○井上(喜)
政府委員 農業者年金基金法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
本
法律案を
提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。
第一に、年金の給付水準の改定であります。
経営移譲年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から、六十五歳までは三千七百十円、六十五歳以降は三百七十一円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて、六十五歳までは二千二百三十三円、六十五歳以降は二百二十三円となるまで段階的に改定することとしております。
また、
農業者年金の被保険者その他の一定の要件を満たす者以外の者に
経営移譲した者に支給する
経営移譲年金の額については、差を設けることとしておりますが、その格差につきましては段階的に拡大することとし、五年で四分の一の差とすることとしております。
次に、
農業者老齢年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から九百二十八円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて五百五十八円となるまで段階的に改定することとしております。
なお、施行日の前日において年金給付に係る受給権を有していた者について、改正後の法律により算定した年金給付の額が従前の額より少ないときは、従前の額を保障することとしております。
第二に、
農業者年金の被保険者資格の改正であります。
これまで、六十歳以上の者は
農業者年金の被保険者となり得なかったところですが、六十歳から六十五歳までの者のうち
農業者年金の受給資格期間が不足するものについては、受給資格期間を満たすまでの間
任意加入することができることとしております。
また、
国民年金
制度が基礎年金を支給する
制度として位置づけられ、
国民年金の適用対象が厚生年金の被保険者等にも拡大されることに伴い、
農業者年金の被保険者資格の得喪に関する規定について所要の規定の整備を行うこととしております。
第三に、
農業者老齢年金の支給要件の緩和であります。
農業者老齢年金は、これまで
経営移譲年金に係る受給権者及び六十歳に達した日の前日において
農業者年金の被保険者であった者に対して支給してまいりましたが、今回、
経営移譲年金の受給権者以外の者についての支給要件を緩和し、六十歳に達した日の前日まで
農業を継続して行っていた者には
農業者老齢年金を支給することとしております。
第四に、死亡一時金の支給対象の拡大であります。
これまで既に
経営移譲年金の支給を受けていた者が死亡した場合には死亡一時金は支給されないこととされておりましたが、これを改め、支給を受けた
経営移譲年金の総額が保険料納付済み期間の区分に応じて定められる一定の金額に満たないときは、その差額を死亡一時金として支給することとしております。
第五に、国庫補助の改定であります。
農業者年金につきましては、
経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額の
国庫負担のほか、当分の間の
措置として、保険料拠出時の補助を行ってまいりましたが、公的年金
制度において拠出時と給付時の双方に国庫補助を行っている例はないこと等から拠出時補助は廃止することとし“これにかえて、当分の間、
経営移譲年金の給付に要する費用の額の六分の一に相当する額を補助することとしております。
第六に、保険料の改定であります。
保険料の額は、財政再計算の結果によりますと相当大幅な
引き上げを必要とするところでありますが、
農家経済への影響をも考慮いたしまして、昭和六十二年一月分から一月につき八千円とし、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ段階的に
引き上げることとしております。
また、保険料の額は、昭和六十七年一月以後においては、法律で定めるところにより段階的に
引き上げられることとしております。
さらに、
農業後継者の育成確保に資する見地から、将来の
農業生産の中核的
担い手となることが期待される後継者につきましては、引き続き、一般の
加入者の場合と比べて保険料を三割程度軽減することとしております。
第七に、厚生年金の適用事業所の範囲の拡大に伴い
農業者年金の被保険者資格を喪失した者の取り扱いであります。
厚生年金の適用事業所が従業員五人未満の事務所等に拡大されることに伴い、
農業者年金の被保険者資格を喪失し、
農業者年金の受給資格期間を満たし得ない者が生ずることとなりますが、その被保険者資格を喪失した日以後の期間のうち
農業を継続していること等の一定の要件に適合する期間については、
農業者年金の受給資格期間として通算する
措置を講ずることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上をもちまして、
農業者年金基金法の一部を改正する
法律案の提案理由の補足説明を終わります。