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1985-09-11 第102回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年九月十一日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  八月十七日    辞任         補欠選任     石井 道子君     内藤  健君    大河原太一郎君     高平 公文君     海江田鶴造君     江島  淳君     曽根田郁夫君     大城 眞順君  八月十九日    辞任         補欠選任     大城 眞順君     山崎 竜男君  九月十日    辞任         補欠選任    目黒今朝次郎君     丸谷 金保君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        鶴岡  洋君     理 事                梶原  清君                吉村 真事君                瀬谷 英行君                矢原 秀男君     委 員                江島  淳君                藏内 修治君                内藤  健君                藤田  栄君                森田 重郎君                安田 隆明君                山崎 竜男君                丸谷 金保君                安恒 良一君                小笠原貞子君                伊藤 郁男君                山田耕三郎君   国務大臣       運 輸 大 臣  山下 徳夫君   事務局側       常任委員会専門       員        多田  稔君   説明員       日本国有鉄道再       建監理委員会事       務局次長     林  淳司君       運輸大臣官房国       有鉄道再建総括       審議官      棚橋  泰君       運輸省国際運輸       ・観光局長    仲田豊一郎君       運輸省地域交通       局長       服部 経治君       運輸省貨物流通       局長       武石  章君       運輸省海上技術       安全局船員部長  広瀬 好宏君       運輸省航空局長  西村 康雄君       運輸省航空局長  大島 士郎君       運輸省航空局管       制保安部長    中村 資朗君       運輸省航空事故       調査委員会委員       (委員長職務代       理者)      榎本 善臣君       運輸省航空事故       調査委員会事務       局長       藤冨 久司君       労働省職業安定       局長       白井晋太郎君       建設省建設経済       局民間宅地指導       室長       林  桂一君       自治省税務局固       定資産税課長   佐野 徹治君       日本国有鉄道総       裁        杉浦 喬也君       日本国有鉄道常       務理事      岩瀬 虹兒君       日本国有鉄道常       務理事      須田  寛君    参考人       日本航空株式会       社代表取締役社       長        高木 養根君       日本国有鉄道再       建監理委員会委       員長       亀井 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (日航機墜落事故に関する件)  (国鉄問題に関する件)     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、日航機墜落事故に関する件について日本航空株式会社代表取締役社長高木養根君を、また国鉄問題に関する件について日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君をそれぞれ本日の委員会参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  この際、日航機墜落事故について高木参考人から発言を求められておりますので、これを許します。高木参考人
  5. 高木養根

    参考人高木養根君) 日本航空社長をいたしております高木でございます。  去る八月十二日、群馬県多野郡上野村山中に弊社航空機が墜落し、極めて多数の方々のとうといお命を亡くすとともに、四名の方々に重傷を負わせるという大惨事を引き起こしましたことはまことに申しわけなく、心より深くおわび申し上げます。三年前の羽田沖事故に続きまして再びこのような大惨事を引き起こしましたことはまことに申しわけなく、ただただおわび申し上げる次第でございます。  御遺族並びに御被災者方々のお気持ちを考えますと、まことに申しわけないという気持ちでいっぱいでありまして、断腸の思いでございます。お亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族皆様に対しまして衷心よりお悔やみ申し上げる次第でございます。また、負傷されました方々の一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。  これまで私ども安全運航確保会社経営至上命題といたしまして、全社を挙げて安全な運航確保と完全な整備実施に取り組んでまいりました。にもかかわらず、今日このような大事故を引き起こし、国民皆様方に多大の御迷惑をおかけする事態に立ち至りましたことはまことに申しわけなく、公共輸送機関に携わる者といたしまして責任を痛感しているところでございます。  現在、なお十二名の方々の御遺体確認作業並びに機体搬生活動等が行われておりますが、御被災者の救出並びに御遺体の収容、確認等捜索救難活動に際しましては、上野村、藤岡市、群馬等地元方々を初め運輸省、防衛庁、警察庁、消防庁、海上保安庁、林野庁等多くの関係機関皆様から多大の御協力をいただき、心から感謝いたしております。特に、困難な状況の中で捜索救難活動実施していただいた消防団、営林署、向衛隊、警察の方々、並びに御被災者、御遺族お世話に献身的に尽くしてくださいました地元方々に対しましては、本当にありがたく、心より御礼申し上げます。  御被災者並びに御遺族方々に対しまして弊社のとりました応急措置につきましては、事故発生後直ちに羽田事故対策本部を設置するとともに、現地並びに藤岡市に千二百人に上る社員を派遣いたしまして、藤岡市に現地対策本部を設けて、御被災者及び御遺族方々お世話全力を尽くしている次第でございます。しかしながら、突発的な事態のため、遺憾ながら種々至りませぬところもありましたことと存じまして、まことに申しわけなく思っております。  事故発生直後より、御遺族及び負傷されました御乗客方々に対しましては、それぞれ専任の世話役を任命いたしましてお世話に当たらせておりますが、今後も継続してその任に当たらせることといたしております。さらに、将来にわたりまして御被災者及び御遺族皆様方お世話に万全を期するために、去る八月十三日付にてJA−八一一九号機事故被災者相談室弊社本社内に、またJA−八一一九号機事故被災者大阪地区相談室大阪支店内に設置いたしました。  補償の問題につきましては、同じく八月十三日、副社長委員長といたしまして賠償対策委員会を設置いたしまして、今後御負傷者並びに御遺族皆様方の御納得が得られますよう誠心誠意対処してまいる所存でございます。  事故原因につきましては、現在御当局におかれまして航空事故調査委員会中心調査を進められておりますので、真相の究明はその調査結果を待つといたしまして、私どもは、八月十五日及び十六日に御当局から御指示のございましたB747系列型機の一斉点検実施を初め、事故につながる可能性のある要因を徹底的に洗い出しまして、直ちに具体的な対策を立て実行に移しております。  九月四日運輸大臣からちょうだいいたしました安全運航確保のための業務改善に関する勧告につきましては、これを真摯に受けとめまして、九月、十月の国内線を二百便以上運休いたしまして、九月九日よりB747SR与圧室の徹底的な総点検を開始いたしました。  勧告の他の項目であるB747系列型の機体構造点検強化、B747系列型の構造に関するサンプリング点検実施方式の見直し、整備実施部門への指示の徹底、社内体制強化につきましては、現在社内で鋭意検討いたしております。可能な限り早期に具体策を策定し、実施してまいりたいと存じております。  航空輸送に携わる者といたしまして、安全性確保至上命題であると認識いたしておりますが、このことは全社員も同様でございます。しかしながら、今回このような大事故を引き起こしましたことはまことに申しわけなく、重大な責任を感じております。社内運航管理体制整備点検体制はもとより、全部門にわたりいま一度徹底的に点検し、事故の絶滅に向け全役職員一丸となって努力を重ねてまいる決意でございます。  何とぞ今後とも御指導、御叱正賜りますようお願い申し上げます。
  6. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 高木参考人には御退席いただいて結構でございます。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 高木参考人は御退席されましたが、いずれ日航問題はまた高木さんにもお見え願って詳しくお聞きをしたいと思いますが、ただ一言だけ申し上げます。  私もまず冒頭に、八月十二日、五百二十名の方が亡くなっておりまして、事故に遭われた御本人それから御家族に心から御冥福を申し上げながら、運輸大臣一つだけお聞きをしておきたいのであります。  実は、既にこの事故が起きて高木さんが社長をやめたいということが出ております。思い起こしてみますと、三年前に羽田事故が起こったときに私どもは、やはりあれだけの事故を起こしたんだから高木社長みずから退任をされて、ただ社長だけではなくしてしかるべき社内責任体制運輸省責任体制、こういうことについても問いただした。ところが当時は、退任をするよりも事故が再び起こらないことについてやることがということで留任をされたんです。私は、こういう大きい事故を起こしたときには、社長だけじゃなく、社長初め関連の責任者責任をとる、そのことによって再び事故を起こさないようにするということがやはり必要であったんじゃないか。あのとき私たちもかなり委員会で追及したのでありますが、どうもやはり不十分であったというふうな気がしてなりません。  そこで、今回はまだ事故原因については今事故調査委員会の中でいろいろ議論がされているようであります。またボーイング社発表もあります。日航自体発表もあります。例えばある問題については日航は今はノーコメントだと答えていないところもあります。運輸省の時々の航空局発表もあります。でありますから、そのことは改めてまたゆっくり聞くことにいたしますが、大臣、この際に、これだけの事故を起こしたんですから、早急に事故原因を解明した上で日本航空社長以下関係者責任を明確にする。やはり退職をする者はする、何も社長一人やめれば済むということでは私はないと思います。それから監督官庁である運輸省のやはり責任も明確にする。どうも新聞を見てまいりますとややボールの投げ合いのような感じがしないでもありません。きょうは時間がありませんから中身は言いません。でありますから、私はやはり航空行政についての監督官庁である運輸省自体もこれは責任を明確にする必要があるだろう。  お聞きするところによると、大臣が福岡から東京まで乗ってこられて、その折り返しの飛行機が落ちたということなんです。ですから非常に大臣幸いだったと思いますが、もしも例えば国会議員がだれか乗っておったということになるとさらにいろんな問題が出てきていると思う。私は、そんなことよりもやはり必要なことは、日本航空自体責任体制を明確にするということと同時に、監督官庁である運輸省自体も、これだけの大事故を起こしたんですから、しかるべき責任をきちっと事故がわかった段階においてはしてもらわなきゃならぬと思います。そのことが私は今後、日本航空も中身的に事故防止について、口で幾ら怒ったところで、安全対策は第一でございます、心がけておりますと言ったってだめなんです。また、監督官庁である運輸省もその点について、事故が起こったとき再び事故が起こらないように指導しますと言ってもだめなんです。やはり責任をとる者はとる、機構を直すものは直す、こういうことをきちっとしないと、世界の航空史上の最大の事故を起こしたわけですから、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  8. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 日航社長につきましては、今回これだけ大きな事故を起こしたのでございますから、その原因のいかんにかかわらず責任をとってやめたいと事故発生後間もなく私に対してそういう申し出がございました。私はこの社長気持ちを了といたしまして、この事故の処理が一段落いたしました時点においてこれは受理すべきである、かように考えておる次第でございます。一人でいいかという問題につきましては、目下事故原因究明中でございますので、現時点において私がどの程度というふうなことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、私を含めて運輸省は一体どうなんだということでございますけれども、今二度と起こらないようにすることだけではだめだとおっしゃいますけれども、当面、監督官庁といたしましては、置かれておる立場から、二度と起こらないようにするという、まあ月並み的な言葉のようでございますけれども、真にそこに思いをいたして全力をそれに傾注するということが私どものこれは責任であると心得ております。したがいまして、そういったまず安全の確保に最大限の努力をするという点が私ども責任と心得ておりますので、そういうことで御了解をいただきたいと思います。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 もちろん二度と起こらないようにすることも当たり前のことなんです。私は、事故原因等が明らかになったときには、日航高木社長じゃなくて、日航内における責任とり方、それから運輸省自体事故原因が明らかになったところでやはり責任のあり方、とり方ということを考えてもらいたいということを言っていますから、きょうはこれより以上やりとりしません、不十分であれば委員会で徹底的に追及するだけの話ですから。
  10. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) それは当然のことでございまして、事故原因が明らかになった段階で、監督官庁である運輸省に重大な監督上のミス等があったとするならば、これは責任をとらなきゃならぬことは当然でございます、
  11. 安恒良一

    安恒良一君 それでは国鉄問題について質問いたしますが、亀井委員長には二年間にわたって国鉄再建についての大変な御努力を願ったことについて私も敬意を表したいと思います。ただ、この前は亀井委員長はごあいさつをされてそのまま退席をされたものですから、亀井委員長に伺うことができないことがたくさんございますので、きょうはその点を時間の許す範囲内でお伺いをしたいのであります。  まず亀井委員長にお伺いをしたいのでありますが、我々はやがて二十一世紀を迎えるわけであります。その二十一世紀を迎える中において国鉄再建ということも展望しながらやっていかなきゃならぬと思うのでありますが、この答申案の二十五ページですが、「総合交通体系についての考え方」について、答申を私は読み上げることは時間の関係で省略しますが、どうも、利用者自由選択でやるんだ、だから総合交通政策ということについては十分な御関心をお持ちでないような文章に読み取れてならぬわけですね。  ところが、私はこの前も運輸大臣にも質問したのでありますが、少なくともこれから二十一世紀に対して我が国の交通、人と物ですね、これがどういうふうに今後動いていくのだろうかということが一つです。そして、それに従って国家のやはり投資というのがある。例えば今日まで道に対する投資建設省中心になって行っておる。航空機整備については運輸省が行うとか、港湾の整備に当たる、それから鉄道自身にも投資をずっと続けてきているわけですね。それはそれなりの私から言わせると総合交通政策というものに基づいて投資が行われ、その中で例えば二十一世紀なら二十一世紀において国鉄がどういう役割を果たすのか、私鉄がどういう役割を果たすのか、トラック輸送がどういう役割を果たすのか、船舶輸送がどういう役割を果たすのか、それから航空機輸送がどういう輸送を、そういう青写真がないと、また恐らくそのことを全然ネグレクトして国鉄再建というのは私はあり得ないと思うんです。  例えば、六つに分割した収支計算等もされていますが、それは乗客がこういうふうにふえるだろうということも書いてありますね、運賃値上げ等も含めて。しかし日本全体の交通量というものを十分頭に置きながらお考えくださったものだ、またそうなければ実際は地図は引かれないはずなんですが、どうもこの答申を見ますと、ここのところについて、総合交通政策については何か御批判をお持ちのようなことが二十五ページに書いてあるわけです。私は総合交通政策はどうしても必要だ、その中で国鉄再建をしていかなきゃならぬと思っていますが、この点について亀井委員長のお考えをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  12. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま安恒先生から、国鉄再建を考える場合に二十一世紀にまで向けて総合交通体系上判断すべきではないか、まことにごもっともな意見でございまして、私どももそういう視点から検討をいたしました。  ここ二十年来いろいろな交通手段というものが発達をしてきた。そして国民は、交通においてはやはり水が低きにつくがごとく便利で安いものを追求していくというのが一つの性状でございまして、これを強制的に統制をすることはできないだろう。しかしそれを誘導する政策はあってもしかるべきではないか。いろいろ考えたのでございますけれども、現在においてはこれは非常に難しい問題でございましたので、統計的に見まして、現在のマイカーあるいはいろいろなモータリゼーションの発展、また道路の整備状況、それから航空機についての整備状況、これから年率四%ぐらいの実質経済成長率があったときの全体の旅客流動というものがどういうふうになるか、そういうことを分析をいたしまして、先ほど二十五ページの総合交通体系のお話がございましたけれども答申の十六ページ、十七ページあたりのところにはそういう数字分析、それから付表にも数表をつけておりますが、一つの想定を置きました。  そういう中におきまして、やはりモータリゼーションとか鉄道あるいは航空機というものは、ここに自由な競争をやっていくという前提で考えた場合に、鉄道特性というのはやはり新幹線中心にした中距離都市間高速輸送という問題と、それぞれの主要都市あるいは地方都市における通勤、通学、通院というふうな国民の足というものに本当の鉄道特性が発揮できるのではないか。そういう意味で、シェアは多少全体の旅客流動がふえまして、そして航空機がふえる、モータリゼーションもまだこれからふえる傾向にある、鉄道全体はやはり数量は減らないとしてもシェア的には多少の下降傾向になるのではないか、こういう前提のもとに、私どもはこの国鉄というものの事業を二十一世紀に向けてどう生かしていくか、そこに競争性を持たさなければ今以上に悪くなっていく心配がある、こういう観点で、総合交通体系というものを全く無視してやったわけではない、そういうことを下敷きにし重要に考えながら私どもはこの案を策定した次第でございます。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、亀井さんもお認めくださったように、総合交通体系は必要だ。ただ、利用者が利用する場合には、亀井さんがおっしゃいましたように安くて速くて安全だと思うんです。それでないから利用者が減る、そのことは私は否定しません。しかし、総合交通体系というものはやはりないと、これからも国家投資、それから例えば亀井さんの案でいう六つ会社に分割されても、そこの会社がどう投資するかという問題も出てくるわけですから、その点は総合交通政策体系そのものを否定していないということはそれでわかりました。それの前提議論を進めていこうと思います。  そうしますと、そこでまた一つ疑問が出てまいりますのは、かなりの問題点について答申の後送りがある。特に今二十一世紀を目指して一つの大きい問題になりますのは、いわゆる高速交通手段としての新幹線整備問題について大変これは歯切れの悪い答申になっているわけですね。それだけのこと、今おっしゃったようなことをおっしゃるならば、私はこのことについても、新幹線をつくるならつくるとか、いや国家財政がだめだから当分見送りなら見送りとか、きちっとしたものがここまでいろいろ御議論くださっているんですからあってしかるべきだ。特に私は総合交通体系を考えますと、これから国鉄の持つ任務の一つとしては、今おっしゃったような大都市間の輸送なり大都市周辺輸送に当たるとか、都市都市高速輸送に当たるとか、こんなことがありますと、このことについて、どうも新幹線のところだけは「財源問題、技術開発によるコスト低減可能性等考慮に入れて慎重に判断する必要がある」と、こういうふうにされていますが、真意はどこにあるんでしょうか、この点。
  14. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 整備新幹線の問題につきましては、たびたび予算委員会とかでいろいろ御質問がございまして、私どもの基盤は、これからの鉄道中心にする交通体系という場合には、やはり二十一世紀に向けて新幹線という高速、大量、安全という手段というものは発展していくべきではないか。これはやはりまた日本国民の夢でもある。でありますからこういうものはやっていくべきでありますけれども、当面においてはそれをやるのに非常に問題が多過ぎはしないか、こういうことを私どもは問題にしたわけでございます。  まず第一に、現在の国鉄というものがもうつぶれかかっている。新しく発足をいたしましても、新しいものが出ましたら在来線に対して大変な影響がある、こういうことも考慮に入れるべきではないか。それから、これからつくる予定にしております整備新幹線旅客輸送需要というのは、とても東海道新幹線のような旅客需要は予想できない。そういう状況にありますとその収支関係をどうするか。また、設備投資が全体で五十四年度の計算でも五兆数千億ということでございますから、これが今の物価に直せば恐らくこの倍、これに十年からかけて金利すると相当の金額になる、そういうものが現在の財政事情なり財源問題として可能なのかどうか、こういうことも考慮する必要があるのではないか。  それから、人口密集太平洋ベルト地帯においては、東海道新幹線というああいう大きなインフラストラクチャーでよかった。しかし、人口の少ないところにおいては、やはり高速という二百キロ以上走らすシステムというものは、もっと技術開発をやって、フランスのTGVとかいろいろな例も参考にして、東海道新幹線から既に二十年たっております、その間のいろいろ技術開発があって、コストが安くて超スピードというものをできるはずなんです。そういうことを総合観点に置いて、やはり国民の要望に時間をかけて対応するということについて政府に慎重な御判断を求める、こういう私どもの意見でございます。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 まだちょっとどうもはっきりわかりません。何と言われているかわかりませんが、これも私五十分しかありませんから、亀井委員長になかなかお目にかかれないから、聞くことをたくさん用意していますから、改めてまたあれをしたいと思います。どうも今のところわかりかねます。  ただ、大臣、今お聞き取りのとおり、いよいよ国鉄法案を審議するときには、この前大臣に申し上げておきましたように、やはり二十一世紀を展望した総合交通体系の中で国鉄再建についていろいろ議論したいと思いますから、この前も大臣には既に審議のときには、そういうものについて青写真をきちっと出してもらいたいということを言っておきましたし、今亀井委員長に確めましたら、亀井委員長もやはり総合交通体系というものを頭におきながら国鉄のあり方について答申した、こういうことでありますから、ひとつその点は御用意願いたい。  そこで、亀井委員長にお聞きしたいのですが、私はこの民営・分割化という問題について少しお聞きをしたいのですが、国鉄の今日行き詰まった原因については、いろいろ議論をお互いがしたところです。その中で非常に今の公社形態に問題があるという御指摘をいただいている。このことについてきょう議論をしようと思いません。しかし、いずれにしても民間的な手法を取り入れて国鉄再建をしなきゃならぬということは、そうお互いに意見が食い違わないところだと思うんですね。そこまでは食い違わないんですが、私は、いわゆる分割ということになると、なぜ分割が必要なのかというのがどうしてもこの答申案を読みましてもわからないわけです。  それはなぜかというと、まず、交通体系というものはできるだけ全国一元的に運営をする方が利用する旅客、それから貨物の場合についても非常に有利であることは事実であります。それから運賃の問題、あらゆることを考えても、ダイヤ編成一つ考えても私はやはり全国一元的にやることが国民の公共性を守るし、足を守ることになると思うんですが、あえてこの際北海道、四国、九州、さらに本州まで東日本、東海、西日本、こういうふうに六分割された意味がどこにあるんだろうかというのがどうしてもわからないわけです。  というのは、御承知のように三十二万人の電電公社、これは今のところ政府全額出資の特殊法人の民間会社になっていますね。たばこはたばこでこれもなっていますね。にもかかわらず、民営的手法は取り入れて改革をしていかなきゃならぬ。しかし、六つにずたずたにこれを切ってしまうとということのメリット、デメリットを考えますと、これはもう私だけでありません、答申ができたときに各社の社説なんかにもかなりその点が指摘をされておったのでありますが、なぜこういうふうに委員長は分割の方向をとられるのかというのが、これを読んでもわかりません。例えば経営規模の問題一つをとらえましても、委員長の御指摘の、例えば委員長は適正管理政策の限界を三万から四万人と言っておられる。ところが東日本会社は八・九万人ですから約二倍おるわけですね。ですから、どうも人員の見方から見てもいわゆる委員長の言われている適正規模になっていない。  しかも、今度一本の本土をあえて切って、私も鉄道マンですが、ダイヤ編成一つをとらえても非常にいろいろ困難があるにもかかわらずに分割という。私から言わせると、あえてこれ重ねて聞きますが、分割と分権についてどうお考えになっているのか。私は、今のいわゆる巨大な国鉄本社が一元的に握っていることについては、これはとてもうまくいかないと思う。ですから思い切って、例えば支社制なら支社制等をつくって分権をしていってやれば、この際六つ鉄道を分けてしまわなきゃならぬということにならぬと私は思うんですが、そこのところの分割と分権について、それからなぜ委員長はこういうふうに六つにされようとしているのか、そこのところについて、民営的手法のことはさておきまして、この点は私も民営的手法をやらなきゃならぬだろうと言っているんですから、そのことはさておきましても、経営形態として鉄道が一元的運営がいいことはもう明らかなのにもかかわらずに、あえて六つにされる理由についてお聞かせを願いたい。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割・民営化ということにつきまして、私どももこれは発想は民営・分割でございます。民営手法を入れて活性化するということについては安恒先生も御同意ということで、私はうれしく存ずる次第でございますが、私ども検討いたしまして、鉄道といいますかこの事業については、民営化の実を上げるのには分割をしなければだめだ、こういう結論に達した。  今電電公社の例がございましたけれども、電電公社の仕事は、北海道の人が鹿児島の人ど瞬時にして通話するというシステムでございます。そして極めて技術集約型といいますか、設備集約型の仕事である。電話局の人と我々電話利用者が直接合うわけではございません。全く機械を通じて仕事をするという性格のものである。ところが鉄道の場合はこれは極めて労働集約型であり、そして地域密着型の仕事である。それを運営をいたしますのに全国画一的運営がいいとおっしゃいましたけれども、全国画一的運営であるために非常に全国一律の物差しで全部を割り切っていくということによって、地域の本当の要望と地域密着型である鉄道事業というものが遊離をしていくという傾向に非常にあるということでございまして、これからの鉄道を活性化するためにはやはり地域密着型でいかなきゃいかぬということでございます。それから、現在の国鉄状況というのは非常に苦しい状況でありますが、この中において不合理な依存関係といいますか、そういうものが行われて共通の目標というものが明らかではない。  まあいろいろ勘案をいたしまして、結局分割をする場合のメリットとデメリットというものを比較して、いろいうな反論がございますけれども、大体技術的に解決ができるということでメリットの方が大きいと判断をして分割をする、こういう結論に達しました。十年ぐらい前の高度成長時代には日本において大きいことはいいことだということがい言葉でございました。オイルショックが進んでからはみんなの物の考え方はスモール・イズ・ビューティフル、いわゆる小さいほど管理というものの目が行き届いて共通の目標ができ、そこに活性化が行われるというのは、現在の日本人の共通意識に変化をしておるのではないか、こういう前提に立って私どもは分割諭を立てました。  そこで、分割と分権とはどう違うかということでございますが、分権というのは、まあ会社で言えば事業部制のように、社長の持っておる権限をある程度委譲をする、こういうことでございますけれども、全国一本で分権をした場合にどうなるか。そうすると基本的な権限というのはどうしても譲れない。例えば大きな設備投資をどうするがというふうな問題、あるいは高級人事をどうするかというふうな問題、あるいは運賃というものについてその分権でそこの支社長がどんどんできるかというとそういうこともできないというふうなことでありまして、結局、これは昭和三十二年でございましたか、支社制ということで相当思い切った分権の試みをやられましたけれども、十年余りたって失敗をした。その本質が私は日本人と合理的な考えをする欧米人と違うのではないか。結局、日本では支社長に権限があるといったって、その上に社長があるんなら社長に会わせろ、あるいはいろいろなところへ社長出てこいというのが一つ日本的慣習である。これは具体的に商売でも、私どもの商売でよく外国人と折衝して違うんですが、向こうは一販売員でも社長から販売の決定権をもらってきたと言うとそれで了承するわけです。ところが日本において商売は、あの会社は営業担当常務が来ないから失礼であるとか社長が顔を出さぬじゃないかとか、こういうことが非常にある風土である。  そういう意味から、私は、分権化というのは理論的に成立しても実際は実験をやった結果失敗をしたということもございますから、やはりあえてこの際には民営化の実を上げるためには分割をしなきゃだめだ、こういう結論に達した次第でございます。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 どうも亀井委員長の御発言の中で非常に理解をしがたいところがあります。まあ余り素人と玄人の議論をしてもしようがありませんからあれをしますけれども、しかし、私はもう少し真摯にお考えを願いたいと思いますのは、鉄道というのは労働集約産業であることはこれはもうお互いが一致しますね。それから地域密着型というそのことだけを強調されるんですね。しかし、地域密着であると同時に、今まで日本国有鉄道が果たしてきた全国ネットワークというのが非常に利便性があるわけですね。御承知のように、私鉄というのはそれぞれのエリアがありましてそれぞれが守っていますね。しかし国有鉄道と私鉄の一番大きく違うところは、これは何といっても全国ネットワークで一元的に国民のために運営をしてきたというところに非常にメリットがあったわけです。  そこで、地域密着型だから分割しなきゃならぬというのがどうしてもわからぬわけです。分割に伴う問題点で、余り専門的なことを亀井さんとやりとりするのはどうかと思いますけれども、例えば輸送関係の際のダイヤ編成についてもたくさんの問題点国鉄当局自身が出しているわけです。例えば一つの例を言いますと、いわゆる到着時分と停車駅の問題とか接続形態とか、運転本数の問題とか長距離列車の再編成の問題等々輸送関係にたくさんの問題点がある。それから旅客関係についてもたくさんの問題点、それから貨物関係についてもいろいろな問題点、これは純粋なる技術上にもたくさん問題点があるわけですねbそういう点について本当にあなたたちは解明をされた上で、分割に伴うこういう問題があるよというのはこれは何も私たちが出したわけでなくて、国鉄当局自身が分割にするときにはこういう問題点が出てきますということを政府・自民党や皆さん方にも説明していますが、そういう点がクリアできるというふうにお考えになっているんだろうかというと、どうも私はややちょっと素人ばかり集まって御議論されたんじゃないかなという気がこの点ではしてならないわけです。  ですから、既に分権については失敗したとおっしゃいますが、公社のもとにおける分権をやったのでありまして、民営的手法を取り入れた分権なんてまだやっていないんですよ、国鉄は。そういう経験を持っていないんですよ。そうでしょう。民営的手法を取り入れた分権は今までやったことないんですから。前の公社のままで分権をやったけれどもうまくいかなかったということだけであって、ですから、あのときうまくいかなかったから今回は分権ではうまくいかないということでは私はないと思うんですね。そういう意味からいいますと、どうも皆さん方がどうしても分けなきゃならぬというのがわからぬ。特にいろいろ新聞なんかでも指摘している。なぜ本土を分けるのか、一つの方が運営がうまくいく。新幹線新幹線だけでリース会社にするとか、かなり苦心というか苦労というか、いろいろな問題点を指摘できるところがたくさんあるわけです。  重ねてお聞きしますけれども、民営的手法を取り入れてやって、そして権限は大幅に各地域に委譲する。これはやり方だと思うんです。民間会社でもかなり巨大な会社ありますけれども、ちゃんとやっていますからね。何万人という会社ありますけれども、ちゃんとそれぞれやっていますよ、民間会社。私も民間の出身ですが、そんなことはやってやれぬことはない。そういうにもかかわらずに、あえてどうしてもこれを六つに割ってしまわなきゃならぬというところが、重ねてお聞きしますが、ちょっと理解しがたいんですが、もう一遍説明してください。
  18. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割をすることに納得がいかぬというお話で、全国ネットワーク論ということをお出しになっておりますけれども、現在既に鉄道というものが本当の意味で全国ネットワークであるかということが基本問題であります。北海道の人が鹿児島まで鉄道で行くかというと、行かない時代にもう入ってしまっております。例えば北海道をとりますと、北海道で鉄道が大体旅客流動は九九%完結型、こういうことになっております。そういうことを考慮に入れますと、ネットワークというものはやはり海陸空、モータリゼーションも入れてすべて総合した全国ネットワークというものが二十一世紀に向けて交通手段として成立するのではないかというのが私どもの考え方でございます。  いろいろ技術上の問題があるという御指摘がございました。それについて私どもも検討いたしましたが、御主張のとおり、我々は素人ではないかということで、国鉄当局の専門家とも相当すり合わせをいたしまして、その全部についてほぼ解決ができる、こういうことになっております。  それから、ネットワークが切れるとおっしゃいますけれども、現在一日二万本の列車が運行しておられます。そして、これで分割になりますと二地域以上に相互乗り入れになるのが五百本、そしてフルートレーンのように三地域以上にまたがるものはわずか三十本にすぎない、こういう状態でございまして、こういう問題についてはいろいろ技術上の問題は十分解決はできるという確信に基づいてやったわけでございます。  それから、民営をした分権はやったことはないという御意見でございますけれども、分権制というものが民間の会社においても、日本の先ほど申し上げた風土において必ずしもいろいろ成功しない。本当にその下層の人に委譲してもその権限がそのとおり動かないという周辺の情勢があるということでございます。  それから、やはり三十万というものは非常に巨大でございます。しかし外国では三十万の巨大企業もあるじゃないかという御指摘でありますけれども、調べてみると、者やはり日本アイ・ビー・エムであるとかいろいろ各個に会社ごとにこしらえて、プレジデントという権限を与えてやっておる。そこのプレジデントの全責任に負わせる、こういう格好でございまして、国鉄というものについての支社長でそれができるかということになってくると、やはりその支社長で何億という金を銀行から借りられるかというと、そういう日本は風土にはない。やはり社長といいますか、そういう総裁というものが判を押さなきゃ金が回らぬ、こういう仕組み、風土でございますので、そういう面から私どもは抜本的な改革をやるためにはやはり分割をやらざるを得ない、こういう結論に達したということを御理解いただきたいと思います。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 全国ネットワーク問題で簡単に、九九%、北海道は北海道から余り移動がない、九州は九州から移動がない、こう言われますが、委員長、どのくらいの人間が北海道から本土へとか、四国から本土へと年間に動くというふうにあなたたちは御計算をされて、簡単に九九%賄うからいいじゃないかと言われていますが、どういうふうにお考えですか、ちょっと聞かせてください。
  20. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 数字の点については事務局次長に答弁させます。
  21. 林淳司

    説明員(林淳司君) 北海道から本州の方へどれだけ旅客流動があるかというのは、これは交通機関全体でございますからそれは別にしまして、いわゆる国鉄で移動する人というのを見た場合に、北海道はその域内で九九%の人が発着をしておる、完納しておるということでございます。そういう意味で九九%と言ったわけでございます。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 官僚がそんな答弁じゃ困るじゃないか。僕が聞いていることは、六つに分割をされた結果、四国は四国だけで賄える、九州は九州で賄える、九州から四国へ行ったり、四国から本土に渡ったり、本土の中でも分割されているんだから、その他社にまたがって動くお客を年間にどれだけというふうにあなたたちは想定しているのですか。ただ単に九九とか九八は一社で賄える、他社には影響がない、こういう委員長の言い方だから、それを一年間に何千万と押さえて言われているんですかということを聞いているんです。そんな単純な答弁じゃ困る。
  23. 林淳司

    説明員(林淳司君) これは今度の意見書に書いてございますように、全体で見ますといわゆるまたがりのお客さんは二%、全体の二%でございます。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 数は。
  25. 林淳司

    説明員(林淳司君) 全体で現在全国で約千八百五十万人、列車で千八百五十万人移動しておりますが、そのうち、またがるお客さんの数は約四十万人ということでありまして、大体二%ということでございます。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 数字はまた改めてゆっくりやりますが、またがっている、例えば九州から中国へ渡るとか、四国から広島へ渡るとか、それから、特に今度は本土を分割するわけですから、たった四十万とか五十万とかそんな数字じゃないですよ。そんな数字の人が旅客移動するなんて、もうとんでもない話です。東日本と西日本と真ん中の日本と三つあって移動しているんですね。例えば新幹線でも東京から乗って大阪まで行くときには、これは三つの会社を移動することになるでしょう、新幹線乗客でも。四十万とか五十万とか、人をおちょくるような話をしたらいかぬ。私どもの積算ではやっぱり年間に数千万の人間がまたがった移動をするんです。そういう場合に例えば運賃の精算をどうするのか、それから料金の通算制をどうするのか、現行の同一運賃制度をどうするのか、こういうことで果たして分割をするということを維持できるかどうかということは非常に疑問があるわけです。ここのところは、委員長、ただ四、五十万の人間なんて事務当局が言っておるようなことを信用してやってもらったら困ります。今言ったような計算をしただけで、東京から博多まで新幹線で行ったときは、今度は四つの会社を通過することになるんですからね。  そういうこと等をいろいろ考えると、私はこれは簡単に分割をしてうまくやっていけるというふうに思いません。きょうはもう時間がありませんから、数字の食い違いだけ指摘しておきます。そんな四十万とか五十万という数ではない。我々の積算では数千万の人間に影響を及ぼすということだけ指摘しておきまして、次に入りたいと思います。
  27. 林淳司

    説明員(林淳司君) ちょっと一言だけ訂正させていただきます。  ただいま私が答弁いたしました、一年間と申し上げましたが、これは一日でございます。失礼しました。一日千八百五十万人、そのうち四十万人が二社あるいは三社あるいは四社という形でまたがっているということでございます。  なお、若干補足でございますけれども、東日本会社から東海会社、これが十万人、それから東日本会社から西日本会社へ行くのが二万人、それから東海会社から東日本、これが十万人、それから西日本から東日本、これが二万人というふうなことで、なおあとございますけれども、それらを全部合計いたしまして四十万人の人が二社間以上をまたがって動く、こういうことでございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 またこの問題も時間がありませんから改めてゆっくり議論しましょう。私はそんな一日の人間なんか聞いていないんですから、最初から年間の話をしておったんだから。まあこれはいいです。  そこで、次は大きい問題で、これも委員長にぜひともお聞きしておかなければならぬ問題でありますが、余剰人員の対策について委員長からいろいろ指摘がされていますね。例えば民間会社については委員長みずから全国を行脚して雇ってもらう、こう言われていますが、本当にこのような余剰人員対策というのがうまくいくというふうにお考えになっているのかどうか。すなわち、ここに出ておりますように、希望退職をまず二万人募るということですね。出なかったときどうするんだ。それから旧国鉄が四万一千人引き継いで、三年間なら三年間いろいろしてまた他社に転出をさせる、こう言っていますが、本当にそれができるのかどうか。それから新事業体に三万二千人、こういうことになっていますね。  そこで、私は委員長と、きょうは労働省もお見えになっているんですが、この答申が出て以降、例えば四万一千人の人間について、国がどれだけ抱えるための準備を始めているのか、地方自治体にどれだけ移行させるつもりなのか。それから、亀井委員長が全国行脚して民間会社に採ってもらうとおっしゃっていますが、民間会社に採ってもらう数をどの程度お考えになっているのか。来年度の概算要求がもう既に各省から出ていますから、雇用対策はやはり優先しなきゃならぬということですから、前回と違って具体的に少し中身が進んでいるわけですね。でないと、国鉄再建がうまくいくかどうかということの一つは人員対策が大きい問題です。それからあと一つはいわゆる長期債務の処理の問題。これはきょうはもう時間がありませんから、長期債務のところはまた改めて聞くことにいたしまして、余剰人員対策のところについて私はこういうやり方はうまくいかないだろう、この前も言っていたように、希望退職を募るといっても今の時代に。それから特に問題にしなきゃならぬことは、地域的に大量発生するわけですね。北海道とか九州とか、そういうところになりますと、今でも雇用率が非常に悪いんです。求人倍率も悪いんです。そういう中において、こういう問題について簡単に四万一千人を国と地方自治体と民間企業で引き受けますなどと言って、うまくいくはずがないんですよ。  そこらについて委員長のお考え、それから大臣以下労働省等で、その後、この前の運輸委員会以降、雇用対策については、前のときは特別対策委員会を設けて議論するということしか出ていませんが、既に来年度の概算要求が出されておる、こういう状況の中で、雇用対策についてどういうお考えをお持ちなのかどうか。この前は雇用対策の基本について私は聞いたんですね。生首は飛ばさぬということをはっきりしてくれということ、それからいわゆる新会社に行く人も、それから残る人も本人の意思を十分尊重してやってもらいたい、こんなことをこの前国鉄総裁と運輸大臣のは基本のやりとりをしました。そこできょうは基本のことはさておいて、中身の問題についてどういうふうにお考えか、まず監理委員長のお考え、それから運輸大臣、それから労働省にもおいで願っていると思いますからお考え、それから国鉄総裁もお見えになっていますから、その後、いわゆる九万三千人の余剰人員対策についてどういうふうに今日まで進んできているのか、また私が前回問題を投げかけた疑問点についてどう答えていただくのか、お答えを願いたい。
  29. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 余剰人員対策は、前々から申し上げておるように大変な難しい問題でございます。私どももいろいろ知恵を絞りまして、結局人員が、今お話にもございましたように九万三千人というのが一応余剰と考えられるけれども、当面新しく発足する会社にも適正人員の二割、合計三万二千人を採っていただいて、これは新しい事業拡張の要員、あるいは一挙に私鉄並みの生産性を上げるのに、時間の関係もあろうが、こういうことを見込んで二割だけは新事業に三万二千人背負っていただく。そうすると残りが六万一千人でございますが、二万人の希望退職につきましては、これは国鉄当局大変御苦労が多いと思いますけれども、この際いろいろな状況変化がございましたわけでございますから、退職金に特別の付加をしてこの際転身しようという方あるいは他へ行こうという方のあっせんをし、希望退職に応じていただきたい。それができなければどうかということでございますが、これは行政府も国鉄もこれでとにかく一生懸命やる、こういう決意でございます。  それからあとの四万一千人がどうかということでございますが、私が関係しております民間においては一万人を超える人員は大体収容できるのではないだろうか。これは私ども答申を出しましたときに、経済五団体の長がこれを全面的に支援をし、余剰人員についても民間としてもこれは協力する用意があるというお話をいただきました。現在既に、これは多少意味が違いますけれども、四千数百人の国鉄の職員が民間事業へ派遣をされております。これが暮れには恐らく七、八千人になり、うまくいけば来年には一万人になるのではないかという想定もございますが、これは一つのトライアルで、本式になる場合は別でございますけれども、今の経済状況が続けば自動車とか電気、いろいろなところで相当採れるのではないか。現実に私のところでも現在派遣は五十人申し込んで今五人だけ派遣を受けておりますが、非常に一生懸命やっております。また、私の知っておるある自動車会社では四百人採りたいとか、いろいろやって、民間で一万人は大体こなせるのではないか。  あと三万人、これは国鉄の職員というのは国家公務員に準ずる地位にある人々でございます。そこでこれは行政機関、特殊法人、地方自治団体ということでお引き受けをいただいたらどうだろうかということで、これは行政改革が今進行しておるときに無理ではないかというお話でございますけれども調査しますとこの三者で年間補充人員として二十万人の新人を採用しておられる、定年退職あるいは死亡退職の補充として。その半分が学校の教員であるとか医者であるとか看護婦であるとか、特殊要員でありますけれども、あとの半分は大体普適職。それならば、十万人側採用になるのであればその中の一割だけ採っていただく。そうすると一万人、三年間続ければ大体三万人、こういう一つの私ども計算でおります。これは絵にかいたもちではないかとおっしゃると思いますけれども、大変な問題であるということで、八月七日には総理大臣を長にする国鉄余剰人員雇用対策本部が設けられました。そして労働省においても雇用対策本部をつくられた。また運輸省においても国鉄改革の推進本部で余剰人員対策を全面的にやる。  安恒先生御承知のように、石炭の場合も三十万人の人間が十年間で二万人に減りました。このときにはもちろん労働省とかいろいろな援助をいたしましたけれども、これはやはり民間企業でありますから民間でやりました。また高度経済成長のときであった。しかし、総理大臣を本部長にして国を挙げてやろうという体制を組んだというのは私はこれは画期的なことではないか。これは全国民的な理解がこれによって私は得られるのではないか。長年国民の足として努力された方々を一人も路頭に迷わさないということは、批判の問題ではなくて国民の理解と協力の問題ではないか、あるいはそれを指導する政府当局の問題ではないか。その決意と努力によりまして、大体三年かかれば——三年といいますが、これからおよそ四年半か五年ぐらいの間でございますが、その間においてこれだけのものが処理できないはずはない、それは日本国民の善意と理解に頼っていいのではないか、そういうふうに私は考えております。
  30. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 亀井委員長から政府としての施策についても御答弁を一部いただきましたのですが、今お話がございましたように、政府といたしましては国鉄余剰人員対策の本部を設置いたしまして、既に先月一回会合を開きまして、さらに事務局に必要なスタッフを各省庁から集めまして、これから実は具体的な対策に入るところでございます。  何と申しましてもこれは容易なことではございません。しかし、できなければどうするかということよりも、私どもはできるように、あくまでこれを完遂するという立場から、そういう決意のもとにこれからこの問題に対処してまいりたいと思っております。
  31. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  今運輸大臣からお答えがございましたように、現在国鉄余剰人員雇用対策本部におきまして、労働省からも出向いたしておりますが、具体的な対策につきまして検討は逐次進められておるところでございまして、それを受けまして労働省としましても関係各省と密接な連携をとりながら具体的な対策をつくっていくということにいたしております。先ほど予算のお話も出ましたが、したがいまして今回の八月の概算要求にはそこは織り込まずに、対策が出てきたところでまた要求その他を行っていくというのが現在の状況でございます。
  32. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 余剰人員対策は大変な問題でございますが、まず国鉄自身ができる限りの努力をするということが大切でございます。  現在の具体的なやり方といたしましては、関連企業が約七首ぐらいございます。さらにまたそれを外で取り囲む企業等もたくさんございますので、そういった企業に対しまして、できるだけ協力してください、特に強い関連企業につきましては来年度の新規採用をしないでください、いわば空き家をつくって、いずれ国鉄がお願いをします、採用してくださいというようなことも今お願いをいたしておるわけでございます。近々のうちにそうした数字を、最大限の数字を取りまとめまして、これを政府の方に御連絡いたしまして、政府の方で残余の分につきまして御努力いただく、こういうようなことでお願いしております。
  33. 安恒良一

    安恒良一君 私の持ち時間が来ましたから、論議が中途半端に終わっておりますが、重ねてこの問題は追及していきたいと思います。  ただ、一言だけ私が言っておきたいと思いますのは、総論賛成、各論反対に雇用対策は私はなりがちだと思うんですね。例えば、委員長はいとも簡単に、まあ委員長は民間でかなり実力があるんですから、一万人は大体間違いないとおっしゃいますけれども、私たちの耳に入ってくるのはなかなかそうはいかない。ましてや、国鉄総裁も簡単に関連会社が七百ぐらいあるからそこにと言うけれども、関連企業自体がもうとても自分のところが大変だ、手いっぱいだから困る困ると言っているのがいろいろ我々の耳にはたくさん入ってくるわけですからね。だから、数の上から総論的に言うと委員長はいとも簡単に国家公務員、地方公務員をこれだけ採用してその一割を国鉄の職員に回してもらえというのはそれは総論であって、じゃ、今日の行財政改革の地方自治体で人減らしを一生懸命やっていろんなことをやっているときに、そう簡単に国鉄の職員をどんどん引き受けるのかどうかということになると、私はややお考え方が総論的だと思います、ざっくばらんに言わしてもらって。総論的であって、いざ各論になるとなかなかうまくいかない。  だから、私はこの問題についてきょうここで結論を出そうと思いませんが、私はいま少し、この前どういう根拠で数字を出したかという資料をいただきました、こういうものを検討して議論をさらに進めたいと思います。ただ、何回も言っておきますが、これはもう委員長も言われましたように、絶対に生首を飛ばすことはないということと、それからやはり本人の意向というのが十分に尊重される、この建前がないと私はうまくいかないと思う。そういうことを重ねて言って、きょうのところはこの議論はすれ違いに終わります。  もう時間がありませんのでこれで終わりたいと思っています。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 監理委員会の意見を読んでみて感じたことは、特に答申で赤字の責任ということが依然として明確になっていない。例えば斜線一つとってみましても、過密ダイヤを非常に、世界一と言われるような定刻運転をしている。それぞれの地域で非常に優秀な職員を採用している。これらの能力が全く使われないままここへ来てしまった責任が、もっとえぐれば生臭いどろどろした問題がたくさんあるのにあえてそういうことを避けて過去は問わない式の形で来ているということは、やはりそこのところをはっきりえぐっておかなきゃこれからも、さしあたって特殊会社になるんですから、非常に問題が出てくるのでないかと思うんです。それから、国民の負担でというふうなあいまいな形で、資金対策については全然お先見通しなしというふうな形ではちょっとこれは答申としてお粗末でないか。それからもう一つ、この答申に基づいて政府がやっていった場合にこれでうまくいくかいかないか、いかなかった場合のこれまた責任の所在を明確にしていない。  そういう意味で極めて無責任答申と言わざるを得ないというふうに私は思います。あるいは無責任というよりはあいまい答申と少し穏やかに言った方がいいかもしれませんが、そういう感じでございますが、そういう総論的な問題は後にしまして、最初に各論からきょうは入らせていただきたいと思っております。  ちょうだいしたデータによりますと、北海道で大体六十二年度に九億の黒字が出る、こういう数字をちょうだいしております。五十九年に営業費用が約三千億かかっております。これを千二百七十億に、そのために一万三千人の人減らしを中心にした地方交通線の廃止とかいろいろな問題が組まれておりますが、それにしてもこれだけじゃちょっとわからないんです、要するにバックデータがないものですから。恐らくそういうものを中心にしておやりになったと思いますので、寒冷地の特殊的な状態の中でかかる経費がある、除雪費とかポイントの融雪費とかいろいろあるんですが、これは一体どれくらい見込んでおりますか、この千二百七十億の中で。
  35. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま丸谷先生から無責任答申という御批判を受けたわけでございますけれども国鉄がこれだけ悪くなった…
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのことは後で、まだ質問をしていないんで。各論をやらないとあいまいで無責任だというのが出てきませんので、先に各論をやらせてください。
  37. 林淳司

    説明員(林淳司君) 具体的な除雪費についてはちょっと今数字は調べておりますけれども、一般的に申し上げまして、各会社ともその費用の中には五十七年度、五十八年度に国鉄において実際にかかった除雪費用、これについてはその実績値をすべて計上してございます。具体的な数字については後ほどまた調べて御答弁をさせていただきます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の調査によりますと北海道でその種作業に大体四百億かかっているんです。それから参考にする民間企業と言いますけれども、私鉄ないんです。どこを参考にしてやられたのか。これらも私鉄などを参考にしてと言いますが、民間企業ないんですから。これどうなんです。ちょっと調べてください。
  39. 林淳司

    説明員(林淳司君) 営業費用の中の主として今物件費のお話かと思いますけれども、物件費につきましては、私鉄の実際にかかった各会社の物件費というものを輸送密度等によりまして回帰分析いたしまして、それに回帰した形で必要なそれぞれの会社の物件費、六分割会社の物件費というものを計上いたしました。それにさらに、国鉄であるがための特殊事情というものが若干ございますので、それは五、六%程度上乗せすれば足りると思いますが、その他もろもろの不確定要素もあろうということで私鉄に回帰した物件費に二割上乗せいたしまして、それをそれぞれの会社の物件費として確定した。さらにその上に、先ほど申しましたように、過去の五十七、五十八年度、この二カ年度にわたる国鉄の各管理局別の実際の除雪費というものを調べまして、その費用をそれぞれの管理局に相当する分割会社というものの経費に上乗せをした、こういう形で経費を計上しております。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 これによりますと物件費三百五十二億しかないんですよ。それで私変だと思ったんです。五十九年に約四百億の寒冷地関係の物件費がかかっているのに全部で三百五十二億、こんなことでやれるはずがあるかと言いましたら、各会社参考というけれども、北海道にないんですよ。ないのにどうやって参考にしたか。実に私はやっぱりこれ無責任だと思っております。  具体的にもう一つ聞きますけれども、我々のところへもやっぱりバックデータを出してもらわなきゃならないと思う。これはちょっと要求します。北海道だけでいいですが、営業費用千二百七十億の内容、これが出てきませんとね。それで一つだけ聞きます、そっちの方でちゃんと資料もあるでしょうから。ポイントを電気で融解しているんですよ、今。暖めるんです。昔はみんな出かけていって手動でよいしょと、雪があれば雪を全部がいて手でやっていたんですけれども、しかし今はみんな自動になりましたね。自動になったために電気とかそういうことで別な経費がかかるようになっているんです。この経費を幾らに試算していますか。これは寒い北海道だけしかないんですよね。参考にするところがないはずなんで、どれだけに計算していますか。ちょっと出してみてください。
  41. 林淳司

    説明員(林淳司君) 具体的数字については後ほどまとめてまた申し上げたいと思いますが、除雪のための費用というのは、これは先生今御指摘のようなこととかいろいろございますけれども、それについてはそれぞれの管理局で実際にかかった費用というものをすべて計上してあるということでございます。  除雪費につきましては、ただいま数字がわかりましたけれども、北海道総局におきまして、五十八年度に二十億、それから五十七年度には同じく二十億でございます。年間二十億の除雪費を使っておる、これは実績でございます。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 雪の一番ない年の五十九年は幾ら使っていますか。
  43. 林淳司

    説明員(林淳司君) 五十九年のデータをちょっと今時ち合わせておりませんので、後ほどまた調べます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 寒冷地手当というのは、除雪のほかに今言ったポイントの問題だとか暖房だとかいろんなのがあるんです。そういう物件費が四百億近くかかっているんですよ。こういうものがちっともこういうところに出てきていない、三百五十二億くらいで。その問題は後でそういう意味での資料を私は要求します。それを精査しませんと、こういう無責任な数字だけで我々に納得せいといったって納得のしょうがないんです、後でということだけで。精査して質問できないですよ、こんな無責任な資料じゃ。大変僕はその点では遺憾に思っているんです。こんなもので審査せい、質問せい、できますか、そんなもの。質問したって答弁だってすぐ返ってこないでしょう。委員長よく覚えておいてくださいよ。  それから、今も話が出たんですが、本人の意向等も十分あれして余剰人員の整理その他の問題を行う、こういうことなんですよね。ところが、大体国鉄の職員はそれぞれの地域で余り遠くへ動かないのが多かったんです。そのために住宅等もそれぞれの地域にみなつくって、年金から金を借りて建てています。今度こういう人は、そこに職場がなくなってほかへ行けといった場合にこの借金をどういうふうに整理してくれますか。家をしょっていけないでしょう。ローンはまだ残っている。自分の責任でない問題でもってよそへ行かなければならない。貸してくれたのは主として年金関係ですけれども、そうでない人もいます。金融機関からも足りないのは借りてローンを払っている。こういうのをどうしてくれますか。それをどうにかしてくれなかったら動けないでしょう。どうするつもりですか。
  45. 林淳司

    説明員(林淳司君) 北海道と九州は特に余剰人員の発生率が高くて、かつまた地元に雇用吸収力が余りないということで、やはり広域的な移転就職というものを考えざるを得ないと思います。その場合、ただいま先生おっしゃったような事柄、それは個別にはいろんな事情があろうかと思いますが、そういう事情等について十分具体的な、四万一千人の対策を講ずるときに個人のそれぞれの事情というものを十分踏まえた上で適切な対策というものがとられるべきだろうというふうに考えております。  実際に家のローンというふうにおっしゃいましたわけでございますけれども、民間企業でもあるいは国家公務員の場合でも、そういう事情を持ちながら転勤とかその他長期にわたる遠隔地への赴任ということもあるわけでございまして、そういうふうなことも考えながら、総合的に本人の生活に支障が出ないようなそういう個別、具体的な対策というのがとられるべきだろうというふうに考えております。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 私はこれどうしてくれると言っているんで、今のじゃ答えにならないんですよ。民間企業のことを今言っていますけれども国鉄はまだ民間企業でないんです、国有鉄道なんですからね。その立場で物を言ってもらわなきゃならぬし、そして、民間企業は転勤してまた東京とかそういうところへ戻ったり行ったりします。しかし、今のこの答申の状態のままでいきますと、北海道から静岡県へ移れとかそういうことになると、家をしょっていけないんですよ。数字が出ていますでしょう、恐らくそういうもの、どれくらいあるかとか。この対策どうするかくらいのことがなくて、一万三千人再就職して、雇用条件悪ければ本州方面に就職させると言ってみてもそれは空念仏なんですよね。そこまで詰めているのかどうか。いやそこまで気がつきませんでした、それでもいいんですよ。どっちかはっきり言ってください。
  47. 林淳司

    説明員(林淳司君) そういう個別、具体的な事情についてはこれは実施段階の問題でございますので、私ども監理委員会で意見を提出するときには、それはもろもろのいろんな状況を判断しながらこういう提言を出したわけでございますけれども、あとそういう個別事情は、実施段階におきまして個人個人の事情というものを十分考えながら必要な対策が講ぜられていくものというふうに考えております。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 実施段階で考えて、それでもそういう問題点の指摘くらいは答申で出しておいてくれなきゃ、実施段階だって聞いていればいいということになるでしょう。運輸大臣どうですか、お聞きになってますか。個々でないんですよ、たくさんいるんです、そんなの。
  49. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 先生のただいま御指摘になりましたような非常に大きな問題がございます。それから御指摘にならなかったような問題でもまだまだいろいろ具体的にこの答申を受けて解決しなければならない問題があるということは、私ども十分認識をいたしております。それらについて、雇用につきましては政府が全力を挙げて、雇用対策本部というようなところで政府全体としての対策を総合的に講じていくという中で今のような問題について真剣に検討していきたい、かように思っております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 検討するというのは、何か国会答弁ではやらないことの同意語だというふうな話もあるくらいなんで、もう少し責任を持って、私は具体的な問題言っているんだからね。この問題でいいんですよ。住宅問題についてはできるだけこういうふうにしていきたいと思うとか、何とかもう少し。一般論の検討をするという中では全然答えにならないと思う。どうしてくれるんですか。そんな三人や五人でないんですよ、たくさんいるんです。一万三千ということなら、そのうちの相当数の人がこういう問題を抱えて、家をしょっていけない。そうすると何とかそこへくっついていかなきゃならぬから、せっかく言われたけれども移れないとかいろんな問題が出てくるんですよ。だから住宅の借金についてはこうするんだ、答申の方はそういう点が触れていないのでやむを得ません。それは実施段階だというので、ひとつ運輸省としての考えをはっきりさせていただきたい。
  51. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 私、検討するというのはやらないというような意味でお答え申し上げたつもりはございません。これは本当に先生おっしゃるように大変難しい問題でございます。ただ、いかんせん、答申をいただきまして雇用対策本部が発足し、ただいま検討が始まったところでございますから、今の先生のようなお話も含めていろいろ検討しなきゃならない問題がございます。その中の一つとして、貴重な御意見として承って検討の材料にしていきたいというふうに思っております。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから青函トンネルの問題なんですが、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 私の委員会での質問に対して塩川大臣が、これは国鉄にだけしょわせる問題でないということをはっきり言っているんです。まあ注文主が、これ注文主という言葉を使えば、注文主が国鉄だから一応国鉄の借金ということになるかしらぬけれども、しかし、今の内容からいってこれはひとつぜひ国家的な私はいろんな措置がとれると思うんです、こういうふうなことを言っているんです。ところが今度の答申の中で三十七兆の中に入っているんですね。こんなものを国鉄の借金の中に入れるのほかわいそうじゃないですか。こういうのを水増しと言うんですよ。倒産前にできるだけ借金を膨らましておいて、こんなにあるやつをこう整理したんだと。もうこんなもの最初から国鉄の借金の中の計算に入れるというのはこれはどういうわけです。これは監理委員長ひとつ。
  53. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 青函トンネルの問題についてはいろいろ問題がございますけれども、新発足をした場合に国鉄と鉄建公団との関係の債権債務ということを明確にするということでこういう仕分けをしたわけでございまして、これは計算技術上の問題であって、まあ新しい事業体もとてもこれの資本費というものは負担していけない。しかし、青函トンネルは六十三年四月にできれば、これはせっかく国民のやっぱり要望でできたものを雨ざらしにするわけにはいかないということでございますので、これの処置についてああいうふうに債権債務関係はこういうふうな姿勢でいきます。これがどういうふうな分担方法になるかというのは、あれは全体をトータルして、金に糸目をつけられませんから、旧国鉄及び資産処分で処理するものと国が結局負担をするものというふうに仕分けてあるわけでございまして、全面的に国鉄に持たせるということにはなってないということは御理解をいただきたい、そういうふうに思います。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 国鉄に持たせることにはなっていないんですがね。この種の国鉄責任でない負債も全部トータルして三十七兆だというと、国民はああそうか、国鉄責任による借金だ、こう思っちゃうわけですよ。ですから、そこはやっぱり僕は監理委員会はもっと明確に、三十七兆、このうち国鉄責任でなくて政府責任で当然処理しなければならぬ、大臣もそう言っているんですから、その種のものはこれだけあるというぐらいの分け方をして示すべきじゃないんですか。いかがですか。
  55. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) トータル三十七兆三千億というのは、国鉄が新発足するのに、国鉄責任とかいろいろじゃなくて、国鉄に関連してこの際清算をしなきゃいかぬ金額がこれだけある、こういうことを私ども明示いたしまして、これがどこの責任だ、これがどこの責任だということはうたっておりません。そういうことをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはわかるんですよ。わかるんですが、今亀井さんが言われたように、どこの責任だ、どこの責任だと明示していないところにこそ問題があるんです。冒頭申し上げた責任のあり方がはっきりしないというのもまさにそこのところなんです。やはりそれらははっきりすべきですよ。  そうすると、最初から国鉄当局がこんなところへ敷いてもだめだというふうに主張していた政治路線なんかで、もうつくってすぐに撤去している路線もありますよ、白糠線なんて。あんなの国鉄の借金ですか、国鉄責任ですか。そういうのを分けないから、国民は何となくいや大変だ、二十何兆だ、三十何兆だ、最終的には三十七兆も国鉄が借金した、けしからぬ。おたくがどんなに今ここでそう言ってもそういう形で伝わらないんです。三十七兆だけしか。だから私はこの答申というのは非常にそういう点で無責任だ。ここら辺ははっきりしなきゃならない。いかがですか。なぜはっきりできないんですか。そこのところはやっぱりいろんな政治が絡むんで避けて通ったんですか。
  57. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 責任諭はいろいろこの運輸委員会議論ございました。しかし、私どもの認識は、現在国鉄丸というものがもう沈没に瀕しておる。そのときに船長が悪い、機関長が悪いという論争をしておる時期はもう失しておるのではないか。まず船の穴をふさぎ、船の荷物になっておるものは海に投げ出すものは投げ出すということで船を安全に行かせるということが根本的な私どもの任務である、そういう観点から私どもは立案をいたしました。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこのところなんですよね。船の沈没と違うんですよ。国鉄は破産能力ありませんね。いかがですか。
  59. 林淳司

    説明員(林淳司君) 国鉄には現在破産法の適用はございません。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 破産能力のない国鉄の問題なんです。船の沈没とわけが違うんですよ。そういうものを混同した、すりかえた答弁というのは私は大変遺憾だと思います。船の沈没とは違いますよ。そう思いませんか。破産能力のない国鉄を船の沈没と一緒にした次元でとらえて、だから責任を明らかにするよりもこれからどうするかだけ先だなんていうふうなことにはならないんですよ。断じて船の沈没と破産能力のない国鉄問題とは違う。この点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  61. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 沈没というのは語弊があって、破産能力とかいろいろそういう問題ではなくて、常識で考えて現在の国鉄が大変な赤字だ、年に二兆五千億の借金を繰り返しをしておる、こういう莫大な借金の繰り返しということが続けられるのかどうか。私どもの意見を報告書に書きましたけれども、二兆五千億借金をして返済に一兆円、金利に一兆三千億、五十九年度が一兆四千億円しておりますが、そういうサラ金状態というのは明らかに危機的状態にあるというふうに私どもは認識をしておるということでございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 ですから、危機的状態に陥らせた責任はどこなんだということを明確にしておかなきゃならないんです、だれなんだと。国鉄は破産能力ない。したがって当事者能力だってないんです、そういう点では。人事権ないでしょう。人事は総理が決めるんです。だから、国鉄の経営者といえどもこれはいわゆる民間企業とは全く違うことはもうお説のとおりですね。そうすれば赤字の責任はだれなんだ。これは政府でないですか、最終的に国会でそういう答弁を私いただいているんです。いかがですか、委員長そう思いませんか。赤字の責任は最終的に政府だとはっきりここで言い切ってください。
  63. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 責任はもちろん政府に私はあると思います。しかし政治にもある、組合にもある、あるいは国鉄当局にもあった。そういう私はもろもろのものであって、一つだけの犯人を挙げるということには不賛成でございます。これはある識者から私はそういう文書をちょうだいいたしまして、そこにはっきりこの四者に責任がある、しかし今それよりはここの危機状態を救うことに監理委員会全力を挙げてくれ、こういう私どもは文書をいただきまして、その識者の言に従って努力をしてきた、こういうことでございます。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 民間企業をよく引き合いに出しておられますが、民間企業で社長が、破産した責任は、こんなになったのは組合が悪いんだということで世間通りますか。経済界では通しませんよね、財界ではそんなことでは通しませんね。そうでしょう。それから支社長が悪いとも言えませんね。代理人が悪いんだとも言えませんね。国鉄責任があるというけれども国鉄総裁を任命するのは総理ですよ、任命権者は。国鉄責任あるということは国鉄総裁が責任者ですね。そうするとその国鉄総裁、国鉄責任があるということはその任命した総理の責任の方が重いんじゃないですか。そういう人をどうして任命したんですか。私は委員会で、もう随分前ですが、今のうちに私を総裁にしてください、いろんな問題をどんどんやって私なら赤字解消できるんだがなと言ったけれども、私を任命してくれなかった。まだまだ方法はあると思う。しかし、ここまで落ち込むようなことしかできない総裁を任命したのは政府なんですよ。労働組合の責任だ、国鉄責任だ、そんな分散されるべきものではないんです、最終的に。  これは大蔵委員会ですけれども、大蔵委員会で主計局次長が私の質問に対して、国鉄のやっぱり経営責任だと言っておりました。だから私も、最終的な責任はどこにあるんだ、この借金の、そうしたらこう言っているんです。「国鉄責任であることは当然でございます。しかし、この国鉄がこのまま進みまして、仮にそういう債務を支払うことが不可能になった場合には、国が全額出資しておりますので、そういう出資者としての立場から国の責任になる」、こういう答弁しているんです。国の責任でしょう。国の責任ということは政党にもあるということにはならないんです。だから、我々が随分前から注意しても聞かなかった政府の責任じゃないですか。やらなかった。議決機関の国会じゃなくて執行機関の問題なんですよ。すりかえないでください。そういう意味では、終戦のときに国民皆の責任だと言ったと同じようなことなんですよ。  それぞれの分担があるんですから、その分担の中で詰めていけばそれは私たちも責任ないとは言いません。我々自身ももっともっとやるべきだったというふうにも思います。しかしやはり最後は執行権の問題なんです。並列のものでないですよ。それは組合だとかあるいは国鉄の経営陣にもある。国会だって運賃値上げするときいろいろ言ったじゃないかとか、いろんなことある。しかし、それらの責任と政府の責任と並べていろいろだなんということになりますか。ならないでしょう。国鉄今日の責任の最終的な、全額出資をしている国、行政機関、そうですね、行政機関。  国鉄の改革も何度か国会にも出ました。そしてそれを承認したけれども、そのとおりにやったけれどもならなかったでしょう。そうすればそんなもの承認した国会が悪いんですか。こういうふうにやりますと言うからそうかとなった。我々はそれはできないだろうと言った。それでもやはり国会は数の世界ですから数でもってそういうのが通っちゃった。だめだった。提案者、執行者である政府の責任じゃないんですか、最終的に。あそこもここもあるなんというふうにそんな一億総ざんげのような話にすりかえることは私は断じて許されないと思うんですけれども、いかがですか。なおまだみんなこうあるんだというんですか。最終的なこの問題の責任者は国だ、これははっきりしているじゃないですか。それが書いてないから私は無責任だというんです。いかがです。
  65. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 丸谷先生の論理で言う最終的という、そういう法制ぎりぎりにいくと私はそうだと思います。しかし、素朴なる国民感情でいえば、その総理というのもころころ変わっちゃっておる。今だからいろいろ問題になりますし、それから組合が多少責任があるとおっしゃいましたけれども、やはり法律に禁止されておるストを何回か繰り返してきた、これは素朴な感情であれがやっぱり国鉄を悪くした、こういうこともあるわけですね。それから国鉄当局の中においていろんな果断なる経営というものが栄やりになれなかった、そういう仕組みの問題もあったと思うんです。  いろいろなことでありまして、ここで戦犯を断定したところで問題の解決にはならぬということが私どもの考え方でございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 戦犯を断定しても問題の解決にならぬ、そういうすりかえの御答弁というのは非常に遺憾です。それから、私は、組合だとか国鉄経営者とかいろいろなところの責任、それはそういう意味では我々にも責任ある。しかし、それは例えば組合のストは、労働者のストは本来憲法で保障されているんですよ。違法ストとか何とかいったって、これはまだまだいろんな問題があります。だけれども、そんなことをやっている時間がないが、むしろ憲法の基本的人権を抑え込んでいることが、それから、組合がストやっても一体この十年なら十年間に何日やりましたか。計算してごらんなさい。ほとんどやっていないんです。  私は組合の人にもよく言うんですが、ストやる、ストやるといってやらないから余計やっているように見えるけれども、やりたくない、やりたくないといって、仕方がないという形でやればもっと違ってきたというふうなことをしばしば言うんですが、ほかの国だってストはやっているんです、交通機関だって。だから、そんなものがこの赤字の出た大きな原因だなんということでは断じてない。むしろ、今の運輸大臣は御立派ですからそういうことないですが、大臣になったら急行をとめるとか、どこかの新幹線の駅に銅像が立っています。上越新幹線は距離に比べたら新潟に入ってからの駅の数が一番多い。  そういう体質の中から生まれてきた今日の経営の危機、これをしっかりえぐり出しておかないと特殊会社をつくってもまた同じことになりかねない。そのことを私は心配しているから、そのためには原因追求が足りな過ぎる。国会でやったというけれども、今までのいろいろの論議を聞いていてもはっきりしていないんです。明確な形で国、いわゆるそれも政府ですね、政府にあるんだ、この際やはりその点だけはこの機会に明確にしていただきたいし、これはなかなか委員長の口から出ないかもしれませんが、大臣、今の話を聞いていかが思いますか。
  67. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先生の御意見を先ほどから聞いておりますけれども、総理が任命したから総理が悪い、ということは政府が悪いというのはいかがなものでございましょうか。そうなりますと、例えば会社において社長を選んだのは取締役会、取締役を選んだのは株主総会、じゃ株主が悪いんだよ、そんな論法があるでしょうか。ですから、今もうここに病人が死にかかっているのに、こっちでつかみ合いのけんかやっておまえが悪いということよりも、みんなでひとつこれからどうするかという議論でなければ、せっかく先生の貴重な時間でこの問題をいつまでも論議をしても私はどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題はそういう株式会社や何かと違います。それは国民が選んだ総理が決めたんだから国民が悪い、国民責任だ、そういう言い方はあるかと思いますけれども、これは違いますよ。この問題についてはやはり政府の責任が一番重いんだ、だからこれは政府が引き受けるんでしょう。責任があるから最終的に引き受けざるを得ないんですよ。そうですね。それで、お説のとおりなんで、この問題で時間が来てしまいましたので、やはり私はこの責任の所在をもっともっとえぐることは、これからの特殊法人、民間会社に移ろうとどうしようと、一番大事なところを欠落して監理委員会の論議が走っているということだけは否めないと思います。その点で、国の責任、だから国の責任があるから金を払うんでしょうけれども。  そこでこの資金手当てですが、資金手当ての問題について非常に私は疑問に思うのは、例えば固定資産税を何らかの形で減免してくれというようなことを言っていますが、自治省はこれは了解しているんですか。
  69. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 自治省といたしましては、了解をするといった性格のものではございませんで、税制改正に当たりまして、従来の手続に従いまして関係省庁等の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは今固定資産税の課税権は市町村にありますね。
  71. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 固定資産税の課税権は市町村でございます。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 亀井委員長、こういう何らかの形で軽減してもらうということについて、これは自治体の長あたりの意見は聞いたことがありますか。
  73. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 一応こういう私どもとしては希望があるということを連絡をとっておりまして、今後いろいろ関係方面で検討される、こういうことになっております。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治体では、バスなんかそうなんですが、赤字が出た場合国民が四分の一、    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 自治体が四分の一で、半分。民間移行して私鉄並み私鉄並みというんですが、私鉄が赤字が出た場合に、その赤字に対して国が補助するという制度は同じようにあるんですか。
  75. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) ちょっと担当でございませんけれども、地方鉄道軌道整備法という法律がございまして、これに基づきまして補助規定がございまして、一部地方の中小私鉄等に対しては助成をしているような仕組みになっております。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのパーセントはどれくらいまでですか。バスは半分なんですよね。
  77. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) ちょっとただいま地域交通局の関係が来ておりませんので、私担当でございませんので、率については後刻調べてお答え申し上げます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 半分くらいじゃないんですか。どうですか。
  79. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) たしか欠損補助は全額だというふうに聞いております。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 亀井委員長、民間というのはこういうものなんです。交通機関は民間に対しても、このことをよく覚えて、民間並みというときには、赤字が出た場合には国がちゃんと補助するんだということも銘記して民間並みという言葉を言ってもらわないと困りますよ。  これで終わります。
  81. 梶原清

    ○梶原清君 先日私は滋賀県で、国鉄の列車ダイヤについての強い要望と申しますよりも大変厳しい批判を受けてまいりました。県知事等からの要望、詳細な資料は既に国鉄当局にお届けをいたしておりますので、ここでは二点指摘をいたしたいと存じます。  その第一点は、当委員会でもしばしば指摘を受けておりますところの列車接続の問題でございます。滋賀県下でも東海道線、北陸本線、湖西線、草津線各線の接続を改善をして鉄道を利用しやすいようにぜひダイヤを考えてほしい、改善をしてほしいという強い要望があります。  その二は、御存じのように、米原駅といいますのは東海道線と北陸本線の分岐駅でございますけれども、大阪の方から参ります電車が手前の草津、野洲、安土駅どめとなっておるわけでございます。なぜこれを米原駅まで延長していただけないのか。新快速電車についても同様なことが言えるわけでございます。こうした強い要望があるわけでございます。  そこで問題は、地方の方々のお話によりますと、こうした要望を真剣に国鉄当局に訴えてきておる、しかしなかなか実現をしてもらえない。列車ダイヤが旅客流動にマッチしないので、やむを得ず多くの人々が自家用自動車を利用しているのが実態なんです。この列車ダイヤを改善していただければ国鉄の旅客はふえる、収入がふえる、こういう実態にあるにもかかわらずなかなか国鉄当局は要望を聞いていただけない。その一つの大きな要因と申しますのが、滋賀県は御案内のとおり大阪鉄道管理局、天王寺鉄道管理局、名古屋鉄道管理局、金沢鉄道管理局というように四つの鉄道管理局に分割されております。その間の調整がなかなかうまくいかない。ごく最近やかましく言いましてやっと四局の事務担当者会議が持たれた。にもかかわらず依然として話が進まないということを承ってまいったわけでございます。  私は関西の出身でもございますし、若いころ国鉄の車掌をいたしておりまして、あの辺の地理は非常に詳しゅうございますが、最近あの地域が発展をいたしまして、お客さんはたくさんあると思います。列車ダイヤが旅客流動にマッチすればお客さんがふえる、収入がふえるというふうに私も思うわけでございます。ぜひそういう方向で努力をしていただきたいと思いますし、余剰人員対策、これはぜひやらなきゃいけませんが非常に難しい。そこで国鉄さんがぜひ考えられなきゃいけませんのは、鉄道本来の役割、機能を存分に発揮する方向で考えていただければ収入もふえる、そして要員対策上もうまくいく、こういうふうに私は思うわけでございます。この点がまず第一点。  そして第二点は、滋賀県当局等からたびたび強い要望を受けてこれに対応していくという、消極的な対応をしていくということでなくて、国鉄自身が積極的に旅客流動にマッチした列車ダイヤを設定していくという方向に努力すべきではないか、私はそう思うんですが、いかがでしょうか。これが第二点。  第三点でございますが、現在国鉄という単一の企業体の中でさえ今日の状況であります。なかなか四局間の話し合いがうまくいかないで列車ダイヤがうまく調整できないという状況でございますが、もし今度は民営・分割をして六つに分かれますと、それぞれの会社はその会社の経営者というのは株主に対して責任を持たなきゃいけません。それぞれの主張があろうと思います。そこで、ダイヤの調整ということがさらに難しくなるのではないかという一般国民の素朴な不安、疑問というものが起きてくるというのは当然ではなかろうか、自然ではなかろうか、私はそう思うわけであります。民営・分割についてどうこう言っておるわけじゃありませんが、滋賀県の事例にかんがみましてそうした一般国民の疑問というものが起きてくる、不安というものが起きてくる、こういうことを指摘したいわけであります。このことにつきましての国鉄当局の御意見を簡潔にちょうだいしたいと思います。
  82. 須田寛

    説明員(須田寛君) ただいま三点御指摘をちょうだいいたしましたが、まず第一点でございますけれども、先生御指摘のように、確かに東海道線の列車が米原方面に参りますとだんだん本数が減ってまいることは事実でございますが、御案内のように草津までは複々線でございますが、その先が複線であるということ、お客様の流れがどういたしましてもやはり東の方に参りますと少なくなってまいりますので、そういったお客様の流れを反映したダイヤになっているという事情をひとつ御理解いただきたいと思います。ただ、やはり先生御指摘のように、非常に最近湖東地方が発展をいたしておりますので、先般のダイヤ改正の際から、一部ではございますけれども、新快速を彦根まで延伸するようなこともやっておりまして、かなり改善はいたしておるつもりでございます。  それから第二点でございますけれども、これはもう先生御指摘のとおりでございますけれども、やはり県当局ないしは地元の御要望を待ってということでなしに、むしろ国鉄が積極的にそういった需要を先取りをいたしまして、発展をいたします地域につきましては列車を積極的につくるべきものだというふうにも思っておりますし、接続改善等についても同様でございますので、これはより積極的な姿勢で対応すべきものだというふうに思っております。  それから三点目の、今の単一体の際でもいろいろ問題があるという御指摘でございますが、やはりこれから新しい会社をつくってまいります場合に、より地域社会に密着した輸送というものが要請されてまいると思います。現時点でもそのような努力はいたしておるつもりでございますけれども、今後なおそのような努力が必要だと思いますので、新しい会社がそういう意味で県内流動、特に滋賀県のように、会社が二つになるわけでございますけれども、そういったところはその会社相互を含めまして、県内流動に十分配慮した列車体系にする、そういった配慮が必要でございますので、新会社も十分考えられると存じますけれども国鉄におきましてもそういった基礎づくりを十分にいたしまして、地元皆様により御利用いただきやすい鉄道とするようなことに十分これからも励んでまいりたい、このように考えております。
  83. 梶原清

    ○梶原清君 今申し述べましたことと関連するわけでございますが、実は私は全国旅行業協会の会長もいたしておるわけでございます。運輸省当局から御要請がございまして、最近国鉄職員を引き受けさせていただきました。非常に立派な方でございます。今後も協力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございますが、問題は、他方で国鉄さんが観光業に、旅行業に進出されるといううわさが専らでございます。そうしますと、国鉄という大きな組織をバックにいたしまして観光業に進出されるならば、旅行業界としては大変な混乱に陥るわけでございます。  考えますのに、一方の手で余剰人員を引き受けてくれ、一方の手でその業界に進出するということになりますと、受ける方の立場は一体どうなるのか。単に、これは旅行業の分野だけではございません。自動車整備業、貸し切りパスの問題、それから、ごく最近新聞紙上で見ましたのでございますが、国鉄さんが貨物、トラックの分野に進出するというようなそういう記事が出てまいりますと、受ける方の業界が大変な疑心暗鬼といいましょうか、戦々恐々といいましょうか、そういう事態に陥るのが当然ではなかろうかと思うわけでございますが、これにつきましての考え方を聞かせていただきたいと思います。
  84. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今先生御指摘ございましたように、民間企業になるわけでございますし、また極力民間企業並みにいろんな経営ないし営業をやってまいりたいという気持ちでございますので、先生御指摘のような旅行業でございますとかその他いろんな仕事をやらせていただきたいという希望は大変私どもやはり強く持っております。ただし、やはり非常に重要だと考えておりますのは、例えば旅行業にいたしましても、国鉄にあるいは鉄道にお客様を送っていただくのがやはり旅行業者の方々でございまして、そういう方々との協調、むしろそういう方々により多く国鉄の切符を売っていただくということも一方で必要でございますので、やはりそういう方々との協調ないしはそういう方々によりよく国鉄の仕事を御理解いただくということも非常に必要でございます。したがって、そういう前者のような希望は持っておりますけれども、やはり関係業界の御理解を十分ちょうだいをいたしながらそういうことを進めるべきだというふうに考えております。  いずれにいたしましても、これらは運輸省の御指導も今後ちょうだいしなきゃいけない重要な事柄ばかりでございますので、そういった御指導もいただきながら、また関係業界の御理解も十分いただきながら慎重に進めさせていただきたい、このように存じております。
  85. 梶原清

    ○梶原清君 せっかくのお話でございますけれども、私は、関係業界、近隣の業界というのは今非常に、先ほど私が申し上げましたような戦々恐々といいましょうか、疑心暗鬼といいましょうか、そういう状態にございます。物事というのは、政治的に判断をして、一方の手で余剰人員対策を進める、一方また別の手で業界へ進出する、そういうことで元も子もなくなるようなそういうことはよほど慎重に考えて取り組んでいただかなければならない、私はそう思うわけでございます。  問題は、私長らく運輸省におりまして、その前国鉄におりましたので、国鉄再建ということを真剣に考えたい、国鉄再建をしていただきたいと思いますけれども、その持っていきます手段、手法というものをよほどよく考えていただきたい、私はこのように思うわけでございまして、重ねて要望を申し上げます。  その次に、先ほど申し上げました国鉄バスとの関連でございますけれども国鉄再建監理委員会からいろいろの提言なり意見が出ました。第一次の提言、第二次の提言、そしてごく最近に出されました本年七月二十六日の御意見、これをずっと見比べてみますと、その間に基本的な考え方に相当変化があるように思います。第一次と最終の意見との間に相当の違いがあると思います。  これは別といたしまして、最近、国鉄バスが国鉄再建監理委員会の御意見というものを背景といたしまして貸し切りバスの部門に相当積極的に進出されている動きがございます。民営バス業界は大変な騒動になっておるわけでございます。このことは運輸省当局もよく御存じのところだと思うわけでございます。私は、この運輸委員会あるいは予算委員会でもしばしば主張してまいったのでございますが、バス行政を長く担当いたしてまいりましたので、国鉄バスの沿革、性格、国鉄バスといいますのは、御案内のとおりレールの代行、培養、先行という性格を持って誕生してまいりました。ところが長い歴史の間には民営バスと国鉄バスが大変な騒動、紛争を起こしてまいりました。伊能先生がバス協会の会長をなさっておりますときに大変な御苦労をなさってきたことも目の当たりに見てまいっているわけでございます。  この国鉄バスの路線の性格、路線価値というものを考え、また現在の国鉄バスの生産性等を考えますと、私はどちらかというと国鉄バスを撤収していかれる方向で考えていくのが一番正しいのではないか。民営バスでも今どんどん縮小均衡の方向をたどっております。私は、地方の旅客交通分野では、いわゆる過疎地域では小型のバスを使いまして、そして乗り合いバスも貸し切りバスも、市町村のやっております行政バスもスクールバスも、そうしたものを全部引き受けて、田舎は田舎なりに雑貨商的な何でも屋のバス運営ができる体制というものが一番正しい。そういう方向に持っていくべきだ。国鉄バスさんをやはりそういう方向の中へ吸収していかれるのが一番正しいと私は思っておるわけでございます。これは私の個人的な意見でございますが。ところが今日は貸し切りバスの方へ進出をしているということで、先ほど申しましたように大変なバス業界では問題になっておる。  特に指摘をしておかなきゃいけませんのは、国鉄バスに対しては承認制をとっておりますが、臨時承認が行われております。各地で臨時承認が行われております実態を見てみますと、回送キロが百三十キロ、百五十キロのところが相当あります。百三十キロ、百五十キロといいますと迎えに行くだけでも相当の時間がかかります。そういうところを臨時承認をなされておるということはやはり問題ではなかろうか、このように思うわけでございます。ぜひひとつ業界との協調ということも考えながら、また国鉄バス自身の経営という問題も考えながら適切なやり方というものをやっていただきたいと思うんですが、国鉄当局の御意見を聞かせていただきたい。そして同時に運輸省当局の御意見も伺いたいと思います。
  86. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先生御指摘がございましたように、今国鉄バスも非常に効率化の努力をいたしておるわけでございまして、その中で収入の確保、経費の節減に大変な努力をいたしておるところでございます。やはり地方の過疎地帯におきましては、先生も御指摘がございましたように、国鉄のバスの路線を必ずしも国鉄の姿で維持をするのでなしに、むしろ地域のバスと申しましょうか、村営バスのようなもの、あるいはその地域に路線を持っておられる民営バス等に肩がわりをしていただいて、非常に効率的な路線の再編成をするということも十分考えなきゃいけないと思っておりますし、また努めておるわけでございますが、一方におきまして、幹線系におきまして、例えば高速道路等でございますけれども鉄道の補完、培養等を使命としておりますものがございますので、こういうものはやはり私どもとしては発展させていきたい、こんなふうに考えてこれまで施策をとってきた次第でございます。    それから、先ほどの貸し切りバスの点でございますけれども、やはりそういう民営バス並みの効率化を図ります際に、貸し切りバスというのは非常に収益性の高いものでございまして、民間の会社は既に収入の数十%を貸し切りでお上げになっているというふうな状況でございます。国鉄はまだ今のところほんの数%ということでございますので、できるだけ私どもそういう収入の面で、やはり免許をいただける限りにおいて貸し切りもやらせていただきたいという気持ちがございまして、そのような努力もいたしておるわけでございます。  先ほど御指摘がございました百数十キロにわたる回送というのは確かに不自然な面がございますけれども、これも地域の職員が精いっぱい足で稼いでお客様を集めてまいりまして、そのために何とか国鉄バスで運びたい、たまたま百キロ離れたところの営業所に余剰車があったものでございますから、それを何とか使ってでも運びたいという気持ちでやったわけでございますので、必ずしも適切でなく、かつ自然ではないと思いますけれども、今後はそのような、職員の努力のためにそういうことがあったんだというふうなこともひとつ御理解いただきたいなと思っております。  しかし、先ほど申し上げましたように、これから貸し切りバスをお願いするにいたしましてもあるいは路線を維持するにいたしましても、関係の業界の御協力、御理解というのは非常に重要でございますので、そういうふうなこともこれから留意してまいらなければいけないと思っておりますし、監理委員会の御指摘のように、地域のグループごとの採算がとれる範囲でこれから独立した会社にしたらどうかという御指摘もちょうだいしておりますので、そのような検討もいたしますが、いずれにいたしましても、民間並みの効率化あるいは収入の努力はこれからもしなければいけませんので、できるだけ関係の向きの御理解をいただきながら進めてまいりますが、何とぞひとつ御理解をお願いいたしたい、このように考える次第でございます。
  87. 服部経治

    説明員(服部経治君) ただいまの須田常務の御答弁とかなり重複するようになるかと思いますが、まず国鉄の貸し切りバスの現状につきまして少し申し上げてみますが、先生御承知のとおり、国鉄バスによります貸し切りバスの問題につきましては、国鉄バスというものの持ちます性格論というものを踏まえまして、またそのこととの関連におきまして民営事業者によりますバス経営の問題との関係ということもございますので、これまでの私どもの方針といたしましては、貸し切り営業の承認を行います場合には、その事業区域は国鉄の乗り合いバス路線の沿線区域に限定する、それから使用車両につきましても乗り合いバスの予備車の範囲内でといったような、極めて厳しい制約のもとにこれを営業所単位で認めてきているという経緯があるところでございます。  ところで、先生先ほど御質問の中にもございましたけれども、昨年八月に再建監理委員会から第二次緊急提言というものがございましたけれども、そういったものを踏まえまして、昨年の秋ごろ以来国鉄サイドにおきましては、国鉄バスの貸し切り営業への進出といいますか、そういった営業部門の拡充への意向、要望というものが大変強くなっていることは御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、こうした一連の動きを踏まえてのこういった貸し切りバス営業部門への進出問題につきましては、まず国鉄再建ということが緊急の国民的な課題であるということを基本的に認識しつつ、しかし一方では、最近におきます民営貸し切り事業の経営環境が以前にも増して厳しさを加えつつあるというような状況考慮する必要があるということで、この問題への対応に当たりましては、両者、国鉄のバスとそれから民営事業の行っておりますバス事業との間の協調関係確保しながらその間の調整を図っていくことが何よりも肝要だというふうに思っているところでございまして、このために私どもといたしましては、まず国鉄みずからがそれぞれの地域の関係の民営バス事業者にこのことにつきましての理解を得るための努力を積極的に行っていただこうというようなことで指導をしてまいってきているところでございます。
  88. 梶原清

    ○梶原清君 私は何も国鉄バスを一挙にやめよとか何も言っておりませんし、また国鉄当局の営業努力、これを評価するのにやぶさかではございません。ただ、節度のあるやり方をしていただきたい、業界に混乱を起こさないようにしていただきたい、こういう要望でございます。  次に、内航海運業界において大変な問題になっておりますのは違法なプッシャーバージの問題でございまして、実は、私の信念といたしまして、運輸交通は秩序が肝心な分野である、輸送秩序を確立することが運輸政策の基本でなければいけない、秩序正しい、安全で確実で効率的な輸送体系を確立するように努力をしていくのが運輸政策ではなかろうか、このように思うわけでございますが、運輸業界をずっと見渡してみますと、指摘するまでもございませんが、バスにはレンタバスの貸し切り営業類似行為があります。白バスの問題がある。タクシーには六千台に及ぶ運転代行業がはびこっておる。トラックにも同様でございますし、自動車整備業界では車検代行業が、特に関西が多うございますですが、車検代行業がはびこっておる。旅行業も潜り登録業者がおる。  こういうことで秩序の問題が非常に大きくなっておるわけでございますが、西日本中心といたしまして違法なプッシャーバージがばっこいたしておるわけでございます。運輸省当局におきましても、この問題に対応して船舶安全法施行規則の一部改正も行われております。また船員の配乗につきましても手当てをされたようでございます。また取り締まりも一部の地域で行われておるようでございますが、この問題につきまして運輸省は今後どういうふうな取り組み方をなさるのか、簡潔にお願いをしたいと思います。
  89. 武石章

    説明員(武石章君) ただいま御指摘ございました内航海運業法に違反しておりますプッシャーバージにつきましては、日本内航海運組合総連合会を中心に業界におきましても正常化への努力をかねてから続けてきておるところでございます。運輸省といたしましても、こうした違反プッシャーバージのうち悪質なものにつきましては海上保安庁に取り締まり方を要請いたしますとともに、必要な情報を提供してきたところでございます。海上保安庁ではこれによりまして最近違反三業者について取り締まりを行ったというふうに聞いておるところでございます。  このような取り締まりと業界の正常化の努力によって違反プッシャーバージの問題は鎮静化しつつあるんじゃないかと考えておるところではございますが、なお今後とも正常化には鋭意努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  90. 梶原清

    ○梶原清君 次は建設省さんに御要望を兼ねてお尋ねをしたいと思いますが、市街化調整区域内における開発行為の許可対象かし区域トラックの車庫等の事業所について適用除外にしていただくか、あるいはその他の便宜措置をしていただきたい、こういう要望でございます。  かねがね国会でも質疑がございましたし、御承知だろうと思うわけでございますが、区域トラック事業といいましても非常に公共性が強い。そして現在住宅地等に車庫、営業所を持っておりまして住民からも苦情がある。ですから別のところへ移りたい、ところがなかなか今の調整区域の方に移ることができない、こういうことになっておりまして、現在の法制度のもとでは事実上調整区域内に設置をすることが難しいという状況にあるわけでございますが、トラック業界としてはこれが非常に強い要望になっておるわけでございます。ぜひひとつ何とか前向きに前進する方向で御検討をいただきたいと思うわけでございますが、その間の事情とか、またどのようにすれば前へ前進できるか、解決ができるか、こういうことにつきましての御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  91. 林桂一

    説明員(林桂一君) 区域トラックの車庫等につきまして市街化調整区域の中で立地ができるように許可の適用除外とするか、あるいは何か別の方法でそのような道が可能となるように措置すべきではないかという御指摘だと思います。  開発許可は、御承知のように都市計画法という法律で規定されておるわけでございますが、貨物自動車運送事業につきましては、一般路線貨物自動車運送事業というものと、その他のいわゆる一般区域貨物自動車運送事業ということで取り扱いを異にいたしております。一般路線貨物自動車運送事業につきましては、いわゆる路線トラックということでございますが、一応現行法におきましては開発許可を不必要とする、許可を必要としないという取り扱いでございます。これに対しまして一般区域の貨物自動車運送事業につきまして、いわゆる区域トラックの事業につきましては許可を必要とするという取り扱いになっておるわけでございます。  この取り扱いの差がどういう形で出てまいりますかというのは、実は都市計画法の施行令で、これは二十一条という条文でございますが、これに、公益性の高い施設については開発許可の許可を不要とするという取り扱いにしておりまして、先ほどの路線トラックについて見ますと、定期定路線運行を行うということとか、あるいは積み合わせ貨物を運送するということでございますので、広く不特定多数の荷主の貨物を取り扱う事業だというふうに認識しておるわけでございます。そういう意味で、非常に公益性の高い事業であるという位置づけでございます。これに対しまして区域トラックの方は、原則として積み合わせ逓送が禁止されているということでございまして、個個の運送行為に着目いたしますと、特定の荷主の貨物を扱うということでございますので、先ほどの路線トラックとの関係でいきますと、公益性の観点から差があるというようなことでございます。そういうことで、路線トラックにつきましては許可を取って立地をしていただきたいというのが私どもの考え方でございます。  そこで、それではそういう許可が市街化調整区域内の中で可能かどうかということでございますが、一般的には区域トラックについて許可を認めていないというのが現状でございます。しかしながら、例えば市街化調整区域内におきましてもトラック団地とか集団してそのような立地をされるとかいったようなまとまった立地のような場合には、これまた開発許可を得られる道が開かれております。そういうようなこともありますので、全く全部だめということではございませんで、市街化調整区域の中でのトラックの立地許可につきまして個別具体の問題として今後とも検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 梶原清

    ○梶原清君 ただいま御説明をいただきましてよく理解できるわけでございますが、ただ、路線トラックと区域トラックとにおいて公益性の強い弱いという御指摘がございましたが、私は必ずしもそういうことを言えないのじゃないかと思います。もう一つは、区域トラック事業者につきましても積み合わせ許可をもらっておる者もあるわけでございます。その点もひとつ御理解をいただいておきたいと思います。  現在は、先ほどもお話がございましたように、区域トラック、地場トラックは一応門が非常に厳しいということでなしに、実情に応じて、実態に応ずるようたそういう取り扱いというものをぜひしていただけないだろうか。昨今の民活の問題もございますが、そうした門を少し広げていただくようなそういう配慮をぜひお願いしたい、このように思うわけでございます。制度としての問題もございますでしょうけれども、とりあえずのところその運用に弾力性を持たせていただくというようなことを御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  93. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 午後一時二十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時二十二分開会
  94. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最初に、監理委員長にお尋ねをしたいんですが、午前中の丸谷議員の質問の際に、累積債務の責任についてということをいろいろと質問されました。これは政府の責任ではないのかということを言われたのでありますが、その際に監理委員長は、政府だけではないんだ、当局も組合も政治もというふうに並べられましたけれども、これは一体どういう意味なんですか。同じように責任があるんだという意味なんですか。
  96. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) これどう言いますか、定量的にどれだけの割合かというようなことは御説明ができないし、また国民の方も御判断いただく。とにかくそういうふうな共同のものによってこの事態にたったというふうに私どもは認識しておりますし、丸谷先生がおっしゃったように、政府に非常にシステム上大きな責任があるんじゃないかといったらまことにそのとおりであります。したがって、政府はその責任を非常に追及されて、この国鉄の問題をこの際抜本的に改革をするということで監理委員会を設けられて、私どもはそれの命を受け二年間にわたって勉強をしてきた、こういうことでございまして、政府が責任を感じておられるということは、私どもは監理委員会の場を通じても痛切に感じておる、そういう次第でございます。
  97. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その責任の所在を明らかにしないと物事を判断をする際に後々対応を誤るということになるということを私は心配するんです。  そこで今度は大臣にお尋ねをするのでありますけれども日本航空の飛行機が墜落をしました。それであの場合だれに責任があるのか、どこに問題があるのかということはどうしても究明しなければならないことだと思うんです。大臣はあの日航機の墜落というのは不可抗力ということを言われたということを聞きましたけれども、不可抗力というふうに断定するためには、隕石が落ちてきてあの飛行機にぶつかったとか、こういうことになると不可抗力ということを言ってもしょうがないと思うんだけれども、そうでない以上はどこかに責任があるというふうに考えざるを得たいと思うんですが、不可抗力説を今でもおとりになるのか、やはり責任の所在というものを今検討はしているけれども、明らかにすればおのずからはっきりしてくる、こういうふうにお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  98. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) この責任の所在ということは、その人にどういう権限があるかということから出発すると思うんです。それぞれやっぱり立場において権限があり、その権限を行使するに当たっては責任能力がある人はみずからの責任をとらなきゃたらぬという趣旨で私は申し上げたのでございますが、そういう意味からしても、先般私が答弁いたしましたあの時点におきましては、私が申し上げました不可抗力ということは、今日にしていえばやはり適切なる私の言葉の使い方ではたかったと私は反省をいたしております。おりますが、ただ、あの八月の二十八日に衆議院でお答えいたしましたあの時点におきましては、少なくともしりもち事故については、それまでよって来る、修理からずっとあの時点までの経過をたどってみると、例えば日航にしても与えられたことはすべてやったというふうに理解いたしておりましたので、そのような言葉を使ったわけでございますが、今繰り返し申し上げますように、今日にしてみれば不可抗力という言葉自体はやはり適切でなかったという点は私も反省をいたしております。
  99. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、あの日本航空が墜落をしていろいろな批判が出ておりますけれども、この中に、民間人だけれども、十時十五分に現場へ駆けっけたけれども、まだだれも来ていたかった、こういうようなのがありましたね。やはり救援活動のスタートがおくれたんじゃないかという感じがするわけです。この前の委員会でも私は、もっと早く出動すべきではなかったか、夜間といえども照明弾を上げるという方法をとれば位置の特定はできるはずだということを言ったんです。夜間に多くの機動隊あるいは自衛隊が出ていく、山の中へ入るということは困難だとしても、四時半ぐらいには明るくなってくるんですから、その明るくたってきた段階で少なくとも救難活動ができるという体制をとればあるいはもっと助けることができる人はいたかもしれない、こういうふうに思われる。その点やはり最初のスタートにおいておくれたということが言えるんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
  100. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 初動捜査、これはいろいろあると思いますが、例えば今御指摘がありました夜間照明の問題につきましては、あの時点においては、そのときの判断でございますから、関係者が集まって判断した結果、例えば火災等を起こして二次災害のおそれがあるという判断に基づいて照明は使わなかったということでございますから、私はそういう技術的なこと、技術のうちに入るかどうかわかりませんが、みんなでそういう結論が出たということに対して、私もそれは是としたければならぬと思っております。そういう意味におきましては、あの晩のあの状況からすれば、初動の捜査についてあれ以上のことはできなかったのではないか、そういう判断を持っているわけでございます。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 民間人ですらもっと早く出てくることはできた。ところが組織的な救援活動というのがおくれたというのは非常に大きいと思うんです。特に五百名以上の人があそこで亡くなったんですからね。  そうすると、中に不心得な人間がいて、早いところ出かけていって亡くなった人から懐のものを抜き取るというようなことを考えるやつがいないとも限らぬと思うんです。かつてインドで飛行機がおっこったときに、死体からいろんなものが取られたというようなニュースをちょっと聞いたことがあるような気がするんです。だから、みんたがみんな善意でもって助けに行こうという人間ばかりとは映らないんですからね。そういう心がけの悪い人間が出てくるという可能性もあるならば、警察等においても速やかに、もう明るくなる早々出ていって現場を保存するというくらいのことは必要だと私は思うんですが、その点でやはりおくれていたというふうに考えざるを得ないと思うんですが、その点どうですか。
  102. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 実は私も細かなこと、勉強不足ということでは私の立場上許されないかもしれませんが、空挺部隊が最初に着陸したのは八時何分かと聞いております。私も実はその空挺部隊がおりた日に行きましたけれども、実際にもう非常に幾重にも重なる山でございまして、私のヘリコプターの操縦士自体が発見するのにかなり時間をとりまして、恐らくこの状況では現場に到達できないかなと思いながら、他のヘリコプター等を頼りにしながらやっと発見したというわけでございます。そういう状態でございますから、あの状況を私は自衛隊から詳しく聞いておりませんけれども、やはりそういう一つの模索と申しましょうか、そういうことをやりながら八時数分に着いたということは、あの時点においては責められるべきだったかどうかということについては私もここで的確にお答えできませんが、やむを得なかったのではないかと思う次第でございます。  なお、当初は長野県の方から警察もあるいは自衛隊も捜索を開始したというくらい、全く現場が空から見てもそういう状態でございますから、今度は山をはって道路から行く場合においてはもっと困難であったかと思います。したがって、そういう意味からしまするというと、みんなが善意においてベストを尽くしてやった、私はあの状況からするとそう判断した次第でございます。
  103. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この問題は改めてまた質問したいと思っておりますが、飛行機がおっこちる原因は何かということは、もちろん整備にも問題があるでしょうし、ボーイング社がこの前のしりもち事故の後の始末において不十分だった点があるのではないかということも問題があるでしょう。そういうことを究明していけばもちろん責任の所在というのが明らかになってくると思います。しかし、例えば出動がおくれたということになりますと、その出動の時間を、もうみんな死んだんだからしょうがないというふうにゆっくり構えたのかどうかわかりませんが、そういう判断をする指揮官に責任があるわけですよ、それは。  そういう意味で、この責任の問題は先ほどもちょっと言ったんですが、航空機の問題はまた別の機会にいたしまして、今度は国鉄の問題について言うならば、国鉄の累積債務の問題は一体どこに責任があるかということになってくると、監理委員会答申は一番最初に、最大の原因は公社制度という巨大な組織で運営していたというところに問題がある、こういうふうに書いてあるんです。私はこの答申をずっと読んでみて、率直に言わしてもらうと、最初と最後が間違っておるという気がするんです。最後がどういうふうに間違っているかというと、「この改革案を除いては他にあり得ないものと考えておりここの案が一番いいんだ、この答申が一番いいんだ、こういうことを言っているんです、一番最後に。これはうぬぼれもいいところなんですよ。人間というのはある程度うぬぼれが必要なのかもしれませんけれども、程度問題ですよ。  最初のまずスタートが間違っておる。第一ボタンからしてかけ違っておるんですよね。どこがかけ違っておるかというと、最大の原因は公社制度にあるんだということで、政府の責任について触れていない。ところが、この答申を受けた各新聞の社説をずっとまとめて目を通してみましたけれども、どの社説でもこの巨額の債務を累積させた大きな責任は政府にあるということは指摘しているんですよ。それで監理委員会の意見はこの点に触れていないということもみんな指摘しているんですよ。それは社説だけじゃありませんよ。今までこの委員会で何回か参考人を呼んで多くの方々から意見を聞きました。知事の意見も聞きました。学者の意見も聞きました。だけれども全部その点に触れています。監理委員会は政治責任について触れていないということを指摘しているんですよ。この点はやはり一番大きな欠陥だ、大事だところを触れていないということはやっぱり一番大きな欠陥じゃないかというふうに私は思うんです。  ところがそれに対して、これは政府の責任だけじゃないんだ、組合まで引き合いに出しているということは、責任を広く薄めてしまおう、こういう意図があるんじゃないかというふうに見られても仕方がないでしょう。なぜそんなことをしなきゃならぬのですか。その点監理委員長に聞きたいと思うんです。
  104. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 累積債務の大きな責任がどこにあるかという問題よりも、その責任の前に原因があったというふうに私どもは認識し、これに書いてございます。これは先進国すべての状況のように、モータリゼーションの発達、そして航空機の発達、こういうことで鉄道というもののウエートが下がっていった、これが世界的な事実でございます。これに対応したかしたかったかということが基本的な問題である。その対応をするのにこの公社という仕組み、全国一元的運営ではやりにくいということを私どもは指摘をしたのでございます。責任というものについては、これは先ほども申し上げたように、ウエートをつけたり、いろいろ定量的にウエートがこれはつけがたい問題でございまして、あるときは責任が表面に出たり、あるときは出たい。しかし政府に責任があることは助碓で、ここにも申し上げております。しかし、そういうことはもう公知の事実です。今さら言う必要もない。むしろ原因を探究して改革をすることが大事だということで私どもはこの改革意見をつくったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 わかり切ったことだという言い方はやはり正しくないと思うんですよね。わかり切ったことならばなおさらその点を明記をすべきです。特に累積債務というのはこれは一朝一夕でできたわけじゃないでしょう。年々歳々膨れ上がってきて累積債務になったわけです。単年度で解決をすべきこと、外国では単年度で解決をしていることを国鉄はだんだん膨らましてきている。利子が利子を生んで収入の半分が利息でもって飛んでしまう、こういう経営はだれだってこれはできませんよ、こんなことじゃ。  ところが、午前中の質疑の中で、組合にも責任があるというふうに言われておるんですけれども、じゃ組合にどういう責任があるのか。例えば青函トンネルだとかあるいは本四架橋だとか、この種の膨大な国家政策的な投資を借金で行ったならば累積債務が増大をするのは子供だってわかることです。それを組合にも責任があるというなら、じゃ組合にどういう責任があるのか。借金でもって投資をしろ、そのことについて組合が経営者側とあるいは政府と同意をしたというような事実があるんですか。そういう事実があれば別だ。しかしそんなことはないでしょう。会社が破産した場合でも、その破産会社は経営上の責任は問われるけれども、そこの労働組合にも責任があるんだということを言われた例は余りないように私は思うんです。  ところが、今監理委例長は、政府と同列に置いて組合にも責任がある、当局にも責任があるというふうに責任の分散をしている、こういう印象を受けるんですね。そういう責任の分散をすべきじゃない。主たる責任は政府にあるということを明確にしてどこが悪いんでしょうか。政府に対する義理があるから責任をなるべく薄めて組合にまで、あるいは最後には政治に責任がある、国会の方にまで責任をなすりつける、これはまことに迷惑な話なんですよ。もちろん国会だって予算を今まで決めてきたという責任がないとは言えませんよ。しかし提案をしたのは政府なんですからね。企画をし提案をして、これを通過をさせたのは政府なんですから、最終的な責任は政府にあるということを何でためらわなきゃいけないのか。私はためらう必要はないと思うし、いわんや組合まで引き合いに出すなどというのは、これはちょっと行き過ぎではないかというふうに思うんですが、その点はどうですか。
  106. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 組合に責任があるという言葉が大変お耳ざわりになったようでございますけれども国民的な一般認識においても、国鉄の労使関係がスムーズでたいということはだれもが御承知の事実でございます。企業経営において労使が悪い場合、一般にやはり労使関係は経営のかがみだというふうに言われておりまして、経営者にももちろん責任がございますけれども、しかし、かつてあったようたスト権ストで一週間以上も鉄道をとめる、これで貨物は激減しております。これは我々の会社国鉄に依存しておったのが当てにたらぬということで、一般民間企業も国鉄から貨物について離れていくというふうな事実もあったということでありまして、組合が責任がたいとは私は言い切れたいというふうに思います。  それから政治においても、人件費が上がり電力代が上がったときに運賃の改定を原価に基づくものとして改正しようとしたときに、その議決がやはり一年とか二年おくれることによって赤字ができてくるというふうなこともあった。いろいろだ事実があるわけでございまして、総括して、もちろん執行者は政府であり、またその命を受ける国鉄の経営幹部というところでございますが、そういう面で主たる責任があるにしても、やはりほかが責任がないということは私は言い切れたい。繰り返すようでございますが、政府は非常に責任を痛感されて今回監理委員会をやって、抜本的な改革をやってもらいたいということで私どもやったのでありまして、政府の責任を感じておられることは痛切に感じておる、それに基づきまして原因究明して対策を考えようということが私どもの任務であった、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  107. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私はこの答申の最初と最後が間違っておる、こう言ったんですけれども、真ん中が合っているというわけじゃないんですよ、これは断っておくけれども。真ん中はもう穴だらけだというんですよ。だけれども特に最初と最後が間違っておる。ということは、最後が間違っておるというのは、飛行機でいうと日航機と同じで尾翼が壊れておるということなんだ。尾翼が壊れているということをその頭の方の最初の操縦席で気がつかない。この答申そのものがジャンボ機とよく似ているんですよ。やはりもっと率直に、多くの欠陥はあると思うけれども、これをたたき台にしてみんな考えてくれといったらかわいげがあるんですよ。そうじゃないんですよね。欠陥だらけなんです。  例えば貨物の問題だってそうでしょう。結論を出していないんですよね。結論が出ていないのにこれ以外に案はないなんて、こんな言い方はないでしょう。結論が出ていないところもあるということは、不十分なところもあるということなんだ。そういう素直さがないんですね。そういう素直さがなくて、最後へいくというとこの答申が一番正しいんだ、こういうのを思い上がりというんですよ。そういう思い上がりでもって国鉄再建などということは私は到底考えられないという気がするんですね。  そこで、限られた時間でありますから、余りいろいろなことを言うと時間がそれだけでなくなりますから、ひとつ具体的なことを今度総裁に、あなた手持ちぶさたのような顔しているから総裁にまず聞いてみたいと思いますが、この間総裁は東京駅と上野駅を視察されたそうですね。これはどういう目的で視察をされて、どういうことを言われて、何を感じられたのか、その点をまず総裁にお伺いしたいと思うんです。
  108. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 最初の視察でございまして、これを手始めに全国の現場の人の声をじかに聞きたい、さらにまた、東京駅は非常に朝晩込んでおりますので、混雑の事情もじっくり見たい、こういうようなところで参ったわけでございます。  混雑状態につきましては、あそこはわりかし乗客よりもおりるお客さんが多いというようなことで若干の印象は違ったわけでございますが、現場の駅長以下現場管理者の声をいろいろと聞きました。非常に参考になったわけでございます。特に東京駅は職場規律の面では三年前までは非常に悪い状態でございました。管理者のいろいろな御努力によりまして相当改善されたというようなこともじかにお伺いをし、現在の東京駅の実情を十分に理解できたことは大変収穫であるというふうに思う次第でございます。
  109. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 上野駅も見られたそうですけれども、旅客の流動の実態というものについてどのように感じられておるのか、どのように解決をすべき問題があると思っておられるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  110. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) それから引き続きまして上野駅に参りまして新幹線の事情等も聞きました。さらにまた先日は大宮に参りました。埼京線が近く開業になりますが、試乗させていただきまして、この辺の旅客の今後の動き等につきましても関係者からよく事情を聞いております。最近の動きにつきましては、先生御案内のとおり、東北新幹線の開業以来相当な旅客の増というものがこの東北方面に発生をしているというふうにも承知をしておるわけでございまして、新幹線の果たす役割というものにつきまして改めて認識をした次第でございます。
  111. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 東北方面も新幹線の開通によって利用者がふえたということになりますが、そうすると、上野駅と東京駅を結ぶこの三キロ半の区間の乗りかえ客も相当なものだというふうに判断をされなきゃいけないはずなんですよ。朝のラッシュにお乗りにたったことありますか。
  112. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 最近の状態ではちょっと実際に乗って経験をしたということはございませんが、その辺の事情は二応承知しておるつもりでございます。
  113. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 承知しておるつもりだけじゃやっぱりだめなんです。せっかく東京駅まで行って、上野駅まで行ったたらば、車で回らないで電車に乗ってみるんですよ、自分のところの鉄道なんですから、商売道具なんですからね。自分のところの商売道典がみんなに便利に思われているのかいないのか、いろいろと苦情があるのかないのか、そういうことを知らなきゃいけないと思うんですね。どうも今の御答弁からいくと余り電車に乗ったことがないようですがね。  やはり問題は上野−東京間の連絡なんですよ。新幹線上野駅まで開通しました。ところが、東京駅までは今工事中で、この前参議院運輸委員会で視察をしました。ほとんどあらかたでき上がろうとしています。というのは、途中でやめられない工事があるから、凍結をされたけれども工事を続けているというところがあるんです。残っているのは秋葉原−神田間のわずかな区間ですよね。だから言ってみれば、線路並びにその線路周辺の工事からいうと八分どおり、九分どおりでき上がろうとしているわけです。ところがこれが管理委員会によってとめられているわけですね。監理委員会でとめた覚えがないとおっしゃるなら監理委員長からお答えを願いたいと思うのでありますが、監理委員会においてとめられておる、そのために上野−東京間はつながらないでいる、こういう実情だと思うんですが、その点はどうですか。
  114. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今の現状におきまして、確かにおっしゃるように、東京駅までこれは工事やることになっておりますから、それが完成することが望ましいし、それからお客さんの利便というようなことからいいましてもその方がベターであると思います。ただ、大変残念なことながら、こういう情勢の中で、工事費の金額がもう先生御存じのとおり大変な金額であるということでございまして、現在まで約半分程度計画の金額を消費しておりますけれども、現時点におきましては、当面道路との関係とかあるいは安全上の問題というようなものに特に重点的に小さなお金を投じて現状を維持するという程度にしかないのではないかというふうに思っております。
  115. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 上野−東京間を半分やりかけてとめているという状態、半分でやめておけばこれは投資した効果はちっともあらわれないわけですね。鉄道とか橋とかいうのは一メートルでもつながらなきゃ役に立たないんですからね。そういう状態を放置しておくということに何か意義があるとお考えになるのかどうか、専門的立場からその点お伺いしたいと思います。
  116. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) そのこと自体に特別な意義というふうにおっしゃられましても、でき上がることに意義があるわけでございますから、早くできた方がいいに決まっておりますが、今申し上げましたように何しろ大変なお金でございまして、そうした点におきまして、現状におきましては一応工事費の観点からこれを抑制をしているという実情でございます。
  117. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大変なお金といったってそれは国鉄の累積債務に比べれば兆とか何千億とかという単位じゃないでしょう。一千億のうち五百億使って五百億残っておる、こういう程度じゃないんですか。国鉄の累積債務に比べて特筆大書するほどの金額になるんですか。どうなんですか。
  118. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 全体の工事費はこのところ非常に抑制ぎみでございまして、抑制された総工事費の中でいろんな最低限必要なものをやっていくわけでございます。それぞれの各継続的な工事あるいは単年度の工事等々積み重ねによりまして全体の制約された予算の中での工事を行っておるわけでございまして、残工事約五百億円ではございますが、この五百億円という金額は決して少なくない金額だと思います。したがいまして、全体の工事費の中の割り当ての中におきましてはやはり抑制せざるを得たいというふうに考えております。
  119. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは自分たちの給料に比べれば少なくないかもしれないけれども、五百億は。しかし、国鉄が抱えておる累積債務だとかあるいは予算だとか物件費だとか、そういうものに比べればごくわずかなものです。それをここで凍結をするという意義がどこにあるのかというふうに考えるとわからないんです。  初めから東北・上越新幹線上野どまりにするというならば、それならそのようにすればいいと思う。そして在来線を東京駅につなぐという方法があるでしょう。ところが新幹線を東京へつなぐということで工事をやりかけちゃっている、半分までやっているわけです。それを中断するということになると、在来線を今さら持ってくるわけにいかない、新幹線は引っ張れない。そうすると、東海道から東北方面、東北方面から東海道方面の新幹線の乗りかえ客は、真っすぐつなげば五分で来てしまうところを乗りかえに三十分を要して山手線を使わなきゃならぬようになっているんです。何十万あるいは何百万という人がむだな乗りかえの労力を費やしているという現実を考えると、この五百億の金をここで出し惜しむという意味がどこにあるのか。その辺はやはり経営的な感覚からすればどういうことになるのか。当然これはつなぐべきではないかというふうに思うんですが、五百億をもし惜しむというならば、ほかにもっと節約をすべき場所はいっぱいあるのではないかと思うんですが、どうなんですかその点は。
  120. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 何度も申し上げますが、全体の工事費は非常に抑制ぎみでございまして、その中で五百億という金額もばかにならない金額でございます。全然やっていたいわけじゃございません、若干ずつやっておるわけでございます。現時点におきましてはやはりこの程度の状況でやむを得ないというふうに思います。
  121. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もし金を惜しむなら、私は青函トンネルの方をしばらく抑えてもこちらの方を先にやるのが筋じゃないかと思うんです。監理委員長はあなたの方の考え方でもってこれを抑えているけれども、こういう比較をした場合、青函トンネルなんというのはでき上がったってまだ使い道さえ決まっていないでしょう。にもかかわらず、上野−東京間というのはあと五百億、あと何キロでもないですよ、見えているんですから。それをわざわざつながない。一体どういう考え方があるんでしょうか。この点どうも理解しにくいです。
  122. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 上野−東京間について具体的に私ども委員会国鉄に対して抑制したらどうかという意見は申し上げておりません。これは御承知のように、五十八年の夏でございますが、第一次緊急提言で、緊急にとるべき措置の中に、いろいろ設備投資についても合理化に努力をして、できるだけ不急のものは抑えるようにしたらどうですかという勧告を申し上げたのでございます。  上野−東京間の問題につきましては、この春上野駅が開業いたしました。立派になった。あそこをつなげば便利には違いないけれども、やはり上野地区の方はあそこでつないでもらったら困るというような住民運動もあるわけでございます。そういうようなことで、今五百億は小さいじゃないかというお話でございますが、私どもから見れば経営上非常に大きな数字である。昨年国鉄がやはり一千億からの金が不足するということで運賃を五%弱上げるというときに、上げても一千億ぐらいしか増収にならなかった。そういう意味におきましては、やはり現在の国鉄の経営において五百億というウエートは私どもは非常に大きいというふうに考えておりまして、現在の国鉄当局が適切なる判断をしてそういうことをやっておられるというふうに理解をしておるのでございます。
  123. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 監理委員会とすれば、そうすると今のお話の中で、やめると言ったわけじゃないけれども抑えると言っているんだ、何かはっきりしないんですけれども。  地元でもって反対運動が起きているような話なんですが、地元で反対運動が起きていればそれじゃ上野−東京間はもうやらないということなんですか。そういうことになりますね、今の監理委員長の答弁からすれば。今まで使った五百億をむだにするということなんですな。
  124. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) むだにするということではなくて、私が先ほど申し上げたように、将来国鉄といいますか鉄道に余裕ができることがいい、ただ、今急いでやる必要はないではないか、こういうふうに申し上げて、永久に否定をしておるという考えではございません。しかも、具体的にこれを抑えるとは言ってなくて、全体の設備投資について合理化に努め、急がないものは抑制ということの方針でいったらどうかという私どもは意見書を出し、そして運輸大臣もそれは了承された、こういうことでございます。
  125. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 具体的に抑えたわけじゃないということならば、これは今度は大臣の方でやっぱりやった方がいいというふうに判断をされればやるべきだと思うんですよね。青函トンネルなんていうのは、さっきも言ったけれども、でき上がってどういうふうに使うかという当でもまだ立っていたいのに、そっちの方に金を使うぐらいならば、具体的にこれはつなげばすぐに利用できるわけですよ。東北方面、上越方面の新幹線利用者が東京駅へ来るのに五分足らずで来てしまうということはこの前当局側の答弁ではっきりしているんですよね。それならば、こういうふうに具体的に役に立つものを先にやるのは当然じゃないですか。これを後回しにしてみたところで意味がないでしょう。  地元でもって反対しているとかしていないとか言うけれども、そんな地元の反対なんでいうことば理由になりませんよ。地元が反対しているからやらないといったら、永久にやらないという以外にない。それでもやりかけた仕事なんですから、やりかけた仕事を途中でやめるぐらい意味のない話はないというんですよ。この前も言ったけれども、やりかけの小便に待ったをかけるようなことはこれは得策ではない。これは政策としてやはり私はやめるべきである、こんなことは。これは判断の問題です、政治的判断の問題です。監理委員会というのはその点の判断が十分じゃない。伝え聞くところによると、監理委員会のメンバーの中には、上野まで来たお客は何も丸の内まで運んでやる必要はないんだ、こういうことを言った人がいるそうです。そういう人が大勢を占めたというか、そういう人の声でもって監理委員会は結局この上野−東京間を抑えているというふうに思わざるを得たいんですが、そういうことではいかぬと思うんですね。  これはやはり政治的な判断をした場合にはどちらを優先するか、青函トンネルを優先するか、まさにつながろうとしているこの上野−東京間をつなぐべきか、これはやはり判断の問題として大臣が決断をすべきじゃないかと思うんですが、やはり監理委員会に遠慮があるからそうはいかないというふうにおっしゃるのかどうなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  126. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 青函トンネルは、やっぱり国土の均衡ある発展を図るという意味からしますとそれはそれなりに重大な使命がある。したがいましてその部分だけのそろばん勘定だけではいけないと私は思うのです。そこで、上野−東京間とどちらかということについては私からこれは個人的な意見を差し控えなきゃならぬと思いますが、実は私も親の代から商売をやり、私もやってきました。商売人的感覚から——商売人という言葉はよくないんですが、感覚からいいますと、これはやっぱり投資効果というものについてはおっしゃるとおり私は同じ意見なんです。同時に、また金利も加算されていくというと何年か後には倍になっちゃうかもしれない。  そんなことを考えると、これは投資効果あるいは金利計算をして早く役に立てたいという気持ちからすれば先生のおっしゃる点私もよくわかります。わかりますけれども、これだけ国鉄が二万何千キロ、新幹線まで含めて膨大な延長キロの中で非常な苦労をやっている、赤字をたくさん出しているということで、これからの国鉄再建を図れば、とりあえずとにかく新しい工事は差し控えなきゃならぬ、これもわかります。現に私の佐賀県におきましても、九〇%以上でき上がっているのにストップを食っているところがあるし、そういうのは全国にたくさんあると思うんです。したがって、そういうものについては一応差し控えて、そうして安全性と老朽化したものだけはやむを得ないという御決定も私はこれはやむを得ない措置がと思うのでございます。  したがって、結論から申し上げますと、やっぱり新しい経営形態のあり方とあわせて今後これは解決していかたきゃたらぬ問題ということは私もよくわかるわけであります。
  127. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 投資効果、金利の点からいうとやるべきであるというのは大臣の判断です。それから、待ったをかけたというのは監理委員会の判断です。監理委員会の判断と大臣の判断とはその点では違っています。しかし、監理委員会のメンツもあるからここのところはしょうがないと思っているんでしょうけれどもね。
  128. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) いやメンツじゃないです。
  129. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いや率直に言えばメンツですね。何もごまかさたくたっていいんですよ。  それでもう一つ伺いますが、それならば整備新幹線はどうなんだ。この答申の中で、整備新幹線、白だか黒だかさっばりわからないじゃないですか、慎重に判断しろ。こういういいかげんな答申を出して、これはやっぱり答申という以上白か黒かはっきりすべきでしょう。やるならやる、やめるならやめる、どっちかにしなきゃ答申にならないでしょう、答えにならないでしょう。答えという以上ははっきりさせなきゃいかぬ。どっちともとれるようなそういういいかげんな答申を出しておいて、これ以外に答えはないなんという言い方はないでしょう。一体整備新幹線はどうするつもりなのか。将来構想としてやるべきだというふうに思うのか、当分はこれはやめた方がいいというふうに思うのか、あきらめろというのか。こういう監理委員会の案のように、ばらばらに各会社に六分割をされてやっていけということになると、整備新幹線はあきらめろということに通じてしまうんだけれども、その点は一体どうなんですか。
  130. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 整備新幹線の問題については、けさほど安恒先生にもお答えしました趣旨とちっとも変わりません。私どもは、整備新幹線というものは、二十一世紀に向けて日本として基幹の鉄道としてあるべきであり、つくるべきであると思っておる。ただ、現状においてはいろいろ難しい条件が多過ぎるからゆっくりと時間をかけて御検討いただきたい、こういうことが我々の結論でございます。
  131. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 やるべきだと思うんならやるべきだと書けばいいんです。ただし、企業側の借金でもってやるということはこれはできっこないんだから、そんなことはするな、国が責任を持て、こういうふうにはっきりさせればいいんです。そういう点もどうもあいまいにしておいて、慎重に検討しろというのはこれはやっぱり一種のごまかしたと思うんですね。そういうごまかしはいかぬと思うんです。  さっき言った貨物だってそうです。貨物は全国一社制だというんですね。じゃ通運会社と今度の鉄道貨物会社関係は一体どういうことになるのか、これはさっばりわからない。それにもかかわらず人間の数だけ一万五千人程度だと書いてあるんですね。人間の数だけ書いておいて、それじゃその貨物鉄道株式会社というのは、例えば貨物列車の運行の乗務員はどういうことになるのか、機関区はどういうことになるのか、それから別の線路ならば別だけれども、同じ線路の上を走るということになるとダイヤはどうなるのか、一向にわからないんです。この点は先延ばしになっているけれども、先延ばしにするのもやっぱり答申じゃないですよ。答申というのは結論を出すから答申なんで、先へ、十一月ごろまでに検討しろなんてこんな無責任な話はないと思うんですよね。これで貨物会社がちゃんと採算がとれるように案をつくってこい、これはちょっとどういうことなのか、まことに理解しがたいという気がいたします。この貨物会社についての見解もこの機会にお伺いしたいと思うんです。
  132. 林淳司

    説明員(林淳司君) 貨物の問題につきましては、私ども監理委員会といたしましてもいろいろなデータを駆使しまして相当深く突っ込んで分析をしたわけでございます。  ただ、貨物につきましては、一つは、実際に採算をとるためにはどういう輸送体制というものがいいのかということについて十分な詰めはさらにまだ時間をかけてやる必要がある。さらに、今御指摘にもございましたけれども、実際の運行に当たりまして、自主的に運行するのかあるいは旅客会社の方に運行を委託するのかというあたりの技術的な諸問題、それからさらに販売面で、これも先生から御指摘がありましたけれども、通運その他物流業者との関係を一体どういうふうに考えていくか、どういう輸送商品をつくれば物流業者はどういう形でそれを利用してくれるのかというふうなあたりの実際の実務家の詰めというものがさらに必要でございますので、私どもとして貨物の将来あるべき姿というものについての基本認識は十分書いたつもりでございますけれども、その辺の実務的な詰めをさらに行った上で私ども監理委員会としましても最終的なチェックをして具体的な成案を得たい、こういうことで答申を出したということでございます。
  133. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、この答申案の内容については時間の関係でこれでやめておきますけれども、私はここで問題にしたいのは、文藝春秋の九月特別号に、「国鉄落城前夜の修羅場」ということで内藤国夫という人がいろいろと書いております。私はこの内藤国夫という人の書いたのが全部うそだとは思えないんですね。極めてもっともらしいことが書いてあります。その中に、監理委員会のメンバーの一人が、本州を四分割して、そのうちのここのところはおれが経営したい、ついては千葉の鉄道管理局管内には中核派の千葉勤労という厄介な集団がいる、この連中の首を切っておいてくれ、あいつらがいるとうまく経営できないということを述べた。それに対して縄田副総裁が、とんでもない話だ、そんなことを事務次官までやった人が言うべきことじゃないというふうにたしなめたといったような記事があります。そしていろいろと論争をした結果、言うことを聞かなきゃおまえの首を切ると言われて、本当に首切られちゃった。これは事実そのとおりになっているんですからね。  当事者能力がたいのは遺憾だということを答申の中にも言っているけれども国鉄総裁、副総裁以下、お上の言うことよりも監理委員会の言うことを聞かなければみんな首になってしまうんですね。累積債務の責任はどうだ。その責任は例えば本四架橋だ、青函トンネルだ、政策的な民間事業じゃとてもやれそうもない投資を借金でやっているところに問題がある。しかし、それを食いとめたかった労使に責任があるというかもしれませんけれども国鉄総裁がそんなことは反対ですと言ったら、たちどころにそこで首切られるようになっているんですね。いい例が今回の、気に入るようだ分割案を持ってこなかったというだけでもって首切られちゃったわけですね。  それから最後に、これは監理委員長自体に関係することなんだけれども、「「国労と勤労を解体しなければダメだ。戦後の労働運動史の終焉を、国鉄分割によって目指す」とのホンネを何度か語ったことがある。」こう書いてある。ここまで読むと、なるほど組合の方に責任をなすりつけるという気持ちもここから出ているのかなというふうに思うんですけれども、非常に多くの問題が、この文藝春秋九月号には載っております。  この記事について、もちろんこのとおりでございますとは言いにくいだろうとは思うけれども、活字になって日本国じゅうにばらまかれているという事実、しかも中には監理委員会の一メンバーが、分割した会社はおれがやるんだということを公言しているという事実、これは監理委員会のあり方に対して非常に多くの疑惑を投げかけます。特に本州を分割するということについては、各新聞の社説とも疑問を投げかけている、なぜこういうふうに分割するんだと。これは分割したいともたれ合いにたるというようなことを今度これにも監理委員長述べておりますが、何でもたれ合いになるのか全然わからない。  だから、こういう新聞の社説から考えてみても、我々にも多くの疑惑がある。この種の疑惑というものを解消しないことには監理委員会のこの答申全体が我々としては信用しがたいということになってしまうんです。そういう疑惑を持たれるようなことを密室でもってやったんじゃないかというふうに言われても恐らくこれは返す言葉がないだろうと思うんですが、文塾春秋に載っておったこの記事について一体どのようにお考えになっておるのか、その点お伺いしたいと思います。
  134. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私もその記事を読みまして、私及び監理委員会に関することで事実と相違することが非常にたくさん書いてあるので私どもは愕然と驚いた次第でございます。  私の率直な感想を申し上げますと、講談師見てきたようなうそを言うという率直な感じを受けました。私は今言われるような組合を分断しなきゃいかぬというようなことを言ったためしもございません。また、国鉄の大事について総理に会って言ったとか、そんな事実は一つもございません。全く事実と相違することが書かれておる。そういうことで、我々監理委員会としては文藝春秋に訂正方を現在申し込みをしております。
  135. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時間ですからやめておきます。
  136. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず日航問題を質問したいと思うんです。  七年前の大阪空港でのしりもち事故事故機のことですが、五十三年六月二日十五時一分ごろ、大阪空港に着陸の際後部胴体の下部が滑走路に接触をした件につきましては、私も現地から帰りまして、八月十六日当運輸委員会で、ここに金属疲労の大きな原因があるのではないか、こういうふうに質問をしたわけでございます。その後いろいろの状況を見ておりますと、これらの応急措置をしたボーイング社に対しまして運輸省としては、修理の欠陥が、今後もう少し事態究明があろうかと思いますけれどもボーイング社自身が表明をしている欠陥修理というものの表明、こういうこともあるんですけれども、もしこれが事故調でさらに究明をされて、メーカーのボーイング社が修理のときに大きな原因というものをつくっていた、こういうことにたった場合には、この航空機メーカーに対して手抜き修理をしたという立場の中で運輸省として厳重抗議、そして賠償責任、こういうものがおのずからメーカーに対しても生ずると思うわけでございますけれども、冒頭に運輸大臣、こういう場合ボーイング社に対して運輸省として、所轄の大臣として今後どういう姿勢をとられていくのか、まずこの点を伺いたいと思います。
  137. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先般ボーイング社から欠陥修理であったという声明がなされまして私ども唖然としたわけでございますが、どの程度の欠陥修理であったかということは目下調査中でございます。したがいまして、その調査の結果が明らかになりまして作業ミスというものがはっきりいたしました段階におきましては、アメリカのFAAに通告をいたしまして、そしてしかるべき措置がとられますように厳重に抗議を申したいと思っております。
  138. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 午前に高木社長から御発言がございまして、遺族方々に対しておわびのごあいさつ、その中で、公共輸送に携わる業務といたしまして、安全確保には至上命令として当社はやってきたというお話がございました。高木社長のお立場、そして会社方々、またそれに増して遺族方々本当に大変なことでございます。そういう立場の中で、遺族の立場、そうして国民の大半が利用されるそういう公共輸送という立場から見まして、結論的でございますけれども、先ほど申し上げましたボーイング社のメーカーの責任を明確にすることが一つ。  そして、経済効率と安全性というものが常に懸案となるわけでございますけれども日本航空整備責任の組織体制を明確にしておらないことが、私はこの前の十六日にも航空時間によって五種類か四種類の整備時間を明確にしてやらなくちゃいけない、それが他の航空会社から比べて整備の時間がずらされている。そのあげく、大阪−東京間の利用者の需要に対して、ボーイング社でつくった規格、構造力学的にこれが安全だと言われているものを、あえて車輪をさらに強力に改造する、中の座席も多く取りつけて改造する、こういうふうなことをすれば、これは非常に頻繁に行き来をしますと、あれだけの巨大なトン数、そうして多くの人数の重量トン、そういうものによってこの整備責任体制というものが、各時間数に従って強力にチェック体制がとられていなければ必ず事故が起きるということが明らかになっていくわけです。  だから私は、今申し上げておりますけれどもボーイング社のメーカーの責任をはっきりすること、そして二番目には日本航空の飛行時間に従った整備費任と組織体制をさらに明確にすること、三番目には幹部の責任組織体制、これは平時において整備の組織体制と責任体制は併行して上から下におりるべきものであり、横の連動ももちろんすべきであります。事故が起きたから私が責任をとります、では死んだ者の命はどうなるのか、こういう問題があるわけでございます。だから幹部の責任の組織体制というものは、平時、事故、こう二つに分かれます。また整備責任の組織体制も、平時と事故が起きた、こういう二点をきちっと明確にして国民利用者の皆さん方の前にはっきりしていかなければなりません。  それからもう一つは、航空業界の安全というものが公正で強力な点検チェック体制というものをきちっとしていかなくちゃいけないと思います。事故が起きたから事故調が動いてそして厳しくやっていく、これでは非常に遅いわけでございます。だから公共輸送の立場、国民利用者の安心をいただく立場から、こういう航空業界の安全点検のチェック体制というものがやはりきちっと明確にされてバランスのあるものにされなければいけないと思うわけですけれども、この点運輸大臣いかがでございますか。
  139. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 今回の事故原因究明につきましては、現在事故調査委員会がこれに取り組んでいるわけでございますが、この調査の結果どのような関係者がどのような責任を負うべきかということもおのずから明らかになってくるわけでございますが、その際にボーイング社の修理についての責任が明確になりました場合には、先ほど大臣から申し上げましたように、米国政府を通じましてボーイングの責任を追及するということを政府としては考えているわけでございますが、こういった関係者責任問題というのは、いずれにしましても事故調査をこれから精力的に進めることによってこれを明確にしていく必要があるということでございます。  ただ、それまでの間に既にわかっております事態から、私ども現在の整備の仕方について早急に見直しをしていくということに取り組んでいるわけでございまして、先般も日本航空に対しまして業務の改善を勧告いたしました。この中で、与圧室構造の総点検なりその他の機体構造点検につきまして、従来の点検方式にとらわれない新しい、現在我々が得ている問題点からの観点点検強化するように勧告しておりますし、また、これまで行われておりましたSR型につきましてのサンプリングの問題につきましてもこれは抜本的に見直していきたいということでございます。  こういうことで勧告をしておりますが、さらに、今お話しの整備の体制につきましては、まさに日本航空全体としての整備の仕組みというものをこの際見直していただきたいということで、整備実施部門に対する技術陣からの現場への指示の徹底というような問題、さらに全体の技術の部門と現場の部門との相互の連絡ということ、あるいは今後こういう点検体制の強化ということにつきまして内部に必要とされるいろいろな組織上の問題、こういったことについて現在日本航空に自主的な検討を要請しているわけでございます。そういうことによりまして整備の平時の責任体制強化する、またそういうことが実際に事故が起きますことを防止するための体制につながっていくわけですから、先ほどの平時と事故発生時の責任体制というものについてのこれからの取っかかりをそういうところに求めていきたいというふうに考えているわけでございます。  いずれにしましても、整備のあり方というものを、今回の事故のいろいろな原因究明の進捗に応じまして私どもさらに将来に向かっていろいろな角度から点検強化していくという所存でございます。
  140. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) ただいまの答弁で大方私もいいんじゃないかと思っておるんですが、責任の所在につきましては、先ほど先生の御質問にも、あるいは御意見をあわせての御質問ございましたように、平時とこういった非常事態とあわせて責任の所在はかねがね明確にしておく必要がある。これは今後の責任究明と同時に日本航空に対しても私どもから十分その点をまた申しつけておきたいと思っております。
  141. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣、この点検体制の中で、やはり航空業界に対しての今申し上げておりました周期的な安全の点検チェック体制をする公正、強力なもの、事故調にかわるものが、事故調がそれにかわるものなのか、そういう点をきちっとしていないとこれは今後ちょっと問題になると思うんですが、やはりボーイング社としては、修理はした、後の運用については日本航空が当然やるべきではないか、こういうボールの投げかけがあると思うんですね。じゃ、日本航空運輸省のそういうあるべきところに御報告をして了解をいただいて飛ばしているんだ、何で日本航空だけが責任があるんだ、ボーイングも運輸省もあるのではないかというようなことのキャッチボールの投げ合いということになると、これは遺族の方、そして亡くなられた方、今後国民の利用される方々、その都度非常に問題になると思うわけです。  だから、運輸大臣、そういうことを、もう整備体制、責任体制、今西村さんからお話があったようなそれで既に万全だと言われるのか、それともさらにつけ加えて、自分としてはこういうチェック機関をもう一回ちょっと、協力があるものであれば強力にしたいとか、そういう点をあなたから伺いたい。
  142. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 午前中の答弁でも申し上げましたように、ある時点と申しますのは、八月二十八日でございましたか、私が衆議院の交通安全委員会で不可抗力ということを申し上げて、その時点においては、従来から定められている一つ整備の仕方、点検の仕方、その後七年間のふぐあいというのが全くなかったとか、いろんなことからしてあの時点においては私は不可抗力というふうに申し上げたわけであります。しかしそのこと自体適切なる言葉ではたかったということは私申し上げたとおりでございますが、どこが適当でないかと申し上げますと、今後もしも、現時点においてもいろいろございますが、特に今後私は誤りがあったとするならば、今先生がおっしゃるように整備点検のあり方とかそういう面について運輸省としては改正すべきものは改正していかたければならぬ、これは明確にしていきたいと思っております。
  143. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私が申し述べた真意というものを明確に受けて今後体制を組んでいただきたいと思います。  事故調査の担当の委員の方きょうお見えですか。——ちょっとお尋ねしますけれどもボーイング社の先ほど申し上げた五十三年のしりもち事故の修理箇所について、圧力隔壁の修理でリベットの打ち損ないというものも一つ原因であった、そういうことによって上下の耐圧板接全部の破壊箇所というものが出てきたのではないか、こういうようなことの中で金属疲労というものを確認されている、こういう段階事故調ではきちっとされているんですか。
  144. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) ボーイング社が申しております欠陥修理というものの中身につきましては、ボーイング社の表現しております、修理の際に継ぎ板が正しく取りつけられていたいという形で承知をいたしておるところでございますが、その実態につきましては、現在まだ機体の残骸が山の中の現場にございまして、そこで見られる範囲におきましては、先般私どもの専門委員事故調査官が行って見ておりますが、その詳細につきましては、残骸が東京へ搬入されました後に詳細にそれを調査いたしまして明らかにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  145. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 問題の箇所でございます破断面に対して与圧の繰り返しに伴う応力で発生をしたということが専門的にも報じられているわけでございますが、そういう垂直尾翼空中分解の引き金になったこの圧力の隔壁破壊、こういう問題は機体が搬出された後詳細な金属疲労の解析が行われると思いますけれども、時期は大体いつごろにたるのかということが一つ。  それから、垂直尾翼が空中分解をした段階でパイロットの中にこれはコンピューターは通じていないわけですか。いろいろの安全に対することは操縦室とすべてがつながっているはずですけれども、もしこれが垂直尾翼が壊れたとかいうものがパイロットのところに計器ではっきりするものであれば、あの山中に向かって、羽田に帰ろうとしたのはそういう垂直尾翼が壊れていることがわからないから、パイロットの方が必死になって、ドアだげであれば操縦技術で羽田に帰れる、そう思っていらっしゃったのではないかなと思います。もし垂直尾翼が破損しているんだということがパイロットの中で明確になれば、海水に不時着をしようという瞬間的な操縦が行われたのではないかと思うわけです。これが完全な失速で落ちる場合は、水面の場合はこれは非常にもう土中よりもさらに激しい問題がございますけれども、不時着態勢ということになれば、やはり被害を受けられる方が出るけれども、こんなに惨めな大変な状況にはならなかったと思うわけです。  だから、今私が申し上げていることは、金属疲労の解析がさらに明確にたるのは大体いつごろかということ。それからもう一つは、ボーイング社のメーカーの方でそういう垂直尾翼に対してのパイロット室に通じる安全装置というもののあれはなかったのか。もしあればパイロットは間違っていない。不時着態勢を海に向かってやれば、今申し上げているように、水の表面張力というものは墜落の場合は全部散ります。これは計算していただけばわかるとおりですね。しかし、不時着態勢の場合であれば、表面張力に対する激突、水の力というものは向こうの山中よりも非常に軽いと思うわけです。そういう点の二点をお願いしたいと思います。
  146. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) まず第一点でございますが、現在山中にございます機体の残骸、例の問題のバルクヘッドも含めてでございますが、大体東京へ搬入される時期としましては来週ということが予定されているようでございますので、その場合には、問題の箇所については搬入時期はまず第一番目に搬入するようにもっていきたいと考えております。搬入後のそのいろいろと調査結果を出すまでに、と申しますのは、これは専門の委員方々にいろいろ伺いませんと現在のところではその検査の所要期間というものははっきり申し上げられないという段階でございますので、御理解をいただきたいと存じております。  それから第二でございますが、航空機の操縦室内及び航空機構造上の細かい技術的な問題については、まことに申しわけないんですが、私その詳細についてまで現在のところ承知をいたしておりませんので、私の方はこれくらいにいたしまして、後ほど航空局の技術部長の方からお答えさせていただきます。
  147. 大島士郎

    説明員(大島士郎君) 最近の新しい大型ジェット機等では、エンジンを初めいろいろ複雑な系統、配線、配管等がございます。それらにつきましてはいろいろな警報装置、これらの系統が壊れた場合の警報装置等がございます。この警報装置をつける考え方は、設計上故障がある程度予想されるもの、あるいは故障が予想されたときの対応ぶりが明確に規定されるようなもの等々でございます。今回の事故に見られるように、垂直尾翼がなくなったというような事態は設計上予想をされていない、いわば航空機の形をなさたい状況であろうかと思いますので、そのような予想されない状況に対しては警報装置をつけるということになっておりません。  それから、もし垂直尾翼がなくなった状態においてパイロットがいかようにもまた別の対応をしたのではないかという御意見、あるいは海上に不時着すべきではなかったのかというような御意見等々いろいろあるわけでございますが、このような仮定の問題について結果を諭ずるというのは大変難しいわけでございますが、海上に不時着したときに必ずしも現在よりもいいかどうかという点では、いろいろな状況がございますので私どもコメントできかねることでございます。
  148. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 事故調の方につきましては、与圧空気が音速流として垂直尾翼を破壊したプロセスの究明はできるだけ早く国民の前に明らかにしていただきたい、よろしくお願いしたいと思います。  それから、飛行機の構造の問題でございますけれども、やはり尾翼に対して水平と垂直、恐らく警報装置が操縦室に通じていないということは、一〇〇%垂直尾翼というものはそういう壊れないものだと想定をボーイング社でしていると思うんですね。しかしながら、これだけの非常に巨大な航空機が実際に実用化されていく中で、やはり金属というものがどんな技術を用いても、どういう性質のものを使用しても、生命に限りがあるように、やはり一番大事な問題のところに安全性一〇〇であるから警報装置もつけていたい。これがやっぱりパイロットの判断というもの、本当に一生懸命闘っていらっしゃったけれども事故原因がパイロットの方に明確に私は最後までわかってなかったと思うんです。そうすれば、結果としてあそこへ不幸にして墜落したとしても、垂直尾翼がやられているんだという結果があの海上上空でわかっているとすれば、これだけのすばらしいパイロットの方だったらもっと別に対応されていた、乗っている方も私はもう少し救済されたと思うんです。  だから、今あなたの方では、ボーイング社がこういうことを言っているからということでたしに、垂直尾翼に対しても、パイロット室に通じる警報装置というものは製作の段階で当然ボーイング社がつけるべきなんです。私もボーイング社の製作、ダグラスとかグラマンの会社へ行ってみましたけれども、国会から代表して前に行かせていただきましたけれども、大事なところの警報装置が、事故というものはそうでしょう、事故があるからといってつくっているわけじゃないんです、飛行機やなんかも。絶対ございませんというあれでつくって販売をされている。それが現実には世界じゅうで皆事故があるんです。だから、垂直尾翼に対して別なルートから破壊された、しかし、そういう場合でも警報装置は金額的には製作段階で取りつけていけばどうこうということないんです。そして事故が起きても、どこが事故になっている、どういうふうにすべきである、的確な判断をパイロットに与える。これは乗客の安全を守るために一番大事なことじゃないですか。それが関係筋から一つも今日までボーイング社に対して要求もされていない。そして専門の学者の方々やいろんな評論家の方々を見ても、そういう警報装置も取りつけるべきであるというようなことも一つも言及されていない。私はその点どうしてかなという、専門家でございませんけれども、非常に不思議に思っているわけです。  今あなたのお話を伺っていると、垂直尾翼は一〇〇%に近いぐらい壊れないところであるというようなニュアンスのお話を受けておりますけれども、私はすべてが一〇〇%でなくちゃいけないと思うんですね。それがこういう結果になったわけですから、これはボーイング社に対して警報装置を垂直尾翼についてもつけるべきである。当たり前のことじゃないですか、買う会社としてはメーカーに対してやることは。水平と垂直の尾翼ということは飛行機にとって一番生命じゃないですか。それが警報装置もない。どんなにパイロットがお力を持っていらっしゃっても落ちるまで垂直尾翼が飛んでいることがわからないんですから、これだけ私は不幸なことはなかったなと思います。その点いかがですか。
  149. 大島士郎

    説明員(大島士郎君) 現在民間航空機の設計基準と申しますのは、先進国であるアメリカの基準あるいは航空機製造国が集まっているヨーロッパ諸国の共同設計基準等々ございますが、基本的な構造部分、ただいまの垂直尾翼あるいは水平尾翼、主翼、エンジンのつり下げるパイロン等々についての構造破壊に対する警報装置というのは世界的にも要求していないわけでございます。設計の考え方としましては、このような基本的構造部分はまず壊れないように、運用中にかかる荷重を十分考慮いたしまして安全率を定め、まずこの基本構造は壊れないように設計をするというのが基本でございます。  今回の場合も、垂直尾翼の壊れた原因がまだ明らかでないわけでございますが、垂直尾翼が壊れる原因としまして一番考えられるのは、例えば金属疲労による根元からの破断でありますとか、あるいはよく言われますフラッター、これは近代ではたかたか起こりがたい事故でございますが、フラッターでありますとか、そのような構造破壊に対しては、現在の設計技術上最大の能力をもってそれに対する技術対応をしている、こういうことかと思います。
  150. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 若干補足いたしますと、むしろ私どもの現在の事故状況から見まして一番要求されることは、隔壁の破裂によりまして垂直尾翼を含む尾部が喪失するというような事態そのものを避けるような設計が一番要求される。先ほど技術部長から申しましたように、垂直尾翼がなくなった場合に、それを操縦室で知るという状態よりも、まず何よりも隔壁の破裂が直ちに垂直尾翼を吹っ飛ばすというような因果系列が進むような点について、もっとそこの段階で減圧をするような工夫が当然されることが望ましいわけで、そういった点の問題の検討が必要なわけですが、いずれにしましても、まだ何が原因で垂直尾翼が飛んだかということがはっきりしないものですから、そこのまず根幹に迫ったことをする。  むしろ、垂直尾翼の飛ぶということがかなり予想される事態ということになりますと、今言われたような警報装置というのが要するに今後運航を続けるための問題として出てくるわけですが、垂直尾翼がなくなった場合には、ほとんど飛行機としては致命的な状態でございますので、それを完全に操縦室で知るという事態をどこまで予想してそういう制度をやるか。今回の場合も、油圧の系統が全部飛んでおります。そういう意味でなかなか尾部の状態を操縦室で全部知るようなこと自身、いろんな工夫は今後されてしかるべきかもしれませんが、まずそちらの方の問題に取り組むということが一番重要なのではないかというふうに考えております。
  151. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 隔壁と後部の油圧系統の一部が飛んでいますね、これは警報装置はついているんでしょう、全部。
  152. 大島士郎

    説明員(大島士郎君) 後部の垂直尾翼にあります方向舵、それから水平尾翼にあります昇降舵の操作がふぐあいが生ずるというような警報はついて栄ります。また、隔壁が何らかの破壊を起こして、隔壁の破壊ということでなしに、これに伴う客室内の圧力が下がった、こういうことを警報する装置はついてございます。
  153. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 全体的に、やはりボーイング社から買う立場ですから、例えば日本航空とか各航空機会社は。ですから、今回の事故がさらに徹底究明をされて、やっぱり機体についても各大事な部分はすべてパイロットの部屋と全部通じているという、そういうふうな体制を、今お話しになると世界的ないろんなそういう問題もあるようですけれども、世界は世界であっても、日本でこういう大きな事故が起きたわけですから、世界に安全という立場で投げかけていく、そういうふうなことも大事でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それから大臣にちょっと質問をしたいんですが、航空憲法の見直しの件でございますけれども運輸大臣、報道によりますと、九月の十日、きのうですね、運輸政策審議会に、会長稲山さんでございますけれども、航空政策の抜本的な見直しを主眼とした航空企業の運営体制のあり方、これについて諮問をされているようでございます。諮問の内容は、国際線への複数社乗り入れ体制、二番目には日本航空の完全な民営化、三番は国内線の競争の促進、こういうふうに伺っているわけでございますが、これらの趣旨等についてちょっと重ねて伺いたいと思います。
  154. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 航空憲法については、私がここで砕いて御説明申し上げるまでもないことだと思いますが、この中には、三社の業務の縄張りと申しますか、簡単に申し上げると、それがちゃんと規定してございます。合意の上でそういうものがつくられておるということでございます。それが今回のNCAの、いわゆる日本貨物航空のアメリカ乗り入れということに対して、今度は向こうからさらにお互いに複数化しようということで、お互い合意の上で日米航空協定の暫定的な改定をやったということでございますから、したがって二社以上のものが我が国からアメリカに対して飛ぶということになりますというと、航空憲法の中で国際線は日本航空一社という規定が既にこれはもう意味がなくなってくるわけでございます。したがってその機会にひとつ見直しをやろうということでございます。  同時に、民営化につきましても、いわゆるナショナル・フラッグ・キャリアと申しますか、国策的な日本航空、これは世界に日の丸をしょってただ一つ飛んでおった。それが二社以上飛ぶということになりますと、これはまずその意味もなくなってくるし、国が積極的にこれだけ株を持ち、これだけ特別援護措置をとるという意味も非常に薄弱になってくる。したがって、いわゆる民間活力と申しますか、正当にひとつお互いに競争させていくという方向に持っていくという趣旨でございます。
  155. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も心配しておりますのは、国内線のまた競争促進というのが、これは安全性の問題を非常に常に頭に置いておらないと大変なことになると思うんですね。アメリカでも航空業界の競争が非常に激しくて、いつも各社が値下げ競争をやっていく、それで一部の会社がつぶれていく、こういうようなことが何回もサービス競争で繰り返されているわけです。利用者の方から見ると航空運賃が安くなるわけですから利用するわけですけれども、しかし肝心の経営形態というものが競争の中で非常に大変なことになる。そういうことになると、やはり何千時間飛んでいるから修理をしていかなくちゃいけない、そういう体制というものが非常におろそかになって、安全性というものが非常に手抜かりになってくる。  こういうものがやはり運輸政策審議会でも真剣に私は討議をされないといけないと思うんですけれども、これは今後の問題ですけれども、そういうふうな点は、当局の方がどういうふうに指導監督をして、西村さんかどう思っていらっしゃるか、また大臣としてこういう事故を本当に大きな教訓として、この政策審議会でどういうふうに考えていらっしゃるのか、そういうような点お二方にお伺いしたいと思います。
  156. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 航空企業のまず前提となるものはやっぱり安全性でなければならないと思います。安全性が没却されて事故が次々起きて企業として成り立つわけはないと思うんです。やはり利用者の信頼がまず前提とならなきゃならぬということでございますから、なるほどアメリカにおきましてデレギュレーションといって、新しい路線の認可とかあるいは運賃とか、それはもう自由に競争しなさいといって、そのことによって競争は激化しましょう。激化するからといって安全を没却して事故が起きたりするような場合には航空企業自体が成り立たないと思うのでございます。したがって、デレギュレーションということに対して、そのことによって安全性が失われるということはまず考えられない。その前に会社自体が倒産するということが考えられましょう。  アメリカでカーターによってそういうものが行われて、既に四社ですか、ギブアップしているという現状からしてもそうでございますし、しかし、たとえそういうことがあっても安全性は最後まで確保されるべきものであり、またそのように行われている、私はアメリカにおいてもそうだと思っておりますし、もちろん我が国においてはこの基本原則、鉄則は守り貫かれなげればならぬと思っております。
  157. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では航空脚係の最後に救難体制についてちょっと簡単に伺っておきます。  国際反間航空条約第十二附属書に、国際的な航空機事故に伴う救難捜索体制についての手続関係の規定がございます。国際的な中心本部をカナダのモントリオール、各国にはまた救難調整本部が設置をされております。日本では東京国際空港の運輸省東京空港事務所に本部が置かれております。これがまた防衛庁、警察庁あるいは海上保安庁との連絡調整、こういうふうになっているわけでございます。場合によっては駐留米軍、自衛隊の救難捜索出動要請もなっているわけでございますが、いろいろと今度の救難体制も一生懸命現地ではやっていただいております。また一面ではもう少し何とかならなかったのかというふうなことも言われております。総じて今後救難体制について的確にそうして俊敏にやっていくためのこういう救難体制のあり方、こういうことについて大臣に今後の課題として重ねて伺っておきたいと思います、万全な救難体制について。
  158. 中村資朗

    説明員(中村資朗君) 航空機の捜索救難に関しますお尋ねでございますが、まず第一点は、今後の体制といたしましては、やはりシステムの近代化、高度化を図るべきではないかということを考えておりまして、この救難調整本部といたしましては手順に従って今回の緊急事態に対応したわけでございますけれども、今後、今回のようだ非常に前例のない形態の大事故の発生を踏まえまして、関係各省庁とも十分連絡をとりまして協議をしながら捜索救難体制のシステムの高度化を検討してまいりたいというふうに思っております。なおかつ、関係の省庁間のいろんな救難の航空機だとか艦艇の種類、数等につきましても関係の省庁については把握をしておったところでございますけれども、これら以外の関係省庁の設備、機材については十分承知をしていなかった面もございますので、今回の事故を踏まえまして、機器の設備その他につきましても十分な情報交換を行えるように関係省庁と検討、協議を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。  それから省庁間の連絡調整、これも体制は一応でき上がっておりますけれども、そして年間平均いたしますと十数件の割合で実際に捜索救難が行われますので、そういう体制の中ではお互いに十分な連絡調整を行っておりますけれども、さらに綿密たる連絡調整を行う必要がある、こういうことを考えておりますので、そういう意味では私どもとして再度ここら辺の連絡調整業務体制の緊密化について連絡調整をいたしたいというふうに思っております。
  159. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 全般的によろしくお願いしたいと思います。  では航空関係運輸大臣、最後に今お話ございましたけれども大臣といたしまして今後こういう事故が本当に二度と起きないようにお願いをしたいと思います。これは要望ということで結構です。  では次に国鉄問題について監理委員長にお伺いしたいと思います。  問題は累積債務、分割の問題、余剰人員などがあるわけでございますが、時間の関係がございますので余剰人員の問題だけを取り上げまして伺ってみたいと思います。  既に関係の方は御承知でございますけれども答申では昭和六十二年度における地域別職員の適正規模が提示をされております。それによりますと、全国で余剰人員が九万三千人に上り、そのうち新会社が三万二千人を引き取る、残る六万一千人が転退職を迫られることになるわけでございます。ここで一つ問題点は、地域別の余剰人員でありますけれども、北海道、九州では、六十二年度首に在籍をしているであろう職員の半数近くが余剰とされることになることでございます。私たち懸念をいたしておりますのは、果たしてこれらの地域にそれだけの雇用吸収力があるのだろうかと思うわけでございます。これは先ほどまでの質問といろいろ重複をするわけでございますけれども、大事なことでございますので、重複は避けたいと思いますけれども、この点はお許しを願いたいと思います。  例えば北海道では、五十七年十月十四日の北炭夕張炭鉱の閉山、これに伴う解雇者が二千四百四十六人生じました。これが三年たった今日でも約二〇%に当たる五百二十人の方が未就職の状況にあると伺っております。一方、合理化のために離職をした函館ドック関係の方も八百三人中八月末現在で三百七人しか就職ができていたい、再就職率三八%、こういうふうなことでございますけれども、質問の一点は、北海道における有効求人倍率は〇・二四倍程度と伺っておりますが、道内では四人に一人しか就職できない。このような厳しい雇用情勢の中で一万三千人の転退職者が生じる、こういうことになるわけでございますけれども答申の中には、雇用機会の少ない地域については全国規模での就職あっせんを行うと述べられております。この意味は、北海道、九州などについては就職のできる地域へ移転、移動をしなさいという前提なのか、この範囲もどういうふうにお考えにたっていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  160. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) この国鉄の改革に際しまして余剰人員が出てくる、この対策というのが非常に大事で難問題であるということは先生御指摘のとおりでございますし、特に北海道が一万三千人、九州が一万一千人と余剰人員が想定されておりますが、これの転職が道内、九州内で可能かどうか、この点が先生の一番御関心の的であろうかというふうに思うわけでございますが、    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 率直に申し上げで、北海道の方々ともいろいろお話をいたしております。まず市町村の方にいろいろ聞いても、実際は、炭鉱の次に今度は漁業がわいてきた、そういうことで、そういう方々のうちある程度をやはり市役所なり町役場にも引き受けるというようなことになってくると、国鉄の人を引き受けるというのはなかなか難しいんですと、真剣にお考えの方もそういうことを率直に申されております。  私どもも非常に頭の痛い問題でございまして、これはでき得べくんば、産業を何か興すといってもこれは一朝一夕すぐにはいきませんけれども、徐々に工場誘置とかいろいろ工業団地ができておりますから、そういうところで吸収できる人もあろうか。それでできない者は、本州の方が仕事がございますから、やはりそちらの方へ御移転をいただくということで、そういう面についての就職あっせん、あるいは炭鉱の労務者をお世話しましたときは雇用促進事業団で住宅、すべていろいろお世話して配慮をした、こういう例を見習ってやっていただいたらどうであろうか、こういうふうに考えております。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 九州の方が北海道よりはまだ多少、大分県、熊本県、佐賀県、あの辺を中心にいたしまして、エレクトロニクスとかいろいろ近代産業が相当芽を吹き出してきまして、相当有効求人倍率も高くなっておるようでございますが、問題は、ここに小笠原先生もおられますけれども、北海道は本当にこれは問題で、やはり全国民的に何とかこういう方方の生活の道あるいは職業の道ということを生み出そうという全機運での問題を解決していただくより方法はない。もちろんそれをやります、お世話をする中心国鉄当局あるいは政府当局におきまして全面的にこれの行動を起こされるということが一番大事で、中心になる人が動けば必ず周辺もそれをサポートする、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  161. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 その場合、運輸大臣、六十二年度首から転退職を余儀なくされる四万一千人の方々が移動をされていく場合、そういう場合数多くの、先ほどもいろいろやりとりがございましたけれども、家族に精神的な、経済的な負担、こういうことが二重的にかかってくる場合も考えられるわけでございますけれども、その点はどういう対応を政府としてもやっていこうとされるのか、その点ちょっと心配がありますので伺いたいと思います。
  162. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 先ほども同様な御質問につきましてお答え申し上げましたように、この問題は先生御指摘のように非常に重要な問題でございます。特に北海道につきましては、今亀井委員長からお話のございましたような状況でございますので、再就職というような場合にも今先生おっしゃったような事態が起こるということは十分予想されるところでございます。したがいまして、この問題につきましては、最近発足いたしました政府の余剰人員対策本部の中でそれらの問題を含めていろいろ対応策というものをきめ細かく検討していかなければならないと思っております。その中の一環といたしまして検討を進めていきたい、かように思っておるわけでございます。
  163. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国鉄総裁に質問したいと思いますが、余剰人員の数ということで、「昭和六十二年度首における国鉄の在籍職員数は、新規採用の原則停止を前提とし、過去の退職の実績等を踏まえて予測すると、約二十七万六千人となるが、これに対し、新事業体の適正委員規模は、約十八万三千人であるため、余剰人員は九万三千人に上ることとなる。」こういうことでございますが、この場合新規採用の原則停止が前提、こういうふうになっておりますが、新規採用の原則停止を実施する意向があるのかどうか、こういう点をまず国鉄総裁に伺いたい。それから、六十二年度首の在籍職員数が二十七万六千人という予測、これは間違いないのかどうか。この二点お願いしたいと思います。
  164. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 新規採用の点でございますが、今までもずっと新規採用の停止をしておりますが、六十一年度におきましても新規採用はしないというふうに決定をしておるわけでございまして、大変厳しい要員事情、余剰人員対策という観点からいたしまして新規採用をやるようた状況ではないというふうに判断をいたしておるところでございます。  それから監理委員会の意見の二十七万六千人というような六十二年度首の職員数という点につきましては、過去の職員の退職等の実績等を踏まえた数字でございまして、妥当な予測であるというふうに考えております。
  165. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 六十一年度末の在籍職員数二十七万六千の内訳をちょっと見ますと、待望退職に、旧国鉄の特別対策対象者四万一千、新会社で引き受ける人数三万二千、新会社の適正要員規模というのが十八万三千、こういうふうなのが六十二年度首の職員の内訳にもたってくると思いますけれども、ここで続けて質問したいことは、答申において余剰人員の移行前の対策として、「国鉄は、移行前に、徹底した合理化により新事業体の要員数で事業が行い得る体制を整える。」こういうふうにあるわけですね。ここの中で言う「新事業体の要員数」とは十八万三千人のことなのか、これは監理委員会にちょっと伺いたいと思いますが、二割の上積みをした二十一万五千人なのか、この点をちょっと確認をしてまいりたいと思います。
  166. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいまの御質問につきましては、移行時点の要員数は二十一万五千人でございます。そこで、本来適正要員数というのは先ほど来ございますように十八万三千人というものがベースでございますけれども、ただ、六十二年度の移行時点で直ちに私鉄並みの生産性というか、それを前提とする体制で業務が執行できるかというと、やはり若干の移行期間が必要であろうということで、二割程度の上乗せをしたわけでございまして、その二割程度の上乗せをした姿、すなわち全部門でいいますと二十一万五千人というのが六十二年度首のいわゆる業務執行体制というふうに考えているわけでございます。
  167. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それから、これは事務的なことなんで林さんに伺いたいと思いますが、要員の削減を計画する際に、どの部門から何人という削減の内訳、こういうことが明示されると思うんですけれども、監理委員会としては六十二年度首までに削減を迫っている九万八千五百人についてはそういう合理化の内容まで深く立ち入って検討されたのかどうか、こういう点を伺います。
  168. 林淳司

    説明員(林淳司君) 私どもの予測によりますと、先ほど申しましたように六十二年度首の新事業体の要員数というのは二十一万五千人でございます。一方、国鉄が一月十日に発表されました基本方策によりますと、六十二年度首は二十二万九千人ということでございまして、私どもの体制との間に一万四千人の差があるということでございます。  これにつきまして、私どもとしても果たして合理化の今後の進捗度というものでその一万四千人の差が実施可能であるかどうかということについてはいろいろ検証したわけでございますが、その後国鉄におきましては基本方策の当時と比べまして若干事情変更がございまして、五十九年度の実績におきましては基本方策の想定を六千人上回る合理化がなされております。したがって、一万四千人から六千人を差し引きますと残りは八千人の差ということになるわけでございますが、国鉄におきましてもさらに引き続き六十五年までいわゆる合理化を進めていくという計画でございますので、この八千人程度でございましたならば、六十二年度首の時点までにそれだけの上乗せの合理化というものは実施不可能ではなかろう、こういうことで私どもとしてはその体制に向けて努力をしていただきたい、それはまた可能である、このように考えているわけでございます。
  169. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これも先ほどまでいろいろ質疑があったわけですけれども、現在国鉄が六十二年の移行前にするべき事項として、答申では、二万人の希望退職者の募集、新会社へ移行できない四万一千人の決定、こういうことが述べられているわけですけれども、ここで、できる限り速やかにというような表現があるわけでございます。私も、今のこの時世の中でどの程度の期間を意味されているのかな、これは非常に難しい問題がある、こういうふうな現実的な感覚を持っているわけでございますけれども、この点について監理委員会としては、できる限り速やかにというこの表現というものはどの程度の期間を想定されていらっしやるのか、その点伺いたいと思います。
  170. 林淳司

    説明員(林淳司君) 現在の国鉄の要員規模というのは、本来の適正要員規模に比べまして著しく乖離があるということでございますので、やはりこれを相当のテンポでもって合理化を進めていきませんといわゆる健全体質にならないということでございます。  そこで、そういう意味から、昭和六十二年の四月の時点で新しい事業体に移行するわけでございますけれども、それができるだけ円滑に、スムーズに移行できるように、なるべく早い時期からこういう対策、措置というものがなされていく必要があろう、こう考えているわけでございまして、具体的にいつという、何年何月ということではございませんが、例えばまず最初にきます現国鉄の間における二万人の希望退職につきましては、これは移行までの間に行う措置でございますので、それこそ早急に、今政府の方で余剰人員対策本部ができておりますけれども、そこでまず第一番目に取り上げていただいて早急にひとつ実施に移していただく必要があるのではなかろうかと思っております。  ただ、それ以外の対策につきましても、その場合に前提条件として、例えば希望退職につきましても、退職金についての一時金的な上積みというふうなことも私ども提言しておりますし、それからさらに、再就職とか職業訓練その他いろいろな面で立法措置を含む強力な措置というものが必要でございますので、そういう法律の制定その他いろいろな対策についての環境整備というものが図られ次第ということでございますけれども、そういう対策、措置というものの整備も含めましてなるべく早く、こういう考え方でございます。
  171. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最後になりますが、運輸大臣にちょっと伺いますが、やはり会社がいろいろ変わってくるという場合、勤めている人も非常にいろいろな心配楽があって、一部知り合いの人に聞いておりますと、やはり国鉄がいつまでもこういう現状のままでやってそこで勤めていきたい、そういう希望の人、いろんな諸条件の中で分割をされるのであればどうしようもないけれども、やはり再就職という問題については、できたら官公庁というそういう同じ系統のところへ就職したいなというふうな希望も持っていらっしゃる方もございました。  そういう中で大臣伺いたいのでございますけれども、八月七日に国鉄余剰人員雇用対策本部というものが政府の方に設置をされております。政府関係機関の余剰人員受け入れ計画策定というものも検討されていると思うわけでございます。政府関係機関の職員というのは、国家公務員が百十九万人前後、地方公務員が三百二十二万人、特殊法人の職員が九十万人前後、合計五百三十一万人前後にたると思いますが、そのうち、委員会でも取りざたされておりましたけれども、公務員の毎年の退職者が四%近く、二十一万二千四官人、これは数字のことですから現実には難しいいろいろの問題があると思うんですけれども、とにかく同じそういう政府機関に移行をしたい。たまたま私が会った人が、もし最悪の場合でも、分割されるのであれば、そして国鉄へもう自分が勤められないというのであれば、やはり政府関係の機関に採用されたい、それが自然だと思う、こういう話もされておりました。  そういう場合に、政府関係責任を持ってやはりそういう受け入れをしていただくという場合、今余剰人員の対応というものが政府機関としてはどの程度進んでいるのか。これは監理委員長の方から政府の方に報告があって、もう既に進んでいるわけでございますが、相当私は進んでいると思うんですけれども、この余剰人員の対策について政府、行政機関がどれだけ真剣に、国鉄で働いていらっしゃる方々が少しでも心配ないようにという対応策の私は一つの大きな目玉だと思っておりますけれども、どの程度まで進んでいるのか、それを運輸大臣に伺って質問を終わりたいと思います。
  172. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 国鉄余剰人員の公務員への受け入れ態勢の進みぐあいという御質問でございます。  先生御指摘のように、公務員に再就職するというのが最も望ましい、またそれを望んでいる方が多い、これは事実でございます。そのような観点から、さきに八月七日にできました余剰人員対策本部は、総理を本部長といたしまして各省の事務次官全員が本部員になっております。それは各省庁一致してこの受け入れについて御努力を願いたい、こういう趣旨からそういう構成になっておるわけでございます。ただ、具体的な計画がどこまで進んでおるかというのは、先ほど申し上げましたように八月七日に本部が発足したばかりでございまして、専門の事務局の方におきまして今いろいろな事務的な検討が行われております。  運輸省におきましては、それより早く省内に推進本部をつくりまして、国鉄余剰人員の受け入れということで関係地方局とか運輸本省等で若干の受け入れを開始しておるところでございますけれども関係省庁につきましては、今申し上げましたように、設置されましたばかりの本部の最初の仕事の一つとして今具体計画の御検討をいただいておる、こういうところでございます。採用時期その他の関係から急いで対策を進めなければいけないということでございますので、できる限り早く受け入れ態勢の計画をまとめていきたい、かように思っておるところでございます。
  173. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 作業の詰め方につきましては、今審議官からお答え申し上げたとおりでございますが、とにかくこういった種類のものに総理大臣が本部長になるということは異例のことでございまして、これは異常な決意を持って内閣全体がぶち当たっていかなければならぬと思っております。そのために今申し上げましたような機構になっておりまして、特に、中央と申しますか、国家公務員だけではなくて地方公務員としても本当にひとつ御協力願いたいということで、自治大臣にも私は特によくお願いをいたしております。  何分やっぱり行革に伴って公務員の数が窮屈になっておりますので、自治大臣としても非常に頭の痛い問題だということをおっしゃっています。それはよくわかりますが、自治大臣もできるだけの協力はする、そのために地方公務員の新規採用についても事前に十分そういうことも勘案して指導をしていきたいというようなお言葉もありましたし、今後とも、私の置かれている立場から極力そういう点については考慮してまいりたいと思っております。
  174. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 民営・分割化された後の各会社の経営の見通しはどうなるんだろうかということはこれは非常に大きな課題でございます。不十分たがら監理委員会からいろいろ資料をいただきましたので、以下その数字について具体的に伺っていきたいと思うわけです。  まず最初に、収支見通しというのを拝見いたしまして、莫大な赤字が消えてしまって、そして六十二年度には見事に黒字に展開する、まるで魔術にかかったようたそういう見通しが出ております。とりわけ大きな赤字を出しておりましたのが北海道、四国、九州などでございますが、五十八年度の決算で見ますと、北海道は三千六百七十七億、それから四国が七百十六億、九州が二千八百十五億という赤字、国鉄監査報告書の中の数字でこれだけの莫大な赤字が出ていたわけですね。しかしそれも黒字にたる。その黒字になるためにはどういうことをするかというのがまたるる書いてございました。赤字を出す地方交通線は切る、人員は削減する、特定人件費だの、もろもろの今までの手かせ足かせになって赤字をしょっていたものをみんななくしてしまう、そして基金もつけてやるよということになって、そしてこういう黒字にたるということなわけですね。  しかし、これを見まして私はちょっとびっくりするようなことがたくさんあったわけですけれども、この数字が出されてきたという、この数字の出てきた根拠というのは、初めに民営・分割ありき、それからそのためにはどうするという逆に積み上げられたようた数字に見えるわけでございます。  具体的にお伺いいたしますけれども、その営業収入の伸びというのをどういうふうにごらんになってこういう計画に狂ったかということをお伺いしたいんです。これは八月の二十日に衆議院の運輸委員会で林さんがお答えになっていらっしゃいました旧それは、五十八年から六十二年度までの推計につきましては過去の収入の伸びと同程度を見込んでおります、その伸びは五十二年から五十八年までの平均値を見ております、こういうふうにお答えになっていましたよね。議事録に出ているんですよね、もう忘れられたのかもしれないけれども。そういたしますと、ここで私が伺いたいのは、五十二年からというふうに五十二年が起点になっているわけなんですね。その五十二年というところに種かれたのは何か特別な理由根拠があったのかどうか。五十二年からというその五十二年についての意義づけをどのように見ていらっしゃるかお伺いしたいんです。
  175. 林淳司

    説明員(林淳司君) 八月二十日の日に衆議院の運輸委員会でいろいろ質疑がございまして、その中で、北海道、四国、九州については昭和五十六年度から五十八年度までの傾向を見ると収入が減っておる、それにもかかわらず監理委員会はその時点よりふえるという前提で試算をしておるというのはおかしいじゃないか、こういう御質問がございましたので、私どもとしては、昭和五十六年から五十八年までを見れば確かに減っております、しかしもう少しロングレンジで、たまたまそのとき私昭和五十二年からのデータしかなかったんですけれども、昭和五十二年から五十九年までというものを見通せば傾向としてはふえてきております。したがって、一時的な減少もあるけれども、長期の傾向としては収入面ではふえております、このように申し上げたわけでございます。  私ども営業収入の算定につきましては、この意見書にも添付してございますけれども輸送需要の見通しというもので得られました鉄道事業のいわゆる需要量というものにそのときそのときの運賃水準というものを掛け合わせてそして営業収入というものを出しておる、こういう算定の仕方でございます。
  176. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私もそういう点で五十二年というのはどういう意味があるかなということで再度お伺いしたわけなんです。といいますのは、数字を出すときにどこでとるかというのでふえたり減ったりということがございますよね。だからそのとり方一つの問題だと思うわけなんですよね。このとり方を見てみますと、五十八年の営業収入、北海道の場合は五十八年が六百十九億の営業収入になっているわけです。五十四年から見ますと五百九十八、次の年が六百十四、六百二十六、六百四十二、そして五十八年六百十九、こう減っているわけなんですよね。それをさかのぼりまして五十二年からとるとぐっとふえたというふうになるわけですよね。ぐっとふえたという数字で見ていけばこうなるはずだという数字も甘い数字で出てくるわけです。これと同じように四国でも九州でもだんだんと五十四年、五十五年からは減っているんだけれども、五十二年からとりますとふえていくというふうになるわけです。そこの数字のとり方のマジックだと私は見なければならないと思うんです。  そうしますと、私がここで言いたいのは、どこでとるべきかということは非常に難しいと思うんだけれども、五十八年から六十二年までの推計を出すんです。この間四年間の推計を出すとすると、先四年間の推計を出すんだったら前も四年間というところで非常に客観的に事実に近いようだ推計ができるような五十四年からとるべきではないか、そう思うのに五十二年からとっているというところが一つの私はマジックだというふうに言わざるを得ないんですね。五十四年がちとるべきだとお思いになりませんか、先四年だったら前も四年というふうな数字を。いかがですか。
  177. 林淳司

    説明員(林淳司君) ちょっと考え方の違いと申しますか、ございますようで、私どもは過去の傾向というものをそのまま伸ばして将来予測しているわけでは決してないんです。収入につきましては、先ほど申しましたように、まずベースとしての相当膨大な需要予測というものをやっているんです。これは全交通機関についてやっておりまして、その中で鉄道が一体どういうふうに地域別になっていくか、こういう非常に大がかりな需要予測をいたしまして、それから別のまた考え方でそれぞれの時期に運賃水準は一体どうなっていくか、それを掛け合わせて営業収入を出しているわけでありまして、決して過去の収入というものの動向をそのまま伸ばすとか、あるいはそれをベースにして将来予測をしているわけではないわけでございます。
  178. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そちらのお立場でそういうとり方をしたということになると、ここで論争して時間とるのもったいないからやめますけれども、非常に甘い見通しが立つようなとり方をしていらっしゃる。それは一つの客観的な問題として私は指摘しておきたいと思います。  次に運賃水準についてお伺いしたいんですけれども答申参考資料中の「旅客鉄道会社の経営見通し」というところにこう書いてあるんですね。会社別に私鉄の平均的な運賃水準を想定しているというふうに書かれているんですが、それは具体的にはどういうことを示すんでしょうか。
  179. 林淳司

    説明員(林淳司君) 私どもがこの収入を計算するに当たりまして用いました手法でございますけれども、この間御提出しました資料にもございますように、「運賃水準については旅。客鉄道会社がそれぞれ経営する路線の利用者一人当たりの輸送費用が異なることに留意し、会社別に私鉄における場合の平均的な運賃水準に徐々に近づくものと想定した。」このように申し上げているわけでございます。要するに、私鉄で現在輸送密度等によりまして具体的にどういう水準にあるかという実績があるわけでございますけれども、そういう実績を求めまして、それで今度六つの分割会社の平均的な姿というもので、そのレベルにある一定期間をかけて近づけていくという形で運賃水準というものを想定したということでございます。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃもうちょっと具体的に理解したいんですけれども、そうしますと、例えば私鉄並みにしていかなければなりませんよね。そうすると、大体めどとしては六十五年を目安にして私鉄並みにしていきたい、その私鉄並みにするのでも輸送密度ごとに違うというふうなことも当然お考えになっていらっしゃるわけですね。  それからもう一つ。北海道の場合には私鉄がございません。北海道の私鉄がたい場合には、東日本たんかと比べてどれくらいになるかというふうなことも御検討になったと思うんですけれども、その辺のところはいかがですか。
  181. 林淳司

    説明員(林淳司君) 先ほど一定期間かけてと申し上げましたけれども、幾つか例外はございますが、原則として、昭和六十五年という時点で大体私鉄の水準に近づくという形を前提にしております。  それから運賃水準につきましては、全国の私鉄につきましてその運賃水準というものを、これは実績でございますけれども、それを輸送密度で回帰いたしまして、いわゆる回帰分析をしたわけでございます。そして各会社ごとに、例えば北海道につきましてもその回帰した姿に徐々に近づくというような形、そういう形で想定をしたわけであります。したがって、そういう全国の私鉄の実績をベースにして各国鉄の分割会社につきましてもそれに近づくという形ですから、その地域に私鉄があるかないかということはこれは関係ないわけでございます。そういう手法で水準を想定しておるということであります。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、もう一つ具体的に理解したいんですけれども、全国的に私鉄を勘案してなさった。そうすると、北海道だったら一番近い東北たんかと比べれば一番わかりやすいと思うんだけれども、東日本会社と比べて大体一割くらい高く見積もっていかれるんではないか、そういうふうに私は理解できるんですけれども、いかがでしょうか。
  183. 林淳司

    説明員(林淳司君) 今申し上げましたように、私鉄の輸送密度に回帰させた姿でやっていくということでございますから、当然輸送密度の低いところはそれだけ運賃水準が高いというのが現在の私鉄の姿でありますので、したがって、六分割会社を考えた場合に、輸送密度が低い路線を多く抱えているところは相対的に他の地域に比べると運賃水準は若干高くたるということはこれは避けられたいと思います。私どもの試算によりますと、現在の状態、すなわち昭和六十年の現在の状態から今度長期の試算を出しました六十六年度にかけて、この六年間というものにどの程度の格差がついていくかということについては、本州の企業体を一〇〇といたしますと一割ないし一割五分程度、その程度の差がつくというふうに考えております。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは次に、営業収入を上げるということのためには運賃を上げるということが必要になってきますね。収入アップを図っていくということになります。そこでお伺いしたいんですけれども、五十八年と比べて六十二年、六十六年はどれぐらいの収入アップ率で試算されていらっしゃるんでしょうか。北海道、四国、九州はもちろん各会社ごとのアップ率を伺いたいと思います。
  185. 林淳司

    説明員(林淳司君) 五十八年から六十二年というのは・・・・・
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 おたくのは大体五十八年が基準になっているのよね。だから私は五十八年を基準にしてのアップ率を伺いたい。
  187. 林淳司

    説明員(林淳司君) いわゆる決算データとしては五十八年が最新でございましたからそれを使ったわけでございますが、ただ、これから将来に向けてどう姿が変わっていくかということを見るためにはやはり現在の状態というものをベースに考えた方がいいだろう、どのように考えております。  そこで、例えば五十九年は既に決算が出ましたので、五十九年の状態から、これは収入でございますから、収入は輸送量の傾向とそれから運賃水準、これの相関で出てまいりますので、そういう前提でございますけれども、五十九年の決算をベースにして、鉄道旅客だけにつきまして、これは荷物も全部除いて鉄道旅客だけについて見ますと、アップ率というのは後ほどまたあれですけれども、収入の面につきまして、北海道は五十九年度の決算が六百二十一億でございます。それに対して、私どもの想定では、六十二年度が六百三十五億、それから六十六年度が八百四億でございますが、この八百四億のうちには実は青函トンネルが純増として入っております。もともと船舶ですからこれが入っていなかったものが付加されておりますので、これを除去いたしますと七百三十億。  それから四国につきましては、五十九年度が二百二十六億、それに対して、六十二年度が二百三十四億、それから六十六年度が二百八十二億でありますが、これも同様、本四架橋の収入が入っておりますので、これを除きますと二百六十九億。それから九州が、五十九年度が九百四十億、六十二年度が九百六十億、それから六十六年度が千七十六億。それから本州につきましては、これは一本で仮に申し上げますと、五十九年度が二兆四千九百九十八億、それから六十二年度が二兆七千二十一億、それから六十六年度が三兆百十八億ということであります。  これは全国で見ますと、五十九年度の決算値で、鉄道旅客だけで合計で二兆六千七百八十五億であります。それで、六十二年度の私どもの想定が二兆八千八百五十億、それから六十六年度が三兆二千二百八十億、こういうことになっております。  そこで、私どもこの想定について若干分析をいたしてみますと、五十九年度の全国の収入が今申し上げましたように二兆六千七百八十五億でありますが、六十年度、今年度は予算の数字が二兆八千六十五億でございます。これについては現在までのところ、この四月以降の傾向から見るとこの予算の収入目標は完全に達成できる、むしろこれを若干上回るのではなかろうかという推定をしておりますけれども、この六十年度の二兆八千六十五億という収入に対して、私どもの六十二年度の二年後の収入が二兆八千八百五十億ですから、その差は八百億弱ということになります。これは率にすると大体二・八%程度ということでございまして、見積もりとしてそれほど過大な見積もりはしていない、このように考えておるわけでございます。
  188. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 全国の場合は二・八%というふうにごらんにたるわけね。そうしたら、北海道の場合、四国の場合、九州の場合は今の数字でいくと何%というふうになりますか。
  189. 林淳司

    説明員(林淳司君) 六十年度の地域別の内訳というものがまだ出ておりませんので、地域別にはちょっと今のパーセンテージは出たいわけでございます。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 出ないのがちょっと困るんですよね。  それじゃ輸送量との関係伺いたいと思います。輸送量の予測では各社ごとにどのように見ていらっしゃるか。六十二年と六十六年の北海道、四国、九州、本州の各会社別に輸送量を予測していらっしゃる数字を教えてください。
  191. 林淳司

    説明員(林淳司君) それでは申し上げますと、これもやはり五十九年度というものの実績をまずスタートラインにして申し上げますが、北海道につきましては、五十九年度が四十一・九億人キロ、以下全部億人キロです。それから六十二年度が三十六・八、六十六年度が三十七・三、ただしこれは青函トンネルを除きますと三十三・三になります。それから四国が、五十九年度が十六・七、それから六十二年度が十五・二、それから六十六年度が十四・五でありますが、本四を除きますと二二・八になります。それから九州が、五十九年度が七十三・七、六十二年度が六十六・七、それから六十六年度が六十一・五。それから本州が、五十九年度が千八百九、それから六十二年度が千七百四十八、それから六十六年度が千七百三十二という数字になっております。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、ややこしいんだよね。五十八年度でずっと基準やっているのかと思ったら今五十九年度に移りましたからね。だから五十九年度がちょっと私はとれないんだけれども、じゃ、五十八年度が私は数字持っているんですけれども、一億人キロ当たりの旅客収入というものはどれくらいにたっているのか、地域別にどうたっているのか教えていただきたい。
  193. 林淳司

    説明員(林淳司君) ちょっとそのような計算を今出しておりませんので、後ほどまたもし必要があればお出しいたしたいと思います。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 計算出してないといったって出ているんですよ。北海道の場合五十八年度で旅客収入というのが六百十九億ですよ。これ国鉄から出してもらったのがちゃんと出ているんですがね、五十八年。輸送量というのが四十五億人キロ、こういうふうにたるわけ。四国は二百二十五億円の旅客収入で輸送量は十七億人キロ。こういうふうに各社別の一億人キロでどれくらいの収入になるかという数字出ますから、だからこれを割りますと一億人キロ当たりの旅客収入というのが当然出てくるわけですよね。そうしますと、旅客収入を輸送盤で割りますと、北海道の場合は一億人キロの収入というのが、六百十九億を四十五億人キロで割るんだから一億人キロは簡単な割り算でできる。十三・八億円、こういうふうになるわけですよね。これはもう割り方としてはまともな、簡単なことだから出てくるわけです。  そこで私が言いたいことは、旅客の収入の見込みで一億人キロが違いますと、北海道の場合だったら十三・八億円変わってくるわけです。それから、これも四国の数字で割りますと十三・二億というふうになるわけですよね。そうしますと、一億人の人数の予想というのが狂うと十三億というふうに狂ってくるわけなんです。  私は、五十八年度の輸送量、五十八年がおたくみんな基準になっていたから五十八年度を基準にして考えますと、四十五億人なんですね。五十八年度では輸送量が四十五億人だった。それが六十二年には三十六・八億人というふうに減ってきていますよね。どれくらい減ったかというと、八・二億人キロが減ってきている。引き算しますと簡単ですよね。八・二億人が減ったということは、収入がどれくらい減ったかということを見られると思うんですね。そうしますと、一億人キロで十三・八億円の差が出てくるんだから、だから十三・八億円の八・二億人キロ減ったんだから、これを掛けると幾らか、これまた数字簡単に出てきますよね。そうするとね、百十三・二億円収入が減る、北海道の場合。こういうふうに出てくるんです。それから四国も、十三・二億円という一億人キロの収入に減る一・八億人キロを掛けますと、二十三・八億円の狂いが出てきます。九州の場合も、これで計算いたしますと百十三・五億というふうに数字が出てくるわけですよね。  そういうふうにしますと、監理委員会のこの経営収支見通しの中で、こういった輸送人員が減ることによる収入の減というものをどういうふうに見ていらっしゃるかというところが問題になってくると思うんですよね。それはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  195. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいま先生おっしゃいました数字は多分荷物の入った数字だと思います。純粋鉄道旅客だけじゃなくて恐らく荷物が入っている、と思います。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや旅客だ。
  197. 林淳司

    説明員(林淳司君) その旅客の中に多分荷物が入っていると思います。  それはちょっと別にいたしまして、私どもの収入の見込みは、先ほど申しましたように、その計算の仕方は、相当膨大な需要予測をやった上で地域別に輸送量を推定して、そしてそれにそのときそのときの運賃水準を掛け合わせて収入を出しておるわけです。そこで、輸送量については、先ほど申しましたように相当減少傾向にある。これは全国では微減でございますが、北海道、四国、九州に関しましては微減より少し多い減少傾向を示しておるということでございます。それから運賃水準については、先ほど申しましたように、昭和六十五年を一応の目標にしまして、いわゆる輸送密度で回帰して私鉄並みに運賃水準をアップさせていく。したがってそれを掛け合わせた結果が先ほど申しましたような収入になるわけでありまして、結果としてそれがふえた形になっておるということでございます。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう輸送量が減るということによって収入が当然減りますね。そして、おたくの方の見通しで言うと、五十八年度の旅客収入は五百九十三億円と見ている。それを今度六十二年度の収入予測では六百五十八億というふうに見ていらっしゃるわけでしょう。そうしますと、五十八年と比べて六十二年度には六十五億円アップしたきゃならない、その差が、ということになってくる。そして輸送量が減る分、その減る分を計算して加えますと、五十八年に比べて収入の方で六十五億運賃アップしなきゃならない。それに、輸送量が減ることによって不足する、北海道の場合で言うと百十三・二億円というものを足さなきゃならない。そうすると、合計幾らかというと百七十八・二億円収入を上げなきゃならない、こうなってくるんですね。そうしますと、五十八年から六十二年までで運賃を値上げする分というのは三〇・一%の値上げになる、こういうふうに数字出てくるわけですよ。そうすると、年平均にすると五%なんというものじゃなくて七%からの値上げになってくるというふうに言わざるを得ないわけなんです。  私が言っているこういう数字の出し方というのは、おたくの方の数字から見て出したんだけれども、異論がありますか。
  199. 林淳司

    説明員(林淳司君) 部分的に引き算をしてやっていくとそういうことになりますけれども、全体で見ますと、先ほど申しましたように、輸送量について、例えば北海道をとりますと、五十九年度から六十二年度にかけまして、指数で、五十九年度を一〇〇にすれば八八という姿になるわけですね。  それから、一方におきまして運賃水準、これがちょっと数値は拙ておりませんけれども、五十九年から六十年にかけて、ことし六%の値上げをした、それから、先ほど申しましたように、六十二年までの今後二年間に全国平均では実質二・八%程度の運賃改定を前提としておる。これは一応私ども計算では名目大体五%程度というふうに見ておりますが、北海道の場合は若干それを上回ると思います。これは運賃改定の仕方次第でございますけれども、若干上回るだろう。そうすると、それを考えますと運賃水準が、六十年の六%、それから六十二年のさらに五%プラスアルファということで十数%というものが五十九年から六十二年までの三年の間に、この間に年平均三%ちょっとぐらいのテンポで一応運賃改定が予定されておる。そういう前提を置いた上で先ほどの輸送量減と、それから今の年三%程度の運賃改定というものを前提計算をいたしまして出た結果が先ほど申し上げた収入になるわけであります。  すなわち、鉄道旅客だけで見ますと、五十九年度六百二十一億に対して六十二年度は六百三十五億ということでありますから十四億程度の実質的な増収です。十四億でございますから二%ちょっとぐらいの増収ということになる、こういう前提収支をはじいておるということであります。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 細かい数字になりましたからやりとりがきちっとわからない点が出てくると思いますけれども、私はやっぱりこの辺のところに物すごいマジックがかかっているという問題意識があるわけ。あなた首振っているんだったら何できちっとしたものを出さないんですか。私がこういうことを質問したいといったって、初めの質問は各社別は出していませんとかいろいろ言って、最終的におたくの考えがわかったのはきょうですよ。  この前の委員会のときにも亀井委員長委員長から特別の発言がありましたけれども、大体監理委員会の資料というものも本当に我々のところに持ってこなかったでしょう。マスコミ関係なんかには先に出して十分レクをしておいて担当の運輸委員会の我々のところに持ってこない。だからみんなあのとき委員会で我々が憤慨いたしまして、それでそういうことは何事だ、だから当然出してくるべきだということであの発言になったわけですよね。そして出してきたのを見て、私の方は、これはなかなか複雑だ、だからこれについてレクを伺いたいと言ったら、見ればわかるなんというまことに大変な態度ですよ、監理委員会さんというのは。もう本当にひどいものだと思いました。きょうの私の質問でも、これ出てきて分析していろいろと聞いたけれども、きのう聞いたのは違いました、けさ訂正してそしてやっと少しわかってきたというところですよね。  私今問題点は出しました。私の方もきちっと計算しましたから、だから後でもっときちっと計算しましょう。おたくの方の言い分を私はもっと聞かせてもらいたい。そういうふうに本当に隠さないできちっと出してください。出さないからマジックみたいな手が使われていると言わざるを得ないんですからね。  だからそういう意味で、きょうは亀井委員長いらしているのに一つ発言なかったけれども、やっぱり本当にきちっとした土俵にのって私はもっと詰めていきたいと思いますので、今後、この間は委員長発言を留意いたしますなんてそれで済みましたけれども、留意いたしますなんてそんなひどいものじゃないですよ。やっぱり今までの監理委員会の態度についてはきちっとした私は反省もしてもらいたいということを要望いたします。  それで、時間がなくなりましたけれども、最後に航空問題について今度伺いますけれども、先ほどから聞いて、そしてまたいろいろと新聞なんかにも出ていましたけれども、あの七年前のしりもち事故の後、ボーイング社が修理をした、その修理について日本の方はうのみにして、日本として独自に点検もしていたいわけですよね。そして耐空証明を出されているわけですね。向こうの言い分だけ聞いて大丈夫だよと証明を出したということ、私はそこにやっぱり運輸行政としての責任をしっかり考えてもらわなければならないと思うんです。自動車なんかだったら車検のいろいろ会社が持ってきた資料を見て、はいと言うことができるかもしれないけれども、飛行機ですからね。  今度の大量のこういう事故も起こっている中で、向こうがやってきた、それでこっちは見ないでよろしいよという簡単な耐空証明書を出すというような点はやっぱり私は責任持って今後変えていかなければならないということ。それから整備基準などの甘さというのもいろいう言われているわけですからね。だから今度のたくさんの方の命のあかないの上に立って、これを教訓として生かして抜本的な体制をとっていただきたい。それから耐空証明についても、見ないでうのみにして出すなんというようなことについての運輸行政としての責任大臣はどう考えていらっしゃるかという点について御所見を伺いたいと思います。大臣、それ答えてください。  次の問題は、本当に事故を解明しようとしますと、今隔壁のところに問題がずっといっちゃっているけれども、私はそれだけに絞ったら大変なことになると思うんです、あの尾翼の問題がありますからね。だからこれは海底からの収集を急がたきゃならない。塩がついちゃってさびたりしたらきちっとできないだろう。だからそれをきちっと収集すること、海底からの収集と陸上にあるものの収集もきちっと東京なら東京に運んで万全を期して原因究明をしていただくということについてお約束をいただきたい。  それから資料の問題です。この前の当委員会で特別にお願いいたしましたね、各党一致で。それは資料の公開ということを具体的に出しました。資料も少し公開されております。ボイスレコーダー、フライトレコーダーが発表になっておりますけれども、ボイスレコーダーで言えば、すべてでないんですね、出されていないものがたくさんあります。例えば警報音というのが記録されているはずなんだけれども。これはやっぱり生の音をみんなに聞いて、みんなにというのは、専門的に関係ある人だとか聞きたいという人には生の警報音を公表する、公開するということが必要だと思います。それから飛行機と日航会社と連絡をしているのがありますね、これも出ていないんです、公表されていないんです。それはきっとプライバシーの問題があるとかどうかというようなことをおっしゃると思うんだけれども、やっぱり事故の再発を防止するということであれば、プライバシーの問題については御家族の意向を伺うというような手だてをつけて、そして本当の資料というものを公開していただきたいということを私は重ねてお願いしたいので、それをお伺いして終わりたいと思います。
  201. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今後の事故原因究明される段階においていろいろと明らかになっていくと思いますが、その段階において検査方法の改善について必要であれば当然これは再検討して改善しなきゃならぬと思います。  ただ、先ほどからの御質疑の中にもありましたように、警報装置もないということは、全く考えられないようなところに欠陥が生じたということでございます。したがって、私なんかもいろいろ御質問を受けたり御意見をちょうだいして私自身もわからなくたってくる面があるのでございます。先ほど自動車の例をおとりになりましたけれども、それと飛行機が同様でいいなんて毛頭考えておりませんが、しかし、これがいけない、あれも不十分だということになるならば、新しい飛行機を買った時点において一回受け取るときにばらしてこれもやらなきゃならぬかな、突き詰めていくとそこまでいくのかな、そこらあたり私素人でございますけれどもわからない面もあるわけでございますが、とにかく可能な限りやらなきゃならぬことは当然でございます。  なお、資料の公開につきましては、ボイスレコーダーは解明された部分については既に公開を逐次やっております。まだボイスレコーダーはわからない部分がたくさんあるわけでございますし、同時に、生とおっしゃいますけれども、これは毎度何回も申し上げておりますように、やはりこの中にはプライバシーの問題も入っておりますので、そこらあたりも勘案しながら公開をしなきゃならない、かように思っております。
  202. 榎本善臣

    説明員(榎本善臣君) 今大臣からお答え申し上げましたのに補足いたしまして一、二申し上げたいと存じますけれども、我々一番大事なのは現場調査でございまして、今まで鋭意現場調査に携わっておりまして、あらゆる限りの、我々つかみ得る限りの情報なりあるいは事実を把握いたしましてこれからの調査に資したいと存じております。今後もまだ発見されないものにつきましてもできるだけのことは努めてまいりたい、こう思っております。  それから、小笠原先生御指摘の警報音のことにつきましては、今なお解析を進めておりまして、警報音が何を意味するか、警報音につきましてもいずれ公表をさせていただきたい、こう思っております。  それからCVR、操縦室内音声記録装置でまだ公表されていない部分があるのではなかろうかという御指摘につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、やはりプライバシーと申しますか、私どもに与えられている権限と申しますか、これはあくまでも航空機事故調査のためだけに我々それの解読を認められている形でもございますので、この点は慎重にさせていただきたい、こう存じておる次第でございます。  以上補足させていただきます。
  203. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 先般の修理改造につきましては、運輸省はボーイングの修理をそのままうのみにしたというふうに御指摘あったのですが、修理改造検査は日本航空から運輸省に対して申請がございまして、月本航空はこの修理改造をボーイングに委託して実施したわけですが、運輸省の検査は、日本航空から修理の計画と修理の方法について説明を受け、これを審査いたしております。それから修理過程の管理の仕方について審査し、さらに修理完了後につきましては、現状の検査と飛行検査を行いまして、そしてボーイングの修理改造についての内部のチェックの資料、それから日本航空における整備確認の資料をとりまして、そして全体を見ました上で合格としたわけでございます。
  204. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最初に日航事故に関連をいたしまして、要望を含めまして御質問を申し上げたいと思います。  事故調の調査は非常に精力的に今進められておりまして、その御労苦に対して多としたいわけでありますが、心配なのは、一体事故の真相にどこまで迫ることができるのか、こういうのが心配の点でございます。現在の段階では圧力隔壁に問題があったのではないかということが物証によってだんだんと明らかにされておりますが、しかしそれが一体垂直尾翼の破壊にどうつながったかということは全く今不明だと思うんですね。だから今後のそれは調査にまたなければならない、こういう現状だと思うんです。  また、ボーイング社が七日に、これは事故調の頭越しに突然、七年前の大阪の事故の際の修理に問題があった、手落ちがあった、こういう声明を発表しているわけですが、ボーイング社の意図がどこにあるのか、何か不自然な態度のように私は感ずるわけでございますが、それはそれとしておくといたしまして、しかし問題は日本とアメリカとの結局事故調査体制がスケールの面においてまるきり違う。もちろんアメリカは航空機産業が基幹産業でありますから相当の体制をとっておるわけですね。これは航空機だけじゃないんですが、そのほかのものも含めましてアメリカの国家交通安全委員会、常時三百五十人、年間の予算が五十何億、こう言われておるわけですが、そして今回のアメリカの調査団もかなりの経験を持った人たちが来ていると思うんですね。これに対して日本は今回の調査でもわずか三十人、予算は二千七百万円、この程度になっておる。  そこで問題は、心配だというのは、結局スタッフも金も少ないから、あらかじめ事故原因をこれこれだと推定をして、その推定に合わせて調査をやっていかざるを得ないのではないかということが心配です。もしその推定が狂ってほかに原因があったら一体どうなるのか。現に六百機も同じ飛行機が世界を飛んでいて、月に五百万の人がこれを利用しているということになりますと、ほかに原因があるとすれば一体どうなるのだろうかというのが飛行機を運航している人たちの一番の心配の点だと思うんですね。したがいまして、この種の事故原因については予断をしないで徹底的にやっていただきたい。いろいろ新聞その他でセンセーショナルなことも報道されておりますが、そういうものに動かされないでやっていただきたいということがお願いでありますし、これが一番大切なことだと思うんですが、その点についての御見解をひとつお伺いをしたい。  それからもう一つこれに関連いたしまして、具体的なことになりますけれども、金属疲労がどのように進んでいくかという破断面の調査というんですか、これには極めて高度な専門的知識が必要だと言われていますね。日本にも数は少ないけれどもその種の専門家がいる。しかしこれらの専門家の協力を今まで事故調は求めたことがあるのか。ある新聞によりますと、そういう者は求められていないということのようですけれども、しかしこれらの専門家の協力を積極的に求めるべきではないか。それでないと結局はボーイング社調査の主導権を握られてしまう。そういうことによって事故原因が、こういう言い方は間違いかもしれませんが、あるいはゆがめられてくることもあり得るのではないかというような心配でありますが、その点について御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  205. 榎本善臣

    説明員(榎本善臣君) お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のように日米では人的あるいは予算面で差はございます。しかし、我々日本事故調査委員会といたしまして総力を挙げまして事故原因究明に当たりたい、そういう強い決意で今従事しているところでございます。  次に、ボーイング社が、六日でございましたか、この事故原因に直接関係があったかどうかは別として、七年前の大阪におきますいわゆるしりもちの事故についてこういう欠陥があったというのをアメリカにおいて公表したことにつきましては甚だ遺憾でございまして、大臣も妥当でないという御発言もございました。我々も甚だ遺憾に思いまして、一昨日もアメリカのNTSBの日本に今調査に来ている者に、こういう事実は我々として非常に遺憾である、目下我々において調査中でございますし、一方的に見解を述べるのは遺憾である、それから本日もボーイング社の者が事情の釈明に参りまして、我々としても非常に遺憾であるというのを直接申しまして、本社の方に伝えるように帰りましたらすぐ幹部にもその点を伝えて、今後そういうことのないようにぜひ努めますという言葉は我々得ております。  いずれにしましても、今度の事故の難しさというのは、総力を挙げて我々一切の予断を排しまして、先生御危惧なされましたような、我々の調査の方針として、何か先入見と申しますか、あるいは予断を持ってやることのないようにあらゆる事実を科学的に我々解明いたしたい、こう思っております。  それから、今度の事故におきまして、金属の疲労、破断面の厳密な調査、科学的な調査ということについて専門家の協力を我々もぜひ得たいと存じております。御承知のように、金属材料技術研究所の権威の方も専門委員大臣から任命されておりまして、目下現地にも飛びまして、また今後残骸が東京の方に運ばれましてからあらゆる科学的な調査を進めるということでございます。  以上お答え申し上げます。
  206. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 大臣事故調査委員会調査は急速に進められておりますが、とにかく一日も早く原因を解明しなきゃいかぬですね。  そこで、NHKのテレビでも、参れは事故後何週間後ですか、大臣出席されまして、通常の予算ではとてもこれは解明できない、同じような飛行機を使って現実に破壊実験をやってみなければならないと。実際に破壊実験をやっていただきたいと思うんですね。そのためには別枠でも予算をとりたいんだ、こういうことを大臣は表明されておりましたが、そういう方向でぜひこれを進めていただきたいし、とにかく一刻も早く原因究明したきゃいかぬわけですから、その辺についての決意はお変わりがないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  207. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) そのとおりでございまして、そういう私の決意から大蔵大臣を初め関係大臣と交渉をいたしまして、予備費で十分調査できるだけのものは考えるということの了解を得ているわけでございます。ただ、それをどこまでやるかという問題、これまたいろいろと専門家の御意見もお伺いしなきゃなりませんし、今御意見のあったところまでやれるかどうかということは今後の問題にまたなければならないと思います。決意はそのとおりでございます。
  208. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ぜひひとつ早急に解明をしていただきたい、こういうように要望をしておきます。  次に三光汽船の問題についてお伺いをしたいのですが、負債総額が関連を含めて一兆円に上る戦後最大の超大型倒産、しかもこれは世界一のタンカー会社でございまして、それだけに日本の海運に対する海外の信用の失墜ということもありまして大変な問題だと思うんですが、この三光汽船の再建につきましてまず大臣にお伺いをしておきますが、どのような御見解をお持ちなのかどうか、それをまずお伺いします。
  209. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 会社更正法による再建の決定は、これは裁判所でございますので裁判所の決定にまたなければなりませんが、今お話がございましたように、日本の総船腹の二割を支配しておる、二万トン以上のものを持っているということでございますし、これが外国に与える影響は非常に大きい。特に、日本の海運界というのは世界に君臨しておったということでございまして、その信用を含めて私は非常に影響が大きいと思っておりますので、何としても会社更生法の適用を受けることによる更生をこいねがっておるわけで、そのことにつきまして私どもといたしましてもできるだけの御協力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  210. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 倒産の原因につきましてはいろいろ言われております。各社が縮小均衡でやってきているのに、それに反して拡大均衡路線をとったとか、あるいは船腹過剰というものの現実を無視してどんどん船舶をつくった。しかし、その船舶の建造許可を与えた運輸省当局にも私は責任はあると思うんですね。そういうさまざまな原因についてはきょうは時間がございませんので触れませんけれども、問題は、今のこの三光汽船の問題についての関心が、当然これは再建に至るまでの、更生法の適用に至るまでのいろいろなことが重要でありますので、そのことに関心がいくのは当たり前だと思うんですが、問題は、そこに働く者、そしてその家族の方々に対する目が少しそらされているような感じもしますので、その点についてきょうは二、三点お伺いをしておきたい、このように思います。  第一は、今現在三光汽船並びに関連倒産をしているところの従業員の数というのは一体どのくらいに上るのだろうかということなんですが、その点に対して。
  211. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 三光汽船及び同社とともに会社更生法ないし特別清算を申し立てました瑞東海運、三光マリン、イースタンシッピング、サンゴウタンカー、新光海運という六社がこの関係でございますが、これの従業員の合計は本年の八月一日現在で約二千七百人でございます。
  212. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 二千七百人ということは、家族を含めますと一万有余の人たちが関連をしている、こういうことになると思うんですね。したがってそういう点では相当大きな問題だというように思うんですが、問題は、更生法適用申請以前に労使の間で賃金その他の協定が行われておるんですが、その協定は全然実行されていたい。賃金は昨年度の協定のもので払われているということでございますし、退職金については八月一日から全然もう停止されている。こういうことで、したがって、従業員の中には、一時金ももちろん払われておりませんから大変生活に困りましで、生活を維持するために何とかしてサラ金から金でも借りようかというところまで深刻な状況になっておるわけでありますが、これらの労務費については優先的に私は支払われなければならないというように考えておるわけでありますが、船員行政を扱う立場からこれらの問題についてどのように考えられておるのか、今後の対応策をお伺いをしておきます。
  213. 広瀬好宏

    説明員(広瀬好宏君) 三光汽船の従業員に対します賃金の支給につきましては、先生お話しのとおり、昨年度ベースでございますけれども、八月分給与まで遅滞なく支払われているところでございます。ただし六十年度のベースアップ、これは定昇込み九千四百五十円ということになっておりますが、これと六十年度の夏期の臨時手当につきましては、東京地方裁判所から現在までのところ支払いを認められていないということになっております。実はこれらの問題につきましては保全管理人及び裁判所の適切な判断を期待したい、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  214. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 関連してお伺いしますが、現在三光汽船が運航している船舶で海外で出港停止にたっている船がかなりあると思うんですが、その実態をお伺いをしたいと思います。
  215. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 九月十日現在で、海外で運航差しとめになっております船舶は十三隻であると聞いております。このうち五隻には日本人船員が乗り組んでおりますが、それ以外につきましては韓国、フィリピン、英国、カナダ、ユーゴスラビアというような外国人の船員が乗り組んでおります。
  216. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それで、会社倒産などの場合、よく船舶が海外で差し押さえられている例はあるんですが、その場合、結局場合によっては飲料水が停止されたり食料の供給が停止されたりということ、したがって持っているストックが不足してしまってどうにもならなくなるという例も過去にあるわけですが、今回の場合この十三隻はどのような状況になっておるのか、その辺のところをわかりましたら御説明いただきたいと思います。
  217. 広瀬好宏

    説明員(広瀬好宏君) 三光汽船の船舶が海外で差し押さえられているケース、確かにございます。これは現在諸経費の現金決済による支払いを求められていたものなどでございますが、送金手続等がとられ次第正常に復していると聞いております。したがいまして、現在のところ飲料水、食料などの提供が受けられなくて深刻な問題を生じているというような報告は受けておりません。私ども運輸省といたしましては、今後とも乗組員の生命の安全確保には十分な努力をしてまいりたいと存じておる次第でございます。
  218. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これからそういうことがあるいは起こり得るかもしれませんので、行政の面から十分にその点は見ていっていただいて十分たる対応をぜひお願いを申し上げたい、こういうように思います。  それから、三光汽船の問題については、いろいろ聞きたいわけですが、最後になりますが、新聞報道によりますと、更生再建策、これは保全管理人が構想を明らかにしておるわけですが、それによりますと、今の六割を削減して、結局新型ばら積み船九十隻、LPG船十隻、タンカー十五−二十隻ということで再建を図れというような方向も示されているわけですが、これらの船隊の中に現在三光汽船、瑞東海運、それにユニトラ海運の船員が配乗されている船舶はどの程度入っておるのか、この点についてお伺いをいたします。
  219. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 今手元に配乗されている船員のそれぞれの詳しい数字はございませんが、外国人の配乗船員という意味でございますと、両社が、イースタンシッピングと三光マリンが契約を結んでおります船舶隻数は百七十隻、配乗船員で申しますと、韓国人、フィリピン人がおよそ二千人近く、合計四千人近くがこれらの船に配乗されていると聞いております。
  220. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 更生法の適用中講中でございますので、いろいろお答えをできない部分もあるかと思いますが、いずれにいたしましても、結局雇用と職場を奪われる人々の立場を十分に考えたから、何としても再建の軌道に乗れるように、これはもう船に乗っている労働者は何とかして再建に協力したいという気持ちでいっぱいでいるわけでありますから、その点についての政府の対応を十分に適切にやっていただきたいということをお願いをして、この件については質問を終わりたいと思います。  次に国鉄の問題でございますが、監理委員長にお伺いをしたいんですが、たしか分割・民営案をつくる際に六分割ではなしに最初は七分割構想があったと思うんですね。これがいつの間にか消えて最終結論は六分割ということになったわけですが、その点のところが私どももうちょっとわからないんですが、どのような議論があって六分割案に落ちついたのか、その点からお伺いをします。
  221. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 結論は本州を三つに割って三島分離、六分割になったのでございますが、実はこれは臨調の答申のときには七つ程度にという一つの数字があったわけであります。しかしそれにはとらわれずに、私どもといたしましてはこの監理委員会発足以来一年間、効率的な経営形態をするのにはどうするかということを審議いたしまして、昨年の八月に第二次答申という形で、結局いろいろやりましたけれども、分割・民営化ということを念頭に置いて再建策を考えます。これを総理に提出いたしまして、関係閣僚会議におきまして最大限に尊重するということで、その方向で検討してくれということでございましたので、今度は幾つに割ったらいいか。その場合に、この席でも申し上げたと思いますが、幾つかの案がございました。東西二分諭というのもございましたし、あるいは鉄道管理局単位に三十ぐらいに割ったらどうかとかいろんな案があったわけでございますが、旅客流動やいろいろなこと、それからそれぞれの経営基盤が確立できるとか、いろいろだ要素を集めましてぎりぎり六つ、こういうことに落ちついたという次第でございます。
  222. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それから、端的にこれは国鉄当局にお伺いをいたしますが、貨物の問題です。答申の中には、貨物が自立できる可能性なんてほとんどないんだ、こういうことを述べておるわけで、そして国鉄当局に対しまして、これは思い切って事業範囲を見直せ、直行化をさらに徹底せよ、そして効率的な輸送体制を確立せよ、こういうように答申案も述べているわけですが、国鉄当局はこの答申案が述べていることに対してどのように対処しようとしておるのか、あるいは対処されておるのか、お伺いをします。
  223. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 監理委員会の御意見では、国鉄の貨物輸送につきまして、なおいわば将来性といたしまして部分的に十分に検討すれば鉄道特性ありというふうな基本的な見解のもとに、鉄道貨物輸送をどのように改善をしこれを残していくかというような観点で御結論をいただいた。その結果は、全国一本の形で、分割会社でなしに貨物は全国一本の形で別会社でこれを経営するのがいい、こういう御結論であったわけでございます。  ただ、その具体的な方向を詰めるに当たりましては、現状貨物輸送は大変厳しい状況でございまして、輸送量も落ちてきておりますし、また赤字もふえているという状況でございますので、これをまとめていくに当たりましてはまずいろんな角度からのコストダウン、これを徹底的にやる必要があろうかと思います。それからまた収入の面におきましても、荷主さん等の要望というものを十分踏まえながら、あるいは販売体制というものも根本的に考えながら十分に収入を確保するという必要があろうかと思います。また、大変問題なのは、旅客鉄道会社と別な会社でありたがらレールを一本で共用するというところに非常に問題があろうかと思います。ダイヤの調整をどうするのか、列車の運行をどちらがやった方がいいのか、こういうようないろんな問題がございますので、監理委員会の御答申の時期におきましては、なおこれを一層詰めるというようなことで、答申の中身としましては、御存じのようにことしの十一月までに、運輸省中心となりまして関係の者の意見を聞きながらその具体策を詰める、こういうことに相なっておるわけでございます。  現在私ども運輸省と一体となりましてその具体的な作成作業を一生懸命やっているところでございます。なかなか難しい問題はございますけれども、何とか近々のうちに具体的な内容を盛り込んだ案をつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  224. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 私が質問をしたのは、総裁御答弁いただきましたけれども、結局、新しい鉄道会社がどうだこうだじゃなくて、それに至るまでにもっと徹底した効率的な運用をやって、そしてうまくいくようにやれ、だから六十二年四月の発足前にやれということを言っているわけです。その点をお伺いしたかったんですが、まあいいです。  それと関連して運輸省にお伺いしますが、今総裁からもお話がありましたが、十一月までにとにかく具体的な案をつくれ、輪郭をはっきりせよ、こういうことを答申は言っているわけでありますが、その自信はありますか、もうあと一カ月半くらいしかありませんけれども
  225. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 総裁からお答えがございましたように、今運輸省国鉄共同作業で日夜これを詰めておるところでございます。  御承知のように、この貨物会社のあり方を詰めますためには、まず一つは貨物鉄道がどのような事業範囲を行うかということでございます。現在、コンテナ、車扱い、物資別専用の輸送というのがございますが、それを採算の合うような会社としてやっていくためにはその事業範囲をどういうふうな形に持っていかなきゃいけないか。それからもう一つは、営業販売体制、個別に貨車の荷物を売るという従来のようだ形がいいのか、もっと列車単位の往復というような形でこれを売っていくというような体制、それをどういうふうにしていくのか。さらには、先ほどからお話のございました旅客会社と線路を共用いたしますので、その線路の共用をしたときの運転、ダイヤの引き方、運転をどちらがやるのか、途中で仕分けをするのか、そんなような関係、そのほかまだいろいろございますけれども、そういう関係を今鋭意詰めておるところでございます。  一応監理委員会からは一万五千人という人間の体制をめどということでお示しをいただきましたけれども、その結果果たして要員がどういうふうにたるのかというようなものも最後に詰めなきゃいけない。そしてその上で、これはもう既に監理委員会からの御指摘もございまして、物流業者、通運業者等とはいろいろ連絡をとっておりますけれども、さらに最終的には、現在の国鉄を利用しておられる荷主、物流業者というものとの間で果たしてそのような体制でうまく受けてやっていけるかどうか、これを最後に確認しなきゃいけないというようなことでございまして、それらの作業をただいま鋭意やっておりまして、かなりのところまで今詰まっております。大変難しい点がございます。しかし何とか結論を出して、監理委員会の御指定のございました十一月中には結論を出したいというふうに思っております。
  226. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 十一月中に私は案ができる自信があるかということをお伺いをしたんですが、いろいろの説明を聞きますとなかなか果たして十一月に出るのかどうか心配の点もあるんですが、ぜひひとつこの点は答申に沿って出せるように鋭意努力をしていただきたいと思います。  それから余剰人員対策ですが、これは総理を初めとして非常な決意で臨むということは当然でありまして、国鉄再建の最大のかぎを握っていると私は思います。民営移行までに仮に二万人の希望退職が出ましても結局四万一千人は残るわけですね。この間にもことし、来年と国鉄の徹底した合理化をやれと言っておりますから、合理化が進めば進むほど職場には日に日に余剰人員、結局職場がなくて働くことのできない人がふえていくということになりますね。そこで、今監理委員会としては、こういうように顕在化してくる余剰人員の対策として、外注に出しているものを一部直営に回すということを提言をしておるわけでありますが、どういう部門を外注に出してどういう部門を直営にしたらいいのか、そうすればこういうように日々顕在化してくる余剰人員の対策として成り立つのかどうか、この点簡潔にお伺いいたします。
  227. 林淳司

    説明員(林淳司君) 外注の一部直営ということにつきましては、当面の就業の場ということで、恒久的なものではありませんで暫定的な意味での当面の就職の場ということで、移行時までの間に必要とされる措置というふうに考えておるわけであります。  そういう性格でございますので、具体的にそれじゃどういう業務というものを一部暫定的に直営化したらいいかということについては、これは現在国鉄の方でいろいろお考えにたっているような措置、既に一部実施されているような措置というものを私どもとしても想定しているわけでありまして、例えば営業関係で言いますと、新幹線の中間ラッチだとか、あるいは保守関係で取りかえ作業でありますとか、運転関係で車両検修業務でありますとか、その他それに類似したようだもの、これは国鉄の方で既に実施あるいは検討されているものだと思いますけれども、そういうようなたぐいの業務について一部直営化を暫定的に行っていくということが適当であろうと考えているわけであります。
  228. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これは監理委員長の見解もお伺いしたんですが、結局今年度も二万五千五百人の余剰がありますね。それで活国策として特別改札とかセールス活動とか直営売店、こういうところに今四千五百人振り向けるということでやっておる。国鉄当局も、とにかくラーメンを売れ、ジュースを売れ、増収策、余剰人員活用対策を含めましてさまざまなことをやらせている。しかも、大いに知恵を絞って現場でできることはやれということを奨励しているわけですね。  ところが、現にこれは京浜東北線の川口駅の問題で、六月八日に直営店舗のつばめの窓口コーナーというのがオープンされた。これにはクリーニング、写真現像、駅のレンタカー、国鉄経営ホテルの予約取り次ぎ、掃除や修繕、よろずやろうということで、これが非常に評判がよくて利用者が相次いでいる。六月には百五十六万円の売り上げ、七月は二百六十万、八月はさらにふえて一日に三十万円も売り上げがあった。こういうことで、全国の管理局もこれはいいぞということでみんなが視察に来て、おれらの方もやろうかということで帰っていく。こういう効果を上げているのにもかかわらず、オープンして一週間もたたないうちにクリーニングはやめなさい、こうなった。川口だけやめさせるならいいけれども、全国に課長の名前で、これは命令ですな、命令の文書を出してクリーニングは今後一切直営店舗でやってはならないという、そういうことをやっているわけですね。  今度は新会社ができても関連事業というものを相当重視していかなきゃいかぬ。監理委員会もこれは提起していますね。私鉄は全収入のうち関連事業で三〇%も上げているわけです。国鉄は今のところ三%でしょう。いずれにしろ、新会社ができてもそういう関連事業を拡充する、あるいは直営店舗を拡充するということがなければこれは経営なり再建なりが成り立っていかない、こういうように思うんですが、なぜそれを中止するのか。国鉄の駅はそれはもう大変有利なところにありますからね。何をやっても、とんだ関連事業、とんだ直営の事業をやっても私はそれぞれのところに影響は与えていくと思うんですね、競合していくと思う。現にキヨスクではいろんなものを売っているわけですからね。そういうことで、なぜこれをすぐ一週間もたたないうちにやめさせるのか。しかもその背後には、これは名前もはっきりわかっているんですから。政治家の圧力があってやめろと言われたから、すぐ文書を出して一週間もたたないうちに全国に命令を出す。こんなことで一体再建が成り立つのかどうか。当局の姿勢そのものに大きな問題がある。  四国の管理局なんか、坪内さんの経営のあれを見習おうということで二泊三日かたんかで汗水垂らしてやっているんでしょう、民間に学べということで。これはいいことかどうかわかりませんけれども、そういうことで、現場で民営になったときにはこうやるんだということで意欲があふれているところもあれば、まるっきりのうのうとしているところもある。しかも、こういうことをやれやれと言いながら、やってみたらすぐ中止だ。  一体これで国鉄の再生が可能になるのかどうか大変心配な面があるわけですが、これに対する監理委員長の御見解をお伺いし、そして、国鉄本社の事業課長名で出したものは何ゆえに出したのか。それはそれぞれの地域のいろいろな関係があるからそういう業者とはよく相談をしてやれ、川口は川口でやれ、これはいいですよ。そしてどこの駅もそれぞれ相談をしてやるというのはいいんだけれども、相談も何もたいんです。もうやめろ、こういうことでしょう。そんなばかなことが行われていいのかどうかということをお伺いをしておきます。
  229. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま伊藤先生のおっしゃいました、国鉄がだんだんと仕事が減っていく、その中で活性化しようとして事業を広げていく、これは私どもの基本的に民営化ということに、事業制約の抑制を外して活発にやってもらおうということが精神でございますから、川口でおやりになる、また中で燃えてそういう仕事にも従事しようということは私は非常にありがたいことだと思います。これを伸ばすべきだと思いますが、ただ、その場合に周囲の零細な人の産業とかなんかにいろいろ影響があったらなにでございますから、その辺は円満に話をされてやはり積極的に進んでいただくということが必要であろう。その政治的な介入がこういうことに入るというのは、国鉄が悪くなったのもやっぱり政治介入というようなことがあったということが大きな原因でございますから、これもテストケースとして私どもとしても十分それについては配慮してまいりたい、こういうふうに存じます。
  230. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 川口駅におきます直営店舗は本年六月八日に開設をいたしたものでございますが、先ほどの御質問にございましたように、クリーニング取扱業務のほかDPEの取り次ぎ、それからホテルグループの予約受け付けあるいは国鉄の旅行案内等を行っているものでございます。このうちクリーニングの取扱業務につきましては、店舗開設の直前になりまして同駅周辺のクリーニング業界の団体から、これは死活問題であるという抗議の表明がございました。しかしながら、何分にももう準備をしてしまっておりましたので、そのまま開業をいたしまして今日に至っているわけでございます。しかしながら、クリーニングに限らず、これらの新規の事業を行うに当たりましては、十分理解を得ず、反対反対という声の中で事業を行いますことは、今後より広い展開を図っていく上で極めて不得策だと考えておるわけでございます。  国鉄は、御承知のようにこれまで十五年ほどの間に全国で約七十カ所の駅ビルの開発を行ってまいりましたが、いずれも当初は反対という声が必ずあったわけでありますけれども、地域の発展につながるとか、いろいろ繰り返し繰り返しお話し合いをいたしまして理解を深め、最終的には協力体制の中で着工するということをしてきたわけでございます。これが国鉄の関連事業の展開をやってきたやり方でございます。余剰人員対策という非常に大きな経営課題を控えまして、今後いろいろな事業に取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、やはりこの地道な努力を怠ってはならないというふうに深く戒めております。  今回通達を出しましたのは、改めて地方にこの旨を指導したわけでございます。決して外部からの圧力によってやめたとかいうものではないわけでございまして、その点については御理解を賜りたいと思います。
  231. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それは外部からの圧力があったに違いないと思うんだね。それで結局これからですよ。川口にはそういうことで話し合ったらそれじゃそれをやめようということいいですよ。そのほかの地域でやっても逆にそれは相乗効果でほかの零細のクリーニング屋さんも非常によくたることもあり得るかもしれない。そういう話し合いをやる。だから川口だけやめさせるというのはいいと思うんです。今度いろんなことをアイデアを出してやった、全部それはぶつかる、それでぶつかったところはそれをやめさせろ、それはだめだと言ってきたらみんなそれをやめるのかということになるんです。だからその辺のことはやっぱり一遍の通達、命令ですべてをやめさせるなんという体質は私は容認できないしやめていただきたいと思います。  以上申し上げて終わります。
  232. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) これはこういうことではございませんで、やはり余剰人員対策という大きな課題でございますので、私どもは全国鉄を挙げて、また関連業界を挙げて取り組んでいる問題であります。それだけに、今何でもやろうという意欲がわいてくることはいいのでありますけれども、やはりそれぞれの関係で地域の方たちとの話し合いというのは非常に大切なんでございまして、それがやはりそういう大きな課題の前に忘れてはいけないということを私は戒めたいと考えているわけでございます。  先ほどお話ございましたように、川口につきましてはもう用意してしまいましたのでそのまま現在でも営業しておるわけでございます。特に流通事業でございますので、それぞれの過程過程でいろいろな提携の仕方とかいろいろなやり方があるわけでございますので、こういうお話し合いの中でそういう道は必ず開けていくわけでございますので、私どもはやはりこの話し合いを大事にしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。決してそういうことで何かそれをとめようというような気持ちでやっているわけではないわけでございまして、やはりこれからたくさんの余剰人員を使っていくためにも大切なことだというふうに思っております。
  233. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 事務連絡で出したやつ、これの最後に書いてあるところで「業界及び各界からの理解と協力を得たうえで推進していく必要がある」ここまでならいいと思うんですよ。「必要があるため、その実施を見合わせることとします。」結局、いろいろなことが書いてあるけれども、それをやめさせることが書いてあるだけなんです。実施をまず主体に考えて、そしてそれを実施するためには、いろいろな障害がある場合にはそれは話し合いをやって、その結果だめならだめ、いいならいいという結論を出すべきであって、一週間もたたないうちに、いろいろ検討はしたけれども、これはそういうことでいろいろ理解を得るように推進しなきゃならぬ、こう言いながら、最後の段階で、だからやめる、こういうことではまずいのではないかということです。
  234. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 時間も大分経過をいたしました。たくさんの質問もございますが、重複を避けまして四点だけお尋ねをいたします。  まず最初に杉浦国鉄総裁にお尋ねをいたします。  さきに仁杉前国鉄総裁を初め大勢の国鉄幹部が退任させられましたことについて、さきの委員会で、「これは極めて異例なことであり、極めてファッショ的な仕打ちであって、我々も驚かざるを得ないのであります。このような措置が監理委員会の中の一部の人間の意向によって行われたというような事態を一体どのようにお考えになりますか。」との議員の質問に対して、亀井監理委員長は次のように答えておいでになります。すなわち、  私ども委員会は、国鉄の人事というふうなものについて介入をしたり意見を述べる立場にはないわけであります。これは非常にはっきりしております。したがいまして、今回のことについではこれは政府の決断で行われたことであります。いかなる事態に遭いましても、私どもは、前からここの委員会でも申し上げておるように、国鉄の幹部あるいは国鉄の職員、そういう方と一体になって、国鉄をいかに再建をするか、活性化するかという態度で今までも臨んできたわけでございまして、今までどおりの考え方で進んでいきたい、こういうふうに思っております。 ということで、特に国鉄の幹部及び職員等と一体とたっての再建を強調しておいでになります。これは必要なことだと私も存じます。  反面、仁杉前総裁は、更迭された後の記者会見において、国鉄再建監理委員と話し合える機会がなかった、こういうやり方は変えなければならないと思っている、さらに、国鉄の意見も聞いてほしいと総理にもお願いをしてきたと語っておいでになりまして、これらからは問答無用で切り捨てられた無念の思いが込められているようで、改めてこういった社会の、いわば権力社会の非情さをかいま見たように感じたものでございます。  このようにたった原因は、国鉄の首脳部と監理委員会との間における相互不信でありまして、その断絶を決定的にしたのは、本年一月に発表されました国鉄の「経営改革のための基本方策」だと一般的には言われております。しかし、その内容は、民営化については臨調、監理委員会と同じ方向でございますし、分割については確かに否定的ではありますけれども、経営形態については段階的に見直す意見でもあり、説得によるすり合わせの可能性は残されておるように私は考えました。ましてや、分割・民営案を監理委員会がベターな案と考えておられます。ですから、私は当然説得があってもよかったのではないか、このように思っておりますが、一部の出版物を見ますと、その議論は、大人の議論を超えて感情むき出しの議論も飛び出して、結局破局を迎え、権力で決着をつけたようだ結果になってしまい、後味の悪い結末である上に、何よりも残念に思いますのは、所有者であります国民にはその争点が何もわからなかったことにあります。  こういうような環境、状況の中で杉浦総裁は就任をされたのでございますが、総裁は就任に当たって、副総裁、理事たちと一人ずつ腹を割って話し、もし私の考え方に賛成してくれなければやめていただくこともあり得るというように話されたように私は出版物で拝見をいたしました。しかも大変強い口調で話されたと書かれてありました。このような言葉は、もし事実であるとしますと、私は任命権者にとっては禁句であると思いまするし、軽々に口にしてはならないものだと考えております。なぜなれば、このような雰囲気のもとでは関係者は保身のために安全運転、すなわち事なかれ主義に走ってしまうからであります。国民が期待をしておいでになりますのは、世界一と言われますこの立派な財産である国鉄を役職員が一体となって再建、活性化されることを望んでおいでになるのではないかと思いますけれども、このような首切り発言でどうして一体化が期待できると思っておられますのか。さらには、どうして積極的な総意による協力体制を引き出すことができると思っておいでになりますのか。この発言がもし事実であったとしたらでございますけれども、総裁の所見を改めて承りたいと思います。
  235. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ただいま先生のおっしゃいました、役職員が心を一にして、一体となって活性化を図りながら改革に打ち込むべきである、このような点はもう私全くそのとおりだと思います。そういう意味合いから、いろんな発言をしたことの一つといたしまして、私は参りました感じとしましては、どうも中で活発な議論が交わされていないように思いましたので、まず役員会では、自由に何でも皆さん話をしてください、どんなことでも話すべきだ、そうした中からやっぱりこの緊急事態の改革の波が出てくるんだというふうに申し上げまして、以後それはそのとおり実行されていると思います。非常に活発になって議論が展開されているというふうに思っておるわけでございます。  ただ、今御指摘の、私と意見の違う人はやめてもらうというような趣旨の発言は、当初私も新聞記者会見でちょっと申し上げたこともあります。ただ、この趣旨といたしましては、今この改革の方向というのは、まだそのときには答申が出ておりませんでしたが、答申が出ることが明らかであり、それは分割・民営という全く新しい改革である、そういう改革に沿って我々がやるということがもう今ここで最善の道であるというふうに私は確信をしておりましたので、そういうようなことについてそれぞれの役員と腹を割って話をしたい。しかし、そうした基本的な方向で仮に自分はそれに納得がいかない、反対であるというような方がおられるとしたならば、これはこれから大変な大事業をやっていく場合におきまして、非常に方向としては、先ほどの心を一にしてという仕組みにはならないというふうに私は考えまして、あえてその基本的な考え方についての意見の不一致の場合はそうした思い切ったこともあり得るということを申し上げた次第でございます。真意といたしましてはそのような荒いことをやるつもりは毛頭ございません。皆さん役職員が心を一致団結して一つの方向に向かうということを毎日願って仕事をしているつもりでございます。
  236. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 やっぱり百家争鳴の意見を出す雰囲気をつくっていくということは大変難しいことだと思います。ただいまの答弁で私は理解をいたしましたとは言えませんが、今後の行動でやっぱり意見がどんどん引き出せる雰囲気をつくっていただきたいと思います。  第二点は、国鉄の職場規律の問題について総裁にこれまたお尋ねをいたします。  私は国鉄の職場規律の確立ということを否定するものではありません。全く必要なことであります。けれども、ただいま国鉄当局が志向されている職場規律とは何なのか、これが理解はできません。前にも申し上げましたのでございますけれども、例えば点呼を一つとってみましても、立席、着帽、敬礼、はい、という方式であります。このことからは軍隊的規律を連想をいたします。国鉄の職場規律の確立を軍隊的規律を理想としておいでになるのでありますれば、私は思想の単純さを指摘せざるを得ませんということを前に申し上げてきました。  確かに、かつての時代の軍隊の規律は、規律の権化であるように思われていました。実際はその中にあっても涙ぐましい模索が行われてきたことは余りにも知られておりません。単に統帥権で縛りつけ、命令の乱用で形だけの規律を整えた部隊は実戦に当たっては弱いと言われてきたこともございます。したがって、前線の指揮官は、どうしたら血の通った団結を保ちながら一体となって死地に赴くことができるのかということに大変な腐心をしてきたものであります。当時の前線指揮官は、今の国鉄の現場の管理者と比べたらもっと年齢は若かったと思います。さらに学歴等も低かったと思います。そういう諸君が到達した心境は、やっぱりみずからが率先をして苦難に当たることとともに、常に部下の悩みを知り、その心配をおのれが心配として、彼らの後顧の憂いを少しでも減じられるよう親身の対応を心がけるところにありました。  なぜなれば、故郷を遠く離れて異郷の地にある人間は、やっぱり故郷を懐かしみ、離れた肉親に対するいとおしみの念は増幅をされるからであります。また、はいという返事をさせられる方よりも、はいという返事をさす方の方が教養を積み、徳を身につける処遇を与えられておいでになるはずであります。だから、この方々がみずからを高めることをおろそかにして、権力や命令で対処をしていこうとしてこられたのが今日までの国鉄の職場規律ではなかったのでしょうかという疑問を持つからこれを尋ねてきました。  そうしたら、こういうことはやっぱり私は反発を招くだけだと思っておるのでございますけれども、はしなくも九月九日の夜のテレビの放映で、突然のことでありますし、これを見、聞くことを準備しておったものではありませんので、私の記憶に間違いがあるかもしれません。間違いがありましたらそれは訂正をいたしますけれども、その内容は、坪内社長が率いる来島どつくにおける国鉄の管理職諸君の研修の模様の放映でありました。そのとき、絶叫型で一人の管理職が次のようにおっしゃっているときでありました。親方日の丸の気分にたっぷり浸り、何もしてこなかったことがわかりました。つい最近までは高等学校の生徒たちの試合前の選手宣誓には絶叫型でなされてきたものでありますけれども、この姿と同じでありました。  今日いろいろの研修会場へ行きますと、体験発表にいたしましてもこのような形が用いられているところは非常にたくさんあります。軍隊だって、便所へ行くのにも洗面に行くのにも洗濯に行くのにも、だれにということでなしにむちゃくちゃに大きい声でそのことを告げて行かなければならない風習がありましたけれども、これが続くのは一期の検閲まででございました。これがいいことであったら二年間たっぷり続けてきたら私はよいのだろうと思って疑問に思ったことがありますけれども、こういうことが考えられますけれども、これらについては私は一つの疑問でありますし、この管理職の方がたったわずかな研修を受けただけで、国民が聞いたら何と思われるであろう告白をせなければならぬということから考えて、この人の今日までの勤務は何だったのだろうかという疑問を大きく持ちました。  しかし、よく考えてみますと、もう一つこういうことが考えられるのではないかと思います。まさかすべての人が何もしていなかったことは事実ではないと私は思います。しかし、第一点の質問のときに総裁にお尋ねをいたしましたように、理解できない者はやめてもらうという意味の発言がひょっとして今や国鉄の職場の隅々までに行き渡ってしまっておるのではないか、だから従前の国鉄方式の残滓の払拭ぶりを見せようとする保身のためのいじらしい努力ではないのかとさえ思うものであります。もしそうだったとすれば、このような職場の中からは、創意はおろか迎合と保身だけが残り、職場の活性などどうして期待できるかと思うのでございますけれども、総裁におかれましても、もう一度こういうことが行われておるのではないのか、管理職が率先をして彼らを指導しておるという実態は本当にあるのかどうか、やっぱり御就任をなさったのを期に新たに点検をして対応をしていただく必要があるのではないか、私はこのように思いますが、以上のことをお尋ねをいたしますとともに、この件については上級者ほど自己規律を厳しくしていかなければならない問題でもございます。監督官庁の責めを預かられます運輸大臣にもあわせてお尋ねを申し上げます。
  237. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ただいまの先生のおっしゃいます御趣旨は私全くそのとおりだと思います。私も着任早々真っ先に気になりましたのは現場の職員の方々気持ちがどうだということでございます。そういうことで、一つのモットーとしましてはやはり明るくいこうじゃないかということを繰り返し繰り返し申し上げている。明るくといいますのはいろいろな意味がございますが、将来の鉄道に対する明るさというものをみんな希望を持って、誇りを持ってやろうじゃないかということが一つ。それからまた職場規律、これは今先生軍隊的な内容ではないかというふうにおっしゃいますが、私はそう思いません。ごく普通の会社における上下における規律、これすら守られていないようなそういう状況ではいけません、やはり世間並みのそうした職場規律はまず確立しないと明るい職場にはならない、そういう意味で職場規律は確立しなさい、こう申し上げているところでございます。三番目は、やっぱりお客さん相手の商売ですから明るい笑顔で接しなさい。  こういう三つのことで明るくしようじゃないかということを繰り返し呼びかけをしておるわけでございまして、ただいま先生がおっしゃったような暗い軍隊的なそういうイメージとはおよそ反対の職場をつくりたいというふうに私は旧友考え、また現場にも参りまして全職員に訴えておるところでございます。四国の例等のやや管理者として思い余ったようなそういう訓練があったようではございますけれども、これも決して悪い意味での行き過ぎではないというふうにも思いますが、またよくその事情も調べて対応してみたいと思います。要は、明るい職場をつくれということを今後とも徹底していきたいというふうに考えているところでございます。
  238. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) これから国鉄百年の大計を図るときでございますから、非常な困難に遭遇していることはもう御承知のとおりでございますし、そういうときにおいてこそやはりいろんな意見を酌み取る、部下の意見も酌み取るという意味においては先生のおっしゃるとおりであります。したがいまして、そのためにはいろいろとお互いに議論もする、結構なことでございますが、しかしやっぱり究極は、十分意見を言った後一つの決まったことに対しては従わなきゃならぬ、これは私はそのとおりだと思います。  先生もどうも軍隊の御経験がおありのようでございます。私も名誉ある帝国陸軍の二等兵の経験がございますが、したがってしょっちゅうどやされた方でございますけれども、やっぱりああいう空気の中にも筋の通らない、力で組み伏せる上官に対しては、常に私どもはやっぱり不満を持ち、今に見ていろというそんな極端な不満も持ったこともあります。そういうことでよらしめても私は意味がたいと思いますから、やはり十分総裁もその点はおわかりでおやりになることと思いますので、私は総裁を全幅の信頼を置いておりますから、かじ取りを間違いたくおやりいただけることと確信をいたしております。
  239. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 とにかくやっぱり敵視は、もししておられるのだったらやめて、そして仲間としての処遇をお願いをいたしておきたいと思います。  その次には、亀非国鉄再建監理委員長にお尋ねをいたします。私の入手できます国鉄に関する資料及び情報は、監理委員会に比較をしますれば九牛の一毛であるかもしれません。間違いは間違い、愚問は愚問としてまた指摘をしていただきましたら結構でございますけれども、第一点は、今なぜ分割が必要なのかということについて私の意見を申し述べ、所信をお伺いをいたしたいと思います。  私の手元に日本国有鉄道の昭和五十九年度の決算書がございます。これを基礎として、国鉄再建監理委員会の御意見に基づき分割された六つの旅客会社の経営について試算を行ってみました。新幹線を含みますと東海会社だけは黒字で他の会社は全部赤字となります。しかし、監理委員会の報告では新幹線はリース方式を採用、しかも、リース料は関係会社の経営状況を勘案の上政治的に決定をされます結果、東海会社及び西日本会社両社の新幹線部門の経常利益は、減額はされますけれども黒字を維持することになります。東日本会社は赤字の幅は減額されますけれども依然として赤字であることには間違いがございません。新幹線のない他の鼻部分の三会社も当然として赤字であります。しかし、島の三会社には基金の運用益が配分をされますので若干の赤字幅は減額をされますが、六社の赤字合計額は一兆五千七百八十三億円になります、昭和五十九年度の決算を基礎として。  監理委員会の報告にもありますように、現況の経営に比較して新会社は長期債務の処理、退職金、年金、旧恩給等の面において負担軽減の措置がとられます。それらの負担軽減措置の合計額がおおむね私の試算をいたしました六旅客会社の赤字額ととんとんになるように出ます。したがって、監理委員会の資料の中でも昭和六十二年度の試算をしておいでになりますが、大筋においては合致をいたしております。だとすれば、今後の問題点は、六十二年で試算をしておいでになりますとおり収入が得られるのかどうか。さらには、抑制される措置がとられた支出が本当に試算のとおりになっていくのかどうか。これのいかんにかかわりますのが今後の状況だと私は見ております。しかし、このようになっていきますというそもそもの原因は、これは監理委員会が考え出されましたように、財源措置の可否や方法はまだ未定ではありますけれども、手厚い国費の投入があるからであると私は見ますのですけれども、そういう国費の投入が可能であったら、今必ずしも分割・民営化にする必要がないのではないか。  あまつさえ、この昭和五十九年度の決算を見てみますと、昭和五十八年度に比べて長期債務の総額と比較をしますと、それはわずかな額だとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり経営はこの悪環境の中で改善をされておりますのです。このことは私は特筆に値すると思いますのでございますけれども、そうだとすれば、この状況国鉄が維持するようにし、監理委員会で考えられました手厚い措置を国が講じていくということができたら、未確定要素も多く危険性も伴う分割という未知の世界に経営の転換を図ることよりも、やはり今のままでいってもよいのではないか。もしそれはいけないんだとおっしゃると、やはり初めに分割ありきの批判の正当性を立証するようなことにもなりかねませんけれども、もう一度分割していかなければならない理由について亀井委員長を煩わしたいと思います。
  240. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま山田先生の御説のように、私どもが六十二年の試算をいろいろな仕組みをこしらえましてやりました。各社それぞれ黒字になる形にいろいろ結果が出ましたので、トータルしたら黒字になるんならその諸条件をつくってやればいいじゃないか、そういう御諭旨だ、と思います。ところがそういう仕組みをつくるのにいろいろ前提条件がございまして、現在の国鉄が悪いという状況は、一つは非常に過大なる債務の利息負担がある、あるいは過大なる年金、恩給等の追加費用の負担がある、それから余剰人員がございます。需要がずっと減っていったのに人の減量が余りやられていなかった。そういう非常に重荷があるわけでございます。  それを国鉄の世帯でこれを簡単にやるわけにいかない。結局は、会社更生法を引き合いに出すのはおかしいとおっしゃるかもしれませんけれども、通常そういう債権を整理をする、あるいは余剰人員を整理する、そして新しい新生会社は健全な形でいけます、こういう約束がなければ債権を負担をしてくれる人もない、あるいは余剰人員の整理もできがたい。そうすると、新しくできますのが、六十二年の試算のようなああいう形に持っていくのにはびしっとした条件を立てなきゃいかぬ。それには一つは民営的手法を導入するということはこれは皆さん方御賛同が大体ございますけれども、それと同時に、やはり適正な管理範囲において目標を共通にして、そしてみんながそこでやるぞという気持ちが出るような組織でなければ、本当に計算上であってもそのつじつまが合わぬではないか。やはり全国一本でございますと、三十万が二十万になっても、燃え上がるぞといってもなかなか今度は時間がかかりますし、やはりそれがより小さい世帯の方がまとまりもしやすいし志も一にする。そういう集団になって結果としてはよくなる。  そういう意味におきまして、大きな重荷というものを軽くするのに、国民に結局は御負担をいただき、余剰人員の整理も御協力をいただく。そういう面では、ここまで踏み切りますからひとつ御支援、御協力をいただきたいということを言うためには分割ということにせざるを得なかった、こういう事情でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  241. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 その問題に関連をいたしまして、委員長は、管理の限界、経営規模の限界ということをよくおっしゃいます。確かにそれはあるのかと思います。けれども、我々はそんなに遠い過去のことでない戦後のことを考えてみて、国鉄の人員体制が六十万人になったことがございます。窓ガラスは割れ便所は詰まり、これが一体どうたるのだろうと思っておりました国鉄が、関係者努力で今日まで改善をされ立派になってまいりました。そのときの状況と今とにどこが違いがあると見ておいでになりますか、あわせてお尋ねいたします。
  242. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 終戦直後の非常な混乱時期と平和が何十年か続いた時期とはおのずからいろいろ変わっておると思います。また、その間国鉄に従事された方も大変な努力をされ、いろいろ改善がなされた。しかし結果としては、やはり一番大きなのが新しい交通手段、あの六十万でダブついて、我々も窓ガラスを上げて入るというような窮屈だ、東京−大阪まで立ち通しというようなこともいろいろ苦労いたしましたけれども、そのときと比べたら恐るべき交通手段のいろいろな発達ということが出てきました。あのころは国鉄というものは独占でございました。そういう競争に打ち勝っていくということをやはり安企業でも持ってもらわなきゃいかぬということが私は大事ではないかというふうに思っております。
  243. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後に、監理委員長に第二点として余剰人員問題に関連をしてお尋ねをいたします。  報告書にありますように、極めて多数の余剰人員が予想をされ、いずれの方法をとりましても、退職時期を早めて離職をしていく人、当初の志を変更して転職をしていかなければならない人、しかもこれらの人たちの居住地の多くは現在失業率は高く、有効求人倍率は極めて低い等再雇用の条件は必ずしも良好だとは言えません。監理委員会の報告とは裏腹にこれらの人たちの再雇用は極めて厳しいものになるのではないか、このように私は考えます。  国鉄問題が論議の俎上にのせられてから以降、国鉄労働者、国鉄職員は諸悪の根源であるかのごとく批判の対象にされ、また攻撃も受けてきました。亀井委員長がおっしゃるように、国鉄が悪くなった原因というのはむだな設備投資もありました。しかし、いろいろだ総合的な原因で一番の基本は、この二十年間における交通需要の大きな変化にあったと思います。しかも、国鉄はその変化に対する対応というものがおくれたというところに私は根本の原因があると思う旨答弁をしておいでになります。  すなわち、変化に対する対応の稚拙、無策、さらには過剰投資が招いた国鉄の破局だと言っておられるんですが、この破局を救うために、善良な多くの国鉄労働者、もしあったといたしましても責任の極めて少ない労働者だけが老境を迎えて早く職場を去らなければならなかったり、人生の半ばにしてあるいはその初期において目的挫折の憂き目を見る等、大きな代償を払わされ、その責めをとらされ、またとらされようとしておるのであります。このように国鉄労働者だけが国鉄の破局を招いた責めを引き受けなければならないのか。あまつさえ、この際火事泥的に、青函トンネル、本四連絡橋、上越新幹線等、言葉は悪いかもしれませんけれども、やっぱり無定見な支出でもあったのではないかと思いますが、これらの支出が国鉄の破局を加速したと言っても過言ではありませんが、こういう諸事業まで背負い込まされて、何の関係もたい、ましてや何の罪もない国鉄職員がやめていかなければならないのか、私にはわかりません。  いつの場合でも犠牲は弱者にのみしわ寄せされて解決をされるものなのでしょうか、またこれは仕方がないことなのでしょうか、お尋ねをいたしますとともに、監理委員会としてこのような犠牲を伴わない解決策がほかになかったのかどうか、監理委員長の御答弁を煩わしたいと思います。
  244. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 余剰人員対策問題、特に北海道、九州というところにおられる方のこれからの行く道というものを考えますと、私も本当にこれは胸が痛むわけでございます。しかし、今もお話がございましたように、過去におけるいろいろ交通情勢の変化というものに対応がおくれた、これは労働者の責任ではないとおっしゃると思いますけれども、例えばこの十年間にやはり十万人近い新人が入っておる、需要は落ちていっておる、こういう現実があるわけでございますね。  そういうことで、これからやはり競争場裏にさらされて競争をやるためにはやはり民間並みに働く。そうするとやはり余剰人員が出てきます。しかし、そういう人々にそれじゃ給料をやるから座っておれとか、草むしりをしろとかということはこれは許されるかどうか。やはり何か次の生きがいのある仕事に長い目で見ればおつきになるということの方が私どもは人間としての生き方としても正道ではないか。そういう意味で、まことにお気の毒でございますけれども、そのはみ出る方については、しかも私どもは三万二千人は新会社で何か仕事を見つけてやってください、新旧両方で余剰人員対策はやる、そして残った四万人につきまして、結局総理を本部長として本格的に対処される。きょうも各先生から、移動の際に住宅問題とかいろいろ話もございました。そういうことも率直に雇用対策の中で御検討いただいて、できるだけ犠牲のない円満なる方法で処理をしていきたい。これは本当に私どもお願いをいたし、国民全部が胸を痛める問題である、そういうふうに思って拓ります。
  245. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいまの問題と関迦をいたしまして、まとめとして運輸大臣にお尋ねをいたしますが、やっぱり何だかんだと理屈はつけましても、責任のとらせ方が労働者に厳しく不公平ではないのかという感じをぬぐうことができません。運輸大臣の御所見をお願いをいたします。
  246. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 国鉄の破綻の原因の中に設備投資が過剰であったとかいろいろおっしゃる点は私どもよくわかるわけでございます。したがいまして、これらの面も勘案しながら再姓計画というものをつくられる。例えば島の分については借金も負わせないよ、基金もつくるよ、あるいは本島の三分割についても実際の資産価値に見合った以上のものは借金も持たせたいよという配慮が行われた後にいろんなその他の施策も行われるわけでございますから、そこらあたりの計画からすると、ひとり労働者のみにしわ寄せをされたとは私は思えないのでございますが、御指摘の点はよくわかりますので、今後とも最後の立法化の段階で私ども十分御趣旨は考慮しながら作業を進めてまいりたいと思います。
  247. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  248. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 亀井参考人におかれましては、お忙しい中を長時間にわたり本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。御礼申し上げます。  本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会