○
井上(喜)
政府委員 まず最初に、
厚生年金の方は本則では六十五歳から
支給というふうになっているわけでございますが、
農業者年金の
支給開始年齢をどう考えるのかということでございます。
農業者年金の場合は、確かに
老後保障を月内の一つとしておりますけれ
ども、あわせまして、たびたび申し上げるようでございますけれ
ども、
構造政策の
推進という
目的を持ちます
政策年金でございます。したがって、この
支給開始年齢につきましてもこういった配慮の上に決定されたものでございまして、
制度発足当初の
経営移譲年齢の考え方を見ますと、
農業経営の能力といいますか、近代的な
農業経営をする能力を
経営者は常に持つ必要があるということと、それからもう一つは、後継者が十分な
農業経営力を身につけている、そういう年齢、両方がうまくかみ合う、そういう時期が
経営移譲年齢としては適当であろうというようなことで六十歳というのが一番適当であろう、こういうような結論が出されたようでございます。六十ぐらいになれば、
経営者の方もかなり経営能力が落ちてくる、また後継者の方は大体二十五年から三十年くらいの年齢の間隔があるわけでございますので、そういう後継者が
農業経営力を身につけるにおおむね適当な年齢である、年齢としては三十から三十五歳くらい、こういうことで六十歳が
経営移譲の年齢として定められた経緯があるようでございます。
そこで、今後どういうぐあいに考えるかということでございますが、原則的には
厚生年金の場合は
老後保障というのを
目的にしておりますので、これは、
農業者年金のこの
制度の
目的からいいまして、直ちにこれと同様の開始年齢にする、
年金の
支給開始年齢を同様にするということはいかがかと考えるわけでございます。
農業者年金は
農業者年金の
制度から別の考えがあってしかるべきであろうと思います。ただ、最近の
農業労働力の
高齢化というような点あるいは
年金財政の動向も絡むかと思いますけれ
ども、
経営移譲年齢につきまして今後
検討する必要があると考えておりまして、こういった問題は何分基本的な問題でございます、
制度の基本に係る問題でありますので、慎重に
検討していくべきものと考えている次第でございます。
それから、あと
農業者年金の
加入者と受給者の
関係でございますが、確かに
農業者年金の発足当初、すぐに
受給権者となる
加入者がふえてきたわけでございまして、その影響が今に及んでおりまして、
加入者が減少する中で
受給権者となる人が増加をしてきている傾向があるわけでございますが、これも将来の
農業経営者の動向にもよりますけれ
ども、若干
長期に見ますと、
加入者それから受給者というのはバランスしていくものと考えるわけでございまして、直ちにその
加入者と
受給権者の数がますます開いていくと言うのはいかがなものであろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、そうは申しましても、中期的に見ますと
年金財政については非常に大きな問題がございまして、それはそれとして厳しく受けとめる必要があるというふうに考えているわけでございます。
それから、最後の御
指摘の点は、もしそういう
農業者年金財政がうまくいかない、そういうことであれば、いっそ今の
厚生年金と同じような形でといいますか、
厚生年金の中に入るような形で
制度改正を
検討してはどうだろうか、こういう御提言だと思いますけれ
ども、これは、両
年金の
制度の
目的からいいまして違っているわけでございます。共通する
部分は
老後の
保障という面がございますけれ
ども、やはり主たる
目的としているものが違っているわけでございまして、我々としては、やはり
農業者年金は
農業者年金といたしまして
長期的に安定した
制度として維持していく必要があるし、また、その
方向で今後そのための方策を十分
検討していく必要があるだろう、このように考える次第でございます。