○柳澤錬造君 どうしてそういうかたくななお
考えをお持ちになるのです。何も私は緊急
輸入してスポット買いしてやれなどと言っているわけじゃないのであって、先ほどから言っているとおりに一年間で四百四十三億ドルの貿易収支の黒を出したわけでしょう。私は今手元に資料を持っていないからなのですけれ
ども、どうなのですか、五十九年のその前の見通しからいくならば黒は二百何十億ドルのはずだったのです。三百億ドルなどというのをはじいたのもいないはずです、
政府の中にもエコノミストの中にも。
二百二十だの二百何十億ドル程度の黒を出すだろうと言っておって、それが三百だ、いや三百どころじゃない、もっといくといっているうちにこういう数字が出てきてしまった。一年間で四百四十億ドルの黒を出した。だからその中で十八億ドルぐらいのお金を原油の購入に回すぐらいのことは何も大変なことでも何でもないことです。問題はその資金をどうやって調達してそしてやるかという、そういうことはこれは知恵を出さなければいかぬことだし、民間にも協力してもらわなきゃ、そのお金を全部
政府が税金の中で、それはもうおっしゃるとおりそう簡単にいくわけじゃないのだから。
ただ、問題は、いろいろと貿易収支のこの辺を
改善をしなくちゃならないといって知恵を出されて、それでその一端として
総理は、国民の皆さん百ドルずつ物を買ってくれと言う、通産
大臣は
輸入業者を集めて、もっとあなたたち
輸入してくれと言う。そういうことの知恵から見れば、むしろ今私が言ったようなことの方がはるかにもっと国家的な役割を果たすようなものではないのですかということを言ったのです。だから何もスポット買いをせいとか、一遍にここでもってすぐ四千五百億円の銭を出せなどと言っているわけじゃないのです。もうちょっとその辺を国全体のレベルで物を
考えて御判断をしていただきたい。
先ほ
ども別な
委員の質問のとき、私、ずっと黙って聞いていてもそうだけれ
ども、減税だとかなんとかそういうことはできない、内需
拡大も思うようにいかない、だけれ
ども、民間の活力を期待してと言ってどなたかそういう答弁をするわけだけれ
ども、民間がこれだけ今痛めつけられておる
状態にほっておいて皆さん方は何で民間の活力を期待するのか。だったら、民間の活力期待するならそれらしい税金面ででももうちょっと何とかの方法をとってやるとかするならば別ですけれ
ども。それはそれでもう結構です。
次に私がお聞きしたいのは、通産
大臣が、さっきも言ったように、当分赤字にはならない、心配
ありませんと言われたのだけれ
ども、今
アメリカあたりにどんどん工場が進出しているでしょう。
貿易摩擦を解消するという観点からいろいろと向こうへ出ていって、自動車なんかでもあっちでつくるというかっこうでやっている点もあるのだけれ
ども、私が思うのは、果たしてそれだけなのだろうか。
アメリカへ行って十万坪の土地を買って、そこに二万坪の工場をおっ建てたとすれば建設費が幾らぐらいかかることになるのですか。それと同じものを、
日本の中で十万坪の土地を手当てしてそこに二万坪の工場を建てたといったら、今
アメリカで建てるのと
日本で建てるのでは私は
アメリカの方が安いと思うのです。それから労働者の賃金といったらもう今はほとんど変わりませんでしょう。
そうすると、
貿易摩擦の点で何だかんだ言われて、そうしてそういうぐあいでだんだん外国の方に工場が進出していって外国で生産をするという方向になっているのだけれ
ども、
貿易摩擦を解消させるだけではなくて、うかうかしておったら気がついたときにとんでもないことになって、もう
日本の方は産業が停滞をしてしまって、新鋭のものがそういうところへどんどん出ていって外国で生産をして、まごまごしたら今度あちらから
日本に逆
輸入で入ってくるような事態になってしまうようなことはないかどうか。だから、そういう点からお聞きするのだけれ
ども、どうなのですか。これは例えの話ですから別に何のというわけじゃないけれ
ども、十万坪の土地に二万坪の工場を建てるぐらいのことを
アメリカでやる場合と
日本でやる場合で建設費をどういうふうに判断いたしますか。