○柴田(睦)
委員 きょうは、
外国人登録法問題特に
指紋押捺問題、また帝銀
事件の平沢貞通氏の問題について同僚議員からいろいろと御
質問がございました。改めて繰り返すことはないと思いますので、私はこの問題に関しまして私たちの日本共産党の立場と私の考えを述べておきたいと思います。そして、要望したいと考えます。
外国人登録法をめぐる問題で言いますと、ことしの夏に三十数万人の登録確認申請が予定されておりますことから、
指紋押捺を中心にしまして社会的な大問題になっております。前回の一九八二年の外登法の
改正のときに、我が党は抜本的な同法
改正の必要性を強調いたしまして、修正案を本
委員会に提出いたしました。残念ながら、各党の賛成は得られず否決されましたけれ
ども、その後の事態の推移特に今日の状況から見ますと、この
改正案は正しかったと考えております。
我が党の案の骨子は、第一に
指紋押捺制度の廃止、第二に登録証明書の常時携帯
義務の廃止、第三に登録、変更など各種申請の際の
本人出頭
義務、写真提出
義務年齢の二十歳への引き上げ、四番目に確認申請の廃止、五番目に登録事項から「職業」、「勤務所又は
事務所の名称及び所在地」を削除する。六番目に罰則の軽減。この六点が骨子でありますけれ
ども、これらの点は今では大きな世論になってきていると言っても言い過ぎではないと考えております。
きょうの議論を聞いておりましても、法務、
警察当局では、従来の在日朝鮮人を中心とする在日外国人を治安の対象として管理するといった、国際人権規約などの精神に反する
考え方が随所に出てまいりますけれ
ども、こういう
考え方を改めて、在日外国人の人権を尊重した、真に国際社会の一員たる民主国家にふさわしい抜本的な
外国人登録法の
改正が一日も早くなされることを願っているわけであります。この点につきまして、法務
大臣いろいろと御答弁がありましたけれ
ども、ひとつなおこの点を十分に検討していただいて、世論の動向、そして今日の社会の必要性にこたえられるようにお願いをしたいと思います。
それから、帝銀
事件の問題でありますけれ
ども、
昭和三十年の五月七日に判決が確定してから既に三十年がたっております。判決確定後繰り返し再審請求が行われまして、またことしの二月十四日には刑の執行免除を求める第五回目の恩赦の出願がなされております。
この恩赦出願につきましては、一般的には監獄の長が職権でなすこともできますし、
本人の出願に対しましては
意見を付して中央更生保護審査会に上申をしなければならないものとされております。これを受けて中央更生保護審査会の申し出があったものに対して恩赦を行う、こうされているわけです。この審査会の申し出は、法務
大臣に対して申し出ることになっております。その際、審査会は申し出に当たって、
本人の性格、行状、違法の行為をするおそれがあるかどうか、
本人に対する社会の感情その他
関係ある事項について調査をする、在監者については社会の安寧秩序を脅かすことなく釈放されるに適するかどうかを考慮しなければならない、こうされております。
恩赦は内閣の決定事項であるわけですけれ
ども、この手続の中において監獄の長の上申といい、あるいは審査会からの申し出の受理といい、法務
大臣がかかわり合いを持ちますし、
大臣の意向、
考え方というのは、この問題については大きな影響を持つものだと思います。かつて西郷法務
大臣が、
昭和四十四年の七月八日の当
委員会におきまして、占領下の死刑囚の恩赦を積極的に行うということを言明されたこともあるわけです。過去四回恩赦出願がありましたが、この中央更生保護審査会の結論は伝えられるところによりますと、一方で再審の請求を繰り返し行っていることが大きな障害になっているやに聞いております。そして再審の請求を出しているという点、これはちょっと別にして考えてみますと、審査会の調査事項とされていることにつきまして、平沢貞通氏はすべて十分に条件を満たしているというように思うわけです。特に高齢であるということなどの諸般の事情を考慮するときには、法務
大臣としては、今私はとにもかくにも恩赦によって刑の執行の免除を決定して、釈放するための努力をしていただきたいと思うわけであります。
この
事件につきましては、私個人から言えば無実だと思っておりますけれ
ども、その点はいろいろ言い分はあると思います。再審については
裁判所が決定することであるとか、あるいはまた人身保護法の請求が出ておりますが、そうした再審の請求をしていることあるいは人身保護の請求をしていることをとらえて、形式的に改悛の情がないというような見方があってはならない。いろいろの
見解はあるでしょうけれ
ども、きょう各党の
委員からいろいろなお話がありましたように、平沢は既に三十数年にわたる拘留生活、絶えず死刑の恐怖の中に過ごした年月があるということを考慮していただきまして、判決の是非、この結論が出るということを待つのではなくて、九十三歳の高齢を重視して、恩赦法の
規定の趣旨も考えながらひとつ自由の身にしていただくべきではないか、これがまた国民の世論になっているというように考えております。
こういう点、まさに法務
大臣の決断にかかっていると思うのでありますけれ
ども、きょうの各
委員の議論も踏まえていただきまして、刑の執行の免除をなすことについて積極的に取り組んでいただきたい、これが私の考えであるということを申し上げておきたいと思います。
そこで、
証人等の
被害についての
給付に関する
法律の一部を
改正する
法律案の問題ですが、提案
理由ではいわゆる過激派裁判等を契機として、要するに国選弁護人の弁護方針と被告人らの裁判への対応方針の相違などから、その身体に害を加えられ、または加えられるおそれが生じた事例も発生していることにかんがみて、国において国選弁護人に一定の
給付を行うこととする必要があるからこの
改正案が出されるという提案
理由になっているわけですが、国選弁護人がその身体に害を加えられ、また加えられるおそれが生じた事例の実態をひとつ
法務省の方からお伺いしたいと思います。