○稲富
委員 これは何かの方法をもって返済してやらなければ、農民は余りにも気の毒ですよ。かたくなな気持ちを持たないでやってもらいたいと思う。
かつて、こういうことがあります。この大和干拓の隣に三池干拓というのがあります。三池干拓が数年前堤防が決壊いたしました。そのときに、復旧を農林省からやってもらったのです。復旧をやってもらったときに、私はその堤防の問題を、亀岡農林大臣のときでしたが、その復旧に対しては当然——これも国営干拓
事業ですよ。しかも、その堤防というものは本当の堤防じゃないのです。海底の砂をサンドポンプで積み上げただけの堤防なんです。これを本当にあなたは堤防とみなすか、こう言ったところが、何も言わぬで、復旧やるんだ、復旧されました。
しかも、その災害があったときに、その復旧をするのに堤防の上を多かれないのですよ。それで船で行って、そこに土俵を積むと横がずるっと壊れてしまう。それがために非常に費用がかかりまして、その当時五百万円かかったのです。私、そのときに
政府に対して、この五百万円、この堤防が非常に困難なるがために、またまずいがためにこういうような費用がかかったのだから、この費用は当然国が出すべきじゃないかと言ったところが、亀岡農林大臣のとき、それは出しましょうということだった。
いよいよ出すということになったところが、農政局が出しちゃいかぬと言うのです。なぜか。稲富がそれを出させたと言うと、選挙のときに稲富に票が行くからできぬ、こう言われるのですよ。我々はこういうことによって選挙票を取ろうなんて
考えておりませんよ。ところが、そういうことをすればだれさんに差し支えがあるからそれは出しちゃいかぬと言われる。それで、出さぬと言ったから、県が、それなら県から何とかしようということになって、五百万円がちょっと値切られまして三百万円ばかり金が出ました。そういうようなことまでお役所というものが干渉して、しかも、農林省が出そうと言ったものを地方農政局が出さないようにする。そういうようなことでは本当に農民のためにやっておるとは言えない。それは隣です。
そのとき、私が質問したときに、この堤防は今のような堤防ではいかないから、これは赤土で堤防を築きなさい、上を自動車が通るようにしなさい、三面コンクリートにしなさいと言ったところが、
政府はそうしようと言っておった。一面コンクリートをつくられた。そのときあなたの方は念書を書かせたのですよ、大牟田の市長と高田の町長と土地改良区の
理事長に。どういう念書であるか。今回の災害に対しては、御省では特に御
協力願いまして、我々一同農林省に非常に感謝をいたしております、とりあえず一面コンクリートにしましたが、二面はいずれこの結果を見てやります、ただし、そのときには一切御省には御迷惑かけません、私たちの方が自費によって二面はコンクリートにいたしますという念書を書かせたのです。
だれがこの念書を書かせたか。そのときの福岡県の農政局長は農林省に来ておりますから、聞けばわかるのですよ。本省から呼ばれまして、本省の指令によってこの念書は書かせました、こう言う。早速局長に言ったところが、局長は書かせておらぬと言う。防
災課長も私に、書かせておらぬ、こう言う。それで県の農政部長に、農林省は書かせておらぬと言っておるじゃないかと言ったところが、
先生、あれはなかったことにしてくださいと言う。なかったことにしてくださいというのは何ですか、あれは返しますからと言って、その資料はまた返したのですよ。念書を書かせておりましたよ。農林省あてに念書を書かせておったものを返したのですからね。こういうふしだらなことで——これも国営干拓
事業なんです。この際なんですよ。それは、そのときの局長は今農林省に来られておるから、名前を出してもいいのですが、
事情はわかりますよ。そして、そのままになっています。
こういうようなことまで農政局が干渉するようなことでは本当に農民の満足するような干拓
事業はできませんよ。もっと中央からの強い指導によって、入植した農民がその入植したことによって本当に喜びを持ち、農業
経営に情熱を傾けるような対策をやってやることが国営干拓
事業である、かように私は
考える。国がやった干拓
事業によって入った農民が恨みを持つような、こういうところに入らなければよかった、逃げ出したいというような干拓
事業ならもうおやりにならない方がいいのですよ。この点を十分
考えてもらいたい。
今回のこの問題に対しても、農民が負担してやっている、借金を負担しているのですよ。であるなら、事実を
調査されてもいいから何かの形によって国が負担してやる、こういうことは国としてやってしかるべき問題じゃないか。現に隣の三池干拓も、わずかでありましたけれ
どもその費用は
政府で負担いたしました。その点もこの問題では当然
考えてやっていいではないかと思いますが、これに対してはどう
考えていらっしゃるか。本当に農民が苦しい中から、しかも沈下してとれない、その中から自分たちの費用を使って復旧をやっているのですよ。当然国がやらなければいけないものを農民が負担してやっているのですよ。
であるならば、これに対する負担くらいは
政府が見るのは当たり前じゃないか、かように
考える。原因不明だからほっておく、これでは余りにひどいじゃないかと思いますが、これは事務的な問題ではないだろうと思うから、次官から
責任ある御答弁をお願い申し上げたいと思うのです。