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1985-06-06 第102回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月六日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 愛知 和男君 理事 青木 正久君    理事 亀井 静香君 理事 佐藤 信二君    理事 金子 みつ君 理事 浜西 鉄雄君    理事 草川 昭三君 理事 田中 慶秋君       工藤  巖君    熊川 次男君       武部  文君    中村 正男君       小谷 輝二君    駒谷  明君       塚田 延充君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 利部 脩二君         公正取引委員会         事務局審査部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  清島 伝生君         沖縄開発庁総務         局企画課長   櫻井  溥君         法務省民事局第         四課長     宇佐見隆男君         法務省刑事局刑         事課長     東條伸一郎君         外務省アジア局         中国課長    浅井 基文君         大蔵大臣官房企         画官      北村 歳治君         大蔵省国際金融         局投資第三課長 森  昭治君         国税庁調査査察         部調査課長   友浦 栄二君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     入澤  肇君         農林水産省畜産         局牛乳乳製品課         長       伊藤 礼史君         農林水産省食品         流通局商業課長 高橋銑十郎君         通商産業省産業         政策局商政課長 山下 弘文君         通商産業省産業         政策局商務室長 宮本 恵史君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      林   暉君         運輸省海上技術         安全局舶用工業         課長      田中 正行君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 西村 泰彦君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ――――――――――――― 六月六日  消費者行政改善等に関する請願(加藤万吉君  紹介)(第五三四一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
  3. 中村正男

    中村正男委員 私は、きょうは豊田商事グループ金現物まがい商法につきまして、これに集中して質問をしたいというふうに考えております。  委員長けさ新聞をそれぞれ見られたと思うのですが、朝日新聞では、豊田商事グループ金現物まがい商法でとうとう中国からの帰国孤児の妻もその被害者になっている、こういう報道がなされております。本当に五百五十万円という血の出るようなお金が悪徳商法によって取られてしまっている、こういう実態であります。  既にもうさきの国会でも、また今度の国会の各委員会でこの問題が追及をされておるわけでございますが、現在この豊田商事活動というのは、状況としては被害者あるいは消費者にとりまして大変ゆゆしき事態になっているというふうに思うわけでございます。  具体的に申し上げますと、中途解約の受け付けを既に中止している、満期が来たものにつきましても金の地金を返却しない、弁護士を立てて和解という話し合いにつきましても応じてない、さらに決まった示談金も支払いがストップされている、こういう事態でございます。にもかかわらず、各地にさらに支店をふやして活動を拡大しておる傾向にございます。このまま放置をしておけば、さらに被害全国に拡大をしていく。とりわけこの事件の特徴、手口というのは、社会的に大変弱い立場にある人たち、特にひとり住まい老人だとか、判断思考能力を既にかなり失われつつある痴呆性老人とかそうした人たちに対して、集中的に豊田商事グループ金現物まがい商法でもって金を巻き上げている、こういう事態がさらに広がるというふうに憂慮するわけでございます。  しかも、これは同社の内部の恐喝事件から明るみに出たわけでございますが、五十八年度単年度だけで三百七十四億円の赤字を出している、累積赤字は既に四百十七億、こういう事実も出ておるわけでございまして、この豊田商事グループ企業に対して速やかに法的な制裁を加えなければならないというふうに申し上げたいと存じます。  そこで、今までも当委員会でもこの問題は追及されてきたわけでございますが、残念なことに被害状況、あるいは行政、司法の取り組み内容対応姿勢といったものが社会的に明らかにされておりません。そのこと自体被害をふやしておる一因にもなっているというふうに思うわけでございます。私は、きょうは各省庁出席をしていただいておるわけでございますが、今から具体的に省庁お尋ねいたしますので、ぜひひとつ的確なお答えをいただきたいというふうにまず申し上げておきたいと思います。  最初に、これは消費者保護に一番責任のある経済企画庁お尋ねをしたいと思います。全国消費生活センターに持ち込まれておる訴えの状況について、その件数と具体的な被害金額について報告を求めます。
  4. 及川昭伍

    及川政府委員 豊田商事関係経済企画庁が直接把握しておりますのは、所管しております国民生活センターに寄せられている苦情でありますが、その件数昭和五十九年度に九十八件でございました。  被害金額について申し上げますと大部分が五、六百万以上というふうになっていますが、二千万円以上が二件、一千万から二千万の間が九件、以下九百万円台、八百万円台等が三件とか八件とかいう状況になっております。そのほか、国民生活センターではオンラインネットワークを整備して九カ所の消費生活センターと即時に情報が交流できるようになっておりますが、現在把握しているそれらの件数は三百四十六件でございます。  被害当事者年齢別に見ますと、年齢が判明いたしておるものでは御指摘のように高齢者が非常に多うございまして、九十歳以上が一人、八十歳台が十三人、七十歳台が三十九人、六十歳台が十五人等々となっております。
  5. 中村正男

    中村正男委員 経済企画庁から具体的な数字が出ましたけれども、こうした実態に対して、国民生活局としての具体的な対応と現段階における見解をお伺いしたいと思います。
  6. 及川昭伍

    及川政府委員 最近、豊田商事に絡んでこのような苦情が、私どもではなくて、関係省庁にも多数寄せられているという事情を私どもはよく承知しているわけであります。そこで関係省庁が協議いたしまして、消費者政策の最高の意思決定機関であります消費者保護会議内閣総理大臣が会長で関係大臣委員でありますが、昨年の十一月に開きました第十七回の消費者保護会議におきまして、特に金の現物取引等と称する悪質な取引やその他の消費者被害を防止するため法的保護の充実を図り、不法事犯取り締まり強化等各種法令の厳格な運用を行うとともに、随時迅速な情報提供を行うということを、関係省庁で合意して決定をしていただいたところであります。  その後、この決定を受けまして関係省庁がそれぞれ不法事犯取り締まり等にも乗り出していると承知しておりますし、所管しております通商産業省当局等々においても、パンフレットによる情報提供やら消費者苦情の処理やらに熱心に当たられておると考えておりますし、私どもとしても、関係省庁担当課長会議を実は昨日も開きまして、関係省庁情報交換を密接にやって対応策を協議しているところであります。ただ、残念ながら現在のところこれを取り締まる適切な法的措置が必ずしも明確でないということもありまして、関係各種法令を総動員して適正化を進めているというところが現状でございます。  一方、消費者に対しましても啓発を行うことが非常に大事であるということで、私ども消費者啓発向けパンフレットやその他を頻繁に発行いたしておりますし、政府広報を使いましてテレビやその他でも周知をいたしておるわけであります・  さらに、被害者老人に集中しているということがありまして、それらの啓発がなかなか届かないということがあるわけでございますので、各地消費生活センターを動員いたしまして、特に老人福祉政策の諸部門との連携も図りながら、そのような御老人に対しても消費者啓発の手が届くような方策を講じているわけでありますが、今後とも各省と協力しながらそういう対策を進めてまいりたいと考えているわけであります。
  7. 中村正男

    中村正男委員 具体的な数字報告されたのですが、国民生活センターとして把握されている被害金額の総額、これは集計はできているのですか。
  8. 及川昭伍

    及川政府委員 手元には金額段階別件数は出ておりますが、苦情関連金額合計は今手元に持っておりません。集計すれば当然出てくると考えております。
  9. 中村正男

    中村正男委員 これは、総被害金額集計してきょうの委員会報告していただきたいということを事前に要請しておいたのですが、出てないというのはちょっと遺憾だと思うのです。ぜひひとつこれは早急にまとめて報告をいただきたいと思います。  それから、政府部内の対応姿勢につきましては、私も一つの意見を持っておりますので最終的に申し上げたいと存じます。  続きまして、通産省報告を求めます。  全国消費者相談室に持ち込まれた被害実態件数金額、これも総被害金額を含めてぜひひとつ報告お願いしたい、これが一点。  いま一つは、豊田商事事業内容、いわゆる金の現物まがい商法でありますから、今日まで金をどれだけ豊田商事グループとして購入をしておるのか、その購入先ほどこなのか、また金の保管量とその保管先、さらに金を運用しているということでありますが、その運用先被害者から集めた現金運用先、まずこの具体的な内容について答弁を求めます。
  10. 林暉

    林説明員 初めに、豊田商事の金の取引に関する通産省への相談状況でございますが、本省通産局を含めまして消費者相談室へ五十九年度中に寄せられました消費者相談九千四百九十六件のうち、金にかかわるものは千四百三十六件、このうち国内の金の取引にかかわるものは千三百七十八件であります。その国内の金の取引にかかわるものの相当数がいわゆる金の現物まがい取引と考えております。この五十九年度の国内金取引にかかわる相談のうち金額把握のできるものにつきまして集計いたしますと、相談されました金額合計は約三十九億七千五百万円となっております。  なお、六十年度はまだ通産局等集計がなされておりませんが、四月、五月に本省消費者相談室に寄せられた国内金取引にかかわる相談件数は、四月が十九件、五千八百万円、五月が三十六件、一億八千百万円となっております。  続きまして、豊田商事の金の購入量保管先あるいは現金運用先等でございますが、現在金銀等購入、輸入は自由化されておりまして、個別企業購入量等につきましては通産省としては承知できる立場にございません。  金を現実に保有しているかどうかに関しましては、再三豊田グループ豊田商事等に問い合わせておるわけでございますが、企業上の秘密の立場をとり、これを明らかにしておりません。通産省といたしましては、立入調査権等を持っておりません状況から、これ以上の調査を強行する立場にはございません。したがいまして、保管状況保管先等につきましてはわかりかねるわけでございます。
  11. 中村正男

    中村正男委員 事業内容、金の購入量購入先保管量、さらに金の運用、すべて全くやみに閉ざされたままで被害が広がっておるわけです。再三企業側報告通産省としては求めているけれども回答がない、今こういう答えなんですが、一体通産省としては、このまま豊田グループのそういう回答を容認した形で見過ごしていくのか。先ほど経済企画庁の方から昨日も合同の課長会議をやった、そういう中で当然こんな問題は論議されておるはずだと私は思うのですね。そのあたり通産省として報告がないままほうっておくのか、再度答弁を求めます。
  12. 林暉

    林説明員 こうした苦情に関しまして通産省として具体的にやっておりますことについて御説明いたします。  本件にかかわります消費者相談室に対する相談に関しましては、通産省としてはおおむね次のように対応しておるわけでございます。  基本的には当事者間の交渉または弁護士への相談を勧めております。交渉のノーハウの助言、各地弁護士会法律相談センターへの紹介等を行っております。次に、消費者の希望に応じまして業者に連絡をとり、解約や返金のあっせんを行っていることもございます。また、脅迫的行為によります勧誘などに関しましては、違法の疑いがある場合には警察への通報をあわせて勧めておるわけでございます。
  13. 中村正男

    中村正男委員 私の再度の質問には全く答えがないわけでございまして、通産省に食らいついても仕方ございませんので、次には警察庁お願いをしたいと思います。  まず第一点は、この豊田グループにつきまして今日までかなり逮捕者等が出ておるのを新聞その他で知っておるわけでございますが、現在までの逮捕件数逮捕者の数、それから罪種についてひとつ報告お願いしたいと思います。  二つ目は、各都道府県の警察本部に対しましてこの豊田グループに関して情報収集の指令を出しておられるというふうに伺っておるわけですが、その結果、本庁に寄せられました具体的な内容について報告を求めたいと思います。  まず、この二点についてお答えお願いします。
  14. 清島伝生

    ○清島説明員 御指摘会社関連で検挙した件数等でございますが、私ども警察庁の方で承知しておりますのは、昭和五十八年以降、傷害、恐喝、詐欺、不退去、威力業務妨害あるいは迷惑防止条例等合計十一作、十四名を検挙しております。  次に、情報収集ないし被害実態はどうかという御質問でございますが、これにつきましては、具体的事案にかかわりますので、私どもとしては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに考えております。  なお、御指摘会社に関する相談等は、全国警察に多数寄せられております。
  15. 中村正男

    中村正男委員 具体的な情報についてはお述べにならなかったわけでございますが、それはいわゆる違法性相当強い内容だというふうに判断をされておるのか、いや、全く問題ないというふうな見方なのか、その情報の質の性格についてそれだけでも結構ですから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  16. 清島伝生

    ○清島説明員 豊田商事商法について違法行為があるのかないのか、この点について実態調査をしておるということでございます。
  17. 中村正男

    中村正男委員 これ以上その問題については差し控えておきたいと思います。  先ほど通産省にお聞きをした、いわゆる豊田商事事業内容把握でございますが、五十八年の十月に弁護士会公開質問状を出して当該企業に対して同じような質問をしておるわけですが、これにも全く答えていないわけでして、今の通産省お答えでも、立入権がないのでこれはできない、こういう答えなので、これはもうあとは警察庁しかないと思うんですね。警察庁として立入調査をぜひひとつ、もうやらなければならぬ段階だと思うのですが、それについての考えをお聞きをしたいと思います。
  18. 清島伝生

    ○清島説明員 警察庁として立入調査をする権限は何もございませんので、違法行為があるのかないのかということが基本でございます。そういう意味で、いろいろ問題になっておる会社でございますので、あらゆる法令が活用できるのかできないのか、つまり、先ほど申しましたように違法行為があるのかないのか、この点について実態調査をしておるということでございます。
  19. 中村正男

    中村正男委員 それでは、次は法務省お尋ねをします。  まず具体的な問題として、五十九年三月二十四日に豊田商事代表取締役永野一男氏ほか九名に対して大阪地検特捜部刑事告訴がなされております。もう既に九二カ月経過をしたわけでございますが、その間の捜査内容、現時点における法務省としてのその事件に対する見解、これをまずお尋ねをしたいと思います。
  20. 東條伸一郎

    東條説明員 お尋ね事件につきましては、三月二十四日というのは実は告訴状の日付でございまして、現実に受理しておりますのは四月十一日でございますが、いろいろと背景もございまして、現在大阪地検の方で鋭意捜査中、捜査の中身につきましては、だれをどのように調べたかということについては、ちょっと今の段階ではお答え申し上げるのを御勘弁願いたい、このように思っております。
  21. 中村正男

    中村正男委員 いずれも具体的な内容がないわけでございますが、いま一つの問題は、弁護士会八十四名の方が五月二十六日に秋田で会合を持たれまして、救済のために立ち上がっておられるわけですが、その会合で、法務大臣に対して同社解散命令大阪地裁請求するよう申し立てることを決めた、こういう報道があったわけです。まだ請求はされていないと思いますが、この解散命令ということについて法務省として、もちろんこれは請求があった後の態度になろうかと思いますが、この豊田商事グループに対するこういった解散命令、これについてどういった見解を今現在お持ちなのか、それをお聞きをしたいと思います。
  22. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 私どもといたしましては、豊田商事株式会社それ自体につきまして実態把握しているわけでございませんので、一般的な問題として解散命令ないしはその請求に関して申し上げたいと存じます。  会社も社会的に有用な存在として初めてその存在が認められるわけでございまして、公益を害するような場合、その存立自体を否定するというようなことから解散命令という制度が認められているわけでございますが、その解散命令裁判所が出す前提といたしまして、法務大臣あるいは株主、債権者その他の利害関係人請求あるいはまた事前法務大臣による警告ということが要件になるわけでございます。  解散命令請求についてはいろいろな要件がございます。まず、公益を維持するために会社存立を許すことができないという要件がございまして、これは個人に例えれば死刑の判決みたいなものでございますから、ほかに方法がないという場合に限って初めて解散命令というのが認められるというように言われております。それから、解散命令要件としては三つの事由が掲げられているわけでございますが、一つは、不法の目的で会社が設立された場合、あるいは会社の、これは代表取締役ということになろうかと思いますけれども、その者が業務上、刑罰法令に触れるような行為をしている、あるいは法令、定款に定める会社権限を踰越し、もしくは乱用する行為をしているということがございます。そういう違反行為が反復継続されまして、そういうことに対して法務大臣警告があったにもかかわらずそういう行為をまたやった、こういう場合に初めて解散命令請求ができる、こういうふうになっているわけでございます。  そういうような次第でございまして、法務大臣といたしましては、解散命令請求あるいはその前提としての警告という権限が与えられているわけでございますが、具体的な調査権限あるいは強制的な捜査権限というようなものは特にそのために与えられているわけではございません。でございますので、この職権を発動するといたしました場合は、これは非訟事件手続法という法律がございますが、その百三十四条ノ四というところで、裁判所検察官あるいは他の官庁、公吏がその職務上、解散命令請求あるいは警告をなすべき事由があることを知ったときは、法務大臣に通知しなければならないという規定がございます。その通知があります場合、あるいは直接債権者その他の利害関係人から、警告を発してくれあるいは解散命令請求をしてくれというような職権発動を促す申し立てがあったという場合に、私どもとしてはそれに対応して措置をとってまいりたいと考えております。
  23. 中村正男

    中村正男委員 解散命令については、社会的にも大変注目がなされております。  そこで、先ほどから通産省なり警察庁にお伺いをしておる問題なんですが、ただいまの答弁でも大変関連があるわけですが、いわゆる現状豊田商事グループとして一体どういう事業内容になっているのかということが、これは先々解散命令の問題でも当然つながってくると思うのですね。そういう事業内容について法務省としては何らかの手が打てないものかどうか。既に各地訴訟も随分出ておるわけでございまして、違法性は極めて強いわけでありますから、どういう場合に、今言った事業内容等についての強制的な捜査といいますか、調査といいますか、そういうものができるのか、そのあたりをお伺いをしたいと思うのです。
  24. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 先生御案内のとおり、会社につきましては、我が国の法制上はいわゆる準則主義というものがとられておりまして、一般的に官庁監督という権限は及ばないわけでございまして、例外的に先ほど申し上げました会社そのもの公益に反するというような場合に解散命令がなし得る、あるいは登記をか懈怠したとか、あるいは商法で守るべきことをしないという場合に過料が科せられるというような形で間接的に監督しているという形になっておりますので、それ以上には業法上の監督あるいは刑罰法規に触れる場合の捜査権の行使というものを除いては一般的な監督というのはできないという建前になっております。
  25. 中村正男

    中村正男委員 その捜査権というのは、具体的に違法が明確になれば立入調査というのができるわけですか。告訴があって、その判決が出て、この商法については明らかに違法だというふうな判断があったときに初めてそういった捜査ができるのか、それまでは全く手が出ないのか、そのあたりもう一度お聞きをしておきたいのです。
  26. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 刑罰権前提としての捜査については私の方から申し上げる立場にございませんが、解散命令請求前提として、あくまでその前提としてということで申し上げますと、法務大臣それ自体としては、先ほどの諸官庁あるいは検察官からの通告あるいは利害関係人からの申し立てを待たずしても、職権で任意に調べるということは可能だろうと思いますけれども、それ以上に強制的な捜査をするあるいは調査をするという権限は与えられていないということでございます。
  27. 中村正男

    中村正男委員 これも法務省の方に事前お願いをしておいたのですが、けさ新聞でも、今訴訟各地でどんどん出ているという報道があったわけですが、その実態について今日現在どのように把握されているのか、その辺もお聞きをしておきたいと思います。
  28. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 新聞報道によりますと、相当多数の訴訟が提起されているということは承知しておりますが、私ども法務省立場として、訴訟が何件係属しているというようなことを把握する立場にございませんので、資料を持ち合わせておりません。
  29. 中村正男

    中村正男委員 これは法務省職権の中なのかどうか、私はちょっと詳しくわからないのですが、全国にそういう情報を集めるというふうなことは法務省の役割じゃないのですか。それは我々が要求してもやってもらえないのですか。
  30. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 一般的なことを申し上げれば、法務省立場として、国が当事者となっている訴訟であれば別でございますけれども、個々の私人間相互の訴訟について把握する立場にはございません。
  31. 中村正男

    中村正男委員 これは今、マスコミの皆さんが一生懸命、全国のネットワークでそういった実態を明らかにされておるわけですね。今必要なことは、これ以上被害を拡大させてはならないというところにまず、行政も司法も足並みをそろえて積極的に取り組む段階だと思うのです。そういう意味合いでは、そういった事実関係をより行政も司法も集約をされて、それを社会的に公表をしていくということが国民に対する最大の啓蒙になるわけですね。そういう意味合いで、職権にないというふうな御答弁ですが、ぜひひとつ法務省もそれから警察庁も取り組み方を強くお願いをしておきたいと思います。  それでは次に、公正取引委員会と大蔵省にも来ていただいておると思いますが、公正取引委員会のこの問題に対する見解対応のやり方について、お伺いをしたいと思います。
  32. 利部脩二

    ○利部政府委員 公正取引委員会ができるとすれば、独占禁止法あるいは景品表示法で不公正な取引方法に当たるか、虚偽、誇大広告として取り締まるということになりますが、私の方で内容を具体的には承知しておりませんけれども新聞等で見ている限りではどうもやり方が不公正である、公正な競争云々のレベルで論ずるような行為ではないように思います。それからまた、虚偽、誇大広告で取り締まるといいましても、それじゃ広告、表示の仕方を改めれば後はよくなるかというとそういうものでもなさそう。どうも営業行為そのものが不当性があって、どこの部分を正せば後は社会的にも容認される、企業として認められるものになるかというと、どうもそういうものでもなさそう。というところで、どうも独占禁止法、景品表示法での規制では手に負えないという感じがしております。
  33. 中村正男

    中村正男委員 一体、公正取引委員会というのはだれの立場に立って仕事をしておられるのか。明らかにこれは、国民が大変な被害に遭っているわけです。公正な取引とは万人だれもが認めないわけでありまして、それが公正取引委員会として全く手が出せないというのでは、何のための公正取引委員会かというふうに私は申し上げたいと存じます。早急に公取委としても具体的な活動を、ぜひひとつ強く要請をしたいと存じます。  大蔵省にも来ていただいておるわけですが、これも大変難しい、法律との関係で具体的に言うならば出資法ということになろうかと思いますが、だれ人にも許されていない銀行業務といいますか、金(かね)を預かるという、それを金の取引という形でやっている。そのあたりに、大蔵省としてはこれもなかなか難しいというふうな答弁が出てくるかもわかりませんが、明らかに大蔵省の所管の中の大変重要な部分の預金にかわる業がなされているわけですから、これは公取と同じような答弁をされては困るのですね・大蔵省としてはこの件に関してどういうふうな判断をされているのか、ぜひひとつこれもお聞きをしたいと思います。
  34. 北村歳治

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  私ども、御指摘のような現物まがいの金取引によりまして消費者がミスリードされるような取引につきましては、国会での御審議あるいはマスコミの報道等を通じまして、社会的に極めて重要な問題があるというふうに承知しているわけでございます。  私ども関連お答え申し上げるといたしますと、今御指摘がございました出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、いわゆる出資法第二条の「預り金の禁止」の規定との関連でございますけれども、この出資法第二条は法律により預かり金をすることが認められている者以外の者が金銭の受け入れである預かり金をすることを禁止しているわけでございます。また、この法律の第二条第二項におきましては、「預り金」とは預金と同様の経済的性質を有するものであるというふうにされているわけでございます。御指摘のような現物の裏づけのない金取引につきましては、預金と同様の経済的性質を有するものかどうか、その取引につきまして会社の勧誘行為実態及び資金拠出者の認識等検討いたしまして、慎重に検討、判断する必要があろうかと思われます。
  35. 中村正男

    中村正男委員 一わたり各行政、司法等の現在の対応についてお聞きをしたわけでございますが、具体的な被害状況あるいは訴えはかなり大きな数字報告がございました。こういう事態をもうこれ以上拡大させてはならないというふうに私は思うわけですし、行政、司法が本当に協力した強力な取り組みをひとつ進めていただきたいわけでございますが、ずっと今実態をお聞きして、いわゆる消費者保護の最高責任者である企画庁長官としてどういうふうに認識をされておるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  36. 金子一平

    金子国務大臣 大変ゆゆしい社会問題に今日発展いたしまして、これ以上放置するわけにはいかぬと私ども考えておる次第でございますが、昨年消費者保護会議でこれを大きな問題の一つとして取り上げまして、それ以来何回かにわたって関係省庁との連絡を緊密にとりまして、特に私ども立場から申しますると、消費者被害を受けないような啓蒙、宣伝をしっかりやっていくことが一番大事なことと考えておりまして、国民生活センターを中心に地方庁の関連機関とも連絡して、これはそれなりの手を尽くしておるつもりでございます。  ただ、それだけではやはりだめでございまして、中村委員指摘豊田商事実態をもう少ししっかりと把握してもらいたいと思いますし、それから事があった場合には、不法違法の事件につきましては間髪を入れずメスを入れることが一番大事なことじゃなかろうかと思っておるのでございます。そういう点で、今後も関係方面と迅速な対応をしてもらうような措置を講じてまいりたいと考えております。
  37. 中村正男

    中村正男委員 今回の豊田商事グループに代表されるこういった悪徳商法は、まず第一にそういった商法のシステムに問題がある。金、プラチナ、パラジウムという非常に高価なものを前にぶら下げてやるということ、また巧妙な証券方式といったことで、預かり金でない形で、金という品物でもって預かっている。先ほど大蔵省の答えにあったように、大変微妙なところをやっている、これが一つ。  さらにまた、この勧誘の仕方が大変暴力的な行為でもって、集団で催眠状況をつくり出して、そこで強引に勧誘するといったこと。また、勧誘してはならない社会的な弱い人たちを対象に集中してやる。こういうことがどんどんどんどん次から次に拡大をしておる。  きん  金でもう対応できなくなってきたら、今度はゴルフの会員権だとか、非常に悪質な形で法の目をかいくぐって広がっていっておるわけでございまして、先ほど来法務省なり警察庁お尋ねをしてきたわけですけれども、率直なところいま一歩決め手を欠くのが今の状況じゃないかと思うのですが、そういうことにとどまっておるのではなしに、とにもかくにも人の弱みにつけ込むことを絶対に許さない、こういう法の姿勢というものが私はなくてはならないのじゃないかというふうに思うわけでございます。犯罪が実施をされてから取り締まるのではなく、法律を拡大解釈して、こういう全国的に被害が広がるような問題については拡大的な適用をしていくのが私は非常に急がれなければならぬのじゃないかというふうに思うわけです。  そういう意味合いでは、単に法律だけに頼るのではなしに、多様な手段で、今通産省なり経企庁はパンフレット等を出して啓蒙されておられるのですけれども、そういったあらゆる手段を用いて消費者を守っていく、こういうことが私は大切じゃないかと思うのです。例えば全国の第一線のお巡りさん、この方々は日常国民、消費者に本当に接しておられるわけです。今度の商法の一番悪質な点は、被害者を取り囲んで、電話もさせない、五時間も六時間も缶詰状態にして無理やりに判を押させるというふうなことが明らかになっているわけですね。そういう意味合いでは、全局のお巡りさんにこういった悪徳商法についてさらに徹底をしていただいて、そしてそういう管内のひとり住まい老人等に対して絶えず温かい目を注いでいただくとか、私は何らかの方法があろうかと思うのです。  そういう意味合いで、再度法務省なり警察庁、そして通産省、経企庁に、この見解といいますか決意をお述べいただきたいというふうに思います。まず最初に、経企庁の方からお願いしたいと思います。
  38. 及川昭伍

    及川政府委員 最初に、先ほど答弁を残しておきました国民生活センター消費者苦情相談金額合計でありますが、金額がわかっておりますのは八十件、総額三億六千万円となっております。  それから、豊田商事関連に対する対応策でございますが、基本的には先ほど申し上げましたようなことでありますけれども関係省庁協力いたしまして既存の法令を活用するということはもちろんでありますけれども消費者被害の拡大を防止するという観点から、さらにいろいろな手段、方法を工夫してまいりたいと思っているわけであります。現に、豊田商事関連消費者被害の新規の発生は最近若干減少してきているのではないかなというふうに思っているわけであります。  最近、我々が国民生活センター等を通じて苦情処理あっせんをして、解約等の処理をしておる事例が多いわけでありますけれども、その場合に非常に多額の違約金等を取られる場合もあるわけでございます。解約が成立した場合、解約返還金といいますか、解約金額を返還していただいていたわけですが、最近、五月あたりからなかなか、解約が成立した後においても金額自体が約束の期日に返還をされないような状況になってきておるという報告が参っておりまして、むしろそういう面での消費者被害の発生について、これからどういう対応策をとっていくかということについても関係省庁と協議をしてまいりたいというふうに実は考えているわけでありまして、そういう意味で申しますと、国会の御審議等も含めまして、豊田商事関連する国民一般に対する周知、広報、徹底ということは相当進んできているのではないかというふうに考えておりますけれども、さらに政府各省協力して対応策を講じてまいりたいと思っているわけであります。
  39. 中村正男

    中村正男委員 通産省お願いをいたします。
  40. 山下弘文

    ○山下説明員 先生御指摘のいわゆる悪徳商法豊田商事に限らず広い意味で悪徳商法につきましては、私どもといたしましても消費者保護の観点からいろいろな対策をやってきたつもりでございます。  具体的に申し上げますと、訪問販売法でございますとか、割賦販売法でございますとか、海外先物取引規制法というような個々の規制体制を持っております。そういう法律の適用ができる分野につきましては、厳正な運用をやってきておるつもりでございますし、引き続きやってまいりたいと思っております。  また、消費者への啓発、先ほど先生御指摘ございましたように、私どもとしてもいろいろ工夫をしながらやらせていただいておりまして、引き続きそういう努力をしてまいるつもりでございます。  さらに、関係業界につきましては、業界の自主的な努力をいろいろ期待しておりまして、例えば訪問販売協会につきましては、販売員の登録制度というようなものをやってもらいまして、優良な販売員が訪問するというような体制を整えるとか、あるいは先ほど来御議論いただいております金の地金につきましては、現物そのものの取引をやっていただくというようなことを普及すべきだということでいろいろな活動をやっておりますし、現に地金商の方の組織をつくりまして、そういう優良なお店の表示というようなことをやりながら、本物をそのまま買っていただくというような体制を整えていきたいということで努力をしているところでございます。
  41. 中村正男

    中村正男委員 警察庁お願いします。
  42. 清島伝生

    ○清島説明員 一般的に申しますと、老人等を対象に、専門的な知識がないという弱みにつけ込みまして組織的な不法行為を行っている、そういうものにつきましては、消費者保護の観点から警察としても重点的に取り締まりを行ってきたところでありますが、御指摘商法会社につきましては、先ほどから申しておりますように、全国警察が今実態解明をしているところでございます。今後とも積極的に対処してまいりたいと考えております。
  43. 中村正男

    中村正男委員 法務省お願いします。
  44. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 法務大臣解散命令請求をなし、あるいはその前提としての警告をするためには、先ほども申し上げましたように検察官あるいは関係省庁の御協力が必要なわけでございます。あるいは、利害関係人からの御協力ということもぜひしていただかなければならないわけでございます。  先日も、関係弁護士さんがお見えになりましたときに、正確な事実の把握と証拠の収集方をお願いしておいたわけでございますけれども、先ほど申し上げました非訟事件手続法百三十四条ノ四の関係官庁からの通知あるいは利害関係人からの申し立てがありました場合には、こちらとしては適切に対処してまいりたいと考えております。
  45. 中村正男

    中村正男委員 以上、四つの省庁から決意をお聞きしたわけですが、ぜひひとつ、それぞれの行政、司法協力して、早急に強力な取り締まり方を強く強く要望をしておきたいと存じます。  最後に委員長、きょうは、実態についてできるだけ国民に明らかにしていかなければならぬ、そのことが被害をこれ以上拡大させない一つの方法だということで、ずっと質疑を行ってきたわけでございます。しかし、なおまた具体的に、被害者がどういう手口でどういう勧誘の仕方で被害に遭ったのか、あるいは被害者として同じような被害者をさらにつくらないためにも一言被害者立場からもこの陳述をしたいというふうな方々もおられると思います。そういう意味合いで、より事件実態の解明を深くしていくために、当委員会に、参考人をぜひひとつお呼びして事態の解明を深めていただきたいと思います。  それから、抜本的なことは、何といいましても先ほどから申し上げていますように、弁護士からの公開質問状にも答えていない、通産省からのたびたびのいわゆる報告を求めたことに対してもそれはなされていないということで、いわゆる当の豊田商事代表取締役永野一男氏にこの委員会への出席を求めて、この事業内容が本当に天下国家に恥じないものかどうか、我々としてはひとつただしていきたいというふうに考えますので、そういったことにつきましてぜひひとつ理事会でお諮りいただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと存じます。
  46. 竹内猛

    竹内委員長 委員長の方からそれではお答えいたしますが、前々回から理事懇談会の中でもそういう要請がありました。きょうの質疑を通じた中でなお解明のできない部分については、改めて理事会に御相談をして、それぞれの関係者においでをいただいてなおただしていくということについて理事会にお諮りをしていろいろ進めていきたい、こういうふうに思っておりますので、理事会に、お諮りをします。
  47. 中村正男

    中村正男委員 どうもありがとうございました。
  48. 竹内猛

    竹内委員長 次に、金子みつ君。
  49. 金子みつ

    金子(み)委員 時間が大変短いですから、絞ってお尋ねをいたします。  今もお話がありましたように、豊田商事株式会社及びその系列の会社による不正商法と申しますか、あるいは私なんかはそれを通り越した悪徳商法だと言ってもいいのじゃないかと思いますが、それが頻繁に横行して多くの消費者被害を与えている事件が後を絶たないという事実は、もう今のお話でもわかりますし、既に当局でもおわかりになっていらっしゃることだと思います。しかも、そのやり口が経済知識やあるいは法律知識に乏しいお年寄りだとかあるいは家庭にいる主婦であるとかあるいは青年たちに集中しているという問題は、そこに何かねらいがあるんだということが推察できるわけでございます。  例えば、幾つか例が挙がっておりますけれども、私はきょうは二つの例を申し上げて、当局として真剣に考えていかなければならぬじゃないかということを再認識してもらいたいと思いまして申し上げるわけであります。  その一つの例は、これも新聞に載っていたかと思います。青森県の八戸の事例でございますが、この人は先祖伝来の田畑を売って六千万円つくって、そして金を買うことを契約したわけです。ところがこの六千万円そっくりそのままだまし取られて、どうにもならなくなって彼は自殺をしました。命を断ったわけです。そのことがしばらくわからないで、一年ぐらいたってからそのことが判明いたしまして、遺族はびっくりして損害賠償請求をやっているという一つの例でございます。ついに自殺者を出しているということを私は深く考えてほしいと思います。大変なことだと思うのです。  それからいま一つの例は、今の同僚の中村議員の質問の中にも出てまいりましたが、元中国の残留孤児であった人で、名前は伏せられておりますが、この人の奥さん、この人が被害者です。この御夫婦は昭和五十年に日本へ帰ってこられました。そして御主人の方は、もともと日本の人でありますから帰化して日本国籍になりました。ところが奥さんの方はまだ帰化をしておりません。帰化をしていない理由はいろいろあるかもしれませんが、一つの大きな理由は、子供を一人だけ連れて日本に帰ってきていて、長女を連れて帰ってきていますが、長男の一家がまだ中国に残っておる。その長男の一家を一日も早く日本へ呼び寄せたいと考えてはいるのだけれども、何か問題が起こったときに中国人である妻は中国へ帰ることが必要になるかもしれないから国籍を入れないでいるのだという、大変微妙な配慮で事がはかられているようでありますが、そういった事情のある家庭でございます。  この人はもともと中国の人ですから、余り日本語が上手ではありません。十分ではない。その妻に対して、家庭にいる人ですから昼間は自分だけです、そうしましたら、三月の初めごろから電話が大変頻繁に入ってくる。これは豊田商事からですが、金を買わないかというお勧めの電話が入ってくる。日本語が余りよくわからないので、自分のわかっている範囲で返事をしているということもあるようでございます。それでその勧誘の内容というのは、金を買っておけば相場も変わらないから心配はない、もっとお金がもうかる、それにあなたは預金をしているようだけれども、銀行に預金をしておいてもそれは税金がかかる、金を買っておけばそれには税金はかからないからその方が得だ、それにうちに預けておけばさらにそれをふやしてあげることができる。例の調子、いつもほかの例にも出てくるような話の手口ではございますけれども、これをすっかりこの妻は信じて、買うような傾向になった。それで、必ずあなたは家にいますかということを念を押されて三月二十日過ぎにやってきて、そして契約書を書かされているわけでございます。この人は息子たちを呼び寄せたいと思っていたので、自分が日本へ来てから仕事をして、中国語のタイプをやりながら一生懸命に働いてためたお金だそうですが、五百四十六万八千二百八十円を契約金として銀行からおろしてきて渡したということでございます。  ところがこの人が心配したのは、金そのものを買うつもりでこの人はいたのです。だからその現物が欲しいと言って要求したら、現物は渡してくれないので大変に心配になった。大変に心配になったので友達に相談したら、それは大変なことをあなたはしたね、問題の会社じゃないかということで本人も大変にびっくりいたしまして、どうしようということになったわけです。御主人は大変怒って、おまえはばかなことをした、そんなことをするくらいなら中国へ勝手に帰れというふうにしかられて、毎日毎日御飯も食べないで水だけ飲んで泣いているというような状態なんだということを訴えているわけです。  この人は人に勧められて通産省相談室へ出向いていって相談に応じてもらい、そして依頼をしたということなんですが、この事実はあったのでしょうか。
  50. 山下弘文

    ○山下説明員 先生御指摘けさの記事に関しましては、出る前に聞いてまいりました限りではそういう御相談があったというふうに聞いております。
  51. 金子みつ

    金子(み)委員 この人は途中で契約を解約したいと思って会社に申し出たところが、なかなかしてくれなくて、通産省相談室へ駆け込んでいったというふうに私は理解しているわけです。契約の解約はその後できて、八五%返すということになったそうです。八五%というのは、この豊田商事なんかの解約のケースから見れば比率としてはいい方だと思うのです。ところが、八五%返すという契約解除の約束ができたそうですが、実際には四月の末にその半分だけしか返ってこないというのですね。半分だけ、二百三十二万七千円は返してくれたけれども、あとの半分をどうするのかというふうにさらに要求したら、それは五月の末にお返ししますということだったので待っていたら、五月の末になっても返ってこないから催促したら、いや六月にしてくれということで延ばされたので大変に不安になって、この先どうなるのだろうということを大変に心配しているわけなんです。先ほど来のお話によりますと、五月ごろから豊田は金を返さない、中止しているわけですね。解約金を返還することを全面的に中止しているようですから、この人もそのケースの中に入りますから返してもらえないという実態になったのだと思うのです。  この人が言うのには、こんなことが日本の国に行われていいのだろうか、私は日本政府を信じているからこんな会社が存続することを認めているとは思わないのだけれども、こんな事実が起こるということは非常に心外だし悲しい、中国ではこんなことはあり得ないと言って、彼女は非常に嘆き悲しみ、日本政府並びに日本に不信感を持つようになっているようでして、これは大変大きな問題だと思います。  そこで私は、これは例として今申し上げたのですが、このようにこの会社被害が外国の人にまで及ぶということは大変な問題だと思います。ゆゆしい問題だと思うのです。これが一例かどうかわかりません、今のところ一例しかわからないのですけれども、幾つもこういう事例が起こってくるとすれば、国際問題にまで波及しないとも言えないと思うのですね。ですからその点は、私は、非常に慎重にしなければならないし、急がなければならない問題だと思うのです。  そこで、私は政府にお尋ねをしたいと思っておりますことは、こういう自殺者まで出してしまったという大変な事例、あるいは外国人にまで手を出してきたという問題、こういうようなことを前提にして、ぜひやってもらいたいと思うこと、やらなければならないと思うことは、こういうことを再び起こさないために何をするかという問題なんです。  従来政府がやってきたことは後追い対策です。被害が起こってからその問題を何とかしようという後追い対策ばかりしか行われていないということが大変問題だと思います。この後追い対策だということについては、通産省の矢橋審議官が一昨日の商工の小委員会で御自分で認めていらっしゃいます。後追い対策になっているのだということを自分で認めておられます。それなら、なぜ未然に防止する対策をとらないのかという問題なんです。未然に防止する対策、私はこれこそ重要な問題だと思うのです。「予防にまさる治療なし」という言葉があるのです。これは保健医療の面で言う言葉ですが、治療することによって予防を成立させるということなんです。目的は予防にある。さしあたり対面している治療を行うことによってその病気の予防をその人に理解させる、こういうことなんで、非常に重要な問題ですから、この場合でも厳正な治療、すなわち厳正な処置をとることによって二度と起こさせないということの予防措置ができないはずはないと思うのです。  ところが、一昨日の小委員会で矢橋審議官がこのようにも発言しておられます。現在の行政法で対処することは困難であります、こういうふうに答弁しておられますね。自民党の方の質問に対する答弁でした。私はこの困難という言葉がわからない。困難ということは、努力をすればできることなのか、努力をしてもできないということなのか、二通りにとれると思うのです。あのときの雰囲気から察して、困難という言葉を使われたのですが、この困難は不可能という意味だというふうに私はとりました。不可能という言葉を使うことはいけないと思って困難とおっしゃったんだろうと思うのです。できないというような意味に私はとれました。私は、先ほどの中村議員に対する政府側の答弁を聞いておって、矢橋審議官が言っていらっしゃることと似ているな、どの答弁もとの答弁も非常にのらりくらり、一つも核心に触れてない、だめだという、できないということの言いわけの答弁しかしていらっしゃらないというふうに思いました。だから、矢橋審議官が言っておられる、現行法では、行政法では対処することは困難だ。そうだとすれば、その理由は何かということと、どうすればそれを克服できるか、どんな対策が考えられるか、あるいは全然だめなのか。先ほど公取委の方はお手上げだと言いました。手に負えないんだという言い方をしておられましたけれども、手に負えないというのはおかしいです。何も対策が出せないということはないはずだと思うのです。  私がお尋ねしたいのは、こういうことを前提に置いて、一番いい方法は、再び起こさないということにするためにはどのような抜本的な未然防止対策というものが立てられるか、これを考えるべきではないかと思いますが、そのことについてどのようにお考えになりますか。今までやっていらしたのですか、やっていらっしゃらないのですか、そのこともあわせて聞かせていただきたい。
  52. 山下弘文

    ○山下説明員 先生御指摘の矢橋審議官の発言、一昨日のフリートーキングの中での御説明だったと思いますが、彼がそのときに申し上げたかった点は、まず第一の後追いではないかという部分につきましては、今は、御指摘のようないろいろな悪徳商法と言われるようなやり方、これはどうしてもいろいろな形が出てまいりますので、私ども法律お願いしていろいろ規制をしていく、そういう手順からいいますと、どうしても後手に回りがちであるということを申し上げたということだと思います。それから、行政のサイドからいいますと、事前に規制法を用意しておくということは現実問題としてなかなか難しゅうございます。先生御承知のとおりだと思います。そういうことで、私どもとしても、そういう問題に対してPRの実施とか業界の指導というような範囲でやれることはかなり進めてまいっておるつもりでございますけれども、具体的な規制ということになりますと、どうしても後手に回りがちであるということを申し上げたというふうに私は理解しております。  それから行政法で対応することは困難だということは、若干言葉足らずだったのではないかと思いますが、あそこで御議論されました、また先ほども議論がありましたような特に現物まがいの商法につきましては、実際にシステムそのものの問題ということのほかに、勧誘の方法自身のところにかなり問題があるというふうに私ども認識しておりまして、その部分につきましては、私ども通産省行政法あるいは行政措置ということでカバーしていくのは大変難しいということで申し上げたというふうに理解しております。  それで、現物まがいの話につきましては、先ほど来御議論いただいておりますように、私どもといたしましては残念ながら具体的に使える手段が現状ではないというのが実態でございまして、消費者に対する現物での取引というようなことをPRしていくなり、そういう取引が円滑にできるような体制を用意するというようなところを今努力しているところでございます。
  53. 金子みつ

    金子(み)委員 それなんですよ。規制法は難しい、それから現物まがいの問題については手段がない、正直におっしゃったんだろうと思うのですけれども、政府はそれで済ましていられるのですか。それでいいんですか。該当する法律がありませんから規制できません、それからこの問題は、現物まがいの取り扱いの方法についてはそれをやめさせる手だてがありません、だから事が起こってからの後追いだけになってしまうのです、こんなことでいいんでしょうか。消費者を保護するという立場に立ってもらわなければならないのに、そのままにしてほっておいていいんですか。規制法がないんだったら、難しいんだったらば検討してつくるように図ったらどうですか。それはやらなければだめじゃないですか。それから現物まがいの問題について、手段がないと言われますが、本当に手段がないのでしょうか。手段はあるけれども、これをやってはまずいというようなことがあるんではないですか。そこら辺のところは、もう少しはっきり御返事いただかないと、このままだったら、消費者は専ら泣き寝入りしなさいということになるのですが、政府はそれでいいんですか。
  54. 山下弘文

    ○山下説明員 私どもも今の状態がいいというようなことを申し上げるつもりではございません。もしそういうふうに御理解いただいたとすれば、大変言葉足らずで申しわけございませんでした。  ただ、先ほど来御議論ございましたように、通産省の持っておる手段ということで申し上げますと、先ほど申し上げましたように、なかなか具体的に豊田商事の問題について対応する手段がないということを現実として申し上げたわけでございまして、それに対する対応につきましては、先ほど来御議論ございましたように各方面にわたる問題を含んでおりますので、関係省庁とも相談をしながら考えていかざるを得ないというふうに思っております。
  55. 金子みつ

    金子(み)委員 そこで、経企庁にお尋ねします。長官お戻りになりましたが、局長お尋ねします。  こういう問題では、消費者を保護する立場にあるのが経企庁の仕事です。消費者保護立場から経企庁がどこまで腹をくくってこの問題に対処しようとしていらっしゃるのか。そして経企庁としては、直接やることと言えば生活センターですか、そこに出てくる問題を相談を受けて処理するだけのことであって、基本的な問題の解決にはなってないですね。ですから、基本的な問題を解決するためには関係各省の協力、関係各省がその気になってやらなければだめ。ところが関係各省の態度というのは、けさから話を聞いておりますと大変に熱意がなくて、積極性に欠けているとしか思えないのですけれども、やれることをやっていないのか、あるいは本当にやれないから手をこまねいているのかという問題があります。今のお話のようなことになりますと、これはどうしても経企庁から強く関係各省に申し入れをして、対策を立てていただくことを要求していただかなければならないと思いますけれども、それはどうなんでしょうか。どの程度までそのことは可能なんですか。
  56. 及川昭伍

    及川政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、この件については、昨年の秋の消費者保護会議でも特に項目を挙げて、各省協力して各種法令を動員して対応策を講ずるということを決めたところであります。その結果いろいろなところで、例えば既存の法律の中では、詐欺であるとか不退去であるとか威力業務妨害であるとか等々いろいろな件名で既に検挙しておるものもあるわけでありますし、その他捜査をしておるものもあるわけでありますし、国税当局等についてもいろいろ情報を交換したり、行政内部ではいろいろと相談をしているところもあるわけであります。  ただ、それだけではなくて、こういう商法それ自体についてシステムとして社会的に容認されていいものであるのかどうなのか。現在は、他の商法との関連があってそれを直接規制する法律制度はないということを通産省当局は御答弁になっているのであろうかと思いますが、そのシステムの問題についてどう考えるかということと、それから具体的な商法についてどう考えるかということと、二点の面から当然政府全体としては検討していかなければならないところであろうかと思うわけであります。  消費者保護会議決定を昨年の十一月にいたしたわけでありますが、この六月にはその決定状況のフォローアップ報告を取りまとめ、現在まで講じてきた措置とこれから講じる措置についても各省協力して取りまとめることを予定し、現在作業をし、各省とも協議中であります。その協議の中で本件は一つの大きな目玉、当然取り上げなければならない対応事項というふうになると考えておりまして、現在各省で協議中の事項の重要なテーマであると申し上げておきたいと思います。各省協力して対応策をさらに講じていきたいと思っているわけであります。  ただ、先ほども答弁で申し上げましたし、委員からもお触れになったわけでありますが、豊田商事自体が五月から消費者に対する解約返戻金、通常の契約ですと三割の解約金を取って七割返す、先ほどの事例ではそのうち八五%返すということになったから非常に多い方だというお話があったわけですが、それ自体がなかなか返らないということが五月からいろいろなところで起きてきているわけであります。そういうことになりますと、これはまさしく契約違反になります。従来やっていたのは、その契約が正当であるかどうかというところが非常に議論があったわけでありますが、そういう事態になりますと契約それ自体を履行しないということになるわけでありますから、新たな問題の次元に入りつつあるのかもしれないというふうに思っていますが、そういうことも含めまして各省と協議を進めてまいりたいというふうに考えているわけであります。
  57. 金子みつ

    金子(み)委員 今のお話を伺っていますと、昨年にそういう話し合いがもう既にできたので各省庁に話をして検討する、努力をするようにと言われたそうですけれども、いまだにこんなに、昨年からことしにかけてこの一年間、猛烈にこの問題が起こりましたよね。ということは、各省庁は、さっきの通産省の方のお話のように、できないからやってなかった、こういうことになるのだと思うので、大変に遺憾だと思います。  この問題は、時間も参りましたのでこれ以上できませんけれども、私は納得できないし、ここで解決させたことにはなりませんので、問題を保留させたままきょうは質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  58. 竹内猛

    竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十九分開議
  59. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浜西鉄雄君。
  60. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私は、前回の委員会で食糧問題など宿題で残しておって、次回にということで本来なら本委員会でその問題の質問に入る手はずでしたけれども、急選、このまがい商法問題について集中的に質問した方が一番適切であるというように判断いたしまして、食糧問題などまだ後日に譲ることにいたしまして、質問を集中したいと思います。  さて、最近のああいったまがい商法、いろいろあるのですが、ネズミ講的なものもあるし、今回の豊田のようなぎりぎりのところでやっておるところもあるし、いろいろあります。この前も朝テレビを見ておりましたら、若い女性に対してモデルにならないかというような誘いで、事務所に連れていかれて長時間、そこで無理やり署名させられて契約したというようなことがたまたま放映されておりました。さまざまな際どい商法が横行しておるという印象を受けます。しかしそれらを全部この場で明らかにするということは物理的に難しいと思いますので、代表的なものとしてここで質問したいと思います。  まず、実態をどのようにつかんでおられるかという意味で通産省に対して質問するわけですが、一つはよく言われるベルギーダイヤモンドの関係、もう一つけさほどから質問されております豊田商事のそれぞれの手口と商売の特徴的な内容、これをかいつまんで、この二つについてどの程度把握されておるか、私なりに知りたいためにまずこれを質問します。
  61. 林暉

    林説明員 先生の御質問でいきますと後先になるのでございますが、私、豊田商事の金の現物まがい商法実態ということで、先に御説明いたします。  まず、どのくらいの件数がというのは午前中にも御説明いたしましたが、金にかかわるものは千四百件ほど五十九年度に行われております。その相談内容というのは、金の購入を電話で勧誘し、引き続きセールスマンが訪れ金の購入契約を迫り、一たん承諾するとなかなか解約に応じないということが一般的な手口でございます。  契約の内容といたしましてはもう既に御高承のことと思いますが、金の現物を形式的に販売すると同時に賃貸借契約を締結する。それから、現物は会社が保管して運用する。その運用の際、運用益と称して価格の一〇%程度でございますが、前渡しをする。それから期間は、五年の場合もあるようでございますが、一年間として、中途解約は認めない。やむを得ない場合、中途解約に応ずる場合は違約金として三〇%を取ると同時に運用益の返還を求めるということになっております。  それで、通産省相談室への相談内容を通じてこの会社についての問題を見てみますと、契約はしてみたがどういう会社が、信用できる会社なのかどうかという問い合わせ、契約した後そういう相談がございます。それから一年間という期間が大丈夫かというようなことも問い合わされております。それから契約書にサインした後お金の取り立てがしつこいというようなことでございます。それから解約に応じてくれない、応じてくれないというのは、もう一年延長したらいいんじゃないかというような言い方をして応じてくれない。同時にまた、一年の満期が来たときに金の返還を求めたところ、その解約に応じないというようなことで延長するということでございます。また、契約の途中で応じた場合には先ほど申しましたように違約金を要求するわけでございますが、違約金として要求された三〇%は高過ぎるということがこういう相談になっております。  以上が、豊田商事のいわゆる金の現物まがい商法の私ども把握しておる実態でございます。
  62. 山下弘文

    ○山下説明員 ベルギーダイヤモンドの商法について御説明申し上げます。  ベルギーダイヤモンドにつきましては、私どもに参っております問い合わせその他で承知しておりますところでは、ベルギーダイヤモンドのお店におきまして商品を販売する形になっております。ただ、そこのお店に友達を連れていくという格好で消費者が連れていかれまして、そこでいろいろ説得をされてベルギーダイヤモンドを買う。そして、そのダイヤモンドを買ってメンバーになりますと、それ以降、そのメンバーが紹介をしたダイヤモンドの購入者、その量に応じまして一定の紹介料を手にしているというような実態だと承知しております。  私ども消費者相談の窓口に参っておりますベルギーダイヤモンド関係相談ないし苦情というものは、昨年度一年間で二百六十二件ほどございました。このほとんどは、この仕組みに対する問い合わせ、その他、一部解約をしたいがどうしたらいいかというような相談でございます。以上でございます。
  63. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 さらにお尋ねします。  今、豊田商事の問題とベルギーダイヤモンド、それぞれ特徴的な報告がありました。さて、特徴的なことをつかんでおられるわけですから、既に私がここで言うまでもないと思うのです。つまり、明らかにこれからも被害者がふえるであろうと想定されるような手口が今報告があったわけですから、これらについて、明確に通常の商取引と思われるのか、明らかに新聞紙上で言われておるような悪徳、つまりまがい商法であるかどうか、これをどう判断しておるかというところからひとつ聞いておきたいと思います。
  64. 山下弘文

    ○山下説明員 ベルギーダイヤモンドにつきまして、ただいま御説明しましたような形でやっておるわけでございますけれども、先ほど申し上げました、友人を紹介する、あるいは消費者に対してシステムそのものを将来大変収入があるかのごとく説得する、この辺の中身を、私ども必ずしも細かいところまで承知しているわけではございませんが、いろいろ伺っているところでは、少し行き過ぎているところがあるのではないかというように感じております。
  65. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 あと豊田の問題に入りますけれども、今の、行き過ぎておるという程度の話ではないと思うのです。明らかにこれは、既に物持委員会でも法律をつくったと言われる、ネズミ講式に友達を紹介して、さらにそのまた次を紹介するという手口であると私は受けとめておりますが、そういうネズミ講式であるのか、ないのか、これをどう眺めておるか、それをちょっと聞かせてください。
  66. 山下弘文

    ○山下説明員 紹介者は、紹介の量に応じて地位が上がっていくというような仕組みは入っておると承知しておりますので、その意味ではネズミ講に近いシステムの部分が一部入っていると存じております。
  67. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 いや、私はここでネズミ講の問題だけを取り上げるつもりは――きょうはほかの委員の方がそれぞれ豊田商事問題に集中をしておられるので、私も集中をするわけですから、ベルギーダイヤモンドはちょっと置いておきます。置いておきますが、今ネズミ講式であるというふうな意味の答弁があったわけですから、通常のやり方でない、明らかにこれはこの委員会で過去つくったところの、法律の名前はちょっと忘れましたが、ネズミ講禁止の法律に違反するということだけはこの場で明確にして、この問題はちょっと伏せておきまして、また後日、別の角度で……。  それじゃ今さっきの続きで、豊田商事の問題、一体これをどう判断するのか。
  68. 林暉

    林説明員 豊田商事の金の現物まがい商法というのは、先ほど申しましたように金の現物の売買が賃貸借、預託の形式をとっておるということでございまして、これだけをとらえてみますと現実には違法なことはございません。勧誘等でいろいろな行き過ぎがありましたものに関しては、別途の法律で取り締まられるものだと承知しております。  いずれにいたしましても金の流通を所掌しております資源エネルギー庁といたしましては、一般消費者が金の地金を購入するに当たりましては、模造品の排除とか売買に伴うトラブルの防止の観点から、信用ある金の地金商の店頭での現物と現金との交換による購入が一番望ましいと考えておるわけでございます。このような観点から、従来からもでございますが、当省といたしましては、健全なる金の地金の流通機構の機関といたしまして昭和五十四年十二月に日本金地金流通協会の設立を認可いたしまして、この協会の中で登録店という制度を設け、売買をその登録店によってするようにということをPRして、続けてきたわけでございます。今申しましたように、登録店というのはどういうマークかというようなマークを設ける等やっておりますし、また、政府の関係のPR等を通じまして金については現物の取引を、まがいでなく実際に引き渡しを受け、現金で払っていくという方法でやるようにPRしておるわけでございます。  それからまた、このような手口に、金というのは非常に著名度が高こうございますので金が使われておるわけでございますが、御高承のように金から白金というようなものにかわったりあるいはゴルフ場というようなものにかわっておるわけでございまして、金の現物の流通を扱う私どもといたしましては、申し上げましたような手段で従来から消費者のPRに努めてきておるわけでございます。
  69. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 どうもはっきりしませんな。最初、説明のときに金を形式的にというふうな言葉も使われました。つまり現物を見ないで形の上でという意味、みずから言われたはずですが、そういう取引がされておるのに今のところ違法でないかのごとき回答があったが、この種のことが今件数で千四百三十六件、三十九億九千五百万円ということも午前中の回答でわかったわけですが、こういう現物を確かめないで形式的に取引されるということ自体、一体これはどうなのかという質問を私はやっておるわけで、五十四年に協会をこしらえて登録店でどうだというそういう形式的な、手続的なことを言っているのではなくして、現実に行われておるこういった取引が、これはどう見たってごまかしでありインチキであり、現物を見せないで取引されるというこのことをどう判断するかと質問しておる。そのことについて答えてください。
  70. 林暉

    林説明員 御説明いたします。  言葉が十分でなかったと思うのですが、金の現物の取引がなされ、その後賃貸借契約をするというようなことをやっております。売買あるいは賃貸借契約そのものは通常の商品と変わらず、何ら違法な行為ではございません。
  71. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それでは実際にこの場に被害者を参考人として呼ばないと、その辺は食い違いがあるのです。被害者の訴えによると、それこそ現物を見ないで取引がされて、親切ごかしに預かってあげる、持っておったら盗難その他で大変だろうからということで、だからこそ、そういうことでごまかしておるから、いろいろのうわさを聞いて、これはどうも怪しい、臭いというので契約解除、返してもらいたい、現物を下さいと言っても、何とかかんとか言って逃げておるということが新聞報道でもあるし、この手口と被害について、おととい商工委員会の流通小委員会の中でもそのことが三名の参考人から述べられたわけです。つまり現物があるかのごとく見せかけてやっておるわけですから。  私ども知りたいのは、それではちょっと角度を変えますが、それだけの契約件数があるということ、金額でも大体つかんでおる、まだ確実につかめない部分があるようですけれども、およそ浮かび上がってきた。ならば、その契約をしておることに該当するつまり担保、その現物がどこにあるのか、本当にそれは確かめたのか、どういう運用をし、どこに保管されておるのかということなど、ここでそのことが非常に大事なことになるのです。そういう意味で、この種の関係については明らかに現物まがいではないかと思われるときに、政府として、どこの省庁か知りません、午前中の公取でいくと自分の方は余り権限がないような話がありましたが、少なくともこのことが表面化した以上、被害者に、国民に安心を与えるために双方の主張を聞き、そして現実に現物があるかどうかということに対する立ち入りか、いろいろ方法あるでしょう、もし立ち入りがだめな場合にはこの豊田商事の責任ある人から事情を聴取したのかどうなのか。門前払いを食わされたのか。その点、逆にひとつそこを答えてください。
  72. 林暉

    林説明員 午前中にも御説明いたしましたが、豊田商事への立入調査等の権限を私どもは有しておりません。したがいまして、金の保有状況に関しましては承知できないわけでございます。個々の契約に関して私ども一つ一つの具体例を把握しておるわけではございませんが、いわゆる金の現物まがい商法として問題になりますのは、売買契約をした後賃貸借契約をするということでございまして、したがいまして、私ども通産省で金の現物の流通を預かる者といたしましては、午前中もありましたが、後追いになるかもしれませんが、消費者の一層の理解を得るように、現物を必ず信用あるお店で受け取ってくださいということをやっているわけでございます。
  73. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 消費者というか被害者というか、買う側の人たちに対する心構えなどPRは、それはそれなりにわかります。わかりますが、現実豊田商事というグループがそういう手口でもって――少し説明しておきましょうか一全国に七十の支店を持っておって、そして七千人からの職員を抱えて、テレホンコンパニオンという女性を配置して、これの日当は一時間千円だそうですが、そしてそのことを執拗にこれだけの網を広げてやっておるわけで、そのやり方が違法の疑いがあると言っておるわけですから、ならばその方の側に、つまり、被害者にはそういうことにひっかからないようにということでこれはやらなければなりませんが、こういった疑いが明らかになった場合には、被害者の側じゃない豊田商事の責任者に、このことについて一体どうなのか、現物はあるのか、世間で騒いでおるがそのことはちゃんとした担保として保管されているのかどうかということを、そのくらいのことが政府でやれないはずがないが、そういうことをやったのかどうなのかということです。
  74. 林暉

    林説明員 御説明が十分でなかった点があると思いますが、当初に入りました消費者相談内容に基づきまして、通産省といたしましては、豊田商事の金の保有状況実態について明らかにするようにたびたび問い合わせてきたわけでございますが、同社は、企業上の秘密という立場をとりましてこれに答えておりません。  何度も申し上げるわけでございますが、通産省豊田商事に行ってこの種の立入調査をする権限等を持っておりませんので、これ以上調査をすることはできない立場にございます。
  75. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 通産省はこれ以上できない、権限もない、こういう意味でしょうが、ならば公取に。  午前中の態度で大体わかるような気がいたしますが、公正な取引というものをうたっておる、これは企業間の公正競争その他いろいろあるでしょうが、消費者に対して公正な取引というものも当然法の恩恵が及ぶべきだと私は考えるが、公正取引委員会とすればこれに対してそういうものを調査したのか、あるいはこれから先そういうことに対して、さっきの質問と同じなんですが、現物がちゃんと保管されておるかどうか、被害が起こることのないように、相手に迷惑が及ばないようにきちっと担保はあるのかどうなのかということを含めて、公正取引委員会とすればどこまでこれをやろうとするのか、やれるのか、まずこれを明らかにしてください。
  76. 利部脩二

    ○利部政府委員 午前中にもお答えしたことでございますが、独占禁止法なり景品表示法なりで効果的な規制ができる企業商法というのは、それを正せば社会的にも容認されるような商法といいますか、不当な面を持っている、一部やり方が不当だというものであって、それを直せばまともな企業になる、企業行動になる、そういう場合ですと効果的にできるわけでございますけれども、どうもこのたびの問題は、何といいますか、そのやり方自体が甚だ不当性の濃いものであって、どこの部分を直せばまともになるというような、いわばそういう生易しいような企業行動とは思われないわけでございます。そういう点から、独占禁止法、景品表示法では少なくとも現在動いてみましても効果的な規制というものは期待できないように思っておりますので、二つの法律に基づく措置というのは現在はとっておりません。
  77. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それでは公取に再度お尋ねします。  そのことを正せば社会的に容認されるような――容認されるかどうか、やってみないとわからない。容認されるような場合はやるが、そういうやり方自体が不当性の疑いが強いからやってもむだだ、こういうことです。まあむだだとはあなたはおっしゃいませんが、わかりやすく言えば、やっても効果がないだろうというほど、これは悪質なんですね。言ってみれば論外だ、手がつかない、こんな悪質はないから、ちょっとのことで手をかけたってどうしようもないということを結局は問わず語りで言ったと思うのですが、これは大変なことだと思うのですよ。世間一般から見れば、公正取引委員会というものは、企業間のそういった競争の原理もきちっと調整しながらということもあるだろうが、消費者に対して公正な取引を当然考えてくれるところだというふうに思っておるわけですが、事この問題については、ちょっとのことではどうしようもないというような言い方の答弁ではこれはまず国民が納得しませんし、被害を受けた人は、それこそどこにこれからそのことを訴え、どこに正義を求めていくかということが宙に浮いてしまうと思うのです。少なくともこのようにはっきりともうどうしようもないところまで来ておると判断されるならば、あらゆる法律を駆使してこれは厳正に取り締まらなければいけぬと私は思います。また後ほど質問しますけれども、これは改めてこれに対応する法律をつくる必要がある、私はだんだんそういうふうな気持ちになってきたわけですが、出すならばそのことも含めて、これはみんなで早急に考えなければならぬというふうにまず思います。  次に警察庁警察庁はいろいろ御苦労いただいておるようでありますが、事は皆さんが安心いくところまでどうもなかなか処理できそうにない。悪いですが、できそうにないというような気持ちで、私どもはかなり期待はしておるのですが、何か歯がゆい思いがします。この種の手口というものは巧妙に考えられておるわけですから、最大限知恵を絞って法のぎりぎりのところまで違法を広げていくんだと思うのですが、これを許せば、これに類似した商法が瞬く間に蔓延すると思うのです。  したがって、せっかくここでこの問題を取り上げた以上は、私どもは何としてもこのような悪徳商法がはびこらないようにきちっと始末をつけなければならぬと思っておりますが、今日まで努力をいただいたことは法務委員会その他いろいろなところで答弁されておりますからおよそわかりますが、改めて本委員会で、今日までの警察捜査の詳しい中身までは、それこそ捜査の秘密があるでしょうからそこまでは私は言いませんが、説明できる範囲内で、大体今日までとってきた警察の方針、態度、そして今後の問題について、ここでひとつ明確に答弁してください。
  78. 清島伝生

    ○清島説明員 御指摘会社あるいはこれに関連する会社の勧誘員の末端における勧誘行為、これについて不法なあるいは違法な行為があるということで若干検挙をしておるということは午前中も答弁申し上げ、豊田商事商法、これについて違法行為があるのかないのかということにつきましては現在実態解明をしておるところでございます。違法行為があるのかないのかというのがまず基本でございます。違法行為があれば当然捜査に入るということになろうかと思いますが、今全国警察でその実態解明に努めておるというところでございます。
  79. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 実態解明に大変時間がかかるような気がいたしますが、これはやはり急いでもらわないと、午前中に金子委員から特徴的な、それこそ中国の人、外国人まで被害を受けておること、お年寄りが大変嘆いておられることなどの具体的な事例がありましたが、これらがもし返せと言って返さないという事例が重なったとき、つまり契約違反が明らかになったときには、警察庁としてはこの問題について直ちに対応してもらいたいと思いますが、そういう受けとめ方でいいですか。
  80. 清島伝生

    ○清島説明員 違法行為が明確になれば、当然厳正な対処をするということでございます。
  81. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 その違法行為の中の特徴的なものとして、明らかに契約違反だと思われるような、つまり金のこれを返してくれ、そういう問題についてそれが返せない状態が起こった、これは契約違反です。ほかにもたくさんあると思うのですが、そういう具体的な事例をちょっと想定して今物を言っておるのですが、そういうケースがあちらこちらで起こってきたときには、これは明らかに違反だと断定をして厳しい対処をしていただけますなということを私は質問しておるのです。
  82. 清島伝生

    ○清島説明員 契約違反だけで違法行為とは言えないわけでございます。私どもが連法行為と言うのは、あらゆる法令の罰則に当たるかどうかということでございますので、契約違反そのものは犯罪行為の一環としてそういうことがあり得るというだけでございますので、先生御質問の意味だけでは直ちに違法行為として捜査するわけにはいかないということでございます。
  83. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 どうも釈然としませんな。現物があるかのごとく見せかけてやったということで、ひょっとしたら私もそれにかかったのではなかろうかというので、それを解約する場合は七〇%か何ぼかということですからそれはしようがないにしても、契約解除じゃなくて現物を自分の家で保管いたしますというふうなことで現物を見たいという場合にそれがないときには、Aという人もない、Bという人も同じように現物を手にすることができなかったというものが出てきたときには明らかに違反ではないかということを私は言っておるわけです。  私は地元の山口県全体を知るためにいろいろ連絡を入れたわけですが、弁護士の筋で訴えたりあるいは消費者団体の方に訴えたりするわけですからなかなか全体像がつかみにくいわけですが、それをつかむ過程で、広島県では今日現在で二億八千万円の被害というものが既に訴えられておると聞いております。したがって、日にちを置けば置くほどこの被害者は拡大するし、被害金額も拡大すると思います。総じて、午前中も私はずっと聞いておったのですが、さっきからどうも各省庁歯切れが悪い。この種の関係について、一体どこが窓口になって各省庁の取りまとめ役になるのか。そして、法の不備があれば法を充実強化するような手続を直ちにとらなければならないし、いかなる法をやってもどうしようもなければ、これに限定してでも新しい法律をつくって、直ちに被害をストップさせなければならぬと私は考えます。したがって、これは今さら言っても始まりませんが、予防の問題が金子委員からも出されました。やはり事前にこういう問題については防ぐ必要がある。  そこで、これは警察庁も含めて各省庁に聞きますが、一つの具体的な事例としてパンフとかいろいろ配っておられます。これも私見ました。それから余り大きくない宣伝ビラ、これも見ました。こういった手口にかからないようにという意味で、なるほどいいことです。いいことですが、これから先はニューメディアの時代ですから、それこそテレビもない、ラジオもない、新聞もないということはないわけですから、政府広告という名前にするのか通産省の広告とするのか、この種のまがい商法が一定の段階でこれは違法だと判断された場合、これは判断する委員会というか判断する機関というものも問題になりますが、それはまた別に検討するとして、そういう機関が判定した場合は直ちに、これ以上拡大させないために、そういう電波を通じ、つまりテレビを通じラジオを通じてこの種のまがい商法にはかからないように特にお年寄りの方は気をつけてくださいよというぐらいの事前の周知を、パンフで呼びかけると見ぬ人もおるわけですから、テレビ、ラジオならばほとんどの人が耳にし目にするわけですから、近代的にそういう事前の対策をやるべきだと私は思いますが、そういう提案に対して前向きで検討してみる気があるかないか。それぞれの立場からこの点について回答をいただきたい。
  84. 山下弘文

    ○山下説明員 通産省といたしましては、従来から消費者の方々へのいろいろな啓蒙普及活動をやってきております。マルチ商法につきましても私ども新聞のコラムあるいはテレビというようないろいろな方法でやってきておりまして、引き続きそういうことを充実していきたいというふうに思っております。  先生御提案の仕組みにつきましては、先生御指摘のとおり判定の機関のつくり方とか基準とかいろいろ難しい問題はあろうかとは思っておりますが、そういうことも含めて私どもなりに勉強してみたいと思います。
  85. 林暉

    林説明員 金の現物まがい取引に関しまして、広報件数でございますが、昨年度テレビ、ラジオ等六回、ポスターを配る、新聞雑誌、それから講演会等を開いております。十分とは思いませんが、今後とも一層充実をしていきたいと思っております。
  86. 及川昭伍

    及川政府委員 このような金の現物まがい取引などの悪質な取引消費者がひっかかって被害を受けないように、ニューメディアを使って広報、周知すべきだという御提案はそのとおりだと思っております。私どもとしては、現に五月末、私が直接二回、政府広報番組及び国民生活センター提供のテレビ番組に出まして、そういう広報に一役買わせていただいておりますし、今後とも、経済企画庁の所定の予算やら政府広報の予算やらを活用しながら、新聞雑誌等の出版物だけでなくて、テレビやラジオも使って広報に努めてまいりたいと思っているわけでございます。  このような商行為が違法であるかどうかという御質問があったわけでありますが、システムとしての商行為自体は現在のところ違法と断定するところまでは参っていないかと思います。ネズミ講は国会法律の御制定によりまして全面禁止といたしました。ネズミ講に品物がついたマルチ商法については、訪問販売法の改正によりまして一定の規制をするという形にいたしております。そして現在問題となっておりますのは、マルチまがい商法であったり、あるいは現物まがい商法であったり、さらにそれにまがいのついた商法でありまして、これが悪質な取引であるということは、昨年十一月の消費者保護会議決定においてもはっきり明言しているところであります。そして、この悪質な取引の中に違法な部分、不法な部分が入ってくるわけでありますから、この不法な部分につきましては、現行の法令を駆使して厳重に取り締まるということを各方面と協力しながらやっておるわけであります。  さらに、御提案のありましたような形で消費者向け啓発活動も進めてまいりたいと考えております。
  87. 清島伝生

    ○清島説明員 先生のお話、違法行為と断定されればという前提がございましたが、もしそうであれば私どもは検挙に着手するということになろうかと思います。  警察としては犯罪予防という任務も持っておりますので、事案によってはやはりPRしてやっていくという必要もあろうかと思います。
  88. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 少しこの問題締めくくっておきますが、今それぞれ前向きの答弁がありました。事前の予防措置の必要性は全部認められたわけですから、その場合にそれを周知をするためには、悪質であるか違法であるかという判定が非常に難しいと思うのです。善良な商行為まで巻き込む恐れも逆に言えばあるわけですから、大変慎重に扱う必要がありますので、これらを判定する機関も含めて、現存する法律ではやや弱いということが午前中からわかったわけです。ならば、どうすれば、どのような法律にすればこれが規制できるかということをそれぞれ検討してもらって、恐らくこの問題は本日の委員会だけでは終わらないと思っておりますから、後日改めて、この種のことについて新しい法律はどのようにすればいいかということで私は質問いたしますので、これは研究課題として私が提供しておきますので、きょう出席の各省庁警察庁も含めて御検討しておいてもらいたいと思います。  次に、この種のことについて余り関係のない者が風聞だとか新聞だとかということだけを資料にやりとりしても、実は中身にさわることがなかなかできないと思うのです。そこで、この委員会で急には無理ですから、次のこの委員会には会社の代表権のある者を参考人として――決してつるし上げたり裁判所でやるような雰囲気じゃなくして、実態はどうですかということで、素直に参考人として意見を述べてもらうために十分配慮しなければなりませんが、そういう会社の代表権のある者をまず参考人として呼ぶ。もう一人は被害者を、そうは言ってもこのようなテクニックでこういうことでやられたというように、個人ですから多少感情的になるかもわかりませんが、それは腹が立っておる人はお互いにやむを得ないわけでありますから、余りそういう個人的な感情を出さないようにその点については十分事前に調整しておかなければならぬ問題もありますが、被害者の代表または被害者の会の責任者というか、どちらでもいいと私は思いますが、この二者、したがって会社の代表権のある人と被害者をこの次の委員会に参考人として呼んでいただきたいと思います。この場で直ちに結論が出ることは難しいと思いますので、これは物持委員長にお預けいたしますので、今後の日程も含めて理事会などで十分検討していただきたい。この程度にして、この豊田問題は以上で締めておきたいと私は思うのです。  さて、残る時間ですが、きょうは集中審議というふうに正式に決まったわけじゃありませんので、多少豊田以外の問題を出しておかないと結果的には集中審議になりますので。  そこで、がらりと変えまして、私はまず乳製品の問題についてお尋ねをいたします。したがって、私の範囲内では警察庁はいいわけですが、それ以外それぞれお願いしておいたと思うのです。  先般、乳製品の問題、牛乳問題について、物持委員長委員として弁士交代で質問されたことにも関連をいたします。私はそれと大体同じような立場質問するわけですが、理屈よりか現物を見た方がいいと思うのです。この手元のは、コーヒーを飲むときに入れる、普通ミルクと言いますが、コーヒー用のミルク、スジャータとか名前はいろいろありますが、コーヒーに入れるものなんです。これはばらしておりませんが、中身を一つずつ見ますと成分なり何にも書いてないのです。書いてないが、一般的には、これを使うときには乳製品というか、言ってみれば牛乳からいろいろな工程を経でつくられたミルクだろうということで飲んでおると思うのです。  ところが違うのです。私の右手の方のこの色のついた分は乳脂肪。つまり牛乳からとれたものはわずか八%、こう書いてあるのです。あとは植物性の油脂。いろいろあるでしょうね、大豆のあれだとかヤシだとか、そういうもので、白い色がつけられて牛乳であるかのごとき、ミルクであるかのごとき装いをされております。それからこちら側、これはひょっとしたら私の事務所でも使っておるのではないかと思うのですが、これは牛乳、乳製品は全く使っておりません。これは植物性。この袋には植物性油脂食品と書いてある。そういった意味では正直に書いてある。ところが、これを一つ取り出すと、中の成分その他何にも書いてない。今言ったように、これは八%、こちらは〇%。けれども、両方とも牛のお乳からいろいろ加工してこんなものができたんだと、一般的にはそういう受けとめをいたします。  そこで、先般竹内委員がこの席で質問されたことに関連をいたしますが、これらの問題について、まずこれは公取に質問をした方がいいんじゃないかと思うのですが、中身と上辺の表示が違う、もしくは中身がなかなかわかりにくいような表示というものは、明らかに違法行為であると私は思うのです。豊田商事ほどの問題はないにしても、これは明らかにできるだけ牛の乳らしい装いでもってやるわけです。  私は現物を持ってきておりませんが、十五個分の写真をここに持ってきておるのです。これは拡大できませんからしゃべりにくいのですが、この十五ある中で六つが牛乳、つまり生乳を殺菌したりしながら熱処理してつくったもの。あとはまるっきり違うのです。中には、乳製品から回り回ってもとに戻された還元乳もあります。また、私が申し上げましたようなコーヒーに入れるのと同じように、植物性油脂からとって、色やにおいをつけて牛乳らしく見せかけたものもあります。これがマーケットで売られておる。私は、この前行っていろいろ聞きましたけれども、売っておる人も知らないのです、これは牛乳ですよと。牛乳と言えば生乳、乳そのまま、それからとったものかと私が言えば、はいそうですと。違うじゃないですか、これは加工乳と書いてありはせぬかとか、いろいろ説明したら、ああなるほどと。だから、これは素直なあれではない、こういうふうに私は解釈しておるのです。  大体、この種の問題について、表示をきちっとさせるような指導をやるべきであるが、まずその辺から、これを一体どう考えておるのか、公取から説明をお願いしたい。
  89. 竹内猛

    竹内委員長 浜西委員の先ほどの質問の中で、一つは参考人の問題がありました。この参考人の問題に関しては、午前中にも中村委員金子委員等々からも、会社並びに関係者についての参考人を招いて次の機会にいろいろと実情をただしたい、こういう要請がありました。委員長としては、理事会に諮ってこの問題については善処をしていきたい、こういうふうに思っておりますので、この点は浜西委員の方も御了承願いたいと思います。  そこで、今の表示の問題等々に関しては、公正取引委員会の利部取引部長からお答えを願います。
  90. 利部脩二

    ○利部政府委員 ただいまお示しの、乳製品に外形、包装等が非常に類似しているが実は乳製品でないもの、表示上区別がつきにくいということでございますが、消費者立場からそういう表示の状態は甚だ不適切だと思います。消費者購入するときに区別できるような表示が望ましいと考えます。
  91. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そうすると、これはまた表示の仕方についても十分論議をしてやらなければいけませんが、私がなぜそういうことを言うかというと、思い込みで、つまり間違ったものを間違っておらないように錯覚させて消費者に供するということ自体は、これは正さなければならぬという意味で言っているわけでありまして、私は牛乳まがいのものをつくるなとは言っていないのです。その点、ひとつ誤解のないように。牛乳まがいだって結構だと思うのです。それならそのように、これは正規の生乳からとったものではない、これは粉と何かをまぜ合わせて結局もとの牛乳のようにやったのですということがわかるようにすれば、好みとしてそういった乳製品の方が好きな人もいるでしょう。だから、それはそのようなことで消費者が選択すればいいことであって、そういった意味で選択しやすいような表示をすべきだという意味ですから、その表示の仕方について後ほどまた聞きます。  さて、農水の関係だと思うのですが、この乳製品については、私は素人なりにいろいろ質問するのですが、我が国の酪農業者が一生懸命牛を育てて乳を搾って出すものと――外国も含めてですが、粉にして、言ってみればいろいろあると思うのですが、脱脂粉乳、カゼイン、バター、乳糖だとか、ばらばらにして生産というかそういうものを製造する、あるいはそういうものを輸入するという目的は一体何なのか。簡単なことですが、まずそれから答えてもらいたいと思います。
  92. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 先生お話しになりましたバター、脱脂粉乳、乳糖、カゼインと、乳製品は多種多様にございますが、その中で一番代表的なバターと脱脂粉乳につきましては、それが直ちに牛乳生産と連動いたしますところから輸入制限の対象にしておりますし、畜産振興事業団の一元輸入の対象にもしておるところでございますが、製薬等に用います乳糖でございますとか、紙のコーティングに用いますカゼインでございますとか、用途が工業用にもかなりございます乳糖、カゼイン等につきましては、輸入制度も全く違いまして、自由化されているというようなことでございます。牛乳からできますいろいろな乳製品は、その乳製品の性格に応じましていろいろな輸入制度で対応しているということでございます。
  93. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 一元輸入品目は今バターと脱脂粉乳と言われました。カゼイン、つまり工業用の接着剤だとか、今言う医薬品のベースになるような乳糖あたりは、自由化の品目ですね。そうすると、それらが幾らでも入ってくるわけですが、現在出回っておる、私が申し上げたようなこういう小さなコーヒー用クリームと言ったらいいでしょうか、聞くところによるとこれは年間七百万トンも我が国で製造されておる。そうすると、あの大きなパックになる――名前を言った方がいいと思うのですが、アカディだとかグレードだとかサンキョウ濃厚牛乳だとかニュージー牛乳だとか、これは生乳そのものに熱を加えて殺菌をしたりしてつくったのではなくして、極端に言えば工業用接着剤のカゼインだとか乳糖、それから一元輸入品目であってもバターとか脱脂粉乳というものと水とをまぜればもとの牛乳らしくなるわけですが、これらはそれぞれの用途で輸入されておるということでしょう。ならば、これらのパックが大量に出ておるという意味はどういうことになるのですか。  値段とすれば、生乳そのものでつくった牛乳は高い。今言うように、それぞれの成分を集めて水とまぜて熱処理をするのでしょうが、やれば牛乳らしく還元できる。それに今私が言ったような名前を会社がつけて、牧場の写真だとか、いかにも本物の牛乳らしき表示をしておるわけですが、そういうものがどんどん製造されている。この方が安い。一体この価格の差は何で生じるか御存じですか。それを聞かせてください。
  94. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 先生のおっしゃいました乳製品にまたいろいろ水寺とまぜましてつくる製品は、還元乳という言葉で一般に言われておりますが、これも原料その他非常に多種多様でございまして、昔からございますのは、例えば大都市の近郊で夏、暑いときに飲む需要が大変多い、しかし農家の方から出てくる生乳がその量に達しないというような場合に、生乳を七割、八割使いまして、それにバターと脱脂粉乳をまぜて需要を満たそうということでできたというのが還元乳のそもそもの起こりでございます。  そういうようなところから、国産の脱脂粉乳、国産のバター等を使いまして、今申しました季節的、地域的な需給調整ということできたわけでございますが、中には、最近大変需要の形が変わってまいりまして脂肪分は欲しくないというような消費者需要もありますが、そういうものに対しては脂肪分を抜いたローファット牛乳というようなものをつくる、あるいは先ほど一、二挙げられました商品の中には、乳成分の中を特殊な加工をいたしまして腸の状況が弱い人にも対応できる牛乳をつくる、いろいろな需要に対応した各種の製品が出てくるということになったわけでございます。  その中で、国産の脱脂粉乳やバターと生乳をいろいろ加工いたしまして製造している加工乳、乳飲料もございますれば、あるいは乳飲料の中には、全く少数だと思いますが、おっしゃいますような植物性脂肪を使って非常に安い価格で出しておる乳飲料もあるやに聞いております。しかし、おっしゃいましたカゼイン、乳糖というようなものを使って還元乳にしておるというような量は、私ども周辺業界あるいは農林省の統計等から推察しているところでは、非常に少量だと思っております。
  95. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そこで疑問になるのは、確かに脂肪分の少ないものを飲みたいというような需要の関係もあるでしょうが、牛の体内で適当に血液が流れて、純粋な水分といろいろな要素がまじって本物の乳が出るわけですが、それをわざわざ手間暇かけて熱処理をしたり分解して、これにはエネルギーが要るわけです、そしてまた、どこかの商社がそれを集めてもとに戻すという手間暇かけたものの方が値段が安いというのは、一体どこにそういうからくりなり問題があるか、こう言っておるのです。
  96. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 今申し上げましたとおり還元乳、乳製品から戻ってくるようなものの量は非常に多いわけではございません。もし、徹底的に乳製品の価格が安くて、生乳そのものを使うよりも還元乳の方が圧倒的に安く、そちらの方が経済的に有利である、どのようにしてもこれは覆すことができないということであれば、これはどんどんそちらの方に圧倒されて牛乳が減ってしまうわけでございまして、このところ何年かの数字では還元乳の量はさほどふえているというわけではないわけでございます。しかし相当量があるということも、これは事実でございます。  乳製品を手をかけてつくりましたものからまた生乳に戻ってまいるというようなことは、現在加工原料乳に対して不足払い制度というものを適用しておりますが、そのような制度の面から見ましても好ましいことではないわけでございます。還元乳の生産を抑制しようというところから五十八年九月に私どもの畜産局長が各都道府県に対しまして通達を出しておりますが、その中でも、還元乳の抑制につき乳業者等を指導するように都道府県に対して指示をしておりますし、また適時適切に乳業工場に立入検査を私ども農林省もいたしまして、還元乳が不当な量に拡大することのないよう抑制措置をとっているところでございます。
  97. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 この問題についてはどうもまだはっきりしないところが出てくるのですが、私はきょうでやめるのじゃなくて、ずっと追及してこの問題取り上げてみたいと思っていますから、きょうはその考え方という意味で少しはしりを質問する程度にとどめておきますけれども、問題は、輸入する場合にこれらの製品がばらばらで輸入されておるわけです。そうするとばらばらに、つまりそれぞれの用途に応じて輸入したはずのものが、何回も言うようですけれども医薬品のベースとして乳糖が輸入される、あるいはカゼインが輸入される、脱脂粉乳、これは一元輸入品目ですが、バターもそうですが、それぞれ輸入をされて、これにうまく技術を加えれば幾らでももとの牛乳らしくなる。これはだれが見たってそういうことは考えられるわけです。ならば、輸入をしておる年間の品目別総トン数、そしてそれが本当に政府が補助金を出してまでそういうものについて保護政策をとっておる使途にきちっと使われておるかどうなのか。そういう使途に使われておれば問題はないわけですが、途中でこれを扱う商社がそれこそこれをつくるところに持っていけば、乳製品製造会社に持っていけばいとも簡単にできるわけですから、そういう輸入総トン数、あるいは国内における今言ったようないろいろな成分に分けて保管をしたりするわけでしょうから、それらが正当に、正常にそれぞれの用途に使われておるかどうかという立入検査、追跡調査、これは確実にやられておるのかどうか、それを伺っておきたいと思います。
  98. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 畜産振興事業団が一元輸入の対象にしておりますバター、脱脂粉乳等につきましては、私ども当然そのような詳細を承知しておるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、国産の牛乳の需給が長い間過剰期であったこともございまして、制度は一元輸入というようなことになっておるのでございますが、この八年間、国内の生産の乳製品を買い上げる、その買い上げたものをまた市中に出すというようなのが事業団の主な乳製品売買操作でございまして、昨年脱脂粉乳を八千トン輸入いたしましたが、これはまだ事業団が手持ちにしておって外に出しておりません。したがいまして、外国から輸入したバター、脱脂粉乳が市中をいろいろ回りましていろいろなところに使われておる、還元乳の原料になっておるというようなことは現在の状況ではないわけでございます、  また、乳糖、カゼインその他の乳成分につきましては、先ほど申しましたように用途が食品だけではございませんで、工業用、薬用等多種多様にわたっております。制度も自由化されておりまして、役所が中でチェックするシステムではございませんので、詳細調べるのはなかなか難しい点はございますが、乳製品の需給上、必要なデータにつきましては私どももできるだけ情報を収集するようにしておるところでございます。
  99. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そうすると、一元輸入の場合はある程度できるが、完全な自由品目になっておるカゼインとか乳糖はなかなかつかみどころはない、簡単に言えばそういうことになる。そうするとこれらを自由に輸入をして、問題はバターだのマーガリンだの、言ってみればヤシ油だ、いろいろ加えてやればできる可能性があるわけですね。したがって、そういうものを業者が自由にできる部分と一元輸入で手に入れる方法とがあるわけですから、それが合体をしたらいかようにもなるということ自体は、これは認めているのですか。その点は一体どういうことになっているのですか。この乳製品の一つの市場バランスというものについて、勝手につくるのはしようがないということなのか、それは一定の規制なり指導なりというものがなされておるのか、これを聞いておきたいと思うのです。
  100. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 乳製品は相互に代替可能という面が強い商品でございますので、いろいろな面から、自由化されております商品がいろいろなほかの乳製品とまざるというようなことはあり得ることでございます。  ただ、業界の中で乳製品の流通事情を詳細に観察しておれば、そういうものの量が非常に大きくなっておるとか、需給が乱れておるかどうかというような点は、ある程度察知することができるわけでございまして、また、乳糖なりカゼインなりの輸入価格、出回り商品の値段と脱脂粉乳等の国産のものとの相対価格関係も我々知ることができるわけでございます。そのようなものから観察しておりますと、乳糖、カゼイン等の自由化されております輸入乳製品が国内で最近非常に大きく出回りつつある、異常に増加しているというようなことはないというふうに判断しております。
  101. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私も全部調べたわけじゃありませんから、異常ではないと言われればきょうのところはそれを信用する以外ありませんが、私なりにまた調査をして、この問題については後日ずっと追跡調査をしてみたいと思っております。  最後に聞きますが、不足払い金というのは四百六十五億円ぐらいと聞いておりますが、それに間違いないですね。だとすると、その不足払い金、つまり国の補助が、それぞれの目的のためにせっかく不足払い金を出すことの意味が満たされておれば何も言うことはないわけですから私はそのことは言いませんが、そうでない輸入した部分と国内の酪農家から買い上げた乳から、それもそういうふうに分類をして保管をして調整用にとっておるわけでしょうが、それが一体本当の意味でそれぞれの用途に使われておるか、私は疑問を持っていますから、後日この問題についてはやることにいたします。  ついでですから、LL牛乳というものについて、これもまたずっと追跡しなければいけませんが、かなり長期に保管できるようなものが出てくると思うのですが、さて、このLL牛乳の中身の、これは厚生省の管轄になると思うのですが、栄養価値というか成分というか、そういう保存のきく乳製品、私どもが考えると、高熱処理をしてぎゅうっとすごい熱処理をやったというものは恐らく中身の何かが化学変化を起こしておるに違いないと素人考えに思うのです。そういう変化があるだろう。本来ならかまぼこでも日にちがたてば腐る。腐らないかまぼこがあれば、何というか猫いらずが入ったとかよく言うのですが、そういうふうなことと同じように腐らない。かなり長期間に保存できるというのはいい部分もありますが、本来的な成分を殺してはいないだろうかという意味が一つ。  それと、今さっきからやりとりしております還元乳、この還元乳については、牛の体内で血液を循環しながらできていった、純粋な水とそれぞれの成分でつくられたおっぱいから出るものと、一遍熱処理をしてばらばらにしたものがまた水道の水でまぜられてできるものと私は成分が違うように思いますが、その点、厚生省として今の段階でこの分析についてどういう知識をお持ちか、これを聞いておきたいと思うのです。
  102. 難波江

    ○難波説明員 量初に、LL牛乳についてお答えを申し上げます。  先生御指摘のように、通常の殺菌方法から見れば高い温度で加熱をするわけでございます。しかしながら、私ども調査研究班にお願いをいたしまして調査研究した結果、あるいは国際的な文献から見る限り、生乳から見れば、当然加熱の影響がございますので各種の栄養素が、特に水溶性のビタミン等の中で一部についてはかなり減少するということでございますけれども、これはLLに限ったことではございませんで、現在出ておりますUHTと言われる殺菌法あるいはLTLTと言われる低温殺菌の方法、あるいはHTSTというような方法、それぞれの比較がございますが、加熱による影響、栄養素が減るという減り方につきましては、そう差がないというふうな認識を持っておるところでございます。  それからもう一点、御指摘の還元乳でございますが、還元乳で先生御指摘の、加工乳だと思うのでございますが、御承知の食品衛生法に基づきます乳及び乳製品の成分規格等に関する省令というのを私ども所管をしておりますが、この省令の中で、加工乳につきましては、本来牛乳の中に含まれる成分以外のものを使うことを禁止している。具体的に申し上げますと、水も含めてでございますが、脱脂粉乳であるとかクリームであるとか無添加のバターであるとかバターオイルというような乳製品が中心でございますが、もちろん生乳も含めて、それらの本来牛乳にある成分でできた製品以外を使うことを禁止しているわけでございまして、したがいまして、成分的には牛乳と同じものだというふうに考えておるわけでございます。ただ、これらの成分を量的に見た場合に、一部に、先ほども農林水産省から御答弁がございましたように、乳脂肪分を少なくしたような低脂肪タイプのものとか、あるいは特に乳脂肪であるとか乳固形分を強化いたしました濃厚タイプという特殊なものがございますが、通常の牛乳タイプの加工乳について見ますと、乳脂肪でございますとか含まれる乳糖あるいは乳たんぱく等、その成分につきましては牛乳と比べて量的に特に差はないという認識を持っております。したがいまして、栄養価の面についても、牛乳も加工乳も差がない、こういう認識を持っております。
  103. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今の段階での科学知識というか、ではないというふうに言うべきが正当であろうと私は思うのですが、素人の方が案外当を得ておる場合があるわけですから、私らみたいにそういうことに対して全然無知な者が一般的に、一般国民が無知とは言いませんが、大体余り詳しくないそういう人が見た場合に、やはり正常なところで草を食べ水を飲んで、牛の体内でできたものの方が、同じその中に含まれる水分でも、本当に純粋な水分、片方では還元乳で水道で熱処理をしたとは言いながらも、それはそれなりに牛の血液の中からじわりじわりたまってくる水とまた違ったものがあるだろうと私は思います。今の段階での科学ではこれが証明できないまでも、今から何年か後に、あのときに厚生省はこう言ったけれども、あの水は随分違う、実は水にはこういう新しい要素があることが発見されたということがあるかもわからない、だから私は、そういう将来のことを言ってもしようがありませんが、素人考えでは違うというふうに見るべきだと思います。  したがって、最初公取の方に質問をいたしたことに関連するわけですが、ともあれ、そういういろいろ科学の力でできた、全く乳製品を使っていないこの手に持っておるこの種のコーヒー様のものでも、これは牛乳からとったものではない、ヤシで、それににおいと色をつけたものだということがわかるような表示をさせるべきだと思う。その上で、これは安いから、乳製品でつくったミルクよりか安いのを私は使いたい、乳製品はおなかがごろごろするからやはりヤシの方がいいという人がおるかもわからない。だからそれは、それこそ消費者の選択の自由に任せる。したがって、こういった問題も含め、三枚の写真を私は持っておりますが、この写真で説明したように、明らかに生乳と違う工程を経てつくられるものは、これは成分はこうでありますということはもちろんですが、生乳と違うということだけははっきりさせておかないと、結局無知なというか、わからない、識別ができにくい段階で、自分の志と違ったものを飲まされておるかもわからないから、そういった意味で、きょうここで直ちに、ならばどのような文字にして、どのように意匠を制限してということは難しいでしょうから、これも検討課題として残しておきたいと思うのです。この問題については、きょう慌てて結論を出さなくても、特段これを飲んだからぐあいが悪くなったという事件はありませんから、これはじっくり正当な品物をそれぞれの選択の自由によって得るという立場から、公正取引委員会もこの意匠について、表示について、後日こういうことを考えておるということをまた私は質問いたしますから、検討して準備をしておいてもらいたいと思います。  中途半端になりますので、以上で私の質問は終わります。
  104. 竹内猛

    竹内委員長 次に、草川昭三君。
  105. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  私は、きょう豊田商事の問題を中心に質問をしたいと思うのでございますけれども、実は私がこの問題を取り上げましたのは、随分前から系統的にこれを追っておるわけでございまして、ことしの予算委員会あるいはまた昨年の予算分科会あるいはその途中の各関連する委員会で問題提起をしてきたわけでございますが、犠牲者の方々の非常に痛ましい実例報告等は午前中にも随分出ておりますし、既に私も過去に取り上げておりますので、きょうは少し時間を割きまして、俗に言うところの豊田商事のグループというのはどういうような体系になっているのか、それに対して行政上どのような対応をしておみえになるのか、そして、私が過去取り上げたことがあるわけでございますが、例えば昨年十月の一カ月間に豊田関連企業が売り上げた金――売り上げたというよりも、お年寄りから集めてきた金というのは百二十二億に当たる、こういうことを私は申し上げたわけであります。これは昨年十月の話であります。こういうような金額を売り上げておきながら、その金が一体どこへ流れていくのか、ここが私どもが非常に注目をしたいところでございます。  しかも、その金というものをどこかで非常に有利に運用をしている。相当な利益を上げている。だから末端の被害者と言われる方々に、例えば一年間に一〇%の利益還元ができる、あるいは一二%の利益還元ができる、一五%の利益還元ができるという証拠というものが欲しいわけですが、それが果たして行われているのかどうかを、きょうは外務省の方にもわざわざ来ていただいて、それを国際的な面から一回明らかにしていただく。そういう中で、企業の経営というのが一体うまくいっておるのかどうか。これはまた後ほど問題提起をいたしますけれども、大阪では、恐喝事件等で地検が証拠として採用をしておる内容を見ると、大幅な赤字を出しておる、企業の中で計上している利益と明らかにそれが食い違うわけでございますけれども、もし食い違うとするならば、これは明らかな詐欺の事件になるのではないか。だったら、午前中に警察庁なりその他の関連する役所の方からいろいろな答弁が出ておるわけでございますが、その答弁は変えていただかなければいけない、こういうことになるわけでございますので、そういう流れの中からきょうは質問をしていきたいというように思います。  そこで、まず豊田グループというもの、豊田商事関連というものをどのように当局の方はつかんでおみえになるのかということをお伺いをしたいと思うのでございますが、経済企画庁は午前中も、国民生活を守るためにということを何回か言っておみえになりますが、豊田商事関連するグループをどの程度つかんでおみえになるのか。二番目に通産省、それから警察庁、この三つの省庁にまずお伺いをしたいと思います。
  106. 及川昭伍

    及川政府委員 豊田商事グループ活動につきましては、経済企画庁としては国民生活センターを所管しておりますが、国民生活センター消費者苦情相談の処理の過程で、苦情処理業務を行うのに必要な範囲内で直接接触をして、その範囲で承知いたしておるわけであります。しかしながら豊田商事側からは十分な協力が得られておりませんし、何回も出ておりますように、法的調査権限もないため、グループ全体の活動の全貌を正確に把握していろということにはなっておりません。しかしながら各省庁と数次の連絡協議をやっていますので、各省庁相互の情報交換をしながら、豊田商事だけではなくて、何回か話が出ております鹿島商事関係のグループとかその他の幾つかのグループが、銀河計画という持ち株会社存在とも関連しながら連携しているということは承知いたしております。
  107. 山下弘文

    ○山下説明員 通産省におきましても、豊田商事グループという全貌について詳細を把握しているわけではございません。豊田商事が発行しておるパンフレットその他によりまして、ある程度の関連会社その他の名前は承知はしておりますけれども、それぞれの会社活動状況につきまして詳細を知り得ているという状況にはございません。
  108. 清島伝生

    ○清島説明員 御指摘会社に関しましては、多数の関連会社があるということは承知しておりますが、具体的なことにつきましては答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 今三省庁の方から、豊田商事は単独な企業ではなくて、関連企業が非常にたくさんあるということは御答弁なすったわけでございますし、経済企画庁の方からは、銀河計画という会社が持ち株会社的にあるということが答弁なされました。そのとおりではないかと思いますし、その銀河計画の上にさらに白道と言われるグループがあるわけでございます。  それで、その銀河計画株式会社という持ち株会社、これは月に五千万ぐらいずつ各企業から顧問指導料を取っておる、こういうわけでございますが、その下に十二のそれぞれの会社があるわけであります。例えば株式会社エバーウェルシージャパン。これは後ほど提起をいたしますが、中国で新しくビルをつくろうというところに名前が出る会社であります。それから株式会社日本コモディティーインベストメントという会社。それから日本教育システム株式会社。これはスイスの化粧品だとか、後ほど申し上げますけれども、ベルギーダイヤモンドをその傘下にしているわけです。べルギーダイヤモンドの上の企業が日本教育システムというところであります。それから国際総合ファイナンス株式会社というのがあるわけであります、この下にジャパンファイナンスだとか日本長期信用ファイナンス、いわゆる金融業がこの中に入るわけでございますが、国際総合ファイナンス株式会社というのがございます。それから国際テレビ株式会社というのがございます。それからもう一つ、豊田計画株式会社というのがございまして、ここの中には牧場から不動産から商船から航空機から住宅から薬品から石油から、たくさんのものがございます。その次に豊田リクレーションという会社がございまして、その下に豊田ゴルフクラブ、あるいはきょうは運輸省にも来ていただいておりますけれども、豊田マリーンクラブというのもあるわけであります。あるいは飛行機の豊田スカイクラブというのを傘下にしているわけであります。  その次に日本総合販売株式会社というのがございまして、その下に、今問題になっております豊田商事株式会社というのがあるわけであります。ちなみに、兄弟会社と言ってもいいんですが、日本総合販売株式会社の中にどういう会社があるかというと、豊田商事、日産商事、三越商事、鹿島商事――これは例のゴルフの会員権をやる鹿島商事。それからついでに三井商事というのがあるのです。この名前を挙げますと、三井、鹿島、三越、日産、豊田ですから、日本の一流企業の名前が全部商事会社の中に出てくるわけです。これは実際表になって見ると笑い出しますけれども、この名前で多くの方が実はひっかかってくるわけであります。豊田商事、日産商事、三越商事、三井商事、鹿島商事というのがその中にある。そのほかに豊田総合開発というのがございまして、沖縄だとか、観光会社がございます。それから海外タイムスという新聞社がございまして、この新聞社がいろいろな情報を送って、特にこれは従業員用のニュースにもなっておるわけでございますが、駅売りはされていません。収入は全くゼロではないかと思われる企業でございますが、一応新聞社を持っておるわけであります。  そのほかに二社ございまして、いわゆる銀河計画株式会社の下に十二の大きなグループがございます。その下に、先ほど私が申し上げましたように、豊田商事だとか鹿島商事だとかマリーンクラブというような関連会社が八十三ございまして、私が今つかんだところでも九十五の企業があるわけです。でございますから、例えば豊田商事が金を販売している、しかも預かり証を出すというまがい商法をするから豊田をたたくとします。そうすると、いつの間にかベルギーダイヤモンドの方にシフトをするわけです。ベルギーダイヤモンドという企業がおかしいじゃないかといって我々が追及をいたしますと、今度は鹿島商事がゴルフの会員権を同様の手口で、プレー権ではなくてプレー権を預かるという形でまがい商法をするということになってきておるわけです。  この鹿島商事を私どもが半年前に予算委員会で問題提起をいたしておりましたら、最近はいわゆるスポーツクラブ的な、全国どこへ行ってもスポーツができますよ、マリーンクラブも利用できますよという形で新しい行動が始まろうとしてきておる。まずこの全体の俯瞰図を承知をしていただきたい。今警察庁は、ある程度つかんでおるけれども答弁は差し控える、国民生活に携わる経済企画庁は、ある程度のことを承知なすっておみえになるとおっしゃっておられますが、こういう細かい、どういうのでしょう、子供というのですか枝葉の企業にまで関心を払っていただかなければいけないと思うのでございますが、その点、経済企画庁警察庁通産省、どのようにお考えになられるのか、もう一回お伺いをします。
  110. 及川昭伍

    及川政府委員 御指摘のように、豊田商事ということだけではなくて、関連する会社が非常に多うございまして、関連する会社を含めていろいろと問題が多発しているわけでありますから、そのような商法それ自体について、国民生活局立場からは各省に施策をお願いするとともに、国民向けのPRを積極的に行う必要があるかと思っているわけであります。そういうわけで、ごく最近で申しますと、テレビだけで五月二十五日には二つのチャンネルから、二十六日にも一つのチャンネルで、さらに二十七日には短波放送でというようなことで、非常に多方面のメディアを使って広報活動に力を入れているわけでありますが、モグラたたき的にある一つ会社をどうこうするということを超えて、全体的に対応策を講じてまいりたいというふうに思っているわけであります。
  111. 山下弘文

    ○山下説明員 先生今御指摘会社、私どもも名前をある程度聞いておったものも入っておるわけでございますが、通産省の担当以外の分野にもたくさんあるというふうに理解いたしました。先生御指摘の、全体として眺めなければいけないというところは御指摘のとおりだと思っておりまして、私どもとしてもなるべくそういう目で見て物を考えていきたいとは思っております。
  112. 清島伝生

    ○清島説明員 御指摘会社につきましては実態解明を行っているところであります。違法行為があるのかないのかということで実態を解明中ということでありますので、ある程度の資料というものは必要かというように考えます。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 では、今度は当局の態度にもなりますけれども、午前中の警察庁答弁豊田商事絡みで検挙した件数というのが出ておりますけれども、ひとつ全国的にどの程度広がっておるのか、各地方別に、細かい日付は結構でございますから、五十九年に例えば警視庁で何があったというような形で、午前中に触れられなかった内容について、豊田商事絡みの検挙した例を挙げていただきたいと思います。
  114. 清島伝生

    ○清島説明員 五十七年の四月以降私ども把握している検挙事案でございますが、大阪で傷害、それから警視庁で暴力等防止条例違反あるいは不退去、これで四名、それから神奈川で詐欺一名、同じく警視庁で詐欺二名、福岡で威力業務妨害で三名、石川、兵庫で迷惑防止条例でそれぞれ一名、群馬で恐喝一名ということになっております。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 今警察庁の方からの答弁でも十一件、しかも、大阪、群馬、兵庫、石川、福岡、東京、神奈川というようにかなり全国的に広がっておるわけでございますし、これは過日の商工委員会の小委員会でも被害者の方の代表から発言をなされておりますが、全国的に実は問題が広がっておるわけであります。それで警察庁もそれなりに一生懸命取り上げておみえになるわけでございますが、これはどちらかというと本質的な豊田商法の問題ではなくて、セールスマンと最後のユーザーというのですか、国民との間のトラブル、問題点を取り上げておみえになるわけでございまして、本体にまでまだ踏み込んでいないわけであります。  たまたまこれはベルギーダイヤモンドのパンフレットでございますけれども、ベルギーダイヤモンドも、これはまがい商法というのですか、ネズミ講的な問題ではないかといういろいろな疑いがあるのでございますが、これはおもしろいのですよ。会社のPR雑誌なんでございますけれども、ちょっと見出しを言いますと、「宝石業界で、最も注目されるベルギーダイヤモンド 松本弁護士に直撃インタビュー」、ここで弁護士がこういう答弁をしているのです。これはこの雑誌が聞いておるわけでございますけれども、「先生は、ベルギーダイヤモンドのコミュニケーション・システムは法律的にみてなんら問題はない、むしろ画期的なシステムであると評価されたわけですが、現実にマスコミ等では、批判的な記事が多く見受けられる」どうですか、こういう質問です。これに対してその弁護士は、「マスコミは、どうも現象面だけを取りあげているのではないかと思います。どんな一流企業であっても、トラブルが絶対に発生しないという企業はありません。問題は、そのトラブルが企業の組織やシステムそのものに必然的に根ざしているものか、組織の構成員個人に問題があるのか、ということが重要なのです。保険の勧誘や自動車のセールスなどでも、個人的在セールスの現場ではさまざまな問題が発生しがちですが、それがそのまま保険会社や自動車会社存在が悪いということには当てはまらない」というすりかえの答弁をしているわけです。  今まさしく警察庁がおっしゃっておられるこの検挙というのは、最も向こうの穴にはまるというのですか、問題があったってそれはセールスマンの問題ですよ、本質的に我が方は関係がない、こういうすりかえをしているところに問題がある。こういうことを今から指摘をしていきたいので、ぜひ本丸に目を向けてもらいたいということを私は申し上げたいわけでございます。  そこで、その本丸に入っていく中で、次から次へと彼らが商法を変えていくという流れを今から具体的に申し上げてみたいと思うのですが、何せ一番大きな売り上げをしておりますのが豊田商事であることは間違いがございません。これは先ほども触れましたように、昭和五十九年十月度の確定的な関連会社の売り上げ一覧表です。一番は豊田商事で七十九億一千三百六十七万六千円です。これは売り上げと言っていいのかどうかを私は言いたいわけですけれども、寝たきり老人のところへ行って、金を買いませんか、金を買わないと、郵便貯金をやっておったって値上がりではだめですよ。インフレですから、物を持っても値打ちがなくなるから金を買いなさい、金の方が値打ちがいいですよと言って、金を見せればまだあれでございますけれども、金を見せずに、あなたが持っておったって仕方がないから私に預けなさいと言って、預かり証券だけを置いていく。ですから、預かり金なんですけれども売り上げとして計上しておるわけですね。  その次にベルギーダイヤモンド。たまたまこの十月度では三十一億七千七百万円売り上げているわけです。ゴルフの会員権を買わないか、あなたはゴルフはできないから私に会員権を預けなきい、あなたはそれを預けるだけで、年一割、三年で一三%、五年で一五%という預かり証だけを置いてくるわけですが、それがこの十二月には七億四千百六十万円、こういう売り上げをしておるわけですね。  これはことしの一月十二日につくった内部資料でございますけれども豊田商事は、これはたまたま私は今十二月の本日分報告分というのを申し上げておるわけでございますが、一日に二億二千三百八十六万の売り上げがある。当期の売り上げとして十億六千九百四十四万一千円です。ベルギーダイヤモンドも同じように一日で二十二億七千六百十六万、こういう売り上げをする。  こういうふうに大変な金額があるわけでございますけれども、この豊田商事については内部告発も随分出てまいりましたし、世論の方も危ない、あるいはまた、今経済企画庁の方からもアピールをするというので、これが最近何をやり出したかといいますと、モーターボートをやり出すようになってきたわけであります。鹿島商事のゴルフの会員権はまた後ほど触れますけれども、ここでちょっと運輸省と海上保安庁にお聞きをいたします。  これはつい最近の話でございますが、五月二十六日の日曜日でございますが、私の選挙区の知多半島で行われたわけでございますし、私もこれを外から見ておったわけでございますが、豊田マリーンクラブワールドオープン 全日本スーパーボートレースフェスティバルというのを、ことしの五月二十六日愛知県知多郡美浜町野間の海岸で行ったわけでございます。大変な人を、特に若い人を集めまして、名誉副会長に地元の新聞社の方々の名前を出すとか、それから名誉顧問に県知事あるいは名古屋の市長の名前を出すというようなことをやり出したわけでございます。  そこで、これはえらいことになるぞというので、新聞社の方々も県と名古屋市に、本当にあの豊田商事関連するこのマリーンクラブに県も市も後援をするのか、こういうことを言って初めて県も市もびっくりしまして、たまたま新聞の見出してございますが、「頭を抱えて「知らなかった。」」それで地元の町も、協会が依頼をしておみえになって、トヨタ自動車の関連する企業がボートレースをやられることだと思って私どもは協力をしましたということでございます。とにかく全国からトレーラーに大型モーターボートを載せて運んでまいりまして、三時間耐久レースとか五時間耐久レースとか、非常に大きなフェスティバルをやられるわけでございますが、当然のことながら港というのですか海を使うわけでございますし、一定の時間海岸を占有されるわけでございますから、漁業も当然その日は休まなければなりません。地元は日曜日が漁業が休みではなくて、土曜日が休みで日曜日は仕事をする日でございますが、漁業も協力をしなければいけないということになります。こういうことに対して、海上保安庁あるいは運輸省はどのようにごらんになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  116. 玉置佑介

    ○玉置説明員 お答えいたします。  本年五月二十五日と二十六日、愛知県知多郡美浜町でモーターボート競技が行われたということは承知をしておりました。  同競技の行われた海域の一部は海上交通安全法の適用海域となっておりまして、同法第三十一条の規定に基づきまして、主催者でございます愛知県モーターボート協会から第四管区海上保安本部長あてに、同競技のためのブイ設置に関する作業届が本年四月に提出されております。  海上保安庁といたしましては、この作業届を受理するに際しまして、愛知県モーターボート協会に対しまして、海上交通関係法令を遵守すること、見張りを厳にし、航行船舶等の動静に留意しまして危険を防止すること、このようなことなど他船に対します安全対策を十分に講ずるよう強く指導したところでございます。さらに事前に航行警報を行いまして、同競技の開催について周知徹底を行いますとともに、競技当日は行動中の巡視艇一隻により指導警戒を実施しております。  以上でございます。
  117. 田中正行

    田中説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、五月二十五日、六日、愛知県美浜町での愛知県のモーターボート協会と豊田マリーンクラブ主催の豊田マリーンクラブワールドオーブン 全日本スーパーボートレースフェスティバルに運輸省の関係団体も後援しているということにつきまして、つい最近になって私ども知ったわけでございますけれども、これらの団体につきましては豊田商事と豊田マリーンクラブとの関係は全く知らなかったようでございまして、後援いたしましたこれらの団体は愛知県とか名古屋市等の後援もあるというようなことからこの大会を後援した模様でございます。  私どもとしては、今後モーターボートレース大会の後援をするに当たりましては、主催団体の内容等を慎重に検討するよう指導してまいりたい、このように考えております。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひこれは今後ともそういう方向でやっていただきたいと私は思うのです。  今運輸省の方からも御答弁がございましたように、実はこの主催の愛知県モーターボート協会、これはまじめな人たちの集まりの団体でございまして、本当のアマチュアなんです。毎年こういう競技をやりたい。ところがスポンサーがつかなくて、いろいろなメーカーのところへ行ってお願いをしたりボランティア活動をしたりしながら、細々と自分たちの楽しみを実現をしていた。ところがそこへ降ってわいたように、金は幾らでも使っていいですよ、ひとつ盛大にやろうじゃないかというので、わっと飛び乗ってしまった。しかも、会社の名前が豊田マリーンクラブだ。どう見てもこれはいいというのでスポンサーになってもらい、いろいろな景品等も出すということになり、県も市もいいだろうということで乗ってしまった、こういうことであります。だから、れっきとした団体あるいは地方自治体までひっかかるような形のところに、もう今彼らは手を伸ばしてきておるということ。  きょうは地方自治体の方を呼んでおみえになりませんけれども、どこへどのような形で手がいくのか、これはよほど警戒をしていませんと、百の傍系団体というのですか、関連する企業があらゆるところで、モグラをたたいたら頭を出すという形で伸びていくということを承知をしていただきたいと思うのであります。しかも、このボートレースの内容は大変な金がかかるわけでございますから、参加料というのですか、そんなもの取ったってとても維持はできません。だから、どこからかお金を持ってこなければいけない。それは本体は豊田商事であり、ベルギーダイヤモンドのトータルのお金であり、あるいは鹿島商事のゴルフの会員権で寝たきり老人のおばさんから集めたお金がそういうところに行くわけでございますから、そこはひとつ行政上もきちんと対応してもらいたいと思うわけであります。そこで、ベルギーダイヤモンドの内容だとか鹿島商事の裁判等の問題はまた後ほど聞くということ いたしまして、せっかく話がここまで来たわけ ございますから、一体この豊田商事は集めた金 幾らぐらいあるのだろうか、あるいは集めた金をどのように使ってきておるのか、これを私どもはどうしても知りたいし、あるいはまた、できたら次の委員会には会社側の代表も来てもらって、何も我々が指摘をすることはないよ、心配せぬでもいいから、我々はこういうように有利運用をしておる、だから、金を買った人もあるいはその預かり証券を持っておる人も心配しなくてもいいという反論を、私はぜひこの委員会でやってもらいたいわけですね。私どもも、それで納得するならば、自分たちが今まで指摘していたことについての了解をいたしますし、納得できなければ、行政当局にしかるべく速やかに手を打たなければいけない、こういう理屈になるわけでございます。そこで、きょうはぜひこの経営の内容が本当に黒字なのか赤字なのかということを、私はお伺いをしたいわけであります。  そこで、きょうは法務省の方もお見えになっておられますので、これは新聞報道で私どもは知ったわけでございますけれども、たまたま大阪で、この新聞を私読みますが、「金などの取引で強引な商法力問題になっている豊田商事が、五十八年度に約一百七十四億円の巨額の赤字を計上していたこと、二十二日、明らかになった。同日、大阪地裁 開かれた同社に対する恐喝事件の第二回公判の証拠調べで表面化した。興信所など世間向け は虚偽の黒字決算書を渡していたこともわかった。「安全確実な会社」と多くの客を金取引に議し込んでいた同社の経営内容が公になったのは初めて。」云々、こういうことがあるわけであります。法務省にお伺いをいたしますが、どのような形になっておるのか、あるいはまたその赤字の申告をしていたということは事実なのかどうか、お伺いをしたい、こう思います。
  119. 東條伸一郎

    東條説明員 ただいまの御指摘の事実というのは、実は豊田商事被害者とする恐喝事件の冒頭陳述で明らかになった事実でございまして、その冒頭陳述の中で、要するに被告人らの犯意やあるいは共謀が成立する過程を陳述しておるわけでございますけれども昭和五十九年三月期の豊田商事の欠損額が約三百七十四億円あるということを知りまして、それを種に関係者をおどかしたということを公判廷で明らかにした、こういうことでございます。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁だと、これはおっしゃっておられませんが、多分そこの従業員だと思うのでございますけれども、従業員が、会社赤字なのに黒字の決算をしておる、けしからぬじゃないかということで会社をゆすったと思うのでございますけれども、そのときに幾らくらい会社は払おうとしたのか、あるいは実際本人は幾ら会社から金を取ったのか、それが恐喝になったのか、お伺いしたいと思います。
  121. 東條伸一郎

    東條説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、実際の決算とそれから公表決算との相違を指摘する、あるいは公表するというようなことで最初三億円の要求をいたしまして、これは起訴状に基づく事実でございますが、それがだめなら一億出せという要求をいたしまして、再三そういう要求をいたした結果、現実に取りました金額は二千万円、こういうことになっております。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 従業員が会社に三億円恐喝をした、それで会社側は一億円で話をつける、こうなった。ところが、その後いろいろな話し合いがあったのでしょうけれども、手付として二千万円を受け取った。それで、従業員の方から、これは一億というけれども、まだ後からどんどん追加をしてくるのではないだろうかというおそれがあったと思うのでありますけれども豊田商事が今度は被害者になってこれを訴えたということになると思うのですね。これは一見簡単に数字が出ておりますけれども一つ会社が従業員から、三億円出さぬと会社内容をばらすぞ、だけど会社も困って一億円だというのは、これは相当大きな事件でしょうね。やはり会社としてはそれだけの金額を払わなければいけない弱さがあったのではないだろうか。  これは私は非常に重要な問題だと思うのです。この重要であろうということは、これは内容は極めて深刻だと思うのですね。これは私ども、きょうの午前中の答弁を聞いておりましても、どこにどう聞いていいのか、縦割り行政で非常に難しいところです。これは物価問題特別委員会でございますから、後ほど経済企画庁の長官の方から態度を出してもらわなければいかぬのですが、じゃこの豊田商事というのは一体どのくらいの利益を、従業員には発表していないにしても、いわゆる世間向けには黒字の決算書をつくっておったのか、こういうことを私どももぜひ知りたいわけであります。  そこで、これは私どもがたまたま調べました、豊田商事が一応世間的に発表をしておるところの決算報告書、PLあるいはBSと称する収支決算書、貸借対照表、こういうものを見ていきますと、今法務省側の御答弁は、たしかあれは五十八年度の赤字だということをおっしゃったのではないかと思います。新聞には五十八年と書いてありますが、五十八年、五十九年の豊田商事が出しておる数字をただいまからちょっと申し上げてみたいと思うのです。  これは大阪市北区梅田一丁目一番三号、大阪駅前第三ビル二十六階ですか、金銀売買で五十九年の三月期では四百二十六億七千四百八十四万七千円の売り上げでございます。それで、いろいろと内容があるわけでございますが、この年はこの会社は――ちょっと念のために申し上げておきますと、国内で九〇%の金、銀、プラチナを買っており、外国からは一割の金、銀、プラチナを買っておるというような報告をしながら、この五十九年の三月には五千五百二十九万九千円という利益を上げておるわけでございます。これが従業員にしてみれば、本当は赤字なのにこういう見せかけの黒字のバランスシートをつくるのはおかしい、こういうことになるのでしょうね。  しかも、この内容を見てまいりますと、私どもが非常に問題だと思いますのは、こういう内容があるのです。バランスシートの中に、当期のゴールドインゴット二百三十一億九千三百七十万七千円だと思いますけれども、二百三十一億九千三百七十万七千円のゴールドインゴットを仕入れをしたというわけであります。それでこの年の五十九年三月、去年ですよ、ゴールドインゴットを二百五十五億二千三百四十九万五千円売り上げておる。だから、そのほかの売買がございますが、五千五百二十九万九千円という当期利益を上げた、こういうわけです。これは五十八年も同様の数字があるわけでございますけれども、たとえ五千万にしろ六千万にしろ利益を出しておる。ところがこの前年度、五十八年では三百七十四億円の巨額の赤字を出しておる。検察が調べたのですからこれは間違いがないでしょう。一番信頼性が高い数字だと思うのですが、これは一体いかがなものかと思うのです。  きょうは国税庁もお見えになっておられますので、国税庁にお伺いをいたします。これは守秘義務もございますが、こういうようないろいろな経過を私ども、ことしの予算委員会でも、去年からも申し上げておるわけでございますから、私が今示した二つの内容について、どういうようにお考えになっておられるのか、できる限りの御答弁を願いたい、こう思います。
  123. 友浦栄二

    ○友浦説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘豊田商事の五十九年三月期の申告につきまして、先般新聞報道で当期の赤字が三百七十四億円という記事があったことは承知しております。この報道されましたケースについて、私どもあえて否定いたしません。が、具体的な内容については、ひとつお答えを勘弁していただきたいと思います。
  124. 草川昭三

    ○草川委員 具体的でなくても結構です。今の国税の答弁、否定をしないとおっしゃったわけでございますから、赤字を出したことはまず事実でしょう、法務省と国税がおっしゃられるわけですから。だとすると、私が今申し上げたこの数字が、たまたま今度は逆に、信頼性があろう、なかろうは別でございますが、会社の資料では五千五百万の当期の利益金を計上しておるということは、少なくとも違っておることになりますね。どうでしょう。  これは改めて警察庁にお伺いをいたしますが、うそを言っておるということになるわけでございます。これだと詐欺になるのじゃないでしょうか。どうでしょう。
  125. 清島伝生

    ○清島説明員 私ども具体的な資料をまだ完全に入手しておりませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 具体的な資料がないとおっしゃっておられますけれども、これにたまたま裏づけをされるように、示談金の支払いが中止になった、こういうのは午前中にも出ておるわけでございますが、今申し上げたように刑事事件の公判で赤字が出たわけでございますけれども、トラブルとなった客に約束をした分割払いでの和解金の支払いを延期し始めているということ、これも全国の各弁護士グループ、先物取引被害全国研究会の弁護士の方々が二十八日に発言をなすっておみえになるわけでございますが、これとちょうど話が合うわけですね。  これは全国的に、例えば私今大阪の話を申し上げたのですが、新潟の弁護士も同じようなことを言っておみえになるわけでございます。払い込み額の九〇%を五回払いで豊田商事から毎月返す約束をした。ことしの一月から四月は約束どおりに返済をされたけれども、今月の二十二日同社から――すなわちこれは五月の話でございますけれども豊田商事から五月末の分は延ばしてほしいという連絡があった。その際、山形や大阪で次々と訴訟があり資金的に苦しいと説明した、こういう言い方をこの新潟の弁護士はなすっておみえになるわけであります。  それから、京都の弁護士会消費者被害救済センターに入った情報でも、今月半ば、分割払いでの和解をまとめた数人の弁護士に、手違いがあって今月末の支払いができないと延期を申し入れた。これは京都の弁護士からの連絡です。福岡県でも同様の事態が起きている。大阪弁護士会のある弁護士が、豊田商事本社管理本部幹部に説明を求めたところ、今月の和解金支払いは全部だめになった、上からの指示でそうなった、もう支払いができないかもしれないと説明をしたと、京都からそういう連絡があるわけです。  こういうようにいろいろと問題なニュースがどんどん入ってくるわけでございますが、これはどうでしょう、だれに聞いたらいいんでしょうね。こういうことについて、まず事実かどうか。たしか経済企画庁局長は午前中も、部分的には承知をしておるやの答弁があったのですが、局長、こういう事実は知っておみえになるのですか。
  127. 及川昭伍

    及川政府委員 解約に伴って返戻金が七割ないし若干戻るわけでありますが、それの支払いが五月から滞っておるということは、苦情相談の仲介処理に当たった全国消費生活センターでも把握しており、私どもも承知いたしております。  さらに、きょう午前、民事の訴訟に絡んで岩手県の盛岡市で、豊田商事の盛岡支店に盛団地方裁判所が仮差し押さえを行うために行ったわけでありますが、金庫の中は金は全然なし、現金も何もなかったということを情報として得ておるわけであります。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 これはいよいよえらいことになってきたわけでございますから、早急に対応策を立てないといかぬことになると私は思うのでございます。先ほどもちょっと出ておりましたが、豊田商事に対して、これはもう解散命令をしてもらいたいという一つの知恵でございまして、これはそう簡単にできることではございませんけれども法務大臣に、この弁護士の方々が集まりましてそういう申し立てをしたい、こういうことを言っておみえになるようでございますが、これは一つの理にかなったことではないだろうか。企業関係者によって解散命令申し立てられるというのはよくよくのことでございます。本件はまさしくこれに適合することではないだろうかと私は思うのですが、法務省はどうでしょう、どういう対応をなされるおつもりでございますか。
  129. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 お答えいたします。  先月のことになりますが、関係弁護士さんの代表の方々から、法務大臣に対して、解散請求あるいはその前提となります法務大臣警告をしてくれ、こういう申し立てをしたら、法務省としては受けてくれるかどうか、こういう打診があったことは事実でございます。それにつきまして、私どもの方といたしましては、法務大臣としては、なるほどそういう事実関係があれば解散命令請求しあるいはその前提たる警告をするということについてはやぶさかではないけれども、独自の調査権限を与えられているわけではないので、利害関係人である弁護士さんの方でも、事実関係の正確な把握とそれを裏づける証拠の収集にひとつ努力していただきたい、こういうことを申し上げたことは事実でございます。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 これは、商法に基づく解散命令でございますけれども、少なくとも法務省は、話を聞こうじゃないか、そして、話を聞きながら会社に一回反論してみなさいよというようなことで、ぜひ積極的な対応策を立てていただきたいと私は思うのです。そういうことの中で、会社も、心配しなくても結構です、金庫の中はたまたま空だったけれども、私の懐にありますよと言ってこの社長が出てくれば問題ないわけです。一体その社長というのはどういう人なんでしょうね。当局、関係者の皆様方は、この豊田商事の社長、永野一男さんをどの程度つかんでおみえになるのかわかりませんけれども、人権上の問題もございますけれども、事がここまで来ると、問題を少し明らかにしていかなければいかぬと私は思うのです。  私は、岐阜地方裁判所の方へ行って、これは最高裁判所を通じて得た資料でございますから、これもメモでございますが間違いがないことでございますから、全部読みます、岐阜地方裁判所昭和五十一年(七)四百三十二号、昭和五十一年十月十五日訴提起、これが見出しです。「原告藤井栄一、被告団地株式会社」、団地株式会社というのは先物取引をやっておる会社であります。この「先物取引委託証拠金の返還請求訴訟で、請求金額は三、〇五九万円である。右の件に豊田商事社長永野一男が補助参加し、金二、六〇〇万円を原告に支払うことにより昭和五七年一一月八日和解が成立した。」こういう内容が私の手元に来たわけでございますけれども、やはりそういう経歴を持った方でございまして、この方は、いわゆる先物取引というのですか、これが非常に好きだと言われておるわけです。いわゆる先物市場では金屋の玉三郎と略称言われておるわけでありまして、本人は相場が好きで好きで大変好きだということは天下周知の方だ、荒っぽい手口で相場師としても有名だと言われているわけでございます。  有名な事件でございますけれども昭和五十七年十一月、これは農水省もきょうは来ておみえになりますし通産省も来ておみえになりますから、昭和五十七年のことを思い出していただきたいのでございますが、当時、豊田商事の集めた金、これは専門用語で玉、豊田商事玉、豊田商事の持ってきたお金、こういうふうに理解していただきたいのですが、豊田商事玉の大量流入で九月、十月と生糸の仕手戦が物すごい活発に続きまして、泥沼化したと言われています。それで、生糸の取引所が大変混乱をしたわけでございまして、農水省の方もこれはえらいことだというので、十一月に関係の代理店というのですか受注店というのですか、豊田玉と見られる大量の受注店、横浜で六社、神戸で六社に大規模な立入調査をしておるわけですね。そのときの大将が今申し上げた豊田商事の社長でございます。その後、乾繭相場にも入っておるわけでございますが、そういう事実があったのかないのか、あるいはまた、そのときの業界の指導をどのようにしたのか、農水省と通産省にお伺いをします。ちょっと肩書きを言って答弁していただきたいと思います。
  131. 高橋銑十郎

    ○高橋説明員 商業課長の高橋でございます。お答えします。  昭和五十七年当時、商品市場におきまして、社会的に問題になっている資金が流入したと言われまして、このような事態は商品市場業界の社会的信用の低下をもたらすとともに、商品市場の運営の公正を害するおそれがあるということで、大変重要な問題だと思いまして、私たち、商品取引所及び関係団体に対して、そのようなことのないような自粛の指導を行いました。これが八月でございましたが、これを受けまして、各商品取引所及び関係団体におきましては、商品取引類似企業からの受託の排除について決議等をいたして自粛をしたところでございます。  特に、先生が今おっしゃいましたように、うわさの高かった生糸については、取引関係者及び大口委託者からの受託を行った商品取引員を個別に指導いたしまして、社会的に問題になっている企業からの受託の排除について指導をいたしました。また、本省におきましては、横浜、神戸の両取引所に対しては、関係取引員に対し、建て玉の受託の状況について立入検査を行った次第でございます。その結果、両取引所においては、委託者の名義を架空にするなど取引の信義則に違反した事実が明らかになりましたので、特定の業者に対して過怠金の処分及び外務員の新規登録の停止処分等を行ったところでございます。  また、東京穀物商品取引所においても、特定の業者に、仮名口座あるいは口座あっせん、虚偽の報告取引の信義則に違反したという理由で、五十七年十二月には二日ないし三日の売買停止処分等を行っております。  以上でございます。
  132. 宮本恵史

    ○宮本説明員 御指摘の点につきましては、昭和五十七年十一月五日付をもちまして、通産省から各商品取引所に対しまして、社会的問題を惹起している事業者からの受託を一切行わないよう取引所において理事決定を行い、商品取引員を指導するよう指示いたしました。これを受けまして商品取引所の方では、悪質業者からの受託は一切行わないこと、また、仮にそのようなことがあった場合には定款に基づき制裁が加えられることを理事決定いたしまして、その旨を商品取引員に指示をしております。  このように悪質業者からの受託を排除しておりますけれども、その後におきましても絶えず監視を行っているところでございます。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 豊田商事が五十七年十一月に生糸の先物取引にかなりの金額を使って仕手戦に参加をした。そのために大変混乱をしたから、今お話がございましたように農水省も通産省も、これはいかぬ、こういうわけで、豊田玉、豊田が集めたお金の受注をシャットアウトする、拒否宣言を業界もした、こういうことが今明らかになったわけでございます。こういうような業界があるということをもっと早目に経済企画庁も、被害があるわけですから、縦割りの行政ではなくて、少なくとも豊田の集めた金がこういうところに投入をされて混乱をしたということにもっと対応を立てていかなければいかぬと私は思います。  一体このときに豊田はもうけたのか、損をしたのか、どういうことになりますか。農林省に聞きましょうか。わかりますか。
  134. 高橋銑十郎

    ○高橋説明員 そのような事実は本省調査しておりませんので、存じ上げておりません。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 では、本来は農水省も知っておみえになると思うのでございますけれども、五十八年、翌年のときに、彼らの業界の人たちの声を聞いてまいりますと、小豆というのですか、これで十三億円もうけたというのですね、この永野社長が。秋の仕手戦でさらに十八から二十億の利益を上げたのだけれども、一転して、年末に輸入大豆に手を出したが十一月、十二月に棒下げになり、五十八年の円高で大豆がストップ安になって大赤字になった。相当な手持ち資金をすってしまったと言われているわけです。残念ながらその数字がきょう私どもではわかりませんが、私どもが業界で聞くと、やはり数十億の金額がとにかく一瞬に消えてしまったと言われているわけです。だれの金でしょうか。その金は寝たきり老人のものですよ。ひとり暮らしのおばあさんですよ。あるいは市営住宅でひっそり暮らしている方に、年金が欲しい、当たり前ですけれども、預金なんかを持っておったらだめだから私のところに預けなさいと言って預金の解約をさした金がいっておるわけです。あるいはけさもありましたように、中国から残留孤児の方々が引き揚げてきたとうとい金が一瞬に相場に使われておるというならば、これは私は問題だと思うのです。  また、そういうことがどんどん続いていくとするならば、今日、先物取引業界にとって一番必要なことは、一般投資家の層を拡大することだと思うのです。一般投資家の層にこんなような話がどんどん広がってまいりますと、投資家は逃げていくわけですよ。先物取引は怖いからやめようじゃないか、とてもじゃないけれども、ということになるわけですから、通産省、農水省が必要だと認める正式ないろいろな取引市場がこれでブラックマーケットになっていくことにもなるわけです。その点は双方どのように考えられますか、お伺いしたいと思います。
  136. 宮本恵史

    ○宮本説明員 商品取引につきましては、商品取引所法による厳しい規制もしておりますので、そのような規制によりまして商品取引員に対します指導を行政庁といたしましても厳しくしているところでございます。このようなことで、商品取引所法に基づきます規制のもとでの健全な商品取引所あるいは商品取引員の活動ということを目指して、行政庁としても努力してまいりたいと存じます。
  137. 高橋銑十郎

    ○高橋説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のように、小豆についてはしばしばいわゆる仕手と言われるものが入り、価格が乱高下するという批判がございます。先物市場の存立基盤というのは価格の適正な形成である、プライスディスカバリーだ、こう言われているわけでございますから、そのようなことのないように、また、一般委託者に迷惑をかけることのないように、今後とも十分指導してまいりたいと思います。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 私どもに入った資料では、通産省、農水省の指導で、豊田商事のブラックマネーというのですか、そういうもので商品相場に手を出すなというのですか、買いませんという約束事が業界では決まっておるのでございますが、名前を変えて相変わらず相場を張ろうとしておる話が私どもの耳に入ってきております。もちろん名前を変えてくるわけでございますから、フォローアップというのですか、つかむことができないかもわかりませんけれども、少なくとも運用というものはそういうものじゃない、原資というものはそういうものじゃない。だから、原資があるならば、もっと国民の我々にわかるようなお金の運用をしておるということを豊田商事は我々に示すべきだと思うのですよね。  そこで、実はこれは私どもにも入った資料でございますけれども、どうも最近、豊田商事もまずい、あるいは鹿島商事のゴルフも危ない、ベルギーダイヤモンドも危ないというような話が広まってまいりまして、解約をする人がどんどんふえてきたわけです。そこで、私どものある知った人が豊田商事へ行きまして、私どもに一割配当すると言っておる、あるいはゴルフの会員権を預けるならば一三%、一五%の預かり金を払うと言うが、豊田商事、鹿島商事はそれ以上もうけなければだめでしょう、どういうようにお金の運用をしておるのですか、こう聞いたというのですね。  そうしたら、そこの支店長がどういうことを言ったかというと、心配するな、豊田商事というのは今あったように百幾つの傍系があってそれぞれうまくやっておるのだから、要らぬ心配をしなくてもいい。例えばうちの子会社にエバーウェルシーインターナショナルという会社があります。現在、中国の広東に六十八階建ての貿易センタービルを総工費三百七十億円で建設中なんです。エバーウェルシーが二五%出資をしているんです。八十七億五千万円ですね。その六十八階建てのビルの中に金融機関などのテナントが入る。そして年間収益の二五%がエバーウェルツーに入る。ですから、その一五%をお客さんに支払っても、うちにはまだ一〇%が残る。そのほか国内にはまだたくさん豊田商事グループがあって、純金の両替の手数料だけでも先月、月間百億円を売り上げている。手数料だけでですよ。ですから大幅な利払いができる、こう言うわけです。  ですから、今から外務省なりにひとつ聞きますが、もう一回前へ戻りまして通産省に聞きます。今ここで金の売買手数料が百億あるという説明をしておるのですね。この会社の手持ちのインゴットが二百三十一億ということを言いましたけれども、今日本国内で金を取引する立派な企業はたくさんありますね。その方に聞きますと、現物を一年間に五十億買うとか買わない、動かすというのは大変なことですよ、そんなことは業界で全部わかりますよ、だから、まして一年間で二百三十一億のゴールドインゴットを仕入れするなんていうことは信じられません、こう言うのですね。通産省はどうでしょう、金の保有高あるいは動きについて、私が今申し上げましたように、一つ企業が二百三十一億も一年間に仕入れをするということがあり得るだろうかどうか。あるいは特定企業のことだから答弁ができないというならば、実際動かすのはどの程度か。名前を挙げて悪いのですが、例えば日本の田中貴金属とかという有名な貴金属屋さんがありますが、そういう企業でも、現物を持つのはせいぜい五十億程度ではないだろうかと言われておるのですが、どうお考えになられますか。
  139. 林暉

    林説明員 まず最初にお断りしておきますが、金の輸入は自由化されておりまして、個別企業購入量等について私ども承知する立場にございません。  ただ、後段御指摘があった点に関しましては、我が国の金の流通量というのは大体この程度でございます。まず五十九年の金の需要量は二百六十トンでございます。その需要先といたしましては、私的保有用が百二十トン、装身具用に五十トン、それから電気通信機械等に三十三トンで、この三つでもって大体七七%になっております。  それで、金の値段が昨年の買い値ぐらい、グラム二千七百円になりますと、二百七十億円で大体十トンになる勘定でございます。それで換算しますと、御指摘の二百三十億円といいますと大体八トンとか七トン、もう少し少ないかと思いますが、そのくらいの購入というのは国内における購入量といたしましては二、三%になるわけでございます。したがいまして、それが多いか少ないかとか、あるいは知られないところで調達可能であるか可能でないかということは一概に断定できないわけでございます。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 通産省、いい答弁してくれましたね。そういうことで断定できなければ、どうですか、この際一回調べていただけませんか。調べるということでここで答弁できませんか。
  141. 林暉

    林説明員 私どもといたしましては立入調査権等がございませんので、調べることができません。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 私は今一時間十五分しゃべっているのですが、あなた聞いておったのですか。聞いておられたと思うのですね、この企業報告書、経営の内容。ところが片一方では大幅な赤字を出しておるのが明らかになったわけでしょう。だから私は、この内容がおかしくないかとこう聞いておるわけです。多くの犠牲者がいるわけですから、立入調査権があろうがなかろうが、この企業を呼んで、本当にあなたは金を買ったのですか、どこから買ったのですかと言うことは、通産行政上からできるはずだと思うのです。その点はどうですか。
  143. 林暉

    林説明員 午前中にも申し上げたわけでございますが、会社に実際に金を保有しているかどうかということを通産省としてはきいております。ただ、営業上の秘密ということでもって答えをいただいておりません。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 通産省として聞いておるなら、今私が申し上げたように、裏づけがあるのかないのかということくらいはここで言えるはずでしょう。どうですか。
  145. 林暉

    林説明員 金の流通というのは国内の製錬業者あるいは国内の輸入商から入って流れているものでございまして、輸入統計あるいは生産統計はわかりますが、その後の流れにつきましては私どもとしてわかりかねるわけでございます。  また、当該企業に関しましても、申し上げましたとおり調査権等ございませんので、把握しておりません。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 さっき把握していないと言ったのですか。把握していると言ったわけではないのですね。私は把握していると聞いたから出せと言ったのです。把握していないのですね。  それでは委員長、これは非常に重要なポイントですから、私はこの会社が本当に金を保有しているのかいないのかということを、行政として十分に調べよというような指示をしていただきたく思いますので、後日また協議していただきたい。要望したいと思います。  そこで外務省、先ほど私が質問したことについてどのように承知しておられるのか。それから、大蔵省の国際金融局が来ておみえになると思いますが、中国の広東省に六十八階建ての貿易センタービルをつくり、総工費三百七十億の金、二五%をこの豊田商事が本当に払っておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  147. 浅井基文

    ○浅井説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の件でございますけれども、私どもいろいろな方面から事情をお聞きしておるということで、現在わかっていることを申し上げたいと思います。  先生御指摘の日中貿易センターというものの計画は確かに動いておりまして、ことしの一月、中国側、特に広東省の広州市の会社との間で協議書が調印されております。その協議書の中にいろいろ規定がございまして、双方が今後この計画を具体化するために努力していくその内容が規定されておるということでございます。  ただ、これまでのところ、この計画はプロジェクトとしては広東省の政府の批准は得ておりますけれども、事業そのものについての批准はまだおりていないということでございまして、日中双方の関係者が、具体化を進めるために、双方でそれぞれの努力を行っているというのが実情だそうでございます。したがいまして、まだ建設にまでは至っておりません。
  148. 森昭治

    ○森説明員 お答えいたします。  先生御指摘のエバーウェルシーインターナショナルから、広東省におけるビルの建設管理のための合弁会社設立に出資するため、本年一月二十一日付で直接投資の届け出が出ております。直接投資というのは資本取引一つに該当するわけでございますけれども、二カ月以内に資本取引を行わなければいけないことになっておりますので、先方の説明では、その後、中国側の受け入れ準備の遅延ということで、さらに本直接投資の届け出の変更を四月、五月の二度にわたって行っておりまして、現在のところ五月二十日に直接投資の届け出変更を一番最終の時点で行っております。  したがいまして、実際に資金が送られているかどうかという点でございますけれども、この点につきましては、一応原届け出日でございます一月二十一日から六カ月以内に送るという届け出が出ていることになりますので、七月二十一日までに当該エバーウェルシーインターナショナルは送金することができるという状況に今ございまして、実際に送金したかどうかというところは承知しておりません。  なお、直接投資の額でございますけれども、当該合弁会社は約一億円ほどの資本金でございまして、先生御指摘のエバーウェルシーインターナショナルはその二五%程度の出資を行うということでございます。したがいまして、二千三百万円程度の資本取引を行うという届け出をしているわけでございます。
  149. 草川昭三

    ○草川委員 これで明らかになったわけでございますが、結局中国でビルをつくるといっても、そのプロジェクトの会社の出資金二千三百万がエバーウェルシーインターナショナルの出資分なんですよね。だから、中国で六十八階建てのビルを三百七十億で建設中なんです、二五%出資しているんだ、八十七億五千万だ、こういう言い方は私は明らかにうそを言っているということだと思います。詐欺だと思うのですよ。ここが非常に紛らわしいわけです。  しかも、もっと紛らわしいのは、私も一番最初にトータルで物を見てくれと言ったのですが、これは豊田商事系のところから出てきた資料ですが、一番右側に株式会社エバーウェルシージャパンという会社があるよと申し上げました。その下にエバーウェルシーのインドネシアだとか香港だとかタイだとかいろいろな会社があるのです。たまたまここに同じような言葉でエバーウェルシーの香港の会社があるわけです。香港という舞台で、海外に日本の金が流れていくということも考えられるわけですね、日本で集めた金が。  ここにパンフレットを持っているのですが、これは豊田商事全体のきれいなパンフレットでございます。これは公取に聞きたいと思うのですが、このバンプレットも誇大広告じゃないかと思うのです。中身は何もないのですねこれはニュージーランドかどこかの写真で、ハワイのゴルフ場があって、何も説明していないのです。関係ないのだけれども、あたかもハワイにゴルフ場を持っているように見えるわけです。鹿島商事が、フランスでございましたかゴルフ場を契約したというのですが、こちらから国際電話をかけたら、私がオーナーなんだ、鹿島商事なんか知らない、豊田商事なんか知らないという返事が返ってきているのですね。これなんかも私はインチキじゃないかと思いますね。  最後のいろいろな企業の名前の中にはエバーウェルシーインターナショナルという会社の名前になっているわけです。これは今大蔵省からの御答弁にあるところのエバーウェルシーインターナショナル。ところが、ここへ電話をすると、豊田商事関連ないと言っているのですね。そうでしょう、大蔵省。ちょっと、そうだということだけ答弁してください。
  150. 森昭治

    ○森説明員 お答えいたします。  私どもも聞きましたところ、資本関係はないという返事をしております。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 それで、株式会社エバーウェルシーは本当に豊田と関係がないかというと、ここのパンフレットの中にはエバーウェルシーインターナショナルという名前が書いてある。株式会社エバーウェルシーインターナショナルというのは、今本店は東京都中央区銀座にあるのです。だから関係ないと言っているのですが、この前の登記を見ると大阪にあるのです。大阪の豊田商事の事務所の中にあるわけです。そこら辺になってまいりますと、一体なぜそんなうそを言わなければいけないのか。  しかも、事中国にビルをつくるということになりますと、中国の方も、きょうの残留孤児の話じゃございませんけれども、日本の企業中国とジョイントベンチャーをつくるとかということになりますと、向こうだって日本の国というのは信用していますから、まさかそれが悪徳商法会社だとは思わぬでしょう。二千何百万くらいは払うかもわかりませんけれども中国側も、本気ででかいビルをつくります、では我々も期待しようと言ったけれども、どこかで倒産をしてしまったということになったらえらいことですよ。あるいはその企業母体が、私どもが今、国会で問題にしている寝たきり老人のお金だったり、年金としてもらおうと思ったのを解約したお金がつぎ込まれた、あるいは郵便局へ行って本人が知らない間にセールスマンが引きおろしてきたというようなお金だとするならば、中国側だって決して喜ばぬと私は思いますね。それは国際的な問題にもなるわけでございますから、外務省、よほどしっかりと実情を調べて対応策を立てていただかなければならないと思うのですが、どうお考えになられますか。これは中国課長からお伺いします。
  152. 浅井基文

    ○浅井説明員 お答えいたします。  ただいまの件でございますけれども、現段階では協議書の契約ということになっております。過去の例で申しますと、協議書を結んでから実際にその事業が動き出すかどうかというところまでは必ずしも一直線に結びつかないということでございまして、本件に関しましても、最終的に事業が動き出すかどうかということについてはまだわからない段階にあると思います。そして、私ども中国側の関係者からも話を聞く機会がございまして、そこら辺のチェックといいますか、事情を聞いたりしております。この事業自体は向こう側が主体的に考えることでございますので、そういう点では問題点を十分に把握しつつ動くようにということは、おのずと彼ら自身の判断としてやっていくのではないかと思っております。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひこの問題についても今後の対応を誤らないようにしていただきたいと思います。  時間が来てしまって申しわけございませんが、マルチまがいのベルギーダイヤモンドについて、公取の方に排除申告が出ておりますね。これは公取としてどういう対応をされますか。お伺いしたいと思います。
  154. 佐藤徳太郎

    佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の件に関しましては、本件の二月下旬に申告がございました。本申告につきましては、私ども現在部内におきまして鋭意調査検討を行っているところでございます。何分個別的、具体的な事件でございますので、細かな点は意見を申し述べることを差し控えさせていただきたい、こういうぐあいに考えております。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 きょうはこのほかにゴルフ場をめぐる問題を取り上げようと思って、警察庁あるいは建設省をお呼びしたわけでございますけれども、時間がなくなりまして質問ができませんので、また別の機会にさせていただきたく思います。  最後に長官、私具体的な問題提起をしましたが、国民生活を守るという立場から、豊田商事関連する企業の問題は非常に重要であります。私も何回か取り上げておりまして、金子大臣の方からも、言葉では非常に前向きの答弁が出ておりますが、実行が伴っていません。私が今問題提起をしただけでも、早急にしりをたたいていただいて対応すべきものは十分あると思うのです。その点についてどのようにお考えになっておられるかお聞きして、終わりたいと思います。
  156. 金子一平

    金子国務大臣 去る四月に草川先生から問題の提起をいただきまして、消費者の保護のために早急に必要な措置を講じたい、関係方面とも極力緊密な連絡をとって万全を期したいということを申し上げておきましたが、その後何回か打ち合わせを経ながら取り締まりを進めておることは、局長から申し上げたとおりでございます。しかし、やり口がなかなか巧妙で、悪質なやり方が必ずしも減っていないように考えますので、さらに一層努力を重ねてまいりたいと考えております。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  158. 竹内猛

    竹内委員長 塚田延充君。
  159. 塚田延充

    ○塚田委員 いわゆる悪徳商法がはびこっており、被害者が増大し、その件につきましては連日のようにマスコミで報道されておりまして、本日もこのように当委員会において集中的に取り上げて、その救済策といいましょうか、悪徳の悪とはどこにあるのか、この追及をしておるわけでございますが、私午前中からずっと審議の内容を聞いておりまして、どうもまだ一つ物足らない。  それはやはり政府側の答弁の中身でございまして、これは縦割り行政のためにそうなのかもしれませんし、また、伝え聞くところによりますと、どうも話題となっております豊田商事の方は大変なしたたか者でございまして、法すれすれのところを歩んでおるがゆえに、逆にこの国会審議であるとか行政官庁の動きを向こうはつかんで、それを活用しておる、このようにもうわさされておるわけでございます。すなわち、あれだけ週刊誌などにおいて騒ぎ立てられると、本来ならばその会社のセールスマンが浮き足立つといいましょうか、大変なことになるわけでございますけれども、それを引きとめるために、いやいや、政府としてもほとんど手が打てない、我々は悪徳じゃないんだ、違法じゃないんだ、だから君たち頑張れ、このように逆手にとっておるような感じすら受けるわけでございます。  そこで、政府の方にお願いしたいのですけれども豊田商事というものを追及するにしても、役所の壁を越えて連携プレーしなければいけない、けれども縦割り行政のためにそれが難しいと言われておる。それを何とか消費者保護の主務官庁である経済企画庁あたりが中心となり、またこういう違法すれすれの行為ですから、公取なども主務官庁的な役割をぜひ果たしていただきたい、このように、まず取り組み姿勢についてお願いしておきたいと思っております。  さて、問題となっております豊田商事でございますが、金地金をネタに現物を渡さずに、結局証券なるもので代替して、寝たきり老人などを含めてお金を吸い上げておる、紙っぺら一枚でもって何百万、何千万になってしまう、このような笑いのとまらない商法をやっておるわけでございますが、それが成り立っておるのは、あくまでも契約書である証券というものは金の地金によって裏づけられているはずだということのためだと思うのです。ところが、午前中の審議の中では、豊田商事が金地金をその証券どおりに買い込んでおる、保管しておる、もしくは運用しておるということは立証できないということでございました。確かに通産省であれ何であれ、立入調査権はないから調査できないかもしれないけれども、私としてここでお話ししておきたいことは、決算書から逆算して豊田商事は金は全然持ってないのじゃないかということを、ぜひ通産省なり関係官庁は確認してほしい、このように考えるわけでございます。  それは、まず、五十九年三月三十一日の豊田商事の発表といいましょうか、とにかく、持っております貸借対照表によりますと、資産が約五百六十六億円、そしてその資産の中でチェックしてみますと、金地金もしくはプラチナとか、いわゆる紙っぺら一枚に直しておるものの後ろ盾となる商品そのものは、棚卸し商品という形でしかうかがい知れないのです。ほかはそのようなものはなさそうだというふうに判定せざるを得ない。その金額が十六億九千万円でございます。すなわち、消費者に対して紙っぺら一枚で売りつけて、実際金なりプラチナなり商品を持っておりますよと言っておる金額の三・一%にしかすぎないわけです。  これは話をちょっと私吹っ飛ばしてしまったのですけれども、それでは、いわゆる売りつけられた方のために、どれだけこの会社はそれを負債勘定として持っておるかということですが、負債勘定には五百六十三億円計上しております。これは金及びプラチナなぞの証券として預かり証みたいな形で出した金額でございます。  さあ、そうなりますと、一応は預かった形になっておる。契約上も、要求した場合にはすぐ金を売っ払ってお金にして返しますよというのが契約の内容のはずでございますが、それに引き当てるための資金を豊田商事は貸借対照表上幾ら持っておるのかということを見てみますと、流動資産と判定される金額が十三億九千万円しかございません。すなわち、負債として持っておる証券発行額みたいなものが五百四十億円、これは預かり金ですね、これの二・五%しか持っていないのです。金の現物はないわ、支払いに充当すべき流動資産もほとんどないとなりますと、これは支払う意思が最初から全くなかったと言えるのではないでしょうか。  一方また、損益計算書の方を見てみますと、売り上げが四百二十億七千万円の計上になっております。これもそういうわけで、紙っぺら一枚に近い形になっておるわけでございます。ところが、会社の販売費及び管理費を百四十五億円計上しております。売り上げの三割が販売費になっておる。これは事実さもありなんとうかがえるわけであって、歩合制のセールスマン取っかえ引っかえ、また電話の作戦のための女の子を一時間千円で雇っておる。消耗作戦、人海作戦をとっているわけです。しかしながら、こんな会社ではもうけが出るはずがない。だから、先ほどある委員からの指摘もあったように、裁判所で明らかになったように赤字になっておる、当然じゃないか、そんな気がするわけでございます。  この辺の会社の実体、確かに通産省は金を持っているかどうか、立入検査はできないと言ったかもしらぬけれども、やはりこの会社はおかしいのではないか、ここまで騒がれたのだから、経企庁なり公取なり、この辺の事実についてどのように把握しておるのか、お答えいただきたいと思います。
  160. 及川昭伍

    及川政府委員 経済企画庁では、消費者苦情処理という観点から、その関係豊田商事国民生活センターを通じて接触をいたしておりますが、会社の経営の内容まで立ち入って全貌を把握するところまではまいっておりません。
  161. 塚田延充

    ○塚田委員 これは調べてないのではないかと思うのですが、いかがでしょう。これは税金の面から大蔵省、まあ国税庁が調べるのかどうか知りませんが、それとも今この時点で、公正取引を確保する意味から、公取がこういう面から調査してみょうとか、もしくは経済企画庁国民生活センター立場から、一歩踏み込んで消費者保護のためにこれをやってみようか。これはいわゆる強制捜査じゃないと思う。できないとは言わせない。どの省庁がおやりになるのか。これにつきましては、そういうわけで縦割りということになってしまうので、どこも私がやりましょうということにならない。  そこで、せっかく金子大臣がお見えになっておりますので、自分の官庁でおやりになるということがすぐ言えるかどうかは別にして、あくまでも閣僚の一員として、この問題については私が指摘したような面から何らかのチェックをしてみたいという御答弁をいただけたらと思います。
  162. 金子一平

    金子国務大臣 御承知のとおり、企画庁の立場としては、消費者保護という観点から動くだけでございまして、その点では、この問題を取り上げられましてから随分といろいろな啓蒙運動を進めていただきましたものですから、大分これは徹底してきたと思うのです。ただ、会社の実体、中身の調査につきましては、これはやはり権限がないものですからなかなかやりにくいのですが、先ほど御指摘がございましたように、詐欺その他の不正行為のところまでいっておれば警察ですぐやってもらえるわけなのですけれども、すれすれのところをいっているやつが多い。しかも、合意の上ではんこをついたとなると、私どもとしてはなかなか取り上げにくいという点に厄介な問題があるのだろうと思うのであります。そこら辺について、どこまでが見逃せる段階が、もう少ししっかりと詰めてみたいという感じを持っております。
  163. 塚田延充

    ○塚田委員 今私が豊田商事の貸借対照表及び損益計算書の内容について政府に逆に説明した形になっており、もしこれが預かり金みたいな形だとすれば、中身がないから詐欺行為になるのじゃなかろうかというような含みがあるから私は御説明を申し上げたのです。ずばり私が申し上げたいことは、出資法違反になっているのじゃなかろうかという観点から御説明したわけでございます。今言ったように預かりみたいなものだったら、それの支払う意思も体制もないのだ、だったらこれは詐欺といいましょうか、おかしいじゃないかということになりますし、一方、あれは法解釈によれば、消費者豊田商事の間はいわゆる賃貸借みたいなことで、豊田商事が、消費者が買ったはずの金地金を預かっております、お借りしておりますというような解釈もできるようですし、また、豊田商事もそのような勧誘の仕方をしているらしいのです。しかしながら、約款のどこを見ても、これは弁護士さんの見解ですけれども、賃貸借とは認定しがたい。すなわち、賃貸借ならば、特定されたものがいわゆる消費者の所有権としてはっきり留保される旨の約款記載がなければいけないけれども、その記載もない。ということは、すなわち賃貸借とも思えない。  さあ、そうなると、ここからが私の言うポイントですよ。結局、返す当てもない、それを預かりだか何かわからぬけれども、紙っぺら一枚で預ける、お金を取ってくる。すなわち、これは不特定多数の者から金銭を集めるという営業そのものではないでしょうか。いわゆるファミリー証券とかなんとかいって証券を発行しているけれども、今私が立証しようとしているその証券というのは全くうそっぱちであって、やる意思がないことが決算書からもほぼ確実に立証されるし、その約款から見ても、賃貸借というような言い逃れもできないようになっておる。となると、これは出資法第二条一項に違反しているのじゃないかと思うのですが、法務省の御見解はいかがでしょうか。
  164. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 私の方も、豊田商事株式会社消費者との間の契約関係について詳細に検討したわけではございませんので、的確なお答えができるかどうかわかりませんが、今拝見したところによりますと、まず金についての売買契約を結ぶ。これはこの契約書によりますと、純金賃貸借契約ということで、賃貸料というものを会社の方から払うということになっております。これはすべての契約書が同じかどうかわかりませんが、私の手元の契約書によりますと、九条で「純金ファミリー契約の純金の返還については同種、同銘柄、同数量の純金を以って返還します。」と書いてございますから、賃貸借契約というのではなくて、法律的にはいわゆる消費貸借契約に類するものであろうと考えます。賃貸借契約なり消費貸借契約というのは、それは実質はないのであって、純粋に預かり金であるかどうかということについては、私の方といたしましては実情を把握しておりませんので、お答えすることができません。
  165. 塚田延充

    ○塚田委員 賃貸借契約か消費貸借契約か、私も法律のことは詳しくないからよくわかりませんが、とにかく貸借だったならば、約款上貸し主が所有権を留保しておるのだという一項は絶対に必要じゃないかと思うのですが、その項目がこの約款の中にはない。そういう面からしますと、これは貸借契約とは言えないのじゃないか。そういうことでこれはぜひ調べていただいて、出資法の面から会社の営業のやり方、本体、本丸そのものに踏み込んでいただかなければいけない、このように思っております。  先ほどまでの審議において、確かに司法当局もかなり頑張って、あっちこっちで捜査の手が伸びてつかまっておる方々もおるけれども、結局これはセールスマンの出先におけるトラブルということであって、その面では確かに警察もよくやってそれなりの効果を上げているけれども、本丸への踏み込みがほとんどないのじゃないか。それをいいことにしてすれすれのことをやっておる。ここで司法当局としては徹底して本丸に踏み込んでいただきたいし、踏み込めるはずだ。私が今素人なりに、いかにこれが不特定多数の者から単純にお金を集めているのにほかならないのじゃないか――お聞きになっている方は、多分みんなそれは理解できると思うのですよ。そのような疑いが濃いわけですから、その辺で当局の踏み込みを期待するわけでございまして、表面的なことを幾らこちょこちょやっても、手を変え品を変え、そして向こうさんはセールスマンの人をかえるといいましょうか消耗品としてうまくやってくる。いつまでも後を絶たないわけでございます。  さて、このようないわゆる悪徳商法がなぜまかり通ってしまうのか。これははっきり申し上げて被害者側にも、少しでも割がよくもうけたいという気持ちが、これは人間、本能としてだれでもおありになる。そこにつけ込まれるわけでございまして、これが今までのマルチ商法であるとかいろいろな商品相場の先物取引にあったわけでございまして、もうけ心という勇み足がこういう大変な、ほぞをかむような失敗の原因になっている例が、これは過去からずっと、これほどまでの規模ではないとしても、ネズミ講の時代からいろいろあるわけでございます。しかしながら、今度のこの豊田商事の件は、その中でもちょっと質が違うというか、社会に与えている影響が大きいんじゃないかということでございます。  これは今までの審議でわかったように、うそ八百に近いことを言って、老人被害にかかっているケースが多い。なぜ老人がひっかかるのか、もうけ心の勇み足とか何とかじゃなくて強引に、略奪に近いような形で、結果的には脅迫に近い形で売りつけられてしまっているということで、今までのような勇み足的なことじゃなくて、社会的に見た場合には丸々豊田商事側にしてやられているという判定をしてもいいんじゃないかと思うのです。老人被害の実数がかなり増大しておる、もしくは豊田商事についての被害届がある中でも老人が受けている率が増しておるというふうに、巷間マスコミなどで伝えられておりますが、それにつきまして経済企画庁の方としては、国民生活センターなり何なりの範囲で結構でございますけれども老人被害の比重についてわかっている範囲内でお答えいただきたいと思います。
  166. 及川昭伍

    及川政府委員 国民生活センターに寄せられた豊田商事、鹿島商事関係相談件数は、五十七年度は二十八件、五十八年度は六十七件、五十九年度は百七件となっております。五十九年度のうち、六十歳以上の方が被害を受けて相談を受けたのは六十八件でありまして、年齢不明分がありますから、それを除いて全体の比率を計算いたしますと約七割程度が六十歳以上の方の被害というふうになっております。
  167. 塚田延充

    ○塚田委員 この悪徳商法問題につきましては、被害者の救済、特に今御報告ございましたように、本当に収入がないと言ってもいいような老人被害が多い。このような面を考えますと、この救済というのがまず第一に必要であり、第二には、今後被害者を出さないようにいかに法規制を厳しくするのか、この二点に分けてそれぞれ検討していかなければいけないと思っております。  まず被害者の救済でございますが、駆け込み寺のような機関として企画庁が国民生活センターを設けておられ、各都道府県におきましても消費生活センター相談部がそういうような救済の任に当たっておられる。その御努力に対して敬意を表したいと思います。しかし、豊田商事のような会社、なかなかしたたかでございまして、幾らそのようなセンターがかけ合っても、センター側の顔色を見ながら、行政側の対応が強く出た場合にはかなり返戻する分が多くなるし、ちょっと甘いなと思われるとああでもない、こうでもないと言って逃げるといいましょうか、そういうようなイタチごっこの闘いをしているんじゃなかろうか、私はこのように推測しておるのです。  しかしながら、かなり国民生活センターであるとか消費生活センターのバックアップ、じきじきの御出動によって豊田商事側も手を挙げて、その説得に応じて被害者に対してお金を返しているケースが非常に多いと聞いておりますが、それはなぜか。やはり違法すれすれのことをやっている、危ない橋だということを豊田商事自体がわかっておるからなはずでございまして、全然彼らが青天白日の身だと信じておるならば、幾らお役所が言ったってそんな話に応ずるはずがないわけでございまして、彼らも弱みがある。だから、それを行政側が強気といいましょうか正義の御旗、そのためには、先ほど私が申し上げたような理論武装も必要だし、そういうことで攻めなければいけない、このように思っております。  そして、そんな中でどうも一番効果があるのじゃないかと思われるのは訴訟に持ち込むことではなかろうかと、私は今までのマスコミ報道などから推察しているわけですよ。行政指導だけでは向こうもなかなか参ったとは言わないけれども訴訟にするよと言うだけで、向こうは和解であるとかいろいろなことで折れてきておるケースが多いというふうに報道されているわけでございます。  この辺、法務省の方にお聞きしたいのですけれども法務省立場から、被害者を救済するためにどういうようなやり方があり得て、また効果を上げると思われるのか。そしてできれば、このように法律面からも私たちはバックアップする用意がございますよというようなことを、意向だけでもいいですから被害者に対してお話し願えないでしょうか。御答弁お願いします。
  168. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 法務省といたしましては、当事者間の訴訟に介入する、こういう立場にございませんので、どういう訴訟が成り立つのかというようなことについて検討したことはございません。ただ、新聞報道などで伝えられるところによりますと、いろいろな理由で訴訟が起こされているようでございまして、一つは詐欺まがいの商法だということで、これは民法七百九条の不法行為に当たるということで、損害賠償請求をするという方があるようでございます。  それから、先ほど委員指摘の点でございますが、出資法二条違反だということでこれは公序良俗違反だ、契約そのものが無効だということで、代金として支払った金銭を返してくれ、こういう返還訴訟の形、あるいは詐欺だ、詐欺による意思表示ということで、それを取り消しまして代金の返還を求める、こういうような訴訟が出ているようでございます。  具体的にこちらとして事実関係把握しているわけでございませんので、その訴訟が勝訴の見込みがあるのかどうかというようなことはわかりかねますけれども、たまたまこの訴訟を担当をしておられる弁護士さんから聞いたところによりますと、これまでのところは事実審理に入る、証拠調べに入るということを待つまでもなく、裁判上の和解あるいは被告でありますところの会社の方が一方的に請求を認諾するというような形で落着しているものが多いというふうに聞いております。
  169. 塚田延充

    ○塚田委員 今の御答弁でかなり状況がわかりましたが、裁判に持ち込まれたら向こうは負けると最初からもう決めてかかるくらい違法な面が強いのじゃないかと思うのです。これは今法務省の正式見解じゃなくて、そういうケースが多いようだという非常に私たちにとっては力強いアドバイスをいただいたような感じがするわけでございます。  さてそこで、消費者保護の最前線窓口で御苦労されております経済企画庁の方ですけれども経済企画庁は、いわゆる国民生活センターの方で受け付けられたこのような苦情で、結果的に訴訟に持ち込もうとした、もしくは持ち込まれた、そして裁判にならない前でもいいからうまくいってしまった、もしくはうまくいきそうだとか、そのような事例はどのようになっておりますか。わかっている範囲内でお答えいただきたいと思うのです。裁判の場合はかなりチャンスがあるよと見ておられるのかどうかです。
  170. 及川昭伍

    及川政府委員 国民生活センター相談を持ち込まれました場合に、相談者から法律家や専門家による事業者との交渉、あるいは訴訟提起という御希望があった場合には、当然のことながら適当な弁護士会の窓口等を紹介しているところでありますけれども、現在までのところ、国民生活センターが直接処理した事例で訴訟を提起した事件はございません。  なお、国民生活センターでは、相談を受けた場合には、現在の処理の仕方といたしましては、第一に、相談受け付け時点で金銭をまだ支払っていないという場合でありましたら、契約をしていても金銭を支払わないことという指導をいたしております。また、未払いであるが預金通帳を持っていかれたという相談もあるわけでありますが、それを渡してしまったという場合には、直ちに金融機関に届け出て、引き落としストップの手続をとるというように勧めているわけであります。既に金銭を支払ってしまった、それで解約をしたいという場合には、事業者に対して国民生活センターはあっせんをいたしているわけでありますが、御指摘のような商法の問題点を指摘して、全額返還という原則で交渉をいたしているわけであります。  ただ、この契約書を見ますと、金の売買契約書とそれから預かり証の貸借契約書、賃貸借か消費貸借かという争いはありますが、貸借契約書となっておりまして、途中で解約する場合には三割の解約金を払うこと、あるいは既にいただいている一割程度、当初に支払うわけですが、その利益金、配当金は返還すること、そういう契約になっているわけでありまして、その三割の解約金をどの程度少なくするかということが裁判外の折衝の場合には焦点になるわけでありまして、午前中にも事例がありました中国残留孤児の場合には、それを一五%に減らして解約の契約ができたということになっているわけであります。訴訟にならないで解決しようとすると、その点に問題が残るということは、相談者と話し合った上で処理をしており、訴訟の場合には全額返還ということが非常に多いということを、さらに相談者には伝えて処理することにいたしております。
  171. 塚田延充

    ○塚田委員 今局長の方から最後の段階で、相談者に対して訴訟を勧めるような指導をしておる、このような御答弁があったようでございますけれども、今までの例から見ると、訴訟に持ち込むのだというだけで豊田商事はしっぽを巻く、ほとんどそのような例で、例外がないようでございます。  となったら、いかがですか、経済企画庁としては、いろいろマスコミといいましょうか、テレビなどを通じて、詐欺商法にかからないように気をつけましょうというようなPRをしているそうですけれども、既に被害者になった方に対しての救済措置として、どんどん訴訟に持ち込めというPRをしたらいかがでしょうか。またはPRまでしなくても、もう国民生活センターに対して指示を与え、それから各都道府県の消費生活センター相談部に対して、苦情を受け付けたらばすぐ訴訟だと言う。これが一番効き目があるよ、それでいけということで、国家としての豊田商事壊滅作戦というのはオール訴訟作戦。先ほどの法務省の事例研究ではかなりそれの確率が高いというのですから、思い切りやったらいかがかと思うのですが、そのくらい思い切らなければ、寝たきり老人がごまんと泣いているわけでございます。これからかからないようにというような呼びかけ程度ではとどまらぬところまできているわけです。思い切った作戦、このくらいまでとっていただきたいと思うのですが、企画庁の方、いかがでしょうか。
  172. 及川昭伍

    及川政府委員 訴訟に持ち込むということはこれまた費用と時間がかかることでありまして、行政側が消費者苦情相談者に、みずからの苦情相談処理の役割を放棄して訴訟に持ち込めということもなかなか言いにくいことであろうかなというふうに思っております。実態はよく相談者に説明しながら、解約金の割合の問題がありますし、あるいは訴訟にしたときの時間と費用の問題がありますし、その辺のところは相談者の判断にゆだねるというところが適当なところかなと思っております。  ただ、地方公共団体の中には消費者保護条例というものがありまして、消費者保護条例の中には、消費者被害の救済のための訴訟支援措置も設けておるところがありまして、本件について活用されたという報告はまだ聞いておりませんけれども、そういうことも当然のことながら、司法裁判による消費者被害救済が最後のとりでとしてあるということは私どもは重々承知しておりますし、苦情相談の処理に当たってもそういう配慮のもとに行っているところであります、
  173. 塚田延充

    ○塚田委員 この豊田商事悪徳商法を打破する、排除するために最も効果的な方法が訴訟じゃなかろうかと、事実関係を研究した上で私は提案しているわけでございまして、局長がおっしゃったように、相談窓口において訴訟被害者に勧めるということは、センターの方で役割を放棄しているのじゃなくて、逆に積極的な役割を果たしておるのだ、このように私たちは解釈しますので、どうぞその辺、怠けているなんて全然思いません。よくやっているなと……。  そのくらいに思い切らなければだめですよと私は言っているわけでございます。確かに訴訟に持ち込んだらいかがですかというアドバイスをするのでは、私は手ぬるいと思うのですよ。それはお年寄りであれ田舎の人であれ、とにかく法律になると怖がってしまう。裁判というと格好悪いとかいうようなことをどうしても思いがちでございます。それゆえに、センターの仕事としてはそうじゃないんだよということを、よく事例を挙げて説得してアドバイスをする。すなわち、被害者側に対して、今言ったように、訴訟したらばうまくいくんだという事実を知らぬから、ただ困った困った、何とかしてくれということでもってセンターに泣きついてきておる。ここに訴訟が有効じゃないかという事実をはっきり知らしめることが第一点。  それから、確かに有効だとはわかったとしても、いわゆる費用がたくさんかかるよというふうに、ちまたでは素人は思い込んでしまう。しかしながら、それも意を尽くして説明すれば大丈夫じゃないですか。勝つ可能性が強いのだし、勝った場合にはこういうふうに結果的には費用の問題は相手側にかぶせることも可能なんですよとかというような、いわゆる食わず嫌いで怖がっておる一般庶民について解きほぐすという意味の、手をとり足をとりの、弱い弱い無知な被害者に指導をしてほしいと思います。  それからまた、裁判になると時間がべらぼうにかかるんだよというふうにみんな思い込んでおる。実際そのようではございますけれども、このような単純と言ったら何でしょうが、今までの例だったらぶつけるだけで相手が逃げるのですから、和解とかになったら物すごく早い。そして、ここはひとつ、法務省権限ではなくて最高裁のあれかもしらぬけれども行政府である内閣の方から、有力閣僚である金子長官がその代表者として司法の方にも、こんなに国民が困っている問題だから、この扱いは特別扱いとまでは言わずとも、スムーズに扱ってほしいというような申し入れでもして、無知で弱い、かわいそうな被害者が安心して効果ある裁判が受けられるように、いろいろと行政側でバックアップしてほしいな、このような気がするわけでございます。  これはお願いのみにとどめておきまして、繰り返しになりますけれども、ぜひ本丸に踏み込んでほしい。強制捜査ができないとかなんとかいうあれじゃなくて、やりようによっては、先ほど言ったように出資法であるとか詐欺とかいうことで十二分に踏み込めるはずだ。その資料というのは、最優秀の頭脳を持っておるお役所のことですから、できないと言ったら、それは午前中の審議もたくさんありましたけれども、困難だ、困難だと言うのはやる気がないのかというふうに解釈される危険性が強いと思いますので、困難だということは国民もわかっています、その困難なことを乗り越える勇気と頭脳が確かに行政府にはあったんだということをぜひ立証してほしい、このようにお願いを強くしておきます。  さて、そもそもこのような悪徳商法みたいなものは、先物取引的なところが一つのつけ目であり、このような業種に絡んでの商法になっているケースがほとんどではないかと思います。そうしますと、業種において許可制であるとか登録制にいたしますと、結局は悪徳業者というものは大手を振れなくなって、だんだん姿を消していくケースが多いんじゃないかと私は思います。  全然話が飛んでしまいますけれども、サラ金被害が大変な社会問題になっておりました。国会でも嫌というほど取り上げられました。しかしながら、まだまだそれに泣いておられる方が多いんじゃないかと思うけれども、当時から比べたらかなり鎮静化しておる。何も私が国会に籍を置いているから言うのじゃないけれども、いろいろ国民の皆さんから批判を受けながら、ざる法だ何だかんだ言われながら、法規制としてのサラ金規制法をつくったマスコミからもさんざんたたかれた、あれではざる法で、効き目がないんじゃないかと言われたけれども、やればやっただけの効果があるわけでございます。それは今の落ちついた実績が立証しているのじゃないでしょうか。それとこの先物取引関係を一緒にすることができるかどうかわかりませんけれども豊田商事の場合、金でやっておる。金がいろいろな面で規制を受けそうだということになると銀にする、プラチナにする。わけのわからぬパラジウムとかいうような、自分でもってマーケットをつくって自分で取引するような私設市場だってできる。今後それは金属と名のつくもので消費者がわからぬものだったら、本当にラジウムなんというのは、あれは気体なのかどうか知りませんけれども、自分でラジウムの取引のための証券なんかをつくるかもしれませんね。  ということで、今の商品取引所法における商品指定、これが政令で決めて挙げておる。挙げれば、それに挙がってないものを向こうで探し出して、でっち上げてつくればいいということですから、全金風といいましょうか、全商品を対象にするというのはまたちょっと難しいかもしらぬけれども、原則的にありとあらゆる商品といいましょうか、元素というのか物質というのか、私わかりませんけれども、そういうものを規制の対象にしてしまう。原則それだ、そしてこれとこれは指定商品から外すよとかいうような網をかぶせることはできないのでしょうか。これは立法上非常に難しいと思うのですけれども、私はそのような精神といいましょうか考え方というか、ぜひ御研究いただきたいと思うわけでございます。  そして同時に、パラジウムだ何だというような物質以外に、今度はゴルフの会員権になりましたね。次にはヨットクラブかなんかの会員権になるかもしらぬ。リゾートの別荘なりになるかもしらぬ。いわゆる無形財産といいましょうか、またはサービスみたいなものを商品と考えて、そういうふうに取引の対象とする、預かり金の対象とする。こういうわけでございますので、そういうようなあらゆる物質及びゴルフの会員権など無形の財産権もしくはサービスみたいなものについて、業種そのものを登録制にすることは考えられないでしょうか。ちょっと行き過ぎた面もありますけれども、それをもじってある程度近づけたような形で、そういう方向に前向きに検討するとかいうことができるかどうか。私、これは質問通告をしていなかったので、だれに答えていただいたらいいかわからぬわけですけれども、とにかく縦割り縦割りでいつも困っちゃうのですよ。よろしくお願。いします。
  174. 山下弘文

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の先物取引でございますが、御承知のとおり現行法では政令で指定をして、その範囲で私設先物取引が禁止されることになっております。現在の法律ですと、当該商品の価格形成を合理的にするということが立法趣旨と理解しておりますので、先生のおっしゃるように、まず全面的な禁止をするということは、立法的な手だてが必要だということかと思っております。その立法的な変更につきましては、私ども今の法律の議論の過程で、やはり基本的には取引の自由を尊重することがベースだと考えておりまして、必要な最小限の範囲の規制にとどめるという立法体系になっていると理解しております。  それから、無形財産の会員権のような問題につきましては、先生から御提案ございましたけれども、私ども省内に勉強会をつくって、どういう体制でこれからの消費者保護を考えていくか、勉強をしている最中でございます。まだ結論が出ておりませんので、方向づけはお答え申しかねますが、今そういうことで勉強はしております。
  175. 塚田延充

    ○塚田委員 豊田商事商法は、そういうふうに手をかえ品をかえ起きておるのですが、別会社を通じていろいろまた新戦法を編み出してくる。そして別会社のリストみたいなものは、先ほど草川委員がかなり詳しく言っておったわけでございますけれども、今、経済企画庁把握している資料として、いわゆる豊田商事グループ、九十何社というふうに先ほど草川委員はおっしゃいましたけれども、商品面ではパラジウムまで来た。それから手をかえて、いわゆる無形財産権ではゴルフの会員権まで来ておりますが、先ほどのマリーンクラブか何かその辺の会員権の売り出しとか何かの事実はあるでしょうか。そういうふうに豊田商事が扱っておる、または売り出した新しい手口の証券商法、こういうものを国民生活センターなり何なりで把握した事例は今の時点であるでしょうか。
  176. 及川昭伍

    及川政府委員 金の現物まがい取引で非常に問題が出てきておりまして、それがゴルフ会員権に移ったということは、鹿島商事等を使って行っておるわけですが、そのほかきょうも御議論ありましたように、マリーンクラブであるとかリゾート関係の会員権にいろいろ移しかえるという動きが出ているということは承知をいたしております。また、豊田商事グループの中にそのような会社があるということもおおむね承知をいたしております。
  177. 塚田延充

    ○塚田委員 私としては、豊田商事グループの本丸にぜひ司法当局として乗り込んでほしいということを再三申し上げているわけでございますが、特捜班をつくって、この件について法律的ないわゆる詰めが可能かどうか。それから、実際それによって挙げることが可能かどうか。この辺、特捜班をつくって御研究され、さらに実行に移す、ここまで踏み込むことはできないでしょうか。警察庁の考え方をお聞きします。
  178. 清島伝生

    ○清島説明員 一般的には、事案の内容によりまして、特捜班を編成して捜査を進めるということは過去にもあるわけでございます。御指摘会社関連についてどうするのかということにつきましては、再三申し上げておりますように実態解明中でありまして、まず犯罪があるのかないのかということが先決でありますので、その辺を見きわめながら検討すべき問題だと思います。
  179. 塚田延充

    ○塚田委員 犯罪行為、すなわち違法行為があるのかどうか見きわめるということでございます。ぜひそれを進めてほしいのですが、先ほど私が既に立証したに近いようなことで、出資法違反か何かはもう常識的に明らかなんです。それにもかかわらず踏み込めないというのは歯がゆい、そして国民の信頼感を欠くことになるのじゃないか、こんな気がしますので、ぜひ国民の司法当局に対する期待と信頼感を裏切らないようにお願いして、私の質問を終わらしていただきます。
  180. 竹内猛

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。     〔委員長退席、金子(み)委員長代理着席〕
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、豊田商事グループの問題について聞いていきたいと思います。  けさほどからもたくさんお話が出ていますので、改めて言うまでもありませんけれども消費者豊田商事グループ悪徳商法によって本当に苦しめられています。しかもその被害者の大半は、本来社会的に保護されるべきお年寄りの資産がねらわれている。最近私の地元でも、視力障害の方に金の売りつけが行われた。視力障害者ですから、日々の新聞は余り、余りというか全く読むことができません。お隣の人が話を聞いて、ちょっと待って、豊田商事というのはこんなところなんだよと新聞の記事を読んで聞かせて、びっくりしたその視力障害者は、早速に豊田商事解約を申し入れました。しかし、受け付けてくれません。今この人は、かつて六千万円の自分の土地を放して、持っていた資産を全部この豊田商事にとられて自殺をしてしまったというのと同じような状態の苦しみを持って悩んでいるわけです。私はこの人にかわってもきょうは、政府が本当にこの問題に真剣に対応していただきたいということで質問をしたいわけです。  そこで、朝からも御答弁がしばしばありましたけれども豊田商事グループということで被害者がどれだけ出ているか、国民生活センター並びに通産省の方からお聞かせをいただきたい。あわせて、今国民にしてみれば、政府は一体何をしているんだ、それが一番言いたい気持ちなんです。豊田商事グループに対しても、それはもう抑え切れない怒りを持っています、それは被害を受けた人も受けない人も。しかし、ある意味ではそれ以上に、政府は一体何をしているんだ、何のために政府というのがあるんだ、これが率直な国民の気持ちじゃないかと思うわけです。そこで、この豊田商事グループに対しては、私は政府全体で重大な決意で対処していかなければならないと思うわけですが、長官の御見解をお伺いしておきたいわけであります。
  182. 金子一平

    金子国務大臣 けさほどからずっとこの問題についていろいろ御質疑がございまして、これだけ大きな社会問題になっておるのをいつまでも放てきするわけにまいりません。私どもとしては、関係省庁と十分な連携をとりながら、できるだけ速やかに必要な対策をとる、特に法すれすれの事犯が非常に多いものですからなかなか取り締まりに踏み込めない場合があるのでございまするけれども、何らかの詰めをもう一度し直してみて必要な措置をとってまいるようにしたい。国民の皆様に一体何をしているかと言われるようでは大変なことだと考えておりますので、どうかそういう気持ちでやっておることを御了承いただきます。
  183. 山下弘文

    ○山下説明員 豊田商事の金の現物の数字、大変恐縮でございますが、通産省相談窓口に金の関係では昨年度一年間千五百件ほど参っております。そのうち、正確な細かいところははっきりいたしませんが、ほとんどが豊田商事だと理解しております。金額の面では、その千四百件に見合う分は四十一億強でございますが、豊田商事関連が三十九億くらいだと記憶しております。  それから、豊田商事以外のベルギーダイヤモンドのケースでございますが、私どもに来ております相談件数ですと二百三十件ほどございます。ただこれは、かなり会社内容相談というような情報を求めているというようなものが入っておりますので、実際に解約を求めてお困りの方というのは、そのうちの二割くらいの数字ではないかと思っております。金額については特に集計しておりませんので、把握しておりません。
  184. 及川昭伍

    及川政府委員 五十九年度中に国民生活センターで受け付けました豊田商事関係は九十八件でございます。そのうち金額不明の十八件を除きまして八十件の相談者の既払い金額は三億六千万円でございます。地方の消費生活センターの分は、豊田商事として把握できておりますのはオンラインネットワークを組んでおります九センター分でございますが、地方の消費生活センターで五十九年度に相談がありましたのは三百四十六件でございます。国民生活センターには豊田商事関係九十八件のほかに鹿島商事関係が九件出てきておりまして、これはゴルフの会員権に関する苦情相談であります。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 被害実態については、豊田商事グループという観点で見ているとすれば、その調査は非常に不十分じゃないかと私は思いますが、きょうは引き続いて質問をしていきたいと思うのです。  私はここで新たな被害者を出さないという観点から聞いていきたいわけなんですが、豊田商事グループは、ことしは沖縄で観光開発、それも渡嘉敷島、座間味島という国定公園に指定された大変美しい島を丸ごと開発しようとしています。沖縄本島那覇から西方へ三十キロ、那覇から船に乗りましても一時間とかからない、そういうところに浮かんでおりますこの渡嘉敷、座間味という両方の島は、最近特に自然の美しさに引かれて観光客が大変ふえてきております。私はここに、この渡嘉敷島の村長が、昨年の六月に設立されたばかりの沖縄リゾート開発株式会社との間で交わした覚書というのを持っておりますけれども、この渡嘉敷村と覚書を交わした沖縄リゾート開発株式会社の保証人として、銀河計画株式会社というのが名を連ねております。私の調査では、豊田商事と沖縄リゾート開発株式会社と銀河計画株式会社、この三つの会社関係は、役員が非常にダブっておりますので、これはもう明らかに悪名高い豊田商事関連会社ということははっきりしております。  ところで、その覚書は、要するに沖縄リゾート開発株式会社が島ごと国際水準のリゾート基地にするんだ、そういう計画に対して村が全面協力を約束させられた内容のものになっているのです。読んでいって驚きましたけれども、国、県の公共事業も沖縄リゾート開発株式会社と協議をして進める。まるでそこには村議会の存在も住民の存在も何もないわけです。そういうふうなことまで約束をしているのです。  計画の中身を見てみました。渡嘉敷島に、六十年度着手として六十四年度完成するという空港をつくるほか、ホテル、ゴルフ、レジャー施設を建設する、こういうようなことがるる書かれています。そして、まさにその渡嘉敷島総合開発計画をめくってみますと、ここにこれをつくるんだと丸印を入れておりまして、もうまさに身ぐるみの開発計画になっているわけです。この覚書はことしの四月十六日に調印をしています。村の議員さんにこの覚書が知らされたのは、調印をするたった二日前なんです。島の人たちにとっては全く寝耳に水なんです。  お隣に座間味島というのがあります。この座間味島は、座間味村とリゾート開発株式会社との覚書こそ交わしておりませんけれども、渡嘉敷島同様に身ぐるみの観光開発総合計画というのを打ち出して、そうして現在農業振興地域内で借地契約を結んでいっているのです。その借地契約というのは、全部で二万六千四百四十四坪というふうにもう大きな土地になってしまっているのですが、その契約を見ますと、何とこの後二十年の計画というふうになっているのです。これは農地転用許可を前提にして土地借り占めを沖縄リゾート開発株式会社が進めていこうということで行われていることは明らかであります。村の人たちは、今そのことで大問題になっております。  私がここで特に強調しておきたいのは、これは豊田商事グループによる一つの事業としての観光開発ではないということなんです、そのことは、昨年八月の週刊ポストのインタビューで豊田商事グループのトップに当たる永野一男氏が、「これからは、豊田商事より、レジャー産業の方に将来性を見つけてるんです。それもまた、皆がアッというやり方でね。そうしたら、またあなたたちに叩かれるかもしれないなァ(笑)。」こんなことを言っているのです。そういうふうに言っているように、つまり、これからは金商法よりもレジャー産業をてことして新たな戦略をねらっていこうということであり、その具体化が渡嘉敷島、座間味島、そういう島ぐるみの観光開発というふうになっているわけです。結局、豊田商事グループの大きな戦略の中にこの両島の開発が位置づけられているわけです。このままこの観光開発を放置しておくなら、新たな被害が出る可能性が高いわけであります。  そこで私は聞いておきたいのです。そういえば最近、会員制総合クラブで観光施設を、会員権ですべての施設をメンバーが合有する、こういうふうな商法があるわけですね。これは豊田と違いますから名前も言いませんけれども、そういうことでこの会員権をお金を出して買って、やがて途中で倒産するというような被害が出ております。私は相談を受けているのですが、国民生活センターはそういう被害を聞いておられるのかどうか、それが一点です。  運輸省の方にお伺いします。村長との覚書の中で、沖縄リゾート開発は六十年度から空港建設に着手する、こういうふうに言っているわけなんですが、その点、そのような申請がなされているか、あるいは相談がなされているか、そのことを明らかにしていただきたいのです。  もう一つの問題は、農水省です。沖縄というのは農地が非常に少ないところです。特に離島の農地というのは、その村民にとっては命の問題だと私は思っているのです。風が吹いた、嵐が来たといっては、船がとまる、飛行機は飛ばない。そうするとその島の農地というのは、その村民にとっては命の糧になっているわけです。そこで借地契約がどんどん結ばれていっている。ぜひ実態を調べていただきたい。もちろん農地の転用許可申請が行われる可能性があるでしょうが、そのときはもちろん厳正な対処をお願いしたい、早急に調査お願いしたい、この三点をまずお伺いします。
  186. 西村泰彦

    ○西村説明員 先生お尋ねの渡嘉敷飛行場の件でございますが、この件につきましては昭和六十年、ことしの四月五日、銀河計画株式会社開発部と名のる者から私どもの大阪航空局に対しまして照会がございました。その内容は、慶良間諸島渡嘉敷村に飛行場を設置し、同島をリゾート地としての開発を行いたいということでございまして、大阪局側といたしましては、そのような申し出を電話で受けたわけでございますが、ある程度具体的な話として承ることにつきましては、図面でありますとか、計画でありますとか、そういったものが必要でございますので、そういう図面などを持参して具体的に説明に来てもらいたいという旨の回答をしております。以後、この会社からそういった資料の持参あるいは電話での照会といったような具体的な接触はございません。
  187. 入澤肇

    ○入澤説明員 ただいまの御指摘の案件につきましては、早急に調査したいと思っております。  農地制度について若干申し上げますと、農地法の許可というのは、農地についての賃貸借契約という法律行為の効力発生要件でございまして、農地法の許可がない限り賃貸借契約というのは効力を生じないということになっております。これは農地法の五条にきちんと書いてあります。そういう観点から、私どもは、農地法違反行為が行われないように、従来から農業委員会を通じて巡回点検指導等をやっているのですけれども、今回の件につきましても、改めて地元の農業委員会に、賃貸借契約の実態がどうかということを調査して報告するように、今指示しているところでございます。  それからまた、沖縄総合事務局を通じましてその実態を照会したのですけれども、現在のところまだ転用事業者から許可申請が出てきておりません。許可申請が出てきた場合には、農地法の転用基準に従いまして、厳正に審査をしていきたいと思っております。     〔金子(み)委員長代理退席、委員長着席〕
  188. 及川昭伍

    及川政府委員 レジャー関係の会員権あるいはゴルフ会員権に関する苦情相談でありますが、五十八年度に国民生活センターに寄せられた苦情の中で、そういうたぐいのものが四十一件ありました。最近レジャーあるいはゴルフ等レジャー関係の会員権に関する苦情相談が増加する傾向にありますので、経済企画庁国民生活局としても本格的な対応策を考えたいと思いまして、国民生活審議会消費者政策部会で、サービス関係の専門家委員会と約款関係の専門家委員会を近く発足させて、これらの会員権のこと等を中心に対応策を検討したいと考えております。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 沖縄開発庁にあえてきょう来ていただいたのは、沖縄というのは長い間アメリカの占領支配下にあったわけですね、だからあえて沖縄県にその振興開発計画ということで開発庁をつくって、健全な沖縄県の発展のためにいろいろと頑張っていただいているのだと私は思うのです。それで、本来そういうものでなければならないというふうに思うのですね。ところが、こういうふうに観光開発、しかも非常に怪しげな観光開発が行われて、そして渡嘉敷島というのは、あの沖縄戦の最後の決戦場になって、住民が集団自決したところなんです。だから、あのきれいな浜は、今はもう何もありませんけれども、あの決戦の跡は、小学生が集団自決をして、五文、六文の靴がいっぱい散らばっていたというところなんです。だから、そういうふうなところに今度悪徳な豊田商事グループが介入をして、そして島の人々の希望を失わせるということは、私は非常に怒りを覚えるわけです。島の人たちも、自分たちの手づくりで観光開発をしていきたいのだ、自分たちの手づくりで、日本じゅうの多くの人々から喜んでもらえるような観光地にしたい、こう言っているのです、だから、沖縄開発庁としては、この問題に十分関心を持って、早急に県なりあるいは村当局なりの調査をし、そして厳重な態度で対応していただきたい、そのことをお伺いしたいわけでする
  190. 櫻井溥

    ○櫻井説明員 お答えいたします。  沖縄の観光それからレクリエーション施設の整備等につきましては、これは沖縄の振興開発を推進する意味におきましての大きな、重要な柱の一つということで位置づけております、これは一般論でございます。  先ほど来お話がございました座間味村あるいは渡嘉敷村におきます観光開発につきまして、地元におきまして、土地の賃借権等につきましていろいろ問題が提起されておるということにつきましては、承知いたしております。この件につきましては、沖縄県には沖縄県県土保全条例というのがございまして、三ヘクタール以上の土地を開発する場合には、いろいろな点につきまして事前協議もありますし、あるいはまた事前協議が整った後におきまして、知事の許可を受けなければならないという行政上の一定の手続があるわけでございます、そういう意味におきまして、地元の市町村といいましょうか村当局あるいはまた県におきまして、そのような開発が、地域住民なりあるいは環境等につきまして悪影響を与えないような形で十分指導ができまして、それで一般論としまして、事業が円滑に進められることを私どもは期待しておるわけでございます。  以上でございます。
  191. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この件について調査をしてくださいますね。
  192. 櫻井溥

    ○櫻井説明員 詳しい調査はまだいたしておりませんけれども、一般論としましては、先ほど申し上げた立場で……(藤田(ス)委員「一般論はわかっているのです。調査をしてくださいますか」と呼ぶ)ただいま先生の御指摘もございますので、可能な限り調査をいたしたいと思います。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは話を次に進めます。  この豊田商事の、先ほどもお話がありましたが、五十九年三月期の法人税申告書は約四百十七億円の累積赤字なんだ、同期の決算は三百七十四億円の赤字となっていることが、去る五月二十二日の大阪地裁の証拠調べで明らかになった、こういうふうに言われているわけです。世にも不思議な話だと思うのですが、こういう赤字の中で五十九年四月十四日、銀河計画株式会社が設立されました。さらに、五十九年の六月三十日ですから約二カ月半後に、沖縄リゾート開発株式会社が設立された。沖縄リゾート開発株式会社は、直ちに座間味島と渡嘉敷島にそれぞれ総合開発株式会社という子会社をつくった、その子会社関係者が言うには、座間味島で一千億、渡嘉敷島で二百二十億円ものお金がかかる開発計画なんだ、こういうふうに言っているのです。  また、慶良間というところ、つまり渡嘉敷島や座間味島の皆さんが利用する航空なんですが、それを行っていた公共地図航空株式会社ですか、それを八億円で丸ごと買い上げた、豊田商事グループが買い上げて、そしてそれは現在運航されているわけなんですが、ここで心配なのは、この航空会社本当に大丈夫なんかな。ましてや沖縄というのは基地がありまして、おまけに台風が多い。そういうところで、小さい小さい飛行機が行ったり来たりするときに、何ぞこんなことで事故起こらぬかという心配が出てくるのは当然のことであります。  しかし、同時に大事なことは、初めに言いましたように、これだけの赤字を抱えているというふうに決算書で出されているのに、豊田商事赤字だと言いながら実は利益隠し、資産隠しをこんな形でやっているのじゃなかろうか。もう一つは、全く資金もないのにこうした計画を打ち出して、ゴルフ会員権ならぬ観光会員権ということで売り出して、その会社の目的、つまり「会員制保養施設の運営」、こういうふうに総合開発計画の中でも書かれているわけですが、そういうことで、新手の悪徳商法の知恵を絞ったのじゃないか。目下、豊田商事解約を拒否しているのです。それは新規の顧客の解約が相次いでいるということもあるでしょうが、目下支払いをすべて停止していると聞いています、  そこで、お伺いをいたします。国税庁、こういう問題を御存じなのか。そして、こういう問題については厳正に調査をするべきじゃないか。赤字の問題も含めてです。この点、お伺いをしたいわけです。
  194. 友浦栄二

    ○友浦説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のありました、豊田商事の五十九年三月期の決算が赤字で約三百七十四億円であるという新聞報道があったことは承知しております。その報道されました計数につきまして、私どもあえて否定はするものではございませんが、具体的な内容についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、今後どのように対処するかということのお尋ねでございますが、一般的に申し上げますと、国税当局といたしましては、国会で論議されました事柄や新聞等で報道されました事柄を含め、資料、情報を広く収集し、法人から提出されました申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合は、実地調査を行うなど適切な処理に努めているところでございます。ただいまお尋ねの法人及びそのグループにつきましては、国会新聞等で取り上げられておりますし、社会的に関心が高いことも十分承知しておりますので、本件につきましても、先ほど述べましたような観点に立ちまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 警察庁、こういう私が先ほど言いましたような情報は入手をされておられるのか、また豊田商事の問題も含めて豊田商事グループ全体に目を向けた捜査をする必要があるのじゃなかろうかと考えますが、いかがですか。
  196. 清島伝生

    ○清島説明員 個々具体的な問題につきましてどういうものを収集しているか、この点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、豊田商事あるいは関連会社に関する取引実態といいますかその商法については、けさほど来御答弁申し上げておりますように、実態解明をしていく必要があると思います。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 さらに豊田商事グループの問題について聞きたいわけです。  従来、この豊田商事グループというのは、豊田商事を中心に形成されていたのです。ところが、五十九年三月期に豊田商事が三百七十四億円の赤字を出してから急速な変化を遂げた、そう私は考えるわけです。第一に、五十九年の三月期に三百七十四億円の赤字であったにもかかわらず、私ども手元にある資料では、関連会社赤字の年の五十八年に六社、その六社の中には例のベルギーダイヤモンド株式会社も入っております、それから、赤字の翌年五十九年には十五社がつくられているわけです。その中には豊田航空、銀河計画株式会社、白道株式会社、そして豊田リゾートクラブ、鹿島商事もここで入ってくるのですね。そういうようなことになっているのです。  それから、私は先ほど週刊ポストの記事のことを言いました。この中で永野一男社長はこう言っているのです。  今私は白道という個人会社を持っています。ここが、銀河計画という持ち株会社を百パーセン干支配しているんです。そしてその下に、国際総合ファイナンス、日本総合開発事業、海外事業といった各事業部門子会社が数十社あるわけです。さらに、その下に合計百社位の現業会社があるわけです。豊田商事とか、トヨタゴルフ、トヨタハウス工業、海外タイムス、豊田信販、豊田貿易……といった会社ですね。こういうことを言っています。  二つ目の問題ですが、従来、豊田商事をトップにして構成されていたのが、昨年四月には銀河計画株式会社が設立されるや、同社豊田商事の株を買わせて、豊田商事の親会社に銀河計画というのが上がりました。そしてその後、白道株式会社というのが生まれまして、さらにそれが上に上ったのです。だから、今の系図はどうなっているかといったらピラミッド型なんです。白道株式会社がありまして、その下に銀河計画株式会社がありまして、その下に国際総合ファイナンスだとか日本総合開発事業、海外事業といったようなその各事業部門子会社が数十社あるのです。その下に百社、これを彼は現業会社と称していますが、並んでいる。その中の一社が豊田商事、こういうふうに位置づけがころっと変わってしまったのです。  そこで私は聞きますが、大蔵省、莫大な赤字を計上しながら一年間で百社もの関連会社を設立するというようなことは、常識ではとても考えられません。私が今実際に資料に基づいただけでも、五十八年六社、五十九年十五社、赤字だと言っているのにこういうふうにどんどん関連会社をつくってくる、これはどうしても関連会社の全体像を把握して、やはり厳重に対応するべきだ、こういう点からも私は重ねて大蔵省の御答弁を求めたいわけであります。
  198. 友浦栄二

    ○友浦説明員 お答え申し上げます。  税務調査立場からお答え申し上げますが、ただいま先生お話のございましたように、関連会社が多数あることは承知しております。税務調査におきましても、それら会社間の相互の資金の流れ等については十分注意をしてまいりたいと考えております。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 法務省、現在、大阪地検豊田商事について詐欺罪で送検されていると聞いておりますが、当然、永野一男氏に対する責任追及はどうしてもなされなければならないと私は思います。もちろん、この委員会でもぜひとも参考人として来ていただき、いろいろとお尋ねをしたいわけですが、いずれにしても、豊田商事グループは、この永野一男氏に対する責任が及ばないように、豊田商事というのを末端に置いてピラミッド型で関連会社をつくっていっている。こういうふうな全容というものについては、これは法務省としても無明をしていくべきじゃなかろうか、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  200. 東條伸一郎

    東條説明員 委員指摘のように、現在、大阪地検豊田商事株式会社関連事件告訴事件というのは、多数といいますか、相当数係属しておりまして、現に捜査中でございます。  それで、今御指摘のように、会社代表取締役の責任云々という問題につきましては、これからといいますか、現在捜査中の事件でございますので、私の方からこれをやるべきだとかやるべきでないとかということは、ちょっと私も証拠を持っておりませんので申し上げることは遠慮いたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、検察といたしましても本朝来の御議論も踏まえまして、実態解明には十分努力をするものだというふうに考えております。  ただ、一つだけ御理解いただきたいのは、私ども検察というのは、いわば後追いといいますか、犯罪が起こってからそれに対応する役所でございますし、それから、それに対応するにもまた刑事事件の証拠という、行政対応とは違ういろいろの制約がある、その制約の中で我々は仕事をせざるを得ない。したがいまして、必ずしも私今消極的なことを申し上げるつもりはございませんけれども、刑事事件として捜査したから必ず成果が上がるかどうかということについては、なおこれからの捜査の結果を見守りたい、このように思っております。
  201. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 お立場もいろいろあるのでしょうが、えらい迫力ないですな。そんな声を聞いていたら、国民は本当にどこへ助けを求めたらいいのだろうというふうに思ってしまいますよ。私はお立場があるということがわかりますから、これ以上法務省に言いませんけれども、これだけ国会も応援しているのですよ、国民もみんな何とかしてくれと言っているのです。だから、もっと元気出してくださいよ。  それから、大体こういうふうに考えますと、豊田商事だけが制裁を受けて、そしてまた、もしかしたら倒産するとかというようなことになりましたら、多分豊田商事グループはトカゲのしっぽ切りみたいな形をするのと違いますか。そこで泣くのは被害者たちだけなのです。そして本体の方は、またしばらくしたら悪いことをする、しっぽも出して、そして被害をどんどん広げていくということになりかねないわけです。私が大臣に最初、政府全体で取り組んでいただきたいと申し上げたのは、相手がそういうようなグループであるからなのです。そういう点で、経企庁としても、こうした豊田グループの問題についてはまずその全容を解明するとともに、被害についても、豊田商事グループ関係被害をぜひともトータルしていただきたい。これは通産省にもお願いをいたしますが、そういうような調査もぜひ進めていただきたいということをお願いしたいわけです。
  202. 及川昭伍

    及川政府委員 先ほどもお答え申し上げましたけれども豊田商事には関係のグループが非常に多いわけでありまして、その全客を明らかにすることがどうしても問題解決には必要かと思っているわけであります。そのためには、経済企画庁だけでは当然のことながら力不足でありますから、関係省庁の協力を得ながら全体像をできるだけ明らかにして、対策も講じてまいりたいと思っているわけでございます。  関係省庁消費者行政を専門にしておる担当課の課長会議を昨日も開いているわけでありますが、そのときの主要な討議というのも本件であったわけでありまして、これから先も、六月中ないし七月上旬ごろをめどにして、午前中も答弁いたしましたけれども、第十七回消費者保護会議決定における悪徳商法に対する厳正な取り締まり等々の対策のレビューをすることにいたしておりますので、現在まで講じた措置、これから講ずべき方策等について、月内を一つの目安として各省と協議をさらに続けたいというふうに思っているわけであります。
  203. 山下弘文

    ○山下説明員 通産省といたしましても、ただいま企画庁の方から御答弁がございましたようなことに対して、積極的に協力してまいりたいというふうに思っております。  それから、ついでで恐縮ですが、先ほどちょっとベルギーダイヤモンドの相談件数でぼんやりした数字を申し上げましたが、二百六十二件でございます。大変恐縮でございました。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうような状態の中で、弁護士会から法務大臣に対して、裁判所にぜひ法務大臣解散命令請求してもらいたい、そういうお申し入れがあった。わけですね。これに対しては、法務省からどういう対応をされるのかということをお伺いをしておきたいと思います。時間がありませんから、できるだけ簡単にお願いします。
  205. 宇佐見隆男

    宇佐見説明員 先生御承知のとおり、解散命令事由としては、商法の五十八条の一項の一号から三号まででございます。で、三号の場合につきましては、解散命令請求法務大臣がするに先立ちまして、あらかじめ警告を発するということになるわけでございます。五十八条自体裁判所解散命令をする要件を書いてあるわけでございますが、解散命令請求をいたします場合あるいはその警告をいたします場合につきましても、裁判所が、法務省の方から請求をすれば解散命令を出すという見込みがあるということが必要であると思われますので、そこに掲げられておりますような要件を果たして備えているのかどうかということが問題になるわけでございます。  その点につきましては、けさども申し上げましたとおり、法務大臣といたしましては特別の調査権限を与えられているわけではございません。ですから、先ほど刑事課長の方から説明がございましたように、現在、検察の当局で捜査中であるというようなことでございます。その結果、刑罰法令に触れるような行為がある、これが会社ぐるみなされているというようなことであれば、その結果をこちらに通知いただきまして、それに基づきましてしかるべき措置をとる、こういうことになろうかと思います。  また、被害者弁護士さんの方でも、いろいろ民事訴訟を起こすとか告訴、告発をするというような動きをしているようでございます。その過程におきまして、解散命令事由となるような証拠をつかむということもあり得るだろうと思います。そういうような証拠をつけて解散命令請求をしてくれあるいはその前提となる警告をしてくれというような申し立てがございました場合には、それに基づきまして適切に対処してまいりたい、こういうように考えております。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これで終わりにいたします。  きょうは、先物取引被害の問題につきましてもぜひ触れたかったのです。被害者からこういう日記の写しをいただいてきまして、そのいただいた人にも時間がなくて大変申しわけないというふうに思っております。  最後に、大臣、私はこの問題を調査していく中で本当に苦労しました。一体どこへ言ったら心臓部にさわるような行政の責任監督官庁があるのか、それがさっぱりわからない。それで大臣というお立場から、そういう今の状態の中では、本当に政府全体でこの問題に取り組み、法の不備があればそれを正すということで真剣にやっていただきたい。消費者を守る一番先頭に立っておられる大臣ですから、私はもうここしか頼るところがないという気持ちを込めて、最後に決意をお伺いして終わりたいと思います。
  207. 金子一平

    金子国務大臣 お話しの点、重々承りました。何らかの措置を講じてこの問題に決を出したいと考えております。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。
  209. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会