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1985-05-23 第102回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十三日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 愛知 和男君 理事 青木 正久君    理事 亀井 静香君 理事 佐藤 信二君    理事 金子 みつ君 理事 浜西 鉄雄君    理事 草川 昭三君 理事 田中 慶秋君       工藤  巖君    熊川 次男君       二階 俊博君    武部  文君       中村 正男君    元信  堯君       小谷 輝二君    駒谷  明君       塚田 延充君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局審査部長 利部 脩二君         公正取引委員会         事務局審査部長 佐藤 徳太郎         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         経済企画庁総合         計画局審議官  星野 進保君         経済企画庁調査         局長      横溝 雅夫君  委員外出席者         化学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       沖村 憲樹君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産大臣官         房審議官    瓜生  瑛君         農林水産省経済         局国際部国際企         画課長     熊澤 英昭君         食糧庁業務部需         給課長     赤木  壮君         食糧庁業務部需         給課米流通消費         対策室長    平野  愃君         食糧庁業務部輸         入課長     重田  勉君         通商産業省産業         政策局商政課長 山下 弘文君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      糟谷  晃君         中小企業庁計画         部下請企業課長 高梨 圭介君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       永井 隆男君         労働省労働基準         局企画官    畠中 信夫君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     松原 東樹君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  斎藤  蓊君         日本国有鉄道事         業局事業課長  松井 隆平君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 金子みつ

    金子(み)委員長代理 これより会議を開きます。  指名によりまして、私が委員長の職務を行います。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、きょうは、先日本委員会現地調査をしていただいた筑波万博のその後の問題、それから当面いろいろ問題になっている牛乳等に関する表示の問題、それから卵の価格をめぐる問題、そしてやがて問題になってくる米の価格等々についての物価面から見た質問をしていきたいと思っております。  まず最初に、先月十六日に私が環境委員会で、また浜西委員が本委員会で、筑波で開かれている国際科学博覧会についての、特に食物を中心とするところの物価問題に関連をしていろいろと質疑をしてまいりまして、五月八日に本委員会現地調査をいたしました。その際に、科学技術庁や科学博覧会や茨城県の皆さん大変お世話になったことに対して、まずお礼を申し上げたいと思います。  そこで、物価については一定地元努力によりまして価格が引き下げられてまいりましたし、宿泊についても、もちろんいろいろな諸情勢及び主体的な条件なども含めて、押しなべて三千円ほど宿泊料が下がっておりますが、これはどちらかというと、むしろやむにやまれずに宿泊料を下げたという形になります。特に問題なのは、四千八百もベッドを持っている筑波町のカプセルが倒産をする、またきょうの新聞によると、鋭意努力をしてきた県南の民泊協会が三千万円の赤字を出して、責任者が遺書を残して今行方不明になっている、こういうような状態があります。こういう点については、物価問題というよりはむしろ社会問題になりかかっているというのが現状ではないかと思っておりますので、これから万博関係する機関に対してはなお一層御指導をお願いして、最終的にいい成果を上げてほしいということを前提にしながら質問をしていきたいと思っております。  まず最初に、入場者の問題に関連をして、満二カ月たった今日、入場者一定状況になっているのか、そこらを中心として、入場者といっても、大人中人子供というような形で、頭数だけ六百万集まったといっても、その実体は必ずしも協会が当初期待したような内容ではないのじゃないか。つまり、量と質という問題があるのじゃないかと思われますが、問題があるとしたら第一にどういう問題が残されているのか、協会の方からこの二カ月間の総括をしていただきたい。
  4. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申します。  まず最初に、当委員会に先日脚視察いただきまして大変ありがとうございました。おかげさまで、御視察いただきましたとおり、博覧会の方もおおむね順調に運営いたしております。  ただいま竹内先生から御質問ありました入場者の件でございますが、昨日までに六百三十二万人の方に御入場をいただいております。仮に大阪で開催されました万博と同じ傾向が今後続くといたしますと、この数字を引き直しますと、最終的には二千万人強の入場者に入っていただけるのじゃないかと考えております。  それから、ただいま先生の方から、入場していただきました方々のいろいろな種類といいますか、その点について御質問があったのでございますが、残念なんですが、現在までのところ詳細に把握しておりませんので、また把握し次第御説明に上がりたいと思います。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今質問したのは、二千万人に到達するであろうということはわかるが、問題点としてこの二カ月間でどういうことがそのほかにあるのかということを聞いている。
  6. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申します。  ごく大まかに申し上げますと、当初鉄道で約半数お客様を予定しておりまして、その方々北ゲート、一番土浦寄りゲートの方に御入場いただくことになっておりました。そのほかにつきましては団体バスと乗用車ということでございましたが、当初の予測と異なりまして団体バスお客様がかなり多いということと、鉄道でいらっしゃるお客様及びマイカーでいらっしゃるお客様予想よりかなり少ないということでございます。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、私が問題にしたいことは、売店価格の問題については一定指導によって価格調整ができたように思いますが、今度はその売店が入ってくるときに施設資金として納めた金、これが、入札でありますけれども最高が坪二百十万円になる。最低でも四十五万円だ。それから、物を売った場合に、売った中から最低七%から一〇%の納付金をしなければならない。入り口で納めて出口でまた払う、こういう形になっているわけです。  そこで、売店が出店をするときには、もちろん希望をして入札をして入ったんだから、それはまあ入った者の好き勝手だ、つぶれようがどうしようがそれは構わないと言えばそれまでのものですが、しかし一定入場者の数というものを見込み、それから幾らぐらいの取引予想されるかということも計算をして価格を決めたことであろうから、途中でやめて引き揚げてしまった、こういう店もあります。それから途中で今度は、場所が悪いから別なところに移りたい、あるいは初め始めたところの品物が売れないから品物をかえよう、こういうようなことも言っている。あるいはこの二カ月間に、人の集まるところはよく集まるけれども、集まらないところは集まらない、そういう場合にはどうしてもやりきれないからワゴンで運ぶ、そうすると、それはいけないと言う。あるいはまた品物をかえることもいけないと言う。そういうように、抑えることは抑えるけれども、売れるような努力が余りされてない。この点についてはどういう指導をされているのか。初めは東西南北入り口に同じような形で物が売れるであろうということでお互いに競争して入ったけれども、二カ月してみるとそれはそうじゃない。この辺はどうなのか。
  8. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたとおり、営業参加の店に入っていただくには、大阪万博の場合あるいは沖縄海洋博の場合の例に倣いまして、競争入札でやらしていただいております。それで現実に、今先生指摘がございましたように、一部の店から、思ったより売れないという声が出ているのも事実でございます。原因といたしましては、先ほど申し上げましたように、ちょっと入場の方法について予想と異なった面があったということ、それから、開場してみますと一部のパビリオンに人気が集中しておりまして、そこの近所に非常に観客につきまして偏りがあるというようなこともございます。  現在協会といたしましては、そういうことから、例えば一部そういう営業が芳しくないと言われている区域につきまして、催し物をやるとかあるいはベンチを設けるとか、それから照明を明るくするとか、あるいは動線をそちらに導くようないろいろな工夫をするとか、いろいろな対策を講じておりまして、今後ともいろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 努力はよくわかるけれども、例えば私たち委員会は、入場というか割引というか、その時間等についても配慮をしてもらいたいということで、恐らくされたと思うのですが、ともかく観客が喜んで入れるような努力をして、そこに落ちつくような、そういう指導がなければいけないと思うのです。現在休業したり、あるいはもう廃業をしよう、こういうようなところが見受けられるし、これからもますますそれはふえるのではないか、こういう心配があります。そういう点についてなお一層の指導をしてもらいたい、こういうぐあいに思いますが、途中でやめた者についてはその施設資金等は返すのか、それともそれはもうちょうだいしっ放してしまうのか、これはどうなんだろうか。初めはまさか途中で引き揚げるなんということは考えていなくて入ってきたわけだけれども、もうやめてしまった場合にはそれはどうされるのか。その点はどうですか。
  10. 沖村憲樹

    沖村説明員 契約上は、納付金は途中で営業を中止された場合もそのままいただくということになっております。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 契約上はそういうふうになっているけれども、しかしこれはなかなか将来に問題を残すおそれがあると思いますね。時によると裁判になるかどうかわかりませんけれども、訴訟をするというような人たちも出てきているし、道義的にはこれは大いに問題がある、私はそう思いますから、それに対する処置も十分に考えておいてほしい。  次いで交通問題についてお尋ねをしますが、先ほどもちょっとお話がありましたが、入場者が二千万人を超すであろうということで、毎日毎日常磐線中心としたそれぞれの交通網混雑をきわめて、事故が起こるのではないかという心配、私は終始このことについては心配をしてきました。いろいろな委員会で主張をしてきて、国鉄関係さらに輸送関係皆さん大変努力をされた。そこで常磐線に新駅ができた、あるいはシャトルバスを運転する、これも一カ所だけでは大変だということで水海道とか土浦を使ってやるようになっておりますが、いずれもこの利用率が五〇%以下である。あるいはまた、常磐線のごときはエキスポライナーを走らせていますけれども、十五両つないでいたものが、それを半分にせざるを得ないというような状況も出てきているというふうに聞いております。この辺の実情は一体どういうことになっているのか、これはどうですか。
  12. 斎藤蓊

    斎藤説明員 ただいまお話のございましたように、国鉄といたしましては、約一千万人と目されます御利用の方に十分対応してまいりますように、ことしの三月十四日のダイヤ改正の中で、中距離電車の十五両化をいたしましたり、あるいは昼間の増発をするというほかに、混雑の見込まれる時間帯につきまして延べ七千五百本という臨時列車エキスポライナーというふうに呼んでおりますけれども、これを設定いたしまして、従前の約倍の輸送力を設定いたしまして対処してまいっております。  先ほどお話のございましたように、道路事情等予想よりもかなりスムーズだというふうなこともあるかと思いますけれども、現在の御利用状況といたしましては、常磐線全体のいわゆる電車混雑率といいますか、御利用率は七五%から九五%というふうなことでございますが、エキスポライナーにつきましては、全体といたしまして当初予測しておりました水準よりもやや下回る状況で推移いたしているわけでございまして、時間帯によりますけれども、大体平均いたしますと、一日平均で三割程度というふうな混雑率になっております。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 シャトルバスの方はどうです。
  14. 永井隆男

    永井説明員 お答えさせていただきます。  シャトルバス運行計画でございますが、これはただいま国鉄担当課長の方から御説明ございましたが、来客数二千万人のうち約半数の一千万人が、鉄道で最寄り駅まで参られまして、シャトルバス会場まで来られるということを想定して運行計画を立てておるわけでございますが、現在までのシャトルバス利用者数は約百五十万人程度でございまして、当初見込んだ利用者数をかなり下回っていることは御指摘のとおりでございます。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それじゃ、この駐車場ですね、自家用の車で入ってこられる方が非常に多いだろう、これが道路を混乱させるだろうということで心配をして駐車場をつくった。協会もかなりつくったし、また周辺の農家も自主的に個人でそういうものをつくった。個人でつくるのはそれは勝手だけれども、協会がつくったところの駐車場活用率というのはどうなっていますか。
  16. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  マイカーでいらっしゃるお客様予測につきましては、当初、会期中駐車の需要を全体でマイカー二百四十万台、団体バス五万八千台ということで、これを一日平均にいたしますと、マイカーで一万三千台、団体バスで三百二十台ということでございます。そういうことから、協会の方では、協会駐車場といたしましてロット数として一万九千台、一日駐車可能な台数といたしまして二万四千台分の駐車場を用意いたしております。それから団体バスの方は七百八十九台分の駐車場を用意しております。  一方、今先生お話ございましたように、民間の方でもいろいろ用意をされたようでございまして、先日の御視察の際の県の発表では、マイカーの方が九千二百九十台、団体バスの方が約二百七十台ということでございます。この利用でございますが、先日の県のお話でございますと、大体民間駐車場につきましては一割から二割程度利用率というふうに伺っております。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 当初予想したよりもマイカー利用率が少ないということは、結局団体バス団体で来られる方が多いということで、学生あるいは子供さんというところが多くて大人の数がかなり少ないんじゃないか。今六百万を超したということが報告をされていますが、その内容がわからないわけはないと思うのですね。博覧会協会は券を売っている。二千七百円の大人の巻と、それから千四百円ですか中人と、それから七百円の子供の券を売っているのだから、それを調べれば、どこの券が何枚来たかわからないはずがない。それから団体には割引があるはずだから。そうしてみると、頭数が六百万になったから施設がうまく活用されているかということになると、必ずしもそれはそうじゃない。そこのところに実は悩みがあるのじゃないかと思われるのですね。余りそういうところをせんさくすると、かえってイメージを悪くするからそれ以上は追及しませんが、それではぐあいが悪いと思うのですね。それで、そういうところもどう改めるかという問題は、いずれにしても検討する余地のあることではないか、あと四カ月あるわけですから考えてもらいたいなと思うのです。  それから、続いて労働省お尋ねをしますが、企業が倒産をする、それから商店が閉鎖をする、そのことによってせっかく雇用をした者が離職をしなければならない。その場合には、一カ月前に通告をして一定手続をとらなければならないことになっているのですが、こういうような手続についてどれぐらいの数が労働基準監督署等々に連絡がされているか。これはもちろん公然としない面もたくさんあると思いますけれども、出た部分についてはどうなっているのか、それについてお尋ねいたします。
  18. 畠中信夫

    畠中説明員 ただいま先生指摘のとおり、労働基準法の第二十条におきまして、労働者を解雇する場合には、少なくとも三十日前に予告するか、あるいは予告しない場合には解雇予告手当というものを払わなければならないということになっております。  ただいま開催中の科学万博におきましては、この労働基準法第二十条違反の件数と申しますのは、現在私どもの所轄の監督署で把握しておりますのは計五件でございまして、そのうち一件は既に解決済みでございます。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もっと人手が欲しいというときに、こういうことは非常に不幸なことだ、私はそういうふうに思いますね。だから、これは別に労働省責任じゃないので、だれの責任でもありませんから、全体としてもっと盛り上げていかなければならない。  ところで、もう一つ問題が出てきたのは、五月十九日の朝日新聞の全国版社会欄に、皆さんもごらんになったかと思うけれども、「団地住民〝文化摩擦〟」という大きな見出しで、七段抜きで、科学博覧会外国館員の「深夜に宴会・路上駐車」、こういう記事がありました。谷田部町の松代五丁目というところは、万博会場に約二キロぐらいの距離のところです。ところが、今行われているところは、どちらかというと交通の不便なところで、せっかく公務員舎宅をつくっておきながらこれに入る人が少ないということで、二十七戸の空き家に外国人たちが入ってきた。そこで毎晩とは言わないけれども、ある仲間の誕生日、その国の建国記念日、こういうようなことを記念をしては一杯飲んで大騒ぎをする、徹夜をして歌って音楽のボリュームを上げてやられる。そこにいる公務員皆さんは、一軒を持っていますから、大体指導部方々ですね。その方々は昼間職場でいろいろと指導されていて、研究は夜帰ってきてからやるというのがあの地区のならわしになっているようですが、これではまるっきり研究もできないし、もうどうにもならない。それからごみなどは出しっ放し、車は不法駐車、こういう形で非常に困っている。  協会の方ではこの皆さんに八項目の注意をしてやったようですけれども、それは守られていない。こういうことが起こってきて、科学博覧会の人間、環境それから居住、そして科学技術というようなテーマからすれば、甚だもってどうも矛盾した状態がそこにあらわれている。  その地元方々が言うのは、我々も外国に行ってきた。そのときには必ずその周辺皆さんあいさつをして、どこのだれがどこに来ましたからよろしくと、こういうあいさつはするのだけれども、六カ月間そこで寝泊まりをするときに、どこのだれかわけがわからない、これではどうにもしようがないじゃないかということなんですね。今のところは悪いことは起こらないけれども、もし仮に何か別な事件が起こったときには一体だれが責任をとるか、だれがこれを管理しているのかという問題になると、これは非常に忌まわしい。特に友好的に出品をされたそういう方々であるだけに、これの取り扱いは難しいと思いますけれども、これは一体どこで取り扱われるのか。協会としてもこれは大変面倒なことだと思うし、これは国の行事ですから、この辺はひとつ閣議の中でも、こういう国際的な問題について、古くからいる地元の人々と争いがないように、しかも最低の礼儀だけは尽くしてもらいたいということについては要請をしたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
  20. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  入居していただいた当初、先生指摘がございましたように、いろいろな国の方がいらっしゃっていまして、いろいろな習慣がございますようで、若干、近所住民の方から不満の声が上がったようでございますが、その後、協会の方から近所住民の方にいろいろ声をお聞きしまして、それを入居しております外国館関係者の方にお伝えしまして、現在のところはそういうようなトラブルはなくなったというように伺っております。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 なくなったのは結構ですけれども、起こり得る可能性が十分にありますから、これは金子長官にもひとつ注意をしておいてもらえるようにお願いをしたいと思う、国際的なことですから。  そこで、協会の方に要請をしますが、ちょうど二カ月過ぎたわけですけれども、こういうような問題で、上向きになるというよりはむしろ内向的になっているという面があって、私も地元の者として、今まで科学博覧会を盛り上げてきた者として非常に気になっているところでありますから、五月から六月にかけては梅雨の時期になる、七月になると夏休みに入りますから、ぜひそういう時期にさらに入場者をふやして目的を達するように努力をしてもらいたいと思います。言いにくいことを幾つか言うわけですけれども、言わざるを得ない。だれかが言わなければ、この問題は黙って素通りするというわけにはどうしてもいかないのですね。ぜひそのようにしてほしいと思います。  そこで、今度は次の質問に入りますが、牛乳表示をめぐる問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  前回の委員会でも若干その問題については質疑がございましたが、私は農林水産委員会を主として仕事をしてきた者ですけれども、その中で、これから日本の農業というものを考えるときに、米を中心とした一つグループ、畜産を中心とした一つグループ、それから果樹、園芸、蔬菜を中心とした一つグループ、この三つが三本柱でそれぞれうまく組み合わされて、遺憾なきを期して、国民一定の食糧の自給を高めていくということが大事であるということを常に主張してきた者です。  そういう中から、現在この委員会でも時々問題になると思いますが、牛乳表示の問題について質疑がありました。私は、その問題については、前提として日本の酪農を振興するということ、それから草地の利用を拡大していくということ、それから消費者に対して健康な食品を供給するということ、同時に、そのために公正で適切な表示をしなければならない、こういう前提から次の質問をします。  まず、初歩的なことですけれども、公正取引委員会の構成と任務についてお尋ねしたいと思います。
  22. 利部脩二

    利部政府委員 公正取引委員会は、独占禁止法不当景品類及び不当表示防止法等の施行に責任を持っておりまして、公正な競争を通じて国民経済全体の発展と、それを通じて消費者の利益が確保されることを目的にしております。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうした場合に、一般の消費者牛乳を購入する場合に、その判断をする表示は法律上どうなっているかについてお尋ねします。
  24. 利部脩二

    利部政府委員 まず基本的には、牛乳表示につきまして、牛乳の品質、価格等について適切な表示がなされなければならないものでありまして、それについて消費者を偽ったり消費者を誤解させたりする表示があれば、不当表示として景品表示法によって規制されます。過去にもそういうことで厳しい措置をとったことがございます。  それに加えまして、単に不当表示に当たるものを法律上規制するにとどまらず、牛乳、乳製品を一般消費者が購入する場合に重要な手がかりとなる、選択に影響する事項を積極的に表示させる、あるいは消費者を誤解させるような紛らわしい用語を使わない等々のことを業界自身が自主的に決めて自主的に守っていくという、公正競争規約という制度を景品表示法で持っておりまして、牛乳、乳製品についてもそういう制度がございまして、それが実施されております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは、食品衛生法に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省令と、不当景品類及び不当表示防止法によるところのものと、いずれが優先するのかということについてはいかがですか。
  26. 利部脩二

    利部政府委員 景品表示法と食品衛生法との関係でございますが、いずれが優先するということではございませんで、それぞれに規定されていることが両方ともきちんと守られなければいけないということでございます。  公正競争規約との関係で申し上げますと、公正競争規約の中で食品衛生法なり食品衛生法に基づく省令等に定めのある事項につきましては、それと矛盾しないように、それと同様の規定を規約の中に取り込んで、公正競争規約を守れば食品衛生法等の附属法規についても遵守したことになるような立て方になっております。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、景表法に基づき発酵乳あるいは乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約及び飲用乳の表示に関する公正競争規約があるかないか。
  28. 利部脩二

    利部政府委員 牛乳、乳製品等の表示に関する公正競争規約、発酵乳に関する公正競争規約は、それぞれ設定されております。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、五十八年の三月の末に、五十九年度の加工原料乳の限度数量を決めるときに二百二十二万トンを決定した。その際に、還元乳を抑制をして発酵乳に生乳使用の促進を図るという政策を農水省は打ち出したわけですね。この農水省の政策を積極的に受け入れ、生乳一〇〇%の表示の発酵乳を発売しているメーカーが現にあります。農水省はこのメーカーをバックアップするのかしないのか、また公正取引委員会はそれは景表法違反と見るのか見ないのか、その点はどうですか。両方からお答えを……。
  30. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 発酵乳に使用するものとして生乳の使用を大いに推進したいというのが私どもの考え方でございます。発酵乳等を製造する場合には、生乳を使用する場合と、それから乳製品を還元して使用する場合、この両方があるわけでございますけれども、乳製品を使う場合よりも生乳をより多く使っていただくことの方が、国民経済的に見ても、また生産者手取り乳代の向上等の観点から見ても、これは望ましいことだと考えておりますし、そういう意味で、その使用の拡大を図るための対応を私どもとっておるわけでございます。  ただ、こういうふうに発酵乳向けの生乳取引を進めているところでございますが、その製造された発酵乳の表示という問題については、これは景表法及びこれに基づく公正競争規約との整合性等の観点に配慮しつつ対処していく必要があるであろう、こういうふうに考えております。
  31. 利部脩二

    利部政府委員 景品表示法に基づく公正競争規約の表示の基準等は、その商品を一般消費者が購入する際にどれを買うか、そのものを買うかどうか等、商品の選択をする際に消費者にとって重要と考える事項を明確に示す、消費者の商品選択に資するということを第一義に表示の基準が定められております。したがいまして、生産者側の事情がそのまま消費者向けの表示に取り入れられるとは限りませんけれども、消費者の利益を図るという観点に矛盾しない限りは、それぞれの表示をする事業者がそういう点も考慮して表示をすることは可能だろうと考えられます。
  32. 竹内猛

    竹内(猛)委員 なかなかわかりにくいし歯切れが悪いが、それならば牛乳の生乳一〇〇%の表示は公正競争規約及び景表法の違反かどうか、どうですか。
  33. 利部脩二

    利部政府委員 加工乳でなくて本来の牛乳に生乳一〇〇%という表示をすることは、消費者を混乱させるおそれがあるというふうに考えております。本来牛乳というのは他のものがまじってはいけないということに乳等省令等でも決まっております。したがいまして、本来の牛乳が生乳一〇〇%であるということはごく当たり前のことでありますから、当たり前のことを特に表示しますと、ほかのものはそうではないので、それに書いてあるものだけが本当の牛乳で、書いてないものはにせものの牛乳じゃないかという疑いを持ったりすることもございます。  もう一つ、生乳一〇〇%というのは、食品衛生法乳等省令の関係では、搾ったままの牛乳というふうに定義されていると思います。ごく一部ではありますけれども、搾ったままの牛乳が直接売られているケースもございますから、消費者にしてみますと、牛乳に生乳一〇〇%と書いてありますと、加工を全くしていない搾ったままの牛乳が、製造上の何らかの工夫によって包装されて売られているものだというふうに考える場合もあろうかと思います。そういう点から、生乳一〇〇%という表示そのものは、どうも消費者を混乱させるので好ましくないというふうに考えております。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その点はこの前の委員会でも問題になったところですけれども、我々は消費者です。私は消費者だ。一人で生活をしているときが多いから、市場へ行きますといろいろなものがありますね。こういうようにいろいろあります。この「ニュージー牛乳」などというのは、酪農王国ニュージーランドの牛乳のように見えるけれども、よく見るとこれは乳飲料だ。これは大変立派な牛乳だ、生乳だと思いますね。これなども乳飲料だけれども、見るとどうも牛乳という感じがする。これもそうですね。牛乳と乳飲料との区別ということですが、こんなにたくさんのものが出ている。  そこで、同じ景表法の中で、片方の牛乳は違反だ、片方は違反じゃない。発酵乳においては、それはあれしなければならない。一つの法律で二つの解釈と運用があるということはおかしいじゃないか。消費者の方はそれほど吟味してないが、たくさんのものがいっぱいあるのですよ。ほかのものは、オレンジにしても何にしてもみんな一〇〇%と書いてある。なぜ牛乳だけが一〇〇%ということはいけないのだ。これはおかしいじゃないですか。例えばビールだってヨーグルトだって、しょうちゅうでも、みんな何が何%と書いてある。牛乳だけは、それは初めから牛乳だから、そんなことをするとかえって紛らわしくて信用を失墜する。農林省もそういうことをきのう言っていましたが、私は、やはり消費者の立場に立った場合には、紛らわしいものを紛らわしくなくするためには何とかもう少しきちんとしなければいけない、こういうふうに思うけれども、これはどうなんですか。
  35. 利部脩二

    利部政府委員 表示の場合に当たり前のことを表示して、それによって消費者がどういう印象を受けるかというのは商品によりますし、表示の仕方にもよりまして判断が難しい点があろうかと思います。私は、牛乳についてはどうも紛らわしいと思いますが、ほかの商品の場合は果たしてそう言えるかどうかわからない場合も多かろうかと思います。例えば、妙な例でございますけれども、包装された米に米一〇〇%と書いてあると、書いてない包装米はそれじゃ別のものが、麦でも米にまざっているんだろうかという疑いを持つ場合もあります。米なんかだと、確かに米一〇〇%と書くのはおかしいと思います。そういうところで、牛乳に生乳一〇〇%と書くことはどうも紛らわしい。  それから、先ほども申し上げましたように、全然加工されていない、本当の生の牛乳と誤解されるというもう一つの面がございます。  ところで、発酵乳の方は、生乳云々と書いた場合に消費者がどういうふうにとるのだろうか。発酵乳という商品の一番の特徴は、牛乳を原料として菌を使って発酵させたところに商品の特徴があるわけです。それが第一で、原材料とされた牛乳が加工乳であるか生乳であるかというのは第二義的なようにも思われますし、現在の消費者からしますと、自然なもの、できるだけ不必要な加工をしないものを尊重するという人も多くございますので、消費者にとって重要な選択事項であるのかもしれません。残念なことに、私の方もまだそれは研究したことがございませんし、業界でもそういう角度から研究したことはございません。そういう意味で、発酵乳に原材料として生乳を使ったか加工乳を使ったかということが消費者にとって重要な選択事項になるのか、どういう表示をすると表示の趣旨が消費者に明確になるのかということは、今後検討しなければいけないことだと思います
  36. 竹内猛

    竹内(猛)委員 こういうふうにヨーグルトなんかは「生乳一〇〇%」と書いてあるのですね。そういうふうにして一〇〇%というものが書いてある中で、牛乳というのは牛の乳を搾って殺菌をしたものが牛乳という形になっているわけでしょう、定義は。ところが現在は、それから脂肪を抜いて粉にして、それにまたいろいろな加工をしてやるもの、あるいは外国から輸入してきたものに対して加工する、こういうものが前から出回っているでしょう。  酪農振興のためには、生乳を普及をしていくというのが基本的な農業政策じゃなかったのですか。農林省は一体酪農振興についてどういう考え方を持っているのですか。
  37. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 先ほど先生からもお話がございましたように、日本のこれからの農業を考える場合の大きな柱の一つが畜産でございます。特に日本の国土の状況を踏まえ、またそういう各地域で農業を営んでおられる方々の農業振興という角度から考えますと、酪農とかあるいは肉用牛とかいった大家畜の生産というのが非常に大きな役割を果たしており、また、この酪農の振興なりそういう大家畜生産の振興を図ることが、日本の農業の将来にとって非常に大事なことだというふうに考えております。  そういう見地から、その生産活動で生産されます、酪農の場合でありますと乳が円滑に流通し、消費者に受け入れられ、またその消費が拡大するような方向で酪農が発展することが、私どもに課せられた非常に大きい課題だろうと思っております。そういう角度からいたしまして、先ほども御答弁申し上げましたが、例えば今の発酵乳のような場合についても、できるだけ生乳の利用をふやしていくという形で、国民経済的な見地と農家の手取りというような見地から生乳の利用を拡大していきたいということを申し上げたわけでございます。  ただ、今議論になっております表示の問題になりますと、表示関連するいろいろな制度上の対応が必要になりますし、それから牛乳、乳製品の消費を大いに拡大していくという見地からいたしますと、消費者のニーズにこたえて、それぞれの企業がマーケティングの一環としていろいろな知恵を出して対応していくということも必要であろうと思いますので、その公正な競争の見地と、それからそういうマーケティングに関するいろいろな知恵との組み合わせの中で、大いに牛乳、乳製品の消費が拡大していくことを期待したい、こう考えております。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)委員 酪農の振興ということになると、農家の方は今大型化をしている。前と違って、酪農家は大型経営をやって借金をして大変悩んでおりますね。そういう酪農家があり、それから一方において消費者の方は、なるべく日本の牛から出た乳を飲みたいという希望があって、そこにいろいろなまぜ物があるということについてはどうも不愉快だ、こういうことになっていると思うのですね。  ここに、私のところにはがきが一枚来ている。「市内の小中学校は、「土曜牛乳」と称して、給食の無い日に、飲みたくない牛乳だけを無理に押しつけられています。しかもその牛乳は水っぽくて、業者がゴマカシているのがはっきり分かるものです。校長先生の集りでもお金が廻っているせいか何も言えない様です。どうか私たちを助けて下さい。」こういう投書が来ています。  このように学校の生徒が非常に生の乳を飲みたいという希望があるのに、そういうものでないものが給食に出回っているとすれば、これはゆゆしいことじゃないかと思うのですが、どうです。
  39. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 現在学校給食で飲んでおります牛乳については、まさに牛乳ということで生乳一〇〇%のものを供給していると承知いたしておりますし、県の段階でもそういう形でのチェックが行われているというふうに理解しているところでございます。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういう指導にもかかわらず、こういうけなげなはがきがよこされるということは非常に残念で、これは一層の指導を求めなければならない。  そこで、加工乳で生乳七〇%以上の表示のものはどれだけあるか、それはいつ、どこで、だれが決めたのかということについて報告をしてもらいたいと思う。
  41. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 今、加工乳について生乳七〇%以上という表示の件につきましてのお尋ねでございますが、これは具体的には、昭和五十一年に全国の牛乳集荷業者が組織いたします都道府県段階の団体がまた会員になって、全国の団体として社団法人全国牛乳協会という団体がございますけれども、そこが自主基準として表示の要綱を定めて実施しているものでございます。これは表示の基準そのものが自主的に決められておるものでありまして、実際の実施状況が取りまとめができておりませんので、具体的な表示割合は私ども現在把握いたしておりません。これは自主的な基準でございますものですから、実際に七〇%以上の生乳を使っているところでも、そういう表示をしていないところもあるかとも思いますし、それから全体の統計として数字の取りまとめが行われておりませんものですから、実態は今ここでお答えできない状況でございます。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは非常に大事な問題だから、調査して実態をつかんでもらいたいということを要請したいと思うのです。  それでは、四十七年六月十六日に衆議院社会労働委員会で決議をした、生乳七〇%以上の表示の加工乳の商品化の量は、全体の加工乳牛何%になっているのか、これは公正取引委員会と農林水産省からお答えを求めます。
  43. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 現在の加工乳については、大部分を生乳によっているという例から四〇%程度のものまで、これは私どもの事例的な調査の結果でございますが、いろいろばらつきがございまして、全体として平均どのくらいかという点はつかんでおりませんけれども、今申しましたように、生乳を大部分使っている例から四〇%程度ぐらいのものまでございます。
  44. 利部脩二

    利部政府委員 私どもの方ではそういう数字はつかんでおりません。問題になりましてから業界、公正取引協議会等に聞いてみましたが、加工乳で生乳を七〇%使っていながらその旨を表示していないものもありますし、四、五〇%でも表示しているものもありまして、業界としても数を把握できないようでございます。
  45. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうようなまちまちのことでは非常に困るわけです。四十七年六月十六日の社会労働委員会で、三年後を目途として七〇%とするということが決議されているし、それは約束されているわけです。だから、その約束に基づいて実行してもらわなければ非常に困る。この点では、なお今からでも遅くはないですから、そのときの状況に返ってしっかりやってもらいたい。  そこで、全国飲用牛乳公正取引協議会というのがありますね。先ほどからしばしば名前が出てくる。これは牛乳に一〇〇%を表示することは虚偽の表示だ、他のメーカーを中傷誹謗する表示だというような見解を出しております。この公取協というのはいっ、どこで、どのような機関に諮ってそういう見解を出すに至ったのか、その構成はどういう構成なのかということについてもお尋ねしたい。
  46. 利部脩二

    利部政府委員 全国飲用牛乳公正取引協議会というのは、日本国内で牛乳、加工乳等の乳製品を含めまして、それを製造、販売している事業者から成る事業者団体でございます。設立された団体は、景品表示法による公正競争規約という制度を利用し、公正競争規約を設定してそれを実施していくという目的のものでございます。飲用牛乳公正競争規約は、消費者に対して適切な表示が行われるというような基準を定めて、それを守っていくということでございます。全国で牛乳、乳製品を製造、販売している者のほとんどすべてが加入しているものでございます。  それから、生乳一〇〇%の表示が問題だという文書を公正取引協議会が会員に流したということは、私どもも報告を受けております。これは新たな問題を決定するというよりは、不当表示になるかどうかの判断の例などに照らしますと、そういう結論が出るのは当然だと公正取引協議会の方が考えたのだと思います。したがって、総会等の重い手続によることなく、日常行っている業務の一つと考えて、会員にその旨を知らせたものだと了解しております。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)委員 公正取引協議会は業者の代表が集まっていると聞いているけれども、その業者はどういう業者が集まっていて、会長がだれで、副会長がだれで、事務局長がだれで、その前歴はどうかということまでただしてみたいのです。
  48. 利部脩二

    利部政府委員 この協議会を代表する者は委員長という名前がついております。公正取引協議会委員長という名前でございます。委員長が一名、副委員長が六名、常任委員、これは普通の団体ですと理事に相当するものでございますが、それが十名、その他監事がいるということでございます。役員十七名のうち三名は農協系の方のようでございます。会員は現在八百二十名でございます。委員長会社はたしか一年交代でございますが、今は明治乳業の社長であったと思います。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)委員 委員長が明治乳業の社長ということで、副委員長や何かも何人かいるということだけれども、森永とか雪印というようなところだと思うのですね。それから事務局長公正取引委員会の御出身の方だというふうに聞いています。そこから出てくるものは、どうしても業者中心にならざるを得ないようなことになる。生産者の団体は三名しかいないということですから、公正ではなくなってしまうのではないか。もう少し委員会のあり方というものを吟味しなければ不公正になってしまうというような感じがしてならない。この間部長と非公式に話したときにも、生産者の意見だけでなしに消費者の意見も聞きたいという話もあったが、生産者の方の声は農協あるいは中酪関係に集まってきていて、それを引き受けて加工する加工業者、それから販売業者、消費者もいるわけですね、そういったところの団体がまんべんなく参加して意見を述べるようなものでなければ、これは公正だとは言えないのじゃないですか。  生乳は初めから一〇〇%生乳なんだということで、それに対して一〇〇%をつけることは牛乳にけちをつけるわけで、生乳でないから、一〇〇%でないから一〇〇%ということを言うんだというようにずっとおっしゃられているけれども、ジュースの果汁一〇〇%、それだって別に果汁一〇〇%でいいわけで、何も特に断る必要はない。ところが、そういうものについては果汁一〇〇%とか、しょうちゅうにも一〇〇%とか書いてある。なぜ牛乳だけを除くかということに大きな疑問がある。消費者の立場からむしろその方が疑問だ。だから、そういう疑問を解くためにはさらに工夫をしなければならないと思うのですが、これはいかがですか。
  50. 利部脩二

    利部政府委員 御指摘の基本的な方向は私もよく理解できるわけでございますけれども、細かい問題で、果汁と牛乳を比べてみますと、果汁の場合は、一見果汁と思われるもので五〇%とか三〇%とかもろもろございますので、そうではないよという意味で一〇〇%果汁というのも意味のある表示だと思いますが、牛乳の場合は、三〇%牛乳であとは水とか七〇%牛乳であとは水というのはあってはならないものでありますから、そういう意味で、生乳一〇〇%という表示は果汁の場合とはちょっと違った観点で見なければならないと思います。  公正取引協議会というのが基本的に事業者から成る団体で、自分の方の利益を優先しがちではないかという点については、確かにそのとおりだと思います。事業者の団体でございますから、他からの刺激なり強い働きかけなりがありませんと、悪意はないにしても、とかく事業者としての都合を優先して考えがちになるということはおっしゃるとおりでございます。  公正取引協議会というのは、本来事業者の立場からも消費者のために適切な表示をし、情報を与え、公正な競争をやっていこうということでできた団体でございますから、その目的に反するような運営の仕方をされるというのは非常によろしくないことでありまして、その点、公正取引委員会としても十分監督、指導をしていかなければいけない問題だと考えております。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 公正取引委員会は、景表法の目的とする一般消費者の利益を守るというその任務について最初に御説明になった。商品の表示については、消費者または消費者団体の意見を聞いて、改善のために具体的にどういうような方針で当該業界の指導をしてきたのか、具体的にどういうことをしたという事例があったらひとつ教えてもらいたい。
  52. 利部脩二

    利部政府委員 牛乳の公正競争規約の問題で申し上げますと、この規約ができる前から牛乳の不当表示について非常に大きな問題がありまして、ほとんど全国の消費者消費者団体から非常に強い不満、非難が寄せられまして、牛乳製造業者の信用が著しく失墜したという過去の事実がございます。そういうところから牛乳の製造業者が大いに反省しまして、本当の牛乳をきちんとした表示で販売しようということで規約設定に踏み切ったわけでございます。  その規約設定の際に、各消費者団体と何回も会合を重ねました。業界自身が消費者団体と話し合ったこともございますし、公正取引委員会の場で消費者団体、事業者の代表、学識経験者等を交えた会合を開いたこともございます。そういうことを通じて消費者の意見を十分検討した上で、現在の規約ができたわけでございます。  その規約が決められたとおり遵守されておりますと、消費者の利益を損なうということはないはずでございますが、規約設定のときに予想しなかったような新たな問題が出たときにそれをどうするか、規約の似たような規定をそのまま延長して考えていくのか、新たにそういう問題の表示の適正化についてさらに消費者の意見を聞いて考えるべきものかという点は大事なところでございますけれども、そういう点、現在どうも十分ではなかったかなという感じは持っております。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)委員 十分でなかったかなという反省があるわけだから、それをさらに補足をしていかなくてはならない意味で、いろいろまたこれから提案もしていきたいと思いますが、加工乳において、四十八年三月三十一日に乳等省令の改正で「商品名と同等又はそれ以上の大きさ」とするということとしたが、種類別表示を、五十四年五月三十日に制定の乳等省令に基づく表示指導要領において書きかえをして「商品名と同等又はそれ以上の大きさ」を削除してしまった。この理由というのは、一体何でこれを削除しなければならないか、これはどうですか。
  54. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  加工乳の種類別表示につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、商品名と同等またはそれ以上の大きさで表示するよう規定をいたしていたところでございますが、種類別であるとか殺菌温度及び時間、主要な原材料名等の、いわゆる乳等省令で決めております必要な表示事項を一カ所にまとめて表示する、いわゆる一括表示と称しておりますが、そういうようなものがかなり定着をしてまいりました。そういうようなことも勘案をいたしまして、五十四年の四月十七日付で省令を改正いたしまして、種類別の表示につきましては、種類別という文字の後に加工乳というように書かせるというようなこと、活字の大きさも十・五ポイント以上の活字で書かせるというような方法に改めまして、その種類別が明らかに消費者に判別できるような手当てをしたところでございます。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはやはり問題が残っている。やってみて問題があれば、これはもう一遍取り上げて考え直さなきゃならぬという面があるのじゃないですか。最近は大変紛らわしい状態がありますよね。だから、その点については、きょうはそういうことにして、次の問題がありますから、次の方に移っていきます。  五月三十一日に、公正取引協議会が現在の牛乳表示に関して各界の意見を聞くということで、四つの消費者団体が除かれている。それはまあ意見を出したから除いたかもしれないが、なぜこれを除いたか。消費者の意見を聞くということになれば、生活協同組合とかあるいは消費者連盟とか消費者団体連絡会とか、あるいは東京都地域消費者団体連絡会、こういうものの意見を聞かなかったら本当の意見にはならないのじゃないですかね。そういうものを除いてしまってやるということは、これはどういうことですか。
  56. 利部脩二

    利部政府委員 今度の生乳一〇〇%表示が発端となって、牛乳表示のあり方が見直されるという動きになってきておりますが、どうも問題が出てきたときの経緯からしまして、関係者、つまり牛乳、乳製品を製造販売して、仮に生乳一〇〇%等の表示をするとすれば、それをみずから表示する立場にある製造販売業者の団体、つまり公正取引協議会がそれに当たりますけれども、そういうところと、問題提起をした酪農の団体等との意思疎通にどうも食い違いがあったようで、いわば最初にボタンのかけ違いがあったような感じがいたします。そういうところから、十分議論をすべき問題が平行して、お互いに声を出し合っているというような余り好ましくない状態になっております。それから消費者団体関係も、問題の本当の所在がどこかということも十分業界の方からも説明がなかったようであります。  そういうことから、公正取引委員会といたしましては、これでは適切な結論は得られないだろうということで、まず公正取引協議会に対して、酪農関係団体からも消費者団体からもよく意見を聞いて議論をすべきではないか、いろいろな意見を検討しなければいかぬじゃないかという指導をしようと思っているところでありますが、何分いろいろの過去の経緯もございまして、急にテーブルに着いて本題に入って議論するという雰囲気になかなかなりにくいものでございますから、ともあれそういう重要な意見を持っているところと話し合ってみるべきではないかということで、そういう会合の場をあっせんしたわけでございます。  そこには、公正取引委員会がいろいろな表示問題で通常意見を聞く消費者団体の方をお招きするようにという指導はいたしましたが、全部の消費者団体が一堂に会するというのも難しいし、それから今度あっせんいたしますけれども、その会合一回で問題が決まるようなことではございませんで、まずそこで、これから議論をしてみようではないかという方向を出させて、それから各消費者団体あるいはほかの関係者の意見も聞く、その始まりにしようということでございますので、その他の消費者団体の意見をオミットするという趣旨ではございません。むしろそういう意見も聞きやすいような場をつくりたかったのが目的でございます。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 後の問題がありますから、これでこの問題については私は終わりますが、今回だけで終わらないというなら、後々まで続くわけですから、ぜひ四団体も排除しないで包含をして意見を聞くようにしてもらいたいし、また本委員会においても、いずれは生産者、消費者あるいは処理業者ですか、そういった各般の代表の方々においでをいただいて、参考の御意見を聞きながら、やはり公正で、かつ明朗な適切な方向にしていくように取り計らえるようにしたいと思っておりますが、これは金子さんもこの間この委員会で御発言をされたわけですから、理事会の方でそれぞれ相談をさせてもらうようにしたいと思いますね。今の問題をひとつ……。
  58. 金子みつ

    金子(み)委員長代理 理事会で相談します。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、今度は鶏卵の需給と安定に関することについて質問しますが、最近、特に五十七年から今日までの卵の価格についてどういう動きをしているか、これについて説明をしてください。
  60. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 最近の鶏卵の需給なり価格の動向をごくかいつまんでお答えしたいと思います。  最近、鶏卵の国民一人当たりの消費量が既に欧米並みの非常に高い水準にございますし、ほんのわずかな増加という程度でございますので、そういう需要の動向が一方にある中で、鶏卵の生産の動きに応じて価格がいろいろ動いている、こういう状況でございます。殊に五十五年、五十六年には割合鶏卵価格が高かったということもありますし、えさの価格が値下がりしたということもございましたので、こういったものが一つの契機になりまして、五十七年、五十八年と生産が漸増傾向をたどりまして、五十九年も少し増加している、こういう傾向にございます。こういうことを踏まえまして、五十七年以降、価格が軟調に推移をいたしております。  五十九年について見ますと、年の初めのころは前年を上回る価格で推移をいたしましたけれども、五月から八月までは補てん基準価格を下回る水準で推移をいたしております。その後、九月以降十二月までは価格が回復をいたしまして、基準価格を上回って推移をいたしておりますが、六十年に入って再び軟調に転じております。三月の下旬から四月の初めにかけて大分価格が持ち直したわけでございますが、四月中旬から再び軟調に推移をしている、こういう状況でございます。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今お話があったように、五十七年から今日まで、卵というのは非常に不況の状態にあります。特に現在はもう基準価格どころではない、平均価格を大きく割っておるし、農家はこれについては非常に悩んでおります。  ところで、三月に開かれた農林水産委員会で、吉浦委員質問の中で農林省がお答えになったのは、五月ごろになると持ち直すであろうということを言っておるけれども、それが持ち直しておらない。一体、この不況になった大きな原因がどこにあるのか。その点はどうですか。
  62. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 基本的にはやはり需要と供給の関係でございますし、それから生産が拡大する過程の中で、先ほども申し上げましたように、需要が国際的に見ても非常に高い水準にあって、伸びが非常に小さいということが一つございます。したがって、需給の均衡を図っていくということが非常に重要なことでございますし、その見地で、生産者の方々に今自主的に計画生産をやっていただくための手当てをとってまいっておるわけでございまして、そうした形で供給と需要とが均衡するような努力を続けておるわけでございます。  ただ、価格は季節的な低迷がございますし、それから若干ある年を隔てての変動がございますので、こういったようなものに対応した措置といたしまして、例えば非常に下がっているような場合には全国液卵公社による買い入れを実施するとか、あるいは価格が基準価格を割り込んだ場合には価格補てんをするということで、生産者の方々への影響を極力小さくしながら、しかし、基本的には生産者の方々の自主的な計画生産への対応の指導を強めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)委員 努力はわかるけれども、特に、アフリカへの援助として三千トンの卵を集めて援助をしようという計画は、結局どうなったのですか。
  64. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 今お話がございましたアフリカへの援助の問題といいますのは、これは社団法人日本養鶏協会の自主的な運動として行われたことであると思いますが、この運動は、卵をアフリカに送る運動ということで始められたわけでございますけれども、生産者が拠出いたしました鶏卵約六十トンと、日本養鶏協会が一月の末に液卵公社に委託して市場から隔離した鶏卵とを合わせまして、全体で百七トンを粉卵に加工いたしまして、これを日本テレビの企画と結びつけまして、三月にモザンビーク、それから四月にエチオピアに送り出された、こういうふうに聞いております。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 三千トンの目標でやって百七トンということになると、これはもう三十分の一で頭打ちになってしまう。これも緊急避難としては思いつきで結構なことだけれども、それがやはりうまくいかない。  それから、四十九年以来自主調整をしてきた。三局長の通達が出てそれぞれ生産農家は努力しているにもかかわらず、商社系養鶏というものが依然として後を絶たない。一番の問題は、需給を荒らしているのは商社系の養鶏じゃないのかということで、五十三年の農林水産委員会で、特に農家養鶏を育成するために決議をした。その決議に対して忠実でない者があらわれているところが原因ではないか。これはどうなんです。
  66. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 五十三年当時、卵の需給がやはり大きく不均衡な状態になりました。その中で非常に大きく羽数をふやしている方々がおられて、これに対するいろいろな対応が必要だという議論があったことは私ども承知をいたしております。しかしその後、私ども今の計画生産を自主的にやっていただくことについてのいろいろの指導を強め、あるいは全体の流れに合わない形での大幅な増羽をするような人たちには、自粛なり調整なりをしてもらうような私どもの指導を通じまして、基本的にはそういう問題についてかなりの成果が上がったというふうに考えております。  ただ、先ほど先生お話がございますように、なおまた価格が低迷している、需給が不均衡であるということにおいて、さらに今の計画生産を強く進めるべきだという声のあることも十分承知しておりますし、そういったものを踏まえて計画生産を強めるための指導を強化していきたい、こういうふうに考えております。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間が来たようですが、私がこの問題を取り上げてから既に何年かたつのですが、委員会の決議に基づいて、行政の限界というものがあるから、それをなお切り抜けていくためには鶏卵に対する需給の調整と安定が必要であるということから、法律を今国会に出したいということで、今法制局と話をして――いろいろな隘路がありました。憲法に違反するとか独禁法に違反をするのじゃないか、あるいは活性化を妨げるのではないかということがありましたが、ようやくにして出て、野党の皆さんとも話をし、養鶏の団体とも話をした。日本養鶏協会の会長の丹羽兵助先生とは昨日私は会いまして、この趣旨を話したところが、大きな養鶏を育てるのが趣旨じゃない、中小の養鶏を守ることが極めて大事なんだということで、丹羽会長は何回も握手をして、ぜひこの法律をつくってほしいということなんです。我々は法律はつくったけれども、別に社会党がそのヘゲモニーをとろうとかとるまいとか、そんなことはない。不況の中で倒産あるいは規模縮小というような形で非常に悩んでいる養鶏業界というものの今日を何とか救っていくためには、どうしても行政の限界というものがあるから、それについては最小限度の努力をしなければならない。  そういうときに、畜産局の課長補佐がこの間二月二十六日に講演をして、その中で予算の問題に、触れて、国内においては生産調整をもはや外すという時期が来てもいいじゃないか、そうすれば中小の養鶏家はつぶれる、残るのは十万羽以上のものが百戸ぐらいだろう、ローカルにくっついているものは残るかもしれないがほかのものは淘汰されるであろう、こういう暴言を吐いているんだな。これはだれが見ても正当じゃないですよ。五十三年の国会の決議があって、少なくとも公務員は国会の決議については忠実でなければならないのに、何ということを言うか。今、中小の養鶏家が借金でつぶれて青くなっているときに、そしてしかも野党が養鶏団体と一緒になってこの法案をつくろうというときに、そういうことをやるということは不見識きわまりない。この点についてはどういうふうに考えますか。
  68. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 鶏卵の今の需給の実態を考えますと、その需給調整をさらに徹底していく必要があるという考え方は先ほど申し上げたわけでございますし、そういう形での行政指導をさらに強化していかなければいけないというふうに考えております。  今お話のありました件は、ある種の講習会といいますか勉強会で、ある仮定を置いて、もしそういう仮定を置けばどんな状況になるかということについて、あるいは担当がその状況を皆様に想起していただくための物の言い方をしたことにかかわることではないかと思います。そこでのやりとりは私も詳細は承知しておりませんが、もし今先生がおっしゃったような誤解を与えるようなことであるとすれば、これは大変残念なことだと思います。私どもとしては今の計画生産を徹底していく。制度によるかどうかという点については、むしろ今まで行政指導でやってきておりますから、その経験を踏まえてさらにいろいろ打つべき手を考えつつ対応していきたい、こう考えておりますが、いずれにしても、今計画生産を続けていくことが需給の安定を図る上で必要なことだ、こういうふうに考えております。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間がないからこれで終わりますが、今審議官から話があったけれども、これは事実なんです、議事録で極めて明確に話をしているのだから。とにかく現状が慢性不況になっている、そして倒産で夜逃げをしなければならないような養鶏家がたくさんいる、やみ養鶏と言われたところの大手の養鶏も苦しんでいるという中で、三局長の通達は大体ぎりぎりのところで行き詰まった。アフリカへの援助ももうこれは底をついてしまった、需給というものはほぼ一定の段階にとまっている、それだから何とかこれを救おうということで、養鶏団体と話をして法律を出そうということでようやくこれがまとまった段階で、少なくともその一番専門の任に当たっている食肉鶏卵課の責任ある者が、事もあろうに一番問題のさなかにあのような発言をされるということは、これが意識的であれ、無意識的であれ、公務員としては許しがたいことだ。  したがって、私どもはこの発言は極めて重要に考えておりますから、いずれまた農林水産委員会で集中的な審議をすることになろう。ここは価格の問題だからそこまでは触れません。問題を提起をして、やがてこの問題についてはさらにその指導部であるところまで波及をするおそれがありますから、十分に注意をしてもらいたい。  それから、養鶏協会の会長である丹羽先生には、きのうもよくお話をして、非常に結構なことだからぜひ我々もこれを進めたい。なるほど、昭和五十五年の全国養鶏会議においては、法制化をすべきだということを何回も決議をしているし、五月十四日の法制化の会議においてもそれぞれの意見が出てきたけれども、法制化すべきだというのが圧倒的に多いわけですから、ぜひその方向で――我々は立法の立場にあるのですから、行政の方からいろいろあれがいいとか悪いとか、こういうのは頭から否定をしないように、ひとつ十分にこの問題については一緒になってやっていくような方向でやってほしいということを要望して、私は終わります。     〔金子(み)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 竹内猛

    竹内委員長 次に、元信堯君。
  71. 元信堯

    ○元信委員 私は、国鉄の新幹線、東海道新幹線ととりあえずは限定しておきますが、車内における物品の販売が市場価格等に比して非常に高いのじゃないか、こういう感想を持ちますので、この点について、国鉄当局を初め関係の当局から承りたいと思います。  まず最初に、現在の国鉄東海道新幹線の乗客の利用目的ですね、あるいはビジネスであるとか、あるいは観光であるとか、こういう利用目的調査したことがおありかどうか。もしされているとすれば、その目的利用を、大ざっぱで結構ですから教えてください。
  72. 斎藤蓊

    斎藤説明員 御説明いたします。  毎年一定の時期に特別調査をやっておりますが、最近のデータによりますと、東海道・山陽新幹線は、年間で見ますと大体一日平均三十五万人のお客様に御利用いただいていますが、その御利用目的につきましては、平日と週末とで若干異なっております。平日につきましては、ビジネスのお客様が約半分、それから観光その他のお客様が約半分というふうになっています。また、これが休日あるいは週末になりますと、ビジネスのお客様が約三割、観光その他のお客様が約七割というふうな割合で御利用いただいております。
  73. 元信堯

    ○元信委員 かなりの比率のお客様が、まあ平均してどうなりますか、四〇%内外ということになろうかと思いますが、ビジネスのために利用されている。  そうしますと、国鉄の新幹線に乗りますと頻繁に車内販売というのがやってくるわけでございますが、国鉄が社内販売というものをやっておる、あるいはやらせておるその目的はどういうところにおありなのでしょうか。
  74. 松井隆平

    ○松井説明員 お答えいたします。  まず、根拠を申し上げますと、日鉄法の三条の一項一号にございます「鉄道事業及びその附帯事業」ということで、その附帯事業を根拠にしてやっておるわけであります。具体的には、これを受けまして、旅客構内営業等管理規程第二条というのがございますが、「旅客及び公衆を対象として行う営業」、さらに手続規定としまして、旅客構内営業規則というのがございます。この一条に「旅客及び公衆に便益を供与しこというのがございまして、目的といたしましては、便益供与というのが主眼になってございます。ただ、業者がやるわけでありますから、営業行為ということで、規則にのっとりまして営業料金を収受しておるということでございます。
  75. 元信堯

    ○元信委員 便益を供与ということでございますけれども、旅客に対する便益というのは、例えば静かに旅行するというようなことも大いな便益であろうかというふうに思いますが、反面、業者としては、これは営業でございますから、できるだけ売れればいいということになると思うのですね。その辺の境目のところについては、国鉄当局はどういうふうにお考えですか。
  76. 松井隆平

    ○松井説明員 便益供与の中には、静かに旅行していただきますということも当然輸送本来の業務としてございます。さらに、その旅行に附帯してお客様がお望みになる事柄という中に、供食サービスというものを私どもは考えておるわけでございます。
  77. 元信堯

    ○元信委員 その点はちょっと後ほど触れるといたしまして、料金を徴収するというふうにおっしゃいましたが、この料金徴収の仕組みについて御説明ください。
  78. 松井隆平

    ○松井説明員 料金徴収につきましては、先ほど申し上げました旅客構内営業規則という中に明示されてございまして、業者の売上高に対して一定の料率を掛けるというところで料金収受を行っております。
  79. 元信堯

    ○元信委員 売り上げに一定の料率を掛けるということでございますが、例えば車内販売でお弁当を売る場合、どのくらい掛けますか。
  80. 松井隆平

    ○松井説明員 新幹線に限りまして申し上げますと、列車食堂営業と車内販売と両方ございます。その両方を合算いたしまして、千分の四十五ということであります。
  81. 元信堯

    ○元信委員 そうしますと、売り上げの千分の四十五、四・五%を掛けるということであって、その中における料金設定について国鉄は関与されますか、何を幾らで売るというようなことについて。
  82. 松井隆平

    ○松井説明員 車内におきます販売価格の事柄でございますが、二つのパターンがございます。従来、過去の歴史的な経緯に基づきまして、車内販売におきましても、駅弁、弁当供食、それにお茶の供食、これが生活上必須の事柄だということで、幕の内弁当とお茶につきましては承認価格制をとっております。もう一つは、社会的な食生活の多様化とか、あるいは市中販売品の多様化という、社会情勢自体が非常に変化し、お客様の嗜好自体も非常に複雑多岐にわたってきて、その需要にこたえますために届け出制というものを行っております。ただ、届け出制と申しますのは、営業者が言ってくる価格をそのまま認めるわけじゃございませんで、価格指導を行っておるわけであります。
  83. 元信堯

    ○元信委員 業者もたくさんあるようですから、具体的にこれと言うのもなかなかはばかりがありますが、事が事ですからちょっと具体的に言わせていただきます。  今おっしゃった二の方に当たると思いますが、例えば、軽食として社会的にはごく普通でありますサンドイッチなどというものがございます。最近私が乗ったところによりますと、サンドイッチを買ってジュースを飲むと、それだけでサンドイッチが七百円、ジュースが二百円なんというケースがありました。この価格設定について、国鉄当局はどういう印象をお持ちでしょうか。
  84. 松井隆平

    ○松井説明員 先生の御質問内容は、車内販売品が市中の一般常識に比べて高いのではないかというふうに承りますが、列車内の車内販売なり列車食堂を営業するということにつきましては、コスト面が一般の市中の固定店舗と相当違う面がございます。どういう点かと申し上げますと、一つは、列車食堂営業者が材料を搬入するところ、これを基地と言っておりますが、まず基地に搬入されます。そこまでは仕入れ納入業者が持ち込むわけでありますが、その基地から列車内の食堂に材料とか機器を搬入する、これはどうしても自前で負担せざるを得ない。この特殊なコスト部分が一つかかってまいります。  それから、一般市中の運営ですと、非常に波動に対応して効率的な要員の配置ができるということでありますけれども、列車食堂の場合は、一遍乗務員が乗り組みますと行き先までずっと乗っていくということで、列車内のお客様の需要に応じて要員配置をやるということは非常にサービス上問題が生じますので、どうしても固定的に要員を配置し、かつ、場合によりましては、その列車内の販売員の泊まり行路、泊まらせなければならない状態が生じてまいります。  そういうことで、搬入までの輸送、搬入経費、コストプッシュ、それから人件費といいますか、要員配置に伴うコストというのがどうしてもかかってくる。この分につきまして、一般市中類似品に比べて高日にコスト回収のための価格設定をせざるを得ないという現状にございます。
  85. 元信堯

    ○元信委員 ある程度そういうことは当然予想されることだと思いますが、ただ列車へ載せるのにコストがかかるだなんて、そんなにかかるものじゃないのですね。けさも僕は東京駅に行って、どういうふうにして載せているのかというのはちょっと見てきたのだけれども、要するに販売の女の子たちが入ってくるのに載せるだけの話ですから、基地からそこまでかごに入れて提げてくるだけでそんなにコストがかかるとも思えぬ。しかし、それでもある程度のコストがかかることは否定できぬと思いますが、問題はその程度なのですよね。大体今おっしゃったようなところで市中よりやや高いのはやむを得ぬということにいたしましても、ややというのはどれぐらいだと思われますか、何十%程度か。
  86. 松井隆平

    ○松井説明員 販売品目によりましてその設定価格自体は非常に差異がございますが、押しなべて見ますと約一割から一割五分、場合によっては二割程度の高さになります。  なお、その輸送コストということでありますが、お客様の目につくコストといいますのは、確かに輸送員が列車内で持ち運びをやっている。具体的な例で申し上げますと、新幹線東京駅に持ち込む場合は、まず品川に食堂会社の基地がある、品川から東京駅まで運んでこざるを得ない。東京駅自体は、やはり公共の財産ということで、営業者の施設はできる限り極限に抑えてあるということで、その点のコストというのは非常に大きいという面もございます。
  87. 元信堯

    ○元信委員 ところで、最大二〇%、二割ということを今御答弁いただいたのですが、ちょっと委員長のお許しを得て、けさ買ってきたのをごらんに入れたいと思います。  これがビュッフェとうきょうのミックスサンドイッチというものですね。見てもわからぬから少し中身を分析しておいたので、これを申し上げましょう。お値段が六百円。サンドイッチが全部で九切れ入っておって、ハムとチーズとサラミが三つずつですね。中身を言うと、パンが十二枚切りにしたものが六枚、ハムが二十グラム、チーズが二十五グラム、サラミが十八グラム、その他ピクルスが王切れ、それからパセリがちょっと。お手ふきとつまようじが一つずつ入っておって、そのほかにこういうチュルルンとかいうものが入っているのですね。これは何のために入っているのかよくわかりませんが、ゼリーのようなものでございます。これが一つ入っています。これが六百円なのですね。  これが市中価格と比べてどうかというのはなかなか難しいところですが、参考のために、こっちは三百円、衆議院の第一議員会館で今買ってきたわけですが、サンドイッチの重量が二百二十グラム、ビュッフェとうきょうは百四十三グラムですね。それから中身は、こっちはハムとチーズですが、ハムが十七グラム、チーズが十グラム、そのほか野菜がたくさん入っておりまして、卵とキュウリ、レタス、トマトでつくったサラダが八十八グラム入っております。目方から見ても、入っているものから見てもほぼ同等というふうに見てもいい。このチュルルンというものは買ってもなかなが食べられぬ。子供は好きですけれども、なかなか大人が食べるものじゃありませんが、これは買っても十五円から二十円の間のものです。これで値段が六百円。きょうは僕は買いませんでしたが、七百円というものもあるのですね。  それからもう一つ言うならば、サンドイッチだけじゃなかなかのどを通らないからオレンジジュースを買うわけだが、このオレンジジュースが新幹線車内で買うと百八十円なのです。これを第一議員会館で買うと、同じつぶつぶオレンジで、内容はちょっと違うと思いますが、百円なのですね。到底二割だなんというものではない。汽車によっては二百円というケースももちろんありました。  今ごらんに入れたとおりで、率としては高過ぎるのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  88. 松井隆平

    ○松井説明員 具体的な御指摘がございましたので、料理品、例えばサンドイッチ等につきましては、標準的なものは大体五百円から五百五十円程度――私ども決めます場合には一般の、表現が悪いですが、中級、大衆的な店舗におけるサンドイッチが一体どの程度であるか、大体五百円見当だというようなことで、その料理品の材料なり、その添え物とかそういうものがプラスされますとどうしても基本的な価格が高くなる、こういうことでございます。  それからジュースでございますが、新幹線車内で売っておりますジュースは一〇〇%果汁でございます。これは愛媛県と和歌山県のミカンを原材料にしてございますけれども、その一〇〇%果汁の一般的に売っております価格といいますのは、弘済会の売店で売っております価格は百八十円ということでございます。一般市場に出回っております百円の缶ジュースは、果汁含有量三〇%、中には二〇%というのがございます。そういう質の違いというものが基本になって価格設定が行われておる、こういうことでございます。
  89. 元信堯

    ○元信委員 市中で五百円のサンドイッチというのは中級品どころか、かなり高級品じゃないかと思うのですね。そこら辺のところはいろいろ主観的なものもありましょうから余り深くは申し上げませんが、ただ、申し上げたいのは、このサンドイッチにしても六百円、しかもこの中にチェルルンだなんという、こんなものはサンドイッチじゃないわけですけれども、買えばどうしても買わされるわけです。ほかの業者のものを見てみますと、ポテトチップスが入っておったりドライフルーツが入っておったり、そういうことでどうも価格を上げようとしておるのじゃないかというふうに思われるのですね。  ジュースにいたしましても、確かにこれは一〇〇%の粒オレンジですから、市内の自動販売機で普通に売っている百円のよりも高いというのはおっしゃるとおりかもしれませんが、何せ選択の余地がない。そんなに高くなくても、むしろ一〇〇%のミカンジュースというのはしつこくて飲みにくいという人もいるわけですから、なるべく価格設定が安くなるように、新幹線に乗ったらとにかく高いものしか買えない、選択をしようとしてもそういうものしかないというような状況ですから、国鉄としてもっと安いもの、実際に即した簡素なものに指導していくべきじゃないかと思います。いかがですか。
  90. 松井隆平

    ○松井説明員 先生指摘のように、私どももできる限り安く、品質のいいものというふうに業者の指導を行っております。先ほどもお答えいたしましたけれども、最近の傾向としまして、需要にマッチしたものをどういうふうに選択していくかという点が非常に多様化しておる中で、焦点を決める点が非常に難しい面もあるということで、私どもも市場調査なりを食堂会社に命じまして、安くていいものを売るように指導してまいりたいと思います。
  91. 元信堯

    ○元信委員 安くていいものをとおっしゃいますが、とにかくああいうところでは選択の余地はないわけなんですね。ですから、安くてよいものじゃなくて、なるべく安いものを供給するようにする義務があると思うのです。例えば、こんなチュルルンだなんてものが食べたい人は、また別に買って食べればいいわけです。いつも僕はこれを見るたびに、こんなものどうやって食べるかもわからないわけですよ。全く心外にたえないわけでありまして、ぜひここは余分なものはなくして、さっき伺いましたように旅行者の半分近くはビジネスなんですから、物見遊山でこの際こういうものも食べておこうなんていうんじゃなくて、大抵サンドイッチを食べるときは食事をする時間がなくて、しようことなしに食べているわけですから、なるべく安いものを供給するように、いかがですか、そういう方針に立っていただけませんでしょうか。
  92. 松井隆平

    ○松井説明員 業者指導の点におきましても、国鉄の利便に供するという目的に立ちましても、そのように今後とも努力したいと思います。
  93. 元信堯

    ○元信委員 それともう一つ、車内販売について伺っておきたいのは、お酒の販売というのが最近随分広がってきたんですね。以前はビールは売っておりましたけれども、それに最近はウィスキーを売っていますか、それからカクテルなんかも売っているようですが、お酒の販売というものについてどういう方針をお持ちですか。どんどんふやしていくのですか。
  94. 松井隆平

    ○松井説明員 お酒類の販売でございますが、車内販売と申しますと、どうしてもスペース的に非常に限界があるということでございますけれども、最近の嗜好の傾向としましても、ビールですと外国物をお好みになるということもございますし、それからウイスキーにしましても、国産の中で銘柄を指定されるお客様も中にはいらっしゃる。日ごろ日常の生活の中で嗜好が非常に多様化しておる、それにどのように対応するかということでございますので、従来から考えますと、現在では割合多様化の提供を行っておる、多種類の提供を行っておるということでございます。
  95. 元信堯

    ○元信委員 お酒の販売については、酒税法の第九条によって許可を受けなければならないことになっていますね。列車内における販売については許可を受けるのですか。
  96. 松井隆平

    ○松井説明員 各列車食堂会社が酒類の販売許可を受けております。
  97. 元信堯

    ○元信委員 その場合、販売をどこでするということにして許可を受けていますか。列車内で販売をするということで許可を受けていますか。
  98. 松井隆平

    ○松井説明員 列車内販売でございます。
  99. 元信堯

    ○元信委員 たしか通達では、駅の構内ということになっていたと思うのですよ。列車内というような表現はなかったと思うのです。大丈夫ですか。
  100. 松井隆平

    ○松井説明員 駅の構内でも同一業者が酒類の販売を行っておるのがございます。各列車食堂会社はレストラン部門を持っておりますので、それの一環の中でやっておるわけであります。
  101. 元信堯

    ○元信委員 ちょっとおかしいのじゃないですか。駅の食堂でお酒を売る、これは食堂ですから当然ですね。食堂としてお酒を売るのはそうですけれども、列車の中が食堂と同じというのは初めて承る解釈ですが、どういうふうに考えるとそういうことができるのですか。
  102. 松井隆平

    ○松井説明員 その辺、もう一度確認をいたします。
  103. 元信堯

    ○元信委員 確認して、改めてまたどこかで承るかと思いますが、列車の中での販売ということは許可がないと思うのです。ただ駅の構内でやっているから、同じ会社だからということでずるずるやっているというのが現状だろうと思うのですね。  御案内のとおり、酒を販売するためには許可が要るわけです。その許可をする場合も、例えば野球場なんかでも缶ビールなんか売っていますが、それは構わない。ただ、それをサービスとして、例えばウイスキーを水割りにしているとかカクテルをつくるとかということになりますと、これはまた別の許可が要ることになりますね。新幹線の車内でこのごろは随分、水割りはいかがですかなんということを言って売りに来るのがあるわけですが、その点は大丈夫ですか。
  104. 松井隆平

    ○松井説明員 酒類の免許につきましては、列車食堂会社がしかるべき手続をとりまして、許可を受けた上でやっておるということでございますので、大丈夫と考えております。
  105. 元信堯

    ○元信委員 それじゃ、またこの点は改めて調べていただいて御質問をしたいと思います。  最後に、お土産をこのごろ随分売るようになったのですが、例えば、東京-大阪間で東京のお土産あるいは大阪のお土産、その間の静岡のお土産、名古屋のお土産を売るのはわかりますが、このごろ北海道の物産を新幹線の中でやかましく買えというのは、あれはどういうわけですか。
  106. 松井隆平

    ○松井説明員 北海道の物産ということで現在売っておりますのが十勝ワイン入りクッキーと、それからホワイトチョコレートでございます。列車内販売というのは基本的には沿線の土産物ということで、これも過去ずっとそういう方針でやってまいりまして、非常に運転時分が長くなった、お客様の一日に費やす時間も、地理的にも非常に広範囲になってきたということでございます。その中で、全国的な名産品というものでお客様の需要に合致するものも一部販売をしておるということでございます。なお、車内販売をやります上でのスペース的な制約がございますので、大々的にそういうことをやるわけではございません。基本はあくまで沿線の土産物ということで当方は指導してございます。
  107. 元信堯

    ○元信委員 東京-大阪間で北海道が沿線じゃないことは御存じのとおりですが、そんなことを言えば、じゃ鹿児島のをどうしてくれるのだ、秋田はどうだ、新潟はどうだといろいろ言い出せば切りのない話ですから、そこのところは一遍きちんと整理をして、余り途方もないようなものは売らぬようにしてもらいたいと思います。といいますのは、最近、物品販売のアナウンスがやかましくて困るという声をあちこちから耳にするわけですね。新聞の投書にもたしか出ておったというふうに思います。車内放送にコマーシャルをやらせるというような点は、これはどういう規定に基づいてやっていますか。
  108. 松井隆平

    ○松井説明員 確たる車内放送をやらせる規定というのはございませんが、ともかく利便に供するその案内を行うという点でやっております。  先生指摘の、非常に車内放送等が頻繁で、かつ、やかましい、こういうお客様からの苦情というのを多々受けております。私どもも、従来から非常に厳しい態度で営業者の指導をしてまいりまして、最近もその車内放送をいかに簡略にやるか、全く案内をしないということにつきましてはまたこれも問題でございますので、簡略化を図っていくということで、厳しい態度で臨んでおるわけでございます。
  109. 元信堯

    ○元信委員 車内販売をしておるということの案内は、これは結構だと思うのです。ただ、その車内販売の品目が何であるかとか、特に北海道のフィンクッキーだとかいうのは、お菓子の博覧会で金メダルを受けたとかワインの風味がああだとか、案内なんてものじゃなくて実にくどくて、しかも、こだまの場合はとまるたびにやるわけです。放送するのが販売の女性だものですから、恐らくマイクなどの使い方にもなれていないから甚だ耳ざわりで、とまるたびにそんなものを聞かされるのは、さっきおっしゃった乗客の利便という観点から見ても、甚だ利便を損なうものであると言わざるを得ないと思うのです。そこで、今後このようなコマーシャルに類するようなこと、過度の案内というものはやらせない、こんなふうにお約束していただけませんか。
  110. 松井隆平

    ○松井説明員 最近、私どもは各営業者に対しまして、そういう過度にわたるコマーシャル的な案内はやめろということで実行させております。
  111. 元信堯

    ○元信委員 業者も商売ですから、どうしてもそういうことになりがちであると思うのです。先ほど前段で指摘いたしましたサンドイッチ等も、なるべく高いものを買ってもらった方が業者ももうかる。その千分の四十五は国鉄へ入るということですから、国鉄も物が高くなることについては異存はないかと思いますが、客の方は大いに異存があるわけでありまして、最低限の食事をするのに九百円もかかるのではとても安心して旅行ができない、こういうことになりますから、ぜひ改善方をお願いしておきたいと思います。  それから、お酒の販売につきましては、今言った酒税法上の問題があるということを指摘いたしておきますと同時に、酒を公共のスペースでやたらに販売するということについては一考を要するのではないかということを指摘しておきたいと思うのです。しかも、最近はビールなどからウイスキーのような強い酒まで販売をしておるようでありまして、酒を飲まぬ者は甚だ迷惑をするわけでもございますし、やたらにこういう強い酒を売り回るということもいかがかと思うわけであります。この販売が国鉄の財政に寄与することは認めるといたしましても、過度にわたってかえって旅客の利便を害さないように強く要望して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  112. 竹内猛

    竹内委員長 次に、浜西鉄雄君。
  113. 浜西鉄雄

    浜西委員 ただいまはお酒の質問でございましたが、お酒のもとの米の関係につきまして、これは宿題になっておりまして、前国会、この委員会の中でございますが、忍者米の関係を私は取り上げまして、言ってみればいろいろなルートでやみの米が入るということで、特にアメリカあたりから入るということについて疑いを強く持っておりますので、その関係での質問をいたしました。横浜ルート、沖縄ルートで米軍の演習用米、アメリカ兵は米を食べませんから、その分を日本の業者がこっそり買い取ってやみで流れていくという指摘をしたわけですが、そのときの約束で、「必要な調査なり現地確認はやってみたいと思っております。」という答弁で終わっておりますから、その後どのような調査をされ、結果はどうであったが、まずこれをお聞きしておきます。
  114. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  さきの国会で議論がありましたいわゆる忍者米でございますけれども、私ども、昭和六十年二月上、中旬にかけまして、米軍基地の所在地など問題になりそうな、例えば東京ですとか神奈川ですとか沖縄ですとか、十都道府県の四十八市町村について、米穀の卸売業者、小売業者、外食事業者それから加工業者等の関係者から事情聴取を行いました。この結果によりますと、伝えられるような事実は認められませんでした。それから、私どもは米穀販売業者につきまして監査なり巡回指導を別に行っておりますけれども、これらについても、そのような伝えられるような事実は認められませんでした。  以上、御報告申し上げます。
  115. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、ちまたに流れておる情報ないしは、あのときは「家の光」も取り上げておったと思うのです。長い間、米関係、農村関係の機関誌的な役割を果たしてきたと思うのですが、その「家の光」が全く根も葉もないことを書くということになると、これは信用にもかかわるわけです。私は、火のないところに煙は立たぬという疑いを、今の答弁を聞いてもぬぐい去ることはできないわけです。  年間約五万トンとされておる米軍の演習用米、つまり演習の期間、参加人員、これらで計算をされて米が積み込まれてきて、常食としないわけですからそれがおろされる。そうするとその話は、米軍が演習の際に米そのものも積んでいないということが断言できるかどうか。ベースキャンプにおろして、それから日本の業者に流れるということは否定をされましたが、それでは、そういう演習用として、日本へ軍艦か船か知りませんが、それと一緒に積んでくる、米そのものもついてくるということを調査をされましたか。
  116. 重田勉

    ○重田説明員 お答えいたします。  米軍の演習用その他で、米軍の用に供します物品として国内に持ち込みますのは、根拠といたしましては、日米地位協定に基づいて輸入されることになっておりまして、それを輸入することについて政府の許可その他を必要としないということになっておりますので、それについて食糧庁として確認しているということはございません。この所管につきましては外務省でございます。
  117. 浜西鉄雄

    浜西委員 今答弁のあったように、所管が違うとその辺が大変つかみにくいという面がわかったわけです。  所管が違うという意味で角度を変えて質問をいたしますと、例えば加工用米、酒米ですね、それが工業原料米という名目になった場合は食管法には関係ないというか、つまり、食管法の別枠という扱いになるというふうに聞いておりますが、それも事実かどうか、ちょっと聞かせてください。
  118. 重田勉

    ○重田説明員 お答えいたします。  米の輸入につきましては、その用途が何であれ、食管法の規定によりまして、輸入許可を受けなければ輸入できないことになっております。
  119. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、私はここに資料を持っておるのですが、この資料も間違いということになるのでしょうね。簡単にここの部分だけを読みますと、「米国農務省は、昨年の韓国米輸入の動向を見て、主食米の対日輸出は困難だと判断したようです。そこで加工用米、酒米を工業原料米という名目にして、食管法の別枠として入れさせる戦術に出ています。工業原料系の年間需要が百万トン、これに外食産業の二百万トンを加えた合計三百万トンの輸出が、米国の最終的なねらい」こういうふうなことが堂々と書かれておる。今の答弁では、食管法の別枠として扱うことができるということは否定されたわけですけれども、すべて食管法の中で運営されるということです。それでは、これはもう一遍聞きますが、絶対そういうことはない、こういうことですか。
  120. 重田勉

    ○重田説明員 お答えいたします。  米の輸入につきましては、先ほど説明いたしましたように、すべて食管法の規定によりまして輸入許可を受ける必要があります。  なお、補足いたしますと、それが輸入という段階、つまり、物が港に来たときのことで御説明いたしますと、これは大蔵省関税局の所管でございますが、輸入をする場合には、関税法七十条に基づきまして、ほかの法律で許可を受ける必要があるものについては許可を受けているかいないかという確認がされて、輸入許可を受けているということが確認された場合に初めて輸入されるわけでございます。したがいまして、食管法の規定だけではなくて、現実の関税法その他のことからいきましても、輸入できることにはなっておりません。
  121. 浜西鉄雄

    浜西委員 では、この際聞いておきますが、米はないと言うわけですから米を含めてということは変なんですが、食糧問題は、従来から日本の需給体制の問題、それから自給率が大変低い、三分の二は外国に頼っておる、日本人の胃袋は三分の二が外国に頼っておるというようなことを抽象的に聞きますが、最近の年でいきますと五十九年度、米の年度は十月までですからもうおおよそ出ておると思うのですが、直近の一年間の穀物、穀物といえば大豆もありましょうし、トウモロコシその他人間が食べるものあるいは飼料になるものを含めて、そういった穀物は、細かいところはいいですが、どこからどれだけ輸入されておるか、それを聞かせてください。
  122. 熊澤英昭

    ○熊澤説明員 お答えをいたします。  お尋ねの国別の穀物及び大豆の輸入数量でございますが、通関統計、五十九年暦年で申し上げますと、穀物と大豆を合わせまして、輸入総数量は三千百四十六万トンになっております。そのうち約七五%がアメリカから輸入されております。そのほかの主要国を申し上げますと、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア等でございます。  これを種類別に申し上げますと、米につきましては一万五千トン弱が輸入されておりますけれども、その大部分は沖縄向けの泡盛用及びモチ米でございます。ほとんどがタイからの輸入でございます。このほかに韓国からの返還米十五万トンがございます。  次に、小麦でございますが、輸入数量が五百九十八万トンになっております。国別に申し上げますと、米国が三百四十三万トンでございます。全体の五七%を占めております。以下、カナダ百四十八万トン、オーストラリア百六万トンといったところが主要国でございます。  次に、大麦につきましては、輸入数量が百五十七万トンでございます。主要輸入先国を申し上げますと、カナダが六十八万トン、オーストラリアが四十七万トン、米国が四十一万トンとなっております。  次に、トウモロコシでございますが、輸入数量が千四百十七万トン。主要国を申し上げますと、米国が千三百七十四万トン、これは九七%を占めております。以下、中国が二十一万トン、アルゼンチン、オーストラリア等となっております。  それからコウリャン、グレーンソルガムでございますが、輸入数量が四百四十八万トン、主要輸入先国を申し上げますと、米国が百八十六万トン、アルゼンチンが百六十一万トンになっております。  次に、大豆でございますが、輸入数量総数で四百五十二万トンでございます。主要国を申し上げますと、米国が四百十八万トン、米国一国で九三%を占めております。以下、中国三十一万トン、カナダが二万トンでございます。  以上でございます。
  123. 浜西鉄雄

    浜西委員 それで、今のお答えのうち韓国からの十五万トン、これは臨時的な措置として我々は受けとめておりますが、この韓国米の使用は現在どうなっているのか、これがどういったところに供されておるのか。どういう計画でこれが輸入というか、貸したものを返してもらったという形になっているのですが、それが何に使われておるのか、ちょっとその辺を聞かしてください。
  124. 赤木壮

    ○赤木説明員 お答えします。  韓国から十五万トンの返還をしていただいたわけでございますが、これは全量加工原料用に使うということでございまして、去年の八月ぐらいからずっとこれらの加工用に供しておるところでございます。
  125. 浜西鉄雄

    浜西委員 この加工用米に関連をして、実は全国食糧事業協同組合連合会、これらと関連をいたしまして突っ込んだ質問をやるつもりでおりましたし、さらに、今さっき牛乳関係でありましたが、私は違った角度からさらにまた牛乳関係質問をする準備をしておりましたが、きょう実は代議士会がそれぞれありまして、一時から本会議ということで、各党十二時半からそういう意味では急遽時間が必要になってきましたので、私の持ち時間はこの内容をそっくりこのまま留保して、時間の調整の意味で現時間でもって一応中断をして後日に引き継ぐということで、この場はこれで私の質問を一応とどめておきたいと思います。  以上でございます。
  126. 竹内猛

    竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十八分開議
  127. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。駒谷明君。
  128. 駒谷明

    ○駒谷委員 大臣、席に着かれて早速でございますが、対外経済対策と経済運営という点について、数点御所見をお伺いしたいと思うわけであります。  去る四月九日に、対外経済問題諮問委員会の報告を踏まえまして、緊迫化する通商摩擦の解消を目指して、第七次対外経済対策を政府が決定をされた。引き続いて四月十一、十二日にはOECD、経済協力開発機構の閣僚理事会がパリで開かれたわけでありますが、金子長官も出席をされて、経済摩擦に対する批判の集中する中で大変御苦労されたわけでございますけれども、その後のボン・サミットではこの批判の厳しさは一応回避され、鎮静化したように見えるわけであります。しかし、一部専門家の意見の中には、真の問題解決は先送りされただけだ、鎮静化は一時的なもので、今秋には再び摩擦が激化するのではないか、そういう見方もあるわけでございます。この点、長官はどのように考えておられますか。  さらに、経済摩擦を激化させないためには、この七月中に策定されるアクションプログラム、いわゆる行動計画がどのような形で決まるかというのが大きな問題であろうと思うわけであります。現在の作業の状況はどのようになっておりますか。この行動計画によって対外摩擦は大きく解消へ向かうとお考えか。あわせて、この問題に関連して、東南アジア諸国連合、いわゆるASEANに対する対外政策をこの行動計画にどのように盛り込もうとされておられるのか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  129. 金子一平

    金子国務大臣 パリのOECD会議では、激しい非難を日本に浴びせかけようということで各国代表が待ち構えておったようでございますが、私が、日本の現状並びに個々の対策についてかくかくしかじかのことをやろうということを四月九日に決めて今飛んできたところだ、十二月に既に東京ラウンドによる関税の前倒しを実施し、あるいは東南アジア諸国に対する特恵関税の拡大もやっておるし、さらにアクションプログラムをそれぞれの項目について今やろうということで詰めておる、こういう話をいたしましたら、大勢としては、日本はそこまで思い切ったことをやろうとしておるのか、それではしばらくその成果を見守ってやろうというのが一般の空気だったかと思うのでございます。特にアメリカの代表のごときは、中曽根総理がテレビで図表を示しながら呼びかけましたね、日本としては非常にドラマチックなことを初めてやったのですけれども、恐らくある程度の効果が上がるに違いないから、それを今後厳重に見守るつもりだという話を私に個人的にもしておりました。  今鎮静化しましたのは、アメリカには、黒字の責任日本だけにあるんじゃないぞという正論を声を大にして叫ぶ人もあるわけでございまして、OECDの会議では、黒字は世界の経済の緊張を高めるなどということをコミュニケに盛ろうという議論があったわけでございまするけれども、黒字のあるのは何も日本だけでなくて、西ドイツでもカナダでも台湾でも黒字を出しているのですから、日本だけの責任にされてしまうのは迷惑千万だ、それよりはアメリカの高金利、ドル高の是正をしてもらいたいという話をやったわけでございます。ただ、今お話ししましたように、これは一時的な鎮静とお考えいただいて差し支えないと思うのでございまして、今後のアクションプログラムがどの程度内容を盛るかによってまたいろいろ議論が出ることは、私どもとしても覚悟しなければいかぬと考えております。  政府の仕事の段取りとしては、各省次官を長とするアクションプログラムの進行の担当を各省につくりまして、六月中に第一回の報告をしてもらう、七月には大体骨格をまとめて発表できるところまで持っていきたい、こういうつもりで今進めておる段階でございます。  それから二番目の、ASEAN各国に対する対応をどうするかというお話でございます。これは当然アクションプログラムに盛られることになると思いますけれども、特に大きな問題となっておる、例えば骨なし鶏肉とかバナナとかパーム油の関税をどうするかという象徴的な問題がそれぞれございます。これは先般、藤尾自民党政調会長が各国を歴訪いたしました報告もあったのでございますが、六月末に日本とASEANの閣僚会議がございますので、それまでには何らかの結論を出す必要があると我々は考えておりまして、行動計画にどこまで盛れるかわかりませんが、今鋭意担当省で検討していただいておる最中でございます。
  130. 駒谷明

    ○駒谷委員 外部からのそういう問題に対する対外政策という点から考えると大変厳しい状況でありますけれども、国内においても農産物の問題、そして今度の行動計画の中に盛り込まれる木材の問題等、国内産業にとっては、食糧の安全保障という問題から価格の問題その他、大変関係の深い問題が多いわけであります。やはり内需の拡大も、経済の安定成長という問題を考えていきますと、無視するわけにいかない重要な問題があろうかと思いますので、その点も十分に配慮をされながら、行動計画について十分な検討が行われますように、お願いをいたしておきます。  そこで、この諮問委員会の報告書の中に、内需中心の持続的成長を図るという項があるのですが、その中で四点触れております。一点目は規制の緩和、二点目は週休二日制の一層の普及、三点目が民間活力の導入による社会資本の整備、四点目が貯蓄、消費、投資のバランスを図るという観点から税制の見直しも検討しなければならぬだろうというようなことが明記されておるわけでございますけれども、特に四点目の問題については、内需拡大の必要性を指摘しているものではないかと私は思うわけであります。ボン・サミットにおきましても、中曽根首相は各国から内需拡大策を迫られ、経済体質の改善という問題に大きな責任を持たされたというふうに言われておるわけでありますけれども、この点についての大臣のお考えはいかがでございますか、お伺いします。
  131. 金子一平

    金子国務大臣 最初にお触れになりました農産物の問題につきましては、私どもも十分配慮しなければいかぬと考えております。例外は置かないとは言っておりますけれども、特に、食糧安全保障とか環境整備とかいうような点については最重点を置いて配慮することにいたしておりますし、今度の日米関係で取り上げました合板につきましても、御承知のとおり、五年間必要な業界対策をとることを前提にいたしまして、三年目に合板の関税を引き下げるようなことにしておりますので、その点は我々も十分努力しておることはお認めいただきたいと思います。  それから、二番目の御質問にございました四つの項目についてのアクションプログラムの中身をどうするか。これは、今それぞれ担当省で検討しておる最中でございますが、特に、お話のございます貯蓄、消費、投資のバランスを図る観点からの税制の見直し、これをどう持っていくのかということだろうと思うのでございますが、これは税制調査中心に検討することになろうと思います。今具体的に、税制についてこれはこうしますよという予見を与えるような行動は我々といたしましても差し控えなければいかぬと思っているのですが、ただ、あれだけ大きな貯蓄が日本にありながら、それが国内に投資されないで外国へ流れるようなやり方をいつまでも抜てきしておいていいか、もっと国内の投資に利用できるような有効な施策が考えられないかという点において、これまたお互いに知恵を出し合って考えていかなければいかぬなと考えておる次第でございます。
  132. 駒谷明

    ○駒谷委員 続いて大臣にお伺いしますが、今月十七日に米国が公定歩合を〇・五%引き下げて七・五%ということが行われておる。これは二十日から実施と聞いておりますが、この公定歩合の引き下げのねらいはどのように考えておられるかということが一つでございます。今後の金利の下がる方向、さらに公定歩合の引き下げが今の状況から見ると考えられるのではないかと思うわけでありますけれども、先のことで難しゅうございますけれども、長官のお考えをお伺いしたいと思うのです。  それから、商務省の発表でございますが、二十一日に米国では本年の第一・四半期、一月から三月の実質成長率が〇・七%に下方修正されております。景気の減速が大変大きい状況になっておるわけでございますけれども、このようなアメリカの状況、これが国内の景気にどういうふうな影響を与えるだろうかという点について心配するわけでございますけれども、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけであります。
  133. 金子一平

    金子国務大臣 先般、公定歩合を〇・五%引き下げましたのは、最近のアメリカの鉱工業生産が大分伸び悩みをいたしております、全体として景気の停滞というような動きが出てまいりましたものですから、そういう点を背景にして下げた。また事実、それを前提にして市中金利も下がりつつあったのが現状ではなかろうかと思うのでございます。  それでさらに、一昨日でございましたか、一-三月期のGNPの伸びを〇・七%と発表いたしましたけれども、私ども見ておりますところでは、消費は比較的堅調なのです。恒久財の購入等も住宅建築等もなかなかしっかりした歩みを示しておりますけれども、やはり生産が落ちておる。それは輸入の急増ということが一つ原因でございましょう。しかも、それによって輸出の落ち込みが厳しい、純輸出の大きさがぐっと下がってきたということが一番大きな原因ではなかろうかと思うのでございまして、この現象が今後どういう動きを示すか。これは強弱両説がございまして、最近のアメリカ国内の景気の状況から見ると、そう心配したことはない、後すぐまた戻すぞという見方と、ある程度注意をしなければいかぬという見方と二つあると思うのでございます、ドルの動きその他は余り大きな影響も受けておりませんので、しばらくいろいろな情報をとりながらアメリカ経済のこれからの動きを注視してまいりたいと私どもとしては考えておる次第でございます。
  134. 駒谷明

    ○駒谷委員 これはきのうの夕刊ですが、大蔵委員会で竹下大蔵大臣が、内需の喚起策が必要だ、こういう発言をされておるわけであります。もっとも規制緩和で民活ということであるわけでありますけれども、私もこの内需の拡大というのはこれから本当に真剣にやっていかなければいかぬのじゃないかと思っておるわけであります。  同じ新聞の中の記事で、アメリカの財務長官の四月-六月も予想以上に低下するだろうというような見方も載っております。そういうようなことを考えますと、最後の質問でございますが、日本の消費を大きく喚起しなければならない。現在、前年の状態からいって消費が停滞しているということは、この経済の指標を拝見しましても日本状況がそういう形になっておる。アメリカの公定歩合の引き下げあるいは経済成長の低下、そういう問題が日本に影響があるだろう、そのように見なければならない。そういうふうに考えますと、内需の拡大におきます我が国のGNPの半分以上を占めております個人消費、これを低迷から拡大の方向に何とか向けていかなければならないのじゃないか。そうすれば、前々からよく申し上げております所得税減税の問題、これは政府として真剣に考えてもらわなければならない。ボン・サミット以後におきまして自民党の中にも所得税減税論が出てきておる、そういう問題等を踏まえて、今後の経済運営の関係から大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  135. 金子一平

    金子国務大臣 内需の拡大に当たりまして民間消費を伸ばすことの重要性につきましては、御指摘のとおりでございます。幸いに、昨年の暮れまでの消費の動きはいささか心配の向きもあったのでございますが、暮れからこの一-三月にかけて着実に伸びておるように考えております。しかし、さらに輸出の鈍化ということがはっきりしてきておりますから、それをカバーする意味においても、我々としては今後消費の拡大を中心に政策の重点に置いていかざるを得ない。  その際に問題になるのは、所得税の減税をどうするか。与野党間にこの問題についてのいろいろ協議ができておることは承知いたしておりますが、それとは別に、総理も来年度の税制改正においては直接税、特に所得税を中心に見直しをやりたいということ宣言明しておられますし、私どももでき得べくんば、今累進課税が極度にきつくなっておりまして、子供の教育やローン返済等で一番負担の重い層の所得税減税を何とかして実現できればしてさしあげたい、そういう点に重点を置いて所得税減税をやりたいという気持ちを持っておることは事実でございます。ただ、財政全体としてこれからどういうふうな構想で予算編成に臨むのか、まだ政府自体としての方針は決まっておりませんけれども、私自身の気持ちとしては、おっしゃることは全く同感でございます。
  136. 駒谷明

    ○駒谷委員 まだお伺いしたいのですが、ほかの関係がございますので、次に移らせていただきます。  大変時間も経過してしまいまして、きょう各省においでを願っております関係の分が時間的にちょっと厳しいだろうと思いますので、環境庁それから厚生省お見えでございますか。この問題、ひょっとしたら時間がなくてほぼお尋ねできないんじゃないかと思いますので、大変申しわけないのですけれども次の機会にお尋ねしたい、そのようにまずお断りを申し上げておきたいと思います。  次に、消費者問題、特に苦情相談の処理、トラブルの問題に関連をいたしましてお尋ねをするわけでございます。  悪徳商法それから訪問販売など、消費者の問題にまつわるトラブルが最近各地で発生をしていることは御承知のとおりであります。その件数も年々増加をいたしておりますけれども、キャッチセールス、アポイントメントセールス、それからアクセサリー用の合金に使われるパラジウムの先物取引あるいはマルチまがいの商法等、その手口も巧妙で悪質になってきているように思うわけであります。今回、本年の二月二十二日の各紙に報道されたごとく、公正取引委員会の方に独占禁止法第十九条の不公正な取引の禁止の問題で申告が行われております。申告された相手はベルギーダイヤモンド社でありますけれども、このマルチまがいの商法について数点お尋ねをしたいと思うわけであります。  この申告者は、悪徳商法被害者対策委員会の会長と京都市内の弁護士であります。新聞の報道によりますとそうなっておるわけであります。相手は、会員制でダイヤ販売を行っているベルギーダイヤモンド社ということになっております。同社は一昨年の二月に大阪で設立されたダイヤモンドを販売している会社でありますけれども、テレビや雑誌で広告宣伝活動もやっております。全国には十数の支店を持って、公称会員五万人、月商五十億、そのように大変規模の大きい会社に膨れ上がっておるわけであります。  聞いたところでは、ここの会社の社長は通産省の御出身で元役人であったというようなことも言われておるわけでありますけれども、同社の資料によりますと、販売方法は三十万円以上のダイヤを購入し、そして面接にパスしますと末端会員として登録が行われる。会員が新たに三人の客を同社に紹介し、その三人がダイヤを買うわけですけれども、合計百三十万円以上のダイヤを買えば、紹介した会員は結局親会員として一ランク上に上がると同時に、最初に紹介されたお客さんも末端会員になるという形になって、親会員のさらに上の段階としてエージェント、マネジャーというふうな四つのランクがあって、一定条件で加入者をそろえれば上のランクに昇格をする、そういう仕組みになっていると聞いておるわけであります。その間の手数料、紹介料というのがネズミ算的に大きくなって大変な収入になるというのが宣伝文句で、会員の募集が行われておる、こういう内容で運営が行われているようでありますけれども、この問題については既に広島地方裁判所に提訴が行われておりますし、新聞報道によりますと、この五月二十八日には関東地区の被害者が東京地裁の方にもこの問題について損害賠償請求の提訴を行うということで、これは大変トラブルとして問題になっている内容のように思うわけであります。  この件につきましては、私もきのうの朝見たのですけれども、朝の八時三十分のNHKで「ジャーナル 〝紹介商法〟ここにご用心」と題して、兄会員の入会をされたときの状況あるいはいろいろ巧妙な手口あるいは顧客を勧誘する説明会での状況等がテレビで放映をされ、そして十分に対応し、用心すべきだというような内容でのテレビ放映が行われたわけであります。  そこで、まず公正取引委員会お尋ねをいたしますが、これは私は新聞で知る範囲でありますけれども、申告が行われた独占禁止法違反の当事者間の問題、それから違反として訴えた理由について確認をしておきたいと思うわけであります。お答えを願いたいと思います。
  137. 佐藤徳太郎

    佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘にございましたように、申告年月日は昭和六十年二月二十一日でございます。申告人は、悪徳商法被害者対策委員会の堺さんとおっしゃる会長さんと、お話に出ました京都市在住の何人かの弁護士の方ということでございます。  それから、このベルギーダイヤモンドが独禁法に違反しているのじゃないかという点でございますが、先生お話にもございましたように、不公正な取引方法を禁じております独禁法の十九条に違反しているのじゃないかということで申告があったわけでございます。  以上でございます。
  138. 駒谷明

    ○駒谷委員 次に、調査の手順について簡単にお伺いしたいと思いますけれども、私も公取の方のこれからの内容については多少知っておるわけでありますけれども、実はこれは消費者問題として重要な問題だと思いますし、公取の方も消費者に対する結論を把握するということが審判の重要なポイントになるのじゃないかと私は思うわけであります。そういうことで調査の手順等について、これは形式的な形になりますが、簡単にお伺いをしたいと思います。現在の審判はどの程度の期間が平均としてかかっているのか、そこらも参考にお伺いしたいと思います。
  139. 佐藤徳太郎

    佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。  今お話しのございましたのは、先生御専門でございますので詳細は避けますが、御存じの独禁法の四十五条に、法律上は申告という言葉を使っておりませんが、違反事実の報告とか探知とか、そういうことを申告と我々は言っておりますが、申告がございました場合には調査をするという規定になっておりまして、私どもとしても本件につきましても申告を受けまして部内で調査検討を行っているわけでございます。  一般的にどのくらいかかるかというお話は、個別の事件で非常に差異がございますので、一般的にはなかなか申し上げられないのでございますが、先ほど先生の話にございましたように、先生はこの件は非常に巧妙なというお言葉を使いましたが、そういう事件でございますので、我々としても慎重に今内部で調査検討中である、こういうことでございます。
  140. 駒谷明

    ○駒谷委員 それでは、引き続いて通産省にお伺いをいたしますが、まず政府広報として、ここに私持っておるのですが、中央五紙と聞いておりますが、その他の各紙にもあるようです。「マルチ商法にご注意を」ということで通商産業省から広告を出されていらっしゃいますね。この広告を出されておるのを私も拝見をしたのですが、この広告を出されたねらい、これはどういうお考えからこの広告を出されるようになったのか。今現在どの程度の各紙に広告されているのか、そこをお伺いしたいと思います。
  141. 山下弘文

    ○山下説明員 御説明申し上げます。  先生指摘の広告につきましては、総理府の予算をいただきまして三月の十一日から十七日にかけて各紙に掲載していただいたわけでございますが、掲載新聞を申し上げますと、中央で五紙、それからブロック紙で三紙、地方紙というか都道府県単位の新聞で四十九紙ほど掲載させていただきました。  ねらいは、御承知のように連鎖販売取引の規制を私どもやらせていただいておるわけでございますけれども、必ずしも件数が最近多いというわけではございませんが、この法律で規定しているスタイルのいわゆるマルチ商法、これ自身が非常に今被害が多いということではございませんけれども、常時こういうことに対して消費者方々の御注意を喚起しておくというようなことで、継続的にやっていくことは必要だというふうに思っておりまして、毎年いろいろなことをやっておりますけれども、それの一環としてやらせていただいた次第でございます。
  142. 駒谷明

    ○駒谷委員 この広告は正式にマルチ商法、こういうふうに出ているわけですから、これは法律の規制にかかわるものですね。もう少し消費者にとっては親切な書き方で、規制にかかわります、これは処罰されますよというようにきちっと、処罰される対象だということを明記したらどうですか。僕はそう思うのですが、どうですか。
  143. 山下弘文

    ○山下説明員 御説明申し上げます。  ただいまのマルチ商法の規制でございますけれども、マルチ商法という形に該当します取引形態につきまして、例えば広告の仕方ですとか勧誘の仕方ですとか、そういうところを法律で規制してございます。したがって、そのとおりにやっておられる限りでは、そのこと自身は処罰の対象にはなっておりません。そういう意味で、むしろそういう広告の仕方とか勧誘の仕方とか、やや私どもの規制しております外のところで消費者の方がだまされるに近いような状態に陥る、それを防ぎたいということでございます。
  144. 駒谷明

    ○駒谷委員 これを見ますと、マルチ商法は法律にかからぬけれども消費者皆さん注意しなさいよというような理解しかできないと私は思うのですよ。だから、広告の内容等についてもやはり消費者に親切に、こういうのは処罰される対象の部分も出てくるということ、これは親切にされた方がいいんじゃないかと思います。  もう一点、広告関係のあれでお伺いしますが、六十年の二月に「マルチ商法(連鎖販売取引)」このパンフレットを出されていますね。伺ったところでは、全国五万のパンフレットを出されているということでありますけれども、これはまたよくできているのです。これはよくわかるのですよ。これと広告とで見ますと、これはむしろ処罰の対象じゃないか、規制の対象じゃないかということ、広告の方では注意しなさいよ、消費者皆さん注意するしかありませんよという感じで、ちょっと食い違っている感じを多少私は感覚的に、主観的ですけれども受けとめたわけであります。広告の内容というのは、見るといろいろ解釈の仕方が違ってまいりますので、その点を御検討いただくようにお願いをしたいと思います。  さらに通産省にお伺いしますが、苦情相談を通産省の方でも受けていらっしゃると思いますが、この件についてマルチ商法、そして今当面問題としてはベルギーダイヤモンドの会社なんですが、これに対する苦情相談は通産省の方で受けとめておられますか。その大要について簡単にお伺いしておきます。
  145. 山下弘文

    ○山下説明員 御説明申し上げます。  マルチ商法関係の、私ども本省と通産局の窓口で受けとめております苦情相談でございますが、この境目はかなり不明確でございますけれども、五十八年度で五十七件ほどございまして、五十七年度が三十二件くらい、大体そのくらいの数字で各年度推移してきたかというふうに理解しております。  それからベルギーダイヤモンドの御指摘がございましたけれども、ごく初歩的な問い合わせを含めて、私どもで五十九年度の数字がまだ終わっておりませんで恐縮でございますが、五十九年暦年で二百件くらいのいろいろなお問い合わせがあったというふうに理解しております。
  146. 駒谷明

    ○駒谷委員 経企庁にお伺いしますが、国民生活局の方で地方におきますマルチまがい商法に関する啓蒙の資料の作成、頒布等が行われている、あるいはそういう内容について全国的にお調べになっていらっしゃるようでございますけれども、その状況について簡単にお伺いをいたしたいと思います。  特にマルチ商法、マルチまがいの商法の問題、それからベルギーダイヤの問題について、これは全国的ですから内容的には大変難しいと思いますが、どの程度把握されていらっしゃるか、その点もよろしくお願いいたします。
  147. 及川昭伍

    ○及川政府委員 最近の消費者の苦情相談の状況を見ますと、販売方法に関する苦情が非常に多うございまして、その中でも、国民生活センターに寄せられたマルチまがい商法あるいはマルチ商法に関する相談事例は、五十八年度は七十一件でありましたのが五十九年は百五十五件というふうに非常にふえてきております。さらに、そのうちベルギーダイヤモンドということで相談がありましたのは、国民生活センター分で五十九年度五十二件でありますし、地方の消費生活センター分、これはコンピューター・オンライン・システムで入力しておるものだけに限りますが、現在判明しているので百四十一件、全国の相談事例が判明いたしております。  そのようなことがありまして、連鎖販売取引については昭和五十一年に訪問販売法を制定して規制をすることにいたしたわけでありますが、本件は連鎖販売取引、マルチそのものであるよりはマルチまがいということで、なかなかすぐには網にかからないようなところもあり、その場合には消費者啓発が非常に重要になってくるということになろうかと思いまして、通商産業省でもいろいろPRをされておりますし、私どもも生活センター等を通じてPRをしているわけであります。地方の消費生活センターでは、五十九年四月以降現在までのところで、十六の都道府県でマルチまがい商法に関する啓発資料やパンフレット、リーフレット等をつくって配布いたして、消費者啓発に努めているところでございます。  一方で消費者啓発を通じながら、片方で公取、通産省あるいは裁判所への提訴等もあるわけでございますから、それらの規制や調査等を通じながら、こういう消費者被害をなくすようにさらに努力していきたいと思っておるわけであります。
  148. 駒谷明

    ○駒谷委員 これは本社は関西でございますので、京都、大阪、兵庫は苦情あるいは相談が大変多いわけであります。ちなみに私のとりました内容では、京都では昨年ダイヤモンドの関係だけで既に百七十件、大阪で百五件、兵庫県では百件。兵庫県の場合は阪神間で八十四件。消費者センターの方には電話だけで簡単に来るのもあるようですけれども、実際に面接して事情を聞くというのが八十四件あるわけです。そういうことで、消費者皆さん方がそういうことに対してどうしたらいいかという相談がかなり出てきておるわけでございます。  通産省にお願いしますが、事業者に対する行政指導を担当される通産省の立場から、これは対象の会社ですが、この会社の関係について、こういうトラブルについてなぜそういう問題が起きるのかということで事実関係調査をされたことがありますか、あれば簡単にお伺いしたいと思いますす。
  149. 山下弘文

    ○山下説明員 ベルギーダイヤモンドにつきましては、先ほど説明しましたように、私どもにもいろいろ相談、苦情が入っておりますので、それに合わせまして会社の方に問い合わせをしたり、その消費者の方からいろいろお話を伺ったりというようなことで、実態の調査はしておるつもりでございました。ただ、必ずしも細かいところまで十分把握できているかという問題は残っていると承知しております。
  150. 駒谷明

    ○駒谷委員 聞くところでは警察の方も実情の調査をやっておられるようでありますけれども、やはり監督官庁に当たりますのは通産省でしょう、行政指導ですから。事業をやることが自由な点はよくわかっております。しかし、日本の経済の健全な発展という問題から考えると、こういういろいろなトラブルが起き得る事業というものについては何か問題があるのではないか、そのように私は思いますし、そういう点から、実情を調べるということはやはり早急に通産省としてやるべき内容ではないかと私は思うわけであります。  今度は、消費者トラブルを防ぐために訪問販売トラブル情報提供制度、これは五月に行われていますね。五月から発足しているのですが、大変これは結構な内容だと私も歓迎をいたしております。この仕組みの中にも、産業政策局から出ておりますが、事実関係調査されるとはっきりこれは書いているのですね。しかもこういうトラブルの問題については、迅速にやって消費者の立場に立った問題解決というのは、もうだれしも願っていることだと私は思うわけで、一日も早く調査をし、指導すべきところは指導する、そして問題があればこれについてはやはり厳しく指導し、聞かなければ何らかの措置をとる、そういうことが行われてしかるべきだと私は思うわけでありますけれども、その点についてもう一度ひとつ通産省のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  151. 山下弘文

    ○山下説明員 先生指摘の訪問販売トラブル情報提供制度を私どもは発足さしていただいておりますが、これの運用はほかの分野にも似たような適用が可能かというような議論もあろうかと思っております。私どもはこの辺の実情を眺めながら、ほかへの適用の可能性ということも大いに勉強していきたいというようなことで考えております。
  152. 駒谷明

    ○駒谷委員 経企庁の方に確認の意味でお伺いしますが、国民生活センターから発行されている「国民生活」五月号、長官もひとつごらんをいただいていると思いますが、その中の「苦情相談コーナー」に「ダイヤを買い販売組織に加入したが止めたい」ということで、センターの方が相談に乗って、そして適切な指導が行われておるのです。その中でも「問題点」ということで書いておりますが、内容も大変明確に、動きから何から全部明確になっている。これは消費者皆さんが見ると大変よくわかると思うのですね。そういうことで、この点について、これは問題点も明記しておりますけれども、今後の対応をどうすべきかということで、生活局長消費者の立場として御意見がございますればお伺いしたいと思います。
  153. 及川昭伍

    ○及川政府委員 お金のネズミ講は全面的に禁止をしているわけでありますが、それに商品が介在した連鎖販売取引というものについては、商慣習として日本に古くからあったいろいろな取引の形態もありまして全面禁止とはしていないわけであります。そのかわり、いろいろな情報の開示やその他を義務づけるという法制定を五十一年にしたわけでありますけれども、なお消費者がこのマルチまがいの商法に勧誘をされて被害を受けるという事例が、「国民生活」という雑誌にも載せてありますようにあるわけでございまして、そういう実態を消費者によく知っていただくということが一つの方法であろうかと思うわけであります。そういうことで、地方公共団体とも協力しながらいろいろ啓発、PRに努めているというところが一つであります。  それからもう一つは、やはり事業者に対して適切な指導をしたりあるいは法に基づいて規制をするとかいうことを、それぞれの省庁が協力してやっていく必要があろうかと思っているわけであります。消費者保護のために消費者保護会議という組織があるわけでございまして、各省大臣がメンバーになっておりますが、その消費者保護会議におきましても、昨年の十一月の会議でこの問題を特に取り上げて、各省協力してやろうということを申し合わせたところであります。そしてさらに、各省庁の間で消費者行政の担当課長会議を毎月開いておりますので、そういう場も活用しながら、連絡を緊密にして消費者被害を未然に防止するような方策をさらに充実していきたいというふうに考えております。
  154. 駒谷明

    ○駒谷委員 大臣、これは消費者保護という観点から当然消費者の立場で教育をしなければならぬという点はあると思いますけれども、やはり業者の姿勢という問題、これは業者の姿勢が改まればそういう問題は一挙に解決するわけであります。そういう点からいくと、やはりその指導が大変重要ではないか。仮にこういうことはけしからぬという問題があっても実際に規制の対象にならないということになれば、これはやはり国の責任において業者に対する適切な指導というものを何らかの形でとっていかなければならぬのじゃないか、私は単純にそういうふうに思うわけでありますけれども、今までの経緯を聞いていただきまして、大臣のお考え方を簡単にお聞きしておきたいと思います。
  155. 金子一平

    金子国務大臣 最近、今お話しのような問題が各地で相次いで起こっておりまして、私どもも大変関心を持って、この指導と申しますか、消費者保護の見地から今後どういうふうに取り組んでいくべきかの検討をしておる最中でございますが、関係各省と十分な連絡をとりながら消費者の啓蒙に努めるとともに、法に触れるものにつきましては厳正な措置をとるということで今お願いをしておるような状況でございます。さらに、この問題は消費者保護の見地から大事な問題でございますので、今後一層真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  156. 駒谷明

    ○駒谷委員 よろしくお願いを申し上げます。  次に、下請取引の適正化という問題について、時間も迫ってまいりましたので、ひとつ要点を簡潔にお願いをしたいと思うわけであります。  当委員会におきまして大臣の所信のごあいさつにもあったわけでありますけれども、我が国の経済は物価の安定が続く中で一昨年の春以降着実な上昇を続けており、その内容も次第に内外需のバランスのとれた景気拡大過程に入った、そういうふうに所信のところでお述べになっていらっしゃるわけであります。実は中小企業の問題にとっては、大臣の言葉は必ずしもそのような状態ではないのじゃないかと私は思うわけであります。中小企業の皆さんにとっては、景気動向にやはり業種別、地域別に跛行性が起きておる。内需の長期不振のあおりがいまだに地域によってあらわれてきておるわけであります。日本の経済、特に内需依存度の高い中小企業、私はそう思うわけでありますけれども、全国の数は三百二十三万、全事業社の九九・四%、この比率を見ても日本の経済に対する大変な力がある、またこれは大切にしなきゃならぬ問題であると私は思っておるわけであります。  ところが、過去三年間の倒産件数を見ますと、五十七年には一万七千三百五十一件、五十八年には一万九千百五十五件、五十九年、昨年ですけれども二万を突破した二万三百六十三件、こういうことで増加の傾向にある。確かに中小企業の皆さん方のところは厳しい状況がこの倒産の数字の中でもあらわれている、そのように思うわけであります。特にこり関係の中で、下請企業の関係は親企業からいろいろな圧迫を受けております。例えば滞留月数、支払いの期間ですね、それから現金の支払いの割合、長期手形の交付あるいは不当な値引き、こういう形で、下請代金支払遅延等防止法いわゆる下請法に基づく下請取引の適正化ということについても大変下請企業はいじめられている、そのように私は思うわけであります。しかもこの違反件数が増加の傾向にあるというように私は思うわけでありますけれども、その実情について、どのような状態になっているか、違反多発の事件の状況等について中小企業庁、それから公正取引委員会、簡単にお伺いをいたしたいと思います。
  157. 高梨圭介

    ○高梨説明員 お答えいたします。  下請代金支払遅延等防止法に基づきます親事業者の取り締まりにつきましては、公正取引委員会が主体となってやっているわけでございますけれども、私ども中小企業庁といたしましても、法律上立入検査権限等与えられておりますので、下請法に基づきまして取り締まりをやっておるわけでございます。  これは公正取引委員会の方の統計でございますけれども、最近三年間の支払い代金の支払い状況でございますけれども、滞留月数が五十七年度で〇・七一カ月、五十八年度〇・七七カ月、五十九年度、これは第一次の調査でございますけれども、〇・七〇カ月といったぐあいにほぼ横ばいで推移しておるというふうに聞いております。  片や、今先生おっしゃいました長期の手形交付の割合につきましては、数字はちょっと申し上げませんけれども、若干上昇傾向にございます。  それから現金の支払いの割合については、ほぼ近年横ばいというふうに理解しておるわけでございます。  私どもといたしましては、今先生おっしゃいましたような景気の状況倒産件数はごく最近は若干一服はしておるわけでございますけれども、一般的な中小企業の置かれている状況は引き続き厳しいというふうに理解しておりまして、下請法に基づきます所要の規制を強化しておるわけでございます。例えば、親事業者に対する調査の件数をだんだんふやす、あるいは担当の、下請代金検査官と言っておりますが、大企業を取り締まる検査職員を増員する等の措置を講じまして、親企業者の取り締まりに努めておるところでございます。
  158. 利部脩二

    利部政府委員 ただいま中小企業庁の方からお答えいたしましたと同じような趣旨でございますけれども、下請法違反事件の件数の点で見ますと、五十七、五十八、五十九年で千件を少しずつ超えておりますが、五十九年では五十八年よりも百件以上違反として処理した件数がふえている状況でございます。  中小企業庁と協力してやっておりますので、先ほど企業庁の方からお答えいたしたと同じことでございますが、特に公正取引委員会の方で最近の傾向として注目しておりますのは、先ほどの下請代金を期日までに支払わなければいかぬとかサイトの長過ぎる手形を出してはいかぬというのは、相当周知されてきておるにもかかわらず、必ずしもその違反が後を絶たないという点で非常に問題でありまして、それに対する規制も強化しておるつもりでございますけれども、最近の目立った特徴として、下請代金を不当に値引きする、極端な場合には一たん払った下請代金を取り戻したりするような不当な例なんかが出てきております。これは発注する親事業者の側が、発注量が多くなったりしたことでコストが下がるではないか、発注単価を下げろと言うようなこともございますし、親事業者自身でもコスト削減の努力を非常に強くやっておりますが、それをまた下請側に非常に強く押しつけるという結果、不当なやり方で下請代金を削減するというような件数が最近相当出てきております。  そういう場合には下請法に基づきまして、不当に値引きしたお金を下請事業者に返せという措置をとるわけでございますが、その措置の状況を見ますと、五十七年度で三億七千万円返還させております。五十八年度では一億六千万円程度、五十九年度は特に多くなりまして、百九社の親事業者に対して四億九千万円のお金を延べ千五百四十九社の下請事業者に返還させるという措置をとっております。そういう状況でございます。
  159. 駒谷明

    ○駒谷委員 時間が来たようでございますが、大臣、下請法はもう御存じのとおり、この目的というのは、下請業者の利益を保護することによって国民経済の健全な発展に寄与する重要な法律であろうと私は思うわけであります。この報告に出ております件数あるいは苦情が、そういうことで訴えてくるというのは本当に一部なんですわ、もう御存じだろうと思いますけれども。私もたくさんの人に。会いますけれども、言いたくても言えない、言うとどういうあれがあるかわからぬ、仕事がなくなるという心配。それは気が弱いことだとは思うのですけれども、実際にそういうことで、仕事をもらうために泣き寝入りをするという本当に気の毒な立場になっている人が中にはあるわけですね。そうすると、これはどうしてもやはり立ち入りとかその状況をチェックをする体制を完全に整備をして、そして親事業者あるいはそういう人たちとよく話をして、そういう問題がないように指導体制を強化しなければならないのじゃないか、そのように私は考えておるわけであります。  それで、実はこれは五十九年の十二月でございますが、八大都道府県から通産省の方ですか公取の方ですか要望が出ておるわけでありますが、下請振興事業に対する充実ということで、一つは遅延法の適用範囲を拡大してもらいたいという要望があります。もう一つは、遅延法の遵守事項の徹底を図るために都道府県知事に法的権限を付与していただきたい、そして検査、調査体制というものをやはり地方自治体いわゆる都道府県も一緒になってやるということが、これは三百二十何万の下請業者、全部が下請業者じゃありませんが、関連で相当あるわけですから、そういう点も考えてもらいたいというのが要望として出ておるわけでございますけれども、その点について御所見をお伺いしたいと思うのです。
  160. 金子一平

    金子国務大臣 最近の経済状況の中で、まだ中小企業はまだら模様の状況のところが多うございますし、特に今の下請の場合には、弱い立場を利用されて今お話しのようないろいろな問題が起こっておることは私どもも承知いたしております。特に関係の中小企業庁とも十分な連絡をとりながら、今御指摘のような点について十分検討さしていただきたい、かように考えます。
  161. 駒谷明

    ○駒谷委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  162. 竹内猛

    竹内委員長 次に、田中慶秋君。
  163. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 最初に、貿易摩擦問題等に関連する諸件について質問を申し上げたいと思います。  御案内のように、諸外国の対日貿易赤字や我が国の市場開放対策等について、先月九日の対外経済対策決定やボン・サミットによって対日の不満は解消されたやに認識を持たれていると思いますけれども、しかし現状ではアジアの諸国、発展途上国等々含めて、対外経済対策に対して先進国向けである、特にアメリカ向けの対策だと見て、対日批判はまだ根強いものが残っているということがそれぞれ報じられたり、あるいはまた、先般自民党の藤尾政調会長がASEANを訪問されたときにもこれらについて御指摘を受けたようでありますけれども、これらの実態はどうなっているのか、最初にお伺いをしたいと思います。
  164. 金子一平

    金子国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、特にASEANの開発途上国に対しましては、昨年十二月の市場開放対策の際に、ある程度特恵関税について特別の配慮をする等の措置を講じたのでございまするけれども、いろいろな問題についてたくさんの不満が残っておることはやはり事実でございます。特にことしは、六月に日本とASEANの閣僚会議が開催される予定でございますので、四月九日に決めました対外経済対策では、個別品目の関税引き下げに係る決定を本年前半中にも行うことにしておるような実情でございます。それで、今各省庁で作業中の市場アクセス改善のための行動計画をつくるに当たりましては、開発途上国の経済発展の促進に役立つような対策についても特に配慮して、日本がアメリカ向けの対策だけやっているのじゃないぞということを示す努力をいたしておる状況でございます。
  165. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 御案内のように、今ASEANの問題も指摘をされたわけでありますが、実はアメリカのウォール・ストリート・ジャーナルで、政府の九日の市場開放策発表について「米国内の保護主義者らの脅威から身をかわすには至らなかった」というようなことを述べながらも、レーガン大統領でさえこの開放策は実効性のある措置ではほとんどないということを言われていると報道されているわけであります。特に七月までに具体的にこれらの問題について検討すべきではないかというような意向もあるやに承っておりますけれども、これらの問題についてはどうお考えでしょう。
  166. 金子一平

    金子国務大臣 関税の障壁につきましては、東京ラウンドによる前倒しをアメリカ、ECに先駆けてやっておりますから、これは特定のものを除いては日本は世界で一番安いところまできておるのじゃなかろうかと思います。ただ、非関税障壁と申しますか行政上、法律上のいろいろな輸入手続上の障害が日本は諸外国に比べてまだまだ多い。そういう意味において、輸入が非常に不公平に扱われておるあるいは不透明な面が多いという指摘が従来特にこの面においてなされておりますので、今度の市場開放対策におきましても、こういう点に重点を置いて実績を上げましょうという発表をしておるのでございまして、今行動計画を各省でやっておりますのも、こういう問題に重点を置いてやっておりますから、相当程度の効果が上がるのではなかろうかと私は期待しておる次第でございます。
  167. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大臣はそれぞれこれからの経済政策に期待をお持ちのようでありますが、先月の対外経済対策は諸外国の対日フラストレーションを一時的に鎮静化させるのに役立ったと考えられているわけでありますけれども、日本の貿易の黒字が大幅な減少に至らない、具体的な数字であらわれていない限り、貿易摩擦というものは今後も解消しないでしょうし、またこれらが今後の大きな問題になっているわけであります。  特に、関税等々の問題を含めて日本に求められているその一つの中には、御案内のように日本のシステム、組織が複雑である、民間依存とかいろいろなことが言われておりますけれども、活力等々の問題を考えてまいりますと、基本的には日本の官僚的な組織の改善が望まれているということがよく言われたり、報道されておりますけれども、この辺についてはどのような対応をしているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  168. 金子一平

    金子国務大臣 ただいま先生指摘のとおり、やはり輸入手続にはなかなか厄介な点がございまして、例えばよく例に挙げられることでございますけれども、ミネラルウォーターを輸入するには煮沸しなければいかぬとか、その必要はないと私は思うのですが、そういう例が多過ぎたということが一番刺激を与えているのじゃなかろうかと思うのであります。  それで、そういった問題は今一斉に洗い直す作業をいたしておりますので、それがなくなって公正な扱いを受ける、特に今度のアクションプログラムをつくるに当たりましても、アメリカの代表、ECの代表あるいはASEANの代表を入れるというようなことで、いろいろ意見を聞きながらやっておりますから、それが公平な扱いを世界各国に対してやってくれているのだなということになりますと――黒字は一遍に解消させることは正直言ってなかなか難しいと思うのです。特に日本はある程度貿易立国で食っている国ですから、貿易を全然なくするわけにいきませんので、それはそれなりの努力をして、日本が輸入についても公平にやっております、同時に、輸出についてもどしゃ降り的な輸出はやりませんという秩序正しいあれをやれば、ある程度不満は解消できるのじゃないか、その第一歩をとにかく早く片づけたいということでせっかく努力している最中でございます。
  169. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今大臣から対外経済対策の決定に基づく市場アクセス改善のためのアクションプログラムの策定というものの考え方を述べられておりますけれども、四月の十九日、政府・与党対外経済対策推進本部が発足したと聞いておりますけれども、基本的なその概要あるいはまた考え方を述べていただきたいと思うのです。
  170. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、四月十九日に対外経済対策推進本部というのが発足をいたしました。これは簡単に御説明申し上げますと、本部長が内閣総理大臣、副本部長が五人おられまして、これは河本国務大臣、それから経済企画庁長官、さらには官房長官という三閣僚、それに自由民主党の政務調査会長と国際経済対策特別調査会の会長、つまり藤尾政調会長と江崎調査会長、このお二方が党から参加されまして副本部長となる。本部員というのは全閣僚ということになっております。それ以外に、自由民主党の主要役員、つまり副総裁、幹事長、総務会長、幹事長代理、参議院議員会長、それから国際経済対策特別調査会長代理の倉成議員及び新自由クラブの代表、この方たちが本部員になる。この本部のもとに実行幹事会というのを置きまして、内閣官房副長官、事務の副長官であります藤森副長官がこの座長になって、全省庁の事務次官が実行幹事になる、こういう構成になっております。この実行幹事会を補佐する形で関係局長会議というのが置かれております。関係局長会議の世話役と申しますか議長が経済企画庁の調整局長、こういう形で、政府と与党一体となった強力な推進本部が発足をした。  この推進本部におきましては、四月九日の対外経済対策の推進をする、こういうことが主題でありますけれども、特にその中で、今お話しになっておりますアクションプログラムの作成と決定をする、これを主要な業務に取り上げておるわけでございます。四月十九日に第一回目の会合が開かれまして、そこでアクションプログラムの策定要領というのが決定されました。  現在、この策定要領に従って各省で鋭意作業を進めている、こういうことでありますけれども、このアクションプログラムの策定に関しましては、基本的な考え方といたしまして三つございます。一つは、原則自由、例外制限、こういうことで、すべての項目について再点検をする、これが一つ。できるだけ政府の介入というものを少なくして、消費者の選択と責任において処理をする、こういう考え方で改めて見直してみよう、これが第一の原則でございます。第二の原則は、これから新しいガットの多国間貿易交渉が進められます。いわゆるニューラウンドでありますけれども、ニューラウンドをリードするに足るような内容のものに持っていきたい、これが第二の原則でございますし、第三番目の原則というのは、発展途上国に役に立つような、発展に寄与するような内容のものでなければいけない。大きく言いましてこの三つの考え方に従いまして、現在各省庁でそれぞれの所管にかかわるアクションプログラムを作成中でございます。各省の体制といたしましては、事務次官がキャップとなりまして、アクション・プログラム策定委員会というのを設けております。全省庁、二十二省庁について既に作業が進んでおるところでございます。  今後の予定ということでありますけれども、六月二十日前後に第三回目の推進本部を開催する、この推進本部におきまして、各省の事務次官からその時点におきますところの作業の進捗状況を中間報告していただく、こういうことになっております。一応の骨格、一応と申しますのは大綱という意味でありますけれども、この骨格を作成するのが七月中に作成をするわけでありますけれども、その間におきまして、個別関税の引き下げにつきましては、先刻大臣からも御答弁がございましたように、六月中というよりも、六月二十七、八日に開催を予定しております日・ASEAN閣僚会議に間に合うように決定をする。こうした個別関税の引き下げられました成果につきましては、後ほどアクションプログラムの一部として取り込む、こういうふうな考え方で現在鋭意作業が進んでいるところでございます。各省が作業をしておりますけれども、これをプロモートし調整をする、こういうことで私ども経済企画庁調整局が各省に対していろいろ御相談をしお願いをする、さらに俗な言い方で言いますとしりをひっぱたいている、こういうのが現状でございます。
  171. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 概要をお伺いして、その取り組みについては積極的な姿勢というふうに見られますけれども、大臣、今政府で一方旗印として行政改革をする。現実に進めていますね。それぞれの省庁、少なくても事務次官クラスを含めて全部出る、そこまでして、この経済対策の問題がデーリーワークの中でなぜできないのでしょうか。こういう組織に屋上屋を重ねて組織をつくらなければできないのでしょうか。大変この辺が、片方では行革をやる、片方はそれぞれの組織をつくる、今それぞれの省庁が機能的に横の連携なりそれぞれの連携を密にすることによってそういうものは十二分に発揮できるのじゃないか、私はこんな気がするのです。それは対外的にこういうものをつくってやりますよという姿勢として、ゼスチャーとしてだったらわかりますけれども、そうじゃなく、今あるそれぞれの省庁間の機構というものを十二分に発揮する、企画庁はまとめ役ということですから、その辺、企画庁にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
  172. 金子一平

    金子国務大臣 新しい制度をつくったというわけではございませんで、各役所で中心になって働いていただいておるのはやはり各省次官でございますし、先ほど来話が出ておりますようないろいろな行政上、法律上の非関税障壁を取っ払うのにつきましては、次官が中心になってこれはこうしようじゃないかというようなことで話し合いをしてもらわなければいけません。そういう意味において各省次官にも参加してもらって、それで各省大臣で何回か打ち合わせをしようということでございますので、行政改革をやろうという際に特に新しい組織をつくって、また変なものをつくった、こういうことではないのでございまして、今いみじくもおっしゃったようにこれは大事業でございますので、中曽根総理としてはこれを最重点的に強力に推進しようということで今のような本部ができたと御了承いただけば結構でございます。我が企画庁でも新しい組織を別につくっているわけではございませんで、次官が中心になって、調整局長が、本来の仕事でございますけれども、各省の全体の取りまとめ役を買って出てお手伝いをさせていただいておる、こういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。
  173. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これからもあることだと思うのですね。ですから、前々から日本の貿易摩擦というものが心配されていたわけです。そういう点では、政府・与党の対外経済対策推進本部ができたからということだけで物が解決するのじゃないと思うのです。それぞれの長い歴史の中でそれぞれの省庁が機能的に役割分担をしてやればこういう問題は解決するわけですから、総理がどうのこうのという、確かにそれは一つの姿勢かもわかりませんけれども、そうじゃなく、やはりこういうことは、はっきり申し上げて今ある省庁間で横の連携がとれていないからこういうものをつくらなければいけない。いろいろなものを一つでもやってごらんなさい。私だっていろいろなことを聞きますと、必ず横の連携がない。一つ一つがみんな分断されている。こういうところに大きな問題が出てこれをつくらなければいけなかったのだと私は思うのです。あなたにこういうことを言ってもしようがないと思いますけれども、しかし、まとめ役ということですから、こういう問題を含めてこれからぜひその連携を、それぞれの機能が十二分に発揮できるようにしていただきたい。これはぜひ要望しておきます。  そこで、実は七月中にアクションプログラムの骨格を取りまとめるという御報告を今ちょうだいいたしました。しかし今問題になっているのは現在の貿易摩擦でしょう。貿易に対する日本の黒字をどうするかということで、これはこの黒字解消策としてすぐに効果が出てこないというような感じが私はするわけです。一部的には先ほどの関税の問題とかいろいろなことが出てこようかと思いますけれども、そういう点では、むしろできるだけ実効のあるような形の中でその取り組みというのがはっきり申し上げて急がれるんじゃなかろうかと思うのです。やはり諸外国でそれを期待しているんだと思うし、そういうことが今また我が国としても必要なことじゃないかと思うのです。ですからそういう点では、骨格を取りまとめてそれでまた云々なんということで長々とやっていたのでは現実問題として間に合わない、私はそんな気もするので、この辺についての考え方を、これは再度大臣お聞かせいただきたいと思います。
  174. 金子一平

    金子国務大臣 お話しのとおり、このアクションプログラムをつくったからといって一遍に黒字が減少するものではないと考えております。今、製品輸入をしっかりひとつやってくれよということを、通産省なんかも中心になりまして関係者にいろいろお願いをしておるような状況でございます。日本は黒字がありますけれども、これは政府のものではないのでございまして、消費者の選択でやはり買ってもらうわけでございますから、そういう方面への努力を今一生懸命にやっておるのでございますが、しかし、諸外国日本に対する一番の心配は、日本が無理をしていろいろな非関税障壁をかけている、これをいつどうやって取っ払ってくれるんだという点に中心があると思うのでございます。この間のOECDの会議でも、君の方でそこまで言っていろんならひとつどこまでやってくれるのか、執行猶予とまでは言いませんが、成果が上がるのをしばらく見守ろうということを各国の代表が皆言ってくれておりましたけれども、そういうことで着実に進むかと思うのでございます。  それから、政府といたしましても、政府調達等に関するものにつきましては、必要があるものは外国の物をどんどん入れたらどうかというようなことでやっておりますし、日産自動車なんかも自分の関係会社の物でない向こうのコンピューターの大きなものを入れたというような報道も出ておりますが、だんだんとそういう意味で消費者の考え方が変わってくれば、また各国の日本に対する考え方というものも当然変わってきはしないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  175. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 先ほどもお答えがあったわけでありますけれども、先般も、四月九日、対外経済対策に関する総理大臣の談話というのが発表されましたね。それで、アクションプログラムに関する問題の中で、「特に、市場アクセスの改善については、「原則自由、例外制限」の基本的視点に立ち、」という、今御説明をいただいたとおりだと思うのです。ところが、「「例外」の内容も必要最小限のものに限定するとの提言を受け入れ、政府の介入をできるだけ少なくし、「消費者の選択と責任にゆだねる」という方針の下に、できる限り早期にそのためのアクションプログラムを策定し、遅滞なく実施していく。」はっきり申し上げて、こういうことが言われているのが今じゃないかと思うのです。  確かに我が国の貿易の問題を考えて、自由貿易体制の恩恵を最大限に受けているという考え方で総理大臣の発言があったわけでありますけれども、しかし、はっきり申し上げてそれはポーズだけではいかぬと思うのです。本当に実効あるものをしなければいけないんじゃないかというふうに私は思うのですけれども、今いろいろなところ、ちまたで叫ばれているのは、大変すばらしい発想とポーズだ、しかし本当に実効があるのかな、こういう心配をされているのが事実であります。  私はその辺について、市場開放がこれからどうなるのかということを心配されている問題があるので、このアクションプログラムをはっきりといま少し早める、今大臣からもいろいろなことを述べられておりますけれども、もっと急がせるべきじゃないか、この論議がもっとされないといかぬような気がするわけですね。六月二十日に第三回目をやる、次は七月中にとか、いろいろなことでそれぞれ計画性はあるでしょうけれども、しかしもっと回転といいますか小回りのきくような形で、せっかくその本部をつくったのですから、今まで省庁間の横の連携でなかなか難しい、お互いに縄張り争いがあったかもわかりません、しかし推進本部をつくったということで、その中で具体的にやるならばもっと小回りがきいていいのじゃないかな、私はこんな感じも受けるのですけれども、この辺はいかがでしょう。
  176. 金子一平

    金子国務大臣 お話しのとおり、できるだけ急がせるつもりでおります。ただ、法律の規制による基準・認証の問題がありますので、なかなか簡単にいかないものもあるものですから、一遍にすぐというわけにいきませんけれども、できれば六月、七月に、当初は三年間にやりますというようなことを言っておりましたけれども、急がせる必要があることが大事であることはお話しのとおりです。特に、日本は保護貿易主義で外部から取り囲まれたらにっちもさっちもいかぬようになりますから、アメリカの今の議会の空気が少し和らいだのも、日本がそこまでやってくれるのかということで日本の出方を待っている段階だと思っておりますだけに、私どもは真剣にこの問題は進めてまいりたいと考えております。
  177. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひそんなことでやっていただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。  次に、ボン・サミットで新ラウンドの早期開始ということを一つの合い言葉のような形の中で日米が主張され、一九八六年早期開始等々の問題についてはフランスの反対で合意が得られなかったということが報道されているわけであります。新ラウンドに対する今後の見通しについて、対象分野等々含めながら大臣に具体的にお聞かせをいただきたいと思うのです。
  178. 金子一平

    金子国務大臣 日本、アメリカ、西ドイツなどはぜひ早く手をつけたいということで主張したのでございますが、フランスを中心にECの多くの国の反対がございまして、やっとボン・サミットで一九八六年には手をつけたいということで話し合いがついたわけでございますが、それまでに各国間で広い合意を得るためには、やはり高級事務レベルによる準備会合を何回かやる必要がございます。ことしの夏の終わりまでにガットにおいて高級事務レベルによる準備会合をやることが有効であると考えておるわけでございまして、先進国並びに発展途上国の参加を得なければなりませんし、こういった国々の満足できるような対象分野を選ぶことが必要であると考えておりますので、これは高級事務レベルで十分検討してもらうつもりでおります。
  179. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 対象分野等についても恐らく具体的に急がれてくるものだと思いますし、例えば新ラウンドの交渉が始まっても日本の貿易黒字が減少しなければ、我が国に対する貿易の市場開放要求というものは弱まるのではなく、逆に市場の閉鎖性等々が指摘をされて、これからの新ラウンドが円滑に行われるかどうかということも大変心配をされるのではないかと思います。そんなことを含めて、ぜひこの辺については特に大胆に取り組む必要があるだろう、こんなふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  180. 金子一平

    金子国務大臣 お話しのとおりでございます、そういう気持ちでこの問題に取り組んでまいります。
  181. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 次に、内需拡大等の問題についてお伺いをしたいと思います。  アメリカの経済成長率が二・一%から一・三%と下方修正されたことは、新聞その他で皆さん御案内のとおりだと思います。さらに下方修正される心配があるのではないかと思いますが、その辺について現在どのように受けとめておられるか、まず冒頭にお伺いしたいと思います。
  182. 金子一平

    金子国務大臣 アメリカの一-三月期の実質GNPの成長率は、速報値で前期比一・三%と、従来から比べると大分下がっておったのでございますが、実は先般〇・七%に下方修正されまして、予想外の落ち込みだなという感じでいろいろ調べてみたのですが、原因は主として純輸出のGNPの寄与度のマイナス幅が拡大して、それが反映したということでございまして、個人消費なり住宅投資は依然堅調であるという状況でございます。  アメリカ経済が今後どうなるか、強弱二つの議論がありまして、決め手になるものは私どもまだ入手いたしておりませんけれども、まあ比較的堅調な経済の推移をしておるなというふうに見ておるわけであります。ただ、今後の動きにつきましては、経済の運営に誤りなきを期するために十分注意してまいらなければいかぬと考えております。
  183. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 我が国の経済というのは、アメリカの経済と表裏一体のような形であると思います。すなわち、アメリカの経済がスローダウンすることで輸出が停滞する、あるいはまた、先般経済企画庁が発表された法人企業動向調査及び機械受注統計調査によれば、設備投資も今までの好調からもう既に転換しつつある、すなわち、停滞の方向あるいはまた減少が予想されるのではないか、こんなことが受け取れるわけでありますけれども、輸出と設備投資は今回の景気回復の主な主役であったわけであります。この二本立てが大変先行きが厳しいということであるならば、内需の拡大や貿易黒字の解消に特に困難な要素があると思うのですけれども、これらの問題について、その見通しを明らかにしていただきたいと思うのです。
  184. 金子一平

    金子国務大臣 最近、輸出の伸びがだんだん鈍化しておることも事実でございます。また、設備投資が昨年に比べてある程度落ち込んでおることも事実でございますけれども、輸出と無関係な設備投資が比較的根強く、幅広く伸びておるように私どもは見ておるわけでございます。数字的には今担当の局長の方から御説明させまするけれども、輸出が落ち込んだからといって、すぐ設備投資が大幅に落ち込むような状況ではないんじゃなかろうかと考えておるような次第でございます。
  185. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 設備投資の動向につきまして大臣の御答弁を補足させていただきます。  先生指摘になりましたように、つい先日、経済企画庁法人企業動向調査で設備投資の調査結果を発表申し上げましたが、これは五十九年度の実績見込みが一二・三%増に対して六十年度の計画が三・七%増とかなり鈍化するという姿であったわけでございます。しかし、これは三月時点における企業の今年度の計画を調査したものでございます。したがって、新年度に入っての企業の設備投資計画は全部出そろっていない、まだ未確定のところもございます。これが確定してくるに従って、六十年度三・七%というのは上方修正される可能性があると思います。例えば去年五十九年度の計画は三・九%の増だったわけです。それがふたをあけてみるとこの一二・三%まで上がったということでありまして、したがって、六十年度は三・七%でありますけれども、スタートラインとしては去年の計画とそう変わりない状況でございます。  ただ、先生も御指摘のように、去年はアメリカの景気が非常によくて日本の輸出も非常に伸びたという環境の中で上方修正されていったわけでありまして、ことしはややその辺の模様が変わっておりますので、この三・七%が昨年度並みに一〇%を超えるほど高くなるというところまでなかなか断言しかねると思いますけれども、これよりは高くなると考えております。それが一点でございます。  それからもう一点は、上期、下期別に調査しておりますが、六十年度上期は前期化四%増になっております。前期化四%増と申しますと、年率では八%を超える増でありまして、政府の経済見通しでも六十年度名目八・三%でございますけれども、企業の計画も今年度上期は大体そのラインになっている。したがって、年度前半が年率八%ペースでいっているのに年度全体が三・七%になってしまうのは、後半マイナスという計画に今のところなっているということなんですが、そこはやはり先ほど申しましたように、企業の計画がまだ確定していないという部分、特に先行きについては確定していないという部分と、先行きの景気動向について企業の模様眺めの面があるという点があろうかと思いますので、年度後半にかけてどうなるかというのは内外の経済情勢を慎重に見守る必要があると思いますが、三・七%という数字だけから六十年度は非常に低くなる、あるいは年度後半必ずマイナスになると悲観的に見る必要は必ずしもないと存じております。  以上でございます。
  186. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 経企庁の説明はよくわかりました。しかし、日本開発銀行の「調査」で、我が国の場合という形で、輸出の拡大が設備投資増加の大きな要因となり、副次的な効果を含めて五十九年度設備投資のうちの七六・五%が輸出拡大に誘発された投資だったということを述べております。こういう形でしておりますと、今言われたものと多少裏腹なところがある。例えば今後の輸出が減少するようなことになれば、内需の拡大の一つの要因として期待している設備投資が停滞することにより、現実には今述べられたようなこととは裏腹な関係になる。経企庁の考え方は数字に基づいているかもわからないけれども、去年なりおととしの例からすると、逆に停滞する心配があるわけであります。アメリカは下方修正されてそういう形で来ている、そして今申し上げたようなことですから、ここら辺についていま少しちゃんとしておかぬと大変えらいことになるなという心配があるわけです。これについての所見をお伺いしたい。
  187. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 先生おっしゃいますように、開発銀行の「調査」で、設備投資の増加に対する輸出誘発の寄与度が七六・五%という研究があることは存じております。確かに昨年までの日本国の設備投資の増加の要因を内外需別に分けて私どもが検討しましても、七六・五になるかどうかはともかく、半分以上は輸出に依存していたような、計量的な分析をしますとそういう姿になることは事実でございます。  ただ、大臣も申し上げましたように、最近ハイテク関係、コンピューター、オフィスオートメーション、いろいろな分野で、いわば生き残りのために企業間競争をやるために、中小企業でも、製造業のオフィスでもあるいは非製造業でも、いろいろ新しい機械がどんどん入ってきている。これは設備投資につながるわけですし、必ずしも輸出につながっていない、そういうもののウエートが高まってきているということがございまして、例えば、先ほどの企画庁の法人企業動向調査の中では、設備投資の量だけではなくて企業のいろいろな意識も調査しておりますけれども、企業は、先行き、外需、輸出の伸びについて、増加と見る企業と減少と見る企業がほぼ同数、だから企業数でいうと、プラスとマイナスを差し引きしますとほぼゼロ、要するに外需はふえないと見る企業が非常にふえているわけですけれども、しかし、設備投資については、先ほど申しましたように、ふえる、あるいは自己企業の収益もふえるという見方もかなりありまして、したがって、最近、企業の見方が、外需は確かに去年ほどは強くない、どんどんふえていく状況ではないけれども、ハイテク、技術革新、あるいは内需の増加に対応して生き残りのための設備投資をするという部分もふえてきているように思いますので、昨年の半分以上輸出に依存していた設備投資という姿が少し変わってきているのじゃないかと私どもは考えております。
  188. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それは経企庁の一つのデータでしょうから。しかし、ハイテク関係にしても、技術革新に備えていろいろなことをやろうとしていても、中小企業の人たちは今の税制でやれないのです、はっきり申し上げて。例えば減価償却の年限を見ても、やろうとしたってやれない。力関係の問題があります。あるいは例えば今の融資制度の問題をとっても、現実にできない。ですから、もし経企庁でそういうことを考えるのでしたら、いま少し通産省を初めそういう機関とそれこそ横の連携をとって、やりたい意欲があるわけですから、その意欲をちゃんとできるような形をむしろ今のような措置の中でやるべきだろう、こんなふうに私は思います。その辺について大臣、ちょっと見解を述べてください。
  189. 金子一平

    金子国務大臣 そういう面につきましては、十分中小企業庁とも連絡をとりながらやっております。特に、ことしは投資減税を中小企業について認めましたね。あれも、金額的には大きくはないのでありますけれども、一つの呼び水としてああいう制度をつくったわけでございまして、これは特別償却の制度もできれば取り込みたいと思っておりますし、十分これから検討させていただきます。
  190. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大臣からそういう考え方ですから、むしろハイテクとかそういうことは特別償却を考えるべきだと思うのです。西ドイツはもう既に考えて実施に移しているのです。むしろ向こうは単年度あるいは二年ぐらいの中でみんな特別償却をしているわけですから。日本だって当然、今の内需の拡大、貿易摩擦の解消のためにはそうすべきであろう、こんなふうに私は思いますので、その辺は大臣、これからぜひ進めてやっていただきたい、これは要望しておきます。  ところが、余り気に食わない考え方が経企庁から述べられているのですけれども、実は減税の問題です。  私は、内需の拡大、個人消費の拡大というのは所得減税によるところ大であろう、こんなふうに思うのです。ところが、経企庁は、減税については、意図的かどうかはわからないけれども、むしろ消極的といいますか、否定的のような見解を述べられているわけであります。大臣、前の大臣の河本さんは、この減税問題はより推進論者でありましたし、私とここでのやりとりの中で、内需の拡大なりあるいは個人消費の問題は、さきの呼び水じゃありませんけれども、減税によるところが非常に大きいと思う、こう述べられているのです。議事録を見てください。しかし、大臣がかわるとこんな形で見解も変わるのかなあと思って、今不思議でしょうがないのですけれども、この辺の見解を明確にしていただきたいと思います。
  191. 金子一平

    金子国務大臣 今御指摘のございました研究というのは、経済研究所で、五十八年以来、筑波大学の先生を招聘して、家計の消費、貯蓄行動の研究を行った結果をまとめて発表したものでございまして、一つの仮説とお考えいただいたらいいと思うのです。我々は、端的に、減税があればすぐそれが消費に結びつく、こういう考え方をとっておったわけでございますが、この林先生は、消費は一生の本人の所得によって決まるもので、その年あるいはその月のあれで決まるものではないぞというような結論、一つの仮説を出されたわけでございます。これは前提につきましていろいろ問題もございましょうし、とり方によっていろいろ考え方もございましょうから、こういう考え方もあると。しかし、今お話しのような、我々は、常識的には可処分所得がふえれば消費がふえるのは当然だと考えて今までやってきたのですが、現に、一昨年でございますか昨年でございますか、大幅の、一兆何千億の減税をやりましたが、それが支出にすぐに結びつかなかった。その原因は、御承知のとおり教育費だとか住宅ローンとかいろいろございますけれども、そういう問題とも絡んでこの仮説が浮かび上がった、こういうふうに御理解いただけば結構でございます。
  192. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 まあ一つの仮説でしょうから、仮説を経企庁がこれからの日本の経済政策の指針のような形で誤解をされるようなことはぜひやめてもらいたいと思います。今言ったように、可処分所得とかベースアップとかいろいろなことを含めて、それも一つの方法であろうし、やはり減税というものも、先般のボンのサミットにおいても、内需の拡大には減税の問題とか時短の問題とかいろいろなことを具体的に指摘をされたと思うのです。そういう点も含めて、今減税というものが国民の中で大きく要求され、あるいはまた、野党が一丸となって一兆一千五百億の減税要求をしている最中に経企庁がそんなことを言われると、大変おかしな方向になりますので、その辺の発言というのはやはり慎重にしていただきたい、こんなふうに思います。これは要望しておきます。  むしろ大臣が言われているように、最近の経済の動向については、例えば住宅建設等々、四月二十四日の参議院の生活特別委員会で、内需の拡大の関連の中で、住宅減税、都市再開発等々の問題とかいろいろなことを含めて述べられているわけですから、そういう点では、減税も、さらにまた今言ったような住宅減税とかいろいろなことを模索をされて、内需の拡大というものはできるような気が私はします。そういう点を含めてこのバランス、私は、バランスの問題だと思う。日本は現実に資源がないわけですから、輸出もしなければいけない、しかし、内需も拡大しなければいけない。こんな形で、そのバランスの中で今一番必要なのは住宅建設というものだ。マイホームのそれぞれの皆さん方のプランニングもあるし、大臣が先ほど言った生涯所得かもわかりません。そこには住宅というものも当然含まれていることも事実ですから、そういう点では、いろいろな形で、総理が言われているように民間活力を本当に求められているのだったら、その活力を導入しやすいようなことをやるべきだろう。これらの問題を含めて、輸出に頼る設備投資が恐らく減るだろう、ですから、それにかわるべきものを何らかの形でやるべきである、こんなふうに私は思いますけれども、その辺の見解を述べていただきたいと思います。
  193. 金子一平

    金子国務大臣 今お話のございましたように、できるだけひとつ知恵を絞って、公的規制の緩和の問題、民間活力の導入の問題、あるいは住宅なり生活環境の整備、いろいろ打つ手はあると思うのです。ただ、財政が余りにも厳しい状況ですから、どこまで切り込みができるのか、これからの経済の流れの中で財政にどれだけのゆとりができるのか、財政再建をどう考えるのが、それはこれからの景気の状況を見ながらできるだけの努力をしてまいりたい。経済は生き物ですから、やはり時々刺激を与えなければいけませんし、十分御指摘の点を考慮しながら最大の努力をいたすつもりでおります。
  194. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 確かにいろいろな問題があろうと思います。予算委員会の一連の質問で、減税とかいろいろ出てくるが、最終的には財政の問題が出てくる。しかし私は、減税でも財政を確立するための一つの手法だということでやられていると思います。ですから、その辺はやはりテクニック・アンド・バランスの問題でしょうから、そういう点を含めてぜひやっていただきたい、こんなふうに思います。  次に、労働時間の問題についてお伺いしたいと思います。  この労働時間短縮の問題については、私どもの同僚であります塚田議員からも、経済摩擦の関連で、いろいろ時間の短縮について質問をさせていただきました。労働省の高橋部長が、一層努力をしてまいりますという答弁をされたわけであります。対外経済問題諮問委員会の報告書の中に、「国際的な労働基準の観点をも踏まえた余暇時間の拡大が図られるべきである。」ということを指摘されているにもかかわらず、現在の経済対策の中においては全然触れられていない。こういうことではやはりいかぬではないかと思います。  特に、今度のボン・サミットにおいて、労働大臣が各国の要請に応じて参画をされたわけでありまして、世界一労働時間が長いということも貿易摩擦の一つではないか、こんなことも指摘をされたわけでありますけれども、これらについて労働省と政府の施策というものが相反するところがあるように見受けられるのですが、この問題についての見解を述べていただきたいと思います。
  195. 松原東樹

    ○松原説明員 労働時間の短縮の問題につきましては、労働者の健康の確保、それから生活の充実といった問題、さらには長期的に見た雇用の確保などの観点に加えまして、国際化への対応からも必要であるということで、従来から推進に努めてまいったところでございます。  ただいま先生指摘ございました対外経済問題諮問委員会の報告におきましても、市場アクセスの一層の改善などとあわせまして内需中心の持続的成長についての政策提言がございまして、その中に、内需拡大のためにも労働時間の短縮が必要であるというふうに指摘されておるところでございます。  さらに、この諮問委員会の報告を受けまして、対外経済対策の中におきまして、これらの中期的な政策提言も十分尊重して今後の政策運営に当たるという決定が行われておるところでございまして、労働省といたしましても、こういったことも踏まえまして、今後とも労働時間の短縮の推進に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
  196. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今後とも推進に努めていきたいという決意はわかりますけれども、今現在、世界一長いということが指摘をされているわけですから、やはり近い将来、完全週休二日制とかということがいま少し促進をされていいのではないか、この辺が一つ。  もう一つは、予算委員会でも問題になりました、メーデーを労働者の祭典として休日の法制化をする、あるいはまた、五月の大型連休を太陽と緑の週間としての具体的な法制化等々の問題がそれぞれ要求されたり、指摘をされてまいりました。これらについて自主的とかいろいろなことを言われておりますけれども、少なくともボン・サミットの中において労働時間の問題も指摘されて、来年は東京サミットですから、この一連の動きというのは大変急を要する問題ではないか、こんなふうにも私は思うのです。その辺についての見解を述べていただきたいと思います。
  197. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘ございました週休二日制の問題につきましては、労働時間の短縮を進める上での最も重要な点の一つであると私ども考えております。こういったことも含めまして、今後の労働時間短縮の進め方につきましては、現在、中央労働基準審議会で御議論いただいておるところでございますが、そこでの議論を参考といたしまして、今後の労働時間の短縮のための展望と指針を策定いたしまして、これに基づきまして進めていきたいと考えております。  それから、メーデー等の祝日の問題につきましては、祝日の関係の法律が従来議員立法という形で扱われてきたということもございまして、現在、与野党の協議の場がつくられております。その議論の結果に期待し、それに従って適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  198. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 従来の経緯は、確かに祝日、祭日というものは議員立法かもわかりませんけれども、それも、労働省の積極的な働きがあって初めてそういうことが実現可能になっていくわけであります。ただ議員立法に期待するということであってはいけないわけでありますから、両方が相まって初めてそういうものが実現できるのだと私は思います。その辺について、私は、積極的な姿勢を望んでおきたいと要望しておきます。  ところで、この労働時間等の問題も含めて調べてみますと、基本的な労働基準法というのは、実は三十八年間改定されてないということが明確になったわけですけれども、労働基準法の改定についてはどのような見解をお持ちになっているのか、お考えを述べていただきたいと思います。
  199. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のように、労働基準法につきましては、施行以来三十七年を経過して、最近の経済社会情勢の変化、特にサービス経済化の進展等によります雇用就業形態の複雑多様化に伴ういろいろな問題が出てきております。そういうことで、労働界あるいは産業界からも改正について多くの要望が従来出されております。  このような情勢にかんがみまして、労働省では、昭和五十七年の五月に労働基準法研究会を再開いたしまして、専門的立場から実情、問題点の洗い直しをしていただきまして、昨年、その中間的な報告がなされたところでございます。研究会におきましては、現在引き続き労使あるいは関係の専門家の意見を聞きながら最終報告を取りまとめるように進められております。  労働省といたしましては、これを受けまして、関係審議会の意見も聞きながら基準法の改正等所要の施策を講じてまいりたいと考えております。
  200. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今努力をされていることは大変結構だと思いますが、具体的にその見通し、日時等について、大体のことがわかればそれぞれ述べていただきたいと思います。
  201. 松原東樹

    ○松原説明員 昨年の中間報告につきまして各方面いろいろな反響を呼びまして、現在、各方面から意見を寄せていただいておるところでございます。そういうことで、従来、ことしの夏ごろにはということで動いてきておりましたが、若干最終報告には時間がかかるのではないかということで、具体的にはまだ申し上げられるような段階にはなっておりませんので、御了承願いたいと思います。
  202. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 確かに中間報告は画期的なものとかいろいろなことを述べられておりまして、そういう点で話題になっていると思います。しかし、主務所管庁であります労働省がそれを積極的に進めることが、今日の貿易摩擦とか国際的な中でのあらゆるニーズにこたえることだと私は思うのです。そういうことを含めて、できるだけ積極的な姿勢が望まれていると思います。そういう今の私たちの社会環境だと思うのです。貿易摩擦その他のことを含めて今一番煮詰まっているときですから、そういう点で積極的な姿勢をぜひお願いを申し上げたい、こんなふうに思います。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  203. 竹内猛

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まず最初に、人工甘味料アスパルテームの問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  私は今手元に「食品添加物概要」という厚生省環境衛生局食品化学課が作成しました資料を持っております。この資料について厚生省は、消費者団体からの問い合わせに対しましても、また私どもの問い合わせに対しても一貫して、これは食品衛生調査会に出してはいない、単なる内部資料だと言われてまいりましたけれども、このアスパルテームについての「食品添加物概要」は本当に食品衛生調査会の場に出されていないのかどうか、まずお尋ねをいたします。
  205. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点でございますが、実は私どもの方に対しましてことしの三月の中旬過ぎにそういうお問い合わせがございまして、その時点では、調査会から既に二年経過しているというようなこともございまして、私どもとしては、当時事前に審議資料というものを先生方にお送りしておりますので、それを調べましたところ見当たらなかったというようなことなどから、調査会に配付していないというふうにお答え申し上げたところでございますが、その後さらに詳しく当時の関係者からも事情聴取いたしまして聞きましたところ、会議当日に参考資料として配付しているということがわかったものでございます。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はそれは大変いいかげんなことだなと思うわけです。調査会から二年たっていて、審議資料を調べたところそれが見当たらなくて、それからさらにその関係者に聞いたら見つかった、そしてこれは調査会にも出されていた、こういうことになるわけでありますね。もう一度そこのところ大事ですから確認しておきたいのです。
  207. 市川和孝

    ○市川説明員 そういう資料があるということ自体は私どももちろん承知はしておったわけでございますが、当時相当量の審議資料を先生方にお送りしてございまして、審議資料という形で私ども一括ファイルしておるものですから、そこにたまたま入れられてなかったということからそのように考えたということでございます。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 消費者団体に対しても、また私の方からも、たびたびこれは調査会に出されているのではないかということを確かめましたときに、それは絶対に出していないんだと公然と言ってこられ、事実をそういうふうに隠してこられたということに対して、非常に大きな疑問を感ずるわけです。単にそれは二年前のことで云々というようなことで果たして弁解になるのかどうかというふうに考えますが、隠したんじゃないですか。そうじゃないんですか。
  209. 市川和孝

    ○市川説明員 この資料は、先ほど申し上げましたように、当日調査会に参考資料として配付されておりましたが、それ以外にも都道府県だとかあるいは御要望のあった消費者方々だとかいろいろな方々に配付されているというようなものでございまして、特にそれを先生指摘のように隠すというような意図に基づくものではございません。私どもがもう少しきちんと調べをすべきものであったと思います。
  210. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは聞きますけれども、この資料にはアスパルテームの安定性について「pH二-五の四十度Cの水溶液中では八十日保存後でも九〇%またはそれ以上が残存している。」ということになっておりまして、これは一見してアスパルテームが熱に対しても強い安定性のあるものだということを示していると思いますけれども、この点はどうなんでしょうか。
  211. 市川和孝

    ○市川説明員 ただいま御指摘のありました記載は、アスパルテームを解説しております資料の安定性の部分で、いろいろな条件下で実験が行われた場合の点でございます。御指摘のとおりこの「概要」という資料では記述されておるわけでございまして、これは私どものもとの資料からこれをつくるときにミスがあったということでございます。正確にはここは「八十時間」というふうに書くべきところでございました。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これはミスプリントでしたということなんでしょう。実は「八十日保存後」ではなく「八十時間保存後」ということなんです、そういうことなんですね。でも、四十度の温度で八十日間保存をした後でも九〇%またはそれ以上アスパルテームは残存しているというこの「概要」の原文を見ますと、これは一見して、少なくともph二-五の四十度Cの水溶液中では八十日間保存後でも九〇%またはそれ以上残存するのだからアスパルテームは非常に安定性がある、こういうふうに読み取っていくわけです。ところが実はそれはミスプリで、四十度で八十時間保存すれば九〇%またはそれ以上残存しているけれども、しかし九〇%というふうな変動が起こってくる、こうなりますと、えっ、八十時間でそういうふうに不安定な状態がもう出てくるのかということになるわけです。そうしますと、「八十時間」を誤って「八十日」と書いたことで委員は評価の上で決定的な違いを生じてくる、そういうふうには言えないでしょうか。実はミスプリントでしたで済まされる問題ではありません。そして厚生省がその「概要」を調査会に提出したということについて言われたのは、本当にきょうが初めてですよ。消費者団体が聞かれても、私が聞いても、いいえ、出していないんです、この「概要」は出していないんですと言ってこられたそのこと自体、大変重大な問題が隠されていたというふうに思わざるを得ないわけです。これはどうしても再度審議をやり直すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  213. 市川和孝

    ○市川説明員 アスパルテームにつきましての審議資料と申しますか、これは食品衛生調査会の毒性部会あるいは添加物部会の委員方々に前もってこの安定性に関するものを含めまして相当大部の各種資料というものをお送りしてあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、御指摘の「概要」というのは私どもの方で作成いたしましたものを調査会の当日に配付したわけでございます。御指摘のように安定性に関する記述の一部に誤植があったことは事実でございますが、事前に調査委員に送付しております審議資料におきましては正しく記載されておりまして、これを見ていただいておりますので、審議には問題はなかったのではないかというふうに考えております。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はそんな言いぐさはおかしいと思うのです。確かに資料は事前に送付されておりましたよ。けれども、それはダンボール箱で三つもあったというじゃありませんか。そうでしょう。非常に細かい、膨大な資料がメンバーに送られていた。そして、その資料に一つ一つ当日までに目を通し、あるいは当日、その資料のすべてに目を通して審議をするわけにはいかないから、その日に「概要」というものが出され、そしてその「概要」に基づいて審議が行われていく、これは理の当然でしょう。私たちだってそうですよ。いろいろな問題の報告を受けるときに、五冊も六冊も資料を積まれて、このアスパルテームの資料というのは五冊や六冊どころじゃないのですが、膨大な資料を受けたときに、まずその「概要」を受け取って、そしてその「概要」に基づいて、ああ、ここにこういう問題があるのか、それではこれをポイントにしてもっとここのところを見てみようかとか、こういうことで話し合い、審議が進められていくわけなんです。そして、アスパルテームの性格上最も問題にされていた安定性の部分に致命的なミスがあったわけでしょう。それが調査会のメンバーに影響がないというはずはないわけです。まして皆さんが、調査会のメンバーに今この時点で意見も聞かれずにそういうことは余り影響ないんだというような言い方は、随分僭越じゃないですか。違いますか。
  215. 市川和孝

    ○市川説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、審議資料というものは事前にお送りしているわけでございますが、当時の審議におきましては、各専門分野ごとと申しましょうか、化学分野あるいは毒性分野というような分野別にそれぞれの御専門家の方が御発言をいただいたりして審議が進められたというふうに聞いておりますので、私どもとしてはこれは当然ごらんいただいているというふうに考えているわけでございます。  なお、先生おっしゃられましたような点については、確認をさせていただきます。
  216. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと聞きますが、確認というのはどういうことですか。
  217. 市川和孝

    ○市川説明員 この点について事前に送付している審議資料をごらんになられたかどうかということでございます。
  218. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そんなことをまじめに本当にやれると思いますか。今になって調査会のメンバーに、あなたはその膨大な資料に全部目を通されましたか、そんなことを聞くのですか。そんな失礼なことができるのですか。それとも、それは審議のやり直しということを意味するというふうに解釈したらいいですか。
  219. 市川和孝

    ○市川説明員 そういうことではございませんで、御指摘のありましたその部分についても、当然私どもはごらんいただいた上で十分慎重に御審議いただいたというふうに考えているわけでございます。しかし、膨大な資料でその部分について先生方が御承知にならないということであれば、これは重大な問題でございます。しかしながら、私どもはそれは当然見ていると思いますが、その点について必要であれば先生方に聞いてみたい、こういうことでございます。
  220. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何とも奇妙な答弁をされると私は思いますよ。私がもしか調査会のメンバーだったら、それが審議のやり直し――厚生省は「概要」でこういうミスプリントを出しておりました、それはアスパルテームの性格上非常に大きな中心的な問題であって、そういうミスプリントをした私たち責任もありますので、この際、もう一度審議をやり直してもらいたいとおっしゃるなら、それはわからぬ話じゃないです。しかし、膨大な資料を配って、自分のミスプリントのことを棚に上げて、そして、膨大な資料をあなたは本当に見たのかなんというようなことは、そんなのが世の中に通ずる話だと思うのですか。
  221. 市川和孝

    ○市川説明員 繰り返しで恐縮でございますが、私ども事前に資料をお送りしているわけでございまして、審議資料というものに基づいて十分御審議いただいているわけでございますから、私どもとしては、先生指摘いただきましたような点については問題はなかったものというふうに基本的に考えております。
  222. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、この話を進めながら、もう一度この問題をはっきりさせていきたいと思いますが、財団法人食品分析センター大阪支所が、ことし二月に、アスパルテームの添加飲料コカコーラライトを使いまして、夏季三カ月間の保存を想定して三十七度の温度下で保存試験をした結果、一カ月で二五%、二カ月で四二%のアスパルテームが分解をしていた、こういう結果が出されたわけです。夏の季節によく店頭にずっとアスパルテームの缶やなんかを積み上げてあったりあるいは倉庫に入れてある、家庭でも、場合によったらたくさん買い置きをしておいて、一夏じゅうもたせておくというようなことも一般的な状態としてはあるわけです。しかし、この実験結果は、そういうような状態の中でアスパルテームは分解をして、そして甘みが減少し、さらにジケトピペラジンやメチルアルコールというようなものが発生していく、こういうことになるわけでして、食品添加物としては非常に安定性に欠ける、こういうことが試験の結果明らかになりました。  大体、添加された食品の保存中に、添加物が二五%一カ月間という短い間に分解するようなものは、食品添加物としての商品価値がないというのが通念じゃないでしょうか。そして、食品添加物として不適格のものであるとこの試験の結果を見て私は言わざるを得ないわけです。その一番大事な安定性の問題について、厚生省は、だからこそ意図的に今日この場所まで隠してこられた。この試験結果についてはどういうふうに思われますか。
  223. 市川和孝

    ○市川説明員 アスパルテームpHが等の作用を受けまして比較的分解しやすい、pHが非常に高くなりますと分解しやすい、あるいは非常に低いところでも比較的分解しやすいというような性状は、既に安定性の試験結果として十分に資料の中にも盛られているわけでございまして、この性質については、ある意味では公知の事実でございます。  今回先生指摘のそういうデータにつきましても、私どももちょうだいしておりますが、アスパルテームが分解して生じますところのジケトピペラジンというようなものにつきましては、安全性が確認されている。実際問題として、このジケトピペラジンにつきましては、発がん性だとか催奇形性あるいは変異原性というようなものがテストされておるのでございまして、通常の使用量では、アスパルテームの分解によりまして安全性上の問題が生ずることはないというふうに考えておるわけでございます。
  224. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ジケトピペラジンとメチルアルコールの安全性の問題につきましては、私は意見があります。ただし、私は、ここでそのことをきょう議論しようとは思っておりませんので、この問題は、多方面からも指摘されている意見とあなたの今おっしゃったこととは大いに違うということだけははっきりさせておきたいと思うのです。  ただ大事なことは、コカコーラライトですね、これはpHが高いとき、低いときは分解しやすい性質を持っているというのは公知の事実だというふうに簡単におっしゃるわけです。資料をごらんになっておられるということですので、すぐおわかりいただけると思いますが、コカコーラライトというのは、pHはそんなに非常に高いもの、あるいは低いものなんですか。
  225. 市川和孝

    ○市川説明員 一般的な清涼飲料水のpHは、大体pH三前後ではないかと思います。
  226. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 だったらおかしいじゃありませんか。二から五の中に、安定的な中に完全に入るコカコーラライトです。二から五、そのちょうど真ん中の三・二、これがコカコーラライトのphですよ。そういう点では最も安定している状態にあるはずのものなんです。ところが、これを実際に使用して試験をしてみたら全く違う。二カ月間で四二%もアスパルテームが分解しているという結果が出てきたわけです。これは非常に重大な問題だというふうに思うのです。  もう一つ、厚生省の「概要」を見ますと、「アスパルテームの利用に際しては食品中での安定性が問題になるが、各種の食品で検討が加えられている。例えば常温で五ケ月間保存したサイダーは嗜好的には問題なく、八二・二%アスパルテームが残存し、」というふうになっています。これもこの試験結果と大変大きな違いが出てきているのじゃないでしょうか、どうなんでしょう。
  227. 市川和孝

    ○市川説明員 お答えいたします。  このデータは、申請企業におきまして試作したサイダーについて、二十度という常温で五カ月保存した結果を示しているものでございます。
  228. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、大阪日本食品分析センターの結果と随分大きな違いがあるということを聞いているのですが、その違いは認められますね。
  229. 市川和孝

    ○市川説明員 結果につきましてはかなり差があるのでございますが、この、大阪でございますか、私ども場所は承知しておりませんが、分析センターで分析された物の条件は、製造後二カ月経過後に試験をスタートいたしまして、三十七度の恒温槽の中に二カ月間保存をしたデータということで、保存条件についてはかなりの差があるものと考えます。
  230. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは、通常考えられる状態を想定して試験をした結果、厚生省の「概要」で出されているものと大きな違いがあるということが出てきたわけであります。先ほどから問題にいたしましたが、当日配られたその「概要」は、アスパルテームが一見して非常に安定したものであるという強烈な印象を受ける。八十時間で変化していくというのを見ると、これは大変だなというふうに思いますけれども、八十日でも九〇%というふうに見せられると、これはもう非常に強烈な印象として、安定した食品添加物だな、こういうことになってしまう。ここのところでミスプリントの問題は非常に重要な問題だ、これが一つです。  それから、その後日本食品分析センターが試験をした結果と、厚生省がその当日「概要」として配られている、サイダーの書かれていることとは、大きな違いがあり過ぎる。ここにも私は、ほんのわずかのこうした材料の中からも非常に大きな矛盾を見ざるを得ないわけです。これはやはりもう一度謙虚に調査会のメンバーにお願いをして、そしてアスパルテームの安定性並びに安全性について審議をし直す、これが本当に国民の健康に責任を持つ厚生省の姿勢じゃないでしょうか。
  231. 市川和孝

    ○市川説明員 私ども、先ほど来申し上げておりますように、審議資料に基づいて御審議いただいたことは当然でございますが、この物について、先ほど先生指摘ございました試作品の場合と、それから大阪の方でおやりになられた実験結果というものは、相当実験条件が違うということが一つあろうかと思います。  それと、確かにこの物質と申しますのはpHによりまして変動する、あるいは温度条件を上げることによって安定性が変動していくということは知られているわけでございまして、問題は、こういうふうに変化していった場合に安全の問題が生ずるかどうかということでございますが、変化していったとしても、私ども安全性を損なうものにはならないというふうに考えているわけでございます。もちろんそのことによりまして、商品価値を減じていくというような点はあろうかと思います。この点はむしろこういうものを製造する企業において品質等の管理を十分行っていくべきだというふうには考えますが、そのことが即安全性を損なう問題ではないというふうに考えておりますので、私どもとしては、十分審議は尽くされているというふうに考えている次第でございます。
  232. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 答弁になっていませんよ。調査会のメンバーにもう一度確認をとるとまで言いながら、けれども、安全性を損なうものではないし、十分もうそれは審議できているのだということは、これは全然答弁になっていません。  それから、私がさっきわざわざコカコーラライトはpHでどの位置にありますかと聞いたのは、phが高い低いときの変動ということじゃなしに、pHがまさに二から五という最も安定性が保たれるべき数値のときにそういう変動が起こっているということが明らかになっているので、そのことを申し上げているわけです。  この辺でちゃんと言われたらどうなんですか。厚生省としてはその「概要」で調査会のメンバーにもいろいろ誤解を与えるような役割を果たしたかもしれないから、だからもう一度その審議をし直す、もう一度調査会を開いてみる、これは約束してくださいよ。
  233. 市川和孝

    ○市川説明員 審議はあくまでも審議資料と申しますか、申請者等から提出されましたデータに基づいて行われているわけでございますので、私どもとしては、特に再度審議を求めるというようなことは現段階では考えておりません。
  234. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、みずからおっしゃったように、調査会のメンバーにもう一度、その調査資料によく目を通してもらったかどうかという、その確認はとられるのですね。さっき何度もおっしゃったのですから、その確認はとられるのですね。
  235. 市川和孝

    ○市川説明員 先生の御指摘を踏まえまして、安定性のその部分について御承知おきいただいていたかどうかについては、確認をさせていただきます。
  236. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、この前の委員会で、食品添加物の輸入枠規制を取っ払ってしまえということを言われたのに対して、大臣は、それは国民の健康の問題にかかわることだからそういうふうに財界の言うとおりにはならないのだという趣旨の御答弁をいただきました。そのことは非常に結構だと思いますが、このアスパルテームは、実は五十八年、二年前の四月十一日に、非関税障壁ということで、十一品目の食品添加物の一つとして加えられて、そして認可されたものであります。その後、消費者団体からも、またその他の学者の皆さんからも非常に大きな意見が出てきております。そして今、私のやりとりを聞いていただいて大臣もおわかりいただいたと思いますが、非常に態度があいまいなのです。まさか調査会のメンバーにそのアスパルテームの安定性を理解しているかどうかというテストをして、わかっている、わかっていないというチェックをするわけにいきませんし、そんな失礼なことができるはずはないわけです。けれども、アスパルテームの安定性の問題についてこんな重大なミスプリントのある資料を「食品添加物概要」として厚生省が当日配付をした、そしてそれがテーブルに載せられて審議された以上、やはり後になってミスプリントでは済ませられない重大な問題だと私は思うのです。そういう点では、大臣の所管とは違うと思いますが、しかし、国民生活に責任を持つという立場で、私は大臣の御意見を求めておきたいと思います。
  237. 金子一平

    金子国務大臣 食品添加物を新たに指定する場合に、厚生省の食品衛生調査会で安全性、有用性について慎重に審議した結果、確認されたものについて食品添加物としての使用を認めるという基本姿勢で対処しておるようでございまして、御指摘の点につきましては、私も専門家でございませんので、どういう経緯でどうなっているのかよくわかりませんけれども、この点は十分ひとつ注意を喚起するように、有害なものについてはこれはあくまで阻止しなければいけませんし、その必要がないものはどんどん認めたらいいと思いますし、その辺のことはけじめをつけるように担当大臣にも十分伝えます。
  238. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは時間がなくなってしまいまして、せっかく通産省から来ていただきましたのに、次の問題に立ち入って御質問をするという時間が非常に少なくなってしまいました。極めて残念なことですが、きょう私が通産省に来ていただいてここで取り上げたかったのは、割賦販売法が施行されて六カ月たっております。そこで、きょうはその後に出てきている問題についてお尋ねをしておきたかったわけです。  せっかくでありますので、まとめて若干お尋ねをして、あとは後日の委員会に回したいと思いますが、私はきのう日本割賦協会に行ってまいりました。そして新約款が監修されているその割合はどうかというふうに尋ねましたら、現在で四割だということでありました。依然として旧約款が横行し、そしてたちの悪い業者は、クーリングオフは七日ということをまだ改めないで四日で押し通そうとし、泣き寝入りをした消費者は四日間ということであきらめて、つまりごまかされてそのままになってしまっているという状態があるわけです。これは通産省の非常な怠慢じゃないか。もう半年もたっておりますので、これはぜひとももっと強力に指導していただきたいということがございます。  同時に、こういうふうな割賦販売法が成立しました後、役務を装う形で契約を取りつけていくというケースが非常に多くなってまいりました。私は、委員会でも、もう四、五年前から役務はぜひとも規制の対象にしてもらいたいということをしばしば言い、経済企画庁長官の前向きに検討するという御答弁もいただいておりながら、この前の改正のときには取り込められなかった。そのために、今抜け道としてこの役務によるトラブルが一層大きくなってきているわけであります。  また、商法が巧みになりまして、新法の抜け穴として新たにクレジット契約と割賦販売法の適用のないリース契約と二本立てセットの販売方式というのが非常に広がってまいりました。英語教材なんかの場合では、ビデオの英語教材、ビデオがクレジット契約され、ビデオデッキがリース契約という形で、そしてそのビデオのクレジット契約を解約しようとすると、リースの方はこれは全く別なので、リースは契約どおり契約期間のリース料を払ってもらわなければいかぬということで、消費者は全く必要のないビデオデッキをリースしたままでいかなければいけないというような例も出てきております。このごろ新聞等の広告を見ておりましても、リース契約セットの割賦販売というのが非常に多くなっておりまして、これもまた非常に大きな問題じゃなかろうかというふうに思うわけであります。  私は、きょうその一つ一つに細かく触れていきたかったのですが、その機会、時間を失ってしまいましたので、最後にこうした問題について通産省並びに国民生活局の方から御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  239. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 御説明申し上げます。  まず、新約款への切りかえの問題でございますけれども、昨年十二月に改正割賦販売法が施行されまして、おっしゃるとおりもう半年になるわけでございます。私どもとしましては、消費者との関係を規定する約款はできるだけ新約款によることということを原則として企業を厳しく指導してまいっているわけでございまして、私どもに寄せられております旧約款であるがためのトラブルというのは最近急速に減ってきているというのが私どもの印象でございますが、なおまたゼロではないというところも先生指摘のとおりでございます。したがいまして、企業、業界に対する指導をさらに徹底して、この問題に対処していきたいと思っております。  それから、先ほどおっしゃいました新約款が四割というお話でございますけれども、これはあるいは説明者の説明が十分でなかったのかもしれませんが、割賦協会の方で企業ごとに約款の監修ということをやるわけでございます。その監修を受けている企業が割賦協会加盟会社数の四割ということでございまして、残りの六割は割賦協会の監修を受けておりませんけれども、他方、監修ができる団体としましてはそれ以外にもございますし、あるいは監修を受けずに独自に新法にのっとった約款をやっていることもございますので、全体として新約款への切りかえが四割しかないということでは必ずしもございません。その点だけつけ加えさせていただきたいと思います。  それから役務につきましては、私ども割賦販売法の改正を昨年やらせていただきますときに、当初、おっしゃるとおり役務も入れた改正も考えたわけでございますけれども、いろいろ技術的な問題あるいは実態解明のおくれというようなこともございまして、役務につきましては外して改正をさせていただいたという次第でございます。役務につきましてはなおいろいろな問題も起こっておりますので、私どもとしましては、産業政策局に役務取引等適正化研究会というものを設けまして、現在その実態把握に努めているという段階でございます。  それから、最後の割賦とリースの組み合わせによって事実上割賦販売法の抜け道をつくっているのではないかというお話でございます。私ども、割賦販売法を制定し施行している背景としては、割賦販売の場合には料金後払いということで消費者との間にいろいろな複雑な契約関係があり、ともすれば消費者の利益が害されるというところで、割賦販売法をつくって指導をしているわけでございますけれども、リースにつきましては、私どもの方には消費者関連のトラブルというのは現在のところは寄せられていないのが実情でございます。  ただ、先生お話しのように、英語教材についてそういう組み合わせによる問題があるということでございますので、この点についてはさらに調べさせていただきたいと思っておりますが、法律論としては割賦販売法とリース契約というのは別でございますので、リース契約について直ちに割賦販売法を及ぼすというのはなかなか難しい問題があろうかと思っております。ただ、今御指摘の問題についてはさらに調べさせていただきたいと思っております。
  240. 及川昭伍

    ○及川政府委員 改正割賦販売法による新約款の普及あるいはサービスを対象にすること等については今通産省から答弁申し上げたとおりでありますが、さらに関係省と協力しながら、新法が着実に施行されますように努力してまいりたいと思います。  サービスにつきましては、経済企画庁としてもあるいは通産省としても割賦販売法の対象にすべく考えており、そういう考え方でいろいろ検討してきたわけでありますが、通産省から答弁いたしましたように、法律技術的な難点があってとりあえずは今回は改正案に入れなかったということで、今後さらに検討を進めてまいりたいと思っております。  割賦とリースとの組み合わせに関するトラブルについては、最近新聞報道等にもありますように、私どもの国民生活センターには苦情が来ております。昭和五十八年度にはその案件は二件でございましたが、五十九年度は二十二件になっております。リースの部分と割賦の部分が組み合わされて、特にハードのいろいろな、レーザーディスクやパーソナルコンピューターなどがリースで相当多額の金を取られる形になっておりますが、それについては割賦販売法の適用がありませんから、クーリングオフや中途解約とかはできないというような法律上の問題点はあるわけでございますが、相談を受けた案件につきましては、事実上割賦販売の商品の取り扱いと同様に中途解約等の処理を事業者と話し合って処理して、一応相談者、消費者に満足のいく解決をしておるというのが現状でございまして、これからもそのような対応をしながら、消費者啓発とともに必要な施策を考えていきたいと思っております。
  241. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、通産省、今お聞きのようにリースの問題はあくまでも契約をした物との関係の中で出てきているわけですから、一体のものとしてとらえて、そして消費者に過大な要らぬ負担を押しつけることのないように、私はぜひ今国民生活局長がおっしゃった立場でこれから積極的に対応して指導していかれるように、この点は特にお願いをして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  242. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会