○
参考人(
中上英俊君)
住環境計画研究所の
中上でございます。
僣越でございますが、ここで最近の
民生用エネルギーの
過年度の
動向と将来の
見通しにつきまして
お話しさせていただくことをお許し願いたいと思います。
早速、お
手元にお配りしてあります
資料にのっとりまして駆け足で御説明させていただきたいと思います。
まず一ページでございますが、
左上のグラフでございますけれ
ども――その前に
一つお断りしておかなきゃいけませんが、
民生用と申しますのは、いわゆる
家庭用とそれから
業務用、
業務用と申しますのは、こういった建物であるとか、商店であるとか、そういった
サービス産業を含めた
業務用を含めて
民生用というふうに呼んでおるわけでございますけれ
ども、私がきょう御説明さしていただきますのは主に
家庭用についてでございます。と申しますのは、
業務用を統括して追える
データというのがいまだ
我が国に存在していない。
部分的には
実態調査等が行われておりますけれ
ども、これを
過年度から追っかけてなおかつ将来に向けてというふうな
データはまだ全くそろっていない。ぜひこういった
機会を利用しまして、そういった
データベースをしっかりと積み上げていただきたいということが
一つのお願いではあるわけでございます。したがいまして、
家庭用について特化して
お話しするということをまず御
承知おき願いたいと思います。
家庭用でございますが、私
どもで用いました
データの基本の
資料は、総務庁がやっておられます家計
調査という膨大な
データがございますが、その中に
光熱費支出という細目がございまして、そこに
家庭で使われる各種の
エネルギーの
支出動向、物によっては
消費量まで経年的に追いかけてたどることができるわけです。その
資料から持ってきたわけでございますが、まず一ページの
左上の図が、それでは一
世帯当たり家庭用の
エネルギー代としてどの
程度支払ってきたかということを、四十年から多少四十五年まで飛んでおりますが、四十五年以降五十八年まで示しておきました。段階的に四十八年、四十九年のいわゆる第一次
オイルショック、それから五十四年、五十五年の第二次
オイルショックといったところで
支出がぐっと
伸びてきておりますが、
家庭にとっては第二次
オイルショックの方が
かなり大きく
支出に響いておるということがうかがえようかと思います。
名目ベ-スでいきますと、四十年-五十八年が約六・五倍ぐらい
消費支出が
伸びておるわけですが、
実質でいえば約二倍ぐらいだというふうに見えるかと思います。それにしましても、四十年当時三万円弱であったものが、現在では十七万円弱のところまで一年間の支払いに及んできているということでございます。
この
内訳でございますが、ごらんになってわかりますように、
電気がおよそ半分近くを占めております。
一番左の
白抜きの
部分が
電気になっております。御
参考までに、五十八年の
数字だけ申し上げておきますと、四七・五%が
電気代。その次の二〇・一%が
都市ガス代、右に追っていただきます。その次の一七・四%、これがLPGで、横線の灯油は一四・六%、あとはその他のものがごく少量含まれておるということです。
これは全国の平均でございますが、御
承知のとおり北から南までございますので、これも御
参考までに申し上げておきますと、北海道ですと、この値が五十八
年度で申しますと、年間大体二十万円をちょっと超えておる。一番
支出が少ないのは四国、九州といったあたりでございまして、十五万円強といったところです。ですから、寒暖の差によって
かなりエネルギー支出が左右されているというようなことがまずうかがえそうでございます。
その下のグラフと、それから右上のグラフでございます。しからば、
エネルギー支出が家計
消費に占める割合はどの
程度になっておるかということです。過去長い間おおむね三%台から四%をちょっと超えるあたりで推移してきたわけでございますけれ
ども、まず右上の実線の一番上のグラフを見ていただきますと、第二次
オイルショックを越えまして五十四年、五十五年以降は、いまだかつて経験したことがない五%を超えるような
支出比率になっておる。これまでの推計ですと、おおむね
支出割合は四%ぐらいで今後とも推移するだろうと言われておったんですが、
エネルギー高価格時代を迎えて、五%を超えるといったあたりが
かなり家計にとって負担になってくるのじゃないだろうか。それを示すために左下の五分位別の
数字を示しておきました。
これは、上からⅠ分位、Ⅱ分位、Ⅲ分位、Ⅳ分位、Ⅴ分位とございますが、これは御
承知のとおり年収を一万世帯を下から順番に二千世帯ずつ分けていきまして、五階級に分けたわけでございます。
参考までに、五十八年ですと、平均年収が約五百万円ぐらいというあたりが平均でございます。これはⅠ分位が二百二十万円ぐらい、Ⅱ分位が三百五十万円ぐらい、Ⅲ分位が四百五十万円ぐらい、Ⅳ分位が五百七十万円ぐらい、Ⅴ分位になりますと、九百二十万円ぐらい、こういうふうな分布になっております。後ほどまた同じようなⅤ分位を使った
データが出てまいりますので、ちょっと記憶にとどめておいていただきたいと思います。
左下のグラフをごらんになってわかりますように、
オイルショックのときに際立って違う
傾向を示しておるのが第Ⅴ分位でございまして、第一次
オイルショックのときには、その後の第Ⅰ分位から第Ⅳ分位までは、いずれも
支出割合を高めることによって
オイルショック後の
エネルギーの使用を乗り切っだということですが、第Ⅴ分位については、そのときに、実際に
支出比率が落ちておる。ということはどういうことかといいますと、恐らく第Ⅴ分位の使い方と第Ⅳ分位までの
エネルギーの使い方が違うのではないか。特に一番高い第Ⅰ分位を見ていただきますと、非常に
支出比率が高うございまして、六%台、第一次
オイルショック後は六%台を記録しております。したがいまして、必需的な使い方をしておるところに大きく
エネルギーの
ショックがきいておる。
第Ⅴ分位になりますと、
かなり豊かな使い方をしておるので、節約という行動で乗り切ったのじゃないだろうかと、こういうふうな見方を我々はしたわけですが、その後の第二次
オイルショックになりますと、いずれの分位においてもやはり
エネルギー支出比率を高めることによって
エネルギーの使い方というのを処理してきておるということですから、一次と二次は大分
家庭にとっては
オイルショックの意味が違ったのだなということがうかがえると思います。
右下の図でございますが、これは価格の推移を示したものでございます。価格高騰がこういった結果を招いたことは想像にかたくないわけでございますが、ごらんになってわかりますように、上がり方、ジャンプの仕方というのはやはり二次
ショック後の方が大きいということがうかがえようかと思います。
エネルギー価格の比率をちょっと申し上げておきますと、五十八
年度でいきますと、灯油を一というふうにしますと、
電気が約三・三倍、ガスが一・七倍、LPGが二倍といったふうな
エネルギー価格の差になっております。もちろん
エネルギー自体が持っている特性が違いますから、一概に比較することはできませんけれ
ども、価格の差というのがそういうぐらいになっておるということを御
参考までに申し上げておきます。
では、次のページに参りまして、図の5でございます。
左上でございますが、これは
先ほどの
エネルギーの
支出と、それから
エネルギーの価格というものを用いますと、割り返せば量が出てくる、こういうことになるわけでございますが、そういった手法を用いて
エネルギー消費量に変換したわけでございます。
先ほどの
支出額ベースで見ますと、随分
伸びておるという
傾向がうかがえますが、
支出量に直してみますと、さほど大きな
伸びは見せてないということがまず直感的にうかがえようかと思います。
ただ、細かく申しますと、四十年のグラフの中のハッチの違いを見ていただきますと、石炭、その他といったふうな固体燃料が四十年当時はやはり
かなり多く残っておる様子が御理解いただけようかと思います。約半分近くまで石炭とか、その他、まき、炭といったふうな燃料が
家庭で使われておった。それが近年急速にいわゆる流体化現象というのを伴いまして、五十年以降になりますと、ほとんど固体燃料というのは使われなくなったというふうな様子がうかがえようかと思います。これは当然でありまして、四十年当時の田舎の、都会は別にしまして、田舎のライフスタイル考えますと、ふろなんか、私も岡山の育ちなんですが、おふろのお湯を沸かすのはまきであったとか、あるいは廃材であったとか、紙を燃したというふうな経験がございますので、たかだか二十年で大きく燃料革命が進んでおるという様子がうかがえようかというふうに思います。
参考までにこの間の
伸び率をちょっと申し上げておきますと、四十年から五十八年まで通して、この十八年間、
エネルギー消費量がどの
程度まで
伸びたか、四十年がちょうど五千九十、
単位を御説明するのを忘れましたが、下にMカロリー・パー世帯・年というふうになっておりますが、これはメガカロリーというふうに読みまして、十の三乗キロカロリー、千キロカロリーというふうに読みかえていただければいいんです。したがいまして、五千九十メガカロリーということは五百万キロカロリー強というふうな読み方にしていただければおわかりやすいかもしれません。それが五十八年には八百五十万キロカロリーぐらいに
伸びたということですから、
先ほど実質的な
エネルギー支出は二倍になったと申しましたが、
エネルギー消費量から見ると一・六倍に落ちついておる。したがいまして、
伸び率を計算いたしますと、年率二・九%ぐらいで
伸びてきたということになっているわけです。
ただ、これが第一次
オイルショックを境にして、四十八年を真ん中にとりまして分けてみますと、四十年と四十八年の八年間ですと、四・六%の
成長をしておる。ところが、四十八年から五十八年に至る十年間はわずか一・六%ということで非常に
エネルギー成長自体が
家庭一軒当たりにとると落ついてきておるというふうな見方ができると思います。もちろん
エネルギー種別には若干違う差があるわけでございまして、
電気で申しますと、その最近での十年間、四十八年から五十八年で申しますと、年率四・一%、
都市ガスが二%弱、LPGが三・六%、灯油に至っては〇・三%というふうな値です。ですから、第一次
オイルショック以降の
エネルギー消費の
伸びというのは
かなり電気といったところに偏っておる、あるいはLPGといったところに寄っておるというふうなことがうかがわれるんではないかと思います。
次に、図の6に参りますが、これは御
参考までに、九地域別に
過年度の状況、推移を示したわけでございます。北海道が非常に特異なカーブで推移しております。そのほかの地域は、多少の差はあれ右上がりといった
傾向がうかがわれるわけです。北海道の大きなこの違いと申しますのは、
一つには、北海道の場合には
先ほど少し申し上げましたが、
エネルギー消費の大半は暖房用に特化しておる、当然でございます、寒冷地域でございますから。したがいまして、暖房の
需要というのはその年の気候によって
かなり左右されるというふうな
影響がございます。これは最近年ですと、ほかの九地域でもそういった
傾向がうかがわれてまいりましたが、北海道の場合には暖房が必須の生活条件でございますから、そういった気候に左右される要件が非常に多い。
もう
一つは、北海道の場合にはやはり石炭といった固体燃料の使われ方が非常に多かったわけなんですが、そういったものから灯油にかわるということによって、
エネルギーの
消費効率が高まったということが
一つ言われております。これは御
承知のように、だるまストーブを一気に燃やしてしまうよりは、灯油を燃やす方が燃焼制御は楽でございまして、マイルドな暖房ができる、そういったこともあろうかと思います。
それからもう
一つは、北海道は全国の地域に先駆けて、住宅の
省エネルギー化ということに、寒地住宅
研究所等が
中心になりまして率先して住宅の保温
構造化というのを進められた。その
内訳が何%ずつかという計測はやっておりませんので本日御報告できませんけれ
ども、そういった要素が絡まって、北海道の推移がやや右下がりぎみといったことになっているんじゃないか。
以下、東北がその次に来まして、北陸がそれに続く。いわゆる寒冷地が
エネルギー消費が高い。あとの六地域というのはほとんど一線と見てもいいんじゃないか。ただやはり、四国、九州といったところは
エネルギーが寡
消費、少なくて済んでおるという状況がうかがえるかと思います。
図の7は、五十八年の月別の
変化を示したわけでございますが、
先ほど来言っておりますように、一番上の太い線が
合計の推移でございますが、こうやってみますと、冬に高くて夏に低いという
エネルギー消費構造をとっておる。ただ、よく中身を見ていただきますと、点線と四角でつづってあります
電気の推移を見ていただきますと、これは近年では、ほとんど冬、夏ともに同じぐらいのピークが出てきておるということで、これは明らかに冷房の
需要ということが近年高まってきておるという推移を示しているわけでございます。月別にはこういう
変化をしておるということでございます。
では次に、図の8に参りますけれ
ども、
先ほどのは
エネルギー種別でございましたが、用途別に見るとどういうふうな推移になるか、
合計は
エネルギー種別と同じでございますけれ
ども。
白抜きのところが暖房用でございます。点線で打ってあるのが給湯でございますが、その間に最近少し出てまいりましたが、冷房という
需要がごくわずかあります。一番右が照明、動力、その他、いわゆる厨房の煮炊きも含んだその他でございますが、これをごらんになっていただきますと、暖房用の
需要というのはさほど大きく
伸びてきてないということが非常に
特徴的である。もう
一つは、給湯用の
需要が非常に進展してきておるというのが
特徴的。あと、照明、動力、その他については
伸び率は低いんですが、安定的に
伸びてきておる。この今の
三つがここ十数年間における
家庭での
エネルギーの使われ方の最も
特徴的な点でございます。
これはいろんな理由が推測されますけれ
ども、暖房で考えますと、いわゆる暖房と申しますのは部屋を暖めるということですから、そういったライフスタイルといいますか、住慣習が落ちついてきたのは、明らかに灯油ストーブが
我が国に普及を始めたときと一致するわけで、それまではせいぜいこたつと火鉢といった生活であったわけです。
石油ストーブが出てまいりまして、それに加えて、こたつといった
日本独特の暖房習慣が続いてきたわけですが、我々から見ておりますと、当然その後に来るのはセントラルヒーティングであろうというふうな予測を十数年前にやっておったわけですが、案に反しまして、
我が国においてはセントラルヒーティングというのはほとんど
伸びてない、わずか数%のオーダーでほとんど頭打ち。それにかわりまして、御
承知のように、いわゆる
日本型の暖房機でありますが、FF型のヒーター、これは壁から煙突が突き出ているようなヒーターなんですが、これは燃焼用の空気も排気ガスも屋外からとり、屋外に出すということで、室内の空気は全然汚さないわけでございますから、性能的にはほとんどセントラルヒーティングと変わらないような性能を得られるんですが、そういった機器が出てまいりまして、それを各部屋につければ、実際セントラルヒーティングをつけたと同じような状況だということで、一時普及の兆しが見えたんですが、その後に、似て非なる機械と申しますか、ファンヒーターなるものが出てまいりました。これはいろいろ物議を醸しておると思いますが、これは灯油ストーブと全く原理的には同じでございまして、燃焼空気も排気ガスも室内に出しておる。ただ、ファンで熱気を送ってくれるというところが何となくセントラルヒーティングに似ておるということでございますが、室内の環境側から見れば、ほとんどこれは十数年前の暖房システムと変わっておらぬということでございます。こういったものが普及することが果たして是か非かというのはもう少し考えなやいけないことだと思いますが、そういったことでいきますと、
日本の暖房システムというのはほとんど二十年間ぐらい変わってないんじゃないかというふうなことが言えそうだ。
それともう
一つは、恐らく五十四年以降出ました
省エネ法案に伴う住宅の断熱化、保温
構造化というものが進展したために、やはり
省エネ化が進んだんじゃなかろうかというふうなことが類推されるわけでございます。こういった計測ももう少し詳しい
実態調査あるいは他の研究をまって追跡しなければいけないわけでございますが、現状ではそういったところまでが類推できるということでございます。
それに対しまして給湯用でございますが、給湯用がなぜ
伸びたかというのは、きょういらっしゃる先生方ですと恐らく
かなり高いレベルの生活をなさっていらっしゃると思いますが、四十年初めのころにお湯が出る生活というのは非常に主婦にとって夢でありまして、台所に湯沸かし器をつけるかどうかというのは四十年初めころでは、主婦にとってはぜひつけてほしい設備の
一つであったわけです。今や住宅公団のレベルでありましても、洗面所あるいは台所、もちろんおふろはしかりでございますが、すべてセントラル給湯ができるというライフスタイルというのは当たり前になってまいりました。この
変化が最も大きく給湯用に響いておるということが言えそうです。ただし、既存の住宅に完全にどこにもお湯が出るというふうに改造することは
かなり厄介な面もありまして、普通は瞬間湯沸かし器はガスでございますから、台所ですと必ずガス
エネルギーが来ておりますので簡単に瞬間湯沸かし器ないしはそれに準ずる設備がつけられるわけですが、洗面台となりますとなかなかそこにすぐに瞬間湯沸かし器
程度の簡略なものをつけるわけにいかないものですから、恐らくはこの
伸びというのは台所にほとんど給湯が普及したことで
かなり高まった、以後は洗面所にも古い住宅については設備改善が進むということで、またやや微増の
傾向はあるんではないだろうかというふうにうかがえますが、
過年度見せておったような急激な
伸びというのは恐らくこの辺で頭打ちになるだろうというふうに考えております。
照明、動力用でございますが、これも後ほどまた国際比較の
データもございますから御説明させていただきますが、
我が国の
家庭における家電
製品の保有状況というのはもう世界一の
水準と言っておかしくないという状況だと思いますので、さほどこれも大きな
伸びはしないだろうと思いますけれ
ども、さらにこれに加えて乾燥機であるとかあるいは映像機器、これはパソコン等含めてですが、そういったものがさらにふえてくるだろうということもあると思います。そういったことで、これも大きな
伸びはしないだろうけれ
ども、微増の状況で進んでいくだろうというふうに考えております。
これが
過年度の
我が国の
家庭用の
エネルギーの
消費の
動向でございましたが、それでは将来どの
程度の
水準にいくだろうかということはこれはだれしも非常に興味があるところでございます。ただ、いろいろな推計がございますが、
先ほど申しましたように、ベース
データを家計
調査という
エネルギー調査ではない
データに基づいておるものですから、こういったものを説明する変数、どういう
要因によって
エネルギー消費が推移してきたかというそういう変数をもって説明するというのは非常に難しゅうございます。そういった意味でも、
家庭用についてもやはりある
程度の
傾向はうかがえるけれ
ども、
かなり正確な推計あるいは予測をしようと思うと、
家庭用の
エネルギーを一体的に説明する変数を含んだ
データベースの構築というのはどうしても必要ではないだろうかというふうに考えます。
横道にそれましたけれ
ども、次の三ページに行っていただきまして、縦にして見ていただいた方がいいと思うんですが、図の9をごらんになっていただきたいと思います。
これは
横軸に世帯の収入が書いてございます。
縦軸に
エネルギー消費量が載っております。グラフの中に線が何本もございますが、これは
先ほど申しました一分位から五分位までの線がプロットしてあるわけですが、中に細かく
数字が書き込んであるのが
昭和何年かということが示してあります。一見して右上がりではあるんですけれ
ども、どうも包絡線上をたどっていくとちょうど一万メガカロリー、すなわち一千万キロカロリー、この近傍あたりでサチュレートすると申しますか、飽和してくるんではなかろうかというふうな
傾向がややうかがえるわけです。四十二年から四十八年ごろまでというのは何分位によりましても
かなり急激な立ち上がりを示しておるわけですが、これはやはり
エネルギーの流体革命あるいは高度
成長といったことが大きく
影響しているわけですが、それ以降、四十八年以降を見ますと、第五分位ですとさほど
伸びていない。各分位とも
伸びてない。
先ほど来御説明しました
エネルギー消費の
データは現在の平均に基づくものですから、年収五百万円ぐらいを
水準で話をしてきたわけですが、第五分位が
先ほど言いましたように九百二十万ぐらいということになるわけですから、現在の断面でとって年収が九百万ぐらいのレベルに達したときにはどうかという見方をすれば、一千万キロカロリーちょっと超えるといったあたりが
エネルギー消費の
一つの限界点かなと、ですから九百二十万ぐらいの
実質所得が何年ぐらいで達成できるか、
先ほど富舘理事から
お話がありました
民生用が年率三%ぐらいで
伸びるということでございましたが、その
程度で
伸びていけば達成できるかもしれませんが、もう少し高くないと二〇〇〇年には九百万ぐらいにいかないかもしれません。二〇〇〇年でこの値を達成しようとするともう少し
伸び率が高くなければいけないかもしれませんけれ
ども、おおむねそんなことが言えそうだというわけでございます。これが
一つの目安になる。
もう
一つは、次にまた横にしていただきまして、右上の図の10。やや
データが古うございますが、一九七八年の例でイギリス、西ドイツ、フランス、イタリー、スウェーデン、カナダ――アメリカが入っておらないのは一緒に研究しておりました研究者がアメリカの学者でございまして、政府からの委託でやっておったわけで、アメリカの
データはなくてカナダが入っている。しかし、おおむねカナダとアメリカというのは同じような
水準だと御理解いただいていいと思いますが、
日本は今まで申してきました我々がやった家計
調査に基づく
データです。
これでまいりますと、
日本と各国との差がどこにあるか。確かに絶対量見ていただきますと、イタリーに対してでさえ半分強ぐらいしか
日本の
水準はないわけですが、最も大きな差が出ているのは一番左側にあります白いところ、すなわち暖房用であるということです。これは当然お気づきだと思いますが、
日本のように温帯地域にあるものと非常に緯度の高い地域とでは気候差がありますから、当然この差があってしかるべきでありますが、
エネルギー経済
研究所さんがおやりになっている同様の
データでいきますと、北海道をこの中に入れ込んでみますと大体イギリスないしイタリー並みのところまで暖房用がふえてまいりますので、ほとんど拮抗しておるというふうな状況だというふうに伺っておりますけれ
ども、一にかかってこの暖房用が大きく差をあらわしておる。スウェーデンとかカナダといった例はやや少し大きいですが、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリーなんかは顕著にその
傾向が出ておると思います。
これは
先ほど申しました暖房設備の差を申し上げておきますと、
家庭の暖房では一番望ましいと言われるセントラルヒーティングの普及率でいきますと、
我が国がせいぜい数%、この時点の断面ですと四%ですが、それに対しまして一番低いイギリスでも五四%、暖かいと言われるイタリアでも五七%ぐらいある、スウェーデンとかカナダに至ってはもちろん九割以上の家がセントラルヒーティング化が進んでおるということがあります。これは理解の仕方でございまして、各室に暖房器具が入っておればセントラルヒーティングと同様のレベルでございますから、さほど気にすることはないかもしれませんが、そういった差があらわれてきている。ですから、まだ
伸びてくるのではないだろうか。そうすると、やはり暖房用というのは今後の
伸びを支える大きな
一つの
要因になりそうだということでございます。
時間がございませんのでその下に参りますけれ
ども、その下は科学技術庁の資源
調査所でワークした結果でございますが、将来の
家庭の生活像というのをある
程度モデル化しまして、設備自体も将来の技術革新に伴って高度化するということを入れまして推計した値でございます。
前提条件だけちょっと申し上げておきますと、住宅には百ミリの断熱材を入れる、北海道並みの断熱化を図ってやるということ。それから、居室に滞在しておるときは、寝ているときを除きましてはすべて暖房が行き届いておるという条件。それから、ヒートポンプという技術がありますが、これは最近エアコンに使われておりますけれ
ども、そういったものを複合利用しまして、夏ですと中を冷やしていると外を暖めることになるわけですが、その熱を取り込んでお湯として給湯用に使ってやる。冬場でも暖房を使わないときには、部屋を暖めるかわりに水を温めて給湯用に使ってやる。そういった技術を利用したシステムを考えまして、しからば将来どの
程度の
エネルギー消費水準になるだろうかということを示したものです。そういったふうな条件でいきまして、断熱材がもしなかった場合には現状の約二倍ぐらいの
エネルギー消費量になる、ですから千五、六百万キロカロリーぐらいに達してしまう。ところが、百ミリの断熱材を入れたことによって一千万キロカロリーぐらいで落ちつくと、一・四倍ぐらいで落ちつくだろうということになるわけです。それに対しましてさらに技術を加味した、高効率化を図った機器を入れてやると、そこにありますような一番右の五百三十八万キロカロリー、現状の
エネルギー絶対
消費水準より低い値でも今よりははるかに高い生活レベルが達成できるというふうな結果が出ております。この辺の考え方につきましては後ほどまた時間があれば御説明したいと思いますが、そういった結果が
一つの目安となるんじゃないだろうか。
最後に、今後の課題と申しますか、私
どもがどうしても必要だなと思うことを二、三申し上げておきますと、やはり
データベースの整備ということを着実にやっておかないと今後あり得るかもしれない第三次、第四次といったふうな危機に対していかに
家庭側で対応するかという
データを現実に示すことが難しいんではないか、さらに加えて、
業務用というのはほとんど手つかずの状態でございますから、こういった
業務用の
エネルギーについてもあわせて整備しておかないと
民生といったくくり方をした場合には非常に脆弱な
データのもとに物を言わなければいけないということはあるわけです。
それから、
エネルギー利用のガイドライン、これは建設省も今
年度から住宅のテンモードといったふうな
エネルギー消費のガイドラインをおつくりになるというふうに伺っておりますから、そういうものができればいいと思いますが、
エネルギー利用のガイドラインというものをきちっと
家庭の生活者に示すことができるといったふうな体制というものが整備されるべきではないだろうかというふうに考えます。
以上でございます。