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1985-03-08 第102回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月八日(金曜日)     午前九時開議 出席分科員  主 査 小此木彦三郎君       工藤  巖君    田中 龍夫君       網岡  雄君    佐藤  誼君       関山 信之君    堀  昌雄君       元信  堯君    斎藤  実君       竹内 勝彦君    日笠 勝之君       伏屋 修治君    梅田  勝君    兼務 大出  俊君 兼務 加藤 万吉君    兼務 辻  一彦君 兼務 武田 一夫君    兼務 西中  清君 兼務 小渕 正義君    兼務 田中 慶秋君 兼務 滝沢 幸助君    兼務 中野 寛成君 兼務 中川利三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         通商産業大臣官         房長      杉山  弘君         通商産業大臣官         房総務審議官  児玉 幸治君         通商産業大臣官         房審議官    矢橋 有彦君         通商産業大臣官         房会計課長   緒方謙二郎君         通商産業省通商         政策局長    黒田  真君         通商産業省貿易         局長      村岡 茂生君         通商産業省産業         政策課長    福川 伸次君         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         通商産業省基礎         産業局長    野々内 隆君         通商産業省機械         情報産業局長  木下 博生君         通商産業省生活         産業局長    篠島 義明君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石油部長   畠山  襄君         資源エネルギー         庁公益事業部長 山本 幸助君         中小企業庁長官 石井 賢吾君         中小企業庁次長 黒田 明雄君         中小企業庁計画         部長      末木凰太郎君         中小企業庁小規         模企業部長   井上  正君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    榊   誠君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     地頭所五男君         経済企画庁調整         局経済協力第二         課長      上野 達雄君         環境庁大気保全         局大気規制課長 片山  徹君         外務省経済協力         局政策課長   須藤 隆也君         外務省国際連合         局社会協力課長 馬淵 睦夫君         大蔵省主計局主         計官      秋山 昌廣君         大蔵省主税局税         制第一課長   濱本 英輔君         大蔵省主税局税         制第二課長   小川  是君         大蔵省関税局監         視課長     谷口  孝君         大蔵省関税局輸         入課長     剣持 宣揚君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤原 和人君         大蔵省国際金融         局投資第三課長 森  昭治君         厚生省薬務局経         済課長     大西 孝夫君         農林水産省畜産         局衛生課長   今井 正夫君         水産庁研究部研         究課長     木村 邦雄君         建設省都市局公         園緑地課長   勝浦 康之君         建設省道路局高         速国道課長   布施 洋一君         自治省税務学府         県税課長    前川 尚美君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     鈴木  強君   堀  昌雄君     網岡  雄君   竹内 勝彦君     日笠 勝之君   梅田  勝君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   網岡  雄君     佐藤  誼君   鈴木  強君     関山 信之君   日笠 勝之君     遠藤 和良君   藤木 洋子君     梅田  勝君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     水田  稔君   関山 信之君     渡部 行雄君   遠藤 和良君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     元信  堯君   渡部 行雄君     吉原 米治君   薮仲 義彦君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   元信  堯君     堀  昌雄君   吉原 米治君     岡田 利春君   山田 英介君     斎藤  実君 同日  辞任         補欠選任   斎藤  実君     伏屋 修治君 同日  辞任         補欠選任   伏屋 修治君     駒谷  明君 同日  辞任         補欠選任   駒谷  明君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   山田 英介君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     竹内 勝彦君 同日  第一分科員加藤万吉君、滝沢幸助君、第三分科  員大出俊君、第四分科員田中慶秋君、中野寛成  君、中川利三郎君、第五分科員武田一夫君、小  渕正義君、第七分科員西中清君及び第八分科員  辻一彦君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ――――◇―――――
  2. 小此木彦三郎

    小此木主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算通商産業省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出分科員 通産大臣に承りたいのですが、ワシントン条約というのは何ですか。
  4. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ワシントン条約は、絶滅に瀕している野生動植物保護するためにその国際間の取引規制しておる条約でございまして、ワシントン条約は、野生動植物を三種類に分類して、その間の国際間の取引規制しておる条約でございます。
  5. 大出俊

    大出分科員 絶滅に瀕しているじゃなくて、それもそうですけれども、絶滅に瀕するおそれのあるというところが一つ非常に大きな問題なんです。やたら日本はどんどん輸入をしていますけれども、その結果、絶滅に瀕するおそれのあるというところにいっちゃっているわけですな。そこのところをひとつ御注意を願いたいのでありますが、これはいつ採択された条約ですか。
  6. 村岡茂生

    村岡政府委員 我が国昭和五十五年に批准をいたしまして、その年の秋にその部分の関係が発効したと承知しております。
  7. 大出俊

    大出分科員 ちょっとそれは答弁になっていないのですが、いつ採択された条約かと聞いているのです。
  8. 村岡茂生

    村岡政府委員 昭和五十年にワシントンにおいて採択されました。
  9. 大出俊

    大出分科員 これは採択されてから日本批准するまでに七年かかっているのですね。日本は何番目の批准国ですか。
  10. 村岡茂生

    村岡政府委員 たしか第六十番目の批准国だと理解しております。
  11. 大出俊

    大出分科員 これは七年もかかっていて批准をしたわけですけれども、アメリカにも例がありますが、国内法整備、これは当然国際的な条約でございますから批准国義務でございます。これは一体また貿管令を持ち出してきてなんということをやったのはどういうわけですか。
  12. 村岡茂生

    村岡政府委員 このワシントン条約は、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、絶滅に瀕しあるいは絶滅のおそれのある動植物等保護するための立法でございまして、それを規制する、実行する方法につきましてはある程度各国に任されておるわけでございますが、その主眼は、輸出国だけの規制では必ずしも十分ではない、輸入国側協力をいたしましてそれぞれの国の波打ち際においてこれを規制する、こういうことを主眼とする条約でございます。条約の中におきましては、これを運営するために各国におきまして管理当局科学当局等々もろもろの組織を規定しておるところでありますが、この管理当局の一員といたしまして通産省が登録されているわけでございます。これは波打ち際規制ということでございますから、貿易一般管理いたしております外為法に基づいて行うのが適当であろうと理解した次第でございます。
  13. 大出俊

    大出分科員 これは間違いでございまして、条約を読んでみると罰則その他含めてたくさんの条約上の規制がある。例を挙げますと、テナガザルを十二頭携帯荷物だといって持ってきた業者がおる。ところが、これは附属書Ⅰに明確に書いてあるわけですから違反である。どうなったかというと所有権放棄だけなんですね。罰則も何も適用されてない。所有権放棄テナガザルというのは生きているのですからね。五頭が既に死んでいて、六頭が息も絶え絶えだ。持ち込んだ人間は、違反だというので所有権放棄をした。放棄した猿、どこへやるのだ、動物園で預かります、えさ代だれが出すのだ。この条約に基づいて送り返さなければいかぬわけだけれども、この費用をどこが持つのだ。日本というのは本当に、私も日本人ですが、手に負えぬなあと、自分でこういう点は思うのですよ。  ワシントン条約の筋からいえば、国内法をきちっとつくって、罰則規定、これは条約に書いてあるのだから、ここに。「(a)違反に係る標本取引若しくは所持又はこれらの双方について処罰すること。」しかも困ったことに、ボツワナで開かれたハボローネの締約国会議で、密輸された動植物というのは密輸者経費で、相手の国が禁止しているのだしワシントン条約違反なんだから、密輸者経費で送り返せ、こういう提起が行われている。真っ先に反対したのは日本です。言いぐさが振るっているのですな。業者がかわいそうだ。これは国際道義もヘチマもあったものじゃない。批准したら国際的に道義的責任を負わなければいかぬですよ、日本というのは。テナガザル輸入した、所有権放棄でおしまいにする。動物園が預かった、えさ代はだれが出す、送り返す費用はだれが出す。これを国費で払って、これは国民の税金ですよ、持ってきた業者は何の罪とがもない。罰則もない、罰金もない。業者のために国民全体がなぜ負担しなければいかぬのですか。だれがどこで責任を負うのです。答えてください。
  14. 村岡茂生

    村岡政府委員 この条約は、国内法制については各国にある程度任せているわけでございますが、条約の要請するところは、先生指摘のとおり「違反に係る標本取引」、これは主として輸出入でございます。輸出入、再輸出、海からの持ち込みでございますが、「標本取引若しくは所持又はこれらの双方について処罰すること。」というのが義務として課されているわけでございます。我が国におきまして貿管令でこの輸出入規制をしておりますが、もし仮に貿管令違反いたしまして密輸等の事態が起こりますれば、貿管令によりまして百万円もしくは三年以下の懲役ということで罰則が科され、もしくはそれが併科されることになっておるところでございます。
  15. 大出俊

    大出分科員 そういうことを言っているから国際的信義にもとることになる、私はこう申し上げているのです。  それでは承りたいのだけれども、国際会議が開かれた。これ全く、今回のを泥縄と言うのですよ。泥縄もいいところなんだな。まるっきり話にも何にもならぬ。これはたしか昨年の十月でございますね。アジア・オセアニア地域セミナーという形で、これは条約に基づいて地域会議がございますからね。四十人も各国専門官が集まって会議が開かれた。クアラルンプールですね。これに一体日本のだれが出席したのかと思って調べてみたら、大使館の係員が一人、会議が始まったときに顔だけ出した。帰っちゃった。討議には一切参画していない。いないのですよ。つまり、この条約に抵触する動物輸入しているということになる国は世界日本が最大の国。野生動植物輸入の数からいけばアメリカが第一位だけれども、違反といわれる動物輸入しているのは、世界第一位は日本なんだ。しかもエコノミックアニマルアニマル殺し日本をつかまえて国際的にこう言っている。かつてエコノミックアニマルと言われた日本、その日本条約上禁止されている動物をやたら輸入する。アニマル荒らしであり、アニマル殺しだ、こう言う。アニマルギャングと言う国もいる。こういう状況のところへ顔だけ出した、すぐいなくなった。まじめに各国四十人も専門官が集まって議論しているのに参画もしない。外務省おいでになっていると思うのだけれども、これは一体どういうことなんですか。条約批准しておいて、国内法整備もしなければ何もしない。悪評さくさくたる状況の中で、顔を出したらいなくなってしまった。一体、そんなばかなことがありますか。あなたは外務省のだれですか。名前を名のってから言ってくれ。
  16. 馬淵睦夫

    馬淵説明員 国連局社会協力課長馬淵でございます。  今先生から御指摘いただきましたクアラルンプール会議、これは御指摘のとおり取引の実務に当たっている者のセミナーでございまして、国内的にも出張の可能性を考えたわけでございますけれども、いろいろ困難な事情がございまして、そういうことでマレーシアの大使館員が出席されました。今先生ほとんど出なかったというお話でございますが、実は会議の重要な項目が討議されます四日間にわたりまして出席いたしまして、我が国の実情について報告も行っております。
  17. 大出俊

    大出分科員 調べてみたんだ、私は。そんなことは通用しない。だから全く満場一致で非難決議が行われている。そして本年四月の、二年ごとに行われる条約に基づく全体会議、ここまでにしかるべき措置をとらなければ制裁措置をとる。こんなことを言われたことはないでしょう。この国には動物に関する法律がほとんどない。ありますか。全く話にも何もならぬわけですが、そういうことで、国際的に非難が高まっている中で今申し上げたようなことをする。だから国際的な非難決議が行われる。しかも四月の、二年ごとに行われる総会までにそれなり措置をしなければ制裁措置をとる。各国はかんかんに怒っている。  そして、英国の女王の御主人が日本にお見えになった、奄美大島などに。この方はそちらの専門家ですから。英国というのは王室動物愛護協会というのがございまして、十年前に国際的な大キャンペーンを張られて、日本に子犬を輸出しないなんという騒ぎになった。愛知さんが外務大臣のときです。外務大臣用件英国に行ったら、用件そっちのけで寄ってたかって非難をされてお帰りになった。帰って間もなく愛知さんは大蔵大臣におなりになった。私は分科会をほとんど回って、もう放任できないと思って、韓国が動物愛護法をつくった、台湾がつくった、それでも日本はつくる気配もない。しようがないから、私は丸五年かかった、二十何カ国の条約法律を全部集めて読んでみて、ようやく法制局をうんと言わせて法案をつくった。苦心惨たんしたですよ。各省反対だらけですよ。全面協力というのは警察庁だけです。なぜ全面協力したかというと、犬がほえる、隣に受験生がいる、奥さんいらいらして交番に飛び込む。何遍も来られるから、お巡りさん出てきて、隣のうちへ行って、おたくの犬をどうしてくれるんですか。隣の奥さんがさしたというので口もきかない、大げんかをする。そんなことだらけ。蛇を専業にしている人が輸入してきて、毒蛇が一匹逃げた。徹夜で捜すんですよ、お巡りさんは。ところが、日本という国は爬虫類に対する何の法律もない。取り締まりようがない。船橋のヘルスセンターで、小動物、大きな動物子供を陳列して人を寄せた。これは間違いですがね。そうしたら子供がかまれた。日本には動物園法がない。博物館法の準用しかない。罰則も何もしようがない。民事訴訟しかない。こんなふざけた国はないですよ。  だから、私は苦心惨たんをして一生懸命やっておりましたから、当時の内閣委員長三原朝雄さんや、自民党の皆さんの、筆頭理事の今の政調会長藤尾正行さん、総理府の副長官をやっていた小宮山重四郎さん、これは所管の省庁を決めなければいかぬので彼にも随分骨を折っていただきました。みんな私の同期ですがね、当選八回ですから。民社党の亡くなった受田新吉さん。公明党の鈴切康雄さん。逆に私は御同情をいただいて、私の議員立法最後には委員会提出にしようと皆さんがお決めいただいて、だから私は参議院にまで提案理由説明に行った。答弁は全部私です、各党が全部私に質問しましたから。そこまでやって、やっとこさっとこ国会最終日の三時半ぎりぎりに、駆け込みですよ、やっと通って本会議で決まった。ちょうど丸十年ちょっと前です。これしかないのですよ。私は当時英国に行って皆さんいろいろ話をしましたし、フィンランドあたりまで出かけていきました。日本という国のこの種のでたらめさかげんというのはまことに残念だと私は思っている。  そこで、昨年の十月でございますけれども、エジンバラ公が来られて中曽根総理にも会った。こわ談判したのですよ、批准した以上は条約に従ってそれなり措置をおとりくださいと言って。かつて私の議員立法が通って、私は英国王室動物愛護協会から表彰状をもらいまして、金のバッジを持ってきた。そんな時代がありましたが、やはり一つ国際的な道義ですよ。それで慌てて昨年十月十九日の閣議で中曽根さんが、何とかしてくれ。それで皆さんががたがた大騒ぎ。これを称して泥縄というのです。各省連絡会議をこしらえた。何をやったかといったら、国内法をつくるでもなければ、原産地証明書というばかげたことをやっている。それで輸入する。そして、この条約に基づく保留動物をいっぱいこしらえた。批准しておいて保留動物輸入させるという、抜け道だらけですよ。原産地証明書なんというのは現地のちょっとした人に頼めばすぐ書いてくれる、許可証じゃないんだから。そんなものを直しましょうとか、長期展望保留動物を減らしましょうとか、全くやることがちゃちで、本当に話にも何にもならぬ。小手先細工だらけ。本質的な道義というものが何もない。こういうことではいけませんよ。せっかく経済大国といわれるならば、こういう点をきちっとしておかなければ。国内的にいろいろな問題があることくらい百も承知です。私は、十年前に今申し上げた法律をつくるのだって各種団体の総反撃を食いましたが、御協力をいただいて通っている。やろうとすればできる。そのときだって政府最後までやろうとしない。こういうことを基本的に改めなければ教育どころの騒ぎじゃないですよ、これは。  そこで、皆さんに承っておきたいのですが、アメリカレーシー法という法律がございますが、中身はどういうことになっていますか。一口で言ってくれますか。
  18. 村岡茂生

    村岡政府委員 野生動物規制に関するアメリカ立法幾つかございますが、その中の一つにレーシーアクトというのがございます。この法律は、米国法つまり国内法のみならず外国法にも違反いたしまして捕獲あるいは運搬された野生動物、さらにはその製品を輸入したり輸出したり運搬したり販売をしたり搬入したり、いろいろなケースの場合すべて罰する、こういうかなりきつい法律でございます。二万ドル以下の罰金、五年以下の懲役ないしは双方の併科ということになっております。かつまた、本法に違反して米国内に輸入されました動植物に関しましては、これをすべて没収するという規定になっております。
  19. 大出俊

    大出分科員 あなたは大事なことはおっしゃらぬのですね。局長さんだから細かいことがわからぬのは無理もないが、これは最高刑というのは懲役五年なんですよ。懲役五年、罰金二万ドル。エリマキトカゲなんというものは七十匹も日本に入ってきたけれども、アメリカには断じて上陸はできないのです。しかも空港の指定をしているのですよ、動物については三つ、動植物で四カ所というぐあいに。専門官を二百人も置いているのですよ。日本は一人もいないでしょう。獣医師さんという資格を持っている人も日本にはたくさんいるのですよ。人畜共通伝染病もたくさんあります。あるいは、英国には獣医官という官職まである。ハイドパークの公園から鳥がいなくなった。獣医官が先頭になって調べたら、農薬だった。だから、奥さんたちの前にカブラなどを置いて、いっぱい虫食っているのを見せて、これは農薬が少ないからこうなっている、人体にいい。こっちの傷も何にもないのは農薬がたくさん入っている、だめだ。だから、奥さんたちは立派なものは買わないのだ。耕作者の方も農薬を減らさなければ売れないから減らす。ついにハイドパークに鳥が帰ってきた。愛護団体がそこへ集まって巣をかける。そういう役割を果たしているのですよ。  今通産省所管じゃなくて農水省の所管でございましょう。ここで私が、安倍晋太郎さんが農水大臣のときに、片仮名法みたいな古過ぎる獣医師法改正をしろ、その改正というのは単なる類似行為取り締まりじゃない、基本的な問題があると、長い時間質問しました。何とか改正に向けて努力をいたしますと。いまだに実は改正の機運になっていない。ようやく家畜衛生問題検討会獣医師関係)などというのを入れて二年間ということで始めた。やはり日本資格のある獣医師さんたち責任を持たせて、私がかつて動管法と言われる動物保護及び管理に関する法律を成立させるときに獣医師会さんには大変にお骨折りをかけた。なぜならば専門家だ。この獣医師の分野を鳥類その他にも広げていって、今やたらペットを、ピラニアから始まってアマゾンの魚などいっぱい入れているけれども、たくさんの共通伝染病を持っているのですよ。獣医学会の様子を聞いてみればすぐわかる。そういうところまで広げて、日本野生動植物保護に関する法律という法律をつくるべきなんだ。  私が議員立法で何とか成立させていただいた法律は、動物保護及び管理に関する法律というのだけれども、この一条には動物全体を包含しているのですよ。しかし、この法律でこういう動物をと列挙式で書いた理由というのは、反対がいろいろあって通らぬからですよ。だから、一条で幅広く包括的に保護しよう。そして九月に動物愛護週間をつくった。法律上明定しているのだからやっていますよ。そういうときに国民的認識を喚起しなければ、この種のことは日本教育を臨教審でやるだけではちっともよくはなりませんよ。今大人の世界でやっていることをきちっとやらなければ教育は成り立ちませんよ。この法律一条を見ればはっきりしているのです。動物保護というのは国民がやるのだというわけですよ。この条約に明確に書いてある。そういうことについて何にもしない。私がパンフレット等をつくって流すべきだと言ったら、いや実はつくりました。まだ一部も配っておりません。だから泥縄だと言うのです。そうでしょう。私が通産省所管なんていうことじゃなくて、どこの国だって自然保護に関するところが管理当局たんですよ。科学当局というのは助言しかできないのです。そこへもってきて、環境庁長官に出てきてくれと言ったら、出先の方々がいっぱい私のところへ来て、環境庁長官何とか御勘弁願いたい。そんな環境庁長官がいたのでは、ちっとも環境よくなりはせぬですよ。きょうの質問の中心がわかっているから逃げてしまった。それで両方で責任のなすり合い、たらい回し、これでは物事前に進みませんね。  さて、どうするつもりなんですか。四月の総会に向けて何と何と何をやるのですか。これはまだ総理に持っていっていないのでしょう。皆さんで事務的に調整をしてきているのでしょう。ひとつはっきり言ってくださいよ。
  20. 村岡茂生

    村岡政府委員 大出先生の御指摘のように、今までのワシントン条約我が国におきます運用というのは必ずしも十分ではなかった、私どもまことに遺憾とするところでございます。御指摘のように総理の御指示もございまして、昨年の十月に環境庁の自然保護局長を議長といたしますワシントン条約関係省庁連絡会議を設置いたしまして、この四月に向けてどうするかということを寄り寄り議論しているところでございますが、その会議におきまして、正式な決定はまだでございますが、ほぼこういう方向でというようなところが大体合意されておりますので、それに沿いまして簡単に御説明申し上げます。  まず第一点は、これも大出先生指摘のとおりの原産地証明書を正規の輸出許可書に変更し、これがなければ輸入通関を認めないということでございます。これは年度内にも実行するということがほぼ合意されておりまして、来週早々には告示を出す予定にしております。  第二の、そうは申しましても、このような制度の運用に魂を入れる必要がある場合には外交のとおり偽造の輸出許可書というのが間々ございます。したがいまして、必要がある場合には外交ルートも使いまして、この真贋の識別を事前に通関の前にさせていただくことにしたいと思っております。これは既に実行されておりまして、十数件このような形でチェックをいたしました。  第三点は波打ち際のチェックでございます。通関時におきます税関におけるチェックを強化、適正化するために、大蔵省におかれましても種々努力をされておりますが、私ども通産省といたしましても、八百種以上に及びます動植物の識別を容易にするために、識別図鑑というのをおつくりいたしまして配付しておりますほかに、いろいろ問題の輸出許可書、各国でばらばらの様式でございますが、これをマニュアルとして各税関に配付し、税関の識別を容易にしたいと思います。  第四点はPRでございます。こういった野生動植物というものは自然の構成要素の不可欠の一つでございますので、これを保護することは極めて重要なことだ。かつまた、ワシントン条約はこのような規制になっておるということを一般国民あるいは特に旅行者に周知徹底させる必要があるだろうということで、私どもも百万部のパンフレットをつくりまして既に配布済みでございますし、環境庁におかれましても既にパンフレットをつくられた、先生指摘のとおりでございます。  さらに中長期課題といたしまして、現在十四品目留保しておりますが、これを削減するような方途を養殖等の事業によって講じたいということ。さらには、国内法制のあり方についてもあわせて検討を進めるというような大体の方向になっております。
  21. 大出俊

    大出分科員 私はさっきから何遍か自分で苦労した話をしましたが、あんまりこんなことを言いたくないが、私の議員立法なんて知っている人は少ないけれども、当時昭和元禄生類哀れみの令をつくる大出代議士なんてでかでかと書かれましてね。安保条約をやっていたときなんて僕は防衛をやっていたから、ひどいことになりましたよ、こんな大きな写真で何紙も書きましたが、上野動物園の有名な前の古賀園長も私と話したいなんというので、いろいろなことがありましたが、何も好んでやったわけじゃないので、だれかがやらなければ国際的な信頼回復につながらないと思うからやっただけです。野生の動植物ですよ。  日本というのは、神奈川県の逗子の市長選挙じゃないけれども、原生林が残っていまして、あそこにある植物というのはほかにないのですよ。絶滅しちゃうのですよ。そこへ平気で造成して米軍の宿舎を建てると、こうなんだから。さすがに地域も地域だ、いろいろな識者の方々が住んでいるから大反対運動が起こって、主婦パワー、住民パワーで市長をつくっちゃったでしょう。だから国民皆さんにPRすれば、そんなことはわからぬことはないのです。いろいろな業者の方々のいろいろな意味の制約があってお困りになることがありますが、それとても理を尽くして話してそれなり措置をとればできるのですよ。私が法律をつくるときだって、土佐犬普及協会まで反対してきましたよ。だが歴史と伝統があるのです、土佐犬というのは。犬の体を鍛えて、かまれたくらいでは死なぬようになっている。人間と犬の共同のスポーツだということになるとすれば、それなりの枠を決めて認めればいいのです。闘牛というのは山形と新潟でやっておるけれども、これは牛の展示会のショーなんだ。その限度で認めればいい。闘鶏というのは、騒ぎになったが、熊野の湛増法印じゃないけれども、源平どっちに行くかといって誓詞を上げて、神の神事だ。ならばその枠の中で認めればいい。皆さんがやる気になればできなくはない。  この条約を見ますと、「野生動植物についてはその価値が芸術上、科学上、文化上、レクリエーション上及び経済上の見地から絶えず増大するものであることを意識し、国民及び国家がそれぞれの国における野生動植物の最良の保護者でありこと、明確にいいことが書かれているのですよ、国際的に認められた条約だから。つまり、だれが保護者かといえば、野生動植物の最良の保護者は国民だというわけです。この観念がなければ教育にも何にもつながらないのですよ。だから、これを批准した以上は、それなり責任国際的に日本という国は持つ。国内法それなり整備はする。  時間がなくなりましたから、もう一言申し上げて、おいでいただいたが一々質問している時間がありませんでしたが、今、日本の国がどれだけ輸入しているかといいますと、一昨年で猿が三千六百匹、猿以外の生きた野生動物が約千二百十五万キロ、観賞魚が約四万キロ、このほかに個人が土産用、自分用に買ってくるもの。野生生物の取引量では米国に次いで世界第二位。合法的な取引ならもちろん問題はないが、その圧倒的多数がワシントン条約違反取引である。ジャコウジカはやたら買ってしまう。インド、ネパールは日本が買うものだからジャコウジカは絶滅に瀕している、極端にいなくなってしまった。日本がやたら買うものだから至るところそうなんです。国際非難が起こるのは当たり前でしょう。エコノミックアニマルいいかげんにしろということになるのです。だから、エコノミックアニマルのアニマル荒らしだ、アニマル殺しだ、アニマルギャングだと言われる。制裁措置と、こうなる。  もう一遍、これは野生動植物保護に関する法律でも何とか各省を説得して出さなければいかぬなという気になりつつあって質問する気になったのですけれども、今村岡さんの話によると、国内法整備も考えるようなことをおっしゃいましたね。大臣、これは本来通産省所管じゃないのですよ。国際的にも環境庁なんです、日本の各省庁体系からすれば。村田さんはわからぬお方じゃない、僕はあなたと長いおつき合いだから。この条約でいえば管理当局というのは一つじゃなくたっていいのです、科学当局も一つでなくていいのですけれども、省庁連絡会議なんてけちなことにしないで、こっちに聞けば所管通産省通産省法律はと言うとそれは環境庁、そういう逃げ方はいけないのですよ。やはり省庁連絡会議があるんだから、この際、国内法整備を含めて責任を負う。これはまだ総理に報告してないのでしょう。皆さん検討している段階なんでしょう。マイナスになることを村岡さん言ってはいけませんよ、大臣に。私と大臣と話しているのだから。きのうきょうの村田さんと私のつき合いじゃないんだから。仕方がなければもう一遍昭和元禄をやろうかと思っているんだから。どうですか、大臣
  22. 村田敬次郎

    村田国務大臣 大出先生から、この問題につきまして今までの経緯を含めて承りました。大変理解ができるところでございまして、この問題は非常に重要だと思います。したがって、今後万が一にも諸外国等から非難を受けることのないように、ワシントン条約の誠実な履行と遵守に、関係各省とよく相談をして、そしてまた動物を愛護するという基本的な考え方をもとにいたしまして万全を期していきたいと思います。
  23. 大出俊

    大出分科員 分科会ですから三十分しかありませんから、これくらいにしておきますが、これはぜひお考えをいただきたいということを関係各省庁にお願いいたしておきます。また、御出席いただいて一問ずつでも聞きたいことがありましたけれども、時間の関係で御無礼いたしましたが、連絡会議に御参画いただいている方々だから、聞いていただいておかないと困るので、どうかあしからず。  終わります。
  24. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 大出先輩に引き続きまして、きょうは委員長も神奈川県の選出だそうでありますから、神奈川県の問題から質問が出て恐縮でありますけれども、最初に、私は、ライオンズ石油の問題が新聞や週刊誌に出ましたときに、やや興味本位に実はこの問題をとらえておったのであります。所も東京の浅草ということでありましたから、消費者にとってみれば安いガソリンが手に入るのか、こんな気持ちで新聞や週刊誌などを読ましていただきました。ところが、これを見てまいりますと、ガソリン、石油という問題に対して、日本輸入という問題をどう考えていくのか。かつてナフサの輸入の問題をめぐりまして、石油業界と石油化学業界とのいろいろ深刻な抗争があったわけでありますが、それに匹敵するほどの問題ではないか。最近石油業界あるいはそれの筋の報道などを見てみますと確かにそうでありまして、ナフサの国際自由化に沿って今度はガソリンの自由化、これに対する日本の石油精製業界の体質はいかがか、こういう課題まで突っ込んでいるようであります。それだけに、この問題をもう避けて通れない課題として通産行政では考えていかなくてはならぬのではないか、こんな気がしてなりません。  そこで、まず最初にお聞きをしますが、ライオンズ石油がいろいろ言っておりますように、もしガソリンの製品輸入をした場合に、消費者の手元で無鉛ガソリンでリッター当たり二十円から二十五円くらい安くなる、そういう状況が生まれることは事実でございましょうか。まず、この点だけ最初に御質問をしておきます。
  26. 畠山襄

    ○畠山政府委員 ライオンズ石油がシンガポールから輸入するという計画を発表いたしました際には、今手元に詳細な資料がございませんけれども、税金その他を全部含めまして百三十八円で売れるということをたしか報道関係その他に言っておったのではないかと思います。その輸入されてきたものが、たまたまリフォーメイトという品物でございましたものですから、通常の日本のスタンドで売られておりますものと異なりますので、これを一体何と比較したらいいのかということは非常に問題の存するところでございます。普通のガソリンは今いろいろな値段で売られておりますけれども、その後の市況の乱れ等もありまして、百三十八円以下のものもあちこちにたくさんあったというようなことでございますから、消費者の手元に着くのが二十円も安いとか、そういうことはあり得ないというふうに考えております。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 原油の輸入我が国の原則、そしてそれから生まれ出ますあらゆる副産物、それの活用、そういう形で石油業界もまた石油化学業界あるいは石油製品業界も構成されているという産業構造上の点を考えますと、日本で石油製品を直ちに輸入するという課題が、大変構造問題に食い込んだ課題として問題が出てくるということは私もよくわかります。そこで、恐らく通産の側では、このガソリンの輸入問題がそういういわば原油を中心とした日本の構造、それにかかわる問題として、石油輸入の中止を大臣として勧告された、こういう経過がある、こう聞いておりますが、おおむね私が今指摘したような形で大臣は勧告をされたのでございましょうか。
  28. 村田敬次郎

    村田国務大臣 加藤委員にお答え申し上げます。  今御指摘のライオンズ石油、佐藤太治社長の石油輸入に関します案件は、おおむね加藤委員の御指摘のとおりでございます。現在、原油を輸入をいたしまして、そして国内で消費地精製方式によって精製をする。そしてその結果、石油業法で申しますいわゆるガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油等の連産品が出てまいります関係で、それを安定供給するという建前からやっておるわけでございまして、その趣旨にかんがみて、昨年の十二月三日、関係書類を持参されました石油輸入業開始等の申し入れに対しまして、国内の石油製品の安定的かつ低廉な供給に重大な支障を生ずるおそれがあるという理由で、昨年の十二月二十四日石油審議会に諮問をいたしまして、十二月二十七日、通産大臣つまり私が勧告を行って同社の輸入計画の中止を求めましたところ、本年に入りまして、一月八日に通産省に同社から、勧告を受託しガソリンの輸入を中止する旨の連絡があったわけでございます。またその際、同社から買い取り元あっせんについての善処方の要請があり、例外的措置として、これのあっせんをしたところでございますが、こういった一連の措置をとりましたのは今申し述べた理由からでございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そういう石油製品の輸入拡大について、これは日本経済新聞の二月の五日でありますが、外務省から、ガット違反可能性がある、こういう申し入れをした、こう言われております。ガットの違反ということを外務省側がもし申し出たとするならば、それに対する通産の見解をひとつお聞きをしたい、こう思うのです。
  30. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 外務省からガット違反の疑いがあるというような申し出は事実上ございませんでした。  今度の大臣勧告はいわゆる勧告でございまして、強制的な措置ではございません。相手側の御意思によって、これが受け入れられるかどうかということになるわけでございまして、相手側の理解と協力を得て行っていくものでございますので、この種のことについては、我々といたしましては、ガットに違反するものではない、そういうふうに考えておるところでございます。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 通産としてはライオンズの佐藤さんですか社長をお呼び出しをして、そして今大臣がおっしゃったような経過があるからこの際自粛をするようにということで、本人といいますか社長も、その三千キロリッターでしょうか、日石に売るということをごあっせんをしていただいたことを踏まえて念書を入れまして、やった。その後再びライオンズ石油がシンガポール石油から購入をしたい、こういう現地との連絡をとり、輸入について申請をしよう、こういう動きがあった。これに対しまして、同じくこれは新聞報道でありますが、通産としては、一月の二十五日でございますが、断じてまかりならぬ、石油、ガソリンの製品輸入についてはまかりならぬ、強い態度で臨む、こういうお話でございました。いろいろ聞いてみますと、一月の十八日に大臣長官はシンガポール政府とお話し合いになったんじゃないですか。もしこのライオンズ石油がシンガポール石油から輸入に対する売買をするようなことがあるならば、我が国としては、ナフサその他についてシンガポール石油との間の売買を、契約といいましょうかあるいは輸入といいましょうか、そういう問題について便宜を取り計らうことはできない等々のお話し合いが現地でなされたというように現地の新聞では報道しておる、私はこういうように聞いておるのですが、こうなりますと、単に業者の自主的な購入が辞退されたから、したがってガットの違反ではないということは、少し言葉としてこじつけのような気がするのです。  先ほど大出さんから、いろいろASEAN関係動物愛護の問題での我が国への非難のお話がありましたが、同じように我が国輸入制限に対するASEAN側のいろいろな面の非難というものは、私ども、よく旅行したりあるいは外国の友人等からの手紙で受け取る場合があるのです。そういう状況下にこの問題があったんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  32. 村田敬次郎

    村田国務大臣 これは、私と柴田資源エネルギー庁長官がシンガポールをことしの一月中旬に訪問したときのことでございますから、私からお答え申し上げますが、私が参りましたときに、実はシンガポールのリチャード・フー商工大臣、それからまたリー・クアンユー総理ともお目にかかったわけでございます。その際、この石油輸入、ガソリン輸入の問題につきましては、両者の間で全く話が出ませんでした。そして恐らく、私ども参りましたときには、事務的には在京シンガポール大使館を初めシンガポール側に対しても、大臣勧告の趣旨等について説明は行っております。そしてこの問題に関して大臣同士で話が出なかったわけでありますから、シンガポール側との間で密約等は全くございません。  そしてまたガット違反の御質問に対しましては、先ほど柴田長官からお答え申し上げたとおりでございまして、ガソリンを含む石油の輸入についての石油業法に基づく勧告措置は、これに従わない場合の罰則適用がない非強制的なものであって、あくまで相手側の理解と協力を前提とするものでございます。したがって、今回の輸入自粛については、数量制限の一般的禁止を定めたいわゆるガット協定に何ら違反しないものと考えておるわけでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 シンガポールの問題につきましては、いずれまた機会を見て大臣にもいろいろ所信をお聞きをしたい、こう思っております。  どうでしょうか、ガソリンは、今シンガポールからの輸入問題を取り上げましたが、例えばスポット物で韓国から日本輸入されるというような状況はありませんか。
  34. 畠山襄

    ○畠山政府委員 韓国は今ガソリンの需給が比較的逼迫をいたしておりまして、韓国がガソリンを、本当の意味のガソリンでございまして代替ガソリンではございませんが、本当のガソリンを輸出する余力はないという状況であろうかと理解いたしております。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 同じように、このライオンズ石油が韓国から代替石油を輸入しようという動きがありまして、それを通産の方で、困る、しかも君のところでは昨年の暮れSPCとの間の輸入問題を含めて念書がこういう形で入っているのだから、この際再びそういうことを計画し申請をしたことは、まさに念書違反である、したがって三月十七日までに輸入業の廃業届を出すようにということを佐藤社長をお呼びになっておやりになって、昨日念書をとられたというような話を聞いたんですが、いかがですか。
  36. 畠山襄

    ○畠山政府委員 韓国から代替ガソリンを輸入することについては、従来からこのライオンズ石油がやっておられるようでありまして、代替ガソリンを輸入することについては、これは石油製品ではないものですから、この前のあっせんの前提となりました今おっしゃるところの念書の問題と関係がございません。したがいまして、私どもとして代替ガソリンを韓国から輸入する限りにおいて何ら反対するものではございません。きのうありましたのは、かねがね石油製品については輸入は行わないということをおっしゃったものですから、それでこの前たまたまシンガポールから持ってこられたものについてはあっせんし、そして輸入を行わないというものですから、タンクの解約料その他もそのあっせん価格の中に入っているわけでございまして、そちらの石油製品の輸入については行わない、こう言っておられるわけですから、それについては石油業法上の輸入業の廃業届をお出しにならないと困りますよということを申し上げたわけでございます。きのうはお呼びしたのではなくて、税関で韓国からお持ちになったものが石油製品に該当するのではないかという疑義を出された、そこでどうなんですかということを聞きにいらっしゃったわけです。その際に、かねてから廃業届は出すということを言っておられたものですから、その廃業届の方はどうなっているかということを尋ねたということでございます。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私が言うまでもございませんでしょうが、石油業法はガソリンの輸入についての規定というのはないわけです。ガソリンの輸入そのものについて禁止するという条項はございませんわ。ですから、ナフサの石油業界との関係のときに、あれだけのトラブルがあって石油会社をつくられたわけでしょう。当時ナフサは二〇%海外輸入製品でございましたが、今日では五〇%、石油化学の使うナフサでいけば七五%供給ですよ。しかも、今日その量は自由と言っていいでしょう。  ただ、私は後でナフサのことを言おうと思ったが時間がございませんからこの際申し上げますが、石油業法によってナフサの輸入量のコントロールをするということは、石油精製業界が石油化学業界のナフサの輸入に対するコントロール権を持つということになりますよ。率直に言ってそれがいいかどうかは私は少し疑問があるのです。私は、石油化学のエチレンやナフサの設備ができるときに、実は当時社労におりましたから言ったのです。通産の若手の技術者といろいろ研究しまして、日本のエチレンとナフサのシステムは多過ぎる、オーバーフローになる、必ず石油化学工業は撤退せざるを得ないようになるから、例えば鹿島のアンモニア計画のできるときには、これはやるべきではないという意見を申し述べたことがあるのです。今ごらんのとおりですよ。あのときにもし撤退しておけば、宇部興産のエチレン計画あるいはあの辺の計画でもし量的にとどめておけば、恐らく日本の石油化学業界はあの混乱を経ずして構造転換ができたのではないかと私は今でも思っているのです。実は今石油精製業界の新しい構造転換の時期が来ているような気がしてならないのです。これは危惧ならいいですよ。しかし、サウジアラビアにいたしましてもあるいはシンガポール石油にいたしましても、原油と抱き合わせてもう日本に自由化を迫っているんじゃないですか、ガソリンについても。あるいはイランが今日戦争でイラン・ジャパン石油がああいう形になっていますけれども、あの建設がもし三井化学との間で進捗しておりましたら、今日石油精製業界はあんなにのんびりしてはいないと私は思いますよ。幸か不幸がああいう戦争が起きましたから結果的にあの工事が延びて、スパンとしては中近東からの石油製品の輸入が少し延びていますね。結果的にはそういう状況になっていますけれども、そういう観点から見まして私はガソリンの、この際石油製品と申し上げておいた方がよろしいと思うのですが、この自由化問題については通産はもっと真剣に考えて、しかも構造変化に対応する体質というものを石油精製業界などに御指導を相当強くしませんと構造変化に対応できない、この構造変化に対応するための無理がどこかに起きる。特に私なんかの場合には雇用の問題を非常に重視しますから、例えば日本化成がああいう状況になって、いわきが新産都市でありながらあれだけの港が事実上もう投資がむだな投資になってしまっているような状況ですよ。今度ソビエトの船が入るか入らないかが問題になっていますけれども。そういう状況が。再来してはいけないと私は思いますから、ライオンズ石油の今度のガソリンの自由化という問題、いわゆる国内の輸入という問題をめぐりまして実は頭をすっとかすめたのはそのことだったのです。初めは興味本位におもしろ半分に、ガソリンが安くなるわいと思っておりました。しかし、だんだん考えてみますと、実は石油精製業界も事によると石油化学と同じような状況に陥りやしないか、その危惧を早く通産が指摘をし、同時にその構造改善のための施策、時期を長期に置いて、スパンを長く置いてやらないと大変なことになります。しかも、それが石油業法という業法の上にあぐらをかくなんという言葉はよろしゅうはございませんけれども、もしその上に乗って時期を待つという態勢が業界の側にあるとするならば、それは間違いですよ、こう御指摘をされるのほかえっていい指導ではなかろうか。今度のライオンズ石油の問題を機会に、そこに通産行政の指導を置かれるのが至当ではなかろうか、私はこう思っているのです。したがって、今の勧告問題もちょっとお聞きしました。ライオンズ石油に対しては、最初のシンガポール石油に対する輸入に対しての念書をおとりになった。きのうの話で、私はきょう電話で聞いた程度でもっと細かには知りませんから、今のお答えをお答えとして私なりに受けとめておきますけれども、今度は輸入業者として廃業しなさいということを通産が指導された。あなたのお話ですと、税関の方からこの製品は石油製品ではないかというお問い合わせがあって、その結果として云々とこう言いますけれども、逆に通産の方から、それは石油製品じゃないか、こう御指摘になったという向きもあるようです。この辺はあなたの公式の場の答弁ですから、私はそれを信用しておきます。  そういう問題は別といたしまして、中小企業に対してそういう念書をとり廃業しなさいという高圧的な行政指導ではなくして、今言ったような将来的展望を持ちながら、どうでしょうが、今やると石油業界はこういう混乱が起きますよ。あるいは我が党はそういう方式をとっているのでありますけれども、石油精製業界の構造転換は軟着陸だと私は言っているのです、率直に言って。日本の農業構造改善と同じように急激な転換はできないでしょう。軟着陸だとするならば、その軟着陸にふさわしい、中小企業関係のガソリンスタンドを含めて、メジャーとの関係を含めて指導があってしかるべきだと思います。時間がありませんから意見だけ先に述べさせていただきました。  一つだけ関連して質問しておきますが、ナフサが先ほど言ったような状況になってまいりますと、もう備蓄する必要性はなくなってきているんじゃないですか。石油状況も緩和されてまいりました。石油製品も相当在庫がたまっています。国内で九十、輸入製品で七十日分、年間で関税を含め金利を含めて大体百六十億円石油業界はこの負担をしておると言われております。半分ぐらいにしてもいいんじゃないですか。これは私の勘ですが、ナフサの備蓄は日数にして約半分、もっと極端にいえば三分の一ぐらいにしても、かつてのオイルショックのような状況には相ならない、こういうように私は思いますが、いかがでしょうか。
  38. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 確かに、先生のおっしゃるように最近の石油情勢は非常に緩和の状況にあることは事実でございますけれども、御案内のように、日本の石油供給構造は非常に脆弱でございます。イラン、イラクは相変わらず戦争しておりまして、日本の石油輸入のホルムズ依存度は昨年度六四%になっているということで、諸外国の中でも非常に脆弱であるという事実は依然としてあるわけでございます。  ナフサの備蓄については、確かにIEAの中ではいろいろ議論がございました。現在ではIEAの備蓄義務の対象にはなっていないわけでございますけれども、IEAの大部分の国は、これはやはり備蓄の対象として備蓄を行っていくべきであるという意見でございまして、日本の場合でも、先ほど申しましたような石油供給構造の脆弱性ということから、ナフサにつきましては、その他の普通の石油製品は備蓄義務が九十日でございますけれども、七十日でやっているわけでございます。六十年度についても九十日をさらに軽減した七十日ということでやっておりますので、その方向でやっていきたい、現段階ではそういうふうに考えているところでございます。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いま一つお聞きしますが、石油税は毎年やるのですか。
  40. 畠山襄

    ○畠山政府委員 石油税の引き上げは、去年、五十九年度にお願いをいたしまして一・二%の引き上げをいたしたわけでございますが……(加藤(万)分科員「一年ごとの免税という意味です」と呼ぶ)ナフサの輸入免税につきましてはかねがね御議論がございまして、確かに一年ごとに延長ということになっておるものですから、私どもとしては、これを一年ごとに毎年やるのではなくてもう少し長い期間免税にするようにという要求もいたしましたけれども、ことしはとりあえず従来どおりということで折り合いをつけざるを得なかったという状況に相なっております。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 大臣、今のライオンズ石油の問題を機会にいたしまして、石油業界と石化業界、それから石油製品とこれからの日本産業構造問題、自由化の問題ですね。聞くところですと、最近サウジアラビアが赤坂に事務所をつくられたという話です。これは恐らく原油と石油製品との抱き合わせで日本の国内市場への進出だろうと思うのですね。こうなってまいりますと、もちろんシンガポールもそういう状況にありましょうが、日本の石油精製関係はどうするかという、これは労働者を含めまして大変な課題であります。したがいまして、今のナフサの一年間ごとの免税の問題も含め、同時に、今おっしゃったように七十日ですかの備蓄の問題も、これは石油製品の単価の問題、国内競争力の問題との関係も今度は出てくるわけですから、私は、税じゃございませんけれども、いわば総見直しの時期に来ているような気がするのです。そこで大臣、今私は、まさに石油化学産業が置かれているあるいは石油業界が置かれている端緒だけ、入り口のところだけのお話をライオンズ石油の問題にひっかけてお話ししましたが、ぜひひとつそういう意味での御検討をいただきたいと思うのです。  時間がありませんから、一つだけ取ってつけたようなお話で申しわけありませんが、最近私どものところに被差別部落の問題が少し出まして、被差別部落の中小企業の振興問題がいろいろあります。去年、同和事業に対するいろいろな面での通産の方の指導その他がございました。被差別部落における中小企業関係の振興について、いろいろな面でぜひ通産の御指導を願いたい。特に大臣には、被差別部落の中小企業振興についてのお骨折りをいただきたい、できれば現地を視察していただいて、今被差別部落の中小企業の方がどういう産業条件に置かれているかということなどもつぶさに見ていただきたい、こんな意見が強く出ておりました。加藤さん、大臣にお会いしたときにぜひお願いしてほしいよ、こんな意見が私に匡言されましたので、取ってつけたようなお話でありますけれども、ぜひひとつこれは要望として聞いていただきたいと思うのです。  前段の問題については、この際、大臣の見解をお聞きしておきたい、こう思います。
  42. 村田敬次郎

    村田国務大臣 加藤委員の、原油輸入そしてまた消費地精製方式、さらに備蓄の問題、石油価格の今後の問題等広範な御意見を承らしていただきました。御高見はよく拝聴いたしまして、今後適切な対応をしていきたい。しかも石油の問題は、日本にとっては本当にエネルギー供給の六割以上を占めておるわけでございまして、経済社会の有用物資であり、国家経済、安全保障に密接な関連を有する基礎物資でありますから、特に重要な問題と考えて対応していきたいと思います。  ただ、ここで一つ申し上げておきたいのは、消費地精製方式に関連するこれからの石油の貿易の問題でございますが、今後の方向といたしましては、昨年の六月に、これはシンガポールからの今度の輸入の起こる時期のずっと前でございますが、石油審議会の報告がございまして、この中でいろいろなことが述べられております。中長期的には、必要な条件の整備を図りながら、漸進的に極力国際化の方向を目指すべきであるという考え方が示されておりますので、したがって、具体的には、早ければことしの年度内に、石油審議会石油部会に特別の小委員会を設けまして、漸進的な国際化のための基盤整備あるいは制度改革その他の問題の検討を開始していく所存でございます。これはもちろん前提は白紙でありまして、今後のことを考えてやっていくということでございます。  それから、最後にお触れになりました中小企業の問題につきましては、これも重要な問題でございますから、心を込めて対応いたしたいと存じます。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 どうもありがとうございました。
  44. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。
  45. 日笠勝之

    日笠分科員 大臣、朝早くから御苦労様でございます。きょうは村田大臣と小此木前通産大臣ということで役者もそろっておりまして、少々緊張しております。昨日、我が党の有島重武議員が日本の伝統的工芸品につきまして御質問をいたしました。大変前向きの御答弁もいただいたかのようにお聞きしております。感謝申し上げる次第でございますが、私も、この日本の伝統的工芸品の振興につきまして、しばらくお時間をいただきまして質問をさせていただきたい、かように考えております。  御存じのとおり、伝統的工芸品と申しますのは、日本の長い歴史の中で営々としてその技術、技法というものが受け継がれてきました。用と美を兼ね備えた日常生活品として広く国民に愛され、そして国民の生活に潤いを与えておるものでございます。昭和四十九年の五月に伝統的工芸品産業の振興に関する法律が全党一致議員立法で成立したのは御案内のとおりでございます。  そこで、これは大変失礼な質問でございますけれども、大臣愛知県選出でございます。愛知県には通産大臣が指定されたところの伝統的工芸品というものがたくさんございますが、どういうものがあるか御存じでしょうか。
  46. 村田敬次郎

    村田国務大臣 私の出身地は実は豊橋でございますが、豊橋は筆がございます。それから隣の西三河には三河仏壇というものがございまして、愛知県全体で見ますと、有松、鳴海絞だとか名古屋友禅だとか赤津焼、常滑焼、岡崎の石工品、名古屋の桐だんす等々十品目ございます。
  47. 日笠勝之

    日笠分科員 さすがは御造詣が深いところでございますが、先ほど御案内ありましたように、京都が十五品目、新潟が十二品目、愛知県が十品目で、全国三番目に指定品が多いところでございます。指定品が現在まだないのは北海道、千葉、熊本の三県でございます。  御案内のとおりでございますので、続いて大臣に、これもまた大変失礼な質問でございますけれども、全国から指定を受けました百四十八品目の伝統的工芸品が一堂に集められまして、展示即売をされております。すなわち、総合PRセンターとしての全国伝統的工芸品センターというのが東京青山のビルの一角、二階にございますが、最近は、何かお聞きしますと、日本を訪れる公賓の方々の見学コースにもなっておるようでございます。パキスタン大統領夫人とかマレーシア首相夫人も訪れておられるようでございます。そういうことで、通産大臣、御就任されて大変御多忙とは思いますけれども、四カ月になるわけでございますが、この全国伝統的工芸品センターを御視察はされましたでしょうか。
  48. 村田敬次郎

    村田国務大臣 委員御指摘の青山にございます全国伝統的工芸品センター、この存在はよく承知をしておりますし、またその内容につきましても、そちらで発行しております印刷物等も取り寄せまして、今委員御指摘になったこともよく承知をいたしておりますが、実はまだ視察をしておりません。
  49. 日笠勝之

    日笠分科員 御多忙と思いますが、ぜひひとつ一段落しましたら御視察をいただければ、振興協会の皆さんも大変に励みとなっていくのではなかろうかと思います。  同時に、このセンターの中には入会金五百円、年会費二千円の友の会というのがございます。現在二千三百人いらっしゃるそうでございますが、実は私もその会員にならさせていただいておるわけでございます。ぜひひとつ、行かれた際には友の会の会員になっていただいては、こう思うのですが、どうでしょうか。
  50. 村田敬次郎

    村田国務大臣 日笠委員、大変熱心に伝統工芸について御支援をしていただくことを感謝申し上げます。今申されました視察につきまして、また視察の機会があればぜひいろいろな問題を検討してみたいと思っております。
  51. 日笠勝之

    日笠分科員 ぜひひとつお願い申し上げたいと思います。  続きまして、全国伝統的工芸品センターの機能強化と拡大、いわゆる需要拡大ということが今大きなネックになっておるようでございますので、この点につきまして何点がお聞きをしたいと思います。  このセンターは、スペースが六百六十平米、昔風に言うならば二百坪でございます。私の選挙区は岡山一区でございますが、御案内のとおり、備前焼という大変有名な焼き物の産地でございます。私、センターに行きまして見学させていただきましたけれども、備前焼というのはとっくりとかぐい飲みとか湯飲み茶わんとか、こういう小さな作品でございます。こういうふうな小品もいいわけでございますが、本来は葉茶つぼであるとか舟どっくりであるとか水がめであるとかいう大ぶりな、豪快なところに魅力があるわけでございます。いかさまこの展示スペースが狭いということで、本来の伝統的工芸品のよさというものが、極端に申しますと、石灯籠なんかなかなかああいう狭いところに重たいものを運び込めませんし、そういうようなこともありまして、もう少しスペースの広いところがあればなと私見学して率直に思ったことでございます。いろいろと全国の伝統的工芸品館というものも通産省の補助でできておりますし、また補助がなくても単県でつくっておられます。先ほど申しました熊本県は指定品がないわけでございますけれども、この熊本県に伝統工芸館という立派な建物がございます。私も一度見ました。建物の面積だけで千四百八十一平米、敷地が四千九十四平米という二階建ての、今の青山のセンターの二倍以上の建坪を擁しておるという、総工費十四億円で昭和四十七年にオープンをしておるところでございます。  青山のセンターも、いろいろとお聞きしますと、まず駐車場がない。それから、社会科に伝統工芸の教育をということで文部省にも御協方をいただいて、八時間でございましたか授業もやっておるようでございますので、子供さんの見学も多い。ところが、バスをとめるようなスペースもない。確かに交通の便利がいいところだから、地下鉄なんかでいらっしゃいということでありましょう。先ほど対比を出して大変恐縮ですが、熊本の例を出しましても、全国の百四十八品目が一堂に会しておるわけでありますので、ちょっと貧弱なような気もいたします。ぜひともひとつもっと大きな入れ物、そして広くPRをし、多くの方々に知っていただいて需要拡大を図っていく、このように私は思うわけでございます。通産省全体の予算が六十年度約八千億円、伝統工芸品に関する予算が八億八千万、約〇・一%ということでもございますし、大変予算が厳しいということは承知をしておるところでございますが、例えば伝産法施行十五年だとか二十年という将来に向けて、国立の第二劇場のような、ああいう予算がとれればいいでしょうけれども、難しいかと思いますけれども、将来に向けて日本のこの伝統的工芸品を守っていく、そして広く皆さんに知っていただく、それがまた即地場産業の活性化にもなる、このように私は常々考えているところでございますが、大臣いかがでございましょうか。
  52. 村田敬次郎

    村田国務大臣 青山にございます全国伝統的工芸品センターの施設がまだまだ狭いし、そして十分な機能を発揮していないという御指摘、ごもっともと思います。また、日笠委員の御指摘になった熊本の施設につきましては、私、先般熊本に参る機会がありまして、その現場に参りましてつぶさに視察をいたしました。率直に申し上げて非常によくできておると思いました。  伝統的な工芸品産業の振興は通産省にとって重要な課題でございまして、とりわけ、御指摘のとおり、消費者へのPRを通じて伝統的工芸品の需要喚起を図るという必要性は、文化を高めていくためにも国民の本当に要望をするところであろうと思いますし、十分に認識をしておるところでございます。しかしながら、現下の財政事情から見て、今アイデアとしてお示しをいただいた国立伝統的工芸館を建設するということは、当面予算的に見てなかなか困難ではないかというふうに思っております。今後とも、全国伝統的工芸品センターの活用でございますとかあるいは伝統的工芸品の需要拡大策の実施などによりまして、日本民族の持っております伝統的工芸品産業の振興に努力をしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  53. 日笠勝之

    日笠分科員 財政事情も未来永久に好転しないということはないわけでありますので、ひとつ前向きに考えていただきたい、このように思うわけでございます。  さらに何点かお伺いをいたしますが、地方に伝統産業館というものを通産省の方の補助で建設できるようになっております。一つの館につきまして四千万円程度の補助金が出るわけでございますが、これは実は一年間に二館程度、八千万円くらいの予算の計上でございます。ところで、現在伝統産業館というのは全国で十八館できております。百四十八品目あるわけでございますので、これからがいよいよ大変なわけでございますけれども、現時点におきまして、それぞれの産地に伝統産業館、工芸館、こういうものをつくりたいという動きのあるところ、また現実に申し込みのあるところはどれくらいございますでしょうか。
  54. 篠島義明

    ○篠島政府委員 現時点で我々承知している限りでは、ここ数年の間に、都道府県といたしまして和歌山、岩手、山形、岡山等九県程度がつくりたいという希望を持っております。
  55. 日笠勝之

    日笠分科員 そうしますと、九県ですから、一年二館でいきますと四年から四年半ないしは五年くらいかかるということでございます。先ほどおっしゃられましたように予算的に厳しいという点もわかりますが、例えば私の地元の岡山でも備前焼の伝統工芸館、産業館をつくろうという動きがございますし、ぜひひとつその辺の御配慮もお願いを申し上げたいわけでございます。ひとつ前向きにこの枠をもう少し広げていく。と申しますのは、四千万といいましても、あとは産地なり都道府県なりが負担をするということでありますが、先ほど申し上げました熊本県が昭和四十七年の当時で十四億円でございますし、そのスペースの問題、基準もありますけれども、もう少し前向きに、二館と言わずに三館、四館、こういう方向で対処していただければな、これは個人的に考えておるところでございます。  続きまして、その他需要拡大、開拓ということにつきまして、何点か平素思っておりますことをここで申し上げたいと思います。  通産省の方も大変御努力をされておられまして、例えば切手にも伝産品の切手が十四種類でございますか発行されるようになりましたし、はがきなんかも裏に印刷をして一部発行しておられます。また「時の動き」という雑誌なんかの表紙にもいよいよ伝産品を入れるとか、こういうようなことも努力をされておられます。よく承知しておるところでございますが、それ以外にも、やはり通産省といいますとニューメディアのパイオニアの省庁でございます。今はやりのいわゆるキャプテンシステム、こういうようなものを取り入れて、いわゆるセンターで行っておりますところのいろいろな展示会の御案内なんかもできますし、こういうものがあると百場面ぐらい変わるわけでございますし、いろいろな伝産品も紹介できるかと思います。そういう意味で、このキャプテンシステムを導入して広くPRをしていく、こういうようなお考えはいかがでしょうか。
  56. 篠島義明

    ○篠島政府委員 キャプテンシステムが持っておる具体的な広報機能、それからその新しいがゆえのいろいろなアピールする面、そういったことも考えながら、基本的には費用対効果という問題もございますので、そういった点を総合的に考えて対処していきたいと思っております。
  57. 日笠勝之

    日笠分科員 そのほか、レーガン大統領や胡耀邦総書記にも伝統的工芸品であります輪島塗を日本政府として贈呈をされて喜ばれているということ、非常に細やかな御配慮をしていただいておることは重々承知しておりますが、今後も、できればそういう公賓であるとか国賓であるとか外国からのお客様に対しまして、お土産なんかはこういう伝統的工芸品を使うとか、それからまた在外公館、外国にある日本大使館、領事館で日本の紹介ということでいろいろな展示会をやっておられるようでございます。こういうものに例えば伝産品のワンセット、もちろん運ぶことが容易なものでございますけれども、ワンセットでそういう在外公館の日本紹介の各種展示会等々に入れていただくとか、こういうことも考えられる。海外のPRということも考えていかなければならない、このように思います。その辺を含めまして、新たな博覧会等々に出展をするとかいうこともあるでしょうし、今後の需要拡大のPRをいかようにお考えか、お答えを願いたいと思います。
  58. 篠島義明

    ○篠島政府委員 御指摘のように、日本の文化的な伝統に基礎を置く伝統工芸品でございますが、今の国民生活の文化向上という観点から見た場合に、国際的な交流、これは向こうのいいものも取り入れる必要がありますし、それから向こうにアピールしながら、外国のいろいろな消費者の意見を聞くということもいろいろな意味でいい刺激になり勉強になるわけでございますから、特に海外広報活動についても今後やっていきたい。そういう意味におきまして、去年の秋に京都で行われました国際工芸博というものがございましたが、海外からの出品も非常にございまして、最初でございますので、海外広報という観点から見てのある程度の限界はございましたが、いろいろな意味で非常に好評だったというふうにも考えております。こうした企画は、去年の法律十周年を記念して、今後毎年十一月を工芸品月間ということにいたしましていろいろな催し物をやっていきたいと考えておりますし、国内的に、あるいは海外との交流も含めて、PRについては最大の努力をしていきたいというふうに考えております。
  59. 日笠勝之

    日笠分科員 時間の関係で次の質問に移らさせていただきます。中小企業振興協会、下請中小企業振興協会の件でございます。  御案内のとおり、今全国四十七都道府県に民法上の公益法人として中小企業振興協会、下請中小企業振興協会というものが設置されております。業務内容は、下請取引のあっせんであるとか下請取引に関する紛争の処理であるとか、また情報の収集、提供、こういうことが趣旨で、下請中小企業振興法にも明確に述べられておるところでございます。この下請中小企業振興法の第十二条を見ますと、「広域にわたり効率的に遂行する」こうあるわけでございます。私は岡山のある業者の方をこの協会にお連れいたしました。セラミックの研磨をやっておる、ぜひどこかにそういう仕事を出すところはないだろうか、こういうことでお連れをいたしました。セラミックというのは先端産業の素材産業でございまして、なかなか岡山にはない。しかし隣の兵庫県はどうか、大阪はどうか。岡山というところは大阪まで中国縦貫道路でわずか二時間、こういう非常に交通の便のいいところでございますが、お聞きしますと、岡山県下は登録を受けて大体わかるけれども、県外になると登録業者も少ないし、連絡するといってもなかなか厳しい、こういうことで、広域化ということで大変問題があろうかと思います。データをいただきますと、広域あっせんは確かに全あっせん件数の二六%で、現実に成立したあっせんは約三〇%と非常に高いようではございますが、地域的偏在があるのではなかろうか、このように思うわけでございます。コンピューターも現在八台、六十年度で八台、合計十六合入れる、こういうことでございますが、広域あっせんということで将来図っていかなければいけないのではなかろうかと思います。ひとつ、そういう意味で今後広域化をどのように図っていくか、これについてお伺いしたいと思います。
  60. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 御指摘のとおり、下請振興協会は、取引のあっせんを行うについて広域的な配慮をするように定められておりまして、全国の四十七の協会においてもかねてからそういうことでやってきてはおります。その結果、先生指摘のとおりの数字が出ておりまして、トータルとしましては比較的成果を上げていると思っているのでございますが、これまたおっしゃるとおり、地域によりましてその地域の置かれたいろいろな状況、産業の存在の状況とかあるいは近県との連絡体制とか地理的な条件とかあるかと思いますが、でこぼこがあることは否めません。しかし、岡山につきまして御指摘のケースは残念なケースでございますけれども、全般的に岡山が必ずしも非常におくれているというのでもないかと思います。若干成立の数字は低いのでございますけれども、例えば、成立した取引額の一件当たりの単価などを調べてみますと岡山は比較的高い、そういう地域の差はございます。  そこで問題は、前向きにどうするかということでございますが、これは、経済活動の高度化に伴いましてますます広域的なあっせんが重要になってくると思いますので、予算上非常に苦しい状況ではございますけれども、機器の導入等を含めまして、できるだけ前向きに応援してまいりたいと思っております。
  61. 日笠勝之

    日笠分科員 登録企業も受注、発注ともに、データを見ますと、例えば五十八年度では発注企業が千六百、受注が二千少々。全国で製造業を営む企業は七十一万四千くらいあるそうでございまして、その九九%は中小企業である、こういう数からいきますと極端に少ない。こういうことで受注、発注企業の登録を進めていく、こういうPRも大いにしていかなければいけないのじゃなかろうか、このように思いますが、その点いかがでしょうか。
  62. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  63. 日笠勝之

    日笠分科員 ひとつ大いにPRをしていただいて、下請企業の取引あっせん、これがこの振興協会の大きなメーンでございますので、今後の御努力をお願いを申し上げる次第でございます。  続きまして、同じ協会の職員の待遇問題でございます。昭和五十四年に全国協会ができまして、四十七都道府県そろっておるわけでございますが、岡山の場合は昭和四十三年の八月、財団法人岡山地方下請企業振興協会、これが前身でございまして、非常に歴史が長い。歴史が長いということは職員の勤続年数も長い、こういうことでございます。私もいろいろと役員の方にお聞きしましたけれども、なかなか給与の改善は厳しい、そして役員の手当もままならない、退職金などおぼつかない、こういうことで、大変皆さん待遇面で不安を感じておられます。確かに今年度も協会に対しまして、待遇改善ということで期末手当の拡充であるとか超過勤務手当の改善であるとか、いろいろと施策を講じておられることは重々知っておりますけれども、ひとつ士気高揚、こういう中小企業を守る側にある協会の発展ということも考えまして、職員の待遇改善をお考えいただかなければいけないときが来たのではなかろうか、かように思いますが、その点大臣、一言で結構ですから、御決意はどうでしょうか。
  64. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 事務的に申し上げますと、全国で四十七の協会がございまして、その中に指導員それから指導補助員というのが置かれておりまして、現在二百二十四名の指導員、九十四名の補助員、合計三百十八名、こういう専門の仕事をしている人がいます。この方々に対しましては予算上の補助を行っておるわけでございまして、その内容につきましても、御指摘のとおり適時見直しを行っております。例えば、来年度の予算案におきましては、期末手当それから超過勤務手当の拡充を図るということにしております。ただ、御承知のとおりの厳しい財政状況のもとでございますので、役員のところまではなかなか難しい問題がございます。今後とも、御指摘の士気高揚という意味も踏まえまして考えてまいりたいと思います。必要な、所要な措置は講じてまいりたいと思います。
  65. 日笠勝之

    日笠分科員 ひとつ、その点はよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、高齢化社会、大変大きな問題でございます。通産省におかれましても、高齢化社会を目前にいろいろ対応を考えておられるところでございます。その中の一つに、六十年度から行う予定の福祉関連住宅設備リース制度がございます。これは御存じのとおり高齢者、身体障害者、こういう方々が日常生活に必要な住宅設備を購入するというのはなかなか経済的に負担があろうということで、リース制度にしたらどうか、こういう発想で今後行うということで、新しい時代の対応として非常に注目すべき制度だと思います。一ところが、モデルハウスが筑波にあるそうでございます。が、現在見学者が千人ということでございまして、今後どうしても地方公共団体、第三セクターの方々、また福祉に携わっておられる方々、こういうような方々に大いに見学をしていただいて、その利便性というものを知っていただかなければいけない、PR活動を大いにしていかなければならないのではなかろうか、こう考えております。そういう意味で、これは今年度からやるわけでございますけれども、今後のリース制度の概略と、それから最後に、時間がありませんので、通産大臣、高齢化社会に対応する通産省の取り組み、決意、こういうものをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  66. 篠島義明

    ○篠島政府委員 リース制度でございますが、六十年度から開銀の中に特別の制度を設けまして、七・二五%という金利、融資比率四〇%ということでございます。福祉安全対策枠の五十億円の内数でございますが、リース会社に対して開銀からリースを行う、こういうことでございます。  それから、今我々に対して大変励ましの言葉をいただきましたが、おっしゃいます高齢者あるいは身障者に対するケアシステム、これは今後非常に重要でございます。今までの住宅産業業界の提供しております施設は単価も高く、機能的にいろいろ問題があったわけで、我々もかなりの予算を講じて、この三年間ぐらい、関係者の英知を集めて技術開発を行ったわけであります。来年度、いろいろその成果を踏まえて、総合的に開発した技術あるいは商品の機能を強化した上で、どうやってPRしていくか、これを具体的に考えるつもりでございます。モデルプラントも大いに見てもらい、皆さんの意見を聞きながら、できるだけ安く、いい物を広く活用していただくように努力していきたい、こう考えております。
  67. 村田敬次郎

    村田国務大臣 日笠委員にお答えいたします。  高齢化社会への対応というのは、これは国を挙げての非常に大きな課題であると思います。通産省は生産の面からもいろいろなことを考えていっておるわけでございますが、例えば、今政府委員からお述べ申し上げました高齢者、身体障害者の生活に必要な住宅設備の普及促進でございますとか、あるいは新住宅開発、プロジェクトの一環として在宅の高齢者、身体障害者のケアシステム技術の研究開発を推進いたしますとか、あるいは筑波の工業技術院の製品科学研究所内に高齢者、身体障害者ケアシステムについてのパイロットプラントを設置して一般に公開するとか、いろいろやっております。根本としては、やはり活力ある社会をつくっていくという考え方から、しかも日本はあらゆる面で非常に恵まれてまいりまして、平均寿命が非常に上がっておるということから考えまして、高齢者の方々に生活に希望を持って働いていただく、生産に参画をしていただく、そういう働く場というような問題でございますとか、いろいろな問題を含めて、関係各省とよく相談をしながら対応をしてまいりたい。非常に重要な御指摘だと思いますので、一生懸命やりたいと思います。
  68. 日笠勝之

    日笠分科員 では、以上で終わります。ありがとうございました。
  69. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて日笠勝之君の質疑は終了いたしました。  次に、網岡雄君。
  70. 網岡雄

    網岡分科員 私は、二つ御質問申し上げたいと思うのでございますが、一つは中小企業の技術開発の援助について、それからもう一つはFCC、ファインセラミックスセンターの設立について、通産省としての考え方と今後の援助のあり方について御質問申し上げたいと思います。  まず、中小企業の技術開発の促進策についてでございますが、御案内のように中小企業というのは規模も零細でございますし、特に、技術革新の中で通り一遍のものをつくっていたのでは到底大企業に太刀打ちできない、こういうことがございまして、これからは特に中小企業でも技術の開発をして、製品にそれなりの付加をしてやっていかなければならぬ、こういうところに立たされている。一方、技術の細分化、複合化傾向というものがますます顕著になってきまして、この面では少し開発をすればそれなりに物が出ていく、こういう客観的な条件というものも成熟をしておるような気がするわけでございます。そういうところからいきますと、中小企業の技術革新というものがこれからますますウエートが高くなってくると思うのでございますが、しかし中小企業の性格からいいまして、その開発に要する施設や、そういうところに金を使っていきます場合に、かなりの経済的な負担というものはどうしても免れない状況にございます。  そこで、私は通産省にお尋ねを申し上げたいのでございますが、聞くところによりますと、近く中小企業技術開発促進臨時措置法ということで、十年の時限立法で開発に対する中小企業の援助を行っていく臨時措置法をつくる、こういう考えといいますか動きがあるということをお聞きをしたわけでございますが、まず、臨時措置法という十年の時限立法で一体どういう行政的効果をねらっているのか、それから二つ目には、法案の内容はどういうものであるのか、主な点で結構でございますので、御説明いただきたいと思います。
  71. 黒田明雄

    黒田(明)政府委員 ただいま委員御指摘の法案を各省討議中でございますので、そのような前提で、中小企業庁の案に即して御答弁申し上げたいと思います。  中小企業を取り巻く環境は、委員御指摘のとおり非常に目まぐるしく変化してきているというふうに考えておりまして、国民の間にございます需要が非常に多様化してまいっております。それから高級化してまいっております。こういった需要面に中小企業も即応していかなければならないわけでございますが、他方、技術の大きな流れといたしまして、これも先生指摘になられましたが、従来の鉄鋼とか石油化学といった非常に大型な技術を中心とするのではなくて、マイクロエレクトロニクスでございますとかバイオテクノロジーでございますとか新素材でございますとか、非常に技術そのものが細かい技術で集成されるような新しい技術革新の時代が到来していると思うわけでございます。これは中小企業伯身にとりましては、需要が細分化しておりますし、技術が細分化しているとなりますと、その対応自身には相当な努力を要しますけれども、うまく対応できますならば、中小企業にとって新しい発展をもたらす一つのチャンスともとらえることができるというふうに考えているわけでございます。  技術のそういった段階に差しかかりまして、各種の技術振興策を六十年度予算ないしは法案という形で国会の御了承を得るように準備を進めているわけでございますが、その一つが御指摘の法案でございます。これは、そういう技術革新の大きな流れに沿いました技術を取り上げまして、都道府県知事が中小企業の中でも意欲ある方々からの申請を待ちまして、一つの基準に合致するものとして認定をしていただきます。それによりまして、認定を受けた中小企業者に対して各種の振興、助成の措置を法案という形で用意させていただきたい。税制でございますとかあるいは信用保証の特例でございますとか、そういった面で助成いたしたいと考えているわけでございます。  効果でございますが、私ども、中小企業につきましては、やはり意欲だけではうまくいかない技術開発という問題でございますので、ぜひそういう意欲ある中小企業を激励しまして、その自助的な努力を中心にこれを補完する意味で助成をしていくならば、もちろん直ちにというわけではないかと思いますけれども、相当な成果を上げ得るものと思います。十年という期限を切っておりますのは、技術の大きな流れもございますから、十年たてばまた見直すという意味で期限を切ったわけでございますが、大きな流れの中で十年後には見直すという前提で効果を上げるように努力してまいりたい、かように考えております。
  72. 網岡雄

    網岡分科員 私もこの要綱を手に入れているわけでございますが、想定されている法案の内容によりますと、一つは、中小企業投資育成株式会社の特例措置をつくる、こういうことで、従来は一億円以下、三百名未満という二つの条件が中小企業の基準になっているわけでございますが、資本金一億円以上のものについてもこれを適用するということで枠の拡大が行われている。それから中小企業信用保険法の特例を設ける。それから、特にこれは、中小企業や協同組合で技術開発の施設を持つ場合に大変な恩恵を受けるということで私も評価をいたしておるところでございますが、課税の特例としては、試験研究費の賦課金の任意償却、それから試験研究費賦課金の増加試験研究費税額控除制度等の対象経費化、それから試験研究費賦課金により取得した試験研究用資産の圧縮記帳が組合の場合には適用される、それから機械、建物については特別償却をする、こういう四つの課税特例がつくられておりまして、いずれも零細な中小企業にとりましては非常な恩恵を受けるわけでございまして、私ども評価をいたしたいと思っております。  ただ、一つ懸念をいたします点は、資本金一億円を超えるものについてということで枠の拡大が行われたわけでございますが、超えるということですから、これはどれだけ超えてもいいことになってしまう面もあるかと思いますが、その辺についての通産省としての見解を述べていただきたいと思います。要は、一億円を超えることによって、零細な中小企業が枠の拡大によって事実上はみ出されてしまうような結果になってしまうのではないか、こういうところが運用を誤てば出てくる危険性をはらんでいるような気がいたしますけれども、その辺は単なる懸念に終わるのかどうか。また、零細中小企業の技術開発をしていくというのが法案の趣旨でございますから、そういうものに照らして通産省は一体どういうことを配慮しながらそれを守っていこうとされているのか、その辺についての御答弁をいただきたいと思います。
  73. 黒田明雄

    黒田(明)政府委員 委員御質問の第一点、一億円を超えるものについての中小企業投資育成株式会社の特例措置は、中小企業の範囲を逸脱してこれに助成を与えることになるのではないかという御質問でございます。  これは、実は法案の前提といたしまして、私どもは中小企業に限り助成を行うというふうに考えておりまして、まず定義を用意いたしまして、中小企業としては、中小企業基本法にございます定義に従って対象を限定することにしたいと考えております。それによりますと、製造業の場合、中小企業は、現在基本法で資本金一億円以下または従業員三百人以下というふうになっておりまして、例えば、資本金が一億一千万円であるが従業員は二百人であるというような企業は、現在、中小企業基本法では中小企業とみなされているわけでございます。ところが、今の中小企業投資育成株式会社法は従業員基準を採用いたしておりませんで、単に一億円以下というふうに切っているものですから、今例に挙げました資本金一億一千万円、従業員二百人という企業につきましては、基本法の定義に従えば中小企業であるにもかかわらず、投資育成会社の投資の対象にならないということになっておりますので、今抜けておりますこの部分をこの技術開発に限りまして補充したいという考えでございますので、あくまでも投資育成会社の投資対象は中小企業に限られるという点は守られておるというふうに考えております。  第二の零細中小企業に対する技術振興対策でございますが、この法律でも非常に重要な部分として実は組合というのをとらえておりまして、例えば産地組合などでは相当立派な中小企業も入るわけですけれども、多くの零細中小企業者が入ります。こういった中小企業が全体といたしまして、零細中小企業も入れて、お互い相互扶助の精神でできております協同組合等を中心にして一体として技術開発に取り組むならば、先ほど申し上げましたような、先生も御指摘になられましたような税制上の優遇を与えようということでございますので、この法律によって零細中小企業者に相当なメリットが生ずるかというふうに考えております。  そのほかに、法案とはちょっと離れるのでございますが、最初に申し上げましたように技術振興対策は幅広くやらなければいかぬということで、例えば中小企業技術基盤強化税制というのを今回税法改正でお願いいたしておりまして、これはもちろん零細中小企業者にも均てんすることになっておりますし、そのほか小規模企業対策といたしまして、私ども人づくり事業と呼んでおりますが、零細中小企業の技術に関する人材開発を中心にした予算を実は国会にお願いいたしておりまして、そういったものと全体相まって零細中小企業者の技術振興についても遺憾なきを期したい、かように考えております。
  74. 網岡雄

    網岡分科員 中小企業基本法の基本に照らしてやっていくということでございますから、私ども了解をいたします。  今ちょっと説明もございましたが、従来あります産地技術振興法というのが間もなく時限が切れる、こういうこともございまして、大臣愛知でございますからよく御存じだと思うのですが、瀬戸の陶器組合が産地振興法で間に合うようにということで準備をしてきたわけでございます。しかし、土地や機械、設備を購入する準備などもございまして産地振興法の時限に間に合わないということで、瀬戸の陶器協同組合としては、この中小企業技術開発促進臨時措置法というものの成立を非常に望んでいる状況がございます。したがって、産地振興法が間もなく切れるということがございまして、その辺のタイミングは、この法律によって網を張るということになりますので、先ほどの一億円を超える部分については基本法に照らしてと、こういう局長からの御答弁がありましたから、私ども全容としてはつかんだわけでございますが、この促進臨時措置法の目的などを踏まえまして、これは中小企業や零細企業は一日も早く設置をされるように望んでいるわけでございまして、この際、大臣の御決意、所信を承りたいと思います。
  75. 村田敬次郎

    村田国務大臣 網岡委員から御指摘になられました瀬戸の陶器の問題でございますが、瀬戸の陶磁器は日本全体にとっても非常に大きな文化財でございますし、また網岡委員のお地元でもあるわけでございます。産地振興法そしてまた中小企業技術開発促進臨時措置法案、これはまだこれから提出を予定しておるものでございますが、そういったものとの対応につきましては、よく御相談を申し上げたいと存じます。
  76. 網岡雄

    網岡分科員 次に、FCCについてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  御案内のように、ファインセラミックスの材料試験とか検査とか、特にファインセラミックスというのは新しい素材でございまして、強度の規格というものについてはまだきちっと定まっていないというふうにお聞きをいたしております。したがって、これは一つの製品といいますか、広く利用される可能性を十分持っているものでございますが、それをやっていくためには統一された規格というものが必要だという点で、ファインセラミックスセンターの設置というものが望まれております。同時に、これは技術開発もあるわけでございますが、そういう点で望まれておりまして、大臣御存じのように、名古屋市の熱田区で市が土地を無償貸与いたしましてこのセンターに貸す、こういうことになりまして、FCCの設立は非常に大きく一歩前進をしたというふうになっておることは御案内のとおりでございます。  そこで、ひとつお尋ねをいたしたいわけでございますが、このセンターが行っていく機能、それから仕事の内容などについて一体通産省としてどういうことを期待しているのか。それからもう一つは、通産省としては、このFCCに対して具体的にどういう援助をしていくのか。これは補助金その他も含めて財政的な援助、それからその他の援助というものを分けて、一体どういうところまでやれるかという点についての全容をこの際明らかにしていただきたいと思います。     〔主査退席、工藤(巖)主査代理着席〕
  77. 篠島義明

    ○篠島政府委員 まず、我々がファインセラミックスセンター構想に期待しておる内容でございますが、今先生おっしゃいましたとおり、ファインセラミックスは非常に有意義な材料、新原材料でございますので、今後適切に広範囲に浸透、活用してもらうためには、いわゆる材質の試験評価をきちんと全国的なレベルで統一的に把握していく、これが非常に重要だと思います。このセンターは、中核的な機能としてはそういう意味での材料の試験評価制度をうまく当てはめていく、そういうことを中心に動くことを考えておりますが、そのほかに、試験評価を確立する上で技術者をどううまく活用するかというようなことを考えますと、研究開発、そういったものをやらなければあるレベルというのはなかなか維持しにくい。資金もかかる、こういう問題もございますし、研究開発も行うことを考えておるわけでございます。その他研修、コンサルティング等いろいろ関連した事業内容を想定しておるようでございます。我々といたしましては、このセンターが全国的な規模で、その趣旨に即して、ファインセラミックスは今後非常に有用でございますので、日本の産業のために十分活用されるようこのセンターに大きく期待しております。  それから、このセンターに対する政府としての支援策でございますが、このセンターの設立に関係しまして、既に五十九年度でございますか調査費を計上いたしまして、センター設立についての基礎調査を行っております。来年度につきましてはファインセラミックスのデータベースシステム、これは、将来の材料データサービスをどういうふうに形成していくかというのは非常に重要なテーマでございまして、これについての調査費を要求しておりますが、この調査については、センターができますればこれに委託して行いたいというふうに考えております。それから、これは従来から、もう既に五十八年度から予算化されておりますが、ファインセラミックスの標準化に関する調査研究委託費というのがございます。現在までファインセラミックス協会に委託して行ってきておりましたが、これもファインセラミックスセンターの体制整備が行われれば、このセンターで事業の一部を実施してもらいたいというふうに予定しております。  それからまた、これは研究開発の分野でございますが、センターが充実してまいりますれば、その機能を活用いたしまして新素材を活用する研究開発事業、これは資工庁の方でいろいろ考えているようでございますが、こういったものに参加させるということについても検討中でございます。  それから試験評価設備の一部、これについて何らかの助成措置を講じていきたいというふうに考えております。それから、さらに財団の認可申請が行われれば、できるだけ速やかに認可していきたいというふうに考えておりますが、それによって試験関係の税制面について、これは従来から既に制度がございますが、その制度を活用することが可能になるというふうに考えております。
  78. 村田敬次郎

    村田国務大臣 網岡委員の、ファインセラミックスについて将来に非常な希望を持ち、そしてまた地元として大いに支援をしようというお立場からの質問だと思いますので、今政府委員から御答弁申し上げましたほかに、私からも申し上げておきたいと思うのでございます。  ファインセラミックスの生産は昭和五十八年で六千三百十億円と推定をされておるのですが、西暦二〇〇〇年には五兆円程度の市場規模に達する、これは非常に未来産業である、大いに力を入れようということで、愛知県に設置をされますファインセラミックスセンターについてのいろいろな助成措置や、そしてまた協議につきましても力を入れておるところでございます。地元からの予定を聞いてみますと、早ければ六十年度上期にも建設に着工して設備搬入等を進め、六十一年度下期の部分開業、六十二年度からのサービス開始につなげていくという予定を聞いておるわけでございます。御承知のように、地元では非常に有力なスタッフでファインセラミックスセンターの設立のための協議を進めておられるわけでございまして、今生活産業局長からお答え申し上げましたように、財団の設立申請が四月末までに行われれば、通産大臣の設立許可をひとつ五月にはしよう、そしていろいろな具体的な問題についての協議その他万全を期していこうと考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  79. 網岡雄

    網岡分科員 非常に積極的な御答弁をいただいたわけでございますが、最後一つだけ御要望申し上げておきたいと思うのでございます。  私の手元の資料によりますと、技術研修サービスセンターという箇所がございますが、その中に中小企業への技術コンサルタントそれから中小企業への技術アドバイザーという制度ができております。これがあるということは大変結構なことでございまして、意を強くしておるところでございますが、私一つ心配をしますことは、ファインセラミックスというのは新素材として革命的なものであるということは私どもも承知をいたしておるわけでございますが、ここまでいきます過程の中でやはり最初の出発点というのは、私どもが聞いておるところによりますと、瀬戸の陶器のある業者がこのセラミックのはしりの段階のものを開発したという経緯があるようでございます。ところが、やはり中小企業の恋しさで、それがファインセラミックスまで開発ができなかったようでございます。そういう面からいきますと、せっかく力も能力もあるにもかかわらず、それを発揮していくだけの場所がないということによっておくれをとっている面がございます。したがいまして、このFCCの中にある二つの技術コンサルタントや技術アドバイザーというものについては、十分これらの中小企業の意向を体して、そしてまさに大企業も中小企業も一体となった技術開発に向けていけるような場所の提供をするのだ、こういうとらえ方をしていただいて、さっき大臣から御答弁ありましたような方向で進んでいただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
  80. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて網岡雄君の質疑は終了いたしました。  次に、小渕正義君。
  81. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 私は、我が国の産業の中で重要なウエートを占めているプラント、特に輸出プラント対策等を中心にお尋ねいたしたいと思います。  現在、我が国輸出プラントについては、五十六年をピークにいたしまして百七十五億ドルという状況でありましたが、近年、五十七年、五十八年と逐次低下いたしまして、五十八年度は大体八十三億ドル程度じゃないか。要するに、五十六年度から比較いたしますならば、三八%の減少、こういう状況になっているように聞き及んでいるわけでありますが、五十九年度それから今後、将来、輸出プラントについての見通しといいますか、そういうものについてはどのような見通していろいろな行政をなさっておられるのか。まず最近、五十九年度とあわせて六十年、六十一年、先に今後の見通し等についてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  82. 木下博生

    ○木下政府委員 今先生おっしゃいましたように、プラント輸出は最近鈍化して減少傾向にございます。昭和四十年代の後半は毎年平均四〇%強という格好で急速に伸びておったわけでございますが、石油危機の後一時鈍化して、五十六年度にまたピーク百七十五億ドルになりましたけれども、また下がってきたのは今先生の御指摘のとおりでございます。今年度は五十八年度の八十三億ドルからまた一段と落ちまして、私どもの予想では六十億ドルから七十億ドルの水準にまで減少するのではないかというふうに予想しております。  今後のことでございますが、当面発展途上国の債務累積の問題等が依然として厳しい状況にございますし、石油収入の伸び悩みに伴う産油国の開発計画の繰り延べ等がありますので、全体としては急速な回復は望み薄であると考えております。しかし、最近中国等の一部の国でまたプラントの商談が活発化し始めておるところもございますので、やや明るい兆しも見えるということで、そういう面から少しずつ今後に期待するところもあるのかなというふうに考えておるわけでございます。
  83. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 今後の我が国輸出プラントの見通しといいますか動向についての一つの取りまとめをしたプラント輸出基本政策委員会ですか、ここの中での資料を拝見いたしますと、いろいろな事情はあったにいたしましても、今後、八四年価格の二百二十億ドルの中で平均輸出実績として、一九八〇年から八二年の平均輸出実績百四十一億ドルを基準にして考えた場合に、大体毎年成長率としては年率三・二%程度は伸びるのではないかということが記載されておりますが、通産省としても今後のこれらのプラント輸出については、そういった状況における見通しというのは、このような委員会が出されたようなものと大体合致しているのかどうか、そこらあたりはいかがでしょうか。
  84. 木下博生

    ○木下政府委員 世界経済が第二次石油危機以降低迷したわけでございますが、最近はアメリカの景気の上昇ということもあって、全般的には明るさが見えている状況でございます。現在プラント輸出の伸びがずっと低迷状況を続けておりますのは、専ら発展途上国経済の低迷とそれから債務累積問題ということがございますし、先ほど申し上げましたように石油収入の伸び悩みに伴う産油国の開発計画の繰り延べ、それからそういうふうにマーケットが小さくなってまいりますと、先進各国の間の競争が非常に激しくなりまして、日本の円はドルに対しては安くなっておりますが、欧州通貨に対しては強くなっているというようなこともあって、欧州各国とのプラント輸出の商談で競争できないで負けてしまうということも起こっているというようなこともあって非常に減少しております。  ただ、世界経済は今後アメリカ経済の回復とともに全般的に回復の方向に向かい、また拡大の方向に向かうと考えられますので、開発途上国におけるこのようなプラント計画も今後は徐々に全般として見れば伸びていくというふうに考えられますので、そういうことを考えれば、四十年代の後半みたいな大きな伸びは期待できないにしても、プラント輸出がまた回復し、少しずつ伸びていくということは予想されるところでございますので、今先生おっしゃいましたような委員会の報告と我々も大体同じような考え方を持っております。
  85. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 今、今後の見通し等について一応委員会と同様な見解をお持ちということでございましたが、この委員会の議事録といいますか記録を見ますと、これからの難しい世界経済の中でプラント輸出を今後とも続けていくためには、具体的な政策を少しずつ思い切って展開してもらわなければいかぬような問題がいろいろ出ておるわけでありますが、政府として、これらのプラント輸出を促進するための振興策といいますか、そういうもので当面考えている点があるならば、まずその問題についてひとつお示しいただきたいと思います。
  86. 木下博生

    ○木下政府委員 従来から政府といたしましては、プラント輸出が順調に進みますように、例えば公的輸出信用供与、具体的に申し上げますと輸出保険制度でございますが、その制度の運用によりましてプラント輸出がしやすい環境をつくっていくというような措置はとってきておるわけでございます。今後も、今申し上げましたようなプラント輸出の現況にかんがみまして、その健全な発展を図るため、輸出信用供与の弾力的な確保の問題、それから諸外国からのソフトな輸出信用供与条件が提示された場合にそれに適切に対応して、うまくマッチングをしていって、日本のプラント輸出の商談を成功に導くようなこと、あるいはより中長期的な見地から発展途上国の経済自立に資するプラント建設プロジェクトを新規に発掘していくようなこと、そういうようなことを進めまして、積極的にプラント輸出を推進していきたいというふうに考えております。
  87. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 わかりました。そういう行政としての方針をお持ちでしょうけれども、貿易摩擦という問題との兼ね合いで考えますと、全体的にプラント輸出については私は摩擦なき貿易だというように思っているわけでありますが、今の我が国輸出統計の分類から見ますならば、機械類として自動車その他輸出プラントすべてが包含されている中で統計されておりますので、我が国のそういう形で見ますと、機械類全体としては必ずしも停滞、鈍化しないで、ずっと伸びていっている。そういう感じからいきますならば、そういう全体的な立場から見ると、プラント輸出政府としていろいろな積極的な対策を使わなくても、機械類全体として貿易がずっと伸びていけばそれでいいんじゃないかというような、そういった一面からの意見等もまた行政の中にあるのではないかということも私ども伝え聞くわけでありますが、そういう点では、貿易摩擦との関係については、通産省としてはこのプラント輸出という問題をどのようにお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
  88. 村田敬次郎

    村田国務大臣 小渕委員にお答え申し上げます。  ブラント輸出の最近の状況等につきまして政府委員からいろいろ御答弁申し上げました。貿易摩擦との関連でありますが、プラント輸出は、その大半が御承知のようにASEAN等の東南アジアそれから中近東などの発展途上国向けの輸出でございまして、その内容も発展途上国の経済社会開発に必要な資本財を中心に提供するものでありますことから、経済協力効果の大きい輸出、貿易摩擦の少ない輸出、こういうふうに承知をいたしております。またプラントは付加価値率、技術集約度が高く、プラント輸出の拡大は我が国の産業構造、貿易構造の高度化という観点からも非常に意義が大きい、こういうふうに考えておるわけでございます。このため政府としても、かかるプラント輸出の健全な発展を図るため各般の施策を現在までも講じてきておりますが、今後も講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
  89. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 今大臣がおっしゃられたように、プラントというのは、素材から先端産業までを網羅した非常に付加価値の高い、しかも技術集約度の高い製品でありまして、しかもまだ相手国に対しましても、いろいろな意味において大きな経済的波及効果を持つ性質のものでございます。特に我が国におけるプラント製品については、中小企業を含めて雇用の面においても非常にすそ野の広い産業でございますので、そういう角度から、今大臣がおっしゃられたような立場でぜひこれからも推進していただきたいと思います。  具体的に若干の問題点でお尋ねいたしますが、特に今おっしゃられたような関係の中で当面、今後とも我が国輸出プラントを伸ばしていくための方策の一つに円借款及び輸出信用の弾力的な供与という問題で、特に最近まではどちらかというと経済自立型プラントに対しての円借款というものが余り行われてなかった。それから特別円借款という、円借款における供与という、こういった二つの問題が実は問題点として出されておるわけでありますが、こういう円借款及び輸出信用関係の弾力的な、そういう弾力性を持った状況の中で逐次対応していただくという点についてはどのようなお考えをお持ちか。その点をお尋ねいたします。
  90. 黒田真

    黒田(真)政府委員 ただいま、経済自立型プラントへの円借款を供与すべきかあるいは特別円借款のようなものを考えたらどうだろうかというようなお話がございました。  発展途上国の経済社会開発を促進いたしますためには、発展途上国の自助努力ということを基本とするわけですが、その発展段階に応じて適切な経済協力を実施することが必要だと考えております。その場合私どもといたしましては、発展途上国の外貨の節約、外貨の獲得に十分役立つような、発展途上国の経済的自立につながるようなプロジェクトの実施に協力することが特に重要だということで、従来から電力、鉱工業あるいはこれに関連いたしますインフラストラクチャー等のプロジェクトへの円借款の供与についてケース・バイ・ケースに検討してきたわけでございます。  これに加えて特別円借款というようなものを考えたらどうだという御指摘でございますが、過去にも特別の必要性というものがございました場合には供与しておる例があるわけでございまして、今後とも特に必要と思われるような円借款の供与にふさわしい優良なプロジェクトがあればその可能性について十分検討していく用意はございます。  輸出信用の弾力化という点につきましては、もちろんそういうラインで考えるべきでございますが、一方注意を要します点は、先ほどの答弁にもございましたが、プラントをめぐる借款の競争が大変激化しているということを踏まえて、OECDの場等におきましては余りひどい競争にならないようにそこでの規律を強化すべきだというような議論も行われているわけでございまして、そういった点を十分踏まえながら我が国のプラント業界が有効適切な競争が行われるように対応してまいりたい、かように考えております。
  91. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 そういう状況に応じて対応していただくというお話でありますが、ちょっと特定のことで恐縮ですが例示としてお尋ねいたします。例えば、現在業界の中でインド向けのガスプラント関係とか、それからネパールでのアンモニアから尿素、こういった肥料プラントとか、フィリピンにおける新聞紙製作、パルプ製作関係のプラントとか、こういういろいろな関係のプラントがあるようでありますが、それが今までの関係ではなかなか円借款の対象にならぬというようなことも私聞き及んでおるのでありまして、そういう意味での経済自立型ブラントのこういう問題についてはもう少し積極的に取り組んでほしいという意向等も聞いているわけでありますが、こういった問題についても、今のお話の中では十分これからは対応していくということで理解していいかどうか、その点いかがですか。
  92. 黒田真

    黒田(真)政府委員 ただいま御指摘になられました個々の案件の詳細をここで御説明する必要はないと思いますが、基本的には円借款は御承知のように要請主義ということでございますので、相手国の政府から積極的に要求が出てくるということが前提でございます。したがいまして、いろいろプロジェクトが考えられるといっても、それが先方政府の要請の中にのってくるということがまず第一の関門でございます。それから次には、たくさんのそういう要請が当然あるわけでございますから、その中での優先順位というものがつけられるということでございまして、金額的な制約も残念ながらあるわけでございますので、その中で選ばれるときにどうなるかという次の関門があろうかと思います。そしてさらに第三番目に、その対象となった場合であっても当然他の国から借款のより条件のよい供与というようなもので競争関係が出てくるということで幾つかのハードルが出てくることはあろうかと思いますが、先ほど来の状況下で私どもそういったプラントの輸出ができるような形でできるだけの対応はしていきたい、かように考えております。
  93. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 基本的にはまず相手国からの要請主義ということで、相手国政府からのそういったあれがない限りはできないというようなことであるようですが、従来まで円借款というのは、どちらかというと社会開発とか公共的とか、そういうものを目的としたものに限定されてきた。ここらあたりをもう少し幅を広げてもっと運用できないかというのが一番大きな期待のようでありますが、いかがでしょうか。
  94. 黒田真

    黒田(真)政府委員 確かに、従来どちらかといえばインフラストラクチャーというようなものが重点的に考えられていたという傾きはあるように思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、やはり発展途上国が自立をしていく、経済開発を進めて自立をしていくためには、みずからが外貨を稼ぎ出すような、そういった産業を持つことが非常に必要なことでありまして、道路だけよくなってもしようがないわけでありますから、その上に成り立って外貨を稼げるような、そういった産業あるいは外貨が節約できるような、そういう工業設備というものが経済自立にとって極めて必要である、そういう考え方は当然あるわけでございまして、私どもといたしましては、そういうものであっても当然円借款の供与の対象になり得るということで、ケース・バイ・ケースに検討するつもりでおります。
  95. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 特別円借款の問題は、最近は特にこういった大型プラントでありますと、首脳外交といいますか、単なる経済的なベースだけじゃなしに、もうそれぞれの国の政府がこの中にともに一体となってこれら大型プラントについてのいろいろな対策を講じているということを考えますならば、やはり我が国においてもこういったプロジェクトについては特別円借款を供与するような、そういう政府としての姿勢の中で対応しないことには、いたずらにフランスとか西ドイツとかまたはイギリス等のいろいろそういう政府首脳外交を含めたこれらのプロジェクトのプラント関係については、我が国が敗退していくのではないかという危惧が非常にあるわけでありまして、そういう点、もう一度この特別円借款の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
  96. 黒田真

    黒田(真)政府委員 特別円借款というものにつきましては、過去にもその必要性に応じて供与したという事例は幾つかあるわけでございますので、そこで、ある程度優良なプロジェクトというものが組まれてまいりますならば、私どもとしては、その可能性について、慎重にではありますが十分検討していくというつもりで対処したいと考えております。
  97. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 次に、あと一つ問題点としてかなり言われているのが外貨貸し制度の創設といいますか、今輸銀等でいろいろそういうものについては現在延べ払いプラントが、最近為替レートがいろいろまた少し変わってはおりますが、特にプラント輸出については最近円建て契約がだんだん減少してドル建てという形、外貨建てという形の中でプラントがいろいろ行われているわけでありますので、どうしてもそういう意味では、為替リスクとの関係もございまして、輸出ブラントについては外貨貸し制度というものをひとつつくっていただいて、そういう中で何とかいろいろな対策が講じられないものだろうかという、ブラント輸出の中での大きな問題点としてそういう非常に強い期待があるようであります。こういう点、また何かいろいろ難しい問題もあるようなお話も聞いておりますが、これはぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたい、かように思うわけであります。その点いかがでしょうか。
  98. 黒田真

    黒田(真)政府委員 ただいま御指摘のような要望が産業界から行われておるということにつきましては十分承知をいたしております。おっしゃいますように、特に円の先行き等々をどう見るかというようなことが円建て契約というものを難しくしていることもあろうかと思いますし、それは裏返して言えば為替リスクの問題であります。今後こういった問題をどうのみ込んでいくかという点につきましては、技術的にも厄介な問題がいろいろございますので、なかなか簡単にいかない面もございますけれども、そういった業界の要望等踏まえまして、関係者の間で十分慎重に検討させていただきたいと思っております。
  99. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 いろいろな要素がございましょうから問題点もあろうかと思いますが、慎重にぜひひとつ前向きの方向でこの点は取り組んでいただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。  それから、輸出金融制度の充実という問題で、特にマッチングスキームの整備ということで、輸銀と海外協力基金の関係をもう少し見直してもらいたい、こういうような一つの期待もあるわけでありますが、その点についてはどのようなお考えなのか、この点をお伺いいたします。
  100. 黒田真

    黒田(真)政府委員 最近プラント輸出が大変低迷をするということで、世界的に競争が激化をする。その中でソフトな条件というものが他国によって提供されるということになりますと、我が方といたしましても、そういった状況に機動的、弾力的に対応し得るようなマッチングを認めることが必要であるということは十分認識しておるわけでございます。  そういった考え方の上に、立って、現在の輸出金融の仕組みと申しますか、機関の役割分担というものが果たして十分適切に対応できているかどうかというような点については議論のあるところでございまして、現在、関係省庁の間で今後のマッチングのあり方については検討中でございますので、御指摘の点を含めて十分検討させていただきたいと思っております。
  101. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 マッチングスキームの関係であと一つ、これは私も具体的な例示ということは申し上げかねますが、特に通産省、大蔵省、それから外務省、経企庁ですか、四省庁体制の、もう少し機動的に状況に応じて動けるような体制をつくってほしい、業界の中ではそういうかなり強い意見もありますが、この点についての御見解があればひとつお尋ねいたします。
  102. 黒田真

    黒田(真)政府委員 私どもといたしましては、現在の経済協力に関しますいわゆる四省庁体制、御指摘の四つの省庁によります協議の体制というものは、それなりに機能しているというふうに考えているわけでございますけれども、何分関係省庁が複数にわたるということでございますので、一省庁だけが行う場合に比べれば時間がかかるという批判も十分真剣に受けとめなければならないということで、御指摘のような点については十分心しながら、万が一にも四省庁にまたがっているということで機動性に欠けることがないように努力をさせていただきたいと思っております。
  103. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 特にこういう輸出関係になりますと、タイミングといいますか、それが非常に大事なポイントになりますので、そういう意味で、極めて機動的に能率よくこの問題については取り組んでいただかないことには、非常に一籌を輸するということもあり得ますので、その点特によろしく今後ともお願いしたいと思います。  それから最後になりましたが、混合借款をもっと活用してもらいたいということがこれまた強い、これからのプラント輸出の中で欠かすことのできない問題として一つ大きく浮上しているようであります。先ほども申し上げますように、こういった世界経済の中でプラントがそれぞれ各国で非常に競い合う、しかもそれが政府も入り込んだ首脳外交的な中でいろいろと競争されているということを考えますならば、我が国としても、やはりこういう混合借款ということについてはもっと弾力的といいますか、枠を、考え方のあれを広げていただいて、柔軟になっていただいて今後取り組まなくてはいかぬのではないか。また、ぜひそうしてほしいというような強い期待があるようでありますが、この点に対する大臣の御所見でもあればお伺いしたいと思います。
  104. 村田敬次郎

    村田国務大臣 小渕委員のプラント輸出等に関するいろいろな御意見、御高見、拝聴させていただきました。  最後に、混合借款の積極的活用の問題でございますが、近年、プラント輸出の低迷に伴いまして、混合借款等のソフトな借款による競争が激化をしているところから、現在OECDの場において混合借款の規制のあり方について議論がされているところであります。一方、LDC、発展途上国は、その発展段階、経済状況等に応じて多様な援助ニーズを有しており、これに見合った援助の実施が必要であり、このような観点から混合借款が求められる場合も多く存在をいたします。我が国としては、今後、援助案件としての重要性、OECDアレンジメントの規定など諸般の事情も考慮に入れまして、おっしゃいましたようにケース・バイ・ケースで適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  105. 小渕正義

    ○小渕(正)分科員 時間が余りございませんので、これで終わりますが、先ほど申し上げましたように、プラント輸出というのは我が国の経済の中で非常に重要な位置を占めておりますし、技術力を必要とする、しかも付加価値の高い、そうしていろいろとあらゆる面において雇用その他経済の波及効果が非常に大きな役割を果たすのがこのプラントだと思います。そういう点で、非常に世界経済は厳しい状況でございますが、貿易摩擦という問題の中でこのことが一体となって考えられてはいかぬのじゃないかと思いますので、ぜひこういうプラント輸出の持つ特徴といいますか、我が国の経済を支えている、そういった側面も十分お考えいただいて、これからも輸出対策については積極的に取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、終わります。
  106. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤誼君。
  107. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それでは質問に入ります。  今、日本の素材産業は、業種別に違いはあるものの依然として構造的な不況が続き、設備処理等が進められているということは御案内のとおりであります。しかし、ナショナルセキュリティーの立場で考えれば、素材産業の低落に対し一定の歯どめをかけていかなければならぬのじゃないかと考えるわけであります。その際最大のネックになりますのが電気料金だと思うのです。  そこで、この際何らかの政策料金の導入は考えられないのか。このことは今までもいろんな角度から要望され検討されてきたと思いますが、私は、今の日本の素材産業を考えたときに、ある意味においては勇断を持って決断を下さなければ限りなくゼロに近づくのではないか、こういう危惧の念を持っているからであります。そしてまた、そのほかの方途としては、電源開発等から素材産業に特定供給はできないのか。あるいは、今配慮いただいておりますところの深夜料金または深深夜料金について、さらに引き下げる等の配慮はできないのか。私は、業界は非常に厳しい状況に今立たされていると思うのです。このことは電力業界と深いかかわりを持つことは当然でありますが、しかし今の素材産業の業界等を考えますと、低価格の電力の供給ができないとすれば、ほかに国際競争力を強め現在の生産体制を維持する方途があるのかどうか、私は非常に厳しい局面に今立たされてきているのではないかと思いますので、その点についての御見解を承りたいと思います。
  108. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 素材産業に対する電気料金制度からの政策支援ができないかということで、今幾つが御指摘があったわけでございますが、御案内のように、政策料金の導入そのものについては基本的には国はそういう政策をとってないわけでございます。御案内のように、特定の産業を優遇することによりまして他の需要家の負担を増加させるということになりますので、これは需要家間に差別的な取り扱いをするということになるわけでございまして、電気事業法十九条でいうところの不当に差別的な取り扱いをしてはならない、この原則に相反するわけでございまして、そういう意味でも政策的料金の導入はできないわけでございます。  ただ、しかしながら、素材産業に対して何らか電気事業側で協力できないかということで、御案内のように当該産業側も負荷調整面での協力を前提といたしまして、先ほどもお話しございましたように需給調整契約というものを結びまして電力コストの低減を図ってきたところでございます。  電発につきまして安い電気の供給ができないかという御指摘がございましたけれども、現在は御案内のように電気事業制度といたしまして九電力体制がございまして、この九電力が需要家に対して小売をして、それに対しまして電発はこの九電力に、電気を卸す、九電力の事業を補完する、そういう形で今運営されているわけでございます。したがいまして、電発が需要家に直接電気を供給するということになりますと、この全体の体制そのものを乱すということだけではなくて、電発が特定の需要家に安い電力を供給するということになりますと、九電力の他の需要家のコストを引き上げるということになって、やはりこれも適当でないというふうに考えておるところでございまして、電発が直接供給をするということについては慎重に対処をしてもらいたいというふうに考えておるところでございます。  さらに先生の御質問の第三点といたしまして、深夜料金ないしは深深夜料金をさらに値下げできないかということでございます。いろいろあれも工夫いたしまして、昨年五十九年四月から深深夜料金を新たにつくりまして実行してきた段階でございまして、これは素材産業に対して相当大きな応援になったというふうに我々は認識しているわけでございまして、もう少しその推移を見てまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  109. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 困難だ、推移を見てまいりたい、こういう答弁に終始しているのですが、今の現状説明や経過のことについてはそれなりに私も把握しているつもりです。  では、今のこういう素材産業の置かれている状況が、あれもできない、これもできないということで、例えば今の電力料金もそうですね。それでは今の状態で歯どめを果たしてどこでやるのかという、その方途が皆さんあるのかどうかということなんですね。私の手元に「業種別構造改善の進捗状況の概要」というのがありますが、全部軒並みでしょう。例えばアルミにしたって百十万トンから七十万トンになって今二十五万トンになっていますね。これがゼロにならないという保証がありますか。どこで歯どめをしますか。電力料金でできないとすれば何でやるのですか。これを私は問われているのではないかというふうに思うのです。例えば電力料金は最大のネックになっているので、その分野についても何らかの方法はないのか、このことがもう決断として迫られているのではないかということも私はあえて言っておりますので、その点まとめて後で、これは大臣の方から答弁をいただきたいものだというふうに思っておるところであります。  そこで、時間の制約もありますから先に進みますが、今申し上げましたアルミ製錬でありますけれども、このたびの構造改善計画で三十五万トン体制になったわけであります。しかし、現在の生産量は既に三十万トンを割っている状況にあるわけです。この中で果たして、今構造改善という形で三十五万トン体制をしいたわけですが、今後維持できるのかどうか、その見通しはどうなのかということが一つです。それから次には、三十五万トン体制を考えた場合に、現在稼働中の生産が約二十八万トン相当と見ておりますから、この二十八万トンにプラスアルファをすれば計数的には三十五万トンということになるわけです。  ところで、このように見てくると、私が住んでおります酒田市の酒田住軽アルミの九万九千トンの生産量というのは、この七十万トン体制の中には入っていたわけでありますが、今この住軽アルミの九万九千トンは生産を停止しているわけなんです。このように現況を見できますと、今後の三十五万トン体制で住軽アルミがその枠の中で操業するということはできるのかどうか。約二年前から操業を停止している酒田住軽アルミの再開についてどう見ているのか。この辺のことについてお尋ねしたいと思います。
  110. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘のアルミ製錬業の問題でございますが、非常に苦しい状態になっておりまして、従来七十万トン体制を考えておりましたころは、アルキャンが建て値を建てまして、それに基づいて取引が行われるという状態であったわけですが、御承知のように現在相場がロンドンのLME中心に動いておりまして、非常に下がってまいりまして建て値中心に物事を考えるということが非常に困難になってきて、ついにアルキャンも建て値制を廃止したという状態でございます。  そこで私どもは、それでは建て値がなくなった後どのようにいくべきであろうかという議論をいろいろやりました結果、現在の七十万トン体制が事実上もう維持が難しいということで三十五万トン体制へ縮小するということにしたわけでございます。御指摘のように、確かに電力料金が非常に大きなコストを占めておりますので、何とかそのエネルギーコストの引き下げを図らなければならぬということは事実かと思っておりますが、今後三年間をめどにいたしまして、私どもといたしましてはアルミ産業につきまして高コストな設備を中心に過剰設備の廃棄を行っていく、あるいは活性化投資、例えば電極の改良とかその他によりまして何とかコストの低減を図るとか、アルミ製錬業では非常に借入金が多くて金利負担が多いものですから減増資などによりまして、これは主として親会社の協力になるわけですが財務体質の改善を図るというようないろいろな手だて、それから国の支援というものも考えまして、一層のコスト引き下げ可能になるのではないかというふうに考えております。昭和六十三年度には国内製錬業の自立基盤が確立できるであろうと考えております。もちろん、その大前提といたしまして国際的な相場が常識的な線まで回復するであろうということが大事でございまして、今のような千百ドルから千二百ドルという非常に極端に低い相場でございますと、もう世界のアルミ製錬業の大半が赤字になるという状態でございますが、そういうものは長期には続かないであろうというのが国際的な皆さんの見通してございますので、私どもも、そういう点は前提として置きながらも、何とか自立基盤が確立されるようになるのではないかというふうに考えております。  もう一点の住軽アルミの酒田の問題でございますが、御承知のように、旧住軽アルミの酒田工場が五十七年の五月から操業停止をいたしております。当時会社側からは、火力の石炭転換工事が終わった段階で経済的な見通しがつけば工場を再開するというふうに聞いておったわけでございます。これが昨年の九月に石炭転換の工事が完了いたしておりまして、現在住軽アルミで再開をするかどうかということを検討中と伺っております。今のアルミの市況は申し上げましたように大体トン千百ドルでございまして、非常に厳しい状態でございます。したがいまして、現在の千百ドルで考えますと酒田工場の再開はかなり難しいのではないかというふうに考えております。しかし、この住軽アルミの酒田工場を含めまして個別の製錬工場をどうするかという最終的な扱いにつきましては、この産構審の三十五万トン体制の答申とそれに基づきます構造改善基本計画が策定されておりますので、各社がそれぞれの判断を持ち寄って私どもに近くお示しになるというふうに考えておりますので、それを踏まえまして全体としての調整を行っていきたい、かように考えております。
  111. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 三十五万トン体制が今後とも維持できるかどうか。これは国際市況に大きく影響されるということもあります。しかし同時に重要な問題は、内側のコストがどうなっていくかという、これも避けられないファクターだと思うのです。私は、今の流れをずっと見できますと、かなり困難であろうという見方をせざるを得ないわけです。現に、私の資料では現在稼働が二十八万七千トン、約四〇%操業でしょう。これが三十五万トンですからね。しかも、先ほどの話を聞けば、このコストの部分の最大のネックになる電力料金についてしかとした方策が出ていないという状況を考えますと、残念ながら私は見通しとしてはかなり困難であろうということを言わざるを得ないのです。  それから、今の酒田の問題はこれから先の問題も入っておりますが、先ほど申し上げましたような今の三十五万トン体制の前の七十万トン体制の中には生産の量目としては入っているわけですね。しかし、それは先ほどあったように、操業としては停止しているわけです。今度は半分の三十五万トン体制になって、しかも実際は二十八万トン生産されている。そういう状況の中で今休んでいる酒田住軽が新しく三十五万トン体制に入って操業するということは、先ほど国際市況の話もありましたけれども、私はかなり困難ではないかという見通しを立てざるを得ないわけです。私がさめた目で話をしているのは、この操業云々ということはやはり雇用問題を抱えた酒田の地域にとっては非常に重要な問題になってくるものですから、これはよしあしは別としても、その行方というものを見定めておかなければならない、そういう観点で申し上げているということを付言しておきたいと思っております。  次の問題ですが、このたびの例のアルミの製錬構造改善計画、この中に「設備投資に関する事項」というのがありまして、それを見ますと、「事業者はこれらの設備の導入と併せて、関係者の協力を得つつ電力源の石炭転換等を進めることにより電力コストの低減に努めるものとする。」という項が削られております。この項が削られているという意味は、端的に言えば、これまでアルミ製錬に供給することを目的とした電力源の石炭転換は政策的にやめる、こういうことを意味するものだと考えるのですが、その点はどうなのか。今後石炭転換を進めても従来のアルミ製錬向けの七・五%の補助のかさ上げ、つまりアルミ製錬に供給するための石炭転換一五%の補助はなくなって、言うなれば通常の七・五%の補助のみになる、こういうふうに理解していいのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  112. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 石炭利用の拡大と電源の多様化を図る観点から、昭和五十七年度から石油火力発電所の石炭転換に伴って一部工事費の助成を行ってまいりました。アルミの場合には、通常の七。五%補助に加えまして、さらに七・五を乗せまして一五%ということでやってまいりましたが、今先生の御質問がありましたように、今後アルミに使わないということになれば上乗せの七・五%は一応なしということで、従来出た分も返していただくし、今後もそういうことでアルミに使わないということであれば、通常の七・五%というふうにならざるを得ないと考えております。
  113. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 これからアルミに使わないとすればというと、先ほど私が述べたようなところが削除されているわけですから、つまり政策としてアルミ供給のための石炭転換という、そういう制度はなくなるということなんじゃないですか。したがって、それに対する補助の七・五%の上積みというのはこれからはなくなる、これから石炭転換をすれば全部七・五%という通常の補助になってしまう、こういうふうに理解をすべきじゃないのかなと思うのですが、重ねてどうなんですか。
  114. 野々内隆

    ○野々内政府委員 構造改善計画からその部分を削除いたしましたのは、実はアルミ製錬業から、今後アルミ製錬業のために石炭転換をしたいという申し出が今現在ないということが原因でございます。したがいまして、もしその必要が生じれば当然私どもとして考えたいと思っておりますが、今現在は今後三年間にアルミ製錬のための石炭転換を行いたいという意見が出ていないものですから削ったというのが実情でございます。したがいまして、政策転換ということではございませんで、そういう政策的意図は持っておりますが、現実に需要があるかないかという観点から削ったということでございます。
  115. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 先へ進みます。  先ほどから私が質問の中に出してまいりました山形県の酒田市、これは港のある印なのですが、ここはアルミや苛性ソーダ、合金鉄などの素材産業の集中してきた地域なんです。今長期化する素材産業の構造的不況の中で、苛性ソーダを製造する東北東曹化学株式会社も、合金鉄つまりフェロクロムを製造する日本重化学工業株式会社も、今日まで必死の努力をしてきているのです。雇用問題を抱え、依然として全県の中でも有効求人倍率の非常に低いと言われる代表的な酒田市周辺にあっては、この努力を非常に高く評価しておりますし、雇用問題からも今後ぜひ努力してもらいたいとみんな期待をしているわけです。しかし、状況は先ほど言ったような状況にあるわけです。  そこで、東北東曹化学などでは、御案内のとおり苛性ソーダの製法転換に取り組んでいるという事情下にあります。日本重化学工業の酒田工場などでは、合金鉄がだんだんそういう状況になっていくものですから、当然雇用問題を抱えておりますから、新素材産業の開発であるとか何かほかのことがないかということで本当に必死になってやっているわけです。これはどの地域にもあるのでしょうけれども、山形県の農業地域と言われる酒田の周辺などというのは農業はこういう状況ですし、仕事場がなければ出稼ぎしなければならぬという状況になるわけです。したがって、そういう雇用問題を抱えながら頑張っているこれらの地域なりそれに携わっている業界あるいは企業に対しては、皆さんの格別な目を向け指導上の配慮をしていただきたいものだということを地域的に考えておりますので、ぜひこの点の御配慮をいただきたいと思うわけです。  以上の点を踏まえながら、現在、苛性ソーダ、合金鉄フェロクロムの国内生産の状況はどうなっているのか、それから今後の課題と政府通産省の対応について端的にお伺いしておきたいと思います。
  116. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘の二業種ともに非常に苦しい状態にあるわけでございますが、まず苛性ソーダにつきましては、御承知のように昨年比較的国内の経済もよかったということでソーダ生産そのものは回復ぎみでございまして、五十九年度は三百八万四千トンという形で、前年に比べまして五・三%増ということで、一般的な景気上昇から比較的いい状況になっております。  ただ、従来から課題になっております水銀法からの転換がまだ完全に済んでおりませんで、実は従来は昨年末までにすべて終わるということでございましたが、どうも雇用状況その他経営状況を考えますと、昨年末までに完全に終わるというのは無理な企業がかなり出てきてまいっておりますので、そういう企業の実情を考えまして、昨年十二月に政府の水銀等汚染対策会議におきまして、六十一年の半ばまでに水銀法からイオン交換膜法にかわるという形で若干の期限の延長をいたしまして、経営上あるいは雇用上問題のあるところについては延期をしてもいいという形で実情に合うような手を打ったということでございます。  それから合金鉄の方でございますが、これも実はエネルギーコストが非常に高いという問題がございまして、この合金鉄の需要産業でございます鉄鋼の生産が最近伸び悩んでおりますのと、エネルギーコストとか原料費が高いということから国際競争力が下がってまいりまして輸入が非常にふえてきている、合金鉄全部で輸入比率が既に大体五〇%近い状況になってきておりまして構造的な不況になっております。このために合金鉄製造業のうち特に著しい不況になっておりますフェロシリコン、高炭素フェロクロム、フェロニッケル、この三業種につきまして産構法の特定産業に指定をいたしまして構造改善を積極的に進めるということにしたわけでございます。ただ、電力多消費産業でございますのでコスト低減が非常に重要であるということで、先ほどお話のございましたような電力需給の調整契約、これを積極的に活用いたしまして、あるいはそのほかの設備投資によりまして電力コストをできるだけ下げるというような手を現在打っております。  それから、長期的には脱電力を図るということで技術開発を行っております。例えば、高炭素フェロクロムにつきましては、電力を使わないで溶融還元製練技術というものを政府の施策として政府の委託研究で開発中でございまして、こういうものによりまして何とかコストの低減を図りたいというふうに考えております。
  117. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 通産大臣にお伺いします。  先ほど素材産業の構造的不況の点について申し述べてきたとおりですが、このように不況が続いておって、しかも依然として厳しい環境に置かれているわけですね。その中にあって、これら日本の素材産業を国の産業政策の中にどのように位置づけ、今後その対策を講じようとしているのか。特に、冒頭から私申し上げておりますように、ナショナルセキュリティーという立場から見れば、もうぎりぎりのところに来ているのではなかろうかということなんですね。それから、その対応策、いろいろありましょうけれども、先ほど言った電力供給なり電力料金のことはバイパスできない状況にあるのじゃないか。ほかに方法があるだろうか。この辺やはりお互いに知恵を出さなければならないのではないか。日本の場合に基礎になる素材を諸外国に全部依存していくということが果たしていかがなものかということが考えられますので、その辺についての大臣答弁をいただきたいと思います。
  118. 村田敬次郎

    村田国務大臣 基礎素材産業につきまして、佐藤委員の御高見いろいろ拝聴いたしておりました。また、特に例を挙げられた酒田市のアルミ産業あるいは苛性ソーダ、合金鉄等々具体的な問題について、私どももその状況を承知をいたしておりますだけに、佐藤委員と同様に非常に心を砕いておるところでございます。  基礎素材産業は、二度にわたる石油危機を契機といたしまして、原材料、エネルギーコストの上昇等により構造的な困難に直面をしておる。電力料金のことを例に挙げられましたが、そのとおりかと思います。その後、原油価格の安定的な推移、景気の回復等好ましい要因や特定産業構造改善臨時措置法いわゆる産構法に基づく構造改善の効果もありまして、一部に好転の見られる業種もあるわけでございますが、全般として見れば依然非常に厳しい状況にあるものと認識をしております。基礎素材産業は、優秀な素材の安定供給を通じて我が国産業構造の高度化を支えるとともに、地域経済を支える重要な産業群として位置づけられるべきものであると考えております。政府としては、これら産業の重要な位置づけにかんがみまして、産構法を核とした支援措置によって構造改善を促進してまいりたい。実は、私どものところにも具体的なそういった声が通産大臣就任以来いつも入ってきておるわけでございまして、佐藤委員はまた地元にそういった企業を抱えておられますだけに、非常に厳しい状況を心配しておいでになっておられると思います。ひとつそういった前提で今後基礎素材産業について対応してまいりたいと思っております。
  119. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 大臣答弁をいただいたわけですが、今の素材産業については歴代の通産大臣も頭を痛めてきた問題ではないかというふうに思うわけですね。しかも、私なりに見ますと、これはぎりぎりのところまでもう来ているということですから、ある面からいえば、過去に検討したけれども無理だということももう一度見直して、大胆な判断と政策を打ち出すような時期に来ているのじゃないか。そのときに、先ほど答弁はありましたけれども電力料金等についでもやはり基本的に考える、こういうことをもう一度踏み込んでみる必要があるというふうに考えるわけです。  それから、今酒田市を中心とした素材産業について配慮ある答弁ありましたけれども、この点についても単に素材産業の分野というのみじゃなくて、地域の雇用政策全体の問題ですから、しかも、将来にわたる四全総を今策定中でありますけれども、将来の定住構想にもつながる問題でございますから、ぜひその点についての深い御配慮と御指導をいただきたいと思いますが、重ねてその点だけについての感想ありましたら、ひとつ大臣から。
  120. 村田敬次郎

    村田国務大臣 最後佐藤委員の御質問、よくわかります。  第四次全国総合開発計画と東北との関連というものは、私は、これは非常に前向きの展望が開けると思っております。いろいろな企業立地状況その他を見てみますと、これからのフロンティアというのは何といっても東北や北海道というのが最優先に来るのではないかと思っておりまして、全般として非常に産業構成全体が時代の進展とともにいろいろな変化があるわけでございますが、通産省はそれに的確な対応をしていくのが任務でございますので、佐藤委員の御意見をよく踏まえ、真剣に対処してまいりたいと思います・
  121. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
  122. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  123. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。関山信之君。
  124. 関山信之

    関山分科員 三十分間で二つの問題で御質問申し上げますので、私の方もなるべく簡略にいたしますが、どうかひとつ手短に、かつ前向きの御答弁をいただければありがたいと存じます。  最初に、新聞販売の正常化の問題についてであります。  実は私の地元新潟では新潟日報という新聞が出ておりますが、ここの社長の平山さんというのが業界紙の中にこの問題について原稿を寄せております。これによりますと、日本の新聞は民主主義の担い手を自負しているにもかかわらず、販売方法が世間の非難を浴び、業界内でも大きな問題になっているのは不思議だ、紙上で言っていることと販売戦上で起こっていることの乖離のひどさに対する感覚が少し麻痺してはいまいか、こういう指摘をされておるわけでございます。  実は私も、この種の問題については、事の性格上新聞には余り載らない問題でありますだけによく実態を知らなかったわけでありますけれども、いろいろと勉強をさせていただく間に、全く同感だという感じであります。特に一昨年あたりから新聞販売の正常化については本委員会あるいは商工委員会などでも御議論があるようでございますし、また公取を中心にいたしまして、この問題への対応もいろいろと進められていることも承知をいたしておるわけでありますが、この二月二十日にまた改めて新聞販売の正常化宣言みたいなものが出ておりまして、出ていること自体が依然として実態があるということのいわば裏腹でもあるんじゃないかと思いながら、なお極めて重要な問題でありますだけに、この問題の解決を図ってまいりたい。この点では、大臣もかわられておりますし、最初に、この問題についての御所見を承りたいと思います。
  125. 村田敬次郎

    村田国務大臣 関山委員にお答え申し上げます。  新聞販売をめぐる消費者の苦情というのをうちでは調査をしているのでございますが、五十五年度、ちょっと前のことでございますが、全消費者相談件数六千百四十六件のうちで新聞関係は二十一件、構成比は全体の〇二二四%。それから五十八年度には七千八百五十二件のうち十件、非常に減っておりまして、構成比は〇・一三%・五十九年度は四月から十一月まででございますが、六千四百二十一件のうちで〇・〇三%、わずか二件、構成比としても非常に減少の傾向にあるわけでございます。こういった通産省に寄せられた新聞販売をめぐる消費者トラブルは近年減少しておる。また、公正競争規約の作成、遵守等業界の自主的改善努力も続けられているというふうに私どもは聞いておりまして、今御指摘があったのでございますが、新聞を訪問販売法の適用対象に含めることに関しましては、通産省としてはこうしたトラブルが減少しておるという状況、また業界努力の成果等の推移を慎重に見守っていく必要があるということで考えておるところでございます。
  126. 関山信之

    関山分科員 これも大臣は全く実態を正しく事務当局から報告をされてないということになるんじゃないでしょうか。  この間、公取の方はいろいろと問題を扱っていらっしゃるようでございますし、公取の方はいかがでしょうか。新聞をめぐる違反の件数あるいは苦情の処理件数等、公取の方でつかんでいらっしゃる数字についてお聞かせいただきたいと思います。
  127. 地頭所五男

    ○地頭所説明員 公正取引委員会の方に寄せられております違反事案の件数でございますが、五十九年度の件数で申し上げますと、約千三百件ございます。これの一部は新聞公正取引協議会の下部組織でございます支部協事務局の方で処理をしていただいておるわけでございますが、重要なものについては公正取引委員会で直接調査をして処理をしております。約五百件ばかりを公取で調査をいたしまして、うち三百三十六件につきましては排除命令、警告等の措置をとっておる次第でございます。ただいまの通産省の方の件数との差でございますが、消費者の方は拡材をもらう方になるわけでございます。したがいまして、もらった方としては余り苦情を申し立てないということかと思います。私どもの方は、販売店の方が、ライバルの販売店が拡材を提供することによってお客を奪われた、そういう立場でたくさんの申告が来ているわけでございます。なお、私どもの考え方としましては、拡材はもらった人には確かにメリットがあるかもしれませんが、これはごく一部の読者にのみ利益が帰属するわけでございまして、結局は全体の購読者の負担において一部の読者のみを利する、そういう観点からも問題があるというふうに考えておるわけでございます。
  128. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 先ほど大臣から申し上げました数字について補足を申し上げたいと存じますが、私どもに消費者からもたらされておりますところの苦情相談と申しますのは、契約に関するトラブルでございます。それが近年かなり減りつつあるということを大臣から申し上げたわけでございまして、ただいまの公正取引委員会から申し上げました数字は、いわゆる景品に関するものも含まれておる、こういうことでございます。
  129. 関山信之

    関山分科員 確かに公取のサイドの数字とおたくの方の数字との性格が違うことはわかります。しかし、いずれにいたしましても、その実態においてはそれなりの苦情やトラブルがあるということを背景に持っておるわけでありますから、どちらかといえば公取の数字は控え目だ。控え目といいましょうか、苦情のことに関しては公取のサイドでは余りないというか直接的には対象にならないわけですから。  実は、せっかく補足してくれるなら何カ所で調べていらっしゃるのか数字を聞かしてもらえばいいのですが、私の承知している限りでは、通産省がお調べになる足は非常に少ないわけですね。経済企画庁は国民生活センターというのが一カ所で苦情を受けつけている。これは確かにさっきの数字と同じように五十八年八件というような数字なんですよ。しかし、各県の消費生活センターにおける数字は、今公取からもお話がありましたが、五十七年千六百十四件、五十八年千三百七十七件ですから、各県の消費生活センターの苦情の中身は経企庁ではそう詳しく報告を受けておらぬようですけれども、いずれにせよ、これだけのトラブルがあるのを監督官庁である通産省が、数は少ないから、こういうことで、公取やそのほか各県消費生活センターが一生懸命やっているのにそういう御認識では困ると思って、冒頭大臣のお考えを承ったわけです。  そうこうしているうちに、どんどん時間がなくなりますが、公取の方にもう一遍伺いたいのですけれども、昨年は九月に八項目要望ですか、その前には、八二年には十四項目提案というものを新聞公取協にお出しになっていろいろな御努力をされている。これはどこまで徹底をされているのか。私ども、販売労働者の皆さんの中から現場での意見を聞きますと、肝心の末端の販売店までそれが本当に徹底されているのだろうかというような問題が一つございますし、とりわけこの問題の難しさというのは、大臣御存じのとおり職業的な拡張団というのがありまして、これは、ときには新聞発行本社や販売店とは関係のない形でこれがいろいろとトラブルを起こすということなんです。私のきょうの質問の焦点は、最初に大臣お答えになって困るのですが、もう一遍後ほど御答弁をいただきたいと思いますけれども、確かに今まで公取でやっていただいているサイドというのは、独禁法なり景表法なりというのは、いわば発行本社あるいは販売店の自粛を求めるというサイドでの法律的な規制の枠組みなんですね。そこで公取の方、いかがなんでしょうか。これまで御努力をいただいて、これからも頑張っていくということだろうと思うのですけれども、どれほどこの要望というものが浸透しているのか。あるいは、公取自体のサイドの問題ではないにしても、現実に不当景品などを持って歩くのは現場で拡張団などがやっておるのですから、そういう関係からいきましても、先ほどのお話にありました訪販法の適用商品にしていくということはそれなりの意味を持つのではないかと思うのです。公取にそういうサイドでお聞きをするのはいかがかと思いますが、せっかく今一生懸命やっていらっしゃる当事者でありますだけに、この際大臣の御決断を促すためにも御意見を承れればありがたいと思うのですが。
  130. 地頭所五男

    ○地頭所説明員 お答えいたします。  新聞業界における景品類の提供行為等の違反の自主規制の強化に関しましては、御指摘にもありましたように、昨年九月十八日に職業拡張員による景品類の提供の防止対策。それから支部協事務局体制の整備充実等を内容とするいわゆる要望八項目というものを出しまして、昨年の十二月二十六日に新聞公取協議会の方から正式の回答をいただいたわけでございます。この段階で八項目に対する業界の体制が固まったということでございまして、業界の方といたしましてどういうことをするかを、昨年の十二月末から本年一月にかけまして、発行本社社内の末端まで、それから販売店の実際に担当している者のところまで周知徹底の措置がなされたわけでございます。引き続きまして、御指摘の中にもございました二月二十日に読者に宣言する形で正常化の社告がなされたわけでございます。このようなアクションを私どもの方としましても業界に促しました背景としましては、先生指摘のように、なかなか新聞販売正常化の実効が上がらない背景には発行本社の正常化方針が末端まで十分浸透しておらない、営業担当の方と頭脳の方がばらばらな行動をとっているというところに大きな原因があったというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、昨年末から二月にかけての各種の周知徹底の措置が今後かなり効果を持ってあろうというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう状況でございますので、お尋ねの点は訪販法の適用問題でございますが、この点につきましては通産省所管の問題でございますので見解は控えさせていただきたいのでございますが、先生がそういうことを御指摘なさるほど事態が非常に重大であるということは十分に受けとめまして、今後さらに一層その正常化に向かっての努力を尽くしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  131. 関山信之

    関山分科員 公取としては、法律に基づいての仕事でありますからそれ以上のことを御発言いただくのは無理なのかもしれませんが、しかし大臣、これは政治家レベルの話とすれば、お役所流のしゃくし定規はそう必要ないのでありまして、あえて公取にお話を求めておりますのは、先ほど審議官のお話や大臣答弁を聞いておりましても、数が少ないから、全体の中でわずかだからそこまで考えなくてもいいや、どうもこういう感じなんですけれども、しかし公取のお話もございますように、事態の深刻さはそんなものじゃないんじゃないだろうか。例えばことしに入りまして、つい最近、今公取と一緒になってやっている新聞公取協ですか、この京浜支部の「支部協便り」なんかを見ましても、一月二十四日現在で、昨年十一月十九日にいろいろと読者のアンケートをチラシはがきでやっておるわけですけれども、受け付け件数七百八十九件のうち、いろいろなケースがあるわけですけれども、「無礼な勧誘」というのが五百八十八件もあるんですね。これは京浜だけに限ってなんですから。あるいは、昨日も経企の方から来ていただいてさっきの数字をお伺いしたわけですけれども、これは全国に一カ所しかないセンターで受け付けた件数ですから数が少ないのはやむを得ないにしても、その中身はことごとくそういう問題なんですね。そのことは裏腹で、いわば公取が新聞を特殊指定をしているという、新聞の存在そのものと裏腹でかかわっておるわけでありますから、最終的に訪販法でひとつ体制を整えればすべて問題が解決するというふうに考えることは間違いで、本来新聞の正常化は根本的に発行本社の問題だと考えるべきでしょうけれども、しかし、さっき申し上げましたように、拡張団というような存在がいずれ公取の指導で是正をされていくにしても、今現実にはそういうものが動いているからこういう事態が起きているわけですから、やはり法や体制の整備は万全の体制をとっておくということがよろしいのじゃないか。しかも、この訪販法については慎重に、こうおっしゃっておるのですが、なぜ入れられないのか。入れられないという根拠は何もないんじゃないですか。  これは、私ももう時間もあれですから取りまとめて申し上げますけれども、念のためにおたくの産業政策局商放課と消費経済課の編集によるこのコメンタールを拝見させていただいたのですけれども、これのどこを読んだって、新聞は除外しなさいなんてことは書いてないんですね。しかも数が少ないということなら、そんな実態でもない、こうなれば、指定をしないでおく理由は何もないし、加えて、これももう通産省の方も御存じのとおり、国民生活審議会の答申などでも、これは明らかに、指定商品制の見直しの中で、訪問販売法は本来販売方法の特殊性に着目し消費者保護を図ろうとする法律であるから取引対象が何であるかは関係ない、こうまで言い切っておるわけでありますし、この際ひとつ前向きにこの問題について答えを出していただくことが、あらゆる関係者の正常化に対する取り組みのもはや最終段階だ、こう言っておるわけでありますから、仕上げの段階だと言っておるわけでありますから、ぜひ通産省の、大臣の御英断をもってこの問題に決まりをつけていただいたらどうか、こう思うのです。
  132. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 若干技術的な問題もございますので私から申し上げますと、まず、確かに先生の仰せのように、訪問販売法では、主として日常生活の用に供する物品であって、定型的な条件で販売するに適する商品というもののうちから指定できるということになっております。その意味では新聞の場合もこれに指定し得る状況にあると考えております。  ただ問題は、私どもに寄せられておりますところの消費者トラブルの実態を見てみますと、いろいろパターンはございますけれども、ひっきょう勧誘の場合の威圧的な態度の問題であるとかあるいは詐欺的な販売方法に係るものというのが契約にかかわるトラブルのほとんどを占めております。そうなってまいりますと、訪問販売法のいわゆる消費者保護規定というものは契約内容を明確化するという事項が中心になっております。例えば氏名等の明示とか書面の交付とか、その他いろいろ規定はございますけれども、契約内容の明確化を中心とした規定になっておる。そのことによって果たして有効な救済が行い得るかどうかということについても、なお疑問があると考えておるわけでございます。件数は、私ども本省及び通産局の全部で九つの窓口で集めましたトラブルが先ほど大臣から申し上げました数値でございます。絶対数は窓口が多ければ恐らくふえるでございましょうが、もう一つ傾向といたしまして、最近かなりの急ピッチで減少しつつあるというところにも我々は着目しておる次第でございます。
  133. 関山信之

    関山分科員 もうこれ以上この問題は詰めませんし、議論している暇がないんだけれども、あなたのおっしゃる答弁ではなぜ外さなければならないかという理由が私ども全くわからぬね。大臣、聞いていておわかりになりますか。  それで、もう最後の御答弁をいただきます。これは事務当局にはいろいろな経過もあるんでしょう。いろいろな事務処理の中身の問題もあるのかもしれない。しかし、これは私ども常識的にこの法律を読んでいる限りわかりません。しかも周りからはぜひ入れて一現実に新聞の購読をめぐってトラブルが起きているのですから、これはもう大臣の決断だな、ぜひひとつお願いしたいと思います。
  134. 村田敬次郎

    村田国務大臣 関山委員の御意見、承りました。  先ほど申し上げましたように、公正競争規約というのをつくっておるというわけでございますが、これは不当景品類及び不当表示防止法に基づいて公正取引委員会の認定を受けて業界団体が不当な顧客勧誘の防止、公正競争の確保のためのルールをつくり締結するものということでございまして、そういった点、業界の努力ということもございましょうし、また公正取引委員会、さらに関山委員から御指摘になったような事態もいろいろあろうかと思いますので、今後検討させていただきたいと思います。
  135. 関山信之

    関山分科員 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  あと一つの問題、時間がなくなってしまいましたので、これもかいつまんで申し上げて、ぜひ御理解をいただきたいと思うのですが、幸いにして大臣は自治省の御出身でいらっしゃるものですから、とりわけ御理解がいただけると思うのですけれども、地域開発における工業団地造成事業がはかばかしくない、あるいは工場誘致が思うようにいかぬ、そのために地方自治体が財政的に大変困難な事態に立ち至っている、そういう実態については大臣も十分御承知だと思うのであります。  そこで、もう時間がなくなってしまったので、あれこれ申し上げているいとまもないのですが、全国の工業団地の関係で、いろいろ数字があるので困るのですが、実態の把握がまず的確に行われているかどうか。つまり未売却の工業団地というのが一体どれほどあるのか。これはいろいろ性格上、統計のとり方も違ってくるものですから、私の今の質問の趣旨からいえば自治体が絡んでということになるのですけれども、一体どのくらいのものがあるのだろうか、こう思いながら、実は新潟は全国ワーストワンと言われる新潟東港開発というのを控えておりまして、これが大変な事態になっておるわけであります。  そこで、この問題の処理にかかわってここ数年来私どもの方では、通産省でお持ちの工業団地造成利子補給金という制度がございまして、これに対して適用を受けたいということでいろいろお願いをしておるわけでありますが、一つは財政事情ということが頭にあるのでしょうけれども、てっぺんを押さえられて実現を見ていないということに相なっておるわけであります。確かに財政事情というのはわからないわけではないのでありますけれども、しかし同じような性格のものが同じように存在をして、ある一定部分だけが行政の恩恵を受けるというようなことは極めて不公平な話でありますし、当初の工業再配置法に基づくこの利子補給制度というのは、現実には性格も少し変わってきているという感じもしないわけではない。そこへもってきて、実は私ども議論が余りできないのは、この利子補給金の中身がどの程度の業種にどれほどの割合の金額でいっているのかということをなかなか公表していただけないわけですね。したがいまして、外されている方が何で外されているのかという、これもまたいろいろ説明をつけて追い返されるんですけれども、わからないわけですね。そこで、この利子補給金制度について、全国ワーストワンだからだめだということなのかあるいはほかに理由があるのか、その原因などについてお聞かせもいただきたいわけです。  同時にまた、予算の枠を言うなら、これはもともと何年か年限を切って、大体二年くらいで団地造成をしたら五年くらいで売却ができる見通しのものについてはひとつ誘導的に利子補給しようということであったのです。しかし、私は中身がわかりませんから何とも言えないのですけれども、もらうところはかなり長期にわたってもらっているという実態があるんじゃないかということを考えますと、この中身の見直しもひとつやっていただかなければならぬだろうし、この時期やはり全体の地域における工業団地造成事業に対するいわば売れ残り対策というようなものを含めた新しい制度の活用などというものも考えていかれてしかるべきなんじゃないか、こう思いますので、取りまとめてお尋ねをいたしましたが、どうかひとつ御答弁をいただきたい。
  136. 平河喜美男

    ○平河政府委員 先生指摘のように、工業団地の分譲状況を見てまいりますと、売れ残りの団地があることは事実でございます。これに対しまして、私ども、いろんな施策を講じまして地方公共団体に協力しているわけでございます。その一つとしまして、御指摘の工業団地造成利子補給金の制度がございます。これは主として誘導地域におきます工業団地を促進するためにつくった制度でございまして、五十八年度において四十八億ほどの利子補給を行っております。  ただいま御指摘の個別具体的な問題でございますが、新潟の東港の臨海工業団地、ここの利子補給の問題についてでございますけれども、この利子補給の制度を活用するに当たりまして、個別の団地に適用するかしないかという件につきましては、ケース・バイ・ケースにそこの造成の確実性あるいは企業立地の可能性といったようなことを勘案しながら慎重に判断をしているところでございます。御指摘の新潟の東港の臨海工業団地についても、このような観点から判断をすることとなっておりますけれども、先生も御承知のように、現在の非常に厳しい財政事情のもとでこの利子補給金もどんどん削減をされておりますので、なかなか新規採択が難しいというような困難な事情になっております。
  137. 関山信之

    関山分科員 時間も参りましたので、これでやめますけれども、大臣、この問題はここだけで決まりがつく問題ではないと思うのです。全国にも要望しながら財政上の観点からなかなか適用を受けられない地域もかなりあるんじゃないかと思うのですね。そういう人たちからすれば、何と言っても不公平だということになるのですよ。ただ、ここまで来ると状況もわかるわけですが、また先ほど申し上げましたような全体的な事情からも、ひとつ新たにこの問題に対する対応というものをお考えになっていい時期じゃないか。この点について大臣のお考えを最後にお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  138. 村田敬次郎

    村田国務大臣 関山委員の意見を承りました。造成利子補給金の問題につきましては、立地公害局長からお答え申し上げたことによって承知をしていただきたいと思いますが、例えば新潟地域の将来性ということについて見ると、この地域はもともと明治初年には日本一の大県であったところでございます。そして現在の工業立地というのを見てみますると、いわゆる首都圏の外郭地域というのは非常に有望なんですね。福島等は大変に前向きになっておりますが、新潟と福島というのは隣でございますし、そういった意味で、かって明治初年に繁栄をしたところが、農業であるとかいろいろな事情から、現在まではどちらかといえば過疎の傾向に向かっておったというのは事実でございますが、これからは首都圏に近いということやまた日本海時代というようなものを考えてみますと、非常に有望になり得る可能性が強いと実は見ております。  そして、全国の工業団地の売れ残り問題は、実は私もかつて工業団地造成事業を県でやっておりましたから、先生と同じような苦労をした立場ではないかと思いますが、大規模装置工業等の非常に有望であった時代、それから今のようにいわゆる臨港ではなくて臨空地域というのがハイテクの立地その他で非常に脚光を浴びつつあるのであります。例えば南東北など非常にいいんですね。そういったいろいろな状況で、四全総の中で工業団地の見直しというのは将来の光を当てて考えていかなきゃならぬ。先生指摘の点はこれから非常に重要な時代の課題だと思いますから、私どもは通産省のサイドからいろいろ考えていきたいと思っております。
  139. 関山信之

    関山分科員 どうもありがとうございました。
  140. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、中川利三郎君。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 中小企業白書によりますと、中小小売店の七二%は直接、間接的にも大型店の影響を受けている、こう言っておりますね。ところで、我が国の中小企業倒産は昨年二万八百四十件と史上最高となっておりますけれども、この大きな部分が中小小売店の倒産で占められていることも御案内のとおりだと思うのです。  そこで、まずお聞きしたいことは、大型店の進出がこうした小売業者、小売商店の倒産の要因として、その全部だとは言いませんけれども、大きい部分を占めているのではないか、こう思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  142. 井上正

    ○井上(正)政府委員 民間調査機関の調査によりますと、企業倒産は依然として高水準で推移しております。昭和五十九年につきましては、負債総額一千万以上の倒産件数でございますが、先生からお話ございましたように、二万八百四十一件ということになっておるわけでございまして、この中で商業分野の倒産件数は七千二百八十五件と全体の三五%、約三分の一を占めておるわけでございます。この倒産の原因につきましては、いろいろ原因は複雑でございますけれども、最近におきましては販売不振あるいは売掛金の回収難といったような、いわゆる不況型倒産が全体の約六割を占めているところでございます。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 時間の関係もありますから、なるべく聞いたことだけに答えていただきたいと思うのですが、つまり、そのすべてとは言わないまでもその三分の一を占めているということは、やはり大型店の進出の影響が相当あるということだと思うのですね。大型店の進出に当たりましてよく口にされることは、流通の近代化だとか地元商店との共存共栄なんということが盛んに口実にされるわけでありますが、実態はそう生易しいものではないということです。  私は秋田でありますが、秋田市駅前のイトーヨーカ堂という店の場合ですが、進出した初めは地元からテナントが二十二店入っておりましたが、そのうちの飲食店でありますが六軒がつぶれまして、うち五店舗分が今もフロアがそのまま閉じられたままになっているわけですね。また、そこに入居している洋服屋さんのお話でありますが、この方は倒産こそしておりませんが、五十八坪で月々の共益費が百万円だというのだ。これで利益というのは三分の一に減ったと言っているんですね、出店前と比べまして。その中で特に肝心な点は、おもしろいと言えばおもしろいのですが、大変なことは、その競争は肝心のキーテナントのヨーカ堂そのものとの闘い、競争で大変だと言っているんですね。つまり、この洋服屋さんの値段をヨーカ営側が同じ店舗の中にありまして見て、あ、あいつこの値段をつけた、すぐおれの方はこうだと言って、一日二回正札を変えるというのです。これでは何としても太刀打ちできないと言うんですね。また、その向かい側にジャスコという店があります、秋田駅前に。そこへ能代の瀬戸物屋さんがテナントとして入店したんですね。非常に売れたそうです。そうしたら、それを見たジャスコそのものが、おまえさんのフロア変えなさい、別のフロアへ行きなさい、こう言って、その後へ自分が、ジャスコが瀬戸物屋を出したんですね。  こういうことは、共存共栄なんというのはまさにくそ食らえでありまして、流通近代化の名前で事実上弱肉強食ですね。そこのけそこのけ資本が通る、こういう格好になりますが、中小小売店業者の倒産が後を絶たない、こういうことにもなるわけでありますが、この点について通産省大臣、どう考えていますか。
  144. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいまの先生の御指摘は、一つのショッピングセンターの中における核店舗とテナントとの関係でも大変激烈な競争が行われておるというお話かと存じますが、ショッピングセンターと申しますものは、まさに大企業と中小企業との共存共栄を旨として、その目的をもって行われるものでございまして、個々のケースにおきまして大企業の方も健全な商業活動を行うようにしなければならない、かように考えておりまして、折に触れ必要に応じまして指導もしたい、かように考えております。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 共存共栄だ、しかしそれは建前であって、実態はもうこういう深刻な状態になっているということが問題でありまして、かつて山中貞則さんが通産大臣のときにこう言っているんですね。大型店進出が弱肉強食の諭理で、また大企業の力ずくで行われてはならない、こうおっしゃっているんですね。しかし、こういう実態と比較いたしまして、どうなんですか大臣、一言これに対する御見解をいただきたいと思うのですね。前の通産大臣は言っていますからね。
  146. 村田敬次郎

    村田国務大臣 中川委員御指摘の大型店の出店調整問題につきましては、消費者利益の保護ということに配慮しながら、周辺中小小売商の事業活動の機会を適正に確保するということが大前提であります。特に、周辺中小小売商等の関係者の意見を十分に聴取をして、適正かつ円滑な調整を図ることが必要だというふうに認識をしておるところでございます。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 消費者保護が大前提だ、その人方の意見を十分聞いて云々と言ってはおりますが、そういう地方都市の場合は小売業者、お店屋さんそのものが圧倒的に多いんですね。そうして小売業者そのものが消費者なんです。消費者人口の中に占めるウエートというのは非常に高いんです。ですから、しかもそこに消費者、小売屋さんがどんどんつぶれていくなんという状況は非常にまずいことになると思うのですね。  そういうことで、今大型店進出の問題では全国的にも地元業者との間にいろいろな問題が発生しておるのでありますが、例えば広島県の広島市というところで進出予定のスーパーの例では、それまで反対を続けていた地元商店会連合会の会長が、昨年の十月、おまえさん賛成しろ、こっそり覚書を書け、そのかわり一千万円の買収、金絡みでやられたという、覚書を書かされたという例があって、まあ資本側の非常に不純な動機ですね。マルショクというスーパーでありますが、地元で今も大変な問題になっております。  それはともかくといたしまして、私がこれからお聞きしたいというのは、秋田県の大館市で大型店ジャスコの進出をめぐって今深刻な問題が発生しているということであります。これを審議する地元大館商調協は、昨年一月の末でそれまで二年間にわたった審議の結果、その床面積をめぐってとうとう結論が出なかった、つまり未結審になったままであったのでございますが、これではいけないということで、商調協の各委員の間で大店審の審査要領に基づきまして四項目の合意事項というものをまとめ上げたのですね。それをたたき台に再出発したのでございますが、昨年の十一月十七、十八日両日にわたって開かれました再開商調協では、合意の基礎となったたたき台を大きく超えた床面積をめぐりまして、商業者委員が六人おりますが、そのうち五人、消費者委員六人中一人が辞任するという事態まで発展しておるわけであります。その席を立ってやめたわけでありますが、しかし、それでもなお残った委員の間で彼らが欠席、不在のまま相談した結果、話し合いはまとまったんだ、そういう向きもございますけれども、こうした異常事態の中で残った委員だけで話し合った結果が、それが結審だということになるならば今後この問題に一層混乱を引き起こす、こういうことになると思いますが、当然こういう不正常なやり方は認めるべきではないと思うのでございますが、通産省の御見解をいただきたいと思います。
  148. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 地元の商工会議所からの報告によりますと、昨年十一月の十七日から十八日にかけて行われました事前商調協において結審をした。ただその際、全委員十八名中五名の委員が中途退席したという報告を商工会議所から受けているわけでございます。私どもといたしましては、商業者委員の大半が退席した状態ということは商業者の意見が十分反映されていない可能性があるということで好ましくないと判断をいたしまして、全委員の出席を求めて再度審議し、結審をし直すよう商工会議所等を指導しているところでございます。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 つまり、ああいう不正常なやり方は結審と認めない、こういうことをはっきりおっしゃったわけだと思うのでありますが、先ほども言いましたように、今この問題はもう大変なんですね。ここに新聞のコピーがありますが、このコピーは、新聞のずっとこっちの方もあるのですよ、ところが、余り長くてコピーの機械にはまらないからこっちとこっちの両方にやっておりますが、これを見ますと、六十年一月五日の広告でありますが、相当大きい伊徳という地元資本のスーパー、それから相当大きい秋北ストアだとか正札竹村だとか、そういう連中まで含めて、そして、あらゆる商店会といっては失礼でありますが、ほとんどの商店会が全部参加をする、そのほかにこれに関連する卸屋さんが全部結束して、「市民の皆様へ」という格好で、これは大変なんだということで市民に訴えているわけでありますが、つまりは、大店審の審査要領に準拠して再開商調協出発の土台となりました関係者の四項目合意、これでひとつ今までのいざこざを乗り越えてまとまろうじゃないか。そこの第二項にはどういうことが書いてあるかといいますと、「許容面積を検討するために、初めに六千百八十七平方メートルをタタキ台とする」云々。つまり、そういう合意したたたき台が六千何がし平方メートルという面積であるわけでありますね。せっかくそこへ話し合いをこぎつけたわけです。ところが、なぜ、おかしいことになってまた辞任という格好になったかといいますと、審査要領に基づくこの審査に当たりまして、通産省の出先機関、ここで言えばち。ようど仙台通産局になるわけでありますが、この仙台通産局の担当者が、まあそれもそうだけれども審査要領の中にはその他の配慮も必要だとか、あるいはその他の総合勘案も必要だとか、何かそういう点で事実上進出予定のジャスコの床面積引き上げを暗に指導する、そういう疑いが大きい反発となっていることは事実なんですね。ですから、その点、この前通産省にお伺いしましたら、そういう意図は、またそういう指導は決してやっておらないのだ、こうおっしゃっているわけでございますが、そのような疑惑を招いているということですね、たくさんの肝心の委員の中に。こういう指導のあり方については何ら皆さんは反省なり考えるところがないとお思いですか、どうですか。そこら辺お聞きしたいと思います。
  150. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生がお述べになりました床面積の数値、これを、言ってみれば商調協のいわゆるたたき台にしようという経緯が五十八年の春ごろあったということは事実でございます。ただ、これはあくまでもたたき台でございまして、商調協の結論を先取りするものではないことはもちろんでございます。たたき台をもとにみんなの意見でもって結論を導く、こういった性格のものであろうと考えておるわけでございます。  それから、ただいま少なくとも通産局がいわゆる面積の上乗せを意図しているという疑惑を持たれている、そのことについてどう考えるかという御質問でございますけれども、私ども本省もそうでございますが、通産局も決して、どちらかの方にくみして面積を上げようとしたりあるいは下げようとしたり、そういった態度は全く持っておりません。あくまでも商調協における関係各者の意見をもとに、やがて必要に応じて大規模小売店舗審議会の議論を経て、そして最終的に大臣の勧告等になる、こういうことでございまして、そのような疑惑を受けるいわれは全くないと考えております。  それから、先ほどの最初の御質問の中で、結審とは認めないということだなということを最後先生からおっしゃいましたが、実は商調協が結審をしたか否かということを認定いたしますのは私どもでございませんで、商調協の会長の決めることであります。したがいまして、私どもといたしましては、結審したという報告は一たん受けているということは事実でございますが、それが結審したとか結審していないとか、そういうことをここで申し上げた趣旨ではございません。ただ、形式論はともかくとして実質的には商業者もみんなそろったところで再度協議して決定することが望ましいということで、そういうことで商工会議所等を指導している、こういう趣旨でございますので、念のために追加をさしていただきたいと存じております。
  151. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 あくまでもたたき台だからそれが結論ではない、それは当然でありますね。しかし、たたき台というものは一つの平均的なものを示す。つまり利害関係者が合意した、そういうものでありますから、それを大きく乗り越えるなんということは決してあり得べき姿ではない、私はそう思うのです。同時に、商業者委員その他の一部消費者委員が非常に反発しているというのは、通産省のそういう指導、そういう疑惑を持たれるいわれはないのだとあなたはおっしゃいますけれども、そうすると、商業者委員が勝手に邪推したということになるわけですね。私は、それは余り酷だと思うのです。そうではなくて、私は、そう疑惑を受けるということはやはりそれなりの根拠があると思うのです。私は余り言いたくないけれども、例えばジャスコの副社長が通産省の天下りでいるとか、いろいろなことを言えば切りがありませんが、何か通産省というとそっち側に味方をするように思われているから、その点は厳重にこれからも襟を正していただきたいと思うのです。同時に、先ほどのあれは結審じゃないというのは当然でありまして、私の言い方もあったわけでありますが、いずれやり直す、そのやり直しをもう一回要求し指導していくのだ、こういうことでありますから、私から見れば同じようなことだと思うわけであります。  いずれにいたしましても、こうした問題の背景には何よりも大館市そのものが特定不況地域に指定されておるという問題があるのですね。通産省のこの問題の審査要領の中にも、こうした特定不況地域の場合慎重に扱うようとはっきりと明記しているところでありますね。だからこそ、昨年五十九年十二月二十一日、大館市議会が決議をしているわけでありますが、その中にも、「まず、再開商調協において確認された「合意事項」を尊重し、大店法の趣旨にある「小売業全般の秩序を混乱に陥し入れるおそれがあるので……」云々との条項を踏まえこと、こういうふうにいろいろ指摘しているわけでありますね。さらに「相互の考え方や立場に理解を示しつつ、意見の集約がはかられる」ようと、非常に、合理的、納得的な市民の声を代表した決議だと私は思うのです。同時に、ことしに入ってから大館市長も同じような態度を表明しているわけであります。そもそもこの経過というのは、もう御案内だと思いますが、この問題を検討するに当たりまして商業者学説と言われるくらい商業者委員の方々が非常に綿密な計量、例えば総量提示による商業指数からの分析だとか、審査要領Ⅱ項による類似都市比較による考察だとか、大規模店舗の過密の程度についての審査だとか、各分野の指標やいろいろなものを土台にして分析した結果、最初に出された面積そのものは二千八平方メートルの床面積でございましたね。しかしいろいろなことも考慮して、そういうしゃくし定規ではいけないんだということからして、この商業者委員の方々が現在六千六百五十四平方メートルというぐあいに大きく譲歩して、商調協でもじゃこれをたたき台にしようじゃないかということでやられたという経緯があるわけであります。ですから、先ほど御答弁にもありましたように、結論でないから何とでもこれから変更もあり得るんだ、大きい変更で常識外の変更。そういうことで今まで混乱してこの何年も結審を見なかった。こういうことが一つの経過でありますので、こうした市議会の決議など一連の市民意思を踏まえながら、その他の配慮だとか総合的勘案だとかそういうプラスアルファの要素をふくらましていくのではなくて、やはりその原点を尊重し、それに見合うような結論に持っていくような指導を通産省がするのが妥当ではないかと私は考えるのです。このことが特定不況地域の慎重な扱いにもなりましょうし、せめてこれが解除されるまでは本当は凍結してほしいというのが地元の御意見なんですが、商業者側委員もそれほどいろいろなものを勘案しながらも、あらゆるケースを分析、総合しながらも、なおかつそこまで譲歩していったという経緯を踏まえますならば、そういう点で一つ合意点を踏まえた、まさに原則に立ったあり方を基準にしながら考え、調整し合うということが一番大事なかぎになると思いますが、そうした指導について通産省の御見解を承りたいと思います。
  152. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 先生も仰せのとおり審査要領に基づきいろいろと検討するわけでございますが、その検討基準の中の一項目に、地域経済の動向等についても検討を加える、こういうことがございます。御指摘の特定不況地域ということになりますと、購買力が停滞をしている市町村というふうに考えられるわけでございますけれども、そういった市町村の案件につきましては慎重な調整を行う必要があると私どもも考えておりまして、今後ともその方向で関係者を指導していきたいと思っております。ただ、先生も御承知かと存じますが、本件につきましては事前商調協が開かれましたのが昭和五十七年の六月でございます。それ以来小委員会等を含めまして延べ六十四回にわたりまして事前商調協の審議が今日まで行われてきているわけでございまして、その意味では、まさに慎重な審議をやりつつあるということではないかと考えているところでございます。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 六十四回もやってまとまらなかったのは、欠席しあるいは辞任した商業者側あるいは消費者の一部、こういう人々にその大きな原因があるのではなくて、全体の市会の決議にもありますように相手の立場に立って考えるという譲歩の精神を全く無視するようなやり方のところに混乱の根源があるということですね。この点を指摘しておくにとどめますが、ひとつしっかりやっていただきたいと思うわけであります。  この件については政治家の一部の中でも、大館は弘前が非常に近いですね、大館の人が弘前へ行って年に三百億円も買い物をしていあんだ、だからこれに反対する商人の考え方は理解できないなんということを決めつけている方もいるわけであります。しかし調査してみますと、大館の消費支出というのは全部で四百四十二億円でございまして、そのうち市外で購入する、つまり弘前あたり、秋田市へ来て買うというのは一番多い装身具でもわずか一〇%にすぎないという調査が出ているわけであります。ですから、それをそっちの方へ持っていくために三百億円もほかへ買い物に行っているんだというようなことで、だから大企業の大型店をもって近代化、流通化をやるのがいいんだ、こういうことはやはり実態にそぐわない、正確な根拠に基づかないものだと思っているわけでありますが、時間もございませんので、次に進ましていただきます。  大館に必要なのは、今申し上げましたとおり中央の大型店ではなくて地元の産業経済を盛り上げることだと思うのですね。特に特定不況地域の対策として今大館市では特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法、その一環として、“黄金のふる里”づくりというものをやっております。御承知のように大館は黒鉱の生産が全国の四七%を占め、そこから金や銀などが生産されていますが、これを活用した装身具、工芸品などいわゆる金細工を地場産業として定着させようとしているわけでありますが、そこで地元の要望として、五年間だけの事業では短いからせめて十年にしてくれないかということが一つ、それから原材料に金が必要でありますから原材料の金に対して何ほかの補助をしてもらえないだろうか、あるいは三つ目には人材養成、研修事業に援助してほしい、こういう要望をいただいているわけでありますが、このことについて通産省の御見解をいただきたいと思います。
  154. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 五十八年に旧法を改正、延長をしていただきまして以来、いわゆる企業城下町につきましては、御指摘の新商品開発、人材養成等について所要の応援をしてきております。今後引き続きこの企業城下町を基本としてやっていきたいと思います。十年につきましては、法律ができましてからまだ二年でございますので期限が残り三年有余ございますから、今後の課題とさしていただきたいと思います。
  155. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 最後に、小坂インターチェンジ問題で建設省にお伺いしたいと思いますが、地域の活性化を図る上で重要なことは、地元関係市町村からも要望が出ておる東北縦貫自動車道青森線の小坂インターチェンジの設置についてであります。  東北縦貫自動車道青森線の秋田県分四十一・九キロのうち、十和田インターチェンジ-碇ケ関インターチェンジの間は二十八・一キロと、縦貫道では最長の距離になっています。小坂インターチェンジが設置されることによって影響効果を受ける地域は、小坂町を初め大館市、鹿角市など三市八町一村、人口にして二十八万一千七百九十五人となります。また小坂IC設置の必要性については、小坂地区が十和田湖の観光拠点として最短距離にあること、それから小坂鉱山を中心にその関連産業の導入ができること、三つ目が高速道路本線上での重大事故発生時の救急医療体制を確立する上からも小坂鉱山病院があるなど非常に効果的なこと、それから大館市の物流ルートの整備を図ることができることなどなど、その小坂ICの必要性は論をまたないところがございますが、建設省にお聞きすることは、小坂ICの設置について、一つはインターチェンジ間の距離間の問題はどうなっているか。二つ目には地域の総利便性の向上に効果がある、そういうことから見てぜひとも必要と考えますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  156. 布施洋一

    ○布施説明員 ただいまお話のございました東北自動車道の十和田インターチェンジと碇ケ関インターチェンジの間に新たに追加のインターチェンジを設けるということに関しましては、先ほどお話のございました大館の市長さんを会長とする促進同盟会を初め数々の地元からの御要望があるということは、私ども十分承知しているところでございます。現在、この小坂インターチェンジにつきましては、ただいま先生からお話のございましたような地域の利便性の向上の度合いでございますとか、インターチェンジの間隔が二十八キロあるとか、あるいはこれをつくりましたときの採算性がどうであるとか、あるいは接続する道路の状況がどうであるとか、こういったいろいろなものがインターチェンジの可否を判断するために重要な要素となってまいります。私ども現在、それぞれの要素につきまして、総合的な検討を進めさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  157. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 終わります。
  158. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて中川利三郎君の質疑は終了いたしました、  次に、田中慶秋君。
  159. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 私は、中小企業対策等々の問題について、それぞれ一連の問題を申し上げながら、これからのこれらに対する対策等について通産省の見解をお伺いしたいと思っております。  御案内のように、景気回復があったと言われても、五十九年度、確かにGNPの上方修正一・二%をするというような、こういう形で総体的に見れば景気が回復されたようでありますけれども、現実には史上最悪の倒産件数、こういうことが報告をされ、明らかになっているわけであります。中でも倒産件数が二万件を超え、前年対比八・八%あるいはまた負債総額も三兆円を超える額で、伸び率といいますか前年対比四一%の増ということは、もうこの数字を見ても、景気そのものあるいは需要が、内需の問題も含めて非常にいいものと悪いものの格差が余りにもあるということが明らかだと思います。  こういう中で、その原因の中に幾点があろうかと思いますが、景気回復といっても、それをリードしてきたのはやはり何といっても輸出型であったわけであります。しかし、先般の予算委員会大臣から懇切丁寧な御回答をいただきましたけれども、建設業とかあるいはまた住宅関連産業とか中小企業等々その恩恵を受けられないものがあったという問題、さらに内需がどうしてもまだまだ拡大されていない、こんな形の中で技術革新というものが現実には急ピッチで行われている、そういうものについていけない等々の問題があって、史上最悪の状態になっていると思います。これらの実態を踏まえながら、通産省としてこの問題をどう受けとめ、これからの対策をどうされていくのか、冒頭に御質問をしながら御見解をお伺いしたいと思います。
  160. 石井賢吾

    ○石井政府委員 五十八年二月を底といたしました今回の景気上昇局面におきまして主体的な役割をいたしましたのは御指摘のように輸出でありますし、また、五十八年の秋口から設備投資が回復をしてまいりまして、その二つが基本的な景気上昇の主導因であったことは事実でございます。そういう意味におきまして、例えばこれを製造業という分野だけに限って見てみますと、中小企業の業種の中で対前年生産伸長率という数字を一つとってみますと、およそ大企業性業種の約半分ぐらいの伸長率にとどまっているという意味におきまして、中小企業の回復が全体の景気の拡大期におきまして、着実ではございますものの、まだ緩慢な回復状況であるというふうに申せるかと思います。  そういう意味におきまして、内需志向型の中小企業の場合には回復に取り残された分野というのもあるわけでございます。そういった業種の動向を反映した倒産の多発という問題もございますが、同時に当該企業の売り上げが伸び悩んだために倒産したという実態を調べますと、その六分の一強は業界全体が不振なんだという回答を同時にしておるわけでございまして、言うならば、業界全体あるいはその市場構造の成熟化に伴いまして、市場構造自体が変わってきたのではなかろうかという感じがいたしております。よく私、中小企業の集まりで言うのですが、もう来なくなったニシンを待っておったのではだめである、ニシン以外のものを追わなければいかぬという言い方をいたすわけでございますが、そういう意味において、市場の成熟化あるいは市場構造の変化というのがやはり大きな要因になっておるのではないか。そういう意味におきまして、現在の倒産多発というのを単純に景気循環の側面だけでとらえては間違うのではなかろうか、むしろ構造的な側面をより重視していかなければいけないんじゃなかろうかというふうに思っております。  さはさりながら、倒産によります社会的な摩擦というものをできるだけ回避しなくてはいけませんので、今回の通常国会にお願いいたしました中小企業倒産防止共済法の一部改正によりまして倒産防止対策の充実を図る、さらに倒産防止のための特別相談室の拡充というような当面の対策を強化いたすと同時に、技術力の向上あるいは人材の養成あるいは情報化への即応、こういったような構造的な側面の施策を充実させまして、中小企業の市場構造の変化あるいは技術革新の進展、そういった大きな流れに取り残されないような構造的施策をあわせて実施していくことが必要かというふうに思っております。
  161. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 それぞれ政府の施策なり今やろうとしている問題はわかりますけれども、しかし問題は二つあると思うのです。  自助努力で解決するもの。あなたがおっしゃったものは、大体この自助努力で解決されるもの。しかし、自助努力で解決されないもの、確かに業界全体の問題、そういうものもあろうかと思いますけれども、例えば今、日本の事業所全体の中で九九・四%が中小企業という形で言われているわけでありますし、従業員の数も八〇%強が中小企業であると言われていることは事実であります。そういう中でやらなければいけない、例えば中小企業の投資減税。こういう形で先端技術がこれだけ進んでいる、親企業はどうにか資本力がある、しかし中小企業はどうしてもそれに追いついていけない、やはりそこには投資減税を認めるべきではないか、私はこんなふうに思うわけであります。これらについてどう考えるか。あるいは例えば減価償却を一つとってもそうだと思うのです。アメリカでは大体平均五年であります。日本では十年から十二年であります。あるいはまたイギリス等では、今のようにバイオテクノロジーや先端技術の問題になると、一年や二年でそれを減価償却として認めているわけであります。日本の中小企業の問題はこの辺が大きなガンになっているのじゃないかと私は思うのですけれども、この辺についての対策を明確にしていただきたいと思うのです。
  162. 石井賢吾

    ○石井政府委員 中小企業にかかわります投資減税につきましては、五十九年度にいわゆるメカトロ税制、中小企業新技術体化投資促進税樹というものを発足させたわけでございまして、これとあわせまして、エネルギー利用効率化等促進税制がスタートいたしました。この二つは、中小企業の現在の設備投資の大宗をなす部分をカバーいたしますので、そういう意味におきまして、その投資促進効果というのは相当なものがあるのではないかというふうに見ておるわけでございます。  それに加えまして、昭和六十年度におきましては、中小企業の設備投資にかかわる基幹的な税制でございます特別償却制度、これの延長のお願いを今いたしておるわけでございまして、こういったような投資促進税制によりまして、中小企業が現在必要とする技術革新成果を取り入れた生産工程の改善といったような自助努力を支援する体制はできているのではないかというふうに考えておるわけでございます。それに加えまして六十年度におきましては、そういったハードの投資促進税制のほかに、言うならばソフトの投資促進税制といいますか、中小企業の技術基盤強化のための税額控除制度を新たに発足させることを現在お願いをいたしておるわけでございまして、そういったような諸措置の効果をあわせまして、中小企業の投資促進効果は相当程度果たし得るのではないかというふうに私は見ておるわけでございます。  それから、御指摘の減価償却制度のあり方、これは非常に重要な問題だと思います。例えば、六十年度におきましては、印刷製本関係の分野におきまして耐用年数の一年短縮をいたしましたが、そういった経済実態と企業の会計原則あるいは税法上の耐用年数、これとの整合性を十分チェックしながら、今後さらに検討していくべきだというふうに思っております。
  163. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 中小企業の投資減税等々の問題については、取り組んでいるのはそれぞれ理解をしますけれども、しかしすぐ景気に反映するということになりますともっと積極的な取り組みが必要だろう、私はそんなふうに思うのです。  さらに機械の法定耐用年数の問題でありますけれども、これはもっと本当に大事に積極的にやってもらわなければいけない。ということは、この十年前、十五年前と企業体質も産業分布も変わっているわけであります。これからもまた私は大いに変わってくると思うのであります。そういう点では、そのサイクルに合った形の中でこの見直しというのはぜひ必要だろうと思います。  今大臣、五%の経済成長、このまま見ていてごらんなさい、二十一世紀は黙っていても今のGNPの倍ですよ。三百兆が六百兆になるのです。そうしたら今の構造で間に合わないわけですから、そうすると当然ここに技術革新の波がもっともっと頻繁に来るでしょう。そのときに、この耐用年数が中小企業の大きなガンになると思うのです。ですから、この問題については、何としてでももっともっとそれぞれの変化に対応できるような形の中で積極的に取り組んでいただきたい。この辺についてもう一度見解をお伺いしたいと思います。
  164. 村田敬次郎

    村田国務大臣 田中委員からは、法定耐用年数の問題について実は予算委員会でも詳細な御質問がありまして、それにお答えしたところでございますが、現実の設備の使用の実態に基づいて客観的に設定をしたというのが現状でございます。そして先ほど中小企業庁長官から申し上げましたように、来年度は印刷業関係の設備、印刷機械を十一年から十年、製本関係設備を十一年から十年、写真製版業用の設備を八年から七年というふうに耐用年数を短縮をいたしまして企業の要望にこたえたところでございますが、こういった法定耐用年数というものの重要性は田中議員のおっしゃるとおりだと思います。今後も引き続いて対処してまいりたいと思います。
  165. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 このことは、やがて必ずそういう時期が来ると思います。特に私心配しているのは、アメリカは五年であるとか、諸外国は非常に短いサイクルになってきているわけです。日本の場合、リードタイムが非常に長いものですから、そういう点ではこれからの価格とかいろいろな形の中で、それぞれの競争に負けてくる、こういう心配がありますので、ぜひ大臣、これは一年とか二年とかいう形の中ではなくして、それぞれの業種別にもっときめ細かくやっていただきたい。これは要望しておきます。  さらに私は、いつも問題になって地域で相談とかいろいろな形で受けるわけですけれども、例えば金融制度の問題一つとっても、もっともっと簡素化であるとか拡充であるとか、その額の問題一つとっても大変今、また後ほど質問させていただくのですけれども、中小企業というものを余りにも大ざっぱに分けているために、その中でいろいろな支障が来ている。技術革新にこたえて設備投資をしようとしても、そういう支障があるわけでございます。こういう問題が一つ長官が御案内のように経営改善指導その他については積極的におやりになっているようですから、これからもこの指導員制度とか相談員制度とか、そういう形で、今まさしく政治もそうだろうと思いますけれども、経営の関係においても二代目にかわる時期に来ているのですね。そういう点で非常に悩みを持っているわけですから、そのときに的確にそれぞれ相談にあずかっていただけるような態勢づくりが必要ではないか、こんなふうに思うのですけれども、これらについての見解をいただきたいと思います。
  166. 石井賢吾

    ○石井政府委員 確かにおっしゃるような世代交代の時期もあるようでございます。そういった側面につきましては、例えば五十八年度に承継税制の見直しを行いまして、世代交代のために過重な相続税負担がないような措置をとったわけでございますが、そういった世代交代に加えて、先ほど申し上げましたような市場構造の変化あるいは生産技術面での革新という流れが非常に勢いよく流れておるわけでございますので、そういった変化する側面に中小企業経営をうまくかじをとっていくために、やはり人材というのが一番大切でございます。  そういう意味におきましては、例えば現在中小企業大学校におきまして後継者育成コースというのを一年間コースを設けまして、将来の若手後継者の育成に励んでおるわけでございますが、特に六十年度は小規模企業にも着目いたしまして、商工会連合会等におきまして人づくりのための新たな制度、例えば従来は商業者の場合にスーパーマーケットあるいは百貨店に対しまして人を派遣をいたしまして新たな販売管理手法を勉強させる枠組みをつくっておりましたが、六十年度からはそれを工業面にも及ぼしまして、周辺の先端技術産業に小規模企業の後継者あるいは管理的な従業員を派遣できる枠組みをつくろう、こういうようなことで、全般的な大学校の後継者研修とあわせ小規模企業におきます。そういった後継者の養成にも努めてまいりたいというふうに思っておりまして、そういう意味で今後の人材養成施策というものを思い切って充実をしていきたいというふうに思っております。
  167. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 この問題は重要なことですから、ぜひ積極的に取り上げてもらいたいと思いますし、特に中小企業といっても零細企業の方になってまいりますと大変その辺が敏感になっているものですから、ぜひその辺の力も入れてやっていただきたい、こんなふうに思う次第であります。  さらに、今行政改革がよく言われるわけでありますけれども、行革の中で中小企業の皆さんが営業マンであり社長でありかつまた技術者であり、こんな形の中で、例えば金融を一つとっても、融資制度のときの事務手続あるいはそれぞれの手続というものをもっともっと簡素化すべきじゃないかというふうに思うのです。この辺は早急にいろいろな帳票類といいますか許認可その他の問題についてぜひ簡素化のシステムを図っていただきたい、こういうふうに思いますけれども、この辺の見解はいかがでございましょうか。
  168. 石井賢吾

    ○石井政府委員 例えば金融制度でございますと、六十年度より、中小企業金融公庫の貸付限度枠、これは二億一千万でございましたが、これを二億五千万に拡充いたします。また、従来の貸付期間七年というのを延長いたしまして十年、こういうことで中小企業金融の質的側面の改善を図ることといたしておるわけでございますが、それはあくまでも中小企業の利便のためにそういった制度改善を行っておりますので、御指摘のような手続についていろいろ煩雑なものがあるとすれば、そういった国民金融公庫、中小企業金融公庫にそれぞれ相談窓口を設けてございます。私ども見ておりますと、今対前年比で約二割アップの相談件数が寄せられておりますが、そういった窓口相談をより強化いたしまして、中小企業が金融のための手続が煩雑なためになかなか必要なタイミングで資金が借りられないというようなことのないように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  169. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 それぞれの窓口業務をもっと――まあ一生懸命やられていることは事実であります、私もよくお伺いしますので。ただ、それぞれの経営者の皆さんが大体平均して二回半ぐらい行かないと書類が受け付けてもらえない。これが実態なんですね。ですから、これからもぜひそれらの問題は、いろいろな形の中で利用者といいますかその人たちが本当に困って相談に行くわけですから、もっと利便性のいい形の中で、一回行けばあるいは一回半ぐらいでそういうものがちゃんとできるような形をぜひとってやっていただきたい、これを要望しておきます。  実は、私は中小企業の定義の見直しをここでぜひ提唱してみたいと思っております。今、中小企業法の二条によりますと、中小企業の範囲ということで、資本金あるいは出資金総額が一億円以下、従業員数三百人以下、あるいはまた二番として、資本金、出資金総額一千万円以下の会社、従業員数五十人以下の会社及び個人であって小売、サービス業を営むもの、さらにまた資本金、出資金総額三千万円以下の会社、従業員百人以下の会社及び個人であって卸売業を営むもの、こんなふうに定義をされているために、中小企業の定義の関係の中で、今それぞれ少人数でも技術革新でいろいろなことができるものもございます。こういう形の中で、これは余りにも大枠過ぎるので、もっときめの細かいことがあっていいのではないか、こんなふうに思うわけであります。例えばサービス業、旅館業という形の中で、特にサービス業になってまいりますと、一千万円以下という、資本金一千万円の中小企業であって、それぞれの施設やあるいはまたそれに伴うそれぞれの設備の改善をしようとして公的な資金運用を行うという形のものをとろうとしても、現実にはそこが問題になってくるわけであります。そういう点で、こういう問題について積極的な改善を求められると思います。  例えばサービス業という大きな枠の中に、今私たちの社会の中で一番問題になっております産業廃棄物の問題もサービス業であります。産業廃棄物は、大別しますと収集運搬業、中間処理業、最終処理業という形になっておりますけれども、これは全体がサービス業になっておるわけであります。例えば最終処理業あるいはまたそれぞれの施設を整備しますと、何億というお金がかかるわけでありますけれども、現実には一千万円あるいはまたそれぞれの設備に対しての限度額があって支障を来していることは事実であります。こういうことを含めながら、私は、こういう問題についてぼつぼつその枠組みを見直しをするとかあるいは内容の検討とか、そういうことがあってしかるべきじゃないかな、こういうふうに思うのですけれども、長官いかがでしょう。
  170. 石井賢吾

    ○石井政府委員 中小企業基本法二条に規定されております中小企業の範囲は、確かに先生おっしゃるとおり、中小企業にかかわりますすべての諸施策、これらに一応妥当する範囲ということで、おおむねこういう資本金基準あるいは従業員基準で定めることが妥当であろうということで決めておるわけでございます。同条にはっきり書かれておりますが、あくまでもこれは施策ごとに施策の効率性を考慮した上で決められるべきなんだというふうになっておるわけでございます。  そういう意味におきましては、現在例えば中小企業団体組織法関係あるいは近代化促進法関係、こういった業界ぐるみで調整行為あるいは構造改善を進める場合には、そういった業種における実態に即して、例えば陶磁器製造業でございますと、資本金一億、従業員は九百人というような規定を設けておるわけでございます。そういう意味で、施策ごとにきめ細かくそれぞれにおいて定められるべきであって、基本法をにわかに変えるべきかどうかという点については、実は五十五年度くらいからそういった見直しの作業をやってみたわけでございますが、きちっと相関をいたします資本金あるいは従業員の階層がはっきり分かれてまいりませんので、三十八年に基本法が制定されて十年後の四十八年に一回見直しがございましたが、それ以後、見直しのないまま来ているわけでございます。それは私は、個々の施策ごとにその中小企業の施策に対応した概念を設定していけばいいんではないかというふうに考えておりまして、それぞれの実態に合わせまして、施策ごとに今後必要な修正を行うべきではなかろうかというふうに思っております。
  171. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 そういう形の施策ごと、確かに施策ごとも必要なんです。ところが、現実にいろんな問題が来ると、その枠組みの中で支障を来すこともはっきり申し上げて事実なんです。ですから、今世の中がこういうふうに変わってきておりますし、昔でありますと、例えばプレスを一人で十台動かすなんということは想像もつかなかったわけです。今は十台どころか二十台も動く、こういう時代になってきております。これ一つとっても、従業員の数とか資本金とか、こういうことにいろんな形の中でやはり大きな支障が来ている問題もございます。長官の言うように、ベテランでありオールマイティーであるならば、そういう形で、個々の施策の中で、経験の中できめ細かく現実にそれぞれ対応できますけれども、例えばことし入社された人がそれぞれの窓口業務とかいろんな形になったときに、ではそういう問題でどう対応するかというと、やはり大別された形の中で対応しなければいかぬわけですから、そういう点で私は、見直す時期に来ているのではないか、こんなふうに思うのです。その辺を明確にしていただきたいと思います。  例えばこんな例があるのです。今日本でそういう産業は何もしてない。たまたま外国へ行って、すばらしい産業だからといって、それを導入しよう、そうしてその機械を設備をしました。しかし、向こうから技術者を要請する、こういう段階になったときに、資本金の枠、経験の枠、従業員の枠、これで、その技術者を要請するのに普通ならば大体一カ月か二カ月で要請できるのですが、現実には一年かかってやっと要請できたのです。やはりそれは通産省だけの問題じゃなく労働省にも波及するわけですから、そういう点で見直しするものは見直しておくべきだ、こんなふうに私は思うのですけれども、いかがでしょう。
  172. 石井賢吾

    ○石井政府委員 中小企業の定義にかかわります中小企業諸団体あるいは個々の中小企業者の要望というのが多数寄せられております。一つは、助成施策の強化、助成施策の恩典を享受できる範囲を広げるべきであるという観点からする定義を拡大すべきだという御意見、例えば今先生指摘のように、全体の設備投資額が大きくなっているから資本金規模を上げるべきではないかというような御意見を承ります。しかし、先ほどちょっと触れました承継税制等におきましては、その問題は中小企業の過小資本から発している側面は否定できないわけでございまして、設備投資額は大きくても資本金は従来のままというような事例も間々あるわけでございます。  ちょっと話が横道にそれましたが、要するに、一つは施策の享受範囲、利益の享受範囲を広げるべきだという御意見、それからもう一方で、分野調整的な側面からむしろ中小企業の定義はもっと零細な小さなものに、特に建設業の分野で多いのでございますが、そういう定義をもっと圧縮すべきだという御意見がございます。そういったような御意見を踏まえながら、我々毎年毎年実は中小企業政策審議会を開きます前に一回検討を重ねておるわけでございますが、今明確に四十八年に改正いたしました定義そのものを基本的に変えなければいけないという実態にはまだなってないのではないかという判断をいたしておりますが、この次の見直しの時期にもう一度よく検討をさせていただきたいというふうに思います。
  173. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 時間がありませんから、これは大臣答弁いただきたいと思いますが、三十八年の見直し、四十八年の見直しをしましたね。そして四十八年以降のこの十年というのは、はっきり申し上げて相当の技術革新を行っている。そういう点で、今長官はその時期ではないんじゃないかなという観測を述べられましたけれども、はっきり申し上げて私は全く逆だと思います。この十年、十二年というのは非常に大きく変わってきておりますので、私はそういう点で先ほど一例を申し上げました。私は実際にそれを自分で経験したわけですから、そういう点で、この法律の問題の中で、日本の産業のために本当に新しいものを新しく取り入れようとしても、そういうものが障害になることもございます。そしてまた新たに今言ったような定義の中で困っている諸問題もあるわけでありますから、現状に合った形の中でもっともっと見直すべきものは見直しをしながら、そのことがやがて日本の産業や技術革新に対応できる、あるいはまた活力の持てる、こういう環境をつくることになってくると思います。中小企業というのは本当に一生懸命努力をされている。大企業はみずからの努力によって解決されるわけでありますけれども、中小企業の皆さんはこれらの問題を含めて大変影響度が高いわけでありますので、一長官の思想というものが本当に中小企業の末端にまで影響する、こういうことにも相なりますので、その辺を、ぜひ長官初め大臣がもう一度私の考え方に見解を述べていただきたいと思います。
  174. 村田敬次郎

    村田国務大臣 田中委員の中小企業基本法第二条に定める定義についての御見解を承りました。まさしく非常に時代が動いており、中小企業というものの概念もそれとともに変わるであろうという委員の御指摘は私よく理解するところでございます。今まで石井長官が事務の実態に基づいてるる申し述べたわけでございますが、委員の御意見もよく承りまして、これは古くして新しい問題でございますから、今後とも対応してまいりたいと思います。
  175. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 時間が来ましたので以上で私の質問を終わらせていただきますが、本当に中小企業というのはそれぞれの政策によって敏感に対応しますので、長官、あなたも大変ベテランでしょうけれども、末端の現場がどうなっているのかというのを私たちが毎日のようにそれぞれの悩みの相談で経験した中で私はきょう質問させていただいたわけでございますので、それぞれをぜひ十二分に対応してやっていただきたい、こういうことを要望して私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  176. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて田中慶秋君の質疑は終了いたしました。  次に、西中清君。
  177. 西中清

    西中分科員 私は、絹織物、絹業、この問題について御質問をいたしたいと思います。  御承知のように、私ども京都におきましては西陣、丹後、こういった方面で絹織物また機、こういった仕事を広く大勢の方がなさっていらっしゃるわけでございますけれども、この業界が長い消費需要の低迷から今非常に厳しい状況に置かれてあえいでおるというのが実情でございます。この点は通産省もよく御承知のところかと存じますが、日本経済全体がやや明るさを取り戻しておるという中において、この種の産業は一つの高い地域性というものがあるわけでございますから、当然それは地域全体の住民の生活にも大きな影響を与えて圧迫をいたしておるわけでございます。いずれにしても、この問題については通産省としては現状をどのように把握をしておられるか、まず最初に伺っておきたいと思います。
  178. 村田敬次郎

    村田国務大臣 西中委員にお答え申し上げます。  我が国の絹業は、生活様式の変化による和装需要の構造的減少などがございまして、御指摘のように生産は昭和四十五年以来減少が続いておりまして、五十九年は昭和四十五年に比し約六割の水準にまで落ち込んでいるところでございます。このため、絹業の各産地とも厳しい経営状況となっております。西中委員は専門家でいらっしゃいますし、また京都の御出身でございますが、私もかつて京都に住まわしていただいたのでそういった状況については想像ができるところでございます。  このような事態に対処するため、当省としては、繊維工業構造改善事業協会に設けた絹振興基金を活用して和装需要の振興を図るということにしております。そのほかに新商品の試作、開発事業に対する補助、ニューヨークなど海外での商品紹介に対する支援など洋装需要の喚起にも努めているところでございます。特に五十九年におきましては、八月末以降の生糸相場の変調に伴いまして絹業者の受注が減少するなどによりその経営が著しく不安定なものとなったために、蚕糸業に対する応急対策と並行いたしまして、経営安定資金の特別貸し付け、流通取引に、おける混乱防止のための指導の強化の措置を緊急対策として実施したところでございます。さらに六十年度予算におきましては、今後の構造的な需要減退に歯どめをかけるために、絹の新製品開発、試作事業に対する補助の増額を行うこととしておりますし、今後とも絹業の再活性化そしてまた絹需要振興を中心とした各般の絹業対策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  179. 西中清

    西中分科員 通産省としても今大臣お話しのようにいろいろと施策をしていただいていることは承知をいたしておるところでございますが、この落ち込みの最大の理由といいますか原因はどの辺にあるというようにお考えか、伺っておきたいと思います。
  180. 篠島義明

    ○篠島政府委員 一番大きな原因は、今大臣から御答弁申し上げましたとおり、最近の構造的な和装需要の減少、これがやはり何といっても一番大きいというふうに考えております。それから海外特に中国産の生糸、この価格と国産生糸の価格の価格差、これがかなり大きいものがございまして、こういった点も絹業の停滞にそれなりの影響があるというふうに考えております。
  181. 西中清

    西中分科員 先ほど大臣のお話にもございましたけれども、昨年十一月の絹業経営安定特別対策としての助成制度、これについてはそれなりの大きなプラスになっておるというように私は認識をいたしておりますが、この制度の実行状態、実績はどうなっておるか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  182. 篠島義明

    ○篠島政府委員 あの措置を具体化するために、昨年の十二月初めまでに各産地の絹業の規模等に応じまして県別の融資枠を設定いたしまして、十二月以来融資の受け付けを行っておりますが、現在融資申し込みの状況は、計上いたしました四十億をおおむね消化するようなところまで来ております。
  183. 西中清

    西中分科員 京都におきましては、西陣、丹後を中心といたしまして、絹業それから組みひも、さらには撚糸等々を対象といたしまして、この国の制度を利用いたしまして融資を行っておるわけでございますけれども、実態といたしましては、京都の場合ですと割り当ての枠というものがこれでは十分ではないという形になってきておりまして、京都府の既成の制度といいますか、そういったものを活用いたしまして、京都市とともに大体五十億の融資枠というものを用意をいたしておるわけでございます。要するに、今の御説明によりますと四十億ほぼ満たしてきたというようなことでございますけれども、京都の現状としてはこれでは足りないという形になってきておるわけでございます。この点について、今後の資金需要の趨勢を見て、さらに特別貸し付けというものをふやしていくという措置は今後お考えになられるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  184. 篠島義明

    ○篠島政府委員 昨年行いました緊急経営安定対策のための特別の融資制度でございますが、これは昨年八月末以来生糸の相場が非常に変調を来しまして、当限に比べて先物が非常に下がるという状況で、先物の織物の需要が大幅に減った、それに伴って絹業、織物業者の生産量も非常に減ってきた、そういう状況に対して緊急な経営安定対策ということで講じた措置でございまして、その後基準糸価も一万二千円まで下げました。生糸の先物価格につきましても、当限との関係は安定的に一応推移しております。そういう意味においては異常事態は一応終わったというふうに考えておりまして、緊急経営安定対策の融資制度についてさらに枠を拡大していくということは当面は考えておりません。
  185. 西中清

    西中分科員 今、当面はこの緊急措置は考えておらないというようなことでございますけれども、まだまだ資金需要というものはあるというのが実態でございますので、どうかその点は十分また調査もしていただいて、その後の対応をお考えをいただきたいと思います。  同時にまた、一方で特別貸し付けというものについては非常に喜ばれたわけでありますけれども、いわゆる養蚕経営複合化・転換特別資金や製糸業経営安定特別資金、これの金利は三%という極めて優遇された金利に、低利になっておるわけでございますが、この緊急措置を見ましても、基準金利六・八から五%の間というような、これも府県の状況に応じてというようになっておりますが、ここにかなりの格差がついておるといいますか、同列に並べていいかどうかは別として、非常に厳しい状況の中で今あえいでおるこの絹業についての融資制度としては、もうちょっと金利を安くしていただけないものかというような声も多かったわけでございます。とりわけ養蚕経営それから製糸経営、同時にまた絹業、これはいわば相関関係といいますか運命共同体的な性質を持っておるものでございますから、これだけが若干高いという感じは不公平感というものはぬぐえないというところがあるわけでございまして、養蚕と製糸はこれだけ金利が安いのになぜ絹業はこれだけ高いのだというような一般的な受けとめ方があるわけでございますが、この辺はどのようにお考えになっておられるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  186. 篠島義明

    ○篠島政府委員 特に先生指摘のとおり、製糸業と織物業あたりについてはおっしゃるような同じ条件でいいではないかという感情論も確かにございます。ただ、今回の基準糸価の引き下げ、去年の十一月に行われましたが、それに至るまでの経緯をいろいろ見ておりますと、養蚕あるいは製糸業者につきましては繭糸価格安定制度に基づいて保証された価格を年度途中で下げざるを得なかった、それに対する臨時的な補償という性格があったかと思いますが、そこが、織物、絹業についてはそういう価格についての支持制度を定めてあるような法律がないということもございまして、それからもう一つは、一万二千円という基準糸価のレベルが絹業者にとって非常に満足すべきレベルだったかどうかは別といたしまして、一応従来の基準糸価に比べて二千円でも下がったということによって織物業者、絹業者にとってはそれなりにプラスの要素もございました。  そういう意味で、養蚕あるいは製糸業者に対する特別措置としての三%というような金利を予備費の支出ということで実現することができなかったわけでございますが、五・〇%という体質強化資金制度の運用としての金利としては過去四件ばかり例外的に従来引き下げられる限度をさらに超えて引き下げてもいいという例がございます。これはいずれも基準金利から一・五%低いレベル、去年のケースでいいますと具体的には五・三%になるわけでございますが、例外的に冷害だとかあるいは静岡県のガス爆発だとか災害だとかいうものに適用した四件が五・三%どまりであるのに対して、本件については五・〇%まで下げたという特例中の特例という金利を採用しておるわけでございまして、絹業者に対しては我々としてはそれなりにいろいろな事情を十分考慮してできるだけのことを配慮してやった、こういうふうに考えております。
  187. 西中清

    西中分科員 今後ともこの状況が急速によくなるという保証はないと私は判断をいたしております上から言って、この種のいわゆる体質強化の資金を助成するという点では大いにお考えを願いたいじ、また金利の面でもできる限りの配慮をお願いいたしたい、このように要望しておきます。  それから、今もお話ありましたけれども、基準糸価がキロ一万二千円に引き下げられました。これは長期的に見て絹業者にとっては非常に結構なお話だと思います。ところが、この新しい価格水準というものが今後もこういった水準で安定的に推移するものなのか、それともより引き下げられるものなのか、またもとへ、一万四千円程度に戻ってくるものなのか、この辺の見通しが絹業者にとっては企業経営の上で非常に問題があるわけでございまして、在庫の損失等々を発生するということもあるわけでございますから、どのように推移をしていくということにみんなが関心を持っておるわけでございますが、この辺通産省の見通しは那辺にあるか、お伺いしておきたいと思います。
  188. 篠島義明

    ○篠島政府委員 生糸の価格につきましては、現在繭糸価格安定法に基づいて管理運用されておるわけでございますが、今農林省の方から法律改正案が出ております。この改正案が成立いたしました場合にどうなるかということについては、まだ法律審議中でございますので、それを前提に申し上げることもいかがかと思いますが、基本的には繭糸価格安定法の運用を前提としながら、今後の絹需要がどう推移していくか、それから繭の生産量が大体どうなっていくか、需給の状況、それから国際的な生糸価格の動静、そういったものに影響されながら決まっていくというふうに考えております。
  189. 西中清

    西中分科員 法律を今農水の方で審議ということになるのでしょうが、それが通りましたならば、事業団の在庫を適宜放出するという制度が新設されると思うのです。そうなりました場合には、事業団には約一年分近い在庫が今たまっておるわけでございますが、これはやはり影響を及ぼすのではないだろうかというように私は見ておるのです、それは通産省サイドとして、どういうように絹業に影響を与えるか、どういう御判断をなさっておるか、伺っておきたいと思います。
  190. 篠島義明

    ○篠島政府委員 どの時期でどの程度の事業団在庫を放出していくかということは管理運用上非常に難しい問題だと理解しておりますが、生糸の価格あるいは需給の安定ということも配慮しながら、しかし事業団に抱えておる在庫は極めて大量でございまして、そのまま放置しておくことは財政上の理由もございましていつまでも抱えておくわけにはいかない、しかるべく売り渡しをしていかなければいかぬということもあるわけでございまして、農林省の方もそれなりに、生糸の需給の安定を損なわないようにいかにうまく在庫を処理していくか、いろいろ御苦労されることだろうと思います。我々も、絹業者の立場からこれについてはいろいろ意見を言わしていただきたいと考えております。
  191. 西中清

    西中分科員 この問題は以上で切り上げますけれども、絹業が倒れると養蚕農家も大変な打撃を受けるわけでございますし、養蚕がだめになりますと絹業もだめになる、こういった関係にあるわけでございますから、難しい面も非常に多いわけでありますが、需要の開拓とともに、今後政策的にも十分な御配慮をいただくように大臣に要望いたしておきたいと思います。  次に、五十八年十月の繊維工業審議会、産業構造審議会の答申で、我が国の繊維産業が今後その国際的地位の確立を目指すためには国際感覚の醸成、国際交流の促進、日本の独創性の開発等に努めるべきと指摘をされ、このための具体的な方策として、ワールド・ファッション・フェアの開催、そしてそのための場としてのファッション・コミュニティー・センターの建設といった構想が示されました。これを受けて通産省は、まずワールド・ファッション・フェア研究懇談会をおつくりになりまして、昨年五月に中間的な取りまとめをなされました。今日の時点でどういうように推移をいたしておるか、御説明をいただきたいと存じます。
  192. 篠島義明

    ○篠島政府委員 今先生からもお話がございましたように、これは製品課長の私的な諮問機関でございますが、ワールド・ファッション・フェア研究懇談会におきましていろいろ検討をいたし、また社団法人の日本アパレル産業協会内にも特別部会を設けていろいろ検討が重ねられました。この懇談会あるいは特別部会から昨年それぞれ報告が出されております。  これらの報告によりますと、基本的にワールド・ファッション・フェアにつきまして、「我が国がファッション立国を目指して、広く国際交流を進めるとともに、国際的な拠点としてふさわしい環境づくりを進めるための国際的なフェアとして各種のファッションに関するイベントによって構成されるもの」とされております。またファッション・コミュニティー・センターにつきましては、「今後のファッション産業の振興の重要なポイントとなる国際的な展示会、フェア等が開催できる大規模かつ複合的な機能を有する施設として建設を推進すべきもの」とされております。  当省といたしましては、昭和五十九年度の予算として繊維産業国際化対策調査費を計上しておりまして、上記の報告をもとにいたしまして、現在WFF、FCCの両構想の推進について具体的にどういう問題点があるかということをさらに検討を進めておる次第でございます。
  193. 西中清

    西中分科員 WFF及びFCCの開催の場所でございますけれども、一体どこをお考えなのかということが私たちよくわからぬのですが、関西におきましても三府県、京都、兵庫、大阪、それから商工会議所等が繊維産業のシェアの高い関西でやるべきである、ぜひ誘致をいたしたい、こういったような話もございますし、また全国各地でもこういったお話が今盛んに出ておるわけでありますけれども、この辺がどういう形になっていくのかということは、私ちょっと通産省の方にお聞きしたのですが、いまだにもう一つイメージがはっきりしないわけですが、今どういうことにお考えになっているのか、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
  194. 篠島義明

    ○篠島政府委員 ファッション・コミュニティー・センターにつきましては、先ほども申し上げましたように、基本的な方向としては「今後のファッション産業の振興の重要なポイントとなる国際的な展示会、フェア等が開催できる大規模かつ複合的な機能を有する施設として建設を推進」ということになっておりまして、その具体的な諸施設が一体どうなるかということについてはいろいろな具体的な組み合わせ構想があるわけでございます。現在このコミュニティー・センターの候補地として名乗りを上げておりますところが、東京、横浜、千葉、静岡、関西等もございますが、それぞれにそれなりの経済的、社会的あるいは自然的な条件を十分考えつつ、それぞれ地方公共団体とも連携しながらいろいろなビジョンを描いておられます。  こういったことも踏まえながら、先ほど申し上げましたように、現在、昨年末の懇談会あるいは特別部会からの報告書を受けて、さらに具体化に向けていろいろ勉強をやっておりますが、また六十年度につきましても引き続き繊維産業国際化対策調査費を計上しておりまして、この予算により、来年度は関係業界の代表者等に集まっていただいて委員会を設けて、さらに具体的にコミュニティー・センター構想についていろいろな角度から検討していきたい。特に、繊維だけで果たしてこういった大規模なコミュミティー・センター施設といったものがうまく経済的に運営していけるかどうかという問題もございますし、それから、現実に建設をするとなりますと大変なお金と期間がかかります。そういったことも踏まえながら、経済性それから実現性等々も踏まえてさらに検討していく。そういう意味では、現在の時点でどこが具体的に一番有利な地点であるかということはなかなか決めかねる状況でございまして、各候補予定地の皆さん方にも、ほかの候補地で考えておられるようなビジョン等も情報として十分頭に置きながら対応していただきたい、こういうふうに申し上げておる状況でございます。
  195. 西中清

    西中分科員 まだ検討の途中でございますから確たることを申せないのはよくわかるのですが、一応今御説明を伺って、非常に大変な事業だなと私は認識をしておるのです。というのは、過去、現在、未来にわたって幾つかの項目の展示をしていこう、その他ニューメディア等を駆使いたしまして情報を全国的に提供するような形にしようとか、全国的にサブ会場とか産地の会場とかそういうものを考えようとか、大変壮大な構想になって、日本全国を会場にするのだというようなお話も御説明いただいたわけなんですが、果たしてそれは一体どういうものなのかということがどうもまだ明確ではございません。私もまた次の機会により詳しくお聞きはいたしたいと思っておりますけれども、展覧会というと少なくとも一つ、ないしはそれに続いて一つぐらいのサブというのが普通の考えでございますけれども、何か今までの検討の結果今出ておる意見からいきますと、全国各地を会場にするというような展覧会が果たして可能なのかどうなのか。やはり集中的にどこかをメーンとしてやらなければ、人が集まるにしても分散するにしても非常に大変なことでございますから、私は、どういうようなお考えなのかもう一つ理解に苦しんでおります。いずれにしても、全国を使ってという概念と、やはり展覧会は展覧会、フェアはフェアとして集中的なものが普通なんですが、考え方としてはどっちを向いて走っているのか、最後にお聞きをして終わりたいと思います。
  196. 篠島義明

    ○篠島政府委員 私の承知しているところでは、今までの議論は、全国レベルということではなくて特定地域のコミュニティー・センター施設を新たに構築していく、そこを受け皿として、そこを中心にワールド・ファッション・フェアの第一回を開催する、こういうことで検討が行われておるというふうに理解しております。
  197. 西中清

    西中分科員 ありがとうございました。
  198. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて西中清君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  199. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、自動車産業を中心にした対外輸出問題等についてお伺いしたいと思います。  この三月一日に発表されましたレーガン大統領の声明等によりますと、米国側は、日本の対米自動車輸出規制の延長を日本に対してもはや要求しないということのようでありますが、その真意はどこにあるのか。既に米国の自動車産業が持ち直したということであるのか、それとも、うわさをされております他の四分野の市場開放とリンクさせてのことなのか、この辺のことについて通産省はどういうふうに御判断をしておられますか、まずお聞きをいたします。
  200. 村田敬次郎

    村田国務大臣 中野委員の御質問にお答えをしたいと思います。  レーガン大統領の声明は、三月一日金曜日、現地時間で発表されたものでございますが、要旨だけ申し上げますと、自由かつ公正な貿易の原則の重要性等を指摘しつつ、対米自動車輸出自主規制を延長することを日本に対し要求しないとの決定を表明した、こういうことでございます。通産省の対応は、三月二日に私が大臣談話を発表したのでございますが、要点は三点でございまして、第一点は、レーガン大統領の今回の決定を歓迎し、日米自動車業界がともに繁栄することへの期待を表明いたしました。第二点は、通産省としては、今回の決定も踏まえ、諸般の情勢を十分見きわめて対応を固めていくつもりである、これが第二点。第三点、これは私は重要だと思いますが、いずれにしても、いわゆる集中豪雨的輸出が好ましくないことは明らかであり、日米両国の自動車企業それぞれの良識のもとに節度ある自動車輸出が行われることが重要である。それからまた、特にこれは中曽根総理とのお打ち合わせもございますが、引き続き市場開放の努力を行っていくということも申し上げたわけでございます。  しかし、これは四分野とリンクさせて考えるという考え方は私の方はしておりません。ただ、日米貿易という問題では、自動車輸出自主規制、鉄鋼輸出自主規制、それから両首脳の間で指摘をされました四分野、皆これは日米間の問題でございますから、全体として当然これから対応していかなければならないところでございます。特に、これは一番新しいニュースになるかと思いますが、けさ閣議がございまして、その閣議の際に中曽根総理から、こうした重要な日米貿易等の問題については、三月末という期限のものもあり、あるいはその近い機会にというものもあるが、ひとつ各省が協力し合って閣内で河本国務大臣が取りまとめ役になって推進をしてほしいというお話がございました。私どもは、こういった中曽根総理の御指示を受けて、自由貿易体制を拡大していく、そしてまた日米の貿易関係をスムーズにしていく、こういった観点に立って進めていく所存でございます。
  201. 中野寛成

    中野(寛)分科員 きょうの閣議のことも含めまして大臣から御答弁をいただいたわけでありますけれども、四分野とのリンクは直接的にはレーガン大統領の声明には含まれていないということでありますけれども、しかしそこから派生してくる米国側からの要求は、当然そこに的が絞られてくることはだれしもが想像することではないだろうかと思います。また、大統領声明に対して、当然アメリカの自動車産業を中心にしてそれに対する反論等々も既に活発に行われているところであります。我々としては、よほど注意をしてこれからの対応をしなければならないと思いますし、当然そのことに総理もお考えをされてきょうのようなお指図になられたのだろうと思うわけであります。そういう意味で、これから日本としても、四分野に限らず、いろいろな面での市場開放が余儀なくされると思うわけであります。そのことについて、具体的に今後どうお取り組みになられるおつもりでしょうか。
  202. 村田敬次郎

    村田国務大臣 大変重要なポイントだと思います。去る二月の九日、十日、十一日と貿易についての四極の大臣会合が京都で開かれました。これは日本でありますから私が議長をさせていただいたわけでございますが、アメリカのブロック代表、カナダのケレハー貿易大臣、それからECのドクレルク委員、そして私と四者であります。そのときに決定をいたしましたのは、新ラウンドに向けての努力をひとつしっかりやっていこう、そして来年からそれが始められるようなことで、ことしのうちに最も早い機会に重要な事務レベルの会議をしようという決定でございました。この決定を中曽根総理に御報告をいたしましたところ、中曽根総理はそれを非常に評価をされまして、五月のボン・サミットにおいても、ひとつレーガン大統領その他と新ラウンドの推進についての相談を具体的に織り込もうというふうに非常に意欲的な対応をしておられたわけであります。その後、アメリカのブロック通商代表その他から非常に活発な日米貿易についての意見が、海を越えてからもいろいろたくさん伝わってまいりました。これは中野委員が御指摘になったように、この問題の重要性というものを非常に如実に物語っておると思います。  したがいまして、私どもは、自動車あるいは四分野あるいは鉄鋼その他個々の項目について真剣に対応をいたしますと同時に、全般的には保護貿易主義を排して自由主義経済体制、新ラウンドを進めるという考え方で、これは内閣の方針としてしっかりと進めていかなければならない、関係各省よく相談をしていかなければならないと思っております。
  203. 中野寛成

    中野(寛)分科員 基本的な姿勢について御答弁をいただいたわけでありますが、これはいざやるとなりますと各論が大変難しい。通産省としても、また大臣におかれましても、ひとつぜひ積極的にその対策にお取り組みをいただきたいと思います。  さて、もう一つ、先ほどの最初の御答弁の中で触れられたことではございますけれども、この自動車の自主規制問題でありますけれども、今後とも、例えば大統領の決定がどうあろうとも、日本側として、自主規制についてはこれを解除するといっても慎重に取り組まなければいけないし、まして集中豪雨的な輸出は控えなければという慎重なお立場をとっておられるわけでありますけれども、これは具体的にはどういうことになるのでしょうか。基本的なお気持ちはわかりましたけれども、具体的に業界等の話し合い、また対米折衝等々のことについて御方針をお持ちでしたらお答えいただきたいと思います。
  204. 村田敬次郎

    村田国務大臣 大変重要な問題だと思います。自動車の輸出自主規制は四カ年間続いたわけでございます。そしてことしの三月末をもって終了をするわけでございまして、これについてのレーガン大統領そしてまた日本政府の対応は先ほど申し上げたとおりでありますが、まだ三月末までには三週間余りあるわけであります。そして、今中野委員も御指摘になったように、業界の対応そしてまたアメリカの業界の対応、いろいろ出てまいるかと思います。御承知のように自動車産業は、日本アメリカとが世界第一位を争っておる非常に重要な重要な産業でございまして、そういった業界の対応もよく見ながら、そしてアメリカの政界の動きもよく見ながら今後考えていかなければならぬ、このように考えております。
  205. 中野寛成

    中野(寛)分科員 これからの対策ですから、大臣の今の御答弁の枠は具体的に突っ込んでいってもなかなか出ないのだろうと思いますけれども、情勢の把握を綿密にしていただいて、日本側がいわゆる自粛し過ぎてもどうしようもないわけで、これは業界の方に自粛し過ぎるくらいにしろと言ったってできるものでももちろんありませんけれども、最大限の経済活動ができるような方向での今後ともの御検討と御指導を要望しておきたいと思います。  さて、アメリカだけに目を向けるのではなくて、世界的な展開という意味でもう一つお尋ねしたいと思いますが、自動車産業は現在の日本の基幹産業であることは言うまでもありません。当然、その自動車産業の活躍が日本の今の経済を支えていると言っても過言ではないと思います。そういう活力をこれからも決して損なうようなことがあってはなりませんし、アメリカだけではなくて世界的な視野に立っての海外展開、これを当然業界は考えていることでもありますけれども、通産省としても、その育成、指導ということに意を用いなければなりませんし、また今日までも努力をされてこられていると思います。新しい情勢の中で、通産省としてはどういうふうに今後の望ましい姿をお考えでございましょうか。
  206. 村田敬次郎

    村田国務大臣 また細部については政府委員からお答えを申し上げますが、自動車産業は、昭和五十八年の実績で見てみますと生産額は約二十四兆円、日本の全製造業の一割、それから輸出額が約三百十六億ドル、これも総輸出額の約二割、それから従業員数は自動車製造部門全体としては約七十万人というふうに予想されておりまして、生産台数でも、先ほど申し上げたように日米が第一位を世界で競い合っておるという重要な産業でございます。したがって、委員御指摘のように、非常にこの自動車産業の行方は重要でありますから、欧米のそういった自動車産業も見ながら今後の対応をしていく。そのためには国内の業界が希望をする最大公約数、これをしっかり見きわめ、また外国の産業もしっかり見きわめて、自動車産業が今後前向きに発展をしていくような対応が最上であるというふうに考えておりまして、これは中野委員御指摘の点と目標においては同じであろうかと思います。
  207. 木下博生

    ○木下政府委員 今後の望ましい海外展開についての御質問がございましたので、大臣の基本的なラインのもとで私どもどう考えているかということをちょっと御説明申し上げたいと思いますが、現状を見ますと、自動車産業の生産額の二分の一強のものが輸出に向けられておるわけでございまして、今後も、そういう意味で全輸出の二割を占めるこの輸出が大事に伸びるように、輸出先との摩擦を回避しながら輸出政策を進めていくということが重要かというふうに考えております。それと同時に、節度ある輸出と節度ある輸出の安定的な伸びということに加えまして、近年、欧米先進国あるいは開発途上国における日本の自動車企業の現地生産というものが活発化しております。御承知のように、ヨーロッパあるいはアメリカにおいて現地生産を日本の各企業がやっておりますけれども、そういうものにつきましても、相手経済への積極的な寄与ということを通じて、輸出とあわせて調和ある海外展開を図っていくということが重要ではないかと考えております。
  208. 中野寛成

    中野(寛)分科員 十分にそのことに留意をされていただきたいと思いますし、また、あらゆる手法を通じて日本の経済が世界の経済に貢献をする、同時にまた、その中で日本の自動車産業を初めとして各産業が大いにこれからも充実、発展をしていく。しかしそういう中で、もし自主規制とかその他の規制を余儀なくされたときに、その産業分野がどこかにその間に負けてしまうというふうなことがあってはいけないわけでありますから、むしろ守りではなくて、常に積極的、攻撃的な対策を講じられることを要望をしておきたいと思います。  そこでもう一つですが、こういう問題になりますと、どうしても大手メーカー中心に、物事が考えられがちであります。それはそれとして必要なことなのでありますけれども、日本のあらゆる分野そしてまたあらゆる企業等が活発な活動ができるその基盤をつくるということは、当然通産省のお仕事の一つであると思います。きょうの新聞で、対米輸出のことについて、いすゞ、鈴木が増枠を通産省に要請したという記事が一部新聞に載っておりました。通産省に私が、通産省が枠を決めるのですかと聞きますと、そんなことはしていませんとお答えになるだろうと思います。といって、私どもはそんなことを通産省がしてないとも思いません。まあ、これは聞きません。  しかしながら、例えばその記事の締めくくりのところに「現実的な輸出自粛策として、いすず、鈴木、三菱自工の米メーカー向けは全体の輸出台数調整とは別ワクで計算、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業などの一般輸出については何らかの基準によって輸出急増に歯止めをかける案が通産省、自動車業界で有力となりつつある。」こういうふうに結ばれているわけであります。これは新聞記事ですからこれはこれとして、しかしこれら以外にも、例えばダイハツのようにアメリカに対する輸出実績を持っていないメーカーもありますね。あらゆるメーカーが保護主義もしくは保護主義的措置の影響のもとで活力を発揮できないというふうなことになっては困るわけでありまして、あらゆる分野について細心の注意と配慮そして具体的な措置というものが必要だろうと思うわけでありますが、これらのことについての通産省のお考えをお聞きしたいと思います。
  209. 木下博生

    ○木下政府委員 ただいま御質問のありましたけさの新聞記事のことでございますが、通産省としてはそういう具体的なことについて何ら要請を受けたことはありませんので、その点はちょっと最初にそのようなことで御説明させていただきたいと思います。  それから、後発メーカーの関係でございますが、御承知のように自動車の市場は、国内的に見ましてもまた世界的に見ましても成熟市場というふうになりつつありますので、そういう意味では、後発メーカーが国内面、輸出面等で困難に直面するではないかという今の委員の御懸念については、私どもとしても十分に理解できるところでございます。ただ、通産省といたしましては、自動車貿易の分野において自由な貿易が確保されるということが重要でございまして、基本的には、自由貿易を通じて産業あるいは企業の活力が維持されていくということが必要だと考えております。このような観点から、私どもといたしましては、後発メーカーをも含めまして、我が国自動車産業全体が健全な発展が確保できるように、今後とも各方面において適切な対応策を図ってまいりたいと考えております。
  210. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大変立派な御答弁をちょうだいいたしまして、そのとおりに実行されることを期待もし、要望もいたします。ただし、自動車に限らずいろいろな分野において、やはり通産省の枠が厳しくってというのはよく私どもの耳にする言葉であります。十分にそういうことについての御配慮、措置というのは、指導も含めて望まれるところであろうというふうに思いますから、これ以上は質問いたしませんけれども、私としては、そういう業界や企業からの声はよく聞かれるということ、特に今日まで繊維産業を中心にしてよく聞かれました。ぜひともただいまの御答弁がそのまま生かされることを御要望申し上げておきたいと思います。  なお、最後の質問になるかもしれませんけれども、米国の自動車産業の回復、それから自動車生産に関する後発国の追い上げ、例えば、韓国の現代自動車のポニーなどがどんどんカナダに輸出されているというふうなことも多くなってきたわけですね。そういうふうなことが目立つ中で、我が国の自動車産業の競争力を維持強化していく。今はなかなか大変な勢いですけれども、しかしそういうアメリカの状態、そしてまた後発国の追い上げの状態等を見ますと、決して油断をしておれる状態ではないと思います。まして、そのためにそれぞれの国がとっている施策というものは、大変大きな助成策をとりましたり、税制上の優遇措置をとったりしているわけであります。そういうことを考えますと、日本の場合にはもう国の財政が厳しいものですから、自動車から取らずしてどこから取れるかと言わんばかりの感じも受けます。もちろん自動車だけを過酷にしているわけではありませんけれども、他国と競争を一番シビアにしているところこそ、そういうことを敏感に感ずるものであります。  そういう意味で、例えばこういうことがよく言われるのです、アメリカにおいては減価償却においてACRS制度を導入しているではないか、また投資減税制度を実施している。我が国産業の国際競争力の維持強化という観点から考えれば、アメリカに負けないような制度というものが必要じゃないか。例えば耐用年数を短縮すべきではないか、減価償却資産の償却可能限度額を見直したらどうか、また投資促進税制を導入すべきではないか、また事務の簡素化の観点からは、少額資産の損金算入限度額を引き上げるべきではないか、いろんなことが要望として出されているわけであります。もちろん、一般的にそれをやるかということになりますと、これは膨大な減税措置になったりしますし、国の財政をまたそれによって圧迫することもあるでしょう。しかし、そういういろんな情勢を踏まえて、業種、業態に即してそういう対応を講じるというふうなことは、先般印刷業界に対してもなされておりますが、そういうふうなことをもっともっと活用をして、こういう世界戦略に日本の経済が対応していけるように常に先行的な措置をとっていくということが必要だと思いますし、望まれると思うのであります。そういう意味で、通産省と大蔵省の御見解をお尋ねをしたいと思います。
  211. 木下博生

    ○木下政府委員 今委員御指摘がありましたように、アメリカの自動車産業は急速に業績を回復しておりますし、それから中進国の進出等もありまして、我が国自動車産業を取り巻く環境は厳しいものがあるというふうに考えております。ただ、アメリカがこの短期間の間に大幅な設備投資を行って競争力をつけてきた。そういうことで、世界の二大自動車産業がお互いに切瑳琢磨するということは、全体の世界の自動車産業のためにむしろプラスに働くのではないかというふうに考えております。我が国自動車産業といたしましても、そのような意味で、本格的な海外展開とあわせまして、国内的には新素材の開発とかエレクトロニクスの導入等の技術開発に積極的に過去にも取り組んでまいりましたし、今後も取り組む必要があろうかというふうに考えております。そのようなことによって、自動車産業全体として競争力を確保するということが今後とも必要になってくるだろうと思います。  そのような意味で、通産省といたしましては、我が国産業の活力確保の観点から、最近におきましても昭和六十年度の税制におきまして、増加試験研究費税額控除制度の拡充ということでいわゆるハイテク減税というのもお願いしまして、それが実現できるような形で現在国会に法案が提出されていると思いますが、そのような税制を活用いたしまして、今後とも企業の競争力の維持のための施策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  212. 濱本英輔

    ○濱本説明員 耐用年数を短縮すべきではないかということでございますけれども、減価償却制度の目的と申しますのは、期間損益を適正に計算するために固定資産の取得価額をその使用期間に応じて費用配分するということにございます。したがいまして、減価償却資産の法定耐用年数というのはやはりその資産の物理的な寿命だけではなくて、経済的な陳腐化の度合いというものを加味して客観的に定めるのが適当だし、そのことが重要だというふうに我々は考えております。  また、投資減税についてでございますけれども、経済企画庁の上揚会社に対します調査におきましても、税制上優遇措置を講じたからといってこれをやるという人はほとんどないということが明らかになりまして、設備投資を左右するのはやはり企業家の将来に対する売り上げたとか受注の見通しである。それからまた、投資減税で設備投資を促進するといいましても、先ほどちょっとお話にもございましたように、それによる追加投資でない投資も減税の対象になってしまうという問題もございます。そういうことに加えまして、我が国の設備投資の水準そのものでございますとか、あるいは順調な伸びからいたしましても、今投資減税を選ぶという時期にはないというふうに考えております。  なお、アメリカの投資促進税制につきましては、その効果自体に疑問があるあるいは甚だ不公平を生ずるといったような批判がアメリカにおいてございまして、去年十一月のアメリカの財務省の税制改革提案においても、このような理由からその廃止が提言されているということでございまして、アメリカの対応はどちらかと申しますと逆向きに変わってきているのではないかというふうに受け取られる状況でございます。  ただ、ただいま、法定耐用年数というのは資産の物理的寿命に経済的陳腐化を加味して客観的に定めてしかるべしと申し上げましたけれども、そのことは技術的な進歩による陳腐化の状況というものを検討していくということでもあるわけでございまして、資産の使用実態に応じた見直しが課題になるわけでございますが、このところのそういう実態を見ておりましても、そうそう大幅な見直しを要する状況が一気に出てくるということではないのではないかというふうに私どもは見ております。ただ、六十年度税制改正におきましても、ただいまお話にも出ましたように、十分吟味、検討いたしました結果、所要の措置を講じさせていただくことにいたしております。  それから投資減税に関連いたしましても、御指摘のように一般減税というのは問題でございますけれども、真に重要なものにライトを当てまして、十分限定した形で、いわば公平をギブアップして差別的な措置をあえてとるやり方というのは、限られた財源で最大効果をねらえるわけでございまして、そういう観点から六十年度の税制改正におきまして、先ほど木下局長からもお話がございましたような基盤技術の研究開発の促進とか中小企業の技術基盤の強化に資するための現在の増加試験研究費税額控除制度の拡充の措置を講ずることとさせていただいているわけでございます。
  213. 中野寛成

    中野(寛)分科員 今すぐに税制の問題について積極的、具体的な答弁を求めましても難しいと思います。ただ、国際情勢そしてまた国内の各産業また業界等々の実態を見ながら積極的な御検討を期待したいと思いますし、今後の税制改正の段階でも我々また論議を深めていきたいというふうに思う次第であります。特に自動車産業等を通じて、ある意味では日本側が攻勢をかけている状態で推移してきたわけでありますが、しかし、ことしのこの時点での判断を一歩間違えますと将来大変なことになると思います。先ほど来、大臣を初め各担当の皆さんから御答弁いただきましたけれども、十分な注意を払いながら積極的な施策を今後ともとっていただくことを御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  214. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、斎藤実君。
  215. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 最近、国民生活の中でスポーツ、レジャー等の果たす役割は極めて重要なものになってまいりまして、しかも、これらを対象とする企業活動も非常に活発になってまいっておるわけでございます。その典型的な例を挙げますと、まずゴルフ、それから乗馬あるいはテニスクラブ、リゾートホテルの利用権や別荘等多種多様な会員制の形態をとるスポーツ・レジャークラブがあるわけでございまして、こうしたレジャー産業に対する社会的ニーズの高まりに伴って発展してきた会員制クラブの普及というものにつきましてどういう認識をされているのか、まず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  216. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 最近におきます全体としての所得水準の向上あるいは余暇時間の増大、こういったことを背景といたしまして、会員制のクラブが相当増加している状況にあると承知しております。この点につきましては、今後とも国民のニーズの多様化に対応して、会員制クラブの健全な発展ということが我が国の経済あるいは社会全体について好ましいことである、このように認識をしている次第でございます。
  217. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 実は先日も総合レジャークラブが、豪華な施設を格安で使える、土地の所有権も手に入りますよという文句で、学生だとか主婦だとかこういう方に対して、会員を紹介すれば報償金を出すということで随分募集をしておりまして、マルチまがいの商法を行って会員権を販売しておりまして、約千人から十億円を集めて倒産するというような悪質な事件も起きているわけです。したがって、これは裁判ざたという問題になっておりますが、会員にしてみれば、サラ金から金を借りて会員になったという、こういった会員権商法の犠牲になった方がたくさんおられるわけですね。これは非常に遺憾なことだと私は思うわけでございます。特にまた、ゴルフ雑誌等にも載っておりますが、金の先物取引で問題になった豊田商事、豊田ゴルフクラブが利殖というもの、金もうけを前面に押し出して、ゴルフとは縁のないお年寄りや主婦をターゲットにして会員募集を行っておるわけでございまして、会員権の賃貸システムと銘打ち、預けることによって年一二%の使用料、利子がもらえる、しかも会員権自体の値上がりも期待できるというような組織的なセールスが行われております。  こういう悪質なクラブというものができているわけですが、これは掌握をしていらっしゃるのかどうか。このスポーツ・レジャークラブの会員権販売という実態をよく掌握をして、抜本的な対策を講じていく必要があると思うのですが、こういうことが随時惹起をするということになれば、正直な消費者なり会員は非常に迷惑をこうむるわけでございまして、この点についてどうお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。
  218. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 先ほど、会員制クラブ事業の健全な発展が望ましい、こう申し上げたわけでございますが、ただいま先生のお述べになりましたような事例が特に昨年の夏ごろからはびこってまいりまして、私どもといたしましても、これは非常に大きな問題であると重大視をしているところでございます。今お述べになりましたケースは、本来の会員制クラブ事業の目的たる、本当に会員になって例えばプレーを楽しむとか、そういったことから逸脱をいたしまして、あたかも金もうけの一つの材料ということで売り込む。売り込み方も尋常ではない。大変なお年寄りをねらったり、あるいは寝込んでいるようなそういった方をねらったり、そういうことでございまして、今の例で申しますと、例えば一口百万から二百万のものを一たんは売りますけれども、売った途端に直ちにその会員証を預け入れる、そしてそのかわりに例えば年二%の賃貸料を払う、そういうことで顧客を誘引する、こういうことでございまして、そういった商法は、本来のレジャー性の会員制度たるクラブとは本質的に全く関係のない悪徳商法とも申すべきことでございますので、それにつきましては、今後とも特に消費者に対するPRを中心にいたしまして防止に努力をしたい、かように考えている次第でございます。
  219. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 次に、会員制の中でも、特に預託金会員制のゴルフクラブの会員権についてお尋ねをしたいと思うのです。具体的な問題はまた後で詳細に御質問したいと思うのですが、最近、ゴルフ場会社が建設資金とか運営資金を調達するための方法として、一定金額の預託金で会員募集を行っている例がほとんどなんです。こうしたゴルフ預託金の会員制度の法的な性格をどのように考えておられるのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  220. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ゴルフ場の預託会員制度の法的な性格についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、一般的には、会員になろうとする者がゴルフ場事業者またはその代行者たるゴルフクラブの理事長に対しまして入会を申し込みます。そして、そのクラブの規則等に基づく承認及び会員側から見まして入会保証金の預託、そういうことを経まして、当該理事長などがこれを承諾することによって成立する会員とゴルフ場事業者との契約上の関係であると理解しております。そして、そういった預託制ゴルフクラブ会員の地位でございますが、これは契約に基づいて、一つはゴルフ場施設を優先的に利用する権利を得るということ、そして年会費納入等の義務を負うということ、そしてまた預託金についてはやがて預託金の返還を受ける権利を持つということ、そういったいろいろの権利あるいは義務から成り立つところのいわば複合体としての契約上の地位、こういうものをあらわしている、このように理解をしております。この理解は、昭和五十年の七月二十五日に最高裁判所の判例がございまして、その中でもそのように最高裁としても掌握をしているところでございます。
  221. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 確かにゴルフ会社と会員の契約事項なんですけれども、きちっとそれが守られていれば問題はないのですが、なかなかこれが守られないということで大変会員さんの不満があるわけでございます。最近、会員制のゴルフ場施設が非常に多くなっておりまして、これは国民皆さんがスポーツを楽しむというかあるいは生活に余裕が出たということで、そういう面では大変結構なことなんですが、預託金会員制のゴルフ場は一体今どれくらいあるか、さらには、昨年は二十七コース建設されたというふうに聞いておるわけですが、現在建設途上にあるゴルフ場の数はどれくらいあるのか、まず伺いたいと思います。
  222. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ゴルフ場全体の数でございますが、千四百三十八施設と承知をしております。そして会員の数は総体として約百八十万人、それから年間の利用者の延べ数は六千三百四十二万人余というふうに考えております。これは統計が若干古うございますが、昭和五十八年度の統計でございます。そして千四百三十八施設の中で、今日ではおよそれ割程度が預託会員制のクラブではないかと考えております。
  223. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 今建設途上にあるものです。
  224. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 大変失礼いたしました。石油ショック前後までは大変なブームでございまして、相当数のゴルフ場が新設されたわけでございますが、最近では五年間で平均伸び率一%ということでかなり下火にはなっております。そこで、現に今時点で建設途上にあるゴルフ場の数が幾つかという御質問でございますが、まことに申しわけございませんが、その点については数を承知しておりません。申しわけございません。
  225. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 またわかったら後で知らしていただきたい。  次に、ゴルフ場を開設するためには広大な土地が必要なわけでございまして、ゴルフ場の造成だとかあるいは芝の張りつけだとかあるいはクラブハウスの建設等、莫大な資金が要るわけでございます。ところが、自己資金を持たない会社ですね、事務所へ行っても小さな事務所に机一つ置いて電話一本、こういうだれが見てもこれはゴルフ場を建設するにふさわしくないという小さな会社が設立をされておりまして、土地の買収だとかあるいは土地の賃借権の取得もない。それにもかかわらず豪華なパンフレットをつくりまして、有名人をゴルフクラブの発起人名簿に載せて、そして会員募集を開始しておりまして、しかも数百万の預託金だとかあるいは登録料を払い込ませて会員を募集している。ところが金を使ってしまって、さらに倒産という実態もこれはたくさんあるわけです。しかも、こういう金もうけといいますかね、何も力がない経営者は、責任はあっても会員の払込金の返還能力は全くないのです。倒産してしまったとなると会員は泣き寝入り、裁判しても取れない、こういうことが現実にあるわけでございまして、大臣、一体これはどういうふうにお考えですか。
  226. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生の御指摘のようなケースも散見されるところでございますし、それからもうちょっと細かい、いわゆる消費者からの苦情も、例えば私どもが開設しておりますところの消費者相談室にも消費者から出されております。やはりいろいろ考えますと、個別のトラブルについてはもちろんケース・バイ・ケースで、苦情相談に応じながら両サイドに助言指導を行いながら解決をしていくということが大切であると考えておりまして、その点については今後とも努力をするつもりでございます。  いま一つ大切なのは、消費者一人一人が賢くなっていただくということも基本的に大事なことだと実際問題として考えておりまして、ゴルフ場を含めて、いろいろ会員制の問題に対する、応募についての啓発と申しますか注意と申しますか、そういったことについても、例えば私どもで「かしこい消費生活へのしおり」といったような、これは二万部ぐらい刷っておるものでございますが、そういうものに掲載をするとか、そのほかいろいろな方法を通じまして消費者PRに努力をしたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つ、ただいま先生もお述べになりましたようないろいろな問題がございます。ただ、非常に話が複雑でございます。また、実はゴルフ場だけではございませんで、ゴルフ場以外の類似の役務取引と広く言えるようなものについてもいろいろな問題がございます。そこで、私どもといたしましては、昨年十一月に私どもの産業政策局内に役務取引等適正化研究会というものを設けまして、東京経済大学の中村教授に座長をお務め願っておりますが、そこでこういった問題についてのもろもろの実態把握、その把握をした実態についての的確な事項別の分類及びそれに対する対応策につきまして今研究を行っているところでございまして、その研究成果を得るまでにはしばらく時間がかかりますけれども、それを踏まえて、そのときの状況で最適の対策を考えたい、かように考えているところでございます。
  227. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 ゴルフ場開設の準備段階でもう手を挙げてしまうとかゴルフ場を建設してもなかなか進まない、これは一つは許可する時点でチェックをすべきではないかと私は思うのです。したがって、ゴルフ場を開設するに必要な土地を完全に所有しました、あるいは賃借契約できちっと契約をいたしました、そういう完全に確保するというような措置をとらせた上で、今度は林地開発だとか農地転用だとか土地開発の規制上の許可あるいは認可の予備審査を厳重にする。これは都道府県知事が許可するわけでございますが、こういうことが私は必要じゃないかと思うのですね。その辺を野放しにしておくものだから、こういう問題が起きてくるんだと思います。  それから、もう一点お尋ねをしたいのです。大変な金がかかるわけでございますが、それも他人の金でほとんど賄っておるわけですから、行政手続としまして、ゴルフ場開設を目的とする企業の資本金額の最低額、あなたがゴルフ場をやりたいのであればこれだけの最低限の資本金というものは必要ですよ、あるいは自己資金は確実にこれは持っていますかとか、その会社の内容、実情にも一歩立ち入った資格審査というか予備審査を、やはり消費者の安全というものを考えた場合には、そういう方向で都道府県に対してしっかりした行政指導をすべきでないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  228. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 現在、ゴルフ場開設の場合にはいろいろの法規制あるいは都道府県による条例、要綱等によるチェックが存在をいたしますが、それらの主目的は、いわゆる開発規制あるいは環境との関係における規制が主となっているというふうに理解をしているわけでございます。私どもといたしましては、そういうもろもろの法令等によるチェックの過程で、それぞれの法の目的の範囲内でございますが、その企業自体の内容等についても極力チェックが行われることが願わしいと考えているところでございます。ただ、それらとは別に、いわゆる経営基盤に関する資格等を設定いたしまして事前に審査をするというような方法につきましてはなかなか難しい問題がございまして、これは慎重に対処しなければならない問題であろうと考えておるところでございます。
  229. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 実は、ゴルフ会社と会員との間で契約をしまして、十年たったら預託金を請求によって返還しなければならぬ計画になっている。ところが、返す返さないで裁判ざたになっているのが随分あるわけです、これは私持っていますけれども。このゴルフ場の預託金の据え置き期間が満了するゴルフ場がこれからだんだん出てくるわけで、預託金の返還を求める訴訟問題がますますふえるだろうと思うのです、今までにも随分あるわけですから。本来、請求があれば返還することになっている預託金が大部分はゴルフ場の建設資金に充てられて、実質的には出資金的性格をもって運用をされるために返還されない場合が非常に多いのです。こういう根本的な問題を抱えた制度の矛盾に対してどういう見解をお持ちなのか、伺いたい。
  230. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生指摘の点は、例えば、昭和五十六年の十一月十三日に国民生活審議会から出されましたところの「消費者取引に用いられる約款の適正化について」といった答申その他にもそのことが取り上げられているところでございます。そして私どもの消費者相談窓口への相談事案の中にも、預託金の返還の問題等散見されるところでございますが、いわゆるゴルフ場が値上がりをしているようなケースについては返還を求めないわけでございます。転売するわけでございます。問題は、値下がりしているようなところに限ってまた問題が起こるということで、これは大変難しいケースであろうと考えているわけでございますが、正直申しまして、現時点で具体的な即効性のある対策を発見するに至っておりません。どこまでできるかわかりませんが、先ほど申し上げました役務等の適正化研究会で勉強したい、かように考えているところでございます。
  231. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 今の第八次の国民生活審議会消費者政策部会での報告にありますように、過大な会員を制限しろ、これが一点目ですね。それから勝手に会則を会社側で決めないで会員の同意が必要ですよということ、これも私はそのとおりだと思うのです。それから会員権の譲渡は原則として自由にして、また譲渡を阻害するような額の名義書きかえ料を徴収すべきではない、これも私は当然だろうと思うのです。こういう報告について、通産省としては具体的にどう行政指導されるのか、伺いたいと思うのです。
  232. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 私ども、国民生活審議会の答申も当然のことでございますがよく読んでおります。内容もよく承知しております。ただ、なかなか難しい問題も実はあるわけでございます。と申しますのは、例えば人数の制限を例にとりますと、ある一定の人数を目途にゴルフ場を開発しつつあったところ、例えば台風とかによる災害をその造成地が受けたというような場合、建設費が予定より大変かさむわけでございます。そのときに、新規のメンバーを集めることによって倒産を免れるというケースもあるわけでございます。したがいまして、一律に一たん決めた人数をそのまま守らなければならないといたしますと、結局は倒産をして、既に申し込んだメンバーが被害を受けるということになりかねないケースもございます。だから、その場合には、多少の人数であればメンバーをふやして経営を成り立たせるという緊急避難的な対処の仕方も実際問題としてあるのではないかと考えておるわけでございます。  そういった問題をあれこれ考えますと、国民生活審議会で言われたことを、全体としてはやった方がいいわけでございますが、どんな場合でも必ず即そうしなければいけないということで果たしていいだろうかといったような問題もございます。これは例えばの話として申し上げたわけでございまして、私ども、国民生活審議会の答申は全体として大変立派なものであると考えておることはもちろん当然のことでございますけれども、そういった難しさがあるということも事実でございまして、そういった事情も踏まえながら、先ほど申し上げました場などでさらに検討を続けていただきたい、かように考えているわけでございます。
  233. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 先ほども、いろいろな悪質業者の例を私も申し上げましたけれども、これからもまた、預託金の返還時期をめぐってトラブルが起きるだろうし、こういう今までの経緯を踏まえて、健全なレジャー発展という立場からいきまして心配するわけです。  そこで大臣最後にお尋ねをいたしますが、今までも御指摘申し上げましたように、この預託金の形態のクラブは会員の権利保護に欠けることが非常に多いんですな。今後も経済事情の悪化に伴って予想される倒産、土地、施設を売却するとか抵当権、譲渡担保の設定等の場合の会員の権利保護については、法律上かなりの問題が包含されているわけでございまして、現行法では予想しない新しい法律的な問題が生じてくるわけでございまして、したがって、今後、こういう飽くなき営利の追求を続ける一部悪徳経営者に反省を促さなければならないと思いますし、クラブの将来の健全な運営と発展のために、会員権取引における会員の権利保護のために、早急かつ適切な立法措置を私は講ずべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  234. 村田敬次郎

    村田国務大臣 斎藤委員の会員制ゴルフクラブあるいはスポーツクラブ等に関連をして非常に詳しい個々のデータを挙げての御高見、拝聴いたしました。  御指摘のように、近年の所得水準の向上それから余暇時間の増大等に伴いまして、会員制クラブ事業は全国的に増加しているものとよく承知をしております。今後とも、国民ニーズの多様化に対応いたしまして、会員制クラブ事業が健全に発展するということが、我が国経済にとっても国民生活にとっても好ましい影響を及ぼすものと期待をしております。  ただ、御指摘のように、近時消費者トラブルが増加していることは事実でございますし、当省としては、今後ともゴルフクラブ等、予算委員会でもいろいろの事案の御指摘がございますが、こういったレジャークラブ等の会員制クラブ事業に係る消費者トラブルの実態を十分把握いたしました上で、事務当局も督励をいたしまして適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  235. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 以上で終わります。
  236. 工藤巖

    ○工藤(巖)主査代理 これにて斎藤実君の質疑は終了いたしました。  次に、伏屋修治君。
  237. 伏屋修治

    伏屋分科員 最初に、今一番通産省が頭を痛めておみえになりますところのアメリカにおける日本の自動車対米輸出自主規制の撤廃をレーガン大統領に勧告したということに対する通産省の認識は、どういうふうなとらえ方をされておるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  238. 村田敬次郎

    村田国務大臣 まず私からお答えを申し上げたいと思います。  今伏屋委員の御指摘になりました対米乗用車自主規制問題でございますが、レーガン大統領が三月一日金曜日に声明を発表されました。これは簡単に申しますと、自由かつ公正な貿易の原則の重要性等を指摘しながら、対米自動車輸出自主規制を延長することを日本に対し要求しないという決定を表明したわけでございます。  これに対しまして、私どもの側といたしましては、中曽根総理の御指示をいただきまして、私から通産大臣談話を三月二日の土曜日に発表したわけでございますが、この要点は三点であります。  第一点は、レーガン大統領が自由貿易の堅持を基本として今回の決定に至ったことを歓迎する、日米自動車業界がともに繁栄することへの期待をまず表明をいたしました。第二点は、通産省としては、今回の決定も踏まえ諸般の情勢を十分見きわめて対応を固めていく所存である、これが第二。第三点は、いずれにしても、いわゆる集中豪雨的輸出が好ましくないことは明らかであり、日米両国の自動車企業それぞれの良識のもとに、節度ある自動車輸出が行われることが重要であるということ、三点を申し上げまして、なお引き続き市場開放の努力を日本側としても行っていくということを述べたわけでございますが、要は、自動車産業は日本アメリカ世界一を争っておる産業であります。そして日本の製造業総生産額の約一割を占めておる重要産業でありまして、しかも日米の自動車輸出問題が四年間規制が続けられて、ことしの三月末でこれが終わるわけでございますので、この対応をいかにするか、あとまだ三週間余りございますが、その間によく考えながら慎重に対応してまいりたい、このように考えております。
  239. 伏屋修治

    伏屋分科員 レーガン大統領は、一応、僕の認識が誤っておったらお許しいただきたいと思いますが、貿易不均衡の日本における市場開放、これを含めながら、まだ最終的な決断を下しておられない、このように私は認識しておるわけでございます。それだけに、自動車業界をそれぞれ代表される方々も、貿易不均衡と自動車の自主規制とは別問題だというような発言も多々見られるようでございますが、通産省はそういう面においての認識はどのようにされておられますか。
  240. 木下博生

    ○木下政府委員 レーガン大統領の発表文の中には、確かに日本の市場開放努力の問題について触れておるわけでございますが、これは日本に対して規制を要求する、しないということとの条件でそういう要求をされているというふうには私ども考えておりませんで、規制を要求しないという、そういう自由貿易を堅持する立場をアメリカもとっているから、当然のことながら日本としても市場開放努力をやってほしいというような従来からの主張を述べられたものというふうに考えておりまして、私どもは、この二つの関係がそのような意味で条件となるような意味での関係があるというふうには考えておりません。
  241. 伏屋修治

    伏屋分科員 自由貿易堅持という姿勢から、そういうようなことを認識はしておらないということでございますが、この自主規制そのものが関税と貿易に関する一般協定、ガットに違反することであるという認識を私は持っておるわけでございます。  そういう面からも、日本の自主規制というものがそういうような形の中で二国間の一つの取り決めでありまして、それに対して通産省が、各メーカーに自動車の輸出台数の割り当てを決め、そしてそれに違反するものは貿易管理令で取り締まる、こういうような形で枠をはめておるわけでございますね。そういう面で考えていくと、どうしても日本の三百三十億ドルの黒字という貿易不均衡に対する一つ取引としてこれが今後も大きく問題化されてくるのではないか、このように危惧しておるわけですが、その辺の認識はどうですか。
  242. 木下博生

    ○木下政府委員 我が国輸出品につきまして、今委員おっしゃいましたような輸入国との間で話し合いをして輸出を自主規制するというケースは、いろいろなケースであるわけでございますが、これとガットとの関係についてはいろいろ難しい問題がありまして、直ちにそれが違反というようなことかどうかという点については十分検討しなくてはいかぬことだと考えておりますが、自動車につきましては、過去四年間アメリカ側の要請に基づきましてアメリカ側と総台数を決めた上で我が国輸出を自主的に規制するというようなことでやっておりましたので、それをはっきりと担保していくことができるために通産省としては輸出貿易管理令等を活用してやってきたわけでございます。今後どうするかにつきましては、今大臣の方からも御答弁がありましたように、まだ対応を内部で検討している段階で、どういうふうにするかまだ全く決めておりません。
  243. 伏屋修治

    伏屋分科員 五十九年度が百八十五万台という台数でございますが、それに対してこの三月末で自主規制が撤廃されるということで、各メーカーがそれぞれの思惑を働かしておられるわけでございます。そして、アメリカの方としても、集中豪雨的な対米輸出は困る、秩序ある輸出を期待しておるわけでございますけれども、この規制が撤廃されると、またもや、そういうような集中豪雨とは言わないまでも、それに近い超輸出型の形をとられるのではないか、そういうように心配するわけです。  いろいろな新聞によりますと、アメリカの許容量というものが示されておるわけでございます。大体一〇%ないし二〇%の上積み、これが許容輸出量だ。それを超えるならば、またもや自主規制のさらに強化されたものが向こうから要請されてくるのではないかという危惧も持っておられるようでございます。その中で各メーカーの思惑は、輸出枠のいわゆる上、中、下位メーカーそれぞれの割り当て台数というものを、この輸出規制の解除の後、メーカーがさらにそれを伸ばしていかないと、次に来る規制のときにまたもや我々は冷や飯を食う、そういう心配から、それぞれのメーカーが規制撤廃後には我が社は何としても輸出量はこれだけは確保したいというような思惑があるようでございますが、その辺の業界と通産省との話し合いはなされておるのかどうなのか、お聞きしたいと思います。
  244. 木下博生

    ○木下政府委員 集中豪雨的輸出が好ましくないことは通商産業大臣談話の中でもはっきり大臣の方から述べておられるところでございますが、アメリカが三月までの自主規制を今後も続けることを要求しないという状況になった段階において、今後どのような形でその集中豪雨的輸出が好ましくないという点を節度ある自動車輸出が行われるような形にするかという点については、現在私どもの中で業界とも非公式に相談しながら、それから通産省の中でも現在検討しているところでございまして、まだ内容については固まっておりませんので、今ここで申し上げられる段階には至っておりません。
  245. 伏屋修治

    伏屋分科員 メーカーからそういう問題についてのヒアリングをやるというような通産省のスケジュールがあるようでございますが、それはもう既に実施されたのか、これからその問題が実施されようとしておるのか、既に実施されたとしたら、どういうような問題点をヒアリングされたのか、その辺お聞きしたいと思います。     〔工藤(巖)主査代理退席、主査着席〕
  246. 木下博生

    ○木下政府委員 日本の自動車メーカーとは特に対米輸出につきましては従来から常時意見交換をしておりまして、その意見交換の過程で今後どうするかということを考えているわけでございます。
  247. 伏屋修治

    伏屋分科員 自動車の業界の今までの動きを見ておる限りにおいては、国内においては非常に過当なるシェア争い、そして拡販競争というものが熾烈に展開されておったわけでございます。そういうものがそのまままた輸出関係の方へ移行していくと大きな問題になるのではないか。その一つのあらわれが、各メーカーが規制撤廃後の輸出量の確保をすることによって次に来る規制のときの輸出割り当てを確保したい、こういうような思惑がそのシェア争いの中にあらわれてきておるのではないか。特に後発性下位メーカーあたりはそういうものが顕著である、このように言わざるを得ないわけであります。そういうシェア争いへの移行があってはならない、国際信用もそういう面において失墜させてはならない、そういうように私は思うわけでございます。そういう過当なシェア争いというものが国内にはもう展開されておるわけで、今はややそれが抑えられておるように聞いておりますけれども、国内におけるメーカーのシェア争いの実態というものを通産省はどのように掌握してみえますか。
  248. 木下博生

    ○木下政府委員 輸出市場におきましても、御承知のように、日本の場合には生産台数の二分の一強が輸出されておるわけでございますから、輸出先国あるいは現地関連企業との調和ある輸出を行っていくということが極めて重要なことは先生指摘のとおりでございます。輸出している相手国のディーラーとの間におきまして、現実にそのディーラーの犠牲のもとに拡販競争を無理に行わせるようなことは必ずしも行われてないんじゃないかというふうに私どもは聞いておりますけれども、いずれにしても現地企業との円滑な取引関係を維持するということは健全な輸出を維持するために重要なことでございますから、当然ここは考えていかなくちゃいかぬことだというふうに思っております。  国内市場におきましても、国内市場が成熟化していく過程におきましてディーラーの経営が非常に難しくなってくるということは御指摘のとおりでございますけれども、私どもとしては、メーカー、ディーラーが共存共栄を図りながら国内市場を維持開拓していくということが今後とも必要ではないかというふうに考えております。
  249. 伏屋修治

    伏屋分科員 現在アメリカでは、日本製の乗用車の販売ということについては日本の国内においてのそういう過当なる拡販競争というものはまだ見られないようでございます。というのは、ディーラーが各メーカーのもとに系列化されておらない。どのメーカーの品物でもディーラーが取り扱うことができるという面において過当なる競争はないように思われるわけでございますが、今後アメリカにおける日本製乗用車のシェアがどういうふうに移行するかわかりませんけれども、その限られたシェアの中で、トヨタ、日産、本田あるいはマツダ、三菱、いろいろなメーカーが限られたシェアの中で販売合戦をやるということになりますと、どうしてもそういう心配をせざるを得ない。だから、そういう問題についても、今後通産省としては確固たる一つの指針を持ってメーカーの指導に当たっていただきたい、このように思うわけでございます。  話を転じて、国内の問題に限ってこれからお尋ねしていきたいと思います。  今はそういうような成熟化した国内の自動車業界の姿でありますので、そういう問題が皆無とは言えませんけれども、ある時期よりは少なくなっておることは事実だと思います。シェアの争いの一番最先端を行っておるのがいわゆるディーラーであると私は思うわけでございますけれども、こういう拡販競争に対してメーカーがどういうような姿勢、どういうような方針を持ってディーラーに臨んでおるか、その辺は通産省は掌握をしておみえになりますか。
  250. 木下博生

    ○木下政府委員 自動車産業の健全な発展を図るためには、メーカー、ディーラーがお互いに共同しながら、協力し合いながら生産販売活動を行うということが重要なことでございます。そういう意味から、メーカーとしてはディーラーを単にこき使うというような対象としては考えずに、お互いが共存共栄できるような形で販売活動を行おうとしているというふうに私どもは考えております。当然のことながら、メーカーとディーラーとの間には取引関係がありますから、時には利害の調整が必要になるというような事態もあろうかと思いますが、系列のディーラーをうまく育成していくこと自身が、そのメーカーにとってはその車の販売を伸ばしていくということにつながるわけでございますから、経営の効率性あるいは営業活動への支援というようなことを通じて、メーカーはディーラーに対して協力を行っているというふうに考えております。
  251. 伏屋修治

    伏屋分科員 今政府委員の方からお答えになりましたけれども、実態はそれよりもかなり厳しい実態ではないかと私は思います。特に、ある時期においてはそういうことが弱肉強食のような立場で行われてきておった実態もあるようでございます。ともに共同して自動車業界発展に尽くすということは非常に望ましいことであります。そしてそれと同時に、共存共栄を図っていかなければいかぬ。ディーラーの拡販競争における並み並みならぬ努力があってこそメーカーの今日がある、そういうことを考えたときには、やはりそのディーラーの保護そしてまた指導育成というものは強烈な方針がなければならないと思うんですね。そのときの経済状況によって、そういうものがディーラーを取りつぶすような熾烈な競争の中に巻き込んでしまって、いろいろな紛争が起こっておるということは事実であると思います。  私も、せんだっての一般質問の機会にその問題を、最後にちょっと時間が足りなくて十分お尋ねすることができませんでしたが、そのときは公正取引委員会に対して私はお尋ねをしました。こういうメーカーとディーラーの紛争というものがある事実を承知しておるかということでお尋ねをしたわけでございます。その中で、富士重工がメーカーであるところのスバル製品を取り扱う、私の地元の選挙区である岐阜県のサブディーラーであるスバル各務原、そして岐阜県の中心ディーラーであるところの岐阜スバル、この間における紛争ということについて公正取引委員会に尋ねたわけでございますが、その経過を私だどっていきますと、同じく岐阜の中で起こりました日産本社と日産サニー岐阜との裁判の問題、この問題と非常に共通しておるところがあるわけです。いわゆる土地、株式を担保に提供しなさい、そして白地手形を書け、そして継続的供給契約を結んでどんどんと製品を送り込むというような形で、その営業の場所としても非常によい場所でしておるとtろをだんだんそういう形で乗っ取っていってしまう、言葉は悪いかもしれませんが結果的には乗っ取ってしまう、こういうような形がメーカーとディーラーの間に行われておるわけでございます。そういう問題を、先ほど私がお尋ねしましたように、今日メーカーがあるのはディーラーがあってのメーカーだという考え方に立って共存共栄を図っていくならば、こういうあくどいやり方での紛争というものは起こり得ない、このように考えるわけでございますが、その辺をお尋ねしておるわけでございます。
  252. 木下博生

    ○木下政府委員 自動車産業の健全な発展のためにメーカーとディーラーが共存共栄しなくてはいけないという委員の御指摘は私どもも全く同感でございまして、そのような形で進むべきものと思っております。  ただいま御指摘ありましたようなスバル各務原というサブディーラーとの問題につきましては、私どもは、店舗の移転拡張に伴う金銭の貸借関係等をめぐってトラブルが発生したというふうに承知しておりまして、その関係で岐阜簡易裁判所において民事調停事件が係属中でございますし、また公正取引委員会に対しても、そのディーラーの方から独禁法違反に対する措置を求める請求が出されているということは承知しておりまして、私どもとしては、こういう問題が平和裏に解決できることを願って事態の推移を見守っているところでございます。
  253. 伏屋修治

    伏屋分科員 確かにスバル各務原とディーラー同士のそういう金融の問題に絡んでおりますけれども、その融資の問題というものは個人的な問題ではないと私は思います。いわゆるメーカーのスバルという富士重工製品の拡販のためにスバル各務原の社長も、営業的に地理的には非常に悪い場所で営業しておったけれども、それでもなおその社長の努力によってスバル製品を非常に拡販したというようなことがあって、いわゆるメーカーの岐阜ディーラーの方から、もう少し場所のよいところへ出てそこでさらに成績を上げたらどうか、こういうような形で土地を紹介し、そしてその土地を社長が買ったというような経緯があるわけで、その融資という流れはメーカーが製品を拡販していくという流れの中での金融の問題であるということで私はとらえておるわけでございまして、そういう面からも、そういうあくどい資本の論理で弱小者をいじめるようなやり方というものが共存共栄の立場に反することは明らかだ、そういう面でのメーカーの反省を促したい、そういう意味で私はきょうはお尋ねをしておるわけでございます。  また、日産サニー岐阜の問題にしましても、日産本社と日産サニー岐阜の間の融資、株式の担保、いろいろな問題で実質上はもう今は直系になっておるわけでございまして、それを創設した篠田という社長は私の中学の同窓でございます。そういう面で私も常々その話を聞いておりますが、その日産の飽くなき拡販方針というものに対して私は腹の底から憤りを持つわけです。そういうような大企業が弱小をどんどん食い物にして自分が太っていくというようなやり方は許されない。しかも、その裁判を起こしたということに対していろいろと政治圧力をかけることによって和解へ持っていった。こういうような紛争が起こりますと、大体公正取引委員会へ問題を提訴するかあるいは裁判に持っていく、この方法しかないわけでありまして、その間に、いろいろな圧力がかかってくることによって和解をさせられる。現に日産サニーの社長をやっておった篠田君は現在もう本当に裸一貫にされて、一自動車修理工場から今また出発しようとしておるわけでございまして、もう本当に汗みどろになって働いておる。そういう中小企業者の方がおるから日本の経済というものは成り立っておる、そう言っても決して過言でないと私は思うのですね。そういう人を見殺しにするような行き方というものは私は断じて許せないし、そういうものに対して私もこの間公取へ一般質問で聞いたら、今は提訴中でございます、調査中でございますので具体的には答えられない、こういうような答弁が返ってきましたけれども、通産省としてはそういう面での指導性をもっと積極的に発揮してもらいたい、そういうことを私は強く望むわけでございます。  私がこういう富士重工の製品にかかわる問題を予算委員会でやるということがどこから漏れていったのかわかりませんけれども、私に対しても水面下の圧力はかかってまいりました。政界からも財界からも、そしてまた報道界からもそういう圧力がかかってきておるという事実があります。そういうことからすれば、いわゆる中小ディーラーは和解、公取へ提訴とやってみても、結局はその提訴した本人が泣き寝入りに終わらなければならぬというのが今までの結末です。だから、そういう結末をこれからも行っていくことは、これは許せないことだ。そういう面での通産省の指導性を発揮してもらいたい。そして、そういう共存共栄の企業モラルというものをどんなことがあっても確立するためにも、通産省が積極的な指導性を発揮してもらわなければならないと考えておりますが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  254. 木下博生

    ○木下政府委員 大臣の御答弁の前に、私どもが流通対策についてどのようなことをやっておるかということをちょっと御説明申し上げたいと思います。  ただいま委員御指摘のような事例は、結局、拡販をやろうとしたディーラーと、それに対してメーカー側の協力関係、具体的に申し上げますと、お金を貸してそれで協力をするという関係から最初はスタートしたと思いますが、それが拡販事業展開の関係でいろいろと紛争事件に至ったということは、私どもとしては非常に気の毒なことになったというような感じがしておるわけでございますが、いずれにしても、具体的な事件は現在係争中でございますので、それを見守っていきたいと思っております。  ただ、自動車産業が成熟化していく段階でディーラーの経営も非常に難しくなってきている、ディーラーを取り巻く環境は非常に厳しくなってきていることは私どもは全く同感でございまして、そのためにいろいろと対策が必要だということで、実は通産省におきまして、私ども機械情報産業局の中に昭和五十二年から自動車流通委員会というのを組織しておりまして、いろいろとディーラー対策あるいはディーラーとメーカーとの関係をどうしたらいいかということの検討を行ってきておるわけでございます。それで、昨年の七月に一応の中間報告がまとめられたものがございまして、その中間報告におきましては、新しい時代に即したディーラー経営のあり方はどうしたらいいか、それからまたメーカーとディーラーとの関係のあり方はどうしたらいいかというようなことで、専門家の方々にいろいろな御意見をいただいておるわけでございます。私どもとしては、そういうような形でメーカーとディーラーが共存共栄しながらこの難しい自動車販売の時代に自動車産業の発展を図っていくということを、その側面から十分支援しあるいは指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  255. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今木下局長からお答えをしたところでございますが、伏屋委員の御高見をずっと拝聴いたしておりまして、私からもぜひ一言お答えを申し上げたいと思います。  自動車流通はメーカ-と数の多いディーラーの連携によって成り立っておりまして、その健全な発展のためには適正な取引慣行の確保が重要であることは言うまでもございません。ただ、委員御指摘の件につきましては、現在岐阜簡易裁判所において民事調停事件として係争中でありまして、スバル各務原側から公取委員会名古屋地方事務所に対して、独占禁止法第四十五条に基づく報告がなされているというふうに聞き及んでおります。これらの推移を見守ってまいりたいと存じます。
  256. 伏屋修治

    伏屋分科員 今岐阜簡易裁判所で調停をいたしておるということでございますが、これは不調になるということは明らかでございます。ということは、スバル各務原が和解というか調停に応じないという姿勢を堅持しておりますから、これはもう完全に十一日の調停の日をもって不調、こういうことになることは明確でございます。そういうことをお含みおきいただきたいと思います。  時間がもう来てしまいましたけれども、きょう通産大臣に私は差し上げたいと思いますが、これは日産サニーの社長が書いた書籍でございますが、この中に具体的に、どのような経緯をたどって自分が今裸一貫に放り出されたか、こういうことが書いてあります。そういう面で、これを御一読いただきたいと思います。  また、こういう問題は今後も絶対起こってはならないと思いますし、そういう問題は明朗なうちに解決する。そういう政治的あるいはいろいろな面からのプレッシャーがかかる中で本人が泣き寝入りをするような不明朗な解決策でなくて、もっと明朗な中で納得し合う、そういうような解決策を考えるならば、こういう問題は、力のある者が弱い者を押し込めてしまうのではなくて、国民の注視の的になる国会の中にそういう方々を呼んで、そして事情聴取をする。メーカーからの事情聴取もする、ディーラーの意見も聞く、そういうような機会を関係者の方に与えてあげていくべきだ。その中で我々も参考人としてのその方々にいろいろ質疑をしていく。明朗に解決する方向はそこから始まるのではないか、このように考えますが、そのあたりの御意見を聞きたいと思います。
  257. 木下博生

    ○木下政府委員 メーカーとディーラーの関係につきましては、単に全体としてそれが共存共栄を図れる体制をどうしてもっていったらいいかということと同時に、もしそういう具体的事例があって、私どもとしてもその具体的な事例に対してお手伝いできるようなことがあれば、その点については通産省としても十分対応策を考えていきたいと考えております。したがいまして、そういう個別の具体的な問題がありまして、もし通産省の方に御意見をいただくというようなことであれば、そういう形で私どもとしては対処してまいりたいと考えております。
  258. 伏屋修治

    伏屋分科員 国会の場にそういう参考人を呼ぶということについて、大臣どうお考えでしょうか、事情を聞くという形でですね。
  259. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今、伏屋委員お申し出のことにつきましては検討させていただきます。
  260. 伏屋修治

    伏屋分科員 終わります。
  261. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて伏屋修治君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  262. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長、どうも御苦労さま。大臣、どうも御苦労さま。皆さん、どうも御苦労さまです。  まずお伺いしたいことは、実は私は会津の出身でございまして、会津は白虎隊の次は漆器、漆であります。そういうことで、漆器産業の直面している課題の中から二、三を取り上げさせていただきますが、しかし、会津といっても、これはそのほかにも御存じのように山中、海南、弘前、河和田ないしは輪島なんというぐあいに全国津々浦々に漆器産業の基地はあるわけでありまして、それぞれの地方が、いわば産地産業の開発のために苦労をしておるわけであります。しかし、その多くはいわゆる零細中小企業、いや、多くというよりはすべてと言っていいと思います。そういう立場で今日の高度に発達した産業社会の中で苦労をしておるわけです。ひとつそういうことを念頭に置いていただきまして、大臣、以下細かいことでありますが、二、三、質問に答えていただきたいと思います。  実は、産地中小企業対策臨時措置法というものを五十四年七月につくっていただきまして、これはたしか議員立法でございましたかな、しかし六十一年の七月に終わるのではないかと思うのですよ。これにつきまして、今挙げましたけれども、そのほかにも全国にございます漆器産業の人々等がこれの延長を強く期待しておるわけです。この間についてお考えのほどをひとつちょうだいしたいと思います。
  263. 石井賢吾

    ○石井政府委員 産地法は、御承知のように五十三、四年の円高という非常な経済情勢の変化に対応いたしまして七年間の臨時措置法ということで制定されましたものですから、御指摘のように六十一年七月をもって終わることになっております。本法制定以来今日の状況を見ますと、今日ではむしろ円安といいますか、あるいはドル高といった方が適当かと思いますが、そういった法制定当時の事情と基本的に情勢が変わってまいっておりますので、その意味におきまして、私は、むしろ円高対策という側面からする諸施策の延長を図ることが妥当かどうかという問題があろうかと思います。もとより産地中小企業をめぐる事情といいますのは円高が円安に変わったから問題解決したというものではない。御指摘のように、市場構造の変化なりあるいは技術の進歩というものも非常に進んでおりますので、そういった今日直面している新たな課題に産地企業が対応できるような助成策の充実ということこそが求められているのではなかろうかと考えておりまして、私ども六十年度におきましては、六十年度予算でお願いをいたしてございますが、例えばデザイン高度化に対応する助成措置を拡充する等の措置によりまして地場産業の振興措置の充実を図っておるわけでございますので、そういった諸施策をもって今後の産地企業の直面する諸課題に対応できるような体制を整備してまいりたいと思っております。
  264. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そこで、今おっしゃっていただいたように円安・円高、ドル高・ドル安と事情は変わりましょうとも、これは高血圧も困るけれども低血圧も困るのだ。いずれにせよ、これら零細中小企業の置かれる立場は健康な環境じゃないのですね。そういう意味では、おっしゃったようなことで事情は変わりましょうとも苦労は一緒だということでありますから、六十一年までにちょっと時間がありますからどうかひとつ検討していただきまして、その点の処方せんは多少変わりましょうとも、どうか薬は続けてちょうだいしたいということでございますから、大臣ひとつ検討して遺憾なきを期していただきたいと思います。
  265. 村田敬次郎

    村田国務大臣 滝沢委員の御要望は承りました。ただいま中小企業庁長官から述べたような事情があるわけでございますが、六十一年七月までにはまだ相当の期間があるわけでございますので、経済情勢等を見ながら対応してまいりたいと存じます。
  266. 滝沢幸助

    滝沢分科員 その対応の中では、処方せんは変わりましてもこの特例法のごと法律を延長ないしは新設するという方向でひとつ御検討を期待したいと思います。  なお続けて、今のお答えと一緒にちょうだいすることにして申し上げさしていただきまするけれども、ほかに伝統的工芸品産業の振興に関する法律という大変温かい法律によってこれは保護されておりまして、御存じのごとく、先ほどおっしゃっていただきましたデザイン開発のことないしは海外研修員の派遣のこと、特に後継者の育成のことなどにつきまして、さっき申し上げました法律とともどもこの二つの法律によって支えられているわけであります。そのような意味で、これが今日どのように生きておりますることか今日の事情と、将来この法によっていかなる展望が見出せるか、その辺の消息を承りたいと思います。
  267. 篠島義明

    ○篠島政府委員 伝産法に基づきますいろいろな助成措置につきましては、今先生おっしゃいましたように後継者の育成事業あるいは需要開拓等の事業その他技術の保全、研修施設の補助、あるいは伝統的工芸品産業振興協会というのがございますが、ここで行っておりますいろいろな事業に対する補助等々、予算規模で申しますと来年度四億四千九百五十万一千円、その中で補助金が四億三千三百八十九万四千円ということに相なっております。五十九年度の予算に対比いたしましてわずかながら増加しております。非常に厳しい財政状況下でございますので、パーセンテージの伸び率としては一%足らずでございますが、しかし我々としては、こうした現下の伝統工芸品に対する評価も次第にそれなり国民の間に広まってきておる、生活文化を高めていくという消費者のビヘービアの中で日本の伝統工芸品に対する評価も高まってきておりまして、今の時期において産地における助成それから伝統工芸品に対するPRを積極的に進めていきたいということでございまして、予算的にも努力をしております。それからまた、昨年伝産法の十周年記念になっておりまして、その機会にということで今後毎年十一月を伝統工芸品月間ということで全国レベルあるいは各地区、九地区に分けましていろいろな催し物等をやってPRに努めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  268. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大変どうもありがとうございます。そういうことでどうかひとつ援助を強化していただきたいと思うのです。  実は大蔵省からも税制第二課長さん見えていただいているはずでございますが、これは大臣御存じのように、末端末端のそうした企業に御援助いただくことは財政困難な今日大変なことですけれども、しかし、それによって末端の産業が向上し充実することによって税金も上がってくることですから、兵糧が絶えれば兵隊は死んじゃいますから、そこら辺御賢察いただきまして今後とも厚い対策をお願いしたいと思います。  税金のことに入ります前に、一言でありますが、これは必ずしも業界が歓迎することでないかもしれませんけれども、しかし私たちがそちらこちらを歩きまして痛感しますることは、地方地方の特産物の中に特殊性がなくなってきていますね。これは方言もほとんど絶え、ホテルに泊まりましても日本じゅうどこへ行っても、しかも季節感もなし地方感もなしというようなことになっておりますから、お土産品など地方物産というものはそういうことかもしれませんけれども、しかし私は、各地方地方が協定みたいなものをつくって守ってこそ意義があるのではないか。私の方は、会津はお土産品なんかでも赤べこ、白虎刀なんて売っているんですが、郡山に行っても売っていれば福島へ行っても売っている。仙台へ行ってもあるみたいなことですね。これは北海道の熊が青森にもいればということで、どうも困るんじゃないかと思うんです。漆産業なんかもそうでありますが、それぞれの地域の特色を生かして、これはこの地方のもの、ほかはひとつこれを尊重するというようなぐあいにやっていく何か方法はないものでしょうかないかがでしょうか。
  269. 石井賢吾

    ○石井政府委員 御指摘の特産品といいますかあるいは地場産業の育成という見地から新たな特産品、地場商品の発掘ということで、例えば五十九年度から商工会連合会をベースといたしまして村おこし事業というのを始めております。御指摘のように、方々の産地、言葉は悪いんですが金太郎あめ的で、どこを切っても同じような商品開発を行っている側面も若干ございます。しかし、すべてそれぞれの産地あるいは地場におきますこれまでの資源あるいは伝統といったようなシーズ、種でございますが、そういうものがあるわけでございますし、それを生かして新たな市場といいますか消費者のニーズに適合するような新商品をつくり上げていく努力ということは、やはり地場産業の活性化のもとになるわけでございます。そういう意味で私は、そういった各地の知恵あるいは各地の特性というのを各地区相互の情報交換あるいはシンポジウムの開催あるいは展示会の開催というようなことを通じまして相互に認識し合いながら、それぞれ知恵を凝らしていくという方法をとるのが一番好ましいのではないかというふうに思っておりまして、六十年度におきましては、そういった村おこし事業の展示会と申しますか、そういうのを全国で三カ所開催をしまして情報交換等を進め、さらにそれぞれの地域の特性に磨きがかかるような措置をとってまいりたいというふうに思っております。
  270. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ありがとうございました。  そこで、時間もないようでありますが、実は大蔵省、これはなかなかつらいところだけれども、大型間接税と言われているわけですね。付加価値税、これはやらぬようでありやるようであり、やるようでありやらぬようであり、まことにわからぬところに味もあり期待もあるんでしょうけれども、ぜひともこれをやらぬでほしいというのが、全国の零細中小企業者、商店街のみならず庶民大衆の願いです。このことを受けとめて、ひとつ大臣におっしゃっていただきたいのでありまするが、しかし、ここがまたなかなか業界のつらいところでありまして、そういっても自民党多数でいらっしゃいますから、これが強行されることをおそれるならば、そういうときに、例えば漆器産業なんというのは、木材を粗削りに削る産業で一つ、そしてろくろで木地をつくる産業で一つ、またこれを粗塗りで一つ、そして仕上げ塗りで一つ、そして絵かきで一つ、そして箱詰めで一つと商店へ出ていくというふうに、漆器の器が一つできてくるまでに五カ所も十カ所も階段を経る。階段ごとに付加価値税ということになれば、これは大変なことなんで、つまりは物価の値上げにつながるわけでありますから、そういう意味で除外措置を講じてほしい、品目指定によって除外するなりあるいは金額によって、ないしは年間の売り上げによってなりのいわゆる除外措置を講じてほしいということでありますが、この間のことにつきまして伺いたい。
  271. 小川是

    ○小川説明員 今国会におきまして、本件についてはいろいろ御議論のあることでございますし、ただいまの御指摘につきましては十分報告をいたすつもりでおりますが、総理及び大蔵大臣から御答弁申し上げておりますように、私正確に申し上げさせていただきたいと思いますが、税制全般にわたる見直しにつきましては、今国会における予算それから税法等の審議が終了いたしました後、国会でいろいろなされました御議論、税制に関する御議論をすべて正確に税制調査会に御報告をいたしまして、その上で御審議、御検討いただく考えでございます。したがいまして、現段階で直接税あるいは間接税を含めて税体系の方向につきまして予断を与えるような議論をすることは差し控えたいという答弁大蔵大臣が繰り返していることを御理解いただきたいと存じます。
  272. 滝沢幸助

    滝沢分科員 直間見直しとか何かいろいろとうまいことを言っておりますが、一言で言えば、もう直感でわかるようなぐあいにしなければいかぬです。どうも最近はわからぬことで、ないしはもうわかり切っておることで、その場その場の言い逃れをしておるというのが今日の政府答弁の一貫した姿勢ですので、これは大臣、やはり閣議でよく相談いただきまして、国民がみんなわかっておることを、夏になっても私は冬服着ていますから今も冬だと思いますみたいな話はこれは通らぬですから、どうかひとつ。  そこで、実は静岡県の富士川を境になんと言いますと、源頼朝と何かが対決をしそうな話だけれども、そうではなくて、電気の周波数、サイクルが違うわけです。これは明治の十九年に、何かアメリカ方式をとった西の方とドイツ方式をとった東の方との違いでだそうでありますけれども、私は政治の貧困をこれでつくづく感ずるんですよ。あの明治政府が十九年当時、賢明なる指導力があって今日の電気社会が来るという予見があったならば、これを一緒にしたのでありましょう。ところが、それぞれなすがままにしておきました。そして戦後また電力の大いなる開発をしますときに、これまた愚かにもこのことに気づきませんで、そのままにしておいて、今日あのような電気社会において二つの周波の違いの中で、国民は電気製品、これは洗濯機もかみそりもです、大変不便を来しておる。今これを直すのは大変だと言うんだけれども、このような愚かなる、先見性のない姿勢というものが、この電気だけではなくて、すべてに今日なおあると私は思うのです。これについて、もちろんなかなか直せぬでしょう。一言。長いことは要りません。
  273. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、東京電力より北の方は五十ヘルツ、それから中部電力よりも西の方は六十ヘルツということで現在やっております。この周波数の統一につきましては、先生指摘のように、両地域で同じ電気の機器が使えるという非常に利点がございますけれども、他方電力の供給設備、発電機からタービン、変圧器、遮断器、みんな変えなければいかぬ。それから当然需要家の方の設備も変えるということで、非常に膨大なお金を要するわけでございます。そういうことで、その必要性については現在慎重な検討を要するということでございます。なお、五十ヘルツと六十ヘルツが混在しているところがございまして、どういうところにつきましては、現在も徐々に統一を図っているという現状でございます。
  274. 滝沢幸助

    滝沢分科員 これはなかなか今になってはどうにもならぬということでありましょうけれども、事ほどさように、一つの時期に行政を指導する者の判断というのは大変なことなんです。  今情報機器とかいろいろと事新しいものが開発されていくわけです。そういうときに、私は、なおこのようなことが必要なのではないかと思って実はこのことを申し上げておるんだけれども、大臣、あなたは万年筆は何を使うのですか。何かメーカーがあるでしょう。ボールペンでございますか。
  275. 村田敬次郎

    村田国務大臣 私は今余り万年筆を使いませんで、これはサインペンというのですか、こういう百円くらいの安いものを使っております。
  276. 滝沢幸助

    滝沢分科員 値段は安くとも書いた文字は千金の値なんですから、それは大変喜ばしゅうございますが、大臣さんが万年筆を使わないものですから、万年筆業界は非常に困っておるのですよ。ところが、私が使っているのは、これはパイロットです。しかし、私はつい最近までプラチナを使っておりました。なぜ私がプラチナを使い出したかというと、県会議員にやっとこ当選しましたときに、そのときの議長さんが一本記念に下さった。ところが、以来プラチナを今日まで二十五年間使わざるを得なかった。それは、プラチナのスペアインクはプラチナにしかつかないのです。一たんプラチナを使い出したら、その家庭は、その会社は、その人はもうすべてプラチナを使わずんば非常に不便だ、スペアインクを幾種類も持たなければならぬわけですから。そういうことになっているのですよ。これはそれぞれの会社の都合もあろうけれども、昔は、つけペンのころは、ペンはペンだけで勝負をする。インクはインクのよしあしで勝負をする。何かライトインキの社長が青酸カリを飲んで死んだこともありましたが、ああいう経過もあるわけです。そういうことでインク産業も苦労しているんだろうけれども、今は一本の万年筆を買えば、それと同じ万年筆を会社じゅう、家庭じゅう、その人は何年もこうして使わなければならぬ。そうしてそのインクは、そのスペアに合ったプラチナならプラチナのインク以外には使えないということになっているのですよ。これは何のために製品をつくって企業をするのか。国民皆さん、世間皆さんの便利のためでしょう。私は尾崎行雄を尊敬しておりまして、今私のうちの床の間にもあります。同じ文句がそこの尾崎記念館にもありまして、「善悪の標準世人の便益を増すことは皆善、これを減らずは悪事」と詠んでおります。なれば、こういうのは世人の便益を図って、どのスペアでも合うように、例えば自動車なんかはマツダも何かほかのメーカーもみんな最近はタイヤが合うように、横浜タイヤでいいようにできておるんだそうでありますけれども、そこら辺のところの指導がうまくいかないものかどうか、ひとつ。
  277. 篠島義明

    ○篠島政府委員 おっしゃるように、スペアインクの機構、カートリッジの機構というのは三十年代の後半に各社開発されまして、これは当初それぞれ実用新案権を取得して生産、供給を行ってきたわけであります。そういう意味で、それなりに各社工夫を凝らしたということもございます。しかし、一たんこれを市場に出すと後は変えるわけにいかないということで、ずっとそのままになっております。したがって、消費者から言えば、スペアインクをカートリッジの形で使おうとすれば、そういう不便は確かにあるわけでございますが、スペアインクの機構の統一というのは、現実の問題として既に出回っておりますので、メーカーにも消費者にも大変な混乱、ロスを生じるということが現実にございます。したがいまして、インクについては、これは各社ともスポイトを差し込めるようになっておりまして、このスポイトをそれぞれ各社の万年筆にはめ込められるやつを使用すれば、これはどのインクを買ってきて注入するかという選択はできるわけでございまして、そういう意味で、いろいろ不便もあるかと思いますが、現実問題としては各社としてスペアインクそのものの規格を統一するというのは非常に難しいという状況にあります。
  278. 滝沢幸助

    滝沢分科員 行政が何にもしなければ何でも難しいわけですよ。さっき電気のことを言ったでしょう。あれは二十年、三十年、五十年、七十年前の政治家が指導力がなかった。そのことに気がつかなかった。気がついても、これは業界に嫌がられるのでなかなかしなかったということですから。企業にとりましては消費者は神様でしょう。神様のお喜びになるようにおつくりいただくことが、これは産業界の責任なんですから、そのような意味では、スポイトなんか使っていやしませんよ、そんなのはスポイと捨てて、そしてスペアインクだけでやっているのですから、これはひとつもっと現実をきちんと見てまじめに事に対処してください。  この新案登録は無期限ですか、永遠ですか。期限がありますか。
  279. 篠島義明

    ○篠島政府委員 十年でございます。
  280. 滝沢幸助

    滝沢分科員 十年だったら、十年になる会社はどの会社が、あなたの帳面を見ればわかるのだから、そこで勧告なり指導なり助言なり協議会を開くなりして、これは一緒にさせていただきなさいよ。そうでありませんと、旅行の先や何かで、あるいはまたホテルに行っても、ほかのインクは売っている店があっても、そのインクがなくてはだめなんですから。万年筆は万年筆のよさで勝負する、インクはインクのよさで勝負をする。それが万年筆とインクをきちんと組み立てたところに、あのライトインキ、インクだけで商売をしたところはもう自殺する以外になくなったという経過ですから、これは日本の文化特にマスコミを中心としたいわゆるペンで生きる人にとっては大変な要望なのです。  私は今国語審議会に一つ重大な注文をつけておりますが、国語審議会のあの文字の制限、文化人みんな嫌がっているのに何とも言わぬように、どうも物をお書きになるような先生方は政治的なことを余りなさらないものですから、このことも何の請願にも運動にもなってきませんけれども、それを期待していらっしゃるわけですから、十年が切れる会社、それぞれあなたのところでわかりましょうから、どうかひとつ工夫をして相談をして実現していただきたいと思います。  以上です。
  281. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて滝沢幸助君の質議は終了いたしました。  次に、武田一夫君。
  282. 武田一夫

    武田分科員 最初に通産大臣にお尋ねします。  御案内のとおり、揮発油販売業界を取り巻く問題は非常に厳しい。それがいや増して厳しさを増しているという状況でございます。この間も、私は宮城県でございますが、いろいろ懇談しているときに、このままいったら我々つぶれてしまう、オイルという名前がおいおいと泣いている泣き声のように響いてくる、小さい業者もすごく多い、こういうことを考えるときに、我々としては経営の厳しさをどうにかして乗り越えようと努力しているけれども、その限界がもう今直前に来ている。こういう悲壮な話がございました。いろいろと状況を聞いてみますと、その実態は、これは我が宮城県だけでなくて全国的な問題であるということでございますが、現況としましてどういう状況か、そしてまたそういう厳しい現状をもたらした原因はどこにあったのか、これをまず簡単にひとつお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  283. 村田敬次郎

    村田国務大臣 中小企業者を主体とする揮発油販売業者の経営が非常に厳しいという委員の御指摘はよく承知をしております。このことの原因は、まず第一に揮発油需要が停滞をしておるということ、第二に揮発油販売業者、石油元売企業を通ずる拡販姿勢の問題、それから第三番目に不合理な取引慣行等により過当競争が激化しておること、こういったような原因によるものと理解をいたしております。
  284. 武田一夫

    武田分科員 今その原因をお答えいただきましたが、需給の関係の中で需要が非常に落ち込んでいる大変なときに、見ていますとガソリンスタンドがかなりふえましたね。あちこちにいろいろ、正直言って隣にあってもその近くというのも現実にあるわけです。こういうふうにつくらせ過ぎてしまった。放置してきた。それに需要が非常に落ち込んできておる。こういういろいろな状況があるということですから、古い、個人でずっと長くやってきたような人が特に苦労が多いわけですね。そういうことを考えますと、こういう方々を救済するために思い切って抜本的な体質改善やら構造改善をなさなくてはいけないんじゃないか、私はこういうふうに思っているわけなんです。ずっとこの様子を見てみますと、利益はさっぱりない。粗利を見ても、五十四年からずっと五十九年の現在まで毎年落ち込んでいますな。五十六年から五十七年、ちょっとよくなったかなと思ったら、そのときリットル当たり十四円四十銭ですか、そうしたら五十九年にはがくっとまた十円台に落っこちた。それですから、平均売上高の村営業利益率など見ても、五十六年はゼロ、五十七年はマイナス〇・二%、それから五十八年はマイナス〇・六。恐らく五十九年はもっと悪いでしょう。それから給油所の状況を見ますと、全国の給油所に対する割合で、五十四年に赤字の会社が二二%程度だったのが、五十六年で五〇%近く、これだって現在はこれ以上落ちている。何一つとってもさっばり。  いろいろと努力なさっているのですが、こう考えますと、今私が申し上げましたような足腰の強い経営というものに本格的に取り組むための構造改善事業というのを徹底して行って、そして救済をしかとしていかぬと、これはえらいことになってしまうんじゃないかという気がするのですが、その対策をひとつ明示していただきたいと思うのでございます。
  285. 村田敬次郎

    村田国務大臣 まず私からお答え申し上げましょう。  揮発油販売業は国民生活にとって必要不可欠な揮発油の安定的供給を使命としておるわけでございまして、通産省としては、揮発油販売業法の適正な運用等によりその健全な発達を図っていく、揮発油の安定供給に努めているところでございます。近年における揮発油利用の伸びの停滞等の中で、揮発油販売業の安定と発展を図っていくためには構造改善を積極的に推進していくことが必要だと考えます。つきましては、通産省としては昭和五十八年に中小企業近代化促進法の特定業種に指定したところでございますが、今後とも揮発油販売業の構造改善に対し積極的な支援を行ってまいる所存でございます。また、過当競争による取引慣行の混乱にかんがみまして、昨年十一月に石油審議会の了承も得て、揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針を策定、公表したところでございますが、引き続き元売企業も含めてその定着を図ってまいる所存でございます。
  286. 武田一夫

    武田分科員 その五十八年十一月、要するに構造改善を進めるための方向性を明確にして今日まで来た。だけれども、これは五十八年だから、五十九年、一年ちょっとということで、その効果のほどはまだきちっと出てないし、どちらかというと全く変わってない。落ち込みの勢いが強いということは否定できない。この中で近代化計画をつくり、県あるいは国単位で構造改善計画をつくる、それから計算事務費の問題ですか、その計算事務の共同化、汚水処理の共同化、給油所の共同化などを中心とした構造改善事業を進めていく、これを今後実施させていくというのですが、これはうまくいっているんでしょうか。これによって小さいのが大きいのに吸収されてつぶされていくようなおそれがないものかという心配もあるわけですね。この点どうでしょうか。
  287. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 ただいま先生が仰せられたようないろいろな共同化のための事業につきまして今検討中でございまして、これがまとまるのは今月いっぱいが一応めどになっておるわけでございます。これがまとまりまして中小企業近代化計画ができまして、その後これを実行していくという段階でございまして、この効果が出てくるのは少し先になろうかと思います。
  288. 武田一夫

    武田分科員 要するに、一年有余随分検討してきた。そこのところの何というかいろいろと事情もあるのでしょうが、生活がかかっている方にとっては非常にのろい歩みでないかというそしりは免れないと思うのです。半年あるいは一カ月争うような大変厳しいときに、一年余かかってようやく検討してこれからというのはいかにも遅い。もうここまで来たので、しようがないのですが、ひとつ検討した結果を適切に的確に迅速に適用実施して、そしてそういう方々が安心して経営ができるような対応をきちっとやっていただきたい、私はこういうふうにお願いしますが、大臣どうですか。
  289. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 先生の御指摘の方向で一生懸命努力してまいりたいと思います。
  290. 武田一夫

    武田分科員 ところで、五十九年の十一月二十九日、今大臣がお話しになりました揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針というのを出された。この指針の中に、いろいろな指導を行い、必要に応じては報告を求めるということで四項目あるわけでありますが、こういうものがきちっと指導が徹底され守られ、そして営業活動あるいは経営活動が進んでいるものかどうかというチェックは十分なされているのかということなんですが、これはどうでしょうか。
  291. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 先ほど大臣からお答えし、今先生から御指摘いただきました昨年十一月の合理的な取引慣行を確立するための四つの指針でございますが、これは率直に申しまして、現在その指導の徹底を図っている段階でございます。この指針の中にありますところの事後調整の廃止とかあるいは過剰なインセンティブ供与による転籍勧誘の自粛とか、その点につきまして今元売企業を指導しているところでございます。もとよりこれは役所の指導にまつべき問題ではなくて、本来石油元売企業自身が取引の当事者としてみずから育てていくべきものと我々認識しております。しかしながら、そういう慣行を外すまで、我々としては今指導の徹底を図っている、そういう段階でございます。
  292. 武田一夫

    武田分科員 元売業者というのはどのくらいあるのですか。
  293. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 元売業者数は現在十二でございますが、七グループに今グルーブ化されております。
  294. 武田一夫

    武田分科員 十一月二十九日、ですから十二月ですな。一月、二月と、この指導徹底というのがこんなにかかるものですか。十二社、それから今後下にずっとそこを通してやっていくということなんですか。要するに、元売に徹底する、それからその元売が代理店とかいろいろありますな、そこに落としていくというやり方なんですか。時間がかかり過ぎる。そんな面倒くさいことを、どうも私は常識で考えて悠長な気がしてならぬですがね。やはりこういうものは早く徹底して、早く指導して実行に移さないと、さっきも言ったように、経営の状況というのは動いておるわけですから、これはもう少しスピードアップ、だからといっていいかげんなことではならぬ、指導は徹底しなければならない、実施はきちっとさせなくてはいけないということですから、そういう点、私の感じとしまして、もう少しスピードアップをしながら徹底するということを期待しております。ひとつよろしく。でないと、市場の混乱というのはますますこれから大変になっていくということでございまして、その地域のまとめ役の方は頭が痛いのです。長年、何年、何十年と付き合いしてきた方々が辛うじて残っている最後のとりでだというようなところが非常に多いのです。  そういうことを考えましたときに、そういう方々が消費者と直接結びついてこれまでいろいろと御苦労なさってきたわけでありますから、国がそういうような状況をもっとよく把握して、スピードをきちっと上げて徹底して、それで指導し、その状況をチェックし、いろいろと必要な報告をとりながらまた対応を重ねていくという試行錯誤がこれからどんどん出てくると思う。そういう点の御配慮をひとつ十分にお願いしたいと思うのです。大臣、その点しかとお願い申し上げます。
  295. 村田敬次郎

    村田国務大臣 委員の御要望、よく承りました。揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針等の伝達をひとつしっかり急いでやりたいと思います。
  296. 武田一夫

    武田分科員 次に、宮城県に塩釜市というのがございます。十三日からソ連の漁船が入ってくるということで注目を浴びる人口五万という都市でございます。加工業を中心とした地域でありますが、その塩釜市で昭和五十八年、全国で唯一の石油コンビナート等災害防止法に基づく防災緩衝緑地みなと公園、こういうふうに呼んでおりますが、この供用を開始しております。  この公園は、臨海の石油コンビナート基地の防災施設としての性質上、多くの防災樹林の植樹あるいは給水施設、管理棟などを設置し、その維持管理費が年間約六千万かかっております。この維持管理費に対しましては、特定財源を見込めないために全額一般財源で充当しております。維持管理費は経常的経費ということでもあり、そうでなくても今のこういう時期に、脆弱な市の財政、非常に厳しいその財政を圧迫しているのであります。そこで、こういうような全国で唯一行って、恐らくこれはその当時はほかにもそういうものをやろうということで十や二十、聞くところでは二十くらいあったんだということでございますが、それがただ一つしかやっていないというのは、財政がこんなに持ち出しが出てくるということの苦労を見てしまったものだから、ほかの地域は乗ってこないのじゃないかと私は思っているのでありますが、こういうような防災緩衝緑地帯の設置についてどういうふうにこの実態をお考えになるか、まず建設省からお聞きしたいと思うのです。
  297. 勝浦康之

    ○勝浦説明員 お答えいたします。  石油コンビナート法に基づきます緩衝緑地といいますのは、地方公共団体が、いわゆる石油コンビナートの特別防災地域におきまして災害がその周辺地域に及ぶことを防止するということで整備するわけでございます。その必要なものにつきまして計画を立て防災区域の中で整備するということでございます。
  298. 武田一夫

    武田分科員 当初何カ所こういうものに乗ってこようという話があったか、わかりますか。塩釜ただ一つではなかったはずなんですな。先に新しいものに飛びついていきますと、その後でこういうような財源の持ち出しとかいろいろな不都合があるとみんな乗ってこない。これは公害規制のときも宮城県は失敗している。宮城県はまじめなんですわ。やると、ちょっとまずいの見ると、それをやろうとした人たちはそれを見てやってこない。少しせっかちなのかもわからぬけれども、国の一つの方向性で、まじめにやろうという人たちが自治体がこういうことで苦しむようなことはやはりあっちゃいかぬと思う。  そういう意味で私は一つ聞きますが、塩釜市は、塩釜港石油基地の石油製品の取引に係る揮発油税は五十八年度約四百三十六億円、それから軽油引取税が約六億円です。これは全部属及び県に納めているんですな。当該市町村の塩釜市は一銭もちょうだいしておりません。そのために、いろいろとそういう管理等々で六千万も年間苦労しているというようなことを考えたときに、こういう税金の中の一部を還元して市に救済措置として差し上げるということは当たり前のことだと思うのですが、これはできないですか。どうでしょうか、大蔵省。そしてまた、法定外普通税の新設なんかによって財政的な措置を早急にしてもらえないものか。大蔵省また自治省も関係あると思うのですが、その点について答弁していただきたい。
  299. 秋山昌廣

    ○秋山説明員 揮発油税の問題についてお答えしたいと思います。  御案内のとおり、揮発油税につきましては、道路整備に要する財源を道路利用者の負担に求める、こういう考え方によりまして、法律によってその全額を道路財源に充当するということになっておりまして、今先生御質問の中にございましたが、道路整備という意味では地元にも還元がされているわけでございます。なお、その道路整備の現状を見ますと、例えば六十年度予算においてもそうでございますが、道路整備事業に対しましてなお多額の一般財源の繰り入れを必要とするという事情にあることを考えますと、この揮発油税の一部をさらに別の用途、御指摘のありましたような石油基地関係対策費というものに充てることは適当ではないというふうに考えております。  もう一つ付言さしていただきますと、石油貯蔵施設の立地に伴いまして消防施設ですとか今御指摘のありましたような防災緑地の整備、そういったものへの地元の財政需要が生ずるということがあると思いますが、これに対しましては既に石油税を特定財源とする石油貯蔵施設立地対策等交付金制度というものがございます。これを活用していただきたいと考えておりまして、特に新たな交付金制度等を設けるということは考えておりません。
  300. 前川尚美

    ○前川説明員 ただいまのお尋ねの件でございますけれども、軽油引取税、確かに御指摘がございましたようにこれは県税でございますから県の歳入になるわけでございますが、今揮発油税について大蔵省の方から御答弁ございましたように、軽油引取税につきましても、これは道路財源として一〇〇%道路の整備費に充てるということで昭和三十一年に創設をされた税でございまして、以後一貫してそういうことでまいっておるものでございます。また、地方道の整備状況を見てまいりますと、これも先生よく御承知いただいておりますとおり、国道に比べまして大変悪うございます。この整備が一方では大変緊急なことになっているという事情もございます。そういう意味で、この軽油引取税の趣旨、目的なりあるいは地方道の整備の緊要性ということを考えますと、やはり御指摘のような施設の維持管理等の経費に充てるということは適当ではないと考えております。  ただ、これは私のといいますか直接は府県税課の所管ではございませんけれども、自治省といたしましては、確かに御指摘いただきましたように、石油備蓄基地に関連する地元地方公共団体の財政需要が相当多額なものに上るという状況がございます。そういうことで、建設費につきましては一定の財源措置を大蔵当局とも協議の上講じているわけでございますが、その維持管理費につきましては、私ども自治省といたしましては、この石油立地交付金の用途を建設費だけではなくてその維持管理費の方にも拡大するように、毎年度毎年度、予算編成の時期に大蔵当局あるいは通産当局にも要請をさしていただいているわけでございます。目下のところ種々の事情から実現を見ないようでございますけれども、私どもの立場といたしましては、基本的にはそういった施策で対応していただく道を開いていただくことが先決ではなかろうかというふうに考えております。
  301. 武田一夫

    武田分科員 自治省、ひとつ頑張ってそういう成果を獲得してもらいたいと思います。  そうすると、そこまで当面苦労があるね。これは続きますわ。となれば、例えば塩釜港緑地と同一目的で設置されている仙台港多賀城地区緩衝緑地公園については、公害防止事業費事業者負担法によって設置されているので、これは宮城県が一切管理しているわけです。ですから、こういうような管理形態に持っていけないものかどうか。そうすれば県の方に管理をしていただいて塩釜市の負担が軽減になるという、要するにお金が来ないならそういう方向での経費負担、こういうようなことも十分検討していただけないものかどうか、これはどうでしょうか。
  302. 勝浦康之

    ○勝浦説明員 お答えいたします。  塩釜市のあのみなと公園につきましては、塩釜市が設置管理するということを前提にいたしまして整備されたものでございます。県が設置し管理する都市公園と申しますのは、二つ以上の市町村にまたがるような非常に広域的な見地から設置する規模が大きな公園でございます。したがいまして、この公園を県が設置し管理するかどうかということにつきましては地元の県並びに市が検討するということで考えておりまして、現在のところ、こういった地元のいわゆる都市公園につきましては塩釜市が管理するという体制になっておるわけでございます。
  303. 前川尚美

    ○前川説明員 自治省といたしましては、事業所管庁のあり方につきましては、今建設省の方からお答えございましたように、ひとつそちらの方で十分に御検討いただくことが、これまた先決になる問題であろうかと考えております。
  304. 武田一夫

    武田分科員 余り芳しくないのですが、通産大臣、石油所管の官庁としまして、要するに、こういう緩衝緑地帯を生命、安全を守るために相当金をかけてつくって、それで結局は管理費が財政を圧迫するなどということを考えますと、こういうのはやっていけませんね、これからほかの市町村は。ですから通産省としましても、建設、自治とよく連携をとりまして号やはり、そういうようなことで石油備蓄基地をつくらないとボイコットされたら、今はいいですよ石油は余っていますから。今はいいですが、いざそういう地域を選定するときにそういうようなことが出てきたら、絶対やりませんよ、そんなこと。それではいかぬと思うので、そういう法の整備を研究して善処をしてほしいと思うのですが、最後にひとつその点について御答弁をいただきます。
  305. 村田敬次郎

    村田国務大臣 武田分科員の御指摘、まことにごもっともと存じます。建設省あるいは自治省、大蔵省とも御相談をいたしまして、慎重に対処してまいりたいと存じます。
  306. 武田一夫

    武田分科員 まだ時間はあるようですが、おくれていますので、協力いたす意味で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  307. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、梅田勝君。
  308. 梅田勝

    梅田分科員 きょうは、通産省関係予算の中で中小企業金融の問題を中心にお伺いしたいと思っておりますが、その前に、環境庁からもおいでをいただいておりますので、通産省としても建材なんかを扱っておられますので、アスベストの問題につきまして若干お尋ねをしておきたいと思います。  環境庁は先月「アスベスト(石綿)に係る調査検討結果の概要」というものを公表されたわけでございますが、大気中にアスベストの粉じんがかなり広がっておる、これは発がん物質であるということで、かなり大きな反響を呼んでおるわけでございます。私の住んでおります京都山科の近くに建設関係に従事されております方がございまして、かねてから、防火壁、断熱材などに多く使われておりますアスベストにつきましては規制が要るのじゃないかということで要望を聞いておりました。建材の担当の方やあるいは厚生省の方にも今まで聞いてきたことがあるわけでございますが、なお規制の強化をやるということにはなっていないし、それから環境庁としても当面は規制措置は見送るということで、監視を続けるというようなことでございますが、相当量、年間二十万ないし三十万トン消費されておる。それから、これは鉱物でございますからなくならないのですね。だから、消費するといいましても、だんだん蓄積されていくという感じでございまして、昭和三十五年以降を考えましただけでも約四百五十万トン輸入されておるというように伺っておるわけでございますが、まず通産省としてはこの消費量の実態をどのように見ておられますか、お伺いしたいと思います。
  309. 篠島義明

    ○篠島政府委員 五十八年度の石綿の消費量は約二十一万トンでございまして、その主な需要先は石綿スレート等の建築材料であり、消費量の約七〇%を占めております。その消費動向でございますが、五十五年が二十七万八千トンということでございまして、今申し上げましたように五十八年はかなり落ちておりますが、五十六年、五十七年と経年的に漸減しております。  その理由といたしましては、ただいま申し上げましたように建築材料の需要が中心だということでございまして、建築投資の低迷、それから石綿を使用していない他の建築材料との競合、そういったことで需要が低迷しております。それからまた、ブレーキだとかパッキング等に用いられる石綿製品につきましては、脱石綿化等による需要の伸び悩みがございます。全般的に最近の世界における石綿に対する規制方向が出てきておることにかんがみまして、石綿の代替品をいろいろと検討しておるところが多うございます。以上のよう近状況でございまして、今後とも石綿の消費は弱含みで推移するというふうに考えております。
  310. 梅田勝

    梅田分科員 三月二日の朝日新聞に「石綿汚染、一般人の肺も」ということで「富山医科・薬科大教授 九七%の高率で検出」というショッキングな報道がなされておりますが、これによりますと、「富山、石川両県内で病気などで死亡し解剖された人たちの肺について石綿汚染度を調べたところ、二百三十五遺体のうち九七・四%の肺が石綿粉じんの汚染を受け、汚染度の高い人ほど肺がんにかかっている率が高いことがわかった。」これは解剖例でございますから非常にショッキングなニュースなわけです。そして「石綿小体は肺の中に入った石綿繊維を破壊しようとしてたんぱく質がまとわりつき、くし団子状になったもので、その数によってそれぞれの肺の石綿汚染度がわかる。」ということで状況も書かれておるわけです。さらに「また百五十一本以上の遺体については、そのほとんどが大工や左官の人で、石綿を直接扱う人で、石綿が混入した建材などを扱う人ほど石綿汚染度の高いことも判明した。」ということで、大工、左官屋さんが恐れておられるのは当然だと思うのですね。ですから、かわり得るものはないかということでいろいろ研究もされておるようでございますが、安い、熱や化学薬品等に強い、それから加工しやすい、電気絶縁性もいいというようなことになりますと、なかなかそれにかわるものがないということで、使われていくという状況がなおあるわけであります。  そういう点で、環境庁として当面はまだそれほどでないということで基準の設定なんかは見送られたということでございますけれども、諸外国では規制の動向はどういう方向になってきているのか。それから、分解、変質することのない環境蓄積性の高い物質というように書いてございますが、これは長期蓄積すると問題なんだということで、潜伐期間も非常に長いのですね。二十年、三十年ということで、そして発病しますと六カ月ぐらいで死ぬという症例がたくさんあるわけであります。そういう点で、長期的な視点で対策を立てる必要があるのじゃないか。本年度の予算でどういうような対策を講じられておるのか、伺っておきたいと思います。
  311. 片山徹

    ○片山説明員 お答えいたします。  諸外国におきますアスベストの規制状況でございますが、一九七〇年代にアスベストと肺がんとの関係が特に労働環境の場で確認されておりまして、諸外国もそういう観点から作業環境における規制の必要性ということを認識いたしまして、一九七〇年代後半に労働環境の場における規制措置を行っております。主なその規制内容としましては、アスベストの吹きつけ作業の禁止それから作業環境におけるアスベスト濃度の設定ということでございます。それからまた、国際機関でございますILOとかWHO、それからOECD等でも、アスベストにつきましては適正な管理のもとで使用すべきであるという方向で現在検討が重ねられておるわけでございます。  ただいま御指摘のございました環境庁としての対応でございますけれども、アスベストにつきましては、特に昭和五十六年度から専門家に依頼しまして種々検討をしていただいたところでございますが、その検討結果によりますと、現在の一般環境大気中のアスベスト濃度は直ちに問題ではないという御指摘でございます。しかしながら、今後未然防止という観点から、この環境大気中のアスベスト濃度の推移を把握しておくことが重要であるという御指摘がございまして、六十年度からアスベスト濃度の環境濃度の長期的なモニタリングを行うということを考えておるところでございます。それから関係省庁、地方公共団体、関係業界に対しましても、アスベストの環境大気中への排出の規制ということにつきまして配慮方を依頼したところでございます。モニタリングの内容といたしましては、全国的に私どもが五十六年度から三カ年かけましてモニタリングをしたそのところをフォローするといったようなことを考えておるところでございます。
  312. 梅田勝

    梅田分科員 今のは予算はどのくらいかかるのですか。
  313. 片山徹

    ○片山説明員 予算は約千三百万円でございます。
  314. 梅田勝

    梅田分科員 これは実際に建築現場で働いている人は本当に真っ白になるくらいかぶっているのですよ。大量被曝しますと将来アスベストのじん肺になったりするわけでございまして、だから労働環境を点検して必要な基準なんかをつくっていくことも必要だろうと思いますし、建材はなかなか代替されたものができにくいということでございますが、通産省としてきちっとこの問題は重視してやっていくということで、ちょっと大臣、御答弁いただけませんか。
  315. 篠島義明

    ○篠島政府委員 環境庁あるいは関係各省等の趣旨を十分踏まえまして、通産省として対応していきたいというふうに考えております。
  316. 梅田勝

    梅田分科員 大臣、そういう方向でよろしゅうございますね。  それでは、中小企業の金融問題につきましてお伺いしたいと思います。  現在中小企業は約六百二十三万、従業員も三千七百二十一万人ということで、我が国経済を支える土台であることは言うまでもございません。この動向いかんが働く人々の生活に大きな影響を与えることも言うまでもございません。ところが、最近は大手企業は史上最高の利益を上げていると言われておりますが、中小企業におきましては不況型の倒産が続いているということでございまして、昨年は、東京商工リサーチの調べによりますと、負債一千万円以上の倒産件数は二万八百四十一件というように報道しております。私の京都におきましても四百十五件、これは昭和五十二年の過去最高を上回る更新記録を出したわけでございます。政府の公式の統計では倒産件数はどうなっていますか。
  317. 井上正

    ○井上(正)政府委員 倒産件数の調査につきましては、先生も御案内のとおり民間の調査機関てやっておりますものが主体でございまして、政府といたしましてはそれを活用させていただいておるというのが現状でございます。
  318. 梅田勝

    梅田分科員 中小企業が一番倒産するわけでございますから、そこらあたりの把握を政府自身がやる必要があるのじゃないかと思います。さて、中小企業対策費の予算案でございますが二千百六十一億円、昨年と比べまして約百三十一億円減っているわけでございまして、一般会計の甲に占めます比重というのは、わずかに〇・四一二%にすぎない。中小企業の大きさに比べまして対応が非常に弱いんじゃないかと思う次第であります、臨調行革が言われましてから、昭和五十七年から計算をいたしますと相当減ったと思うのですが、どのくらいになりますか。
  319. 井上正

    ○井上(正)政府委員 昭和五十七年度以降の一般会計の中小企業対策費の推移について御説明させていただきますと、五十七年度が二千五百億円だったわけでございますけれども、翌五十八年度が二千四百二十七億円、五十九年度が二千二百九十二億円、さらに来年度予算案は二千百六十二億円という状況でございます。
  320. 梅田勝

    梅田分科員 順次減っておるということはもう否めない事実でございまして、そういうことになりますと、零細企業ほど経営は厳しくなってきます。そういうときに、倒産しかけた、お金借りたいというときに、一番頼りになりますのが信用保証ということになるわけでございますが、信用保険公庫への出資金は保険準備基金、融資基金合わせまして四百三十億円ということでありますが、これは五十九年度に比べて八十億円の減、率で一六%の減、これも三年前と比べますと相当減ったと思うのですね。いかがですか。
  321. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 保険公庫への出資は五十七年度六百二十五億円、五十八年度五百五十五億円、五十九年度五百十億円、来年度は御指摘のとおり四百三十億円を計上しております。
  322. 梅田勝

    梅田分科員 結局、三割ほど減ってきておるということでございますね。こうなりますと、ますます厳しくなるわけですよ。  きのう大蔵省関係分科会で聞いておりますと、同じようなことが問題になっておりまして、国民金融公庫の取り立てが非常に厳しい、極めて官僚的だということで追及もなされておりましたが、国金に対しまして出資は取りやめまして、経営が悪化しているということを理由にして赤字補給金に五十八年から切りかえておる。ことしの予算では百八十四億円ということでありますが、しかし、国民金融公庫の出資金というのは、現在二百六十億円なんですね。これは国金の自己資本、いわゆる滞貨償却引当金というものが従来はありまして、これと合わせて、最高のときには昭和五十一年に自己資本というのは七百四十七億円あったわけでございますが、これはだんだん食いつぶして現在そういうふうになっちゃったというような状況があるわけであります。  これも昨日問題になったわけでございますが、国民金融公庫の田中総裁が「こくきん」という雑誌に「以前は、政策金融機関だから、政策使命を担っているんだから、ある程度の延滞債権は中小企業を育成するためのコストだとする考えもあったかも知れませんが、現在はとてもそんな考えが通用する時代ではないんですね。普通の金融機関よりも延滞率が高く、収支が悪化する。それを国民の税金で補てんして政策費だという考えは通用しません。」こういうぐあいに述べまして、「その意味で、政策金融機関はもっと手堅く業務を運営していく必要がある。普通の金融機関以上に、気配りを厚くしていく必要がある。」ということで相当の締めつけを督励しておる。こういうことになりますと、本来の国民金融公庫の目的からしておかしいんじゃないかと思うのでありますが、これはいかがでしょうか。
  323. 藤原和人

    ○藤原説明員 国民金融公庫の融資が厳しくなったのではないかというお話でございますが、昨今の厳しい経済情勢を反映して国民公庫の融資先の中にも欠損企業や債務超過の企業もふえてまいりまして、いろいろ融資判断が難しいということは事実でございましょうが、国民公庫といたしましては、融資に当たって個々の企業の継続性とか将来性とか資金使途の妥当性など総合的に判断して、できるだけ借入申込者の要望に沿うように努力しているということでございまして、一見経営内容が悪い企業でございましても、あくまでも企業維持の可能性、返済見込み、債権保全等について検討を尽くした上で融資の可否を決定していると承知しておりまして、特にこの時点になりまして融資の態度が厳しくなったというふうには考えてないわけでございます。国民公庫につきまして、融資申込件数に対する融資実行件数の割合というのがございますが、これを見ましても、この数年大体九割というようなところで安定的に推移しているということでございます。  それから、債権管理の問題についてもお触れでございましたが、債権管理を適正に行うということは、やはり国民金融公庫も金融機関でございますので、また財政資金の運用に当たっているわけでございますから当然の責務でございますけれども、その運用に当たりましては、個別の債権の管理に当たってあくまで顧客の実態に応じて顧客が正常な形で返済できるよう貸付条件の変更を行うなど、ケース・バイ・ケースできめ細かく対応しているというふうに考えているわけでございます。もちろん国民公庫は目的からいきまして。一般の金融機関から融資を受けがたい中小企業者に融資をするということが使命でございますけれども、他方その貸付原資は国民の零細貯金である郵便貯金等に依存しておるということもあるわけでございまして、これを大切に運用するという観点から、客観的に見て返済見込みが立たない方に融資をするということはなかなか難しいとか、あるいは融資実行後の債権管理についても適正にやらなければいけないということは御理解いただけると思うわけでございますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても今後とも国民金融公庫が公庫法の精神にのっとりましてできるだけ借入申込者の要望に沿うことができるよう引き続き指導してまいりたいと考えております。
  324. 梅田勝

    梅田分科員 時間がないので答弁を簡潔にしていただきたいと思うのですが、国金は庶民金融なんですね。ところが、あなたは貸し出しの件数、いろいろ言っておられますけれども、実際に窓口に行きますと厳しい状況が起こっているのですよ。やはり資本金を減らすということになりまするとそれだけ力がなくなるわけですから、利用しにくくなることは当然なのです。例えば昭和三十年、輸出入銀行と国金の場合を比較しますと、片一方は資本金が三百四十億円であったものが今は九千六百七十三億円ということで二十八倍、国金の方はこの三十年間にわずか六十億円しかふえてないんですよ。ここらあたりに力の入れどころが違うのじゃないかということだけを申し上げておきたいと思うのです。  それで、中小企業信用保険公庫の無担保保険それから特別小口保険というものがございますが、これが昭和四十年度より行われておるわけでございます。昭和四十年というのは山一証券の取りつけ騒ぎがありまして、あのときは日銀は二百八十二億円緊急融資をした。あんな融資制度が我々にもあったらいいなということが各地で起こりまして、無担保、無保証人の融資制度というものが生まれてきたと思うんですよ、そして信用保険公庫の方に再保険ということになってきたわけでございますが、政府の政策金融の引き締めというか変化があったというように私は思うわけでございます。保証申し込みの状況を見ますと、昭和五十二年、百十四万二千九百八十四件というのをピークにして以後年々減ってきているということは、明らかに窓口で相当厳しい状況が起こってきているということの数字的なあらわれじゃないかと私は思うんです、かかる事態が起こってきたのに、昭和五十六年の九月十六日に大蔵省銀行局と中小企業庁長官の通達によりまして「中小企業信用補完制度の健全な運営について」ということで相当の審査業務の強化ということがやられてからさらに激しくなってきたのじゃないかと思うのでありますが、この点はどうなんでしょうか。
  325. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 五十六年九月十六日付で大蔵省、通産省連名で「中小企業信用補完制度の健全な運営について」という通達をしていることは御指摘のとおりでございますが、これは、最近急激にふえてまいりました信用保険の赤字対策の一環といたしまして、赤字がどんどんこの調子でふくらんでいってしまっては、この制度そのものの存在に響きかねないということで出した措置でございます。しかし、これはあくまでこの制度の趣旨に即してやっていこうということでございますから、事業経営についてまじめに努力をして将来に向かって発展の可能性のあるような中小企業者、そういう担保が乏しいという方の資金調達をふさぐような趣旨では毛頭ございません。そういう趣旨で出したものでございます。
  326. 梅田勝

    梅田分科員 実際は、上の方で締めつけをやりますと、あるいは出資なりを減らしてきますと、末端ではどういう状況が起こってくるかというと、例えば、京都の信用保証協会ですけれども、こういうパンフレット、案内を出して、その冒頭に「信用保証協会武事業経営者で信用のあるかたを保証する公共的な機関です。」ということで、大体もともと信用のない人が信用保証協会でお世話になって庶民金融としての公庫を利用するということでしょう。ところが逆になっているんですね。それから、やはり全国信用保険公庫の機関誌に載ったわけでありますが、「難問山積の信用補完制度をどう考えるか」という座談会の中で、「もう信用のない方まで果たして今の信用保証でカバーし得るのか、そういう時代ではないんだ。あくまでも信用がありながら、融資の道を閉ざされている方に」云々ということになってきて、今あなたがおっしゃるようなことになるわけですけれども、そして実際の手続におきましても、昭和五十八年十一月一日の改正が行われまして、従来だったら「保証審査における金融機関の意見聴取」は「必要に応じ」というものが、今回は「すべてについて金融機関意見書を徴求する」徴収の強権的な意味が入って、求めるということになってくる。これは保証協会の理事長にも聞いたのだけれども、これはおかしい、銀行が保証協会に保証するというのはあべこべじゃないか、何のための保証協会だということであいた口がふさがらない感じが私はしたのです。こういうことになりますと本当に大変なわけで、私は、そういう点で国の出資をもっとふやすべきではないかということですね。  それから、地方の保証協会が仕事をやりやすくするために融資基金の貸し付けが行われているわけでありますが、その利率が、昭和三十三年の七月当時は二・五%であったものがだんだんと変化して、現在では三・二五ないし六・七五というように変わってきているんですね。貸付残高十億円を超えないものについては二・五、そこから始まって、ずっと段階別にありましてあれする。しかし、京都だとか東京、大阪、大府県、これは協会も大きいし業者の数も多いわけですよ。当然貸し付けの全体のあれは大きいということになるわけでしょう。それをこのように段階的にすると、ちょっとやりにくくなるんじゃないですか。その改善策はどうですか。
  327. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 非常にたくさんのことを御指摘なさったわけですが、まず、京都で信用のある方にしか貸さないようなパンフレットが出ているけれども、締めつけの結果ではないかというお話ですが、中小企業庁でこの制度を言いますときには、担保力や信用力などが不足するために中小企業の方が資金を金融機関から借りることが困難な場合に御利用くださいと私ども言っております。ですから、京都のパンフレットを見まして、信用のある方にお貸ししますと読んだときに、私自身も確かにおやっという感じを持ったことは事実でございますが、これは五十五年度からこういう表現を使ってパンフレットをつくってPRしているということでございまして、通達の前でございます。全く無関係で、理由はなぜかといいますと、信用がなくて信用保証協会に駆け込んだというふうに見られるのが嫌だという方が多いのでこういうふうにしたというのが京都の説明でございます。ですから、これはちょっと先生の誤解ではないかと思いますが、引き続きよく事情を聞いてみますけれども、そこはそういうことでございます。  それから次に、出資を引き続きふやすべきだということでございますけれども、出資は赤字が出たときに取り崩して埋めるというのが機能の半分でございますけれども、これについては、急に赤字が生じて埋められないというようなことにはならないだけのお金は確保してございます。  それから、融資基金の方の金利でございますが、これは御指摘のように五十九年度から区分を変えたことは事実でございまして、方式が変わっておりますから、少し時間がたって結果を見ませんと、どこで上がるかどうかはわかりません。どの程度上がるかわかりませんが、若干上がる可能性はトータルとしてございますが、これも制度全体が年々三百億ぐらいの非常に赤字が続いている状況でございますので、必要最小限の措置を講じたというふうに御理解いただきたいと思います。
  328. 梅田勝

    梅田分科員 残念ながら時間が参りましたので、これ以上の話はできないわけでありますが、京都は今自民党府政になっているのですよ。だから、もう一番きついことを今やっているわけです。だから、国が方針をちょっと変えてくると、下に行くともうハレーションが大きいわけです。そういう点で、出資を減らしたり中小企業対策の全体の予算を減らしてくるとこういうことになって、せっかく企業努力をしてやっていこうという業者が倒産するということになるわけでございますから、特別の小口保険の融資制度なんかは一番担保能力のない方々が利用されるわけでございますので、ひとつ今後格段の御配慮をしていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  329. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて梅田勝君の質疑は終了いたしました。  次に、元信堯君
  330. 元信堯

    元信分科員 私は、ワシントン条約につきまして、管理当局であります通産省、科学当局でございますところの環境庁あるいは水産庁にきょうお越しをいただきまして質問するわけでございます。  ワシントン条約は、一九八〇年に我が国批准をいたしまして、既に四年が経過をしているわけでございます。ただ、批准に際しまして、我が国は特別の立法を行うことなく既存の法律のいわば手直しでもって対応してきたために、条約批准の実効に乏しいのではないかという批判が国際的に行われているところでございます。昨年十月には世界野生生物基金の総裁であるイギリスのエジンバラ公フィリップ殿下がわざわざ日本においでになりまして、中曽根首相に特段の申し入れがあった。首相も大変恥ずかしいことだと言って関係省庁に対策を協議させる旨お約束になった、こんなふうに承知をしておるところでございます。本年の四月にはブエノスアイレスにおきまして第五回の締約国会議が開催されることになっておりまして、我が国はこの間の厳しい国際批判に対応してこの第五回締約国会議に改善策を持っていかねばならぬ、こういう立場にあろうかと思うわけでございますが、政府はこの間、ワシントン条約を実効あらしめるためにどういう対策を考えてこられたのか、このことを中心に質問したいというふうに思うわけでございます。時間の制約もございますので、以下私が幾つかの点を申し上げますので、それに沿って簡潔な御答弁をいただきますようにお願いしたいと思います。  まず第一は、税関における検査機能の強化ということでございます。  御案内のとおり、ワシントン条約がカバーする生物の種は動植物約一千種に及ぶ膨大なものでございまして、しかも、それは丸ごと生きておる個体ばかりではなくて、象牙でありますとかライオンのつめであるとかというような部品といいますか部分、甚だしきはクマの手のひらなんというものまで輸入をされているわけでありまして、これを見分けて、クマの手のひらといってもクマもいろいろあるわけでありますから、これは何であるかという固定をするのはかなり大変な作業でございます。ところが、今我が国輸入港、百二十七と承知をしておりますが、輸入港にこれらの固定のための図鑑がさしあたり必要になるわけでございますが、備えつけられておるのが甚だ貧弱である、エジンバラ公もこれじゃだめだということで、ワシントン条約事務局、CITESが発行した図鑑の見本をわざわざ一部置いて、こういうのでやってはどうかということまで言われたというふうに聞いておるわけでございます。「アイデンティフィケーション・マニュアル」、こういうのだそうでございますが、これを各輸入港に備えるなど体制を強化する必要があると思うのです。この点についてどういうふうにお考えになっておるか。それから、単に図鑑があっても、これを使いこなす能力のある専門的な職員がおりませんと、せっかくの図鑑もその効果を発揮することができません。この職員の研修ということもやかましく言われているわけでございますが、この点についてどういう対策をお持ちになっているか。  それから、図鑑と研修によって動植物の種がわかって、これはワシントン条約関係あり、なしということがわかったとしても、その次についてくる書類の問題があるわけであります。各国多様な書類を持っておりまして、それを見分けるのはなかなか大変な作業だそうでございます。さしあたりの対策としては、それのサンプルを備えつけて、それで照合するというのがとりあえず有効な手段であるにもかかわらず、今日十分でないというふうに聞いております。この点の対策をどういうふうにお考えか。さらにまた、疑わしい点があれば相手国に照会するということが重要になってこようかと思いますが、その点についてどういう対策をお持ちか。とりあえず、税関の機能の強化という点についてお答えいただきたいと思います。
  331. 村岡茂生

    村岡政府委員 ワシントン条約昭和五十五年に批准いたしました。この条約は、主として波打ち際におきましていろいろ規制をいたしまして、もって野生動植物保護に資そう、こういう運用をしておるわけでございます。  御指摘のまず第一点の図鑑の作成でございます。この税関におきますチェックというのが非常に重要な役割を持っておりますことにかんがみまして、私ども通産省動植物図鑑というのを作成して税関にお配りしておるわけでございますが、その内容は、もちろん写真を付すると同時に、生息地域、類似する他の製品との識別方法、加工品の場合の主な用途等について図鑑を作成してお配りしておるわけでございます。フィリップ殿下が置いていかれたCITES事務局の図鑑というのがございますけれども、実はワシントン条約におきまして八百五十一種の野生動植物規制しておるわけでございますが、残念ながらCITES事務局の図鑑というのも、そのうち二百八十種までしか現状では記載されておりません。これは非常に多種多様の動植物があって、識別がなかなか困難だということになろうかと思います。私どもが現在お配りしておるのが百五十一種でございまして、明年中には三百種程度にふやしたい、いろいろ学者先生にお願いしたりしてかなり苦労しておるところでございます。  第二点の税関職員に対する研修、大蔵省当局が大変意を用いていただきまして、職員の研修を毎年かなりの数実行しております。動物園、植物園等へ見学に出かけるというようなことまでやっていただいておるわけでございますが、私ども通産省といたしましても、その研修会に講師を派遣する等応分の協力をさせていただいております。  第三点でございますが、輸出許可書、これは各国まちまちになっておりまして、その真贋を見分けるというのが容易でないという局面がございますので、各国の様式というものをサンプルとして各税関に今月中にお配りするということになっております。  第四点、しかしながら、それでも正式の許可書の様式を使って署名だけが間違っておるをいうような真贋のチェックをする必要があります。この世の中では割合とその手の偽造の輸出許可書等が横行しておるという実態もございまして、私ども、特に附属書Ⅰに掲げられました絶滅に瀕している動植物に関しましては特段の意を用いまして、必要があると認められますときは外交ルートでこれをチェックするというようなことをさせていただいておるところでございます。
  332. 元信堯

    元信分科員 時間がありませんから余り詳しいことを言っている余裕がないのですが、図鑑についてだけもう一遍触れておきたいと思います。  これがクマに関する通産省が出しておられる図鑑で、一葉でおさまってしまうのですね。こちらがCITESが発行しております「アイデンティフィケーション・マニュアル」のちょうどクマのところを持ってきたわけでございますが、クマだけで二十ページぐらいあるわけです。こっちはクマの写真が二葉出ておりますが、クマのつめの形から手のひらから実に詳細にわたったものでございます。通産省で努力をされておるのはわかりますけれども、せっかくこういうものがあるわけでございますから、そう言っては申しわけないが、これを翻訳すれば、さしあたり通産省でお配りになっているものよりは詳しいマニュアルになるのではないかと思うのですね。翻訳するのが大変だとか、いろいろおっしゃるんだろうと思いますけれども、せっかくあるものですから、ぜひCITESの図鑑も活用して、今出しておられるものに余りこだわらずに充実させていただきたい、こう思います。  それから次に、原産地証明の問題について伺いたいと思います。  我が国輸入される場合、附属Ⅱ表の標本輸入については、我が国は従来、輸出許可書と並んで原産地証明がついていればこれを許可するという方針をとっておりました。これは国際的に評判の悪いやり方でございまして、とかく原産地証明のオーソリティーなるものが疑わしい場合が多いわけでございます。したがって、この原産地証明をやめてくれ、特にアフリカゾウの象牙なんかについては、相手国が輸出してないと言っているものが原産地証明でじゃんじゃん入ってきていて、しかもそれが今度は我が国輸出証明書がついて第三国に流れて、日本が密輸の基地になっているというような事実も指摘されているわけであります。これに対する要望は国際的にも非常に強いかと思いますが、どういう方針でございましょうか。
  333. 村岡茂生

    村岡政府委員 先生指摘の第一点、CITESのマニュアルを十分活用せよという御意見、私どももそのようにしたいと思います。ただ、御案内のとおり税関というのは非常にたくさんございますし、そこの職員はなかなか専門家にはなり切れないという事情もございます。そこで、現在採用しておりますのは、まず、非常に簡単なマニュアルではございますが、これを十分よく読んでいただいて、明確な点ははっきりアウトだとかセーフとかいう判定ができるようにしているわけでございます。不明の場合は直ちに通産省あるいは環境庁、科学当局等に照会をしていただいて、それらの部署で十分速やかに答える、判別の非常に難しい点はそのような体制にしているということもあわせて御考慮いただきたいと思います。  御指摘の第二点の原産地証明書の制度でございますが、この点につきましては、私ども今までかなり不十分な運用をしていたということはまことに遺憾に存ずるわけでございます。条約の加盟当初におきましては、輸出国側におきます輸出許可書の発給体制が必ずしも十分ではないというような事情があったと思いますが、日本が加盟した後五年もそのまま放置しておくというのはいかがかと私も存ずる次第でございます。この点に関しましては、輸出許可書がなければ輸入させない、これは再輸出許可書等も含めますが、そういう運用に直したい、そのための法令の公示を来週早々にも行う予定になっております。
  334. 元信堯

    元信分科員 前段のマニュアルの問題で、余りにも税関が多過ぎてそんな詳しいものをみんな配っても活用できぬじゃないか、当然そういうことになろうかと思います。そこで、税関を制限した方がいいんじゃないか。つまり、輸入港を日本じゅうのどこの港からでも、極端な例を言うと、小笠原の港からでも奄美の名瀬からもどんどん輸入ができるということになりますと、そういう極めて規模の小さい税関に専門職員を配置するということは事実上不可能でございますから、野生動植物輸入はそういうものが集中的に行われるような幾つかの税関に限るようにした方がいいんじゃないかという意見があるわけでございます。これは、例えば仮にそこでワシントン条約でひっかかって輸入できないというような動植物があった場合、一時的にこれを留置しなければなりません。留置する施設も結局ないということですから、例えば魚なんかは困ってしまうわけで、すぐ近所の水族館に取りにきてもらってなんということになったり、それに絡む不祥事もあるやに聞いておりますけれども、施設の面からいっても職員の能力の面からいっても制限した方がいいのじゃないか。事実、アメリカなんかはかなり制限をしているように聞いておりますが、我が国輸入港の制限ということをするお考えがあるか、このことについて承りたいと思います。
  335. 村岡茂生

    村岡政府委員 実は、ワシントン条約の運用に関しまして、これを改善する方途を検討すべく、昨年の十月にワシントン条約関係省庁連絡会議というものを設けた次第でございます。そこの局長レベルの会議におきまして、輸入港の制限につきましてもひとつ検討課題にしようということで、現在、大蔵省におきまして、その法制面を含めていろいろ検討が進められております。伺うところによりますと法制的な面で若干難問があるようでございまして、現時点では検討中というお答えを申し上げたいと思います。
  336. 剣持宣揚

    ○剣持説明員 輸入港の制限の問題につきまして、大蔵省の方から御説明させていただきます。  ワシントン条約規制対象動植物に関しまして輸入港を絞り込むことにつきましては、絞り込んだ税関官署において専門の職員を配置し、関係省庁との連絡を密接に行うこと等によりまして、税関におけるチェックの面からも、またその迅速な通関という面からも大きなメリットがあるのではないか、かように私どもは考えております。したがいまして、税関当局としましては、条約の中にもこれを認める規定があること、また先生指摘のように、アメリカ等も既にこういうことを実施していること等から、先ほど局長からも御説明がありましたように、関係省庁連絡会議一つのテーマとしまして、通関チェック体制の強化の一環ということで、絞り込みの可能性につき検討しておるわけでございます。現在のところ、四月の締約国会議というタイムスケジュールを念頭に置きつつ、なるべく早く結論を出したいということで作業を進めておる、そういう状態でございます。
  337. 元信堯

    元信分科員 次に、この条約を実効あらしめるために、密輸対策ということについて伺いたいと思います。先ほど波打ち際対策ということをおっしゃったわけでございますが、波打ち際に必ずしもなっておらぬという状況があるのは御存じだろうというふうに思います。例えば、ある調査によりますと、附属Ⅰ表に入れられております魚でアロワナ、グリーンアロワナ、アジアアロワナでございますか、そういう魚がおりますが、現時点で我が国に流通しているのが無慮三千匹だという調査の結果もございますし、この東京都内でもごく普通に見られるものでございます。熱帯魚屋へ行ってみられるとわかりますが、どこにもおります。これは何だと聞くと、これは密輸品だから高いよ、こういうことをしゃあしゃあと言っておるわけでございまして、法律が犯されているのが常態になっているというのはまことに遺憾なことだというふうに思います。  そこで、幾つかの点について伺いたいわけですが、一つは、現在の法制下では、密輸を試みた者がいる、これが税関で摘発されるということになりますと、それは任意放棄だけで処罰の規定がないのです。虚偽申告などもありますけれども、ごく軽い処罰でございまして、通ってしまえばそれによって得られる利益は非常に大きいものがありますから、罰則がないと、職業的にそれをやっている者については何回かに一回うまくいけばそれで十分元が取れるということになりますから、どうしてもこの処罰の規定が要るのではないかということが第一点であります。  次に、もう一点としては、今申しましたように、国内ではごく普通に密輸されたものが取引をされているというありさまでありまして、少なくとも生きた個体などについては国内の流通を禁止すべきではないか、あるいは規制すべきではないかというふうに思うわけです。密輸は税関では確かにちょっと危ないけれども、通ってしまえばそれが大手を振って流通をする、今こういう実態にあるわけでございますから、この国内取引規制ということについて手を打つべき段階に来ているのではないかというふうに思います。この点についてお考えを伺いたいと思います。
  338. 村岡茂生

    村岡政府委員 まず第一に、密輸等違反者に対して罰則を科すべきだという御意見でございます。御存じのとおり、外為法で輸出入規制をしておるところでございますが、御指摘のような密輸者に対しましては外為法上の罰則がかかるということになっております。懲役三年もしくは百万円以下の罰金ということになっておるわけでございます。したがいまして、意図的、組織的な密輸につきましては十分対応できるというぐあいに私ども考えております。  第二点の国内流通の規制の問題でございます。これは大変難しい問題でございますが、まず条約上の義務としては、輸出入規制を十分に行えばこの義務を果たしているということになるかと存じますけれども、先ほど申しましたワシントン条約関係省庁連絡会議におきまして、中長期的課題といたしまして、国内法制のあり方について検討をすることになっております。しかし、私どもは、何よりもまず水際におきまして完全な規制をすることが最も重要と考えておりまして、この辺に鋭意勢力を注いでおるところでございます。
  339. 元信堯

    元信分科員 時間の関係で議論はきょうはできませんので、次々に申し上げていきたいと思います。  今言いました密輸が税関で発覚しますと、任意放棄ということに今ほとんどなりますね。任意放棄した後、本当は原産国へ送り返さなければいかぬわけですが、これにも費用がかかる。あるいはこれを原産国が受け取らないといった場合には、これは我が国で、特に生きている標本については保護しなければならぬ、こういう義務があるわけでございます。ところが、この保護する施設というものが実はございません。ですから、今のところ動物ですと動物園、魚ですと水族館、こういう手近のところへ押しつけてしまうわけですが、所有権そのものは国の所有権のままで管理だけを頼むことになりますし、動物園とか水族館はほとんど自治体経営でございますから、地方自治体の負担において言うならば国の行政のしりぬぐいをしている、こういうことになろうかと思います。  これについてはいろいろな角度から問題がございます。事実、自治体などからも、こういう不合理なことはやめてくれという声も上がっているやに聞いておるわけでございますが、この点について一番いいのは、密輸者にその費用を負担させるということですね。さっきの密輸の処罰の問題にもありましたけれども、実際には非常に処罰がされにくいという状況にあるわけですから、ほとんど罰金も取れない。本来なら送り返すなり飼うなりの費用はその者に負担させるということでなくてはいかぬと思うのですが、国としてはその点とういうふうにお考えなんでしょうか。
  340. 村岡茂生

    村岡政府委員 まず、任意放棄された動植物の処理の問題につきまして、第一に最も望ましいケースは輸出国へ送り返すことかと存じております。この点は条約上でも規定がございまして、とにかく輸出国の意思を確認するということになっております。条約上、第二に、輸出国が送り返してほしいということになりました場合は、輸出国の負担において送り返すというような規定になっております。それから第三点、輸出国が要らないというときにどうするか。おっしゃるように、動物園あるいは水族館等にお願いいたしまして寄託しているわけでございますが、このとき私どもは、日本動物園水族館協会という団体がございまして、そこにいろいろお願いいたしまして、その傘下の個別の動物園等に好意的に寄託していただいている、こういう状況にございます。大体私どもの理解によりますと、各動物園は、まあ若干不満足でもしようがないやというところと、喜んでお受けするところと二種類あるのではないかと理解しております。
  341. 元信堯

    元信分科員 預けている方がそんなことを言ってはぐあいが悪いと思うのですね。私どもは預けられている方から、決してそんなことはありませんというふうに聞かされているわけでございます。あなたたちは国の立場ですから、これを下げてとらせるぞと言えば、ははあと言って預かったとしても、実際にはこういう動物はえさなんかもかなり厄介なえさを食いますし、それから例えば猿なんかでも、珍しい猿は喜んで引き取る、そこにもちょっと問題はあるわけですが、珍しくもない猿を押しつけられる。ところが、猿というのはああいう動物ですから、今まで社会秩序が安定しているところへまた新しい猿を入れると大変なことになるというようなこともありまして、別のおりをつくらねばならぬ。そういう費用の負担が大変ですし、現実に自治体の監査の中でも、所有権がないものについて膨大なえさ代を払っているのはおかしいじゃないかという指摘がされているケースもあるわけです。ですから、下げてとらせたところみんな喜んでおるようであるというようなことではいかぬのであって、これは事の性質は国の行政にかかわる費用ですから、やはり国が措置をする、これが原則でしょう。その原則に沿ってぜひ処理していただきたいと思うのです。相手が喜んでおるとか喜んでおらぬとかというのとは全然レベルの違う問題ですから、そこのところをひとつお間違いのないようにお願いしたいと思います。  それから、時間ですから最後になるかと思いますが、我が国は締約国の中でも留保といいますか、種については我が国条約に加盟してないのと同じ扱いになる種類が際立って多いわけでございます。したがいまして、この点についても批判の強いところでございまして、努力をするということが国会でも答弁されておりますし、外国に対してもそういうふうに言われておるわけですから、最近の努力の現状について御報告をいただきますとともに、最後に、ひとつこれは大臣から御答弁をいただきたいと思うわけですが、今言いましたようないろいろな問題が種々出てきておりますのは、我が国ワシントン条約批准に当たって、そのためのアメリカレーシー法でしたかに見合うような立法をしなければいけなかったんじゃないか。それがないために対応が個々ばらばらになってうまくいかないというふうに私ども理解をしておりますし、立法について前向きに検討する時期に来ているんじゃないかと思いますので、今日のワシントン条約が甚だ実効のない事態になっておるという状況を踏まえて、大臣の御決意を承って終わりたいと思います、
  342. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ワシントン条約に関連をいたします元信委員の御質問、拝聴いたしました。これは委員自身が御指摘ありましたように、昨年英国エジンバラ公フィリップ殿下が日本においでになりまして、中曽根総理、そしてまた今委員長をしていらっしゃる当時の小此木通産大臣にお目にかかられて、その結果、閣議にかけられていろいろ所要の措置がとられたわけでありますが、ワシントン条約の施行のために特別立法が必要か否かについては、ワシントン条約関係省庁連絡会議の場において、中長期的な検討課題の一つとされているところでございます。したがって、その結果を待ちたいと思います。また通産省といたしましては、輸出入規制を目的とするワシントン条約の履行の確保を図るために、外国為替及び外国貿易管理法を活用いたしまして、先ほど来お話の出ております、まず水際規制を十分に行うことが重要である、こういうふうに考えているところでございます。
  343. 村岡茂生

    村岡政府委員 先生指摘の留保品目削減に関する努力の点でございますけれども、現在日本は十四種にわたりまして留保しておるわけでございますが、このうち、養殖が可能なものについては鋭意養殖をやろうじゃないかということで、タイマイ、アオウミガメ、ヒメウミガメ、ワニ等各種の野性動植物について養殖のフィージビリティースタディーを行っております。このうちワニにつきまして、フィリピンでややめどが立ってきた。でき得ればなるべく近い将来、本格的な養殖事業にこれを持っていきたいと私どもは念願しておる次第でございます。
  344. 元信堯

    元信分科員 我が国ワシントン条約の履行の状況というものは先ほど私が申し上げたとおりでございまして、かなりしり抜けになっている。幾ら波打ち際でと言って力み返っても、実際は波打ち際をずるずる通ってきているというのが現状でございます。きょうは関係各省庁においでいただきましてそういう指摘がされているところでございますから、どうぞ現実をまずよくごらんになりまして、その上で、なお連絡会議の結果を見てということでございますけれども、私は単独立法の時期に来ているというふうに思います。ぜひ前向きに御検討いただきますように申し上げまして、終わりたいと思います。
  345. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて元信堯君質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  346. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 私、きょうは、北陸繊維産地の不況問題対策とそれから中核工業団地問題について二、三質問いたしていきます。  まず第一に、いろいろな繊維がありますが、その中で長繊維、合成繊維の産地としては、日本の繊維産地の中で北陸産地が大部分を占めている、輸出も大きな割合を占めているという意味で、合化繊の産地としては日本第一、言うならば世界第一の産地であると思いますが、非常に長い間深刻な不況に見舞われておりました。その中で何とか構造不況を乗り切りたいということで、産地もまた政府の方もいろいろと努力をしていただきました。今見てみますと、何といっても中近東とアメリカへの繊維製品の輸出がなかなか伸びなくなったということが一つと、それから天然繊維の嗜好が全般に非常に高まってきた、そういう中で内需もなかなか伸びないということで、大変深刻な不況にあったと思います。     〔主査退席、工藤(巖)主査代理着席〕  そこで産地は、一つには自主操短をやって二、三割操短に随分と努力をしてきましたが、それだけではなかなか状況は変わらない。こういう点から在庫凍結を政策的にも取り上げ、通産の方でもいろいろと努力をいただいて、一月から三月に在庫凍結がかなり進んでいる。例えば北陸産地では、御存じのとおりですが、二百六十五件で約七十八億ほどの在庫凍結が行われて、これで谷底はちょっととまったとは思われるのですが、しかし加工賃が上昇していくとか、本当の意味のそういう状況にはなかなかなってない。落ち込みが一応とまったとは言えますが、若干上乗せがあってもなかなか進んでない状況にあります。そこで、北陸産地の共同廃棄は、五十二年が五千二百六十三台でありましたが、今度の場合はことし六十年だけで約六千台、三年間になりますと一万台を超えるんじゃないかと思われます。こういう努力に今産地は相当真剣に本格的に取り組んでいる実態にあると思います。そこで、どうしてもこれは産地と大手の商社それから原糸メーカー、この三つがともに分担といいますか協力をし合ってやらないと、こういう深刻な不況は越えていけないのではないかと思います。この点について三者の協力は非常に大事と思いますが、大臣、いかがお考えでございますか、お伺いしたいと思います。
  347. 村田敬次郎

    村田国務大臣 辻委員にお答え申し上げます。  今回の北陸における合繊不況の主因は需給バランスの失調にあると考えられますが、ことしの一月以降、織物産地と合繊メーカー、商社の双方で需給バランスの回復を目指しまして、今委員が御指摘になりましたように在庫の凍結、原糸及び織物の減産といった自主的な対応がとられているところでございます。通産省としても、そのような取り組みが実効あるものとなるよう必要な協力、指導を行っておりまして、また特に合繊織機につきましては、今お話がございましたように、転廃業者を対象とした設備共同廃棄事業を昭和六十年度から実施すべく、現在手続を進めておるところでございます。
  348. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 今の大臣答弁の要旨は大変わかりますが、私が一つお尋ねしたいのは、産地と商社、メーカー等がそれぞれ力を合わせて協力しないと実効が上げられないと思いますが、この点どうでしょうか。
  349. 村田敬次郎

    村田国務大臣 この北陸の状況につきましては、大手商社そしてまたその下請の関係等いろいろあると思うわけでございまして、まさに辻委員御指摘のように、産地、商社、メーカーの協力が不可欠だと承知をしております。
  350. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 そこで、この三者が協力をして不況を克服をしていく、そのためにはやはり何といっても過剰生産というものが抑えられなければいかぬと思うのです。この数字を見ると、営業倉庫あるいは染色倉庫等の在庫は余り減ってないように思えるのですが、それは一体どういう状況なのか。それからもう一つは、通産省の原糸メーカーのガイドラインがありますが、糸生産の指標、これもガイドライン以下というよりもむしろそれを超えているように聞きますが、この実態はどうでしょうか。
  351. 篠島義明

    ○篠島政府委員 合繊在庫でございますが、御承知のように今凍結を実施しておりまして、三カ月で百二十一万匹ですか、これが一応在庫になっておるということでございます。先生指摘になっているのは、恐らく機屋あるいは染色に、そういったものを別にして考えられているよりもより多い在庫があるのではないかという御質問かと思いますが、そういう意味では、産地あるいは合繊メーカー、商社の方でも、在庫について期待以上に減らないで少したまっているところも一部あるかな、こういうような話も出ております。しかしながら、この実態については必ずしも明確になっておりません。     〔工藤(巖)主査代理退席、主査着席〕  それから、合繊メーカーの糸の生産につきましては、合繊の需要見通しということを四半期ごとに我々まとめて発表しておりまして、合繊メーカーが自主的に良識を持って合繊の需給の安定を維持するように対応するということで、五十三年以来ずっと続けてきております。我々、その合繊メーカーからの実績の数字等報告を受けておりますが、この一-三月については、実態との関係からいえば、北陸産地に投入する糸の量についてはかなり思い切った減産になる数字を出したわけでございまして、それなりの効果はあったかと思いますが、先ほど申し上げましたように、いろいろなやや心配するようなうわさも一部出ておりますので、我々としては、そういった在庫の実態、合繊メーカーの糸を生産しておる実績それから北陸産地への投入量、さらには四―六の需要見通しをどういうふうに決めていくか、ここら辺については慎重に対応していきたいというふうに考えております。
  352. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 報告された数字等が減産の方向であるとしましても、糸を持つ方は皆系列下の機屋といいますか会社がありますから、その系列の方に糸を回しておるとかあるいは大手の商社を通して発注するとか、こういうふうにしてメーカーが発注をしていきますと、産地の方ではせっかく自主操短をやり減産をしても、片方でシェアを確保するためにこういう形でメーカーの方が出てくると、その効果がなかなか上がらない面があるんじゃないか。そういうのがいろいろ努力しながら在庫が減らない一因でなかろうか、こう思われます。そういう点で、この原糸についての通産のガイドラインをよく守るような指導がさらに必要じゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  353. 篠島義明

    ○篠島政府委員 需要見通し方式と言っておりますが、この運用について、合繊メーカーに対して個別に強力な行政指導をやるということは問題もあろうかと思います。しかしながら、去年の秋ぐらいからの需給がやや失調を来しておる、あるいは輸出価格を中心に織物価格が非常に下がっておるという状況で、合繊メーカーに対しては政府としても、需給回復のためあるいはリーズナブルな価格へ持っていくために、それなりの自主的な良識ある対応というものを強く要請してきておりまして、メーカーの糸の生産をある程度抑えることについては引き続き従来同様の行政指導をやっていきたいと思っております。一方、産地の方でも自主操短の実態について、中でもそのやり方についてこれでいいのかというような反省、不満もいろいろあるわけでございまして、非常に重要な時期でございますので、何とか円満に両方協力し合いながらこの事態を克服できるよう、我々としても、事態を慎重に見ながらいろいろ行政指導も適切に行っていきたいというふうに考えております。
  354. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 これは先ほどのとおり産地もメーカーもみんな力を合わせないとできないわけですから、産地の方もなおひとつ努力をしてもらうようにしなくてはなりませんし、メーカーの方にもなおひとつ通産の可能な指導といいますか働きかけをやっていただきたいと思います。  そこで、この過剰生産を回避をしていくために一つの問題は、革新織機の導入の仕方といいますか、これが今非常に問題があるように思われます。というのは、これは局長は御専門でありまして御存じのとおりですが、革新織機で今ウオータージェットがはやっている。これは古い織機との換算率が二・八台に革新織機一台となっている。ところが革新織機の回転数が、もう四百回から六百回、八百回というように非常にスピードが上がっているというか能率が高くなってきている。そんな点で平均して五倍ぐらいの生産能力を持ってあろう、こう言われるのですが、そうしますと、二・八台で一台の革新織機と換算をしたときに、あと二・二台分が実はその生産力としては余計に残ってくる。だから、スクラップ・アンド・ビルドをやっても、残る生産力の方が大きくなって過剰生産がなかなか変わっていかない、変えられない、こういう問題がありますが、この換算率は改善の必要があるのかないのか、この点はどうでしょう。
  355. 篠島義明

    ○篠島政府委員 今の換算比率を、実態と比べてやや低過ぎるので高くしろという声も一部に非常に強くなっています。革新織機による、ウオータージェットルームによる生産実績等を見た場合に、そういう要素というものは確かにあるかと思います。ただ、この問題について考える場合に、単純に現在の実態そのままの換算比率を採用することについて、簡単になかなか割り切れない面があるわけでございます。御承知のように、従来からこの換算比率で極めて多数のウオータージェットルームが既に入っておるということで、過去入ったものとこれから入るものとのバランス問題が一つあります。それから登録制そのものが、いわゆる換算比率というのは登録制を前提として出てくる数字でございますが、登録制について、これはもう既に織工審の五十一年の答申あるいは一昨年十月にまとまったビジョンを議論する過程において、登録制をいつまでも存続すべきでないという声も非常に強く出ておりまして、そういう点からいいますと、過去とのバランス、それからそういった登録制を今後どう運用するかということとの兼ね合いで、今の換算率を上げるかどうかという問題は非常に慎重に扱わねばならない問題であるというふうに考えております。
  356. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 これは確かに、また変えちゃ困るという意見もあってなかなか難しいところだと思いますが、しかし、実態では過剰生産はこの傾向だとなかなか抑えられないと思いますので、さらにひとつこれは検討してもらいたいと思います。  そこでもう一つは、織機の種類がいろいろありますが、例えば毛織物は毛織機で織るし、綿は綿織機で織る、ところが合繊はどの織機でも織れる、こういう点がありますね。これはいろいろな歴史と経緯があってこういうように落ちついておるのだと私は思いますが、しかしいま一つの問題点は、せっかく産地でスクラップ・アンド・ビルドで共同廃棄あるいはさらに完全な共同廃棄をやる、こういう努力をしても、産地外からその綿やもの織機が三万とか五万という権利金で売られるのか買われるのか、これは両方、売る者がなければ買う者はないし、買う者がなければ売る者はないという関係はありますが、実態としては、ほかの産地から例えば合繊産地に流れ込んでくる。それでもって五万程度の権利金で手に入れた、売られたか買ったか、その織機をまた二・八で革新織機、ウオータージェットに切りかえる。こういうことが起こると、せっかく産地間で努力をしてみてもなかなか過剰生産は解決しない、こういう矛盾があるのです。これに対しての対策はやはり必要ではないかと思いますが、これはいかがでしょう。
  357. 篠島義明

    ○篠島政府委員 御指摘の点につきましては、従来、北陸の石川、福井産地で県外からの織機の流入を抑える自主カルテルをやっておった時期がございますが、御承知のような経緯で廃止しております。そういう趣旨からいいまして、今の時点でウオータージェットルームの増設がいろいろ問題になっておりまして、それを少しでも抑えるために、またこうした県外からの、事実上県外からになるわけですが、織機を抑えるための何らかの措置を考えたらどうかという議論も確かに出てきておりますが、もしこれをやるとすれば、やはり業界の自主的なカルテルによるということが前提になるわけでございまして、業界、産地福井、石川、それぞれそういう方向でまとまるかどうか非常に我々としては疑問だ、こう思っております。また、政府の方からそれをまとめろということで行政指導をやることもいかがかというふうに考えております。
  358. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 前に私が山陰におった時分にも繊維はいろいろと勉強さしていただいたのですが、古い織機をスクラップ・アンド・ビルドで革新していくときに、火葬場へ行くべき織機がいつの間にか生き返ってどこかほかで動いているというようなことがあって、それがいかぬというので破砕ということがずっと行われるようになりましたが、それと似たような状況が、ケースは違いますが、出てきておるのじゃないか。そこで、前回の共同廃棄のときに大臣通達をもって移動禁止をやったことがあるのですが、そういうようなものの適用といいますか対策ということは考えられないか、これはいかがでしょう。
  359. 篠島義明

    ○篠島政府委員 従来、先生のおっしゃった設備廃棄と関連して移設禁止を大臣通達で出したという具体的なケースがあったのかどうか、ちょっと……。
  360. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 五十二年になかったですか。
  361. 篠島義明

    ○篠島政府委員 担当者に聞いてみますと、どうもそういうことはなかったようでございますが……。
  362. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それはまた後で私の方もなおよく調べてみますし、調べていただきたいと思います。今言ったように、織機のこういう移動がなされると、眠っていた織機がまた息を吹き返して、そしてそれが革新織機にかわって過剰生産のもとをなす。だから、片方で非常な努力をして共同廃棄をやっても、またしり抜けになって実効がだんだん薄れていくという懸念がこの問題についてありますので、この点についてはひとつ十分検討していただきたい、このように思います。  私は、あと取引改善等々の問題に幾つか触れたいのですけれども、中核工業団地の問題を一、二点だけお伺いしたいので、この繊維対策については、先ほど申し上げた点をひとつさらに検討いただいて御努力をいただきたい、こういうことを要望して、この点はそれで打ち上げたいと思います。  続いて、限られた時間ですが、ちょっと中核工業団地の問題について一、二点だけお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、中核工業団地はそれぞれ非常に政策的なねらいというものがあると思うのですが、中核工業団地のねらいというものについて、ごく簡単で結構ですが、一言聞かせていただきたい。
  363. 平河喜美男

    ○平河政府委員 地域振興公団が行っております中核工業団地造成事業のねらいは、産業の地方分散と地域の開発発展を図るためにやっております用地元自治体の要請に基づきまして、その地域の開発の重要な布石となるような地域におきまして大規模な工業団地を造成することによりまして、全国的な産業の適正な配置とその地域の発展に寄与するということを目的としてやっております。
  364. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 次にもう一つ、嶺南地区振興計画策定がエネ庁でいろいろ努力をしていただいておるようでありますが、その策定状況について、簡単で結構ですからひとつ知らせてください。
  365. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 振興計画策定調査は、五十八年度、五十九年度両年にわたりまして立地センターに委託して行っておるところでございまして、今月末、三月末を目途に作成が進められております。現段階で内容がまだ十分に詰まっておりませんけれども、嶺南地域の広域的、長期的な振興を図る観点に立って、交通体系、都市機能の整備及び産業振興等の基盤整備を重点として検討を行っている、そういうふうに承知しております。
  366. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 限られた時間ですから詳しい論議ができないので、私はあの地域の有力な電力生産基地としての状況等からちょっと実態を申し上げて、あと要望いたしておきたいと思います。  御存じのように、若狭湾一帯に点火された原子力発電所が今十三稼働しております。まあ八百万キロワット前後と思いますが、それから今新たな動きもあるわけでありまして、そういうものが仮に全部動くとすると、これは一千万キロワットを超える世界有数の、日本でももちろん一、二という有力なる発電基地となろうと思われます。ところが、それだけ電力を生産して関西等の都市に電力を送っておるのですが、この嶺南という地区は昔の越前藩、若狭藩というように若狭の一つの藩であって、城下町があり、一つの文化圏といいますか区域圏なんですが、ここの人口が逆に横ばいから減少している、こういう状況にある、そこで、住民の声あるいは自治体の声としては、これだけ電力生産をしておるのであるから、せめて人口が横ばいになり、そして若い人が定着して働ける、こういうような産業が本格的に振興されるべきでないか、こういう要請が非常に強いわけですね。電源関係でいろいろな経費がおりてはおりますが、建物であるとかいろいろなものに活用されて、長期にわたる振興には必ずしも結びついているとは言えないという状況があります。  そんな点、先ほど局長からのお話しのように、中核工業団地は工業の地方分散と重要な工業拠点をつくるということですが、地域的には必ずしも大きくはないうらみはありますが、この地域に中核工業団地、そしてエネ庁長官の今御報告のようにこの地域の振興計画も今策定中である、県の希望は、その計画の中に中核工業団地を組み入れて、そしてぜひ働く場がさらに拡大するようにしてほしい、こういう強い要望を住民も自治体も県も持っておると思いますし、これらは通産大臣にもいろいろな機会に皆伝えておるところでないかと思うのですが、これらの状況を考えて、私は、この中核工業団地を将来この地域に展開することができるようにぜひ努力をいただきたいと思うのです。詳しいお話をする余裕はありませんので、これにつきまして大臣の気持ちを伺って、要望いたしておきたいと思います。
  367. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今、辻委員御指摘の嶺南地域に中核工業団地を造成することについてでございますが、実は福井県から強い要請がございまして、私もまだ現地は見ておりませんが、図面その他いろいろ背後の状況は承知をしておるつもりでございます、先ほど来の質問また答弁にございましたように、今般、地域整備公団によって同地域の開発可能性調査を実施することとしておるというわけでございます。福井県の嶺南地域は、現在までのところ工業集積が比較的乏しい、そしてまた工業集積形成のためのアクセス条件、労働力確保の可能性、同地域における企業立地の可能性など中核工業団地の成立可能性について今後十分調査を行うことが必要と考えておりまして、そういった調査ができてまいりましたら、辻委員の御要望をよく承って検討させていただきたいと存じます。
  368. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 時間が参りましたので、これは大臣それから局長長官の方も、福井の方では非常に強く要望をいたしていることでありますので、ひとつ十分頭に入れていただきまして、今後具体化をするようにぜひ要望いたしておきます。  それでは、これで終わります。
  369. 小此木彦三郎

    小此木主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の特段の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時七分散会