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佐藤(徳)委員 それはまさに
実態調査をしていない、こういう裏づけじゃないかと私は
理解せざるを得ません。
そこで、先ほど来から
議論になっております
学校教育法二十八条と百三条の
関係が実はここに存在をしているわけであります。私も
幾つか
調査をいたしまして、その
実態を、資料を持っております。その事例を申しあげますから、その上に立ってひとつお答えをいただきたい、こう思うのであります。
関東のある県の実例でありますけれ
ども、兼務校、さらに兼務校に加えまして援助校というのがあるんですね、御
承知かどうかわかりませんけれ
ども。例えば兼務校の場合、勤務
内容でありますが、週一回、火曜日、木曜日の午後、二つの
学校へ行く事例、三つの
学校に行く事例、四つの
学校に行く事例、これが出されています。それから週三回の場合については、火曜日と木曜日と土曜日である、こういうふうに曜日が定められています。冒頭の
大臣の
答弁の中でも触れられましたとおり、健康診断あるいは検査、診断結果の集計など、あるいは修学旅行の引率、宿泊訓練、こういうものが実は勤務
内容の中に含まれて兼務をしているわけであります。
さらに、援助校につきましては、二校ないし三校持っておられるようでありますが、これも健康診断の実施とかさらに補助、結果の処理であるとか
保健室の整とん、薬品等の
管理、
保健資料の提供、修学旅行引率、
学校医との連絡、
保健指導への参加、マラソン大会の救護あるいは予防接種、宿泊訓練、諸検査の記録整理などが実は折り重なって
仕事をさせられているわけであります。ここで、こういう実際に兼務に当たられている養護教員の
先生方が一体どういう問題点を持っているのか、それを出していただいたものが手元にあります。少し
紹介しておきます。
その第一は、兼務校に行く場合、校長、教頭へ口頭で申し出をするわけでありますが、何かあると極めて不安が残る、ある教師はこう訴えているわけであります。そして、辞令がないのに時間を決め、割り当てた日には絶対に行くように命令をされる。そして、年度初めに連絡がなく、行事の前になって慌てた例な
ども報告をされているわけであります。
さらにまた、援助校でありますが、その援助の
内容が明確でない、そのために非常に混乱を来しているという
実情も訴えられているわけであります。あるいは兼務校に行く場合につきましては、自動車で行くようでありますけれ
ども、それに対してのガソリン代の補償は全然ない。さらに一番大事なことでありますが、児童生徒を一人一人把握できないでいる。これは私は一番養護教員の皆さんが悩んでいらっしゃることであり、そして一番
保健教育の中で大事なことではないか、こんなふうにも受けとめているわけであります。
同時に、二校ないし三校あるいは四校兼務している方
たちの意見というのは共通しているわけでありますが、人間
関係が非常に難しい。これもまた、
保健教育をする場合あるいは
学校教育全体の中での非常に重要な問題提起ではないかと思っているわけであります。さらに、
幾つかの
学校を飛び歩きますから、そういたしますと留守中にかなりの
仕事がたまっておりまして、到底時間内ではこれを処理し切れない。精神的にも非常に苦痛であるというような
状況さえ実は出ているわけであります。
そのほかたくさんの事例が出されているわけでありますが、例えば一つの地区に中
学校にただ一人の養護教員もいない。
心身ともに成長は激しく動揺しやすい時期である中学生に対して、
保健室、養教の
必要性を本当に
感じたという意見も出されてきています。あるいはまた、七学級の
小規模校ではありますけれ
ども、近くにお医者さんがいなくて一般教師の負担が非常に過重である。そういうところに限って、幼稚園、小
学校、中
学校の一貫健康
教育の県指定にもなっているという非常に矛盾した
実態さえ実は出されているわけであります。私も長い間
学校現場の経験がありますから、実感としてよく受けとめることができるわけでありますが、一般
教諭ですと、自分のクラスなどに多くの
仕事がたまっているわけであります。そして、養護教員がいない場合についてはその代行もしなければなりません。そういう悩みも実は出されてきているわけであります。
同時に、皆さん共通して訴えられておりますことは、心の健康が叫ばれている現在、どうしても養護教員が必要である。これは今日の
受験競争、冒頭私が述べたような今日の
状況でありますから、そういう
状況からいって心の健康を取り戻したい、取り戻させてやりたい、こういう願いというものがかなりあるわけであります。
幾つかの事例を出しましたけれ
ども、
提案者並びに
文部大臣から、今日こういう全国的に共通な
実態に対しての受けとめ方と感想をぜひお聞かせいただきたいと思います。