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塚本委員 次に財政問題に移ります。
「増税なき財政再建」とうたってまいりました。しかし、既に
大蔵大臣は本
会議で何かえらい力説なさって、
税制の見直しを御
議論なさったのです。見直しというけれ
ども、もとはといえば、結果として直間比率の見直しになることはあってもそれが
目的ではないというふうに力説をなさったわけです。
私は、一般論として、やはりこの際はいわゆる直接税という個人の所得税及び法人税が高過ぎるということを直したいという気持ちもあります。しかし、それを直すということとともに、もうこの財政というものは、わずか三十五、六兆の収入に対して三倍半と言われる百三十三兆に至ろうとする国債の発行、いわば借金をいわゆる食いつぶしてしまったという借金財政の
日本の国の財政を立て直すためには、どんなに増税しても無理だからどこかでごっぽりと大型の税金を余分にいただかなければやり切れたものじゃない、インフレを今あふるわけにはまいらぬ
政府の
立場に立つと。こういう図式から、いわゆる大型
間接税を言えば国民から不興を招くので、
税制の見直しということで、そのことがきのうから本日にかけての
矢野委員の御
質問のような形になってきたと思います。
私は率直に申し上げまして、やはりこの際は「増税なき財政再建」は堅持すべきだ。それには、例えば企業に例えるならば、年収の三年半分を超える借金がある、もはやサラ金でもこんな企業には貸してくださらない、そういう状態です。そういうときには、まず企業は何をするか。保有資産を売って、そうして借金の引き当てをする、これは常道です。だからこそ後
藤田さん、あなたが一生懸命行政改革をなさってみえるということだと思います。
それで、この際思い切って
政府がまず持っておる土地の、銭こになるものといえばまず土地なんです。東京都内にあるところの土地を一度吐き出したらどうでしょうか。
総理が御苦労なさって、民間活力
委員会を私的におやりになった。そうして西戸山の開発等もおやりになった。私はなかなか先見の明がおありだと思います。やってみるならば、一つ出すだけで一兆円ぐらいの金になる土地がざくざくとあるじゃありませんか。一兆円にならなくたって三千億か五千億のものがいっぱいあるじゃありませんか。まず持っておるものを出していただければ、公共事業なんかしなくたって、
日本の国はもうビルが建てたいのです、香港を初めとして、
日本へ雪崩を打って事務所や貿易の拠点をつくろうとしている中ですから。ついこの間のニュージャパンだって、三百万円と言っておったのがもう三千万円と呼ばれておる。一坪ですよ。十倍にあっと言う間になっているのですよ。こういう時代なんです。それはもう世界じゅうから、
日本が国際貿易の中心としてきておるからこういうことになってしまったのです。あっと言う間に十倍なんですよ。
だから、しめしめという気持ちはないけれ
ども、
政府のお持ちになるところをこの際出せるだけお出しになったらどうでしょうか。そうするならば、五兆や十兆の金はすぐ出てくる。特に三大都市圏、こういうところのものがまず裸になれば、そこへ建設会社等やあるいはまた商社が、どんと
自分の金で仕事をしてくださるのですから、あなたがおやりになった民間活力
委員会、もう少し民間人の知恵を絞って、大臣などに任せておくものだから変なふうになってしまうのですよ。民間人が、きちっと出したら、あの土地欲しい、この土地欲しい、みんな彼らウの目タカの目になって欲しがっておるのですから、そういうのをお出しになったならば、幾らでも、それこそ気の遠くなるような金が東京都内だってごろごろと遊んでおるのです。まずそれを切り売りをなさることが第一。
第二は、次に、電電が幸い、もうこれは御承知のとおり民営化されたのですから、全部これは国債償還に充てるという
政府の方針をお決めになった。三分の一は
政府が持っても三分の二は売るのでしょう。あの電電に比べて小さいKDDでさえも、五百円の株が六十倍の三万円になっているでしょう、わずか一〇%の配当でありながら。一兆円と想定されておりまする電電なら、KDDと比べても六十兆円でしょう。少なくともこの倍はあると言われておるでしょう。三分の二取ってみたって五十兆や六十兆になるじゃありませんか、売り方さえ公平にきちっと
考えるなら。毎年赤字国債の償還、六兆ないし七兆は、これだけずつ売っていっても五、六年は消していかれるじゃありませんか。
第二陣には、御承知のとおり専売公社が来るんでしょう。これは幾らになるかわかりませんが、世評では五兆か十兆にはなると言われておるでしょう、取りはぐれがないところの独占的たばこでございますから。
そのうちに国鉄の貨物駅全部売り払ったらどうでしょう。総裁、おいでになるから後からお聞きしようと思っていますが。借金なくなりますよ。その後で分割・民営にしてみたら、これだって五十兆や八十兆の金にはなるはずだと思いますよ。東京駅だって一兆くらいの資産はあるでしょう。新宿、いかがでしょうか。池袋、上野、新橋とこうやってみなさい、全部一兆円くらいの
規模でしょう。これを売ってみたら、百三十兆の金は穴埋めできて、赤字国債だけではなく建設国債だって穴埋めできるじゃありませんか。
足りなければ住宅公団もついでにお売りになったらいかがでしょうか。民間住宅会社は邪魔になっておると言っておる。三十五万戸の建設に対してわずかに二万戸しかようつくらないじゃありませんか。そして、人が契約したら、
自分たちは国土法に引っかからぬからと言って倍の値段で土地だけ横取りしていっている。ついでに住宅公団も払い下げいただけたら、百三十兆から百五十兆には全部申し上げただけでなるじゃありませんか。増税なんか必要がない、減税ができると私たちは踏んでおるのですよ。ちょっと大ざっぱですけれ
ども、これは株価になるんだから売ってみないとわかりませんから。
ですけれ
ども、そういう状態のときに、慌てて
竹下大蔵大臣が言葉をごまかして一日
国会をストップされて、そうして言い逃れをするなんというようなぶざまな形をするよりも、それだけ
政府みずからが血を流し、肉を切って、なおかつ足りなかったときには、国民は増税を
理解しますよ。我我は増税しようと言おうじゃありませんか。
政府みずからがやることをやらずにおいて、官僚国家で国民だけ絞り取るなんというような形は断じて許さない。そんな態度だからこそ国民は増税を逃げるんでしょう。負担率の問題じゃないと私は思いますよ。
幸いにも当
委員会におきまして、
国会におきまして、電電が協力してくださった、専売が協力してくださった。総裁も後から協力したい、これは言明をしていただこうと思いますが、国鉄。三公社を払い下げてくださるだけだって百兆近く出るじゃありませんか。その前に、
政府が国有地を、各省の事業用財産を大蔵省に持ち寄っていただいたらどうですか。あいているところだけでたくさんです。坪一千万円もするようなところに高級幹部が五千円の家賃で住まっているなんというようなばかなことはやめなさい。そういうことをやって、血を出して足りないところがあるならば、堂堂と増税と言ったって、野党も賛成すべきです。なさることをせずにそういうことをするからこういうことになったと思います。大ざっぱな
議論ですから、この
議論はやがて当該
委員会において各種、議員さんたちに詰めていただこうと思います。
それをやった上でなお私は、銀行が預かっておりまする睡眠預金についてお尋ねしたい。預かった預かり主が…(「
答弁要らないのか、
答弁答弁」と呼ぶ者あり)それでは、その基本的なものだけ、
総理も共感をしてみえるようですから、
答弁していただきましょう。