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1985-03-07 第102回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十年二月二十六日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       住  栄作君    谷垣 禎一君       三原 朝雄君    佐藤 観樹君       木下敬之助君 二月二十六日  住栄作君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和六十年三月七日(木曜日)     午前九時開議 出席分科員   主査 住  栄作君      谷垣 禎一君     三原 朝雄君      佐藤 観樹君     佐藤  誼君      富塚 三夫君     木下敬之助君      塩田  晋君     滝沢 幸助君   兼務 岩垂寿喜男君  兼務 上原 康助君   兼務 小川 国彦君  兼務 加藤 万吉君   兼務 竹内  猛君  兼務 中村 正男君   兼務 永井 孝信君  兼務 細谷 昭雄君   兼務 渡辺 嘉藏君  兼務 池田 克也君   兼務 市川 雄一君  兼務 鈴切 康雄君   兼務 西中  清君  兼務 福岡 康夫君   兼務 米沢  隆君  兼務 浦井  洋君   兼務 佐藤 祐弘君  兼務 田中美智子君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁大都市圏         整備局長    佐藤 和男君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 田中淳七郎君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君  分科員外出席者         国立国会図書館         総務部長    三塚 俊武君         人事院事務総局         給与局給与第三         課長      小堀紀久生君         総務庁行政監察         局監察官    長野 文昭君         科学技術庁研究         調整局調整課長 須田 忠義君         国土庁長官官房         水資源部水資源         政策課長    古澤松之丞君         国土庁計画・調         整局計画課長  長瀬 要石君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 佐々 木徹君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省主税局調         査課長     薄井 信明君         大蔵省主税局税         制第一課長   濱本 英輔君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 吉川 共治君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川嶋  烈君         大蔵省理財局特         別財産室長   筑紫 勝麿君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         工業技術院標準         部材料規格課長 咲山 忠男君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 順行君         郵政省通信政策         局技術開発企画         課長      堀江  達君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         建設大臣官房技         術審議官    杉山 好信君         建設省住宅局市         街地建築課長  久保 敏行君         自治省財政局調         整室長     横田 光雄君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         日本国有鉄道施         設局踏切課長  三由 武英君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   台   健君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   谷垣 禎一君     石原慎太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     谷垣 禎一君 同月七日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     佐藤  誼君   木下敬之助君     滝沢 幸助君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     関  晴正君   滝沢 幸助君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     富塚 三夫君   塩田  晋君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   富塚 三夫君     佐藤 観樹君   田中 慶秋君     滝沢 幸助君 同日  辞任         補欠選任   滝沢 幸助君     木下敬之助君 同日  第一分科員上原康助君、小川国彦君、福岡康夫  君、第二分科員浦井洋君、第三分科員岩垂寿喜  男君、池田克也君、第四分科員細谷昭雄君、渡  辺嘉藏君、米沢隆君、第五分科員永井孝信君、  第六分科員竹内猛君、西中清君、佐藤祐弘君、  田中美智子君、第七分科員加藤万吉君、中村正  男君、市川雄一君及び鈴切康雄君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 住栄作

    住主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私、住栄作が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算総理府所管国土庁)について政府から説明を聴取いたします。河本国土庁長官
  3. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和六十年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千三百五十四億六千四百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ三十二億九千四百万円余の城となっております。  その主要な内容は、第一に、第四次全国総合開発計画策定作業等国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用促進等総合的土地対策推進。第三に、水資源開発水源地域対策の充実、水資源有効利用促進等の総合的な水資源対策推進。第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進。第五に、人口地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進。第六に、地方都市開発整備工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産災害から守るための総合的災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和六十年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 住栄作

    住主査 以上をもちまして、総理府所管国土庁)についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 住栄作

    住主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  6. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 質問に入りますが、まず長官にお尋ねします。  第一次から第三次まで全国総合開発計画では、地域格差是正国土の均衡ある発展を重要な政策課題として取り上げてきたと思うのであります。今、第三次総合開発計画がほぼ七年経過をしてみて、その政策的な課題がどの程度実現してきたか、言うなればその計画はどの程度効果を上げてきたか、その点についてまず大臣のとらえ方をお聞きしたいと思います。
  7. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 経緯につきましては局長から詳しく御説明申し上げます。
  8. 小谷善四郎

    小谷政府委員 三次にわたりまして全国総合開発計画をつくってまいったわけでございますが、いずれの計画におきましても、国土の均衡ある発展あるいは所得生活環境等地域格差是正といったことを主要な課題として掲げて政策展開を図ってきたところでございます。もちろん全総計画というのは長期的な視点に立った国土づくりの指針を示す基本計画でございますから、時日の経過につれて、経済社会の激しい変化のもとでございますので、計画と現実の間に若干の乖離が出てくるということは避けられない面もございますけれども、しかし、三次にわたる計画はそれぞれ、経済社会変化に対応しながら一貫して国土の均衡ある発展格差是正を目指してきたところでございまして、その結果といたしまして、長期的な推移を見てまいりますと、例えば人口につきましても大都市への集中の勢いというのがかなり鎮静化してきておりますし、工業地方立地も次第に進展してきておりますし、またあるいは地域間の所得格差につきましても三十年代後半以降縮小の傾向を示しておりますし、生活環境等の面でも、大都市地方との格差といったものが相対的に縮小してきているということが言えるのだろうと思います。  しかし、近年の厳しい財政事情のもとで国土基盤整備等施策が三全総の想定どおりの進捗を期待し得なくなってきているということもまた事実でございますし、また、それぞれの地域地域内での過密過疎の問題とか格差の問題といったような問題がなお残されているということもございまして、これらの問題に対してはさらに長期的な観点から国土政策として対応していかなければならない問題ではないか、このように見ております。
  9. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 数次にわたる国土開発計画が、格差是正国土の均衡ある発展にとって無意味であったとか全然効果がなかったということは私は申し上げません。しかし、本来のねらいからいうならば、その効果というか、ねらいの実現といいましょうか、私はかなり隔たりがあるのじゃないかと思う。  今、若干の乖離ということを言われましたけれども、我々、東北山形に住む者からいうと、若干の乖離という程度認識ではないのではないかというふうに私たちは思うわけであります。  そこで、データも限られておりますから詳細なことを述べるあれはありませんけれども、例えば今も県民所得等のことも言われました。私の手元にあるデータを見ますと、例えば全国を一〇〇とした場合に東北地方の場合には、昭和五十年に八三・九、昭和五十五年に八二・七、昭和五十六年に八二・二、こういう数字であります。その後の数字は、私、手元にありませんのではっきりしません。また山形県を同じようなレベルで見ますと、昭和五十年は八三・〇、昭和五十五年は八〇・〇、昭和五十六年は八〇・四、こういう数字になっているわけであります。  それから、今もありましたが、工業出荷額を見ましても、全国シェアに比してそのシェアの率を見ますと、東北地方の場合には、昭和五十年の場合には五・五、五十五年で五・七、五十六年で五・六。山形県の場合には、昭和五十年〇・五三、昭和五十五年〇・五八、昭和五十六年〇・五九、こういう数字が出ているのですね。  ですから、若干とはいいながらもそれなりの効果を上げ、格差是正されてきたということは否定できないと思うのですが、しかし、政府計画や、あるいはまた我々東北あるいは山形県に住む者の期待からいえば、まだまだこれは、この格差是正という点からいえば今後一層努力しなければならぬのではないかというふうに、こういうデータから特に思うわけであります。  今、三全総のフォローアップ、これが作業報告として出されておりますけれども、これなんかを見ましても、膨大なものですから全部は挙げませんけれども、例えばこのフォローアップ作業報告の中の(2)の「国土基盤整備状況問題点」、これを見ますと、一例ですけれども、「幹線交通体系については、その主軸が形成されつつあるが、地域相互間の連絡がなお不十分な所や、日本海沿岸半島の一部地域等において受益が及ばない所がかなり残されている。」こういう作業報告がなされていますね。特に私は、東北山形県も日本海側ですから、この「日本海沿岸半島の一部地域等において」云々ということは、これは報告の中にも書いておりますけれども、私たち地域に住む生活実感としてもこのとおりなんです。  それから、同じく作業報告の中の五番の「国土基盤整備方向」というのを見ますと、「総合的な交通通信体系整備に当たっては、」というので以下ずっとありまして、最後のくだりに「幹線交通体系受益が及ばないなど交通基盤整備が遅れている地方圏については、地域特性を踏まえ、その推進を図る必要がある。」というようなことで今後の施策方向を示唆しているわけです。ですから、これはどちらにウェートを置いて評価するかということにもなると思うのですけれども、本来のねらっておった計画の目標からいえば格差是正についてはかなりまだ乖離がある、こう見ざるを得ないわけです。  東北地方山形県に焦点を当てて今までの計画を具体的に若干振り返ってみますと、例えば昭和五十二年十一月の三全総。その中の「問題の認識施策基本方向」という中では次のようにあるわけです。「それぞれの交通手段別構想は次のとおりである。」「高規格幹線道路網については、既定の国土開発幹線自動車道のほか、日本海沿岸縦貫東九州縦貫四国循環その他の幹線及び本州・四国連絡ルート大都市循環等を含めおおむね一万キロメートル余で形成される。」とはっきりありますね。特に(五)の「北海道東北地域構想」という中で「全国的な幹線交通ネットワークと連結する高速交通体系整備を促進することである。」以下云々ということで、北海道東北では高速交通体系整備促進ということが、特に昭和五十二年十一月に策定された三全総にはっきり書いてあるわけです。  さらに、五十四年二月の東北開発促進計画によりますと、「開発基礎条件整備方向」としてずっとありますが、その中で、「高速交通施設として新幹線鉄道高速自動車国道空港整備推進する。」とあるのです。これは東北です。これは一部促進された向きもありますが、例えば山形県などは新幹線も通らなければ高速自動車道もない。特に山形県の中の海岸などというのはこの三つどれもない。これは昭和五十四年二月の東北開発促進計画固有名詞まで挙げられているのです。  それから、昭和五十七年三月の東北地方開発整備に係る国土審議会報告というのがあるのです。この中にも「交通体系整備」として特に取り上げられている。長いくだりがありますが、その中に「東北地方の均衡ある発展を図るため、横断路線整備を促進するほか、日本海沿岸を縦貫する路線等について検討を進める。」こう書いてあるのです。さらに具体的な計画としては、いろいろありますけれども、「交通体系整備」の中に「東北横断自動車道整備」ともあるのです。これは、秋田線酒田線いわき新潟線等が含まれると思いますが、例えば私が住んでいる仙台の村田から山形を経由して酒田へ至る東北横断自動車道酒田線はどのくらい整備されているのでしょうか。特に寒河江から朝日、酒田に至る線というのはまだ予定路線、それから基本計画程度を出ないのじゃないでしょうか。こういう状態なんです。  さらにその中で、今、東北横断自動車道のこと空言いましたけれども、もう少し触れておきますと、具体的な点で山形県のことを言いますと、庄内空港の新設まで書いてあるのです。これは同じく五十七年三月の東北地方開発整備に係る国土審議会報告の中に書いてある。さらに国道十三号線の整備、つまり具体的には四車線化だと思うのですが、それが産業振興とのかかわりでは「国道十三号沿い産業展開軸総合整備」。東北なり山形なりは、今の開発促進計画なり国土審議会報告等を見れば考え方計画大変具体性があって、しかも固有名詞まで挙げているのです。今、三全総が終わろうとし、四全総策定しようとする段階でフォローアップし、総括し、見直しをしてみた場合に、今申し上げたような計画が果たして本当に実現されているのかどうか。  私の山形県をとるならば、今ようやく十三号線の四車線化に着手したばかりです。しかも東北横断道酒田線は先ほど言ったとおりです。庄内空港はまだ全然できておりません。これでは私は同じ日本人として考えたときに、東北なり山形はこんな状態で、格差の拡大とは言わぬけれども計画が実現されないような状態では本当に国の施策としてどうなのかということをつくづく考えるわけでございます。  そういうことでこの点について特に大臣にお尋ねしますけれども、今のような状況にあるということを私はまずここで述べたいと思うし、また大臣もその点はしっかり認識をしてもらいたいと思うのです。それで今、三全総のフォローアップから四全総策定に当たって地域格差是正というものをどのような方途で具体的に実現しようとしていくのか、その基本的姿勢施策についてお尋ねしたいと思うのです。時間もありませんから特に東北山形県に焦点を当てた場合に、あなたは四全総をこれから策定するに当たってどういう基本姿勢施策を進めようとしているのか、これを大臣にお尋ねしたいと思うのです。
  10. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 国土の均衡ある発展を図る観点からしまして地域格差是正ということが国土政策の重要な課題でございます。このため四全総策定に当たりましては、工業地方立地地方産業振興交通通信施設生活環境施設国土基盤整備など、総合的な観点から地域自立的発展のための条件整備方途を明らかにして四全総を作成していきたいという考えでございます。
  11. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私は今具体的に東北地方格差是正と、それから特に山形県に焦点を当てたところの高速交通体系整備についていろいろ申し上げました。各省庁関係がありますけれども、過ぎたことを反省しながらこれから四全総をつくっていくでしょう。国土庁としては、これから計画をつくるに当たってその点をどうフォローアップしてどう計画を立て、どう具体的に実現するのか、まずその点をお聞かせいただきたい。
  12. 小谷善四郎

    小谷政府委員 先ほど私の説明が非常に舌足らずでございましたけれども、全般的なことだけを申し上げたわけでございまして、確かに先生のおっしゃるような点が多々残されていることは私ども十分認識しておりますし、四全総策定作業の一環といたしまして山形県からも個別に山形県の御意向を十分伺っておりまして、そのような高速交通機関整備の立ちおくれに対する強い問題意識を持っておられるということは、私ども十分承知しております。そういうことを踏まえて、長期的な観点から特に二十一世紀への国土基盤づくり、いかにあるべきかという観点から、先生御指摘のような問題も含めてどのようにしていくかということを計画の中で考えていきたいということが、私どもの現在の状況でございます。
  13. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 これはことし初めて私が質問したことではなくて昨年も同様の質問をしているのです。というのは、昨年から三全総のフォローアップなり四全総計画策定作業に入っていますからね。その中で昨年稻村国務大臣、大変前向きの姿勢でこういうことを言っているのです。「そういう意味で、あらゆる全般のこういったことを配慮しながら、やはり四全総作業に着手したわけでありますから、いろいろなものを考え格差是正をいかにして縮めていくか、格差是正をいかにしてなくしていくか、その方向で二十一世紀に向けて大変東北あるいはその他過疎地域人たちが夢と期待を持てるような一つの方向を打ち出したいというふうに考えておるわけであります。」こういう答弁をしているのですね。河本国務大臣はその点どうなんですか。
  14. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 東北地方特別委員会というのがございまして、我々といたしましては、地元の方々の御意見最大限に尊重していくという基本方針のもとに将来の展望をしておるわけであります。  先般も東北地方特別委員会国土庁で開催されまして、いろいろな御意見を拝聴したわけですが、それを踏まえながら四全総策定を、地元意見を尊重しながらしていきたいという考えでございます。
  15. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 どうも重ねて何ですけれども四全総策定する、作業を進めます、これは当たり前のことですし、陳情、要望がありますから地元意見を尊重してということもありますが、これではちょっと受け身じゃないでしょうかね、長官。もっと長官として、ことしはもう具体的に策定していくわけでしょう。計画を立てていくわけですよ。あなたが立てた計画がどう実現されていくかというところにもうスタートしているわけですから、どうなんですか。国土の均衡ある発展、そのための地域格差是正というものはもうずっと言ってきているわけですよ。ところが先ほどのような状況に当たっているわけです。あなたは決意を新たにしてこの計画を立てることに対してどうなんですか。
  16. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 審議会もやはり地元のメンバーの意見最大限に尊重していくという考え方がメーンでありまして、そういうことを中心に、国土庁といたしましては策定の大きな参考にしてやっていくということでございます。
  17. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 どうも重ねて何ですけれども大臣意見、所信を私なりに受けとめますと、地域意見といいますか、これを十分尊重する、これは当然だと思うのです。ただ、御案内のとおり、先ほど申し上げたような現状にありますから、東北にしたって山形県にしたって格差是正というのは一種の悲願です。その中で高速交通体系整備、それからこれからの高度情報化社会への参入、技術の集積を望んでおります。その中で特にこの高速交通体系の立ちおくれをいかにしてなくしていくかというこの要望悲願は非常に強いわけです。  大臣もそれは受けとめていると思いますが、そういう地域の、あるいは東北の、山形県の、そういう地域格差是正という地元要望を十分受けとめながら四全総策定に当たっていきたいし、その要望を生かせるような計画を組んでいきたいのだ、こういうふうに理解していいですか。
  18. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 最近の東北新幹線の開通によりまして非常に様相が一変しておることも事実でございます。  ただし、これは東北東南部といいますか、先端産業なんか非常に進出しまして様相が一変しておることも承知しておりますし、いろいろ社会経済情勢変化に対応した方策を立てていくべきであるという考えでございます。
  19. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 長官は滋賀県の出身だとお聞きしておりますが、東北のおくれといいますか、そういうものをもっとしっかり受けとめてもらいたいなという感じがするわけなんですよ。  東北は、確かに徐々には新幹線も仙台、盛岡というふうに進んでいますが、ただその中で山形県とか秋田県というのは新幹線が通っていないわけでしょう。空港も、秋田にあり山形にあるけれども、高速道路にしたって非常におくれているわけでしょう。ですから、そういう点では、言うなれば山形や秋田というのは高速交通体系整備という点からいうと、これは取り残されている地域になっているわけですよ。このことを高速交通体系整備という点からいえば十分認識をしてもらいたいと私は思うわけです、一般論ではなくて。このことをぜひ長官の頭の中に入れながら、四全総の作成については十分意を尽くして当たってもらいたい、このことを申し上げておきます。  時間もありませんので、具体的に山形県に焦点を当てますと、高速交通体系整備という点からいいますと、特に建設省の方に端的にお伺いしたいのは、簡単に言いますと東北横断道酒田線、この整備促進というのは、今申し上げたような高速交通体系整備の谷間にある山形県には重要な課題であり要望だと思うのです。それから日本海縦貫高速道路の計画を立てること、それからもう一つは十三号線の四車線化、これは山形県にとっては重要な政策課題であり、中央に対する要望事項なんです。このことに対して今後どう取り組むつもりなのか、ひとつ端的にお答えいただきたいと思います。
  20. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 三点ございますので、まず一点ずつ簡単に申し上げます。  東北横断道酒田線の見通しでございますけれども、現在御案内のように東北横断自動車道酒田線東北縦貫道の宮城県村田町から分岐いたしまして、山形市を経て酒田市に至る延長約百八十キロメートルの高速自動車国道でございます。  そのうち、村田ジャンクションから笹谷インターチェンジ間二十四キロ及び関沢インターチェンジから寒河江インターチェンジ間二十五キロメートルにつきましては、整備計画が決定されております。さらに、整備計画策定区間のうち、村田ジャンクション−川崎インターチェンジ間約十キロにつきましては、現在用地買収及び工事を実施しております。それから川崎インターチェンジから笹谷インターチェンジ間十四キロメートルにつきましては、現在設計協議を進めておるところでございます。また、関沢インターチェンジから山形東インターチェンジ間約七キロにつきましては現在設計協議を、山形東インターチェンジ−寒河江インターチェンジ間約十七キロメートルにつきましては現在用地買収及び工事を、それぞれ行っております。  これらの区間につきましては長期の見通しはございますけれども、六十年代中ごろには逐次供用を図ることを目標にいたしまして事業を進めているところでございます。  それから十三号でございますが、地元の方々及び県知事さんから非常に御熱心に、早く整備をやってくれということはもうよく聞いております。  御案内のように一般国道十二号は福島市から山形県を縦貫しまして秋田に至る全長三百二キロの幹線道路でございまして、従前より、山形を中心に申し上げますと、交通状態を勘案しながら市街地におけるバイパスの整備を重点的に実施しておるところでございます。  特に山形県内の十三号につきましては、御案内のように延長二十・四キロの山形バイパス、それから延長八・三キロの新庄バイパス等、合計四バイパスにつきまして四車線化及び暫定二車線で整備を完了しております。それから現在延長六・八キロの南陽バイパス、それから延長二一・二キロの山形北バイパス、さらに延長四・三キロの尾花沢北バイパス等、合計五バイパスにつきまして四車線化及び暫定二車線化整備を促進しているところでございます。  この結果、五十九年度末までに山形県内の全延長百五十七・二キロのうち約二二%の三十五・二キロが四車線で整備済みとなり、六十六・七キロメートル、約四三%につきましては四車線化及び暫定二車線の事業を実施するということになります。  今後ともこれらの事業を促進してまいりたいと考えております。
  21. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 さようにこれらの事業を促進してまいりたいということですから、ぜひそれは具体的な四全総策定の中にも繰り入れながら、その計画が具体的に実現が促進されるようにひとつ私の方から重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、山形県の高速交通体系整備の中で重要な問題が庄内空港の建設促進という、そういう課題でございます。  運輸省航空局にお尋ねしたいのでありますけれども、二点ほどあります。  一つは、山形県の海岸側を庄内地方というのです。そこには鶴岡市と酒田市という十万都市が、余り離れていないのですけれども二つあるのです。そしてその地域全体には住民が約三十四万人住んでいるのです。その中で今申し上げました高速交通体系にどのようにその地域がつながっているかといいますと、空港に出るには二時間二十分、現在ですよ、空港に出るのに。それから、新潟までですけれども新幹線に出るのに二時間二十分。高速道路へ出て首都圏に入るというのに、例えば古川に出るとすれば三時間、宮城インターに入るとすれば三時間三十分、こういう状況になっています。そういう、言うなれば十万都市を二つ抱えている地方で、こういうような高速交通体系のそれぞれにつなぐのにこんなに時間のかかる地域全国でどのぐらいあるのか。私たちは、これば全国まれではないかというふうに見ておりますので、その点どうなのか。これ一点。  それからもう一つは、こういう状況があるがゆえにいろいろな高速交通体系整備についての御要望があるわけですが、特に先ほどから申し上げておるような庄内空港の建設促進というものは、まさに三十四万人の熱望なんです。これについては航空局にもいろいろ要望が出ていると思いますが、その辺、住民挙げての熱望を航空局としてはどのように受けとめているのか、この二点を私はお伺いしたい。  時間もありませんので、国土庁にちょっと一点だけ、地吹雪調査、これはどうなっているか。私は、山形県庄内地方の、今申し上げた地吹雪対策について前回も質問いたしました。このたび地吹雪調査についての調査費が計上されたやに聞いていますので、その辺端的に、最後にお答えいただきたいと思うのです。
  22. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、庄内地域人口約三十五万人を擁している地域にもかかわらず、最寄りの山形空港だとかあるいは新潟空港あるいは新幹線あるいは高速道路、二、三時間かかることはよく承知しておりまして、先生のお言葉をおかりしますと、まれに見る高速交通網から取り残された地域だというふうな言葉でございますが、幾つあるというふうになかなかお答えできないわけでございますが、代表的なものの一つではないかというふうに認識いたしております。  二点目でございますが、庄内地域で新しい空港をということにつきましては、非常に強い要望のあることは十分認識いたしております。一般的に、次の第五次の五カ年計画では三大プロジェクトの推進というのが一つの大きな柱でございまして、地方空港整備観点からも最大の課題でございます。特に、地方空港整備ということについては、一般論としましては、適切な需要があること、投資効率の高いプロジェクトであること、あるいは地元の合意形成等々の条件が整ったものから採択し、五カ年計画として積み上げていくということになろうかと思いますが、私どもとしましては六十一年度からスタートする新しい第五次空港整備五カ年計画の中でも、ただいまいろいろ御説明のございました地元の強い要望も踏まえて十分対応していきたいというふうに考えております。
  23. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生御承知のとおり、国土庁におきましては地吹雪の実態の把握と今後の対策に資しますために、五十六年度から五十八年度にかけまして地吹雪の発生のメカニズムあるいは影響、対策等々に関します基礎的な調査を実施したわけでございます。この結果、全国的あるいは統一的に観測されたデータが気象台等におきまして存在しない。それからまた地吹雪は地形とか風向きあるいは風速、こういったさまざまな条件によって非常に地域的な変異が大きい、こういうようなこと、あるいはその変動も非常に地域的に細かいものがございまして、的確に事前に把握するということは非常に難しい。年によって非常に発生状況も大きな差があるというようなことが明らかになったわけでございます。  これもよく御承知のとおり、従来から青森県の津軽それから先生のところの庄内それから北海道の石狩地域等々からは、この地吹雪という条件を例えば豪雪地帯の指定の基準に繰り入れられないかというような御要望が根強くあったわけでございますが、これまでの結果からいたしますと、定量的な把握は、以上申し上げましたようなことから大変難しい。我々といたしましては、今後は具体的な地吹雪の対策を樹立していく、その被害をできるだけ減らすというための調査が必要ではないか、こういうように考えまして、六十年度におきましては、特定の地域、日本の典型的な地吹雪地帯を一つ選びまして、関係機関の協力のもとに地吹雪の対策調査、すなわち地吹雪による障害を軽減あるいは除去するための計画の立て方ということを検討してまいりたいと考えておりまして、金額にして八百五十三万七千円をお願いしておるということでございます。
  24. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 時間になりました。  長官東北地方山形県の実態はよく御認識いただいたと私は思うのです。これから四全総策定、そして具体的な実施に当たりまして、ぜひ、国政の重要な政策課題である国土の均衡ある発展というこのことを目指して地域格差是正に一段と努力されますように心から御要望申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  25. 住栄作

    住主査 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  26. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は恒例と言っては何ですけれども、いつも予算委員会分科会では、国が自信と確信を持ってつくった筑波研究学園都市の問題をめぐって質問をしているわけです。  そこできょうも、この筑波研究学園都市の諸問題に関して質問しますが、まず最初に、この学園都市が建設されてから既に二十年余を経ております。ほとんど移るべき機関は移ったわけでありますけれども、依然として、当初予定したように二十万の人口に達していない。施設やその他は二十万を収容するようにできているけれども、それが達していないというその根本的な原因というものについて、この際ひとつどこにあるのかということを説明をしてもらいたい。
  27. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生今ほど御指摘のように、筑波研究学園都市の人口は現在十四万五千人程度でございます。その内訳は、学園地区中心部でございますが、これは計画人口が十万人に対して三万五千人、周辺開発地区は計画人口が十二万でございますが、これに対しては十一万人ということでございまして、研究学園地区内の人口の定着が余り計画どおりではないというのは御指摘のとおりでございます。  これは地区の形態から見まして学園地区内の主として民有地におきます業務立地なり住宅立地のおくれが主たる原因だと考えます。これからは、この学園地区内におきます業務立地なり住宅立地の促進ということとあわせまして、周辺開発地区を含めた地区におきます民間企業なり研究機関の導入について一層の促進を図る必要があるというように考えております。
  28. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それでしばしば、学園の概成から完成、完成から熟成という言葉が言われる。一体この熟成というような段階はどういう段階を熟成と言われるか。
  29. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 一般的に、研究学園都市につきまして根幹的な都市施設が完成し、先生がおっしゃいましたように、政府が予定しました移転研究機関の移転が完了した状態を指して概成と従来言ってきたと思います。  今後の目標として、一言で言えば、従来私ども、この都市の熟成を図る、こう申し上げているところでございますが、言ってみますと、非常に観念的には、現在この都市が、既存の都市計態としてはやはり文化面なりその他サービス面での不足があることも否めません。また、これからの課題として、今ほど御指摘のありましたような都市中心部における人口定着が進むことなどを指して、熟成ということに相なろうかと思います。
  30. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 今日までそれぞれの努力によって学園の中にも、確かに交通の問題やあるいは学校、教育機関、それからメディカルセンター、さらにはいろいろな施設ができたことは事実ですけれども、特に問題になっているのは、定年で退職される公務員、技術者の皆さん、こういう方々がどうしてもそこに定着できない。それで結局この方々が、どちらかというと単身赴任のような形で最後までそこに居つかないというところに問題がある。  これはやはり、今まで私もしばしば主張してきたように、定年が来てもまだ十分に技術やあるいは知識やそういうものが活用できる状態でありますから、地元で要求しているのは、やはり専門学校であるとかあるいは技術者の教育機関であるとか、さらにまた、若い公務員は昼働いて夜勉強したいということがアンケートから相当出ておりますが、そういうような施設をつくって、退職をされた皆さんもそこで生活ができるように、そういうことをしてもらいたい、こういう要求が強い。これらについてしばしば求めてきたわけですけれども、その辺の努力はどうなっていますか。
  31. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生今ほど御指摘のように、学園中心地区は公的な研究機関が集中的に立地しているわけでございまして、その方々の定年後の問題、ないしはそこに働く研究者が夜間、東京であれば専門学校に行けるというような状態をつくることも今後の大きな課題だと思います。  このことにつきましては、例えば、周辺地区に私立の学校ないしは民間の研究機関を積極的に誘致する、ないしは、大学とまではいきませんものの、専門学校のような中級の技術教育機関を誘致するということが課題でございまして、この点につきましては、私どもとそれから地元茨城県などと相談しつつ、その具体化に向けて現在鋭意検討中でございます。
  32. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 先ほど四全総の話がありましたが、特にこの土浦市を中心として学園を結んで、四全総の一つの拠点地域に土浦はなっていて、学園との間で大きな課題になっているわけでして、そういう中で、専門学校なりあるいは技術者の教育の場所なり何なりというものをぜひつくってもらって、退職された公務員や技術者あるいは大学の先生たちがそこへ残ってその地域で、これから科学博覧会が終わるとその跡が工業団地になる、さらに工業団地が幾つかできて、そこに全国から労働者も集まってくるわけですから、それらの教育をしていくような形で人口が定着をしない限りここの前進はない、私はそう考えている。ぜひそういうふうにしてもらいたい。  続いて、学園の中心というのは桜村です。その桜村の人口を見ますと、三万九千近い人口の中で男女の差が三千名ある。三千名男が多いわけですね。こういうのはちょっと日本でも珍しいと思う、一つの村で三千名の差があるというのは。これは単身赴任でそういうことになっているわけですから、だから、その三千名の皆さんが家族ごとそこに定着するようにするためには、今言ったことをどうしてもやらなければいけない、そういうふうに思いませんか。
  33. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生御指摘のとおりだと思います。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで、さらに私が要望したいことは、公立の図書館が今要望されている。確かに、図書館大学もあるし、それぞれの研究機関には図書館があります。それから大学にも図書館はあるけれども、それは開かれているわけじゃない。やはり公立図書館というものをつくって、そしてそこに自由にだれでもが出入りできるようなことにしなければならない。  その点についてはこの前も一定の答えはいただいていますけれども、その後その前進はどうでしょう。
  35. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生御承知のように、研究学園地区の建設計画におきまして図書館などの整備が挙げられておりますが、現在、具体にこの建設計画は固まっておりません。  ただ、この図書館整備につきましては、先生の御指摘もありますように、地元からも要望がある。また今後の、先ほど来議論になっております人口の定着状況課題ないしは仮につくった場合の運営の体制などの検討につきまして、現在のところ、まだ地元との関係が固まっておりません。今後とも関係の機関と十分協議してまいりたいと思っております。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで今度は、これは建設省にも関係をすることですが、退職をする皆さんが将来ここに住みたいということで、住宅公団が開発をした土地、区画整理をした土地をお買いになった。これは百六十平米以上でなければいけないという形でありますから、それをお買いになった皆さんがそこに二階ぐらいの家を建ててお住みになるけれども、旧地主を中心とした方々は、その周辺に五階のマンションを建てたりいろいろのものを建てます。このために、一つの地域にいろいろなトラブルが今起こっている。各地でそういうのが起こっていますね。これは、第二種住居地域という形でこれが区切られている。今までの古い集落は第一種ですけれども、学園の中は第二種になっている。このトラブルというのが絶えないですね。それで、もうこういうところに住みたくないということで、その公務員の皆さんは学園を離れて、常磐線の沿線である相とか松戸とか取手方面に土地を求めてそこへ出ていく。  この土地の用途地域というものについて、どういうふうにしたら一体この調整がとれるのか。この間も、東大の助教授であるとか筑波大学の助教授、そして地元の県会議員、それから、関係する町の都市計画の窓口の課長、実務者等々集めていろいろ話をしたけれども、どうにもこれは話にならない。だれもこれを責任をとってうまくやろうという者はいない。こういう問題は、公務員にとっては、生涯。自分の退職金やあるいは年金を全部そこへ投げてやるわけですから、この方々に対して十分に安心ができる状態をつくるためにはどうしたらいいのか。どこでどういう指導をしたらいいのか。この点をぜひ明らかにしてもらいたい。
  37. 久保敏行

    ○久保説明員 先生のお話にありましたように、筑波の研究学園都市の住宅地につきましては、第二種住居専用地域とか住居地域というような用途地域が都市計画で定められておりまして、戸建て住宅それから中層住宅等が建ち得る、こういう状況にあるわけでございます。実際の規制としましては、こういう用途地域につきましては都市計画で定められておりまして、その都市計画に即しまして、建築基準法によりまして容積率でありますとか建ぺい率でありますとか日影等についての規制が行われているわけでございます。  しかしながら、お話にございましたように、一定の区域と申しますか、あるいは特別の場所等におきまして戸建て住宅とマンションが隣接して建つというようなことから紛争の発生が間々ある、こういうことがあるわけでございまして、そうした事態が多く予想されみ場合につきましては何らかの対応が必要になる、こういうふうになろうかと思うわけでございます。  その対応につきましては、現在ある制度で申し上げますと、都市計画の制度の一つでございます地区計画、これは割に小さな、ミクロの範囲の計画になるわけでございますが、こういったもの、あるいは建築協定の制度、これは建築基準法の規定でございますが、こういったものを活用いたしましてきめ細かい町づくりを行うということが適当なのではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、そういうような方向で県なり地方公共団体、市町村が適切な指導を行うということが適当じゃないかというふうに考えております。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これはぜひひとつ系統的に、これは最終的に長官の方からお答えをもらいますが、この問題については重要な課題としてぜひ考えてもらわないと、せっかく移った公務員が——百六十平米というものを最小限度として買わなければならない。しかもその価格はかなり高い。そこへ今度は横に高層のマンションを建てられてくると非常に困るわけです。その辺の指導というものについてしっかりやってもらわなければ今後も定着は無理だろう。  そこで、住宅都市整備公団の方にお伺いしますが、今日まで住宅都市整備公団が固定資産税として関係市町村に出していた額は大体幾らになるのか。毎年の額で結構ですが幾らくらい出しておられるか、これをお伺いします。
  39. 台健

    ○台参考人 住宅都市整備公団が研究学園地区内に保有しています土地に関しまして納入いたしました固定資産税額は、六町村合計いたしまして、最近三カ年で申しますと、五十七年度で約八億六千六百万円、五十八年度で約十億二千万円、五十九年度で約十一億三千万円でございます。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこでまた別の問題ですが、今までちようど十年間、いろいろの経過はありました。ことしも大蔵省の方からは厳しい査定もございましたが、最終的には許してもらって特別交付金というものが五億円ずつこの六町村に出ているわけです。これが六十年で一応閣議了解事項が打ち切りになる。この将来の見通しについてはどういうことになりますか。
  41. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 お尋ねの特別交付金は、先生御承知のように研究学園都市建設推進本部で定めました要綱に基づきまして昭和五十一年度から六十年度まで交付することとされておりまして、本昭和六十年度予算案におきましても前年度に引き続き五億円が計上されているところでございます。  昭和六十一年度以降の取り扱いにつきましては、予算要求時点なり予算決定時点というまだ時間もございますので、いろいろな角度から具体的に検討してまいりたいと考えております。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで、住宅公団は近く今までの手持ちの土地を放出するというと言葉は悪いですけれども、処理する。そういうことになりますと固定資産税は地元に入ってこない。そうなりますと最終年度、五十九年十一億三千万という税金が入ってこない。それから六十年以降はまだはっきりしないということになると地方自治体の財政にとっては大変なことになる。往復びんたを食らったような形になってしまう。もし仮にこの地域が鹿島やあるいは茨城には総和町という町がありますが、その工業団地であったならば、あれだけのスペースであったと仮定をして、これを計算をすると相当な固定資産税が入ってきている。鹿島でも総和でも相当なものですね。それは研究学園を工業団地に置きかえるということは非常に無理なことかもしれませんが、そういうことを考えて、ここに新たな支出というか援助をしなければこの六カ町村はどうにもならなくなってしまうのではないか、こういうふうに思うのだけれども、これについてはどうですか。
  43. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 御指摘のように、仮に今後公団の所有地が国等に全面的に売却されるということになりますと、当然のことながら固定資産税の収入減が生ずるわけでございます。ただ、公団の所有地の国への売却がどういうピッチで進められるか、それからまたその間におきます地元の市町村の財政の動向につきまして今にわかにこうなるであろうと決めつけることは、非常に困難ではないかと思います。ただ基本的に、この研究学園都市の円滑な都市運営のためには地元の市町村の財政の健全化というのは当然のことながら大前提でございます。例えば周辺地区を含めた都市全体としての、民間の工業研究機関等の立地を促進するなど、いろいろな意味での多方面な地元の財政基盤の確立方策をこれからも検討してまいりたいと思っております。
  44. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういうような極めて厳しい問題があるということを指摘をしながら、次に行きます。  人事院にお伺いしますが、公務員の移転手当は今まで八%、また六十年度を超すと九%、五年間延長になりましたが、これは移転をした者が与えられるわけであって、今日まで同じ職場で同じ仕事をしている者が地元雇用という形で完全に差別される。これは職場に対する士気を鈍らせることであるし非常にまずい。状況は、先ほどから話があったように移転すべき者が全部移転をしてもなお十五万に満たないというような状況でありますから、したがって生活費は大変かかります。そういう中で、今地元の要求としては、これは移転手当ではなしに地域給にして、そしてすべての働く者に対して同じに交付すべきだ、こういう要求が強い。これは常識的な判断だと思いますが、人事院はこれに対してどういうようにされますか。
  45. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 筑波研究学園都市移転手当は、今先生御指摘がございましたように、試験研究機関等の筑波への移転を促進するという目的を持って当該機関に勤務する研究員等の移動を円滑に進め、かつその定着を図るために、当分の間の特別な措置として設けられた手当でございます。このような手当の趣旨から、他の地域から移動した者ではない現地採用者、これは移転者とは事情が異なりますし、また、土浦等近隣官署に勤務する職員との均衡問題もあることから、現在は支給の対象とはしていないわけでございます。  ただ、この手当は、今御指摘のとおり来年いっぱいの期限がついております。それまでにその改廃について人事院としては結論を出す必要に迫られております。したがいまして、現在はその後の学園地区内の整備発展状況を見守っておるところでございます。本年は科学博も開催されますので、同地区の変化発展状況を引き続き把握するとともに、関係諸方面の御意見ども承りながら、筑波地区在勤職員の給与上の処遇をどうするかという問題については引き続き検討してまいりたいと思っております。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 引き続き検討していただきたいわけですが、状況は、移転をした者も現地雇用の者も同じように今かなり苦労している。そしてまた職場では差別で、これはお互いに同じ仕事をしている者が給与が違うというのはよろしくないですね。この点はだれが考えたって不都合な話なんだから、この辺でひとつ調整をしてもらいたい、こういうことを要望します。  続いて、科学技術庁、調査費の問題ですね。調査費が四年間据え置きをされた。去年から一%上がったようだけれども、毎年毎年、運賃あるいはいろいろな物価が上がっておるわけですから、これは研究をするためにこの学園をつくってそこに移ったわけで、調査、研究には十分に遺憾のないようにしてもらいたい、この点はどうですか。
  47. 須田忠義

    ○須田説明員 先生御指摘の国立研究機関の人当研究費等の件でございますけれども、これは国研の基礎的な研究に充てられておる非常に重要な経費でございまして、これについては、今後の我が国の創造科学の推進制度上、国研の基礎的研究は非常に重要だと我々は認識してございまして、それは科学技術会議等においてもしばしば指摘されておることでございます。したがって、六十年度においては、厳しい財政事情のもとでございますけれども、科学技術振興調整費の一部をここに充当したい、そういうふうにただいま考えでございます。
  48. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで大蔵省にお伺いしますが、移転機関の持っていた土地、東京や千葉あるいは埼玉にあった土地の処理はどうされたかということ。  それから、現在もう、つくった建物がかなり傷んできている、機械も傷んでいる。これを修理しなければならない。相当金がかかる。そのために、私は前にも申し上げたけれども、今、総理官邸の下には、あれは工業技術院の関係のものだと思うけれども、地質研究所がある。十数年間あのままにほったらかしてある。  今大変いろいろな物が、地価が高いときにああいうものをあのままにしておいて、そして今度は、一方においては厳しい状況だということではまずいので、処理をして、移転機関の特別会計をつくって、そういうものを売ったものをその会計に入れて、その金利なり何なりで修理や何かをしていくというようなことはできないかどうか、これはあわせてお答えをいただきたい。
  49. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答えいたします。  筑波移転跡地は、首都圏に残されました国民共有の貴重な財産でございますことから、跡地の利用に当たりましては国有財産中央審議会に御審議をお願いいたしまして、五十五年五月の答申におきまして、過密解消のための都市の防災性の向上や生活環境の改善に活用すること、それから緊要性の認められる都市施設あるいは文化施設等にも転用を図ることとするとの基本方針が出されているところでございます。  この基本方針に基づきまして各跡地の利用計画策定されまして、現在順次処分を行っているところでございますが、その主な内容といたしましては、公園、学校、市民センター、下水処理施設等の公共施設として活用されているところでございます。  それから、ただいま先生が具体例としてお示しされました首相官邸近くの跡地でございますけれども、これは工業技術院の電子技術総合研究所の永田町本部と分室、この二つの跡地と思われますけれども、当該跡地の処理方針といたしましては、本部の跡地が霞が関官庁施設の整備上必要な土地として計画されております中央官衙区域内に所在することから、当該整備の心要性等を十分に勘案しながら本跡地全体の利用計画策定いたしたいと考えております。
  50. 吉川共治

    ○吉川説明員 先生の後半の方の御質問でございますが、筑波に移転した諸機関の跡地を処分してその資金で特別会計をつくる、それで維持補修をしたらどうか、この点でございます。現在ございます庁舎等の処分収入を財源見合いといたしましてこれにかわる新しい庁舎等を整備するための会計といたしまして、特定国有財産整備特別会計、いわゆる特待会計といっておりますが、こういう特別会計がございます。  それで、筑波移転の四十六機関でございますが、このうち三十機関につきましてはこの特待会計におきまして上物の整備をしたところでございます。  したがいまして、筑波移転跡地の処分収入はこれらの筑波移転機関の上物の整備の財源に充てるべきものということでございますので、これをほかの目的に回すということは難しかろうかと存じます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が来たようで、最後に長官にお尋ねしますが、この学園都市のこれからのあり方について、私は、二十年だったから一遍総括をしてみたらどうか、こういうことを提案してきたのですけれども、これに対して長官から最後にお言葉をいただいて終わります。
  52. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 科学万博の開催を機に、筑波研究学園都市はもう国際的に非常に有名になっておるわけであります。今後の育成方法を明らかにする必要があると考えておりますが、このため、現在有識者の方々によります新つくば懇談会を、二月の二十八日でございますが、開催いたしまして、国際化、情報化等の新たな時代の要請に対応した本都市の将来像につきまして幅広く御意見をいただいているところでございます。  今後は、懇談会における意見等を参考としながら、国土庁といたしましては科学万博後の本都市の基本方向を検討してまいる所存でございます。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 最後に、この学園都市を日本が誇る学園都市として、研究者の満足するような形でつくってほしいということを要望して終わります。
  54. 住栄作

    住主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、西中清君。
  55. 西中清

    西中分科員 私は、関西文化学術研究都市の建設についてお伺いをいたしたいと思います。  この都市建設は、将来、二十一世紀を展望して、近畿圏における国際的な文化学術研究のモデル都市として建設しようということでございます。同時にまた、とかく中央に集中しがちな日本の公的機関等々も考え合わせ、各種の防災その他の関係から考えてもやはり関西において一つのこうした機関が必要ではなかろうか、こういう観点からも非常に意義の深い事業ではなかろうかと私は考えておるわけでございます。  これにつきましてはかねてから国土庁としても大変真剣に取り組みをしていただいておると認識をいたしておるわけでございますけれども、今年度、六十年度予算案には建設調査費という形で予算が盛り込まれました。昨年七月には国土庁に関西文化学術研究都市推進室が設置され、同時にまた六省庁においても京阪奈地域総合整備計画調査結果が発表される、こういった前進が見られたわけでありますけれども、こうした段階に至った建設構想、これについては国土庁として現時点においてどのような御認識作業をなさっているのか、まず伺っておきたいと存じます。
  56. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 西中先生御承知の関西文化学術研究都市は、関西の復権を図るための核となる事業と受けとめておりまして、今後、三府県にわたる全体計画策定や土地、施設の誘致、関連公共施設の整備等に取り組む考えでございます。国土庁といたしましては、これらの関係省庁地元府県との積極的な連絡調整を図って本都市の建設に努めてまいりたいという考えでございます。  早く起工式をという念願でございますが、大体秋には起工式ができるのじゃないかということで進めております。
  57. 西中清

    西中分科員 今大変前向きな御答弁をちょうだいいたしました。  結局、昨年二月に奈良県、そして三月に京都府、それから先月末に大阪、それぞれ基本構想なり基本計画が発表されたわけでございまして、今お話しのようにこれから全体計画ということになろうかと思いますけれども、これは三府県の調整ということが一つのポイントになろうかと存じます。その辺はどのようにこれから作業をなさるのか、具体的にお伺いをいたしておきたいと思います。
  58. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 今ほど先生からお話がありましたように、この関西文化学術研究都市は三府県にわたっておりまして、三府県からそれぞれ、京都、奈良は昨年の春、それからつい最近大阪府から区域内の構想についてのたたき台、案が提示されております。また、この都市に関連いたします基幹的な公共施設のデザインに関しまして六省庁の調査が行われましたことも、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、これらのいわば整合性を図ってこの都市を円滑に進めていくためには、これをまとめた全体計画的なものがどうしても要るのじゃなかろうかと考えております。  こういう状態を踏まえまして、地元の御意見、それから本都市については学界の御要望、また地元産業界の要望もいろいろございまして、これらを取りまとめまして、でき得るものならなるべく早い機会に全体計画の素案、たたき台というべきものをつくり、それを関係方面に提示して構想の具体化を図ってまいりたいと考えております。
  59. 西中清

    西中分科員 そうすると、この作業が今から精力的に行われて、秋ごろに全体計画が出る、こういうように認識をしてよろしゅうございますか。
  60. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 なるべく早い時点でまずたたき台をつくって、関係方面に対して御協議なり御意見を承る場を設けたいと思っておりますが、その全体計画がどういう最終的な形でフィックスするかについては関係方面の御意見もまだ正式に承っておりませんので、いつまでにどうこうという形は、現時点においてはちょっと申し上げられないと思います。
  61. 西中清

    西中分科員 そうすると、関係の府県なりまた経済界、さらには学者、学識経験者にそういう御意見を伺われるのはいつごろなさるおつもりですか。
  62. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 現在、全体計画のたたき台について関係府県の御意見を聞きつつございますので、できるだけ早い機会、年度が明けました時点ぐらいには、できるものであればたたき台を関係方面に御提示できるべく努力しているところでございます。
  63. 西中清

    西中分科員 この問題は、筑波学園都市とは性格が若干というよりも基本的に違っておりまして、官民共同の建設ということが前提となっていると思います。それだけに地元にとりましては、果たしてどういう形でどのような町づくりが行われるのかということは、時間のかかる問題ではありますけれども、そういった性格上、不安な受けとめ方というものも少なくないわけでございます。でき得る限り早い機会に全体計画を明らかにしていただくことが非常に望まれるわけでございまして、ぜひともこの作業について急いでいただきたいと思う次第でございます。  そこで京都府としては、近畿各府県もそうでありますけれども、関西文化学術研究都市の建設はいわゆるナショナルプロジェクトとして推進されるようにという政府に対する要望が非常に強いわけでございます。これはもう御承知のとおりだと思います。幸い大臣は関西の御出身でございますし、この問題についても非常に強力に推進していくということ、また関西復権のために力を尽くすというような力強い御意向を表明されておるようでございますので、これを一日も早く国家的なプロジェクトとしての位置づけをされるようにぜひとも御努力を願いたいと思うのでございますけれども大臣の見解そして見通しをお伺いいたしたいと存じます。
  64. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 本都市に関する計画、事業の具体化を図るために、関係省庁間の一層緊密な連絡の場として、例えば局長レベルの連絡会議の設置も検討してまいりたいということでございます。
  65. 西中清

    西中分科員 そういうナショナルプロジェクトとしての位置づけを目指してのまず第一段階として、局長クラスの連絡会議というようなことではないかと思いますが、そのように受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
  66. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 今ほど大臣から例えばということで申し上げましたのは、まさに今先生のおっしゃったような、第一段階としてそういうことが考え得るのではないかということと了解しております。
  67. 西中清

    西中分科員 それはいつごろ設置をされようとお考えでございますでしょうか。
  68. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先ほど申しましたように、全体計画のたたき台については現在まだ対外的には全く調整作業なり提示作業が行われておりません。それとの関係もございますので、合いつというのはなかなか申し上げられないと思いますが、新しい年度になりましてから関係される省庁の方々とも相談して、その内容、範囲などを固めていければと思っております。
  69. 西中清

    西中分科員 ぜひそうした連絡会議を早く設置をしていただきたいと要望をいたしておきます。  国の方、政府の方はそういう動きでありますが、大阪、奈良、京都、地元の方の受け皿といいますか、いろいろと京都府の知事を初め財界等も熱心な取り組みはしておられるわけでございますし、今日まで建設推進協議会も大変御苦労を願ってきたわけでございます。しかし、事業の内容は、若干の建物の着工も行われ、そして全体計画もぼちぼちまとめ上げていくという段階に入ってきたわけでありまして、一つの事業でしたら、早く言えば官民共同ということでありますから、第三セクターなら第三セクターというものをつくってやっていくことができるのでしょうが、大変大きな事業でありますし、また、数多くの公的機関または民間の建物等々予定されておるわけでございますから、当然これはそういうわけにはいきません。だからといって今のような形で果たしていいのだろうか、より強力な推進を図っていくためには何らかのてこ入れといいますか、ひとつ新しい機関なりそういうものを設置してもいいんじゃないかなという感じも持たないわけではありません。そういう点について、国土庁として何かお考えがありましたならば御意見を伺っておきたいと思います。
  70. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生今お話がありましたように、この都市の建設を推進するためのいわは推進母体としまして、地元で三府県知事それから関経連の会長さんないしは学識経験者を代表幹事とします関西文化学術研究都市建設推進協議会が設けられ、これが推進のいわば中核的な役割を果たしていることは御存じのとおりでございます。  先生の御指摘は、この都市がいわば官が全体的にまとめてしまう筑波の研究学園都市のようなものではなく、土地の構成からいっても官、公団の公的部門と民間がそれぞれ大きなシェアを分け合っていること、ないしはここに立地します研究機関につきましても民間的色彩が非常に強いことから、いわばこれをコーディネートすると申しましょうか、調整し、具体の即地的な計画に割りつけていくような推進機関が要るのではないだろうかという御指摘と思いますし、私ども他の類似のこういうプロジェクトにおきますコーディネート機関の役割なども勉強しまして、でき得れば一つの考え方を固めた上で地元の御意見を待って、御提案なり地元の御発意を受けとめるという形をとりたいと思っております。
  71. 西中清

    西中分科員 この点についても今後ともひとつ御検討いただきたいと存じます。  そこで、今日までには住宅都市整備公団の土地区画整理の事業であるとか、同志社大学の着工であるとか、花き総合指導センターの着工であるとか、具体的に事業が始まっておるわけでございますけれども、京都府がかねてより要望しております第二国立国会図書館や電気通信基礎技術研究所などの設置が今後の問題と言えると思いますが、国土庁が全体計画案をつくられるときには、こうした公的機関の御要望がいろいろとあるわけであります。これをどのクラスター、九つのクラスター、そして準が二つ、こういう形でありますけれども、そういうものをどのクラスターに入れるかということについては、全体計画などで発表をなさるおつもりでございますか、それともまた別途お考えてありますか、その辺のお考えを伺っておきたいと思います。
  72. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 個別の各クラスターにおきます立地の話は、まだこれから地元の府県の御意見もありますし、また、立地される機関の御意向もございます。今回私ども考えております全体計画は、そういう細部までは入りませんで、いわば地盤整備と申しましょうか、基盤整備の骨格的な推進方策を含めたものでございまして、いわばそこに立地します各種の機関がどのクラスターに最終的に立地されるかという話は、また別の場における調整というふうに考えております。
  73. 西中清

    西中分科員 ここで郵政省の方にお伺いしたいのですが、本当はこれは大臣に聞かなければならぬのですが、ことし一月に左藤郵政大臣は大阪で、京都府が学研都市に誘致を要望しております電気通信基礎技術研究所について、条件が整い地元協力が得られるならば設置できると述べておられます。そして学研都市の設置に強い意欲を示されたというように伝えられておるわけでございますが、この点は一体どうなのか。地元では、第三クラスターとか第四クラスターに設置されるというお話も流れておるわけでございますけれども、この辺の事情をひとつ御説明いただきたいと思います。
  74. 堀江達

    ○堀江説明員 関西経済界を中心にいたしまして関西文化学術研究都市構想で検討されております電気通信基礎技術研究所の設立プロジェクトにつきましては、先般国会に提出いたしました基盤技術研究円滑化法案、この中で民間において行われる基盤技術に関する試験研究を促進するために設立することを予定しております基盤技術研究促進センターの予定する業務に該当いたしますならば、法案審議を踏まえましてこの検討を支援してまいりたいと考えております。  それから、どのクラスターに入るかという具体的な問題につきましては、今後の検討事項と承っております。
  75. 西中清

    西中分科員 次に、第二国立国会図書館について伺っておきたいのですが、五十八年の分科会でも質問をいたしましたけれども、この調査会における調査状況はその後どうなっておるのか、伺っておきたいと思います。
  76. 三塚俊武

    ○三塚国立国会図書館参事 当館におきまして、昭和五十七年度に国立国会図書館関西プロジェクト調査会というものを設けまして現在検討を進めておることは、先生御存じのとおりだと思います。  この調査会におきましては、昭和五十八年二月の第一回会議から現在まで八回の会議を開催いたしまして、当館の組織、機能、任務、資料収集体制、納本制度の改善、保存図書館としてのデポジットライブラリーの必要性、自治体等の図書館に対するバックアップ体制等、将来の図書館活動の広がりを展望しつつ、当館が日本国民に対して果たす図書館奉仕に関する基本的事項につきまして意見の交換を行ってまいりました。  また、基本調査事項といたしまして、既に関西、関東両地域の図書館の実態、関西地域に第二国立国会図書館(仮称)を必要とする社会的ニーズ、それから国立国会図書館の図書館奉仕と関西地域に設置する第二国立国会図書館一仮称)の位置づけ等について調査を終了いたしまして、現在、図書館において利用可能な科学的機器に関する調査を進めているところでございます。
  77. 西中清

    西中分科員 今の御説明で、いろいろ調査をなさっていただいておりますが、そのヒアリング調査の中で、第二国立国会図書館の機能とかサービスとかそういった点についての御要望はどういうものがあったのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  78. 三塚俊武

    ○三塚国立国会図書館参事 この社会的ニーズに関する調査は、本調査会の基本事項といたしまして、関西の調査機関に委託しまして、関西地域の企業二十社、図書館十五館についてヒアリング調査を行ったものでございます。  企業、図書館とも一様に第二国立国会図書館(仮称)の設置を期待しておりますが、その理由といたしまして、関西地域には関東地域のように一次情報を網羅的に提供できる図書館がないこと、また、研究開発技術開発に必要な高度な情報を提供するリサーチライブラリーがないこと等が挙げられております。  また、この調査の内容でございますが、企業と図書館には若干の違いはございますが、おおむね科学技術情報を網羅したリサーチライブラリーが欲しい、それから保存図書館であること、それから英国図書館貸出局をモデルとした文献情報の複写サービスのできるものであること、また、西日本の図書館ネットワークの中核機能を果たし、貸し出しあるいは複写サービスにおいて既存の図書館で果たせない部分をバックアップできるものであること等が要望されております。  具体的なサービス内容といたしましては、機械検索システムの導入、それからテレファックスサービスの実施、光ディスクの活用等が要請されております。
  79. 西中清

    西中分科員 今のお話で、調査会において関西地域に設置する第二国立国会図書館について種々検討していただいているわけでありますけれども、図書館としては、時代も変わってきておりますし、東京と関西といいますか、東京と京阪奈丘陵ですか、そういう地理的な違いもございますが、どういうような図書館を今想定されておるか、答えられる範囲で結構でありますけれども、聞かせていただきたいと思います。
  80. 三塚俊武

    ○三塚国立国会図書館参事 先生御承知のとおり第二国立国会図書館(仮称)については、目下調査会において検討中でございますが、現在までの意見の交換によりますと、当館の全国民に対する図書館サービスの責務から、当館が所有するデータについて、将来の伝送技術発展等を考慮しまして、現在の国立国会図書館の利用法あるいは利用形態とは同種類のものでない、ニューメディアを駆使した図書館にすべきであるという意見もございます。また一方におきまして、文化財としての出版物を保存するという責任を当館は負っておりますので、保存図書館としての機能もあわせ持たせた図書館にすべきだという意見もございます。  いずれにいたしましても、答申をまたなければならない状態でございます。
  81. 西中清

    西中分科員 今後とも引き続いて精力的に調査、また計画を進めていただきたいわけでありますけれども、今答申をまたなければならないというお話でありますけれども、調査会におけるこの答申はいつごろになるとお考えでございましょうか。
  82. 三塚俊武

    ○三塚国立国会図書館参事 調査会におきましては、早ければここ一、二年のうちに答申いたしたいという御意向でございます。
  83. 西中清

    西中分科員 以上で終わります。
  84. 住栄作

    住主査 これにて西中清君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁)についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  85. 住栄作

    住主査 昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。木部建設大臣
  86. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 建設省関係昭和六十年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百四十八億五千万円余、歳出三兆八千七百十三億七千八百万円余、国庫債務負担行為五千八十六億二千四百万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆四千二百二十三億六千四百万円余、国庫債務負担行為五千三百九十五億九千七百万円余を予定いたしております。  次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆四千五百四十二億四千五百万円余一国庫債務負担行為二千九百六十四億三千七百万円を予定いたしておりますが、歳入については、新たに、臨時的な措置として揮発油税収入の一部直接組み入れ及び資金運用部からの借り入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千三百四十七億七千九百万円余、国庫債務負担行為三千十五億二千八百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百八十二億七千四百万円余を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出七十一億一千四百万円余、国庫債務負担行為八十億八千七百万円余を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、都市対策、住宅・宅地対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる施策推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算の事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和六十年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  87. 住栄作

    住主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  88. 住栄作

    住主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は、きょうは東京湾横断道路の問題についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。  実は私ども、まだこの問題について賛成とか反対とかいう態度を決めてあるわけではございませんし、個人としてもあるいは党としても、この問題は時間をかけて議論をしなければならぬというふうに思っておりますので、幾つかの点で御質問を申し上げながら、問題点を解明して勉強してまいりたいというふうに思いますので、御答弁を煩わしたいと思います。  これは去年なんですけれども、前の沓掛道路局長が横断道研究会の五十九年度の通常総会に御出席になりましてごあいさつをされておられますりこれを読ませていただきますと、「東京湾横断道路は、第八次道路整備五個年計画においても、調査を完了し事業化を図る、とされていましたが、それが実現せず、現在の第九次計画にバトンが引き継がれているわけです。 その理由を考えてみますと、千葉県側の皆さんは大変に熱意も高まり、建設促進に努力しておられますが、一方のパートナーである神奈川県、川崎市側の機が、もう一つ熟していなかったということが挙げられるかと思います。」というふうに述べておられます。  要旨ですから全文を拝見したわけではございませんけれども、うまくいかないのは何か神奈川県、川崎市の責任だみたいな言い方になっているわけです。私は実は神奈川県、川崎を選挙区にいたしておりますので、一体どういうお気持ちでこういうことをお述べになったのかということをまずお尋ねしておきたいと思います。
  90. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 簡潔に申し上げます。  私は関東地建におったわけでございますが、神奈川県の知事さんは、東京湾岸道路は早く整備していただきたい、と申しますのは、径ほど先生質問あろうかと思いますが、東京湾岸道路に関しましては、東京都側及び千葉県側が、成田国際空港のアクセス道路でございまして東関東道とドッキングさせますので、そのために非常に急いだわけでございます。そういう点で、神奈川県側としましては、道路資金が一緒であればおくれた神奈川県の湾岸道路を早くやってくれぬかということで、そういう御意思を体してこのような御発言になったと思います。  それから川崎市さん側の立場を考えますと、東京湾岸道路だけで、この東京湾横断道路と分岐してそこで終わりになってしまうと、御案内のように南北方向の道路が非常に弱うございますので、そういう点を踏まえて、東京湾横断道路をつくるためには、川崎の南北方向に非常に交通体系が弱いのでぜひこれをあわせて考えてほしいという意味のことも踏まえて、簡単におっしゃったのではないかと推定しておるわけでございます。  現況を申し上げますと、東京湾横断道路の計画を具体的に推進するためには、もちろん関係地方自治体のコンセンサスを得ることが極めて重要であると私たち考えております。このため、東京湾横断道路の調査に当たりましては、必要に応じまして、関係地方自治体の参画をもとにしまして、神奈川県の経済、環境に与える影響等も含めまして調査を進めているところでございます。  神奈川県側の状況としましては、先生御案内だと思いますが、昭和五十六年の十一月の第六回大都県市首脳会議で、いわゆる首都圏サミットでございますが、東京大都市圏の都市構造を現在の一点集中型から多核型へ再編成するためには、広域的な幹線道路網整備が必要であると認識されております。  また、昭和五十八年七月の神奈川県議会におきましても、「東京湾岸道路の早期整備促進を図るとともに、横断道路の建設については、本県の経済や環境面への影響などについて十分調査検討し、総合的な対応を図られるよう要望する。」と決議されていると聞いております。  また、先ほどとダブりますが、神奈川県が従来から特にその整備要望しておられます湾岸道路については、横浜ベイブリッジの建設の促進あるいは湾岸三期、四期の事業化が図られておりますし、また、内陸部の幹線道路につきましても、地方自治体等と調整を図りながら、計画策定推進しているところでございます。  今後、このような東京湾岸地域幹線道路の整備への努力を踏まえまして、東京湾横断道路計画が神奈川県に与えます社会的、経済的な効果につきまして十分な理解を得られるよう努めれば、神奈川県さん及び川崎市さん等の関係自治体におきましても、その必要性を十分理解していただけると私たち考えております。  以上でございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 答弁が長いと質問する時間がなくなってしまうものですから、御丁寧なのは大変ありがたいのですけれども、御考慮をいただきたいと思います。  そうしますと、この計画というのは大変なビッグプロジェクトですけれども地元の自治体や住民の協力を得なければできませんね。その意味では、自治体や住民のコンセンサスを得ない限りは強行できないと私は思うのですが、そういうふうにとらえておいてよろしゅうございますか。
  92. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 地方公共団体、それから先生御指摘の、まあ住民の一人一人全部というわけにはまいらぬと思いますが、特に、地方公共団体及び市議会の方々及び大部分の住民の方々の御了解を得なければならないと考えております。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 率直に申し上げますけれども、実はこの横断道路の問題については、神奈川県民の中でもさまざまな意見がございます。今局長の御答弁の中にありましたように、川崎に対して、神奈川に対してどんなメリットがあるんだという意見がある中で、特に川崎市民にとりましては結局バイパスじゃないか、例えば、交通混雑の問題や事故の問題、騒音、粉じん、大気汚染、つまり交通公害と言われるような問題がひどくなるだけでなしに、言ってしまうと、企業を含めて川崎側の方から千葉の方へ人口の移動というふうなことも心配される、過疎ということではないにしても、そういう状態というものが心配されるという実は懸念があるわけです。  私は、ここでそのことについて細かく触れませんけれども、都市の活力といいましょうか、そういう問題を含めた経済的なアセスメントをきちんとおやりになるということをお約束いただけますか。
  94. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 特に川崎市地域におきましては、東京湾横断道路あるいは川崎縦貫道路、これは一部浮島線を併用することになると思いますが、先ほどちょっと申し上げましたが、そういう南北方向の不足している川崎市域を縦貫する幹線道路が形成されまして、川崎市域の活性化が得られるものと考えております。その結果、工業都市としての業務機能、商業機能の強化、都心部の再開発の問題あるいは物流機能の強化などの経済的な効果があるものと考えております。  いろいろメリットもあろうかと思いますが、デメリット、さっき先生御指摘の点もあろうかと思いますので、いろいろ総合的に判断させていただきまして、検討させていただきたいと思います。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 判断ではなくて、アセスをやっていただけますかと伺っているわけですから、やりますならやりますと答えてください。
  96. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 必要なアセスメントは当然やります。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 特にデメリットなどの点で懸念があるわけですから、その点はきちんとやっていただきたい。そして、市民の納得というものがどういう形で得られるのかということに対する誠意ある態度を示していただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。  今ちょっと局長の宣言葉にありましたけれども、木更津から川崎の浮島、それから、浮島からどういうふうに外環につながるような計画になっているのですか。
  98. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 浮島線に対しましても、必ずしも具体的には、先生おっしゃいましたが、アセスメントとかあるいは住民との接触等々はやっておりません。御案内のように、ほとんど工場地帯でございます。それからその光線は、御案内だと思いますが、現在一応凍結されたような格好になっております東京外郭環状線とどこかで、どこかでと申しますか、その線上を走るようなことになろうかと想像しております。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 昭和四十一年から五十一年までの間に建設省で調査をなすった予算が二十六億円、そして五十一年から五十九年まで日本道路公団の調査が七十六億四千万円、トータルで百二億四千万円という巨額な予算を使って調査をなすって、川崎の浮島からどういうふうにつながっていくのかということについて何ぼ聞いてもいまだに答えが出てこないのです。ということは、川崎市民の生活というものを余りにもないがしろにしてはおらぬのかと伺いたいのです。取りつけ口を決めないで、それにどうドッキングするかというコースを決めないで、橋の構造や道路の構造だけが事実上計画が固まってきてしまって、それができました、できましたから取りつけを何とかしてください、そこのけそこのけ道路が通るということでは、さっき私が言った懸念のところにまた戻ってしまうのです。私はそのことを言いたいのです。  だから、橋の構造だとかトンネルだとかいうような議論をなさることも結構だし、そのことをやっちゃいかぬと言うつもりはございませんが、しかし先に立つものがございませんか。取りつけでもっていろいろな意味で一番デメリットをこうむらなければならぬ、あるいは懸念を持っている、それに対してこたえる誠意を示さないで、事実上大変な金額のプロジェクトが動き出している、こういうやり方というのは主客転倒だと思いますので、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
  100. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 いずれにいたしましても浮島線それから先ほど私が申し上げましたように、最終的には東京外郭環状線の一部の上に乗っかるということになろうかと思うのでございます、これは想像でございますが。その点につきまして、御案内だと思いますが、川崎駅前の再開発計画、北側だと思いますが、市長さん、市議会の方々もいろいろ不安をお持ちのようでございます。そういうものを含めまして、具体的に言いますと、多摩川の右岸——今右岸、左岸というような都市計画決定をやっておりませんが、恐らく多摩川の右岸にまとめてしまった方がよかろうかというふうな案もございますし、あるいはもうちょっと都心側を通ってくれということをおっしゃる議員の方もあるやと聞いております。そういうことはやっておりますので、先生御指摘のように必ずしも橋ばかりをやっているという意味じゃございませんから、その点はよく御了解願いたいと思います。  以上でございます。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いずれにせよ川崎という町は一番狭いところは、皆さんもう御存じのようにウナギの寝床で、何キロしかないわけですよ。そこへ幹線道路だけが通ります、こういう理屈になりますと、周りの市民が不安を感ずるのは当たり前なんですよ。同時に、多摩川というのは、川崎市民にとっても東京都民にとってもある種の心のふるさとでございまして、それが切断されるというふうな事態になれば、それはそれでいろいろな意見が出てくるということも考慮の上で、今お考えになっているのは、浮島から川崎駅までは今の道路というものを考えた上で調査をなすっていらっしゃるのですか。
  102. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 市側の御要望も大体それに近い線でございます。特に、先ほど申し上げました川崎駅の北側の再開発のところで東西方向の都市計画道路ができるそうでございますが、それとうまく結びつけて、さらにそれを北の方に延伸して、御指摘の南北方向のしっかりした道路をつくってほしい。それから、もちろん最近はアセスメントもやりますし、道路構造も現在一部都市計画決定しましたような高架のような構造じゃなくて、環境アセスメントもいろいろ考えておりますので、恐らく巷間に漏れているような構造よりも大分変わると思います。その点は十分打ち合わせさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 技術的な話ですが、高架とは限らない、そうすると、地下ということもあり得るということを含めて考えていいですね。余り具体的には答えられないのだろうけれども考え方としては。
  104. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 具体的に言いますと、多摩川の右岸ということになりますと高架構造物ということになりますが、緩衝緑地帯を十分とるということになろうかと思います。音を遮ってかつ側道を十分とり、かつ緑が多いような緩衝緑地帯を十分設ける、さようなことになると思います。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 扇島から川崎の駅までというのは、今の道路にそのまま乗せるわけにはいきませんね、今でも満杯ですから。そうするとそれは地下構造みたいなことも考えているわけですか。
  106. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 具体的に絵でもって云々するほどは駅前の方はまだ詰まっておりません。先生御指摘のように、非常に現状が込んでおりますし、民家も密集しております。そこら辺非常に問題でございますので、そこまではまだ詰まっておりません。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 先ほどの県議会の決議やあるいは神奈川県の県市首脳会議で決議をしたりあるいは要請をしたことは、私、繰り返しません。その意味は、要するにそういう工事を考えるときにぜひお願いしたいのは、関連地域都市整備、東京湾の環境、とりわけ取りつけ部周辺の沿道の環境などについて十分な検討をしてほしい、これは言うまでもございませんが、要望をしておきます。  と同時に、これは県議会の満場一致の決議ですけれども、東京湾岸道路の整備促進という問題で何回となく実は要請を申し上げてきているわけです。ちなみに建設省の方の資料で調べさせていただきますと、湾岸道路の工事進捗率は、五十九年五月の数字ですけれども、専用と一般と両方あって、その合計でいいますと千葉県は四八%なんです。東京が四二・八%という数字です。神奈川はそれに対してわずかに一五・三%にすぎません。神奈川の、それは横須賀まで含めた道路の促進についての具体策をお示しいただきたいと思うのです。これは簡単で結構ですからお示しいただきたい。長くなるようでしたら書類で結構ですから御答弁いただきたいと思います。
  108. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 神奈川県だけにポイントを絞って簡単に答えますと、既に横浜市金沢区の釜利谷町から横須賀市衣笠に至る間約十五キロを日本道路公団の横浜横須賀有料道路として供用しております。  それから羽田空港から川崎市浮島に至る間につきましては、首都高速の湾岸線三期としまして五十八年度事業に着手しておりまして、現在羽田空港沖合展開計画との調整を図りつつ事業の進捗を図っておるところでございます。  さらに、横浜市側の大黒埠頭−本牧埠頭間につきましては横浜高速湾岸線として事業を実施しております。現在ベイブリッジの下部工事を実施しているというのが実情でございます。  それから、川崎市浮島から横浜市大黒埠頭間につきましても六十年度新たに着工する予定でございます。  なお、横浜市本牧以南につきましては、横浜市金沢区幸浦から同区釜利谷町の間を横浜横須賀道路金沢支線として五十八年度に着手しており、残る本牧−幸浦間につきましては現在建設省及び首都高速道路公団において調査を実施しておるところでございます。  以上でございます。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 扇島の高速海岸線、これは四期工事ですか、あれはことしから始まるのですね。予算は何か三千億くらいかと聞いておりますが、それをちょっと教えてください。
  110. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 昭和六十年度から調査費として約三千万くらいを予定しておるようでございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 湾岸道路というのは自動車道ですか。鉄道ということは全然頭にないのですか。
  112. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 今のところはごく一部区間、横浜市内にモノレールが入ると思いますが、大部分が自動車専用道路とそれから側道と申しますか街路と申しますか、そういう形式の道路になろうかと思います。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ごめんなさい。私の質問がちょっと……。横断道路の場合です。
  114. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 東京湾横断道路はとりあえず自動車専用道路でございまして、側道とか一般部は考えておりません。現在は四車で暫定施工を考えておりまして、最終的には六車を考えております。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 大変大きなプロジェクトですね。  一兆円、補償費まで入れたらどのぐらいかかるか見当がつかないと思うのですけれども、こんな大きなプロジェクト、今のような財政事情のもとで一体どういう形でお取り組みになるのか。伺うところによれば、総理は民間活力の導入というようなことをおっしゃって、建設省はそれに対していろいろな意見を持っていらしたけれども、大体そういう方向もやむを得ないのかなというような意見もあるようですけれども、どういう主体を考えていらっしゃいますか。
  116. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘のように非常に大きなプロジェクトでございますので、まず有料道路でやらざるを得ない。その場合に今考えておりますのは、御案内のようにいろいろな、首都高あるいは本四公団、日本道路公団等々ございますが、そういう公団を利用する方法と、それから関西新空港と申しますか、一般論で申しますと第三セクターと申しますが、そういうものを含めていろいろ検討させていただいております。  それから、五十七年プライスでございますが、一応四車の段階で、暫定でございますが、八千億ぐらいの金がかかろうかと考えております。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いろいろ今の段階で物を言うことはやめておきますが、はっきり申し上げて採算に自信が持てるのかな。しかも、計算上、自動車一台で通行料が四千円だそうですが、四千円というのは、私、調べてみたら浜松まで行っちゃいます。四千円もかけて一体通勤用にこの道路が使われるのだろうかなというようなことを考えると、一般市民にとってこの道は一体何であるのだろうかというふうなことは、当初の計画構想されたときと今日の経済状況変化というものをも含めて、そしてそれが一体、国民、市民にとってどんな意味を持ち得るのかということについても慎重な御検討を煩わしたい。悔いを千載に残すなどという言葉は申しませんけれども、その点は要請しておきたいと思うのですが、いかがですか。
  118. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど申し上げましたが、当初は六車で、約一兆円、これは五十七年プライスでございます。しかし、交通量の伸び等々を考えまして、現在はステージコンストラクションで、四車線で約八千億円。それで交通量は供用時に一日約三万台と考えております。料金は一般の自動車で一台当たり約三千円、これも五十七年プライスでございます。大体十年ぐらいはかかるであろう。それでやりますと、公団方式では採算がとれるというふうに私たちは今考えております。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 時間がなくなってしまいましたから……。  いずれにせよ、地元協力を得なければできない仕事ですから、神奈川県初め川崎市、関係自治体のそして市民のコンセンサスを前提にしてお考えをいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  さて、そういうようなプロジェクトを考えた場合に、首都圏の産業構造といいましょうか、工場の配置の状況が重大な関係を持ってくることは言うまでもありません。これはもう五分しかありませんが、国土庁に伺います。  建設大臣も御存じだと思うのですけれども、実は今、工場追い出しの制限三法、工場制限三法というのがございます。新増設はストップされています。これは、片方でそういう大きなプロジェクトをやる背景としての産業のことを考えると、何というか、ちぐはぐということを否定することはできませんけれども国土庁はこの三法の制限緩和についてどんなお考えを持っていらっしゃるか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  120. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 都市型工業につきましては、地方公共団体から特に工業等制限法の緩和について要望してきていることは承知しております。ただし、その工業等制限につきましても、全国的な観点からの国土政策あるいは産業政策、そういうものとの整合性が必要でございますので、現在私ども進めております第四次全国総合開発計画あるいは首都圏整備基本計画、そういう作業との開運の中で、こういう大都市における工業のあり方あるいは工業等制限法の取り扱いの仕方等につきまして検討してまいりたいと思っております。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは大臣にも聞いてほしいのですが、川崎の例ですけれども、実は、昭和四十年代後半、五十年ちょっと前ぐらいからこの十年ちょっとの間に、敷地の面積で二千平米以上の工場が八十七件、二百ヘクタール、地方へ出ました。その結果、工業従業員数がピーク時に比べて七万人近く減りました。それから財政的にも、累積で百億円程度の税収減がございます。さらに、住宅建設などに伴う公共投資負担などを含めると、市の財政にとっては大変深刻な事態が来ているわけです。  しかもその影響として、細かくは申し上げませんけれども、その跡地にマンションを建てるものですから、今度はその周りにある工場が出ていかざるを得ない、追い出されているという状況がございますし、中小企業など含めていうと、企業連鎖、下請の関係を含めて非常に困難がございます。これは、ある特定のところに人口が密集してしまうというふうな社会的な施設の問題、教育の施設の問題を含めて矛盾が出ています。こういうことはやはり地域経済に非常に大きなマイナスの、結果的には相乗効果さえ及ぼしていると言わなければならぬわけでして、そういう意味では私は、工場制限三法というのはある意味でその目的を達しつつあるというふうに言うことができると思うのです。  だから、都市型工業の立地条件を含めて例えば四全総とかあるいは首都圏基本計画ですか、そういうことの中にぜひひとつそういう実態を反映していただきたい。そして国づくりの基本にもかかわりのある形で見直していただきたい、このように要請をいたしたいと思いますがいかがですか。
  122. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 今先生おっしゃいましたように、臨海部の工業地帯におきまして工場が著しく流出しているということが見られることは事実でございますけれども、それは私ども工業等制限法の政策効果だけではございませんで、産業構造が大きく変化しているとかあるいは地価の高騰、いろいろな要因が複合的に作用しているのではないかというように思っております。ただし、それが都市衰退につながるということになると私ども好ましくございませんので、先生合おっしゃったようなことで、意見も踏まえながら今後十分検討してまいりたいと考えております。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ぜひ生かしていただきたいと思うのです。そうでないとバランスのある国土発展というのはございませんので、その点を御配慮いただきたいと思います。  時間が来てしまいましたから、最後に一問だけお願いをいたします。これは実は私の選挙区なんであれですけれども、三浦半島には大変すばらしい緑や自然がございます。それで実は逗子葉山地区というのは、今の陛下が践祚の地だということなど含めて、緑豊かな自然の丘陵と海青く景勝の海岸線を有しているということにちなんで、天皇在位五十周年のときの記念公園の運動をやった経過がございます。これは立川へ行ってしまったものですから、その後の公園計画としてどうするかという議論がございまして、これは実は私が衆議院の予算委員会質問を申し上げたわけです。  当時、渡辺建設大臣でございますが、逗子葉山はすぐれた要件を持っており、最優先して国営公園の建設について取り組んでいくという御答弁をいただいて、その後も調査をいただきました。この方向というのは今日も変わっていないというふうに承ってよろしゅうございますか。
  124. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のように、昭和記念公園のような国家的な記念事業として行います公園は別といたしまして、国営公園は、一つの都道府県を越えるような広域のブロックで設置するということになっております。それで、現在国営の常陸海浜公園を茨城県で整備中でございまして、こういう現段階では、この逗子葉山地区を国営公園とすることは困難であると考えておりますが、当地区がかつて昭和記念公園の候補地として挙げられましたような非常に有利な条件も備えておるとかいろいろな経緯等踏まえまして、今後の対応につきましては検討してまいりたいということでございます。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 一言だけ。大臣答弁で最優先の課題として取り組んでいくということについては、大臣、この前の大臣答弁を繰り返すというか、そういうお立場をおとりいただけるということを御答弁いただけますか。
  126. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私も、あの辺の自然環境や、また、東京都民等の保養とかそれから健康の増進とか、歴史的経緯を振り返ってみても、そういう面で欠かすことができない条件下にあることはよく承知をいたしております。したがいまして、今までの経緯を踏まえましてこれからも検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ありがとうございました。
  128. 住栄作

    住主査 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、池田克也君。
  129. 池田克也

    池田(克)分科員 今、岩垂さんのお話を聞いておりまして、外郭環状道路の問題が出てまいりましたが、実は私も東京の世田谷区を選挙区としておりますので、川崎と世田谷は多摩川を挟んでともに外郭環状道路の成り行きに非常に関心を持っておるわけであります。今、道路局長からたしか御答弁があったと思いますが、再度確認でございます。これは凍結状態なのかあるいは動きがあるのか、右岸か左岸か、この辺、今のお話に関連してですが、もう一遍お聞かせをいただきたいのです。
  130. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内だと思いますが、現在、関越道が入ってきました結果、それの受け皿が首都高速に全くございません。したがいまして、谷原交差点で非常に交通渋滞を起こす。それで今現在、東京都さん及び関東地方建設局、それからもちろん地元練馬区長さんを初め区会議員の方々にお願いしまして、都市計画決定の手続をいろいろやっております。これは東京都としては、関越の入ります練馬区だけでございます。あとは和光、先生御案内の埼玉県の方です。ここら辺は終わっております。それから埼玉県側は常磐道まで一応都市計画、変更がございますが、基本計画が出ております。したがいまして今度は、まず第一点は関越の練馬のところから三郷まで、三郷と申しますのは常磐道の交差点でございますが、そこの外郭環状線を急ぎたい。その次に千葉市。それから、もちろん一番大事なのは東京都内でございますが、歴代大臣がいろいろな発言をされておりますが、いずれにいたしましてもトーンとしましては、無理をしてやるつもりはない、一応凍結という言葉をお出しになった時代もございましたですが、道路構造等々考えて、かつ地方自治体その他の人々とよく相談して、反対のないいい道路をつくりたい、そういうトーンでございまして、これができませんと、先生御案内のように大動脈がたくさん東京都内に入っておりまして、今の首都高はもう満杯状態でございます。抜本的には外環以外関越を受ける道路がございません。  御指摘の多摩川右岸、左岸の問題、これは都市計画決定は、点線表示で何もできておりません。先ほど言いましたように、左岸、右岸ということになりますと非常に交通の処理が難しいということで、これは関東地建が中心にいろいろ調査しておりまして、片方に固める。片方に固めるということになりますと多分右岸側を通るのじゃなかろうか。これは結論じゃございませんが、今のところそういう方向で前向きに検討しておりまして、道路構造自体は、先ほど申し上げましたが、いろいろなことを考えております。要するに公害のない、使いやすい、地元の人に理解してもらえるような道路という意味でございます。  以上でございます。
  131. 池田克也

    池田(克)分科員 よくわかりました。首都高が満杯で、私のところも環状八号線がありますけれども、東名からおりてきて瀬田交差点までの間が大変な渋滞のわけで、近所は大きなトラックの騒音で寝られない、このような状態で、東京に入ってくる車の流れについてはもう一遍いろいろ調査をし、何らかの解決策を立てていただきたい、これは私の方から要望いたしまして、別の問題に移りたいと思います。     〔主査退席、谷垣主査代理着席〕  きょう最初にお願いし、お伺いをしたいのは、高速道路高架下の利用の問題でございます。  大臣もお気づきだと思いますが、東京の地価は大変上がってきておりまして、なかなか道路に面したいい土地というのはない状態でございます。私の、先ほど申し上げました世田谷区は、首都高速道路三号線それから東名、中央道と三本の高架道路が通っておりまして、その騒音その他については近所もかなり耐え忍び、協力もしてきているわけでありますが、調べてみますと、この高架下の利用部分がまだあるんじゃないか、こういう声を私どもは人々から聞かされているわけでございまして、現実に歩いてみましても、そういう状態があるわけです。  最初にお伺いしたいのは、いろいろな要請があると思いますが、基本的にはこの下を活用するお考えがあるのか。何らかの基準があると思いますが、基本的に活用される方向なのか、これはもう基本的には抑制なのか、ここのところをひとつお伺いしたいのです。
  132. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 簡潔に申し上げますと、現在のところでは高架下の利用につきましては高架道路下占用許可基準というのがございまして、先生既に御案内と思いますが、これに基づきまして道路管理上好ましくないので抑制的に取り扱うこととしているところでございます。しかしながら、相当の必要があって真にやむを得ないと認められる場合に限って占用を許可することとしております。例えば、もう既に御案内だと思いますが、自転車の置き場だとか、あるいは子供さんの遊園地だとか、これはあくまで区役所さんとか公的な方々が中へ入って、道路管理上問題ない、あるいは火を出す心配がない、そういう場合には公的な機関が間に入った場合には許可しているのが現状でございます。
  133. 池田克也

    池田(克)分科員 具体的に申し上げますと、世田谷区から現在三つ申請が出されております。一つはゲートボール場、二つは水防資材置き場、三つは体育施設、この三つが現在、昨年の暮れですが、占用の許可を申請しているようでありますが、テーマとしてこの三つは、今御説明になりました相当の必要があって真にやむを得ないというものに当たるのかどうか。これは全部地方自治体ががんで運営をしょうというものでございます。三つ許可される見込みがあるかどうかをお伺いしたいのです。
  134. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほども申し上げましたが、高架下の駐車場に占用許可を与える場合には特定の者が独占的に利用することは適当でないと考えており、地方公共団体等、道路管理者と同等の管理能力を有する者に一括して占用させることが原則でございます。したがいまして、先ほど先生御指摘の公園とかゲートボール場それからもう一つの体育館、これはちょっと体育館の大きさにもよると思いますが、それ相応の消火施設、具体的に言いますと例えば検知器とかあるいはスプリンクラー、そういうものがないとちょっと許可の対象にならないのじゃないかと思いますが、体育館が入るような大きなところは余りないんじゃないかと思うのでございます。
  135. 池田克也

    池田(克)分科員 体育館じゃなくて体育施設ということでして、体育館までいかない。屋根があるわけですから、簡単な囲いをつけてバレーボールぐらいはできるんじゃないかと思うのですが、そんなふうな考え方なんですね。
  136. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 そういう小規模な、一種のゲートボール場みたいなものであれば——ただ、御案内のように高架下は交通が非常にふくそうしまして、例えばゲートボールの場合には老人の方々がかえって交通事故の原因におなりになる、そういう場合もございますので、その場合にはそれ相当の交通安全対策施設も設けなければいけませんし、いろいろなことを総合的に判断して、かつ先ほどから何遍も申しておりますように、一般じゃなくて区役所なり公的な機関がそれ相当の手続をしていただきますれば可能であろうかと考えております。
  137. 池田克也

    池田(克)分科員 駐車場の利用の問題について今お話が先にちょっと出ましたけれども、トラックの運送業者の場合なんです。  これは確かに特定といえば特定になるのですが、トラック運送業者の団体で、東京都が一応公として協会を認定しているようなそういう団体が臨時的に、つまり非常に用地難で、今まで駐車場に使っておったところが使えなくなるというような事態が出てきておりまして、業者間では、タクシーを駐車する、かなりスペースをとるものですから、しかも大きな道路に面している方がいいものですからなかなか苦しんでいる。世田谷に本社があり荷主がありながら埼玉県あるいは川崎市に駐車場を持って空の車が行ったり来たりする。道路を使う意味からいうと随分むだじゃないかなと思っておりまして、かなり暫定的にローテーションを組んで幾つかのスペースをそういう協会や団体に使わせるということは公共的な意味を持つのじゃなかろうか。  この人たちの話を聞きますと、高速道路を有料で使っているのは自分たちは商売で相当な貢献度があるのだ、こういう話があるわけでして、この手の話はいかがなものでしょうか。
  138. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 トラック協会となりますと、私たちの基準で言いますと、いわゆる公的な区役所とかそういうものに入りませんで、やはり民間的なものという見方になりますのでちょっと難しいと思いますが、それと、先ほど何回も申し上げましたが、タクシーの置き場といいます場合には、やはり両側の道路の交通の妨げにもなりますので、そういうことも勘案していろいろ条件がつくと思います。トラック協会自体になりますとちょっと無理じゃないかと思っております。  以上でございます。
  139. 池田克也

    池田(克)分科員 わかりました。  問題をかえますので、道路関係の問題終わります。ありがとうございました。  マンションや公団住宅で発生しているダニの問題なんです。  これは、昨年の秋非常に暑かったこともありまして、新聞に報道がなされました。ツメダニというダニだそうですが、異常に発生をいたしまして、保健所あるいは東京都衛生研究所に、去年の夏だけで約八百件の訴えがあった。この原因は東南アジア産の稲わらを畳に使っているのが原因だ、こう言われているわけです。  この問題について、建設省としても御検討されていると思いますが、何か対策があるんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  140. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 鉄筋の集合住宅を中心にしましてダニの発生事例が非常に多いということを承知しております。  この原因でございますけれども、あるいは先生の方が調査が行き届いておられるかもしれませんが、要するに乾燥が不十分なわらを使っている、それからそういうわらを使った畳などで繁殖するということでございますが、あるいはまた、近年畳干しなんという習慣がなくなってくるとか、じゅうたんを干すのも少し面倒くさいということなど、管理面の問題が一つあろうがと思います。  それから、鉄筋の集合住宅においては、気密性が高くて湿度が高い、温度が高いということでダニの繁殖が増進する、こういうことが原因であろうということでございまして、私ども建設省として特に研究をしたことは実はないのですが、住宅都市整備公団におきまして、かつていろいろ調査研究いたしました。その結果、いろいろな方法を考えておるわけでございますが、畳床について防虫処理をするということでございます。一つは高周波、マイクロを使いまして熱処理をするということで、畳が製品になったときにその処理をすることによっていなくなる。あるいは防虫紙という紙がございます。それで畳床を巻いてしまうということで殺虫をする、こういうことがございます。こういう方法で、現在私ども公団、公営住宅につきましては、やるようにいろいろ指導しているところでございます。
  141. 池田克也

    池田(克)分科員 わかりました。住宅整備公団の方はそれでいいと思いますが、一般のマンションの場合に、先ほどお話がありましたように畳を干したり通風をよくするような状況になかなかないわけです。特に老人が主として生活しているような場合には、畳を仮に三階、四階のところからおろして乾燥するというのはとても手に負えないわけです。こういうふうな場合にどのようにするか。やはり何らかの施設を設けてあげて手助けをする、これは私はボランティアも必要だろうと思いますけれども、初めから設備の中にそういうものも含めていくべきじゃなかろうか、あるいは今お話の防虫の紙なども一年で効果が薄れると言われております。したがって、そういうようなものもある程度供給して、少なくともそういうような、これは全部が全部じゃございません、そういう要請のあったときにそれにこたえるということであろうと思うのですけれども、病気の状況を聞いておりますと非常につらい疾患である、しかも長期にかかって後遺症が残るということを聞いております。  マンションの中には美観上ベランダで布団などを干すことを禁じているところも実はあるわけでして、そういう状況をいろいろと見ますと、まだマンションも新しいところが多いのでさほど問題になってないかもしれませんが、次第に十年、十五年というところが出てまいりまして、外壁がはげ落ちるとかいろいろマンションの補修の問題も出ておりますが、こういう室内の問題についても何らかの指導の基準を設けて、建設省として指導に乗り出すべきじゃないか、このように思っておりますので、お考えをお伺いしたいと思います。
  142. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 おっしゃるようにマンションの中では畳干しなどやりづらい、布団干しすらやりづらいというところもあろうかと思います。その対策はいろいろ難しゅうございますが、一つの方法として、先生御存じのとおり乾燥機というものを利用するということがございます。乾燥機につきましては合いろいろな設備が開発されている途上でございます。私どももこういったものの今後の開発を進めてまいると同時に、優良部品認定という制度がございまして、既に認定しているものもございますが、今後そういう制度を通じましてこういった設備の発展を図ってまいりたいと思っております。  また、入居者の一般の管理でございますが、そういうことにつきましても、例えば通風をよくするとか布団もできる限り干せとか、そういうことがダニにとっていいのだということにつきまして、いろいろ入居者の注意を喚起する方法につきまして徹底を図ってまいりたいと考えております。
  143. 池田克也

    池田(克)分科員 この問題は指摘をするにとどめるつもりなんですが、一つの案として、要するにトラックにそういう乾燥設備を持って活動している業者があるのですが、かなり高いのです。布団一枚六百円くらいする状況なんです。畳などもきちんとそういうダニを駆除するとすると一枚三千円で、六畳一間で一万八千円、これは大変な額なんですが、かなり手間暇かけて駆除しなければならない。こんなような実態を聞きますと、便利だし、いよいよ病気になればそうしなくちゃならない。けれども、そういう実態を見ますと、これは何らかのお手伝いをしてあげた方がいいんじゃないかという気もしまして、こういう業者さんに対する指導あるいは業者さんとしてもそれなりの状況に置かれて値段の設定があると思うのですが、補助をしてあげるとか、お互いに受注状況をバランスをよくしてあげるとか、この辺に着目をするというお考えを私は提案申し上げたいのですが、その是非についてだけ一言お答えいただきたいのです。
  144. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 貴重な御意見を拝聴させていただきまして、今後それを参考にいたしましていろいろ考えてみたいと思っております。どうもありがとうございました。
  145. 池田克也

    池田(克)分科員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。     〔谷垣主査代理退席、主査着席〕  最後の問題なんですが、これは目黒区と品川区にまたがる林業試験場跡地と言われておりますが、目黒公園とも言っております。これの開発の問題であります。  実は、朝日新聞の二月四日にかなり大きな記事が出まして、「林試跡地に住宅・商店 防災上の拠点も兼ねる」という報道が出まして、建設省が都市の開発の方式として非常に力を入れてやっている再開発構想というふうに報道されたわけであります。句点がお伺いをしたいんですが、この中に「都などとともに周辺一帯を区画整理し、林の中に商店と住宅を取り込む形の「パークタウン方式」で再開発する方針を固めた。」こう報ぜられておりますので、パークタウン方式というのを具体的に簡単に御説明をいただきたいんです。
  146. 梶原拓

    ○梶原政府委員 全く事務的に勉強している段階でございますが、ねらいは、防災避難地としての公園の収容能力を高めながら、同時に周辺の都市環境をよくする、こういうことができないかということでございまして、公園の用地だけでございますと、いざというときの避難の収容能力に限界があるわけでございます。そこで、周辺の建物を耐火建築物にいたしまして、公園の中に取り入れる、そういうことによりまして避難地としてのキャパシティーを広くする。同時にまた、その公園の緑の環境の中で地域住民の方が住み、かつショッピング等をする、こういうふうな構想で、都市環境の改善を兼ねた防災公園のキャパシティーの拡大、そういうことで一つの構想としてパークタウン構想を今勉強している状況でございます。
  147. 池田克也

    池田(克)分科員 この報道によりますと、「外縁部には高層の不燃化マンションを配置、全体を防災空間とする。」これをこのまま見ますと、白髪地域に非常に高層の帯状と申しましょうかビルが建ったわけですが、あんなふうな形になるのかなというふうに思いましたのですが、今のお話ですと、不燃化住宅ということでちょっと違うようなニュアンスなんですが、そこいら辺ひとつ、この地域に特定してお答えいただければと思うのです。
  148. 梶原拓

    ○梶原政府委員 この林業試験場跡地につきましては、具体に私ども構想しているわけじゃございません。たまたまこの土地が十二ヘクタール程度ございます。ございますが、形が非常に不正形といいますか細長いわけですね。真ん中辺がくびれておりまして、二百メートル程度の幅しかない。そうしますと、通常、二百メートルぐらいですと輻射熱でやけどするというような距離でございます。そのままこれを避難地にしようとすれば、今おっしゃいましたように周辺に城壁のように防災、耐火建築物を林立しなければならないということでございまして、こういうところこそ、与えられた国有地だけにとらわれないで、周辺を含めて再開発して、今申し上げたように耐火建築物の中に取り入れる格好で、しかも避難地としてのキャパシティーをふやしたらどうかということでございまして、一つの例としまして、言うなれば形が悪いところはそうしたらどうかということで、私がたまたま申し上げたのが新聞に出たというような実情でございます。
  149. 池田克也

    池田(克)分科員 これは新聞の報道に出ておりますので確認の意味でお伺いするのですが、梶原局長のお話として、「防災の面からも民家密集地の整理が急務だ。」つまり、この周りは非常な密集地なんですね。家屋の新しいものも古いものもございますが、いかんせん道路が非常に狭いのが実態なんです。したがって、これを防災拠点として活用するためにはいろんな施策が必要だろうと思うのですが、同時に住民の協力地方自治体の協力も当然必要であろう。  そこで、この民家密集地の整理という部分についてもう少し住民がわかりやすく——これをそのまま見ますと、やがて区画整理になって新しいところに大きな住宅が建てばそこに入れるかもしれないけれども、自分の庭、自分の家という状態が変更されるのではないか、そういう危惧を持つ人もおりますので、その方々に説明ができるような範囲でお話しをいただきたいと思うのです。
  150. 梶原拓

    ○梶原政府委員 この地区で区画整理という手法がいいかどうか、具体的に勉強したわけではございませんので申し上げられませんが、いずれにいたしましても、この地区は国有財産中央審議会の払い下げの前提といたしまして、避難場所を兼ねた公園として整備する、それから周辺道路を整備して防災機能を高める、それから周辺地域の不燃化を推進する、こういう三つの条件が前提になっておりまして、周辺の不燃化をぜひしなければならないという命題を与えられておるわけでございます。  具体的な方法といたしましては、先ほど先生がおっしゃいました江東地区の白髪の防災拠点のように、市街地再開発事業を実施するということも考えられますし、あるいは墨田区が大変御熱心でございますが、都市防災不燃化促進事業、これは周辺の木造家屋等を建てかえる場合に耐火建築物にすれば、いろんな条件ございますが、一件当たり二百万円程度助成申し上げる、こういう制度でございます。そういう形で周辺の防災機能を高めるという方法もございますし、地域によりましていろいろ事情が違いますので、それに最も適した手法を選択するということが肝要でなかろうかと思いますので、今後東京都あるいは地元の区とよく相談してまいりたいというふうに考えております。
  151. 池田克也

    池田(克)分科員 その場合にも例えば道路を新しくこれに——大勢の人たちがここに集まってくるにふさわしいような道路は全くないわけです。したがって、そういうような道路をつけたりする。あるいは若干の建てかえ等も起きるかもしれませんが、この公園を整備する前にその代替地が考えられているというお話も区の方からは私も聞いたことがあるのですが、手順として周りをいろいろと整備して、初めて中が防災効果のあるようになるわけで、その整備する間はここについてはいろいろなそういう代替的なものをおつくりになる、それに役立てる、こういうふうにしていくんじゃないかな、全部整備されてこれが防災用の空間として十分能率よく効果的なものになった場合に、これが緑豊かなものになるぞ、手順としてはそんなふうに考えてよろしいんでしょうか。
  152. 梶原拓

    ○梶原政府委員 先ほど申し上げましたように、国有財産としての払い下げの条件等もございまして、そういう絡みでいろいろ考えなければいけないと思うのです。が、私ども都市計画を預かる立場といたしますれば、貴重な公的な空地でございますので、なるべく周辺の再開発に役立つようにこれを種地としてうまく活用するというのも検討に値する提案ではなかろうかというふうに思います。
  153. 池田克也

    池田(克)分科員 終わります。ありがとうございました。
  154. 住栄作

    住主査 これにて池田克也君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  155. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、日本全国において埋め立てというものが行われておりまして、その埋め立ての土地処分というものがいろいろ各地で問題を起こしているわけでありますが、そういう中、で、かねてから問題として指摘しております千葉県浦安市の沖合を埋め立てましたオリエンタルランド社のディズニーランドに対する土地の運営、運用状況の問題、このことについて質問をいたしたいと思います。  最初に、大臣がこれについてどの程度認識を持っておられるかということをお伺いしたいと思うわけでありますが、御承知のように、ことしは万博、そしてまた一昨年オープンしましたディズニーランドというものが、国民の関心を呼ぶ一つのレジャー施設あるいは博覧施設として脚光を浴びているわけでありますが、ディズニーランドというものについて大臣はどういうような御理解なり御認識を持っているか、最初にちょっとそれを伺いたいと思います。
  156. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私、実は千葉県のディズニーランドは見たことがありません。まだ伺ってもいないわけでありますが、経済企画庁の政務次官をやらせていただいたときに、これから余暇活動というのは大変大事な問題であるということで、ちょうどアメリカヘ行く機会がありましたから、アメリカのディズニーランドは一度入ったことがあります。  あれだけ大きな問題としてディズニーランドも前々から宣伝もされておりましたから、これからとも国民の健全な余暇活動の基地として発展していただくことをこいねがっているという状態であります。
  157. 小川国彦

    小川(国)分科員 続いて河川局長に。ここを遊園地施設ということで埋め立ての大臣認可を与えた、その承認を与えた担当部局として、ディズニーランドの現在の運営状況、それから土地処分、管理の状況、こういうものについてどういうような所見を持っておられるか。
  158. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 当該地点は、公有水面埋立法に基づく埋立地に、このただいま先生が御指摘になりましたような東京ディズニーランドが立地したわけでございます。これは古く三十七年にさかのぼるわけでございますが、千葉県が埋め立てをいたしまして、これがオリエンタルランド社に分譲され、その分譲目的は遊園地用地として分譲されたわけでございます。その目的に従って利用が図られてまいっておると私ども認識いたしておるわけでございますが、しかし、東京ディズニーランドはそのすべての区域について立地しているわけではなくて、まだ一部未利用地のままになっておるという状況下にあると聞いております。
  159. 小川国彦

    小川(国)分科員 ディズニーランドは当初二百万坪という非常に膨大な埋立計画、それが百万坪になり七十万坪になり、だんだん計画が縮小してきましたが、およそ百万坪程度の埋め立てが行われた。その中でおよそ三十万坪程度がディズニーランドの遊園地施設として使用されている。そのほか四十万坪近くが住宅用地あるいは商業用地に転売されてきた。ですから、本来の目的に使われたのは多目に見ておよそ三十万坪という状況なんです。  今、問題は、大臣は残念ながら東京ディズニーランドはごらんになっていないということなんでございますが、高速道路で空港の往復等にごらんになれば、あの周辺に大変な緑の、放牧地帯ではございませんが、草原になった三十一万坪という土地が未利用地のまま放置されている、こういう状況にあるわけでございます。この土地の利用につきましては、私も先般来、毎年度予算委員会分科会においては指摘をしてきているわけでありまして、これは本来埋立許可を与えたときには、東京都や千葉県の首都圏の住民の緑のオアシスとしてその土地が利用される、そういう目的であればこそ、坪一万七千円という大変安い値段でこの土地が払い下げられた。ところが、その本来の遊園地目的に使われているのはわずか三十万坪であって、既に四十万坪近くが、坪五十万円から百万円という大変な高い価格で、宅地あるいは商業用地に転用された。これはいわば大企業の土地転がしではないか。  御承知のようにオリエンタルランドは、三井不動産、京成電鉄、この二社がその大半の出資者でございまして、そういう大企業がこういう企業を通じて遊園地目的で埋立許可を受け土地の分譲を受けながら、それを目的外に土地転がしをしている、こういうふうに私どもは理解をしているわけです。それだけに、今残されている三十一万坪という未利用地を、今後、国がどういうふうに指導してその土地を目的どおりの使用をさせるのかというところに大きな関心を持っているわけであります。  この点については、大臣が直接御認識がなければ局長でも結構ですが、この三十一万坪の未利用地に対する建設省としての今後の指導はどういうふうに考えておるか。
  160. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 千葉県企業庁がオリエンタルランドに遊園地用地として譲渡いたしましたのは二百十一ヘクタール、およそ六十四万坪でございますが、現在までに同社は、東京ディズニーランドとして約八十三ヘクタール、約二十五万坪を利用いたしております。また、ホテル用地として約二十五ヘクタール、約八万坪を確保しているほか、地区内道路として約十三ヘクタール、これは約四万坪、従業員駐車場等として約十ヘクタール、約三万坪、仮設駐車場、緑の広場等として約十ヘクタール、これは約三万坪の利用を行っているわけでございます。その合計面積は百四十一へクタール、約四十三万坪で、全体の約六七%となっております。  したがって、未利用地として残されておりますのは約二十一万坪というふうに私どもは理解しておるわけでございますが、これにつきましても、本来この埋立目的が、遊園地用地として埋め立てられたという経緯にかんがみまして、私どもといたしましては、これが今後とも遊園地用地として利用されることを期待いたしているわけでございます。
  161. 小川国彦

    小川(国)分科員 私の指摘している三十一万坪から二十一万坪と大分数字が減ってきているわけでありますが、その中の道路用地、これは何坪でございますか。
  162. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 道路用地としてはおよそ十三ヘクタール、約四万坪でございます。
  163. 小川国彦

    小川(国)分科員 まあこの程度のものは公共用地としての必要性を認めるわけでありますが、そうすると、三十一万坪から四万坪を引きますと二十七万、この程度のものが未利用地としてまだ残っているはずです。何か、従業員の何かとか後からつけ加えて、二十一万坪に数を減らしてしまったようでありますが、私どもの知っている実態では、少なくもまだ約二十七万坪、一般的には三十一万坪と言われているのですが、処分の決まっていない土地が未利用地としてある、こういうふうに理解をしているのです。この点は建設省の方でもさらに詰めていただきたいと思うのですが……。  今局長は、これが遊園地用地として使われることを望んでいるというふうにおっしゃられたわけであります。ところが、遊園地用地という目的どおり使わせることができるかどうかというのは、十年間の転売禁止規定、これはいずれもことしから来年、再来年にかけて、土地を分譲してから十年目の歳月がもう訪れてきているわけです。一番早いものは六十年十二月二十五日、ですからもうことしの暮れですね。それから次は六十一年の三月三十一日、六十二年の十二月二十六日というふうに来ますと、三十一万坪の未利用地というものは全部十年の転売禁止規定の期限が切れてしまう、こういうふうに常識的には理解されているわけなんですが、この場合に、一万七千円で払い下げた、目的の遊園地に使われずに、これが五十万円や百万円の宅地に転売されるおそれというのは十分あるわけです。その歯どめの十年間の転売期限が切れてしまった場合、まず、建設省はこれが切れた場合に転売禁止の措置はできるというふうに考えていますか、どうでしょうか。
  164. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 千葉県の企業庁とオリエンタルランド社の間に取り交わしました分譲協定の中にこの買い戻し条項特約が入っているわけでございます。これは転用あるいは転売について一定の制限を付したものでございまして、それが、先生御指摘のように三段階に分かれておりますが、やがて十年の期限が来るということであろうかと思います。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、この埋立地が遊園地用地として埋め立てられたという目的に照らしまして、そのとおり利用されることを、今後とも千葉県とよく御協議申し上げまして図ってまいりたいと思っております。しかし、この買い戻し期限がやがて確実に来るわけでございますので、それまでにはそれぞれ未利用地について遊園地としての土地利用が図られる見通しが立つように指導してまいりたいと考えております。それがいろいろな条件でどうしても困難でありました場合には、ただいまお話のありました買い戻し期限の延伸をも含めまして千葉県とよく御協議申し上げたい、このように考えております。
  165. 小川国彦

    小川(国)分科員 その場合の延伸は可能である、こういうふうにお考えになっておりますか。
  166. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 これにつきましては、この分譲協定の当事者間、当事者は千葉県の企業庁であり、オリエンタルランド社でございますが、当事者の間でどのようなお考えがあるかまだ伺っておりませんが、千葉県の意向でございますと、それは十分可能であるというふうに伺っております。
  167. 小川国彦

    小川(国)分科員 国としてはどういうふうに判断をされておりますか。
  168. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 これにつきましては、分譲協定そのものが私法上の契約でございますので、私どもとしてはできるだけこれに関与いたしたくないわけでございます。しかし埋立地という性格から申しまして、千葉県のお考えに従って処理されることが妥当であろうというふうに考えております。
  169. 小川国彦

    小川(国)分科員 私どもが非公式に千葉県の企業庁の責任者、そういう方々と話し合っている中では、この問題についてはまだ幾つかの問題点がある。一つは出されている遊園地計画、これは先年、私この委員会質問したときに局長の方でも、いわゆるオリエンタルランドがつくっておりますところの三十一万坪の中にいろいろな遊園地用地としての土地利用計画というものがあるわけであります。例えばレクリエーション・テーマ・パークとしてピクニックパークとかフィールド・レクリエーション・パークとかセントラルプラザとかスポーツプラザ、こういうもので二十四万六千五百八十坪を使用するところの土地利用基本計画というものが出ているわけであります。そして昨年あるいはその前年もあったかと思いますが、昨年の委員会ではたしか河川局長はこの基本計画どおり遂行されるものと理解している、こういうふうにおっしゃったのですが、私ども今現在見ると、いわゆるテーマパークというものが何ら具体化していない。まさに砂上の楼閣にすぎないのではないか。そうすると、ずるずると遊園地計画は期限までいって、使わない。こういう可能性が十分あると私は見ているわけですね。この遊園地計画が実行されるかどうかということについては、局長はこれが計画どおり実現されるものと理解している、こういう答弁をずっとなすってきているわけです。その具体化についてはどういうふうに認識しておられますか。
  170. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 昨年の二月十二日にオリエンタルランド社から千葉県企業庁に対して土地利用計画試案なるものが提出されております。これは私どももその時点で拝見したものでございます。で、昨年の十一月九日付で千葉県知事は企業庁を通じましてオリエンタルランド社に対して遊園地利用としての実施計画の提出を求めておられます。現在、それに基づきましてオリエンタルランド社においてその計画の作成の検討が進められておるというふうに伺っておるわけでございます。したがって、この問題につきましては順調に事態は推移しているというふうに考えております。
  171. 小川国彦

    小川(国)分科員 昨年私が指摘しましたときに井上局長さんは、「残り三十一万坪についてでございますが、これにつきましては、ただいまのところオリエンタルランド社からディズニーランドの周辺における遊園地計画といいますか利用計画が、これはまだ試案でございますが出されております。したがいまして、私どもはそういうものを逐次具体化していくのであろうというふうに思っておるわけでございます。」というふうに答えられたのが昨年の四月十九日なんですね。それから早くも一年経過している。しかし青写真は何一つ実現されてない。そのままずるずるとまいりますと、ことしの十二月には遊園地はつくられないままで終わってしまう。そしてその後は宅地として転売されるというふうに私どもは見通しておるわけなんですが、これは当初遊園地目的ということで大臣認可を与えているわけで、ひとり千葉県の責任に帰する問題ではない、こういうように思うのですね。そういう点では、建設省としてもこれに対しては重大な関心を持って、最終的に本年末までにこれが遊園地の計画どおり実行されるということを、少なくとも大臣認可の判をついているわけですから、その判をついた責任が私はあると思うのです。それを遂行される意思がおありになるかどうかです。
  172. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 この件につきまして御理解いただきたいことでございますが、三十七年の時点でここが遊園地用地として埋め立てが計画されまして今日に至っておるわけでございます。このような埋立地における利用目的につきましては、時の経過とともに社会的な、その土地の利用効率でございますとか周辺の状況変化等に対応する事柄等がございますので、必ずしも未来永劫当初の目的以外に転用ができないというような性格のものではないと思います。したがって、それらにつきましてはそういった判断に最もふさわしい地方公共団体、特に都道府県知事の御判断がそういうことについて最も有効に働くのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。しかし当該地点につきましては、先ほど申し上げましたように東京ディズニーランドが立地している等から勘案しまして、当初の利用目的たる遊園地用地としての利用について今日において何ら変更の理由はないと思いますので、当初目的どおりこの土地が遊園地用地として利用が進められるであろうというふうに私どもは理解しているということでございます。
  173. 小川国彦

    小川(国)分科員 ことしの暮れになればはっきりすることなんですが、それが実行されなかったとき、そのときは建設大臣、建設大臣であるかどうか非常に微妙なところがあると思うのです。局長もそのとき在任であるかどうか私は微妙であると思います。しかしそれぞれ政治家として、役人として、そのときに国の行政を預かったという立場からは信念ある措置が私は必要だと思うのです。そういうときに皆さんが大臣をやめた、局長が変わったという事態があったとしても、皆さんは、私が今予測したように遊園地はつくられないのではないか、宅地に転売されるのではないか、極めて不当なことが行われようとしているということが予見できる段階で、それをできるであろうと漫然と年末を迎えでいいのかどうか、その込もう一度、大臣も今の私の質問の中で御判断ができればそれぞれ御答弁をいただきたい。
  174. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先ほど来申し上げておることでございますが、建設省といたしましては、この分譲協定に基づく買い戻し期限が到来するまでに遊園地としての土地利用が図られる見通しが立つように千葉県を指導してまいる所存でございますが、仮にそれが困難な状況でございます場合には、買い戻し期限の延伸を含めまして千葉県とよく協議してまいりたいと考えております。
  175. 小川国彦

    小川(国)分科員 この買い戻し期限の延伸については法的に可能である、こういう御検討はなされておりますか。
  176. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 これは、分譲協定そのものが私法上の契約でございますので、当事者間の合意を待つべきものであろうかと思いますが、しかしそれにつきましては、千葉県としては、買い戻し期限の延伸を両者間で協議することは十分可能であるという感触を持っておるようでございます。
  177. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは私法上の契約、当事者間の合意、十分可能である、こういう判断だけで法的に県なり国がこれの延伸の措置をとり得る、こういう見通しはあるのかないのか。
  178. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 これは法律上強制力を持って私どもがどうこうするということはできないと思います。
  179. 小川国彦

    小川(国)分科員 法律上強制力がなければ、私は、その時点が来てからその対応を考えるのでは遅い。既に私がこの問題を指摘してからもう数年を経過しておるわけです。しかも、井上局長自身も昨年のこの予算委員会で私に答弁して、この構想があるやということを説明して、この構想というのは、これが現在ディズニーランドでありますが、その周辺にこういう緑化計画に基づいたようなプランを私自身も持っておりますし、皆さんの方もこれは持っておると思うのですね。そういうプランが既にありながら、一年間何一つ具体化されてないという状況にあるわけですね。ですから、皆さんも千葉県を監督し指導する、大臣認可を与えた責任を果たすということであれば、もう今までになされなければならないのですが、今から直ちにこの計画の具体的な、財政的な裏づけも含めたものを提示させて、それができない場合には県が買い戻し規定を発動するとか、これは十分可能だと思うのですが、そこまでの指導をするお考えがあるかどうか。
  180. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 私どもとしては、残余の土地についてオリエンタルランド社において遊園地としての利用計画が進められており、これがそのように実現していくものというふうに期待を持っております。また、そういう期待を抱くだけの根拠もあるわけでございますが、しかし相手のあることでございますから、どういう事態になるかということは今日ここで建言することは困難でございます。しかし、少なくとも現在そのように事態が動いておりますので、私どもといたしましては、当初の目的が遊園地用地として埋め立てられた土地であり、オリエンタルランド社に分譲された土地でございますから、オリエンタルランド社によって東京ディズニーランドに果たしたような役割を残余の土地についても求めておるわけでございまして、今それができないとかできるとかというふうに早計に結論を出して別の動きを行わなければならない状態ではないというふうに考えておる次第でございます。
  181. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さんの方では、この問題について特に埋立行政の信を問われているわけなんです。  それからもう一つ、私ども、大変残念なことは、地方自治体が埋め立てについての土地処分権限を得えられている、実質上、国は計画について認可をするけれども、造成された土地を処分することは地方自治体の権限に任されている。その地方自治体がしっかりした土地処分をやっていればいいのですが、私どもがもう長年見てきている埋立地の処分というのは非常に地方自治体がずさんで、利権におぼれやすく、一回の処分ごとに問題を起こしている。巨額な脱税が起こったり、そういう不正が次々と出ている。あるいは売った土地をまた買い戻すというような問題も起こっている。こういうことを見ると、国が、今の埋立法というのは片仮名でできている法律で、非常に古い法律で、この不備も直す必要は我々もあるし、皆さんもあると思うのですね。その法の不備に基づいた地方自治体のずさんな土地処分というものを我々は、国政の中で正していく責任というのはともにあると思うのです。ですから、私どもも一生懸命皆さんに指摘をする、監査責任者としての皆さんに指摘をする。皆さんの方も、やはり地方自治体を督励してその地方自治体の不備をカバーしていくという考え方を持たなきゃいけないのじゃないかと思うのですね。  そういう意味では、これから年末まで十カ月近くあるわけですから、今からでも遅くはございませんから、千葉県と十分協議をしていく、計画どおりの実行をさせるというお考えをぜひ持ってもらいたいと私は思いますが、千葉県と協議の考え方をお持ちになれるかどうか、これ、局長大臣、それぞれ答弁願いたいと思います。
  182. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先生が今御指摘ございましたように、法律に基づく地方自治体の権限が適正に行使されますよう、私ども地方自治体を十分指導してまいりたいと考えておるわけでございます。  また、当該の案件につきましても、先生のただいまの御指摘を体して千葉県とよく協議してまいりたいと考えております。
  183. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 オリエンタルランド社の未利用地につきましては、今千葉県の県庁の方でいろいろ検討中であると私も伺っておりますので、しばらくの間その結果を見守ってまいりたい、そう考えております。
  184. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣答弁、ちょっとはっきり聞こえないのですが、今局長が、適正に行われるよう千葉県と協議すると。大臣もやはり積極的にこの問題については取り組んでいただきたいと私は思うわけであります。大臣の任期も、まあ大体常識的にはことしいっぱいありますので、十分これには対応できる。こういう問題の処理が的確であれば、さらにまた大臣に引き続いてやってもらいたいという要望を私どももしなければならぬぐらいの実績を上げていただきたい、私はこういうように思います。ひとつ千葉県との協議には、今千葉県知事選の最中でありますが、新しい知事が決まりましたら、大臣も千葉県知事と、国会でこういう問題が提起されていると。恐らく大臣もきょうのヒアリングの中では、この問題がかなり、直接的な権限は別にしても国の立場でこれにあずかりたいということは、今まで歴代の建設大臣が言ってきているところなんです。斉藤滋与史建設大臣のときからあるいは始関建設大臣それから水野大臣のときにも指摘しました。大方の大臣は、積極的にこれにタッチしていく、こういう考え方を示されておりますので、大臣ももう少し積極的な態度の表明を願いたいと思いますが……。
  185. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今申し上げましたように、千葉県が一生懸命検討中であると聞いておりますので、いましばらくの間、そうした推移を見守りたい、こう考えております。
  186. 小川国彦

    小川(国)分科員 すると大臣は、千葉県の検討を待ってということでございますか。
  187. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 検討を待ってということではありませんが、検討中だと聞いておりますので、そうした推移をよく見守りながらいきたい、こう思っております。関心はもちろん持っております。
  188. 小川国彦

    小川(国)分科員 関心だけでは困るのですね。大臣にはやはり行政権限を発動してもらわないと。大臣としての指導力を発揮してもらわなければ、そこに座っているだけではやはり困るわけなんですよ。座に座っているだけでは、私は大臣の責任は果たされないと思うのですね。いろいろ行政上遅滞のある問題、疑惑のある問題については積極的に大臣が指示をして、そしてそれに対しては、少なくとも私どもが国会で指摘していることについてはきちんと、これはこうでありますということを答えられるような、責任ある大臣になってもらいたいと私は思うのですよ。いかがですか。大臣に聞いているのです。大臣の政治責任を聞いている。
  189. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先生の御理解を得たいわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、この問題については千葉県御当局においていろいろ検討されておるわけでございます。したがって、オリエンタルランド社にこの未利用地の利用計画等の提出を求めたりしておるわけでございますから、その経緯をもう少し見守りませんと、私どもの方で勝手に、ああしろ、こうしろというふうなことにはならないわけでございますので、ただいまのところ千葉県の動きを、事態をよく見守って、しかる後にそれについて私どもも千葉県を指導してまいりたい、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  190. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、ああしろ、こうしろと言えと言っているんじゃないんですよ。適正に行われるように千葉県と協議を始めて、そうしてそのことを一つ一つ逐次把握していったらどうですか、こう言っているのですよ。結果が出てくるのを待っているのじゃなくて、協議をしていくというのは、今から協議をなすったらどうですか、こう言っているのですよ。今からやる考えがあるかどうかと聞いているのです。
  191. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 私どもといたしましては、この問題に対する基本的なスタンスは、遊園地用地として埋め立てられた土地でありますから、所期の目的のとおり遊園地用地として利用を進めていただきたいわけでございます。そのように千葉県を指導いたしているわけでございます。それに従って千葉県とオリエンタルランド社との間でいろいろと協議等が行われておるわけでございますから、その結果を待ちませんと、私どもとしてはにわかにどうするこうするということにはならないということを申し上げているわけでございます。
  192. 小川国彦

    小川(国)分科員 そのめどはいつごろに考えられておりますか。
  193. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 まだ千葉県から正式な御報告がございませんが、先ほど先生の方からお話がありましたように、千葉県知事選の最中と伺っておりますので、しばらくは、千葉県からこの問題について何らかの御表示があるというふうには伺っておりません。恐らくは県知事選の後であろうと思います。
  194. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後に大臣、私はこれは短兵急に聞いている話で、答えるのは難しいと思いますが、こういう問題については、今ここでいい悪いを言えと言っているんじゃないので、それについては取り組んでみて検討して回答するというぐらいのあれを持たないと、大臣としての信頼感を持てないと思うのです。一省の大臣になったら、提起された問題については検討して答えるというぐらいの、協議して答えるというぐらいの心情を持ってもらいたい、私はこういうふうに思います。
  195. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 千葉県でも今、知事選挙が行われている中でありますから、しかし、私の聞いている範囲では県の方も大変慎重に検討いたしておると聞いておるわけですから、そういう推移をよく見守りながら、もちろん先ほども申し上げましたように関心は持っておる、こういうことでございます。小川先生は政治的責任ということだけをおっしゃっておられましたけれども、政治的責任については私は今ここでとやかく申し上げることは差し控えたい、こう思っております。
  196. 小川国彦

    小川(国)分科員 時間が参りましたので、大臣答弁には若干不満でございますけれども、この辺で終わりたいと思います。
  197. 住栄作

    住主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後零時三十六分開議
  198. 住栄作

    住主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。永井孝信君。
  199. 永井孝信

    永井分科員 まず初めに大臣に、基本的な考え方でお伺いを申し上げます。  それぞれの地域における公共事業ですね、その公共事業について、すべてだとは言いませんけれども、当初の計画から実際にその公共事業が完成するまでかなり途中で計画変更がなされてきます。そのために地域においてはそれになかなか対応し切れないという問題も実は起きてまいるわけであります。これは一般的な話でありまして、分科会の性格からいってお許しをいただきたいのでありますが、私の地元の問題について幾つか具体的な例で申し上げてみたいと思うわけであります。  これは建設省だけに限らず、政府の行政官庁の行う公共事業すべてにわたってそういうことが言えると思うのです。きょうは建設省しかお見えになってもらっていないわけですけれども、例えば、前にも国会で私が質問して問題にしたことがあるのです。農水省のやる糀屋ダムとか、農業用水ですね。あるいは工業用水の東播用水とかいうのがあるのですが、これらについても計画が大幅におくれてしまって、そのために必要とする予算額が膨大に膨れ上がってくる。そしてその受益者負担というものについて言えば、これは答弁要らぬわけでありますが、糀屋ダムなんかでいいますと、当初の農民の負担が現在の時点で計算してみてなお十倍以上の負担に膨れ上がってくる。こういうケースはざらにあるわけです。  そこで、私の地元に加古川という川が御承知のように一級河川でありますが、実はその加古川の上流に流域下水道の工事が行われているわけであります。この流域下水道で申し上げますと、当初計画された時点では、昭和五十七年度末に第一次の分が完成をいたしまして、具体的な公共団体の名前で言いますと小野市、加西市、三木市という三つの市に対して供用を開始する、昭和六十年度末にはその周辺の社町、滝野町、西脇市、神戸市、こういうところに供用を開始する、こういう計画になっておったわけであります。ところが現実はどうかというと、そのとおりになっていかない。これは予算の配分の問題もその大変大きな原因になっているわけでありますが、なぜそういう当初の計画どおりに工事が進捗していかないのか、なぜ進捗させようとしていかないのか、この辺について建設大臣としての基本的なお考えをお聞き申し上げておきたいと思います。
  200. 梶原拓

    ○梶原政府委員 加古川上流の流域下水道でございますが、五十年度に事業着手いたしまして、これまで事業の進捗に関係者で鋭意努力したわけでございますが、先生も御案内のとおり、処理場用地の問題で土地所有者の反対等もございまして、それも遅延の一つの要因になっております。五十八年度末で申し上げますと、例えば管渠、パイプでございますが、その延長で、全体計画が四一・一キロでございますが、五十八年度末四・九キロ、一二%程度の進捗率になっておるわけでございます。  そこで、事業の促進を図るべく、五十九年度の当初予算におきましても、前年度比、事業費、国費ともいずれも六割程度の事業費の増額を図ったところでございまして、今後六十年度以降、この事業を促進し、おくれを取り戻すべく鋭意努力したいというふうに考えております。
  201. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先生御指摘のとおり、各種五カ年計画その他につきまして、昭和五十六年度以来大変厳しい財政の状況にございますので、今御指摘にありました流域下水道事業なんかも大変予算が減っておることは事実でございます。しかし、おかげさまで皆様方の御協力で六十年度の予算案を今御審議いただいておるわけですが、この六十年度では、事業費につきまして前年度を大体力%くらい、おかげで上回ることができそうでございます。この執行に当たりましては、今先生からも御指摘がありましたような点をよく私ども踏まえまして、効率的、効果的に、この厳しい中にありましても集中投資をするということがやはり事業の促進と効果を発揮するゆえんにつながりますから、そういう点を十分配慮しながら進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  202. 永井孝信

    永井分科員 大臣にもう一つだけこの関係で基本的にお聞きしておきたいと思うのでありますが、いろんな地域から要望がありまして、事業採択をいたしますね。事業採択は政治的な配慮もあるんでしょうけれども、どんどん広がっていく。事業採択の個所が広がっていくために十分な予算をつけることができない。したがって工事に着工しているところでも勢い予算額を減少させることになる。ましてやこの昭和六十年度予算で見られるように一公共事業もやはりマイナスシーリングでありますから、そういう条件の中ではなおさらそういう傾向が強まってくる。そうすると、今局長の方からも来年度は六〇%増の予算の配分を行って進捗に努力をしているという御答弁をいただいたわけでありますけれども、しかし考えてみると、工期が延伸されてきたことによって地方自治体にどんな問題が起きてくるかというと、地方自治体はそれに付随する地方自治体独自の事業ですね、この計画を立てることができないんですよ。なかなか計画的に立てることができない。したがって、起債の分も含んでくるのでありましょうけれども予算措置に大変な苦慮がなされている。そして受益者負担という場合には、その工期の延伸によって必要予算額がふくれ上がってくるものですから受益者負担がふえてくる。  大臣、どうでしょうね。工期にかかっているところについては集中的にそれを完成させて次に手を打っていくということが基本的にできないんですか。これは建設省が行ういろんな公共事業の全般について言えることでありますけれども、特段にそういう必要度の高いところから集中的に完成させて次に移っていく、そうしませんと地域経済にも混乱を起こすということになってくるのでありますから、これだけはひとつ大臣、基本的にお答えいただけますか。
  203. 梶原拓

    ○梶原政府委員 ちょっと私、誤解を招いたかもしれませんが、先ほど御答弁申し上げた中で、六割方事業費、国費を伸ばしたというのは五十九年度の当初予算でございまして、六十年度はただいま大臣が申し上げましたとおり全般で九%増ということでございますが、でき得ればそれを上回る増を見込んでまいりたいというふうに考えております。
  204. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私ただいま申し上げましたように、事業を執行する面におきまして、効率性、効果的、それから今御指摘のありましたように早期の供用開始、そういう点をやはり集中的に実行しまして、事業の効果が早く生み出されるということが非常に大事でございますし、また、そういう御関係の市町村もそれを大きく期待されておると思いますので、そういう点に十分配慮しながら、御指摘のような点を全力を挙げて努力をさしてまいります。
  205. 永井孝信

    永井分科員 同じようにこの種の問題で一つ大きな社会的な問題が出てくるのでありますが、予算関係で通年工事になっていかないという場合が多いわけですね。通年工事にならない場合には中断する関係から、その公共事業を行っている現場で働く労働者にとってみれば雇用関係がとぎれていくわけでありまして、そのために労働者の雇用保険の適用もなされないという具体的な実例が随分出てまいっております。これは通年工事になっていかないために起きる現象でありまして、現場で働く労働者にとってはこれは大変な問題なんですね。こういう問題についても特段の配慮を、所管は労働省でありますけれども、特段の配慮をするようなことが考えられて至当ではないか、こう思うのでございますが、どうですか。
  206. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 通年工事ができないということでございますが、私ども所管いたしておりますダムについて申し上げますと、近年の公共事業予算の抑制によりまして工事最盛期を迎えたダム事業の中には年間六カ月未満の工事量しか確保できないということで、御指摘のような事態が生ずるおそれがあったことは事実でございまして、私ども昨年以来憂慮していたところでございます。  このために建設省といたしましては、このようなダム事業につきましては、昭和五十九年度には施越し等によりましてできるだけ通年型にもっていけるように努力をしたところでありますし、また、昭和六十年度の予算におきましても、ダム事業の円滑な施工に特に配慮いたしまして、御指摘のような事態が生じないよう、少なくとも工事最盛期にかかっておる事業につきましては優先的に予算を配分する等によりまして通年施工型に実施できるよう努力をいたしてまいりたいと考えております。
  207. 永井孝信

    永井分科員 加古川の上流の流域下水道の関係は六十年度で九%ですか、伸び率で予算の配分をしたいということでありますが、できればそれ以上というお話でございましたので、局長、そこのところは、念を押すようですが、ひとつ工事が促進できますように特段に御要望しておきたいと思います。  二つ目の問題でありますが、同じ加古川の関係で、今建設省が洪水を安全に流下させるため井ぜきの統合を図って流水の正常な機能を維持することを目的とするということで大ぜきの工事が今進捗しているわけですね。これは大変な事業でありますから、できるだけこの工期を狂わせないようにやっていただくということは当然でありますけれども、この加古川というのは一級河川でありまして、昔から私ども地元では、清き流れということで歌に歌われたぐらいいい川な人ですね。母なる川なんでありますが、この川の自然をどうやって維持していくかということは、地元にとっては大変な問題なんですね。この大ぜきができることによって自然流域が変わっていくわけでありますから、この自然を守るという観点から、これを私どもは非常に重視いたしているわけであります。  そこで、この加古川の大ぜきのちょっと上流に、手前みそを申し上げて恐縮でありますけれども、天下に名高い闘竜灘というアユの名所がありまして、これは他の全国の河川に先がけて一カ月早く解禁されまして、有名なところなんです。ところが、そこがさっぱりアユがとれなくなってきたんですね。アユの上るところをとる特殊な漁法を用いているわけでありますけれども、今そこにあらわれるアユというのはほとんどが上流で放流したアユに限られておりまして、昔のように天然のアユが遡上するということはまずなくなってきたわけですね。この加古川大ぜきの工事の中でそういう点を考慮して、魚の遡上するいわゆる魚道というものを今つくってもらっているわけでありますが、一言で言って、その魚道でそういう魚の遡上について心配がないかどうか、一言でお答えいただけますか。
  208. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 加古川大ぜきはただいま工事中でございますが、大体五十九年度中には本体が概成するような段階にあるわけでございます。この中で魚道の計画はどうなっているかということでございますが、特に加古川はただいま先生のお話がございましたような状況でありますので、加古川の水産資源の保全を図るために、魚類の生態、ゲートの維持管理等を考慮いたしまして、転倒式多段ゲートというのを左右岸に設置をしたところでございます。これによりまして、先生が御心配しているようなことは大幅に緩和されるであろうというふうに期待いたしております。
  209. 永井孝信

    永井分科員 その関連で、実は魚が遡上するという面からいきますと、その下流、河口に高砂市があるんですが、その高砂市のところに潮どめのためのせき堤があるんですね。堰堤と呼んでおりますが、この堰堤にも魚道がつくられております。二基つくられておるのでありますが、この魚道が予定どおり魚の遡上を促すことに実はなっていないんですね。残念ながら現実はそうなっていない。私はこれは現地も調査してみたのでありますが、なかなか魚が上ってくれない。そこで、地元で、この加古川水系に漁業組合があるんですが、この漁業組合は、この高砂の堰堤の魚道についても改善をしてもらいたいという強い要望を実は持っているわけであります。この魚道を扇形にするとか勾配を緩めるとかいうことで、加古川の水資源がもとどおりのようになっていくように強く求めているんですが、これについて改善をしてもらいたいと思うのでありますが、建設省はそれについてどう対応されるか、お聞かせいただきたい。
  210. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 御指摘の高砂井ぜきにつきましては、これは古くから設置されておる潮どめぜきでございますが、建設当初からは右岸寄りに階段式の魚道が設置されておりました。その後、昭和五十三年に至りまして、地元漁協からの御要望もありましたので、さらに右岸側に階段式魚道を併設しておるわけでございます。しかし、これら二基の魚道がどうも勾配が急であるためにアユがうまく遡上してくれないというような疑問もあります。そういうことでありますので、現魚道が十分機能しておるのかどうか、よく調査をいたしたいと思いますし、また、そういった加古川における魚類の生息の重要性ということを考えますと、改善の必要があれば何とか改善に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、現在右岸側の魚道の直下流に何か大きな石があって、それが流れをふさいでいるというような状況にあるようでございますので、これを撤去いたしまして、少し様子を見たいというふうにも考えておるわけでございます。
  211. 永井孝信

    永井分科員 いずれにいたしましても、開発を進めることと自然を守ることとの調和が非常に難しゅうございまして、この河川の改修とかそういう大ぜきをつくるなどの工事を施行する際に、自然との調和を十分に配慮してやってもらいたいし、今言われたように、魚道の改善については、実現できますようにぜひひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  時間の関係で次に入りますが、この分科会では毎年道路の問題がやはり問題になります。  私の地元でも南北道路が悲願でありまして、昨年の分科会でも私も取り上げました。一昨年も取り上げました。非常に交通事故も多いところでございまして、兵庫県というところは御承知のように非常に広い面積を持っているわけでありますが、南北の格差というのは非常に大きいわけですね。南の方は工業地帯、都市群がありまして、都市型でありますけれども日本海側へ行きますと過疎地になっておりまして、なかなか交流もままならぬというような状況でありまして、世界の南北問題じゃありませんけれども、我が県内でも南北問題というのは大変な問題なんですね。  なぜそうなっているかという一つの原因に、南北道路が十分でない。これはもう党派を超えて、行政官庁にも要望してきたところでありますが、一向に南北道路が改善をされていかない。部分的には、安全施設であるとか一部拡幅であるとかいうこともやられているのでありますが、抜本的な改善になっていかない。何とかこの南北道路、例えば私の地元で言いますと、大きな県道で高砂北条線あるいは加古川小野線というふうな地方主要道があるわけでありますが、この地方主要道からさらに北へ延びるにしても、その道路はつながっておってもそれは十分でない。交通量に耐え切れない。まして、この加西にインターチェンジができるという計画もありますから、それが完成する段階を考えますと、交通事故を守る立場からも、これは大変な問題である。何とかこの南北の格差解消の立場から、今まで何回も要望してきました南北道路の充実について、抜本的な対応をとってもらいたいと思いますが、道路局長、いかがでございましょう。
  212. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 湾岸と山地の間の道路がおくれておるということは、先生御指摘のとおりでございます。特に先生が御要望の主要地方道高砂北条線、この路線は、御案内のように、一応全線が一次改良済みでございます。それで一次改良済みではございますが、いわゆる加古川市の市街地部分、特に国鉄山陽本線の踏切付近におきまして著しい交通混雑を生じておるために、まずこの解消を図るべく、国鉄山陽本線棚田下踏切及び県管理の一般国道二号線がございますが、それの国鉄との立体化事業を実施しているところでございます。  言いわけではございませんが、昭和五十五年度からゼロシーリングあるいはマイナスシーリングによりまして、一次改築が終わった区間の拡幅あるいは新しいバイパスの二次改築工事の新規事業は著しく制約せざるを得ない状態にございます。高砂北条線のバイパス整備につきましても、東播地域の南北幹線道路でございます先生御指摘の主要地方道高砂加古川加西線、それから主要地方道加古川小野線等を含めまして、その整備方針を検討するため、現在県を通じ調査中でございます。昭和六十年度も兵庫県において引き続きいろいろな角度から調査を実施していると聞いております。  なお、現道の交通安全、歩道設置だとかあるいは踏切等でございますが、それは要所要所行ってまいる方針でございます。  以上でございます。
  213. 永井孝信

    永井分科員 御努力いただいておって感謝申し上げますが、ひとつ具体的にバイパスを含めて前から要望しておるのでありますから、それが実現できるようにお願いしておきたいと思うのですが、東西間の道路はかなり充実しているわけですね。国道二百五十号線、そのバイパス、二号線とそのバイパスの自動車専用道路、そして中国縦貫道、さらに山陽縦貫道ができようとしておる。これはほとんどの車が通過でありまして、公害をまき散らして交通事故だけ置き土産で通っていくわけです。私の家のすぐそばのあの国道二号のバイパスの自動車専用道路でも、去年だけでも追突事故による火災が起きまして、その火災で死亡した者だけでも十四名を数えておるのです。火災で死んだ人がですよ。日ごろの追突で死亡者が出たのはのけましてね。だから地元にとれば東西の道路はどんどんできていったけれども、被害だけが残っていくという被害者意識もあるのですよ。むしろそれよりも地域経済、南北格差解消のための南北道路に当面は集中的な努力を願いたいということを強く要望しておきたいと思います。  最後に、短い時間で本当に十分なことは言えないのでありますが、もう一つだけ問題点を申し上げて御要望申し上げたいと思うのでありますが、実は同和地区に対する住宅新築資金等の貸し付け事業でありますけれども、この住宅新築資金の貸し付け事業の実施に当たりまして、地方公共団体の財政負担も非常に多いものがある。したがってこの地方公共団体の財政負担を軽減するための措置をとるというふうになっているわけですね。これを簡単に言いますとどういうことですか、ちょっと言ってくれますか。時間がありませんから、簡単に。
  214. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 このたびの貸し付け助成事業の内容は、五十三年に住宅新築資金、それから住宅取得資金の償還年限を延長したことに伴いまして、起債の償還額あるいは借り受け人からの返済額の差として生じました市町村の負担につきまして、対象市町村を限定した上で、都道府県が助成を行った場合にその要した費用の二分の一を国が都道府県に二年間援助する、こういう種類のものでございます。
  215. 永井孝信

    永井分科員 今お答えいただいたのでありますけれども、その地方公共団体の財政負担を軽減する措置の中に、例えば国の補助であるとか県の補助がありますね。この補助要件の中に、四つほど補助要件があるのですが、その一つの問題は、償還期間が二十五年の新築資金及び宅地取得資金に限るという項目が一つあります。もう一つは、同和地区の人口がその地方自治体の人口比率五%以上であること、そして貸し付け件数は五十件以上、こういうふうになっていますね。これは間違いございませんか。
  216. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 間違いございません。
  217. 永井孝信

    永井分科員 そこで、私は強く御要望申し上げておきたいのでありますけれども、今まで住宅貸し付けが二十五年以内を目途に償還するように行政指導を強めてきているわけですね。だから、二十五年の償還になっているところもあれば十八年になっているところもある、十五年の償還になっているところもある。ところが、今度のこの救済措置の条件からいって、たまたま一生懸命償還を早く済ませよう、借りた人たちの自立を一日も早く達成させようということも含めて十八年償還してきた自治体も随分あるわけでありますが、そういう努力と実際に救済措置がとられることとの条件上、一致しない面が出てくるわけです。そのために地方公共団体では大変な負担になってくるということがございますが、そういうことについて十分な認識を持っていらっしゃるかどうか、一言でお答えいただけますか。
  218. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 おっしゃるように、このたびの措置は償還期限の長い貸し付け、要するに二十五年のものを対象として考えたわけでございますが、先生の今おっしゃったような事実も認識いたしまして、御指摘の点につきましては、この制度が今できるところでございましてなかなか申し上げつらい面もございますが、今後できる限り制度の運用に当たって十分配慮し、検討してまいりたいというふうに考えております。
  219. 永井孝信

    永井分科員 もともと同和対策というのは差別を解消するという崇高な目的に向かって行政の方にも努力していただいておるわけでありますが、その趣旨が生かされるように、一定の救済措置の基準があったとしても、その基準に満たないところでもできる限りの対応は配慮していくということで、ぜひひとつ御努力を願いたいということだけ御要望申し上げまして、ちょうど時間となりましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  220. 住栄作

    住主査 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、市川雄一君。
  221. 市川雄一

    市川分科員 最初に、川崎と立川を結ぶ南武線の川崎市内部における高架化事業について伺いたいと思います。  川崎は御承知のように非常に細長いところでございます。ウナギの寝床というふうに言われるくらい細長い、そういうふうにできておるわけですが、その細長い川崎市を縦断するように南武線が走っている。その南武線の踏切が朝夕非常に渋滞する。南武線沿いにまた府中県道という道路があって、その道路の信号と踏切の遮断機の関係があって、とにかく朝夕非常に車が渋滞して困る。こういうことから踏切渋滞を解消しようということで南武線高架化という事業が始まったわけでございます。この問題は、後で伺います湾岸道路とか東京湾横断道路との兼ね合いもあると思いますね、神奈川県、特に川崎、今の方もおっしゃっていましたけれども、通過車両が多いという問題も含めて。そういう道路の問題、交通の問題にもこれは非常にかかわっておるわけです。  まず最初に伺いたいのは、当初の完成予定は五十七年と言われていたのですけれども、これが今たしか六十二年をめどというふうに聞いておりますが、六十二年度にできるのかどうなのか、現在時点でのめどはいかがですか。
  222. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のとおりこの事業は大変重要な事業でございまして、昭和四十九年度に事業採択以来鋭意推進を図ってきたところでございます。五十二年度に関係者間の協定も調いまして事業を軌道に乗せるべく努力をしたわけでございますが、御案内のとおり用地買収の難航というようなこともございまして、また、折あしく財政状況の悪化ということで、マイナスシーリングのもとで連続立体交差事業費の伸びが全般的に抑制されてまいりました。そういうことでございまして、当初予定いたしました完成年度が大幅におくれるということでございます。  ただいま六十二年度完成でどうかということでございますが、ただいまの見通しでは、六十年度に仮線工事、これは今継続して実施しておりますが、これを促進いたしまして、仮線の上りの切りかえをしたい、それから六十一年度に仮線の下りの切りかえをしたいという目標で推進しております。というような工程を考えますと、切りかえをいたします高架化の完成目標はせいぜい六十五年度ということでございまして、それも努力してということでございますので、六十年度以降事業費の確保につきまして十分配慮してまいりたいというような状況でございます。
  223. 市川雄一

    市川分科員 六十二年度が六十五年度、これは例えば湾岸道路とか横断道路というものが仮にできたとして、千葉から大量の車が入ってくるんじゃないのかとか、東名高速とか二四六とか第二尺浜とか第二京浜国道との兼ね合いで、いずれにしても千葉県側から神奈川県に流入してくる車が非常に多くなるし、それにつれて市内の車両がふえるわけですね。しかし、ふえるけれども、この南武線の高架化事業がおくれていきますと、これは踏切で全部シャットアウト、今ただ一つ溝ノ口−武蔵新城間にトンネルがありますけれども、あのトンネルも期すごいラッシュでして、私も毎朝そこを通っているからよくわかっているのですが、どうにもならない状況があるわけですね。そういう意味で、決して局部的な問題ではなくて、湾岸とか横断とかという大きな計画のネックに下手すると将来なってくるんじゃないか、そういう意味からも特段の御配慮をお願いしたいと思います。  これに関連しまして、一つは高架化が今かなりきているわけですけれども、この高架の下の利用、高架にした後の下の土地の利用ですが、今地元で頭を痛めておりますのは武蔵小杉、武蔵中原、武蔵新城という南武線の駅の前の、これはどこでもあるのでしょうけれども、オートバイとか自転車の置きっ放しというもの、これが非常にひどい。世論もあって、駐輪場とかいろいろ少しずつ改善はされているのですけれども、今調べてみますと、放置されているものは、この三つの駅で約四千五百台の自転車、オートバイが置きっ放し。せっかく高架化されて下の土地があくわけですよ。もちろん駐輪場だ、駐車場だけじゃなくて、あいた土地を町内会館とか、あるいは子供の公園とか、遊び場とか、あるいは交番とかバスの発着所とか、そういう要望はあるのですが、そういう国鉄利用者が置きっ放しにしている自転車とかオートバイの対策として高架化下土地をもっと積極的に地域に提供していこう、まず国鉄にこういう姿勢があるのかないのか、それを伺いたいと思います。
  224. 三由武英

    ○三由説明員 ただいまの南武線の高架下利用につきまして、昨年の夏ころ川崎市から要望がございまして、ただいま先生お話しございましたように、駐輪場とか児童公園とか町内会館とかに使わせてくれという要望がございます。それで、現在国鉄の内部でその利用計画について検討中でございます。  本件に関しましては、運輸省と建設省の間で締結されております協定に基づいて、利用計画を事業主体であります川崎市と詰めてまいるということになります。したがいまして、鉄道業務に支障のない限り、地元要望に沿うようにしたいという計画でおります。
  225. 市川雄一

    市川分科員 もうちょっと具体的に伺いますが、この運建協定というのですか、これによりますと、無償貸し付けの面積は一〇%ということにたしかなっていますね。一〇%ということの根拠はいろいろあると思うのですけれども、この場合もうちょっと積極的に考えていいんじゃないのかなというふうに思うのです。  それはなぜかといいますと、高架化で国鉄が費用を負担している割合はたしか全体の一割ですね。建設省が六割ですか、川崎市が三割負担して、国鉄は、国鉄の高架化にもかかわらず一割しか負担していない。これは国鉄の財政事情その他あると思いますけれども。そういう費用負担で鉄道の高架化が行われるわけですから、その高架によって土地が利用できるという状況が生まれてくるわけですよ。しかも、その土地が生まれてきた、一方では、それは利用者のモラルという問題ももちろんありますけれども、国鉄を利用する方によって自転車とかオートバイの置きっ放しという問題が一方で起きている。こういうことを考えますと、運建協定を盾にして、無償の貸し付けは一〇%ですという態度で終始されたのでは困るわけですね、これは。やはり川崎市も厳しい財政の中で三割というものを割いてそういう事業に参加しているわけですから、同時に国鉄ももうちょっと、運建協定は運建協定としても、この南武線の高架化費用負担という面から考えてもこれは住民としても納得できないんじゃないか。  その辺について、建設省としても運建協定を見直しする考えはないのかどうか、あるいはこの高架化事業という一つの特殊な費用負担の側面から考えて、この一〇%というものをもっと枠を広げて考えるべきだというそういう考え方はないのかどうか、そういう方向をぜひ考えてほしいというのが私の考えですけれども、その辺についてはどうですか。
  226. 梶原拓

    ○梶原政府委員 現行の協定はそれなりにいろいろな理論的積み上げの上で成り立っておるわけでございまして、私ども、今直ちにそのルールの改定ということは考えてはおりません。しかしながら、ただいま先生が御指摘のとおり、事業費の九割方は国並びに市という道路サイドが負担しておるわけでございまして、それによって生じた公共空間でございます。重ねて、この地域の実情といたしまして鉄道の利用者の方から起因するような高架下利用の需要があるわけでございます。私ども承知いたしておりますのは、川崎市の高架利用計画案、高架下利用可能面積三万二千ヘクタールあるようでございますが、うち半分の一万六千ヘクタール、さらにそのうちの半分を自転車駐車場に使いたいというような御意向がございます。そういうことでございますので、私どもといたしましては川崎市のその利用計画案というものを支援してまいりたいというふうに考えております。
  227. 市川雄一

    市川分科員 今おっしゃられたように市の方でそういういろいろな計画をつくっておりますので、ぜひその計画と同時に、無償貸し付け可能な面積を極力市側の意向を尊重してやってほしいというふうに思います。  次に、湾岸道路なんですが、神奈川県では湾岸道路と横断道路を同時にやれという非常に強い意見が一方にあるわけです。川崎の選出の国会議員の中でも意見が分かれているのですけれども、私は、少なくとも湾岸道路を先にきちっとやるべきだ、横断道路については神奈川県、横浜、川崎の受け入れの、車両を受け入れる市内道路の整備が先決だ、そうでないと、ただ大きなものができても何にも意味がないというふうに一つは考えておるわけです。  そういう立場でお伺いするのですが、湾岸道路の工事の進捗率を伺いますと、神奈川県が非常におくれているわけですね。おくれが目立っている。これは今後どういうことになるのですか。千葉県が四八%ですか、東京都で四二・八%、神奈川県が一五・三%、全体で平均三五・三%。三期、四期の事業の中でこの神奈川県にかかわってくる湾岸道路についての建設省の方針というか、おくれたままでいくのかどうするのか、その辺の考え方はどうですか。
  228. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 東京湾岸道路に関しまして特に神奈川県それから川崎市がおくれているのは事実でございます。これは、東京都及び千葉県側の東京湾岸道路が東関東道の空港線に通じますために、成田空港の開通に合わせまして千葉及び東東側をまず第一に整備したという事実でございます。  その後、湾岸三期、四期を含めまして東京湾岸道路の整備促進は非常に重要な問題でございますし、また神奈川県の知事さん、県会の方々、それから川崎市の市長さんその他も同じような認識と聞いております。既に事業着手しております湾岸線三期と横浜ベイブリッジとを結びつける湾岸線四期につきましては、今度新しく六十年度に事業着手すべく御審議をお願いしているところでございます。できるだけ速やかにまず神奈川県及び川崎市側の残りました部分の湾岸道路をやりまして東京湾横断道路受け入れ態勢を整えませんと、先生御指摘のようにいろいろな問題が生ずることは必至であろうかと存じます。
  229. 市川雄一

    市川分科員 その中で特に地元で関心を持っております問題、端的に申し上げますと湾岸線の三期の事業の中で大井埠頭と川崎市の浮島間、これは羽田空港の沖合展開計画とも関連している問題だと思いますが、多摩川の河口の部分を沈埋トンネル方式がとられるというふうに聞いているわけです。それからもう一つは、これは第四期の計画の中で、今申し上げた川崎浮島から横浜の大黒埠頭の間、そこにも川崎航路のところを沈埋トンネルというものが予想されている。これは非常に大工事だと思うのですね。問題はこういう沈埋トンネルをつくるという非常に難しい工事というか、技術的には今もう解決はしておるのでしょうけれども、期間とか非常に大型な工事ですよね。ところが道路をつくる方はどんどん先にできちゃって、そういう海底にトンネルを埋めてつくるという部分が仮におくれてしまった、よくあることなんですけれども。それでも道路は開通しちゃう。そうなりますと、トンネル部分が使えませんから、その車がみんな市内へ入ってくる。今それに似た現象が起きているわけです。例えば、首都高が絶えず非常に渋滞していますから、多摩川のあの大師橋のところで非常に渋滞していますから、みんな浅田のインターで車がおりちゃうんです。おりて第一国道に迂回するわけですね。ですから、市内が川崎の競馬場のところは非常に込むという問題を起こしているわけです。この問題も、今すぐということではないでしょうけれども、そういうことを非常に一つは心配しているわけです。  もう一つは、実際湾岸道路ができて非常に便利になった場合に、東名とか二四六とか、川崎市を横に横断している道路と、当然来た車が行こうとすると思うのですけれども、残念ながら川崎には川崎市を本格的に縦断している道路は一本もないわけですね。尻手黒川線とか府中県道とかありますけれども、それも今道路の状況としては、朝夕はすごい渋滞ぎみ、そこへもってきて、さらにその需要がふえてくるわけですから、こういうものができてくれば。そうすると、川崎に南北を結ぶもう一本の道路がどうしても、だれが考えても必要になる。必要になるのですけれども、また、じゃ、川崎という面積を考えた場合に、そんな新しい道路を敷ける余地があるのかという、これも非常に疑問なんですね、考えてみますと。その辺の問題をきちっと問題意識として持っておられるのかどうか、どんなお考えなのかお聞かせいただければありがたいと思います。
  230. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど御指摘の、トンネルはできなくて前後はできるとか、そういうふうなことがないように工程をいろいろ調整いたしまして、同時着工になるようにしたいとはもちろん考えております。  それから、一番川崎で問題になりますのは、先生も御案内のように、南北が非常に幅広うございまして、それで東西方向にたくさんの主要幹線ができていますが、先ほど御指摘になりました鉄道でいいますと、南武線一本しかない。それから先ほど御指摘の主要地方道もせいぜい二車線でございます。したがいまして、まず湾岸の三期、四期、それも個々にわたりますと沈埋区間もあり、ベイブリッジのようなところもあり、それすべて工程を均衡ある工程にしまして、それから東京湾横断道路の受け皿としまして、まず湾岸で受ける。それからさらに、湾岸だけでは特に川崎市さんは非常にお困りになる。先ほどの南北の立派な道路のことでございます。したがいまして、これは現在のところ浮島線を拡幅するなりあるいは上に乗せるなりということをいろいろ川崎市さんと今関東地建を通じまして協議しておりまして、それから川崎市さんも、これは川崎市の駅前の北側にいろいろ再開発計画がございまして、市議会の議長さん初め幹部の方々は非常に乗り気でございます。そこでとまったのでは先生の御質問のお答えになりませんが、さらにその先はどうなるかということに関しましては、いわゆる東京環状道路というのが今東京都内が一部凍結したような状態になっておりますけれども、これはいろいろその後構造改良いたしまして、要するに東京都及び区の方々あるいは区民の方々に納得いかれるような道路構造、すなわち公害を比較的なくするような構造、それに結びつけるより仕方がなかろう、かように考えている状態でございます。
  231. 市川雄一

    市川分科員 そうすると、それに結びつけをというと、計画で拝見しますと多摩川沿いにお考えになっていらっしゃるようですけれども、どうなんですか。
  232. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、東京環状道路は多摩川の右岸と左岸、点線表示になっておりまして、都市計画決定はなされておりません。  まず申し上げたいのは、これは川崎を含めてでございますけれども、今一番東京で問題になっておりますのが、いわゆる東名高速道路あるいは中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東道その他、どんどん放射道路が発達いたしまして、それを首都高が一生懸命受けているわけでございますが、それも限界でございます。したがいまして、東京外郭環状道路をつくらざるを得ない。一番端的な例が関越道であろうかと思います。受け皿が全くない。これが谷原で非常に交通渋滞を起こしておる。御指摘の多摩川の右岸とか左岸というのはまだ都市計画決定をやっておりませんが、一応点線表示になっておりますが、これは法的には何の意味もありません。それと将来の交通処理を考えますと、どちらかにこれはまとめざるを得ないと思います。先ほどちょっと申し上げましたけれども、川崎市の幹部の方々等々の御意見等拝聴しておりますが、恐らくまとめて多摩川の右岸側のどこかを通る、そういうことになろうかと思いますが、川崎市さんの方もいろいろ御意見ございまして、とりあえず川崎の北口の再開発に役立って、さらにそれを突っ込んでほしい、そうすると、どこかで、私が申し上げましたように東京外郭環状に結ばざるを得ない、かように考えております。
  233. 市川雄一

    市川分科員 結論として御要望申し上げたいことは、整合性のある推進の仕方をしていただきたいということです。大きなプロジェクトはどんどん進んでいくのですけれども、こういう大きな道路から入ってきた後の始末というものがいつも置き去りにされて、それが結局は住民なり市民に大きな影響を与えていくわけですから、市内の南北にわたる道路の整備という問題も含めて、整合性をきちんと持たせてやっていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。  それから、これも湾岸と関係してきますけれども国道十六号線ですね。もう時間が大分迫ってまいりましたので、端的に伺いますが、昨年の内閣委員会でだしか建設省の方に伺ったのですけれども、この十六号線の混雑の原因は、御承知のように横須賀トンネルが一車線である。今まで二車線でしたものが、あのトンネルで一車線になってしまうということで、すごい渋滞をする。これはもう調査も恐らく終わっていらっしゃると思うし、どんな方式でいつからやるのかということを伺いたいと思います。
  234. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御指摘のように、一般国道十六号は御指摘の横須賀トンネルだけで二車線で非常に絞られておりまして、これが非常に混雑の原因になっているのは事実でございます。それでいろいろ技術的な調査を今まで検討してきましたが、御案内のように当該箇所は、現在のトンネルと国鉄横須賀線が極めて近接しております。その点でいろいろ施工上の問題で今まで技術的なことを解明してきたわけでございます。御指摘のように、今後さらに地質調査等を含めましてより詳細な調査を行いまして、できるだけ早い時期に事業に着手できるよう検討してまいりたいと思います。
  235. 市川雄一

    市川分科員 まだ時期はちょっと言えませんね。できるだけ早くということですね。
  236. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 地質調査等が残っておりますし、先ほど言いましたように国鉄とのいろいろ協定もございますので、そういうことを申し上げました。
  237. 市川雄一

    市川分科員 それからもう一つは、横横道路と横須賀市内を結ぶ、仮称ですが本町山中線。横横道路ができて十六号線のバイパスとしての機能を非常に果たしているわけですけれども、肝心の横須賀へ入っていく道あるいは横須賀から横横線に来るアクセスの道路がないということで非常に不便しているわけです。また、追浜あたりでは非常にすごい渋滞を起こすわけですけれども、この本町山中線は、一つは、いつごろからおやりになるのか。もう一つは、これはどちらかというと国道的な役割を果たしますので、国の無利子の貸し付けですか、これについては三〇%を極力三五%に近づけるような形でやってほしいという強い要望がありますが、この点についての建設省のお考えを聞きたいと思います。
  238. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 仮称でございますが、本町山中線は御案内のように日本道路公団において現在事業中でございます横浜横須賀道路の横須賀インターと横須賀市の中心市街地を結ぶ幹線道路でございまして、現在は神奈川県が計画しているところでございます。  現在神奈川県が何をやっているかと申しますと、都市計画決定の手続を進めているところでございまして、先生御案内のように、トンネルとか橋梁が非常に多いために多大の事業費を要するため、県では有料道路として整備したい意向を持っているようでございます。  具体的に申し上げますと、県の道路公社による有料道路、したがいまして建設省としては、県から正式の申請が上がってきますれば、県公社の有料道路としての対応をしたい、かように考えております。できるだけ早くやりたいと思っております。
  239. 市川雄一

    市川分科員 あと一点だけで終わります。  これもたびたびお願いをしたりあるいは分科会で何回か伺ったりしてきたのですが、多摩川の川崎市幸区幸町三丁目にございます戸手堤外地護岸改修工事、いわゆる河川敷に住居があって護岸工事ができていないために絶えず水浸しになる、こういう問題を言ってまいりました。かなり努力していただいているということはそれなりにわかるのですけれども、ひとつこれもぜひなるべく早く護岸を完成していただきたいということを申し上げたいのですが、今見通しはどうですか。
  240. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 当該地点は昭和五十二年から築堤のための用地買収に着手いたしますとともに、水衝部の浸食対策のために護岸整備を実施してきておるわけでございますが、かなり進みまして、昭和五十九年度からは一部築堤にも着手するなど、これまでに金額で申し上げまして大体五割ぐらいの進捗率と相なっております。今後とも地元の御協力を得まして鋭意促進に努力してまいりたいと思います。
  241. 市川雄一

    市川分科員 終わります。
  242. 住栄作

    住主査 これにて市川雄一君の質疑は終了いたしました。次に、塩田晋君。
  243. 塩田晋

    塩田分科員 兵庫三区の塩田晋でございます。道路を中心にいたしまして、建設大臣並びに関係局長の御答弁をいただきたいと思います。  まず第一は、東播州というところは、加古川という川を中心にいたしましてその流域に広がっている平野でございます。この地域は、ただいまの状況ですと中国縦貫道が一番北、大きな道路、幹線道路が東から西に向かいまして何本も走っているわけです。言うならば東西に輪切りになっておるという状況でございます。北から言いますと中国縦貫道、加古川バイパス、第二国道、明姫幹線、そして浜国道、その上になお国鉄の山陽線、また私鉄の山陽電車がやはり東西に走っておるという状況でございますが、南北に通ずる道路というのは四車線のものは一つもないわけでございます。極めて不規則また未整備状況で現在あるわけです。  ところが、最近の状況は、海岸地方を中心にいたしまして加古川、高砂、明石あるいは播磨町といったところは、神戸製鋼、川崎重工あるいは三菱重工を中心としてその主力工場並びに下請関連の企業が立地をし、勤労者を中心といたしまして人口が急増している地域でございます。北部あるいは中部の東播州地域、これは農業を初め中小商工業がかなり各地にある地域でございます。そこからの南へ向かっての通勤者、通学者が非常に多いわけでごさいますが、その道路が非常に未整備であるというのが特徴でございます。  そこで私は、地元の商工会、商工会議所あるいは経済産業界の皆さん方の御要望あるいは関係の市の方々の御要望に従いまして、前から南北の幹線自動車道路の整備につきまして要望を続けておるわけでございます。昔は加古川という川の舟運の便がございましたが、今は南北を通ずる道路がないわけでございますので、地域経済的な一体感というものが非常に失われてきているという状況を憂えて申し上げているわけでございます。  そこで、この南北幹線自動車道路につきましてぜひとも新設をしてもらいたい。用地買収その他は、東西の幹線道路に比べればまだまだ山地もあり、丘もあり、野原もある。その中を通っていけば、あるいはまた加古川という川の堤防を利用すれば、建設費も少なくて済むのではないかといった提案もしておるところでございますが、これにつきまして現在とのようにお考えになり、御検討いただいておるか、お伺いいたします。
  244. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 兵庫県におきまして南北道路の整備が必要であるということは十分認識しておりまして、先生御指摘の播但連絡有料道路一これが現在一番強い、しっかりした道路になろうかと思いますが、六十年度じゅうには国道二号のバイパスまで達する予定になっております。それから、一般国道二十九号線、百七十五号線、百七十六号線、三百十二号線等を鋭意整備を進めていく予定でございます。  このほかにも、南北方向の自動車交通に対応するため、名前は一々申し上げませんが、主要地方道がいろいろございますので、それらの地域幹線道路においても順次整備を進めていく予定でございます。今後とも、南北方向交通の円滑化に努めてまいりたい、かように考えております。
  245. 塩田晋

    塩田分科員 私が申し上げておりますのは南北を通ずる四車線、歩道を持った幹線道路をつくってもらいたい、その必要性を言っておるわけです。しかも、その中心が加古川、高砂から北に延びる幹線道路ということを申し上げているわけでございまして、先ほど言われました幹線道路はずっと西の姫路から北上している部分、それから百七十五号線というのは明石から中部を経て北上している線でございます。今申し上げておりますのは、加古川、高砂からの北上する幹線自動車道ということを申し上げているわけでございます。いかがですか。
  246. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 具体的にどういう路線という路線がわかりましたら検討させていただけると思いますけれども、私が先ほどから申し上げましたように、いろいろな主要地方道その他国道が南北を流れておりますものですから、そういう道路を整備してやっていきたい。一部はもちろん四車線のものもございます。例えば播但有料道路の場合は、ちょっと場所は違いますけれども四車線の有料道路でございます。それで、例えばあるところは主要地方道とつながり、あるところは国道とつながる、そういう具体的なことがわかりましたらいろいろ検討させていただきたいと思っています。
  247. 塩田晋

    塩田分科員 私が申し上げておりますのは、西の方なり東の方のこと空言っておるのではなしに、この加古川、高砂地域から北上する幹線に四車線の自動車道がないということでございますので、その点をひとつ御検討いただきたい。  具体的に言えとおっしゃるならば、これは加古川の堤防を利用するなり、その周辺で加古川、高砂から北へ上る線、いろいろな地方道がありますけれども、二車線のものしかないということで申し上げておるわけでございます。今や大企業が大きく工業立地している地帯から北上するものがないということを申し上げておるわけでございまして、新設でございます。
  248. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 兵庫県におきます先生御指摘のような高規格と申しますか、新しい南北幹線交通構想につきましては、近畿圏の広域幹線道路網計画の中で長期的な課題として目下検討しております。これは先生御案内のように、近畿地方建設局それから関係各県の専門家が集まりまして、いろいろ検討させていただいております。
  249. 塩田晋

    塩田分科員 御検討いただいておるということで、今後我々も十分に要望していきたいと思います。また、意見も取り入れていただくように努めてまいります。  そこで、既存の南北地方主要道につきまして御質問いたします。  さっき出ました百七十五号線、これは東の方を通って中部の播州地方に至っておりますが、これが現在非常に混雑しておりまして、二車線でございますが、歩道も十分にないということで、このバイパスが順次整備されております。特に、社は最近完成いたしました。三木もできました。これからは、あと小野地区と西脇地区のバイパスの建設でございますが、この見通しがどうかということをお聞きいたします。  恐縮ですがずっと続けて申し上げます。  高砂北条線というのがあります。これは県道でございますが、跨線橋も今着工していただきまして、また一部四車線のところもごく短いですけれどもでき上がっていますが、非常に狭いところがまだずっと続いておりますので、これの整備をお願いしたい。  それから、志方という加古川市内の町がございます。そこと国鉄宝殿駅との間の県道、これは非常に狭いわけです。恐らく五・五メートルか六メートルまでかと思いますが、かまぼこ型になっておりまして、横は溝でふたもしてない。そこにトラックからバスから通勤通学の自転車が走る、そして歩行者が歩くという非常に危険な箇所でございます。この宝殿−志方間、宝殿小原線といいますか、ここは交通が渋滞、また、事故が多発しておりますので、こういった対策をぜひとも考えていただきたい。  それから、南北を通ずる、加古川、高砂から北上しているものといたしましては、尾上小野線あるいは土山小野線といったものもあります。これはまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  250. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず、一般国道百七十五号から簡単に申し上げますが、起点明石市、終点が舞鶴でございまして現在、三木バイパス、小野バイパス、社バイパス、西脇バイパスを整備中でございます。このうち三木バイパス、社バイパスにつきましては全線暫定二車線で供用済みでございます。  次に、高砂市、加古川市周辺で南北方向幹線的な地方道として、先生御指摘のほかにも大路線ほどございますが、そのうち主要地方道宗佐土山線、高砂北条線、加古川小野線、高砂加古川加西線、一般県道野口尾上線については改良済みでございます。一応一次改良が終わったという意味でございます。  それから、一般県道小原宝殿停車場線につきましては、一・九キロメートルの交通不能区間がございます。これを解決すべく、県単独事業におきまして五十七年度までに用地買収を終え、五十八年度より工事に着手し、六十二年度完成を目途に現在整備促進に努めているところでございます。  以上でございます。
  251. 塩田晋

    塩田分科員 次に、明石市内のやはり南北道路でございますが、魚住支所前線、藤江鳥羽線、特に藤江鳥羽線の明姫幹線への取りつけ道路等につきまして促進を図っていただきないのでございますが、いかがでございますか。
  252. 梶原拓

    ○梶原政府委員 明石市の魚住支所前線、それから藤江鳥羽線でございますが、いずれも昭和五十年度前後に採択したものでございまして、改良事業大体八割方の推捗率でございます。財政状況の悪化によりまして事業がおくれましたけれども、大変重要な事業でございますので、今後鋭意促進していきたいと思っております。
  253. 塩田晋

    塩田分科員 よろしくお願いします。  それから、これは大臣に、細かい問題ではございますけれども、ひとつぜひとも御考慮をいただきたいと思いますのは、加古川バイパスの土山インターの南に当たるところの二国、第二国道の地点と明姫幹線、ちょうど南に当たります明姫幹線との間が全然道路がないわけです。その二国まで来ている南北道路はかなりの幹線道路です。しかもインターがついているわけですね。ところが、明姫幹線なりあるいは浜国道に行く道路が全然ないんです。田んぼです。そう長い区間じゃございませんので、ぜひともこれは新設して整備をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  254. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 今の先生御指摘の路線につきましては、早速県首脳部といろいろ検討させていただきまして調査をやらせたいと思います。
  255. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。大臣、ひとつよろしくお願いします。  それでは次に、明姫幹線の四車線の完成をぜひとも促進をしていただきたいということをお願いいたします。  これは用地買収は全部終わって、コンクリート打ち込みさえやればもう全部でき上がる状況です。一部もう四車線でも供用されておりますし、二車線で全通しておるわけでございますので、あと残ったところをぜひとも早期に完成をしていただきたい。これは用地買収に応じた人たちに、本当にいつできるんだ、ずっと前に協力したのにという声がございます。どうぞその辺をお酌み取りいただきまして、早期に完成に向かって御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  256. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の明姫幹線につきましては、先生御案内のとおりでございます。ただ、六十年以降残事業が約五十三億ございます。それで、残りの二車線区間がわずかでございますし、しかも県からの要望も非常に強うございますので、できるだけ早い時期にやりたいと思いますが、この事業規模からいいますと、大体六十年代の中ごろではないかと思われます。  以上でございます。
  257. 塩田晋

    塩田分科員 ひとつできるだけ促進をして早期に完成をしていただきたいと思います。  次に、中国縦貫道につきましてお伺いいたします。  まず加西インター、これは審議会の議を経て決定しておるところでございますが、まだ全然動きが見えないわけでございますが、いかがでございますか、これを早期に着工し、建設していただきたいと思います。  それからなお、滝野社インターにおきまして、インターを出たところに百七十五号線のバイパスが来ております。これは一方交通のところと出口とがかち合いまして、交通事故を調べた表をつくりました資料が手元にあるのですけれども、大変な事故が起こっているのです。しかも信号がないのです。これをほうっておけばまだますますふえると思いますね。さらにそれとの関連で、次の信号のところでまた大変な事故が起こっている。これは事故数は本当に驚くべきものでございます。大変なものです。こういうやり方でどうしてほうっておいたのかと思うのですが、これは早期にインターを出たところに第二インターをつくってもらって道路を越すようにしますと、こういう事故はないはずです。用地買収もできておるというふうに聞いておりますが、ぜひともこれを早期につくっていただくようにお願いいたします。いかがですか。
  258. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の加西インターチェンジでございますが、加西インターチェンジは、昭和五十七年一月の国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て定められました追加インターチェンジでございます。  当インターチェンジにつきましては、昭和五十八年三月に日本道路公団に対し施行命令を出し、現在、同公団において地元説明を行っているところでございます。今後、地元との協議が調い次第用地買収に着手し、六十年代前半の供用を目標に事業を進めてまいる所存で。ございます。  御指摘の交通事故の多い滝野社インターの第二インターでございますが、昭和五十四年四月に一般国道百七十五号のバイパスが暫定供用されました際に、現在の平面交差型式でこの百七十五号のバイパスに連結されたものでございます。  御指摘の第二インターの建設につきましては、現在一般国道百七十五号及びインターチェンジの交通状況交通事故の分析等いろいろな調査を行っているところであり、これらの諸調査の結果を踏まえて前向きに、先生のおっしゃいました事故のことはよく私の方も熟知しておりますので、何らかの手を打って対処したいと思います。  以上でございます。
  259. 塩田晋

    塩田分科員 検討して、何らかの対処をするとおっしゃっていただいたわけでございますから、それで結構でございますが、問題は時期でございます。毎日のように事故が起こりますので、これは早期にやりませんと……。用地ももうできておるわけです。あとは道路公団の予算全国的に見ますとあるはずです。これは大臣がやれと命令していただいたら直ちにできるものだと思うのですが、人命尊重の点から一日も早く御指示をしていただきたいと思いますが、いかがですか、大臣
  260. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 その前にちょっと。先ほど申し上げましたように、一番大きなのは交通事故でございまして、現在第二インターの建設につきまして、交通事故の分析等の諸調査の結果を踏まえまして判断することとしております。いろいろ関係機関もございますので、十分協議しまして、第二インターをつくることも含み、あるいはほかのいろんな交通制御の方法もございますので、用地があいていることはよく熟知しておりますが、金が全部回り切れませんところもございますので、そういう点も含みの上、いろいろ検討さしてもらいたいと思います。いずれにしましてもしかるべく善処いたします。
  261. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど局長からも答弁いたしましたように、今これから地元と用地買収その他についていろいろ協議を……(塩田分科員「用地買収はできているんです、あるわけです」と呼ぶ)そういうことで、六十年の前半ぐらいには供用を目途に事業を進めるように努力をさしていただきます。
  262. 塩田晋

    塩田分科員 用地はもうできておるし、予算は全体的にあるという中で、局長の御答弁はできるだけ早い時期にやるとおっしゃっていただきたいわけでございますけれども、ひとつ早期にこれの解決のために御努力をいただきたいと思います。お願いします。
  263. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 御趣旨のような点をよくあれしながら努力をさしていただきます。
  264. 塩田晋

    塩田分科員 次に、山陽電車の明石駅周辺の高架化の問題、立体交差の問題でございます。それから、それとあわせまして明石駅駅舎の国鉄の明石駅との合体及び周辺の都市計画の問題でございますが、これの進捗状況、また今後どういう見通しになっておるかお伺いいたします。
  265. 梶原拓

    ○梶原政府委員 山陽電鉄の明石駅付近の立体交差の件でございますが、進捗状況は五十九年度末進捗率三六%ということでございます。用地買収は、民地はほぼ完了いたしまして、国鉄用地が四〇%程度進行いたしております。  そこで、今後の見通しでございますが、まずは国鉄用地の買収を推進することが第一でございます。それを進めまして、何とか六十年度から工事に着手したいというふうに考えております。そういたしますと、平面交差が高架に切りかわるのが、目標といたしまして六十四年度ないしは六十五年度ということになろうかと思います。となりますと、先生御指摘の駅舎の改築の件でございますが、高架に切りかわるときに実施するわけでございますので、その時期に国鉄駅との一体化事業を行うというような見通しでございます。
  266. 塩田晋

    塩田分科員 次に、国鉄の加古川駅の周辺の立体交差、高架化の問題でございますが、これは、従来は高砂線が廃止になるかならないかということが問題であったのが、これがはっきり廃止が決まった今の段階におきまして、早急に進められると思うのです。これは先ほど申し上げました南北道路の交通の円滑化のためにも非常に必要なことでございますので、これを促進をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  267. 梶原拓

    ○梶原政府委員 加古川駅付近につきましては、地元の大変強い御要望にこたえまして、五十九年度に新規採択をいたしたところでございます。したがって、ただいま調査、設計中でございます。  今後の見通しでございますが、なるべく早く用地買収ができますよう、ただいま関係者で構成いたしております連続立体交差協議会で調整を図っておりまして、その調整を終えましたら、六十年度にできますれば都市計画決定の段取りに持っていきたいというふうに考えております。
  268. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひともこれも早期に推進を図っていただきたいと思います。  それから、時間の関係であとまとめて二問ほど申し上げますのでお答えを願います。  一つは、道路の関係でございますが、国道に昇格させていただきました加美町、中町を通ずる道路でございますが、播州峠というのが丹波との境のところ、これがつづら折りになって山の中を通っております。これをぜひとも早期にということは前から要望しておりますが、これを進めていただきたい。これがどうなっているか。  それから加美町の高坂トンネルの要望地元に非常に強いわけです。これは県道でございますけれども、トンネル掘削によりまして最短距離になる。同じような意味で中町と黒田庄の石原の間の石原坂というところ、これも今改修、拡幅が東の方から進んでおりますけれども、これもトンネルでやっていただきたい。これは、早期にやっていただきたいと思いますのは、黒田庄から中町にある高校に通う生徒は、自転車でずっと南の方、西脇の近くまでおりて、それからまた北上しているという状況でございますので、最短距離のこの石原トンネルをつくっていただきたいということでございます。これが道路関係です。  もう一点は、加古川の流域下水道の整備の見通しでございます。整備を促進していただきたいということでございます。  それとあわせまして、加古川の西脇市の野村町付近の河床に岩盤がたくさん出ておりまして、ある箇所におきましては若干滝のようになっておるわけですが、これが洪水の原因になっておると言われております。水量がふえたときに逆流をする。ちょっと上流に合流している地点がございますが、そこへ逆流をしていくということで、時々洪水の被害が出ておるわけでございます。この岩盤を掘削して河床を低めてもらいたいという要望が出ております。もちろん、これは染色業その他の地下水の問題も関連いたしますので、よく調査していただいてこれに対処していただきたいと思います。  以上、道路と河川の問題につきまして一括してお答えをいただきたいと思います。
  269. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 簡潔に申し上げます。  まず第一番目の四百二十七号線の播州峠でございますが、御案内のようにこの路線につきましては防災工事あるいは特攻一種のバイパス等々、いろいろやっておるところでございます。先生御指摘の播州峠付近につきましては、未改良であるところから、現在兵庫県におきまして路線の調査中でございます。地形的に非常に難しい条件がございまして、引き続き詳細な調査を進めたいという旨を県から聞いております。  事業の実施につきましては、県の調査結果並びに青垣町側の平たん部の集落周辺の事業進捗等々を勘案して今後検討してまいりたいと考えております。  それから高坂峠のトンネル計画でございますが、主要地方道加美山崎線でございまして、御指摘の高坂トンネルは神崎町と加美町の町境に計画されている延長約八百七十メートルのトンネルでございます。これは調査も比較的進んでおりますので、できますれば昭和六十年度に工事に着工したい、かように考えております。  それから最後の石原トンネルでございますけれども、中町と黒田庄の町境に計画されております延長三百メートル余のトンネルでございますが、当面、トンネルに着手すべく前後の道路の改良工事の進捗を図って、その進捗を見ながら適宜トンネルに着工したい、かように考えております。  以上でございます。
  270. 梶原拓

    ○梶原政府委員 加古川の流域下水道でございますが、まず上流処理区につきましては、建設もようやく軌道に乗ってまいりました。五十九年度予算を大幅にふやしたところでございますが、六十年度以降も事業費の重点配分をしてまいりたいというふうに考えております。  下流の処理区につきましては、ただいま計画策定中でございまして、処理場の位置を決定するための環境影響評価調査を実施中でございます。今後早期に事業着手できますよう兵庫県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  271. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 加古川の岩盤掘削の件でございますが、先生から御指摘いただきましたような事情にありますので、五十九年度にいろいろと岩盤の状況あるいは地下水に与える影響等を調査をいたしております。調査結果がまとまりまして掘削に伴う支障がないことが確認されれば、昭和六十年度からでも掘削に着手いたしたいと考えております。
  272. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。
  273. 住栄作

    住主査 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、田中美智子君。
  274. 田中美智子

    田中(美)分科員 今、問題になっておりますコンクリートの骨材のアルカリ反応によるコンクリートの崩壊それから塩害、またコンクリートの中性化の問題、こういうような問題から、コンクリートの建造物や建築物に亀裂が生じ、雨漏りが起きたり、陥没したり、天井が落ちるとかいろいろなことが起きて、非常に社会問題になっています。テレビなどでも放映されております。  この本を建設省は御存じだと思いますが、NHKの社会部記者の斎藤宏保さんという方の「重い遺産——コンクリート構造物大崩壊迫る——」という、これはノンフィクション小説ですが、非常にショッキングなことが書かれています。これのフィクション部分というのは、新幹線が姫路の先でひっくり返ってたくさんの人が死んだとか、それからアルカリ反応を起こしていた建造物、建物に住んでいた人たちが多く死んだとか、こういうことが想定されるような形で書かれているということは大臣も御存じだと思います。大臣、御存じですか。この本はお読みになりましたか。——一度お読みになるといいと思います。  そういうことで、こういうコンクリートの崩壊という、絶対に崩れない、五十年、百年は崩れないというふうな神話があったわけですが、これが崩れてしまうんだというようなことから、建設省もコンクリート建造物二千カ所、これの目視調査とコア抜きの調査をやったということを聞きましたが、その結果はいつごろ出るのでしょうか。
  275. 杉山好信

    ○杉山説明員 お答えいたします。  先生御指摘ございました、最近の話題になっておりますコンクリートの被害に関します調査につきましては、昨年から鋭意実施をいたしておるわけでございます。現在のその概要を申し上げますと、直轄管理しておりますコンクリート構造物につきましてやっておるわけでございますが……(田中(美)分科員概要でなくて、いつ結果が出るのかという時期だけお話しください。」と呼ぶ)現在まず目視調査をやっておりますが、これはほぼ終わりまして、それをもとにいたしまして、再度、さらに詳細に、コアを抜いてこれをいろいろな面から多角的に試験研究しなければならないわけでございますが、そのコア採取作業をやっております。例えばアルカリ骨材反応につきましては、試験によりましては六カ月もかかりますので、しかる後、今年内にはできるだけまとめるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  276. 田中美智子

    田中(美)分科員 この結果ができましたら、ぜひいただきたいというふうに思います。これはアルカリ反応だけでなくて、いろいろなことがおわかりだと思いますので、御報告願いたいと思います。  研究者にいろいろ聞きますと、今こういうアルカリ反応の出ているところは関西が多いと言われていますけれども、次は北海道に出てくるぞ、日本列島すべてに次々と出てくるぞ、こういうようなことを言っていますが、次は北海道だ、こういうふうな予見をしている学者もいるわけです。それなのに北海道全国調査の中から抜けているということで、早急に北海道でも今建設省がやっているのと同じ調査をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  277. 杉山好信

    ○杉山説明員 現在行っております調査につきましては、先生も先ほどおっしゃいましたように、昨年関西でアルカリ骨材反応が確認されたわけでございますので、そういう面で、とりあえずまず内地の直轄の区間につきまして調査を開始しておるわけでございます。北海道につきましては、北海道開発局におきまして現在独自に調査を始めておられまして、そういうことで、今後とも北海道開発局とは密接に連絡をし、情報交換をしながら、協力してこの調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  278. 田中美智子

    田中(美)分科員 そうすると、北海道ではもう調査を始めているわけですね。
  279. 杉山好信

    ○杉山説明員 さようでございます。
  280. 田中美智子

    田中(美)分科員 それでは、これは構造物のことですからぜひできるだけ早くやって、完成して、その結果を出していただきたい。  次に、住宅の問題ですけれども、テレビで狭山団地の問題などが大きく報道されておりますし、あちこちに雨漏りが起きたり、コンクリートの天井が落っこちるとかいうことでマンションなどでも問題になっております。広島市の富士見台の宅地の擁壁などは非常にひどいアルカリ反応だということもはっきりしているというようなことを研究者も言って、私、写真なども見せていただいておりますので、構造物だけでなく、市営住宅、県営住宅、公団住宅を、個人の家というのはなかなかすぐにはいかないと思いますから、まずこういうところの目視の調査をし、そして疑いのあるものはコア抜きでやっていただきたいと思います。大臣、これはきちっとお答え願いたいと思います。
  281. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 今御指摘の公営住宅、公団住宅のようなものにつきまして、ひび割れが特にひどいものにつきましては、コア抜き調査も含めまして詳細な調査を今後やってまいりたいというふうに考えております。  なお、公営住宅につきましては、昨年の七月、各都道府県に対しまして、これは抜き取り調査でございますが、コンクリートの劣化状況につきまして九百五十五棟ほど目視によって調査を行いました。その結果、ひび割れの状況から見て詳細な調査を要すると思われるものが数棟ございました。これにつきまして、今後、コア抜きも含めまして追跡調査を指示しております。
  282. 田中美智子

    田中(美)分科員 この住宅の問題はこれから大変な問題になりますので、調査結果が早く出て、その対応ということをぜひ研究していただきたい。大臣、よろしいですね。
  283. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今、局長答弁いたしましたが、御指摘のように大変重大な問題でございますから、土木研究所や建築研究所その他で今鋭意研究いたしております。また、御承知のとおり検討委員会を設置してその究明を急いでおるわけですから、そうした成果が出次第真剣に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  284. 田中美智子

    田中(美)分科員 私、先日、大阪の堺市に行ってきたわけです。これは、第二阪和国道の中にあります堺市の文珠橋通りというところの橋脚であるわけです。これがアルカリ反応が非常に出ているということで、今建設省が修理する直前だ、足場までつくっているということを伺ったものですから、現出身の共産党の代議士の藤田スミさんの御案内でこの場所を見て、写真を撮ってきたわけです。これはそちらの方は十分御存じなわけですが、現場で聞いてみますと、こういう橋脚がずらっと並んでいるわけですが、そのうちの三本しか修理しないというのですね。いろいろ聞きましたら、それはいろいろな理由があるんだということを言っておりましたけれども、私は大変びっくりしたわけです。それは百二十度にひびが入っていくとか、亀甲状のひび、クラックが入るということを聞いて行ったのですが、ただそういう亀裂が入るだけでなくて、汚れなのかかびなのかわかりませんが、素人の目で見ますと、まるでようかんが腐ったように本当に汚なくなっているわけなんですね。これにびっくりしたわけです。これはただごとではない。  それで、私が住んでおりますのは名古屋ですが、名古屋の真ん中に高速二号という高速道路が今建設されつつあり、また計画もされているわけです。この高速二号というところが現在やられているわけです。ここを早速に調べてみました。もちろん素人ですが、いろいろ写真を撮ってきたわけです。素人目に見ますと、堺の亀裂とこの写真が非常に似ているという感じがするわけです。それから、堺のピアに亀裂があるわけですが、見ますと、名古屋の高速二号の亀裂がそっくりなわけです。それで、これはただごとではない。それは堺ほど腐ったようにぐちゃぐちやになっておるわけではありませんけれども、それに近づきつつあるのではないかというふうに私の目で感じたわけです。これは素人の私が見てきただけですのでわかりませんけれども、早速にこれを調査していただきたいというふうに思うわけです。  いつできたかということを調べてみましたら、これは四十七年に着工して五十四年に営業を開始しているのですね。そうしますと、ちょうどこの時期というのは川砂がなくなったために危険な砕石が非常に多くなった、山砂も使うようになった。四十八年がオイルショックですので、ちょうどオイルショックのところで油が足らないために生焼けのセメントがこのころには出回っている。その上に、このとき非常に物価が急騰をしたものですから、ちょうどこの時期というのは手抜き工事もあちこちであったというようなことを研究者やその筋の方たちが言っているわけですね。ちょうどそれにぴったり当たっている。そういうことから見ますと、どう見てもこの名古屋の高速二号というのはおかしいのではないかという疑問を、ただ目で見ただけでなく着工の時期やそういうものを見ましてもおかしいのではないか、こういうふうに思ったわけです。  そう長いところではありませんので、簡単にできるというふうに私は思うのです。ですから、早急に目視調査をしていただいて、そして怪しいと思われる部分はコア抜きをやっていただきたい。一日も早く、なぜこれが亀裂が起きたのか、単なる乾燥した亀裂であるのか、それともアルカリ反応なのか、塩害なのかということを原因を見きわめていただきたい。このアルカリ反応はコンクリートのがんだと学者は言っているわけです。がんはやはり早期発見、早期治療。ある研究者によりますと、一カ所そういうところが見つかりますと大体十倍から百倍の未発見場所があるというふうに言われているわけです。こうして素人の目にも疑わしいものが出てきているわけですから、コア抜きをやって原因を究明して、そしてそれに対する修理をすぐやっていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか大臣、やっていただきたいと思います。
  285. 杉山好信

    ○杉山説明員 ただいま大阪の堺の例と名古屋の例をお取り上げいただいたわけでございますが、ちょっと一般論でアルカリ骨材反応について、細かいことは説明しませんけれども……(田中(美)分科員「結構です、ただ調査ができるかどうかということをお知らせください、時間がありませんので」と呼ぶ)この現象につきましては日本で最近確認されたわけでございまして、従来起こらないと言われておったのが定説でございます。したがいまして、調査研究をこれから鋭意進めなければならぬわけでございまして、いろいろとそういう面の調査を昨年以来鋭意進めております。現在までのところ、私どもの附属機関の土木研究所におきまして、ごらんになりましたような高架道路の橋脚の模型をつくりまして、その模型によりまして耐荷力の調査を実際に力をかけてやっておりますが、それによりますと耐荷力にはさほど影響がないということで、まず反応の面からいいますと、外部から例えば雨ですとか、そういうような水が補給されるところにおいてひび割れてくるので、そういう補修面はやっております。
  286. 田中美智子

    田中(美)分科員 調査をしていただけるかどうかを聞いているのです。
  287. 杉山好信

    ○杉山説明員 まず一般論について今お話しを申し上げたわけです。
  288. 田中美智子

    田中(美)分科員 それは聞いてません、わかっていますから。この名古屋の高速二号の調査をすぐしてほしい、できるかどうかと聞いているのです。一般論はわかっていますよ、そんなことは。
  289. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の名古屋の高速二号線は、多分円上−大高間の約十一キロの区間のことを先生おっしゃっていると思います。これは毎年すべての構造物につきまして定期検査を実施しておりまして、一部コンクリートのひび割れが生じておることも知っております。ただ、私は不勉強でほかの方を見ておりませんが、いろいろ聞きましたところ、必要があるものにつきましては、樹脂モルタルをひび割れに注入いたしまして修理をやっております。これまでのところ、アルカリ骨材反応によると思われるひび割れは生じていないと聞いておりますが、御指摘のような箇所があれば再度再確認のためにいろいろ調査をやらせる予定であります。
  290. 田中美智子

    田中(美)分科員 不勉強であるというようなことを言ってもらっては大変です。日本列島がまさに崩壊するのではないか、オーバーに言えばそういう問題が今起きるのではないかと言われているときですので、その担当者が不勉強ですがというようなことを国会で言われては困るのです。ですから、早急に調査してくださるということですので、調査していただきたいと思います。  さっき言われましたように、起きないと思っていたことが起きたのだ。あちこちで事実起きているのです。それがどんどん広がりつつある。どこまで広がるかはまだわからない。広がったら日本列島崩壊なんですから、これは大変なんです。いろいろな原因がある。はっきりはわからない。しかし一番あれは海砂にあるのではないか、混和剤にあるのではないか、それから砕石にあるのではないか、こういうことが言われているわけです。ですから、まずJIS規格の中にどういうものは扱わないようにすべきだという基準をつくる必要がある。例えば塩分にしても、海砂の塩分というのはJIS規格に入っていますけれども、混和剤の塩分というのはどうして除いているのですか。一緒になったら塩分の量はふえるわけですから、これが抜かれてけるというのが第一おかしいと思うのです。ですから、混和剤の塩分というものも入れてJIS規格の中にこれを位置づけていただきたいということが一つです。  もう一つは石なんですが、これは俗語がいろいろ言われているのです。輝石安山岩とか玻璃安山岩、さぬき岩、サヌカイト、これは横文字ですね、カンカン石とか豊島の石とか、こういうふうに俗語とか同じものを違う呼び名で呼んだり、まざっているのです。しかし、今私が読み上げました名前は生コン会社の人や建設会社の人で知らない人はいない。だれに言ったって、ああカンカン石、あれですか、輝石安山岩ですかというふうにだれでも知っている。これは危ないのだというふうに言っている。一〇〇%危ないのかどうかそれはわからないのかもわかりませんが、こう言われているわけです。こういうものを今わかった範囲だけでも基準をつくって、よりはっきり研究の成果が進めばまた基準を変えていく。早くしないと、今使われてどんどんこうしたコンクリートのジャングルができているわけですから、このJIS規格の中にこれをきちっと入れていただきたい。  それからセメントも最近は大変ひどいセメントができて、ばらつきのあるセメントになって信用できない。建設省自身がセメントを信用してないのじゃないですか。それで、原子力発電所をつくるときのセメントは韓国から輸入してくるというようなうわさが流れるというようなことで、建設省も信じられないような粗悪なセメントができているということになりますと、今のJIS規格というのは非常に危険なものになってくる。早急に基準をつくって、この骨材の規格、セメントの規格をきちっとしていただきたい。早急にそれをやっていただきたいと思います。
  291. 咲山忠男

    ○咲山説明員 お答えいたします。  JISの制定改正につきましては、私ども通産省は安全性の確保という点につきましても常に心がけていく必要があると考えております。そのためには、技術面の検討はもとよりのこと、関係機関とも連携を保ち、適正なものとなるよう十分な努力を払うべきであるというふうに考えております。  ただいま先生御指摘の石につきましても、ただいまのところどういうメカニズムでそれが危険性につながるかというようなあたりは鋭意関係各方面で研究されていると伺いますので、私どもの方のJISの担当者といたしましても、そういう結果が出次第JISに盛り込みますし、それから出るまでもなく、既に一昨年の、昭和五十八年の十一月でございますか、私どものJISの関係の研究委員会で、とりあえずこれは、とにかく一つ一つについてどう危ないかというのは、これはJIS規格でございますから余りはっきりしないものをきちっと盛り込むというわけにはいかないので、実はJISの構成といたしまして解説という部分がございますから、そこに一応、こういうアルカリ反応のあるものを使う際には非常に詳細に気をつけなければいけないという注意書きをまず盛り込んだということでございまして、実際には、昨年の十一月に解説にその文言が盛り込まれております。したがいまして、私どもとしては、今後その研究成果が出次第、今度はJISの方に、その必要性がありとすれば早急に盛り込むように努力をしたいと思います。
  292. 田中美智子

    田中(美)分科員 盛り込まれるまでにはおおよそどのくらいかかりますか。
  293. 咲山忠男

    ○咲山説明員 研究をやっておりますところがいろいろ関係各方面ございますから、一概にいつ幾日までというふうには申し上げられませんが、それは研究ができ次第というふうにお考えいただければ幸いです。
  294. 田中美智子

    田中(美)分科員 研究ができ次第ということは、研究は今聞きますとなかなかできないということですから、JISは当分何年かはそのままだということになるのじゃないですか。結構です、通産省。  それで建設大臣に言いたいわけですが、このJISというのは非常にあいまいな規格になっているということはおわかりになったと思うのですね。そうしますと、こういうあいまいなJ1Sの規格でコンクリートがつくられた場合には、コンクリートになりますと、これは建設大臣の責任、建設省の責任になるわけですね。そういうあいまいなJISの工場でつくられたものを信用して建設省がつくったところが、これの修理が要る。今修理に物すごく金がかかる。堺市のあそこのピアにしたって、一本ほんのちょっとのところで百万円ということを言っていましたから、大変な修理費がかかる、こういうことですので、建設省としてもこのJISの問題というのはほうっておくわけにはいかないのじゃないですか。その点どう思われますか。
  295. 杉山好信

    ○杉山説明員 先生御指摘のように、私どもとしましても、先ほど申しましたように最近日本において確認された現象でございまして、これに対する積極的な取り組みを総力を挙げて、今附属の研究機関を挙げて取り組んでおるわけでございます。  アルカリ骨材反応に関する試験方法については、世界共通の試験方法はないと言われておるわけでございますが、それは地質構造とも絡むわけでございます。日本の火山性の岩石等の堆積等に関する特性に応じた簡便な試験方法の研究開発が早急に必要であるということで、我々今研究所で取り組んでおるわけであります。  そういう面で今この研究を進めるわけでございますが、六十年度から、特に建設技術の総合技術開発プロジェクトとしまして、コンクリートの耐久性向上技術開発について本格的かつ総合的に取り組み出す予定にいたしております。したがいまして、そういうことでこの研究成果を逐次施策に反映させていくというふうな考えでおるわけでございます。
  296. 田中美智子

    田中(美)分科員 それでは、今大手の建設会社がこういう研究をして自分の基準を持っている、調査をしている、このゼネコンの調査した結果というものを提出していただきたいと思いますが、大臣いかがですか。簡単におっしゃってください、時間がありませんから。
  297. 杉山好信

    ○杉山説明員 アルカリ骨材反応の調査を建設業において実施されているかどうかにつきましては、私、詳しくは存じておりませんが、私どももこのアルカリ骨材反応については重大な関心を持っておることは先ほど来お話ししているとおりでございます。建設業団体等を通じまして、そのような調査が行われているかどうか早速問い合わせてみたいと思っております。  一般的に言って、民間で個々に行われている調査研究、どの程度の研究か私どもわかりませんし、提出してもらえるかどうかわかりませんけれども、調査が行われているとすれば、コンクリート問題の重要性にかんがみまして、資料の提供についての協力依頼をするということも検討してまいりたいと思います。
  298. 田中美智子

    田中(美)分科員 あなた、そういううそを言うものじゃないですよ。調査しているかどうか知らないけれどもこれから調べてお願いしてみます、こういう逃げ口上を言うものじゃありませんよ。建設省の質問取りに来た人が、知っています、通産省の質問取りに来た人が、ああ知っています、新聞記者も知っています、研究者も知っています。世間全体が、ゼネコンが調査結果を持っていてそれでやっているということは、それが正しいかどうかは別ですよ、みんな知っているのです。あなただけが知らないんですね。それをどうして出せないのですか。
  299. 杉山好信

    ○杉山説明員 私ども、民間だけのデータをもとにしてやるということを考えておるわけではございませんで、先ほど来申し上げましたように、附属研究機関の総力を挙げて取り組んでいくということで調査を開始しておるわけでございます。
  300. 田中美智子

    田中(美)分科員 私は、近代都市の建設の基本というのはコンクリート構造物だというふうに思うのですね。そうすれば、今、日本列島がオーバーに言えば——これはオーバーでなくなるかもしれない、大崩壊しようかというふうな警告が発せられているにもかかわらず、自分たちだけでやるんだ。何も私は、大手の企業のやったもののとおりにやれなんて言っていません。これだけ政府も困り、国民も困り、不安におののいている。そうならば、衆知を集めて、それぞれの調査結果というものを集めて、それを参考にし、検討し、お互いにやるということが当たり前じゃないですか。それを、大手のものはそれは知らぬ、そんなことはないですよ。これはやはり出すべきです。私は、出すことを強く要求します。あなたは出すとは言わないわけです。なぜそんなに出さないのか、出せないのかということは大変おかしいことですけれども、こういうことを出して、そしてJISを少しでもいいものにしていくということを建設省が真剣にしているならば私はその努力を認めますけれども、国会にそれを出せと言っても出せない、こういうようなことでは私は大臣に……。  のんびりしてないでくださいよ。私、これから裁判が起きると思うのです、マンションを持っている人たちから。こういうあいまいなJISで、そして家が崩れてきたときに、一体その修理費や大改修費や建てかえの費用、これはだれが持つのかということで裁判になったときには、これは建設大臣の責任になる。裁判になったときには、それはあなたの責任になると私は思うのです。きょうのあなたの応対というものが、裁判になったときには、きょうつくられたこの議事録というものが裁判所に提出されるということになるのですよ。ですから、そのときに、ここまでは不可抗力であったとか——聞いていてください、こちらを。不可抗力であったとか、ここまでの努力はしたんだとか。しかし、全く忠告をされても努力もしなかったんだということでは、あなたの責任というのは大きく違ってくるのですよ。お答えください。
  301. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 社会資本の整備を図る意味からいっても大変重大な問題でございますし、したがって、早急にとにかく解明しなければならない、そういうことにつきましては先生のお考え方と一致するわけでございます。したがって、先ほど私申し上げましたように、今土木研究所とか建築研究所とか、これはある意味では官民挙げて総力を結集して解明に努めなければならない、そういうふうに思っておるわけであります。ですから、そうしたものを総合的にいろいろ、とにかく成果が得られるものから速やかにその対策を立てていかなければならぬ、そう考えておるわけです。
  302. 田中美智子

    田中(美)分科員 そんな抽象的なことを言ったってだめですよ。ゼネコンの調査をちゃんと公の前に出し、研究者が欲しがっているわけですから、研究者にもそれを見せるということをやってほしいと思うのです。  それから、工事過程のコンクリートの打ち込みのとき、これは生コン会社の孫請にまでさせているのですね。技術者は全然立ち会わないわけでしょう。ここのところをどうするのですか。きちっと改善してほしいと思います。技術者が打ち込みのときにちゃんと立ち会う。お答えください。
  303. 杉山好信

    ○杉山説明員 現在生コンの現場打設に関しまして、生コン工場におきましてまず所要の検査、品質管理が行われることが基本でございます。それでコンクリート打設現場におきましては、細かくなりますが、スランプ、空気量あるいはテストピースをつくって圧縮強度を試験する、こういうことをやっておるわけでございますが、今後、アル骨反応につきましては、先ほど申しましたように試験方法の早急な開発が必要でございますけれども、こういった先ほども申しましたような緊急課題で、総力を挙げて研究をいたしまして、逐次その成果を現場に反映できるように、コンクリートのより適切な品質管理を期すために、研究開発にも全力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  304. 住栄作

    住主査 時間が来ておりますので。
  305. 田中美智子

    田中(美)分科員 これで終わります。  私は大変おかしいと思うのです。技術者をきちんと置いてほしいということを要求しているのです。それをお願いしたいと思うのです。  これは学者がいろいろ論文などに書いているのですけれども、発注官庁の担当者は構造物のチェックをするのではなく、データの書きかえをやっているというようなことを書かれていますし、それから石の問題についても、危ないと言われている石の後ろには黒幕がいて、これが資金源になっている、だから通産省も建設省も手が出せないでいるんだとか、こんなおかしなうわさが流れるようなことをしないでほしいのです。ダンボールをつくっているのと違うんですよ、このコンクリートというのは。ですから、あらゆるところでやった調査というものを国がきちっと集めて、研究者にそれを渡し——ですから、ゼネコンの調査を何が何でも私のところに届けていただきたい、これを日本列島が崩壊しないための一つの参考資料にさせていただきたい、それを強く要求いたします。  大臣にお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  306. 杉山好信

    ○杉山説明員 私は何も建設省だけのデータでもって考えようと言っているわけではございません。先ほど北海道開発局の方のお話もいたしました。総合的にデータを集積をいたしまして、できるだけ今年末までに実態調査をまとめたいということで考えておりますので、よろしくお願いします。
  307. 田中美智子

    田中(美)分科員 大臣
  308. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり大変重大な問題でございますから、早急に官民総力を挙げて原因の究明に努力をさしていただく、そして成果が上がったものから打てる手は打って、全力を挙げて努力したい、そう考えております。
  309. 住栄作

    住主査 これにて田中美智子君の質疑は終了いたしました。  次に、中村正男君。     〔主査退席、谷垣主査代理着席〕
  310. 中村正男

    中村(正男)分科員 私は、都市基盤整備に関する問題、とりわけ特定地域ではございますけれども、以下その具体的な内客を申し上げますが、いわゆる低質老朽密集住宅地の再開発の問題について数々の問題点がございますので、それを指摘しながら、ぜひひとつ善処方を要望したい、こういう観点で進めたいと思います。  まず、国連のいわゆる世界保健機構が示しております都市の生活環境の備えなければならない要件、四つ指摘がされておるわけであります。当然のことながら一つは安全性、二番目は健康性、三点目は利便性、四点目は快適性、とりわけ近代都市の中では、当然ながらこの四項目が最低のいわば住環境の条件ではないかと私は思っております。  しかし、戦後日本の、とりわけ三大都市圏、急速に人口が増大をいたしまして、都市基盤ができないまま、そして経済の高度成長時代を迎える。そのため大都市圏ではさまざまな問題が起こっております。第一点は、まず人口の急増に行政がついていけないという点であります。例えば下水道の処理の問題、道路の問題等々ございますが、いわゆる行政が後追いであるという点であります。二つ目は、生活環境が極めて劣化をしたということ、三点目は、過密道路基盤の不整備、そしてそのことから起こる安全性の問題、四つ目は、乱開発が進められる中で都市全体の景観の問題等々が挙げられようかと思います。  そこで、私の地元でございますが大阪の第七区、人口百十万余でございますが、行政市といたしましては枚方市、門真市、寝屋川市、守口市、交野市、大東市、四条畷市と七市ございます。この七市は、いわゆる戦後経済の復興とともに、とりわけ高度成長時代に入った段階から、大阪さらには京阪神全体の産業発展のために大量の、とりわけ若年労働者を提供してきた特異な住宅地でございます。特に、西日本各地から当時若者を中心にこの地域に集中して移住が行われてきたわけであります。先ほども申し上げましたけれども、そうした人口の急速な増大に行政がついていけずに、今日まで大変さまざまな社会的な問題として課題が残されてきております。  特に、この間に建築をされました住宅の大半は、いわゆる関西で言うところの文化住宅、一般的には棟割り長屋といいますか、それも二戸当たりの間数はせいぜい二間が大きい方でございまして、大半が一間きりというふうな長屋群であります。さらに木造アパート、これも単身者専用というふうな非常に狭い木造アパート、これらが単にそれぞれが独立して建っているのではなしに、そういったものが一つにまとまって集落として構成されている。当然道路は全部私道でございます。中には満足に車も通れない、もちろん消防車も入れないというふうな状況でございます。  そして、今日まで二十年あるいは三十年経過をしたわけでありますが、その結果、これらの住宅が一体どうなったのかといいますと、そっくりそのまま老朽化したまま残されておりますし、またその過密の状況も全く解消されてない極めてレベルの低い住宅群になっております。火災もこの地域は非常に頻発をしておりまして、その都度焼死者が出るという、そんなありさまでございます。  さらに、最近ではいわゆるドーナツ化現象といいますか、近郊のところへ移住者がそこから出ていくわけですね。そうしますと、アパートにしろ文化住宅群、棟割り長屋にしろ、くしの歯が抜けたように空き家ができるわけです。空き家ができてもその家全体を、そのアパートを壊すわけにいかない。居住者が残っているわけです。その空き家が今度は青少年の非行のたまり場になる。いわゆる小学生、中学生ぐらいの子供がその中にたむろして、たばこを吸ったりあるいはシンナーを吸ったり、非常に町の非行の問題として憂慮されておるわけでございます。単にそういった住宅政策ということじゃなしに、社会全体の問題になっておるわけでございます。  門真市、これは千二百ヘクタールあります。この中の石原地区というのは四百六十一ヘクタール、人口十四万。市の中にこの石原地区という過密の低質住宅密集地は、何と四百棟の、住宅と名のつけようがない、そういうものが密集しております。戸数にして三万戸。しかも、それは上物、建屋の所有者と土地の所有者が全く別人であって、それぞれの所有者がいわゆる当該市域に住んでいない。他府県にほとんどが住んでいる。こういう複雑な、特異な地域であります。  寝屋川市、これも二千四百ヘクタールありますけれども、この密集地は何と四百ヘクタールにも及んでおります。萱島、池田、大利、香里。こういう実態について、これは私は全国各地で余り見られない状況かと思うのですが、今各地域、各大都市圏でだんだん問題になっております府営住宅あるいは市営住宅、そういったものの開発との関係で、将来いずれはこういった地域のような状況になるのではないか。次の世代に警告を残しておる住宅地域だと私は思うのです。  これは、委員長の許可を得まして、写真を写してきました。大臣にひとつ見ていただいて、そういったものが今のこの近代都市の中で今なお残っておるということについて、私はまず大臣の感想を求めたいと思います。
  311. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今先生から大変格調の高い御発言がございまして、私も深く傾聴させていただきました。  御指摘のように、二十一世紀というものは、三大都市圏を中心にして、都市に人口が七〇%ぐらい集中するであろう、そういう予測も実はあるわけでございまして、先ほど来いろいろ御指摘になりました点は、まさに建設行政の根幹に触れる非常に大事な御指摘でございまして、私から今さら申し上げる必要もありませんが、安全で快適な町づくり、また住まいづくり、そうした良好な環境を、ニーズにこたえながら努力するということが、今申し上げますように最大の行政の柱であるわけであります。また、先生おっしゃるとおり、空き家なんかの青少年の問題やなんか、非行の問題というものはまさに大きな社会問題である、そういうふうに私ども受けとめておるわけでございます。いずれにいたしましても、都市の再開発を大いに推進して努力するためには、やはり市町村その他の、また住民の皆さん方の理解と参加という協力がないと実現しにくい問題等も、率直に言ってあると思います。  しかし、今先生も御指摘のとおり、また私も申し上げましたとおり、これはまさに建設行政の大きな根幹に触れる大事な問題でございますから、昭和五十七年からこの木造賃貸住宅地域整備の促進ということは、努力はさせていただいておりますが、今後ともそうした事業の実現に対して、総合的な視野に立ちまして最善の努力をさせていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  312. 中村正男

    中村(正男)分科員 大臣として真剣に受けとめるという回答をいただいたわけでございますが、あえてもう一言つけ加えておくならば、こういった密集住宅住宅と言えるかどうかわからないのですが、こういう密集地域というのは、高度経済成長が残したいわば廃屋群ではないか。産業構造の転換から炭住街が大きく取り残された廃屋になっておりますけれども、やはり都市における高度経済成長の残した廃屋だ、私はこういうふうに規定をすべきではないかと思います。  そこで、大臣が再開発について、地方自治体、民間の協力を得ながら前向きに取り組んでいく、こういう御答弁をいただいたのですが、私はそういった点で、今大臣が言われた五十七年度に創設されたこの制度について、幾つか改善方をお願いしたいと思うのです。  まず、木造賃貸住宅地区統合整備事業、こういう位置づけで五十七年に創設されました。民間の活力を生かしてこれらの地区の整備を促進していこうということなのでありますが、いわゆる事業者がこの制度で定める規定、ルールに沿って申請をし、国の内示を待って工事に着工する、そういう形がとられれば補助金の適正な交付を受けられるのですけれども、問題は、そういった状況になかなかいかないというのがこの地域の特異性なんです。  どういうことかといいますと、一つは、先ほども申し上げましたけれども、建物の所有者とその土地の所有者が違う。しかも、その所有者がいずれも市外、県外者が大半であるというふうなことで、事業計画が本当に思うように進まないのですね。地方自治体、行政も真剣にやろうとしておるのですが、所有者との談合なども承諾を得るのに非常に手間暇がかかる。結果として、事業計画が整わない、締め切りの期日に間に合わずに当年度の事業として認知されない。しかし、民間でありますから、何とかやらなければいかぬということで締め切りが終わってから工事に着手をすると、これは規定に沿ってないのだから補助金は認められない、こういうことが出てくるわけでして、どうしても事業者が二の足を踏むわけです。  こういった再開発事業としてはその規定についてもう少し弾力性を持たすということができないのか、その辺をまずお聞きをしたいと思います。
  313. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 先生御指摘のように、こういった再開発とか、住民がかんでいるといいますか、住民の家自体を動かすというような事業につきましては、おっしゃるようなタイミングといいますか、なかなかうまくとりづらいという特色を持っております。  それで、御存じのように会計年度は独立ということではございますけれども、やりようによりまして予算の配分の変更をする。一方において予算をつけたけれどもできないところがあるとか、そういうようなケースは非常に多くございますので、年度内におきましてもそういう予算の配賦を変えるとかいうようなことで、弾力的といいますか、機動的と申しますか、そういう対応をできる限りやってまいりたいというふうに考えております。
  314. 中村正男

    中村(正男)分科員 単年度の予算編成ですから、おっしゃる意味はわかるのですが、当の事業者にとってはそんなに弾力的な運用をされてない、また、十分な説明がなされてない、こういう受けとめ方でございますので、一つの枠にとらわれずに、これは再開発の熱意を非常に持っている事業者だという認定のもとに、地方自治体と一緒になってぜひ進めていただきたいということを私は強く要望しておきます。  それから二点目は、用地買収の問題。これも先ほど言った、異なるといいますか、異常な条件がございますのでなかなか円滑に進められない。また、どんどん土地を開放していただくというためにも、特殊な密集地のこういう再開発については、買収を指定した土地の所有者に対して税制上の優遇措置というものがとれないのか。きょうは大蔵省の方からも来ていただいておりますので、その辺をお聞きをしたいと思います。
  315. 薄井信明

    ○薄井説明員 土地税制についての御質問でございます。  税制の基本から申しますと、物を譲渡いたしますと、売った価格から取得した価格を引いてその差額に課税するという形をとっておりますが、譲渡所得につきましては期間が長いとその譲渡所得が大きくなるということから、二分の一課税といいますか、その辺の負担の調整措置が置かれているわけでございます。しかも、何を売ってもこの規定はかかるわけですが、土地とか建物につきましては、その特殊性から今土地税制というものが一つの形をとっているということは御承知のとおりかと思います。そういった中で、今御指摘の点等の土地政策あるいは住宅政策観点から、どうしても必要なものについてはさらに例外措置を置くと、非常に複雑な制度になっておるわけで、この際の税制当局の考え方と申しますのは、第一点は、例えば土地収用法が適用になるといったような公権力が介入する場合にどうするか、あるいは土地の買い取り請求権があるような事業の場合どうするか、あるいは法律によっていろいろな施策が講ぜられるような場合どうするか、そういったランクによって特別措置を講じているというのが実情でございます。そういった中で、今御指摘の具体的な例が、なかなか先生のおっしゃるような形に入っていないということは事実でございまして、特別控除の分野ではなかなか難しい問題だと思います。  ただ、地方公共団体が土地を購入して優良住宅地の造成のために使うといったような場合には特例がただいまございまして、これを適用するという手はあろうかとは思います。その特例といいますのは、四千万円を超える分について二五%の特例税率というのがございます。これは今後三年間延長しようかということで、今大蔵委員会等で議論いただいておるということでございます。
  316. 中村正男

    中村(正男)分科員 ぜひひとつ前向きな結論を出していただきたいと思います。  同じく用地買収に伴う国からの補助率の問題なんですが、もうくどくど申し上げません。これは現行一五%になっているわけですね。地方自治体の負担が七〇%と、確かに国も地方も含めて財政難ということは認識はいたしますけれども、それにしても地方自治体の負担というのは大変大きい。せめて道路、いわゆる街路事業ですか、これですと三分の一、さらに都市公園等の補助率ですと三分の二が適用されているわけです。これはその町全体の大きな問題なんですから、単なる民間の工事なんだという位置づけではなしに、公共的な意味合いを含めて補助率の引き上げというのをどうしても図ってもらいたい。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  317. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 御指摘のように、ただいま補助率一五%ということでございまして、これはこの事業というものが用途処分が特定されていないとか、いろいろございましてこういうことになっております。一応、取得した土地をある程度地方公共団体が抱えている、その間のせめて利息の一部ぐらいは助成したいというような考え方でこういうことになっておるわけでございますが、これを引き上げるということにつきまして、今この段階でどうこうとなかなか申し上げつらい点がございます。そういうことで御了解いただきたいと思います。御存じのように、道路、公園その他を整備するために使う場合には、より高率な補助があるということは、御承知のとおりでございます。
  318. 中村正男

    中村(正男)分科員 これは何回も言いますけれども、一般的な都市の再開発ではない。先ほど言った数々の歴史的なそういう経過の上の再開発であるわけです。特に、率直に言って地方自治体ではお手上げなんですね。大阪府としても手が出せない。結局国の大きな強い力でもって引っ張っていかないことには、これはますますそのまま取り残されていく、こういう実態でございますので、大臣、ぜひひとつ検討方をお願いしたいと思います。
  319. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど私申し上げましたような非常に大事な問題でございますから、今中村先生からの大阪の具体的な例でございますけれども、東京の地域やその他にもそうした整備を、再開発しなければならぬ地域もあると思います。こういう問題はやはり地域の特性を生かすとか、それからまた、ただ定められた地域だけの問題じゃなくて、総合的に周囲の環境整備をどういうふうにするとかというふうな非常に広範な問題だと私は思うのです。しかも住民のニーズというものも大きく変わっておりますし、また地権者その他との関係も非常に複雑であることは、御指摘のとおりなんです。  私も時間がありましたら、一度こういう地域も自分で視察もさせていただいたりして身肌に感じて、大事な都市の再開発の根幹に触れる問題ですから、弾力的な運用ができるかできないか、そういうふうな問題等も、これは住民の立場に立って、また地域の特性を生かしたそういうものがないと効果が生まれませんから、そういう問題を自分でも把握できるような、また知識も得られるような、そういう努力をさせていただきたい、こう考えております。
  320. 中村正男

    中村(正男)分科員 ぜひひとつ大臣に足を運んでいただきまして、実態をつぶさに見ていただいて、これは特定地域ということじゃなしに、大臣もおっしゃいました、恐らく東京周辺にもあるいは横浜周辺にもこういったところがあろうかと思いますので、ぜひひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  次は、私は建築の専門家じゃございませんので、これは地方自治体の担当者からぜひこの点は強く言っておいてほしい、こういう要望を受けましたので、それをそのまま申し上げて、建設省としての考え方をお聞きをして帰りたいと思うのです。  こういう整備対象地域の再開発、これについては五十七年にこういう制度ができたのですが、もともとからあるいわゆる建設にかかわる法的な面で、大変障害になっているという問題があるのですね。都市計画法の第二十九条で言う開発許可あるいは建築基準法の四十三条二項の問題とか、例えて言うならば、密集住宅地域千平米以上の広域開発を促進する場合、私の道路が今言ったような規定にひっかかってなかなか広域開発ができない。これは私は繰り返しますが、そのままそっくり担当責任者の方から指摘をされてきた問題なんでございまして、これはきょう具体的な答えの準備がなければ、研究をしていただきまして、まず第一に、そんな規定とか法的な面で障害だけはないようにしてもらいたい。それは再開発することによって町が生まれかわり、住民の健康、安全を含めて促進されるわけですから、それを阻害するような仮に法があるならば、これはかえって何のための法なのかということでございます。具体的な答弁がもしございましたらお聞きしたいと思うのですが、ぜひひとつ研究をお願いしたいと思います。
  321. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 担当者がどういう御意向で言われたのか、ちょっとはかりかねる点もございますが、要するに、私ども考えますところによりますと、例えば道路が現状狭い。そうすると、この町の建てかえをやるためには、道路を広げることが法律上要求される。ところが、道路を広げていたのではなかなか進まないというようなことで、道路は狭いままにしておいても、何とか家の建てかえはできないかとか、そういうような意味じゃなかろうかなという感じもしないわけではございません。  しかし、この木造賃貸住宅の建てかえといいますか、更新する事業というのは、単に木賃を取り壊して、いいのを建てればいいというだけではなくて、町づくりそのものをよくしなくちゃならないのだというところにあるわけでございまして、     〔谷垣主査代理退席、主査着席〕 それは狭い、先ほどおっしゃったような消防自動車も入らぬような道路のままで家をよくしても仕方がないわけでございまして、そういう意味からいえば都市計画法でいう開発許可制度とか基準法による道路制限というものはやはり守っていただいた方が町としてはいいものができるというふうに私は考えておりまして、そのようにお答えさせていただきたいと思います。
  322. 中村正男

    中村(正男)分科員 そういったところだと思います。したがって、ぜひひとつ当該自治体がやりやすいように建設省として十分細かな点を含めて御指導をお願いしておきたいと思います。  時間が参りましたので最後に、五十七年にこの制度ができた根底は、民間が主体でやるべきだということで進められてきたと思うのです。ただ、今まで私が申し上げてきましたこの実態からしますと、民間の、しかも零細な業者がそれぞれ小さな範囲でやることが本当に再開発ということになるのか、町全体の美観を損なわずに町の発展がそれによって行われていくというふうな再開発になるのか、これは私は甚だ疑問だと思うのです。こういう特定の再開発事業というのは国あるいは都市整備公団などがむしろ公共的な事業としてやるべきじゃないか。今の公団はとにかくもうけ第一主義でなかなか難しいようですけれども、これは単に公団の新しい仕事ではなしに国が今まで怠ってきたそのことを再開発する仕事なんですから、むしろ国が主体的にあるいは公共的な仕事としてとらまえていただきたい、私はそういう考え方を持っておりますので、その点についてお聞きをして質問を終わりたいと思います。
  323. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 例えば住宅都市整備公団がこの木賃の事業に参画できないかというようなことだろうと思います。御存じのようにこの地区の属する市町村が施行主体でやるというのが当然基本であろうとは思いますが、住宅都市整備公団は現在もこういう木造賃貸住宅地区において、いわゆる民賃といいますか、土地所有者が賃貸住宅を建て直す場合に公団の力をかりてやるというような形でお手伝いをさせていただいておるわけでございますけれども、さらに今後これを進めて、何か地方公共団体にかわってある種の御支援ができるかどうか、こういう問題について今実は研究をしておるところでございます。結果はよくわかりませんけれども、おっしゃるような方向でいろいろ研究を進めてまいりたいと思っております。
  324. 中村正男

    中村(正男)分科員 終わります。
  325. 住栄作

    住主査 これにて中村正男君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  326. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 引き続いて大臣は大変御苦労さまでございます。  私は、新六郷橋架橋問題とその周辺対策について建設省の見解をお伺いいたします。  一千百万の首都東京と神奈川を結ぶ主要幹線道路の一つとして国道十五号線、通称第二局浜国道がございますが、その県境に多摩川が流れ、その川を渡る架橋が六郷橋であり、今日まで政治、経済、文化の交流はまさに橋を渡る限りない往来によってなされてきたと言っても過言ではありません。その重要な役割を果たしてきた旧六郷橋は大正十四年に架橋され、架橋後五十有余年たっており、全体の老朽化と車両の増加、大型化に伴う床板の破損等のことから震災対策の一環として現在の新六郷橋として生まれ変わりつつあるわけでございますが、その現状を踏まえて、工事の進捗状況はどうなっておるか、それについてまずお伺いします。
  327. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 旧六郷橋につきましては先生御指摘のとおりでございまして、新六郷橋は全体の計画としまして八車線を計画しております。そのうちまず第一期工事といたしまして現橋の上流側に隣接いたしまして橋の長さ四百四十四メーター、幅員十八メーター、これは四車線でございますがそれの新橋を架橋し、昭和五十九年八月より暫定供用しているものでございます。  第二期工事としましては、旧六郷橋を撤去いたしまして当該箇所に残りの四車線分の橋梁を架橋するように計画しております。したがいまして、全部でき上がると四車四車の八車になるわけでございます。今後引き続き旧橋の撤去を進めまして、川崎市側の取りつけ部の主要地方道川崎港線への円滑な取りつけ及び立体化を図るため、川崎側の新橋、延長約二百二メーターでございますが、及び取りつけ高架橋の整備を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  328. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、新六郷橋の工事全体が完了するのはいつごろになるのか。また「生まれ変わる六郷橋」というパンフレットまで出して建設省はPRしておりますが、完成するとどういうふうな橋になりましょうか。
  329. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど御説明しましたように、とりあえず新橋四車線をつくるわけでございますが、その新橋の全部でき上がりますのは今のところ昭和六十一年度末と考えております。
  330. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そのような将来計画を持って新六郷橋の工事が進んでいる中にあって、実は句点か問題がございます。その一つは、新六郷橋から都道四百二十四号へおりるループ型ランプの工事が現在立ち退き問題で中断したままとなっておりますが、立ち退き問題の現状はどうなっておりましょうか。恐らく補償等の問題で話し合いがつかないということかもしれませんけれども、話し合いをつけるという姿勢は私は非常に大切なことだ、そう思うのですが、それかといって放置しておけば全体計画に支障を来すことにもなりますが、その点どういうふうにお考えになっているのか。立ち退きと工事計画との接点、タイムリミットというのはどういうふうにお考えでしょうか。
  331. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 六郷橋東京側の用地買収につきましては、現在までに六千百八十平方メートルでございますが、それの用地買収を完了しております。残りの用地は二地権者で、面積で言いますと七十平方メートルでございまして、取得率を申し上げますと面積比で九九%、金額で申し上げますと九七%となっております。残る用地につきましては現在交渉を継続中でございますが、補償価格、地権者と借地人との権利配分の問題がございます。今のところこの二者に対して一つは金額の点、一つは先ほど申し上げました地権者と借地人との権利争い等々がございましてまだ残っておるわけでございますが、今後とも地権者の御理解を得べく鋭意交渉を継続してまいりたいと思っております。昭和六十一年度末にループは供用開始する予定になっておりますので、当然六十年度中には何とか処理しなければならない、さように思っております。
  332. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 要するに今補償の問題でなかなか進まないという状況ですが、少なくとも六十年度においてはこの問題を解決しませんと六十一年度このループ型の道路というものはできないということですから、これは大変に厳しい対応を恐らくこれからやっていかなければならないと思います。  もう一つの工事を進める上での問題となっておりますのは、仲六郷四丁目三十二番の九号地先のところだけが道路に人家がはみ出しておって、側道二車線のところ、そこだけが急に一車線というふうになっております。この問題についてはどういうふうになっていましょうか。
  333. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生おっしゃっておられるところは、面積で言いますと約二十五平方メートルでございまして、問題点は、先ほどちょっと申し上げましたが、補償額一千二百万円で、地権者、借地人とも了解しておられます。ただし、地権者と借地人との間で権利配分で結論が出ておりません。そういう点でおくれているわけでございます。  以上でございます。
  334. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私は、道路管理の上からも問題が残るし、交通安全という立場からも危険であるというふうに思うわけですから、少なくとも建設省としては積極的な立場で努力をしていかなければならないというふうに思いますから、その点ひとつ努力を重ねていただきたいと思います。
  335. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 もちろん積極的に解決すべく努力するつもりでございます。
  336. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 次に、ループ型ランプの周辺及び内側の土地については、昨年地元大田区から公園設置の要望が出されておりますが、公園設置の要望について建設省としてはどのように考えておられましょうか。
  337. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 地元大田区より高架の下を公園として利用したい旨の要望が関東地方建設局長あて提出されている事実は存じ上げております。  この要望につきましては、道路管理上の諸問題及び歩行者がランプを横断することとなる等、交通安全上の問題点もございます。これらにつきまして十分検討する必要がございますので、現在公安委員会それかも地元の区等と調整を行っているところでございます。
  338. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 実は、昨日私はこの現場を見てまいりました。ループ型ランプの周辺等をずっと見てきたわけでございますけれども、今建設省が言われるように、交通安全上の問題はないだろう、少なくとも歩道を通っていけばループ型ランプの場所に行くことができますし、ループ型ランプのその場所も、一つは自動車の通る道とそれから歩道と、その中に、言うならば公園設置に十分ないわゆる敷地が残されているわけですから、そういう意味においてぜひこの問題については大田区とそれから建設省側と鋭意前向きでひとつ話をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  339. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 もちろん大田区及び公安委員会先生、問題はなかろうというお話でございますけれども、その立場の人もございますので、公安委員会及び建設省と三者で詰めて、できるだけお役に立ちたい、さように考えております。
  340. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それから、都道四百二十四号を挟んで東六郷高架橋の下の土地管理については、建設省としては基本的にはどのようにお考えになっていましようか。
  341. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 六郷橋の東京側の東六郷高架橋のけた下の道路敷地につきましては、道路管理上必要な敷地として確保しております。現在、敷地上の空間の利用については、道路管理上の利用以外には考えておりません。  以上でございます。
  342. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 実は、都道四百二十四号を挟んで両側にかなりのスペースの空き地がございます。私はきょう申し上げたいことは、そのすぐそばに京浜急行の六郷土手駅がありまして、駅の入り口付近が実は空き地となっておって絶好の駐輪場であったわけでありますが、そこが実は有料駐車場になってしまったために、収容できない数多くの自転車が近隣の六郷土手駅前商店街の店先に放置されるようになり、商売に影響を及ぼすようになってきたので、地元としてもどうしても駐輪場設置をやってもらいたいという声が強いわけであります。  昨年大田区から出された公園建設の要望については、先ほど道路局長が言われたとおりだと思いますが、これは別個の問題として、土地の有効利用とかあるいは地域発展、住民へのサービス等の観点から、東六郷高架橋の下の部分を駐輪場として利用したい旨の申し入れが地元大田区から出された場合、建設省としてはどのように対応するお考えでしょうか。  また新六郷橋建設に当たって、実は地元住民とか六郷土手駅前商店街には多大な迷惑をかけていることも考え合わせて、地元要望を取り入れ、積極的に対応していただきたいというふうに私は思うのですが、その点はどうお考えでしょうか。
  343. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 現在のところ、先生御指摘の高架下に自転車駐車場を設置するというような区の要望はまだ聞いておりません。  ただ、もしもそういう要望が出ました場合に、例えば自転車駐車場を設置する場合におきましても、先ほど先生にお答え申し上げました公園設置の場合と同様の諸問題につきまして、すなわち交通安全上大丈夫であるかとか、あるいは道路の管理上大丈夫であるかとか、そういうことでございますが、そういう点を十分検討する必要がございます。  もしもそういう点が十分であれば、大田区等において自転車駐車場の高架下利用の計画案が作成されれば、それに基づきまして建設省といたしましても前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
  344. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 駐輪場として高架橋の下を利用させてもらう場合、どういう条件が必要なのであるか、またその事例も実はあろうかと思います。私がそう申し上げるのは、実はこの場所からそんなに遠く離れていない環七と国道十五号線の平和島の立体交差においても、高架橋下が駐輪場に利用されているという例もあるわけでございますから、ぜひこれは、大田区のような地方自治体の方から建設省の方にそういうふうな意向が出てきた場合には前向きにということをお願いしたいわけですが、いかがでございましょうか。
  345. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 一般論から申し上げますと、高架下の利用につきましては、高架道路下占用許可基準というのが道路局長通達で出ておりまして、真にやむを得ないと認められる場合に限って占用を許可しているところが現状でございます。  御指摘の自転車駐車場の占用につきましては、その利用が公共的ないし公共的性格を十分有するものであること、それから占用者が道路管理者と同程度の管理能力を有するものであること等を勘案して総合的に検討することとなろうかと思いますので、具体的に大田区の方から具体案が出された段階でいろいろ検討させていただきたいと思います。
  346. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 六郷橋付近は、江戸時代から明治元年に至るまでの約二百年間、東海道の名所六郷の渡しとして大変に親しまれてきました。  近所には、江戸時代初期の木造の六郷橋の基礎となった石や河原橋、また六郷用水の橋の一部の石、さらには「六郷橋」と名前の入った欄干を取りつけてある標柱等が保存されておりまして、撤去中の旧六郷橋のたもとに「多摩川」と名前の入った標柱も実は残っております。  地元としては、また大田区の郷土会としても、昔からの由緒あるところだけに、史跡をぜひとどめるようなそういう小公園をつくって後世に残したいという願望もあります。  したがって、旧六郷橋撤去の際に、文化的遺産となる標柱や欄干など、後世に残したいものがいろいろありますので、工事によって破壊することなく、完全な形で地元へ提供していただきたいというふうに考えておりますけれども、その点はどうでしょうか。また、提供していただけるとするならば、どういう形になりましょうか。
  347. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 旧六郷橋の親柱につきましては、大田区から保存の要望が出されております。現在東京側の取りつけループ内の道路敷地に保存する方向で大田区と協議を進めているところでございます。  先生がおっしゃいました欄干等につきましては、まだ正式に大田区から出ておりませんので、そのときになって正式にいろいろ検討さしていただきたいと思います。  以上です。
  348. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 旧六郷橋の標柱でございますけれども、これは実は二つあったわけです。ところが、ちょうど取り壊しを進めていくうちに上流の方の標柱が完全に壊れてしまった。残るのは実は「多摩川」と書いてある標柱だけでございまして、これがなくなってしまうと、今までの長い歴史があったこの六郷橋の遺跡というものがなくなってしまうわけでございますので、ぜひその点も配慮をしていただいて、この点についてもまた大田区の郷土の会とか、あるいはまた大田区からそういう要望が出た場合には、ぜひその点についても御配慮を願いたいと思うのですが、それは大臣、いかがでしょうかね、その点は。
  349. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 貴重な遺産でございますから、それを後世に伝えるということは非常に大事なことだと思いますので、具体的になりましたならば前向きで検討さしていただきます。
  350. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 六郷橋の問題についてもう一点だけお聞きしておきます。  これは過日、旧六郷橋の撤去の際に橋が落下いたしまして、死者を伴う事故が発生いたしました。原因については恐らく建設省の方で調査されておりますけれども、犠牲者になられた方に衷心より哀悼の言葉を申し上げたいと思います。  そこで、監督官庁の長として木部建設大臣は、安全管理という立場から二度とこういう事故のないように取り組んでいかなくちゃならぬだろうというふうに私は思いますが、一言その点について大臣から所感をお伺いいたします。
  351. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 旧六郷橋の撤去の際に非常に痛ましい事故を起こしたのは先生御指摘のとおりでございまして、現在警察当局もいろいろお調べ中と思いますが、建設省では学識経験者を各委員に選びまして、独自にいろいろ御意見を承っておる次第でございます。まだ現在は結論は出ておりませんで、結論云々を申し上げる状況ではございません。  ただ、一般論としまして、建設省及び直轄のみならず補助、その他の道路公団を含めまして、工事の安全管理等々につきましては、常日ごろからいろいろ御指導なり御忠告を申し上げておるのが真相でございます。
  352. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 今度は話がちょっと変わりますが、産業道路と環状八号線及び京浜急行羽田線の大鳥居駅付近の立体交差の問題についてお伺いをいたします。  環状七号線については今年度で全面開通をいたしましたが、環状八号線の工事はなかなか思うように進んでおりません。なかんずく、羽田空港の沖合移転につながる総合交通体系の一環であるだけに、整合性を持たして工事を進める必要がありますが、そういう意味においては非常に関心が高まっております。そこで、環状八号線についての進捗状況というのはどういうふうになっていましようか。
  353. 梶原拓

    ○梶原政府委員 環状八号線全体の進捗状況でございますが、全延長四十四・三キロございますが、五十九年度末で完成しております延長が二十九・九キロメートルでございます。六八%相当ということでございます。未完成延長のうち、事業中の延長が二・六キロでございまして、事業費ベースで進捗率四三%というような現況でございます。したがって、未着手区間の延長が十一・八キロメートルでございます。未着手区間につきましては、現在事業中の区間の進捗状況を見ながら逐次事業着手してまいりたいというように考えております。
  354. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 この環八の残りの事業に必要な予算というのは大体どれくらいなんでしょうか。
  355. 梶原拓

    ○梶原政府委員 残事業費が一千三百億程度でございます。
  356. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 今申し上げましたように、実は産業道路並びに京浜急行そして環八、この立体交差というのは、一つは新しい羽田空港の沖合移転に伴う総合交通体系の一環として大変に大切な場所だし、今まで産業道路の混雑ぶりというものははかり知れないほど住民の皆様方に御迷惑をかけておる。そういう意味からいいますと、環状七号線が大体貫通をしたわけですから、いよいよ環状八号線、なかんずくそういうところに重点的な予算というものの配分があっていいだろう。そうしなければ、あなたが言われるようにいよいよ羽田空港が開通しても片一方の方が思うように進んでいない、京浜急行が地下で羽田空港に乗り入れることができないというような、そういう事態にもなりかねないわけでございますから、そういう点でもっと予算配分についても今までにない予算配分をなすべきじゃないかというふうに思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  357. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のとおり、ただいま放射十七号線、産業道路でございますが、それと環状八号線の交差点付近の改良事業を進めております。現在京浜急行空港線の地下化事業と環状八号線の拡幅工事を実施しておりまして、五十九年度末、執行率にいたしましてまだ一二%程度状況でございます。六十年度、仮駅舎の工事に着手したいというふうに考えております。まだまだ残事業が大変多うございますが、羽田空港の沖合展開の問題もございます。そういうものと調整をとって事業が進みますように、今後鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
  358. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 産業道路並びに京浜急行そしてまた環状八号線、この場所は前々から大変に問題になったところであるだけに、少なくともこの立体交差に対しては建設省としても特段の配慮をしながら、羽田空港が開通するまでにはその問題の解決にぜひ当たっていただきたいことを心からお願いをする次第でございます。  最後になりましたけれども、建設大臣に総括してお伺いいたしますが、新六郷橋の建設に対して今鋭意進められているわけでございますループ型ランプの開通問題も、実はまだ家が立ち退かないという状況で隘路になっておりますし、また、実際には国道自体が不法占拠されているような状態にもあります。そういうようなもろもろの問題があるわけでございますけれども、ともあれ、六郷橋を中心にしての商店街もそれに協力するという意味においては、大変に苦労をしてきたわけです。そして迷惑をこうむりながら売り上げが減るという状況の中にあって、実は建設省のこの大きな新六郷橋建設に対して協力をしてきたわけでございますから、ぜひ地元の方々が要望するような公園の設置とか、あるいはまた駐輪場とか、そういうものについて、大田区が窓口になると思いますけれども、建設大臣として前向きに取り組んでいただくということ、まずその点をお願いを申し上げたいと思うのですけれども大臣はいかがでございましょうか。
  359. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今まで商店街の方々や住民の方々が大変この橋の建設に当たりまして協力をいただいておるということは感謝を申し上げたいと思います。なお、これに附帯しますいろいろな周辺整備の問題等につきましても、我々はできる限りの誠意を持って努力をさせていただきたい、こう考えます。
  360. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 以上で終わります。
  361. 住栄作

    住主査 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  362. 上原康助

    上原分科員 わずかな時間ですので、私はまず河川改修問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  取り上げようとするのは二級河川のことです。これは本土関係も進捗状況はいろいろ各都道府県、差があるかと思うのですが、沖縄の場合は特に、河川改修が本土に比べて相当大幅におくれていることは否めないと思うんです。その現状と対策、措置はどうなっているのか、まず政府として実態をどうつかんでおられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  363. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 沖縄県におきまして実質的に河川改修が行われるようになりましたのは、復帰の昭和四十七年度からでございます。  現在全国的な中小河川の改修についての整備水準を申し上げますと、一時間雨量で五十ミリメーター相当の降雨というのを一つの対象にいたしておりますが、この降雨によります被害を防止するということを当面の目標として事業を鋭意進めておる、こういう段階にございます。その整備率、これは昭和五十九年度末におきまして、全国でおよそ二〇%というところにございます。これに対しまして、ただいま申し上げましたような事情のもとにあります沖縄県でありますが、河川の整備率は、その後十数年を経たわけでありますけれども、沖縄県の大変な御努力によりまして、昭和五十九年度末において約一五%というところまできておるわけでございます。  今後の沖縄県におきます河川改修でありますが、水害の実績のある市街地の改修を重点的に進めますとともに、他事業関連河川についてもいろいろと促進をしてまいっておるところでございます。
  364. 上原康助

    上原分科員 今私が冒頭申し上げましたように、本土もこの進捗状況は、全体的にはさほど中小河川の場合は進んでいない向きもあるわけですが、しかし、それと比較してもかなりおくれをとっている。実際問題として、復帰後河川改修というものが手がけられたのは、一時期はその他の社会資本整備ということに、道路とか空港、港等に重点を置かれて、河川に手をつけたのはまあ復帰後五年以降、昭和五十五、六年あたりからではなかったかと思うんですね。そういう面で、今後の二次振計の後半の問題、あるいは台風常襲地帯であるということと風雨、防潮、防波という面から考えても、この河川改修の面はぜひ進めて、さらに強化していかなければいけない問題だと思うのですね。  そこで、具体的な面でお尋ねいたしますが、例えば二級河川でも一番上位にある比謝川の場合ですと、五十四年度の者エスタートになっているようですが、事業量にして約一万メーター、九千八百二十七メーター、事業費は当初百億円の全体計画で、これが何と五十八年度末実績では三億円しか投じられていない。進捗率にしてはゼロとなっているという状況なんですね。今私が申し上げたのが事実かどうか、もちろんこれは国だけのあれでなくして、県なり関係隣接市町村の協力体制の問題もあろうかと思うのですが、今そういう状況なんです。  あるいは国場川にしましても、四十七年度着工で全体計画は百三十八億、これは年次が推移していますから、その計画予算高も変化があると思うのですが、これに対して大体進捗率というのは二三%程度だ。  そういたしますと、第六次になるのですけれども、六次治水事業五カ年計画、いわゆる五十七年から六十一年度ということになっているようですが、この残り二カ年間でここいらのものがどのくらい進捗するのか、あるいはまた、果たして当初計画どおり進んでいくのかどうか、今具体的なところを二カ所掌げましたが、このことについての御見解を聞かせていただきたいと思います。
  365. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ただいま御指摘いただきました二本の河川の改修の状況でございますが、比謝川につきましては昭和五十四年度に中小河川改修事業で事業着手をいたしたわけであります。特に流下能力が不足しております沖縄市知花橋上流部の蛇行整正を図るべく、いろいろ用地買収を促進しておるところでございますが、若干用地買収に手間取っているという感じでございます。  また国場川でございますが、今お話もございましたように、復帰後直ちに中小河川改修に着手したわけでありますが、これにつきましてはかなり進んでおりますが、ただいまのところ、支川長堂川合流点付近のショートカット部分の用地買収を重点的に実施しておるという段階でございます。また一方におきまして、下流部においてのヘドロしゅんせつ等も行っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、代表的なこれらの沖縄の河川もまだ改修そのものとしては緒についたばかりというところでございまして、今後大いに促進していく必要があるものと私ども認識いたしております。  ところで、五カ年計画との関連でございますが、私ども現在実施いたしております第六次治水事業五カ年計画の、昭和六十年で四年目になるわけでございますけれども、この四カ年間の達成率が六二・四%という状況でございます。したがって、残り一年でこれの達成は極めて困難というような状況下にありまして、これは全国的にそうでありますが、沖縄県の河川改修についてもほぼ同様な状況でございます。したがいまして、五カ年計画から見てもかなりおくれているということでございますので、今後一層促進について努力をいたしたいと思っております。
  366. 上原康助

    上原分科員 大臣、今お聞きのように、全国的にももちろんこの種の事業というか計画というのはなかなか思うとおりに運ばないのが常です。しかし、できれば計画どおりに達成をしていただきたいわけですが、今河川局長からお答えあったように、相当おくれていることは間違いないわけですね。そういう面で特に中級河川、二級河川の問題は、沖縄はいろいろ事情はあるにしても、現在の振興法、二次振計の期間内にぜひ方向づけなければいけないと思うのです。そういう意味で、これまでの局長の御答弁に対して大臣としてもぜひ積極的な御努力をお願いしたいわけですが、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  367. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今局長からもお答えしましたとおり、全体的に見てまいりますと六二・四%というようなことで、計画が非常におくれておることは事実でございます。今先生から御指摘のありました沖縄の両河川につきましても、我々もできる限りの重点的また効果的に改修ができますような努力をさせていただきたい。  これは余計なことかもしれませんが、何か建設大臣今まで沖縄へ行ったことがないそうでありますから、私は機会を見て一回現地を見させていただこう、こう考えております。
  368. 上原康助

    上原分科員 現地もぜひ見ていただいて——そうですかな、建設大臣行ったことないですかね。早目にこの種の問題も努力をしていただきたい。  それと、もう一点これとの関連で御注文をつけておきたい点は、沖振法の第七条一項では、建設大臣振興開発計画に基づいて行う二級河川の改良工事あるいは維持または修繕を直轄工事で行うこともできると規定をされているわけです。ダムは全部国の直轄でやっているわけなんですが、少なくとも国場川であるとか比謝川であるとか、この種のものについてはこの条項を適用するということも、進捗状況を高める上では結構なことではなかろうか、予算確保の問題とかいろいろな面で。そこいらも建設省としてぜひ御検討をお願いしたいわけですが、いかがですか。
  369. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、沖縄県の河川改修につきましては、沖縄振興開発特別措置法によりまして、沖縄県知事の申請に基づき、沖縄の振興開発のため特に必要があるものとして建設大臣が沖縄開発長官に協議し指定した区間に係るものは、直轄施行ができることとなっております。現在ダムにつきましては、この特例に基づきまして直轄施行をしている例があるわけでございますが、河川事業につきましては、すべて補助事業として沖縄県の施行となっております。  国場川、比謝川など現在重点的に改修を進めております河川は都市型河川が多く、技術的にも難しいものもあると認識いたしておるわけでありますが、先生から御提言をいただいたことでもありますので、実態も踏まえて沖縄開発庁及び沖縄県とも相談してまいりたいと思っております。
  370. 上原康助

    上原分科員 これは全体そういうわけじゃないですが、国場川とか主要なものについては、二次振計期間中に改良、改修するという面では十分御相談をしていただきたいと思うのです。  それと、時間がありませんので、もう一つはこの河川改修の問題と関連をして、都市河川の汚濁の問題です。  例えば、安里川であるとか久茂地川であるとかは非常に汚染をされている。したがって、これも浄化に努めねばいけませんが、やはり改良、改修を促進しないと、この種の汚濁、汚染というものも改善、解消できないわけで、このことについてはどういうお考えを持っているのか、また県なりとどうタイアップして進めようとしておられるのか、御見解を承っておきたいと思います。
  371. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 河川の汚濁対策といたしましては、ヘドロのしゅんせつによります浄化事業というものを私どもは実施いたしておるわけでございますが、現在沖縄県におきましては、国場川の下流部でこの浄化事業を実施いたしてヘドロのしゅんせつを行っております。ただいまのところこの一本でございますが、今御指摘のありました河川についてももちろん問題があるということは私ども認識いたしておりますので、県とよく相談いたしまして、できるだけ浄化事業を進めてまいれるように努力をいたしたいと思っております。
  372. 上原康助

    上原分科員 特に安里、久茂地、安謝あたりですね、これは都市河川の面でぜひ手をつけなければいけない問題ですから、二次振計、今後の計画にぜひ入れていただきたいと思います。  次は、離島への架橋問題ですが、御承知のように二月の十三日に、これは本当に多年の夢でした瀬底大橋が開通をいたしました。その点につきましては建設省初め関係御当局の御努力に敬意を表しますが、今後もこの離島架橋建設というものはやはり推進をしていく必要があると私は思うのです。  現に池間大橋、これは宮古です、それと座間味村の外地橋が進んでいるようですが、県当局も目下県議会も開かれておりまして、いろいろ議論されているようです。  第二次振計、昭和六十二年に国体がありますから、その後のプロジェクトにどういうものを公共事業その他計画をしていくかということで、合いろいろ議論がなされているようですが、やはり離島県であるということと、離島振興、過疎対策という面を考えますと、これは沖縄に限ったことではございませんが、この架橋の問題というものは、今後もできるだけ推進をしていく必要があると思うわけです。この点についての御計画なりお考えがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  373. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 現在の架橋状態でございますが、宮古本島と池間島を結びます池間大橋は、昭和五十六年度に市道の国庫補助事業としまして採択しまして、五十九年度は狩俣側の取りつけ事業を推進しております。六十年度は回路線の県道認定をする予定でございまして、県道の補助事業として引き続き事業を行うこととしておりまして、池間島側の取りつけ追及び取りつけ橋梁の下部工事に着手する予定でございます。  また、座間味村の慶留間島と外地島を結ぶ外地大橋は昭和五十八年度に村道の国庫補助事業としまして採択し、五十九年度は橋梁取りつけ部の工事に着手しており、六十年度には下部工事に着工する予定でございます。  それから、それ以外の橋についてはいかがなものかという先生の御質問でございますが、その他の離島の架橋計画につきましては、まだ具体的な建設計画はございませんで、今後第二次沖縄振興開発計画の後期プロジェクトを作成する段階で、架橋の可能性につきまして、沖縄県あるいは沖縄開発庁を通じましていろいろと検討をさせていただくつもりでおります。  以上でございます。
  374. 上原康助

    上原分科員 池間と座間味村の外地ですね、これは完成目標年次はいつごろになりますか、今の調子でいきますと。
  375. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 池間大橋は一応六十五年度を完成予定にしております。それから外地橋でございますが、これは恐らく六十三、四年になろうかと思いますが、ちょっと今具体的に申し上げられません。
  376. 上原康助

    上原分科員 これはぜひ促進をしていただきたいと思います。  そこで、今おっしゃいましたようにいずれ二次振計後半の計画として出てくると思うのですが、目下我々がいろいろ地域を回って感ずること、要望を受けているのは、今帰仁村、古宇利島、運天から古宇利の間、それと、これは今申し上げた瀬底とも関連があるのですが、瀬底と水納の間、それから浜北嘉島、平安座と浜北嘉間、それから久米島のオーバ島と奥岳島、それから宮古の来間島、これは与那覇前浜と来間間の、橋にするか海中道路にするかいろいろあるようでございます。等々、伊良部島と宮古本島という夢も取りざたされている。  したがいまして、この種の計画については、もちろんこれはいろいろ全国的なバランスなりまた地域面の配慮もあろうと思うのでなかなか一筋縄ではいかないと思うのですが、少なくとも今後の架橋計画に当たっては沖縄県の場合はこの面が重要視をされてきている。この点はとっくに建設省としても情報なりいろいろ関係者の要望を受けていらっしゃると思うのです。ひとつ今後御検討なりまた国の計画の中に御配慮いただきたいと思うのですが、御所見があればお聞かせいただきたいと思います。
  377. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほどおっしゃいました八つの橋の名前も一応データとしては持っております。先ほどと同じ答えになりますが、今後、いろいろ優先順位がございますし準備もございますので、沖縄開発庁及び沖縄県とよく調整させていただきまして、できるだけうまくやりたいと考えております。
  378. 上原康助

    上原分科員 国会の都合もあるでしょうが大臣も沖縄に行かれるということですから、ぜひ今私が申し上げたようなこと、あるいは河川の改修なり汚染度等々をごらんになっていただいて、ハードの面はおかげさまで相当進んでいますが、この種の生活環境との関連におけるソフトの面はなかなかまだこれからというところですから、その点特に大臣としても御記憶の上御配慮を賜りたいと思います。  最後に、つぶれ地問題。つぶれ地というとなかなか聞きなれない言葉かもしれませんが、要するに未買収道路といいますか、そういう道路のことを言っているわけです。時間がありませんから簡単にお尋ねしますが、田県道は国の計画で非常に進められてきて六十年度末には面積比で九二%、幹線市町村道は七六%の達成になる。しかし問題は、その他の市町村道の処理方針が決まっていないわけですね。最近の予算状況を見ましても、だんだん田県道あるいは主要幹線市町村道の買収計画が進められてきておりまして、五十九年度が百五十億五千万であったのが六十年度はたしか八十億五千万で五三・三%になっているわけです。  これはもちろんそれだけ達成されたから額は少なくなるわけだと思うのですが、そういう面を考えますと、幹線市町村道までは方向づけられているわけですが、その他の市町村道というものの買い上げ計画というものがなされていない。このことは、多く申し上げるまでもなくぜひ国の責任において市町村負担にさせないような御配慮をいただかないと、なかなか対応できない問題だと思うのです。改めてその他の市町村道の措置をどのようにしていかれるのか、これは建設省と、対象はどこですか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  379. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、市町村道のつぶれ地につきましては昭和五十三年度に沖縄県によります実態調査が完了しましたので、まず幹線市町村道を国庫補助の対象といたしまして昭和五十四年度から買収に着手し、逐次予算の拡大を図ってきたところでございます。  また市町村道の見直しによります県道への昇格、それから幹線市町村道への格上げ等市町村の財政負担の軽減を図るよう努めてきたところでございます。昭和六十年度におきましても引き続きこの市町村関係のつぶれ地の問題に関しましては事業の促進に努めたいと思います。  市町村道のつぶれ地につきましては昭和五十九年度末の達成率は約六一%となっておりまして、これは面積比でございます。今後とも沖縄開発庁とよく協議の上引き続きその買収促進を図る所存でございます。
  380. 上原康助

    上原分科員 今のお答えはその他の市町村道のことをおっしゃっておられるわけですね。
  381. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生おっしゃられましたいわゆるその他の市町村道のつぶれ地につきましては、国庫補助の対象とすることは補助制度の体系上困難な問題もございますし、幹線市町村道につきましても五十四年度から現在まで六年を経て金額ベースでやっと約半分の五〇%に達したところでございますので、当面なお残余の幹線の解決に全力を傾注すべきものと考えております。以上でございます。
  382. 上原康助

    上原分科員 自治省はこの問題で何回かいろいろやってきて基本的には国庫負担によって措置されるべきものである、これを再三答弁なさってきました。この見解に変わりないですね。
  383. 横田光雄

    ○横田説明員 私どもの見解には変わりはございません。
  384. 上原康助

    上原分科員 これはやはり行政当局だけでは現行の補助制度になじまないとかいろいろ言われるわけです。これは内海先生大臣のときにもあるいはそれ以前の櫻内さんが大臣のときにも私は何回かお尋ねしたのです。みんなその他の市町村道によって前向きにやりますと言った。沖縄はああいう戦後処理の問題なんだからということでやったので、せっかく木部大臣が沖縄まで行かれるのだから、これをひとつやるというお土産をはっきりここで答弁をして行かれれば大変喜びます。大臣の決意のほどを伺っておきたい。
  385. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほどのその他の市町村道につきましては一応事務的にはああいう状態でございますが、今後とも関係省庁と協議を進めてまいりまして、できるだけ前向きの方向でいろいろ検討させていただきたいと考えております。
  386. 上原康助

    上原分科員 ひとつ前向きで、この件について大臣の所見を伺いたい。
  387. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私は先ほど沖縄へ伺うと言ったのは、沖縄開発庁があるからでしょうけれども、歴代の建設大臣は行ってないようですから、一度機会を見て現地を、公共事業は沖縄の経済にとって大事ですし、特に不況県ですから、実はそういう点を申し上げたわけです。ですから必ず行くかはわかりませんけれども、先ほどの問題は局長が答えましたように、我々も前向きに努力をさせていただきたい、こう考えます。
  388. 上原康助

    上原分科員 この市町村道つぶれ地の問題は、その他市町村道を残されてどうするか、これは大きな課題なんですよ。五十四年ベースで、私のあれでは金額にして二百八十億くらいですか、これは間違っているかもしれませんが、これを市町村に負担させるとかいったって無理なんです、今の行財政の中では。ここはぜひ十分御理解をいただきまして、関係当局とも協議の上、前向きにやるということはおっしゃったわけですから、大臣が沖縄へ行かれるときには必ずそのことは強い注文があるはずですから、それまでに十分御検討をしていただいて解決していただくことを強く要望いたしまして、時間ですから終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  389. 住栄作

    住主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  390. 米沢隆

    米沢分科員 私は高規格幹線道路建設促進方につき、昨年同様質問させていただきたいと思います。  我が国の全国総合開発計画は、それぞれの時代の要請にこたえつつ昭和三十七年の全総、昭和四十四年の新全総、昭和五十二年の三全総と過去三次にわたりまして策定され、これらを基本として国土の総合開発政策展開が図られてきましたことは御案内のとおりであります。しかしながら、昭和五十八年に発表されました国土審議会調査部会の「三全総フォローアップ作業報告」すなわち「三全総策定後の情勢変化と新しい国土計画への課題」において指摘されておりますように、三全総策定後の社会経済産業等の構造的な変革は極めて大きくかつ広範囲にわたり、さらに二十一世紀を展望したときに新たな観点から新しい国土計画策定が必要だ、こういうことで現在国土庁では第四次の全国総合開発計画いわゆる四全総策定のために努力がなされておるやに聞いておるところであります。  そこでこの際、国土庁にお尋ねしたいのでありますが、昭和五十二年の三全総策定の際あるいは昭和五十八年の三全総フォローアップ作業の際に、九州、特に東九州地域の均衡ある発展を促すための基本課題としてどのような問題認識を持たれたのか、お尋ねいたします。
  391. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 三全総におきましては、先生御指摘の東九州の地域を含めまして南九州というとらえ方をいたしまして、この地域につきましては開発整備を進める上で特段の配慮を要する地域、いわば課題地域である、こういう認識のもとに五十年代における地域開発を進める必要がある、このような方針を示したところでございます。  その後、昭和五十六年から八年にかけまして、御指摘のような三全総のフォローアップ作業をいたしたわけでございますが、ここにおきまして南九州等の課題地域につきましては、ほとんどの県におきまして昭和五十年代を通じまして全国平均を上回る伸び率で公共投資がなされてきたわけであります。しかしながら、国土基盤の多くの分野におきましてまだ立ちおくれが見られるわけでありますし整備の途上にあるのではないか、このような指摘をいたしておるところでございます。
  392. 米沢隆

    米沢分科員 現在進められております四全総の中では、今作業の最中だ、こういうことでありますが、東九州地域はどういう位置づけをもってどのような視点から見直しが行われようとされておるのか、この点いかがですか。
  393. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 東九州の地域につきましては、長期的に見ますと所得格差是正されてきておりますし、また産業の立地も徐々にではあるが進んできている、このような実情にあろうかと思います。しかしながら、他面におきまして景気動向にかなりの地域的なばらつきが見られるということも否めない現実でございますし、さらには先ほど申し上げましたような基盤整備の面におきましてもまだ立ちおくれが見られる、このようなことかと思います。これからの国土づくりに当たりましては、何と申しましても地域の自律的な発展を促す、そのような条件整備が重要ではないか、このように考えているところでございまして、四全総策定に当たりましては、東九州といった地域の実情を踏まえながら、そしてまた地方公共団体の御意見も十分に伺いながら開発整備方向につきまして計画の中で位置づけをしてまいりたいと考えております。
  394. 米沢隆

    米沢分科員 そこで大臣にお聞きいただきたいのでありますが、国土の均衡ある発展にとりましてまずその前提になるのは、何といいましても広域交通体系整備であることは言うまでもありません。近年、九州全体で見ますと、皆さんの御努力によりましてでき上がりつつあります、あるいはでき上がりました九州縦貫自動車道並びに九州横断自動車道の整備、関門自動車道の開通、それから山陽新幹線の博多乗り入れ、空港の大型化、ジェット化等航空路線の拡充、長距離フェリー網の発達など既成の大都市圏からの時間的距離はかなり短縮されてきたことは事実でございます。  しかしながら、九州における高速交通体系整備は、空港に比べて道路の整備が著しくおくれておりまして、とりわけ全国高速自動車道路網計画を描いた地図を見たら一目瞭然に御理解いただけますように、九州における交通網の整備は西高東低と言われますように、東九州における整備の立ちおくれが決定的に目立っておるのが実情でございます。この地域経済後進性は即、少なからず高速道路網の未整備にありと言っても過言ではないと我々は考えておるのでございます。  同時に、全国的に見ました場合、高速道路網のありなしが逆に現在あるもろもろの地域格差をさらに拡大しつつあることも事実であります。また先端技術産業を核としたテクノポリス構想推進、それの第二次的な波及効果を促進する上からも、テクノポリス構想の前進のためには高速道路の整備は不可欠の課題であることは今さら申すまでもありません。  そこで私どもは、この東九州を縦走する東九州縦貫自動車道の実現こそ何はさておき東九州地域産業経済、文化の飛躍的な発展と生活の向上に大きく寄与するものである、また、東九州縦貫自動車道は九州横断自動車道と結ばれることによりまして九州の一体的な浮揚が図られて、ひいては国土の均衡ある発展、定住構想の具体化を推進するのにも極めて大きな意義を持つ喫緊の課題であるという認識のもとに、沿線地域住民や関係地方自治体の皆さんと一体になってこれが早期実現を願って政府にその実現方を陳情して今日に至っておるわけでありますが、新しく建設大臣になられた木部大臣に、現在、第九次道路整備五カ年計画期間終了時点をめどにいたしまして高規格幹線道路網計画策定中でありますが、特に東九州縦貫自動車道の早期実現の強い要請をどのように受けとめていただいておりますか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  395. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今、先生お話しのように、三全総におきまして大体一万キロ構想というものが御承知のとおり計画に盛られておるわけです。同時にまた、国土の均衡ある発展というその原動力はまさに高速道路にある、そういうふうに私ども考えております。そういう点では認識は全く一致いたしておるわけであります。今この一万キロのうちで大体七千六百キロぐらいが予定の路線としてのあれを受けているわけですが、あと二千四百余だろうと思いますけれども、いろいろ全国の知事さんや、また国会の先生方や市町村長さん、大変熱心な運動が展開されているということをよく肌身に感じて受けとめておるわけでありますが、全国的に大ざっぱにその要望を集約すると六千キロぐらいになってしまうというような事態でございます。ですから、先ほどから申し上げますように、いかに地域の皆さん方が大変強い希望を持って縦貫道その他の高速道路の実現を希望しているかということがよくわかるわけでございます。  東九州縦貫道路につきましては、第九次の道路整備五カ年計画の中で実情をよく調査を進めて検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
  396. 米沢隆

    米沢分科員 今お話いただきましたように、昭和五十二年の十一月に発表されました第三次全国総合開発計画の中で全国的な幹線交通体系の長期構想として、既定の国土開発幹線自動車道七千六百キロを含めておおむね一万キロ余で形成される高規格全国幹線道路ネットワーク構想が提唱をされたわけでありまして、現在進行中の第九次道路整備五カ年計画、いわゆる六十二年の完了までにその整備のあり方が検討される。東九州縦貫道についてもその中で策定が検討されるということでありますが、この際、数点、今後どのようになっていくかということから伺っておきたいことがございます。  まず第一に、今回具体的には第九次道路整備五カ年計画の前半で高速道、高規格幹線道路網の調査をし、後半で路線並びに整備手法を決めて高規格幹線道路整備計画を定める、こういうことでございますが、既に六十年に入りまして、これから後半の段階に入るわけでありまして、同時にまた、これからの作業はまさに膨大なものであると推測いたしておりますが、目下その作業は順調に進捗しておるのかどうか。同時にまた、六十年度までに整備手法を含めて路線決定が行われる見込みはほぼ確実だと思っていいのかどうか、この点について御見解をいただきます。
  397. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 高規格幹線道路につきましては、現在基礎的な経済調査あるいは交通需要及び路線に関する基礎的な検討、道路網に関する総合的検討等々について、各地方建設局を中心に調査を進めております。昭和六十年度からはさらに計画策定のための路線検討、さらに詳細検討という意味でございますが、それと整備手法等につきまして、整備手法といいますのは、一部は国土開発幹線自動車網であるでしょうし、あるものはそのほかの一般的な有料道路部門とかそういう意味でございますが、そういう整備手法等につきまして検討していくこととしております。  今後、各地方建設局からの詳細な調査結果をもとにしまして、本省におきまして総合的に取りまとめを行う予定でございます。第九次五カ年計画が終わります六十二年までには、いろいろ難しい作業はございますが、困難を打ち切って決めてまいりたい、さよう考えている次第でございます。
  398. 米沢隆

    米沢分科員 現在法定整備路線として法定化されておりますのは七千六百キロありますね。したがって、ネットワークとして約一万キロ余で形成することになりますと、大体引き算をいたしますと単純には二千四百キロぐらいの高規格道路を追加することに相なるわけでありますが、今大臣がおっしゃいましたように、全国各地から寄せられております追加してほしいという路線が大体六千キロぐらいある、こういうお話でございますが、その上、これから検討なされた後の判断であろうと思いますが、検討された結果次第によっては建設省サイドからも必要路線と認められるような路線が出てくるかもしれませんし、あるいはまたナショナルプロジェクトとして追加されるような路線が出てくるかもしれません。そうなりますと、一万キロメートル余をかなりオーバーフローしてしまう、かなり超してしまうということが予想されるのでありますが、今の段階ではおおむね一万キロということで作業が進められておりますから、結局はその整備計画そのものはおおよそ一万キロメートルに絞り込む形で計画がなされるのか、それともかなりオーバーフローしても構わないというような格好で整備計画がなされるのか、そのあたりはどういうことになっておりますか。
  399. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、高規格幹線道路は、既定の国土開発幹線自動車道を含めまして国土構造の骨格として、また将来の社会経済活動を支える基盤として全国的な自動車交通網の枢要部分を構成するものでございます。御指摘のように三全総では一万キロメートル余ということで、既に決まっておりますのが一応七千六百キロで残りが二千四百キロしかない。先ほど大臣が申し上げましたように、いろいろな面で約六千キロ余の非常に強い要望がございます。これらを全部ひっくるめまして、先ほど私一番初めに答えましたが、まず六十年からそれぞれの路線につきましていろいろの角度で検討したいということでございまして、具体的に言いますと、今後これらの要望をどのようにまとめていくかにつきましては、現在行っております調査の中で検討していきたいと考えております。  それで、その全体規模につきましては、先ほど言いましたように第三次全国総合開発計画におきましては一万キロメートル余とされておりますが、現段階ではこれは国土庁さんの四全総との関係もございますので、何キロがいいということはちょっと申し上げかねますが、要望はよくわかっておりますので、先ほど申しましたように高速道路でやるとかあるいは一般有料道路でやるとかあるいは直轄国道でやるとか、あるいは極端なことを言いますと県の有料道路公社部分でやるとか、そういういろいろな手法を考えながらやっていく、そういうことでございます。
  400. 米沢隆

    米沢分科員 現在この法律で決定している法定化路線が七千六百キロ、そのうち整備計画ができ上がっている路線が五千八百四十九キロ、整備計画がないのが約千七百五十キロ、整備計画路線の中で事業区間延長が二千百二十八キロ、供用開始されている区間延長が六十年度末で予定で三千七百二十一キロメートル、こう言われておるわけですが、数字はこういうことでいいですね。  そこで確認しておきたいことは、今行われている作業というものは、この七千六百キロは高速道でやることで決定しているわけでありますから高速道としての整備手法で進める、あと二千四百キロ余についてはどのような整備手法にするか、まだ検討の最中でありますが、そのような整備手法と路線を決めて同時並行的にやっていく、こういうふうに理解してよろしいですね。
  401. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 国土庁さんからお答え願った方がいいと思いますが、私たちの希望としましては、高速道路を含めましたいわゆる高規格的な道路網一万キロメートル余という表現をどのように御修正されますか、ふえるのか減るのかよく存じませんが、いずれにしましてもいろいろな要望、要求、それから我々サイドから見ましたどうしても必要な高速道路的な道路の整備、そういうものを含めましてそれが一万キロになるかあるいは一万二千キロになるかわかりませんが、そういうことを今検討しているということでございます。
  402. 米沢隆

    米沢分科員 現在行われております第九次計画によりますと、この期間中に新たに千百キロメートルの供用を図り、六十二年度末で供用延長を四千三百キロにする、年平均二百二十キロぐらいの供用開始が前提になっております。六十二年度以降、もしこの第九次計画で行われておりますようなスピードでいった場合には、大体今残っておる七千六百から四千三百を引いた三千三百、残った部分を割りますと大体十五年、このスピードがちょっと落ちますと約二十年ということでありますから、二十一世紀にかかってしまうわけですね。そうなりますと、それを待ってからの高規格化道路となりますと、これは一日千秋で待つ地域住民にとってはとんでもないことになるわけでございます。  したがって、現在進められております法定化路線の整備を促進されると同時に、一方では新たに加わるものについて同時進行的にやってもらいたい、こういう気持ちで今物を言うておるのでありまして、そのあたりはそういう手法でやられるということはよろしいですねと御確認をしておるところであります。
  403. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 現在、法定路線の七千六百キロ以外に国が必要として考えている幹線的な道路網、既に一般有料道路で採用しているところがございます。それから来年度新規でやるところも既にございます。そういう意味では、それらが将来全部重なってきまして、最終的には高速道路規格の自動車専用道路ということになろうかと思います。  今私が申し上げましたのは、いわゆる高速道路としての七千六百キロ以外に、現在既にそれ以外に一般有料道路としてどうしても必要なものについては着工しているものもあるし、六十年度からやるものもあるという意味でございます。
  404. 米沢隆

    米沢分科員 大体方針はわかりました。そういう意味でこれからこれは大変な財政措置が要るものでございまして、ぜひ改めて大臣に、この建設促進につきまして財政措置を含めて格段の御努力をいただきますようにお願いを申し上げるところであります。  次に、大変細かな話で恐縮でございますが、私は宮崎県一区の選出でありますが、宮崎県の道路事情をちょっと申し上げさせていただきますならば、既に御賢察いただいておりますように、宮崎県の県北部はまさに陸の孤島、こう言ってもいいのでございまして、幹線道路であります国道十号線は日常的にも交通渋滞、混雑が激化しておりまして、ほとんどが二車線。また延岡−宮崎の間はわずか八十六キロぐらいの距離しかありませんが、混雑時には約三時間を要し、また災害時においては代替道路もない、こういった状況でございます。既定の九州縦貫、九州横断自動車道の実現がすべて完了したといたしましても、高速自動車道のインターチェンジからの三十キロメートル以内の人口カバー率は、宮崎は九州の中でも最低であります。また人口十万人以上の都市で高速道路に到着するのに二時間半以上もかかるのは、全国で宮崎県県北部の延岡市だけでございます。県の中央部の宮崎空港と県北地域間のアクセスの改善を図るためにも、また経済的な面から宮崎SUNテクノポリス圏域と県北の日向延岡新産都市との連携の強化、将来の発展可能性を引っ張り出す、そのような目標のためにも、この延岡−宮崎市間の高規格幹線道路による時間距離の短縮は、現時点における私どもの差し迫った重要課題であるということを御理解いただきたいと思っております。  そこで、ただ、高規格道路としての整備については先ほど議論がありますように現在策定中の全体計画を待たねばなりませんが、その間に宮崎−延岡間の十号線の整備方を強く要請したいと思っておるところであります。六十年度予算におきましては、おかげさまで土々呂バイパスにつき一部道路公団方式による一般有料道路として整備するということが認められまして、地域の皆さんには大変喜んでいただいておりますが、いわゆるこの土々呂バイパス、佐土原バイパス、宮崎北バイパス、西バイパスを含めて、今後十号線の整備方針についてどのように促進方が図られていくのか、この点について当局の具体的な方針をお示しいただきたいと思います。
  405. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御指摘の一般国道十号の宮崎市から延岡市間延長八十九キロの整備につきましても、知事さん以下皆々さんから早くやれということは日ごろ常に言われております。おっしゃいましたように従前より、御不満かもしれませんが、現地の交通状況等を勘案して市街地におけるバイパスの整備等の事業を鋭意進めているところでございます。現在までに延岡バイパス、川南バイパス、都農バイパス等につきましては暫定二車線及び四車線で約十四・八キロメートルの整備を完了したばかりでございます。現在、門川拡幅、日向拡幅、佐土原バイパス等七カ所につきまして用地買収及び工事を促進し、また土々呂バイバス、延長六・一キロメートルは四十九年度に直轄事業として着手し、その整備推進したところでございますが、早期の完成を図るために、約三・二キロのトンネル区間を主とする区間につきまして六十年度より有料道路として採択する予定となっております。今後とも引き続きこれらの事業の促進に努力してまいる所存でございます。  以上でございます。
  406. 米沢隆

    米沢分科員 いろいろと述べましたけれども、これは全国各地、選挙区に帰れば道路事情どうだという議論になろうと思いますけれども、我々、何といたしましても地域住民の要望にこたえて何とかして道路の整備を早急にやってもらいたい、そういう気持ちできょうは質問をさせていただきました。今後またいろいろとお世話になると思いますけれども、よろしく御鞭撻いただきますようにお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  407. 住栄作

    住主査 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤祐弘君。
  408. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 マンションの問題についてお聞きをしたいと思います。  七〇年代に入りましてマンション建設が急増してまいりました。そして民間マンションが約百三十万戸、公団の分譲が二十万戸、公社が五十万戸、合わせて約二百万戸に達しているというふうに聞いております。中には億ションなどというようなものもあるようでありますが、大半は勤労者が入っている、勤労者の住宅になっております。  ところが、区分所有の集合住宅であるということから、建物の維持や管理、これをめぐっていろいろな問題が起きております。特に、築後十年、十五年といったところでは大規模な修繕が必要になってきている、その時期に来まして、当初からの問題点が改めて浮かび上がってきているということがあります。そういうことから、行政の適切な対応が必要であるというふうに私は思うわけであります。  維持管理の問題を中心にお聞きをしてまいりたいと思います。  まず、大規模修理の問題であります。建設委員会でも若干論議をされているようでありますが、大方のマンションでは管理費と同時に修繕積立金というものを積むようになっております。ところが、この額が非常に少ない。いざ修繕をしようとしますととても足りないということが起きております。そのために一時金を取る。臨時の積立金ですね。そういうものを徴収するということがあるわけでありますが、これが一戸当たりにしますと二十万円とか三十万円ですね。中には五十万円、六十万円というようなことが出てくるわけです。  例えば、私の地元の江戸川でありますけれども、小島第一スカイハイツというのがあります。ここで聞きましたところ、十一階建てで百十一戸、そういう規模のマンションなんですが、五十一年に建設されて十年目に入るわけですね。それはずっと毎月千円の積立金だった。五十七年に三千円、五十八年に五千円と値上げをしたわけですが、いよいよ外壁の塗装工事をやらなければならぬという段になりまして、業者に見積もってもらった。そうしますと、二戸当たり二十二、三万円さらに品さないとできないということになってしまった。ローンを返済する上にその負担というのは大変なんですね。  それから足立の梅田マンションというのがあります。ここも百二十一戸という規模です。築後十二年たっております。ここもやはり積立金が当初から月千五百円のままできておりました。去年から三千円に引き上げた。しかし、ここはそういうわけで千五百円でずっときておりましたから、積立金がとても少ないわけですね。そのために、今度の工事をするためには一戸当たり四十万から六十三万円かかるというのがはじき出されてきたわけです。一挙にそれだけというのは大変なわけです。ですから、居住者の方はこれを三年から五年に分けて積み立てようというふうに今相談なさっているわけですが、そうしますと、三年五年の間に次の積立金がまた要るわけですね。そういう矛盾が起きておるわけです。  お聞きしたい問題は、十年程度たちますと、こういうものは大規模修繕が必要になる、これはわかっているわけですね。ところが、デベロッパー、売る会社は、できるだけ物件を安く見せようというために修繕積立金を非常に低くしているという状況があるわけです。こういう点について建設省はどう見ておられるのか、そしてデベロッパーにどういう指導をなさっておるのか、まずそのことをお聞きしたい。
  409. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 先生御指摘のように、今までのマンションの入居者の積立金というのは、建設省が五十五年に調査いたしましたら、平均で千七百円ぐらい、昨年、高層住宅管理業協会というところが調査いたしましたら、毎月三千三百円という結果を得ております。しかし、この積立金では、御指摘のようにかなり足りない、少なくともこの倍ぐらいはなければならないのではないかというふうに我々は考えております。したがいまして、建設省といたしましては、こういう大規模修繕の実施が必要であるということを啓蒙すると同時に、積立金を適正な額へ引き上げるように指導をしてまいりたいと思っております。  具体的には、ただいま私どもでマンション管理センターというものをつくりたいということで計画を進めておりますが、そういうところを通じてでもより積極的な啓蒙を図ってまいりたいというふうに考えております。
  410. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 啓蒙をこれから図るということですが、これまでは指導してこられなかったのですか。
  411. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 従来も、例えば標準管理約款とか管理契約書であるとかいろいろな形で啓蒙を図っておる中で、こういうものが必要であるということはわかっていただいていると思ってはいるわけでございますが、なお不十分でございますので、そういう啓蒙をさらに進めたいと思っております。
  412. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 まさに不十分だと思うのですね。  たまたまけさの新聞を見ました。きょうはちょうど木曜日ですから、住宅の広告が載る日なんですね。見てみましたら、いまだにこういう状態なんですよ。これは社名はいいですね、修繕積立金の欄だけ御紹介しますと、一つは、「当初三年間は無料」というのです。大体二千万円前後のマンションなんですが、三年間は無料。「四年目より月額千百三十円−千四百九十円」、こういうことですね。これには三つ載っておりまして、もう一つもこうなんですね。これは「修繕積立金 八百六十円−千二十円」、これもやはり二千万円規模のものですね。もう一つの方は「未定」となっている。これが実情なんですよ。だから、本当に徹底してその点は指導していただく必要がある。  マンションを買う人は、最初頭金をどう都合つけようかとか、毎月の払いがどうできるかとか、そういうことで頭がいっぱいなわけですよ。修繕につきましては専門知識もないわけですから、修繕積立金という項目がありますと、これでいいんだと思うわけですね。そこが問題だと思うのです。そういうわけで、各マンションの管理組合などが非常に苦労しておるわけです。  例えば、これも足立ですが、東和緑野ダイヤモンドマンションというのがあります。ここで、こういうわけで必要なんだということで集めようとしましたら、居住者の方から、所有者ですが、毎月きちんと修繕積立金を納めているのになぜまた取るのかと組合の人が不審を持たれる。  それから、最近買って入ったばかりという場合もあるわけですね。前に住んでいた人から買いかえて入った、それなのにそんな話は納得できないといったことが起きております。  それからまた、非常に深刻な例では、年金生活者で入っておられる方がいたのですね。その方はもう目いっぱい親類から借りるとかして入って、余裕がないわけです。新たに借りようとしても、とてももう借りるところはない。そうなると、出て行くしかなくなってしまうのですね。管理組合の方も、区分所有法の改正で大規模修繕は四分の三の多数でできるということにはなりましたけれども、現実に住んでおられて、払いたいんだけれども払えない、そういう人が出てきた場合に本当に困ってしまうということを言っておられるわけです。  そういう状況、もちろんよくおわかりと思うのですが、それを防止していくという一つのこととしては、物件を売る最初にそういう思い違いが起きないようにする、これが大事だと思う。宅建業法の三十五条に重要事項説明というのがありますが、その中に長期的な修繕計画が必要なんだ、およそこういう積み立ても必要なんだというようなことをきちっと説明する。ぜひそういうようにすべきだというように思うわけでありますが、いかがでしよう。
  413. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先生御指摘のように、宅建業法の三十五条では重要事項説明のことについて書いてございます。そこでは、修繕積立金に係る規約がある場合には、分譲業者はその内容を説明しなければならないということになっておりまして、そういう意味で規約の中身につきましては説明がなされることになっておりますし、また、現にそう説明がなされておるものと思います。  ただ、先生おっしゃいますその具体的な金額が必ずあるかどうかといいますと、その規約の中身として必ずしもない場合もありますし、また金額そのものも将来にわたって妥当なものであるかどうかという点につきましては、今おっしゃったような問題があろうかと思いますので、そういった問題をこの重要事項説明の中身に入れるかどうかということも含めまして、検討してまいりたいと思います。
  414. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 建設委員会でも検討するというような御答弁があったようですが、悠長でなくやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  関連しましてもう一つ。設計図書の問題というのがあるのです。  先に実例で言いますと、世田谷の学芸大コーポというところなんですが、いざ外壁の塗りかえとか屋上の防水工事をやろうとしましたところ、設計図書がないということが明らかになったのです。それはよくあるのですよ。建設会社自体が倒産したとか、管理が不十分で、なくなっちゃっているという場合ですね。それからまた、ありましてもそれは建設申請時のものだ、それとは実際に変わっているというわけです。だから、完成時のものが必要なんですが、そういうものがきちんと保管されていないという例もあるというふうに聞いております。  こういうことから、竣工設計図書、その他ありますね、給排水の衛生設備の工事施工の図書だとか、設備機材のリストとか、そういったものをきちっと保管する必要があると思う。管理組合に分譲時に渡すのも一つの方法かと私は思いますが、いずれにしても建物の保全、スラム化を防いでいくために、何らかの措置をとる必要がある、そう思うわけでありますが、いかがでしょう。
  415. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 分譲マンションに関係します図書につきましては、通達によって指導しているところでございますが、当該マンションの管理事務所その他の適当な場所において購入者が閲覧できるようにしておくようにというふうに指導しておるところでございます。現実の実態としてあるいはまだ不十分な点があるかもしれませんが、今後ともその徹底を図ってまいりたいと思います。
  416. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 次に、融資の問題をお聞きしたいと思います。  これは住宅金融公庫の住宅改良資金の融資を受けられるということになっておるわけです。マンションの共有部分にも適用されておるわけです。  一つは、ところが、そのことを知らない方が多い。私、実際に会って話を聞きましたが、知らない。近くの銀行などで何とか借りられないかということで奔走しておられたという例があるのです。一つはぜひそのこと自体をもっとPRしていただきたい、する必要があるのではないかということです。  もう一点は融資の条件ですね。四十平米未満は対象外というのが一応の基準で、マンションの場合には、その四十平米未満が二割以下なら融資をするというふうになっているわけです。これはこういうものでそういうふうになっているわけですが、しかし現実には、二割という線が妥当かどうかということはやはりあるわけです。四十平米以下が三割、四割、五割あるというようなマンションも結構多いわけですし、それが単身者でなくて家族暮らしだということもあるわけです。ですから、もっと弾力的に対応する必要があるのではないか。新築時の基準を横滑りといいますかそうするのではなくて、もう住んでしまっているわけですから、建設省の方針としてはもっと広いところに貸していくんだということかもしれませんけれども、現に居住者がいるわけですし、必要があるわけですから、そこをもっと弾力的に考えていただきたいということであります。
  417. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 マンションの大規模修繕に対しまして改良貸し付けの利用をしていただいております。改良貸し付けそれ自体につきまして、マンションに限らずやや宣伝が足りないところがあるのじゃないかなという気はいたしております。例えば塀が壊れたときに借りられるか。お貸しするわけでございますが、それを知らない方がまだかなり多いとかということで、この改良貸し付けの利用につきましてのPRが不足していることは我々も痛感しておりまして、いろいろやってはおるのですが、なかなか行き渡らない面がございます。今後とも、パンフレットの配布であるとか、いろいろ催し物などございますときにこういったことにも参加いたしまして、PRに努めたいと思っております。  それから、この利用に関しましては、今までいろいろ制度を改善してきまして、管理組合の理事長が代行で全部申し込みをできるとか、今度は区分所有法が改正になりましたので、管理組合法人に対して貸し付けることができるとか、そういう道を開いたわけでございます。ただ、四十平米という問題につきましては、四十平米以上がしかるべき住宅ではないかという考え方が基本にございますので、これを緩和していくことにつきましてはなお検討させていただきたいと考えております。
  418. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 次に、管理会社についてお聞きをしたいと思います。  私は、この質問を準備する過程で、地元のマンションの管理組合の理事長さんにどういう問題で困っておられるか、アンケートをお渡ししました。きょう一部を持ってきたのですが、いろいろ切実な要望が多いのですよ。もちろんこれには「対応には誠意があり、悪といところはみあたりません」、そういう回答もあります。そういうところもあるわけです。ところが、「すべてに怠慢であり、そのつど注意している」とかいろいろあります。  極端な、極端でないかもわからないのですが、一つのひどい例にぶつかったのです。それは江戸川区なんですが、日商岩井の宇喜田町マンションというのがあるのです。東洋ビル管理という会社が管理しているわけですが、昭和五十三年から五十六年の間にいろいろな修理を二十四回やっているのです。この修理の一覧、組合が整理したものがあるのですが、排水管の修理だとか散水栓、外壁だとかいろいろありますね。五十三年から五十六年の間に二十四回、その中には全く同じ箇所の修理を一年とたたない間にやっているという例もあるのです。こういうわけで、管理組合の人は一体どういうわけだと疑問を持ったわけです。そして伝票を整理して調べましたら、そういうことが出てきた。総額が二百万近く使われたわけです。そういうことで管理会社を問い詰めたところが、百万円返しましょうと言ってきた。結局これは管理組合の人が気づかなければそのままになっていたわけですね。明らかにこれは悪徳の業者なんです。こういうのがやはりあるわけです。これは現に相手が百万円返そうと言ってきているわけです。こういう例があるいはほかにもあるかもわかりません、管理組合が気づいてなくて。  また、管理会社というのは今私は野放し状態だと思うのですよ。高層住宅についての知識、防火、防水とか、それからプライバシーの問題もあると思います。そういうことについて、基本的にふさわしい力を持っているかどうかというのが疑わしいという状態があるわけです。ですから、必要な措置を当然とるべきだと考えるわけですが、その点どう考えておられるか。
  419. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 マンション管理会社という会社も相当数が多いものでございますから、実態としていろいろな会社があろうかと思います。このマンション管理会社につきましては、相当多数の管理会社が加盟しまして高層住宅管理業協会、社団法人でございますがそういう協会がございまして、建設省といたしましては、そこの協会を通じて指導を行っているところでございます。  少なくとも、その協会の幹部の方々の意識は、今後のマンション管理についての非常に重要性といいますか、利用者の方に対して誠実にやらなければいかぬという認識は相当強く持っているように私ども感じておりますけれども、数が多いことでございますので、そういったような問題もあるいはあろうかと思います。  今後の問題としましては、具体的には、例えばこの協会の中にマンションの保全診断センターというような一つの機構をつくりまして、大規模修繕はどういったような場合に必要であるか、あるいはどのくらいの金額がかかるかというようなことをいろいろ調査したり、あるいは個別のマンションにつきまして相談に応ずるといったことも業界内部で考えていくというふうなことを考えております。そういった点も指導してまいりたいと思っております。  また、これはこれからの問題でございますが、建設省でのマンション管理業者の登録といいますか、制度というようなものもつくりまして、一定の資格のあるような人たちの管理会社というものはこういったちゃんとした会社であるということを世の中にお示しするような制度というものも検討をしておるところでございます。
  420. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 大臣、今お聞きになったようなことなんですね。大臣も初めてお聞きになったこともいろいろあろうかと思いますけれども、とにかく個々の所有者は建築の専門家ではないということですね。しかしその管理組合を素人集団がつくって高層建築の保全に当たる、そうしないと財産価値が下がりますからぜひともやらなければならぬということになっているわけです。  この私がやりましたアンケートでも出ているわけですが、例えばこれは足立の五反野住宅というのですが、管理組合の理事に専門知識のある者がいない、公的機関の指導援助があれば幸いだ。それからこれもドーア千住マンションというのですが、身近に相談できる専門家もなくて、よほどのことがない限り管理会社の提案に従うしかないという状態ですね。  これは別の例で、管理会社から最初見積もりが来たそうなんですよ。別の会社に見積ってもらったところが、全然金額が違うのが出てきたというような例もあるわけですね。そういうことから、安心できる相談先が欲しいというのが切実な要望なんです。国や自治体などいわゆる公的機関の援助が求められておるという状況があると思います。  マンション管理センターのお話があったんですが、ここはまだ全体が定まっているわけではないようにお聞きしているのです。情報提供が中心というふうにもお聞きをしておるのですが、それはそれでいろいろ検討も必要だろうと思うのですが、特に大臣にお考えいただきたいと思いますのは、切実に求められているそういう相談のこと、公的機関の援助、これをぜひやってもらいたい、その点。
  421. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 お互いの財産が目減りしないようにみんなで努力するということは非常に大事な御指摘の問題でございます。今先生からいろいろ御指摘がありましたように非常に大事な問題でございますから、局長から先ほど答弁しましたマンション管理センターですか、こういうふうなものも、優良な管理業者の育成ということももちろん非常に大事なことでございますので、ただPRとかそういう問題だけにこだわらないで、お互いにマンションを持っていらっしゃる皆さん方が財産の方も目減りしないような努力をするとか、そういうふうなできる限り広範にわたって役所として指導ができる範囲というものをマンション管理センターのような中に組み入れて努力をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  422. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 瑕疵期間の問題で、公団では五十八年度から事実上期間の延長に当たるような措置がされたというふうに聞いているのですが、どうでしょうか。
  423. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 公団の場合は、いろいろな内部の状況、例えば雨漏りがどうとかいろいろ細かい状況によりまして、十年から二年ぐらいまでの間で、その事項の内容によって瑕疵担保の期間というものを決めて契約をいたしております。
  424. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 民間の場合、二年というのが大半なわけですね。この問題もやはり延長の検討が必要だというふうに私は考えているのですが、検討される余裕はありますか。
  425. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 おっしゃいますように、宅地建物取引業法上最低瑕疵担保期間二年というものを定めるべきであるということで、一般に二年ということで定められておりますが、この期間の延長の問題につきましては、建設業者の施工上の瑕疵担保責任期間との関係もあるわけでございます。建設業者の瑕疵担保責任期間も、これは民間建設工事標準請負契約約款というものを定めておりますが、そこでも二年ということになっておるわけです。それで、そちらの問題も含めて瑕疵担保期間の延長について検討すべきではないかという議論がございます。  ただ、瑕疵担保期間というのは長くなれば長くなるほどなかなか因果関係が不明確になる点もございまして、より難しい問題が生じてくる点もございますし、一方で、利用者の保護という観点からいえば長い方がいいという御意向もあるわけでございまして、そこら辺、建設工事の施工上の瑕疵担保期間も含めまして慎重に検討してまいりたいと考えております。
  426. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 次に、税制に絡む問題で二つお伺いします。  一つは、管理組合が修繕のお金を積み立てますね。これを銀行に積み立てますと利子に税金がかかるのです。居住者個人が預金していけば非課税の恩典がありますね。いろいろ合わせますと一千万円ぐらいになります。ところが、建設省としては管理組合のことを奨励というか管理組合でやるようにと言っておられるわけだけれども、そういうふうにすると余分に利子が取られてしまうという矛盾が起きているわけですね、簡単に言いますと。ですから、そういうことでないように、ぜひ大蔵省に建設省の方から問題提起をしてもらいたい。特にこういう場合の積立金については非課税の措置をとる、一定限度額が設けられるかどうかわかりませんけれども、それが第一点であります。
  427. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 修繕積立金に対する非課税という問題でございますが、他の住宅、一般の住宅の場合の修繕積立金との公平性の問題、それから修繕積立金を積み立てて、まあこれは通常は修繕に使われるわけでございますが、果たして必ず修繕に用いられるかという使途の確実性の問題というような問題がございまして、今の段階では、これに対する非課税というものを実現させるのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。大蔵省ともこういう点で議論したこともございます。今後とも検討してまいりたいと思います。そこで、私どもマンション管理センターをつくりまして、非常に有利な商品開発をしていただいて、仮に税金を含めましても相当有利に回るようなシステムを今検討しておるわけでございます。
  428. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 最後の質問。これは地方税ですが、共用部分の固定資産税の問題なんです。最初にお見せした方が早いと思いますが、特に大規模なマンションの場合には、共有部分というのは非常に広いわけです。これはなぎさニュータウンというところなんですが、建物の間に遊び場だとかいわば公共施設、そういうものが相当つくられているわけです。ところが、これにも、共有部分ですから、結局固定資産税が各戸割にかかってくるわけです。私は非常に矛盾を感じるわけですね。  大規模な一千戸以上というようなマンションになりますと、そこの居住者だけが使うのではなくて、近所の人も来る。この中にマラソンコースが最初からセットされているというようなところもあるのですよ。そうなりますと、近隣の方もみんな来られるわけです。そういう意味ではもう都市の一部だというふうに考えでいいのではないか。そういう新しい対応が必要になってくる、これだけマンションが社会化しているわけですから。そういうふうに考えるわけです。自治体によっては、いわゆる公共用の私道扱いにしまして固定資産税の減免をやっているというところもあるわけです。ぜひ建設省としても、そういう観点で、こういう事実上都市になっているようなところについては固定資産税の減免措置をする、そういうように自治省に対して要請をしてもらいたいというふうに思うわけであります。
  429. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 先生御指摘のとおりでございます。現在、地方税法の規定によりますと、私道でございましても公共の用に供する道路などにつきましては固定資産税が非課税とされるということになっております。マンションの敷地におきましても同様でございまして、固定資産税を免除することが一応可能になっている、また、現に免除されている例も幾つか承知いたしておりますが、個々の個別性がいろいろございまして、地方公共団体によってはなかなかそういう認定をしてくれていないところもあるようでございます。私ども、鋭意そういう面につきまして今後自治省の方にもこの適切な運用というものについて申し入れをしていきたいというふうに考えております。
  430. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 終わります。
  431. 住栄作

    住主査 これにて佐藤祐弘君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  432. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 昨年の当分科会でも、私は、東京あるいは横浜、川崎といういわば首都と言われるところ、そして人口密集都市と言われるところから、だんだんと人口が首都圏と言われるところに伸びて、それに伴いまして道路網の整備というものが必然的に必要性に迫られ、同時にまた、急速な郊外人口、いわゆる首都圏人口の増加に道路行政というものが追いついていかないのではないか、こういう質問をさせていただきました。  東京湾の湾岸道路の問題あるいは東京湾横断橋の問題等が大きなプロジェクトとして今俎上に上っておりますし、私ども神奈川県から出ている国会議員にとりましては、これらの大きなプロジェクトは、いわば県内あるいは県全体、首都圏を含めての経済構造としても考えてみなければならない、そういう位置になっているのではないか、そんな気がしてならないのであります。したがいまして、この湾岸道路なりあるいは横断橋というものが実際に供用が開始をされたことを考えてまいりますと、首都圏交通網というものをこの際改めていま一遍見直し、同時にまた交通体系というものを、これは国鉄あるいは私鉄等も含めて考え直してみなければならないのではないか、そんな気で今いるのであります。  それに関連して、今当面起きている幾つかの問題についてまずお聞きをしてみたいと思います。  最初に、去年お聞きをいたしました新湘南国道の建設、藤沢から一号線にぶつかります下町屋まで、工事が今大分進んでいるようであります。この道路が現実に供用が開始されるのは、今の建設省の計画でいきますといつごろになるのでしょうか。
  433. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 新湘南バイパスは、先生御案内のように、茅ケ崎市内における一般国道一号の混雑解消を図るためと交通安全の確保を図るためを目的としました道路でございます。起終点は藤沢市城南から茅ケ崎市下町屋に至る延長八・四キロメートルのバイパスでございます。  本バイパスにつきましては、昭和四十六年度から直轄事業として事業を進めてまいったのでございますが、昭和五十六年度から一部区間を日本道路公団の一般有料道路として事業を進めております。  現在、下部工を概成し、上部工にも着手したところであり、六十年代前半の供用を目途に事業を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  434. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 六十年度前半といいますと、大体ごとしじゅうということになるわけですね。
  435. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 六十年代前半でございますので、ことしじゅうには無理でございまして、六十二、三年、四年、その程度をお考えくだされば結構でございます。
  436. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 六十年前半と六十年代とは大分違いますからね。わかりました。  私は、前回も御指摘をしましたように、一号線の大変な混雑がバイパスがつくられて供用開始がされて緩和されることは非常に結構だ。しかし問題は、バイパスができて、そのバイパスを通過したバス、トラックが再び一号線で混雑を倍増していくという計画では何にもならぬのじゃないか。私は、むしろその場合にはバイパスを通さない、さらにバイパスを延長する計画ないしはそれと接続されるバイパスの供用開始との間ができる限り短い間でなければならない、でなければ前段のバイパスの開始をすべきではないという見解を実は去年も示したところであります。したがって、その時期にはまだ計画その他も決定をしておりませんでしたから、早急な計画の決定、同時に、住民、県との接触、さらにはこの計画の実行、予算の措置、こういう問題が解決しない限り私はバイパスの完成というものに対してもろ手を挙げて賛成するわけにはまいりませんぞ、こういうお話をしたところであります。この湘南バイパスと西湘バイパスとのドッキングという問題は当然俎上に上っておるものと思いますから、この計画の今の進行状況をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  437. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 現在事業実施中の新湘南国道の終点、先ほど先生のおっしゃいました下町屋から西湘バイパスまでの約六・五キロの区間につきましては、交通混雑の解消と交通安全の確保を図るためバイパスの建設が必要と考えておりまして、昭和五十六年度から調査を進めてきたところでございます。  現在、バイパスのルートあるいは構造等につきまして、地元の県、市と調整を行っているところでございまして、六十年度についても都市計画決定等所要の手続を進めるため、さらにこの調整を行うとともに、より具体的な調査を実施してまいりたいと考えております。できますれば、昭和六十年度中に都市計画決定の運びにまいりたい、さように考えております。
  438. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 計画決定を六十年度中に行うについては、当然のことですが、神奈川県ないしは当該市であります茅ケ崎、平塚、それぞれの都市とのお話し合いは事前に詰めなくてはなりませんが、現実問題としてはどのくらいまで詰まっているのでしょうか。そして、これに対する建設省の予算は今年度はどうなっているのでしょうか。
  439. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 具体的に申し上げますと、関東地方建設局という局がございまして、その下に工事事務所があるわけでございますが、関東地方建設局の部長及び工事事務所長等々が、今先生がおっしゃいました県、それから関係市町村の市長さんあるいは市会議長さん、関係の部長さん等々と協議させていただきまして、お話を詰めさせていただいておるわけでございます。したがいまして、都市計画決定に必要なことは、御案内のとおりやはり下からやらなければいけませんのでやっております。現在考えております調査費は約一千万円程度でございます。
  440. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 六十年度、茅ケ崎、平塚、県との折衝をし、そして都市計画決定をするまでの予算として一千万円、こう見ていいのですか。  それから、この事業決定に伴う諸案件で、今大変困難に逢着しているというような問題はございませんか。
  441. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 一つ訂正させていただきたいのですが、先ほど昭和六十年度の調査費と申し上げました一千万円は測量試験費でございます。調査費よりももうちょっと程度の高い、調査費がつきましてから測量試験費がつくという、より事業化に近づいた金でございます。それが一つ。  それから、現在、特別に非常に問題になっておるということは私まだ聞いておりません。
  442. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私の聞くところでは、従来あります、これは百三十何号線になるのでしょうか、私ども湘南道路と一般的には言っておりますが、それの路線の上を高架方式、いわゆる二階建て、二層方式にして、そして西湘バイパスにつないでいく。その場合に、率直に言って幅員の面が一つ問題になるのではないか。幅員の面ではおおむね二十三メーターですから、二階建てにしても大体二十三メーターとれるだろう。それに伴って周りの景観、その辺が少し問題になるのではないかなんという話を聞いております。  いずれにしましても、私が先ほども申し上げましたように、藤沢からバイパスが延長されて一号線に結合する、そして六十年代前半に供用開始になる、同時にそれを西湘バイパスにつなぎとめるということでなければ、まさにヒョウタンのちょうど首根のような形になってしまうわけであります。そこだけが一本しか道路がなくてあとは三本の道路が通っていくというような形になるわけでありますから、混雑この上ない状況であります。本当ならば、西湘バイパスにつなぐための下町屋から下の平塚までのバイパスの供用開始ができる見通しの立つせめて半年、よく見ても一年ぐらい前までは、仮にもし許されるならばバリケードを張ってしばらく通行を遠慮するというくらいの姿勢でもって進みませんと、この下町屋から平塚間の混雑というものは大変なものになる、こういうふうに思います。それを緩和するのは後のバイパスの早急な着工以外にないわけですから、そういう面をしかと肝に銘じながら現場の人に御指導、指示をしていただきたい。そして、それより以前には当然地元市と県との間の調整が必要だろうと思いますので、ぜひ精力的な御検討と計画決定をお願いしたい、こう思います。  二つ目に、東京の外郭環状道路についてお聞きをいたしたいと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、今東京からだんだんと首都圏の方に人口が伸びて、その地域を環状線で結ぼうとしております。今環状線は、御案内のように十六号線が環状道路としてあります。都内には環状七号線、八号線がございますが、郊外に出て神奈川県をまたいでいきますと、あるいは埼玉県、千葉県をまたいでいきますと、十六号線しかないわけであります。  首都圏の中央連絡道路が、この外郭環状線道路の問題と並行して建設省の計画として今一部では実施をされている、こういう状況にあります。六十年度に関越それから中央自動車道にかけて新規に着工される区間が東京−埼玉間にある、こう御説明を私はヒアリングの段階で受けたのですが、神奈川県域における事業化の見通し、そしてこの中央連絡道の今後の見通しといいましょうか計画、これらについて概要を御説明いただきたい、こう思います。
  443. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、首都圏中央連絡道路は、東京都心より半径四十ないし五十キロメートルの位置に計画されました総延長約二百キロメートルの幹線道路でございます。本道路は、横浜、厚木、八王子、川越、さらに筑波研究学園都市、成田等の中核都市を連絡しまして、これらの地域における交通の円滑化と土地利用の適正な誘導を図るとともに、地域開発の基盤としての役割を果たすものでございます。  まず、先ほどおっしゃいましたように、昭和六十年度から、このうち東京都八王子市、これは具体的に申し上げますと中央自動車道の八王子のところでございます、それから埼玉県の鶴ケ島町、これは関越道の鶴ケ島でございますが、その間約四十キロメートルにつきまして、建設に着手する予定でございます。関連道路をも含む沿線の地域開発がこのあたり非常に盛んに行われておりますので、この道路整備をまず推進したいということが一つと、それから、これに並行しました十六号の当該区間の、埼玉県でございますが、整備が非常におくれておりまして、この整備を補うという意味もございます。  それからそのほかの区間につきましては、現在調査を進めているところでございますが、その次に重要なところはやはり神奈川県内についてであろうかと思います。東京湾岸道路から東海自動車道を経まして中央道へ至るこの区間、これがその次に必要であろう。沿道の開発あるいは交通需要の動向等を勘案いたしまして、関係自治体と十分調整を行って調査の進捗を積極的に図ってまいりたい、かように考えております。
  444. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 わかりました。  せんだっての神奈川新聞に、建設省の技監の沓掛さんの神奈川新聞が主催する懇話会でのお話の模様が記事に載っておりました。今局長からお話を聞きまして、恐らく神奈川県の人にとってみては、いわゆる県民というサイドから見ますと、今の局長のお話は率直に言って初めてではないかと実は思うのであります。私も実はあの懇話会のお話の模様を新聞で見まして、なるほど中央連絡道問題は、そういう計画があるという話は聞いておりましたが、現実にこの関越道と中央道の間約四十キロ、総予算額では三千二百億円ぐらいになるのでしょうか、この事業が既に実施されつつあり、同時に、私は、それから先はいま少し関東北部の道路の整備が先ではないのかなというように実は私なりに思っておったのですが、今局長にお聞きをしますと、確かに言われてみれば、湾岸道路の神奈川県側が今度は大分整備をされるようでありますし、千葉、東京、神奈川の湾岸道路の整備、それに伴って今の中央連絡道との連係、連動ということを考えますと、次の工事区間はどうしても八王子からおりて、厚木を通って湾岸道路につなぐこの地点になるのでしょうね。まだ、どこを道路が通るということは示されてはおりませんけれども、大体この辺の地域というお話ですが、そこがこの道路計画の次の優先的な事業計画だ、こういうお話を今お聞きをしまして、率直に言ってそれはもう大変なことだなという感を実は持ったわけであります。どうでしょう、局長、今のお話からいくと、大体いつごろその辺は地元との話し合いをお始めになり、同時にまた、事業として着手されるめどとしては大体いつごろをめどに置かれておるのですか。
  445. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 ちょっと言葉足らずで誤解があったかと思いますが、まず中央道の八王子と関越道の鶴ケ島間、これは六十年度新規着工でございまして、したがいまして、ことしの四月からという意味でございます。  それから、その次にまず重要であろうと申し上げましたのは、御案内のように八王子から厚木あるいはさらに横浜横須賀道路、この区間が重要であろう。ではほかの、具体的に申し上げますと、東北道との交点だとかあるいは常磐自動車道との交点だとか、そういうところはやらないのか。そういう意味じゃございませんで、やはりこういうところもいろいろ必要が出ておりますので、全くやらないという意味ではなくて、必要なところはもちろん部分的にやる。ただ、非常に大きなロングタームで、大きな長さで考えた場合に必要なのは、やはり第一期が先ほど申し上げました中央道と関越道の間であり、第二期が中央道と東海自動車道の間、さらに横浜横須賀道路の間、大体そういう感じになるのではなかろうか。  それから、大体いつごろになるのだというお話でございますが、これは非常に金のかかる道路でございまして、六十年度から着工予定の延長約四十キロの区間が三千二百億円、キロメートル当たり約八十億円かかります。したがいまして、いつごろどうなるかということを今ちょっと私からは申し上げかねるわけでございますが、必要なところは必要に応じて部分的にもやらざるを得ないであろう、御返事になったかどうかわかりませんが、大体そういう感じであります。
  446. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 おっしゃるように、今の関越道と中央自動車道の間といいますと、関東の中でもそう混雑したところではないですね。それでもキロ当たり八十億ですか、かかるというお話です。それから今度はいわゆる東京湾に抜けるわけですから、これは神奈川県でも今まさに先ほど私がお話ししましたように人口増加、これからまさに密集していく都市であり、また密集している都市でもあります。恐らくいろいろな面の買収費、補償費その他工事費等々加えてまいりますと、膨大な資金だろうと思うのですね。  それよりも何よりも、私は、東京湾の架橋の問題も含めまして、やはり市民、県民のコンセンサスという問題がこの間の重要な問題だろうと考えます。恐らくきょうの私のこの委員会でのお話がこの対象になる住民や県民にとりましては公式な場としては初めての話ではないか、こう思いますので、そういう意味で、県民や当該の市民の人に国側の意図が那辺にあるのかということもよくわかるように、あるいはこの間のコミュニケーションについて疎漏のないように、ぜひひとつお願いをしておきたい、こう思います。  最後に一つだけお聞きしますが、百三十四号線の今のところのこちらに湘南大橋のかけかえ工事を今やっています。あそこに「本橋は石油揮発油税でかけている橋です」という大きな看板が出ております。私も石油関係の会社に働いておりましたし、今地方行政委員会で仕事をさせていただいておりますからわかるのですが、今度石油税から道路特別会計にああいう形で入れられたのは私はどうも余り賛成ではないわけです。千百十億円ですね、六十年度、六十一年度、六十二年度。対象事業が八千億だそうですね。そして石油諸税の大体十五分の一を道路特会に繰り入れをいたしまして、対象事業の八千億の事業に対する大体四分の一ぐらいその道路特別会計から金を支出をしてやろう、こういう計画だそうであります。  きょうは時間がありませんからその中身については触れませんが、例えば先ほどの百三十四号線、これは国道ではありますが、管理は県の管理でございますね。そしてこの道路特別会計に入りました石油税の特別会計はそれぞれの地方団体の単独事業に対する資金で、いわゆる補助金をつけて裏負担をさせるというお金ではない。これは予算委員会あるいはそれぞれの大臣答弁でもそうなっています。あるいは地方財政計画でも、地方団体としては、これに対する財政的な負担は、裏負担は、財政の用意がございません。国がいわゆる交付金として、特定な地方団体がやっている事業に対してお金は差し上げますよ、そして公共事業を振興してください、公共事業がないと景気が出ませんからということになっています。その背景にはいろいろあったこともこれは事実でしょうけれども。  どうでしょう。その場合に、市町村あるいは今言ったように国道であるけれども県が管理している道路事業が対象になりますか。例えば湘南道路のようなものが対象になりますか。
  447. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生おっしゃいましたように、ことしいわゆる揮発油税から国費で千百十億円を道路特会に直入したわけでございまして、一千百十億といいますのは揮発油税総額の大体十五分の一でございます。  この一千百十億は新しくつくりました制度でございまして、国道だとかあるいは高速国道だとか、そういうものには使いませんで、あくまで県道及び市町村道、そういうものの整備に面的に、かつ多種の複数の事業を面的にやっていただく。どちらかといいますと、在来の建設省はルートごとに箇所を決めまして補助金をつけておったわけでございますが、それはそれとして残しまして、新しい制度はむしろ県あるいは市町村が一緒になってもらって、面的に、しかも道路計画、第九次道路整備五カ年計画を円滑に行うようにするための新しい施策でございます。したがいまして、先生おっしゃいました百三十四号でありますが、この橋のかけかえとかあるいは一般有料道路、高速道路、これとは関係ございません。
  448. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 わかりました。そうしますと、こういうように見ていいわけですね。いわゆる道路特会に入りました揮発油税については、当然のことですが、今言った道路のかけかえ、いわゆる国道のかけかえとかあるいは国道の新設とか、そういう会計としては当然、揮発油税から道路特会に入っているわけですから、このお金は使えます、だがしかし、その道路特会に特別に入った、六十年度、六十一年度、六十二年度、先ほどの揮発油税の十五分の一ずつ入った金は、これは県道以下の道路が対象であり、いわゆる地方単独事業に国としてお金を出すのです。ですから、先ほど湘南大橋に書いてあったように、この橋は揮発油税でできておりますというのは、私が今質問いたしました前段の部分のお金としてそこに書いてある、こういうふうに理解してよろしいですね。
  449. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内だろうと思いますが、揮発油税は簡単に言いますとほとんどの道路に使われております。ほとんどの道路といいますのは、国道、都道府県道、それからモノレールのいわゆるインフラにも使われておりますし、共同溝にも随分使われている。先ほど申し上げました揮発油税の約十五分の一であります千百十億円の国費の新しい制度のお金は、あくまで都道府県道と市町村道でございますので、その点は明確にしております。  以上でございます。
  450. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 ありがとうございました。  終わります。
  451. 住栄作

    住主査 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  次に、福岡康夫君。
  452. 福岡康夫

    福岡分科員 私、本日は昭和四十七年の七月広島県の北部を襲った大豪雨大災害を思い起こし、それを肌で感じた一人として、その後しばしばと言われるくらい暴れます広島県の江の川本流及び支流の流れにおびえながら、治水対策事業について建設省の御見解をお伺いしたいと思います。  河川のはんらんにより付近の住民の生命財産に被害が起きてから行政上の河川管理責任を追及してみても、一度失われた生命財産は返らないものであります。その意味から、国の財政事情のよきにつけあしきにつけ事業五カ年計画が達成できるよう治水事業費の大幅な増額が必要だと考えるものでありますが、この点について建設大臣の御見解をまず最初にお伺いしたいと思います。
  453. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今、福岡委員おっしゃいますように、災害の問題というものは、未然に防止できる手は最大限あれしまして、国民生活の安定や生命財産をいかにして守るかということがおおよそ政治の根幹であります。そういう意味で第六次の治水の五カ年計画が今行われておるわけでございますけれども、進捗率は六二・四%ぐらいというような状況でございまして、現下の財政が非常に厳しい中にありまして我々も非常な苦心をいたしております。しかし、そういう中にありましても計画の目的達成に向けて最大限の努力を払いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  454. 福岡康夫

    福岡分科員 では次に、建設省当局に御説明をお願いしたいのでございますが、第六次の治水事業五カ年計画概要及び昭和六十年度予算案に計上されている治水事業費の額並びに主な治水事業の内容について御説明をお願いしたいと思います。
  455. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 最初に、第六次治水事業五カ年計画概要について申し上げますが、この五カ年計画昭和五十七年から六十一年までの五カ年間の計画でございまして、投資総額十一兆二千億円を予定しておるものでございます。その内訳は、治水事業費として八兆二千五百億円、災害関連事業及び地方単独事業費といたしまして一兆九千六百億円、調整費九千九百億円でございます。  この計画は、近年におきます災害発生の実態及び水需給の動向を踏まえ、中小河川、都市河川対策の強化、土石流対策等、土砂害対策の強化、重要河川の整備及び水資源開発を重点的に推進することといたしております。  次に、昭和六十年度河川局関係予算といたしまして、ただいまの第六次治水事業五カ年計画に基づく治水施設の整備及び水資源開発計画的な推進並びに海岸事業や急傾斜地崩壊対策事業、災害対策の促進などを図ることといたしておりまして、所管事業のすべての予算総額は、事業費にいたしまして一兆六千五十六億二千四百万円、国費にいたしまして九千八百七十四億六千四百万円であります。このうち治水事業といたしましては、事業費が一兆三千四百七十七億一千三百万円、これは対前年度比一・〇五倍でございます。国費は八千百五十九億二千万円、同じく対前年度比〇・九八倍でございます。この予算案におきましても、特に緊急を要する災害対策、水資源対策、都市河川対策、土石流対策等を重点に治水施設の整備及び水資源開発計画的に推進することといたしているものでございます。
  456. 福岡康夫

    福岡分科員 続いて御説明を承りたいわけでございますが、災害を最小限度に食いとめるためには河川情報体制の拡充強化が必要だと私は考えておる者の一人でございますが、河川情報体制は現在とのように進捗しているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  457. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 建設省では従来から雨量、水位等の情報を正確、迅速に収集、処理、伝達するためのシステム整備に努めてきたところでございます。近年、全国的に多発した大水害に際しまして、出水時における情報伝達の重要性が改めて認識されており、観測所のテレメーター化、レーダー雨量計の設置等、情報収集面の一層の強化を図りますとともに、通信、処理システムの整備等を促進してきたものでございます。  なお、河川情報伝達体制の整備の一環といたしまして、地方公共団体等により河川情報を収集、処理、加工、提供するための機関といたしまして財団法人河川情報センター、これはまだ仮称でございますが、設立が予定されており、国といたしましても総合的な防災体制の確立の観点から、調査研究に対する助成及びセンターへの情報の提供等を行うことといたしておるものでございます。
  458. 福岡康夫

    福岡分科員 私、あと具体的な事例につきまして江の川の本流、支流地域の御説明をいろいろ当局に承りたいと思いますので、こちらの方に資料を用意しておりますので、河川局長に提出したいと思います。  次の地区に係る昭和六十年度以降の一級河川江の川上流の改修事業についてお伺いいたしたいと思います。  まず、甲田町の高田原、甲立地区改修事業は昭和六十年度との程度実施されるのか、そして今後の見通しはどうなのか、御説明をお願いしたいと思います。
  459. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 江の川上流につきましては、御案内のように、昭和四十八年に定めました江の川水系工事実施基本計画に基づきまして基準地点吉田地点における計画高水流量毎秒千二百立方メーターを安全に流下させるべく改修を進めておるところでございます。  また、土師ダムが昭和四十九年に完成したことによりまして治水の安全度は飛躍的に向上したところでございますが、無堤箇所の解消等に重点を置きましてただいま改修を鋭意進めておる段階でございます。  ところで、御指摘の甲田町でございますが、甲田町の江の川右岸高田原地区でございましょうか、ここにつきましては昭和五十三年度より八百八十メートルの無堤区間の解消を図るべく築堤を進めておるところでありますが、昭和六十年度におきましても築堤を促進いたしまして、まだ三百メーターほど残っておるわけでございますが、これを六十年度にすべて完成させたいと考えております。  また、江の川左岸甲立地区につきましては、昭和五十九年度より堤防補強を行うべく用地買収の促進に努めているところであり、早期に築堤工事に取りかかることができますよう六十年度におきましても用地買収の促進方に努めたいと考えておるところでございます。
  460. 福岡康夫

    福岡分科員 次に河川局長にお尋ねしたいのですが、吉田町の柳原、山生地区改修事業はどのように促進されているのか、また内堀地区内水対策の早期着工を地元は望んでいますが、見通しはどうか、ひとつ御当局の前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
  461. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 吉田町の江の川右岸柳原地区につきましては昭和五十六年度よりおよそ一キロメーターの無堤部解消を図るべく用地買収を進めておるところでございますが、ただいまのところ用地買収が非常に難航しておるという実情でございます。今後とも地元の御理解、御協力を得まして用地買収が促進されますよう努めてまいりたいと考えております。  次に、江の川左岸山生地区でございますが、築堤は既に完成をいたしております。五十九年度よりこの堤防の補強といたしまして護岸の整備を進めておるところでありますが、六十年度におきましても引き続き早期完成に向けて護岸工事を促進したいと考えております。  次に、江の川左岸の内堀地区でございますが、ここは昭和三十七年に貴船川の合流点処理を残しまして堤防が完成をいたしております。地元の御要望といいますのは、この合流点を閉めまして後、内水対策をやってくれという御要望があるやに承っておりますが、これにつきましては、ただいまのところ計画では樋門を設置することになっておりますが、排水ポンプの計画はございません。先ほども申し上げましたように、土師ダムが完成いたしましてからは幸いこの地区の浸水被害はないようでございますので、今すぐ着工する状況にはないというふうに私ども考えております。また地元からのただいまのポンプの設置の要望につきましても、今後の被害の実態を見て適切に対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  462. 福岡康夫

    福岡分科員 ただいまの河川局長の御答弁の中に、非常に難航しておる、こういう発言が冒頭ございましたが、これは具体的にはどういう面が難航しているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  463. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 それは最初に申し上げました柳原地区の堤防のための用地買収でございますが、地元の御了解が得られませんで用地が買えないという意味でございます。
  464. 福岡康夫

    福岡分科員 そちらの方に御提示しました地図をちょっと見ていただきたいのですが、八千代町の簸川改修事業の促進状況がそこにあると思いますが、その状況について御説明をお願いしたいのでございます。
  465. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 八千代町の簸川につきましては、下流部を直轄事業で取り上げておるところでございますが、この直轄の区間につきましては、昭和五十二年度から北原地区の築堤を鋭意進めておるところでございまして、早期に完成すべく六十年度におきましても築堤を引き続き継続施行してまいりたいと考えております。また、それより上流につきましては、これは県の補助区間でございますが、局部改良事業として下根地区におきまして昭和四十七年度より掘削護岸等の工事を進めておるわけでございますが、六十年度におきましても一連区間の完成に向けて努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  466. 福岡康夫

    福岡分科員 次にお伺いしたいのでございますが、この地図を見ましたら高宮町というのがございますね。これは中国山脈のちょうどふもとになる過疎地帯でございますが、この高宮町の梶失地区改修事業の促進状況とこっちの竹貞地区の改修事業の早期着工を地元は希望しておるわけでございますが、過疎地区ということで着工はいつになるのか地元は非常に不安がっておるわけでございます。この点の見通しはいかがでございましょうか。
  467. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 まず高宮町の梶失地区でございますが、その前にこの地区の河川の概況を申し上げますと、三次市から下流の島根県境までのいわゆる江の川中流部につきましては、工事実施基本計画に基づきまして基準地点尾関山地点における計画高水流量毎秒七千六百立方メーターを安全に流下させるべく改修を進めておるところでございます。  三次市街地周辺につきましては、昭和四十七年度の災害にかんがみまして築堤、堤防強化等を図りますとともに、三次市街地周辺下流については、山間狭隘部でもあることから護岸等の整備に重点を置いて改修を今日まで進めてきたわけでございます。  ところで、その高宮町の江の川左岸梶失地区でございますが、当該地点は昭和五十二年より支川長瀬川を含めまして築堤護岸を進めてまいっております。できるだけ早期に一連区間を概成いたすべく、六十年度におきましても築堤護岸の促進を一層図ってまいりたいというふうに考えております。  でありますが、次の竹貞地区でございましょうか、ここにつきましては、この梶失地区に対比いたしまして地盤も比較的高いというところから、まだ着手されていないわけでございますが、この当該地点の護岸整備につきましても、ただいま鋭意進めております梶失地区の見通しを待った上でなるべく早く対処いたしたいというふうに考えておるところでございます。
  468. 福岡康夫

    福岡分科員 河川はんらんによる災害というのは、いついかなる形で起こるか予想することは不可能であります。水は、日常生活や産業などの諸活動に不可欠の貴重なとうとい資源でありますことから、次には水の安定供給は重要課題であると存ずるわけでございます。  そういう意味から、江の川上流に洪水調節を兼ねた多目的ダム、すなわち灰塚ダムを建設し、下流沿岸沿線住民の生活の安定を図るとともに、このダム建設により立ち退きを余儀なくされる水没者の生活再建を図りつつ早期にダムを建設してほしいという要望が私のところに、江の川水系治水ダム建設促進広島県期成同盟会として多々陳情が参っておるわけでございます。  私といたしましても、この要望は水の安定供給及び洪水調節の意味からダムの建設の必要性があると考えておりますが、建設当局の御見解を最後にお伺いしたいと思います。ひとつ詳細に御説明をお願いしたいと思います。
  469. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ただいま先生からお話のございました灰塚ダムでございますが、これは直轄特定多目的ダムとしてただいま実施計画調査を行っておるものでございまして、江の川支流の上下川の広島県双三郡三良坂町に建設を予定しておるダムでございます。申すまでもなく、江の川水系の治水及び周辺地域の利水の両目的を兼ね備えたダムでございます。  この事業の治水上あるいは利水上の重要性はただいま先生からも御指摘があったとおりでございますので、広島県等の御協力を得まして水没関係者の生活再建対策及び地域整備計画についての検討を進めて、早期に地元関係者の理解と協力を得まして、事業の推進を図れますように最大限の努力をいたしてまいりたい次第でございます。  なお、先生がお話しになりました江の川水系治水ダム建設促進広島県期成同盟会につきましても、たびたび陳情をいただいているものでございます。
  470. 福岡康夫

    福岡分科員 最後の結びといたしまして、冒頭申し上げましたように、昭和四十七年の七月、広島県の北部を襲った大豪雨大災害を私は思い起こしておるわけであります。あのとき私は目の前にその大惨事を見まして、その後しばしば広島県の江の川本流支流地区の流れにおびえながら住んでおるものの一人でございます。どうぞおびえないような状況を一刻も早くつくることを建設当局に御要望して、私の質問を終わらせていただきます。  ちょっと河川局長の方で御決意を表明しておいていただきたい。
  471. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 江の川につきましては、御指摘のように昭和四十七年の七月に極めて大きな災害を受けたわけでございまして、上流部においても三次市を中心にして大きな被害を受けたわけでございます。私ども建設省といたしましても、これを契機に、一つには上流のダムの早期完成を図りますとともに、これらの災害を被災した箇所における築堤、護岸工事等を災害復旧事業とあわせて積極的に進めてまいりました。そういうことで、三次市を中心にいたしましてかなり整備が進んだというふうに私どもは思っております。  なお、先ほど来先生から御指摘がありましたような箇所につきましては、まだ工事中でありましたり、まだこれからというふうなところもあるわけでございますので、この四十七年に起きた災害の激甚であったことにかんがみまして、一層改修の促進に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  472. 福岡康夫

    福岡分科員 質問を終わらせていただきます。
  473. 住栄作

    住主査 これにて福岡康夫君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  474. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長大臣初め、皆さん御苦労さまです。  私は、国土庁、建設省、大蔵省、自治省、国税庁などに対しまして、雪害など総じて雪のことをお伺いさせていただきたいと思います。実は二十五日に一般質問で申し上げましたので、そのこととやや重複もいたしますけれども、どうぞひとつ適切なお答えを期待したいと思います。  初めに、私は、雪というものについて、雪害というものについてのいわば認識を新たにしてほしいというふうに申し上げるわけであります。実は、三十七年に豪雪地帯対策特別措置法を制定していただきまして、大変な前進と私たちは見ているわけであります。しかし、半年の間雪の中にいる、特に降雪量は二十メートルを超え、積雪量も五メートルを優に超える年が多い。五月の八十八夜になりましても地面が全然見えないという年も決して珍しくはないわけであります。そういう環境の中で生きております。私は会津、それも奥会津でありますけれども東北、北陸各県にそのような状況があるわけであります。ここで祖先以来の生活の苦しみ、雪の重圧を受け継いで生きているわけです。  その立場に立って物を申し上げるならば、雪害というものは、皆さんの今日までの行政の立場から言うと、雪が降りまして、雪の重みやそのほかの原因によりまして家屋が倒壊する、あるいはまた道路が決壊するなどというようないわゆる物理的な損失がありまして、それをしかも役所が査定をして、そこで初めてこれは雪害となるのだけれども、私たちの住民の生活意識としては、雪は降ることそのものが災害だ、仮に橋は落ちなかった、家屋はつぶれなかったということは、それだけの出費と、それだけの労力と、それだけの努力によって支えられたということでありまして、もしも雪の降らぬところと同じような態度で同じような装備でおるならば、大変な、命にかかわることになっていたというふうに申し上げたいわけであります。  事実、私の奥会津におきましても、一年に四人、五人の命が何らかの形で、例えば屋根から落ちる雪でつぶされたとか、雪崩にのまれたとかいうようなことで、人命の犠牲が出ない年はございません。ですから、私は日本全体でいったら相当の数の雪の犠牲者も出ていることと思います。雪の降らない地方にとっては雪というものは美しいもの、雪というものは遊ぶもの、このような認識であろうけれども、雪国にとっては雪というものは命をかけての、これは恐怖だというふうに認識しているわけであります。つい最近、私のったない歌の中に、「雪は世に 美しく 楽しきものならず 恐ろしきもの その雪が降る」というふうに申し上げましたけれども、そういう気持ちでいるわけであります。ここら辺について、大臣、ひとつ認識を新たにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  475. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 この間も先生予算委員会質問されておりましたし、また私どももこういう立場に就任させていただいて、まさに雪というものは自然との闘いである、そういう認識を持っておるわけでありまして、まことに申しわけありませんが、私どもは一番暖かい、いいところでございますから、認識はどうかと言われますと、率直に申し上げて、私どもそういう生活がないものですからあれかもしれませんけれども、ともかくこの近年の豪雪というものは一つの災害である、そういうふうに私は受けとめさせていただいております。
  476. 滝沢幸助

    滝沢分科員 今は雪のつらい面を申し上げました。しかし、一面からいいますと、雪は天与の国家的資源である、私はこういうふうに申し上げているわけであります。予算委員会でも申し上げましたけれども、電力が、一年間の発電量は九電力で一億一千八百三万九千五百三キロワットというのであります。その中で水力がおよそ一九%、二千三百四十一万一千六百九十七キロワットというわけであります。ところが、ここからはなかなかわからぬことではありますけれども、私は雪によって生ずる水資源、これが電力化したものはおよそこの半分がほどはあろう、こういうふうに見ているのだけれども、これは私だけの見方ではなくて、おおよそそういう見方を各県庁等もしているわけでございます。それに農耕かんがい、そして飲料、保健、また観光というようなことに見ますと、これは大変な資源であります。ただ残念なことに、例えばこれは中近東の石油のように、これはもうこれだけのお金をそろえなくちゃ売りませんよということにできるならいいけ札とも、そうじゃなくて、これは自然に解けて流れるところに恨みがあるんだけれども、いずれにしましても、私は雪は白いダイヤだ、こういうふうに申し上げているわけであります。  ところが、国がなさる措置は、先ほど申し上げました豪雪特別措置法に加えて、電源施設周辺の整備特別措置法、これはもちろん最初は原子力発電所に対しての発想が水力に対してもというふうに波及をさしていただいたわけなんだけれども、これにとどまらざるところの手厚い対策というものをちょうだいしたいものだ、私はこう思っているのですが、抽象論で恐縮でありますけれども、いかがでしょうか。
  477. 古澤松之丞

    ○古澤説明員 国土庁水資源政策課長でございます。  雪についての水資源としての評価の話でございますが、御案内のとおり、雪というのは雨と違いまして、一般に水の需要の少ない冬に積もりまして、それを一時貯留しまして、春になりますと水の需要がふえてきますので、それが徐々に雪が解けて出てくるということで流出するという特徴があるわけでございます。  この融雪水は、一部は、先生お話しのとおり、水力発電にも使われますし、都市用水にも使われますし、農業用水にも使われるということで、水資源としても貴重な存在になっておるわけでございまして、国土庁といたしましても、これを水資源として有効に活用する必要があるというふうに考えておりますし、ダムの建設等によりまして、さらにその水資源開発を積極的に推進したいというふうに考えておりますし、ダム建設に伴いましては、水源地域整備事業ということについて特別の助成をしたりしているところでございます。
  478. 滝沢幸助

    滝沢分科員 私のうちの庭にもダムがあるわけです。裏にも山にもダムがあるわけです。つまり、雪というダムが半年間ほど水を抱えているわけですから、これがもしも雪がなくて、ダムを構築してこれだけの水を蓄えるのは大変なことなので、どうかひとつ大臣、そういうことですから、いろいろと雪国に対しての施策をひとつ手厚く配慮してほしいと思います。  そこで、大蔵省になるのでしょうけれども、実は豪雪地帯並びに特別豪雪地帯につきましては、家屋の雪おろしの費用を雑損控除ということで所得から控除を許していただいている、大変ありがたいことだけれども、五万円なんですね。五万円ではまことにこれは少な過ぎる、特に自分でしたことは評価されないわけですね。人様をお願いして領収書ある場合において、これは算定されるということでありますから、これに対してこの底上げをすること、また、自分で努力したことについてこれがどのようなことなのか。  さらに、実は雪おろし作業だけで雪は排除できるものでありません。衣類、履物そして車につきましても、タイヤはチェーンも必要ならば、スパイクタイヤも必要だというようなことで、雪のための生活費のかさみは大変なことなのでございます。  そういう意味で、このようなものについても、いわゆる雑損というのか、どれが適切かは知らぬけれども、ひとつ算定の基礎にしてちょうだいできないか、こういうことですが、いかがなものでしようか。
  479. 濱本英輔

    ○濱本説明員 前半の部分につきましては、私、主税局の税制第一課長でございますけれども、私の方から御答弁を申し上げ、後半の部分にっきましては、国税庁の方から御答弁を申し上げます。  どのような家庭でも、災害でございますとか、病気でございますとか、そういった不時の特別な支出に見舞われることがございますけれども、日常生活に通常伴います範囲の支出と観念されます部分につきましては、税制上は課税最低限によってカバーされているというふうに考え方としては整理しておるわけで、ごさい、ます。  ところが、その規模が相当のものに達しました場合には、やはり各人の担税力が減殺されると考えられるわけでございまして、特別な配慮が必要であろうと思うわけでございます。  ただいま御指摘ございました雑損控除制度もこういった考え方からできておるわけでございますけれども、この制度が置かれておりますゆえんは、まさにその負担の異常性ということにあるわけでございます。昭和二十五年にこの制度ができまして以来、その異常性というもののメルクマールとしまして所得の一〇%ということで長年やってまいりまして、昭和五十六年に至りまして、お話しの雪おろし費を災害関連支出として観念いたしまして、五万円という足切り限度を設定したわけでございます。五万円というのは相当思い切った措置であったと思われますが、たまたまそうした不時の支出としてこれに並びますものに病気がございますけれども、病気の場合もただいまは医療費控除の足切りを五万円ということに設定しておりまして、制度上ぎりぎりの限度というふうに私どもは観念いたしております。  それからもう一つございましたお話で、人夫を雇って雪おろしをするのではなくて、家族、我々自身が雪おろしに携わった場合に、その分はどうなるのかという大変難しい問題でございますけれども、確かにその作業に従事する労苦というのは想像にかたくございませんけれども、具体的な支出額を伴わないそういった労苦が、さまざまのバリエーションがあり得るわけでございまして、これを税制上の観点から評価するということには大変な難しさが伴うということでございまして、現在私ども考えておりますこの雑損控除制度の運用から申しまして、そこまで踏み込むことは少し隔たりが大き過ぎるというふうに考えております。
  480. 岡本吉司

    ○岡本説明員 先生三つ目の生活費、雪国であるがゆえにかかる生活費の余計かかった分は、雑損控除の対象にならないのかということでございますが、今主税局の方から雑損控除の制度につきましての趣旨を御説明申し上げたところでございますけれども、こういった趣旨にかんがみまして、現在、雑損控除の対象になります費用といいますのが、まさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、その被害の発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出、こういうふうに政令の御案内の二百六条で限られているわけでございます。  具体的には我々この条文を受けましてどういったことについて認めておりますかといいますと、例えば屋根の積雪、これをほっておきますと、家屋が倒壊する、こういったことを考えまして、いわゆる屋根の雪おろし費用あるいは家屋の外周の雪の取り除き、あるいはその取り除いた雪を河川等へ捨てる、こういった直接要した費用を災害関連支出として認めているところでございます。  御指摘の積雪地域なるがゆえにいろんなかかります衣類代であるとか、あるいはタイヤのチェーン代、こういったものにつきましては、実は原則として雑損控除の対象になりますのは資産の取得、金を支出して資産の取得をしたということにつきましては、また別の意味から雑損控除の対象ということには問題があるわけでございますが、それを別にいたしましても、こういった一般的に直接雪おろし費用に関連して支出されたものであると認められないもの、つまりほかの生活、いわゆる生活そのものの足がかりだ、こういったものにつきましては、なかなか雑損控除という、先ほど特別な担税力の減殺を理由とした制度で認めるのはいかがかなという感じで現在は取り扱っておりません。  なお、大変極論のような話を申し上げて恐縮でございますが、仮にこういった一般的な支出まで雑損控除ということに取り込んでいきますと、例えば冷暖房費はどうなんであるとか、電気代がどうなんであるとか、あるいは逆に過密都市におきます住居費がどうなんであるとか、こういったところまで非常に波及してしまって際限のないものになってしまう、こういうことで現在は先ほど申し上げたようなところで線を引かせていただいておる、こういう状況でございます。
  481. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そういうことですが、ただ、皆さんよりも私たちは三倍ぐらいの衣料費を払っておるわけです。私も、東京を離れるときにセーター一枚ふやして、そして郡山を過ぎて会津に入るときにまた一枚ふやすというようなこと、そして出迎えてもらう秘書に、オーバーと長靴を用意してこいということになっておるのね。ですから、これは、そうおっしゃるけれども、暖房費ももちろんそのとおりです。これは大変なことで、あそこが過疎になっていることが、とにかく生活が容易でない、損だということの証明なので、今後の検討をひとつ期待したいと思います。  なお、これは自治省さんかしれませんけれども、それに家を建てるときの話ですが、雪国は、五寸柱という太い柱を使っているのです。床を高くして、そして二重窓にする、ないしはそれに対して今度は冬囲いの措置もする、こういうことになっております。そして、家は相当の面積がなくちゃもちません。それはぜいたくなたかにそれをやっておるのじゃなくて、そうしなくちゃ生きていけないためなので、これが固定資産税の評価の中で配慮されないならば無用の財産ということになる。一つの例でありますが、私の知り合いの者が老後村を離れたい、家も屋敷も一緒に売って出たいと言ったときに、百何十坪という屋敷をつけても、家屋ぐるみ百万円で受ける人がいないようなことです。そういうところにそのまま住まっている人にとって、固定資産税が高く評価されることは大変困ることなのだけれども、こういう点はいかがですかな。
  482. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 固定資産税という税の性格は、先生よく御承知のとおり、固定資産の価格を課税標準として、同じ価格の家屋なりについては全国どの所有者であれ同じ税負担をお願いするというのが原則でございます。ただ、先生おっしゃいますように、積雪寒冷地帯に建築されております木造家屋などにつきましては、他の地域に所在するものと比較しまして、例えば高床式の家屋をつくるとか柱を特殊な構造にするというような構造面の問題もありますし、さらに積雪等の影響によります損耗の程度というのも通常の地域の家屋よりは早いというようなことも認められるというようなことを総合的に勘案しまして、従来から、これは積雪の度合いによって割合は違うわけですが、最高二五%の評価の減価を行う、いわば税負担を二五%まで下げられるという制度をとってきておる。それから、これが先にスタートしまして、その後非木造の中でも軽量鉄骨づくり等についてはやはり減耗のスピードの問題等があるのではないかというので、これは最高五%の減価を行うというようなことで、固定資産税の性格の中でできる措置としてそういう措置をとってきているところでございます。
  483. 滝沢幸助

    滝沢分科員 次に、話が少し変わりますけれども、市街地の除雪が特別悪いのです。ですから、せっかく町まで来ても、町の中が車が走らぬということがあって、非常に困っておるのだけれども、これをひとつどうにかいい工夫がないものか。そして、あとは田県道の除雪等に使いますブルドーザー等のいわゆる機械、機材、これを学校のグラウンドも除雪ができるよ、そして多少の受益者負担はあろうかしらないけれども、苗代についても、時間と余裕がありましたら除雪してあげますよ、また、公園も緑地もできますよ、というようなぐあいにしていただけば、三月ともなれば落ちるであろう雪崩に待機するために人員もブルドーザーも休んでいるというか、待機しているのでありまして、これらが利用できない、実際このことには地元の一人一人、また役場等も非常に苦労しておるわけで、役所の補助目的が違うということのセクト主義を排除して、ひとつ総合的に雪国の人々に対する生活の利便を増強するようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。     〔主査退席、佐藤(観)主査代理着席〕
  484. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今先生のおっしゃいました除雪機械のいわば多目的利用といいますか、につきましては、道路除雪事業の遂行に支障を来さない場合で、かつ、公益上特に必要な場合にはほかの目的に使用することは国の場合はできることになっておりますし、公共団体の場合でもそういうような制度になっているところでございます。そういう意味で、その原則に当てはめてできるのですが、ただ、最近の道路用除雪機械は大型機械が多うございまして、特にまたタイヤ型のものが多いものでございますので、一般の公園の舗装されていない地面のようなところの軟弱地やあるいは狭いところで使用する場合は困難が伴う場合が実際問題として多いかと思います。ただ、現実にそういうものにふさわしいような場合がありますれば、そういったことで使うことにはやぶさかでないものだと思います。
  485. 滝沢幸助

    滝沢分科員 実はそのことなんですけれども、私はもう二十五年来にわたりまして雪のことに取り組んでいるのでありますが、排土板のついたブルドーザーが一番いいよ、大型の近代的な除雪機械は会津等の湿った雪には不向きですよ、それは北海道用ですよ、平地用ですよと力説をしても、ようその意見を聞かないで、大型の、いわゆる粉にして飛ばすもの、また、タイヤ式を買ってくださる。ここに私は役所のサイドの、実態を踏まえない面があると思っているのですが、そのことを一つつけ加えさせていただきまして、これは答弁は結構です。  最後に、道路等の構造の面でありますが、私は雪国に六十年住まいまして得ました結論は、川がございます、その川に沿って道路をつくっていただく、そして、この方はもちろん家は建ちません、その逆の方に家を建てるというふうにして構造をしていただく、除雪は、この川に捨てればいい、そしてさっきの排土板のある小さいブルドーザーで十分だということに考えているんだけれども、これはいかがなものであろうか。  そして最後に、とにもかくにも雪の研究ということもこの豪雪特別措置法に書いてあるんだけれども、雪に対する研究が非常におろそかだと思うのです。この二つについてお伺いさせていただきたいと思います。
  486. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 御質問の前段の件でございますが、河川堤防を道路と兼用すること、それから河川に除雪をすることにつきましては、河川管理上支障がない範囲において十分可能であると考えられます。現にそういうふうに実施しているところも多いわけでございます。この堤防沿いに人家を建ててというような御提案だと理解したわけでございますが、これにつきましては、高い堤防が河岸にございます場合は盛り土の必要というようなことの問題もあろうかと思われますが、いずれにいたしましても具体的な提案、どこのどの河川のどの地先という具体的な御提案がございますれば、個別に十分検討させていただきたいと思います。
  487. 滝沢幸助

    滝沢分科員 具体的なという話がありましたのでつけ加えさせていただきまするけれども、私のは一般論です。ただ、そこの中で、一般論として、河川沿いに道路をつくる、そして家をつくる、その裏に田んぼがあって、次に山がある、会津等の地理的状況からいうとこれが望ましい、こう思うのです。そういうことで、都市計画等につきまして雪国に対する特別の発想の転換をお願いしたいと思います。そして、ついでながらこれは申し上げさせていただきまするけれども、一般論としてのお話でありましたが、設計等におきまして、橋等がありまする場合、一橋一橋ごとに、これは文部省の学校建物もそうだけれども、一々設計している、これは愚かなことであります。統一設計というようなことで、統一設計A、B、C、Dというようなことで、どれを選ぶかというようなことにしていただけば一番賢明なことなのでありまして、それらのことをつけ加えまして、どうぞひとつ雪国の事情を十分にひとつ大臣、把握していただきまして、雪の降るところにとにかく日本国民のおよそ十分の一ほどは呻吟これ日々を送っているということを御理解いただきまして、温かい政治の手を差し伸べていただきますよう、大臣のひとつ決断を促しまして終わります。ありがとうございました。
  488. 佐藤観樹

    佐藤(観)主査代理 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  489. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 岐阜県の県営事業であります木曽川右岸下水処理場建設について質問いたします。  私は昨年、この件につきましては二回にわたりまして質問をいたしまして、意のあるところも申し上げたわけですが、その意のあるところもまた住民の意向も余り酌み取られることなく、今日工事が一方的に進められておるわけです。私は再三申し上げておったわけですが、この公共事業そのものに反対するのではない。しかしながら、その広域下水道の余りにも大規模な中身、そして不合理性に住民の方々とともに反対をしてきた次第です。  そこで、昨年質問のときに、この木曽川右岸の河川敷の中にこの工事ができるわけですが、それがためにこの工事許可をおろす前に十分ひとつ住民の方々を説得し、話し合い、そしてそこでまとめて工事の着手をするように、こうお願いをいたしたわけですが、どのように具体的に住民の説得に当たられたか、まず承りたいと思うのです。
  490. 梶原拓

    ○梶原政府委員 現在、木曽川右岸流域下水道につきましては、五十九年度水処理土木に着工いたしまして、今後処理場について順次整備をしてまいるという段取りでございます。  昨年、先生からお尋ねがございまして、新堤防を築堤するという件でございましたが、事業施行者である岐阜県に対して地域住民の意見をよく聞きながら進めるように、こういう指導をいたしてきたわけでございます。
  491. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 じゃそれに対して返答をいただかれて、こういう説得、こういう話し合いの場、そしてこういう手段を講じた、こういうことは何か回答いただいたわけですか。
  492. 梶原拓

    ○梶原政府委員 私どもは直接の事業施行者でないわけでございまして、第一義的には、事業施行者である岐阜県が、私どもの指導をまつまでもなく、住民の意見を十分に聞いてやるべきことであり、かつ実施してきておると報告を受けております。  前回もそういうことでございまして、重ねてそういう趣旨のことを岐阜県に対して申し上げておりますが、具体的にどうしたこうしたということについては、報告を求めるように私も指示しておりませんので聞いておりませんが、私の趣旨を踏まえて実施をしているというふうに理解しております。
  493. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 それはちょっと無責任だと思うのです。よく住民と話し合ってやりなさい、指示はいいですよ、指導していただく。指導したらそれに対してどういう経過と結果があったか、この報告を求めて、それから今度は建設省が建設省独自でこの工作物の認可をするなら認可をする、これが手順だと思うのです。ところが、その報告はするように言うてなかったから報告を聞いておらぬ、こんなものなんですか。
  494. 梶原拓

    ○梶原政府委員 繰り返して申し上げますが、事業主体は自治体である岐阜県でございまして、岐阜県がみずからの責任において事業を実施していくというのが建前でございまして、私どもが逐一具体的なところまで介入するのはいかがかというふうに思う次第で。ございます。
  495. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 僕は介入せよということで申し上げておるわけじゃないのです。こんなことは当然のことです、地方自治体のやることですから。ただし、去年から二回申し上げたように、そういうようないろいろな問題があって、むしろそれが工事進捗と供用開始をおくらせる危険があるので、できるだけ説得、話し合いをしてそして許可をおろした方がいいのじゃないか、こういうふうに申し上げたわけです。だから私は、それを具体的にどうやられたか。この一年間ないのですよ、簡単に言うと。そういうことはないのですよ。そして認可だけおりて、工事だけ進んでおるのですよ。いろいろエキサイトするのですよ、そういうことをやれば。だから私はそれを聞いたのです。  それならば、その河川敷内に工事の許可をされたわけですが、いつどういう条件をつけて許可をされたか承りたい。
  496. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 岐阜県から各務原市前渡西町地先の木曽川右岸の河川区域内に流域下水道浄化センター建設のため、河川法第二十六条、二十七条の規定に基づき工作物の新築及び土地の形状変更に係る許可申請が昭和五十九年五月二日付で河川管理者に対して出されております。これを審査の上、支障がないと認められましたので、昭和五十九年十月十五日工作物新築許可書を交付をいたしたものであります。
  497. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 今紋切り型に許可の案文を読まれたわけですが、私はあのときにも申し上げたのですが、あそこは河川敷で、いわゆる堤外地なんですね。だから、あそこには当然新堤をつくらなければならない。だから、新堤の用地そのものがまだ全部整っておらない。  しからば私は承りたいのですが、そういう許可をしたが、あるいはまた補助金をつけてこの工事を進めさせておるのだが、それならば、その県の出しました申請書に基づく事業計画、あるいはまたそれの経費の計画書、そういうものはあるはずですが、それをかねてから私は何回も、一度出してほしい、こう申し上げておるわけですが、これがなぜ出せないのか、これを承りたい。
  498. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ただいま申し上げました許可書の写しにつきましては先生にお話ししたと思いますが、これに対応して許可申請が岐阜県から当然なされたわけでございますが、その際の附属書類のことをおっしゃっておるのだと思います。  これにつきましては、本件事業に関連して訴訟が係属しているため提出は見合わせてほしいとの申請者の強い意向がありましたので、これを提出することは見合わせたものでございまして、この点御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  499. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 僕はこれはおかしいと思うのですがね。国であれ県であれ、およそそれぞれの公共団体です。それが裁判をやっておるから、有利、不利の判断からだと思うが、この書類は出せない、この書類は出してもいい、こういうことは許されないと思うのです。やはりすべてのものは、申請書に対してそれに肉づけをして予算をつけた、補助金をつけた、あるいはまた工事許可をおろした、こういうような申請をしたその原本は当然、私ども国会の場へ明らかにしていただいて、こういう中身で、こういうものを出したんだ。僕は訴訟に関係ないと思うのですが、この点どうなんですか。訴訟をやっていたらそういうものは一切出さない、そんなことはちょっとおかしいと思うのです。少なくとも国の税金をつけて補助金を渡すわけです。その骨格になる申請の中身が明らかにできないというようなことは合点がいかぬのですが、どんなものですか。
  500. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 申請者であります岐阜県御当局がどういう理由で見合わせてほしいと言うのかはつまびらかでございませんが、そういう申し出でございましたので提出することを見合わせたものでございます。ただ、これにつきましては、この申請に付随してその説明資料として提出されたものでありますので、私どもといたしましては、この提出者たる岐阜県の御意向に従った方がよろしかろうと考えたわけでございます。
  501. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 はなはだ合点できませんけれども、時間がないので押し問答をやっておりますと後ができませんので次に進みますが、そういうことで国会の審議の場に書類が出せないようなことのないようにお願いいたしたいと思います。今後も要求をお願いするつもりでございます。  そこで今度は、しからばこれに対する予算関係を承りたいのです。  昨年度予算をつけていただいたのが十億八千七百万、これの処理池の予算がついているわけですが、事業費全体としても十六億五千万円なんです。これの当初計画が六十万トン、これを一部カットして五十万トンに規模が縮小されましたが、これの予算規模は約千二百億と言われておるわけですね。そういうふうに理解してよろしいか。
  502. 梶原拓

    ○梶原政府委員 全体事業費につきましてはおおむね先生がおっしゃったような規模でございまして、事業認可の対象事業につきましては七百七十億程度でございます。
  503. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 では、七百七十億というのは今第一期工事として提出されておるわけですが、この第一期工事の分として七百七十億というふうに理解していいのですか。
  504. 梶原拓

    ○梶原政府委員 そういうことでございます。
  505. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 そうすると、第一期工事は、先ほど申し上げた五十万トンから大きく削り込んだ十四万四千トンを処理目標にしたものなんですね。これだけでも七百七十億。では承りますが、これの供用開始は六十六年三月三十一日となっておるわけです、五十九年の申請に基づいて。そうすると六十六年三月三十一日までにこの十四万四千トン、七百七十億可能なんですか。
  506. 梶原拓

    ○梶原政府委員 私どもといたしましては極力そういう方向で努力したいと考えております。
  507. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 一年に十億や二十億ついていたんじゃこれは大変なことなんです。先ほども申し上げたわけですが、広域下水道事業の余りにも大きな規模は、一時のような大きいことはいいことだというスケールメリットはなくなって、今はむしろ小サイクル、小規模で小回りをやった方がいいんだ、そういう学者の意見もあり、建設省におられた専門家の意見もあるんだ、こういうことでむしろ広域な大規模は不経済とさえ言われておるわけですね。それがために適当な地域で、適当な規模で、予算の可能性の範囲で、そして住民の納得できる可能性のある中身で計画を見直すべきじゃなかろうかと昨年私は何回も申し上げたわけです。  ところが、その見直しもなされず、住民との話し合いも進められずにこういうふうに進めてこられたわけですが、この点についてしからば予算で今努力するとおっしゃいましたが、そういう可能性は確信を持って承ってよろしいですか。
  508. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御案内のとおり、いろいろ地元との関係もございまして事業の本格的なスタートが遅れたわけでございます。現段階はその本格的な事業が軌道に乗ります初期の段階でございまして、したがってまた、予算の配分につきましても十数億というようなボーダーにとどまっておりますが、この事業が本格化してまいりますれば、私ども厳しい財政状況のもとではございますが、積極的に予算面で応援してまいりたいと考えておるわけでございます。
  509. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 現在つくっておられる処理池は約三万六千トン用のものをつくっていらっしゃるわけです。そうすると、この三万六千トンのものはいつまでにでき上がるということで事業を認可しておられるのですか。
  510. 梶原拓

    ○梶原政府委員 現段階で三万六千トンの計画につきましてはいつというような確たる目標は持っておりませんが、いずれにいたしましても、部分的にでも早期に供用開始できるように施工段階できめの細かい配慮をしてまいりたいと考えております。
  511. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 今のようにまだ反対運動が続いておるさなかなんですね。そしてまた訴訟も起こされておるさなかなんです。だから、私は先ほど冒頭に申し上げたように、それじゃ住民との接触をどういうふうに具体的にやって、どういうふうになった結果やむを得ずこうなった、それが一年間にないのですよ。これを早くやることは工事の進捗と並行して重要なことなんですよ。なぜこれをやられないのか。  これはもちろん建設省は直接の当事者じゃありませんから建設省の言うのは無理ないのです。県に対してそれをよく指導したと言うが、指導しっ放しでなしに回答を受けてきちっとやるべきだと私は思うのですが、この点について今後の見通しを承りたい。
  512. 梶原拓

    ○梶原政府委員 事業がこれから本格的に軌道に乗るわけでございまして、その都度、地域住民等関係の方に利害のある問題が出てくる可能性がある場面もあろうかと思います。そういった点は、岐阜県におきましても事業者として十分配慮していくように今後とも指導してまいりたいと考えております。
  513. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 河川局の方はどうですか。新堤用地がまだ全部そろっておりません、御存じのとおり虫食いの状態ですね。そしてまた、占用地もありますね。これについて確信を持って新堤ができるということでこれが許可になったのですか。あるいは、ときにはこれは強制収容しなければならぬというようなつもりでおられるのですか。この点、新堤用地についてまず承りたい。
  514. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 堤防の予定地につきましては下水道事業を実施する起業者が用地取得を行うわけでございますが、当該下水道事業の完了までには築堤を完成させるよう用地取得の促進を図るというふうに伺っておりますので、それに基づいて許可をしたわけでございます。
  515. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 私の見通しではそういう甘いものじゃないと思っておるのです。そんな甘い状態ではない。だから、冒頭に何回も申し上げたように、住民との和解を積極的にやらないとこれは全体的に狂ってくるのじゃないか、こう思うのです。  そこで、それならこの際、最後に一言大臣に承っておきたいわけですが、まず第一は、先ほど七百七十億、第一期工事、供用開始は六十六年三月三十一日、こういうことでした。これについての予算措置には最大限度の努力をするというふうに承ったわけですが、それはそういうふうに確認をしてよろしいかということと、いま一つは、この供用開始、そして住民との円満な和解によって一日も早くこれの第一期工事だけでも進める、こういうことについての考え方、これについてひとつ所信を承りたい。
  516. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 こうした大きな事業の場合、多少住民の間に反対とかいろいろ意見があることは必ずと言っていいぐらいあるわけでございます。いずれにいたしましても私どもの立場からああこう申し上げることもどうかと思いますが、和解していただくというようなことがあれば大変結構なことだ。また、何といっても財政が厳しい状況の中でありますけれども、和解していただくということが事業の促進にも、我々としてもその意気込みで努力をしなければならぬわけでございますから、ぜひひとつ和解を大きく期待いたしたいということが一点であり、また御指摘の予算その他につきましては、財政が大変厳しい中でありますが、早期事業促進ができるよう最善の努力を尽くさせていただきたい、こう考えております。
  517. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 和解の前提は、先ほどから何回も申し上げたように適正規模、そして適当な地域、こういうことが前提になりますので、今の五十万トンというようなべらぼうな計画について、大臣、そのまま受けて今後もやられるつもりですか。
  518. 梶原拓

    ○梶原政府委員 今和解とおっしゃった意味がよくつかめておりませんが、既定計画、これは種々の案を比較いたしまして現段階で最も適切だという判断のもとに進めておるわけでございまして、その前提を崩すということは考えておりませんが、事業の執行の段階におきまして、さっき申し上げましたように関係の権利者等といろいろな折衝をする場面もございますし、既にそういう問題も提起されておりますので、その点は岐阜県におきまして関係の方々と十分話し合って進めるように今後とも指導してまいりたいと考えております。
  519. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 では今おっしゃったように、住民のそういう意見も含めて検討できる場があるならばひとつそれを指導していただいて、そして一日も早く全体として工事が進められるように進めていただきたい、このことをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  520. 佐藤観樹

    佐藤(観)主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。     〔佐藤(観)主査代理退席、主査着席〕
  521. 浦井洋

    浦井分科員 民活が大はやりでありますけれども、この民活事業のモデルとして今国の方で考えておられるのは、東京のリバーサイドルネッサンスという計画と横浜のみなとみらい21という計画、それから私の地元の神戸のハーバーランド構想、こういうことになっておるようでありますけれども、まずそのハーバーランド構想ですね、これのどこが民間活力の利用なのか。
  522. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知と思いますが、神戸のハーバーランド構想は国鉄の貨物駅跡地を中心といたしまして神戸駅周辺地区の活性化を図るとともに、複合的機能を持った神戸市の新しい拠点づくりとして、生き生きとした魅力ある町づくりを目指すものでございます。それで、北部地区は商業、業務機能、情報機能、文化、教育機能及びスポーツ施設等の導入を図り、南部地区は、教育施設の整備とあわせて都市型住宅の建設、既成市街地の再開発を図ろうとするものでございます。  この事業の実施に当たりましては、公共施設及びこの構想の中核をなしております教育、文化等の公益施設等の基盤施設を公共により先導的に整備することによりまして、民間がその整備された敷地で行います業務、文化、商業施設等の施設整備及び都市型住宅等の建設並びに既成市街地の再開発を誘導していくということにしているわけでございます。  私どもは、公共側の基盤整備事業の実施を呼び水としまして、民間の建築物、施設整備投資が促進されるために、先ほど先生お話しになりました他の二プロジェクトとともに、建設省としまして民間活力活用のモデルプロジェクトとして六十年度から取り組んでまいることにしたわけでございます。
  523. 浦井洋

    浦井分科員 長く言っていただいたのですけれども、要するに国鉄の湊川の貨物駅の跡地を払い下げて、そしてそこに住宅などの上物を、いろんな、文化軸とか商業軸がありますけれども、そういうものをコンペ方式で民間にやらすということだろうと思うのですね、一番簡単に言うたら。  それで、大体六十年度からということでありますが、ごく簡単に計画の概略を言うてください。
  524. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 先ほど申し上げました神戸駅周辺地域におきまして六十年度から新都市拠点整備事業、土地区画整理事業、それから特定住宅市街地総合整備促進事業を実施いたしまして、公共側で基盤整備を行うということで、国鉄の貨物ヤードの跡地を中心としました約二十ヘクタールの地域で事業を行うことにいたしてございます。  これをどういう構想で行うかはただいま神戸市において検討中でございまして、神戸市の案がまとまり次第建設省としても全面的に協力していくということにいたしてございます。
  525. 浦井洋

    浦井分科員 施行期間は大体五年ぐらいですね、そうでしょう。それなら来年度から始めるということで、来年度、六十年度というのはどんなことをやるのですか。
  526. 梶原拓

    ○梶原政府委員 来年度一応事業費という形で予算を配分する予定でございますが、初年度でございますので、事業費といたしましては貨物駅の撤去事業の一部というようなものに具体的に着手できる程度の段階ではなかろうかと思います。  それから、施行期間につきましては、五年ということがございましたけれども、かなり長期にわたる大事業かと思います。
  527. 浦井洋

    浦井分科員 正式に言えば、国ももちろん入って、建設省も入り、県も入り、神戸市も入って、国鉄湊川貨物駅跡地利用計画策定員会でいろいろ審議しておるわけです。問題点は、こういう大規模プロジェクトというのは、変な表現でありますけれども、起爆剤が必要なんでしょうね。例えば神戸市でいろいろ言われておったのは、市役所をここに移転することであるとか、あるいは芸術大学というようなものを置くとかいうような起爆剤がないと、なかなか事業そのものが軌道に乗らないということが今までの例からも言えるわけで、何か起爆剤があるんですか、何を起爆剤にするんですか。
  528. 梶原拓

    ○梶原政府委員 何をこの地域の活性化のてこにするかということは大変重要な課題でございまして、これにつきましてはただいま調査検討中でございます。  その一案といたしまして、今後高度情報化社会を迎えまして、この地域の中枢機能としていわゆるニューメディアを装備した情報センター、そういったものを装置するということも一つの起爆剤としては考えられるのではないかということでございますが、これはまだほんの構想段階でございまして、先ほどおっしゃいました委員会のような場を通じまして今後議論を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  529. 浦井洋

    浦井分科員 まあ要するに何も決まっておらぬ。言わずもがなのことでありますが、神戸市というのはなかなか商売上手ですから、建設省もその気でつき合っていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、私は神戸市民の一人でありますけれども、このハーバーランド構想については、今言われたように業務用地であるとかあるいは商業用地というようなものが予定されているわけです。そこで、これは国に聞くのも変な話でありますけれども、一体無理やりにこういうものを——商業用地や業務用地が神戸市で不足しておるというふうに見ておるわけですか。
  530. 梶原拓

    ○梶原政府委員 私どもといたしましては、この地域のポテンシャルにさらに大幅にそういう機能が加わるということが期待できるかどうかという一つの問題がございますが、同時に、周辺の再開発と申しますか再編成と申しますか、せっかくの公的なスペースを活用いたしまして周辺の企業等の再編成をしていくということでございまして、その結果、その業務用地等のポテンシャルがどう上がるかということはなかなか予測できませんけれども、まずは在来のそういうポテンシャルをうまくこういう地域に誘導するということが課題であろうかというふうに思うわけでございます。
  531. 浦井洋

    浦井分科員 ポテンシャルとかいろいろなことを言われますけれども、現地におる者としては、まあ国の政策が悪いから不景気なのでしょうけれども、せめて神戸市でも市民一人一人の懐が暖かくなるようにと私も願っておるのですが、この計画がおたくが言われるようなことでいってもいかぬでも、どうも余り景気がよくなるようにも思えないのであります。  とにかく私が言いたいのは、いまさっき言われた南部ですね。南部の新開地、東川崎地区というのがその地図にあると思うのですが、ここの市街地改造を予定しておるわけでしょう。これは正確には特定住宅市街地総合整備促進事業ですね。これはどれくらい進んでいるのですか。
  532. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 この新開地、東川崎地区におきます先生御指摘の特定住宅市街地総合整備促進事業でございますが、これは神戸市が今後昭和六十年度において整備計画を作成して、建設大臣の承認を受けて事業に着手するということを予定しているものでございます。
  533. 浦井洋

    浦井分科員 六十年度は具体的に何をやるのですか。
  534. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 今後神戸市が整備計画策定して実施していくということになるわけでございます。新開地、東川崎地区は先生の方が十分御存じのように、神戸の中で古くから市街化された地域でございまして、現在居住環境の改善であるとかあるいは地域商業の振興というようなものが課題になっているというふうに聞いております。  こういう地区で、関係権利者もたくさんございまして、地元協議を十分尽くした上で事業を進めなくてはならないというふうに考えているわけでございますが、市有地を活用いたしまして住宅建設をいたします。あるいは木賃住宅というものがございますが、こういうものの建てかえも促進していかなければならないと思っております。あるいは生活道路、公園の整備などによります居住水準の改善、こういったことをやることになってこようと思います。
  535. 浦井洋

    浦井分科員 要するに、六十年度は目に見えては、特に表立っては何もない。やるとしても、せいぜい木賃住宅あるいは木造住宅ですかの実態調査ぐらいでしょうね。これが進まぬわけなんですよ。  だから私が言いたいのは、こっち側の北の方のそう急がぬでもじっくりとやればよいハーバーランド構想を特に五年間精力的にやる、まあ長期間かかるのでしょうけれども、そういうことをやるよりも、先にこういう市民の間でもいろいろと話題になっておる東川崎、新開地のこの南部の方にもっとお金も入れる。だから、投資先が、投資の順番が逆ではないかというふうに思うわけです。私の言いたいのはそういうことなんです。  そこで、例えば神戸で全国的に町づくり運動でよく知られておる真野地区、これは住民本位の町づくりだということで、かなり長期間がかってやっておるのですが、簡単に言うたら今これは一体どうなっておるのですか。
  536. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 私、その地区について実は詳細に承知しておりませんが、住環境整備モデル事業で事業を実施しているということだそうでございます。
  537. 浦井洋

    浦井分科員 それは認識不足で、全国的にも住民本位の町づくりとしては非常に有名なところなんですよ。これが予期したように進まないのも、究極的にはやはりいろいろな政府からの具体的な金の援助が足らぬというところにあるわけなんです。  だから、こういうところとか、私が先ほど申し上げた新開地、東川崎地区とか、こういうところこそ先に投資をして急ぐべきであって、その業務、商業用地のハーバーランド構想というようなのはその後でもよいと私は思うわけです。だから、さらに言えば、まさにこれは、大臣は中曽根さんのところだそうですけれども、中曽根総理の財界に対する奉仕の典型的な構想ではないかと思うのですが、大臣どうですか。
  538. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 私の方がこの神戸のハーバーランド構想を一つのモデルプロジェクトとして取り上げましたのは、神戸市からの強い御要望もあったわけでございますが、これは先生、私よりも十分よく御承知のことだと思いますが、神戸駅の周辺は、最近活力が失われている地域というふうに私ども聞いておりますし、拝見しましたところでもそういう感じを受けました。そういう地域で、今先生御指摘の地域の再開発ということはもちろん必要でございますが、この神戸駅周辺という交通の結節点という一つの大きなポテンシャルを生かして、この町を魅力あるものとしてもっと活気を取り戻す、そういうことによってこの地域の活力が増大すれば、おのずからその周辺の再開発の可能性もふえてまいりますし、機運も促進されるものではないかと考えておりまして、このハーバーランド構想を取り上げたものでございます。
  539. 浦井洋

    浦井分科員 言葉としてはきれいな言葉が並んでますよね、お答えの中に。しかし確たるものはないのですよ、おのずからと言われておるわけですからね。だから、そうなるだろうということで、私は全体としてはやはり財界奉仕ではないか、民活そのものが。これは後でも言いますけれども。  そこで、もう一つ民活の一つの例を申し上げますと、神戸市の西区の西神ニュータウンですね、これが民間に払い下げをやるというようなことですね。六十年度に何ぼか払い下げるのですか。
  540. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 私どもの方でお聞きしておりますのは、六十年度三ヘクタール、六百戸程度のものについて、卸売として民間事業者に譲渡する計画があるように聞いております。
  541. 浦井洋

    浦井分科員 西神ニュータウンの土地取得というのは新住法でしょう。正式に言えば新住宅市街地開発法。  新住法というのは、おたくらもよく御承知のように、土地収用法をかけて用地買収を強制的にやるという権能を持っておるわけですよね。それで取得をした土地が何で民間業者に払い下げられるんだろうか、法違反じゃないですか。
  542. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 ことしの三月五日、新住法の施行令の一部改正が公布されたところでございます。その施行令第四条では、一定の公益性を有する事業を行うものであって、事業を遂行するために必要な資力、信用及び技術的能力を有するものに対して行うものでございまして、その一定の要件、例えば良好な居住性能を備えた五十戸以上の集団住宅を建設し、適正な価額で公募、分譲する事業であること、施行者が定める指針に従って良好な居住環境を形成する集団住宅を建設する事業で、当該事業に係る計画が、健全かつ良好な住宅市街地の開発を促進する上で最も適切かつ効果的な事業であること等の要件に該当する場合には譲渡できるようになったわけでございます。  こういった要件に該当して行われる民間の住宅分譲事業者の事業は、同条に基づいて行われる公的事業主体の住宅分譲事業に劣らない公益性を有するものであって、新住宅市街地開発法に違反するものではないと考えております。
  543. 浦井洋

    浦井分科員 私は別に政令を読み上げてもらわぬでも、政令を勝手に改正したというところに問題があると思うのですよね、改正というか、改悪というか。  公団なら公団が、あるいは国なり自治体なり、公団でも何でもいいですよ、それが新住法を適用して土地収用法を最終的にはかけて強制買収できる、それが新住法のそもそもの精神じゃないんですか。そして住みやすい住宅団地をつくろう、あるいは公園をつくろうということが目的なんでしょう。それが、聞けば三月の五日に政令を改正して、その政令に合致しておりますから民間業者に払い下げてもよいんだというのは、それはそちらの理屈であって、ここのところを大臣よう理解していただきたいのですよ。勝手に——勝手にといったらちょっと言い方が適当でないかもわかりませんけれども、政令を改正したからやれますと、新注法、新住法というて、私も建設委員をやっているときに、かなり問題にしたところですよね。それが政令でぱっとできる。せめてこれ国会に法改正案を出して、それで議論をして公然とやるべきではないんですか、せめて。私は、国会軽視も甚だしいと思うのですよ、こんな重要なポイントを政令で勝手に三月の五日ですか、どうですか大臣、その辺。
  544. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今、先生勝手にとおっしゃいましたが、私ども政府部内でも十分議論を詰めまして、新住法の法の範囲内でのものと考えたところでございます。
  545. 浦井洋

    浦井分科員 新住法というのは、いろいろこれまで適用しておるのでしょうが、この西神ニュータウン、兵庫県の神戸市の隣に三田市というところがありますね。神戸市にまたがってニュータウンが今大分できているのですね。そのときに新住法が適用されて、それで先祖代々の墓のある墓地まで強制収用しておるのですよ。そうでしょう。私、前に分科会がどこかで取り上げたことがありますから、間違いないですよ。  それをそういう、それほど大事な条項を、せめて法改正しなければいかぬのに、それを政令で、範囲内で、部内で十分論議をして済ましたからよろしいんですというようなことは、これは筋が通らぬですよ。
  546. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 政令、先ほど読み上げたような格好になりましたけれども、無制限に認めているわけじゃございませんでして、一定の公益性の要件というものを該当するものについて一定の範囲内で認めるわけでございまして、それは法全体の趣旨からいっても逸脱するものではないというふうに考えたわけでございます。
  547. 浦井洋

    浦井分科員 そんなのへ理屈であって……。  そこで、もう時間が五分ぐらいしか残ってないから結論の方へ行きますけれども、要するに大臣、民間活力というのは、具体化したのはこれでしょう。昭和六十年、ことしの二月十二日に出た「民間活力の発揮推進のための行政改革の在り方」、行革審のこれに基づいておるわけです。だから主な項目を読み上げてみますと、国公有地の払い下げであるとか高度利用地区の規制緩和であるとか線引きの変更であるとか宅地開発規制要綱の緩和であるとか、ずらっとこう見てみますと、全部これは財界の要求なんですよ。それを行革審という名前でこういういかにも審議会みたいな格好で、推進審議会、民間活力推進方策研究会ですよね、こういう格好で権威を持たしておる。  だから大蔵省の方にしても建設省の方にしても、何かそう急に、内心ではそう急いで民間に払い下げする必要はないんではないかと思っておられる節があるわけなんですよね。中曽根内閣もまあ、あとせいぜいよう続いても一年何カ月でしょう、だからそれが過ぎればまたこういうのも引っ込むかもわからへんし、というふうに思うておられるのではないかというふうに私は推察をしておるわけです。  特にけしからぬのは、この最初に読み上げた国公有地の払い下げの問題ですよね。これは既に去年にも問題になりましたように、品川駅の貨物駅の跡地が四・六ヘクタールで一千億円、あれでいけば高値で落札したので、周辺の四倍の値段で落札した。国鉄は喜んでおるけれども地元は困惑しておる。それはそうですよね、地元は地価が高騰して、ますます商売がやりにくくなる、こういうこと。  だから私は、まさに民活というのは財界の要求にこたえようとしておるものであるというふうに断定するのですけれども大臣、これはどうですか。お答えいただけますか。反対なら反対でいいし、賛成なら賛成でもいい。
  548. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 民間活力の導入の基本問題、やはり良好な町づくりをするということと都市の再開発、そういう意味で、また、ある意味では地域に活性化を与えるとかというような広範な考え方というものが当然あると私は思っております。  そういう意味で、先ほど来役所の方からいろいろ申し上げておりますが、建設省の方が誘導してこういうふうにこんな計画でやれというような段階では絶対ございませんで、そんな時代はもう過ぎていると思います。やはりこれから法律や政令のいかんを問わず、むしろ行政を進める面の一番の基本は下から上を見なければならぬ、上から下を見る時代なんて去っている。そういう意味で、やはり民間活力の導入の問題につきましても、計画その他についても神戸市なら神戸市と、神戸市は私の承知している範囲では、今までポートアイランドや何かああいうのは非常に成功しておるのじゃないか、そういうふうに私は思っておるわけです。そういう意味で、神戸市なり、またそういう関係団体というものが中心になってハーバーランドの構想というようなものを今鋭意練っておられる、それに対してやはりネックになるいろいろな規制の緩和の問題その他についても、できる限り地元の皆さん方が積極的に参加でき、また、良好な町づくり、活力のある都市づくりというものが誘導しやすい条件をみんなで、我々も努力しながら考えて、お互いにやっていくべきである、そういうふうに考えております。
  549. 浦井洋

    浦井分科員 最後に、せっかく大蔵省来ていただいておるわけでありますから、国公用地の払い下げ、結局こういう手法が許されるならば、国や自治体が持っておる土地の間に今度は公団や公社を入れて、それで民間に払い下げられるわけで、公団や公社がていのいいトンネルになるわけですよね。だからそういう点で、まず建設省がこの点について、トンネルになることに一体どんな認識を持っておられるのかということと、大蔵省は、そんなことを許していたら民間のだれの手に渡るかわからぬ、あるいはどんなふうに利用されるかわからぬという危惧が当然おありだと思うのですが、そのことをお尋ねしたいのと、さらにけしからぬことには、今度はその公団、公社から民間に払い下げするときに、これは当然に会計法の原則によって入札制度をとらなければいかぬ。ところが随契になるわけでしょう、指名入札でさえもないわけでしょう、今度のやり方からいけば、この構想からいけば。そういう点について建設省と最後に大蔵省の意見を聞いて、私は終わりたいと思うのです。
  550. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 国有地の有効活用の進め方はいろいろな方式があろうと思っておりますが、良好な町づくりを円滑に進めるための一つの方式として、国有地等をまず住宅都市整備公団等の公的機関が取得し、地方公共団体とも十分協議して開発整備計画を定めまして基本的な基盤整備を行う、それを行った上で民間事業者に売却して、民間がその計画に沿って建築物を建設を行うという方式を現在検討中でございます。したがいまして、先生御指摘のように単なるトンネルとかそういうものではございません。  また、基盤整備しました土地の譲渡につきましても、これは現在検討中でございますが、計画どおりの良好な町づくりということが実現できるものを公正な方法で選定することを考えておりまして、その公正な方法の具体的なやり方についてただいま検討中の段階でございます。
  551. 川嶋烈

    ○川嶋説明員 お尋ねの公団、公社を経由してといいますか、活用して国有地を払い下げるというお話につきましては、ただいま建設省の方から答弁がありましたとおり、検討中ということでございまして、私どもとしましても今後検討していく課題認識しております。
  552. 浦井洋

    浦井分科員 終わります。
  553. 住栄作

    住主査 これにて浦井洋君の質疑は終了いたしました。  次に、富塚三夫君。
  554. 富塚三夫

    富塚分科員 お疲れのところ恐縮です。  最初に道路の問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、二月十九日の神奈川新聞の政経懇話会に沓掛建設省技監が出席をされまして講演をされました。紹介された内容は非常に注目に値する問題ですが、沓掛さんは、三つの問題に直面しているということの中で、一つは住宅の不足、交通渋滞、災害に対する脆弱な都市構造ということの問題をこれから建設省としても真剣に考えなければならないという立場で問題提起されました。  交通渋滞の原因は、放射状道路に比べて環状道路の整備が大幅におくれている。一つは高速道路のネットワークの整備、二つ目には環状道路の整備、三つ目には総合交通政策の確立という観点で言われています。  なるほど東京湾岸道路三百五十七号線は都心から横浜港まで事業化されまして整備されつつあります。また、東京外郭環状道路、東京湾岸道路の外側ですが、これも進められようとしている。この中で、首都圏の中央連絡道路、成田空港の付近から茨城、埼玉、東京、神奈川県を通っての約二百キロに及ぶ中央連絡道、この問題について具体的に提起をされています。川越の関越自動車道路付近より八王子の中央自動車道路付近まで約四十キロは昭和六十年度事業化の予定区間としたいと言われていますが、神奈川県内の計画は一体どんなぐあいになるのかについてお聞かせをいただきたいと思います。
  555. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御指摘のように、日本で一番おくれておりますものは、特に首都圏の場合は、環状道路の整備でございます。東名、中央道、関越道、東北道あるいは常磐道その他たくさんの放射状の道路ができましたが、それを受けますのは現在首都高速の道路だけでございまして、その適例が、関越を受けますのが現在ございません。谷原の交差点で非常に渋滞問題を起こしているのは事実でございます。したがいまして、外郭環状道路の整備、それも現在、具体的に申し上げますと埼玉県は非常に熱心でございまして、漸次用地買収も進み、一部一般道路としてもでき上がっております。それから、関越道路を受けます東京都の練馬区でございますが、これは今度都市計画決定をしまして、最終的には三郷まで外郭環状道路の整備に当たるという予定でございます。  御指摘の首都圏中央連絡道路はさらにその外側でございまして、大体半径四十ないし五十キロでございまして、延長が二百キロメートルでございます。  御案内だと思いますが、国道十六号線がその東京外郭環状線と首都圏中央連絡道路の間にございまして、首都圏中央連絡道路にほぼ近い位置でございます。これの埼玉県の区間が非常におくれておりまして、今度八王子バイパスができますけれども、それから先のところは非常に悪い状態でございます。しかも、外郭環状も先ほど説明しましたように、練馬以西といいますか、以南といいますか海側の方がいろいろ難しい問題がございまして、抜本的な構造の改善を考えませんと、現計画のままではなかなか難しかろう。したがいまして、要するに首都圏の放射状道路を受けるために、沓掛前局長、現技監が申しましたように、中央道の八王子付近から関越道の鶴ケ島の区間約四十キロの区間をまず第一に整備したい。これは正確に言いますと、一部道路公団の有料道路の区間であり、直轄もそれをお手伝いします。といいますのは、有料道路と申しますのは先生御案内のように、三十年間で償還しなければいけませんので、償還延長ぎりぎりまでが約三十キロでございまして、あと十キロは直轄国道で十六号のバイパスとしてやる。その次に必要なのはそれより神奈川寄りでございまして、とりあえずは今申し上げました中央道の八王子と関越道の鶴ケ島の間を昭和六十年度すなわち来年度から新規着工する予定でございます。  その次に必要なところはどこかといいますと、現在、栃木県その他茨城等々でいろいろな調査をしておりますが、まず優先順位からいいますと神奈川県内であろうと思います。これは御案内のように、東京湾岸道路から東名高速道路を経て中央道に至るルートがございますので、首都圏のルートをその次に整備したい。だから、まず第一番目は来年度から中央道の八王子と関越道の鶴ケ島を第一順位でやる。その次でありますが、それはすぐというわけにはまいりません。これは相当大きな道路でございますので、関係市町村、もちろん神奈川県さん初め地方自治体の皆様とも御相談申し上げて、ふさわしい道路をつくらなければいかぬわけでございます。それが第二位であろうと思います。  そのほかのところはほうっておくのかといいますと、必ずしもそうではございませんで、例えば宇都宮周辺とかその他いわゆる高速道路の周辺のあたりで熟度が熟したところは順位が順次上がっていくと思いますが、長い距離としましては、先ほど言いましたようにまず関越道と中央道の間、それからその次が恐らく神奈川県側であろう、さように考えております。
  556. 富塚三夫

    富塚分科員 この沿線には七百万から八百万の人が住んでおって、既に民間の開発業者が五千ヘクタール近い用地の買い占めをしているとも言われているわけですね。なかなか道路の建設が難しいということも十分承知をしていますけれども、来年から着工するという今御答弁ですが、いたずらに延びますとやはりこういった社会的な別な面の困難を来すということもあるので、その見通しのほどをきょうは言えないでしょうか。最終的にいつごろという完成のめどということは言えないでしょうか。
  557. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 何せことしからやるのでございまして、全延長四十キロメートルで、金額としまして三千二百億円、キロ当たり八十億円でございまして、もちろん自動車専用タイプの道路でございますけれども、これから都市計画決定を行い、かつ、都市計画決定で環境アセスメント等々をやりまして、さらに、都市計画決定が実施されてから用地買収に入り出す、そういうことでございますので、何年先にできるということはなかなか申し上げかねますが、少なくとも十年はかかる品物であろうかと予測しております。これは想定でございますが。
  558. 富塚三夫

    富塚分科員 継続的にぜひ促進をしていただきたいということを要望しておきます。  それから新湘南バイパスに関して、藤沢市の城南地区より途中県道伊勢原藤沢線、国道一号線と交差して将来西湘バイパス、大磯まで延伸をする道路が今つくられているわけですけれども、既に着工部分の八・四キロ、これが非常に完成がおくれております。ここでも沓掛さんが言っておられるのは、六十二年というふうに大変見通しがおくれているということなんですが、これをぜひ早めてもらうということについて御見解をいただきたいし、また、調査中とされます茅ケ崎市内の下町屋より大磯までの区間の今後の見通しは一体どうなっているのかについてひとつお尋ねをしたいと思います。
  559. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず新湘南バイパスの件でございますが、事実予定よりも大分おくれております。これは先生御案内だと思いますが、いろいろ団地等々のところで住民の御反対もございましたし、それの説得等々で用地買収上必ずしもスムーズにいかなかったという事例がございまして予定よりおくれております。本来は直轄で全部やる予定でございましたが、なるべく早く交通混雑の解消及び交通安全等々のために、途中から、昭和五十六年度から、一部区間を日本道路公団の一般有料道路としまして鋭意事業の達成に努めているところでございまして、現在は、この区間につきましては下部工を概成し、上部工にも着手しているところでございますが、大体六十年代の前半ぐらいになろうかと思います。六十二年になりますか、六十三年になりますか、わかりませんが、できるだけ早く終わらせたいと考えております。  それから、それの延伸でございますが、新湘南国道の終点下町屋から西湘バイパスまでの約六・五キロメートルの区間につきましては、やはり交通混雑の解消と交通安全の確保を図るためにバイパスの建設が必要であると考えておりまして、昭和五十六年度より調査を進めてきたところでございます。現在、バイパスのルートあるいは構造等々につきまして、地元の県それから市町村の方々と調整を行っているところでございますが、昭和六十年度内にはぜひ都市計画決定に持っていきまして、所要の手続を進めた上、さらに具体的な調査を実施してまいりたい、かように考えております。まず都市計画決定を先にさせていただきたいと思います。
  560. 富塚三夫

    富塚分科員 あとお願いしておきたいのは、その神奈川県計画にもあるのですが、橋梁の問題ですね。ぜひあの辺の西湘地帯の風景、風致を壊さないように、シンボル的な橋みたいなことを少し考えていただきたい。県の方でもあるいは地元の行政区の関係者も要請していますが、ぜひお願いをして、促進を急いでいただきたいというふうに思います。  それから厚木市の新しい交通システムでモノレール構想という問題がずっと実は議論されてきた経緯があるわけです。五十六年から五十八年の三年間、建設省都市局の所管で国庫補助の対象事業として調査をするということで、本厚木の駅を中心にいたしまして上依知あるいは上荻野、飯山、森の里、愛川など、建設省、神奈川県あるいは公社、公団、小田急電鉄などを中心に検討されまして、結局、採算性の問題でうまくいかないということになり、採算をとるには一キロ当たり一日一万人以上の利用者がないといけないということで、実は今挫折した形になっています。考えてみますと、今私たちは、地域交通ネットワーク論、先ほどの沓掛さんも指摘されましたこれからの総合交通政策という点で、割合縦の方はしっかりしていても横のつながりがうまくいっていないという点の見直しをする意味からモノレール問題を真剣に考えていきたいということで、特に厚木だけでは採算がとれないから、平塚を起点にして厚木、伊勢原、秦野、平塚、約六十キロに及ぶのですけれども、循環モノレールにすることになると——非常に住宅建設も伸びておりますし、今厚木全体をとってみるとバスの利用者が五二・八、マイカーが二五・四、タクシーが〇・二、七八・四%もが車ということでありまして、実は大変な交通渋滞なんです。したがって、その問題について、新しい地域交通ネットワーク論として厚木だけで検討してきた経過があるのですけれども、改めてこの問題について地元から問題提起をした際には、国の側として、建設省としても積極的に取り組んでいただきたいというふうに要請して、見解を求めておきたいのですが、いかがでしょうか。
  561. 梶原拓

    ○梶原政府委員 厚木市におきまして単独で都市モノレール調査を実施したわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、採算性の面でなかなか難しい問題があるということでございます。そこで、現段階では簡易誘導バス、現在西ドイツのエッセンあたりで実施しているようでございますが、そういう形でやったらどうかということでさらに厚木市におきまして単独で調査を継続しておるのが現況でございます。  先生が今おっしゃいましたように、さらに広域で都市モノレール等を導入したらどうかという御提案でございますが、そういった構想につきまして私ども今までまだ勉強いたしておりません。交通の需要がどうか、あるいは採算に合うのか、いずれの計画も大変難しい問題がございます。しかしながら、また新しい御提案でございますので、私ども地元からそういう構想につきまして相談が出てまいりましたら勉強させていただきたいと思っております。
  562. 富塚三夫

    富塚分科員 結局一つの地域間でとらえていくということをどう考えるかという時代になっていると思うのですね。例えば新幹線相模駅を平塚付近につくる、国鉄の問題を私もやっておりますけれども、駅をつくるといっても今再建途上にある国鉄は、国あるいは国鉄が金を出すわけにはいかない。民間が金を出すなら駅をつくってやるという問題もあります。しかし、実際には私はこれからは都市間の通勤新幹線問題が大きなポイントの一つになるだろうと思っている一人ですが、結局そういった地域交通機関をどうつくっていくかというかかわり合いは、今皆さんの道路の問題で環状道路を大事にしたいということとのかかわり合いを含めて十分御検討していただきたい。これは要請をしておきたいと思います。  それから、時間の関係がありますので簡単に申しますが、厚木市内を現在通過している国道二百四十六号と同百二十九号線の併用区間がありまして、交通量が非常に多くて市街地の往来が不便になっている。結局インターの方面に行くような通過車両を区分してもらうために高架道路をつくってほしいという問題もあります。それから二百四十六号線から西側、水引地区なんですが、非常に道路が悪いのですが、戦後、農地改革以来国有地になったままで全然払い下げられていないという問題があります。また、相模川の橋梁の問題も早く結論を出していただきたいという地元の要請もありますが、特にこの厚木市内の交通問題を解決するために、高架道路の建設、あるいは国有地の払い下げ問題も少し調べていただきまして、積極的に対応して交通渋滞解消に資していただきたいと思いますが、その点についてお尋ねいたします。
  563. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 神奈川県の厚木市を中心といたします地域の一般国道二百四十六号線について一般的に申し上げますと、まず大和市上草柳から厚木市の金田までの間が延長約七・ニキロ、これは四車線で交通量が一日に六万二千台でございます。それから厚木市金田から同市船子までの区間、先生御指摘の百二十九号との重用区間でございますが、この区間の延長が約三・七キロ、これは現在六車線ででき上がっております。交通量が約六万八千台パーデーでございます。それから厚木市船子から秦野市までの間は、延長が約十九キロございまして、この区間が二車線で交通量が約二万六千台パーデーでございます。  一般国道二百四十六号と百二十九号との重用区間約三・七キロメートルは、御案内だと思いますが、国道百二十九号と四百十二号からの交通が流入しておりますことから、今申し上げましたように現在二百四十六号としては最大の幅の六車線で整備しているわけでございます。しかもその整備が完了したところでございます。また百二十九号との交差点、これは旧道の二百四十六号、現道では一般県道上粕屋厚木線という名前になっておりますが、それとの交差点を立体交差で整備しているのが現状でございます。  御指摘の国道百二十九号との重用区間は、沿道の市街化が非常に著しゅうございますので、現道拡幅を行ってから全面的に高架道路を設置するような対応でなければ、環境対策上等々非常に難しいと思います。したがいまして、当該地区における当面の交通処理対策としまして、中村前交差点改良事業を昭和六十年一月に完成したところでございますが、一般国道四百十二号との交差点の改良整備につきましても、関係機関と調整を図りつつ検討してまいりたいと考えております。  なお、抜本的な対策としましては、国道二百四十六号線の厚木市から秦野市間のバイパスの調査を実施しておりまして、今後この調査の促進を図っていくとともに、あわせて広域的な幹線道路網整備について検討を進めてまいりたいと現在考えている次第でございます。
  564. 富塚三夫

    富塚分科員 地元でもいろいろな角度から議論して、今問題点を申し上げましたので、建設省としてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと御要請をしておきます。  建設大臣にお尋ねしたいのですが、中国残留孤児身元不明の方が永住帰国手続に合意をされて、肉親未判明の孤児も祖国に永住することができる里帰り制度ができた。いわば大量帰国時代の到来ということで大いなる話題を呼んでいるわけですけれども、埼玉県の所沢の中国残留孤児定着促進センターには百五十世帯二百五十人くらい入っている。四カ月間くらい日本語を中心に勉強して、それぞれ日本内の故郷に向かう選択をしている。ところが、このセンターは満員で、全国的にセンターを増設してブロックごとにつくったらどうか、都道府県も協力したらどうかということが大変大きな声になって出ているわけです。私の選挙区の小田原でも、日中友好協会を中心に何人かの孤児の人たちの定住権をめぐって議論しているのです。今、市議会でも議論しておりますけれども、こういう住宅問題についてひとつ積極的に建設省は取り組んでいただくべきだと思うのです。もちろん教育、就職、結婚など一元的な対応という行政の問題もありますけれども地方自治体が具体的な計画を進めたら国の補助を考えていただけるのかどうか、そういう問題についてひとつお答えいただきます。簡単にお願いします。
  565. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 中国残留孤児の皆さんの永住帰国に当たりましては、公営住宅を最優先にいたしまして受け入れを行っておる。今お話のありましたようにいろいろな条件が大事でしょうけれども、その中においてもやはり住まう部分というのは一番大事でございますから、これからも、今申し上げますように公営住宅へ受け入れる、こういうことを最優先にして推進してまいりたい、こう考えております。
  566. 富塚三夫

    富塚分科員 やはり後手、後手を踏むのではなくて、先手、先手を打って国が考えていくという、まして中国の残留孤児問題は日本の側もそれなりに責任を負わなければならぬ、センセーションを巻き起こしているわけですから、ぜひひとつそういう点で積極的な努力をしていただきたいという要望をいたしておきます。  最後に、住宅の行政のことでお尋ねをしたいのですが、業者の不誠意な行為で消費者が泣き寝入りしているという問題について、実は厚木市におります山崎和子さんという人がダイネスマンション厚木というものを買い入れました。これは五洋建設が建設をいたしまして大年興業という株式会社が売買をした。ところが、雨漏りなどで大変ひどい状態になりまして、再三話し合いをした中で、ぜひこれは買い戻したいという話で、五洋建設とこれを売った大年との間に念書がありまして、山崎和子さんあてに金二千二百六十五万円を払います、こういう証拠があるのです。  ところが、その金を払うのは五洋建設会社の下請である共栄冷機工業会社、つまり実際に給排関係の設備に欠陥があったということからそういうふうになって、文書があるのですけれども、告発するかしないかいろいろな議論をして、私も五洋建設の関係の弁護士や関係者のお偉い方に会ったのですが、こんな文書というのは業界ではたびたび出たり入ったりしているのだ、こういう話を聞いて、そんなに住宅行政というのはいいかげんなものかなと私も実はびっくりしたのです、責任ある弁護士さんもそういうふうに言ったものですから。これは、本人山崎和子さんは、今泣き寝入りをしているという状況なので、ぜひ建設省としても適切な措置をしていただきたいということについて、時間の関係がありますので、その点について御質問をいたします。
  567. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 一般にマンションの購入に際してのトラブル、いろいろ複雑多岐になっておりますが、苦情の申し立てがありました場合には事情を聴取して、法律違反の事実があれば、厳正に業者を指導しているところでございます。  御指摘の点につきましてはまだ具体的な事実関係十分承知しておりませんので、売り主たる大年興業でございましょうか、免許権者が東京都でございますので、まず東京都に事実関係を調査させたいと思っております。その結果によりまして、また必要な措置なりを講じてまいることにしたいと思います。
  568. 富塚三夫

    富塚分科員 大変庶民を泣かせるようなそういった業者、売買あるいは建設業者との間にそういう不信感があって庶民が泣き寝入りしているなんという状況は許されないので、ぜひ建設省が責任を持って本問題の解決に当たっていただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  569. 住栄作

    住主査 これにて富塚三夫君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷昭雄君。
  570. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 主査を初め分科員の皆さん方、そして大臣を初め建設省の皆さん方、大変御苦労さんでございます。私が一番最後になったようで、よろしくお願いしたいと思います。  実は、労働省の皆さん方をお呼びするのを私の方でどうも忘れておったようで、順序が逆になりますが、地元の問題から入らせていただきたいと思っております。  私は、秋田の、しかも山形寄りというところが地元でございます。秋田の県南部といいますが南の方と、山形の北の方、ここは現在鉄道のあのような過疎化と合理化、こういうことに挟まれまして、袋小路に追い込まれておるという地域でございます。そういう観点から、裏日本の秋田、山形の両県のような地域の過疎化にどう歯どめをかけるかという点が具体的な我々の問題になっておるわけでありまして、言うなれば高速交通体系のネットワークの中にこれらの地域を包み込むことができないのかどうかという問題が超党派で現在議論されておるわけであります。  そこで、端的にお願いしたいと思いますが、まず東北自動車道、これが現在ほとんど全線開通というところでございますけれども、これに伴うところの横手−秋田間、将来の計画によりますと北上に至りまして、これは秋田横断自動車道ということになるようでございます。この計画路線というものを今言いましたような地域の過疎化という点から変更できないのかどうか。これは、現在予定路線が秋田と横手間でございますが、横手から北上に向けないで、それを延長しながら湯沢、雄勝町、こちらの方に変更できないのかどうか、これが第一点でございます。  第二点は、もしそれが不可能だとすれば、国道十二号線というのが背骨の線としてありますけれども、この国道十三号線というものの四車線化、これを早急に実現をしなければならぬ。少なくとも横手までの東北横断自動車道の完成と同時に、山形までの十三号線が四車線化できるというめどがつくように、これをやらなければこの地域が取り残されてしまうのではないかという問題がございますので、補完的な意味で四車線計画を促進しなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。これが第二点でございますが、この点のめどをお知らせ願いたい。  その際に、現在問題になっておりますいろいろなバイパスの問題がございます。例えば刈和野バイパス、それから大曲バイパス、横手南バイパス、湯沢バイパスという四つのバ牛パス計画、これが実施に移されようとしているわけでありますが、なかなか現在の予算ではほど遠いものがございます。これらについての促進と、もう一つは具体的な問題でありますが、今後の計画の中で刈和野バイパスと大曲バイパスの間に神宮寺バイパスという、バイパスをつなぐ計画があるかどうか、これが十三号線に絡んでの第二点の問題でございます。  第三点は、湯沢ないしは山形に通ずる新庄の地区でございますが、この地域の活性化といいますか、高速ネットワークをつくるためには、百八号線ないしは国道四十七号線の高速化というのがどうしても必要なわけであります。この百八号線のなかなか進まない改修計画、これには地域が非常にいら立ちを覚えておるという状況でございますので、これの促進を図っていただきたい。そのめどと、そして四十七号線と連結をするわけでありますが、古川までのこの改修の見通し、これが第三点でございます。  第四点は、日本海の縦貫自動車道の計画、これは現在はまだありません。北陸自動車道というものを新潟まで現在計画実施しておるわけでありますが、これを延長しまして、新潟から酒田、秋田、青森という海岸部を縦貫する日本海縦貫自動車道という計画をどうしてもつくっていただきたいということがこれは山形、秋田、青森を通ずる地域住民の要望でございますが、この点について、将来計画としてどういう計画を持っておられるのか、これが第四点でございます。  こういう個々の問題について最初にお伺い申し上げたいと思います。
  571. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 大変たくさんの御要望でございますので、簡単に申し上げます。  まず、東北横断自動車道秋田線の横手−北上間のルート変更はできないか。結論から申し上げますと、これはルート変更は困難でございます。  東北横断自動車道秋田線につきましては、国土開発幹線自動車道建設法によりまして、北上市を起点とし、横手市を主たる経過地といたしまして、秋田市を終点とする予定路線が定められております。北上−横手間につきましては、昭和四十八年に基本計画策定され、さらに、和賀−湯田間を除く二十九キロメートルにつきましては、昭和五十七年に整備計画策定されております。こういう状態でございますので、したがって、先生の御要望は非常に難しい、難しいというよりも、できないとお考えくださる方が正しいと思います。  それから、一般国道十三号の新庄−横手間の整備はどうなっているんだという問題でございますが、この十三号の四車線化の問題は、いろいろな知事さんからも聞いておりまして、鋭意努力しているところでございます。  まず、秋田県のみに絞って申し上げますと、この一般国道十二号線の秋田県の整備方針でございますが、従前より交通状況等を勘案しまして、市街地におけるバイパス整備等の事業を中心に進めてきたことは御案内のとおりだと思います。新庄市から横手市間におきましては、新庄バイパス、延長八・三キロ、横手バイパス、延長二・七キロ等の四バイパスにつきまして、暫定二車線及び四車線で整備を完了しているほか、横手南バイパス、延長八・六キロでございますが、これは昭和五十九年度より事業化しまして、現在、用地の買収に着手するための準備を進めているところでございます。  また、湯沢市内の交通混雑に対処するため、湯沢バイパス、延長九キロでございますが、これについては、現在、路線調査及び事業調査等を実施しているところでございまして、早期に事業に着手できるよう一生懸命努力をいたしております。  その他の区間につきましても、地域開発の動向、交通状況の推移等を勘案いたしまして、漸次整備を進めていくよう検討してまいりたいと思っております、おくれていることは十分承知しておりますので。  それから、百八号の鬼首道路の事業の見通しでございますが、当事業は、一般国道百八号の宮城、秋田県境付近の鬼首峠を含む延長十三・七キロの改築事業でございまして、特に冬季交通の確保を主目的として計画されております大規模な峠越えのトンネル、いわゆる鬼首トンネル、延長三千五百十メーター及び橋梁等重要構造物が多数ある区間でございまして、五十四年度より建設省の直轄事業として事業に着手しております。  現在、宮城県側及び秋田県側におきまして、工事用進入路の整備及び本線のトンネル、橋梁等の構造物の整備を鋭意進めているところでございます。今後、峠越えの長大トンネルに早期に着手できるよう、宮城、秋田両県側より引き続き事業を促進してまいりたい、かように考えております。  それから、最後の御質問日本海沿岸縦貫自動車道の建設の見通しいかんということでございますが、御案内のように、昭和五十二年十一月に閣議決定されました第三次全国総合開発計画では、全国的な幹線交通体系の長期構想といたしまして、既定の国土開発幹線自動車道を含め、おおむね一万キロメートル余で形成される高規格幹線道路網が提唱されております。  建設省におきましては、高規格幹線道路網について、第九次道路整備五カ年計画内で計画策定することとしておりまして、現在、基本的な調査を実施しているところであります。さらに今後、その路線、整備手法等に関する調査を推進することとしております。  日本海沿岸縦貫自動車道の構想につきましては、日本海沿岸地域幹線道路網整備の実情等を十分勘案しながら、この調査の中で検討してまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  572. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 大変多くの問題を並べましたのでびっくりされたと思うのですが、大臣、こういうふうに秋田とか山形という過疎地は深刻な問題を持っておるわけであります。やはり道路がよくなければ地域と孤立してしまうという問題もございまして、秋田県の場合は人口の減少にどう歯どめをかけるか、この一つの手段として高速交通体系というのが極めて他の地域よりもクローズアップされて重要視されているという実情を十分御理解願いたい、こういうように思うわけであります。  したがいまして、この道路問題につきましては、現在財政が大変厳しいという折ではありますが、やはり社会資本でございますので、全国並みにということではなくて、道路計画を立てる場合でもこういう地域にどうか重点的に配分をしていただきたい、このことを特にお願いをしたいと思うわけでございます。こういうことも含めまして、次の問題も含めまして、大臣から最後に所見をお願いをしたいというふうに思っております。  第二の問題は、実はこれは私自身もう五十五年の国会からずっと引き続いて言っておることでございまして、建設省もまたかというふうにお考えだと思うのですが、実は建設業関係の附属寄宿舎規程というのがございます。これの所管は労働省でございまして、建設省ではございません。そのことを重々承知しまして、この分科会にこのことを持ち込んでおるということについて御理解を願いたいと思うのです。  まず、昨年の労働省の調査によりますと、いわゆる飯場と言われております建設業の附属寄宿舎の規程に基づいたもの、それから規程に違反したもの、これの調査をしたものがございます。これを見ますと、昭和五十一年は違反率が四七・八%、五十二年がうんとふえまして六七・六%、そして昭和五十七年が五四・九%、このようになっておるわけであります。これは労働省の調査でございます。半分以上が違反寄宿舎だということなんですね。  そこで、昭和五十五年の予算分科会から私は取り上げて改善要望してまいりましたが、現在、この寄宿舎規程の主管監督官庁は、先ほど言いましたように労働省でございます。労働省にも再三再四は要望はしておりますけれども、現状はこのような状況です。なぜこういうふうに改善が遅々として進まないのか、その理由をまず最初に主管庁であります労働省からお聞きしたい、こういうふうに思います。
  573. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 最初の問題につきまして、私から申し上げさしていただきます。  今先生御指摘のように、山岳部であるとか、過疎地帯であるとか、また豪雪地帯というようなものの輸送の手段というものがほとんど道路に依存しておることは、もう御指摘のとおりであります。  同時にまた、生活ないしは生産基盤も道路が支えておるというのが実態でございまして、過疎法とか山村振興の法律もあるわけでございますし、そうした伝統を私どももよく理解しながら、そういう法の精神にものっとって、住民の皆さん方が輸送に頼っている部門の根幹を担っていけるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  574. 菊地好司

    ○菊地説明員 寄宿舎の違反率がなかなか改まらないという点でございますが、建設業といいましても多種多様でして、中小零細業者もおりますし、それから飯場単位で寄宿舎が設けられるということがございまして、なかなか寄宿舎に力が入らない、入れにくいというような事情等があるのだというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、全力を尽くして違反率の減少に努めてまいりたいと考えております。
  575. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、ここ十五年間、毎年冬、出稼ぎの現場それから寄宿舎、これを訪ねて歩いております。一年間に大体五十カ所程度歩いてみまして感ずることは、労働省の所管でありますけれども、労働省の労働基準監督官があのように少ない。一人で事業所を大体四千か五千カ所持っているのです。それじゃもう絶対に不可能なんですよ。したがって、私は、これは労働省だけでやるということはもう絶対不可能だというふうに見ているわけです。ですから、建設省の皆さん方に何か補完的なお手伝いをしていただきたい、この工夫をしていただきたいということで、毎回この分科会に出しているわけです。  仮設建築物でありますので、これは建築確認等どこにもチェックされないわけです。仕事が終わりまして三カ月以上必要であれば初めて届ける、そして二年間だけは仮設建設物としてそこにあることが認められるということなんですが、我々が回ってみますと、この仮設建設物がむしろ半恒久的に、十年もそこへ建っているというのが多いわけです。それが現実なんですよ。  したがって私が提案したいと思いますのは、少なくとも建築基準法に準じた届け出制にしてもらう。仮設建築物をつくる場合でありましても、これが物置じゃなくて寄宿舎だという場合、そこへ人間を泊めておるという場合には、届け出制にしてもらう。そしてまず第一に火災の危険が一番多いわけですから、消防署、それから衛生面で保健所、これには必ず連絡をしてもらう、そこだけのチェックは確実にしてもらうということが、労働省所管であります建設業附属寄宿舎規程そのもののこれは補完的な意味で絶対必要な面しゃないか、こういうように思うわけであります。  と申しますのは、ここに泊まっておる大方というのは、私の県でいいますと農業をやっておる人方、十一月の初めに出てきまして、四月の半ばまでそこで家族と別れて暮らしておる農民でございます。しかも、これは建設省は調査をしたことがないと言われておりますけれども、建設省でさえもこういう人が七万人ぐらいおるんじゃないか、こういうように言われておるのです。これほどたくさんの皆さん方が寝泊まりをしておるところであります。しかも、日本の労働者の中では最も下積みの皆さん方であります。私は、こういう人力の努力があって初めて日本の建設業なりそういった業界がやはり支えられておる、ひいては日本の経済復興に大きな力をいたした、こういうように思うのですよ。ところが、この大方の安全な宿舎そして快適な宿舎にはほど遠い現状、これを労働省だけに監督させていいものかどうか。私は、ぜひ建設大臣が勇断を持って、温かい目で、いわゆる建築基準法に準じた住宅なりそういうことに行政指導でこれを補完していただきたい、このことが私の趣旨でございます。  これについて建設省がどういうふうに考えられておるか。元請・下請関係合理化指導要綱というのがございます。これは建設省の所管でございます。この要綱の中に具体的にこの問題を盛り込むということでかなりできるのじゃないか、このことを昨年も提案いたしました。このことも踏んまえてひとつ当局からお考えを述べていただきたいし、大臣からも最後に温かいこれに対する考え方をお知らせ願いたい、こう思います。  まず最初に当局、大臣は一番最後で結構です。
  576. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 私ども住宅局といたしまして、建築基準法の面からのお答えをさせていただきたいと思います。  これは先生もう十分御承知なので、申し上げるのもちょっと気が引けるわけでございますけれども、要するにこういった飯場というものは臨時の仮設物だということでございまして、工事期間中に一応限るのだということ、そして形態的にも非常に軽易な構造であるということで、建築基準法の一部該当する条文もございますが、規制の大部分を排除しておるという状態でございます。そういうことで、結局、基準法の適用がないのだということになっておるわけでございます。  そこで、確かにこれについて、もちろん防火とか安全とか避難とかいろんな問題がございましょうけれども、これについても先生御存じのように、寄宿舎規程の方では、仮設物でない一般の建築物よりもむしろ厳しい規程を設けておられるわけでございまして、そういう状態のもとで、私どもの方でその規程の違反について何かお手伝いをということになりますと、法体系の違いと申しますか、立場の違いということで、要するに建築基準法を守るべき人間がこの問題について入っていくということになかなか問題があるのじゃないかというふうに考えるのと同時に、私どもの建築確認をやっている特定行政庁の職員も、年間百万件というような確認を抱えてこれも多忙をきわめているわけでございますが、ただ、先生御承知のように、建築基準法の違反がはっきりしている場合は、はっきり私ども取り締まりの対象にいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  577. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 建設省の言い分というのはそれなりに理解はできます。建築主事も極めて少ない、その上にこういう届け出制とか余計なものが入ってくるということには対応できない、そのことはわかるのですよ。  それならば具体的に言うと、普通の一軒の家であれば、そこには三人とか四人とかその程度の家族しかおりません。ところが、仮設飯場には一度に五十人も六十人もそこに寝泊まりしているという問題があるのです。しかも、大阪の柳井建設のような、あの火災によって一度に十二人も死ぬ。焼け死ぬなんというのは今はないのですね。ほとんどガスです。窒息死なんです。一たんあの寒いところで酒を飲んで寝込んじゃったら、後は終わりなんですよ。そこには非常口もなければ非常ベルもない、こういう状態が現在放置されておる。したがって、これは建設省が悪いとか労働省が悪いとかそんなことを私は言っておるのではなくて、そこに住んでいる人力の安全、衛生、そして故郷を離れて住んでいる人力でありますので、少なくとも安眠できる、そういう状況、住居、これを何とかして行政官庁で温かい目でみんなでつくってやろうじゃないか、このことなんですよ。規則そのものだったらいろいろなことを考えていいと思うのですよ。  そこで、きょうは総務庁に来ていただいておりますので、総務庁にひとつこの問題を考えていただきたい。労働省の所管でありますけれども、残念ながら労働省の監督官はさっき言ったような状況、建設省に言いますと、建設省では建築主事がこういうふうに少ない。一体全体そこに住んでおる人力はこういう違反の状況の中で放置されていいのかどうか。総務庁はすべからく速やかにこういう実態を調査をする、いわゆる職権によって行政監察をする必要があるのじゃないか。そうして勧告をする。そこに住んでおる人力の安全、これが著しく危険と隣り合わせておるという実態からしまして、これは総務庁の出番じゃないかと私は思うのですよ。その点で、総務庁のお考えをお聞かせ願いたいと思いますし、行政監察をすべきだ、私はそのように要望をいたしたいと思うわけでありますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。  そして最後に、これは総じましてこのようなところに住んでおられるたくさんの建設労働者、この人力に対して大臣はどのようなお考えを持っておられるのか、これを大臣から所見を承りたい、こう思います。
  578. 長野文昭

    ○長野説明員 お答えいたします。  総務庁行政監察局といたしましては、先生御指摘の点につきまして、関係省庁の対応状況を今後十分見守りまして、その上で、今後監察テーマとして取り上げるかどうか十分検討させていただきたいと考えております。
  579. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私、もうかれこれ十年ぐらい前になりますけれども、サウジアラビアで石油の製油所をつくっている工事現場へ実は参りまして、そして宿舎へ一番先に寄らしてもらったわけです。あそこは、御承知のとおり戒律によって酒が禁止をされておる、非常にやかましい、成文憲法が今もない国の一つであります。あれを見てみまして、青春を犠牲にしてあの暑い中で一生懸命努力している青年がおる、そういうことがやはり油の安定供給につながっておる、実はしみじみとそうした感に打たれたわけであります。  先ほど来、いろいろ建設工事現場の問題につきまして御指摘がありましたが、私は、これは法律でどうこうということでなくて、良質な労働力を確保するとか、また、福祉の側面で見てまいりましても、そういう点をできる限り改善をしてあげて、そして一遍にはできなくとも、快適なとまでもいかなくとも、とにかくナショナルミニマムというような物の考え方というものは、法律や何かじゃなくて、維持しなくちゃならぬ、これは当然のことではないか、私はそういうふうに実は基本的に考えておるわけでございます。  建設省といたしましても、今までも恐らく働く人の安全とかそういう問題については非常にやかましく指導しておるというふうに思っておるわけです。したがって、こうした宿舎の問題とか工事現場の問題とかという問題等につきましても、元請や下請の皆さん方に対してできる限りの、私が今申し上げますようにナショナルミニマムというような、少なくもそういう考え方でこれからいい環境を生み出すことによって、皆さんに安全なしかも効率的な仕事ができる、そういうふうな環境づくりをしていくべきである、そう考えております。したがって、建設省といたしまして、今申し上げますように法でどうのこうのということよりも、元請やそういう下請の関係の皆さん方にもそうした点を御理解いただいて、みんなが一緒になって協力し合ってそういう理想に向かって努力をする、そういう方向に御協力をお願いしたいものだ、そう心から願っております。
  580. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 大臣の温かい、これからのそういった面での行政を目指すというお言葉を聞きまして、大変心強く思っております。これはどこの役所が主だということじゃなくて、やはり今お話がありましたとおり、各省、各官庁ともみんな力を合わせましてそういう底辺の皆さん方に光を当てるような、そういう御協力を切にお願い申し上げたいと思います。  大変遅くなりまして申しわけございませんでした。大変御苦労さまでございます。
  581. 住栄作

    住主査 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前九時より開会することとし、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十九分散会