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1985-03-07 第102回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十年二月二十六日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       小渕 恵三君    中島  衛君       原田昇左右君    松浦 利尚君       近江巳記夫君 二月二十六日  小渕恵三君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和六十年三月七日(木曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 小渕 恵三君       北口  博君    原田昇左右君       奥野 一雄君    松浦 利尚君       近江巳記夫君    草野  威君       斉藤  節君    兼務 上野 建一君 兼務 上原 康助君    兼務 佐藤  誼君 兼務 田中 恒利君    兼務 竹内  猛君 兼務 辻  一彦君    兼務 矢山 有作君 兼務 安田 修三君    兼務 渡部 行雄君 兼務 長田 武士君    兼務 木内 良明君 兼務 草川 昭三君    兼務 吉浦 忠治君 兼務 滝沢 幸助君    兼務 中野 寛成君 兼務 米沢  隆君    兼務 小沢 和秋君 兼務 野間 友一君    兼務 藤木 洋子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省運輸政策         局長      山本  長君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局次長     熊代  健君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         運輸省航空局長 西村 康雄君         気象庁長官   末廣 重二君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   安藤 忠夫君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      浜田 康敬君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 白兼 保彦君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         気象庁総務部長 新谷 智人君         気象庁予報部長         期予報課長   朝倉  正君         労働省職業安定         局業務指導課長 鹿野  茂君         建設省建設経済         局事業調整官  松延 正義君         建設省都市局都         市交通調査室長 荒木 英昭君         建設省道路局有         料道路課長   駒田 敬一君         建設省国土地理         院地殻調査部長 春山  仁君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     岩崎 雄一君         日本国有鉄道職         員局長     長谷川 忍君         日本国有鉄道旅         客局長     澄田 信義君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  秋富 公正君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   中島  衛君     原田  憲君 同日  辞任         補欠選任   原田  憲君     北口  博君 同月七日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     奥野 一雄君   近江巳記夫君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   奥野 一雄君     中村 正男君   柴田  弘君     草野  威君 同日  辞任         補欠選任   中村 正男君     加藤 万吉君   草野  威君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     奥野 一雄君   市川 雄一君     鈴切 康雄君 同日  辞任         補欠選任   奥野 一雄君     松浦 利尚君   鈴切 康雄君     斉藤  節君 同日  辞任         補欠選任   斉藤  節君     近江巳記夫君 同日  第一分科員上原康助君、安田修三君、渡部行雄  君、木内良明君、第二分科員藤木洋子君、第四  分科員上野建一君、田中恒利君、米沢隆君、第  五分科員矢山有作君、中野寛成君、第六分科員  竹内猛君、辻一彦君、長田武士君、草川昭三君  、吉浦忠治君、小沢和秋君、野間友一君、第八  分科員佐藤誼君及び滝沢幸助君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省所管事項説明は、両省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算運輸省所管について政府から説明を聴取いたします。山下運輸大臣
  3. 山下徳夫

    山下国務大臣 昭和六十年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、四十二億九千百二十六万五千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百六十六億五百九十三万四千円を含め一兆四千一億二千三十八万七千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で四・六パーセントの減少になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆六千八百五十八億七百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千六百二十四億一千百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百八十四億九千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千六百三十八億二千三百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和六十年度財政投融資計画中には、当省関係公社公団等分として一兆七千三百八億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして以下の事項重点施策推進を図ることといたしております。  まず第一に、日本国有鉄道事業再建推進することといたしております。  国鉄再建につきましては、五十七年九月の閣議決定及び昨年八月の日本国有鉄道再建監理委員会緊急提言等趣旨を踏まえ、引き続き、職場規律の確立、新規採用原則停止設備投資の抑制、地方交通線整理促進等緊急対策推進に努めているところであります。  六十年度におきましては、予算人員三万人の縮減を初め、工事規模の大幅な圧縮等経費の節減に一層の努力を傾注するとともに、所要の運賃等の改定による増収額一千五十億円を見込み、総額六千二十五億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等整備を促進し、国民生活安定向上を図るため、港湾海岸及び空港の各部門について、五カ年計画に基づいて、それぞれの事業計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。  また、鉄道につきましては、都市高速鉄道整備等推進することとし、整備新幹線につきましては、北陸及び東北新幹線の建設に着手することとしておりますが、着手に当たっては、国及び地域負担等事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会答申との関連等について調整を進め、その結論をまってこれを行うこととしております。  第三に、外航海運対策といたしまして、貿易物資安定輸送確保するため、財政資金により、近代化船への代替建造を中心とする外航船舶整備を促進することといたしております。  また、観光対策といたしまして、海外観光宣伝事業等推進するとともに、国民観光レクリエーション活動のための施設整備していくことといたしております。  第四に、経営改善に努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体協力して助成を行い、国民日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第五に、国際貨物の流動の変化に対する総合的な対応策検討するとともに、物流拠点における貨物流通施設整備を促進するなど貨物流通対策推進を図ることといたしております。  第六に、造船対策といたしまして、造船業経営安定化のため、船舶輸出確保を図るほか、過剰施設の処理に関する助成を行うことといたしております。  また、船員対策といたしまして、船員雇用対策及び船員教育体制整備推進することといたしております。  第七に、北西太平洋海域等における船舶航行安全体制を確立するとともに、広大な海域における我が国の権益を確保する等のため、巡視船艇及び航空機の整備推進するとともに、海洋情報システム整備を進めるほか、海洋調査充実強化を図るため中型測量船建造等を行うことといたしております。  第八に、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星業務を引き続き推進し、また、海洋気象観測船建造を行う等気象観測予報体制充実を図るとともに、地震、津波、火山対策等防災対策強化を図ることといたしております。  第九に、安全、環境保全対策といたしましては、交通安全対策空港周辺対策等充実を図ることといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和六十年度運輸省予算説明」及び「昭和六十年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和六十年度の運輸省関係予算について説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 小渕恵三

    小渕主査 以上をもちまして、運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 小渕恵三

    小渕主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  6. 安田修三

    安田分科員 それでは、国鉄当局にまず第一点からお尋ねいたしたいと思います。  地方交通線の問題でありますが、富山県の富山港線氷見線、城端線、この三線につきまして、国鉄当局の一月のこれからの運営あるいは再建という問題と絡みまして、将来、別会社方式にしたらどうかというような素案が発表されておりますが、既に神岡線は第三セクターに移されて運営されることになりまして、昨年から発足しております。  まず、こういう、今営業係数としては悪いですが、数字の方は皆さんが御専門でありますから申し上げる必要もございませんが、今日なおかつ地方交通線としてはかなりの成績を上げているこの三線につきまして、皆さん方がそういう考えを持たれたことにつきましてお考えをお聞きしたいと思います。
  7. 岩崎雄一

    岩崎説明員 現在、再建法に基づきまして、特定地交線対策、今先生おっしゃいましたように、富山県では神岡線転換をいたしておりますが、こういう方式によりまして転換対象となりますキロ数は、大体三千キロぐらいでございまして、まだ地方交通線といたしましては約七千キロぐらいが存続することになりまして、こういうものに対する収支改善というのは、国鉄にとっては非常に大きな課題になっておるわけでございます。  もちろん廃止線区ではございませんので、国鉄運営しながら各般の収支改善施策を講じていくということでございますが、今のままでは効率化もなかなか進めにくい、限界にあるというのが実情でございまして、そういう現状にかんがみまして、先般発表いたしました、監理委員会に御説明をいたしました基本方策では、新たな観点からの施策ということで国鉄出資会社を設立いたしまして、それにこの地交線運営を行わせる形で経営分離を行い、国鉄が別の形で責任を負いながら経営を徹底的に地域融合化することによって収支改善効果を上げたい、こういうように考えておるわけでございます。つまり、国鉄運営責任を持ちつつ収支改善のための一つ方策として行う、こういうことを考えておるわけでございまして、決してこれにより地交線を切り捨てるというようなものではないことをひとつ御理解をいただきたいと思います。  御指摘の三線につきましては、基準期間輸送密度で見まして四千人は上回っておりますが、今のところはこの基本方策に基づく考え方によりまして別会社化対象線区として検討しておる、こういうことでございます。
  8. 安田修三

    安田分科員 皆さん出資による別会社でできるものが、国鉄でできないという理屈はどこにあるのでしょう。
  9. 岩崎雄一

    岩崎説明員 地交線について現在我々がやっておりますことは、御承知のように、特別運賃を設定し、収入増加を図る一方で、無人化を初めとした効率化施策を進め、全体として収支改善を図ろうということでやっておるわけでございますが、今のように幹線と一体的に運営しておるという状況の中では、そういう改善施策にもおのずから限界があるということで、既に御承知のような三陸鉄道を初めとした第三セクターが発足をし、かなりの実績をおさめておりますが、こういう地域密着型、経営地場化といいますか、地域に密着した運営を行う、運賃についてもあるいは賃金についても地域密着型にすることによって経営改善がさらに前進することができる、このように判断をしておるわけでございます。
  10. 安田修三

    安田分科員 そこで、国鉄再建に絡むその種の営業形態なり、そういうものを私はこの席で問おうとは思っておりません、これはまた観点がちょっと大きくて別でありますので。問題は、例えば富山港線の場合に、これはもともと民営であったものが戦時中合併されて、さらに国鉄に吸収合併されていったという経過があります。それから氷見線の場合は、これは今では既にこういう別会社化という話まで出ましたので、将来性という問題については消えてまいりましたが、もともとは能登につなぐという重要な路線区でありましたし、城端の方は、これまた富山県の奥深く穀倉地帯を走っている路線であるということで、地域性としては、それぞれ工業地帯を走り、あるいはまた海岸線の魚のとれる地帯を走り、あるいは穀倉地帯を走るという非常に重要な線区であります。  それだけに、今運賃問題等出ましたが、例えば富山港線の場合に、今度の運賃の値上げで学生割引の料金が終点まで二五%アップという、まさに非常に大きなアップになっていくわけでありまして、こういうことがおいおい地域格差運賃ということで広がりますれば、なおかつ国鉄利用者が少なくなっていくという、その地帯地域的な、例えばここもかつてはかなり工業地帯でありましたが、今日では衰退してきて利用率も下がってきた、しかし、将来そういうことがこれからまた起き得る可能性も今芽が出ておるわけでありまして、その一点だけを見詰めるのではなくして、それぞれの地域産業なり動態なり、将来展望等を踏まえながら経営の視点を持つということも必要ではないかという点を実は考えざるを得ないと思うのであります。  そういう点で、この三線につきまして別会社方式という皆さん考えが今日ありますが、今後の監理委員会答申等をにらみながら皆さんの方でさらに対策を立てられると思いますけれども、よく地元自治体等関係者とも十分意見を聴取されまして、万全の対策を進めていただきたいと思うわけでございますが、どうでございましょうか。
  11. 岩崎雄一

    岩崎説明員 御趣旨に沿いまして十分地元お話し合いをし、地元実情に合った線区有効活用を図ってまいりたい、このように考えております。
  12. 安田修三

    安田分科員 次に、高山線の問題であります。  既に高山線電化問題につきましては起工式が終わっておりますが、その後、財政厳しい時代になりまして、事実上凍結されてしまっております。富山県、さらには日本海側太平洋側をつなぐ路線として重要でありますし、御存じのように冬場に非常に強い線でありまして、米原経由北陸線あるいは上越経由北陸線がとまったときでも高山線だけは動くということは、今日まで再三の豪雪で経験してまいったところであります。したがいまして、高山線複線電化ということは、それぞれの住民にとりまして、あるいはまた産業界にとりまして強い要望であります。  さて、この電化は、皆さん方の中で、非常に財政厳しい折でありますが、国鉄近代化、さらには輸送効率を高める、さらには地域振興という観点からぜひひとつ予算措置をされながら進めていただきたいと思いますが、どのようなお考えでしょうか。
  13. 岡田宏

    岡田説明員 高山本線につきましては、一日の輸送密度が八千人以下ということで地方交通線にランクはされておりますけれども、先生指摘ございましたように、太平洋岸日本海側を結ぶということで重要な路線であるというふうに考えております。また、そういった観点から、昭和五十五年に電化工事につきまして運輸大臣の認可を得たわけでございますけれども、何分にも路線延長が大変長い、二百二十六キロぐらいございますが、路線延長が非常に長いということと、我が国の背骨をなしております山脈を貫いておりますために、トンネルの数が非常に多うございます。そういったことから、電化をするためのキロ当たり工事費も高い、延長も長いということで、全体の工事費も非常に大きいということでございます。  そういったことから、現下の非常に厳しい財政状況のもとでは、これを全面的に工事を着工するということは極めて困難でございまして、現在、地元関連最小限工事のみを施工しているという状況でございます。今後の輸送状況予算の情勢を見ながら、重要な線区であるという認識を持ちつつ対処をしてまいりたいと考えております。
  14. 安田修三

    安田分科員 例えば名古屋方面から、あるいはまた富山方面からというように、部分的にでも電化を進められる考えはございませんか。
  15. 岡田宏

    岡田説明員 今先生指摘のようなことも含めまして、かつ、その区間の輸送量でございますとか輸送形態でございますとか、あるいは車両基地の置き方でございますとか、そういうもろもろの問題がございますので、そういったことを含めてさらに検討を深度化してまいりたいと考えております。
  16. 安田修三

    安田分科員 今おっしゃったような、こういうぐあいに実施するというめどは、大体いつごろになったら立つのでしょうか。
  17. 岡田宏

    岡田説明員 御承知のように六十年度、今御審議をいただきますところの予算におきましても、工事経費につきましては四千三百億ということで大変大きな削減を受けておりまして、そういう予算事情のもとではなかなか困難であるというふうに考えております。
  18. 安田修三

    安田分科員 要するに、事実上は六十年度はでき得ない、それ以後でないとまだ検討した結果が出ないということでございますか。
  19. 岡田宏

    岡田説明員 そのとおりでございます。
  20. 安田修三

    安田分科員 じゃ、六十年度は、今既に予算がいよいよ審議が終わりに近づいておりますので、皆さんの方でどうしようもない。それじゃ、さらに再来年度等に向かってそういう検討をしながらどのように対処するかという考えは、皆さんの方で何かないのでしょうか。
  21. 岡田宏

    岡田説明員 当面は、線路に沿いまして例えば通信ケーブルでございますとか、そういったものを架空で張ってございます電柱等が立っております。そういったものが国鉄用地外に立っておりまして、地域で農耕されるという方々にとりまして、農耕の機械化とかそういった問題でいろいろ支障があるというようなお話がございます。そういった地区におきまして電化柱を建値をいたしまして、それに今の通信線を添架をするというようなことの最小限の手当てはぜひ進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 安田修三

    安田分科員 それでは次に、北陸線上越新幹線乗り継ぎ接続についてお尋ねしておきたいと思います。  一つは、十四日から上越新幹線上野乗り入れにつきまして、北陸線上越新幹線乗り継ぎについていろいろとダイヤ改正が行われることになりました。北陸新幹線建設、先ほど運輸大臣からも来年度予算の問題に絡みましての説明の中にも出てまいりましたが、当面、北陸新幹線建設されるまで、どちらかというと北陸の方が、今時間的に言いますと、距離は短いけれども一番遠いところというようなことになっておりまして、そういう点で、上越新幹線上野乗り入れによってその接続をスムーズにすることにより、かなり短縮できるということに期待をかけておったわけであります。  そういう点でいろいろな改善がなされておるわけでございますが、いよいよダイヤを見てまいりますと、思ったほど改善はされていない。もちろん、例えば北陸からしまして上越新幹線で上りが従前よりも二本ふえてくるとか、あるいは下りが一本ふえるという本数の増や、あるいは時間的には短くはなってまいりました。しかし、三時間台実現ということでありましたが、まさにスーパーのバーゲンセールのように、三時間台が実現したのは、三時間五十九分というのが二本あります。上下とも二本ずつありますが、他はそれぞれ四時間を超えて十数分から二十数分ということになっておりまして、まあ実際、私たちが今大宮で乗り継ぎいたして、急ぐ人はリレー号じゃなくして普通あるいは急行等を利用いたします時間数よりもわずかに十数分ないしは二十分程度の短縮にしかならなかった。キャッチフレーズは五十分ばかり短縮ということでありますが、実質はそうでなかった。しかも、時間的なダイヤの配置からしますと、最も重要な時間帯に実は画竜点睛を欠くようなダイヤになっております。  例えば、富山発からいたしますと、従前は七時三十五分発というのがあったのですが、今度は七時発のものがなくなって、六時、八時に配置されておりますけれども、昼に着いて午後からの会議に出て、そして夕刻帰ってくるといういわゆるビジネス時間帯、こういうものからしますと、帰りがまた五時発が今度はなくなるという、そういう点では余り今度のダイヤ改正は思ったほどの効果のあるものではなかった、こう思うのでありますが、さて私は、これは実際列車に乗っておる人がダイヤを組んでみておるのだろうか、こう思うのですが、一体このダイヤ改正観点はどういう点に配慮されたのでしょうか。
  23. 須田寛

    須田説明員 お答え申し上げます。  先生お話がございましたように、今回のダイヤ改正で、二往復でございますが、三時間五十九分という列車をつくったわけでございます。実は、私どもこういった列車をもっとたくさんつくりたいということでいろいろ勉強しておるわけでございますが、この列車は上越新幹線内を非常に早く走る停車駅の少ない新幹線、つまり大宮一駅停車の列車で初めてこの三時間五十九分というのは可能になったわけでございますが、そのためにはこの列車は、実は上越新幹線の中で高崎とか越後湯沢のような途中の駅では、停車をいたしませんものですから御利用いただけないわけでございます。したがいまして、上越線内のそういった主な駅を旅行されます方々の便益といいますか、列車の頻度の問題と、それからこういった長岡−大宮間ノンストップという列車の頻度とのバランスをある程度とりませんとまずいということになりまして、とりあえず二往復という格好でこの三時間五十九分の列車はスタートした次第でございます。  ただ、今先生もおっしゃいましたように、四時間十分前後のものがあと五往復ばかりございまして、その中にはかなり時間帯のいいものも実は配列してございますし、それから今もお話がございましたように、これは相当御利用いただけるものと私は考えておりますので、改正後のいろいろの御利用実態をよく見きわめまして、先ほど申し上げました上越線内の御利用と北陸線の方のお客様とのバランスもよくとりながら、これからもなるべく改善をする方向で勉強してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 安田修三

    安田分科員 いわゆる運賃、料金政策につきましては後ほど大臣にお聞きしていきたいと思うのですが、実は、今度また運賃の値上げが申請されております。今度、今の申請案からしますと、例えば在来線四・六%アップ乗り継ぎをしたもので平均五・二%アップということになってまいります。これはいわゆる上越新幹線北陸線経由であります。  そこで、グリーンを使った場合、というのは、航空運賃と比べる場合は、例えば皆さんの金鉄局の発表等を見ますと、まだ航空運賃に競争できる、競合できるというふうに発表されておるのです。ところが、これは航空運賃と比べるときは普通車じゃだめですね。片方はグリーンよりも楽で、お茶が出て、そしてお菓子が出る、お絞りまで出るのですから、これはグリーン以上のサービスなんですから、そこでグリーンと対比した場合に、例えば今度計算しますと、グリーンで値上げになりますと一万六千五百五十円になってくるわけです。これは私の計算でありますが、一万六千五百五十円。そこで、航空運賃の方は今一万六千四百四十円です。これは例えば、往復三カ月の回数券で買いますと、片道が一万四千八百五十円になるわけです。三カ月回数券、六枚つづりでありますから、会社関係、東京へしょっちゅうビジネスで所用のある方は、当然使うわけであります。とてもじゃないが、これでは航空運賃に太刀打ちはできません。所用時間が四時間を切れば、航空運賃ともあるいは太刀打ちできるかもしれないのです。御存じのように、四時間を切りますと、飛行機の場合は待ち時間がございますから、どうしてもやはりむだな時間がかかりますので三時間ちょっとかかることになってまいります。ところが、四時間以上になりますと、どうしてもサービスのいい航空運賃に流れるし、富山あたりは飛行場と中心街は十五分でありますから、どうしてもとられる。  御存じのように、東京−富山間は年間片道四十五万人の国鉄利用者というのは皆さんの統計でありますが、埼玉あるいは千葉、神奈川というところをひっくるめますと、約七十数万の人がとにかく大体東京に向かって行くということになっています。そのうちの八四%が国鉄利用者です。飛行機が昨年からジェット化されましたので、今度の運賃値上げ、ダイヤ改正を見たときに失望いたしますと、またこれは国鉄さんのお客さんが飛行機の方にとられていってしまう。ますます何か急坂をおりていくような感じがいたします。  そういう点で私は、ダイヤ接続、それから料金ともに合わせた国鉄北陸関係の営業の対応というものが必要ではないのだろうか、そういう点が今度のダイヤ改正になされていないのじゃないだろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  25. 須田寛

    須田説明員 今先生から御指摘ございましたように、グリーン料金を含めました場合には、確かに航空運賃に比べて逆転をいたしております。これは私どもの御案内不足で非常にまだ知られていないということを反省しなければならないのですが、実は東京−富山間におきましては、国鉄のグリーンの往復割引のグリーンきっぷというのをつくっておりまして、これを今二万三千円で発売いたしておりますので、航空機の往復割引運賃に比べまして約六千七百円ばかり安いわけでございます。したがって、今後、運賃改定をお願いいたしておりますので、これをどのように設定いたしますかは、これから運輸省の御指導もいただきながら決めてまいりたいと思うのでございますが、こういう制度がせっかくございますので、これを十分御案内申し上げる、それからこの運賃、料金というものを適正なものに設定をいたしまして、今先生がおっしゃいましたように、航空機との所要時間差等をある程度カバーいたしまして、国鉄を御利用のお客様がつなぎとめられるような施策をとってまいりたいと思っておりますので、これから鋭意勉強してまいりたいと思っております。
  26. 安田修三

    安田分科員 そこで、運輸大臣にお尋ねいたします。  大臣にお尋ねするのは運賃政策でありますが、先ほどから申し上げておりますように、地域格差料金が出てまいりまして、富山県下でも市内を走っている富山港線では、一番大きいところは学生の割引料金で二五%アップというのが出てまいりますし、遠距離では、それぞれ格差料金がつくために、東海道新幹線へ回るよりも上越新幹線へ回った方が運賃が割高になってくるということで今申請されておりますし、ひいては、このことは航空運賃との競争力が落ちてくるということも出てまいるわけでございます。  そういう点で、皆さんの営業態様の中から運賃政策を考えるというのは国鉄の基本方針のようでありますが、運輸省といたしまして余り地域格差——私たちは地域格差のない方が正しいと思っておるわけでありますけれども、大臣自身、こうした現状等見ながらどのように対処されておるか、お尋ねしてみたいと思います。
  27. 山下徳夫

    山下国務大臣 今回の国鉄運賃の体系につきましては、御指摘のように、部分的には航空運賃に比して若干高い面も出てきておることは承知いたしております。およそ交通の運賃を決めます場合には、他の交通機関に比べましてその快適性とか時間とかいろいろな要素があると思うのでございますが、ただ、従来から、飛行機はすべての乗物の中の最上級機関であり、ぜいたくである、そんな感じがないでもございません。その一つに、通行税というようなものもそういう観点からまだこれが残っておることに対して私自身も大変な不満があるわけでございますけれども、しかしながら、実際にはもはや官公庁の出張にもこれを認めておりますように、これはビジネス便である、決して上級機関ではないという感覚に立って差し支えないのではないかと私は思います。そういう意味におきまして、若干地域的にそういう面が出てきてもやむを得ないのではないかと思います。しかしながら、問題は競争でございますから、その競争も十分考慮し、また国の財政考えながら今度の料金体系が決められたわけでございますが、特にそういう面からも長距離の料金及びグリーン料金を据え置いたことは、そういう面の配慮であると私は理解をいたしております。
  28. 安田修三

    安田分科員 それではもう一つ残っておりますので、富山操車場の問題を最後にお尋ねしておきたいと思います。  拠点間直行方式の輸送体系になりましてから富山操車場、これは全国的でありますが、いよいよ広大な操車場がかなり手持ちぶさたになってまいりました。これは将来どういうぐあいに国鉄として利用されていくのか、お尋ねしたいと思います。
  29. 須田寛

    須田説明員 富山操車場は、現在なお六百両ぐらいの一日取扱量がございまして、仕分け線はあいておりますけれども、いわゆる貨車の入れかえ作業は、まだ相当程度業務が残っております、今後の問題といたしましても、高山線その他の枝線との貨物の取り扱いもございますから、現時点におきまして、いつの段階でこれをどうするかということにつきまして、まだ成案を得ていない状況でございます。  ただし、いずれにいたしましても、直行輸送体系に逐次移行してまいりますので、いずれは富山操車場の今の輸送基地としての機能も縮小してまいることになろうかと思いますし、現に仕分け線があいておるわけでございますから、こういったものをこれからどのように有効に使うかということを、貨物の輸送の今後の方法と考え合わせながら現在検討しておる状況でございますが、現時点におきましてはまだそのようなことでかなりな部分を使っておりますので、成案を得ていないという実情にございます。
  30. 安田修三

    安田分科員 例えば、将来いろいろな利用をされる場合に、富山駅と貨物駅との分離ということ等もひっくるめて考える——そこまでいっていないかな。いずれにしても将来の計画についてはこれから皆さん考えられるということで、当面はここを例えば縮小するようなことはないということですね。
  31. 須田寛

    須田説明員 御案内のように、今の富山操車場の構内の両側を本線が抱き込んだようなかっこうになっておりますので、仕分け線だけを切り離して活用するということは非常に問題がございますので、全体としてどうするかという構想を考えた上で議論してまいりたい、このように考えております。
  32. 安田修三

    安田分科員 そこで、これも国鉄でいろいろ利用されるのは当然なんでありますが、もしいろいろな角度で、例えば今駅前の開発でも、国鉄用地は第三セクターということでいろいろと皆さんの方でも配慮されて、地元自治体から経済界からやっておられますが、将来それぞれのこういう利用形態につきましても、何らかの方式が出た場合に、当該自治体等とも十分なコンセンサスを得て、利用密度が高まるとか、地域の要望に沿って国鉄が一体になって利用できるというような話し合いをぜひ行って皆さん計画を提示してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  33. 須田寛

    須田説明員 極力地域の皆様の御意向を拝聴しながら進めるべきものと存じます。
  34. 安田修三

    安田分科員 それじゃ、時間が参りましたので終わります。
  35. 小渕恵三

    小渕主査 これにて安田修三君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  36. 長田武士

    長田分科員 まず初めに、国鉄の荷物輸送について仁杉総裁にお尋ねいたします。  去る五十八年八月に発表されました国鉄再建監理委員会の提言によりますと、「荷物輸送については、段階的に規模を縮小し、特定区間の直行利用運送を除いて荷物営業そのものは昭和六十二年度までに廃止すべきである。」としております。この提言を受けまして、国鉄としては、昭和六十二年度をめどにいたしまして廃止する駅の順番などを含めて具体的な計画を立てていらっしゃるのかどうか、まずお尋ねいたします。
  37. 須田寛

    須田説明員 今先生がおっしゃいましたのは手小荷物輸送のことと存じますけれども、監理委員会から昭和六十二年度までに直行利用運送を除いて廃止することという御提言をちょうだいいたしまして、現在その方向で詰めておるところでございます。  現在、約一千駅ばかり取り扱いいたしておりますが、この春のダイヤ改正で約三百駅余りに取り扱いを縮小いたします。その後六十二年度にいわゆる利用運送を中心にやってまいることになるわけでございますが、この段階では国鉄直営の窓口は駅からは姿を消すわけでございますけれども、利用運送いたします関係で、いろいろ荷物を取り扱ってまいります会社の窓口等がそれにかわってまいることになると思います。しかし、それまで二年ございまして、ダイヤ改正の都度それを実現してまいることになると思いますので、何年に、これから後今残っております三百の駅をどうしてまいるかということにつきましては目下検討いたしておりまして、まだ駅名その他を明らかにできる段階には達しておりません。
  38. 長田武士

    長田分科員 私の地元であります豊島区でも、池袋にはメトロポリタンホテル、巣鴨ではマンションが建設されたわけであります。そういう意味で、国鉄関連の事業が幅広く東京第五区には建設が行われております。しかしながら、大塚駅や目白駅にはそれぞれ広大な貨物ヤードが残されておるわけでございます。  こうした中にありまして、最近、大塚駅周辺の住民の間では大塚駅前再開発協議会が発足いたしまして、地元の再開発に対しまして論議が非常に高まっておるという状況でございます。そうした折に、地元商店街の一部の方々に対し、ある国鉄の関係者より六十年度早々に大塚駅の開発について話し合いをしたい旨の通知がありまして、その際に東京北局開発計画一覧表が配られたわけであります。確かにこの表を見てまいりますと、六十年度以降における本格的な開発の項目のトップに大塚、板橋、日暮里というふうに入っておりまして、大塚駅がトップに示されておるわけであります。私も国鉄部内でここまで具体的になっておるのかなと思いまして実はびっくりいたしております。  そこで、この開発についてどのように具体的に進めようとしておられるのか、その点お尋ねいたします。
  39. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 ただいまの御質問の大塚駅の貨物跡地については、現在のところは保線の業務機関でありますとか小荷物扱い所として使っておるところでございますけれども、この再活用につきましては、かねてから地元からもいろいろ御要望があったところでございます。国鉄の本来事業としての使い方と関連事業との両面から検討を進めているわけでございますけれども、特に今先生の御発言にございましたように、本年の一月に大塚駅地区再開発推進協議会という非常に強い意味での開発促進のための団体ができておりますし、いろいろそこからも御要望いただいておりますので、本年はぜひこの具体化を急ぎたいと考えております。  なお、その開発の業種につきましてはまだ固まっておるわけではございませんけれども、いろいろ地元の御要望も伺っておりますので、いずれにいたしましても地元の発展につながるようなものをつくってまいりたいと考えております。
  40. 長田武士

    長田分科員 御存じのとおり、大塚駅では昭和四十九年十月に貨物の取り扱いを廃止いたしまして以来、手小荷物の取り扱いが細々と続いておる、その収益は年々歳々落ち込んでおるというのが現状であります。昭和四十八年には発送個数が十一万四千五百五十四、到着個数が五十万二千五百四十九、取り扱いの収入でありますけれども、五千三百六十九万六千円、こういうふうになっておりましたけれども、十一年後の五十九年には発送個数が二万七千七百七十三、到着個数が一万六千七百三十六、収益においては三千百二十四万二千円というふうに、その落ち込みは激しいものでございます。  いずれにいたしましても、六十二年度までには約五千六百平米——大塚駅の広さは五千六百と言われております。あそこは御存じのとおり遊休地になってしまっておるわけでありますけれども、あそこの容積率というのは七〇〇%なんですね。そういう点を考えますと、将来三万九千二百平米の建物を建てられる容積というのは有しておるわけであります。例えば駅舎の改修も兼ねた駅ビル、あるいは予想以上の好評を博しました巣鴨とかいろいろなことを考え合わせまして、当然国鉄としてもあの遊休地をどうするかということを考える上では相当重要な項目だろうと私は考えております。  そういう意味で、具体的に大塚駅の遊休地をどういうふうな計画を、あるいはマンションであるか、あるいは駅ビルをつくるのか、あるいはまた具体的に地方自治体と話し合って公園にするのか、そういう点については具体的にはどういうふうな考え方を持っていますか。
  41. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 ただいまお話がございましたように、荷物は約十年前から四分の一に減ってきておるわけでございますが、何分にも大事な業務でございますので、しばらくこの荷物の問題は続けなければならないというふうに考えております。  開発業種につきましては、先ほどのお話にございましたように、地元からはぜひマンションをというお話も伺っております。特に巣鴨と同じような規模でのものができるわけでございますので、それについては私どもも検討しておるところでございます。  なお、駅舎につきましては、戦後間もなく復旧ということでつくったものでございますので、そういう意味では非常に狭隘でもありますし、駅舎を含めて何か商業的、いわゆる駅ビルのようなものをつくってはどうかということも伺っておりますので、両面について検討はしておりますが、何分にも現在国鉄は御承知のような状態でございまして、用地の使い方、それから、要するに債務の償還との関連等において計画自体を非常にシビアに見ていくべきであるという御意見がございますので、現在のところは、今申しましたように二つの案を含めていろいろ精査をしておる段階でございます。  しかしながら、いずれにいたしましてもここについてはいろいろ地元とのお話し合いもございますので、ぜひ関連事業でやりたいというふうには考えておりますが、まだ業種を決めるまでには至っていないという段階でございます。
  42. 長田武士

    長田分科員 次に、大塚駅舎の改修及び貨物ヤードの有効利用に関連する問題でありますけれども、地域住民や商店街と非常にかかわり合いのある問題でございます。ですから、私は結論から申し上げて、国鉄の駅周辺を開発する、そういうケースの場合は、やはり地元の商店の活性化の問題であるとか町づくりであるとか、総合的に十分検討する必要がある。ただ国鉄の利益だけを考えて、第三セクターに依頼して国鉄の天下りをどんどんそこで使う、そういうことも私は全部が全部否定するわけではないけれども、やはり地元の住民を逆なでするような、あるいは商店街で打って出てみたり、こういうトラブルが過去に随分ありましたが、こういう点、私はやはり避けるべきである、そういうふうに実は考えております。  実は、大塚駅前の広場は、従来タクシーの待機場所といいますか、そういうふうに占有されておるわけであります。そうなりますと、騒音とかあるいは排気ガスなどの公害発生源として、実際問題、広場としての機能が生かされていない、そういう現状でございます。  こうした現状を踏まえまして、駅舎の改修及び貨物ヤードの再開発に際しましては、駅前の広場という観点から、実は地元の商店街の皆さんも、十数年前でしょうか、東京都の区画整理によりまして三割とかあるいは二割五分だとか、そういうふうにして目減りして区画整理に応じた。実際そうやって広場をつくったけれども、現在タクシーに占有されて排気ガスの発生源であるというようなことで、本来の目的を達成していないんじゃないか、こういう苦情が出ております。  そういう意味におきまして、私はそういう問題も含めて総合的に開発すべきである、このように考えておりますが、どうでしょうか。
  43. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 よく御相談をしてまいりたいと思っております。先生の御趣旨のとおりであろうと思います。
  44. 長田武士

    長田分科員 それから、国鉄がことし一月に発刊いたしました「一九八四年国鉄の現状」というパンフレットに、「ヤード跡地をはじめとする大規模用地については、地元自治体などの意向も伺いながら、その有効活用策の検討を急ぎ、土地区画整理などの基盤整備事業にも積極的に取り組んでいきます」、このようにうたってありますね。  そういう点でお尋ねしたいのでありますけれども、今度は目白駅の貨物ヤード、この跡地に関して豊島区は、防災避難地を兼ねた公園をつくりたい、そういう計画で売買交渉を国鉄と進めております。その結果、価格の点でどうも折り合いがつかぬ、そういう状況であるようであります。  豊島区というのは人口が非常に密集しておりまして、東京でも一位、二位という指折りの密集地であります。そういう意味で防災に対する避難地を確保したい、あるいは公園が少ない、豊島区としても非常にそういう悩みを抱えております。そういう意味で実は国鉄との交渉を進めておるわけでありますけれども、どうも価格の点で折り合わない。金額によると、どうも大体半分くらいの値段である。逆に言えば、豊島区の希望する倍くらいの値段だ、こういうことなんでありますけれども、この点については再検討の余地はありませんか。
  45. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 ただいまの区の話は、私、承知しておりませんけれども、価格につきましては適正価格ということでお願いしたいというふうに考えております。普通の値段より倍というふうには私ども考えておりませんが、これはよく事情を調べてみたいと思います。国鉄も今のような再建途上にあるわけでございますので、土地の売却につきましては、ぜひそういう意味での御理解を賜りたいというふうに考えております。
  46. 長田武士

    長田分科員 国鉄は赤字の問題等もいろいろございます。やはり高ければ高いほどいいに決まっておりますよ。ですけれども、常識的な値段というのは当然妥協点があるだろう、こういう意味でどうかひとつ前向きに検討していただきたい。もう一度。
  47. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 現地の管理局にも事情をよく聴取したいと思っております。  なお、価格については、私ども申しましたように、適正価格でお願いをしたいというふうに考える次第でございます、
  48. 長田武士

    長田分科員 もう一つ目白駅についてお尋ねをいたします。  実は、そういうようなことでこのヤードの問題は継続的に保留されておるということでありますけれども、この貨物のヤード跡地に駅ビルあるいはマンションを建設する、一方においてはそういううわぎを私は聞いたのですけれども、この点は具体的にどうなっておりますか。
  49. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 駅舎もやはり古くなっておりますので、駅舎の改築を含めていわゆる駅ビルのようなものをつくってはどうかということ。あるいはその横の方の、裏手に当たりますけれども、マンションをつくってはどうかということの計画はございます。まだ個々には具体的なものにはなっておりませんが、地元には折々御相談をしておるものでございます。
  50. 長田武士

    長田分科員 大塚駅よりも大分広いのではないですか。どのくらいあるのですか。
  51. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 全面積で一万三千平米ほどございますが、大塚駅は八千平米ほどでございまして、目白の方が広いと思います。
  52. 長田武士

    長田分科員 どうかひとつ、この問題については前向きに取り組んでいただきたい。  実は、目白駅の駅前は、御案内のとおり自転車置き場がなくて、あの商店街のところに自転車が放置されておる、朝、通勤を急ぐ方が非常に大勢目白駅に駆けつけまして、遠いところに自転車置き場をつくりましても利用価値がない。どうしても駅のそばに自転車を放置していくという傾向が非常に強くて、実は駅前に豊島区で土地を借り上げまして自転車置き場をつくったのです。ここはぎゅうぎゅうに詰めて六十二台しか入らないのです。あと放置されております自転車が、大体数えまして三百台、そういう点で、歩道が占拠されておるとか、道路にはみ出て非常に交通が渋滞を来すとか、商店街等も非常に苦慮しておるのが実情であります回そういう点で、これは国鉄利用者なんです。ほかへ乗っていくのではないですよ。普通ならば、商店街あるいはスーパーなんかが来た場合には、必ず駐車場があってちゃんとサービスをする。サービスしてないのは国鉄だけだ。自転車なんかどこだって置け、電車だけ乗れ、これではうまくないのじゃないですか。どうですか。
  53. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 具体的には目白の問題は私ちょっと承知しておりませんけれども、自転車置き場の問題については、どこの地区でも地方自治体と国鉄でよく御相談をしておるところでございます。ただ、地積その他でどういうようなことになっておるのか、ちょっと具体的に調べてみなければわかりませんけれども、今の事情につきましては、よく管理局から事情を聴取した上で御相談をさせたいというふうに考えております。
  54. 長田武士

    長田分科員 私は、なぜそんなことを言いますかというと、実は区も非常に苦慮いたしまして、何とかこれは国鉄の利用客であるから、あの商店街といえども目白駅はもう自転車置き場は確保できない、無理である、こういうような観点から、これは目白駅の横に下水溝があるのですが、それを借りる以外にないというのが区としての結論であります。ところが、国鉄に相談しても、どうも話がらちが明かない。住民の人たちは、国鉄を利用するお客さんなのだから、もっともっと国鉄としては前向きにやるべきではないか、こういう国鉄に対する不信感を持っております。こういう交渉については、これは西管理局ですか、態度が悪いらしいですね。
  55. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 西鉄道管理局でございます。よく協議いたすように指導いたしたいと思います。具体的にはちょっとよくわかりません。(長田分科員「もっと誠意を持ってやってくれよ」と呼ぶ)はい、わかりました。誠意を持って対応いたします。
  56. 長田武士

    長田分科員 次に、池袋駅北口の雑司ケ谷隧道、いわゆる雑司ケ谷地下道について国鉄にお尋ねをいたします。  先日、この地下道の改修工事について豊島区と国鉄側で協議をいたしまして、工事の着工が正式に決定をいたしております。この詳細について、計画等を御説明いただきたいと思います。
  57. 岡田宏

    岡田説明員 今先生指摘の地下道は、池袋駅を横断をしております地下道でございまして、国鉄線路の荷重を直接受けておりますので、その構造部分と申しますか、コンクリートのボックスになっておりますが、構造部分については国鉄の所有物ということになっております。道路については区道に認定をされておりまして、路面については豊島区の方において管理をしておられるところでございます。  そこで、環境美化という観点から、この地下道の内装を変えようではないかというお話がございます。現在、豊島区の方でタイル張りあるいはボード張りということで、側壁、天井部分について内装を改修したいというお話がございますので、ぜひその方向でお願いをしたいということでお話を進めているところでございます。
  58. 長田武士

    長田分科員 じゃ、これはやるんですね。
  59. 岡田宏

    岡田説明員 はい。
  60. 長田武士

    長田分科員 これまで非常に暗いところで、立ちしょんをやりましたり、本当にどうにもならない地下道だったのです。こういうようなところで、この地下道が改装されるということについては地元の住民が非常に喜んでおります。  実は、問題が一つあるのです。せっかく地下道を改修いたしましても、周囲の環境が整備されなければ何にもならないのではないか、こういうことであります。それはどういうことかといいますと、これは豊島区も整備に五千万か六千万のお金を出すのです。しかし、今地下道がきれいになり、周辺も整備されるということでありますけれども、御案内のとおり、あそこの出口のところに看板が林立しております。これは国鉄の用地で、国鉄がお金を取って掲示しておるわけであります。こういう点については、全部が全部とれというのは無理だとは思いますけれども、ある程度整理し、移動できないものかという問題がございます。この点は考えておりますか。
  61. 岡田宏

    岡田説明員 今御指摘の地下道の出入り口にございます看板類でございますけれども、これも国鉄の貴重な収入の一つということになっておりますが、もともとこういった屋外に広告を掲示するということにつきましては、そこを管理しておられる当該区、特別区にありましては区長さんの御許可を得て掲示をしておるという事情もございますので、今の看板類の整理の問題につきましても、区の御意向を十分踏まえまして善処をしてまいりたいというふうに考えております。
  62. 長田武士

    長田分科員 次に、都営地下鉄十二号線についてお尋ねをいたします。  去る四十七年に都市交通審議会から、昭和六十年を目標とした「東京圏高速鉄道整備計画」(答申第十五号)が答申されて、既に十数年が経過をいたしております。現在、都市交通審議会も運輸政策審議会に変わりまして、新たに昭和七十五年を目標といたしまして答申の見直し作業を進めておると聞いておりますけれども、まだ最終の答申は出されていないようであります。  そこで、見直し作業がおくれておる理由並びに最終の答申はいつごろ出る予定なのか、お尋ねをいたします。
  63. 服部経治

    ○服部政府委員 都交審の十五号答申を見直すために現在の運輸政策審議会に諮問をいたしましてから、先生指摘のようにもう既に二年五カ月が経過いたしております。これは先生、おくれているという御指摘ではございますけれども、そうおくれているということでもございませんで、それだけ時間のかかる大変な作業だというふうに御理解賜れば大変ありがたいわけでございます。現在、鋭意、運輸政策審議会の場で検討を積み重ねてまいってきておるところでございます。  いつごろ答申がいただけるかという点でございますが、これはもちろん今後の運輸政策審議会での審議の進捗状況いかんにかかるわけでございますけれども、現時点で申し上げれば、私どもといたしましては、今年の六月中にはきっと御答申がいただけるものというふうに期待しているところでございます。
  64. 長田武士

    長田分科員 答申の見直し作業の中で、実は都市交通部会小委員会の中間報告が出されております。この中で、中間報告において地方公共団体等が要望している六十路線というのがありますね。この中に地下鉄十二号線の大泉、埼玉方面への延伸が提示されております。私も、大泉方面への延伸問題については地元住民の方々から強い要望も受けておりまして、毎年毎年分科会でこの問題を取り上げております。  御承知のとおり、光が丘から西に入りまして大泉方面、特にここは交通の過疎地帯に入っておるわけであります。そういう意味で、御案内のとおり、大泉方面の通勤の皆さんはほとんど自転車利用ということが非常に多いわけであります。したがいまして、この延伸路線についてはぜひとも最終答申案に入れていただきたい。まず要望しますが、この点いかがでしょうか。
  65. 服部経治

    ○服部政府委員 十二号線の大泉方面への延伸問題でございますが、この問題につきまして、直接の多くの地元関係者から大変強い御要望があるということは、私どもも十分承知しておるところでございますし、現に運輸政策審議会の場におきましても、東京都側からその点につきましての強い御要望もございました。  現在、最終的な答申の取りまとめ案を運輸政策審議会で詰めておられる最中でございますけれども、私どもとしましては、そういった地元の強い要望を踏まえまして、しかるべき結論が出されるものというふうに期待しておるところでございます。
  66. 長田武士

    長田分科員 そうした答申を受けまして、当然東京都から路線免許申請の動きが出てくると私は考えております。いずれにいたしましても、大変重要な路線であることは間違いございません、  そこで、今後における大泉方面への路線につきまして、運輸大臣からひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  67. 山下徳夫

    山下国務大臣 運政審がヒアリングを行いました場合、関係の都県からいろいろと事情も聴取しておりますが、今お話がございましたように、この線の延伸につきましては、東京都から特に強い強い要望が出ておることは私も承知いたしております。  したがいまして、運政審におきましても、その要望を受けてただいま慎重に御検討いただいていると思いますが、この問題につきましては、輸送需要の動向、あるいはやはりこれは一つの企業でございますから、採算性ということも十分考えていかなければならないと思いますし、これらをあわせただいま御審議中でございまして、恐らく地元の要望に沿うような結論が出るのではないかと私も期待をいたしておる次第でございます。
  68. 長田武士

    長田分科員 さらにお尋ねしたいのでありますけれども、地下鉄十二号線のうち、光が丘から練馬間、これは四・二キロございますけれども、昨年四月に東京都から工事の施行認可申請が運輸省に出されておるわけであります。これについて、東京都は昭和六十五年完成をめどに現在実は準備を進めております。運輸省はこの点についてどう対応されるのか、この点はどうでしょうか。まだ免許を出していませんね。
  69. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生の御指摘お話でございますが、これは免許はもう既に出しております。現在私どもが対応しておりますのは、東京都の出してきております工事施行の認可の問題でございます。現在鋭意その内容を詰めているところでございまして、そう遠くない時期にこの問題の処理ができるのではないかというふうに考えております。
  70. 長田武士

    長田分科員 これは要するに、工事費の問題とか、あるいはミニ地下鉄にしようとか、そういうようなことで今詰めているのでしょう。
  71. 服部経治

    ○服部政府委員 そうでございます。
  72. 長田武士

    長田分科員 そういう点では、もう六十五年に走らせようというのですから、ぐだぐだぐだぐだやっていたのではだめなんです。早いところやってください。
  73. 服部経治

    ○服部政府委員 一生懸命この問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  74. 長田武士

    長田分科員 それでは、時間が参りましたから最後の質問にいたします。  地下鉄十二号線光が丘から練馬間の開通について、地元の住民の方々は実は大変な期待を寄せております。これは御案内のとおり、西武線の高架の問題もあわせまして、練馬の駅の周辺の総合開発という意味でも、地元は非常に関心を強めておるわけであります。  そこで、まず西武池袋線に乗り入れることになっておりますところの練馬駅について、南口に二カ所の出入り口ができるということが計画されているわけであります。あの千川通りを挟んで両端にできるのですね。ところが、西武線はもっと先にありまして、結局あの西武線が高架になりませんと、あかずの踏切というのですか、なかなか踏切があかない。そういう意味で、せっかく線路を越えてこちらに二つ出入り口ができましても、北口の方に住んでいる方は、あの踏切の遮断のために結局はなかなか思うように通れないという実情がございます。そういう意味で、実際問題、北口に住んでいらっしゃる方は西武線の地下を通してぜひ出入り口をつくってほしいと強い要望があります。この点はどうでしょうか。
  75. 服部経治

    ○服部政府委員 先生指摘のような状況でございます。十二号線に新しくできます練馬駅と現在の西武線の練馬駅との間には、約八十メートルの間隔がございます。もちろんその十二号線の練馬駅の両サイドには出入り口が設けられるわけでございますが、その地下鉄の直接の出入り口を西武線を越しました北側にさらに設けるという点につきましては、私が現在承知しております範囲内では、東京都としては非常に問題があるという見方をしているようでございます。
  76. 長田武士

    長田分科員 高架の問題は、もうちょっと先になるんじゃないかと私も考えております。そういう意味で、西武八号線の問題、それから在来の西武線の問題、相互乗り入れでやるわけでありますから、まだ土地買収等もこれから、進んではおりますけれども、ちょっと時間がかかるだろう。そうなりますと、その間、通勤の人たちが北側から来る人がほとんど踏切で遮断される、そしてなおかつ地下鉄に乗るというような状況でございまして、相当不便だろうと私は考えております。  そういう意味で、あそこの駅というのは練馬の顔になりますし、将来総合的な開発をしよう、それで商店街もあるいは自治体も力を合わせてあそこを練馬の顔にしようというような、そういう考え方であります。そういう意味で私は、将来展望の上に立つならば、そういうことも当然考慮すべきである、このように考えております。また、東京都からそういう相談があると思いますので、そういう場合においてはどうかひとつ前向きに検討していただきたい、大臣よろしくお願いします。
  77. 山下徳夫

    山下国務大臣 私も細かなことはよく承知いたしておりませんが、これは将来問題としておっしゃることは、今顔だということでございますから考えなければならぬと思いますが、現在は自由通路によって何とか御不便ないようにしておるそうでございますので、そのように私は承っておりますので、将来問題としては考えるべきだと思います。
  78. 長田武士

    長田分科員 終わります。
  79. 小渕恵三

    小渕主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。     〔主査退席、北口主査代理着席〕
  80. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長初め大臣、どうも御苦労さまです。私は、空港問題についてお尋ねをしたいと思っております。  最初に、今政府は第四次の空港整備計画を進めていらっしゃる。その中で一方、第五次の計画をこの夏にも策定にかかれると聞いておりまするが、その中で第四次の進捗状況が何か六二%ぐらいにとどまっておると聞きました。そういう中で、第五次の策定作業はどのように進んでいきますか、お伺いしたいと思います。
  81. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのように、現在は第四次空港整備五カ年計画の実施中でございまして、第四次は昭和五十六年度から昭和六十年度までの五カ年間でございまして、したがいまして昭和六十年度をもって終了いたしますので、昭和六十一年度を初年度といたします第五次空港整備五カ年計画を策定するという必要があるわけでございます。このため運輸省では、かねてから準備を始めていたわけですが、先般、航空審議会に対しまして、「今後の空港及び航空保安施設整備に関する方策について」という諮問をさせていただいたわけでございます。この諮問の理由といたしまして、「航空輸送の量的拡大、多様化その他の航空の発展に対する国民の要請に応え、これらに関連する諸問題に適切に対処するため、長期展望の下に空港及び航空保安施設整備に関する基本的方策検討する必要がある。」というのがこの諮問の理由でございます。  これを受けまして今後審議会で、こういった空港及び航空保安施設整備の基本的方策について御審議いただくわけですが、御答申をいただきまして、これをもとにして空港整備五カ年計画を策定する、こういう段取りになるわけでございます。それで、政府といたしますと、空港整備五カ年計画の策定、これが若干五カ年計画の初年度に入りました六十一年度の夏ぐらいまでには五カ年計画を決めたい、そういうふうには考えているわけですが、これから具体的な審議をお願いし、そしてまた、関係省庁といろいろと御連絡させて調整させていただいて政府としての考えを取りまとめる、こういうことになっているわけでございます。
  82. 滝沢幸助

    滝沢分科員 一つには、先ほどの諮問案ですか、これを後でちょうだいできますように委員長、お取り計らい願います。——そうした中で実は、福島県におきまして、県を挙げて、福島空港と仮に名づけているのでありますが、須賀川市在に予定地を検討して設定しまして、用地の買収の準備そのほか関係市町村の協力体制の構成というようなことを急いでいるわけでありまして、いわば万全の協力体制、受け入れ態勢が整ったと私たちは見ているわけでございます。そういう中で、第五次の中にこれをぜひとも組み入れをちょうだいしたいということを県民挙げて願っているわけでありますけれども、この間の希望といいますか、可能性といいますか、他の地区のこともあるでしょう、そこら辺の消息をひとつ承りたいと思います。
  83. 北口博

    北口主査代理 さっきの滝沢議員の資料は、滝沢議員の方にお届けできますか、それもあわせて……。
  84. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず最初に、航空審議会への諮問の資料というお話がございましたが、諮問の資料は後でお届けいたしますが、先ほど私が申し上げた諮問の理由だけが諮問の関係の資料でございます。  それから福島空港でございますが、今お話のありましたように福島県が、ここはほかに空港がないということで、新しい空港を非常に熱心におつくりになりたいというお気持ちを持っておられることをよく承っております。そして具体的には、この空港をつくりまして大阪、九州等と連絡をする、あるいは北海道ともつなぐというような御構想をお持ちでございますし、また、実際にこれからの新しい産業振興、地域開発ということも考えますと、空港がぜひ必要だという基本的な認識に立っていらっしゃるというようにも思います。  そういう点で福島県では、既に昭和五十四年から調査に着手されて、具体的に須賀川市に候補地を絞っておられるということもよく承知しております。そういう点で、地元からはぜひこの第五次空港整備五カ年計画に取り入れて整備推進してくれという要望をなさっているわけでございます。私どももそのような空港整備についての地元の気持ちもよく承知しておりますし、また、地元の言われる必要性についても十分理解をしているつもりでございます。  ただ、第五次空整全体といたしますと、第四次も一兆余りの事業規模でやってまいりましたが、第五次空整はいよいよ三大プロジェクト、東京国際空港、いわゆる羽田、それから関西国際空港、それから成田の新東京国際空港の整備に着手しなければならない段階に入っております。これらの三つのプロジェクトを合わせますと、全体で二兆円に近い金額が要るというようなものでございまして、五次空整で全部を賄うわけではございませんが、五次空整では三大プロジェクトというものをまずやらなければならない。この東京、大阪を中心とする大空港ができませんと、各地方空港をいかに整備しても、航空路線、実際の需要には応ずることができない、地方空港も生きてこないという事情にございますので、この三大プロジェクトはぜひとも進めなければならない。それが現在の航空の発展を制約しているという認識でございますので、そういうことを考えているわけですが、しかし同時に、地方空港整備しまして全国的なネットワークをつくっていくという必要も非常に強いわけでございます。ただ全体としますと、そういうことで事業規模が非常に大きくなる。財源的な問題が絡みまして、私どもそこはどのように皆様の御希望に沿いながら整備していくかということに苦慮しているわけで、これから第五次空整の計画をつくっていく点での最大の問題は、全体の事業規模をどのようにするか、財源をどうするかということでございます。  そこで、財源が豊かではございませんので、地方空港も各地の要望にどんどん沿うというようなわけにはまいらないのですが、一般的なことを申しますと、非常に需要が大きいというところから着手したいし、また、特に地域開発効果の高いプロジェクトというものを尊重したいと思いますし、そして投資効率の高いということになりましょうし、また特に重要なのは、地元の合意形成と申しますか、特に立地について県全体としての合意がある、あるいは空港の予定地及びその周辺の住民の合意があるというようなことが非常に重要な条件だと思います。こういった条件の熟しているところから優先的に今度の五カ年計画に取り入れていくというふうに考えているわけで、そういう点で福島県に対しましても、福島空港整備の重要性ということを私どもよく理解しておりますが、そういう点でなお一層計画を練っていただくようにお願いしているという段階でございます。
  85. 滝沢幸助

    滝沢分科員 どうもありがとうございます。  そこで、その三大プロジェクトに力点が置かれて地方空港に手が回らぬのではないかという心配をしているわけであります。しかし、今おっしゃっていただきましたとおり、三大プロジェクトとともに、投資効率の高い、国民の利便に供することの大きい地方空港整備していただかなくてはならぬ問題でありますから、そのような意味で福島空港は、ひとり福島県だけではなくて、茨城、群馬、埼玉等の北関東地区をも含めた利用領域というようなことにもなろうと思いますので、どうかひとつぜひともこれは見落としないようにお願いしたいと思います。  あわせまして、今おっしゃいましたことでありますが、国がゼロシーリングというようなことで大変厳しい予算枠組みというような中では、一般会計からの持ち出しといいますか、これもなかなか制限されたものだと思うのですが、もう一度その第四次から五次にわたりまする間の財政計画というのでしょうか、空港整備計画の中の財政的な見通しのようなものを承れればありがたいと思います。
  86. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お尋ねの全体の財政計画と申しますか、第五次空整の収支の見積もりと申しますか、そういう点については現在、まだ作業中でございます。と申しますのは、全体としての第五次空整を実際に支えておりますのは空港整備特別会計でございますが、具体的な航空需要の伸びとか、あるいはどれだけのものを一般会計から期待できるかというような収入の見通しと同時に、実際にどれだけの三大プロジェクトをいかに合理的にやって、あるいは三大プロジェクトのほか航空保安施設等もございますが、そういった整備をどこまでやれるか、極力計画自身の合理化を図りながら事業規模を圧縮しながら、しかし最大の効果を上げるということで現在、そこら辺の検討をしております。  そういう形で、全体としての事業規模を一方で決めていこうという作業をしておるわけで、できるだけそのプロセスで地方空港整備を図りたいということで、そのためのいろいろな努力も私どもしているわけですが、そういう事業規模を一方で考えながら、これらの事業規模を賄うに足る財源というものをどうやったら確保できるか。お話しのように、一般会計からの繰り入れについてはゼロシーリングという問題もございまして、非常に思うに任せない。それではどういう形で他の財源、収入を求めることができるかということの研究を今しているわけでございます。そういった研究と相まちまして、合理的な事業規模を決めるということの作業をしていきたいということで、現在の段階ではまだ具体的な数字を挙げて申し上げるような状況には至っておりません。
  87. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そのような状況の中で福島空港計画に組み入れていかれるためには、やはり最初申し上げた、またおっしゃっていただきました地域協力体制というものが必要だと思います。しかし、御存じのとおりでありますが、なおこの上に我々が地域にあって県政とともに地域としてなすべきものは、具体的に率直にこれ以上はあとは何でしょうか。
  88. 西村康雄

    ○西村政府委員 地域としてさらにおまとめいただくということは、具体的には地元の合意形成というものを確実なものにされるということが、まず第一だろうと思います。現在、空港の立地が可能かどうか、気象等の調査も継続してやって、その資料収集等に努めておられるわけですが、あとはいかに合理的な空港計画をつくるか、それから特にその中で、いかに効率的な投資にするかというために投資規模の圧縮ということを、この厳しい財政事情でございますのでぜひ御工夫いただかなければならない。現在お伺いしている投資額ですと、大変これはまた実施するのは厳しい状況でございまして、全体としますと投資効率が非常に悪くなってくる。そこはまた何とか合理的な空港計画をつくっていく必要があろうかという点では、これからの工夫の余地があると思うのです。  それから、先ほど申し上げましたような立地に、空港予定地及びその周辺におきます住民の合意というものをぜひとも揺るぎないものにして、実際に空港建設に着手しましてからその工事が挫折するということがないように、ひとつ十分な体制をおつくりいただく、そんなことがこれからの空港推進のための問題点かと考えるわけでございます。
  89. 滝沢幸助

    滝沢分科員 わかりました。それで、その協力体制といいますかの一環としてのことにもなりましょうけれども、何しろ離れたところに空港をつくるわけですから、そこでその周辺環境の整備、特にアクセス道路の問題、特に近くを通ります国道は百十八号線、この整備のこと、さらにはバイパスのこと、そして特に周辺の環境の整備のために都市公園というようなものも必要だろうというようなふうに思っておるわけです。  県としましてもいろいろと仕事を進めておりますけれども、これは建設省の直接また補助の仕事ということにもなると思いますので、建設省さん、見えていただいていると思うのですが……。
  90. 松延正義

    ○松延説明員 福島空港計画につきましては現在、地元におきまして調査がいろいろと進められていると聞いております。建設省としましても、先生指摘のような点につきましては、空港計画の進捗に応じまして地方公共団体と十分相談し、適切な対応を図ってまいりたい、このように心得ております。
  91. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そこで、そのような発言の後にふさわしくないかもしれませんが、しかしこれも一つの課題であります。  最近どうも新幹線鉄道に対して、国鉄に対してはつくれと言う。しかし、つくっていった後に必ず騒音公害というような苦情も出てくる。空港事業もその例外ではありませんで、いわば先進地といいますか、既設の飛行場等で空港公害というような議論が出てくるわけであります。そのようなことについて、新しい整備計画の中ではどのような配慮がされるものでしょうか。
  92. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのように、運輸省空港周辺の環境対策というものに取り組んでやってきておりますが、これまでの空港の周辺対策の大きな問題は、やはり早くからでき上がった空港で周りの地域に、周辺に住民が順次非常にふえてくるというようなことが最大の問題だったわけで、特に既成の市街地の中にある、それを有効に空港との調和を図るための対策がないままにどんどん住家が張りつくというような状況のもとで、周辺対策を余儀なくさせられてきたというところが非常に金のかかる周辺対策ということだったわけでございます。  そこで現在は、新しく空港をつくります場合には、特に空港の周辺、直接の周辺になりますところは、あらかじめ空港建設予定地のほかに、それらの地域も県、地元におきまして手当てをされて、これを緑地化するという計画をあわせてつくっていただくようにしております。そういうことでその地域を、また住民があり、そこに移転補償をどんどんしなければならぬというような事態を避けるように極力そういうことをお願いする。それから立地を選定するときも、もともと付近に住家の極力少ないところを選ぶ。そして騒音公害に悩むような住宅につきましては、できるだけ早く移転をお願いしておくというような体制づくりをやってきているわけで、今後の新しい空港の手法としますと、周辺の緑地化ということを中核にしてやっていくというのがこれからの体制だと考えております。
  93. 滝沢幸助

    滝沢分科員 最後に山下大臣、今、何といっても空の時代と言われるわけでございましよう。アメリカさんとの例の貨物等の話もありますけれども、何といっても国際的にもないしは国内的にも空の時代と言われているわけです。そうした中で、さらには東北の時代とも言われる。いわば東北こそが今、これからの日本の産業そのほかの文化開発の大きな魅力あるところとも言える。また言い方によっては、東北こそがいわば政治の恩典に浴さずして残された地域とも言えると思うのです。  そういう中で、さっき申し上げたとおり南東北、北関東という地域における福島空港の問題が出ているわけでありますけれども、大臣の政治力に期待しているわけでありますが、国際また国内の航空事情の整備の問題とあわせて、この福島空港のことについても特段の御理解、大きな御判断を期待しておりますが、一言どうか。
  94. 山下徳夫

    山下国務大臣 地方空港整備の問題につきまして、先ほど来局長がるる御答弁申し上げたとおりでございますが、実は、私の地元佐賀県にもまだ空港がございませんで、目下一生懸命運動を展開しているところでございます。先ほど答弁いたしました以外、あるいは触れたかもしれませんが、ただ旅客が対象ではなくて、いわゆるIC産業の発達した軽薄短小という最近の工業製品を運ぶには飛行機が最も適しておりますので、例えば九州等を見ましても、佐賀だけが空港がなくて企業の誘致が大変おくれている現状を私は身をもって体験いたしております。  そういう意味におきましては、福島県のお気持ちはよくわかりますし、それだけに知事を先頭とされた打って一丸となった態勢は大変立派なものだと思っております。ただ、条件整備は先ほど局長から申し上げましたとおりで、これらの条件が一日も早く具備されますことを私からも期待いたしておる次第でございます。
  95. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大臣のところと私のところはいわば差がないということで、同じ運命共同体でありますから、両方とも整備計画にうまく入って、県民の生活ないしは周辺の文化、産業の開発が遺憾なく進展しますように、大臣の大きな政治力に期待しまして終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
  96. 北口博

    北口主査代理 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、野間友一君。
  97. 野間友一

    野間分科員 まず、運輸大臣山下さんにお伺いしたいと思います。  一九八一年から国際障害者年は完全参加と平等というスローガンで始まったわけでありますが、ちょうど折り返しの地点に差しかかったのが現時点でありますが、総理大臣を本部長とした障害者対策に関する長期計画が策定もされ、これも中央心身障害者対策協議会の「「国内長期行動計画の在り方」について」という提言を受けて策定したわけであります。運輸省あるいは国鉄当局も当然そのメンバーとして対策推進本部におるわけであります。  そこで「「国内長期行動計画の在り方」について」というのを読んでみますと、「障害者については、まず、一人の「人間」として社会の中に存在していることを正しく認識し、それに障害という困難を伴っているだけであると考えるべきである。」これが基本的な前提になっております。そして「「完全参加と平等」は、障害者も一般市民そのものであるという極めて基本的かつ自明の理を再確認し、」それを現実の社会でどう実現するかということで具体的な計画が立てられておるわけであります。したがって、「障害者福祉の理念は、障害者が社会において、一般市民と同等に生活し、活動することを保障すること」である。その方向については、「障害者個人に対する施策とともに、障害者を取り巻く社会的諸条件の整備も併せて行われてはじめて、障害者福祉の全般的実現への道が開かれてくる」、こうしております。そして「このような長期計画を策定する意義は、障害者福祉の理念を国民全体が理解し、これを契機に、その実現へ向ってたゆみない努力が継続的になされることにある。」こう指摘をしておりますが、まずこの点についての大臣の所見を承りたいと思います。
  98. 山下徳夫

    山下国務大臣 実は、私も大臣を拝命します前は、社労族の一人という立場に立ってこの問題、いわゆる完全参加と平等ということにつきましては常々配慮いたしてきた一人でございます。  これらの問題につきましては、ひとり厚生省だけでもっていかんともすることができないことは、先生承知のとおりでございまして、各関係方面に私は常に呼びかけてきたところでございますが、今回私は大臣を拝命しまして運輸省に参りまして、その気持ちでもって運輸省もこの問題には積極的な姿勢で取り組むべきであるということで、部下を督励してまいりました。したがって、今後とも予算措置その他について可能な限り御協力申し上げたいと思っておりますが、詳細の点については局長から御答弁申し上げます。
  99. 野間友一

    野間分科員 今大臣から積極的な決意も含めた御答弁があったわけですが、この長期計画の実施に当たっては、特に運輸省あるいは国鉄については、移動、交通対策ということで具体的な計画が立てられておりますね、その中身についてお答えいただきたいと思います。
  100. 山本長

    ○山本(長)政府委員 総理府において運輸省国鉄の参画いたしました先生指摘の長期計画の中にも触れられておりますし、また、運輸省といたしまして八〇年代の交通政策を進めるに当たっての基本的な考え方はどうあるべきかというふうな御答申の中にも触れられておるところでございますけれども、身体障害者が社会の中において健全な身体を持っている方とできるだけ同じような条件で活動できるような方途を講じていくということが基本的な考え方でございまして、その面から運輸省と申しますか、運輸施設関係につきましては、できるだけ負担の少ない方法で移動できるようにするために交通施設整備を促進していくという点が一つでございます。もう一つは、整備されました各施設が身体障害者に利用されるようにそれらの施設についての情報を関係者に提供していく、この二点であろうと考えております。  その観点から運輸省におきましては、五十六年度から各般の施策を講じておりまして、五十六年度においては、身体障害者のための公共交通機関の利用ガイドブック、これは視覚障害者とか身体障害者が交通機関を利用されるに当たって便利なようなガイドブックでございまして、交通機関あるいは交通各施設に配付する。五十七年度におきましては、ターミナルにおける施設整備を各事業者がやっていきます場合のガイドラインを作成いたしまして、これに沿って各交通事業者が施設をしていただくためのガイドライン、基準でございます。こういった施策を各般講じてやってきておるところでございます。
  101. 野間友一

    野間分科員 今身体障害者というふうに身体という縛りをかけられましたが、長期計画の中では決して身体という縛りはないわけです。そして、今ガイドブックについて言われましたけれども、私は移動、交通対策についてどう長期計画を具体化していくのかということをお聞きしておるわけであります。  私の方から申し上げますと、これを見ますと、「駅舎、車輌等の整備に当たっては、障害者の利用に配慮するとともに、介護体制等の充実を図ること。」あるいは「移動、交通に係る経費負担については、一般利用者との均衡等を配慮しつつ、必要な軽減措置に努めること。」こういうふうにありまして、これを運輸省あるいは国鉄はどう具体化していくかということがこの計画の最も大きな中身だと思いますけれども、それは間違いありませんね。
  102. 山本長

    ○山本(長)政府委員 その二方面からの施策であると思います。
  103. 野間友一

    野間分科員 もう一つ、身体障害者というその身体の縛りはないということですね、いかがですか。
  104. 山本長

    ○山本(長)政府委員 失礼いたしました。計画の中には障害者ということで、身体と申し上げましたけれども、範囲が狭うございました。訂正をさせていただきます。
  105. 野間友一

    野間分科員 そこでお聞きしたいのは、今猛烈な国鉄の合理化、これはいろいろな理屈が言われますけれども、特に無人化、駅舎がありながら、職員がいないという無人化計画がうんと立てられております。  私は和歌山なんですけれども、天王寺鉄道管理局の関係で調べてみましても、六十年の一月一日現在で二百五十五駅のうちで八十五が無人化、これが三月十四日のダイヤ改正によって二百五十五のうちの百十六と猛烈に無人化が進められる、こういう計画があるやに聞いておりますが、これは和歌山線については、既に昨年の十月一日にかなり大がかりに強行されまして、三月十四日のダイヤの改正時点においては、これは紀勢本線が主に五十四のうちの二十九が無人駅化になるという計画のように聞いておりますけれども、まずこの点について確認を求めたいと思います。
  106. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の御質問でございますが、天王寺の管理局におきましては、来るべき三月十四日のダイヤ改正におきまして、三十一駅の停留所化計画を立ててございます。このうち、紀勢本線につきましては、三輪崎駅など二十九駅につきまして停留所化を計画しております。なお、和歌山線につきましては停留所化の計画はございません。
  107. 野間友一

    野間分科員 和歌山線はもうほとんどやられていますからね。今、紀伊中ノ島、山中渓を含めて三十一と言われたわけですね。  そこでお聞きしたいのは、先ほど局長も言われましたが、長期計画の中で駅舎の整備あるいは介護体制の充実、こう言いながら、片方では駅員のいない駅舎をつくり出す、これはまさに計画とは逆行する暴挙だと私は言わざるを得ないと思うのです。これで果たして障害者の移動の自由、社会完全参加と平等が保障されるかどうか、ここに最大の問題があると私は思います。駅員のいない駅が障害者の社会参加の妨げになると考えておるのかどうか、この点についてまずお答えいただきたいと思います。
  108. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄の現状につきましては、先生も御承知のとおりでございまして、これを何とか効率的な形に近づけて、少しでも国鉄の支出を減らし収入をふやすという形で赤字の額を少なくしていかなければならないということで、今、先生のおっしゃいましたような駅の無人化などをやっておるわけでございます。これは国鉄の現状から考えますと、やむを得ないことだというふうに私ども考えております。  その際、障害者等との関係につきましては、確かにいろいろな意味で御迷惑をかけるところはございますが、必ずしも障害者の方たちだけに御迷惑をかけるわけではございませんで、いろいろな面で利用者の方に御迷惑をかける点は多いわけでございますけれども、それはある程度の点については御了解をいただいて、効率的な形への努力というのは続けさせてまいりたいと考えております。
  109. 野間友一

    野間分科員 今確かに利用者全体がそうなので、大変な迷惑を受けるわけですね。これについては和歌山でも、後で言いますけれども、各自治体とか各界各層、保守革新を問わず無人化反対の大きな運動が盛り上がっておりますが、その中でとりわけ被害を受けるのは障害者というのは間違いないでしょう。
  110. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄はいろいろな合理化を今やっておりますけれども、国鉄全体といたしましては私鉄とかその他の交通と比べまして、まだ非効率的な形になっておるわけでございまして、そういう形の中で、私鉄並みに近づけるというような形での合理化を行うことは、ある程度やむを得ないということはお答え申し上げたとおりでございます。その際、確かにいろいろな方面に御迷惑をおかけいたしますが、それはそれなりにまた対応を考え、または御理解をいただいてやっていくということしか仕方がないと考えております。
  111. 野間友一

    野間分科員 大臣に一言お聞きしますが、駅舎に駅員がいなくても職員がいなくてもこれはいいんだ、別に支障はないんだというようなことが言えるかどうか、いかがです。
  112. 山下徳夫

    山下国務大臣 ベストという観点からいきますと、御指摘のようないろんな問題が出てくるかと思いますけれども、限られた予算の中でベターとしてどうやればいいかということになれば、またある程度お忍びいただかなければならない面があるかと思います。御指摘の点は、無人化によって障害者に与える影響がどうかということが骨子かと存じますが、その点私もよく承知をいたしておりまして、福祉政策の面から推進していかなければなりませんけれども、今日の国鉄の現状からしまして、その赤字はまた別途何らかの形において国民の負担になるということを考えれば、ある程度忍ぶべきところは、大変どうも恐縮ですけれども、忍んでいただく面もまたあるのではなかろうか。  御案内のとおり、例えば障害者福祉都市というのが発足いたしましてからもう十年経過いたしまして、これも当初は全国の三千の市町村全部一どきにやったら一番いいことはわかっておるのでございますけれども、国の予算等から四十七都道府県に一つずつということで出発してまいりました。そのようにやはり予算との関連において、今日の国鉄の現状からするならば、本当にそれが障害者のためにいいことではないと私は承知しておりますが、しかしある程度はお忍びいただかなければ、国民全体の立場から見てやむを得ないのじゃないかというふうに理解しております。
  113. 野間友一

    野間分科員 立場は違いますけれども、そういうようにおっしゃること自体は、大臣の立場からはそれなりに理解はできるわけです。ただ私、びっくりしたのは、和歌山駅に行ったときに駅長が、駅舎に駅員がいなくたって支障はないんだ、駅舎に必ず駅員を置かねばならぬという理屈はないんだ、こういうふうにうそぶくわけですね。こういう姿勢でやられたらたまらないと私は本当にびっくりしたわけですけれども、そういう姿勢はぜひ改めていただきたい、今首を縦に振られましたけれども。  そこで、完全参加と平等に関して、私は切実な要求を障害者の立場からいろいろ聞いておりますので、御報告申し上げたいと思いますが、まず「和歌山ハンディキャップガイドブックを作る会」というのがございまして、そこに中井さんという事務局の方がおられるわけですね。この方が切々といろいろ私に訴えられたわけでありますけれども、これを見ますと、この人は車いすの障害者ですね。この方の話では、このガイドブックをつくるときに、白浜の駅とか朝来の駅、あるいは和歌山の駅等々駅員さんがおられて大変苦労されて、私どもも助けていただいた、そこで何十年ぶりかの非常に楽しい列車の旅ができたということを言われておりまして、国鉄の職員の皆さんに対して感謝をしながら、しかしその駅舎から駅員がいなくなる、こういうことになりましたらじっとしておれない気持ちだということから切実に訴えられております。  この中でも、例えば和歌山線の紀伊長田という駅で、かつては松葉づえをついておったころに、二十年前と書いておりますが、その時代ガソリンカーが走っておって、今電車になりましたけれども、駅のホームも低いし、逆にガソリンカーの入り口がやや高くて、どうしても足をかけることができない、そういうことで、駅員さんのいない駅では絶対乗らないことにしました。それで、障害者あるいはお年寄りはみんな駅員さんを唯一の頼りにしておるということをぜひ認識していただきたいという切々とした訴えが寄せられておるわけであります。  したがって、私は無人駅化は絶対認めるわけにまいりませんが、今ベターというふうに大臣言われましたけれども、無人化を進める際に国鉄計画として、完全参加と平等という観点から、それでは障害者に支障のないように万全の施策をとるということを考えておるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  114. 澄田信義

    ○澄田説明員 ただいまの先生の御指摘でございますが、無人化自体につきましては、今の国鉄の厳しい経営事情から申し上げまして、無人化自体の計画は進めていかざるを得ないということでございまして、効率化に取り組まざるを得ないという状況は理解していただきたいと思っております。しかし、無人化を実施するに当たりまして、できるだけお客様へのサービス、あるいは障害者の方々も含めまして一般の利用されるお客様に対する安全対策等々には、万全のやり方をしたいというぐあいに考えております。
  115. 野間友一

    野間分科員 もう一つ挙げますが、全盲のある学校の先生は、公用、私用によく旅をされますが、こう言っておられます。通いなれた駅やコースなら一人で行けるが、一たび初めての駅でそれが無人駅なら、電車からおりて改札口がどこにあるかもわからない。どんな駅の構造かもわからない。乗降客の多い都市部なら一人ぐらい親切な方がいて案内もしてくれるかもしれないが、田舎の訳なら自分一人だけ下車ということもあり得る。そんなとき駅員さんがいなければ、案内してくれる親切な人があらわれるまで何時間でもそこで身動きもせず待っていなければならぬ。結局、そんな恐ろしく不安なことはできずに、行動範囲をみずから限ってしまうことになる。こういうふうに言われております。  これは大臣もおっしゃったように、社労族である以上おわかりだと思います。そこで、紀勢線あるいは和歌山線、これらの駅員がほとんどいなくなるというふうな異常なことが強行されるわけでありますけれども、いろいろな施策をやられるかもわかりませんけれども、果たして駅舎の整備や介護体制が十分できるかどうか、私は非常に不安を持つわけであります。  そこで、具体的に幾つか聞いてみたいと思いますが、例えば、あらかじめ管理局に電話連絡すれば、車いすの障害者の乗降のときだけ臨時に無人駅に要員を派遣するということを、天鉄局は障害者との交渉の中で言っておりますけれども、車いすだけでなくて、全盲とか非常に障害の重い方は管理局に連絡すれば、そういうことを運輸省あるいは国鉄本社としてちゃんとやるのかどうか、この点についてはどうなんでしょう。
  116. 澄田信義

    ○澄田説明員 天王寺の局といたしましては、今お話しのとおり、無人化する駅につきましてサービス確保観点から、あらかじめ事前に御連絡をいただけますれば、できるだけお手伝いをするということにいたしております。
  117. 野間友一

    野間分科員 私は、確かに大臣がおっしゃるように、財政上の問題があるかもわからぬとは思いますが、しかし事障害者について見れば、移動するということ自体が命にかかわる問題なんです。だから万全の施策をぜひとられたい。これは銭金にかえられない問題だと思うのです。駅員が配置されておっても必死で行動されておる。今点字ブロック等についても一定の施策がなされておりますけれども、私がいろいろ調べたところによりますと、点字ブロックがないための事故が非常に多く発生しております。例えば和歌山駅で昭和三十二年に盲学校の生徒が線路に転落して、列車とホームに挟まって死亡したとか、挙げれば枚挙にいとまがないわけです。ところが逆に、駅員が配置されておって助かったケースもあるわけです。これは大阪環状線で老人が線路に落ちて、間一髪で駅員の機転によって救出されたというのがあるわけです。  そこで、具体的に多少お伺いします。和歌山駅ですが、誘導ブロック、警戒ブロック、両方とも整備されておるのは一番ホームだけで、二番から四番ホームは、警戒ブロックはありますけれども、誘導ブロックがないわけです。こういうようなことでは非常に障害がありますから、和歌山駅を初め、さらに無人駅について、点字ブロックのないところを総点検して直ちにつけるべきだと思いますが、この点いかがですか。
  118. 澄田信義

    ○澄田説明員 警告、誘導ブロックにつきましては、まず警告ブロックの方から順次整備していくという考え方で現在実施しております。今御指摘の和歌山駅の誘導ブロックの設置につきましても、予算事情の許す範囲内でその辺を勘案して、できるだけ整備してまいりたいというぐあいに考えております。
  119. 野間友一

    野間分科員 結局、予算の範囲内、これが出てくるわけですね。整備新幹線等については全く裏づけのない形でどんどん進めながら、命にかかわるこういうことについては予算の範囲ということでけちる。そのこと自体私は、運輸省なり国鉄が障害者の移動について、本当に人命にかかわる問題とまじめに考えておるかどうかということで疑いを持つわけであります。  さらに、ホームの両端の転落防止さく、これは和歌山駅もないわけで、紀勢線も今度計画にある無人駅の中にも随分ありませんけれども、これもぜひつけろという要求がありますが、いかがですか。
  120. 澄田信義

    ○澄田説明員 御指摘の転落防止さくの設置につきましては、地元における天王寺局とこのお話の中で既にお示ししておりますように、五十九年度末までに設置することで鋭意努力をいたしております。
  121. 野間友一

    野間分科員 それから、列車の進入通過に関して、これは風圧で大変危険なんです。仮に無人化された場合に、とまる列車なのか、通過する列車なのか、急行なのか、それもよくわからない、したがってホームに立っておっても危険でしようがない、こういう訴えが切々としてあったわけです。そこで、視力障害者の方からは、せめて私鉄並みに人の声をテープで放送して、通過かあるいは停車か、あるいは危険を呼びかける、耳の不自由な人からは、電光掲示板をつくれという要求が出ておりますが、この点はいかがですか。
  122. 澄田信義

    ○澄田説明員 ただいまの御指摘でございますが、列車の進入通過を知らせるような列車接近の情報を、信号装置からとりまして警報音を出しております。それから、その次の御指摘の点でございますけれども、この案内掲示につきましては現在、駅頭に掲示を出しておりますし、乗り場案内も掲載しておりますので、できるだけそれらの掲示物を御利用いただくようにお願いをしておるところでございます。
  123. 野間友一

    野間分科員 警報音というのはカンカンと鳴るやつだと思うのですね。しかも、これは全部はつけないらしいのですけれどもね。しかし、カンカンじゃだめなんです。通過するのかあるいはとまるのか、人の声でこれを流さなければだめなんです。それについてぜひ実現されたいということなんですが、これ、やれませんか。やってくださいよ。
  124. 澄田信義

    ○澄田説明員 先ほど申し上げましたように、信号で感知いたしまして、それで音を出すようにしておりますので、現在技術的な限界がございまして、通過列車かあるいは停車列車か、その辺の区別が技術的に今できない状況にございますので、そういった音を出すことによって警告を発しまして、安全に努めていただくというようなやり方を現在とっていただいております。
  125. 野間友一

    野間分科員 いや、肉声で流さぬとわからぬでしょう。新幹線の熱海駅だって「こだま」のときには、フェンスというか、さくで入口のところをあけたり閉めたりするでしょう。風圧で健常者でもやっぱりそうなんです。急行がどんどん出てくる、特急が出てくるという場合に大変なんです。これはみんな身の危険を感ずるわけです。これ、検討してくださいよ。
  126. 澄田信義

    ○澄田説明員 検討させていただきたいと思います。
  127. 野間友一

    野間分科員 時間がありませんので、また次の問題に進みますが、今度は経費負担の軽減についての措置であります。これは毎年国連にもずっと報告しておりますけれども、割引については、急行料金あるいは乗車券等確かに措置があります。これは二十七年から始まりまして、殊さら新しいものではなくて、単に障害者年を契機にして障害者手帳提示で済ませるというふうに変わっただけですけれども、それはそれとしても、今度紀勢線をとってみますと、急行が全部特急に格上げされる。そして、とまる駅は同じで、多少時間が速くなりますけれども、実質的にはそう変わらない。しかし、今の国鉄の規則からすれば、特急料金については割引制度がないわけです。これはぜひ割引をしてほしい。これはB特急ということでA特急よりも若干の割引があるようで、これはしかし健常者全体の問題ですからね。特に障害者について、特急についても割引を適用されるようにということと、同時に、これも身体障害者に限るということに今なっておりますから、これも差別でありまして、精神薄弱児等についても同様に割引をしてほしいという要求が出ておりますが、この点についてぜひそのようにしてほしいという要求を申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  128. 澄田信義

    ○澄田説明員 現在国鉄において実施しております身体障害者割引運賃にかかわる公共負担につきましては、現在の財政の危機的状況から、みずからの負担におきましてこれを維持することは非常に困難となってきておりまして、かねてから構造的な問題ということで、国において所要の措置を講じられるよう要望してきておるところでございます。  これに関しまして、昭和五十五年の衆参両議院の運輸委員会におきまして、政策実施部門の負担において解決するよう附帯決議が行われております。また、昭和五十七年九月の閣議決定による「日本国有鉄道事業再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」の中におきましても「運賃上の公共負担については、所要の措置を講ずる。」とされております。これを受けまして現在、各関係の省庁におきまして、国鉄公共負担軽減対策会議が組織されておりまして、現在諸対策検討中であると聞いております。  国鉄といたしましては、これらの結論を待って対処することとしたいと考えております。したがいまして、現時点におきましては、さらに国鉄の負担において特急料金の割引とか、あるいは御指摘の精神薄弱児等に対します割引等を拡大するのは困難ではないかというぐあいに考えております。
  129. 野間友一

    野間分科員 時間がありませんので、それは私はけしからぬ、再検討をひとつぜひしてほしいということを申し上げ、国鉄総裁見えましたので、総裁と運輸大臣に最後にお聞きしたいと思います。  冒頭にも申し上げましたように、国際障害者年のちょうど折り返しの地点で、さまざまな施策計画が一応立てられておりますけれども、しかしながら実際には、それと相反する合理化がうんと進められている。今時間の関係で若干しか申し上げることができませんでしたけれども、やはり計画に従った具体的な障害者対策、交通輸送手段について、今私が申し上げたことをよく検討して、ぜひ遺漏のないように施策をとられたいということと同時に、私はこれがずっと進みますと、国鉄が解体され、民営化されましたら、もっともっとひどくなるというふうに思いますが、その点について、私は絶対反対という立場から国鉄総裁と運輸大臣に最後に、今申し上げたことについての答弁を求めて終わりたいと思います。
  130. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど来、担当の局長あるいは国鉄等から十分御説明申し上げたと思うのでございますけれども、何せ限られた国鉄予算の現状からしますというと、私自身隔靴掻痒の感がないでもございません。しかしながら、私はただ物だけでは解決できない面があるんじゃないかと思います。もちろん、やらなければなりませんよ、やらなければなりませんけれども、例えばもっとやはり心の面でも御協力をいただく。  私は例えば、身体障害者の全国大会での目の見えない方の叫びを聞きまして、自分たちは目が見えないからといって不幸だと思ったことはない、それよりも近隣の人たちの愛情、人情を得られないとき、真に不幸を感じるということを私は今日覚えておりますよ。ですから、例えば町の四つ角に新しくミュージックの信号をつけた、そのことよりも、やはり手を引いて渡ってくれる人の方がよほど私は効果があると思うのでございまして、最近マスコミのキャンペーンによって地下鉄等の暴力がだんだん減少しつつある、大変結構なことであり、これはたくさんの鉄道公安官等を配置するよりも、そういうキャンペーン、皆さん方協力の方がよほど効果がある。そういう意味におきまして、無人駅化したときに、そばにいる人が、さあ一緒にいらっしゃいと言って手を引いてくれる、そういうものも私は、物を無視するんじゃございませんよ、あわせてひとつ国鉄等にもお願いしながら、より救いになるように、今後とも私は指導または努力をお願いしてまいりたいと思います。
  131. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今、大臣から御答弁がございましたが、私どもも、先ほどから関係者から申しておりますように、なかなか予算事情苦しい中でございますが、今、大臣のお話しのような点もあり、物の整備ということも必要であるというふうに思いますので、よく運輸省その他関係の方々とも御相談しながら、できるだけの努力を重ねてまいりたいと思います。
  132. 野間友一

    野間分科員 異論、不満はありますけれども、時間が参りましたので、これで終わります。
  133. 北口博

    北口主査代理 これにて野間友一君の質疑は終了いたしました。  次に、上野建一君。
  134. 上野建一

    上野分科員 私は、国鉄の問題の中でも、特に安全性の問題を中心に質問をしたいと思います。  まず、山下運輸大臣にお尋ねしたいのは、山下運輸大臣は社会労働委員長をなされて大変労働問題にも理解があると承っておりますが、そこで、先日も予算委員会などで我が党の指摘を受けた労働基準法違反、こういう問題を含めて、国鉄の今日の労働者に対するやり方、労働条件その他については大変問題が多いと思います。運輸大臣はどういうふうに考えておられるか、最初にお伺いしておきたいと思います。
  135. 山下徳夫

    山下国務大臣 きのうも予算委員会において御答弁申し上げましたように、いやしくも公的機関でございます国鉄が、就業規則等の不備があったということは、大変私は遺憾であると存じております。したがいまして、労使円満なる話し合いによって速やかにこういう問題が解決するように私は望んでおる次第でございます。
  136. 上野建一

    上野分科員 ぜひそういう方向を積極的にひとつ運輸大臣が行政指導してもらいたいと思います。  そこで、国鉄総裁にお伺いしたいのは、国鉄ダイヤ改正がこの十四日に行われますね。その中で、さらに過員がつくり出される、いわゆる過員と称するものがつくり出されようとしておる。このダイヤ改正に伴う過員の問題については、一体どういう方針でどういうふうに考えておられるのか、それでどこまでやるつもりなのか、まず聞いておきたいと思います、
  137. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 ただいま三月十四日を目途にいたしまして全国的なダイヤ改正を進めてきております。これによりまして、いろんな効率化をこの際実施したいということで考えておりまして、約一万五千人の効率化考えておるところでございます。先生指摘の余剰人員問題が今国鉄の大きな問題になっておるところでございますが、実は今年度首二万四千五百人の余剰人員が発生したわけでございます。  この問題の扱いといたしまして、いろいろ対策を今進めておるところでございまして、まず第一に過員活用といいますか、国鉄の企業内部増収対策等々に活用することを考えております。  それから次に、余剰人員調整策といいまして、簡単に申し上げますと、内容が三つございます。一つは退職制度の改正、第二に関連企業等への派遣、それから第三に休職制度の改正、大ざっぱでございますが、こういった調整策を講じまして、この問題の解決を図っていきたい、当面そういうことで進めておるところでございます。  ただいま申し上げました六〇・三ダイヤ改正に基づく合理化によりまして、この余剰人員問題に当然関係することでございますが、ただいま申し上げましたような過員活用あるいは余剰人員調整策等々を全力を挙げて今取り組んでいる次第でございまして、この中で解決を図っていきたい、このように考えておるところでございます。
  138. 上野建一

    上野分科員 それはやはり今の過員と称する余剰人員をつくり出している、無理につくっているという感じを私は持つのです。例えば、今までもう既に七万六千人過去三年間に何らかの形で国鉄から追い出している。さらにこれから十二万四千五百人ぐらいを目指していると聞いているわけですね。こういう無理に人数をやって、そして一方では例えば、きょうは時間がありませんから、私は動力車乗務員に問題を絞ってちょっと例として出していきたいと思うのですけれども、長時間の連続運転で、一方では残業がつくられていますね。そして一方では過員だと称しているけれども、一方では残業しなければどうにもならぬくらいになっている。一体これはどういうことですか。これは大きな矛盾でしょう。いかに無理につくり出しているかということの証明じゃないですか。残業を一方でどんどん長時間労働でやらなければならぬような状態にしておきながら、それで一方で人間が余っている。これはおかしいでしょう。この実態をちょっと言ってください。
  139. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 ただいまのお話は動力車乗務員の勤務の問題であろうかと思いますが、実は動力車乗務員の勤務の基準につきまして、昨年度末、各労働組合と話し合いがつきまして、その新たな適用を今度のダイヤ改正におきまして実施するということで、今各労働組合と団体交渉を進めておるところでございますが、この新たな動力車乗務員の勤務といいますのは、これは簡単に申し上げますと、類似する私鉄と比べますと、国鉄の動力車乗務員の乗務効率というのが非常に劣っているという実態でございまして、私どもといたしましては、国鉄のこの厳しい経営状況におきまして、何としてでも私鉄並みの効率化というものを目指していかなければ国鉄としての自助努力を最大限やったということは言えない、これから大変な御負担を国民に仰がなければならぬときに、やはり自助努力はぎりぎりの限度まで我々としてはやらなければならない、そういうふうに考えまして、そういう中で私鉄の動力車乗務員の勤務のあり方と比較してみますと、やはり勤務のあり方を変えなければならないということで、昨年度末、新たな勤務制度というものを提案いたしまして、各組合と妥結したわけでございまして、語弊があるかと思いますが、それが簡単に言えば超勤を前提とした交番割の作成という方式でございまして、それによって今各組合と労働条件等の詰めを行っておるわけでございまして、これは私鉄等と比べまして決しておかしい勤務のやり方ではございません。妥当なものというふうに考えておりまして、これもさっき申し上げましたように、各組合と妥結いたしました協約のルールの中で進めておるところでございます。  以上でございます。(上野分科員「聞いたことに答えなさい。残業手当のことを聞いているんだよ。一方で過員と言いながら……。聞いたことに答えなさい、時間がないんだから」と呼ぶ)ただいま申し上げましたように、超勤前提の交番作成という新しい勤務のやり方につきまして昨年度末に各組合と合意が成立いたしまして、そのルールの中で今六〇・三ダイヤ改正の動力車乗務員の労働条件を詰めておるところでございまして、決して先生指摘のような不当なものというふうには私ども考えていないところでございます。
  140. 上野建一

    上野分科員 もうちょっと聞いたことに正確に答えてくれませんか。残業手当を一方で出しているということを聞いているのでしょう。それに一つも答えてないじゃないですか。月に幾らあるのですか。僕の聞いているところでは四千三百万も月に残業手当を出さなければならぬ。年間にしたら五億二千三百万、そのくらいの残業手当を出さなければいかんと言っているのでしょう。それは事実ですか。それでいながら一方で過員だ、過員だというのはどういうわけですか。しかもあなた、私鉄並みと言うけれども、私鉄は最大限二時間三十分ですよ。ところが三時間を超える場合がある、一乗務について。そういう事実をあなたは知っているのですか、全然知らないのですか。具体的に言ってください。
  141. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 超勤前提の交番でございますので、当然残業の手当を支払うことが超勤が発生すれば出てくるわけであります。それが余剰人員があるのにそういう残業手当を払うのはおかしいではないかという先生の御指摘だと思いますが、これは先ほどから繰り返し申し上げておりますように、やはり私鉄並みの乗務効率の達成はしなければならないということで進めておるわけでございまして、発生いたしました余剰人員につきましては、余剰人員問題といたしまして、部内活用あるいは余剰人員調整策ということで進めてまいりたい、このように私どもは考えておるところでございます。
  142. 上野建一

    上野分科員 国鉄総裁にお伺いしたいのですけれども、今、局長はっきりしたことを言わないんだが、先ほど僕が言いましたように、年間五億二、三千万の残業手当を払わなければならぬ、超勤手当を払う、これ自体がもう国鉄の今の財政事情の中でやってはいかぬのじゃないですか、こんなに金を払うのは。一方で人間が多い多いと言いながら。だから、そのことから推しても今日のいわゆるダイヤの組み方その他が、私鉄並みとかいろいろ言うけれども、人間の働く能力なりいろいろなものを無視したやり方なんですよ。それは労基法違反にもあらわれているように、国鉄の今のそういう労務対策というものが人間性を無視したやり方なんです。そのことを総裁、思いませんか。いかに赤字をなくするためにと言いながら、そういうことは物の問題でしょう。先ほど私が聞いていたら、言っていたじゃないですか、人間、心が大事だと。人間を無視したやり方でこの赤字を解消するなら、これはだれだってできるじゃないですか。しかも、人間を減らしたからといっても赤字は解消できませんよ。問題は、なぜ赤字が出たかということをもっと明確にした上で、そこのところを何とかしなければどうにもならないでしょう。まず総裁、今やっていること、職員局長おっしゃったけれども、これはあなたの方針なのか、こういうやり方をこれからも続けるつもりなのか、もっと具体的に後で聞きますけれども、まず、その前提になる姿勢についてお伺いしたいと思います。
  143. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 ただいまの要員の効率化という問題の進め方でございますが、これはいろいろ問題点はございますけれども、私どもといたしましては、監理委員会等からの御提言を受けておりまして、効率化をするということを進めざるを得ないというふうに考えております。一方、それに伴いまして余剰人員が出るという問題がございますが、これについてはそれなりの対策考えていくということで考えておるわけでございます。
  144. 上野建一

    上野分科員 例えば、この間三重交通のバスが転落しましたね。これは明らかに労働基準法違反の勤務状態でありました。ところが国鉄が今のダイヤ改正でのやり方をやるならば、二時間から三時間以上の連続運転というのはざらにある。しかもゆとりのない編成ですから、一人が休んだときになるともう大変な状態になる。しかも二時間から三時間という運転の中には、食事の時間はもちろんとれない、お手洗いにも行けないという状態が出てきているのですね。ですから、そういう人間性を無視したやり方が続きますと、これは当然のこととして三重交通の問題と同じような状態がてきかねない、そう思うのですよ。そういうことについて、そこまでやる赤字対策というのが、実際は今度は一方では年間五億も六億もかかる超勤手当を出すという、こんなばかな話はないでしょう。予算を減らすために、財政を豊かにするためにと言いながら、片っ方で金を使っているじゃないですか。そんな編成のやり方はやめるべきじゃないか、総裁どうですか。——総裁に聞いているのだよ。
  145. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 ただいまの先生の御質問の細かい点につきましては、担当の常務から後で答えさせますが、基本といたしまして、三重交通の場合がどうであったか、私は新聞等でしか知りませんが、かなり激しい労働だったというふうには聞いておりますが、そういうような状態を起こすというようなことは国鉄の場合あり得ないというふうに考えております。  先ほど長谷川局長から申しましたように、昨年末に乗務員の乗務行路の長い伝統のある協定の改正が行われたわけでありまして、それは労組との協議が調ってそういうふうになったわけでございますから、私どもとしては労働基準法違反になるというようなことはないというふうに信じておる次第でございます。  以上でございます。
  146. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ただいま安全問題につきまして総裁から御説明いたしましたが、基本的には私ども、動力車乗務員というのは人命、財産を預かっているということで、そういった面で深夜における乗務時間の制限あるいは一勤務の労働時間の制限あるいは在宅における休養時間というものについても十分配慮した基準を作成いたしまして、五十七年から二年間にわたって労働組合と議論いたしまして、先ほど職員局長が御説明いたしましたように、昨年の年度末に労働組合と妥結したということでありまして、そういった意味で非常に労働強化ということではございませんで、そういった面を十分配慮し、なおかつ私鉄並みの効率性を上げるということで考えているところであります。  国鉄の場合は、国電あるいは急行あるいは新幹線というようなことがございまして、そういった面でそれぞれの継続の時間なりあるいは距離なりといった面についても私鉄と単純に比較するということもいかがかなと思いますが、実際のハンドル時間あるいは一日当たりの労働時間等々の効率を見ますと、従来かなり私鉄に比べて国鉄は非常に効率が悪かったということで、今後、先ほど来先生指摘のように、国鉄経営の中でやはり少なくとも私鉄並みの水準、効率を上げていくというのが我々の基本的な考え方でございまして、決して労働強化によって人間性を無視するというものではございません。
  147. 上野建一

    上野分科員 あなたは人間性を無視していないと言うけれども、まずお手洗いに行く時間もないほど詰めたやり方ですよ、これは。私も具体的にこれを持っている。何時に乗って何時におりて交代、次の電車に乗りかえるのがわずか十五分しかなかったり五分しかなかったり、そういう決め方を一方でしているわけでしょう。そうしていながら無視してないと言ったって、これは話にならないのですよ。それから私鉄私鉄と言うけれども別ですよ。これはいろいろ特殊性が国鉄と違うのですよ。  ここで明確にしてもらいたいのは、まず、例えば始発でやる場合は電車のない時間に出ていかなければならぬわけですから、そうすると、前の晩から行って泊まらなければならぬ、そうですね。それから最終電車になればもう帰る電車がない。最終でなくたって場所によっては帰れない。そうすると、また泊まらなければならない。そういうようなことも含めて乗務員というのは特殊形態であることは認めるでしょう。特殊な形態であることは認めますね。
  148. 坂田浩一

    ○坂田説明員 それは特殊な形態でございます。ただ国鉄の場合も、深夜の泊につきましては、原則として二回以上よそで仮泊するというようなことは、人間あるいは家庭という面で考えてどうかなということで、そういった面も今回の乗り組み基準の中にきめ細かく提示いたして組合といろいろ話し合って妥結したというふうになっているところでございます。
  149. 上野建一

    上野分科員 時間がありませんので、この際、運輸大臣にひとつお伺いしておく方がいいと思うのですけれども、国鉄は赤字減らしたという建前で一方でどんどん減らしている。そして一方で残業手当が年間五億か六億かかる。これはどう考えても国民だって納得しないと私は思うのですよ、国鉄にいろいろな要求をしている国民でも。なぜいわゆる余剰人員をつくって、超勤をやらなくても済むぐらいの——全然出ないということはないでしょうけれども、超勤をやらなくてもいい、この五億なら五億の金を出さなくてもいいような体制をなぜとらないと思いますか。また運輸大臣、これは指導としてそうさせるべきじゃないでしょうか。これは矛盾ですよ。どう考えたっておかしいよ、これは。だから無理につくり出しているのですよ。運転士を排除しようとしている。私鉄並み私鉄並みと言うけれども、勤務状態が違うんだから、それから距離も長距離が違うし、乗っている時間の問題もあるし、これは全然違うのです。だから、それはいろいろなことについては問題点があることはわかりますけれども、これは大臣と総裁と両方から答えてください。
  150. 山下徳夫

    山下国務大臣 予算委員会でもかねがね御答弁申し上げましたように、これらの具体的な労使間のお話し合いというものは労使間でお決めになる問題で、私どもとやかく言うべきではないと思いますが、今御指摘の超過勤務につきまして、労使の話し合いの中で、年間を通じて全く超過勤務がない、そういう状態が労使とも理想だとお考えであるならば、私はそれも一つの方法かと思うのですが、それらの具体的内容につきましては、労使のお話し合いにゆだねるべき問題だと理解しております。
  151. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先ほどお答えいたしましたが、この問題につきましては、合理化を進めていくということが今一つ国鉄の大きな方針として流れておるといいますか、流しております。それと余剰人員問題という矛盾が出てくるという問題はよく承知をいたしておりますが、おのおのそれなりに対応をしてまいるということで考えているわけでございます。
  152. 上野建一

    上野分科員 労働組合と一致した一致したと言うけれども、これは全部じゃないでしょう。そのうちの一部と話しているだけじゃないですか、これは。  それで、特に私が聞きたいのは、合理化を進める進めると言うけれども、合理化の進め方は、やり方が悪ければこれは直させなければいかぬでしょう、どう考えたって。とにかく超勤でこれだけの金を使わなければならぬという、五億か六億の金を使うほど削り取っちゃって、しかも長時間の運転だ。総裁、これはあなた、もし事故でも起こったらどう責任をとるのですか。あなたがやめればいいというものじゃないでしょう、これは。もうわかっているのですから。これだけのぎりぎりの形でやっている。前の高度成長の際に過剰な運転のために事故が次々と出たじゃないですか。そのことを国鉄は学んで一部いろいろ改善もしましたね。三河島から始まっていろいろな事故が連続してあった。そういうことについて今またもとに返そうとしているのですね。工事だって手抜き工事みたいなものがこれはあり得ますよ、今の状態だと。きょうは余り具体的に申し上げませんが、後ほど改めて申し上げますけれども、まず、そういう安全性の問題について責任を持てますか。  それから、安全性の中で特に重要なのは、長時間業務と超過勤務を含めた休みもとれない、食事もとれないという状態、これはどう考えたって何とかしなければならぬことだと思うのですよ。その点はどうでしょう。
  153. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 細部について私も十分承知しておりませんけれども、今我々がやっている作業は、安全ということを第一に考えている作業でございますので、安全については自信があるというふうに申し上げていいかと思っております。  細部につきましては、いろいろ食事時間とか休憩時間という問題の御指摘もございますが、これらについては、いずれも基本になる労働組合との交渉結果による協定並びに今度はそれを実施に移す場合の各地方におきます協定、合意が前提になっておりますので、今先生の御指摘のようなことは起こり得ないのではないかと私は考えておりますが、また具体的なことがございますればよく伺うことといたします。
  154. 上野建一

    上野分科員 申し上げたことにどうもはっきり答えてもらえないのですけれども、総裁、一度電車に乗ってみられたらどうでしよう。これだけ大きな問題になっているのですから、一度電車に乗られて——私乗ったのですよ。確かに別の電車に乗りかえるのですが、その間十五分しかない。しかもそれは食事の時間にぶつかる時間なんですよ。飯も食べられない。朝早いからどこもやっていない。三十分時間があったって駅前で食事する所がなければとれないですよ、前の晩泊まっていますから。そういう実態があるのです。だから、これは運輸大臣が言われるように、本当に人間を大事にすることをやろうとするなら、まず体験的に細かいことを知らないということでは困るのですよ。細かいことを知らないで、安全は安全だと言われても困る。そういう意味で総裁にはぜひ一度乗ってもらいたい。  それから問題は、国鉄の働く者との関係では、私は今余りにも当局の弾圧姿勢が高過ぎると思うのです。弾圧したり処分したりすることが徹底的にやられていますね。こういう中で正常な信頼関係は出てきやしませんよ。至るところで問題が起こっているでしょう。ワッペンをつけたぐらいで処分するとかささやかなことで物すごい争いになっている。これはもっと現場を大事にして——だって働く人がいなければ国鉄成り立たないでしょう。その点を考えていくべきだと思うのです。そこの上に立った信頼関係をかち取らなければ、それは運輸大臣からいろいろ言われているようですけれども、自主性を持って国鉄が頑張ってもらわなければならぬ点が幾つかありますよ。その点について、総裁は信頼関係を回復するために処分や弾圧というようなことをやめる気はないかどうか、お伺いしておきたいと思う。
  155. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生からいろいろ御指摘がございましたが、私どもといたしましては、先ほど大臣が申されましたように、人と人との心の触れ合いが基本になければならないと考えておりまして、大臣からも御指摘がございまして、私どもも幹部等と腹を開いて話すという努力を重ねております。私どもは決して弾圧というようなことをしているつもりはございませんが、お互いに立場がありましていろいろな議論があると思いますが、今後も私どもといたしましては、できるだけ心の触れ合いを大事にしながら交渉を進めてまいりたいと思うわけでございます、
  156. 上野建一

    上野分科員 最後に、運輸大臣にお伺いしますが、国鉄再建問題は、今の状態を見ますと、二十二兆円を超える赤字の責任をまず実際に働いている人に押しつけているという感じです。だってそうでしょう、実際問題首を切ったりなんか事実上なっているわけですから。国鉄の駅を見たって悲惨な状態です。あっちこっちに物を並べたりなんかしている。しかも、今まで見ていますと、赤字の責任国鉄当局、いわゆる幹部の方はだれも責任をとっていないのです。これは一体どう考えたらいいのでしょうか。こういうやり方だと本当の意味の国鉄再建はできないと思う。だって人数を減らしたって二十二兆円の赤字は解消になりませんよ。国鉄はもともと赤字になるようにできているのですから、そういうように政治の中でやってきたわけですから。今の責任のとらせ方というのはおかしいと思わないのでしょうか。運輸大臣に最後にそれをお聞きしたい。
  157. 山下徳夫

    山下国務大臣 長期債務の問題は一番大きな問題でございますが、それが従業員の犠牲において云々ということでございますが、先ほどからしばしば弾圧弾圧という言葉がございまして、私もちょっとびっくりしております。(上野分科員「大変なんです」と呼ぶ)大変ですか。そうですか。各国の革命の歴史をひもといても、革命の原因は弾圧でございますから、とにかく弾圧が高ずるとえらいことになりますので、国鉄においてはそんな弾圧があるかどうか私は承知しておりません。  いずれにいたしましても、二十二兆円の長期債務はそんな形ではなくて、私はこれはいろいろ解決の方法があると思いますが、今私も一つ考え方は全くないではございませんが、御案内のとおり、七月ごろまでには国鉄再建監理委員会答申が出ることになっておりまして、その答申の中にこの問題は重要なテーマとして織り込まれることになっておりますから、その結果を見て私どもは処理してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、これは最終的には何らかの形において若干国民の負担に回るのではなかろうかという、そこらあたりをいかにすべきかということが一番大きな問題であろうかと私どもは理解しております。
  158. 上野建一

    上野分科員 終わります。
  159. 北口博

    北口主査代理 これにて上野建一君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  160. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 国鉄がモータリゼーションの中で大きな赤字を抱えて、このままではなかなか成り立たない、抜本的な対策が必要であるという点ではそれぞれの立場からの理解があると思うのです。しかし、赤字であるからといって、地方のローカル線は特定地交線がありますが、ローカル線をまた単純に切り捨てていくという方法もなかなか納得できないと思うのです。そういう意味で、たとえ赤字であっても、地方には非常に特徴を持った大事な路線がそれぞれあるので、京都府の舞鶴から福井県の敦賀に至る小浜線を一つ例に挙げて問題点を指摘して、大臣と総裁ほか皆さんの見解をいろいろとただしたいと思います。  まず第一に、若狭湾というのは御存じのように敦賀の方から宮津の方にかけてでありますが、この間に重要な港湾として、福井県の敦賀の港がある敦賀市、京都には舞鶴の重要港湾がありますが、この一帯は言うならば西日本有数の国民保養基地であると私は思っております。昭和四十六、七年ごろ、私が参議院当時、運輸省は海洋性レクリエーション基地というのを九十九里浜と若狭湾に設定をして以来取り組んできておりますが、その当時相当論議をした覚えがあります。御存じであろうと思いますが、若狭湾一帯に大体夏、年間六百四十万と言いますが、夏場に海水浴だけで五百万を超える海水浴客が来る。そういう意味では関西、近畿、名古屋、中京等からの大変大事な国民的保養基地である、こういうふうに思っております。  そこで、運輸省としてもいろいろな取り組みが今まであったわけですが、それらについてどういう考えを持っていらっしゃるか、それからこれからはどうであるかということについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  161. 岩崎雄一

    岩崎説明員 ただいまおっしゃいましたように、夏季には海水浴客等がございましてかなり繁忙シーズンになるわけでございますけれども、現在の小浜線は、物理的には北陸線と舞鶴線との連絡線でございますけれども、何せ輸送密度輸送量が非常に少ないということで、御承知のように基準期間では約四千人でございます。それが五十八年度には約二割減りまして三千二百人くらいに減少いたしております。形の上では日本海縦貫の一環をなす線区ではございますけれども、輸送実態からいいますと、地域の通勤通学を主体にいたしました地域内利用がかなり多い線区でございまして、北陸地区と山陰地区とを大きく結ぶ幹線ネットワークを形成する線区だとは必ずしもみなしがたい実情にある、このように考えております。
  162. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それはまた伺いますが、今聞いているのは、ここ十数年運輸省が若狭湾に西日本の国民的なレクリエーション基地として設定をして以来取り組んできたその経過の概要と、これからこれをさらに発展させていくつもりかどうか、こういうことについてお尋ねをしているのです。
  163. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 実はちょっと港湾関係の担当の者が参っておりませんので、詳細なことは存じておりませんけれども、若狭湾の海洋レクリエーション振興のためにマリーナの整備というような諸計画が進んでおるということは承知いたしております。
  164. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 運輸省は、分科会をやるときに大臣のほか担当局長は皆来ていないのですか。当然顔を並べておくべきじゃないか、ほかの省庁なら別として。
  165. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 大変申しわけございませんが、私ども、小浜線の問題ということでございまして、港湾振興等についての担当の局長参っておりませんので、先ほど申し上げました程度のお答えしかできないという実情でございます。
  166. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 質問通告が大臣にレクリエーション基地、これについての経過、構想はどうなんだということを求めているのだから、大臣の御答弁がないのなら、そのかわるべき人が専門的に答えてもらわなくてはちょっと困る。呼んでください。多少時間がかかっても、後で聞いてもいいですから。
  167. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 それでは、担当の者をただいま呼びますので、後刻答弁をさせていただきます。
  168. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 時間の点もありますから、それはちょっとちぐはぐしますが、見えてからまた伺うということにします。  そこで、私の方から若干申し上げた方がいいと思うのですが、高浜という町があります。これは国鉄皆さんはよく御存じですが、一年の常住人口は一万一千、ところが夏の土曜、日曜は十五、六万から二十万に膨れ上がる。一万一千の人口が二十万になるというのは大変な人が来るということなんですね。だから、例えばごみの処理場をつくるにしてもあるいはし尿処理場をつくるにしても、平生の年のキャパシティーの数倍の容量のものを用意しておかなくちゃそれだけに対応できないという、し尿処理場一つにしても大変大きい準備をしておりますが、そういうように夏非常にたくさん人が来るのが若狭湾であるということが言えると思うわけです。  そこで、私は小浜市なので、その中心地になりますが、もちろん時々帰りますが、夏車で帰ると、国道二十七号線というのが通っておるのです。これは非常に時間がかかって、そして三時間、四時間渋滞が常になって、そのために海水浴にお客さんが来ても、車の中で渋滞する時間の方が海に入る時間よりも長いというくらい渋滞する。しかし、五百万人以上の人が夏その地域に来るということは相当な混雑である、このように考えるわけです。自動車では非常に渋滞をする。したがって、国鉄は夏は臨時列車を出して、そしてこれに当たっている。職員に対しても、委託をしているところもありますが、そういうところには臨時の職員を配置をして対応している。ということは、一本の狭い二十七号の国道はもう動きがつかない。したがって、夏場はともあれこの国鉄線に非常に依存をしている。だから臨時列車を出さにゃいかぬ、そういう状況にあるわけです、  そこで、国鉄の方で夏場の輸送状況はどれくらいになっているか、臨時列車を出して、そしてどれくらいの輸送人員を出しているか、この点はわかりますか。
  169. 岩崎雄一

    岩崎説明員 ただいまちょっとデータを持っておりませんが、夏場に大阪地区それから京都地区、名古屋から——私も名古屋におりましたからよく存しておりますが、臨時列車を出しまして、国鉄を利用されるお客の輸送には一応支障のないように措置をしておる、このように考えております。
  170. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 臨時列車を出しておるのですから、それにいっぱい乗っているのですから、それは一応用は足りるでしょうが、ともあれ夏は臨時列車を出さなければ非常に混雑する。それも乗ってみると、いっぱいですので座れないときだって幾らもあって、立って行く場合が多いわけですね。というように、これ一つを見ても、若狭湾というのは関西や中京、名古屋の方から夏場を中心にしてたくさんの海水浴のお客さん、観光客が来るという、こういう混雑する地域であるということで、人が相当集まる場所であるということは私は言えると思うのです。  そこで、そういう中で運輸省の方はレクリエーション基地を今設定をして、そしてボートだとかいろんなのがありますが、ともあれあそこは西日本では海が静かだし、そしてリアスの静かな海岸ですから、海水浴などに大変いいということで随分と力を入れてきたところですね。片方でそういう努力がなされている。そこで小浜線というものが、片方では運輸省いろいろ努力しながら、片方では、これは廃線にはならないと思うけれども、そういうような方向にあるということは政策的にもいろいろ問題があるのではないか。レクリエーション基地の担当者が見えたらもう少し若狭湾の状況を聞いて、この問題はさらに申し上げたいと思うのですが、ともあれそこらの矛盾点についていかがですか。
  171. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 小浜線は先生も今御指摘になったような線区でございます。御承知のように、現在運輸省国鉄といたしましては、地方交通線のうち二千人未満の線区について、これの他の交通機関への転換措置を講じておりますが、小浜線につきましては、先ほど国鉄から答弁がございましたように、基準期間で四千人をわずかに切るということでございますので、俗に申しております三次線の線区でございます。この三次線の線区の取り扱いにつきましては、ただいまのところ、基礎のデータとなるものについて国鉄において所要の調査をしておる段階でござまして、御承知のように、転換の基準と申しますものは政令で定まっておりますけれども、その政令の基準は、四千人未満だったら必ずしもすべて転換対象になるということではございませんで、そのほかの基準に該当するものは除外をするということになっております。今御指摘のように、レクリエーションその他で一時的な利用者が増加するとか、そういうようなその他の要件、この海洋性レクリエーションの結果がどういうふうに出るかということについては必ずしも明確ではございませんけれども、今のところでは、そういう諸種の基準をすべて勘案して、この小浜線の取り扱いを決める、こういうことになっておりまして、これを三次線で転換するというふうに決めておる段階ではございません。今先生の御指摘のようなことというのは、そういう該当するかどうかということを決める際に、利用者の動向として反映されるものというふうに考えておりますので、その時点で改めて決めるということで、当面廃止を決めたということではございません。その点を御了解いただきたいと思います。
  172. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 今、除外規定の話が出ましたので、もう少し後に順を追って聞きたいと思ったのですが、せっかくですからお尋ねします。  地方線について、四千人から二千人の間で四つの除外規定がありましたですね。あの除外規定は、今ちょっとお伺いしましたが、今日そのまま残っておると思いますけれども、小浜線はあの除外規定に該当する線であったのですが、それも今確認できますか。
  173. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生がおっしゃるように四つの基準がございます。その中に、平均乗車キロが三十キロを超え、かつ輸送密度が千人以上、逆に言えば、千人以上の運送密度のあるところで平均乗車キロが三十キロを超えるということがございますが、小浜線については、現在のところではそれに該当しておるというふうに考えております。
  174. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それから、そのちょっと前に、私は国鉄本社の方と運輸省の方にも、去年の八月十一日、あの草案が発表されると同時に駆け込んで、小浜線の重要性を伝えたことがあるのですが、除外規定が、あるいは五十二年の基準年度におけるいろいろな規定、基準というものが見直される可能性もないでもないというふうなことをちらりと聞いたことがありますが、そういう問題は、見直しはやらない、別にない、こういうふうに言えるのですか。
  175. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、基準期間というのがかなり古い時点をとっておりますので、現在転換をしております一次線、二次線につきましても、基準期間で物を考えるのは問題があるのじゃないかというような御指摘が一部にあるということも事実でございます。ただ、ある一定の期間を限って物を考えるという意味では、画一的に考えなければならないという面もございます。そこで私どもは、そういうような観点から、この基準期間をどうするかということについて、ただいまのところは別にこれを変えるという計画を持っておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、三次線はただいま基礎データを調査しておる段階でございまして、将来の問題としては、その時点においてまた検討を行うかどうかということも含めまして、現在のところでは全く白紙の状態だというふうにお受け取りをいただいて結構だと思います。
  176. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 念のために聞いておきますが、それではその除外規定は今日も存在をしておるし、それから小浜線はそれに該当するし、今のところは変える考えはない、将来は別として、現在の時点では変える論議はしていない、こういうことですか。
  177. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現在は政令があるわけでございますから、その政令は現在有効でございますから、その限りにおいては政令の基準は現在のところは従来どおりでございます。  それから、小浜線の基準期間中の実績等については、先ほどお答え申し上げましたように、これからいって除外規定に該当をいたしております。  基準を、政令そのものを見直すかどうかということにつきましては、将来の問題として全く白紙でございます。逆に申し上げれば、今は現在の政令が有効に働いておる、こういうことでございます。
  178. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 今の問題に関連して伺いますが、今、私は道路とそれから夏場の混雑等々のことを申し上げたのですが、それ以外にこの地域の持つ重要性という点を幾つか指摘をしたいと思うのです。  その一つは、幹線ではないと言われますが、少なくとも行きどまりではないし、そして北陸線の敦賀と山陰の舞鶴を、日本の国土、本土を結ぶ唯一の鉄道線であるということは間違いないと思うのですね。そういう意味で、国鉄はこの国土をどっかで寸断するようなことを考えるのか、あるいは日本列島を少なくとも一回りずっと鉄道がつながってきちっと走っているのを、私はどの国を見てもこれは大事だと思うのだけれども、国鉄としては赤字でまずければ国土を一巡しているところを切ってもいいというように考えていらっしゃるのか、そこらの見解はいかがでしょうか。
  179. 岩崎雄一

    岩崎説明員 小浜線につきましては、第三次の特定地交線には該当しないというのは今運輸省から御説明になったとおりでありますが、再建法に基づきまして特定地交線に該当する線区というのは、地交線が全体で一万キロございますが、そのうちの大体三千キロくらいということでございまして、それはそれとして進めるとして、国鉄としてはその残りの約七千キロの特定地交線でない存続地交線をどういうように効率化していくかということが非常に大きな課題になっているわけでございます。今いろいろ合理化を進めておるわけでございますが、どうしても今のままの状態では限界があるだろうということで、どういうようにしてその行き詰まりを打開して効率化をさらに前進させるかということをいろいろ考えたわけでありますが、その結果、「基本方策」では、国鉄出資をした会社をつくりまして経営分離をし、そして徹底的な経営地場化を図るといいますか、そういうことを通じて収支改善をさらに前進をさせたいということでありまして、今のままではなかなか効率化できない、分離をし、別の形で責任を持って効率化を進めていく、こういうことを考えているわけでございまして、決してその部分だけを切り捨てるとか廃止をするとか、どうなってもいいんだ、そういうことでは全くございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  180. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 いや、それは私もわかっていますが、子会社に移されるという考え方はこの間も示されたし、今も御発言があったので、その問題にもちょっと触れたいのですが、その前に、お見えも間に合わぬようでありますから二、三点だけ申し上げておきます。  もう一つは、あの若狭地方は高校が六つあって、そして今私立の新しい高校もつくろうというので、まあ七つになるのですね。オートバイや自動車では通えぬわけですから、これは通学としては鉄道を使う以外にない。だからあの線がとまると、七つの学校が、まあ今六つありますが、毎日通えない状況になる。そういう意味で通学路線としての重要さを持つということです。  それからいま一つは、御存じのように、若狭湾は世界有数の、日本第一と言ってもいいのですが、原子力発電基地があります。これは現在で十三、いろいろ論議をされているのを見ると十五の可能性もあるということですが、ともあれ十三でも約八百万キロ、全部そろえば千百万キロ以上になるという発電基地でもあるという、だからここらの交通網をより拡充整備する必要があるということが一つ言えると思います。  それからもう一つは、この三月から中核工業団地として通産省とそれから地域振興整備公団、これが一緒になりまして、中核工業団地の調査に今入ろうといたしておる、こういう状況にあるわけですね。  さらに、小浜市はいま一つ四年制の私立大学を誘致をするというのでかなり進めておりますが、言うならば若狭湾一帯で敦賀、舞鶴に加えてこの小浜というのは、昔越前と対する若狭の国の城下町、中心地ですから、かなり文化やいろいろな面で教育、産業の中核になる都市なんです。そこを走っているのが小浜線であるという点で、さっき御答弁のように、これは除外規定にもあるし、いろいろな点をお考えになっておると思いますが、今後この問題を検討されるときに、単に四つの除外規定というのではなしに、今私が挙げた七点について十分頭に入れて考えていただきたい、そのことについてどうお考えになるか、ひとつお伺いしたい。
  181. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど国鉄の方からこれを分離して云々という話がございましたが、これは国鉄がことしの一月に出しました「基本方策」という中で述べておるものでございますが、この「基本方策」につきましては、運輸省といたしましては、評価をする点もございますけれども、必ずしも十分なものである、納得のいくものであるというふうには思っておりません。したがいまして、地方交通線の今後のあり方につきましては、国鉄の案も参考にはいたしますけれども、基本的には再建監理委員会から出ます七月の答申というものでの国鉄の基本的な効率的な経営形態のあり方というものから判断をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  182. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 せっかく来ていただいたのですが、論議としてはちょっと今それをもう一遍やっていると、もう時間がごくわずかなので、後で時間があったら伺う、こうしますから、申しわけないですが……。  そこで、さっき子会社お話が出たのでありますが、これは一つ国鉄の案として出されたものと思いますが、これからの問題でしょうが、大事な地方線が赤字であるからというので、黒字らしきものを残して全部切り離して子会社に移していく。そうしますと、三陸の鉄道を見ても、例えば運賃が一・三倍になっている。ところが、こういう地方線を全部子会社にしてしまったら恐らく運賃が倍くらいになってしまうと思うのですね。そのときにそれを維持しようとすれば、結局高い運賃を住民が払うか、また自治体が負担をするか、そういうことをやらなければ経営がやっていけない。こうなると、なるほど国鉄の方は子会社に切り離せばそれで済むかもわからないけれども、離された方は自治体も住民も非常な負担を負うということになりかねない。だから、私は全体としてやはり黒字があるところは黒字で頑張ってもらう、赤字があっても地方の住民の足を守っていくという国鉄の公共性を放棄してはならないと思うのですが、この点はひとつ総裁、大臣からもちょっとお伺いしたいと思うのです。
  183. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 ただいまお話がございましたように、七十余線、小浜線は第三次線ですが、そういう線路について私どもの「基本方策」で別会社にするということでございますが、これは今先生の御指摘のような地域に密着をした鉄道にして活性化をしていきたいということが基本の流れでございます。これは決していつまでも国鉄だけが資本を持っているということを考えているわけではございませんので、とりあえずはそういうふうに考えますが、地方の方にも参加できればしていただきたいというような、これは我々の考え方はそういうことでございます。  まあそういった中で、先生の御指摘になりますような、これを切り捨ててしまうというような考え方では私どもございません。これに関しまして、赤字が出る場合には、やはり国鉄でもって、国鉄というか、赤字補てんをしていただくということを基本に考えているわけです。  それで、公共性の問題につきましては、これはなかなか難しい問題でございますが、私どもは公共性についていろいろな考え方がございますが、ただいま監理委員会ではかなり割り切って、企業性のないところに公共性はないというふうなお考えをお持ちのようでございます。この辺等は、まだ私ども監理委員会がどういう答申を出されるかよくわかりませんのでわかりませんが、私どもとしましては、今小浜線のような線については、苦しい中でも今のような方策をとることによって効率化を一層進めて残していきたいというのが私どもの考え方というふうに御理解を願いたいと思います。
  184. 山下徳夫

    山下国務大臣 今、総裁から御答弁あったのと全く私も同じでございますが、具体的な問題、一、二局長から答弁させます。
  185. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、国鉄が今回発表いたしました子会社切り離しの問題につきましては、必ずしも運輸省としてこれがベストの手段であるというふうな評価をしておるものではございません。また、再建監理委員長はせんだっての予算委員会の参考人としての中では、かなり明確にこの国鉄の子会社切り離し論というものについては批判的な御意見を述べておられます。したがいまして、私ども七月に出てまいると予想されております監理委員会の基本答申では、それと同じような方向ではない方向の御示唆が出るのではないかというふうに思っております。  基本的に私ども、国鉄を効率的な経営形態にするということは、国鉄をこのままに放置しておくと、今の地方交通線のごとく、国鉄全体が効率が悪いために地方交通線というようなものをまた転換していかなければならないというような事態になっておる。逆に言えば、国鉄を効率的な経営形態にするということは、逆に地方交通線等も含めて、それらの線区をできる限り存続できる方向に持っていけるというふうな方向だというふうに考えております。したがいまして、監理委員会の御答申を得まして、国鉄そのものを効率的な経営形態に移行させるということによって、できる限りの交通を確保していくという方向で検討すべきだというふうに考えております。
  186. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 時間が大体参ったようでありますから、最後に一つ。  地域の方も決して何もやらずにおるのじゃなしに、相応の努力をしているのです。例えば福井県でも、県政におきましても、助成をして国鉄に乗る運動を展開しようと取り組んでおるし、小浜線沿線の市町村、自治体も全部これに参加をして乗る運動をやっている。私もできるだけ小浜へ帰るときには汽車に乗らなければいかぬと思って乗ってみていますが、そういう努力をみんなしているのです。だけれども、余り不便で乗り継ぎの時間とか時間帯、こういうものが必ずしもその利用者が、それじゃ乗りましょうというときに、なかなかその意に十分合うような内容でない。そういう点で、地域の自治体も住民も努力しますが、と同時に、国鉄もそういう面の便利をもっとよくする、国鉄を利用しやすくする、こういう点で努力をしていただきたい。  それで小浜で、例えば駅にみどりの窓口がない、冷房がない、都市の駅の待合室に冷房がないというのはもう珍しいのですが、冷房がない。スピードが非常に遅い。それでは乗ってみても、またこれはこれはと首をかしげたくなる。そういう点で、そういう努力をこれは地方もやっていますが、今度国鉄の方もぜひ努力をしてほしいということと、それから大臣に最後に一言だけお願いしたいのは、先ほど申し上げましたような意を、内容を含んで、そして監理委員会、これからの国鉄の論議、運輸省の論議等々にぜひひとつ十分意見が反映できるように対処していただきたい、その気持ち、考え方を伺って終わりにしたいと思います。
  187. 山下徳夫

    山下国務大臣 監理委員会とは現在事務的な段階、事務局の段階で今協議を詰めつつ監理委員会の作業に御協力申し上げているところでございまして、御趣旨の点は十分そんたくしながら、今後とも作業を進めてまいりたい。
  188. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ただいま御指摘ございましたダイヤの便利性等につきましては、御指摘のとおりでございます。今度の六十年の三月改正に幾らかでも便利にしようということで、急行の停車駅あるいは快速の停車駅をふやすなど接続も若干努力してまいりました。今後も引き続き努力してまいりたいと思っております。ただ、増発するということにつきましては、現下の厳しい経営の中で非常にコスト高になるということもございまして、もう少し知恵を絞ってまいらなければいけない、かように考えており、今後とも頑張ってまいる、検討してまいりたい、こう思っております。
  189. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 じゃ、終わります。
  190. 北口博

    北口主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、草野威君。
  191. 草野威

    草野分科員 私は、運輸大臣並びに気象庁に御質問をさせていただきます。  昨年、気象庁から「異常気象レポート’84」、こういう冊子が出ておりますが、私もこれを読ませていただきました。きょうは、これを読んだその中身につきまして若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  その前に、長期予報ということで一、二点お尋ねをいたします。お天気が我々国民生活に大きな影響を与えていることは言うまでもございません。例えば、寒さ、暑さ、こういうことで消費動向が左右される、そういう時代でもございます。そういう中で、長期予報に対する要望というものが非常に高まってきております。例えば、冬の間に夏の予報を知りたい、夏の間に冬の予報を知りたい、こういう声もございます。  そこで、まず端的にお伺いをいたしたいと思いますけれども、ことしの夏はどんな夏になるのか、暑過ぎる夏になるのか、それとも涼しい夏になるのか、まずそこら辺のところからひとつお答えをいただきたいと思います。
  192. 朝倉正

    ○朝倉説明員 お答えいたします。  本年の夏の予報につきましては、現在世界各地から新しい資料を取り寄せて分析中でございまして、まだ最終結論には到達しておりません。三月十一日の発表に向けまして、現在鋭意検討中でございます。
  193. 草野威

    草野分科員 三月十日に結論が出るようでございますけれども、三月十日といいますと、あともう三日ほどしかないわけでございますね。気象庁では既にそこら辺の結論は当然出ていると思います。恐らく十一日に発表されるのじゃないかと思いますけれども、そういうことでほぼ結論が出ているのじゃないかと思いますので、私はその正式な発表がどうのこうのということじゃなくて、一般的に気象庁としては、ことしの夏に対する考え方はどういうような夏になるのか、そのお考えを教えていただきたいということでございます、
  194. 朝倉正

    ○朝倉説明員 近年の夏は非常に変動が大きい夏である、冷たい夏になったかと思いますと、かなり暑い夏になったというような状況がございまして、現在は各地の予報センターと気象庁との間で意見の調整をしているという段階でございまして、明確にことしの夏が暑いとかあるいは冷たいという最終結論までには、現在も検討を進めている段階でございます。
  195. 草野威

    草野分科員 気象庁の中で産業気象情報研究会というものが設置をされたということを伺っております。この研究会では、業界の代表を集めましていろいろと予報のニーズを探る、こういうことが行われているというようなことを聞いておりますけれども、この研究会を設立した目的、そしてまた、現在ある日本気象協会との関係、こういうものについてお伺いをしたいと思います。
  196. 新谷智人

    ○新谷説明員 気象庁の総務部長でございます。  先月の六日に気象について関心の深い関係のいろいろな団体の方々に集まっていただきまして、先ほどお話しのような産業気象研究会というものを開きました。これを開きました目的と申しますのは、先ほど来から先生も御指摘になっておられましたように、最近の異常気象と申しますか、そういったものの変動に対して社会経済に対する影響がいろいろ大きい、こういった観点から産業界のいろいろなニーズを正確に把握して、これに対応する我々の体制というものを考えなければならない、こういうぐあいに考えまして、そういった関係の深い団体の方々に来ていただきましてそういった研究会を催したわけでございます。現在、気象協会という団体がございまして、一般に気象関係のサービスをやっているわけでありますが、もちろんこういった気象協会との関係もございますので、その辺との関係も今後そういった研究会において勉強していきたい、こういうぐあいに考えております。
  197. 草野威

    草野分科員 この研究会を通して今後新たな協会とか機関をつくっていく、そういうようなお考えがあるのでしょうか。
  198. 新谷智人

    ○新谷説明員 研究会を設けて勉強会をやっていこうという目的は、先ほども申し上げましたように、産業界に気象関係についてどういうニーズがあるかということを把握いたしまして、気象関係の情報をどういったぐあいに有効に適切に皆さんに利用してもらうかということも勉強しようというぐあいに考えております。その過程におきまして皆様方の考えが、どういうやり方がいいかということの結論を待って、どういったサービス体制なり何なりを考えたらいいかということを考えたいというぐあいに考えております。
  199. 草野威

    草野分科員 三月十日にことしの夏の気候について結論が出るという段階に今来ているわけですね。しかし、今のお話によりますと、きょう現在に至るまでどういうふうになるか全くわからない、こういうようなお話でございます。我々国民にとって、なかんずくいろいろな産業関係の方々にとっては、そういうことすらもいまだにわからない、非常に不安な思いを持っておると思うのですね。気象庁はいずれにしても膨大なデータをお持ちでございます。こういうデータは一般は全然知らされていない、また、外国の情報などについても手に入れる仕組みすらわからないのが実情ではないかと私は思うのですね。そういうことで、気象庁以外の外部の人たちが情報をもっと入手しやすくなるような方法も検討すべきじゃないかと思うのです。  それからもう一つ、今の長期予報の問題ですけれども、今のお話にもあったように、やはり長期予報体制というものをもっと強化すべきじゃないか、そして新しい予報技術といいますか、そういうものを開発していく必要があるのではないかと私は思いますが、長官はどのようにお考えですか。
  200. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  最近、皆様のおかげをもちましていろいろな機器が整備されました結果、短期的予報については相当確度が上がった、こう思っております。しかし、御指摘のとおり、長期予報についてはまだまだ不十分な点がございます。と申しますのは、短期的予報につきましてはコンピューターを使って数値的に予報をしております。しかしながら、この夏どうなるか、この冬どうなるかと申しました先行きの長い話につきましては、統計的手法を使う段階にまだございます。これでは十分な皆様の御要求におこたえできませんものですから、新たに、北半球ではなくて、南半球のデータあるいは海のデータも入れて長期的な予報も数値解析するということに実は踏み切ったわけでございまして、これが本当に開発し終わるまでには若干の年数はかかると思いますけれども、気象庁といたしましては長期予報の精度向上をこれからの最重点課題として取り組んでいくつもりでございます。
  201. 草野威

    草野分科員 ぜひとも御努力をいただきたいと思います。  先ほど申し上げましたようにこの「異常気象レポート」、これを読ませていただきました。これを読んでみますと、まず一つ目につくことは、今回の報告では、特に化石燃料による炭酸ガスの発生など人間活動が気候に及ぼす影響を重視している、まずこの点を感じております。そして、この長期見通しにつきましては、前回、五年前ですが寒冷化、このようにされておりましたけれども、今回は温暖化の方向に修正されているようでございます。この修正された根拠、理由をお尋ねをいたします。
  202. 新谷智人

    ○新谷説明員 前回に寒冷化という予報を出しましたのは、昭和五十四年からおよそ十年間のものをとったその期間を対象にいたしまして、寒冷化するのではないかというふうな予想を立てたわけでございます。  その大きな根拠の一つとなっておりますのは、太陽活動というものが減衰傾向にあるのではないかという一つの見方がありまして、一方において炭酸ガスなどの温暖化傾向はあるものの、そういった活動の方が、太陽活動の減衰傾向という方が強いという見方で、五十四年からの十年間につきましては寒冷化の傾向があるのではないかというような判断をして出したわけでございます。  今回出しましたレポートは、五十九年からの十年間ということでございまして、対象の期間が多少五年ほど横にずれてまいっておりますこと、それと太陽活動が、当時五十四年に見通したものに比べましてそれほど減衰しない、むしろ活発化している傾向も見られる、そのほか、先ほどお話にもございました化石燃料の消費などに伴います炭酸ガス濃度の増加、それからそのほかに内外のいろいろな各気候の専門家にもアンケートをしまして、皆様方の考え方も聞いたわけですが、そういった方々の御意見も主として温暖化の傾向の見方が強い、そういったものを根拠にいたしまして、レポートにおきましては温暖化という方向の判断をしておるわけでございます。
  203. 草野威

    草野分科員 これからの見通しはどのようにお考えになっておりますか。これからの見通しですね。二十一世紀にかけていろいろな説はございますけれども、それも非常に大事なことでございますけれども、例えば今世紀中、これから五年とか十年とか、こういう非常に短い間に何らかの影響が出てくるのかどうか。それとも少なくとも今世紀中はこういうことはそんなに深く心配しなくてもいいのかどうか、まずここら辺のところをひとつお聞かせください。
  204. 新谷智人

    ○新谷説明員 今後の見通しにつきましては、同じレポートに触れておりますが、長期にわたる気候予測につきましては、なおまた理論的にも解明しなければならぬ点がたくさんございます。先ほど申し上げました太陽活動一つをとりましても、十分にこの活動が証明されておるわけでもない点がもちろんございます。したがいまして、断定することは非常に難しいわけでございますが、今後の一応の十年の見通しといたしましては、北半球の平均気温は、今後寒さ、暖かさを繰り返しながらも、非常に緩慢ながら上昇していくのではないかというぐあいに判断しております。それから、日本の気温につきましては、一部見られております低温傾向、これはここまだしばらく続く見通しでございますけれども、その後全国的に気温は上昇するのではないか、今後の十年程度の見通しはそういうことになります。
  205. 草野威

    草野分科員 日本の国はしばらくは低温が続いて、その後寒暖を繰り返しながらこれから十年間は推移するであろう、こういうような見通しですね。そうしますと、少なくともこれから例えば十年という範囲で考えた場合には、我が国の社会経済、そういうものに対する影響については我々は今どのように考えればいいんでしょうか。影響が何もない、何でもない、そういう考え方でよろしいのでしょうか。
  206. 新谷智人

    ○新谷説明員 今後推移していきます気候の長期的な非常にゆっくりした変動でございますが、日本の低温傾向と申しますのは、先ほどの、全国的なという意味ではございませんで、一部の地域において見られております現在の低温傾向は今後もまだ多少残るが、その後ゆっくりと上昇傾向をたどるということでございます。  これが日本のいろいろな農業生産なりあるいは経済活動にどのような影響を及ぼすであろうかということにつきましては、何らかの影響を及ぼすということは考えられないことはありませんけれども、それを定量的に、またどのように影響を及ぼすかということを今明確に申し上げるというところまでまだいっていないというところでございます。
  207. 草野威

    草野分科員 これは大臣もひとつ聞いていただきたいと思うのですけれども、我々は二十一世紀の遠い問題を言っているのではなくて、少なくともこれから十年という非常に短い規模のことについて伺っているのです。今のお話を聞いていてわかりますように、これから十年ということに対する見通しは非常にあいまいである。しかも、それが我が国の経済社会に対する影響も、気象庁としては何らの判断もされていない。私は非常に心配なんです。  このレポートの中にも書いておりますけれども、そういう現象があらわれてきてからではもう手おくれなんだとこの中にはっきり書いてある。気象庁みずからがそんなことを書いておいて、これから十年先のそういう見通し、またその場合には一体どうしたらいいんだろうかという、こういうようなことをまだ全然考えておられないということは、これはちょっと無責任過ぎるのじゃないかなというふうに思うのですよ。大臣はどうですか。
  208. 末廣重二

    ○末廣政府委員 最初、具体的なことからお答えさせていただきます。  気象庁ではこの問題をつとに重要視いたしまして、先年、気候変動対策室というものを新設いたしまして、関係いたします通産であるとか農水省の方々、科技庁の方々と一緒になりまして気候問題懇談会というものを定期的に開催しておりまして、その席上で、もし平均よりもこれだけ暖かくなったらどういうふうなインパクトがあるか、あるいはこれだけ寒くなったらどういうインパクトがあるか、それに対する対策はどういうものが考えられるかといったようなことを検討してまいりました。したがいまして、我々の技術として今、十年後にこうなるということを確定できるところまではいっておりませんけれども、こういう場合にはこういう対応、こういう場合にはこういう対応ということで問題意識は十分に持って、そのための勉強は続けているつもりでございます。
  209. 山下徳夫

    山下国務大臣 私はどうも気象のことはよくわかりませんが、一般論としてみましても、先ほど答弁がありましたように長期予想というのは非常に難しい、したがって現段階において統計的手法というものを相当取り入れざるを得ないという話がありましたが、私はこれについて考えられることは、私も今日まで社労委員を長くやってきましたが、医学の診断と似たような面がございまして、やはりいろいろ医学の診断をする場合にも、統計的な手法もまだかなり取り入れられているという現状であるかと思いますが、それが的確に一つの現象によってこれを診断していくということは、やはりかなり近い時点にならなければならぬかと思います。  そこで先生は、とにかくそういう正式なものでなくても、ある程度のところでもってというお話が最初にございましたけれども、やはりそれであっても、気象庁というところでそういうものを出した場合には、特に関係する諸企業、団体等においてはこれに対する期待も非常に大きゅうございまして、もしもそれが思うとおりいかなかった場合に、またそれに対する気象庁に対する御叱言も非常に多いわけでございますから、ある程度の確信を持って公表するという建前をとるならば、そう早計にある程度の確率以下の予想でこれを発表するわけにはまいらぬ。特にこれが技術家責任者の良心かと私は思っておりますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  210. 草野威

    草野分科員 今大臣からお話を伺いましたけれども、まことにそのとおりだろうと思います。今のお話の中に、その現象を見て診断することが大切であるというお話がございました。私もそのとおりだと思います。  そこでお伺いしますけれども、地球の温室効果と炭酸ガスの問題が今非常に注目されているわけでございます。世界四十九カ国の気象機関にアンケート調査した結果、気候変動は炭酸ガス、都市化など人間活動が強く影響していることが判明しているわけです。現在、特に温室効果をもたらす炭酸ガスの大気中の濃度につきましてこの本の中にも書いてありますが、一九六〇年三一六ppm、一九八〇年には三三八、その後三四二、こういう数字も出ております。しかも、それは北半球において急増しておる。こういうことにつきまして、我が国の例えば東北大学の研究観測グループ、昨年のちょうど今ごろの発表だと思いますけれども、注目すべき数値を発表しています。例えば、この四年間では年平均一・五ppmのペースで増加を続けている、こういう研究成果を発表しております。これは今大臣が現象を見て診断をすると言われましたけれども、現実に今大気中における炭酸ガスの濃度は急速にふえ続けている。しかも、二十一世紀になると五〇〇とか六〇〇という数値も出ております。私はこれは非常に重大なことだと思って関心を持っております。  そこでお伺いをいたします。気象庁は温室効果とCO2の関係をどのようにおとりになっているか、これをひとつ簡単に答えてください。それから、気象庁の観測データでは、今言ったCO2の濃度についてどのような観測データをお持ちですか。
  211. 新谷智人

    ○新谷説明員 第一の御質問の地球の温室効果と炭酸ガスの関係についての私たちの考え方ですが、大気中の炭酸ガスの濃度は、御指摘のとおり産業革命以前は二七〇ppmでございましたけれども、これが現在では約三四〇ppmと、二五%増加してきております。これが二十一世紀まで続きますと、中ごろまでには現在の二倍ぐらいになるのではないか。炭酸ガスは、既に御承知のとおり、太陽から参ります日射は通すわけでございますけれども、地面から反射して宇宙に放射される日射につきましては、波長が長い関係もありまして、これは吸収するという効果があります。太陽から来ます日射と宇宙に放射される日射とが同じ量でありますと、地球の温度は変わらないわけでありますけれども、これが一部そういった形で炭酸ガスにとどまりますとその分だけ温度が上昇するということで、このままの状態が続きますと、二十一世紀の中ごろ炭酸ガスの濃度が二倍になるころには、地球の温度も中緯度では、これは理論的な研究成果でございますけれども、二から三度くらい上がるのではないか、この点については我々もほぼ同じような見方をしているわけでございます。  それから、気象庁におきます研究データにつきましては、現在、筑波にあります気象研究所におきまして炭酸ガスの測定をやっております。現在、ここでは試験的な研究的な観測をやっておるわけでございますが、大体一般的に言われておりますような炭酸ガスの数量の推移を観測しております。
  212. 草野威

    草野分科員 データをおっしゃってください。
  213. 新谷智人

    ○新谷説明員 手元に数字のデータを用意しておりませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
  214. 草野威

    草野分科員 非常に大事なことなんです。こういう現象が出ているのに、しかも私はきょうはCO2に関する質問をするにもかかわらず、そういうデータをこの場にお示しすることができない、こんなことではいかぬと思います。私はきょうはこの問題に絞って質問させていただくことになっているでしょう。それを気象庁はデータも用意していないとは何ですか。  それから、今のお答えですと、筑波にある研究所で観測しておるということですね。こういう観測体制で十分であると気象庁はお考えですか。長官、どうですか。
  215. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  現在までは研究的な体制で進んでまいりましたが、世界気象機関からの強い要請もございますし、将来はどうしても定常的な観測へ移行しなければならないと考えております。しかし、そのための適地を選ぶということは、先生も御案内のとおり大変難しゅうございまして、この作業を現在鋭意進めておりまして、なるべく近い将来に定常観測を始めまして、世界の全地球的なネットワークの一環に加わりたいと思っております。
  216. 草野威

    草野分科員 今長官から近い将来定常的な観測網を整備したいというお話がございまして、これは非常に結構なことだと私は思います。大臣、世界気象機関、WMOから、もう昭和五十四年の決議から今まで再三にわたって、日本においても定常的な観測網をぜひとも設置してもらいたいという要請を受けておるわけですね。WMOでは全地球的には二十二カ所考えておる。現在十七カ所ほどあるようでございます。しかし、アジアだとか北西太平洋地域では一カ所もない。そういう中でCO2の濃度が今問題になっている。  これは予算的に見ると、私も伺ってみると本当に微々たるものなんですね。長官の今のお話ですと、どこに設置するか検討しているんだと言われているようですね。我々が聞いている範囲内では、岩手県の三陸町綾里ですか、それから富士山だとか小笠原諸島だとか、こんな話をいろいろ聞いておりますけれども、バックグラウンドのことを考えた場合にどこが一番適地であるかということは、おのずからはっきりしていると思うのですね。例えば科学技術庁で発行している「二酸化炭素の蓄積による気候変動と資源問題に関する調査報告」の中でも、どういうところが適地かということが明確にうたわれているわけです。専門家の皆さん方、十分よく御存じですね。そういう中でたくさんあるならともかく、二カ所か三カ所に絞られているわけですね。いまだにどこに設置していいか検討している。ちょっと遅いのじゃないかと思うのです。私は一昨年もこの問題を取り上げたことがございます。その必要性はそのときにもたしかあなたも認めておられたと思います。それがまた昭和六十年度の予算にもこれが組み込まれていない。国防費みたいに何十億とか何百億とかという問題じゃないのです。大臣、一億円あるかないかの問題なんです。これはぜひとも六十年度の予算に盛り込んで、ことしからでも実施していただきたい、こういう気持ちなんですが、いかがでしょうか。
  217. 山下徳夫

    山下国務大臣 限られた時間でございまして、きょうは終始先生が気象問題をお取り上げになったことに対して、私は心からお礼を申し上げる次第でございます。  私も気象につきましては非常な関心を持っておりまして、大臣になりまして早々に御指摘の小笠原に行ってまいりました。歴代の大臣は余り行ってないようでございますけれども、現場の者をねぎらい、またあそこが持つ重要性も見てまいりましたが、前よりずっとよくなっているとは言いながら、まだまだ不十分でございます。総じて日本がこれだけ経済大国になり文化国家になったのですから、世界全人類の中で、世界のたくさんの国々の中で日本が気象における役割をもっと認識する、そしてそれが今の政府の使命であるという認識に立って今後とも努力してまいりたいと思います。
  218. 草野威

    草野分科員 もう時間が参りましたので、詳しい質問できませんけれども、最後にもう一つだけ長官にお伺いしたいと思います。  恐らくWMOで要請しているのは、定常的な観測網については基準ステーションじゃないかと思うのです。しかし、今の筑波で観測しているようなものについては、これはいわゆる地域ステーション、こんなふうに言われていると私は認識しております。したがって、その基準ステーション、こういうようなものをどこに設置したら一番有効なのか、一番正しいデータを得ることができるのか。そうすると、もうおのずからわかってくるわけですね。私は、その設置する場所、それからいつからそういうものが稼働するか、そこら辺の見通しについてはっきりしたお答えをきょういただいて、質問を終わりたいと思います。
  219. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。先生指摘のとおり、何カ所かの候補地が挙がっております。ただ、この問題は、一遍始めた以上は少なくとも何十年となく続けなければならない問題でございまして、気象学的な問題と、それが果たして長年月維持できるかといったような問題もあわせて検討しなければならないために、先生御不満とは思いますが、若干時間をかけている次第でございまして、そういった問題が片づき次第できるだけ早い時期に発足しまして、一たん始めたらこれはもう絶対中断しないという決意で臨みたいと思っております。
  220. 草野威

    草野分科員 終わります。
  221. 北口博

    北口主査代理 御苦労さまでした。  これにて草野威君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  222. 松浦利尚

    松浦主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。米沢隆君。
  223. 米沢隆

    米沢分科員 最近、運転代行とか軽貨物タクシーとか、私どもが今まで聞きなれなかった車を利用する商売が全国各地に広がりを見せて、各地でハイタク業界を巻き込んだトラブルに発展していると言われております。また、その寸前にあると伝えられているところであります。  確かに、私どもが仄聞するところ、かかる行為が現行法規に照らして違法にわたる面もありますし、また、業界を中心にした輸送秩序の混乱という観点からも、また、顧客の安全対策、事故防止の推進という観点からも、大きくは道路運送法の適用があるとかないとかという、そのような問題をめぐる行政指導上の問題など、そのもたらすものがもろもろと社会的影響が大きくなっているのではないかという立場から、この際、運輸行政としても有効な太刀さばきが必要なときになっているのではないか、そういう気持ちがいたしまして、若干この種の問題について当局の見解をただしてみたいと思います。  まず、議論に入ります前に、この運転代行といい、あるいは軽貨物タクシーといい、国民にとっては便利で安ければいいじゃないかという声がないわけでもありません。そういう意味で、そのような事業行為の何が道路運送法上問題なのか、何が違法性を問われているのか、その点について国民にとってわかりにくい部分もありますので、ぜひそういう意味で、まず最初に、道路運送法との関係で何が問題なのかという点について、わかりやすく御説明いただきたいと思います。
  224. 熊代健

    熊代政府委員 御説明させていただきます。  道路運送法は、先生承知のように、自動車運送事業を旅客運送事業と貨物運送事業ということで区分しておりまして、旅客運送につきましては、やはり人命の輸送をするということから、人命の安全を重視いたしまして、車両法上保安基準といった面での強化もなされておりますが、それ以上に、運行管理でありますとかそういった面も含めまして、より安全対策強化していかなければいかぬということで、それなりの強化策がとられておるわけでございます。  そのような趣旨の中で、先生指摘になりましたような、いわば貨物運送事業者が有償で旅客を運送するという事態が生じておりまして、これは法律で申しますと、運送法四条の免許を受けないで旅客運送事業をやっているということになるわけでございます。  先生指摘のような、安ければということでございますが、先ほど申し上げましたように、旅客運送事業につきましては、安全で良質な輸送サービスを安定的に供給していくということからもろもろの規制が課せられておるのでございまして、その面から問題が多く、我々としては、これらにつきましては所要の措置を講じていく必要があり、指導なり取り締まりもやっていかなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  225. 米沢隆

    米沢分科員 運転代行は。
  226. 熊代健

    熊代政府委員 いわゆる運転代行と申しますのは、マイカーで、飲酒をし、その結果飲酒運転にならないようにということで、代行業者にその車の自宅まで等への運転を委託するということでございますが、それが適正な範囲と申しますのは、その車に代行者が乗って自宅まで送り届けるという形で適正に行われている場合には、これは運送行為というよりも労務の提供といった感じになるわけでございまして、その範囲におきましては旅客の有償運送行為にならないということでございますが、いろいろな形態がございまして、旅客運送、端的に言いますとタクシー営業類似行為をやっている者が中にはかなりあるというふうに言われておりまして、その点については先ほど申したような観点から問題がある、こういうことでございます。
  227. 米沢隆

    米沢分科員 そこで、今おっしゃったような観点から問題がある、そういう違法行為に類するものが全国的にどのような広がりを見せて、どれくらいの違法行為業者があり、そしてどのような問題を発生させていると思っておられるのか、当局の認識にもかかわりますので、運輸省当局のその実態をつかんでいる範囲内で結構ですから、お示しをいただきたいと思います。
  228. 熊代健

    熊代政府委員 まず、運転代行でございますが、現在我々が把握しておりますところでは、事業者数が約千二百、車両数が約六千百両、運転者数は約一万八百人というふうに把握しております。ただ、先ほど申し上げましたように、これらがすべて違法行為を行っているということではございません。  それから、軽貨物運送事業者、いわゆる軽自動車の貨物運送をやっていてタクシー営業行為を行っている可能性が強いというふうに思われる車両数は、約千六百両強でございます。  その地域的な分布につきましては、従来、この軽貨物運送事業者によるタクシー行為が行われておりましたのは沖縄及び奄美でございまして、現在この両地区にはそれぞれ六百両強ずつございます。したがいまして、残り四百両程度が、最近は九州を中心といたしまして、中国、四国、近畿、中部、関東の一部においても見られるようになっている状況でございます。
  229. 米沢隆

    米沢分科員 どのような問題を発生させていると思っているのか。
  230. 熊代健

    熊代政府委員 軽貨物自動車運送事業につきましては、二つの面があると思います。一つは、沖縄、奄美等におきましては、相当長い期間にわたってこれが行われてきたということから、ある程度地元の人の利便になっていると思われる節もないではありません。  しかしながら、一昨年秋以来発生しております、九州から北上しつつあります軽貨物自動車によるタクシー行為、いわゆる軽貨物タクシーというようなことを表示しておりますが、これらにつきましては、数台あるいは会員制といったようなことでグループでもってやるということが行われておりまして、先ほど運送法の目的で申し上げたような網の目をくぐって無免許で旅客運送事業を行うということで、各地に運送事業者ともトラブルを起こしますし、運転者との間でもトラブルを起こす、なおかつ、先ほど安全対策について申し上げたような点で欠ける点がある車が走っている、輸送秩序もそれによって乱されているというような状況でございまして、我々としては、ある意味で安いものをねらわなければいかぬという点も今後考えていかなければいかぬとは思いますけれども、安全等について非常な問題を起こす可能性が強いというふうに認識しておるところでございます。
  231. 米沢隆

    米沢分科員 警察の方ではこの種の違反行為の取り締まりを行っておると聞いておりますが、最近の取り締まり状況、その結果等について明らかにしてもらいたいと思います。また同時に、この種の仕事が暴力団関係者が関与する例もあると聞いておるのですが、その実態はつかんでおられますか。
  232. 安藤忠夫

    ○安藤説明員 軽貨物運送事業者あるいは運転代行者が本来の業務の範囲を逸脱してタクシー類似行為を行っている実態につきましては、運輸当局と連携を密にして、厳正に対処しておるところでございます。  いわゆる軽貨物タクシーにつきましては、高知あるいは広島、大分等におきまして運輸当局からの告発を受けまして、無免許旅客運送事業違反容疑ということで、去る二月二十日から捜査に着手して、現在捜査中でございます。他の府県につきましても、そうした悪質なものにつきましては今後とも鋭意取り締まってまいりたいと思っております。  なお、運転代行業者によるタクシー行為につきましては、五十八年一月以降の例を見ますと、道路運送法違反ということで十三件の検挙を行っております。  なお、この代行業者に暴力団が関与しているのではないかという御指摘がございましたが、事業経営自体を暴力団がやっているという例はまだ報告を受けておりませんが、従業員に一部それらしきものがあるという話は報告を受けております。いずれにいたしましても、暴力団が資金源としてこの種の違法類似行為をやることについては、厳正な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  233. 米沢隆

    米沢分科員 ハイタク業界の立場から申し上げますと、このような違法行為あるいはタクシー類似行為が横行して輸送秩序が混乱しますことは、死活問題にもつながりかねない問題だという深刻な受けとめ方をしておられることは、もう当たり前だろうと思うのでございます。その上タクシー事業は、先ほど局長がおっしゃいましたように、法律に基づいて正規の免許を受け、かつ旅客の安全、確実、快適な輸送を確保するために、運行管理者、整備管理者等の選任が規定をされ、なおかつ、第二種免許保有者に限り運転ができるということになっておりまして、非常に規制も厳しい中で業界は働いていらっしゃる、こういうことに相なるわけでございます。しかし、当局の今の御見解からいたしますと、軽貨物タクシーについては、人を有償で運んではならないということで、即軽貨物によるタクシー類似行為というものは違反である、しかし、この代行運転も、おっしゃいましたように、正当な行為と違法にわたる行為がある等々の問題があるということでございました。  私は、正当な運転代行者といえども、それを業としていらっしゃる以上は一般の免許保有者とその立場を異にするわけでありますから、そういう意味では現行法律の網をかぶせるか、または新たな法的あるいは行政指導上の強化策がなければ、特にこれは、いつでもその気になったらその商売ができるということでございますから、ある日突然、夜中に商売が始まるということにもなりかねない。その後の運行が正当な範囲であったとしても、料金にいろいろ定めがあるわけじゃなし、トラブルに巻き込まれやすい、そういう環境が常にあるわけです。  そういう意味で、普通の免許取得者以上に何らかの形で行政指導の対象にできるような措置がとられることが今後も大変大事なことではないか。例えば運転技術の面でもそうでしょうし、あるいは利用者の安全対策の面からもそれは言えましょうし、事故発生時の賠償能力という面からも言えましようし、そこらは何か御検討でもなさっておられますか。
  234. 熊代健

    熊代政府委員 先ほど申し上げましたような運転代行者が本来の代行業務を行っている限りにおいては、現在の道路運送法上の運送行為には当たらないというふうに申し上げました。これらの代行業を事業としてそれなりに規制の対象とすべきではないかという御指摘でございますが、確かに安全の問題あるいは賠償の問題等につきましては先生指摘のような点がございます。ただ、そのほかに、運送法の体系としてそういうことを取り込むことがどうかというような点、あるいは行政簡素化という中でそれらをどうやっていくべきかといったような難しい問題も抱えております。したがいまして、我々として今後の検討課題としてまいりますと同時に、先ほど来警察庁の方からもお答えがございましたように、警察庁とも十分連携をとりまして、違法なものについては当面その取り締まり、指導を強化していきたいというふうに思っております。御指摘の点については今後の検討課題として検討させていただきたいと思っております。
  235. 米沢隆

    米沢分科員 今の問題は御検討いただくという話でございますが、その検討するという言葉も、ただ言葉だけのリップサービスであれば、これは何にもならないわけでございまして、今のところは現在の法規上の延長線で行政指導を行っていく、しかし、それにプラスして新たな検討課題として検討するというその言葉自身、よく皆さん検討すると言って逃げるのでございますが、本気になった検討をするということにとってよろしいですか。
  236. 熊代健

    熊代政府委員 先ほど申し上げたような難しい問題がある中でございますが、真剣に検討してまいりたいというふうに考えております。
  237. 米沢隆

    米沢分科員 業界としては、この運転代行のようなものがどんどん広がりを見せていくと、結果的にはハイタクの自由化につながるのではないか、そういう危惧の念を持っておられるということがあるのでございます。例えば八二年八月に出されました公正取引委員会のハイタク事業に関する見解ということで、「事業の参入、脱退について=安全性の観点から規制が必要であるとしても、規制はそれらの観点にもとづく資格審査に止めるなど、できる限り自由化の方向で検討する必要がある。」とか、あるいは「運賃について=消費者保護の観点から規制が必要であるとしても、規制の方法としては、最高料金制など伸縮性のある料金制度に改めることを検討する必要がある。」とか、あるいは「ハイヤーについて=企業間取引きという側面も強いことから自由化の方向で検討する必要がある。」等々の見解も発表されておりますので、こういう見解を見れば、これから先これはかなり自由化の方向に向かうのではないかと業界の方が危惧の念を持つのは当たり前でございまして、そのあたりは運輸省としても何か御検討をなさったような経緯がございますか。それとも、目下のところ自由化は考えていないということなのか、そこらをちょっとはっきりしてもらいたいと思うのです。
  238. 熊代健

    熊代政府委員 ハイヤー、タクシー事業につきましても、事業の活性化を図る、多様化、高度化する利用者ニーズに的確に対応して効率的なサービス提供を行わせるという意味から、その規制のあり方につきまして必要な見直しを行っていく必要は当然あると思いまして、昨年七月、現在の体制になりましてからそういう意味での見直しは進めております。しかし、ハイヤー、タクシーにつきまして免許あるいは運賃といった現在の基本的な枠組みは、後ほど申し上げますようなこともございまして、それを廃止するとかやめるといったようなことは考えておりません。その中において、活性化させるために規制の緩和であるとかあるいは行政手続の簡素化とか、そういったことを考えていきたいというふうなことで検討しております。  先生の先ほど御指摘になりました公正取引委員会の見解は、公正取引委員会の立場として、競争をより一層促進しろという観点からの御提言だというふうに我々も受け取っておりますが、タクシーあるいはハイヤー事業につきましては中小零細企業が多い、あるいは極めて労働集約性が高い、人件費が七割五分程度を占めるといったような労働集約性が高いものである、あるいは運転者と利用者が常に一対一で閉鎖的な関係において取引がなされるといったことから、利用者が弱い立場に立たされることが多いといったようなハイヤー、タクシー、特にタクシーの特性から、先ほど申し上げました安全で良質な輸送サービスを継続して安定的に提供するという意味から、これらについて参入規制あるいは運賃規制についての枠組みは変えるべきではないというふうに考えております。  なお、ハイヤーにつきまして企業間取引云々ということもございましたけれども、我々の把握しているところでは、そういう意味で企業間取引として使われているのは二割程度にすぎないというふうに思っております。
  239. 米沢隆

    米沢分科員 ちょっと各論に入りたいと思うのでありますが、軽車両等運送事業者によるタクシー営業類似行為の問題について、これは先ほどおっしゃいましたように現行法上明らかに違法である。このようなものが横行し始めた背景には、昭和四十六年に許可、認可等の整理に関する法律によりまして道路運送法の一部改正が行われて、軽車両等運送事業が免許制から届け出制に変わった。よって軽貨物車両が急激にふえた。そのようなことが遠因になっているのではないかと我々は考えるのでありますが、そのあたりも一つの遠因として考えられることではないでしょうか。
  240. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように四十六年に許認可等整理法という中で道路運送法を一部改正いたしまして、軽自動車による貨物運送事業にかかわる免許制を廃止いたしました。これは軽自動車が輸送力としては軽微なものであって、貨物運送事業としましても集配事業のために補助的に使用される、あるいは範囲も狭い範囲に限られるといったようなことから、軽自動車を使用して行う貨物運送事業につきまして、公共輸送力の確保あるいは調整という見地から貨物運送事業としての規制を加える必要はないという判断に立ちまして、そのような措置をしたわけでございます。  それが、御承知のように四十七年五月に沖縄が本土に復帰いたしました。当時の沖縄の特殊事情あるいは復帰に伴ういろいろな事情から、沖縄におきまして、四十七年に本土と同じ法体系になったときにこれが急激な増加をして、タクシー類似行為を行うものが出てきたということでございます。その後一年ぐらい経過しまして、近い奄美大島に発生したということでございますが、基本的に軽自動車による貨物運送事業の免許制を外したという点が確かに根っことしてはあるかと思いますけれども、四十六年から四十七年にかけてそういうことも起こっておりませんでしたし、それから沖縄、奄美以外につきましては、昨年の暮れまではそういう事態が発生していなかったのでございます。一つの要因ではあろうかと思いますけれども、それだけが要因ではないのではないかというふうに感じている次第でございます。
  241. 米沢隆

    米沢分科員 昭和五十五年七月三十日、沖縄開発庁沖縄総合事務局長から陸運事務所長あての通達の中にこう書いてありますね。「他人の需要に応じ自動車を使用して旅客を運送する事業は、道路運送法第二条第二項に規定する「自動車運送事業」に該当し、同条第五項に規定する軽自動車を使用する「軽車両等運送事業」において旅客を運送することは道路運送法に違反」である、こういうことなのでございますが、この第二条第五項は、絶対に人を乗せてはいかぬという規定なのですか。
  242. 熊代健

    熊代政府委員 少し技術的にわたりますが、第二条第五項で「他人の需要に応じ、有償で、軽車両を使用して旅客を運送する事業及び軽車両又は軽自動車を使用して貨物を運送する事業」ということでございますが、「軽自動車を使用して」というところに区分がございまして、この軽車両といいますのは、他の定義にもございますように馬車でございますとかそういったものを含んでおるわけでございまして、軽自動車による旅客運送事業はあくまで一般自動車運送事業として四条の免許の対象になる、軽自動車による貨物を運送する行為は軽車両等運送事業として四条の免許の対象にならない、こういうことでございます。
  243. 米沢隆

    米沢分科員 例えば軽貨物に引っ越しのときなんかに荷物を載せて、水先案内人として引っ越しする人を乗せるのは社会通念上仕方がないというか、その人まで積んでも何もおかしくないなということが認められておると思うのですね。しかし、軽貨物タクシーというのはそれを逆に拡大解釈して、荷物よりも人の方を重視して商売するということなんでございますから、この解釈そのものが拡大解釈になるような構造になっておるのじゃないかな、私はこんな感じがするわけでございます。したがって、お聞きしますところ今、国会の方に道路運送法の一部を改正する法律案という形で、旅客を有償で運んではならないという内容の法案が議員立法として提案されておるというふうに聞いておりますけれども、その内容と、それに対する当局の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  244. 熊代健

    熊代政府委員 三月五日に参議院の自民党から議員提案の形で道路運送法の一部改正法案が提出されてございますが、その中身は、現在白ナンバーの車、これは自動車も軽自動車もそうでございますが、これに対しましては百一条で有償で運送行為を行ってはいかぬ、それに対しましては行政処分と罰則があるという形になっております。ところが、軽貨物自動車運送事業による旅客の有償運送行為というものが、実は四十九年の福岡高裁那覇支部の判決で、百一条の適用は誤りであるという判決が出て以来、反復継続した場合に四条の免許違反ということでしか取り締まりもできないし、行政処分もできない、こういう状態にあるわけでございますが、今回の改正は、軽貨物自動車運送事業によるタクシー類似行為の現況にかんがみまして、自家用自動車による場合と同じような体系の行政処分ないし処罰ができるような形に整備するという内容だと理解しております。  これにつきましては、率直に申し上げまして、我々としては行政指導等違法行為に対してやってきたわけでございますが、担保する手段として反復継続したものについての罰則しかないということで、指導上も取り締まり上も非常に難しい面があったわけでございます。それに対しまして、端的に言いますと、一度でもそういうことをやったらいけませんよということになるのと行政処分が可能になるということで、そういう点での不備が補完されるという意味で望ましいことだというふうに理解しております。
  245. 米沢隆

    米沢分科員 時間がありませんので、最後に運輸大臣に所信を伺っておきたいと思います。  こういう行為がいろいろと社会的に問題になっておりますが、ともすれば業者そのものも免許制の上にあぐらをかく経営姿勢であるとか、あるいは客の需要、ニーズにこたえようとする経営努力だとか、あるいは年末の夜中にいつも頭にくるのでございますが、タクシーの乗車拒否だとか、あるいは都会の運転手の中には大変マナーの悪い運転手もおるわけでございまして、そういうものを見聞きするお客そのものが、この車社会の中においてやはり何だというものと、このような類似行為とが共通した基盤に立っておるという、そんな感じもしないわけではありません。  そういう意味で、業界自身も襟を正してもらいたいと思いますし、運輸行政としてもやはりやるべきことがたくさんあるのではないかと思うのでございますが、運輸大臣に最後に所信を伺いたいと思います。
  246. 山下徳夫

    山下国務大臣 人員の輸送、特に有償における輸送等につきましては、やはり秩序というのが一番大切だということは先生も十分御承知のことであり、そういう行為に対して遵法観念がややもすれば無視されるということが重大問題だと私は思っております。  ただ、このことにつきましては、ただいま事務当局からも申し上げましたように、一回の場合どうか、反復でなければいかぬかというところに、若干法の解釈にいろいろございましたけれども、今日またこれは全体的に一致したとまで言い切れない面が若干残っているかと思いますが、それだけに立法府としてきちんとしようということで、参議院においてこれが議員立法で立法措置を講じていただくということが行政当局としても大変好ましいことだと思っております。  今後ともやはりきちんとしなければ、拡大解釈、いわゆる法の許容限度を超えるようなところまでいくということは、そういう秩序を乱すということについて断固としてやらなければならぬ、こんな気持ちで今後とも臨んでまいりたいと思っております。
  247. 米沢隆

    米沢分科員 終わります。
  248. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  次に、小沢和秋君。
  249. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、北九州、筑豊の地域交通問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、西鉄の路面電車の廃止問題であります。  昨年四月に、西鉄が北九州線の一部廃止を表明したことが市民に大きな衝撃を与えました。御存じのとおり、この西鉄電車は市内の大動脈になっておりまして、市内の端から端まで約三十九・七キロ、一日十四万人を運んでおります。今回はそのうち、周辺部分を約半分以上、六万五千人分を切り捨てようというものであります。  そういうことになりますと、自家用車を持てないような低所得の労働者、婦人あるいは老人、大学、高校生など、いわゆる交通弱者と言われている人たちに非常に大きな打撃を与えることになりますし、また、この路線が古いことから電停を中心にして商店街が発達している、この人たちも、人の流れが変わることになれば死活問題だということで反対をしておるわけであります。現在、市やあるいは議会などとも西鉄が話し合いを行っている段階でありますけれども、まずこの問題について、運輸省当局はどうお考えになり、どう対処されようとしているかということについてお尋ねをします。
  250. 熊代健

    熊代政府委員 西鉄の北九州線でございますけれども、先生おっしゃるように、相当歴史を持った主として軌道でございますが、路面電車でございます。おっしゃるような役割を果たしてきたわけでございますけれども、昭和四十五年に一日当たり三十万人くらい運んでおりましたものが、五十八年度には十三万人程度のものに落ちてきております。これは合併して以来の北九州市の都市構造の変化等々ございまして、沿線の人口が減少しているといったような事情も踏まえた結果だろうと思います。  この問題、まだ我々は正式に廃止というような申請を受けておりません。おりませんが、まあ地域交通体系の中でどうやっていくのが一番いいのかということを地元の皆様方とよく検討していただいて、その上で申請を出された上、今申し上げたようなそういう都市構造なり社会情勢の変化の中で、我々としては先生のおっしゃったようなことも考えながら、適切に対応してまいる必要があるというふうに考えております。
  251. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、ちょうどいい機会ですから大臣に、少なくともこういう地元にとって非常に重要な足の役割を果たしているこの西鉄路面電車を廃止するというような問題については、地元と話し合いがつかない限り、仮に申請するようなことがあっても、これは許可を出すべきでないというように私は考えるわけですが、その点について大臣の御意見を伺いたいと思うのです。
  252. 山下徳夫

    山下国務大臣 きょう午前中もこの分科会においていろいろと御質問いただきました。いわゆる弱者保護の立場から、交通機関というものは一つの福祉の面からも、これは存置したりあるいはまた必要のものは運行すべきであるという御議論、御質問もございました。私も同感でございますが、特に私鉄におきましては、これはやはり経営ということがまず前提でございますので、これは指導する私どもも、こうしなさいということを、経営の立場から言えばあながち半ば強制的に指示したりすることはいかがなものかと思っております。しかしながら、経営の合理化によって、今御指摘のような点がうまくいくかどうかという点については、私ども御相談に応じてまいりたいと思っております。
  253. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いや、私がはっきりさせていただきたいのは、住民の合意をこういうものについては得るような努力が大事だと思うのですよ。だから、今話し合いがせっかく行われておりますけれども、その話し合いが途中で見切り発車みたいな形で申請が出ても、その点については慎重に対処していただくというか、我々の方としては、そういう場合には許可をしないということをひとつこの機会にお約束をいただきたいということなんです。
  254. 山下徳夫

    山下国務大臣 今申し上げましたように、経営の立場からいいまして、やはり地域住民の方々にとっては、既存するこういった交通機関を残すということが一番便利でよいことに決まっておるわけでございますけれども、繰り返し申し上げるように、それぞれ一つ経営の立場からおやりになることでありますし、完全な合意を見なければこれを廃止してはならぬということもまたいかがなものであろうかと存じております。
  255. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 もちろん完全なということになると非常に難しいかもしれませんけれども、私は地元の今のせっかくの話し合いを実らせるように、運輸省の当局としても対処をしていただきたいという立場から、その点をもう一度申し上げておきます。  そこで、私は今日の事態については直接には、都市交通審議会が昭和四十六年に北九州市の旅客輸送力の整備増強に関する基本的計画なるものを出しました。この中で、市内の路面電車を時代おくれのものとみなして、市内の高速鉄道やあるいはバスの整備を待って廃止すべきものだというふうに位置づけた。そのこと以来、そういうふうに位置づけられれば、当面、活用していくべきだというふうなことを言ったとしても、これは真剣になれるはずがないのじゃないかと思うのです。だから私は、こういうような答申が出されたということは、非常に重要な今日の原因になっていると思うのです。  そういう立場から若干お尋ねするのですが、答申でも、路面電車の優先通行あるいは連結運転、バスとの調整等を実施して有効活用を図るということを言っているのですが、これらの点についてはほとんど進まなかった、そのために今日のようなじり貧状態になってきたのではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  256. 熊代健

    熊代政府委員 四十六年の三月に出されました都市交通審議会の十二号答申の中に、確かに先生がおっしゃるような指摘がございます。ただ、ここにございますように、路面電車については、他のバスあるいは高速鉄道も含みますが、そういうものとの整備の関連も見ながらということでございまして、我々として、ここにあるから今回の問題が起こったというよりも、むしろ都市構造の変化、それから特に門司区域におきましては、非常に道路の狭い中で路面電車が敷かれておる、道路敷内の自動車通行を制限しようと思っても、部分的にはできないところもあるといったような状況の中も加わりまして、片やバス網はその後も非常に発達している、こういった中で、先ほど触れましたような需要の減少、経営者である西鉄といたしましても、これらの効率を上げるべく、施設改善とか共通乗車券の発売といったようなこともいろいろやってまいっておるわけでございますけれども、なかなか小回りがきかないといったようなこと、あるいは旅客の流動がかなり長くなったりした場合、流動の変化があるといったようなことも伴いまして、先ほど申し上げましたような一日三十万人から十三万人ということに減少を見ているのではないかというふうに考えております。
  257. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 しかしここに、将来廃止すべきだということをはっきりうたわれているわけですね。将来廃止するということを前提にして当面活用するといっても、これは熱意も気合いも入ってくるはずがないと思うのです。だから現にここに幾つか、こういうような点をやりなさいということもほとんど進んでいない。現に同じ私鉄であっても、よく言われることですが、広島とか長崎などでは非常に安定した経営を続けているわけですね。これは私も若干勉強してみましたけれども、例えば会社自身も、全社的に均一の運賃制度を実施するとか、あるいは冷暖房、さらに停留所に電車の接近表示装置をつけるとか、こういうような努力をいろいろしてきたというふうに聞いておりますし、また、自治体や警察なども協力をして、軌道内の乗り入れ禁止とかあるいは電車の優先信号とか、いろいろな措置をやっているのですよね。  だから、一方は安定して経営ができる、もう一方はじり貧になる、非常にはっきりしているじゃないですか。だから、これを位置づけをし直す、そして積極的な方向で経営をし直すようにすれば、立ち直ることができるのではないかというように考えるのですが、どうでしょうか。
  258. 熊代健

    熊代政府委員 先生おっしゃいましたように、昭和三十年代の後半から、路面電車は交通関係の面からいって撤去すべしという意見が非常に強かった時代、その後最近、それをやったけれども、やはり道路交通の混雑緩和に余り役立たなかったという反省のもとに、路面電車を生かしていくような手段が講じられているところがあることは我々も承知をしております。  先生が挙げられました広島あるいは長崎といったところとこの北九州の地域路線、都市の構造等々もございまして、確かに努力が足りなかった面はあるかもしれませんけれども、同じような路面電車でも、熊本あるいは鹿児島といったようなところにつきましては、かなりやってはいるのですけれども、なかなかその採算がとれるところに至らないというようなところもございます。これは都市構造なり輸送の動向、それから路線の長さとか、そういった面もかなり影響しているものというふうに思います。したがいまして、この答申そのものを金科玉条にして云々ということは我々としても考えるつもりはございませんし、また、それなりの指導はしてまいる必要があろうというふうには思っております。
  259. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、今のような政策を漫然と続けて、じゃ周辺部は不採算だというのなら今度はやむを得ないだろうというようなことをしたら、必ず今度残る中心部の路面電車も早晩廃止に追い込まれるようになるのではないかと思うのです。それだけじゃないです。最近では、バスの乗車状況なども見てみますと、市内には西鉄だけでなく市営バスなども走っておりますけれども、全体として見てみると、五十二年ごろがピークで一営業キロ当たり四・一二人だったのが、昭和五十七年には三・三四人というふうに明らかにこれも減少傾向になっている。結局のところ中心部は、朝夕などは自家用車で身動きができないようになって、こういう公営交通というのはどんどん不便になり、不採算になりという状況に今のままだったらますますなっていってしまう。結局、バスだって同じような運命に追い込まれるということになりはせぬですか。こういう点を考えても私は、今までのような状況を漫然と続けることはできないのではないかと思うのですが、その点、どうでしょうか。
  260. 熊代健

    熊代政府委員 今御指摘の、今経営者である西鉄が廃止しようとしている部分以外の路面電車もなくなってしまうのではないかという点に関しましては、我々が聞いておりますところでは、五十八年のOD調査の結果、残存区間で独立した需要がある、したがって経営は維持できる、そのように考えているというふうに伺っております。  それから、先生おっしゃいました都市交通全般が、バスを含めて云々というお話でございますが、我々としましては、先ほどちょっと触れましたように路面電車の特性もございます。逆にバスの小回りがきくといったような利便性もございます。そういったことで、どちらの方がというような観点もあわせて考えていく必要があろうということと同時に、都市交通、特に大都市、あるいは最近では中枢、中核都市もそうでございますけれども、バスの復権ということをどうしても考えていかなければいかぬ。そういう意味で、走行環境の整備ということをきめ細かく、できるだけ一生懸命やっていく。そうすれば、都市内におけるバスにつきましてはそれなりにやっていけるのではないか。御承知かもしれませんけれども、東京におきまして、新都市バスといったようなシステムを取り入れたりしておりますのも、その復権のための走行条件の整備の一環と御理解いただければと思います。
  261. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今バスの復権ということを言われたのですが、バスを復権させるくらいだったら、現にある電車、しかも電車の方がずっと効率的な乗り物であることはここで論争するまでもないと思うのです。これを復権させるということは、私は非常に重要な、また現実的な交通政策ではないかと思うのですね。  その点で私は大臣に、今のような自家用車の野放し政策を転換をして、都市部でのこういう市内電車とかバスとか、こういうものを思い切って便利で快適な安い市民の足として復権させるというための政策を強力にとっていただきたいと考えますが、いかがですか。
  262. 山下徳夫

    山下国務大臣 限られた道路におけるこれの有効利用という面から何が一番いいかということは、みんなで知恵を出し合って今後考えていかなければならぬ問題であると思います。  その中で、ただいま御指摘の自家用でございますけれども、御承知と思いますが、自家用自動車の普及率はたしか長野県が全国で第一位であったと思います。東京が最低であります。そして四十七都道府県の東京に次ぐのがほとんどが政令都市であります。そして普及率の高いところは、長野を筆頭に群馬であるとか栃木であるとかあるいは九州、比較的僻地が多うございます。いかに今日、自家用自動車というものがぜいたく品ではなくて、いわゆる必要なる足であるかということが数字的にあらわれているのですね、そういう点からすると、ただ単に自家用ということですぐ決めつけて、これを少なくしろということはいかがなものであろうか。ここらあたりも考えながら道路の有効利用という面から、これらの路面電車も含めて今後は交通政策を考えていくべきだと思っております。
  263. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は都心部の交通のことを議論しているのですよ。今から言おうと思ったのですけれども、実際最近、都心部の地価が高い、そのためにいわゆる住宅政策でマイホームが奨励されていくということも相まって郊外に、それも比較的交通の不便なようなところに大きな団地ができたりして、そこから大量にマイカーで都心部に通勤するというようなことが、北九州などでも朝夕の深刻な交通ラッシュをつくり出しているのです。ですから私どもは、僻地でそういうマイカーが必需品になっているというような現状を何も知らないわけじゃないのですよ。ただ、それが北九州などのように郊外にそういう大団地をわざわざつくって、都心にいた人たちをそっちに移すというようなことでマイカーをふやすようなことをやることは、私は都市政策としても交通政策としても間違いだというふうに考えているわけです。だから、もう一遍そこのところを考えてほしいというふうにあなたに言っているわけです。その点、もう一遍お尋ねしましょうか。
  264. 山下徳夫

    山下国務大臣 新しい市街地の形成という新しい都市づくりから見れば、例えばその都市の周辺に大きなターミナルをつくりまして、パーキングをつくりまして、アメリカあたりも新興都市にはたくさんあるようでございますから、そこまで来て、それから公共の交通機関に乗りかえるというシステムが一番いいかと思いますが、現況におきましてはそれでは、例えば先生のお宅だってそうだと思うのですけれども、やはり農村地帯とか僻地から真っすぐ乗り入れまして、パーキングがないという場合、勢い自分の勤め先までやはり乗っていくのが現在の状況でございますね。  したがってそういう面から見て、もしもそれができないとなると、都市乗り入れもできないとなるとますます過疎化してしまう、あるいは一方では、都市はますます過密化の現象が大きくなっていくという面もあろうかと思います。したがって、都市における交通形態の中で、おっしゃる気持ちはよくわかりますけれども、これから新しくつくるところと今あるところではやはり交通のあり方が違うのではないかと思いますので、そこらあたりも含めて検討させていただきたい。
  265. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 きょうは建設省にもお見え願っておりますけれども、今私が申し上げているような、郊外に住宅をつくってマイホームで、大量の人が都心部に通勤をするような状態をつくり出している、このことが都心部の交通ラッシュを非常に深刻にしているという点からも、私は都心部を再開発をして、大量の公営住宅などを都心部につくって、本当に都心部にそういう勤労者の人たちが安心して住めるような状態をつくり出す、そしていわゆる職住接近の状態をつくり出す、このことが今の交通問題を解決していく上でも非常に重要でないかと考えますが、その点、建設省の側としてはどういうふうに今検討をされておりますか。
  266. 荒木英昭

    ○荒木説明員 先生おっしゃいますとおり、公共交通と都市づくりというのは非常に関係が深うございまして、お互いに都市の土地利用計画、各種の交通施設機関の整備、それぞれ相手を規定する関係にございますことから、お互いが密接に整合した町づくりを推進する必要があるということは、我々建設省側も強く考えております。  おっしゃいますように、どうしても都心部におきましては地価が高うございますので、やむを得ず郊外部に新市街地をつくりまして、そこで住宅開発を行うということは多うございますけれども、我々都市づくりをやる側としましても、決して都心部は軽視しているわけじゃございませんで、いろいろ公共交通手段を有効に使いながら都市全体をうまく運営されるということを考えて都市づくりを推進していきたいと思います。  おっしゃるとおり、マイカーの関係につきましては、周辺部は別にしまして都心地域におきましては、いわゆるマイカーを中心といたします自動車交通、これの利用が過度に集中するということは、我々都市づくりの側におきましてもできる限り避けていきたいということで、都市づくりの我々建設行政のサイドでも、できる限り公共交通手段というのが有効に使えるような土地利用もやっていきたいというふうには考えております。ただ、具体的にそれぞれの場所の再開発なり住宅供給なりを行いますにつきましては、やはりそれぞれの都市の事情もございますので、それぞれの都市の事情に合わせまして適切な市街地整備をやっていただきたいというふうに指導してまいりたいと思います。
  267. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いずれにしろ、四十六年に都市交通審議会が出しました北九州市内における交通のあり方というのは、私は完全に破綻していると思うのです。この中の目玉になっておるいわゆる都市内高速鉄道も、小倉の南部の方に向けてのモノレールが一本ようやく最近できましたけれども、これも建設費が物すごくかかるし、乗客はいざ開業してみたら思ったほどないということで、パイ字形につくるというふうに言っておりましたけれども、その一本の縦の方ができただけで、あとの二本は全く見通しも何もないのですよ。だから私は、今申し上げた市内の路面電車あるいはバスなどの復権ということを含めて、市内の交通政策のあり方ということについては至急もう一度検討していただきたいと思うのですが、そういう考え方はありますか。
  268. 熊代健

    熊代政府委員 先生おっしゃいましたように、この都市交通審議会の答申十二号は四十六年、ちょうど高度成長期の一番最後の方に近い時点で出されたものでございます。この時点で人口等の推計を見てみますと、それよりもかなり下回った状況になっているというのが実情でございます。  運輸省におきましては、住みよい地域社会づくりの基盤といたしまして、地域旅客交通の維持整備については、地方運輸局、この間七月に地方運輸局になりました。ここに地方交通審議会がございますが、ここに各都道府県部会を設置いたしまして、そこで長期的展望に立った地域交通計画を原則的には県ごと、県の中で分ける部分についてはそのブロックについて採用するというようなことで、逐次進めてまいっておるところでございます。  したがいまして、福岡市あるいは北九州市を含めました交通問題につきましては、福岡県の地域交通計画を策定するという中で、その後の経済社会情勢の変化等を踏まえて内容の見直しを行っていくということになろうかと思っております、それから時期がいつになるかという点は、まだちょっと準備作業とかいろいろございますので、明確に申し上げるわけにまいりませんけれども、そのように考えております。
  269. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、それは時期はいつというのは、何年何月とまでは言えないかもしれないけれども、三年も四年も先というようなことでは話にならぬと思うのですがね。おおよそのめどを示してください。
  270. 熊代健

    熊代政府委員 我々としては、この県ごとの計画はできるだけ早くやってもらいたいということで進めておりますが、具体的に福岡県の場合、いろいろ難しい面もございますけれども、おおむね二、三年内にはというふうに考えております。
  271. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それでは、どうも時間も大変詰まってまいりましたので、筑豊の交通の問題についてはごく手短に御質問をしたいと思うのです。  この筑豊の地域交通問題というのは、炭鉱合理化以来過疎地域が非常に広がってきておりまして、北九州以上に深刻です。こういう中で、国鉄のローカル線廃止問題が次々に起こり、西鉄バスも幾つかのところで既に廃止をしたり、あるいは自治体に対して廃止の相談が持ちこまれるというような状況になってきておるわけであります。  私は、それ全体についてお尋ねしたかったのですが、時間も迫ってまいりましたから、国鉄上山田線の問題に絞ってお尋ねをしたいと思うのです。  これについては福岡県知事が、七百名以上の高校生にとってこれが不可欠の通学の手段になっているというような点も指摘をして、むしろ筑豊の横断鉄道の一部として有効活用をすべきだというような意見も出してきております。これについてはさらに、県選出の国会議員団も超党派で、こういうふうにやったら現実的な建設ができるじゃないかということで、今までに比べると短絡の路線も非常に短く、建設費なども半額ぐらいになるのじゃないかというような案も示して検討も求めているわけであります。この点はどうなっておりましょうか。
  272. 岩崎雄一

    岩崎説明員 現在、第二次特定地交線ということで運輸省の御承認を受けまして、漆生線などとあわせまして協議会を早く開催したいということで、地元と折衝中でございます。今先生おっしゃったような上山田線から桂川を経由して篠栗線を通って福岡へというような短絡線をつくりまして、都市交通の一環として上山田線を活性化させていくという案が地元にあることはよく承知いたしておりますが、そういうことも含めまして協議会の中で十分に話し合いたい、このように思います。
  273. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 この短絡の対象になっております篠栗線については、これが非常に重要な幹線として位置づけられまして、今度の三月十四日のダイヤ改正でも博多への乗り入れ本数を大幅にふやす、それであそこの石堂川の拡幅工事をやることによって、昭和六十五年には全線の乗り入れを計画しているようなことも聞いておりますけれども、これは新聞報道のとおりかどうか。そして、もしそのようなことが事実であるとすれば、ますますこの篠栗線が非常に重要な筑豊と福岡とを結びつける路線になる。それだけに通勤が非常に広範囲に可能になってくる。この面からも私は、短絡問題はさらに検討する価値があるのではないかと考えておりますけれども、この点について明確な御答弁をお願いして、終わります。
  274. 岡田宏

    岡田説明員 石堂川橋梁の改修工事についてでありますけれども、過日新聞に報道されましたが、報道の中身については必ずしも正確でない部分がございますが、石堂川橋梁の改修につきまして福岡県と国鉄の間で協定を締結いたしまして、石堂川の改修工事に着手することが決められたことは事実でございます。  その結果といたしまして、技術的になりますが、吉塚と博多の間につきましては現在、鹿児島本線と篠栗線とが三線走っておりますが、これが博多の構内におきまして複線に絞られております。石堂川橋梁はその複線に絞られている部分でございまして、その石堂川橋梁の改修工事を実施していきますために、技術的な見地から見まして、石堂川橋梁の上が結果的に三線という形にでき上がってまいります。しかしながら、それによって篠栗線の全列車が博多まで直通するかということになりますと、この間まだ複線に絞られている区間が残っておりますので、石堂川橋梁の工事が完成いたしますと、確かに篠栗線の博多への乗り入れの余力はふえることは事実でございますけれども、全列車が乗り入れをすることにはならないと考えております。  また、そういった背景を受けまして、今の篠栗線と上山田線の短絡問題について考えてみますと、上山田線につきましては、基準年次の輸送密度が千人を若干上回っておりましたけれども、五十八年度の時点で調べてみますと、約六割に落ち込んで六百八十人程度になっておりまして、この篠栗線の桂川と上山田線の臼井を結ぶという仕事が、合理化と申しますか、合理的であると判断されるほど上山田線の輸送量がふえるかどうかという点については、今後いろいろ勉強しなければいけない問題があるのではないかと考えております。
  275. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 終わります。
  276. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤誼君。
  277. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 最初に運輸大臣にお尋ねいたします。  国鉄再建に当たっての基本的な問題についてお尋ねしたいのですけれども、今日、国鉄再建についていろいろな考え方あるいは内容の提案が出されておりますけれども、基本的に今問題になっている二十三兆五千億相当の長期累積債務をどうするか、この解決についてはっきりした回答を出しながら再建案を考えない限り、どのような提案をしても無理であろうと私は思うわけです。その点とう考えるか。  それに関連して、この累積債務に伴う利子負担を軽減していかない限り、国鉄の単年度収支の改善は不可能ではないかと考えるわけです。したがって、その辺の累積債務の扱い、それから今の利子負担の軽減、これらについて国鉄再建のあり方との関連でそれをお尋ねしたいと思います。
  278. 山下徳夫

    山下国務大臣 長期債務の問題は国鉄再建の中でも最も重要な問題であることは、先生も私も認識は同じだと心得ております。  そこで、この問題につきましては、国鉄再建監理委員会から昨年の八月に緊急妄言がございまして、長期債務の処理については、まず国鉄の用地を最大限に活用する、そしてこれに充てるということでございます。しかしながらもちろん、それだけでは十分でございませんので、残余については何らかの形において国民の負担になるだろうということを、緊急提言でも監理委員会としては申しておられるわけでございまして、基本的には、監理委員会考え方と運輸当局は考え方を一つにしておるところでございますが、何を申せこの問題は、今後の新しい経営形態のあり方と切り離しては考えられない問題でございまして、これらの問題との相関において解決していかなければならないと思っておりますが、ことしの七月に、これらの問題を中心としてあらゆる面から監理委員会が御検討の上、答申を出されるわけでございますから、その答申を待ってその問題に対処してまいりたいと思っています。
  279. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 今言われますように、今後の経営形態のあり方ともちろん関連すると思いますが、ただ基本的な考え方として、こういう累積債務なりそれに伴う利子負担を国鉄並びに国鉄会計というパート、セクションで解決しようといったって到底無理だと私は思うのです。私から言わしめれば、投資、経営についての国と国鉄の任務分担を明らかにしながら、そして国鉄を身軽にした形でこれからの国鉄の効率性と公共性といいますか、それをどのように整合性を持ったものにして国民の期待に沿う形で再建していくか、この辺のめり張りがはっきりしないと、国鉄が幾ら頑張ったって改善できないのじゃないか、再建できないのじゃないかという非常に危惧の念を持っておるものですから、その辺の基本的な点だけ重ねて大臣の答弁を求めておきたいと思います。
  280. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどもお答えしました中に、これは経営形態の問題と切り離して考えられないことは、例えば新しい経営形態で分割なら分割した場合に、その分割される一つの新しい経営形態の資産と長期債務問題は重要な関連があると思います。そこらあたりも今監理委員会において十分御審議いただいておると思います。ただ、負債だけをとにかく一銭でも身軽にするということなのか、ここらあたりはまだ監理委員会の御決定を見なければわからないところでございます。
  281. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それじゃ先に進みます。  これは国鉄の総裁に聞きたいのだけれども、去る一月十一日、国鉄の自主再建計画というのが発表されました。それによりますと、地方交通線対策として七十線区に相当するものを、全額国鉄出資ということで子会社にするという計画があるわけです。山形県もその対象線区がございます。これは運営の結果赤字になったら、それ相当の補助なり負担なりをするということも盛られているようでありますけれども、そういう点からいうと、国鉄の線は残るし、いよいよになればある程度面倒を見てもらえるというようなことで、地元としても割合に受け入れやすい感じは持つんだけれども、私はこれをずっと将来のことで考えてみると、これは地方にとっては大変だな、そういう危惧の念を抱かざるを得ないわけです。  御承知のとおり、子会社になったって当然それは独立経営でやるわけですから、一方において合理化もしなければならぬだろうし、事によっては運賃の値上げもしなければならぬ。しかも現在の営業係数を見れば、山形などでは大体対象になっているのが、営業係数四〇〇から七〇〇くらいの範囲内になっていますから、そうなりますと当然、これは自分のことは自分だということになりますから上げざるを得ない。そうすると利用者が減る、こういう悪循環を繰り返す中で、結局これは大変だ。国からあるいは相当するところから補助をもらうといったって、今の財政事情では当然限度がありますから、そうそう面倒見切れませんよ。自分のことは自分でやりなさいというふうになったら、これは一つの企業体ですから、採算が合わなければ追い詰められますから、場合によっては先になれば倒産ということだって想定としてあり得るわけですよ。そうなりますと、どの地方だって似たり寄ったりだと思うのだけれども、特に山形のような高速交通の整備もできていないし、また全体的に過疎の状況にある中で、唯一の頼みであるそういうローカル線がどんどん廃止になっていったとなれば、これは過疎化の現象にさらに拍車をかけるし、特に今、山形あるいは東北、北海道を通りますと、国の全体の出稼ぎの七五%はそこから来ているわけです。この一例を見ても大変なんですね。  特に七十線区の中に対象になっている例えば陸羽東西線、それから米坂線などは基幹線を結ぶ線なんですね。左沢線やその他も対象になっていますけれども、そうなりますと、これは幹線から幹線へ移れないわけだ。山形県などというのは、例えば羽越線と奥羽線、それを今つないでいるわけですから、これがすとんと切れますと、海岸側の方から県庁所在地の山形へ行けなくなっちゃうわけだ。ですから、これは今の国鉄の置かれている状況から見ますと、何かそれなりに受け入れやすいような感じがいたしますけれども、先行きまで考えますと、これはいずれ安楽死させられてしまうのじゃないか、こういう危惧の念を地方ではいっぱい持っているわけです。したがって、先行きを考えたときに私は、今の国鉄による子会社に移すというやり方は慎重を期すべきではないかというふうに考えるのですが、その点どうでしょうね。
  282. 岩崎雄一

    岩崎説明員 今御指摘のありました線区等について検討いたしておりますが、再建法に基づきます特定地交線というのはバスに転換するわけでございますけれども、その対象にならない線区というのが約七千キロほどございまして、これの経営効率化ということが目下国鉄の大課題でございます。もちろん廃止線区ではございませんから、廃止という形での対策は立てられないということで、そういう事情の中でどういう効率化を図るかということで考えましたのが、基本方策に織り込んでおります今回の別会社施策でございますが、要するに国鉄出資するという形で、別の形で運営責任を持ちながら経営を地場に密着させるということで収支改善を一歩前進させよう、こういう趣旨ですので、大体先生御理解いただいておるようなことでございます。  したがいまして、それが全部黒字になるということにはなかなかならないわけでございますので、一生懸命努力をして、そういう形を通じて努力をいたしまして、なお出る赤字については、国鉄が直営した場合に比べれば赤字が縮小はするわけでございますから、国鉄が補てんをしていく、こういう考え方で成り立っておるものでございまして、我々としては、これらの線区を切り捨てるとかあるいは将来廃止を意図するとか、そういうことは全く考えておらないわけでございます。国鉄の全く分身でございますから、国鉄と同じようなレベルでこれを活用してまいりたい、このように考えております。なお、先生がおっしゃったように、慎重を期すべきだということについてはそのとおりでございます、地域の事情等を十分考えながらさらに検討を詰めてまいりたいと考えております。
  283. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 将来廃止してもやむを得ないなどということは言わぬだろうけれども、実際問題、子会社といえども独立した経営になりますと、例えば山形の例をとりますと、左沢線以下ずっといきまして、大体四八〇前後の営業係数、長井線では九〇二なんですよ。これを考えたときに、必然的に上げざるを得ないわけです。今ですとある程度、言うなればバランスがとれている、全国的なレベルですと。これは地方にとっては大変な負担なのでありまして、それから先行きの国の財政なり国鉄状況を見ればそんなに、赤字だから頼むというわけにはなかなかいかぬということになりますと、地方にそれなりの経営についての協力なりそれなりの負担を要求しても、これはなかなか大変だというふうに地方では見ております。時間もありませんから、その点については慎重にひとつ対応してもらいたいということだけ申し上げておきます。  それから次に、今新幹線がずっと整備されてきておるわけですけれども、これは大臣にひとつお願いしたいのですが、東北の中でも山形県、秋田県は新幹線から外れているわけです。それで今度上野直通になりますから、確かに全体的にスピードアップされていくことは大変結構なんでございます。しかし例えば秋田、山形というのは、従来の奥羽線、海岸側で言えば羽越線、ここの部分がスピードアップしなければ本当に地域的なメリットというものは十分に効果を上げたことにならぬわけです。そこも何とかならぬか、他は新幹線が通っているじゃないか、こういう議論は当然出てくることだと私は思うのです。そうすると、私たちは奥羽新幹線なりあるいは羽越新幹線なりの建設を要望しております。格差是正と国土の均衡ある発展という政策課題から言っても当然だ。しかし、それはそう簡単にいかぬと思うのですよ。  そうすると、その期待にこたえる形で今何がやり得るか、また可能かと言えば、奥羽線なり羽越線の可能な限りの複線化しかないと思うのです、ここでスピードアップするという。そうすると、私のところのデータでは、奥羽本線では現在大体四七・一%複線化。特に南の方、つまり秋田から南ということになりますと山形入りますね、これが大体四二・七%と低いわけです。ですから、この部分を何とかしなければならぬじゃないか。特に我々地方から言いますと、この金のないときに整備新幹線と称して、これは私はだめだということを言うんじゃないですよ、これが建設されていった暁には二十兆を超すであろうと言われるところが今手がつけられようとしているときに、片一方は従来のままで我慢しろということではやはり地方皆さん納得できないと思う。  したがって、新幹線を通してほしいというのは切実な願いなんだけれども、そう今すぐいかなければ、せめて新幹線に相当するスピードアップを可能な限り努力してくれないか、これはささやかなその県の方々の願いだと私は思うのです。その点について基本的にどう考えますか、大臣御答弁願います。
  284. 山下徳夫

    山下国務大臣 鉄道が持つ特性につきましては、いろいろ御議論もございますけれども、地域住民にとって、そのことによって地方の経済、文化、教育、交通はもとよりでありますけれども、そういう全般に対してレベルアップできるとするならば、むしろこれは整備すべきであるという一つの理論は私もよくわかるわけでありますが、何せ国鉄がこういう現状で、全面的に凍結するというような形になっておりますし、その中において、トンネルやあるいは安全上必要なものだけという今の工事になっておりますから、たった今どうということにつきまして、これは監理委員会等でまだ御検討いただいておるわけでございますから私は申すことはできませんけれども、基本的にはおっしゃる点はよくわかるわけでございます。あまねく鉄道による福祉を含めた地域住民に対して恩恵を垂れる——垂れるという言葉は当たらないかもしれませんが、そういう趣旨はよくわかっております。
  285. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 大臣の考え方はわかりました。ひとつ地域としての期待をしておりますから、最大の努力をしていただきたいというふうに思います。  それでは先に進みます。  実は、このたび六〇・三のダイヤ改正に伴って、ローカル線等が改廃されていく部分がかなり出てくるわけですね。それに伴って羽越線の二二一D列車、これは一部カットなのですが、私はこの部分については新潟鉄道管理局長の権限に属すると言われてきましたので、きょうもその質問に関して新潟鉄道管理局長の出席を求めたわけでありますが、出席されていますか、または出席されていないとすればどういう理由なのでしょうか。
  286. 岩崎雄一

    岩崎説明員 私、まことに申しわけございませんが、ちょっとその問題について聞き及んでおりませんので、早速調べまして、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
  287. 松浦利尚

    松浦主査代理 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  288. 松浦利尚

    松浦主査代理 速記を始めてください。  岩崎務理事
  289. 岩崎雄一

    岩崎説明員 管理局は三月十四日でございますダイヤ改正を控えて今一番忙しい時期でもございますし、その最中にちょっと管理局長を国会に呼ぶということは問題もございますので、本社の担当常務が対応いたしまして、先生が御指摘になりました趣旨については的確に管理局長にお伝えをするということで、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  290. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私は、どうも今の答弁だけでは、なぜ出席できないのか理由がはっきりしませんので、これは了解してくれと言われても、すとんと了解するわけにいきません。現に出席していないでしょう。だからといって質問をやめるわけにはいきませんので、質問は続けますけれども、内容を考えていただくと、その経過があるものですから、ぜひ局長においでいただいて質問に答えていただきたいということでありましたので、この点は十分にひとつ受けとめていただきたいというふうに思います。  そこで、羽越線を走る二二一Dという列車がございます。これは早朝列車でございまして、鼠ケ関駅から酒田まで走る列車なんです。このたびの六〇・三のダイヤ改正で、この列車区間のうち鼠ケ関と鶴岡の間がカットされるということになったわけでございます。  そこで問題は、この列車は古くからあった列車でありますが、特に利用者がこの沿線の魚を商いする鮮魚行商、つまり行商人がずっと長年にわたって乗ってきた列車なんです、しかも、それは鼠ケ関と鶴岡の間から乗る方が多いわけです、魚がそこからとれますから。ところが、この部分がカットされたものですから、長年その列車を使って行商しておった行商人は仕事ができない、もう廃業だということになってしまったわけです。これは事実上できないのです。そこで、みんな困りまして、関係の自治体である鶴岡なり温海町も、そのことを新潟鉄道管理局長あてに随分の期間にわたりまして要望し、陳情してまいったのです。しかし、いまだにその存続ということについて答えは出ておりません。  どの列車も廃止されると大変だとは思うけれども、特に長年にわたりまして商売してきた列車であるし、魚がその汽車で運ばれて地域住民に配られるということは、魚をとる漁民の皆さんにとっても大変重要な列車であるし、それから消費者の皆さんにとっても重要な列車であるし、しかも今鶴岡駅前再開発で、自分たちが商いする場所をこのたび新しくつくったわけですよ。一週間ばかり前に竣工して、竣工式典もやったんです。ところが、その列車が廃止されまして、行商人は仕事ができなくなってしまう。あとバンザイとなってしまう。こういうような事態の中で、先ほど申し上げたように、何とかならぬかということでずっと陳情、要請してきたのですが、この関係を本社では聞いておりますか、知っていますか。
  291. 須田寛

    須田説明員 今の二二一列車につきましては、いろいろな経緯その他、承知をいたしております。それから本日、先生から御質問があるという御趣旨でございましたので、新潟の局といろいろ打ち合わせをいたしまして、管理局の方の今までの検討経緯等も聞いておるわけでございます。  今、先生指摘のございましたように、確かに行商の方が御利用をいただいておる列車でございますが、現在一日の平均御利用のお客様の数が三十数名という感じでございます。最盛期でございますと七十名近く御利用いただいておったのでございますが、逐年減ってまいっておりまして、これからもそう大きくふえる可能性がないというふうに判断をいたしたようでございまして、今非常に効率の悪い列車になっておりますので、先生指摘の鼠ケ関−鶴岡間につきましてだけ今回廃止をさせていただこうということで、今計画をいたしておるという状況でございます。  なお、先生からあるいは地元の皆様方から、いろいろ強い御要望があったということも現地で十分承知をいたしておりまして、いろいろ慎重に、かつ長い間にわたりまして検討いたしてまいったようでございますが、現時点で私が聞いておりますのは、三月十四日にそのままの格好で存続するのはひとつ御容赦いただけないだろうか、今こういうふうな経過になっているやに聞いております。
  292. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 今効率性のことを言われましたけれども、確かに今の二二一Dに限らず、ローカル線はおしなべてそういう状況にありますわね。ただその中で、特にすとんと落ちないのは、とりあえず鼠ケ関から鶴岡までカットした、あとの鶴岡から酒田までは残した、こういう言い方なんですが、この列車自体は先ほど言ったように、乗る区間は鼠ケ関から鶴岡までが多い、あとは皆おりるのだから、そうなっているわけです。ところが、おりる方を走って、乗る方を走らないわけです、簡単に言うと。これは乗客の関係からいってもおかしいじゃないかということと、それから、乗る方の人が乗れないから商売が成り立たぬ、こういうことですから、どうも常識から考えたっておかしいじゃないかという議論もあるわけです。こういうことをひとつ押さえておいていただきたい。  それからもう一つは、この列車は行商人が使ってきたという話をしましたが、例えば今行商関係の方が組合員が百八十三名おるのですが、二十年以上この汽車を利用して商売をしてきたという方は百七十三名いるのです。百八十三名中百七十三名が二十年間以上この汽車を使ってきている、そして五十年以上にわたるのが八人いるのです。これが一夜にして——まあ一夜にしてと言うとドラスティックな言い方ですが、だめになるということは、これは大変なんですよ。この方々は大抵海岸ですから、海の遭難なんかに遭って未亡人になった方もいるわけです。戦争未亡人もいるわけです。この会長も引揚者なんです。そういう方々が資本なしに商売ができて子供を育てることができるということで、この列車を利用してきた。ですから、これはまさに商売、生活列車であるし、地域的に言うなれば非常に同情を呼んでいる列車なんです。  だからこの地方でも、今は時間がありませんから詳細は言いませんけれども、新聞社が取り上げたり、自治体がこういう形で出したり、本当に涙ぐましい陳情を続けてきたわけです。この代表の松谷という方は私と同じ部落なんだけれども、この方が新潟鉄道管理局長のところに行ってやったときは、何とかしてほしい、検討だけでもしてくれないかと涙ながらに訴えているのです。それは行政当局の最前線にいる方の立場はわかるのです。だけど、もう少し何とか考え方なり対応の仕方があったのではないかというふうに思うわけです。  その中で、特に私は非常に遺憾に思うのは、これは責任を痛感する余りでありましょうけれども、新潟管理局長が当該の沿線の駅長に言って、それぞれの行商人一人一人に当たりなさい、もうこの汽車はだめなんだ、説得しなさいということで説得をやったのです。それで受けた方は、もうこの汽車はだめなんだということで、説得されたものですからいや困った、あとそれ以上何ともならぬわけです。そのことをずっと吸い集めて、地元皆さんは大筋了解したのだからみたいな形で宣伝し始めた。そこで関係者の皆さんは大変頭にきているわけです。とんでもない話をするなということで、私のところにもいろいろその手記が来ているのであります。  これは陳情書であります。それから、私に直接たくさんの訴えの手紙が来ているのですが、全部は読めません。鶴岡市小波渡の七十歳を越す方は、「何んと言われても、もうきまったのですからどうにもならないのですということであったので、困ったことだとはわかっててもどうすることもできないのです。」そして「私は、何十年も乗って国鉄協力したが、こんなぐあいになって本当に腹が立つ、」この原文どおり読みますと「憎んでも憎んでも足りないくらいです。」こういう手紙が来ているのです。これに類似するものを私はずっとコピーをとってきましたけれども、ここにいっぱいあるのです。言葉は余りいい言葉ではありませんので、「鉄道、特に駅の人たちは本当に憎くてなりません。」これが温海町の五十八歳の方。それから温海町鼠ケ関の五十五歳の方、「憎くて仕方がありません。この恨みは生涯忘れることはないでしょう。」それからもう一つ、さっき言った会長の松谷さん、私は反対と抗議をした。そして、鉄道を恨むし、今後もその気持ちは変わらぬだろう、こういう趣旨なんですね。私はここまで追い詰めなければならぬのかということを感ずるわけです、このことについて。このことを私はぜひ大臣によく聞き取っておいていただきたいと思うのです。  私は国鉄はこれから、先ほどの財政再建も含めて、国民国鉄として開かれたものとして再建しなければならぬし、これはみんな国民考えなければならぬことです。そのときに、駅の最前線にいる皆さんだって、何とかローカルで黒字にするためにお客さんをとかなんとかいろいろなことを言っていますよ。そのためには、皆さんの了解なり、気持ちよく国鉄協力する体制をつくらなければならぬわけです。ところがこの人たちは、二十年、五十年にわたって国鉄協力してきた方です。あの辺は雪でしょう、雪で汽車が動かなければ夜中、スコップ持って走った人たちです、この人たちは。そして、旅行があれば旅行に、あらゆるものを捨てて協力してきた人たちです。国鉄は今さら何だ、こういう声が充満しているわけです。これでは国民国鉄として、皆さんの御了解をいただきながら再建することはできないと私は思う。その点を私は特に皆さんがよく受けとめてもらいたいということを特に申し上げておきたいのです。  そこで、時間もなくなってきましたから、私はこの列車はもう既にダイヤが発表されていますから、これを抜本的に直せとか、もとどおりにしろと言ったって、これは無理だと思う。当初は皆さんもそういう要望を出しました。しかし、それは事実上発車と同じですから、じゃ現在の運行計画に沿って、この人たちが要望している、もう未来永劫続けてくれとは言わないわけだ、一年でも半年でもいいということ言っているわけです、何らかの形で。その間、自分たちは心の準備と次の生活設計を立てたい、そのための期間をもう少し与えてくれないか。その期間、現行のダイヤで可能な限り何とかならぬのかということを言っているわけですよ。  例えば具体的に言いますと、酒田から朝出発して鶴岡に来て、鶴岡から折り返し運転なんですから、酒田から出発するのを早目にして、そして鼠ケ関まで行って戻るわけにいかぬのか。三両の予定ですからといっても、油代がかれば二両でもいい。そして、そこに働く皆さんは、いろいろ職業がありますよね、みんなこの列車を知っていますから、いや、私たちもそんなに長いことでなければ少々労働負担になったって、その期間ぐらいはお互いに協力をしなければならぬじゃないかということになっているわけですよ。今の時点でその知恵の出し方はできないのかどうかということを私は、地元皆さんから大変強い形でこの御要望を受けているわけで、ぜひ運輸大臣にもそのことを、私が代表になって伝えてほしいということを言われているわけです。そのことは一体どうでしょうかね、大臣。
  293. 山下徳夫

    山下国務大臣 たしかそれだと思うのですが、けさ早くテレビでやっていましたね、私もちょっと見ました。利用されている方々の生の声をテレビで何か痛々しく非常にお気の毒に思いましたよ。  ただ、先ほど国鉄当局からも答弁いたしましたように、列車全体を見ますというと、専用列車みたいにがらあきで、確かに国鉄からみれば非常にあれは不採算の列車かなと思いました。しかし、切り捨て御免ということではなくて、今おっしゃるような他のといいますか、何らかこの方々に対する救済措置といいますか、営業を続けられるような方向での救済措置があるかどうか、私もまた国鉄によくお尋ねしてみたいと思います。
  294. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それじゃ、ちょっと時間が早いですが、大臣の誠意ある答弁と受け取りまして、またぜひその点についてはローカルのこともひとつ受けとめて、そして限界があると私、思いますけれども、その中で可能な限り、暫定であろうが、期待にこたえるような形で対応していただきたい、このことを最後に要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  295. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  次に、木内良明君。
  296. 木内良明

    木内分科員 我が国経済の成長とともに、大都市圏における人口及び産業の集中は著しいものがあり、殊に東京都市圏の拡大傾向はますます大きなものとなっています。すなわち、首都東京を中心とする交通圏における人口について言えば、昭和四十年に約二千万人であったものが約二十年後の今日、二千九百万人へと推移し、同時にこの間の就業人口の推移は、約一千万人から一千四百万へと大きな拡大の一途をたどっているわけであります。  一方、こうした背景と相まって、大都市圏における通勤交通、自動車交通の混雑、渋滞は極めて著しく、国家的中枢機能、業務機能の集中化の進展の中で、通過交通、交錯交通による道路交通の混雑の状態は一層激化しているのが実態であります。  そこで、こうした大都市における交通混雑の状況に対する認識及び改善方策についての基本的考え方をまずお尋ねします。
  297. 山下徳夫

    山下国務大臣 御指摘のとおりでございまして、大都市、特に東京圏等におきましては、その指数ではまさに脅威的な混雑ぶりでございますことは私も承知をいたしております。したがいまして、国鉄自体がこんな状況にございますけれども、総合的に国鉄あるいは民鉄と言わず、さらにバス等も含めて一鉄道だけではなくて複合的ないわゆる大都市の交通圏の整備増強と申しましょうか、当然これは考えていくべきだと思っております。
  298. 木内良明

    木内分科員 組合的な体系の整備並びにニュアンスとして鉄道等の大量公共交通機関中心の効率的な交通体系形成の必要性ということで受けとめたわけであります。  冒頭申し上げました点も考え合わせ、加えて生活環境の改善を図るとともに、地域住民に対する利便とサービスの充実を図る上からも、輸送需要の増加に対し、大量かつ高速の輸送力を持ち、さらに安全性、快適性、迅速性の面での要請にこたえ得る高速鉄道計画的な整備が緊要な課題だと私は考えるわけであります。こうした認識について、東京圏における鉄道整備に関する基本的な考え方をさらに大臣から承りたい、このように思います。
  299. 山下徳夫

    山下国務大臣 東京圏の鉄道網の整備につきましては、都市交通審議会の答申第九号及び第十五号に基づいて鋭意その推進を図ってきたところでございます。この結果、全体としては鉄道の混雑状況は漸次改善の方向に向かっていると存じております。  しかしながら、近年における東京圏の人口分布及び就業地の状況は、答申時の想定とかなり異なったものとなっておりまして、今後もこのような事態がさらに進展して、これに伴い交通需要の変化をもたらすものと予想されておるのであります。運輸政策審議会におきましては、現在、このような情勢の変化を踏まえ、長期的な展望に立った新たな計画を策定すべく、鋭意審議を行っているところであります。  運輸省といたしましては、答申をできるだけ早期にいただきまして、これに基づき、東京圏の鉄道網を計画的に整備してまいる所存であり、通勤通学輸送を初めとする市民の足の確保を図るとともに、新たな都市開発等への対応を行い、首都圏の発展に貢献してまいりたいと存じております。
  300. 木内良明

    木内分科員 近年における東京圏の人口分布等の実態が、かつての答申時のものと差異が生じてきている、こういった実態についての認識を大臣から答弁いただいたわけであります。したがって、運輸政策審議会におきましても、こうした情勢の変化に対応した長期的な計画の策定を行うべく審議を行っている、こういうわけですね。  それでは、運輸政策審議会の答申はいつごろになるのか、そのめどをお答え願いたいと思います。
  301. 山下徳夫

    山下国務大臣 運政審においては非常に精力的に御審議をいただいておりますので、現在のところ、その答申をいただく時期は本年の六月末ではないかと期待をいたしております。
  302. 木内良明

    木内分科員 本年六月末という答弁があったわけで、多としたいわけであります。  都心部の混雑緩和対策並びに地域住民の輸送需要への対応措置としての問題として、具体的に七号線及び十二号線の問題についてお聞きします。  この二路線の持つ意味は極めて重要であると私は考えているわけでありまして、長年にわたる地元からの熱望に加えまして、都市交通審議会の答申第十五号における答申をも踏まえ、この両線については、今大臣が答弁された答申で取り上げられることになると思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  303. 山下徳夫

    山下国務大臣 東京圏の鉄道網の整備につきまして、現在、運政審におきまして審議中でございますが、同審議会が関係都県等から鉄道整備についてヒヤリングを行った際に、特に七号線と十二号線につきましては東京都から強い要望がなされておるのでございます。この両線につきまして強い要望があること、これは東京都だけではなくて地域住民からもその要望があることは承知をいたしておりますが、都市交通審議会の答申第十五号においても答申されている路線でございますことから、運政審の場におきましても、これらの点を十分踏まえた結論が出されるものと期待をいたしておるのでございます。
  304. 木内良明

    木内分科員 東京都市圏における産業基盤中枢及び通勤者を含む人口面での集中は加速度的に伸びておりまして、あわせて混合交通下での恒常的機能麻痺の状況というものも顕著となっているわけであります。こうした現状を打開するための七号線建設への社会的ニーズは極めて大きいわけでありまして、若干今の大臣の答弁にもございましたけれども、この路線建設の持つ意義を改めて確認をさせていただきたい、このように思います。
  305. 山下徳夫

    山下国務大臣 地下鉄七号線は都市交通審議答申十五号において整備すべき路線として位置づけられておるのであります。東京都市圏での人口と産業の集中は著しく、モータリゼーションの進展により路面交通は慢性的な渋滞状況となっている現状の中で、地下鉄七号線は、岩淵町から北区王子に至る北本通りの沿線地域、学校群が存するとともに住居、商店等が併存する文京、豊島地区、中央官庁街に近い、このような立地条件から、近時、大企業の事務所等の急増している港区内の清正公前、麻布一の橋地区等の交通需要に対応する大量輸送機関として地下鉄の早期建設が要請されているものでございます。また、本路線は都心部の西側を南北に縦断する路線としては初めてのものでございまして、これと交差する地下鉄各線とのネットワークを形成することにより、利用者の利便の向上が図られるものであると存じております。
  306. 木内良明

    木内分科員 地下鉄七号線につきましては、三十七年の免許申請以来既に二十年余りを経過しているわけでありますけれども、その間の関係地域住民の熱望と署名運動を初めとする極めて積極的な行動もこれあり、さらにはまた、地域によっては交通問題促進協議会といった組織が形成されるなど精力的な活動が展開されてまいりました、私もそうした方々とともに、この路線の実現にこれまで努力をしてきたわけでありますが、昨年四月二十日の帝都高速度交通営団に対する地方鉄道業の免許交付により、いよいよその具体的な実施段階を迎えたわけであります。これまでこの路線の早期実現を強く要望してきた私といたしましても、この実施段階を迎えたということに高い評価を持っているものであります。しかしながら、まだ若干今後の時期の問題あるいはまた開通のめど等、引き続きこの問題については重大な関心を持たなければならない、このように決意しているわけでありまして、そこでこの地下鉄七号線の進捗状況と今後の見通しについてお答え願いたいと思います。
  307. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  地下鉄七号線は、先生指摘のとおりに目黒−岩淵町間二十一キロの区間につきまして五十九年四月二十日に営団に免許が行われ、このうち駒込−岩淵町間、北の部分でございますが、六・八キロについて第一期工事区間として工事に着手すべく本年二月、先月でございますが、工事施行認可の申請が出てきました。現在所要の審査を行っているところでございます。また、残りの駒込−目黒間十四・二キロの区間につきましては、ルートに係ります都市計画決定の一部変更あるいは環境への影響等について営団におきまして鋭意調査を進めているところでございます。  なお、営団では一期工事区間の駒込−岩淵町間につきましては、昭和六十五年度の部分開業をめどに六十年度中にも工事に着手したいとしているところでございます。また、全線区間につきましては、昭和七十年度中に全線開業をめどに所要の手続を進めていきたいと言っているところでございます。
  308. 木内良明

    木内分科員 目黒−岩淵町間二十一キロ区間のうち駒込−岩淵町間六・八キロについて第一期工事区間として工事施行認可申請があったということですけれども、私は、あわせて駒込−目黒区間についても所定の手続、審査を早急に行うよう措置するとともに、目黒側からの工事着工も同時に行い得るよう対応を望むものであります。るる申し上げている社会的ニーズ、都市機能の円滑化、地域住民へのサービスという諸点から、ぜひこれを要望したいと思いますが、どうでしょう。
  309. 熊代健

    熊代政府委員 先ほど申し述べましたように、目黒−駒込間につきましては、都市計画決定の一部変更という問題と環境への影響を調査して評価するというような事柄がございまして、営団において鋭意調査を進めているところでございますが、これらの協議が調って実施設計が確定するまでには、やはりなお日時を要するのではないかというふうに考えております。  このような状況でございますので、残りの区間を同時に着工するということはちょっと難しいのではないかと考えておりますが、今後、営団からの工事施行認可の申請を待ってできるだけ適切に対応してまいりたいと思っております。
  310. 木内良明

    木内分科員 駒込−岩淵町間については、昭和六十五年度の部分開業を目指し、さらに全線区間については、昭和七十年度の開業を目途にされているということであります。こうしたタイムテーブルで計算いたしまして、目黒−駒込間の工事着工は、区間距離の長さに加えて、さらには先ほど言われた都市計画決定の一部変更あるいは環境への影響調査等、クリアすべきものが多々あるわけでありまして、そのためにも一日も早い措置と工事着工が望まれるわけであります。ぜひ早期の着工を要望しておきたいと思います。  次に、都市高速鉄道十二号線の問題であります。  新宿新都心を起点として、青山、六本木、麻布、蔵前を経由して再び新宿に戻る環状部約二十六キロと、新宿より西落合、豊島園を経て高松町に至る放射部約十三キロから成る計画でありますけれども、都心区でありながら交通上の利便に窮している西落合、落合地域等の住民の皆さんを初めとして、新宿区、港区はもとより、関係区の住民から早期建設の要望がこれまで強く出されているわけであります。私もその意を体して、これまで強力に推進方の努力をしてきているわけでありまして、昭和五十五年、本委員会質疑を初めとして、ぜひ一日も早い実現をと要望してきたところであります。首都圏交通網整備の全体計画におけるこの十二号線の意義、特にこれは従来、放射状の形態というものが多かったわけでありますけれども、初めて環状の十二号線というものが計画されている。この全体計画の中における十二号線建設の意義について確認をまずしておきたいと思います。
  311. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘の十二号線は、四十七年の都市交通審議答申第十五号におきまして、整備すべき路線として位置づけられておるところでございます。東京都は、この十二号線の建設が東京都の進めております副都心の開発、江東地区の再開発、グラント・ハイツ跡地の開発計画などと密接に関連しておりまして、また既存路線と有機的な結合を図ることによって首都圏の高速鉄道網の形成を図る上に不可欠であるということで、昭和四十七年十月に西新宿−高松町間三十八・九キロの事業免許を申請して、四十九年八月に免許を取得しているところでございます。
  312. 木内良明

    木内分科員 今この路線の意義ということについての答弁をいただいたわけであります。  先ほどから申し上げておりますように、沿線区民は地域開発、交通不便地区の解消のために、その実現に実は大変な期待をかけているわけであります。  一つには、新宿副都心と東京都西北部との連絡機能を強化し、副都心の開発発展に寄与するという意味からも、また西武池袋線、同新宿線並びに山手線池袋−新宿間の混雑緩和に寄与するということ、都営新宿線との連絡を強化し、都営地下鉄のネットワークを充実させる等々のこうした効果というものが期待できるわけであります。  そこで、まず第一点でありますけれども、十二号線放射部のうち光が丘−練馬間の進捗状況、それから六十五年開業に向けての今後の具体的な見通しについてお尋ねします。
  313. 熊代健

    熊代政府委員 東京都におきましては、十二号線の免許区間、西新宿−高松町間、先ほど申し上げました三十八・九キロのうち、グラント・ハイツ跡地開発に関連する交通機関を確保する必要があることなどの理由によりまして、緊急性の高い放射部新宿−高松町間を先行して整備するということといたしまして、第一期区間として高松町−練馬間四・四キロの工事施行認可申請を五十年十二月に行ったところでございます。  その後、石油危機による社会経済情勢の変化あるいは都の財政状況の悪化等に伴いまして、当初計画しておりました大型二十メートル車の十両編成というものを見直しまして、輸送需要に相応した適正規模にいたしますとともに、建設費の節減を図るために、小型地下鉄で建設を行うこととして、これは十六・五メートルに車を小さくし、八両編成にするというものでございますが、昨年五十九年の四月に工事施行認可の追加申請を行ったところでございます、運輸省といたしましては、この追加申請を受けまして、現在、その内容につきまして技術的な面、建設費等を審査しているところでございます。
  314. 木内良明

    木内分科員 さらに、この第二期工事としての練馬−西新宿間八・六キロについて、七十一年度の開通目標に対して遅滞なくその実現が期されなければならないと私は主張するものでありますけれども、この区間における進捗状況について、簡単で結構ですから答弁願います。
  315. 熊代健

    熊代政府委員 練馬−光が丘間の整備に引き続きまして、第二期以降の工事区間として新宿までの延伸を計画しておると聞いておりますが、運輸省といたしましては、練馬−光が丘間の有効利用をも配慮し、当該区間の整備計画の進捗状況等を勘案いたしまして、東京都からの工事施行認可の申請を待って適切に対処してまいりたいと思っております。
  316. 木内良明

    木内分科員 光が丘−練馬間について既定建設工程に遅滞なく完成を目指していただきたいということ、さらに練馬−新宿間についても一日も早く具体的着手を開始されるよう私は要望するわけでありますが、最後に大臣の御決意をお聞きして質問を終わりたいと思います。
  317. 山下徳夫

    山下国務大臣 冒頭に申し上げましたように、私は、はっきり申し上げて、今一つの全国的な交通の再配分の時期に来ているのじゃないかと思います。それは国鉄の今日の危機を打開するのが第一でございますが、あわせてまた大都市における過密をどうするかというのがさらに大きな問題であろうかと思いますし、最初に申し上げたとおり、この問題はひとつ国鉄あるいは民鉄を問わず、あるいはバスを問わず、複合的に早急にその緩和を図るべき時期に来ている。このことに対して運輸省としては格段の努力を払うことをお約束申し上げる次第であります。
  318. 木内良明

    木内分科員 最後に大臣から大変明確な、中身のある答弁をいただきまして、以上で私の質問を終わります。
  319. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて木内良明君の質疑は終了いたしました。御苦労さんでした。  次に、渡部行雄君。
  320. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず最初に運輸大臣にお伺いいたしますが、昨年のこの同じ分科会で私が質問した際に、細田運輸大臣が御答弁されたわけですが、その御答弁というのは今も生きておりますかどうか、まずその点を一番先に確認しておきたいと思うのですが……。
  321. 山下徳夫

    山下国務大臣 福島空港の問題について前大臣が答弁されたことにつきましては、現地の状況が変わらない限り前大臣のお約束なすったことは生きておると私は理解しております。
  322. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、福島空港問題についてこれから若干お伺い申し上げますが、この福島空港問題については、条件が変わらない限り、こういうことを今大臣から言われましたが、条件は変わっておりませんし、ますます条件が整備されつつあるわけでございます。  そこで、この間の細田運輸大臣の御答弁を引用してみますと、「空港に対する御要望が非常に強いのでございまして、私も運輸大臣になりまして三カ月ばかりになりますが、余りにも強いのでびっくりするほどでございます。現に福島県の空港につきましても御承知のようなことで非常に御熱心に研究が進められており、先般は知事初め皆さん多数お見えになって御要望も承ったようなわけでございます。したがって空港につきましては必要である、私はかように考えております。」つまりここで福島空港の必要性を細田大臣は確認されたわけでございます。  そしてさらに、その間、関西空港との問題を若干述べられて、その後で「とにかく福島空港についてやはり計画に何とか織り込むような方向でいろいろ御相談を願う、現地の調査やなんかもやっていただくということで考えていかなければならぬ。まず入学いたしませんと卒業いたしませんので、何とか入学だけはさせるような方向で、ひとついろいろ担当の方で地方とも相談して検討してもらうようにという気持ちでおります。運輸大臣としてはそういう気持ちでおります。」こういうふうに言われておるわけでございます。ここでこの入学というのは、御承知のように、明らかに第五次空整に入れるという意味であろうと私は思っております。そこで大臣は、前回の細田運輸大臣と同じお気持ちでいらっしゃるかどうか、この辺ひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  323. 西村康雄

    ○西村政府委員 今、細田前大臣のこの分科会での答弁につきましていろいろと御引用いただいたわけですが、前大臣がここで申されましたような意味で、空港の必要性についての基本的な認識を福島県が強くお持ちであるということと、福島にとってあるいは東北地方全体にとって、そういった意味での重要性というものを私どもも認識しておるつもりでございます。そして今お話しのように、空港整備五カ年計画にこれを入れないことには整備ができないこともそのとおりでございます。そこで、前大臣が申されておりますように、ひとつ担当と地方とよく相談して今後の問題を検討していく必要があるということでございまして、まことにそのとおりでございます。  現在、福島県では候補地を須賀川市に決められて、地元の意向を取りまとめて推進されていることも承知しているわけですが、具体的にこれから県としてまずやっていただく問題につきましては、一つは立地しますための気象等の条件もございます。そしてまた、これは後で申し上げますが、建設のためには空港整備のための財源との関連もございまして、非常に効率的な空港にしていただきたい。計画の合理性、非常に全体としての経費を圧縮していかなければならない、そういう意味で効率的な空港にすることも必要でございましょう。また、実際に空港の予定地、その周辺の住民の方々の一致した御賛成がなくては空港が円滑に整備していくわけにいかないということで、その意味での地元の御協力も必要でしょうし、これは恐らくもう県として意見の統一はなさっていると思いますが、今後福島県の中枢の空港となるというこの空港が、県として最もこの場所がいい、県全体の空港の活用という点から最も適当だという点について、なお一層福島県としての合意の形成をやっていただきたいということもございましょう。そういった意味で、福島県ではまず空港の立地そのものをこれからさらに詰めていただきたいと思っております。また、この空港が本当に福島県のために活用されるには、この空港をもとにしての地域開発についてどういう効果があるかということについても、具体的なプロジェクトをお持ちいただくことも肝要ではないかと考えているわけでございます。  これからの空港整備と申しますのは、御承知のように、我が国全体の航空交通の現状が東京、大阪と両地域空港を中心としまして路線ができる。現に、この福島空港もできますと、まず大阪と結ぶことが主たることになろうかと思いますし、さらには北海道、九州と結ぶということでございますが、さしあたり大阪、東京というところの整備がまず肝要でございます。今後の五カ年計画では、この両空港整備及び成田の国際空港整備が非常に重要でございますし、これらの整備なくしては地方空港整備もまた意味をなさないということも十分御承知のことと存じます。そういう点で、非常に大きなプロジェクトの整備を第五次の五カ年計画で予定されておりますので、それとの関連で、地方空港整備は同時に強い要請がございますので、何とかやっていかなければいけませんが、財源的なことから申しますと、非常な制約を受けておるということでございますので、空港ができましたときに、非常に強い需要があるという空港あるいは投資効率の高いプロジェクト、さらには地元の条件が十分に整備されていること、そしてまた地域開発の効果が高いというようなものの順位の高いものから逐次整備していかざるを得ないと私どもは考えているわけで、この空港につきましても、そういう条件に合うような形で地元の方も十分な計画をおつくりいただくということで、この問題を処理していきたいと考えているわけでございます。
  324. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは御承知のとおり、既に県の実務段階での接触が行われておるわけですから、それは監督官庁としても十分指導をお願いすることにして、大体その条件はこの前の委員会で、内閣委員会だと思いましたが、昨年十分それは話してあるはずです。ですから、そういう点でますます周囲の住民も非常に熱心になってきておりますし、その点は御心配ないと私は確信しております。県会でも党派を超えて、これは満場一致で議決しておると思いますし、その点よく御認識を願いたいと思います。  次に、第五次空港整備五カ年計画についてですが、この策定作業は一体どこまで今進んでおるのでしょうか。その進捗状況について明らかにしていただきたいと思います。
  325. 西村康雄

    ○西村政府委員 第五次空港整備五カ年計画昭和六十一年度を初年度とする計画でございます。現在、昭和六十年度までの第四次空港整備五カ年計画を実施しておるわけでございますが、六十一年度からの五カ年計画に向けまして運輸省として準備をいたすとともに、先般、航空審議会に対しまして諮問をさせていただきました。それは「今後の空港及び航空保安施設整備に関する方策について」ということでございまして、これは今後の五カ年計画は長期的な空港保安施設整備考えた上で、これに基づいて検討していくということが適切だと考えておりまして、諮問につきましては、「航空輸送の量的拡大・多様化その他の航空の発展に対する国民の要請に応え、これらに関連する諸問題に適切に対処するため、長期的展望の下に空港及び航空保安施設整備に関する基本的方策検討する必要がある。」こういうことで諮問させていただいたわけでございます。  そしてこれらの諮問に基づきまして、今後審議会では、空港と航空保安施設整備のための部会を設けまして、ひとまず二十一世紀を展望した形で長期の空港整備のあり方というもの、将来の航空交通の需要あるいは将来の経済社会の動向のもとでどういう空港整備が必要かということを検討していくことがさしあたりのことでございますし、さらにこれらの長期の見通しを得ましたならば、短期的に五カ年程度のものでどういう整備が必要かという勉強をしたい、さらにそれらのための具体的な収支がどうなるかというものに逐次勉強を移していくということでございます。この作業は私どもの考え方では六十一年度の夏までに終了するということでございまして、そういう中で具体的な空港のネットワークというものを考えていきたいと思っている次第でございます。
  326. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ここで、第五次空整において、まず成田の二期工事、関西国際空港、羽田の沖合いに展開する、この三つの大きなプロジェクトを進められている中で地方空港整備をどのように位置づけられ、関連づけておられるのか。今お話を聞くと、何か三大プロジェクトのために予算が相当とられていくので、あとの財源確保が非常に問題があるというような趣旨お話を聞いたわけです。しかし、地方空港もこの三つのプロジェクトと切り離して、ある意味では一つのつり合いというものをとりながら進めていかないと、もちろんそれは密接に関連はありますけれども、すべてこちらが今重要だからということで地方空港を捨ててしまうようなことのないように、ある一つの均衡を保ちながら財源確保をすべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。皆、地方空港にしわ寄せされるのでしょうか。
  327. 西村康雄

    ○西村政府委員 今、委員の御懸念の点まことにごもっともでございますが、正直のところ、第四次の空港整備五カ年計画では空港整備の進捗状況は非常に低うございました。その中で周辺環境対策事業というのはかなりの進捗をしたわけですが、空港整備の方は全体の空港整備財源あるいは収入が当初の見込みよりかなり少なかったものですから、結局そういう点で空港整備がおくれております。特に三大プロジェクトの進捗につきましては極めて微々たるもので、この間、地方空港につきましてはかなり高い状況整備は進めてきております。そういう意味では、空港整備はこれまで地方を可能な限りやってきたわけでございます。  ところで、今後地方空港整備いたしましても、先ほど申し上げましたように、もはやその空港が生きるような航空路線を設定することができない、各空港の効率は東京、大阪と連絡しない限りどんどん低下するという厳しい実情でございます。そこで、これから全国の空港のネットワークを整備するには、ともかく東京と大阪の空港整備をまず解決しないと、全体として進まないということもまた事実でございます。加えて申し上げますれば、第四次の空港整備におきまして、地方空港が現在まだ継続しておりますものが非常に多数ございます。これらのものを整備しながら、なおかつ新規をやっていくというのは非常に困難な枠組みでございます。先ほど申しましたように、大きな財源というものが特に必要を迫られてくるわけで、私どもも現在必要とされております空港一つ一つにつきまして極力合理化をし、先に延ばせる計画は先に延ばすということをしながら、全体としての整合性をとりつつ効率的な空港整備というものをやっていかなければならないと厳しく考えているわけで、そういう意味では、これから新しく整備する空港については、全体としては極めて厳しい状況があるということをまず申し上げざるを得ないというのが正直なところでございます。  ただ、そうは申しましても、先ほど先生からお話がありましたように、全体としてのバランスというものはやはり重視しなければいけないということで、その中で極力全体の空港整備、東京、大阪を中心とする空港整備とバランスをとりながら各地方空港もあわせて整備していくという方針は堅持していきたいということで、これから計画の策定を進めていく所存でございます。
  328. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ぜひお願いしたいのは、福島空港というものは、大阪以西、つまり九州、沖縄、あるいは北海道、そういうところに人と物とを移動させていく一つのかなめになるんじゃないか、あるいは中には羽田空港一つの代替空港として利用できるのではないか、こういう話も実は新聞等でもあるわけでございます。そればかりではなく、今福島県は東北の玄関口であると同時に、非常に先端技術の工場誘致がなされており、かつまた須賀川周辺というのは工業都市として今後ますます栄える可能性を持っているところであります。あるいはテクノポリス構想もありますし、そういう点ではぜひとも必要な空港で、しかも岩手県に次ぐ日本第二の広い県の中で空港一つもないというのは福島県ぐらいですから、そういう事情も十分御考慮の上、第五次空整で御決定を願いたい、  そこで、時間もありませんから、今後の五次空整やあるいはその他空港、航空保安施設整備部会とかいろいろ会議を開きながら進めていかれると思いますが、その大ざっぱな一つのスケジュールについてお答え願いたいと思います。大体六十一年の夏ごろまでに決めたいというような先ほどのお答えもあったようですから、閣議決定等は大体いつごろまでに開きたいと思っておられるか、その辺は大臣もひとつ御答弁を願いたいと思います。
  329. 山下徳夫

    山下国務大臣 この問題につきましては、やはり航空審議会の御決定が先でございますので、その審議状況を見ながら政府としては適宜決定してまいりたいと思っております、
  330. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ちょっと、そのスケジュールを少し……。
  331. 西村康雄

    ○西村政府委員 今大臣申し上げましたように、閣議決定は航空審議会の審議の結果を受けましてすることでございますが、航空審議会の方は、この四月に第一回の部会を開きまして、その後、長期の航空交通の将来展望、今後の二十一世紀における経済社会というものがどういうことになるか、その中で航空交通というのはどのように生かされることになるのか、そういう点から具体的な航空需要とかそういった問題を逐次詰めてまいります。  また、将来の航空機材のあり方とか、保安施設の技術革新とかいったようなことをいたしまして、この夏までには、さらに短期レベルのいろいろな整備水準まで入ってまいりまして、長期から短期というのを一応この夏ぐらいまでに取りまとめまして、ことしの六十一年度の概算要求の時点までには大体の事業規模というものを、中間的な心づもりを審議会ではやっていただく。ただ、それらの審議会の審議状況をにらみながら、運輸省としましては六十一年度の概算要求をする、その際に、できれば五カ年計画についてもあわせて考え方を関係省庁にお示しをして、協議を始めることにしたいというふうに考えているわけで、最終的には六十一年度の夏ぐらいまでにぜひやりたいと考えている次第でございます。
  332. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 次は、国鉄関係についてお伺いいたしますが、時間が五分しかありませんので、一まとめにして御質問しますから、よろしくお願いをしたいと思います。  まず第一点は、国鉄会津線が第二次特定地方交通線として廃止が運輸大臣承認という形で決められたわけですが、その後、この廃止に関連してどのように会議やその他の手続が進められているか、それをひとつ明らかにしていただきたい。  第二点は、国鉄会津線を廃止した後はバス運行が適当であるという、そういう分野に入れておられるようですが、野岩線ができてまいりますと、これが会津線につながるわけでございます。そうなった場合に、一体この会津滝ノ原駅で乗客を一々列車からバスにあるいはバスから列車に乗りかえさせるのかどうか。またそういうバス運行をした場合は、そのバスの経営はどこでやるのか。この点が第二点です。  それから、これは忘れないでおいていただきたいのですが、昭和五十九年四月十七日の内閣委員会で、細田国務大臣は「会津線というのは第二次指定の中でも特別な地位にあるところだと思います。」そしてさらに、「ほかの地域にはちょっとない特別な線の形をしておる、私はさように思っております。」この「特別な地位」ということは、私は同じ第二次特定地方交通線の中でもここだけは特別に取り扱いますよ、こういう意味だと思うのです。したがって、その点をどういうふうに解釈しておられるのか。  最後に、三月十四日に東北あるいは上越新幹線上野−大宮間が開通になりますが、問題は、その後で東京−上野間をどうするのかという点なんです。これも昨年私の質問に対してはっきりと答弁しておるわけです。それはどういうことかと申しますと、福岡説明員が「現在、東京−上野間につきましては上野開業後おおむね二年ぐらいおくれて開業させようということで鋭意工事を進めてまいっておりまして、用地買収につきましては約九〇%、それから工事につきましては総延長の五四%程度着手をしておる段階でございます。」こういうふうにはっきりと答えておられるのですが、どうもその後あいまいになって、何か十年もかかるのじゃなかろうかなどということが耳に入ってくるのです。こういう国会において答弁したことを身をもって実行するという誠実さがなければ、私は国会軽視になってしまうと思うのですが、この点についてひとつお答えを願いたいと思います。  以上です。
  333. 岩崎雄一

    岩崎説明員 会津線は、五十九年六月二十二日に第二次特定地交線として承認をいただいております。協議会の会議開始希望日が同年の九月二十日でございまして、それ以降協議会の会議の早期開催ということで地元と折衝を続けております。現在の段階ではまだ会議は始まっておりませんが、近いうちに御理解が得られるのではないかというように考えております。  なお、第二次線は全体で二十七線ございますが、現在の段階で会議が始まっておりますのが八線でございます。  それから、二番目の御質問でございますが、野岩鉄道は間もなく開業の運びになるというように聞いております。仮に第三セクター化された場合のことを考えますと、両線の接続形態というのは、端的に申しますと、動力方式が異なるわけでございますから、原則的には会津滝ノ原で乗りかえるということになりますが、これはディーゼルカーであれば両線を通して運転することも可能なわけでありますので、今後、旅客流動とか車両運用というようなことを勘案しながら、これから詰めていくべき問題ではないかというように考えております。  なお、バスの場合には、これも協議会でどのようなバス事業者にお願いするかということをお決めいただくわけでございますが、今までの例によりますれば、大体既存の並行バスがそれをお引き受けいただいておる、このようになっております。  以上でございます。
  334. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 細田大臣が過去の国会におきまして、今先生が御質問になりましたように、「会津線というのは第二次指定の中でも特別な地位にあるところだと思います。」以下云々ございまして、「ほかの地域にはちょっとない特別な線の形をしておる、私はさように思っております。」このような答弁を申し上げております。この趣旨といたしましては、他の特定地方交通線のごとく、その線だけで物を考えるというようなことではなくて、関東の方から野岩線が新線として入ってくる、そして会津滝ノ原というところでつながる、そういう意味において普通の指定線とは違うのだ、そういうような含みのある線である、こういう趣旨で申し上げたのだというふうに考えております。したがいまして、先ほど国鉄から御答弁申し上げましたように、第二次特定地方交通線として今地元に協議会の開催をお願いしておりますけれども、協議会の協議の中ではそういう点も踏まえながら御協議をいただくのが適当であろうというふうに考えております。
  335. 岡田宏

    岡田説明員 東北新幹線の東京−上野間の工事の問題についてお答えを申し上げます。  昨年の国会におきまして、福岡説明員から先生にお答え申し上げておりますが、その内容につきましては、今先生がお読み上げいただきましたような文章になっておりますが、その後に、「ただし、五十九年度の予算編成に当たりまして、昨年夏の再建監理委員会の緊急提言もございまして、五十九年度の予算は用地買収費あるいは対外協議でぜひ必要なものに限った、極力抑制した予算になっております。したがいまして、東京開業は、五十九年度の予算だけで決まるわけではございませんけれども、当初の予定よりはある程度おくれざるを得ないというように考えております。」という御答弁を申し上げている次第でございます。  それで、現在どうなっているかということでございますが、五十九年度の予算につきましては、福岡説明員が申し上げたような形で、部外の協議あるいは安全対策上実施せざるを得ない工事並びに用地買収ということで極力抑制をした予算になったわけでございます。現在の時点の考え方におきましても、やはりこの全体の工事経費が昨年度よりさらに抑制をされている、一千億余りの削減をせざるを得ないという状況でございますので、六十年度につきましても、引き続きこの間につきましては、部外協議及び安全対策上実施せざるを得ない工事並びに用地買収に限定するということで抑制せざるを得ない実情にあるわけでございます。  そこで、上野−東京間の開業の見通しにつきましては、この三月十四日、おかげさまで上野までの都心乗り入れが実現をいたしますので、その後におきます輸送需要あるいは上野−東京間の在来線の混雑の状況、それから東京まで乗り入れた場合の効果と申しますか、お客様を呼び込むことができる増発効果あるいは上野のターミナル容量、そういったもろもろの問題を検討をしながら進めていくことになるというふうに考えております。
  336. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  337. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  次に、中野寛成君。     〔松浦主査代理退席、北口主査代理着席〕
  338. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、大阪国際空港問題についてお伺いをいたします。  最近、関西新国際空港についてのめどがつきまして、私どももそれを評価し、喜んでいるところでありますが、同時にまた、忘れてはならないことは、現在飛行機が飛んでいる大阪国際空港のことであります。  このたび、周辺整備機構が一本化をされるということでありますが、行革を推進する立場から、私どもはそれはそれで評価をいたしますが、同時にまた、地元においてはそのことが事業やサービスの低下につながらないかという心配も一面あるわけであります。取り越し苦労であれば、それにこしたことはありません。ゆえに、新たな方策、これは法律案として出されるわけでありますが、その概要、そして今後そういうサービスや事業の低下につながらないかどうかということについて、簡単にまずお尋ねをいたします。
  339. 西村康雄

    ○西村政府委員 今度の通常国会に、大阪空港周辺整備機構と福岡の空港周辺整備機構の統合につきまして、法律案を提出さしていただきたいと思いまして、現在鋭意準備しております。  この法律案を提案するにつきましては、私ども一番配慮しなければいけないのは、この統合が、今後の空港周辺整備対策推進に役に立つということでなければいけないということでございまして、この空港周辺整備機構の統合に当たりましては、運輸省内に関係の地方公共団体、学識経験者等お集まりいただきまして、懇談会を持ちまして、いろいろと皆様の御意見を承らさしていただいたわけでございます。  この懇談会では、今後の周辺整備のあり方を考え、統合もやむを得ぬ、しかしその場合に、周辺対策の後退をもたらさないような配慮というものを十分するということを特に言われているわけでございまして、私どももこの周辺整備機構の統合後の事業推進につきましては、できるだけ効率的な、そして従来以上に有効な対策推進するような方向で事業実施をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  340. 中野寛成

    中野(寛)分科員 それで、その周辺整備機構が中心になって取り組みます新しい仕事。大阪国際空港周辺であれば緑地整備の問題があります。  昭和五十四年にその計画が一たんつくられて、周辺住民から反対をされて一たん引っ込めざるを得なかった。その後、いろいろと検討がなされて、このほど運輸省、大阪府、豊中市が相協力しながらこの緑地整備をやっていくということについての話し合いがついたようであります。しかし、住民に対する説明、説得、了解工作はこれからということのようでございますが、これにつきましても当該住民は大変心配をしているところであります。これが進められることによって、メリットのある住民もありますが、その協力を求められることによって、大変生活の基盤が不安定になるところもあるわけであります。どちらも成り立たなければいけないわけで、この緑地整備の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、何といっても代替地の問題が残ります。  三種区域から二種区域への移転を可能にするために、運輸省としても大蔵省との話し合いを進めておられるようでありますが、これらの見通し、そしてなかなか実勢にそぐわない土地の評価額、そしてまた税制の問題等々、これを実現にこぎつけるまでには随分多くの課題が残されておると思うのであります。その将来の展望、現在運輸省が最も力を入れて努力されていること、これらのことについて、今私が指摘を申し上げたことを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  341. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話がございましたように、これからの空港の周辺対策の中心の課題は、周辺の緑地化の推進でございまして、その点につきましては、今お話しのように、大阪府、豊中市と具体的な構想を協議しているわけでございまして、今後はこの協議に基づきまして、周辺の一番騒音の激しいところを緑地としたいということでやってまいるつもりでございます。  その場合には、もちろん御指摘のように、特に地元の関係者の十分な理解と協力ということが何よりも重要なことであることは申すまでもないことでございます。そして、具体的な問題点への取り組みでございますが、今お話がありました、挙げられました点は、大変難しい問題点を含んでおります。  例えば、農地につきましては、代替地をあっせんするというようなプログラムが具体的に必要でございます。そういう意味では、この機構が十分に、これから造成工事をいたしまして、緑地になりますところの農地の方々に新しい代替地を譲渡するということをいたしたいと思いますし、また、大阪府、豊中市にも御協力を願いまして、公有地を代替地として使えるような御工夫をいただきたいというふうに考えている次第でございます。  実際にまた、この売買のと申しますか、補償の価格というものにつきましても、できるだけ十分な要望にこたえられるような適正な価格を考えていきたいと思いますし、税の問題につきましては、なかなかこれも難しい点がございますが、できるだけ税の減免につきましてもこれから工夫してまいりたい。不動産取得税等につきましても、これは現在大阪府の税がございますが、その減額を適用するというようなことも一つの方法かと思いますが、いろいろと税の問題、優遇措置につきましても、これから検討すべき課題と考えております。
  342. 中野寛成

    中野(寛)分科員 代替地の問題について、例えば大阪府や豊中市の公有地について協力を求めるということですが、大蔵省との話はどうなっていますか。現在既に買収が終わっている西区域等の土地等について、これは歯抜けになっているわけですね。そういうところの有効活用が行われませんとどうしようもない。それは実際は、本当は大阪府や豊中市というよりも大蔵省との問題、国の中の問題なんじゃありませんか。
  343. 西村康雄

    ○西村政府委員 今、移転跡地につきまして、これが緑地外の移転跡地につきましては、これを現在国が取得いたしまして持っている分につきましては、これからの払い下げの問題については積極的に具体的な計画を得次第協議してまいりたいというふうに考えております。
  344. 中野寛成

    中野(寛)分科員 この問題は、いつもいわゆる国の一般財産か行政財産か、いろいろなことで運輸省としても地元の住民や地元の自治体、議会等に説明するときに一つの言いわけみたいに使われてきたように私は思うわけであります。しかし、これはこの問題を解決しないと、国は何もしないじゃないか、結局大蔵省で買い上げたものは財産として持っていて、その運用の方法さえもまだ決まっていない。結局、将来何かに使うんだ、とりあえず買収しておくということで今日まで進めてきたわけです。それはそれでやむを得なかったと思いますけれども、しかし、これは運輸省としては明確な基本方針が打ち立てられなければ、いつまでたってもあれが歯抜けのままで、そして結局、そのことがいろいろな、例えばその地域の環境悪化または犯罪の温床にもなったりするとかというふうなことで、もう既に何年も問題になっているわけであります。  ですから、これからの話し合いというよりも、既に運輸省は当然大蔵省との話し合いがされていなければならないはずですし、同時にまた、それについては当然一つの見通しが立っていなければならないはずだと思いますけれども、これが言うならばネックの問題です。代替地が欲しいという人たちは、目の前にあるその土地が活用できれば一番いいわけであります。移るとしても、できるだけ近いところに移りたい、このことが一番肝心な問題なんですが、運輸省としての明確な方針をお聞きしたいと思います。
  345. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのような問題点で、行政財産のままでこれを今保有しているという部分につきましては、区域変更等によりまして、これを普通財産にした上で譲り渡すということは一般的な方向として必要なことでございますし、その方針でこれから具体的な区域の見直しということをやっていくつもりでございます。ただ、具体的にどの部分をどういうふうにやるかということにつきましては、今どの部分について緑地化をするとか、そういう計画の煮詰めとともにこれらのものを具体的に決めていくという手続が必要かと思います。
  346. 中野寛成

    中野(寛)分科員 これ以上お尋ねしませんが、この作業が進んでいきますと、必ず住民との関係で一番大きな問題といいますか、課題になってくると思います。ですから、運輸省としてはこのことについては、そのときになってというのではなくて、基本的に既にもう言うならば図までできているわけですから、およその見当はつくわけですから、基本的な話し合いだけでも先に大蔵省と詰めておく必要があるというふうに思いますから、これは要望をしておきたいと思います。地元の自治体もこのことに最大の関心を持っているということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、環境基準の達成ですが、これは昭和五十八年度までに室内で六十、これはもう何の数値がはわざわざ断る必要はない、WECPNL、室外七十五という基準にたしかなっていたかと思います。既にこれは過ぎているわけです。これは室内においてはこういう一連の作業が進みますと達成可能だと思います。しかし、室外における七十五は果たして達成可能かどうか、私は不可能だと思います。これらのことについて運輸省はどうお考えでしょうか。
  347. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのような室外の問題については、確かに問題があることは十分承知をしております。ただ、今日まで騒音の発生源対策というのがかなり進捗してまいりまして、全体としての騒音レベルの低下というのは、それに依存してきていることも事実でございます。また、今後の機材の変更というのはかなりのスピードで進捗していくということを私ども期待している次第でございまして、そういったこととの関連で具体的な問題点、今後の必要な対策というのを考えていきたいということで、今すぐどうするかということにお答えできないのが非常に残念でございますが、そういう考え方で取り組んでいるつもりでございます。
  348. 中野寛成

    中野(寛)分科員 室内では確かに民家防音工事等が積極的に進められて、およそそれができ上がろうという段階にまで来ているわけであります。しかしながら、室外の問題は決しておろそかにされていいという問題ではありません。そこで実際に生活をしている人がいるわけであります。環境庁も含めましてこういう基準がつくられているわけでありまして、運輸省もまたその達成に向かって努力することの約束は、幾たびとなく、国会のみならず地域住民とも取り交わしているわけであります。ゆえに、これは既にその達成の目標とされた年度は過ぎているわけでありまして、これは一日も早く達成されなければならない問題であります。しかるに、まだその具体的な方策が立てられていないというのが今の御答弁でもよくわかったわけであります。  実際私は、よほど航空機の音源対策等々革命的なことが起こらなければ、室外における七十五という数値は達成されないと思います。現段階では不可能だとさえ思います。ならば、それはそれなりの対策というものが運輸省として当然講ぜられなければなりません。あわせてその一環として、これはWECPNLトータルとしてその数値が立てられているわけですね。  そこで、既に御存じのように、一つの大きな問題として指摘されているのは逆発進対策の問題です。例年ですとその逆発進の率は大体三%くらいですけれども、去年は、聞きますと五・四%くらい、いつもより去年は多かったわけですね。風の向きがそれだけ違ったわけです。おまけに、あの地域の気象条件からいって、夏の暑い時期、民家防音工事をやっていますけれども、窓をあけ放っているときに逆発進なんですよ。そうすると、これは室内における環境基準でも、そういうことを勘案して考えてくると、本当に達成されているかどうかというのは危ないものだということになってくるわけです。  この逆発進対策、時間がありませんから私が知っていることを全部言いますが、実態調査をこの六十年度にするという約束が地元自治体とされているように聞いております。私は、正直言ってびっくりいたしました。この逆発進対策の問題は、ここ数年来、私自身も立ち会った地元からの運輸省への陳情等には必ず含まれていたはずです。それがいまだに、これから実態調査をいたしますというのです。果たしてこんなことで地元の納得のできる対策というものができるのかしら、こういうふうに思いますし、改めて運輸省の誠意をさえ疑いたくなる問題であります。  まして、これを調査をいたしましても、逆発進対策、具体的に何か打つ手があるのでしょうか。今日まで逆発進のことを考えないで、通常の発進のことだけ考え対策を講じてきました、緑地整備も含めまして。しかし、実態調査をこれからやってその実態がわかったからといって、現実に我々は経験的に、どの程度逆発進が行われ、そのときにはどのくらいの被害があるかというのは、私はそこに住んでいる人間としてよくわかっている、だからその場合に、改めてこれから対策を講ずると言ったって、果たして早急に打つ手はあるのかということがまず心配、というよりも気がかりです。このことを含めましてお尋ねをしたいと思います。
  349. 西村康雄

    ○西村政府委員 今厳しく御指摘いただきましたように、逆発進対策というのは、今までの区域全体をどうするかという対策から一歩踏み込んだ特別な問題でございますし、その点についての対応が、正直申しまして後手に回ってきているというのも事実でございます。  今私ども、この問題についてまず実態を正確に把握したい。これは今お話しのように、年によって逆発進率というのがかなりフラクチュエートするのも事実だと思いますが、ともかくどんなふうな状況で逆発進の場合に騒音の問題が出るか、これは私どもまず正確にしなければならない、非常に遅きに失したという御批判はもっともでございますが、これはともかくまずやらなければいかぬ。そういう調査の結果、具体的にどういう打つ手があるんだということにつきましては、大変またこれは難しい問題を抱えております。特にこのような地域の広がりとのかかわりもございますが、実際に通常の一種区域のような形で騒音対策をやるということは、これは現実に非常な負担を伴う問題でございます。  そういうことで、できるだけ合理的な方法でこの対策を進める方法があるかどうか、私ども地元の方ともよく相談をしながら、これから有効な手段をぜひ発見したいというふうに考えているわけでございます。今この場で具体的にこうしたいということを申し上げられないのはまことに残念でございますが、今はそういう意味で検討している段階だというふうにお答えさせていただきたいと思います。
  350. 中野寛成

    中野(寛)分科員 いっときも早く調査が進み、結論が出、対策が講ぜられることを強く要望をしておきたいと思います。  時間がありませんから急ぎますが、最後に現空港の存廃問題であります、  私ども自身は、民社党の立場では、大阪府連の大会で昨年、これを条件つきで存置することに賛成の意向を決定をいたしました。それは地域住民の経済的またその他のいろいろな諸条件から考えて、いろいろ難しい問題はあるけれども、存置することの方がメリットが多いであろうという判断のもとにそういう決定をいたしました。しかしながら、先ほど来申し上げておりますような運輸省の積極的な施策が講ぜられなければ、この存置するという方針も、また住民の皆さんの大きな批判の的になりかねません。そういう意味で、我々としても積極的な施策を望みたいと思います。  同時に、この存廃問題についての結論は、関西新空港の着手と絡めて時期が決められているわけでありますけれども、しかし、少なくともどういう条件、例えばこれからの航空需要の問題、関西新空港の作業のこれからの見通し等もあるでしょうけれども、あわせて現空港を取り巻く諸条件等についていろいろな条件が考えられると思うのであります。運輸省は白紙というふうにお答えになるかもしれませんけれども、これはこういう条件が満たされれば残したいとか、こういう条件が満たされなければ残せない、また、運輸省としてはできれば残したくないけれども、こういうことだったら残さざるを得ないという立場でいくのか、果たしてどっちなのか。運輸省は、残したいけれどもこういう条件についてこれから条件整備をしなければいけないのだということであるならば、それはそれとしてのまた対応の仕方があるだろうと思います。  現在の空港については、緑地の問題やモノレールのことや、多くの投資がなされていることも事実であります。ゆえに、およそ常識的に考えて、これは残すことが前提で打たれている手であろうというふうに見られます。しかし、運輸省は、現在はとりあえず供用されているわけですから、残す残さないにかかわらず今の整備をしなければいけないのだ、これが建前の論議としてお答えがあります。それはそれとして理解します、しかし、私としては、この空港の存廃の問題は、将来の地域住民の皆さんの生活の設計にさえもやはり関連をするわけであります。企業の今後の方針にも関連をするわけであります、そういう意味で、どういうスタンスで運輸省は臨まれるのか、そしてそれは残すという気持ちが内々にあって、しかし、こういう条件が整わないので今のところはまだ難しいという判断なのか、その辺の基本的な姿勢について私はお聞きをしたいと思います、
  351. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話がございましたように、関西国際空港が供用されるまでの間に、運輸省として運輸省責任において、各地元の意見も聞いた上で合理的な結論を出したいということが公式の立場でございます。  実際に今そのための必要な調査をいたしておりますが、今お話しのように、この問題は存廃いずれにいたしましても関西一円に対しまして非常に大きなインパクトを与える問題だと思います。そしてまた、現在いろいろな大阪空港に対しましての施策というものは、公式的なだけでなく、現実にも、現に大阪空港を供用しているために私どもやっている施策でございます。そのことをもって直ちに将来ともに大阪国際空港を維持するための施策だというふうにあるいは御理解なさる方もいるかもしれませんが、決してそういう意味合いではなく、まさにそれは中立的に、現に空港を供用しているから必要なことをやるということでございます。  ただ、今お話しのように、これまで非常な多額の金が大阪空港の環境整備のために用いられてきたということも事実でございます。したがいまして、国がこの空港を廃止するということを決心する場合には非常な配慮が必要でございます。これだけのものを国が捨てるということをし、その場合にはこれからその跡をどう活用するかという問題も非常に大きな課題になるはずでございます。そういう点では、確かに大阪国際空港を今後どうするかということは非常に大きな問題でございますが、一方、関西国際空港ができました後、実際に大阪国際空港を客観的にどのように将来にわたって必要とするかということもまた十分に考えていく必要もあると思います、存続させるためには。  そして何よりも重要なのは、御承知のように、大阪国際空港を維持するためには現にこれだけ毎年多額の費用を投じてまいりました。現在、四次の空港整備五カ年計画のうちほとんど半分は環境対策でございます。その大半は大阪空港のためでございます。それだけの金を大阪空港のために用いてきておりますが、今後もしこれを現在の規模で維持するなら、やはりそれだけの負担をしていかなければならない、この負担をし続けなければならないという重い負担がのしかかってくるわけでございます。したがいまして、この空港を維持することもまた非常な決心の要ることでございます。  したがいまして、そのような費用負担を今後どういう形でやっていったらいいのか、どこに財源を求めたらいいのか、だれが負担したらいいのかという問題も本当に慎重に考えなければならない。この空港を維持するためには全国の空港整備を見合わさなければならないということもございます。そういう重要な問題でございますので、全国的な視点からもまたバランスを問わなければいかぬことになろうかと思うわけで、そういう問題について私ども運輸省が初めからどちらかの方向に考えがあってそのための手を打っていると御理解いただくのは決して正確なことではないので、私ども、どちらの問題にしましても非常に心の痛む問題だということで、現在慎重に両方の問題点を考えているわけでございます。  これまでやってきました空港を万が一廃止するということは非常な損失でございます。しかしまた、存続させるのは大変な負担でございます。この方策を客観的に見つけない限り、我々は容易に結論は得られないと考えているわけでございます。
  352. 中野寛成

    中野(寛)分科員 十分慎重に御検討いただきたいと思います。問題の認識の方向づけについては了解いたしました。  さて、これから関西新空港をつくるという方針が決まったって、また作業に入ったって、一朝一夕にできるものではない。これは最低十年かかるわけですね。大変な問題ですし、その間は飛行機は飛び続けますし、住民も生活しているわけであります。重大な関心を持ってこれからも対策を講じていただきたいと思いますが、地域的かつ技術的な問題でございましたし、そういう意味で大臣には具体的にはお尋ねをいたしませんでしたけれども、大臣としても、国際空港の問題ですから、大いに関心を持って今後とも対策を講じていただきたいと思います。大臣の御決意がございましたらお聞きしたいと思います。
  353. 山下徳夫

    山下国務大臣 およそ空港一つ廃止することに対しては、相当の決意がなければなりません。相当の理由がなければなりません。しかも、現時点における日本の三大空港一つとして大変な整備がされております。したがいまして、これを廃止するかどうかということは、相当の調査を今からやらなければなりません。それらを待って関西新空港の開始以前にこれを決定するというスケジュールになっておるわけでございまして、局長からいろいろ御説明申し上げましたが、関西新空港が完全にでき上がりましたときには滑走路が三つございます。一つの時点でも今の空港よりも離着陸の回数にかなり余裕ができてくるわけでございますから、最終の時点において、一体それでも大阪空港を必要とするかということがまず第一でございます。  それから、今局長が申し上げましたように、数千億円の金を今までこの公害の補償にかけてきている。これが存する限り今後ずっと続けていかなければならない。その財源をどうするかという問題、そういった非常に大きな問題がございますので、それらの問題を十分に検討した上で、関西新空港の使用開始以前に決着をつけるということで御了解をいただきたいと思います。
  354. 中野寛成

    中野(寛)分科員 終わります。
  355. 北口博

    北口主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、田中恒利君。
  356. 田中恒利

    田中(恒)分科員 国鉄の問題につきまして質問させていただきます。  私は国鉄はそんなに経験があるわけでもございませんが、御承知のようにこれは大変な大問題になっているので、運輸大臣初め国鉄当局の総裁以下幹部の皆さんも大変御心配のことだと思うし、私どもも政治の中で改めてこの問題の対応が問われていると思っているわけでありますが、私など地域に住んでおって、どうなるんだという住民というか人々の不安が非常に蓄積しておりますだけに、改めてこの機会に、率直に地域の人々の声を代弁して大臣なり当局の御見解を承りたいと思います。  私は四国の出身でありますから、四国がどうも——先般一月十日でしたか、国鉄当局経営改善のための基本方針というものを出しました。国鉄監理委員会の貴重な検討材料という意味もあるようでありますが、いずれにせよ、国鉄責任を持って運行しておる当局が案を出した。この案がマスコミで報道せられました。ここにも新聞を持ってきておりますけれども、マスコミでありますから要点だけてありますが、「現行体制で民営化 四国、北海道は分離考慮」、これは見出しのトップであります。ですから、正直言って、私ども四国に住んでおる人々は、国鉄がなくなるという危機感を持っておるわけであります。  読んでみると、国鉄官僚的な視点でのどうにもとれるような内容になっておるようでありますけれども、いずれにせよ四国、北海道——九州も似たようなものだと思いますが、確かに経営的には厳しい。だからどうにもならぬ。今のままでは民営だってやっていけない。こういうものを背後に含みながら、過般の国鉄当局が出した再建案の中に、四国と北海道を名指して分離考慮のような意味にとれる文書が出てきている。この際、改めて公式の場で、国会の場で、国鉄当局から四国の人々に対して国鉄考えておるものはこういう考えてあるという点を明らかにしていただきたい。私はこのことをまず最初に御質問しておきたい。
  357. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今田中先生から御指摘がございましたが、私どもが一月十日に「経営改革のための基本方策」を出した場合に、原則といたしまして民営化するが、いろいろな観点考えて全国一体の特殊会社を選択することにしておりますが、「なお、北海道及び四国については、輸送や運営面の独立性が比較的強いという事情もあるが、将来の見通しからみて民営による安定的運営は至難である。しかし国の政策判断により特別に運営基盤が確立されるならば別経営とすることも考えられる。」というふうに書いてあります。  この意味でございますが、北海道にいたしましても四国にいたしましても、今我々が見ておりますと、非常に道路の発達、航空機の発達等があると思いますが、鉄道輸送量が非常に落ちているという実態があることは先生も御承知のとおりだと思います。しかも、北海道は対本土との交通量が片道大体三千人、宇高連絡は大体六千人くらいでございます。そういった意味におきまして、島内完結型というような輸送が非常に強いことも事実でございます。そういうことも考えて独立するという要件はあると思うのでございますが、さっき申し上げましたように、今後の輸送量の見通しも非常に悪いという実態を考えますと、これはなかなか経営が容易でないと考えておるわけでございます。  民営化をして全国一本の特殊会社にするという場合には、四国も北海道も一緒にしまして内部補助をするような格好を考えておるわけでございますが、そういうことをやることがいかがなものかというような監理委員会の御指摘もございます。そういう場合もございますし、また分割ということも監理委員会では強く主張されております。こういう情勢の中で分割といいますか別経営とするところとしては、北海道とか四国が非常にいいとは思いますが、さっき申したように、輸送の実態から見るとこれが民営の会社としてやっていくことは非常に難しいという見通しでございます。  そうしたことを含めまして、「国の政策判断により特別に運営基盤が確立されるならば」ということは、どういう補助をちょうだいするのかというようなことについては今後の煮詰めだと思いますが、国として北海道なり四国なりの鉄道を維持していくということになると何か補助——その補助の形をどうするかについてはこれからの詰めだと思いますが、そういうことを国の政策としてお考えになるならば、これは別経営としてもいいということでございまして、私どもの考えとしては、北海道や四国を切り捨てるという考えを頭から持っているわけではございません。むしろ、そういうふうにして補助という格好をきちっとするならば、その方が北海道や四国の鉄道にとって、そしてそれは地元の方々のためにもよいであろうという意味で、切り捨てとは反対の意味で、むしろそういう補助をちょうだいするということによって経営基盤を確立したいということの願いを込めた判断をしたということでございます。
  358. 田中恒利

    田中(恒)分科員 総裁、国鉄は今、四国と北海道だけ補助して、あと生き延びられるような状況じゃないと思うんだ。何かそこを強調されると、四国と北海道は六十五年度までの間特殊会社の中でやっておるが、やがてこれは外すのだというふうに理解される要素が強く出てくるように思うのですね。今の国鉄は、四国と北海道だけじゃなくて、どこもそういうことを考えなければいけないのじゃないでしょうか。あなたのところで出されたものの中には、長い間の経験の上に立って、しかも現状大変だ。それはいろいろありますよ。私どもも涙なくして聞けぬような国鉄職員の話も聞く。子供から、お父さんは悪いことをしておるのか、こんなことを家庭で言われるような、そういう中で生き延びたいという気持ちもわかりますよ。わかりますが、そういうものとはまた別に、国鉄をどうしていくかという問題が出た場合に、四国、北海道という形で出されたものを見ると何だか納得がいかぬし、理屈に合わぬという気がしてならないんだ。だから、四国だけではありませんよ。この問題だけではない。  余り評判がよくないということではないかと私は思うのだが、大臣はどういう思いですか。大臣は九州だから似たようなところだと思うのだが、九州は幸か不幸か国鉄は書いてないが、大臣は四国、北海道を分離をしていくということについてどんなお考えに立っていらっしゃいますか。
  359. 山下徳夫

    山下国務大臣 一月十日に国鉄から答申が出ました内容につきましては、予算委員会等でもしばしば私はお答えいたしておりますように、基本的に、答申をお出しいただいたこと、これは大変結構なことですし、また経営形態につきましても特殊会社制度ということを明記しておられますから、これも評価すべきだということもお答えいたしてまいりました。ただ分割につきましては、総括的にまだ私どもの満足すべきものではない、不満であるということも私は申し上げてまいりました。現在申し上げることができるのはその程度でございまして、さらにこの問題につきましては、国鉄再建監理委員会国鉄の一月十日に出されました答申をどう評価なさいまして、これをどのように参考——参考と言っては語弊がありますけれども、この問題を監理委員会としてどのように取り入れていただくのか、あるいは取り入れられないのか、これはことしの中ごろまでに出される国鉄監理委員会の決定を見なければ、私どもから現段階においては申し上げることができないと思います。
  360. 田中恒利

    田中(恒)分科員 総裁、言えるかどうかは知らぬが、国鉄の意図というかねらいは、四国、北海道を分離するということではございません、ここは特に条件が悪いから、こういうところについては国が特に力を入れてもらわなければ民営化をするにしても成り立ちません、そういう意味でございまして、基本線は国鉄は今のところ全国一本のネットワーク、つまり、北海道、四国も含めて特殊会社の方向で最大限の努力をしていく、こういう意味であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  361. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先生の御理解で、私どもの考え方と一致しておると思っております。
  362. 田中恒利

    田中(恒)分科員 それでは、わずかな時間でございますから少し細かいことになるかもしれませんが、分科会ですから、そういう趣旨に沿って二、三要請や問題を提起させていただきます。  四国の鉄道は御承知のとおりでありまして、明治二十二年に琴平−坂出ができて、それから明治三十年ですか高松へ延びて、高松を中心にして、松山へ向かって予讃線、徳島へ向かって高徳線、それから高知へ向かって土讃線という形で広がっていくわけですね。大体松山が昭和の初め、それから予讃線の終点は、私などの出身地でありますが宇和島、太平洋戦争の時期、昭和十五、六年ごろに開通した。今も昔を思っておりますが、そういう広がり方をしておりますが、実際問題は、北海道もそうのようでありますが、四国はまだ完全な鉄道の循環はできていないわけであります。そういうことでありまして、国鉄の配線というか鉄道の線路の状態というものも一番おくれておるのではないかと私は思います。複線などはもうわずかなもので、全国平均幾らか知りませんが、四国は二%とか、こういうふうに聞いておりますし、電化もない、こういう形であります。  そういう状況の四国の国鉄の現状、そうして特に今あなたのところでも、あるいは臨調でも出てくるのでしょうが、問題にしようとしておる地交線というものが、まだ循環の路線のできていない海部から高知へ行く線、それから中村から宿毛を回って宇和島へ出る線、あるいは宇和島から高知へ行く予土線、あるいは中村線、こういうまだ未整備のところを今度は切っていく、こういうことになったわけですね。  そこで、私は実は昨年まで四国の開発の特別委員会のメンバーの一人でありましたが、三全総をつくるとき、それから今第四次の国土総合開発計画策定中でありますが、この三全総、四全総を通して四国開発の特別重点地域というのは四国西南地域、こういうふうに言っておるわけであります。これは政府の統一意思であります。四国の財界、それから自治体、我々各政党も一致をしております。四国西南地域開発というのは、愛媛県の南予と高知県の南西部であります。この地域を走っておる鉄道、予土線あるいは中村線、宿毛線が、予土線は今のところ存続ということになっておりますが、これも危ないと言われておる。中村線は別会社、宿毛の方はできていないわけですが、第三セクターというようなことになっておるのです。  国が四国の最もおくれておる地域に対して総合的に活力を与えていくために最重点的に施策を組む、こういうふうにもう五、六年前から三全総の計画の中にどんどん出して、各省がその話をしておるときに、その動脈になる鉄道がどんどん取っ払われたり格好を変えてしまう、こういうことでは一体何のことか、私はわからないと思うのです。私は、四国の開発審議会でもこのことを何度か言ってきたわけでありますが、一体こういう地域鉄道路線のこれからのあり方というものはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。これは運輸省でも国鉄でも結構ですが、お教えをいただきたいと思います。
  363. 山本長

    ○山本(長)政府委員 三全総におきまして、先生指摘のように、四国西南地域について交通施設等の立ちおくれがあり、整備を促進していかなければならないというふうに計画づけられていることはそのとおりでございます。国土の均衡ある発展の観点からの発想でございます。  運輸省といたしましても、地域の交通体系の整備ということにいろいろ力を注いできておるわけでございますが、ここ十年、大変な交通構造の変化というものがあるわけでございます。私たち運輸行政の交通体系の整備の基本的な考え方ということになっておりますのも、やはりこういった構造の変化というものを受けて、以前にも増して多様な交通機関が発達した現在、交通機関の特性を発揮して、かつまたその交通機関相互間の連携をとりながら、地域実情に応じた交通体系を整備していくという考え方でございます。  したがいまして、地域の交通体系というものを考えますときに、やはりその時代時代によりまして構造の変化というものを背景とし、国鉄あるいは鉄道の特性に着目して、特性を生かせるところについては伸ばしていく、特性が発揮できず非効率な交通体系になっていくところについては、地域の交通を別途の方法で考えるというふうな考え方でもって、地域の交通体系を整備していかなければならないという考え方でございます。先生指摘地方交通線問題につきましても、そういった考え方の一つとして政策的に取り上げられているものと考えておるのでございます。
  364. 田中恒利

    田中(恒)分科員 局長さん、あなた、それは実態がわからないよ。それは日本じゅうの車なり高速道路なり、そういうものが整備をされて進んでいれば別ですけれども、我々のところは、道路も一番おくれておりますし、車だってなかなか走れぬようなところなんですよ。だから、まだ鉄道が相当大きな役割を持っておるのです。四国全体はほかのところに比べて、実は高速道路なんかこの間十四キロ、初めて今度開通式をやるんです。あの広いところで十四キロですよ。だから、まだ自動車が完全に機能するだけの条件に地域的になってないです。そういうところが日本にはたくさんあるわけです。  地交線というのはそこのところの問題があるから、これほどやかましく皆さんから廃止なり統合なり第三セクターに対して意見が出ていると思うんです。だから、今の国鉄の中で機能を果たせばまだ余地があるのではないかという努力を、むしろこういう交通条件の整備がされていないところほどやってもらわなければいかぬ、私どもはこういう考えなので、何か一般的に平均化して、もう状況が変わってきて、ほかのいろいろな輸送手段なり態勢のもとで地域の特性に合うたというような理屈だけでは済まない現実があるということは御承知いただきたいと思うのです。  そこで、そういう意味もありまして、例えば予土線というものをともかく存続させなければいかぬということで、一時これは廃止するというのを、町村も住民も一緒になって存続運動をやった。そこで最近は、これは我々のところだけではありませんが、鉄道を守るためには鉄道を利用しなければいかぬ、こういう声もだんだん強くなってきた。学校の通学も役場の通勤も、車をやめて鉄道に乗ろう、こういうスローガンを掲げて、一遍にぱっとは出ておらぬけれども、努力をし始めていく、そういう姿が関係地区の町村の中からは出てきております。御承知だと思うが、そういう状況になっております。  しかし同時に、利用されるような状況路線というものはやはり整備してもらわなければいけない。もうこれは今始まったことではないが、例えば予土線などについては、ダイヤの改正ことに宇和島から高知へ行くこのつながりが一日一便しかない。しかも行くのに、今の時点のダイヤでたしか一番速いのは三時間四十分、ちょっと普通のは四時間三十分から五時間三十分、倍までとは言わぬけれども、倍に近いぐらい時間がかかる。待ち時間が一時間ほどある。こういうダイヤの編成をしてくれ、こういうことを言うけれども、四国総局ではだめで、やはり中央の何とかと言ってなかなかできない。こんな問題、あるいは予土線の窪川の手前までは古いままの線路になっておるから時速三十五キロか七キロ、鉄道と一緒に走っておると軽自動車の方が速い。乗用車がどんどん汽車を追い抜く。こういう問題が解決できぬのかということも言っておる。こういう点をぜひこの際考えてもらいたい。そして、関係者も利用しようと言っておるわけだから、やはり利用されるような条件をつくっていただくということをこの機会にお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  365. 須田寛

    須田説明員 今先生の御指摘がございましたが、予土線と土讃線、つまり高知方面においでになる方の接続につきまして、随分いろいろ地元から御要望をちょうだいいたしておりましたので、この三月十四日の改正で、窪川での連絡の待ち時間につきましては相当改善をいたしたつもりでございます。実は今十二本ばかり接続列車がございますが、このうちの四本は待ち時間をかなり大幅に改善をいたしました。今後も、営業しております以上は、一人でも多くのお客様に御利用いただきやすくするための改善には努力をいたしたいと思っておりますが、ただ、今御指摘のように宇和島線でございました部分は非常に勾配の多い昔からの線区でございますので、なかなかスピードアップは思うに任せない状況がございます。したがいまして、今のような接続改善でございますとか、あるいは極力便利な時間にダイヤを入れるとか、そういうふうなきめ細かい努力をいたしまして、極力御利用いただきやすいような鉄道にする努力を現地局と一緒になってやってまいりたいと思っております。
  366. 田中恒利

    田中(恒)分科員 時間がありませんから一括して、まだ一つ二つお願い事もありますが、いま一つは、四国の鉄道を見た場合に、細かい数字を言う暇はありませんが、もう御承知のとおりですが、長距離ですと、私らのところは、やはり大阪、名古屋、東京方面へ行くお客さんが飛行機にとられております。特に私の愛媛県なんかは多いです。香川になると大分違いますけどね。これは高知でもそうです。私なども東京へ来るのに、実は松山まで鉄道なりバスなり、車で来なければいけない。それから飛行機に乗る。飛行機は一時間二十分で来る。そこへ行くまでに三時間ぐらいかかるのです。そういう形で、まあ飛行機に乗っておる者でも乗り継ぎでありますが、運賃を見たって、実はグリーン車に乗れば国鉄のグリーン車の方が高いですから、運賃は高いわ、時間は三倍ほどかかるわということですから、どうしてもこれは乗ろうとしても乗れないのですよ。  だから思い切って、やはり国鉄に乗れるように、そんなに急ぐ人ばかりじゃないんで、我々のところはのんびりしている人が多いわけですから、汽車に乗って景色を眺めたいというのもたくさんおるわけです。この間聞きましたら、九州は鹿児島と熊本と大分ですか、何かSきっぷというのですかをやって、そして料金も飛行機に比べると相当安い。制度として開始したら非常に利用者が多いということのようですが、実は私も四国の特に、松山付近はそうじゃないかもしれませんけれども、山間僻地から東京や大阪へ行くのは、むしろそういうものができれば食いつくのじゃないかと思っておるのですよ。これは九州でやっておられるということなので思いついたわけでありますが、我々の地区でもぜひ御検討いただきたいということが一つ。  それからもう一つは、やはり私の地域でありますが、内山線というのが長い間かかって、やっとことし、来年ころからでしょうか、いつ開通するのか。これが開通すると、予讃線が今まで海岸を回っておったものが、内陸部を走るということになるわけでありますが、そうすると、海岸がもうなくなるだろうということで、関係町村がこれまた困るということで、わんわん、あなたのところにも強い要請、陳情活動が行われておることは御承知のとおりですが、これはぜひ海岸線、まだ道路も整備されておりませんから、通学、通勤から需要はまだ余地があるはずでありますから、ぜひ存続をさせていただきたいと思うが、この内山線の開通に伴っての予讃線の運行がどういうふうになっていくのか、海岸線がどうなるのか、この点、二つだけ御質問をして御答弁いただきたい。
  367. 須田寛

    須田説明員 前段のSきっぷの方でございますが、これは九州から売っております指定券の往復割引切符のことでございます。これは確かに大変効果があるわけでございますが、やはりこういう割引でございますから、割引をさせていただいてお客様がふえまして、全体として増収につながらないと困るわけでございます。  今回、たまたま今運賃改定の申請をいたしておりますので、この申請を実施さしていただきます際に、そういった切符の見直しを全社的にやることにいたしておりますので、その中で、今先生の御指摘の四国からのSきっぷが効果があるかどうかを見きわめまして、効果があればその際に採用してまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、後段の内山線の方につきましては、今残っております長浜経由の線路につきましては、ローカル列車を中心に運行することにいたしておりますが、今のところ、それ以降の将来的な計画につきましては、まだ成案を得ておりませんが、とりあえずそういうふうな計画をいたしております。
  368. 岡田宏

    岡田説明員 内山線の開業の時期の問題についてお尋ねかと思いますが、それについてお答えを申し上げます。  この内山線につきましては、鉄道建設公団と国鉄とが費用を分け合いましてそれぞれ仕事を進めておりますが、六十一年度開業を目途といたしまして工事を進めておるところでございます。
  369. 田中恒利

    田中(恒)分科員 終わります。
  370. 北口博

    北口主査代理 御苦労さまでした。  これにて田中恒利君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  371. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 公明党の斉藤節でございます。  まず、私は大臣に最初にお伺いしたいと思いますけれども、最近、長野県などで起きたバス事故がございますけれども、あれに見られるように、いわゆる運転者の過労などからああいう大きな事故が起きているということでございますが、大臣といたしましては、客の安全運送ということにつきましてどのように考えておられるのか、また、業者に対してどのような指導監督をしておられるのか、その辺まず、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  372. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸大臣に就任いたしました早々の私の施政方針と申しますか、私はそのときにも申し上げましたし、また、六十年度の予算編成方針についても申し上げましたが、やはり交通ということについては安全がまず第一である、これはもう徹しなければならぬということは、強く強く言ってきておるわけでございまして、今後ともその方針には私は絶対変わりはありません。  なお、三重交通の事故につきましては、早速特別監査をいたしまして、監査自体は終わりましたけれども、これを詳細に検討いたしまして、その検討、分析した結果に基づきまして適正なる処置をとってまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  373. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 結局、そういう安全ということについて、これからいろいろの問題について申し上げたいと思うわけでありますけれども、料金を取って客を運ぶ、こういう事業にはどういう条件が課せられているのか、一般自動車運送事業運賃料金はどのようないわゆる審査基準で認可されておるのか、そういう点について御答弁願いたいと思います。
  374. 熊代健

    熊代政府委員 今の安全に関する旅客運送事業者に対する規制でございますが、これは一つには、道路運送車両法で一応旅客を乗せる場合の基準が明確にされております。そのほかに道路運送法におきまして、旅客の安全を確保しなければいかぬということから、免許というのを原則としてとっております。  このねらいは、一つには、安全確保観点から直接運行管理体制、これは運行管理者、それから整備管理者といったような者を、整備あるいは運行管理といった面から、運転手の指導等も含めまして、きちっと指導してもらわなければいかぬ、そういった観点から免許ということをやっております。それから、安全で良質な運送サービスを継続して提供していただかなければいかぬということから、その免許に当たりまして、需給というものを原則的に見ながら免許申請に対しての処分を行っている。その後、いろいろ事業計画の変更でありますとか、あるいは監査等通しまして、それらが守られているかどうかということを適切に指導していくという体制になっております。  それからもう一つ運賃でございますが、これは運賃はその業種によって多少の違いがあります。タクシーについて言いますと、定額をもって決めるということで処理しておりますが、これには適正原価及び適正利潤を償うとか、それから不当な競争を起こさないとか、不当な差別をしないとかいう道路運送法八条の認可基準に基づきます認可ということで、運賃決定をしております。原価計算等につきましては、タクシーにつきましては母集団が多うございますので、その中から原価計算対象事業者を選出し、さらにその一定率以下の、何と申しましょうか、効率の悪いと目される事業者をカットいたしまして、原価計算対象事業者の中から具体的に抽出した者について、先ほど申し上げました適正原価及び適正利潤ということを算定いたしまして、運賃水準を決定し、認可しておる、こういうことでございます。
  375. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そこでお伺いしたいのでありますけれども、現在行われている車両運行管理請負業、こういうのがございます。いわゆる白タク、白ハイヤーというのでしょうか、この白ハイヤー事業とはどういう事業なんでしょうか、教えていただきたい。
  376. 熊代健

    熊代政府委員 白ハイヤー事業と通称はされておりますが、これは特定の民間会社の自家用車の運行管理あるいは整備あるいは賠償問題等をすべて請け負って、その会社の職員を派遣し、管理及び運転業務を行わせている事業というふうに理解しております。それで、これが実は車を持ち込むことになりますと、自分の車で「他人の需要に応じ、」という運送行為に当たるということで、白ハイヤー行為でないかと言われておるのでございますが、具体的に東京等で行われておりますものを我々実地で調べたところでは、車の持ち込みはない、その相手先の自家用車を、今申し上げたような請負管理契約のもとに従業員を派遣して、そういう業務を請け負ってやっているという状態でございます。
  377. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう実態でありますが、もう少し実態についてお聞きしたいのでありますけれども、運輸省、何社ぐらいそれがあって、現在どのくらい行われているのか、もう少し実態を詳しく教えていただきたいと思います。
  378. 熊代健

    熊代政府委員 東京におきまして大新東とかいうものを聞いておるのですが、実は本日、派遣業といいますか、管理代行の実数についてはちょっと今手元に持ってきておりませんので、至急調べて御報告したいと思います。
  379. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 この事業でありますけれども、いわゆる需要先を限定した契約運送ということになると思うわけでありますけれども、そうじゃないですか。
  380. 熊代健

    熊代政府委員 先ほど申し上げましたように、車を自分が持ち込むということになりまして、その車の使用権について派遣元といいますか、こちらの方に使用権限があった場合は、車を用いて他人の需要に応じ運送行為を行うということになって、先生が今言われたような旅客運送行為になるというふうに考えておりますが、相手方の車に運転者あるいはその管理を含めた運転者を派遣して、そこで運転について労務を提供するという形のものについては、我々としては道路運送法上の運送行為に当たらないというふうに解しております。
  381. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういういわゆるこちらから車を持ち込まないで相手の車を運転するということについては、運送行為に当たらないのですか。——聞くところによりますと、はっきりしないのですけれども、持ち込まないようなあれでありながら実際には持ち込んでいるというケースがあるということを聞いているわけでありますけれども、そういう事実はございませんか。
  382. 熊代健

    熊代政府委員 そういうことを我々も言われるのですけれども、先ほど申し上げましたように、東京でかなりの箇所、ある大きな会社があるわけですけれども、それについて調べた結果ではそういうことはない。したがって先生が言われたような、小さいところでそういうことをやっている可能性も否定できません。したがいまして我々としては、それらについてはよく実態の把握に努めて、適切な処置をしてまいりたいというふうに思っております。
  383. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういうことがもしあるとすれば、これは言うまでもなく、道路運送法第三条第三項一号あるいは同二号、それに相当するものになると思うわけですね。そうだとしますと、いわゆる道路運送法第四十五条に基づく許可制、先ほど免許と言われましたけれども、許可が必要になってくるのじゃないかと私は思うわけでありますけれども、どうでしょうか。そういう事実がないとは言われますけれども、これは表向きでありまして、実際には持ち込んでいるということもあり得るわけです。やはりそういうようなことが法律に抵触しないような形で、持ち込んでないような名目で持ち込んでいる、そういうような場合もあり得るわけでありますから、そういうような業種そのものを免許を与える、そういうことにやってはどうかなと思うのですが、その辺いかがですか。
  384. 熊代健

    熊代政府委員 先生おっしゃいましたように、ハイヤー、タクシー事業という一般自動車運送事業の、先ほど来申し上げました経営基盤なり何なりを確保して安全輸送を確保するという観点から四十五条で、特定の者に対するものであっても、それはそれらとの関連を見るという意味で許可制をしいております。したがいまして、先生おっしゃったようなことで、特定の需要に応じて特定の者と契約し、それらの運送行為に当たる事業を行えば、我々としては当然四十五条の対象になるというふうに考えます。
  385. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 実際私、各中小のタクシー業、タクシー業界の方々ともいろいろ話したのですけれども、大変打撃を受けているのですね。料金が非常に安い。確かに官庁の一部も、行革の名においてそういうものを利用しているということでありますけれども、しかし、やはりちゃんと業界として非常に厳しい制約を受けているわけですね。先ほども免許のことについていろいろ言われましたけれども、料金は先ほどお聞きしたようなことで決まるわけでありますが、その中には、二種免許を持たなければならない、そういうようないろいろな制約をしておいて、しかもコストが、最近人件費が上がっておりますから、そのようなことで、各企業は一生懸命努力はしているのですが、大変苦しい状況にあるわけです。そこへそういうような白ハイヤーみたいなものが横行しますと、せっかくきちっとやっている会社が非常に打撃を受ける、そういう点で非常に困っているわけなんですね。その辺、もう少し厳しくこれが取り締まれないものかどうか、その辺御返事願いたいと思うのです。
  386. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘の東京におきますようなハイヤーというのは、実は全国でも六地区しかございません。東京、横浜、大阪、名古屋、京都、沖縄、これだけしかございません。そのハイヤーの需要と、今先生がおっしゃった運行管理代行業といいましょうか、そういったたぐいのものが競合するケースが出てきているということで、我々としても軽貨物あるいは運転代行といったような輸送秩序問題の一環として、この問題は注視していかなければいかぬというふうに考えております。  実は、先ほど申し上げましたように、東京が圧倒的に多うございますので、関東運輸局におきましてこの実態等も含めて、事業者の方からの情報等も聞きながら今、調査等を進めさせておるところでございます。先生のおっしゃるように、我々としては最初に申し上げたような趣旨を守るためには、やはり違法行為、今申し上げたようなことで自家用車で有償で旅客を運送いたしますと、これは百一条違反ということで罰則もありますし、行政処分もあるということでございますので、実態がそういうものであればそのような措置も可能であるというように思っております。
  387. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 これは東京交通新聞というものですけれども、これの昨年の十二月三日号、これに、運輸省としては間隙産業が存在するということは、裏を返せばいわゆるニーズがあってこれにこたえているのであるから、全く無視するわけにはまいらないというようなことを言っておられるわけでありますけれども、料金が安くそういうことができる、そういう事業をやって、いろいろ企業努力や何かがあるかもしれませんけれども、しかし、安全運行ということについてはちょっと私は心配だと思うのですよ。そういう点で何か運輸省考え方が少し甘いのではないかなと思うのですけれども、どんなものでしょうか。
  388. 熊代健

    熊代政府委員 その新聞記事がだれに取材したか私も存じませんけれども、我々として先生が御指摘になった文章から読み取りますのは、一つは、ハイヤー、タクシー事業者も、ニーズの変化というものがあるんだから、それらに適切に対応していかなければいかぬという面を一つ言いたかった面もあるだろう。それから先生おっしゃいますように、安ければいいんだということであれば、アルバイトでやってもらった方が場合によっては安く上がる、しかし、それではやはり安全運行という面がおろそかになるという観点から、決して我々としてはそういう目で見ていくつもりはございません。
  389. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 今後さらにこういった問題、安ければいいだろう、そういったようなことがはびこってくるかもしれませんので、その辺は厳しく、乗客を運送するということはまず第一に、先ほど大臣も言っておられましたように、安全ということが何よりも大事なことだと思います。そういう点で今後その方をよろしくお願いしたいと思います。  次に、ちょっと質問を変えますので、運輸省の方、結構でございますけれども、次は、労働省関係の方にちょっと御質問申し上げますけれども、いわゆる最近問題になっております労働者派遣事業法、仮称と言われておりますけれども、これは現在、立法化される動きがあると聞いておるのですけれども、その辺のことをちょっと教えていただきたいと思うのです。
  390. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 確かに労働省におきましては現在、人材派遣業と言われておりますいわば業務処理の請負事業、私どもの職業安定法上の解釈によれば業務処理請負事業をやられる方が非常に多くなっておるわけでございます。  この業務処理請負事業には、職業安定法四十四条で禁止しております労働者供給事業に抵触するおそれというのでしょうか、問題点があるものですから、これをきちんと整理をしたい。それからもう一つは、そこに働く労働者の方々の雇用の安定を図りたい。さらにかつ、多様化しております就業構造からいろいろなニーズが出ておりますので、そのニーズにこたえていきたいというような観点から現在、派遣事業の制度化の検討を進め、今国会に派遣事業法案、一応仮称でございますが、提案させていただきたいというふうに考えております。
  391. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そのいわゆる労働者派遣事業法、仮称ですね、この中には、どのような形態の事業、派遣業が含まれているのですか、その職業はどんなものですか。
  392. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 この労働者派遣事業対象分野につきましては、法律が成立された後におきまして、広く関係者の方の御意見を賜り、そして最終的には、労働大臣の諮問機関でございます中央職業安定審議会で定めるということになっておるわけでございます。したがいまして、現在の段階においてどのような分野を対象分野にするかということについては、具体的な案は持っておりません。
  393. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 ないわけですか。
  394. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 一応話題として出されたという分野については、中央職業安定審議会の労働者派遣事業問題小委員会というものがございましたが、そこで一応の例示という形で話題になった分野は公にされておりますけれども、具体的にどの分野をするかということは、先ほど申し上げましたように、最終的に中央職業安定審議会でお決めいただくということになっております。
  395. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は物の本のあれで見たのですけれども、この中にはいわゆる事務処理サービスですかね、あるいは情報処理サービス、ビルメンテナンス、警備、こういったものが考えられるんじゃないかということを言っておりますけれども、そういったものが入るのですか。
  396. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 労働者派遣事業の制度化に当たりまして、いろいろな審議といいますか、調査結果があったわけでございます。当初、労働省で需給システム研究会というのをつくっております。それから、労働者派遣事業問題調査会というのをつくり、その後、中央職業安定審議会に労働者派遣事業問題小委員会というものをつくりました。こういういろいろな論議の経過の中で当初、四事業という形で、今先生から御指摘ございました四業種というものが具体的に話題に上って検討された事実はございます。しかし、その分野のどういう業務を具体的に指定するかについては、先ほど申し上げたような形で決めることになっておるわけであります。
  397. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 では、そういったところでお決めになるわけですから、ちょっとまだはっきりは言うことはできないかもしれませんけれども、労働省としてはどんな考えかということをちょっとお聞きしたいのですけれども、いわゆる車両運行管理請負業というものですね、これなどは、この事業法の範疇には含まれるのか含まれないのか、その辺はどのように考えておりますか。
  398. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 先ほど運輸省からもお答え申し上げましたように、最近、請負契約に基づいて注文主の車を運転したりあるいは管理したりする仕事をやるために運転する方を派遣するという事業が目立っておるわけでございます。  これはあくまでも請負契約に基づいて行うということでございますので、私どもは、先ほど申し上げました職業安定法の四十四条に抵触することのないように、注文主のところで直接的な指揮命令を受けることのないような指導、すなわち請負契約によって事業を適正に行うような指導をいたしておるわけでございます。こういう観点で私どもは、この請負契約に基づいて適正な事業が行われる限りにおきまして、この派遣事業法が仮に成立しましても、その対象にするという考え方は持っていないわけでございます。あくまでも請負契約に基づいてやっていただくということを基本に考えているわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、いろいろの検討の過程の中でいろいろな業務が話題になったわけでございますが、今のところ私ども、この運転代行業という業務の分野が派遣事業対象として話題になったというふうには聞いておりません。
  399. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 先ほどもお聞きになられたと思いますけれども、この派遣事業法の中にいわゆる車両運行管理請負業というものを入れるということは、タクシー業界として非常に困るのだ。しかも、派遣しながら実際に運転するわけですから、いわゆる運行するわけですね、そして何キロ当たり何ぼなんというそういう契約もするようでございまして、そうだとしますと単なる派遣業ではない。そういう意味で、このようなものは断じてこの中に入れてもらっては困るというのが、業界の考え方でございますので、やはり私の申し上げたいのは、労働者を派遣する場合、これはいわゆる健康管理だとかそれからいろいろ疲労の問題や何かでもって事故が最近非常に起きているわけでありますから、あくまで安全ということを第一にしていただきたいと思うわけでございます。  私、大臣がおられたから最後に、大臣に締めくくりの質問をしようと思ったのですけれども、出られましたので、もうこれで私の質問は終わりといたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  400. 北口博

    北口主査代理 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  401. 上原康助

    上原分科員 まず最初に、沖縄のバス交通、バス問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  この件につきましては、これまでもしばしば沖縄・北方対策員会あるいはその他の場で取り上げてまいりましたが、その間また大臣も交代なさいましたので、改めて政府運輸省の対応が鈍らないようにしていただくためにも、きょうも若干の時間この問題を取り上げさせていただきたいと思います。  御承知のように、ここ数年、特にこの二、三年、バス交通問題が大変行き詰まって、県民の足の確保に重大な影響を与えているばかりでなく、沖縄経済に与えている影響度も非常に深刻な状況になっております。経過についてはたくさん申し上げませんが、問題は、今年の十一月三十日を期して琉球バスと那覇交通の両企業が、知事提言に基づいてというか、知事提言を尊重して合併するということですが、その間既に四百二十六人に及ぶ乗務員解雇の提言提示もなされておって、これは最終的な数字ではないと思うのですが、非常に春闘もあるし問題含みです。  したがって、これまでも政府の見解というか、運輸省のお立場なり御見解はある程度聞いてきたわけですが、現時点でその後の推移を、経過を含めてどういう御認識をしておられるのか、また、今後どう対応していかれようとしているのか、御見解を聞かしていただきたいと存じます。
  402. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘のように二、三年来、沖縄のバス企業は経営が非常に苦しいこともございまして、一昨年の長期ストあるいは昨年のストということで、長期間にわたって唯一の大量公共交通機関である沖縄本島のバスがとまるという事態で、沖縄県民の方に非常に御迷惑をかけていることにつきましては、我々心痛をもって見ているところでございます。  御承知のように昨年、知事提言を受けまして、十二月初旬のストを構えた時期に、一応昨年のベースアップ等もしないという中で何とか妥結をし、ことしの十一月三十日をめどに、今一番累積赤字を抱えております那覇交通、琉球バス二社の合併をすべく、七月三十日をめどに具体的な中身を詰めるということで、現地におきまして、運輸部長を督励し、余り表立ったあれはやっておりませんけれども、水面下といいましょうか、具体的にその計画づくりの詰めを行わせているところでございます。  先生指摘のように、四百二十六名という解雇が必要だという数字が昨年の十二月段階で出されておりますけれども、これは労使が一体的に、合併して健全化するためにどうやっていくかという中で生み出していくべき問題であるので、我々としてはそれを見守る。同時に、この問題は運輸省だけで解決できる問題でもございませんので、沖縄開発庁、運輸省、労働省で具体的な合併計画に基づくいろいろな施策、要求はまだ出てきておりませんけれども、内々あらかじめ準備をしておくということで、課長クラスの打ち合わせも二度ばかり既にやっている。目下のところとりあえず、二社の合併問題に向けて全力を挙げていくということで対応しているところでございます。
  403. 上原康助

    上原分科員 私も今、次長がお答えになったことについては、ある程度知っているわけです。全く知らぬわけじゃないわけですが、問題は、関係者の方々の合意が得られるのが先決だ、あるいは企業合併の具体策が進められることが先だ、こういうことでこれまで推移してきているわけです。そして、この乗務員、労働者の解雇については労使間で、もちろん原則を言えばそうなんですが、しかしなぜ今日の事態に立ち至っておるかということは、単なる労使次元だけでは解決できない背景、要因があるということをぜひ御認識いただきたい。  そこで、きょうは細かい議論はできませんので進めますが、今私が申し上げたようなことと関連して絶えず言うことなんですが、大臣、県民感情としては、沖縄は国鉄の恩恵を全く受けていないのじゃないか。今日、国鉄問題も大変シビアで、いろいろな地方ローカル線の統廃合問題もありますけれども、しかし新幹線にしても、日本本土の地方交通機関を含めての交通網の整備は、ほとんど国策によって今日の状況はよきにしろあしきにしろ、いい面も出てきているわけですが、そのらち外にあったわけです。政権も異なっておった。この県民感情はぬぐい去ることはできませんよ。だから、唯一の公共交通機関であるこのバス事業に対しては、単なる私企業とか労使次元とか沖縄県域というだけで片づけられる問題でないという、国の交通政策あるいはそれ以前の問題に対しての非常な不満や要求があるということ。  もう一つは、道路問題を片づけるにしましても、基地があれだけ都心部なり中部一帯を占有しているわけですが、なかなかそういった面の解決が進まない、そういったハンディがあるということです。また、路線競合の問題にしても、これは運輸省にもいろいろ言い分はあるでしようが、全国平均が二九%に対して沖縄は七七%と極めて高い。だから、そういった競合しているものをどう調整していくかというのも課題だと思うのです。さらには、これは沖縄に限ったことではないけれども、モータリゼーションの普及によってバス利用者が年々減ってきている。そういう状況下で赤字が数十億に達してきているわけです。  したがって、そういった社会的要因も含めてこの際、十一月に向けての抜本策を労使の次元あるいは経営段階で、県段階、国段階でやっていただかないと解決しないと私は思うのです。したがって、そういうことに対する抜本改善をこの際やっていくには、国としてはどういう助成措置なりどういうお考えを持っておるのか、これを私どもは知りたいわけです。この際、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うのです。
  404. 山下徳夫

    山下国務大臣 沖縄県における県民の足を確保するという意味におきまして私は、バス事業の健全なる発達は当然運輸省としてもこいねがわなければならぬ。そのより健全な発達をバス事業がやるために、経営の合理化につながる合併が必要であるとするならば、私どももこれを是としなければならぬ。そういう観点に立って十一月を目途として合併がもくろまれておりますので、関係するところの沖縄県や沖縄開発庁と十分連絡をとりながら、運輸省としては基本的にはこれに対して全面的な援助を惜しまないという態度をとってまいりたいと思っております。
  405. 上原康助

    上原分科員 ぜひそういうお考えで進めていただきたいわけですが、ほかの国の例を見ましても、パリのバス交通公団でも、四六%しか事業収入がない、残りは全部各種の助成措置でやっている面もあるわけですね。沖縄の方も、ハワイのバス事業などもどうかということでいろいろ調査をしていますが、そういうレポートを見ましても、総費用の七〇%は公的助成措置である。これはアメリカ本国でも州によっては、そういった地域住民の足の確保という面と、いろいろな公的公共機関という面では、国の助成措置あるいは州なりのをやっているわけですね。  だから、こういうこと等についても、やはり関係者もそれなりの調査をし、あるいはそういうふうにやられているということはわかるわけですから、今大臣もおっしゃいましたように、ぜひこの際十一月に向けて、例えば、私たちは国鉄の民営・分割化の立場はとりませんが、民営企業で運営が可能な範囲とそうでない地域とは、また公共にするのかあるいはセクターにするのか、いろいろ場合によっては方途もあると思うのですね。そういう面については、単に関係者から意見が出る、提言が出るということでなくして、こうすれば沖縄の陸上交通、県民の足の確保、あるいは交通体系全体がうまくいくのじゃないかという方向性というものは今、大臣おっしゃいましたように、開発庁とも関係当局が検討して国としても案を持つ、これを持ち寄って県に対しても助言をするとか、あるいは県の意向も入れる、またバス会社やバス交通労働者の意見も聞く、こういう仕組みじゃないと解決しないと思うのですよ。改めていま少し具体的なお考えを聞かせていただきたい。
  406. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘になりました外国の例等と——その前にお断りしておきたいのですけれども、沖縄の県民感情云々の問題はおかしておいていただいて、一般的に、外国において公共交通機関にかなりの税金による負担が行われているということは我々も承知しております。しかし日本の場合は、基本的には独立採算というのが、公的主体であれ民的主体であれ、それを原則としてまいっております。  したがいまして、それに対して沖縄の特殊事情をどこまで反映できるかという問題はあると思いますけれども、御承知のように沖縄は、赤字を生じております大きなところは先ほど申し上げた二社でございまして、他の二社はそれなりにやれている。また我々としては、沖縄本島において効率的に適正な運営をすれば、何とかやっていけるのではないかというふうに考えられる面もございます。それは、過疎的な路線に対する補助を必要とするとか、そういう部分的なものはあると思いますけれども、基本的にはそういう考え方に立って進めてまいらざるを得ないのではないか。したがって、沖縄の特殊事情というものを我々としてどこまでその一般論のほかに考えていけるかというのが、実は先生がおっしゃっておる中での我々としての一番の問題であろうというふうに認識はしております。  ただ、開発庁の振興局長も言っておるのですけれども、やはりこの合併問題というのは、いずれにしても成功させるためには、両社の経営者とそれから労使がそれなりにきちっと協議をした上でなければ、我々こちらサイドがこうしなさいとかなんとかと言ってもうまくいかないだろうということで、先ほど来申し上げているように、そういうふうな協議を進めるということで、その合併計画案のコンクリート化に向けて当面努力をするということにしているところでございます。
  407. 上原康助

    上原分科員 いずれにしましても、さっき大臣の方からも所見がありましたので、この機会を逃してはこの問題の解決というのはかえっておくれると私は思うのです。ぜひひとつ十一月、あるいは七月が大事な時期かと思うのですが、それに向けて政府の特段の御努力を御要望申し上げておきたいと思います。  次に、航空局にお尋ねします。これもかねがね取り上げてきたことなんですが、時間がありませんから、嘉手納RAPCON問題あるいはACMIとかいろいろなことについては後日に譲らざるを得ませんが、このACMI設置とのかかわりで、訓練空域の返還を求める、あるいは進入管制の返還についても米側と話し合っていくということを、前細田運輸大臣も私の質問に対してもお答えになってこられたし、またその後、航空局にいろいろなお尋ねなり御相談をしたときもその向きの話があったわけですが、具体的にはどうなったのか、お答えをいただきたいと思います。
  408. 西村康雄

    ○西村政府委員 今、嘉手納のRAPCONあるいはその他の訓練空域の問題につきましてお尋ねがございましたが、進入管制業務の返還問題につきましては、現段階におきましては、米側にはまだ公式の申し入れは行っておりませんが、前に申し上げましたように、一昨年の末以来、実務者のレベルで双方の意見交換の場がありますと、当方からは米側の意向の打診を行っているわけで、これに対しましてアメリカ側では、これは非常に重要な問題だということで、慎重に検討したいということを申しているわけでございます。私ども、今後ともこの返還問題につきましては、米側とさらに協議を続けていきたいというように思っている次第でございます。また、訓練空域の問題につきましても、そういう点でアメリカ側と協議をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  409. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、現段階で正式な申し入れはしていない、しかし、事務段階かどこかで協議はしていると。正式に申し入れるおつもりはあるのですか。
  410. 西村康雄

    ○西村政府委員 この協議を積み重ねまして、そういうことが適当なときを見計らっていたしたいというふうには考えております。
  411. 上原康助

    上原分科員 それはいつごろにそういうめどが立つのですか。
  412. 西村康雄

    ○西村政府委員 協議の進捗いかんでございます。
  413. 上原康助

    上原分科員 それは当たり前のことだな、あなた、協議の進捗というのは。ですから、皆さんの姿勢の問題だね、大臣。暫定的というのがもう十三年もたっているのです。極めて消極的ですね。これはいろいろ細かい問題もありますから、きょうはある程度考えだけ聞いておきますが……。  それとのかかわりで、私らは反対なんだが、何か訓練空域をACMIを設置の段階で合意をしたというのだが、これも具体的に何回かお尋ねしてきたことなんですが、伊江島の訓練空域返還の問題ですね、W178あるいはW178A。ここは伊平屋、伊是名への空港建設の問題と非常にかかわっているわけで、最近また何かこの伊江島訓練空域、訓練所で降下訓練なんかを米軍がやったようなんだが、実際は遊休化しているわけです。これの返還についても、せんだっての私の沖特でしたか内閣委でのお尋ねについては、やります、やりたい、求めるということだったんだが、どうなったのか。
  414. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しの伊江島訓練空域の返還につきましては、私ども実務者レベルでは数回にわたって接触をし、向こうの意見を求めているわけですが、現在のところ、返還はなかなか向こうが応ずるというような状況に至っていないというのが実情でございます。  しかし、実際にそうではございますが、米側と調整の結果、現在は伊江島の訓練空域を通過して那覇空港へ入ってくる経路を設定することにいたしておりまして、四月一日から運用するということで話し合いを進めております。それで、こういたしますと、那覇へ北から真っすぐ入ってこられるということで、その点では、航空路の効率的な運用ということを一応確保するようにしている次第でございます。
  415. 上原康助

    上原分科員 四月一日から進入については米側はオーケーしたということですか、利用することに。
  416. 西村康雄

    ○西村政府委員 米側もそういうやり方について同意しているということでございます。
  417. 上原康助

    上原分科員 それなら、一歩進んでその空域返還を正式に求めたらどうですか。これは前大臣も、そういう遊休化あるいは空港立地に支障を来すようなことであれば積極的に話し合いをすると、話し合いをしておる、米側へ求めるということだったんですが、これは大臣、いかがですか、御見解は。
  418. 西村康雄

    ○西村政府委員 今申し上げましたように、私どもできるだけ現実的な形で日本側の自由なる航空の空域を確保していくということを努めておりまして、全体の体制でできましたらもちろん、返還ということで入ってまいりたいと思いますが、現実に非常に向こうは向こうのいろいろな考え方もあるということでございますので、なお引き続き十分な協議をして、実質的な問題の解決に努めていきたいという態度で今後も進めさしていただきたいと思っております。
  419. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、実質的な使用ができるような方向で話を詰めていきたいというお考えのようだが、だが、それは訓練空域として向こう側が占有権を持っている限りは、我が方が自由に使えるというわけにはいかぬわけです、いつでも向こうはシャットアウトする権限があるわけだから。そこが問題なんですよね。  だから皆さん、ACMIもつくらしてあげる、嘉手納RAPCONも暫定期間と言いながら返してもらえない、那覇空港からの離着についても制限を加えられている。それは即、民間空港の安全性の問題にかかわっているわけです、空全体が、一定空間もうほとんど。これでは民間航空の安全確保という意味にならないのじゃないですか。  それとの関連で、じゃ伊平屋、伊是名への飛行場立地というものは可能になるのですか、今あなたが答弁なさるようなあれで。その点は可能ですか、不可能ですか。
  420. 西村康雄

    ○西村政府委員 現実にこの島に飛行場ができることにしましたときは、私ども米軍と十分に協議の上、その飛行場を活用するように、これはできるだけ措置していきたいというふうに考えております。
  421. 上原康助

    上原分科員 それじゃまるで時間制限か何かを受けてしか飛行場立地もできないということになるわけですね。  今お聞きになって大臣、そういう問題があるわけです。これは那覇空港の使用ともかかわっているが、私は運輸省皆さんをある面ではむしろバックアップしてきたつもりなんですが、今ひさしを貸して母屋をとられてしまっている。空港のバリア設置の問題にしても、あるいは弾薬庫の建設にしても、民間空港でありながら、そういったどんどん自衛隊に侵食されて、皆さんはもう端っこの方に追いやられている格好になっているのですよ、運輸大臣。これではいかぬと思うのですよ。私は那覇空港というのは民間専用、主体にすべきだと思うのですよ。そういう問題もあるということ。  同時に、米軍に対しても、これは沖縄県もどうしても第二次振計の後半においては伊是名か伊平屋に、できれば両方に、どっちが先になるかわかりませんが、飛行場をつくりたいという計画を持っておるのですよ。そのためにできない大きな理由というのは、今言う伊江島上空を米軍が訓練空域として占有しているからなんですよ。それは事務レベルではどうにもならないのですよ。大臣、まさにあなたが率先してやっていただかなければいかない政治判断の問願です。  その意味で、今の那覇空港の民間専用に持っていくという、主体にしていくということと、この伊江島の訓練空域の返還については、日本側としてしつこく何度でも米側に申し入れてもらいたい、これはまさに政治の話だから、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  422. 山下徳夫

    山下国務大臣 率直に申し上げて、公式申し入れに至っていない、長年の懸案でありながらそこまで至っていないということは、実務者レベルの交渉が非常に難航しておるということだと思います。その難航は、占有権を持っている米側において非常に苦心しておられるのではないか。私も率直に申し上げまして内容をよく存じておりません。しかし政治姿勢としては、今おっしゃる民間航空をより円滑に守るためにも努力しなければならぬことは当然であります。したがいまして、もう少し実情を私自身がよくこれを知るためにも、若干の時間をちょうだいしたいと思います。
  423. 上原康助

    上原分科員 もう時間ですからこれで終えますが、やはり私は、この沖縄の今後の観光振興を含めて、あるいは本当に二次振計後半の面では離島空港航路をどう整備をしていくかということと、今のターミナルを含めてもう少し本当に地方ローカル空港としてふさわしい方向に持っていかぬと、イメージアップしない。それはまさに運輸行政に重要な責任がありますので、大臣、まだそこまで十分お聞きになっておられない向きですが、私が今指摘した問題は極めて重要でありますので、事務当局からよくお聞きになっていただいて、在職中にぜひこれは解決してもらいたい。  伊江島空港の問題と那覇空港をもっと民間専用に持っていくという、この点はお約束できますね。
  424. 山下徳夫

    山下国務大臣 努力したいと思います。
  425. 上原康助

    上原分科員 これで終わります。
  426. 北口博

    北口主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、奥野一雄君。
  427. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 時間が余りありませんので、端的にお尋ねをしてまいりますが、世紀の大工事だというふうに言われておりました青函トンネルも、もうあと数日で本坑も貫通をする。それで今後これの有効利用ということが早急に望まれるわけでございますが、同時に、トンネルの開通によって連絡船の問題についてもその方針を明確にしなければならない、こういう段階に来ていると思うわけであります。地元にいたしますと、青函トンネルについての利用の問題についても明らかにならない、あるいはまた連絡船の将来の問題についても明らかにならない、大変困っているわけであります。もちろん連絡船に乗っている職員の方々も困っているであろうし、また地域にいたしましても、地域開発の問題もありますし、それからまた経済活動という面から見ても、そういう方針が明らかにならないものだから大変不安に感じているというのが率直なところだろうと思うわけです。  今日まで私も前の運輸大臣等々に対しましても何回か連絡船問題につきまして要請を申し上げてまいりました。そういう印象からいたしますと、どうもトンネルが開通すれば連絡船はなくなってしまうのではないかな、こういう感じを持っているわけでありますが、これは地域にとりましては大変重要な問題でございます。連絡船がなくなった場合に受ける経済的な影響あるいは地元の問題だけでなくて、国鉄当局としても大変な問題にまで発展をする。大げさに言えば青函船舶鉄道管理局の存在そのものをも問われるというようなことになりかねないと思っているわけです。私どもは、これは国の一つ責任として交通ルートについてたった一本でいいんだろうか、こういう懸念を持っているわけでありまして、どうしてもやはり複数の交通ルートを確保しておく必要があるのではないか、こう思うわけでございます。そういう面からいきますと、連絡船という問題については、青函トンネルが開通いたしましても何らかの形で残すべきでないだろうか、こう思っているわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  428. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 青函トンネルが開通いたしました後の青函連絡船の問題という点につきましては、御承知のように、昨年青函トンネル問題懇談会で青函トンネルの有効活用というのを御検討いただきました際にも、「地域の問題として他の主体による経営考えられるとしても、国鉄による経営は廃止する方向で検討すべきである。」このような報告をいただいておるわけでございます。  そもそも青函トンネルを建設いたしました動機その他を勘案いたしますと、連絡船にかわるものとして地続きのトンネルが必要であるということから巨費をかけて建設をしているわけでありますから、そのような経緯から考えましても、完成後は青函連絡船についてはそれを廃止する方向で検討すべきではないかというふうに私どもも考えております。  なお、ルートの複数化という問題について御指摘がございましたが、青函トンネルは当面、とりあえずは在来線の形による運行をいたしまして、その後の有効活用については懇談会の報告に盛られました幾つかの、カートレーン方式というものを中心に現在政府部内におきまして細かい詰めを行っているわけでございますが、いずれにいたしましても、青函トンネルというものを主体にした本州と北海道の輸送形態というものを考えていくべきで、もちろん民間のフェリーもございますしまた航空機もございます。必ずしも単数のルートではございませんけれども、鉄道輸送という形においては青函トンネルを利用していく形が主体で考えられていくべきではないかと考えております。
  429. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 これは皆さん方はどう思っておられるか知りませんが、私ども地域の者が受ける印象、特に北海道の場合はそうでありますけれども、運輸当局もそうでありますし、あるいは国鉄それから再建監理委員会、随分むちゃなことをするなという感じを率直に持っているわけであります。国鉄当局からも再建案というのですか、発表になりまして、余り評判はよくなかったようであります。あるいはまた監理委員会の方でも一応の案のようなものが発表になる。そのたびに地元の北海道の皆さん方は、一体これは先行きどうなっていくんだ、非常にこういう心配をしているわけであります。人間がやせていきますと骨と皮だけ、こういうのでありますけれども、北海道の場合の国鉄はもう骨なんというものもなくなるわけでありまして、これは大変なことになる。そういう面では地域実情について余りにも無視をし過ぎているんではないだろうか、こういうふうに考えられてならないわけであります。いかに国鉄が頑張って再建しようということになっても、一つには職員の協力というものを受けなければなりませんし、また一つには地域の住民の皆さん方協力というものがなければ、国鉄自体が幾ら頑張ってみたって再建なんというものは絵にかいたもちにすぎないと私は思うわけです。そういう点から見ますと、地域に対する扱いはそういう面では非常に過酷だ、こう言わなければならないと思うのです。  前に、細田運輸大臣の際にも申し上げましたけれども、函館におきましては、連絡船との結びつきというのは非常に深いものがあって、それを中心にして今日まで町の経済が支えられてきたという地域柄であるわけですね。本来であると、そういう問題についてどうするのかという地域との相談があってもしかるべき。しかし、そういう問題についてもほとんどないままに放置されておって、ある日突然、これは廃止をするんだ、こうなりますと、地域の方でも、それが決定的だということになった場合には、今の駅前の再開発やなんかについてもやり直さなければならない、そういう事態にまで発展をしていくという要素を持っているわけです。  それからまた一方、職員に対する問題についても私どもはそういうふうに感ずるわけですね。国鉄のいわゆる経営者の皆さん方だけで再建なんというものができる仕掛けではないわけですから、職員の皆さん方協力というものは最大限必要になってくる。労使が一体になって再建をしていかなければならないという状況のときに、聞きますと、何か国鉄皆さん方の方では職員に対して非常に過酷な条件を押しつける。例えば余剰人員なんという問題にいたしましても、本来余剰人員というのは、ある仕事があって、そこに何人がおって、仕事の量がだんだん少なくなってきたから何人かが余るというのが余剰人員だと思うのですね。しかし、後のことも考えないで事業だけはばんばん切っていって、さあ人が余ったんだ、しかも、その後始末についてはほとんど考えないでやるということは大変むちゃだと思うのですね。そういうことで職員の方に理解を求めて再建のために協力をしてもらうということは非常に難しいと一つは思うのですね。そういう問題がございます。  それから、確かに今、青函間では連絡船のほかに民間のフェリーもありますし、あるいは航空機もある。しかし、国の責任として交通ルートを確保するということになれば、トンネル一本ということになるわけであります。現在、例えば本州−四国間でも橋を三本つくるんだ、こういうことになって既に始まっておりますし、本州−九州間などではルートはもう五つも六つも七つもできているというような状況でございます。もちろん距離的に非常に遠いから、北海道と本州の間、複数といってもなかなか難しいという面が出てくると思いますけれども、交通ルートが一本であった場合、例えばトンネルということを考えてみた場合、トンネル一つだけでそれでは万全な輸送体制を維持できるのか、非常に危険だというふうに思っているわけであります。あえてトンネルそのものの安全性についてはきょう議論をする気はございませんけれども、活断層の問題なんかもあるわけでありますが、それはきょう触れようと思いません。  しかし、考えてみますと、確かにトンネルがありましても、北海道は雪の多いところですから、——札幌から函館までの間に仮に列車事故があっても、これはバス輸送にすぐ切りかえることができます、道路はちゃんと整備されているわけですから。しかし、仮に木古内−函館間あるいは青森−中小国間、こういうところで列車事故があったりあるいは雪崩があったりとかいう状態になってきた場合には、立派なトンネルができたって、これは輸送するわけにはいかないということになるわけでありまして、大量に輸送することはできない、こういう事態が発生をすることは可能性があるわけであります。  それからまた、最近の犯罪の傾向を見ておりましても、どんな犯罪が飛び出してくるかわからない現状でございます。森永・グリコなんということは、やられてみてあっと驚くという状態ですから。航空機の場合には、御案内のとおり危険物の持ち込みは大変厳しいわけでありまして、特に日本は世界一厳しいと私は思っているわけです。しかし、列車の場合には危険物の持ち込みの点検なんということはどこでもやっていないわけでありまして、青函トンネルの場合には海底面だけで五十三キロちょっとあるわけでありますから、中小国から潜り込んでいきましても、在来線でありますと、大体二時間ぐらいかかるはずだと思いますが、それだけの長いトンネルの中を通る。その場合におかしなことを考える人がおって、列車爆破だのトンネル爆破だの、そういうトレーンジャックですか、そういうことだって想定されないとも限らない。そういうことを考えてみたときに、トンネル一本だけでもって交通ルートとしては万全だ、こういうことにはならぬと思うのですね。そのときになって、例えば、いや飛行機に乗ってください、民間のフェリーに乗ってくださいということになりましても、これはなかなか大変なことだと思うわけでありまして、そういう面、やはり国としての責任を持って交通ルートというものは確保しておくべきだろうと思うのですが、そういう点の考え方はいかがでしょう。
  430. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 確かに先生指摘のように、交通機関には思わぬ災害ないしはハイジャックのような最近の新しい形の犯罪による危険というものを内在しておるわけでございます。  ただ、やはり青函トンネルというものを考えました場合には、青函トンネルというものをつくって、そこに従来の青函連絡船一本でつながっておった鉄道というものをそちらに移しかえる、そういう意味では同じように一本のルートでございまして、決してルートの数を減らすという形ではございませんし、また鉄道輸送そのものは、例えて言えばほかの線でも、北陸線が雪崩で切れるとかほかの線がやはり切れるというような場合には、同じような一本の鉄道でつながっている部分には同じようなことが起こるわけでございまして、極力そういう事態がないように、また起こった場合には代替の輸送というものの確保に力を尽くす、そういう形での輸送を確保することを考えておくことが必要でございますけれども、よってもって二本も三本も鉄道としてのルートというものを残さなければならないということは、現在の状況ではなかなか難しいのではないか、そういう意味で、青函トンネルが開通いたしました場合には、鉄道輸送路というものは青函トンネル経由ということで考えてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  431. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 国鉄は端的に言って随分今一生懸命商売をうまくやって利益を上げよう、こういうふうに努めておられるようですけれども、しかし随分下手だなというふうにも思うわけです。前の再建監理委員会ですかトンネル懇談会の方ですかで出されたものの中でも、先ほどお答えありましたように、いわゆる第三セクターのような形でなら考えられるのじゃないか、こういう意味のこともちょっと含まれておったようですけれども、実際には今国鉄がさじを投げる、私ども端的に言ったらさじを投げるのだと思うのです。国鉄は赤字でなければあるいは両方やっているのかもしれないと思うのです。ただ莫大な赤字を抱えているためにということがやはり一番大きな問題になっているのじゃないかと思うわけです。しかし、それじゃ仮に民間が国鉄に肩がわりして旅客の輸送もやるか、こうなった場合には、それはやってやれないことはないと思いますね。しかし、今の国鉄の桟橋は使えない。私がもし経営するのだったら今の国鉄の桟橋は使わないですね。これは別な地点を求めなければならない。それは当然旅客輸送と同時に貨物なりあるいは車の輸送というものを一緒にやらなければいけないと思うのです。その場合に、例えば車の輸送ということも考えれば、今の桟橋では使えないわけです、あそこへ車をおろされたってどうにもならないわけですから。そうすれば、別なところに地点を設ける以外にしようがないということになるわけです。本来、連絡船を利用する方々というのは、もちろん長距離で利用している方もありますけれども、短距離のお客さんも結構多いわけです。函館近郊あるいはまた青森周辺、あっちの方へ利用される方も結構多いわけです。そういう方々は今青函連絡船を利用されると、函館でおりて列車で道内の各方面へ出かける、こういう形態をとっているわけですが、仮に今言ったように、民間がそれをやるということになれば、今の桟橋では不適当ということになりますから、ほかの地点へ上げれば、私だったらそのままバス輸送で持っていってしまう。そうすると、今連絡船があるために百人でもあるいは二百人でも国鉄を現実に利用しているお客さんは、今度は利用しなくなるということになっていくと思うのです、トンネルを通った方が料金は高いわけですから。  したがって、そういう点から考えますと、国鉄が一生懸命努力されておっても、結局自分たちでまたもうけが少ないような仕組みに追い込んでいるのではないだろうか、こういうふうに思われてならないわけでありまして、今のお答えの中で、国鉄という形の中でトンネルが通って陸続きになるのだから、それで国鉄としての一つ責任は果たせるというような意味のことだったと思うのですけれども、実際に考えていただきたいと思うのは、トンネルを使う場合に年間八百億くらいの借損料を払うということになっているわけでありますが、しかし、これは今までのいろいろなお話を聞いている中では、国鉄には負担をさせない、言うならば国民の税金でこれは賄うというような形になると思うのです。そうすれば、国鉄とすれば当面これは余り心配しなくてもいい金になるわけです。そうすれば、両方を受け持つということになったら大変だと思うのですよ。トンネルの方に八百億の借損料を払って、連絡船は今赤字が二百億足らずですか、そんなにいってないと思うのです。だから両方を払うことになれば大変だということになるのですが、片方国民のいわゆる負担でトンネルの方の建設費は払わざるを得ないことになるのだろうと思います。そうなっていけばそっちの方は心配する必要はない。連絡船という問題についても、単に青函間だけの旅客を輸送するだけではなくて、もっと多様な対応を考えていいのじゃないか。船も今の大きさの半分あればいいと私は思います。ちょっと性能をよくすれば、今三時間四十分くらいのものは三時間半以内で走れるはずであります。だから旅をもっと楽しむとかあるいは青函間ということだけに拘泥しない、そういう運用の仕方もあると思いますし、実際に今停泊している連絡船を使って会議をやったりいろいろなことにまた使われるという部面も出てきているわけです。そういう多角的なことも一つ考えていいのじゃないか。  それからもう一つは、青函連絡船がなくなり、宇高がなくなるということになりますと、国鉄は船の方の関係はほとんどなくなってしまうわけですね。職員の皆さん方だって、仮に配置転換をするとかなんとかということになりましても、これはなかなか大変な問題じゃないかと思うのです、もう何十年も船で暮らしてきた人がおかへ上がるということになるわけですから。そういう面を考えてみて、私はやはり将来にわたって悔いを残さないようにするためには、連絡船というものは、仮に数は少なくなってもルートとして残しておくべきだ、こう思っているわけでありますが、もう一遍その点についての見解をお願いしたいと思います。
  432. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 幾つかお話があったと思いますが、まずカートレーンと在来型を並用いたします場合に、どのあたりにカートレーンの積み込み地をつくり、それと在来線としての旅客の輸送と、さらには貨物の輸送というようなものとどういうふうな形でやるかということにはいろいろ検討がなされておりますが、まだ確定的な成案を得ておるわけではございません。おおよそこんな形でやった場合にどうだろうかというようなことでございまして、先ほど申し上げましたように、ただいまカートレーンの問題につきましては、懇談会の御提言の中にも、政府においてもう少し詰めろ、こういうことがございまして、ただいま各省間で連絡会議をつくって具体的な問題を詰めておるところでございます。先生指摘のように、従来青函連絡船に乗りおりしていた同じところから自動車も積みおろしをするというような形ではなくて、便利な形で御利用いただけるような形でやっていけないだろうかということの検討が当然行われるべきだと思っております。  それから、資本費を負担させなかった場合には赤字がないのだからというお話でございますが、先ほど先生から二百億足らずというお話でございましたが、五十八年度で青函連絡線の赤字はたしか二百三十七億ぐらいだったと思っております。それからトンネルができました場合に、トンネルだけの、ランニングコストだけでの収支では約九十億ぐらいの赤字が出るというふうに想定されております。したがいまして、青函連絡船を廃止いたしましてトンネルに移しました場合には、二百数十億の赤字が九十億に縮減するという意味の効果はありますけれども、トンネルを運行すること自体は、やはりランニングコストだけでも、在来線だけを運行するのであれば赤字が出る。したがって、これと連絡船と並用するという場合には、現在の連絡船よりさらに大きな赤字を抱え込むということになりまして、現在の国鉄の事情から見て、その双方を持つというのは、私はなかなか難しいんじゃないかというふうに思っております。  なお、青函その他、船の職員の問題につきましては、国鉄の方からお答えを申し上げるのが適当かと思います。
  433. 須田寛

    須田説明員 今お話がございましたように、海技職員を青函航路も宇高航路も相当部分私どもで抱えておるわけでございます。そういった人はやはり特殊技能者でございますから、これを鉄道の陸上部門で使いますよりも、そういった人々の技能を生かしてやっていかなきゃならないということでございますから、どういうふうにすればそういう人の技能を生かせるかということでいろいろな検討を私どもは私どもなりにやっております。先ほど先生お話がございましたような、もっと販路を広げたような航路を持つとかいろいろな考え方もあろうかと思いますけれども、やはりその場所にまいりますと、また民間のフェリーがたくさんもう既に動いている、あるいは貨物の航路も非常にたくさん、北海道と本州の間でも宇高間でもあるわけでございまして、なかなかそこに参入をするということ自体容易なことじゃないというふうに思っております。しかし、やはりこういった海技職員を非常にたくさん抱えているという現状でございますし、いずれそういった人々の職場が、トンネルができますれば当然減ってまいることは決定的でございますから、私どもはどのようにしたらそういう人々を有効に使えるかということについていろいろ勉強をいたしております。やはりこれらについては運輸省当局なりあるいはいろいろ幅の広い御支援をいただきませんと、とても国鉄だけでは考えられるものではございませんので、私どもの勉強成果をまた運輸省にも御報告をいたしまして、運輸省にもいろいろまた御指導いただいて、これからの海技職員の有効活用ということにつきましては、十分私ども考えてまいりたいと思っております。
  434. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 ちょっと時間が足りませんので、これはまたいずれかの機会にひとつ意見を伺わしていただきたいと思いますが、ただ一つ、御要望として申し上げておきますが、前段申し上げましたように、これからの国鉄再建ということを考えればなかなか大変だと思います。したがって、権力的に物事を扱ったってそううまくいくものでもございませんし、やはり職員とか地域の人方の理解と協力を求めるということが一番大事だと思いますから、そういう面ではぜひ誠意を持って当たっていただくように要請をしておきたいと思うのです。  あと時間がございませんので、ちょっと特定地方交通線の関係について簡単にお尋ねをしてまいります。  いずれ再建監理委員会の方から答申が出される。政府の方では早ければ年内にでも法律案として出す、そういうことをうわさとして聞いているわけです。そこで国鉄再建監理委員会答申を出し、政府が法案を出す。そういたしますと、出てくるものは国鉄再建にとってこれが一番ベターな方法だ、こういうことで出されると私は思うのですね。まさか先行きどうなるかわからぬけれども出したなんて、そんな無責任なことにはならぬと思うのです。そうなったときに、現在あります国鉄経営再建促進特別措置法、これは存在をするのかどうか、存在をするとすれば、それはどこが事務的に担当していくということになるのか。  あるいはまた、松前線は今協議が中断をいたしております。協議中断というのは、六カ月ごとに点検をしてみて、条件を満たしていれば残るというふうに地元はみんな受け取っているわけです。ところが国鉄の案にいたしましても、再建監理委員会の方の案にいたしましても、大体この線というのは予定に入っていないですね。そうすると、これはとんでもないことになると思うのですね。もしそういうふうになって再建が進められるということになれば、これは地元としてはまさにだまされたということになるわけでありまして、そういうようなものは一体どういうふうになっていくのか。  それから、協議をまだしてない線区、これらは例えばそういう国鉄再建監理委員会の案が出、国の方の法律案が出た場合には、それはどういう扱いになっていくのか。あるいは現実にもう協議に入っておって、廃止が決まって転換の補助金というのですか、そういうものをもらっている線区なんというものは、一体ずっと五年間というものは有効に存在をするものなのかどうか、そういう点をちょっとお尋ねしたいと思います。
  435. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 再建監理委員会の御結論というのは七月ごろにはいただけるというふうに思っておりますので、そのどのような御結論をいただくかということが明確でない時点でございますので、それと現在ございます特別措置法との関係をどのように調整するかというのをちょっと今御答弁申し上げるのはなかなか難しいわけでございます。しかしいずれにいたしましても、再建監理委員会からの御提言は、国鉄の新しい効率的な経営形態、経営形態の変更、その他もろもろのことを含む大がかりなものでございますので、当然のことながら、現在ございます再建促進特別措置法との間の調整は図られなければならない。その中身次第によって、必要な法律案を提出いたしますときに、特別措置法との関係について所要の調整というものは法制的に行うべきであり、行わなければならないというふうに考えております。ただ、具体的にどうなるかというのは、私どもも今の段階では、監理委員会の御提言がまだ最終的に決まっていない段階ではちょっと申し上げにくい段階にございます。  それから、そのような場合に、現在転換しつつある一次線、二次線というようなものについてどのような措置がとられるかということでございますけれども、この一次線、二次線につきましては、これは促進特別措置法でも六十年度までに措置をとるということでなされておる線でございますし、そういう意味では新しい国鉄経営形態の変更の前提となる、それまでに措置を政府としてしておくべき線区というふうに考えておりますので、それは現行法の法制の体系の中で行っていきたいというふうに考えております。  その場合に、松前線のような協議が中断しておる線はどうなるかという問題でございますけれども、御承知のように、協議を中断しておるというのは、基準年次では該当しておったものが、その後利用者が増加したり、そういうことで基準の線からより上回っておるというものでございますので、この法律の適用関係については、もしその現行法に基づいて措置をとっていく場合には、同じような考え方を継続していくという考えになると思います。  ただ、御承知のように、一次線、二次線の次に三次線の問題というのがございまして、三次線の問題になりました場合には、松前線その他については改めて見直しというものが、また三次線とのバランスにおいて必要でございます。三次線の取り扱いについては、現在のところ基礎的調査をしている段階でございまして、それをどうするかはまだ未定の段階でございます。その段階において松前線との関係を判断いたしたい。  それからもう一つ、現在既に廃止転換をして助成をもらっておる線、御承知のように、バスに転換しました場合には五年間赤字の十分の十、第三セクター鉄道転換しました場合には五年間十分の五という赤字を国が補てんするということになっておりますが、これにつきましては、転換を既に終わっておるものでございますから、その助成というのは、新しい経営形態その他の法律いかんにかかわらず継続されるべきものだと考えております。
  436. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 まだ随分聞き足りない面がたくさんございますけれども、時間でございますので、終わります。
  437. 北口博

    北口主査代理 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。  次に藤木洋子君。     〔北口主査代理退席、松浦主査代理着席〕
  438. 藤木洋子

    藤木分科員 質問に入ります前に、二、三の写真の提示と、それから現物の資料をちょっと使わせていただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。  私の質問ですが、昭和四十七年三月の山陽新幹線の開通以来、沿線住民は、早朝から深夜に至る八十ホンを超える騒音、軽震に相当する振動など、日夜悩まされ続けてきております。テレビやラジオが聞き取れないとか電話が聞き取れない、会話が妨げられる、睡眠が妨げられる、子供やお年寄りが心理的、生理的影響を強く受けていることなどがどこでも共通をしております。十三年たった今日でも、新幹線公害は依然解決をしておりません。  そのような状況の中で、昨年の四月国鉄は、東京−博多間を五時間四十五分で結ぶため、新型車を投入し、時速二百六十キロで走らせる計画を決めたと伺っております。沿線住民や自治体は、このような一方的な計画発表に強い疑念を抱いております。  そこでお尋ねをいたしますが、昭和五十年七月二十九日に環境庁から告示されました「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」というのがございますね。その基準は、住居地域は七十ホン以下、商工業地域は七十五ホン以下となっているわけですが、これがちょうど十年目の期限であることし七月に達成しなければならない、こういうことになっておりますけれども、その七月までに達成できるかどうか、この辺をお聞かせをいただきたい。また、音源や振動源対策でどこまで低減できる段階にあるのか、こういったことをお聞かせいただきたいと思います。
  439. 岡田宏

    岡田説明員 お答え申し上げます。  山陽新幹線の騒音対策につきましては、発生源の対策と騒害防止対策とを組み合わせて推進をしておるところでございますが、現在、家屋防音工が本年度末で、七十五ホンの基準を超える地域につきましては、八〇%を超える見込みとなっております。これは助成の申し入れをいただきました方についてすべて対応をしたということになる数字でございます。なお、七十ホンを超え七十五ホンまでの地域にございます家屋につきましては、引き続き発生源対策の深度化を図るということも含めて対応してまいりたいというふうに考えておりまして、その具体的内容については、今検討を進めているところでございます。  それから、音源対策でどの程度低減ができるかというお尋ねがございましたが、音源対策につきましても、例えば架線から発生をいたしますスパーク音でございますとかあるいはパンタグラフが風を切ります音でございますとか、それからレールと車輪の転動音でございますとか、いろんな音源があるわけでございますが、これらをそれぞれつぶしていく必要があるということでいろいろな角度から検討を進めております。  また、その試験の結果を逐次適用いたしておりますが、現在の段階では、例えば防音壁にラムダ型防音装置、音の干渉によって消し合う装置でございますが、そういったものでございますとか、あるいは架線につきましてヘビーコンパウンドにいたしましたり、あるいはハンガー間隔を縮小をする、それからバラストマットを敷く、レールを研削をするというようなもろもろの手段の組み合わせによりまして、極力発生源におきますところの騒音のレベルを下げるという研究開発を進め、かつ、いろいろな試験を行っているところでございます。
  440. 藤木洋子

    藤木分科員 今のお答えですと、この七月にその基準を達成できるというふうにはとても考えられません。まだまだかかるという大変暗い見通しでございます。今おっしゃいました音源、振動源対策にいたしましても、私が伺っているところでは、昭和五十六年の七月に新幹線の騒音、振動公害対策の試験結果を発表していらっしゃいますけれども、そのときから余り進展がないように受け取らざるを得ない、こんなふうに思います。  そこで、七十ホンから七十五ホンの防音対策はどうするのか。今のお話ですと、逐次音源対策、振動源対策とあわせてやっていくんだ、こういうお話でしたけれども、具体的にはその防音工事にかかるというような見通しを立てておいでですか。いかがでしょうか。
  441. 岡田宏

    岡田説明員 発生源対策とそれから騒害防止等の対策と組み合わせて、七十ホンの地域につきましても逐次取りかかっていくという所存でございます。
  442. 藤木洋子

    藤木分科員 逐次ということで期日ははっきりさせられないわけですが、住民にいたしましたら、民家などの防音工事、防振工事、それだけが頼り、こういうことになっているわけです。現在進められている七十五ホン以上の民防工事対象地域の声を私は聞いてきたのですけれども、非常に深刻なんですね。  私の選挙区の尼崎、伊丹、西宮の各市で話してもらったところでは大変なものですが、尼崎市の瓦宮大船の吉野さんの例ですが、振動がひどいことを第一に挙げておられます。ここに持ってきておりますが、この屋根がわらがずれて、ここに雨どいがあるわけですけれども、雨どいにやっと屋根がわらが載って支えられている。これは何度直しても直してもすぐこういう状態になるということなんですね。よくごらんをいただきたいと思います。こんな状態ですね。それから二階に寝ていらっしゃいますと、南の方にどんどんどんどんずり下がっていくような、そんな不安な思いがしてとても二階では寝ていられない、こういうことで、階下でしか休めないということも訴えていらっしゃいます。また驚いたことには、昨年のちょうど梅雨時分ですが、山陽新幹線からこんな石が飛んでまいりました。この石が当たりましたのがこの雨どいなんですけれども、今もごらんいただいたらわかりますけれども、上のところがへこんでおりますね。ここは直しておりますが、この下は穴があいたそうです。これで穴があきまして、これはもう修理した後なんですよ。こんな状態にさらされているということなんですね。これもごらんをいただきたいと思います。その石が、雨どいだったから助かったけれども、もしも通学時分に下に子供でも通っていたらどんなことになったかと思うと、私はもう本当にぞっとするわけですね。ですから、その対策は極めて急いで進めていただかなければならないと思います。  これは尼崎だけではありませんで、振動の被害の訴えが最も多く出されておりますが、伊丹でも西宮市でも同じでございます。屋根がわらがずれるとか、二階の台所のサイドボートに置いてあったグラスが落ちて割れるとか、あるいは上下線が同時に通過するときというのは、どうんという音がいたしましておなかにしみわたる。トイレの壁やふろ場のタイル、こういったところにひび割れができましたり大変な被害を訴えておられます。特に土曜日、日曜日、祝日、お盆や年末年始は、ダイヤが込んで精神的にも生理的にも疲労がおびただしい、こういうことが放置されてよいかどうかという点でございます。環境庁が示しました指針値というのは、これは振動ですが、七十デシベルですけれども、今の例は七十デシベル以下のところで起こっている被害なのです。西宮市は、山陽新幹線建設当初、国鉄と覚書を交わしておられますが、この覚書の中で国鉄は六十デシベル程度を目標とするということを約束しておられたんですね。しかし、環境基準が七十デシベルということで発表されましたので、今はそういうふうになっているのですが、西宮はせめて六十デシベルまで指針値の強化をしてくれということを求めておられます。  そこで、環境庁にお尋ねをしたいのですけれども、この指針値七十デシベルの見直しをぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  443. 浜田康敬

    ○浜田説明員 ただいま先生指摘の新幹線鉄道の振動の指針値でございますが、これは環境庁長官から五十一年三月に運輸大臣に対して勧告した勧告書の中に明示されていることでございまして、それが七十デシベルを超える地域について緊急に振動源対策を講ずるということを申し入れたものでございます。ここで示しました七十デシベルの指針値でございますが、これは他の振動に係ります各種の基準値などとの整合性にも配慮し、それから当時の最新の科学的知見等に基づきまして中央公害対策審議会の答申をいただきまして、それをもとに設定しお示ししたものでございます。そういうことから、現在におきましても十分に妥当性を持つものであるというふうに我が方は考えております。
  444. 藤木洋子

    藤木分科員 今のお答えは私は大変悲しゅうございます。いろいろな振動の整合性というふうにおっしゃいますけれども、ここのお宅は新幹線が通るまでこんな被害がなかったんですよ。私が伺ってきたところはみんなそうなのです。新幹線が通り始めてからそういった被害が起こっている。しかもそれを御自分の手で直しても直してもそれが再現をされていく。本当にさいの河原のようなありさまなんですよ。そういった実態から出発をしていただきたいということを、私は強く重ねて要望させていただきたいと思います。  それからもう一つ、新幹線と航空機の複合被害地域であるにもかかわらず、わずかのところで対象外になっているという場合があるわけですね。伊丹市北向の第三望月荘に住む四軒の方々がそれに当たるわけですが、私もこの現場で新幹線の騒音が測定されますときに立ち会いをさせていただきました。立ち会っておりますと測定中に航空機が飛行いたします。そうすると、それは全部没になるんですね。一日に二百便を超える航空機の騒音を避けまして、純粋に新幹線だけをはかるというのが並み大抵ではないというのを私は体験したわけですけれども、そればかりではなくて、航空機の騒音をはかられるときにも新幹線を避けてはかる、こういうことになっているわけですね。どちらからも除外はされているのですが、しかし、その両方を複合的に被害として受けていらっしゃるこういう地域に対する救済策がないというのは全くけしからぬことだというふうに思うわけです。  そこで、これは大臣にお考えをいただきたいのですけれども、新幹線、航空機とも所管をしていらっしゃる運輸大臣としての責任で、この救済を進めていただくわけにはいかないか、この点をお答えいただきたいと思います。
  445. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸省といたしましては、これらの環境対策については十分配慮して今日まで参っておるわけでございますが、ただいまのような具体的な、航空機と新幹線の複合の公害等につきましては、ただいまお伺いしたばかりでございまして、実態がそうであるかどうかということに対して、私、今資料を持ち合わせませんし、航空当局もたしか来てないのじゃないかと思いますから、よく検討してみたいと思います。
  446. 藤木洋子

    藤木分科員 私は、今環境庁が複合被害についての地域対象にした基準を出していらっしゃらないというところにも一つ事業が進まない原因があるのではなかろうか、こんなふうに考えますので、運輸省とされましては、環境庁とも御相談をいただき、ぜひそういった基準を決めていただくような御要望も出していただいて、周辺住民を救済していただきますように要望をさせていただきたいと思います。  それからもう一つ、新幹線のスピードと公害の大きさ、これには密接な関係があるのじゃないか、こんなふうに思うわけです。開業以来二十年間も被害をこうむってこられた名古屋の沿線住民の方たちが、やむにやまれぬ気持ちで新幹線の時速百十キロヘの減速による騒音、振動の差しとめを求めてきたということにもあらわれていると思うわけです。環境基準すら達成できない現状をそのままにしておいて、現行よりなお速いスピード、二百六十キロ走行だけをどんどん進めるという姿勢は断じて容認できないところでございます。  そこで、環境庁にお尋ねをいたしますが、環境の改善や維持に責任を負っていらっしゃる環境庁といたしまして、環境基準の達成目標の期限を目前にしながら、現状をどのように認識していらっしゃるのか、また非常におくれをとっている国鉄に対して勧告や申し入れをされるようなお考えはないかどうか、時間がございませんので、簡潔にお答えをいただきとうございます。
  447. 浜田康敬

    ○浜田説明員 御指摘のとおり、環境基準につきましては、特に東海道・山陽につきましての環境基準の達成目標期限が本年七月に参るわけでございまして、環境庁といたしましては、本年中にも沿線地域におきまして達成状況の把握を独自にやってまいりたいと思っております。環境庁といたしましては、この調査結果を踏まえた上で、騒音等の対策推進につきまして関係機関に必要な働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
  448. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひともその関係機関の一つには国鉄をしっかりと入れていただきまして十二分に御指導いただきたい、しっかりと要望を伝えて改善が図られるまで粘り強く頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  二百六十キロ走行につきまして、国鉄は環境アセスメントを行って沿線住民、関係自治体に公表して納得を得るべきであると考えるわけです。営業政策だけが先行するような現行のやり方は、今後に大きな問題を生むことになる。国鉄の総裁にお伺いをいたしますけれども、その点どのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  449. 岡田宏

    岡田説明員 新幹線のスピードアップを行うというような場合につきましては、当然のことといたしまして沿線の環境に十分配慮する必要があるというふうに考えております。現に東北新幹線におきまして、この三月十四日から在来のスピード二百十キロを二百四十キロに向上するということで計画を進めておりますが、その場合におきましても、約一年間につきましていろいろな騒音、振動対策の成果を適用し、そのスピードアップによる騒音の若干の増を十分打ち消すだけの対策がとり得るということについての確信を得て実施いたしております。今後も新幹線のスピードアップ考えるような場合には、環境対策につきまして万全の対策をとって進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  450. 藤木洋子

    藤木分科員 今のお答えは納得できません。とり得るというふうにおっしゃいましたけれども、公害対策といいますか音源対策も、先ほど伺ったデータでは出ていないのじゃないですか。しかも七十ホン対策ができていない現実で、そんなことを言っていただいても私は納得するわけにはまいりません。総裁、やはり総裁のお口からお答えをいただきたいと思います。
  451. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今、担当常務からお答えいたしましたが、現在山陽新幹線において計画として二百三十という数字を考えております。ただ、これにつきましては、まだ車両がございませんので、今製作をしておりますが、それによりまして試験をしていくということを考えている段階で、営業にいつ入るかというようなことについてはまだ決めておりません。これは御承知のとおり、東海道の線路あるいは車両と共通になりますものですから。そういうことでございますので、今、担当常務からお答えしましたように、試験の段階その他で十分地元の方と御連絡をしながらやってまいりたいというふうに考えております。
  452. 藤木洋子

    藤木分科員 総裁、その地元との相談というのは、合意を得るまで本当に協議を進めて、民主的に進めていただきたいというふうに、そのお言葉信頼させていただいて、ぜひそのような態度を貫いていただきますように重ねてお願いを申し上げます。  いま一つ私が御質問申し上げたい問題は、障害者に対する公共交通機関の問題でございます。  障害者が必要に応じて社会生活に参加できるように公共交通機関の整備が急がれているわけですが、特に既設の駅舎を障害者にとって安全で利用しやすい施設改善することは、長い間の障害者の要望となってまいりました。一九八一年の国際障害者年の中でこのことの重要性は改めて確認をされたところでございます。政府も今後十カ年にわたる長期計画の中で、「駅舎、車両等の整備に当たっては、障害者の利用に配慮するとともに、介護体制等の充実を図る。」ということをうたってこられました、国鉄、私鉄の現状を見てみますと、とても全国で三百五十万人を超える障害者にひとしく移動の自由を保障するまでにはほど遠いものがございます。今のテンポで駅舎の改善が行われるならば、十年たっても、恐らく一番進んでいる点字ブロックの敷設からいっても二割程度にとどまるのではないか、こんなふうに考えております。国鉄には駅舎の改善を進める年次計画がおありなのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  453. 須田寛

    須田説明員 国鉄の身体障害の方々に対するいろいろな設備につきまして、大体十年ぐらい前から計画的にやっておりますが、ただ問題は、この駅を何年にどういうふうにするかという年次計画ではなくて、むしろ改良工事、いろいろな新幹線の建設でございますとか駅の改良工事がございますが、こういったときに必ずやるということをまず方針としてはっきり決めております。それ以外につきましては、どこの駅、どこの駅というのは具体的に管理局において指定をいたしますが、年間、ある程度の規模におきましてこれを進めておりまして、実はかなりな程度進捗はいたしております。ただ、御案内のような財政事情でございますので、工事経費全体が非常に厳しい折でございますが、やはりこういった体の不自由な方々に対する設備と申しますのは経営以前の問題かと存じますので、その中では精いっぱい努力をしてやってまいっておるつもりでございます。
  454. 藤木洋子

    藤木分科員 年次計画がないのが問題ですよ。そんなふうに思われませんか。  それも問題ですけれども、しかし、現在の駅舎の改善方法にも私は問題があるというふうに思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。  障害者の声を鉄道事業者がよく聞くということが、この事業を進める上では最も大切だという点でございます。  一つは、各駅でもこうした声が聞き取れるように、駅長が対応するように指導を徹底していただきたい、こんなふうに思いますね。障害者団体の皆さん国鉄本社を訪れて要望したときには、本社では、各駅で聞くべきだというふうに答えられたそうです。そこで、兵庫視力障害者を守る会の方が阪神間の芦屋の駅に行かれまして要望されたのですが、この駅長さんは、私は当事者能力がない、回答する権利がない、こんなふうに言いながら、要望を聞くことはできないと回答された。私はこれは不届き千万だと思うのですね。こういった態度を改めていただくようにぜひひとつ指導を徹底していただきたい、こんなふうに思うわけです。その点も後でまとめてお答えをいただきたいと思います。  もう一つは、障害者の声を聞いて駅舎の改善を進める問題ですが、具体的には点字ブロック、これは視力障害者にとっては目のかわりとも言える大切なものでございますね。ところが、これが駅によって張り方がまちまちですし、非常に中途半端なものもございます。阪神間のある私鉄の場合ですが、これも写真を持ってまいりました。これは阪神の今津駅なんですが、こちらから御指導もいただいて、運輸省の方からちょうど今御指導いただいている最中でございますけれども、よくごらんになってください。このブロックを盲人の方がつえでずっと伝って行きますと、この柱に必ずぶつかるというところに敷設されているわけですね。こういうのは本当に障害者の立場に立っていないやり方としか言いようがないわけですよ。これは健常者の人を私は責める気はないのです、やはり視力障害者の方でなければ気がつかないことなんですね。ですから、参加をさせて、そういった施設改善するという措置をとっていただきたい、このことを強く御要望申し上げるわけでございます。  国鉄に重ねてこの点もお願いをするわけですが、障害者の方や専門家、こういった人たちを参加させて、その場で研究や検討をして、一定の統一したブロックの張り方、こういったものをぜひ御検討される必要があるのではなかろうかと思うのですが、その点のお考え。  いま二点お伺いしましたが、お答えをいただきたいと思います。
  455. 須田寛

    須田説明員 今先生指摘ございました、そういった体の不自由な方々に対する設備をつくるに当たりまして、やはりそういったお体の不自由な方の御意見を聞かなければいけない、これは当然でございますので、私ども実は、体の不自由な方お一人と、それから目の不自由な方お一人、これは団体の役員をやっておられる方で、その方自体がやはりそういった障害者の方なんですが、嘱託にお願いをいたしまして、御意見を聞きながらやってはいるわけでございます。  それと、運輸省さんの方で最近マニュアルをおつくりいただいておりまして、私鉄と国鉄との設備につきましても、ある程度の整合性を図るようにという御指導もいただいております。  ただ、その一人二人の御不自由な方でなしにもっと幅広くお聞きしなければいけないという問題もあるのかもわかりませんし、それから地域実情もいろいろあろうかと思いますので、なお一層そういう御意見を吸収するような努力はいたしますが、そのような努力はこれまでもいたしてまいりました。ただ、それが先生の御指摘で必ずしも十分でないということだろうと思いますので、なお十分にそういった方々の本当にお役に立つ設備にするような努力を、運輸省の御指導もいただいて、私鉄とも協力しながらやってまいりたいと思います。
  456. 藤木洋子

    藤木分科員 私鉄にもかかわることですので、運輸省の方でもぜひその点を進めていただくようにお答えをいただこうと思っておりましたが、時間がございませんので、次の質問に入らせていただきたいと思います。  もう一つ、尼崎で障害者の生活と権利を守る尼崎連絡協議会という団体があるのですが、ここが国鉄の尼崎駅長に提出されました要求書がございます。これは去年の十二月でございます。この中でも、東海道線の上下ホームへの点字ブロックの敷設をお願いしておられるわけですが、調べてみますと、既に五年前にこの予算委員会の第三分科会で当時の木下元二議員によって指摘され、このとき運輸省は、実情をよく調べて検討するように国鉄の方に指導したいというふうに答えていらっしゃいます。ところが、私、今月二日の日にこの駅へ行ってまいりました。けれども、全く放置をされて何ら手だてがとられていないわけですね。一体国鉄は、この運輸省の指導にどういう責任をとられたのか、その点を伺いたいと思うわけです、  このホームと並びまして、福知山線のホームがございます。この福知山線はその後に改築をされたわけですけれども、改築に伴いまして上りホームにはブロックが敷設されているのです。このホームを使います乗降客、このお客さんの数、利用者の数から見ますと、東海道本線の方がはるかに多いという状況になっているわけですね。先ほどもおっしゃいましたけれども、新しい駅、改築されたところには必ずやるんだ、それは結構なんですけれども、そこにやるのなら、同じ並んでいるホームなんですから、利用者の多いところにもやっていただくということがなければ、余りにもこれは機械的なやり方じゃないかということを私は申し上げざるを得ないと思うのです。  この五年も放置してこられたことの責任をも追及させていただきたいと思うのですが、これを今後どのようにされようと思っていらっしゃるか、誠意のある御回答をいただいて、ぜひともこれは進めるというふうに御答弁をいただきたいと思うわけです。その点お願いいたします。
  457. 須田寛

    須田説明員 今先生おっしゃいましたような御質問の中で御意見が出たということは、当時連絡を承っております。よく検討するようにという御指示を承っておるわけであります。  その後、御案内のように、福知山線の電化工事がございましてホームのかさ上げをいたしました関係がございましたものですから、そのときに実は福知山線ホームだけは誘導ブロックを完備させたわけでございます。それで一つの前進がなされましたので、その後若干、東海道線ホームを改良いたしますのが本日までおくれておる、これは私は大変申しわけないというふうに考えております。  それで、やはりいろいろ現地の実情を管理局から聞いてまいりますと、同じ駅であるホームにはブロックがあってあるホームにはブロックがないということでは、せっかくのブロックの効果がないということは事実のようでございますから、局全体としていろいろこれから工事を進めるバランスもあろうかと思いますので、そういうことも考えながらなるべく早く、先生指摘のように、東海道線ホームにも備えるべきものと思います。そのような方向で管理局をなおよく指導督励いたしたいと思います。
  458. 藤木洋子

    藤木分科員 時間が参りましたけれども、大変なおくれを来しているのは、予算不足というか、そういう苦しい財源の中での措置であろうと私は思うのです。しかし、予算がなくても新幹線のグリーン車には個室をつくるとかいうことは検討されていらっしゃるわけですね。ですからそういった折に、障害者のための対策にお金を使うのはむだだ、そういうような態度は絶対に慎んでいただきたいし、何といっても優先的にやっていただきたいと思うわけです。障害者のための施策というのは、子供やお年寄り、病弱な人にとっても非常に貢献するといいますか、役割を果たすわけですから、これは率先してやっていただきたいと思います。利用者と労働者を犠牲にして国鉄再建は断じてあり得ないと申し上げなければならないと私は考えておりますし、安全でサービスの行き届いた国鉄への転換をしてこそ国民からも信頼され、支持も得て国鉄再建を本当に果たすことができるだろう、こんなふうに思いますので、誠意を持って当たっていただきますことを重ねて強く要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  459. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて藤木洋子君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  460. 草川昭三

    草川分科員 公明党・国民会議草川昭三であります。  最初に建設省の方にお伺いをいたしておきます。建設省の方、最初のところだけで結構でございます。  御存じのとおり、中部地方はそれぞれ個性のある役割を持った地域が散在をしておるわけでございまして、この地域の活性化ということが言われて久しいわけでございますが、これらの地域の一体化を図るためには、これは言うまでもないことでございますが、どうしても交通体系の整備ということが非常に重要な役割を果たすわけでございます。そのために実は地元の方には、東海北陸自動車道の建設促進とかあるいはまた東海環状都市帯構想とか、いろいろなものがあるわけでございます。後ほど中心にしてお伺いをしたい中部新国際空港への積極的な取り組み、こういう問題等たくさんあるわけでございますが、個性を持つ各地域を結ぶ中核として、愛知県の場合は名古屋市という大都市があるわけであります。これらを有機的に結ぶことが極めて大切になってくるわけでございますが、そのために名古屋周辺の高速道路網の整備がそれなりになされてきておるわけでございますが、都市高速道路とのアクセスがうまくいっておりません。そういう意味で、まず最初に、名古屋高速二号線の整備状況についてお伺いをしたい、こう思います。
  461. 駒田敬一

    ○駒田説明員 建設省でございますが、お問い合わせの件の名古屋都市高速道路につきましては、先生承知のように昭和四十五年度から事業に着手いたしておりまして、昭和五十四年度までに二号線の円上−大高間十・九キロメートルが供用されまして今日に至っております。現在、名古屋の高速道路公社におきましては約二十キロメートルにわたり建設事業を進めておるところでございますが、このうち約四キロメートルは来年度、六十年度に供用される見込みでございまして、残りの約十六キロメートルにつきましてもおおむね第九次道路整備五カ年計画期間内に、昭和六十二年度でございますが、完成する予定でございます。  あと二号線についての個別のお問い合わせもございますのでちょっと申し上げますと、昭和六十年度内には東新から円上間、二・七キロございますが、これが完成いたします。それから六十二年度になりますが、楠−萩野通間二・六キロメートル、これが完成する予定でございます。
  462. 草川昭三

    草川分科員 今最後におっしゃいました萩野通のところでございますけれども、実はつい過日、名古屋市議会で本山政雄市長が、地下、半地下式で計画をされているところの名古屋都市高速道路二号線北部、今おっしゃったところですね、これについて、今後の見通しは建設費、建設工法、工期、採算性など総合的に検討をし、判断をしたいということで、従来の地下、半地下式の計画を高架式に変更するととれるような御答弁があったやに報道関係は報じておるわけです。二号線の北部が高架式に変更になりますと、これはまた従来の条件と相当違ってくることになるわけでございますが、このことについてどのように御承知なすっておみえになるか、お伺いしたいと思います。
  463. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、そのような報道が新聞でなされたことは、私どもは新聞を送っていただきまして存じ上げております。ただ、先生もちょっとお触れになりましたが、そういう正式の真意があるかどうかは、私どもは直接伺っておりません。私どもといたしましては、有料道路でございますので、道路の採算が成り立つということが前提でございますので、いろいろな観点から検討する必要があると考えております。いずれにしましても、名古屋高速二号線は都心を中心に南北に縦貫する重要な路線でございますので、私どもとしては早急に整備する必要を感じております。
  464. 草川昭三

    草川分科員 今おっしゃいましたように、建設費のアップあるいは供用開始をした場合の採算性ということになりますと、もし現地の方で高架式に変更ということになりますと、当然のことながら許可の条件が違ってくることになるわけでございます。その場合、これは仮定の話でございますが、建設省としてはどういうような態度をとられるのか、お伺いします。
  465. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  今申し上げましたように、いずれにしましても採算性が前提でございますので、そういう検討をなされた資料が参りますれば、私どもはそれを受けて検討させていただくということになります。
  466. 草川昭三

    草川分科員 ついでというと悪いのでございますが、実はこの許可を申請した五十一年当時でございますが、名古屋市の高速道路の公社の理事長と市の助役と建設省の間に、高架式を再検討するというような文書が交わされていたということが現地でもいろいろと問題になっているわけでございますが、その点についてどのような経過であったか、お伺いをしたいと思います。
  467. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  私も細かいことは存じ上げませんけれども、そういう話があったということは新聞等の情報を通じて伺っております。細かいことは、当時の担当者から聞いておりませんので、私、存じ上げておりません。
  468. 草川昭三

    草川分科員 きょうは分科会でございますから、そのことがいいとか悪いとかということは申し上げませんけれども、一応そういう流れがあったことでこういうことになったということになりますと、当時計画説明した、あるいは地域住民に発表したこと等についても随分問題があるわけでございまして、その点は今後、まだ変更の届け出がございませんからあれでございますが、その時点になりましたらまた私どもも改めて当時の経過を明確に求めていきたい、こういうふうに思っておりますので、とりあえずきょうは以上の点で終わりたい、こういうふうに思います。では建設省、結構でございます。——ごめんなさい。もう一つ質問がございました。  いわゆる名古屋都市圏の鉄道網の整備について、四十七年に都市交通審議会が出した骨格があるわけでございます。これが随分人口などの見直しも違ってきておりますし、見直す必要があると思うのですね。この交通計画等についても少し長期的に見なければいかぬという場合もございますが、この中で地下鉄の役割が非常に大きいわけでございまして、この都市計画、都市交通審議会の変更ということがあり得るのかどうか、見直す必要があるのではないかと思うのでございますが、その点はどうでしょう。
  469. 服部経治

    ○服部政府委員 名古屋圏の鉄道整備の問題につきましては、ただいま先生指摘のとおり、昭和四十七年に当時の都市交通審議会から出されましたいわゆる十四号答申というものに沿いまして、これまで私ども鋭意鉄道網の整備に努めてきたところでございまして、その後、三号線でありますとか四号線でありますとかあるいは一号線の延伸でありますとか、計画が着々と実施に移されていることは先生承知のとおりでございます。  この十四号答申に盛られました当時の鉄道整備のための長期計画の見直しの問題につきましては、その後におきます名古屋圏の人口の動態的変化でございますとか、答申路線のその後の整備の進捗状況でございますとか、あるいは各種鉄道の現在の混雑状況でございますとか、そういった各般の事情を十分勘案いたしまして今後検討すべき問題と考えておるところでございます。
  470. 草川昭三

    草川分科員 では、それは結構でございます。  そこで、問題は地下鉄整備、これもある程度条件が変わってきておる、あるいは最初に申し上げました高速道路網との関係、これも一つ新しい条件が出てきたということを踏まえまして、今度は空の話にいくわけでございますけれども、当然のことながら中部圏の中における航空輸送というのが非常に大きな役割を果たしてくることになります。  そこで、まず運輸省航空局にお伺いをしますが、中京地区におけるところの航空輸送に対する施策というのは一体どうなっておるのかということをお伺いしたい、こういうふうに思います。
  471. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのような航空輸送というものは、これから我が国の旅客交通の極めて中核的な地位を占めてくるということは考えられるわけですが、その点では、中京圏におきましては現在名古屋空港があるということで、名古屋空港を中心とした交通体系ができているわけでございます。  名古屋空港は、年間の乗降客数は国際線が三十二万、国内線が二百三十万ということで、正直申しますと、全国の航空交通のネットワークからは、例えば旅客の乗降の順位から申しますと、名古屋空港は全国で七位でございます。国際線につきましても極めて多くないということで、そういう点では名古屋自体、中京圏全体は東海道のメガロポリスの中にありまして東海道新幹線を中心とした交通の非常に要衝にあるために、かえって航空交通につきましては比較的地位が低いということになっているのが実情だと思います。ただ、名古屋空港自身の航空交通におきます容量というものは、滑走路につきましてはかなりあるわけでございます。ただ、ターミナルにつきましては現在その限界に近づいておりますので、新たなターミナルの整備ということに努めておりまして、これからの航空需要の増強に対応するために措置している次第でございます。
  472. 草川昭三

    草川分科員 今中京地区、特に名古屋空港における乗降客の数あるいはまた国際的な利用率の問題等について言っておられますけれども、この名古屋空港も、以前に比べますと随分乗降客もふえまして、いわゆるターミナルの施設等も予算がつきまして変えているような状況にもなってきているわけです。そういうような状況の中で、年間の乗客数というのは、これは後で申し上げますが、非常に国際化の時代を迎えているわけでありますから今後も伸びる見通しがあると私は思うのです。でございますが、航空局としていわゆる将来の乗客数の動向というものをどのように見られているのか、お伺いします。
  473. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在、私ども航空審議会に対しまして、これからの将来二十一世紀を展望しました航空交通の状況はどうなるかということを今御検討いただく段階になっております。したがいまして、長期の航空交通のあり方あるいは将来需要の見通しについては今勉強中でございますが、ただ、一般的に申し上げられることは、お話のように国際化ということのテンポは非常に速い。特に国際旅客あるいは国際貨物というのは、ここ数年の景気の停滞にかかわりませず非常に伸びてきております、  そういうことで、国内の旅客以上に国際のものをこれから大きく評価していかなければならないということでございます。ただ、現実の国際交通の希望というのは、現在のところは東京と大阪両方の地域に集中しております。今後各地域の開発が進むに応じまして各地域ごとに国際化というものへの取り組みをしていく必要が出てまいりますので、それぞれの各地域で国際化というものをこれから検討していく必要があろうかと思っております。
  474. 草川昭三

    草川分科員 さて、そこでいよいよ、これはきょう私、一番大臣にも聞いていただきたいことでございますが、今私ども地元は、国に対して超党派で中部の新国際空港をぜひつくろうではないかというわけで、江崎先生が会長になられまして、あしたの朝その期成の議員連盟ができるわけでございますけれども、これは活性化というような言葉も使われておるわけでございますし、地元といたしましても本当に二十一世紀へ向けて国際化、こういう時代が来たのではないかというので非常に大きな盛り上がりが今行われております。そういう意味で、これはいずれ——いずれというよりももう既に地元の方からも運輸省の方にもあるいはまた国土庁等にもいろいろな働きかけがいっておると思うのでございますが、その点についてどのような対応をなされるのかひとつお伺いをしたい、こういうように思います。
  475. 西村康雄

    ○西村政府委員 中部地域のために国際空港をつくりたいという御要望につきましては、私どもも十分承知しております。今お話しのような、超党派でこういった問題を促進しようという動きが出ていることもお聞きしているわけでございます。  確かに東海地域というもの、中部圏というのは、人口も一千万余を数えまして、非常に大きな経済的なポテンシャルがあるというところでございます。ただ、現状は、先ほど申し上げましたように比較的航空交通については後進的な状況、これだけの大きな経済圏を持っているにかかわらず、非常にふつり合いと言えばふつり合いな状況でございます。実際に、今後中京圏がいろいろな意味で経済的な発展をし、そしてまた国際化の速度を速めていきますときは、この地域に国際空港としての能力を十分持った空港を欲しいという御希望をお持ちになるのも、また当然のことだというふうに考えております。  ただ、当面のところ、まだ小牧というものについては十分利用されていないということが一つ言われますし、また、先ほど申し上げましたように、中部圏の航空交通の国際化ということは、まだそれほど進んでいない。現実に各国との交流をいろいろと見ていますと、ぜひ名古屋へ乗り入れをしたいという国はまだそれほど多くない。これから中部圏が実力をつけ、国際化が進むにつれてそのようなこともかなり出てまいるとは思いますが、現状ではまだそうでない。したがいまして私ども、この中部の国際空港の構想というものは、やはり二十一世紀の一つのプロジェクトとして考えていくのが現段階では適当じゃないかというふうに思っております。御承知のように、このような大きな空港をつくりますのは、関西国際空港の例を見ましても非常な長年月がかかります。そういう意味では、今から十分ひとつこの問題にお取り組みいただくということは、大変有意義なことだというふうに思うわけでございます。  また、実際にどういうところへ立地するかということは大変難しいことでございます。関西の国際空港の場合でも非常な紆余曲折がございました。そういう点では、中部の国際空港につきましてもどういう構想で空港をつくるかということの合意、そして具体的な立地の合意というところへ持っていくのは、大変難しいいろいろな問題があると思います。また、実際に立地するところが地盤その他が十分かどうか。例えば伊勢湾に立地するとなりますと、伊勢湾という地域は、全体にヘドロ地域かなりございますし、地盤のいいところもあるというところですから、そういうところもよく考えなければならない。また、工事費のできるだけ安いところということも選ばなければならない。そして何よりも、この空港が関西国際空港と同じように、二十四時間空港というようなことで恐らくいかれるだろう。そうなりますと、騒音公害が起きないような配慮というものが必要でございます。そういう点からの制約もまたあろうかと思います。それから、非常に財源的な点から申しまして、できるだけ安い空港、それからまた多くの方が利用できるようなアクセスのいい空港というような、いろいろな見地からの検討が必要でございます。そういう意味での検討と、そして具体的なこういうやり方がいいということの合意、そして最終的にはどういう事業主体がどんなふうにつくっていったらいいかということまで持っていくのは、大変長年月がかかると思います。そういう点では、まず地元がこういう点をお詰めいただいて、地元の具体的なお考えをお示しいただくということが何より肝要かと考えている次第でございます。
  476. 草川昭三

    草川分科員 今局長の方から、非常に詳しく問題点、そういう地元一つの方向性がつくられることが大切だという、方向というのをお答えになったわけでございますが、地元の方はおっしゃるとおりの形で非常に熱意を持っておりまして、例えば名古屋市も愛知県も、新空港の先行的な調査費もつけようではないか。そしてまた、おっしゃられましたように、幾らこちらが頑張りましても、相手国の方からそこへぜひ来たいというようなことがなければだめだということも、おっしゃるとおりでございます。そういう意味では、幸いにして愛知県を中心とするこの中部というのは、自動車、あるいはまたニューセラと言われる新素材関係、あるいはまた重化学、軽工業、半導体等非常に幅の広い集積地でもあるわけでございますから、やろうと思えば十分これは対応ができると思うのです。そういう熱意があるということは十分これは大臣も認めていただきたいと思うし、そういう受け手が必要ではないか、こう思うのです。  ここで大臣から、ひとつこの問題についての答弁をお願いいたしたいと思います。
  477. 山下徳夫

    山下国務大臣 草川先生の強大な発露でもあり、これから名古屋を大きく飛躍させよう、私はそれは大変結構なことで、基本的には私も大歓迎でございます。  ただ、現時点におきましては、局長からも申し上げましたように、まだ名古屋の空港が余力がある。滑走路の長さからしても、ジャンボだって離着陸に十分でございますし、また離着陸の回数にも余力がある。同時にまた、現在の利用度と申しますと、私の記憶に間違いがなければ、例えば日本における国際線の離着陸は、たしか全体の七割が成田でございますし、羽田を含めてですね、それから大阪が二割ですか、あとの一割ぐらいを名古屋、そして新潟、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄、こういう空港から現在外国へ飛び立っていますが、それ全部一緒にしても一割そこそこでございます。ですから現在は十分間に合っている、あるいはまだ相当伸びても間に合うということでございます。  ですから、中部の経済界が二十一世紀の中部のビジョン等掲げられるのは、私もむべなるかな、よくわかるわけでございますが、何せ空港は十カ年ぐらいかかりますから、今から二十一世紀に向かってそういうかけ声でもっておやりになるのは結構だと思いますが、何よりもやっぱり地元のコンセンサスが第一でございますから、先生方中心になって大いにまず地元の合意を早くまとめられて、そしてそれに私ども運輸省もひとつ御協力申し上げる、こういう態勢でいってはどうかと思います。
  478. 草川昭三

    草川分科員 おっしゃるとおりでございますので、そういう方向で、地元の方といたしましても、超党派でこの問題の成功のためにこれからも努力をしていきたい、こういうように思っておるわけでございますので、ぜひまたいろいろと中央の立場としての助言なり援助をお願い申し上げたいと思うわけであります。  そこで、国土庁にちょっとお願いを申し上げますけれども、私ども、いわゆる国際化ということを盛んに言っておるわけでございますし、国土庁は少しグローバルというのですか、非常に大きな立場からいろんなことを考えておみえになると思うのでございます。この二十一世紀に向けての中部圏計画というのを独自に国土庁も持っておみえになると思うのでございますけれども、こういうような新空港の構想が論議されておることとあわせまして、どのような御見解を持っておみえになるかお伺いしたい、こういうように思うのです。
  479. 白兼保彦

    ○白兼説明員 先生指摘の二十一世紀の中部圏計画といいますのは、二十一世紀の第一・四半世紀ぐらいを展望しながら、大胆な発想で今後の中部圏のあり方というものを自由に各界の御意見を聞きながらつくり上げていこうということで、現在公共団体とも一緒になって国土庁は取り組んでおるところでございます。  先ほど御質問ございました新しい空港の問題というのは、やはり今後の中部圏の国際化への対応とか、それから中部圏におきます高速交通体系を整備していくという観点からいきますと、本当にこの計画づくりにおきましては重要な課題の一つである、こういうように私たちも考えておりまして、この計画づくりでいろいろな方々の御意見等聞いてまいりますが、大いに御議論を進めていただきまして深めていただくということを、国土庁としても期待したいと思っているところでございます。
  480. 草川昭三

    草川分科員 本来ならば、四全総の中にぜひこれを入れてもらいたいとかいうところでございますが、まだまだそれは運輸省等の基本的な考え方も煮詰まっていないところでございますから、きょうはこの程度で終わりたいと思いますが、ぜひ今後とも、この中部圏の将来の発展のために、この問題について積極的な取り組み方をお願い申し上げたいというように思います。  時間が来たようでございますので、非常に中途半端なことになりますので、最後に一言だけ。  コミューター航空という問題が、今非常に我々にも関心を呼んでおります。一体このコミューター航空というものをローカルの——これは承認というのは地方局長ということになるのですか。一体これは展望があるのかないのか、積極的に助成する気があるかないか、簡潔に答弁をしていただいて終わりたい、こういうように思います。
  481. 西村康雄

    ○西村政府委員 私ども、コミューター航空と申しますのは、いろいろな意味で評価しているわけでございます。一つは、これまで航空交通の発達を支えてきたのは、旅客機の大型化ということで大量航空交通をしまして安く提供をする、これが航空交通を普及してきたゆえんでございますが、しかし、現在の我が国経済の発展に応じまして、航空の可能性を将来に開くという意味からは、小型機による活用ということもまた重要でございますし、需要の比較的少ない区域でも航空交通に対する需要が出てまいりますれば、それにできるだけ応じていきたいというのが基本の考え方でございます。そういう意味では、コミューターにつきまして各地でいろいろな御工夫をいただくということは結構だというふうに考えておるわけです。  ただ、コミューターの問題は、今申し上げましたように非常にコストもかかるということでございますので、この高負担のコミューターというものをどうやって活用していくかということは、いろいろな意味での皆さんの工夫をいただかないとやれないということで、どんな仕組みでこれを普及するようなことを考えたらいいか、関係の方々と一緒にこれから研究していきたい、そんなふうに考えている状況でございます。
  482. 草川昭三

    草川分科員 終わります。
  483. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、矢山有作君。
  484. 矢山有作

    矢山分科員 最初にお願いしておきますけれども、わずか三十分しかないので、極めて簡潔に、長い説明はよろしいから、お聞きしたことに対して単刀直入に答えてください。  まず最初にお聞きしておきたいと思いますのは、国鉄再建監理委員会第二次提言で、基本的には分割・民営化の方向を念頭に置いて今後その具体的な内容を検討する、こう言うのです。ところが、分割・民営化が一番いいのだ、これをおいては国鉄再建はできないのだというような空気がどうも充満しておるようなんです。  そこで、一体分割・民営化というものをやったときのメリットもあるのだろうが、デメリットもあるのだろう、これは常識的に私はそう思うのですが、そういう点の御認識はどうですか。これは運輸省国鉄と両方から答えていただけば一番いいのですけれども、しかし、それをやっていると時間がなくなるから、当面この問題については運輸省からお考えをお聞かせいただきたい。
  485. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 私ども、国鉄再建監理委員会の第二次緊急提言と基本的に認識を同じくするということを、既に公式に表明をいたしております。そういう意味で私どもは、いろいろ問題はあると思いますけれども、現在の国鉄を効率的な経営形態にするには、基本的に民営・分割という形の方向で検討すべきだというふうに考えております。
  486. 矢山有作

    矢山分科員 それは私が知っておるから聞いたのです。分割・民営化が基本的方向になっておる、分割・民営化ぐらいいいものはないのだ、こういう空気になっておるが、しかし、分割・民営化といってみても、メリットもあればデメリットもあるのではないか、その認識はどうですか、こう言っているのです。聞いたことに答えてください、要らぬことは言わぬでいいから。
  487. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 私どもは、メリットもありデメリットもございますが、メリットの方が大きいというふうに考えております。
  488. 矢山有作

    矢山分科員 だから、どういう点があるか。
  489. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 まず、民営化の問題でございますけれども、外部干渉ということで現在国鉄はいろいろの制約を負っておりますが、民営であるという場合にはこの点が排除される。  それから現在、公社ということで経営責任が不明確であるということが指摘されております。総裁の裁量の範囲が少ないと経営の意欲を損なうというような問題がございますが、そういう点が民営化の場合には排除される。  それから、労使関係につきまして、当局側は当事者能力が欠如しておるというふうに言われております。また労働者側については、俗に言う親方日の丸というような意味での甘えがある、そういう点が民営の場合には厳しい現実で除去されるのではないか。  さらに、国鉄が負っております公社であるためにいろいろな関連事業とかそういうものが行えないという制約がございますが、そういうものが排除されるという意味でメリットがあるというふうに考えております。  それから、一元的運用を分割いたします点でございますけれども、現在の三十万人全国一元という組織は管理能力から見て余りにも肥大であるというような観点からは、これがある程度の形で分割される、そしてお互いに競争するという意欲がわくということに意味があるのではないかというふうに思います。  それから、全国一元であるがためのいわゆる画一的運用というものがございますが、これについては、分割することによって地域との整合性がとれるというような意味でのメリットがあるというふうに考えております。  さらに、現在は東京の国電の利益で北海道とか九州というようなものもある程度賄うという、いわゆる合理的範囲を超えた内部補助が行われているというふうに言われておりますが、そういう点が、分割をすることによってそれなりの合理的な範囲の方向に向かうであろうというような意味でのメリットがある。  以上のような諸点から考えまして、国鉄を効率的な経営形態にするには、やはり全国一元公社という形からの脱却という方向で真剣に検討すべきであるというふうに考えております。
  490. 矢山有作

    矢山分科員 聞いておると、分割・民営化の方向を目指しておるというだけに、メリットの方だけ言って、デメリットのところは一つも言わない。  私は、デメリットもあると思うのですよ。民営化したから、あなたがおっしゃっているように、全部が全部よくなるというわけにはいかぬ。そのためには、日本の大企業の経営を見ておればいいのですよ。あれは資本と経営が分離されておる。それなら、大企業の経営が、見ておってすべてが効率的か。そうばかり言えない問題もあるわけですよ。外部干渉の排除だと言う。外部干渉が全部完全に排除できるかというと、なかなかそうはいかない。いろいろな政治的な結びつきもある。そういったことを考えると、外部干渉が一切排除できるということも、これも理想ではあるけれども、民営に移したから必ずしもそれがやれるというふうにはなかなか考えられぬ。  しかも、民営に移したときにはどうなるか。株式を売却するときにいろいろな問題が起こるのではないかという危惧の念もある。資産譲渡について果たして価格が適正にやられるのだろうか、こういう問題もある。民営化したときには、いいところだけ食ってしまって悪いところは捨ててしまう、こういうこともある。だから、民営化に伴うデメリットもあるのですよ。  それから、分割の問題で言われたが、これもまたあなたはいいところばかり言った。ところが、悪いところもある。なぜかというと、本来鉄道事業というのは、その性質上集中管理に割合適しておる、こう言われておる。そうなると、集中管理に適しておる鉄道事業は、今のような情報伝達処理の機能が非常に発達した状態の中では、それを固守すれば余計集中管理上便利だということにもなる。ところが、分割されたのではそれがなかなか難しくなってくる、こういう問題もあるわけです。さらに、一貫した車両の編成というのができにくくなるのではないか、こういう問題もある。あるいは車両の運用難が起こるのではないだろうか、こういう問題もある。あるいは運賃精算事務が難しくなるのではないか、こういうデメリットもある。  あなたはメリットだけを言ってはいかぬので、デメリットの面も言わないといけない。それはなぜかというと、私は後で言いますが、再建監理委員会の言うことを全部すべて正しいのだと、あれを金科玉条にしなければならぬのだという観念を捨ててもらいたい。あなた方は、運輸省にしろ国鉄にしろ、長年国鉄運営してきた。そうすれば、国鉄の持っておる問題点が何かということは一番よく知っている。監理委員会の方がむしろ素人なんですよ。それに全部任せてしまって、何もかにも監理委員会が結論を出さなければ何もやれません、監理委員会の結論待ちだ、監理委員会の言ったことは、それに反対するようなことを言ってはぐあいが悪いんだ、こういう観念をまず捨てる、私はそれを厳しく言っておきます。  そこで、じゃ、それぞれ分割・民営化をやったときに、それぞれの分割会社経営が果たしてうまくいくのですか。私はこれに一つの問題点を持っているのです。  例えば、これに線区別の営業損益が出ている。それから地域別の経営成績、こういうものも出ているわけです。これは国鉄の監査委員会が詳しく分析している。これを見ると、首都圏及び近畿圏、ここはうまくいくようです。ところが、それ以外の地域は大体全部赤字が出てしまう。今まではどうなっておったかというと、私が言わぬでも御存じのように、国鉄経営の内部で出てくる赤字線の損失を黒字線の利益で補償しておったわけでしょう。つまり、内部相互補助のシステムというものがあったわけです。ところが、これが分割されてしまうと、全国規模ではこれが適用できなくなるんですよ。そうすると、黒字会社の方はどうなるのですか、コストに見合って運賃を引き下げることもできるかもしれない。赤字会社はどうなるか。赤字会社は大胆に運賃を引き上げなければいけない、あるいはそれができないとすればローカル線をどんどんぶち切っていく、そういうことになるかもしれない、あるいは、これまで内部相互補助システムによって賄われておった部分がなくなるのだから、その分だけ面倒を見てくれと言って補償要求が出てくるかもしれぬ。こういう問題が予想されるんですよ。その点はどう考えているのですか。
  491. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 私、先ほどメリットの面ばかり申し上げたということでございますが、確かに先生のおっしゃるようなデメリットの面があるということは十分予想されるところでございます。この点につきましては、そのメリットとデメリットを比較しながら検討さるべきだということで、現在監理委員会において、いろいろな意味での分割をした際の問題点、今先生指摘になったようなことも含めて総合的な検討が行われておりまして、運輸省も必要に応じてそれに対して事務的にいろいろ御協力申し上げておるという段階でございます。  それから二番目のお話の、分割したら果たしてそれぞれの会社がうまくいくかどうかという点は、これが最大の問題点だと私どもも考えております。先生の御指摘になるまでもなく、国鉄の黒字の大部分というのは、東海道新幹線、東京の国電、それに若干山陽新幹線、大阪の国電、こういうところから出ておるわけでございまして、これを分割いたしました際に、その分割の仕方によっては非常に利益の出る会社ができたり、ないしは全然採算の成り立たない会社ができるというような分割のやり方もあるかと思います、したがって、今監理委員会においては、それらの点をそういう形にならないようにどのような形で分割を考えたらいいかというところが最大の問題点として御検討が行われておるというふうに承知しております。したがいまして、この前亀井委員長から予算委員会お話のございましたように、それらの非常に難しい問題があるので最終結論はまだ出ない、こういうことで御検討が行われておるというふうに私ども承知しておりますので、その御結論を待っておる、そういう状況でございます。
  492. 矢山有作

    矢山分科員 国鉄監理委員会に何もかにも任して検討してもらわぬでも、それと同時に、あなた方長年国鉄経営に携わってきたのだから、みずからもやりなさいよ、どうするかというのを。国鉄さん、どう思いますか。
  493. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 私どもいろいろ勉強をいたしまして、御承知のとおり、ことしの一月十日に「経営改革のための基本方策」というものを出しております。いろいろ御非難もございますが、私どもとしては実務家の立場として効果的な方法を提案したというふうに考えておるわけでございます。もちろん、最終的には政府の方針に従うことは言うまでもございませんが、私どもとしてはあの基本方策の中に基本的な考え方を反映させたつもりでおります。
  494. 矢山有作

    矢山分科員 重ねて言っておきますが、全部国鉄再建監理委員会待ちじゃだめですよ、自分たちで積極的に考えなければ。監理委員会待ちだ、監理委員会待ちだ、監理委員会の言ったことはよかろうが悪かろうが全部聞かなければならぬというのは、これはそんなことじゃだめです。運輸大臣、しっかりしなければだめですよ。事務当局の答弁は全部監理委員会監理委員会で逃げてしまう。  じゃ、ちょっと角度を変えて聞きますが、五十八年度決算で純損益が、損失ですね、一兆六千六百四億円出ていますな。ところが、純損益がこれだけ出ておるのですが、五十八年度のいわゆる特定人件費といわれるもの、それから東北・上越新幹線の資本費相当額、それから長期債務に対する実質の利子負担、これは国から出たものを差し引いて実質利子負担、これを見ると損益はどうなりますか。
  495. 竹内哲夫

    竹内説明員 純損失は一兆六千億でございます。このうち特定年金相当額が二千七百五十二億円、それから特定退職手当純損失と申しますものが三千八百七十七億円でございます。それから東北・上越新幹線資本費相当額が三千五百五十一億円でございます。
  496. 矢山有作

    矢山分科員 それに長期債務の実質利子負担が何ぼある。
  497. 竹内哲夫

    竹内説明員 八千三百七十億でございます。
  498. 矢山有作

    矢山分科員 そうくると、損益はどうなりますか。
  499. 竹内哲夫

    竹内説明員 全部トータルいたしますと、一兆八千六百億円でございます。
  500. 矢山有作

    矢山分科員 私の言うことをわからないのかね。純損益が一兆六千六百四億円出ているでしょう、それは特定人件費やあるいは東北・上越新幹線の資本費相当額を見ているわけだから。特定人件費は、本来国鉄がかぶらぬでもいいものです。国に見させなければいかぬのだよ、こんなもの。それから、東北・上越新幹線の資本費相当額というようなものも国がかぶるべきなんだ。それから、長期債務の実質的な利子負担額八千三百六十六億、これらを加えると結局どうかといったら、利益が出てくるんじゃないですか。それを言っているんですよ。どうなんですか。
  501. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生のおっしゃるような計算もあると思います。ただ若干言わせていただきますと、例えて申し上げますと、利子負担というものの中には過去においての設備として投資したもの、その他国鉄の資産となって収益に還元されておるものもございます。それから、東北・上越新幹線の利子負担は、収入の分は収入に上がっておるわけでございますから、資本費をゼロで考えるということは必ずしも適当ではないというふうに考えますので、先生の御計算も一つ考え方ではあると思いますけれども、まだいろいろな問題点がございます。
  502. 矢山有作

    矢山分科員 そういうふうに細かく入っていけば、いろいろな問題点があるということはわかっています。しかしながら、大ざっぱに言って、そういうふうに見てくると、国鉄が赤字だ赤字だと言うけれども、本来国が負担すべきもの、というのは国鉄に負担さすこと自体が無理だというもの、いわゆる構造的なものから出てくるそういった負担を除外して考えるなら、この国鉄監査報告を分析してみると、赤字だというのはそうでかいものじゃないということですよ。というのは、一兆六千六百四億から特定人件費と東北・上越新幹線資本費相当額を引いていくと、一般の損失相当額が六千四百二十四億円出るわけだな。ところが、実質的な長期債務の利子負担というものをあなたの言う細かいものをのけて考えても、これが八千三百六十六億あるわけだ。そうするとその差額が何ぼあるか、約二千億くらいでしょう。そういうふうに見てきたら、子細に点検すれば、国鉄が赤字だ赤字だ、一兆何千億の赤字だというような実態ではないではないかということを言っているわけですね。まずそれが一つ。  それを前提にしておいて次にお聞きしたいのですが、国鉄監査委員会が五十八年度の監査報告を出しています。それでどういうことを言っているか、御存じでしょう。  経営再建を達成するために、国鉄の企業採算を超える構造的問題で、国鉄自身の努力では到底解決し得ないもの、それで三つ挙げておる。一つがいわゆる特定人件費と称するもの、一つが巨額の過去債務とそれに対する利子負担、もう一つ地方交通線から生ずる損失、この三つを挙げておるわけですね。そして、これらの解決を国鉄監査委員会は長年にわたって要望してきた。ところが、これまでの助成措置では問題の根本的解決にはならない。事態はますます深刻になっている。特に毎年度の欠損処理について、これを借入金によって補てんするという欧州諸国に例を見ない措置がとられてきたが、これは欠損と借入金が相互に増大していくという悪循環をもたらし、かつ問題の処理を先送りしてきたもので、これが国鉄財政の今日の窮状を招いた大きな要因であると指摘して、政府に対する抜本的な対策を求めてきておるわけですよ。まさに現在の国鉄の破産状態というものは政府責任なんですよ。監査委員会ははっきり指摘しておる。  この指摘運輸省、どう受けとめておるのですか。それで、これに対してどう対応しようとしているのですか。監理委員会に任してあるから、監理委員会の緒論が出るまで、ぽかんと待っているというのですか。
  503. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 監査委員会の御報告が、過去においてもそういうような御指摘があったということは事実でございます。そのような現実を受けまして、過去において、先生承知のように、四回国鉄再建策というのが講ぜられたわけでございます。そういう形の中で、過去債務を御承知のように五十五年度に五兆三千二百二十一億棚上げをいたしております。しかし、にもかかわらず、必ずしも経営は好転しなかったというような観点から、臨時行政調査会の答申を経て、今日の再建監理委員会という形になったわけでございまして、再建監理委員会において御検討いただくのは、まさに先生がただいま御指摘になりましたような、過去の長期債務の問題、それから過去に何回か棚上げしても好転しなかった原因というものを究明して、効率的な経営形態にした上で、今先生指摘のような、過去の長期債務その他についての負担で国鉄の責めに帰すべからざるものについては、これを何らかの形で国において処理をするというようなことで御検討をいただいておるというのが監理委員会でございまして、決して私ども、再建監理委員会にすべてお預けしておるわけではございませんけれども、今のような経緯を経て御検討をいただくということになったということで御理解いただきたいと思います。
  504. 矢山有作

    矢山分科員 ところが、それでやったけれども、国の措置が要するに中途半端だった。抜本対策になってない。欠損が出たのを、その欠損を借入金で穴埋めさした。だから、欠損と借入金が雪だるまのようにふえていってどうにもならなくなったんだと、こう言っているわけなんですよ。  やってきたことを僕は全部否定しているわけではない。やられたのはやられた。ところが、そのやられたことがまことに中途半端で、国鉄のこの経営改善する抜本策でなかったということを言っているわけですよ。これを私はやはり率直に受けとめなければいかぬと思うのですよ。  そこで、この議論だけでやっていたら時間がなくなっちゃうから、次に聞きたいのですが、日本国有鉄道、御存じのように、昭和二十四年に日本国有鉄道法の制定によって公社として発足したわけですね。いわゆるこの公社というもの、パブリックコーポレーションというものの本質は何なんですか。
  505. 竹内哲夫

    竹内説明員 公社につきましては、やはり公的な色彩を持ちながら効率的な運営をすることによって、鉄道経営の健全な発展をということを願ってつくられたものだと聞いております。
  506. 矢山有作

    矢山分科員 公社というものの本質は何かということについては、いろいろ議論があります。例えばロブソンという方が、公社というものはこういうものだということを言っていますが、そういうことは、時間がないから言わない。一つは、公社というものはどういうものかといったら、全く私企業に任じてしまったのではこれはやれない、しかし公共的な目的がある、そういうものを国の事業としてやる。しかしながら、国の事業そのものとしてやったのではこれは能率も上がらない、いろいろな問題が経営の主体性も損なわれる。そこで別の法人をつくって経営の自主権を与える。自由に自分で判断をしてどんどん事業を効率的に運営できるような余地を与える。そういうことで国の制約から直接解除する。国の予算でぴしっと締めてしまわない。そういうようなことをやるのが公社でしょう。つまり、公共目的を達成するために事業の効率的な運営をやらせる、それが公社の性格でしょう。こういうように言っていいですね。
  507. 竹内哲夫

    竹内説明員 これは、今の日本国有鉄道の目的として書いてありますように、やはり能率的な運営によって公共の福祉を増進するという趣旨でつくられたものでございます。
  508. 矢山有作

    矢山分科員 そこで、時間がだんだんなくなってくるので、この公社本来のあり方と今の日本国有鉄道公社のあり方は一体どうなんですか。公社本来のあり方を現在の日本国有鉄道という公社は、それをそのままやっていますか。私はやってないと思うのですよ。公社本来のあり方からは、現在の日本国有鉄道公社なるものは大きく外れておる。  なぜ外れておるか。一つは、国会、政府の監督、規制が余りにも強い。一つも変わってないんだ。公社ということにはなったけれども、昔の国営のころ、国が直接経営しておったころと余り変わってない。それから、予算編成手続そのものが、特別会計としての国鉄事業会計時代、ほとんどそのままだ。これもそのとおりでしょう。それからまた、給与総額が規定されておる。支給限度の枠が設けられておる。国鉄総裁といえども当事者能力はゼロ。  こういうことをやっておいて、本来のあるべき公社というものが生かされておるのか。私は、公社というものは先ほど言ったような性格を持っておると思うのです。それから比べると、現在の国鉄公社というのは全く公社の精神をくんでいない。これは国営事業と変わりはせぬ。直接国がやっておったころと余り変わっていない。そう思いませんか。
  509. 竹内哲夫

    竹内説明員 公社設立の際には、先生おっしゃる趣旨でスタートしたものだと思います。当時、国鉄そのものが、全国の交通機関の最大の機関として、陸上交通の主役と申しますか、ある意味では非常に独占的な地位にあった。それが非常に変化してまいりまして、当時考えられました仕組みの中ではなかなか思うようにその機能が発揮できないというような現状に至っているのではないかと思っております。
  510. 矢山有作

    矢山分科員 国鉄総裁、私が言った公社本来はこういうものであるべきだというそれと、今の国鉄の公社のあり方というのは、私は本来の公社の精神というものを生かされた内容になってないと思っておる。どうですか、端的に答えてください。
  511. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 私は、先生の御指摘のとおりだと考えております。
  512. 矢山有作

    矢山分科員 そこでお伺いしたいのですが、五十八年度国鉄監査報告が出されて、十の提言が行われておりますね。これをどう思いますか。これで言っておる十の提言がそのまま徹底して行われたら、私は、何も今さら民営・分割だ何だ言って騒がなくたって、公社として十分機能を生かすことができると思うのです。監査報告、監査委員会自体が、現在の日本国有鉄道法を前提にしながらこの十の提言をやって、もちろん、法律の改正を要するものもありますということを言っている。だから、その法律の改正を要するものを改正をして、本来の公社の姿に戻していく、そのためにこの監査委員会の提言を十分に受け入れて消化していったら、現在の公社でも何も経営ができないというものではないと私はそう思っているのですが、これは運輸省国鉄当局考え方を聞きたいのです。
  513. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 監査委員会の十の提言は、大部分適切な御指摘の点だと私ども思います。  ただ、一つだけ申し上げさせていただきますと、過去における国鉄の債務その他について、国から助成を受けるべきであるということを強く御提言になっております。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもとして監理委員会に御検討願っておりますものは、確かに長期債務も含めてでございます。ただ、過去の債務というものが、すべて国の責任によって国鉄に生じたものでは必ずしもないと私ども思っております。国鉄経営のあり方が非効率的であったがために生じた赤字に対する部分というのもかなりあるわけでございます。したがって、そういうものについても再建監理委員会に御検討いただいて、先ほど申し上げましたように長期債務として処理をしていただくためには、それは最終的には国民の御負担をいただくわけでございますから、新しい経営形態として効率的な経営形態になり、そして再び国民にはそういう御負担をかけないという形が実現して、初めてそのような長期債務その他の国からの助成というものが一挙に解決するという形が実現するのだと私どもは思っております。  そういう意味で、監査報告については、そのような効率的経営形態への転換ということを前提とせず、ただただ長期債務など構造的問題の解決についてのみ国の助成と言っておる点につきましては、私どももう一歩突っ込んでいただきたかったというふうに考えております。
  514. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今運輸省から御答弁がありましたようなことがありまして、監査委員会そのものも、監理委員会の方で経営形態その他は検討するので、ダブってはやらないという態度で書かれたようでございます。そういう点を加味いたしますと、今運輸省の御答弁のような見解が出てくるというふうに私も考えておる次第でございます。
  515. 矢山有作

    矢山分科員 もう時間が来ましたから残念なんですが、国鉄運営に非効率な面もあるということを盛んにおっしゃる。その非効率な運営がどうして起こったのかということを第二次提言の中でも分析しているでしょう。公社制度が悪いんだと言っている。そして、どうして公社制度が悪かったのかということを言っているわけですよ。国の介入が強過ぎるとかいろいろなことを言っているわけでしょう。それで国鉄の非効率を引き起こしたのでしょう。その点では第二次提言は、公社が悪い、しかし公社制度が悪かったのは、中身はどうなんだ、まさに公社としての本来のあるべき姿がねじ曲げられて国の統制が余りにも強過ぎる、企業的な経営をやろうにも、経営の自主性を生かそうにも何もできない、そこに国鉄の非効率が生まれたんだということを監理委員会自体が指摘しているじゃありませんか。だから、非効率だ非効率だというところに責任転嫁したらだめだと言うのです。  私が言いたいのは、もう時間がありませんからまとめて言いますと、本来の公社としての性格を十分に持たされて国有鉄道公社というものが存在しておったら、今日のような非効率なことにはならなかった。ところが、公社という名前だけはかりてきたけれども、中身はがんじがらめにされて、国が直接経営しておった当時と余り変わっていない、そこに問題の根源がある、その点を私は言っているわけです。したがって、監査委員会が提言しているように、公社としてあるべからざるそういった制約を全部解除していって、そして経営の自主性を確立させるなら、公社としての全国一体としての運営は可能だと私は言っているわけです。それを、監理委員会がやっておる、監理委員会の結論待ちなんです、監理委員会が分割・民営化だと言って、それに反対すれば中曽根さんにしかられる、こんなことを考えておったのでは、国鉄の本当の再建はできませんよ。その犠牲を受けるのは国鉄に働いている労働者だけでしょう。そういう事態を引き起こした政府の偉い人は知らぬ顔している。こんなべらぼうな話はないと言うのです。  運輸大臣、どう思いますか。運輸省が長い間国鉄運営にかかわってきた。国鉄は現実に運営している。悪い点はあなた方が一番知っているんだから、言うべきことはきちっと言う。そうしていかなければならぬのじゃないかと思うのです。最後に大臣の御答弁を聞いて終わります。
  516. 山下徳夫

    山下国務大臣 公社発足の精神は、先生のおっしゃるとおりだと思います。しからば、先生のおっしゃるように公社がゆがめられたかというと、私は、今日の公社の運営は、外部の干渉、国やあるいはまたその他議会等もございまして、これはそれぞれ法律、政令に準拠して、公社に対して、干渉というような言葉は当たりませんが、いろいろタッチしておると思うのです。したがって、そうなるならば公社自体について考え直さなければならぬという時点に到達していると言う以外にないと私は思うのです。  なお、監理委員会等についていろいろ御意見がございますが、これは第二臨調を受け継いで、第二臨調の指示によってできたものであり、その監理委員会の今日のあり方については閣議がこれを裏打ちしているということでございますし、また答申が出るまで我々手をこまねいているわけではございません。現段階におきましても事務的には常々折衝し、お互いにいろいろと詰めておるということもまた御認識いただきたいと思います。
  517. 矢山有作

    矢山分科員 言いっ放しじゃちょっとぐあい悪いから……。  大臣、本来の公社のあるべき姿を省令や政令や規則でねじ曲げたから、国鉄がどうにもならなくなっているのですよ。私はそれを言っているのです。本来の公社のあるべき姿で、法令による規制が行われてなければ国鉄公社として経営の主体性を持って十分やれた、こういったことを言っているのですから、そこのところを誤解のないようにしていただきたいと思います。  いささか過ぎたようですが、これで終わらしていただきます。
  518. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて矢山有作君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  519. 吉浦忠治

    吉浦分科員 山下大臣と私、生まれも育ちも同じでございますけれども、きょう大臣に初めて質問をいたしますので、心から就任の御祝辞を申し上げたいと思います。  千葉県からの選出でございますので、きょうは千葉のことに関しましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。何か時間がかなり延びているようでございます。私も用がございますものですから、八時には終わらなければなりませんので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思うわけでございます。  成田空港の二期対策について主にお尋ねをいたしたいと思います。  成田空港は開港以来、八年目を迎えているわけでございますけれども、年間一千万人を超える旅客が利用しているということで、まさにこれは日本の表玄関として脚光を浴びているわけでございます。世界の各国からも多くの人々がここを訪れ、そしてまた、たくさんの日本人がここを飛び立っていくわけでありますけれども、この空港を核として市町村等にも新しい動きが今出てきているわけでありまして、言ってみれば千葉県にとっても、二十一世紀の大きな核であるというふうにとらえているのが成田空港であるわけでございます。  そこで、成田空港の存在というものが今までと様子がかなり変わってきたんじゃないかと思っているわけでありまして、千葉県も新産業三角構想というものを持っているわけでございます。その中で、空港周辺の開発事業一つの核としてとらえているわけでありますが、均衡のとれました千葉県の開発というものに成田空港が大きなポイントを持っているような状態になってまいりました。国やあるいは県、周辺市町村とも空港の早期完成を願っているわけでありまして、千葉県内でも、県民の願いとして成田空港の早期完成の声が各方面から上がっているわけであります。千葉県議会、また五十六年の十一月には周辺の光町、あるいは五十八年の六月には成田市、こういうところが意見書なりあるいは決議をして、市議会の議長会におきましても市長会におきましても町村長会におきましても、あるいは町村議会議長会におきましても、その決議がなされているわけであります。  このように早期完成は今五百万県民の願いになってきつつあるわけでありまして、この意見書なり要望書の内容から見てもわかりますように、今の国際空港として果たしてこれは役割を果たし得るのかどうか、そういう点で、滑走路が一本でありますし、また完全空港を目指しておりますけれども、そういう点ではほど遠いじゃないか、こういうふうに考えているわけでありまして、この県民意識がだんだんと、成田空港がいわゆる地域住民にも受け入れられたという点で、この二期対策をどのように促進なさろうとなさっておるのですか、まずその点を先にお尋ねをいたしたい。
  520. 山下徳夫

    山下国務大臣 吉浦先生には、成田の地元御出身の代議士として、この問題につきまして日夜大変御心痛をおかけいたしておりますことを、担当の大臣として大変恐縮に存ずる次第でございます。  今お話がございましたように、成田空港が日本を代表すべき空港であり、しかもいわゆる利用者の数、発着回数等においても世界有数であることはもう私から申し上げるまでもございません。したがいまして、成田の工事を進めることは喫緊の要務でございますが、この問題につきまして、関係の地元地方公共団体の議会等からいろいろと議決をいただいたり御援助をいただいていることは、大変私ども感謝をいたしておる次第でございます。そういう地元の方々の全面的な御協力をいただきながら、残された工事に着手できる体制が徐々に進みつつあると私は認識をいたしております。  今申し上げましたように、これらの問題につきまして早くやらなければならぬということは、私だけでなくもう皆さんが御承知のところでございます。とりあえず今まずやらなければならぬことは、何と申しましても残された未買収の用地の取得でございます。このことも地元の市長さん方の御協力をいただかなければできない問題でございますけれども、今後とも御協力をいただきながら私どもも努力を積み重ね、早期にこの問題が実現して本格的なそれらの準備が着々と整った上で、本格的な作業に着手してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  521. 吉浦忠治

    吉浦分科員 空港整備にはいろいろあろうと思いますけれども、まず第一に、今大臣もおっしゃいましたが、地権者対策など難問題が多いわけでありますけれども、こういう点では当局も大変苦慮なさっておるのじゃないかと思うわけでございます。気持ちもよくわかるわけでありますが、成田空港の周辺市町村などいわゆる地元では、やはり最大の関心事であるわけでありますので、この用地買収なりあるいは代替地確保なりという大変な問題についてどのような見通しをお持ちなのかどうか、お答えをいただきたい。
  522. 秋富公正

    秋富参考人 ただいま大臣からもお答えがございましたように、私たちは二期工事というものが重大な責務であると考えておりますが、その一番大きな問題は、残っております未買収地の獲得の問題でございます。全部で千六十五ヘクタールのうち、現在残っておりますのは全体の約三%でございますが、ここに現在十二戸の農家の方々が農耕に従事しておられます。私たちはこの方々とさらに鋭意話し合いを進めてまいりまして、円満に土地をお譲りいただきたいと思っておるわけでございます。  この方々が移住されまして生活の設計ができますように現在、成田市及び酒々井町におきまして三十二・八ヘクタールの代替地を整備いたしております。成田市の方は既に昨年の三月に完成し、酒々井町の方もことしの三月末に完成する予定でございますが、そのうち、既に成田市の並木町の代替地につきましては、ただいま申しました十二戸の方々の一部の方々に管理組合をつくっていただきまして、これは地元の成田市長さんのごあっせんもいただきまして、私たちの方と管理の委託を正式に契約いたしまして、ただいま管理をお願いしているという事態でございます。  私たちは今後も、地元の公共団体の御協力を得ながら、空港の早期完成ということにつきまして十二戸の方々の御理解をいただきまして、一刻も速やかに用地の取得ができるようにさらに努力をしていく所存でございます。
  523. 吉浦忠治

    吉浦分科員 ことしで八年になりますけれども、私過去の経過から見まして、今最高にいい条件が整いつつあるときじゃないのか、こういうふうな判断をしているわけです。言うなれば、地元民の協力がこれほど盛り上がったときはないのじゃないか。これで二期対策の着工ができなければ、恐らく永遠にできないくらい難しい状態になりはしないかと思って、私はあえてきょうここで質問をしているわけです。  かなりいろいろなところから、この質問に対して心配をなさっている向きがありまして、事前に何回も何回も私はこの質問に対する要望をいただきましたけれども、これは地元の市町村並びに地元対策というものが非常に大事でございますから、あえて農家の方々の意向の線に沿って、十分な代替地の提供なり移転先の問題等について、生活の安定を確保することを最重要要件としてこれに取り組んでいただければ、その対策として講じられる時点まで来ているのじゃないか、私はこういうふうに思っているわけです。  山下大臣も葉隠の大変強い精神の持ち主の大臣でございますから、これに私は身命を賭してなんてそういうことは申し上げませんけれども、それくらいの決意で取り組まないと、一年交代の大臣で私のときに無難に過ごせばなんということであってはならないというくらい強い、そして、地元に全部の負担がかかるような形ではいわゆる強制代執行のような形になる、千葉県がそれを全部受けなければならないという形じゃなくて、やはりそういう決意でどうか取り組んでいただきたいというふうに強い要望を申し上げたいと思います。大臣、いかがでございますか。
  524. 山下徳夫

    山下国務大臣 大臣に就任いたしましてまだ四カ月そこそこでございますが、この問題につきまして私の決意の表明はあらゆる機会にいたしておりますし、先生地元の新聞等の対談あるいはその他あらゆる機会に申し上げておりますので、およそ御理解いただけると思いますが、先生の御意のとおり、私もこれからさらに一段とみずからにも言い聞かせながら、勇気を鼓してこの問題に邁進いたしたいと思います。
  525. 吉浦忠治

    吉浦分科員 旅客も貨物ももう増加の一途をたどっておりまして、すなわち、開港以来の国際線旅客は、昨年の六月に五千万人を突破しておりますし、昨年の末には五千六百万人となっているわけであります。昨年の夏のピーク時に一日四万人以上も旅客が詰めかけるという状態でありまして、言うなれば、もうパンク寸前じゃないかと思うわけでございます。いわゆる空港の現在の施設では限界なのではないかと考えるわけでありますけれども、こういう点についてどういうお考えなのか。
  526. 西村康雄

    ○西村政府委員 今指摘のように、成田空港状況は非常に限界に近づきつつあるということで、旅客の皆様にも非常に御迷惑をおかけしておりますし、貨物が逐年急増している折から、これの処理につきましても対応に追われているということでございます。  滑走路につきましてはまだ若干の余裕はある状況でございますが、ターミナルについてはもう非常に混雑をきわめているということで、旅客ターミナルにつきましては一刻も早くこれを拡張していくことが要望されているわけで、部分的な改修等で対処はしておりますが、しかしそれももう限界に近づきつつあるということでございますので、そういう点では、この空港の拡張ということが極めて緊急の事態になりつつあるという認識でございます。そういう点からも、早く完全空港目指していろいろな意味での体制を整えていくということが、当面の大きな課題だと考えております。
  527. 吉浦忠治

    吉浦分科員 最大限見積もっても恐らくあと三年ぐらいで、もうその能力は限度じゃないかというふうに言われているわけであります。今着工しても、ターミナルにいたしましても滑走路等にいたしましても、これからすぐ着工したからでき上がるというものじゃありませんで、やはり四年なり五年はかかるわけでありますから、こういう時期を迎えているのにその進み方というものは、大変地元として心配をいたしているわけであります。前に運輸委員会等でも同僚議員が質問いたしまして、この内容等についてお尋ねをいたしたわけでありますけれども、羽田空港が拡張されてまいりますというと、その心配の点で地元としては、貨物専用空港にいわゆる格下げになって、そういう今までの趣旨と違う線に沿いはしないかという不安感があるわけでありまして、そういう点において、今の収容能力なりあるいは使用能力なり限度に来ている段階において、その対策が少々なまぬるいのじゃないかと私は考えるわけです。そういう点で、どのようにお考えになるのか。
  528. 西村康雄

    ○西村政府委員 大変現実の用地の取得が進まない、遅々としているということで、非常に歯がゆいお感じをお持ちになるのは私ども同感でございまして、大変つらい気持ちでおります。現実の空港状況は一日一日と混雑をきわめてまいります。一刻も早く空港の拡張に着工するということが要請されているわけでございます。そういう状況でございますので、何としてでも未買収用地の取得というものを、先ほど申し上げましたような代替地の準備等いろいろな手段を使いまして、現在の未買収の方々との話し合いを進めて、早く円満にひとつ取得をするということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。
  529. 吉浦忠治

    吉浦分科員 強い要望をいたしておきまして、次に進みますが、空港アクセスの問題について、これは毎回私が取り上げている問題ですけれども、北総地域の住民の足に結びつく動脈として期待が高まっているいわゆる成田新高速鉄道整備計画でありますけれども、今三つのルートがあるというふうに言われておるわけであります。いただきました資料等によりましても、A案とB案とC案というのがございますが、A案は、東京から西船橋を通りまして、新鎌ケ谷−千葉ニュータウン−空港、B案は、これは恐らく民鉄の方でございますが、上野から高砂を通りまして、新鎌ケ谷−千葉ニュータウン−空港、C案は、現在の国鉄線だと思いますが、総武線−成田空港となっておりますが、このB案の方が最終的に絞られてきたのではないかというふうに考えるわけでありまして、今後これをどのように進められようとなさっているのか。  私何回も同じことを言ってきておりますが、空港の下には国鉄自慢の新空港駅ができたままでございまして、出入口はふさいでございまして、百億円もかけたその施設がそのまま放置されている状態でございます。何とか早くそこへ直結できるような方法というのは、先日私、現地を見に参りましたけれども、そのときにも副総裁に申し上げたわけでありますが、直接あの地下を利用できるような形のものがとれないものかどうか、それが第一点でございます。  また、今の京成の成田空港駅から延長の芝山鉄道というものも、地域対策の一環として述べられておりますけれども、これまた言葉では促進を図っておられるようでございますけれども、どのような見通しに今なっているのか、その二点で結構でございますので、お答えをいただきます。
  530. 服部経治

    ○服部政府委員 地域交通局長でございますが、まず、成田空港アクセスの問題につきまして私からお答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、成田空港と都心を結びます良質なアクセスの整備というのは、長年の懸案でございます。先ほど先生もおっしゃいましたけれども、私ども最近の情勢を踏まえまして、これまで長年検討されてまいりましたいわゆるA案、B案、C案というものにつきまして、最終的な比較検討を加えまして、昨年の十一月に、このうちB案が最も適当であるという判断を下しまして、以来このB案を中心に、いかにしてこれを緊急に整備することができるかということで、詰めた検討を現在行ってきておるところでございます。  このB案というのは、ただいま先生指摘のとおり、現在成田空港駅の下にございます国鉄のかつての新幹線駅、この施設を有効に活用できるものというような形で整備を進めたいというふうに考えておるところでございます。
  531. 吉浦忠治

    吉浦分科員 芝山鉄道は。
  532. 秋富公正

    秋富参考人 先生の御指摘のように芝山鉄道は、空港地元の共存共栄というための一体的な発展のためのきずなと考えておりまして、私たち公団もこれに出資いたしまして、五十六年の五月に設立されたものでございます。昨年の一月には、地元の芝山町議会にもお諮りいたしまして、どういった車種がいいのかということにつきまして御審議いただきまして、小型軽量電車ということがふさわしいという芝山町議会のお答えもいただきまして、会社といたしましてもこれを正式に決めたわけでございます。  現在、輸送需要を見込む上で最大の要因でございます芝山町の開発計画の策定並びにその具体化ということにつきまして、町の方ともいろいろと御相談をしておるわけでございますが、町の方におかれてこの開発計画の策定をまちまして、会社といたしましても、免許の申請を運輸省にすべく鋭意準備をしておるという次第でございます。
  533. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に、ちょっとお尋ねをいたしておきたいんですが、これは落下物の点についてでございますけれども、これまで三十六件、飛行機からの落下物があるわけでございます。そのうちの二十件は氷の塊のようでございますが、あとの十六件は、これは言語道断でございますから私は余り触れませんけれども、関係住民に対して大変な不安を与えているわけであります。運輸省はこれにどのような対策を行ってこられたのか。あるいは空港について、ここで時間がございませんから私は余り他国の空港に言及いたしませんけれども、フランスのドゴール空港なりあるいはイギリスのヒースロー空港なり、そういうところにこういう落下物があるのかどうか、成田だけ特有の落下物なのかどうか、その辺のことが篤とわからない。ことし、先月も氷の塊が落ちてきているわけでありまして、都合三十六回、どういう条件からそうなるのかという点と、それからこれに対する補償、やはり航空会社なりその特定な方が見つかればその補償はできるでしょうけれども、そういう点のことはどうなっているのか。まず、対策と補償ですね、お尋ねをいたしたい。
  534. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのように、落下物については私ども大変憂慮しているわけでございまして、落下物の原因の究明に努めているわけでございます。部内にも航空機落下物対策員会をつくりましたし、そういった点で、氷片の問題につきましては、実際にどういう状況で氷片ができ上がって、それが落下するかというプロセスの検討などをいたしまして、その具体的な対策を、航空会社にはよく点検整備するように指導をしているところでございます。  そのほか、具体的な航空機の部品が落ちるという、まことに今言われたように、言語道断と言われればそのとおりでございますが、そういったものが落下しているわけでございますが、ここら辺につきましては、これはメーカーの段階の問題も一つございますし、それから整備の段階の問題もございます。ということで、しかしどの段階のことがその原因であるか、なかなかこれが特定しにくい。と申しますのは、落下させた航空機が特定できるときは非常にいいんですが、特定できないものも非常に多いわけでございますので、そういった点の問題は、メーカー、航空会社に対して一般的に強く要望しているわけでございます。  そしてまた、国際的な場でも、こういった点の問題を我が国から出しまして、各国は一体どう考えているか、どういう現状を認識しているかということを照会し、各国でも共通の悩みがあるだろうからひとつ教えてほしいということを申し上げているわけで、各国の航空当局は、我が国ほど生じていないのかどうか、それほどは十分な対策をやっておられないようにも聞いておりますが、そういった点は、ひとつ各国と連携して、これから具体的な対策をもう少し詰めていきたいというように考えているわけでございます。  それから補償の問題は、成田空港へ乗り入れている各航空会社、ほとんどの航空会社に御参加願いまして、落下させた航空機が特定できる場合は格別、特定できない場合は、少なくともその可能性のある航空会社が保険をあらかじめ掛けておきまして、その保険金の中から分担をしててん補する、損害の賠償をともかく一応共同でするというような形でこの問題を処理するということを発足いたしまして、現在までのところ、実際に損害が生じたのはわずか一件だけでございますが、一件につきましてはこれを支払ったというような状況でございます。
  535. 吉浦忠治

    吉浦分科員 一件であろうと二件であろうと、絶対に落とさないようにこれから対策をとっていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。  時間がございませんので、空港ビルの屋上に見学の場所をつくってございますね、あの場所を私も見させていただきましたけれども、あれは恐らく当初から見学用につくられたのではなくて、見学用に供するような形に急遽変えられたのではないかと思うくらい、下のタイルや何かも、あれは見学用のタイルではありませんで、屋上の防水用のタイルを張ってあるわけであります。金網も同じでありまして、あらゆる点から見ましても、あれは見学用につくられたところではないように私は思うのです。飛行機の発着等も見えぬくいし、お客様の顔が見れるような装置にはなっておりません。飛行機が数多く見れるようなところが見学の場所でありまして、余り見えないようなところが見学の場所になっているような気がいたしましてね。  それから転業者の方々に、五階にいわゆる土産物売り場を十二軒でございますか、六軒ずつ提供なさっておられますけれども、これは見学者が少ないから、当然収入が見合うような商売はできていないことは事実でございます。何か話を聞きますと、家賃も二割ぐらいにまけていらっしゃるそうでございますが、そういう対策はありがたいことでございますけれども、何よりも、成田でなければならないような土産物が並んでいるわけではない。また、あの施設を見ましても、何か転業者の方に提供しなければならぬから貸してあるような感じがするくらい、あの先が行きどまりでありまして、場所は、その売店の並んだところで先に抜けて外へおりられるとか、ほかのところへ行けるならいいけれども、行ったらまた戻ってこなければならぬ、こっちも行ったらまた戻ってこなければならぬところに提供なさるような状態は、余り地元民を優遇なさっているような状態ではない。どこからどう見ても、よく考えても、私もそんなに悪い考えは持っておりませんので、よくしてもらいたいと思って要望しているわけですけれども、見学の施設の点ももう少し改善をしてもらいたい。  ヘリコプターなり、それからもう一つ飛行機はその見学用にと置いてはございます。それから、今着いている飛行機はどこから飛んできた何時に着く飛行機だというアナウンスも大変いい声でやってくださっておりますが、物すごく大きな声で、耳をつんざくほど大きな声でやってくださり、これでも聞け、これでも聞けというような感じに私は聞いて帰ってきましたけれども、もう少しよくしてもらわないといけないのじゃないか。何せ見学者が日平均千四百人ぐらいでございまして、時間がないから細かく申し上げませんけれども、こういう対策をもう少し地元対策としてとってもらわなければならぬのではないか。以上の点でお答えをいただきたい。
  536. 秋富公正

    秋富参考人 先般、御多忙の中をわざわざ先生空港を御視察いただきまして、また、今の五階の地元の転業者のところまで御視察いただきまして、まことにありがとうございました。  御指摘のように、ここは地元転業者等の方々に、当初から一般見学者用につくりました施設で営業していただいているわけでございますが、どうも遺憾ながら、余り皆様の営業成績が振るっていないというのは事実でございまして、公団といたしましても、これらの店舗に対しましては、八〇%のいわゆる賃料の割引をするということをいたしますとか、あるいは今お話がございましたような展示物につきましてさらに魅力あるものにするとか、あるいは小中学校、旅行業者に対しまして昨年も、文書をもって一万人の見学を誘致するということをいたしたのでございますが、遺憾ながら一方で、極左暴力集団を中心とします集会がことに近年頻発してまいりましたために、警備の必要上、入場制限を行わざるを得ないという状況が続いていることも事実でございます。  しかし、私たちといたしましては、できるだけここを御利用いただくべく、単に見学者に限ることなく、ターミナルに来場されました一般の航空旅客あるいは送迎者の方々もこの五階の店舗を容易に御利用いただくように、案内標示板の増設でございますとか、あるいは今御指摘の見学施設への入り口の改良を行いますとか、あるいはホールの机、いす等の調度品の整備を行うということも進めておりますし、御指摘の屋上のタイル張りにつきましては、既に一部を新しく色のきれいな立派なものにかえまして、そういった点からもできるだけ御利用いただけるようにさらに努力してまいりたいと思っております、
  537. 吉浦忠治

    吉浦分科員 時間になりましたかも、要望だけして終わりにいたします。  私の利用しております国鉄の内房線でございますが、今、君津駅まで複線化をされておりますけれども、その君津駅以南の方は単線でございまして、いわゆる夏の海水浴シーズン等になりますと、陸上はもう飽和状態になりますし、どうしても国鉄を利用するというぐあいになりますが、単線の不便さで、列車待ちなりあるいはダイヤの組み方なりに大変なロスがあるわけでございますから、利用者はだんだん少なくなる一方でございます。こういう複線の問題も、昨年も私は取り上げましたけれども、国鉄としても、赤字ではありますけれども、赤字だからといって首都圏中心の地域をおろそかになされば、なお国鉄は赤字が続くのじゃないか、こう私は思うわけでございます。ぜひ発想の転換をしていただきたい。  それから、木原線の廃止が、もうこれは決定でございますけれども、地元でもかなり協力をして、何か聞きますというと、地方自治体等に割り当てがあって、一日の乗降客の二千人を確保するぐらい努力をしているところでございまして、朝晩の通勤通学の、特にあそこは大多喜等に高校なりあるいは役所等がございますものですから、そういう足の便を確保するためにも、この存続をぜひやっていただきたい、こういうことをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  538. 松浦利尚

    松浦主査代理 秋富参考人、どうも御苦労さまでした。  これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  539. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は主として、筑波研究学園に開かれる科学博覧会に対する輸送の問題と、それから、その地域において今非常に心配されている地震の問題、気象の問題に関連をして地震の問題、それから昨年の十二月に質問主意書を出して非常に不十分な答弁しか出なかったことについてただしていきたい。  まず最初に、時間の関係から質問主意書の分から先に質問します。  先日、自治省には大変失礼しましたが、茨城県猿島郡境町の開発公社が四十七年にできて、その公社が大変問題を持っておりまして、三人の町会議員からある者が告発をされるという段階に入り、それがやがて時効になってしまうのではないかという心配があり、住民は、一体あのような問題をそのままにしておくのか、こういうことが問題になっておりました。  そこで、その問題の中の前段は抜きにして、何が問題かというと、町の開発公社の事務局長が五十万円というものを自分の裁量で自由にできるように定款を改正した。その結果、何が起こったかといいますと、使途不明金として三十七件、百九十一万円、不正支出三十一件、二百五十六万九千二百八円、重複支出と思われるものが八件、六十三万七千二十一円、県警察関係者との会合費としての支払いが二十三件、百二万九千三百八十円、四項の合計が百八十九件、六百十四万五千六百九円、こういうふうになっている。  この問題で、各市町村に開発公社があると思いますが、一事務局長が五十万というものを自由に動かせる、こういうことについて例があるのかないのかということを聞きましたところが、質問主意書の答えは、そういう例もあるということを聞いている、こういう答弁なのです。この答弁では私は満足しない。そういう町村が一体どこにあって、本当にそれがうまくいっているかどうか、これを聞かないと納得をしません。まずそのことについてお伺いします。
  540. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 お答えさせていただきます。  今、先生は自由使用という御表現でございましたが、私ども理解しているところによりますと、一般的に事業を執行いたす場合に、理事長の権限に属する事項がございますが、一定の範囲におきまして理事長にかわりまして決裁できる専決という規定がございます。恐らくそのことをお指しになっているのではないかと思いますが、そういったことでお答えをさせていただきます。  御質問の公社につきましても、同じような形で専決という規定が定めてあるわけでございます。この公社は御案内のように、民法三十四条の規定により都道府県の許可によって設立されました公益法人でございます。このような例があるかという質問主意書の御質問でございました。この都道府県の許可にかかわりますものは、実は自治省は直接監督をしておらないわけでございますが、幾つか照会をいたしましてその例があるということでございます。  一般的に事務局長が一定の範囲内でやるということでいろいろな規定があるわけでございますが、ちなみに、例えば鹿児島県におきましての財団法人鹿児島県開発公社という例がございますし、また、米子市におきましても財団法人米子市開発公社といった例もあるわけでございます。また、茨城県内におきましてもこういった例があるというふうに私ども伺っておるところでございます。
  541. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 茨城のどこにあるか、ちょっと教えてもらいたい。
  542. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 例えば北茨城市開発公社あるいは那珂湊市開発公社、大子町開発公社、こういったような名前を私どもは伺っております。
  543. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 公社のあるのはわかったけれども、五十万円を使っていいということを許しているところがあるかどうかということを聞いている。
  544. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 専決の範囲についてでございますが、一般論を最初に説明させていただきますと、公社の事業規模とかあるいは事業の執行の状況とか、あるいは公社の組織あるいは役職員の構成等によりまして、それぞれの公社がそれぞれのそういった事業執行の観点から決めているわけでございます。  そういったことでいろいろと例があるわけでございますが、ちなみに、同じ市町村というレベルで米子市の例がございますが、米子市におきましては、一般の支出につきましては百万円、それから工事については五百万円、両方とも未満でございますが、という例もございます。もとより金額は公社によってそれぞれ違うわけでございますので、一概に五十万ということはあれですが、いろいろな額がございますが、今御紹介いたしましたようなオーバーしているものもあるわけでございます。もちろんそれ以下のものもあるのは当然でございます。
  545. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 きょうはこのことが主眼ではありませんから、その程度にしておきます。  そこで今度は本論に入りますが、いよいよ三月十七日から科学万博が開かれます。今まで私が各関係のところで発言をしてきたのは、輸送問題というのが一番問題だ。何といっても、あそこは陸の孤島のようなところでありますから心配をしておりましたが、三月四日に三千名が集まってリハーサルをやった。これは通常の五十分の一の数ですね。それなのにもう既に道路が詰まってしまった。そしてシャトルバスにしても、二十分で行けるところが一時間二十分もかかる。こういう状態ではこれから前途が思いやられる。せっかくそれぞれの皆さんが努力をしたにもかかわらず、輸送問題は依然としてまだまだ解決していないという感じであります。  きょうの新聞を見ると、今度はせっかくつくった常磐線の万博中央駅のほかに水海道からもシャトルバスを出そうじゃないか。ところが、あのバスはどこでもここでも動けるような状態ではない、こういう問題になっておりますので、この点について関係者から、どういうふうになっておるのか、ちょっとお答えをいただきたい。
  546. 服部経治

    ○服部政府委員 先生指摘の三月四日の混乱でございますが、これは三月四日という日に重なりました特殊な事情によるものではないかというふうに現在、私ども考えておるところでございまして、ちょっと御説明させていただきますが、三月四日から三日間にわたりまして、プレスレビューという形でリハーサルのようなことをやったわけでございますが、この日、予定では片道二十分で行けるはずのものが一時間もかかってしまったということでございます。  これには二つの理由があるようでございまして、一つは、当日自家用車で会場に見えました人たちのほとんどが、会場周辺の駐車場を使用しませんで、ほとんどすべてが会場内に設置された駐車場を使用したということがございます。それから、たまたまこの日、中核派によります爆破予告がございまして、入場者のチェックが厳重に行われていましたために、会場の入り口付近から混雑が生じてしまったというようなことがその理由ではなかったかと思います。  私どもといたしましては、科学博の開催後におきましては、当然のことでございますけれども、交通警察等と今までより以上に密接な連係をとって、安全かつ円滑な輸送が確保されるように関係者を強く指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  547. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは大臣にお願いしたいわけですが、そういうような事情でありまして、これからのこの狭い道路に自家用車がそれぞれ入ってくるということになれば、大混乱をしますね。そこで、これは警察庁あるいは科学技術庁、それから科学博覧会協会、直接はこの三者ですね、それから茨城県はもちろんそうでありますが、そこに関連をして、ぜひ閣議等で御指示をいただいて、厳重に交通の取り締まりとそれから混乱のないようにひとつお願いをしたい、こういうふうに思います。いかがですか。
  548. 山下徳夫

    山下国務大臣 これは御案内のとおり、所管大臣は科学技術庁長官でございます、しかし、今お話しのように、これはみんなが寄ってたかって協力しなきゃならぬということで、特に交通問題については私の方が担当して全力投球してやりたいと思っております。特に、しばしば私もこの問題は関係の局長等から聞いておりまして、試行錯誤なんてことがないように、先日、今説明しましたように、わずかの数でもってああいう混乱が起きたということは、特殊な事情があったにしても、今後さらにまた検討を進めて万全を期してまいりたいと思います。
  549. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 その点については、よろしくひとつ御配慮をいただきたいと思います。地元として特にお願いをしたいと思います。  続いて、第二常磐線の問題に関連をして前々から、筑波研究学園の完成から熟成へと、こういうふうに向かうためには、何としても第二常磐線が必要だということを強く主張してきたし、また期待をしてきました。特に学園の中にセンタービルができ、あるいは大きな百貨店などもできて、ようやく都市らしい状態になったときに、聞くところによると、第二常磐線は千葉県どまりではないか、こういうようなニュースが入っておりますし、きのうも県議会を開いておりまして、県議会の中では、ややそのような話が出ておるわけですが、本当にそういうことであるとすれば、これはどうも大変困ったものだと思っておりますが、これはいかがですか。
  550. 服部経治

    ○服部政府委員 第二常磐線の整備の問題でございますが、これは現在の常磐線のあの非常な混雑の状況考えてみましても、また、茨城県等を初めといたします関係の地域におきます開発計画との絡みにおきましても、この第二常磐線を整備する必要性というのは非常に高いものだというふうに私ども基本的に認識いたしております。  ところで今、地元の新聞ですか、あるいは関係者の方々の中で、この線が千葉どまりになるのではないかというような話がささやかれておるということでございますが、私寡聞にして、そういう話を承ったのがただいまが初めてでございまして、私どもと申しますか、現在この問題は運輸政策審議会の場で鋭意検討されておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった地元の強い要望も踏まえまして、いい格好に整備されていくものだ、いい格好の答申が出るものだと私ども思っておりまして、何らかの形で茨城県内にも足をかけたような線として答申が出るのではないかというふうに期待しておるところでございます。
  551. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう一つ、常磐線に関連をしてお尋ねをします。  博覧会は九月十六日に終わります。そうするとその後、土浦の駅のところに電留基地をつくった、大変立派なものをつくりましたね。そしてまたこの土浦には、高架道などをつくって学園との間の往来をしげくするようなそういうこともしております。そしてまた土浦市は、四全総の中では業務核都市としての中心都市として位置づけをされている。こういう場合に、せっかく取手まで延びてきた千代田線、これをさらに土浦に延ばしていく、こういうことについて従来、地磁気観測所があって、交流、直流の関係があってこれは動きがとれない、こういうことを言われてきたけれども、気象庁筋に聞くと、いや、長・短の関係があってそれは土浦までは大丈夫なんだ、地磁気観測所がそこにあっても大丈夫だ、こういうふうに言われるわけですが、この点について国鉄としてはどのようにお考えになっているのか。
  552. 岡田宏

    岡田説明員 常磐線は現在、都心部におきまして快速線が一時間に十七本、それから今、先生指摘がございました千代田線に直通乗り入れを行っております緩行線が一時間に十九本、実は今度のダイヤ改正で二十本にふやす予定にいたしておりますが、そういうほとんど限度に近い列車の運行をいたしておりまして、その混雑率につきましても、快速線で約二七〇%、緩行線で約二六〇%、極めて高い混雑率を示しております。これはいずれも都心部の実情でございます。  したがいまして今後、取手以遠の茨城県南部における人口増に対処するためには、常磐線の都心部における輸送力の増強をするということが一番必要な事柄でありまして、その対策といたしましては、快速電車の十五両化でございますとか、今お話がございました第二常磐線の建設、そういったことによるほかないというふうに考えております。  なお今、先生からお話ございました千代田線を常磐線に乗り入れて土浦まで運行するといった問題につきましては、私ども今まで承知しておりますところでは、柿岡の地磁気観測所の影響がありまして、現在の藤代−取手間にございます交直のセクションを越えて向こう側に直流電車を運行するということは、極めて困難であるというふうに承知をいたしております。
  553. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 気象庁はその点について、きのうのお話の中では、それは大丈夫だ、長・短の中でやれる、こういうふうに言われたけれども、どうですか。
  554. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  気象庁が柿岡でやらせていただいております地磁気観測所の重要性については、つとに先生御理解をいただいているところでございます。しかし現在、私どもはここが最適の立地条件であると考えてはおりますが、地域社会の発展と調和する観測所のあり方というものを新しく考えていかなければならないというふうに強く問題意識を持っておりまして、五十七年の秋に茨城県のおつくりになった地磁気観測所問題研究会にも気象庁から委員を派遣いたしまして、またその後も我々庁内で鋭意この問題の技術的検討を行っております。  その結果、現在の時点では、将来の問題ではございますが、もし仮に直流区間の延長であるとか第二常磐線の整備というようなことで、茨城県内の交通事情あるいは地磁気観測所に影響を及ぼす状態が変わりましたような場合には、それまでに行った勉強の結果を踏まえまして、その対策につき関係機関とも協議しながら、先生のおっしゃった長・短の問題も含めて検討を進めることになると思っております。
  555. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これはぜひ調和をしてやってほしいと思うし、そういう声は強いわけですから……。  そこで、これは気象庁長官にお伺いしますが、私はこれは時間がないからここではまだ最後までの議論はできないと思う。きょうを契機にしてこれからいろいろな委員会でこの問題を取り上げていきたいと思っていますから、しっかりひとつ答えをしてもらいたい、  気象庁というのは一体どういうことをする仕事か、まず基本的にそのことについて明らかにしてほしい。
  556. 末廣重二

    ○末廣政府委員 気象庁は、地球を取り巻く自然環境を常時監視いたしまして、国民を自然災害から守り、さらに社会生活の利便に貢献し、ひいては交通の安全確保等を最大の任務といたしております。
  557. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういう任務を持っている気象庁の予算は、ことしの国の予算の中で何%になっているか。
  558. 末廣重二

    ○末廣政府委員 昭和六十年度、今御審議いただいております政府予算案の中で、気象庁予算の対比は〇・一六%でございます。
  559. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 〇・一六%で、六千三百人ほどの職員がいらっしゃいますね。重要な任務を持って国の安全を守り、保障し、それから安心、生命と財産を守るのは、これは政治の責任です。〇・一六%でよく我慢して頑張っておられることについて敬意を表しますが、しかし、敬意を表してだけおられないところが実はこれから申し上げることなんです。  私は以前から気象庁の問題については注目をしてきた。なぜかというと、私のところに気象庁の関係のいろいろな研究所もあるし、気象台もありますし、その他の関係者がおります。そういう中から常に問題になって出てくることは、やはり信頼される気象庁になってほしい、予報が若い者にも年寄りにも学生にも会社員にもどなたにも信頼される、こういう点ですけれども、これがまたなかなか思うようにいかないという状態です。そこでこの間から地元の請願があった。ゆうべ質問を聞きに来たから私は話をした。ところが、そういうことは全部間に合っているという答弁ですね。それじゃまるっきり請願も何も要らぬじゃないか、こんなばかな話はない。  水戸においても今から、大洗にはフェリーが着くし、鹿島線は開かれるし、それから筑波にはヘリコプターがおりようというときに、大変変化しているときに、そういうことは間に合っています、要求もしないということでは、請願なんてものを出したって意味がないということで、これはおかしいですよ。どうですか、ああいう問題について。六項目でしたか、ありましたね。
  560. 末廣重二

    ○末廣政府委員 請願は六項目にわたりましてちょうだいいたしておりまして、私どもこれを真摯に受けとめましていろいろ検討いたしておる次第でございます。  この中で一部は先生に既に御説明したと思いますが、決してこのままでいいと思っているわけではございません。例えばレーダーのさらに一層の利活用の度合いを高めるということで現在レーダーも気象庁に二十カ所ございますが、これのディジタル化というものを進めておりまして、さらに、これと筑波山等にございますアメダスの観測網との計算機の中でのドッキングを図りまして、茨城県内の短期、長期の予報の確率の向上に努めているところでございまして、決してこれで十分と言って聞き流しているわけではございません。それぞれ整備を進めて、全国的に精度が向上するように努めているつもりでございます。
  561. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、きょうは時間がないからこれ以上追及したり何かすることはできないから、それはしない。  そこで今度は、建設省の国土地理院が見えておると思いますが、今から二年ほど前に私は、茨城県が地震の重要指定地域から外れているのはおかしいではないか、こういうことを委員会で主張したのです。当時の院長にも強く要求をした。ところがその後、東京大学の溝上教授あたりのあれを見ると、関東に大きな地震のおそれがある、先ほどもその話があって、地下六十キロ、七十キロというところから起こるんだからそれは安心だ、こういうふうにおっしゃった。茨城県は別に心配はないというような意味のことだろうと思いますが、地震が起きてからというのじゃ遅いのですよ。  ここには日本経済新聞が論説かなんかをやっていますが、「地震災害が発生すると、いつも虚を突かれた感じがする。」こういうことなんだ。それから長野県の西部地震の場合に、「地震計が測候所にあるだけで、地殻の変動をさぐるための観測機器はどこにも置かれていなかった。」こういうことも言われている。あるいはまた、「国民の生命と財産を地震災害から守るための費用を惜しんではならない。特定観測地域八カ所の指定面積だけで日本全土の四分の一もあることを思うと気が遠くなるが、それは地震国・日本の宿命でもあろう。」こういうぐあいに言っている。  だから長官は、なぜ生命、財産を守るために堂々とこういう要求をあちこちにして、皆さんと一緒になって地震を防ぐためのことをしないか、これは長官の方です。それから国土庁は、どうして茨城県を——利根川を一つ越して千葉県は重要指定地域だ。その一つ先の茨城県の県南、県西、これはどの新聞を見ても地震の多発生地帯であり、重要な地域であるということが出ている。もしこの新聞が誤りだったら、朝日新聞はこういうものを訂正してもらいたいんだ。こういうふうに出ているじゃないですか。我々は専門家じゃありませんよ。あなた方は専門家かもしれない。専門家でない者がこういうものを見たらびっくりするんだ、既にこうやって出ているのですから。これが誤りなら直さなければならない。  茨城県議会でもこの問題が問題になった。県内でも、海岸には日立の工場がある、あるいは原子力発電所がある、研究所もある。あるいは筑波には日本の六割、六五%を占める大事な研究所が移転をしてきた。その地域が県南、県西という中に含包されている。それが前々からも主張しているのに依然として同じ答弁しかできない。何ということだ、これは。
  562. 末廣重二

    ○末廣政府委員 地震についての気象庁の分についてお答えさせていただきます。  大変厳しい情勢、財政下ではございますが、私ども思い切って来年度から地震総合監視システムというものを新しく柱を立ててお願いいたしまして、六十年度の政府予算案の中でお認めをいただいております。これは新しい柱でございまして、我々積極的に地震問題にも取り組む姿勢のあらわれであると御理解いただきたいと思います。
  563. 春山仁

    ○春山説明員 地震予知連絡会の指定しております指定地域につきましては、主として学問的な見地から、いかにすれば地震予知の研究の進展に最も役に立つであろうかという考え方でもって従来から指定をしております。  茨城県につきましては、先生指摘のとおり、有感地震が数多く発生しております。ただ、これも以前に私どもの院長が申し述べましたように、歴史的に見て地震被害は日本国内では少ない方でございます。それから、測地測量から求められる地殻のひずみがかなり小さい、また、活断層など大きな活構造は見出されていない、こういった事実がございまして、そういった事実を総合的に判断いたしまして、地域指定がなされていないわけでございます。そういった学問的な見地を主体として指定するというふうな事情がございまして、茨城県は現在のところ地域指定は困難だと考えております。  ただ、そういった有感地震が多いというふうなことから先生が御心配なさる気持ちは、私どもも痛いほどよくわかっております。国土地理院といたしましては、地震予知連絡会の事務局として、地元自治体当局にそういった面でいろいろ協力をする、そういうことで実質的にカバーしていきたいと考えております。
  564. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 せっかくの御答弁だけれども、我々は学問を勉強しているわけではないので、毎日毎日生きている社会に仕事をしているのですから、学問がこうだからああだからということだけで、それは地震予知連絡会はそうやって学者が集まって研究すれば結構だろうけれども、現に起こる問題については、一体起こったら責任をとるかとらないかというのだ。この前もそういうふうに言った。だから、きょうはそういう時間がないからこれは後で問題にするけれども、あなた方は一定の年齢が来ればちゃんと定年でおやめになるけれども、そこに住んでいる住民というものや工場や施設というものは、年齢が来てもこれはやめられないのですよ。  だからそういうものに対して、やはり守る、財産を守り、生活を保障し、人命を大事にしていくことは、これは政治の責任で、先ほど長官が言ったとおりだ。末廣長官は専門家ですからちゃんといろいろなことに努力をされているが、これからもっと政治的に問題を展開をして大事な安全保障としての気象の任務について、小出しにしないで堂々と問題を展開してほしい。  最後に、第二気象協会の構想というものがあるようだけれども、これについてのお考えをお尋ねし、最後に運輸大臣からの御答弁をいただいて終わります。
  565. 末廣重二

    ○末廣政府委員 いわゆる第二気象協会ということが新聞の一部で報道されましたが、私どもは現在そのようなことは考えておりません。ただ、長期予報ということが社会生活、農業、水産あるいは食品加工業等々に大変深い関係がございますので、この長期予報のデータをどう御利用いただいたらいいか、我々はどういうことに重点を置いて情報の発表を申し上げたら一番お役に立つかということで、長期予報に関心のおありの各企業の方にお集まりいただきまして、いろいろのニーズをお聞きするという勉強会は始めさせていただいておりますが、その勉強会の結果によりまして、どういう形をとったら一番皆様のお役に立つかということが自然に発生してくるということでございまして、現在決まった将来構想を持っているわけではございません。
  566. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 こういう協会というようなものをつくるのじゃなしに本体を強化して、そして本体がしっかり気象の問題に取り組んで、確実性のある情報を出して愛される気象庁になってほしいし、住民も常に相談に行けるようなものになってほしい。機械さえあればあとは人間はどうでもいいんだということでは困る。これは最後に大臣に御答弁をいただいて私、終わりますが、大臣いかがですか。
  567. 山下徳夫

    山下国務大臣 気象庁の重要性をるるお説きになり、そしてまた、その予算につきまして大変御厚志をちょうだいいたしまして私、担当大臣としてありがたく拝聴いたしておりました。私自身も、気象庁はずっと先般から見てまいりましたし、また、一番遠い出先の小笠原の現場も行ってまいりましたし、今後とも熱意を持ってこの問題に対処してまいりたいと思います。
  568. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 終わります。
  569. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前九時より開会し、運輸省所管及び郵政省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十四分散会