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松浦委員 抽象的な
言葉で言われて、そのことを否定する何物もないのですが、問題は
政策の後の決定だと思うのですよ。
これは
総理大臣にぜひ聞いていただきたいのです。これは「経団連月報」です。この中のほとんどは自民党に政治献金をたくさんしておる人
たちの集団ですよ。その雑誌ですね。その中にこういうことが書いてある。これは十二月号です。「
日本の
政策風土の大きな欠陥は、
政策目標(たとえば内需主導型成長の実現)を掲げることが
政策だと理解する点にある。」内需拡大だと言えば、それが
政策だと思っておる。「本来の
政策とは、
政策目標を明確にし、その実現を担保する
政策手段がセットになっていなければならない。」こう言っておるのですよ。
ところが、
言葉では確かに今言われたようなことだと思う。しかし、それはあくまでも
政策であって、それに伴う
政策手段というものが存在をしておらない。今度の予算の中に、今言ったような
経済摩擦を解消する、内需を拡大をする、そういうための
政策手段というのはないに等しいと私は思うのです。その最大の理由は何か。それは、六十五年に
赤字依存体質から脱出をいたします、そういうことを中曽根さんは「一九八〇年代
経済社会の展望と指針」の中で訴えられた。一方では、土光臨調から「増税なき財政再建」というこのテーマを与えられた。ところが、よくよく考えてみたら、六十五年に
赤字依存体質から出るということと「増税なき財政再建」というのは、これはもともと絶対に両立しない
政策なんです。
そこで私は、この「一九八〇年代
経済社会の展望と指針」を読ましてもらいました。ところが、ここにある
数字というのは、百
国会で若干、百一特別
国会で若干議論されましたけれども、まだまだこれはまともに議論されておらない、調べてみたら。百臨時
国会でも議論されておりますよ。この中にある
数字というのは、名目成長が七%から六%程度ですね、七から六程度、それから実質成長が四%程度、消費者物価が三%程度、完全失業率が二%程度、卸売物価が一%程度、これだけしか書いておらぬ。ですから、この「展望と指針」を指して、七、六、五抜けの四、三、二、一展望と指針、こう言うのですよ。五だけ抜けておる。ここにおられる
大臣の中のだれかが言った。実際そうだと思いますよ。
ところが、ここにこの「展望と指針」をつくったときのバック
データがある。私のところには、本物がここにあるのです。いろいろな
指標を書いたのをここに持っておるのです。しかし、これを出すとまたいろいろそごがありますので、これをこちらに書き写したのです。ところが、これを見ますと、いずれにいたしましても、環境改善型、環境停滞型、支出趨勢型、支出抑制型、そして中間型一、二と、こうしてある。きのう
吉田委員のあれで、租税負担率が幾らかというような
数字を大蔵省が
単純計算をして出された。そんなのはみんなこれに載っておるのです。これを
出していただかなければ、我々がいろいろこの予算を修正をしたりあるいは読み取る場合、あるいは本当に六十五年に
赤字依存体質から抜け出すためにはどういう
政策を我々
野党はやるべきか、「増税なき財政再建」というのはどうすべきかということがわからないのですよ。
これでいきますと、
昭和六十五年度にはいずれにしても、
赤字国債発行額は、ケースⅠで十八兆三千億、ケースⅡで十五兆一千億、ケースⅢで二十三兆四千億。そして租税負担率は環境改善型で二七・五、環境停滞型で二七・二、中間型で二七・三、支出趨勢型で二八・○、支出抑制型で二七・七。その間の社会保障負担は毎年九%ずつ伸びる、社会保障移転は八%ずつ、そういうふうにしてずっといろんな
データを入れて、そして公共投資総額は二百四十三兆、支出趨勢型は二百六十一兆七千億、支出抑制型は二百二十四兆五千億、こういう
計算をいたしまして、それじゃ六十五年度の租税負担率はどうかと言えば二七・三、それに社会保障負担の九%ずつ、こう国民所得比に
計算をしてまいりますと、おおよそ一三%ぐらい、合わせて四〇%近くの負担になるというのがこの
データでも出ておるのですよ、このバック
データで。
ですから、どんなにしてもこの
数字、七、六、五抜けの四、三、二、一という
数字を実現するためのバック
データをあらゆるもので六つのケースにかけてやってみたが、結果的に全部
赤字国債に依存せざるを得ない。ただ一つだけ支出抑制型、全く
政府最終消費とかあるいは固定資本形成とかいうのをずっとゼロで抑える、そうすれば六十五年度で
黒字が約十兆四千億になって、ほぼ財政改善ができるという
数字なんですよ。これはどっちからどう見ても六十五年に
赤字体質から脱出できる体質ではないという結論なんです。にもかかわらず、こちらでは六十五年に依存体質から脱出いたします、まさに
言葉だけで、脱出するための
政策、どうやって脱出するかというテーマが与えられておらない。テーマが与えられておらなければ、結局我々はこれを信用する以外にない。そうでしょう、
政策なんだから。それをやめるとすれば、増税しなければもうどうにもならない。
ですから、ずっとこの予算
委員会を通じて議論をしてきた
過程では、もう増税するというレールが敷かれておるんだよ。そういう人を相手にして幾ら議論してみたってかみ合わないはずですよ。いろんな人が一生懸命
質問するけれどもかみ合わないんだ。もう
政府は初めから、これを見ても六十五年からは増税しなければやっていけぬとバック
データが
出しておるんだから。だから、このバック
データというのは非常に大切なんですよ、国民にとっては。まじめに予算を議論すればするほど、この
データというものはここに
出してもらわなければならぬ。
何遍お願いをしても
出してくれない。
予算審議するのに、正直にあなた方はいろいろな
データを
出してきておるのです、さっき言ったように。だから今まで私はこれだけの議論ができた。これからいざ予算に入って具体的に議論をして、
野党が予算修正をして、どういう点を修正するか。六十五年の
赤字脱出はこれは難しいじゃないか、もっと緩やかに先に延ばしたらどうかとか、増税しなくてもそうやればやれるじゃないか、あるいはどうしても六十五年度こうするならこういう方法があるじゃないかという議論がかみ合うのですよ。
データを
出してください。この
データがなければ審議できないじゃないですか。
委員長、そうでしょう。