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1985-07-10 第102回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年七月十日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月二十二日     辞任         補欠選任      大木  浩君     藏内 修治君  七月九日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     三治 重信君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 梶原  清君                 吉村 真事君                 瀬谷 英行君                 矢原 秀男君     委 員                 江島  淳君                 藤田  栄君                 森田 重郎君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                目黒朝次郎君                 小笠原貞子君                 三治 重信君                 山田耕三郎君    事務局側        常任委員会専門  多田  稔君        員    説明員        日本国有鉄道総  杉浦 喬也君        裁    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委  亀井 正夫君        員長        青森県知事    北村 正哉君        福岡県知事    奥田 八二君        日本民営鉄道協  片桐 典徳君        会会長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄問題に関する件)     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  大木浩君の委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事吉村真事君を指名いたします。     —————————————
  4. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件について、本日、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君、青森県知事北村正哉君、福岡県知事奥田八二君及び日本民営鉄道協会会長片桐典徳君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件を議題といたします。  これより亀井参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 参考人どうも御苦労さまでございます。  答申が七月下旬に提出されるという話をかねがね聞いておりますけれども、七月中に提出をするということは間違いございませんか。
  8. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 七月中に答申を出すということで大体今進めておりますが、七月下旬には総理の手元に答申を提出したい、そういうふうに思っております。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 答申内容でありますけれども、最近新聞紙上にいろいろと発表されております。本州を三分割をする、北海道九州四国、それから新幹線リース会社をつくるといったようなことが報道されておりますけれども、大体その方針の骨子というのはそのように理解してよろしいですか。
  10. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 新聞でいろいろ報道しておられますが、私ども、現在納期も切迫をいたしまして、大体骨格のところは詰めてきた段階でございます。まだ細部にいろいろ問題がございますけれども、ただいま瀬谷先生のおっしゃいましたとおり、本州東日本中部西日本と、北海道四国九州に、これは旅客会社でありますが、分割をする、貨物全国一本の貨物会社にする、新幹線につきましては、四つの新幹線保有主体をこしらえて、三つ本州会社にこれをリースをする、こういう構想は大体私ども固まってきた段階でございます。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、本州三つに分け、九州北海道四国をこれまた分離をし、貨物関係はまた別会社をつくる、新幹線はこれまた別会社という格好に聞き取れるわけでありますが、そうすると、例えば東海道新幹線山陽新幹線といったような新幹線は幾つかの鉄道会社を渡り歩いて博多まで行くという格好になるわけでありますが、そのように理解してよろしいんですか。
  12. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 少し説明が足りませんでしたけれども本州三つに割る場合に、東日本は、東北新幹線上越新幹線、この二つを中心にして、在来幹線地方交通線を包括した会社、それから中部は、東海道新幹線並びに在来線を包括をした会社、そして西日本は、山陽新幹線並びに幹線地方交通線西日本を包括した会社、こういうふうに考えておりますので、東海道、山陽の間で現在東京発博多行きというふうなものは、これは相互乗り入れという格好になるというふうに思います。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新幹線在来線はそうすると別会社ということになるわけなんですか。新幹線新幹線だけの会社である、在来線とは別会社、こういうふうになるんですか。
  14. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そうではございません。ただいま申し上げましたように、東日本会社をとれば、東北新幹線上越新幹線並び東北本線とかいろいろ、それを一体にした会社になる、こういう格好であります。  そして、新幹線につきましては、保有主体がありまして、これは会社になるかどうかはわかりませんが、一つ法人格を持たすべきと思いますが、 ここがその新幹線保有をして、そして三つ本州会社にこれを貸す法人、そういうふうにお考えいただいて、新幹線運用は、東北新幹線であれば東日本会社東北新幹線上越新幹線運用をする、こういうことであります。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東北新幹線上越新幹線東日本の区域に入るということはわかりましたけれども東海道山陽新幹線というのは東京から博多まで行くわけです。ところが、現在新幹線は、東京でもって、博多までと盛岡までと新潟までと、一カ所でもってコントロールしているわけです。それが東海道山陽新幹線の場合は東北上越新幹線とまた別になるというふうにも聞き取れるわけでありますけれども、そうではなくて、東北上越新幹線並び東海道山陽新幹線、これは一つのものとして運用するという意味ですか。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) その列車運行の指令というものにつきましては、現在は一本でやっておるようでございますが、これをどういうふうな新しいシステムでやるかということはこれからの研究事項であります。ただ、経営は明らかに別経営になる、こういうことであります。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 地域的に旅客の方は分離をする、これだけでもかなり問題があると思います。つまり、つながっている線路をどこかで区切って別会社にしてしまうわけですから、このことは、いろいろな学者意見あるいは新聞社説等でも、特に本州分割が行われる場合には、どんなに分割しても、会社間の運賃収入の精算は膨大な業務量を必要とすることは確かだということで問題点を指摘しております。そうすると、非常に複雑な仕組みができ上がるというふうに考えられるわけでありますが、その中で、貨物はまた別に貨物会社、これは全国一本の貨物会社設立をする、こういう意味ですか。
  18. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 貨物会社につきましては、コンテナを中心にする全国一本の貨物会社をつくりたい。そのほかセメントとかいろいろ特殊のものがございますが、これはそれぞれ業態に合わせまして、むしろ業界で、主体によって会社が必要であれば別につくっていただく、こういうことを検討したらどうかというふうに思っております。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 極めて複雑怪奇な鉄道網ができ上がろうとしております。これは運用上非常に問題が多いと思います。それは素人が考えたといえばそれまででありますけれども、こういう複雑な形態が果たしてうまくできるのかどうかという疑問を私どもは持ちます。しかし、それはまた今度は当事者から、そういうふうな分割に伴ってどのように運用するのかということは改めて聞きたいというふうに考えております。  そこで、特に私がここで問題にしたいのは、先般、総裁、副総裁並びに国鉄幹部が大量に更迭されました。この更迭は、表向きは辞表を提出したという格好になっておりますけれども、各新聞社説を初めマスコミ報道は、そんなきれいごとではありません。これは明らかに、監理委員会の若干の人たちが、自分たちの思うとおりにならないということに対する一つ報復行為として大量に首を切らせたというふうに一言で言えば我々は受け取らざるを得ないような報道が行われているわけであります。亀井委員長も、前回、総裁更迭問題を口にされたということが問題になった際に、あれは、答申が出て、その答申をもし国鉄総裁が尊重しないというようなことであればこれはけじめをつけざるを得ないだろうと、そういっただし書きがついておりましたけれども、今度は答申も何も出ないうちにばっさりと総裁を初め大量の幹部の首のすげかえが行われたということでありますが、これは極めて異例なことであり、極めてファッショ的な仕打ちであって、我々も驚かざるを得ないのであります。  このような措置が監理委員会の中の一部の人間意向によって行われたというような事態一体どのようにお考えになりますか。
  20. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私ども委員会は、国鉄人事というふうなものについて介入をしたり意見を述べる立場にはないわけであります。これは非常にはっきりしております。したがいまして、今回のことについてはこれは政府の決断で行われたことであります。いかなる事態に遭いましても、私どもは、前からここの委員会でも申し上げておるように、国鉄幹部あるいは国鉄職員、そういう方と一体になって、国鉄をいかに再建をするか、活性化するかという態度で今までも臨んできたわけでございまして、今までどおりの考え方で進んでいきたい、こういうふうに思っております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 上辺はそういうことになっております。しかし、新聞なりあるいは週刊誌なり、あらゆるマスコミを通じて報道されておりますことは、そういうきれいごとじゃないんです。具体的に氏名を挙げれば、住田委員とかあるいは加藤委員とか、こういう人たちは、前から国鉄に対して分割の案をつくるために必要なデータを提供しろということを言った、ところがなかなかそれに応じなかったということで、それならばということで総理を動かしてはっさりと首を切った、こういうふうに報道されているわけです。こんなことは亀井委員長がどんなに否定してももう日本国じゅうマスコミを通じて広まっていることなんですから、これはごまかしょうがないと思うんですよ。  そこで、私が疑問に思うのは、なぜ分割にそんなに固執をするのか。国鉄再建という場合には、まず一番最初にやらなければならないのは累積債務処理じゃないかと思う。その累積債務がなぜこんなに大きく膨れ上がったのかという問題については、今までこの委員会ではたくさんの学者あるいは県知事といったような人たち参考人に呼んで意見を聞いてみました。私が一つ例を挙げますと、秋田県知事は、臨調の言っておる国鉄累積赤字内容は違っておる、実際は、国鉄累積債務というものは多額の借金による設備投資じゃないかということを端的に指摘をしております。これはまさにそのとおりだというふうに私も思いました。  ところが、いろいろな理由を挙げて、その理由としては、世帯が大き過ぎるとか、あるいは公社制度に問題があるという形でもって押しつけられておりますけれども、しかし、実際問題としては、この一番肝心かなめ累積債務処理、それから、多くの職員から仕事を取り上げたわけですから、そこから余剰人員というのは生まれているわけです。仕事を取り上げた以上は、取り上げられた人たちの身の振り方を責任を持って片づけなければならぬ、これは当然だと思うんです。こういうことが先に行われるべきことではないか。しかる後に経営形態についていかにすべきかというのが順序じゃないかというふうに思うんですけれども、今までの監理委員会のやり方は、分割だけが先に出てきておる、何が何でも分割をしろ、それに従わない者はもう容赦しない、こういう姿勢が露骨に出てきた。そのことを我々とすれば極めて不可解と感ぜざるを得ないのであります。その順序が私は間違っているんじゃないかと思うのでありますが、分割をなぜそうまでして先行させなければならないんですか。その分割メリット国鉄再建にどういうふうにあるとお考えなんですか。
  22. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 国鉄が悪くなった原因というのは、それはむだな設備投資もありましたでしょう。しかし、いろいろな総合的な原因で、この委員会にも何回か私参りまして申し上げておりますが、一番の基本は、この二十年間における交通需要の大きな変化ということにあったと思います。モータリゼーションが進展をする、長距離は飛行機が進展をする、こういうふうな基盤的に世界的な一つの傾向という中で、それの変化に対する対応というものが国鉄はおくれたというところに私は根本の原因があろうかというふうに思うわけであります。  この点を、一年間勉強いたしまして、昨年八月の第二次答申におきまして、現在のこの公社制度という仕組み、それから全国を一元的に運営するということの欠陥、こういうことから、分割民営化という方向を念頭に置いて検討せざるを得ないという結論を出したわけです。それは当時の政府 において閣僚会議におきましても是認をされて、その方向で行けということでありますから、それから一年間私どもは具体的な作業をやってきた、こういうことでございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新聞報道された監理委員会答申原案、年一兆五千億を国が補う、新幹線は別会社をつくってリースということが出ております。しかし、年一兆五千億を国に補ってもらうということであれば、国鉄が出した実とほとんど変わりがないということになるわけです。国鉄が出した案を、そんなものはだめだといってけなしておりながら、監理委員会最終答申が、何のことはない、国鉄方針と変わりがないというようになっているのは、これは一体どういうことなのか。  それから、適正規模は、例えば今までの監理委員長の言ってこられたことは、適正規模というものがある、それをはみ出してはいけないということなんだけれども、今回の場合は、管理能力限界を超えちゃいかぬと言いながら、かなりはみ出している部分がある。今までおっしゃったことと最終原案というものは大分食い違いがあるというふうに考えられるんだけれども、これらの食い違い一つ一つ私は申し上げる時間がございませんから言いませんけれども、そのようなことについてはどのようにお考えですか。
  24. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 一兆五千億程度負担が要るであろうというようなことは、数字がまだ確定していない、一つの目安として現在議論をしておるのであります。国鉄の場合と同じだと言われますが、あの基本方策の中の数字はたしか私は一兆九千億であったと思います。そして、その中には余剰人員整理対策費とかいろいろな要素は入っていなかったと思います。そういうことで、私どもは洗いざらい全部、現在の国鉄債務考えられる顕在的なもの、潜在的なもの、すべてを網羅した結果約三十六兆ぐらいという数字が出てきたわけでございまして、これをいかに処理するかということで、できるだけ国民負担の軽減をする方角でやろうということで現在苦慮をしておるという状態でございます。  それから、東日本会社につきまして、これは後ほど余剰人員の御質問があったら申し上げますけれども、この余剰人員対策も、余った人が全部遊んで首だというわけにはいかない、したがって、新しい会社にも適正人員よりも二割程度の人を多く抱えてもらおうという結果、約八万人ぐらいになります。私は、一つの企業の規模というのは、せいぜい三万から五万人までぐらいが一人のトップというものが見る限界ではないかと思っておりますけれども、いろいろ検討いたしました結果、その適正規模という問題と、それから、東日本を大きくしたものは、東北新幹線上越新幹線というものが現在一本で経営されておるということと、それから、それを適正規模に分けるために茨城県、千葉県というふうなものを、新聞報道されておるように、分離するという案も検討いたしましたが、その場合には首都圏における交通というものが分断をされる、そうすると、やはり首都圏における旅客流動というものを重視するメリットの方が適正規模というものよりは大きいではないかという判断でそういう結論に達した。八万、なるほど多うございます。しかし、現在の三十万からいえば四分の一であります。そうすると、トップの人は四倍の目がその経営に届ける、こういうことになるわけでありまして、そういうことで私ども結論が大体そういうところに近づいておるということでございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 およそ、一言で言わしてもらえば、奇妙きてれつな分割案が我々の前に明らかになりました。しかし、分割だけを先行させる、そのために国鉄幹部大量更迭まで強引に行わせるということのねらいは一体何なのか、こういう疑問が出てきます。これは、その分割会社社長のポストを先に確保しておいて、それに合わせるためにやったんじゃないかというふうに疑問を持たれたってしょうがないと思う。そこで、そのような疑問を持たれないようにするためには、分割会社には、監理委員会メンバー、あるいはこの分割のために運輸省の中でいろいろと行動をしていたいわば運輸省関係の役人といったような人たちは、社長とか重役とかいう格好でもって天下りをするというようなことはあっちゃならぬと思うんです。もしそういうことになれば、まさにこれはそれ見たことかということになってしまう。その点、一言監理委員長の見解を承っておきたいと思います。
  26. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割会社人事というふうなものにつきましては、これは電電公社の例にもありますように、私ども答申が出て法律案ができた段階において設立委員会というものができて、設立委員会において会社資本金とか人事というものを決定されるということになろうかと思います。したがいまして、そういうことに私ども意見を申し上げる立場にはないわけであります。しかし、私個人が希望しておりますのは、その地位をだれかれがするというようなことがあってはならない。むしろ、現在の国鉄の中にすばらしい素質のいい人がたくさんおられます、そういう人が新しい組織のもとに、新生でやられるということが最も私は望ましい、こういうふうに考えております。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 臨調メンバー監理委員会に横滑りしてきたことだって、これはお手盛りだというふうに私は思うんです。ところが、今度監理委員会メンバーが、新設された国鉄分割会社社長だとかあるいは重役、こういうところに天下りをしたということになると、まさにお手盛り中のお手盛りという批判を受けざるを得ないと思う。これはやはり監理委員長自体責任を持ってそんなことはいたしませんと言っておかないと、監理委員会の信用にかかわることだというふうに思います。余剰人員その他の問題については私は同僚議員に譲りたいと思いますが、その点だけをもう一度明確にしていただきたいと思います。
  28. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 瀬谷先生の御意見はよく承っておきますが、この新しい会社幹部というのは大変な苦労が要る仕事である、恐らく喜んでなりたいという人は現在そうないというふうに私どもは思っております。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、亀井委員長最初参議院運輸委員会に来たときは、相当尊敬できる民間人の大ボスだと思っておったわけですが、この一年間を振り返って、どうにも、私もこういう竹を割ったような男でありますから、すとんとこない。私も昭和十二年に国鉄に入った人間でありますから、甘いも辛いも、戦前、戦中、戦後ほとんどといっていいくらい経験しているから、あなたに期待しておったわけですが、まず一般論としてお伺いします。  民間大手会社倒産をした、その倒産に至る経営の不振とかあるいはむだ遣いとか、あるいは資金の融資の不手際とかというもろもろが重なって倒産した。その倒産した会社の大事な立場にあった方が別な再建をするというメンバーの中枢に座るということは、一体これは一般民間会社としてあり得ることなんだろうか。この点は、財界の大物として、民間ルールというのはどんなふうになっているんでしょうか。私も社長になった覚えありませんから、民間ルールをひとつ一般論で教えてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  30. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 民間ルールといいますか、私は今国鉄のいわば管財人あるいは経営コンサルタントというような立場にあるわけでございまして、人事とか何かについてはかれこれ言う立場にはございませんです。総裁人事というものは内閣においてお決めになるということになっておりますので、そういうものについての意見というものは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 人事を聞くと差し控えると言うし、委員会が終わって監理委員会の庁舎に入ってしまうと国鉄とか運輸省を呼びつけて言う。なかなかあなたから言えないやつは、住田運輸事務次官を呼んで、住田パイプを通じて運輸省なり国鉄をどなりつける。あるいは、あなたの本家の 財界の方の詰所へ行けば、財界の方ではけしからぬ、こう言う。あなたの本心というのは一体どこが本心なのか。委員会に来て述べることが本心なのか、あるいは住田運輸事務次官を使って運輸省国鉄にハッパをかけるのが本命なのか。あなたの本領である財界の窓口に行って、国鉄総裁はけしからぬといってラッパを吹く、ブン屋の前に発表する。あなたは本当に昔の忍術、我々の少年時代の猿飛佐助みたいに、所に応じてちょろん、所に応じてちょろん。あなたの正体は一体何なんですか。  国鉄職員の生活を含めて十分に考えるというきれいごとを言っているけれども、気に合わないやつは切り捨て御免自分が出るとおかしくなるから佐田委員を使ってやる。住田委員なり、あるいは今回あなたの意向を受けて承認した杉浦総裁、これは全部三十九年以来国鉄再建に直接かかわった監督官庁最高幹部でしょう。違いますか。鉄道部長鉄監局長運輸事務次官、私は労働組合委員長も含めて、国会に来て十一年、この方とは全部我々と国鉄問題をやった直接の責任者です。赤字をつくった張本人が再建監理委員会に行って自分意見を通す、それで合わなければ、自分のかつての官僚の力をもって片っ端から首を切る。あなたは後ろにおってか前におってか知りませんが、それを公然と公認する。  この読売新聞の六月二十四日「「方策分割明記せず」、この文章など読んでみましたら、完全にこれは住田ラインですよ。住田さんというのは、私が参議院運輸委員会で論争したとおり、国鉄安楽死論者ですからね。自分ができなかったもので、全日空を首になったものだから、今度は監理委員会に隠れて、あなたを使って、中曽根を使って言いたいほうだいやっている。こういうのはちゃんと書いてある。何月何日何時何分、ホテル何々、まず亀井委員長、首を切る、加藤寛先生が言う、付き添いの元運輸事務次官住田は畳み込むように縄田副総裁をどなりつける、総裁がまあまあと入った、これは全部わかっている。あなたがどんなきれいごと言ったって、あなた自身も出て、この茶番劇をわかっているじゃありませんか。  どっちが本当なんですか、あなたの正体は。国鉄をぶっつぶして、土地を売っ払って財界の金もうけを先行させるのか、国鉄職員を全部首切るのか、本当の正体は何ですか、あなたは。我々も戦争で苦労してきた、苦労したけれども、そんな正体のわからないことで我々国鉄職員がやられたらたまったものじゃない。あなたの正体は何ですか、三つのうち。私は三つ言った、国会の問題、それから人事の問題、それから財界の問題、この三つのうちあなたの正体はどれが本当なんですか。まず聞かせてください。
  32. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) どうも私の正体は何かという非常に抽象的な御質問で弱るわけですが、私は格別真田太平記の英雄猿飛佐助のような人間でもございませんし、私は長年企業で労働問題あるいは経営に参画してきた人間であります。国鉄の問題というのにこの二年前から初めて飛び込んだのでございまして、一つ経営という見方からすれば、国鉄というのは現在大変な状態になっておる。我々は鉄道を人一倍愛しております。これをつぶしちゃいかぬ、国民の足としての鉄道を何とか活性化して、本当に国民が愛するようにするのにはどうしたらいいか、そういう誠心誠意でやってきたわけでございます。  委員の一人一人についていろいろの御不満もございましたけれども、皆それぞれ、私から見れば、やはり国鉄というものがこのまま行ったら破局に入る、この破局を何とか回避をしなきゃいかぬ、こういう熱意に燃えて熱心に議論をしておる。そういう方から熱心な余りにあるいは行き過ぎの言動があったかもしれませんけれども、しかし精神は、人をおとしめたりいろいろそういうことであっては何の実りもない。国鉄を、国鉄というよりも鉄道というものをどう生かしていくかということに誠心誠意我々は議論をしておる。  私の正体は何かといいましたら、当面は、この鉄道というものが数年にして破局にいくまでに、何とかこれを再建する道を見出したい。それは、先ほど瀬谷先生からも御指摘がありましたように、長期債務の問題であり、また仕事に比べて人が余っておるという状態であり、あるいは経営トップ経営に本当に専念できない状態である、従業員は先に希望が持てないような状態になっている、これを何とか明るい道が見出せるようにしたいということで、今まで二年間苦労してきた、そういうのが私の正体でございます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたがなかなか出てこないので、この次の七月二十三日の決算の総括にはぜひ出てきてもらって、決算面からあなたの見解を聞きたいと思っております。  その前に、この前林事務局次長に、瀬谷先生が言った分割案についてあなたからいろいろあったと、それを前提にして、例えば東北新幹線、上野のホームの入り口、満載の列車が脱線事故を起こした、それには関西とか九州に行くお客さんがいっぱい乗っている。そういう事故を想定した場合に、あなたの考えている分割案では事故の対応はどうなるのか。お客さんの輸送の確保、事故の対応、事後処理、そういう事故に対する分割案との関係はどういうふうに処理するんですか。私の頭では、国鉄昭和十二年に入って、私も国鉄の現場で事故屋もやりました、スジ屋もやりました。国鉄の経験なら一定の緊急措置をとれます。しかし、あなたが今言った分割案となった場合に、東北新幹線の上野の入り口で事故が起きた場合に、どういう緊急措置なり国民の安全の確保、輸送の確保を監理委員会考えていらっしゃるんですかとこの前質問したら、そこまでは検討しておりませんという私事務局次長の答弁でした。  やっぱり事故というのは鉄道には絶対のことですからね。この事故の処理分割との関係はどういうふうに系統的にお考えでありますか、ぜひこの機会にお聞かせ願いたい、事故の発生の場合。
  34. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 交通事業というのは人の命を預かっておる事業であります。したがいまして、これは国営、私営を問わず、人身の安全というのは一番重視をして私は運営されておるというふうに思います。幸いにして、現在は国鉄職員の非常な御努力によって大きな事故が起こっていないということは幸いでございます。そういう体制は私どもはそのまま受け継がれていくと思います。  上野駅ということをとりますと、上野駅は別に私どもの案では分断をすることにはなっておりません。従来どおり管理されていくということだというふうに思っております。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 新幹線に乗っているお客さんが東海道新幹線山陽新幹線、あるいは九州方面に行くんですよ、お客さんが乗っているんですから。今の国鉄では、何列車はどのくらい人が来る、このお客さんのやつはどういう方法で事故現場から例えば東京なりへ持ってきて、東京から全部指令を出して、各列車ごとに全部お客の座席を確保せいと、そういう指令も全部できるわけですよ、東京のセンターで。これが三つなり四つに分割された場合に、そういう会社同士の利害関係もありますわね、そういう際に、お客の利便と安全ということについてはどういう調整機関を設けるとか、そういうことを全然抜きにして、分割案は、日本列島を全部走るんですから、観念論になってしまうと思うんですよ。その点の調整なり話し合いはしているんですかということです。
  36. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) もちろん、両者にまたがる事項については、自主的に協議したり対策を練ったりという必要が起こることもあろうかというふうに思っております。  しかし、基本におきまして、私ども民間経営者といたしまして、国鉄というのが官僚システムによる運営である、縄張り主義だ、管理局同士においてもやはり縄張りの感情がある。しかし、民間においては、縄張りというのはむしろ競争し協調していくということで、両方が相乗効果をしてどうよくしていこうか、こういうことになろう。こういうことで、私は、民営化という方角であれば、そういう先生が想定されるようなデメリットというものは解消していくんではないかというふうに 考えております。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の経験からいうと、それはきれいごとですね。そんなことは民間の私鉄は、はいそうですかと、私は事故を担当し処理した自分の経験からいうと、あなたの言うのはきれいごと、遺憾ながら信用できない。午後に私鉄の関係者を呼びますから、実際聞いてみましょう。私は、そんなきれいごとじゃいかないと思っている。それは私には了解できない。  それからもう一つ、「現代」で、「田中角栄「国鉄廃止は愚の骨頂!」」というのに引かれて、きのう青森に行く列車の中で私は買ったんです。ぽっと開いたら、亀井正夫、「国鉄官僚よ肚をくくれ!」と、あなたのインタビューが載っている。これはインタビューを受けたと思うんですが、この中で私が非常に気にかかったのは、国鉄問題は、「交通問題ではなくて、経営政策なんだということなんです。交通政策専門家は、鉄道にとらわれた交通政策を展開しておられるんで、非常に幼稚な議論をしておられる。全国ネットワーク論などは、十九世紀から二十世紀初めにかけての、鉄道が独占的だった時代の議論です。」ということで、あなたは、ローカル線の足を守るとか、身体障害者の人を守るとか、あるいは公共交通ということも頭から全然度外視して、赤字、黒字というところだけに視点を合わせてやっているというふうに、まあこれはインタビューですからね、この「現代」の記者がそういうふうに書いておるわけであります。そして最後に、この国鉄問題については、自民党の中でどうなるかわかりませんが、法案が作成されます。そして、「法案というのは、ときには取引きされることもあります」と、こういうことを言っておるんですがね。  交通問題は全然考える必要ない、それから、法案の段階で取引されてもやむを得ないという見通し論をあなたの見解で述べているんです、写真入りで。これは真実であるかどうか。これ一般国民見ていますからね。田中角栄さんのは読みました。あなたのところのこの交通政策論と法案の取引というのはどういうことですか。
  38. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そのインタビューに応じたことは事実でございます。しかし、その文章を私も読みましたけれども、読んでみると、私の真意に遠いところが非常にあります。というのは、先生、表題に、国鉄をつぶしたらいかぬと田中角栄氏が言ったというような見出しを大きく書いてあるんですが、文章を読みますと、例えば、今せっかくある鉄道をはいでいくのは愚の骨頂だということを言っておられるわけでして、別に廃止するのは愚だとは言っておられない。どうも見出しとか何かで非常に印象が違うわけであります。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたの真意を聞かせてください。
  40. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私自身の、だからそれを類推して御判断をいただきたいということであります。  それから、交通論というものは、私どもは二十一世紀に向けての鉄道のあり方ということを議論したい。十九世紀、二十世紀の鉄道というものではなくて、二十一世紀に向けて考えた場合には、これからやはりモータリゼーションあるいは航空機というものはますます発達するでありましょう。国民はやはり自分の足としては一番便利で経済的なものを選択していく、これもとめることはできない、こういうことだと思うんです。そういうことを是認した上で、コストと、それから受益と負担といいますか、そういう原則をやはり基本的に考えていくということが私は大事じゃないか。国鉄も公共企業体という独立採算制でありますから、赤字であっていいとはだれもお考えにならない、やはり黒字であるべきではないだろうかというふうに私は考えております。そういう面から、やはり経営的な見地から、変化にいかに対応させるかということが必要であるというふうに思っております。  それから、取引云々というのは少しあれでありますけれども、私どもの案ができましても、これは法案になり、そして国会においてその法案を審議されるという段階に入っていきます。そういう場合の審議というのはやはりもう全く政府と国会の先生の手にゆだねられるということでありますから、そういう感じを申し上げたということであります。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後に、あなたは否定するけれども、仁杉総裁以下首切られて新たな杉浦体制ができた。そうなっても、一般職員から見れば、我々野党の議員から見れば、今まであなたも、あるいは仁杉総裁も、余剰人員の問題、それから三本柱のクリアの問題、あるいは年金の問題などについて、幾つかあなたを初め国鉄関係者がこの国会で証言し、あるいは確約し、約束したことがあるわけですね。それらについては基本的に今回の国鉄総裁人事異動で変わりはない、こういうふうに私は受け取りたいと思うのでありますが、総裁がかわったからそれは今後の課題だというふうにあなたは受け取っておられるのか。やはり国会で今まで説明した余剰人員対策、年金対策については、特別立法を含めて基本的には変えるべきではない、それを促進していくんだ、こういう考えでいらっしゃるかどうか。総括的な考えで結構ですから、これを聞いて私の質問を終わります。
  42. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) これは今までも国会であらゆる機会に申し上げておりますように、顕在的な長期債務、それから年金とか、今まで勤続をした退職金とか、そういうものはすべてやはり職員に対する潜在的な債務、これはこの際それをはっきりと保証し確保するということが私ども方針でありますし、新しい国鉄幹部の方々もそういう考えをお持ちであるというふうに思っています。
  43. 小柳勇

    ○小柳勇君 私も、目黒委員が発言したように、本当に今そういう実感を持つ。亀井委員長が非常に良識ある人であって、この国鉄再建については広くいろいろな意見を聞いて、二十一世紀に向けて将来の日本の経済的な動脈をつくるためにもう全知全能を傾けていただけると信頼してきました。ところが、答申を目の前にして、特に、先般国鉄総裁を中曽根総理にじきじき圧力をかけて首を切った。その後、今目黒君も言いましたように、杉浦元事務次官という人は、経営改善計画を五回とも失敗したその張本人なんです、運輸省責任者なんです。その人が唯々諾々として民営分割をもう前提として総裁になった。  私はこのような一連のものを見まして、亀井委員長というのは何たる人かと。私はこの際この運輸委員会委員長の正式の見解を聞いておきたいが、第一、臨調委員であった方々がそのまま再建監理委員になっている、このことも私は不満。それから、わずか五人でこれだけの大問題を論議することも納得できない、今となったら。吉瀬さんは銀行屋さん、大蔵。それから隅谷さんは労働問題。あの人は立派な人格者です、私も交際あるから知っている。あとは住田君、それから加藤さん、その上にあなたが乗っかっている。言うなら、本当に一人か二人でこの大問題の分割民営化を強引に答申に書かせる。そしてそれに反対する勢力をぶった切っていく。国鉄の専門家が、そのキャップが、分割は無理です、五年ぐらい時間をかしてくださいと言っている。それを自分たち意見が違うからといって、総裁に圧力をかけて、種々の手段を使ってファッショ的に、しかも予見を持って首を切る。このような政治は許すことはならぬ。  いま一つは、この読売に載っている最終答申らしいものを自民党の一部に配ってあるようだが、私はもらっていない。運輸委員会委員の中で何人もらっているか。そういう不公平な監理委員会というのがあろうか。  したがって、時間がないから結論を言いますと、この際もう亀井委員長以下五人の皆さんは辞職してもらいたい。そして一応解散して出直してもらいたい。そして、五人ではなくて、少なくとも、教育臨調が四部会あるように、四部会できるぐらいの人員で再出発してもらいたい。まだ時間が一カ月ある。できなければ七月末の答申を出さぬでもいいですよ。これだけの大問題を、一人か二人が民営分割でやるんだ、臨調方針は決めている、 その臨調委員がまた出てきて、それで本当に国民の意見を聞けるだろうか。教育臨調もいろいろ批判はあるけれども、あれは四部会に分かれて公聴会をやって国民の意見を聞いたから、これはあいまいではあるけれども、私はそれが正しいと思う。それが民主主義だと思う。中曽根内閣は教育臨調がうまくいかぬといってはたばたしているようだが、それが当たり前ですよ。  二十一世紀に向けて日本の国鉄方向を決めようとするときに、私は監理委員会答申を、けさの新聞では二十九日と書いてあるけれども、延ばしてもらいたい。そしてその前に再建監理委員会というのはもう一回出直してもらいたい。監理委員長の見解を聞きます。
  44. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) いろいろ御意見ございましたけれども、私どもはやはり内閣から任命を受けておるのでして、責任を重視しております。一番の基本は、先ほど来申し上げましたように、国鉄というものをつぶしてはいかぬ、どうしたらいいかということであります。先ほど、国鉄当局は前の案では五年待てというお話でありましたけれども、五年待てないのじゃないか。現在の二兆五千億という借金の繰り返しということがいつまで続けられるのか。(「それはだれがつくったんだ、職員じゃないよ」と呼ぶ者あり)いや、現実です。その理由の問題ではなくて、現実をどう対処するかということであります。そういう意味でやっておるわけでございまして、小柳先生の貴重な意見は承っておきます。
  45. 小柳勇

    ○小柳勇君 承るだけでなくて、総理ともその点こそよく相談していただきたい。  それから、今回のこのやり方につきましても、こういうのが将来の例になったら、しかも、監理委員会というのは三条に限りなく近い八条機関、非常に権限が絶大である。監理委員会答申は内閣はこれを聞かなければならぬと書いてある、尊重せよと書いてある。そうしたら、閣議で決定したら今度はそれはもう法律になるだけだ。答申なるものを法律になる前に委員会で論議するという正式の場が何もない、国会軽視ですよ。これは雑誌もたくさん持っているけれども、権威ある雑誌にもそう書いてある。  それからもう一つ、さっき、社長なんかは将来の問題とおっしゃるが、ここにもちゃんと、運輸省OBなどが次に社長になるのではないかなと権威ある雑誌に書いてある。これは「世界」です。それからこれは「選択」という雑誌、これは会員制で、これも権威ある雑誌です。  したがって、民営分割に対しても相当問題があるし、やり方に対しても大変問題がある。そういうやり方で強引にいってはいかぬ。中曽根総理というのはファッショ的に、あなた方が出したらこれをにしきの御旗にして一切亀井さんに責任を負わせますよ。亀井さんは、答申を出しまして、いつまで答申に対して責任持ちますか、それを聞いておきたい。
  46. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 国会軽視とおっしゃいますけれども、私も時間の許す限り、もう十数回、衆議院、参議院に出てお答えを申し上げ、御意見を承ってきております。  それから、新しい会社がどうできるかまだ確定もしないときに、人事案というふうなものは、先ほど申し上げましたように、これは法律ができてから設立委員会ができてできることで、私ども委員会というものは関知しないところでございまして、全然そういうものの相談にはあずかってはおりません。またそういうことについて意見を申し上げたこともありません。  それから、いつまでと言いますが、私どもの方は、これはたしか六十二年の七月ですか、そこで作業が完成した時期に監理委員会は解散ということでありますから、それまでの任期というふうに心得ております。
  47. 小柳勇

    ○小柳勇君 委員長にもお願い申し上げますが、きょう原稿がたくさんありますけれども、十五分と聞きまして、何にもできませんから、重要な問題ですから、もう一回も二回も、私どもだけでも一日ぐらい審議する機会を答申が出る前におつくりいただくことをお願いしておきます。  あと、時間がありませんから、具体的に二問質問しなきゃなりません。一つは、さっき瀬谷委員が聞きました余剰人員対策で、地方行政機関にも顧問あるいは相談役などで派遣したらどうか、出向したらどうかという。ところが、今地方自治体からいろいろ意見がありまして、地方自治体も今行政改革の途中である、なかなか国鉄職員を迎えるだけの余裕がありませんと言っています。したがって、この余剰人員対策ががっちり監理委員会で具体策が出るまでは政府答申は出せないでしょうね。どうですか。
  48. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 余剰人員の問題につきまして、これは後ほどの先生から御質問があったら申し上げますけれども、新しい会社余剰人員を引き受けて、新しいもっと拡大した事業もやっていただくというふうなことも想定をしております。  それから、国、特殊法人、地方自治団体というところもやはり協力をしていただきたいということで、これにつきましては、それは今の定員を増員するというのは、財政それぞれが苦しいときでできないと思います。また、行革ということでも合理化を進めているのでできないと思いますけれども、定年退職とか死亡された方の補充ということの新人採用というのは定期的に毎年行っておられるわけであります。その中の一定比率、例えば五百人採用するんなら、そのうちの五十人か百人は国鉄の人を、長年国民の足として努力された方々を引き取って、それぞれの特性に応じた仕事があれば採っていただくということは私どもは可能ではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、余剰人員対策というのは非常に大事な問題でございますから、答申までには、国民の方々の共感を得、また協力を得るような答申をつくりたい、そういうふうに思っております。
  49. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょう午後県知事からまた御意見を聞きますけれども、この間の秋田県知事意見の中に地方ローカル線の問題がありました。今地域のローカル線を外しますと、地方に帰ろうとする者も帰れぬではないか、だから、将来の発展を考えたら、過疎地だからといって鉄道を外すのはやめてくれと言っておりました。  きのうたまたま、福岡県の犀川町という小さな町であります、山の奥の方の、そこの町長がわざわざ来まして、田川線が第三次に指定されそうだが、あれをやりましたらもうどうしようもない、今はバスも、西鉄バスが朝一便、晩一便しか出ていないんだ、しょうがないから町の病人運びのバスで運ぼうとするけれども、それじゃ運輸省が文句を言った、先生何とかしないともう町長として本当にやっていけないと。したがって、この地方ローカル線の、特定地方交通線処理について、亀井委員長は一次、二次まではもうやむを得ぬとおっしゃったが、私はもう二次以降もこれを凍結してもらいたい、五カ年間。そして整備委員会、知事や市長が中心になって地方特定交通線の整備委員会をつくって、五カ年間、そうしてもっと駅をふやしてみたり、駐車場をつくってみたり、あるいは町の集会場をつくってみたりして、そしてどうしてもこの線は要りませんというなら、もうそれはそういう人の合意によって廃止する。  私はきのう計算してみました。特定交通線の場合には転換交付金をやりますね、一キロ三千万。それで例えば第三次までのやつをずっと計算してみましたら、結果的に、転換せず効率化した方が五カ年間の損失二千七百七十五億円、それから転換しました場合には、バスと鉄道と半分にしましても三千九百三十四億円、五カ年間。経済見地からいいましても、国家的に見ましても、五カ年間これをそのまま凍結しておいてそれでずっと整備していった方が計算上もプラスである。  したがいまして、いろいろなことをまだたくさん言いたいが、もうこの答申をどうしてもあなたが出すとおっしゃるなら、地方特定交通線は一切五カ年間廃止を待って、これから時限立法で出しますから、特定地方交通線の整備委員会なる立法を出しますから、五カ年間待ってくれ、国家的な 金目のあれも得します。だからそういうことで検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 特定地方交通線につきましては、何年か前にもう法律も決まり、政府方針が決まっておりまして、一次、二次までは確定をし、三次がまだ確定されていないという状態でございますが、私どもが今まで作業してきましたのは、三次までといいますか、そこまではいわゆるバス転操とかそのほかの適正な交通手段に転換されるという前提のもとに、残った約九十の地方交通線についてはできるだけこれは残す。できるだけというか、当面これは全部抱えて、活性化をして生かしていこう、こういう考え方で現在作業をしておるのでございまして、その三次が確定されておりませんが、私どもといたしましては、六十二年の四月までには確定作業なりあるいは転換作業なりを進めていただきたいと考えておりますけれども、これが実際上どうかということについては、いろいろこれからの歩みぐあいをもって判断をしていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  51. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 申し上げますが、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
  52. 小柳勇

    ○小柳勇君 済みません、ちょっと。  第二次線が二千百七十一・四キロ、三十二線です。今一線だけが協議会成立しました。あと三十二線はそのままです。したがって二次線以降を五カ年間凍結する方向監理委員会で一遍検討してもらいたい。お願いしておきます。  質問終わります。
  53. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 重複の点がございましたらお許しを願いたいと思います。  新聞紙上では、国鉄を六ブロックに分割等々の報道がなされたわけでございますけれども、当委員会におきましては、先ほどの御答弁の中で明確に国鉄六ブロックに分割というお話を伺ったわけでございます。  私は、国民の立場から見て、現行の旅客運賃だけを見ておりましても、安定している日本の国民生活のように見えますけれども、物流というものが日本じゅうに動いていく、そこに国民生活が成り立っている、こういう観点から見ておりますときに、いろいろの、今回も梅雨、台風、そういうものが今後も来るわけでございますけれども、安全の総点検も、国鉄すらも、計画は持っておりますけれども予算的に大変である。こういうようなところへこの分割案というものが今後実施をされる、そうなりましたときに、国民が一番心配をいたしておりますのは、公共輸送という立場の中で、この運賃の改定が、現行より考えた場合に何十%将来アップされるのが、そういう上限というものをやはり考えていただかなければという不安を声なき声として持っております。そういう意味で、将来監理委員会ではこういう上限はどの程度まですべきである、こういう審議がなされたのかどうか、まず伺いたいと思います。
  54. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 運賃について、巷間、分かれると、精算制になると高くなるんじゃないかというのが当面いろいろ疑問が出ておりますけれども、これは従来国鉄の中でやっておるような通算制という制度が十分技術的にも取り得るということで確信を持っております。  それから、将来どういうふうになるかということでございますが、これは民鉄並みの生産性、そして今までの長期債務の荷を軽くするということで民鉄並みの経営状態に置くということでありますから、民鉄並みの運賃が想定される、こういうふうに考えておりまして、大きなそこに変動は起こらないのではないか。もちろんこれは公共料金の一部でございますから、運輸大臣の厳正なる査定と認可ということによってこれが運用される、こういうふうに思っております。
  55. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も当委員会で何回も新幹線東京の総指令室を見まして、安全に対する全国的な、非常に経費もかかっておりますけれども一利用者から見て、これなら本当に安全だなと思ったものでございます。そしてまた、私がかつて県会議員のときに、交通事故が非常に路線の中で踏切事故が多い。そういうことを調べましたら、国鉄よりも非常に民間鉄道の方が、努力はされていらっしゃいますけれども、非常に事故率が多い、こういうことでかつて県会で指摘をしたことがございます。そういう中で、やはり予算の限界もございまして、踏切の改善というものがなかなかできなかったわけでございますが、最小限努力をしていただいた今日でございますけれども、こういうふうなことのいろんなことを加味して考えておりますと、やはり料金体系というのはそういう上に成り立ってまいりますし、今までの民間というのは、都市交通の非常に有利なところ、そうしてへんぴなところでも、いろんな総合的な開発の上の収支の中で成り立っている。  こういうようなことで非常に有利な条件というものがございましたけれども、今回の北海道四国九州、先般の委員会赤字の金額というものを私も述べさせていただきましたけれども、これは国家的な援助があったとしても、また民鉄並みの経営努力があったとしても、いろんな条件というものが非常に心配になってくる。こういうことで、先ほど質問いたしておりますように、上限というものは当然運輸省が決めるわけでございますけれども、将来会社赤字になってくる、どうしても黒字経営にしていかなくちゃいけない、黒字にしなくても収支とんとんでなくてはいけないというようなことで無理がくるのではないかということを非常に私も心配をしているわけでございます。  こういう面で、やはり監理委員会としても、重ねて私伺うわけでございますけれども、本当に上限の限界というものはきちっと明示をしていかないと、もうこれは本当に、この旅客運賃の値上げというものによって、私は五十種類以上のものが波動的に値上げの要素になってくる、これは細かくずっと物資を調べておりましてもそう思うわけでございますが、重ねてこの点をもう一度お伺いしたいと思います。
  56. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 運賃の点については、先生の御心配の点十分配慮して、やはり経営基盤がしっかりしておる、それには過去のしがらみのいろいろな大きな負債とか、それからだぶついた人、身軽になってそして経営基盤を確立する、こういうことによって運賃がやたらにコストアップにならないような配慮というものは十分加えたいと思います。  今踏切のお話もございましたけれども、もっと深刻なのは、国鉄が現在赤字で金のめぐりが悪い。したがって、鉄道の技術開発というのをもっともっと私どもは力を入れてもらいたいと思いますけれども、その鉄道技術研究所にも現在十分な試験研究の金が回らないという状態であります。こういうものを悪循環を断ち切って健全体質にするということが一番であるというふうに思っております。
  57. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この問題につきましては、本来でございましたら、中曽根総理を初め内閣、そうして運輸省幹部の皆さんに対して、旅客運賃の将来に対するこの上限というものをやはり国民生活の手近な中から守っていただきたい、考えていただきたい、こういうことをごの席をかりて主張をしておきたいと思います。  では具体的な問題に入りたいと思います。重複はいたしますけれども一つは、仁杉総裁を初め役員の更迭問題に関してでございます。  先般、仁杉総裁を含む七名の国鉄幹部更迭をされた。国鉄の歴史上かつてない役員の交代の人事だと思うわけでございます。これについてはいろんな問題が取りざたをされているわけでございますが、いずれにいたしましても、杉浦総裁の新体制が発足をしたことは事実でございます。この点につきまして、監理委員会としてはこの人事事態をどういうふうに受けとめ、そうしてどのような評価をしていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
  58. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 国鉄の首脳大事につきましては、先ほど来申し上げましたように、私ども はこれについてとやかく言う立場にもございませんし、権限もあるわけではございません。  新総裁以下新しい幹部の方々とこれからは隔意なき懇談を続けて、ひとつベストの案をつくるということにしたいと思います。従来も、巷間、私どもがまるで対立しているような報道もなされておりますけれども、実際は、私は仁杉総裁とも幹部の方とも、表面の会議ではなくて、いろんな機会にいろんな意見を聞いてきております。そういうことでやっておるのですが、残念ながら、何か対立図式といいますか、そういうものが劇画的に報道されたということは私ども非常に遺憾に思っております。
  59. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 答申については七月の下旬に総理の手元に出しますと、こういう先ほど答弁がございましたが、大体七月下旬、これは明確でございますか。
  60. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 七月下旬ということを想定しております。昨日の新聞によりますと、総理は二十一日まで外遊されておるようでございますから、お帰りになった後でなるべく早い時期に差し上げたいというふうに存じております。
  61. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 答申後のスケジュールでございますけれども国鉄再建促進臨時措置法によりますと、国鉄再建の体制整備を図るための施策は、昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとされております。答申後の二年間の監理委員会としてのスケジュール、取り組み方、これについてお考えをお聞きしたいと思います。
  62. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 答申が出ますと、恐らくこれは閣議決定があり、そして法律案作成という段階に入っていくと思いますが、その段階におきましては、その関連する省庁といろいろ御協力を申し上げる。また具体的に余剰人員対策であるとか、あるいはその都度の資金繰りの問題とかいうものについて国鉄は大変御苦労なさっておる。そういう面につきましても、私どもはできるだけそれをバックアップするという任務があるというふうに思っております。
  63. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 適正管理規模についてでございますけれども、四月十六日の本委員会におきます質問に対しましても、分割の際の適正管理規模について亀井委員長は、一人のトップマネジメントによるスパン・オブ・コントロールの範囲は二万から三万である、多くても四万までである、こういうふうにお考え基本的に言われておりました。先ほどの質疑の中でも、そのお考えが少し変更になったことを述べられております。東日本会社も、もしこのままになりますと七万から八万人、あるいは八万六千人の職員規模と大体想定をされておるようでございます。こういう中で、分割の五原則の一つということになるわけでございますけれども、適正管理規模の変更された、そういう過程の審議状況、ポイントだけで結構でございますけれども、なぜお考えが変更されたのか、二、三具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  64. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 前に申し上げました五原則といいますか、適正規模、管理限界という問題あるいは旅客流動の実態に合わせる、あるいは鉄道特性を発揮させる、それから健全体質ということで収益性が確保される、幾つかの考え方がありまして、そういう原則をやった最大公約数の結果、いろんな議論をしながらこの結論に達した。  先ほど申し上げましたように、私どもとしては、やはり日本のこの東京圏といいますか、首都圏、非常に大事だ、ここの交通分断ということがないようなことをやはり最重点に配慮する。そしてまあ適正規模を、私の考え方からいえば明らかにはみ出るわけです、倍ぐらいの人数になります。しかし、これはまたいろいろなやり方で、三十万と八万では随分違いますから、そういう点では随分の目の配りといいますか、経営配慮、いろいろそういうことはできるのではないかということで最終結論をそういうふうにしたということでございます。
  65. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、余剰人員の問題について少々伺います。  五十九年八月に出された第二次緊急提言では、余剰人員規模についても、適正な要員配置にした場合には、現在顕在化している二万四千五百人に数倍する余剰人員が発生すると思われると、こういうふうな指摘をされております。この数倍をどの程度に見るかでございますけれども、仮に四倍、または六倍、また九万八千人ないし十四万七千人という数にもなるわけでございます。このことから想像いたしますと、いずれにせよ監理委員会としては、現在の三十万七千人の職員のおおむね三分の一に当たる十万人近くの職員が余剰であると判断されるのではないかと想像もされるわけでございます。余剰人員問題に関しては幾つかの問題点があると思いますけれども監理委員会としてはどのようにお考えになっているのか質問をしたいわけでございます。  一つ職員の受け入れ態勢、移行の際のいろいろの教育問題もあろうかと思いますけれども、二番目には雇用保険に相当する財源の確保の問題、三番目は職員縮小の中で輸送の安全性確保の問題、こういう三点が挙げられるわけでございますけれども、四月十六日の本委員会における答弁の中では、「要調整人員が膨大であることにかんがみ、政府の各機関はもとより、地方公共団体、さらには一般産業界に」「できる限りの協力を要請した」と述べられているわけでございます。こういう中で、質問の一でございますけれども監理委員会が協力を要請された各界の反応なり対応はどのようなものであるのか、さらに、要請の際に具体的な職員数をもって申し入れをされた事実があるのかどうか、まず一点はこの点でございますが、伺いたいと思います。
  66. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 雇用対策といいますか、雇用の場の確保というのは非常に大切でございまして、知事会の方あるいは市長会の方にも、限られた少数でございますが、そのほかにも私の知り合いを通じまして、いろいろな方法でそういう場合には協力をお願いをしますということを言っております。まだ決まっていないことでありますから、決まれば具体的に御相談に乗りましょうというふうになっておりますし、政府の方にも、昨年の第二次答申を出しましたときにも、総理に、雇用問題というのは非常に大事ですよ、ですからこれはやっぱり国の行政機関、そういうところが先頭に立って受け入れ態勢ということもお願いしたいと言ったら、総理も、もっともである、自分も真剣に考えるということになっております。  それから、産業界につきましては、経団連とか日経連、私も関係をしておりますので、そういうのに個々にお願いをしておりますし、また答申後には全国経営者団体とか経済団体にも全部行脚をいたしまして、具体的にどういう人が採っていただけるかというふうなことを御相談をしたい、そういう努力を続けたいというふうに思っております。
  67. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほども質問がございましたけれども、質問の二でございますが、全国知事会の会長である鈴木東京都知事が、自治体としても行革中であり、受け入れは困難である旨の発言をされております。受け入れについては、あくまで話し合いによる要請で進めていくのか、あるいは受け入れについても何らかの法的な措置が必要であるのか、この点はいかがでございますか。
  68. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) こういう具体的な私ども一つの構図をかきまして、そしてそれを法律化してやることが必要であるのか、そういうことが必要ではないかという意見の方もおります。あるいは答申とこの事態を認識されたら協力の方も出てくるかもしれません。そういうあたりのことは政府の御判断に任せたらどうであろうかというふうに思っております。
  69. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 質問の第三でございますけれども、第二次緊急提言では、「まず国鉄関連の企業の最大限の協力を求める必要がありこと指摘をされて、その後具体的な出向が始まっております。しかし、国鉄関連企業は、私の考えているところではわずか百十社程度ではないか、こういうふうに思うわけなんですけれども、この関連企業へどの程度の移行が可能とお考えになっているのか、 この点を伺いたいと思います。
  70. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 関連企業にも、もちろん今までも総裁以下いろいろ協力をいただきましてやっておられますけれども、そう大きな数は、そこにも実際は働いておる人がおるわけでして、そこも合理化を進めておられますから、そうたくさんの余地はないんですけれども、できる限りの協力はひとつお願いをしたい、こういうふうに思っております。
  71. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 こういうふうに考えておりますと、余剰人員職員の方々に対する対応というものが非常にやはり分割された後も大変なことがある、そしていろんな努力も本当に必要だなということを感じるわけでございます。こういうふうな面についても、やはり今後一生懸命監理委員会としては関係各方面に全力を挙げていかなければ大変だなと感じておりますので、どうか努力をしていただきたいと思います。  質問の四でございますけれども、鉄道公安制度の存否についてはどのようにお考えになっているのか伺いたいのでございますが、本委員会における参考人質疑の際に、交通評論家の角本良平さんだと思いますけれども、みずからの体験で、イタリアの鉄道で暴力すりに遭遇した話が出てまいりました。こういうふうに、交通にとって世界的で最大の問題はやはり安全性であると主張をされておられたわけでございます。そういう意味で、この鉄道公安制度というものがもし廃止をされるのであれば、それにかわる鉄道治安制度、どういうものをお考えになっていらっしゃるのか、こういう点もお願いしたいと思います。
  72. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私どもの今の路線でございますと、民営化ということで株式会社になります。そうすると、株式会社職員が強制捜査権とかそういうふうなものを持つということは、今の法体制においてはなじまないということになりますので、この公安官というのも、これは俗称だそうでありまして、公安制度だそうでございますが、したがいまして、そういうところの建前をどういうふうにするか。しかし、やはり先生がおっしゃいましたように、ああいう公共機関の中での防犯であるとかあるいは検挙というようなことも必要でありましょうから、そこはどういうふうにやったらいいかということを現在関係の当局といろいろ協議中というところでございます。
  73. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、雇用保険に相当する財源でございますけれども、転換のためには教育資金とかいろいろ必要だと思います。六月七日の衆議院の運輸委員会では委員長もその点もお認めのようでございますけれども、その財源の確保の方途、こういう中での具体的な意見、これはいかがでございますか。
  74. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 財源をいろいろ検討いたしまして、雇用保険を掛けていない者に雇用保険を支給する、中には半年だけ掛けておいてもらったらどうか、そんなばかなこともできないわけでございまして、やはり国鉄の現在の中から借金という形ででもこれはどうしても、そういう余剰対策のある期間の生活保障の問題であるとか教育訓練に要する費用であるとか、あるいは転換のための移住の費用であるとか、そういうものは、やはり清算法人たる国鉄というところで借金をしてでも賄っていく、こういうことが必要であろうというふうに思っております。
  75. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では最後にもう一問御質問いたしますが、長期債務の問題でございますけれども、六十五年度当初段階における累積債務の総額は、潜在的なものを含めて三十五兆円、大体こういうふうな想定をされているわけでございます。  この累積債務処理のパターンといたしましては、一つは、前からお話がございますように、新経営体が継承負担するもの、二番目には、遊休資産等の売却によって返済するもの、三番目には、政府、すなわち国民が負担するもの、この三通りの方法が示されてまいりました。これが最近では、大体五兆は棚上げとして、十兆、十兆、十兆という形というふうなお話もあったわけでございますが、三番目の政府、国民が負担するものというものが十兆円近くから十五、六兆円、大方二十兆円近くになるのではないか、こういうふうな懸念もされているわけであります。この累積債務の問題について、大体この三点、どういうふうに現時点では明確に分担の割合を考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  76. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 累積債務の問題、三十五、六兆と申し上げましたんですが、いろいろ精査をしておりますと、例えば、上越新幹線というものも現在国鉄は鉄建公団から借金をしている、こういうものもこの機会に制度がある限りは引き受けなきゃいかぬじゃないかとか、あるいは鉄建公団に頼んでやった成田線とか京葉線というものも、こういう債務はなぎなきゃいかぬ、そうすると大体三十六兆ぐらいになりそうでございます。これをどういうふうに処理するかということで、まあ三原則といいますか、前から申し上げておりますように、新幹線保有主体という一つのアイデアが出てきまして、それと、それから六つの会社でございますけれども三つ会社はこれは負担できませんので、あとの本州三つ会社新幹線保有主体がその資産に見合う借金は背負う、これが十兆を少し超えるような額でいけるんじゃないだろうか。  その次が遊休資産の処分、これは国鉄は三兆しか売れないと言っておりますけれども、私どもいろいろ現在までできる限りの精査をいたしましたが、まあその倍程度ぐらいまでは可能性があるのではないか。先般も総務庁がいろいろ指摘をしておりますように、いろいろ具体性がある。それから、新しく六つの会社ができますと、貨物も入れたら七つになりますけれども、それに資本金を設定いたします。これは設立委員会でお決めになることなんですが、これがだんだん配当もできる段階になれば、この株が一般に、民間に公開ということでこれが入ってくる。こういうことを含めるということでございまして、そういうことでどれぐらい埋められるかということでございますけれども、まあ、これが六、七兆というふうなことじゃないかと思います。  そうすると、残りを結局は旧国鉄債務処理をしていくということになりますと、結局、国民の財産である処分ということは、マイナスの財産も間接には国民の負担ということになりますが、これについてはできるだけ長期的に、大きなショックの起こらない方法で何とか処理をしなきゃいかぬということで、いろいろ現在関係御当局とも相談しながら知恵を絞っておるという段階でございまして、今まで五兆三千億の棚上げがあったではないかと言いますけれども、これもやっぱり、あれは棚上げであっても借金は返すという約束があるんだそうでございます。それも総括して、十数兆のものはそういう格好の処分をしなきゃいかぬだろう。この数字を現在いろいろな角度から、できるだけ国民負担というものを軽減できないかという面から鋭意詰めておるという段階でございます。
  77. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 分割民営ということになりますと、それぞれの会社は関連事業が自由にできるということになりますね。大手の東急なんか見ますと、鉄道部門では事業全体の三分の一程度、あとは不動産とかレジャー産業、そういうふうになっていると思うんです。そこで、監理委員会としては、分割民営化された場合にそういうものを考えていらっしゃるのか、それとも、鉄道部門だけで採算を合わせるようにということで成り立っていくというふうにお考えになっているか、簡単にお答えいただきたい。
  78. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まず、私ども経営計画は、鉄道自体でバランスのとれるということにいたしまして、それから、法律が改正になりましてそれぞれの会社がもっと事業範囲を民鉄並みに拡大できるということになれば、それだけはその企業のプラスになってくる。そういう意味におきまして、余剰人員対策においても、そういうことに従事できるような人の余裕を持たせよう、こういう考えでやっております。
  79. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういたしますと、鉄道部門だ けでということになりますと、線路、路盤とか駅舎だとか、そういうものは、払い下げといいますか、出すわけですよね。関連産業もお考えになっているとおっしゃいましたよね。そうしますと、関連産業というのは土地がなかったらできませんね。関連産業というものも考えているとおっしゃるからには、それじゃ、関連産業に必要な土地というものも出すというふうな、土地の確保ということも頭に置いてお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  80. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) その点非常に難しい問題でございますが、結局、債務処理するのに国民負担をできるだけ軽減しなきゃいかぬということでは、やはり今余っておる土地と思われるものはできるだけ処分をしてその債務処理に充てる。新しい会社で新規事業には土地が要るじゃないかと言いますけれども、今考えても、私ども素人でございましても、国鉄の駅というのは非常にプラットホームでも大きいですね、それから駅の関連の土地というふうなものも非常に余裕がございます。そういうものを活用すれば相当のいろいろ事業ができる余地が中にはたくさんあるのではないか、私はこういうふうに思っております。
  81. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 素人でございますなんて言われちゃ困るんですよね、亀井さんも大きな権限を持って国鉄の問題を取り上げているんだから。  それじゃ、時間があれですから次に移ります。  地方交通線の問題、先ほどもちょっとおっしゃいましたけれども地方交通線の九十線については残して活性化していくというお考えになりましたね。初めとちょっと考え方が変わりました。そうしますと、北海道四国九州本州の一部のように、明らかに赤字で出るところがもうはっきりしていますね。北海道なんか特にわかりやすいと思うんですけれども、そういうところも活性化させて残すということでやっていけるかどうかという問題ですね。経営状態がうまくいかない、輸送量が伸びないというようなことで結果的には廃止されていくという懸念があるわけですよね。当初はいいけれども、新会社になって輸送量がありません、経営赤字です、そうしたらもうこんなものはやっていけませんといって切られればそれっきりになるわけですよね。  亀井さんが先ほどからおっしゃっているように、九十線は残すんだということは、それはもう必ず残すように、そのためのいろいろな手だても努力も考えて残すんだと、こうおっしゃっているのか、その辺のところ、あとは知らないよ、初めだけだよというのかどうか、はっきりさせてください。
  82. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私どもは残すという方針でございます。そして、スタートにおいて九十線はそれぞれの会社が地域ごとに抱える。民営になりますと、やはりその地区地区の人は自分たちの鉄道だという考え方に変わってくると思うんですね。今までのような、乗せてやる、運んでやるということじゃなくて、やはり地域のニーズに合ったきめ細かいダイヤをやるとか、みんなが自分たちのものだからやろうと、こういう雰囲気に変えていただくというのは、地域の方々の熱意と、それから新しい経営をするその経営者あるいは職員の人の意気込みというものに私はかかってくると思います。  せっかくそこへ勤めた人は、つぶしてはいかぬという気持ちになると思うんです。また地域の方も、残してもらったんだから、今までは雨の日だけ乗るのをやっぱり天気の日もマイカーをやめて鉄道を使おうじゃないか、こういうことになって、相乗効果でよくなってくるということを私どもは期待をしておるということであります。
  83. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 期待はいいんですよね。今までだって残そうと一生懸命やっていることは事実だし、国鉄自身の職員も一生懸命やっている。今おっしゃったような、そういう雰囲気ができますとかそういう期待ができるんだというのは非常に甘いんですよね。私は心配なんです。だから具体的に私は聞いたんですよ。  そういうことで、九十線残すと格好いいことをおっしゃっているけれども、残すということの保証があるのかどうか、そういうものの条件が全部だめだったらそれは切ってもしょうがない、廃止になってもしょうがないという結論になるのか、そこのところを具体的にはっきりさせてください。
  84. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私は雰囲気とは申しません。現実に三陸鉄道とか樽見鉄道というのは、これは別の形でございますけれども本当に活性化されておる、地域の人が大事にしておる。そういうことがそれぞれの鉄道で機運が上がれば非常に結構だ。そういう雰囲気はまた、現場の駅長さんとかいろいろな方から意見を聞きますと、そういう意見を皆率直に申されるわけです。そういうことで私どもは自信を持っておりますし、まだこれからの経営計画においては、それぐらいの赤字地方交通線は、やはりそれぞれによって幹線へのフィーダー効果を持つという格好から抱えていけるというふうに確信を持っております。
  85. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何度も言いますけれども、確信を持つのはいいんですよ、確信を持つのは何ぼ持ってもいいの。だけれども、それが具体的に三陸鉄道とおっしゃったけれども、今もこっちから声が出ていたけれども、やっぱりそういう特殊な問題を一つの問題として、じゃ北海道の中で努力したらそういうあなたの確信が具体的になるかどうかということを聞いているんです。確信を持つのは結構、どうぞお持ちください。だけれども、だめにならないという保証、この保証について私は聞いているんです。九十線残すといいことおっしゃるなら、残すだけの手だてを考えておっしゃったのか。確信はいいですから、その辺どうですか。
  86. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 北海道について言いますと、具体的には、北海道が応分に今長期債務を割り振られておるのはこれは全部免除する、資産は結局ただでもらうという格好になるわけですね。それから人は相当の合理化をやっていただく。それでも赤が出ます。これにはやはり基金という、まあ持参金というふうなもので、その金利運用で赤は消して、とにかく今の特定地方交通線を除いた地方交通線を抱きかかえて収支とんとんというところの経営計画になるような現在策定をしておりますから、御安心をいただきたいと思います。
  87. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御安心いただきたいとじゃ、もう大丈夫やっていける、やっていけないときはそれなりの面倒を見る。あなた確認しても、二年後にさよならになっちゃうわけでしょう。だからその辺のところ大丈夫かと。私、北海道だけお聞きしておくと言っているんじゃない、ほか全部そうですよ、九州だって四国だって本州だってね。じゃ、それは確信を持ってその九十線については手だてをいたしまして御心配ありません、こういうことですね、今のお答えだと。
  88. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そのとおりであります。
  89. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あっさりそのとおりなんて言ったって、なくなったときに困るのは私たちなんですからね、本当に。  次に長期債務について伺いますけれども、先ほど長期債務は大体三十六兆というふうにおっしゃった。もうこの段階では相当煮詰まっていると思うんですけれども、潜在的債務とよくおっしゃいますよね、その潜在的債務の中身としては年金六兆円とか、それから退職金二兆円というふうに述べられているわけです。そうしますと、時間がありませんから退職金という問題だけ伺いたいと思うんです。退職金というものの二兆円というのは平均にして何人くらい分として算定されたのか、二兆円の算定の基礎ですよね。そして、その二兆円というのは三十六兆の債務の中に入っているのか、そのほかの問題なのか、その辺について伺いたいと思います。
  90. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 退職金の問題につきましては、現在のこれは公務員等の退職手当金規定がございます。今まで勤続された方があるわけですね、それの今度は六十二年の四月から新体制にかわった場合で、新会社は今度はそこから新しい退職金負担ということを計算していく、そこまでの 退職金は保証してあげなきゃいかぬ、そういう想定される、そういう法律に基づき、それから現在の勤続年数、それから現在の基礎になる給与、そういうものをトータルした結果が大体その見当になる、こういうことであります。
  91. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、二兆円というのは大体のそのトータルでは何人ぐらいの対象になりますか。
  92. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 現在在職が約三十万人でございますから、三十万人にはそれぞれ勤続に応じて退職金の権利というのは発生しておるわけですね、それの総トータル、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  93. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、今まで国鉄で働いてきた人は、新会社になったときには、国鉄で働いていた今までの分は国鉄で退職金を一たんもらって、そして新会社へ行って新しくまた別に積み立てるのか、それとも国鉄から引き続いてその退職金に見合う分を新会社に出すという保証をして、そして通年して新会社まで持っていって退職金を出すのか、その辺はどういう考えですか。
  94. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そこらも今詰めておるところでございますが、例えばAという人が国鉄に十年勤めて、そして新しい会社に五年勤めてやめたという場合に、その退職金をもらうのは通算して十五年目にもらえばいいわけですね。ですから、そのときに、もう今回一時払いで精算する、これは社会ではそういう例もございます。それから今度は、その債務を新会社に引き継がせるといいますか、金を渡しておいて退職のときにもらうか、その辺はどういう方法がベターかを現在詰めておる。これは資金繰りの関係もありますし、いろいろそういうことで、そういう当然の期待権というものを、ここで会社だめになったんだから退職金もありませんよ、こういうことは絶対できない、こういう建前で計算をしています。
  95. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、その退職金の二兆円というのは潜在的債務という三十六兆の中に入っているんですか、外で考えるんですか。
  96. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) もちろん三十六兆の中に計算、織り込み済みであります。
  97. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に青函トンネルの問題について伺いたいと思うんです。  青函トンネルが開通しますと連絡船は切っちゃうというふうにおっしゃったわけです。監理委員会としては、資本費を分割企業体が負担することは困難であるというふうにおっしゃった。また、その資本費負担を除いた運営ベースでも、将来の輸送需要から見て、これら大規模プロジェクトの採算性を図るのは容易でない、四月の十六日ですよね、亀井さんそうおっしゃったわけですよね。そこで伺いたいんですけれども監理委員会として、運営するのは北海道分割会社というふうに考えていらっしゃるんでしょうか、第一の問題。
  98. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 青函トンネルは六十二年四月にできますが、私どもとしては、できればやはりこれは北海道の地続きとして北海道会社が運営するのが適当ではないかと考えておりますが、ただ、その資本費負担につきましては、これは前のこの参議院運輸委員会でも決議がございますように、新しい経営体にこれを負担させてはとてもいけないということでございますから、これは別途、ですから、先ほど申し上げましたように、長期債務の中へこれも繰り込んで大きく処理をする、こういうふうに考えております。
  99. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは資本費ではなくて、ずっとこれから続けていく運営費についても補償するというんですか。それとも、運営ということになりますとなかなかこれ大変ですよね。やっぱり資本費を出してもらったって運営で赤字が出てくるだろうというのは当然おっしゃっていることですからね。そうしますと、北海道分割会社がこれを引き受けた、資本費は出してもらえる、だけれども、運営するのにお金が赤字になってくると北海道分割会社赤字というのはふえるわけですよね。青函がなくなっちゃうんだから、船はね、そうすると、そのトンネルをずっと使う運営で赤字が出た場合にも、北海道分割会社にその運営費もちゃんと補償する、考えるというふうに理解していいんですか。
  100. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま、北海道会社経営計画については、そういう面についても、運営費というのはトンネルの維持とかあるいはそれの運営でございますが、乗客がどれぐらいになるかという見通しは、青函連絡船程度の人が乗るという想定のもとでの赤字というものは十分償えるような経営計画というふうに策定をしております。
  101. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 簡単におっしゃいますけれども、大変なものですね、お金を出すのは。亀井さんは何とか考えるよ、出すよとおっしゃつたって、出すところがうんと言わなかったら出ないんですからね。だから、おたくの感触で、こういうような三十六兆からの長期債務というものはまずまず解決できる、大蔵当局も大丈夫、これはもう閣議決定もしてということで大丈夫だというような財政当局との接触だとか、それから、今後ともそういうことについて自信を持って、先ほどから簡単に面倒見るとおっしゃったけれどもね、面倒見るとおっしゃっているからには相当裏がある、きちっと確保されているんだなというふうに考えるわけですけれども、その確信の点ですよね。口でだけ確信を持たれても困るわけだわね、実際必要なのはお金ですから。  だからその辺について、財政当局との折衝だとかそういう問題について大丈夫だ、心配要りません、北海道の連絡船がなくなってもトンネル通しますよ、そして地方自治体に対しても、これも一つ質問なんだけれども、地方自治体に対しても、分割民営になった場合に地方自治体としての財政負担というのはどう考えていらっしゃるのかということですよね。知事さんもいやだと、財政負担するんならもう御免だよというのが大多数ですからね。だから、財政の問題で当局との関係でどれだけあなたの確信というものが保障されているのかどうか、その辺。  それから、地方自治体に対しても、分割民営会社に自治体としての大きな負担をかけるということがないというふうに言い切れるのかどうか。  そして三点目に、先ほどから、もう何回もいらしたとおっしゃるけれども、何回もといったって時間にすれば大したことないですよね、そして中身にすればなお大したことがないんです。だから、私たちとしては、本当に国会が国権の最高機関であるならば、当然もりと尊重して、中身のある十分な審議というものをしたかったと思うんですよね。この間知事さんなんかに聞いても、聞かれていないと皆さんおっしゃった。この間ちょっとお聞きになりましたね、鈴木さんだとか紋別の金田市長さん、あれよく知っているんだけれども、今さら聞かれてもという空気が多かったと。そこで最後には、随分手おくれしちゃったんだけれども、各党としてのこれの問題に対する見解などを謙虚に聞こうというお気持ちはありますか。私は当然聞くべきだと思いますが、その点最後に伺って質問を終わります。
  102. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 地方自治体にさらに負担をかけないかというお話でございますけれども、これは、こういうことによって負担をかけるということは私はないと思いますが、ただ、新しい制度に変わりますと、今度は今まで納付金であったのが固定資産税というふうに変わってくる。しかし、それはある期間その新企業が軌道に乗るまではやはり納付金程度で我慢していただくとか、そういうことはお願いをしなきゃいかぬじゃないか、こういうふうに思っております。  それから、公にいろいろ聞くというのもございますけれども、個々には私は随分いろいろな知事さん、市長さん、あるいは金田市長さんにも、公式の場で会ったのは初めてなんですが、その前にも何遍もお目にかかっていろいろ聞いております。まあ限られた時間の中で、なってないじゃないかと言われる批判もあると思いますけれども、私としましてはできるだけの時間で努力をしてきたつもりでございます。  それから、各党の意見というものでございます けれども、もう何分時間が切迫しておりますので、恐らくそれだけの時間の余裕ができるかどうかは私はわからないと思っておりますけれども、国会に出ましたら、皆様方やはりその各党を代表して御質問なり御意見を述べておられると思うので、これは何回か聞いてきておりますから、各党のお考えの所在はどこであり、どういう方角をねらっておるかということも十分私は察知をしておるというつもりでございます。
  103. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 財政、確信がある、その裏づけの感触。
  104. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) それから財政の問題については、これは非常に難しい問題で、これは単に一財務当局だけで胸をたたいてオーケーと言われる問題ではないと思いますので、政府関係機関といろいろ練りながら、何とかできるだけこの際国民負担に大きなショックのないよう軽減するベストな方法はないかということで今鋭意努力をしておるという段階でございまして、答申までには何とかの結論を得たいというふうに思っております。
  105. 三治重信

    三治重信君 国鉄監理委員会最終答申の場面に当たられて大変御苦労、非常に感謝を申し上げます。  私たち民社党は、臨調で初め出された分割民営化ということについて賛成、結論からいくと賛成。というのは、国鉄が二兆円からの経常赤字をずっと出して、今のままでいくとこれを解消するめどが立たぬ。やはり国民にこういう二兆円にわたる経常赤字負担をそのままにしていくわけにはいかぬ、それを解消する方法はどういうことか、こういうことを我々もいろいろ検討した結果、黒字の電電と違って、赤字の解消策というとやはり分割民営化しかないんじゃないかということにおいて原則的に賛成をしているわけなんですが、いざ分割ということになってくるといろいろな問題が出てくるということについては我々も十分審議を尽くしてやっていきたい、こういうふうに思っております。  そこで、まず第一に、こういうふうな分割をやると、建設途中になっている地方線なんかをどうしていくか。まあ新幹線などは自民党の方でまたつくるというやつを、いや待ってくれと、こう言われて今待っているわけですが、こういうようなものに対する態度も、国鉄新幹線リースにするということになってくると、今度はまた、リースなら旧国鉄の方でまた借りていって投資すればいいじゃないか、新幹線は、もとは分割会社は運営だけでやるんだから、建設の方は旧会社でできるじゃないかというふうな関係が新幹線について出てくる。それから、旧線では、地方ではまだ鉄建公団なんかで建設途中なのがある。そういうようなものに対する態度も今度は答申の中にきちんと盛り込んでいただけるのかどうか。
  106. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 現在鉄建公団で建設中の例えば内山線とかそういうふうなものは、国鉄が引き取って経営するという約束のもとに進んでおるものは当然今度は具体的に明示いたしまして、それはそれぞれの新しい会社が引き受けて経営するということを明記するつもりでございます。  それから、整備新幹線の問題につきましては、何回かごの国会でも御答弁申し上げましたように、私どもは、現在ある姿の国鉄をどう再建するかということでありまして、整備新幹線というのは二十一世紀に向けての国民の希望であり、夢である。しかしこれは膨大な投資を必要とするものであり、そういうものについての国民の選択と負担、あるいは受益と負担という判断の問題でありまして、トップにおいての御決断の問題ではないか、こういうふうに思っております。
  107. 三治重信

    三治重信君 それから、貨物の取り扱いを注目していたんですが、新しく全国的なやつというのは、そうすると貨物の貨車なんかは新会社が持つというふうに、まあリースの制度が出ていないからそう思うんだが、そうすると結局、貨車の入れかえの各地区のやつと、それから貨物駅の取り扱い、貨物駅も大分まだ整理せぬと新会社になっても貨物のやつはできない。だから、そういう貨車の入れかえ地の管理の問題と、それから、何というんですか、貨物駅を点々として整理をしていくというと、それだけではいかぬから、貨物をおろしたのを分配していく、そこの配分、それから荷物を集める、そういう運輸会社との関係を整備していかぬと実際うまくいかぬだろうと思うんですが、そういうのは貨物の新会社で軒下から軒下まで収集し、配達する、そういう機能まで全部持たしてやるのか、それはもう民間会社との連携でやれ、こういうふうな形なのか。  貨物の一本の会社の将来を考えると、私は、国鉄新幹線幹線を残して国がある程度面倒を見ていくというのは、やはり貨物輸送なりそういういざというときの輸送力の確保というのが非常に一つの線として重要じゃないかと思うんですが、それが貨物会社が持つ、こういうふうになって、一つ国鉄機能として有力なものが残ると思っているんですが、そういう営業上の問題はどういうふうになるんですか。
  108. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 貨物につきましては、現在国鉄当局といろいろ細部について協議検討中でございますが、基本原則として、今まで旅客貨物というのはどんぶり勘定になっていまして、本当のコストというものが割り切られていないということもありましたので、今回私どものアイデアは、これからの貨物輸送というのはコンテナ中心になる。そしてコンテナを中心にした全国一本の会社にいたしまして、今は国鉄の荷物というのは、行きは荷物を積んでおっても帰りは空で来るというふうな状態が非常に多い、効率が非常に悪い。そういう点もありますので、これをやはり貨物輸送会社という格好にしまして、そして機関車なり貨車、コンテナ、それから必要な貨物駅というふうなものはその会社保有するが、全体としてのレールは旅客会社のレールを借用するという格好で運営したらどうか。  しかし、一番の問題は、先生御指摘のように、集貨機能というものが、今までは、持ってこい、運んでやるという立場だったんですが、この辺のところをやっぱり根本的に変える必要があるんじゃないか。しかし一挙にそれといっても、ノーハウございませんから、やはりそういうところには運輸会社のいろいろ経営のアドバイスをいただくとか、あるいは参画をしていただくとか、それをどういうふうにしたらいいかというふうなことは、現在国鉄当局と、いろいろ専門家と技術的に詰めて成案を作成中でございます。
  109. 三治重信

    三治重信君 それから余剰人員の失業対策なんですが、マスコミの方で見ると、これは旧国鉄の方で、清算会社の方でやるような案になっているんです。形としてはそういうことになるかと思うんですが、これはやはり旧会社とは別途に失業対策はぜひ機構をつくってやってもらいたい。何か残務整理の仕事みたいにとられるのは、私は、失業対策として、観念上もその中に入れられるのはよくないだろうと思うんです。やはり最優先的に失業対策をやっていく、政府国鉄もやっていく、旧会社が最終的には責任を持つ、その処理の中へ入れるのもやむを得ぬと思うんですが、これはぜひひとつ新機構を設けてやるようにしていただきたいと思う。  と同時に、何といいますか、整理する人員と新会社に引き継ぐ区分を明確にして、それはある程度若干の、二割ということをおっしゃっているんですが、二割の余剰人員をつけるというのも、それはどういうことか。新会社も大変だと思うんですけれども、新会社へ移す人と余剰人員というものとはっきり区別して、そしてその余剰人員をかっちりした失業対策の対象に入れる、こういうことをよっぽどしっかりやってもらわぬと人員の配分が混乱をする、こういうふうに思うんです。  そして、この雇用対策をやる方については、大分輪郭が出てきたんですが、これはむしろ国鉄そのものより政府全体、運輸省というようなものがやはり失業対策というものをもっとしっかり積極的にやって、私はこれについては国の税金を使って結構だと思う。あらゆるところにおいて、産業構造の変更による余剰人員対策や失業対策という のは、これは税金を使ってやるのに十分な理由がある。そういうのに金を惜しむというのは、借金の後始末に利子補給とか何か金を出すよりか僕はよっぽど大義名分があると思っておりますから、その点ははっきりひとつ書いてほしいと思います。  それから、私はきょうは臨時で出てきたんですが、地方行政委員会で民営化の電電公社のやつでやって、三年間定額にして、三年後には一般民間会社並みの地方税を取る、こういうふうなことで法案ができて妥協したわけなんですが、今お話だと、さらにそれよりか地方税を徴収するのは延ばしてほしい、こういうような意向のようですから、それはそれではっきり書いていただかないと、政府の法案の処理の仕方で、地方自治体の方は、民間なら地方税を電電公社並みにやるのが当然だという線が必ず出てくると思うんです。そこはひとつ国鉄監理委員会の方で、政府が立法化する場合に、地方税の取り扱いも、監理委員会としてはこういうふうな考え方だ、こういうことをはっきりしてやっていただきたいと思うんです。  以上をもって質問を終わります。
  110. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 非常に貴重な御助言をいただきましてありがとうございます。  余剰人員対策問題につきましては、国鉄がもちろん主体にならなきゃいけませんけれども、やはり政府を挙げて対策を立てていただくというふうな機構も考えていくように努力をしたいと思いますし、それに必要な立法があれば、これは労働省の方々ともよく相談いたしましてそういう措置の努力もしたいと思います。  それから今の納付金問題につきましても、やはり経営のめどが立つまでということで、この期間につきましても現在検討中でございますが、私ども答申にははっきり明記するようにいたしたいというふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  111. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 以上をもちまして、亀井参考人に対する質疑は終了いたしました。  亀井参考人におかれましては、お忙しい中を本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ————◇—————    午後一時一分開会
  112. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  日本国有鉄道総裁から就任のあいさつがあります。杉浦国鉄総裁
  113. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 私、六月の二十五日付をもちまして日本国有鉄道総裁を命ぜられました杉浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、これまでも運輸省におきまして国鉄と関係のあるお仕事を多くさせていただいたわけでございますが、国鉄問題の大変難しいということにつきましてもかなり承知しておるつもりでございます。しかし、国鉄再建のまさに正念場に差しかかっているこの時期に総裁をお引き受けすることになりましたことは、本当に身の引き締まる思いがいたす次第でございます。  国鉄再建につきましては、これまでも何回かの再建計画が策定され、実施に移されましたが、いずれも曙光を見ることができずに終わってしまいましたことは御承知のとおりでございます。こうした状況の中で、現在、国鉄再建監理委員会におきまして、国鉄再建のための抜本策を鋭意御検討いただいております。私といたしましては、この国鉄再建監理委員会と密接な連携をとりまして御意見を申し上げたいと思いますが、近く出されるであろう答申についてその具体化を図っていくことが、必ずや国鉄再建の道へつながるものと考える次第でございます。  また、職場規律、フロントサービスの問題等につきまして、国鉄に対しまして一般国民からの御批判がなお多く寄せられているという状況であることも承知いたしております。これに対しまして、国鉄がみずから正すべきものを正し、国民の皆様方の目の前に、国鉄が役職員一同一生懸命努力をしているという姿をまず示すことが大切であるというふうに考えております。私みずから先頭に立ちまして頑張ってまいる決意を固めておる次第でございます。  今後、国鉄再建を具体的に推進していくに当たりましては、幾多の困難な問題があろうかと思います。もちろん、国鉄自身で解決をしなければならない問題につきましては、どんなに困難があろうともこれを乗り越えて解決を図っていく所存でございますが、どうしても今後政府全体のお力を得、また国会の諸先生の強力な御支援なくしては解決のできない問題も多かろうと思います。こうした点につきましてどうぞ今後ともよろしく御支援、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。  就任に当たりまして、簡単ではございますが、一言ごあいさつを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  114. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 杉浦総裁、結構でございます。     —————————————
  115. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件を議題といたします。  この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。各参考人におかれましては、国鉄問題に関する件につきまして、それぞれ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。  次に、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、北村参考人奥田参考人片桐参考人の順で、お一人二十分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、北村参考人からお願いいたします。北村参考人
  116. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 青森県知事北村でございます。  参議院運輸委員会出席をいたしまして国鉄問題に関して意見を申し上げる機会を与えていただきましたことを、まずもって感謝申し上げたいと思います。  青森県は、国鉄とのかかわりにおいて、現在幾多の解決を迫られている課題を持っております。県民の悲願となっております東北新幹線盛岡以北の本格着工、国家的事業として建設が進められている青函トンネルの有効活用の問題、青函トンネルの完成に伴う青函連絡船の存廃問題あるいは奥羽本線の複線化等がその主なるものであります。その他、地方交通線につきましては、本県内路線のうち、第一次特定地方交通線として黒石線、大畑線が選定されたのでありますが、この二路線につきましては、黒石線は五十九年十一月一日から、大畑線は六十年七月一日からそれぞれ地方鉄道へ転換し、現在順調に運営されているところであります。  この間、私もまた特定地方交通線対策協議会の構成員といたしまして協議に参画いたしたのでありますが、審議の過程を通じて最も強く感じましたことは、地域の人々の鉄道の存続に寄せる熱意がいかに大きいかということであります。と同時に、国鉄が地域の産業経済の発展と地域社会の生活基盤の安定に大変に大きな役割を果たしてきているということであります。このことがまた、地元としてはバスヘの転換を求めずに地方鉄道としての路線の存続を選択したというゆえんでもあります。このことは、特に積雪地帯という特殊事情 が大きな背景をなしているということも考えられます。  現在、国におかれましては、国鉄再建監理委員会中心として、国鉄分割民営を基本に据えて、経営形態のあり方について御検討が続けられ、最近の報道によりますと、全国を六ブロックに分割することで最終答申の骨格を固めたとされております。マイカー、トラック、航空機などの輸送構造の変化、さらにはまた、国鉄の抱えております膨大な赤字考え、国民の足である鉄道を将来にわたって存続させるということを念頭、に置いた場合、分割民営の方法も理解できなくはないのでありますが、報道されております限りの内容では、次の点について心配されるところであります。  すなわち、第一点は、分割会社が営利本位の経営手法をとることによって、大都市圏旅客輸送、地方主要都市圏旅客輸送及び既設新幹線輸送が中心となり、将来的に地方交通線分割会社経営を圧迫することを理由として切り捨てになるおそれがあるのではないか、こういう心配であります。  このことにつきましては、五十九年八月十日の国鉄再建監理委員会の第二次提言におきまして、「バスヘの転換等が予定されている路線以外の約七千キロメートル弱の地方交通線についても、第一次提言の方向に沿って国鉄からの分離を積極的に推進すべきであり、このため、例えば分離の実現可能性の高いと見られる路線をモデル線区として選定し、具体的に譲渡又は貸付条件の検討を行うとともに、地元地方公共団体、関係交通事業者等と協議し実現を図るなどその推進の端緒を早急に開くべきである。」と提言されておるわけでありまして、さらに、六十年一月十日の国鉄から提出されました「経営改革のための基本方策」におきましても、特定地方交通線昭和六十一年度末までにすべて転換を図る。昭和六十二年から六十四年度までに、その他の地方交通線九十線区のうち、七十線区を国鉄全額出資の株式会社とし、分離経営する、こう示されているのでありまして、不採算路線であることを理由として切り捨てが今後絶対にないとは言い切れないことだと思われるのであります。  第二点として申し上げたいのは、国鉄経営形態変更に伴う長期債務等の処理に関する主要な措置方法については、臨調答申あるいは監理委員会の提言において触れられているのでありますが、分割会社が将来その経営において債務が発生した場合の取り扱いにつきまして、明快な方針が示されていないのであります。分割民営に際しては、将来にわたって債務が発生しない方法を選択されることではありましょうが、仮に発生したとしても、その債務は地方に転嫁することがあってはならないことであり、債務処理に関する責任を明確にされることをお願いしたいのであります。  第三点として、本州が三分割された場合、全国交通ネットワークが旅客へのサービスを低下させることなくスムーズに確保できるのであろうか、こういう点であります。一例として申し上げるのでありますが、青森県の場合は、青森と大阪の間に特急「日本海」なるものが運転されているのでありますが、この列車は、分割された場合、東日本、東海、西日本三つ会社の区域を通過することになるようであります。この列車は、御利用いただくとわかるのでありますが、北海道東北地方と関西方面を直接につなぐ唯一の列車でありまして、修学旅行など大変多くの利用者がこれを利用している非常に歴史のある、親しみのある、まさに国鉄としての機能を十分生かした列車であると私は見ているのであります。  新しい会社が採算性を追求する余り合理化に急ぎ過ぎ、加えて新会社同士の経営方針のそご等から、切り捨てなどがゆめゆめないことを願うものであります。  以上、限られた資料や情報等から分割民営に関しての私なりの考えを申し述べさせていただいたのでありますが、ここでお願い申し上げたいことは、国鉄分割民営はまさに世紀の大手術であります。これをもし断行するとするならば、その手術は完全無欠でなければならないと思うのであります。まずくいったということでもう一回手術をし直すというようなことは、そういう事態はあってはならないと考えるのであります。  さらに、三十六兆円という債務処理は、国が負担するにしろ新会社負担するにしろ、結局は国民の負担に帰結することは明白であります。国鉄経営形態を変えるに当たっては、国民の理解を得るための配慮あるいは努力を怠ってはならない、こういうふうに考えるわけであります。  次に一私どもにとりまして最も大きい関心事であります整備新幹線問題について一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。  御承知のところでありますが、整備新幹線は、昭和四十七年に計画、昭和四十八年に整備計画が決定されまして以来、既にここに十数年を経過いたしました。その間、五十三年十月には、「整備五新幹線の具体的実施方法について」の関係閣僚会議了解がなされ、五十六年十一月には、東北新幹線盛岡以北と北陸新幹線の二線を優先着工路線とする旨決定されたところであります。また、東北新幹線盛岡以北につきましては、五十七年十二月には環境アセスメント案が公表され、これに対し、知事としてその内容をおおむね妥当とする意見書を提出いたしておりますし、五十八年十月には着工準備作業所が開設されるなど、建設に向けての準備体制は既に十分整っていると認識しているのでありまして、この間の関係者の御努力に感謝したいと思います。  しかしながら、昭和五十四年以降毎年度国鉄利用債または財投をもってなされた建設費予算は、その間の臨時行政調査会の答申及び国鉄再建監理委員会の緊急提言等があったとはいうものの、一度も執行されることなく今日に至っているのであります。予算措置の面からすれば既に着工されていなければならないはずのものであり、国権の最高機関であられる国会において議論され、その結果成立した予算が、数度にわたって執行されることなく葬り去られたことはまことに遺憾であります。  申し上げるまでもなく、新幹線は、昭和四十五年に制定された全国新幹線鉄道整備法にあるように、国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資することを目的とした、国土の総合的かつ普遍的開発の役割を担うものであります。そのような目的のもとに出発した整備新幹線が、昭和四十八年の整備計画以来その着工を十有余年にわたって凍結されてきたのであります。国鉄経営収支悪化、国、地方を通じての財政窮乏等の事情があったことは十分認識できるのでありますが、十年以上とは余りにも長い期間であります。国土の均衡ある発展という目的からすれば、整備新幹線建設は国策としてとうに着工されていなければならない当然の事業であろうと考えるのであります。  もちろん、新幹線建設には膨大な資金を要するものであり、しかもそれが国鉄経営の障害になってはならないということについては十分理解できるところであります。その点、整備新幹線建設について現在検討が進められている、国鉄負担としない、いわゆる公共事業方式につきましては積極的に賛意を表するものであります。しかしながら、昨今の財政状況からすれば、そのこともまた容易でないことも理解できるわけであります。全国新幹線網整備のためには、投資の重点化による着実な進捗を図ることが必要であろうかと考えます。五十六年の優先着工路線の決定は、まさにそのような趣旨によるものであろうかと理解をいたしております。  特に東北新幹線盛岡以北を急がなければならない理由を申し上げてみたいのでありますが、技術の粋を集めて建設が進められた世紀の大事業である青函トンネルは、六十年三月本坑が貫通いたしました。私も入りました。六十二年には、日本が世界に誇り得る国民的財産として完成するのであります。その利用方法につきましては目下検討が進められているところでありますが、青函トンネルを本州北海道間の高速交通体系の主軸として、これに新幹線を通すべきだとするのが圧倒的な国民の声であります。事実、東北新幹線は青函トン ネルと一体になり、国土を縦貫する骨格路線として、国土の有効利用と均衡ある発展を図る上で欠くことのできない根幹施設、まさに日本列島のバックボーンであろうかと思うのであります。  青函トンネルの完成に合わせまして東北新幹線を完成させていくことは、工事スケジュールからして既に遅きに失しているのでありますが、世界に類を見ない、そして、また世界が注目をしている海底トンネルを所期の目的のとおり新幹線として利用するのが、国威発揚の面からも、また国策としても必要なことであり、そのためにはまず東北新幹線盛岡以北の一日も早い完成が求められることになるのであります。また、東北としての一体感の醸成に東北本線の果たしてきた役割は大変大きいわけでありまして、長い歴史を持っておることにかんがみれば、東北新幹線は青森まで完成して初めて名実ともに東北新幹線と言えることであります。  申し上げるまでもないのでありますが、東北新幹線は既に昭和四十六年に着工されました。第一期工事は盛岡−大宮間、第二期工事が大宮−上野間、第三期工事が盛岡−青森間、これが残されているわけであります。断じてこれは新規着工ではないと私ども考えております。青森まで届いて初めて東北新幹線は完成することになる、こういうふうに考えているわけであります。上野−盛岡間といういわば未完成のままの状態は、東北としての一体感を疎外するものであり、これは他の整備四線とは異なる要素を持っており、民生安定のための国策として早急に完成していただきたい、これを求めるものであります。  さらに加えますと、北東北北海道は、三全総で期待されている定住構想実現のために懸命の努力を続けているのでありますが、高速交通体系の整備など、地方の力のみでは不可能であります。国土の開発のため地域の自助努力が要請されているのでありますが、地方の力のみで開発を進めることはいかにも無理というべきであります。もともと、日本の地域開発の歴史は、国の財政投融資の力によって達成されてきたということを思うべきではなかろうかと思うのであります。高速交通体系を含む国の総合行政によって地方に人口やら産業の集積が図られれば、必ずやそこに風鉄経営改善にも結びつくものが出てくる、こう考えるのであります。現に、新幹線着工具体化の情報が出ただけによって企業進出、引き合いが倍加しているという事実を御認識いただきたいと思います。私は、昭和四十八年の整備計画決定以来、関係筋に対してこれらのことを中心に緊急性を説明申し上げ、東北新幹線盛岡以北の早期着工を要請し続けて今日に至りました。  さて、昨年十二月二十八日、昭和六十年度予算編成に当たりまして政府と自由民主党間で取り交わされました覚書につきましては記憶にいまだ新しいところであります。改めて申し上げるまでもなく、東北及び北陸新幹線に係る骨子は一並行在来線の廃止を決定するとともに、政府及び党において、国及び地域負担等、事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会答申との関連について調整し、六十年八月をめどに建設に着手するというものであります。現状は、国鉄再建監理委員会答申が七月末になる見込みであり、着工は十月中旬ごろになる見通しにあると承っているのでありますが、国策を実現するために編成され、国会において議論が尽くされて成立した予算が執行されないという事態をこの上ともさらに重ねていくということは許されないことではなかろうかと思うのであります。国鉄再建監理委員会答申後、直ちに調整を図って、結論を得て早期に着工されることを重ねてお願いしたいのであります。  以上が私の国鉄に関する所見であり、また要望でもございました。本委員会の先生方におかれましては、何とぞ私ども地方サイドの考え方に十分耳を傾けられ、国民に広く満足を与えるような国鉄運営について、より一層の御検討を賜りますように特にお願いを申し上げまして、私の陳述を終わることにいたします。大変ありがとうございました。
  117. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、奥田参考人にお願いいたします。奥田参考人
  118. 奥田八二

    参考人奥田八二君) 福岡県知事奥田でございます。  本日は、当委員会参考人として国鉄問題に関し意見を述べる機会を与えていただきましたことに対しまして、まず感謝申し上げる次第でございます。  委員の先生方におかれましては、日ごろ、国政の場にあって、運輸行政に関して御審議、御尽力をいただいており、この機会に厚く御礼申し上げるものでございます。  国鉄再建問題につきましては、今月末に予想される国鉄再建監理委員会答申を間近に控え、国民の関心がさらに深まりつっあるようでありますが、私は、この国鉄再建問題につきましては、全国民的課題として受けとめ、国民の合意のもとに一日も早く国鉄再生の道が切り開かれますことを切望するものでございます。  それではまず、福岡県下における公共交通機関としての国鉄の役割につきまして触れさせていただきたいと存じます。  本県における国鉄の役割は、大別いたしますと次の三点に集約することができようかと思います。第一は、拠点間大量高速輸送機関としての機能であります。昭和五十年三月の山陽新幹線博多乗り入れ以来、特に県下の小倉−博多間は今日全国一の乗車率を誇り、今春からは同区間専用の六両編成ミニ新幹線も誕生するなど、新幹線と住民ニーズが合体した新しいパイオニア鉄道ともいうべきものとして注目を浴びております。第二は、福岡、北九州両大都市圏と地方都市を結ぶ基幹鉄道としての機能であり、鹿児島本線、日豊本線、篠栗線等を挙げることができます。第三は、通勤通学等地域住民の足、すなわち日常生活路線としての機能であり、いわゆるローカル線がこのカテゴリーに属するものであります。  以上のように、本県では、県民のニーズに合った鉄道の多面的展開がなされており、県民生活と国鉄は密接な関係にあると言えるのであります。二十一世紀はバイモビリティー社会の到来が予測されておりますが、国鉄は、道路交通の補完的な交通手段ではなく、基本的な公共交通機関としてその存在意義を揺るがすことにはならないと考えます。  さて、次に、このような本県における国鉄の役割が県勢の方向や地域問題とどのようにかかわっているかについて述べさせていただきます。  本県の工業出荷額について見ますと、最終消費財の伸び悩みと素材型産業の構造的な低迷など全国的な傾向に加えて、三十年代に崩壊した産炭地域の立ち直りがいまだ達成されていないこと、国内需要の低迷と国際的な産業調整の波を最も強く受けている素材型産業のシェアが高いということなどによりまして、年々全国シェアを落としております。また、四十年代以降、本県の経済成長をリードしてきた卸売業、サービス業等の第三次産業につきましても、対九州シェアの落ち込みなど一部に陰りが出てまいっております。本県は、これまで九州の中枢管理機能が集中する県として発展してまいりましたが、産業経済の立て直しをこれからの最も緊要な課題として受けとめる必要に迫られております。  一方、本県が抱える地域的課題といたしましては、一つ、鉄鋼や化学工業等素材型産業に特化した北九州地区の再活性化、二つ、いまだ石炭後遺症の回復しない筑豊地区の再浮揚、三つ、石炭産業、化学工業など構造不況から脱出できない大牟田地区の再生を挙げることができます。中でも、筑豊地区の再浮揚は、昭和四十七年に策定いたしました福岡県長期ビジョン以来、県政の最重点課題として今日に至っております。  昭和五十六年五月、産炭地域振興臨時措置法が十年間の期限延長を見ましたが、これを受けて、同年十二月、本県は関係市町村と協力して福岡県産炭地域発展計画を策定いたしました。この計画は、昭和六十六年までの十年間に自立的地域社会 への基礎づくりを目指すための基本方向として、一つに、福岡、北九州両都市圏のインパクトの導入、二つに、域内ポテンシャルの活性化、三つに、域内循環を高めることであります。この観点に立って鉄道、道路を含めた総合的な交通手段が構想されなければならないとし、さらに、具体的には、今後は、輸送容量の限界や輸送効率の低下などから自動車輸送のみに依存することは困難であり、従来から競合関係にあった鉄道、自動車等が協同し補完し合う協同一貫輸送体系の確立が必要であるといたしておりまして、その意味での特定地方交通線の存続に意義を認めておるところでございます。  この発展計画は、昭和五十七年三月に通商産業省が策定した産炭地域振興計画の中の実施計画として要約公表されておるところでございます。  国鉄再建委員会では、昨年八月に第二次緊急提言が行われ、今日まで国鉄分割民営化等について鋭意具体的な答申の策定作業が進められているようでございますが、私は、頭脳立県、ソフト立県を目指し、定住構想を推進する立場から、魅力ある地方定住社会の構築を図るためには、ぜひとも公共交通機関としての国鉄の使命に期待したいと思いますし、そのためには、長期的な公共交通政策の展望を十分に踏まえた上で国鉄再建の推進に当たられますよう希望いたしたいと思います。  以上のような状況を踏まえまして、以下三点につきまして意見を述べさせていただきます。  まず第一は、地方交通線問題であります。  本県は、特定地方交通線の第一次線六路線、二次線三路線、三次予定線四路線、計十三路線と、北海道に次いで二番目に多く特定地方交通線を抱えておりますが、面積比でいけば北海道の約十七分の一しかない本県が上回っております。とりわけ、筑豊産炭地域に八線が集中しております。第一次六線につきましては、五線が本年三月三十一日をもって国鉄による経営が廃止されました。残る一線につきましては第三セクターによる経営に引き継がれることになります。二次線といたしましては、筑豊産炭地域の上山田線、漆生線の二線と、福岡、佐賀両県を連絡する佐賀線の計三線が対象となっておりますが、それぞれの地域における生活路線として、また将来の地域開発路線として重要な役割を担っております。  上山田線は、筑豊本線と日田彦山線の両幹線鉄道を連絡する二十五・九キロの路線であります。この上山田線の廃止は、さきに述べました発展計画における横断鉄道構想の消滅を意味し、同計画の推進に支障を及ぼすことになります。鉄路を残す住民運動につきましては、ノスタルジアから発しているという考え方もありますが、二本の線路で都市につながっているという過疎の論理には切実な願いがこもっております。漆生線につきましても、上山田線と同様の影響を与えるものでございます。佐賀線につきましては、当委員会でさきに佐賀県の知事さんが意見を述べてありますので、詳しくは申し上げませんが、同線は、福岡県の筑後地方と佐賀地方を短絡する路線であり、同地方の通学や経済交流路線として利用可能性が残されている路線であります。  以上、二次線の概要を申し上げましたが、仮に一次線から三次線まで対象線のすべてが廃止された場合、県下の鉄道網は骨格路線を形成するのみとなり、国鉄の地域公共交通機関としての機能が大きく減殺され、その影響は極めて大きなものがあります。  本県の場合、第三セクター存続を選択するケースも出てくる可能性がありますが、自治省では、これら特定地方交通線の第三セクター化につきましては、地方財政を圧迫することのないよう慎重対応を指導されているところであります。しかしながら、第三セクター経営の核となる地元自治体に財政的余裕がなく、また、民間資金の導入も、地域に支援する強力な企業がないことから、ひっきょう県に対する強い要請となってくるものと考えられます。仮に県が中心となって代替経営をするといたしましても、国と地方の役割分担の問題や財源の問題等、解決されなければならない多くの課題を抱えております。したがいまして、国におかれましては、このような地域の事情を十分御理解の上、特定地方交通線を存続していただきますよう要望するものであります。  次に、在来線のビルド計画について簡単に申し述べます。  本県におきましては、篠栗線、筑豊本線の電化、複線化、筑肥線の複線化等、在来線のビルド計画につきましては、従来から、政府予算要望や全国知事会を通じて機会あるごとに関係機関に要望してまいりましたが、住民の利便性の点からも、将来の利用客増につながるようなビルド計画につきましては、積極的に推進されますよう特段の御配慮を賜りますようお願いいたしております。  最後に、私は、日ごろから、国鉄問題は、採算性や経営上の問題のほかに、ナショナルミニマムとしての公共交通の確保の視点から次の三つ問題点を検討する必要があると考えております。その一つは、学生、老人、身体障害者等いわゆる交通弱者対策であり、その二つは、分割民営化経営形態の変更が、採算性優先の結果、運賃値上げや在来線の廃止等により地域住民への負担増につながらないかということであり、さらにその三は、石油危機や高齢化社会に備えてセキュリティーの問題を考える必要があるのではないかということでございます。  私は、国鉄再建問題につきましては、国民一人一人がみずからのテーマとして考え主体的に行動すること、すなわち、地域住民が自分たちの鉄道として乗ること、利用することだと思っております。住民の足は住民で守るという地域住民の主体的行動は、地方自治の本旨を具現化するものとして私は高く評価したいのであります。  最後に、国におかれましては、早急に長期的な公共交通政策の確立と、地域の総合交通ビジョンをお示しいただき、二十一世紀に向けて地域交通の円滑な確保が図られますよう特に御要望申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  119. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、片桐参考人にお願いいたします。片桐参考人
  120. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) ただいま御紹介をいただきました日本民営鉄道協会会長片桐でございます。  本日は、当委員会参考人として国鉄問題について何か述べよということでございますので、私ども日ごろそれぞれ経営する会社経営について心を砕き、また民営鉄道協会の運営につきましていろいろ活動しておりますが、国鉄問題につきましては、同じ鉄道業を営む者といたしまして常々関心を持ち、新聞等の報道もそれなりに関心を払っているところでございます。本日は、民鉄経営を通じまして見ました国鉄問題という観点からお話を申し上げたいと思います。  国鉄問題に入ります前に、民鉄の状況からお話を進めてまいりたいと思います。  現在、民鉄事業者は全国で百四十四社ございまして、そのうち民鉄協会に加盟をしている会社は七十一社でございます。大都市交通を担当するいわゆる大手の十四社、営団、中小公営鉄道、地方交通を担当する一般鉄道、貨物鉄道、モノレール、新交通システム、鋼索鉄道、無軌条電車といろいろございますが、その経営内容も多種多様でございます。  ここでは主として三大都市圏におきますいわゆる大手民鉄を中心といたしましてお話をさせていただきますと、戦時中の大統合から戦後の分離へと大きな変動を経た各社は、戦災により壊滅的打撃を受けた線路、車両等の修理の材料にも不足する時代から、従業員の一致した努力によりまして今日の状態に至ったのでございます。その間、輸送力の増強、安全対策、サービスの改善のため、大手十四社で昭和三十六年度から六次の輸送力増強計画を立てまして、二兆七千億円余の投資を行い、新線の建設、複々線化、複線化等を行い、事故の絶対的減少と混雑率の緩和を図ってまいっておる次第でございます。また、旅客の誘致を図るための 沿線の開発を進め、企業経営の安定を図るため事業の多角化に努力を重ねてまいりました。  一方、労使の関係も、春闘、ストというような状況であったものが、社会の安定化もありまして、労使双方の努力の結果、ここ数年は、中労委等のごあっせんも仰ぐことなく、自主解決を行い、御利用の皆様に御迷惑をかけないストなしの春闘が定着しつつある状況でございます。  このように、いろいろ紆余曲折はあったものの、労使間の話し合いと相互理解のもとに着々と近代化、合理化を進めてまいったわけでございます。  本題の国鉄問題について申し述べますと、まずその財政について言えば、民間会社でありますと、どんなに大きい会社でも倒産の道しかない、再建整理ということでありますが、このような国鉄再建するために考え出されたのが第二臨調国鉄の民営分割案でございます。これを受けて目下国鉄再建監理委員会でその具体化検討がなされており、今月中に答申が出されるということがありますが、新聞の伝えるところによれば、全国を六分割をして民営化するということでございます。もともと国鉄は公共企業体という組織でありまして、国鉄法を見ますと、公法上の法人であって、商事会社等ではないと明記されておりますが、公共性と企業性との二つの目的の谷間であえいでいたというように見られます。  戦後長年国鉄は黒字を続けてまいりましたが、昭和四十年代から赤字に転化をして現在に至っておるわけでござざいます。これは輸送構造の変化、つまり、自動車、航空の発達ということに伴って相対的に鉄道の地位と申しますか、輸送のシェアが減ってきたということが一つの大きな原因であります。現在、百キロ以下はまず自動車、百キロから三百キロが鉄道、千キロ以上は航空などということも言われておりますが、この輸送構造の変化にうまく国鉄は対応できなかったのではないかとも推定をされるわけであります。  私ども私鉄は、現在の国鉄の組織とは異なり、いずれも株式会社でございますので、何とかして利益を出しまして、それを一般の株主の皆様方に少々金利程度の配当をしなければならない。利益がなくて欠損となれば、これは経営者の責任でございまして、責任をとらなければならないのでございます。そのために、輸送需要の変化には常に注意を払い、それに応じた投資やサービスの向上を図ってきました。国鉄はそういうことがないのでございますから、国鉄再建のために基本的に分割民営化方向を志向するということはやむを得ないものではなかろうかと考えられます。  この民営化ということに関連をして申し述べますと、実は民鉄も大変苦しいのでございまして、国鉄に比較をすれば少しはましたというくらいのところで、非常に好成績というわけでもないことを申し添えておきます。したがいまして、混雑の緩和やサービスの向上等の投資に対する助成措置や、税制の優遇措置及び地方路線の維持のための助成はぜひとも必要ではないかと思うのでございます。また、民営化が行われますと、対労働組合関係も変わってまいりましていろいろな制約もあろうかと思います。まず、労働条件は労使双方の合意のもとに決まってくるということになろうかと思います。労使の合意で経営方向が左右されますので、それぞれ相当の覚悟をしなければならないと思います。  分割の方の問題でございますが、仮に全国を伝えられるように六つに分けるということになりますと、分割された地域を相互に乗り入れ、スルーで走るような場合にいろいろ問題が起きはしないかという懸念があろうかと思います。現在、都市交通の面では地下鉄と国鉄、それから私鉄の間で大幅に相互乗り入れが行われております。また、ヨーロッパでは国際間で頻繁に特急列車が運転をされており、現在までの経験知識で十分ダイヤ運転、運賃の精算の面等の問題は解決可能と考えられます。  なお、聞くところによりますと、現在考えられております分割案によれば、分割された域内の交通は全体の九八%で、残りの二%が地域間の交通であるということでございます。  このように民営分割がなされますと、民営鉄道は大きな影響を受けるのではないかと考えられますが、そのうちでも民鉄と競合する区間が都市部を中心に相当出てくるのではないかとも考えられ、この間ではいろいろな競争が起こってまいります。現在でも大阪、名古屋、東京等で一部の並行区間でまず運賃面での競争が行われており、特定運賃ということで、国鉄側が計算運賃を割り引きしている区間が相当ございます。もとより公正な競争はよろしいのですが、これが過当競争となってまいりますといろいろ弊害が出てまいりますので、そういう事態が惹起されないような行政措置ないし御指導をお願いいたしたいと考えております。  それから、民営化されますと、私どもは俗に兼業と言っております関連事業の面で、国鉄は現在法的規制がございますが、その方向に相当大幅に事業を拡大されるのではないかと懸念をされます。その面での新規の進出は我々の経験に照らしてもなかなか大変ではないかと思われます。  最後に、民営分割されたそれぞれの会社がいろいろと苦難の道が続くかと思いますが、経営者に人を得て、正常な労使関係のもとに立派な運営をされていくことを切望いたしたいと思います。  最後に私見を申しますと、民鉄でも戦後は分割をされた事実があるわけでございます。例えば、関西の私鉄が二つの会社一つに戦前一緒になった、関東でも四つの会社一つになった。そういう同じ企業体が資材の公平なる分配のためにみんな一遍一つになった会社が、終戦後これが四分割して四社が別々の会社に戻った。これは公平な原則でございまして、私もタッチしたことがございますけれども、四社がいろいろ経営格差のないようにやっていけるように収支のバランス、これを見ていろいろ分けたわけでございます。  そういうことでございますので、六分割、いろいろ内容どもはわかりませんけれども、細かい問題につきましてはよくその中へ入ってみないとわかりませんが、分割するということもなかなか大変じゃないか。しかし、適正な企業体に分けるということは非常に成績が上がるわけでございます。余り大き過ぎますと届かない、そういうことを私見で申し上げておきます。  また、労働問題につきましてもいろいろ問題があるわけでございまして、終戦後今日まで大変労働問題につきましては、皆様方も御存じのとおりいろんな難しい問題がございます。しかし、これは働く人もまた経営をなさる方もみんな同じ、業績を向上しょう、それから利用者のために御不便をかけないという観点からいけば、当然それは一致する観点がわき出てくるわけでございますので、そういう問題、六分割にして民営化されれば、人事問題、それから就業規則問題や予算その他全部目が届くわけでございますので、すべてのきめ細かいダイヤの編成、それから勤務ダイヤ、何時から出て何時から何時まで仕事について何時から休憩に入る、細かい勤務ダイヤというものを戦前に非常に細かく決められておりました。そういうことも労働組合とよく協議をいたしまして、納得をされて、立派な分割をされて民営化されるなら立派な成績が上がるように、利用者に現在より以上のサービスをされるというようなことができるようなことを望んでおる次第でございます。  以上述べましたのはほんの少しの私見でございますけれども、とりとめのないことを申し上げましたが、以上をもちまして私の責めを果たさせていただきます。どうもありがとうございました。
  121. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 最初青森県知事に質問いたします。  地方交通線の問題で、先般も秋田の県知事がここで参考人として意見を述べられました。現在は 過疎地であるけれども、将来のことを考えると、その県内における過疎地にまた地域住民が帰っていってそこに一つの町をつくっていくという将来構想が立たない、今地方ローカル線を廃止するとそういうものが立たなくなる、したがって、乗車人員、運賃収入だけで地方交通線の存廃を決定されては困るんだ、将来の地域発展のことも考えながら地方交通線の存廃については判断をしてもらいたいということを切々と訴えられました。  今、福岡県知事も、自分の管内でたくさんの地方ローカル線が廃止されるとおっしゃったのでありますが、したがいまして、私ども社会党といたしましては、午前中に監理委員長にもお願いいたしまして、今国鉄が示しております二次線及び三次の予定線は一応凍結をして、これから向こう五カ年間ぐらい時間をかしてくれないか、そして、地方の県知事や市長さん方が主体となって地方交通線整備委員会をつくって、もちろん国鉄運輸省及び利用者と一体となって整備するものは整備する、例えば駅をふやすとか駐車場をつくるとか、あるいはその周辺に公会堂をつくるとか、いろいろ整備をしてその上でなお要らないものは地方自治体が主体となってこれを廃止に賛成しましょうと、そういうことを考えてくれないかと監理委員長にも午前中に意見を申し上げたところでありますが、今青森県も福岡県も、地方交通線の扱いについて、今の運賃収入、乗車人員の数だけでなくて地域の論理というものをもっと尊重してくれという意見がございました。したがいまして、その点に対する御意見を聞きたい。  五年間時間をかけて、例えば時限立法の地方交通線整備法なるものをつくって、知事や市長が主体となって地方交通線を整備するからもう二次線以降全部凍結してくれないか、こういうことを知事会などで御決定をいただけないであろうか。  私が午前中に監理委員長に申しました。地方交通線を廃止いたしますと転換交付金を一キロ当たり三千万円出します。あと、バスについては赤字全額を五カ年間国が支給する。レールの場合は二分の一の赤字補助をするということになっておりますが、それを計算いたしますと、今の地方ローカル線をもっと地方自治体が主体となって整備していって効率よく動かしますと、五カ年間をずっと国の財産として計算しますと、今廃止しない方が得だという計算になりました。私はずっと細かく計算をいたしました。  したがいまして、青森県知事及び福岡県知事にその点は御意見を聞きたいが、二次線以降は五カ年間凍結をして、地方交通線整備委員会などで自主的に判断するまで時間をかしてくれということ。それにつきましては、例えば県で今交通部があります。その県の交通部なり交通課というものは今まで国鉄については余り関与しておられない、国鉄はもう国鉄に任せいと。運輸省の出先機関すら国鉄問題には余り口を出さない。それでは、地方交通線整備委員会などといっても、ただ私どもが言うだけになります、国会が言うだけになりますから、県でも、例えば交通部などを強化して、県内の公共交通鉄道はもっと県が責任持つ、市が責任持つというような体制がとれないものであろうか。これが両県知事さんに対する私の第一の質問であります。  それから第二は、青森の県知事さんは新幹線の建設問題をるるお訴えになりました。私ども日本社会党も先般の大会で、盛岡−青森間については公共事業方式、地元一割負担、現状としては承認をしよう、そう決定をいたしました。ただ、国の財政の問題その他で、自民党さん、今十月ごろからということであります。それをその他の、例えば九州もあります。青森の県知事さんとして、県内の県民の御意向は、国が今金を使ってもその方が、もちろん地域はプラスでありましょうが、日本国民として、全県的に住民の盛り上がりがあるかどうか。  けさの新聞で、東京湾の横断道路を総理が公共事業費及び内需拡大ということで決断しようと言われた。それならば、九州新幹線も盛岡−青森の新幹線も、そういう意味なら、東京湾の横断道路を今はんと何か選挙公約みたいに打ち出すよりも、もっと積極的に新幹線をつくるべきだと私は思う。将来二十一世紀に向けてやはり新幹線が日本の鉄道だと思う、私も。やっぱり札幌、函館から鹿児島、長崎まで新幹線で結ぶべきだと思う。それが将来の経済の動脈だと思いますが、今申し上げましたように、ただ自分の県だけの利益ではなくて、日本の国民として全県的に盛岡−青森間の新幹線早期完成が県民の感情となっておるかどうかということをお聞かせ願いたいのであります。  それから奥田参考人には、第二問としては、きのう犀川町の町長が見えました。田川線をもし廃止されたらもうどうしようもない。今西鉄のバスが朝一回、晩一回。犀川町はうんともう田舎の町、県知事が御存じのとおりです。だから一役場にある病院バスで町民を運ぼうとしたら、運輸省から文句が出て動きません、先生とうしたらいいか、したがって、それは田川線を絶対に守ってくださいとおっしゃいました。それは単に福岡県内は田川線だけじゃないんです。産炭地域を振興するという計画だけは通産省は持っていますけれども、通産省はただ計画だけ言って、交通手段なんというものは言わない。臼井−桂川間の上山田線の短絡を労働省が言った。労働省の方では、金は失対事業で出しますよと言いましたけれども、後ちょっと官僚的に、積極的な動きがない、まあ県の動きも少ないようであるけれども。したがいまして、いま少しローカル線廃止反対については、全県的な問題として、他の県知事さんと知事会などに訴えて、特に福岡県、北海道の場合はローカル線を廃止したら大変な地域でありますから、もう少し運動を強化してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。  それから片桐参考人には、一問でございますが、今適正なる分割ならよろしいとおっしゃいました。今監理委員会本州を三分割することを大体決めていますが、その三分割については御意見いかがであろうか。その三分割いたしましてもなお大きいのであろうか。私どもは三分割反対であります。それは国鉄幹部諸君も分割は今無理ですと。例えば、新幹線はコンピューターで動いておりまして、それを三分割するなんということはちょっと想像するだけでも大変だ。それを三分割して、あとは貨物列車を、これは幹線の話ですけれども会社分割しておって、今度は貨物列車を一社にするということはとても我々は想像できないんです。民鉄協の協会長として、鉄道運営には詳しいんですから、そういう今監理委員会が出しているようなことが技術的に、専門的に納得できるかどうかをお教え願いたいのであります。  以上であります。
  123. 北村正哉

    参考人北村正哉君) お答えというか、私の考え方を申し上げたいと思いますが、第一点は地交線の問題であります。  元来、地交線につきましては、もう一次路線だろうが二次路線だろうが、全面的にこれを廃止しないようにしていただきたいというのが私どもの県の立場でありました。ありましたが、御承知のとおりでありまして、何が何でも廃止するんだ、いやも応もないんだというふうなことに私どもは受けとめたわけであります。そういうことから協議会を開いて対策をし、申し上げましたように、黒石線と大畑線二つを民鉄に転換できたわけであります。  お話は、今後の二次路線、三次路線について凍結をして、五年間の法律をつくって、廃止のために金をかけるなら、その金を整備のためにかけることを考えたらどうか、こういう御趣旨でありまして、率直に申し上げれば大変ありがたい、全く共鳴できる考え方だと私は思います。ただ、お話の中で、県もまた交通部等を強化充実して、県に交通部ありますけれども、主として警察関係が交通部というものを持っているわけでありまして、知事部局には実は、交通安全の保持、こういうことを目標にした組織機構はあるわけでありますが、鉄道を扱うという立場では現在は組織がないわけであります。それだけに、今後、今お話のありました新たな鉄道整備のためにということになれ ば、組織もさることながら、それに向けて県の財政投資をもってというふうに聞こえるわけでありまして、そうなってくれば、当面の県の財政事情からすれば、直ちにこれをそのつもりでスタートさせるということはなかなか至難のことだというふうに考えられます。  と申しますのは、やっぱり整備していくのであれば、国の財政投融資を主体にして国の方のお力でこれを整備していただきたい、存続していただきたい、そのために地方の立場から御協力する、場合によっては財政的に一部御協力する、これは考えられると思います。主として地方の力で整備していくことは財政的に耐えられない、こういう事情であります。率直な申し上げ方であります。  第二点、できるだけ簡潔に申し上げたいと思うのでありますが、整備新幹線、盛岡以北について県民の間にどれだけの熱意が盛り上がっておるのか、そういった御趣旨がと思ったのでありますが、大変な熱意であります、継続して大変な熱意。大変な熱意と申し上げるだけではまことに抽象的でありますから、具体的に申し上げれば、いろんなことで県内の各政党の間で意見が合わない、食い違う場面は、これはもう普通にあることでありますが、事新幹線を盛岡から北へ延ばすことについては、自由、社会、民社、公明、共産全部が完全に一致してこのことには同じ考え方を持っている、同じ考え方であり同じ動きをしている、こういうことを申し上げられます、一つには。  また、県民大会をやるのでありますが、ことしはやっておりません。昨年六月県民大会をやったのでありますが、抑えても抑えても抑え切れないほど集まってくるわけであります。大体三千名定員の青森市文化会館という施設がありますが、新しくできた、大変私どもは自慢の施設でありますが、三千人見当で集めた大会に、四千も五千も、正確には五千五百ぐらい、会場あふれて、廊下もあふれてという状態にまでなったこの事実が、やっぱり県民の盛り上がりというものを、この問題に対する盛り上がりというものを端的に示しているものだと、私はそう思っております。また、日常の動きの中、日常の会話の中、もう寝ても覚めても新幹線、こういうことが青森における実態でございます。  これ以上は申し上げなくてもいいのでありますが、さっき申し上げましたように、期待が大きいわけであります。毎年予算化されるものでありますから、今度はできるんだ、今度はできるんだと思ってはだめになり、できるんだと思ってはだめになり、それを四回繰り返しておるわけでありますから、焦りと申し上げたらいいか、何ともやるせない気持ちがほとんど大部分の県民の気持ちであります。  大体この二つではなかったかと思います。  それから、さらにつけ加えれば、こう盛り上がっておるのは、昨年の暮れにおける六十年度予算編成期における政府と自民党との約束なんということもございますが、もう一つは青函トンネルができたということであります。三月十日でありましたが、完全に貫通し、六十二年中にはこれが完成して、六十二年度から供用開始が可能になる、こういう事態を迎えていることが一つございますし、もう一つは、大宮と上野の間が同じ本年三月の十四日に開業した、このことがまた大変な大きな刺激になっているわけでありまして、何としてもここで着工に踏み切っていただきたい、また建設を促進していただきたい、これが県民こぞってのお願いであります。
  124. 奥田八二

    参考人奥田八二君) 小柳委員から出されました第一の問題は、第二次線以降は一応廃止を凍結して、五年間の期間余裕を持って地方自治体が主体となって委員会などを設けて検討したらどうかということだったかと思います。この問題につきまして、私は、まず国土の均衡ある発展を図り、定住構想を進めるために、住民のニーズに合った交通体系の整備が必要であると考えるものでございますが、御質問の委員会の設置という問題につきましては、公共交通というものをまずどう考えるのかという基本が十分定まっていない。中でも、その地域における公共交通の確保について国と地方自治体との役割分担が、全国規模におきまして、レベルにおきまして十分明確にされていないということでございまして、福岡県だけでやるということにはまだ問題が残されていると考えるものでございます。  それから第二の、これは三次線に当たる田川線問題についてでございましたが、二次線と言わず三次線につきましてもでございますが、意見陳述の中でも申し述べましたように、本当に骨だけになってしまうということで、第三次線の問題につきましてはなおさら、この廃止は住民の足を奪うということで絶対に困るという気持ちを今なお持ち続けておるところでございます。  全国知事会で動けないかというお尋ねもございましたが、これにつきましては、まだ私は全国知事会の空気を見定めるところまで至っておりませんので、今後見定めていきたいと思っております。全国知事会で動くかどうかという問題につきましては今後の課題にしたいと思います。
  125. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 小柳先生からお話がございましたことにつきましてお答えを申し上げます。  国鉄分割論につきましては、細かいことも入っておりませんのでよくはわかりませんが、今御質問の貨物部門はなかなか難しいのじゃないか。これは分割の中から別になっているというふうに新聞に出ておりました。貨物部門は、これは走行キロだけ見ればわかりますので、原価が出ておれば大体計算ができるということでやっておりますので、アメリカでは貨物部門は別会社になっております。そういう点からいろいろ研究なすって、貨物は別に会社でやろうじゃないか、こういうのが分割の別枠に貨物はなっているのじゃないかと思います。  それから本州の三分割、これはなかなか合ふくそうされておりますので、先生のおっしゃるとおり、非常にきめ細かい点まで協定をしませんとなかなか難しいのじゃないかと思いますけれども、これは私鉄の方は小さい同士でございまして、都営とか営団とか、それから電鉄の方から乗り入れたりいろいろやっております。運賃は併算でありますから、別々な企業主体が変わりますからやっておりますけれども、今度は三分割になりますと全部企業主体が別々になって三つになるわけでございまして、その中の収支のバランス、これは旅客運賃なら旅客運賃を併算割引、今併算乗り継ぎ運賃制度というのをやっておりますけれども国鉄もそういうふうにやれば同じ利用者には高くならない。そういうことでございますから、その問題はそういう問題で計算をして、旅客収入が幾らあるか、貨物はもう別になりますから、そういうことで、平均して、先ほど私個人的にお話ししたのは、三つなら三つ分割したのが対等でとにかく収支がやっていけるという計算の基礎を臨調でおつくりになっているんじゃないかと私は思うわけです。  そうですから、非常にこう見ますと、一本でスルーでいっている運転、急行列車があり、新幹線があり、それから通勤路線があり、急行もあり、それから快速もありと、いろいろ難しい点がありますけれども旅客の列車につきましては、車両走行キロで分担をするというのは私鉄は者やっていったわけです。ですからそれは別に何でもないと思いますし、国有鉄道は国の鉄道だったですから、青森から直通でもう下関まで行っておりましたから、それを三つに割ったらなかなか大変だろうと思いますけれども、それは割り方でありまして、計算さえすれば収支はわかる、そういうことじゃなかろうかと思います。  以上、簡単でございますけれども、答弁にかえさせていただきます。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 知事さん方、誤解を持ってもらっても困りますが、地方交通線の整備委員会は、地方に金を持たせるというのじゃございません。今協議会といいますのが国鉄主導で、何でもかんでも捨てる、廃止する方向で協議会をやるものですから、なかなか住民感情入らぬのです。だから、会議 を持つときにはもっと地方自治体の意見あるいは住民のニーズをよく聞くという、そういう意味地方交通線整備委員会の構想でありまして、金の問題は別でありますから誤解がありませんようにしてください。  以上です。
  127. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まず片桐委員にお伺いしますが、私も国会に来て十一年、国会に来る前は全交運という私鉄の皆さんも含めた、くるまへんの仲間の仕事をしておったのですが、民営分割すれば黒字になるというような幻想があると思うんです。  私は、きょう安恒同志があれば一番いいんですけれども、私鉄だって、東京、大阪、関西、それから西鉄はまあまあぐらいにして、この都市集中型は、私鉄は関連事業が既に残っていますが、北海道、私は東北ですが、宮城交通も含めて、いわゆる東北北海道も、黒石線みたいな特定な線は別にして、大部分が中小私鉄はつぶれ、バス転換にいって、バス転換も二次生活路線から三次生活路線へ、そしてどうにもこうにも、特定の観光地、三陸鉄道もその一環でしょう、特定の観光資源のあるところは観光バスを独立させて何とかする。福島交通も宮城県まで乗り込んで観光部門だけは何とかやる、そういう点は一部ありますが、流れとしては、地方の私鉄、地方の第三種バス路線、ほとんど廃止になっているか、あるいは国、地方自治体から若干の補助金をもらいながら辛うじて運営されている。私鉄の主体は、今言った東京とか大阪とか、西鉄が、この辺あたりが私鉄になっているというこの現状認識については、我々は間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
  128. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 目黒委員さんにお答え申し上げます。  主観的でございますけれども、今先生おっしゃいました、とにかく何でもかんでも民営にすれば何とかそろばんがとれるんじゃないか、これはごもっともな御意見でございますが、そう簡単じゃないわけでございます。  先ほど私が民営鉄道全般に、まあ国鉄より多少はいいということで、なかなか苦しいんだということを申し上げました。ですから、民営にしたって民営の普通のやり方じゃそろばんがとれるわけありませんで、それにはやっぱり民営の収入に見合うような経費を縮める、それからそれによりまして輸送力が足りないところはふやす、過疎地帯みたいなところはなるべくバス路線にかえるとか、そういう省力化の制度をやりませんとなかなか、民営でやれば何でもかんでも利益が上がるというわけではなくて、小さい企業体におきましては、十大使うところを六人でやるというような形をやれば何とか人件費が減るんじゃないか、経費が節減できるんじゃないか、過疎地帯の中小の民鉄でもそうなんです。なかなか節約をして節約をしてしまいましても、これはもう先生のおっしゃるとおりなかなか民営でできないんです。地方の自治体にお願いをいたしまして、このくらいの程度赤字負担をしてくださいよ、そういうことにして、自分たちが、朝ラッシュ以外に十人、二十人の、定員の約二割しか乗らないところをこれだけの同じコストがかかるんだからこのくらい補助をお願いをいたします、こういうことで民営鉄道もやっております。  ですから、先生おっしゃるとおり、民営だからすぐどんどんもうかるということじゃございませんで、とにかく利用者を地域交通発展のために何とかやろう、それにはできるだけ経費その他を節約をして、何とか税金で賄わないようにやるということは相当の努力が要るわけでございまして、簡単に民営だからといって相当の利益を上げるということはなかなか難しいと思います。とにかく何とかとんとんにして、利用者の方々が安心をして安全に目的地に行けるということが目的でございますので、普通の企業と違いまして、そういうことだと思いますから、御了承願いたいと思います。
  129. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私はこの国鉄問題で一番心配するのは、例えば端的に、私も北国ですが、山手線は五割もうかる、山手線の収入を北海道の除雪地にぶち込んで何とか北海道が運営しているというのが現状なんです、赤字の中であっても。ところが、北海道を独立させる、四国を独立させる、九州は経済的基盤が若干ありますから、それは若干ありますが、そういう島国を独立させるということになりますと、北海道の私鉄などは、私も何回か北海道に行っていますが、ほとんど鉄道レールは壊滅、バスもほとんど第三種路線で、辛うじて北海道では金をもらってやっている。しかし、札幌周辺は何とかうまくいっているが、旭川は赤字です。  こういうことで、そういうところへ分割するんですから、どういう細工をやっても、しょせんは収支の悪い線は逐次経営上の理由で廃止されていくというのは、これは民営の場合の必然性だと思うのですよ。あなたが言ったとおり、ぎりぎり節約しますよ、関連産業でぎりぎりやりますよ。どうにもこうにもならなくなれば、国の鉄道、国鉄ならば国民の生活を守るためにという大義名分でローカル線も保持される。しかし、会社になればこれはもう血も涙もないと言っちゃ語弊がありますが、やっぱり行き着くところは廃止ということは必然性を持っていると思うんです。  青森の知事さん、先ほど、六ブロックで一番問題になるのは、大都市圏はいいだろうけれども、しょせんはこの分割案はローカル線の切り捨てにくるんではないか、こういうことを非常に心配されているという発言がありました。先ほど亀井委員長は何だかんだ勝手なことを言っていましたが、私の感覚では、東北地方などは、もう分割されれば、今の新幹線赤字ですからね、今の東北新幹線もいつ黒字になるか、今コンピューター入れてもコンピューターが答えが出ないというくらい巨大な資本投下しているんですから。それが会社にしちゃうんですから、やっぱりしょせんは東北地方のローカル線は三年か五年後には、この前秋田知事も言ったように、一番心配するのは、分割でローカル線が圧迫されて廃止になることだ、こういうことを非常に心配されておったけれども、私も、このままでいけばもう民営分割はローカル線の廃止ということに、どんなきれいごとを言ったって、しょせんはそこに行ってしまう、国鉄でない限りは。  こういう認識を持っているんですが、国鉄であれば何とか守れる、民営になればやっぱり民営の論理に従って、行くところは廃止と、こうならざるを得ない、こういうふうに私はずばり思っておるわけでありますが、その点は知事さんとしてはどうでしょうか。
  130. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 先刻も申し上げたわけでありますが、その点を心配しているわけであります。民営分割によって採算がとれなくなる、経営が困難になる、落ちつく先ほどういうことかということになれば、今お話のありましたようなことが非常に心配になるわけでありまして、民営分割を進めていかれる場合、そのことをあらかじめ十分警戒しながら、お話しになられたようなことが出てこないような措置、こういったものが考えられてしかるべきだ。その点が大変心配であります。
  131. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この前秋田の知事さんも言っていましたが、やっぱり鉄道というのは財政だけで論じては困る、線だけではない、いわゆるクモの巣だ、地域にとってはクモの巣、クモの巣の保障ということを秋田の知事も言っておりました。それからもう一つ、特に青森県は、東北新幹線、盛岡以北、青函トンネル、奥羽線の複線化、それから、いわゆる今回の転換でも、黒字線の問題でも、バスはもう冬分考えるとバスはだめだ、やっぱりレールだ、こういうお話がありました。  総体的に考えますと、私は、民営分割がなったという場合には、盛岡以北の新幹線の建設も青函トンネルの問題も、それから青函連絡船廃止に伴う青森地区の開発の問題も、それから裏日本の一番大事な、ちょっと雨が降ればバーになってしまう奥羽線の基盤強化と複線化、こういう大型プロジェクトの投資関係はほとんど棚上げになってしまうか、あるいは五年かかるところを十年ぐらい という格好で繰り延べ繰り延べということで、あれよあれよというままになってしまうんじゃないかということを非常に私は危惧いたしております。したがって、青森県が持つ、青森県というのは、どだい東北北海道のちょうど中継の拠点でありますから、交通関係が産業の拠点、そこから産業が出てくるわけですね、いろいろな地域開発も。そういう点から見ると、やっぱり国鉄という姿、あるいは経営のあり方については、民鉄の手法を入れることについては私は何も否定しません。今度の大畑線の問題で、うちの勤労の皆さんが、もう十名のところを五名でもいい、四名でもいい、何でも働きますといって、知事さんのところに勤労の組合が大畑線の存置のために行ったということもあります。  だから、そういういわゆる民営的な経営の手法については導入することにはやぶさかでないとしても、やはり交通体系としては、国鉄という形ですね、国が経営するという形できちっとしておかないと、均衡ある開発投資という問題はどうしてもおざなりになってしまうんじゃないかということを危惧するわけでありますが、そういう視点から、やっぱり最も経済力のない東北一つ会社分割をしてしまうということは、青森県のいろんな交通にかかわる諸課題について完全に実施できるという保障をつけることは非常に私は困難だと、こう見ているんですが、知事さんは、仮に東北株式会社となった場合に、懸案事項についてどういう見通しを持っておられるのか、あるいは確実なものにするためにどういう法的な裏づけが必要だというふうにお考えを持っておられるかどうか、その辺の考えを聞かせてもらいたい、こう思います。
  132. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 民営分割がなされずに現在の体制で国鉄再建ができればそれはそれにこしたことはない、これは申し上げるまでもないんでありますが、それがそういけないから民営分割論が出てきている。そうなってくれば、民営分割によって出てくるデメリットあるいは障害、不都合、こういったものを極力排除しながらいくことが大変大事なことだろうと思うわけであります。そういうことになれば、私どもの非常に気になるのは、今のあっさり廃止されるという場面を絶対これは避けてほしい。それから、経営が困難になったからということで地方に財政負担を強いていく、あるいは利用者に負担をふやしていくというようなことにならないように、利用者は確かに負担が多くなると私は思っております。既に私どもの地交線転換は料金が二倍あるいは二倍半といったような形で転換されているわけでありますから、将来の民営分割もまた恐らくは現在の料金のままではいけないのであろうし、また、分割によって料金の格差が恐れられているわけであります。あれやこれや大変困る事態が出てくる。  私は、したがいまして、これを進める場合には、そういう事態を起こさないような予防措置——予防措置と申しましても、今後出てくる民営鉄道を経営がしやすいように、利用者がふえるように、これは国の立場と申し上げたらいいか、政府の手によってそれを配慮をしていく。私は常々新幹線でもそのことを申し上げてきたのでありますが、もし、鉄道経営が思うようにいかない、赤字になるというような事態考えられるとすれば、そうしないように総合施策が必要ではないか。政府関係各省による足並みをそろえた、一方ではいろんな施設をつくってやる、一方では人が集まるような、産業が集積できるような施策を講じてやる、地域開発全体の総合施策を講ずる中に鉄道も育成していく、そういう体制でなければ、ぽつんと鉄道だけつくって、そら走れといっても乗る人がない、利用者がない、それでは困るのでありまして、できるだけひとつ末端の方に人口の集積をつくり上げていく。今の国鉄にしても、将来の分割民営にしても私はそれが大変望ましいことだ、地方のためにも望ましい、経営者のためにも望ましい、こういうことだと思うのでありまして、そういうことに向けて強い配慮をしながら、必要であればそれ向けの法律も準備しながら事を進めていただきたいものだ、こう思っております。
  133. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 片桐さん、私は今馬込から電車で通っているんですが、あそこは京浜急行と都営地下鉄と京成と、この三つが乗り入れしているんです。それで、事故が起きると、どっちにしても、京成でも京浜でも、都営で事故が起きると割合応急処置が早いんですよ。ところが端の京浜で起きても京成で起きても、事故が発生すると、開通するまでの事故の対応というのは実に、国鉄も文句言われるけれども、私も事故屋やりましたから、我々の常識から見ると、こんな単線で何でこんなに事故処置にかかるんだろうか。だから、相互乗り入れをした場合の、いわゆる民営分割した場合に各社にわたる、その場合の事故発生の際のいわゆる旅客の誘導、復旧、それから事後対策、これが極めて私は現在の大手十四社のシステムでも問題があるんではないかなということを、実感として毎日乗って通勤しておって感ずる男なんです。  この相互乗り入れの事故対策については、私鉄の経験としては、どういうシステムになっているんだろうか、これを参考までに聞かせて、それから、国鉄のように三つ分割した場合にそれが可能なんだろうか。私は不可能だと思っておりますけれども、この辺について見解だけちょっと聞かせてください。  終わります。
  134. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 目黒委員に申し上げます。  事故の問題でございますけれども、私は民営鉄道協会の会長にこの間なったばかりでございますけれども、京浜急行にずっと奉職しまして、私の方の電車は都営の方を通ってそれから京成の方に行っております。京成の方もこれは成田の方まで行きますのですけれども、そういう路線でございます。これは事業主体三つになっているわけですね、今先生おっしゃるとおり。国鉄三つも四つにもなったら大変だ、そういうお話だと思うんです。  それで、事故の問題は、京浜急行区間でありますと、京浜急行の指令がありまして、運転指令で全部片づける。それから、都営になりますと、都営地下鉄ですね、そこに指令があるわけです。京成なんかだと京成に指令があるわけです。国鉄もみんなあるわけです。国鉄東京駅にもえらい基地がございますからね。昔は電話連絡だったですけれども、今は情報社会でもってみんな無線ですから、ですから一々電話をかけなくて、無線で運転士にみんな連絡をとりますから、電車の故障がありましても、どこでおまえの電車は待避をしろという指令がぱっと出るわけです。  だから、まことに京浜急行のことをお話ししたんじゃ申しわけないんですけれども、その事故のスピーディーの方は、私の方はありますけれども、都営なんかありますと、やっぱり都営はちょっとお役所みたいになっていましてなかなか難しいんで、私の方が八両編成を中へ入れたいといっても、六両にしてくれとかね。こういうやっぱり労組関係でいろいろあるんですよ。ですから、今のお話ですと、そういうことのないようにまず都営の交通局と連絡をいたしまして、ないようにやっております。  京成の事故の方の発生のその処理の仕立が悪い。その処理の仕方が悪いと申しますと、ポイントがそこにないような場合ですね、そうすれば長時間そこへとまっておって、ほかのポイントがあく待避線まで持っていかなくちゃならぬ。それですから、そういうところに手間がちょっとかかるわけです。ちょっとが、やっぱり待っていますと、十分待っていますとかなり長いような気がしましてね、先生おっしゃるとおりなんですよ。だから、そういう、まず鉄道というものは安全運行をやるんだ、スピーディーに目的地までお運びするんだということの観念を絶えず教習をしておりませんと、そういう御非難があると思いますので、そういうことがないように民営鉄道協会としては一生懸命で連絡をし合っておりますから、そういうことのないようにいたしたいと思いますから、そん なことで御理解を願いたいと思います。
  135. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 北村参考人にお伺いしたいと思いますが、分割ということになりますと、例えば整備新幹線といったような問題はまず不可能になるのではないかということが危惧されます。それで、大体、東北方面における新幹線が盛岡どまりになっているというのは極めて中途半端だと思うのでありますけれども東北新幹線の現状をどのようにお考えになるのか。  それから、青函連絡船も廃止をするということでありますが、あのトンネルができることによってお客の動きがみんなトンネルに集中するようになるのかどうか。連絡船は廃止した方がよろしいというようにお考えになるのかどうか。これは連絡船の通っている箇所の県知事としてどのようにお考えになるのか。観光的観点からするならば、トンネルと連絡船とどっちがいいのかというようなことも考えてみる必要があると思うのでありますが、その辺についての知事さんのお考えをお伺いをしたいと思います。
  136. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 整備新幹線は民営分割になればできなくなるであろう、こういう御指摘でございますが、そういうことになるとすればこれは大変困る事態、困るなんというものじゃない、大変な事態と私どもは受けとめるわけであります。確かに国鉄と鉄建公団で新幹線建設は進めてこられたわけでありますが、その国鉄が別の姿になるということによって一体どこがこれからの新幹線を建設するのであろうか。関係の方にちょっと伺ったりしてみているのでありますが、それは鉄建公団よ、こういう言い方が二度ほど、まあどなたということは申し上げませんが、そういうことを言われているわけでありまして、そのとおりであってくれればいい。ないとしても、事業主体をどこかでつくらなければならないわけでありますから、今後の新幹線対策として分割民営がマイナスに作用しないように、この辺が非常に心配なところであります。マイナスになんてものじゃないよ、できなくなるよという御指摘であるとすれば、これは大変だというふうに受けとめます。そうならないでほしいというふうに考えるわけであります。  もう一つは、東北新幹線の現状をどう思うか。先ほどもちょっと申し上げたわけでありますが、中途半端なまま十何年も放置されていることは申し上げるまでもありません。昭和五十二年に青森市で第三十二回の国民体育大会、あすなろ国体というものがありました。その五十二年には完全に東北新幹線が青森まで届いて供用開始されているということを前提にあの国体が計画されたわけであります。それが五十二年です。今日まで既に相当な期間たっておるわけでありますが、今もってらちが明かないというふうに申し上げたら少し乱暴でありますが、はっきりしない、こういうことでありまして、問題が今後に残されているわけであります。申し上げましたように、東北新幹線は着工だけは十数年前に既に着工している、こう私は考えているわけであります。着工もし、一期工事も終わり、二期工事も終わり、三期工事だけが残されている、こういうことでありまして、その点ではほかの整備新幹線とはおのずから性格も違う、ひいき目かもしれませんがそういう受けとめ方をしているわけであります。  なお、青函トンネルの利用につきましては、運輸省国鉄で利用に関する懇談会もつくりながら対応してこられたわけでありますが、結論的にはっきりしたものは最終的に固まっていないやに承っております。カートレインとかいう言い方もありますが、それとても新幹線を通すに近いくらいの投資が必要だということで、一口にカートレインと言っても実現はそう簡単なものじゃないというふうに考えられます。やむを得ないから、今日しきりにやっております津軽海峡線、六十二年中にはできると思いますが、在来線による供用、やむを得ないことだと思っております。やむを得ないのでありますが、やっぱり新幹線を通すことによって青函トンネルの本来の使命が達成される、それなくしては本物になれない、こういうふうに私は考えております。  以上であります。
  137. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうも御苦労さまでございます。片桐参考人にお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  片桐参考人は、私鉄の進むべき道としていろいろとその哲学を論じていらっしゃいますけれども、私鉄もいわゆる余剰人員がやがてやってくるという非常に厳しい表現の言葉も述べられておられるわけでございますけれども、それはどういう形でいつごろからやってくるのかお伺いをしたいと思います。
  138. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) ただいま御質問の矢原委員さんに申し上げます。  今の御趣旨は、民鉄の方も国鉄と同様に、非常に過疎地帯も持っておりますので余剰人員がどんどん出てくるんじゃないか、こういうお話だと思います。これは今始まった問題でなくて、民鉄は非常にみみっちいのでございまして、もう毎年毎年、どういう程度でどういう過疎路線はどの区間が非常にそろばんが合わない、これに旅客誘致をやってもなかなかそれはだめだというようなのは、例えば名古屋鉄道の例を申し上げますと、蒲郡の近辺ですね、三両編成でやったってほとんど乗っちゃいないんですよね。よく名鉄の社長さんからお話がございまして、私もちょこちょこ行ってみたんですけれども、朝、三両編成でどうやら定員いっぱいですね。それが三十分過ぎますとほとんどもうすいてしまって、一車両に十人か十五人です。  先ほどから中小の過疎地帯の問題が出ております。非常に苦心をしているわけであります。それだからといって運転手をやめさせるわけにいきませんし、運転手、車掌はいるわけですね。後はどうするかということになると、やはり人件費が一番問題になりますので、ポイントの転轍手をどうしようかとか、それから信号をどういうふうにしようとか、そういうことで、交通システムにしたらどうかとか、どうしてもできないところはそれじゃバスでやって、先ほどバスは非常に問題があるとお話がございましたけれども、バスで同じ運賃なら問題ないんですね。バスというのは非常に高いですから、初乗りが百六十円もしますから、民鉄だったら九十円ですからね。それじゃ非常に高い。  だから、私ども考えでは、バスでやれるところはやって、鉄道と同じようなヘッドで、多少バスは小さいですから、それは電車で四十分ヘッドだったら二十分で二台出せばいいんですから、運転手だけの問題で、二人でできるわけです、信号係も何にも要りません。そういう工夫をやったり、公共性のある事業でございますから、人員が減るからもう切ってしまえばいいという、そう簡単にできないんですね。会社じゃやめたくてしょうがないんですけれども、実際はできない。これはやっぱり地域の方の了承を得ていただいて、それならよろしい、それじゃ代行は何にするんだということになりませんと、一人でも乗車人員があったら切れないんですよね。駅を一つ廃止するんだってなかなか難しい。  そういうことで、民鉄の方ではそういう人員の計画をやりまして、それで毎年毎年そういう過疎路線で赤字が多く出るところは、やっぱり新規採用人員を一人減らすとか二人減らすとかいって詰めてきているわけです。四十年ごろから詰めている。ですから、どうやらこうやらそれを他の企業へ回すというようなことで兼業という問題が出てくるわけですね。だから兼業を私鉄はやっておった、そういう形なんです。  ですから、余剰人員がもうどんどんできているんですよ。もう定年六十歳で、四年も長くなりましたからね。前は五十五歳だったんです。五十六歳になり、五十七歳、それが今は六十歳定年になりましたからだんだんふえているわけです。採用も、管理職は割合やめないんですけれども、作業職の大体乗務員が減ってきますと、これはもうどうしても補充しなくちゃならない。毎年毎年乗務員の編成というのは、第一線ですから、これは立 派な、優秀な社員を育てなくちゃならない。それを五十幾つまで使っていますともう能率が落ちるわけですね。朝一番で四時半から出るんですからね。四時半から、若い者だったら三時や六時といったって眠くならないですよ。年寄りになるとやっぱり早く眠くなりますから、朝の四時半に出たら、十二時か一時ごろ交代しなくちゃならない。だから二交代になる。朝早出は三交代になる。そうすると深夜作業がつきますから給料が高くなる。そういうことのないように若い社員が第一線をやる。  そういうことで、若い社員は給料安いですから、多少それで潤うというような形や、あらゆる工夫を取り入れまして、できるだけ地域の方々と、やっぱり採用もしなくちゃなりませんから、減りっ放ししゃ困りますから、ほかの職業につけるものならほかの職業につける。そういう形で兼業も必要であったというような形で、もう民鉄の方は毎年毎年人がどんどんそろばんに合わないところは減らしていくわけです。本社員は非常に少なくしてやっているわけです。  ただ、国鉄の方の話は余計な話ですけれども、これはなかなか、もう七万何千人も多いんですから、それを減らそうといったってそうすぐはできないんです。今度分割をして、ぽっぽっいろいろ多方面に配置転換をやっていくというふうですけれども、なかなかそれは問題があるわけですね。組合もありますから、その承認も受けなくちゃなりません。そういうことで、民鉄の方じゃぎりぎりにやっておりますから、どうやらもっておるところでございますから、どうかそんな点で御了承を願いたい。
  139. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 民鉄の方も非常に経営方針は厳しく、合理的にやっていらっしゃると思うんですけれども、やはり関連企業等のいろんなバランスの中で運営されていると思うんですけれども、最近の社会情勢の中で、関連企業、特にこういう企業が不振になっている、そういうふうなことが特別に列挙できるようでございましたら、参考までに伺っておきたいと思います。
  140. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) ただいま矢原先生から、関連企業を民鉄はかなりやっているというお話でございますけれども、これは戦前ですと、鉄道とバスをやっておれば何とかやっていけたわけです。私は長く鉄道に勤めておりましたから、経験上から申し上げますと、昔は鉄道は、定時運転やって、安全で迅速で快適に運転すればどうやらやっていけた。しかし利益までは出なかったんですね。利益ができませんとやっぱり賞与が出せませんからね。地方鉄道は、利益ができなくてもやっぱり社員には賞与を払わなくちゃならない、日本では賞与制度というのは賃金の一部になりますから。ですから、利益ができない場合には、私鉄の方は補助金制度というのがございまして、赤字が幾ら出た、幾ら補助金をやると、そういう補助制度がございましたので、昔は補助金をもらって社員に賞与金を出した。そして何とかかんとか、鉄道を十年ぐらいやりますと沿線開発ができますから、どうやらやっていけるわけですね。  戦後になりますと、鉄道自体ではなかなか前の運賃じゃやっていけない。設備投資が非常に多くなってきている。そうですから、鉄道だけやっておったってとても金利も払えなくなりますから、結局兼業をやっていこうということで兼業に手を出した。それはもう各社また各企業もみんな兼業ですよ。  一番最初やったのは旅客誘致問題。それで旅客誘致は何をするんだと、遊園地とかそういうものじゃとてもそろばんが合わない。旅客誘致ということになると、結局観光事業なんかに手を出す、これは社員でも使えますからね。それが少したって、流通関係の仕事がいいだろうと。流通関係というのはこれは百貨店とかストアとか、これならだれでも店並べて売ればいいんですから、鉄道の古い人なんか売ってもいい。それをやって何とか賃金のバランスをとろうということで、観光事業、流通事業、それからもう一つは、不動産というのが非常に景気がよかったですから、全国の方々みんな土地をお売りになったようなもので、みんな民鉄は沿線だけやって、ほかの方へ飛び出てやらなかったんですね。それで何とか鉄道の赤字を埋めたことがあるんです。そういうのは今残っておりますけれども、今土地ももうなくなりました。これはだめになっちゃった。結局都市開発、要するに、細かい家を都市計画によって大きいマンションにして、それを建ててやって区分所有していく。  そういう方面へ今向かっているような時代でありまして、非常に兼業というものがいかに必要であるかというのは、やっぱり若い社員は第一線で、夜中でも眠くならないので事故を起こさない。だんだん年配になってきますと、高齢化社会になりましたから、そういう方々に見合うような、賃金を払えるような企業をやっていかなければならない。悪かったらもうつぶすよりしょうがない。そういうことで、あらゆる努力をして何とかやっているようなわけでございますので、なかなか並み大抵じゃないと思っているわけです。  大体簡単に申し上げますとそういうことでございます。
  141. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 きょうは、午前中に、公式的なこの委員会では六ブロックに分割、こういうことが打ち出されたわけでございますが、私も午前に質問いたしておりましたのは、確かに北海道四国九州というところは、御承知のように収益が非常に悪いわけでございます。そういうようなところで分割になった場合に、片桐さんのお考えからまいりますと、民間鉄道というものは利息以上の利益が出てこなければいけないという非常に厳しい経営感覚を片桐さんは持っていらっしゃいます。これは経営者として当然だと思うんですね。  きょう午前中に公式の場で打ち出されたわけなんですけれども、ちなみに、これは五十八年の日本国有鉄道の監査報告でございますが、北海道の場合、五十八年で収入が九百十六億円、経費が三千七百八十四億円、損益が二千八百六十八億円、四国が収入が二百五十九億円、経費が七百六十三億円、損益が五百四億円、九州が千百四十七億の収入、そして経費が三千五百三十二億円、非として二千三百八十五億円でございます。今こういう中でこれが分割され、将来国の補助があったとしても、もし赤字になった場合に、経営のために運賃を値上げしなくちゃいけないという問題が必ず出てくると思うんです。  そういう場合に、片桐さんの民鉄の立場から見て、公共輸送という役割の中で、国民の皆さんが負担をする料金の上限というものは、政治の場においてもある程度明確にされなければ、赤字だからいっても上げたらいいというわけにはいかないと思うんですね。そういう意味で、料金の上限の哲学というものは、大体どの線が、現行から見て、今民鉄の大体平均の何十%ぐらいまでが限度であると、そういうお考えはどういうふうに持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  142. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) これは私見でございますので恐縮でございますが、実際国鉄分割の問題につきましては、内容を見ておりませんが、今先生おっしゃるように、北海道が収入か幾らで、幾ら経費がかかって幾ら赤字になる、こういうお話でございますけれども、この分割方法を、先ほど私御説明申し上げたとおりだと思うんですけれども、大体となたが考えてもやっていけるような方法に分けなくちゃいかぬのです、収入と支出が。今のお話では、収入がこれだけあって経費がこれだけあるからもうえらい大赤字になる、これではやっていけっこないんですよ。そうするとそのしわ寄せを運賃でカバーするかというお話でございますが、運賃でカバーしたらだんだん減っていきます。お客さんが逃げるんですよ。  ですから、それは私は問題があると思いますので、当初申し上げましたのは、国鉄分割論、これは六つになるか、まあ本州三つになるお話でしたから六つになる。みんな同じようにやっていけるように収支のバランスをとってきっとおやりになっていると思うんです。それで、先ほどお話ししました、首都圏というのは一番もうかるわけで すから、首都圏でもうかったのは、まだ首都圏のいい場所があります、国鉄で鉄道に使わない場所があると思うんですよ、これは私の私見ですけれども、そういう場所のものは、国鉄が二十二兆円のずっと累積の借金がありますからね、こういうのに充ててくると思うんですね。それはそれでまた別にしていると思うんですね。  ただ、ちょっと申し上げますと、私鉄の分割をやったときがあるんですよ。これはちょっと参考までに申し上げますと、京王電車と小田急電車と東京急行と京浜電車、この四つが戦時中無理やりに合併したわけです、これは戦時交通調整法で。これをまた四つに分割して昔の会社に直したわけですね。昔の会社に直すんだけれども、やっぱりやっていけない会社がその中にあるわけです。先ほどお話ししたように東北の方はやっていけない。  それは四つの中でも一番悪かったのは京王電車です。京王電鉄は昔は帝都線がなくて京王線しかなかった。それでやはりこれは公平に分割をしなくてはやっていけない。そういう形で、同じ財産でそれで収入も同じだということで、帝都線も京王電車へくっつけてそれでどうやら収支がうまくやっていける、努力すれば配当もできるかもしれない。小田急の方は、京王電車一斉にやっちゃった、それじゃ小田急が少なくなって昔の財産がなくなっちゃったじゃないか、そういう形になって、それじゃ小田急には別の登山の方の子会社があるからそれを一つやったらどうか、こうやってバラン又をとったわけです。私もそれには参画したんですけれども、それは多い方がいいんですからね。ですからみんなそう言ったんですけれども、みんなやっていけるようなふうにきっと臨調でもおやりになっていると私は思うんです。  ですから、東北の方が、ただ分割して向こうは大赤字で、北海道四国も大赤字になる、これは何とかそこでもって潤いが出るような何かをつけていると思うんですね。それですから、そういうことでバランスをとらないと、やたら運賃を値上げする、運賃を値上げしたら、北海道四国はそれはもうお客が減りますよ。私鉄が運賃をいろいろお願いして、先生方にいろいろお世話になっておりますけれども、これは二年ローテーションだとか一年ローテーションでどんどん上げればいいというものじゃないんですね。過疎地帯はもうどんどん減ってきます。ですから、適正な賃金で、輸送力を増強する、混雑を緩和をする、サービスをよくする、それで冷房車をつくる、そして、これだけ金をかけちゃってこれだけの金利がかかりますから、これだけ不足ですよということで、ちょっぴりどうでしょうかということでお願いをして、もうさらけ出して、出しているわけですね。そんなことで、それは従業員にもベースアップもまあまあというところで勘弁してもらっているわけですよ。それでどうやらこうやらやっているわけで、余剰人員でも配置転換をしていけるような方法をとっているわけです。  ですから、やっていけるような方法できっとおやりになっているんだろうと思いますけれども、私臨調の方に入っておりませんですからそういう話は想像して言っているだけでございまして、多分それでなければやっていけませんから、そんなことでひとつ御了承願います。
  143. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 分割論も民営というものがモデルケースになっているわけでございます。そういう意味で、恐らく片桐さんのところにも、国鉄再建のそういう過程の中で、民鉄としてのそういういろんな知恵というものの協力というものが求められているのではないかなと思うのですけれども、また、もし求められたらどういうような面で御協力をされていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  144. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) それではちょっと私の私見を申し上げますと、内容にタッチしておりませんが、実際鉄道は複雑怪奇でございまして、貨物の関係、旅客の関係、手荷物の関係、コンピューターの関係、いろいろあるわけですね。私鉄なんか小っちゃいですから問題にならない。国鉄はもう莫大な、国有鉄道だったんですから、大きいですから、それはちょっと見たってなかなか、ダイヤ編成するんだって大変ですよ。東北からずっと向こうの下関へ持っていかなきゃならない。それはなかなか大変だし、勤務ダイヤだって僕は大変だと思うんですよ。私鉄なんか簡単ですよね。片桐君も朝六時に起きてどういう仕事をやっているんだ、勤務ダイヤすぐできる。国鉄は大変ですよ、もう専門的な分業になっていますから。転轍をやるんだって大変ですよ、信号掛でも。私鉄なんか複々線で一線ですから大したことないですよ、こんなのは。国鉄は急行があって新幹線があって、それから通勤新幹線がある、ローカルもあるでしょう。それから山手があって、環状線があって、東北があって、大変ですよ。それで環状線を持っていて私鉄がみんな連絡しているわけですわね。  ですから、それはなかなか大変ですから、内容を中へ入って見ないとわかりませんが、とにかくきめ細かくやればかなりロスがあると思いますよ。それは余り言いますと怒られますから、余り余計なことは言いませんけれども。ですから本当にそれは細かい点を、皆さんだってそうだと思うんですけれども、先生方だって細かいことはわからぬと思います、そう言っては失礼ですけれども。  私も信号保安協会の会長もやっていますけれども国鉄のもう第一線の人たちは一生懸命で勉強しています。そういう人たちは確かに仕事をみんなやっています。ですから、余剰人員というのは、それは戦時中にたくさん入れたんですからね。それが四十年ごろまでは国鉄はもうかっていたんです。それからだんだん悪くなってきたのをほうっておくからこうなっちゃったんで、そんなことを悪口言ったら申しわけありませんけれども、まあそんなようなことは言えませんけれども、とにかく国民の税金を使わないようになるべくうまくやっていただかなくちゃなりませんから、いろいろ御意見を求められれば、内容にタッチしなくちゃわからぬと思いますけれども、その点でひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  145. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では北村さんに一点だけ質問して終わりたいと思います。  これは奥田さんも北村さんも、前回来ていただいた知事の方々も御一緒でございましたが、地交線を残していくということは、地元の足として、通勤通学あるいは文化の面でも非常に大切なことでございます。こういうところで、財源問題も非常に大変なことで我々も苦慮いたしております。  先般、私も瀬谷先生も四全総の委員でございますけれども全国の都道府県の知事さんからは、整備新幹線、すなわち北海道四国九州本州も全部新幹線を建設してほしいという要望が、道路問題と一緒にトップに上がってきているわけなんですね。二十一世紀を志向するそういうような中から、非常に財源問題が、地交線を含めて本当に将来こういう問題もかなえていかなくてはいけないけれども、非常に大変だなという現実の厳しさも我々感じているわけです。そういうことで、この新幹線全国に網羅をしていくという考えが四全総に一応出ているんですけれども、財源の問題として、政府でもいろんなことを言っておりますけれども、知事さんのお立場から、こういう方途というものがいいのではないかというふうなことがございましたらひとつお知恵をいただきたい、こういうふうに思っているんですけれども、その点北村さんにお願いをしたいと思います。
  146. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 新幹線について財源問題をどう考えるか。全国各地とも欲しいことはもうどこも変わりない。私は欲しがることは住民として当然だと思います。子供におもちゃをやる場合と似たようなもので、兄弟のうちの一人にやればもう一人が欲しがる、そういった心理もあるわけでして、全部がなければ問題はないわけであります。あるところにあって、ないところにないから問題が起こってくる、こういうことじゃなかろうかと思うのであります。  さて、しからば将来に向けて財源をどうするか。私ども立場からすれば、今までどおりにつくっていただけば、これはもう何ら申し上げることは ないわけであります。国鉄立場で今までつくってきたわけであります。地方負担というものが全くないままにつくられてきた。財政的に他の都道府県に比べて最もその下の方にランクされている青森県の番になったら地方負担を伴う。いかにも皮肉なことだと私は思っております。青森だけじゃないのでありますが、隣の岩手と青森、片や北陸になりますが、どう見ても今までの東海道、山陽と比べて財政力の乏しい地方にだんだんなってきたら地方に負担させる。いかにもこれ困った事態であります。ありますが、負担しなければつくってやらないということであってみれば、これはもう涙を振ってというか、いやでも応でも負担せざるを得ない、こういう大変苦しい、困った場面に今ぶち当たっているわけであります。  どういう財源対策が好ましいか。事業者が自前で借り入れしていくという今までの形をとれないならば、やっぱりそこに国のお立場で新しい財源をつくり出していく、求めていく、あるいは既設の新幹線等から浮いてくる財源をもって新設の新幹線に振り向けていく。いろんな工夫があろうかと思うのでありますが、これ以上私の立場から、これ希望的にはいろいろ言えるのでありますが、少なくとも事現実を踏まえた申し上げ方ということになれば、今申し上げた程度のことにならざるを得ないのでありますが、どうかひとつ国会の方でも十分御審議の上、金のない方を余りいじめるということにされないように、これは本当の叫びであります。負担はしろといえばしますが、同時にまた、するからには、その後ろの方から国の面倒を見ていただかなければ、これはやろうたってできなくなりますから、負担するからには国の方でも面倒を見てくださるということでありたいし、願わくは余り負担が大きくない方が望ましいわけであります。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  これでお答え申し上げたことになるかどうか、こんな感じでございます。  なお、先ほど瀬谷先生でしょうか、瀬谷理事さんにお答えするのをちょっと落としたように思いますが、青函トンネルの扱いはどうなるんだということであります。私は、青函連絡船を全くなくすることは、青函トンネルが通ったからということで全くなくするということはやっぱりすべきじゃない。災害等に備え、また多目的に利用しながら存置していくことが望ましいことだ、こう思っております。
  147. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 片桐参考人にまず伺いたいと思います。  先ほど御意見の中で、私鉄が戦後大変な中から設備投資をきちっとやって、そして努力をしてやっと今日まで来て、今日もなかなか大変だというお話がございまして、私本当にそうなんだなとそこは思ったんです。と申しますのは、国鉄再建が随分問題になってきておりますけれども、一番大事な問題として、再建するためには、何が原因でここまで赤字になったのか。おっしゃったように三十九年まで国鉄は黒字でございましたよね。それがどんどん赤字になった。まずその赤字原因をはっきりさせなければ対処はできないと、いつもそう言っておりまして、いろいろ知事さんや学者の先生方もおいでになりまして、そしてその原因はといえば、いろいろ総合的なものもあるけれども、やっぱり一番大きな原因というのは今の借金財政だ、その借金が起こったのは、借金による過大な設備投資であるというところから今の非常に大きな借金財政になったというふうにもおっしゃいまして、そういうことで、今借金大変だというふうに言います原因はどこが原因なんだというふうに追及いたしますと、けさも亀井監理委員長は、いや今原因がどうだこうだというよりも、現実に借金がこれだけあるんだからというふうにお話しになるわけですよね。  私はさっき私鉄の経験を伺っていながら考えたのは、やっぱり国鉄財政再建するためには、今後十年間その設備投資は約三兆七千億に抑えるべきだという答申案が出て、そして閣議でも了承しているわけですよね。それなのにどんどん、それを三倍の十兆からの設備投資を借金でやって、そして膨大な借金を出してきたということが問題だと思うんですよね。そういうことをほっかぶりして、今現実に借金ができたから大変だと、あたかも国鉄の労働者がそれこそサボタージュやったり、休んだりというような、そこにみんな問題に目をそらしていくというのは私は本当に腹が立つんですよね。  それで、先ほど監理委員会が、これも片桐さんおっしゃったけれども監理委員会がきめ細かく考えて、分割会社も何とかやっていけるようにきめ細かく考えているのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、お立場上そういうふうにおっしゃらなきゃならなかったと思うんだけれども、午前中亀井さんと話しをした中では、監理委員会はそんなきめ細かく考えて残すなんという、そこまで責任を持てませんね、あの委員会では。なぜなら、民間会社にしてしまって、そして経営がうまくいかなかったら、赤字を出してやる会社なんてないですものね、民営になっちゃったら、そうすると、そのときには経営困難です、切りますということになって、私は地方ローカル線というのはもう何年か先には必ず切られてしまう、切るのが監理委員会のねらいだろう。そんなうるさいところは切っちゃって、もうかるところだけいただきましょうというところからあの監理委員会の発想が出ていると思うんですよね。  そういうことをいろいろやりとりやっていまして、いつでも出てくるのが私鉄並みな人ですよね。私鉄並みにならなきゃならない、こういうふうなことがもう耳がたこになるほど聞いたんですよね。  きょうはとってもいい立場参考人としておいでいただきましたので、その私鉄並みについていろいろ御見解を伺いたいと思うんですけれども、六つに分割をいたしますね、民営会社になりますよね。それが鉄道部門だけで、鉄道事業だけでそれらの民営になった会社がやっていける、私はそれはもうとてもじゃない、やっていけないと思うんだけれども、他の関連事業は考えないでも鉄道部門だけでやっていけるというふうに御経験からお考えになれますかどうか、まず最初にそれを伺いたいと思います。
  148. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 小笠原先生の御質問にお答えしますが、鉄道部門で民鉄の方はやっていけるかどうか。鉄道部門で設備投資をこれだけ、ことし六十年度は四月から一年間にこれだけ設備投資をして、これだけの金利負担がふえる、これだけの償却がふえます、それから合理化もすべてやりまして、これだけ足りませんよ、そういうことがだんだん積み重なってきますとやっていけませんから、それじゃ運賃の改定を多少やっていただきたいというのが二年半とかそういうことで来ているわけですよね。ですから、鉄道部門で、設備投資も償却も何にもしなければそんな上げる必要はないんですよ、物価も安定していますから大したことない。ですから人件費だってそう大した上がりはありませんですから、それはやっていけるんです。ただ、それ以上に自己資金が、日本の企業は自己資金が少ないですから、自分のお金がないからみんな借り入れですよね、社債か借り入れ。ですから借り入れだと、やっぱりすぐもう銀行なんか前取りですね、利息は。それですからその利息を損するわけです。それじゃ安い金利ありませんかといって、開発銀行で特定工事については長期のやつを多少安くしてお借りした、そういう形でやっているわけなんです。  ですから、鉄道で合理化をやって、できるだけ簡素化をやってやっていければ、その程度でやれる時代が、運賃の是正を毎年やらなくてもやっていけるわけなんです。  ただ、国鉄は、今お話がございましたけれども、ちょっぴり触れますけれども、四十年ぐらいまではやっていけたんですよ。やっていけたというのは、国鉄の中には、いろいろ分析しますと、我々まだわかりませんですよ、国鉄の中は、あれはもう戦時中は国有鉄道ですから、鉄道省ですから。ですから、その当時に国鉄でもって、敗戦後にどっ と救済をされたわけですよ。それで年金がありましたよね、それがたまりこんじゃったんですね。ですから無理もないんですよね。国鉄職員が、そういうことを言っちゃ大変恐縮でございますけれども責任がうんとあった。サボっているとかそういうことじゃないんですよね。  そういう意味合いで、国鉄赤字がふえてふえてしょうがないから、何とかしてやったらどうか。民営鉄道は苦しんで苦しんでやっているから、民鉄そんな偉いことないんですよ。だけど、民鉄は一生懸命でやって、みみっちくやっていますから、給料もなるべく辛抱して、それから時間外は取りませんし、そういうことをやっておりますから、それですから、何とかやっていかないと賞与も出ませんから、そういうことでどうやらこうやら、なかなか難しいんだけれどもやっておるという状態で、しかし設備投資は、やはり一八〇や一九〇じゃしょうがない、私の理想からいえば一五〇ぐらいにしなくちゃいかぬ。これは定員の一倍半ですね。一五〇にやってようやく幾らか新聞が楽に見える。そこが大体中心なんですよね。だから、それまでは設備投資をやって車両をふやすとか、それから変電所をふやすとか工場をふやす、それで完全な運転技術者を養成する、コンピューターを使う、こういう形で努力をしているから、民鉄がえらい努力をされてお褒めにあずかりますけれども、私からいえば、そんな褒めていただくほどやっておりませんが、とにかく利用者の方に何とか、まあ私鉄はよくやるわなと、そう言われるように一生懸命努力してやっていますので、国鉄の方々に負けないようにということで今一生懸命頑張っておりますから、どうかそんなことで……。
  149. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が褒めたんじゃないんですよ。私に言わせれば、私鉄はまだ路盤は悪いし、がたがたしてますよ、乗っても乗り心地悪い、低賃金だし、労働強化だし、私鉄まだうんと問題あります。私鉄並みにと言っているのは私でないのが褒めているんですよ。国鉄を今もう分割民営しちゃうというのが褒めているんですから、そこは誤解しないでくださいね。もっと私鉄は待遇よくしてほしいと思う、動く人たちの。  それで、今おっしゃったように、年金の問題そうですよね、特定年金の問題がそうですと。これも国の責任ですよね。戦後の受け入れでどっと入れた、これも国の政治の責任でしょう。それから、今度また総合的な交通政策の誤りで国鉄が乗っていけませんでしたと、こうよくおっしゃるんですよ。けさも亀井さんがそんなことおっしゃっていましたけれどもね。だけど、国の鉄道をどうするかというときに、その見通しも聞かないで、借金で設備投資をばかばかやっていったというのは、私は、見通し誤りました、ごめんなさいじゃ済まない、そう思うんですよね。そしてあげくの果てに、いろんな形をとったって、結局そこのところで、設備投資でもうかったというのは、いつも言うんだけれども財界、大企業だけですよ、そこの事業でもうかったのは。借金を国鉄にいっぱいつくらしちゃってね。  それでもう一つ具体的に、私の言いたいことはいっぱいあるけれども、聞きますけれども、具体的に北海道北海道は私鉄がないんですよ。初めからないんじゃなくて、あったんです、定山渓鉄道だとか夕張鉄道だとか。だけどみんな経営不振で撤退しちゃって、今ちょっとバスが残っているという程度なんですよね。だから、例えば片桐さんから見て、北海道鉄道株式会社というのができて、そこのところで本当にこれはやってくださいと片桐さんが言われたら、民鉄会長腕があるだろう、北海道株式会社社長にひとつと言われたときに、どうしますか。やる自信ありますか。
  150. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 別に北海道の方まで、とにかくよく細かいのは、北海道のいろいろ私鉄はありましたよ、まあちょっぴりは知っているんですけれども北海道のあの鉄道自体が、あれだけの雪が、積雪の多いところでなかなか経営がうまくいかないのは、これは当たり前ですよ。だから、運賃だって上げれば、マイカーの方が発達しているから、その方がやっぱり安いからそれがふえてくる。お客がふえないんですよね。だから、今小笠原先生がおっしゃるように、片桐君やれるかというけれども、私はやれないと思いますね、率直に言って。
  151. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、今度分割民営化になると関連事業というものができますから、そうしますと、私鉄でも関連事業ですよね。例えば東急の場合には鉄道部門がたしか三〇%、不動産が三三%で、それからレジャーが二一%、こうなっているんですね。そういうので私鉄の場合はやりくりできる。国鉄も、けさの亀井委員長は、今のところは考えて出しているわけじゃないけれども、将来そういうこともあり得るというふうにおっしゃったんですよね。  そうしますと、御承知のように、国鉄の持っている用地というのはいい場所にたくさん持っていますし、風鉄がこれをやっぱりやっていかなきゃならなくなると思うんです。鉄道だけではやっていけない、関連産業ということになりますと、不動産だとかそれからレジャー産業、特に首都圏東京とか大阪とか、こういうところが関連産業でもうんと収益を上げられるというふうになると思うんですよね。そうした場合、私鉄で皆さんがやっていらっしゃるのと競合するということの私は相当心配が出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、それについての御意見を伺いたいと思います。
  152. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 今の競合問題につきましてちょっとお話を申し上げて、おわかりになるかわかりませんが、ちょっと申し上げます。  確かに、民営化されて国鉄分割をされますと、民営ですから何でもできる、こうなると思うんです。それからもう一つは、きっと臨調、それから監理委員会でもお話があるでしょうが、余剰人員があるわけですね。この余剰人員をどこへとっていただこうか、各企業でとれとか、いろいろ新聞に出ておりますけれども、そういう余剰人員問題で、池袋にこの間ホテルをつくったようなものでね、それで国鉄職員が半分入るとか、そういうことが大いに出てきますけれども、やっぱり民間の私鉄でなくても、民間の企業でそういう同じような仕事をやられまして圧迫されるようなことになりますと、その点は大変だと私も思っているんですよ。その場合には行政指導で、そういう各企業が、私鉄でなくてほかの企業でも同じ仕事をやっておるところに大きいものでやられたらつぶれちゃうですよね。それの御心配だと思いますけれども、それは行政指導でなるべくそういうのはセーブしていただかなくちゃならぬと思うんですね。マーケットなら通産省の方だと思うんですね。お役所の方で御指導願うよりしょうがない。  私鉄の方でもいろいろ出ておりますけれども、なかなか行政指導で、どこでもいいからといって沿線に出していただけないんですね、行政指導があり、自治体の指導もありますからね。確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。余り圧迫されちゃ困ると思いますけれども、とりあえず再建で、とにかく赤字を出さぬようにやっていただくということがその中心だろうと思うものですから、そんなことで……。
  153. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう一つ、今の三十六兆円という債務、これをいろいろなふうに分割していくと随分お金を出すわけですよね。結局国が出すといっても我々の税金だ。だから、私なんかずっといろいろ計算したり考えたりしましたら、これだけの財政を考えるんだったら、今の国鉄にこれだけつぎ込んで借金をなくすれば、もっと負担が軽くなってやりようがあるんじゃないか、それは私の考え方なんです。  それで、お二人いらしているのに質問も何もしないで申しわけないんですが、一番北海道に近い北村参考人に伺いたいと思います。  私も北海道へ帰りますと、もうほとんど飛行機ですよね。だけど、飛行機なんというのは、旅行しているなんというものじゃないですよね、小さいのに縛られちゃって。私はやっぱり汽車に乗って旅しているなどいう気になるんだけれども、私のうちが三鷹なんですが、三鷹から乗って今度東京 で乗りかえて、上野で乗りかえて、今までは大宮で乗りかえて、盛岡で乗りかえて、青森で乗りかえて、函館で乗りかえて、こうだったんです。だから、本当にこれは新幹線が札幌までずっと行ってくれればどんなに楽で楽しいだろうなと思って、できればいいなと思うんです。だけれども、その整備新幹線東北ができるということについてはやっぱりまたこれはお金の問題ですよね。やれというのは簡単なんだけれども、やるための財政は、この赤字問題を考えているときにどう考えたらいいのかなというのが私自身の悩みでもあるわけですよね。  それから、新幹線は通った、だけれども在来線の本数は減らしちゃったといって、地域住民の不便になるというような、こういう表立ったところだけはぱっとやるけれども、本当に住民のためだとか、国鉄の今の財政の大変なときの財政問題というものはどう考えたらいいのかという点について北村参考人に伺いたいと思います。  奥田参考人、済みませんけれども、時間がありませんので。
  154. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 新幹線は欲しい、金はない、こういった状態にどう対応していくか、そういうお話じゃないかと思うのでありますが、短兵急に解決することが、今の御時世では、今の財政事情では大変難しいことであって、常に希望を持ち続けるような問い進め、これが今日考え得る最大の道じゃないか、私はそう思っております。つまり、一挙に青森まで、あるいは函館まで、札幌までといっても、そう短時日にはできないわけですから、それをしかし希望の灯をなくしないように、着実に少しずつでも積み上げていくということによってこの大事業が達成されるのではなかろうか。  かっての成長時代ならいざ知らず、これから先の進め方としては、ぷつっと切ってしまわないで、何年かかろうが、概して、選挙をやりながら政治をやっておるこの世の中は、だれだれの任期中にとか、何年までとか、こう打ち切って仕事をしようという風潮が非常に強いわけでありますが、任期がどうなろうと、知事がかわろうと、市長がかわろうと、ある一定の方針のもとに着実に積み上げていく、それがこういった巨大なプロジェクトを達成していくための一つの構えじゃなかろうか、私はそう思っております。それなるがゆえに新幹線待望論を展開しているわけでありますが、そんなに簡単に青森まで一挙に来れるとは思っておりません。七千億を多少節約して六千億前後の金でというんでありますが、それを八年なり七年なり、まあこれも早いほどいいのでありますが、着実に積み上げていくという進め方、これが非常に大事じゃないか、私はそう思っております。  ちょっと言い足りないところがありますが、申し上げていることはおわかりいただけるかと思います。
  155. 三治重信

    三治重信君 どうも参考人の皆様御苦労さまですが、時間も迫ってきましたからごく簡単に御質問したいと思います。  まず北村参考人新幹線を御要望になるのは当然なことだと思っておりますが、ただ、自民党の方で、先ほどのやつのときに、今度新幹線をつくる場合には在来線廃止を条件にするというようなことがちょっと新聞に出たことがあるんですが、そういうふうなのについてはどういうふうにお考えになっておるか。  それから、先ほど同僚の質問のときに、六十二年に青函トンネルが通って、当初は在来線しか通らぬわけなんだが、そうした場合に、従来の青函連絡船の方の廃止は困るというようなお話だったと思うんですけれども、やはり青函トンネルで列車を通したら国営の青函連絡船というのは廃止するのは私は当然じゃないか。それで後は、青函連絡船なり、港と港の間の人員の輸送なり貨物船というものが民間でやられる分ならそれはまた別にいいと思うんですが、トンネルの線が開通して、そしてまた青函連絡船を残せというのは、やはり赤字をふやすもとで、そこはしっかり踏み切られて、私はこの国鉄再建というものにやはり御理解を得たいような気がするんですが、それは現地としてどういうような利害得失をお持ちになっているのか。  それから、第三セクターの問題が出ているんですが、きょうは御質問なかったんですが、両知事さんも、地方ローカル線について国鉄経営をしたくない、切り離したい、しかし地元では残しておきたい、そこで第三セクター論が出てきたわけなんですが、私愛知なんですが、愛知の方も第三セクターの問題が出ておるんです。知事が中心になってやり始めておりますが、御両県は、第三セクターの問題で引き受ける場合の注文というんですか、さらに改善なり、今の国鉄の第三セクター経営の条件というものが適当かどうか、また、皆さん方がそういうことをやって努力しがいがある第三セクター線というもので考えておられるのかどうかという問題をひとつお願いしたいと思います。
  156. 北村正哉

    参考人北村正哉君) 最初の、整備新幹線建設に伴って在来線廃止が条件とされているが、そのことについてどういう考え方であるかと。これはしきりに話題にしてきたわけであります。しかし、私どもの場合で申し上げれば、完全に上野から青森まで新幹線が完成した、そういった場面で、今までどおりの特急列車、優等列車をそのまま残すことが妥当であるかどうか、これはだれが考えても、今のまま同じところから同じところまで、一方に新幹線あり、一方に在来線があるということは少なくとも合理的とは言えない。したがって、ストレートに、新幹線と同じような機能、同じ場所から同じ場所までの運行は廃止されることはやむを得ないだろう、こういうことに考えております。  ただ、特定な都市、あるいは特定な場所と申し上げてもいいわけでありますが、産業的にもあるいは観光面でも、そういった面である期間旅客の利用が、あるいは通勤者が、通学者が格別にここだけは多いんだという場所については、在来線の中でそういった場所に限って存続していく、こういう考え方が必要だろうというふうに思っております。おわかりいただけるかどうか、そんな考え方であります。  それから、青函トンネルの開通に伴って青函連絡船の扱いはどうなるかと。私は先ほどは、災害等の場合も考え、多目的に利用していくためには、今のままということはもう全然考えられないことでありますが、ある程度残した方がいいだろう、残すことが望ましいという申し上げ方をしたわけでありますが、経営形態がどういうことになりましょうか、国営のままでということに無理があるとしても、別の経営体でもいいから多少のものは残したい。これは希望的発言かもしれません。何とかして残せるものなら残したい、こんな感じでいるわけであります。ただ、今のままの姿を申し上げているのではなくて、歴史的なあの連絡船のある姿をそのまま今後に残したい、こういうことであります。それがまた災害の場合には役にも立つだろうし、多目的にその連絡船を利用して、青年の船を出すとか、あるいは観光に向けて利用するとかといういろいろな使い方が出てくるのではなかろうかというふうに思っております。  それから、第三セクターにつきましては、冒頭に申し上げましたように、私の方は第一次特定地方交通線二つにつきまして、黒石線と大畑線でありますが、それぞれ民鉄転換が既に完結いたしておりますので、目下のところ、第三セクターをもって対応するという場面は現在はございません。
  157. 奥田八二

    参考人奥田八二君) 福岡県における第三セクターについて申し述べますが、実例は甘木線というものでございます。これは第一次対象路線でございましたが、第三セクターとして存続することに決定したわけですが、そのいきさつといたしましては、甘木という市が、小さな市ですけれども、住民挙げての強い熱望がございました。廃止されると陸の孤島になる。というのは、福岡から車で二時間近くも時間がかかる、道路は渋滞して、バイパスの計画はあってもいつでき上がるかわから ないということでぜひ残してほしい、残すことによって福岡との間を一時間で通れるというのが希望でございます。  それで、県といたしましては、初度資金として一時金を差し上げて第三セクターへのよみがえりを援助するということで決めたわけでございますが、ただいま県といたしましても、人員の派遣も含めまして、設立までに若干の援助をするということもやっておるわけでございます。後は要するに地元の熱意にすべてがかかっているということを強調しておるところで、地元としてもその熱意という点ではこたえていきたいと、こういうふうに決意をしているところです。県といたしましては、やはり鉄道がこれからも成り立っていくためには、その甘木地域を中心に地域振興については精神的にも責任を感ずるということで、将来とも対応していきたいと思っているところであります。やはり乗ってくれなければ困るということで、甘木では自分たちの鉄道としてやっていくんだという熱意がございますので、県としても、一時的でございますけれども、援助していくつもりでおります。
  158. 三治重信

    三治重信君 片桐参考人にちょっとお尋ねしたいんですが、国鉄が、料金改定について、今まで一律料金制度のものを、私鉄と並行路線のところは、私鉄賃金が三分の一とか二分の一のようなえらい料金格差が出てきてしまったものですから、そういう並行路線については国鉄が料金を上げぬでやるようにしているわけなんですが、そういう問題からいうと、先ほどから聞いていると、私鉄の方は、鉄道料金では赤字のやつを関連事業で一生懸命埋めて、料金を上げないでやっている。国鉄の方はとっとことっとこ上げたけれども、余り上げ過ぎて、同じ区間を走っているのに二倍の料金を取ったり三倍の料金を取れば、これは人がみんな私鉄の方へ乗りかえてしまって乗らぬようになって、空気を運ぶようになるからということで、今度は料金を下げて、まだ格差があっても余り格差を広げないように、私鉄料金の五割増しなり倍以下にしておるというふうな料金政策をとったわけなんですが、今度国鉄も民営化になった場合にでもそういう線がいくと思うんです。  そうすると、民鉄とすれば、自分たちは運賃料金を赤字のやつをほかのところで埋めてでも料金を安くしているのに、国鉄がそういう料金を下げてやっているというのは、鉄道経営から見るとどうかというようなことで、国鉄が民営化されるなら、民営と同じ料金でやるようにおれのところも上げてくれと、こういう運動にならぬかどうか。
  159. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 簡単にお答えいたします。  並行路線の問題でございますが、民鉄とそれから国鉄の並行路線は、戦前では大体料金の値上げというのは国鉄が先に上げたんですね。それで、私どもは知っておるんですけれども国鉄が上げますと、会社の方でも国鉄に並んで同じ料金制度でやったものなんです。しかし、戦後になりましたら、国鉄経営とそれから私鉄の経営と違いまして、だんだん格差が出てきた。私鉄の方は私鉄の方の運賃制度、鉄道プロパーで見るわけなんですね。兼業は入っていないんですよ。一時は、運賃値上げのときに、兼業で利益がうんと出た当時があったわけです、不動産事業で。そのときは上げてくれなかったんです。石油ショックになってどうにもならなくなっちゃって、輸送力増強ができなくなって、そのときに上げてもらったわけです。  そういうことで、並行路線につきましては、今お話がありましたとおり、民営化されると、国鉄が民鉄と同じ料金で並んで、今はまだちょっと高いですけれども、並んで、そんなにどんどん上げない。ただし、料金の差が十円とか二十円の差ではそうぴんとこないですね、利用者の方がいろいろ拾ってみましても、我々払ってみましてもそうなんです。十円、二十円は余り問題にしない。ただ、定期券は、企業者負担だから、格差がありましても便利のいい方で乗るという形ですから、その点はそんなにでこぼこにならぬと思いますし、国鉄が民営化されれば、そう並行路線で高くしっこないですよ、同じ値段にしますよね。そこは行政指導になると思うんです。ですから、運賃は認可をいただきますから、会社でやるとか、民営だからどんどん上げるということはできません。それから下げるにもやっぱり認可をとらなくちゃならない。  そういう形になりますから、これから、並行路線につきましても、私鉄が値上げをすれば国鉄も上げるか、国鉄が上がって、民鉄は全体収支が悪化してくればまたお願いをするという形になりますから、国鉄は今どんどん上げていますから、毎年上げますから少し高くなっている。だけれども、最近は、並行路線については、国鉄も慎重にしていまして今上げておりません。そんな状態で、バランスをとっていくと思いますね。  そんなことで御理解願います。
  160. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 片桐参考人にお尋ねをいたします。  まず第一点は、冒頭に意見を述べていただきましたその中で、国鉄の今日を招きましたその原因は、近年における自動車、航空機の発達に伴う輸送構造の変化に対応できなかったこともその原因一つである旨の御意見がございました。お説のとおり、確かに今日の陸上輸送の主体は自動車に移っております。さらに、アメリカにおきましては、その地理的な特性、国民性、さらには巨大な自動車産業でありますGMの意図的な経営戦略等もあずかって自動車が大変普及しました。高速道路と自動車が輸送の主体をなしてきております。当然の結果といたしまして、それに見合った都市づくりまで定着をしてしまったのが今日だと承っております。  ところが、そういう結果としまして都市における自動車のふくそうが大変厳しくなってきております。そういう面から、大量輸送である鉄道輸送への回帰が考えられなければならないというような空気も出ておるように承っておるのでございますけれども、長年民鉄の経営トップとして携わってこられました方の御意見として、そんな時代がやってくるのかどうか、その辺のお考え方についてお教えいただければ幸いと思ってお尋ねをいたしました。
  161. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 山田先生からお話がございましたとおり、これからもやはり自動車の産業が発達しまして、非常に、この自動車問題が大きく鉄道に影響してまいります。これは事実でありまして、交通体系というものが、構造というのが違いまして、やはり終戦後高度経済情勢が変化がありまして非常に豊かになった、生活程度が上がったというような形から、道路事情がよくなったという関係で自動車産業が非常に活発になってきた。ですから、私ども考えたとおり、昔はバスとそれから鉄道と、大体そんなもので、あとはタクシー、このくらいだったんですけれども、今度はマイカーというものが非常に発達をしてきた。マイカーと同時に貨物自動車が非常に発達してきた、道路事情、道路構造が変わりましたから。  そういう意味において、貨物の輸送というものは非常に率のいいものがトラックになっちゃった、率の悪いものが鉄道になったというのが、私どもがいろいろ研究した結果、やっぱりそこに相当の鉄道が貨物をやってきたということが非常にマイナスになってきた。それまでは非常によかったんですよね、貨物というのは、大量輸送で。私は本を見てそういうふうに思っておりますが、私鉄の方としてもそうだと思うんです。  そういう関係で、これから今後の見通しについてのお話でございますけれども、ますます自動車産業というものは非常に発達をしておりますので、これは道路事情がよくなると同時に、バスといっても時間が厳守されませんから、鉄道はそれはいいですわね、鉄道は定時運行ですからこれは問題ない、中距離通勤、通学輸送ですからね。ですけれども、都心のバスというものは非常に問題があるわけですね。これは定時運行ができないというわけですね。定時運行さえできれば、これは専用バスレーンでもって定時運行ができれが、マイカーを使わなくてもバスで役に立つわけですね。 ですけれども、定時運行ができないからバスはだんだん人員が減少する、バス離れをするという状態が現在じゃないかと思います。  これがだんだん道路事情がよくなればなるほど自動車産業、自動車事業というものはだんだん栄えてくると思いますね。ですから、大量輸送につきましては、大体中距離交通はやっぱり鉄道、それから団地の短距離輸送はこれはバスですね。都心のバスというものはだんだん減ってくる傾向です、減ってきます。  そういうことで、道路事情がよくなれば、やはりバスは専用レーンになればバスもいいかもしれませんけれども、マイカーはどんどんふえますから、マイカーだけじゃなくて最近は二輪車がふえてきましたからね。ですから二輪車がもう非常にふえて、私も自動車学校の経営一つ兼業でやっておりますけれども、もう大型バスの免許を取る方でなく、自動車の運転の免許を取るのと二輪車の免許を取るのがもう大変ふえているわけですね。ですからこれからの見通しはよくわかりませんが、私らから見たら、二輪車並びに自家用車はふえてきますから、それから貨物自動車、トラックですね、これは大量輸送になってきていますから、これはもう道路事情が非常によくなってきておりますから、貨物輸送もなかなか大変だと思いますけれども、将来の見通しはなかなか大変だと思いますね。自動車というものはそう簡単に減らないと思いますね。  そんなことで御理解をお願いします。
  162. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次の問題、もう一つお尋ねをいたします。  その御意見の中で、分割民営もやむを得ないのではないかという旨の御意見でございました。そのやむを得ないとすれば、分割民営をします場合に特に留意しておかなければならないこと、例えば先ほど来の質問にお答えになって、弱い企業体にはそれを補完できるようなものをひっっけてやるとかの配慮が必要だという意味のお答がございましたが、ほかに、分割民営の場合にこれだけはやっぱりしておかないといけないというような何かが御意見としてお持ちでございましたら……。
  163. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) 山田委員にお答え申します。  私も専門家じゃないので、ただ民営の経験から私考えているのでございますけれども、やっぱり分割をするということは、適正企業になりますと見通しがよくなる、風通しがよくなっちゃうということですね。余り大きくなりますと、それは細かいことから何からなかなか大変だと思うんです。適正企業体に分かれるか分かれないかが、三分割が出ておりますけれども、三分割がいいか六分割がいいか八分割がいいかということは、これはわかりませんですけれども内容にタッチしませんからわかりませんけれども、一応分割をして見通しをよくする、それで収支のバランスがその方が手っ取り早くて合理化もできる、そういうことで分割民営論になったと思うんです。  ですから、それで一番問題になるのは分割する方法論だと思うんです。北海道地区を先ほどお話もございましたけれども北海道あたりはもうとても商売になるところは余りないじゃないかと、もうごもっともなんです。何をつけるかというわけですね。それで料金を上げたってだめなんです。ですから、それはやっぱり監理委員会でいろいろそういう肉をつけたり厚みをつけたり、やっていけるようにしなくちゃ引き受ける人はいないですからね、それは企業が成り立たないから。それはもう十分お考えになってやってくださっていると思います。それでなければやれませんから、やる人いないですよ。大赤字のところへまた行ってやれといったって、それは無理だと思いますね。やれるんなら、一生懸命努力してやれと言われればやる気になりますよね。ですから、やっぱり北海道あたりは積雪の多いところですから冬なんか大変ですよ。経費はかかりますし、それに見合うものを何かつける、附帯事業をつけるとか、それはそうだと思うんですね。  やっていけるようになって、それじゃ民営でやった方が成績が上がるんだ、赤字が減っていくんだ、借金も減らしていくんだ、もうかるところはみんな減らしていくんだと。そうすると、やっぱり国民の税金が、それはたまった借金ですからね、国民の。そう思いますが、ぜひそういうふうに分割をしていただいて、御賛成だそうですから分割をしていただいて、できるだけ早く立派な経営をしていただければ結構だと思います。ただ中小企業を余り圧迫しないようにしていただかなくちゃ、同じようなことをやられたんじゃ圧迫しますから。そう思います。どうぞ御理解を。
  164. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後にもう一つお尋ねをいたします。  先ほど北村知事さんの御意見の中で、国鉄分割民営化ということは世紀の大手術である、したがって完全無欠のものでなければならない、なぜなればやり直しがきかない、こういう御意見がございました。私もそうだと思いますのですけれども、しかし、完全無欠であるためにはどう考えていったらよろしいのか、これがわからないからいろいろ苦悩するわけですけれども、鉄道企業というものは、やってみて、ああしまったということでやり直しのきくものかどうか、その辺をお尋ねをいたしたいと思います。
  165. 片桐典徳

    参考人片桐典徳君) お答えをいたします。  民営分割をするということは、これは決まればその大方針に従いましてやっていくと思います。民営が一番いい、何でもできる、それから非常に能率も上がる、そういうことで完全な民営論でスタートを切るわけでございます。それは立派なものだと思いますけれども、ただ、それを安閑として、それで民営だからといったって、今度は非常に厳しいですから、そう簡単に民営は楽ではないんですね、すべては。個人商店だってそうだと思うんですけれども、三倍も四倍も働くようなつもりでやりませんと、みんな仲間がついてこないということですから、完全無欠な民営分割論はやると思いますけれどもね。  ですから、楽じゃないということで、なかなか難しいということで、やったら立派にやっていただくことが一番いいと思うんですけれども、民営になったら絶対もうやり直すということはできないと思いますね、スタートを切ったら。そうだと思いますから、収支のバランスがとれるように、分割は、北海道でも、それから四国でも、九州でも中国でも収支のバランスがとれさえすればいいんですよね。それに一生懸命で、寝食を忘れてやるような方法でやっていただければまことにありがたいと思っております。
  166. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  167. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しいところを本委員会調査のため貴重な時間をお割きいただきまして、まことにありがとうございました。各参考人にお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本委員会調査に十分に活用させていただく所存でございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会