。果たしてこの呼びかけが効果があるかというのは非常にこれは疑問だし、むしろ反発の方が効果より先に出ている。確かに、民間企業に対しての輸入品の促進、これは私もある意味において一応外国が評価すべきものかなと、いいアイデアだなと、こういうふうに思いますけれども、これを今度は国民全体に買いなさい、買ってくれと、こう言うことについてはちょっとやっぱりどうかな。ということは、それより先に、政府がやるべきものがまだ外務大臣、一、二挙げましたが、残っている。その残っているものをやる、これは内需拡大策も含めてですよ。それを先行しないとやはりうまくないんじゃなかろうかな、こう思うんですが、この点、いかがですか。
  51. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに、消費物資についてはなかなかこれは政府が国民に買ってくれと言ってもそれぞれの国民の選択で、それは買ってもいいというものもあるでしょうし、なかなか買えないというものもあるでしょうし、消費物資については割合に行き渡っておりますから多くを期待するということはなかなか困難な点があると思いますが、しかし、工業製品等については、例えば今回の措置によりまして、電電のいわゆる調達輸入の問題につきましては、通信機器についての道が完全に開けたということになりましたし、あとは、これから電電がどれだけ買うかというこはアメリカの売り込み努力にも私はよると思いますし、あるいはまた通信衛星につきましても政府間の調整は終わりまして、商業ベースで輸入の道が開けてきたので、これも可能性が出てきた、こういうふうに思いますし、そういう点では政府としてはやれることはやっておると思います。  これはアメリカ評価しておりますし、また通産大臣の話を聞いてみますと、輸出関連で、大幅に輸出を伸ばしてる業界を集めて製品輸入を、例えば自動車についても部品の輸入であるとか、そういう輸入をもう少し積極的にやってもらいたい、こういう訴えかけをするようでございますが、そういう点はやはり輸出業者等もいろいろと政府の呼びかけには、これから保護主義というものがとられたら輸出がストップされてくるわけですから、そういう点については相当な私は反応というものはあるんじゃないだろうか、こういうふうに期待はしておりますが、しかし、これはあくまでも政府として強制措置をとるわけじゃありませんし勧奨するわけですから、業界の自主的な判断に求めざるを得ないんじゃないかと思いますが、しかし、空気はやはり出てくるんじゃないか、こういうふうに思います。  アメリカ議会のああした日本だけを目標にした報復措置という声がこれから決して私は下火になるとは思っておりませんし、それを乗り切っていくにはやはり製品輸入を拡大する以外にないわけですから、政府がやれるものはやりますけれども、限界があるので、やはり民間業界が中心になってやっていただく以外にはないんじゃないか、こういうふうに思います。
  52. 黒柳明

    ○黒柳明君 まず隗より始めよで、百ドル外務大臣何を買おうと今考えておりますか。
  53. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今、私も別に何も直接買いたいというものがあるわけじゃありませんけれども、ひとつよく研究してみます。
  54. 黒柳明

    ○黒柳明君 アメリカ議会筋をおさめるだけじゃなくて、まだまだEC諸国でも、あるいは東南アジア諸国でも問題は解決したわけじゃないので、当面は大臣もおっしゃったようにボンサミットがあと数週間後に来るわけでありますから、そのボンサミットまでに、減税と言ったってこれは無理でしょう、野党はさんざん言って予算成立しちゃったわけですから。ですけれども、住宅対策なり公共事業の問題なり、今一番公共事業は困っています。これは外務大臣分野じゃありませんけれども、ただしこれはもう外交当事者として一番の責任者ですからね、総理大臣とともに。そういう分野でやはり何らか施策を打って、そしてボンサミットに向かわなきゃならない。これはそういう声も、河本さんあたりは積極論者であるわけであります。そういう必要を感ずるのですが、ボンサミットという当面の数週間後に控えたこの目標、この期間というものについて外務大臣は何か推進しなきゃならないと、内需拡大策を、こういう考えをお持ちでてこ入れしなきゃならないということでしょうか。それとも、ボンサミットは近いから、これは市場開放をまだ見てもらうと、こういう考えでしょうか、いかがでしょうか。
  55. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私はボンサミットに向かうための道筋として、問題の整理はOECDあるいは日米外相会談で一応の整理はできたんじゃないか、こういうふうに思っております。一番我々が今度のOECDで非常に痛感したのは、日本黒字問題が焦点になって、これにやはり各国から批判、攻撃を受けるということは何とか避けたい、この点についてはOECDで大いに議論した結果、日本だけの黒字を突出させて諸外国から批判を受けるということよりは、むしろ日本黒字も問題であるけれども、同時にアメリカ財政赤字あるいはドル高、高金利、そういうところも同時に問題であるし、またヨーロッパの構造調整の問題も大きな一つの課題であるということで、いわば並立的な形で世界がそれぞれ自分たちの問題を解決するために努力しながらお互いに協力していこう、こういう道筋はできたように思うわけでありますし、また、日米間においては、今の市場アクセスの問題が四分野中心にして進んだということにつきまして、日米間の一つの、政府間の理解には達したんじゃないか。ですからボンサミット日本だけが集中攻撃を受けるというふうな事態は避けられるような状況になったと思います。しかし、黒字問題の解決については、市場アクセスだけでは解決ができないというのもこれは諸外国も言っておるわけですから、そういう点で、日本がこれからそれじゃ市場アクセス改善のためにどういうことをやるかということが、これがやはり諸外国の注目の的でありますから、この点についてはボンサミットにおける日本発言も非常に重要になってくると思うわけでありまして、その点については、実はそれこそまさに九日に発表しました中期的なアクションプログラム、さらにそれに関連した内需を高めていくという日本の考え方というものが出されることはこれは必要じゃないか、どういう形で出すかというのはこれからの問題として検討しなきゃならぬと思います。しかし、最終的に政府全体としての方向だけはぼやっと出せると思いますが、方向として具体的に決めるのは七月の終わりぐらいじゃないとこれは決まらぬのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
  56. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほどのOECDにおいて決めたその二項目目ですか、新保護主義政策はとらない、措置はとらない、これはアメリカ議員サイドの、議会サイドの対日報復手段、法案等について、相当の歯どめになる可能性はありますでしょうか。
  57. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 恐らく政府を代表しまして皆出たわけですから、OECDとしての一つコミュニケでそれだけのものがきちっと出ておりますから、新しい保護措置はとらないということはそれぞれの国が拘束をされるべきものであろうと、こういうふうに思っております。ですから、アメリカ政府としてもこれ以上保護主義を強化するということはとろうとは考えておりませんし、恐らく大統領も、議会でそういう保護主義的法案が出たとしても、これに対しては拒否権を使うというふうな姿勢を持っておられるんじゃないか、こういうふうに思いますが、しかし、これでもってそれじゃすべてが済むかというと、なかなかそう済むような状況にならないかもしれない、その辺にまだ心配は残っておるわけです。
  58. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に、ちょっと話題変わりますが、中国のアメリカ核艦船を受け入れる——一時は米中両国で非核だけに限ると言っていたのが、何か昨日、通常艦船だけだと、核推進力の艦船も入れないと、こういうことがありました。これは何も中国の政策でありますから。それから先般のニュージーランドの政策もある。日本アメリカとは日米安保条約があって、非核三原則も維持しているという。しかしながら我が国は唯一の非爆国であって、核廃絶を世界に声高らかに叫ばなきゃならない国であるわけですが、そういう国でありながら、ニュージーランドの、あるいは中国のそういうアメリカの核艦船というものもシャットアウトするんだと、こういう政策が出てきているわけですね。我が国だけの独自の政策はある、非核三原則で守られている、そんな問題はないというものの、やはり国際的に何か範囲が狭められてきているんじゃなかろうか、こういうような感じがするんですが、外務大臣、これにつきましてどういう感じをお持ちでしょうか。
  59. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ニュージーランドの政策については、これは明らかでありますし、我我も十分承知しておるわけですが、中国の胡耀邦さんが言ったとか、いろいろな発言等については、私もOECD等へ行きましてその実態というものを、また実相というものをよく承知しておりません。果たして中国がそこまではっきりした姿勢を示しておられるのかどうか、この辺のところはもう一歩見きわめないと、軽々に私の口から申し上げる段階でないので、もう少し、その辺は確かめてみたいと思います。  日本日本のいわゆる核政策というものがありますし、これをひとつ遵守していくというのが日本姿勢で、これを貫いていきたい、こういうふうに思っています。
  60. 伏見康治

    伏見康治君 SDIについて御質問申し上げたいと思います。  三月の参議院の予算委員会の関連質問でちょっとお伺いしたんですが、その時点ではアメリカから正式な協力要請というものはまだ来ていないという御返答をいただいたんですが、その後、そういうものが参ったようでございますが、どういう協力要請がされているのでございましょうか。
  61. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 米国のSDIの研究に関連しての友好国あるいは同盟国に対する参加の要請というのは、我が国を含めて主としてNATO諸国等に対して行われたものでございますが、我が国に対しましては先月の二十七日付でワインバーガー国防長官から安倍外務大臣あての書簡というものが参りまして、その中におきまして、一番のポイントだけのところを申し上げますと、SDIの研究計画への参加についての日本の関心の有無、それから本計画にとり最も有望と日本が考える研究分野について示唆をしてほしい。それから、そういう日本の関心ないし示唆は六十日以内にやってほしい、こういう趣旨の書簡が接到いたした次第でございます。
  62. 伏見康治

    伏見康治君 専門家に来ていただいてSDIというのがそもそも何物であるかということを政府も御研究になると思うんでございますが、しかしSDIに関しては少なくともアメリカでは非常にたくさんの議論がコングレスの中でも、またコングレスの外側でも行われているわけでして、SDIというものの細かい内容は別としてフィロソフィー、それの大体の輪郭といったようなものは、もう既に相当はっきりしてきていると思うのですが、今、政府としてはどんなふうに理解しているんでしょうか。
  63. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) これは累次、総理あるいは外務大臣より御答弁申し上げておりますが、基本的なレーガン大統領ないしアメリカ政府のSDIについての考え方については、一月のロスにおきます日米首脳会談、この機会にレーガン大統領から中曽根総理、あるいはシュルツ国務長官から安倍外務大臣に対しての説明で、基本的な物の考え方についての説明がありました。  これは累次申し上げておりますように、基本的には非核の防御的手段であって、核兵器の削減、究極的にはその核兵器の廃絶というものを目指す。そのための可能性というものを防御兵器の研究開発ということによって探究するものである、こういうことが基本的なアメリカ側の考え方である、こういうふうに承知をいたしております。
  64. 伏見康治

    伏見康治君 その段階で、政府としてはSDIというものの性格がぼんやりながらわかった段階で、それに協力すべきか、すべからざるべきかという判断があるのではないかと思うんですが、それはどういうことになっておりましょうか。
  65. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) SDIの研究への日本協力という問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたワインバーガー長官から安倍大臣への書簡の接到と、こういう状況を踏まえまして、今後政府としては検討をしていくということでございまして、その際の判断の材料に資するために、まずもってアメリカ側の専門家の説明を聞きたい、こういうことで、安倍大臣よりワインバーガー長官に要請をしておる次第でございます。  これに対しましてアメリカ側は現在、具体的な日程等につきましては外交チャンネルで調整中ではございますが、基本的には四月の下旬、今月の下旬にアメリカ側から、そういう説明をするための専門家のチームを派遣することにしたいということを言ってまいっております。したがいまして、アメリカ側の説明は、最初の説明の機会はそういう四月下旬の専門家の来日というときでございますが、今後種々の機会にそういうアメリカ側の説明も十分よく聞いた上で政府の内部において慎重検討の上態度を決めると、こういうことでございます。
  66. 伏見康治

    伏見康治君 私の御質問申し上げているのは、今までわかった範囲内で既に考慮すべき点が幾つかあるんだろうと思うんですが、例えば一九六七年に発効いたしました宇宙条約というのがあると思いますんですが、宇宙を戦場にしてはいけないという意味の、そういうものとの抵触の点ではどうお考えになるんでしょうか。
  67. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 宇宙条約の規定につきましては、委員承知のとおりに、核兵器ないし大量破壊兵器の宇宙への配備というものを禁止しておりますが、これは今後アメリカ側にも確認するということにはなろうと思いますが、第一義的には私どもは、アメリカは当然宇宙条約の当事国でありますし、ソ連もまた同様に宇宙条約の当事国でありますので、今後の米ソ間の話し合いにおきましてはそういう両国の宇宙条約の当事国であるという立場を当然のことながら念頭に置いてこういう問題の話し合いが行われるというふうに理解をいたしております。
  68. 伏見康治

    伏見康治君 これは外務委員会ですから条約関係のそういうものがたくさんあると思うんでございますが、そういう関連をよくお考えになりながら進めていただきたいと思うんです。  さて、そのアメリカから専門家グループがやってきて説明をしてくださるというその専門家というのはどういうタイプの専門家なんでしょうか。
  69. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) どういう専門家が来るかということにつきましてはまだアメリカ側からは具体的に言ってまいっておりませんので、この場で具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、私どもとしてアメリカ側に要望しておりますのはSDIの技術的な側面について説明ができる人、と同時に、それは同じ人でなくても別の人で構わないわけですが、より広い戦略的な面と申しますか、政治面を含めたそういう戦略的な面の説明もできる人、その両方をよこしてほしいということを申し入れております。
  70. 伏見康治

    伏見康治君 そういうことでいいかと思いますが、その専門家の説明を聞く我が方の人選はどういうふうになっているんでしょうか。
  71. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) これは現在関係省庁、主として防衛庁、通産省それから科学技術庁でございますが、そういう関係省庁と現在外務省中心になりまして相談をいたしましてアメリカ側の説明を聴取する態勢をつくりたいというふうに考えております。
  72. 伏見康治

    伏見康治君 伺いたいのは、そういう専門家の集団がアメリカ側の説明を聞いて何らかの判断をなさるわけですね、判断のために情報を取り入れられるわけですから。その判断はその集団がするんですか、つまり、SDIに協力するかしないかというようなことを決めるのはどこが決めるんですか。
  73. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 米側からの説明の聴取は専ら事務レベルで行うということを考えております。アメリカのそういう研究への協力ないし参加の要請ということについて日本政府としてどう対応するかということにつきましては、これは当然のことながら事務レベルと申しますか、事務当局の判断のみでは行い得ない問題でございますので、政府全体として慎重に判断をいたす、こういうことになろうかと存じます。
  74. 伏見康治

    伏見康治君 私はその専門的な説明を伺う方々の姿勢といったようなものがその後の判断を非常に決定的にしてしまうと思いますので、幾つかの注文を申し上げておきたいんですが、例えばアメリカ側の説明ですと、このSDIというのは今は研究の段階である、二十一世紀の半ばごろにならないと実物にはならないというような非常に長期的なお話であります。  したがって、今の段階で要る専門家というのは、実際のミサイルを撃っているような専門家ではなくて、むしろ非常に基礎科学的な方々が必要だろうと思うんですね。そういう方でないと判断ができない面があると思います。しかし一方、今言われたように戦略的な構想というものも必要で、それは基礎科学をやっている人にはわからない。つまり、いろいろな段階の専門家が私は必要だと思うんですね。その辺のところをよく考えていただきたいと思うんでございますが、私が一番恐れますのは、外務省が担当してなさるということはそういう意味での人選とかあるいは構成とか、あるいはそこが何をするのかといったようなことについての判断が、外務省的な観点だけでは不十分なのではないか、非常に大きな立場で考えていただけるような方々の集団でないと不適当ではないかという、その点を非常に危惧を抱くんですが、その点いかがですか。
  75. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) アメリカ側からの説明の聴取につきましては、技術的な側面についてはもちろん外務省のみでは消化できない点が多々あろうかと思いますので、関係省庁でそれなりの知識を有している方々にも直接、間接に参加をしていただいて十分そういう専門的な知識をある程度消化できる方々の意見も伺いたいというふうに考えております。
  76. 伏見康治

    伏見康治君 数日前の朝日新聞に、リバモアの研究所でノバという高出力のレーザーを使って核融合をさせる研究の装置が完成した。そこに日本のHOYAというガラス屋さんのガラスが使われているといったような報告がございましたんですが、それにちょうど匹敵する高出力レーザーによる核融合の研究というのは日本でも行われておりまして、大阪大学の山中千代衛教授がノバに匹敵する大きな機械をつくってやっておられたし、ノバが使っているHOYAのガラスをつくらせたのは山中教授であると私は思っておりますが、そういう意味で基礎研究の段階では日本のいろんな研究者というものは非常に高い水準にあると私は思っております。そういう方々の御意見が十分反映されてこないとSDIに対する正しい判断はできないと思いますので、基礎研究の方々の知識をこの際取り入れるということにやぶさかでないようにひとつ希望しておきたいと思います。  しかし同時に、そういう基礎研究、現段階で高出力レーザーというものは大変大きなものでございまして、そういうものが例えば宇宙に上るなんていうことは到底考えられないような大きなものですが、それが将来の研究によってどれだけ小さくできるかといったようなことは、おいおいできるかもしれないんですが、それは非常に長い年月をかけるものであろうということはそのレーザー装置を考えただけでも納得がいくわけでございまして、したがって、現在が基礎研究の段階であるということを非常に強く念頭に置いてやっていただきたいと思います。  同時に、SDIというのは、今いわゆるスターウオーズという言葉で言われているような形で述べられているものは、そういう基礎的なものはもうできているという考えの上に立ってそれをどう組み合わせて、つまり宇宙のどこに何を置いて、鏡をどこに置いて、ブースター段階で赤外線を検知してといったようなそういう組み合わせ、いわばシステムですね、システムとしての兵器を漫画的に描いて議論しているというのが大部分だと思うんですが、その段階に入る前に、今申しました個々の要素の研究というものが非常に積み重ねられなきゃ話にならぬと思うんですが、そういう意味で、議論の大部分というものは本当の基礎研究がどの程度の見通しがあるかというような御議論ではないかと私は想像いたしますので、そういう意味で、本当の研究をやっている方々、つまり新聞、雑誌を読んでおられる方で特にスターウオーズに幻惑されておられない方々の知識が必要であると私は特に思いますので、その点をお考えおきを願いたいと思います。  ところで、私は安倍さんに伺いたいんですが、スターウオーズというか、SDIというレーガン大統領の発想は、これはあくまでも核兵器を無力化する新しいものをつくって、そして人類の悲願である核兵器の廃絶というものを何とか現実化しようという大変すばらしい発想から出発したと思うんですね。その限りにおいて、これは特に核廃絶を願っている日本国民としては頭から拒否できないという面があると思うんですが、それが本当に実現できるかどうか、技術的にできるかどうかという問題が、これから検討になるんでしょうけれども、とにかくそういうことを考えてみるということ自身は悪いことではないと思うんです。  しかし、これはあくまでも人類共通の敵である核兵器を何とかしようという課題でございますので、それをやる、つまり人類共同の作業だと思うんですね。そういう意味で私は、ソビエトと手を組んでやってもいいはずの問題だと思うんです。つまり、基礎研究の段階の科学研究というものは、御承知のように国境がなくして自由に交流することによって基礎研究が進められているというのが現状だと思うんですが、例えば、また核融合の話になりますけれども、つい最近原子力研究所がつくり上げたJT60という機械はトカマク型の装置でございますが、このトカマク型というのはソビエトが考え出したもので、アメリカは最初考えていた、自分自身で考えていたものを途中で捨ててトカマク型に乗りかえたというわけで、つまりそういう基礎研究の段階では東西の間の知識の交流というものは盛んに現実に行われているわけです。  ソビエト側が西側のいろんな知識を取り入れていることはもちろんですが、逆に東側の知識を我我もいろんなところで取り入れているわけです。そういうことによって基礎研究というものが進展しているわけでございますから、こういう基礎研究での、しかも目的が核兵器を退治するという人類共通の課題である限り、共通な課題として東西手を取り合ってやるべきだ、本質的にはそうあるべきものだと私は思うんですが、何かSDIに協力するということが西側の結束を固めるといったような意味合いに使われている気配があるんですが、その辺のところの大臣のお考えを伺いたい。
  77. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今回もシュルツ国務長官とこのSDIの問題について意見の交換をしました。  その際シュルツ長官が強調されたのは、レーガン大統領はこのSDIの研究開発に非常な道徳的な情熱を持ってこれに取り組んでおる、これはあくまでも核を無力化する、核の廃絶につながるということを大前提としての研究であるということについて自信を持って取り組んでおられるということを大変強く強調をしておられたわけでございます。  日本としましても、こうしたレーガン大統領の言われるような核の無力化、あるいはまた防御的なものである、あるいはまた非核兵器である、こういうことであれば、これは十分理解を示しますと、こういうことを言っておるわけです。これからのしかし情報等についてはこれはぜひ受けたいということで、今回もそれを受けることになった。十分日本としてもお話を聞いて、そして日本としての自主的な、日本日本立場がありますから、そういうものを踏まえて自主的に判断をしますということをお答えをしておるわけでございますが、今お話しされたように、米ソの核軍縮の交渉においてこのSDIがどういう地位を占めるかということはまさに重要な課題であろうと思っております。  既に、米国の代表も、まあ大統領みずからもそうですが、このSDIが研究が終わっていよいよ配備というような段階においてはもちろんソ連との間に十分ひとつ相談をして調整をして対応していくということをはっきり言っておりますし、ただアメリカが研究を成功さしたからといって一方的にこれを配備するという考えではないということは明確にされておるわけでございます。したがって、そういうことを考えますと、これから長い構想の中であるいは長い研究とそれから実験の中でこの問題がまさにこれからの世界の平和を確保する最大の一つの焦点としてこれから浮かび上がってくるし、また論議になってくるであろう、こういうふうに思っております。そういう意味で、一つアメリカだけの構想でなくて、いわば世界の平和というものについても直接結びつく問題であるという認識でこれから対応していかなければならぬ、こういうふうに思います。
  78. 伏見康治

    伏見康治君 ありがとうございました。終わります。
  79. 抜山映子

    抜山映子君 このたび、大臣、大変御苦労さまでございました。幸いにして、コミュニケでは日本一国の非難にということではなくて三極痛み分けとなったということは、やはり大臣が心血を注がれた結果と私ども野党としても大変感謝しておる次第でございます。大臣は、過去四年間、閣僚委員会の中でも今度ほどつらい会議はなかった、このように記者会見で述べられたそうですが、出発前と出発後で大臣の認識に変わった点がございましたらお教え下さい。
  80. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も、出発前から既に今度は日本問題というのがやはりOECD諸国で相当論議の焦点になるだろうというのは予測しておりましたので、予測したとおりの一つの議論が展開をされた、こういうふうに思います。しかし、その中で日本としてやはり主張しなきゃならぬ点は、日本だけが世界貿易緊張の元凶である、こういう決めつけ方は何としても日本はこれを認めるわけにはいかないし、日本にも問題はあるが、アメリカにも問題もあるし、ヨーロッパにも問題がある、そういう形でこの問題を乗り切っていかなきゃならぬ、このように思っておりました。私たちの大体考えどおりの方向コミュニケ等が作成されたことについて、まあまあ努力のかいもあったんじゃないか、そうしてまたOECD諸国も、この黒字問題については日本だけを責めてもこれは解決できる問題ではないということが、世界の中でも理解が深まってきたんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  81. 抜山映子

    抜山映子君 私の質問は、出発前と出発後で認識の変わった点があったらおっしゃってくださいというところに焦点があるんですけれども。
  82. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、今申し上げたとおり、出発前と出発後においてはそう大きな認識の差異はありません。
  83. 抜山映子

    抜山映子君 日本を名指しで日本黒字を非難した国が、OECD参加国二十四カ国のうちどの国がそうであったかちょっとお教えいただけませんか。
  84. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 具体的にここで、どこの国、どこの国と言うことは余り得策でないと思いますけれども、アメリカもそうでしたし、EC諸国等が黒字問題を特に取り上げたということは言えるわけであります。
  85. 抜山映子

    抜山映子君 日米間の貿易摩擦緩和にはやはりマクロ的な政策が欠かせないと思うんですけれども、マクロ的な政策という意味で大臣が最もこれから考えなくちゃいけない点はどういう点だとお考えでしょうか。
  86. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 政府としましても、まさにマクロ政策というのを大事にしていかなきゃならぬと思いますし、今後とも適切かつ機動的な経済運営を行って国内の民間需要を中心とした景気の持続的な拡大というものを図っていかなきゃならない、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、六十年度においては一般公共事業の事業費につきましてはいろいろと工夫もされておりまして、五十九年度を上回る水準を確保するなど、景気にも配慮は行われておる、こういうふうにも思います。同時に、対米貿易の不均衡については、その原因となっておる高金利、ドル高の是正等について米側に対して機会あるごとに主張していかなきゃならぬということも感じておるわけであります。
  87. 抜山映子

    抜山映子君 そうなると、どうしても財政政策の見直しということになってくると思うんでございますが、出発前、外務省の方の答弁では、内需の拡大ということは考えないというような御答弁だったかと思いますが、その点が出発前と出発後で多少認識が変わってこられたんじゃないんですか。
  88. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや内需の振興を考えないというふうな外務省の答弁はなかったと思いますが、これは九日の政府決定で、これから中期目標へ向かっての政府政策を進めていくという決定の中で、市場アクセスの改善とともに輸入の拡大あるいは内需の振興に努める、こういう一項目がありますから、政府全体としては内需振興を一つの眼目に置いておるということは、今回の決定の中でも明らかになっておるわけです。
  89. 抜山映子

    抜山映子君 今後市場開放を実施する場合にやはり注意していただかなくちゃいけないのは、政府も相手国に同じことを求めるという相互主義を貫かなければいけないと思うんですね。  それで、その関連でお伺いするんですが、厚生省の方に伺いたいんですが、外国の臨床データの受け入れをどこまでにするか、それから、外国で日本人を対象とした臨床データをどのように受け入れてもらえるか、そのあたりをこれから、これは一つの例でございますけれども、きちっとしていただかないと困ると思うんです。その点、今の臨床データの問題、厚生省、どういうように現在なっておりますでしょうか。
  90. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 人体に直接用います医薬品のことでございますので、外国臨床データの受け入れにつきましては、当然我が国の医療実態に適用が可能である、あるいは我が国の人種構成なんかの問題にも見合うようなデータであるというような要件を満たすことが必要であるというふうに考えておりまして、その具体的な扱いにつきましては、今後日米間で協議をする、そして、お互いに適用できる共通的な基準を作成していくということが必要であろうというふうに考えておりまして、その旨第一回の会合におきましても我が方からそういう提案をいたしております。今後、将来の問題でございますが、外国臨床データの受け入れにつきましては、いわば国際的な共通基準というものを作成していくということが大事であるという考え方に立ちまして、その方向で今後協議していきたいというように考えております。
  91. 抜山映子

    抜山映子君 けさ、ラジオで聞いておりましたら、日本国民経済研究会議とか何かそういうところの発表なんですが、今年度の黒字は百億ドルさらにふえるだろうこういう推定数字を出しておりました。まあ諸外国の今回の対応を見ておりますと、要は黒字が減るという実績がなければ不満が高じるだけではないのか、こういうような気がするんですけれども、その点については大臣、どのようにお考えでしょうか。
  92. 恩田宗

    政府委員(恩田宗君) 私、先生の御指摘になったきょう発表された研究所の今年度昭和六十年度の見通しというのも拝見していませんので、ちょっとコメントはあれでございますが、前に日本政府が発表いたしました経済見通しによりますと、六十年度においては輸出が経常収支で三百四十億ドルということで五十九年度と同じくらいの程度であろうという見通しを当時は出しておったわけでございます。もちろん最近の状況でその見通しが変わってくるというような意見を持つ方は多くなっておりますが、政府経済見通しということではそういうことでございます。
  93. 抜山映子

    抜山映子君 いずれにしても大幅に黒字がふえるであろうことはまあ間違いないんじゃないかと思うんです。そういう意味におきまして、私は中曽根首相の今回の対応はいずれにしても評価されるべきものじゃないかと思うんです。しかし、これは行政サイドの決断でございまして、これは私ども議会で、実はこの間新聞で読みましたら、商工会議所のアメリカの会頭ですか、ひとつ国会で首相の表明を支持決議を出すことが市場開放を実施することの誠意というものが海外に十分認識されるだろう、それから日本の官僚制度にも政策実行への強い刺激を与えるだろう、こういうようなハイディ会頭のコメントがあったわけですけれども、国会決議をするというようなことについては大臣どのようにお考えでしょうか。
  94. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 我が国を取り巻く国際経済環境には非常に厳しいものがありますが、こうした情勢のもとで立法府におかれても、対外経済問題に関する意見を表明される場合については政としてもこれを尊重をしたいと思っております。いずれにいたしましても、政府としては対外経済問題に関し、自由貿易体制の維持、強化のため率先して努力するなど、我が国の国際的地位に応じた積極的役割を果たすべきものであると考えておりまして、立法府におかれましても、こうした政府の考え方に御理解、御支援をいただきたいと思っております。
  95. 抜山映子

    抜山映子君 このたびトヨタ自動車と米国のゼネラル・モーターズが折半で出資しましてジョイントベンチャーでニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリングというのをつくって発足するわけですけれども、対米自動車の摩擦の解消に努めるという意味でもこういう方向が望ましいと思われるのでございます。これは我が国の電機業界が現地生産に切りかえることによってテレビの排斥問題も鎮静したわけで、こういう方向についての通産省の御意見はいかがでしょうか。
  96. 川口順子

    説明員(川口順子君) 先生おっしゃられますように、我が国企業の対外直接投資は最近非常な勢いで増加しておりまして、日本の企業の国際化のあらわれの一端といたしまして今後もますます増加をしていくのではないかと思います。対外直接投資は日本及び相手の国との間の経済関係の一層の多角化あるいは緊密化ということをもたらすものといたしまして非常に結構な働きであると私ども考えております。
  97. 抜山映子

    抜山映子君 まあこれから国際化時代に入るわけでございますが、政治、経済、文化の集中している東京経由のものが従来は多かったわけですけれども、これからは地域の国際化という問題にもなってこなくてはいけないと思うのでございます。  運輸省にお伺いしたいんですが、地域経済の国際化にとっては空港の整備拡充が不可欠の要件になってくると思うのです。そこで、東京、大阪の空港の処理能力と、それから日本の国際空港の数とその処理能力をちょっと御説明いただけませんか。
  98. 坂井順行

    説明員(坂井順行君) お答えいたします。  まず、現在の国際空港の現状でございますが、大体五十八年度で千五百万人程度の旅客を取り扱っておるわけでございますが、そのうち、全国のうち約七割が成田、羽田が若干入っておりますが、二割が伊丹、それから一割弱がその他空港ということになっておりまして、成田はまだここしばらくは若干の余裕はございますが、大阪、伊丹でございますが、これは全く現在余裕がございません。そういう状態でございます。  一方、先ほどの一割の旅客を扱っております東京それから大阪以外の空港といたしましては十港ございまして、引き続き十港の国際空港の整備といいますか、具体的にはCIQ関連施設の整備でございますが、そういうものを中心に整備をいたしておるところでございます。
  99. 抜山映子

    抜山映子君 外資系企業の対日進出ですが、この数年間でどういうように推移しておりましょうか。それも大都市圏、大阪、東京、名古屋と、それからローカル都市に分けてちょっと教えていただけませんか。
  100. 川口順子

    説明員(川口順子君) 外資系企業の我が国への進出の状況でございますが、昭和五十八年度におきましては届け出ベースで八億一千三百万ドルになっております。これは十年前の昭和四十八年度の約五倍でございます。それから、昭和五十八年度末の対日直接投資の累計は四十九億七千三百万ドルということでございます。  それから、地域別でございますが、昭和五十九年の工業立地動向調査、これは敷地面積が一千平米以上を対象としておりますけれども、この調査によれば、外資比率五〇%以上の外資系企業の工場立地件数が十六件でございまして、三大都市圏への立地は、おおむねの数字でございますが、五十九年におきまして約十二件ということになっております。
  101. 抜山映子

    抜山映子君 これからは地価の関係もございまして、地方へ外資系企業が対日進出するというケースもだんだん多くなってくると思うんですね。それについては、やはり非常にたくさんの情報、地価はもとより人材とか文化施設とか住居とか、いろいろ情報をやはり海外に流さなくちゃいけない。そういう意味でジェトロの情報機能は強化されなくちゃいけないと思うんですけれども、現在内外各地にあるジェトロの情報機能の現状はどうなっておりますでしょうか。
  102. 川口順子

    説明員(川口順子君) おっしゃられますように、ジェトロでは日本経済あるいは投資の環境を紹介をした資料の作成等、情報の提供に努めておるところでございます。  例えば対日投資ガイドブック、対日投資をするためのノーハウといったような資料をつくっておりますし、また日本に進出済みの外国企業の実態の紹介も行っております。また、日本に投資をするためのいろいろな手続、あるいは法制度を中心に解説をいたしました対日投資ハンドブックも作成をいたしております。また、資料以外にも地方公共団体等がやっております対日投資セミナーの開催に外国で協力をいたしましたり、また対日投資コンサルティング等も行っております。また、海外事務所において日本の投資環境情報を提供するために主要な欧米のトレードセンターに対日投資相談コーナーを設置いたしておりまして、この事業を六十年度一層強化する予定でおります。
  103. 抜山映子

    抜山映子君 かなりやっていただいてはおるようなんですが、個別に聞きますとやはり情報不足だということを見聞いたしますので、ひとつ英文で資料をもっと充実していただきたいと思います。  ところで、文部省にお伺いしたいんですが、一九八二年成立の国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法が通過して後、外国人の教授、助教授、講師なんかの受け入れが可能になったわけですけれども、その人数は現在どれぐらいになっておりますでしょうか。
  104. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) お尋ねの法律によります外国人教員の任用状況でございますが、この四月十日現在で申し上げますと、十六大学等でございます。中に研究所とかあるいは博物館、共同利用研究所というようなものがございますので、それも入れますと十六大学でございますが、教授が四人、それから助教授が十五人、講師が五人、合計二十四人でございます。
  105. 抜山映子

    抜山映子君 随分少ないような印象も受けるんですけれども、今後の見通しはどういうことになりますでしょうか。
  106. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 先ほど委員が御指摘になりました法律ができましたのが五十七年度からでございまして、五十八年度の採用者が十四人でございました。それが現在二十四人ということで次第にふえているわけでございます。これは大学の正規の定員内のポストでございますので、どうしても空きができなければ採用ができないということ、それから、もちろんこれは大学の中で適任者を見つけて、そして関係者全員の意見で採用を決めていくというやり方でございますので、その任用につきましてはなかなか時間がかかるわけでございますが、次第にふえている、私どももこれが拡大していくことを期待しているところでございます。
  107. 抜山映子

    抜山映子君 逆に、日本の大学の教員の外国派遣はどれぐらい、外国派遣といって向こうの大学に派遣されている人数とか、それからあるいは共同研究で派遣されているというような数はどうなっておりますでしょうか。
  108. 長谷川善一

    説明員長谷川善一君) 昭和五十八年度に、これは文部省の関係の予算をもちまして海外に派遣されまして教育、研究に従事した先生の数は二千三百九十三でございます。  同じ昭和五十八年度に文部省の関係経費でもって招聘いたしました外国の教官でございますが、千七百七十ということに相なっております。
  109. 抜山映子

    抜山映子君 午前中はこれで終わります。
  110. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後三時まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後三時四分開会
  111. 平井卓志

    委員長平井卓志君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国際情勢等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 抜山映子

    抜山映子君 アフリカの飢えた人々を救済するために食糧や毛布を送る運動が行われておりますけれども、ちまたに聞くところによりますと確実に届いていないということを聞くわけですが、どの程度届いているか、その点のフォローアップはやっていらっしゃいますでしょうか。
  113. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) まず、典型的な例といたしまして毛布の件を申し上げますが、百七十万枚の毛布が集まりまして、現在百六十六万枚を既に船で発送済みでございます。次から次へと現在現地に届いているという状況でございますが、一枚の毛布も必ず被災民の方に渡るように、まず大使館が現地の政府と十分連絡する一方、ボランティアの皆さん延べ十三名、各港なり飛行場に待機いたしまして、直接現場にまで行って配布を行っているという状況でございます。  この前も、三月の末に超党派の議員団が、民社党の青山先生を含めた五名の議員団がエチオピアに参りまして、メケレ地区を訪問いたしましたら、直接その配布の状況をごらんになりまして非常に喜んでいる状況と、それから実際に渡っているということを視察してまいってきたという報告を受けておりますが、私たちといたしましては、届いた毛布なり医薬品が大使館なり現地政府、それから実際にボランティアが直接現場に立ち会いまして必ず渡るというような仕組みになっておりますので、全部届いているという報告を受けております。
  114. 抜山映子

    抜山映子君 それでは届いていないというのはパーセンテージとして全くないという御了解ですか。
  115. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) もちろん、全部一枚一枚、医薬品のすべてにわたって現場で必ずしも全部目撃しているわけじゃございませんが、ただ向こうの政府なりその他から少なくとも日本の物資につきましては現場で直接モニターしておりまして、渡っているということで報告も受けておりますし、また私たちもそう確信しているわけでございます。
  116. 抜山映子

    抜山映子君 飢餓救済とか、毛布が結局その国の為政者だけを助けることになっているという記事も頻繁にして見受けますので、ぜひ直接飢えている人に渡るように担保の方法を引き続き考慮していただきたいと切望するものでございます。  それから、条約で私よく海外に行って聞かれるんですが、人種差別撤廃条約日本は署名も批准もしていないそうですけれども、この人種差別撤廃条約採択がいつで、批准国が何カ国に現在なっておりましょうか。
  117. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 今御指摘の人種差別撤廃条約、あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約が正式名称でございますが、これが採択されましたのは一九六五年の国連総会でございます。現在百二十四カ国が締約国となっております。
  118. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと、採択されてから二十年間日本は放置しておいたわけですが、これを署名も批准もしていないと言うと外国では大変にびっくりするんです。特に日本は単一民族でそういう人種差別のない国だ、しかも先進国だと了解しておったのに、なぜそういうものが署名も批准もできないのかと始終聞かれるんでございます。ひとつ、なぜそれが署名も批准もされていないのか御説明いただけますか。
  119. 山田中正

    政府委員(山田中正君) この条約の趣旨、これは大変結構な条約でございまして、政府といたしましてもできる限り早期に締結したいと考えております。そのための検討作業を、相当長きにわたっておりますが、続けておるのが現状でございます。  なぜ現時点でまだ締結をするという最終決定に至らないかという点少し具体的に申し上げさせていただきますと、本条約の第四条に人種差別に関する処罰義務が規定されております。その処罰義務と申しますのは、人種差別を扇動するような言動、そういうものをも処罰しなくてはならないということになっておるわけでございますが、これと我が国の憲法の建前、主として表現の自由それから集会の自由との関連、それからさらに憲法が規定いたしております罪刑法定主義との関連から、条約が規定いたしておりますような形をどのような形の刑法立法ができるかというところになかなか問題がございます。そのような点がございますのでまだ最終決定をいたしておらないわけでございますが、最初に申し上げましたようにやはり本条約は我が国としても早期に締結すべき条約と考えておりますので、そのための作業を鋭意進めてまいりたいと考えております。
  120. 抜山映子

    抜山映子君 既に百二十四カ国も批准しているわけですね、ですからそれらの国の刑法の規定をとって比較検討されたことはあるんですか、今までに。
  121. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 本件の特に先ほど私が申し上げました点につきましては、留保をして入っておる国、留保なり解釈宣言をして入っておる国が十三カ国ほどございますが、そうではなくてこの義務を履行できるように法的措置をとっておる国がございます。人種差別のための新しい法律をつくった国それから刑法を改正した国、それらの国の法律については検討いたしております。
  122. 抜山映子

    抜山映子君 先ほど表現の自由との関係というのを言われましたけれども、表現の自由の反面、当然これは無制限でなくて、公共の福祉からくる制約もあるわけで、決してこの刑法の規定をつくるのにそんなに難しい問題が横たわっていると私は思わないんですね。むしろ、大変失礼な言い方ですけれども、外務省の方で怠慢があったんじゃないか、こういうような気がするんですけれども、その点いかがでしょう。
  123. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 表現の自由の関連で申しますと、人種差別の思想を流布したりする形態でございますが、多くのものを刑法典で規律するのにそう難しくはないと思いますが、条約は例えば扇動、あふりのようなものまで処罰することを求めております。我が国の刑法体系ではあふりについてまで処罰をしておりますのは国家公務員法にしかございません。そのようないろんな問題点がございますので、刑法体系全般との兼ね合いの問題点がございますので検討がなかなか進んでおらないのが実情でございますが、先ほど申しましたようにできるだけ早期に締結するという心構えで検討を進めたいと思います。
  124. 抜山映子

    抜山映子君 お約束いただいてありがとうございます。  それからさらに、条約の批准のおくれておりますので、ユネスコによる武力紛争時の文化財保護のための条約それから世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、これが両方とも批准されていないわけですけれども、これらがおくれておる理由を教えていただけますか。
  125. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 武力紛争の際の文化財の保護の条約でございますが、これは一九五四年に作成されたものでございます。この条約も武力紛争の際に文化財を保護するという趣旨から見て我が国としてもできるだけ批准したいということで当時、同年に署名をいたしまして政府部内で鋭意検討を行いました。  ただ、その際にこの条約に基づきまして文化財が十分に保護される場合には特別の保護下に置くわけでございますが、その特別の保護下に置く場合にはその文化財の存在しておりますところから妥当な距離の範囲内に軍事目標となるものがあってはならないという条件がございます。この軍事目標の中には空港、放送局、交通幹線等が含まれます。我が国の場合主としてまず検討の対象といたしました京都、奈良等の場合にこの軍事目標となり得るものが非常に近接しておるという事情がございました。そのために当時この条約を締結するに至らなかったという事情がございます。  ただ、その後各国の加盟がふえまして、現在七十二カ国が締約国になっております。各国の保護になっております文化財につきましても最近いろいろの交通の発展等で事情が異なっておりますので、現在これらの加盟国の事情について再調査をいたしておるところでございます。
  126. 抜山映子

    抜山映子君 武力紛争時の文化財保護のための条約の解説はそれでわかりましたんですけれども、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の方はどうして批准できておらないんですか。
  127. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 失礼いたしました。世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、これにつきましても条約の趣旨は望ましいものと考えておりますが、これにつきましては現在文化財保護法等国内法との関連、締約国に求められております財政負担等の問題がございますので、関係省庁とも協議をいたしまして締結の可能性を検討してまいりたいと考えております。
  128. 抜山映子

    抜山映子君 そうすると後者の方は予算上の制約もある、こういう御趣旨でしょうか。
  129. 山田中正

    政府委員(山田中正君) はい。後者の条約につきましては予算上の制約もございますが、関連の国内法の問題がございます。私、先ほど申し上げました文化財保護法のほかに自然公園法、自然環境保全法等の関係法令の調整の問題もございますので、その点も含めまして関係省庁と協議さしていただきたいと考えております。
  130. 抜山映子

    抜山映子君 そうすると前者の方の条約は、各国がそれぞれ交通網とかそういうものが発展してきてもう既に保護さるべき文化財と認められたところも京都や奈良と同じように近辺にそういう施設があるという場合にはバランス上この条約を日本も批准することになっていくわけですか。
  131. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 条約自体には文化財の集中地区が軍事目標から妥当な距離離れていなければならないということで、それの具体的な基準が明確でございませんでした。当初検討いたしましたときには我が国の場合それが非常に近接しておるという事情があったわけでございますが、先ほど申しましたように関係国の状況を調べまして、この妥当な距離というのについての国際通念を確めた上で決定いたしたいと思います。
  132. 抜山映子

    抜山映子君 これら二つの条約につきましては過ぐる三月三十一日に奈良市での国際シンポジウムでこれらの条約を批准するよう日本政府に働きかけていくという呼びかけを行っておるわけでございまして、ひとつ外務省としてもこういう条約の批准に向けての準備を進めていただきたいと切望するわけでございます。  ところでユネスコのムボウ事務局長がきょうお見えになって外務大臣もお会いになるそうでございますけれども、恐らくムボウ事務局長のお話は、日本はユネスコの強力なメンバーとして引き続き活動を続けてほしい、こういうことになってくると思うのですが、日本はこれについて何か条件ないしは要望をするおつもりがありますか。
  133. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ムボウ事務局長に対しましては、きょうお目にかかるわけですが、ユネスコ改革についての我が国の強い決意を伝えたいと考えております。  すなわちユネスコは現在深刻な危機に直面をいたしております。過去一年間のユネスコ改革は不十分であり、今年中の抜本的改革が必要であるというのが我が国の考え方です。我が国としましてはそのため過度の政治化の排除、事業の精選、運営合理化等の改革実現のための積極的な役割を果たしてまいる考えであります。事務局長としても権限の範囲内で改革に一層努力するように求めたいと思っております。事務局長の権限は相当強いものがありますから、特にこの点は事務局長自体に求めたいと思っております。我が国米国もまたユネスコに帰ってきて開発途上国を初めとする国が一体となって真にその原点に帰ったユネスコを築き上げるべく事務局長とも協力をして努力をしたい、こういう考えでございまして、きょうはそういう点からムボウ事務局長とは真剣に話し合いをしてみたいと考えておるわけであります。
  134. 抜山映子

    抜山映子君 ただいま財政なんかの放漫な運営を改革せよという要望をお出しになるようなニュアンスでお話しになりましたが、米国なんかは政治的に偏向しているというようなことも言っておるようですが、そのようなことは御指摘になるわけでございますか。
  135. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは米国も言っておりますが、日本もそうした判断を持っておりますから率直に伝える考えです。
  136. 抜山映子

    抜山映子君 事務局長の更迭を米国が希望しておるというようなことも聞いておりますが、この点はいかがなんでしょうか。
  137. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まずやはり事務局長に改革を求めたい、こういうふうに考えております。
  138. 抜山映子

    抜山映子君 ユネスコは日本も長らくかかわってきておることでもあり、ひとつ慎重にムボウ事務局長とお話を詰めていただきたいと切望いたします。  さて、インドシナの難民の受け入れの問題なんでございますが、実は日本では大和と姫路に難民定住センターというのがございます。私もたまたま姫路の難民定住センターを視察に行ったことがあるのでございますけれども、現在の受け入れ枠とそれから実際にこの二カ所の定住センターに何人定住しているか明らかにしてください。
  139. 山田中正

    政府委員(山田中正君) インドシナ難民の受け入れの現状でございますが、まず我が国はインドシナのボートピープルが上陸する場合にはすべて一時滞留を認めておるわけでございますが、この認めました上陸合計数が本年三月末で八千百五名でございます。このうちまだ第三国への出国または日本国内での定住をされておらずに千五十五名の方が滞留しておられます。一方、我が国が定住難民として受け入れましたのは先月末現在で四千百五十六人でございます。
  140. 抜山映子

    抜山映子君 そこの訓練期間なんですが、六カ月というように姫路の難民センターでは聞いておりますんですが、語学研修を含めて六カ月でございましょうか。
  141. 飯島光雄

    説明員(飯島光雄君) お答え申し上げます。  基本的には委員御指摘のとおりでございます。ただし、センターに受け入れました難民の事情によりまして、十分にまだ定住の準備ができていないような難民につきましては六カ月以上ももちろんセンターにとどめまして、さらに訓練その他を続けているところでございます。
  142. 抜山映子

    抜山映子君 日本としての枠の問題ですが、五千名だと聞いておりますけれども、主要国の受け入れ数、例えば、アメリカ、カナダ、フランス等と比べて格段に低うございますね。一応アメリカ、カナダ、フランスの現在の枠を教えていただけますか。
  143. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 昨年末の数字でございますが、米国の受け入れ数は五十七万一千七百九十八名でございます。ただ、米国につきましては、サイゴン陥落時に約十三万人が定住いたしております。それから二番目に多いのがフランスでございますが、これは九万七千百七十五名、三番目がカナダでございまして、九万五千五百八十九名となっております。
  144. 抜山映子

    抜山映子君 日本がこのように非常に少ないことが外国から非難の的になっておりますが、この枠は将来どのようにするおつもりでしょうか。
  145. 飯島光雄

    説明員(飯島光雄君) この難民定住受け入れ枠でございますが、これは現在五千名になっておりますが、これまでもたびたび我が国に定住します難民の定住数の増加に対応いたしまして、随時増枠をしてきたところでございます。  先ほど外務省からも御説明ございましたが、現在の定住数が四千百数十名でございますので、五千名という枠で対処してきたところでございます。ただし、今後さらに、最近に至りまして定住数がどんどんふえておりますものですから、そういうことも踏まえまして今後この定住枠の見直しは必要だと考えております。
  146. 抜山映子

    抜山映子君 一説によりますと、日本は人口密度が高いからたくさんは受け入れられないんだ、こういうような弁解を聞いたことがあるんですけれども、恐らく中華民国なんかは人口密度は日本よりもっと高いだろうと思うんです。この中華民国が相当数受け入れていると思うんですが、中華民国の受け入れ数を明らかにしてください。
  147. 飯島光雄

    説明員(飯島光雄君) 現在約二十八万名と聞いております。
  148. 抜山映子

    抜山映子君 そうすると、もうちょっと日本は大幅に受け入れてあげなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。  私が定住センターで聞いたところによりますと、肌の色が同じだし、外見的に見て差別を受けないので職さえあれば日本に残りたいんだということを言う人が多いんですね。ところがその枠が少ないし、ということで大変に困っておるように申しておりました。  それから、もう一つの問題は、語学研修がやはり非常に不十分である。まあ特に姫路地方であれば、むしろ語学の研修は、外へ出たときは恐らく関西地区に就職する場合が多いと思うんですね。そうしますと、あんまり標準語で教えられると、あなたの名前は何というのですか、たったらわかるんですけれども、名前どないいうのと、こう言われると全然わからなくて、おそば屋さんの出前になってももうわからなくなってしまう、こういうことを言われまして、ひとつ語学研修も多少ローカル色を出して教えてあげた方が実務的によろしいんじゃないかという感想を抱いておるわけでございます。  もう時間がございませんが、それから、一日大人が九百円、子供が五百円ということになっておりましたが、これでは全く被服費が出ないので、何らかの形で定住センターにいるときも就職、まあ就職といってもパートみたいな形で働かしてあげる方法を考えるとか、そういうことが必要じゃないかと思っております。  それからもう一問だけ。非常に、ボートピープルでございますから、大概が三十前後の若い人が多いわけです。しかも両親、兄弟から別れて単独で来ている人が多いものですから、この定住センターから出てしまうと大変な孤独感に陥るということを申しておりました。ひとつコンサルティングのシステムをつくってあげて、定住センターに時に里帰りさせるというようなことがあれば大変に結構と思うんですが、これが実現の見込みはどんなものでございましょうか。
  149. 飯島光雄

    説明員(飯島光雄君) 委員御指摘のとおり、定住後の難民がスムーズに日本社会に溶け込むということは非常に重要でございまして、私どももその重要性は十分認識しております。現に外務省所管の予算で定住相談員制度というのがございまして、定住後の難民がいろいろ直面する問題についての御相談に応じておりますが、その他再就職のあっせんだとか里親捜し、それから困った難民が再びセンターに来まして相談に応じてやるとか、これまでも既存の諸制度を通じましてできる限り定住後の難民のアフターケアに努めているところでございますが、今後とも関係各省、民間諸組織と十分に御相談しまして、さらに改善に努めたいと思っているところでございます。
  150. 抜山映子

    抜山映子君 ありがとうございました。
  151. 立木洋

    ○立木洋君 けさ方からこの経済摩擦の問題に関して、いろいろ話し合いをなさってきたことについてはお聞きしたんですけれども、シュルツ国務長官ですね、お話をされた中で、ただ単なる市場開放に関する要求にとどまらないで、貯蓄率の問題だとかあるいは投資とのかかわりだとか、あるいは内需の拡大の問題だとか、こういう問題まで提起してきた、こういうことを大臣としてはどのようにお受けとめになっておられるのか。これはつまり、言うならば、日本の金融だとか財政だとかという内政問題ですよね。どういうふうにこれを受けとめておられるのか。
  152. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはシュルツ長官から、数日前にシュルツ長官がプリンストン大学で演説しましたね。その草稿を私渡されまして、この中で日本の問題について自分も見解を述べているからぜひ参考にしてくれ、こういうことでいただいたわけですが、その内容に、いわゆる日本がこれから国際的な責任を果たしていく上には、あるいは世界経済の発展に大きく寄与していくためには、ただ単に市場アクセスの改善だけでは黒字の解消にはつながっていかない、やはりもっと本質的な問題があるんじゃないか、それは日本の持っているところの非常に高い貯蓄率、それと国内における投資との不均衡、そこに問題があるんじゃないか、こういうことが内容になっておるわけで、その点をシュルツさんからも言われたわけですが、もちろんシュルツさんはそのとき、日本国内政策に自分が干渉しようと思っているわけじゃなくて、自分の意見を述べているだけと、こういうことでありました。  私も、確かに貯蓄率の高いのは当然そのとおりですけれども、やはり今の場合はせっかく貯蓄が高くても、その高い貯蓄が結局、金利差を追って米国なんかに流入している。国内に流れているよりもそちらの外の方に流れている。それはやはり高金利に大きな問題もあるんじゃないか。もちろん国内的にももっと投資の問題について、あるいはまた内需の振興についてもいろいろと考えなきゃならぬ点もあると思っておるし、その点は今検討しているんだと、こういうお答えをしたわけですね。シュルツさんも、その辺は非常に慎重に、これが日本の内政に対する干渉的なことは避けたいと、こういう気持ちははっきり出ておりましたから、そう別に問題はないと思います。
  153. 立木洋

    ○立木洋君 つまり日本の内政にかかわる問題までそれをどうこうしてくれという意味ではないがというふうに新聞にも書いてありましたけれども、しかしそういう問題にまでかかわってきて、そしていわゆるそこに根本的な問題があるんたということは、つまりアメリカ政府としても一段落ついたという考えではなくて、やはり今後とも大変長く尾を引くという問題として、彼は考えているんではないかということを押さえておく必要が私はあると思うし、ましてやそういう日本の内政的な問題にかかわる件については、やはりきちっとこちらも述べておく必要があるだろうというふうに思うんです。  それで、大臣がアメリカに行かれる前に開かれた対外経済問題関係閣僚会議の席上で、合板の関税問題で、これは新聞に報道されてあったんですが、「この程度の対応では、国内で了解されても、外国の印象が良くないのではないか」という発言が引用して報道されてあったんですが、これはどういう真意なんでしょうかね。つまり今度の閣僚会議で決めた内容について大臣としては不満なのか、あるいはどういう意味でこういうことを述べられたのか、その真意をちょっとお聞きしておきたいんです。
  154. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) あそこの閣僚会議での発言を一々具体的に述べるというのはちょっと問題があると思いますし、また私の発言の趣旨が正確に報道されていないと思います。  私は、林業構造改善を五年間やる、そして三年間でそれと並行して検討して、関税の引き下げを三年目から始める、こういうことが盛られてあって、これは政府・与党で練りに練った考え方であって、これに対しては別に異存はないんだと。それはもう日本の今の合板、特に関税の引き下げはそれほど難しい問題であるということは私自身もよく理解をしているし、いずれにしても今までだめだといったのが関税引き下げ、三年間なら三年間という余裕をもって引き下げるという方向へ踏み出していくという努力というものは、これはもう日本政府として最大の努力である。これは私自身もわかるし、それは了解する。  ただ、三年という数字が入りますと、やはりその辺が数字だけが先に踊っちゃって、いろいろと国際的にも、三年といったら、それじゃ二年は何もしないのかとか、そういうことを言われる可能性もあるし、その辺は余り数字が先に踊らないように、対外的な問題ですから、せっかく日本がそれだけ誠意を持って努力しているんだから、もっとその辺は慎重に表現した方がいいんじゃないか、こういう意味の主張をしたわけで、もっと速くやれということを言っているわけじゃないんですね。早くやれるような状況になれば、それにこしたことはないと思いますけれども。
  155. 立木洋

    ○立木洋君 農林水産大臣までおやりになったのですし、今の林業の状態や合板産業の状態なんかは、通産大臣もおやりになってわかっているはずだと思うんで——この間決めたあれで、これは三年目からいわゆる関税の引き下げをやるということなんですが、今の状況を見ると、なかなか林業にしても合板産業にしても大変だろう、また大変な状況に来ているというふうに見ているんですけれども、この引き下げの問題で、あるいは補助金を出せばいいではないかといって、また補助金の金額まで取りざたされているような状況があるんですけれども、こういう関税引き下げの問題について農林水産省の方としてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  156. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 今回の措置につきましては、林業、木材産業が深刻な不振の中にある、こういうことで森林、林業あるいは木材産業の活力を回復させるということのために、まず一つは木材需要の拡大を図る、それから木材産業の体質強化を図る。三つ目に間伐保育等、森林林業の活性化を図るということを中心に、財政金融その他所要の措置を当面五カ年間にわたり特に講じようというふうにしているところでございます。  また、関税問題の取り扱いにつきましては、以上の国内対策の進捗状況を見つつ、おおむね三年目から引き下げを行うべく前向きに取り組むということにしているところでございます。
  157. 立木洋

    ○立木洋君 方針がそういうふうに決まったからそういうふうに答えなければならないんでしょうけれども、大臣にこの点よくお聞きしておきたいんだけれども、例えば合板なんかの関税率にしてもアメリカより低いわけですよね、五%。合板の関税率はアメリカより日本の方が低いんですよ。日本が一五%でアメリカが二〇%関税をかけているわけですから。  そして現実に今お話が余りなかったけれども、合板工場なんかの倒産なんというのも大変な状態になっていますでしょう。だからガットなんかでも第十九条のセーフガードでは国内生産者に重大な損害を与えてまでする必要はないという保護措置まで出されている内容もあるわけですから、例えば先般まで林業なんかの関係では合理化すべきだというふうなことでいろんな財政的な措置の削減までしてきたわけでしょう。ところが今度こういう状態になってくると関税を引き下げるかわりに補助金を出そうかというふうな話にまでなってくると、そのときそのときの場当たり的にどうしてもならざるを得なくなってきているという感をどうも強くするんですよ。  問題は、ただ私はこの林業、合板の問題だけをここで述べているんではなくて、特に今度のシュルツ国務長官が述べた日本の内政にまでかかわる事柄に言及してきているという問題との関連で見た場合に、例えばかつて日本でいえばパン食をとることを促進して、アメリカの小麦の輸入を増進したというふうなことが日本の食生活を変え、農業にどんな影響を与えたかという問題もありましたし、あるいは石油を対外的に依存する度合いが、アメリカ政策のもとで強まって、日本の石炭産業がどういうふうになったのかというエネルギーの状態を見てもそうです。  だから私は、そういう意味ではもっと長期的に日本経済が自立的にあるべき姿を確立していくという努力が一方で伴わないと、やはりどうしても問題を残すんではないか。さっきのシュルツさんの発言を引用したのは、この時期に一時的に解決できる状況にはなっていない。もっともっと強い要求がやはり出てくるだろう。そうした場合に、通産や農林や、そして現在外務を担当されておられるわけですから、そういう日本経済のあり方、自立的な経済をどう進めていくかということを十分に考えて、私は対応をしてもらう必要があるんではないかということを、この機会にサミットを前にして強く要望しておきたいんですが、大臣のお考えどうでしょうか。
  158. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それは確かにそうですね。今やっていることが何も場当たり的なことをやっているわけじゃなくて、これからの長期的な、中期的なことを考えた上での日本決定なんですね。特は四分野についてこの交渉を進めて、日本もそれなりの決定をいたしましたのは、これはやはり今の日本黒字というのは非常に膨大になっている。これがアメリカ議会を初め、大変アメリカ自身を刺激して、そして場合によっては保護主義立法がアメリカの国会を通るかもしれぬ、こういう状況がだあっと一斉に来ますと、これは結局一時的には大統領の拒否権があったとしても、最終的には押し切られてしまうという可能性すらないわけではない。  そうなると、一番被害を受けていくのは、アメリカも受けるかもしれませんが、日本の方が決定的な被害を受けていくわけで、日本の場合はやはり自由貿易体制というものを堅持しながら、日本経済の発展を図っていかなきゃならぬわけですから、そういう面で、全体的に見て、これは日本が国際的な責任を果たすためにやるべきことはやっておかなきゃならぬということで決めたわけです。  日本の場合はそうした一方においては、合板等においてもそういう方向を決めましたし、一方においてはそれに伴うところの林業の体質の改善というのも一方対策として打ち出しておるわけです。私もこれでもって解決したとは決して思いません。恐らくこれからもやはり日米間は、膨大な経済の交流ですから、やはり問題は起こり続けるだろうと思うわけでございます。しかし、これが一挙に吹き出て、そして対日差別法案とかあるいは対日報復法案というのが国会をどんどん通るようなことになることは何とか避けなきゃならぬということでやっておるわけでございまして、その点は日本としても十分な国際的な関係日本自体の経済の将来というものを考えてとった措置であるということであります。
  159. 立木洋

    ○立木洋君 これ以上もう申し上げませんけれども、繰り返しその点は強く要望しておきたいと思うんです。  それからもう一つ、午前中も若干出ましたけれども、SDIの話は、シュルツさんとの話の中でどんなふうに新たな要望が出されたのでしょうか。
  160. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、別に新たな要望が出たわけではありませんで、SDIに話が触れたときに、日本としては、ロサンゼルスの考え方の基本というものはそのとおりですということを言ったわけであります。これに対して、シュルツさんから専門家を近く派遣すると。同時にまた大統領が非常にこのSDIについては道徳的な情熱を持ってこれを推進するという決意を持っておられるということを、シュルツさんから述べられたということであります。
  161. 立木洋

    ○立木洋君 大臣はどういうふうにお答えになりましたか。
  162. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ああそうですかと……。
  163. 立木洋

    ○立木洋君 理解したとは言わなかったわけですか。  総理が、先般からお話がありましたように、これが防御的なもので核兵器ではない。核の廃絶につながるものだということについての研究だということで理解を示したということですが、こういう考え方というのは全く大臣も同じですか、中曽根さんと。
  164. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私も一緒に参りまして、総理とともに大統領の今のこのSDIというのは、非核の兵器であるし、防御的であるし、核を廃絶するというものにつながっているという考え方を聞きまして、その考え方、研究に対しては理解できます、こういうことを言っておるわけで、認識は全く同じです。
  165. 立木洋

    ○立木洋君 それで大臣はそれから大分たたれておりますし、そもそもSDIの問題が問題にされたのは一九八三年ですよね。そのころからいろいろ問題になってこられておるので、大臣としても、これは日本の外交上重要な問題だし、これからのあり方で大切だといって、いろいろ研究もなさっているというふうに思うんです。今大臣が考えておられて、このSDIという宇宙で新しい兵器体系をつくるというのが、これは核兵器ではないという根拠、それからこれが防御的なシステムであるという根拠、それからこれが核兵器の廃絶につながるという根拠、これらの根拠を明確にお持ちになっておられるのかどうなのか。それとも一応レーガン大統領がそう述べているから、それを聞きおいて、その程度で理解を示されたということなのか。あるいは一定の根拠をお持ちになって理解を示されたということなのか。そこらあたりはいかがでしょうか。
  166. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) SDIについては、私もほとんど具体的な知識はないわけで、SDIを推進されておるアメリカの当面の最高の責任者が、先ほど申し上げましたように、非核兵器であり、防御兵器である、弾道ミサイルを無力化するのだ、核廃絶につながるのだと、こういう構想を示されましたので、日本としてはそれなら理解できますということを言っておるわけで、その根拠についてはこれからいろいろと専門家等の意見を聞かなければ判断ができない、こういうふうに考えます。
  167. 立木洋

    ○立木洋君 やはり私はそうした場合、理解いたしますということは言わなかった方がよかったと思うんですね。理解したというのが何か先に走っちゃって、それだけがひとり歩きして、先ほどの経済閣僚会議での話じゃございませんけれども、三年という数字がひとり歩きするんじゃないかと心配されたように、私はどうもそういう懸念がしてしようがないんですよ。それで、けさの新聞で見てみますと、ボンサミットに提言する四極フォーラムというのが十四日までブリュッセルで開かれた。この中で、安全保障の問題に関連して、SDIは、従来言われたような完全な非核兵器ではなく、敵ミサイルを撃ち落とす第四段階で核兵器がやはり必要だと、権威ある見解が初めて明らかにされて、参加国が大変驚いたというふうな報道がされていますが、これについての事実関係等、何か掌握しておいででしょうか。
  168. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) その今御指摘の新聞記事は私も拝見しましたけれども、具体的にどういうやりとりが行われたかについては私ども聞いておりませんので、そのこと自体にはコメントができないと思います。  ただ、これは先ほど大臣から御答弁申し上げたことの補足でございますが、ロサンゼルスでレーガン大統領シュルツ長官から先ほど大臣がおっしゃったようなお話があったということに加えまして、アメリカのその前後に出ております公式の文書を見ますと、非核兵器というノンニュークリアということは再三言われておりまして、少なくとも物の考え方としては非核、核兵器によらない手段によってそういうSDIというものを考えていこうというのが現在のアメリカ政府の公式の立場であるということは種々の米国政府の資料等からも言えるということではないかと思います。
  169. 立木洋

    ○立木洋君 例えば、ヨーロッパを見てみますと、デンマークだとか、それからアイルランド、それから豪州なんかでも極めて消極的だし、フランスなんかは軍拡につながるんじゃないかという反対をしていますわね。イギリスや西ドイツも、この間私ちょっと言いましたように、当初は支持するかのような表現がありましたけれども、後でやはりこれは確実性を生み出すことになるのかどうかという懸念が表明されるなど、消極的な対応というのが目立ってきていますが、こういうヨーロッパの動きというのはどういうふうにごらんになっていますか。
  170. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も今回OECDの閣僚会議に出ました際に、デュマ・フランス外相、アンドレオッチ・イタリーの外相等とも懇談をしまして、その際、SDIの問題も当然出たわけですが、おっしゃるように、まだヨーロッパサイドとしては、NATOとしてはこのSDIについては方向といいますか、方針を決めていないというふうな印象を受けました。しかし、今おっしゃるような否定的な態度ということではなくて、いろいろともっと検討しなきゃならぬ、こういうふうな姿勢であったように思います。
  171. 立木洋

    ○立木洋君 けさも同僚議員からちょっと質問が出ていましたけれどもね。私いろいろアメリカの国内で発行されている文献等々見てみたり、あるいはストックホルムですか、平和研究所なんかで出されている材料だとか、その他いろいろ見ていますけれどもね。例えばこれがレーザー兵器を使って瞬時にしていわゆる先進的な工業国が十八世紀にまで立ち戻るような大変な防御兵器どころか大変な攻撃兵器であるというふうなことがありますし、それから、現に一九五七年、あれはスプートニクですか、第一号を打ち上げてからの、宇宙における軍事化の状態の経過などを見てみると、大変な段階にまで来ているということを非常に感じるわけです。時間がありませんから詳しく言えませんけれども。  だから、そういうアメリカの話を聞くということを私は聞くなとは申しません。いろいろ聞いてよく検討するということは私は必要だろうと思いますが、しかし、それに対する批判的な異なった見解等々もいろいろ研究していただいて、そしてやはり自主的に判断する。これが本当に防御的なものになるのか、非核なのか。私は、少なくとも日本の平和と安全を守るならば、我々と見解の違いがあっても、事実に対してはこれは科学的な立場をとるということについては共通性を持ち得ると思うんで、少なくともそういう見地を持って科学的に対処していただきたいということで、この点についてはいかがですか。
  172. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この点につきましては、まさによく話を聞いて、そして日本が最終的に自主的に判断をしたいと思います。
  173. 立木洋

    ○立木洋君 最後に一問。  閣僚としてもちょっとお話聞いておきたいんですが、ことしになってから日本のいわゆる防衛予算一%の枠という問題がアメリカとの話し合いの中で出たか出ないか。今回出たか出ないか。それから、現在一%の枠問題について大臣はどのように考えておられるのか。それから、これがことしじゅうに枠が超える可能性があるということが言われているけれども、その点についてどうお考えになっているのか。この三点ちょっとお尋ねして、私の質問を終わります。
  174. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 一%を超えるとか超えないとかいう問題は、アメリカとの会談では一切出ておりません。これは日本自身の問題でありますし、アメリカがこれに対して何らの発言も見解も述べられておりません。一%については、政府の見解と全く同じで、私も、とにかく守りたいということでありますし、これから人勧の問題とか、あるいはまた経済成長の問題とか、いろいろと不確定要素が明らかになる段階で、政府の部内で十分検討していかなければならない課題であろうと思います。
  175. 秦豊

    ○秦豊君 本当にお疲れさまでした。どうですか、ここまで来ますと、ボンサミットではだんだん分野と焦点が絞られてきて、大まかに言って、世界貿易、通商問題、それからSDI問題というふうな二つの分野が歴然としてきた感触はございませんか。
  176. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ボンサミット経済サミットですから、やはり世界経済の問題、マクロ経済とか、あるいはまた途上国との間の南北経済問題とか、あるいは今マクロ経済の中で抱えておるところのアメリカ経済情勢、特に高金利とかドル高というような問題、日本黒字問題、あるいはヨーロッパの経済調整問題、産業調整問題、そういう点がいろいろと議論をされるであろうと思います。  政治問題については何が出るか、今までのところ明らかになっておりませんが、やはり戦後四十年というものを経ておる今日でありますから、一つのけじめとして、これからやはり自由国間が足並みをそろえて、世界経済と平和と安定のために努力していかなければならぬということを中心にした議論も出されると思いますし、あるいはSDIについてアメリカ大統領が何か言われるかもしれませんし、その点はもちろん議題とかそういうものには含まれておらないわけでありまして、その辺のところは行ってみなければわからないという状況でございます。
  177. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、議題がまだ発表されておりませんからね、当然ですけれども、かなり大きなアイテムになりそうだという感触は外相としてお抱きではないでしょうか、SDI。
  178. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は、今のヨーロッパの論議がまだそういう点では熟していないという点もありますしね。日本でもまだまだ今からの問題ですから、アメリカとしては、大統領の強い決意があるわけですけれども、これがここで具体的に論じられて、そして何らかの方向が出てくる、こういう状況にはならないんじゃないだろうか、こういう感触を私は持っています。
  179. 秦豊

    ○秦豊君 シュルツ氏と外務大臣とは非常に親しく心情が通じ合うと思いますが、シュルツ氏は、ボンにおけるSDIですね、これはどの辺までまとめ上げたい、つまり、シュルツ国務長官から得られた感触として、アメリカボンに寄せる期待ですね、SDIを焦点とした、これはいかがですか。どの辺までまとめたいと。
  180. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この点については何も我々の会談で出ておりませんし、恐らく大統領シュルツ長官も、今の世界の動きについていろいろと検討をしておられる状況であろうと思います。  ただ、SDIの問題は、出る出ないは別にして、東西問題ですね、特に米ソの核軍縮の問題ですね、あるいは米ソの首脳会談の問題、そうした点については、当然これは政治議題として一項目出るか出ないかは別にして、やはりこれは一つの議論になるんじゃないか、私はそういうふうに思っております。
  181. 秦豊

    ○秦豊君 さきの報道によりますと、ワインバーガー氏が、訪問してきた松永駐米大使に、SDIの研究推進は我が政府の確固たる方針である、よろしく協力あられたいという意味の報道がちらっと出ておりましたけれども、そこから見ましても、ボンに向かってだんだん調整を進めていって、やはりSDIがボンで何ら顕在化しない、形をなさないままで流れるというふうなことはアメリカ側の期待に反する。やはり何らかの政治声明の一項としてSDIに対する各国の最大公約数的な意思表示が出るのではないかという推定に対してはどうですか。
  182. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それはやはり様子を見ないとわかりませんけれども、今の状況で果たして各国のそれじゃサミット参加国の合意が今の段階で得られるかどうかということになりますと、またまたそういう状況は熟してないんじゃないか、こういうふうに思っておりますし、これはしかし、大統領は非常な、私にもシュルツ長官を通じて大変な道徳的な情熱を持っていると言われたわけでありますから、今後どういうことになるか推測はできません。全く出るか出ないかということも含めた推測はちょっとできない状況ですね。
  183. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと外務大臣にお約束を願いたいんですが、中曽根氏の立場外相立場政府だから一体ですね。しかしながら、理解を表明しているだけの中曽根総理が、トップ会談ですから、やはり何らかの政治声明の中に包摂されたSDIの研究支持とか、つまり在来の国会答弁を踏み越えようというふうなケースが仮にありそうであれば、私は、外務大臣が良識のブレーキをかけていただきたい。在来の理解の一線は越えてほしくはないという見地から申し上げますが、いかがですか。
  184. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、これは今の日本態度は、ロサンゼルスにおける中曽根総理の発言に決まっておりますから、今それをさらに進めるとか進めないとかいう段階ではないと私は思っています。
  185. 秦豊

    ○秦豊君 こういうふうに理解してよろしいですか。アメリカは何らか最大公約数的な文言にこだわるかもしれません。しかし、ヨーロッパもばらつきがある、日本理解でとどまっている。だから、SDIについてはそのいわゆる位相のずれがそのまま反映されている方がいいと思うんです。急ぐ必要は毛頭ないと思う。日本政府はそういう方針でボンに赴かれる、こう理解していいですね。
  186. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まだ何も方針を協議しているわけではありませんけれども、実際はやはりそういう今のような状況ですね、各国における議論が熟していないという状況じゃないかと思います。
  187. 秦豊

    ○秦豊君 テーマを変えますけれども、シュルツ氏との会談では例の米ソの首脳会談、この感触、いかがでした。
  188. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは時期とか場所はまだ決まっていないけれども、大統領としては首脳会談をやりたい、今年じゅうにやりたいという期待を持っているという感触を私に述べられました。ですから、そういう方向で恐らく来月にはシュルツ・グロムイコ会談もありますし、そう方向で、もちろんソ連の出方次第ですけれども、進んでいくんじゃないだろうかというふうな感じを私は得ております。
  189. 秦豊

    ○秦豊君 今外務大臣おっしゃったように、そういう方向ですね。それでまあ、シュルツ・グロムイコそのほかの外交チャネルの接触はあるかもしれません。  一番なだらかな推移としては、やはり秋のニューヨークの国連総会という各国首脳がほとんど顔をそろえる場というのは非常になだらかな契機というふうな見方は、あるいは感触は得られませんでしたか。
  190. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうことは私としては何ら感触は得ておりません。ただ、時期と場所はまだわかってない、今年じゅうに何とかこぎつけたいという、そういう期待の表明ですから。
  191. 秦豊

    ○秦豊君 四月十五日付のプラウダが、こんなことを言っているんですね。ソ連はアメリカとの定期的首脳会談に応ずる用意がある。つまり、めずらしくばっと十何年に一遍会うんじゃなくて、数年に一回、米ソだから、サミットだから文字どおり、毎年定期協議をして風穴をあげる、そのことに大きな意味合いがあるという、プラウダにしてはなかなかラジカルな提言と論評をしているんですが、私は、相互にワシントン、モスクワ、双方の首都を訪問するか、第三国かどっちでもいいから定期的な米ソ協議なんというのは大いにアメリカ側に提唱されたらいいと思うんです、つまり、同盟国の一員としての助言として、こういう点はどうですか。
  192. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、それはできれば世界平和のためにいいんだろうと思いますけれども、なかなか今の米ソ、例えば核軍縮交渉一つとってみてもまだまだ大きな開きがありますし、ソ連も新しいゴルバチョフ体制になったといっても果たしてそのゴルバチョフ体制というのが完全に確立しているのかどうか、ゴルバチョフさんの国際政治に臨むリーダーシップがどこまであるのかどうか、その辺のところもはっきり見分けがつきませんし、ソ連が大きく方向をこれまでとは変えて国際政治に臨もうという状況でもなさそうに思いますし、プラウダの記事を私は読んでおりませんけれども、なかなか今の現実的な状況としてはとにかくまず会うということが重点であって、それから先のことはそれから先その時点からの問題じゃないかと思いますがね。
  193. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと首脳会談にこだわらしてください。一部の報道で米ソ首脳会談にややクール、冷たい雰囲気がアメリカの部内に流れたという報道がちょっとあって、私もどういうことかなと思っていたが、安倍外務大臣の得られた感触は年内開催への意欲は熱っぽいと、またかなり強いと、静かではあるが、こう見ていいんですね。
  194. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、期待感といいますか、熱っぽいという感じじゃなくて期待感ということで、ただ、しかしやはり米国の内部においてもゴルバチョフさんが、最近提唱されましたSS20等の凍結ですね、こういう提案に対してはアメリカ側としてもこれは受け入れられないと言っている状況もあるわけですから、あるいはまた米ソの今行われておるジュネーブの会談についてまだまだ開きが大きいわけですから、その辺のところがこれからどうなるかということもやはり首脳会談が成り立つかどうかの大きな要素じゃないだろうかと、私はそういうふうに思っております。
  195. 秦豊

    ○秦豊君 それから、中曽根総理が熱海でしたか、自民党の部内会議、婦人部集会で、ボンに私が行ったら、ちょうど世界史上敗戦四十年だから、第二次大戦、米ソ不戦の誓いのようなことを私は唱導するんだという意味の講話をされていますけれども、サミットだからトップが何を提案してもいいでしょう。いわんや米ソの軍縮問題も軍備管理問題も出るわけですから、そこに有力なサミットの構成メンバーたる我が国からのトップが、外務大臣を含めて、米ソ不戦の誓いを促進する、これは意味がないとは言えない。むしろ実ればそれはそれなりに結構と思いますが、外務大臣、どうお考えですか。
  196. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まだその婦人に対する中曽根総理の講話とか中曽根総理の考え方は何も聞いておりません。
  197. 秦豊

    ○秦豊君 ちょうどお留守中でしたからね、いいでしょう。  防衛庁見えていますか——どなたかちょっと答弁の対象がわかりませんけれども、昨年この日米共同作戦計画が一応制服同士によって署名をされ、それは総理のレベルにまで達している。そうすると軍事的な常識としてはその日米共同作戦研究が有事に備えたさまざまな設想によって裏づけられており、その中には海峡封鎖があるかどうか、あなた方は答弁できないと思うが、総理もこれは答弁しないと思うが、日本に対する、日本有事の場合の米軍来援が織り込まれていないはずはない。今NATO正面とかディエゴガルシアで現実に行われているのは部隊単位であらかじめ重装備その他を含めた兵器を事前に集積をしておくこと、つまりスタンバイ能力を強める、早める有事即応体制を強化するという観点でいわゆる米軍用語ではポンカスと言っていますけれども、これは私は純粋に軍事的な合理性という観点から日米共同作戦、有事即応という観点に執する限り私はこの構想というのはあながち否定できない、望ましい方向ではないかと思いますけれども、防衛庁はどういう見解でしょうかね。
  198. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 日米共同作戦計画の研究において米軍の来援の問題が取り上げられていることは御指摘のとおりでございます。我が国は、有事の際安保条約に基づきまして共同対処をするわけでございますから、その際に、御指摘のような事前集積あるいは事前配備というものが有効であろうかという御指摘はありますけれども、この研究でそのようなことが取り上げられているということはございません。
  199. 秦豊

    ○秦豊君 日米共同作戦計画の文書、機密文書に入っているかどうかは問題ではない。一つのケースとして防衛庁として、じゃそんなものはむだであり要らざることだと、事前集積やポンカスなんて全然要らないという見地にお立ちとすれば、甚だ私は軍事常識を逸脱すると思う。純粋な設想、ケースとして、たとえこれがいわゆるイフ論争の一つではあっても、そういうことは望ましくないという立場にあなた方が立つとすれば、大変整合性のない奇妙な論理だと思う。だから純粋なケースとしてあなたに聞いている。いかがですか。
  200. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 御説明いたします。  一般論として申し上げますと、日米双方が有事の際に共同対処する、それに備えまして、平素から訓練であれ研究であれいろいろな措置を講じておきますことは、抑止力を高めるという観点から有意義なことだということは言えると思いますが、今その事前集積あるいは事前配備ということが検討されているということはないということでございます。
  201. 秦豊

    ○秦豊君 答弁をそらしちゃいかぬ。研究しているかという設問は一問もしていないんだ私は。純粋なケースとして、ポンカスなんというのは排除さるべき方向なのか肯定さるべき方向なのか、軍事常識の中に包摂されるのではないかと聞いている。焦点をそらしちゃ困る。訓練はいい、研究はいい。事前集積、なぜいけないんですか。
  202. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 一般的に、先ほど申し上げましたような理由から有意義なことと考えておりますが、今そのようなことを検討しているということはないわけで、詳細にそれ以上申し上げられる段階ではないということでございます。
  203. 秦豊

    ○秦豊君 言葉を選ぶのはあなたの自由に属するが、一般的なケースではじゃ結構だと。今研究しているかを詰めているわけじゃない。一般的なケースとしては考え得る、いいということですね。
  204. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 先ほども申し上げたとおりでございますが、共同対処に備えまして平素からいろいろのことを研究しておく、その一環として考えられる有意義なことの一つだとは思われます。
  205. 秦豊

    ○秦豊君 わかりました。それで十分です。  北米局長ね、議事録ができていないんでやや正確を欠くかもしれぬが、テープから聞いたところによると、私の四月九日当委員会における同じ海峡封鎖に連関したポンカス問題について、あなたは御記憶だろうと思うが、仮定の話ではあるが、国際情勢いかんによっては米陸軍の来援というものを想定した装備の事前集積を全く排除するということではないという答弁を私にされましたけれども、それは確認してよろしいですか。
  206. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 今委員がおっしゃられた趣旨の答弁は申し上げました。
  207. 秦豊

    ○秦豊君 これは大変お二人とも率直でした。今衆参両院の論議を通じて、いわゆるポンカスについて初めて出てきた肯定的な答弁だと思います。非常に率直に裏づけられたと思います。初めて出てきた答弁だと思います。これはこれで結構です。  こういうことについてはどう思われますか、今、米中の軍事提携がどんどん進んでおりまして、日本はやや圏外にあってそれで至当なんです。それでいいんですけれども、外務省に伺いたいんだが、海上自衛隊の練習艦隊が仮に上海あたりを友好訪問するというふうな話がやや散見されましたけれども、これは全くあれですか、交渉場裏には上っていない、これから交渉するという程度の話なんでしょうか、あるいはある程度煮詰まっているんでしょうか。煮詰まっているとすれば、アメリカの七艦の駆逐艦が上海に寄るのが大体五月中下旬と言われているんですけれども、どういうことになっていましょうか。
  208. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) ただいま海上自衛隊の練習艦隊の中国訪問とか、あるいはその周辺への運航でございますが、外務省としましては、防衛庁にも聞きましたところ、そのような計画は今のところ全くないというように私どもは伺っております。
  209. 秦豊

    ○秦豊君 そうですか。防衛庁、こういう練習艦隊の上海友好訪問、あるいは青島でもいいんですが、大連でもいいんですけれども、これは皆さんの将来構想としては考えてもいいなという分野ですか。
  210. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) ただいま外務省からお話がありましたように、現在のところそういう計画はございません。  ただ、今後の問題でございますけれども、具体的な事案が提起された段階におきまして、そのときの内外情勢等を勘案して検討を進めてまいりたいと、こう考えております。
  211. 秦豊

    ○秦豊君 こっちから提起することはないということですか。
  212. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) 現在のところございません。
  213. 秦豊

    ○秦豊君 夏目氏が次官をやめる前に訪中する、今度選挙があるから。それから加藤長官があるいは秋の訪中もあり得るかもしれない。これはメイビーそうだけれども、そういう中で練習艦隊の訪中があってちっとも、いけないからやめろという前提は全然僕は持ってないんですよ。全く考えられませんか、将来も。
  214. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) 夏目次官の中国訪問につきましては、日程等を含めまして現在調整中と、及び要望事項につきましても調整中でございます。
  215. 秦豊

    ○秦豊君 いや、練習艦隊を聞いている。
  216. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) ですから、そういう要望を出すかどうかということにつきましても今検討中と聞いております。
  217. 秦豊

    ○秦豊君 いいでしょう。  最後に安倍外務大臣ね、僕たち東京からしか眺められなかったので、OECDでは特に安倍晋太郎外務大臣の様相は、「孤軍奮闘囲みを破って還る 一百の里程 塁壁の間」というふうな感じで、刀折れ矢尽きたというのは、ずっと後その漢詩では続くんだけれども、あなたは非常にタフネスを維持して帰ってこられた。ところが、よく考えてみると、僕が一番わからないことは、朝から同僚議員のを聞いていて、一体アメリカはどこまで日本に追いすがってくるのか、迫ってくるのか、何をとことん貫こうとしているのか。だから、もう流通機構から金融、情報、通信、それから輸出ドライブのかかりやすい体質、構造、そこまで全部づかづかと入ってきて、それが修正されなければやめないというふうなところなんでしょうか。その辺がどうもよくわからないのと、我々はできるだけもう対策を出したわけですよね。手の内をさらけ出し、渋る官僚の頭をなで、たたき、ここまで持ってきた。ところが、アメリカは、じゃそういう日本をいつまでも猶予してくれるんだろうか、この辺の二つはどうしても朝から聞いていてもわからなかったのですけれども、どうですか、外務大臣
  218. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私が今度OECDで金子経企庁長官と頑張ったのは、今世界空気がどうしても日本に焦点を当てて攻撃しよう、日本の膨大な黒字についてこれは日本責任だということでクローズアップして攻撃しようと、いわばスケープゴートといいますか、そういう空気が流れていることを我々も見てとりまして、これはおかしい。やはり世界の今の経済の問題で、確かに日本黒字の問題もあるけれども、しかし米国赤字とか高金利とかドル高の問題もあるし、またヨーロッパはヨーロッパで依然として不況が回復していない、そして失業が残っている。構造調整の問題もヨーロッパ自身のなさなければならない問題としてあるので、そうした問題がパラレルに出て、お互いに努力目標としてやるのはいいけれどもどこかを突出して攻撃するということだけはこれは客観的にも間違っているし、やはりそういう空気を変えなきゃならぬというのが今回の我我の一つの戦略でありまして奮闘したわけで、それなりにコミュニケ等においては、例えば日本黒字が国際貿易緊張を高めておるというような文言がありましたが、それは断固として主張して抹消さしたわけでございます。  しかし、空気としては、やはり日本に対しては相当厳しくなっておる。そして日米も、さらに今の状況では議会中心に大変な厳しさを加えておるというふうに思っております。政府間では四分野を通じての日本努力、それから総理声明、さらに中期的なこれからの政策決定への日本の決意というものによって一応けじめがついたと思っておりますが、議会はこれで満足してないという空気もあるようですし……
  219. 秦豊

    ○秦豊君 猶予しそうにありませんか。
  220. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) あるいはこれからの様子を政府も見るということですから、七月ごろまでには日本の中期政策を含めた政策も出さなきゃなりませんし、やはりこれから日米間の緊張というのは私は続いていくだろうと思います。これでもって解決したなんというのは到底言える状況にはないわけで、まあ何が飛び出てくるかわからぬというのが大きな状況であります。むしろ市場アクセスの問題から日本の今の経済自体の問題等にもやはり批判も出ておるということを我々も認識しなきゃならぬと思います。そして、一挙には全部解決できませんが、しかし、この空気をこれ以上悪くして保護主義が蔓延する、そしてアメリカがただ日本だけを中心にして報復措置を加えてくる、こういうことだけは何とか避けさしていかなきゃならない。そうなればだんだんと、ニューラウンド等も交渉が始まれば世界空気も変わってくるんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
  221. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会