○対馬
孝且君 これから、三菱高島、
南大夕張災害問題の集中審議ということで行われるわけでありますが、特にこの問題につきまして、私は、六月の三日に現地の坑内に一応入坑いたしてまいりました。ちょうど石炭協会が新たな保安の重要性を認識をいたしまして、操業
停止をして一斉点検をすべきであるということを業界が自主的に決めまして、一応各山一斉点検に入りました。
〔
委員長退席、理事沖外夫君着席〕これに対しては、いまだかつてないことでございますけれ
ども、その日に私も炭労政治局員という立場で、現地の炭労
北海道委員長と山元の
委員長それから労働組合の保安部長を随行いたしまして八片の奥地まで行ってまいりました。千六百
メーター斜坑で降りて、さらにまた水平坑道を斜坑で降りまして、第一卸からまた六百
メーター入りまして、徒歩で大体千
メーター私も現場を歩いてまいりました。
したがって、現場
状況、坑内
状況でありますが、約二週間たっているわけでございますけれ
ども、八片部内の坑道を見ますとかなり盤膨れの状態が起きておりまして、地圧が上がってきまして、坑道が仮に一
メーター五十あるものが地圧でだんだん狭くなってくる現象、つまり地圧が上がって浮いてくる、上がってくる、
炭鉱用語では盤膨れと、こういうふうに言っているわけですが、三十センチから四十センチぐらい地圧の盤膨れの
状況が際立ってありました。八片坑道の大体七十
メーターから八十
メーター、異常な
状況でありました。私が行ったときにはちょうど保安要員の補修作業が開始されておりまして、消火器の作動点検であるとか、あるいは風管の取りかえ、あるいは補修という、取り明け作業と
炭鉱では言うわけでありますが、機械の位置の移動とか、あるいは取り明けとか、こういう作業を行っておりました。したがって、相当現場
状況が、二週間後の保安
体制、保安要員も増員をいたしておりまして、まず坑道を整備することが大事でありますし、あれだけ爆風によって風管も散乱しているものですから、まず坑道を整備することが緊急な課題であるということで今、実は行っているわけであります。
そこで、私
たちこの間現地に、参議院のエネ特、田代
委員長を先頭にしまして、商工と合同
調査団で入りました。そのときに私は、今回の
災害の原因は二つ
考えられるということをこの前現地でも
指摘をいたしまして、札幌立花保安
監督局長も、対馬議員の
指摘する点がやっぱり問題点だということを
考えておりましたということでございました。
それはどういうことかといいますと、一つは八片連坑道の旧密閉箇所、これは二カ所ございまして、
通産省が認定しております保安図、これは六十年四月の保安図でございまして、この現場箇所を見てまいりますと
政府側はわかっていると思いますけれ
ども、問題は八片連坑道のちょうど三日抜き、四日抜き、五日抜きの手前の南立て入れ切りかえの入った地点ですね、八片のこのちょうどこういうふうになっている――これ見ればわかりますけれ
ども、この地点に二カ所、ここに一、二と、こういうことで密閉箇所がございました。これが一つ
災害発生源として
考えられることであると。なぜかなれば、今までも高島の
災害にしましても、あるいは有明の問題にしましても、夕張新鉱の問題は別にしまして、幌内
炭鉱の問題にしましても、旧坑道、つまり密閉坑道に一定のガスがたまって流出して、それがガス爆発の現象を起こすということはこれは
考えられるわけでありまして、密閉坑道の方から出るガスによる
災害というものは過去の例を見ても非常に多いわけであります。そういうことの判断からまいりまして、比較的密閉坑道による
災害発生ということは
考えられるということで、実は現場で密閉坑道を見ました。これを見てみますと、通気が、実は密閉坑道の方に向かって入気が入っておりまして、排気じゃなくて入気が来ておりまして、通気の回転が、風の回りぐあいが最大のいい条件に置かれておりまして、したがってあの当時の現象も聞きましたが、密閉でもし発生してガス爆発が起こったとするならば、あれだけの通気のいい条件の中で、風が前の方に出るわけがないと、むしろ吸い込まれていると、こういう現象が、当時の現場
状況も聞きましたし、またなるほど、私行ってみましたら、密閉にいると風がぐっと手が吸い込まれるような感じでありますから、相当な吸引力が密閉箇所に実はあるということ、それからもう一つは、鉄枠の中に粉じんが、もしあすこの密閉箇所であるとするならば、がなり鉄枠に粉じんが吹きつけてなきゃならぬ。当然ですわね、これは、あれだけの爆風ですから。その状態が密閉箇所付近には見られなかったという点ですね。それと密閉箇所における遺体の
状況というのが必ずしもそういう
状況ではなかった。むしろあの密閉箇所にはない。八片の坑道の中にはありますけれ
ども、密閉箇所そのものには余り遺体はなかったという総合判断を私なりにしまして、これはやっぱり今の段階では、密閉による
災害発生ということはちょっと私の感じとしては、これが重要な
災害発生の地点とはちょっと
検討を要するというふうな感じをいたしました。そう判断いたしました、現地を見て。
そこで第二の説なんですが、これも現場で
調査団で行ったときに私申し上げましたことは、採炭現場がかかっておるわけでありまして、八片、七片の採炭箇所でございますから、ここにございますように。したがってこの三日抜きと四日抜きのちょうど出戸、出戸って
炭鉱言葉で、出戸というのは入口なんでありますが、ちょうどこの三日抜き、四日抜きのこのここらあたりに実は十二座、十三座というガスボーリング座がございまして、ここが実はなぜ
考えられるかといいますと、ちょうど切り羽の、目抜きの出口ですから、ガスボーリング座の位置としては、何らかの現象でガスが出たと、あるいは爆発をしたと。それも後で申し上げますけれ
ども、それがどういうふうに、何に着火して、火源が何であったかというのが、ガス発生源がどこで、火源が何であったかというのが
炭鉱の
災害の
基本の問題ですから、
あとは細かいことはあったにしても、枝葉の問題はあっても
基本の問題はそこですから、したがってそこらあたりを見ますと、大体十二座、十三座、あえて十二、十三に私絞ってみたんでありますが、ちょうど
災害の前日までのガス抜きの、
炭鉱用語で引いたと、こう言うんでありますが、ガスを抜き取っている
状況を見ますと、かなり、これ十二座、十三座の場合は相当な本数になっていますね。抜いた本数も三十三本あるいは四十四本と、抜いたガス量も私の持っているこの資料で見ますと、十二座が五十一万七千立米、端数を捨てますと。十三座が二十二万五千ですから、合わせますと約七十四万近くの実はガスを抜いているわけであります。これでわかることはそれだけガスが多いということですね。抜いてなかったということじゃないですよ、ガスを引いているわけですから。それだけガスが出ておったと、こういう
状況が一つ
考えられますね。これは六十年五月十六日三時現在でございます。しかも、一孔当たりのガス分量、分布を見ますと、十二座が〇・〇五、十三座が〇・〇二と非常に高い数値に実はこれは一札当たりのガスの
状況がなっております。したがって、私はやっぱりそういうふうに
考えてまいりますと、十二座あるいは十三座のガスボーリング座の一定のガス量が、それだけガスを抜いているわけですから、かなりのやっぱりガス発生源として実は
考えられるということが一つです。
それから第二の理由の根拠としては、あの十二座、十三座のそばで亡くなった方々を見ますと、ほとんど熱傷であります。これ一酸化炭素じゃありません、熱傷です。焼け焦がされたということですから、はっきり言えば。そういう熱傷の状態になっているということですね、第二の理由は。
それから第三の問題は、ちょうどあの鉄枠の、これは六十センチごとに、ほかの山は一
メーターですけれ
ども、なぜ崩落がなかったかということ私も行ってみてよくわかったんですが、
北海道の
炭鉱に随分入っていますけれ
ども、大体鉄枠は今一
メーターです、どこの山も大体。ところが、この大夕張だけは六十センチですね。六十センチでずっと鉄枠が組まれているんです。この点は確かにあれだけの爆風があったわけですが、あれだけの爆発ですから、私の実感では相当の崩落があったろうと思ったけれ
ども、確かに崩落現象は見られません。これは全くそのとおりです。そういう点は、確かに六十センチ、今までほかの山では一
メーターだったのが六十、六十で狭くいっているという点あたりがある
程度一定の崩落を食いとめたかなとそれは非常に感じております。
そういう問題でちょっと整理をいたしてまいりますと、そこで問題になりますのは、それでは何でガスが発生したかということが今度は問題になるわけであります。
そこでこれは
南大夕張の今までの実態を私なりにずっと調べてみますと、実は五十四年山鳴りによって炭車がひっくり返っていますね。こういう現象が五十四年に大夕張で起きているんです。これ間違いありませんから
確認してもらって結構です。五十四年の六月、山鳴りによって炭車かひっくり返っています。幸い
事故は一応なかったということがございます。
そこで、何でガスがそれじゃ爆発したのかという問題なんですが、十二座、十三座あたりの問題の中で、この種の、資料を取り寄せてみましたら――十二日から
災害当日までの山鳴りの
状況が一体どういうふうになっておったかということを実は労働組合の方に何とかその資料を借りられないかという話をいたしました。それを見ますと、最終的な判断だということになっているわけでございますけれ
ども、三時三十四分に音響感知器というのが、AE器が実は五十四年の
災害以来設置されておりまして、通称音響感知器と、こう言っているわけでありますが、これを見ますと、どういうことかと言いますと、これは十分の一秒間に一定の高さ以上に出た振動の回数を示すわけです。ちょうど地震の振動回数を示すのと同じであります。ただ、音は出ないんです。音でなくて振動回数をあらわす感知器、つまりAE器と言っているわけでございますが、これで見ますと、一定の高さを示して振動回数をあらわすことになっているわけです。
このサイクルをちょっと調べてみたんでありますが、周波数、サイクルで見ますと、通常ヘルツの数字で申し上げますと、地震のように揺らいでいく場合一分間で大体二十サイクル、これが通説だというんですね。一分間で二十サイクル。そこで、三菱
南大夕張の場合は、山鳴りの通常の場合は大体三百サイクルであります。地震の震度一あたりでいきますと、大体
先ほど私が申しました二十サイクル。それから、
先ほどの五十四年の山鳴りで炭車がひっくり返ったという
状況の中で一定の山鳴り点検をしてみますと、一分間に大体三百サイクル。そこで、このデータなんでありますが、十七日の
災害の発生した時点は八百サイクルを示していたという数字が実は出ているわけでございます。したがって、これが、私は、山鳴りによる八百サイクル、AE器、音響感知器に感知をしたその振動によってやっぱりボーリング座からみんながガスが抜けたのではないかと、そこの決め手になるわけでありますが、そういう感じを現場を見まして――どうもそれは時間的に三時三十四分でしょう。これを見まして、今そっちにやりますけれ
ども、三十四分、十二日からずっといきまして一番平日で、五月十四日が七十ホン上がっているんです。五月十七日は百三十七ホン。普通は三十ホンぐらいのものが十七日の
災害の三時三十四分につまりこのAEカウント器のイベントに数字が出されたのが実は百三十七、こういう実はホンの数字が出ております。これをちょっと
政府委員に……。(資料を手渡す)
それがやっぱり私は衝動が起きて――ちょっと見てください、それ。十二日からずっとデータが出ておりますから。大体三十から四十、少ないときは二十くらいになっておりますけれ
ども、その十七日の三時三十四分に百三十七ホンのあれが出ている、こういう記録がされているということですね。十七日。だから通常の場合大体三十ですから、大体五倍ないし六倍の音響測定がされている、
災害の日。そうすると三十四分でしょう。私が入っていったときに、ちょうどその
災害が発生したときの池本というさお取りという人車を運搬をしている運転手ですが、この方とちょうど三日の日に現場でお会いすることができました。実際にその日池本さんが無線でもって上の管理所に実は連絡したという経緯がございますから、池本という人はその本人ですから、その彼に僕は聞いてみたんです。実際に言って、そのときのあなたの本当の実感としてどうだったか。やっぱり一定の衝動をバーンと感じたと言うんだね。それから、目の前が真っ暗に、煙がバーバーバーとこうなっちゃって、ああこれはガスだな爆発だなといって、それで無線に走った、こういうことを池本さんが私がお聞きしましたらそういうことを言っておりました。
それをずっとあわせてみますと、一つは、
先ほども申しまし
たちょうど三時三十四分という時間帯が、その後、三十五分ないし六分に実は爆発をしているということ。それからもう一つの問題は、
先ほど言った日常の山鳴りと十七日の
災害時の三時三十四分のいわゆる振動
状況というものは全く異常である、この資料にありますように。そういう
状況等を判断してみますと、やっぱりこれは密閉という説よりもガスの十二座、十三座の地点というのが発生源である、こういうふうに私はほぼ想定をいたしておるわけであります。
そこで、
政府側に第一点としてお
伺いしたいことは、つまり発生場所、現時点で、もちろんこれは今
検討中でございますから当然だと思いますが、八片の連坑道の地点であるという点は、第一点間違いないかどうか。間違いないというか、そういう判断に立っているかどうか。
それから第二の問題は、
先ほど申しましたように、十二座、十三座という地点に絞った場合に、やっぱり問題はそういう山鳴りの振動、衝動というものによって一定のものが起きてそれによるガス爆発ということが一つは
考えられるという点を、私はとりあえず質問として今ずっと経過を申し上げましたけれ
ども、その点についてどういうふうにお
考えになっておるか。それで、私は率直に申し上げますが、入坑して帰ってから実は札幌立花保安
監督局長ともお会いいたしました。それなりに意見交換をいたしたつもりでございますが、その点についてまずお
伺いをいたしたい、こう思います。