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斎藤(成)
政府委員 お尋ねの
国民の実感と
消費者物価指数とのずれでございますけれ
ども、今回の
調査というのは実は十回目ぐらいでございまして、この過去の推移、その中で関心度の推移というのは、御
指摘のように今回は関心があるというのが三六・三%と低いのでございますけれ
ども、過去の十回の
調査でやはり上がり下がりがございまして、一番上がっているときというのは五十四年の暮れでございますか、これは大体毎年暮れにやっておるのでありますけれ
ども、五十四年の暮れは四六・六ということで五〇%近い人が関心があった。この関心の度合いの動きというのと、それから
消費者物価指数の動き、つまり
物価が上がったというときには関心が上がっている、
物価が落ちついてくると関心が薄くなる、どうもそういう感じがあるんじゃないかというふうに私
どもは受けとめるのでございます。ですからそういう意味で、関心が下がったのは、指数そのもののできがどうこうというよりは、むしろ
物価についての関心の度合いのあらわれじゃないか。ただこれは、その理由を調べる
方法もございませんので、はっきりしたことは申せませんけれ
ども、そういうことではなかろうかという感じを持つわけでございます。
それから、今の御
質問の、ずれがあるというところでございますけれ
ども、これは御
指摘のように毎回の
調査でいつもずれが出るわけでございます。これも御存じのように、
物価指数をつくります場合には、全国の平均的な家計というものを前提にいたします。そして、御存じのように、ウエートをつけて、かつ、そういった平均的な家計での支出を基準にしてつくりますので、どうしてもその平均から離れておる家計とは開きが出てまいります。
例えば、地域が違いますとそれぞれの地域の
物価にずれがございますが、平均的なところの数字しか
物価指数には出てこない。それからまた、家族構成の問題がございまして、特に、例えば教育費の負担などが多い家庭というのは大変深刻でございますけれ
ども、平均的な家庭の場合には、教育費の負担であえいでいる
人たちの分は平均の中にある
程度薄まりますから、そういう意味で、どうしても個人差というものと平均とのずれが出ざるを得ないんじゃないかというふうに
考えているわけでございます。
その場合に、それじゃ
物価上昇より実感が高く出るのはなぜであろうかということが次に問題になろうかと思いますけれ
ども、
物価を
消費者として受けとめるときの感じというのはどうしても値上がり品が
中心になりがちであるということ、あるいは生活水準が上がってまいりますと家計支出もふえてまいりますけれ
ども、それと
物価上昇による支出とがどうしても混同されやすいこと、あるいは社会保険料その他非
消費支出がふえますけれ
ども、それと家計の負担増とがやはり混同されがちである。そういったような、実感の場合とそれから一定の物差しをつくりましてそれに合わせてはかる場合に、ずれが出るのはどうしても避けられないんじゃないか。
ただ、私
どもとしましては、そういった実感とのずれができるだけ生じないように統計のつくり方に配慮をしてまいりたいと
考えておるわけでございまして、統計を作成しております総務庁の統計局の方でも、この家計支出のウエートを五年ごとに見直しをいたしまして、そして家計
実態にできるだけ合わせる
努力をしているわけでございます。そういう意味で、できるだけ実感を反映させたい、反映させるべきであるという点については、私
どもも同感でございますけれ
ども、現在の統計指数あるいは統計のつくり方というのは、やはり統計学というか、そういったセオリーに基づいてつくっておりますので、ある
程度はやむを得ないんじゃないかと
考えるわけでございます。