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1985-02-23 第102回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年二月二十三日(土曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 天野 光晴君    理事 大西 正男君 理事 小泉純一郎君    理事 橋本龍太郎君 理事 原田昇左右君    理事 三原 朝雄君 理事 稲葉 誠一君    理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君    理事 吉田 之久君       相沢 英之君    伊藤宗一郎君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       熊川 次男君    小杉  隆君       砂田 重民君    住  栄作君       田中 龍夫君    月原 茂皓君       中川 昭一君    仲村 正治君       野呂 昭彦君    葉梨 信行君       原田  憲君    東   力君       平林 鴻三君    深谷 隆司君       武藤 嘉文君    村山 達雄君       山岡 謙蔵君    山下 元利君       井上 一成君    井上 普方君       上田  哲君    小川 国彦君       大出  俊君    川俣健二郎君       富塚 三夫君    堀  昌雄君       松浦 利尚君    矢山 有作君       池田 克也君    近江巳記夫君       山田 英介君    大内 啓伍君       河村  勝君    木下敬之助君       工藤  晃君    瀬崎 博義君       中川利三郎君    松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 嶋崎  均君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         通商産業大臣  村田敬次郎君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         労 働 大 臣 山口 敏夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      竹内 黎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  吉居 時哉君         内閣審議官   海野 恒男君         内閣法制局長官 茂串  俊君         内閣法制局第一         部長      前田 正道君         臨時行政改革推         進審議会事務局         次長      山本 貞雄君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         総務庁長官官房         長       門田 英郎君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       西廣 整輝君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         科学技術庁研究         調整局長    内田 勇夫君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         環境庁長官官房         長       岡崎  洋君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         法務省民事局長 枇杷田泰助君         法務省刑事局長 筧  榮一君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省北米局長 栗山 尚一君         外務省中近東ア         フリカ局長   三宅 和助君         外務省経済局長 国広 道彦君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      山田 中正君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵省主計局長 吉野 良彦君         大蔵省関税局長 矢澤富太郎君         大蔵省理財局長 宮本 保孝君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         国税庁徴収部長 緒賀 康宏君         国税庁調査査察         部長      村本 久夫君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         文部省高等教育         局長      宮地 貫一君         文部省高等教育         局私学部長   國分 正明君         文部省学術国際         局長      大崎  仁君         文化庁次長   加戸 守行君         厚生省健康政策         局長      吉崎 正義君         厚生省保健医療         局長      大池 眞澄君         厚生省保健医療         局老人保健部長 水田  努君         厚生省薬務局長 小林 功典君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省児童家庭         局長      小島 弘仲君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         食糧庁長官   石川  弘君         水産庁長官   佐野 宏哉君         通商産業大臣官         房審議官    矢橋 有彦君         通商産業省通商         政策局長    黒田  真君         通商産業省貿易         局長      村岡 茂生君         通商産業省機械         情報産業局長  木下 博生君         通商産業省生活         産業局長    篠島 義明君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省海上技術         安全局長    神津 信男君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         労働省婦人局長 赤松 良子君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 田中淳七郎君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      井上 孝男君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省税務局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君         会計検査院事務         総局第一局長  西川 和行君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道技         師長      半谷 哲夫君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     月原 茂皓君   上村千一郎君     山岡 謙蔵君  小此木彦三郎君     仲村 正治君   海部 俊樹君     野呂 昭彦君   倉成  正君     熊川 次男君   井上 普方君     富塚 三夫君   佐藤 観樹君     小川 国彦君   神崎 武法君     山田 英介君   小平  忠君     河村  勝君   経塚 幸夫君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     深谷 隆司君   月原 茂皓君     中川 昭一君   仲村 正治君     平林 鴻三君   野呂 昭彦君     海部 俊樹君   山岡 謙蔵君     東   力君   小川 国彦君     佐藤 観樹君   富塚 三夫君     井上 普方君   山田 英介君     神崎 武法君   河村  勝君     小平  忠君   工藤  晃君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川 昭一君     石原慎太郎君   東   力君     上村千一郎君   平林 鴻三君    小此木彦三郎君   深谷 隆司君     倉成  正岩     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢山有作君。
  3. 矢山有作

    矢山委員 まず最初に、科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、六十年度に宇宙開発事業団で衛星打ち上げの計画を二つ三つ持っているというふうに聞いているのですが、どうですか。
  4. 内田勇夫

    内田政府委員 お答え申し上げます。  六十年度に打ち上げる衛星といたしましては、放送衛星の二号b及びH-ロケット試験発射というものを、六十年度の打ち上げとして予定いたしております。
  5. 矢山有作

    矢山委員 六十年代だよ、その衛星打ち上げの計画がありはせぬかということだ。
  6. 内田勇夫

    内田政府委員 六十年代に現在計画しておりますものは、放送衛星二号、海洋観測衛星一号、技術試験衛星V型、通信衛星号a及びb、二つございます。静止気象衛星四号、地球資源衛星一号、これはまだ開発研究段階でございますが、以上でございます。
  7. 矢山有作

    矢山委員 今お聞きのように、いろいろと宇宙への衛星打ち上げが予定されておるのですが、どうもこれをめぐって、防衛庁の方がこれをいろいろ利用しようというような考え方で動いておるんじゃないかと思いますが、長官、そういうときに防衛庁が、この地球探査衛星なら地球探査衛星を打ち上げた、それで偵察用の解析をやりたいというようなことでこれを使わせるとか、あるいはさらに、この通信衛星が打ち上げられた場合に、今度は強力なものですから、これをさらに使わせろ、こう言ってきたらどうしますか、あなたは。
  8. 竹内黎一

    竹内国務大臣 お答え申し上げます。  防衛庁の方でそういうような計画があるとか、予定があるとかということは承っておりません。もし具体的にお話があったら、その段階判断をいたしたいと思います。
  9. 矢山有作

    矢山委員 その段階でどういう判断をするのですか。それが聞きたいわけですわ。
  10. 竹内黎一

    竹内国務大臣 その段階におきましては、事業団法並びに国会決議趣旨を踏んまえて対処することだと思っております。
  11. 矢山有作

    矢山委員 あなたはいいことを言われた。事業団法審議のときの状況や、あるいは国会決議を踏まえてと言われたのですが、ぜひそれを踏まえてしっかりしゃんとしてもらいたい。  あなたのおっしゃったように、事業団法審議のときに、これはかなり突っ込んだ質疑が行われておるんですわ。今は、なるほど自衛隊に使わせぬと言っておるが、これがどんどん使われるようになって、そうした段階自衛隊が使わせると言ってきたらどうするんだ、こう言って聞いたのに対して、木内さんは、もう平和の目的に限っているのだ、非軍事なんだから、防衛庁が言ってきたってそんなものは使わせやしません、こうはっきり言っているわけだ。あなたの先輩は実にいいことを言っているので、それを踏まえて国会決議ができたのだから、したがってあなた、今度やったように、硫黄島のようなあんなへまは二度とやらぬようにしてもらいたい。  それで、いみじくもあなたは、二月十九日の報道ですが、二月十九日に閣議後の記者会見で、この通信衛星の問題について中曽根さんが民社党の方の質問に答えて、自衛隊存在平和目的だから、自衛隊による利用というものもこの平和目的ということに即して今後検討してみたい、こう言っておるのに、あなた、ちょっと批判的な意見を持っておられたようですな、それはちょっと拡大解釈過ぎるんじゃないかと。ここであなたの考え方というものを公式に表明してくれませんか。
  12. 竹内黎一

    竹内国務大臣 先般、私が記者会見で申し上げました私の真意は、いわゆる自衛隊は我が国の独立と平和を守るための存在であり、その旨を自衛隊法にもうたっているわけでありますけれども自衛隊存在平和目的であるから、それによって自衛隊のやることは何でもいわばオーソライズする、もしこういう解釈があるとすれば、それは私個人としてはいささか解釈の行き過ぎではないか、こう思う趣旨を述べたわけでございまして、別に総理発言を念頭に置いたわけではございません。
  13. 矢山有作

    矢山委員 やはりあなたは、良識的な人だなあと私はかねて思っておったのだけれども、さすがに良識がある。そういう意見政府部内で積極的にどんどん出して、恐らく、総理が検討すると言っておるから、あの人が検討すると言ったらその次に必ずやるのだから、これは今までの実績なんだ。だから、ぜひあなたは堂々とあなたの所信というものを述べて、でたらめな、無制限に宇宙軍事利用が始まることに対して歯どめをかけてもらいたい。  そして、もう一つ重ねてあなたに御要望申し上げるなら、あなたは事業団法審議のときの経緯なり国会決議を尊重して、今後自衛隊衛星利用については判断をしていくとおっしゃったわけだから、あなたの先輩が出された見解というものをやはり引き継いで対処していただきたい。このことを、良識あるあなたにさらに重ねてひとつ要望しておきます。どうぞしっかりやってください。よろしいね。
  14. 竹内黎一

    竹内国務大臣 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、これから打ち上げが予定されている各種衛星について、自衛隊の方においてそれを利用するとか云々という話は聞いておりませんわけでございますから、その件につきましては、先ほど申し上げたように法律の趣旨国会決議趣旨を踏んまえて対処いたしたいと思いますけれども、当面問題になっております自衛隊のいわゆる通信衛星利用に関しましては、政府見解と同じ立場に立っております。
  15. 矢山有作

    矢山委員 政府見解に我々は疑義を持って、これは国会解釈に任されておるところでありますし、予算委員会の方でやがて結論を出されるだろうと思いますので、それを待つことにいたします。  そこで、次に質問を移しますが、これは二月二十二日の朝日報道なんですが、横田にある在日米軍中央指揮所、これができ上がった、これと防衛庁内の中央指揮所との直通通信回線が設けられる、こういうことが報道されておるんですわ。これは事実なんですか、どうなんですか。防衛庁長官、知っているかな。長官は知らぬのか。
  16. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お答え申し上げます。  これは過去にも何回か御説明申し上げたことがございますが、防衛庁中央指揮所横田在日米軍司令部の間に通信連絡手段は必要であろうということで、電話とかファックス等を設置したいということで考えておりまして、現在、そのための工事は実施している途中でございます。
  17. 矢山有作

    矢山委員 あなた、この間岡田委員ウイメックスの問題で論議を出したときに、横田にそのウイメックスが入っておる、そこでそのウイメックス防衛庁中央指揮所と連結するんじゃないかという質問が出たときに、アメリカウイメックスシステム中央指揮所連接するということにはなっておらぬ、現在そういう考え方は私ども持っていないとはっきり言っておるのに、二十二日になって発表されたわけだ。考えてみると、予算総括審議が済んだ、そして集中審議も済んだ、国会は山を越えた、岡田質問で既に疑問が提示された、やがてこれは真相が暴露するだろうと、そして総括質問集中審議が済んだ段階なら、まあそろそろこの辺で出しておいた方が無難じゃろう、少々ごたごた言ってもと、こういうぐあいで出したんじゃないのかね、これは。
  18. 矢崎新二

    矢崎政府委員 これは、先般の御質問はただいま先生御指摘のように、ウイメックスというものと連接をするようなシステムを考えているのかと、こういう御質問でございましたので、私どもはそういうことは全く考えておりませんので、そのことを明確に申し上げたわけでございます。  それから一方、こういった電話等連絡を取り合うという通信、一々向こうへ出かけていってやるというわけにもいきませんから、そういう通常連絡手段というのが必要であることは、かねてから申し上げているところでございまして、そういう意味では電話等はもう当然必要なものでございますから、これはもう何回も御説明申し上げております。これはシステムとしてのウイメックスをつなぐという問題とは全く違うことでございますので、ぜひその点は御理解を賜りたいと思います。
  19. 矢山有作

    矢山委員 あなた、まあ人を食ったいうのか、人をごまかすというのか、あるいはそれでなかったらすっかり何もわからぬのか、どうも判断がつきかねるけれどもね。  ウイメックス在日米軍通信は全部組み込まれているわけでしょう。ウイメックスミニコンピューター横田にあるということははっきりしているのですよ、これは。ウェザービーが言っているんだから、J6の。あのウェザービーという人は日本の、全世界の通信指揮管制システムのあれは責任者でしょうが、実質的な最高の。それが言っているんだから。そのウイメックスにつながる、ミニコンピューターがちゃんと横田にあるんだ。それでこれに対して、これを近代化するための事業が行われておった。最近、中央指揮所という形で完成したんだ。完成を待っておって、そこに自衛隊中央指揮所と直接連絡回線で結ぶというんだ。「もしもし、あなた健康ですか」、そんな話だけにわざわざ大それたそんなことやりますか。冗談じゃないですよ。横田在日米軍基地中央指揮所防衛庁中央指揮所がつながるというのは、雑談をするために、もしもしのやり合いをするためにつなぐんじゃないんだ、これは。ウイメックスの中に防衛庁自体中央指揮所ががっぽり入ることじゃないですか。そんなあなた、いいかげんなことを言っちゃだめですよ、それは。
  20. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この点は、ウイメックスというのは、外務省からも御説明があったわけでございますが、アメリカの方の特定の通信回線を指しているものと私は理解しております。で、そういうものの一環としてまあ米軍施設があるのだろうと思いますけれども、私どもが今中央指揮所をつくっておりますのは、これはあくまでも自衛隊の、防衛庁長官指揮活動を円滑にするということが目的でございます。したがって、そういったアメリカ軍システムに組み込まれているというようなものではございませんで、あくまでも独立のものでございます。  ただ、他方、日米共同作戦を有事においてやります場合に、司令部間の連絡の道はこれは当然必要なことでございまして、そういう意味でこれはかねてから電話回線等は設けたいということを申し上げているわけでございまして、そのこととウイメックスというシステム連接をしたシステムに組み込まれるという話とは全く別の話でございまして、私どもはそういうことは考えていないわけでございます。
  21. 矢山有作

    矢山委員 それは、あなたがそうここで言っているだけだよ。もしそう信じておるとするなら、あなたはまあ長生きするわ。よっぽどお人よしだ。あなた、二十二日の朝日にいろいろ言われているわ。それだったら、直通通信回線で結んだ以上は、一体これがどういう施設を持ったものと結んだのか、運用内容はどうなるのか、それをはっきり防衛庁長官、説明してごらんなさい。――あなたも知らない。防衛庁長官知らないんじゃ、これ頼りないね、全く。
  22. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お答え申し上げます。  これは通常電話回線、それからファックス、テレタイプという種類で考えているわけでございます。
  23. 矢山有作

    矢山委員 どういう運用をやるの。
  24. 矢崎新二

    矢崎政府委員 これは、必要なときに意思の伝達を相互に図るという機能を持たせたいと思っているわけでございます。
  25. 矢山有作

    矢山委員 あなた、新聞に解説をする方がよっぽど丁寧な解説をしておるよ。国会での解説は、全くこれ国会を小ばかにした、何というのか通り一遍の解説だ。あなた、防衛庁在日米軍筋は発表したということでどういうことを言っている。「陸、海、空軍、海兵隊各部隊の調整を行う在日米軍の「中央指揮所」ともいうべき施設」が横田にできた。それは「衛星通信でハワイの米太平洋軍司令部やワシントンの国防総省、ホワイトハウスの大統領執務室とも直接連絡できるという。三月には、昨春完成した防衛庁内の中央指揮所との直通通信回線が設けられ、これを使っての日米共同指揮所演習が予定されている。」こう言っているでしょう。それで、防衛庁中央指揮所の方の役割は「航空自衛隊のコンピューター化したレーダー警戒の「バッジシステム」や海上自衛隊の情報処理・指揮の「SFシステム」をはじめ、陸上自衛隊の各方面総監部や関係省庁と結ばれ、」云々と、こう言っているわけでしょう。新聞にあなた、説明するぐらいな話は、国会で説明したらどうなのよ、これ。(「新聞は誤報かね」と呼ぶ者あり)誤報だったら誤報だと言ってくれ。
  26. 矢崎新二

    矢崎政府委員 繰り返して申し上げて恐縮でございますが、このウイメックスというシステムは、アメリカのワールド・ワイド・ミリタリー・コマンド・アンド・コントロール・システムという……(矢山委員「それは、解説は要らぬ」と呼ぶ)全体を指すわけでございます。そういうシステムに我が方の中央指揮所連接をしていくのかと、こういう御質問でございましたから、そういうシステムの中に組み込まれるものではないということを申し上げたわけでございます。  で、どういうふうな機能を果たすかということにつきましては、まさにただいま私申し上げましたように、やはり相互の意思の伝達を常時図れるような回線は最小限必要でございます。そういうことですから、実際にどういうふうになっていくかということは、これはまあ運用を、有事におきましてどうなるかは、まあそのときどきの使い方はありますけれども、いずれにしても意思の伝達の機能ということで御理解をいただけるのではないかと思います。  まあ朝日新聞の記事が出ておりますけれども、これはどういう根拠でお書きになったかよくわかりませんが、私どもが考えておりますのは、ただいま申し上げましたように、アメリカのそういうウイメックスシステム連接をして組み込まれるというようなものに中央指揮所をするということでは全くございませんで、これは日本独自の、自衛隊の、防衛庁長官指揮活動を円滑にさせるということのためにこれを運用していくということでございます。
  27. 矢山有作

    矢山委員 防衛庁長官、知っておったんですか。例えばあの岡田質問のときに知っておったとするなら、今ウイメックスにはつながないんだで逃げよるわけだから、岡田質問のときに横田中央指揮所防衛庁中央指揮所との連結の可能性がこういうふうに出てくるんなら、その当時ウイメックスについて聞かれたからそれはないと言ったんだというようなことでなしに、もっと、実はこういう段階になっておりますということを説明するのが筋じゃないんですか。あなたもこれ知らなかったんじゃないですか。どうなんです。正直に答えてください。
  28. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ウイメックス質疑も私聞いておりまして、その当時の防衛局長の答弁と現在の答弁が内容を変えたとは、私聞いておりましてそういうふうな感じはいたしません。  それで、防衛局長が申しましたように、私たちの国とアメリカとは、有事のとき共同対処するわけですから、いろいろな意味でのコミュニケーションは大切だと思います。しかし、現在私たちの中央指揮所にあります米軍とめ連絡の仕組み、電話とかファックスが、ウイメックスとかそういう非常にコンピューターを使った高度のものに結びつけられているような、それほどの状況のものだとは私は見ておりません。
  29. 矢山有作

    矢山委員 これはまたすれ違いでしょう。またやがて、二月八日にも岡田さんが言っているように、時日がたつとだんだん真相がばれてくる。そのときにおかしなことを言わぬように、ちゃんと腹を決めて責任とりなさいよ、防衛庁長官、両方ね。やがて運用しておるうちに、どういうものかというのはわかってくるんだから。  そこで、もう一つ言っておきたいのですが、この日本のC3と米軍のC3を何とかして連接したい、結びつけたいというのは、アメリカの従来の考え方だったのですよ。だから、先ほど言ったウェザービー氏は、いろいろこのために努力しているわけですよ。どういうことを言っているかというと、こういうことも言っているのですよ。憲法上の争点と考えられるものをこのC3の連接は含んでおる、だから難しいんだ、こういうことも言っているし、日本人の間に集団防衛取り決めだなどというような考えを起こさせないようなうまいぐあいの二国間指揮管制通信システムを打ち立てること、これが我々が挑戦する課題なんだ、こういうこともしゃべっているのですよ。あるいは、相互接続を禁止しかねないような政治的過敏さをも克服しなければならぬのだ、そういう努力をしてでも何とかして日米のC3を連接したい、これをウェザービーははっきり言っておるわけですよ。それが今度実現したんだ、私の見方は。それを目指してアメリカはもう既に工事にかかっておったんだから。そして、横田中央指揮所は昨年の十一月ごろに完成しておるはずなんです。  だから、これは大変なんですよ、この問題は。もしこうなったら、完全にアメリカのC3と日本のC3が連接することによって、アメリカの核戦略体系の中にがっぽり入ってしまうことになるのですから。そしてもう一つは、そういうような集団自衛権の行使の問題もこれは絡んで出てきますよ。いやそれは集団自衛権はやらぬのです、こう言ってみたところで、集団安全保障体制の中でC3の連接が行われておるんだから、集団自衛権のための体制というのができておるんだから、その中で実力行動なりいろいろな行動が行われるのを、集団自衛権じゃないんですこれはと言ったって、それは通らないんだ、そんなことは。あなた、わからぬか。こんなことばっかりやっているが、そのくらいのことはよくあなた、防衛庁長官、責任があるのだから少し勉強してみなさい。これは大変な憲法上の問題を含んでおりますよ。  もう少しはっきり言っておくと、こういうことです。ウイメックスというのは、アメリカの全世界にわたる指揮管制通信システムなんだ。これは岡田さんが指摘したように、核攻撃命令なんかはこれを通じて出てくるわけだ。そして、そういう通信系統と日本中央指揮所がつながったということはどういうふうになるかというと、わかりやすく言うとこういうことになるのですよ。例えば稚内なら稚内のレーダーサイトが情報収集する。それが防衛庁中央指揮所へ集まる。それがすぐ横田米軍中央指揮所へつながっていく。そしてそれが最終的には、NCAでしたね、あのアメリカの国家指令機構にまで行くわけだ。そして、いろいろな集まってきた情報を解析して、それに基づく命令が今度は逆の形でおりてくるわけだ。こういうふうになるのですよ、ウイメックスの組織というのは。  そうなったら、完全にそういう中に取り込まれる。いわばそれはアメリカの戦略核体制を支える中枢的なものなんだから、このC3Iの機構というのは、全世界指揮管制通信システムというのは。この中に取り込まれるんだ。そうなってくるとどういうことになるかというと、これは完全に日本アメリカの核戦略体制の中で重要な役割を果たす、こういうことになるでしょうが。これはあなた、そんなわからぬとか頭をかしげるようなことをせずに、もうちょっとしっかりこれは勉強してもらわなければなりませんよ、あなたに国の安全と国民の命がかかっているんだから、あなたがどう対応するかによってね。  こんなことになってしまうと、国民は何も知らぬ間、恐らく下手をしたらあなた方も知らぬ間、与党の議員さんも我々も知らぬ間に、いつのほどにか日本は戦争に入ってしまうんだ。その場合はどうなるのですか。岡田委員が指摘しておったように、ソ連の第一の標的は、核攻撃指令を下すこういった通信網を破壊するということなんだから、それがソ連の第一核攻撃目標だというのは、この間岡田さんが指摘したとおりだ。そうすると日本は、アメリカのための第一線になる。その際、アメリカは生き残るだろう。日本は第一線になってつぶれてしまうんだ。そういうふうになるんだ。よく考えてごらんなさい。(発言する者あり)そこで雑談をするんじゃない。そういうふうになるんだよ。だからこれは大変な話なんです、  だから、これはウイメックスと関係ないんだ何だというような言い抜けをしないで、この連接はやめなければいけませんよ、連接は。これは私は真剣に言っているんだよ。やじの話じゃないんだよ。実態がこうなっておるのだから。それを認識して、国の安全を守るために、国民の生命を守るためにどうするかということを考えるのが国会の仕事であるし、自衛隊を握る防衛庁長官の仕事であるし、政府の責任でしょう。私はまじめに議論しておるのだよ。やじで済まされる話じゃないのです、この問題は。真剣に御検討をいただきたい。私は連接をやめるべきだと思います。防衛庁長官、どうですか。
  30. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たち、アメリカ日米安保条約体制を結んでおりまして、その中でどのような関係にあるべきかというのは、日米防衛協力のガイドラインとか、従来政府レベルでも、またこの国会でもいろいろ検討し、御議論いただいたところだと思います。  そこで、先生の御指摘のC3I、これをC三乗Iと呼ばれる方もいろいろありますけれども、最近の、ここしばらくの新しい概念ではなかろうかと思います。コマンド・コントロール・コミュニケーション・アンド・インテリジェンスになるわけですけれども、そういう概念の中にどういうものが入っているか、それもいろいろなところでいろいろな御議論があると思います。ハードもありますし、ソフトもあると思います。その中の一つにウイメックスがあるのかもしれませんけれども、それは私たちとしてはコミュニケーションが大切である。日米で情報交換するのも、日米安保条約の運用をより円滑にし、また信頼性を確保するためにも重要である。同時に、先生おっしゃいましたように、我が国の安保条約はあくまでも個別自衛権の範囲、我が国の立場からすればそうなっているわけですから、その辺のことについては、シビリアンコントロールのもとに私たちはしっかりと運用してきたつもりでございますし、今後も運用してまいりたいと思っております。
  31. 矢山有作

    矢山委員 こんな問答を続けておっても仕方がありません。ただ、私が指摘したことはやがて事実になって我々の目の前に出てくると思うのですよ。そのときのことをちゃんと腹に入れて考えてください。  引き続いて、共同作戦計画案についてお伺いいたしますが、時間の関係がありますのでずっとまとめて、後からこういうことにしてほしいということを言いますので、ちょっと要点だけ二、三聞いておきます。  この作戦計画案は、秘密だといって国会に出さないわけです。その法律的な根拠は何ですか、国会に出すことを拒否するという。長官。――長官、何もわからないのかあなたは。
  32. 矢崎新二

    矢崎政府委員 これは、有事におきます共同対処の要領を研究をしておるということでございますから、これは高度の作戦上の機密にかかわる問題がそこで研究されているわけでございます。したがって、これは事柄の性質上、公表を差し控えさせていただきたいということでございます。
  33. 矢山有作

    矢山委員 もしこれがどこかではれたときどうなるんですか。機密だ、機密だ、ただ機密だから出さないんだということだけじゃ済まぬでしょう。ばれたらどうなるんです。漏らされたらどうするんですか。
  34. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ばれたらというのがどういう意味だかちょっとよくおかりませんけれども、(矢山委員「もし漏れたら、だれかが漏らしたらどうなる」と呼ぶ)これはやはり秘密を漏らしたということになると思います。
  35. 矢山有作

    矢山委員 漏れたときの、だれかが漏らしたときのそれを規制する根拠法は何ですか。
  36. 矢崎新二

    矢崎政府委員 これは防衛庁の場合で申し上げますと、自衛隊法に秘密を漏らした場合にそれに罰則を適用するというふうな条文もございますので、そういったものが適用になる問題ではなかろうかというふうには思います。
  37. 矢山有作

    矢山委員 自衛隊法だね。そうすると、刑特法の関係ないね。刑特法の関係ありませんな。
  38. 矢崎新二

    矢崎政府委員 刑特法の問題ではないように思っております。
  39. 矢山有作

    矢山委員 じゃ、確認しておきますよ。刑特法の問題ではない、自衛隊法上の問題であると。そうすると、この秘区分はどうなっていますか、秘区分は。
  40. 矢崎新二

    矢崎政府委員 我が国の防衛のための作戦計画、つまり年防なんかの場合ですと自衛隊法の問題でございます。  ただいま御指摘の刑特法という問題につきましては、我が国の年防の問題であれば当然に刑特法の関係はないというふうに私理解しておりますが、先生の御質問がこの日米共同作戦計画の研究にかかわるということでアメリカの絡んでいる部面がある点についての御指摘であるかと思いますので、ただいま明確に、ちょっと今資料もございませんので、別途また御説明したいと思います。
  41. 矢山有作

    矢山委員 それじゃ、私の質問が終わるまでに調べておいてください。これは重要な問題なんだからね。刑特法の適用対象になるのか、地方自治法の対象になるのか。
  42. 矢崎新二

    矢崎政府委員 今お話が矢山先生の御質問の間ということでございますと、ちょっとその辺は今明確に申し上げかねますが、速やかに今調べさせておりますので、御理解賜りたいと思います。(矢山委員「いつまでだ」と呼ぶ)速やかに今やらせておりますので……。
  43. 矢山有作

    矢山委員 外務大臣、あなた、この日米作戦計画案の説明を受けましたか。それから北米局長、どうですか。
  44. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 外務省といたしましては、最終的に受けました。
  45. 矢山有作

    矢山委員 計画案をお読みになったですか。それとも説明を受けただけですか。その説明者はだれですか。どの程度の説明を受けたのか。
  46. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、事務当局を通じまして概略の説明を受けました。説明者は北米局長です。
  47. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 外務省の事務当局におきまして、防衛庁の事務当局より必要に応じて説明を受けて、それを大臣に御報告した、こういうことでございます。
  48. 矢山有作

    矢山委員 それじゃ大臣、中身は読んでないね。本文のほかに別紙が何ぼあったか、そんなこと全然わからない。概要説明受けただけですね。もう一遍確認します。
  49. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは外交的な協定といったものでないものですから、今おっしゃるように概要だけ承っております。
  50. 矢山有作

    矢山委員 しかし、これはガイドラインの枠内のものでしょう、この研究は。そうすると、あなたは日米安全保障協議委員会のメンバーだ。それから北米局長は防衛協力小委員会のメンバーだ。そうすれば、当然こういった重要な計画案については概要の説明を受けるというのでなしに、あなた中身をちゃんと見てよく承知しておかなければならぬのじゃないですか。あなた、自分の地位を何と考えているのですかね。
  51. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはいわば軍事的な作戦計画といいますか、いわゆる専門家同士によって話し合われた、そしてその結果生まれたことでありますし、主として防衛庁アメリカとの間で行われたわけで、外務省は安保条約の運用という立場でこの説明を受けたわけですから、いわば専門的な分野にわたるものですから、私は局長からその旨を受けただけで、一々具体的に――またこれが外交協定といったようなものであれば別ですけれども、そうでないものですから、あくまでも非常に専門的な分野にわたるものですから、ただ概要だけを受けたにとどまっておるわけです。
  52. 矢山有作

    矢山委員 そう言えばそうかいなで済む話ですが、事、国の安全保障上重要な問題なんですから、あなたは日米安保協議委員会の委員であるし、北米局長は先ほど言った小委員会の委員なんだから、こういったものについて、まさに安保条約の運用にかかわる、だから、あなたは詳細を見せると言ってちゃんと知っておくのが義務だと私は思いますよ。シビリアンコントロールの上からいってもそれが大事なんじゃないですか。これは、今後そういった点はじっくり反省していただいて、どう対応するかひとつお考えをいただいておきたいと思います。  それから次は、この前国会で問題になったフライングドラゴンの計画では、計画本文のほかにたくさんの別紙がついておったわけです。今度の計画にはどの程度の別紙がついていますか。
  53. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お答え申し上げます。  日米共同作戦計画の内容にわたることにつきましては、繰り返し御説明申し上げておりますように、これは事柄の性質上内容を申し上げることは差し控えさせていただいておりますので、それが今御指摘のようなどういうふうな別紙等があるかということについても差し控えさせていただきたいと思います。
  54. 矢山有作

    矢山委員 何ぼあるかも言えない、数も。
  55. 矢崎新二

    矢崎政府委員 差し控えさせていただきたいと思います。
  56. 矢山有作

    矢山委員 ごらんのとおり、作戦計画ができた、本文も見せない。フライングドラゴンのときに本文のほかに別紙がついておったんだから、別紙があるということははっきりしておる。なしということはないんだから。ところが、それが別紙があるかないかも言わない、こういう状態です。  それじゃ次に、この作戦計画案をつくるときの前提になっておった使用可能兵力はどういうふうに見ておってあれをつくったのですか。
  57. 矢崎新二

    矢崎政府委員 御指摘の問題は使用可能兵力ということでございますが、一般的にそういった日本有事の場合においてどういうことを想定をしているか、あるいはするかということについても、これは高度の機密に属する問題でございまして、公に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  58. 矢山有作

    矢山委員 作戦計画を立てる以上は、一定の状態というものを想定して立てると私は思うのです。そうすると、侵攻してくる兵力がどういうものか、それに対応して我が方がどういう兵力をもって対抗していくのか、これが想定されなければ作戦計画案はできない。ところが、一体使用可能兵力をどう踏んでおるのかと言っても、これが秘密で答えられない、こういう状況です。  それでは、次に伺います。  この作戦計画案は、各種の状況に応じて見直しをやるということになるのじゃないか。つくったらつくりっ放しで、これが五年も十年も二十年も続くというものじゃなかろうと私は思っております。見直しをするというのは、一体どの程度の期間で見直しをするのか、毎年やっていくのかあるいは二年置きにやるのか、それが一つ。  それから、見直しは一体だれが発議して、どういう手続でやるのか、それを御説明願いたい。
  59. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この共同作戦計画の研究は、これもかねてから申し上げていることでございますが、一応の区切りがついたということで今回まとめをしたわけでございますが、基本的にはもう先生が御指摘のとおり、いろいろな国際情勢の変化でありますとか、いろいろなそれぞれの自衛隊あるいは米軍の状況変化というものを考えながら、常時見直しをしていくべき性格のものである。そういう意味で、いわばこの研究自体がエンドレスに続くものだということを申し上げているわけでございますから、そういう意味では見直しが当然あり得るわけでございます。ただ、それをどういうふうに一定の期間ごとに定期的にやるとかいうことを特に決めているわけじゃございませんで、必要に応じてそれはやっていくことになると思います。  それから、だれがということでございますが、これはまさにこの研究自体がそういうエンドレスに続く性格というものでございますから、あえて申し上げれば、従来から研究の実施を担当しております、自衛隊で言えば統幕の事務局、それからアメリカ側で言えば在日米軍司令部の間でそれがずっと研究が進められていく、見直しが進められることもあるということで御理解をいただきたいと思います。(矢山委員「どちらで発議してもいいわけだね」と呼ぶ)それはどちらがということじゃなくて、お互いに常時連絡をとっておりますから、そういう研究のプロセスが続いておるということで御理解をいただければいいんじゃないかと思います。
  60. 矢山有作

    矢山委員 ガイドラインに「共通の準備段階」云云ということがあるのを御存じですね。作戦計画案の中で共通の準備段階というのは、やはりガイドラインを受けているわけだから決めていると思うのですが、これは何段階ぐらいに決めていますか。
  61. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この共通の準備段階というのは、考え方といたしましては、事態の推移に応じまして幾つかの段階を考えながら準備を進めていくのがいいのではないかという考え方をそこにあらわしているわけでございますけれども、具体的に幾つということを申し上げることは、これも差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 矢山有作

    矢山委員 米軍はこれを何段階ぐらいに決めておるか、御存じですか。
  63. 矢崎新二

    矢崎政府委員 米軍の場合にどうなっているか、私も今ここで明確に責任を持って申し上げられる立場にはございませんけれども、複数の段階に分けたそういう準備段階があるというふうには聞いております。
  64. 矢山有作

    矢山委員 これは私が言うよりあなたの方でよく勉強しておいてください。私が言いたいのは、恐らく米軍の準備段階とこちらの準備段階というのは連携を持って進んでいくだろう、こういうように考えていますから、ひとつ勉強しておいてください。  それで、その準備段階の選択ですね、どの準備段階を選択するか、これはだれが、どういう手続で決めるんですか。
  65. 矢崎新二

    矢崎政府委員 これはどういうふうにしてその共通の準備段階というものが実際のときに動いていくかということ自体、これはまだ研究課題でございます。  ただ、基本的に申し上げられることは、我が自衛隊に関する限り、自衛隊の行動を規制していくのはあくまでも日本の指揮権のもとに動いていくわけでございますから、そういう段階を選択をする場合におきましても、それは日本自衛隊については日本が最終的に判断をして決める、こういうことに相なると思います。
  66. 矢山有作

    矢山委員 日本自衛隊日本の指揮権で動いておるんだから日本の自主的な判断で決まる、おっしゃるとおりだろうと思うのです。ただ、問題はどういうことかというと、極めて常識的に考えればいいんで、支援をする方と支援をしてもらう方、一体どっちが中心になる。支援をする方が中心になるのです。これが親分になる。支援をしてもらう方は支援をする方にくっついていかざるを得ない。だから、そういうふうに考えたら、私は準備段階の選択などというものの主導権は一体どっちが握るかというのは常識で判断してもらったらいいと思います。  次に、「調整機関」というのは、これはどの段階で、どこに設置されるのですか。
  67. 矢崎新二

    矢崎政府委員 有事の場合におきます自衛隊米軍との作戦行動がそれぞれの指揮権のもとに行われるということは、もう委員御承知のとおりだと思います。したがって、そのための両方の作戦活動を円滑に行っていくにはやはり相互の意思疎通を円滑にしていく必要があるわけで、そのために御指摘の調整機関というものを設ける必要があるという認識がございまして、それをガイドラインに書いているわけでございます。  ただ、これは実際にどういう形でやっていくかということ自体が、このガイドラインの中におきましてもやはり研究を要する事項になっているわけでございまして、一般的に申し上げれば、いろんな部隊の上下のレベルでかなり必要になるだろうというふうには思っております。(矢山委員計画案の中で決まっているんじゃないのですか」と呼ぶ)調整機関のあり方の問題というのは、その他の、作戦計画の研究以外にもいろいろある項目の中の一つでございますけれども、まだそちらの分野の方は余り進展を見ておりませんで、これからの研究課題であるというふうに私どもは認識をいたしております。
  68. 矢山有作

    矢山委員 そうしますと、調整機関の問題についてはまだ十分な煮詰まりがないということなんで、計画案を見せてくれぬのだからそうかと言うぐらいなことしかできませんが、私は、作戦計画案をつくるときに、調整機関の問題をゆるがせにして計画案ができるとは思っておりません。調整機関はどういう構成で、どこに設置をするか、こういうようなのはきちっと決められた上で作戦計画案がつくられる。そうしないと作戦計画案は実際に作動するときに役に立たぬ。これはもう常識ですね、私はそう思っている。  それから次に、日米共同作戦計画案で他省庁の問題にかかわってくる部分というのが相当あるんじゃないかと思いますが、どうですが。
  69. 矢崎新二

    矢崎政府委員 共同作戦計画の研究の内容にどういったものが含まれているかということは、繰り返し申し上げて恐縮でございますが、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしてもこれはあくまでも研究作業でございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  70. 矢山有作

    矢山委員 今御答弁のとおりに、計画案で他省庁とどういうかかわりを持つものがあるのかということも秘密で言えない、こういうことであります。  それから、一九八二年のアメリカ陸軍のFM100-5によりますと、警察省が日米共同作戦の場合に日米両部隊を支援するということになっておるのですが、これは警察法上どうなんでしょうね、問題があるのじゃないのでしょうか。これが一点。  それから、警察庁が共同作戦の場合に日米両部隊を支援するというようなことを言っておるのは、これはどういう協定に基づいてやれるのですか。何か協定がなければとてもやれぬと思うのだが、その辺はどうなんでしょう。
  71. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のような記述というものがどういう根拠でアメリカ側で記述されているのであるかということについては、私どもも承知はいたしておりません。  ただ、警察法は、御承知のとおり、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当る」というのが、日本の警察の任務であろうかと私は理解いたしております。
  72. 矢山有作

    矢山委員 私が問題にしておるのは、これは警察庁が日米両方の作戦部隊を援助するということになっておるので、一体どういう場合を想定してやっておるのか、これをもしやるとすれば、私はかなり厳密な協定等もないと大変なことになると思うから、このことがアメリカの作戦の中に取り上げられておりますから指摘をしておきます。これは警察庁との関係もあろうから改めて検討しておいていただいて、そしてやがてお聞かせをいただくことがあると思います。  そこで、私が今この共同作戦計画案についてまさにポイントになるようなところ、まあ、外れた点もあるかもしれませんが、幾つか聞いた。もう全部これは言えないということですね。だから、日本を守るんだ、国民の生命、財産を守るんだと言って日米両軍の間でやっておること、自衛隊米軍の間でやっておることが一体何をやっておるのか、国会の場でも霧の中、ましていわんや国民にも霧の中、こういう状態であるということをまず私は申し上げておきたい。  それで、防衛庁がどんなに秘密秘密ということで物を我々に知らせないかという一例を御紹介しておきます。私は先般、防衛庁に対して秘密の保管件数は何ぼあるんだと聞いたのです。そうしたら、それは秘密だから言えないと、こう言う。秘密の保管件数が秘密であるから言えない。やむを得ぬ、それじゃおれのところへ、その秘密件数を議員に明かせないのはどういう理由で明かせませんからという文書を持ってこいと、こう言った。そうしたら明くる日になって、いや、申し上げますと、こう言う。申し上げますと言って持ってきたのを御紹介いたしましょう。  秘密件数と点数です。防衛秘密というのと庁秘というのがあります。その防衛秘密の中で機密、これはゼロ。庁秘が二千百三十三。極秘が防衛秘密で二百十八、庁秘で五千八百八十一。秘が防衛秘密で五千九十五、庁秘が九万七千九百七十四。合計いたしますと、防衛秘密が五千三百十三件、庁秘が十万五千九百八十八件、こういう状態であります。点数で言うとどうなるか。同じく防衛秘密、庁秘と区分けしております。防衛秘密には機密はない。庁秘には機密があります。それは三万四千四百五十四。極秘、防衛秘密では八百二十八、庁秘で四万七千八百三十六。防衛秘密はマル秘で十一万三百六十三、庁秘で何と百十五万四千四百四。合わせて点数で言うなら、防衛秘密が十一万一千百九十一点、庁秘が百二十三万六千六百九十四点、こういう状態であります。  これが防衛庁の実態。まさに国民は知らしむべからず寄らしむべし。国会もそういう状態になっておる。これは私は野党議員だけで問題にすべき問題ではないと思う。与党の議員さんも恐らくこういう防衛庁の姿勢の中ですべてが霧の中に閉じ込められておるのだ、こういう状態ではないかと思います。私は、極めて危険な状態であるということを指摘を申し上げておきたい。  そして最後に、ひとつお願いをしておきます。きょう質疑で取り上げることができなかった点につきまして、後で言えるところ、わかるところ、あなたで言えるところ、それを発表願いたい。後でよろしい。文書で提出してください。  まず第一は、この計画案は日本語でできておるのか英語でできておるのか。  そして、日英両語でできておるとするなら、その両方の正式名称。  第三点は、何部を作成し、どこに保管するのか。  第四点は、正文はどちらか。日本語文なのか英語文なのか。正文はどこに寄託をするのか。あるいは寄託という手続はないのかもしれませんが、一応お聞きしておきます。  それから五番目に、文書の登録番号、登録年月日はどうなっておるのか。署名者、それから決裁はいつだれがやったのか、日米両方についてであります。  そして、お願いでありますが、でき得れば、先ほど申し上げましたような計画案文についての別紙その他の附属文書についても、どういう文書があるかという名前ぐらいは重ねて私どもはお知らせをいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  時間の関係がありますので、以上で防衛計画案の問題を終わらせていただきたいと思います。――資料要求、いいですね。
  73. 天野光晴

    天野委員長 出せるものは出させます。
  74. 矢山有作

    矢山委員 委員長、名言だ。出せるものは出せる、出せないものは出せない。わかりました。  この前のときに、米軍自衛隊との間のインターオペラビリティーの問題あるいは標準化、英語で言うとスタンダーダイゼーションと言うんですが、この問題をお聞きしたわけですが、引き続いてこの問題をひとつお尋ねをしておきたいと思うわけであります。  私の質問に対して防衛局長は、インターオペラビリティーのためには標準化が必要であるということ、これはお認めになりました。そして、その標準化には、共通の装備を持ったり通信連接というようなことのほか、作戦運用の面でも標準化が必要だ、こういうふうに答えておりますが、これをもとにして以下御質問を申し上げたいと思うわけであります。  パシフィック・スターズ・アンド・ストライプスの昨年の九月二十七日号に在日米陸軍司令官であるアレクサンダー・M・ワイアンド中将がこういうことを言っております。みちのく84の演習について言っておるのですが、「日米共同演習では初めてのことだが、日米両国が共同で作業を行う場合の問題点を、五つの主要な分野について記録し点検できるように、部隊の構成を意識的に行った。五つの分野とは、通信、兵站、火力支援、情報、化学戦である。」こう言っているのですが、これはどういう理由でこういうふうな五つの分野にわざわざ分けてやるというようなことをやったのか。これは事務当局、御承知なら教えていただきたいのです。
  75. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  先般行いましたみちのく84、日米共同実動訓練でございますが、この際に、機能別訓練といたしまして今申されましたような通信とか情報とか、こういった分野につきましての訓練を総合訓練を行う前にやってございます。多分そのことを指すものであろうというふうに推測しております。
  76. 矢山有作

    矢山委員 それは何でやったのですか、その理由。
  77. 大高時男

    ○大高政府委員 日米両軍が総合的な訓練をやります前に、機能別にそれぞれの部隊がお互いの装備を展示し、あるいはまた自分のやり方というものを見せ合いいたしますので、それを機能別訓練というふうに申しております。
  78. 矢山有作

    矢山委員 こういうことをやるのは、いわゆるインターオペラビリティー上どういう問題があるのか、それを解決するためにやるんだ、これは常識でしょうね。  そこで、私は、そういう演習は私が今言ったようなものであったんだということを、陸上自衛隊幹部学校が出しておる「陸戦研究」という雑誌の中で昭和五十七年の四月に赤松修三という三等陸佐が書いておりますから、これを御紹介申し上げておきたいと思うのです。どういうことをやっているかというのがわかると思うのです。  「日米連合作戦を効果的に実施するため陸上自衛隊が準備すべき事項」という論文を書いております。この論文は赤松三佐によると、「来たるべき有事の際、日米安保条約に基づき、日米連合作戦を実施する場合、その作戦をより有効に実施するため、陸上自衛隊が具体的に準備すべき事項について主として作戦的観点から考察した」という論文でありますが、この中で筆者は「作戦時に予想される主な問題点」は何かというので、次のようなものを挙げております。  米軍の補充の問題、日米相互の迅速な情報交換が困難であるということの問題、日米の戦法や戦術思想が異なっている問題、編成、装備が違うという点、各種の様式、手順が異なっておるという点、日本が兵たん組織が弱いという点、補給品の互換性がない、さらに補給品の分類のやり方が日米で違うという点、さらに連合通信のための組織と運用要領、通信器材の開発装備がなされなければならぬということ、自衛官の話学力が弱いということ、さらに日米では習慣、考え方が違う、こういうようなことが日米連合作戦をやる上で問題だと言っているわけです。  そして、「したがって陸上自衛隊としては予想される各連合形態を考察し、可能な範囲の準備をできるところから実施する態度で臨まざるを得ない」、そう言って、次のようなことを陸上自衛隊が準備しなければならぬと書いております。一つは英語教育の強化による英語力の飛躍的な向上、連合作戦のための専門的な教育の実施、陸上自衛隊米軍の人事交流の推進、陸海空の統合訓練の推進、日米の連合訓練の推進、教範等の整備、日米共同研究開発の推進、連合兵たん機構の整備、補給品の分類を米軍に一致をさせる、連合作戦構想の確立、連合作戦計画の策定。  そして、教範等の整備についてはこういうふうに注釈を述べております。「NATOにおけるNATO陸戦教義といわれる一種の原則書等を参考に、日本の特性に合致した教範又は訓練資料等を米軍の協力を得て、早期に作成することが望まれる。連合用語集を始めとして、整備すべき教範類は多岐にわたるが、できるものから案として作成し、訓練の実施をつうじて逐次改正していく態度が必要であろう」と述べておるところであります。つまり、日米のインターオペラビリティーのためには、自衛隊の教範の内容を米軍の教範の内容に合わせることも必要だ、補給品の分類基準を米軍と一致させることが必要だ、そういうものを含んだ、今申し上げたような非常に広い分野での、共通性を持たせる標準化は必要なんだ、こういうことを言っておるわけです。そういう作業をやるために、やはり演習の形態もこういうふうな形態になっていきよる。これは膨大なものをつくらなければならぬわけですね。  これについて、先般、共同作戦も特に一九七八年のガイドラインができて以来非常に頻繁になっておるし、その共同演習の質もどんどん高まってきておるから、その共同演習というのは遊びでやっておるんじゃないので、そういうことをやりながら、共同作戦をとるのに一体どこに問題点があるかということを摘出をし、そして共通性を、つまり相互運用性を持たせるために解決をしていく、それをやってきているわけです。  したがって、私がこの間質問したように、そういう共同作戦をやる中で合意ができ、了解に達し、理解ができておるものがあるんじゃないか、それがアグリーメントその他の形でつくられておるんじゃないかということを実はこの間御質問した。ところが、矢崎さんの答弁はどうもはっきりしない。総理はやはり敏感だから、私の言っておることに対してきちっと答えた。それはできておるものもあると思う、しかし今研究中のものもあると、言うならこういう趣旨の答弁です。ただ、それは行政協定というようなものではありませんよ。それはそうです、当たり前です。行政協定じゃないということはわかります。したがって私は、総理も、このアグリーメント、どういう形式をとっておるか知りませんが、このアグリーメント、文書化されて、そしてお互いに確認しておるのか、あるいは文書化してお互いが署名しておるのか、調印しておるのか、その形はどうなっておるか知りませんが、幾らがある、できておるものもあると言うのだから、そのできておるものはどういうものができておるか、きょう言えませんか。長官が知っておったら言ってほしいですな。
  79. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お答え申し上げます。  五十三年にガイドラインができましてから、ガイドラインの中でいろいろ研究すべき項目があるわけですけれども、まず最初に手がけてきましたのが共同作戦計画の分野でございまして、それがようやく少しずつ進んできているという状況でございます。したがって、その他の項目についてはそれほど今までは進んでいなかったということでございまして、そういう意味で申し上げますと、ガイドラインに基づく研究の成果としてのまとまってきているものというのは共同作戦計画の研究でございまして、したがって、それ以外の分野は、もちろん少しずつ担当者間での意見の交換等は行っているわけでございますけれども、それが最終的にまとまりがつくという段階にはまだ来ていないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  80. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、ここまでは確認できるわけですね。そういう共同演習などを通じてインターオペラビリティーを持たせるために話し合いをする、そして合意に達したもの、そういったものはある、しかし正式のものにまではなってない、こういう意味ですか。
  81. 矢崎新二

    矢崎政府委員 御指摘ございました共同演習でございますが、これは一つの具体的な体験を生んでいるということは事実でございます。そういった体験で、何といいますか、それぞれが感じました問題、そういうものが、このガイドラインに基づく共同研究の中でいろいろと参考になるという関係にはもちろんあるわけでございます。ただ、研究そのものは今まだ進行途上であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  82. 矢山有作

    矢山委員 どうも、中曽根総理は、理解、了解に達したそういうものは十分あり得ると言うのだから、何らかの形であるのだろう、話し合いをしてそのままにほっぽらかしにしておくと十日もたったら忘れてしまうから、何らかの形であるのだろうと思うのだけれども、正直におっしゃらぬから、時間を食うだけだから、次に移ります。  私は、インターオペラビリティーのためにどれだけ数多くのことをやらなければならぬかということをきょうは少し明らかにしたいと思ってしゃべっているわけです。  もう一つ、「陸戦研究」の前身としてやはり陸上自衛隊の幹部学校から出されておった雑誌があります。それは「幹部学校記事」というのですが、それの昭和四十五年の二月号に、三上哲男一等陸佐が、「米陸軍改正教範に見る副指揮官と連合作戦について」という論文を書いているのです。この中で、三上一佐はこういうことを言っています。  「連合作戦の基本方針事項は、国際間の条約、協定等で律せられることは当然であるが、教義、原則及び戦技事項について平時からその思想あるいは手続が標準化されていれば、訓練又は有事の効率発揮にきわめて有利であることは多言を要しない。最近の改正新教範類の特色の一つは、細部の協定で思想の合意に達した事項をその協定番号とともに明示している点である。これらの思想統一は、各条約機構内にある標準化委員会、又は、英語を共通国語とするアメリカ、イギリス、カナダ及びオーストラリア間においては、特に設けられた作戦・兵站思想標準化委員会で検討、実施されている。」こういうふうに書いておるのです。つまり、標準化については国際間の条約や協定とは別のいろいろな細部の協定が結ばれておる、結ばれなければならぬ、こういうことなんです。これが、私が先日来言っておるスタンダーダイゼーションアグリーメントであろうというふうに私は思っているわけです。  この論文には、さらにこういうことを言っているのです。米軍の師団教範、これ、きょう持ってきていませんが、その本の中から抜粋しております。NATO軍の統一戦技、統一教義の名称が一覧表になっておるのでありますが、それによると、陸軍の師団の作戦に関するものだけで、統一戦技等一覧表というのがありますが、これが二十六あるのです。それから統一教義というものが、これも師団に関するものだけですが、十項目これに載っております。  さらに、多田一佐がこの「陸戦研究」の中で同じようなことを述べておる中に、こういうことを言っております。アメリカは標準化のために、同盟国との間で百五十以上の協定を結び、さらに八十の協議を検討中で、例えばNATOとの協定では地雷原報告の様式から一本のねじの規格に至るまで定められておる、こういうふうに書いておるのです。  だから、日米の間でインターオペラビリティーを確立するということになると、こういうような大変な作業がある。しかも、それについていろいろな細部の協定あるいは申し合わせがつくられていくわけだ。そういうものの上に共同作戦計画というのがあって、それが、いざ共同作戦を実施に移すときには有効に動いていく、こういう形になるんです。ですから、共同作戦計画をつくって、それが、いざその有事の事態に発動していくというためには、これは大変な作業なんです。だから、共同作戦計画案、それは四、五十ページのものが一つ、ぽんとあるんだろうと、そういうふうに考えるなら、これは大変な誤りであるということを私はきょうは申し上げておきたいわけであります。  そこで、こういうふうに考えてくると、つづめてこういうことになるんじゃないでしょうか。共同作戦を遂行するためにはインターオペラビリティーが必要だ、そのためには、先ほど来長々としゃべっておるように、数多くの標準化のためのアグリーメントがつくられる、あるいは教範の統一などもやられていかなきゃならぬ、そういう膨大な作業が伴う。しかも、アメリカは、こうしたものは既にNATOなどではつくっておるわけです。米韓の間でも私はできておると思う。そうすると、それを今度は日本自衛隊との間でやっていこうというのですから、だから、インターオペラビリティーだ、標準化だと言ってみたところで、一体結論はどうかというと、アメリカ日本に合わしてくるんじゃないのです、日本の方がアメリカの方に合わせていくという形になる。したがって、日米共同作戦体制というのは、こういうようないろんな協定の中で日本アメリカによってがんじがらめになっていく、そういうことになるんだということを言いたいのです。しかも、それによって自衛隊はNATOや韓国の軍隊とも標準化されていく、インターオペラビリティーを持つことになるわけです。そうなるとどういうことになるか。米日韓の軍事一体化体制というものがここに確立してくるんだ、そういうことになるんだということを私は強調したい。  だから、その実態がどういうものであるかということを、少なくともシビリアンコントロールの立場から、国会がそのシビリアンコントロールの最高の機関であるとするなら、こういったものについてできるだけ知らされておるということが必要なんだ。国会の公の場でやれないんなら、秘密会を持ってでもこれは提出をして説明をすべきなんです。そうでないと、戦前のような軍部独走が起こる。私はそれを心配しているわけです。  ですから、先日来皆さんお聞き取りいただいて、何をしゃべってるんだと思われる方もあるかもしれませんが、非常にこの問題というのを重視いたしましたから、これを中心に先日来取り上げてきたわけであります。  したがって、私が最後に申し上げたいと思いますのは、できるだけこの軍部が、制服が進めておる内容というものは、それは総理なり防衛庁長官が把握されることももちろんでありますが、内閣の首脳の方々はこれはやっぱり十分把握をしておくということ、これも私はシビリアンコントロール上必要なんではないか。さらに、国会ができるだけどういうものだということを知らされておるということも、国会の国民に対する責任として私は重要なんじゃないか。こういうふうに考えておりますので、どうぞ、今後こうした問題について政府の方々には御検討をいただきたい、そして良識を持って対応していただきたいし、また、きょう委員長の席におられる天野委員長には、そうした実態を十分御認識をいただきまして、ひとつできるだけ、そういったベールに包まれたまま、霧の中のままということで放置することのないように御努力をお願いしたい、こう思います。
  83. 加藤紘一

    加藤国務大臣 日米共同作戦研究につきましての大変詳細な御関心と、それから御質疑をいただきまして、ありがとうございました。  私たちとしては、事柄の性賃上、なかなか表にできない部分がありますので、理事会等でできるだけお出ししたけれども、いろいろ御不満があることは存じております。  ただ、委員がおっしゃいました、これは制服組の間で署名されたものでありますけれども、シビリアンコントロールをしっかりしておくように、そこにいささかの遺漏もないようにというのは、よく私たちも責任を持って認識しなければならない部分だろうと思います。それなりの手続をしていることは申し上げてきているところでございますけれども、その辺につきましては、御指摘の点、十分に頭に入れてやってまいりたいと思います。  内局も随時協議を受け、また私も報告を受け、総理にも報告しておりますけれども、その辺は今後とも心してまいりたいと思います。
  84. 矢山有作

    矢山委員 それでは、もうあとわずかですから、質問を他に移していきたいと思います。  農業の方の関係なんですが、はしょって少し聞いておきたいと思うのですが、他用途利用米というのは、一体これはどういうものなんですか。私はどうもいろいろ考えてみてよくわからないんです。
  85. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えいたします。  他用途利用米は、御存じのことでございますが、みそ、せんべい等の加工原材料用米の需要を国内生産で賄うというために、五十九年産米から導入したわけでございます。  今後とも、加工原材料用米の安定供給を図るために、他用途利用米が定着するよう、農業団体とか地方公共団体、関係者が一体となって推進していく必要があると考えており、関係者の協力が得られるよう努力しているわけでございます。
  86. 矢山有作

    矢山委員 御答弁のとおりなら、私はみんなにわかるように加工原材料米とした方がいいと思うのですね、加工原料米とか。他用途といってもいろんな用途がありますからね、これは。酒に使う用途もあろうし、えさに使う用途もあろうしね。何できちっと加工原料米と、こういうふうに規定しなかったのか、不思議でしょうがないのですがね。これはどういうことなんですか。
  87. 石川弘

    ○石川政府委員 「他用途」と書いてございますのは、普通、米につきましては主食として使っておりますが、それ以外の用途という意味で、多いという用字ではございませんで、他の用途、主食以外の用途ということで「他用途」という名前にいたしております。
  88. 矢山有作

    矢山委員 大体そういう答弁だということは予想しておったのですが、私は、あれは何か、「他用途利用米の手引」、これは農林省から出していますね、食糧庁の企画課から。これを読んでみて、他用途の他を他人の他でなしに多いの多用途米でいいんじゃないのかと言ったら、いや、それはだめなんだ、主食用や酒用、いろいろこうあるから、多い用途と書くとそれは誤解を与えるから、多い用途の多用途米じゃいけないんだ、他の用途の他用途米だ、こう言っている。ここがくせ者なんですよ。何でくせ者かということを私はちょっと申し上げてみたいのですがね。  「他用途利用米の生産、流通対策について」というのが農林省から出ておりますね。これを読んでいたら、こういうことが書いてある。これはおもしろいのですよ。「他用途利用米の範囲」というところに、主食用以外の米の需要としては、加工原材料用としての現行の過剰米処理価格、トン当たり十二万円で売却すれば二十七万トン程度が見込まれる。これが一つ。そのほか二番目に、トン六万円から八万円であれば、清酒のアルコール添加代用や小麦粉への混入用、輸出用にこれは回れる。三つ目に、さらに一層低い価格、トン三、四万円なら飼料用等の実需が考えられるが、ここからがみそ。「今回の第三期対策における他用途利用米の対象としては、現在、過剰米処理の対象となっているみそ、せんべい、米穀粉用等二十七万トンとする」と、こうある。  それからもう一つ、先ほど言った食糧庁の「他用途利用米の手引」、これによると、こういうことも言っている。他用途利用米とは「主食用以外の用に、主食用より低い一定の価格で供される米穀であって、当面、」「当面」というのがこれはくせ者なんです、よくここで問題になりますが。「当面、従来の国の過剰米の処理対象となっていた、ミソ、センベイ、米穀粉用等の加工原材料用の米穀」云々と、こう言っているんですね。  こういう点を考えると、これは多いという字をやめて、他人の他にして他用途米とこう言っているけれども、これは将来、現在のみそ、せんべいなんかの原料としての原材料用だけでなしに、えさ用だとか清酒のアルコール添加代用だとか、こういう用途を開拓していこうという含みじゃないのですか。農林大臣、どうなんです。怪しいですよ、これは。
  89. 石川弘

    ○石川政府委員 他用途米生産をいたしますときの御論議といたしまして、例えば農業団体等からえさ米等もつくってみたらというような御議論もあったわけでございます。ただ、これは今先生がお話になりましたように、価格面で申しますと極端に現在の主食用水準と違っておりますし、そういう水準でございますと、農家が、今の技術水準なり今の経営の規模等でございますと、投入しました原材料費すら回収ができない状況でございます。したがいまして、私どもは、農家が経営合理化の中で御努力いただいて何とか、政府もトン当たり七万の助成をするわけでございますが、そういう形で採算が合うのは、今申しております加工原料用の米の水準ではなかろうか。それ以上のことになりますと、例えば単収がはるかに上がるような新品種の改善ができますとか、あるいは経営規模等についてかなり大きな生産ができるということになりませんと不可能でございまして、私ども将来展望のことに触れてはおりませんけれども、むしろ、そういう他用途の中でもっと広範なもの、特にえさ米というお話が多うございますが、えさということになりますと極端に言いますと三万とか四万とかいう水準でございますので、そういうのを私どもが今直ちに制度に取り入れるのではないという意味で、むしろ用途を制限的に書いているつもりでございます。  もちろん、片側において技術開発等もいたしておりますから、将来うんと単収が上がるとかそういう条件が整った場合に、農家経営にも受け入れられるという可能性を全く否定することはできませんけれども、私どもはそういう意味で、現在の助成水準程度で何とかやれるものということで考えておるわけでございます。
  90. 矢山有作

    矢山委員 今度は簡単に言ってください、時間がだんだん詰まってきておるから。  今言った手引の中で、品種のことについてこんなことを書いておるのですよ。超多収穫品種の導入を想定したものではなくて、在来の主食用の品種を充てる予定だ、こう言っているのですが、これは足りなくなったら主食に転用できる余地をちゃんと残しておこう、こういうことじゃないのですか。
  91. 石川弘

    ○石川政府委員 在来種でやりましたということは、新品種として固定されるような多収品種はないということと、それから特に、最初の第一年目におきましては、どちらかというと一律配分をいたしましたので、結果的には主食用でつくりましたものを一部出していただくということになったわけでございます。したがいまして、将来そういう大型経営ができて、新品種ができてまいりまして単収が上がるものができてまいりますれば、当然そういう効率の高いものに集中させたいと思っております。
  92. 矢山有作

    矢山委員 足らなくなったらこっそり主食用ということのないように、流通上にはもういろいろな問題が起こって、お耳に入っておるのは御承知のとおりだと思うので……。  そこで、これは農林水産大臣にお聞きしたいのですが、農政審議会の答申が出ていますね。これはあなたは、農水省としては尊重しながら政策展開をやるということなんでしょうね。大臣、どうなんですか。
  93. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えしますが、農政審議会の答申を尊重してやる予定でございます。
  94. 矢山有作

    矢山委員 そういう答弁が出てくると、ちょっとまた心配が出るのですよ。  農政審議会の答申はどんなことを言っておるかというと、「八〇年代の農政の基本方向」、こういうのですが、この第四章の「農業生産の再編成」というところで「米の他用途利用」こういう項目でこんなことを書いておるのです。他用途利用米生産の意義と生産条件の整備について言っているのですが、その中でこう言っています。「主食用より大幅に低い価格水準を前提とすれば加工原材料用や醸造用等主食以外の食料用途に広く米を利用することが可能になり、更に、一層低い価格であれば飼料用や将来はアルコール用としての利用も考えられよう。」こう言っている。さらに「需給ひっ迫時には主食用に転換する可能性をもつことから食料供給の安定に寄与できる」、それからまた、「用途により米の価格に大幅な格差がある状況の下では他用途利用米が主食用として流通し食糧管理制度の適切な運営が阻害されるおそれがあるので、そのような事態を生じないような他用途利用米の生産流通の仕組みが工夫されなければならない。」  まあ念の入ったことです、これは。これほど書かれてきて、この農政審の答申を尊重してやるのだということになれば、他用途米は、今の原材料用米、他人の他の字を書いて原材料用米だけなんだということにはいかぬのじゃないか。多いという字を使った多用途利用米の方にいくおそれがあるんじゃないかと思いますが、大臣、大丈夫ですか、これは。
  95. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えしますが、先ほど石川長官の言ったとおりでございます。
  96. 矢山有作

    矢山委員 農林大臣、よく用心して、ぜひ妙な方向に突っ走らぬようにしてくださいね。特に米の需給は大切ですから、御要望申し上げておきます。  それから、他用途利用米について、これは価格形成が問題なんですよね。これは国内の需給関係から出てくるというよりも、国際価格にしわ寄せしてくるわけですから。そうなると、私は、やっぱり外米輸入にこれは道を開くことになりはせぬか、こういう心配が絶えないのです。今回の韓国から他用途利用米という形で入れた、これは私は米の輸入に一歩突き進んだ、そういうような気がするのですが、これはどうですかね。その心配はありませんか。大臣、重ねて……。
  97. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えいたしますが、国民の主食であります我が国農業の基幹作物である米については、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針は堅持していく考えでございます。
  98. 矢山有作

    矢山委員 ぜひ堅持していただきたいと思います。というのは、この動きは、答申だけに書かれておるということとは違って、失礼でありますが、自民党の中の酒造業対策小委員会ですか、ここらあたりでも工業米の問題が取り上げられておるようですね。それからまた、経団連が「食品工業から見た農政上の諸問題」ということで出しておりますが、これについても、そういった酒造用米を低廉な価格で充てるのにどうするか、それをやるべきだという方向を出されております。したがって、私は、今後の他用途利用米制度の運用というのは非常に難しい問題をはらんでくると思いますから、その点を腹に入れてひとつ対処していただきたいと思います。  そこで、酒米の他用途利用米の導入が懸念されるということから、二月八日に農民組合の方から、他の問題とあわせて農水省の方と交渉しておると思うのですが、そういう醸造用米等についてどうするか。これはそんなことはないということだろうと思うのですが、何かはっきりした答弁は予算委員会で答えるのだということを言っておられるという趣旨を、私は申し入れに行った人から聞いておりますので、明確にしていただきたいと思います。酒米の他用途利用米の導入ですね。
  99. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のように、清酒につきましては、原材料用はすべて主食と同等な形で運用いたしております。従来は主として自主流通米をお使いになったわけでございますが、原材料用の価格等のお話もございまして、最近、一部政府米も含めまして主食の水準で供給をいたしておるわけでございます。  今後におきましても、この醸造用米の世界につきましてはそういう形で運用していきたいと思います。
  100. 矢山有作

    矢山委員 輸入しないということですね。輸入には依存しないと……。
  101. 石川弘

    ○石川政府委員 もちろん、輸入はいたしません。
  102. 矢山有作

    矢山委員 もうそろそろ時間ですが、もう一つだけちょっと言わせてください。  日本の農政は、私は、農水省を超えたところで動いておるような気がしてしようがないのです。具体的に、言いますと、例えば先般来問題になっております例の日米諮問委員会の報告なんですよ。あれを御存じだろうと思うのですが、あの日米諮問委員会の報告について、ことし一月の日米両首脳会談の新聞発表で、双方の首脳がこれを高く評価しておるわけです。それからもう一つ、御丁寧なことに、九月二十五日の閣議でこの報告書を配付したそのときにも、総理は各省庁それぞれ関連部分は何とぞ促進するようにしてもらいたい、こういってしゃべっているわけですわな。この中にどういうことを言っておるかというと、これはもう御存じだろうと思うのですが、要するにこの中で言っているのは、日本農業に構造調整を迫る、そして高い米づくりはやめろ、こう言っているんだ。アメリカが食糧供給に責任を持つから日本は食糧の安全保障に気を使うな、こう言っているわけですね。食糧の自給自足のみに焦点を当てた現在の食糧安全保障政策は高いものにつくからやめろ、こう言っているんです。これを各省は十分踏まえて政策展開をやれと、閣議の席上、総理がわざわざ言っている。農林水産大臣、どうしますか。そんなばかなことがあるかというので、日本の農業を守る、米の自給度を確保するために、自給度の向上のために全力を挙げますか、自給確保のために。
  103. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えいたします。  今の日米諮問委員会につきましては、昨年のことで私がなる前でございますが、実はそのときのプレス発表等を見ておりますと、中曽根総理はその報告書を見ましてから、貴重な貢献であり、双方による真剣な検討に値する、こういう発言をしております。それでレーガン大統領は、すばらしい出発点になるとの認識で、というので、基本的考えは違います。というのは、中曽根総理日本のいろいろな事情をよく理解して物を言っている、こう考えております。  そんなことで、先ほどお話がございました提言は、貿易とか為替とか投資とか産業政策、外交とか防衛等非常に広範囲にわたりますが、私としては見解を異にしております。そんなことで、見解を異にした点を十分相手に説明し、そういうことの中に我が国の農林水産業に関する困難な状況等について十分説明して、我が国の農業を守る立場で頑張りたい、こう思っております。
  104. 矢山有作

    矢山委員 これで農業問題を終わりますが、要するにこういうことです。  農業基本法以来の日本の米麦疎外政策、飼料の自給を考えない輸入飼料依存の畜産政策、こういうものが今日の米不足を起こした。そして、穀物の自給率が三二、三%という状況を起こしていると思うのです。ですから、私はきょうは第三期の対策について触れなかったけれども、もう減反政策はやめなければいけません。第三期対策自体に私は誤りがあると思う。そして、米麦を柱とした食糧自給体制を確立する、輸入飼料に依存しない畜産政策を展開する、こういう方向で日本農業というものを再建していかなければならぬと思いますので、それに対して改めて農林大臣の決然たる御決意の表明をいただいて、この問題を終わりたいと思います。  そしてあわせて申し上げますが、実は経済協力の問題について、評価を十分やらなければ経済協力の有効な展開はできないということは既に言われておるとおりなんです。外務省でも、経済協力に対する評価委員会を設けていろいろとやっておられることも承知をしております。報告書も目を通させていただきました。しかし、私どもがあの報告書で受けるのと、私どもが何度かの研究会を開いて、現地へしょっちゅう行かれる人から日本の海外援助がどうなっているかということを聞くのとは、余りにも懸隔があり過ぎる。そこで私は、評価機構の強化を図るということをぜひお願いしておきたいのと、もう一つは、この評価活動について、通産省がアジア経済研究所に委託して評価事業をやっておるはずなんですが、その報告書が二つあります。経済協力効果分析研究報告書、もう一つはASEAN報告書、これを要求いたしました。ところが、これまた出せないという。国会議員には何も聞かせぬでいい、知らせぬでいい、こういうことでは困ると思うんですよ。私は、ぜひこの報告書を出していただいて、我々が経済協力の評価をやるのにどこに問題があってどうすべきかということを検討してみたいと思いますので、この二点についてお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  105. 天野光晴

    天野委員長 農林水産大臣。簡単に答弁してください。
  106. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 矢山先生にお答えいたします。  農が国の基本であるということ、またそういう形の中に食糧の安全保障という立場を考える。ただし問題は、将来経済性をどう加味するか。そういう形の中に、日本の置かれている位置を考えて市場開放をどうするかという問題はございますが、基本は、農は国の基本である。そういう形の中に食糧の安定供給という大きな役割がございますが、そういう形でやはり国内で生産できるものは国内で生産するという総合自給政策をとらざるを得ない。そういう形の中に、実は先生がおっしゃった中に飼料穀物等の問題がございますが、これは日本はどうしてもコストが高い。そんなことで当然輸入するものは安定的に輸入する。そういう形の中に国際経済協力をどうするか、農政をどうするかという問題を含めながらやりたい。そういう場合に、不測の事態に備えてある程度の備蓄が必要、こんな総合自給力政策をもって進めたい、こう思っております。
  107. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 経済協力の評価につきましては非常に大事であります。外務省としましても評価委員会を設けて鋭意検討しておるわけでありますが、さらにこれはフォローアップ体制を充実してまいりたいというふうに考えております。
  108. 天野光晴

    天野委員長 村田通産大臣。簡単に願います。
  109. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 矢山委員から通産省に御注文のありました経済協力効果分析研究報告書についてお答えを申し上げます。  この報告書は、我が国の経済協力の効果的、効率的推進のために原則として公表しない、こういうことを前提に、外国政府、プロジェクト関係企業等から資料提供等の協力を得て取りまとめたものでございます。したがいまして、外国政府との関係、今後における同様の研究の円滑な実施にかんがみて、報告書をそのまま提出することは御客赦いただきたいと思いますが、研究報告書の要旨につきましては、御要望があれば前に述べた点は配慮した上で提出することとして、御容赦をいただきたいと思います。
  110. 矢山有作

    矢山委員 提出していただきまして、私も読ましていただいて、その後にまたどうするかを考えさせていただきたい。
  111. 天野光晴

    天野委員長 この際、先ほどの地位協定の実施に伴う刑特法の問題について防衛局長の答弁を求めます。矢崎防衛局長
  112. 矢崎新二

    矢崎政府委員 先ほど保留させていただきました点、御報告いたします。  取り急ぎ調査をいたしました結果でございますが、御承知のいわゆる地位協定の実施に伴う刑事特別法、この第六条に「合衆国軍隊の機密を侵す罪」というのがございます。その中に「合衆国軍隊の機密を、合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもって、又は不当な方法で、探知し、又は収集した者は、十年以下の懲役に、処する。」という条文がございまして、第二項には漏らした者についての罪もございます。で、この合衆国軍隊の機密というものについて括弧書きがございまして、「合衆国軍隊についての別表に掲げる事項」などというふうなのがずっと書いてございまして、別表の中に、第一に「防衛に関する事項」というのがございます。それの各論で、例えば「防衛の方針若しくは計画の内容」といったようなものがいろいろと列挙してございます。こういうことを読みますと、先ほど先生御指摘のケースは刑特法に言う合衆国軍隊の機密に該当する可能性もあると思いますけれども、最終的には、やはり個別の事案に即して判断されるべき問題ではないかというふうに考えます。
  113. 矢山有作

    矢山委員 そうすると自衛隊法、刑特法両方にかかってくる、こういうことで確認をいたしまして、私の質疑はこれで終わらせていただきます。
  114. 天野光晴

    天野委員長 これにて矢山君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  115. 山田英介

    山田委員 山田英介でございます。  最初に政府のがん対策につきまして、総合的な見地から何点かお伺いをいたしたいと思っておりますが、官房長官お忙しいようでございますので、冒頭一問御決意を承っておきたいと思っております。  御案内のとおり、がん対策につきましては、昭和五十八年二月の当予算委員会におきまして、川俣健二郎委員質問、要望等にこたえる形で総理ががん制圧の決意を表明されたという経緯がございます。その後、がん対策専門家会議とかがん関係閣僚会議の設置などがありまして、「対がん十カ年総合戦略」というものが策定をされて今日に至っているわけでございます。当時から総理は内政の最重要課題である、あるいはまたがん対策というのは国家的な取り組みをせねばならない、あるいはまた内閣全体として取り組まなければならないという、がん撲滅、制圧に対する大変強い決意を御表明されておられるわけでございます。  事実、官房長官も御案内のとおりでございますが、今一日大体四百五十人ぐらいの方ががんで亡くなっているわけです。一年間ですと、約十七万人と言われております。交通事故でもって亡くなる方のこれは約二十倍というような現実、非常に厳しいがん死の実態がございます。  そういう中で、例えば政府が策定されました「対がん十カ年総合戦略」の戦略期間というのを見ますと、十年ということになっております。十年間今のままで推移をするという単純計算でありますけれども、研究主体で研究をずっと一生懸命頑張っておられる、そういう期間におきまして一年十七万人ということであれば、約二百万人くらいの方々ががんでこの十年間で亡くなってしまうかもしれないという、本当に大変なことでございます。そういう中で、政府が本気に取り組もうという姿勢を表明されましたことは、私は大変高く評価をしているわけでございますが、ぜひ、かけ声倒れで終わらないようにお願いをしたいと思っております。  研究も大事でございます。既存対がん事業の強化実施も大事でございます。それから現実にがん死を少なくするという、そのがんということに真っ正面から取り組んであらゆる努力をしていく、民間の力を活用することも含めまして、あらゆる努力を官民、国を挙げて立ち向かっていく、そういう決意、姿勢あるいはまた、そういう具体的な施策がダイナミックに講じられなければ、とてもとてもこの現代の難病でありますがんを退治することなんか不可能であろう、私はこのように思うわけでございます。  がん関係閣僚会議の主宰者でもございます官房長官から、冒頭、このがん撲滅に対する御決意をひとつ賜りたいと思います。
  116. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 がんによる死亡数は、昭和五十六年には死亡順位の第一位を占めるというような事態になりまして、今日がんによって不幸にもお亡くなりになる方が毎日毎日、御本人はさることながら、当然のことながら周りの御家族の方々大勢の不幸を招いている、こういう事態にあることは御指摘のとおりでございます。  政府といたしましては、昭和五十八年六月七日にがん対策関係閣僚会議におきまして、十カ年を目途にがんの本態解明を図って、その成果を予防、診断、治療に反映させようとする、ただいま御指摘のありました「対がん十カ年総合戦略」を策定をいたしまして取り組んできておるところでございます。文部省を中心としてその基礎の研究の部分、あるいは科学技術庁を中心にいたしまして科学技術全体を駆使してこのがん対策をいろいろ検討する、さらに、厚生省を中心にいたしまして臨床を中心にしてこの治療に当たる、いろいろな連携も必要でございますので、そういったことも十分頭に置きまして、この十カ年総合戦略を中心として対策を講じてきておるところでございます。  昭和六十年度の予算案におきましても、対前年比一七%、総額約五十三億円、特に予算編成の前に総理から大蔵大臣にもお願いもいたしまして、内閣として最も集中的に解決して進みたい政治課題としてがん対策を考えておるので格別の配慮をして進もう、こういうお願いもいたしまして進んできておるところでございます。全体から見ますると、政治が大きくがんの撲滅を呼びかけるという時期から、十カ年総合戦略を中心にいたしまして、いわゆる専門家によってもう着実にこのがん撲滅の闘いを進める、こういう段階に入っておるというふうに考えておりますので、少しかけ声は小さくなっておる感じはありますけれども、それぞれの分野におきまして、がん撲滅への闘いは非常に力強く進められておる、このように考えておる次第でございます。  しかし、これは今お話のございましたように、十カ年の計画を立てて、その中で撲滅をしていくという、非常に時間がかかるという感じもございますけれども、そのことを基本にいたしまして、さらにがん関係の治療などには施設などでもどんどんともっと強化していくとか、単にこの総合戦略だけにかかわらず広い角度から、やはり政府がいろいろな角度から取り組んでいくということが強く要請をせられておるところでございまして、国民の皆さん方のそういった御期待にもこたえて、さらに充実をさせていくように努力をしてまいりたい。十カ年戦略を策定したからもうそれでいい、専門家に任せるということでなしに、絶えず政府としてもがん撲滅の闘いを、全面的に取り組んでいくという気持ちを持って進んでおる次第でございますので、今後とも各方面のいろいろな御指導やまた御鞭撻もちょうだいをいたしまして、さらにその努力を進めてまいりたい、このように考える次第でございます。
  117. 山田英介

    山田委員 官房長官からのお話があったわけでありますけれども、むしろ政治家が呼びかける段階はもう過ぎて、専門家にお任せをするという段階であるという趣旨のお話がありましたけれども、私はいささか見解を異にいたしておりまして、やはり官房長官のお話もありましたが、専門家に任せておけばよい、あるいはまた、十カ年戦略を策定したから事足れりというような、むしろそういう姿勢がかいま見られるものですから、私としてはこのテーマを取り上げさせていただいたわけでございまして、官房長官とその意味では認識は一緒でございますので、それをぜひお言葉だけではなく、専門家だけに任せるのじゃない、策定したからいいというものじゃないというその気持ち、姿勢を、ぜひひとつ関係閣僚会議に反映をさせていただきたいと強く御要望申し上げる次第でございます。お忙しいでしょうから、どうぞひとつ。  そこで、具体的に何点かお尋ねするわけでございますが、政府がつくられました「対がん十カ年総合戦略」のこれが報告書といいますか、計画書でございます。これをずっと読んでまいりますと、まず「対がん十カ年総合戦略」ということですけれども、果たして総合戦略ということになっているかどうか。その戦略目標は、十年をめどにがん本態の解明を図ること、そしてその成果を予防、診断、治療に反映をさせるというのが戦略目標ということにされております。  それで私は率直に伺いますが、厚生大臣と文部大臣の御所見を伺いたいのですけれども、このいわゆる戦略によって、本当に十年たったらがんの本態が解明されるのか。そしてまた、十年たってがんの本態が解明されたら直ちに、と言ったら語弊がありますけれども、もうできるだけ早期に予防、診断、治療にこれが反映される、そういう予防法というようなものが本当に確立をされるのかどうか、その辺をまず厚生大臣からお伺いしましょうか。
  118. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほど官房長官から答弁がありましたようなことを受けまして、本年が、昭和六十年度が二年目を迎えるわけでございます。十年間で本態解明による成果を予防、診断、治療に反映させるということでございまして、もちろん全力を挙げて努力してまいりますけれども、私は、十年間という経過の間にもいろいろな学術、医術の進歩があろうかと思いますから、それもその都度医療の面に注入をしていくという態度で進んでまいりたいと思います。
  119. 松永光

    ○松永国務大臣 がんを撲滅するためには、御案内のとおり予防、診断、治療が必要なんでありますが、その前提として、がんの本態を解明することが何よりも重要であります。本態の解明がなされて、初めて的確な予防あるいは診断、治療というものがなされるわけでありますから、そういうことでがんの本態解明、これに当面最重点が置かれるのは当然のことであると思います。  そういうことから、文部省としては重点研究課題を設定し、若手研究者の育成、あるいは日米を中心にした国際協力の推進等々の方策を今後とも強力に進めていく、こういうことになっておるわけであります。
  120. 山田英介

    山田委員 両大臣の御答弁でございますが、私なりに伺いますと、十年間がん本態の解明を図るべく全力を尽くしたい、それは結構だと思います。しかし、実際に十年たってがんの本態が解明できるかどうか、あるいはまたそれを的確に予防、診療、治療に方法として反映させることができるかどうかというのは、やってみなければわからないというようなニュアンスもあるわけでございます。そういう意味では、この対がん十カ年戦略というのは、率直に言いましてちょっとかけみたいなところがあるわけですね。十年やってみて、さあ解明できたかできないかというかけみたいなところが実際ある、そういう印象を非常に強く私持つわけでありますが、総理ががんの制圧を決意された、撲滅を決意された、そしてこの戦略を閣議決定された、このことに国民は非常に大きな期待を寄せているわけでございます。私は何も、十年たちましたらがん死をゼロにするべきだ、そういうことを目標にしてもらいたいなんという、そんなことを申し上げるつもりは全くありません。ただしかし、国民の本当の願いというのは、本当の悲願というのは、今一〇〇という数字でがん死があったとすれば、この十年の間で九〇になり八〇になり七〇になるという、そういうびしっとはね返ってくるものを期待していることは事実でございます。  したがいまして、かけ声だけであっては困りますよということを私は申し上げたいわけでありまして、そういう意味では、国民が本当に願っているのは「対がん十カ年総合戦略」ではなくて、対がんではなくて、がん撲滅、がん制圧十カ年総合戦略という姿勢でひとつ取り組んでいただかないとならないというふうに私は思うわけでございます。この戦略を分析してみても、幾ら読んでみても、そういうがん撲滅とか制圧という決意とかあるいは観点というものが欠落をしているんじゃないかというふうに思われます。  これは総理の、がん撲滅、がん制圧といういわゆる内政の最重要課題として位置づけられた、公約をなされた、公約の後退じゃないかというふうに私は思えてならないのですが、実際の責務に事務を取りまとめておられます厚生大臣の御所見をちょっと伺っておきたいと思います。
  121. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のように、「対がん十カ年総合戦略」は基本的な方向を示しておるわけでございます。国民のサイドからは、いかなる理論で、いかなる技術でがんを退治できるかということの方が、より関心のあるところであろうかと思うわけでございます。  私どもとしましては、十カ年総合戦略とは別に、老人保健事業の推進によっても早期診断、早期発見ということもやっておるわけでございますけれども、十カ年総合戦略の具体的な中身につきましては、政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。
  122. 山田英介

    山田委員 そこまで質問しておりませんので、結構でございます、政府委員の答弁は。  今、大臣の御答弁でございますが、いずれにしても、私は、十年間の研究が意味がないとか研究を軽視するとか、そういうつもりは全くございません。それぞれ専門家による真剣な、一生懸命頑張る研究の積み上げ、成果というのは極めて大事でありまして、一九七一年に、あのアポロ計画の後にニクソン大統領が米国国家がん計画を立てられて、その十年間の研究の積み上げの成果というのは、これはもう私もよく承知しているつもりであります。ただそのときには、がんワクチンをこの十年で何としてもつくり出すんだという明確な目標があったことは事実でございます。  私ども、我が国のこの十カ年総合戦略の中を見ると、がん本態の解明を目指すという、その意味では極めて抽象的であるというふうに言わざるを得ないわけでありまして、この長期目標を立てて研究することの意味は一体どこにあるのかと言えば、現実に日常生活において切実な問題を感じておりますやはり予防とかあるいは診療、治療というものにこれが反映をされまして、そうして現実にがんが少なくなっていく、こういうところが実は極めて大事なんだろうと思います。そのための、がん死を少なくするためのこれは長期展望を立てた研究であるというふうに、まずぜひ位置づけていただきたいと私は思っているわけでございます。  それで、そういうことでがんの研究が一方にあります。対がん十カ年戦略のがん研究、それから今大臣がおっしゃいましたけれども、既存のいわゆる対がん事業というものがあるわけでございます。  これは政府委員の方からの御答弁でもよろしいのですが、時間がどんどん過ぎてまいりますので私の方からまとめてちょっと指摘させていただきますが、いわゆる予防という部分につきましては、例えば全国八百以上ある厚生省所管の保健所を通しまして、がんの集団検診を受けましょうとかそういうポスターを張られたり、あるいはチラシというところもあるようでございますが、そういうことをがん予防の一環としてなされておるそうでございます。それから、いわゆる健康教室みたいな形で、保健所で地域の皆さんを集めていろいろと講義をなさっておる。それはそれなりに、私は結構なことだろうと思います。  ただしかし、ポスターもチラシも結構でございますが、それはいつやっているんだと聞きますと、一年に一回、九月というのががん制圧月間とかということになっているんだそうでございますが、このときにポスターやチラシを張っても、張っただけでは、一日四百五十人とか一年十七万人なんというがん死が減るとは思えないわけでございます。  もう一つは、集団検診をなさっておりますが、老人保健法に基づいての子宮がんあるいは胃がん、この二つなんですね。実はがんの種類というのは、臓器別に見ても数十という種類になってくるわけです。ところが現実には、胃がんと子宮がんしか集団検診には対象になってこない、乗っかってこないという、こういう実態であります。  私が申し上げたいのは、一方に対がん十カ年戦略という、研究を主体としたいわゆる戦略があります。研究があります。もう一方に、申し上げました既存のがん対策事業、予防事業とかそういうのがあるわけでございます。ただ、これだけでは、国民は、十年の研究の成果を祈るような気持ちでもって、がんの本態解明、これを絶対成功させてもらいたい、予防に早く反映させてもらいたい、そういう気持ちを持っている。一方では、まあ失礼な言い方になるかしれませんが、まだまだほど遠いようなそういう既存のがん対策事業でしかあり得ない。こういう中で、一日四百五十人とか年間十七万人とかという人が現実にがんで死んでいく。このギャップを何とか埋めなきゃならないんじゃないかということを私は前から考えておるわけでございます。  それで、じゃ、どうすればいいか。厚生省におかれても、がん対策ということにつきましては国家的な規模で取り組む大きな課題でありますので、従来の考え方とか発想とかということだけにとらわれないで、私は、もうちょっとダイナミックな、現実にがん死を少なくしていくというところを真っ正面に据えた仕組みなり対応なりの御検討をぜひいただきたいというふうに御要望申し上げるわけでございます。  具体的には、この戦略の中にもございますけれども、「民間の活性化」というところがあるのです。その中には「官・学・民の連携により」この十カ年戦略を推進するんだと、こういうところがあるわけです。私、いろいろ考えてみました、調べてみましたけれども、そのことも踏まえまして、研究と既存対策事業のはざまにあって何か欠けているものがある。それは、民間ですぐれた予防方法、ノーハウですね、予防方法あるいは早期発見方法というものを現実に駆使されて、そうしてがんの予防に極めてすぐれた実績を残している、例えば現にそうやってがん死を少なくしようということを目指して頑張っている先生方というのは、私は全国にも何人もいらっしゃるんだろうというふうに思うわけでございます。それは私も、厚生省の方々からレクを受けましたものですから、どういう形で行政に政策が取り入れられてくるのかということもよく承知をいたしております。したがいまして、私は先ほど、発想を変えて新たな決意でそういう仕組みというものを検討してもらいたいというのは、そうやってすぐれた治療方法、発見方法というものをお持ちであるそういう民間の力を、厚生省さんがもっと積極的に情報を吸収されまして、そして、ライフサイエンス室、結構でございますけれども、そこだけにいらっしゃるんじゃなくて、私は、むしろ対がん十カ年戦略、国を挙げて、官民挙げてというこういう中ですから、その部屋をお出になって、そういう先生方を訪ねてノーハウを伺ってくるとかあるいは懇談をしてくるとか、場合によっては、そういう臨床データであるとかあるいはノーハウの科学的な論拠であるとか理論であるとか、そういうものを、例えばお願いしてお預かりして、そしてぜひ、国立がんセンターでも結構じゃないですか、あるいはどういうところでも結構ですが、権威のある、そして公平で厳格な、本当にその方法というものが普遍妥当性があるのかないのか、真にすぐれて有効なのか有効じゃないのかということを厚生省が確認をいたしまして、もしそれがよかった、真に有効だということになれば、全国八百以上の保健所もあるんですから、いわゆる予防とか診療とか、そういうところにこれを反映させていく、そういうようなダイナミックな姿勢がなければ、仏つくって魂入れずですよ。対がん十カ年戦略をつくったからといって、それでいいというわけには私はいかないんだと思うのです。そういうことで、私はぜひ、仕組みにつきましてはいろいろな形が検討されなければならないだろうと思いますが、基本的には、そういう大方針といいますか、基本的な考え方を今申し上げているわけでありまして、そういう薬を――薬をという話を今しているんじゃないのですね。したがいまして、その発見方法ですから、私は、それを確認をするそういう御努力、そういう方法ということについて、ひとつこれをこの一般質問を機会に御検討いただきたい、そしてまた、前向きに御答弁を賜りたいと思っておりますが、これはやはり厚生大臣からひとつ……。
  123. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 ただいまのお話は、従来から厚生省がやっております公募による民間の知識の吸収というもの以外の別のやり方を考えるという御指示だと思うわけでございます。したがいまして、これまでも民間のそういう研究成果を吸収する道はございましたけれども、これから先もっと幅広くそういうものを吸収するためにはどのようなことをしたらいいかということは、これから真剣に検討させていただきます。
  124. 山田英介

    山田委員 大臣、お言葉を返すようでございますが、誤解があってはなりませんので、私は研究を軽視しておりません、既存の対がん事業というものを軽視しておりません、両方大事なこれはがん撲滅の両輪でありますので。ただ、それだけでいいのかと考えた場合に、民間の力をそういうような形で引き上げることを検討なされたらどうかということを申し上げておるわけでありまして、その点、御理解をよろしくお願いしたいと思っております。今の御答弁、ちょっともう一つ満足できないところはありますけれども、ぜひここでそういう方法でひとつ御検討いただきたいという私から質問があったということ、要望があったということは、よく御検討いただきたいと思いますが、積極的にひとつ対応していただきたいと思うわけでございます。  済みませんが、松永文部大臣、一言その点で、厚生大臣にもまたおっしゃっていただく都合もありますものですから。
  125. 松永光

    ○松永国務大臣 私の方は、従来からのがん対策、それから「対がん十カ年総合戦略」による対策、文部省の所管は主として基礎研究でありまして、大学等における研究機関あるいは研究員に対する助成をするという仕組みになっております。もっとも、民間でもすぐれた研究をしている研究機関には応援をしておるわけでありますが、診療機関や診療施設については私どもの方の所管ではないわけであります。しかし、先生のせっかくの御指摘でありますので、文部省の方でもできるのかどうか研究はしてみたい、こういうふうに思います。
  126. 山田英介

    山田委員 厚生大臣、私は具体的に、もう一回恐れ入りますが、研究がある、既存がん対策事業がある、これはしっかり進めていかなければなりません。そして具体的には、私申し上げました民間にあるすぐれたノーハウ、予防に対するノーハウ、そういうものを持っているところの情報をしっかり集めまして、それで厚生省としても積極的にこれらを浮上させていくといいますか、活用していく、そういうことにつきまして、いかがでございましょうか、もう一度失礼でございますが御答弁いただきたい。
  127. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私は、先生御指摘のとおりのように理解をいたしております。したがって、その方法をこれから検討いたしたい、そういう趣旨でございます。
  128. 山田英介

    山田委員 よろしくお願いしたいと思います。  一つちょっと気になることがありますので、この際でございますから確認をさせていただきたいと思っておりますが、政府からいただきました六十年度のがん対策政府予算案、関係省庁分を見ますと、厚生省ではがん研究の助成金を出しております。六十年度予算案では十六億円、対がん十カ年総合戦略経費といたしましては、これが十五億円、これはほとんど研究ということに入るのだろうと思います。合わせましてこれが三十一億三千万。文部省関係ではがん特別研究、科学研究費補助金というのが六十年度予算案では二十億七千万、対がん十カ年総合戦略経費が十六億七千万。これは文部省と厚生省を合わせますと、研究費というものが大体六十八億七千万ほどになっているようでございます。  私、ちょっと資料を調査に基づいてつくったのでございますが、例えば厚生省と文部省にまたがるといいますか、一人の方の研究に対しまして、厚生省の方では対がん十カ年の研究補助費を出す、そしてまた文部省の方でも対がん十カ年の助成金を出す、研究費を出す、いわゆるダブリングというのでしょうか、一つのところに、研究者、研究チームと言ったらいいのでしょうか、そこに省庁またがって一年度分の研究費ですよということで二つの省庁から金が出ているわけでございます。これが、調べてみますと全体で六件ございます、厚生省と文部省にまたがる件数が。その中で、一件は厚生省の対がん十カ年の研究テーマで助成金が出されて、厚生省の既存のがん研究補助金で補助金が出されて、今度は文部省からは対がん十カ年の関係で助成金などが出されているという三つという例もあります。厚生省と文部省にまたがる件数は六で、総額が、六件で額としては五百四十二万円、これが一つのパターンです。それからもう一つは、厚生省のがん研究費補助金、従来の研究費ですね、これと文部省の「対がん十カ年総合戦略」に基づく研究助成金、これがやはりダブリングが五件ございます。五十九年度で、五件。これを合わせますと一億五千五百五万円が、いわば重複という言葉を使わしてもらえば、その総額が一億五千五百五万円、五件、これが厚生省と文部省にまたがる。私の調査による件数六件、そして金額であります。  それからもう一つは、厚生省で重複する件数、したがいまして、既存のがん研究費とそれから「対がん十カ年総合戦略」に基づく研究費と、同じ省内で一つの研究者、研究グループに支給されているといいますか出されている、これが私の調査では五十九年度で八件あります。この総額が、重複した金額の全体が七億二千四百十三万円、七億余り、こういうことになっております。それから今度は文部省。文部省での重複分は、五十九年度で文部省内における重複は四件ございます。この中身はいろいろございまして、ダブっているという表現をすれば、その総額は三億三千百万円。これを全体で、ダブっているところの全体の金額を合計してみますと十億近く、九億一千二百二十八万円ということになるわけでございます。先ほど私、政府予算案で数字を挙げましたけれども、例えばがん研究費ということについて文部省、厚生省合計すれば大体七十億ぐらいであろうと私の計算では出ております、この予算案からいきますと。その約一三%ぐらいが、ダブリングといいますか、こういう形になっておるわけでございます。これはこれでよろしいのかなというふうに私は思っているのですが、ちょっと御見解を……。  実はいろいろと調べていく中でいろいろな方々と私は接触をいたしますので、そのときに、文部省と厚生省とまたがる場合には、これは同じ一年間の研究費ということでお願いするわけですから、できればどちらかは一つ御遠慮いただく、そういう指導をしておりますということのようでございますけれども、実際にはこういう形で出てきているわけでありますが、この辺につきましてまず厚生大臣から御所見を伺いましょうか。
  129. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のようなこともあろうかと思いますけれども、それは、一つには、厚生省の臨床部門、文部省の基礎部門といいましても、一つの研究所で臨床をやりながら基礎をやる、基礎をやりながら臨床をやるということもあり得るかと思います。その範囲内での重複というものはある程度やむを得ないかと思いますけれども、それを超えた重複ということには厳重にチェックをしていかなければならないと思います。
  130. 山田英介

    山田委員 文部大臣に同じ質問でございます。
  131. 松永光

    ○松永国務大臣 全体としてのがん対策費の数字でございますが、私どもの方では八十六億と、こう考えているわけで、先生の方と少し違うのは、こちらの方では施設などの分もカウントするものですから、そこで八十六億になるんだと思います。  そこで、問題のダブって研究費補助等が支給されていないかという問題でございますが、これは、がん研究の助成費の審査の場合には、文部省と厚生省の審査員を一部を共通にしていたことによってダブりがないようにチェックをいたしておるわけであります。  それからまた、対がん十カ年計画に基づく特定研究と従来からの科学研究費のがん特別研究費をダブってもらうようなことがありはせぬかというお話でございますが、大体審査の段階でそうならぬように努力をしているところであります。ただ、一人の研究者がこっちの研究に参加し、もう一つのこっちの研究に参加するということもあるでしょうけれども、その場合でもできるだけダブりがないように努力をしているところでありますが、今言った、果たしてあるのかないのか、細かい点につきましては、詳しくは政府委員に説明させたいと思います。
  132. 山田英介

    山田委員 御説明結構です。資料ないのです。文部省も厚生省もないのです、私何度もお願いしたのですが。突き合わせした手元資料、私どもでは今回こういう形でまとめましたけれども、後で、よろしかったら御参考に差し上げますが、それは政府委員の方は答弁できないのです、ないのですから。したがって、文部省は文部省で出しているのです、厚生省は厚生省で出しているのです。  私は研究を軽視するのじゃないのです。研究は、いわゆる基礎、臨床両方やった方が結果的に成果がいいという場合もあるかもしれない。私はそういう専門家じゃありませんので、その辺のデリケートなところはわかりません。ただ、血税を取り扱って、それを使うわけでございますから、執行するわけでございますから、その行政側の姿勢として私は今問題にしているわけでございます。決して個人的に先生方をとか、その研究をとかということではありませんので、誤解のないようにお願いしたいと思いますが、どうもそういうことから考えますと、少なくとも文部省ではこれで数十億の研究費を出しているわけですから、それが自省の研究テーマと他省の研究テーマにまたがっているそのところにお金を出しているということであれば、これは当然押さえておかなければならぬことですよ。それは厚生省でも同じことが言えると私は思います。真にやむを得ずということもわかります。そうおっしゃるのなら余計に、国民に理解を得るためにも、またわかりやすい形をつくるためにも、行政の姿勢を明らかにするためにも、それぞれの省庁がダブリングの部分は当然しっかりと押さえておかなければならないと私は思います。それらもないわけでありますので、これはこのままでいきますと――私は実はこんなことを取り上げるかどうかということを大変悩んだのですが、しかし十年間ですもの。これは例えば私が今注意を喚起しなければ、今後十年間対がん十カ年戦略で、この体制でいくということですから、これは問題であると思います。両大臣から前向きの御答弁が出ましたので、私はこれ以上は――実はもっとあるのです。大臣が御答弁になって、臨床と基礎と両方やらなければだめだ。それは、一人の先生がいて両方に班員さんがいるんだからという場合もあるよというような趣旨の発言がありますけれども、そうしたら班員さんを僕は調べますよ。実は調べてありますけれどもね。そこまではやるつもりありませんので、御注意を喚起し、両大臣の前向きな、さらに一層のダブリングの適正なあるいは厳しい御審査というものを、真にやむを得ないものはやむを得ないと思います、しかし、そうじゃないものはちゃんとチェックをすべきであるということを心から申し上げたいと思うわけでございます。  以上で対がん関係を終わらせていただきます。  次に、国鉄の皆さんにちょっとおいでいただいているかと思うのですが、国鉄が今開発を進めておられます浮上式鉄道の現状と将来の諸課題ということで、何点かまとめて御質問をさせていただきます。  一つは、宮崎の実験線で開発を進めております浮上式鉄道、リニアモーターカーと言われるものでございますが、この実験、非常に成績がいいというふうに承知をいたしております。この浮上式鉄道の開発の意義と現時点における開発の程度を簡単に御説明いただきたいと思いますし、失礼ですが、もう一つあわせて、海外の浮上式鉄道の開発では、特に西ドイツが大変ぬきんでた成績を上げているというふうに伺っておりますけれども、我が国の開発状況と比較をしてどういうことになっておりますでしょうか。簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
  133. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま御質問のございました国鉄で進めております浮上式鉄道の開発の意義、現時点の状況を御説明申し上げます。  私ども浮上式の開発に取り組みましたのは昭和三十七年からでございますが、当然そのとき既に新幹線計画というものが進められていたわけでありますけれども、私どもの研究グループとしては、航空機、大体時速千キロでございますが、それと鉄車輪、いわゆるレールの上を走る鉄道方式でございますが、これは現在二百キロ前後、将来見ましても三百キロぐらいかと想定いたしておりますが、その中間をいく高速鉄道ということで、速度五百キロ前後というものをねらいまして、しかも高速であり、かつ大量輸送に適しているというものを開発しよう。また騒音、振動、環境問題含めまして、優秀な近代的なものをつくり上げようということで進めているものでございます。  現在、この技術の中には、超電導とか極超低温とか、最先端技術を含んでおりますので、私どもとしては国鉄の技術陣を動員いたしまして、力を結集してこういった技術の開発を進めているということでございます。これは結果としてこの技術の中から生み出されてまいります、先ほど申し上げました超電導とか極超低温というものが各面で非常に利用される向きもございまして、そういう面ではやはりこの技術というものが広く副次的に影響も出てくるのではないかというふうに考えているわけでございます。  九州の宮崎の実験線で昭和五十二年から実験を始めておりまして、全長七キロの実験線を現在持っておりますが、昭和五十四年に時速五百十七キロを記録いたしております。これは今までのところ、地上交通機関としては世界最高のものではないかと思います。これは無人でやりましたけれども、その後車両のタイプも変えまして、現在、有人走行のできる車両で三両つくりまして、三両編成で走行できるような状況にいたして研究を続けているところでございます。現在、時々見学なさる方などお乗りいただいておりますが、大体三百キロぐらいで試験を続けているところでございます。全体を見まして、開発の進みぐあいでございますが、現在では八〇%ぐらいのでき上がりではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ御質問のございました西ドイツの開発状況でございますが、世界では今、日本の国鉄と西ドイツの方式とこの二つが相当前に出ているわけでございまして、西ドイツではエムスランド、オランダの国境に近いところでございますが、延長三十二キロぐらいの実験線をつくりまして走行実験を行っております。情報によりますと昨年八月に三百キロぐらいの速度を出したと聞いておりますが、詳しい情報は、向こうも余り発表いたしませんのでよくわかっていない状況でございます。恐らくドイツの技術者が集まりまして、今後これ以上の速度をねらっていくものと推定いたしております。  このドイツの方式と日本の方式とどこが違うかといいますと、ドイツは超電導磁気吸引方式、国鉄の方式は超電導磁気反発方式でございます。いろいろ違いがあるのでございますが、具体的にどういうところが違うかという一つ明らかに違うのを申し上げますと、国鉄は反発式でありますので、約十センチ浮上いたしまして現在走行実験を続けております。しかし、西ドイツの吸引式というのは、これは磁石の吸引力を使って車体を浮かせるという方式でありまして、これは原理的にもそんなに高く浮きませんで、一センチぐらいで現在走行試験をしているはずでございますが、一センチという、十ミリのギャップでどこまで速度が出せるかというのが私ども技術者としては非常に関心を持って見ているところでございます。
  134. 山田英介

    山田委員 日本が独自に開発をした最先端技術でありますので、また、今日まで国鉄の技術陣の皆さんが大変な御努力を積み重ねてきた経緯を踏まえましても、私は、西ドイツとかそういう諸外国に先駆けてぜひこの浮上式鉄道を日本で完成をさせていただきたいと希望する一人でございます。  ところで、浮上式鉄道に限らず、優秀な技術というものは、国益を考えましても、やはりしっかり伸ばしていくべきだろうと私は考えておりまして、国鉄の技術は世界的にも大変高いレベルにあるということで、海外技術協力なども大変活発になされているやに伺っておりますけれども、簡単にその実態と――済みませんが、恐縮ですが御答弁をもうちょっと早目にやっていただきますようお願いします。それで、海外技術協力の実態と、それを支える国鉄の技術集団でございますね。今、分割・民営化、この後も集中審議をなさるそうでございますが、大変議論されているところでありますけれども、私は、結果的に国鉄の経営形態がどのように決まろうとも、この技術者集団というのは決して分散させてはならないんじゃないかという強い希望を持っておりますものですから、そこのところをちょっと早口でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  135. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 海外技術協力でございますが、国鉄で東海道新幹線を世界に先駆けてやったということもございまして、今、海外からも国鉄の技術は非常に高く評価していただきまして、いろいろ引き合いがございます。現在までにタイ、ビルマ、マレーシア、インドネシア等の東南アジア諸国、それからザイールを初めといたしますアフリカ諸国、それから中国、アメリカ等の国もございまして、世界で五十カ国ぐらいに技術協力あるいは研修員の受け入れということをやっております。五十九年度では延べ二百四十人技術者を今派遣いたしておりますが、これは十七カ国に及んでおります。今後はこの要請もさらに強まってくるのではないかと考えております。  今御質問のございました、現在経営形態その他御議論いただいているところでありますが、やはり鉄道技術というのは、実際に運営している技術者また各部門の総合された総合技術あるいは経験工学といったようなものでございまして、相当の蓄積、積み上げが今日の技術になっているわけでございまして、今後こういった技術を継承、維持していくためには、どのような経営形態になろうともそれができるようなものにしていかなければいけないのじゃないかというふうに考えている次第でございます。亀井委員長さんも超電導磁気浮上には御支持をいただいておりますし、委員さんの方々もそれなりの御理解をいただいているというふうに感じている次第でございます。
  136. 山田英介

    山田委員 ちょっと先へ参りますけれども、世界に先駆けて日本が浮上式鉄道の開発に成功した場合には、諸外国からも大変大きな関心だとか期待が当然集まってくるわけでございます。この浮上式鉄道の特性を踏まえまして、どういう海外諸国、どういう国々に導入のメリットがあるとお考えでございますか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  137. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 先ほど御説明申し上げましたように、浮上式鉄道というのは、非常に高速で地上を浮きまして走る、大量輸送にも適するということでございまして、その条件にかなったところであればどこの国ということを問わず可能になるのではないかと考えているところでございます。  最近の情勢で申し上げますと、米国内におきまして、国内各地でこの超電導磁気浮上の国鉄の試験研究の成果に非常に関心を持っておりまして、いろいろな各地で、それを実施した場合にどのようなことになるかというようなお話がいろいろ出てきているところでございます。また、南米ブラジルからも昨年国鉄の専門技術者に対しまして問い合わせが来たというようなこともございます。このような状況でありますので、まだ余り明らかに私どもに出てまいりませんけれども、恐らく世界の各国で非常に注目をしているのではないかというふうに考えている次第であります。  現在研究を進めているのは、この日本、西独のほかに、理論的研究を主としてやっていると思いますが、米国、カナダ、これは国鉄と同じような方式、その他の国といたしましてフランス、ソ連――ソ連なんかもやっていると思うのでありますが、なかなか情報が入らない状況でございます。
  138. 山田英介

    山田委員 浮上式鉄道では最後になりますけれども、この長距離大量輸送、五百キロ、千キロというこういうところに大変適している、場合によっては、開発次第では、短距離、五十キロ、百キロぐらいのあたりも有望であるというような浮上式鉄道でございますので、かといって、いきなり新幹線のように東京と大阪を、大都市間を建設してつなぐといっても、これまた実際問題としては大変な、容易なことではないわけでございます。したがいまして、完成するのがあと数年ということであれば、今のうちから、この浮上式鉄道のいわゆる長期的ないわばリニア戦略みたいなものを今から勉強を始めなければならないのじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。  これは私の提案と申しますか考え方でございますが、開発の成功を前提といたしまして、浮上式鉄道は、まず国内においてショーウインドー的に短距離の空港アクセスなどでこれを実現いたしまして、そしてまた海外への積極的なアプローチを図るべきである、その結果得ることのできる資金を国内の本格的なリニアモーターカーの建設の資金に役立てていく、私はこういう発想があってもいいのじゃないかというふうに申し上げるわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
  139. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまの先生の御意見、非常に御示唆に富んだ御意見かと存じます。私どもも相当の研究開発費を使ってきておりますし、また、その優秀性というものが研究の進展とともにはっきりしてきておりますので、一刻も早くこれを完成させまして実用化に持っていくということで新しい交通機関として役立てるということを考えなければいけないのでありますが、同時に、この開発経費の回収というものも早めなければいけないというふうに考えております。  いろいろ適用区間は今後考えられるわけでございますが、今先生御指摘のように、条件が整ったところがあれば短いところでのデモンストレーションというようなことも場合によっては考えられるかというふうに考えている次第でございます。
  140. 山田英介

    山田委員 大臣お見えでございますので、運輸大臣におかれましてのこのリニアモーターカーに対する御所見を、一言で結構でございますが。
  141. 山下徳夫

    山下国務大臣 リニアモーターカー、今説明がございましたように、鉄道としては超スピード、これはプロペラ機に近いスピードでございますし、低音公害でございますから、大量の都市間輸送には最適であると思っております。ただ、御案内のように、国鉄は御承知のような財政実情でございますから、現状におきましては必要最小限度しか予算の計上はできませんけれども、ただいまお話がございましたように、これから、同時に開発研究が進められておりますカナダとか西ドイツの進捗状況を見ながら、あるいは諸外国の事情等も見ながら今後対処してまいりたいと思います。
  142. 山田英介

    山田委員 個人的なことで失礼な言い方になりますが、大臣は私の明治大学の大先輩でございまして、ぜひひとつ優秀な我が国の技術陣を育てていただきますとともに、この浮上式鉄道につきましてはダイナミックな展開をお取り組みをお願いしたいと御要望申し上げる次第でございます。  浮上式鉄道の関係は以上で終わりまして、次に、核燃料サイクル施設の建設問題でいろいろと勉強してまいりましたら、五省庁、六省庁にわたる実に大きな、新聞報道等によりますと一兆円規模の国家的なプロジェクトだというようなことで、実は私もいささかびっくりしておるわけでございます。そういうことで青森県下北半島の六ケ所村というところに核燃再処理施設が建設されるかされないかという、昨年とは局面が変わりまして、大変大事な時期に来ているのだろうかと思うわけでありますが、必ずしも今まで青森県並びに――これは大事な問題でありますので、全国民的な問題でありますので、そういう意味では政府側の十分な説明がなされていなかったかと私は思うわけでありますが、現時点における政府の核燃料サイクル施設問題につきましての、何といいますか明確な御答弁を期待いたしまして、何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。  御案内のとおり二十七基の原発が今我が国で稼働しているわけでございます。二千万キロワットというような大変な量の電力が供給されまして、総発電量の約二割を超えているというようなことです。ところが、原発の稼働に伴って核燃廃棄物がふえてまいりまして、茨城県の東海再処理施設は飽和状態ということで、この再処理をフランスとかイギリスに求めているわけでございますけれども、六十五年度以降には両国からの高レベルの廃棄物の返還の第一陣を我が国は迎えるという局面にもあるわけでございます。こういう経過を踏まえまして電気事業連合会、電事連は日本国内でどうしても再処理施設の立地を図っていきたいということでいろいろなさっておられまして、それが実は青森県の六ケ所村、ここに核燃再処理施設建設構想が出てきているわけであります。この再処理施設とか核燃廃棄物そのものが危険を伴うものであるものですから、その安全性が今非常に強く議論されているわけでございます。きょうは関係各大臣、長官においでいただいているわけでありますが、いろいろな問題を抱えました下北半島六ケ所村の核燃サイクル施設につきまして、ひとつ明確な御答弁をお願いしたいと思っております。これはそういう性質のプロジェクトでありますので、私は埼玉でありますが、全日本的な大きな問題として関心を抱いている一人でございます。  まず第一に、核燃料サイクル施設の安全性についてでありますが、昭和五十二年に我が国では初めて動燃東海再処理施設ができたわけです。しかし東海再処理施設というのは運転開始以来故障続きでございます。溶解槽が腐食してピンホール、小さな穴があくといった事故がこれまでに四回あったとされています。再処理はまだ未成熟の領域かなという印象を受けるわけでありますけれども、六ケ所村とか青森県民の方々にすれば、この東海再処理施設と同じフランスの技術を導入してサイクル施設を建設するというようなことから、これは本当に大丈夫なんだろうか、あるいはまた安全なのか、こういうような不安な気持ちを抱くことは当然なことであると私は思っております。問題は、国がこの燃料サイクル施設の安全性についてどうこれを確保するのか、あるいはまた、安全基準がまだ未整備だということでありますけれども、これはどうなっているのか、こういう点をぜひひとつこの際明らかにしていただきたいと存じます。
  143. 竹内黎一

    竹内国務大臣 お答えいたします。  まずもって、今回電事連が青森県に立地を要請いたしておりますいわゆる核燃料サイクル施設、これにつきましては私どもは、我が国における原子力の平和利用、開発を推進する上で極めて重要なことだと認識しております。先生既に御承知ですからくどくど申し上げませんけれども、自主技術の確立であるとか、あるいはプルトニウムの利用による純国産エネルギーを効率的に使用する等等から、私どもはこの電事連の今回の計画を高く評価いたしておるわけであります。  なお、東海再処理工場の故障の件につきましてもお話がございましたが、その後私どもは鋭意その故障の対策を進めまして、今月十八日から運転再開をいたしておりまして、幸いにして今日まで故障の報告はございません。しかしながら、この三点セットの中でも特に再処理施設の安全について国民の関心が高まるということはまた当然のことだと思っております。そういう再処理施設の設置に当たりましては安全性の確保が大前提であることは言うまでもございませんけれども、このため、原子炉規制法に基づきましてまず科学技術庁が厳格な安全審査を実施し、さらにその結果を原子力安全委員会が審査する等、いわゆるダブルチェック等の仕組みで厳格な安全規制を行うことにより、再処理施設の安全確保に万全を期してまいりたいと思っております。  なお、その再処理施設に関する安全審査の指針につきましては、概に原子力安全委員会によりまして核燃料施設安全審査基本指針といういわば大綱、総則に当たるようなものが作成されております。さらに、それに基づきまして、「核燃料施設の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量について」といういわば細則に当たるものも策定されておるわけではございますけれども、御指摘の再処理施設の安全審査にさらに徹底を期すため、いわばそういう細則的なものをぜひつくりたいということで昭和六十年度を目途にして今鋭意検討中でございますので、事業者からの申請とか、あるいはまた実際の建設工事の前には十分に間に合うと考えております。
  144. 山田英介

    山田委員 科技庁の長官にもう一問でありますが、この六ケ所村にこの核燃料サイクル施設が仮に決まった場合に、この施設建設には十年ないし五年という期間がかかるわけです。それで、未完成のうちにどうも高レベル核燃料廃棄物が六ケ所村に運び込まれてくるのじゃないかという疑念といいますか心配というものを県民あるいは六ケ所村の皆さんは非常にお持ちでございまして、そういう心配に対しましてどうおこたえなさるのか。  それからもう一つは、高レベル廃棄物の最終貯蔵所を国はどこに置こうとされているのか。六ケ所村には設置しないと約束できるのでございましょうか。
  145. 竹内黎一

    竹内国務大臣 まず最初のお尋ねでございますけれども、電気事業者の計画によりますと、昭和七十年ごろからの操業開始を予定しておるわけでございますが、使用済み燃料及び返還廃棄物の貯蔵施設は、昭和六十六年ごろから操業を開始したいという計画のようでございます。これはなぜかと申しますと、使用済み燃料につきましては再処理前に約四年程度冷却する必要があるというところから、再処理の本体よりも早く貯蔵開始ができるように配慮すべきものと承知をしておるわけであります。  また、海外再処理契約に基づいて返還される高レベル廃棄物はこの再処理工場で発生するものと同様のものでございまして、契約上は昭和六十五年以降我が国に返還される可能性があるわけでございまして、建設計画の一環としては受け入れ施設を整備する考えであると承っておりますが、国といたしましても、万が一にもこの施設が単なる使用済み燃料や返還高レベル廃棄物の貯蔵施設にとどまるような事態にならないように対応してまいりたい、こう思っております。  第二に、六ケ所村での高レベル廃棄物の処分についてのお尋ねでございますけれども、簡単に結論を申し上げますけれども、そういう処分予定地につきましては、今後十年程度をかけまして全国的な視野において選定をするつもりでございまして、現在のところ六ケ所村で処分を行う計画はございません。
  146. 山田英介

    山田委員 むつ小川原開発と核燃サイクル施設の関係で国土庁に伺いたいと思います。  このむつ小川原開発の第一次基本計画は、もう御案内のとおりでおりますが、四十七年六月、五十年十二月には第二次基本計画、五十二年八月には「むつ小川原開発について」という開発会議の報告が出て、直後に閣議口頭了解を経て今日に至っている、こういう経過があることは御案内のとおりであります。当初計画をしておられました石油コンビナートが二度にわたるオイルショックで挫折をいたしました。開発区域は五千二百ヘクタール、広大な土地に立地をいたしましたのは、国の石油備蓄基地二百四十ヘクタールということでございます。そこに六ケ所村のこの核燃サイクル施設建設問題が浮上してきたわけでありますけれども、そういう中で、国土庁、今後このむつ小川原開発をどのような方向で考えられておるのか。また核燃サイクル施設建設構想に対する長官の御所見をこの際伺いたいと存じます。
  147. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 むつ小川原開発につきましては、もともと石油備蓄基地ということでスタートしております。近年の経済社会情勢の変化が激しかったということから、当初予想されたような業種の立地が非常に難しくなったということは事実でございます。しかし全国でも数少ない、かけがえのない大規模工業土地でありますので、国土庁としましては、地域振興という観点から極めて重要であると考えております。今後も長期的視野に立って該地を活用すべきだと思っておりますが、問題の核燃料サイクル基地につきましては、今科学技術庁長官がお答えになりましたが、いろいろ各官庁、各界各層の意見を集約して善処してまいりたいというふうに考えております。
  148. 山田英介

    山田委員 地元の意向を尊重なさる、こういうことが極めて大事であろうと私は思うわけでありますが、その地元では、核燃サイクル施設が立地を現実にしたとした場合に、ほかの企業の立地に重大な影響が出てきやしないかという、これまた切実な心配があるわけでありまして、この点、国土庁長官、もう少し具体的に展望を明らかにしていただければと思います。  もう一点、具体的になりますが、核燃サイクル施設の設置が、これも仮定でございますが、決まった場合は、むつ小川原開発のいわゆる石油シリーズでございますね、これは放棄なさるのか、なさらないのか、この点については簡単で結構でございますので、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  149. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 核燃料サイクルの施設が決まった場合、各企業が来るかどうかということでございますが、いずれにしましても、石油コンビナートの問題は、御承知の石油ショック以来ちょっと需給関係が狂っておるということから、これは立地をあきらめなければいかぬじゃないかと私は考えております。  そこで、核燃料サイクル施設が来た場合ということですが、ほかの企業が来るか来ぬかということでございますが、これは安全性の問題もあり、地元の御意向もありますが、企業が来る、来ぬは各企業の判断によるものでございまして、核燃料サイクル施設ができたからと言ってほかの企業が来ないということは断定できないことでございます。国土庁といたしましては、該地区が地元の繁栄ということ、住民の所得の向上、生活の安定ということを中心に善処してまいりたいと考えております。
  150. 山田英介

    山田委員 政府の現段階における見解として伺っておきます。  次は資源エネルギー庁でございますが、この核燃サイクル施設によりまして六ケ所村の農水産物に対しましていわゆるうわさというのでしょうか、風評被害というのがございますが、これが出た場合の対応についてお尋ねしたいと思います。  四十八年でございましたか、魚の名前ですが、メヌケという魚、厚生省から水銀汚染の可能性があるということでそれは認められた経緯がありまして、そのときには八戸漁港からは一年半全く魚の出荷ができなかった、こういう事例があるわけでございます。そんなことで、またこれは非常に大きな問題であるわけですけれども、青森県民といたしましては、もし風評被害というものが出た場合には補償先を、当事者、原因者主体ということで、その確約を電気事業連合会に求めているわけでございますが、こういう状況にあるということであれば、国も、しっかりした補償がなされるように電事連に確約させることはできないのかなと私は素朴に思うのでございますが、この辺どうなんでございましょうか。
  151. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 風評被害対策につきましては、基本的には事故、故障を未然に防止することが重要でございまして、この未然防止につきまして国としても安全性の確保に万全を期するとともに、事業者に対して十分な安全対策を講じるように指導してまいる所存でございます。なお、万が一風評被害が生じた場合につきましては、関係事業者に対しまして誠意を持って補償問題に対処するよう事業者を指導してまいる所存でございます。  なお、今先生御質問の中で、現時点で確約させることができないかということでございますけれども、こういう施設の円滑な立地のためには地元の皆さんの御理解が不可欠でございまして、当省としては事業者に対して地元の方々と十分話し合いをするようにということで指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  152. 天野光晴

    天野委員長 山田委員、ちょっと、先ほどの国土庁長官の答弁、石油基地の問題、再答弁ありますから……。国土庁長官
  153. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 当初立案されました石油シリーズでございますが、情勢の変化で当初予想されたような業種を立地することが非常に難しい状態になったということでございまして、あきらめた意味ではございません。全国有数の土地でございますから、地域振興の意味から粘り強く頑張って各省と御連絡して努力を続けていきたいということでございます。
  154. 山田英介

    山田委員 次は運輸省でございますが、核燃サイクル施設の使用済み燃料等の輸送は海上輸送になる、こう伺っておるわけでございます。海上輸送の安全性ということにつきまして十分に確保されるのかどうか、この点を伺いたいと存じます。
  155. 神津信男

    ○神津政府委員 使用済み燃料などの船舶輸送につきましては、従来から国際基準でございます国際原子力機関輸送規則等を踏まえて定められております船舶安全法の規定に基づきまして輸送容器、輸送する船舶、輸送方法等について国際的に見ても非常に厳しい安全規制を行って事故の未然防止に万全を期しているところでございます。将来予想されます核燃料サイクル施設への使用済み燃料などの船舶輸送の安全の確保についても従来同様万全を期してまいりたいと考えております。
  156. 山田英介

    山田委員 御説明でございますが、それで使用済み燃料などが今おっしゃいましたような海上輸送中に万が一、あるいは万々が一事故が発生をいたしました場合に、その場合にはどなたが責任をとり、どういう形で補償がなされるのか、その点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  157. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力特有の、いわゆる原子力災害が生じた場合におきます損害賠償につきましては、原子力損害の賠償に関する法律というのができてございまして、一元的に原子力事業者に責任が集中するようになっておりまして、しかもその責任につきましては過失の有無に関係なく無過失責任制という制度が確立されておりますので、その原子力事業者が一切の責任を負うということになるわけでございます。これを担保するために原子力損害賠償責任保険契約、それから原子力損害賠償補償契約、こういったものの締結などを原子力事業者に義務づけておるわけでございまして、そこで実際に損害が生じた場合その額が非常に大きくて、例えば今申しました補償契約で決めた額を超えたような場合、こういった場合であって、しかもやはりこれについては非常に損害が大きいというようなこともあって、政府が応援しなければいけないというような事態になりますれば、その場合は必要に応じ国会の議決を経て政府が原子力事業者を援助する、援助を行うこととする、こういうぐあいに法律の方で決められておるわけでございます。  そして、先生御指摘の海上輸送の問題につきましては、この原子力損害の賠償に関する法律によりまして原則としてその使用済み燃料の発送人が責任を負うということでございますので、発電所から使用済み燃料を送り出しますので、その送り出した発電所の施設者である電気事業者、これが責任を負う、こういうことでございます。
  158. 山田英介

    山田委員 核燃サイクル施設の関連ではこれが最後の質問になると思いますが、今度外務大臣、外務省でございます。  下北半島の六ケ所村の施設ですが、この建設の関連でございまして、アメリカとの関係が極めて重要であるということが言えます。そこで、核燃料再処理に関する米国の同意について質問をいたしますが、かつて東海再処理工場の運転開始時に当時のカーター政権から注文がつきました。それで一時運転が規制をされたことがございます。その後、五十六年末に至りまして東海再処理工場に関する日米共同決定が行われておりまして、昨年末までの東海再処理工場の運転継続が認められたという経緯がございます。その後何回かにわたる日米協議の結果、昨年の十月に至りまして東海再処理工場の運転の本年末までの暫定延長、それからより長期的な解決を図るための協議の継続が昨年決められてそれで現在に至っている、こう私は理解をいたしております。その間におきまして、日米間では原子力に関する長期的な取り決めにかかわる話し合いが行われているというふうに私は承知をいたしておりますけれども、仮に再処理第二工場、いわゆる下北の六ケ所村ですが、仮に建設をされたとしても大もとの大前提の部分で日米間の合意とか取り決めの成立というものがなされなければ、実際には施設はできても運転はできないということになるわけでありますから、その意味では大もとにある問題でございます。この六ケ所村の核燃再処理工場、第二再処理工場でありますが、取り決め交渉の現状を御説明願いたいと思いますし、それからこれがまた妥結というのでしょうか、協定成立の見通しにつきましてはこれはまた極めて重大な問題でございますので、その見通しにつきましてもあわせて御答弁をいただきたいと存じます。
  159. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  第二再処理工場の扱いにつきましては昭和五十二年九月の日米共同声明におきまして一つの制約を受けておりましたが、この制約はその後の協議の結果、昭和五十六年十月に撤廃され、同時に再処理問題にかかる長期的取り決めの作成のための協議を行うことが合意されておりますことはただいま御指摘のとおりでございます。この協議は五十七年の八月以降精力的に行ってきており、双方の立場に対する理解は深まってきておりますが、米国政府といたしましては昭和五十三年の核不拡散法の発効に伴いまして、日米原子力協定につきましてもこの法律に適合させることが行政府の義務とされておりまして、このような観点から協議に臨んできております。本件につきましても、さらに議論を尽くすべき点も残されておりますので、今後さらに協議を継続する必要がございます。  なお、この協議とは別に、日米両国の専門家の間で商業規模の再処理工場に関する保障措置につきまして、非公式な意見交換を行ってきておりまして、ある程度の進展が見られておりますことを御報告申し上げます。  政府といたしましては、核不拡散のための国際協力には積極的に貢献するという姿勢を堅持しつつ、同時に我が国の原子力平和利用を安定的に発展させるため、予見可能性のある、信頼性のある解決策に早急に到達いたしますよう、今後とも積極的に米側との協議を続けてまいる所存でございます。
  160. 山田英介

    山田委員 大臣に御答弁いただきたいと思います。
  161. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいま事務当局が答弁をいたしましたように、日米の原子力関係の円滑な発展のために積極的にひとつ協議を続けてまいりたいと思います。
  162. 山田英介

    山田委員 以上で、核燃再処理施設の問題につきましては終わります。関係各大臣、ありがとうございました。  あと七分ほど持ち時間がございますので、三つほど質問ございますが、御答弁、御協力をいただきたいと存じます。  端的に申し上げます。一つは、首都圏の鉄道網の整備という観点から三つほど伺わせていただきますが、第二常磐線、鉄道でございます、のルートにつきましては関係自治体からの具体的な要望がなされているわけでありまして、間もなく運政審の答申が出される運びとなっているわけでありますが、この答申ルートにつきまして、ぜひ荒川区、足立区などの都区部から鉄道過疎地域であります埼玉県南東部を通過地域としてぜひいただきたく、また運政審の答申に御反映を願いたく、特段の御努力を賜りたいと存じますが、ひとつよろしくお願いいたします。
  163. 山下徳夫

    山下国務大臣 第二常磐線のルートにつきましては、ただいま運輸政策審議会で御検討をいただいているところでございます。地元地方公共団体の要望を十分踏まえた結論が出されることを私どもも期待をいたしておるわけでございます。  なお、御要望のこのルートでございますけれども、御要望がございましたルートは、現段階におきまして、私は有力な一つのルートであろうかと存じておりますし、十分審議会においてもその点は御勘案の上御決定になるものと存じております。
  164. 山田英介

    山田委員 大変ありがとうございます。  もう一点でございますが、東京都から昭和五十八年にも鉄道網整備に対する要望ということで運輸省にお願いがされているわけでありますが、その中にもございます足立区の舎人新線、仮称でございますが、この新線建設につきまして、足立区民の皆さんも大変な大きな期待を抱いているわけでありまして、将来大きく発展する舎人新線の沿線といいますか、まだできてないのですから沿線じゃありませんが、その地域でありますので、ぜひひとつ公共交通の不十分な足立区のこの西部地域への新線としてこの舎人新線もぜひひとつ前向きなあるいは真剣なお取り組みを御検討をいただきたい。御要望でございますが、これについても恐れ入りますが、一言御答弁を賜りたいと思います。
  165. 山下徳夫

    山下国務大臣 東京圏の鉄道網の整備につきましても、包括的にただいま運政審で御審議をいただいておりますから、当然その中にこの通称舎人線は入っておるわけでございます。この中で東京都から、都心または副都心より日暮里を経由し足立区西部に至る舎人新線の導入、こういう要望がなされておりますので、この問題につきましても運政審の場において十分御審議がなされることと存じますけれども、問題はこの輸送需要の動向あるいは採算性等もあるわけでございまして、そういう点も考慮しながら総合的な観点から適切なる御決定がなされるものと期待をいたしております。
  166. 山田英介

    山田委員 最後の質問でございます。  六十二年度開業予定でございます京葉線、東京と千葉県蘇我を結ぶ、あるいは内房、外房を結ぶ通勤新線でありますが、六十年度予算案を見ますと大体五百億以上の予算が計上されているようでございますが、これは総武線の大変な混雑でありますが、この緩和のやはり決め手になる京葉線である、私もそのように思えます。無事に予定どおり完成することを私も心から期待をしているわけでございます。  そこで、西船橋という駅がございますが、ここでこの京葉線と武蔵野線が連絡をいたします。いわゆるレールがつながるというのでしょうか、ハード的には相互乗り入れが可能になるという構造になると伺っております。そこで武蔵野線の京葉線への乗り入れを、鉄道の高度利用とかあるいはまた質の高いサービスというような観点から、せっかくハードの面で乗り入れ可能のような構造でできるわけでございますので、大臣ひとつ、六十三年三月が開業予定というように私は承知しておるのでございますが、ぜひひとつ武蔵野線をこの京葉線に乗り入れをさせていただきまして、そして埼玉県の鉄道過疎地域の皆さんが真っすぐ京葉線を利用して東京の地下三十六メートルの立派な駅にどんと入れるような御検討をぜひともひとつ前向きにお願いしたいと思っておりまして、これは本当に皆さんの大きな期待がございますものですから、ぜひとも前向きな御答弁をお願いしたいと存じます。
  167. 山下徳夫

    山下国務大臣 これは国鉄総裁からの御答弁が適切かとも存じますが、私。御指名でございますので一言申し上げておきますが、京葉線の全線開通後の運転経路等につきましては、これは国鉄でただいま御審議をいただいておりまして、これからの輸送の動向等を踏まえてこれまた適切なる御決定がなされるものと期待をいたしております。
  168. 山田英介

    山田委員 まことに申しわけございません。順序を間違えまして、国鉄総裁からも……。申しわけございません。順序が逆になりまして、失礼いたしました。
  169. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生御指摘のとおり、六十三年四月には京葉線ができるわけでございまして、今先生の御要望がございました。まだ私どもとしても、ちょっと先の話でございまして、ただいまその輸送計画を練り始めたというところでございます。  ただ、一つ問題は、京葉線に走ります列車と、御承知だと思いますが、武蔵野線に走ります列車が、両数も違うとか、いろんな問題がございます。技術的ないろんな問題がございますが、今先生のお話のような点も十分頭に入れながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  170. 山田英介

    山田委員 以上で終わります。
  171. 天野光晴

    天野委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十一分開議
  172. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日は、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の御出席を願っております。  参考人におかれましては、御多用中のところ当委員会に御出席を賜り、ありがとうございます。  委員からの質疑にお答えいただく前に、監理委員会の経過の概要についてお述べをいただきたいと存じます。亀井参考人。
  173. 亀井正夫

    ○亀井参考人 国鉄再建監理委員長の亀井でございます。  委員会の作業状況について御報告申し上げます。  当委員会は、一昨年の六月に発足して以来今日まで、おおむね週二回のペースで九十六回にわたり委員会を開き、国鉄の現状及び問題点について調査、分析を行うとともに、効率的な経営形態のあり方、長期債務等の処理、余剰人員対策などについて検討を続けてまいりました。また、その間、国鉄当局を初め関係省庁、関係労働組合、私鉄経営者、それに各界の学識経験者から幅広く意見を聞くほか、ヨーロッパ及びアメリカの鉄道事情の調査、さらには前後十二回にわたり北海道から九州までの各地国鉄現場等の調査も行ってまいりました。  そして、一昨年の八月及び昨年の八月には、当面緊急に措置すべき事項について内閣総理大臣に提言を行ったところでありますが、特に昨年の第二次提言においては、それまでの約一年間の討議の結果を踏まえ「国鉄事業の再建を達成するためには、現在の公社制及び全国一元的運営から脱却し、新しい効率的な経営形態へ移行することが必要であると考えており、基本的には分割・民営化の方向を念頭において今後その具体的な内容を十分検討したい」という委員会としての基本認識を明らかにしたところでございます。  その後、この基本認識に基づきまして具体案を策定するための作業に入り、目下分割の仕方をどうするか、分割企業体の経営基盤を確立するにはどうすればよいか、その法人の性格をどうするか、長期債務等の処理の仕組み及び方法をどうするか、余剰人員の問題をどう解決するかといった諸問題について、相互の関連を考慮しながら総合的な検討を続けているところでございまして、現在のところまだ結論を得るには至っていない次第でございます。今後の予定といたしましては、本年七月ごろには最終的な案を取りまとめ、内閣総理大臣に提出したいと考えております。  なお、先般、当委員会が国鉄の分割案を固めたなどの報道が一部でなされましたが、ただいま申し上げましたとおり、当委員会としては、これらについてまだ具体的な案を固める段階には至っておりません。  以上でございます。
  174. 天野光晴

    天野委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  175. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょうは土曜日で、亀井委員長にはお忙しいところを大変ありがとうございます。  今、作業の状況について御報告をいただいたわけでありますが、最近特に国鉄監理委員会の動向について、しばしば報道も行われておるわけであります。今、当初予定の七月の末までには本格的な答申を報告することができるであろう、こう述べられたわけでありますが、この間、中間的な報告というものは監理委員会としては全然考えていないのか、またそれとも経営形態等の問題があるわけでありますから、ある時点では中間的な報告をも考慮に入れて、本格的には七月末に答申をする、こういうお考えであるか、承りたいと思います。
  176. 亀井正夫

    ○亀井参考人 お答え申し上げます。  私ども、ただいま申し上げましたとおり、効率的な経営形態の問題、長期債務の処理、余剰人員対策、いずれも難しい問題でございまして、七月といたしましてもあと数カ月しかございませんで、現在精力的に検討中の段階でございまして、とても中間的な案を出すという余裕はございませんで、七月に最終的にまとめて総理に提出をしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  177. 岡田利春

    岡田(利)委員 亀井委員長は昨年六月の二十八日の参議院の運輸委員会において参考人として出席をされておるわけです。そのときに述べられておりますのは、いわゆる今の触れられました国鉄の長期債務、この長期債務の問題については、経営形態の変更と同時である、いわば経営形態の結論と長期債務の取り扱いというものがちょうど表裏一体化の関係にあるのだ、こういうお話を実は述べられておるわけであります。もちろん、経営形態がどうなるのか、そして長期債務をどのように処理をするのかということは、密接不可分の関連にあると思いますけれども、特にこの強調された意義といいますか意味といいますか、この点について見解を承っておきたいと思うのです。
  178. 亀井正夫

    ○亀井参考人 長期債務の処理についての御質問でございますが、私ども民間経営者から見ますと、現在の国鉄の状況というものは既に破産状態にある。常識で言いまして、年商売上高三兆円に対してこの三月で二十二兆の借金ということは、売上高の七倍の借金がある。通常の経済常識で言いますと、年商売上高を借金がオーバーすれば、もうこれは破産にかけるかあるいは会社更生法にかけるかというのが常識でございます。これがいろいろな仕組み、いろいろな今までのいきさつによって今日までに至ったのでございますが、この債務をどう処理するかというときに、非常に通俗的な考え方でございますけれども、会社更生法的な考え方をとりました場合には、やはり今度新しくできた経営体は堅実なものになる、そこで残った、これはどうしようもないものは処理をする、こういうふうな格好になる。そういう意味におきましては、新しく発足する形というものを本当の健全体質にしなければ、とても二十二兆、これをどう分析して処理するかというのは大問題でございますけれども、いずれにいたしましても、国民各位あるいは国会の皆様方の御理解なくしては、これは解決できる問題ではない、こういうふうに考えておりますので、一体で処理をしなければいかぬのではないか、こういうのが私ども考え方でございます。
  179. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろん、第二次答申の中で、今日の国鉄の置かれている実態について一応の分析も行われておりますし、今日までの至った経過も監理委員会としての見解は述べられておるわけであります。ただ、特に別途な面での見解の表明の中に、今日の国鉄のこのような現状に置かれた大きな一つの理由として、要因として、政治的作用がこれほど大き過ぎたということは監理委員の皆さんも思わなかったということが、報告書以外でありますけれども、実は述べられておるようでありますが、この意味について承っておきたいと思います。
  180. 亀井正夫

    ○亀井参考人 政治的な意味、非常にデリケートな御質問でございますが、私ども素人的に考えてみまして、国鉄が赤字が出だしたのが昭和三十九年から二十年間続いておるわけでございます。その間におきまして運賃を、コストが上がれば国鉄運賃法には「原価を償うものであること。」ということが明記してありますので、やはり国会におかれて、かつての法定主義の時代にも適時適切に改定をすべきであったのがずれてきた、こういうことがやはり政治の影響と考えてもいいんではないだろうかと思う次第でございます。また、建設路線というふうなもので、交通体系が近代化された段階におきましてもっと別の手段というのを考える時期に、今までのいきさつ上そこに鉄道を引く約束をしたのだから引くんだ、やってみたところが閑古鳥が鳴いておる、こういうようないろいろの積み重ねがあったと思いますが、そのほかに、これは非常に率直な意見を申し上げますと、国鉄というものは一つの企業体でございます。企業体といえば、トップは経営に専念をしなければならない。ところが、あけすけに申し上げて、私どもの答申にも書きましたけれども、やはり幹部がしょっちゅう国会に出てやられるというようなことになりますと、現場を本当に掌握して努力するということもない。そういう面におきまして、私どもといたしましては、やはり公社という仕組みに根本的な問題があるのではなかろうか、これを変えなければいかぬ、こういう意見を持っておるわけでございます。
  181. 岡田利春

    岡田(利)委員 国会には私はそうしょっちゅう呼び出しているなんということにはならぬと思うのです。ただ、政府の関係だとかあるいはまたそれぞれ政治家がいろいろな用件で総裁などと多いかもしれませんけれども、この点はちょっと国会の出席が多いというのはいかがなものか、こう私は思います。  そこで、二月十四日にNHKが実は監理委員会の分割・民営化の案というものについて放送されておるわけであります。非常に簡を得て要を得たようなまとまった内容で放送されておるわけでありますが、この内容についてはごらんになったでしょうか。
  182. 亀井正夫

    ○亀井参考人 当日放送されましたのは拝見をした次第でございますが、私、あれを見ましてびっくりした次第でございまして、私どもでは分割・民営を念頭に置いてといいますか、いろいろな態様の分割案を現在検討中でございまして、まだ確定をしてないのでございますが、ああいうふうな何か決まったようなことが報道されまして甚だ心外で、事実と相違をするということで修正をNHKにも話してみましたら、向こうは言葉足らずであったという釈明があった次第でございます。
  183. 岡田利春

    岡田(利)委員 この内容をずっと検討してまいりますと、監理委員会として今、委員長が答弁されたような状況であると思えないような内容ではないか、私はこう思うのであります。  ごく簡単に申し上げますと、現在の四本の新幹線を中心に四つの会社に分割をする。北海道、四国、九州と合わせて七つの会社に分割をするという一つの考え方を示しておる。特に北海道、九州、四国というのは、いわば本州に比べて離島でありますから極めて明確でありますが、しかもその中の本州の四ブロックのいわば分割については、東北ブロックは、東北新幹線、東北線、山手線、常磐線、総武線という線名までこれにつけられておるわけであります。そして、これに付随する一次、二次、三次の指定以外のローカル線、これが東北ブロックだ。上越ブロックの場合には、上越新幹線、上越線、高崎線、信越線、そして中央線の塩尻より東側、極めて細部にわたっての分割案の内容になっておるわけであります。そして中部ブロックが、東海道新幹線、東海道線、中央線の塩尻より西側、紀勢線の東側半分、こういうことになっております。西日本ブロックが、山陽新幹線、山陽線、大阪周辺の国電、山陰線、北陸線、紀勢線の西側半分。これは相当な根拠がないとこういうことにはならないのではないか、こう思うのであります。  そして、これらに接続するローカル線がずっと含まれていく。そして、本州の四つの会社はいずれも採算がとれる。恐らく私鉄と同じような条件でということを前提にして計算されておると思うのでありますけれども、ここも非常に明確であるわけです。そして、北海道、四国、九州は私鉄並みの合理化を行ったとしても黒字は見込まれない、これも明確に示されて、助成の必要がある。だがしかし、その助成の方法についても、単年度主義をやめて基金を与える、そのことによって一回きりで始末をしてしまうというような考え方がこれまた述べられていて、基金の内容についても、一千五百億円から五千億円程度。北海道が五千億円程度になるんでしょう。そして下の一千五百億といったら四国になれば、九州が三千五百億で合わせて一兆円と、だれしもが簡単にわかるような内容の説明が行われているわけです。さらに、例えば千葉地区あるいはまた北陸線の場合も、将来の交通環境を考えて独立させたらどうかという意見委員の中で述べられておると、かくまで明確に国民の前に、二日間にわたってこれらの内容が図解つきで放送されておるというのが実態なわけであります。  これは結論ではないと言っても、しかし、今までの国鉄監理委員会のメンバーの発言なり傾向をずっと分析をしてまいりますと、この案は、結論には至ってないけれども、相当詰められた、検討された内容である、こう言わざるを得ないのでありますけれども、いかがでしょうか。
  184. 亀井正夫

    ○亀井参考人 ただいま岡田先生から、私が存じておるよりも詳細な御説明がございましたが、実は分割のパターンというのはいろいろございまして、現在いろいろな形でどうやれば成り立つか。それで私どもが決めたことは、原則的な考え方は決めたわけでございます。一つは、現在の国鉄の組織が非常に大き過ぎる。三十万人というものを一人で掌握していくというのは、労働集約型の産業では無理ではないだろうか。したがって、これを適正管理規模というところに持っていく必要があるのではないか。第二には、鉄道特性というものを現在以上に発揮できるときは、発揮できる体制に持っていくことが必要ではないか。そして、地域流動性というのを重視をする。それから、地区に分かれたところによりまして必ず競争という意識が働いて向上するであろう、全国一本ではどうも無理であろう。そして、でき得れば収益性というものを確保しなければ企業としては成り立たぬ、こういう五つの原則を組み合わせて、どういう形があり得るか。私どもは三島だけを分離が前提ではございませんで、そういう法則にのっとって、全国を幾つに分けたらいいのかということを現在、いろいろ検討しておるのであります。  臨調の答申においては七つ程度ということでございます。いろいろな議論が行われ、また、私どものところへもマスコミからいろいろな取材がございました。その場合に、私どもはあいまいな答えをしますけれども、昔の放送で言えば「二十の扉」のように、十ですか、八つですかと言うと、わからぬと言っても顔色で読んで有能な方々がいろいろ憶測をして書かれる、こういうことがそういう結果になったので、ただいま先生が読み上げられました塩尻をどうするとか何線をどうするとか、そういうような詳細な議論は現在まだ、私ども委員会の席上で論じてもおりませんし、確定もしてない、こういうふうに御理解をいただきたいと存じます。
  185. 岡田利春

    岡田(利)委員 その内容でもう一つは、例えば上越ブロックには中央線をつなぐのだ、こういう内容もあるわけです。これはつながってないわけです。これをつなぐためには八高線というローカル線でつなぐのだ、実はこういうところまで述べられておるわけであります。  今監理委員長が、臨調は七分割、こういうことを志向している、こう言いますけれども、臨調自身は国鉄の内容を詳しく分析をし、将来をある程度展望するような時間はなかったんだと思うのですね。私はそういう意味で、監理委員会がそのことに、七つという数字に固執する必要はないではないのか。やはり日本列島という亜寒帯から亜熱帯に及ぶ我が国の地理的な条件、そういう意味では、ある程度生活の安全保障としての、ネットワークとしての国鉄というものを十分尊重しなければならぬのではないか、こう思うのです。ただ、私が心配するのは、この内容が恐らくほぼこれと同じような、今の臨調のメンバーの人々の発言等を分析をするとそういう方向に落ちつくんではなかろうか。しかし、亀井委員長責任者でありますから、いや今、私の指摘したこういうことにはならぬですよ、こう言えますか。
  186. 亀井正夫

    ○亀井参考人 今私の答弁で、七つに決めたようなふうにお受け取りの方がおったら、これは誤解でございまして、御修正をいただきたい。臨調の答申では七つということであった。私どもは無数のケースで、東西二分論から、あるいは今度出ました国鉄案で言えば、本州と九州は一本にする、北海道、四国は条件が許せば分ける、それから地方交通線七十線は分離するというんですから、これは七十何分割という案でございます。そういうことで無数にいろいろあるわけでございまして、現在は私どもは、先ほども申し上げましたように、ある一つの経営形態がコンパクトであり、そしてまじめにやれば経営収支が成り立つ形はどうかということで、各線ごとの今までの経営収支を集めてコンピューターにかけて、いろんなケースのケーススタディーをやっておるという段階でございまして、私どもは決して七つ――ただ、恐らくNHKの推測をすれば、臨調で七つが出ておるんだから、七つとすればこんなことじゃないかと一つの固定観念で取材をされた労作の結果があれであって、私どもとしては決めてない、こういうふうにひとつぜひ御理解をいただきたい。
  187. 天野光晴

    天野委員長 次に、富塚三夫君。
  188. 富塚三夫

    富塚委員 ただいま岡田委員質問されたことと関連をいたしまして、実はテレビ放送だけではなくて、ある新聞には、北海道、九州、四国分割後の穴埋めに一兆円の基金を考えておられるとか、あるいはある雑誌には、余剰人員の転職のために特別立法を考えておられるとか、何か分割・民営を既定の事実としてキャンペーンを張られるような、そのような監理委員会の動きがあるように私はちょっと懸念をしているのです。御案内のように中曽根総理も、監理委員会の答申を待って具体策を提起をしたい、そしてまた、教育問題とあわせて重要な政策であると言って、まさに臨調答申を受けて監理委員会というのは金科玉条といいますか、大変権限を持っておるところでありまして、何か軽率に花火があちこちで委員の間から上げられるようなことを心配するのでありまして、以後、絶対にそういうことはないというふうにお約束をしていただけますか。
  189. 亀井正夫

    ○亀井参考人 分割・民営化をあたかも決めたようにというお話でございますが、これは昨年八月の第二次の答申におきまして、分割・民営化を念頭に置いてこれから作業に入りますということでございますから、これは決まっておる、私ども委員会としては方針として決まっておることでございます。  それから、作業に入ったときにいろいろ出ておるんでございますが、ただいま監理委員会が大変な権限があると申されましたけれども、私は権限というよりもむしろ責任が非常に大きい、そういう責任感のもとに今仕事をしておるのでございまして、軽率な発表とかは慎しむべきであるということは、厳に戒めてきておるのでございますが、何分国民関心の的でございますので、マスコミ陣営においては夜討ち朝駆けでいろいろ努力されるというようなことでああいう記事が出たのでございますけれども、どうかひとつ、私どもはそういうことの出ないようにこれからも努力いたしますけれども、文責記者にありということについてまで監理委員会に責任持てと言われても困る、その辺もひとつ御理解をいただきたいと思います。
  190. 富塚三夫

    富塚委員 私は慎重に対処していただきたい。監理委員会というのはすばらしい権限を持っておられるわけですから、ぜひ慎重に配慮していただきたい。  次に、時間の関係がありますので、雇用問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、国鉄労働者の雇用不安をどう解消してくれるのかということの問題なんですが、御案内のように、国鉄の余剰人員、国鉄流の定義で言いますと、業務量に対応する要員に対して毎年退職者を引いた現在員が上回った場合に余剰人員と呼んでいるように思います。世間一般の余剰という定義とはちょっと違うのですが、五十九年度初めに要員数の総数が三十一万二千五百名、現在員が三十三万七千名で、差し引いて二万四千五百人の余剰人員ができた。五十九年度中の合理化、三月にもダイヤ改正がやられますが、それで約二万五千人の余剰人員ができる。また六十五年度までには、当局の基本方策によりますと六万七千人の余剰人員を生み出す。トータルいたしますと十一万六千人、十万人ところではないそれ以上の余剰人員が生み出されることになるわけです。家族を含めますと約五十万になるんじゃないか。  これは生活にかかわる深刻な問題であって、雇用、生活不安におののいている人たち、これをどうするかが大事な再建についての大きな課題であろうというふうに我々は思います。昭和二十四年の十万人の行政整理以来の初めての十万人以上の首切りではないかと世間でも言われています。ところが、大阪の管理局では、科学万博に四十人を派遣したいとか、ホテル・エドモントヘ六十七人派遣したいとか、上野の駅ですか、コーヒーショップをつくって三十人派遣したいとか、小手先の配転や出向では私は本質的な解決にならないんじゃないか。本当に十万人以上の雇用対策ができるのかどうかということが大きな問題であろうというふうに思うのです。  現在、二月初めに五十六歳以上の退職者の申し込みが七千五十六名で、五十五歳以下が七百八十七名、一時帰休が二百八十四名、外部出向者百七十三名で約八千人です。二万四千人に対して今の状況ですね。当局の予定数の外部出向二千五百人などはとても達成ができない。旅行代理店、ホテル、鉄道弘済会、日本食堂、自治体あるいは保守作業会社、受け皿求めても渋々やっているような状況で、とても全部を受け入れるなんという状況にありませんし、あるいは加藤監理委員長代理が、全国の自治体約三千ありますから、そこで毎年三人ないし五人を雇ってもらうと解消できるかのようなことをある雑誌に書いてありました。自治体ももう地方の行革でそんなところではありませんよね。そういたしますと、一体雇用の問題をどのように監理委員会としては解決されようとしておるのか、委員長の所見についてお伺いをいたしたいと思います。
  191. 亀井正夫

    ○亀井参考人 この雇用の問題というのが、私どもがこの問題を考えた場合に非常に難しい問題の一つでございまして、私は長年労務をやっておりましたので、一番心を痛めて検討しておるのでございます。  現在の余剰人員というのは、富塚先生御指摘のように、国鉄の今の仕事ぶりによっての定員に基づくのと実在の人間との差を余剰人員と言っております。ところが、私どもが今効率的な経営形態と言う場合に、昨年の答申にも出しましたように、民鉄並みの生産性を追求して健全体質にしなければいかぬ、そうすると、新しい定員といいますか、そういう見直しが出てきます。そうすると、どれぐらいになるかというのは、新しい形態と見合わせて、こういう勤務ぶりであったら何人出てくるか、こういう検討でございまして、まだ人数は確定しておりませんので、まあ二万四千五百人というものの数倍であろうという予想は出しました。国鉄では昭和六十五年に十八万八千人体制でやれるんだ、こういう話が出ておりますが、私どもは六十二年を起点に置いて考えておりますが、三塚先生の「国鉄を再建する方法はこれしかない」というのでは二十万人ぐらいでできるじゃないか、こういうお話もございます。  結局、七万ないし十万として、これは大変な問題でございます。一番の基本は、せっかく長年国鉄にお勤め、努力された方々を路頭に迷わすことは絶対許さない。そういうことをしない基本対策をどう考えるか、これに真剣に取り組んでいきたいと思っております。  そうしますと、鉄道には適正人員を配置して、余った人をどうするか。その場合に、基本は、今の国鉄というのは国鉄なるがゆえに仕事の範囲が御承知のように非常に縛られておるわけでありますね。これをもっと民鉄並みとかあるいはもっと新しい事業ができる体制にすれば、そこで生きがいのある仕事が出てくるかもしれない。しかし、それだけでは十分でない。そうすると、これはやはり国民的課題として取り上げて、政府も国民も一体となって、その方々が生きがいを感じ、働きがいを考える道を求めていくというのが基本でないだろうか、私はそういうふうに存じておる次第でございまして、せっかくこれから努力をいたしまして、何かの具体策をお示しをしたい、こういうふうに思っております。
  192. 富塚三夫

    富塚委員 かつてエネルギー革命と言われた転換のときに、三十年代後半ですが、三井三池に代表されるようなときには、炭鉱離職者法をつくってうまく吸収されました。これは高度成長に向けてのよい時代であったために比較的スムーズにいった、私はこう見ています。ところが、現下の雇用情勢と趨勢をこれから考えてみますと、今、全産業の雇用者数総計は、男子が二千七百二十二万人、女子が千四百八十六万で四千二百八万人でありますが、これは五十八年の総理府の統計であります。依然として失業率は平均で二・七%、百五十七万から百六十万、ずっと続いているわけですね。しかも有効求人倍率も〇・六%、失業者は中高年齢層が非常に多いのです。  そこで、今この春、景気の回復基調にあると言われますけれども、このところ景気の回復期における就業者、雇用者の伸びというのは非常に少ないことをぜひ理解をしていただきたいと思うのですが、その就業者、雇用者の伸びについての弾性値を見てみますと、高度成長のときには、七一年の第三・四半期から七三年の第三・四半期まで経済成長率が九・二五%のときに一%当たり〇・三八、第一次オイルショック以後の七七年の第三・四半期から七九年の第三・四半期まで成長率五・四について〇・三五、最近、八三年の第一・四半期から八四年の第二・四半期までの実質成長率五・七二%の伸びで〇・〇六きり伸びていないのですよね。つまり、ほとんどパートに吸収されまして、一般の雇用の状況というのは全くよくないのです。  そういう状況であって、しかも一方では高齢化社会の到来、五十五歳から六十歳定年に引き上げる、あるいは六十五歳、年金とドッキングするとか、国鉄の関連会社も六十歳定年が多いのです。私は、雇用市場の情勢が非常に悪い、展望が悪い、高齢化社会の到来と相まって、国家の大きな課題はこれから高齢者に対応する雇用の問題を真剣に考えなければならぬというときに、亀井さんも、いわゆる民間の企業の経営者をやられて、今申されましたように、路頭に迷うようなことがあってはいけないと言うのですが、本当に生首を切るなんということは考えておられないと思うのですが、亀井委員長と運輸大臣にひとつその所見を伺っておきたいと思います。
  193. 亀井正夫

    ○亀井参考人 雇用の問題につきまして石炭の例を挙げられましたが、これは、石炭の場合には雇用保険が掛かっておったわけです。これをファンドにして、御承知のように転換とか、いろいろスムーズに、もちろん特別立法でやられる。ところが国鉄の場合は、残念なことに雇用保険が掛けてない。そして、あのとき以上に深刻な事態である。そういう意味におきましては、やはり特別立法は私は要るというふうに存じておりますが、これも現在検討中でございます。  しかし、生首を切るのか切らないかという話は、私ども再建の原則といたしましては、鉄道事業には鉄道に適正な人員を配置する、そして余った人は路頭に迷わせないようないろいろな具体策を練る、こういうことでございまして、今雇用の、いろいろ数字のお話ございましたけれども、これから十年、大局的に見ますと、一般雇用者で言いますと、五千万人のうち大体年に二百万人がリタイアしております。そして新しく就職するといいますか、新人で出てくるのは大体百万でございます。百万のギャップがあるわけでございます。それを定年延長とか女性の進出とか、いろいろで埋めておるのでございまして、マクロで四%ぐらいの経済成長が大体いけば、大数としてはそういうふうに不安感はない。ただ問題は、長年鉄道にいた人が転換する場合のいろいろな摩擦的な問題が出てくる。その摩擦をできるだけ少なくしていくという施策に、政府あるいは民間協力をして国民的課題として解決していく、こういうことが必要ではないかと思っております。
  194. 山下徳夫

    山下国務大臣 雇用問題につきましては、国鉄再建の上では長期債務とともに避けて通れない最重要課題であるということは私も認識をいたしております。ただ、これは国鉄自体でもってまず現段階においては解決していただくべき問題である。したがって、ただいま三本柱という一つの案を中心にいろいろと交渉もお願いいたしておる段階でございまして、まず国鉄において労使でもってもっと詰めていただく。そのために私どもの方から、一つのテーブルに着いて、どうかひとつ双方よくお話し合いをやってくださいということをこの間お願いしたやさきでございまして、したがいまして、現段階におきまして運輸省、私はまた運輸大臣として、その問題について具体的にこれを申し上げる段階ではない、かように理解をいたしております。
  195. 富塚三夫

    富塚委員 亀井委員長、結局、路頭に迷うようなことはさせないという点で、生首を切って路頭に迷わせるようなことはしないというふうに受けとめていいですね。  それで、亀井委員長が、これもある雑誌で見たのですけれども、炭鉱労働者の場合には雇用保険を使えた、国鉄も雇用対策のためにファンドづくりが必要だというふうに言われた。これも一つの検討課題だろうと思うのですが、率直のところ、雇用保険だけでは飯は食っていけないのでありまして、実はそのほとんど、国鉄の労働者の子供の育て盛り、こういう時期にいわゆる十万人余剰人員が整理されるということになるわけでありまして、やはり雇用問題というものは、ぜひひとつ国鉄再建問題の重要な課題として考えていただきたいと思うのです。どうも分割だ、民営だということが先行して、人が浮くのは当たり前のようなことばかり言われて、肝心な雇用対策、私は雇用対策がセットでなければ真の対策、再建ではないだろうというふうに思うのです。そういう点で、ぜひひとつ雇用対策を大事にして考えていただきたいというふうに思います。  この予算委員会で民社の塚本書記長さんですか、国鉄本社を売って新幹線のガード下にでも入るぐらいにやれと、いろいろ決意のほどを言われておったようですが、国鉄労働者は戦後の日本復興を支えたし、高度成長づくりに貢献をしてきたことは事実であり、モータリゼーションの発達に伴って政府の有効な対応ができなかったことが今日を招いて、今現実に監理委員会の議論を煩わしているわけでありまして、もう監理委員会は分割・民営を決めたら、あとはもう雇用は関係ない、おさらばだ、あるいは首切りだ、あるいはといったようなことで、そのしりぬぐいを全部あと政府に任せるようなことにならないように、私たちは監理委員会が真剣に考えていただきたいというふうに思います。やはり国鉄労働者にもプライドがあるし、夢を持たせるようにしないと、ガード下に入っていいじゃないかなんて、そんなことはちょっとひどいじゃないかと私は思っている一人ですが、ぜひ監理委員会といたしまして雇用問題について十分に考えていただきたい。今の状況から見ると、大変片手落ちになっているような感じに私は受け取っているのですが、雇用問題を深刻な問題として考えていただきたいと思うのですが、最後にひとつ亀井委員長の決意を伺いまして、終わりたいと思います。
  196. 亀井正夫

    ○亀井参考人 片手落ちになっているではないかというお話でございますが、昨年の第二次答申をお読みいただきましたら、この雇用問題については非常に大事な問題である、そしてこれは国民的課題として真剣に取り上げていただきたいということを政府にも要望し、また一般の国民の皆さん方にはアピールしております。私はやはり大事な問題だというふうに考えておりますので、片手落ちという御認識であったらぜひひとつ御修正をいただきたいと思います。
  197. 富塚三夫

    富塚委員 ぜひひとつ雇用問題を大事にして余剰人員対策を考えていただきたい。今のような状況ですと小手先の、何カ所か関連企業にこうして派遣する、そんなことで十万人の問題を考えるなんてできないのでありまして、しかもこれからは高齢化社会の到来と相まって民間企業も定年制を引き上げていく、そして地方の行革で地方でも大変な状況になっている。現下の情勢を十分御理解をいただきまして、御努力を賜りたいと思います。  終わります。
  198. 天野光晴

    天野委員長 次に、近江巳記夫君。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは非常に限られた時間でございますので、的確によろしくお願いしたいと思います。  先ほども余剰人員の問題が出たわけでございますが、参議院におきまして、我が党の服部議員の方からもこの問題が出ました。そのときに、亀井委員長は特別立法が必要であるということをお答えになったわけでございます。先ほども御答弁ございましたように、雇用保険を払ってない、こういうことがございまして、非常に心配な点でございますが、そういう背景のもとにどういう知恵があるか、腹案がありましたら御参考にお伺いしたいと思います。
  200. 亀井正夫

    ○亀井参考人 雇用問題について格別これならいけるという知恵はないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、附帯事業というものをもっと拡充することによって相当数の人の生きる道があるのではなかろうか。それからまた、本来副業をお持ちの方であれば、それが本業に直せるのなら直していただくという道もあろうと思いますが、しかしそれだけでは片づきませんから、やはりこの新しい時代に適応するような職業訓練なり適応性というふうなことをする必要がある。そうしますと、石炭のときにも転換教育なりあるいは転換の住宅なり移転費なりいろいろ面倒を見たわけでございまして、そういう血の通った扱いを、これは金が現在ないわけでございますから、そういう特別ファンドを確保するためにも、特別立法ということによって全国民的な視野においてこの労働問題を解決するということが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 雇用の問題は最大の問題であろうかと思います。家族を含めて大変な問題でございますので、ひとつ最大の問題としていい案を考えていただきたい、このようにお願いしておきます。  それから、かねて、本年一月十日でしたか、国鉄が「経営改革のための基本方策」、これを出したわけでございます。各方面からいろいろな意見が出ておるわけでございますが、監理委員長とされまして、この案についてどのように受けとめていらっしゃいますか。
  202. 亀井正夫

    ○亀井参考人 国鉄当局でも大変苦労してあの案を出されたと思うのでございますけれども、私どもが受け取った印象につきましては、当日、委員長談話という形で私ども意見を出しました。主体は、結局、国鉄が現在破局的状況にあるのに、激変を避けて従来の何回か失敗をいたしました経営改善計画という、この延長線上のこそくな経営改革案にしかすぎないのではないか、あれではとても経営責任の明確化ということも非常に問題でございましょうし、また労使の意識改革ということも問題でございましょうし、また地方交通線を七十線も切ってしまう、こういうようなことが本当に国民的な支持を受けられるものかどうかということに私どもは根本的な疑念を持ちまして、これをやるのにはやはり抜本的な改革が必要であるということで、もう一度あの案は練り直してもらいたいというのが私どもの率直なる印象でございます。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 第一次、第二次の提案、さらにまた、その間におきまして改革のそうした提案もされていらっしゃるわけでございますが、非常に委員会の努力を多とするわけでございます。  七月にいよいよ最終答申という段階になってきたわけでございます。今後、運輸省また国鉄当局ともいろいろ打ち合わせされると思うわけでございますが、そういう審議のスケジュール、また昨年の第二次提言以来、いろいろ幾つかの問題、今おっしゃっておられたわけですけれども、特に第二次提言以降、最重要問題として取り組んでこられたテーマ、そのあたりについてお聞きしたいと思います。
  204. 亀井正夫

    ○亀井参考人 テーマは三つ、先ほども申し上げましたように、効率的な経営形態と長期債務の処理と労働問題というのですか余剰人員対策、この三つでございます。  そこで、どれが最重点かと言われると困るのでございますが、いずれも最重点でございます。しかし根幹になるのは、先ほども申し上げましたように、新しい経営形態というものは、赤字をこれからは生まない、そして国民が喜んで利用する鉄道である、こういう姿にするということが基本でございまして、それができ上がりますと、その会社に今までの債務のうちどれだけ背負わせるかという計算がそれぞれできてくる。そしてその背負わせられない分についてはどういう処理をするということが出てきます。また、新しい形態で受け入れられる人員がどの程度であるかということも計算上出てまいります。それによって、それから除かれる人員は余剰人員ということになりますので、そういう問題の処理をどうするかということでございますので、今、専ら分割・民営化、その分割のパターン、それから民営化という場合に純然たる民間会社というものに一挙に移行するわけではございませんで、その間の形態、過渡措置、それをどう考えるかということをいろいろ各権威の方の意見も聞きながら慎重に検討しておるという状態でございます。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 整備新幹線の問題でございますが、これは北陸、東北新幹線、与党の方で昨年末急遽お決めになったようでございまして、本予算委員会におきましても矢野書記長が、閣議決定を度外視してこういう決め方はいかがなものか、こうした点を指摘したわけでございます。かねて監理委員会としては、整備新幹線については凍結といいますか、そういう姿勢でこられたわけですが、この点についてどういうお考えでございますか。
  206. 亀井正夫

    ○亀井参考人 整備新幹線の問題でございますが、これは臨調の答申におきましても、また私どもが出しました答申におきましても、当面見合わせるということでございます。  その理由は、結局、現在の国鉄というのが既に破局的状態、破産状態にある。したがって、とても新しいものをつくったり負担する能力はない。したがいまして、その現在の国鉄の状況をどうするかということに重点を置いておるわけでございまして、整備新幹線の問題は一応問題の枠外に置いて考えていくというのが私ども委員会の立場でございます。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 あの昨年末の与党内におきますいわゆる取り決めには監理委員会との調整も図り、本年八月ごろからスタートしたい。当然与党との折衝になろうかと思いますが、十分ひとつ国民的なコンセンサスを得るようにお願いしたい、こんなように思うわけです。  それから、いよいよ上野乗り入れが来月十四日成るわけでございますが、そこで私はお聞きしておきたいのは、上野-東京間の問題なんです。これは、御承知のように用地の取得が九二%いっておりますし、今日までの投資額を調べますと五百六十五億円、あと大体五百億ぐらいでできる、こういうことなんでございますが、考えてみますと、これが凍結ということになってきますと、金利負担あるいは資産の効率的な運用というような問題、いろいろ出てくるんじゃないか、このように思うのですが、この上野-東京間についてはどういうようにお考えでございますか。
  208. 亀井正夫

    ○亀井参考人 上野-東京間は今近江先生おっしゃったとおりの状況でございますが、私ども監理委員会といたしましては、経営的見地から考えますと、上野-東京がつながっても国鉄の収入は一文もふえないということでございます。結局皆切符は東京都内から外へ出と、それから外からは東京都内行きとなりますから、それに五百億以上の金をさらにつき込むべきかどうかということは、やはり新しい経営形態の後に考えるべき問題ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸大臣は、この問題についてどのようにお考えでございますか。
  210. 山下徳夫

    山下国務大臣 一文もふえないかどうかということに対して、私個人として別段……。例えば、東北の新幹線の駅から横浜であるとかあるいはさらに静岡であるとか、これは直通であれば乗られる方もあるかもしれません。しかし、委員長の御指摘のとおり、これはバランスシートからいったらとてもそろばんに合わないなということは私も容易にわかるわけでございますが、いずれにいたしましても、今の段階で私どもがとやかく言うべきじゃない、あくまで委員長を中心とする監理委員会の御決定の上で、また私どもと協議をしてまいりたい、かように思う次第でございます。
  211. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、委員長にお伺いしたいのですが、いわゆる新会社の性格なり、あるいは従来国鉄が背負ってまいりました公共性の問題なんです。新会社を考えていらっしゃるわけでございますが、その場合、特殊法人の会社であるか、二番目はいわゆる第三セクターの会社か、三つ目は一般の会社が、こういう問題でございます。これについて第一点。  それから、公共性の問題ですが、これは運輸政策上、国鉄が背負っておりました大きな意味でのいわゆる公共性ですね。また、二つ目の公共性は狭義の公共性であります。これは、例えば身体障害者だとか通学定期だとか、それを負担してきたわけでございます。そういう公共性という問題ですね、新会社ということになった場合、広い意味での公共性は新会社がどういうように受けとめるのか、また、その狭義のいわゆる社会保障的な公共性についてはどうするのか、国が保障するのか、新会社が受け持つのか、どういうようにお考えでございますか。
  212. 亀井正夫

    ○亀井参考人 新しい形態という問題でございますが、幾つかの形が考えられますが、当面はやはり政府あるいは旧国鉄というものの全額出資の特殊法人という形でスタートをせざるを得ないのではないかというふうに思っております。  それから、公共性の問題でございますが、やはり国民の足としての公共性というものは、これは私鉄、電力すべて公共性を持っております、それと同一レベルの公共性というものは当然持つべきであろうというふうに考えております。それから、狭い意味の公共性という意味ですと、今度はいわゆる国有、国営から脱した別の形でございますから、一般民鉄並みの経営をするとすれば、一般民鉄並みの負担、いわゆる公共性の負担ということはやっていくべきではないか。それ以上にやることが必要であれば、これは外国の例もございますように、身体障害者のあれは厚生省で面倒を見るとか、あるいは通学について特別に見るというのは、これは文教政策上で見るのであれば見るとか、そういうふうな合理的整理ということは将来の問題としては考えるべきではないか、こういうふうに思っております。
  213. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、運賃の問題なんですが、現在申請をしておられるわけでございますが、それでいきますと、四月二十日から四・三%引き上げるということでございますが、国鉄を見てまいりますると、昭和五十八年だけが引き上げをやっていない。あとはずっと引き上げてきておるわけですね。今回のそういう全国一律の引き上げについて、こうした時期にいかがお考えでおられるかということが第一点であります。  それから、この新会社になっていった場合、いわゆる運賃の水準設定のあり方等はどういうようになるのか、また傾向として今よりも高くなるのか、非常に国民の関心のあるところでございます。その点についてお伺いしたいと思います。
  214. 亀井正夫

    ○亀井参考人 まずこの四月からの値上げの問題でございますが、これは国鉄の昭和六十年度予算案が出されましたときに、運輸大臣から私どもの方へ意見を求められまして、四・数%の値上げということで、これで千五十億円ぐらいの収入を見込むということでございますが、私どもといたしましては、やはり運賃を上げるとお客が減るという今までの現象がございますので、なるべく上げずにいってもらいたい、それで一兆数千億の金利を払っておるのであれば、その中の一千億ぐらい浮かすことができないだろうかということをいろいろ検討してもらったのでございますけれども、これは財政投融資の関係、鉄道債の関係、いろいろのルールからどうもそれが簡単にはいかない、金額が余りにも大きいものでということで、やむなく、それではやむを得ませんということで目をつぶったという次第でございます。  それから、新しい経営形態になった場合の運賃はどうなるかということでございますが、民鉄並みの経営ということを基本に置いておるわけでございます。でありますから、都会においては民鉄は国鉄より安い、それから地方は今度は民鉄の方が高いというようなことになっておりますけれども、今度は通常の私鉄よりは新しい経営形態というのは非常に大きな形態になりますから、合理化を徹底して、できるだけ運賃を上げずに適正運賃で運用するような方角で私どもの案をつくっていきたい、こういうふうに思っております。
  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この七月答申をお出しになって、そうなってきますと、政府当局はいよいよその実施のそういう作業に入るわけでございますが、法令だけ見ましても数十本、これは大変な量になる、このように思うわけでございます。  それで、これは運輸大臣にも聞きたいと思っているのですけれども、そうしますと、その法案はいつ提出されるのか、大体のめどですね。法案を一つずつ検討していきますと、例えば亀井さん、全国新幹線鉄道整備法というのがございますけれども、この場合、国が運輸政策としていわゆる路線を定める、そして調査、建設は国鉄、鉄建公団に命じる、こうなっているんですね。そうなってきますと、民営化に移行した場合どうなるかということですね。一つ一つ見ていきますと大変なことになると思うのです。その点今後の、いわゆる答申を出されて、そして実施をされるまでのスケジュール、またその法案のそうした整理等に対する基本的なお考え方をお伺いしたいと思います。
  216. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私どもの任務は、七月に本格答申というものを提出いたしまして、これが政府において取り上げられ、総理が尊重するということになっておりますが、関係閣僚会議でこれを認めるということになりましたら、関係各省におろされて、その改正のための法案づくりということになろうかと思います。そうしますと、早ければことしの暮れか来年初めの本国会というものにそういう法案が、恐らく二百を超える法案というものが提出をされる、そういう段取りになるというふうに存じております。
  217. 山下徳夫

    山下国務大臣 法律の定めによりまして、すべての作業の終了段階、施策の終了段階昭和六十二年の七月三十一日と定められております。したがいまして、法の定めるとおり、それまでに立法措置等も間に合うようにやっていかなければなりませんが、それぞれの法律等皆様方に御審議いただく提案の時期等につきましては、監理委員会の答申等を見ながら、それから逐次実行に移してまいりたい。明確に今からいつまでにという段階ではないと思いますので、はっきり申し上げることはできないと思います。
  218. 近江巳記夫

    ○近江委員 今まで一次、二次にわたる提言をされたわけでございまして、これに対して国鉄なり政府が取り組んできた実績なりいろいろな評価があろうかと思うのですが、それに対してどういう感想をお持ちか。また、いわゆる労使の皆さん方も努力されてきたわけですけれども、それに対しての評価をお伺いしたいと思います。
  219. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私どもの提言に対しまして国鉄当局もまじめに取り上げられて、地方交通線の整理の問題なりあるいは規律確立とかいろいろ努力をしておられるのでございますけれども、私ども率直に感想を申し上げますと、組織が余りにも巨大であるために非常にスローモーションであることは否めない。民間企業であれば組織が大きくてももっと的確にやれるということでありまして、やはりスピードという点で非常に不足であると思っております。また、労働組合の方々も漸次国鉄再建ということについていろいろ論議も進められておるようでございますし、国労においてもサービス向上運動をやろう、まだ末端までは徹底しないけれどもという話を言っておられますし、努力の跡は見られるのでございますけれども、その努力に比べて現状の悪さというものは非常に大きいということで、そのギャップが大きい、だからここで抜本的なことをやらなければだめだ、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  220. 近江巳記夫

    ○近江委員 雇用問題とともに、いわゆる年金制度の問題が非常に重要な問題であります。そこで端的にお伺いいたしますが、六十二年四月以降どういうような形になるのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
  221. 亀井正夫

    ○亀井参考人 年金の問題でございますが、当面六十四年まで今の形でありますと、二公社とかほかの公社で面倒も多少見てやっていこうということでございますけれども、六十二年段階で一応過去の年金債務の整理が必要ではないか。新しい会社にそのままその年金を継がせるということは無理であろうと思いますので、これをどういうふうにするかをいろいろ現在検討中でございますが、今までの約束された年金、ファンドに直しますと約六兆円、これが残念ながら国鉄にそのファンドがございません。これをどういうふうにするか。そういう問題と絡み合わせて、財政問題ともにらみ合わせて解決しなければいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは極めて重要な問題でございますので、雇用問題とともに全力を挙げていただきたいと思います。  時間がありませんので、あと本州四国架橋あるいは青函トンネルですね、これについてはどのようにお考えか、また国鉄鉄道技術研究所、これについてはどのようにお考えか、これを最後にお伺いして終わります。
  223. 亀井正夫

    ○亀井参考人 本四架橋並びに青函トンネルは昭和六十三年春には完成するということでございます。これは現在の国鉄で、新しく本四架橋で資本費の五百億あるいは青函トンネルの八百億という負担をする能力は全くございません。しかし、せっかく二十年の歳月を経てこしらえたものを、日本国民の大きな財産として活用する、こういう大局的な見地から、どういうふうな資本費負担をするか。多少時間をいただいてちょっと御説明をいたしますと、本四架橋の場合、五百億の資本費負担が年々要る。ところが現在、宇高連絡船の利用者は年間五百万人足らずでございます。宇高連絡船の船賃は現在四百五十円でございます。そうしますと、今度は五百億を原価として償うとすれば、五百万人で割れば一人一万円の運賃を取らなければならない。それが現在四百五十円の運賃である。これをどうするか。その運賃の差額、せいぜい上げても千円とすると九千円というのはだれかがどういう形で負担するかということでないといかぬ。これは非常に難しい問題でございますけれども、やはりせっかくできるものを雨ざらしにせずに極力利用するということ、これは国会の先生にも御判断をいただかなければいかぬ問題であろうと思いますが、そういうことで検討していきたいと思っておる次第でございます。  それからもう一つ、鉄道技術研究所、これはやはり国鉄がどういう形になろうとも、技術の進歩、開発は絶対必要でございますから、わけても鉄道技術研究所というものはますます拡充発展をさせていく必要があるのではないか。ATTが分離されましてもベル・ラボラトリーというものは存置し、それを発展させていくという体制ができておりますから、そういう形で考えるべきではないか、こういうふうに思っております。
  224. 近江巳記夫

    ○近江委員 どうもありがとうございました。
  225. 天野光晴

    天野委員長 次に、河村勝君。
  226. 河村勝

    河村委員 亀井参考人、御苦労さまです。  先ほどから伺っておりまして、分割・民営という原則のもとに七月には答申をお出しになるということで、ぜひそれは確実に出していただきたい。今の国鉄がこのまま推移しておれば、国鉄自身がいかに合理化を進めていきましても、もろもろの長期債務その他の構造的な赤字要因をなくさない限り再生への道はない。ほっておけば毎年一兆円以上の債務がふえるばかりですから、ここでぜひことし早く結論を出して、それを軌道に乗せていただきたい、私はそれを願っております。先ほどの委員長のお話で、どのような分割の仕方をするかということはまだ未定だというお話でございました。そういういろいろな具体的な手法についてはまだ固まっておらないでしょうからお尋ねいたしませんが、これから何点かについて原則的なことをお尋ねしますので、どうかひとつ明快な御答弁をいただきたいと思います。  分割をして新しい企業体をつくるという場合には、先ほどから、まじめに働けば赤字が出ないようにする、そういう均衡がとれるというようなお話がございましたが、分割・民営というのは再建の手段であって目的ではないわけですね。ですから、新しい経営体をつくるとなれば、それぞれの経営体の収支が少なくとも均衡する、これが至上命令である。そういう見地に立って新しい経営体づくり、どのように分割するかはこれからの問題にしても、そういうものをつくるんだという原則はお守りになりますか。
  227. 亀井正夫

    ○亀井参考人 河村先生の御質問のとおりでございまして、幾つにできるかということはこれからの問題でございます。それぞれがやはり確固たる経営基盤を持ちまして、その範囲内で努力すれば報われる、こういうことにするのが原則でございます。ただ、先生御承知のように、地域地域で人口密集地帯もございますし人口の過疎地帯もございます。そういう面からいいますと、やはりゴルフで言えば、ハンディをつけてあげてネットで競争するといいますか、ネットでバーをねらえるような体制、こういうことをつくっていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  228. 河村勝

    河村委員 ネットでパーをとれるようにするということと、民営にすることとの間にどうも矛盾があるように私は思いますが、その点をどうお考えになっておりますか。
  229. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私はやはり株式会社、基本的におきまして国鉄案で民営という場合には労働基本権をそのままにするということになっておるわけですね。ストはやらせないかわりに給与は……(河村委員「そっちの方は結構ですから」と呼ぶ)それはよろしいですか。そういう意味の民営化という基本が、一つの共通目標を一緒に持って、そして全員がやる気を起こして一生懸命にやっていく、こういうことには今の公社の仕組みではだめではないか、やはり民営化という形態が必要ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  230. 河村勝

    河村委員 いや、私が申しておるのは、民営がいかぬと言っているのではないのです。民営になさったら結構なんです。ただ、民営でありながら、何か最初からハンディをもらってやっとやっていけるというお考え方と、民営という考え方とに矛盾があるのではないかということを申しているのです。  それでは、具体的に言いましょう。あなたは国鉄の「経営改革のための基本方策」、これをごらんになっておられますね。これの六十五年までの収支計算もごらんになったと思います。その中で、いろいろ御不満があるようですが、十八万八千人規模に人減らしをするという提案をしております。私は、これはかなり思い切った提案だと思いますが、この規模というのは、あなたが私鉄並みの経営規模とお考えになるのに比べて妥当だとお思いになりますか、どう思いますか。
  231. 亀井正夫

    ○亀井参考人 まだ私どもの方が精細な案がないわけでございますから、その私どもの基準と比べてどうかということになると確たることは申し上げられないのですが、私が問題と考えましたのは、六十五年において十八万八千というのが国鉄の案でございます。私どもは六十二年度においての適正規模が幾らかということを現在計算しておるわけでございますが、それを、時間的なギャップを置きましても、国鉄の数字というのは大体その辺の見当ではなかろうかというふに考えております。
  232. 河村勝

    河村委員 国鉄の出しました地域別営業損益というのがございますね。数字というものは正直なものであります。ですから、大体あなたがお考えになってほぼ適正規模だと思われる人員構成を前提にして、それは余剰人員が多少残っておりますから、これよりも若干合理化の余地はあるわけですけれども、それにしましても、本州は営業損益において黒字になるけれども、その他は営業損益だけで見ても、北海道二千三百億、四国四百億、九州一千七百億という赤字が出ることに相なっておる。これにさらに国鉄に残存する債務の利子をつけ加えると、どう考えても、島を分割するというのは合理的な方法だと私は思うけれども、さっきおっしゃるように民営にして労使が一生懸命努力すればこれが黒字になるという可能性が一体あるのか、そういう懸念を持ちますが、どうお考えですか。
  233. 亀井正夫

    ○亀井参考人 おっしゃるとおり、本州とあるいは北海道、四国、九州との人口の過疎状態とか乗客状態とかいろいろ比べますと、経営的に非常に苦しい問題があろうと思います。しかしその場合に、先ほどハンディと申し上げましたように、長期債務のうち、負担をそこは非常に軽くしてしまうとか、あるいは特別のいろいろな措置をとるとかいうことによりまして、やはりハンディをつけたことによってパーでやるようなことの工夫をやってみたいというふうに思っておる次第でございます。
  234. 河村勝

    河村委員 私は、工夫にも限界があると思う。今長期債務のことをおっしゃいましたが、今の収支計算というのは十八万八千人を前提にして、債務ゼロと見て営業損益でこれだけ赤字が出る。これはいかに努力したって黒字になる可能性はまずないと私は思う。だから分割・民営の方針は結構だけれども、分割した場合に、例えばそういう北海道のようなものを――ものをと言うのは失礼な言い方になってしまうけれども、北海道のような場合はむしろその特殊性を認めて、これは民営ではなくして地域開発の鉄道というふうに位置づけていく。だから、分割・民営といったらそれに拘束されてしまって、何でも名前だけは民営にしなければならぬというような考えは間違いであって、本州はいかに分割するかは別にして、とにかく立派な会社になるでしょう。だけれども、北海道については別の考えをとったっていいんだ、四国についてもあるいはそうだ、私はそういうものだと思いますが、いかがですか。
  235. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私は、三島を含め全国を余り特別地区というふうな区別をせずに、できるだけ同じルールで処理をして同じ競争条件に立たせるということが望ましい。ただ、難しい問題でございますが、いろいろな手段によってそういうことができないかと今鋭意検討中でございまして、七月までには何とか案を出したいと思っておりますが、もしそれが不可能な場合には、また河村先生にもいろいろお知恵を拝借に行きたいと思っておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
  236. 河村勝

    河村委員 きょうは時間がございませんで、もう少しいろいろ御意見を承りたいのですけれども、この問題はとにかく余りとらわれずに、さっき申し上げたように分割・民営というのは手段であって、再建が目的なんですから、新しくできる経営体が、それがこっちが民営であってこっちが官営であっても差し支えないのですよ。ですから、そういう柔軟な姿勢で私は臨むべきだと思います。  それから長期債務の問題でございますが、これは何としてでも解決をしなければ避けて通れない道だと思うのですが、国鉄が全体でこれから背負っていける債務の規模、額というものは大体どのくらいだとお考えになっておりますか。
  237. 亀井正夫

    ○亀井参考人 これも現在まだ検討中と言いますとなんでございますけれども、非常に難しいのでございますが、おおむね今、表面に出ているのですが二十二兆、六十二年段階では二十五、六兆になろうかと思います。そのほかに年金、退職金の負担が合計八兆円ぐらいございます。それから青函トンネルと本四条橘の資本費負担が一兆八千億ございますので、三十五、六兆というものの処理が必要ではないか。  それで、これをどれだけをどうというのはまだなかなか精密に確定はできておりませんけれども、方針といたしましては、一つは新しくできた会社がその投下資本、償却済みの投下資本に見合うだけの借金というものは背負ってもいいのではないか。これは国鉄の案でございますと九兆六千億。しかし九兆六千億も背負い切れないから三兆円は資産を売って処分し六兆六千億でございますかを背負うという案でございますが、やはりそれでは努力目標足らぬのじゃないだろうか、もう少し負担さすべきじゃないかと考えております。その次は、資産を処分する、あるいはできた会社が、すぐはいきませんけれども、株をまた売却できればそれで埋める。しかし、それでもどうしてもしようがないというのがやはり今までの累積赤字の、累積というのは十兆を超します。これから先でございますと十数兆になるかと思いますが、これはやはり何らかの形において政府が処理する、ということは間接に言いましたら国民の負担において処理をするということをやらざるを得ないのではないか。大まかにそう考えておりますが、これも七月までに一つの案をつくりたいと思っております。
  238. 河村勝

    河村委員 仮に十兆円と仮定をしましても、これをいきなり今の国の財政状況、百二十兆円を超す国債残高があるときに、国債に肩がわりすることはすぐこれは不可能でしょう。ですから私は、先ほどあなたは会社更生法的なやり方をするとおっしゃいましたが、結局日本国有鉄道という、名前はどうでもよろしいのですが、債務整理機関を残して、そこに既存の債務を残して、当分利子だけを国が払っておく、それで、新しくできた会社が、多分本州会社は非常にいい成績が上げられる会社になるでしょうから、少なくともそこの株は値上がりするでしょうから、その株で逐次支払っていく、そうした手法をとるのが一番適当ではないかと思っていますが、どういうお考えをお持ちですか。
  239. 亀井正夫

    ○亀井参考人 全く河村先生のお考えと同じでございまして、やはり清算法人たる旧国鉄というものが主たる債務の処理に当たる、こういう格好になろうかというふうに思っております。
  240. 河村勝

    河村委員 この長期債務の問題は決定的な要因でございまして、これを片づけない限り分割をしようが民営をしようが絶対成り立たないのですね。もし再建監理委員会がこの問題を避けて通るようなことなら、それはもう存在意義がない。ですから、亀井委員長に要望したいのは、この問題だけについては不退転の決意で臨んでほしい。必ずこれだけは解決するのだという決意を承りたい。
  241. 亀井正夫

    ○亀井参考人 ただいま御指摘のとおりでございまして、現在の国鉄が悩んでおるのも、この膨大な債務、金利負担ということで非常に悩んでおるのが主要因でございますので、私どもとしては、ここにおいて徹底的な根本的な手術をやるという案をつくりたいというふうな決意でございます。
  242. 河村勝

    河村委員 ここに中曽根さんがおいでなら、あいまいな答弁でなしにはっきりした答弁をいただきたかったのですけれども、運輸大臣、きょうはかわって答えてください。これは再建監理委員会がそういう答申を出しても政府が逃げれば同じですから、私どもは絶対逃がさないようにやるつもりでありますけれども、ひとつ決意のほどを伺いたい。
  243. 山下徳夫

    山下国務大臣 監理委員長から懇切に御説明がございましたように、とにかくこれはもう最大の問題でございますし、第二次提言にもございますように、まず国鉄の用地を処分する等緊急措置をやって、どうしても足りない分については、これは何らかの形で国民にツケを回さなければならぬということになっておるようでございます。しかしながら問題は、これは国鉄の今後の経営形態のあり方と切り離してこれだけで処置をするということはできないと思いますので、監理委員会の御審議を待って、私ども御指摘のとおり十分決意をしてこの問題に取り組みたいと思っております。
  244. 河村勝

    河村委員 私は、経営形態と切り離してなんてことを一言も言ってないのです。ですから、余計なことをつけ加えられては困るのですね。経営形態の変更の際に、この問題を解決しなければ新しいものは絶対成り立たないからこれだけは避けて通ってはいけませんよと言っているのですから、再度念のために申し上げておきます。  時間がなくなりましたので、大変残念ですけれども終わります。
  245. 天野光晴

    天野委員長 次に、工藤晃君。
  246. 工藤晃

    工藤(晃)委員 亀井さんに伺うわけでありますが、私の率直な感想としまして、最初に臨調の第四部会答申が出たのが五十七年五月ですね。それからちょっとおくれて基本答申が出まして、一昨年監理委員会が出発しまして、それからまたその後いろいろ提言が出たわけですけれども、最初から分割・民営化、そして七ブロックなんて数も早早と出たわけなんですが、事実の経過として伺いたいのは、少なくとも国鉄の事業の再建、財政の再建という以上、幾つかのブロックに分けてそれぞれの民営化に向かう会社の採算がとれるという何らかの裏づけとかそういうものがあってそういう結論が出たかと思ってきたのですが、いまだにそれが明らかでない。三年前も明らかでないし、いまだに明らかでない。これは事実の経過としてそうなのか、ちょっとそのことだけ伺いたいと思うのです。
  247. 亀井正夫

    ○亀井参考人 これは昨年の予算委員会においても、分割・民営をやるのかと聞かれたときに、臨調答申には分割・民営化、七つ程度と書いてございましたけれども、私どもの与えられた任務は効率的な経営形態の確立ということであるので、いまだにそこは結論が出てなくて、これを事実化してまず検討いたしますということを予算委員会で返事をいたしました。そして一年検討した結果やはり分割・民営化しか再生の道はないのではないかという結論に達して、昨年の八月にその方向を出したということでございまして、私どもは初めから分割・民営化ありきということでスタートしたわけではございません。これはよく御認識をいただきたいと思います。
  248. 工藤晃

    工藤(晃)委員 しかし、臨調の答申を尊重するということで監理委員会ができたわけでありますから、そのときにはもうそういう結論を受けていたわけです。これは事実の経過でございます。それから、昨年の分割・民営化というときも、ちょうどそのころ参議院でも開かれましたけれども、そういうときには当然そういうことを言う以上、それぞれのブロック、どう分けるにせよ、こういうふうに採算がとれます、その前提としてはこうですというもの、少なくとも確たる、だれが見てもおかしくない、疑う余地のない試算とかそういうものをつけて出されるべきであったのに、それが出されないというところを見ると、ともかく結論があって、今一生懸命それを裏づけされるように見えるのは当然だと思います。  そこで、先ほども問題がありましたけれども、会社更生法方式でやられるということですね。会社更生法というのは、債務を棚上げして後は縮小均衡で事業を出発させるということなんですけれども、そこで一番問題になるのは長期債務です。さっきもちょっと聞いておりましたが、今たしか五兆三千億円ぐらい棚上げですが、それに加えてあと十兆円ぐらい棚上げするわけですか、それともどのくらいになるわけですか、大体のところをお聞かせ願いたいと思います。
  249. 亀井正夫

    ○亀井参考人 先ほど河村先生にもお答えしましたように、数字は確定しておりませんけれども昭和六十二年度において三十五、六兆という場合に、棚上げ分を含めまして十兆ないし十五兆ぐらいのものはやはり政府において処理することが必要ではないかというのが現在私どもがおぼろげに考えておる数字でございます。
  250. 工藤晃

    工藤(晃)委員 十兆ないし十五兆の棚上げということになりますと、利子だけで七%で七千億ないし一兆円という負担、これが国民にかかってくるということになって、今の棚上げされた債務に対する利子補給がたしか今、三千数百億、そんな規模だと思います。それが三倍にもあるいは四倍にもなるかもしらぬということになりますね。  それからもう一つ、監理委員会の仕事として大型プロジェクトをどうするかというりで、先ほども御答弁があったのですが、もう一度ちょっと確かめておきたいのは、青函、それから本四架橋の場合は維持するとしたら何とか考えたいと言われるわけですが、何か第二国鉄みたいなものをつくるわけですか、それともこれを国の負担でやっていこう、少なくともできる民間会社は引き受けるつもりはない、その辺はどうなんでしょうか。その辺をお願いします。
  251. 亀井正夫

    ○亀井参考人 今私どもが想定しております新しくできる分立会社では、とても負担能力はないと考えております。ただ、せっかくできたものは雨ざらしにするわけにはいかない、使わざるを得ないだろう、その負担は、国民が納得いくようなどういうふうな方法をとるかを現在検討中でありますということで、どうすべきということは私どもまだ結論に至っていない。御理解をいただきたいと思います。
  252. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今、各ブロックの採算について試算をされている、あるいはそれに伴っていろいろ分割の仕方を考えておられると言いますけれども、非常に常識的に見て、東海道・山陽の新幹線は大変黒字が出ているけれども在来線は赤字になっている、それから東北の方や北陸の方も新幹線も赤字であり在来線も赤字になっているというとき、ただ採算ということだけでいくとかなりいろいろ問題があるし、これはまた当然のことだと思うわけでありますが、先ほども申されましたように、北海道など、それこそ大都市を結ぶ線以外どうなるであろうか。これは亀井さんも前に参議院で率直に言われたと思いますね。旭川から札幌、函館以外はどうなるかわからぬ、それは検討中だということを言われましたが、同時に参議院の中で、いわゆる幹線というものも含めて続けるのかどうかということを検討の対象とせざるを得ないということを言われております。私、会議録を持っていますが、それはそういう検討をやっているわけでしょうか。
  253. 亀井正夫

    ○亀井参考人 分割を前提に置いて私どもは考えておりますが、私どもは、現在の地方交通線につきましてはできるだけ残していく。国鉄の案でございますと、地方交通線九十線のうち七十線は分離をして株式会社にして国の助成を求めるという格好になっております。これですと国民の反響あるいはマスコミの報道では昭和の初めの鉄道に返してしまうじゃないかという批判もあったわけでございますが、私どもといたしましては、この九十路線をできるだけ活性化することによって生かしていく、ここが私どもと国鉄のスタンスが違うわけでございます。国鉄の案で言いますと、地方交通線の九十線については、従来の延長線上の合理化では不可能であるから分離して株式会社にする、こう書いてある。私どもは従来の延長線上から国鉄自体が脱却して新しい形にいってもらうということを期待しておるわけでございまして、私どもはせっかく先輩がこしらえてきた地方交通線九十線を抱きかかえて、いかなる形で成り立つか、ここを鋭意検討しておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  254. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そういう角度で国鉄の案を批判されるところはよくわかるわけですが、参議院の答弁では幹線を含めて廃止も含めて検討をしているかのような御答弁があったから私聞いたわけでありますが、それはちょっとまた後でお答え願いたいと思います。幹線を切るかどうかということですね。  それで、いずれにせよ、そうやって会社更生法方式でなるべく地方線も含めて採算がとれる姿にしようとするならば、その結果として、先ほどは長期債務ということを少し言われて、それが棚上げ分が十兆か十五兆ということを言われたわけでありますが、それでまた青函とか本四架橋も国が管理するかどうかしますと、最終的に国の財政負担ないしは国民の新たなる負担というのはどのくらいの範囲にお考えか。あるいはどのくらいの範囲におさめようとお考えなのか。少なくとも臨調のあの第四部会を見ますと、さっき言った長期債務の棚上げと、それからいわゆる従来特定人件費と言われたもののどの部分か知りませんが、それと、それからまた大型プロジェクトの分と、それからこれから仮に何か鉄道を建設するならその部分と、それから分割した会社に対して、全部がどうか知りませんけれども、一定の補助をやりましょうというわけなんですが、そういうことに対して結局国の財政支出はどのくらいになるか、あるいはおさめようとして検討しているのか、このところ、大事ですから伺いたいと思います。
  255. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私どもの再建案をつくっております根本のところを御理解いただきたいと思いますが、日本国有鉄道の再建でございまして、現在のあり姿のままの国鉄のままではどうにもいかぬので、これを活性化して生き返らせようというのが私の任務でございます。  それで、これから起こる問題と現在のものを組織がえをして活性化する問題と、そういうことでいろいろやりまして、まだ総合してどのくらいの規模になり、どれくらいが適正かというふうなめどは全然ついておらぬ次第でございます。
  256. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そのところは非常に大事な問題でございまして、なぜならば国の財政が破綻してしまって、よく三K、三Kなんか言われて、どうも国鉄にお金が行き過ぎる、これを減らそうということが一つの出発点にもなったし、国鉄自体も財政の破綻になったわけですね。今の国の財政事情、これはもう亀井さんよく御存じだと思いますが、当然どのくらいの粋で資源の配分ができるかとか予算が分けられるか、そういうこともいまだに決まらずに案だけが進んでいるという感じを受けるわけです。  そこで、私も冒頭に伺ったのは、分割・民営化というような結論が出てしまった、そのとき国の財政からどれだけの援助が受けられるかという、これもまた決まらない。しかも今度は会社更生法ですから、ある時期まで来たら会社は採算をとって乗っていかなければならない。採算がとれなければアメリカの鉄道みたいにばたばた倒産してしまう。倒産した結果、また今度は公社をつくりましょうかという逆戻りしてきますね。  私、率直に言わしてもらいますと、今資本主義国でも鉄道という事業はやっぱり国営形態でやっている、そうでなければ維持できないというのを私たちは見ているわけでありまして、私が別に社会主義がいいとか何がいいとかいう立場でなしに、それが事実で、そうして分割された会社が仮に採算が行き詰まって、アメリカの鉄道みたいに倒産するというときにあるいは別の事業に転換してしまうかもしれない、観光会社が残って鉄道がなくなるとか、そういう姿も危惧するわけですが、そういう非常に長い問題に対してやはり亀井さんたちのところで本当に責任を持って、最後は責任をとるというような決意でやっているのかどうか、それも非常に疑問になってくる。というのは、スタートそのものが裏づけもなしに結論が出てしまったからそう思わざるを得ないわけですが、その点どうでしょうか。
  257. 亀井正夫

    ○亀井参考人 工藤先生非常に悲観的なお話をされるわけでございますけれども日本においては人口密集地帯が多く、やはりまだまだ鉄道特性を発揮する分野が非常に多いわけです。そして過疎的なところにおきましては、例えば三陸鉄道とか樽見鉄道とか実験をやってみますと、活性化をされて、お客もふえ、地域も喜ぶというふうなことが出てきた。今の国鉄の体質ではだめである。そのガンは何かというと、やはり長期債務の大きな負担があり、それから労働生産性が極めて低い。私は、企業が一番大事なのは、本当にみんなが、企業全員がやる気を持つかやる気を持たないか、ここの大きな差が違う。でありますから、私どもの考えでおりますのは、やる気を起こして、そして本当に国民が鉄道を愛するという体制にどうするかということに全力投球をしたいと思っておりますし、その出しました答申につきましては責任を持てとおっしゃることでございますが、当然私は委員長として責任ある、そういうふうに考えております。
  258. 工藤晃

    工藤(晃)委員 時間でありますから終わりますが、悲観的とかそういう問題でなしに、私は事実について述べたにすぎないわけでありまして、それから、幾ら責任を持たれると言っても、長い話ですから、五年も十年も先ですから、ここで幾ら言われたって、それは伺うだけにしておきます。  これをもって終わります。
  259. 天野光晴

    天野委員長 以上をもちまして亀井参考人に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  260. 天野光晴

    天野委員長 引き続き、一般質疑を続行いたします。井上一成君。
  261. 井上一成

    井上(一)委員 私はまず最初に、先週ここで武器輸出三原則、政府統一見解でもありますし、国会における決議でもあります武器輸出三原則の精神を踏みにじったいわゆる我が国の海外進出企業の実態を指摘したわけであります。ところが、事もあろうに、NHKでのニュースで、親会社である京セラの社長、指摘をしたいわゆる京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッドの会長である稲盛さんが、うわさを立てられて大変迷惑だという、こういうコメントをされているわけです。私は、全くもってけしからぬと思うのです。  私のスタッフを総動員をし、いろいろな指摘をしてきました。そんなにすぐに調査が可能だとは私は思っていません。しかし通産省は、まあ一カ月近い時間をいただいて調査に入ります、こういうことでございましたから、私自身その結果を待ってと思ったのでありますが、あえてきょう質問をせざるを得ないという立場に立ったわけであります。  短い期間で全体をつかむということは不可能でございましょうが、今日までに通産省が関係者、いわゆる京セラから事情聴取をされたその経緯を、私が指摘をしたゼネラル・ダイナミックスとの取引が全くなかったのかどうか、そういうことも含めて、単なるうわさでこの問題を指摘したのかどうか、これはやっぱり明らかにしていかなければ、私自身も私の名誉にかかわることでございますから、一週間ぐらいで十分な調査はできてないと思います、しかし、あえて中間的にここで聞かしていただきたい、私はこう思います。
  262. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 最初に私からお答え申し上げまして、後、政府委員からお答えをしたいと思いますが、まず先週の土曜日、二月十六日、本予算委員会井上議員と私との間で質疑応答があったことは明確な事実でございます。そしてその後、私の方では、お約束をいたしましたことに対しまして早速具体的な対応をいたしましたが、それについては政府委員から申し上げます。
  263. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 先週のちょうど土曜日、井上委員から御指摘いただきました後、早速翌週、今週の月曜日になりますが、通産省といたしまして、京セラ株式会社の海外担当責任者、副社長兼御指摘の京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッド、この副会長をしております上西さんを通産省にお呼びいたしました。同副社長に対しまして、私どもは、早急に事実関係の調査を厳正に行う、これについて十分協力してほしいということを依頼いたしました。これに対しまして上西さんは、調査に十分の協力をするというお答えをいただいております。  また、それと同時に、井上委員御指摘のように、海外進出企業並びにこれらの関連企業に対しまして、武器輸出三原則あるいは政府統一方針というものの理解を深め、その周知徹底を図るように通達を出すべく、現在準備中でございます。来週早々にでも通達を発出できるのではないかと考えております。
  264. 井上一成

    井上(一)委員 上西副社長は、以前どういう立場にあった人ですか。
  265. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 上西さんは、以前、副会長になる前はKIIの社長だと記憶しております。
  266. 井上一成

    井上(一)委員 その人は何と言っていたのですか。
  267. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 この京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッド、KIIは極めて標準タイプのセラミックパッケージ等を製造している。さらに、ゼネラル・ダイナミックスに対しまして数十万ドル、わずかではございますが、同様の製品を供給していると伺いました。
  268. 井上一成

    井上(一)委員 ゼネラル・ダイナミックスはどのような企業なんでしょうか。
  269. 木下博生

    木下政府委員 ゼネラル・ダイナミックスという会社は、ミズーリ州セントルイスに本社がありまして、売り上げは八二年で六十一億五千五百万ドルでございます。  防衛関連メーカーの大手でございまして、製品といたしましては、F16などの戦闘機、トライデント潜水艦、それからトマホーク等のミサイル、戦車等を生産しております。それで、民需品につきましても、LNGタンカー等の事業をやっているようでございます。
  270. 井上一成

    井上(一)委員 標準的なものということでございますが、規格はどのようなものなんでしょうか。
  271. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 上西さんの説明によりますと、極めて標準的な、一般のものにも使えるものだという御説明でございましたけれども、私どもはスペック等に基づきまして、今後厳重に調査をいたしたいと思っております。
  272. 井上一成

    井上(一)委員 これからの調査だとおっしゃるわけでありますけれども、今お答えがあったように、GD、ゼネラル・ダイナミックスは軍需産業なんです。私が指摘をしたこのサンジエゴのGDも、七八年、七九年、八〇年の三カ年では軍需契約はトップなんですよ。国防総省の予算書の資料から明らかにされて、これはもうサンジエゴにおける軍需産業界のトップに位置している。まさに軍用のみを製造している、サンジエゴはね。全体的な、いわゆるアメリカ全土全体というのでは今売り上げ総額を言われましたけれども、サンジエゴでも六億三千五百七十一万ドルの売り上げを、国防総省からの発注をもらっているわけなんです。  私は、まさに標準的な規格、ごく少量なんというのは、確かにごく少量なんですよ。トマホークなんというものは、月にそうどんどん出るものじゃないわけなんです。汎用品こそ、民間のいわゆるテレビやコンピューター等、そういうものは大量生産されるわけ。そして、まさにそれこそ大量に出回り、かつまたごく最近はプラスチックですらパッケージされているやつもあるわけなんです。非常に高度なセラミックで、いわゆる京セラの優秀な技術がそこに必要である。  私がこんなことで皆さんに説明しなくても、KIIがGDといつから取引をして、そしてその取引内容がいわゆる受注生産であるのかどうか、買いに来たからいわゆる自分のところの製品の規格品を売ったんだというものなのか、受注生産であるのかどうか、さらには発注時、GDが発注するときに、あるいはそれを納入するときに、その使用目的がどうであったのか、明らかにされていたのかどうか、さらに規格はどうなっているのか、そういうことをぜひ私は調査をしていただきたい。  さらに、この上西さんというのは、今の社長は長谷川さんというのですが、その人よりさらにアメリカにおける優秀な京セラのスタッフであるし、アメリカにおけるいわゆる京セラをすべて支配してきた方なんですよ。この人は、昭和五十年四月に京セラが買収したデクセル、そのデクセルを、資本金五十・四万ドル、これは御承知のように五十八年の二月に国家安全機密法の制約を受けてグールド社に売却をしている当時の社長なんですよ。軍需関係に関与してきたという前科があるんだ、上西さんというのは。  これは大臣、私は、大臣御承知だと思いますよ。事務当局から聞いていると思いますけれども、一々質疑をしていると時間がかかるから、この人が資本金五十万ドル余りのデクセルを買収して、そして軍の軍需産業にかかわっていって、五十八年にそれはアメリカの国家安全機密法の制約があるからということで売却したんでしょう、七百五十万ドルで。売却しているんですよ。  僕は、金もうけをするとかせぬとか、技術がどうだとかこうだとか――この上西さんというのは、私からすれば、既にアメリカにおいて軍需産業にかかわり切ってきた人だ。それがKIIの役員である。今現在、京セラの副社長である。これはもう筋書きはちゃんとなっておるわけ。この人が、標準的なものを少し納めていた。私はどうも、社長がうわさだなんて言ってテレビで話しているわけなんですよ。大臣、どう思いますか。
  273. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 最初に申し上げたとおり、先週の土曜日に井上議員と私との質疑応答があったわけでございまして、それは単なるうわさでも何でもない、井上議員の非常に正確な調査に基づいたものと私は思いますし、通産省といたしましても、誠意を持って御答弁を申し上げ、早速調査にかかったところでございます。
  274. 井上一成

    井上(一)委員 通産大臣、さっき上西副社長から標準的な、どうせ汎用品だと逃げているのだと思うのですけれども、もう少し具体的に、上西さんからどういうようなことを通産省はお聞きになったのか、そして社長が言うようにうわさなのか、通産省の心証として、これはうわさなのか、うわさでない、疑わしい。私はまだ一カ月調査があるから待ちますよ。待つけれども、きょう、一週間した今日の通産省の心証、これはどうなんですか。
  275. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 先方は先ほど申しましたようなことを説明するわけでございますが、先ほど私、お答え申しましたように、これから厳重にスペックなど調査をいたしませんとよくわかりません。  ただし、私どもの心証ということで現段階で簡単に申し上げますと、先生独自の調査によってお調べになったものと理解しております。
  276. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、局長がこれからの調査を待たなければ最終的な判断を――それはそうでしょう。ここで私は断定せよとかね。心証を今聞いたわけです。  大臣にもお聞きをしたいと思うのです。うわさだと言っているその社長のコメント、私はもって本当にけしからぬと思うし、ここに来ていただいて、本当にこれは一つ一つ質問をしたいんですよ。したいんだけれども、あなた方の方で調査をすると言うから、それじゃお任せしましょう。しかし、京セラの子会社であるKIIも京セラも、これは役員も全部ダブっているわけなんですね。社長が会長であり副社長が副会長であり常務が社長である、いわば表裏一体の会社であります。この人たちの言うことを全部まともに受けて、信用はできないというのは、これはまあ常識でしょう。しかし、私が強調したいのは、うわさだということに対して、通産がたった一回であったとしても上西さんから聞いている。これは臭い、僕はクロだと言っているんだ、向こうはシロだと言う、真ん中は灰色だ、だんだんクロになっていくわけです。クロに近い灰色だ。私は、そういう色でお答えをいただこうと思っておりません。やはり真剣な審議の中で、大臣として――局長は心証というか感触を、軽々にそれはこうだということは申し上げにくいかもわからぬけれども、うわさだなんということについては、僕は到底許されないと思うのですね。そのことについての大臣のそれこそ感触、そして受けとめた素直な、率直な気持ちを聞かしてください。
  277. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 お答え申し上げます。  京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッドの副会長でもある上西副社長を早速今週早早に来ていただいて、そしていろいろな状況を聞いた、これは村岡貿易局長からお答えをしたとおりでございます。  KIIそれからゼネラル・ダイナミックス・コーポレーションとの取引関係、その他いろいろ実情について、私は実際調査に当たった局長課長から状況を聞いておりますが、今の段階では事実関係がまだはっきりいたしておりませんので、なお今後の調査にまちたいと思っております。
  278. 井上一成

    井上(一)委員 事実関係がはっきりしていないというのは何を指すんですか。取引がないというのか。さっきは標準的なものの取引があるように言っているわけなんですけれども、事実関係がはっきりしないという、事実関係は何を指すんですか。
  279. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 事実関係がはっきりしていないと申し上げますのは、まだ上西副会長から直接聞いただけであって、現地についての対応が、いろいろな情報が届いておらない、そういう意味でございます。
  280. 井上一成

    井上(一)委員 現地からの情報というのは通産が独自でとっているんですか。そして、上西副社長から聞いた、尋ねたのは標準的なものということだけなのか、もっと――それだけ聞いて通産が調査に入ろうというような意欲を示したことになるんですか。
  281. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 先方側の申し開きは先ほど申し上げたとおりでございますが、(井上(一)委員「もう一回言いなさい」と呼ぶ)先方側は標準品、セラミックパッケージ等の標準品をつくっておる、ゼネラル・ダイナミックスにもこれを納入しているという事実はあるということを認めておるわけでございますが、私どもはやはりこれは厳正に、武器そのものに該当するかどうかということを調査する必要がある、一方的に先方側のお話をそのまま受け取るわけにはまいらぬ、こう申し上げておるわけでございます。
  282. 井上一成

    井上(一)委員 局長が今答えたわけですが、大臣、もう一度、私はくどいようなんだけれども、大臣がやっぱり私はクロに近い灰色だと受けとめられたのか、断定はでき得ないけれども、社長の言うようにシロなんだというふうに、シロだけれどもまだ調査をしていくんだというのか、もう上西さんの話を聞いて、やっぱりちょっと色がついていますよ、さらにそれを確かめるために調査をする、そういうお気持ちなのか、ちょっとその辺聞かしてください。
  283. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先週土曜日の井上委員と私との質疑応答(井上(一)委員「もうわかっている、それは」と呼ぶ)そしてまたその後の京セラの伝えられるところのコメント等を総合いたしまして、非常に大事だと思いますからもう一回はっきり申し上げますが、まず、井上委員と私との質疑応答は、明確かつ厳粛なる国会審議という事実であります。  それから、井上委員が言われた、指摘をされた事実というのは、井上委員自身が現地を調査され、そしてそれに基づいて指摘をされた事実である、こういうふうに私どもは承知をいたしております。そして、それに基づいてとりあえず上西副会長を呼び、いろいろな状況を聞いたわけでございますが、私どもとしては、京セラを通じていろいろな現実の情報をもっと詳しく知りたい、そしてそれに基づいて指摘せられた事実が汎用品でなく専用品であるというようなことがはっきりすれば、それに対する先週お約束をしたお答えをしなければならない、そういうことを責任を持って感じ、調査をしておる、こういうところでございます。
  284. 井上一成

    井上(一)委員 私の聞いているのはそうやないやないか。  じゃ、どんな方法であなたの方は調査をされるんですか、どんな方法で。私はそれは非常に難しいですよということを言っているんですよ。
  285. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 私どもは、御案内のように武器であるかどうかという観点からスペックその他を厳重に調査をいたしたいと思っております。しかしながら、井上委員御指摘のように外国企業でもございますし、あるいは企業の秘密というのも存在するでございましょう。かなり困難性は伴うものと理解しております。
  286. 井上一成

    井上(一)委員 いや、私は、だからそういうことも含めて非常に困難ですよと。だから完全に、そして向こうが正直に言うような人じゃありませんよと。しらを切っているんだから、うわさだなんて言っているんだから。だから、僕は本当にここへ来ていただいて、証人にお願いをして来ていただいて質疑をしてもいいんじゃないか、それぐらいまで私は思っているんですよと。ところが、一回とはいえ上西さんから聞いて、感触としてはこれはうわさだと言うのか。ガセネタで質問しているんじゃないんだよ。もうちょっとはっきりしてもらわないと、私はこれは下がれぬ。  本当に取引があるということも、事実はっきりしているんだよ、汎用品だと、いわゆる標準品だと言って逃げてはいるけれども、ごく少量、十万ドルだとか。私は契約高だとかそういうのはこれから後で調べたらいいんだし、使用目的はさっき言いました。でも、うわさだなんて言われて、通産大臣、うわさだなんて言って、通産省も調べるんですか。どんな感触を持って――いや、これはもう大臣だよ。
  287. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 繰り返して申し上げますが、当省としては先週の委員質問を非常に重大なこととして受けとめ、そして調査に直ちに着手をしたわけでありまして、ただ、先ほど来申し上げておりますように、当企業は外国に置かれておるものであり、しかも直接KIIがそのGDに関与しているかどうか、いろいろそういった重要な現実の問題がありますので、今後の調査によって対応する、こういうことを申し上げているわけであります。
  288. 井上一成

    井上(一)委員 それでは私は待ちましょう。しかし、うわさでないという、取引をしていたという事実ははっきりしたのだから。そうですね。うわさでないということははっきりしましたね。標準品だというから、私はさっき言ったように、僕はあえて質問を、ぜひ調べてほしいということを申し上げておきました。もちろん、現在GDが同居していることをどうするのか、あなた方は標準品なら何ミリの規格で何センチのものだということを責任を持って答弁してもらわぬと困りますよ。そういうことができますか。
  289. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 私どもの最善の努力を尽くして調べたいと思っております。先生御指摘のよう、に、困難性もかなり伴うものと理解しております。
  290. 井上一成

    井上(一)委員 では、もう一度大臣、私のあなたに尋ねたいことについて答えられるなら答えてください。
  291. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 KIIはGDに品物を売っておる、これは事実であります。そしてそれが汎用品であるか専用品であるかは、現在の段階では判明をいたしておりません。したがいまして、責任を持って、いただきました期間の間にできるだけの調査をして、委員にまた御連絡を申し上げたいと存じます。
  292. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、やはりしっかりとあなたが認識をしないといけないのは、私がうわさかどうかということで指摘をしたのだから。取引の事実は今認めたわけ、もうわかっているわけなんだ。さっきの局長の答弁で僕はそういうことを理解したよ。あなたはわかってないからくどいような質問をしなければいけない。  今、汎用品であるか軍用品であるかをしっかりと見きわめて僕に返事をすると言われた。僕は待ちますよ。通産で見きわめはできませんよ。そんなことができるなら私はとやかく言いませんよ。いや、でも待ちます、あなたが答弁されたのだから。答弁されたのだからあえて待ちます。さっき私が指摘をしたように、ゼネラル・ダイナミックスとの同居ですね、さらにはKIIが現状どうであるか、そういうようなことも含めてどうするのか。そういうことも含めて、一カ月と言っているのだから一カ月待ちましょう。委員長、この問題はそういうことで、私は誠意ある回答を待って次の質問をいたしたい、こういうふうに思います。大臣、結構です。  外務大臣、きょうは大変御苦労さまでございます。  私は、先日行われた韓国の総選挙の結果を外務大臣はどうお受けとめになっていらっしゃるか、まずこれから聞いていきたいと思います。
  293. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 隣国の選挙のことですから、日本政府がその選挙の結果についてとやかく言うといいますか、コメントするのは差し控えた方がいいのじゃないか、こういうふうに思っております。
  294. 井上一成

    井上(一)委員 いや、私は隣国であるがゆえにあえてこれは大臣に聞かしていただきたかったのですよ。とりわけ新韓民主党の躍進をどういうふうに評価なさっていらっしゃるのか。これはやはり聞かしていただかないとちょっとぐあい悪いと思うのです。素直な率直な御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  295. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 あえて言わしていただきますと、新韓民主党があそこまで進出するということは我々としても想像しておりませんで、意外な進出であったというふうな感じを率直に持っております。
  296. 井上一成

    井上(一)委員 では、さっきコメントを控えられましたけれども、総選挙の結果を隣国である我が国の外務大臣としてどういうふうに受けとめていらっしゃるか、これは聞かしていただきたい。意外な結果だったということも素直に言われたんだから、いかがでしょうか。
  297. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 余り立ち入っていろいろとコメントするのは、やはり他国のことですから差し控えた方が外交の儀礼上いいと思いますけれども、しかし、与党の方も一応の安定多数を確保した、野党で大きな変化といいますかそういうものがあったように見受けられるわけですが、全体のバランスといいますか、与野党のバランスは基本的には前回とは余り崩れてない、こういうふうに思います。
  298. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、今回の選挙結果はいわゆる南北対話にどう影響をするであろうか。南北の対話が促進される、緊張が緩和されていく方向だとお考えになられるのか、受けとめられるのか、あるいはいや、そうじゃないのか、そういう南北対話にどう影響したか、そのことについて。
  299. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、基本的には、その後できた新しい内閣、それから今の韓国の選挙結果の状況からいきますと、これまで韓国政府が進めてきました南北対話の路線は変わらない、この路線は存続して続けられていくものであろう、こういうふうに思っております。
  300. 井上一成

    井上(一)委員 ついせんだって、安倍外務大臣は、アメリカにもソ連にもできない外交、創造的外交をやりたい。これは日ごろからの持論だと私は受けとめているのです。非常に結構だ、ぜひ大いにやっていただきたいと僕は心から激励を送り、かつ、それこそ本当に陰から応援したい、こういうふうに思っているのですよ。その創造的外交の原点に立って、この際、日本政府として可能な範囲、できる範囲で南北対話促進に努力すべきである、緊張緩和に向けて努力すべきである。そういうことについて、創造的外交に立脚して、何か外務大臣のお考えをここで聞かせていただきたい、私はこう思うのです。
  301. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 日本が南北の緊張緩和あるいはまた南北対話を進める上において果たす日本なりの役割というのはあるのじゃないか、私はこういうふうに思っておりますし、それはそれなりにやっておるわけでございます。  例えば具体的に申し上げますと、中国の関係でありますが、中国と韓国は御承知のように外交関係は全くないわけであります。しかし同時に、中国は北朝鮮とは非常に親密な関係を持っている。同時にまた、日本は中国との関係で、今までにない緊密な関係にある。こうした方程式の中で、日本が南北対話に当たって、あるいは南北の緊張緩和に当だって、中国というものを通して何らかの役割を果たす可能性があるのじゃないだろうか。そういうことで、例えば中国と韓国との非政治面での交流といったような面につきましても、これまでもいろいろと日本が中国にも話をしておるわけでございますし、そうした動き等がこれから――特に私は、韓国の今度の内閣なんか見ておりますと、やはりオリンピックを成功させたい。オリンピックというのは全世界的な行事でありますから、韓国としてもやはり西側だけじゃなくて東側の参加を求めなければ本当の意味の世界の祭典にならないわけでありますし、そういうところに韓国は大きな目標を持っておるようでありますから。そういう面等については、日本日本なりのオリンピックを成功させるための一つの協力関係というものがやっていけるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけで、どういう形でやるかというのは、これからいろいろと考えて、そして進めていかなければならぬ問題であろう、こういうふうに思っております。
  302. 井上一成

    井上(一)委員 創造的外交と言うからはもっと思い切ったなにをやらないと、外務大臣、それは創造的外交になりません。  さらに私は、国際情勢が複雑多岐にわたっている今日、外交の役割はますます重大である、同時に、その間のいわゆる国と国との交渉事は非常に専門的になってきていると思うのです。外務省より各省庁の分野の人たちが交渉の窓口に立つ機会が非常に多い。貿易だとか農水産物問題の交渉は、逆に言うと素人の外務省が口を出すな、むしろ黙っていなさいという、これは農水省に申しわけないけれども、農水省だけに限りませんけれども、それぞれ他省庁の役人からそういうささやきも私は時たま耳にする。いや、ごく最近は本当に頻繁に耳にするわけなんです。従来から外務省は、条約関係、領事部門、儀典関係、この三部門、これだけあったらいい、外務省無用論、そういうのがささやかれているわけであります。私の意見は別として、このような意見について外相の所見をまず聞いておきたい。
  303. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 日本外務省がなければ日本の外交はあり得ないと思っております。外交というのはやはり一元化というのが基本原則でありますし、これからますます国際的に日本の役割が大きい今日、外務省の世界政治あるいは世界外交に果たす役割、日本の国益を守る、そういう立場の役割というのはますます重大になっておる、こういうふうに認識を持ち、また責任を感じておるわけです。
  304. 井上一成

    井上(一)委員 まさにそうだと思います。私は外交の一元化、当然だと思うし、そのために外務省はしっかりしてほしい、そういうことなんです。  国際社会の中で我が国の果たす役割というのはここで私が多くを語る必要はないと思うのです。ただ、各省庁それぞれいわゆる国内的な思惑で外交を左右されていくと大変なことになっていく、それは世界の信頼を獲得することはできないのではないだろうか、こういうふうに私は思っておるのです。むしろ今言われたように、国際的な視野に立って国益を考えていく。各省庁にもし外務省が容認することができないというような問題があれば、遠慮せずにどしどし物を言っていかなければいかぬ。やはりそれぐらいの外務省であってほしい。例えば安いガソリンの輸入規制に対してガット違反のおそれありと言って通産省に物を申した。通産省は今さっき私の質問で、今度は海外企業の調査をしっかりやりますと言っているんだよ。あなたの方もそういう意味では物を申した、非常に勇気ある行動であったと私は思うのです。要は、そういう意味でも外務省の中にこれから専門的な多岐多様にわたる問題を網羅、消化していけるような専門知識を大いに養っていかなければいけないし、そういう人材を養成していかなければいけない、こういうふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  305. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 御激励いただきましてありがとうございます。全くそのとおりでありまして、外務省としての責任を感じながら、今後の外交の重大さを踏まえて、人材の養成等に努力を傾けてまいりたいと思います。
  306. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私はお尋ねをするわけですけれども、そういう観点に立つと、他省庁、まあ、特定の省庁の名指しは避けますけれども、他省庁がいろいろな問題で外国と取り決めをする場合が出てきますね。そういう場合は、合意をする前に外務省がその内容を全く知らないということがあってはならない、私はこういうふうに思うのですが、外務大臣、外務省はどう対処しているのかひとつ聞かしてほしい、こう思います。
  307. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いろいろと諸外国との関係が複雑になっております。これは、政治面だけではなくて、経済、文化、技術、あらゆる面において複雑になってきておるわけでございますから、そういう中での日本の国内における対応も多極化しておるわけでありますが、しかし、少なくともやはり外交の窓口は外務省ですから、複雑になっても外務省が十分に連絡を受ける、あるいは調整をする、そうして最終的に協定とかあるいは条約とかそういう形になればもちろん外務省が責任を持つということでなければならぬことは当然のことであります。これまでも確かにいろいろと問題等もありましたけれども、全体的に見れば、外務省と他のいろいろな官庁との間の事外交に関しての調整連絡等は比較的うまくいっているんじゃないか、そういうふうに考えております。
  308. 井上一成

    井上(一)委員 何かちょっと歯切れがよくないと思うのですよ。私の言うのは、各省庁がいろいろと取り決めをしますね、条約なんかのなには当然外務省が。ところが、いろいろな分野で、いろいろな専門的な問題で、貿易、水産、いろいろなことがありますが、そういう取り決めをする場合には、外交の一元化という趣旨からいっても、合意を得る前にそれは外務省が承知をしておかなければいけないし、そういうことは全く知らないんだということではこれまた外務省無用論になるわけだから、そういう点はいかがでございますかと言っている。これは私は、どんなことでもそれはそれぞれの省庁の特徴というものは大事にしていかなければいけないと思うのですけれども、やはりそういう点については外務省が内容を合意をする以前に知っているんだ、こういうことでないと、外務省の役割というのは果たせない、こう思うのですが、いかがですか。
  309. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 おっしゃるように、やはり国益のかかっている問題ですから、外務省が事前に連絡を受けることは当然のことでありますし、そういう点については十分これまでも行われてきておる、こういうふうに思っております。
  310. 井上一成

    井上(一)委員 そこで、いろいろとこの国会ででも議論がされたわけです。これはもう前段確認をしたわけでありますが、昨年の十二月二十六日、日米のいわゆる制服間で文書に署名した。日米共同作戦計画だと報じられているわけです。これは外務省も参加をしたのかどうか。何回か聞かれているのですけれども、戦前、軍部の独走を許した、外務省は手も足も出なかった、あのときの再来が始まったのではないかという危惧を私は持っているわけなんです。外務大臣、これは僕はきっちりとしておきたい。本当のことを言ってくださいよ。  そして、本当のタイトルは何なのか。あなた、全文知らないわけです。けさも、全文見てませんと言っているわけです。報道によれば、外務省は後で防衛庁に抗議をした。何で抗議をせんならぬか。シビリアンコントロール、外交の一元化、いろいろな問題があるでしょう、抗議するのは僕は当然だと思っているのですよ。まさに、ここはきっちりと外務大臣答えてください、そして、あなたが知らなければ知らないと。私は、この日米共同作戦計画というものが正式名だと思っておりません。正式なタイトルをどうぞ英語で、日本語でおっしゃってください。
  311. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この共同作戦計画につきましては、私は北米局長から概要の説明を受けました。これは安保条約の運用の問題にもつながっていくわけですから、北米局が主管の事務当局として、防衛庁から時に応じて連絡を受け、説明を受けている、こういうふうに聞いております。ただ、中身につきましては、これは軍事的な、いわゆる専門的な分野にわたるということで、防衛庁米軍との間で協議が行われた、こういうふうに承知しております。
  312. 井上一成

    井上(一)委員 もうそれは何回もここで答弁なさっていらっしゃるのですよ。私の聞いているのは、さっきから言っているように、戦前の軍部の独走を許し、外務省が手も足も出なかった、あのときの再来が始まったような感をいろいろな議論を通して私は持っている、いいとか悪いとかというよりも、外務省何しているんだ、こんなことを許しておくのかという。そこにやはり安倍晋太郎外務大臣、後世に、歴史に名を残してほしい、こういう強い願いを私は持っているんですよ。だから、タイトルも、御存じなければ承知しておりません、それで結構なんです。どうなんですか。
  313. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いずれにしましても、今、事務当局からタイトル等はお聞きいただけばと思いますけれども、しかし、事安保条約に関する運用の問題については、これは外務省が責任を持っているのですから、外務省を無視してやるということは我々としては認めることはできないわけです。そういう意味における安保の関係、その点については、外務省としてはきちっとした責任を持ってこれを進めていくということははっきり申し上げておきます。
  314. 井上一成

    井上(一)委員 いや、僕は、だからもうきょうは防衛庁にも入ってもらってないのです。こういう質問をすると必ず防衛庁がやってくるわけだ、とことことね。僕は防衛庁の答弁はもらわない。大臣の答弁。タイトルは知らないでしょう。あなた、御存じないでしょう。
  315. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 タイトルといいますか、共同作戦計画ですね。共同作戦計画ということで説明を受けました。(井上(一)委員「英語では」と呼ぶ)英語は私達者でないものですから、英語のは聞いておりません。
  316. 井上一成

    井上(一)委員 けさほども、この文章が条文になっているのかあるいは羅列されたものか、どういう形式だ。いわゆる形式論ですね。しかし、これも大臣御存じない、概要だけだと思うのです。  大臣、軍事機密だと言って防衛庁は答えているわけです。軍事機密といわば民主主義の原則、そのシビリアンコントロールとの差ですね。すべて軍事機密でシビリアンコントロールが押さえつけられて、かぶせられていくのか。やはり軍事機密といういわゆる軍体制、それに対するシビリアンコントロールというものが僕は存在すると思うんですよ。この差は一体どう考えているのですか。僕は、外務大臣、あなたにそれを聞きたいね。シビリアンコントロールと軍事機密とのバランスをどういうふうにお考えになっておられ、受けとめていらっしゃるのですか。
  317. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは軍事機密かどうか、その辺のところを私もよく承知しておりませんが、私は午前中の矢山議員の質問を聞きまして、やはりシビリアンコントロールというものが、いろいろと意見の対立はありましても、これはいかに日本にとって大事なものであるかということについては、私は政治家として、身をもって我々がこのシビリアンコントロールという面については厳然としていかなければならぬという感じを強く持っておる次第です。
  318. 井上一成

    井上(一)委員 今、共同作戦計画軍事機密かどうかわからないということだが、まあ軍事機密だといって防衛庁が隠しているわけなんです。それで、私は、法的にこれは拘束されていくのかどうかということにもなるわけですが、しかし、そういうことも含めて、やはりシビリアンコントロールは今かけていかなければいけないと思うのですよ。軍事機密とシビリアンコントロールとの関係が十分説明ができるような状況になっていない。  大臣、少なくともあなたが説明を受けた要旨は何点ぐらいですか。
  319. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはもちろん防衛庁から事務当局を通じて私が受けたものでありまして、この点については、防衛庁米軍との間のいわば秘密にわたる、表に出さないという約束での内容であるということでございますから、私が聞いたからといってこれを申し述べるわけにはいかないと思うのです。
  320. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、外務省防衛庁に対して、事前に何の説明もしないまま作成を終えた、署名してしまったのは問題だといって抗議をしたと報じられているのですが、これは事実ですね。
  321. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 それは聞いておりません。
  322. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、あなたが聞かれたのはいつでしょうか。
  323. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 たしかことしになってからだと思います。
  324. 井上一成

    井上(一)委員 その合意は去年なんです。ことしになって聞いたのです。あなたは黙ってそれで納得なさるのでしょうか。
  325. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは要するに防衛庁米軍軍事的な専門家同士の話で、そして署名といいましても、外務省のいわゆる交換公文とか協定とかそういう筋合いのものでないわけですから、そういう意味では正確に私も時々刻々聞いておるわけではありませんが、我が外務省の北米局の責任者は署名に至る段階から聞いておった、こういうことは承っております。
  326. 井上一成

    井上(一)委員 北米局長がずっとおったというが、では、署名するときに北米局長は同席していたのですか。
  327. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 委員御承知のとおりに、この共同作戦計画は純粋に軍事的性格のものでございますので、またかつ、その内容は国際約束というような性格のものでもございません。研究内容を当事者間で確認するためにサインしたというふうに承知しておりますが、そういう意味合いから申しまして、外務当局が署名に同席する必要があるというふうには外務省としては考えておりません。
  328. 井上一成

    井上(一)委員 いつあなたは報告を受けたのですか。そして、その署名に同席をする必要はないという判断はどなたの判断なんですか。
  329. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 内容につきましては、私ども防衛庁の事務当局から署名前の段階から種々説明を聞いておりました。最終的な説明を伺いましたのは署名後でございまして、その段階で、事務当局として大臣に御報告申し上げたわけでございますが、内容として署名に際しての外務省の同席は必要ないということは、外務省の事務当局の判断でございます。
  330. 井上一成

    井上(一)委員 あなたはそういう手順について不満の意を持つような気概は持っていませんか。
  331. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 外交と防衛というものは当然のことながら非常に密接に関係がありまして、両者の間に乖離、そごがあってはならないということはもちろんでございますし、また、より狭い意味におきましても、安保条約の運用ということとの関連におきましては、本件研究は非常に密接に関係がございますので、外務省としてはその限りにおきまして当然知らされるべき、防衛庁の方から説明を受けるべき立場にある、こういうことでございまして、防衛庁の事務当局もやはり同様の認識でおられるというふうに私は理解をいたしております。
  332. 井上一成

    井上(一)委員 何を言っているのですか。説明も受けておらぬのやないか。同席はおろか説明も受けておらずに、大臣には年越えて報告しているのだろう。だから、この新聞報道でもあるように、外務省防衛庁に抗議をする、僕は当然だと思うのだよ。そんななまっちょろいことをやっているから外務省はなめられるのだよ。外務省無用論というのはどこから出てくるのですか。外交、防衛なんといったら切っても切り離せぬよ。安いガソリンの輸入規制の、そんな問題じゃないのですよ。そのことも大事であろうが、外交、防衛を何と考えているのですか、北米局長。大臣、これはもう役人ではだめだね、役人では。これは大変悪いけれども、失礼だと思うよ、やはり権限だとか、上の大臣の顔色見ていますよ。私は大臣、率直に、今度はよろしくなかった、こんなことを再び、防衛庁にも強い抗議をして、こういうことでは日本の国益、世界の平和に日本は貢献できぬ。安保の問題、制度の問題の是非を議論するのじゃないのです。シビリアンコントロール、軍部の独走を許しちゃいけないというそのことを国会で論じないと、私は要旨だけでも、これは概要を正式名とともに国会に提出すべきだ。防衛庁は嫌がるでしょう、機密だ機密だ言って。そのことが怖いのですよ。ちょっと走り出したら、それはもう加速、いわゆる力つけるから。ここでやはり外務大臣、ひとつ歯どめをかけてもらわなければ。一%の問題も大事だけれども、私はこれはそれ以上に大事だ、外務大臣。
  333. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは知らせを受けなかったというなら、私も外務大臣として安保条約の運用の責任がありますから、これは承知できないことでありますが、知らせを受けたわけでありますし、同時にこの取り決めといいますか計画、共同研究そのものは、防衛庁米軍との間の非常に専門的な研究でございますから、今外務省がこの知らせを受けたからといってこれを申し上げるということはできないわけでございます。その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。  シビリアンコントロールにつきましての考え方については私は全く同感であります。
  334. 井上一成

    井上(一)委員 その最後、シビリアンコントロールの考えには同感だと言われるから、私と同感であればこんなことは再び起こしてはいけない、僕はそう思うのです。今回の経緯について、もうほじくったってこれ以上の答えはできないでしょう。だから、これを一つの警鐘として私は防衛庁にもあるいは外務省にも受けとめてほしい、そういうことなので、その点はいかがですか。
  335. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 その点はよく受けとめておきます。  今ちょうど防衛庁長官も来ておりますが、これはやはり一番我々政治家にとっては大事な問題だと思っております。
  336. 井上一成

    井上(一)委員 本当はこれだけででもと思ったのですが、外務大臣、本当にニューリーダーだとかそういうことでお世辞を使う気は毛頭ありません。しかし、やはりみずからの哲学、政治哲学を外務大臣として通してほしい。これはシビリアンコントロールのいわば枠を逸脱している、僕はそう思うのです。だから、やはり反省を特に私は促したい、こういう気持ちなのです。どうですか。
  337. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私どもも説明を受けているわけですから、そういう意味においては防衛庁との間は非常にうまくいっている、こういうふうに思っておりますが、しかし、事重大な今後にわたる問題をやはり抱えておることでありますから、しかと心にとめて、シビリアンコントロールという点について厳然と対処してまいりたい、こういうふうに思います。
  338. 井上一成

    井上(一)委員 少し時間がなにでございますが、きのうも石原委員からも指摘があった経済援助の問題について、私は昨年、特にフィリピンの経済援助、とりわけ商品借款については、私なりの見解を披瀝して政府にその姿勢をただしたわけであります。  我が国の経済援助の基本的な理念というものを念のため、ここでひとつ確認をしておきたいと思います。
  339. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 我が国の経済協力の基本的な理念というものは、あくまでも人道的な立場に立ったものでなければならないということが第一点。それから第二点は、相互協力といいますか、そうした立場に立って、開発途上国の民生と福祉の安定に寄与していくということでなければならない、こういうふうに考えております。
  340. 井上一成

    井上(一)委員 現状は、すべてそういう我が国の基本方針に合致しているのかどうか。評価の問題として、きのう一定の、これは自民党の方からも指摘をされて、検討委員会ですか、そういうのをつくれと。きのうも研究会ですか、そういうものをつくるというようなことなんだけれども、私は、やはり何かそこに援助を決定する段階で、そのときに正しい相手国に対する政治経済情勢の認識が欠けているのではないだろうか、そのことが民生安定、国民の福祉向上につながってない結果を出しているのじゃないだろうか、こういうふうに思っているのですが、その点はいかがでございましょうか。
  341. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 我が国の援助は、これはやはり何といいましても国民の血税によるものですから、今申し上げましたような基本的な姿勢で相手の国とも十分に協議をして、あるいはプロジェクト等についてはプロジェクトことについて詳細に精査をして、そしてこれを行うということになっておりまして、全体的には我が国の今の援助というものはその枠組みを超えたものはない、こういうふうに私は確信をしております。
  342. 井上一成

    井上(一)委員 私は、具体的にフィリピンのレイテ島のパサールの銅精錬所あるいはさらに地熱発電所建設、これが、結果、今指摘をしたように、民生の安定に寄与しているのかどうか。地熱発電所の建設について、どれだけこのプロジェクトに金を入れ、経済援助をして、そしてどれだけの効果があったと考えていらっしゃるのか、ひとつその点について聞いておきたいと思います。
  343. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま御質問の地熱発電所でございますけれども、レイテにおきましてトンゴナンという地熱発電所の計画がございます。  総事業費は三百七十四億円程度でございますが、このトンゴナン地熱発電所に対しましては、二回にわたりまして円借款の供与を行っております。初めは五十五年に交換公文を締結いたしました第八次円借款の一つとして百八十八億円を供与いたしております。それから二回目は、五十八年に供与いたしました第十一次円借款の一部としまして百六十三・七億円の供与を行っております。  この効果でございますが、この地熱発電所はレイテ島の工業団地内の製造業及び島内の都市、農村の民生用の電力供給を目的にしたものでございまして、現在第一期のものが運転を開始しております。  現在の能力としましては六十メガワットを供給しておりますが、うち四十メガワット分がパサールの銅精錬所で使用されております。それから、残りの二十メガワット分が民生用ということになっておりまして、この結果としまして、レイテ島の電化率というのが三〇%ぐらいから三三%余りということで、三%余の電化率の向上を見ております。  また、この結果、銅精錬所の製品を輸出をして一億数千万ドルの外貨収入を上げているということと、それから雇用効果ということで千人程度の雇用を造出している、こういう効果を上げていると考えております。
  344. 井上一成

    井上(一)委員 一定の効果があったんだ、三百五十億に上る巨額の経済援助ですね。だけれども、この地熱発電所建設に当たって、そこの地域住民、家族が約四百五十戸立ち退きを強制されたわけですね。夢の町に住めるんだと言って代替に住居を建てた。その住居に住まいした人、あるいはその住居に住まわずして近くに出ていった人たち、そういう人たちのそれでは電力消費については事実関係はどうなんですか。
  345. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 立ち退きは銅精錬所の方の立ち退きでございますが、私どもの承知しておりますところでは、二百戸ないし三百戸の住民が立ち退くこととなりましたが、建設者の方で別途二百戸分の住宅を用意いたしまして、立ち退き住民中の二百戸についてはその住居に入ることになっております。それから、その住居に入りません住民につきましては、相当額の補償が行われているというふうに承知しております。  それから、この二百戸に対します配電でございますが、一応送電線というものは設けられております。各戸ともその電気を使用し得る状況にはございますが、その引き込み線を引く費用ですとか、それから電力料金の負担の問題ということもございまして、現実に電気を使用している住民は、その二百戸のうちの約三分の一程度にとどまっているというふうに承知しております。
  346. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、今、少し具体的なことで先に説明を、僕は外務大臣に知ってもらおう思って。  フィリピンのレイテ島で地熱発電所のプロジェクトに経済援助した。しかし、そのうちの三分の二は銅精錬所、いわゆるこれは日本の企業が一定の販売権を持ち、その法人に三分の一参加しているのですよ。いわば、そこを強制立ち退きされたフィリピンの人たちは、電気も送ってもらえないような、あるいは電気の下で暮らすことのできないような現状であるということなんですね、今報告を受けたように。  私がここで申し上げたいのは、やはりそういう現実を踏まえて判断をしていかなければいけないし、私も含めて多くの人が、マルコス政権、フィリピンのいわゆる政権保持のための経済援助ではないだろうか、それはアメリカの戦略軍事援助の一環ではないだろうかと厳しく指摘をしてきたわけです。そうではない、民生安定、国民の福祉向上だと言い切ってこられたわけです。現状はそうじゃないわけなんですね、今局長から報告があったように。すべての人が電気がないというわけじゃないが、三分の一しか送電はない。こんな実情の中で、さらに商品借款だって三分の一しか消化でき得ていない。さらにまた五十九年もと。こんなことで本当にいいんだろうか。  僕は一つは、軍事援助の一環の中に組み込まれているんじゃないだろうか、見直さなければいかぬのじゃないだろうか。シュルツ国務長官と協議の場をつくろうなんてあなたが言われてきたけれども、何を協議していくのか。そういう我が国の基本原則に立った経済援助をするための見直し論か、協議の場なのか、いや、アメリカの経済援助の原則に同化するための見直しの場なのか、協議の場なのか、ここはちょっとはっきりしていただきたい。フィリピンのことについては、今報告を聞いたとおりですけれども
  347. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 フィリピンの援助につきましては、国会でもしばしば御指摘もありましたし、私も非常にその点は注意をいたしまして、援助計画が決まるに当たっても特に念には念を入れるように指示もいたしたわけでありますし、さらにそのフォローアップ等も厳重に言ってきておるわけでありますが、あくまでも民生の安定、福祉の向上というものが基本でございまして、政権を支えるとかそういうことではありません。特にフィリピンの経済は非常に悪くて、そういう中でIMFが動いて再建計画をつくっておる。それも再建計画もできそうだ、こういうことで踏み切ったわけでございます。  日本の経済援助というのは、先ほどから申し上げましたような人道主義と相互依存ということでありまして、アメリカとはやはり基本的に違う面がある。これは私はシュルツさんにもはっきり申し上げておるわけです。違ってはおるし、アメリカアメリカの戦略的な立場があるでしょうが、日本はそういうものにくみすることはできない。ただ、日本アメリカでお互いに開発途上国の援助等についてそれぞれの枠組みの中で協力できるものがあったら、お互いに協力する点も話し合ってみよう、こういうことでやっておるわけですから、我々としてはこの援助の基本を変えるとか、アメリカの戦略援助に日本の援助を組み入れるとか、そういう考え方は毛頭ありませんし、こういうことは将来とも考えてないということをはっきりと申し上げておきます。
  348. 井上一成

    井上(一)委員 いつもそういう答弁をされるわけなんですね。されるけれども、現実は今局長が言ったように、私が指摘したような現状である。特に、フィリピンのためになると思ってやったことが、結果的にという言葉をあえて私はここで申し上げておきたい。なぜかというと、遠慮して言っているのですよ。僕は、当初からフィリピンの実情の把握が間違っていると言いたいのだ。だけれども、結果的にフィリピンの人々に喜んでもらえるのか、あるいは対日感情をどのように左右させたか。むしろ反日感情を高ぶらせることの結果につながっているではないですか。そういうことをどうとらえているのだ、そういうことをやはりアメリカにしっかりと言えるのか、シュルツ国務長官、いわゆるあなたが約束した協議の場にそういうことが持ち込めるのか、そういうことなんですよ。大臣、いかがですか。
  349. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、部分的には確かにそうした問題がなきにしもあらずと思うわけでありますけれども、しかし全体的には、これまでのフィリピンに対する経済援助は非常に適正に今行われて、フィリピンの政府のみならずフィリピンの一般の国民も日本の協力に感謝をしておる、そういうふうに私は思って、全体的にはそういう空気である、こういうふうに判断をいたしております。
  350. 井上一成

    井上(一)委員 このことについては私はあえて、そういう協議の場がつくられるとするならば、アメリカの戦略体系の中に組み込まれないのだということと、やはり相手国の国民の福祉向上につながる、民生安定につながる真の経済援助をしていかなければいけないし、私はそういう方向に、外務大臣、持っていってもらわなければいけないのではないだろうか。僕はフィリピンが一番気にかかって、一番指摘をしてきたことなんです。あなた方も私が指摘をした真意というのはわかっていると思うのだけれども、それをそのとおりだと言うことは非常に言いにくいから、表向きの答弁しかしないわけだ。そこで、少し建設的な意見を私は尋ねていきたい。  せんだっても中曽根総理に、二十一世紀へ向けて私たちの残すべきは文化だということを私は指摘をしてきたわけなんです。軍事大国にならず文化大国になっていこうという、創造の文化を今ここで多くの人に訴えていかなければいけないと私は思っているのです。  それで、国際社会への貢献というのはいろいろな形で考えられるわけですけれども、その具体的な一つとして、中国で進められている万里の長城だとか敦煌などのいわゆる石窟寺院の修復事業、こういう事業に対して積極的な協力を我が国は行っていくべきである、こういうふうに私は思うのです。外務大臣、いかがですか。
  351. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 御指摘の点はまさにそのとおりであります。  敦煌の文化財につきましては、中国側が優先課題として保護事業に当たっているものでありまして、昨年の九月のニューヨークでの日中外相会談におきましても、日中両国間で今後協力していくということが合意をされました。我が国としては、既に始まっているところの中国側研究者の受け入れを初め専門家の派遣、あるいは関連機材の供与等によりできる限り前向きに対処する方針でありまして、具体的協力については今後中国側と協議の上進めていく考えであります。
  352. 井上一成

    井上(一)委員 ぜひ早い実現を私は期待をしたい、こういうふうに思います。  それから外務大臣、これは本会議で一定の答弁はなされているのですけれども、御承知のようにことしは国際婦人年の最終年ですね。七月にケニアのナイロビで世界会議が行われるわけです。それまでに女子差別撤廃条約の批准をする、そういうことでありますから、外交文書としての性格からすると既に批准の準備に取りかかっていると思うのですが、その点はいかがなんでしょうか、念のために聞いておきたいと思います。
  353. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いわゆる女子差別撤廃条約につきましては、所要の国内法制等諸条件の整備を十分行った上で、本年七月の今お話しの世界婦人会議までに批准すべく最大の努力を傾けていく考えであります。
  354. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は外務省に、前回の委員会でも特に外務省の姿勢、外交官の姿勢について少し警鐘を鳴らしたわけであります。  とりわけ、南アの問題については具体的な問題を提起したわけであります。南アフリカからの血漿製剤の輸入について、私は、人類への犯罪を犯している南アフリカからの血漿製剤の輸入、さらに血液は臓器の一部であるという私の認識、献血推進を深めつつある国の今の政治姿勢、あらゆる面から見て――それを貿易だと言って外務省は何か血液を物と同じような認識で答弁をしているわけなんです。あるいはそういう認識に立っている。  私は、外務大臣、もう外務省にこれ以上聞いてもだめだ、だから厚生大臣に聞きたいと思うのです。厚生省の御認識、厚生大臣のこの南アからの血漿製剤の輸入についての取り組み、決意をひとつ聞かしてください。
  355. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 南アとの関係におきましては、貿易が許されておるということから、従来血漿製剤の輸入もいたしておったわけでございますけれども、御指摘のとおり、地下資源でありますとか機械工具でありますとかそういうものとは違いまして、人の血液からつくるものでございますので、今後新しい輸入はいたさないようにという指導をいたしまして、大方の合意を得て今細目を詰めておるところでございます。
  356. 井上一成

    井上(一)委員 それは大臣、なんでございますか、輸入は中止させる、こういうことでございますね。
  357. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 そのとおりでございます。
  358. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、僕は厚生大臣のこういう素直な答弁をすべての外交官に聞かしてあげたいね。あなた方は、いかにうそをついていかに隠そうとすることにきゅうきゅうと外務省はしているじゃないですか、さっきの日米共同作戦計画についても。だから、やはりすかっとした本音の正しい判断をすべきである。  余り私の意見ばかり言っているとこれは時間がないから、たくさんの大臣にお越しをいただいたので、安倍外務大臣、いろいろと申し上げましたけれども、要は安倍外務大臣に強い期待をしている、その一人であるから、どうぞしっかりと日本の外交を狂わないように頑としてあなたがその先頭に立っていただきたい。心からお願いをしておきたい。  続いて、私は労働大臣にお尋ねをしたいと思います。労働大臣、二つの問題についてお尋ねをしたいのであります。  一つは、身体障害者のいわゆる社会参加についての大臣の施策をお示しいただきたい。さらに、余り嫌なことを指摘するわけじゃありませんけれども、法定雇用率を満たしていない省庁、これはやはり一、二あるわけなんです。必ずしも数字的に満たされたからそれで十分だという考えはありませんけれども、そういうことについて、やはり納付金だけを納めておれば事が足りるのだという、そういう認識は大きな間違いでありますから、ひとつそういうことについては十分な施策が必要である。身体障害者の社会参加への手だてについてのお考えを聞かしていただきたい。  さらに、さっき女子差別撤廃条約について私から外務大臣に尋ねたわけでありますけれども、今参議院で審議しているわけでありますけれども、条約の理念上から考えた場合、誠実な締約をすべきである。国内法の整備としての雇用平等法の中身についてはまだまだ不十分に思える。今後十分なものにしていきたいというお考えを持っていらっしゃるのかどうか。女子差別撤廃条約の批准に伴って、これは文部大臣にお聞きをする方が適当かもわかりませんけれども、いわゆる男子生徒にも家庭科の共修というのですか、そういう点についても労働大臣としてどういうふうにお考えなのか。  さらにもう一点、社会への挑戦であるグリコ・森永事件、この事件については警察が犯人逮捕のために一生懸命努力をしているということでありますけれども、今日までなおその犯人が逮捕されない。食品流通業界で働く人たちの不安、これを解消していかなければいけないし、その人たちだけに限らず流通業界の秩序安定、こういうことを考えたら、やはり政府として何らかの対応策を講じていかなければいけない。ただ犯人を捕まえて刑罰を重くしていく、そのことだけを考えるなんというのは、これはちょっといかがなものであろうか、もっともっと働いていらっしゃる人たち、あるいはさらには業界全体の不安な状況、きょうは人の身あすは我が身、菓子業界だけではありませんよ、食品全般がねらわれているという今日のこの社会情勢、社会問題をとらえて労働大臣として、これはすべて労働大臣の責任じゃありませんけれども、ひとつ御見解をいただければありがたい、こういうふうに思います。
  359. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 いろいろ問題の御指摘がございましたけれども、グリコ・森永事件の問題につきまして、こういう情報化社会における情報犯罪が、単に司法とか秩序の問題のみならず、大変そういう業種に働く労働者の生活権を奪う、現に森永等におきましても四百名近いパートの解職というような事態もございますし、森永、グリコに限らず菓子業界四万人、卸売業を入れますと七、八万に近い労働者の方々の生活権が現に脅かされておる。こういう立場から、ちょうど十一月の前半でございましたが、私も閣議で労働大臣としてこの問題を取り上げさせていただきまして、ひとつ政府全体の問題としてこれを取り組んでいただきたい、こういうことで閣僚の皆さんにも御相談を申し上げました。その後、総理も大変強い決意を持たれて、農林省、通産省等、もちろん法務省や自治省、公安委員長ですね、関係閣僚連絡会議ということでいろいろ対策を練ったわけでございます。要は犯人逮捕というのが緊急かつ重要な問題ですけれども、その間において労働省としては、雇用調整金等を、今までは倒産した会社しか適用できなかったものを何らかの事情で大量の減産を余儀なくされた、こういう業種にも適用すべく施策を講じたりしておるところでございます。また、自民党の方でも、司法の立場から議員立法を各党に御相談しておるようでございますけれども、犯人逮捕と同時に、こういう犯罪に対する雇用の調整の問題とかあるいは金融対策の問題とか、いろいろございます。そういうのを二段構え、三段構えで検討していただいておるということでございますので、我々も実情を十分各党に御説明をして、ひとつ生活権を奪われないよう犯人逮捕までの経過の中で最善の努力をしたいというふうに考えております。  それから男女雇用法の問題ですけれども、これは外務大臣も御発言のように、何としても今回我が国でも国会で批准していただきたい、こういうことで国内法の整備をしているところでございますけれども、幸い衆議院で成立をいただき、参議院での審議を待たせていただいておるということで、これは数年越しで各公労使、また婦人団体、政党の皆さん方、いろいろ御論議いただいたわけでございますし、今までの長い男女の雇用における時間の問題、生理休暇の問題、そういった諸条件の整備を乗り越えて、女性の職場進出というものが非常に大きな社会問題になっているわけでありますから、ひとつ一歩一歩その改善と機会と権利の確保というものを進めるべく国会の論議を通じて国内法の整備を進めていきたい。中身については日本の事情で十分了解いただける、こういうことでございます。  それからいま一つ、障害者の問題については、二百万人近い規模の障害者雇用の問題でございますから、これはひとつ健常者と一緒に仕事をしたいという障害者の気持ちを十分体して、大いに障害者雇用の拡大を労働省としても進めさせていただいておる、こういうところでございます。
  360. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、私は大蔵大臣に一つ聞いておきたいのですが、ばっさり地方自治体への補助金を一律カットしていったわけですけれども、法律補助と予算補助、この性格を大臣ちょっと聞かせてくれますか。
  361. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 御存じのとおりかと存じますが、補助金の交付の根拠がどこにあるかということによる区別でございまして、根拠が法律にある場合を法律補助、それから予算で根拠をいただいておる場合が予算補助というふうに言っております。
  362. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、私はあと二点聞きます。  一つは、環境庁長官お越しをいただいて大変申しわけないのですが、せっかくでございますので、女子と婦人と女性、このニュアンスは同じようなことなんですが、我が党の委員長が本会議で中曽根さんに差別撤廃条約の御質問をしたときに、婦人という言葉を使ったら、女子だと言って切り返されたのですよ。だからあなたは女子、女性、婦人、そしてそれぞれの自治体では――女子を使っておるところは国なんです。大阪府は女性なんです。大阪市は婦人なんですよ。これは統一されていないのです。後で自治大臣に聞こうと思うのですけれども、このことをせっかくですからひとつお考えを聞かしてもらいたい。  もう一つは、文部大臣に聞いておきたいのですけれども、新聞報道でありますけれども、「奇怪な大学新設」という話で成田市に大学設置の問題が大きく報じられたわけです。私は、今教育の問題について、あるいは教育臨調の中で自由化の問題が論じられておりますけれども、その問題について多くは申し上げません。今回のこういう報道にあるようなことが、教育の機会均等の中で大学を設置してほしいとかいろいろな都市、農村を問わずあるわけでありますけれども、今回のこの事件に関しての感想、許認可権をめぐってそこに政治家が云々されていることについて、常識を逸脱したものなのかどうか、あるいはモラルの問題なのか道義的な問題なのか、そういうことも含めてのお考えをひとつ聞かしてほしい。  さらに自治省に、休眠法人について自治省は今後どのように、今回の事件を踏まえてどういうようなお考えを持っていらっしゃるのか、このことについてもひとつお聞きをしておきたい。  それを聞かしていただいて、私の質問を終えたいと思います。
  363. 石本茂

    ○石本国務大臣 お答えいたします。  ただいま先生申されましたように、婦人といいますのは一定年齢以上の女子といいますか女性と申しますかを表現するものだと従来から私どもは考えておりました。そういう意味で、今度の撤廃条約にある婦人という言葉よりも女子という言葉の方が幅広く解釈されるのじゃないかというふうに私は受けとめております。  女性という言葉と女子というのと婦人というのとどう違うかということになりますと、これは男性対女性、性の区別というような意味で使われておりますので、広範な意味では使われないと思います。
  364. 松永光

    ○松永国務大臣 新聞に報道されておる成田市の問題、私の方では真相は承知いたしておりません。しかし、一般論として申し上げますと、先生もよく御承知のとおり、教育基本法で学校の設置はいかなるものであるかということは決められております。すなわち、学校というのは公の性質を持つものでありますから、したがって公の性質が持てているものかどうか、継続性が担保されるかどうか、あるいはまた一定水準以上の教育をしてもらわなければなりませんから、教員組織などはしっかりしているかどうか、そういった点をきちっと調査をした上で文部省としては認可する、こういうことでございます。  さらにまた、つけ加えて申し上げますと、やはり教育でございますから、ほかの事業と違いまして、教育熱というものを持った人にやってもらわなければいかぬなという感じを私は持っております。
  365. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 休眠法人に対する指導の問題でございますが、過去において是正命令を出すなどの措置を講じておるのでございますが、今後も法人内におけるあり方につきまして早急に結論を出すよう、私どもとしては努めておるところでございます。  それから、女子と女性と婦人という問題はひとつ研究させていただきます。
  366. 井上一成

    井上(一)委員 終わります。
  367. 天野光晴

    天野委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  368. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 昨日は六十年度の行政監察計画の発表もあり、総務庁までが民活参入の本格的な構えを示したわけです。このところ、中曽根内閣の内政政策といえば民活オンパレードの感じがあるわけなんですが、そもそも中曽根内閣の言う民間活力活用政策とは何を指すのか。これは各大臣、各省まちまちのことを言っているわけなんですね。  まずそれを伺っておきたいのですが、そこで、中曽根首相は所信表明の中で、民間活力活用政策として五つのことを挙げたと思うのです。一つは公的規制の緩和、一つは関西国際空港株式会社に代表されるような新たな経営形態の導入、一つは社会資本の分野における国有地の有効活用、一つは社会的サービス――教育、文化、保健医療、福祉を指すようですが、それから緑の国土づくりに民間参入の道を開く、一つは科学技術分野における民間の受け持ちの範囲を拡大する。  河本特命相に伺いたいのですが、中曽根内閣の掲げる民間活力活用政策とはこういうものだと理解しておいていいでしょうか。
  369. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私どももそのように理解しております。
  370. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところで二月十二日、後藤田総務庁長官は行革審に対して国有地の有効利用について基本的な考え方を諮問されているわけですね。この民活推進のために、特にと言ったらいいのかまずはと言ったらいいのか、とにかく国有地の有効利用について諮問をされたその動機、理由は一体何ですか。
  371. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 国有地は、都市の再開発を進めるといったような上で貴重な空間資源であることは間違いありません。そこで、関係地方公共団体との調整に十分配意しながら民間活用を推進をし、あわせて国の財政にも寄与する。もちろんこれは国民共有の財産でございますから、公共目的が基本である、これを踏まえての上でございます。そういうような立場で、政府としては国公有地の活用については推進本部をつくっておるわけですね。この推進本部でおやりになっているのですが、先般推進本部長からいま一度こういった点について――大蔵省でいろいろ御調査なさったのですけれども、なかなか非効率と言われておるのが六百カ所ぐらい指定になっておるのですよ。しかし、いわゆる行政財産等については、それぞれの省庁は自分の利用計画もあるわけです。大蔵省が非効率と言ってもなかなか、各省庁としては利用計画があるということでございましょうから、そこらを私の方の目を通じてもう一度よく見てくれ、こういうようなことでございますので、行革審にお願いをし、そして私どもの方でも必要な調査をしょう、こういう考え方になったわけです。
  372. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この後藤田総務庁長官の諮問を受けて、近く行革審は国有地分科会、仮称ですけれども、そういうものをつくられるそうですね。そうすると、以前に行革審がみずからつくった規制緩和分科会と国有地分科会と、行革審の中に民活関係の分科会としては専門の分科会が二つできるわけですね。そもそも行革審というのは、臨調が出した答申を政府が忠実に実行するかどうか、その督励のためにつくられた機関で、何も民活のためにつくられた機関ではないと思うのですが、何でこの行革審が民活にまで口を出してくるのですか。
  373. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 第二臨調の答申の範囲の中でそれを推進するというのが行革審の立場でございますけれども、第二臨調の中に、活力ある福祉社会をつくる、それがためにはいろいろな方策があるだろう、その中の大きな柱にもやはり民活ということがあるわけですから、それをトレースするという意味において行革審でいろいろ御審議を願うということは、私は当然のことではなかろうか、こう思うわけですが、今いろいろな分科会があるという内部の話であれば、これは行革審の方からお答えをさせたいと思います。
  374. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今の長官のお話で大体わかりました。結局、民活の中でも中曽根内閣が最も具体化を進めている規制緩和とそれから国有地の払い下げ、この二つはそもそも臨調行革路線の中にあったんだ、こういうことなんですね。まさにその延長線だ。結局は、民活といえば何だか耳新しく聞こえるのだけれども、根っこは臨調行革と一緒なんだ、こういうことが今のお話ではっきりしたと思うのです。  そういうわけで、私もきょうはいろいろな民活を総ざらいしても時間の関係もありますから、特に国有財産の有効利用の問題と規制緩和の問題を中心に伺っていきたいと思うのです。  この国有地の有効利用の方針というのは、何も中曽根内閣が新しく打ち出した方針ではなくて、既に昭和四十七年五月十日に「国有地の有効利用について」略称有効利用通達というのが出ておるわけですよ。この従来からあったいわゆる国有地の有効利用の方針とそれから今度中曽根内閣が民間活力導入のかけ声をかけて打ち出した国有地の有効利用の方針、これは五十八年一月二十四日に出ていて、よく当面通達と呼ばれているわけですが、この二つの間の最も特徴的な違いを簡単に説明してほしいのです。
  375. 中田一男

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  有効利用通達の方は四十七年三月十日の中央審の答申に基づいておるわけですが、当時は、国有地を利用するに当たりまして、従来より一層公用、公共用に優先的にこれを使っていこう、特に都市の再開発ということに着目して使っていこうということが一つの柱になっておりまして、したがって、都市の再開発に関連なしに民間に処分することは原則として行わないでおこう、つまり国有地はできるだけじっと持っていこうというようなことが基本でございました。それに対しまして当面通達は、その後の情勢の推移、特に財政の状況も非常に悪くなってきたということを踏まえまして、従来のこの公用、公共用優先という原則は崩さないまでも、しかしながら、いつ使われるかわからないという状態で未利用地を放置しておくよりは、むしろそういうものは一般競争入札にでも付して積極的に処分をしていくということが土地そのものを有効に使うゆえんでもあり、また財政収支に寄与するゆえんでもある、こういうところが新たにつけ加わった、このように理解しております。
  376. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 国有地の中でも、今度はさらに公務員宿舎問題研究会までつくって、しかもこの研究会は国有地等有効活用推進本部よりも早くつくられているわけですね。そんなにまでして公務員宿舎用地を民活対象用地として力を入れている理由は何なのか、これは大蔵大臣に伺いたいのですね。
  377. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今、中田次長から経過を話しましたその後、今度は昭和五十八年四月五日に経済対策閣僚会議で「今後の経済対策について」というのを決定しました。その中で、規制の緩和等による民間投資の促進の一環として、「都市再開発、住宅建設に資するため国公有地等の活用を一層促進する。」こういうことを決めました。大蔵省もかねてから公務員宿舎の集約立体化に努めてきましたが、この経済対策の趣旨を考えまして、今おっしゃいました研究会は理財局長の私的研究会、諮問機関と言うよりも私的研究会と言った方が適切であろうと思います。それで、大都市中心に所在しますところのかなりの規模の敷地にあってしかも老朽化しておる狭隘な宿舎、この建てかえ高層化を図ってその用地を有効活用していく方法等につきまして先生方の意見を伺うことにして、その意味でできたわけであります。
  378. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 委員長、ここで資料を……。政府はこれまで、民間活力の対象とし得る国有地として百六十三件、六十五ヘクタールあると五十九年二月に発表しているのですが、具体的に国有地の名称とか場所、こういうことまで公表したのは、その二月の第一次十四件、二十六ヘクタール、それから第二次が十月の十二件、八・五ヘクタールにすぎないわけですね。この民活の対象となり得る国有地の名称とか所在地を具外的に公表しているものと、してないものとあるわけなんですが、これは何によって区分してあるのですか、面積要件とか物理的な要件は別にして。
  379. 中田一男

    ○中田政府委員 お答えいたします。  昨年二月に、全国で百六十三件、六十五ヘクタールの土地を民間活力検討対象財産として推進本部に御報告申し上げました。そのときに、ある程度規模の大きいもの十四件については公表いたしたわけであります。それで、実はこの百六十三件も五十九年、六十年にすぐ売れるという財産ばかりではございません。行政財産の有効利用を図って集約立体化をしながらその跡地を処分していくということですので、かなり時間のかかるものもあるわけでございます。百六十三件のうち百十八件ぐらいまでは省庁別の宿舎が多うございます。したがって、これらはかなり先に処分されるものまで公表いたしますと、そこに住んでおられる方方にもいろいろな影響がございますので、そういう宿舎関係についてはやはり移転先等がはっきり決まって、各省庁が公表しても差し支えないという段階になるまではむしろ見合わせた方がいい、こういう考えで大きなものを公表したわけでございます。
  380. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 余りすぐには売れそうもないものは公表を差し控えているということなんですから、公表しているのはそういう条件があるということなんでしょうね。  そこで、公表されている民活対象国有地として、公務員宿舎としては最も面積の大きい名古屋市千種東住宅の実情はどうか、これを示しているのが資料一なんです。ごらんください。総面積四万二千四百六十六平米、その中に鉄筋コンクリートづくり、三階、四階、五階ですね、四階、五階が中心ですが、十八棟建っているわけです。一番新しい第十八号棟は昭和五十五年八月一日竣工したばかりで、建ってまだ四年半です。その次に新しい第十七号棟は五十三年十一月二日竣工で、建って六年ちょっとであります。さて、新築してまだ数年にしかならないこういう鉄筋コンクリートの宿舎を壊してまで用地を民間に払い下げようというのですか、どうですか。先ほど竹下大蔵大臣は老朽かつ狭隘なとおっしゃったのですが、いかがですか。
  381. 中田一男

    ○中田政府委員 公務員宿舎問題研究会で議論いたしましたときに、私どもはこういう東京、大阪、名古屋圏にあります大規模な団地五つについて出しましたが、その中で……(瀬崎委員質問にだけ答えなさいよ、壊して払い下げるかと言うのですよ」と呼ぶ)これらにつきましては、現在新宿西戸山について事業を行っていますが……
  382. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 委員長質問にだけ答えるように言ってくださいよ、時間が限りがあるんだから。そのかわり時間を延ばしますか。
  383. 天野光晴

    天野委員長 簡単に答弁しなさい。
  384. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 壊して払い下げるのかどうかということを聞いているのです。
  385. 中田一男

    ○中田政府委員 もしこれを集約立体化するということになりますれば、そのようにいたすことに相なります。
  386. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大蔵大臣は狭隘にして老朽なものを払い下げると言ったけれども、こういうできてまだ数年にしかならぬものまで壊して払い下げようというようなことを考えているのですね。  さらに、その中をごらんください。真ん中辺に第十号棟というのがあるでしょう。これは部屋を広くするためにわざわざ二世帯の部屋を一世帯にした、いわゆる二戸一にしたわけですね。それはおととしの話ですよ。今のお話からいけばこれもつぶすことになるのでしょうね。そうなりますと、一方では宿舎に大きな予算を投入して新築したり大規模な改造までやっている。一方でこれを取り壊して売っていこう。こんなむだな行政は私はないと思うのですよ。  公務員宿舎問題研究会の発足は五十八年八月ですけれども、しかしさっきの後藤田長官のお話のように、これは臨調答申、臨調時代の路線を引き継いているんだ。何と臨調行革とは無責任な話だと思いますね。その見本だと思うのですよ、これは。  さらにこの千種東住宅は、先ほど局長がちょいちょい言っているように、「新宿西戸山住宅についての成果を踏まえつつ民間活力の活用について検討すべき財産」こう銘打たれているのですね。それで、宿舎を集約立体化すると言ったでしょう。ところが、この地域は二種住専地域でもあります。二種住専地域なら高さの制限はありません。だが、その上に高度地区、三種の網がかかっているのですよ。高度地区、三種といえば、高さは二十メートル以下しか建てられないでしょう。そうじゃないですか。
  387. 中田一男

    ○中田政府委員 先ほどの答弁で、恐れ入りますが私、若干舌足らずだったところがございまして、これを壊して建て直すということを明言しましたが、壊して建て直す可能性もあるということでございまして、具体的にはどのような形で集約立体化していくかというのはまだ決まっておらないということでございます。(瀬崎委員「その集約立体化ができるのかと言うのだ、二十メートルで」と呼ぶ)したがいまして、もちろん現在の規制の状況はおっしゃったとおりかもしれませんが、これは、例えば都市計画事業等に該当していい計画ができますれば、そういうことについてもいろいろと今後検討していく余地のある問題であろうと考えておるわけでございます。
  388. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 都市計画の変更をしなかったら、ここへ公務員宿舎を集約するための高層の、つまり西戸山B地区のような高さ四十メートルというような高層住宅は建てられないのですよ。いつの日のことかわからないのですね。こんなものまですぐ売れるかのように載せているのですね。  大臣に伺いますが、本気でこれを取り壊して民間に払い下げようというお考えなんですか。それとも、払い下げの条件はまだ整ってないんだけれども、何かやっているように見せかけなければいかぬから条件のないものも発表しているのですか、どちらですか。
  389. 竹下登

    ○竹下国務大臣 西戸山をやりました。そしてその次、二段階というものも部内で折々協議をしております。その一つの可能性を持ったところというふうに考えて発表した。  それで、こういう問題はまず、私も経験によってわかりましたが、その自治体へ相談しますよね。そして、いわゆる公用、公共用の範囲からいろいろ相談をして自治体の意見を聞きながら、そこで、これは都市計画に入るかどうかとか、そういう意見を総合して最終的には立案をいたしまして実行に移すわけでございますから、今規制があるというものもそれは相談によって、いわば高層化の可能性もそれはあるいはあるかもしれません。
  390. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 名古屋の自治体が住民との関係等も考慮して高度地区三種に指定しているんでしょう。それを国の都合で、この財産を売り払いたいためにこの高度地区三種を変えてくれ、こんな厚かましい話はないと思いますよ。何もこの千種だけじゃないんです。  中曽根首相が昨年九月十一日の閣議で、国有地等の利用実態の再点検について、従来関係省庁では遊休ないし非効率利用の国有地等の点検を行ってきたわけだが、この際さらに進めて、民間活力の導入を図ることによって国有地等をもっと有効に活用していくという問題意識を持って各省庁は調査に取り組んでほしいとハッパをかけたわけでしょう。それにこたえる形で、十月十六日、当時の中西特命相と大蔵省から、東京二十三区内民間活力導入可能な国有財産として、第二次分十二件、八・五ヘクタールが発表岩れていますね。実はこのときに、大蔵省理財局では全体の調査を取りまとめているんですよ。だからその文書を出してくださいと言ったら、そんなものはありません、文書になっておりませんと、出さなかった。この資料二はその文書なんです。まとめてあるんですよ。これはもとのコピーが非常に悪くて読みにくいので、ちょっと時間がかかりますが、要所要所を読んでみます。読むところは全部線が引っ張ってあります。  まず、「一般行政財産」については、「行政財産として各省庁が使用している国有地については、」「関係省庁に対し売払い、集約立体化等による効率的利用を求めてきたところである。しかし、行政財産は現に使用中であるため、」「移転のための予算手当、移転先の確保、あるいは現在地で集約立体化を行う場合工事期間中の仮庁舎の手当などが必要であり、その実行のためには、相応の時間と費用が必要となる。」相当率直に、困難かつ巨額の費用がかかることを認めているわけですよ。その上で、以下ずっと個別の現状報告を行っているわけです。  まず、「一般庁舎」について、「合同化を基本方針としており、」「庁舎の建設には時間的、予算的制約があるため、合同化には長期的に取り組んでいく必要がある。」とても中曽根内閣の存続中に間に合わぬということを言っているわけですね。「学校の移転については、在校生及びその父兄、学校関係者及び地元の了解をとる必要があり極めて困難である。」と言い切っているわけです。「試験研究施設等」については、「現在地に存続することを強く主張するものが多い。」「集約立体化を求めているが、重量機器が多いこと等の理由から立体化が困難とするものもある。」また、「第二の筑波的な発想もありえよう。しかし、これには膨大な経費がかかるとともに移転先を用意する必要があるので、」長期構想にならざるを得ない。一体払い下げと移転とどっちが得かわからぬぞ、こういうことも言っているわけですね。「研修所」については、「遠隔地一に移転すると講師の招へいが困難となり、研修に支障をきたすとの強い主張がみられる。また、研修施設の一部としてグランドを有しているものがあるが、これは中、長期研修の際、研修生の健康管理のため開設された体育科目に使用されるものであり、非効率利用とは即断しがたい。」と反論しているわけですね。「会議所」については、「これら会議のため頻繁に利用されている本施設を代替施設なしに廃止することは困難である。」「福利厚生施設」についても、「都区内にある職員の福利厚生施設としての運動場は、主として病院、研究所、工場等の施設の一部を利用しているものが多い。」「健全な職場環境の保持等のため欠くことのできない施設であり、これを即座に廃止することはできない。」断定ですね。「また、一般に開放しているところもあり、その場合には地元の反対も予想される。」  これを見て、私も、国有財産をここまで片っ端から洗い直しているのかなと、その点では本当に驚きました。しかし同時に、「行政財産等の総点検について」のこの文書は、一般行政財産について言えば、現在使用中のものはそのほとんどが効率的に利用されているのであって中曽根首相の構想どおりにはいきませんよ、一種そういう結論を私は出していると思います。  それで、ちゃんと公務員宿舎のことにも触れているわけですね、以下。「現在、新宿・西戸山住宅地区の建替高層化を進めているが、今後とも建替高層化を行っていく方針である」とはしているものの、次(1)で「建替のためには、現入居者の移転宿舎を確保する必要があるが、現在、新宿・西戸山住宅の移転を進めているため宿舎事情は極めて窮屈でありこそんなに次から次からできませんよ」ということですね。「現状において移転宿舎を新たに確保することは困難である。」東京都内もそううまくいかぬというわけです。それから(2)で「入居者の諸々の事情(子弟の教育、通院、同居者の勤務場所等)に十分配慮して移転時期を調整する必要があるため、通常では退去完了までに三年程度の期間を見込んでいる。」「新宿・西戸山住宅の移転の場合には、都心部に宿舎が新築された時期と重なったため、例外的に短期間の移転を計画できたものである。」あれは例外的だ。「新宿・西戸山住宅の場合には、新宿区が既に百人町地区の再開発構想を持っていたため、調整は比較的円滑に進んでいるが、他の地区では事前に周到な根回しが必要となろう。」こう指摘しているのです。政府は一方で、新宿西戸山住宅の成果を踏まえつつ、その成果を他に波及するんだとこう言っているんだけれども、この文書は、西戸山はまさに例外であり、むしろ名古屋市の千種東のようなこれが一般的なんだ、それほど公務員宿舎の払い下げといったって難しいんだ、こういうことをちゃんと言っているわけですね。中曽根首相がこれを読んだらいい気はしないと思いますよ。  そこで、大蔵大臣にお聞きしたいのです。この文書は、中曽根首相の国有地払い下げ方針に反対の意思といいますか抵抗の手段といいますか、そういうものとするためにつくらしたのですか、それとも大蔵省の調査内容をありのままにまとめたということででき上がってきたんでしょうか、どっちですか。
  391. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この文書を私、今初めて拝見しましたので、私から感想を述べる限りにありません。
  392. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、当事者の理財局長に答えてもらいましょう。
  393. 中田一男

    ○中田政府委員 この資料は、理財局の内部資料でございます。
  394. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の聞いていることに答えなさいよ。これは何のためにつくったのかということを聞いているわけです。だから、調査の結果をありのまま載せているのか、それとも先ほど言ったように、何らか中曽根さんの方針にでも反論をしようという意図を持ってつくったのか、どっちかと聞いているのです。
  395. 中田一男

    ○中田政府委員 それは理財局の中の内部資料でございまして、調査の結果をありのままにまとめたものでございます。  ただ、先ほど先生は、こういうことがあるから全部国有財産が有効利用されておるんだというふうにおっしゃっておりましたが……(瀬崎委員「私、何も言ってないですよ」と呼ぶ)これは実は私どもが、必ずしも有効に使われてないじゃないか、その土地をもっともっと有効に使う余地があるんではないかということでいろいろ検討していっても、やはり現状の利用について各省庁ともそれなりの理由は持っておるという状況をありのままにまとめたものでございます。
  396. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まさにこういうものが国会審議に必要なんですよ。ところが、我々が要求したら出さない。独自のこれは入手で今皆さんにお知らせしているわけですね。大臣も今初めて見る、本当かうそか知らぬけれども、そう言っているわけでしょう。  さて、元締めである河本特命担当大臣は、このありのまま理財局がまとめたという資料はごらんになっているのですか。
  397. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 今初めてでございます。
  398. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体、民活、民活と言いながら、こういう大事な実情の資料を関係の大臣がまず見てないというんでしょう。全く中曽根内閣の民活政策というのは無責任ですよ。  さらに、資料三をごらんください。これも政府の部内資料です。この左下の方に線引っ張ってあるでしょう。これは五十九年の十月十六日、つまり中西特命相が都内の十二件を発表しているときですよ。「宿舎の集約化は、建築年次が古く、部屋の狭いものから順次取り壊すこととしておりこと、」一応政府の建前は述べているんですね。その後、「民間が関心を持っている宿舎は、概ね建築年次が三十年代後半以降と比較的新しく、部屋の比較的広いものが多い。」つまり財界や大企業の意向も率直に載っているわけですね。  そこで、これは河本特命相にお聞きするのですが、ここに述べられている、比較的新しく部屋も広くて利用の価値の高い住宅でも、民間が関心を持っている住宅は、特別の手段を講じてでも払い下げる方針なのですか、いかがでしょう。
  399. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 基本的に考え方を申し上げますと、今国有地百七十六カ所、国鉄用地十カ所、合わせて百ヘクタールでございます。その中には、先ほど来質疑応答にございましたように、数年先になりませんと、使えるか使えないか、そういう判断もできないものもございますし、現実に今処分可能なものでも、その用途いかんによりましては、なかなか地元の了解が得にくい、こういうものもたくさんございます。面積全体もそんなに広いものじゃございませんし、百ヘクタールといいますとそう大したものじゃございませんし、それから、この中で幾ら使えるかどうかわかりませんので、よほどこの問題は事の軽重を総体的に考えて判断をしていかなければならぬ、このように考えております。
  400. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大蔵大臣は、老朽、狭隘な公務員宿舎を民間に払い下げるんだとおっしゃった。ところが、それには民間は余り食指を動かしていない。逆に、新しく広い、利用価値の高い住宅を望んでいる。もしそういう民間の希望に応ずるとなったら、これはあえて国有財産をむだにしながら財界をもうけさせることになる、こういうことになるんですね。先ほどの大蔵大臣のおっしゃったことと、民間の望んでいることとは食い違いがあることだけは、この政府の文書によってはっきりしている。  もう一つ大きな問題があるんですよ。冒頭に理財局次長が説明したように、当面通達で、一応公共利用を建前とはするが、実際には地方自治体に無理難題を吹っかけて公共利用の道を大幅に狭めようとしているんですね。この問題がある。聞くと時間が長くなりますから私の方から申し上げますが、四十七年の有効利用通達と、五十八年の当面通達との具体的な大きな違いは三つある。  一つは、大蔵省は毎年三月末に、六月末を回答期限として、未利用国有地の買い受け勧奨、買い受けないかという打診を地方自治体に対して行う。期限内に買い受け要望の出たものを地方自治体の買い受け要望地として特定する。この勧奨、つまり打診は一回限りなんだということ。とにかく三月末に打診されて、三カ月で態度を決めて報告しなければいかぬわけですよ。  それから二つ目、買い受け要望地として特定しなかったものは、すべて一般競争入札に付するもの及びその他のものに区分してしまう。もう二度と地方自治体に公共利用の対象として打診する対象には入れない、こういうことですね。  それから三つ目、従来の地方公共団体への処分方法を優遇制度だ、こういうふうに一方的に規定して、これを全面的に見直しているわけですね。例えば、従来無償貸与とか譲与、五割減額売り払いとしていたものを、三分の一の面積は時価で売却だ、ただしこれも三年以内に買い取る場合なんだ、三年を超えて五年以内の買い取りということになると、二分の一を時価で売却することにする、こうなってくるんですね。こうなりますと、大蔵省から買い取りませんかという勧奨をもらっても、何せ年度末の忙しい時期、それで新年度、この間たった三カ月で態度を決めなければいかぬ。お金の手当てもしなくてはいけない。見通し立ちませんよ。また、議会の同意も必要になるでしょう。また、利用目的とか計画、構想も練らなければいかぬでしょう。住民の意向の反映も考えなければいかぬでしょう。果たして三カ月でそんなことが自治体にできるでしょうか。  もう一つは、優遇制度を是正するというのでしょう。例えば、渋谷の社会事業大学の土地が民活対象です。これを区が公園にしたいと考えたとしませんか。千坪とわかりやすい数字をとりましょう。今までだったら、代替公園ということであれば無償貸し付けになったんですね。ところが、今回の措置ではどうなるか。この近隣の地価公示価格を調べますと、一平米三百十九万円でした。だから三・三平米、一坪は一千万円ということになりますね。そうすると、三年以内の買い取りであっても、三分の一は時価で買い取り、つまり三百三十坪を一千万円で買い取らなければいかぬから、三十三億円用意しなければいかぬ。五年で買い取るということになると、二分の一、五百坪、五十億円を用意しなければいけない。これは大変な負担ですね。そうなりますと、結局は、名目的にはまず公共利用を建前としているんだと言うけれども、またそのことを地方自治体に打診はするけれども、到底応じられないような無理な条件を課することによって、地方自治体による公共利用の道を狭めてしまって、そして民間への払い下げの道を拡大していっている、こういうことにならざるを得ないと思うんですがね。無理なことではないとお考えになりませんか、大蔵大臣。
  401. 中田一男

    ○中田政府委員 当面通達によります地方公共団体との協議でございますが、これは毎年、次の年度に国有地が処分できるという見通しのついたものについて、その前の年度末に利用計画があるかどうかを地方公共団体に問い合わせる、そして三月間で、あれば出してください。それで、利用計画があれば、それについてそれから詰めていくわけですから、その時点までに議会の同意だとかあるいはお金の手当てとかいうことを全部了しなければいけないというものではございませんで、サウンドでございますから、今先生がおっしゃったような無理難題だとは私どもは必ずしも考えておりません。  ただ、有効利用通達のときは、先ほど申しましたように、あくまで民間に売るのはもう限定しよう、公用、公共用にしようということでございましたから、何年先に使うかわからない、それでもやはり置いておいてくれと言うと、じっと持っておつたわけですが、それではやはり土地自体有効に使うことにもならない。また、財政がこういう状況でございますから、これを処分して税外収入を上げていくということも一つの大事な方策だということで、むしろ地方公共団体に前もって、まずお使いになるなら言ってください、そしてお使いになるならそちらに譲りましょう、その予定がないのであれは処分いたしましょう、こういう区分けをすることにしたわけでございます。  また、先ほどの優遇措置の是正につきましても、当面、財政再建期間中はそういうことで少し地方公共団体の方にもお願いをしようという趣旨でやっておるものでございます。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
  402. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 無理難題ではないとおっしゃったですね。ところが、実はこの当面通達のいわば運用通達とも、言うべきものが、「当面通達に係る質疑応答」という文書で財務局あてに出ているのです。この文書も出してくれと言ったけれども、そんな通達は出しておりませんと。ただ辛うじて、五十九年二月にこの財務局普通財産関係課長会議を開いたことだけは認めた。内部的に会議のまとめぐらいはしてあるでしょう、こんな返事だった。だけれども、この資料四に示したような事実上の通達がやはり出ているわけですね。これは相当なものなんですね。全部載せたいのですが、都合があって載せていませんが、こういうものですよ。相当な枚数がありますよ。四点だけここに挙げました。決して無理難題どころか、より無理難題にしているわけですよ。  例えば「(1)買受け等の時期が三年(又は五年)の「買受け等予定期間」を超えた要望がなされた場合(用途が都市計画決定された施設の用に供される場合を含む。)特定を行うのか。」地方自治体向けのものだという特定を行うのか、こういう財務局の質問に対して、回答の方は、「買受け等の時期が「買受け等予定期間」を超えている要望に関しては特定しない。」と、これははっきり拒否せいと言っているわけでしょう。  それから次は、ちょっと図面が一緒についていますね。ごらんください。(A)(B)(C)という未利用の国有地がある。その真ん中の部分を都市計画街路が通る。地方自治体は、この都市計画街路部分の(B)だけが欲しい。残った(A)(C)は単独利用は困難だ。半端な土地になる。しかも、この(A)(C)については、公共団体について具体的な利用計画がない。こういう場合、この特定はどうするのか、こういう質問に対して大蔵省の回答は、「可能な限り、(A)(B)(C)の一体処理を図る。」要らぬところも押しつけてしまえということですね、まず。そして、どうしても公共団体においてこの(A)と(C)を取得する意思がないという場合には、まあ隣接者に売り払いせざるを得ぬが、そうなると、当然(A)(C)の値段は安くなる、その分割による減価分は公共団体から補償を受けるようにせいと、こう書いてあるのでしょう。これはより高く売れですよ。  それから、「利用目的が公園等で優遇措置の是正により、一定面積を時価売払いする場合、時価売払部分は、評価上国に有利な部分にすべきかどうか。」これは道路に近いところと奥とえらい違いますね。この質問に対して回答の方は、「公園等として無償貸付したものが将来返還される可能性はほとんどないので」この際、今の是正措置を講じておけ。その場合、三分の一有償と三分の二無償に分割するわけですね。「財産収入の確保の観点から、原則として条件の良い画地を処分する。」つまり値段の高いところを有料にせい、こういうことまで指示しているわけですね。  もう一つ、「公共団体において有償貸付中の財産(例えば公営住宅敷地)を他の用途(例えば都市公園)に利用しようとする場合、既存施設」、住宅の移転等に費用がかかるから、そういうことも考慮すれば「既存施設跡地は優遇措置是正の対象外になると思われるかどうか。」つまり優遇措置を続けていいように思うかと、こういう質問に対して回答の方は、「一般的に貸付地の利用用途の変更は、当初の貸付目的の終了であり、新たな用途への貸付けは、改めて審査のうえ行うものであるから、優遇措置是正の対象となる。」先ほどの話とは全然違うですね。むしろ、より厳しく当面通達を運用せよ、こういう形になっているわけですね。  これはもう大臣にお答えいただきたいのですが、これでは、当面通達がいかに公用、公共の用途に優先的に充当するとの従来の方針は今後とも基本的に維持すると言ったって、これはうたい文句にすぎない。結局、自治体としては欲しくてもあきらめざるを得ない、こういうケースが出てくるんじゃないかと思いますね。こういうふうに貴重な都会地の国有、公有財産を公共利用の道を狭めて民間に売り払うことが、果たして本当のこれは政府のやることでしょうか、大臣。
  403. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは事実、この問題が起きましてから私どもも見ますと、まあ本当に全く未利用地のまま、それも公共団体にお話ししたときに、将来はこういう考え方があるというようなことに対していつまでも待つという姿勢、これも財政難の折でもあるし、この辺でそれぞれけじめをつけるべきではないか。  それで、先ほどの理財局中田次長が申しました最初の文書は、私も見たことはありませんが、国有地の問題点として私の頭に整理されておることも大体そのとおりです。いろいろ難しい話が返ってきます、その中でどう模索して国民の財産を最も有効に使うかと、こういうことになるわけでございますから。で、今の通達と申しますか、これは私どもも、本来いわゆる使用目的が違った場合は、審査の対象には当然私はなるべきものだと思います、それが変わる場合は。それがもとのような優遇措置になるかならぬかは、その審査の結果であって。  そこで、実際問題として、私どもにいろいろ入ってきますのは、いわゆる未利用地というものに対してもっとはっきりけじめをつけた方がいいじゃないか。我々がそれを一番感ずるのは筑波跡地です。これ、随分苦労してやっとそれなりの形がつきましたけれども、それでもいまだに未利用地という格好になっております。で、ときには町内会から、黙って入って野球することだけは見逃してくれぬかとか、それはまあ当然のことでありますが、だからむしろこれを機会に今きちんきちんと物を整理していくというのは、地方公共団体の意思を踏みにじるとかあるいはその意思ができるだけ働かないようにするとかいう考えはなく、今の未利用地にしたところで、やっぱり早目にするためには、されば起債の世話もしようじゃないかというところまでやっているわけでございますから、これはいささか一方的な見方じゃないかなと、こういう印象を私自身は受けました。
  404. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まあ時間があればこれ触れたいのですが、筑波移転跡地の問題も、先ほど御紹介しました「行政財産等の総点検について」という理財局の部内資料にちゃんと載っていますからね。それから、先ほどの当面通達の事実上の運用通達、これを、恐らくこれでまあ地方自治体も知っていただけることになると思います。必ず反発来ますよ。それ言っておきます。  で、建設大臣に伺いたいのですが、公有地の拡大の推進に関する法律というのがありますね。これは、都市化の進展によって、住宅用地初め道路、公園、緑地など公共用地の取得が大変困難になってきた、そして都市環境の計画的な整備が阻害されるようになった。そこで、市街化区域の整備を促進するため必要な土地の先買い制度をここでつくっているわけでしょう。そして、公有地の拡大の計画的な推進を図ることにしているわけでしょう。そういう先買い制度は現在もあるのですよ。地方自治体がしばらく素地のまま抱えておったらむだだ、むだだと大蔵大臣おっしゃるけれども、一方にはこういう法律がちゃんとあるのですね。こういう法律を所管する建設大臣として、この国有地の払い下げの問題、どうお考えになっています。――いや、建設大臣だ、これは。
  405. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 公有地の拡大の推進に関する法律に基づく土地の先買い制度は、今先生御指摘のとおり、都市の健全な発展と・・(瀬崎委員「繰り返しは要らぬから。今の国有地の払い下げをどう見ておるか」と呼ぶ)秩序ある整備を促進する目的で設けられておるものでございます。このために、届け出が行われる土地について、公共施設用地等として利用を予定する地方公共団体が買い取りの協議を行う旨を申し出ることができるとされておるわけでございます。すなわち、その公拡に基づく土地の先買いというのは、将来の不特定の利用のためにあらかじめ公有地の確保を図ろうというものではなくて、道路、公園等の公共施設用地等、あるいはその代替として利用することが必要な土地の確保を図ろうとするものでございまして、これに対しまして国公有地の払い下げは、不用となった国公有地または十分にその活用が図られていない国公有地を積極的に活用するという政策に基づいて行われているものでございまして、両者は必ずしも矛盾するものではないと考えています。
  406. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 わざわざそういう法律までつくり、現在法律の改正も何も出してないのに、一番公共利用のしやすい国有地をこの法律の趣旨に反して払い下げを急ぐというのは、これは政府として無責任だと思いますよ。  で、これ総務庁長官に伺いたいのですが、先ほど、大蔵省のあの部内資料というのは調査の結果をありのまままとめたものだと、こう言っていらっしゃるわけでしょう。これまでにも、民活担当特命大臣も任命してある、そのもとには国有地等活用推進本部もつくってある、その下に企画小委員会もある、公務員宿舎問題研究会もある、こういう状況ですね。この公務員宿舎問題研究会は、五十八年九月十九日、西戸山の払い下げの中間答申出して以後、会合を一遍も開いていないわけですね。まさにこの研究会は、共産党の安武議員が参議院で追及したとおり、あの西戸山の公務員宿舎用地を中曽根首相の縁の深いあの西戸山開発株式会社に払い下げるためのお手盛り研究会だったという感じがこうなってくるとするんですが、それは別として、こういう幾つもの機構がいっぱいつくってあるわけですよ。大蔵省がまじめに調査してありのまま報告してあるというのですね。その上に後藤田長官は、この行革審に対してもう一遍国有地を洗い直してくれ、それでまた総務庁は総務庁でもう一遍行政監察やろうというのですね。一体何重の機構、何重の調査、何重の検討をやったら気が済むのですか。それとも、大蔵省やあるいは国有地等活用推進本部のいろんな調査は信用できぬ、こういうことなんですか。それとも、現在役立っている国有財産であっても、これに何が何でも非効率、遊休のレッテルを張って民間にさばいていこうというのですか。この三つのうちどういうお考えでやっていらっしゃるのですか。
  407. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 先ほどお答えしたように、大蔵省の御調査の結果は六百カ所、非効率、こういうことでございますが、しかし、各省あるいは地方公共団体の立場から言えば、そうじゃない、おれの方はこういう利用計画もあるんだといったような点があるわけですから、果たしてそのとおりなのかどうか、それをいま一度洗い直したい、こういうことでございます。
  408. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 総務庁みずから行政機構を複雑にして、本当の行政改革に反することをやっている、私はそう言いたいですね。  次の社会的規制緩和の問題に移りたいと思います。  行革審の「民間活力の発揮推進のための行政改革の在り方」、これが二月十二日に出ました。これは規制行政を二つに分けているのですね。参入、設備、数量、価格等の面から事業活動を規制する経済的規制と、それから安全、衛生等広く社会的目的から行われる社会的規制に分けて、この経済的規制については最小限にとどめる、こう言っているし、それから社会的規制については、規制の重複を排除し合理化を図る、こういう方向を示しているわけです。  しかし、経済的規制について言えば、消費者保護とか中小零細業者保護、独占の弊害排除など、それはそれなりにやはり必要があってつくられているのではないかと思う。社会的規制について言えば、環境の保全とか健康の確保、安全性の確保など、これもまた必要性があってつくられたものじゃないかと思うのですね。これを少なければ少ない方がいいんだなんというようなことになるとすれば、これまで政府は不必要な規制をつくってきたのか、こういうようなことにもなりかねないですね。こういう一種の答申を受けた総務庁長官の規制に対する考え方を一言聞いておきたいです。
  409. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 この規制緩和は、経済的な規制についてはできる限り取り払って民間の創意工夫が発揮できるような姿に変えていく。ただ、社会的規制の方は、これは社会の安定のこともありますから、この点についてはダブっておるものとかいろいろありますから、そこらの合理化は図っていく必要がある。こういうことで、規制緩和は今のお話では何か必要ないと、こういう御意見ですか。――私どもは、それならば規制緩和は必要である、こういう考え方でございます。何となれば、まさに民間活力を最大限に引き出すということはやはり基本の問題ではないのか、かように考えているわけです。
  410. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、具体的な事例を挙げていきたいと思うのです。これは農水省に伺いますが、土地改良事業のうち、かんがい排水事業、国営圃場事業合わせて年間大体三千億円ぐらいに達しているのです。この半分ぐらいは水路工事事業であり、その水路工事事業では、最近、土地の有効利用等もあって、パイプライン方式が非常に普及してきているわけですね。農水省は、この土地改良事業の種類ごとに設計基準を設けている、つまり一種の規制をやっているわけです。  この設計基準というのは、「土地改良施設の設計及び施工において、準拠すべき基本的な事項を定めるもので、各施設に必要な機能及び安全性を確保し、かつ経済的なものとするための一般的な技術基準を条文化するもので、依命次官通達とする。」というふうに定めているわけですね。この依命次官通達とするのは、施行令に匹敵する重みを持つものだ、こういう農水省の説明がありましたから、それを前提に伺いますが、一般的に施行令にも匹敵する重みを持ったこの設計基準を改定する場合の手順について、ごく簡単に説明していただきたい。
  411. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  学識経験者等から成ります研究機関にまずその研究をお願いいたしまして、それでまとまったものにつきまして、農林水産省といたしましてはかんがい排水審議会がございます、これにかけまして、その御意見を承った上で施行をしていく、こういう段取りに相なっております。
  412. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ここでもう一つの資料を。ひとつ委員長よろしく。  その調査の依頼ですね。時間の関係がありますから、これは農水省が直接やっているのじゃないのですね。筑波には農業土木試験場もあるわけですが、そこではやらずに、民間機関である日本農業土木総合研究所というところに委託をして、こういう設計基準の改定の検討をやらしておるわけなんですよ。このこと自身、果たして科学性や公正が保証されるのかどうか、私は懸念を抱くものですが、これはさておきます。先ほど言いました土地改良事業のうち、パイプラインに関する設計基準改定作業は昭和五十七年から始められておりまして、ほぼ大詰めに来ているはずなんです。  そこで、私は、その検討されている設計基準改定内容の資料提出を要求したのですが、農水省側は、まだ固まっていないからとかあるいは議論百出中であるからとかいうことを理由にしてその資料の提出を拒否してきたわけであります。今お配りしております一番上の資料五、実はこれが農水省の拒否したそもそもの改定案なんですよ。「土地改良事業計画設計基準・設計「水路工(その2)パイプライン」の改定について」という見出しがあるでしょう。これは農水省の改定案の内容を示した文書であります。  後でその事実は確認してもらいますが、問題は、この文書の左……(「こういうものを盗まれるとはどうしたんだ」と呼ぶ者あり)盗んだとかそんなものじゃないです。左下に二重丸が打ってあるでしょう。「(3)とう性管の管厚計算 改定」ここなんですよ。そこには三つの改定内容が書いてあるわけですね。「①管自重、水重による水平反力を考慮する。②土の反力係数、e’は「標準設計」に定める通りの適用を行うとの前提で、F(変形遅れ係数)は一・〇とする。③内水圧が作用することによる復元効果は考慮しない。―(現行基準通り)―但し大口径の管で現地試験等により確実に復元が期待される場合には、その範囲内に限りその効果を考慮することができる。」  ここで技術的な論争をするわけではありませんが、要は、一言で言えば、現行よりも強度の弱いパイプあるいは管厚の薄いパイプが使えるように基準を緩和しようということなんですね。とりわけ、極端な緩和になるのがこの右側に書き出しました②の部分なんですね。この「F(変形遅れ係数)は一・〇とする。」現在はこれは一・五を使っているわけなんです。一挙に三分の一下げてしまうわけです。これはもう素人が考えたってひどいなという印象は持てるでしょう。こういう重大な設計基準の変更、緩和を今農水省は考えている。ここまでやっていることがわかっているから、資料を出してくれと言ったって、これは出さないと、こう言ったわけですね。しかし、ここにあるわけです。この事実の確認がまず第一点。  もう一つは、今この設計基準の改定を委託費を払って検討してもらっている財団法人の日本農業土木総合研究所、これは一種の研究機関です。これとは別に、次の資料六をごらんください。社団法人農業土木事業協会というのがあるわけですね。これはまさに農業土木に関係のある建設関係、測量関係、コンサルタント関係の主として大企業が加盟しているわけなんです。役員名簿を挙げておきましたが、酒井会長さん、荏原製作所の相談役を初め、ずらっと大手の社長、会長が並んでいるでしょう。こういう団体なんですよ。私がきょう資料として提出したこの改定基準の内容が、農水省が検討を委託した日本農業土木総合研究所に提出されているものならまだしもなんです。私が提出したものは、今お示しした業界団体である農業土木事業協会に出されているものなんですね。まさに最も生々しい利害関係を持っている団体に示されているわけですよ。  それは資料七にその証拠を出してあります。この資料七というのは、昨年の十一月二十一日十三時三十分から農業土木事業協会で何と土地改良事業計画設計基準・設計「水路工(その2)パイプライン」改定に伴う説明会が開催されている、その次第が記されている紙なんですよ。ここにあるでしょう。ここへちゃんと農水省の構造改善局施工企画調整室長が出ているわけですね。あいさつもしているわけですよ。  私が申し上げた今の事実、一つは資料五が農水省の基準改定内容を示しているか示してないか、これと、これが農業土木事業協会に出されているということ、去年の十一月二十一日に農水省がちゃんと立ち会っているということ、この事実をまず確認したいと思います。
  413. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  まず第一の点につきましては、農林省が土木総研の方に提出いたしました資料でございます。  第二の方も、事業協会の方に出しました資料は、先生が御指摘のような中身で説明をいたしたものと思います。
  414. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が指摘した事実は確認されました。  そこで、これは大臣にどうしても聞かなければいけませんね。我々国会議員にはまだ固まってないとかなんとか言って資料提出を拒否しておきながら、業界団体の方には筒抜けなんですね。業界と癒着して設計改定作業をやっていると言われたって仕方ありませんよ。一体、国権の最高機関はどっちなんですか。あなた方、財界だと思っているのか国会だと思っているのか、それをはっきりしていただきたいのです。
  415. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 私どもといたしましては、改定案につきまして業界に説明をいたしまして、その意見を求めたものでございます。そういう趣旨で業界の方に説明をした、こういうことでございます。
  416. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私どもが農水省を呼んで、我々に出さない資料が事業協会に出ている可能性があるので、関係をただしたら一切関係はありません、研究所の方には出しているけれどもこっちは出ていない、こういう話だった。これまたうそだった。そうでしょう。事実は事実だから、それは認めなければしようがないでしょう。  そういうことと同時に、この改定の内容がまた全くひどいのですよ。ちょっと理論的なことになって恐縮なんですが、どういう意味を持つか。この点についてはお配りした資料八をごらんいただきたいのです。先ほど問題はF(変形遅れ係数)、現在一・五となっているものを一・○に下げる、ここなんだということを申し上げました。それがどういう意味を持つかということであります。ここでとう性管という言葉が出てきますが、これはそのページの右下の図面がありますように、管に圧力がかかったときに変形する管、つまりたわみ現象を起こす管のことをどう性管といって、種類はここに書いてありますようにダクタイル鋳鉄管、鋼管、塩化ビニール管、ポリエチレン管、強化プラスチック複合管なんです。これに対して、圧力がかかってもほとんど変形しない管のことを不とう性管といって、コンクリート管、石綿セメント管等があるわけです。  そのようにとう性管に上部から土圧や通過する自動車等の荷重がかかった場合には、とう性管は押しひしゃげられて横に膨らんだ格好になるのですね、この図面のとおり。どの程度横に膨らんだかを管の直径に対する比率であらわした数字がたわみ率なんです。このたわみ率がある限度を超えて大きくなってきますと、継ぎ手のところから水が漏れたり、必要な通水断面が確保できなくなったり、パイプそのものが破損したりする、こういう大事故を引き起こすわけです。そのためにこの農水省の土地改良事業計画設計基準では厳格な計算式で基準を設けているわけであります。  資料八の数式は、この中のものをコピーしたものですが、まずたわみ量、どれだけ横に膨らむか。この△X、これは土圧と管内水重と管自重によるたわみのことです。つまり、上に車が走ってないときの荷重によるたわみなんですね。それプラス路面荷重、つまり上に自動車が乗ったときのたわみを加える、こうなるんですね。そしてこれが(3・4・8a)という式。△X1と△X2は、それぞれ(3・4・8b)(3・4・8c)の式で計算されるのですが、Fがかかわってくるのは丸印を打った△X1、つまり自動車が通ってないときの土圧を中心としたことから起こるたわみなんですね。この計算式で計算されたたわみ率が現在の基準では三%以内となるようなそういう強さを持ったあるいは厚みを持ったパイプを使用せよ、そういうことになっているのです、簡単に言いますと。したがって、この△Xを計算するときに、そこにいろいろ係数がありますね、FとかEとかe’、こういうものにたわみ量が見かけ上小さくなるような数値を当てはめれば、それだけ強度の低いパイプあるいは薄い管のパイプが使えることになるわけです。そこで、Fに今まで一・五を当てはめておったけれども、これを一挙に一に引き下げよう、こういうことなんですね。そうしますと、このFというのは算定値全体にかかっておりますから、事実上たわみ率がほぼ三分の一小さくなる、つまり三分の二に減ってくるわけなんです。そのことによって今まで使えなかったような弱いパイプも使えるようになる、管の厚みの薄いパイプも使えるようになる、こういうことなんですね。  私の方から一応説明しました。そのとおりかどうかだけ答えてください。
  417. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 中身につきましては、そのとおりでございます。
  418. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間がないので説明は省きますが、現基準と農水省が考えている改定案によってどの程度使用管種の選定に違いが起こるかは、資料九に示しておきました。  例えば強化プラスチック複合管の場合ですと、現在の基準では千百ミリの管を使い、土かぶりが二メートルで上を十四トン車が二台走るとした場合、四種を使わなければいかぬ。千二百ミリ管の場合だったら三種、千三百五十ミリ管だったら三種を使わなければいかぬのですが、これが改定案になりますといずれも五種で、うんと質の悪い管でいけるようになるわけですね。大幅な緩和になるわけです。非常に危険なんです。実はもともとこの変形遅れ係数Fを一・五から一に緩和するというのは、この設計基準の改定の委託を受けて検討しているいわゆる改定委員会、日本農業土木総合研究所にあります改定委員会の中では検討されていなかったんですよ。これはちょっと資料には挙げておりませんが、ここに「昭和五十八年度水路工パイプライン改定検討委員会第一回施設部会」という資料があります。分厚い資料です。この中では、このFという値を一・五から一に変えよう、緩和しようなんというような話は全然出てこない。  さらに、今度のパイプラインの設計基準改定の検討に当たって日本農業土木総合研究所は、パイプのメーカー関係団体に対しても「大口径パイプライン設計技法調査」と称するアンケート調査を昭和五十七年に実施しているんです。資料十にそのコピーを載せておきました。ごらんいただくといいと思います。五つの団体に出しているんですが、問題の管厚計算、9-2と書いてあるところを、ごらんください。結局、日本水道鋼管協会が「WSPの設計体系を採用して欲しい。」このWSPというのは、水道用埋設鋼管の管厚計算基準で、いわゆる水道鋼管を使用する場合の基準なんです。これはもともとFという要素を無視してしまっているわけです。だから非常に緩いんですね。これを採用してほしいと言っておる。というのは、鋼管に非常に有利になるからなんです。それ以外、PC管協会、日本ダクタイル鋳鉄管協会、FRPM管協会、全国ヒューム管協会は、この表でごらんのように現行のままでよいとか、あるいは意見なしになっておるわけですね。結局、これは日本水道鋼管協会、鋼管系のメーカーの圧力で行われているということがここにはっきりあらわれているわけです。  さらに、農水省が出さないから全部私の方で苦労して集めた資料ですが、同じく日本農業土木総合研究所は、「水管理施設の全国実態調査結果」という膨大な、これは各地の事故例とか問題点を整理した資料もつくっているわけです。この中には、工事中及び、工事直後に地盤の不等沈下によって管の破裂がしばしばあり、管の材質及び工事期間に問題がある。また管路の計画では、実際の計算値よりも二〇%ないし三〇%大きいものを使用すべきである。この基準を緩和せいというような話は一言半句出できません。こういう資料は農水省にあるはずですから、後でごらんなさい。  こういうふうな経過から見ますと、Fを一・五から一・○に緩和するという方針は、改定委員会で当初から検討されておったものではなかった。まさに鋼管系の大手メーカーが圧力をかけて途中から割り込ませてきたものだ、こう言わざるを得ないわけですね。これは本当に重大なことだと私は思うのですよ。  そこで、先ほど規制緩和の問題について一般論でお聞きしたのですが、実はこういうことが行われるわけですね。例えば先ほどの行革審の二月十二日の報告の中には、「他の公益と規制緩和による利益との比較考量を的確に行い、積極的な見直しを行うべきである。」あるいは「開発利益の施行者還元の仕組みを検討するなど、民間事業者が社会資本整備を行い得るような方策も考える必要がある。」他の公益、つまり安全性とか機能の正常な発揮ということと、規制緩和による利益、つまり経済性とか政府の財政負担が軽減される、これを比較考量して後者の方が優先だというようなことになっていったら、私は大変だと思う。何でもかんでも民活だ民活だという大義名分で、こういう比較考量のもとに安全性が無視されたら、これはほっておけない。そういう点で、私はこの例を一つ出したんです。  同時に、この資料にちょっとつけておきました、緩和の圧力をかけているいわゆる鋼管系ですね、日本水道鋼管協会の代表的な会員企業十社の政治献金を挙げておきました。五十七年、五十八年でそれぞれ四億数千万ずつ出ているわけですよ。この設計基準緩和のみならず、その他の規制の緩和がこうした政治献金と結びつくようなことがあったら、これは大変だ。だがしかし、結びつくことを過去の歴史は証明していますよ。そういう点で、今回のこういう突発的な、我々国会議員には隠れて、そして大幅な緩和を行うということがこういう政治献金と無関係と言い切れるのかどうか、こういう点、私は非常に疑問を持っていますね。  そういう点では、規制行政、特に社会的規制の場合ですが、国民の生命、健康、財産を守る、安全性を確保する、そういう見地に立ってこれは科学的に検討されなければいかぬ。特にこういう技術的な基準についてはそうでなければならぬと思うのです。そういう点では農水大臣として一遍この経過をよくお調べになって、もしそういう政治的な背景のもとに行われているものであるならば、これは一遍白紙に戻して、きちっと科学的検討を加えたものにしていただきたい。いかがですか。
  419. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は私は技術的問題というのはよくわからぬわけですが、今お聞きしまして、ただ私、農林水産大臣になりまして約四カ月ですが、うちの役所の人間はまじめ過ぎるぐらいまじめで、生まじめでございまして、そういう意味においてはそういうことはないと思います。  また、私は技術的問題については全くわかりませんが、技術の進歩によりまして、特に安全性を一番大切に考えながら、いかに経済性、効率性を重視するかということで絶えず研究を進めてきたということもございますゆえ、ここで一遍調べてみたいと思いますが、そのように考えております。
  420. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、先ほど来特に大幅に緩和すべきだとおっしゃっている経済的規制の問題ですね。これも実例を挙げて、そんなに大幅に緩和できるものかどうかはっきりさせたいと思うのです。今お配りしております資料の十二以下をごらんいただきたいのです。  まず、法務省から刑事局長が見えていると思いますのでお聞きしたいのですが、日環グループというのがあるのです。これはアルミ製のサンルームをサニールームとかセンチュリー21と銘打って売り出している住宅外装産業界ではなかなか羽ぶりをきかしているものなんです。この日環グループが昨年十二月に東京国税局の査察に基づく告発で、東京地検から法人税法違反、つまり脱税容疑で起訴されているわけであります。脱税額は昭和四十年の森脇事件に次ぐ史上二番目と言われているわけですが、ごく簡単にこの大型脱税事件の概要を説明していただきたいと思います。
  421. 筧榮一

    ○筧政府委員 御指摘の日環グループの脱税事件は、善本産業株式会社等に係る一連の法人税法違反事件のことでございますが、今御指摘のように、昨年十二月までの間に東京地検において、法人税法違反として、全炳城外四名の五名と、それから関連会社八社を起訴し、現在公判中でございます。  事案の内容は、これらの会社の業務に関しまして、架空経費の計上とかあるいは売り上げ除外等の方法によりまして所得を秘匿するというようなことを行って、法人十社の法人税合計十三億九千八百六十八万二千百円を逋脱したというものでございます。
  422. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それまで余り世間に名の知られなかったこの日環グループが、昭和五十四年ごろからわずかな間にこんな大きな脱税をする。脱税自身が問題なんですが、その対象となる所得がどうして生まれてきたのか、ここが問題なんですね。これは一つには、皮肉なことに臨調路線で国民の実質的な所得が抑えられた。それと政府の貧困な住宅政策の結果、必要最小限度の住まいを緊急避難的に求めざるを得ない。そういう点で、サンルームが手軽にできるということで、一種の増築です。当たったという側面はあるのです。しかし、それだけではこんな巨額の利益を生み出す原因の説明にはならぬ。このもうけを生み出したのは、日環グループのサンルームの価格がべらぼうに高い、またその商法が違法を含む極めて悪質な商法、ここにあるわけであります。私のところに既に十数件の苦情が来ているのですが、きょうはそのうちの三件、資料十二、十三、十四に挙げました。  例えば資料十二のAさんの場合、これは間口が二間、奥行き一・五間でざっと三坪です。六畳です。これ二百八十万円ですね。一坪百万円ですよ。また資料十三のBさんの場合、これも同じく三坪です。それで最初の値段が何と三百八十八万六千円、一坪当たり百二十万円。それで、まけてやった、こう言って二百六十五万。まけてもええかげんな値段でしょう。それから資料十四、Cさんの場合で、これは間口三・五間、奥行き一・五間で約五坪です。三百六十万。大体こういう坪七十万から百万円前後、これは建設省ならこの高さはおわかりになると思うのですが、どうでしょうか。
  423. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えします。  私ども、坪で申しますと大体四、五十万ぐらいが相場ではないかというふうに考えております。
  424. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは、ここに三協アルミも同じようなサンルームを出しているのですが、この値段が大体今お答えになったような値段なんですよ。これはべらぼうに高い。それじゃ何でこんなべらぼうに高いものを消費者が押しつけられるのか、ここなんです。もちろんこれは皆びっくりして、こんなものが坪百万円かとびっくりして苦情を言うと、出るところに出てなんというようなおどかしが来るわけなんですね。  それで、これは通産の方に伺いたいのですが、資料十二、Aさんのをごらんください。これは契約日は昨年の十二月八日なんですね。ところが、下の方の「お客様へ」のところをごらんいただきますと、ちょっと字が小さくて見にくいですが、「申込日を含めて四日を経過するまでは書面により申込の撤回ができます。」四日と書いてあるんです。それからまたAさん、Bさん、Cさん、それぞれの契約書とも、引き渡し時期とか施工予定日が空白になっているのです。さて、割賦販売法との関係で、こういう契約の仕方は違法か適法ですか。
  425. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 お答え申し上げます。  昨年十二月一日から施行されました改正割賦販売法によりまして、クーリングオフの期間が四日から七日に延長されております。したがいまして、それ以降のクーリングオフの期間は七日でございまして、四日と表示するのはいけないことだと思っております。
  426. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、その引き渡し時期とか施工予定日が書いてないのは……。
  427. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 その点について法律違反かどうかは、ちょっとこの席で私、明確なお答えはできませんので、検討をさせていただきたいと思います。
  428. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産には後で具体的に個人の名前、住所も全部含めて報告いたします。  それから資料十四、Cさんの場合をごらんください。これは広さが約五坪、十七平米になるのですよ。ところが会社は建築確認申論は要らぬ、こう言ってその手続をとっていないわけです。これだけの広さのサンルームをつくる場合は建築基準法に基づく申請、確認が必要だと思うのですが、建設省いかがですか。
  429. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 都市計画区域などにおきまして、床面積が十平方メートルを超えるサンルームを設置する場合には、基準法の規定により確認が必要でございます。
  430. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これも一つ違法なんですね。  さらに、資料十五をごらんいただきたいと思うのです。ここにセンチュリー21の価格一覧表を挙げておきました。もとはこれなんですね。これをごらんいただきますと、ずっと値段が高い方をごらんください、奥行き二間タイプ、間口四・五間の場合の標準販売価格七百三十七万四千円、奥行き二間タイプ、間口五間の場合の標準販売価格八百十二万四千円。さて、工事費を含めた完成価格が六百万円以上のタイプの表示が六件ここに出ているわけですね。この価格表は、この資料にありますように昭和五十九年四月一月で出ております。この当時で建築一式六百万円を超える契約をする場合、建設業法に基づく少なくとも一般建設業者の許可はとっておかなければならないと思うのですが、さて、それが必要かどうかということと、この日環グループの会社が許可をとっていたかどうかを伺いたいと思います。
  431. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 建設工事でありまして、工事一件の請負代金の額が建築一式工事にありましては九百万円以上の工事、建築一式工事以外のものにつきましては三百万円以上の工事を請け負うことを営業する者は、現在、許可を取得しなければならぬことになっております。(瀬崎委員「去年の四月一日だよ」と呼ぶ)去年四月現在では二百万円及び六百万円ということでございましたが、昨年十月に今申し上げたように上がったわけでございます。
  432. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、この価格表は去年の四月一日現在ですね。この時点での話です。ここにカタログが出ておるわけですね。六百万円以上のがいっぱい載っておるわけです。
  433. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 許可が必要か否かということでございますが、施工の形態、請負代金の額によるわけでございますが、もうちょっと施工の形態をはっきり調べてみないとわかりませんが、それが建設業法に規定する建設工事でありますれば許可を要するものと考えております。
  434. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一つの、今ちょっと例に挙げました三協アルミなどは、製品だけを卸販売して、そして、工務店が工事を含めて消費者に対しては請負をするという形をとっている。だからこれは問題が起こらない。ところが、この日環グループというのは、この契約書を見てもおわかりのように、みずから工事費を含めてのつまり請負契約をやっているわけなんです。だからそういう点では、この契約は契約そのものもおかしいのですよね。我々が調べた限りにおいてはこのグループは建設業の許可は全然とっていない。いかがですか、建設省。どうします。
  435. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 許可権者が千々にわたっておりますのでまだ詳細に調べておりません。そういったことを調べまして、先ほど申した許可を要するかどうかということも含めまして調査いたしたいと思います。
  436. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同時に、消費者が、こうした脱税をやっているわ、違法不当な売り込みをやっているわ、こういう悪徳企業に引きずり込まれるもう一つの大きな要因は、日環グループが、頭金は要らない、十年間百二十回払いでよい、こう来るところにあるのですね。近くの大工さんなどに頼めばいいんだけれども、手付金、着手金が要る、できたらすぐ払わなくちゃいけない、そういうわけで日環に引きずり込まれる。しかも、日環グループのクレジット会社が日立グループの日立クレジットとか住友生命保険系のライフなど、超大企業系列の大手なんですね。こういう大企業とクレジット提携している、加盟店になっているんだから日環グループもまともな会社ではないか、こう信用してしまうわけなんですよ。言いかえれば、大手信販会社が悪徳商法の後ろ盾になっているわけですね。  そういうわけで、通産省は五十八年三月十一日に、割賦販売に関するトラブルの原因が信販会社にもあるということで、加盟店の選び方をきちっとせい、悪質不良業者を加盟店にしないように、こういう指示文書を出しているわけですね。日環グループは大脱税もやっているし、販売方法等は今お聞きのようにもう違法行為だらけなんです。こういうものは通産省の通達による悪質不良業者に入るんじゃないですか。大臣いかがでしょう。
  437. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 私ども、通産省の本省と地方の通産局に消費者相談の窓口を設けておりますけれども、その窓口に出されました消費者相談の件数を申しますと、同社の件数は昭和五十八年度以降数件ということでございます。そして、その内容は修理をめぐるトラブルということでございまして、取引全体に関しまして非常に数多い苦情が持ち込まれているという事態ではございません。
  438. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、私が言っているのはそうじゃなくて、史上第二番目の脱税事件をやっている、それから割賦販売法には違反している、建設業法にも違反している、建築基準法にも違反している、こういう会社が果たしてこの悪質企業に入らないのですか、こういう質問をしているわけですし、私のところにたくさんあるものを一遍に持ち込みますから、時間が来ておりますのでよく調べていただきたいということだけ申し上げて、最後の質問を一問だけして、終わりたいと思うのです。  こうした具体的に発生している消費者の被害、これについては消費者保護のための最大限の行政指導を通産省に要望したいと思うし、また建設省には、今のような基準法違反あるいは業法違反、これに対して適切な処置を求めたいと思うのですが、要は、この経済規制の緩和が結局、大企業に対してはもうけたいだけもうけさせる自由の拡大になる、そしてその犠牲は一にかかって国民が受ける、国民の方は犠牲の拡大だ、これでは私は国民が許さないと思うのです。そういう点では、経済的規制の緩和は絶対に軽々にやっていいものだと私は思いません。むしろこれは慎重の上にも慎重でなければならないし、逆に現在の規制の中にはもっと強化しなければならないものもある、そういうふうに思うのですね。そういう点で、最後に河本長官の答弁を求めて終わりたいと思います。
  439. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 十分参考にいたします。
  440. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では終わります。
  441. 大西正男

    ○大西委員長代理 これにて瀬崎君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  442. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、最初に大蔵大臣に、国民生活で毎日欠かすことのできない紙幣、これが昨年の十一月一月から新しく一万円、五千円、千円の様式が変わったわけであります。それで、準備に三年かかったということで、大変大蔵省も念を入れてこの紙幣をおつくりになった。何か、この三つを合計すると大変な枚数が大変な予算をかけてつくられたと思うのですが、どうも世評――大臣は、余り毎日お小遣いを使うということは、比較的、仕事の関係で財布からお金を出して自分のお金を使うという機会はなかなか少ないのじゃないか、大きなお金は動かしていらっしゃると思うのですが、新しい紙幣に対する世評というものは大臣のお耳に入っているかどうか、まずその点をちょっとお伺いしたい。
  443. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは昭和五十四年に、最初図柄をだれにするかというのは、私、大蔵大臣でありました。それから長い月日を経て出したわけです。  一番最初の世評というのは、手でこすったら番号が消えるとか、それかられの印刷ミスがあるということが最初でありました。それに対しては、これからとにかく印刷ミスがないように一生懸命でやりますが、とはいえ、消した札を取りかえるとか、あるいは涙の出ているのを取りかえる人は意外とないようでございます。むしろ記念にとっておくというようなこともあったようでございますが、しかし、印刷ミス等は今後厳格にやらなければならぬというふうに思います。  それから、その次は大きさであります。やはり一万円札は大きい方がいい。これは私はいつでも、それはそのうちなれればちゃんとするよ、こう答えておるところであります。  いずれにしても、印刷技術等については、大変ないろいろな検査をしてまいりましたけれども、これからも技術の錬磨等には尽くさなければいかぬ課題だと思っております。
  444. 小川国彦

    小川(国)委員 五十九年十一月一日から発行された新しい一万円、五千円、千円のお金は、三つを合計すると三十六億枚という札を用意されたということですから、大変なお札を用意されたと思うのです。今、世評、大臣も消えやすいとかそういう点をおっしゃっておられましたが、何か大蔵省のねらいとしては、偽造防止が第一で、それから紙幣用紙の節約が第二で、第三が目の不自由な方への識別にもと、この三点をねらいとされたようなんです。  この偽造防止の問題は私は今後の問題であろう。これを防止するという措置が講じられたということでありますが、まだそういう偽造は出てきておりませんけれども、これは今後の問題で、その成果は今後に問われるところだと思うのです。  それから問題は、本当に一億二千万の国民、乳幼児を除いては毎日この紙幣は使うわけですから、本当に国民になじんでいるのだろうかということで、いろいろな関係のところに聞いてみたのですが、銀行とか百貨店協会とかそういうところは、いち早く大蔵省の紙幣の改正を予想して、いろいろな機械類を、日本銀行から見本をもらって、CDとかATMとか、そういうことの機械の整備をして態勢を整えてきた。そういうところはあれなんですが、主婦連などに聞いてみますと、きょう私は家内から特別用意をしてもらってきたのでありますが、一番奥さん方の評判が悪いのは千円と五百円ですね。これが非常に色が似ている、大きさも同じになってきているということで非常に間違いやすい。それから、それだけかと思いましたら、私はこの間タクシーに乗りましたら、帰りに、千円のおつりのところへ五千円のおつりをもらいまして、びっくりして、タクシーの運転手さんに、あなた、千円のおつりのところ五千円くれたら大変な損するじゃないかと言ったら、いや、これはありがとうございましたとお礼を言われたわけなんですが、そういうように、一般の庶民の生活の中では、どうも大蔵省が大変なお金をかけてやってきたのだけれども、庶民になじみが薄い。  それで、今大臣もおっしゃったように、今までのお札は一万円も五千円も千円も全部大きさが違うわけです。ですから盲人の方々なども、大きさとそれから紙の質で、縦、横の大きさが違うわけでありますから、大きさで判断できる、それから紙質が違うということで、今までの方が非常になじみよかった、利用しててもよかった。ところが今度は、新しいのは、千円も五千円も一万円も全部高さは統一されたわけです。長さが五ミリずつ違うということで、この誤差は、しわが寄ってくると大きさで判断するのは非常に難しいという状態なんですね。  それから問題は、旧札と新しい札と両方出回っておりますから、現在は五百円を入れますと七種類の紙幣がある。これも盲人の方が見分けるのになお容易でない、こういうこともあるわけです。現に従来の五百円と今の千円が非常に紛らわしい。ひどい場合は五千円まで一緒に間違えるという事態があるわけですから、これを三種類にかえられる時期というのは一体いつなのか。この辺の見通しはどうなっていますか。
  445. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 お札の流通の見通し、これはなかなか難しいのでございますけれども日本銀行当局の発券局という局がございましてそれを担当しているわけでございますけれども、いつごろ、どのくらい新しいものに切りかわるかというのは非常に難しい。  例えば去年の十一月に新しく出ましたときに、意外と日銀券の発行残高が見通しよりも大きくなったというのは、お札が、見通しよりも新札がダブって、ダブってといいますか退蔵されたといいますか、自分のうちに相当ため込まれているというふうな点もあって、かなり新札の発行残高が見通しよりも伸びたんじゃないかということを言われましたけれども、なかなか、今の先生御質問のようなことに対しまして、いつごろ古いのがなくなって新しいのに切りかわるかということは、ちょっと予測しかねるというような状況でございます。
  446. 小川国彦

    小川(国)委員 この新しいものの、三つの高さを同じくして五ミリずつしか違わないというサイズに変えた意図は、どこにあったわけですか。
  447. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 新しい銀行券につきましては、世界的に紙幣が小型化している傾向がまず一つございます。それで日本の場合にも、従来の日銀券よりはやや小ぶりにいたしたわけでございますけれども、まず第一には、先ほど御指摘のような用紙等の材料を節約いたしまして、省資源を図ることができるのじゃないか。それから、一万円券及び五千円券はこれまで一回十六枚の印刷を行ってきたわけでございますけれども、新券は二十枚の印刷が一回に可能になるというふうなことで、製造能力が向上するというような点もございます。それから、発売機とか紙幣機器の対応が高さを統一しておきますと容易になるというようなことも考慮いたしまして、一応アメリカなんかもそうなんでございますけれども、高さを、縦の長さを同一にしたということでございます。
  448. 小川国彦

    小川(国)委員 何か紙幣で一番不親切なのは、まあ不親切というかあるいは合理的になっているというのがアメリカのドルだそうでして、全部大きさが同じなんだそうですが、ヨーロッパ、特にオランダあたりでは非常に紙幣に対して配慮を払っているということで、日本もヨーロッパの、特にオランダあたりのあれを取り入れたんだろうと思いますが、ただ問題は、この新しい紙幣の一万円、それから五千円、千円、それぞれのところに丸二つの浮きと透かしですか、これが二つと一つ。二つが横と縦とこう入っているわけなんですが、これが、この間、永六輔さんに会いましたら、この間、楽屋で盲人の長谷川きよしという歌手、それから三味線の高橋竹山さん、この方に会ったら、こうやって八カ所をさわらないとわからないというんですよ、端をこうやって八カ所ね。だから、そういう点では本当に目の不自由な方の心まで考えてやったのかどうか。その後何か大蔵省に説明を聞いたら、大体点字はこういうふうにさわるんだそうですけれども、さわるんじゃなくてこうやって引っ張ればいいんだ、端っこを。そうすると今度のものはわかりいいのだそうです。それは大蔵省の説明を盲人連合会の方が聞きに行ってわかったんだそうです。じゃ、八回やらないで、こういうふうに引っ張るということは、盲人の方は大体点字はこういうふうに指でさわるので、こう引っ張ってみるということはなかったんだそうです。これもまた不徹底なんじゃないか。それからもう一つは、くぼみと浮きでやっているのが点字ではないんだそうです。点字ではないためにこれが非常にわからない。  私、きのうも盲人会の連合会の専務さんのところに行って、ちょっとこれ大変失礼だけれども、幾らここにマークがあるか見てくださいと言いましたら、一万円札見るのにやはりかなりの時間が要った。そういう団体の専務さんをしている方でも時間がかかる。ましてや目の見えない方が、マッサージとかはりとかそういう仕事をしていますと、一々幾らもらったか聞くのは大変失礼だと言うのですね。今までは大体判断できたのが、こうやって何回も確かめて、そうしてわからないと聞いたりしなければならぬ。  ですから、私は、これだけの巨額の金をかけてやった仕事ですから、まあ急に変えるということはできないと思うのでありますが、やはり大蔵省がこういうことをやるときは、少なくともいろんな国民の各層の意見を聞く。それから盲人の方も、聞いてみると、何か連合会の方は四人ぐらいに見てもらっただけで、あと何か盲人の方の学校、盲学校ですか。で、一般の毎日貨幣を使っている幅広い目の不自由な方の意見を聞くということが欠けていたんじゃないか。そういう点は、これからひとつ、次の段階を考えるにしても、あるいは現状のものをどう改善していくか、少なくとも一般の晴眼者の場合には何とかこれはしっかり目を凝らして見ていけば過ちを防ぐことができますが、そういう目の不自由な方に対する対策などは改善、研究の余地はあるのかどうか、この点をひとつ伺っておきたい。
  449. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 この点につきましては、御指摘のとおりのような点があるわけでございまして、我々といたしましても、様式を発表いたしました後に、今も先生御指摘でございましたけれども、目の不自由な方々に、ごく少人数でございましたけれども、一部手に取って識別していただきまして、またその方々の意見を考慮いたしまして、マークの形に修正を加えたり、また間隔を広げるなどいたしまして、可能な限りの改善を講じたところなんでございますけれども、ただ、特に申し上げておきたいのは、この識別マークにつきましては、一九七一年にオランダが最初に用いまして以来、諸外国におきましてもぼちぼち進んでいるようでございます。けれども、各国の場合には凹版インキで盛り上げる方法によってやっているらしいんでございます。ただ、方式によりますと、使用中にそれが摩耗するなどの欠陥もございますために、日本ではこれにかわる方策といたしまして、世界で初めて、今回、用紙のすき入れというような方法によりましてやったようなんでございますけれども、しかも技術も現段階におきます技術の限りを尽くして講じたということでございまして、今後ともまた、今のようないろいろ御指摘の点につきましては、改善する余地があれば研究していくというようなことだと思います。
  450. 小川国彦

    小川(国)委員 研究する余地があればじゃなく、国民全体のやはり――大臣にこれは申し上げておきたいのですが、まあ渡辺美智雄さんも割合庶民的な大臣、竹下さんも非常に庶民的ないい大臣だと思っているのですが、今度は紙幣に入ったのが大隈さんじゃなくて慶応の方の方だったものですから、その点で大臣がこれ不熱心じゃ困るのですが、まあ早稲田、慶応両方入ったって結構なんですから、人物は。私は人物よりもやはり、あらゆる国民が使いいいという紙幣を、何年後にまた変えるかわかりません、大変なお金をかけてやった仕事だと思いますから。そういう中で、やはり国民の生活になじみいい紙幣というものをもっと大臣としてもひとつ指示していっていただきたい。やはりいろんな国民各層の意見を、大蔵省というのは頭のいい方がそろっている省なんですが、国民の声を聞くという点では若干乏しい面があるのじゃないか、私はそういう意味で大臣に期待するところが大きいわけなんですが、この辺について一言ひとつ所見を……。
  451. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いいお話を聞かせていただきました。  ただ、途中で議論した段階におきまして、今度は大体一万円をあの型にしてさらに小さくするという議論もいたしましたが、そうすると偽造防止の点が非常に難しくなるとか、まあそれなりに、頭のいい者ばかりでなく、私のような程度の者も中へ参加してやりました。だが、結局は、今小川さんがここで御議論なさいましたようなことがいわゆる一つのきっかけとなって国民に知れ渡っていけば、また識別等に対してもだんだんなれも生じてくるんじゃないか。しかし識別マーク、かなりあれは技術を誇ってやったつもりでございますけれども、今のような意見がありましたことは十分意に体しておかなければならぬ、さらに研究を続けていかなければならぬ問題だ、このように理解をさせていただきました。
  452. 小川国彦

    小川(国)委員 三十八万人のこの目の不自由な盲人の方々がおるわけでありまして、また年間八千人ずつそういう方が発生しているという状況でありますから、そういう点からでも、まず改善をお願いして、この点については、質問を次に進めたいと思います。  今度は、大蔵大臣に少し私どもしからなければならない立場の問題でして、注文の次におしかり申し上げるのは大変恐縮なんでありますが、しかし、この行われている事実というのは、国民の何というか財産、これを大蔵省は預かる立場にあるわけです。その大蔵省が最近払い下げました千葉県の元船橋ヘルスセンター、今、株式会社ららぽーとと言いまして、ほとんど三井不動産の出資になる会社であります。このららぽーとに対しまして、大蔵省が五十九年三月三十一日に、元海水プールだったゴールデンビーチと称されていた跡地を、三万七千五百十二平米あるのですが、その中の二万二千三百八十三平米を、交換という名目で十八億九千六百万円で、実質上株式会社ららぽーと――東京から高速道路で成田空港に向かってまいりますと、左側に大きな「ららぽーと」という看板がございます。あの右手側にある一万一千坪の国有地を十八億九千六百万で払い下げたわけであります。ところがここは、坪当たり払い下げた価格は二十七万九千五百円ということなんですが、非常にいい場所でありまして、建ぺい率八〇%、容積率四〇〇%、商業用地でありまして、大変な高価な土地である。そのわきを調べてみますと、船橋の浜町一丁目という隣接地で平米で十四万一千円、坪当たりにすると四十六万五千三百円という価格なんであります。まあここには最近、京葉線の若松町駅が来年オープンするということになっておりまして、そうすると、大体時価にして九十億から百億の土地になるわけでありまして、それを十八億で払い下げたということになりますと、約二十億で払い下げたとしますと、大変な、六十億から七十億、八十億、このくらいの国損を与えた払い下げだ、こういう批判が集中しているわけでありますが、この問題について大臣はお聞きになっておりましょうか。
  453. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いや、価格のこと等存じておりません。
  454. 小川国彦

    小川(国)委員 委員長、わかりいいために各委員の方に所在地の図面を配っていただきたい。  大臣は、それでは質疑の中で……。私は、こういった百億近い土地を二十億で売る、八十億も国が損するような仕事を大臣が知っているとしたら、これは大変な問題でありますので、担当の方に伺ってまいりたいと思うのです。  まず、ここの評価の問題なんですけれども、ここを評価されるに当たって、どういうような観点からこの十八億という評価をなすったか、その評価の観点を簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  455. 中田一男

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  評価につきましてはいろいろな手法がございますけれども、ここの評価は、大体民間の近傍における同じような土地の取引事例価格というのを中心に考えて評価をいたしております。取引事例価格――実際の取引は別の土地でございますから、その土地とこの評価する土地の間にはいろいろな事情の違いがありますので、実際の取引事例をもとにしながらも、そういった事情の違いを勘案していきまして評価をするというのが基本的な考え方でございます。
  456. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども常識的に考えれば、この一万一千坪の土地は、国が直接ららぽーとに売り渡すというならわかるのでありますが、国はクロス交換という大変ややこしい手を用いまして、千葉県が国に貸している三カ所、それから民有地一カ所、四カ所をわざわざ株式会社ららぽーとに買わせて、そしてそれと国有地と交換するという、非常に手の込んだ仕事をやったわけです。なぜこういうことをしなければならなかったのか、これもひとつ簡潔に答弁願いたいと思います。
  457. 中田一男

    ○中田政府委員 本件の処分に際しまして、実は千葉県下で行政財産としていろいろ土地が欲しいという要望が他の官庁等からございました。これを売って別に買うというのも一つの考え方でございますが、私どもは、できればこれを交換財源にして必要な土地を取得をしたいということで、そういうふうに処理したわけでございます。
  458. 小川国彦

    小川(国)委員 千葉県当局は、県有地を直接国と交換するのはいいんだけれども、そんな民間会社に売って民間会社から国の土地と交換してもらうなんというのでは大変ありがたくない、早く言えば迷惑な話だというのが千葉県の意見なんです。千葉県議会で県当局が答弁しているのは、県有地については国と直接の売買を求めたが、国の要望に沿ってやむなく交換に応じたというので、このクロス交換なんてややこしいやり方は国に押しつけられた、こう言わんばかりなんですね。  それからもう一つ、千葉県は国との交換をさせられた契約の中で、甲と乙という表現になっておるのですが、それを直しますと、「この交換によって国がららぽーとに利益を得せしめないようにすること」、こういう確認書をとっているのですよ。私は、これは千葉県議会も、何となくこれはきな臭い、こういう感じがあるから、国と契約を結ぶときに国に、これで相手をもうけさせることのないようにというような確認の一札を入れるというのは、やはりよほどの心配事があったんじゃないかと思うのですが、このことに大蔵省も判をついているのですが、どういうお考えでこの一項を入れられたか。どういうふうに理解されていますか、これは。
  459. 中田一男

    ○中田政府委員 私どもも、こういうものは公正にやっていくことが必要だと思っておりますので、極めて当然のことと受けとめておるわけでございます。
  460. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう神経がおかしいと思うのですね。やっぱり本当は、国と県が、民間も入れたにしても、契約を結ぶときに、これで国がららぽーとに利益を得さしめないようになんということを、それは国と県の間で確認書をやっておるのですからね。それを国に注文するというのは、よほどの事情があったというふうに私は思う。  そこで、さらに伺いますが、この土地の十八億九千六百万の鑑定を出した時期というのは、いつなんでございますか。
  461. 中田一男

    ○中田政府委員 鑑定評価の基準の時点は、五十八年の十二月でございます。
  462. 小川国彦

    小川(国)委員 その中で、私ども、評価の計算書を出してほしいということを申し上げたのですが、十八億九千六百万の評価を出した鑑定書がございますね。評価書というか、評価の計算書ですね。なぜ、こういうものを私どもの要請に対して出せないのでしょうか。
  463. 中田一男

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  私ども、先ほど申しましたように、鑑定評価というのは、近隣におきます土地の取引の実例を基準にやっていっておるわけでございますが、実際に取引実例を調査いたしますにしましても、それぞれ非常に相手方の方々に協力をしていただいておるわけでございまして、ある意味では、そのプライバシーを開示して御協力をいただいておるという問題がございますので、内部資料として、おっしゃいますように、そういうことをもとにして評価していく過程、そういう計算するということはやっておりますけれども、それを開示することは必ずしも適当ではないんじゃないかと考えておりまして、そういうプライバシー等に触れない範囲で御説明をするというふうな気持ちでおるわけでございます。
  464. 小川国彦

    小川(国)委員 この鑑定に当たっては、不動産鑑定士の鑑定は得られましたか。
  465. 中田一男

    ○中田政府委員 民間精通者の意見は徴しております。
  466. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほど私、おたくの担当課長さんに聞いたら、不動産鑑定士の鑑定を口頭で受けたと言うのですが、今度違うのですが、それはどういうことでしょうか。     〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
  467. 中田一男

    ○中田政府委員 民間精通者といいますのは、具体的には不動産鑑定士の資格を持ったところに頼んでおるんだと思います。それの意見は聞いて、それも参考にさせていただいております。
  468. 小川国彦

    小川(国)委員 一遍でわかるように言っていただきたいですね。  それから、その不動産鑑定士には謝礼は払われましたですか。
  469. 中田一男

    ○中田政府委員 払っておると思いますけれども、金額等は確認はいたしておりません。
  470. 小川国彦

    小川(国)委員 少なくも私が評価について依頼をしているのは、もう一週間も前から依頼をしておるわけで、しかも皆さんが評価をなすって、しかも民間の精通者に頼んだと言えば、そのときに幾らの謝礼をしたかというぐらいはここで答弁できなければおかしいんじゃないですか。じゃ、おたくの方で文書で鑑定は出していただきましたか。
  471. 中田一男

    ○中田政府委員 文書で多分鑑定依頼をしておるんじゃないかと思っております。
  472. 小川国彦

    小川(国)委員 少なくもこうした巨額に上る不動産の評価を、多分文書で依頼しているんじゃというんじゃ困るんですよ。少なくともこれだけの、十八億のものを評価してもらうのには、こういう不動産の鑑定士に頼んで、そしてその評価の結果がこういう十八億六千八百万になったとぴしり言うんならいいんですけれども、多分文書で頼んだ、そういうあやふやなことでは、私はこの鑑定は正しく行われたというふうには理解できないんですよ。これはここで答弁できませんか。
  473. 中田一男

    ○中田政府委員 鑑定評価の結果で即座に評価ができておるものではございませんで、先ほど言いました民間精通者、つまり不動産鑑定士の方々の評価も一つの要素として取り込んで、私どもは評価を行っておるものでございます。  具体的にどの鑑定士に依頼したかとか、あるいはその鑑定士からどういう評価が出てきたかということにつきましても、これはやはり鑑定士の方方に公開を前提ではなくてお願いをしておるものでございますから、この場で具体的に申し上げることは適当ではないのじゃないかと考えております。
  474. 小川国彦

    小川(国)委員 これから国も、先ほども議論ありましたように、国有財産をどんどん払い下げて民間活力を求めるといっても、どういう不動産鑑定士に頼んだかということも、公開を前提としてないから言えないなんというのじゃ困るんですよ。十八億もの国有財産を払い下げるのに、どの不動産鑑定士に頼んだかということを国会で答弁できないようでは、そこに不正があると思われても仕方がないじゃないですか。国のやることというのは、もっと明確じゃなければならぬじゃないですか。  委員長、これについてはいかなる不動産鑑定士に依頼をしたか、しかもその鑑定結果はどういうものであったかということを、私はきちんと文書で提出を求めていただきたいと思います。
  475. 天野光晴

    天野委員長 提出てきますか、理財局次長
  476. 中田一男

    ○中田政府委員 これは、あくまで私どもとそれぞれの鑑定士の方々の間の私的な契約に基づいておるものでございますから、文書でお出しすることは控えさせていただきたいと存じます。
  477. 小川国彦

    小川(国)委員 理財局次長さん、これはポケットマネーで契約をされたんですか。このお金は国の税金で支払ったものじゃないんですか。私的な契約というのは、あなたがポケットマネーでやったのなら、私的な契約で結構ですけれども、いかがですか。
  478. 中田一男

    ○中田政府委員 これは私法上の契約だと申し上げておるわけでございます。もちろん、費用は国費で支弁されております。
  479. 小川国彦

    小川(国)委員 公法上の契約であれ私法上の契約であれ、国が契約したものについては、しかも国の費用で払ったものは、不動産鑑定士についてきちっと国会に出すのが当然だと思いますよ。  委員長、これについては後ほど委員会の理事会の中でぜひお取り扱いいただくようにして、議論を進めさせていただきたいと思いますが、それを確認してよろしゅうございますか。
  480. 天野光晴

    天野委員長 確認いたします。
  481. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、この評価に当たりまして、プラス要因とマイナス要因をそれぞれかけていった。それで土地については、平米当たり七万二千円から八万一千円程度というふうにして、そこに環境条件あるいは公共施設とか駅の接近条件あるいは街路条件、行政的条件あるいは画地条件といろいろな条件を加味して価格を決めていったということなんですが、この中で道路に接していないというのがマイナス要因だ。それから、通常正形地なのに扇状の不正形地であるので、これもマイナス要因だ。それから、隣接地が船橋ヘルスセンターの土地なので一対一として使う見地から、これはプラス要因に見た。それから、当時これはプールの跡だったから水がたまっていたので、これをマイナス要因にした。こういうようなことを承っているわけなんですが、この中のプラス要因として、この数百メートルのところに京葉線の若松町駅が来春オープンする、京葉線の暫定開業が行われて来春オープンする、こういうことは加味されていなかったというふうに聞いているわけなんですが、この点はいかがですか。
  482. 中田一男

    ○中田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの評価というのは、一応その近隣の実際の取引事例をもとに評価をしておるわけでございます。したがって、その取引が最近時点で行われたものであれば、その辺の情勢は織り込まれてそういう取引が行われておるのだろうと類推されるわけであります。五十八年十二月現在では、その駅の構想はございましたけれども、まだ具体化しておりませんので、特に駅ができるからということで評価上手を加えているということはございません。
  483. 小川国彦

    小川(国)委員 これは非常に疑問の存するところなんですね。皆さんの鑑定評価が出たのは五十八年十二月、そして等価交換を行ったのが五十九年三月。ところが、京葉線の暫定開業でここに駅ができる、こういうことはもっと早い時期の五十三年九月二十六日段階で京葉線を貨物線から旅客線に変えるというので大臣認可がおりて、駅の位置もこのときに決まっておるわけなんです。しかも、ここは今度武蔵野線も乗り入れるというようなことで非常に評価が高まっていく。しかも、鉄建公団から国鉄への協議が行われたのが五十八年十月二十日。ですから、皆さんが評価をした五十八年十二月以前には鉄建公団、国鉄の協議でもここに駅ができる、しかも暫定開業が六十一年四月という線も出てきている。これは当然評価の中に加味されなければならない一番大きな要因なんです。鉄道が開通する、駅が目の前。ですから、こういうことで十八億の土地が大方の判断では九十億から百億の土地になる。現在評価の三倍になる。そういう要因を加味しないで十八億という価格が決められた。ここに非常な疑惑が存するわけなんですが、不動産鑑定士の名前も明らかにしない、それから駅のできることも加味しない、こういう評価について、大臣これ、いかがお考えになりますか。――いや、大臣に聞いているんですよ。常識的な話だから大臣に聞いている。
  484. 天野光晴

    天野委員長 とりあえず理財局次長答弁してから、大臣、答弁を。
  485. 中田一男

    ○中田政府委員 先ほどから先生が非常に高い評価がある、我々の評価が低いというふうに例を挙げておられますのは、実は場所が相当違う位置での取引の事例を言っておられるのでございまして、必ずしも先生がおっしゃっているような現状ではないと私ども思いますし、また先ほど申しましたようにプライバシーにも触れない――出せないものは出せませんけれども、こういう近隣の取引事例も私どもの評価に大体近いようなところであるということは御説明申し上げたとおりでございますので、その点だけはひとつお含みおきいただきたいと存じます。(「駅のことはどうなんだ」と呼ぶ者あり)  駅については、先ほど申しましたように、取引事例というのはその時点でのその地域の状況を織り込んでなされておるというふうに考えておりますので、例えば二年先、三年先に駅ができる、でき上がれば確かに土地の値段は上がると思いますけれども、その上がる土地の値段を一体どれだけ積み上げるのかというのは、やはりその近隣で行われておりますマーケットプライスといいますか、取引実例に沿っていくというような考え方でおるわけでございます。
  486. 小川国彦

    小川(国)委員 これは私どもも綿密に調べたのですが、私が調べたのは隣接地で住宅用地なんですね。住宅用地ですら平米十四万一千円で坪当たり四十六万、これもかなり離れたところの住宅地でこういうことなんです。皆さんが払い下げたのは、もう何階建ても建てられる商業用地で坪当たり二十七万九千円、住宅地から見ても駅前の商業用地がやはり半値近い値段の評価になっているのですよ。ですから私は、あなたの方の積算の根拠である不動産鑑定士の計算の根拠を出してください、それをあなた方は表に出さないで妥当だと言っても、これは納得できないのですよ。やはり国がやることは、オープンに明示した中で納得を得るということでなければならない。  次に、じゃ伺いますが、これはいかがなんですか、国有財産審議会にはおかけになったのでしょうか。
  487. 中田一男

    ○中田政府委員 国有財産地方審議会には付議いたしておりません。国有財産審議会の付議の基準というのはございますが、交換というものについては一応付議の対象から除かれておるという現状でございますので、付議はいたしておりません。
  488. 小川国彦

    小川(国)委員 東京都では、十五億円以上から一千平米の土地は対象になるということなんですが、千葉も東京も同じように、船橋はもう首都圏と考えれば、十五億円以上、一千平米以上の条件を満たすと思うのですが、どういうわけでこれを国有財産審議会にかけなかったのですか。
  489. 中田一男

    ○中田政府委員 国有財産地方審議会では、売却等の場合は今おっしゃいましたような基準でかけておるわけでございますが、交換等についてはそういう基準を設けておりませんでしたので、これについてはかかっておりません。
  490. 小川国彦

    小川(国)委員 だから、非常にあなた方は巧妙なことをやったわけですよね。千葉県が嫌がるやつを国から押しつけられて交換させられた、千葉県は望んでいないというのにそれで交換にしたということは、国有財産審議会にかけないで済むということになるんじゃないですか。いかがですか、この点は。
  491. 中田一男

    ○中田政府委員 私どもは、行政財産の底地が欲しいという気持ちから交換をお願いしたわけでございまして、決して地方審議会にかけないためにということではございません。
  492. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣に申し上げておきたいのですが、これからたくさんの国有財産を処分して、未利用地を処分していこうという政府の方針がある。こういうときにこういうやり方をしていったら、私はどんどん抜け道をつくっていくと思うのですよ。だから、私は大蔵省に、こういう等価交換をしたこの十年間の実例はどういうものであったか出してほしいと申し上げたのですが、この資料、まだ出ないのですが……。
  493. 中田一男

    ○中田政府委員 申しわけありません、資料がすぐに出てまいりませんで。  この間御説明しましたように、過去十年間におきましては、買い取り交換というような形で交換いたしましたのが約二十三件の実例がございます。
  494. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、二十三件はもう三日も前に伺っているのですよ。その場所と、どういう人と国とどういうものを対象にして二十三件行われたか。  それから、もう一つついでに言いますが、国有財産審議会も年間、例えば関東財務局で一回に五件で年三回か四回というから、これも十四、五件しかここにかからぬという状態なんですね。これから国有財産を払い下げていこうというのに、こういうふうに抜け道をつくったり、それから等価交換というような抜け道を使って、その中身も発表しないということじゃ困るんですよね。この中身は発表できますか。
  495. 中田一男

    ○中田政府委員 一般的には、こういう交換でありましても売却でありましても、私ども国有財産の処分というのは私法上の契約でやっておるわけですから、その中身を具外的に積極的に公表するということは考えておりません。  そういう意味で、資料要求がございましたときに実例はないのではないかというお尋ねでしたので、実例はこのようにございますというふうにお答えしたわけでございます。
  496. 小川国彦

    小川(国)委員 これ数字だけ言われて、過去十年間二十三件あるといっても、中身を見せられなかったら信用できないんですよね。大臣いかがですか、これ。やっぱり少しハッパかけて、こういう少なくとも国有財産を払い下げた相手の事業所なり企業の名前と、それから払い下げた金額、等価交換を行った金額、相手方ぐらいはこれは公表していかなかったら、これから安心して国有財産の払い下げなんというのは僕は認めることできないと思うのですね。
  497. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も土地取引のこと、実際、知識の持ち合わせがございませんが、まあいずれにしたところで国民の財産を売るわけでございますから、それがどのような形で――公開するというのは難しいような気もしますが、まあ少し勉強させてくださいませ。どうも私の知識では、また天野委員長などの意見を聞いてみて、私自身今お答えするだけの能力の欠如をいたしております。
  498. 小川国彦

    小川(国)委員 次期総理を目指している竹下さんで、私は同じ私学の立場から大いに頑張ってほしいと思っているのですが、そう頭が悪くなられちゃ困っちゃうのでありまして、やっぱり鋭敏な頭脳をぜひ発揮して、官学に負けない私学の代表として頑張ってほしいと思うのです。これは委員長、これを資料としてひとつ私はぜひ提出する、そういう処置を願いたいと思うのです。
  499. 天野光晴

    天野委員長 理事会で以上お預かりします。
  500. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、運輸大臣に伺いたいのですが、この一万一千坪の土地は、従来ヘルスセンターに対する、いわゆるららぽーとの前身である船橋ヘルスセンターに占用許可で貸し付けてきたわけなんですが、これを用途廃止をして今度は普通財産にして大蔵省に引き継いだ、こういうわけなんですが、その用途廃止をした理由というのはどういう理由なんでございましょうか、簡潔にひとつ御答弁願いたいのですが。
  501. 永光洋一

    ○永光政府委員 御案内のように、周囲を埋め立てをいたしましたので、当該水面が港湾区域から外れました。したがいまして、港湾管理者としましては、その当該場所が行政財産として存置させる必要がなくなった、こういうように判断をいたしまして手続をとったもの、そういうふうに解しております。
  502. 小川国彦

    小川(国)委員 港湾区域から外れたというのはどういう意味でございますか。
  503. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 港湾区域の定め方は、例えばこの沖合の海の中の点とかなんとか定めてありまして、そしてそれぞれを結び、陸岸から、水際線からそこまでの範囲と、こういう決め方がしてございまして、今回、今話題の場所は以前は海に面しておりましたけれども、その外側が埋め立てという形で埋立工事が竣工いたしました。よって陸岸の位置が変わっておりますので、それよりも内側は港湾区域でなくなる、こういうことでございます。
  504. 小川国彦

    小川(国)委員 運輸省は、これを占用許可を与えてきたという事実は、運輸大臣にかわって千葉県知事が占用許可を与えてきた、このことは認められますね。
  505. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 港湾管理者である千葉県知事がそういった占用許可を与えておる、こういうことでございます。
  506. 小川国彦

    小川(国)委員 そのときに、この図面にありますような護岸がつくられておったという事実は御承知でございましょうか。
  507. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 護岸と申しますか、その周りを囲むそういった構造物があるということは、最近私たちも承知いたしております。あったということを承知しております。
  508. 小川国彦

    小川(国)委員 占用許可というのは、永久構造物はつくらせないということで、例えば太平洋岸のいろいろな、千葉県で言えば九十九里の海岸にもたくさんのよしずの海の家がありますが、ああいうところは永久構造物はつくらせない。ですから、海の家は夏七、八月稼ぐと全部取っ払って砂地にするということで、あるいは道路沿いとか河川沿いの、いろいろな河川敷とか道路敷を貸す場合には、これはいずれも占用許可というのは一時使用ということで、永久構造物、コンクリとか鉄骨を使うものはつくっちゃいけない、こういうことになっておるわけなんですが、これは、こういうコンクリを入れた、三メートルも高さがあって、三、四メートルもまた幅がある立派な護岸堤をつくってあったのですが、これは占用許可の範疇に入るというふうに御判断になっていたのでしょうか。
  509. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 占用許可をおろします場合に、その構造物の形式といいますか、耐用性といいますか、そういったことについては特段の定めはございません。  ただ、現実にこの港の中というふうなことがございまして、御案内のように水の流れもある場合もありましょうし、波が押し寄せる場合もありましょうしというふうなことで、そういったものに耐えるものを多分お考えだろうと思いますから、結果的に、それは時にはコンクリート構造物になる場合もございますし、それから鉄の構造物になる場合もございますしというふうなことでございます。幾つかそういった事例はいろいろなものがあるというふうに思っております。
  510. 小川国彦

    小川(国)委員 皆さんの方、専門家がいるので、その港湾水域の中につくられる施設は二つしかないというのですが、その二つにこれは入りますか。
  511. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 申しわけございません。今質問の御趣旨がちょっとわかりかねまして、申しわけありません。
  512. 小川国彦

    小川(国)委員 もう少し具体的に言いますと、港湾区域の、公有水面埋立法の第五十条、施行令三十三条で、こういうところにつくれる占用許可の永久構造物は、水産物の養殖場あるいは船ドックというふうに限られているということなんですが、その点は御承知でございましょうか。
  513. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 その二種、二つのものに限定されているということは承知いたしております。公有水面埋立法五十条の問題でございますね。承知いたしております。
  514. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、これはその中に入るということでございますか。
  515. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 今回の構造物はそれには当たらないということでございます。
  516. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、その当たらないものをお認めになってきたわけでございますか。
  517. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 港湾法に基づきます占用許可の申請があり、そしてそれに対して占用許可がなされたということでございまして、いま一つ、先生今御指摘の二つの、ドックとそれから養殖場でしたか、この二つは公有水面埋立法によってそういったものについては埋め立ての免許を取らせるといいますか、免許を取ってやる、こういうことで、おのずからその対象が別の話として御理解いただきたいと思いますが、おわかりいただけますか。
  518. 小川国彦

    小川(国)委員 この海はいずれも、公有水面である限りは、公有水面埋立法の対象になるわけですよね。そうすると、その対象内にあるものはここに限られるということになるのじゃないですか。
  519. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 公有水面の中で埋立工事をやる場合には、確かに埋立法の定める手続によりまして免許を取ってやっていただくということでございますが、今回の話題の、先生がおっしゃいます。そのコンクリートの護岸といいますか防波堤といいますか、そういったものに囲まれる水面については、そういった埋め立てというものとして概念しないで、占用許可という手続でもってそういった構造物を設置することを港湾管理者が許可をする、こういうこととして処理をいたしております。
  520. 小川国彦

    小川(国)委員 じゃ、その点はまた時間がかかりますので、議論を先にさせていただきまして、皆さんはここを、周りが埋め立てられてしまったので、港湾区域として必要なくなったから用途廃止したと言うのですが、周りの埋立許可を全部したのは運輸大臣なんですよね。だから、このゴールデンビーチを残して周りを埋め立てる状況をつくったのは運輸大臣。しかも、私から言わせれば、何でこういう占用許可を取り消ししなかったのか。普通、こういうところを、この周り全部、全面埋め立てるときに、一私企業に一時使用の許可を与えたのは取り消しをして全部埋め立てるというのが常識なんですよ、あらゆる工事をやる場合。目玉みたいにこんなところへ、中を残して周りだけ埋め立てをやってしまって、だから、ここが港湾区域から外れだというのは、外れるようにしたのは運輸省だ。運輸大臣が免許を与えているんですからね。認可を与えている。いかがなんですか、この点は。
  521. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 今の問題は、まず占用許可というものがあって、そこで一定の活動といいますか行為がなされていた。そういうことを前提として、時間的におくれて公有水面の埋め立てをやろう、ないしは埋め立ての免許の出願がなされた、こういうことでございますので、その免許をおろすに際して、周辺の関係者、利害関係人とのいろいろな調整を図った結果、やはりそういった周辺の利用の実態というものは是認をしなければならないという認識に立って、そういった事実は事実として認め、そしてその人々との調整のもとでそういった埋め立ての免許が出された、こういうことでございますので、埋め立てするに際して直ちにその残った部分の占用許可を取り消さなきゃならないというふうに直ちに考えることはいかがなものか、かように思っておりますが、いかがでございましょうか。
  522. 小川国彦

    小川(国)委員 いかがでございましょうかと言われたら、これは大変あれなんですが、皆さんの方もっと自信がなきゃいけないのですよ、いかがでございましょうじゃなくて。いかがでございましょうかと聞くのには、自信がないことなんですよね、私から言わせれば。  今まで占用許可を取り消ししないでこれだけの埋立事業を県がやるときに、何でおまえ目玉みたいにプールに貸したところを残しておくんだというのが国の立場じゃなきゃならないんですよ。  これは、この当時の知事が、非常に三井不動産を大切にしたり、船橋ヘルスセンターを大切にした元知事がいまして、現国会議員ですが、そういう人が一生懸命応援してきたから運輸省もそれに顔を立てたのかどうかわからないけれども、埋立地の真ん中を目玉抜いたんですよ。目玉焼きじゃありませんがね。これはひどいこの埋め立て問題。これは、運輸大臣、いらっしゃいますか。――こういう問題についていかが御判断なさいますか。
  523. 山下徳夫

    山下国務大臣 これはもう難しい問題でございまして、私、ちょっとどうも知識がございませんが、技術専門の局長判断に任す以外にはないかと思います。もちろん、そのことによる責任は運輸大臣にあるわけでございますけれども、御答弁に対しては、私はあなたの御満足のいく答弁はちょっとやる自信がございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
  524. 小川国彦

    小川(国)委員 これは総理がいたら、閣僚みんなかえてもらわなきゃならないですよ。大蔵大臣も運輸大臣も、みんな頭が悪くなっちゃって。  次に、建設大臣、ここがまた都市計画法の開発行為の許可をなしに全部埋めちゃったんですよね。この手続がいまだになされていないということなんですが、この事実については、船橋市や千葉県から再三建設省にも、無断で埋め立てちゃってどうしたらいいかという相談が来ているようでありますが、どういう方針をお出しになりましたでしょうか。
  525. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 都市計画法上、都市計画区域におきまして建築物の建築あるいはレジャー施設等の工作物の建設を主たる目的として土地の区画形質の変更を行う場合には、開発行為に該当して、原則的に開発許可を受けることが必要でございます。  そういう前提のもとで、御質問の船橋市のゴールデンビーチにおける埋立行為について、それが今申し上げました開発行為に該当するか否かにつきましては、いろいろ事実関係等もございまして、現在、千葉県と船橋市との間で検討しておる、また、建設省もそういったことについて相談に応じているという、こういう段階でございます。
  526. 小川国彦

    小川(国)委員 四億円かけて一万一千坪のプールが全部埋められちゃったんですよ。一般の国民がたとえ百平米でも、三百平米、一反歩が最低になっていますか、土地を動かしたり、あるいはまた大規模な、一ヘクタール以上の、ここではテニスコートをつくると言っているのですが、そういう埋め立てをやったときには、これは開発行為の許可なしにやっちゃいけないのですよね。  それで、去年の暮れから千葉県から建設省に相談に来ているのに、この都市計画法違反を断固取り締まるだけの姿勢が建設省にないのですか、これ。
  527. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 この埋め立ての目的としてどういったものがあるかという事実が問題になるのでございますが、そのことにつきましては、一次的には許可権者である船橋市が判断すべきものと思っております。また、それについて県とも相談して決めるべき事実関係のものであると考えております。  いずれにしましても、建設省としてもそういったことについて相談には乗るつもりでおりますし、今後とも乗ってまいりたいと思っております。
  528. 小川国彦

    小川(国)委員 いや、相談に乗るのではなくて、こういう一万一千坪もの土地を四億二千万もかけて埋め立てをした、こういうのが都市計画法の届け出なしに行われるとしたら、どういうふうに判断しますかということなんです。
  529. 天野光晴

    天野委員長 はっきり答弁しなさいよ。
  530. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 これが単なる埋め立てである限りにおいては、開発許可の対象にはならないのです。建築物、一定の建築物なり特定工作物と言っておりますが、一定の要件のものを目的としたものについては開発許可の対象になります。そういうことがありますものですから、そこら辺のことは事実関係がございますので、現在、市と県の間でまず相談しているというところでございます。
  531. 小川国彦

    小川(国)委員 単なる埋め立ての場合は、これは運輸大臣の運輸省に聞けば、公有水面埋め立ての手続は要らないんだ、土地だ、こう言うのですよ。そうすると、今度おたくの方、建設省もまた要らないということになったら、こういうところは自由に埋めていいということになっちゃいますか。
  532. 天野光晴

    天野委員長 わかるようにちゃんと答弁しなさい。
  533. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今ちょっと私、言葉足らずだったかもしれませんが、既にここは公有水面ではございませんで、一般的な水面といいますか、を埋める工事でございますが、それが具体的な目的なしに埋め立てられる場合につきましては、都市計画法上の許可は要りません。
  534. 小川国彦

    小川(国)委員 私の質疑時間が過ぎておりまして、大変この問題については残念でございますけれども、このほかまだ地方自治法違反の数々があるのでございますけれども、もう一度改めてこの問題についてはそれぞれの所管大臣に問題点をただしていきたいと思うのですが、先ほど来申し上げた諸点については、ぜひ予算委員会としても御調査をいただいて、この問題の真相究明をお取り計らい願いたいと思いますが、委員長の御見解を最後にひとつ……。
  535. 天野光晴

    天野委員長 先ほどお約束したのはちゃんと始末いたします。(「今の提案」と呼ぶ者あり)今の件についてはまだ話し合いがついておりませんから、これから継続していただいて結論を出せば始末いたします。
  536. 小川国彦

    小川(国)委員 それじゃ、最後に一点だけ。総務庁長官も来ているし、それから会計検査院も今申し上げたいろいろな点について検査なり監察なり、私は取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  537. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 そういう個々の問題は直接やはりそれぞれの所管庁が適切に処理すべきものであるという私は見解でございます。
  538. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 ただいま先生御指摘の国有地処分をめぐる会計経理の点は、これは今後十分念頭に置いて検査を進めてまいりたいと思います。
  539. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に、各所管大臣に、この問題につきましては、もう問題点は申し上げたので、きょう御意見を聞いてない法務大臣、自治大臣にわたる部分もありますので、株式会社ららぽーとのこの一万一千坪の等価交換について、我が省はどういう問題点があるか、これを宿題としてお願いいたしますので、次のときにはわからないことがないように、ひとつ明快な御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  540. 天野光晴

    天野委員長 この際、上田哲君から関連質疑の申し出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田哲君。
  541. 上田哲

    ○上田(哲)委員 いろいろ皆さん御苦労さんです。お疲れですが、最後ですからひとつしっかりお願いします。  昨年のこの予算委員会で母子保健法を六十年度中に改正をするということを確認いたしております。厚生大臣、乳幼児健康診査の充実を中心にした地域母子保健サービスとか、母子健康手帳を乳幼児から入学後まで一貫して利用するなど、この前御確認いただきました趣旨にのっとって作業が進められていると思います。その進捗状況、そしていつごろ御提案になるなど、ひとつ原則的なところでいいですから御報告いただきたいと思います。(「その質問は賛成だ」と呼ぶ者あり)
  542. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 母子保健法につきましては、施策の一層の充実を図るために、法体系の整備について鋭意検討を進めておるところでございます。  なお、実施主体その他の問題について関係者からいろいろさまざまな御意見が寄せられておることを聞くところでございまして、今後地方公共団体等の御意見も十分聴取しながら、昭和六十年度中に結論を得ることを目途に努力をしてまいりたいと思います。
  543. 上田哲

    ○上田(哲)委員 はい、結構であります。約束をしっかり守っていただいて、今、与党席の橋本前厚生大臣等からも、これは大賛成だという声がありましたから、ぜひ六十年度内、お約束どおり立派な母子保健法の改正をしていただくことをお願いをいたしておきます。  さて、ぜひ私きょう申し上げたいのは、日本の子供もさることながら、開発途上国の子供が大変困っている。アフリカの飢えに苦しむ子供の問題は私たちにとって痛切な問題であります。  そこで、きょうは御出席の大臣にぜひひとつお願いがあるわけでありますが、開発途上国の子供たちの死亡、この最大の、最高の死亡原因は何だというようなことを御存じでありましょうか。外務大臣、海外協力の責任者として――いや、わからなくてもいいのです。おわかりかどうかだけ……。
  544. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 よく実態はわかりませんけれども、アフリカなんかへ行きますと、栄養失調といいますか、そういうのが非常に大きいような気がいたします。
  545. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これはおわかりにならなくていいのですけれども、飢えで死ぬ、これはおっしゃるように、栄養失調です。そうじゃないのです。最大の死亡原因は感染症であります。下痢とか肺炎とか、これが八割になるという推定もあるわけでありまして、ここのところに救いの手が行かなければ意味がないのですね。だから、海外協力のお金が描いているとか、物が届いているとか、いろいろな問題がありますけれども、本当の対策という重要な一つはここにあるわけです。これは日本の場合は一歳未満の乳幼児死亡率は千人のうち六人、これは世界一です。一番いいのです。ところが、ひどいところは千人のうち百五十人とか六十、七十というのが開発途上国の数字になっているわけです。ここの部分を何とかして助けていかなければならない。そのためには感染症対策、これはいろいろな方法があるわけですから、一番大事なのはワクチンになりますけれども、衛生教育、環境整備、それから治療と、いろいろな段階が総括的に総合的になされなければなりませんが、私がきょう申し上げたいのはワクチンなんですね。日本が一番すぐれているワクチンがある。このワクチンを海外協力の中心に一つ置いていくということになると、かなりな効果が期待されるわけです。  大体、その中心で言いますと、はしか、ポリオ、それから三種混合ワクチンという御存じのジフテリア、百日ぜき、破傷風、それからBCG、大体これくらいのもので、日本のすぐれたワクチンを持っていって、そして技術奉仕も行ってやっていくということになると、大変な効果が上がってくるというふうに理解しておるのですが、これは厚生大臣、いかがですか。
  546. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 そのようなことも大きな柱になることでございますし、生命と健康という問題でございますので、基本的に重大な問題と考えております。
  547. 上田哲

    ○上田(哲)委員 推定によりますと、今一定の量のこうしたワクチンの努力をいたしますと、大体三年で半減するだろう。これは日本でなければできないのですよ。非常に日本のワクチンはすぐれている。最大の問題は、ネックは、日本のワクチンが高いのです。高いからどうしても後回しになってしまう。目の前にいろいろありながら子供たちがどんどん死んでいく。これをぜひ努力をしていただきたいと思うのです。  これはほとんどJICAなんですね。JICAの数字を見ますと、ことし全部入れて保健事業予算というのが四十一億ぐらいです。そのうち感染病対策は多く見て一割。これは拾ってみなければわかりませんが、大体一割なんですね。非常に微々たるものなんです。だから、そういうものを強化するということが、国際協力の、まさに突出したと総理が自賛されている問題の中身として、日本の声望を高めるといいますか、信頼を高めることの私は非常に大きな意味だと思うのです。これまで例えばアフガニスタン、イエメンなんかに結核やBCGの努力をしていますね。フィリピン、ビルマ、ケニア、これは例を挙げると切りがないからやめますけれども、まさに文化の輸出といいましょうか、そういう協力をぜひやってもらいたい。  そこで、これは大ざっぱな話になってしまいますけれども、JICAの主務官庁は外務省でございますから外務大臣、それから厚生省、文部省等等あります。ひとつ御協議をいただいて、こういう問題についてどれくらいの効果的な努力をしたらいいのか、予算、人員。これはすぐにあしたからということにはならないと思いますが、そういう努力をするということをまず御決意をいただけないだろうか。これは日本がやることによって開発途上国の子供の命が見る見る救われるのです。三年間で半減できるということになれば見事なものだろうと思うので、ぜひその辺の御決断といいましょうか、お聞きしたいと思います。
  548. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほどからお話を聞きまして、確かに、私、栄養失調と言いましたけれども、現地を見ましても、赤痢とかそうした感染が栄養失調から非常に盛んになって死亡というのが多いようで、私も全くそうだと思います。今お話しのように、日本のそういうものに対する医療協力が極めて大事だと。無償では医療関係三割ぐらいやっておるようですけれども、今お話しのように、技術、JICAの面については一割足らずということでありますし、これでもって世界の子供が大きく救われるということならば、これは日本の援助としては最大にお役に立つことですから、ひとつ関係省庁とも十分協議をいたしまして、積極的に取り組んでいきたいと思います。
  549. 上田哲

    ○上田(哲)委員 厚生大臣、ひとつお願いします。
  550. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 ただいま外務大臣から御答弁がありましたとおり、私どもとしてもできるだけの協力をしてまいりたいと思います。
  551. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これはやはり大蔵大臣が御協力いただかなければいけませんので、今この予算でどうしろとは言いませんから、ぜひひとつお願いしたいことは、何とかそういうプログラムをつくってもらわなければいかぬ。私は防衛問題を随分やりましたけれども、あれを出せなんてそういうことじゃないので、今最大の努力だとおっしゃった意味で、ぜひ大蔵大臣の御努力も後ろにつけていただいて、関係各省で努力をしていただいて、そういうプログラムをひとつなるべく早い時期につくって見せてやろう、こういうふうにお約束をいただくことが大変いいことだと思うのですが、それを含めて、大蔵大臣。
  552. 竹下登

    ○竹下国務大臣 専門的知識に乏しいわけでありますが、今の御趣旨の線に沿って私どもも検討さしていただきます。
  553. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ありがとうございました。(拍手)こういう拍手をもらうなんというのは私も本当にいい気持ちで、できればこういう話ばかりやりたい。  そうなりますと、もう一つの問題は、外国のかわいそうな子供に、今のも非常に小さい子ですからそれをぜひ助けるというのは当たり前のことなんだが、外国を助けるためには日本の感染症対策というのが充実しなければならない。これが非常に認識が薄い部分なんですね。感染症患者というのは今日本では確かに減ってはいるのです。ところが、問題のB型肝炎、これは垂直感染などといって、お母さんの体内からキャリアになって子供にいくわけですね。これはそうした問題からいって今後の問題になるであろうし、日本から肝臓のがんをなくす入り口にもなるんじゃないか。あるいはノンA、ノンBの肝炎のためにも非常に問題が大きくなるわけです。風疹もそうですね。それから、早い話がインフルエンザだって、ワクチンが効くか効かないかという話になるわけですから、そういう面で感染症対策というのはこれから非常に重要になるのです。厚生省なんかでは前の防疫課から――ポリオ、やりましたね、あの防疫課から保健情報課になり、今感染症対策課になるわけですが、ここで仕事をしてもらっていますが、ここで、例えば最近プリオンというのが出てきました。厚生大臣、御存じですか。――いや、知らなければいいんですよ。防衛問題じゃありませんから、知らなくていいんですが、プリオンというのは核酸を持っていないのに自分でふえる病原体粒子です。これがウイルスより小さいわけでして、潜伐期間がなくて脳の変性要素となる。つまり簡単に言いまして、言葉は悪いんだけれども、これがぼけ老人の要因だということがほぼわかってきているのですね。こういうふうな問題が全部感染症対策に入るわけですよ。したがって、これからの高齢化社会の中で言うと、こういう問題が非常に大きな問題になってくるということがあるので、日本の感染症対策というものも、今申し上げた海外への援助のためにも非常に重視しなければならないことになってきた。  ところが、今その研究体制が非常に弱くなってきた。日本の衛生環境が上がってきたことは結構なんですけれども、旅行者が非常に海外へ行きますから、海外から帰ってくる旅行者によって持ち込みの感染症というのが非常にふえてきている。例えばコレラ、赤痢、マラリア、ツツガムシ、ほとんどこう入ってくるのですね。赤痢なんというのはないだろうと思っているんだが、実はこのごろ一年に二千数百人ぐらい出ているのですね。  こういうことから何が起きているかというと、外から入ってくるのだが、日本国有のものといいますか土着のものというのがなくなってきたために、研究体制が薄くなる、専門家が減っちゃっているわけですよ。今のような問題が将来に向かって必要だとすると、その専門家体制というものもしっかりしていかなければならない。四十六年に歴史的にドラスチックに消えたポリオでも、今外来ウイルスのために二、三人出たりすることもあるぐらいです。そういう体例は今後のために、天然痘みたいに世界じゅうなくなったものと違いますからね、それをしっかりしなければならないということが今、文化国家としての非常に重要な問題になってくる。厚生大臣、そういう問題を今しっかり力を入れなければならないんだということで御理解いただけますか。
  554. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 多少発病が減ったからといって油断をしておるということは一番禁物だと思いますので、そういうふうに対処してまいりたいと思います。
  555. 上田哲

    ○上田(哲)委員 結構です。  そうしますと、具体的に御要望申し上げておきたいのは、厚生省の機構の中でどうもこれは軽んぜられそうです。十月から省令改正で多分おやりになると思うのだが、この伝統的な防疫課、保健情報課、感染症対策課が結核難病課と一緒になって一つの課になる。まあ名前も決まってないようですが、重視しないわけではないから感染症対策室というのはお設けになるようだけれども、ほかがウエートが低くていいなんということを言うつもりはさらさらないけれども、これは今申し上げた開発途上国の子供たちを救う、救える唯一の国の能力ということからいっても、我が国のこれからの感染症対策の問題からいっても、非常に重視しなければならないことだ。そういう意味で、何か行革というような言葉とかなんとかの中で消えてしまわないように、十分にそこに力を入れていただくということを具外的にひとつ厚生大臣にお約束をしていただきたいのです。
  556. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のように統合するわけでありますけれども、しかしながら、従来からの業務に支障のないような十分な予算と十分な人員を確保いたしたいと思います。またなお、国立予防衛生研究所の新築も考えております。その陣容もうまく利用してまいりたいというふうに思っております。
  557. 上田哲

    ○上田(哲)委員 この際、唯一の女性閣僚であられまして、医療問題には長いキャリアをお持ちの石本長官から、そういう立場から今申し上げた問題についての御激励も御助力もいただきたいと思うので、一言どうぞ。
  558. 石本茂

    ○石本国務大臣 的確にお答えできますかどうかわかりませんが、今先生の申されますことを聞いておりまして、衛生思想も徹底しているし、保健指導も徹底しているという思い上がりと申しますか、そういうものが今日やや出てきているように私は思っております。そうした意味合いにおきまして、この問題はなおざりにすることなく、発展途上国への援助ももちろんでございますが、自国の防疫とかそれから国民一人一人の健康を保持し守るために、特に母子保健対策というものを根っこにいたしまして、しっかりこれは頑張っていっていただきたいし、育成もしていっていただきたいと願っている一人でございます。(拍手)
  559. 上田哲

    ○上田(哲)委員 拍手が沸くんだな、これはいい気持ちですね。どうもありがとう。手を上げたくなるぐらいです。  じゃ、気持ちよくなったから、最後に残ったので大蔵大臣、財政的にもぜひひとつ頑張っていただきたい。
  560. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いや、思わず問答を聞いておって感動いたしました。
  561. 上田哲

    ○上田(哲)委員 まことに私も、これからこういうテーマばかりやりたいと思います。  これで終わりたいのですが、一つだけやはり、不意に変わって申しわけないのだが、またちょっと、きりっとしなければならない質問をして申しわけないが、岩国で今月の二日に在日アメリカ海軍司令官の招待で、岩国の河上武雄市長と藤野忠雄市会議長、それから白井岩国商工会議所会頭、安本青年会議理事長、それから陸上自衛隊第三師団長の土屋陸将、海上自衛隊の呉地方総監の内海将、防衛施設庁呉防衛施設局の向井総務部長らの方々が、太平洋上を航行中のミッドウェーに飛行機で招かれて行った、こういう問題が起きております。  このミッドウェーは、一日の午前七時に横須賀を出港して関東沖の太平洋上を航行中だったわけでありますが、言うまでもありませんが、航行海域は領海でしょうか、公海でしょうか。
  562. 西廣整輝

    西廣政府委員 公海上であったと聞いております。
  563. 上田哲

    ○上田(哲)委員 当然のことだと思うのですね。そうすると、このミッドウェーは言うまでもなく核兵器搭載艦であります。日本の港に入るときはこれを取り外すかなどという議論でいろいろありますけれども、公海上を航行している空母ミッドウェーというのは当然に核を搭載していると推定さるべきものであります。  よく今まで、例えば横須賀の横山市長が五十七年の十二月にミッドウェーに乗ったこともありますけれども、これは寄港中、船が入っているときであります。公海に出て一種の作戦行動をとっているときに、当然核を搭載していると思われる船に、わざわざ向こう側の飛行機に乗って出かけるということは、友好招待の限度を超えているということにならないでしょうか、外務大臣。
  564. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今初めて聞いたわけですけれども、核を搭載しているか搭載していないか、その辺のところははっきりわからぬわけでしょうし、日本に入ってくる場合はもちろん核は搭載しないという、これは事前協議もあるでしょうから、ただそれだけでもって別にそう大きな問題にはならないように私は思います。
  565. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これは押し問答になることを避けますから、それ以上言いませんが、当然の常識として、日本に入港のときにはわざわざ外してくるということを認めるとしても、公海に出て作戦行動中のミッドウェーが核を搭載していなければミッドウェーではない、こういうことになると思うのですね。そこへしかも、さっき申し上げたように自衛隊の第三師団長とか地方総監とかこうした人たちが一緒になって、しかもミッドウェーの飛行機C2輸送機で行ったということは、これは大臣、載っているか載っていないかわからぬとおっしゃるけれども、この形態というのは少しく限度を超えているというふうにお考えになりませんか。
  566. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 岩国には御承知のように基地がありますし、岩国の市長初め基地の米軍とは非常に親密な間柄にあるわけですから、そういう意味での親睦といいますか、親善的な乗艦という意味なら、今おっしゃるようにそう危険なものではないように私は思います。
  567. 上田哲

    ○上田(哲)委員 危険かどうかという問題ではなくて、節度というのがあるのじゃないか。この場合は、向こうへ招かれて昼飯を食った。それはいい。いいかどうかはとにかく、さほど問題にしようとは思わない。地元ではいろいろな問題が起きているようですけれども、市長は休暇をとって行ったんだと言うのだが、この日は日曜日ではない。そして市長、議長とも公用車で行ったというような問題がある。それもいいとしよう。船の上で例の問題の、今厚木で問題になっていて、三宅島で問題になっている艦載機離着陸訓練を一緒に見学をした、ここまでは問題が一体妥当を欠いているのじゃないかという気がするのですね。  そうなると、これは八月にミッドウェーが入港したときに、岩国基地へ艦載機がやってまいりまして十日間の訓練をしたなんということがあるから、そういうことに対して一種の下ごしらえといいますか、その種のムードづくりみたいなものになっているのではないかという地元の声が強いわけであります。これは、私は、市長の問題やその他の問題は地元の問題ですから、国会でどうこう言うべきではないかもしれませんが、少なくとも自衛隊の幹部がこういう形で一緒にやるということが日常化されること、特に洋上航行中の空母ミッドウェーだということを考えると、節度あるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  568. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは岩国の場合は、特に基地という特殊性がありますし、やはり岩国市の市長を初め関係者がそうした基地の対応あるいはまた基地との関係のあるアメリカの軍艦等について知識を得るということは、基地の安全性であるとか、あるいはまた日本の立場というものをわきまえる意味におきましても、私は、見学という意味でむしろ、節度と言うとあれでしょうけれども、それは許されることじゃないだろうかと思うわけであります。(「横須賀でやっているよ」と呼ぶ者あり)
  569. 上田哲

    ○上田(哲)委員 横須賀でやっているという声が隣でしますけれども、それは話が全然違う。私は、洋上のミッドウェーだから、こういう問題のときにはやはり節度、慎みを持つべきではないか。もしそれを厳しく言えば、外務省としては、そのとき日本の市長が行くのですから、自衛隊の幹部が行くのですから、じゃ、そのミッドウェーには核が搭載していたのかどうかも確かめなければならないという理屈も出てこないではない。私は、そういう意味で、わきまえを持つべきじゃないかということを申し上げることによって、見解の相違のままにしておきましょう。どちらかということにしてしまってはいけない問題かもしれません。ぜひそういう点で深い御考慮をいただくことにしたいと思います。  前半に私は皆さんから大変温かい拍手をいただいて、世界じゅうの子供を救うのだということで、大蔵大臣、創政会の会長まで、そして両候補をそろえて、婦人大臣まで含めて感動なんていう言葉をいただいたのだから、その気持ちをそっと大事にしておきたいので、きょうはあえて五分間も残して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  570. 天野光晴

    天野委員長 これにて小川君、上田君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十五日午前十時より開会し、一般質疑を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十二分散会