○武田
委員 辛抱と言ったって、「しんぼう」のぼうのすれぐあいはもう大変なもので、ぼうが切れて車が暴走していったときの
日本というのは、今
考えただけでもぞっとするわけですよ。
昭和四十八年のころのことを思い出してもらえれば、あのときは豆が上がり、小麦が上がり、ソ連が不作。
アメリカは
日本と契約をしていた契約を破棄までして、一番大事にしなければならない
日本をそでにして、高い金を出したソ連に売るような国でもあったわけです、現実に。こういう歴史がもう一度ないという保証は
一つもない。そういうときにやはり頼りになるのは我がうちの農家の皆さんでしょう。心棒だってちゃんと油を注いできちっと手入れして差し上げるならいいけれ
ども、そういう余裕がさっぱりない。
そこで、転作を奨励した。そうすると、飼料作物、野菜、麦でしょう、今は。大体転作の二〇%は麦です。しかもそういう方々が一生懸命
努力をしながら今日ここまで来た。しかし、据え置きの中で随分毎年要求しながら頑張ってきて、ことしこそはと思いながらもう四年ですね。冷害も四年続いたけれ
ども、では来年、去年みたいに豊作になるかという、麦価の保証は何もない。それはやはり
政府、農林省の心
一つですわ。
お天気をよくするのも悪くするのも人為的にできる、空はできないけれ
ども、麦価を上げて、あるいはまた適正な
価格でもってそういう生産意欲をきちっとさらにかき立てながら希望を与える。希望の光は皆さん方ですよ。それをみずから光も放たず、雲からちかっとも太陽も出さないで終わるとなったら、農家の皆さん方は本当に意気消沈だけではない。ここのところを理解してもらわなければいけない。
しかも、見てみますと、都府県で約半数を占める三十アール未満の麦作農家の生産費は、小麦の場合六十キロ当たり一万五千五百三十一円になっていますよね。これが
価格の据え置きになりますと一万一千九十二円ということです。こういう人は
政府の転作指導に従って懸命にやって今日まで頑張ってきた人たちですよ。こういう半数も占める方々をもう切り捨てるのか、そういうのが自然と脱落するのを期待しているのか、そういう問題にも当面してくるわけです。まことに遺憾なことではないでしょうか。こういう方々の血みどろの
努力というものを、さっきも私言ったけれ
ども、本当に評価した米価あるいは麦価というものを
政府の懸命な
努力によってお願いしたい、こう私は思うのでございます。でなければ、麦作の
振興とかあるいはまた定着というものは、これから
政府が
考えるような
方向に行かない、とすればますます
外国依存の度合いを高めなければいけないでしょう。
今、水谷
委員からも話がありましたけれ
ども、外麦を輸入するということについてはいろいろと問題もあるわけでありまして、極力
国内で生産できるものは生産をしていきながら足らない部分を輸入するという
方向よりも、だめならしようがないというような感じの方が強い。これでは本当の
農業経営、
日本の
農業を守るという
方向から踏み外している。
アメリカの核の傘の下ということが言われていますが、
食糧まで傘の下に入るのか、こういうことまで言われているだけに、そういうことではないのだという
一つのあかしとして、今回の麦価については、再生産がきちっとできて生産
振興が図れるような
価格で農家の期待にこたえてもらいたい、私はこのことをお願いするのでありますが、次官、どうでしょうか。