○後藤(康)
政府委員 お答え申し上げます。
料率の細分化が集落組織に亀裂を生じさせるようなことにならないかということでございますが、私
どもそのような心配はないというふうに考えております。
一つは、この方式を導入をするかどうかはもちろんのこと、危険
段階をどのくらいの数設定をするか、あるいは危険
段階ごとの危険度の差に
対応する掛金率の刻みをどうするかというようなこと等につきましては、一定の基準と申しますか、枠の中で、組合員等の意思を十分に反映した形で組合等が自主的に定めるということにいたしておりまして、強制的な実施なり画一的な実施というようなことを考えてはおらないわけでございます。
第二に、危険
段階の区分は
農家のグループごとだけではございませんで、集落のグループごとに行うことも可能とするように考えております。これによりまして、同一集落内では全
農家が同一の掛金率になるように集落単位で危険
段階を区分をするということも可能にいたしております。
そしてまた第三に、こういった掛金率の新しい設定の仕方を行おうとします場合には、地域の実情をよく御存じの知事さんの認可にかからしめるということにいたしておりますので、そういったことを前提にいたしまして適切に
制度を運営すれば、集落組織に亀裂を生じさせるというようなことがないように運営ができるものというふうに考えております。
それから、優良
農家は掛金率が料率の細分化によって低くなるかもしれないけれ
ども、掛金率が高いグループに仕分けされた
農家というものは、当然加入基準の引き上げと相まって共済離れを起こすのではないかという点の御
指摘でございますけれ
ども、今回の料率の細分化は、兼業化とかあるいは担い手の高齢化というものが進みます中で、近年、気象条件がよろしいときには表面化をいたしません
農家間の技術格差というようなものが、気象条件が悪くなりますと表面化をしまして、被害率の格差が出てくるということが
一つの背景になっておるわけでございます。
ただ、
農家間の被害率の格差と申しましても、小
規模農家あるいは兼業
農家だから一概に被害率が高いというふうにも必ずしも言えないわけでございまして、立地条件等の自然条件もございますので、一概にそういうわけには断定はできないものというふうに考えております。
いずれにいたしましても、危険
段階別にグループ分けをして掛金率を設定をするということは、
農家間の負担の公平を図ろうとするものでございますので、それぞれの組合におきまして、その負担の公平感というものを組合員の皆さん方に許容されるような姿で設定をするということ、共済組合としても当然そのようにお考えになるだろうと思いますし、これによりまして共済離れを引き起こすというようなことはなかろうというふうに思っております。
なお、技術力の高い
農家につきましては、当然料率の細分化が行われれば
農家の加入の促進にも資することになるだろうというふうに考えております。無事故割引というようなやり方も、この料率の細分化の
一つのやり方として取り込めるような形でこれを運用をいたしたいと思っておるわけでございます。
それから、比較的スタートした時期が新しい
果樹なり畑作あるいは園芸といったような分野で細分化に必要なデータなり実績というものが蓄積されているか、また、一体どういうふうに細分化を実際やろうとしておるのかというお尋ねでございます。
私
ども今考えておりますのは、過去一定年間の組合員等の平均被害率もしくは共済金の支払い頻度と申しますか、裏から申せば無事故年数ということになりますが、こういったものを基礎にし、あるいはまた集落の平均被害率というようなものを基礎にいたしまして危険
段階を設定することを考えておるわけでございますが、その場合に、この危険
段階を決める基礎データなりをとる基準年次としましては、過去五、六年間のデータ、余り長くとりますよりも、もともと負担の公平感を持たせるということでございますので、過去五、六年間
程度のデータでよろしいのではないか。そういうことからいたしますと、
果樹共済は四十七年から、畑作なり園芸は五十三年から実行しておりますし、組合の文書規則ではいろいろな基本的な書類は五年保存ということになっておりますので、大体データは整っているというふうに考えておるわけでございます。
最後に、実施を希望する組合に対して
政府はどういう
方針で
指導するのかということでございますが、これは運営の当事者でございます組合等が、個々の共済事業の
実態に照らしまして、例えば地域内の
農家の被害の発生
状況に大きな格差が生じている場合など、共済事業の円滑な運営を図る上から必要がある場合に、組合員等の方々の意思を十分反映させた形で行うことが適当だというふうに考えておりまして、先ほど申しましたようなデータのとり方も含めまして、具体的な設定要領の基準を示す等によりまして都道府県を通じて十分
指導してまいりたいと存じております。いろいろな形がとれるようにいたしておりますので、基準は示しますけれ
ども、画一的な強制とか
指導にわならないように、弾力的な運営ができるようにしたいと思っております。