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1984-12-13 第102回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十二月十三日(木曜日)    午後一時三十五分開会     ─────────────    委員異動 十二月十二日     辞任         補欠選任      八百板 正君     菅野 久光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平井 卓志君     理 事                 鳩山威一郎君                 宮澤  弘君                 久保田真苗君                 抜山 映子君     委 員                 大鷹 淑子君                 後藤 正夫君                 中西 一郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 原 文兵衛君                 秋山 長造君                 菅野 久光君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 小笠原貞子君                 関  嘉彦君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        外務政務次官   森山 眞弓君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        水産庁長官    佐野 宏哉君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省北米局審        議官       山下新太郎君        外務省欧亜局審        議官       都甲 岳洋君        外務省条約局審        議官       斉藤 邦彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の両国地先沖合における漁業分野相互関係に関する協定締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 平井卓志

    委員長平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二日、八百板正君が委員を辞任され、その補欠として昔野久光君が選任されました。     ─────────────
  3. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 次に、安倍外務大臣及び森山外務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。安倍外務大臣
  4. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) このたびはからずも三たび外務大臣就任することとなりましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして、一言あいさつを申し上げます。  現在の国際情勢は、東西関係を初めとしまして、まことに厳しいものがあります。このように困難な国際情勢もと我が国の平和と繁栄を確保していくため外交に課された使命は重大であります。  近年、我が国国際的地位が向上するに伴い、我が国の積極的な役割に対する国際的な期待がますます高まっておりますが、こうした期待にこたえるため、私は、この二年間、外務大臣として世界の平和と繁栄に積極的に貢献するいわゆる創造的外交を展開してまいりました。今後は、これまでの実績を踏まえさらに発展させるべく、一層の努力を傾けてまいりたいと存じます。  当面の外交課題について申し上げますと、まず現在最も緊急を要する課題は、申すまでもなく世界平和の問題であります。抑止力の均衡が平和を支えているという国際社会の現実は認めざるを得ませんが、このような認識に立ちつつ、私は、米ソ間の軍備管理軍縮交渉を初めとする東西間の対話と交渉の促進のため努力を続けてまいる所存であります。また、イラン・イラク紛争などの地域紛争世界平和への大きな脅威となっており、このような地域紛争早期平和的解決のための努力を継続していきたいと考えております。  同時に、世界経済は依然諸困難を抱えておりますが、その健全な発展のため、自由貿易体制維持強化、累積債務問題への対応、政府開発援助拡充と効果的な援助実施などにより一層の努力を払ってまいりたいと考えております。とりわけ、現在緊急な課題となっているアフリカの飢餓問題やインドシナ及びアフガン等の難民問題に対しましては、緊急の食糧援助強化するとともに、中長期的に根本的な対策を講ずべく各国と協力して努力を進めるべく特段の努力を払ってまいりたいと考えております。このため私は、十一月にザンビア、エチオピア、エジプトの三カ国を訪問し、これら諸国との友好関係を促進するとともに、アフリカ干ばつ被災地の現状を視察しました。現地の惨状を見て人道的見地からの国際社会全体による緊急援助強化と同時に中長期的視点に立った農業基盤整備必要性重要性を痛感いたしました。かかる体験も踏まえてアフリカ支援緊急アピールを発表し、内外にアフリカ支援強化必要性を訴えた次第であります。  このような世界の平和と繁栄のための我が国外交努力を進めるに当たって、その基軸となるのは日米関係であります。両国関係は、広範な分野にわたり、首脳・外相間の揺るぎない信頼関係に裏打ちされた成熟した関係にあります。米国においても、レーガン政権がその第二期目を迎えるわけでありますが、この緊密な関係を一層強固なものとし、世界の平和と繁栄に向けての日米協力を推進してまいる所存であります。  また、我が国が位置するアジア・太平洋地域は、世界で最も活力とダイナミズムに満ち一層大きな発展可能性を秘めております。我が国はこの地域諸国との友好協力関係を増進して、域内のみならず、世界発展とこの地域の自由で開放的な協力と連帯を目指して努力していく所存であります。  最後に、ただいま申し上げましたような外交を積極的、機動的に展開するためには、この足腰たる外交実施体制強化拡充が急務であります。この点につき委員会皆様方の御理解と御支援をいただきたいと考えております。  この委員会に御出席皆様方は、外交に精通され、多年にわたってこれに真剣に取り組んでこられた方々でありますが、今後とも皆様のよき御指導と御鞭撻を賜り、引き続き外務大臣の重責を無事果たせますよう皆様の御協力をお願い申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  5. 平井卓志

  6. 森山眞弓

    政府委員森山眞弓君) 私、このたび、外務政務次官就任いたしましたので、一言あいさつ申し上げます。  ただいま大臣も述べられましたとおり、現在の国際情勢は依然厳しいものがあり、その中にあって日本のかじ取りの任務に当たる外交使命は極めて重大であります。また、相互依存関係がますます深まっている今日の国際社会においては、世界の平和と繁栄なくして我が国の平和と繁栄も確保できないことは申すまでもありませんし、自由世界第二位の経済力を持つに至った我が国が、国際社会において、より積極的な役割を果たすことに対する期待はますます高まっております。私といたしましては、微力ではございますが、安倍大臣を補佐いたしまして、我が国世界の平和と繁栄のために貢献し、もって日本の平和と繁栄を確保していくため、最善を尽くしてまいりたいと念じております。  また、来年は国連婦人の十年の最終年に当たるわけですが、その面におきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  外交問題に精通しておられる諸先生方の御指導と御鞭撻により、任務を全うできますよう、御協力をお願い申し上げまして、私の就任あいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  7. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の両国地先沖合における漁業分野相互関係に関する協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣
  8. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいま議題となりました日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の両国地先沖合における漁業分野相互関係に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  ソ連邦の二百海里水域における我が国漁船による漁獲及び我が国の二百海里水域におけるソ連邦漁船による漁獲は、従来それぞれ昭和五十二年五月二十七日に署名されたいわゆる日ソ漁業暫定協定及び同年八月四日に署名されたいわゆるソ日漁業暫定協定に基づいて行われてきました。これらの協定については、昭和五十二年以来、毎年末にその有効期間を一年ずつ延長してきたところであります。この間我が方は、日ソ間の漁業関係をより安定したものとするため、これらの協定有効期間長期化ソ連邦側に繰り返し提案してまいりましたが、ソ連邦側は、本年九月の山村前農水大臣の訪ソの際に、国連海洋法条約の採択、経済水域に関するソ連邦最高会議幹部会令の採択等新たな状況を踏まえて、これらの協定にかわる新たな協定締結する用意があるとの意向を示すに至った次第であります。  よって政府は、日ソ漁業暫定協定及びソ日漁業暫定協定にかわる新たな協定締結すべく、本年十一月初旬からソ連邦側交渉を行い、その結果、本年十二月七日に東京において、我が方本大臣先方パブロフ在京ソ連邦大使との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、日ソ漁業暫定協定ソ日漁業暫定協定にそれぞれ規定されていたものを一つ協定規定するもので、八カ条から成っておりますが、従来の枠組みを基本的に変更するものではありません。この協定は、両政府が自国の二百海里水域における他方の国の漁船による漁獲を許可することのほか、相手国漁船のための漁獲割り当て量等の操業の条件の決定の方法、許可証の発給、申請及び料金の徴収、漁船の取り締まり、日ソ漁業委員会設置等事項を定めております。協定有効期間は、一九八七年十二月三十一日までとされ、その後は一年ずつ自動的に延長されることとなっております。  なお、昭和五十二年の日ソ漁業暫定協定締結交渉の際に問題となりました北方四島周辺水域の取り扱いに関しては、この協定において日ソ漁業暫定協定及びソ日漁業暫定協定と同様の留保条項規定されており、領土問題に関する我が方の立場が害されないことが明確となっております。  この協定締結により、明年以降のソ連邦の二百海里水域における我が国漁船による漁獲及び我が国の二百海里水域におけるソ連邦漁船による漁獲がより安定的な枠組みもとで確保されることとなります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  9. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 まず、外務大臣に三たびの御就任森山政務次官国連婦人の十年締めくくりの年を前にしての御就任、まことに御苦労さまでございますが、外交問題が極めて重大な折、ぜひ御健闘を期待してやみません。  次に、私、きょう時間の関係質問をはしょってまいりますので、ひとつ的確なお答えをちょうだいしたいと思います。  昨日、衆議院外務委員会で、カールビンソンの寄港問題がたくさん取り上げられたようでございますので、私も、これについて一言大臣にお伺いしておきたいと思います。  まず最初に、念のためにカールビンソン横須賀港に何月何日に入港するという具体的な通告は、いつ、だれにあてて行われたのかお伺いしたいと思います。
  11. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいまの御質問でございますけれども、十一月の二十日の夜に、カールビンソンが十二月前半本邦寄港可能性があるということを一般的に聞いた次第でございます。その後、十二月の一日の午後でございますが、在京アメリカ大使館から外務省に対しまして、カールビンソンが十二月の十日から十二日までの間、横須賀に寄港する予定であるという連絡がございました。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 わかりました。  次に、大臣にお伺いしたいのですが、御存じのとおり、国民の側には入港について反対の猛運動がございました。そして、政府とは大きなギャップを示しているところでございます。  横須賀市につきましては、渉外部長の問い合わせから始まりまして、市議会が十一月二十九日中止を求める意見書全会一致で決定しておりますし、また横須賀市長神奈川県知事中止の要請に訪れているわけです。また、市民団体保守系も含んで反核署名運動一カ月六万四千名集めたとか、あるいは市民グループの抗議のためのデモあるいは野党の反対集会等もございます。  また、特に注目したいのは、非核につきましては最近地方自治体の非核平和宣言がとみに活発化しております。現在、二百九十市町村に及ぶと聞いておりますが、その半分はことしになってからのことでございまして、わが国が専守防衛非核原則国是としているのに、なぜこんなに市町村レベルが懸命なのか、それは非常に危機感が強まっているということではないかと思いますが、どうごらんになりますか。  また、空母ミッドウェー、第七艦隊旗艦ブルーリッジそのほか艦船機動部隊が既に横須賀母港にしておるわけでございます。また、攻撃型原船の出入りも激しくなっております。政府は、事前協議がない以上非核とおっしゃるけれども、強い疑惑があり、その疑惑は少しも解かれておりません。  また、池子弾薬庫の跡には逗子市民の猛反対を押し切って、首都圏の貴重な自然を破壊しながら大規模米軍住宅建設計画を強行しようとして心配を集めているところでございます。しかも、思いやり予算ということで、わざわざこれを招き寄せるような、こういった一連の動きがあるわけでございまして、国民が重大な危機感を持っているのも当然だと思います。  そこに今度のカールビンソンでございます。東京湾対ソ核戦略一大拠点にされてしまうのではないか、こういう危機感があると思いますけれども、このような自治体あるいは市民運動等動き外務大臣はどのように受けとめ、どのようにこたえようとなさっているのか伺います。
  13. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに国民の一部にカールビンソン横須賀入港に対しまして反対運動が起こりましたし、特に地元であります神奈川県あるいはまた横須賀市におきましては、知事さんとかあるいは市長さん、さらに議員の皆さん等心配をされまして外務省にもやってまいりました。私もお目にかかったようなわけでございますが、しかし米軍の船舶及び航空機は、日米安保条約及びその関連取り決めに従いまして、我が国の港または飛行場並びに米軍使用している施設及び区域に出入りすることができることとなっておるわけでありまして、今回のカールビンソン横須賀寄港についても、政府としては安保条約さらにその関連取り決めによって対処いたしたものでございまして、その点については私からも県や市の皆さん方にも政府立場重々説明をいたしたわけでございます。もとより、米軍施設区域安定的使用には地元民の理解協力が必要なことは言うまでもございません。政府としましては、今後とも地元方々の一層の理解協力を得たい、得るように努力をしたいと考えております。  また、原子力空母、特にカールビンソン横須賀における母港化につきましていろいろと質問もあったわけでございますが、米国原子力空母につきまして、現在乗組員家族本邦居住計画があるとは承知をしておらないわけであります、何も聞いておりません。将来仮にそのような話が出てくればその時点で政府としては検討することになるわけでございます。  私は、昨日この点につきまして衆議院外務委員会質疑におきまして答弁したわけですが、このような実態を踏まえた上で、仮にこのような話が出てきた場合につきましては、日米安保条約及びその関連取り決めとの関連では当該艦船原子力推進であることを理由としてかかる米側申し入れを断ることにはならない、こういう旨を申し上げた次第でございまして、政府としてはそうした考え方を持っております。もちろん、仮定の問題であります。現在においては、こうした母港化話等は一切米国側からも出てきてないということを申し上げておきます。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、別に原子力推進のことを伺っているのではなくて、むしろ規模戦闘能力についてお伺いしたいのですけれども、その一つ前に伺っておきたいのは、日米安保条約の第六条に基づく事前協議、これに該当するあるいは関係するような内容協議が事実上大臣が初めて外務大臣就任されて以来持ちかけてこられたことがあるというふうにお考えになりますか、また近い将来そのような内容協議があり得ると思っておられますか。つまり、事前協議の対象の三事項についてですね。その第一が、在日米軍配置における重要な変更、第二が、装備における重要な変更、第三が、我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての施設区域使用、このような事項関連する協議があったか、または近い将来ありそうか、これは大臣の御所見ないし見通しで結構でございます。どうぞお聞かせください。
  15. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 将来のことはいざ知らず、これまでにおきまして第六条によるところの事前協議について日米間で話し合った、アメリカから事前協議申し入れられた事実はございません。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 将来についてのことは、お見通しはいかがですか。
  17. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、日米安保条約のこれからの運用の中で第六条が規定をされておるわけでございますし、将来においてそうした申し入れがないということは言い切れないことであろう、こういうふうに思っております。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 近い将来ありそうだとお考えですか。
  19. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは全く私自身としても判断のつきかねる問題でございます。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、報道によりますと、昨日の衆議院外務大臣がこういうふうに言っていらっしゃると書かれているんです。いや、大臣の言葉じゃなくて説明がございます。「カールビンソンを含む米原子力空母横須賀に反復寄港する可能性のあることを明確に認めた。」と。かつ横須賀が現在の「ミッドウェーと併せ、米空母の二隻母港化する可能性のあることを明らかにした。」と。これは事実でしょうか、当たっていますでしょうか、この報道は。
  21. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) カールビンソンが入って、出ていったわけですが、これから果たしてカールビンソンがまた再び横須賀に来るのか、あるいは佐世保に来るのか、それはアメリカのいわゆる作戦運用の問題であろうと思いますが、ですから、これについてもいつ来るであろうとか、あるいは反復来るであろうかとか、そういうことを私から言える立場にはないわけでございまして、私が言ったことは、米国艦船について日本に寄港するという場合につきましては、日本としては安保条約その関連規定によってこれに対応してきておることであるし、今後ともこれに基づいて対応する、こういうことを申したわけであります。  なお、ミッドウェーについては、私の聞いた範囲では一九〇〇年代は今のままで就役しておる、こういうふうに聞いておることを率直に言ったわけでございますし、ミッドウェーカールビンソンとの関連について私から何も言っているわけではないわけであります。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、ミッドウェーとあわせて米空母二隻母港化という報道は、これは間違っていますね。
  23. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は何もそうした二隻の問題、あわせてどうとかこうとかというふうなことは言っておりませんし、そういうことについて考えたこともないわけですが、また御質問もそういう趣旨ではなかったように思いますが、私は、カールビンソン母港化ということはあり得るかと、こういうふうな御質問でございましたから、これはカールビンソンについては今そういう話は全くない、ですから、これについて何も仮定の話を申し上げる必要はないわけですが、しかし仮定の話として、もしそういう申し入れがあったときは、やはり日本としては日米安保条約を忠実に実行していく、そういう立場からこうした仮定の話であるけれど、そういう事態になれば判断をしていきますと、こういうことを申し上げたわけでございます。何もカールビンソンミッドウェーを絡めて考えたわけでもありませんし、また絡めて答弁したわけでもありません。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 米第七艦隊は、ミッドウェーカールビンソン、エンタープライズの三隻にオーバーホール用一隻というような態勢であると聞いておりますけれども、もしこの旗艦を含む空母二隻態勢というようなことになりますと、米第七艦隊主力日本を根拠地とするというようなことになりまして、恐らくこれは重大な配置変更であろうというふうに思いますし、また今、核戦力主力が海にあるということは周知の事実でございます。その海軍核戦力の中核が浮かんでいる基地、高性能の空母であることもまた周知の事実でございます。そういたしますと、事前協議がなければ非核だというようなこれまでの政府の御説明ではとても納得がいかないということがあるわけでございます。そしてその結果は、当然のこととしてこの日本基地戦闘作戦行動基地として使われるということもまた非常に明らかなことだと思います。つまり、事前協議事項の全部がなし崩しに行われつつあるのではないかという疑惑が世間では持たれているわけです。そうなりますと、我が国が誓っております専守防衛非核原則国是だとそう言いながら、国民の気持ちに反して実は日本政府自身の手でこれがめちゃめちゃに粉砕されてしまうのではないかと、私は多くの国民の強い疑念、そして私自身のまた強い懸念をこの際表明しまして、一体外務大臣はこのような状況をどう考えておられるか、これを伺っておきたいと思います。
  25. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私はここでしばしば申し上げたわけですが、やはり日本の平和と安全を守っていくためには安保条約を確実に実行するということでなければならないと。新しい安保条約締結されまして来年で二十五周年を迎えるわけでございますけれども、私は、安保条約によって日本の平和と安全が過去、今日において、また将来においても守られる、こういうふうに確信をいたしております。そうした安保条約は、やはり両国信頼感を持ってこれを守っていくということでなければならぬと思います。その信頼感両国においてなくなってしまえばこれは条約としての意味をなさないわけですから、その信頼ということの中で特に大事なことは事前協議条項ではないかと思います。  ですから、アメリカも、もし核を持ち込む場合には日本に対しまして事前協議をかけてくるということはこれは条約上のアメリカの義務になっておるわけでございます。したがって、今日まで事前協議を持ち込んだことがないということは、日米信頼関係の上において核が持ち込まれたことがないということが条約上も明確であると、こういうふうに思っております。こうした事前協議がなされない限り日本に核が持ち込まれる——そういう疑惑を持っておられる方もありますが、そういうことはあり得ないということははっきり申し上げられるわけでございます。なおかつアメリカは、日本との協議においてもしばしば言っておりますように安保条約その関連規定は守るんだと。同時にまた、日本非核原則については十分日本国民感情等について自分たちは配慮しておる、自分たちはわかっておる、理解しておるということを私どもにも言っておるわけでございますから、したがっていろいろな状況から踏まえまして、特に安保条約というものを結んでおるその両国の同盟関係信頼関係、そういうものから見て核の持ち込みというふうなことはあり得ないということを政府としては力説をして、国民の皆さんに御理解を求めておるわけであります。
  26. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり端的に言いますと、事前協議の対象になる事項については、我が国専守防衛非核原則国是としながらそのような内容をなし崩しにはしない、そのようなことは国民に諮っていく、こういうお考えですね。
  27. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日本非核原則というのはいわば国是とも言うべきものですから、これは我々としても確固として守っていかなきゃならないということであります。また同時に、この非核原則を守るということと安保条約を守っていくということは何ら矛盾撞着するものではないというのが私の考えであります。
  28. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、きょうはこれ以上できませんので私一言お願いしておきたいのですけれども、要するに海洋が米ソ両核大国の支配圏の確執の対象になっております。その確執の場であるこの海が、実はきょうも議題になります日本の漁民やそれから国民生活の生活圏と重大なかかわりがあるところでございますので、この緊張関係の悪化に加担するような、そしてそれで国民生活を犠牲にするようなそういう外交をぜひしないでいただきたい、積極的に日ソ関係あるいはいろいろな国との関係を好転させるような、そういう御努力をお願いしまして、きょうのところは終わらしていただきたいと思います。  最後に一言……。
  29. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) おっしゃるように平和が一番大事であります。したがって、今のお言葉は肝に銘じて、私も外交の責任者として東西関係あるいはまた米ソ関係の緩和、あるいは日ソ関係の対話の前進、そうしたものに対して積極的に努力をしていきたい、いわゆる平和と軍縮について積極的な外交努力を払っていく考えであります。
  30. 久保田真苗

    久保田真苗君 終わります。
  31. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、先ほど御提案になりました漁業協定、名称が非常に長いので日ソ漁業相互協定というふうに略させていただきますが、そのことについて御質問申し上げたいと思います。  今回締結された日ソ漁業相互協定は、従来、期間一年という不安定な暫定協定に基づいて操業してまいりました北洋漁民にとっては、長い間の念願であった長期協定ができ上がったということでより安定的な操業が可能になることでありまして大変喜ばしいことだというふうに思っております。したがって、私も本協定締結には当然賛成するものであります。ただこの際、本協定のここに至るまでの経緯、協定内容締結後に控えている実務交渉見通し漁業経営に及ぼす影響などについて若干見解をただしておきたい、このように思います。  まず第一にお尋ねしたいのは、本協定が仮署名を経て署名されるまでに実に一カ月近くを要した理由についてであります。山村前農相の訪ソによって両暫定協定にかわる新協定締結の機運が出てきたのが九月であります。十一月四日から東京で始まった交渉は異例の早さで大筋の合意を見て、早くも同月の十二日には仮署名がなされました。ところが、協定有効期間でこそ我が国が五年、ソ連が三年を主張して対立したものの、これを除く協定案文ではほとんど合意されていたにもかかわらず署名は約一カ月後の今月七日にまで延びてしまいました。そこで、なぜこのような結果になったのか説明していただきたいというふうに思います。
  32. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 先生御指摘のとおり、この協定交渉自体は非常に事務的にスムーズに行われたわけでございますけれども、その後イニシアルから御指摘のように調印まで一月ぐらいかかりました。これは専らソ連政府の部内調整に時間がかかったということでございまして、私どもの方から再三催促をいたしましたけれども、結局十二月七日になってやっと最終的な調整が整ったということでございました。その背景につきましてソ連側は政治的な理由は全くないと申しております。当時、最高会議幹部会等が行われ、予算審議が行われたというような背景もあるいはあるかと思いますし、そのようなことがあって事務的に部内調整がおくれたというふうに私どもは了解しております。
  33. 菅野久光

    ○菅野久光君 なかなか返事が来ないということで返事を督促されたということについては当然そうあるべきだというふうに思うのですけれども、いずれにしろ今までの交渉の経過を見ていきますと非常に難しい相手で、やはり早く返事を出させること、このことが外交手腕ということになるのではないかというふうに私は思うのです。仮協定締結されたということでこの本協定締結がいつになるのかということを北洋の漁民が祈るような気持ちで願っている、その気持ちを外務省あるいは水産庁の幹部の方々が本当にわかっていたのかどうか、余りにも期間がちょっとあり過ぎるものですから疑問に思わざるを得ないわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  34. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 私どもといたしましても、この協定が年末に切れますし、それからこの協定が発効しましてからさらに漁獲量等の実態問題についての交渉をやらなきゃならないということで、国会にできるだけ早く御審議をお願いする必要があるということで、再三にわたってかなり執拗にソ連側に部内調整を早く終了して署名ができるようにということを迫ったのでございますけれども、ソ連側にはいろいろなソ連側の部内の事情がありましておくれたということは非常に残念に思っております。しかし、先ほども御説明申し上げましたように、ソ連の内部におきましてちょうど国家予算をつくっている最中でございまして、それでそれを最高会議の幹部会にかけるという手続等があって部内がふくそうしていたということがどうも事実のようでございますので、私どもとしても、先生御指摘のように、漁民の方々のお気持ちと、それから私どもが漁獲量を含めて実態交渉しなければならないということを踏まえての対ソ交渉を行ったわけでございますけれども、経過として結果的にやむを得なかったかというふうに感じておる次第でございます。
  35. 菅野久光

    ○菅野久光君 いろいろ御努力なさった経過については今御説明をいただきましたが、当然そうあるべきだとは思いますけれども、しかし結果的に延びたということは非常に残念なことだというふうに思うわけです。  今のお話にもありましたけれども、とにかく漁民が恐れていたのは、言うまでもなく新協定締結がおくれると実態交渉に入るのがおくれると。来年の一月一日から操業が一時的にせよできなくなるということである、そのように思うわけですね。政府はソ連に対して、新協定締結交渉と並行して予備的な実態交渉も進めることを要求したけれども、ソ連から、新協定締結後にそれに基づいて実態交渉に入るべきだとはねつけられてこのような結果になったというふうに伝えられているわけでありますけれども、そのことは事実でしょうか。
  36. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 私どもといたしましても、この協定署名されて以降、実態交渉を予備的に行うようにソ連側に再三働きかけたわけでございますけれども、御承知のように、今回の協定委員会というものを新たに設置いたしまして、その枠組みの中で実態交渉を行うということになっておりますので、ソ連側としては、やはり協定が発効して委員会を正式に発足させてから実態交渉に入りたいという態度を最後まで強く持しましたので、署名後早急に国会の御承認をお願いして、効力を発生させて実態交渉に入りたいというふうに考えた次第でございます。  実は、本日午前中にソ連側の交渉団は東京に着いておりまして、この協定を御承認いただきまして発効手続が完了いたしますれば、すぐにでも実態交渉に入れるというふうな状況に現在なっておる次第でございます。
  37. 菅野久光

    ○菅野久光君 政府は、これまで暫定協定の延長交渉と実態交渉を同時にしてきたという経験があるわけですね。したがって、今回も新協定締結交渉と実態交渉を同時並行的に行うことができるという甘い見通しを、これまでも漁業交渉の都度苦汁を飲まされてきたにもかかわらず、ソ連に対して持っていたのではないかというふうに思うわけであります。  昨年の日ソ漁業交渉は、十一月二十一日からモスクワで始まって十二月二十四日に署名するまで実に三十四日間を費やしたわけですね。このために昨年は、国会は十二月二十八日に衆参両院の本会議を開いて両延長議定書を承認するという極めて異例な措置をとったわけであります。ことしも、後に質問いたしますが、この実務交渉は昨年にも増して難航必至というのが大方の見方であるわけです。政府は一月一日の出漁というのを漁民に保証できますかどうか。その辺のところは見通しを含めていかがでしょうか。
  38. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) ソ連側との協議に当たりましては、私どもは一月一日から操業したいという漁業者の切実な気持ちは十分承知をいたしておりますので、漁業者のそういうお気持ちにこたえるように早期に協議を決着させたいという決意でおります。
  39. 菅野久光

    ○菅野久光君 もしも交渉が長引いて出漁ができない、後にずれ込んだ場合に漁民のこうむる損失はこれは大変なものになってくるわけですね。したがって、そういったようなことについては当然政府が補償するものと私は思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  40. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) これから日ソ漁業委員会の活動が始まる段階でございますので、私どもとしては、一月一日に間に合うように決着をつけたいということを再度お答えをさしていただくということにとどめさしていただきたいと存じます。
  41. 菅野久光

    ○菅野久光君 つけたいという願望はわかるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、非常に何かこの実態交渉が難しいような雰囲気といいますか、そういったようなものがあるのではないかというようなことで、漁民も一月一日の出漁ということを心配している。そういったようなこと等があるわけで、今漁業というのは、私が申し上げるまでもなく水産庁長官御承知のように大変な状況になっているわけで、この漁民の損失、もしも一月一日に出漁できないということになればこれは大変なことになりますので、ひとつ一月一日に何としても出漁させるという決意でこれからの交渉に臨んでいただきたいというふうにこの点は要望をしておきたいと思います。  次に、本協定はその枠組みで基本的には従来の両暫定協定を踏襲したものになっているわけですが、大きく異なる点は、第一に有効期間が三年、期間満了後は六カ月前の破棄通告さえなければ一年刻みで効力が存続し続ける長期協定であることであります。有効期間については日本側が五年を、ソ連側が三年を主張して、結局ソ連の言い分が通って三年になったというふうに伝えられておりますが、日ソ双方の主張の根拠は何だったのか、また我が国がソ連の主張をのまざるを得なかった理由は何なのか、この辺をひとつお答えいただきたいと思います。
  42. 斉藤邦彦

    説明員(斉藤邦彦君) 日本側は、なるべく長期間にわたってこの安定的な操業を確保するための協定を確保するという見地から五年という期間を提案いたしました。これに対しまして、ソ連側は当初から三年ということを言っていたわけでございます。  ソ連側がなぜ三年ということに固執したかというのは、これは必ずしも確実な理由というのは我々把握しておりませんが、一説によれば、ソ連側は新しい協定を結ぶときは大体三年程度の当初期間で始めてみるのが通例だというような説もございました。いずれにいたしましても、我々は粘り強く五年間の当初期間を主張したわけでございますけれども、ソ連側が三年というラインを固執して譲らず、来年一月一日からの漁期が始まるという事情もございますので、それからただいま御指摘のとおり自動延長の規定が入っておりまして、廃棄通告がない限り期間が延長されるということになっておりましたので、三年間をこれをのみましても、安定操業の確保という見地からは支障がなかろうと判断して三年に合意した次第でございます。
  43. 菅野久光

    ○菅野久光君 ソ連側にいわば押し切られたということに結果的にはなるわけだと思いますが、また次に本協定の第二の特徴は、両暫定協定にはなかった漁業委員会が設置されて、そこで漁獲割り当て量等の主要な事項協議され、それを受けて両国政府がこれらを決定することになっている点だというふうに思うのです。漁業委員会や類似の性格を持つ漁業共同委員会は、既に失効いたしましたけれども今までも日ソ漁業条約、それからこの年末で失効予定の日ソ漁業協力協定、それから存続しております日韓漁業協定、日中漁業協定、こういう協定にも設けられておりますので、我が国としても別段異論のないところであるというふうに私は思うのです。  ところが、ソ連は常設機関設置の必要を強調していたというふうに新聞では伝えられているわけです。そしてまた、ソ連は日本以外の国との漁業協定においても漁業委員会方式をとっていると言われております。さらに、ソ連は本協定に基づいて設置されるであろう日ソ漁業委員会に、従来日ソ漁業協力協定に基づいて設置されていた漁業委員会に出していた委員よりも高いレベルの人を出すことを想定しているとも伝えられています。こうした報道から見る限り、ソ連はこの漁業委員会の設置には並み並みならぬ意欲を持って、またこの委員会を非常に重視しているというふうに思われます。漁業委員会で資源評価が行われ、漁獲割り当て量等実務上の重要事項が事実上この委員会で決定されることになるというふうに思われますから、ソ連が重視するのは当然であります。  そこで、こうしたソ連の積極的な姿勢に対して我が国はどう対処していくつもりなのか、メンバーにはどのような人たちを充てる考えか明らかにしてもらいたいというふうに思います。いずれにしろ、ソ連側と十分に太刀打ちできる強力なメンバーを選出して、ソ連から苦汁を飲まされることのないようにすることこそ私は肝要だというふうに思うからであります。
  44. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) ソ連側が今回の協定におきまして、従来は政府代表の間でやっておりましたが、委員会という枠組みを設けて実態交渉を行いたいということを申し出た背景には、この漁業の実態交渉、毎年の実務的な話し合いを実務的な雰囲気の中でむしろ行いたいということを述べておりまして、そういう観点から委員会という常設の場をつくって毎年の話し合いを行いたいということを述べておりました。  委員のレベルは、ソ連側は漁業省の第一次官ということでございます。本日到着しましたソ連側の代表団は、まだ正式にもちろん委員会ができておりませんけれども、クドリャフツェフ漁業省第一次官が団長となって来られております。  我が方といたしましては、この委員会におきましては当然のことながら漁船の操業条件の話し合いが中心になるわけでございますけれども、その他この条約実施に関するかなり広範な問題が討議されることになりますので、そういう観点から、委員たる政府代表及び代表代理二名については適当な人選を進めるということでただいま手続を進めている段階でございます。
  45. 菅野久光

    ○菅野久光君 とにかく、今までの交渉の中ではかなりしたたかという言葉は適当ではないにしても、なかなか難しいものを含んでいるというふうに思いますので、その辺の人選についてはひとつ慎重にやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  ことほどさように重要な漁業委員会でありますけれども、協定上の規定は極めて簡単なものなんですね。特に任務についての規定は、第六条第四項において、「委員会は、第二条に定めるところに関連する問題に関し協議を行うとともに、この協定実施関連するその他の問題につき検討する。」となっているだけなんですね。ところが、先ほど述べた条約協定では、それぞれかなり詳細に漁業委員会漁業共同委員会任務規定しています。例えば日ソ漁業条約では、その第四条において委員会任務を六項目にわたって列記しております。本協定においても漁業委員会が重要な役割を果たすことになるからには、任務についてより具体的な規定がなされてもよかったのではないかとも思いますが、なぜこうした簡単なもので両国が合意を見たのか、何らかの考えがあってこうしたのかとも思われますが、それを明らかにしていただきたいというふうに思います。また、政府委員会任務について考えていることがありましたら、具体的にひとつお示しいただきたいというふうに思います。
  46. 斉藤邦彦

    説明員(斉藤邦彦君) 今度の協定で設立されます委員会の一番主な任務は、日ソそれぞれの二百海里水域内におきます相手の国の漁船漁獲割り当て量、それから魚種別組成、操業区域、それから操業のその他の条件等、いわゆる実態的な面について両政府が決定する前に予備的な話し合いを行うということでございます。今、私が申し上げました具体的な条件の内容というのは第二条に書いてあるわけでございます。第六条におきまして委員会を設立して、その委員会任務規定いたします際に、ただいま御指摘いただきましたように、その主な内容をまた具体的に書くことももちろん可能でございます。しかしながら、その主な内容は第二条に書いてございますので、あえて繰り返さなくても、四項に書いてございますとおり、「第二条に定めるところに関連する問題に関し協議を行う」と書けばこれは同じことでございますので、いわば全く条約締結の手続と申しますか、技術上の問題としてこういう書き方をすることに日ソ間で合意した次第でございます。  その他の委員会任務としては、ここにも書いてございますとおり、「協定実施関連するその他の問題につき検討する。」ということになっておりますので、例えば許可証発給の問題とか、自国の船がつかまったときにどうするとか、その協定実施から派生いたしますあらゆる問題につき検討ができるという形になっております。
  47. 菅野久光

    ○菅野久光君 日ソ漁業条約では、漁業委員会は、年間総漁獲量の決定を要する魚類がある場合は、両締約国の年間漁獲量を決定する強い権限を持っていまして、条約の対象がサケ、マス、ニシン等少数の魚種に限られていたためもあるのかもしれませんが、本協定においても漁業委員会漁獲割り当て量を決定する権限を与える方法もあったと思われます。しかし、もっとも現行の他の協定においても委員会にこのような権限は与えていないし、国際的先例においても余りないようでありますので、委員会の権限に関する本協定の定め方が悪いと言っているのではないわけですが、ただ、日ソ漁業条約のこの規定はソ連が言い出して入ったようなわけで、参考までに、この委員会の権限についてソ連が今回はどのような姿勢であったのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
  48. 斉藤邦彦

    説明員(斉藤邦彦君) 今回の協定規定しておりますところは、日ソそれぞれの二百海里水域内における相手国漁業の条件、これを定めるものでございます。この二百海里水域内におきまして、沿岸国が漁業に関しての管轄権、ソ連側については主権的権利という言葉が使われておりますが、これを行使できるということは国際法上確立しておりまして、今回の協定もそれぞれの国が自国の水域内でそのような管轄権をいわば一方的に行使するということを前提としてできているわけでございます。  例えば、日本の二百海里水域内でソ連の漁船にどのような漁獲量、その他幾つかの条件を課して漁獲を認めるかということは、これは建前といたしまして日本政府が一方的に決めることでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありました昔の漁業協定のような場合とは異なりまして、それぞれ沿岸国が一方的に決めるべき漁獲量等、これをこの漁業委員会という機関に委譲することは、これはできないわけでございます。したがいまして委員会の権限といたしましては、この漁獲量の決定権ではなくて、それぞれの政府が決定するに際して参考となるべきいろいろな情報、これを相談し合うということでございます。この点に関しましては、交渉の場におきましてもソ連側と日本側との間に何の意見の相違もございませんてした。
  49. 菅野久光

    ○菅野久光君 次に、実態交渉についてちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、本協定締結されると、まず漁業委員会が設置され、そこで来年の漁獲割り当て量とか、魚種別組成、操業区域、操業の具体的条件について協議が行われ、これを受けて両国政府がこれらの事項を決定することになるというふうに思います。  そこでこの際、実態交渉について若干お尋ねをいたしますが、先ほど申し上げましたように、本年の実態交渉も難航が予想されるというのが大方の見方であります。昨年の交渉で、ソ連は近年自国の枠消化率が三割、十九万トンにすぎないというのに、我が国が枠消化率が六ないし七割、五十万トン前後となっていましてソ連との間に大きな開きが生じてきており、しかもこれが定着する傾向にあるところから、我が国に対して極めて強い姿勢で漁獲割り当て量の大幅削減、それから五百メートル以浅の操業禁止、寄港等の要求を出してきたわけで、このために交渉が難航して妥結するまでに三十四日も要してしまったのが昨年の状況だというふうに思います。本年もソ連の枠消化率、漁獲量は改善したようにも思えないといわれるわけですけれども、その辺はどのようなことになっているのでしょうか。
  50. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  御指摘のとおり、ソ連漁船によります漁獲割り当て量の消化率は非常に低い水準でございまして、本年も一向に改善されておりません。むしろ昨年に比べてさらに悪くなっているのが実態でございます。しかしながら、特に申し上げておきたいと思いますのは、ソ連はかつて日本漁船とほぼ同じ消化率で漁獲割り当て量を消化しておったわけでありますが、その当時の操業条件と比べまして、近年日本側がソ連に対してより制限的な操業条件を課している結果こういうことが起こっているわけではないわけでございまして、主たる原因はソ連の漁獲努力量が大幅に低下していることが原因でございまして、我が国の操業条件が厳しくなったために消化率が低下しているわけではないという点はぜひ御理解をいただいておきたいと思う次第でございます。
  51. 菅野久光

    ○菅野久光君 我が国漁業規制が厳しいからそういうことになったのではないということは、これはソ連側も承知をしていることだと思いますが、その辺は今回の交渉の中ではどういう状況だったのでしょうか。
  52. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) その点につきましては、ソ連側がかつてクォータの消化率が高かった当時と比べまして、その後、若干ではございますが幾つかの操業条件の緩和を日本側に認めてもらっておるということはソ連側もよく承知しておりますし、ソ連側も自国漁船による漁獲努力量の水準が低下しているということについて別に異を唱えているわけではございませんので、今申し上げたような点についてはソ連側も認識はいたしております。
  53. 菅野久光

    ○菅野久光君 このような低い実績を踏まえて、漁獲の割り当て量の大幅削減だとか、昨年のように五百メートル以浅の操業禁止、それから小名浜への寄港条件の緩和と小名浜以外の港への寄港拡大要求を我が国にぶつけてくるのではないかというふうに想定されるわけですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  54. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) ただいま申し上げましたように、ソ連の漁獲割り当て量の消化率が低い責任は決して日本側の規制にあるわけではございませんけれども、ソ連側が漁獲割り当て量の消化率が低いということによって、現実に日本水域においてソ連側が享受している受益の程度が低くなっているということをてこにして、先生御指摘のような各般の要求を提起してくる可能性は私どもも十分予想しております。
  55. 菅野久光

    ○菅野久光君 昨年、当時の渡邊水産庁長官が衆参両院の外務委員会などで答弁したところによれば、ソ連は沿海州でイワシが大量にとれるようになったために、日本近海に以前の半分ほどしか船を出さなくなっており、それが枠の未消化とか漁獲量の減少につながっているのだということでありましたが、この点については現在どのように見ておられるのでしょうか。
  56. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) ソ連側の我が国水域における漁獲努力量の水準が低下していることにつきましては、本年につきましては特殊事情としての我が国水域での海況ということもあろうかと存じますが、一番問題は、単にことしとか去年とかという特殊事情ではなくて、ここのところ何年かにわたり傾向的にソ連側の漁獲努力量の水準が低いということがございまして、その原因は私どもとして必ずしもつまびらかにはいたしませんが、考え得るとすれば、今、先生が御指摘のようなことが一番あり得べき原因ではないかというふうに考えられるということは事実でございます。
  57. 菅野久光

    ○菅野久光君 ソ連はイワシのまき網などの操業技術が我が国よりも劣っているという説もあるわけですが、この面での技術協力を進める必要があるのではないかというふうに思いますが、政府はこれまでどのような取り組みをされてきたのか、したのか、しなかったのかも含めてお答えいただきたいと思います。
  58. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  資源調査等の面では、旧——旧と申しますか、近く失効いたします日ソ漁業協力協定枠組みもと日ソ協力をして資源調査をするというようなことは行っておりましたが、漁労技術面につきましては特段の協力は行っておりませんでした。
  59. 菅野久光

    ○菅野久光君 次に、時間がございませんので、寄港問題についてちょっとお尋ねをいたします。  昨年のソ連の寄港要求の言い分は、ソ連の漁業者が日本には上陸できないので日本の近海には行きたがらない、日本側はとらないと言うけれども、漁業者が行きたがらないからとれないのだというようなことを言われたというふうに、昨年の外務委員会ですね、ここで答弁をされているわけですが、そこで尋ねたいのですが、本年のソ連の日本近海への出漁隻数は昨年よりもふえたのでしょうか、減っているのでしょうか。現況はいかがでしょうか。
  60. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) まき網、トロール双方につきまして、昨年よりもむしろ若干でございますが減少ぎみでございます。
  61. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは、漁獲実績や枠の消化率は改善されていないというふうに承知してよろしいでしょうか。
  62. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) さようでございます。
  63. 菅野久光

    ○菅野久光君 とすれば、せっかく昨年寄港問題について一定の小名浜ということで形としては前進を見たわけでありますけれども、無意味だったということになるわけですが、その辺の政府の見解はいかがでしょうか。
  64. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 私どもといたしましては、寄港問題とソ連の漁獲努力量の水準との間にいかなる因果関係があるかということについて、責任のある判断をする材料を今のところ持ち合わせておるわけではございませんが、少なくとも漁獲努力量の増加が起こらなかったということだけは間違いのない事実でございます。
  65. 菅野久光

    ○菅野久光君 昨年、ソ連の強硬な寄港要求を受け入れて小名浜港を認めたわけですが、その際、福島県やいわき市にはほとんど相談らしいものもなくて、一方的に押しつけたような形になっているわけです。いわば地元は北洋漁業のために犠牲となることを強要されたと言ってもいいのではないかというふうに思うわけです。  地元紙によれば、県はことし一月に国に対して、ソ連漁船寄港のたびに水産庁職員を派遣すること、国に窓口を設けて責任体制を明確にすること、経費の国庫負担など十二項目の申し入れを行い、さらに六月には改めてこの三点を含む四点について要望したものの、経費の国庫負担についてはいまだに実現を見ていないというふうに伝えられています。  実のところ、県では小名浜港の照明灯の増設や県警の警備費など一億五千万円もの経費を投じてきているというふうに言われています。さらに、ソ連漁船の寄港のたびに右翼団体が妨害に押し寄せて、県警とのトラブルや市役所敷地内での拡声機によるボリュームいっぱいの街頭宣伝などの事態が生じて、市民から市役所に苦情電話が相次いだというような実態で、非常に残念なことだというふうに思うわけであります。こうした地元の実態を国はきちんと認識しているのか、もししているとしたらなぜ経費の負担をしないのか、その辺をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  66. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) ただいま御指摘のございましたような地元、地方自治体なり住民の皆様方なりの御意見なり実情なりというのは、私自身も直接いわき市にお邪魔いたしましたから十分承知をいたしております。  それから、これに伴います地方公共団体の財政負担につきましては、お伺いしているところでは、福島県と自治省との間で御相談が行われておるというふうに承知をいたしております。
  67. 菅野久光

    ○菅野久光君 先ほど申し上げましたように、小名浜への寄港の問題はせっかく昨年一つの前進を見たわけでありますけれども、結果的には漁獲量がふえたりはしなかった、いわばソ連の主張したような形に結果的にはならなかったということてもありますし、地元にも大きな負担をかけている、そして右翼団体等のそういった行動によって地元民にも悪感情を抱かせている、こういったような実態というものはソ連としては認識をされているのでしょうか、その辺、お伺いいたしたいと思います。
  68. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  ソ連側におきましても、ことしにおきまして現在まで二十一隻の寄港があったわけでございますけれども、そのたびにかなり困難な状況で寄港せざるを得なかったという実態は十分に把握していると思います。
  69. 菅野久光

    ○菅野久光君 これからまた実態交渉の中でこの問題が出てくるのではないかと思いますが、一応一年ということであったわけで、その辺のひとつ処理の仕方といいますか、こういったようなものをしっかりやっていただきたいと思います。  それから、韓国漁船の問題ですけれども、この韓国漁船の不法操業問題は私が既に何回か他の委員会において取り上げてきたところでありますけれども、その被害に泣いている漁民の感情が、これをもしも韓国漁船が寄港したいということになれば、これは許さないというふうに思うわけですけれども、どうなんでしょうか、今までこういったようなことで寄港の要求というものが韓国の方から出ていたという事実はありますか。
  70. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 政府から正式の要求が提起されたということはございませんが、韓国漁船日本の港に寄港しておるという実績はございます。
  71. 菅野久光

    ○菅野久光君 絶対に寄港を認めないような強い姿勢を日本漁民のためにもひとつ私は要望しておきたいというふうに思います。  そのほかの日ソ漁業協力協定の問題等についても御質問申し上げたかったわけでありますけれども、時間ですので、私の質問は以上で終わらせていただきます。
  72. 和田教美

    ○和田教美君 議題となっておりますこの日ソ漁業協定ですけれども、これは今説明がございましたように、日ソソ日漁業暫定協定を一本化する、そして、従来は有効期間が一年刻みということであったのが、とにかく三年間有効、そして自動延長条項がつくというふうなことで、ソ連の二百海里水域における我が国漁船の操業にとってはより安定的な枠組みができたという意味では一歩前進だと思います。  しかし、問題はいろいろあるということは、今、菅野委員からも御指摘があったとおりでございますが、その三年間の有効期間になったということにつきましてこれをどう見るかということですが、今の答弁では、ソ連側は大体三年を原則としているというふうなことだということでございましたけれども、しかし七八年に締結されました日ソ漁業協力協定、これは一応当初有効期間は大体五年ということになっております。そういう点から見ると、むしろ後退という見方さえできるわけでございまして、日本側にとって決して満足すべき結果だとは言えないのじゃないかというふうに思うわけでございますが、現状ではこれぐらいが精いっぱいだったというふうに外務省当局としてお考えなのか、あるいはまたもっとこれを長期化するために努力すべきだというふうに考えるのか。  私は、実は委員長にお供をして、この間、北方領土それから漁業問題などの視察に北海道に行ってまいりましたが、北海道の漁民の方々は、この協定長期化というものを非常に熱望をされておるわけでございまして、それも踏まえてひとつ外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
  73. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今お話しのように、今回の協定は双方で努力をいたしまして、現状として妥当なところに落ちついたのじゃないかと思っておりますし、これに基づいてこれから委員会等で実効的に、具体的にいろいろと進められるということを期待をいたしております。こうした日ソ間の対話によりまして、問題は一つ一つ解決するということを我々はその他の案件についても期待をいたしておるわけであります。  それから、我が国は新協定をできるだけ安定したものにしたいということで、当初有効期間を五年間とするよう主張したことに対して、ソ連側は最大限三年間という立場を堅持したために三年間ということになったわけであります。我が国は三年間ということに同意をしたわけですが、いずれにしましても、当初の有効期間が経過した後も、本協定はいずれか一方の政府協定を終了させる意思を通告しない限り自動的に一年間ずつその有効期間が延長されるということになるので、当初の有効期間が三年間となったことにより、直ちに新協定の安定性が失われるということにはならず問題はないと、こういうふうに思います。協定としては、これまでよりは新協定によって日ソ漁業関係のより安定性が高まったと、こういうふうに判断しております。
  74. 和田教美

    ○和田教美君 この協定締結になりましたら、漁業委員会漁獲割り当て量の協議などが行われるわけなんですけれども、今も菅野委員からるる御質問がございましたように、この交渉はなかなか難航するのじゃないかというふうに私も思っております。例年なら一月一日出漁ということなんですけれども、それに間に合うかどうかも非常に微妙だというふうに考えるわけでございますが、この実態交渉内容については既に今詳しい御質問がございましたので、重複を避けて省略をいたします。  次に、もう一つの非常に重要な漁業問題でございます日ソサケ・マス交渉の基礎の協定でございます日ソ漁業協力協定の問題について少しお尋ねしたいと思います。  これは、御承知のとおりソ連の方からことしの末でこの協定の終了通告が行われて、新協定をつくらなきゃいかぬということになってきているわけで、交渉が既に三、四回行われているというふうに聞いておりますが、ソ連の終了通告をしてきた理由は、国連海洋法条約の採択、あるいはまた新たなソ連邦最高幹部会議の幹部会令の発令等によって状況が変わったというふうに言っておられるそうですけれども、実際にはこういう国連海洋法条約の採択というふうな状況の中で新しい攻勢をかけてきた、サケ・マス漁業の問題についてですね、そういうふうに私は見るわけでございます。  そこで、交渉は特にソ連が主張する北洋の公海におけるサケ・マスもソ連のものだという考え方のもとに相当難航しているんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、政府の見解では、サケ・マスの漁期は五月ぐらいから始まるから余り慌てなくてもいいんだというふうに、えらくのんびり構えておられるような感じも見受けられるわけでございますが、しかし協定がなくなってしまうわけですから、もし交渉がまとまらなければ、これは新協定締結が行われなければ、北太平洋における日本のサケ・マス漁業は事実上不可能になるという深刻な問題を含んでいるわけでございまして、そういう事態は絶対にないかどうか、交渉の現状と見通しというふうなことについて御答弁願います。
  75. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 本件の漁業協力協定につきましては、先生御指摘のように、ただいままで四回交渉いたしましたけれども、まだまとまっていない段階にございます。御指摘のように、国連海洋法条約の中でサケ・マスの取り扱いについて一定の合意ができたわけでございますけれども、それを日ソ間の枠組みでどのように具体的に規定するかという際に、やはり母川国としての権利を強く主張するソ連の立場と、それをある程度公海におけるサケ・マスの漁業ということで抑える必要があるというふうに考えている日本立場をどう調整するかという問題が一番中心になって今までの議論をしてきたわけでございますけれども、基本的にはソ連側も公海における日本のサケ・マス漁業を新しい枠組みの中で認める用意があるということを言っておりますし、それから漁業協力をもう一つの柱として協定はつくりたいという意向は非常に強く示しておりますので、交渉はかなり難航しておりまして必ずしも楽観は許しませんけれども、お互いにこの協定を妥結させて、この日ソ間の伝統的な協力分野を今後とも維持したいという気持ちはございますので、そういう意味では、私どもとしては、できるだけ早い機会に今回の交渉を終わってから次のこの漁業協力協定交渉に取り組みたいというふうに考えている次第でございますし、同様の意向はソ連側にもございます。
  76. 和田教美

    ○和田教美君 今の漁業の問題一つを見ても、先ほど安倍外務大臣がおっしゃったように、やはり日ソ関係の改善と対話の復活というふうなものが非常に重要な意味を持ってくるというふうに私は思うわけでございまして、外務大臣はこの日ソ関係の冬の時代ということについて、ことしの二月にモスクワで行われましたグロムイコ外相との会談を契機に対話拡大に努められてきたわけで、この努力は非常に我々も正当に評価するものでございます。きのう日ソ、ソ日の経済委員会合同会議東京で開かれた。五年ぶりのことだそうでございますが、そういうことも一つのあらわれだし、過日はソ連の議員団も日本に参りました。しかし全体状況として見ると、外務大臣は対話元年と言われておるわけですけれども、なかなか進展は遅々としているのではないかという感じをぬぐえないわけでございます。  そこで、その一つのメルクマールとして、かねがね日本側から言っておりましたグロムイコ外務大臣の来日の問題、これは一体どういう見通しを今持っておられるのか。いろいろな人がモスクワに行っていろいろのサウンドをするのだけれども、上がったり下がったりで、さっぱり要領がつかめないわけでございますが、しかしソ連は、例えばヨーロッパを見ますと、ゴルバチョフ政治局員が年内にイギリスに行く、それから来年にはチェルネンコ書記長がフランスに行く、グロムイコ外務大臣がまたイギリスに行くというふうに、対西欧外交はかなり動き出す気配があるわけでございまして、今までのようなかたくなな姿勢ばかりではないのじゃないかというふうにも感じるわけでございますが、見通しはどういうふうに現在とっておられるか。
  77. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 政府としましては、グロムイコ外相訪日問題については、もとより外相間の定期協議という政治対話の中でも最も重要な案件として重視しているところでありますが、次回はグロムイコ外相が訪日する順番であることはこれはグロムイコ外相自身も認めておるところであります。そもそも定期協議の訪日が何らかの条件のもとで実現されるという筋合いのものでは全くない、こういうふうに考えておるわけです。また、領土問題を解決して平和条約締結することは我が国対ソ外交の基本的な課題でありまして、この問題をあらかじめ棚上げするような形での日ソ対話はあり得ないということも日本の基本的な考えであります。  いずれにしましても、ソ連が真に我が国との友好、善隣協力関係を望むというのであれば、本件の訪日はおのずと早期に実現をされるものである、こういうふうに考えておるわけであります。
  78. 和田教美

    ○和田教美君 非常に早い時期というのはちょっと無理だというふうな見通しですか。
  79. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ことしはもう年も暮れますが、来年の段階において、言われるところ、米ソ間にもいろいろと動きが出てくるでしょうし、東西間の対話も進むと思います。あるいは中ソの関係もいろいろと変化が出てくるのじゃないか。そういういい環境が出てくることを我々は望んでおります。これはやっぱり日ソにも影響が出てきます。そういう中でグロムイコさんは、何か日本に来る場合にはやはり条件が満たされなければ意味がないというようなことを言っておりますが、これは筋が通らない。外相会談というのは相互主義ですし、やっぱり今度はグロムイコさんが日本に来る番で、これはグロムイコさん自身も認めておるわけですから、ですから条件でこれは外相会談を開くべきものじゃない、これは気軽に来てもらいたいと思いますし、そうしたときはそういう条件というものを考えなくても、お互いに話し合えばいろいろと日ソ間にはまだ解決すべき問題が幾らでもあるわけですから、そういう中でおのずから成果も出てくる可能性は私は十分あるのじゃないかと思うわけでございます。  したがって、いろいろと国際環境がよくなる、そうして日ソ間にも、グロムイコさん自身が余り条件とかそういうことにとらわれないで気軽に定期協議ということで日本を訪問していただきたい、こういうふうに思います。そうなれば私は何らかの成果というものは出てくる、こういうふうに考えておりまして、日本もそうした環境をつくるためにはいろいろと努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  80. 和田教美

    ○和田教美君 日ソ問題の重大な壁というのは、言うまでもなく基本的な政治問題である領土問題が未解決だと、そして平和条約締結ができないことだというふうなことをきのうも外務大臣みずから演説でおっしゃっておる。私も確かにそうだと思います。我々は、北方四島は日本固有の領土である、この要求、主張を棚上げにはできないというふうに考えるわけでございます。しかし、現実にはソ連は領土問題は解決済みだという立場をとり、そしてまた今度の東京の経済関係交渉でも、どうも見ておりますと、領土問題は一応棚上げして余り触れないけれども、経済協力関係を進めようというふうな姿勢に出てきているというふうに受け取れるわけで、しかし棚上げには、とにかくそれには応ずることはできないというふうに私も思うわけでございます。主張は続けるべきだと思います。  しかし、日ソ間の懸案というものは、今お話もございましたようにいろいろあるわけでございまして、一昔前の外務省の姿勢には、何が何でも領土問題が先決条件だというふうな感じに受け取れた時期もあったわけでございますが、そういうことでは到底問題の打開はできないわけでございます。したがって、一方、領土問題を棚上げすることはできない、しかし日ソ間の対話、それから友好親善関係の増進という問題を並行的に進めていく必要があるし、それについてやはり外交的な知恵というものをもっと考えるべきではないかというふうにも私は思う。特に来年は、米ソ間の対話というものが行われるとすれば余計にそういうことが必要ではないか。領土問題というのは短期的にはなかなか解決しない問題であって、相当長期にわたることを覚悟しなきゃいかぬかもしれない、しかし懸案はやはりほうっておくわけにはいかぬというふうな非常に難しい問題だと思うわけでございますけれども、そういう点について、現実的でしかも毅然たる態度の外交というものが必要だと思うのですが、外務大臣の見解はいかがですか。
  81. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日ソ間の最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約締結する、これが日ソの真の相互理解に基づく安定的な関係を確立するゆえんである、これは我が国の一貫した対ソ外交の基本方針であります。こうした基本方針にのっとりまして、厳しい状況にありますが、日ソ間におきまして対話の道を拡大することによりまして相互理解を増進し、もって領土問題を含む日ソ間の基本問題の解決を目指すことが我が国とソ連との政治対話というものを重視しているゆえんでもあるわけでございます。  一方ソ連は、領土抜きのいわゆるかぎ括弧つきの友好を我が国に求めておりますし、そして種々の対話においても、一貫して領土問題を棚上げして、経済、文化等の面での我が国との関係促進を働きかけておりますが、これは我々としては認めるわけにはいかない。ですから、政府としては今申し上げましたような状況を踏まえて、ソ連との対話を進めるに当たっては、やはり通すべき筋は通す、そして基本的な諸問題に対する我が国考え方、特に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立するためには、北方領土問題を解決して平和条約締結することが不可欠であり、大前提であるということを繰り返し粘り強く主張いたしまして、対話を通じて問題の解決に一歩でも近づくべく努力をすべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、北方領土問題と日ソ対話を別々にとらえることは不適当だと考えておるわけでございますが、しかし国際情勢の変化というものもありますし、日ソもやはり厳しい状況から、対話を進めていくということは、隣国である以上は体制は違っても私は大事なことであると、こういうふうに思いますから、基本は基本として、やはりそういう中での対話はいろいろな角度から進めていくべきだ。これは政府の側だけじゃなくて、民間も含めて進めるべきじゃないか。そういう方向に来ていることは私はそれなりに評価をされるべきじゃないかと、こういうふうに思っております。
  82. 和田教美

    ○和田教美君 次に、先ほども質問のございましたアメリカ原子力空母カールビンソン横須賀寄港の問題について、これはきのうの衆議院外務委員会などでもいろいろ取り上げられた問題でございますから、少しかわった角度からこの問題を取り上げたいと思います。  私は、今度の横須賀寄港という動きを見ておりまして一つ感じましたことは、政府は今回の寄港については核の有無の確認というふうなことは一切しなかった、また非核原則について改めて日本側の立場アメリカ側に念押しをするというふうなことも一切されなかった、要するに強気で押し切ったというか、言葉が悪いかもしれませんが、少し居直ったというふうな感じを受けるわけでございます。  なぜそう申しますかというと、五十八年の三月、去年の三月にエンターフライズが佐世保に入港したときは、外務大臣がマンスフィールド大使に日本側の関心を伝えて一応核の問題を取り上げておりますね。それから、四十九年の十月にラロック証言がございましたし、あるいは五十六年五月のライシャワー発言、このときもいずれも非核原則について一応アメリカ側に対して日本側の立場を言っておる。我々は、このそれぞれについて非常に形式的であったというふうに思うわけですけれども、十分であったとは思わないわけでございますけれども、しかし外務省は、これでとにかく安保条約上の随時協議でこういうことをやったのだということを言っているわけでございます。  また、戦艦ニュージャージーの寄港問題がことし問題になったときに、これは中曽根総理の答弁でございますが、ことしの二月の十四日の衆議院の予算委員会で、トマホークには核、非核両用があるけれども、世論の関心が高いので、ニュージャージーがもし入港する際には米側に確認して、非核ということで入港を認めるというふうな趣旨のことを答えております。これはその後、外務省の見解に同調したのか、大分答弁が後退したというふうなこともございましたが、少なくとも世論の核疑惑というものが非常に強いという状況の中で、ちょっぴりそういうものを配慮するということは行ってきたと思うのです。ところがそれすら今回は全くないということで、外務省の態度に少し悪口を言えば、条約解釈の上にあぐらをかいちゃったと、開き直ったというふうな感じがするわけなのですが、いかがでございますか。
  83. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 核持ち込み問題に対する日本国民の特殊な感情及びこれを背景とする日本政府の政策につきましては、これまで最高首脳レベルを含め累次にわたり詳細に米側説明してきております。米国我が国の関心を十二分に理解しておる、こういうふうに思います。また、マンスフィールド大使は、昨年三月の私との会談におきまして、米国政府としては、安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対するその義務を誠実に履行すると、履行してきておると。そして、今後とも引き続き履行する旨保証した経緯があります。これらにもかんがみまして政府としましては、核持ち込みの事前協議が行われない以上は米国による核持ち込みがないということについては寸毫の疑いも有しておらないと。  なお政府としては、こうした政府の一貫した考え方を明確にした上で、最初のトマホーク積載艦であるニュージャージーの本邦寄港については、既にこれまで種々国内的に議論が行われていることにもかんがみまして、念には念を入れるという観点から、かつ全くの特例として仮に将来同艦が我が国に寄港する場合には、その時点において米側に対し改めて我が国の関心を伝え、我が国としては当該寄港に当たり安保条約その関連取り決めに従って厳格に対応する所存であることを明確にしたい旨を国会において述べておるわけでございますが、今回のカールビンソンの寄港については同様の措置をとる必要はないと、こういうふうに判断をいたしたわけであります。
  84. 和田教美

    ○和田教美君 この問題と関連して、この前の国会で事前協議条項について、たしか条約局長でございましたか答弁がございまして、要するに事前協議条項というのはアメリカ側から持ち出すものであって、日本側から提起する権限はないのだという趣旨のことのお答えがあったと思うのですけれども、そういう考え方には変わりはございませんか。
  85. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) この前の通常国会で御質問がありまして、安保条約第六条の実施に関する交換公文の仕組み、それがどういう形で成り立っているかということを御説明いたしましたときに、これはアメリカ側が義務として日本に負っているものである。したがって、その義務を果たさなければならないアメリカ側から提起するというのがこの交換公文の考え方であるということを御説明いたしました。その考え方には変わりはございません。
  86. 和田教美

    ○和田教美君 そうしますと、これだけ核疑惑というものが強まっている中で、事前協議日本側から提起することもできない、随時協議も今のお話ですとやる意思はないということになってまいりますと、一番問題は、私は国民感情とのずれがますます大きくなっていくのじゃないかということを心配するわけでございます。  新聞の世論調査を見ましても、大体この非核原則が形骸化されつつある、こういう疑いを持っている者が七〇%、あるいは新聞によっては七〇%以上というふうなところがございます。つまり、非核原則のうちで「持ち込ませず」は守られていないという疑いが国民の間にかなり強いということでございます。これはトマホークの問題とも関連して最近さらに強まってきたということでございましょう。  例えば、読売新聞の五十九年、ことしの十一月二十六日付、これによりますと、「持ち込ませず」の方針は守られているのかという問いに対して六五%はそうは思わないと、政府に不信感を投げかけておるというふうな状況でございます。今の安保条約事前協議条項についての条約解釈というふうなことは、日本政府アメリカ政府との間ではそれでうまくいくかもしれないけれども、しかし国民感情、特に基地住民の感情というふうな問題はこれでは解決しないわけでございます。ですから私は、さっきのお話のように、事前協議条項日本側から提起権がないというふうな考え方に承服するわけにはいかないわけでございまして、事前協議がある以上、その疑いがあると思う場合には日本側から持ち出すことは当然できるのではないかというふうに思いますし、仮に政府の主張を認めてそれはできないということであっても、少なくともこういう重大な問題が起こったときには、随時協議はせっせと活用するということによって米側の関心を常に確かめておいてそして国民説明するという態度が必要じゃないかと思うのですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
  87. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私はしばしば言っていますが、条約というものはお互いの国がお互いの約束、条約を守るというやはりお互いの努力、それからこの信頼感、そういうものがなければ条約の根底が崩れるわけですから、特に日本の平和と安全を守っていくための安保条約については日米間のそうした不動の信頼感の上にこれは成り立っておる、こういうふうに我々は思っているわけです。  そういう中でいわゆるアメリカは、さっき条約局長説明いたしましたように、事前協議という非常に大事な条項については、アメリカが核を持ち込む場合には事前協議にかけるという義務がアメリカにはあるわけです。この義務を怠って事前協議にもかけないで日本に核持ち込みをするというようなことは、これは条約上の信頼関係から見てもあり得ないわけで、そういうことをやれば根底的に崩れるわけですから、条約信頼性というものは。ですから、お互いにこの信頼というものに成り立っているわけですし、そういう条約という立場をお互いに遵守するということを何回も確認し合っておるわけでございますから、そういう中で事前協議条項というものは非常に生きてこれは動いておる、そういう限りは日本非核原則というものは守られておるし、アメリカが核を持ち込むということはあり得ないというのが我々の解釈、これは全く確固不動の我々の信念であります。
  88. 和田教美

    ○和田教美君 先ほど久保田委員も少し取り上げられました事前協議の問題なんですけれども、これを少し違った角度から取り上げたいと思うのですが、御承知のとおり、岸・ハーター交換公文で事前協議の対象となるのは、配置における重要な変更、それから、装備における重要な変更、それから、我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての国内の施設区域使用、この三つでございますね。このうちで、六八年の四月だったと思うのですけれども、外務省の発表がございまして、配置における重要な変更の場合にどういうものが対象になるのかということについて、陸上部隊の場合は大体一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置ということが対象になるということの発表がございました。この見解には変わりはございませんか。
  89. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 変わりございませんです。
  90. 和田教美

    ○和田教美君 マスコミその他我々の常識から見ても普通の理解では、この一機動部隊というのは大体空母一隻、それに随伴艦その他原子力潜水艦などこういうものを編成をして、そして空母機動部隊というものができているというふうに我々は了解しているわけなのですが、外務省が言っておりますこの一機動部隊程度というのは、空母というものを含めて考えた場合、どういうふうに考えられておるわけですか。
  91. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 従前来御説明申し上げておりますとおり、一機動部隊、タスクフォースというものは、二ないし三のタスクグループから構成されているものでございます。この各タスクグループは空母一隻が中心になりまして、それに三ないし四隻の駆逐艦が随伴しているという形になっておりまして、そういうものについて私どもは一機動部隊というふうに理解しているわけでございます。
  92. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、空母二、三隻を含むということで、今挙げられた随伴艦以外に原子力潜水艦などというものも空母を守るためにあるというふうな面もあると思うので、そういうものも含めると相当な数ということになりますね、隻数になりますね。隻数からいったら二ないし三ということ。第七艦隊が大体七十五隻ぐらいですね。第七艦隊まではいかぬけれどもそれに近いとにかく大勢力ということになるわけですが、いかがですか。
  93. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 先ほど御説明いたしましたとおり、一タスクフォース、一機動部隊というのは、二ないし三のタスクグループというその下の区分けがあるわけでございますが、これが固まったものをワン・タスクフォースというふうに理解しているわけでございます。ワン・タスクグループというのは、空母部隊のことを念頭において御説明いたしますと、空母一隻につきましてそれに三ないし四の駆逐艦が普通は随伴している、その規模のものが二ないし三集まったものがタスクフォースというものを構成しているということを従前来御説明している次第でございます。
  94. 和田教美

    ○和田教美君 それでは、先ほど外務大臣仮定の問題だとおっしゃったその将来の横須賀母港化という問題を考えた場合に、仮にカールビンソン横須賀母港化するということになっても、これは一隻ですから、母港化してもこれは事前協議の対象にはならないと明快にお答えされるわけですか。
  95. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 先生は今、母港化というふうにおっしゃったわけでございますが、私ども、ミッドウェーにつきまして通常——世の中で母港化というふうに言われておりますが、乗組員家族の居住地を横須賀にしているという状況を通常そういうふうに言っているわけでございます。最初に事前協議の対象の一つとして御指摘のございました配置における重要な変更でございますが、乗組員家族の居住地として横須賀を定めたということは、配置という概念には当たらないのじゃないかというふうに私ども従前来御説明している次第でございます。いずれにいたしましても、配置という観点から事前協議の対象になりますのは、先ほど来申し上げておりますとおり、ワン・タスクフォースの配置、それを事前協議の対象になる重要な変更というふうに私どもは申し上げているわけでございます。
  96. 和田教美

    ○和田教美君 とにかく家族の住宅をつくったとか、そういうことは母港化にはならないということになりますと、一体母港化というのはどういうふうに考えられるのか。母港化というようなことはないというお考えなのか。  それから、もう一つお聞きしたいのは、カールビンソンの場合を例に引けば、これは第七艦隊に配属されているというふうに見ていいと思うのですけれども、第七艦隊は海の上にあるから、第七艦隊に配属されて、仮に二、三隻タスクフォースの空母が配属されても、それは即配置における重要な変更にはならないというお考えですか。
  97. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 今、山下審議官からもちょっと御説明いたしましたけれども、そもそも母港というのは実は厳密な意味での法律用語とはちょっと言いかねる言葉なわけでございます。その内容が一体何であるのかということについては、したがって非常に一般的な形で使われておりますのでいろんな使い方があると思いますが、ある場合には船の在籍地のことを言い、ある場合には船の登録地のことを言い、あるいはある場合には家族が住んでいる場所を言う、あるいは活動上の根拠地というようなことで、その場合その場合でいろいろな形で一般的には使われていると思いますが、一番最初に申し上げましたように、厳密な意味でのテクニカルタームとして母港という言葉があるわけではないわけでございます。  そこで、私どもが条約との関係で問題にいたしますのは、委員もさっき御指摘になりましたように、第六条の実施に関する交換公文の中で使われている表現、つまり配置における重要な変更。そこで、それでは配置というのは一体何であるのかということになりますと、従来から国会で御説明申し上げておりますように、これは本拠地として駐留するという形で基地使用するのが配置であるという考え方でございますので、そういう尺度に従って物事を判断していくというのが従来から政府がとっている考え方でございます。
  98. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、ミッドウェーは根拠地として横須賀を使っているというようには見られないわけですか。あれも母港化ではないというお考えでしょうか。
  99. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 先ほども申し上げましたように、母港という言葉が非常に一般的な言葉でございますので、さっき申しましたように、交換公文で言っているところの配置には当たっていないというのが従来から政府が国会で御説明しているところでございます。
  100. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、ミッドウェーと同じような形で仮にカールビンソンが来ても、これは配置における重要な変更にはならないというお考えになるわけですね、仮定の問題だけれども。
  101. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 条約上の解釈としてはそういうことになると思います。
  102. 和田教美

    ○和田教美君 しかも、今のお話だと一タスクフォースというものは空母二、三隻を含むということでございますから、平時の状況考えた場合に、二、三隻の空母横須賀なり佐世保を一挙に根拠地として使うというふうなことは起こりにくいと、起こり得ないのじゃないかというふうに私は思う、戦時中はともかくとして。そうなると、これは実際にはこの配置における重要な変更という条項は発動されることはないというふうに理解していいのではないかと思う。そういう点でも、この点も空洞化というよりも日本の側から要するに条件を厳しくしていって、事実上この配置における重要な変更というものが行われないように持っていっているのではないかというふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  103. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 海軍の艦艇の場合につきましては、陸軍とか空軍の場合とやや性格が違うのではないかと私ども考えているわけでございます。要するに、海軍の場合におきましてその主要艦艇は、任務とか運用の特性、言うまでもなくこれは洋上の任務が主体になるわけでございまして、かなり長期にわたって広範な区域をパトロールするということが軍事的プレゼンスを明らかにする。それが抑止力の確保という目的に資するというふうに考えられますので、通常、例えば陸軍の場合にはどこか外国へ配置するといったような形、すなわち、何と申しますか、基地を活動上の根拠地にするといったような形をとる必要は必ずしもないというふうに考えられると思うわけでございます。
  104. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、結局は今私が質問したように、そういうことはほとんど起こり得ないということになるわけですね。
  105. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 起こり得るか起こり得ないか、それは私、何とも申し上げかねるわけでございますが、それは要するに状況いかんということではないかと思います。
  106. 和田教美

    ○和田教美君 私がるる言いましたことは、配置における重要な変更ということも、外務省の見解を積み上げていくと、結局そういう事態はほとんど想定されないということで、事実上これは日本の方から空洞化さしておるというふうに私は思う。そういう問題で、もっとやっぱり事前協議条項というのを厳密に解釈してやるべきだというふうに思うわけでございます。  そこで、最後に米ソ軍縮交渉が来年早々再開をされるわけでございますが、この問題についてもいろいろお聞きしたかったのですが時間がなくなりましたので、一言だけひとつお聞きしたいわけでございます。  中曽根総理大臣安倍外務大臣は来年早々訪米をして、レーガン大統領に会って、安倍外務大臣は特にシュルツ国務長官とも話し合われるということのようですけれども、シュルツ・グロムイコ会談が一月早々開かれるその前でございますから、この焦点はやはり平和と軍縮の問題ということになってくるだろうと思うのですが、ただアメリカのレーガン路線、これは力の優位、抑止力ということを強調することによって、そうしてソ連を抑えつけるというふうな立場が抜け切らないわけですけれども、それだけでは私はだめだと思うので、日本側の、本当に軍縮の問題について腹を決めた自主的な主張をやっぱり訴えるべきだというふうに思うわけでございますが、この日米会談に臨む外務大臣の決意なり考え方というものをお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 来る一月の訪米におきましては、いわゆる中長期的な観点からの日米関係のあり方に関する大きな枠組みにつきまして、大所高所からの意見の交換を行うことが必要だ、こういうふうに思っております。また、世界の平和と繁栄のための日米協力という観点から、東西関係、なかんずく軍備管理、軍縮の問題あるいはアジア情勢等、国際政治、経済情勢について忌憚のない率直な意見交換を行いたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  108. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 安倍外務大臣、三たび外務大臣就任されまして御苦労さんに存じます。  私、かねがね言っているのですけれども、外務大臣とか防衛庁長官とか、対外的に非常に重要な接触のある大臣が、今までのほかの大臣のように平均期間わずか一年足らずでちょいちょいかわるということは、私は非常に日本の国家のために悪いことではないかと思っておりましたけれども、新聞の報道によりますと、安倍さんの意に反して就任されたらしいのですけれども、しかしあえてグロムイコ外相のように終身雇用とまでは申しませんけれども、今後とも外務大臣として御努力願いたいというふうに考えております。  私が質問いたしますのは、上程されております日ソ漁業に関する相互協定及びそれに関連いたしまして日本とソビエトとの間の関係の問題について質問したいと思いますけれども、先ほど来カールビンソンの問題がいろいろ討議されておりますので、私の意見だけを申し上げておきます。  私は、やはり日米安保条約日本の安全保障に大いに寄与している、そういうふうに考えておりますので、その条約に基づいてアメリカ空母横須賀入港するのは承認せざるを得ないというふうに考えております。もちろん、核兵器を搭載しているのではないかというふうな問題について一抹の疑惑がございますし、また地元の人たちがそれを心配される気持ちはよくわかるのですけれども、しかし、ソ連の核兵器を搭載しているのではないかと思われるような艦船日本の近海を遊泳していることを考えまして、また日本アメリカの核の傘で守られていることを考える以上、事前協議がない限り非核原則についての変更はないものとしてこれを受け入れるのはやむを得ない措置であるとして、私は政府のとられた措置を支持いたします。これは私の意見ですから御答弁は必要ございません。  次に、日ソ漁業協定について質問申し上げます。  今度の協定が、今までのように有効期間一年の暫定協定ではなしに三年間の協定になり、また一方からの意思表示がない限り自動的に延長される、そういった長期の協定になったことは歓迎すべきことでありますし、関係各位の労を多とする次第でございますけれども、同時に今までのような一年限りの暫定協定ではなくなって長期の協定になったことについて一抹の不安を持っている人がないでもないと思いますので、この際、確認のために質問しておきたいと思います。  それは、この協定の前文、前書きのところで、ソ連の経済水域における生物資源の開発等についてソ連の主権的権利を認めるというふうなことが書かれております。これはもちろん同時に第七条で、相互における諸問題についても、いずれの締約国政府立場または見解を害するものではない、そういう留保条件がついておりますから、このことは決して領土主権を認めるものではない、そういう歯どめは十分かかっていると思いますが、その点を改めて確認をしておきたいというふうに思います。
  109. 斉藤邦彦

    説明員(斉藤邦彦君) 今度の協定の前文におきまして、我が国はソ連の経済水域に関する幹部会令に基づく生物資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利を認めております。これはあくまでここに書いてございますとおり、生物資源に関する主権的権利を認めたものでございまして、ソ連のこの幹部会令そのものを認めたとか、あるいは幹部会令によって設置されたとされますこの経済水域そのものを認めたものではございません。いずれにいたしましても、ただいま関委員御指摘のとおり本協定の第七条におきまして、領土問題を含みます両国間の諸問題に関する両政府立場または見解というものは害されないということを明確に留保しておりますので、我が国の北方四島に対します法的立場というものは何ら影響を受けないという仕組みにはなっております。
  110. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 協定内容に関しまして水産庁の方に申し上げたいと思いますけれども、これは先ほど菅野委員が言われたことと重複する点があるのですけれども、念のために、我々の党の方も心配しておりますので繰り返しになりますけれども質問する次第でございます。  日本、ソビエト両方とも漁獲量の実績は一九八〇年ないし八十一年ごろから減少しておりますし、特にソ連の漁獲実績の減少が大きいように思います。それで昨年度は、ソ連の方は操業条件が悪いから実績が悪いのだ、たくさんとれないのだということで小名浜の寄港なんかも要求してきたわけですけれども、漁獲実績が日ソ両方とも最近になって減少してきている原因はどこにあるというふうにお考えですか。
  111. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  わが国の方の漁獲実績は、一九八〇年代に入りましても高い年で七一%、低い年で五七%というぐあいな割合でございまして、一九七〇年代の漁獲実績、漁獲割り当て量の消化率と比べましてさしたる変化はございません。七〇年代におきましても、例えば一九七八年には漁獲割り当て量の五五%しか消化しておりませんでしたので、その程度の消化率というのは昔もあったわけでございます。  先生御指摘のような事態は、主として、主としてといいますか、専らソ連側に生じておるわけでございます。一年ごとをとってみますと、海況異変その他の事情もございますが、一九八〇年代を通じて見ますと、ソ連の漁獲割り当て量の消化率が低いということの主たる原因は、漁獲努力量が低下しておるということに帰せられるべきものであるということは間違いないというふうに思っております。
  112. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それは、ソ連の方の漁獲努力が足りないからですか。それとも何か別な意図、例えば双方の漁獲量を縮小均衡にでも持っていく、そういうふうな特別の意図でもあるのか、その点はどうですか。
  113. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  私が今漁獲努力量というふうに申し上げましたのは、例えば一隻一日操業いたしますと、私どもの間でべッセル・デーという概念を使っておりますが、それが七〇年代と八〇年代と比べて非常に低下してきておるということでございまして、来ておる船自体が怠けておるとかそういうことではございませんので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。  それで、今申し上げたような意味での漁獲努力量の低下ということが、私どもが見るところ、特に一定の意図があってそういうふうにしておるというふうには思われませんので、縮小均衡を意図してわざとそうしているというふうにまでは考えておりません。
  114. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ちょっと事実について確かめたいのですけれども、今年度の小名浜に寄港の実績はどうなっておりますか。
  115. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 今年において初めてソ連側の漁船入港を認めたわけでございますけれども、現在までの実績は、三十隻の申請がございましたうち、許可隻数が二十四隻、不許可隻数が五隻ということで、結局二十一隻が寄港いたしております。
  116. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その不許可の理由は何でございますか。
  117. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 不許可の理由は、例えばたまたま申請があったときに我が方の入港手続の係官の都合がつかないというようなこともございましたし、それから、あるいは同時に何隻か申請があったようなときに、バースの都合がつかないというような事例が主だったというふうに承知しております。
  118. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 昨年の協定では、これは一年限りで小名浜に寄港を認めるということだったと思うのですが、今年度の交渉においてソ連がそれを固執するかどうか。寄港してみたけれども余り大したことはなかったというので強く要求しないかもしれませんけれども、一応はやはり去年どおりに要求してくるのではないかというふうに考えられるわけでございます。幸いにして今年は、住民とのトラブルであるとか、漁網の損傷であるとか、そういったふうな事故は余りなかったように聞いておりますけれども、しかし地元の人たちが迷惑をこうむっていることはこれは大変なことだろうと思うのです。  御承知だと思いますけれども、地元の新聞、福島民友であるとか、福島民報でありますとか、そういう報道あるいは社説なんかを読みますと、もうお断りだと。つまり、寄港しても従業員の休養という所期の目的は達成していないのではないか、そういう意味で反対もしておりますし、それから、先ほど菅野さんが言われましたように、経費の問題なんかもたくさんある。中央の政府地元に任せ切りで面倒を見ないのだと、そういう不満もかなり強いように思うのであります。したがって、今年度の交渉においてもできるだけ寄港の問題は拒否する、そういう方針をとってもらいたいと思うのですけれども、見通しはいかがでしょうか。
  119. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 私どもといたしましては、やはり今次交渉におきましても、基本的には漁業の問題は漁業分野で解決するということで対応すべきだろうと思っておりますので、かかる基本的な考え方を踏まえた上で対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  120. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 もしどうしてもそれを認めざるを得ないというふうな事態になった場合においても、やはり地元の人々のいろんなトラブルあるいはいろんな懸念、あるいはそういった不満、そういうことに対しては十分配慮するということが必要だろうと思うのですけれども、政府の御見解を伺いたいと思います。
  121. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 私どもといたしましても、地元からいろいろな形で問題点の指摘を受けており、地元方々のお気持ちは十分に理解をしておるつもりでございます。  先ほども申し上げましたように、漁業の問題は漁業分野で解決するのが本来の基本的な考え方だろうということで、そういう考えを踏まえて対処、対応したいというのが現時点における私どもの考えでございます。
  122. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これから始まる交渉なんですけれども、一層御努力をお願いしたいと思います。  次に、日本とソビエトとの間の一般的な関係の問題について質問したいと思いますけれども、先ほど質問されたことと重複するのですけれども、外務大臣の定期協議のために今度はグロムイコ外相が訪日する番になっている。日本側でもそれを要望している。しかし、新聞の報道によりますと、これはソ連共産党のコワレンコ国際部次長の談話ということになっておるのですけれども、恐らくソ連政府の意向を反映していると見ていいのではないかと思いますが、「訪日が実現した場合、協定とか取り決めの調印が必要だ」と。そういう果実がないのに訪日するのは御免だというふうなことを言っているのですけれども、その訪日してもらうのを希望する余りに、不必要な譲歩なんかをされると非常に困ることになると思うのですが、その問題につきまして、まず安倍外務大臣の一般的なお考えを承りたいと思います。
  123. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) グロムイコ外相の日本訪問というのは、これは日ソ外相定期会談で約束された当然の順番でありますから、これはいわば相互主義という建前で、日本外務大臣がモスクワを訪問したら、その明くる年はソ連の外務大臣日本を訪問する。どこの国でも定期外相会議はそういうことを原則としてやっております。したがって今回も、グロムイコ外相自身も今度は自分の番だと、こういうことを言っておるわけであります。ただ、いろいろとその周辺から条件が整わなければ意味がないというふうなことも言われておるわけですが、しかしこの定期外相会議に条件をつけるというのはおかしいわけで、外相会談を行った結果、成果が生まれればそれでもってよしとしなきゃならぬわけであります。したがって、今回これからの訪問について、私はグロムイコ外相に気軽においでをいただきたい、話し合っているうちに、領土問題はそれは対立するかもしれないけれども、その他の問題でいろいろと成果の生まれる可能性もあるのではないかと、こういうことを私はグロムイコさんに言っておるわけでございます。  やはり、外相会談なんというのはそういうものじゃないかと、こういうふうに思います。したがって、基本的にはこれは無条件といいますかね、やっぱり気軽に来て、そして広範に二国間の問題、あるいは国際情勢等について話し合いをすることが両国にとって非常に大事であると、必要なことであると、こういうふうに思っております。
  124. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 同じように、コワレンコ国際部次長の談話として引用されているのですけれども、訪日の条件として、「例えばソ連は日ソ経済協力協定、長期経済計画に関する協定、文化協定などを提案しているが、日本側はこれらを退けている」と。だから行けないのだという趣旨のことを言っているのですけれども、善隣友好条約とかというのは、これは領土問題を解決しない限り問題にならないと思いますけれども、例えば文化協定なんかでどういう点が今問題になっているのでしょうか。
  125. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も具体的にまだ文化協定そのものの交渉には入ってはいないと思いますし、あるいはまた経済についても、長期的な取り決めを結びたいというソ連の考え方もあるようですが、日本日本としての基本的な、領土問題を解決して平和条約を結ぶという基本的な考え方があるわけで、そうした大きな基本路線を進めていく、そういうものに基本的に大きな障害が起こらないということならば、これはそれなりに我々日ソ協力関係というものを進める立場でいろいろと交渉を進めてもいいのじゃないかと私は思っております。そういうことをやることによって、また領土問題解決にも一歩近づく可能性も私はあるのじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。  ことし一年我々は日ソの対話を進めました。政府関係だけじゃなくて民間の方も進めました。現在も日ソの経済委員会が開かれておりますが、来年もさらにこの路線を進めて、そして実務的な面とか、あるいはまたいろいろと日ソ間で約束しました定期対話等は、これは積極的にひとつ進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  126. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今、外務大臣が言われましたように多方面な対話を進めていく、ソ連との間に対話を進めていくというのは、私は非常に大事なことだと思います。  それで、文化交流の面であるとか経済協力の問題であるとか、それは非常に大事なことだと思いますけれども、きょうの新聞ですか、きのうから日ソ合同経済委員会が開かれておりまして、安西委員長が冒頭に、日ソ間の安定した経済交流の充実には正常な両国関係の基盤が必要であるとして、領土問題の解決など未解決の問題が残っていると、そのことを指摘されたと思うのであります、新聞の報道によりますと。私は、どうも今まで日本の財界人なんかの考え方を見ていますと、何か政経分離で、政治の方の問題は十分解決していないのに経済は経済だけでやっていけるのだというふうな考えの財界人が多かったように思っていささか心配していたのですけれども、きのうの安西委員長のスピーチ、私は非常によかったのじゃないかと思いますが、外務大臣もそれをお聞きになっていたかどうかしりませんけれども、いかがにお考えになりましたか。
  127. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も出席して、私自身といいますか政府考え方を率直に述べたわけでありますが、安西委員長のスピーチの内容も拝見をいたしましたけれども、日本の国としての立場をはっきりと申し述べていただいたということは、そういうことが日ソの率直な意見の交換、そしてまた経済の交流にもむしろマイナスになるというよりは、そうした腰を据えた意見の開陳の方が、これからの日ソの将来を考えればプラスになる面の方が大きいのじゃないかと、大変結構な立派な御発言であったと、こういうふうに思っております。
  128. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私も全く同感でございます。  我が党の佐々木委員長が、先般、中道四党の人たちと一緒にソ連を訪問したときも、向こうの代表がテーブルをたたいて激怒した、サハロフ問題を持ち出したものですから。サハロフが元気であるのだったら会わせろとかなんとかいうふうなことを言ったので、向こうの人たちがテーブルをたたいて激怒したそうでございますけれども、言うべきことは率直に言う、ことにソ連との関係において、私はやはりそのことが非常に大事だろうと思います。政治家だけではなしに、財界人あるいは労働組合の人たち、各方面の人たちがやはり率直に言う、それで日本人の気持ちをはっきり向こうに伝える、そのことが非常に大事だというふうに考えております。そういった趣旨で今後とも外交を続けていただきたいということを希望して私の質問を終わりたいと思いますけれども、最後に何か大臣の方からコメントがございましたならばお伺いいたします。
  129. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどから申し上げましたように、日本の対ソ方針は不変でありますし、腰を据えてこれからも取り組んでいきたいと、こういうふうに思うわけでございますが、同時にまた体制こそ違え隣国同士でございますから、対話はやはり積極的に進めるべきであろうと、こういうふうに思います。そうした基本方針を踏まえながらできるだけの対話を進めてまいりたいと、こういうふうに思っておりますし、来年はぜひともそういう意味で、グロムイコ外相の訪日を強く期待いたしておるわけであります。
  130. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 終わります。
  131. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 毎年協定締結されるまで出漁できるのかできないのかという不安を持っていた漁民のことを考えますと、この協定が三年という延長、また次もというふうになったことは大変よかったと評価するものでございます。評価するのが本当の中身として評価できるように、まずお願いを先に申し上げたいと思うのです。  と申しますのは、いろいろのニュースの中で、漁獲量の割り当てがことしは七十万トンじゃなくて、実績を含めて五十万トンくらいになるのじゃないかとか、また、五百メートル以上浅いところのトロール漁が禁止されるというようなことで、ソビエトから大幅減が提言されるということがちょっと一つ心配なんでございましてね。それで、この協定締結された後、漁業委員会でいろいろ詰めたお話になろうかと思いますけれども、漁民の営業と暮らしを守り、日本漁業を守るという立場に立って、この延長されるという長期協定になったことが真に喜ばれるようなものにしていただきたいというのが一つのお願いでございます。  それで、もう一つお願いをしたいのですけれども、私は北海道でございますのでしょっちゅう行くので、この間もまたつい先日、一週間くらい前に納沙布からずっと調査いたしまして、貝殻島が大変お天気がよくてすぐ目に見えておりました。ちょうどこの問題が今度国会にかかるということで、納沙布の方たちとお話をいたしましたらね、一様に言われることは、昆布は民間協定だけれども、あれは一年ごとでございますよね。それで、とても心配をしていらっしゃる。昆布というのは日本人しか食べませんからね。ソビエトは使ってない。そして、毎年とらないと伸びちゃって、後もう使い物にならない、そうすると資源から考えてもったいないと。どうせ今度の協定でソビエトとお話し合いになるならば、昆布の方の民間の漁業協定も一年なんて言わないで、三年くらいというふうな形に長期に協定が結ばれるように、政府としての御努力をいただきたいというのが、本当に切実な願いでございましてね、そういうような御努力大臣としても考えていただけるか、水産庁長官としてもそういう御努力をしていただけるかどうか、この点については簡単にちょっと御意向を伺いたいと思います。
  132. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  御指摘のとおり、貝殻島の昆布についての協定は北海道水産会とソ連漁業省との間に締結されておる協定でございますので、私どもは直接当事者じゃないということに加えまして、あの協定協力金という形で漁業者の方からお金を払うという問題もございますが、いずれにいたしましても、安定的に昆布の漁獲が継続できるようにという漁業者の切実なお気持ちは十分私どもも承知しておりますので、何らかの方法で側面からお手伝いできればというふうに私どもも考えております。
  133. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣も同じでいいですか。
  134. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 水産庁長官の答弁したとおりであります。
  135. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 しっかりお願いします。それでは次の問題に移りたいと思います。  今年の七月の米下院歳出委員会の調査班による「米軍—米海軍ならびに米海兵隊の即応態勢」という報告書がここにございます。これはみんな横文字なので、これを翻訳をしてみました。この中の、海外支援施設というものがどういう状態になっているかということを調査して報告がずっと並んでいるのですけれども、この六番目というところを注目をしたわけです。それで、ここには何て書いてあるかといいますと、その前に厚木とか佐世保の状況がどうだというのがございますが、この六番目の項には、「横須賀の海軍医療施設の所長は、ある種の戦争のシナリオで六万人もの死傷者が想定されているのに、横須賀施設は三百五十ベッドしかなく、また千ベッドの収容力を持つ二つの陸軍病院が利用可能なだけだ」と。六万人からの死傷者が出るという戦争を想定した場合に、ベッドが全然足りないよという中身なんですね。それで同所長は、戦争になった場合、死傷者はどこかの兵舎、例えば岩国の体育館に移動するというようなことになるということを報告しているわけなんですね。これを見まして、私、ちょっとびっくりいたしました。外務省はもちろん御承知だと思います。  そこで、具体的に伺いたいのですけれども、ここで指摘されておりますある種の戦争のシナリオで六万人の死傷者が想定されるというある種の戦争というのは一体どういう戦争を想定しているのか、外務省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、伺わせていただきたいと思います。
  136. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいま先生御指摘になりました下院の歳出委員会のスタッフが出しました報告の件、これは私どもも承知している次第でございます。これはまさにおっしゃったとおりアメリカ議会がっくりましたものでございまして、そのこと自体につきまして内容を余りコメントするのはいかがかと思うわけでございます。ただ、そういうシナリオが果たして存在しているのか否か、私ども承知していないというのが私のお答え申し上げるべきことかと思う次第でございます。
  137. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 でもこれは報告書として出ているわけですよね。その中にこのシナリオがあるよと言われているのだから、アメリカのことだからとおっしゃるけれども、事は日本横須賀でという特定した場所なわけですよね。何か随分あっさりしていらっしゃいますね。私の方では、ちょっと知らないよなんということでは困るのよね、本当に。私らにしてみれば、カールビンソンが来るだの、核だの核の冬だのと今大騒ぎしているところでしょう、だから外務省さん、そうスマートにお答えにならないで、もうちょっとこの問題について、一体この核戦争というシナリオは何を想定しているのだろうと、外務省としてのそのことについてのお考えをいただきたいというふうに思うわけなんです。
  138. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいまの御質問に正面からお答えすることは、先ほど申し上げましたようにできないわけでございますが、六万人もの死傷者が想定されているといったような戦争、このシナリオいかんということになりますと、まさに先ほど申し上げたとおりでございます。そこで、ただその際に、在日米軍の医療施設使用されるというのは一体どうなんだということでございまするならば、アメリカは御承知のとおり米軍の即応態勢と申しますか、それを維持向上させるということに努力しているわけでございまして、そういう観点から、米行政府ではなくてアメリカの議会がいろいろな想定をいたしまして、日本にあるものを含めまして海外の米軍施設、その所要と能力に関心を持ち検討するということ自体は、私どもとしてある意味では自然なことではないかというふうに受け取っているわけでございます。
  139. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 結局、六万人からの死者が出るということの中身ですよね。これは通常の戦争ということは考えられないとすると、当然核戦争の想定というものが出てくるのじゃないですか。そしてまた、在日米軍は四万五千人しかいない。六万人の米軍の死傷者ということを考えればこれは大変な事態だというふうに私らは考えざるを得ないと思うのですよね。日本に四万五千人いるのに、六万人のアメリカの兵隊がやってきてここで核戦争が起きてアメリカが六万人死ぬというときには、日本国民というのは大変な予測ができるわけでしょう。現実にこういうふうなことをアメリカが想定しているとするならば、日本における核戦争の危機というのは相当なところまで来ているというふうに言わざるを得ないわけですよね。大臣、こういう報告書が出て横須賀でこうだということが出されているのだから、これは具体的にどういうものを想定しているのかということをアメリカに問い合わせなさるなり、外務省としてもいろいろな方法でもって調査すべきだと思うのです。調査していただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  140. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私は調査する必要はないんじゃないかと思うのですね。アメリカだってソ連だって、いろいろとそういうシナリオとか核を持っておりますし軍備も拡張しているのですから、いろいろなことはやっているのじゃないかと、研究はしているのじゃないかと思いますね。また議会でもいろいろなことがあると思いますけれども、しかし、米ソ両方とも指導者が核戦争を起こそうなんということは考えていないと思いますし、日本としましても平和と軍縮が一番大事だと両国にも軍縮を訴えておるわけですから、そういう中で今具体的にどうだこうだということは、我々としては、これがどういうことになっているのか一々神経をとがらして調査するとかあるいは問い合わせるとか、そういう必要はないのじゃないかと思います。
  141. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 外務大臣、大分神経がすれているわ。一々そんなことを問い合わせする必要はないというそういう感覚で言われたら、今、科学者が核の冬の問題でどれだけ騒いでいるかという問題を考えたら、ちょっと私はまずいと思うのです。それは問い合わせするという内容ですよね。おたくの戦略でどうなっているんだというようなそういうことはできないかもしれないけれども、もしもそういうことを想定されているとなれば、日本における核戦争というのは現実の問題になってくるわけですよね。だから、我々はよその国がどうするということについてとやかくは——言わなきゃならないのだけれども、そこまでいかなくても、向こうが日本を舞台にしてこれだけ具体的に六万人が死ぬよと、病院が足りないよというときに、やっぱりこれについて、そういうことが起こり得るかもしれないからシナリオというのをつくるわけでしょう。全く空想的なものでシナリオというものをつくっているわけじゃないのだから。どうなんですか、やっぱりもうちょっと、日本国民がいかに心配しているかということを率直に受けとめて何らかの手だてというものを、心配なきゃ心配ないと、アメリカの今の状態はどうだということをもうちょっと真剣に私は考えてもらいたいと思いますね。
  142. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) この点につきまして、私どもの考え方を簡単に御説明させていただきたいと思います。  先ほども申しましたように、米軍が即応態勢の維持向上ということに努力しているということで、そういう努力に対しましてアメリカの議会が議会として関心を持つということは、これは極めて自然だろうと申し上げた次第であるわけです。私どもの考え方では、そのような即応態勢の維持向上、かつまたいろいろな想定をそのためにするということ自体は、何もそういう事態を好きこのんで招来する、招くためにやっているわけではございませんで、米国は御承知のとおり抑止ということを国防の基本にしているわけでございます。そういう態勢を維持向上しておくこと自体が、実は六万人もの死者とおっしゃいましたが、死傷者でございますが、死傷者が起こるような戦争の勃発を防ぐというふうに私ども理解しておりまして、アメリカ政府としてもそういうふうに理解をするのではないかと思うわけでございます。
  143. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 短い時間ですから、すれ違いになるということになってしまって残念なんですけれども、日本が核戦争になるということがそこまで今来ているのだということ、そのことだけはしっかり考えてもらいたいと思うのですよね。その危機にさらされているということだけははっきりさせたいと思うのです。    〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕  それでは、カールビンソンの核持ち込みについて次に具体的にまた伺っていきたいと思うのです。この間カールビンソンが初めて首都圏横須賀入港いたしました。アメリカを十月の十九日に出航いたしましたよね。そして、フリーテックス85演習に参加以来初めて日本横須賀に寄港されたと言われております。私の方でも、日本の各地、また関係する各国の新聞をいろいろ調べてみましたが、カールビンソンアメリカを出てからどこの国にも立ち寄らない。立ち寄ったということはニュースに出ていないわけなんですよ。そうすると、核兵器をどこにも積みおろしていないということになると、だから核搭載のまま入港したという疑惑があるというふうにみんなが心配しているわけなんですよね。  そこで伺いたいのですが、外務省は、カールビンソンアメリカを出航いたしまして横須賀に入りますまでどこの港に寄港したというようなことをお調べになっていらっしゃいますか、そのコースと寄港地について。お答えいただきたい。
  144. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) カールビンソンが、御指摘のとおりフリーテックス訓練のために米国のたしか西海岸だったと思いますが、そこから出航したということは事実でございます。あの演習自体は、実は御承知のとおり太平洋のかなり広域にわたる、かつ規模の大きな訓練だったわけですが、私どもは公式には知らないわけでございますけれども、仄聞するところによりますと、その後日本海へ抜けまして、それを回って横須賀入港してきたと、こういうふうに聞いております。    〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕
  145. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、どこに寄港したということをお調べになっていないわけですね。
  146. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 承知しておりませんです。
  147. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、承知していないというのはお調べにならなかったから承知していないということですよね。  それで、こういう大物が来るわけでしょう、核兵器を積んでいるとか積まないとか、今大変な問題になっている。それがよそで演習してぱっと来たわけじゃないでしょう。太平洋、南の方で演習をやってそれから三陸沖を通って津軽海峡へ入って、日本海を下がってそして横須賀へ来たわけですよね。私、新聞を見ていたら、新聞社の飛行機もこれを見ているのですね、どこへ行くんだろうなんてね、ちゃんと。それなのに日本外務省が承知していませんなんて言って、非常に冷静といいましょうか、のんびりといいましょうか、まことに我々国民から見たらちょっと頼りないですね。それでは困るわけなんです。だから、やっぱり積んでいるということが疑惑になっているのだから、どこにも寄っていないということは積んだままになっているというのがまともな頭の人の考え方なんだけれども、どうですか、大臣
  148. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、疑惑を持っている人もおるかもしれませんけれども、政府は全く疑惑を持っていないわけてすから、これはいわゆる事前協議で核を持っているときは日本に相談する義務があるのですから、事前協議が行われていないということは核を持っていないということです。極めて明快です。
  149. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、すごく素直ね。アメリカの言うことを大変素直にお信じになっていらっしゃるのてすけれども、やっぱり日本大臣なんだから、そこのところは素直じゃ通らないと思うのですよね。  大臣、前に国会の中でこうおっしゃっていましたね、私調べてみましたら、これは去年の三月二十四日、うちの立木が質問いたしました後で、核の抑止力ということをよくおっしゃいますが、今の抑止力というのは何なんだと言ったら、戦略核などというのではなくて、戦略核あるいは戦術核あるいは中距離核、こうした全体的総合的な核戦力というものが軍事バランスを支えている、それが抑止力になっているのだという考え方をおっしゃいましたよね。そうすると、やっぱり抑止力になるためにはこれ、積んでなきゃだめですよね。積んでないと言って空のを持って歩いて抑止力などというのはないわけですからね。そうすると、やっぱり積んであるからこそ抑止力だと。戦術核も戦域核もそして一般的な総合的な核戦力というものによって抑止力になるというふうに大臣はお答えになっているわけですよね。  それからまた、八四年度の米国防報告というのを見ますと、こういうのが出ているんです。第三部Bの空母戦闘能力、百四十二ページにこう書いてあるのですね。「これは海軍作戦任務の全範囲にわたる能力が与えられている。」と、こうなっているわけですよね。だから、安保条約信頼するしない、それはちょっと置きまして、カールビンソンには核兵器が使われる飛行機もみんなあるわけだから、これが、一つ空母抑止力になっているんだと。そうすると抑止力になるためには、この国防報告書にも書かれているように、また大臣が国会で答弁されたように、すべてこういうものがついていて抑止力になるんだと、こういうことになりますでしょう、まともに考えればね。——うんとおっしゃるから、じゃそういうことになるんだわね。
  150. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、それは抑止力という面ではそうなんですが、しかしまたカールビンソンが核を搭載する能力を持った航空母艦であるということはみんな知っているところですね。しかし、日本入港する場合は核は積んでないということなんです。
  151. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから今言ったように、前半は認められたわけですよね、抑止力になりますと。そしてカールビンソンは核兵器を積めるものですと。そうすると、日本に入ってくるときに積んでないと信頼されているわけよね。  それじゃ、あれは十五年そのまま原子力燃料でどこも寄らないで動けるんだから、積んだら十五年どこも寄らなくても活動できるというのだから、積んでいてこそ初めて抑止力になる。それで、演習というのは演習だよという演習ではなくて、いつそれが戦闘になるかわからないわけですよね、演習というのは戦闘の前段階なんだから。そうすると、アメリカから出てきました、そしてさっき言ったようにずっと南から三陸回って日本海回って、そして横須賀へ入った。どこでおろしたんですか。
  152. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、おろしたとかおろさないとかという問題じゃないのですよ。とにかく日本には持ってきてないというわけてすね。これはもう日米安保条約事前協議、これが大前提です。
  153. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣のはすごく抽象的な言葉なの。私は具体的、科学的に質問しているんだから、本当に。だから具体的に答えてほしいんですよね。  それで、積んでいないんだとおっしゃるけれども、積まなかったら抑止力にならないよと言っているんですよね。積んで、その力が発揮できるからこそ抑止力になるんてすというふうにさっきおっしゃったわけだ。そして、抑止力にならないものがふらふら歩いている、そんなもったいないことを今のこの時期にやっていますか、常識的に考えたってそれはないんですね。そして、どこでおろしたなんて、これ、太平洋の真ん中でおろしたわけじゃない。どこかの港におろしたかと言ったら、それも承知しませんなんという無責任な態度なんだわ。だから、ちゃんと外務省は、カールビンソンがやってくると通告もされたと。そうしたら新聞社でも上からどこへ行ったか見ているんだもの。もっと日本が、外務省が、これがどこへ行ってどうなってということは追跡していくべきだと思うんです。知りませんなんというのは、それはちょっと人がよ過ぎるというより、何かもう意図的なものがあるのかもしれませんね。
  154. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私から聞きますと非常に短絡的な質問のように思いますね、推測のように。抑止力だから全部常時積んでおるというふうな御発想のようですが、これはおかしいと思いますね。それは積んでいる場合もあるし、積んでいない場合も私はあると思うのですね。  また現在、米ソ関係がそんなに一触即発というような時代ではないんですわね、これ。米ソの外相会談をやろうかというような、むしろ国際的には雪解けの状況がこれから始まろうというわけで、アメリカもソ連も一生懸命やろうかというわけですから。そういうふうな状況にもありますし、ですから、カールビンソンだから常時朝から晩までどこへ行くにも核を積んでおる、こういう前提で御質問をされるというのはおかしいので、少なくとも積んでいる場合もあるし、積んでいない場合もある。そして、日本に入ってくるときは積んでいない。
  155. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣はおかしいと言うし、私もおかしいと言う。私のおかしいという方が国民の七〇%いるんだからね。だから、どっちがおかしいかというのはそれで御判断いただきたいと思うのです。  そして、さっき大臣は答弁の中で、安保条約によって日米間の不動の信頼感があると、だから大丈夫なんだと、こうおっしゃいました。確かに不動の信頼感があると思っていらっしゃるのだけれども、それと一緒に私が特に言いたいことは、まず日本国政府外務大臣、そして日本国というのは被爆国の外務大臣、だとすれば、アメリカとの不動の信頼関係を持つ前に国民との不動の信頼関係というのが当然必要になると思うのね。その国民心配だよと言っている。国会議員だって、本音を聞いてごらんなさい、みんな積んでいるんだよと言っているんですから、おたくの党の方だって。だから、それは建前と本音だわね。そうすると、ここで必要なのは、国民信頼をしていないということはこれは大変なことですからね、だから、やっぱり国民との信頼をまず大臣としては、内閣としては持つべきであると。そうすると、やっぱり大丈夫なんだと言われる前に大丈夫な努力もしてもらいたい、そのあかしをしてもらいたい。とすれば、例えば安保条約とおっしゃるけれども、非核原則という国是がありますよね。そして、前の福田外務大臣のときもこの非核原則については努力をするのだと。努力をするのなら、今度はもう大丈夫だなんておっしゃらないで何回でも努力をしてもらいたい。そして、非核原則というのはアメリカとの関係でなくて我が国国是としての非核原則なんだから、自主的な判断に立って外務大臣としても努力を何度でも積み重ねてもらいたい。国民との信頼が得られるようにしていただきたい。そして、まさかそんな戦争の危機はないと言われるけれども、危機になってからでは手おくれでございます。  私たちは、この問題について去る八月、原水爆禁止世界大会の後、東京宣言という決議をいたしまして、これはまさに人類死活にかかわる重要な緊急な問題であると、こういうふうに定義いたしました。だから、その問題について大臣がもっと自主的な判断でもって、国民信頼というものを得るために、国民に納得させるためにも具体的な努力をしてもらいたい。そして、大使館にしょっちゅう行くのは行きにくいよとおっしゃるならば、私はいつでもお供いたしますから、御一緒にでも参りたいと思います。最後に御決意のほどを伺いたいと思います。
  156. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国民信頼を得ることが大事だと、これが政治だと私は思います。また、国民信頼を得た条約でなければ本当に条約が効果的に作動しないと私は思っております。そういう意味では、安保条約自身が、条約締結されましてから二十五周年に来年なるわけですが、私は、国民の間に非常にこれが定着して、安保条約日本の平和と安全に大きく寄与しておるということは大多数の国民がこれを支持しておる、私はそういうふうに思っております。その安保条約の基本についてお互いにこれを守っていく、これはいつも外務大臣政府の首脳が日米関係で対話をし、あるいは会談をするたびに確認し合っていることです。そうした中で、信頼感で今の条約が動いているわけです。その中での事前協議条項ですから、私はあくまでもこれは両国の不動の信頼関係、そういうもので絶えず確認し合って動いておる条約でありますから御安心をいただきたい。疑問を持っておられる国民の皆さんにも、ぜひともひとつ御安心をして、そうして安保条約による国の平和と安全が行われておると、維持されておるということをさらにひとつ理解をしていただきたいと、こういうふうに思います。
  157. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の両国の池先沖合における漁業分野相互関係に関する協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 平井卓志

    委員長平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会