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中村(正男)
分科員 私は、都市
基盤整備に関する問題、とりわけ特定
地域ではございますけれ
ども、以下その具体的な内客を申し上げますが、いわゆる低質老朽密集
住宅地の再
開発の問題について数々の
問題点がございますので、それを指摘しながら、ぜひひとつ善処方を
要望したい、こういう
観点で進めたいと思います。
まず、国連のいわゆる世界保健機構が示しております都市の生活環境の備えなければならない要件、四つ指摘がされておるわけであります。当然のことながら一つは安全性、二番目は健康性、三点目は利便性、四点目は快適性、とりわけ近代都市の中では、当然ながらこの四項目が最低のいわば住環境の条件ではないかと私は思っております。
しかし、戦後日本の、とりわけ三
大都市圏、急速に
人口が増大をいたしまして、都市基盤ができないまま、そして
経済の高度成長時代を迎える。そのため
大都市圏ではさまざまな問題が起こっております。第一点は、まず
人口の急増に行政がついていけないという点であります。例えば下水道の処理の問題、道路の問題等々ございますが、いわゆる行政が後追いであるという点であります。二つ目は、生活環境が極めて劣化をしたということ、三点目は、過密道路基盤の不
整備、そしてそのことから起こる安全性の問題、四つ目は、乱
開発が進められる中で都市全体の景観の問題等々が挙げられようかと思います。
そこで、私の
地元でございますが大阪の第七区、
人口百十万余でございますが、行政市といたしましては枚方市、門真市、寝屋川市、守口市、交野市、大東市、四条畷市と七市ございます。この七市は、いわゆる戦後
経済の復興とともに、とりわけ高度成長時代に入った段階から、大阪さらには京阪神全体の
産業発展のために大量の、とりわけ若年労働者を提供してきた特異な
住宅地でございます。特に、西日本各地から当時若者を中心にこの
地域に集中して移住が行われてきたわけであります。先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、そうした
人口の急速な増大に行政がついていけずに、今日まで大変さまざまな
社会的な問題として
課題が残されてきております。
特に、この間に建築をされました
住宅の大半は、いわゆる関西で言うところの文化
住宅、一般的には棟割り長屋といいますか、それも二戸当たりの間数はせいぜい二間が大きい方でございまして、大半が一間きりというふうな長屋群であります。さらに木造アパート、これも単身者専用というふうな非常に狭い木造アパート、これらが単にそれぞれが独立して建っているのではなしに、そういったものが一つにまとまって集落として構成されている。当然道路は全部私道でございます。中には満足に車も通れない、もちろん消防車も入れないというふうな
状況でございます。
そして、今日まで二十年あるいは三十年
経過をしたわけでありますが、その結果、これらの
住宅が一体どうなったのかといいますと、そっくりそのまま老朽化したまま残されておりますし、またその過密の
状況も全く解消されてない極めてレベルの低い
住宅群になっております。火災もこの
地域は非常に頻発をしておりまして、その都度焼死者が出るという、そんなありさまでございます。
さらに、最近ではいわゆるドーナツ化現象といいますか、近郊のところへ移住者がそこから出ていくわけですね。そうしますと、アパートにしろ文化
住宅群、棟割り長屋にしろ、くしの歯が抜けたように空き家ができるわけです。空き家ができてもその家全体を、そのアパートを壊すわけにいかない。居住者が残っているわけです。その空き家が今度は青少年の非行のたまり場になる。いわゆる小学生、中学生ぐらいの子供がその中にたむろして、たばこを吸ったりあるいはシンナーを吸ったり、非常に町の非行の問題として憂慮されておるわけでございます。単にそういった
住宅政策ということじゃなしに、
社会全体の問題になっておるわけでございます。
門真市、これは千二百ヘクタールあります。この中の石原地区というのは四百六十一ヘクタール、
人口十四万。市の中にこの石原地区という過密の低質
住宅密集地は、何と四百棟の、
住宅と名のつけようがない、そういうものが密集しております。戸数にして三万戸。しかも、それは上物、建屋の所有者と土地の所有者が全く別人であって、それぞれの所有者がいわゆる当該市域に住んでいない。他府県にほとんどが住んでいる。こういう複雑な、特異な
地域であります。
寝屋川市、これも二千四百ヘクタールありますけれ
ども、この密集地は何と四百ヘクタールにも及んでおります。萱島、
池田、大利、香里。こういう実態について、これは私は
全国各地で余り見られない
状況かと思うのですが、今各
地域、各
大都市圏でだんだん問題になっております府営
住宅あるいは市営
住宅、そういったものの
開発との
関係で、将来いずれはこういった
地域のような
状況になるのではないか。次の世代に警告を残しておる
住宅地域だと私は思うのです。
これは、
委員長の許可を得まして、写真を写してきました。
大臣にひとつ見ていただいて、そういったものが今のこの近代都市の中で今なお残っておるということについて、私はまず
大臣の感想を求めたいと思います。