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矢山委員 どうも、中曽根
総理は、理解、了解に達したそういうものは十分あり得ると言うのだから、何らかの形であるのだろう、話し合いをしてそのままにほっぽらかしにしておくと十日もたったら忘れてしまうから、何らかの形であるのだろうと思うのだけれ
ども、正直におっしゃらぬから、時間を食うだけだから、次に移ります。
私は、インターオペラビリティーのためにどれだけ数多くのことをやらなければならぬかということをきょうは少し明らかにしたいと思ってしゃべっているわけです。
もう一つ、「陸戦研究」の前身としてやはり陸上
自衛隊の幹部学校から出されておった雑誌があります。それは「幹部学校記事」というのですが、それの
昭和四十五年の二月号に、三上哲男一等陸佐が、「米陸軍改正教範に見る副指揮官と連合作戦について」という論文を書いているのです。この中で、三上一佐はこういうことを言っています。
「連合作戦の基本方針事項は、国際間の条約、協定等で律せられることは当然であるが、教義、原則及び戦技事項について平時からその思想あるいは手続が標準化されていれば、訓練又は有事の効率発揮にきわめて有利であることは多言を要しない。最近の改正新教範類の特色の一つは、細部の協定で思想の合意に達した事項をその協定番号とともに明示している点である。これらの思想統一は、各条約機構内にある標準化
委員会、又は、英語を共通国語とする
アメリカ、イギリス、カナダ及びオーストラリア間においては、特に設けられた作戦・兵站思想標準化
委員会で検討、実施されている。」こういうふうに書いておるのです。つまり、標準化については国際間の条約や協定とは別のいろいろな細部の協定が結ばれておる、結ばれなければならぬ、こういうことなんです。これが、私が先日来言っておるスタンダーダイゼーションアグリーメントであろうというふうに私は思っているわけです。
この論文には、さらにこういうことを言っているのです。
米軍の師団教範、これ、きょう持ってきていませんが、その本の中から抜粋しております。NATO軍の統一戦技、統一教義の名称が一覧表になっておるのでありますが、それによると、陸軍の師団の作戦に関するものだけで、統一戦技等一覧表というのがありますが、これが二十六あるのです。それから統一教義というものが、これも師団に関するものだけですが、十項目これに載っております。
さらに、多田一佐がこの「陸戦研究」の中で同じようなことを述べておる中に、こういうことを言っております。
アメリカは標準化のために、同盟国との間で百五十以上の協定を結び、さらに八十の協議を検討中で、例えばNATOとの協定では地雷原報告の様式から一本のねじの規格に至るまで定められておる、こういうふうに書いておるのです。
だから、
日米の間でインターオペラビリティーを確立するということになると、こういうような大変な作業がある。しかも、それについていろいろな細部の協定あるいは申し合わせがつくられていくわけだ。そういうものの上に
共同作戦計画というのがあって、それが、いざ
共同作戦を実施に移すときには有効に動いていく、こういう形になるんです。ですから、
共同作戦計画をつくって、それが、いざその有事の事態に発動していくというためには、これは大変な作業なんです。だから、
共同作戦計画案、それは四、五十ページのものが一つ、ぽんとあるんだろうと、そういうふうに考えるなら、これは大変な誤りであるということを私はきょうは申し上げておきたいわけであります。
そこで、こういうふうに考えてくると、つづめてこういうことになるんじゃないでしょうか。
共同作戦を遂行するためにはインターオペラビリティーが必要だ、そのためには、先ほど来長々としゃべっておるように、数多くの標準化のためのアグリーメントがつくられる、あるいは教範の統一な
どもやられていかなきゃならぬ、そういう膨大な作業が伴う。しかも、
アメリカは、こうしたものは既にNATOなどではつくっておるわけです。米韓の間でも私はできておると思う。そうすると、それを今度は
日本の
自衛隊との間でやっていこうというのですから、だから、インターオペラビリティーだ、標準化だと言ってみたところで、一体結論はどうかというと、
アメリカが
日本に合わしてくるんじゃないのです、
日本の方が
アメリカの方に合わせていくという形になる。したがって、
日米共同作戦体制というのは、こういうようないろんな協定の中で
日本が
アメリカによってがんじがらめになっていく、そういうことになるんだということを言いたいのです。しかも、それによって
自衛隊はNATOや韓国の軍隊とも標準化されていく、インターオペラビリティーを持つことになるわけです。そうなるとどういうことになるか。米日韓の
軍事一体化体制というものがここに確立してくるんだ、そういうことになるんだということを私は強調したい。
だから、その実態がどういうものであるかということを、少なくともシビリアンコントロールの立場から、
国会がそのシビリアンコントロールの最高の機関であるとするなら、こういったものについてできるだけ知らされておるということが必要なんだ。
国会の公の場でやれないんなら、秘密会を持ってでもこれは提出をして説明をすべきなんです。そうでないと、戦前のような軍部独走が起こる。私はそれを心配しているわけです。
ですから、先日来皆さんお聞き取りいただいて、何をしゃべってるんだと思われる方もあるかもしれませんが、非常にこの問題というのを重視いたしましたから、これを中心に先日来取り上げてきたわけであります。
したがって、私が最後に申し上げたいと思いますのは、できるだけこの軍部が、制服が進めておる内容というものは、それは
総理なり
防衛庁長官が把握されることももちろんでありますが、内閣の首脳の方々はこれはやっぱり十分把握をしておくということ、これも私はシビリアンコントロール上必要なんではないか。さらに、
国会ができるだけどういうものだということを知らされておるということも、
国会の国民に対する責任として私は重要なんじゃないか。こういうふうに考えておりますので、どうぞ、今後こうした問題について政府の方々には御検討をいただきたい、そして良識を持って対応していただきたいし、また、きょう
委員長の席におられる
天野委員長には、そうした実態を十分御認識をいただきまして、ひとつできるだけ、そういったベールに包まれたまま、霧の中のままということで放置することのないように御努力をお願いしたい、こう思います。