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1985-10-08 第102回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十月八日(火曜日)     午前十時四十七分開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 島村 宜伸君 理事 田名部匡省君    理事 玉沢徳一郎君 理事 小川 国彦君    理事 田中 恒利君 理事 武田 一夫君    理事 神田  厚君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       保利 耕輔君    松田 九郎君       山崎平八郎君    上西 和郎君       串原 義直君    島田 琢郎君       新村 源雄君    日野 市朗君       駒谷  明君    水谷  弘君       吉浦 忠治君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 寿紀君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省経済         局統計情報部長 渡辺  武君         農林水産省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         農林水産省食品         流通局長    鴻巣 健治君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁長官   佐野 宏哉君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和六十年産畑  作物価格問題等)      ――――◇―――――
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  てん菜てん菜糖、芋、でん粉及び大豆をめぐる最近の情勢について政府から説明を聴取いたします。鴻巣食品流通局長
  3. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 まず、資料の御説明をいたします。  最初に「てん菜及びてん菜糖関係資料」という横長の資料をお開きをいただきたいと思います。  一ページに「砂糖及び異性化糖需給総括表」というのがございます。表頭需要量から一人当たり消費量までがございますが、表側のところ、一番左側の需要量というところを見ていただきますと、総需要量は、四十八年三百十八万六千トン、これがピークでございまして、最近の一番下の方を見ていただきますと、五十八、五十九年ともに二百五、六十万トンが総需要量でございます。  国内産糖は、てん菜糖が五十九年は五十九万八千トン、約六十万トン近い水準でございますが、甘蔗糖の方は鹿児島、沖縄合わせまして二十七万トン、約三十万トン近いわけでございます。合わせまして九十万トン近い八十六万八千トンでございます。それに含みつ糖一万二千トンを加えまして、産糖量の計は八十八万トン、輸入実績は大体最近は百七、八十万トンでございますから、合わせましたものがここに書いてございまして、それに一人当たり消費量ピークが四十八年の一人当たり二十九キログラムでございますが、大体最近は二十二キログラム程度推移をいたしております。それに異性化糖、これが最近では六十万トン前後になっておりまして、それで需要量の計、A十Dというところで見ていただくとわかりますように、異性化糖砂糖合わせまして三百十八万トンないし三百二十万トン前後だと思います。  こうやってごらんいただきますと、表の一番右側にございますように、総需要量の中でもてん菜割合がかなり高まっておりまして、最近は、五十九年で二三%強、甘蔗糖もかつての六、七%、七、八%から、さらに最近は一〇%強というような割合を占めるに至っております。  二ページで「てん菜及びてん菜糖生産実績」でございますが、表頭の一番左にあります作付面積を見ていただきますと、五十年代の初めの四万八千ヘクタール程度から最近は六十年の七万二千五百ヘクタールというようになっております。ヘクタール当たり収量は、まだ九月一日現在の統計情報部見込みでございますが、ヘクタール当たり五十四・五トン、したがって生産量は、推定いたしますと三百九十五万四千トン、ほぼ四百万トン近い水準と考えております。歩どまりその他はまだわかりませんので空欄にしております。  三ページの「てん菜最低生産者価格及びてん菜糖蚕糸砂糖類価格安定事業団買価格」でございますが、五十年代はこの上に書いてありますようなことでございますが、五十九年はトン当たり二万二百六十円でございます。注の四にございますように、この最低生産者価格のほかに糖分取引推進費というのが七百六十円交付をされております。その総額約三十一億円になるわけでございます。その一部が、二十円ですが、二十円が農業団体等推進指導費等に充当されております。事業団買い入れ価格右側にございます。  四ページは「生産費推移」で、労働時間の減少ぶりがわかりまして、一番表頭右側トン当たり第二次生産費があります。  五ページは「てん菜対策関係予算」でございます。  六ページ、最後に、大変最近落ちついています「農業パリティ指数推移-総合-」が載せてあります。  その次が、別冊の「いもでん粉関係資料」でございます。  冒頭、一ページ一に書いてありますように「甘しょ及び馬鈴しょ生産状況」でございますが、カンショ全国作付面積が五十年の六万八千七百、最近はほぼ六万ヘクタール台で、六十年六万六千ヘクタールでございます。五十九年で見ていただきますと六万四千六百ヘクタール、十アール当たり収量が二千百、これもほぼ安定をいたしております。収穫量が百四十万トン。  バレイショの方は、これも少しずつふえておりまして、作付面積は五十年代七万一千四百ヘクタールでございますが、最近は七万五千九百、十アール当たり収量は三千五百五十が六十年でございますが、収穫量は二百六十九万四千トンというように、八月十五日現在統計情報部で見込んでおります。  二ページが「でん粉」でございますが、「でん粉年次別生産実績カンショ生切り干しを含めまして、表頭カンショでん粉バレイショでん粉小麦でん粉、コーンスターチ、合計というような形で出ておりますが、カンショでん粉はここにありますように大体十一、二万トン、バレイショでん粉が最近ちょっとふえまして、五十九年で二十八万五千トンでございます。  それから三ページ「でん粉用途別需要量」でございますが、五十八でん粉年度で見ますと、全体の需要量二百十七万トンのうちで、糖化用が百三十五万トンで六二・二%でございます。次いで化工でん粉の一〇・七%、二十三万トン、それから食用その他の一二・七%、二十八万トン等々が掲げてあるわけでございます。  四ページ、三番に「いも原料基準価格及びでん粉、甘しょ平切干の政府買基準価格」を掲げておりますが、表頭に五十年から始めまして五十五-五十九年、表側バレイショ原料基準価格がまず載せてありまして、五十九年でトン当たり一万七千四百八十円、カンショ取引指導価格が二段目にございまして、五十九年三万六千二百六十七円。それから、でん粉メーカーからつくりましたでん粉を買い入れする基準価格が下にカンショバレイショでん粉カンショ切り干しについてございます。それから五ページは「生産費推移」でございまして、中ほどに第一次生産費、それから第二次生産費、これは十アール当たりでございまして、一番右側の方にトン当たりの第一次生産費トン当たり第二次生産費がございます。  六ページの方は「原料用馬鈴しょ北海道生産費」でございます。  七ページに「いもでん粉対策予算」それから最後に、同じような「農業パリティ指数推移-総合-」について掲げてあります。これも全体的に落ちついていることはお読みをいただければおわかりのとおりでございます。  以上でございます。
  4. 今井勇

  5. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆関係について御説明を申し上げます。  資料は「昭和六十年産大豆基準価格関係資料」でございまして、その一ページをごらんいただきますと、生産推移であります。これは、近年では大体二十万トン台、そのくらいの収穫量でございます。  これは一番右の欄でございますが、特に五十九年産、下から一行目をごらんいただきますと、いわば史上最高の豊作でございまして、全国平均の単収百七十七キロ、北海道二百六十七キロということで、収穫量は前年を一〇%上回りまして二十三万八千トンでございます。  本年につきましては、その二ページに九月一日の予想収穫量等掲げておりますが、天候に恵まれました関係てほぼ前年に近い収穫量になる、こういう予想でございます。この作況関係につきましては、二ページをごらんいただきたいと思います。  続きまして三ページでございますが、これは「大豆年次別需給状況」であります。全体の需要量約四百七十万トンでありますが、国産大豆は上から一行目にありますように、最近でありますと十五万トンをやや下回る水準になっておりまして、全体的には国産大豆のウエートは小さいわけでございます。用途は全体としては製油用が圧倒的に多いわけでありますが、国産大豆は大体煮豆、豆腐など食品用の中に含まれておるわけでございます。  その次に、四ページが最近の価格推移であります。  これは、昨年につきましては主産国アメリカ熱波で大幅に減収いたしましたので、この「輸入倉庫渡価格」のところをごらんいただきますと、六十キロの包装込みで大体五千円に乗っておったわけでございますが、今年これがいわば生産が回復しました関係でございまして、最近の国際市況低迷によりまして、六十キログラム当たり包装込みで四千円台、やや四千円を割り込むか、こういうような水準推移をしておりまして、こういう輸入価格低迷、それから先ほど申し上げました国産大豆生産量増加、こういう影響が重なりまして、一番右にありますように五十九年産国産大豆販売価格は、年度を通じますと五千百四十一円ということで、昨年五十八年産よりもかなり低い水準になる見込みであります。  次の五ページでありますが、最近の基準価格推移であります。  基準価格推移としましては、五十六年産以降六十キログラム当たり一万七千二百十円という価格推移をしておりまして、内訳としましては、パリティ価格本体が若干の上昇をする中で生産振興奨励補助金につきまして圧縮がなされておりまして、全体として四年間同水準ということで推移をしてまいったわけでございます。  こういうようなことでございまして、次に、大豆生産費については、六ページに田作、七ページに畑作が掲げてありますが、総じて申しますと六ページの田作の方は十アール当たり収量がかなりコンスタントに伸びてきておりますので、そういう関係生産費はかなり下がってきております。そういう傾向に対しまして七ページの畑作大豆の方は、十アール当たり収量の変動が大きい関係で、その影響が非常に大きく作用いたします関係から、六十キログラム当たり生産費は、右から一欄目、二欄目にございますように、かなり年により変動するという状況でございます。  それから八ページが大豆交付金交付実績であります。  対象数量は五十三年産以来八万トン前後で推移しておりましたが、五十九年につきましては先ほど申し上げました生産数量増加、それからこの制度に乗ります対象数量割合が大体収穫量の五割を超えるというようなことでふえてまいりました関係で、五十九年予算で十万一千トンの対象数量に対し二百六億円余り交付金を計上しておるわけでございます。これは六十年度予算に計上しておりますが、先ほど申し上げましたような価格関係数量関係、両方から含めまして、さらに交付対象数量の急増、それから交付金単価上昇がございますので、六十年度予算実行におきましては、この金額にさらに八十億円余り加えました二百八十億円余の金額になる見込みでございまして、これに対応する補正によります財源措置につきまして、今大蔵省に要求をしておるところでございます。  最後、九ページに関係予算、十ページにはこの関係交付金の仕組みを図示しましたものがございますので、ごらんいただきたいと存じます。  以上でございます。     ―――――――――――――
  6. 今井勇

    今井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  7. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 昭和六十年度畑作物価格決定を来週に控えているわけですけれども、てん菜バレイショ、豆類、さらには麦類北海道畑作輪作上欠くことのできない基幹作物であります。これらの作物の合理的な作付体系、さらには基本とした畑作物生産については、昭和六十五年度まで国が「農産物の需要生産長期見通し」という方向を出しておりますけれども、その位置づけは絶対確保するのだ、その姿勢を私は農林省の確認を求めたいのですけれども、いかがでしょうか。
  8. 関谷俊作

    関谷説明員 お尋ねございましたように、てん菜大豆バレイショ、これらは北海道畑作基幹作物でございまして、これには、お尋ねの中にございました六十五年見通しも踏まえまして生産振興を図っているわけでございます。  若干個別について申し上げますと、てん菜につきましては作付面積は六十五年見通しを下回っておりますが、生産量で大体六十五年見通しを上回っておりますので、最近の砂糖需要動向異性化糖との競合、こういうようなことからの需給状況から見ますと、こういう需給動向に即応した計画的な生産を行うということがてん菜についての生産振興のこれからの方向ではなかろうか、かように考えております。  次に、大豆でございますが、六十五年見通しにおきましては食用大豆のうち六割程度自給ということで、作付面積がまだ目標を下回っております。これから水田転作も含めまして、かなり大事な作物として生産振興を図るわけでございますが、最近の状況先ほど資料の御説明でも申し上げましたように、いろいろ出回り量の増加、特に交付金制度対象になるものの割合がふえるというようなことで、財政負担の問題もございますし、特に大事な単収の向上によるコストの低減、これがこれからの大豆生産対策重点ではなかろうかと思っております。  それからバレイショにつきましては、これは全体としまして六十五年見通しとの関係では、作付面積生産量ともほぼ六十五年見通し水準に達しております。こういうようなことでございますので、これからの重点としましては、いろいろ需要加工食品用増加とか、それからでん粉関係需要の頭打ち、こういうようなことがございますので、やはりこれも合理的な輪作体系の中で生産性向上を図って計画的な生産を図っていく、これからこういうことがバレイショにつきましての生産対策基本的な考え方ではなかろうか、かように考えております。
  9. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今局長さんから御説明を聞いたのですけれども、農家農林省行政の言うとおりやってきているのです。それがたまたま需要と供給のバランスがどうだとか、あるいは財政負担がどうだとかと言ってその目標を途中で変えられたり足切りされるような場面が多々あるのですけれども、これでは一番困るのは農民なんです。農民なんというのはまじめにやっている一番模範的な組織だと私は思っているのです。その意味からも、目標を設定した以上はその目標は守っていくのだ、さらにはきちっと経済的なバランスは、行政がほかの省庁とも連絡をとりながらやっていくという姿勢を確立してもらいたいというか、しっかり位置づけをしてもらいたいと思うのですけれども、その点もう一回、局長お願いします。
  10. 関谷俊作

    関谷説明員 需要生産長期見通しにございますような生産長期的目標を踏まえて、これからも生産振興あるいは生産性向上を図っていくということにつきましては、先生指摘のとおりの考え方で進むことを考えております。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、品目によりまして若干、長期見通し設定後の需給事情による見通しのいわば一種の見直し的なことが必要になったり、あるいは生産の方が順調に伸びましてかなり現在時点で目標に近いあるいはそれを一部上回るというようなものになっているもの、こういうものがございますので、この辺につきましては、目標のいわば適用なり、あるいは恐らくこれから近々に行わなければならない一種長期見通しの見直し、こういう過程の中で、基本的な考え方としては、需要動向に応じた生産振興ということを基本にしましてこれからも対策を講じてまいりたいと考えております。
  11. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 とにかく農民がやる気と希望の持てる行政だけはしっかりと堅持してもらいたいと思います。  次に、てん菜最低生産者価格についてお尋ねしますけれども、従来、奨励金というのがありましてこれが価格に織り込まれておったのですけれども、それが去年から奨励金にかわって糖分取引推進費というのが設定されたわけでありまして、生産者はこれは価格の一部だというふうに理解をしてビートを植えてつくっているわけなんです。  ところが、聞くところ、この七百六十円の推進費はちょっと切り込まれるのではないか、いやことしで終わりだとか、来年からはなくなるのではないかという話が出てくるわけでありますけれども、農民はそんなふうに理解しておらぬものですから、財政事情が何であろうとも、今まで価格へ織り込んできたものは価格として認めてやるんだという姿勢は僕は絶対必要だと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  12. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 てん菜糖分取引推進費ですが、価格本体とは別に、今お話しのように昨年の価格決定のときに、明六十一年産を目途に糖分取引を実施をすることになったことに伴いまして、従来の奨励金をやめて糖分取引を推進するためにつくられたものであることは、今御指摘のとおりです。  ことし、どうするか。五十九年産では約三十一億が糖分取引推進費として込められておりますが、今申し上げました経緯、それから最近のてん菜を取り巻きます需給その他の諸般の情勢あるいは財政事情というものを十分に踏まえまして、慎重に決定いたしたいと思っております。
  13. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ちょうど大臣が今お見えになったのですけれども、てん菜最低生産者価格、これは農民の納得のいく形でどうしてもこれは決着を見たいと私は思うのですけれども、大臣の決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 鈴木先生にお答えします。  もう既に局長からお答えして、あるいは重複するかわかりませんけれども、本年産てん菜及びバレイショ生産者価格につきましては、農業パリティ指数に基づき算出する価格基準としまして、物価その他の経済事情を参酌して決定したいと思っておりますが、特に三つの観点がございまして、その一つは、現下の厳しい財政事情及び需給事情、次に、これら畑作物生産性が非常に向上しているということ、他の畑作物とのバランス等も総合的に勘案して決定してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  15. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 局長さんにお尋ねしますけれども、ことしは七百六十円の推進費は、よもや、間違っても一円たりとも切られることはないと私は理解してよろしいでしょうか。
  16. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 ただいまお答えいたしましたように、昨年糖分取引推進費というのがつくられました経緯、それからことしのてん菜を取り巻くいろいろな事情その他を参酌いたしながら、今の御趣旨のことも頭に置きまして、十分慎重に検討させていただきたいと思います。
  17. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 局長さんは役所の人ですから、私は政治的な答弁は要りませんので、これは絶対維持するなら維持する、どんなことがあっても守りますという、その言葉を聞かないとなかなか我々の立場としては――逆に我々が言うような答弁局長さんにしてもらったんじゃ困りますから、もう少し突っ込んだ話をしてください。これは話の筋論として、僕の言っている理屈局長さんの言っている理屈財政事情はわかるけれども、農家の人はもう春に植えているのですから、取り入れの段階になってどうのこうのという議論詐欺行為だと私は思っていますからね。
  18. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 今の貴重なといいますか強力な御意見も十分胸にしまいながら、財政当局と真剣に折衝いたしたいと思っております。
  19. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 くれぐれもよろしくお願いします。  次に、大豆基準価格についてもお尋ねするわけであります。  先ほど局長さんのお話なんかを聞いておりますと、交付金制度の見直したとか価格の面でも心配するような説明を受けたわけでありますけれども、現在の交付金措置というのは絶対堅持してもらいたい。さらにはまた、今のところ八十一億円ですか、補正が必要だという話でありますけれども、この額なんかも絶対確保してもらいたいと思うのですが、その見通し等についてお尋ねしたいと思います。
  20. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆につきましては、御承知のように大豆なたね交付金暫定措置法というのがございまして、これに従いまして交付金交付しておるわけでございます。この基本的な考え方は一定の基準価格生産者に保証するということで、販売価格から流通経費を引きましたいわゆる農家の手取りがその基準価格を下回るものを補てんする。この基本的な考え方につきましてはこの法律に従いまして適正に実行していくということでございますが、先ほど資料につきまして若干御説明申し上げましたような最近の需給事情を考えますと、その運用の面でこういう事情は考慮すべきではなかろうかという議論もかなり出てくるわけでございまして、こういう点については十分これから検討してまいらなければならない、かように考えております。  さらに、先ほどの八十億円余りの――今年度予算につきましては、私どもとしますと、五十九年産大豆につきまして昨年決定いただいた価格を適用いたしますと実行上八十一億円余り交付金額の不足が生じるわけでございますので、これはぜひとも六十年度予算で手当てをしていかなければならないということになりますので、この予算対応措置としまして、補正予算につきまして、先ほども申し上げましたように大蔵省と今折衝中、こういうことでございます。
  21. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大豆生産奨励作物だから農家の人は一生懸命つくった、その結果生産量がふえてきているというふうに私は考えているのです。特に大豆なんか自給率は大体四%ですか、輸入が四百六十四万トンですか、国内産が十二万トンくらいですね。目標がまだ十九万二千トンという数字は設定されているわけですから、そのためにも農民の意欲をそぐようなことがあってはならないし、農民が安心して作付ができるというその姿勢といいますかその指導だけはやってもらいたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  22. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆需給状態で、先ほど私の申し上げました需給状況は、出回り量が年間大体十三万トン、少し前で十五万トンくらいということで、生産量の方はその前の資料にございましたように最近は二十二、三万トンでございますので、自給率としては大体五%と一〇%の間くらいのところになるわけでございます。  こういうことでありまして、全体として大豆位置づけというものが、北海道畑作の非常に基幹的な作物一つであるし、合理的な作付体系の中で重要な位置を占めているということが一つと、それから田作につきましては水田利用再編成の大変大事な作物でございますので、これらの点を踏まえましてこれからも国内産大豆についてはその生産安定、振興が図られますようこの交付金等を通じまして対応してまいりたいと考えております。
  23. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ここで私は一つ新しいお願いをしたいのですけれども、今畑作農家をずっと回ってみますと、畑作農家の負債が大変ふえているのです。昭和五十年畑作農家一戸当たり平均が四百三十六万だったのが、五十八年のデータでは一千二百三十三万、これは八年間で約三倍になっているのです。稲作農家の例を見ますと、五十年では四百二万円だったのが五十八年では七百四万とふえてはおりますけれども、これは畑作農家に比べると全然問題にならぬ数字なんですね。酪農には負債整理という融資制度があるのですが、この酪農の負債整理の制度を今や畑作農家にも導入すべきではないか、取り入れるべきではないかと私は考えているのですけれども、この点いかがでしょうか。
  24. 関谷俊作

    関谷説明員 北海道畑作農家の負債の状況でございます。大体先生のお話に出ましたような傾向でございますが、念のため申し上げますと、農林水産省の農家経済調査で見ますと、五十八年度末の負債が一千二百三十四万円ということで、前年千百六十五万円より若干増加しております。ただ、これはいつもこのことを申し上げるといろいろな見方があるということで御批判も受けるわけですが、貯蓄額の方は、同調査の中では一戸平均では千六百八十七万円というような数字が出ておるわけでございます。  いずれにしましても、畑作農家の負債対策ということは大変大事でございますので、従来の対策で申し上げますと、農家の実情に応じて、いろいろ災害を受けた場合には貸付条件の緩和をして、いわゆる償還猶予をしていくとか自作農維持資金を活用するというようなことで対応しております。本年度については、先生よく御承知のように、経営再建整備関係の自作農維持資金の貸付限度額を特認で八百五十万円から千五百万円に上げるというようなことも実施しておりますので、こういうような関係対策によりまして対応してまいりたいと考えております。  なお、これからの問題としましては、本年度北海道庁で農家経営調査、これは畑作農家も含めましてかなり予算も組みまして実施しておられるわけでございますので、道庁とも連絡をし、また農協等系統金融機関の調査等の状況もよく見ながら、これからも畑作農家の実情に応じました経営安定の対策に努めてまいりたいと考えております。
  25. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 局長さん、北海道畑作農家は御存じのとおり大型なんです。例えば自作農維持資金を特認で八百五十万から千五百万円にふやしたと言っても、変な話トラクター一台でなくなってしまう話なんです。土地なんというのも何町も買えない話なんです。ですからそこらは、基準が平均的に見られると北海道には合わないということを理解してもらいたいのが一つです。  さらに局長さんが言ったように、北海道で言えばことしは七千戸ですか、農家を抽出して今負債整理の実態を調べております。そのうち二千百戸が畑作農家なんですが、ここでお約束願いたいことは、道庁で今農家の抽出調査をして、構造的に畑作農家も大変だという結果が出たときは、この畑作農家の負債整理の新たな制度をつくるということを前向きに検討してもらいたいと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  26. 関谷俊作

    関谷説明員 まず第一に、私申し上げました自作農維持資金は経営再建整備でありまして、これは俗に言う負債整理的なことも含めた経営再建の融資でございます。お尋ねの中にございました農地を買うなり機械を購入するについては、農林漁業金融公庫あるいは近代化資金の中にそれぞれの目的の資金がかなりな額ございますので、そういういわゆる投資的な経費についてはそういうものを活用していただくという道があるわけでございます。  なお、今年度農家経営調査推移につきましては、これは私どももその結果、内容、意味合いをよく検討しなければならないというように考えておりまして、いずれにしましてもどういうふうな経営安定対策、負債対策がよろしいか、これは十分結果を見まして検討させていただきたいと考えております。
  27. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 しつこいようですけれども、僕ら十勝あるいは網走管内の農家を回ると、やはり畑作の負債整理の制度をつくってほしいというのが切なる声として来ているんですよ。ですから、これは農林省はやる気でいる、きちっとした裏づけがあって、データがそろえばやる気である、そのことだけはちょっと公にしてほしいのですけれども、もう一回答弁してください。
  28. 関谷俊作

    関谷説明員 これは一つには経営調査等による実態がどうなっているかということ、それから六十年度につきましては御承知のように公庫資金中心に金融制度のいわゆる再編がなされましたので、これに対する金融措置としてどういうような対応があるか、この両面の問題が絡むわけでございますので、私どもの気持ちとしましては、先生お尋ねございましたように、畑作経営の安定ということを十分考えなければいけないというように存じているわけでございまして、今申し上げました実態と金融制度のあり方と両方絡めまして十分検討させていただきたいと思っております。
  29. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 その点くれぐれもよろしく、重ねてお願いをしておきます。  せっかく大臣お見えですから、この価格の維持と絡んで、やはり今農家の人が一番心配しているのは農産物の輸入規制の問題ですね。雑豆だとかでん粉に対する規制措置を守ってほしい、さらには輸入枠の拡大はしない、さらにはチョコレートの関税率の引き下げなんかもしないということを強く言われておるわけなんですけれども、このような問題についても農家が安心するような決着を見る上からも、大臣の見解なり姿勢をちょっとお聞きしたいのです。
  30. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 鈴木先生にお答えいたします。  一般論でございますが、いつも言っておりますが、やはり諸外国との友好関係を維持しながら、我が国の農林水産業をどうして守り、維持発展するかということを中心に今後とも農政を進めたい、こう考えておるわけでございます。
  31. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、その点くれぐれもよろしく。農家に理解のある大臣として北海道でも今大変期待をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  時間がないものですから、ちょっと畑作とはかけ離れた質問をさせてもらいますけれども、水産庁長官に今来てもらっておるのですが、ことしの日ソ漁業交渉に伴ういわゆるカニ、ツブ、エビ漁業者の救済対策についてお願いと、善処の措置等についてちょっとお尋ねをするわけでありますけれども、外交交渉による結果、新たな働き口がないだとかあるいは損をしただとか、そういった者については国が責任を持って面倒を見るべきだと私は思うのです。特にこれは外交交渉の場合は。  その一番の被害といいますか影響者が今のカニ、ツブ、エビの漁業者なんです。いろいろ北海道からも陳情に来て、あるいは業界側とも水産庁は打ち合わせをしておるかと思いますけれども、大蔵省ともかけ合ってはいるかと思うのですけれども、今どのような状況になっておって、今後どんな形で救済をしていくのか、長官にちょっとお尋ねをしたいのです。
  32. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えをいたします。  私どももカニ、ツブ、エビの減船につきましては救済対策を講ずべく現在財政当局と鋭意折衝中でございます。いかなる救済対策を講ずるかということにつきましてはまだいろいろ意見の不一致もございますが、私どもといたしましては、可及的速やかに結論を得るよう、今全力を傾注しているところでございます。
  33. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 具体的な数字は、これは相手のあることですから明らかにできないかと思うのですけれども、五十二年度に二百海里が設定されたとき、そのとき補償をしておるのです。どうも漁業者はこのときの補償をベースに考えているものですから相当強い要求になっていると思うのですね。それで、長官、その五十二年度のベースにかなうことができるのか、さらには見通しとしてはどんなものか、ちょっともう少し具体的に答弁をお願いしたいのです。
  34. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えをいたします。  私どもは今先生指摘のような漁業者の皆さんの強い御要望があるということはよく承知しておりますし、先生からも従来から御高見を承っておるところでございまして、私どもといたしましてはその点を十分念頭に置いて財政当局と折衝はいたしておりますが、率直に申しまして財政当局にはまた独自の見解もございまして、それが先ほど申し上げました財政当局との間にいまだ意見の不一致がいろいろ残っているところでございます。  私どもといたしましては、できるだけ漁業者の気持ちに沿うよう、全力を傾けておるところでございます。
  35. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、この点につきましては特に大臣からも直接大蔵大臣の方にもかけ合っていただきたいと思います。事務的には何か厳しいことばかりしか我々にははね返ってこないものですから、できるならば、大臣は竹下大蔵大臣の信任も厚いわけですから、兄弟関係だとも伺っておりますので、農林水産大臣からきちっとこれだけは守ってやってくれ、これだけは面倒を見てやってくれということを強くお願いしたいのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  36. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 鈴木先生にお答えします。  カニ、ツブ、エビの減船につきましては今長官の答えたとおりでございまして、私も先生と同じ気持ちでございますが、長官とよく打ち合わせしながら最善の努力をいたしたい、こう考えております。よろしくお願いしたいと思います。
  37. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、長官も一生懸命やってくれているのです。あとはやはり大臣の出番があるのじゃないかと思うのです。また、大臣が乗り込まぬとこれは解決できない今の状況なんです。だから、長官と打ち合わせするのじゃなく、大臣が大蔵大臣にきちっと話をするという姿勢といいますか、そのくらいの強い決意でないとこれは取れない額なんです。その点を僕は大臣にお願いしたいのです。
  38. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  ちょっと私の今の日本語がやや不十分であったわけですが、長官の意見を聞きながら、経過を聞きながら最善の努力をいたしたい、こういうわけでございます。
  39. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 もうそろそろ時間ですので最後にさせてもらいますけれども、大臣、とにかくビート、バレイショ大豆、この畑作三品は北海道のチャンピオンであります。この価格は適正に決めてもらいたいというのが一つと、北洋漁業の救済、これは断固やってもらう、漁民の納得のいく形で決着をつけてもらう、このことについての大臣の見解をお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  40. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  もう既に農蚕園芸局長あるいは食品流通局長あるいは長官からお答えしたとおりでございますが、先生のおっしゃる意味は非常によくわかります。わかりますが、先ほど言った現下の大変厳しい財政事情とか、あるいは生産性向上、あるいはその他の農作物とのバランスもございますが、とにかく現地の農家の皆様方ができるだけ安心して農業を営めるように最善の努力をいたしたい、こう思っておるわけでございます。よろしく御理解と御後援をお願いする次第でございます。
  41. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、ちょっと時間があるものですから、大蔵大臣にこの北洋漁業については大臣みずからが乗り込むという約束だけはしてもらいたいと思うのですけれども、いかがですか。
  42. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先ほどから言っていることでございますが、水産庁長官の意見を十分聞きながら、私とすれば一番いいと考える最善の努力をしたいと思っております。よろしくお願いする次第でございます。
  43. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 終わります。
  44. 今井勇

    今井委員長 次に、上西和郎君。
  45. 上西和郎

    ○上西委員 私は、鹿児島県のローカル的な産物と言えばそれまででありますが、サツマイモ、とりわけでん粉用サツマイモの価格問題についてただいまから若干の御質問を申し上げたいのでありますが、まず冒頭、農林水産省の一つの見解を承りたいのであります。  それは何か。日本列島は御承知のように、北海道から沖縄に至るまで南北に大変長い特殊な地勢を形成しております。したがいまして、日本の農業は、主たる作目、まあ米なら米としましょう。米以外のものについては、北海道でなければできない、例えばバレイショがありてん菜がある。鹿児島県でなければ到底収量が多くならないサツマイモがあり、鹿児島県、沖縄県の特産物であるサトウキビが出てくる。ところが、昨今の我が中曽根内閣の方針を見ておりますと、極端に言えば農業軽視。中曽根さんはいろいろなことがお好きだが、どうも農業については認識がないのじゃないかという声さえちまたに満ちあふれているような昨今、こうしたローカル的な基幹作目、その地域にとっての基幹作目、こうしたものについては一体どのような方針で今後農水省として対処されようとするのか、まずそのことを基本的に承った上で質問に入っていきたいと思うのでありますが、その辺についての見解を明らかにしていただきたいと思うのです。
  46. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えいたします。  今お話しのように、カンショあるいはサトウキビ、いずれも南九州の地域では極めて重要な作物と考えておりまして、私どもの方でも政策面でも精いっぱいの努力をいたしておるところでございます。
  47. 上西和郎

    ○上西委員 その精いっぱいの努力ということをより具体的にお進めいただくことをまずお願い申し上げ、順次お尋ねをしてまいります。  でん粉カンショの値段は四年間据え置きですね。これについて六十年度はどうなされようとするのか、このことをまず率直にお尋ねしたいと思うのです。
  48. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 カンショにつきましては、御承知のとおりこれが後ででん粉になりますが、でん粉の最近の需要が大体二百二十万トン前後で伸びが鈍っておるわけです。それからこれも御承知のように、国内産でん粉輸入トウモロコシからできますコーンスターチの約倍、それからタピオカでん粉の約四倍というように内外の価格差も広がっております。  そういう中で、今御承知のとおりトウモロコシを輸入する場合に関税割り当てというものを使いまして国内産でん粉の円滑な消化をやっているわけですが、それもやや限界になっているのではないかという感じがいたしております。私たちとしてはそのほか、基準価格のほかに奨励金を加えまして取引指導価格をつくっておりますが、財政的にはなかなか難しいという感じがあります。  いずれにいたしましても、私どもとしては法律に定められた方式にのっとりながら、かつ当該地域、つまり鹿児島あるいは宮崎あるいは南西諸島においてのこの作物の重要性というものを十分認識をしながら、いろいろな経済事情を十分参酌して適正に決定をいたしたいという作業を急いでいるところでございます。
  49. 上西和郎

    ○上西委員 それでは、ただいまのお答えの中でちょっと出てきたのですが、この一年間に担当の局長さんがもう三人目になっておりますのでなんでございますが、ずばりお尋ねします。  去年私がこの委員会でお尋ねをしたときに、いわゆるサツマイモのでん粉用途が非常に狭い、これは私も知っておりますが、この需要をどう拡大するのか、これは大変重要なことなので努力をしたいとあなたの前任の方は私にお約束をなさっておるわけです。その辺の具体的な努力の実績、成果、これについて御説明をいただきたいと思うのです。
  50. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 御承知のように、カンショでん粉の固有の用途といいますと、大体はるさめあるいは水産練り製品、例えばさつまあげなどに入れるわけですが、これらの用途に向けられますカンショでん粉の量は、五十九年産全体の十一万五千トンのうちの八千トン程度でございます。  これはもう釈迦に説法なので簡単にいたしますが、カンショでん粉は、御承知のとおりバレイショでん粉に比べますと色も黒い、それから粘り気も乏しい、弱いといいますか、それから、のりになる温度も高いものですから、コストがかかるという点で残念ながらちょっと劣っている点があると思っています。そういう意味で用途拡大はなかなか難しいのですが、私の前任者もお答えをいたしましたように、できる限り品質の向上を図りたいということで指導しているわけです。  具体的に申しますと、でん粉の乳液を生粉の貯蔵池に一時保管するのではなくて、でん粉の乳液から一貫して乾燥に持ってまいりますと、先ほど申しました若干の難点、粘度が落ちるとかあるいは白度が劣るとかいう点が少し改善されますので、今、南九州には全体てたしか五十工場ほどでん粉工場があると思いますが、そのうち十五工場については、もう既に乳液から乾燥まで一貫をしてでん粉生産をするようになっておりますが、今申しましたように、この乳液から乾燥まで一貫していく工程というやり方をもっと普及できるように、私どもはさらに指導してまいりたいと考えております。
  51. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。そうしたハンディがあるからなかなか需要を伸ばすわけにいかぬ、むしろ品質の改善、改良のために努力をする、こういうことでございますね。  では、現行の抱き合わせ販売制度、これは今後どのような方針でなさいますか、お取り組みの考え方というのを明らかにしていただきたいと思うのです。
  52. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 コーンスターチ用のトウモロコシにつきましては、御承知のように関税割り当て制度を使いまして、今言いましたように、要するにコーンスターチに対しましては二倍ぐらい高い国内産でん粉、それと無税の輸入トウモロコシを、コーンスターチ換算で国内産一に対して七・八倍、十月から始まりますことしの下期は一対約八に近い七・八という抱き合わせで販売を行いまして、何とか国内産の芋でん粉需要を確保し、その価格の維持を図っておるわけでございます。  問題は、そのでん粉をめぐる事情が、今申し上げましたように二百二十万トンくらいで頭打ちといいますか、需要の伸びが停滞をいたしておりますし、先ほど言いましたようにコーンスターチ等で比べますと国内産でん粉は二倍、タピオカでん粉等に比べて四倍も高いので、なかなか厳しい事情がございます。  それから、やはり関税割り当て制度を残すことにつきましては、私ども関税率審議会でも大変いろいろな批判を浴びるわけでございますが、やはり国内字でん粉の合理化などを積極的に進めながら、これからも国産芋でん粉需要の確保を図るということが一番大事なことでございますので、この関税割り当て制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております、
  53. 上西和郎

    ○上西委員 それではあわせまして、最近の中曽根内閣の動きを見ていますと、日米貿易摩擦に聖域はないと言わんばかりの御発言がしばしば続いて、せっかく山村新治郎前大臣のころ、本当に農水省挙げての御努力、与野党一致の本委員会の決議などの上に立って、まあ若干の不満は残りましたけれども、昨年四月あれだけのことをやったにもかかわらず、農畜産物輸入自由化の問題について聖域ではないという御発言がある。  そうした中で、このでん粉輸入自由化などということについてはちまたにいっぱい話が出てくるものですから、基本的なお考えをここで明確にしていただきたいと思うのです。
  54. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 国産芋でん粉の原料でございますカンショ、それから先ほども御質問のありましたバレイショ、いずれも南九州なり北海道畑作農業にとって欠くことのできない極めて重要な作物でございますし、今言いましたように、国産芋でん粉はやがてブドウ糖といったような糖化製品になりまして、そういう意味での重要な需要先ともなっているわけでございます。  一方、先ほどからしばしば申しますように、国産の芋でん粉は外国産のでん粉に比べますと極めて高い、割高という問題がございますが、やはりそれが自由に輸入されますと我が国の畑作農業に大きな影響がある、私どもそういうおそれを強く感じているわけでございます。そういう意味で、私ども、こういったでん粉輸入自由化は困難だというように従来から主張いたしてまいりましたが、今後とも現行の制度の継続に努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
  55. 上西和郎

    ○上西委員 その努力に全力を挙げてお取り組みいただくことを私は心からお願いをしたいのです。  ざっくばらんに申し上げて、私は今月の六日から種子島を、自分の選挙区でありますから国政報告に回る予定でおったのです。ちょうど先月末から屋久島に行っていました。そこへ電話が入って、八日は畑作をやるというので、サツマイモとサトウキビが当然かかってくるというので、私、屋久島から種子島のそれぞれの関係のところに電話を入れました。返ってきた言葉は一言でした。準備、スケジュールは一切整っているが、サツマイモ、サトウキビをやるのならもう構わぬ、全部キャンセルして、直ちに国会で頑張ってきてくれ、これが期せずして私に寄せられた種子島の住民、農家の方々、関係する方々の声でありました。私は帰って種子島内を回りました。生産農家、農笛を初めとする関係の方々がひとしく言われたのは、去年はたまたま台風が来なかった、ことしは既に二十号も来ている、こういう台風銀座の三丁目と言われる鹿児島や沖縄にとって、サトウキビとサツマイモ以外台風に耐え得てかつ換金可能な作目がない、これを守り抜くために頑張ってくれというのが本当に各界各層挙げての声でありました。  先ほどから、新しく局長におなりになった鴻巣さんから再三いろいろお答えがありました。私は常々申し上げているように、国家公務員の皆さん方が、日本のために、国民のために、日本農業のために頑張っていただいていることをかたく信じておりますから、お答えを素直に受けとめて、その実現を心から期待しているのでありますが、要は価格なんです。極端なことを言って、四年連続据え置きですよ。皆さん方が例えば月収が四年間一円も変わらないなんとなったら、これはこたえると思うのです。  昨年も申し上げましたが、国民年金の保険料は上がっている、農業者年金の保険料も上げている、国民健康保険税も上がっている。唐芋、サツマイモだけに絞れば生産費をやや上回っている価格とおっしゃるかもしらぬが、事実上の生活実感から言ったら、サツマイモの値段が上がらない、価格が上がらないことは農家にとっては大変なことなんです。  しかも、再三お話がありますように、タピオカからとれるでん粉の四倍近い、コーンスターチの倍近いこうした国内産でん粉のことを思うときに、佐藤大臣、あなたは先ほど鈴木委員の御質問の中に北海道で大変期待されているとありました。いやいや、鹿児島だってすばらしい大臣だということで御期待を申し上げております。ですから、でん粉用サツマイモの価格は、諸般の事情これあり値上げは不可能にしても、少なくとも現状は守り抜く、こうした大英断といいますか御決断をいただくようなお答えはここで大臣からぜひいただけないものか、このことを私は率直に大臣にぶつけたいと思うのでありますが、お答えいただきたいと思います。
  56. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 上西先生にお答えいたします。  カンショ生産者価格については、もう既に局長答弁したとおりでございますが、実は私も先生のおっしゃることはよくわかります。最善の努力をしたい、こう思っております。
  57. 上西和郎

    ○上西委員 その最善の努力に大いなる期待を寄せまして、これでサツマイモの方は一たん打ち切りまして、以下サトウキビについてお尋ねをしたいと思うのであります。  まず、昨年の委員会で私がお尋ねをし、それに対するお答えの中でいろいろありましたので、それを先にお尋ねをしたいと思うのです。  まず、沖縄に比べて種子島のサトウキビは労働力の面でどうしてもハンディがある、それは圃場が狭く大型機械化が無理だということで、圃場整備やら機械化に今後できるだけの努力をしたい、こういうお答えを局長からいただいておるのでありますが、この一年間、具体的にどのような取り組みあるいは現地における進捗があったのか、そうしたことについてお答えいただきたいと思います。
  58. 関谷俊作

    関谷説明員 先生よく御承知のとおり、サトウキビにつきましては大変労力がかかる、特に収穫過程に労力がかかるということで、お尋ねの機械化というのがこれからのサトウキビのコスト低減なり生産性向上の面で大変大事なポイントでございます。  今もお尋ねがございましたが、我々としましては、機械化の進め方としまして、それぞれの地域の状況に応じた進め方をしなければいけないということで、沖縄の場合には従来の状況から見ますと外国製の大型ハーベスターなどもかなり入っておりますが、鹿児島県の場合にはこちらよりはもう少し中型ないし小型関係の事業がより向いているのではないか、こういう感じを持っております。  具体的には、特に中型でございますと、農業機械化研究所が中心になりまして機械開発をやってまいりまして、前回もお答えしているかと思いますが、中型のグリーン・チョッピング・ハーベスターということで、これは今行われておりますような枯れ葉を燃やさなくてもグリーンのままでできる、あるいは小型なので俗に言う小回りが若干きくという利点がございます。そういうことで実験的な成果もかなり上がっておりますので、これを一つのモデル事業として取り上げてまいりたいということで中型機械による機械化モデル事業を実施しております。  鹿児島県につきましては、従来のところ導入台数といたしましては、中型グリーン・チョッピング・ハーベスターについては少ないわけでございまして、まだ二台程度でございますが、これも基盤整備などがある程度進みまして、これはクロール型のトラクターでございますので基盤整備がある程度進んでおらないと入らないわけでございますけれども、そういうような状況で、この中型の問題については、これからの機械化によるコスト、労働時間の低減効果が非常に大きいものとして重点的に進めていきたい、これが第一点でございます。それからもう一つは、現状では小型の刈り取り機と脱葉機、搬出機を組み合わせました一種の小型の機械化体系の導入ということでございます。鹿児島県につきましては、従来の状況を見ますと脱葉機の方の導入がかなり進んでおるわけでございますが、これからといたしましては、この関係の機械を組み合わせまして一種のサトウキビの営農団地というような感じで機械化体系を中心といたしました事業を実施してまいりたいということでございます。  予算関係につきましても、この関係で全体で大体七億円余り予算を計上しておりますし、鹿児島県下についても、小型機械化体系の導入地区として五十八年度、五十九年度それぞれ五ないし六地区程度、これは大体実施主体を見ますとサトウキビの生産組合とか営農組合という名前をつけた一種の組合による刈り取り機、脱葉機等を組み合わせた導入をされておられますが、これが当面の現実的な対応の方法であろうということで、こちらの関係については今申し上げました営農団地整備事業として推進してまいるということで、今後これらの中型、あるいは地域の実情に応じました小型の機械化体系、この辺に重点を置きまして機械化を進めてまいりたいと考えております。
  59. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  次は、品種改良の取り組みです。  私、昨年ちょっと申し上げたのですが、私みたいに三十年間ずっと種子島周辺を回っておりますと、いろいろなことを直接見たり聞いたりしておるので、どうもほかの作物の品種改良のスピードに比べると、せっかくああした国の試験場その他もありながら、あと一つサトウキビの品種改良がおくれているのではないか、これだけ日進月歩で技術が発達している時代ではもっとスピードが上がっていいのではないかという声をしばしば耳にするのでありますが、去年若干のお答えがありましたけれども、この一年間の成果などはどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
  60. 櫛渕欽也

    櫛渕説明員 サトウキビの品種改良のごく最近の状況について御報告いたしたいと思います。  サトウキビの品種改良につきましては、これまでも育種の目標としては主として四つの点に重点を置いております。第一点は糖度を高めていく、第二点は病気や害虫に強い射病虫性を高めていく、第三点は機械化の適応性に重点を置く、第四点は当然多収性に重点を置く、そのほかいろいろありますけれども、そういった四点を主たる目標に取り組んでおります。  私どもとしては、九州農業試験場の種子島にございます温暖地作物研、これはサトウキビの育種の拠点でございますが、ここを拠点にいたしまして、さらに熱帯農業研究センターの支所が沖縄にございますが、ここでも育種の基礎的な研究をやっておりまして、このほかに鹿児島県と沖縄県の県の試験場の協力を仰ぎながら、全体の分担協力でやっております。  これまでの育種の成果としましては、御案内のように、鹿児島県で現在普及しつつありますNiF3という品種がございますが、そのほか沖縄で最近普及をしておりますF161というのがございます。これらがそれぞれ三年ないし五年前に育成されて現在普及しつつあるものでございますが、特に今年度九州農試の種子島にございます研究室で非常に有望な新品種を二品種育成いたしました。一つはNiF5、これは黒穂病に極めて強い、そのほか早熟で糖含量が高くて、しかも収量性もある、そういうことで、試験場のこれまでの成績あるいは県内現地の試作成績では、現在最も普及しておりますNCO310というのがございますが、このNCO310に比べまして収量の点でも再製糖量の点でも上回る、そういうふうな成績を得ておりまして、このNiF5は鹿児島県の南西諸島を中心に非常に有望視されております。  それからもう一つ、NiF4という品種でございますけれども、特徴として台風のような強い風に対して風折れしにくい、こういうのが非常に大きな特徴でありまして、そのほか糖量とか収量あるいは耐病性も強いということで、こちらは沖縄県に好適をするというふうに今評価して、沖縄向きと鹿児島向きの優良品種を今年二品種育成をいたしました。  さらに、今先生のお話のように、今まで私どもは非常に力を入れてきたつもりでございますが、熱帯農研の沖縄支所ではサトウキビの組織培養、バイオテクノロジーの研究等にも力を入れてございまして、両県の試験場と協力しながら今後より一層優良なものをつくってまいりたいというふうに今一生懸命やっております。
  61. 上西和郎

    ○上西委員 皆さんが御努力なさっていることは私も本当によく承知しているのですが、実際に現地を回りますと、あと一歩、せっかくなのにもっといいのができないかということをしばしば耳にするものですからあえて申し上げたので、そんなにすばらしいものができているなら、なるべく早く関係方面の理解を深めながら、少なくとも来年度ぐっと栽培面積がふえていくような御努力を、それはちょっと所管が違うかもしれませんけれども、ぜひお願いをしておきたい。  もう一点、昨年お尋ねしたことで、病害虫対策でちょっと私が申し上げましたら、去年のお答えの中で、予算を投入して御指摘の問題についてやりたい、こういうことであったのですが、それについてもちょっとこの一年間の病害虫対策の動き、これは具体的な種子島の害虫名を挙げましたが、学名では違いますので、ちょっとその辺の現在の進捗状況といいますか、実施状況といいますか、それを御説明いただきたいと思うのです。
  62. 関谷俊作

    関谷説明員 鹿児島県、沖縄県、この辺の特に甘蔗、サトウキビについて特有のいろいろ病害虫がございます。その中で若干分類を分けて申し上げますと、六十年度で実施しておりますこととしまして、やはり病害虫の発生予察、これは、虫が出るぞ、こういうようなことを病害虫防除所と私どもでいろいろ情報交換をしながら予察をするわけでございます。この対象としましては、黒穂病、それから前回もお尋ねございました現地名のチンチバック、学名ではカンシャコバネナガカメムシ、それからアオトウガネ、それからカンシャクシコメツキ、これは現地でハリガネムシということでございますが、こういうものにつきまして発生予察情報を出しております。  具体的には、今年の例で申しますと、五月及び六月に黒穂病あるいはチンチバック関係につきまして発生予察情報を鹿児島県については提供をいたしておるわけでございます。  それから二番目の仕事としましてはヘリコプター、いわゆる航空防除で対応できるもの、こういうものとしまして、今のチンチバックにつきましては、ほかの例えば野鼠等も含めまして広域的防除の実施の中で対象にしておるわけでございます。  さらに特有の、言ってみれば新しく対応する病気としまして、サトウキビ病害虫総合防除対策事業というのを仕組んでおりますが、とれにつきましては、従来から黒穂病について新防除技術、これは種苗消毒とか茎葉散布、こういうようなことでございますが、これを継続実施しておりますほかに、ハリガネムシ、カンシャクシコメツキにつきましては、前回もお尋ねございましたような不萌芽の原因になりますので、このカンシャクシコメツキ、ハリガネムシの新しい防除技術、これは立毛中に土壌施業をする、こういう方法でございまして、この導入ということを六十年度から新たに取り上げまして、このサトウキビ病害虫総合防除対策事業の中に取り込んだ次第でございます。
  63. 上西和郎

    ○上西委員 ありがとうございました。そういったぐあいに具体的に進んでいることを聞けば現地の生産農家の方もやはり安心されると思います。今後いろいろと病害虫対策の施策の一層の強化をお願いしておきたいと思います。  さて、今度質問に当たって私がいろいろ各方面に当たったときに、新しい問題が一つ出てきたのです。それについてちょっと御見解を承りたいと思うのです。  今、種子島には製糖業者は一社しかございません。ここの工場は四月いっぱいまでやるわけです。ところが、御承知かと思いますが、種子島は早期米もやります、例えばお茶だって日本一早くできる、サツマイモのこともいろいろ出てくる。四月というのは種子島の農家の方々にとっては農作業が大変ふくそうする時期なんです。しかも四月いっぱいかかって収納すると、サトウキビ単独でいえば後の芽立ちが悪くなる。そうしたことから、三月いっぱいに収納が終わっていただけないか、こういうことでいろいろ言いますと、製糖工場の方々の言い分というか発言が、いや私たちもそれに応じてよろしい、そうした方が私たちもいい、だが何しろお上、農林水産省からの許認可がいろいろございまして、工場の設備等いじることがなかなか難しい、こういう答えが返ってくる。  その辺、この場で率直に私は一つの問題提起をしまして、それに対する農林水産省側の見解、対応、指導、こうしたことについて明らかにしていただきたい、こう考えるのです。
  64. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えをいたします。  製糖工場の設備能力の変更につきましては、これは御承知のとおり甘味資源特別措置法の十五条というのがございまして、農林水産大臣の承認が必要になっているわけでございます。その要件は幾つかございますが、かいつまんで申し上げますと、原料の処理能力、つまり設備能力がその地域、例えば種子島なら種子島におけるサトウキビの生産長期見通しに照らして著しく過大にならないとか、あるいは原料の処理能力が事業を合理的に経営するために必要と認められる規模のものであり、かつ効率的なものであるとか、あるいは経理的な基礎あるいは技術的な基礎があることとか、それからその他当該承認をすることによってサトウキビの生産または当該区域の甘蔗糖業の健全な発展が阻害されるおそれがないこと、そういうようになっているわけでございます。  私ども農林水産省といたしまして今お話しの件につきまして考えてみますと、砂糖需要が全体的に低迷をいたしておりまして、冒頭の資料において申し上げましたようにやや頭打ちという感じの中で、精製糖メーカーの方は御承知のとおり構造改善ということで、昭和六十一年九月三十日までに年間設備能力の二六%に当たります百万トンの設備の廃棄または休止を行うというような構造改善をやっておる最中でもございます。それからまた、設備能力を変更するのには、聞きますところによるとかなりの多額の資金、つまりお金がかかるというようにも聞いております。  そういう意味で、会社の経営に与える影響等もありますが、今会社の方はやってもいいよというような話もあるというお話でございますが、そういう意味では私ども、鹿児島県あるいは今お話しの種子島の農家、それから今の製糖メーカーといったような関係者の意見を十分に聞きまして、そして先ほども冒頭に申しました私どもがいいかどうかを承認する場合の要件に照らしまして検討させていただきたいと思っております。
  65. 上西和郎

    ○上西委員 では、ひとつ実情を十二分に把握されまして、慎重に御検討されますことをお願いしておきたいと思います。  さてサトウキビのことで、率直に言ってやはりサツマイモと一緒で値上げが欲しいのですよ。台風銀座三丁目ではほかのものをつくれぬのですから、米は別として。何しろ種子島では、現地の言葉で言うとおおぎと唐芋をよくしてくれと言うのです。サトウキビとサツマイモ、これさえよくしてくれればいいというのが本当に種子島の農家の方々の率直な声なんです。  そうした声を反映をして。ここで大臣先ほど私はサツマイモのことを申し上げましたが、サトウキビの価格についてもぜひ値上げをしてほしい。それがどうしても不可能だということならば、せめて現状は絶対守り抜いていただきたい、こういう強い願望を込めたお尋ねをしたいのでありますが、大臣の所信を、特に前向きの御見解をいただきたいと思うのです。
  66. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  もう既に局長が大分答弁したとおりでありますが、基本的にはサトウキビの生産者価格については農業パリティ指数に基づきまして算出される価格基準とし、物価その他の経済事情等参酌して決定することとしておりまして、特にその際二つの点に配慮しようと思っています。  その一つは現下の厳しい財政事情とか砂糖全体をめぐる需給事情、もう一つは他の畑作物とのバランスということを総合的に勘案して適正に決定してまいりたい、こう考えておりますが、お気持ちはよくわかります。これも本当に具体的にはあれですが、最善の努力をいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  67. 上西和郎

    ○上西委員 私は大臣の最善の努力という言葉をしっかりと胸に抱いて選挙区に帰りまして、佐藤大臣こういうお答えだった――ぜひ最善の努力ということを実現されますことを心からお願いをいたしまして、これでサツマイモとサトウキビは終わらせていただきます。  ちょっと角度が変わりますけれども、鹿児島県の農業にとって欠かすことのできない天気予報、台風警報等について、気象庁見えておりますので少しくお尋ねをし、今後の善処をお願いしたいと思うのです。  まず質問の冒頭に申し上げます。台風十三号、これをめぐって鹿児島県では、言葉を厳しくするならば気象庁不信の声が大変高まっているのであります。  私の体験を申し上げましょう。八月三十日の夜、私は東京におりましので、台風が気になって十時ごろ自宅に電話をし家内に聞きました。どうだ。風も吹いておらぬ、天気予報はずっと見ておると外れていく、東シナ海から向こうへ行くようなので安心だ。私もこう聞いてほっとしておりましたら、朝七時前に電話が鳴った。何事ならんと出ましたら、あなた、夜中からずっと風が強くなって私も車庫のシャッターをおろしたりしていたけれども、朝起きて見てみたら、商売柄宣伝カーを持っていますが、宣伝カーの車庫はなくなった、その隣のいろいろ入れていた倉庫も消えている。どこへ行ったか、隣の家の屋根に飛んでいる。これは戦後私のたくさん経験した台風の中でもまずビッグスリーに入りますね、この風の強さその他。大変な被害です。  ですから驚いて帰りまして、あちこち回りました。出てきた声は、なぜ気象庁は台風の警報を早く出さなかったのか。鹿児島県民は台風にはなれております。どの家でもトランジスタラジオと懐中電灯とろうそくは常備されているのです。台風の警報が出れば雨戸を全部閉めます。自動車の車庫、ガレージのシャッターを全部おろす。農家の方々はビニールを全部閉めて回るのです。あるいはいろいろな石材その他の生産資材等置いてあるところは、例えば大工さん、左官屋さんは走っていってそこへみんなロープをかけたりいろいろするのです。ところが今度はそれをするゆとりを与えてくれなかった。だれか、気象庁だ、とこうなるのです。気象庁の方、大変申し上げにくいことを率直に言っていますけれども、声ですから。  なぜあんなふうにひどい強い台風が来るのに前もって警報が出なかったのか、こういうことなんですが、この台風に関する警報の出し方その他の実情について率直にお答えをいただきたい、こう思うのです。
  68. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  台風第十三号でございますけれども、種子島方面の東海上を通りまして八月三十一日の午前四時ごろに枕崎市付近へ上陸という状況でございまして、鹿児島県の本土で申しますと、午前三時前後から暴風雨域に入っていたという状況でございました。  これに関しまして、鹿児島地方気象台では八月三十日の午後四時十分に強風波浪注意報を発令しました。この内容でございますけれども、「今晩から次第に南東の風が強くなります。陸上では風速が十五メートルから二十メートル、海上では二十メートルから二十五メートルに達する見込みです。」というものでございました。  引き続きましてたくさんの台風情報をほぼ一時間ごとに発表いたしたのでございますけれども、三十日の午後八時三十五分でございますが、鹿児島県地方に対しまして暴風雨警報、波浪警報を発表いたしたところでございます。この内容でございますけれども、「三十一日の早朝から鹿児島地方は暴風雨となり、沿岸の海域では大しけになります。」という内容でございました。  そのほか、鹿児島地方気象台では、八月三十日の十一時ごろから翌三十一日の朝の五時ごろにかけての時間帯で申しますと、台風情報を十五回発表いたしまして、最新の台風の状況をお知らせいたしますとともに警戒を呼びかけだという実情でございます。  こういった台風に関する情報並びに風、雨に関する注意報、警報等でございますけれども、発表いたしますと同時に、県の防災計画書に基づきまして伝達するという手段をとったところでございます。
  69. 上西和郎

    ○上西委員 あなた方がやったことについて私はとやかく言うのではないのです。ただ、今あなたがおっしゃったように、二十時三十五分に出した暴風雨警報、これの観測は十八時なんですよ。十八時の観測に基づいて二時間三十五分たってからなぜ警報が出るのか。しかも、その十六時十分のときは陸上で十五メートルから二十メートルですよ、こうおっしゃっているが、現実には鹿児島本土では五十三メートル吹いた。それは相手は生き物ですからそうは一々いかぬでしょう。しかし、少なくとも今度の台風に関する限り初めてです、鹿児島県民は。何で予報と実情が食い違ったのか。  しかも、もう一つの問題がある。予報円の問題です。私もきのういただいて改めて見てみました。家内が台風はそれると言ったはずですよ。三十日二十一時の予想でこれを見てみますと、東シナ海からずっと中国本土に行ってしまうように書いている。これがテレビに出ているのですよ。風が吹かない、テレビでこう出れば、だれだって普通の方は台風は向こうへ行っちゃうと思う。だからみんなゆっくりしていた。そうしたら夜中の二時、三時、四時のころにはもうピークですよ。  そうして、例えばあるビニール蔬菜園芸をやっている方は、ぴちっと閉めていなかったから、中へびゅううと五十メートルの風が吹き込んだから全部吹っ飛んでしまって被害百万円、こうなっちゃうのです。恨みは深し気象庁となるのです。農家にとってこれだけの被害を与えた間接的下千人は気象庁だと私は断言をしてはばかりたくない気持ちにすらなるのです。  種子島、屋久島でもそうでした。言っておるのはみんなそういうことだ。雨戸を閉めておけば割られなかった、雨戸を閉めておけば大丈夫だったとみんな言うのです。私は、このことについては襟を正してほしいと思う。コンピューター化で管理される予報も大事でしょう。しかし長年あなた方は予報をやってきておるのだ。肌で感じ目で見た予報がなぜできないのか。東京に地震があった。震度五だ四だとすったもんだやっている。一体気象庁何をしているかと、僕は本当に疑問を生ずるのです。  私の選挙区ではないからあえてきょうは言及しませんけれども、有明海であれだけの漁民が死んだ。この予報円がもうちょっと、私から言えば不親切。これはこの円形の中に台風はいるのですよということなんですね。私は、きのう出てきて、東京の周辺の、鹿児島に家族を置いている鹿児島出身の方にこの予報円を聞いたら、みんながこれは暴風雨圏内だと思っていた。そうではないでしょう。暴風雨圏内ではない。台風の位置がこの円形の中ですよということをずっとテレビで流せば、何もわからない人はこれを暴風雨圏内だと思ってしまう。  私は、このアメリカ式とかなんとかという予報円をとったときに、果たしてどれだけの努力で気象庁なり運輸省なり日本政府が、この予報の理解について周知徹底を図ったのかという疑問すら生じてくるのです。  私は、農林水産省だって決して人ごとじゃないと思う。あなた方、日本の農業、林業、水産業を本当に守っている立場だ。本当にあれだけ痛ましい事故が有明海で起きた。やはり農水省だって、おい気象庁、一体どうやっているのだ、このくらいの声をかけたっていいと思うのです。  だからそうした意味合いで、確かにおっしゃるようにやってきたことを私は何もけちをつけようなんというみみっちい気持ちで言っているのじゃないのです。ただ、少なくとも予報の出し方の時間的なずれ、しかもこの予報円の出し方、これが本当に国民に完全に理解されているか。ほとんどの方がこの予報円を見て、ああ台風はそれたと思ったのです、三十日の夜九時は。そしてこれだけの被害が出た。このことについて、私は農林水産委員会の場でございますが、改めて気象庁の皆さん方に要望を兼ねた質問をぶつけますけれども、どうもこの時間のずれが気になってしようがないのです。  今度の台風二十号、家内と私、徹夜で見ていた、質問しようと思っていたから。四時、五時ずっと出るのです。NHK、僕は四時から見てみた。そうすると、四時のときに三時の観測の結果が出た。四時三十分も出た。五時はどうだ。五時もやはり三時の結果だ。なぜ四時の結果が出てこないのか、素朴な疑問を持つのです。四時にはNHKに主任予報官が出た。五時には鹿児島地方気象台の予報課長が出た。私は詳細を見てみて、それこそいろいろなデータを集める能力は皆さん方お持ちなのに、なぜ四時と五時で同じ観測結果に基づく予報しか出ないのか。せめて四時が三時だったら五時には四時のものが出ないのだろうか。一国民としての素朴な疑問と怒りをぶつけて、御見解をいただきたいと思うのです。
  70. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  観測時刻からテレビなどに情報が出るまでの時刻のずれの件でございますけれども、気象庁といたしましては、例えば朝三時の場合に、三時の台風の位置を決める作業でございますけれども、観測の資料、これは地上気象観測それから気象衛星の資料、それからレーダーとかそういった資料を広範に集めまして解析をし、それから情報を作成するという作業を行っております。これに若干時間がかかりますが、しかし現状では、正時の観測から約五十分前後には発表するということで努めておるところでございます。それで、例えば三時の位置、それから動き、それから暴風雨圏の広さ、こういったものにつきましては、三時の位置ですと三時五十分ごろには発表するように努めているところでございます。  なお、こういった時間差がございますので、これを補うために一時間後の推定位置、つまり今の例で申しますと四時現在の推定位置もあわせて発表するようにしておるところでございます。  こういった情報が放送局等に伝達されるのに若干時間がかかるということと、それから放送時間にわずかのところで間に合わないというような事情も二、三ございまして、先生指摘のような事態が生じたものと思います。そういうことがないように我々努力はしておるのですけれども、そういった実情等も調べまして、また各報道関係の皆さんにいろいろお願いをしまして、私たちの出します情報が迅速に報道されるようにこれからも努めていきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、予報円の御指摘でございますが、この方式を取り入れましたのが五十七年からでございます。台風の動きの予想につきましては、方向の急変あるいはスピードの変動等もありまして、どうしても現在の技術では平均で申しますと二百キロ前後の誤差が避けられないという実情がありまして、中心の予想の位置を範囲をもって示すということで導入いたしたわけでございます。  これにつきましては、導入当初から機会あるごとに解説あるいはその一般への普及等に努めてまいったところでございますけれども、先生指摘のとおり、今年の台風に関しましては非常にわかりづらい、あるいは誤解を生じがちであるというふうな御意見をいただいております。気象庁といたしましても、早速今かかっておるところでございますけれども、わかりやすくて誤解のない表示の方法のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。
  71. 上西和郎

    ○上西委員 もうお答え結構ですが、念のために言っておきます。NHKは鹿児島地方気象台から生中継をやったのです。そのことを一言申し上げておきます。  さて、私はこれでもう質問を終わらしていただきますけれども、私はきょうあえて気象庁に質問をしたのは、有明海で痛ましい事故があったからですよ。鹿児島県でも農業は大変な被害を受けました。その遠因の一つに、気象庁のそういった予報の出し方、警報の出し方もあったということを十二分に御理解いただいて、今後一層、より正確な、より信頼される予報、警報ということについて気象庁の御努力をお願いしますとともに、やはりあれだけの痛ましい犠牲を出した有明海の漁業の皆さん方のことを思い、大臣以下農林水産省側としてもそうしたことについて改善をぜひ要望していただきたい、こういうことをお願い申し上げ、終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  72. 今井勇

    今井委員長 午後零時四十五分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十七分開議
  73. 今井勇

    今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  74. 島田琢郎

    ○島田委員 質問に入ります前に大臣に、先月の豊かな海づくり大会は非常に成功裏にこれを終えることができました。大臣もせりかく私の地元の湧別町にもおいでいただきまして、この成功に御協力いただきましてありがとうございました。  なお、その節、当委員会で私が多田、田川両氏の結婚七十年の件について農業者年金法の改正の審議のときにちょっと触れました。大臣には早速誠意をもってこの両夫婦にこたえていただきまして、大変ありがたく思っております。この席をおかりしてお礼を申し上げておきたいと思います。  さて、畑作三品の価格決定当たりまして留意をしていただきたいことが二、三ございますので、順次触れてまいりたい、こう思っております。  そもそも、最近これはこうした畑作ばかりじゃないのでありますが、私も何度か当委員会でその点について質問もし、また意見も述べてまいりました。非常に内外ともに日本の農業、農政に対します注文が多くて、大変な時期を迎えているという点では私も同じ認識を持っておるわけであります。それだけに農林行政、大変御苦労の多いこともよくわかります。しかし、このところだけはしっかり農林水産行政の中で守ってもらいたいという点をきょうもまたひとつ述べさしておいていただきたいと思います。  今農家の間に非常に不安がありますのは、だんだん領域が狭められてくるのではないか。 つま力、つくるあるいは営農で、ここだけはどうしても自分で守っていかなければならぬという営農の分野にも大変いろいろな内外からの注文がついていて防戦一方だ。つまり、私流に言わしていただくと、労働者には働く権利というものがあるわけでございます。これは法律によって保障されているわけであります。農家には物をつくる、これをやはり保障してもらうということが一番大事であります。きつく言えば、つくる権利みたいなものはやはり農民自身にも持たしてもらわないと困る。  ところが、だんだんあれつくっちゃ困る、これつくってはだめだ、そういうふうに領域が狭められてきています。特に、北海道なんかのように専業形態を強く志向する地域においては、生き延びる道が当然のことながら狭いものですから、その意識が強く出てくる。つまり、生活を支えていく分野からも、この領域だけは守らなければ、営農が続けられないだけではなくて生活もできないというところに追い詰められてまいりますと、これは困るわけですね。  例を挙げると、米に始まりますが、減反は、御承知のようにもう半分近くにまで減った。米づくりに問題があるからやめろというところからほかの作物に転作をせよというところに行ったわけでありますが、米つくらぬかわりにほかのものがつくれるといううちはそれなりに営農にも一定のいわゆる励みもあるし、将来の見通しもあったのでありますが、さあ、そこに寒地作物として一番安全なものということで志向していくのは当然ですが、そうなってまいります過程で、今度はビート、どうもこれはこれ以上つくられると困るよ、それだけにとどまらぬで、ジャガイモも面積的にはもう限界だ、せっかく国策として生産振興が鳴り物入りで進められている大豆にも問題ありという感じで、耕作のいわゆるテリトリーが狭められている、どこにも生き延びる道がなくなっちゃっているというのが現況であります。畜産はどうか。牛乳も生産調整が行われました。それが今当たり前のようになっている。そのうちに牛肉だって豚肉だってだめだ、こうなる。  しかし、米を除くいずれにしても国内的に言えばまだまだ自給率一〇〇%ではないわけですね。卵がありますけれども、野菜がありますけれども、そのほかの今私が挙げました畑作物のほとんどすべてについてはまだまだ自給率は低いものばかりなんです。  そうすると、理屈から言えばまだ国内でうんとつくったっていいはずなんでありますが、それが生産調整ということになっているのは、結論を言えば、輸入、ここに問題があるからでありまして、これも単純なことを言えば、輸入を減らせば国内で幾らつくったって消費できるはずであります。それはそれほど単純なものではないことは百も承知なんでありますが、しかし、農家の気持ちとしては、おれらの領域が狭められる前に外国から入ってくるものをもっと減らしてくれれば農業の振興は可能ではないか、極めて明快な答えがそこにあるわけでありますね。  そういう点を考えますと、今これから決められようとしているてん菜バレイショあるいは大豆等につきましては、そういう農政の基本というものをしっかり守ってくれるかどうかが価格決定に当たっての最も大事なポイントだと私は思うのですが、大臣いかがですか。
  75. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。  大変御高邁なる農政についての御見識につきましては敬服しておるわけでありますが、先ほどおっしゃいました雑豆等についての輸入問題でございますが、基本的にはIQ制度によりまして輸入品の供給を調整し、国内生産の保護育成を図っていることが基本でございます。  そんなことで、輸入枠の決定に当たっては、向こう半年間の需要量から出荷量を差し引きまして、これに在庫量を加減して必要輸入量を推定しており、国産品を優先消費する計算方法をとっております。この方式に基づきまして、五十九年産小豆は大豊作であったため輸入割り当てを五十九年度下期ゼロ、六十年度上期はわずか百七十万ドルに抑えたところであります。  今後とも先生指摘のIQ制度に即し、国内生産に混乱を来さないよう適正な運用に努めてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  76. 島田琢郎

    ○島田委員 今、大臣がお答えになりました点は、この後新村委員が重ねて質問をする予定になっておりますので、私はそのお答えだけ受けとめておきたいと思います。  ところで、私が今申し上げた中で大豆というのはやはりある意味では国策作物である。国策に沿って大豆の国産化を進めていく、つまり自給率を高めていかなければならない、そういう施策のもとで大豆生産振興が行われてきているわけですね。ところが、最近どうも新聞などで報ずるところによりますと、交付金等の打ち切り、それを制度的に取り込んでくるという動きが財政当局を中心にして強く打ち出されている。これは背景には財政の合理化、こういうことに尽きるわけでありますけれども、農水省もこの辺を言われると大変弱い、したがって相当突っ込んだ制度の改正にまで検討が今加えられていると新聞が報道しているのですが、これは事実ですか。
  77. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆についてのお尋ねでございますが、現在、大豆なたね交付金暫定措置法という制度によりまして交付金交付を行っておるわけでございます。全体的に財政問題については、先生お尋ねのとおりの大変苦しい事情にございまして、農林水産予算全体、シーリング等で枠が締められます中で、価格関係のものにつきましてはそれぞれの制度がございます。例えば大豆について申しますと、一種制度運用上必要なものは計上するということでございますので、状況によりましてはこれがかなりふえていく、あるいはことしのように相当の補正を組むということになる一方で、総枠の中では生産対策的な面をむしろ減少せざるを得ないというふうにしわ寄せが来るというのが大変苦しいところでございます。  今お尋ねの中にございました制度問題をどう考えておるのかという問題につきましては、一つにはこういう財政的な問題も背景にあることは事実でございます。ただ趣旨は、大豆生産というものを地域農業の中でどうやって安定させていくか、あるいは大豆全体の需給の中で国産大豆をどう位置づけていくか、こういう大豆需給問題なり、それに対応する生産対策、これが基本でございますので、あくまでも財政問題だけですべてを決定するというようなことではございません。  そういういろいろな観点から検討しなければならない問題の一つとして、現在の交付金制度は、大豆生産量がふえてまいりますと、いわばかなり歯どめなしに財政負担がふえていく、こういう形について何か制度上の問題があるのじゃないか、これを検討してみてはどうかというような感じが財政当局を中心にございますし、我々も諸般の事情を考えますと、制度そのものを今すぐ直すということではないにしても、その運用問題として需給問題あるいは財政負担問題、これをいろいろ考えた慎重な検討をしながらこの交付金制度を運用していくということを考えるべきではないかというのが現在の状況でございまして、今直ちに何らかの意味七制度に手をつけるというようなことまでは検討に入っておらない状況でございます。
  78. 島田琢郎

    ○島田委員 私は国策という言葉をさっき使いましたけれども、大豆の国内の消費量が幾らだというのは百も承知でしょう、局長輸入大豆国産大豆の比率、これぐらい自給率の低いものはないんじゃないですか。それがもはや何か頭打ちといいますか、もう飽和状態のような印象で今お話をされています。これは言うまでもないことですから、僕はそんなこと言わずもがなのこと、言うことはないと思っていましたけれども、北海道に限らず、畑作地帯においての輪作体系上、地方の維持増進を図るという面から考えても、国内の食糧の位置づけから考えても、まさにこれは国策と見ていい大事な作物でないのでしょうか。  それが国内がもう九〇%も自給していてというなら私はこんなこと言いませんよ。総体で四百万トン、やがて五百万トンに達する大豆消費量需要量、これに対して国内でわずか二十万トンちょぼちょぼの自給しかしていないのですよ。残り四百五十万トン、五百万トンになんなんとする大豆は全部外国から輸入しているのですね。それは財政論の立場から言えば、安い大豆、高い大豆という比較になるのでしょう。だから、僕は無理なことは言っていませんよ。まだわずか、面積にしたって大したことない、北海道と両方合わしたって十三万ヘクタールか十四万ヘクタール弱であります。そして雑豆をつくるのをやめろと言って、ことしは小豆やインゲンの方を減らして、北海道においては大豆の面積をもっとふやせと農林省から言われて、我々は素直にそれを受けて、その面積を消化して一生懸命大豆づくりをやっているのです。  それを、今の局長答弁によりますと、あたかも大豆はもう飽和状態だ、そんな話は納得できませんよ。そもそも今問題になっている点は何と何なのですか。簡単にお示しください。
  79. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆については全体の需給の中での位置づけということが問題になるわけでございまして、あくまでも自由化されておって関税もゼロであるという大豆につきましては、国内の需要動向において無制限に入ってくる状況にあるわけでございます。  その中で国産大豆位置づけとしては、これは六十五年のいわゆる長期見通しにもございますけれども、製油用、油に使う方はこれは非常に率直に言って難しいので、食品用と言われているもの、その中でも特に国産大豆のいいところを伸ばすものということで、煮豆用等いろいろございますが、この辺を中心に食品用の六割程度は国内でつくろうではないかという目標を掲げておるわけでございまして、そういう目標からしますと、今の状況国産大豆はまだ目標にかなり遠いという状況です。ただ、現在の価格関係から申しますと、輸入品との関係で相当価格が下がってくる、こういうような状況から交付金の額がかなり大きくなる、これはどうしたものだろうかという観点からの検討が入るわけでございます。  そこで、どういう点が問題かということでございますが、あらゆる問題点を挙げるという意味で申しますならば、やはり一万七千二百十円の基準価格を六十年産についてはどうするか、この水準の見直しということが一つございます。  それから数量の問題としまして、現在、交付対象数量、かなり増加してきておりますが、何かこれも無制限増加じゃなくて、少なくとも交付金対象とする数量については何か限度みたいなものを考える時期が来たのではないか、これは一つの問題という意味であらゆるものを挙げますと、それがもう一つの問題であります。  このほか、実際の状況を見ますと、国産品を販売します場合に、需給状況によるものとはいえ、販売の仕方いかんにかかわらず、売れた価格については、その価格から流通経費を引きました分だけ全部交付金で補てんすることになっておりますので、こういう販売価格も何か一つの限度があるのじゃないか、これ以下で売れてもここまでしか交付金交付しないというような、そういう考え方は導入できないのだろうかという議論も出ております。  それからもう一つは、流通経費の見方としまして、概算払いなども相当な金利を見ておりますので、この辺の見直しがどうだろうかということでございまして、価格問題、数量問題あるいは販売価格、さらに言いますと流通経費、この辺の四つばかりの点が議論として申しますと今検討されている問題でございます。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 その中に制度的な問題も含まれているというお話でありますが、大臣、どうなんでしょう。これは大豆のことを今申し上げておりますけれども、大豆ばかりじゃなくて、冒頭申し上げましたように、みんなこのように、いわゆる大事な農民のつくる権利にまで踏み込んでそれを奪い取っていこうという、私はわかりやすく言えばそういう言葉の表現の方がいいと思いますからあえて使いますけれども、これじゃ農家は救われない。何をつくっていいんだ、つくるものがなくなってきた。農業をやめると言うのか。頼りにする農林省まで財政論を振りかざして農家の耕作権利を奪い取ろうとしている。つくることを拒否しようとしている。これでいいのでしょうか。大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  81. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 島田先生にお答えしますが、実はこれは農政の基本に関する問題だ、こう思っております。  そんなことで、実は私は、これから日本の農業を考えた場合に、価格政策も厳しい、基盤、構造政策も厳しい、それから生産対策、そういう形の中に、やはりバイオテクノロジーというものが大きい要素だと思うのですが、そういう形の中に農家をどう扱うか、結局、二種兼業農家をどうするかということを考えないと、将来なかなか難しい問題が出てくる、このように実は考えているわけでございます。そんなことで、専業農家と二種兼業農家、大体日本で専業農家は十数%でしょうか、兼業農家が八十数%、この辺の問題に大きなメスを入れないと農家経済はなかなか厳しい状況を迎えるのじゃないか、こんな感じがしておるわけでございます。  そんなことで、大豆の問題につきましては、実は御指摘の点もよく理解できるわけですが、単収の増加とかあるいは商品化率の向上等によりまして交付対象数量がふえる、そんなことで財政負担額がふえる、こんなことで、良品質の大豆生産と流通の改善を促進する観点、したがって、需要と供給をどうするかということから、基本的には先生のおっしゃることを理解しながら、所要の改善について検討する必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  82. 島田琢郎

    ○島田委員 さらに具体的な点については新村委員が問題提起をされるはずでございますので、私は先に進みたいと思います。  ビートでありますが、ビートもあと三百六十五日を切って来年の砂糖年度からは、長い間検討も進められてまいりましたが、成分取引という方向に進むということが昨年の価格決定の時期に約束され、ことし二年目を迎えておるわけであります。私は、農家の期待としては、来年の今ごろ成分取引へ移行するすべてが整ったみたいなことじゃ困るわけでして、御承知でもありましょうが、三月、桃の節句が終わりますとビートは種まきが行われるのですね。その時期に、新しい取引の形態をことしじゅうに実現するということの見通しがしっかり立っていないと困るのです。そういう一つのスケジュールに沿って作業が進められていると理解しているのですが、局長、これはいいですか。
  83. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お尋ね糖分取引下におきますてん菜価格体系、つまり基準の糖分、あるいは糖分格差というものについては、やはり三つほどのメリット、つまり生産者にとっても糖分向上の努力が報いられなければいけませんし、てん菜の糖分の向上を通じましててん菜糖の加工コストの低減が図られることも大事ですし、さらに全体としての国産糖のコストが下がって糖価安定制度の健全な運営に役立つということも大事でございます。そういうことを念頭に置いて検討を進めなければいけないと思います。  この場合、今お話しのように農家の対応からしますと、基準糖分なり糖分格差といった決定はできるだけ早くやることが適当であると思っておりますが、他方、やはりことしのてん菜はどの程度まで歩どまれるか、この秋に導入される糖分の測定装置の測定結果がどうなるかといった、できるだけ最近時点のデータを見きわめる必要がございますし、さらにその糖分取引をする場合には、基準糖分なり糖分格差といいますのは価格本体とも密接な関係があるものでございますから、やはり価格決定に先立って明らかにすることは大変困難であろうという事情もあろうと思うのです。  ただ、今お話しの点については以上のような点を踏まえて、関係者の意見も十分聞きながら、かつお互いに意思の疎通を図りながら、できるだけ早急に検討を進めることとしたいと思っています。
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、作業としてはほとんどまだ進んでいない、こういうことですね。ことしのビートのできぐあい、砂糖の乗りぐあいを見てから。しかし、これもおかしな話ですね。ビートづくりはここ二、三年の短いビートづくりじゃないのでありまして、これはとんでもない長い歴史を持っておるわけであります。その傾向値なんというものは、十年くらいを刻んで抽出すれば出てくるわけですね。ただ、おっしゃるように、新しい品種、つまり糖分の非常に高い品種、それの成績ということになれば、おっしゃるような点はあるかもしれません。無論、そこにねらいを持っていかなければいけないから、おっしゃること、わからぬでもないです。  しかし、どうも行政はいつも遅くて困るのですね。僕に言わせれば、そんなのは三月までにはできると思うのですがね。それは三月いっぱいで砂糖がまだでき上がらない、操業中の工場もあるにはあります。しかし、ほとんど終わりますよ。どうしてそんなに意図的とも思えるように先延ばしをされるのですか。何か意味がありますか。
  85. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 どうも遅々として、役所がやることは遅いというおしかりは襟を正して聞かなければいけないと思っておりますが、ただ、今申しましたように、これは先生の方が私どもよりお詳しいくらいですが、単収もどんどんビートの場合上がってきていますし、その中で最近は、反当収量が高いものよりも糖度が高い、根中糖分の高い方がいいという選択が行われて、今お話しのように糖度の高い品種も少しずつ導入されるようになっています。ですから、去年よりはことし、ことしの結果をできるだけ踏まえたいと思っているわけでございます。  その場合に、三月と言えば播種前あるいは定植前のそういう時期にやった方がいいじゃないかという御趣旨はまことにごもっともだと私どもも思っています。できればそうしたいと思っていますが、今言ったような事情もございますので、やはり四月、五月の操業の結果を見た上で、全部を総括した上で決定に臨みたいと思っていますが、役人のやることはとかく遅いというおしかりもございますので、できるだけ私ども急いで検討して、結論が出るように努力をいたしたいと思っております。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 局長、あなた、何もかもみんな決めよう、行政の責任でやろう、そう思っているからなかなか時間がかかると思うのですよ。だけれども、これは仕組みは簡単でございまして、あなたの方で基準糖価を決めればいいわけですよ。あと上の方、下の方のスライド部分は当事者間に任せれば話は早いのじゃないですか。そんなにあなたの方で何もかもしょい込んで責任を負っていきましょうなんということをしなくたって、そうすればもっと早く決まると思いますよ。そういう点を早く明確にすることがまず何より免じゃないでしょうか。それもまた決めていませんね。  それからそのほかに、これは取引制度の改正という制度の改正でございますから、歴史的な意味合いを強く持ちますので、長いてん菜耕作、砂糖づくりの歴史を踏まえていろいろと改善をしなければならない問題も山積しているというふうに、私は生産者の側からも糖業の側からも聞いています。そういう点をある程度改善する決意に立ってもらいたい、こんなふうにも考えています。  きょうは具体的な問題については触れないでおきたいと思います。私もそれなりの考え方はありますので、これはまた別な機会にひとつ局長と意見の交換をさしていただく必要があるのではないかと思っていますが、そういういろいろな問題の整理もありますから、余計なことは任せる方にちゃんと任せてやればできることなんですからそこは任せまして、あなたの方でどうしてもやらなければならぬところだけ早く決める、ぜひこういうふうにしていただきたい、こう思います。今できるだけ早くというお話がございましたからそこに期待をかけておきたいと思います。  ところで、てん菜につきましてもさっきの大豆と同じことが言えるのですが、北海道では農林水産省の意向を受けましてビートの面積をふやさないようにしろ、これもまた生産者の立場で言えばまさに涙ぐましい思いで昨年よりも面積を減らしているわけですね。  これは何回も私この席で言っているのですけれども、そもそも北海道の稲作のいわゆる減反のところからかぶっている問題でありまして、今大分減ったというけれども、ひところは一万ヘクタールにも近い転作ビートが耕作されていた。それが既成事実化しまして、今面積七万七千ヘクタールの内輪に入れられているわけです。本来ならば、七万七千ヘクタールを閣議決定した方が先なんですから減反で出てきた分はプラスアルファなんですね。ところが七万七千ヘクタールの内輪に入れて畑作の方のビートづくりのところを制限をしてしまった。それだけではない。その七万七千ヘクタールの閣議決定さえも、今はそんなことなかったと言わんばかりに減反を強要している。即刻そういう面は解除すべきだと思います。  あなたの方は北海道が自主的におやりになっている、こう言うかもしらぬが、自主的どころか、陰に陽に農林省の圧力、プレッシャーを感じながら、北海道の出先の行政農家自身も仕方がなくて面積を減らしているわけですね。しかし、本来ビートづくりの有利性というものを認めようとしていない、そういう行政側からのいわゆる耕作拒否というのは新たな日本農政の方向転換として問題であるということを、昨年の十二月佐藤農林大臣が御就任になったばかりのときに私はこの趣旨の質問をいたしました。しかし以来その考え方はさらに一層強制力を強めこそすれ、私どもがここで言ったようなことにはなっていっていませんね。ですから、冒頭私は、そういう面で農家の間に危機感が一層強く芽生えているということを指摘をしたわけです。もうそんなことはやめてほしいですが、新局長、あなたはどうです。
  87. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 五年ほど前に農産物の需給見通しをやりましたときの当時の官房の企画室長でございますから、そのあたりの経緯はよく承知をいたしておりますが、全体を見まして六十五年、今お話しのように面積的には七万七千ヘクタールでございましたが、実際はことし七万二千五百です。ただ単収の方は逆に、五年先の六十五年でヘクタール当たり五十二トンと見ましたが、御承知のとおり六十年は大体五十四・五トン、面積はむしろ余り伸びておりませんが、単収の方は五年先の目標を通り越すくらい、先取りするような形で、農家の努力、あるいは新しい生産性の高い品種の導入等によりまして単収の方が逆に予想を上回ったスピードで伸びておるわけでございます。したがいまして、原料生産量を六十五年で四百万トンと見ましたが、ほぼ六十年でその水準は達成をしているわけでございます。  そういう事情を考えますと、やはり需要に見合った生産ということから見ますともう私どもとしては単収はかなり高くなっている、面積はもちろん御指摘のようにちょっと及んでいませんが、総体としての生産量は六十五年に考えていた水準にまで到達をしている段階でございます。そういうことも念頭に置きながら、かつ北海道における畑作物輪作を適正にやっていただくという意味で、生産について御留意をいただき、自主的にお考えいただきながら作付を考えていただいているというのが今の私どもの立場なのでございます。
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 局長妙なことをおっしゃいますな、あなたは。閣議決定なんですよ。農家が勝手に決めたのでないのですよ。そのときから北海道の耕作面積が大幅に減ったんですか。減ってないですよ。そのときから七万七千ヘクタールは耕作上、輪作体系上もこの線で問題なしとして大臣が皆さん集まって決めたじゃないですか。それを今になって飽和状態だの多過ぎるだのという理屈はどうして成り立つのですか。農家が勝手に決めたのならそう言われても仕方ありませんよ。でも今それを言いますまい。問題は外圧等で、自給率何%だと思っているのでしょうか。一〇〇%超えていますか、局長。そんなんではないじゃないですか。そういう答えは私は断固として認めることはできません。私もきのうきょうなったという議員じゃありませんよ。毎年同じことを言っているんだ。まだわかっちゃいない。  そこで、もう時間がないから話題をかえますけれども、ところで、今問題になっているのは輸入チョコレートだとかココア調製品だとか、これは加糖分ですね。これは食品流通局長だけ今質問しているのですが、本当は耕作上の問題というのは畑作の方の関係ですから、そういう考え方は部内できちっと調整していただかなければいかぬと思っていますが、輸入の問題で言えば外圧ですね。  チョコレートにしたってココア調製品にしたって、大変たくさん砂糖が含まれているものがどんどん輸入されている。これには、板チョコでは四五から五〇%の砂糖が含まれる。日本のチョコレートでも四二%の砂糖が含まれている。日本のものはいいですよ、国内の砂糖を使うのですから。外国から入れてくるのに、何も砂糖やミルクはこっちにあるのですから、あるものは入れてこなくたっていいのだから、原料だけくれればいいのですが、余計なことをしてくれて問題になる。ココア調製品についても早くから大変問題になっている。これは加糖物がそうでありますが、これには一定の関税で分類して課税しておりますから、ここの波打ち際を強化するということで今対抗しているわけでありますけれども、これだって非常に問題があります。  しかしながら、砂糖の分野で言えば、いかがわしい人工甘味料、特にアスパルテームなんかは、厚生省が何と言おうとこんなものがはびこるということ自体非常に私は問題だと思っている。厚生省の考えを聞きたいのです。
  89. 内山寿紀

    ○内山説明員 アスパルテームは砂糖の約二百倍の甘さを有します合成甘味料でございまして、日本では昭和五十八年八月に食品衛生調査会の議を経まして添加物として指定しております。  このものにつきましては欧米でも広くその使用が認められておりまして、現在約四十カ国で使用が認められている状況にございます。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 ところで、おととしのことでありますが、FDAがこれを認可したときにアメリカの一部から反対が起こりました。それには大変脳障害等の危険性があるのでこの安全性に疑問ありとして反対運動が持ち上がったわけであります。特にこれは消費者団体、こういうところからだけではなくて、研究をしております大学の食品科学研究所等のいわゆる反対が強く出てきた。御存じですね。  これは、公聴会の開催を要求し、政府に対しても、アリゾナ州政府でありますが、販売禁止という措置を申し入れてまいりました。ワシントン地裁にもFDAを相手取って提訴するという動きがあった。これに対してFDAが公聴会開催の必要はないという結論を出して、州政府も販売禁止要求というのは却下した、こういうふうになっておりますけれども、しかしこれは、一部であるにせよ、身体に影響がある、そしてそれは大変大きな障害をもたらすものだという研究発表がなされ、そういう問題の製品というものが海の向こうであるにせよ問題提起されているという点については、慎重な扱いが我が国においても必要だ。  それはなぜかと言えば、味の素がつくってこれをアメリカに売っている、こういう経過の中にあったからであります。それを監督するのは厚生省、あなたなのであります。当時、単にこれは却下されたというだけの理由であなたの方は問題にしなかったのか。こういう問題提起があったら、アスパルテームは我が国でつくられている品物なんですから、早速厚生省が乗り出してこれの検査をし安全を確認するという義務があると私は思うのですが、その点はおやりになったのですか。
  91. 内山寿紀

    ○内山説明員 先生の今の御質問の仲なんですけれども、米国における裁判では、本年の九月、ワシントンの連邦高裁は、消費者団体がFDAを相手取ったアスパルテームを含む食品の販売停止等安全性に関する公聴会開催を求めた訴えを却下しております。そういう事実がございます。  なお、日本でございますけれども、これにつきましては食品衛生調査会において評価がなされまして、安全性について特に問題ないと結論が出ておりまして、その後評価にたえ得るような重要な知見も現在のところございませんから、現在のところでは再審査するというような必要はないものと考えております。
  92. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、それはアメリカで問題ありとした前ですか後ですか。
  93. 内山寿紀

    ○内山説明員 今のはその後でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、連邦高裁の裁判というのは本年の九月、先月その訴えが却下をされたということがわかっております。
  94. 島田琢郎

    ○島田委員 そのときの、再検査ということになるのでしょうか、その再検査をしたときの資料は提出願えますか。
  95. 内山寿紀

    ○内山説明員 これは外国における裁判なものですから、どこまで資料としてできるものかどうかわかりませんけれども、一応その事情調査してみたいとは考えております。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員 そのアメリカの裁判の結果があった後を受けて、あなたの方で再度検査をした、そういうふうにさっき言ったから、その検査のときの検査資料をここに提出願えるかと……。
  97. 内山寿紀

    ○内山説明員 先ほど言葉足らずであれですけれども、私どもの方では、昭和五十八年の八月に食品衛生調査会の議をもとに安全性について評価がなされまして、それについての内容を変えるに至っていないということでございます。  先ほど来国におきましての裁判というのは、米国における状況を御説明したことでございまして、したがいまして、安全性については五十八年の八月以降、まだ変更するに及ぶようなデータは出ていないというふうに考えているわけでございます。
  98. 島田琢郎

    ○島田委員 僕が言ったのは、裁判の結果を言っているのではなくて、アスパルテームそのものは脳障害等を起こす危険性あり、こういうことがアメリカではあるけれども問題提起された、指摘された。そういう指摘はあったことを知っているでしょう。それに対して、アスパルテームは日本でつくって、味の素がつくってアメリカへ売っているんだから、ここの製造元、販売元の行政の範囲にはあなたの方がこれは責任を負っているわけでしょう。そういう問題が出てきたことに対して、早速アスパルテームの再検査を行ったとさっき言うから――おれの言うことをちゃんと聞いておれよ。時間のむだではないか。そうあなたが言うから、それならそのときの検査結果、再検査の結果を資料としてここへ出せるか、こう言っている。人の質問を何だと思って聞いているんだ。大事な点を言っているんだよ、人の命にかかわるかもしれぬことをやっているんですよ。もう一遍答えてください。
  99. 内山寿紀

    ○内山説明員 先ほどのは答弁足らずで失礼いたしました。  私どものアスパルテームの国内での審議というものは、先ほど申し上げましたように、五十八年八月に食品衛生調査会において安全性が評価なされた結果、新たに食品添加物として指定いたしております。それ以降についてのデータというものは重要な知見がないということで、現在のところ、食品衛生調査会に新たなデータをもって語るということは考えておりません。  それから、先生先ほどおっしゃいました神経系統ということにつきましては、恐らくこれは外国のデータかと思いますけれども、ことしの九月、先月にありまして、これは私どもの方も今、在外公館を通じて資料を要求しております。このデータが出次第、専門家の先生方にお諮りするということは考えております。
  100. 島田琢郎

    ○島田委員 疑わしきはという物の考え方というものが、私は、厚生省のこの種のものには非常に大事だと思うんですよ。地球の上で、どうであろうと、どこであろうと、アスパルテームが我が国内でつくられて売られているという事実がある限り、あなたは行政官として指導監督の責任があるんですよ。問題提起されたら直ちにこれに反応して、一体これは大丈夫かともう一回再検査をするという姿勢が厚生省になかったら、安心してこういうものが食べられますか、国民の皆さんは。前に安全だと言ったから、問題提起されても安全だで済ましてしまうという、その姿勢に私は問題ありとしているのですよ。これから資料を取り寄せてその結果でもう一遍やるという意味のことを今おっしゃったから。  しかし、それにしても問題提起がされたのは三年も四年も前でしょう。この間にどれだけの人がこれを使用したか。そんな厚生省の姿勢なら、安心して物を食べられないじゃないですか。そういう不安な要素を持ったものを、何年か前に安全性は大丈夫だとして認可したというその姿勢に問題があると私は思う。これからこの種のものがどんどん出てくるのですよ。これは砂糖を圧迫し、特に異性化糖の業界にも言い知れない影響をもたらすという点で、こんな不用意なものを簡単に認可してもらっては困る。本物の砂糖が何ぼでもあるんだから、さっき局長おっしゃったように、国内ではもう自給が一〇〇%超えたようなことを言っている。それくらい砂糖がある。こんなものまで認可する必要は一つもないのですよ。私は反省を促しておきたい。  時間が来ましたから、これで質問を終わりたい。
  101. 今井勇

    今井委員長 次に、新村源雄君。
  102. 新村源雄

    ○新村(源)委員 去る十月六日からソウルにおきましてIMF、国際通貨基金、世界銀行の年次総会が開かれました。そこで先進国と途上国との間で意見の調整のできなかったのは、今の国際通貨を変動相場制にするかあるいは固定相場にするか、こういう意見の違いがありまして、ついに意見の一致を見ることができぬで、来月の四月まで専門的に研究する、こういうようになった。そこで、これは国際間のことでございまして、先進国の主張は今の変動相場制でいい、後進国は固定相場制でいこう、こう言っている。  そこで、日本の経済でいわゆる為替の変動制をとってきた場合に、当然これに対しては非常に強い産業、しかし、弱い産業もあるわけですね。その中で特に農林水産業のように自然条件の中で営まれている産業というのは非常に手痛い打撃を受けるのではないか、こういう気がするわけですが、これは特に農林水産大臣、経済人だということをお伺いしておりますから、この最近の情勢について、これはこれからこのままでいったならば、日本の農林水産業にどういうような影響が出てくるか、こういうことについてちょっとお聞きしたいと思います。
  103. 関谷俊作

    関谷説明員 先生お尋ねのような為替の変動、特に最近のやや円高基調への転換ということで、これはいろいろな意味で、どちらの方向に動きましても大変大きな影響を与えるわけでございます。  一口に申しますならば、我が国でも、農産物で申しますと若干輸出もございまして、最近の円高傾向に対してかなり敏感な感じでやや心配向きに見ておりますものは、例えば、私どもの局で申しますと、ミカン類とかあるいは若干中近東に出しております果汁類、こういうものについては、この傾向がかなり進むと、特に対米輸出等については若干採算が悪くなるなという感じで見ております。  これは物によりまして影響の度合いが違いますけれども、そういう一面での影響と、もう一つ、現実的にかなり大きい影響を受けますのは資材の関係で、資材の関係ではいろいろかなり輸入依存度が高い原材料を使っているものが御承知のようにございますので、こういうものは円安方向に動きます場合はもちろんのこと、これは過去のオイルショック等の場合にございますけれども、そういう為替の変動の影響がそちらの方で大変深刻になる、一方で円高傾向になると、これはいわゆる資材がより安目に手に入るので、これをどうやって調整するか、この両面の問題がございますけれども、今の状況から見ますと、そのどちらの面にしましても、大変大きな深刻な影響がすぐに及ぶということではございませんけれども、この辺は今後のことも見通しまして、きめ細かく私どもも最近の状況を注視しながら、必要になりましたら対応しなければいけない、かように考えております。
  104. 新村源雄

    ○新村(源)委員 確かに輸出をする場合あるいは輸入する場合、これはおのずから立場が変わるわけですから、局長さんのおっしゃったことは一般論としてお聞きしておきます。  そこで、直接これに問題が出てくるのではないかと私が考えておりますのは、でん粉の処理、これは先ほど国産でん粉動向につきましては御答弁がございましたが、国内で生産されますでん粉は、甘でんが十二万三千トン、それから馬でんが二十八万六千トン、これは去年の数字だと思いますが、さらにコーンスターチあるいは外てん等が入りまして総計で二百二十二万七千トン、これだけのでん粉が供給され、そして消費がされている。  そこで、この国内産でん粉が特殊な用途、加工でん粉として使われているのが、先ほど上西委員にお答えがありましたように、甘でんで八千トン、馬でんで十五万四千トンですね。そのほかの甘でんが十万九千トン、馬でんが十二万三千トンは、いわゆる異性化糖の製造に抱き合わせで消化がされている。こういう経過であります。  そこで、昨年お伺いをいたしましたときには一対七、現在は七・八、しかしこれからさらに一対八というようにしていかなければならぬだろうということをおっしゃっているわけです。ところが、このように為替相場が円高傾向になりますと、これは八日の日本経済新聞ですが、豊作と円高によって一ブッシェル六百九十円が四百八十円、二百十円も下がっている。このことは、一キロ当たり八円二十銭安くなる、こういうように言っているわけです。そういうようにいたしますと、今までの馬でん、甘でんを合わして約二十三万トンの抱き合わせの消化ができていけるのかどうか、百三十五万トンの異性化糖に対して今の比率で消化ができていくかどうか、これについてどうですか。
  105. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えいたします。  今のような円高の状況が進んでまいりますと、御指摘のようにかなり割高な国内産の芋でん粉、それが芋でん粉一に対しましてコーンスターチ換算のトウモロコシが七・八、約八倍近いわけですが、七・八ということになりますが、それのミックス価格、つまり加重平均した価格と、もう一つ、二次関税を一キログラム十五円払ってトウモロコシを入れる場合とではほとんど差がなくなってしまうというような、かなり難しい問題に私どもは当面しているわけでございます。  ただ、先ほども申しましたように、今も御指摘のように、でん粉全体の需要は伸び悩んでおりまして、一年間に大体二百二十万トン台でございますので、そう簡単に輸入トウモロコシの無税の枠を広げて抱き合わせていくということはなかなか許されないというか、できがたいだろうと思っております。  そこで、現在の国内産でん粉を優先的に消化をしていく、そのために今の輸入トウモロコシの国産でん粉との抱き合わせというやり方はこれからもやはり堅持をしていく、しかしその場合、やはりやり方については、コーンスターチの原料である輸入トウモロコシの海外相場なり為替の動向なりというものを慎重に見きわめながら対応してまいりたいと考えております。
  106. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今局長のおっしゃったように、国内産でん粉は全量を処理する、これが大前提ですね。大前提だとすれば、今の二次関税が十五円ということになって、先ほど私が申し上げたようにこの豊作と円高によってキロ当たり一挙に八円も下がる、そういう中で実際にどうやってやっていきますか。その処方をちょっと教えてください。
  107. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 やり方については非常に苦慮せざるを得ないだろうと思っております。  先ほど申しましたように、円高相場が続いていく中で国内産価格はある水準に達しております中で、国内産価格と今言ったコーンスターチをつくるための輸入トウモロコシの価格をまぜましてミックス価格をつくっても、その価格そのものが輸入トウモロコシに十五円の関税を払って入れるのと余り大差がないというような状況の中でございますから、やり方は大変難しいのだろうと思います。  先ほど指摘のように、それじゃ七・八という輸入トウモロコシの割合を、ただいまの八とかいうように高めるのかという御質問もございましたけれども、それをやりますと、全体としてのでん粉の国内の総需要が伸びてないとそういうやり方もなかなか難しいということで、でん粉需要が全体として伸び悩んでいる、しかも海外の為替相場がなおかつ変動していくという中ですから、今の関税の抱き合わせのやり方というのは、よほど神経を使ってやっていかないと難しいのだろうというように苦慮をいたしております。  ただ、いずれにしても国内産の芋でん粉を処理すること、これはやはり優先的に処理することが基本的な課題でございますから、関税率審議会なんかへ出ますとこの関税割り当て制度についてもいろいろな批判も高いのですけれども、何とかこの関税割り当て制度を守りながら国内産でん粉の優先処理に全力を挙げていきたいと考えております。
  108. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今度は大臣にこの点についてお伺いしますが、今局長さんの御説明を聞いて、私もはっきりわからない。私が素人なりに見ても非常に困難だ。いわゆる第二次関税をぐんと上げるか、あるいは国内産でん粉価格をうんと下げるか、いずれかしなければつじつまが合わぬ格好になっております。  そこで大臣、特に要望申し上げておかなければならないのは、いわゆる円高あるいはアメリカのトウモロコシの豊作によってこういう現象が出てきたものを、生産調整なりあるいはでん粉価格にしわ寄せは絶対してはならぬ。国内の生産を守り、そして農民の所得を確保する、非常に困難な状態に差しかかっていると思うのですが、この点について大臣ひとつ、そういうことは絶対しないで措置ができるということに大臣の所信を……。
  109. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 事務的にお答えしてから大臣がお答えいたします。  まず、二次関税率を上げたらどうかという御指摘があったことについてですが、これはすごく難しい話だと思います。これは先生指摘のとおりで、キロ十五円にしたときでも、関税率審議会で大変な議論がありました。ですから、この二次関税率を上げるというのはすごく難しくて、なかなか困難な問題であろうと思っております。  いずれにしても、今の二次税率を維持しながら、かつ一方で国内産の芋でん粉の現在の生産状況を踏まえて、そして国内産でん粉輸入トウモロコシとを抱き合わせをしながら国内産でん粉の優先消化を図る、その基本方向はこれからも守ってまいりたいと思っております。
  110. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたしますが、実は先生の御指摘のとおりでございまして、円高状況にあって、極めて割高な国産芋でん粉と抱き合わされましたコーンスターチのミックス価格と二次税率によるコーンスターチとの価格は極めて接近してきておるということから、非常に厳しい情勢になっております。  私も実は、どんな方法がいいか、これから大いに検討してみたいと思っておりますが、基本的にはやはり、国産芋でん粉の優先処理を基本とするというようなことで実は今後の関税割り当て制度の運用をやってみたい。その中で当然、でん粉全体の需要動向とかあるいは国内産でん粉生産及び価格動向、あるいはコーンスターチの原料である輸入トウモロコシの海外相場の推移等を慎重に見きわめる必要があるわけですが、基本的には国産芋でん粉の優先処理をどうするか、こんなことを含めて検討してみたいと思っております。
  111. 新村源雄

    ○新村(源)委員 先ほど申し上げましたように、このしわ寄せは絶対に生産抑制なりあるいは価格を引き下げる、こういうことのないように強く要望をいたしまして、さらに、これは先ほど局長もおっしゃっていましたように、円高によって非常に利益を受ける分もあるわけですね。例えば飼料とか肥料とか、あるいは石油等によって生産される化学製品、こういうものは当然安くなるわけです。しかし、残念ながらなかなか農民の手元までそれがストレートに来ない、そういう嫌いが過去に往々にあるわけです。これは、こういう非常に厳しい時代ですから、農林水産省は特にこういう点に意を用いて、適正な価格で供給ができるように指導してもらいたい、これは要望しておきます。  次に、先ほど島田委員の方から御質問のありましたIQ制度に係る問題でお伺いをいたしたいわけですが、このIQ制度の目的につきましては今さら私から申し上げるまでもございません。やはり国内の生産に打撃を与えないようにということで輸入割り当て制度をとっておるわけです。  そこで、先ほど島田委員もちょっと触れておりましたが、五十九年の二月二十二日に、農林水産省農蚕園芸局長の名前で北海道知事あてに一つの通達が出ているのです。これは「北海道における雑豆の計画的生産について」こういうことで、かなり長い文章でございますから全文を読みませんが、特に問題のあるところは「北海道における雑豆の作付面積は近年急激に増加しており、このまま推移すれば、作柄による生産量の変動はあるものの、国産雑豆の供給が国産雑豆に対する需要を上回る等国産雑豆の需給が不均衝になることが懸念される。」こういうことで、以下またいろいろなことを言いながら、最後に、農業団体による作付目標面積の設定等を指導せよ、そしてその計画設定については農蚕園芸局にも協議をするように、こういうことがつけ加えられて通達が出されているわけです。これは局長御存じだと思うのですが。
  112. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいま御引用になりました五十九年二月の通達でございます。これは先生今お読み上げになりました通達の内容にもございますけれども、基本的には需給関係の問題がございますが、我々としましては、やはり雑豆というものが北海道畑作地帯の作付体系の中で一つの非常に重要な地位を占める、そういうこともございますし、また需給の安定を図って輸入品との調整についても十分安定的に対応したい、こういうことでございますので、これに対応しまして道知事で作付目標面積を設定してもらう、あるいは先生御承知の今年から北海道農業団体の実施しております目標面積、指標面積の設定についても協議をしながら対応して、国内生産を安定的に推移させると同時に、いわゆる全体としての雑豆の需給にも波乱のないように、あるいは価格面での乱高下を招かないように、こういうようなことに配慮してこれからも対応してまいりたいと考えております。
  113. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これが、二月に通達が出されています。その後、四月に入りましてからいわゆる日米の懸案事項でありました牛肉、かんきつを中心とする日米協議が行われたわけです。そして、四月七日にワシントンにおいて山村・ブロック会談によって、当面牛肉とかんきつについては合意をした。そして、引き続いて輸入制限品目の十三品目については事務レベルで協議をしていこう、こういうことで事務レベルにおきましては四月二十七日に合意がされておるわけです。  どうも、先ほど二月二十二日に北海道の雑豆をひとつ計画的に生産をしなさい、いわゆる生産調整をしなさい、こういうようにブレーキをかけておいて、一方では日米の協議において、雑豆においては十二万トンもしくは五千五百万ドル、こういう取り決めをやったわけですね。これは先ほど島田委員がおっしゃっていましたように、国内の生産を抑えながら外国の雑豆の輸入の道を開いた、こういうように考えざるを得ないわけですが、この点についてはどうですか。
  114. 関谷俊作

    関谷説明員 この問題、国内における生産を安定的に持っていくということと、輸入品の調整というこの二つの問題の関連の問題でございます。  私どもの考え方は、基本的には全体としてはやはり雑豆というものは輸入品も国内品も含めて供給過剰になって価格低落あるいは価格の不安定というようなことがあってはならないということで、国内品については今申し上げましたような措置を通じまして生産の安定を図っていくということと、したがいまして輸入品についてもこれを輸入制限を維持して、需給動向を見ながらいわゆる割り当て数量を適正に処理していく。このときには御承知の五千五百万ドルまたは十二万トンという一つの最低輸入枠を設定したわけでございますが、こういうようなことで、輸入品については道を開くというような御指摘でございましたけれども、実は輸入品についても一つの制限を継続していくということで、国内品の生産の制限と輸入品の制限、これがいわば対になっている、こういう考え方を私どもとったわけでございます。  こういう措置につきましては、例えばガット等に、御承知の、いわゆるIQというものは原則的にはいけないのだけれども、国内の生産制限との関係で一定の合理的な説明ができる場合には認められるというような条件もございますけれども、それにぴったり適合はしないにしても、やはり国産について制限をする必要がある程度需給関係であるから、輸入品についても何らかの意味でこれを制限していく、こういうような必要性、両方同じところから出ているということで、両方がいわば相互に関連をしながら対策として考えている次第でございます。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  115. 新村源雄

    ○新村(源)委員 局長さん、大分苦しそうな御答弁をなさっていますが、要するに国内生産に一定のたがをはめる、したがってそれに対応するものとして輸入の枠も決める、端的に言えばこういうことですね。  そこで昭和六十年度の豆類の需給状況を見てまいりますと、消費は約二十三万トン、二十四万トンと言われておりますが、これは昭和六十年度の立年度の実績見込みでいきますと、消費が二十二万九千二百七十二トン、それから国産が十五万七千五百トン、さらにこれに対して輸入の実績が、これは五十九年の下期と六十年の上期で十二万五千トン入っております、そういたしますと、供給量が二十八万二千五百トンということになりまして、過剰在庫が五万三千二百二十八トンということになってきます。そしてこれを六十二豆年度に持ち越すということになるとどういうことになるかといいますと、消費は前年と同じように二十三万トン、そして過剰在庫が五万三千二百二十八トン、さらにこれに十二万五千トン輸入をしたとすれば、国内の豆の生産というのは五万一千七百七十二トンより生産ができない、こういう形になってくるわけです。この点についてはどうですか。
  116. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいま先生御引用になりました需給関係の数字については、これはまだいろいろな形で現在動いている状況でございますので、確定的な数字は今判断できないわけでございますが、私どもとしましては、やはり先ほどの農産物全体についての考え方によるわけでございますが、国産というものが、国内でもってある規模の生産を行うという前提がございまして、その国産品と需要量と見合ったもの、需要量とのいわば差額を輸入するというような考え方、これが一番基本的な考え方にございますので、その在庫なりの状況からいって、必要でございますれば輸入品の方をできるだけ需給に悪影響を及ぼさないようにいろいろ制限をしたり調整をしていくという考え方に立っておりますので、在庫なり輸入等の数字から逆算して生産を減らしておく、こういうような考え方には私ども立っておらないわけでございます。
  117. 新村源雄

    ○新村(源)委員 局長さん、この数字についてははっきりしてないということをおっしゃっているのですが、しかし、流れとしてはこういう流れであることはわかるわけですね。六十豆年度において五万三千二百二十八トンの過剰が出ている、過剰在庫がある、そして、それを持ち込んで六十一豆年度になれば、もし輸入が十二万トン、これは日米の合意事項に基づいて入ってくるということになりますと、国内生産というのは三分の一より生産できない、そういう形になるわけですね。この数字については認めますか。
  118. 関谷俊作

    関谷説明員 先ほど申し上げましたように、輸入品なり在庫の状況から見て必要とあれば国内産を、今お話しになったような厳しく生産を減らすというような考え方はもともとございません。私どもの考え方は、あくまでも在庫状況等を見つつ、同時に生産がこのぐらいあるということであればそれに応じてできる限り輸入の方は抑えていく。かつては、前年下期につきましては、小豆については御承知のように輸入割り当てゼロというようなこともやったわけでございますし、そういうようなことでできる限り需給動向に応じて輸入の面で調整を加えていく。  その場合に、昨年の日米協議でできました枠については、あくまでも従来の傾向からします最低の輸入枠でございますので、その輸入枠の建前を維持しながら輸入制度の運用というものは何とかやっていけば可能ではなかろうか、こう考えているわけでございまして、お尋ねのありましたような六十一年産の雑豆の生産をそんなふうな、物が余っているからあるいは在庫が多いから、こういうことで生産を圧縮していくというような考え方は私どもとしてはとる考えはございません。
  119. 新村源雄

    ○新村(源)委員 局長さん、非常に御努力されていることはわかるのです。わかるのですけれども、しかし現実はこういう厳しい状況になっているわけですね。そしてさらに六十年下期の発券が残枠として三千七百七十万ドルが残っており、これは局長さんの今のお言葉をおかりいたしますと、この部分で調整ができる、そして国内生産にはいささかの調整やそういう制限を加えない、こういうように受け取っていいわけですか。
  120. 関谷俊作

    関谷説明員 今決められております最低輸入枠は、御承知のように五千五百万ドルまたは十二万トンということでございまして、このどちらかを充足すればよろしい、こういうことになっているわけでございます。現に五十九年度につきましては、金額的には五千五百万ドルに達しておりませんけれども、数量的に大体最低輸入枠に達するというようなことで割り当てをしておりますので、単純に五千五百万ドルから千七百三十万ドルを差し引いたもの全部を下期に割り当てなければならない、こういうことを意味しているわけではございません。  それともう一つは、この雑豆トータルの中での小豆、インゲン、エンドウ、ソラマメというような種類別の配分についても、先ほど申し上げましたようにそれぞれのものの需給によりまして、小豆については需給関係がかなり緩和しておれば相当割り当て量を減らすというような調整も可能でございます。こういうような両面のことでございますので、私ども、下期分についてはいずれにしても何らかの割り当てをするわけでございますけれども、今申し上げました点を十分考慮し、また具体的な品目別の生産需給状況、在庫の状況、これらを十分考慮しまして、国内生産に著しい影響を与えませんように対応していく考えでございます。
  121. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この日米合意というのは一九八四年、八五年と二カ年にわたっているわけですね。しかし、六十年度の下期、これは弾力的な運用によって国内の生産影響を及ぼさないようにしておる、局長さんは今こういうようにおっしゃっているわけですが、局長さん、これはそういうことで理解してもよろしゅうございますか。
  122. 関谷俊作

    関谷説明員 私ども、当面の雑豆の種類別の需給、在庫状況については、最善の情報を集めましたものに従いまして、国内生産に著しい影響を与えないように最善の判断をして、今後の割り当て、特に下期の割り当てを行ってまいりたいと考えております。
  123. 新村源雄

    ○新村(源)委員 大臣、このように雑豆が非常に過剰な状態になっておる。殊に、小豆を中心とする昨年とことしの豊作といううれしい状態でございますが、残念ながらこの小豆が、これもきのうの日経新聞ですが「小豆、下げの軌跡描く 連続豊作で一万円割れも」そして中身は、やっぱり北海道農家は豊作貧乏だ、こういうことを言っておるわけです。  こういう状態の中でさらに問題になっております三千七百七十万ドルの下期の割り当てがある。そしてもう一つ問題なのは、この二カ年が終わりますけれども、新たな協議がまた始まるわけですね。こういうことでまたこれをしょい込んでしまったならば、これは北海道、日本の雑豆生産にとっては前途に展望の開けないものになってしまうわけです。したがって、この二カ年経過後の日米協議の中では、IQの本来の精神に基づいて、国内の需給状況によって不足分だけを輸入する、こういうことに立ち返ってもらわなければならないのですが、この点について大臣はどうお考えですか。
  124. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 新村先生にお答えします。  先ほど農蚕園芸局長答弁したとおりでございますが、IQ制度基本的に二つのねらいがあると思います。  その一つは、国内生産需要に満たない分を輸入で補完する、それとともに必要量以上に安価に輸入品が出回ることを防止する、そういう形の中で国内生産の保護育成を図ることが基本だと思っております。  そんなことで、この基本考え方というのは最低輸入枠を設けている雑豆についてもちっとも変わっておりません。先ほど局長の言ったようなことでございますが、今後とも国内の生産、流通に混乱を来さないように雑豆のIQ制度の適正な運用を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  125. 新村源雄

    ○新村(源)委員 先ほどの通達の中にありましたように、北海道の豆類の作付目標といいますか、そういうものの設定には「当局にも協議するよう配慮されたい」こういうように言っているわけですが、そこで、北海道農協中央会のつくりました昭和六十五年の目標、これは御存じですか。
  126. 関谷俊作

    関谷説明員 昭和六十年の雑豆も含めました畑作物等の生産指標については、内容的にも一種の御相談を受ける形で私ども進めておりますが、お尋ねのことがもし六十五年という先のことでございますと、その関係の情報は今私ども得ておりません。
  127. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これによりますと、六十五年目標麦類が十一万ヘクタール、豆類が八万ヘクタール、芋が七万ヘクタール、てん菜が七万七千ヘクタール、これは農林省長期見通しを立てた六十五年見通しにほぼ似通っていると思うのですが、この点についてはどうですか。
  128. 関谷俊作

    関谷説明員 何分にもまだ北海道農協中央会の六十五年の目標についての数字及びそれを立てた考え方について承知しておりませんので、今お尋ねのような問題についての我々としての論評は差し控えたいと思いますが、基本的には、私ども六十年の目標のときにも申し上げたのでありますけれども、長期的なラインとして大体長期見通し方向に沿っていればよろしいわけです。ただ、例えばてん菜を例に挙げますと、六十年についてはたしか七万二千ヘクタールというような指標面積にしておられると思いますが、てん菜の場合で申しますと収穫、単収の増加向上によって、生産量の方で六十五年目標にほぼ達しておる、こういうような状況がございますと、作付面積指導をしていただく場合にはそういう事情も考慮していただかなければならない、こういうことになりますので、今お尋ねの中で例えばてん菜七万七千ヘクタールということになりますと、私どもとしてはその点についてはやはり若干の調整を要するようなことになるのではないか。  これは一つてん菜をとった一例でございますけれども、いずれにしましてもそういう長期的な方向北海道農協中央会でこれから検討されるということであれば、十分御相談にあずかりながら、北海道畑作農業のこれからの方向について誤りのないようにお互いに考えてまいりたいと考えております。
  129. 新村源雄

    ○新村(源)委員 ちょっと不思議に感ずるのですが、この通達の中で、目標の設定に当たっては「当局にも協議するよう配慮されたい。」ということを言っているわけです。そうすると、これについて全然協議はなかったということですか。
  130. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいま申し上げたように、六十年の分についてはこの通達の趣旨により協議を受けております。六十五年については、あるいはまだ検討中のことかと思いますが、協議を受けておりません。これは恐らく先のことであるので、通達の意味するところは、それぞれの年について決めたあるいは決めようとしているものについて協議するようにという趣旨でございますので、先のものについては御相談がないのだろうと思います。しかし、そうかといって先のことについて今相談をして悪いということはございませんので、御指摘のようなことでございますれば、これから長期的な方向については北海道農業団体とも十分御相談をしてまいりたいと思っております。
  131. 新村源雄

    ○新村(源)委員 先ほど島田委員からも指摘をされておりましたが、てん菜の面積が六十五年長期見通しで七万七千ヘクタールになっているけれども、収量が上がったから面積は少し多い――自給が、てん菜糖甘蔗糖を含めても、三百万トンのところで八十七、八万トン程度生産なんです。しかし、そこに非常にこだわられるので、私どももそこを言われると黙って引っ込めないという気持ちになるわけです。  しかし、残念ながら時間が参っておりますので、今北海道畑作、特に豆類はいわゆる外国からの豆の輸入によって非常に過剰な現況にある、もちろん二年間の豊作ということもありますが、そのために価格が暴落をして農家経済に非常に重要な影響をもたらしておるわけです。そういうことですからこの運用については十分心して運用してもらいたいということを強く申し上げ、最後に、これも島田委員がおっしゃっておりましたが、今、財政当局財政上の理由で大豆交付金制度のうち生産振興奨励金、これをまず切りたい、それともう一つはいわゆる限度数量を設ける、こういうことで非常に厳しい農家経済にさらに追い打ちをかけようとしているわけです。  そこで、一体日本の農業というのはそれほど恵まれているのかということで、これは今委員長席にいらっしゃる島村さん等とヨーロッパに出かけるときに農林省から「ひと口メモ」というものをもらったのですが、これで見ますと、「我が国の農業予算は、農家一戸当たりの額でも欧米諸国に比べて高いわけではない。」こう言って、フランスが一戸当たり予算が二百八十二万円、イギリスが二百七十四万円、西ドイツが百五十六万円、アメリカが二百三十六万円、この中で日本はわずかに八十四万円です。これは農林水産省が発行している。何か言うと農業に対して過保護だとかいろいろなことを言われますけれども、日本の農業は過保護でない、そういう厳然たる証拠がここにあるわけです。  ですから、少なくとも今度の交付金制度あるいは農政全体について大臣の特段のお力をひとつ発揮していただきますことを要請して、私の質問を終わります。
  132. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 小川国彦君。
  133. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、畑作三品の問題が審議されるに際しまして、全国的な野菜生産の問題について関連して質問をいたしたいと思うわけであります。  畑作三品につきましては、北海道、九州、それぞれの地域の出身の議員の方々から詳細な形で論議が交わされております。当然これと関連してくるわけでありますが、今全国的に野菜が生産過剰、安値安定という状況の中で、野菜農家が非常に苦しんでいるわけであります。そういう中で農水省も農業団体も懸命な努力をされているとは思うわけでありますが、今日の生産過剰の現状というものを農水省としてはどういうふうに見ておられるか、まずその点を簡潔に伺いたいと思います。
  134. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えをいたします。  御承知のとおり、日本人の一人当たりの野菜の消費量は世界で二番目で、一位がイタリアですが、イタリアの場合はトマトが一番多いものですから、いろいろな品種を取りまぜて食べているという点では日本は実質的には世界で一番ぐらいに食べているのですが、残念ながら、最近の一人当たり消費量はここ数年、年間百十キロ程度推移をいたしております。したがいまして、全体の量は千六百七十万トンぐらいと思っておりますが、作付面積よりも、単収等の変動もありますが、特に気象によって、例えば雨があるとかあるいは日照とかということによって変動がやはりまだ相当あるわけでございます。  そういう意味で野菜の生産も、かつて十年前あるいは十五年前に、大都市近郊の近郊産地がつぶれて中間農業地帯あるいは遠隔農業地帯の産地が育つ過程でかなり乱高下があった。それは中間農業地帯や遠隔農業地帯の産地の形成でかなり落ちついてはまいりましたが、やはり全体として、気象条件等に主な原因があって単収の変動がどうしてもかなりあるわけでございます。それが今でも、ちょっとつくり過ぎてしまって市場でかなり安値が出て野菜農家が泣いてしまうという問題が避けられてないという現状になっているわけでございます。
  135. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういう野菜の消費の落ち込み、それから気象条件による豊作、そういうことはもちろんあるわけなんですが、やはり私どもは、生産過剰の問題は単に消費の落ち込みとか気象の好条件による豊作とかいう問題だけではなくて、政策的な要因に基づくものが多いというふうに考えなければならないと思うわけであります。  そこで、野菜の生産面積は現在どのくらいの面積になっておりますか。それからもう一つは、五十八年ないし五十九年、いずれの年次でも結構ですが、どのくらいの野菜の作付がなされているか、総生産量ですね。それで、そのうち市場流通量がどのくらいの数量になっているか、総体的な野菜の流通に対する把握状況からちょっと伺いたいと思います。
  136. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えをいたします。  全体の作付面積は五十七年、五十八年とも大体六十一万ヘクタールでございます。野菜の生産量は年によって振れがございますが、五十七年が約千六百六十五万トン、五十八年は千五百九十七万トンでございます。
  137. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そのうち市場流通量はどのぐらいというふうに押さえておりますか。
  138. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 市場での流通量は大体千四百七十九万トン程度と考えております。
  139. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それで、私どもも大体六十万ヘクタール前後というふうに野菜の生産面積を見ているわけですが、この面積に加えて、米の転作が始まった、こういう形の中で今まで水田であったところが今度は畑地として利用される。そういう形で野菜に変わってきた面積がどの程度あり、そしてそこはどういう品目でどのくらいのトン数のものが転作の中で野菜に変わってきているか、その辺はどのように把握しておりますか。
  140. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 転作田でつくられました野菜の面積は大体十万ヘクタールと見ていただいていいと思います。五十八年も十万九千ヘクタール、五十九年の見込みで十一万三千ヘクタールでございます。  この中で多い品目を見ますと、ナス、これが約一万ヘクタールほどございます。それからキュウリ、これが六千九百ヘクタールほどございます。次いで食用バレイショ、これが大体六千ヘクタールぐらいございます。それからスイカ、五千五百ヘクタールほどございます。そのほかはトマトがやはり六千ヘクタール、イチゴが七千ヘクタール等々ございまして、こうやって数えましても十数品目が載っております。その他ございますが、今重立ったものを簡単に上から申し上げますと以上でございます。
  141. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、今度は桑畑が野菜に転換していった。いわゆる繭糸価格安定法がこの前もこの委員会で審議されたわけでありますが、十年前は二十万ヘクタールから超えてあった桑畑が、繭糸価格安定法がどんどんと改悪されて後退するというような状況の中で、桑をつくっていた、養蚕をやっていた農家が、これではもうやっていけないということで、またこれが野菜に転換してきているという状況がありますが、桑畑から野菜に転換した面積と数量はどの程度に押さえておりますか。
  142. 関谷俊作

    関谷説明員 桑畑は私の方の局でございますので私からお答え申し上げますと、面積の方は、この五年来の数字を申し上げますと、五十五年八百ヘクタール程度、五十六年一千ヘクタール程度、五十七年九百ヘクタール程度、五十八年一千ヘクタール程度、五十九年一千二百ヘクタール程度でございます。これは、私どもの蚕糸行政の系統が桑畑からどのくらいほかのものに変わったかということで調べている面積でございまして、したがいまして、恐縮でございますが、内容的にどんなものとかあるいは生産量については把握ができておらない、こういう状況でございます。
  143. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この十年間ないし二十年間というような視点でとらえますと、総面積としてはどれだけ野菜に変わったかという累計がございましたら……。
  144. 関谷俊作

    関谷説明員 これはちょっと累計はございませんが、今申し上げました五年間ですと大体一年一千ヘクタール程度でございますので、五年間ですと五千ヘクタールぐらいになるわけであります。その前は必ずしもそういう面積の減少テンポはそう大きくございませんので、その以前の面積はそれほどは大きくない、かように考えます。
  145. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、葉たばこの耕作が、これも民営化されて、それからさらに外国たばこの輸入というようなことの中から耕作面積が非常に減ってきているわけですが、これによる野菜への転化はどのくらいの面積、五カ年ぐらいの年次と累計と、わかりましたらひとつ……。
  146. 関谷俊作

    関谷説明員 たばこにつきましては、御承知のように、それぞれの年によりまして、例の、従来の専売公社と生産者との一種の契約の中での生産面積が決まっていくわけでございます。したがいまして、それが減りましたときにどのぐらい野菜に回っていくかということになるわけでございまして、ちょっと以前の数字はわかっておりません。  六十年については、御承知のようにたばこ作生産調整、約五千ヘクタールなされておりますが、その中で、これは専売公社の系列で農家の意向によって何に変わるかと調べたものの中から、野菜ということで意向表明があったものが五千ヘクタールのうちの二千ヘクタールということでございます。したがいまして、その以前のたばこ作調整しましたときに野菜に変わった分があろうかと思いますが、今ちょっと把握しておりませんが、そう大きな数字ではなかろうと思っております。
  147. 小川国彦

    ○小川(国)委員 こういうように農政全体の一つの不安定さというものが、養蚕なりたばこなり、あるいは稲作なり、そういうもののたまり場と言ってはなんですが、それが野菜の生産に向いてくる、こういうこともやはり一つ一つの農政が、減反だとかあるいは転作しなければならぬというようなことがなく、その中での政策的な裏づけができていればいいものが、それが皆一つのしわ寄せの場所として野菜生産にかなりな影響を持って出てきているのではないか、こういうふうに私はとらえるわけですが、当該の局長さんとしてはいかがですか。
  148. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 御指摘を受けますと私どもなかなかつらいところがございますが、水田の利用再編対策につきましても、やはり野菜の取り扱いは今御指摘の点がありまして、野菜の需給が緩和基調にあると思っておりますので、転作する野菜、つまり水田につくる野菜につきましては、一般作物といたしまして、しかも第二期対策を始めまして以来、転作奨励金、これも十アール当たり一般作物は大体平均三万五千円でございますが、これを五千円カットいたしまして三万円といたしております。それからまた、地域振興作物として指定された作物はまた十アール当たり五千円加算されるというのが転作対策にございますが、これも今みたいに需給上ちょっと問題があるから野菜については対象外とするといったような措置を講じております。  それから、五十九年の四月に食品流通局長の通達を出しまして、やはり転作を含む野菜の作付につきましては、野菜の種類別に地域的あるいは時期的な需給動向を十分配慮して野菜の種類と作型、つくるタイプ、作型を選定してください、それから転作を含む野菜作全体としての作付面積は今の水準以上にふえないように指導してくださいというようにお願いをしているところでございます。
  149. 小川国彦

    ○小川(国)委員 せっかく御尽力はいただいているようでありますが、今の農政の中での野菜のあれを見ると、大根にしても白菜にしてもキャベツにしても、あるいはタマネギにしても、そういう重要野菜と言われるもの、あるいはそのほかの里芋とかキュウリとかトマト、ナス、ニンジン、ネギ、バレイショ、ピーマン、ホウレンソウ、レタス、こういう重要品目の中に入る野菜を見ましても極めて不安定な状況にある。ちょっと気候がよければ豊作貧乏。  農業というのは本当は稲作にしても畑作にしても豊作を喜ぶというのが農民の、農業の本来あるべき姿だと思うのですが、今の農政の中では皆豊作貧乏につながるという考え方が、特に野菜の中でも顕著に見られる。そしてまた、一たび台風が来た、あるいは冷害があったということになると、今度は異常な高騰を示して、そういうときにたまたま運よく生産の上がったものが収入を上げるというようなことで、こういう不安定な状況の中では野菜づくりも安心してやれない。  それから、私ども首都圏の農業地帯、千葉とか茨城あるいはまた埼玉、群馬から栃木、山梨、長野、神奈川、ずっと見てまいりまして、首都圏も大変な野菜地帯でありますね。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕 北海道や九州がそれぞれ特産の畑作品を持っているように、首都圏の農業地帯というのは野菜の産地だ。ここには首都近郊でありながら農業専業で生きている、農業専業でやっていこうという青年たち、農業後継者も非常に多い。  正直に申し上げて、首都圏の中の水田地帯ではもう九割ぐらいが兼業か農閑期は出稼ぎに行っている。ところが畑作だけは農業専業で働いている方々がいる。ところが、その人たちも、この三年なり五年なりの野菜の極めて不安定なことと、それから価格の不安定なこと、しかも安値の状況にずっと置かれてきている中で、この畑作も、野菜づくりも農業としてもうだめかというような考え方が非常に強くなってきている。そういうときにやはり農水省として、野菜の、少なくとも専業率の高い野菜づくり農家に対して安定した政策というものを提示していく責任があると私は思うのです。  では、今農水省がとっておられる野菜のための政策というのはどういうものがあるかということを、私もまだ不勉強なんですが調査をしてまいりましたら、一つは野菜供給の安定基金制度というものがある。それからもう一つは、重要野菜の需給調整事業というものがある。いわば二本柱で畑作、いわゆる野菜の価格安定を図ろうとしている。  ところが現実の問題としまして、野菜供給安定基金というのは共済か保険のようなものでありまして、災害の厳しかったときに保証するという制度であって、野菜の生産体制全体を統一的に見てそれをどう調整するかということでは現実にはどうもないというような印象を非常に強く受けるわけなんです。  具体的な例を申し上げると、例えばキャベツの場合に、十五キロ千円という段ボール一箱のキャベツを、趨勢として千円のときに、平均販売価格が六百円、そうすると保証基準というのが九百円ということになっていまして、例えば段ボール一箱十五キロのキャベツが、千円のものが半値の五百円以下になった、こういう場合に幾らの保証があるかというと、九百円から仮に五百円引いて残りの四百円、四百円の十分の九が基金として保証されるということになると三百六十円ということになっているわけなのですが、現実には、農家の方々のお話を聞きますと、十五キロ千円のものが半値を割っていって三百五十円以下になった場合は手取りはゼロである、ということは、段ボール代から市場手数料、農協手数料、運賃と見ますと、三百五十円以下の場合は農家の口座にお金は振り込まれないということでありまして、五百円を割って三百五十円以下になったときは出荷しても手元に入ってくるお金はゼロ、こういうことになってまいりますと、最高三百六十円までの安定基金からの交付金があるといいましても、これは、そう言ってはなんですが、農家にとっては生活保障どころか本当にお見舞い金程度のものになってしまうのではないか。  皆さんの御努力は私は認めるわけですが、現実には野菜をつくっている農家にとって、災害の場合の、あるいは異常な安値の場合の保証制度としては、制度はあるけれども、実際の保証的な意義というものは極めて薄いというふうに考えざるを得ないのです。いろいろと農業の保障制度がある、お米については食管制度がある、畜産については畜産物の価格安定の制度がある、あるいはまた交付金による不足払いの制度がある、管理価格制度なり安定基金制度なりあるのですが、野菜の場合の安定基金制度というのは、制度としては一番弱い立ちおくれたものになっているのじゃないかという印象を免れないのですが、この点について、この制度を農水省としては現状どういうふうに強化していく考え方をお持ちになっているか、その点をまずひとつ伺いたいと思います。
  150. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 野菜の場合は粗収益の中でやはりいろいろなコスト、経費がかかるものですから、実際の手取りの所得が半分程度になってしまう、そういう中で野菜価格が落ちた場合に、基金からの補てん金が十分ではないという印象を受けられるというお話だと思っております。ただ、私どもとしても、できるだけ機会を見て、保証の基準になる価格を見直しをいたしまして、と同時に契約の数量がまだ十分でないものですから、それをふやすということもいたしてきまして、昭和五十年代の初め、例えば五十一年では野菜供給安定基金が契約をいたしました数量は大体九十九万トンでございましたが、五十九年、つまり五十年代の終わりのころになりますと、基金の補てんするための契約をした数量は二百四十四万トンと約二・四倍強、十年間で二・四倍強も契約数量がふえたわけでございまして、それだけ、うぬぼれてはいけないかもしれませんが、補てんをするという点での機能はそれなりに果たしてきていると思っております。  普通ですと、農民としても目の前で価格が下落いたしますと、翌年はとても同じものをつくる気力がなくなるというのが人情でございますが、曲がりなりにも保証制度ができまして以来、十分ではないかもしれませんが、かなりの補てんを受けられるということで、再生産の意欲をとにかく持ち続けることができて、おかげで翌年も同じ作目、同じ野菜をつくるという状態ができてきまして、そういうことが全体的には先ほどの野菜の需給がやや緩みがちなくらいの生産状況を維持しておるというふうに考えております。  ただ、今の御指摘も十分頭に置いて、これからも基金の運用のあり方等については、拡充あるいは強化に努力をしていきたいと考えております。
  151. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この実績を見てまいりますと、五十一年以降今日まで約九年間、六十年になってみれば十年間の実績の予約トン数を見ますと、おっしゃるようにふえてきている、資金造成もふえてきている。これは私ども、これがだんだん農民になじんできている、こういう点は認められると思うわけですが、今度この交付金の実態を見ますと、例えば五十一年二十二億が五十二年には百七億、五十三年には二百五億、五十四年には百四十億、五十五年七十二億、五十六年百二十九億、五十七年百六十億、五十八年四十四億、五十九年百七十億と、非常に乱高下が激しいわけですね。ここのところを見ると、やはり野菜の価格というものがいかに上下変動が激しいかということがわかるわけで、これを調整していくわけですから、皆さんの御苦労もわかるわけなんですが、それだけにここに何かもう少し決め手になる政策というものを考えられないだろうか。それから、乱高下の数字の状況というものは、皆さんの方ではどういうふうにとらえておられるのか、その辺を伺いたいと思うのです。
  152. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 まず後段の方の御質問からお答えいたしますと、私どももやはり生産見通します場合が非常に難しいのでございまして、特に、面積も難しいのですが、単収をどう見るかというのに大変苦慮いたしております。  普通は平常年の単収というのを想定いたしまして生産量を決めるわけでございますが、先ほど言いましたように、雨が多いとだめになったり、大変気温が高くて、あるいは日照条件がよくて逆に単収が非常に高く出るというところがございまして、なかなか、植えつけの初めあるいは直前に平年単収として予想したものが、平年単収の中におさまり切れない場合が非常に多くて、今御指摘のような年次には、大変ないわば豊作に泣いて、これだけ基金からの交付が多かったわけでございます。  しかし私たちとしては、指定消費地域への指定産地からの指定野菜の出荷の中で、これで完全に基金がカバーし切っているわけではございませんので、とにかく交付予約数量をふやし、そしてこういう形で豊作貧乏に泣くときには価格について補てんを受けられる野菜の数量をとにかくもっとふやしていく。実際にはもっとこれ以上の、要するに契約外で、契約をしないで市場に流れていって価格の暴落に泣いている野菜の数量も少なくないわけでございますから、そういう意味では補てん契約の対象になるものをとにかくふやして、再生産を維持していくということに懸命の努力をいたしたいと考えております。
  153. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういう御努力はこれからも願わなければならないと思います。  今、数量についてふやしていきたいというお考えがございましたが、もう一つ品目なども、先ほど局長が御答弁になった水田から野菜に転じた作目なども、伺ってみますと十四品目の指定野菜の中で十二品目が水田でつくられるようになってきている、こういう状況があるわけですから、それだけ今お話しの豊作貧乏になるおそれ十分ありということです。さらにまた、系統農協が把握しているものと把握されないものが半分くらいずつある。そういうものも把握していかなければならないと思います。  そういう数量的なカバーの面と、それから品目的にもやはり重要野菜とかあるいは特定野菜とかに偏っているということで、いろいろ多品目にわたって野菜もつくられてきているということになってまいりますと、現在の指定野菜以外にも特産品的な野菜がまだたくさんあるわけでありますね。そういうものも将来こういうものに加えていけるという考え方があるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  154. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 おっしゃるように、一つは個人出荷をできるだけ系統の共同出荷に乗せていくことによって、全体としてのマーケティングといいますか、販売を通じて生産の安定を図って価格の安定を図るということが大事だと思います。  その次は、今おっしゃるように品目の拡大だと思っております。品目のうち、いわば指定消費地域に指定産地から出ていくようなものについては御指摘のように十四品目ございますが、ほかにローカルな、例えば地域の域内での流通をしておるものにつきましては、特定野菜価格安定対策事業と称しまして、要するにローカルな野菜についても、県の段階で、それぞれ都道府県の野菜価格安定法人というのをつくりまして、それが県内で局地的に流通する野菜の価格安定をやっているわけでございます。例えばアスパラガスあるいは枝豆、グリーンピース、ゴボウ、サヤエンドウといったような品目、二十七品目ほどございますが、そういうものにつきましては、今言いましたように県でつくっております野菜価格安定法人が一定の要件で出荷されるそういうローカルな野菜について価格補てんをするという形でやっています。これも年を追いまして野菜の対象品目をふやすというような努力を重ねているところでございます。
  155. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これはどうなんでしょうか、保証条件というか交付内容というか、これはやはり若干差があるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがなんですか。
  156. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 これはやはり指定野菜に比べて重要度が少し低いということで、保証基準額も指定野菜は趨勢値の九〇%でありますところを、これは趨勢値の八〇%と若干低目に置いておるという点で、ちょっと差をつけております。
  157. 小川国彦

    ○小川(国)委員 やはり生産過剰をなくしていくという面からは重要度はありますが、つい数日前も新聞に、黄緑野菜ですか、こういうものをもっと食べるように、それががん撲滅の一つの方策というようなことも出ておりまして、これはこれからいろいろ御尽力願うことだと思います。そういう意味では、こういういわば保証される内容もできるだけ同じものになっていくように、これはこれからの御努力を願いたいと思うわけです。  そこで、この基金制度と並んでもう一つの柱である重要野菜需給調整事業についてお伺いをしたいと思うのです。  いわばこの安定基金制度は、野菜が安値になった、あるいは災害を受けた、そういう場合の後追いの政策である。そういう面から見れば、重要野菜需給調整事業というのはいわば先行していく政策であるという点では重要な役割を持つものじゃないかと思うわけであります。この中では、生産過剰に陥った場合の産地廃棄とか市場の分荷調整とかあるいは産地調整、市場隔離とかいろいろな方策が考えられているようでありますけれども、問題はこの需給調整事業を行うに当たっての国の指標の立て方が、どうも現実に生産計画を立て出荷計画を立てている面から見るともう少ししっかりしてもらえないか、こういう声が強いわけであります。特にこれは、最終的には大臣承認を受けて決定されるというものであるだけに、この指標の決め方に当たってはやはり政府が十分検討を尽くして決められる必要があるのではないか。  伺うところによりますと、どうも豊凶では片づけられない指標の決め方が現実には安値安定のところに追い込んできてしまっているという状況もうかがえるわけでありまして、この指標の立て方というものを一体どのように進めてきておられるのか、その点ひとつ伺いたいと思います。
  158. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 重要野菜需給調整特別事業の指標面積の出し方はどうだというお尋ねでございますが、私どもとしては、需要に見合った供給を確保するという意味で、まず国が都道府県におきます調査結果をもとにいたしまして学識経験者の意見を聞いて対象の野菜ごとに全国需要量を作成いたします。この全国需要の全体の量をつくりました後で十アール当たり収量でこの需要量を割りまして作付面積を出すわけでございますが、この場合、その十アール当たり収量がやはりいろいろ振れますので、過去の十アール当たり収量の変動を考えまして、この趨勢値、いわゆる傾向線からやや低めの点、三ないし五%程度低い十アール当たり収量をとるわけでございます。つまり不作のことを想定をいたしまして少し低い単収を想定するわけでございます。  したがいまして、たとえ少しぐらい不作であっても、通常、消費地における野菜の供給を確保できるようにするという趣旨でやるわけでございます。したがいまして、逆に少し豊作だなというような状態で、つまり単収が非常に高くなりました場合にはどうしても安値となるという結果を免れないわけですが、そういう場合に、先ほども申しましたように産地廃棄といったような緊急の需給調整を実施するというようなやり方になっているわけです。  実際の作付面積を見ますと、過去の実績では作付面積に関する限りは私ども農林水産省が提示をいたしました作付面積をほぼ満たす作付が行われているわけでございます。例えば私たちが指標面積といたしました面積と実績とが、五十九年産について見ますと、キャベツとタマネギと秋冬大根つまり秋冬の大根につきましてはおおむね指標面積に即した作付が行われておりまして、秋冬の白菜つまり秋冬白菜については若干指標面積を下回っているわけでございます。にもかかわらず、やはり少し生産が過剰になったなというのが出てまいりますのは、面積がっくり過ぎたというよりはむしろ天候が恵まれ過ぎて、想定した単収よりもかなり高い単収が実現して生産需要をオーバーしてくるというところに主な要因があると考えております。
  159. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは単収のオーバーということもあるのでしょうが、やはり指標の押さえ方そのものに検討すべき問題がまだありはしないかというふうに私ども感じているわけなんですね。今、指標の出し方がやはり平年作から見た指標でありますからね。それではどうも価格低落は救えないんじゃないかという感じがすることが一つ。それから平均販売価格が非常に低いということがやはり言えるのじゃないか。  ですからそういう点では、どうもこの指標に基づいて生産計画、出荷計画を立ててみると、このくらいの価格が保証されると思って指示どおりに生産計画をぴしっとやったのに、結果的には思った価格よりもかなり低いものになってしまっている、どうも国の指導のとおりやっていてもうまくいかないじゃないか、こういう現場での生産者あるいは農業団体の声があるわけですね。これはやはり農水省としても真剣に考えて、この指標の立て方というものについて、もっと深い配慮と総体的な諸条件の把握ということをきっちりやってもらう必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。その平均販売価格の問題とか平年作から見た指標の問題とかですね。
  160. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 今私たちも、また近く行われます重要野菜の作付面積などを想定しているので四苦八苦しているところでございますが、なかなか作付前に、例えば来年の天候を予想して単収を決めるというのは本当に悩んでいるところでございますが、やはり過去のデータをできるだけ多く蓄積をして、なるべく正確に把握をしていくということは御指摘のとおりだと思いますので、その方向で努力をいたしたいと思っております。
  161. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その平均販売価格の低過ぎる面については、まあ先般改善は行われたということを承っているのですが、これは少なくとも重要野菜に関する制度でありますから、やはりなるほどこの制度の方針に従ってよかったというような、農民から信頼されるものにしていくのには、この平均販売価格というものが実勢に伴ったものだというふうなところに持っていく努力というのは、まあこれまでもなすったと思いますが、これからもやる必要が大いにあり、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  162. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 今の野菜供給安定基金の保証基準額、これは実は五十四年度以降はかなり厳しい財政事情がありましたので、保証基準額は五十三年度価格でずっと据え置いてきた。そのために現在の保証基準額と市場価格との間にかなりの乖離、開きが出て、大きくなってきたということは事実でございます。  そこで六十年度におきまして保証基準額を改定いたしまして市場の実勢価格との乖離の是正を図ることにいたしまして、大体平均して一〇%強引き上げました。最大の引き上げ率は、品目によって違いますが、二〇%ございました。この改定で保証基準額は大部分の野菜につきましては市場の実勢価格にほぼ見合うようになったと考えておりますが、なお御指摘の点を十分頭に置いてこれからも検討していきたいと思っております。
  163. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それから野菜の生産費調査の問題についてひとつ伺いたいのですが、農水省がやっておられる野菜の生産費調査は各品目についてやっておりますが、非常に調査戸数が少なくて、そのためにこれは本当の野菜の生産農家生産費実態を把握するのには一体どうなのかというふうな感がするわけです。  例えば白菜一つとってみても、千葉県で何千戸と白菜をつくっている農家があるのですが、たしかわずか二、三軒の農家生産費調査をしたことで基礎をとっているということで、これは、野菜の生産費調査というものはもう少し広範なところから本当に調査に値するようなものを実施してもらう必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  164. 渡辺武

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  野菜の生産費調査につきましては、先生指摘がございましたように私たちの農林水産省の統計情報部という組織で調査をしておるわけでございます。  非常に野菜の種類も多いし野菜の栽培のやり方も複雑になっておること等もありまして、非常に調査の内容が多岐にわたるわけでございますが、内容といたしましては、指定野菜十二品目につきまして指定産地を中心といたします主要産地について、栽培類型ごとに、これは促成栽培なり半促成あるいは従来からの露地栽培あるいは抑制栽培といったような格好でいろいろな栽培類型があるわけでございますが、それごとにその実態を調査してきておるわけでございます。  野菜の価格安定等々のための施策に十分必要な資料を提供するというのが我々の役目でございまして、この調査の重要性にかんがみまして、今後ともその実態を十分に把握できる必要な調査規模は確保してまいりたいというように存じておる次第でございます。  今例に引かれましたようなことで、若干各県ごとまでおりますと戸数が少ないじゃないかというような御指摘等もあろうかと思いますけれども、我々といたしましては、精度といいますか、調査の結果がきちっとした実態を把握しておるということを十分に確保することに今後とも努めてまいりたいというように思っておる次第であります。
  165. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間が参りましたので最後に締めくくりにしたいと思いますが、白菜で五十三戸なんですね。千葉県で四戸。それからナスで五十五戸、キュウリが九十三戸、トマトが六十六戸、キャベツが九十三戸、ピーマン二十五戸、タマネギ五十九戸で、これはいかんせん野菜農家が何万とある中でこれだけの農家生産費、しかも千葉県で例えば白菜など四戸の生産費調査では、実態把握はとても無理というふうに思いますので、これは農水省全体で御検討いただきたいと思います。  最後大臣局長を含めて伺いたいのですが、今まで野菜に対する対策を伺ってきました。私は農水省の当面の限られた財政状況の全体の中で現状の御努力はわかるのですが、農水省予算全体の中で見ると百億足らず、大体九十億が野菜の対策費ということになっているわけです。今日本全国農家の中で、先ほど申し上げたように農業後継者がしっかりしていて専業でやっている農家畑作農家だ、畜産農家もありますが、畑作農家だ、そういう基幹的な役割を果たしている農業をこれ以上後退さ世ないという努力が私は必要だと思うのですね。  それは政策的にも予算的にももっともっと充実をしていかなければならないと思いますし、それからまた、きょうは触れられませんでしたが、野菜の輸入問題が、年々数量増加してきている。聞くところによると、最近商社が中国から開発輸入の形で野菜を日本に取り入れよう、こういう動きも出ている。現実に中国の野菜もたくさん入ってきております。こういうことが政策的に進められていって果たしていいのかどうか。さっき申し上げたようにいろいろな農政のしわ寄せが野菜づくりの農家に来ているという状況の中で、そこをしっかり維持してこれから農業の基幹として発展させていくのに、もっと決め手になる方向というものを農水省全体としてもあるいは当該の大臣局長さんとしても十分真剣に考えていただく必要があるのじゃないか、その辺の取り組みの決意をひとつ伺って私は質問を終わりたいと思います。
  166. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 まず私の方からお答えいたしますと、今お話しのように野菜はかなり専業農家、要するにプロ農家が専門につくっておる例が特に少なくないわけでございます。そういう専業農家の経営の安定あるいは生産の発展のために、私どもとしては一層生産あるいは価格の安定対策に意を用いていきたいと思っております。何せ私どもの食品流通局の予算の最大の柱の一つは野菜でございまして、野菜局と呼んでもいいくらいの性格を今でも持っているわけでございます。  その中で、今輸入についてお触れになりましたが、輸入は自由化されておりますのでなかなか難しい問題がございますが、私は国内の野菜は外国の野菜と太刀打ちできるくらいの国際競争力は十分に持っているものと考えております。そういう意味で、輸入する場合にみだりに入れて国内の価格を引き下げて、そして生産農家に混乱なり不安を来さないように、野菜の輸入に携わる人にも国内の生産動向をいつも迅速に情報を伝えて、輸入についても良識ある行動をしてもらおう、またもらわねばならないと考えております。そういうことを十分念頭に置きながら、専門的な野菜農家の経営の安定あるいは発展のために今後とも野菜対策の拡充に意を用いていきたいと考えております。
  167. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 小川先生にお答えいたします。  野菜につきましての各般にわたるお話を承りまして、ありがとございました。大分知らないことが多かったわけですが、勉強になったわけです。  実は私、基本的には、第一番に、昭和四十三年には一人百二十数キロ野菜を食べておった、それがその後百十四、五キロになった、なぜ十キロ減ったかということを含めて野菜の消費拡大をどうするかということも大きな問題の一つだと思います。  そういう形の中に、今局長答弁したようなことでございまして、やはり野菜農家がつくった野菜につきましては、少なくとも安定した価格で市場に出せるというようなことも含めて、実はこれから、どんなことを考えたらいいかよくわかりませんが、ひとつ検討しまして、少なくとも野菜農家の皆さん方が野菜をおつくりになって損はしないようにというようなことで何らか方法を考える、そういう形で都市における野菜の供給を安定的にしたい、これがまた人間の生活に大きな意味を与える、こんなことで検討したいと思っております。  何分これからも御教示をお願いする次第でございます。ありがとうございました。
  168. 小川国彦

    ○小川(国)委員 どうもありがとうございました。
  169. 今井勇

    今井委員長 次に、武田一夫君。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 今年度畑作三品の価格決定当たりまして、二、三御質問いたします。  聞くところによりますと十八日ごろに決定をなさるということでございますが、農家生産者団体からはこの問題につきまして次のような要請が大臣、各関係機関に行っているんじゃないか。一つは、「昭和六十年産大豆基準価格は、適正に所得を補償し、再生産が確保できる価格とすること。」という要請が行っているんじゃないかと思う。また二番目には、「てん菜最低生産者価格は、計画的・安定的な生産および品質の向上を図るため、糖分取引推進費を含め、適正に決定すること。」それから、「甘しょ・甘しょ生切干の原料基準価格ならびに指導価格および昭和六十年産馬鈴しょ原料基準価格は、適正に所得を補償し、再生産が確保できる価格とすること。」この三点が生産者団体の要請であり、強い要望でもございます。  毎年、価格決定のときに、この問題について大臣を含め政府の皆さん方に大変な御努力をいただいているわけでありますが、今年の状況を踏まえて、農家そして生産者の皆さん方のそういう要請に十分こたえていただきたいということをまずもってお願いを申し上げ、この点についての御意見をちょうだいしたい、こう思います。
  171. 関谷俊作

    関谷説明員 まず大豆についてお答え申し上げますが、これは大豆なたね交付金暫定措置法に基づく価格でございまして、この基準価格を保証するということで国から交付金が出ておるわけでございます。  現下の需給事情等につきましては、先ほど説明申し上げたとおりでございますが、全体的には幾つか問題がございまして、最近の生産増加状況から見ますと大変交付金額が多くなっている、これに関係する財政的な問題。それからもう一つは、全体で申しますと、大豆についても一種生産者の御努力もありましてやはり生産性が高まっているわけでございますが、こういうコスト低減と申しますか、こういう傾向について考慮を払うということが第二点でございます。また、もちろん畑作物一つでございますので、ほかの畑作物とのいろいろな面でのバランスも考えなければいけない。これらの点、十分考えまして、また、先生今御紹介くださいました生産者方面の御要請等も十分踏まえまして、これから決定をしてまいりたい、かように考えております。
  172. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 御指摘てん菜及びでん粉原料芋の生産者価格につきましては、農業パリティ指数に基づきまして算定されます価格基準といたしまして、物価その他の経済事情なども考えながら決定する考えでございます。その際、今の財政事情の現状、あるいは畑作物生産性向上している現状、あるいは他の畑作物とのバランスなども総合的に考えて決定をいたしたいと思っております。  なお、お触れになりましたてん菜糖分取引推進費につきましては、価格本体とは別に、昨年の価格の決定のときに、六十一年産を目途に糖分取引を実施をすることに伴って従来の奨励金をやめまして、糖分の取引を推進するためにつくられました。そういう経緯を頭に置き、かつ最近のてん菜を取り巻く諸般の経済事情あるいは財政事情などを十分に踏まえて慎重に決定をいたしたいと考えております。
  173. 武田一夫

    ○武田委員 大臣にお願いしたいのですが、農家の皆さん方は大変な中でのいろいろな御苦労もあるわけでありますから、ことしのこういう価格決定に当たっては皆さん方の心配のないように頑張る、そういう努力も決意も欲しいと私は思うのであります。大臣からひとつ……。
  174. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 武田先生にお答えします。  大豆あるいはてん菜でん粉原料等につきましては、今流通局長答弁したとおりでございます。その一つの理由に現下の厳しい財政事情というのがございますが、私は、今先生が御指摘のような点を十分加味して、生産者の皆さんが本当に再生産に意欲を持てるようなことで最善の努力をいたしたい、このように考えておりますので、よろしく御理解と御協力をお願いする次第でございます。
  175. 武田一夫

    ○武田委員 ぜひともお願い申し上げます。  そこで、六十五年の見通しというのがございますね。この件について、これから四、五年あるわけでありますが、自給率向上、水田利用再編等いろんな絡みの中でずっと進んでまいりまして、今後、第三期以降第四期どうするのか、そういう問題も出てくるわけでありますが、六十五年の見通しというのは、一応その見通しに向かって一つ目標、数字があるわけですね。これに向かってきちっと今後とも行くのだということは間違いない方向しょうか、その点どうですか。
  176. 関谷俊作

    関谷説明員 六十五年の需要生産長期見通しにつきましては、設定以後大分年月が経過しまして、かなり目標年度が間近になってまいりました。その関係で、品目によりますとどうも需要量が当初見込んだところまでいかないという、需要量が相当減少したものとして、例えばミカンでありますとか生糸でありますとか、こういうものがございます。一方、生産の方がかなり順調に伸びてきて、当時の見通し、六十五年水準にかなり近くなり、部分的には少しオーバーしているというものもございます。  こういうようなことをいろいろ考えますと、本来はこれらを全部最近の状況によりまして見直しをすべきでございまして、これは農林水産省の中でも全局一体となりまして官房の調整のもとにこの見直し作業に取り組むべき時期がそろそろ来ておるわけでございますが、基本的な考え方としては、六十五年見通しにあらわれましたような需要を適正に見込み、それに対応して、例えば大豆でございますればどのくらいの分国内生産で見込むかという、現在の目標大豆であれば食用仕向け品の大体六割くらいは自給しようという考え方に立っておりますが、できるだけ自給力を高めるという方向での生産への取り組みということになるわけでございます。  六十五年見通し自体についてはそういう一種の見直しが必要な時期にはなっておりますが、基本的にはそういう長期的な方向を十分考えて、六十五年見通しにあらわれているような考え方に沿って生産対策を進めていくべきだ、こういうことは御指摘のとおりと考えております。
  177. 武田一夫

    ○武田委員 今大豆の話が出ましたが、大豆については国内の自給率を高めていく、言うなれば飼料作物と同様に水田利用再編の最大の戦略的目玉でありますね。ですから、こういうものは六十五年の見通しの指標に向かって進んでいる、こういうことになるという話であります。  そこで、大豆作付面積というのは二十一万ヘクタールでしたね。収量が反当たり二百二キロ、それから生産量が四十二万トン、これが目標になっているわけです。六十年度の現在で見ると、作付面積が十三万三千五百ヘクタール、それから反当収量が百六十九キロ、それで生産量が二十二万五千七百トンということでありますから、まだまだこれから随分頑張らなければいけない。水田利用再編の五十三年から六十年まで、現在までの面積の増加を見ていっても六千五百ヘクタールくらいなわけです。かなり努力しているけれども大変苦労している。今後考えると、これはもっと力を入れていく大事な作物であるということははっきりしている。  しかも、食品用大豆の中身を見てみますと、大体八十三万トンくらいですか、その中の七十一万トンは輸入に頼っているわけです。国内生産は十万トン。資料をもらいましたらそういうふうになっております。油用は大体外国の大豆に頼っているようですが、食品用大豆はまだまだ努力をして国内の生産に依存する、またそういう余裕があるわけですから、今後これは重要な一つの課題としてさらにてこ入れをしなければならないはずであります。その意味で非常に重要な大豆なんであります。  先ほど財政的な云々ということが局長の話から出たのでありますが、聞くところによると、こういうものに対して大豆交付金の問題で何かいじくり回すという話も聞いておりまして、農家の皆さん方にとっては大変心配なんでありますが、これから一層手を入れていかなければならない重要な作物だけに、まさか農林省はこんなことに大蔵省が攻めできたとしても屈することはないと思うのでありますが、その点お聞かせ願いたいじ、断固としてそういうことのないように頑張ってもらいたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  178. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆につきましては、御指摘のように国内で消費されますいわゆる食品用部門につきまして相当過半な部分を国産で賄いたいというのが今の需給見通し考え方でございまして、そういう方向に沿いますと、大豆生産量についてはまだまだ力を入れるというか伸ばすべき時期に来ております。  ただ、現状が輸入品とかなり競合度の激しい豆腐、みそ、この辺のところになってまいりますといろいろな面でかなりその数量増加交付金制度の運用に影響を与えてまいります。そのことが例えば対象数量増加の場合に、交付金の単価が一万二、三千円というようなことになりますと相当大きい金額として出てくるわけでございまして、こういうふうな運用の状況から見ますと、基本になっております大豆なたね交付金暫定措置法による一種生産者に対する価格の保証という考え方をとりつつも、何かその辺の新しい需給事情なり財政事情を考えて、価格水準の設定の仕方なり数量のとり方なりそれに応じます販売価格の見方とかいろいろ運用上の問題において、少しそういう状況推移を取り入れるべきではなかろうか、今こういう議論をしておるわけでございます。  私どもあくまでも考え方基本として、今申し上げました国産大豆生産振興なりそれに果たします交付金制度の役割、こういう基本的な点については考え方は変わらないわけでございますが、近年の新しい状況あるいは今後の推移を考えますと、制度上の運用的な問題について多少改めることも必要ではなかろうか、こういうような問題が出てまいっておりますので、これらについてはよく生産者方面にも不安のないようにということを考えながら慎重に検討してまいる考えでございます。
  179. 武田一夫

    ○武田委員 基本的な考えとしては、やはり制度を変えることにより農家への負担が大きくなるとか収入の減になるというようなことがもし出てくれば、これは生産者の意欲を大変喪失させるだけでなくて、豆というのは一たんそういうのを手抜きをしたりいたしますと、おわかりのとおり、自由化があって以来どんどん減って、ようやく今日二十三万トンくらいまでですかにふえてきたという、その努力を見ただけでも、どれくらい手間暇がかかり、技術的な問題があるかというのは御理解なさっているとおりだと思うわけです。ですから、そういうことのないような対応をぜひともなさなければならない。これは大臣を含めて農林水産省の関係局長さん方の努力あるいはやらなければならない重要な課題だと私は思うのであります。  その点は大臣もひとつしっかりと御認識をいただいて頑張ってほしい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  180. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、先ほど局長答弁したとおりで、三つの点、一つは現下の厳しい財政事情とか、あるいはこれら畑作物生産性向上、さらに他の畑作物とのバランスといった点を総合的に勘案して慎重に決定してまいりたいということでございます。財政当局がなり厳しいわけでございますが、先生のおっしゃる点を十分踏まえまして、実は全省挙げて御期待に沿うよう頑張っておりますので、何分の御理解と御後援を心からお願いする次第でございます。
  181. 武田一夫

    ○武田委員 そういうことで頑張ってもらいたいのですが、その一方では農家の皆さん方にも生産性向上のための努力をいろいろとしていただく、そのためには集団転作の問題もございますね。  そこで、大豆の場合どうなんでしょうか、この集団転作の進みぐあいは。集団転作をやった場合は、全体的に経費の問題とか収量の問題についてはやはり相当違うと思うのですね、していない場合と。そういう状況をひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。
  182. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆については、御承知のように現在の対策では麦、飼料作物と並びまして、いわゆる特定作物としてかなり重点作物としての扱いを転作の中でしておるわけであります。特にそういう面で生産性向上効果を上げるためには御指摘の団地化ということが非常に必要でございます。  大豆の場合には、従来の状況を見ますと、多少変動がございますが、五十九年で見ますと、七万七千三百四十九ヘクタールの大豆転作のうちで、団地化面積として団地化の奨励金の加算の対象になっているものがちょうど四分の一ぐらいになっております。大体こういうことで、この団地化率というのは、近年、若干でございますが少しずつ上がる傾向もございまして、我々はやはり集団転作という形で大豆生産性向上を図り、またいわゆる定着化を図りながらこの転作を進めていくということが必要であろうと思います。  このためには、やはり技術の面では単収の高いかなり高位の生産技術あるいは大豆用の高性能機械を開発する、こういうような対策を組み合わせまして、この転作の中での大豆位置づけに相応したコスト低下を図りつつ必要な転作をしてまいりたい、かように考えております。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 この転作の場合、概して都府県の場合の方が非常に伸び率がいいわけですな、転作の状況からいいますと。それで、効果も徐々であるけれども上がっているような気がするわけです。データを見ていると、手を打ては、しっかりとやればそれだけの効果が出てくるような気がしてならないのです。それで、特に都府県の大豆作付の六〇%近くが水田利用再編の重要な政府指導にのっとってやってきているということでありますから、これは農林水産省にとっては今後の問題として、非常に重要な課題として大事に推進していく必要があるのじゃないか。  今、団地化の面積の傾向をいろいろとお答えいただきましたが、五十七年が二二・九%、五十八年が二四・五%、五十九年が二五・一%、少しずつではあるけれども団地化の傾向というのは進んでいる。これは農家の皆さん方の努力と関係局の皆さん方の御努力のたまものではないかと思うわけでありますから、こういうところにもっとさらに打つべき手は打つし、必要な予算はきちっとつけてやるという対応は今後とも怠りなくお願いしたい、こういうふうに思います。  東北の例なんかをずっと見ていますと、東北も結構そういう方向で団地化が進んでおりまして、例えば宮城県なんかの場合を見ましても、三ヘクタール以上の転作集団の数は、五十五年が二十四集団、五十七年には四十四、五十九年はちょっと減っても三十五と結構ふえているわけでありますから、それなりに農家の皆さん方も一生懸命以前の大豆収穫量以上のものを、そして米に見合う収量と収入というものを考えているというあらわれでありますから、こういう点でひとつそういう問題にもっと前向きな姿勢で頑張ってほしい、こういうふうに思うわけであります。  そこで一つ気になることといいますと、大豆生産の難しさというのがあるのかどうか、正直言って単収が余り伸びないわけですな。宮城県なんか非常に悪い方なんですが、五十五年に九十キロ、五十九年に百三十三キロまで上がってきましたけれども、二俵ちょっと。これは二百四、五十キロくらいまでいくと米と見合ういい作物になるわけですね。それで、そういう問題に対してどういう手を打っているのか。品種の改良とか、あるいはまた基盤整備の問題とか、あるいは増収に対するその他のいろいろ主要な条件、その問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、どういうふうになっておるでしょうか。
  184. 関谷俊作

    関谷説明員 単収にあらわれます大豆生産性についてはまさに御指摘のとおりでございまして、北海道と都府県、あるいは田作畑作、こういうふうに比較いたしますと、北海道の方は畑作中心に非常に単収は高いわけでありますが、反面、変動が激しいということでございます。田作大豆あるいは都府県の大豆と言ってもいいかもしれませんが、これは近年のところほぼ一貫して平均的な単収は上がってきております。ただ、上がってきておると言っても、五十九年産で、田作で百八十キロ、都府県で百七十五キロでございますから、畑作あるいは北海道から見るとまだ絶対水準としては低いわけでございますが、この辺、転作大豆を中心にかなり単収としては安定、向上の過程はたどってきているということでございます。  私ども、こういう状況を見ますと、やはり大豆のいわば生産振興、合理化の重点というのは、こういう生産性向上というか安定多収への道というものをさらに進めなければいけない、かようなことでございますので、一つはいわゆる新地域農業生産総合振興対策の中で、基盤整備、省力機械、共同利用施設の導入ということで、一つの集団として能率の高い営農をやっていく。その中で技術の高位平準化をし、合理的な輪作体系を確立する、こういう総合的な観点に立った大豆生産対策をやる、これが一つ基本的な対策になっております。  この中で、特にこれと関連していわゆる新しい技術導入という形では、これは大豆新技術体系定着化促進事業というのを実施しておりますが、これはこういう一般的な営農対策の中で、特に国、県等の総合的、集中的指導のもとで新しい技術を普及するという大豆新技術体系定着化促進事業、それからもう一つは、六十年度から始めたわけでございますが、いわゆる機械化、省力化の一つのポイントとして大豆用コンバインの開発、実用化に取り組んでいるわけでございます。  なお、このほか、主要農作物種子法によりまして試験研究機関で優良品種の育成を行いまして、できましたいい種子あるいはいい品種、原原種圃から原種圃とずっと持ちまして種としていい種子を供給する、こういう関係予算、これについても種子生産理事業とかあるいは広域種子生産団地育成パイロット事業、こういうような面の対策も行われておりまして、全体として、大豆についてはまだ生産性向上なり安定の面でかなり努力すべき余地があるし、また関係機関一緒になってやらなければいけない、かように考えております。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 今局長からたまたま予算の内容も出たのでありますが、大豆自給率向上と定着を図るためにはいろいろと手を打たなければならない、そういう問題があるわけです。そのためにはしっかりと予算づけもしてほしい。  ただ気になるのは、大豆生産振興対策予算なんかを見ておりますと、それは六十年度予算に農業新技術実用化促進事業、それの大豆関係分として二千二百六十万ですか、ついている。これは大豆用のコンバインの開発、実用化とある。そのほかは、例えば新地域農業生産総合振興対策、このうち大豆関係分は十一億四千八百一方ですか約八百二万、これは五十九年からすると約三億ぐらい減っているのですね。それから農作物種子対策事業、そのうちの大豆関係分、これも六十年度予算は約六千四百七十万、五十九年が七千万、五十八年が七千三百六十五万です。  こういうことを考えますと、こういう予算の厳しい中だということもあるのでしょうけれども、何でこういう重要な作物に対する削減までしなくてはならぬのか、関係機関の方々は一生懸命――私は前に筑波に行きましたら、大豆の手刈りなんか大変なので機械でやろうということでいろいろな研究をして御苦労をしていましたが、なかなかうまくいかないということで悩んでいました。そういうことを考えると、こういう一つの例を挙げましても、ちょっとこれは厳しいのじゃないでしょうか。大臣、こういうのはどうでしょうか。  やはりこれから手間暇がかかる大変なものが大豆です。ですから防除なんかについても、普通の畑作よりも随分手間がかかるということでありますから、こういう振興対策費というものの中でバックアップしてやらないといかぬのではないか、私はこう思うのです。そしてきちっと六十五年の見通し目標に向かっての限りない前進がある、そういうのが農政の中で一番重要なポイントではないかと思うのです。いかがですか。
  186. 関谷俊作

    関谷説明員 ちょっと予算上の関係について私から御説明をさせていただきたいと存じます。  今、生産振興関係予算、こういうふうに全体として五%か少しその上ぐらいのところで縮小していることは事実でございます。これは実は私どもとしては気持ちの上においては大変つらいことでございまして、やはり生産対策による生産性向上ということが一番基本であると考えておるわけでございますが、農林水産予算全体を通じまして一つのシーリングなり圧縮ということがございましてこうなっているわけでございます。  反面、価格対策の系列に属しますまさに交付金関係では、当初予算で六十年度が二百六億円計上しておりまして、実行上はこれはさらに八十一億円積み重ねる補正が必要だということで、二百八十七億円になるわけでございます。当初予算同士で比較しますと、六十年度当初予算二百六億円のところ、来年は二百三十億円余の要求を交付金についてはしておりまして、価格の方では二十億円くらいの増加になっているが、生産の方はこうやってどうも絞らざるを得ないということで、全体として見ると金額的にはやや価格対策の方に傾斜せざるを得ない、こういうような状況になっておるわけでございます。
  187. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  今局長答弁したことでございますが、畑作地帯におきます重要な産業ということで大豆位置づけをしているわけでございます。  現在国の財政が非常に厳しい状況にあるわけで、そういう形の中で我が省もやはり同じような削減を要求されている、そういう形の中でございますが、大豆等の振興策につきましては十分配慮をして頑張っている、こういうふうにひとつ御理解を願いたい次第でございます。
  188. 武田一夫

    ○武田委員 大豆がここまで来たのは、今局長が言った価格政策の方に重点的に対応した、一つはこれがあったから来たわけです。これは当然私もわかります。  ですから、今後の価格政策はそれなりにきちっと守っていくということと、あわせて、こうして上ってきた途中の過程で、そこでダウンさせることなく、そこで力を与えるためにこれからさらに構造政策の面で頑張ってもらう、その両輪のもとでいくことによって私はその目標というものが着実にかなっていくのだと思う。また農家もそれを期待していもし、そういう国の懸命なる努力があれば、農家はさらに勇気を持って、希望を持ってやるわけですから、その点をひとつしっかりとお願いを申し上げたい、こう思います。  そこで、次の問題に移ります。  「国内産でん粉ならびにいも作の生産を確保するため、でん粉ならびにぶどう糖、乳糖等の輸入自由化・枠拡大は絶対に行わないこと。」という生産者団体からの強い要請でございます。この件につきまして関係当局の御決意、お考えを伺いたい。
  189. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 お答えをいたします。  国産芋でん粉の原料でございますカンショそれからバレイショ、いずれも南九州あるいは北海道畑作農業にとって欠くことのできない極めて重要な作物でございます。また、この国産芋でん粉にとっては、ブドウ糖などの糖化製品は重要な需要先、売り光となっているわけでございます。  また一方、国産の芋でん粉、これは外国産でん粉に比べると極めて割高でございます。したがいまして、これらの品目の輸入が自由化されますと、我が国の畑作農業はかなり大きな深刻な影響を受けざるを得ないということを恐れております。このため、従来からこういったでん粉などの輸入自由化は極めて困難であるということを主張してまいりましたが、これからも現在の制度を守るように、継続するように努めてまいる所存でございます。  それから、輸入枠の設定につきましては、国産芋でん粉の優先消化を図る、これを基本として慎重に対処してまいりたいと考えております。
  190. 武田一夫

    ○武田委員 聞くところによると、トマトの加工品とか落花生を含めた十三品目、その交渉の協議が始まる、これは甘味資源を対象とするものではありませんけれども、こういうところに切り込まれますと、いわゆる地域特産物に密接なかかわりを持った問題でございますから、そういう関係者は大変心配をしている。そういう意味で他の地域特産物の関連を無視できないのがこの十三品の交渉の問題だと思うのです。それにまたチョコレートの輸入関税の引き下げ要求が突きつけられてくるりこうなると、この次にはでん粉とかブドウ糖、そういうものの自由化の話が出てくるのじゃないかという心配もまたある。  そういうものが切り込まれていったら、日本の農業というのはおしまい、特に地域特産物としてそれに依存している地域というのは壊滅的になるということで、この問題については、特に市場開放の攻勢に対して、農林水産省がしかと堤防のごときかたい守りを持っていただきたいというのが関係者の必死の願いでございます。  こういう意味で、大臣も前々から大変頑張っていただいているわけでありますが、その点、一層の頑張りを期待したいと思うのであります。ひとつ御決意のほどを聞かしていただいて、農家の皆さん方に安心を持たしていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  191. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、市場開放問題につきましては前々から言っているとおりでございます。  そんなことで、国産芋でん粉の原料であるカンショ及びバレイショは南九州や北海道畑作農業にとって欠くことのできない極めて重要な作物でございまして、また、国産芋でん粉にとってブドウ糖、糖化製品は重要な需要先であることは先生指摘のとおりでございます。  一方、国産芋でん粉は外国産でん粉に比べまして極めて割高となっております。したがって、これらの品目の輸入が自由化されると我が国の畑作農業に大きな影響を及ぼすおそれがございます。そういうことで、従来からこれらのでん粉等の輸入自由化は困難な旨を主張してきたところでございますが、今後とも現行制度の継続に努めてまいる所存でございます。  また、輸入枠の設定につきましては、国産芋でん粉の優先消化を図ることを基本として慎重に対処してまいりたい、こう考えております。よろしくお願いします。
  192. 武田一夫

    ○武田委員 そこでもう一つ、関税割り当て制度の問題です。  何か財政上り問題からこの見直し云々ということが出ている。けれども、関割り制をやめようということは、その地域によっては農業をやめよということに等しいのだという声が出ておるわけです。価格差を縮めていく生産性向上の努力をしている、そういうときにこういうことが出てくるのはまことに不信極まりないことであるというのが農家の皆さん方の偽らざる心情だと思うのであります。  ですから、価格の引き下げになるような、農家手取りが減るような対応は、ここで重ねて大豆と同じようにその点はしっかりと心にとどめた対応をしてほしいなと私は思うのでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思うのであります。
  193. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 関税割り当て制度を運用いたしておりますときに、抱き合わせ比率を変更する、あるいは二次税率を引き上げるといったときに、今の輸入トウモロコシに対する関税割り当て制度についての関税率審議会で私どもに対する風当たりもかなり強いわけでございますが、やはり国内産でん粉需要の確保を図る、あるいは価格の維持を図るというためにはこの関税割り当て制度が極めて大事な役割を果たすのは御指摘のとおりでございますので、今後もこの適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  194. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつ頑張ってほしいと思います。  最後に、コンニャクの問題について一つだけ聞きたいのですが、これは地域特産物として群馬、茨城、福島などを含めた同県かが主産地としてあるわけです。私の宮城県なんかもその一つに入っているわけでありますが、せんだって茨城県に行きまして農家の皆さん方と懇談会をしたら、コンニャクが製品としてかなり入ってきている、これはたまったものではない、どういう実態なのかちょっと確かめてもらいたいという話がございまして、私もいろいろと聞いたのでありますが、関西を中心に製品としてかなり入っているのだということであります。これはどういう状況なのか、今後それをそのままにしておくべきものか。これは手を加えないと国内市場に大変混乱を起こして国内の関係者に痛手を与えるのじゃないかという心配があるのですが、その問題について御答弁をいただきたいと思います。
  195. 関谷俊作

    関谷説明員 コンニャクの製品につきましては、自由化されておりますので需要動向に応じて入ってくるわけでございますが、最近の状況ですと、昭和五十九年一月から十二月の暦年で見ますと九千トンぐらいの輸入がございます。これは関西地方を中心に入っているわけでございまして、粗粉に換算いたしますと四百トンになるわけでございます。この粗粉換算量で見ますと、五十七年が大体二十二トンぐらい、五十八年が九十六トン、五十九年が今申し上げました四百トン程度になりますので、増加のテンポとしては確かにかなり急でございます。ただ、全体的な需給から見るとどうかということになりますと、粗粉で見まして国内生産が粗粉換算で一万三千百トンとなっておりますので、パーセンテージで申しますと三%でございます。  したがって、全体的な需給にはそう著しい影響を与えないわけでございますが、ただ、地域的にこの製品輸入が集中いたしますと、今回で申しますと関西地方のようなところについては国産品の価格にかなり影響を与えるという地域もございますので、私どもの指導としては外国産原料の方を少し重点的に配分する、これは操作上ある程度できますので、こういうようなことで関西のような集中した地域での国産品への価格の悪影響を少し緩和するというような指導もやっております。  いずれにいたしましても、こういうような状況でございますので、私どもといたしましても、日本こんにゃく協会というコンニャク関係者の団体を中心に、全体としての需給安定対策を実施して需給調整を図るように指導しているところでございます。
  196. 武田一夫

    ○武田委員 資料によりますと外国製品の値段は国産品の大体三分の一くらいですから、こういうのが無制限に入ってこられますと大変です。ですから、関西の方が主流だということでありますが、聞くところによると、私は現場の方の話を聞いただけでありますけれども、どうも韓国の方などは、これはいいもうけ口だということで工場を少し余計建ててさらに出そうとかいう話までされているということがあるわけです。要らぬ心配、不安を払拭するために、そういうものに対する適切な手を打ってもらいたいなと思うわけであります。この点、ひとつしっかりお願いしたいと思います。  時間が少し余りましたけれども、以上で私の質問を終わりますが、最後に、これは通告していないのですが、一つだけ聞きたいと思います。  ことしは米が大豊作だと言われております。私もそう思っております。ところが稲刈りになってから雨なんです。要するにお天気の日がない。きょうなんかいい方です。東京でもそうでしょう。東北なんかも、山形県、宮城県、ずっと聞きますといいお天気の日がないのです。それで品質が非常に落ちるのではないか、特に我々のようなうまい米をつくっている県は非常に深刻なのでありますが、これは消費者にとってもただごとではないわけです。  こういう問題がありまして、特に国としてもそういう刈り入れ後の対応等について、各県、農協は一生懸命それなりの対応をしていると思うのですが、しかるべき最善の方向で豊作を本当に喜べるような対応をしてほしいと私は思うのですけれども、この点の対応、指導というのはどうなっているか、もしどなたかその点についての関係者がいたらひとつお聞かせ願えれば、こう思うのですが、おりませんか。
  197. 関谷俊作

    関谷説明員 具体的に今年の問題については、今先生の御指摘になったような状況については私どもも最近の情報としていろいろ承知しております。ただ、具体的にそういう事態に対する直接の対策ということではございませんけれども、やはりカントリーエレベーターとかライスセンターとか、ああいう乾燥調製施設を十分に設置すると同時に有効利用を図っていくということが、あるいはそれに関係します集荷、調製の体制を整備するということがそういう事態に対応する対策だと考えておりますが、若干売り渡し等の過程についての問題等があるかもしれませんので、なお食糧庁にもよく問題を伝えまして対策を講じてまいりたいと考えております。
  198. 武田一夫

    ○武田委員 時間がまだ十五分くらいあるはずですが、今まで質問してお願いした点についてはひとつ懸命に取り組んでいただきたい、このことを要望して終わります。
  199. 今井勇

    今井委員長 次に、神田厚君。
  200. 神田厚

    ○神田委員 畑作物価格決定につきまして御質問を申し上げます。  この問題に先立ちまして、私、過日塚本委員長と一緒にアメリカに行ってまいりました。アメリカの要路の人々といろいろと意見を交換してきたわけでありますが、貿易インバランスの解消問題で、市場開放等の問題の論議がいろいろとありました。そこで、我々としましては日本の立場を説明をして大いに理解を求めてきたわけでありますが、向こうの主たる関心は木材とチョコレートに集中をしておったようであります。  そこで大臣に、この畑作物の問題の前にちょっとお聞きをしたいのでありますが、チョコレートの問題、それから木材の問題について、農林水産省の基本的な現時点までの考え方というのはどういうことになっておりますか。
  201. 後藤康夫

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  木材につきましては、ことしの初めからいわゆるMOSS協議ということで四分野につきまして日米間で話し合いが行われておりますが、その一分野ということに位置づけられております。  なお、木材製品につきましては、規格の問題、基準認証の問題あるいはまたいろいろな流通の問題、また日本における木材需要の拡大というような問題も出ておりますが、関税の問題もその協議の中の重要な事項になっておるところでございます。この木材の関税につきましては、アクションプログラムの中で、国内の林業、木材産業に対する特段の対策というものを講じながら昭和六十二年四月から関税を引き下げていくという方針を示したところでございます。  それからチョコレートにつきましては、かねて要望があることは私どもも承知をいたしておりますけれども、その原料であります砂糖なり乳製品が農産物価格支持との関係で総体的に割高であるということもございますし、また、二年前に関税を大幅に引き下げて大体国境保護の水準としてはEC並みになっておる、そしてまた、御案内のとおり近年チョコレート関係の企業が非常に苦境にあるというようなこともございますので、私どもいろいろ検討はいたしておりますけれども、現在の関税をさらに引き下げ得る状況にはないという判断を現在持っておるところでございます。
  202. 神田厚

    ○神田委員 チョコレートの関税等の引き下げ、これは自由化に応じるという形になりますと、その影響によりましてでん粉上かブドウ糖とか乳糖とかの問題にまで波及してくるのではないか、こういうようなことを非常に心配をしているわけでありまして、このことは畑作物の問題と非常に大きく関係するわけでありますが、この点につきましてどういうふうにお考えでありますか。
  203. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 その点は御指摘のとおりでございまして、国内の農産物、特に砂糖とかでん粉からつくられる異性化糖などの需要先とは競合してしまうという問題がありまして、そういう点から、私ども食品流通局も大変このことを念頭に置きまして市場開放問題に対処しているわけであります。
  204. 神田厚

    ○神田委員 時間が余りありませんので、それでは畑作物価格問題に移ります。  農林水産省はこの畑作物生産振興につきまして、我が国の総合的な食糧自給力の強化、需要に見合った農業生産の再編成、こういうことを図るという観点から、長期的な生産目標に即して地域の実態に応じた生産振興を図る、こういう基本的な方針を持っておるわけであります。また、その具体的な施策として価格及び構造施策の両面が実施をされているわけでありますが、近年こうした施策のあり方が財政事情の悪化を理由に年々縮小されている、農政推進上まことに憂慮すべき事態となっております。  そこで、この畑作農業の将来展望について農林水産省はどういうふうに考えているのか。まず第一に、畑作物の農政上の位置づけをどういうふうに考えているかということにつきまして御質問を申し上げます。  今回価格決定対象となっております畑作物は、単に地域の特産的作物というものではなくて、いずれも我が国におきまして自給力を高めていかなければならない重要な作物であるわけであります。そのため、昭和五十三年度以降実施されております水田利用再編対策の中でも、特定作物として位置づけられて生産振興が推進をされてきた経緯があるわけでありますが、今日はいずれの作物をとっても行政価格が据え置き、まさに生産抑制的な政策誘導がされているわけでありますが、農林省はこれらの畑作物につきまして今後どのような生産振興を行おうとしているのか。特に六十五年長期見通し及び水田利用再編対策の実施に即して具体的な見解をお示しいただきたいと思います。
  205. 関谷俊作

    関谷説明員 今回価格決定等になります畑作物を含めまして、全体畑作物の農政上というか農業上の意味合いは大変大事でございますが、それは二つの観点から特に私ども考える必要があると思っております。  一つは、いわゆる畑作地帯、典型的には北海道が挙げられますが、こういう畑作地帯における基幹的な作物あるいはその地域における合理的な輪作体系の一環としての位置づけでございます。それからもう一つは、御指摘の中にありましたような水田利用再編対策におきまして、田作で、水田でつくる畑作物という意味で、転作作物として米の需給均衡化対策として大変大事な転換先の作物として振興する必要がある。こういう二つの意味合いであろうかと考えております。  そういう意味で、私ども全体として六十五年見通し等に即しました生産の誘導を図る一方で、畑作物の場合には水田に比べますとまだまだ機械化、省力化等を中心にします生産面の合理化というのが、北海道のような非常な畑作推進地帯を別にしますと大変おくれておりますので、こういう面について特に力を入れていかなければいけないと考えております。  個別の作物について見ますと、例えばてん菜の場合には作付面積としてはまだ六十五年見通しに達しないけれども生産量はほぼそこに達しておるとか、大豆については食用の六割を自給するというような水準にまだ遠いとか、いろいろ個別の問題等がございますが、何といってもこれからの畑作物対策基本になりますのは、コストを下げまして相当価格の面でも競争に耐え得るようなものの生産を誘導していく、特に畑作物関係価格対策におきましては、かなり財政負担によります価格補てんないし価格安定に依存している面がございますので、最近のような財政事情を考えますとますますそういう生産の合理化の必要性が高まってまいると考えておりますので、これらの諸点を考えながら、価格対策あるいは生産対策、こういう全体を含めました生産の誘導、振興に努めてまいりたいと考えております。
  206. 神田厚

    ○神田委員 六十五年の長期見通し及び水田利用再編対策との関係では、これらの今問題になっておりますところの作物につきましては、生産振興をするような方向が明確に打ち出されているわけであります。また、ポスト三期対策がどういうふうになるかはちょっとはっきりしないようでありますけれども、例えば小豆などにつきましてはその定着化という問題があるわけでありまして、そういうことを考えていきますと、これらの畑作物の農政上の位置づけについて、もう少ししっかりした形での農林水産省の腰を据えた考え方が反映をされなければならないと考えております。  六十五年の長期見通し関係からいいましてもこれらの点について非常に問題が多いというふうに思っておりますが、その点はいかがでありますか。
  207. 関谷俊作

    関谷説明員 六十五年の需要生産長期見通しにつきましては、やはり立てましたときからかなり時日を経過しておることと、もう一つはその間における需要面、生産面の変動がございますし、長期見通しと言いながらかなり六十五年という時期が近づいてまいりましたので、全体的には見直し作業に着手をして改定という方向に向かって作業すべき時期は来ているというふうに私ども考えているわけでございます。  ただその場合に、物によりますと需要の方が当初の見通しよりも相当落ちたという例としてミカンとか生糸がございますし、反面、生産の方が順調に伸びて目標にかなり近い、ないしやや上回るところまで来ているものもございます。こういうようなことを考えますとやはり見直しも必要でございますし、我々としては需要生産長期見通し一つ考え方、いわゆる自給力の向上的な考え方基本に置きながらも、現在の需給状態に着目しまして改定をすべき時期は来ておるというふうには判断をいたしております。  その場合に、御指摘の中にございました水田利用再編対策の次の対策、具体的には六十二年産の米の問題から始まります、あるいは次期対策とかポスト三期対策とか言われますが、この中で水田からほかのものに転作をすべき面積はある意味ではさらに増加をするというような見込みにどうしてもなってまいりますので、その場合の増加分の転換先というのはどう考えるか、あるいはその水田の利用方法をどう考えるか、こういうような大変難しい問題もございます。  これらの問題も含めまして、今私どもも内々検討を始めなければいけないと考えておりますが、これから一年余りの間に、これらの諸問題を十分勘案してこれからの生産対策方向を打ち出してまいりたいと考えております。
  208. 神田厚

    ○神田委員 答弁に全く賛成というわけではありませんが、時間もありませんので価格の決定の問題につきまして御質問を申し上げます。  この価格政策というのはやはり生産振興を図る上で大変重要であるわけでありますが、近年の価格決定経緯を見ますと、パリティは上昇しているにもかかわらず、その上昇部分は価格に織り込まれている奨励金部分を削減する、こういうやり方で相殺されて、結局は価格生産性向上という名目で据え置かれてきているわけであります。  そこで、農水省は毎年度における生産性向上あるいは農家が手取り価格として位置づけている奨励金部分の取り扱いについてどのように考えているのか、まずそのことをお示しいただきたい。
  209. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 私どものてん菜につきましては、本体価格とは別に、昨年度価格の決定の際に六十一年産を目途に糖分取引を実施するということになったのに伴いまして、従来の奨励金をやめまして糖分取引を推進するために糖分取引推進費という名前のものがつけられております。トン当たり七百六十円、うち二十円が団体に渡っておりますが、総額約三十一億円ございます。  これは今申しました経緯でできたものでございますが、やはりこれからのてん菜を取り巻く諸事情あるいは財政事情等を十分に踏まえて、ことしは慎重に決定させていただきたいと思っております。
  210. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆についても全く同じ問題があるわけでございます。これはやはり生産事情財政事情あるいはほかの作物とのバランスを考えながら慎重に決定すべきことでございまして、今検討中でございます。  ただ、従来の大豆等の生産性動向を見ますと、やはりこの奨励金部分を少し圧縮するという問題にどうしても我々としては取り組まざるを得ないようなことでございますが、いずれにしましても、この辺の問題も含めて全体価格のあり方について決定をしてまいりたいと考えております。
  211. 神田厚

    ○神田委員 価格問題につきましては、私どもは従来からパリティが上昇している分について素直にそれが価格に反映されるように要求をしてまいりました。ことしもそういう形で我々といたしましては要求をしていきたい、このように思っております。  また、新聞等によりますと、財政当局が今年度価格問題につきましては、価格の引き下げ、制度の改善、これを行う、大蔵当局がそれを非常に強く推進をしているというふうに言われておりまして、昨日農林水産省におきましてもいろんな考え方を取りまとめたようであります。  私どもといたしましては、その農林水産省の考え方につきまして、それを全面的に賛成をするというわけにはまいらないわけでありますが、農林水産省はいつの時点で大蔵折衝を行って、また各作物ごとにどのような説明を行ってきたのか、それらの交渉の経過について明らかにしていただきたいと思います。
  212. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆につきまして申し上げますならば、現在までのところは財政当局とのいわば折衝と申しますか協議状況としては、最近の生産事情需給事情、これら価格決定をめぐります諸事情について資料提供をし、またいろいろ意見を交換している。そのうちパリティ指数も出てまいりますので、こういうことを見計らいながら価格決定に向けて今調整を開始しておる段階でございます。  したがいまして、今具体的にこうこうこういうふうな点について議論をしているとかというようなことを申し上げる段階ではございませんけれども、ただ問題点としましては、大豆のことにつきましてはもちろん交付金暫定措置法に従いまして適正に決定するわけでございますが、こういう需給事情財政事情等の中でございますので、基準価格水準をどうするか、それから交付対象数量増加傾向についてどういうふうに考えるか、それから販売価格についても、これは一つの、販売価格がかなり下がってまいるような傾向の中でこれをそのまま受け入れるような建前がいいのかどうかというような運用上の問題、それからさらに流通経費の中に含まれます概算払い金利等の流通経費の中身の問題、以上四つの問題については全体的にかなり議論をし検討して、それぞれ全体として相互関連させながら結論を出さなければいけない、こういう段階に来ておるというふうに承知をしております。
  213. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 私どもの所管いたしておりますてん菜あるいはバレイショカンショ等につきましては、これもまた八月のパリティが出ておりませんので、最終的な価格算定の作業を終えているわけではございません。  が、現在、財政当局といろいろ折衝は行っております。折衝の細かい経緯は御勘弁願いたいのですが、要するに大蔵省の方の指摘はかなり厳しい財政事情、要するに余り金がないのだ、だから奨励金などは去年と同じようにはとてもじゃないけれどもつき合えないうんと減らしてもらわなければ困る、あるいは畑作物生産性向上している、つまり単収がかなり上がっている、かってに比べますと単収も上がっているし労働時間も減っているではないか、だから水準だって前と同じことを考える必要はないので、もっと下げたっていいじゃないかというようなかなり強い指摘が向こうから出されているわけでございます。  しかし私どもといたしましては、パリティ価格基準といたしまして、いろいろな諸事情経済事情を頭に置いて適正に決定をしたい。目下作業中でございます。
  214. 神田厚

    ○神田委員 財政の問題だけをとってすべてそれで価格の問題を決められてしまうということになれば、農政がないということでありますから、そういう意味では農林水産省で御苦労でありますが大蔵折衝をしっかりとやっていただきたい、このように思っております。  畑作物価格といいますか、この問題は、農家にとりましてもやはりこれからこういうものに期待をかげていこうというふうなものでありますから、いまだにそう大きく規模拡大もされておりませんし、そういう意味ではこれからもっと大きくして安定的な収入を得ようという、そういうことでもありますので、価格引き上げという前提をひとつしっかりと守って御努力をいただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、大豆の問題につきまして二、三御質問を申し上げます。  一つは、大豆交付金制度の堅持でありますが、これが今いろいろ言われております。時間もありませんので、これらにつきまして農林水産省では、例えば生産奨励金の廃止の問題や交付金制度に限度数量を導入すべきであるというような問題が現在起こっておりますが、これらについてどういうふうに考えておりますか。
  215. 関谷俊作

    関谷説明員 これは現在大豆なたね交付金暫定措置法がございまして、この法律制度の運用として、その制度の枠組みの中で価格問題等も含めて検討し決定するということは当然のことでございます。  その中でまず第一に、奨励金問題については、先ほども申し上げましたけれども、価格の中に織り込んでおります奨励金について、従来生産性向上効果を見て圧縮をしてきて、その結果として基準価格が据え置きになってきておりますが、この辺の基準価格水準の中に奨励金をどの程度見込むか、生産性向上状況をどう見るかということについては、これは奨励金全廃というような議論をする向きももちろん全くどこにもいないというわけではございませんけれども、私どもとしては、やはり奨励金生産性向上効果を織り込んだ圧縮というような方向についてはどうも避けられないのではないかというような考え方もございまして、今この辺については、基準価格水準の決定の一つの内容の問題としましてこれから検討してまいる考えでございます。  それからもう一つのいわゆる限度数量問題については、これは現在の制度が結果的に、いわゆる生産者の販売数量増加しますとそのまま対象数量が上がっていく、また同時に販売数量増加はそのまま販売価格の低下につながりますので、交付金の単価がふえてまいります。こういう二重の意味で数量増というのが交付金増加をもたらしているわけでございまして、こういう仕組み自身は大豆交付金制度一つの宿命と言えば宿命でございますが、何か数量というふうな限度を設けるという考え方が導入できるかどうかについて、一つの検討課題になっていることは事実でございます。  ただ、これも法律という枠組みがございますので、現在の法律の運用としてそういうことができるかどうかということになりますと、なかなかそれなりの制度上の問題もありますので、今またこれは結論を出しておらないことでございますが、全体としては検討課題の中の一つでございます。我々としては、現行制度のもとではいわゆる本当の限度数量を今導入することはなかなか難しいのではないか、かように考えております。いずれにしても今回検討課題の一つであることは事実であるというように考えております。
  216. 神田厚

    ○神田委員 五十九年産大豆に係ります交付金額が約八十一億円補正予算が必要である、こういうふうに言われておりますが、この予算確保につきまして農林水産省の対応をお伺いしたいのであります。
  217. 関谷俊作

    関谷説明員 五十九年産大豆交付金については、当初予算で約二百六億円の交付金を計上したわけでございますが、かねて御説明しましたような出回り量の増加、あるいは交付金単価上昇交付対象数量増加、この諸要因が重なりまして、今お話のございましたように八十一億円程度このままでは不足するということが見込まれております。  したがいまして、交付金は法律に基づく一つ交付金で、これは価格も昨年もう既に決まっておるわけでございますから、こういう財政支出としてはやむを得ないということになるというように考えておりますので、今この補正予算への計上について財政当局に要求し、折衝しているところでございます。
  218. 神田厚

    ○神田委員 最後大臣お尋ねしますが、水田再編利用の中で、特に大豆は定着をした作物として農家の人たちが希望を持って今後ともそれらをつくっていこうという意欲を非常に持っているものであります。したがって、ことしの大豆価格やその他の問題につきましては、これを農家の人たちが大変注目をし、その決定がどういうように下され、どのような形でこれらの問題が決着がつくのかということで注目をしております。  このことがこれから先の水田再編利用のいろいろな政策やそういうのに大きな影響を与える問題でもあるわけでありまして、私はこれらのことにつきまして、将来的な展望を踏まえながら、農林水産大臣にこの大豆価格の問題、そして広くは畑作物価格についての前向きな考え方をひとつお尋ねしたいと思います。
  219. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 神田先生にお答えいたします。  大豆については先ほども農蚕園芸局長が申したとおりでございますが、六十五年見通しにおきましては食用大豆の約六割を自給することを見込んでいるが、現時点では、単取水準上昇が見られたものの作付面積目標をかなり下回っており、重要な転作作物位置づけしているところでございます。  そんなことでございますが、国産大豆の出回り量は単収の増と集荷率の上昇によりましてますます増加傾向にあり、交付金制度に基づく国の財政負担も急増しておる。このため、可能な限りの生産性向上を図るとともに、生産、流通の改善を促進することによりまして、財政への過度の依存から脱却を図りつつ、生産振興に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、先生の御指摘の点も踏まえまして、農家の皆さん方が安定して大豆生産ができるように、最善の努力をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  220. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  221. 今井勇

    今井委員長 次に、津川武一君。
  222. 津川武一

    ○津川委員 最初に、大臣並びに答弁に立っている農水省の幹部の皆さんに抗議的な忠告をしておきます。  先ほどから答弁を聞いていると、財政が苦しいから、財政がないから、大蔵省がなかなか困難だから、こういったことで前向きの答弁を一切避けております。神田さんははしなくも、それでは農政がなくなると言っております、問題は、財政がないからというので逃げるのでは質問も論議も国会も必要ありません。どうしても必要なものはつくるという気概を持っていただかなければ、日本の農政は滅んでいきます。  財政に対しては、私たちは今日本の大企業が我が世の春とばかりもうけまくっている、ここに財源を見出すことを何としても考えなければならぬ。第二番目には軍事費の突出的な膨張がある、このことも論議しなければならぬ。三つ目には不要不急の支出がある、このことにも手を加えて、農政を進めるために、国民の命と暮らしを守るために財政と取り組むという姿勢でなければならないと思っております。この点、答弁は要りませんが、苦言を呈して質問に入っていきます。  今問題になっている市場開放、畑作物価格などについてですが、大豆、雑豆、カンショバレイショてん菜、サトウキビなどは水田転作基幹作物であり、その振興は我が農政の最大の課題の一つとなっております。  ところが、この畑作振興をめぐって重大な障害が出てきております。大豆、麦などで、政府がアメリカや財界の要求を受け入れて自由化、輸入枠拡大を野放しにしてきたからでございます。そこで、日本の畑作を本当に振興させようとすれば、競合作物である外国農産物の輸入を厳しく規制することが今何よりも求められておるわけでございます。  そこで質問の第一点・今アメリカが要求しているでん粉、雑豆、落花生、トマトジュースなど十三品目の交渉の問題ですが、九月十八日ワシントンで行われた日米貿易委員会でアメリカは交渉再開を申し入れているようですが、そのとおりですか。それに対して政府はどう対処するつもりでございますか。これが質問の第一点でございます。  たくさん質問しなければならないので、質問を積み重ねていきます。  第二点は、十三品目の問題は昨年の交渉で八六年四月まで交渉は凍結するという取り決めではなかったのでしょうか。予備的な話し合いと言うが、結局アメリカのペースにはまっていくことになると思います。しかも、アメリカは去る九月二十三日、新貿易政策なるものを発表し、日本との市場開放交渉に期限を設けるとか、アクションプログラムで関税を引き下げることを決めたばかりの品目についても新たな関税引き下げを迫るなど、日本を属国視するような、日本に本来の自主性、独立がないような、そんな要求を次々に持ち出しております。  休戦期間が来年四月でありながら、アメリカが言うのだからといって交渉再開にずるずる応じていく政府の態度には、農民はとてもついていけません。不安を抱いております。グレープフルーツと牛肉のときにも問題になりましたが、ずるずる引っ張られて昨年グレープフルーツジュースを自由化してしまった、ああいう轍が今また心配なのでございます。  そこで第二の質問は、新たな自由化を迫られても一切自由化には応じないという態度が今何よりも日本の国の立場として農業を守るために必要になっております。この態度がおありになるかどうか。  三つ目の質問。アメリカが要求している穀物の緊急輸入の問題についてですが、この春以来、政府は困難だとしながらも、今回、二階堂副総裁を団長とした自民党訪米団が訪米の土産として、開発途上国への小麦の援助をやる、これを民間資金の活用でやるなどと言っております。ここに、繰り返しますが、政権党である自民党のアメリカべったりの姿勢が象徴的にあらわれていると国民は批判しております。  農業の危機的状況について言えば、アメリカのことを論ずる前にまず目を日本の現状に据えてこれを心配し、その打開のために真剣な努力が求められております。そのときに、アメリカの余剰農産物の輸出奨励のために日本が走り回るというのはどうしたことなんでしょう。日本にはそんな義務があるのかということでございます。  この三点にまず答えていただきます。
  223. 後藤康夫

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  まず十三品目の問題でございますが、先生指摘のとおり、昨年の四月二十二日にこの問題についての日米間の合意ができまして、二年間の休戦ということになっておるわけでございます。  したがいまして、今御質問の中にございましたようなアメリカ側からの提案と申しますか申し出が貿易委員会であったわけでございますが、私どもは本格的な協議は来年の春でありますよということをお断りをいたしました上で、現行措置の実施状況のレビューなり評価といった問題を含めまして再協議に先立って予備的な話し合いには応ずる用意はあります、そういう応答をいたしたところであります。  具体的な話し合いの内容なり日程というようなことにつきましては、今後外交チャネルを通じてアメリカ側と詰めていきましょうということになっておりまして、今日ただいままでのところでは、まだアメリカの方から、それでは具体的にいつ、こういうことでやりたいという話は参っておらない状況でございます。  もちろん、今お話の中にも出ましたように、昨年の交渉の経緯なり、あるいはまたアメリカは農産物につきまして輸入数量制限というものは認めないという基本的なポジションはずっと維持しておりますので、かなり厳しい態度で臨んでくることは十分予想されるところでございますけれども、我が方といたしましては、今お話のございましたような我が国の農業の厳しい実情、あるいはまた十三品目の中に特に我が国の畑作を支えているような重要な品目が入っているということにかんがみまして、我が国の農業に悪影響を及ぼさないように最大限の努力を払ってまいる考えでございます。  それから、アメリカの余剰農産物を援助に回すということについて日本が何らかの手助けをしなければいけないような責務があるのか、こういうお話でございますが、国際的な責務ということになりますと、これは国際小麦協定の中の食糧援助規約というものがございまして、多国間で我が国が小麦換算で年間三十万トンの食糧援助をやるという義務を負っておるというのが国際的な義務でございます。  もちろん、米国の穀物在庫が増加をしましてアメリカの農業が大変な不況下にある一方で、アフリカでは飢餓の問題があるというようなことを背景にしまして、アメリカの穀物を我が国が買い付けてそれを援助に回したらどうだというような構想があることは承知をいたしておりますし、アメリカからもそういった話が一度あったことは事実でございますが、我が国が現在行っております食糧援助の規模なりあるいは食糧援助の実施に関する国際的なルール、相当部分は開発途上国から買い付けて援助をするというようなルールの問題、あるいは、いずれにいたしましても追加的な予算措置というような問題がございますので、食糧援助の問題は直接にはこれは外務省の所管でございますけれども、私どもといたしましては、一部に言われておりますような、またアメリカが言っておりますような相当まとまった数量をやるというようなことは種々難しい問題があるのではないかというふうに考えております。
  224. 津川武一

    ○津川委員 そこで、予備交渉に入ると引っ張られるから、予備交渉に入っても具体的な内容に入らないようにひとつ要請しておきます。  それから小麦の問題ですが、三十万トンならいいけれども、一千万トンという話が出てくる場合もありますので、こんなことは絶対にあり得ないという覚悟を決めておいていただくよう要請して、次の質問は大臣にいたします。  大臣、関税の引き下げと同時に、このごろ九月に入ってから円高・ドル安が始まってきた。そうすると、関税の引き下げと円高・ドル安での被害と二重になるわけです。関税の引き下げのパーセンテージにもよりますけれども、こちらの方が日本の農産物に与える影響は大きいんじゃないか、農産物の輸出国でない、輸入国だから。この点、ダブルパンチになるわけです。したがって、私は、円高は国際的に避けることができないとすれば、関税引き下げの要求はおろしてもらう、こうでなきゃならぬと思いますが、この点は特別に大臣に腹を聞くわけでございます。
  225. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 津川先生にお答えいたします。  今回の行動計画におきまする農林水産品の関税引き下げ措置は、我が国の置かれております国際的立場と国内農林水産業の実情とを総合的に勘案して自主的に決定され、世界に公表したものでございます。  そんなことで、この関税引き下げ措置は特定の為替レートを前提としたものではございませんので、最近円高の傾向が見られるからといって、今回の措置を見直すということは考えておりません。
  226. 津川武一

    ○津川委員 関税引き下げと円高のダブルパンチが来ないように、この点は大臣、心にとめて善処していかなければならぬと思います。  質問を続けます。  大豆でございますが、現在農政の最重点課題として水田再編対策が実施されております。その成否は、転作作物の麦だとか大豆だとか、これが定着するかどうかにかかっております。  そこで、その大豆政府は六十五年長期見通し作付面積二十一万ヘクタール、食品用大豆自給率六一%まで到達したいとの目標を掲げています。私はこれはいいと思います。ぜひ実現しなきゃならぬと思っておりますが、現在十三万四千ヘクタール、自給率三一%と約半分であるが、転作作物として水田再編対策の重要課題の大豆は、ぜひ皆さんの掲げた計画は完成しなければならないと思います。達成のためのプログラムを明らかにしていただきます。
  227. 関谷俊作

    関谷説明員 六十五年見通しの面積なり数量については先生指摘のとおりでございます。現在の面積は十三万四千ヘクタールであり、生産数量も二十二、三万トン、こういうことになっておるわけでございますが、これから見ますと、これからの生産のいわば見通しとの関連での動向、あるいはその伸ばし方という問題が出てくるわけでございます。  私ども現在率直な感じを申しますと、この見通しの中で一番かぎを握るのは水田における田作大豆、具体的には転作大豆でございますが、田んぼで大豆をどのくらいつくるかということによるというふうに考えております。と申しますのは、北海道のような畑作地帯では、大体輪作体系の中の位置づけとしまして、大豆作付面積、ほぼ現在が作付体系上も合理的であるという水準でございますので、やはりこれを伸ばすとしますと、田んぼで大豆をどのくらいつくるかということによる。  これはさらにもう少し近間の話として申し上げますと、現在の水田利用再編第三期対策が六十一年産で終わりますので、六十二年産以降での水田利用再編と申しますか、いわゆる次期対策あるいはポスト三期対策の中でどのくらいの面積について田んぼで大豆をつくるということを予定するか、そのための方策いかん、こういうようなところがかなり焦点になると思いますので、これはこれからほぼ一年余りの間に具体的に検討すべきことでございますが、やはり六十五年見通しに予定されました姿というものは六十五年時点での相当の転作、当時七十六万ヘクタールというように計算されておりましたが、相当の転作をするという中で大豆についてこのぐらい田んぼで大豆をつくるという予定と結びついておった、こういうように考えますので、やはりこれからの問題としては、水田でいわゆる従来の言葉で申します転作大豆をどのくらいつくるか、こういう計画がどのくらい可能性があるかというところがポイントになろうか、かように考えております。
  228. 津川武一

    ○津川委員 今の答弁、いただけないの。それは、六十五年長期計画に向かって実現するとすればどのくらい大豆をつくらなければならないか。そこで、それならば六十五年までの年次計画を発表してもらいます。そこに向かって大豆を伸ばしていかなければならない。ことしは、去年も豊作だ、そうすると転作面積がふえるという状況が出てくるわけです。そうすると、転作作物としてのかなめである大豆というものを適当な形で濁していくことはいけないので、転作作物の重要な作物としても、六十五年長期計画を達成する意味においても、大豆生産振興というものを具体的にしていただかなければならないと思います。  そこで次の質問に行きますが、先ほど来から問題になっております奨励金の問題、交付金のカットの問題。  大蔵省大豆交付金について、六十キロ当たり三千三百五十九円の生産振興奨励金のカット、限度数量の設定を迫っていると聞いておりますが、大豆をこれ以上ふやさないという政策ではないのでしょうかしら。大蔵省大豆で後退している。やはり今言ったように、長期計画に基づいて水田転作、稲転の重要作物として育てていくという位置づけがなければならない。この大蔵省の後退を黙って見ているのか。  同じことは農水省の交付金の足切りについても言える。この奨励金にしても交付金の足切りにしても、特に奨励金価格として約束しているのでしょう。奨励金もこういくといって進んでいるのでしょう。それを今ここで反別を見直すという。だから猫の目農政と言われる。やはりきちんとしたものがきちんと入ってなければならないので、大豆をつくる農民の再生産費を補償する価格としてでも、大豆を守り育てていくためにも価格の保証はしなければならないと思うわけでございますが、この点はいかがでございます。
  229. 関谷俊作

    関谷説明員 現在六十年産の問題について議論をしておるわけでございますが、来年に向けて、今後の大豆生産のいわば数量的な問題、面積的な問題について先に申し上げますと、第三期対策の中で、最終年が六十一年になるわけでございますが、これは御承知のように基準が六十万ヘクタール転作ということでございますので、先ほど私の申し上げましたポスト三期は別としまして、六十一年までの話で申しますと、転作規模それ自体は現在やっておりますものからそう飛躍的に拡大をするわけではございませんので、したがいまして、転作の中での大豆についても、いわば大豆に相当転作をするという面積が画期的にふえるという状況では、あるいはふやさねばならぬという状況では必ずしもないわけでございます。  そういうような数量的な状況がございまして、一方、交付金による補てんの問題としましては、これは幾つかの問題が出ているわけでございまして、やはり従来からもやっておりましたが、基準価格の中の奨励金的な部分について、生産性向上効果等も勘案した一つの圧縮というものを六十年産についてもやらねばならぬのではないか、これが第一点でございます。  一方において、数量問題については、これまでは、非常に生産数量がふえ、また交付対象数量がふえますので、これをいわば無制限に見てまいりましたが、これの限度というものがどうかという議論も出ておるわけでございます。  そういう保証する価格水準あるいは保証する対象数量というものに何らかの意味での調整を加えるかどうかということと関連して、先生のおっしゃいましたいわゆる足切りというような問題も出ているわけでございまして、やはり制度の保証する範囲というものが、価格面なり数量面なりそれから価格保証の対象になる交付金の単価の幅として何かどこかに一つの限度があるのじゃないか、あるいは少しそこに調整を加える必要があるのじゃないか、こういうような問題意識で、この価格問題、数量問題あるいは販売価格の足切り問題、こういうことが出てきておるわけでございます。  今まだ私どもこれらの結論を出しているわけではございませんが、特に財政当局等との調整の過程でこれらの問題は非常に中心的な問題としてかなり慎重に議論しなければならないし、私ども、この交付金制度というものが大豆生産振興に果たします役割が大事であるだけに、その運用面においては最近のそういう需給事情等も十分考慮した考え方をこの辺で導入しなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  230. 津川武一

    ○津川委員 大蔵省と調整しなさいね。そうするとどうなるか。大豆の量が減らされることになる。このことをはっきり言わなければならない。  そこで、私は繰り返し言うが、大豆のこれから六十五年までの年次計画を出してもらって、それに従っていかなければならない。先ほどから話を聞いておると、生産量が多くなったから困って、減ればいいという感じだ。生産量がふえるということは皆さんが計画した計画に向かって進んでいるということなんです。それを否定する議論なんだ。その点を踏まえて、調整などというのはしないようにひとつ頑張ってください。  そこで、沖縄のサトウキビでございますが、日本の農政を支えるとすれば、米だとかいろいろなことがありますが、これを各地域地域でいくと、沖縄ではサトウキビなんです。したがって、サトウキビは沖縄における日本の農業問題ですね。沖縄からサトウキビをとったら農業はなくなる。  このサトウキビに対して、減ってきておるのですね。ここにやはり日本の農政がありますので、日本の農政本来の位置づけとして沖縄のサトウキビをどうするかということを伺わせていただいて、これを振興するとすれば求めている価格を保証してあけなければいかぬ、この二点を答えていただきます。
  231. 関谷俊作

    関谷説明員 沖縄につきましては、御指摘のようなサトウキビを中心にしましてかなりいわゆるほかの都道府県とは違います農業上の特色が出ておるわけでございます。  全体を見ますと、耕地面積が五十八年で四万五千百ヘクタールのうち、サトウキビの作付は三万一千三百ヘクタールということで、この面積だけで比較しましても六六%、ちょうど三分の二ぐらい、大変重要な位置づけになっております。  こういうことでございますので、私どももそういう沖縄県における特に基幹作物であるサトウキビの状況に着目しました生産対策を講じなければいけない、また価格面でも十分配慮しなければいけないというように考えておりまして、生産対策の面で申しますと、やはり沖縄の立地条件に適合しました比較的小規模の土地基盤の整備、それから省力機械施設、特に高性能の収穫作業機械の導入、こういうようなことで、これは例えば収穫機につきましては沖縄にはかなり大型の収穫機、外国製の機械も入っておりますが、もう少し日本的な中型の一つの新しい機械をモデル的に入れるとか、こういうようなことと、それから特に、今までも入っております小型の機械体系、こういうような収穫過程の機械化も含めまして、このサトウキビに特に問題となっております非常にたくさん労働力が要る、こういう面の問題を少しでも解決しまして、この基幹作物としてのサトウキビの生産を安定させていきたいと考えております。
  232. 鴻巣健治

    鴻巣説明員 今、農蚕園芸局長からお答えいたしましたように、サトウキビは沖縄では大変重要な地域の作物でございます。  そういうことを認識した上で砂糖全体の需給事情なりあるいは他の作物とのバランスなども総合的に考えながら、パリティ価格を基礎として適正に決定するように現在検討中でございます。
  233. 津川武一

    ○津川委員 沖縄のサトウキビですが、本島よりも離島の方が減ってきているんです。それしかやるもののないところで減ってきているので、振興に対しては特別な対策を強く求めて、質問を進めていきます。  次は、台風十三号による青森県のリンゴ落果被害対策でございますが、あの十三号は困ったときに来たものなんです。台風で被害を受けたときに農民が一番救われるのは共済ですが、この共済の加入率がつるべ落ちに落ちてしまって加入率が二〇%を割ってしまったときに台風が来ている。したがって、農民が当てにできるものは現金ですが、手にすることができるものが極めて少なくなった中での被害だったのでございます。この点ひとつ考慮していかなければならぬと思います。  そこで、その被害ですが、樹体被害も含めると百六十億円、落果量は十万トン、県内予想収量の二割やられております。洞爺丸台風に次いで、最近の津軽としては戦後最大の被害でございます。私も何度か現地を訪ねてみました。いろいろ県の要請や指導もあったりしてかなり進んでおりますが、被害の最も大きかった弘前市では、天災資金を要求するものが八百二十二件、六億六千五百万、自創資金を必要とするものが七百十五件、四億八千万の希望、要求が出ております。浪岡という私の生まれた町でも二百六十四戸の農家で天災資金一億三千四百六十五万円、自創資金一億四千二百七十五万円の要求が出ております。  共済が二〇%を割っているので、農民を救済するとすれば何が必要かといいますと、天災融資法の発動を前提とした資金を出してやらなければ事が片づかないということでございます。  そこで、青森県の農協の四連がこういう要求を皆さんのところへ出しております。「このたびの台風によるりんご災害は、ここ数年続いた価格低迷、昨年の不作など疲弊著しい農家経済に追打ちをかける結果となり、このままでは来年以降の再生産に大きな支障をきたすことが必至であり、きわめて憂慮される状況にあります。」そこで、国におかれましても「一、天災融資法の早期発動二、自作農維持資金の融資枠の拡大及び貸付限度額引上げの特例措置 三、既貸付制度資金に係る償還条件の緩和措置」、これは農協の四連だけではありません。地方自治体も農協も農業委員会もみんな同じ要求を出しております。この点では要求がきれいにまとまっております。この三つをやるようにひとつ答えていただきます。
  234. 吉國隆

    吉國説明員 台風十三号によります、特に青森県のリンゴ被害対策で、まず天災融資法を発動されたいという御要請は私どもも承っております。現在、この被害状況、資金需要動向の把握に努めておる段階でございまして、その取りまとめ結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、自作農維持資金の取り扱いの問題でございますが、これにつきましても現在被害状況等の把握に努めているところでございますので、その調査結果を待ちまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。  それから第三点におっしゃいました既に貸し付けられている資金の償還条件の緩和措置でございますが、これにつきましては、従来から実情に応じまして償還条件の緩和について弾力的に取り扱いをするよう関係の金融機関に対して指導してまいってきておるところでございます。このたびの災害につきましても、被害の実情に応じて適切に対処していただくよう指導してまいってきておるところでございます。
  235. 津川武一

    ○津川委員 天災融資法の発動に対しては適切に考える。そこで、発動の条件に合うような被害があったのかどうか、もう一つは、発動するに十分な資金需要があるのか、この点をもう一回答えていただきます。
  236. 吉國隆

    吉國説明員 天災融資法は、先生御案内のように被害の規模なり広がりなり、それから深さ、農家に与える影響程度、こういったことを総合的に勘案をいたしまして、国民経済に支障を来すような著しい災害であるという場合に国の低利資金を供給する、こういう性格のものでございまして、先ほど申し上げましたように、被害状況、資金需要を目下鋭意調査をしておるところでございまして、その結果を待ちまして対処の仕方を適切に決めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  237. 津川武一

    ○津川委員 早期に発動するよう要請して、質問を進めていきます。  次は、果樹共済でございますが、今回私もびっくりしたのです。加入率が五十四年度までは六二・三%、五十九年は一七・四%、ことしになってからも脱退が続いているわけです。農家の人たちや共済組合の人たちに話を聞くと、五十五年の制度改正で共済金の支払い割合を変更した途端に減ったわけなんです。したがって、変更する前の状態に戻す必要があると思いますが、あるいは法改正が必要かと思いますが、その点のお考えがありますかどうか、まず答えていただきます。
  238. 吉國隆

    吉國説明員 ただいま先生のお話しになりましたのは、五十五年の制度改正のお話であろうというふうに考えるわけでございますが、五十五年の改正点の一つは、共済金の支払いをどれだけの被害程度からスタートするかということについてでございまして、三割以上の損害があった場合に、これは半相殺減収総合方式の場合でございますが、なっておるわけでございます。五十五年の改正以前では、三割以上の被害があった場合に支払いが一〇%からスタートをするという制度であったわけでございますが、この点につきましては、二九%の被害であれば一銭ももらえない、三〇%を少しでも超えれば一割からスタートするということで、不公平感の問題、それからまた波及をいたしまして、損害評価の円滑な実施という点でも問題が指摘をされておったわけでございまして、そういうことを踏まえての改正を行ったわけでございます。  その他、果樹共済につきましては、制度の改善という見地から、今青森県のリンゴで採用されておりますような半相殺方式を新たに導入するとか、あるいは特定危険方式について足切り割合を三割から二割に縮めるとか、そういった改善を加えてきたつもりでございまして、私どもとしてはさらに最近の趨勢も考慮いたしまして、ことし農災法の改正でさらに特定危険方式の拡充等の改正を加えてきたつもりでございまして、今後、農家に対してこういった趣旨をよく理解をしていただいて加入推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  239. 津川武一

    ○津川委員 まさにその一〇%なんです。今度の被害、三割を超す人は極めて少ない。全体としては二割以上いっているけれども、三割超しても少し超している、これが今度の法改正では一〇%もらえないわけです、ゼロから出発するから。したがって、実際やってみて自分に来ないので、共済やめたと言って今やめている人が出てくる。だから、やはり三割超したら前みたいに一〇%をとにかくやるということでないと、私は農民に加入を勧めるわけにはいかないと思うわけでございます。  この点、もう一回答えていただいて、その次に標準収穫量。百五十箱になっている、それを県が百箱にせいという指導をしてくる。そこで、百五十箱の三割の五十箱落ちている。ところが、百箱にせいと言うから、それに対して三十箱以上落ちないと共済の対象にならない。こんな共済に入っておってもだめだと言うのです。これが本当に行われている。だから、県の言いなりになって単位共済がやっている。ここのところをきちっと皆さんがつくって指導をしているとおりにやらせなければならない。ここに民主主義があるわけです。この点、ひとつ直していかなければだめです。これは指導上で直せることだからきちんとしていただきたい。  もう一つは、評価員が一生懸命評価する。出してやる。そうすると、単位共済で削られることがある。それを県共済さん、連合会さんでまた削られる。国がまた削る。今年ここで問題を出した当時、国が九・四%でとどめるという指導を出した。これで民主主義が行われない。そこで、やはり農家に申告させる。その申告は正しくない場合があるから単位共済がこれを査定する。単位共済が県、連合会を通じて政府に要求したもの、これは自動的に認めるという形の、そういう立場の民主主義、被害農家の立場に立たないと共済は育っていかない。だから、実際に受けた被害に相応した共済金をもらおうとすれば、六割、七割被害を受けたという申請をするとちょうど自分の被害に見合ったものが落ちてくる、これが農民の常識なんです。ここからまずいろいろな厄介な問題が起きてくる。  制度に信頼がないことだから、その制度を立て直すために、この二点は法改正でなく運営でやれることでありますので、ひとつきちっと明確に態度を県、県連合会、単位共済、農民がわかるように出していただきたいと思うのです。いかがでございます。
  240. 吉國隆

    吉國説明員 まず先ほどの五十五年改正のゼロスタートの問題でございますが、先ほど申し上げましたような評価の適正を期すという観点から、また不公平感をぬぐうという観点からの改正でございまして、私どもとしてはこの制度を維持していくことが合理的であるというふうに考えておるところでございます。  それから、標準収穫量の設定について低く査定しているのではないかというお話でございますが、標準収穫量は、果樹共済の場合、樹齢でございますとか品種はむろんでございますが、地域なり栽培条件、植栽状態、そういったいろいろな要素によって変わってまいるものでございますので、そういった違いに応じた標準収量表というものを適正につくりまして、それを積み上げて、また農家ごとの栽培条件を加味して標準収穫量を設定する、こういう作業をやっておるわけでございます。  その過程で、共済制度基本的な物の考え方が平年の収量、これを適正に補償するということでございますので、平年収量に総体として合致をするようにしていく必要があるわけでございまして、こういった過程で、あるいは先生今お話しのような低く指示が来るということがあろうかと思うわけでございますが、私どもは地域の実態と、やはり全体として、総体としての収量というものとに基づく客観的な生産力というものをうまく反映をさせた収量設定を行う必要があるわけでございますので、この点については御理解を得たいと思うわけでございます。  また、損害評価につきましても各段階の査定ということが伴うわけでございますが、これにつきましても、やはり平年収量に対して適正な被害状況というものを統計情報部のデータ等とも照らし合わせまして確定をしていくというプロセスとして、必要不可欠のものであるというふうに考えているところでございます。
  241. 津川武一

    ○津川委員 それじゃだめ。問題がちっとも解決しない。  百五十、百六十、百八十箱ならせる人は絶対共済に入らない。六十、七十箱の人が入る。その農家が個々に具体的に単位共済と相談するのでなければだめです。そこのところは明確に指導できますか。これをやらないとできないのです。だから、いいリンゴづくりはみんな共済に入ってない。少ない単収の人だけが入ってくる。ここに共済はやめたという大きな理由がありますので、この点もう一回答弁を求めます。  そこで次の質問は、このごろリンゴをつくりたい人がたくさんある。平場地帯でリンゴ一町歩やっておる、岩木山ろくで三反歩出た。平場地帯で一町歩、岩木山ろくで三反歩という、こういう構成がたくさん出てきておる。これを今度園地ごとにやらないものだから永久に共済がもらえてない。これでやめてしまう。今度三反歩出る、平場地帯で一町歩だ、平均されると被害がなくなってしまう。こういう人たちは入らない。したがって、こういう人たちはやはり被害が起きると大きいから、これも救わなければならぬが、これは法改正しなければならない。この点も考えているかどうか。考えていくように答弁を求めていきます。
  242. 吉國隆

    吉國説明員 先ほどの標準収穫量の設定のプロセスに関する私の説明、やや言葉不足であったかもしれませんが、標準収量表を平年収量としての総体としての実績で示される数量に合うように設定しておきまして、それを農家ごとの実情に応じて当てはめる。したがって、例えば収穫の最も高い樹齢に相当している木をたくさん植えているという方については、当然高い標準収穫量が設定される。また栽培技術の差といったものも反映をされるわけでございまして、そういった形で農家ごとの実情に合うように、そういった標準収穫量の設定に努めるルールとなっておるわけでございまして、このルールに従って適正に行われるという面での指導は私ども常日ごろからやっておるわけでございますが、その点については留意してまいりたいと思います。  それから、園地単位の引き受けをやってはどうかというお尋ねでございます。それぞれの園地で被害があれば、経営全体としては大した被害でない場合でも園地ごとに着目をして共済金を支払うということになれば、確かに共済金をもらう頻度はふえるということはあるわけでございますが、経営全体としての被害の程度に着目をしてやるということの方が、保険という点からすれば合理的な側面も持っておるわけでございます。また、共済金の支払い頻度が高いということは、被害率を通じまして掛金率にはね返るという関係があるわけでございまして、そういった点からも私どもとしては現段階で園地単位引き受け方式を果樹共済に設けるということは適当でないというふうに考えておるところでございます。
  243. 津川武一

    ○津川委員 複数のリンゴ園を持っておる人がかなりふえていく状況にあるので、そうしないと本当にリンゴ共済――リンゴ共済という言葉はないかわからぬけれども、リンゴ共済は壊滅する危機にありますので、この点強く要請します。  標準収量のことは、はっきりと県にも連合会にも単位共済にも農民にもわかるように指導していかないと共済は伸びていきません。  そこで最後に、流水占用料と水源税構想についてお尋ねいたします。  建設省は農業用水などから流水占用料を取る方針を打ち出しました。これは農民が治水や河川整備に果たしてきた役割、そういうものを踏みにじるものであって、断じて許すわけにはまいりません。天からの授かりものである水から金を取るとは昔の悪代官以上だと言って、農民も地方自治体も農民団体も怒っております。私の地元、弘前を初め全国各地の自治体が反対を決議しております。大臣はこれに明確に反対すべきと考えますが、どうであるか。これが一つ。  もう一つ、今度は水源税構想についてです。私は、これも流水占用料構想と同様、本来国の責任である森林の荒廃、整備のおくれの責任を、応益分担の名のもとに水道利用者を初め広範な国民の負担に転嫁するものであり、絶対に賛成できません。  水資源の確保にとって森林の果たす役割が重要であることは言うまでもありませんが、その森林の整備は、水資源の涵養だけでなく、防災、環境保全など国民生活や国土保全に欠かせない以上、国が責任を持つことは当然だと思います。ところが政府は、高度成長期に国有林の乱伐、乱開発を強行し、無秩序な外材依存政策を進め、森林を荒廃させ、林業を衰退させてきました。さらに、臨調路線のもとで軍事費をふやす一方で、年々林業関係予算を大幅に減らしてきている。この責任は政府に最も重大なので、政府は今回の構想を明らかに撤回して森林の育成に当たるべきだと思います。  この二点、答えていただいて、質問を終わります。
  244. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  私に対する質問は二問でございます。  一つは、建設省の流水占用料適用構想はどうかということでございますが、この建設省の構想については、現在農林水産省を初めとする利水省庁、通産、厚生を含めまして政府部内で協議、調整中でございます。  農林水産省としては、農業用水から流水占用料を徴収することについては、基本的に次の三つの理由から反対でございます。  第一番目には、旧河川法制定当時から一貫して農業用水は流水占用料の徴収対象としないルールが建設省との間において定着しておること。その次には、農業用水につきましては、農業者みずからが開発、保全、利用してきたものでございまして、かつ国土保全の観点からの公益的機能も有しているという事実を無視していること。それから三番目には、農家負担の増大によります農業構造改善への影響等、現下の農業情勢を全く考慮していないものである、そういうような点から私は反対でございます。  それから次に、先ほどの二つ目の質問でございます水源税新設のことでございますが、現下の森林荒廃の状況から、国土を守り水をはぐくむ森林の整備をすることが緊急の課題となっていることは先生指摘のとおりでございます。  そのために、森林の整備のために不可欠な事業を実施する必要がありますが、「増税なき財政再建」の方針のもとで一般財源にこれ以上期待することはできない現状にあるのは先生御存じのとおりだと思います。そんなことで、森林機能受益者にも必要最小限の負担を願うこととし、一般財源にならない目的税によりまして森林整備を図っていくつもりでございます。そんなことで、私は水源税新設につきましてはできれば実現いたしたい、このように考えて努力しておる次第でございます。
  245. 津川武一

    ○津川委員 水源税でも強く反対することを要求して、質問を終わります。
  246. 今井勇

    今井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会