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1985-05-29 第102回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十九日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     小委員長        大木 正吾君     小委員                 大坪健一郎君                 倉田 寛之君                 曽根田郁夫君                 柳澤 錬造君     小委員外委員                 大鷹 淑子君    政府委員        内閣審議官    海野 恒男君        経済企画庁長官        官房会計課長   長沢 哲夫君        経済企画庁調整        局審議官     丸茂 明則君        経済企画庁総合        計画局審議官   星野 進保君        外務省経済局次        長        恩田  宗君        大蔵大臣官房総        務審議官     北村 恭二君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵大臣官房審        議官       大橋 宗夫君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        大蔵省国際金融        局次長      野崎 正剛君        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産大臣官        房総務審議官   眞木 秀郎君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        食糧庁次長    山田 岸雄君        建設大臣官房長  豊蔵  一君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        防衛庁装備局調        達補給課長    猿渡 聰一君        外務省経済局海        洋課長      田中 謙次君        外務省経済協力        局政策課長    須藤 隆也君        外務省国際連合        局外務参事官   瀬崎 克己君        大蔵大臣官房審        議官       山崎 高司君        水産庁漁政部漁        政課長      海野 研一君        通商産業大臣官        房審議官     北川 幸昌君        通商産業省貿易        局輸入課長    奈須 俊和君        通商産業省産業        政策局商政課長  山下 弘文君        資源エネルギー        庁石油部備蓄課        長        横川  浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際経済問題に関する調査  (経済摩擦に関する件)     ─────────────
  2. 大木正吾

    ○小委員長大木正吾君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会を開会いたします。  国際経済問題に関する調査のうち、経済摩擦に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 この小委員会では、安全保障関連して経済摩擦がどういうふうなことになっておるのか、それから経済摩擦が結果的に我が国安全保障にどのような影響を及ぼしてくるかという観点で議論を従来やっておりましたし、また、関係者の方にいろいろ御証言をいただいたりしてまいりましたが、きょうはお役所の方においでをいただいて、若干、今までに参考人としておいでいただいてお話を承ったいろいろな方々の論点をある程度整理して、詰めてお話を伺いたいと思います。特に、外国人の方においでをいただいて本小委員会お話を承りましたので、在日米国商工会議所の会頭であるハイディさんとか、あるいはEC関係日本代表者であられるべラヴィータさんとか、あるいは京都精華大学のインタラタイ教授とか、こういった方々にいろいろお話を承りました。ひとつそういう先生方から出た問題点を含めてお話を聞きたいと思います。  一番最初に、経済摩擦の具体的な問題として今象徴的に問題になっております、アメリカから出ております四つの対日要求がございます。中曽根総理がこの一月にアメリカおいでになってお話しになって以来問題点になっておるものですけれども、これについて、その後対策がどのように進展しておるかを関係官庁からちょっと説明していただきたいと思います。
  4. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 四分野協議につきましては、先生指摘のとおり、本年の一月二日、日米首脳の間で合意されて以来、事務当局による協議が続いてきたわけでございますが、ことしの三月三十日、米国政府はこの四分野協議進展に関してステートメントを出しております。それによりますと、米国側としては、電気通信のスタンダードについては実質的な進展が見られた、それから医薬品医療品及びエレクトロニクスについては建設的なスタートが切られた、こういうことでございまして、林産物については、そのときは特にステートメントの中ではコメントがございませんでしたが、進展希望するという態度であったろうかと思います。それから以後、一月以来を含めまして高級事務レベルでの協議が数回続けられてきております。  したがいまして、私どもとしては、米国側はこの四分野協議というものの有効性と、それから日本側がこれに真剣に取り組んでいくという態度については評価しているというふうに考えております。  現実の問題といたしまして、本月にも会議が開かれましたし、また来月、現在、日程調整中でございますが、電気通信エレクトロニクス等、あるいは医薬品医療器械等についての協議も行われる予定になっております。
  5. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 中曽根総理サミットで、日本政府のこの問題に対する考え方、あるいは処置の中身を御説明になったようです。それがサミットに集まっておられた各国首脳に好意的に受け取られたというふうな新聞報道がありましたけれども、御説明の要旨をちょっと簡単にここではっきりしていただきたいと思います。
  6. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) サミット機会におきましては、中曽根総理は二国間の首脳会談、それからサミット会議の場におけると、二回機会があったわけでございます。当然のことながら、日米二国間の会議においては、特にこの問題は詳しくお話しになったわけでございますが、日本側方針については、しばしば公にされているとおりの方針、特に四月九日に対外経済対策が発表されましたので、その内容を詳しく御説明したわけでございます。  米国大統領は、日本側のこの努力を評価する、 そして実は米国側議会における保護主義の台頭を抑えるように努力しているのだけれども、難しいので日本側も協力してほしい、こういう御発言でございました。  サミット会議の場におきましては、経済対策の御説明、特に日本政府としては行政改革努力市場開放輸入拡大の奨励、それから規制緩和による内需拡大等を積極的に推進していくのだ、こういうことを力強く御説明になりまして、各国はそれにつき特に異論を唱えたということはないわけでございますから、非常に結構であるという趣旨代表は聞いておられたと私どもとしては承知しております。
  7. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 従来とちょっと違う点は、難しい問題もあるからでしょうけれども、少し期間を長目に見てアクションプログラムをつくるということのようです。このアクションプログラムアメリカはよくやるようだけれども日本では余り例がなかったと思う。これの策定についての基本的な考え方、それから進行状況みたいなものを、これは通産省か農林省か、まず、アクションプログラムというものをどういう形で考えて、どういうふうに動かすかという、その大枠の話。
  8. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) アクションプログラムは、先生承知のとおり、対外経済問題諮問委員会報告に基づきまして政府アクションプログラムを作成しようということを決定したものでございますが、その諮問委員会報告趣旨は、対外市場開放の問題は長期的に取り組まなければならない問題である、個別の対応ではだめである、こういう趣旨でございますので、ある程度の中長期の方針を立てて積極的に進めていくということが考え方の基本になっていると思います。したがいまして、今までの対外経済対策と違いまして、ある程度の期間の余裕を見るということで、とりあえず三年間ぐらいをめどにできるだけの開放措置をとる、市場アクセス改善のための措置をとるということになっておりますので、その対策対象分野というのは関税分野、それから基準認証分野等々いろいろ広い分野にわたっております。したがいまして、関係省庁も非常に広く、全省庁にわたるような形での準備が今行われているということでございます。
  9. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 これは私はうっかりして総理府を呼ばなかったけれども、来ているかな。特命、来ていますか。
  10. 大木正吾

    ○小委員長大木正吾君) 特命さんのところは来ていませんか。
  11. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 じゃいいです。  そこで、農水省にちょっと考え方を聞きたいのですけれどもドル高影響も非常に出ているし、それから過剰生産影響も出ているのでしょうけれどもアメリカ農業大変不況になっておるようでございます。農家倒産等も大分出ているようですけれども、そういうアメリカで、農産物輸出に関して新しい注文が出てくるのじゃないかということを私は恐れているのです。一部の報道ではそういう動きもあったという話も聞いていますけれども、新しい注文の出る可能性というか、おそれというか、どう見ておられるか。それから、これに関してアメリカ議会筋情報でもお持ちなら教えていただきたい。
  12. 眞木秀郎

    政府委員眞木秀郎君) お答え申し上げます。  今先生指摘のように、アメリカ農業は大変な不況の中にあるわけでございまして、これは世界的に需給緩和して輸出競争が非常に激しくなっておるということと、やはりドル高が反映いたしましてほかの輸出国競争力が高まってきた、こういうようなことで穀物等中心としてアメリカ輸出の伸びが減っておるわけでございます。  また、国内的に見ましても、アメリカ農家、七〇年代後半に好況のもとで借金をして経営規模を大きくしてきたというのが大きな負債を持っているわけでございますが、これが現在の高金利のもとで非常に経営を悪化させておるということで、一九三〇年代の大不況以来の厳しい状況に置かれておるということでございます。このため、アメリカ政府といたしましては何とかアメリカ農業活性化を図っていきたい、また、輸出競争力を回復させなければいけないということで、市場志向型と申しますか、国際市場競争できるような形の農業に再編成をしたいということで、現在の国内農産物支持価格水準といったものを切り下げる、あるいはまた、輸出信用保証拡大するといったようなことを骨子といたしました新しい八五年農業法案というものを議会に提出したわけでございます。  これにつきまして、現在他の議員の方々等からの修正案もたくさん出ておりまして議論がなされておるわけでございますが、いずれにしろアメリカ政府原案そのものは非常に厳しい内容だということで、反対の声も強うございます。したがって、このままの形で政府原案のとおり成立すると見込んでいる人の方が少ないと承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、仮にこのような市場志向型の路線が実施に移されるというようなことになりますと、国内農業不況ということもございまして、これまで以上に農産物、特に世界市場の中におけるシェアを回復させようということで、穀物あるいは大豆等中心といたしまして、輸出圧力なり志向を高めてくるというふうに見ております。  しかしながら、我々といたしましてはアメリカにとって一番大きな輸出先国でございまして、特に穀物大豆等につきましては従来より非常に安定的な形で買い付けを行っておりますし、需給の変動の中でも日本買い付けシェアというものはほとんど一五%強から変わらずに、最近では一七%ぐらいを維持しておるということでございますので、一番大きな場面におきます穀物なり大豆輸出圧力という点での直接的な影響といったものは、そう大きくないというふうに見ております。むしろEC等輸出補助金をつけましてアメリカ競争しております北アフリカとかスペインとか、そういうところでの競争がますます激化すると思います。  いずれにいたしましても、全体としてこういう状況にございますので、ほかの産品を含めてもっと買ってほしいということを言ってくることは続くであろうと思います。しかし、今おっしゃいましたように、具体的にどういうものをもっと買ってほしいということにつきましては、いろいろ細かい要求はこれまでよりございますけれども穀物なり大豆については向こうも十分こちら側の買い付けを評価しておりますし、また御承知のように、牛肉かんきつその他十三品目につきましては、昨年春、合意ができまして、現在平穏な状態にあるということでございます。
  13. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 牛肉かんきつ見直しをやるという空気はありませんか。
  14. 眞木秀郎

    政府委員眞木秀郎君) これは一部、オルマーというアメリカ商務次官がプレスの方にそういう意向を漏らしたということは新聞にも出て承知しておりますが、我々が農林水産省として得ておる情報では、商務省の方がおっしゃったわけでございますが、この問題を扱っておるのはやはり農務省でございまして、その方面では新たにそういうことを持ち出してやるということはしない、平穏な状態であるというふうに承知しております。
  15. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 アメリカ状態は大体見当がつきました。  それで東南アジア関係ですけれども、この間、藤尾政調会長東南アジアを歴訪されまして、各国首脳と相当突っ込んだ話をされたようであります。各国の反響も大変いいようですけれども、この状況をちょっと御説明いただきたいと思います、外務省
  16. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 藤尾政調会長一行は、ASEAN五カ国のうちシンガポールを除きまして四カ国を訪問されたわけでございます。  各国からは、もちろん日本に対するこれらのASEAN諸国輸出増大という問題だけでなく、幅広く、日本とこれらの諸国との関係改善経済協力の問題を含めましていろいろお話しになったと思いますが、しかし主眼は、やはりこれらの諸国日本に対する輸出増大希望を表明され たものだと私どもは理解しております。  新聞等でも報ぜられておりますように、タイの骨なしチキンであるとかマレーシアのパーム油であるとか、それぞれ例を挙げますとインドネシアの合板であるとか、あるいはフィリピンのバナナであるとかというふうな、農産物日本に対する輸入がしやすくなるように関税を下げてほしいという希望はございました。  御一行は、この問題は現在日本考えられている市場開放対策の一環として検討しているところである、検討されるであろう、こういうことだけでございまして、特に日本側としてどうするということは先方に伝えてこなかった。しかし先方は、その他幅広い日本の経済問題に関する議論を通じまして、日本側がこれらの諸国との経済関係をできるだけ改善していこうという意欲がある、あるいは姿勢があるということは感じ取ったということで、私どもとしてはこのミッションがこれらの諸国に行っていただいたということは大変よかったことだということを感じております。  木材の問題につきましては、既に四月九日の対策において長期的に考えていくのだということを決めておりますので、その点を先方説明をしてきたということでございます。
  17. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 ついでにこれとの関連で、開発途上国から日本に対して関税を引き下げてもらいたいというような要求が幾つか出ておると思いますが、その状況がおわかりでしたら御説明いただきたいと思います。それからまた、それに関連して特に解決を要するような懸案事項がありましたらあわせてちょっと説明してくれませんか。
  18. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) ちょっと書類を準備してまいりませんでしたが、開発途上国からの日本に対する希望の一番はやはり日本に対する輸出をふやしたいということでございまして、その日本輸出したいという品目農産品が多うございます。しかし、そのほかにも軽工業品等いろいろな品物がございます。まず第一に、そのような関税を引き下げてほしい、あるいは輸入制限がある場合はその制限の枠を拡大してほしいという種類の要望がございます。そのほかいろいろな手続的事項についても要望がございまして、例えばタイでございますが、原産地証明発行基準緩和をしてほしいとか非常に内容は多岐にわたっておりまして、例えば日本輸入に関する手続上の規則の緩和等細かい問題がございますが、これらの問題については、一つ一つできるだけ誠意を持って対応するという態度が必要じゃないかというふうに私どもとしては考えております。
  19. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 それとの関連もありますけれども水産関係のことなのですが、海洋法が施行されまして特に二百海里経済水域問題とか遡河性魚類の取り扱いの問題とかが出てきておりました。海洋法批准国がふえてくるに従って国際法としての性格が非常にきつくなってくると思いますし、将来はこれは必ずや国際法としてゲルテンする領域が非常に広くなると思うのです。今度の日ソ漁業交渉で既にこの問題をとらえてソ連側が遡河性魚類の権利について明確な解釈を出してきましたけれども海洋法主管官庁である外務省はこれをどういうふうに考えておるのか。それから、例えば遡河性魚類解釈などはソ連解釈日本側解釈とがどういうふうに食い違っておるのか、そこら辺をちょっと説明してくれないかな。
  20. 田中謙次

    説明員田中謙次君) お答え申し上げます。  先生御存じのように、海洋法条約におきまして第六十六条というのがサケマス等の遡河性魚種を取り扱っています条項でございますけれども、この六十六条につきましては日ソを含めて長年国連の海洋法会議において協議を行った上ででき上がってきた条項でございます。  若干、六十六条の規定ぶりに明確でない点というものもあることもまた事実でございまして、特に今回の交渉等を通じまして出てきました問題は、ソ連側の言ういわゆる遡河性魚種母川国利益というものと、他方、漁獲国としての日本利益というものの間に考え方の差がございまして、いずれの規定もあるいは考え方もこの海洋法条約の六十六条には書かれているわけでございますが、先ほど申しましたように若干の明確さを欠いているということから、今回の交渉においていわば大きな問題として浮かび上がってきた次第でございます。その結果できました日ソの間の今度の協定というものにつきましては、そういう点を念頭に置きながらも、日ソ両国利害をいかに調整していくかということに両国努力した結果でき上がりましたのが今回の協定でございます。現在この協定に基づいて実体面における交渉が行われている、こういうふうな状況でございます。
  21. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 水産庁がお見えになっておると思いますから水産庁に伺いたいのですけれども、この遡河性魚類の問題で母川国利害の問題が出てくると、どうしても北洋漁業は非常に難しい状況になってくると思うのです。確かにあそこのサケマス回遊範囲日本の船が網を張っている地域ですから、北海道なり奥羽地方から出る魚はほかのもっと南の方から戻ってくるはずだから、そういうソ連要求対応するのに非常に難しくなるような問題がある。  もう一つは、日本漁民が非常に魚をとるのがうまいから、どうしても多少ソ連側指摘するようなとり過ぎの問題もあるかもしれないということで二百海里経済水域の問題との兼ね合いで考えると、二百海里経済水域の中での漁業見直しをもっと考えないと、これは将来やっぱり公海上だからという従来の日本の主張ではなかなか漁獲を保証できなくなってくる。北方水域に出る日本漁民が大変苦しい状態になるということになるかもしれない。これは安全保障上もなかなかゆゆしい問題だと思うのですけれども水産庁のそこら辺の考えをちょっと聞かしていただきたい。
  22. 海野研一

    説明員海野研一君) 今御指摘になりましたように遡河性魚類母川国主義の問題もございますし、その他二百海里体制一般の問題もございます。そういう体制が定着してくるということで漁獲量が減らされる、入漁料が引き上げられるというようなことでいろいろな面で我が国遠洋漁業は各水域で厳しい対応を迫られているわけでございます。水産庁としましては、そのような中でも漁業交渉を粘り強く展開することで我が国遠洋漁業の存続に努めてまいる考えではございます。  ただ、御指摘のように我が国漁業振興、それから国民に対する水産物の安定供給という点では我が国周辺水域を高度利用していくということの必要性がますます高まっているわけでございます。そういう意味で水産庁におきましては、沿岸漁場整備開発でございますとか栽培漁業振興というような形で、いわゆるつくり育てる漁業というものを推進していく、さらに漁港でございますとかその他漁業生産基盤整備沿岸漁業構造改善というような対策を推進するというようなことによりまして、我が国周辺水域における漁業振興を一層図ってまいるという考えでございます。
  23. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 これは非常に重要な問題ですから、今後の特に御努力をお願いしておきたいと思います。  それで、全体のそういう状況の中でサミットにおいてニューラウンドの問題が出まして、ニューラウンド交渉早期開始を行うという話になったようですけれども、どうもニューラウンドについてはフランス中心としてヨーロッパでは甚だ消極的な考えがあるようです。  この間実は東京に見えました前のフランス総理大臣レイモン・バールさんなんかも言っていましたけれども関税を引き下げるということだけではどうも今の日本ヨーロッパ間の貿易摩擦というかヨーロッパ貿易赤字の解消には余りならないのじゃないか、そんな関係もあってニューラウンドについて余り関心がないような空気をちょっと感ずるのです。彼らの考え方はどちらかというと具体的に製品の輸入率を決めるとか、輸入率拡大達成目標にしろとか、あるいは具体的な赤字減らしの数字を出せとか、何かそういうような話になってきているような風潮もあると思い ますけれども、このニューラウンド状況をどうごらんになって、今後これをてこにして日本はどういうふうに貿易摩擦の問題に対応しようとしているのか、本当は総理ぐらいに聞かなきゃいけない問題かもしれないけれども
  24. 大木正吾

    ○小委員長大木正吾君) きょうは大臣がおりませんから、恩田経済局次長
  25. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 先生指摘のとおり、フランスニューラウンドの問題について日本あるいはアメリカ等とは若干違った考え方を持っているというのは事実でございまして、ただフランスの言っているのは、先生の御指摘のとおり、単に貿易制度だけでなく通貨の問題も同時に議論しないとなかなか効果がないではないかとか、あるいは農業問題をどう扱うのかとか、あるいは開発途上国を十分納得させてニューラウンドに参加させなきゃいけないのではないかとかということでございます。しかし、サミットにおいてはニューラウンドについてはむしろ合意点があった、その合意点があった点がむしろ注目すべきではないか、私どもとしてはかよう考えております。  サミット合意された点というのは、まず新ラウンドが必要であるという点については合意しております。これはフランスを含めましてニューラウンドは必要であり、これは保護主義防圧し現存保護制限緩和、撤廃する方向で努力するべきである、この点については早期にこの問題の議題についてはフランスを含め一致があったと思うのです。問題は、交渉の時期をアメリカないし日本が言うように一九八六年の春であるとか、八六年中であるとかという点について、今時期を決めるのは早い、それよりも先に内容議論するべきではないか、こういう違いでございます。しかもその時期を決めるについても、今度のサミットの宣言にもございますように、ほとんどの国がニューラウンドは八六年中にやるべきであると考えているということでございまして、その意味ではニューラウンドに関する前進があったというのが私どもの判断でございます。  ニューラウンドを今後もし来年中に交渉を開始するということのためにはさまざまなことが必要でございまして、その一つはもちろん先進国間の足並みをそろえることもございますが、開発途上国がこれに参加してくるということを確保するということでございまして、これにつきましては今月の十三、十四日にジュネーブでガット主要国のCG18という会議がございまして、そのとき新聞報道ではニューラウンドについてのどうも合意が得られなかったというふうなネガティブな報道もございましたが、私どもとしてはむしろそこで開発途上国サイドにも、ASEAN諸国を含めましてニューラウンドというものの意義を認めるという国々が出始めてきている、他方ニューラウンドについて厳しい態度をとっていたインド等もニューラウンドは反対であるという明確な意思表示をしなかった、こういうこと等を考えまして、ニューラウンドについてそう悲観的な判断を持つ必要はないのではないか、かように考えております。  サミットの宣言では、今年夏が終わる前に高級事務レベルの準備会合を開くことが有益であるということになっておりますが、これが開かれるかどうかがニューラウンドが出発できるかどうかのかぎになるわけでございます。この点につきましては、今後六月中旬にストックホルムで開かれます主要国の会合、また七月に開催する予定になっておりますジュネーブでのCG18の会議等々のステップを踏んで一歩一歩実現の方向に向かっていくよう私どもとしては期待しております。ただ、これが果たして実現するかどうかにつきましては、もちろん現在難しい問題もございますのではっきり予想は立てられませんが、先生のおっしゃるとおりのような、非常にもうだめだということであきらめなければならないという状況にはなっていないというのが現実ではないかと思います。
  26. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 それで、一連のそういう各国の対日要求状況なんか見ておりますと、日本の国家が輸入志向型の社会になってくれることを非常に望んで、盛んな意見が出ておると思うのです。これは国家の安全保障という観点からすると、輸入志向型の社会がうまくできてしまった暁には相当いろいろ我々としてもできることがあろうと思う。そこへ導く過程において、これは後から金融問題等でもちょっと大蔵省の意見も聞かしてもらいたいのだけれども、変革がなされていく過程ではどうもやっぱりいろいろと向こうの無理な注文に対して日本が苦しい立場に立っておって、政治的に我々もこれをサポートしなければいかぬのじゃないかという気がしておるのです。その一番いい例が輸入割り当ての残存品目状況と、これを減らせという外国の要求、あるいは市場参入の制限を撤廃しろというような要求がずっと出てきておりますけれども、外国の状態、例えばアメリカとかフランス状態と比較して、日本がそんなに輸入割り当てが厳しかったり市場参入の制約がきつかったりしておるものかどうか、この辺はどうでしょう。これは通産省とか農水省でわかりますか。
  27. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 今のところ詳しい資料をここに携えておりませんでございますが、むしろ農林関係物資等の関係もございまして、農水省の方で何かつけ加えていただければと思いますが。
  28. 眞木秀郎

    政府委員眞木秀郎君) 現在の輸入割り当て制でございますが、日本で全部で二十七と承知しておりますが、そのうち二十二が農林水産省所管物資でございます。これにつきましては、世界各国それぞれの農産物の生産の事情なりあるいは流通実態によって異なっているわけでございますが、いずれの国もそれぞれの実情に応じた形での農業保護、国境の保護措置をやっているわけでございます。その中で例えばECでは、共通農業政策によりまして約六十品目農産物に対して輸入課徴金を課しておるわけであります。  そのほかにそれぞれの国で、例えばフランス、イタリア、ドイツ等々は、一般的な輸入課徴金制度に加えまして残存輸入制限品目という数量割り当て制を実施しております。例えばフランスでは、馬、羊、ハチみつ、バレイショ等につきまして十九品目輸入割り当て品目がございますし、西ドイツも三つ、イギリスにもバナナ等がございます。また、アメリカにつきましても十三品目について輸入割り当てをやっておるわけでございますが、これは約三十年前にガットに入りますときに、ウエーバーという自由化義務免除をとっております。しかし、その後三十年間自由化努力をせずに今日まで至っておるということで、この点についてもまた一つ問題点になっておる現実でございます。  そのほか、何らかの形で輸入制限をしておる品目、例えば精製糖につきましてはいわゆる輸入割り当て制そのものを実施しておるということでございまして、これらを全部比較いたしますと、日本の場合これが必ずしも過保護と申しますか、保護の程度が高過ぎるということには当たらないと我々は考えているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても需給事情その他状況の変化に応じまして適切に、かつ慎重に対応していく必要があろうかと考えております。
  29. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 今の問題は非常に重要なので、国内の皆さんにもよくわかるようにかねてPRをしてもらいたいと思います。  これは外国に対しても政府の要路者とか当事者でなくて、外国の新聞世論の中にもこういう問題が日本で関心を払われているということは、外務省も努めて政治上の争いのもとにならないように宣伝をしていただきたいと思います。  それで、今の輸入品の価格の問題についてちょっと話を進めたいと思いますけれども、この小委員会アメリカ代表なりECの代表から話を承ったときに、皆さんが軌を一にして言われるのは、外国から日本に品物が入ってきて、日本で売られている値段を見るとどうもえらい高いと言うのです。外国のものより物によっては三倍も四倍もしておる、これは日本の流通機構が問題じゃないかと私どもは思っていると彼らは言うわけです。それは日本の歴史的な状況とかあるいは日本社会の特徴が原因になっているのだろうけれど も、しかし流通機構を何とかしてくれないと、我々は日本に品物がなかなかうまく売り込めないというようなことを盛んに言うわけです。  例えばこういうことを言っていました。機械工具とか工作機械というのは関税は完全に撤廃されておりますけれども、交換する部品とか附属品は関税がかかっております、だからこういうのは不公平ですとか、あるいは国産ワインのラベルが外国に似せてつくってあって、一般の日本の国民の方は外国のワインか日本のワインかわからないでお買いになっているのじゃないですかとか、多少こちらにとっては失礼にわたるようなことも言っていました。あるいは化学製品に関しては、日本の法律の中に、検査をなしで通せる認可成分のリストというのがあるのだけれども、それが国際的なポジティブリストとして出されているものを見ると、イタリーなどに比べて半分ぐらいしかない、そのポジティブリストに含まれてないものについてはケース・バイ・ケースで検査が求められてえらい時間がかかると。これは通産省なのだろうか、それとも厚生省なのだろうかわからぬけれども、そういうことも苦情が出ておりました。  輸入志向型社会をつくろうという我々の意図があるわけだけれども、こういう問題に対する対応というのは、やっぱり国内政策上非常に重要な問題だと思うのですが、通産省が代表して考え方をちょっと出してもらいたい。
  30. 山下弘文

    説明員(山下弘文君) 先生指摘のとおり、外国の方々から日本の流通機構が複雑でわかりにくいということはよく言われるわけでございます。その中身は必ずしも明確でございません。今先生指摘の具体的なテーマというのは、必ずしも流通機構の問題というよりはむしろいろいろな制度の問題でございまして、複雑だと言われるときの中身というのは必ずしもわかりませんけれども、確かに私どもの見ておりますところでも、日本の場合に小売店の数が非常によその国と比べて多うございます。  例えば、人口一万人当たりの商店の数というものを計算してみますと、日本の場合には大体百四十五店ほどございます。それに対して、例えばアメリカでございますが五十三店ぐらいというようなことで、この数字一つとりましても人口の数に比べて日本の場合には小売店の数も多い。必然的に小売店の規模も平均的には小さいというようなことになっておるわけでございます。そういうかなり多くの小売店に対して物を届ける、そういう部分が流通機構の役割でございますけれども、そこのところがそういう状況の中ではかなりよその国から見るとわかりにくい構造になっているというようなことがあろうかということは一つございます。  それからもう一つ、実際の取引の慣行の面でいろいろ外国の方にとってなじみにくい慣行があるのではないかということも事実かと思います。例えば、返品というようなことがある程度日本の場合には行われている。アメリカなどの場合には、一回買ってしまえばそれは全部小売業者の責任というようなことがあろうかと思います。  そんなことでいろいろ違いはあるわけでございますけれども、全体として日本の流通機構が非効率なのかどうかというところはなかなか測定しにくい分野でございます。先ほど申し上げました小さい小売店まで物を届けるという機能を果たす上で、それなりのコストはかかっていくというようなことではないかと思います。  ちなみに、一つの試算でございますけれども、消費財で、最終的に消費者に届く価格の中に幾ら流通機構のコストが入るかというような比較をしてみますと、例えば日本の場合には、最終価格一〇〇に対しまして三三%が流通コストとしてかかっているというような試算がございます。それに対してアメリカを計算してみますと四〇%、三九・五という数字になるというような企画庁の試算もございます。そういうことでございますので、必ずしも流通機構が複雑なるがゆえに流通マージンが積み重なって一般的に日本の場合に物が高くなるというようなことではないのではないだろうかというふうに思っております。  それから、輸入品の問題でございますけれども、実際に輸入品が今どういうふうに流れているかということを眺めてみますと、日本の国産品の場合よりはむしろ簡素化された格好でいろいろ工夫されて流れておるというのが実態ではないかというふうに思います。私どもといたしましても、流通機構全体をすっきりしていくということは全体として大変重要な課題だと思っておりまして、情報化の中でいろいろ情報ネットワークというようなものを使って流通機構の合理化を推し進めていくというようなこと、あるいは物流を合理化していくというようなことを今やっておる最中でございます。
  31. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 経団連の稲山さんじゃないけれども、余り外国から入れてもうまく使えるものがないのだ、日本のもので大体間に合っているのだというのは間違いないのだけれども、しかし、やっぱり輸入志向型社会にしていかないとこれからの長い世界の中での日本の生存というのは確保できないのではないかという感じもするわけです。しかし、我々がふだん気がついていない領域で随分外国から物を買っているところがあると思うのですが、特に農業関係等はその甚だしいものだと思います。  それからもう一つは、防衛関係でも、これは日本では特にジャーナリズムが防衛問題を扱うのが嫌いだからはっきりしないけれども、相当武器や弾薬をアメリカなどから買っているように思います。これは国産化をしなければ自衛力の維持は本当にはできないという問題もあるから、必ずしも外国から輸入するという問題ではないけれども、防衛関係でこれは主としてアメリカでしょうが武器その他を買っておる状況、金額で大枠でいいからちょっと説明ができるなら説明していただきたいと思います。
  32. 猿渡聰一

    説明員(猿渡聰一君) お答え申し上げます。  現在、私どもの武器、弾薬、航空機、艦船等装備品をかなり買っておるわけでございますが、五十八年度の実績で申し上げますと、調達総額が一兆四千二十九億円でございまして、その中に輸入調達、これは商社を通ずるものと米政府から直接買うものと二通りございますが、これが一千三百五十六億円、割合でもって九・七%になっております。また、その他の国内調達の中にいわゆるライセンス生産と申しまして海外のものを技術導入により生産しているものがございますが、代表的なもので申し上げますと、F15、P3Cというのがございまして、F15につきましては、そのうち国産化率は六十年度で約五四%、P3Cにつきましては約七八%とかなりの部分の輸入部分がございますので、その面を加えますとさらに大きくなるということが申せるのではないかと思います。
  33. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 そういうことですから、いろいろなものを買ってやっていかなきゃならない国なのだから、買っていますよという話ももう少しアメリカの国会議員なんかにも説明してやらなくちゃいけないような気もしております。  ただ、ここで心配なのはさっきから言っていますように、余り政治的に注文がわあわあ出てくるのに引きずられてこっちが譲歩しなくてもいいところまで譲歩してしまっては、これは歴史の後代に申しわけないことになるわけですからそこら辺のことを考えなくちゃいけない。  それで問題になるのは金融の自由化なのですね。金融の自由化、国際化というものがアメリカとの関係で言われ始めて、これは中曽根総理の言い出された、あるいはレーガンとの話し合いで決められたことが発端だと思うけれども、円ドル自由化対策について日米合意しましていろいろな対策が出てきておるわけです。相当日本は積極的にこの合意に従って改革を行っておるわけです。いずれ六月になればフォローアップ、つまり履行状況調査を発表するということも言われておりますけれども、この状況についてちょっと大蔵省から説明してください。
  34. 大橋宗夫

    政府委員(大橋宗夫君) 金融の自由化につきましては、先生ただいま御指摘のとおりアメリカと の間の交渉ということも踏まえて実行しているわけでございますけれども、これはそもそものところから申しますと、我が国の中に既に金融の自由化を進めていかなければならない要因というものがあるわけでございまして、その状況が急激な変化となってあらわれないように漸次、漸進的にこれを進めていくというのが正しい道ではないかと思っているわけでございます。しかし、現象的には円・ドル委員会報告書ということで対外的な約束という形の面もあることは事実でございます。先生指摘のとおり、この六月の中旬に円・ドル委員会のフォローアップ会合というものが予定されておるわけでございますが、この場におきましてはこれまでにとられました措置並びにこれらの措置影響を見ながら、今後自由化を進めていくというような考え方説明するということになろうかと思います。  具体的に申しますと、昨年の秋にフォローアップ会合がございましたが、その後とりました措置といたしましては、外国銀行の公共債ディーリングの認可、外国銀行の信託業務への参入基準の公表等を実施いたしましたが、本年に入りましてからもMMC、市場金利連動型預金の導入、それから譲渡性の定期預金でありますCDの発行条件の一層の緩和等措置を講じております。また、本年中に実施が予定されているものといたしまして円建てBA市場の創設等があるわけでございますが、こういうものを説明するということになろうかと思っております。
  35. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 その円建てBA市場とかTBの市場とか新しい市場がどんどんつくられたりしてきておりますけれども、一説によればそれにオフショア市場も東京でつくるというようなことになってくるのじゃないかと言われております。そうなると、金利の自由化も相当な勢いで進展せざるを得ないと思うのです。従来日本の金融政策は俗に言う縦割り方式というような形で、大蔵省が証券は証券、銀行は銀行というふうにリードしておられたように思いますけれども、外国の金融機関が日本に入ってきて外国のような形で金融市場に振る舞わせてくれということになると、今の金利の自由化の進展とともに金融市場の関係者が大分頭の痛い問題が出てくるのじゃないかと思うのです。少し私はテンポが速過ぎるのじゃないかという気もするのです。この辺はまあ円ドル自由化の約束もあるのだろうけれども、大蔵省の対応は今の状況についてどのようになっているのでしょうか。
  36. 大橋宗夫

    政府委員(大橋宗夫君) 自由化のテンポが速いかどうかということになりますと、実は金利の自由化が一番基本的なところになろうかと思いますが、金利の自由化の非常に大きな影響が出ますのは小口預金金利の自由化でございます。  その点につきましては、私どもとしましては大口預金金利の自由化を進め、それから小口預金金利に移るという段階をきちっと踏んで進めてまいりたいというふうに思っているわけでございまして、自由化のテンポが速過ぎて何か不安が起こるというようなことのないように慎重に進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、ただいま先生の御指摘の点は、外国の金融機関が日本に参入する、そういたしますと、外国でやっておりまして日本ではできない業務についての要求が強くなるのではないかというような御指摘だったと思うわけでございますけれども、この点につきましては、金融の自由化の進みます中で、あるいは従来の日本の金融機関同士の中でも業務の問題についてはいろいろと検討しなければいけない問題が生じてくるというふうには予想されておるわけでございます。私どもといたしましては、この金融自由化の進展の中で何らかの機会にその検討をしなければいけない時期が来るというふうには考えておりますけれども、その場合におきましても、我が国の金融制度の歴史的な経緯等に十分配慮しながら漸進的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  37. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 大体大ざっぱに一とおり走って経済摩擦の問題を見てみたのですけれども、やっぱりくれぐれもひとつ各省で輸入志向型の社会が生まれるような御努力はいただかなきゃならない。これはもう十分御配慮のこととは思いますけれども、あくまで日本の主体的なべースが崩れないようにやっていただきたい。あなた方の事務的な積み上げが初めて政治決定の期礎になるわけですから、きょうは大臣を呼んで政治的な話をするというよりも、むしろ積み上がってきたそういう過去の経緯を承って今後の考え方の参考にしたいと思ったわけです。ひとつ今後とも御努力をお願い申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。これで終わります。    〔小委員長退席、大坪健一郎君着席〕
  38. 大木正吾

    大木正吾君 大変たくさんの方においでいただいておりまして恐縮でございますが、先ほど大坪委員からも話が出ましたとおり、この委員会は三月以来ずっと、マンスフィールド・アメリカ大使あるいは大來特別委員会委員長、さらにはアメリカASEANEC等代表にもおいでいただきまして、貿易摩擦問題を中心としました国際経済問題についていろいろな議論をしてまいりました。特に七月のアクションプログラム、行動計画が出るまでに国会が一応会期が終わりますので、そういう関係委員会としまして中間的なものをまとめて六月の末ぐらいには政府問題点提出をしたい、こういう気持ちもございまして、こういったきょう忙しい中をおいでいただいたわけですが、経過とあわせまして私の方の意見も若干まじえながら少し質問さしてもらいたい、こう考えておりますので、ひとつお含みいただきまして、できる範囲で御答弁願いたいと思っております。  最初に、一般的な状況の認識についてでございます。これは外務並びに特命担当あるいは大蔵、経企等から伺いたいのですが、ボン・サミットの国際公約の厳しさというか、あるいは誠実さといいましょうか、そういった意味合いのことは従前のサミットの一般的なまあまあムードといいましょうか、ちょっと言葉が悪いのですけれども、メモランダムとか、そういったものじゃなしに、相当中曽根総理ははっきり物を言って帰ってきておられますので、そういう点をひとつ頭にしっかり置いていただきたいことがあります。  二つ目には、やっぱり大來委員会報告自身がアメリカ問題を中心に取り上げた傾向がございますけれども、相当積極的にアクションプログラムまで含めた実行を政府に迫る、要請するというような方向になっていますから、これも国内的にはかつてなかったことだと私たち認識しておるわけであります。これが二つ目の問題です。  三つ目の問題は、最近特にアメリカの経済状況の変化が幾つか見られるわけですね。一―三の経済計画の最終下方修正をするということがあったり、公定歩合が〇・五%引き下げられたり、今話題になっていますアメリカの国会の方では上下両院で国防費の削減問題が出ているわけです。こういったこと等も頭の中に参考に置きながら、問題はやっぱりボン・サミットの国際公約というべきものにつきまして、相当例えば結果が問われるというような話も随分と強調されているわけでありますので、特命室あるいは大蔵、外務、経企四省庁代表の方から、国際貿易摩擦問題については、行動計画についてはやっぱり中身のあるものでなければ事態を乗り切れない、こういう認識というふうに受けとめているわけですが、そういった認識で皆さん方も取り組んでいるかどうか、その辺を四者からまず伺ってみたい、こう思っています。
  39. 海野恒男

    政府委員海野恒男君) 先生指摘のように、現在の我が国における最大の政策課題と申しますのは対外不均衡を是正していくということであると思います。そして御指摘のように、アメリカ経済が現時点では多少数字が下がってまいりましたけれども、まだ去年あたりの余波もありまして多少景気がいい段階であるという状況でありますので、その厳しさは比較的、比較の対象といいます か、尺度にもよりますけれども、厳しい度合いは今後に比べますと相当まだまだなまぬるいような状況ではないか。  つまり、これからアメリカ経済が次第に景気後退に入ってまいりますと、失業率も上がってくる、それから農業政策等の影響を受けまして対日輸出が非常に農産物等を中心にして圧力がかかってくるというおそれもあるということを考えますと、今後もし我が国が現在考えております行動計画、市場アクセス改善のためのアクションプログラムの中身を相当詰まったものにしないと事態は非常に厳しい環境の中に置かれるという認識を私どもは持っております。したがいまして、七月に策定を予定しておりますアクションプログラムの中身を、各省がそれぞれの立場から非常に満足すべきような内容のものにしてくださらないと、大変厳しい環境に我が国は置かれることになるであろうという認識を持っています。
  40. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 今特命室の方からお答え申し上げたことと同じでございますが、現在、御承知のように我が国の経常収支、貿易収支は大幅な黒字になっておりまして、それにはドル高であるというような日本側として必ずしも直接的なコントロールの手段を持たないような要因による面も大きいことは事実でございますし、その旨は機会あるごとにアメリカあるいは諸外国に対して申しているところでございますが、同時に、アメリカを初めとしましてEC諸国あるいは東南アジア諸国等から、日本の市場をもう少し入りやすいものにしてほしいという要望が強く出ております。  四月九日に発表いたしました対外対策の中で、今後さらにアクションプログラムという形で、具体的なやや中期的な視点に立った行動計画をつくるということを内外に発表いたしまして、その点が評価をされて、現在のところは例えばアメリカ議会等における対日批判の空気もやや一時よりは和らいでいるようでございます。しかし、これは今度つくりますアクションプログラムがどういうものであるかという内容次第によっては再び大きな問題に展開する可能性があると思っております。また、外国の批判がどうであるこうであるということとは別にいたしまして、私どもとしまして約束をしましたアクションプログラムについては、外国から十分評価されるようなものにするために、今各省の御協力を得ながら検討を進めているところでございます。
  41. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 我が国は先般のサミットにおきまして、その宣言にも書いてございますとおり、「金融市場の規制緩和、円の国際的役割の増進」に加えまして、「市場アクセス改善及び輸入増加の奨励において一層の推進を図る考えである。」かように表明してきたわけでございます。これがサミットにおける日本政府の意図の表明でございまして、サミットにおいて我が国の大きな経常収支の黒字に対する批判が予想されたほど厳しくなかったという評価もございましたが、それは我が国が七月にアクションプログラムの骨格をつくるということで対外的に発表しているからでございます。私どもとしてはこのアクションプログラム日本の経済の発展のためにも、また、対外経済関係の円滑な推進のためにもこれを有効なしっかりしたものにする必要があると考えております。
  42. 北村恭二

    政府委員(北村恭二君) 現在の対外経済摩擦の背景といたしまして、一つは米国経済の拡大、ドルの独歩高及び一次産品価格の低迷等の海外の要因を主因といたしまして我が国の経常収支黒字が大幅なものになっているということが一つあろうかと思います。  それから、我が国が累次の市場開放努力というものを国内としては続けてきているわけでございますけれども、諸外国において我が国の市場が閉鎖的であるといったような誤解が依然として強いのではないかということが対外経済摩擦の背景にはあろうかと存じます。  先ほど先生お触れいただきましたように、先般のボン・サミットにおきましても我が国のとるべき立場といたしまして、「財政面での規律及び、特に投資を促進して行くための市場機能の強化の政策を堅持することが必須と考える。日本政府は、金融市場の規制緩和、円の国際的役割の増進、市場アクセス改善及び輸入増加の奨励において一層の進展を図る考えである。」ということをボン・サミットの経済宣言で触れているところでございます。  我が国といたしまして、こういった市場アクセスのより一層の改善輸入拡大の奨励といいましたことを積極的に推進していくことを努力していくということが何よりも大切ではないかと思っております。したがいまして、今後とも四月九日の対外経済対策の着実な実施、特にアクションプログラムの策定といったことを通じまして市場開放策を進めていくということが肝要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  43. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっと具体的なことに入らさしていただきますけれども関税問題が一つ大きな問題であるわけです。先ほども大坪委員からお話がありましたとおり藤尾ミッションの動きですね。この委員会でも実は京都精華大学の教授で来られておる方からASEAN代表という資格でもって話をいただいたので、そのときに例の骨なし鳥肉の問題がまた問題になりまして、何かいつもこれがASEANアメリカとの差別の問題等々と見られているわけですけれども、そういったことが一つ。こういうようなことについて具体的に今度の場合には解決のめどが立つのかどうかということです。  それから、同時に関連しまして、EC等からは最近の新聞報道の一部ですが、ウイスキー等で百二十八品目関税問題を持ち込まれているという記事がございますね。それから、同時に工業品関係では、これはアメリカ中心でしょうけれども、現に五十数品目協議に入っているわけです。こういった問題についての見通し、まあ答えにくいかもしれませんが、進行状態として行動計画を示すのですからあいまいなことではいけないという感じがいたしますので、まず大蔵省の関税局長は来ているかな、大蔵省から答えてもらいましょうか。
  44. 山崎高司

    説明員(山崎高司君) お答え申し上げます。  最初に、タイの骨なし鶏肉について先生が御言及なさいましたけれども、藤尾会長が行かれましてタイ首脳と話し合われました際に、この問題は当然取り上げられたわけでございます。ただ、何分にもまだ政府の政策としては答えが出ていない問題でございますので、先方のお気持ちを十分お聞きになられ、かつ国内のいろいろの困難にもかかわらず、真剣にこれを検討するという趣旨のお答えをなさったというふうに了知しております。したがいまして、従来から懸案になっておりますこの問題につきましても、かなり早い時期、具体的には六月末のASEANとの閣僚会議が予定されておりますけれども、それまでの間に何とか結論を出すように努力したいというふうに政府考えているところでございます。  なお、ただいまお話のございましたように、ECその他の各国からもいろいろの要請が出ていることは御高承のとおりでございます。一口に申しますと、関税率といたしましては、私どもこれまで累次の開放政策をとってまいりました結果、関税水準自体は諸外国に比べまして低い、特にほかの先進国に比べますと極めて低い水準になっているのは事実でございますが、ただ、これまで累次御質問及び御回答にございましたように、日本の大幅黒字を背景にいたしまして、日本に対してかなり強い要請がなされているのも事実でございます。そうした中で、この四月九日の対外経済対策におきまして、個別品目の引き下げ及びアクションプログラムの骨格づくりという方針が打ち出されたわけでございます。アクションプログラムの骨格は七月までに策定するということが決まっております。これらにつきましてはまだ具体的に御説明できる段階に至っておりませんけれども、大蔵省におきましても物資所管省庁と十分協議しながら対処してまいる所存でございますし、関係省 庁におきましても限られた期間でございますので、今真剣に取り組んでいる実情でございます。
  45. 大木正吾

    大木正吾君 同じ問題について特命室の方から。今、各省庁恐らく横断的にやられているわけでしょうが、進行状態関税問題等はどうですか。
  46. 海野恒男

    政府委員海野恒男君) 今、大蔵省の方から御答弁になりましたように、各省庁で真剣な検討が行われているというふうに聞いておりますけれども、このアクションプログラムというのは、もともと各省庁がこのアクションプログラムに含まれる分野といたしまして、関税輸入制限基準認証輸入プロセス、それから政府調達、金融資本市場、それからサービスという六つの分野を含めるというふうに決めておるわけでございます。それぞれの分野につきまして各省庁が自分の所管する分野について、あるいは項目につきましてヒープスタディーをといいますか、掘り下げた検討をしていただく、それを最終段階で取りまとめていくという形の作業計画になっておりますので、現時点では私ども承知しておりますのは、各省庁がそれぞれの自分の所管する分野について検討を進めている段階である。六月の下旬になりまして、その中間報告というものを推進本部で聴取することになっておりますけれども、現在時点では私どもは具体的な内容についてまだ伺っておりませんので、御報告するような段階に至っておりません。
  47. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにしましても、そういう言葉ではまことに心もとない感じがいたします。  これは正式に書類をちょうだいしておりませんが、国内的な内需絡みの問題への規制緩和関係は二百十七項目、これは恐らく海野さんのところの担当じゃないかもしれませんけれども、総務庁の内部でもって検討対象項目というものを調べ上げた記事をちょっと拝見しているのですが、いずれにしても今お話しのあった六項目ですね、そういった問題について、特に関税問題、さらに輸入制限基準認証といった形のもの等々につきまして、今度ばかりは何かあいまいな日本語でもって外国人がわからないような答えを出すというわけにいかぬでしょうね。そうすると、できるものはできる、できないものはできないという形で、そうして最終的に市場開放してみても、どうでしょう、二十億という話もあるし、三十億ドルぐらいいくかという話もありますし、最終的にこれがどの程度貿易摩擦緩和に役立つかということはちょっとわからぬわけですな。となると、今度はどうしても貿易のインバランス問題ですから、市場開放問題から内需問題に入っていかざるを得ぬ、こういう状態に発展するだろうと思うのです。  ですから、その辺の問題について特命室にもう一遍これは聞きます。六月の下旬に話を待つということですが、今の大蔵省からの関税問題の一つの例としての骨なし肉の問題につきましても、例えば私自身は参議院に籍を置くから割合に物は言いやすいのですが、恐らく今の小委員長の立場からすれば、そう簡単じゃないぞと、自分の選挙区の関係もございますからね。つい最近のテレビ討論会で川崎寛治君が社会党から出ておりまして、彼は九州の鹿児島出身で産地ですね。結局、彼の意見を聞いていますと、絶対にこれはもう自由にしちゃいけない、こういう話でもってたしか討論しておったと思うのです。私と同じ会派ですけれども意見が違うのです。  ですから私はやっぱり、そういった産み出す経過の苦しみなり意見の違いというものはあろうかと思うのだけれども、いずれにしても特命室が中心となってもう少しこれは中身を急いで詰めていかないと、何か中曽根さんの話が、新聞記事等を拝見しますと、あの方は割合に、原則自由とか例外制限とかうまくいく言葉をつくったり、同時に、これをやらないと困難だというような意味の言葉が新聞記事の中に出てきていますね、最近の二十日ごろの新聞ですか。そういうようなことがありますので、やっぱり我々の心配しておったとおりの進行状態であるなという感じが市場開放の全体的な面でするわけですけれども、どうでしょう、もう少し入りまして、通産省なり農水省等で今話題になっていますような問題について、前進的な面での方向で検討しているのがございますか。農水なり通産から意見があったら聞かしていただけませんか、関税問題とかあるいは輸入制限問題等について。  もっと具体的に言いましょうか。じゃ、政府調達問題について各省庁ずっと、ここに五、六人おられますけれども、これは自分の足元の問題ですから、何か買えるものがあるかどうか、そういった話も内部ではしておりますか、おりませんか。
  48. 海野恒男

    政府委員海野恒男君) 例えば政府調達、先ほど申しました六つの分野の中で、政府調達だとか基準認証問題、それからサービスといったような分野、特に例として御指摘になりました政府調達は各省極めて共通した分野でございますので、ただいま私どもの部屋で連絡の窓口になりまして課長会議を実は昨日開きまして、そして、この分野での市場開放をどの程度進められるかということの会議を開きましたのですが、この政府調達の分野では二つの宿題がございまして、一つは、主として今まで随意契約であったような契約の仕方を一般公開の、つまり外国の人たちも参入機会が持てるような契約制度にするということが一点と、それからできるだけ政府が購入するものについても外国製品を積極的に可能な限り購入するという二つの宿題が入っておるわけでございます。これは省庁が小さかろうが大きかろうがまず同じものでございますので、私どものところで世話役になりまして、現在課長レベルでの会議を始めているわけでございますけれども、七月の末までに骨格をつくることになっております。  先ほど申しましたように、六月の下旬時点で対外経済対策推進本部という総理が本部長になっております推進本部で、各省庁はそれぞれの分野について自分たちの作業の中間報告というものをすることになっておりますが、こういった分野は、各省庁政府調達の分野についてやるかあるいはまとめて内閣官房で御説明するかは別といたしまして、共通している部分については内閣官房ないしは経済企画庁が中心になって取りまとめの第一次アプローチをしております。しかし、関税だとかあるいは資本とか金融の分野は大蔵省の専管でもございますので、そういった専管の分野についてはそれぞれの省庁にお願いする、共通の分野についてはそういう世話役を中心にして検討するという態勢で現在検討をしている最中でございます。
  49. 大木正吾

    大木正吾君 通産省からちょっとコメントしてもらえませんか。大分意欲的に大臣が六十社集めて会議を開いたり、これはもうあくまで新聞記事でしかありませんが、輸入促進税をつくるようなアプローチをするとかこういったことが出ているのです。通産として税制に踏み込んでの話ですからちょっと大蔵との調整が進んでいないでしょうけれども、少し、輸出の多い企業に対する部品の購入問題とかいろいろな機械の問題だとか出ています。そういった問題について検討している模様がありましたら知らせてくださいませんか。
  50. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) まず、先ほど来の関税政府調達問題についての御質問でございますが、基本的には、先刻来答弁いただいておりますような形で私どももその一メンバーとして検討させていただいているところでございますが、その姿勢をということでございますので、ダブリになるかもしれませんが、一言申し上げますと、関税につきましては先ほどのお話にもございましたように、各国政府等から工業製品についても種々の要請が投げかけられてきているところでございます。先般の政府・与党対外経済対策推進本部におきましても、アクションプログラムの中に工業品の関税、特恵制度の改善等の項目を盛り込むという基本方針が決定されておりますので、通産省といたしましても、この決定を踏まえまして七月末までに鉱工業品の関税を含むアクションプログラムの骨格を作成するという方向で、アクション・プログラム策定委員会をつくりまして検討を進めているところでございます。  同様、政府調達につきましても、内外無差別の原則によりまして外国供給者にも入札競争参加の機会を与えるということ、国内法令、慣行などを透明なものといたしまして、外国業者の参加を容易にするといったような観点から、随意契約手続の運用の抜本的な見直し競争契約手続の運用の改善、資格審査事務の運用の改善等、契約手続改善等について先ほどのフレームワークの中で検討を続けているところでございます。  あと、輸入課長にお答えいたさせます。
  51. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) 先生から御指摘のございました通産省で行っております製品輸入拡大の現在の状況を一、二申し上げたいと思います。  四月九日の政府の決定の中に、製品輸入拡大を進めろということで幾つかの項目を入っておりますが、その一つに産業界に対して製品輸入拡大を要請しようという点がございます。これを踏まえまして、通産大臣から産業界広く製品輸入拡大の要請の文書をお出ししております。それに加えまして、特に重要な六十の企業につきましては、特にその企業のトップの方に通産省においでいただきまして、大臣みずから輸入拡大への協力をお願いしております。この今回の要請といいますものは、関係企業がそれぞれの英知を結集しまして、各企業のそれぞれ置かれた状況におきまして最大限の工夫を凝らしていただくということをお願いしておるわけでございます。そういう観点から、各企業における輸入拡大の責任者の方を決めて体制をおつくりいただきたい、また、具体的にどういうふうに製品輸入拡大をしていくかという、そういう計画をおつくりいただきたいということでお願いしておるわけでございます。  主要企業の経営者の方々我が国が今置かれました厳しい状況、自由貿易体制が脅かされている状況をよく認識されておりまして、そういう状況を踏まえて、今申しました輸入拡大のための計画作成、またはその実施に全力を結集して努力していただけるものと期待しております。  四月九日の決定では、このほか例えば国民の方々に広く製品輸入への協力といいますか、関心を持っていただきたいというようなことをキャンペーンするという点もございまして、その点は四月以来早速繰り広げてまいった点でございます。さらに、消費者に広く輸入製品に接していただくように見本市を開催すべきであるという点も現在鋭意準備しております。等々、製品輸入拡大のために日々取り組んでおる次第でございます。
  52. 大木正吾

    大木正吾君 結局、とことんまで話は詰めてみても、恐らくさほど輸入がふえないのではないかということは考えられますし、同時に日本製品は割合優秀ですからね。そういう意味合いでなかなか難しい問題ですが、いえば機械類関係輸出が七割ぐらい占めている状態ですね。それに対して、今度は外国の方からは農水省絡みの一次産品などが割合に売り込まれる状態になるわけですね。そうしますと、どうしてもとことんまで、今お話ありましたように、輸出関係の産業、企業の方々に買えるものについては努力してみてもらうということは非常に大事な問題だと思うので、その辺をぜひ通産省にさらに御努力をお願いしたい、こういうふうに考えている問題点であります。  次に、委員長、続けてよろしゅうございますか。――先ほど大坪委員もおっしゃったのですが、農水の方からちょっと伺ってみたいと思います。  結果的に、一次産品に対しましてアメリカの動きもありますが、同時にASEAN、同時に新ラウンド絡みの今度のボン・サミットの動き等々もあるわけです。農水省としましては先ほどの水産物関係は大変な問題ですけれども穀物中心としました輸入問題については、いえばこれ以上のことはできないという心境で物を見ておられるのか、あるいは買えるものがあったら少しは買おうじゃないかという気持ちなのか。骨なし鳥肉の話は先ほどありましたけれども、そういった問題について、七月中旬ぐらいに予定されますアクションプログラムのときには何らかの農水省としての具体的な結論が出し得る状態で作業は進行していますか、どうですか。
  53. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 経済局長でございます。  農林水産省におきましても、四月の二十二日に事務次官をヘッドにいたしますアクションプログラムの策定委員会を設置をいたしまして、その下に部長、審議官クラスで構成します幹事会を設けまして、今種々検討をいたしておるところでございます。まだその検討の方向なり内容ということにつきまして具体的に申し上げられる段階にはまいっておりません。  ただいまなかなか難しい状況はあるけれども、六月の未なり七月の末なりに個別関税の引き下げ、あるいはまたアクションプログラムの骨格について結論を出せる状況にあるかどうか、こういうお尋ねでございますけれども状況は非常に厳しく、難しい点はたくさんあるわけでございます。先ほどのお話に、できること、できないことをはっきり結論を出すべきではないかという御指摘もございましたけれども、個別関税につきましては六月の末、それからそれ以外のアクションプログラムの骨格に相当するようなものにつきましては七月末までに何とか結論を出さなければいけないというつもりで、今私ども省内の策定委員会の事務方をやっておりますので、鋭意努力をしているという段階でございます。  骨なし鶏肉の例も先ほどから何回か挙がっておりますけれども、昨年来ASEAN、特にタイ国から非常に強い要請のあることは私どもは十分承知をいたしておりますし、タイの要人から私どもも直接にお話を伺っているわけでございます。  反面、昨年に比べますと、ことしに入りましてからまた鶏肉の価格が非常に下落をして、過去にちょっと例を見ないぐらいの低水準に今落ち込んでおるというような状況がございますし、主産地と申しますのが宮崎、鹿児島、岩手というようなところでございます。我が国経済全体として非常に発展しておるわけですが、日の当たっている地域、産業分野と日の当たらない地域、産業分野というのがあるわけでございまして、宮崎、鹿児島、岩手というようなところにおきましては、やはり養鶏の関係あるいはまた鶏を処理するところに従事しております方々の地域の雇用の場というようなことからいいますと、かなり大きなウエートを地域的には占めているものがございますので、この対応は一番難しい問題で、私ども正直申しまして、外との関係の接点に立っておる者としまして頭と胸とを両方痛めつつ今鋭意検討しているという状況でございます。
  54. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにしましても、非常に苦々しいといいますか、頭も胸もというような気持ちはわかりますし、本院におきましても、恐らくこの国会中に市場開放に絡みまして農水委員会等でこの問題に対する九十六国会あるいは九十七国会の決議といったものの延長の決議が三たびなされる、こういうような傾向がございますから、ますますもって厳しい環境に立つだろうと思いますけれども、私が言いたいことは、やっぱりできることとできないことをはっきりしておくことは一番いいことなのだ、あいまいさは一番いけないということを外国の方とのおつき合いの中で一番感じる問題ですから、そういう点を含めてぜひ前向きの検討をお願いしておきます。  それでは市場開放問題、以上で一応ダブリました点もございましたが終わりまして、次に、若干貿易全体のインバランス是正の関係でどうしても考えざるを得ない問題が内需の拡大問題だと思っております。  これは、最初に大蔵省なり経済企画庁に伺いたいのですが、最近のアメリカのさっき申し上げた幾つかの経済動向の変化がございますが、これはアメリカの変化ということだけじゃなく日本自身がこういった市場開放アクションプログラムをつくる反面、いずれにしても、貿易総額において大変な貿易黒字、経常黒字を出していることは間違いありませんし、同時に、今朝の新聞、きのうの夕刊等を拝見しますと、資本収支におきましても日本は大変な金持ちの国だというふうに見られ てきてしまっているわけですから、そういう点からしますと、私はどうしても内需拡大問題に入りまして物を考えざるを得ない、こういう立場に立つわけなのです。これは私の主観が相当入りますので勘弁してほしいのですけれども、最近の幾つかの新聞記事等を拝見いたしますと、経企庁の調査研究所が発表しました中では、例えば所得税減税や財政支出は個人消費に寄与しない、こういうような見出しの記事が一部の新聞に出ているわけです。また、長い老後は結果的に高貯蓄を生むなどという見出しの記事も散見いたします。こういった問題について、経企庁御自身は内需拡大問題について今でも全く必要はないというふうにお考えになっているかどうか、あわせて大蔵省からも同じような問題についての見解を承りたい、こう考えております。
  55. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 御指摘のようにアメリカの景気情勢、特にことしの一―三月期のGNPの統計が下方修正されまして、かなり、〇・七%でございますが、年率でございますから非常に低い状況でございます。  ただ、一つ申し上げておきたいと思いますことは、私どもアメリカの景気につきまして、この第一・四半期の例えば〇・七というような数字は、直ちにアメリカ経済が非常に停滞的になったというふうに判断するのはまだ早いのではないだろうか。と申しますのは、細かいことは省略さしていただきますけれども輸出関係等を除きました国内需要を見ますと、昨年の秋ぐらいから現在まで、年率にしまして大体三%あるいは三%半ぐらいの拡大が続いてきておりますので、今後もドルが高いということを考えますと、輸出入はアメリカの景気の足を引っ張る方向で働き続けるとは思いますが、それほど大きくはない。したがって、ことしのアメリカ成長率も、今後の動きは十分注視しなければならないと思っておりますが、三%前後程度は行くのではないかというふうに考えられるということを一つ申し上げさしていただきたいと思います。  そういう環境の中で日本経済はどうかということでございますが、御承知のように、ことしの初めに政府として発表いたしました政府の経済見通しでは、今年度の成長率は四・六%、昨年度の実績見込みは五・三でございますが、これは主として対米を中心にいたしまして輸出が鈍化をするというふうに当時としても考えていた結果でございます。したがいまして、国内需要で見ますと大体四%ぐらいの寄与度、昨年度よりやや高目というふうに考えております。  現在の段階で、最近出ました、政府の見通しをつくりました後で出てきましたいろいろな指標を見ましても、もちろんまだ二カ月もたっていない段階でございますからはっきりしたことは申し上げられませんけれども、大体その方向に沿いつつあるのではないか。特に昨年の後半かなり伸びが鈍っておりました個人消費がことしになりましてからやや指標としては明るいものが出ておりますので、こういうものを中心にしまして、今年度は内需中心でほぼ政府見通しの程度の成長率が達成できるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
  56. 北村恭二

    政府委員(北村恭二君) 我が国の経済の現状ということにつきましては今経済企画庁の方から御説明ありましたとおり、設備投資等を中心といたしまして国内民需中心の成長過程というのがまだ続いているという局面にあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、内需拡大論ということでよく財政面からも景気刺激といったことが言われることがございますけれども、そういった現在の景気情勢等を判断いたしますとそういうものが必ずしも必要な局面ではない、むしろ現状よく先生御高承のような財政事情のもとでは、やはり現在こそ財政改革を進める時期ではないかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、もとより、サミット等でも言われておりますように、インフレなき持続的な成長の確保ということのためにはいろいろな努力が必要だと思います。  先ほどもちょっと申し上げましたが、先般のボン・サミットでも、財政政策等については毅然たる態度で臨むということと市場機能の強化ということを言っておられます。やはり我が国経済というものは基本的には市場原理を基本とするという経済体制にあるわけでございまして、そういった中で行財政改革を推進しながら規制緩和といったようなことを通じまして、民間活力が発揮されるような環境を整備していくということが今何よりも増して必要なときではないかというふうに考えているわけでございます。
  57. 大木正吾

    大木正吾君 両省の意見はわかりましたけれども、企画庁のお話など伺っておりますと、これはもう研究所の発表しました資料、まだ原文は手元にございませんけれども、これを拝見する限りは、結果的には例えば日本人の寿命が長いからとか、あるいは定年が早いからとか、同時に財政支出をやっても所得減税をしても個人消費は伸びないとか、そういったような見解になりますと、貿易摩擦自身は恐らくもう内需問題と関係なく延々と続いてしまう、こういう状況に入らざるを得ないということになるわけですが、これは私の意見ですから答えぬでも結構です。  そこで、これは大蔵省のいらっしゃる間に伺いますが、一つは例の金融機関の週休二日問題、これもやっぱり内需拡大問題と若干関係をすることが一つございますね。  それから同時に、少額貯蓄に対しまして、本年は限度額管理をやったのですけれども、これについて、またぼちぼち低率課税、分離課税をやったらどうかという意見が出るような感触なのですが、それが二つ目の問題です。  それから、何といったって内需拡大のためには、これはもちろん拡大する意思がないという方に言っても仕方ないのかもしれませんが、予算編成期になりますと恐らくこのことは相当政界でぶり返しになるという判断をするものですからあえて今申し上げ、若干意見を付しながら伺うのですが、住宅ローンの利子部分に対する所得控除をやるような見込みはないか。  それから、同時に投資減税と一般に言われる、全体的な投資減税ということよりも少し品目を絞りまして先端企業を中心とします研究費、こういったものに対する利子等に対して投資減税のやり方等の方法の研究の余地はないか。  三、四点ありましたけれども、それについて大蔵省の見解を聞かしていただけますか。
  58. 大橋宗夫

    政府委員(大橋宗夫君) 金融機関の週休二日制の問題についてお答えを申し上げます。  金融機関の週休二日制は五十八年の八月に、月一回、第二土曜日を店を閉めるという形で実施してきております。民間金融機関の一部におきましては、今後これを月二回に拡大するというような機運も出てきておりまして、本年の二月四日に全国銀行協会連合会がそのような方針を発表したわけでございます。これによりますと、毎土曜休業日の機械稼働と関連させまして、週休二日制の拡大につきましては、月一回週休二日制の実施後三年目に当たる六十一年八月ごろを目途に実施をしたい、その具体的時期と方法については、機械稼働が試行的に行われる六十年九月ごろまでに関係者との協議、調整を行って結論を得たいというのが全銀協のお考え方でございます。中小金融機関等の関係業界もこの案に沿いましてただいま検討中であるというふうに承知しております。  週休二日制の拡大問題は、基本的には労働行政の立場から考えられるべき問題であろうと思っておりますが、大蔵省といたしましても、週休二日制の拡大は時代の流れでございます。民間金融機関内部での検討を積極的に支援してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  税金の問題はまた担当者がお答えいたします。
  59. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 内需拡大のための税制の活用という問題につきましては、先ほど北村総務審議官お話し申し上げましたように、現在の経済情勢からいいましてそのような財政が特に発動すべき情勢にない。特に最近の厳しい財政事情の中で何がしかの減税を行うといたしますと、そ の財源を赤字公債に借り求めるということになりますと、これまでの財政改革の歩みを後退させるということでございます。そういうことがあってはならないということでございますので、こういった問題につきましては、基本的に今後行われますべきところの税制全般にわたる見直しの中で処理していくというのが現在の大蔵省の基本的なスタンスでございます。  そういうことを前提といたしまして、今お話しございました三点について若干申し上げますと、まず第一点の利子配当課税の問題でございますけれども、これは御案内のように本年度の税制改正におきまして非課税貯蓄制度の適正化を図るということから、本人確認制度を厳正にするということで相当思い切った措置を講ずるということで、最近法律あるいは政省令も施行したところでございます。そういったことで、当面これによりましてマル優の限度管理の適正化が図られるということになろうかと思っております。今後におきまして利子配当課税をどうするかといった問題につきましては、これは税制調査会の答申にも触れられておりますように、利子配当所得が持つところの一つの特異性とかあるいは今後の金融の国際化あるいは自由化の進展といった新たな状況も踏まえながら、今後の所得税制をどういうふうに見直していくかということの全体の中でさらに検討をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、住宅ローンの利子を控除するという問題でございますけれども、これについても御案内のように、現在所得税法の中で既に住宅ローンの償還金の一定割合を三年間にわたりまして税額控除するという住宅取得控除制度というのがございます。この控除額につきましては、これも御承知のように昭和五十八年度の税制改正におきまして控除率を七%から一八%、それから控除限度額を五万円から十五万円ということでかなり大幅な引き上げを行ったところでございます。ちなみに年十五万円の税額控除といいますものは、年収大体四百二十六万円の夫婦、子二人のサラリーマンの払うべき所得税額に見合っている。それだけのものについての税金をまけるという軽減措置をとったわけでございます。こういったことでございますので、これをさらに拡充するということは一部の高所得者に有利になるということのみならず、現在の厳しい財政事情の中でこれをさらに拡充するということは非常に困難であるということでございますので、当面これ以上の措置を講ずることは考えておりません。  それから、投資減税の問題でございますけれども、これにつきましても先ほど北村総務審議官からお話しございましたように、最近におきます設備投資というのは国際的に見ましてもかなり高い水準に推移しておりますし、日本のGNPに占める割合を見ましても、かつての高度成長期並みの一七、八%という割合で推移してきているといったふうなこと等から見ましても、あるいはコストベネフィットというふうな観点、そもそも投資というものが税金によってどれだけ促進されるかどうか。それによって本来投資すべき追加投資以外の根っこの投資まで減税の効果を及ぼすといったいろいろな問題がございますので、一般的投資減税につきましては、これは大木委員もやや疑問があるとおっしゃっておられましたけれども、そういった問題からいいましても一般的な投資減税を講ずるということはいかがかというふうに考えておるわけでございます。  先ほど御指摘がございました先端技術産業等につきまして、何がしかの投資減税をしたらどうかという問題につきましては、これは御承知のようにことしの昭和六十年度税制改正におきまして、いわゆる基盤技術の研究開発の促進ということで、増加試験研究費の税額控除制度を拡充するという措置を講じております。また中小企業につきましてもその技術基盤の強化に資するために、中小企業につきましてその試験研究費の根っこにつきまして七%程度の税額控除を新しく認めるという措置をとっておりますので、当面そういった措置の効果を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  60. 大木正吾

    大木正吾君 内需の拡大でもう一つだけ伺います。これは建設省お見えと思いますけれども、公共事業関連でございます。大蔵と今経企庁の方からぴしゃっときたからちょっと話が腰を折られた感じになってしまうのですが、五十九年の場合の論争でも、内部的には建設省御自身が公共投資をした場合の税収の見返り、収益、収入という増収問題等について資料をつくられて出して、大蔵省さんと論争したような資料がありますけれども、それについての見解は今でも変わりはありませんか。
  61. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 昨年の夏から秋にかけまして、私どもが公共投資の経済、財政に及ぼす影響を試算いたしまして公にいたしておりますが、その試算の内容については現在でも同様の結論でございます。もちろんそういうような試算をしました後、六十年度の予算編成ということになったわけでございますが、現段階におきます厳しい財政事情のもとで、必ずしも単純に国債を増発して公共投資をふやすというわけにはなかなかまいらないというところでいろいろな工夫、例えば財政投融資の活用であるとか、あるいはまた今回やむを得ずとった措置ですが、補助率等の高率のものについて一部引き下げを行いまして、その国費を活用いたしまして事業量をふやすとか、あるいはまたその他ダムとか下水道等の事業にいろいろ工夫を凝らしまして、トータルとしては事業量をふやすというような措置をとりまして、当面これでこなしていきたいと思っておりますが、今後の課題につきましては、二十一世紀を展望した社会資本整備というものの計画的な進め方、そういうものと財政といったものと両方を十分考えていく必要があるのじゃないかというふうに思っております。
  62. 大木正吾

    大木正吾君 これは変なことを聞きますけれども、今例えば東京とか大阪とか大都市などの幹線の水道管とかガス管とか、そういった道路の下に敷設してあります共同溝にしてもそうですが、ああいったものについての耐用年数を超えているとか、もうすぐに来るとかというものは建設省は大体わかりますか。
  63. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) ただいまそういうのは的確な資料は持ち合わせがございません。ただ、私たちが考えておりますのは、そういったようなものについて取りかえていくプロセスで、道路の交通の問題と、それから特に電柱等のようなものについての美観であるとか、あるいは道路空間の有効利用というなことを考えました場合に、せっかく投資を更新される機会になるべく幹線的なものは共同溝に、それからまたそうでないものもできるだけ集約して簡便な方法による共同化、そんなようなものを考えて、耐用年数の増大とともに道路管理の適正化、あるいはまた都市の美観の形成というようなことに何とか結びつけたいものだということで、いろいろ研究はさせていただいております。
  64. 大木正吾

    大木正吾君 私はこういうことを心配しておるのです。世田谷の電話局でも大きな火災があったでしょう。いまだもってあれは原因究明ができていないのですよ。それで、私自身が電電に関係あるものですから工事をしました大明という電話会社の重役と話をしながら、警察の方々にも、余り無理なことはしては困りますよという話をしているのですが、関係の研究機関に聞きましてもいまだもってわからないのですね。  ただ問題は、この東京とか大都市に万が一、例えばガス関係とか電気関係の耐用年数などがもう超えて、あるいは間近いものとかがあってあの種のような事故が起きますと、これは大都市の密度の高い人口の多いところですから、大変な予想もしないことが起きてしまう心配が一面ではあるのです。ですから公共事業の費用が工夫をいろいろな面でしていることは認めますけれども、五年間仮に据え置かれたということは、物価が三%平均で上がったと仮定いたしますと、一五%分で百のものが八十五に恒常的に減っているという算術計 算です。そういう計算で恐ろしいのは、大都市におけるその種のいわば災害的なものが起きなければいいがなということを、少し考え過ぎかもしれませんけれども考えているわけでございます。  あとは、もう時間が来ましたから、たくさんの方をお呼びして申しわけなかったのですが、答えは要りません。そういった心配をしていることをぜひ官房長にも考えておいていただきたい。  大蔵省と経企庁に申し上げておきたいのですが、私の判断ですけれども、これは二百六十兆何がしかの非課税貯蓄に対しまして、恐らく財政面の絡みもありましょうが、これを仮に税金の対象にしていきますれば二兆何がしかの金が出てくる。そういったものを所得減税に充てるとか、あるいはさっき申し上げた住宅ローンの面の問題を見るとか、何らかの内需問題について、予算編成期を軸にしまして議論が沸騰するだろうと私は想像するわけです。  ですから、そういう際にはひとつ従来の経過もありましょうけれども、余り足を引っ張らないで、それはことしの景気がアメリカは三%程度いくだろうということは、あくまでもこれは想像としてはわかります。わかりますが、あれだけの経済規模を縮小するという動向等を考えていったり、日本の内需が後追いしながらつながっていくといってもこれは限度がありますから、そういう点を考えますと、こういった問題は相当大きな政治問題ですけれども、自民党の税調の加藤さんも反対しておられます。しかし、どこかからこれは物を考えていきませんと、今のままではどうにもならぬということです。だから、どうしても貿易摩擦問題に端を発した形の中から恐らくいろいろな努力をいたしましても、摩擦を埋める金額は三年間でもって年間平均して二十兆を超えれば上々だろうと私は見てます。そうすると、ますますもって外国の声が大きくなってくる。いやが応でも内需拡大に追い込まれるということはみっともないですからね。ある程度お互いにこの辺はコンセンサスが得られるのじゃないか、少し無理をすれば。  そういうところはぜひこれはわかるところはわかっていただきまして、そして政策的な面で内需拡大の方向性ということについて一面では志向してもらいたい、こういったことを感じているわけです。  その際、私も大蔵委員会にいますから大蔵委員会でまた議論をする。これはきょうの場合にはあくまでもお互いの意見の見解の質問内でとどめて、法案の審議じゃありませんから、いいですけれども。そういったものを感じておりますので、お含みいただきながらぜひ新しい内需拡大政策等について、前進的な面の方向が見られますようなことを期待していますので、足を引っ張ることだけはやめてほしいということだけはお願いしておきたい、こう考えております。  以上で終わります。    〔小委員長代理大坪健一郎君退席、小委員長着席〕
  65. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初にお聞きしておきたいことは、今日の国際経済の変化ということは激しいと思うのです。ですから、そういう中で経済予測の見通しを立てるということは非常に難しい。難しいけれども、やっぱりそういう方向を言うならば先取りをして、それで状況が変化をするようだったら、刻々と軌道修正をしていくということをやらなかったならば大変なことになってしまうじゃないか。そういう面でもって、昨年の貿易収支というものが、輸出が千六百八十二億六千八百万ドル、輸入が千二百三十九億一千七百万ドル、収支が黒として四百四十三億五千百万ドル。これだけの貿易収支の黒を出すということを予測した人がいらっしゃいますか。これはだれもいないはずなのです。  同時に、これだけの貿易収支の黒を出しながら為替レートの方は、一ドルが二百五十円前後のところでうろうろしている。これも予測をした人がいないわけなのです。したがって、五十九年度の数字というものが出たのだから、二年前なり三年前なりそのときに経済予測では、五十九年はこうなるだろうというふうにいろいろのものを立てて経済指標を組み立てた。そして実際の実績と比較してどのぐらいの誤差がそこへ出てきたかという、それを一度まず御説明をいただきたいのです。
  66. 星野進保

    政府委員(星野進保君) ただいまの先生の御質問の趣旨はわかりました。  それで、最初にちょっとお断り申し上げておきたいことは、先生の今の御質問の趣旨は、五十七年に五十九年を眺めた数字がまずあるか、その実績はどうか、恐らくそういうことだと思います。私どもこれは言いわけでも何でもないのでございますが、年次見通しというのと、それから通常五カ年計画というのと二つの種類がございまして、年次見通しの方は、これは先生既に御案内だと思いますが、その年、例えばことしでございますと六十年度の見通しを立てるのがちょうどことしの一月、つまり五十九年度のまだ途中でございますが、そのときに六十年度の経済見通しというのを立てる、これが年次見通してございます。片や中期見通しと申しますか五カ年見通しは、例えば五十八年度に「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というのを立てましたが、これは五十八年から昭和六十五年までの八年間をカバーする、こんな立て方をしておりまして、先生今御指摘の五十七年度にどんな数字を五十九年度に立てたかという、実は五十九年度をねらって立てた数字というのは五十七年度時点でないのでございます。  ただ、それでは先生の恐らく御質問のというか、これから御議論なさろうという御趣旨には合わないだろうと思いまして、非常にアバウトなのでございますが、ちょうど五十七年のときに七カ年計画というのがございます。これは正式に申し上げますと新経済社会七カ年計画というのがございまして、これが五十四年から昭和六十年までの計画になっておったわけでございます。しかも、その計画が毎年フォローアップという格好で修正を内々にしておりまして、内々といいますか、数字を公表しておりますので別に内々じゃございませんが、しておりまして、その修正したものの一番新しいものがちょうど五十七年一月二十日に新経済社会七カ年計画フォローアップ昭和五十六年度報告というのがございます。その数字をきょう用意してまいりまして、御報告させていただきたいと思います。  当初七カ年計画で見ておりました実質GNPの速さでございますが、これは年平均で言いますと五・七%と最初しておりましたが、今申し上げました五十六年度フォローアップのときに修正されまして五・一という格好になっております。したがいまして、五十七年度で六十年度まで幾らぐらいのスピードで成長率がいくかということを見たのが五・一でした、こういうことかと思います。実質でございます。それじゃ実績はどうだったかということでございますが、実際、年度の実績が今出ておりますのは五十八年度まででございます。つい最近速報を五十九暦年までは出しておりますが、年度ベースで言いますと五十八年度まででございまして、それを五十六年から五十八年の平均スピードで申しますと三・七%ということ、これは実績になります、五十八年まで。それから、五十九暦年がたしか五・八%でございます。これを年度に幾らになるかというのはこれから実績が出てくるわけでございます。  したがいまして、先生の御質問を要約的に申し上げますと、成長率で見ますと当初五十四年ぐらいに見たときには五・七%と思っていました。ところが五十七年のときに修正いたしましたが、そのときに五・一でございました。しかし実績は第二次オイルショック等の影響が出てまいりまして、不況期間に入りましたので三・七%になりまして、五十九暦年を入れてみると、三・七よりは高くなって五%弱ぐらいになるかもしれません。これはまだ実績が出ておりませんので、予測の範囲でございます。大体そんな好格で成長率は動いておりますということでよろしゅうございましょうか。
  67. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ないと言うから、ないものを出せとは言わぬけれども、昔は五カ年計画何なりで毎年毎年の貿易収支からGNPからいろいろな数字を全部出しておって、それで言うならば余りにもそういう中期的な計画を立てても誤差が甚だしくなってくるから、それでとうとう先ほど言われた新経済七カ年計画ですか、あのときには数字をみんな取っ払っちゃって抽象的な文章だけをだあっとあそこへ羅列をしただけになったわけです。しかし、そういう作業をなさるときに、それは経企庁だろうが通産省だろうがどこだろうが、そういうときにどうなっていくかというものを何も数字も把握もしないで、それは民間にお任せですと言って、ああ、これだけ輸出がふえたか、輸入がどうなったかなどと、そんなことを行政当局の皆さん方がおやりになっているわけじゃないと私は思うのです。問題はそういう四百四十三億ドルなどという貿易収支の黒が出てくるということを皆さん方も予測されなかったはずなのです。だから、その違いというものをどういうところに原因があってと判断をなさっているか、そこがはっきりせぬと今後への手の打ち方というものが正確さというか適切さというか、それを欠くと思うのです。  そういう意味で、私は冒頭にも言ったように、誤差がひどいではないかということを文句を言うのじゃなくて、それだけ今日の経済情勢というものは変化が激しくてだれにも予測が立てられない。立てられないようなそういう難しい中にあるだけに適切に、これはおかしいなと思ったら、それは一年に何回だろうが軌道修正をすることをやっていなかったらもうえらいことなってしまう。この前も本会議でも言ったのだけれども、貿易収支が黒でもって世界じゅうから文句を食うほどもうかり過ぎたからよかった。これが逆だったらどうするのですか。国の財政もあれだけ大赤字でやっている。その上、今度は貿易収支でもって四百億ドルの赤を出したといったら、それこそ皆さん方寝ても寝られないようなもう大変な大騒ぎをしなくちゃいかぬと思うのです。  その辺の認識というか判断がなにだから、先ほどお話が出た、この間も私は本会議でも言ったのだけれども、何とかもう少し輸入をしてやらなければ確かにいかぬからと。だったら輸入業者を集めて、おまえらもうちょっと外国の物を買えよ、それで貿易収支のバランスがとれるようにしろよというならばわかるけれども輸出業者を集めて、そしておまえらは少しいろいろ輸入することを努力せいと。私からしたらどこか狂っているというのです。もしも二、三年して全く状況が変わったら、それこそ石油業者に、今度はおまえらもう少し輸出してドルを稼げと言うのですか。石油業者というのは油を輸入するしかないわけでしょう。あの人たちに機械をつくって売れと言ったって、そんなことはできやしないのだから。そうしたら通産大臣は、いいえ、当分貿易収支は黒字基調でありまして、赤字になる心配はありませんという答弁がこの間返ってきたから私はびっくりしたのです。  そこで、一ドル二百五十円の為替レートは妥当だという御判断をなさっているのですか、どうなのですか。もしそこのところが妥当でないとするならば、今の経済情勢の中で幾らぐらいがちょうどバランスとれたというふうにお読みになっているか。
  68. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 現在の円レートが妥当であるかどうかという点でございますが、私どもとしましてはもう少し日本経済の実力といいますか、いわゆるファンダメンタルズという点からいえば円が高くなってしかるべきではないだろうかというふうに考えております。ただ、現在の二百五十円内外という水準でございますけれども、これは我が国が大幅な経常収支の面では黒字を出しておりますけれども、一方ではアメリカが非常な高金利でございます。長期金利で見まして、現在アメリカ日本の間には、日々変動しておりますけれども、大体四%あるいはもうちょっとそれを上回る程度アメリカの金利の方が高くなっていることは御承知のとおりでございます。そういうものを背景にいたしまして、日本から外国、主としてアメリカに直接、間接向かっていると私ども判断しておりますけれども、非常に大きな資本が流出しております。  例えば昨年度の実績で申しますと、経常収支の黒字は三百七十億ドルでございましたけれども、その期間日本から海外に流出をいたしました長期資本は五百四十億ドル強に上っております。したがいまして、それが全部アメリカに行っているということではございませんけれども、かなりの部分が直接、間接にアメリカに資本流入となって動いている。これは日本からだけではございません。ほかの国々からも行っていると思います。その結果として、ドルに対する需要が強くなって、御承知のようにドルが非常に高いという状況でございますので、少なくとも経常収支をより均衡に近づけるというような点、あるいは商品の輸出入という観点から見ますと、確かに円はもう少しというか、もう少しどころかかなり円高になってしかるべきであるし、できれば日本といたしましてもそういう方向になることを、つまりドルが緩やかに下がっていくということを望んでいるわけでございます。  したがって、ごたごた申し上げましたけれども、妥当かどうかという判断も非常に難しいということを申し上げたかったのでございます。ただ、いろいろな面を総合的に判断いたしますと、現在の一ドル二百五十円という円レートはもう少し高くなることが望ましいと思っております。
  69. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は別にエコノミストでもないし、どっちかというとむしろ素人の方だからさらにお聞きするのだけれども、今のお話を聞いていると、貿易収支では大変な黒を出した、しかしながらそれが大部分資本が流出をしていってしまって、五百四十億ドルからの資本の流出があったがゆえに、それはアメリカの高金利の影響でね、だからそういう結果、円がこういう状態にあるのだという認識だけれどもアメリカの高金利が影響していることは私も事実だと思うのです。しかしながら、出ていったのは日本が債権としてそれだけの財産を持ったわけでしょう。今言われているように、もうそろそろあの巨大なアメリカが債務国に転落するであろう、それで日本の方は言うならば金貸しになっちゃうわけでしょう。そうしてくると、一時的にはそれは資本の収支でいけばアメリカが高金利であるがゆえにお金が出ていくかわからぬけれども、為替レートの日本アメリカのあれが幾らかというときには、物価とかいろいろそういうものを比較してきたときにはアメリカの高金利が多少の影響があることは私も認めますけれども、そうであるがゆえに二百五十円にあるのだという判断は適当じゃないのじゃないですか。
  70. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 少し説明が下手で何かあるいは誤解を招いたかと思いますけれども、私どもといたしましては二百五十円という水準は日本経済の経常収支、物価というような点から判断いたしますと、さっきも申し上げましたとおりかなり安い、したがってこれが是正されることが望ましいというふうに考えております。  それから、今先生指摘になりましたとおりでございまして、アメリカにはさっき申しましたように多額の資本が流入しております。ということは、アメリカが次第に借金をふやしているわけでございまして、恐らく今年中には第一次大戦以来初めてアメリカが準債務国になるのではないか。そういたしますと、債務国になったからとたんにどうだということではございませんが、少なくとも現在のように毎年アメリカが一千億ドルあるいはそれを上回るような経常収支の赤字、つまり資本をそれだけ輸入しているという状況は、幾らアメリカの経済が強力であり、また活性化しつつある、その点は私どもある程度評価しておりますけれども、そういう状況であっても長く続けられるものではない。したがって、いつどのくらいということはなかなか判断できないわけでございますが、いずれは異常とも言えるようなドル高が是正されていく、その過程で円の対ドルレートもやや もう少し適正な水準に戻っていくというふうに期待しているわけでございます。  ただ、現在の段階で、例えば、じゃ円はドルに対してどのくらいがちょうどいいかという点につきましては、いろいろな条件がございまして、私ども全く勉強をしていないわけではございませんけれども、なかなか例えば何円が今のところではいいというところまでは自信を持って、あるいは自信を持つというところまででなくても、この場で申し上げるほどのようなことは確信がございません。しかし物価水準等から考えますと、円がかなり上昇してしかるべきだというふうに考えております。
  71. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が心配しているのは、これだけ輸出が伸びて貿易収支が大幅な黒になっている、その中で今の一ドル二百五十円なんていう、言うならば余りにも円が安過ぎるがゆえに、日本の側からいけば輸出がしやすいわけですね。国内が余り景気よくないからどんどん輸出に物を流すことができるのです。だからそういう点でますます輸出に拍車がかかって、そして貿易収支をより一層予想外なああいう黒を出しているのだから、そういう点からいくならば、円とドルの関係というものをもうちょっと調整をして、そして輸出の方もある程度ブレーキがかかるという言い方はおかしいけれども、多少は鈍ってくる。同時に、輸入する方では今度は油なんかはそれだけ安く入るという関係がある。ですからそういう点では極力、今はそれは自由に動かしているわけだけれども、ある程度コントロールして適切なところに落ちつかせるようにやっていかなきゃいけないのじゃないかと思うわけなのです。  そして貿易収支の改善で、この間中曽根総理は国民に一人百ドルの外国商品を買ってくれと言ったのだけれども、アイデアとして、そしてボン・サミットに出ていく前の一つのコマーシャルとしての文句ならば、あれは一つの効果は私はあったと思うのだけれども、ああいうことが果たして結果としてそれだけのものがあらわれるかどうかといったら私は難しいと思うのです。そんなみんなちょうど適当なものがあるわけじゃないし、むしろ原油のようなものを一千万キロリットルぐらいこの際思い切って輸入をして、それでタンカーのあいているのがいっぱいあるのですから、それらに積んで備蓄でもしておけば、将来的にもこれはどっちみち要るものですから、そういうぐあいでもって貿易収支の改善といいますか、輸入をもっとふやすという格好でやる。一千万キロリットルといったら幾らになりますか、相当なものです。ちょっと計算してみてください。そういうことをお考えになったらどうですかと言うのです。油はどっちみちこれは使うのですからね。
  72. 横川浩

    説明員(横川浩君) 石油備蓄につきましてお答えさせていただきます。  今先生から具体的に御質問がございました一千万キロリットルの原油の購入でございますが、もちろん原油価格は動いておりますし、また為替レートも変動いたしておりますので、必ずしもきちっとした数字というのはつかみ得ないわけでございますが、大よその数字といたしまして四千五百億円ぐらいの資金が要る、すなわち現行のレートで申しますと十八億ドルぐらいの数字に、極めてアバウトの数字でございますが、なろうかと思います。
  73. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大体今のレートでね。だから十八億ドルというふうなものがすぐ使うわけだけれども、そういうことをおやりになったらどうですかというのです。一千万キロリットルといったら何日分ぐらいになるのだろう。
  74. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 今大体一年間で二億キロリットル原油を輸入しておりますので二十分の一、したがいまして十数日から二十日くらいでございます。
  75. 横川浩

    説明員(横川浩君) そういうことで、先生指摘の一千万キロリットルの原油備蓄の積み増しでございますが、御承知のように現在、石油備蓄法に基づきまして民間企業に原則九十日の備蓄の義務づけをやっておるわけでございます。これに加えまして国自身が備蓄をするということで国家備蓄の事業を進めておるわけでございまして、六十三年度で三千万キロリットルの国家備蓄の水準を達成しようということで着実な備蓄の積み増しを進めてきておるわけでございます。そういった計画の中で、六十年度予算におきまして一応三百万キロリットルの積み増しをやろうということで所要経費の計上をいたしておるところでございます。  しかしながら、その一千万キロリットルということになりますと、先ほども私が申し上げましたように、原油の購入代金だけでも四千五百億円ぐらいの資金が要るわけでございます。このほかに買った油をタンクに入れておかなければならない、こういった経費なども勘案いたしますと相当巨額の資金が必要になってくるということで、なかなか予算上の制約というのは大きい状況にあるわけでございます。  他方、どういう期間の間に数千万という備蓄の油を積むかということなのでございますが、ある非常に短い期間の間に緊急輸入的に一千万キロリットルからの備蓄原油を買うということになりますと、恐らくかなりスポットマーケットに依存をすることになるのだろうと思いますが、大分国際石油市況にも大きな影響が出てしまうのではないか等々の事情もございまして、なかなか急激にたくさんの油を買って備蓄に回すというのは難しいというのが状況かと思います。
  76. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 どうしてそういうかたくななお考えをお持ちになるのです。何も私は緊急輸入してスポット買いしてやれなどと言っているわけじゃないのであって、先ほどから言っているとおりに一年間で四百四十三億ドルの貿易収支の黒を出したわけでしょう。私は今手元に資料を持っていないからなのですけれども、どうなのですか、五十九年のその前の見通しからいくならば黒は二百何十億ドルのはずだったのです。三百億ドルなどというのをはじいたのもいないはずです、政府の中にもエコノミストの中にも。  二百二十だの二百何十億ドル程度の黒を出すだろうと言っておって、それが三百だ、いや三百どころじゃない、もっといくといっているうちにこういう数字が出てきてしまった。一年間で四百四十億ドルの黒を出した。だからその中で十八億ドルぐらいのお金を原油の購入に回すぐらいのことは何も大変なことでも何でもないことです。問題はその資金をどうやって調達してそしてやるかという、そういうことはこれは知恵を出さなければいかぬことだし、民間にも協力してもらわなきゃ、そのお金を全部政府が税金の中で、それはもうおっしゃるとおりそう簡単にいくわけじゃないのだから。  ただ、問題は、いろいろと貿易収支のこの辺を改善をしなくちゃならないといって知恵を出されて、それでその一端として総理は、国民の皆さん百ドルずつ物を買ってくれと言う、通産大臣輸入業者を集めて、もっとあなたたち輸入してくれと言う。そういうことの知恵から見れば、むしろ今私が言ったようなことの方がはるかにもっと国家的な役割を果たすようなものではないのですかということを言ったのです。だから何もスポット買いをせいとか、一遍にここでもってすぐ四千五百億円の銭を出せなどと言っているわけじゃないのです。もうちょっとその辺を国全体のレベルで物を考えて御判断をしていただきたい。  先ほども別な委員の質問のとき、私、ずっと黙って聞いていてもそうだけれども、減税だとかなんとかそういうことはできない、内需拡大も思うようにいかない、だけれども、民間の活力を期待してと言ってどなたかそういう答弁をするわけだけれども、民間がこれだけ今痛めつけられておる状態にほっておいて皆さん方は何で民間の活力を期待するのか。だったら、民間の活力期待するならそれらしい税金面ででももうちょっと何とかの方法をとってやるとかするならば別ですけれども。それはそれでもう結構です。  次に私がお聞きしたいのは、通産大臣が、さっきも言ったように、当分赤字にはならない、心配 ありませんと言われたのだけれども、今アメリカあたりにどんどん工場が進出しているでしょう。貿易摩擦を解消するという観点からいろいろと向こうへ出ていって、自動車なんかでもあっちでつくるというかっこうでやっている点もあるのだけれども、私が思うのは、果たしてそれだけなのだろうか。アメリカへ行って十万坪の土地を買って、そこに二万坪の工場をおっ建てたとすれば建設費が幾らぐらいかかることになるのですか。それと同じものを、日本の中で十万坪の土地を手当てしてそこに二万坪の工場を建てたといったら、今アメリカで建てるのと日本で建てるのでは私はアメリカの方が安いと思うのです。それから労働者の賃金といったらもう今はほとんど変わりませんでしょう。  そうすると、貿易摩擦の点で何だかんだ言われて、そうしてそういうぐあいでだんだん外国の方に工場が進出していって外国で生産をするという方向になっているのだけれども貿易摩擦を解消させるだけではなくて、うかうかしておったら気がついたときにとんでもないことになって、もう日本の方は産業が停滞をしてしまって、新鋭のものがそういうところへどんどん出ていって外国で生産をして、まごまごしたら今度あちらから日本に逆輸入で入ってくるような事態になってしまうようなことはないかどうか。だから、そういう点からお聞きするのだけれども、どうなのですか。これは例えの話ですから別に何のというわけじゃないけれども、十万坪の土地に二万坪の工場を建てるぐらいのことをアメリカでやる場合と日本でやる場合で建設費をどういうふうに判断いたしますか。
  77. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 今のお話にございました対米投資の問題でございますが、一般的に申しまして工場の建設などの直接投資を決定する要因としましては市場の状況あるいは流通、原材料、部品調達の条件とか労働力等非常に多くの要件を総合的に判断して企業は決定を行うのではないかと思いますが、そういう観点からいたしますと、用地の価格あるいは建設単価だけで単純に比較が行われ、投資決定が行われているわけではないという気がするわけでございます。それからさらに工場建設のコストにつきましても、立地条件とかあるいは生産規模等によりまして大幅に異なってくるものと考えられます。単純に比較することは極めて困難でございますし、具体的なデータも私どもは持ち合わせていないわけでございますが、ただ一般的に見まして対米直接投資の促進というのは非常に結構なことでございます。  基本的に、民間企業が先ほど申し上げましたような要因を総合的に勘案いたしまして、みずからの責任で自主的に判断し、積極的にこれを行っていくということが非常によろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。このような対米直接投資につきましては、米国側におきましても雇用の拡大とか、あるいは経済の活性化等に寄与するという効果も大きいわけでございますし、日米経済関係の多様化、あるいは緊密化にも貢献するものでありますので、通産省といたしましてもその進展を積極的に評価いたしまして、情報提供あるいは金融等によりまして側面から支援している次第でございます。
  78. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 特定の企業の工場進出をとらえて私は聞いているのじゃないのです。アメリカで今土地が幾らするか、そんなことはおわかりでしょう、日本で幾らするかも。だから、同じような規模の工場を建てたらどちらが建設費が安くて済みますか。建設コストというものがもう既にアメリカの方が安くなっているのじゃないでしょうか。そうしてくると、今は貿易摩擦の解消という上から極力進出した方がいいのじゃないかといって、そういうぐあいでいろいろ扱われているけれども、ある段階になったときに、もう貿易摩擦の解消ではなしに、向こうへ出ていった方がいいじゃないかというような判断をして企業が向こうに出ていくことをやるようになってしまったら、それもまた困るわけです。だから、その辺を現在の時点でどういう御判断をなさっていますかというのが私の知りたいことなのです。
  79. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) まず第一の点は、直接投資の判断の要因でございますが、先生おっしゃられましたような土地代金あるいは工場建設費については、しかるべき特定の条件が与えられればそれについての計算なり評価は可能かと思いますが、先ほど申し上げましたように、企業の直接投資決定の要因はこの二つのファクターだけではなしに、その他経営ファクターに関係するいろいろな要因が作用するわけでございます。したがって、その辺まで総合判断いたしませんと、対米進出が果たして得策かどうかという最終的な結論は出てこないのではないかと思われるわけでございます。それは恐らくどの産業のプロジェクトであるか、あるいはどういう地域での立地についての比較勘案であるか等の要件によってかなり変動するものではないかというふうに考えている次第でございます。  それから、対米投資全般につきましては、先ほど申し上げましたように、現時点におきましては、日米関係がより立体的な相互依存関係になっていくためにも一層の投資促進が図られてしかるべきではないかというふうに判断いたしているところでございます。
  80. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これ以上聞きませんけれども、私が聞いていることはそういうことじゃないのですから、聞いたことに答えるような形をとっていただきたいと思うのです。  外務省の方に今度は聞きますけれども、これはこの間の本会議のときに私が聞いたことに対して具体的な答弁がなかったので、具体的にどういうふうにお考えになっているかということをお答えいただきたいと思うのです。  この貿易摩擦というのは、何も貿易収支で日本が大幅黒字を出したからそれだけの原因でもって問題になっているのではなくて、中曽根総理がいつも言うように、日本は国際国家だという、そのとおりなのだけれども、    〔小委員長退席、大坪健一郎君着席〕 外国から私たちの耳に入ってくるのは、その国際国家というものにふさわしい役割と責任を果たしていないではないかという、そこのところがいわば一番問題になっているところです。  それで、ODAにしましても、五十五年のときに五カ年で倍増するということを決めましたが、あれは国際公約だと思うのです。それでその数字というものは、五十六年から六十年までの五カ年間に二百十三億六千万ドルを援助するということなのですが、五十六、七、八年というこの三カ年間での開発援助というものは九十九億五千万ドル、そうすると、五十九年度とことしの六十年度二年間でもって百十四億一千万ドルというものの開発援助をしなくちゃいけないのですけれども、それができるのですかというのをこの間聞いたのです。そうしたら外務大臣は、これは総理も触れておったけれども、ODA予算につきましては三年倍増、そしてさらに六年倍増を達成してまいります、これからもさらに来年以降中期目標もふやしますという言葉だけ言っているのだけれども、現実に去年、ことしの二年間でその百十四億一千万ドルがやれるのですかどうですか。その国際公約を果たした上でもってその次のまた五カ年計画の倍増にするかどうかというものが出てくるのだけれども、そこがどうかということなのですが、そこはどうですか。
  81. 須藤隆也

    説明員(須藤隆也君) 先生指摘のとおり、ODAの五年倍増計画と申しますのは、五十六年から六十年の五年間にドルベースの支出ベースで五十一年から五十五年の倍の二百十三・六億ドルということを目指すということでございます。御指摘のとおり、五十六年から五十八年までの実績が九十九・五億ドルで、あとの二年間で残りの百十四・一億ドルの達成が必要になるわけでございます。五十九年度の実績につきましては現在集計中でございまして、来月には発表できると思いますけれども、今のところ最終的な数字はわかりませんが、引き続き伸びる見込みでございます。ただ、五十八年度には対前年比で二四・四%伸びている わけです。それほどの大きな伸びにはならぬと思いますけれども、引き続き伸びる予定でございます。  問題は、六十年、ことしの伸び率がどうなるかということでございますが、    〔小委員長代理大坪健一郎君退席、小委員長着席〕 これはドルベースでしかも支出ベースでございますので、一つは円とドルのレートがどうなるかということでございます。目標を設定した当時の五十六年の初頭は二百円ちょっとのレートだったのでございますが、ことし一ドルが二百五十円ぐらいのレートが続きますと、ドルベースの実績上は非常に不利になるという要素が一つございます。  それからもう一つは、必ずしも日本政府のコントロールの及ばないものといたしまして、国際開発金融機関に対する出資がどのくらい伸びるか。これも各出資国と歩調を合わせて振り込んだりするものですから、それがどのくらい伸びるかという要素、それからさらにこれまでに約束しました二国間の借款とか無償、無償でやる場合には大体単年度の予算で出ていきますので、それほど大きなずれはないのでございますが、借款の場合にはプロジェクトが四、五年にわたって実施されるものが多いということもありまして、相手国の実施の状況によって当該年度にどのくらい支出されるかという問題がございます。特にこの数年来の世界的な不況影響を受けて一般的に実施がおくれぎみでございまして、そういうこともありまして、その借款の消化がどのくらい進むかというような不確定要因がございまして、六十年度の実績について現在の段階でかたいところを予言するということは困難な状況でございます。  一般的に申しまして、確かに一〇〇%達成ということは非常に難しいわけでございますが、日本政府努力としましては、予算ベースでは五年間で九八%というほぼ倍増を達成しておりますので、支出ベースでも一〇〇%は困難としても、できるだけそれに近づける努力をことしの末までにやっていきたいというふうに考えております。それから来年以降も引き続き新しい目標を立てて努力していきたいということで、こういう中期目標を立てて努力しているという国は、今OECDの加盟国の中でも日本だけでございまして、こういう目標を立てて努力するという姿勢自体が評価されている面もございますので、引き続き努力していきたいという考えでございます。
  82. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そのくらいやっていってもまだ十七カ国の中の十二番目でしょう。だから、今のが達成されて十番目ぐらいに上がるかどうかだと思うのだけれども、その次はILO条約、これはどうなのですか。
  83. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) ILOにつきましては、先生の御質問は恐らくILO条約が百五十数件あるうちで日本が三十七本しか批准していない、この点についての御下問かと思います。  確かに日本は、今までございます百五十九の条約のうち三十七の条約を批准しただけでございまして、ほかの西欧先進国、例えばフランスが百七本でございます。それからイタリアが九十七、イギリスが七十七、西独が六十六でございますので、こういった西欧先進国と比べますと非常に数が少ないという点はございますが、他方ILOに加盟しております国は現在百五十一ございます。この百五十一カ国の平均で見ますと、平均は一カ国三十四本批准しているということでございますので、平均値よりか若干高い。余り誇らしいことでもございませんけれども、とにかく平均よりかは少し上になっているということでございます。ただ、やはり何と申しましても日本が比較の対象とするのは、おくれている開発途上国ということではなくて西欧先進国が基準でございますので、ここら辺につきましては大いに今後国内法の整合性等十分関係省庁にお諮りいたしまして、できる限り批准の数をふやしていくということを考えたいと思っております。  他方ILOにつきましては、アメリカが現在批准している条約の数は七でございます。したがいまして、ILOの条約を批准している数そのものが非常に労働水準がおくれているとか進んでいるとかということに直結はしないということはあると思いますけれども、いずれにせよこの条約の批准の数をふやすということが私どもの念願でございますので、今後とも関係省庁と十分協議を進めていきたい、かように考えております。
  84. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 フランスなんかの取り組みと、それから日本の取り組みでやっぱり条約の批准の考え方が違うことも私も承知の上でこれを言っておるわけですけれども、ただ、今言うとおり、加盟百五十一カ国の平均なら三十四本、そういうことを言われたら困るので、せめてOECD加盟国の平均値が幾らで、それに比べてという、いわゆる私が心配するのは、GNPというとすぐ世界の二番目である、何かにつけてアメリカに次いでと。そういうものがこのILO条約なんかになるとはるかに低いところにいるという点を改めないと国際的な信用の問題にかかわるということで申し上げているわけです。  それから、もう一つが難民の問題、これもこの間申し上げたように、もうアメリカは五十七万を突破しているわけです。それでフランスやカナダや豪州のようなところでもみんな九万何がしかというものを受け入れている中で日本が三千八百二十九名、これもアメリカの〇・七%でもって世界の十三番目ですか。だからこういう難民についても、この間ただ外務大臣は抽象的に言っているが、もう少し具体的にどういうふうなことをして受け入れて今の国際国家日本としての責任を果たすという、そういうことをやっていくことによって私は貿易摩擦の問題の攻撃などというものがずっと緩和されると思うのですが、その点はどうなのですか。
  85. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) 難民の数でございますが、これは先生今御指摘のとおりアメリカが五十八万、これは六十年三月三十一日の調べでございますが、五十八万でございます。それからフランスが九万七千、カナダが九万六千、オーストラリアが九万四千、それからちょっと落ちますが西ドイツが二万二千、イギリスが一万六千、香港が九千、日本は十三番目でございまして四千百六十二でございます。  確かにほかの国と比べますと、非常にインドシナ難民の日本に定住する数が少ないのでございますけれども、やはりインドシナの諸国というのは欧米と非常に深いつながりがございまして、特にインドシナ三国というのは、かつてはフランスの植民地であったということでございまして、フランス語の堪能な方が多いとか、あるいは戦後はアメリカに留学して親類縁者がフランスとかイギリス、アメリカにたくさんおりますので、こういった難民がえてしてそういった縁故を頼って流れていくという事実があるわけでございます。したがいまして、日本といたしましては定住の枠はふやしたわけでございますけれども、なかなかその枠に満たない。  徐々にこの枠もふえておりまして、今、日本は十三番目だと申し上げましたけれども、ここ二年の統計を私ども調べたのでございますが、ここ二年間の統計で見ますと、アメリカに流れていった方が五万八千、これが一位でございます。それから二番目がオーストラリアの一万人ぐらい、三番目がカナダの約七千、フランスが四千二百、その次に日本が来ておりまして千三百、ちょっと数はもちろん少ないのでございますけれども、最近の傾向といたしましては日本が五番目に来ているということで、私どもの受け入れの体制、特に品川の国際救援センターをつくる等関係先生方の御支援を得まして国内の受け入れ体制整備するということ、それから難民の救済活動が官民を通じまして非常に充実しているということを受けまして、徐々に数はふえているわけでございます。  ただ、いかんせんどうしても難民がフランスあるいはアメリカ、カナダ、オーストラリア、これは特に言葉の関係、それから生活慣習等、こういった国に行った方が住みやすいということを難民の方が考えているようでございまして、この点に はやはりこちらサイドの受け入れとは無関係に問題があるかと思います。ただ、いずれにせよ十三番目というのは非常に少ないわけでございまして、今後ともこの数がふえるようにいろいろ予算措置を講じたり、あるいは民間の支援活動の方々と相提携いたしまして難民の受け入れの数をふやしていきたい、かように考えている次第でございます。
  86. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間も余りもうございませんから最後に、これは七月のアクションプログラムが、先ほどからも出ておりますようにまだ中身というものは何もまとまっていないのですか、先ほどいろいろお話を聞いていたらそういうことなのだけれども
  87. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 先ほど来お答えしておりますとおりでございまして、省内関係課鋭意検討を進めているところでございます。
  88. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ただ、あれは四月の九日ですか、対策方針を出したときは、ああいうものを決めて発表するときというものは細かいところまでなにしないけれども、こういうことはこうするのだああするのだと、ある程度そういう構想がまとまったからお出しになったのじゃないのですか。そうでないと、あのときにああやってあれだけの膨大なものを出されたのだけれども、あの内容というものは具体的なものは何もなくて、いわば私に言わせれば柱を立てただけのようなもの。  しかし、柱を立てただけであっても、立てる上についてはそのことをやるのだということであって、どの程度やっていくかということがこの七月のアクションプログラムで出すのだということです。だから四月のときには、大体こういうことをやろうというふうなことの腹が固まったからおやりになったと思うのだけれども、それが決まっていないといえばそれはやむを得ません。しかし私が心配するのは、この七月のアクションプログラムができ上がって、それを実際に実行していったならば輸入はふえるでありましょう、そして貿易収支の面における改善というものは進むでありましょうけれども、それだけ国内が不景気になるのじゃないですか、まかり間違えば失業者がふえるということになっていくのじゃないでしょうか。だから、当然それに対応して、さっきもどなたかからも出ておったように、内需の拡大、景気振興策ということも並行して国内でとらなかったならば私は大変なことになると思うのですけれども、その辺はどういうお考えをお持ちなのでしょうか。
  89. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 現在の対外バランスの実態から見まして、輸入拡大を行うということは我が国の長期的な貿易発展を図る上からも不可欠のことだと考えております。しかし、先生がおっしゃいましたように、輸入拡大を行うということは国内経済運営面で国内需要の減ということにつながる面もあるわけでございますので、お話のような形で内需の拡大による我が国経済のスムーズな発展というものを確保する必要があると考えております。そういった観点から、私どもは常々そういう方向での対応が行われるようにしかるべく意見を申し出ているところでございます。
  90. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 内需拡大をおやりになるというお考えもお持ちなのですか。
  91. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 先ほど来の関係省庁からの御答弁もありましたような方向で基本的に現在検討が進んでおるというふうに私ども理解しておりますので、その過程におきまして、私どものそういった基本的立場も加味されて検討が進められていくものと考えております。
  92. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これから先の問題になるので確かに難しいとは思うのです。だけれども、よほどそこの辺を、さっきも申し上げたように、貿易収支が黒字になり過ぎて、そして貿易摩擦だ何だといって外国から文句を食ってそいつを手直ししようというのだからよろしいけれども、逆だったら本当に大変なことだと思うのです、国の財政はあれだけのもう国債をしょっておって、それで対外的にも貿易収支で何百億ドルの赤も出したということになったならばですね。だから、そういうことから考えていったならば、通産大臣はもう当分そんな赤字になんかなりませんと言い切っているのだけれども、そんなことを言っていられるのかどうだろうか。ですから、その辺の点を、やっぱり何とかして内需を拡大する、そして民間に活力を与える形をとって長期の安定成長という体制というものを私はとることが必要だと思うのです。それで冒頭にも申し上げましたように、なかなかこれから先も難しい中にあるけれども、ともかく経済見通しを立てていろいろとやっていきながら、これは大分違ってきたと思ったならば、遠慮なく軌道修正をしながら悪い事態が来ないように取り組んでいただきたい。そのことが一番私は必要だと思うのです。  先ほども出ているように、外国にも言うべきことは言って、それから受け入れることはやっぱり受け入れていかにゃいかぬと思うのです。何か外国から言われると、それでもってすぐこう、よく言われるのですけれども日本はおどしをかけなけりや言うことをきかぬというような、そういういうことじゃ困るので、なるほどということは、何もがたがた言われなくたって直す。それから日本として譲れぬことは何と言われてもだめなのですといって、幾ら何でも日本の国家の屋台骨をおかしくするわけにはまいりませんので、そういうことをきちんと持ってこれからもお取り組みをいただきたいというのが私の最後の結びです。  これで終わります。
  93. 大木正吾

    ○小委員長大木正吾君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会