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中野(寛)
委員 総理のその御答弁に期待をしたいと思います。また臨教審にも期待をし、中間答申等ぜひとも早く出されて、早く実行に移されることを期待するものであります。
あと、留学生の問題をお聞きしたいと思いましたが、ちょっと時間の
関係もありますから、次の
機会にいたします。
さて、次にマスコミと青少年、去年は自民党の三塚議員がおやりになりました。おととしは私がやりました。何か二人で連続して交代にやっているみたいになりますが、ただ雑誌の問題だけではなくて、いろいろな真剣な問題があると思います。
去年の八月、この国会で有害図書の自主規制の要望をしようということで国会決議をやろうということで、私も民社党を代表してその相談の一員でありました。各党の代表者の間ではまとまりましたけれども、残念ながら、持ち帰って相談したら、すべての政党がオーケーというわけじゃなかったということで何かつぶれてしまいましたけれども、しかし少なくとも大きな世論を喚起できたし、また業界の皆さんもそれなりに自主規制の努力をしておられるようであります。しかし、何かそういう我々の努力をあざ笑うかのごとく、例えばこういう雑誌が出ているわけです。これは去年の九月に発刊されたものです。国会で問題にして、国会が終わった九月には新しいのがもう出ているわけであります。出版業界の方にきょうも聞きましたら、これはアウトサイダーで困りましたな、こういう話であります。こういうことでは結局どうにもならぬのです。まあごらんください。
その最初の方のグラビアは、今中学生、高校生に人気のある少女隊という女の子三人の歌手のグループのものが載っているのです。これは大学生ぐらいになりますと、もう追っかけないです。私も中学二年と三年の娘がおりますので、その辺のことは詳しいのでありますが、これは中学生、高校生向けの編集です。ところがその内容は、実際そういう子供たちに果たして見せられるものかどうか。とてもじゃないけれども見せられない。はっきりいって、トルコと書いて消しましてソープランド、こういうものがある、お父さんに教えてあげましょうと書いていますよ。値段から場所から、そこのお店の特色に至るまで書いてあります。そこでの遊び方まで書いてあります。十五歳の女の子のセックスの初体験の体験談がずらっと並んでいます。その他ちょっとここでは言いにくいですから、内容は、具体的には省略いたしますが、しかしちょっとでも目を離すと、結局そういう状態なんです。これに対して今後どう対応をしていくかということはやはり真剣に考えなければいけないと思います。
もう一つ、もう時間が限られているのでまとめて申し上げます。テレビの問題です。ここに「日本民間放送連盟放送
基準解説書」なるものがあります。去年の八月に日本民間放送連盟がお出しになった解説書であります。これを拝見いたしますと、まず前書きのところで、「民放連放送
基準審議会では、五十九年度重点業務に「放送
基準の順守徹底」を掲げ、従前にも増して真剣に放送倫理の向上に取り組んでおります。」こう書かれております。そして、その中で幾つか拾い読みをいたしますと、「児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する。」「児童向け番組で、悪徳行為・残忍・陰惨などの場面を取り扱うときは、児童の気持を過度に刺激したり傷つけないように配慮する。」「武力や暴力を表現するときは、青少年に対する影響を考慮しなければならない。」「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じをいだかせないように注意する。性に関する事柄は、家族が揃って視聴した場合、露骨な表現描写をすることによって困惑・嫌悪の感じをいだかせないように注意する。」「性衛生や性病に関することがらは、医学上、衛生上必要な場合のほかは取り扱わない。」「一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも、極度に官能的刺激を与えないように注意する。」「性的犯罪・変態性欲・性的倒錯などの取り扱いは特に注意する。」「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現するときは、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。」等々が書かれてあります。書かれてあることは大変立派であります。
しかしながら、これは「フォーカス」のコピーです。あるテレビ番組です。完全に全裸であります。こういうのは今やざらであります。そして、去年十二月の新聞のテレビ欄、朝日、毎日、読売、いろいろありますが、別に新聞社は
関係ないのであります。このテレビ欄を見ますと、大体夜の十一時台、随分すごいことが書いてあります。「TV海賊チャンネル 過激!絶賛ティッシュタイム」、「ティッシュタイム」ってわかりますか。ちょっと説明しにくいですから、後で。「ミッドナイト六本木 Dr荒井の性感マッサージ秘技全公開!!」これは普通の新聞ですよ。そして「女子大生もっといじめて」というような番組もありますね。クリスマスになりますと「NY情報興奮Xマス特集」とか「裸の報告書!衝撃!!性のコレクターたち 絶倫男と五人妻 夫婦交換千数百回」こんなことが大新聞に堂々と載っているわけです。これはすべての新聞に同じことが載っているわけですからね。
さあ、それが果たしてこの放送
基準に合っているのでしょうか。恐らく、善意に解釈をいたしますと、放送局の幹部の皆さんは守りたいと思っているのだろうと思います。しかし、今やその放送局の中でもこれを守ってもらうということはできないのだろうと思います。放送局の中さえもどうしようもない。そしてその結果こういうのが誕生してくるわけです。女子大生を並べて裸にして喜んでいる。まあ大人が見て喜んでいる分には、それはそれで結構です。私はそこまでやぼなことは言おうとは思いませんけれど、しかし、果たして家族でテレビを見ているという前提でつくられた番組にそういうことがあっていいのでしょうか。
これは報知新聞でありますが「TVは露国会戦」、それでテレビ局側は強気で批判はゼロだと言っている。しかし一番
最後には「世も末の感じ これでいいのか」と言って評論家が、こんなことでは困ったものだ、世も末じゃと書いてあります。しかしながら、この新聞にも大人が興味を引きそうな写真はきちっと載っているわけであります。おまけにここで「「いかせます」「桃色ショッキング」「ティッシュ・タイム」「顔も赤らむこの企画」とこうなっているわけであります。これはもう意図的にやっているわけです。そして、これはサンケイスポーツです。「オナニーのススメ三分間で一発」こうなっています。おまけに、そこでこれはよくテレビに出てくる映画監督ですが、中学、高校生はティッシュ仲間だと、こう書いてある。明らかに中学生、高校生が見ていることを意識し、それを対象にしてつくられているわけであります。
こういう状態に対してどう対応するのか。法律をつくれば、またこれは中曽根内閣が何か変な気持ちを起こして何でも統制しようとしているんじゃないか、規制しようとしているんじゃないか、こう言われるかもしれない。それは政治的な問題は困ります。しかし、こういう問題はやはりけじめが必要です。私なりのけじめというか
基準を申し上げますと、見たい大人にはもっと見せてもよろしい。例えば刑法の規定だって外したっていい。欧米で見れるポルノ雑誌だって、日本だっていいじゃないか。見たい大人にはもっと自由にお見せしたらよろしい。しかし、それは表現の方法、公開の場所、販売の場所をきちっと制限しなければなりません。子供と見たくない大人には目に触れないようにするのが、この問題の要請だと思います。見たい大人にはもっと自由に公開したらよろしい、しかし、子供と見たくない大人の目には触れないようにする。そのけじめをいかにしてつけるかなんです。このことについてもう総理にも
総務庁長官にも文部大臣にも郵政大臣にもみんな聞きたいのでありますけれども、まず郵政大臣からお聞きしたいと思います。