○
鈴木参考人 お答えを申し上げます。
まず第一点の、モスクワ・オリンピック不参加問題についてでございますけれども、御承知のとおり、オリンピック大会への参加という問題は、オリンピック憲章に基づきまして各国ともその国のNOC、国内オリンピック
委員会がこの決定の責任と権限を有しているわけでございます。すなわち、我が国の場合は、御承知のとおり、オリンピックの大会に参加するか否か、またどの競技にどのような規模で参加をするかということは、
日本オリンピック
委員会、JOCの責任と権限によって決定されるものでございます。一九八〇年のモスクワ・オリンピックでは、御承知のとおり、開催国でございますソビエトのアフガニスタン軍事介入ということに対しまして、国際世論の厳しい非難が引き起こされたわけでございます。このため、
日本政府からは、
政府としてのお
立場から
日本選手団の参加は望ましくないとの結論に達し、JOCが適切に対応するよう切望するという旨の御要望が
日本体育協会を通じてJOCに伝えられたわけでございます。JOCといたしましては、もちろん国際的な世論とか、あるいは国内の
政府のそういうお考えとか、こういう背景を踏まえまして、二回にわたりまして臨時の総会を開催いたしました。全
委員がこの参加、不参加の問題について意見発表をし、その後JOCとして投票によって二十九対十三という表決によりまして、同大会へ
日本選手団を派遣しないことを決定したわけでございます。したがいまして、私どもは、この決定というものはあくまでもJOC、
日本オリンピック
委員会の総意によって決められたものというふうに考えております。
また、今後種々の国際大会も行われるわけでございますが、やはりこういう機会に、再びこういうような問題の起こらないように、平素から各NOC相互の連携を密にして、スポーツの大会でございますので、より明るい大会が開催できるように希望し、JOCとしても動いてまいりたいというふうに考えております。
それから、第二点の、
国立競技場の改善点でございますが、これは
日本体育協会もさることながら、私どもの加盟団体がいろいろと使わせていただいている
立場でございますけれども、特に私どもとしましては、国民スポーツの振興と競技力の向上という事業を進めておる現状からいたしまして、やはりアマチュアスポーツの振興のための
国立競技場の有効な施設の活用、それからあの
競技場を利用しての
指導者の育成のためのプログラムの提供やそのための施設の利用、こういうものについて一層の御
配慮をいただけたらと思うわけでございます。また、同
競技場は我が国を代表するメーンの
競技場でございます。しかしながら、オリンピックから二十年を経ておる関係もございまして、今後できるだけ設備、備品の問題でいろいろ御
調整、御検討をいただければ大変ありがたいというのが第二点。
第三点は、多くの人が
国立競技場に集まりますので、あそこでぜひスポーツの関係した資料とか図書とか、そういうものの収集、活用についてさらに、現在もやっていただいておりますが、御推進をいただければ大変ありがたいというふうに考えております。
それから、御質問の第三点の、スポーツの振興に関しての国に対する施策の要望でございますが、私どもといたしましては、平素から行政御当局に対しては、スポーツの実践のための環境の整備ということで施設、それからスポーツの普及には
指導者の育成ということが大事でございますので、
指導者育成のための施策についてお願いを申し上げているところでございます。施設につきましては、
国立競技場を初め公営の
競技場あるいは学校施設の開放、活用等いろいろ御
配慮もいただいているところでございますけれども、今後、より一層そういう施設の
充実等にも御
配慮、それと
指導者養成について何とか資格の認定という問題について御
配慮いただければ大変ありがたいと思います。
最後に、
日本体育協会の
立場で言わせていただければ、特に国際競技力の向上という問題が、国民、特に青少年に与える影響が大きいと存じております。したがいまして、今後のソウルのアジア大会あるいはオリンピックに向かって、私ども選手強化ということを鋭意行わなければならない点、どうぞこれに関して国側のバックアップを今以上にぜひお願いしたいというところでございます。
以上でございます。