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参考人(
荻本和男君) 東芝の
荻本と申します。
私、メーカーに勤めております
関係上、少し泥臭い話をさしていただきたいと思います。お手元に二十ページぐらいの資料がございますが、これを
参考にしながらお話を進めたいと思います。
二ページをまずちょっと開いていただきたいんでございますが、二ページの上の方に一次
エネルギーと二次
エネルギーの
関係ということで図が書いてございますが、この中で、実は一番から六番まで、
水力、
風力、海洋、
太陽、
地熱、
バイオマス、これが自然
エネルギーと称するものかと思いますが、いわゆる再生可能な新
エネルギーと、こういうことになるかと思います。
一方、
天然ガス、
石炭、
原子力、この三つはいわゆる
石油代替エネルギーというふうに位置づけられるというふうに考えております。
これらの
エネルギーと私どもが使いやすくするための二次
エネルギー、これとの
関係をこの表に書いておりますが、本日は時間の
関係もございますので、ポイントだけをお話をしまして、後ほどお時間がございましたらひとつながめていただくというふうにしたいと思いますので、二次
エネルギーの方は飛ばします。
それで、一ページの方をごらんいただきますと、これは
我が国の一次
エネルギーの
需給、
供給構成の
見通しということで二つの図面がございますが、上の方は、一次
エネルギーの
需給の
見通しということでございまして、これは昭和五十四年度と五十八年度に政府におかれまして
計画されました数字を一応書いておるわけでございますが、これをごらんいただきますと、五十八年度での
見通しは随分下がっておりまして、消費量が下がっております。ということは、
省エネルギーというものが浸透し、なおかつ、またそれの自信が出てきたので相当確実な
見通しと申しますか、相当
エネルギーは少なくて済むというようなことがわかってきたということで下がってきたということかと思います。
もう
一つ下の図をごらんいただきますと、これは五十八年度での策定でございますが、どんなふうな
エネルギー構成になるかということを書いた図でございまして、実線は実績でございまして、点線は先の推定でございます。これをごらんいただきますとわかりますように、
原子力、
天然ガス、
石炭、この三つが
石油代替でだんだん浸透させようということと、長期的にはずっと先の方へ参りますと、
地熱とか新
エネルギーと書いてございますが、いわゆる新
エネルギー、これを長期的には開発して、それで補っていこうと、こういうような形になっておりまして、これが私ども
日本での
エネルギー政策の
一つの姿勢かと思います。すなわち、省エネを図りつつ
石油代替をしていくとともに、先を見越した新
エネルギー開発を継続すると、こういうようなことになるかと思います。
そこで、それでは具体的に新・
省エネルギーというのはどんなものが期待できるかということを考えてみますと、資料の二ページの真ん中よりちょっと下ぐらいにございます。ずっとアイテムが書いてございますが、先ほどお二人の
先生方から
多様化の話とかいろいろ出ておりまして、その辺のところを御参照になりながらこの記述をごらんいただきますと、そうかなということがおわかりいただけるかと思います。
水力を初めとしまして十二ほど挙げておりまして、これを一々御説明しますと時間ございませんので、本日は実は私、三つにポイントを絞ってお話ししたいと思っております。
すなわち、その三つがそれぞれ重要でございますが、とりあえず至近距離として三つが重要ということで強いて挙げるわけでございますが、その三つというのは、まず二ページの下の方にございます
太陽光発電、これが
一つ。これはもちろん大規模な
発電というのは確かに望めないわけでございますが、地域に密着した、先ほど
大島先生が、何といいますか、非常に身近に感ずる
発電ということでも先々望めるんではないかということでございます。
〔
委員長退席、理事夏目忠雄君着席〕
それから三ページに参りますと、十一項にコンバインドサイクルとございますが、実は九項の
石炭ガス化複合
発電、これと同じテクノロジーの流れでございますが、この
一つの流れと、それから
最後の
燃料電池と、この三つにポイントを置きたいというふうに考えておりまして、その三つにつきまして四ページ以下に各論を書いてみました。
四ページでございますが、
燃料電池ということで歴史から始まっておりますが、実は
燃料電池と申しますのは、これはちょっと
言葉が悪いんでございますが、むしろ
燃料電池発電というような感じで御理解いただきたいんでございますが、いわゆる乾電池とかそういうものじゃございません。
燃料が
供給されて、それによってどんどん
電気が出てくるという
発電方式でございます。この原理の発見というのは非常に古くございまして、イギリスで発見されたわけでございますが、今から約百八十年ほど前にもう発見されております。しかしながら、実はこの
技術が花開いたのはアメリカでございまして、宇宙開発用ということで花開いたわけでございます。資料で上から六行目、七行目に「一九六五年 英国 G・E」と書いてあります。あるいは「一九六六年英国U・T」というのがありますが、これはミスプリントでございまして、「米国」の間違いでございまして、大変恐縮でございますが、御訂正願いたいと思います。
それで、もう少し具体的にその後の動きが四ページの下の方にございまして、実は電池には三つのタイプがございまして、アルカリ型と、第一世代、第二世代と書いてございます。もう
一つあるんでございますが、ここには三つの型が書いてございます。
それをちょっと御説明いたしますと、まずアルカリ型というのは、これは特殊用途でございまして、この表の一番下の線をたどっていただきますとわかりますが、現在スペースシャトルということで宇宙船に載っております。これは特殊用途としてある
意味では
実用化されているということでございます。
それから、第一世代というのが真ん中にございますが、「一般用途(TARGET
計画)」としまして、まず、アメリカのUT社で「一二・五KW−六四基」というのがもう既に一九七七年ごろに実際は試運転されておりまして、ここではフィールドでのいろんなデータをとったわけでございます。それで、右へ参りますと、「四〇KW−四五基(UTC)」というのがございますが、これは、実はただいま四十キロワットの
燃料電池が製作されまして、フィールドに設置されていろいろ試験をしていると、こういうことでございます。ここに「四五基」とございますが、最終的には五十一基になっておりまして、五十一基に御訂正いただいた方がいいかと思います。
日本にも実は東京
ガスと大阪
ガス、それにそれぞれ二台入っておりまして、東京
ガスのものは万博の筑波が一台とそれから鶴見の温水プールと、それから大阪
ガスさんはレストランというところで熱と
電気の併給
発電と申しますか、それのフィールドの実験をしております。
それからもう
一つ、上の方へ参りますと、
電力用ということで「FCG−1
計画」というのがございますが、これは、やはりこれもアメリカのUTCでの開発でございますが、一九七七年ごろに千キロの
燃料電池プラントの
発電を行いました。それから、現在は実は四千五百キロのものでございまして、「UTC−TEPCO」とか「UTC−CON・Ed」とございますが、上の「TEPCO」というのは東京
電力の五井火力に設置されておりまして、製品はアメリカのものでございますが、五井火力で実験をしておりまして、ただいま四千五百キロの定格運転に成功いたしまして、大体二千時間ぐらいの運転実績がございます。したがいまして、これを今ずっと続けまして、今年度じゅうぐらいまで続けようということで、ここで四千五百キロの実績が出ると、こういうことになるかと思います。実は「CON・Ed」のアメリカの方は、これはニューヨークで設置されたんでございますが、電池のトラブルで失敗しまして、
発電には成功いたしませんでした。しかしながら、東京の五井の実績がございますのでよかろうということになっております。
これはまあアメリカの事情でございますが、実は、
日本ではどうかというのはもう一方の線がございます。「三七KW実績(東芝実績)」とございますが、これは、実は昭和五十六年に三十七キロの
日本での
発電をしておりまして、その後、「五〇KW級パイロットプラント」というのがございますが、これは各社が大体そのくらいのパイロットプラント、
燃料電池の開発、各社がつくりまして今実験をしております。それからその次に、「1MWムーンライト
計画」、千キロのムーンライト
計画がございまして、これは政府のムーンライト
計画のもとに高温・高圧型、これは火力の代替ということになっております。それから低温・低圧型、これは分散配置型ということになっております
が、この二つのグループに分かれまして、昭和六十一年に千キロの
発電をしましょうと、こういうような
計画になっておりまして、今それに取りかかっているわけでございます。その先ほどうなるかといいますと、大体昭和六十五年から七十年ぐらいにかけまして
燃料電池の実用期に入るんじゃないかというふうに期待しております。
これは今、第一世代の話でございますが、第二世代につきましては、この図の右下の方に点線で丸が囲ってありますが、まだ基礎
研究でございます。これは、この型は溶融塩型と申しまして、もう少し動作温度の高いものでございまして、基礎
研究でございます。現在、一キロぐらいしかできておりません。それで六十一年には十キロクラスの電池をつくりましょうというような
計画になっておりまして、その後、第二フェースとして八年から十年ぐらいかけまして、いわゆる実証プラントをつくろうではないかと、こんなような
計画が、ただいまムーンライトを
中心に御検討になっているというのが実情でございます。
このようなのが今、
燃料電池開発の経過でございまして、次のページ、六ページを開けていただきますと、先ほど電池の型の御説明を飛ばしましたけれども、種類につきまして表がございます。四つの種類がございます。まず、左からごらんいただきますとアルカリ型、それから第一世代・燐酸型、第二世代・溶融炭酸塩型、第三世代・固体電解質型、この四つの種類に大別されるわけでございまして、アルカリ型につきましては、実は
燃料は水素と酸素を使いますものですから、結局、
燃料が高くつくということで特殊用途にしか使われないということで、一般用につきましてはこの第一世代・燐酸型、これは動作温度が百七十から二百十度ぐらいでございますが、
燃料としましては、ここにございますように
天然ガス、メタノール、ナフサと、こういうものを使いますので、これは一般用に使えるであろうということで、ただいま開発に一番注力しているということでございます。
それから、第二世代につきましてはもっと動作温度が高くなっておりまして、六百度ないし六百五十度と、こういうことになってまいりまして、これは
燃料が第一世代のもののほかに
石炭の
ガス化についても使えるということ、しかも動作温度が高いために大規模な
発電に向くということで、将来の
大型発電所に取ってかわるというふうに見られております。
それから、第三世代はさらに動作温度が高くなってまいりまして、非常に難しくなってまいります。それで、これにつきましてはまだ先のものということで、基礎
研究の段階と、こんなような
状況でございます。
さて、資料の七ページは飛ばしまして、八ページに参りますと、八ページの中ほどに「
燃料電池発電の特徴」ということで特徴がございます。
まず第一に、高効率でございますということですが、これは
省エネルギーにつながるということでありまして、
燃料電池は
省エネルギー発電方式の
一つの例であるということでもてはやされている理由になっております。
八ページの左下の方に図がございまして、各種システムの比較がございます。これをごらんいただきましてもわかりますように、
燃料電池システムが一番効率がいいというふうに御理解いただけるかと思います。
九ページに参りますと、そのほかにいろいろな特徴がございます。「排熱が
利用し易く熱
供給を行えば、八〇%以上」ということでございますが、これは実は動作温度が百七十ないし二百度
程度で運転しておりますので、ここから出てまいります排熱というのは大体百七、八十度近辺までに上がっております。したがいまして、この
程度の温度になりますと、非常にいわゆる熱としての
利用もしやすいということでございまして、この排熱が大体四割ぐらい、それから
発電が四割ぐらいということでございますので、
エネルギーの有効
利用としましては八割ぐらい使えるということで非常に効率のいい方式であるということでございまして、先ほどからもお話が出ておりますが、これは
一つの
コゼネレーションのための有効な手段であるというふうに考えられているわけでございます。
それから、さらに特徴としましては環境保全性がよろしいということでございまして、実はこれは回転部分がございませんものですから音がしない。それから、
燃料電池と申しましても
燃料を燃やすんではなくて、
電気化学反応でございますので、実はNOxが出にくいというような問題ございまして、大気汚染も少ないということでございます。そういう
意味では都市にそのまま置けるというようなメリットがございまして、そういう
意味からも非常に好ましい方式であるというふうに考えられております。そのほか、いろいろ特徴がございます。
それで、どんなような
利用形態がということが実は十ページに書いてございまして、いろんな
利用形態が考えられております。火力の代替だとか都市の分散配置だとか、離島だとか、オンサイトと、こんなようなことで非常にフレキシブルに使えるというふうに考えておりましてこれから期待される方式でございます。
十一ページに参りますと、それがそれではどんなことで今開発されているかと体制が書いてございます。
先ほど開発のスケジュールを申しましたので、体制だけ申しますと、十一ページの真ん中より下に体制がございまして、工技院さんからまず第一世代・燐酸型でございますが、これはNEDOを経由しまして、高温高圧型が日立さんと東芝。それから、低温低圧型が三菱さんと富士電機さん、このようなグループで開発をしております。
それから、第二世代、これはまだ先でございますが、先ほどの第一世代につきましては、昭和六十五年から七十年代に
実用化するであろうと申しましたが、第二世代につきましては、大体十年ぐらいおくれるという感じでございまして、これにつきましては、まだ基礎
研究の段階でありまして、やはりNEDOから東芝、三菱、IHIと、それからあともう
一つのグループは日立、富士と、この二つのグループに分かれまして
研究をしておりまして、またこれは一キロができたばかりで、六十一年度には十キロができる、こんな段階でございます。なお、非常に材料の問題がございますものですから、大工試、これは大阪の工業試験所でございます。ここでの勉強をしております。それから、基礎
研究は電総研ということでございます。
海外の
状況は、ざっと申しますと、米国が非常に注力しておりまして、あとヨーロッパの方はどっちかというと不活発でございまして、最近、実はオランダとか、イタリアで少し始めようではないかという動きが出ております。このような
状況でございます。
さて、時間がございませんので、大急ぎで十四ページの
光発電の方に入りたいと思います。
光発電につきましては、実は
小野先生からもお話が出たりしておりましたんで簡単にしたいと思いますが、やはり問題は三つあると思います。
一つは値段でございます。それからもう
一つは
発電効率、それからもう
一つは寿今、この三つになるかと思います。
実は、
太陽光発電につきましては、もう既に電卓だとか、時計用だとか、あるいは特殊な電源でもう実際使われておるわけでございますが、その場合は
コストが高いのをカバーできるそれぞれの理由があるために使われております。実際、これをいわゆる
電気エネルギーとして使おうとしますと、今のような問題が出てまいりまして、ここにございますように、まず
アモルファスとか、多結晶のものを開発しようというようなことがまず考えられておりまして、これは製造工程上の改良ということで低価格化を図るということになるかと思います。
あと特徴が十六ページにございますが省きまして、十六ページの下の方に参りますと、値段との兼ね合い、あるいは「開発
状況と展望」というようなことで書いてございますが、やはり
コストの低減が至上命令ではありますが、
コストを下げるにはやはり需要を拡大せにゃいかぬということで、需要の拡大と
コストというのが鶏と卵、こういうふうな
関係になっておりまして、この市場開発と、それからもう
一つは製造法の開発、改良というような
コスト低減、これが
一つのポイントになってくるかと思います。
これがどんなふうに開けるかとというのが、十七ページをごらんいただきますと書いてございまして、現在、特殊用途としましてつくって出ておるわけでございます。
〔理事夏目忠雄君退席、
委員長着席〕
それがあと孤立電源、公共施設あるいは住宅用、汎用、こういうように
コストの低減に従ってふえていく、こんなふうなことになっております。
あと海外の
状況でございますが、アメリカがやはり意欲的でございます。あと私どもとしましては、この今のようなことで
コストの低減とマーケットの展開ということで、これから徐々にこの
光発電は広げていくべきであるというふうに考えております。
それから
最後に十九ページでございますが、コンバインドサイクルというのがございまして、これはポイントは高温
ガスタービンの開発、それからもう
一つは
石炭の
利用ということで、
石炭の
ガス化、この二つを組み合わせますと非常にぐあいがよろしいわけでございます。高温
ガスタービンにつきましては、この資料では二十一ページの上の方に、現在、
ガスタービンの入り口温度は千百度と書いてございますが、一千百度のものができておりまして、これを使いますと、コンバインドサイクルにしますと四三%の効率になるということ。通常汽力が四〇%でございますので相当改善できるということでございますが、現在ムーンライトでは千三百度のものを開発しておりまして、これができますと、プラント効率が五〇%になる。それからさらに千四百度のものを考えておりまして、これになりますと五五%になるということでございまして、この高温
ガスタービンの開発をさらに振興するということと、もう
一つは、
石炭ガス化の出現、この辺が組み合わされますと非常にうまいことになっていくだろうというふうに考えておりますが、これもやはり
実用化につきましてはあと五年ないし十年ぐらいかかるんじゃないかというふうに今考えております。
以上、駆け足でお話し申し上げましたが、三つのポイントを申し上げました。
どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。