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1985-04-02 第102回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月二日(火曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       大石 千八君    太田 誠一君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    羽田  孜君       松田 九郎君    三池  信君       山崎平八郎君    若林 正俊君       島田 琢郎君    新村 源雄君       辻  一彦君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       駒谷  明君    水谷  弘君       吉浦 忠治君    稲富 稜人君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 元次君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省農蚕         園芸局次長   畑中 孝晴君         農林水産省食品         流通局長    塚田  実君         食糧庁長官   石川  弘君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁次長   斉藤 達夫君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     櫻井  誠君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会副会         長)      池尻 文二君         参  考  人         (農林中央金庫         専務理事)   赤羽 昭二君         参  考  人         (全国森林組合         連合会会長)  喜多 正治君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   串原 義直君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     串原 義直君     ————————————— 三月二十九日  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付) 同日  土地改良事業等に関する請願(角屋堅次郎紹介)(第二四四〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五一五号)  同(松本善明紹介)(第二五二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置別会計法の一部を改正する法律案内閣提出第三九号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第四五号)  農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)      ————◇—————
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田厚君。
  3. 神田厚

    神田委員 いわゆる農林金融関係の三法につきまして質疑をさせていただきます。  最初に、農林漁業金融公庫法につきまして御質問をさせていただきます。  臨調初めそれぞれ各機関から、日本農業につきましてその助成制度補助から融資へ、こういう形で提言がされているわけでありますが、今回の改正を見ますと、農林漁業制度金融は後退したという印象が非常に強いというふうに感じられるわけであります。  生産性が高くて足腰の強い農林水産業を実現するために、政策金融をもっと重要視すべきではないか。とりわけ現下の農政の重要課題でありますところの構造政策関連の三・五%資金土地改良農地取得構造改善事業等資金の一部が五%資金に移行させられている、こういうことに大変問題があると思うわけでありますが、いかがでありますか。
  4. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 神田先生お答えいたします。  御指摘土地改良資金とか農地等取得資金とか農業構造改善事業推進資金見直しは、現下の厳しい財政状況のもとで限られた資金をいかに効率的に利用するかということによりまして、構造政策の一層の推進を図っていくという見地から三・五%資金重点化を図ったものでございます。その重点化に当たっては、農家経済動向とか事業性格等を十分勘案しつつ対処してきておりまして、三・五%資金基本を維持することとしております。今回の見直しによりまして構造政策推進に支障が生ずるとは考えておりません。
  5. 神田厚

    神田委員 また、公庫系統資金分野調整の問題があるわけであります。公庫資金はもとより拡充をすべきでありますが、最近系統資金量が大変大きくなっておりまして、それによりまして、近代化資金によることが適切な分野近代化資金にゆだねるべきである、こういうふうに考えておるわけでありますが、いかがでありますか。
  6. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  農林漁業金融公庫資金農業近代化資金もいずれも政策資金でございまして、特定の政策目的を持っているわけでございます。したがいまして、相互の運用につきましてはそれぞれの役割分担等考えながら両方を活用していくことが必要かと考えております。  構造政策推進する立場から申し上げますと、土地取得資金等につきましては、これは民間資金ではなかなか対応し切れない長期低利のものでなければならないわけでございまして、こういう資金につきましては近代化資金対応するというのもなかなか困難な面があろうかと思います。ただ、土地改良資金等につきまして、ごく小規模の、事業費が小さいものにつきましては近代化資金を若干活用している状況でございます。  私ども関係近代化資金を一番活用しておりますのは農業構造改善関係事業でございまして、この事業につきましては、御案内のとおり補助事業もございますし、補助、非補助のそれぞれの資金もございますけれども系統農協等利用いたします資金としては主として近代化資金でございまして、したがいまして、構造改善事業関連につきましては、農林漁業金融公庫資金とともども農業近代化資金も活用してまいる考えでございます。
  7. 神田厚

    神田委員 次に、林業関係でありますが、林業生産活動活性化等々のことを考えまして、公庫資金を初めとする農林漁業制度資金の一層の充実強化に努めるべきであると考えております。特に国産材時代に向けまして、木材供給体制を確立するために現行の融資制度をさらに強化充実させるべきだと思っておりますが、いかがでありますか。
  8. 田中恒利

    田中(恒)政府委員 最近におきます我が国の森林林業は大変厳しい環境にあるわけでございますが、そういう現状を踏まえまして、お話にございましたように来るべき国産材時代に向けて体制整備する、その目的のために、今回の公庫法改正に当たりましては内容的ないろいろな改善を図ったところでございます。  まず、林業者継続的収入の確保に資するために、特用林産物生産でありますとか林産物処理加工などを林業複合経営する。この複合経営を促進しまして、林業経営安定化に資するように、これまでの林業経営改善資金林業経営育成資金と改称いたしました。同時に、貸付限度額を四百万から一千万に引き上げるなどでございますが、そのようにいたしますとともに、複合経営に必要な施設融資対象追加いたしたところでございます。例えばシイタケ生産施設でありますとかレクリエーション用施設などがあるわけでございますが、そのように整備をいたしました。  さらに、近代的な林業施設導入等林業構造改善に関して必要な事業を一層推進するために、農業漁業と一体化した農林漁業構造改善事業推進資金、これを法的に位置づけまして、その安定と充実を図ったところでございます。  これらの措置を講じたわけでございますが、今回改正を予定しておる融資制度の活用を初めといたしまして、各般の施策を積極的に推進いたしまして、林業振興に努めてまいる所存でございます。
  9. 神田厚

    神田委員 次に、漁業金融の問題であります。  現在、漁業経営は大変厳しい状況でありますが、それらを打開するためにも、漁業全般につきまして漁業金融について制度資金への積極的な対応が必要である、こう考えるところでありますけれども融資枠なり融資率拡充及び金利面での配慮、それぞれ問題を持っているわけであります。特に、公庫資金におきましては漁業関係金利農林関係金利に比べ高いと言われておりまして、再検討すべきではないかと考えますが、いかがでございますか。
  10. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 御指摘のとおり、近年の厳しい漁業環境のもとで漁業経営が極めて困難な状況に置かれておるわけでございますが、当面、漁業制度金融におきましては、漁業者固定化債務の繰り延べを図る漁業経営維持安定資金、それから漁業経営に必要な燃油の購入のための漁業用燃油対策特別資金等緊急低利融資を設ける等の措置を講じておるところでございます。そしてまた、今回の制度改正におきましても、漁業近代化資金につきましては法律改正によりまして貸付限度額引き上げを図る、それからまた貸付対象漁船トン数限度引き上げを図る、それからまた漁船資金償還期限を延長する、さらには漁業近代化資金特利融資等内容とする地域漁業総合整備資金制度創設等、前向きの措置を講じております。  また、農林公庫資金につきましても、公庫水産関係資金貸付実績の約六割を占めます漁船関係資金につきまして、貸付限度額引き上げを行おうとしているところでございます。  公庫資金金利について見ますと、確かに水産関係資金平均金利農林漁業平均金利を上回っておるわけでございますが、これは、農林業におきましては農地等取得資金あるいは林業経営改善資金等償却資産ではない土地取得資金土地改良資金あるいは造林資金等、回収に極めて長期を要する資金等漁業関係では見られない種類の長期低利資金が存在するためでありまして、業態の差等を考慮いたしますとやむを得ないと考えておるところでございます。
  11. 神田厚

    神田委員 それでは、改正内容につきまして、まず第一に、総合施設資金について御質問を申し上げます。  自立経営農家指標が今日の農業実態に適合しているかどうかという点が一つ疑問でありますが、本資金利用者は三万数千人に及ぶとされておりますけれども、それらの今日の農業経営実態はどういうふうになっておりますか。
  12. 関谷俊作

    関谷政府委員 総合施設資金の問題でございますが、御承知のように、従来の総合施設資金農業基本法にあります自立経営農家指標、これを定めておるわけでございます。これにつきましては、いわゆる自立経営農家というものの所得目標なり経営規模なりを都道府県知事がそれぞれの地域ごとに決めておりまして、また必要に応じ、経済情勢変化等により適宜改定する、こういうことでそれぞれの地域農業経営実態に即しまして運営をするよう指導をしておりまして、具体的にも作目ごとあるいは地域ごとにかなり経営実態を勘案しながら指標を決めているわけでございます。  なお、御承知のように、今回の改正で、いわゆる育成して自立経営に到達するような規模の大体七割程度経営規模を設定するということで、そういう農家についても対象にしていくということを考えまして、実態に即した運営を図っていきたいということを考えております。  なお、これらの三万二千人に及びます従来の借入者経営実態でございますが、大体酪農を中心としまして畜産関係件数で全体の三分の二程度、このほか稲作が一一・五%、施設園芸が九・九%でございますが、借り入れ後五年を経ました状態で見ますと、農業所得目標達成率が八割以上のものが約六五%、貸付農家経営規模拡大目標達成率が八割以上のものが約八四%、こういう状況になっております。
  13. 神田厚

    神田委員 今回の改正融資対象を七割程度まで下げてその範囲拡大する、こういうことでありますが、そのねらいは一体どういうところにあるのか、従来の段階別融資制度とどこが異なっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  14. 関谷俊作

    関谷政府委員 これは従来自立経営目標にする場合に限っておったわけでございますが、実態を見ますと、やはりこれからの日本農業中核的担い手ということで期待されます若い農業者経営努力、これを助長すべきだということで、従来の段階的融資の中でも対応ができたわけでございますが、従来の段階的融資でございますと、やはり最終目標自立経営、こういうことになっておりましたし、実態的にも従来百四十一件というようなことで、いわば段階的融資を受けた人も少ないわけでございます。  こういうことを勘案しまして、今回、育成して自立経営になる程度農業経営、これを目標にする場合にも対象とすることにしまして、その場合の経営目標自立経営農業所得なり経営規模なりの七割程度ということであればこの法律の要件にも合致する、こういうことで改正を予定しているわけでございます。
  15. 神田厚

    神田委員 最近、農業を取り巻く経営環境が大変厳しいわけでありますが、そういうことで農業投資が停滞をしているわけであります。本制度資金需要が、昭和五十二年度後半以降、貸付件数貸付金額とも減少傾向を見せていることでありますが、今回の改善で本制度活性化が図られるのかどうか、この点につきましてどういうふうにお考えでありますか。  また、本制度資金選別が強過ぎる、こういう意見もありますが、この点はいかがでありますか。さらに、借入手続が複雑で農家の理解が十分でない、活用されていない面があるのではないかという指摘がありますが、この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  16. 関谷俊作

    関谷政府委員 従来の総合施設資金貸付状況は、御指摘にございましたように、確かに五十二年度以降若干、件数金額とも減少傾向でございます。これは確かに、ある程度資金需要が充足されたこともございますが、農業をめぐる情勢からしますとこれの利用に若干ブレーキがかかっているような感じもございますので、先ほど申し上げましたような融資対象につきまして、若い農家の方々を中心自立経営を目指して段階的に経営規模拡大を行う、こういう場合も融資対象としまして、この改正によりさらにこの制度活性化したい、こういうことでございます。  なお、選別という問題につきましては、これは、この資金が一つの経営目標を定めた資金でございますので、農業経営総合改善計画を立てまして、その達成可能性を十分検討いたしますので、そういう関係審査に慎重を期しておるわけでございますが、ただ、いわゆるスタート台と申しますか、現状において選別するというよりは、むしろ経営目標達成の度合いということを審査するわけでございまして、いわゆる現状農家状態をそのままつかまえて選別をする、こういうようなことではないわけでございます。  なお、借入手続につきましても、御指摘のようになかなか複雑であるとか時間がかかるとか、こういう御批判がある点は私ども常々承知しておりまして、従来から、これは関係者によるこの資金融資協議会審査ということにしておるわけでございますが、これにつきましては貸付手続簡素化ということで、いろいろ関係書類簡素化あるいは省略、こういうことを進めてまいっております。その関係等もございまして、五十二年度に比べますと日数短縮は四割程度になると思いますが、なおこういう御批判のないよう、この資金を本当に必要とされる方に十分融資がされるよう、借入手続円滑化については指導をしてまいりたいと考えております。
  17. 神田厚

    神田委員 本制度におきましても、据え置き中の特利四・五%が整理合理化の一環として廃止されているわけであります。これは大変後退しているというふうに私ども考えざるを得ないのでありますが、その点はいかがでありますか。
  18. 関谷俊作

    関谷政府委員 従来この資金据置期間中の四分五厘という金利を設定しておったわけでございますが、提案理由等でも御説明申し上げましたように、財政資金効率利用、そういう要請もございまして、一方、先ほど申し上げましたような貸付対象追加拡大、こういうことも考え、また、総合施設資金及び併用貸し付けに係る農地等取得資金貸付限度引き上げる、こういう一方での改善措置とあわせまして、この際、この四分五厘資金については従来の据置期間、実際的には平均三年弱となっておりますが、これにつきましては全体との絡み合いにおきまして廃止せざるを得ない、こういう判断に達したわけでございます。
  19. 神田厚

    神田委員 次に、林業経営改善資金の問題で御質問を申し上げます。  林業経営改善資金は新たに林業経営育成資金に模様がえをされることになったわけでありますが、そのうちの林地取得資金三・五%資金については、その一部が五%資金に移行させられることとなっているわけでありますが、どのような区分分けをするのか、お答えをいただきたいと思います。
  20. 田中恒利

    田中(恒)政府委員 林地取得資金金利につきましては、森林施業計画認定を受けている者に対しましては三・五%の金利、その他の者につきましては五%の金利を適用しているところでございます。この区別をいたしております理由につきましては、森林施業計画認定を受けましてこれに従って施業をするという人につきましては、国家から考えまして資源政策の面から最も望ましい方法で計画的に造林伐採等の仕事をしていただいておるということに対しまして三・五%の低金利を適用する、その他の者につきましては、自由度が高いと申しますか、木材価格動向に合わせて自由に経営の選択ができるということから五%の金利を適用しておるところでございます。
  21. 神田厚

    神田委員 育林資金につきまして、低利造林資金が活用されているために現在ほとんど育林資金が活用されていない、こういう状況であります。  今回の改正では、新たに林業複合経営施設追加をし、融資対象拡大しているわけでありますが、複合経営施設融資範囲はどのようなものになるのか。また、金利の六・五%はもう少し低利資金とすべきではないかという指摘がありますが、この点はいかがでありますか。
  22. 田中恒利

    田中(恒)政府委員 このたび林業経営改善資金追加することとしております複合経営施設融資範囲でございますが、具体的に申し上げますと、特用林産物生産及び林産物処理加工、例えばシイタケ生産に必要ないろいろな施設でありますとか、製材、集材等施設などであります。さらに、流通または販売に必要な機械その他の施設、さらに森林レクリエーション施設改良、造成または取得、これを含めているところでございます。  また、本融資貸付条件でございますが、この金利決定に当たりましては、代表的な複合経営部門でありますシイタケ生産生産実態収益率などを参考にいたしまして検討をしたところでございますが、他の資金金利とのバランスなども考慮いたしまして設定をいたしたところでございます。
  23. 神田厚

    神田委員 次に、新規用途事業資金の問題で御質問申し上げます。  国産農林水産物加工利用を図るための資金として拡充を図る、こういうことでありますが、どのような農林水産物がその対象として期待できるのでありましょうか。
  24. 塚田実

    塚田政府委員 お答えいたします。  この資金は、需給事情等から見まして需要の増進を図ることが特に必要であると思われる国産農林水産物について、新規用途開発などを行いまして消費の拡大を図ろうというのがそのねらいでございます。このような角度から、その対象となる農林水産物につきましては、過剰基調にあることなど需給上の問題があること、あるいは農林漁業生産上、地域農林漁業振興上重要であるというものを対象とすることとしておりまして、具体的に申し上げますと、現在検討中でありますが、例えば米、ミカン、それから生乳などを対象とする考えでございます。
  25. 神田厚

    神田委員 公庫資金としては比較的金利が高いものとなっているわけでありますが、もう少し低金利資金とならないものかどうか。こういう七・一%なり七・三五%という高金利であるならば、系統資金に任せてもいいのではないかという意見もあるわけであります。公庫資金として対応することにした積極的な理由はどういうことでありますか。
  26. 塚田実

    塚田政府委員 お答えいたします。  確かに金利が高いではないかという御意見もあろうかと思いますけれども、この資金企業に対して融資するものでございますが、現在の金利水準では、開発段階が七・一%、事業化段階になりますと七・三五%となっております。これは私ども考えでは、長期プライムレート水準七・七%よりも低く、また他の企業向け政策金融金利と比較しても遜色ないのではないかというふうに考えております。例えば農林漁業金融公庫企業向け融資になりますと、乳業施設資金は七・三五%でございます。そういう意味で、政策金融の特に企業向け政策金融と比較すれば遜色ないのではないかというふうに考えております。  そこで、この資金について系統資金を活用できないかという御指摘でございますが、特に公庫資金対応することにいたしましたのは、この資金が先ほど申しましたようなねらいを持っておるわけですが、対象事業開発という新規用途開発でございますから、リスクが高い、あるいはイニシアルコストが大きいというようなことから、すぐれて政策性の強い資金であるということ、このようなことを踏まえますと、通常の企業活動におきます資金需要にこたえることを目的としております関連産業融資等系統資金はやっておるわけでございますが、そういうようなものにはなじみにくいというふうに考えております。そこで、公庫資金として仕組んだものでございますが、なお運転資金等につきましては系統資金を含めて民間金融を活用して協調融資ということでやっていきたいと考えております。
  27. 神田厚

    神田委員 一村一品運動などの提唱によりまして、各地で地域特産物等国産原料利用した製品開発が行われているわけでありますが、これらを貸付対象とするのかどうか、この点はいかがでありますか。
  28. 塚田実

    塚田政府委員 一村一品運動について本資金対象となるかという御質問でございますが、一村一品運動実態を見てまいりますと、多種多様の農林水産物加工対象としてこのような運動をやっておるわけでございます。そういう角度から見ますと、本資金のように限定的な農林水産物対象とするということになりますと、そのすべてが本資金対象となるわけではございませんけれども、本資金対象農林水産物について新規用途開発を行う場合には、当然一村一品運動にも活用できるというふうに考えております。私ども、そういうものが出てきて一村一品運動振興に役に立てばということを期待しておるわけでございます。
  29. 神田厚

    神田委員 次に、卸売市場近代化資金の問題であります。  生鮮食料品中心とする農林水産物流通機構整備近代化を図ることは急務であります。中央卸売市場はかなり整備されてきておりますけれども、地方の卸売市場の整備はまだ緒についたばかりであると言っても過言ではないわけであります。そういう意味で、今回の改正中央卸売市場の仲卸業者を融資対象追加をした点は大変評価をできるわけでありますが、地方卸売市場の整備についてはもっと積極的な取り組みが必要ではないかと考えておりますが、この点はいかがでありますか。
  30. 塚田実

    塚田政府委員 お答えいたします。  地方卸売市場は昭和五十八年四月で千七百五十二市場ございまして、その取扱金額は約五兆円ということになっておりまして、中央卸売市場の取扱金額にもほぼ匹敵するものでございます。そういう意味で、卸売市場と見た場合には、地方卸売市場も中央卸売市場も非常に重要であると考えております。  そこで、ただいま御指摘のように中央卸売市場についてはかなり整備が進んできているわけであります。確かにまだ巨大都市東京とか大阪のような中央卸売市場の中には再編整備を図るものはございますけれども中央卸売市場全体としては整備がかなり進んでいると思っております。そこで、今後は、どちらかといえばおくれております地方卸売市場の整備、それも統合大型化が必要でございますが、そういうものを進めて地方卸売市場の機能の充実を図ってまいりたい、このように考えております。
  31. 神田厚

    神田委員 卸売市場関係では資金枠に比べましてその消化が極めて低いわけでありますが、その原因は一体何なのか。  公庫資金は、融資手続が複雑で借りにくく、そのため民間資金が使われているという指摘もあるわけでありますが、その実態はどうなっているのか。また、この資金が財投金利に連動されているわけでありまして、そういう意味では金利が高いのではないか、こういう指摘がありますが、この点はいかがでありますか。
  32. 塚田実

    塚田政府委員 お答えいたします。  確かに、御指摘のように、地方の卸売市場を含めて卸売市場近代化資金貸付実績を見ますと、近年貸付枠に比べましてその消化が低い実態となっております。  この原因はいろいろあるわけでございますが、地方卸売市場につきましては都道府県の卸売市場整備計画に基づいて統合整備を進めているわけでございますけれども、この統合整備ということが、まず、やる場合に関係者が非常に多い、そういうことで関係者意見の取りまとめがなかなか難しいというようなこと、あるいは、市場をつくる場合にある一定の広がりを持った土地が必要でございますが、地権者が多くて、その地権者の一部になかなか御理解を得にくいというような問題、そういうような問題をそれぞれの市場について抱えておりまして、そういうものを解決しながら取り組んでいく必要がありますことから、統合整備が必ずしも十分に進捗していないという実情にございます。  それから、卸売市場近代化資金融資手続が煩雑ではないかという御指摘でございましたが、私どもかねてからそのような御要望は聞いているわけでございます。それで、これまでも借入申込書の様式の簡素化なり添付書類の削減など、その改善合理化を図ってきたところでございますが、このような要望を踏まえまして、今後ともできる限りの改善に努めるとともに、この資金制度の趣旨の徹底も大事でございます。そういうことにも努力して、本資金の一層の活用が図られるように努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、最後の御指摘金利水準の点でございますけれども卸売市場近代化資金金利につきましては、財投金利等と連動して御指摘のようになっておりますが、これは中小企業金融公庫なり国民金融公庫など、同種の資金種目を有しております政府系の金融機関の定める金利水準と均衡を図るべく定められておるものでございます。特に卸売市場施設資金については六・五%の金利を設定しているなど、私どもそのような態度で金利水準を設定しているわけでございまして、必ずしも高過ぎるということはないのではないかというふうに考えております。
  33. 神田厚

    神田委員 次に、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、二、三質問をさせていただきます。  まず、農業改良資金助成法の問題でありますが、補助から融資へという一つの大きな政策手段の転換の中で本資金も位置づけられているわけでありますが、本資金に限って考えてみますると、資金種類等が拡充されたことは大変評価できるところでありますが、しかしながら、本資金拡大の背景は、補助金を整理合理化したこと、そういう点が否めないところであります。  そこで、従来補助対象となっていたもののうちどのようなものを本資金貸付対象とするのか、この点はいかがでありますか。
  34. 関谷俊作

    関谷政府委員 補助金の対象とこの無利子資金である農業改良資金対象との関係でございますが、一般的な問題としましては、補助金でございますと、個別農家に対する補助金はございませんので、共同利用あるいは生産者団体、こういうことで融資対象にしておりますが、そういう共同利用ないし生産者団体が持つという形でいわば奨励をする段階あるいは普及を進めていく段階、こういうことはほぼ終了して、大体一般化した、普通の経営で取り入れる段階に達した、こういうようなもの、それからもう一つは、やはりその資金としては、一種の先駆性とかリスク性はあるにはあるけれども、これはむしろ個別経営で設置した方がいい、そういうような施設類、機械類、こういうもの、いわゆる個別経営になじみやすいものは無利子資金あるいは融資対象にしていくという考え方でございまして、具体的にいろいろなものがございますが、一つの例で申し上げますと、例えばスピードスプレーヤー、こういうようなことになりますと、これは御承知のように、今の二つの問題からいいますとむしろ個別経営に対する融資、こういうような段階に属しているわけでございますので、こういうものは融資対象として持っていく、こういうような考え方をとっております。
  35. 神田厚

    神田委員 また、補助から融資への切りかえは、農家の創意工夫が生かされるものの、現在、農家の投資能力を考えるとむしろ農業行政の後退にならないかどうか、その点が心配されるわけであります。  さらに、本資金は従来から先駆的な農業者に対して貸し付けて、そのモデル効果によりまして普及を図る、こういう形をとっていたものでありますが、今回の改正によりまして貸付対象者はどのような農家考えているのか。零細農家の切り捨てにつながらないかという心配もありますし、広く農家利用させるためには各資金ごとの資金枠が不十分ではないか、こういう指摘もありますが、この点はいかがでありますか。
  36. 関谷俊作

    関谷政府委員 無利子資金を活用します場合の考え方でございますが、補助から融資へということだけから見ますと、何か農政の後退とかあるいは農家にもっと負担を強いるというふうに見られるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、むしろ個別経営になじみやすい、本来共同利用よりは個別経営の方がいいというものを対象にいたしますので、直接個々の農家利用できるという意味では対象的には拡大をされるということがございます。  それから、補助金でございますと、どうしても対象とされるいわば金額と申しますか量が補助金の面から制限されますが、融資でございますと、資金の効率的な利用が図られる、あるいは今回の制度改正のように資金が循環する、こういうようなこともございまして、結果的に、借り受けを受けられる農家範囲資金量と申しますか、使える資金量が拡大するわけでございまして、こういう面から見ますと、むしろ補助金でやるよりも対象が広がる、確かにこういう面があろうかと考えております。  それから、対象農家につきましては、これは生産方式改善資金等でございますので、やはりその生産方式も先駆的、モデル的なもの、あるいは果樹経営等につきまして意味のあるもの、こういうものになっておりますので、借入者についても技術上、経営上の能力は必要であるということでございますが、ただ、借り受け時にどうしても一定の経営規模がなければならない、こういうような要件は考えておりませんので、経営規模の小さい農家であっても、これから規模拡大土地の効率的利用を志向しまして中核的な担い手だり得る、こういう農家の方々については対象としていくという考え方でございます。  さらに、貸付枠の問題でございますが、今回、制度改正後の初年度になります六十年度につきましては、農業改良資金全体で四百六十億円、生産方式改善資金で三百十億円の予定をしております。従来の農業改良資金は、貸付実績で見ますと大体二百五十億円から二百七十億円でございます。こういう状況から見ますと、新しい資金拡大された部分を含めまして資金需要にはかなり対応できると考えておりますが、なお、初年度でもございますので、具体的な貸付状況等見ながら、さらに、貸付枠の有効利用のみならず、今後の貸付枠の設定については、十分必要な需要には対応するよう配慮してまいりたいと考えております。
  37. 神田厚

    神田委員 次に、貸し付け後の営農指導体制の強化の問題でありますが、本資金は、農家に対する資金供給という単なる融資措置にとどまらず、農家に対する普及指導をあわせ行うことによってその効果が達せられるものであるわけであります。しかしながら、今回の改正により資金の種類、資金枠の拡大等が図られたことから、営農指導面が従来に比べ手薄になるおそれがある、こういうふうに考えられますが、この点については、その対策は十分にとられているのでありましょうか。
  38. 関谷俊作

    関谷政府委員 生産方式改善資金につきましては、従来の技術導入資金と同様、普及事業と密接な関係のもとに運営していくということで、例えば県の貸し付け決定は普及所長等の意見に基づいて行う、また、貸し付け後は普及員等が農家に密着した指導を行う、こういうことで対応してまいる考えでございまして、御指摘のように、資金種類の拡充、枠の拡大に伴いましてこの辺が手薄になるようなことがあってはならないわけでございます。  ただ、こういう時期でございますので、普及事業自身のこの関係についてのいわば拡充というようなことは現実問題としてはできないわけでございますが、こういう農業改良のいわば決め手になる大事な資金でございますので、運用面におきまして、普及指導体制も十分これに協力し、御指摘のような営農指導面において遺憾のないよう対応するよう指導してまいる所存でございます。
  39. 神田厚

    神田委員 次に、農業改良資金の中に新設されました経営規模拡大資金についてでありますが、昭和六十年度の経営規模拡大資金の貸付枠は十億円、これを面積換算すれば約五百から六百ヘクタール程度になると思われますが、大規模農家への農地の集積を図る措置としては余りにも貸付枠が小さい、こういうふうに考えられます。また、本資金の貸し付けが全体の農地流動化政策の中でどのような位置づけをされるのか、お伺いしたいと思います。
  40. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  経営規模拡大資金につきましては、農家が相対によりまして賃借権を設定しまして小作料を一括前払いいたします場合に、賃借権の設定期間等について一定の要件を満たす場合に、その小作料相当部分を無利子で融資をする、こういう制度でございます。  昭和六十年度は初年度でございまして、一応十億円を用意したわけでございますが、私ども、都道府県を通してヒアリングをいたしました結果では、約六十億円くらいの資金需要がございます。ことしはそのうち十億円を用意したということでございます。ただ、この資金はいわゆる回転資金でございまして、将来の貸付枠につきましては、この政策効果等を勘案いたしまして、本資金需要動向等を見きわめながら農家規模拡大意欲に沿った貸し付けが行われますように適切に対応していきたい、このように考えるわけでございます。  それから、この資金の農地流動化施策の中の位置づけでございますけれども、現在の土地利用農業におきましてはその規模拡大していくということが最も緊要でございまして、農地の流動化施策を一層強化をしていく必要があるわけでございます。これまで、農業集団の土地利用調整活動を促進していくような事業でありますとか農用地高度利用促進事業あるいは農地保有合理化促進事業、各種の流動化施策を推進してきたわけでございまして、その結果二足の成果を上げてきていると思います。中核農家への面積の集積というようなことも漸次進みつつあるわけでございます。  したがいまして、こういう状況をさらに促進をしていく、こういう意味をもちまして新たな施策を考えたわけでございまして、将来、その成果の上に立ちましてより一層土地利用農業生産性が向上するように努力をしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
  41. 神田厚

    神田委員 次に、自作農創設特別措置特別会計法の問題で、その中の農業経営基盤強化措置特別会計につきまして御質問申し上げます、  新しい特別会計におきましては、農地等の買収と売り渡し、農地保有合理化促進事業に対する助成及び農業改良資金の貸し付けという三種類の事業に係る経理を行うこととしているわけであります。  そこで、従来これら三種類の事業は、発足の経緯とその事業内容も異なっておりまして、今回、同一会計で処理をすることとした積極的な理由はどういうことなのか。さらに、三種類の事業に対しまして区分経理が行われることになるのかどうか、各事業に必要な資金手当ては具体的にどのようにするのか、それらの見通しについてお聞きをいたしたいと思います。  また、新特別会計の円滑な運営には国有農地等の積極的な売り払い等が不可欠となるわけでありますが、売り払い促進にどのような方策を講じようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  42. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えをいたします。  自作農創設特別措置特別会計法改正いたしまして、今御指摘の三種類の事業の経理を取り込むわけでございますが、農地保有合理化促進事業は、農地保有合理化法人が農地保有の合理化を促進しますために農地の売買等を行う事業でございまして、自作農創設のために国が行います農地の買収、売り渡し等の事業と密接な関連性または代替性を持っているというふうに考えているわけでございます。  農業改良資金制度は、先駆的な農業生産方式の導入を図るための資本装備に必要な資金でありますとか、あるいは長期安定的な農地の賃貸借の設定によります規模拡大等を図るための無利子資金を供給する制度でございまして、農業経営の基盤となります土地、資本装備等の拡充強化を目的とする、こういう点におきまして自作農創設のための農地の買収、売り渡しの事業と共通する政策目的を持っている、こういう観点からこれも一体的に経理をいたしたわけでございまして、名称も農業経営基盤強化措置特別会計というふうにいたしたわけでございます。  それから、助成事業の財源でございますけれども、現在自創特会において生じております剰余金及び農地の買収収入を農地保有合理化促進事業等に充当いたす考えでございます。農業改良資金につきましては、一般会計からの繰り入れを予定をいたしております。  それから、次に区分経理の話でございますが、政府が行います農地等の買収、売り渡し、それから農地保有合理化促進事業に係る助成及び農業改良資金に係ります政府の貸し付けの三種の事業に関します経理は、経理の規模も総体的に小さいわけでございまして、またその内容も比較的簡単、単純である、こういうことから見ましていわゆる勘定を設けまして区分経理をするということはしないわけでございますが、これら三種の事業に関連いたします歳入歳出は予算科目上区分されておりますので、これに即して経理をやっていく考えでございます。  次に、財源に関連いたしまして国有農地等の売り払いの促進対策でございますが、現在都道府県、市町村等を通じましてこの国有農地の売却方の促進をお願いしておるところでございますけれども、買収前の旧所有者または一般承継人への売り払いをするような国有農地につきましては、その承継人の意向を確かめることに時間がかかる等がございまして、なかなかスムーズにいかない面もあるわけでございます。しかし、新しい特別会計の円滑な運営のためには、国有農地の売り払いを促進いたしまして財源を確保していくことが必要でございますので、今後さらに一層の売り払いの促進をする努力をするつもりでございますけれども、現在、国有農地の売り払い処分につきまして、研究会を設置いたしまして売り払いの円滑化について検討をいたしているところでございまして、こういう研究会の検討結果等も参酌いたしまして、今後さらに売り払いの促進に努めてまいりたい、このように考える次第でございます。
  43. 神田厚

    神田委員 次に、農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の問題で御質問を申し上げます。  まず、漁業近代化資金助成法の問題でありますが、これはその近代化資金を二倍に引き上げるということであります。しかし、二倍で足りるのかどうか。現実につくられています漁船等を見ますとそれではちょっと足りないような感じがするわけでありますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  44. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 今回の貸付限度額引き上げにつきまして、主な融資対象施設の一件当たり貸付額を、前回の限度額を決めました四十九年と最近の五十八年時点で比べてみますと、漁船につきましては四十九年の一件当たり貸付額の一〇〇に対して一八八、漁船漁具保管修理施設等につきましては一〇〇に対して二一八、養殖用施設につきましては一〇〇に対して二三五、それから養殖用の種苗の購入、育成に関しましては一〇〇に対して一六九と、全体として約二倍前後に伸びております。そしてまた、漁業用資材の卸売物価の総合指数を見ますとこの十年間で約二倍くらいになっておるということで、漁業者等の資金需要に大体対応できるのではないかと思っております。  確かに一部の漁船、特にサケ・マス漁船あるいはカツオ・マグロ漁船等につきまして若干不足するという要望が業界の方からあるわけでございますけれども、これらにつきましては、大臣特認制度の適切な運用によって対応してまいりた。いと思っておるわけでございます。
  45. 神田厚

    神田委員 次に、枠が拡大をされるわけでありますが、しばしば問題になっておりますけれども、そのことによりまして過剰投資につながらないのかどうか、この辺はどうでありますか。
  46. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 この近代化資金は、漁業者の漁船あるいは養殖施設等資本装備の高度化を図る、また漁業経営近代化に資すると認められる場合に貸し付けるわけでございますが、同時に、貸し付けに当たりましては、利子補給を行います都道府県あるいは系統機関、そこで事業計画が経営規模経営内容に見合っているものかどうかということについて十分審査を行いまして、貸付限度額範囲内で所要額についての貸し付けを行っているものでございます。  今回の貸付限度額引き上げは、先ほど申し上げましたように近年における漁業者資金需要の増大に対応して行われるものでありますし、また同時に、ただいま申し上げましたような系統機関あるいは都道府県によって十分な審査が行われるということでございますので、漁業者等の過剰投資に結びつくことはないのではないかと考えております。
  47. 神田厚

    神田委員 漁船トン数の見直しの問題があるわけでありますが、百十トンとしたことの根拠は一体どういうところにあるのか。業界ではもう少し大きいトン数でという意見もあるわけであります。さらに、来年からは外のりではかることになりますれば、新船の建造に従って見直す必要が出てくるというふうに思われますが、その辺はどうでありますか。
  48. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 御指摘にありましたように、今回、今までのトン数規模の上限を七十トンから百十トンに上げるわけでございますけれども、現勢といたしまして、漁船そのものが大型化してきております。それからまた、漁船の測度法というのが変わりまして、今まで漁船の内側の容積をはかっておったのでございますが、その外側の容積をはかるということで、実質は変わらなくても名目的に大きくなるという要素があるわけでございます。それからまた、漁船建造資金に占めます近代化資金のシェアが減少傾向にあるということにかんがみまして、今回トン数限度引き上げを行うことにしたわけでございます。  この近代化資金につきましては、元来その原資が沿岸及び沖合漁業者の貯金によっておるということから、沿岸及び沖合漁業者の大部分を融資対象とするという制度創設当時の考え方は今回も変える必要はない、そういう考え方のもとに、各漁業者の要望あるいは都道府県の要望を勘案いたしまして検討いたしたわけでございますが、現在の沖合漁業、大きいのは沿岸ではなくて沖合の方が大きいわけでございますが、沖合漁業の大部分はこれでカバーできるということを判断した次第でございます。  また、例えば二そうびきとか一部の漁船で、地域的にどうしてもトン数限度百十トンでは沖合漁業の一部がカバーできないというようなものにつきましては、その漁法あるいは漁業の時期あるいは漁獲効率等を勘案いたしまして、今回設けます百十トンという上限とほぼ同等とみなされるものに関しましては、従来どおり大臣の特認制度ということで対応してまいりたいと思っておるわけでございます。
  49. 神田厚

    神田委員 遊漁対策資金、それから栽培対策資金等々の問題が欠落をしているようでありますが、この点はどういうふうになりますか。
  50. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 最近の傾向といたしまして、遊漁その他海洋レクリエーションの需要が増大している、またそれが漁村における就業機会の増大につながっておるということは事実と考えられますし、そういう実は要望もあるわけでございますけれども、当面の財政事情のもとにおきましては、漁業生産に直接つながるものに貸付対象を限定せざるを得なかったという事情を御了承願いたいと思うわけでございます。  それからまた、栽培漁業関係につきましては、ただいま漁協等でやっておりますのは、技術的には貝類とかそういったいわば定着性の種類についての放流に限られておりまして、栽培漁業と言われるものの大部分を占めております回遊魚につきましては、現在、国あるいは都道府県が種苗生産から放流するまでの技術の開発、これに力を注いでいるところでございます。  そのような点にかんがみまして、公庫資金におきましては、漁業基盤整備の一環として、漁場の改良や漁場の造成との組み合わせで種苗放流のための資金の貸し付けをしておるところでございますけれども、なおまた、近代化資金ということで栽培漁業全体を組み入れるという時期には至っておらないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  51. 神田厚

    神田委員 時間がありませんから議論はこれ以上できませんが、特に栽培漁業等についてはもう少し積極的に取り上げていただいた方がいいというように思っております。  最後に、地域漁業総合整備資金、これがつくられたわけでありますが、具体的にどのような活力のある村づくりをこれによって目指そうとしているのか、その点をお答えいただきます。
  52. 斉藤達夫

    斉藤(達)政府委員 御承知のように、二百海里体制の定着に伴いまして、日本の周辺水域の高度利用ということがますます重要になってきておるわけでございます。一方、沿岸漁業を見ますと、現在、漁獲努力と資源水準とのアンバランスというようなことから多くの問題を抱えているわけでございます。そういうことから、資源状態に即した漁業操業計画を立てる、漁業経営計画を立てるということで、まずそういった営為計画づくりをやりまして、それができたところにつきまして、一方では沿岸地域活性化緊急対策事業ということで、自主的な資源、漁場の合理的管理の推進体制、それから沿岸地域における共同集出荷体制の確立、あるいは水産加工等による漁獲物の付加価値を高めるための施設整備を行うための地域活性化緊急対策事業、それから、あわせまして今回の地域漁業総合整備資金制度、これによりまして適正な漁場利用推進しつつ、活力ある地域漁業振興を図るように、漁業近代化資金特利融資を組み合わせていく、これらの三本柱を中心にいたしまして活力ある漁村の形成に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  53. 神田厚

    神田委員 時間が来ましたので、終わります。
  54. 今井勇

    今井委員長 次に、辻一彦君。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、きょうは国営農用地開発事業の問題点について二、三質問をいたしたいと思います。  国営農用地開発事業は四十二地区あって、そのうちに七つの特別会計地区があります。私は縁がありますので、昨年の夏、初めて特別会計として五十一年に出発しました三重の青蓮寺、宮崎の美々津、それから一年おくれて出発しました島根の益田、それから同時出発しました福井の坂井北部、この四地区を一泊二日ずつそれぞれ見てまいりました。  そういう中で、農家の皆さん、それから土地改良区や県、市町村、さらに農林省の現地事務所の皆さんが非常に努力していらっしゃる姿に接しまして、敬意を表してまいりました。しかし、特別会計で出発しました地区は、いずれも特別会計の金利が高いために償還が迫ると深刻な状況に追われている、こういう実態も肌で感じたわけであります。そういう意味で、膨大な国費を投じ、また地元も大きな負担をしてせっかく進めている国営農用地開発事業がぜひ農家のためになるようにしたい、こういう念願から、この問題点について大臣を初め各局長に二、三質問いたしたい、このように思います。  まず大臣から、国営農用地開発事業のねらいは何であったかということをお伺いいたしたいと思います。
  56. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 辻先生にお答えいたします、  食糧の国際供給が楽観を許さないことは先生御存じのとおりでございます。そんなことで、食糧の自給力を維持向上させる必要があり、そのためには農用地を着実に確保することが大切だということで、農用地開発事業は単に農用地の拡大のみではなくて、実は四つの目的がございます。その一つは需要に即応した農産物生産の増強、二つ目が経営規模拡大による自立経営農家の育成、三つ目が国土資源の高度利用、四つ目が農業を基盤とする地域開発の促進等を目的としております。  そういうことで、国内各地域において時代の要請に応じて大きな役割を担ってきておりますが、その大きな役割は何かといいますと、地域の特徴を生かした野菜あるいは果樹生産地の形成、農家経営規模拡大による農業所得の増加、あるいは後継者を含む農業の担い手の定着、あるいは畜産経営確立のための飼料基盤の整備、こんな大きな役割を担ってきております。そんなことで、今後我が国の経済の均衡ある発展と地域社会の健全な発展を図る上からいっても、農用地開発を積極的に推進していきたいと考えております。
  57. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣の言われるように、一般的にはまさにそういうねらいであったと思います。  四つの地区をずっと見て、坂井北部は昭和四十六年に参議院議員当時に委員会視察をやりまして、それは坂井北部が四十六年十月から着工するその一カ月前でありまして、初めから非常に縁があってしばしば足を運んでいるということで、具体的な事例としてはいろいろな数字も非常に存じておりますので、これをもとにしながら、それに美々津、青蓮寺、益田等の問題点を加えて質問していきたいと私は思っております。  そこで、そういう国営農用地開発事業一般のねらいの中で、坂井北部がどういうねらいで取り上げられたか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  58. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  坂井北部地区でございますけれども、この地域は標高四十メートル前後の山林原野に農地の錯綜した丘陵地帯でございまして、三国町、芦原町、金津町、丸岡町の四町にまたがっております。通称坂井北部丘陵地域と呼ばれる畑作地帯でございます。この地域は用水が乏しいために開発がおくれまして、未墾の山林が各所に点在しておりますし、また既耕地の方も、土地基盤が未整備のために生産性が低位であるという状況にございます。  ここの事業の経緯でございますが、昭和三十年代後半に九頭竜川上流の電源開発に伴いますダム群が設置されまして、それによりまして水源が確保され、国営総合農地開発事業坂井北部地区として昭和四十六年に計画が確定された、こういう経緯がございます。  そこで、この地区はその後、事業が進捗いたしまして、昭和六十一年度に事業を完了する予定でございまして、これから計画変更いたしますが、現在予定しております最終的な計画は、地域内の未墾地を開発いたしまして四百六十ヘクタールの農地造成、既耕地につきましては区画整理等用水補給を行いまして、あわせて排水改良も行うという総合農地開発事業でございまして、坂井北部丘陵地域二千六百五十三ヘクタールの受益面積に及びます総合的な農業基盤整備事業でございます。  この事業によりまして農地の造成、区画整理を行いまして、道路、水路の整備を図ることによりまして、野菜、飼料作物、果樹等の栽培、それに水稲の複合経営を目指しまして、経営規模拡大、それに大型機械化によります土地労働生産性の向上を図りまして農業構造の改善を行う、こういうことを目的としたものでございます。
  59. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、昭和五十年からですが、公共事業が、特に国営農用地開発事業はかなりおくれているということが国会でもいろいろと論議され、各地の国営農用地開発事業農家にもそういう声が随分ありまして、特別会計制度が創設されて昭和五十一年から出発しておりますが、特別会計創設のねらいは何であったか。大臣からお伺いいたしたい。
  60. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  国営土地改良事業には特色が三つあると思います。その一つは事業規模が大きい、その次には巨額の費用がかかる、もう一つは相当長期の期間がかかる、これが特徴だと思います。  そんなことで、工事完了を促進するために、かんがい排水事業あるいは干拓事業について昭和三十二年度から特別会計制度をつくったのです。その後、国営農用地開発事業は、農業生産の選択的拡大とか事業経営規模拡大等に資するため昭和三十六年に創設されました国営開拓パイロット事業昭和四十五年に名称変更したものでございます。したがって一般会計から特別会計にしたわけでございますが、農地造成等の要請がますます高まってきたため、昭和五十一年において特別会計方式を創設し、事業効果の早期発現を図るため坂井北部地区等を特別会計方式に振りかえたものでございます。
  61. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういうねらいがあったことはよくわかりますが、大臣と局長の御説明のように、例えばの例でありますが、坂井北部をとりましても、当初、昭和三十年代は米増産時代でありまして、山林を開発して水田をつくるというねらいで、水を揚げて、乏しい畑作経営を水田経営で豊かにしたいという熱望がこの計画に実現したと思うのです。ところが四十年代の半ばになって、米の過剰状況の中で、農家は米をつくりたいというのに、それは国の政策だから何としても畑だということで、畑に転換というように途中で計画が変わってきた。だから、初めは農家にとってこれは非常に問題がありました。  将来もしものときには畑を水田にできるように水を張りたいということから、なるべく傾斜を緩くしてくれというような要望も随分あったのですが、余り緩いと田んぼになってはいかぬという意味であったかどうかわかりませんが、かなりな傾斜地でありますから、当然傾斜がついて水田にはならない状況になっている。そういうように、田んぼにしたかった農家の希望を無理に説得して全部畑にして出発した。私が四十六年にそこを見に行ったときには、水田から畑へという大きな犠牲、悩みを克服して、何とかしてここに畑作農民の夢をかけたいという希望が非常に農家にあった。こういうものが政府、農林省の取り上げるところとなって、いわゆる北部開発として進んでいったと思うのです。  ところが、なかなか思うように公共事業が進んでいかないということで、地元の各国営事業の地区からは、もっと早くやれる方法はないかという声が随分と起こってまいった。それを農林省構造改善局を中心にいろいろ検討されて、それでは特別会計によって財投を導入する、こういうような方向が固まってきたと思うのです。私も、昭和五十年十一月五日の臨時国会の参議院予算委員会でこの問題を取り上げて、当時の安倍農相と大平蔵相に所信をただしたことがあります。いずれも、工事がいろいろおくれて、特に国営農用地開発事業のおくれを取り戻すために、財投は今まで余り使っていなかったからその方面に使いたい、まあ来年はひとつ考えましょう、こういうような論議もなされたと記憶しております。  したがって、今大臣御答弁のように、いろいろのねらいがあると思いますが、特別会計創設の一番大事な点は、余り長くかかってはいかぬから早くやらなければいかぬ、だから金利が多少高くても早くやることにメリットがある、こういう点であると私は理解をしておりますが、その点の見解はどうなんですか。
  62. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 特別会計制度の創設の目的は、ただいま御指摘事業の促進というところにあると思います。
  63. 辻一彦

    ○辻(一)委員 したがって、一般会計でいけば五%の金利で大体やれる。かつて農地のように三・五という低い金利もありましたが、五%なら農家にとってはかなり助かるわけです。しかし財投を投入すれば、農林水産大臣が決めるということになっておりますが、加重平均ということで結局は七・一%ぐらいになると思います。短期間ならばこの七%という金利はそうこたえないのでありますが、長期にわたったときに五%と七%の金利差は非常に大きな負担になってくるという点があると思います。  ここで一点確認しておきたいのは、早く工事をやるというために金利が多少高くてもこの特別会計を導入した、この点は間違いないと思いますが、大臣、いかがですか。
  64. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生の御指摘のとおりでございます。
  65. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこで、坂井北部を例にとって言いますと、昭和四十六年の当初の計画は七十一億円、第一回の計画変更した昭和五十一年は百八十億、第二回計画変更、ことしの秋に確認されようとしておりますが、三百十六億。この三百十六億は当初に比べて四・五倍、それから第一回の計画変更に比べて一・七五倍、非常に大きな規模になっております。  この中で、地元の負担金、言うならば受益農家の償還問題が非常に問題になってきましたが、事業費が当初の四・五倍、第一回変更の一・七五倍というように大きく膨れ上がってきた理由は一体どういうところにあるのか。この地元負担金の試算結果によれば、例えば農地造成をとると当初の十二倍、第一回の四・二倍というふうになっておりますが、これは後の論議としまして、まず、こういうように事業費が膨れてきた理由について伺いたいと思います。
  66. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 坂井北部地区の総事業費は、今御指摘ありましたように、当初七十一億円でございましたが、昭和六十年度におきましては三百十六億円、二百四十五億円の増額になっております。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕  その二百四十五億円の内容でございますが、まず第一は、オイルショック等による労賃、物価の変動によります増、いわゆる自然増と言えば言えるかと思いますが、これが百二十一億円でございます。増加額のおおむね半分くらいでございます。それから第二は、工法変更とか事業量変更等による増が百二十四億円で、アップ分の五一%でございます。  工法変更等によります増額の主なものの第一は、農地造成法におきまして選択作物の拡大を図る、いわゆる汎用農地化をすること、及び機械化によります稼働性を確保いたしますために圃場を緩傾斜とする畑のり面の勾配の見直しをいたしましたこと、それから暗渠排水工事等を追加したためでございます。  第二は、竹田川が都市排水によりまして汚濁いたしましたために、当初竹田川を使いまして水を送ることを考えておりましたのを変更し、別途送水ルートをつくったことでございます。  三番目は、用水路につきまして、維持管理なり、建設省との河川協議等を通じまして水路のタイプの変更、つまり導水路をパイプラインに変えるということもいたしましたし、あるいは工作物の追加等も行っております。  それから第四は、幹線道路のアスファルト舗装を追加いたしました。  第五は、維持管理面及び防災上から排水路ののり面舗装を追加いたしまして、こういったかなりの増額に相なったわけでございます。
  67. 辻一彦

    ○辻(一)委員 四十六年から第一回変更に至る経過を追えば今言われたようになると思うのですが、五十一年から今回まで、第一回計画変更以後今日に至る経費が膨れ上がった一番大きな原因は何になりますか。
  68. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  ただいまお答えいたしましたように、物価変動によるものと畑の勾配を緩くいたしましたことが主な理由でございます。
  69. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、今の局長答弁のように、物価が上がったことによる自然増、それから工法の変化、確かに五十一年からこの間に、ファームポンド等をつくって引き揚げた水を池にためてそれを田や畑にかんがいをする、そういうこと等も三十三カ所やっておりますから、そういう工法によって相当な経費増が伴った、こういうことは理解できるのです。  私がお尋ねをしたいのは、全体の事業費が、昭和五十一年の第一回計画変更と今回を比べて、百八十億から三百十六億と一・七五倍になっております。ところが、農地の造成費を見ると、それは今差し上げた資料、これはいろいろな出された資料を整理してみたのですが、この一枚目にあると思いますが、一番上の欄の十アール当たり事業費というものによると、第一回変更のときは九十三万二千円。ところが、今二百三十六万というように十アール当たりの造成費が非常にかさんでおる。倍率で見ると二・五倍になっておりますね。一・七五倍に対して二・五倍というように、単位当たりの農地の造成費あるいは区画整理、かん排等の経費が倍率として非常に高くなっている。だから、これは単なる自然増や工法の変化、そういうものだけではない。  まず第一に私が指摘したいのは、全体として事業費がかさんだ大きな要因の一つは、それがすべてではありませんが、特別会計によるところの金利が非常にかさんできておるという点にあると思う。  そこに差し上げた資料の二枚目を見ていただくと、事業費及び償還額の内訳が試算をされております。これをごらんになればわかりますが、端数がありますが、国が百八十五億八千六百万負担をして、県と地元が百三十億一千三百万負担をしている。県は五十六億六千八百万を負担しておりますが一応別として、地元の七十三億四千四百万、この中で特別会計で借りた元金が六十四億あるのですよ。ところが、特別会計でありますから建設中に利息が要る。それが二十九億三千六百万、ざっと約三十億ですね。それから、償還が始まると後の利息は七十億千九百万。両方合わすと九十九億五千五百万、約百億。六十四億のお金を地元が借りて、百億の利子をつけて返すということでは、事業費が増大するのは当然と言わなくてはならない。  特別会計のそもそものねらいは、先ほど確認したように、金利が高いというデメリットを、早くできるということでカバーできる、こういう考えに立ったわけだと思うのです。ところが、第一回目の計画変更時には大体五、六年、昭和五十五年、六年あたりにほぼできるであろうというので、それなら金利が高くても特別会計でと、こういうことで出発したと私は思うのですが、現在完工は六十一年を予定されておるとすれば、計画の当時から言えば五年延期になる。五年間延びておればその金利はどんどんかさんでいく。工期の遅延と延長によって、特別会計のデメリット分が裏目に出て、この金利が非常にかさんできた、これが事業費全体がかさんでいる大きな要因になると思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
  70. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 この表にもございますように、確かに一般会計の場合は建設期間中の利息はゼロでございますが、特別会計の場合はそれを払っていく必要がございます。その金利につきましても、財投からの借入金利をとっております。  ただ、この表にございますように、特別会計に移行しましてから地元の負担金で六十四億何がしが投入されまして、その利息は三十億弱でございます。あとの七十億につきましては、これは償還期間中の利息でございまして、その三十億弱の金利とは若干性格が違うのではないか、このように考えます。一般会計でありましても償還期間中はやはりその利息を払う必要がございますので、これについてはちょっと別の見方をすべきじゃなかろうかというふうに考えます。
  71. 辻一彦

    ○辻(一)委員 特別会計は、当時の農家の皆さんのいろいろな御要望もあって、早くやらなければいかぬというので出発したのですから、私はそれに意義があったのは認めております、しかしやってみると、金利が随分と高いという問題点が出ていると思うのですね。  そこで、それでは一般会計でやった場合に、特別会計でやった場合と一体どれぐらい金利差が出るのか。これは農地造成あり、区画整理あり、かん排あり、また、これを一つの田んぼや畑に組み合わせておるわけですから、いろいろ複雑ですから詳しい数字を言うのは無理だとは思いますが、概算でどういうようになるかということは見当がつくと思うのですが、その点はいかがですか。
  72. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 地元負担金を申し上げるのは、いささかまだ早いかと思います。先生が御指摘の地元負担金というのは、受益農家の負担金という御趣旨で言っておられると思いますけれども、これはまだ最終的に決まっておりませんので難しいと思いますが、どういう状況になっておるかということにつきましてざっと御説明をいたしたいと思います。  ただいま申し上げましたように、総事業費が三百十六億円でございまして、四百六十ヘクタールの農地開発、八百四十三ヘクタールの区画整理、千八百八十ヘクタールのかんがい排水施設整備、こういうことで六十一年度完了予定ということを前提にいたしまして試算をいたしますと、この間の国費百九十六億を除きますと百三十億と試算されるわけでございまして、さらにこの実施期間中のケースで五十三億円がございますので、合わせまして百八十三億円がいわゆる広く地元の負担金になるわけでございます。御案内のとおり国営事業の償還は県が行うということになっておりまして、県の年償還額は、試算をいたしますと約二十億円でございます。  この地元の負担金につきましては、ただいまお答えいたしましたように県が条例で定めまして、県が負担する負担金のうちの全部または一部を地元農家が負担することになっておりまして、この負担をどうするかについて現在調整中でございます。  仮に、第一回計画変更のときの負担割合を用いて計算をいたしますと、地元農家の総負担額は百三億円となりまして、十アール当たりの年償還額は、農地開発でいいますと十アール当たりおおよそ五万五千円、区画整理でいいますと十アール当たり五万五千円、かん排でいいますと十アール当たり二万四千円、このように試算されるわけでございます。しかし、現在県内におきまして、最終的に地元といいますか受益農家負担をどうするかについては調整中でございますので、念のため御留意いただきたいと思います。
  73. 辻一彦

    ○辻(一)委員 負担金の点は、お尋ねしなければならぬのを先にお答えいただいたのでわかりましたが、そういう数字になると思いますが、一般会計で五%の金利をつけながらやった場合に、こういう事業を進めるときに、非常に概算的な話になりますが、どれくらいの金利差が開くと思うのか、その点を簡単で結構ですから、特別会計ならばこの金利、一般会計ならもう少し安くなるわけですが、それは一体どれくらいになるか、この点をちょっとお伺いしたい。
  74. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 特別会計と一般会計の場合は、年間に投入いたします事業費が違いますのでこれを単純には比較はできないかと思いますが、仮に同じ期間をかけまして一般会計と特別会計それぞれで事業を完成した場合を想定いたしまして、現在の例えば農地開発五万五千円と申し上げましたが、これに対応するものといたしましては、一般会計の場合は三万三千円になります。
  75. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その数字は同じ次元で比較するのは大変難しいと思うのですが、ごく概算をしても、特別会計の金利の高さによって、単価といいますか、これが非常に高くなっているということは私は理解できると思うのですね。そこで早く、五、六年で済ましてしまえばかなり様子も違うと私は思うのですが、工期のおくれ、金利は高い、こういうことがずっと重なって、農家の責任以外のところで政策的に負担増が非常にかさんできたのではないか、こういう感じがいたしますが、これは大臣、どうお考えになりますか。
  76. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先ほどから局長が答弁しているようなことでございますが、やはりこれは事業をいかに早くやるかということだと思います。  それからもう一つ、一般会計との比較を御指摘されておりましたけれども、一般会計の場合はもっと財政事情が厳しいから実は予算が少なく、恐らく私は時期が大分延びるのではないか、こう考えております。そんなことで、特別会計だからもちろん金利がちょっと高いという点はございますが、この方が効率がよかったのではないか、実はこのように考えております。
  77. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一般会計であればもっと時間がかかるだろうということですね。これは、普通はそうだと思うのです。ただ、特別会計は、早くできれば金利が高くてもやむを得ぬというところで出発して、相当期間が長くなって金利がかさんできて、こうなってきますとやはり特別会計の金利というものが、事業費がずっと膨らんでくる一つの要因にならざるを得ないと思いますが、この点は大臣、重ねてでありますが、どうですか。
  78. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  先ほど申し上げたことですが、できるだけ早く事業を遂行いたしたいということでやっておるわけでございます。
  79. 辻一彦

    ○辻(一)委員 政策の責任者として、それはちょっと認めるわけにはいかない点があろうとは思います。  では、ちょっと観点を変えて、その数字にありますように、六十四億のお金を借りて、そして一般会計も含めますと、支払い合計に対する償還元金は、割ると二四三%になりますね。ところが地元の特別会計六十四億だけを取り出して言うならば、支払い合計と償還元金の割合は二六〇%になるのです。これが特別会計なんだと言えばそうでありますが、しかし六十四億お金を借りて百億利子を払っていくということは、やってみると非常に金利等に問題があるというように思います。  これらが非常に農家の負担を重くしている一因であるというように私は思いますが、これらを何とか考えなくてはいけないのじゃないか。農家の外の場所で起こっている状況の中で負担がどんどんふえてきているということについては、何らかの救済対策が必要じゃないかというように思いますが、大臣、この金額をごらんになって、いや制度はこういうものだと言えばそれまででありますが、しかし国会は、この制度を見て、これに対して何か検討の余地があれば変えることができる場所でありますから、大臣、政治家としてどうお考えになりますか。
  80. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 国営事業につきましては、国はもちろんでありますけれども、県、市町村、それから地元の農家が一体となって事業を進めているわけでございます。したがいまして、その償還につきましても、国は国なりに考え、県もまた県の立場でその農家負担というのを考えまして、最終的に農家の負担額を決めておるという状況だと思います。  農用地開発事業につきましては、国は非常に高率の補助をしているわけでございますし、また県もその地区の状況によりまして、農家の支払い能力等を考えまして適切な負担額を決めてきているというのが実態でございます。そういうことで、私どもその農家の負担金の償還につきましては、国、県、市町村、受益農家が一体となりまして考えていく必要があろうかと考えております。
  81. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今局長お答えしたのですが、基本的に私も同感の点が非常にございます。  そんなことで、ことしの六十年度予算においても、償還条件の緩和を何かできぬものであろうかというようなことで実はいろいろ折衝したわけですが、ことしは非常に財政事情が厳しいということで見送りになったということでございます。  結局、今局長が言ったようなことですが、地元負担能力はもう限界に近づいておるというようなことでございまして、都道府県の負担と調整を図りながら償還条件の緩和等を含めて引き続き検討いたしたい、このように考えております。
  82. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の大臣の御答弁は、もうちょっと論議をした上、なお確かめたいと思います。  それから、特別会計の問題と利子の問題、いま一つは、第一枚目の資料をちょっと見ていただくといいのでありますが、事業費が、第一回計画変更、五十一年に比べて一・七五倍になっている。ところが、さっきちょっと申し上げましたが、十アール当たりの農地開発費が二・五倍になっている。このことは、普通ならば事業費が上がった倍率だけ造成費がふえるべきでありますが、その一・七五倍に対して二・五倍、区画整理の場合二・四倍というように倍率が高い。この要因というものを私は考えてみますと、これはその表の二段目にありますが、第一回変更に比べて第二回変更のいわゆる受益面積というものは随分と減っておるのですね。例えば、農地造成は六百六十八ヘクタールから四百六十ヘクタール、二百八ヘクタール減で三一%減っているということ。それから、区画整理は千百四十九ヘクタールが八百四十三ヘクタールで、三百六ヘクタール、二六%減。かん排の方は二千二百六が千八百八十ですから、三百二十六ヘクタール減の一五%減、これはそれほど大きくないのですが、三一%ということは約三分の一ということになる。こうなると、率は一定でありますから、国と県が負担をして残りは地元ということになれば、額は決まってくる。  ところが、受益面積が減れば単位当たりの造成費というのは非常に高くつく。高くついたものはそのまま残った農家にといいますか、農家がかぶって負担するとすれば、これは非常に負担がかさんでくる。だから、さっきは局長、大臣も御答弁がありましたが、経営費のかさんだ状況の中には、いわゆる農業の先行き不安、経営の不安、後継者の不足等々によって開発意欲等がやはり一部には減退をして、そういう点で予定どおりに計画が進まなかった、あるいは的確でない土地があって進まなかった、こういうふうになったという点もあろうと思いますが、いずれにしても、受益面積が減ってきたという点に個々の農家の負担増の一因があるように思いますが、これはいかがですか。
  83. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 単位当たりの事業費につきましては、全体の事業費動向と同時に、この受益面積の減も大きく原因している、このように思います。
  84. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっともう一度、今、水を飲んでいたので。ごめんなさい。
  85. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、事業費も増加しておりますけれども、面積減の方もその単位当たりの事業費の増に大きく影響している、このように思います。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その点も御理解をいただいたようでありますが、大臣、こうなりますと、特別会計の利子の問題と、もう一つは、このようにして受益面積がいろいろな農業周辺の状況から残念ながら減ってきたということも、個々の農家の負担が前に比べて非常にかさんできた要因になると思うのですね。  そうなりますと、農家も一生懸命やってみて、そこで努力が足りなかったというならば、これは負担をもっともっとということもありましょうが、自分の手の及ばぬ場所で起こった状況によって負担がどんどんかさんでいくということは、これは何か考えなくてはならないと私は思いますが、この点はどうでしょうか。
  87. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 国営事業のように非常に長期にわたりまして事業をいたします場合に、その間の農業事情の変化によりまして個々の農家対応が変わってくることがあるわけでございます。当初予定しておりました農家が受益の農家から脱落するということもあるわけでございますけれども、現在の土地改良法の仕組みからいいますと、そういう状況がありましても、やはり国費部分を除いた部分につきましては、県、市町村含めまして全体として負担をしていただく、こういうことに相なっているわけでございまして、その調整につきまして県を中心に現在いろいろなことが検討されている、このように聞いているわけでございます。
  88. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今の点につきましては、やはり第一番に大切なことは、事業をいかに早く遂行するかということだと思います。したがって、あらゆる方法を講じて事業を早期に完成させる。  そして、償還の問題につきましては、もちろん先ほどおっしゃったようにかなり負担がふえておるわけですが、償還条件の緩和についてはいろいろな努力の仕方があると思いますが、私は本当は、第一番には、結局生産が再開されてお金を払っていく、今、生産再開がされてないわけですから、そんなことを含めて償還条件緩和に努力してみたい、こう考えております。
  89. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は後でも申し上げますが、ぜひそれはひとつ大臣、本腰を入れて取り組んでほしいと思うのです。  もう一つ、この坂井北部を例にとりますが、あそこの農家、例えば平均的な標準の農家というものを考えてみますと、水田、一町から一町五反、畑、一町五反から二町歩、計二町五反から三町五反、まあ三・五ヘクタールですね。所得が大体四百万から五百万弱、大体こういうように見られているのです。これは福井県が五十八年度に百戸の農家を調査した。そういう経過を聞いてみますと、こういうことが数字として出ております。水田が〇・五ヘクタールから一ヘクタール、畑、一ヘクタールから一五ヘクタール、合わせて一・五から二・五ヘクタールで、三百万から四百万まで。  ところが償還額をずっと計算すると、これはいろいろな計算がありますから多少狂いはあるにしても、大筋は違いはないと思うのですが、Aの二・五ヘクタールから三・五ヘクタールでは、百八十八万円の償還が毎年必要であるのですね。それからBの一・五から二・五では、百三十二万の償還が必要である。そうしますと、四百万に百八十八万、約二百万。六百万。この六百万の所得を上げるためには、これは粗収益で少なくも二・五倍、所得率が四割弱になりますか、そうすると千五、六百万の粗収益がなければ、六百万という生活費とその償還金は出てこないわけですね。  この農家は、大体夫婦二人、それから老人と子供二人、高校に行くぐらいのところになっておりますから、一年に四百万ぐらいの現金支出は、一カ月三十万余りですから、当然要るわけですね。それでもいっぱい、いっぱい。これに二百万近い償還が重なったときに、この中核農家経営がもたないという実態が出てくると私は思うのですわ。  先ほど、国営農用地開発事業の大きなねらい等々は、中核農家を育成し、自立農家を育成し、後継者を育てて夢を与えるというところにあるのですが、それが崩れかねない所得と償還の関係にあると思うのですが、この実態を農林省としては、どれくらいの所得があって償還が可能か、言うならば償還可能な金額というのはどれくらいの経営から生み出されているとお考えになりますか。
  90. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 坂井北部地区におきましては、農用地開発をした後に畑作経営をやっている農家につきましては、割合と経営がうまくいっているというふうに聞いているわけでございます。  また、入っている農家個々につきましてかなりの差があるものもあろうかと思いますが、そういう農家の償還の限度額でございますけれども、これは一概に限度額が幾らと言うのはなかなか難しい面があるのではないかというふうに考えております。私どもといたしましては、そういう事業をやりました結果の所得の増加額の四割ぐらいをめどに償還が行われるということを考えておりますけれども、ただ、負担の限度額が幾らかというような点につきましては、これはなかなか一律に言えない難しい問題ではなかろうかというふうに考えます。
  91. 辻一彦

    ○辻(一)委員 畑作地帯は割とちゃんとした経営はやれるのだというような点もお話がありましたが、なるほど、年によってはスイカや大根をつくっている。だからスイカが、夏が暑くて売れ行きがいいときにはいいわけですね。しかし、ことしなんかを見ると、キャベツや白菜は、とりにいってダンボールに詰めて送れば箱代も出ないというので、全部畑にほったらかしておるわけです。後はどう始末していいかわからぬというように畑に投げているということ。畑作は米と違ってそういう不安定性がどうしてもあるので、いいところだけを見ると何とかなるかと思うのですが、逆に言うと、そういうものを相殺すると米よりも不安定なということが言えると思うのですね。そういう点から考えて、この償還はこのままでいくならばなかなか容易ではないという気がいたします。  懸念されることは、もしも経営の中で償還金が生み出せないとすると、どうしても借金するしかない、赤字ですから。そうすると、それが重なれば、せっかく国営で国も力を入れ、県も地元も農家も力を入れてつくった農用地を、これまた手放して償還をやらなくちゃいけない、あるいは離農せざるを得ないというような状況にもなりかねない。しかも、一番大事なあの地区の農業を背負うところの中核農家の一部がこういう心配があるということは非常に深刻である。したがって、坂井北部を見ますと、場合によっては社会問題化しかねない要素をはらんでおると思うのですね。したがって、この点の深刻さを御認識いただいて、先ほど大臣御答弁のありました一、二点はぜひやっていただきたいと思うのです。  時間が何ほどもなくなりましたから、一問一答によってその問題を詰めることができませんので、私からまず申し上げて、お答えをいただきたいと思うのです。  一つは、宮崎、三重、島根、福井と各地を回って、こういう農家の皆さん、土地改良区の皆さんあるいは県や市町村が要望をされるのは、特別会計の金利が何とか下がらないか、七・一では、五までは無理としても六%ぐらいに何とかならないかという非常に強い御要望があります。私は、この利子の状況からして当然であると思う。  第二は、償還年限をぜひひとつ延期をしてほしい。例えば、先ほど局長の答弁がありましたが、詳しいことは申し上げませんが、十五年、三年据え置きで七・一%の場合、これは現行ですが、これに比べて二十年、三年据え置き、七二とした場合には、五万五千円が四万四千円になるという推計が農林省から出されている、単純じゃないと思いますが。そしてそれは八割で、大体やれる。これは農水省が大蔵省に要求している資料ですからそのとおりだろうと思います。もし償還延期によって全体はふえても、毎年返していくところの天井は低くなるわけですから、一万数千円が償還年限の延期によって可能となるならば、農家経営にかなり寄与することができると私は思います。こういう意味の償還年限の延期、これはどうでもひとつやってもらいたい。  私は、なまはんかなことじゃだめだと思うのです。私も大蔵省の主計官に、去年の秋も冬も、晩にも行って会って話をしましたが、理解はかなりしておりますが、なかなか壁は厚い。農林省も今までも努力をしてもらったことは承知はしておりますが、本腰を入れて大臣、局長、やってもらいたいと思います。これらについての見解をお伺いしたい。
  92. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、坂井北部の受益農家の負担金はまだ最終的には決まってないわけでございます。坂井北部地区の農家の現況等を考えまして、県を中心に調整中と聞いておりますので、私どもといたしましても坂井北部の地元負担金が円滑に償還されますように期待しているところでございます。  また、国としてどのように対応していくのかということにつきましては既に大臣からお答えいたしたところでございますが、最近のような財政状況でございますのでなかなか難しゅうございますけれども、私どもといたしましても今後さらに努力をしてまいりたいと思います。  今、具体的に御指摘になりました金利の問題、償還期間の問題ありますけれども、いずれもなかなか難しい問題でございますが、私どもといたしましてはできますところにつきましてはぜひ償還条件の緩和ができますような努力を払っていきたい、このように考える次第でございます。
  93. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  お話を聞いて実情はよく理解できます。そんなことで、実は今年度何とかしたいということで局長みんな努力したのですが、なかなか財政当局の壁が厚くてできなかったということでございます。  今おっしゃったことについては非常に難しい点がございます。例えば金利等時にそうだと思いますが、償還期限の延長を含めて最大限の努力をいたしたい、こう思っております。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはぜひ大臣、局長、頑張ってください。我々もその面ではバックアップは惜しまないつもりでおりますから。  宮崎や三重、益田を回って、私は県や市町村もなかなか努力していると思うのです。公に県がどういうようにということは、条例の点、いろいろ努力している点、市町村のその中身を今申し上げる時間もないしこれは避けたいと思いますが、県も市町村も、農家の苦労の中でできる限りの努力をして何とかやっていこう、こういう構えを見せております。  例えば福井県でも、新聞を見ると、県議会で県知事は、非常に償還が厳しいので苦慮している、しかし、有数の高い水準整備されたんだから何とかこの中で中核農家が育つよう、やれるようにしなくてはならない、よその県の努力も参考にしながら県としても一生懸命やっていきたい、こういう旨を答弁しているのを私は拝見しました。各県を見ても、知事の皆さんも県も市町村もいろいろな努力をしておると思うので、どうか県、市町村、土地改良区、そしてそれにあわせて国も今御答弁のような趣旨でぜひ頑張っていただきたい、このことをもう一度要望いたしておきたいと思います。  それから、今日の特別会計のこういう経験にかんがみて、場合によれば国営の土地改良は、急ぐところは特別会計でやる、しかし時間をかけてやるところは一般会計でやってみるというような組み合わせもこれから考えられていっていいのではないかと思います。そういう点も要望としてありますが、この点については農林省は一体どうされるのか、お伺いいたしたい。
  95. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 ただいまのところ、農用地開発事業につきましては一般会計と特別会計、二方式でやっていくのが原則でございますが、ただいま御指摘がありましたような問題がございます。今のような財政事情でございますと、一般会計でやりますとかなりの時間がかかるわけでございます。そういうことで、昭和六十年度からは一般会計の地区にも部分的に特別会計方式を導入することを考えておりまして、一般会計地区の中で基幹的な施設でその完成までにかなり期間を要するような事業につきましては、集中的に財投資金を投入いたしまして、早期に完成いたしまして効果をなるべく早く出していく、こういう考えのもとに、これを部分特別会計と言っておりますけれども、一般会計の中に特定の施設につきましてそういう特別会計方式を活用していくことを考えまして、全体としての事業効果の早期発現を図っていく、このようにいたしたいと思っております。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは手続的にどういうようにしてやりますか。法案の一部なのか、政令でいくのか、どこで決定すれば進むのか。
  97. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 政令改正することによりまして一般会計地区に部分的に特別会計方式を導入することが可能でございます。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは省令で、閣議決定ですか。
  99. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 政令でございますので、閣議で決定する必要がございます。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これもやはり今御答弁のように、ダム、堰堤とか頭首工のような早くやらなければいかぬところは金利が多少高くても特別会計でやる、これは県の方に考えてもらうといいと思うのですが、同時に水路、面工事等は時間がかかりますから一般会計でやる、こういう組み合わせによってより効率的な運用が可能になるのではないか、こう考えておりますので、それを十分詰めて取り組んでいただきたいと思います。  最後に、畑作における水を本当に使ってのかんがい農業というものは日本ではまだ十分な経験がない、畑は天然による、そういう形で、畑地かんがいを中心にした農業の研究体制ということはまだまだおくれておると私は思いますが、そういう意味で、二千六百ヘクタール、日本でも畑作としてはかなり広範な地域ですから、あの地域に、例えば国立試験場の分場あるいはそれに準ずる施設、あるいは地元に対する研究委託とか、こういう形で畑作かんがい農業の研究施設の強化が必要であると思いますが、これについては何か考えはありませんか。
  101. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 農用地開発事業をいたしております地区につきましては、そういう造成事業と並行いたしまして営農の経営指導というのが必要でございまして、現在県におきます農業改良普及組織が中心になって検討をいただいているところでございます。当坂井北部丘陵地域におきましても、そのような考えのもとに関係機関が緊密な連絡をとりまして営農指導体制整備をいたしているところでございますし、また、営農指導に関連する種々の補助事業も実施をいたしているところでございます。  具体的には、福井県が坂井北部丘陵地域に設置いたしました福井県農業試験場坂井丘陵畑作研究室がございますが、この研究室に対しましては、機械装置あるいは研究費等について新しい営農技術確立のための助成を種々行ってきているところでございます。  これにつきましては、構造改善局ばかりでなく、技術会議等を含めまして幅広い助成をいたしているところでございまして、確かに新しく造成いたしました地域につきましてはこういった営農指導と試験研究というのが必要だと思います。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、水産庁と林野庁に漁業林業関係について一、二点伺いたかったのですが、また一般質問に移します。どうも失礼いたしました。
  103. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 細谷昭雄君。
  104. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、法案に入る前に、緊急な問題と考えておりますので、お尋ねしたいと思います。  山形県で発生いたしました不正規流通米売買事件に関しまして、食糧庁は三月三十日、山形県食糧株式会社に四週間、株式会社矢萩商店に二週間の集荷業務停止処分をいたしました。山形県も同様に同期間の販売業務停止行政処分を発令したのでありますが、私は非常に甘い処分ではないのかということをまず指摘したいと思うわけであります。  と申しますのは、この山形県食糧という会社は以前に丸紅モチ米不正事件に関与いたしました前歴もあり、しかも全糧連の金山国次郎会長が設立当初の社長でもあり、現に相談役という会社の役員に名を連ねておる。現社長とはおじ、おいの間柄にある。今、この事件を政官財の癒着によるのではないかというふうな指摘をする向きもありますし、私はこの問題について、金山氏を含めて会社の社会的な責任、役員の社会的な責任というものを問わなければならない、このように思うわけでありますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  105. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の山形県の事案でございますが、特定米穀の集荷販売の許可を持っております業者が、本来特定米穀だけを集める機能しか与えておりませんのに、主食に当たりますような米をかなり継続的に、かつ量におきましても百トンを超えますものを集荷販売をいたしたという事案でございます。  私どもそういう事案の重大性にかんがみまして、過去行いました行政処分ということも十分考えまして、いわばその量刑と申しますか、処分の重さを決めたわけでございます。  過去におきましては、初犯で、ある程度のものについては一週間程度、それから重かったものでも、正規の許可を持ちながら違反行為をしたというもので三週間程度のものでございましたけれども、今回の事案につきましては、特に今御指摘のように過去に一度そういう経歴があったわけでございます。したがいまして、同じ行為を行ったわけでございますが、片一方の矢萩商店といいますものは初めてやりまして、それに対して二週間ということをやったわけでございますが、これは刑法等でも、御承知のように再犯というのは二倍を超えない範囲で、いわば上限として二倍というような考え方もございます。  そういうことも含めまして、過去に行った例としまして最も重い四週間の業務停止処分をしたわけでございまして、行政処分といいますのは、やりました販売業という業の責任者に対して、その営業行為を行っている者に対して処分をするわけでございますので、そういうことで今回の四週間ないし二週間のいわば営業停止処分、これは今申し上げましたように過去において最も重い処分をしたわけでございます。
  106. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 量刑については、過去において丸紅の米穀部門が三カ月の営業停止、これが一番重いわけでありますが、改正食管後は確かに一番重いということになろうかと思うのですが、こういうふうに食糧管理法という厳然とした法律があり、しかもこの法律が今の山形事件によりまして大変信頼を損なったということについて、この会社の経営者の責任というものがあろうかと私は思うのですよ。これについては全然手をつけませんか。
  107. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のように、行政処分としていたしますものは、営業名義を持っております者に対して処分をするわけでございます。そういう意味で、会社の経営責任者に対してこのような処分をしたわけでございます。
  108. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、例えば、行政処分の範囲内に入っておらぬとは思うのですが、金山氏を含めまして、こういう社会的な大きな事件を惹起した経営者の責任を強く追及をしなければならないし、責任を問うというふうに考えるわけでありまして、食糧庁としましても何らかの形で指導といいますか、そういうのをしていただきたいと強く要請をする次第でございます。  山形事件は氷山の一角でしかないというふうに指摘する向きがございます。このことはいかに食管法が風化をし形骸化しているかということを物語るものでありまして、極めて遺憾な事件でございました。三月二十五日付の東北一円に出ております河北新報に、問題の山形の最土地方で実際に私も不正規米を売りましたというふうな農家の方に密着取材をしたルポルタージュがございますが、その農家の人がこんなことを言っているわけであります。「食管が農民を保護しているというが、それでさえ農業は赤字。あすのことまで考えていられない」というふうに言い切っておるというふうに、このルポルタージュでは河北の記者が取材しておるわけであります。  私は、食糧庁の米の需給計画そのものが、やはりこういうふうな生産者が不正規流通米をやっておる業者につけ込まれるすきをみすみすつくっているのではないか、こんな気がしてならないわけであります。いわゆる余り米を出している。この余り米をどうするか。政府米や自主流通米と比べまして、山形の場合はササニシキの銘柄米産地でありますので特にそうですが、三千円から、悪いところでも五百円の差があると言われておるのです。したがって、庭先にどんと大型のトラックを横づけされ、現金を張られますと、やはり今言った農家の皆さん方の偽らないそういうふうな声というのが出てくる、私は、大変残念ながらそういう実態というのをわかるわけであります。  したがいまして、この食糧庁でつくられる米の需給計画というものに検討を加える必要があるのではないか、もっとゆとりのある計画につくり直す必要があるのではないか、そのことによってしか万全の管理体制はできないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  109. 石川弘

    ○石川政府委員 需給の問題につきましては、御承知のように、これは昨年の端境期のようないわば比較的タイトな状況をつくり出すことにも問題がありますと同時に、かつて六百数十万トンの過剰米を政府が抱えたという事態もございます。  私ども、ゆとりを持つということと、三たび過剰をつくり出さないという両方に歯どめをかけながらやらなければいかぬと思っておりますが、その場合、タイトになりましてやみ米が流れる、この場合は生産者にとっては大変有利な条件かもしれませんが、消費者にはお困りになる状態になるわけでございます。それから逆に、いわば奥行きがあり過ぎますと、生産者の所得を確保するという面ではマイナスに働く、そういう要素を持つわけでございますので、私ども、奥行きを持ちながらある程度適正な在庫を持つということで、このたびっくりました六十年度の米の管理計画の中でも、必要な備蓄の積み増しもする。それから、積み増したものを十分に米として流通させていくためには、今までのように大変保管期間が長いということでは困るわけでございますので、低温で必ず回転をさせていく。要するに、そういう二つの要素を持ちました管理の計画を立てまして、それを実行していくつもりでございます。  しかし、役所が立てますものは、どうしてもこれは計画ということになりますが、これを本当にやっていきますためには、いわば集荷をなさる方が適正に集荷をしていただかなければいかぬ。従来よく、集荷が通り一遍であって、例えば農家のいろいろな資金需要というようなことを考えたときに、もう少し集荷を徹底しなければいかぬというような御批判もございます。それから販売面につきましても、これは需給の比較的タイトな場合にはなかなか難しゅうございますが、ある程度奥行きを持ってまいりますと、やはり販売につきましても、品質なり需要の態様に応じた弾力的な販売、それから競争が必要なわけでございますので、私どもそういうような事情も十分考えながら、計画面でもあるいは集荷、販売の面でも改善をしていくつもりでございます。
  110. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大変残念なことですが、実は昨年の農水委員会でも新村委員から取り上げられましたカリフォルニア米の問題について、去る三月十五日に、私の地元の秋田県一円に出ております秋田魁新報、ここに社説として「加州米の動きにもっと関心を」という表題で出ておるわけであります。この問題については、昨年は食糧庁がそういう事実はないというふうに否定されておるわけであります。  私は大臣にお伺いしたいと思うのです。  まず第一に、三年後の日米農産物交渉において加州米輸出要求が問題になるだろうとの観測がしきりでございます。一体その対応をどうしようとなされておるのか。  第二に、今次山形事件は食管法を突き崩しかねない不祥事でありますが、これらのやみ米横行に対する断固たる政府の対応が問われるところであります。  今年度農林水産予算は前年比マイナス六・四%、なんかずく食糧管理費は戦後最大のマイナスになっております。     〔島村委員長代理退席、田名部委員長代理着席〕 第一線の職員も削減の一方でありますし、私の地元の大曲の食糧事務所でもことしは二名の減員であります。昨年でさえも一人の職員の担当する俵数が六万一千俵であります。ことし二人減ということになりますと、今の予想では出来秋の検査の終了が十二月にずれ込むだろう、こういうふうに関係農家が非常に心配しているところであります。  このように、背景をなす問題は極めて暗い問題から出てくるのではないか。私は、食糧庁の士気を鼓舞するという意味でも、現在の食糧管理行政に対する大臣の基本的なお考え方、このことをお伺いしたいというふうに思います。
  111. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 細谷先生にお答えいたします。  私に対する質問は二問だったと思いますが、その一つは米の輸入問題ではないかと思います。これは先生御存じのとおりでございますが、国民の主食であります、かつ我が国農業の基幹作物でございます米については、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体しまして、国内産で自給する方針を堅持する考えでございます、  それからもう一つの問題は、今の食管予算が大幅に削減され職員の士気が低下しているが、的確な米の管理ができなくなっているのではないか、こんな御質問だったと思います。実は、これは基本的に国民の理解を得ながら食管会計を健全に運営していくため、人員、予算ともにその改善合理化を図っているところでございますが、食管制度の円滑な運営に必要な人員、予算は確保されていると考えております。いずれにいたしましても、食管制度の適切な運用により適正な米管理を行ってまいりたいと考えております、
  112. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 次に、今回提案されました金融三法についてお尋ねしたいと思います。  これは、これまでの農政を大きく転換させるということを意図しているのではないかというように思いますが、まず、その点をお伺いしたいと思います。  具体的に申すならば、これまでの農政は補助事業制度金融を両輪にしながら政策誘導をしてきたというように思います。今回の改正基本的な考え方は、財政当局の指摘もこれあり、財政的見地から、補助事業見直し合理化の名目で整理縮小し、融資に切りかえていこうとしている、このように考えるのでありますけれども日本農業の現実から考えますとこれは後ろ向きの対応になるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  113. 関谷俊作

    関谷政府委員 補助から融資へという問題についてのお尋ねでございますが、全体的には補助金の対象というのは従来からおのずから限定がございまして、共同部に、あるいは生産者団体等が大規模に設置するもの、しかも相当先駆的、モデル的な波及効果の期待されるもの、あるいはリスクの大きいもの、こういうような基準で補助事業対象とし、また私どもも、今後とも補助事業としては、例えば稲作で申しますと地域のモデル的な拠点になるものとかカントリーエレベーター等の地域稲作の拠点になるもの、こういうものは補助事業として取り上げていくわけでございますが、今回、融資方面で対応すべきというふうに考えましたものは、先駆性、モデル性、こういうものはあるけれども、いわゆる奨励、普及の段階を脱して、むしろ個別経営で導入すべきことが適当であるもの、そういうようなものはやはり融資対応した方がよろしい。  これは建前論だけではなくて、現実に農家の立場から見ましても、補助金というのはやはりおのずから限度がございますし、個人の場合には補助金は受けられないわけでございますから、こういうものはむしろ融資ということで、資金を効率的に使いまして融資対象施設も広がり、また資金的にも効率的な利用によりもっと多くのものが融資対象として取り上げられる、こういうようなメリットもあるわけでございまして、確かに財政面からの制約等が一つの要因にはなっておりますけれども、全体として見まして、政策的に著しく後退をする、こういうことではなくて、むしろ限られた補助等の財政資金を有効に使っていく、こういうような意味合いでも考えているわけでございます。
  114. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 稲作農家経営状況というのは極めて悪化の一途をたどっておるというふうに見ておるわけでありますが、そのことは端的に農家負債として農協経営に反映をしております。  これも私の地元の例でありますけれども農家戸数が六百戸、水田面積が七百町歩、年間六万俵以上の米の出荷、単収は六百キロ弱という中堅の稲作地帯でございますが、この単協で今大変困っておるのが、借金を手控えておる農家が非常に多くて、当初農協で見込んでおりました貸出金利の収入がまことに減ってしまっておる、こういうふうな現状が出ておるわけであります。その他、倉敷料が減った、それから、大変に経済競争が激しくなってサービスにうんと金を支出した結果、そこから出た赤字、こういうものをいろいろ総合しますと、現在大変な苦しい農協経営になっておる。五千万から六千万の予算上のやりくりができない部門が出てきた。  それにかわる収益事業はないということで、何を始めたかというと、農家負債の整理を始めざるを得なかった。この農家負債を整理するということになりますと、どうしても田んぼを担保に取ってそれを売らなくちゃいけない。その農協で取得したところの田んぼというものが買い手がつかないというのです。一反歩二百二十万という相場であったそうでありますが、これが昨年は百七十万に下がり、現在は百四十万から百五十万でないと売れなくなった。それほど稲作農家の価値が下がっておるというのが実態であるというふうに組合長が指摘しておるわけであります。  私は、このような水田稲作地帯の一般的な窮状にとって、現在提出されております一連の金融政策というものが有効に働くものであろうかという点で、極めて疑問に思うわけであります。投資意欲を持つ層がどの程度あるのか。例えば、近代化資金が限度額を倍にしたわけですが、昭和五十二年をピークにして借入希望者はどんどん減少しておる、このことからも、対象者はごく少数の富農層に限られるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  115. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 農業近代化資金の貸出実績につきましては、近年停滞をいたしておりますことは御指摘のとおりでございますが、これは打ち続く災害というようなこともございますし、あるいはまたいろいろな農業関係の投資が一巡をしたというふうなこともございます。全般的にまた農業をめぐる状況が非常に厳しくなっている中で、農家が投資という面に対してかなり慎重になってきているというようないろいろな要因があろうかと思っておりますが、しかし、反面では農業近代化のためのいろいろな設備投資のための需要というのは、これはこれで、決して富農層に限るということではなくて、かなり幅広いものがあると思います。更新需要というものもございます。私ども近代化資金現状がごく一部の農家しか利用されてないというふうには必ずしも認識しておらないわけでございます。
  116. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 その点は認識がちょっと違うようでございますが、だれでも借り入れができるという近代化資金がございます。この近代化資金の場合、限度額の倍額引き上げ、こういうものが過剰投資につながっていかないのかどうか。今農協では窓口規制が非常に厳しくなっております。これは当然だろうとは思うのですが、この点で、過剰投資にならないという、悪循環を断ち切るという意味で十分対応考えていらっしゃると思うのですが、どのような対応をされますでしょうか。
  117. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 私ども制度金融を預かっております行政の立場から申しますと、農家の方にいろいろ借りていただける資金を予算なり制度を整えましてつくることは直接にできるわけでございます。  そして、そういう面で、前回昭和四十八年に限度のアップをやりまして以来、物価も上がっておりますし投資も大型化をしてきている、また、普通の限度で対応できない場合に、大臣特認ということで特に認めた場合には特例の金額の貸し付けができるわけですが、こういうものの件数もふえているというようなことで、今回限度額を二倍に引き上げることにしたわけでございますが、実際にそれが農家にとっても有効に活用され、また融資機関にも返済等の点で問題が起きないようにするというためには、事前の審査あるいは事後の指導ということが何としても必要なわけでございます。  この辺になりますと、やはり借入者であります農家経営実態をよく知っております融資機関、あるいは地元の市町村でございますとか県の普及所、こういった方々の連携によりまして、適切な審査なり事後指導が行われるということが大事でございまして、この点につきましては、近代化資金制度ができましてから、公庫資金に比べますと制度のいろいろな縛りは制度金融としては比較的少ない近代化資金でございますけれども、十分注意をするようにということで通達もいたしておるわけでございます。  今後ともそういった面での指導は、また今度の制度改正に伴いまして十分努力をしてまいらなければいけないと思っております。
  118. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これは、大臣もどうかひとつ聞いておいていただきたいと思うのです。  これまでの農家負債というものは、考えてみますと、制度資金の部面では、借り入れも厳しいけれども返済の取り立ても大変厳しいという面を持っておりますので、制度金融についての固定負債というのは余りないというのが実情であります。問題は、この制度資金の返済に農家系統資金を借りかえるというのが極めて実情としては多いわけでありまして、したがって、農協のプロパーによるところのいわゆる返済不能の不良債なり固定負債というのがふえていくというふうに我々は見ておるわけであります。プロパーによるところの系統資金といいますのは、安くても八%以上、八・五%といった金利でありますので、どんどんと借りかえていく、膨らんでいくわけです、  そうして、結局田んぼが担保に入っているという格好になって、先ほど申し上げましたとおり、農協もどうにもならなくて結局は処分をする、競売に付する。我が方のあるかなり大きい農協では、それが余りにも多くなって売れなくて、せんだってその責任をとって農協の組合長が辞任をさせられたということまで起きておるわけであります。  今欲しいのは何なのか。むしろこういう固定負債を整理するための整理資金制度が稲作農家にとって最も欲しいのではないか、農協にとっても欲しいのではないか、このように思うわけであります。一般稲作農家の固定負債整理資金というものを検討すべき時期に来ておる、段階である、このように思うわけでありますけれども、そのお考えはないのかどうか。
  119. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 借り入れを行います農家の方々が、無理なく計画的に借り入れをされまして当初の借り入れの目標達成できますように、融資機関も資金の貸し付けに当たって、先ほど申し上げましたように的確な審査なり適正な事後指導を行うことが基本でございまして、私どもも、関係機関あるいは都道府県、市町村にもそういうことでお願いをしているわけでございますが、確かに、農家が予期いたしません経営困難に遭いまして、計画どおりの償還ができないというような事態が生ずることもこれまた間々あることでございます。  当委員会におきます今までの御質疑では、どちらかといいますと畜産関係の負債が問題になっておりましたけれども、これにつきましては、今回の畜産物価格の決定とも関連をいたしまして、五年目の最終年に当たります昭和六十年度に、酪農の負債整理計画に関します最後の対策ということで利子補給金の拡充をやる、あるいはまた肉用牛経営についても新しい制度的な手当てをするということが決定をされたわけでございます。  しかし、経営部門別に見ますと、細谷先生は今稲作というふうにおっしゃったわけでございますが、全農家平均農家経済調査で見ますと、これは全くの平均で、五十八年度の数字でございますが、農家の借入金が平均で百八十八万、貯蓄が千三百二十八万ということでございますが、経営部門別に稲作単一経営というようなものを経済調査の中から抜き出した集計でございますと、借入金の平均が百三十三万、貯蓄が千三百三十一万というふうなことで、ならしてみますと、経営部門別には負債の問題が比較的少ない部門というふうに全体的にはなるわけでございます。比べまして、五十九年度はまれに見る豊作でもございましたし、稲作というものを特別に取り出しました負債整理資金制度化というようなことは、私ども現在のところ正直申しまして考えておりません。  ただ、今お話しございますような地域により、また階層なり農家の方々のそれぞれの御事情によりまして負債の問題を抱えておられ、またそれに苦しんでおられるということもありますので、今回の、これは法律事項ではございませんが、六十年度に私ども予定をしております制度改正の中で、自作農維持資金の再建整備資金貸付限度額、これまで特認で八百五十万ということでございましたが、これを千五百万円に引き上げまして、負債の額がある程度多い方にもこの資金利用していただきやすいようにするための改正考えている、こういうことでございます。
  120. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今、局長からお話しいただきましたが、平均の負債というのが稲作部門は割合に少ないということですが、稲作農家実態を見ますと、二兼、第二種兼業というのが大部分でございます。もう七〇%を占めておるという状況でございますので、農外収入の方でカバーしておるというのが実情だと思うのですよ。したがって、実際に、ほかの部門と違いましてそれだけでストレートに負債に出てこないという問題がございまして、極めて落差が多い、専業的なほど負債が多くなる、こういう実情だということも踏まえていただきたいというように思います。  次に、改良資金の問題についてお尋ねしたいと思います。  これまでの技術導入資金を四部門の柱につくりかえたわけでありますが、その場合に、土地利用型の稲作、麦作、そして蔬菜、こういう部門というものを柱にはしておらないわけです。「その他(従来の技術導入資金)」ということになっておるわけでありますが、これは、稲作部門ないしは麦作、畑作というのは、もうすべて最高の技術水準にあるというふうにお考えなのか、それとも投資価値がもうなくなったというふうにお考えなのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  121. 関谷俊作

    関谷政府委員 今回の改正で設けます生産方式改善資金でございますが、これは従来の技術導入資金、能率的な農業技術の導入、これを含めまして、それをさらに拡充して生産方式改善資金、こういうことにするわけでございます。この技術導入資金につきましては、先生よく御承知のとおり、米麦、畑作関係につきましても、例えば生産組織育成資金でございますとか経営転換等推進資金地域農業技術導入資金、これはいわゆる知事の特認的な資金でございますが、そういうことがございまして、稲作等についても、先駆的に導入すべき技術課題につきましてはこういう資金で今後とも対応していく、こういうことでございます。  今回拡充される部分が畜産、果樹、野菜、養蚕、この四部門にしておりますのは、これらの部門が、それぞれ最近の動向から見ますと、生産方式改善ということでかなりいろいろ生産の再編成なり体質の転換、強化が緊急に必要だ、こういうことで判断したわけでございまして、もちろんこういう判断は、ほかの部門についてこういう事態になれば必要に応じするわけでございますが、この拡充された部分と従来からございます技術導入資金、これについては今後とも対応していくわけでございますし、稲作、麦、畑作等につきまして技術導入資金対応すべき問題がなくなった、こういう判断をしているわけでは決してございません。
  122. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 次に、新設されます農業改良資金規模拡大資金は、中核農家の創出という政策目的を持つ融資だと思います。農地の流動化というのは、水田稲作地帯については余り進んでおらない、特に私ども東北の農家ではこの面がおくれておるわけでありますけれども、特定農家対象とするだけに一般農家には行き渡らないという資金の面の難点がございます。  融資枠とその流動効果をどのように想定しておられるのか、御説明願いたいと思います。
  123. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 土地利用農業、特に稲作農家規模拡大が十分進んでいないというような状況指摘でございますけれども、私どもといたしましては、そういった土地利用農業規模拡大を最重点に各種の施策を推進しているところでございます。  現在までのところかなりの程度それが進んでまいりまして、比較的規模の小さい農家から規模の大きい農家への農地の流動化が進みつつあるというように考えておりますが、なおまた目標とするところには達していないという現況かと思います、  今回新設いたします経営規模拡大資金につきましては、そういう農地流動化対策の一環として考えたものでございまして、本年度につきましては十億円の規模を予定しておりまして、これを面積に換算いたしますと大体五百から七百ヘクタールぐらいの規模の流動化に役立つのではないかというふうに見ております。何といいましても本年度は初年度でございますので、私どもは当面全体の規模は六十億程度と想定しておりますけれども、ことしの状況等を見ながら漸次規模拡大に役立つような形で今後とも充実していきたい、このように考えておる次第でございます。
  124. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 改良資金というものは、無利子で非常に有利な、補助事業融資の中間、どちらかというと補助に近い、こういう性格を持っておる制度金融だと思いますが、貸し付けの目的からしましても営農指導の裏づけが不可欠の条件でもあります。改良普及所の指導の問題、予算にどう連動しておるか、これは先ほど神田委員から同じような質問がございましたので私もその点はある程度承知しておりますけれども、営農指導の枠外にあるのが流通や価格の問題でございます。市場開拓や価格形成といったものの不安がある限り、なかなか投資意欲がわかないというのも実情であります。  流通政策や価格政策、これいかんによってはこの融資は極めて難しいものになっていくと思いますけれども、この側面の支えをどういうふうにされるのか。これは簡単にはできないと思います、流通政策なり価格政策ですから。この指導部門と相まって、この制度に対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  125. 関谷俊作

    関谷政府委員 営農指導の問題でございますが、改良普及事業としましては、従来から農業改良資金の貸し付けの決定は普及所等の意見に基づいて行う、あるいは貸し付け後も営農指導を行うということでございまして、その営農指導なり貸し付けの際の経営審査の一環として、先生のお話にございましたような流通面、価格面というか、そのできました生産物の出荷による所得なり経営面の安定、単なる技術面だけではなくてこういう面につきましても十分審査をする、こういうようなことにできるだけ配慮するようにいたそうと考えております。なお、この体制につきましては、人員面では難しいわけでございますが、総合的な改善指導のいわゆる指導事務費的な、活動費的なものは六十年度予算において若干拡充するようにいたしております。  いずれにしましても、全体としまして、できました農産物の出荷面、その品質なり共同部な出荷なり、そういう体制整備も含めまして、営農指導面におきまして十分留意するように指導してまいりたいと考えております。
  126. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この部門につきましては、単に行政でやるばかりでなくて、どうしても末端の農協の経営というのが一番中心になってくると私は思うわけです。ところが最近の農協の現状を見ますと、その経営指導の部門がだんだんに欠落をしつつある、私たちは大変な不安を持っておる状況でございます。今出されております補助金一括法案で一律一〇%の補助金打ち切りということもありまして、末端の農協では大変不安に思っておる状況がありますので、これは部門は違うかもしれませんけれども、どうか予算の面でも具体的な指導の面でも、今までの水準を落とさないように努力をしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。  次に、経営規模拡大資金の新設によって目標にしております七十万戸の中核農家達成、これはどの程度見込まれておるのでしょうか。「八〇年代の農政の基本方向」で農業構造の展望が策定されておるわけでありますが、昭和六十五年には稲作主業の耕地面積を五ヘクタール程度にする、こういうふうになっておるわけであります。この農家規模はどこら辺まで達成される見込みでありますか。この二つの面、一〇〇%というのはちょっと難しいわけでありますが、この見通しについてお伺いしたいと思います。
  127. 関谷俊作

    関谷政府委員 御引用になりましたのは「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」という農政審議会の報告でございます。従来の農産物の需給面だけではなくて、農業構造についても一つの見通し、展望を持とうということで、ここに書いてございますのは、目標というよりは、むしろ性格としては試算、こういうようなことが断ってあるわけでございます。  その中で、中核農家七十万戸、あるいは稲作主業農家の耕地面積、都府県の場合五ヘクタール程度、こういうことが書いてございます。この辺の見通しを立てます場合の根拠となりましたのは、同じ試算の中にございますが、昭和五十六年から六十五年まで十年間の農地流動化面積を九十万ヘクタールと見込みまして、その相当部分、かなり割合の高い部分をこういう中核的な農家にいわば方向づけをして集積をさせる、これはもちろん所有権移転もございますし利用権設定もございまして、それによりまして七十万戸程度農家に耕地全体の中の六割程度の農地を集積する、こういうことを展望したわけでございます。したがいまして、こういう展望の実現については、従来の農業調査あるいはセンサス等で見ますと、御承知のように、最近ですと大体二ヘクタールから二・五ヘクタール以上の農家が、これは都府県の場合で若干増加する、年率ただの一%にも満たないような遅々たる状況でございますが、そういう傾向は見られております。  この見通しを実現するためには、相当高度の農地流動化の促進なりその中核農家へのいわゆる方向づけが必要でございますし、また、農地流動化だけではなくて、共同部な組織なり農作業の受委託なり、そういういわゆる実質的な規模拡大、この面もあわせて考えまして、こういう方向に沿いましてできる限りの政策努力をする、また、その政策努力によってこういう程度目標を何とかそれに近づけていくことは可能ではないか、そういう性格を持っている試算であり、展望であるというふうに考えております、
  128. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 東北六県の流動化率というのは非常に低いわけであります。平均で二・六%、私の住んでおる秋田なんかはわずかに一・七%、東京に近い福島県が三%程度ですから、押しなべて離れれば離れるほど農地流動化は低いということになるわけでありますが、資金の全国調整機能の創設で、補助から貸し付けに変わるわけであります。東北各県は、こういう面からしますと返納や実績減というふうなデメリットがありますので、大変に困るわけであります、自主納付というのは、文字どおり全く自主納付でありまして、返さなくてもいいなんというごとは公的な席では言われないでしょうけれども、大変困っているというのが実情でありますので、この点はどのようなお考えを持っておるでしょうか。
  129. 関谷俊作

    関谷政府委員 自主納付につきましては、先生のお尋ねの中にございましたように、文字どおり自主納付でございまして、各県の御理解に基づいて財政資金の効率的な利用に御協力いただく、こういう趣旨で今回の改正で自主納付の道を開いたわけでございます。  これは、私どもとしましては、従来各県の特別会計の中に繰越額というか剰余金的に、簡単に言えば資金が活用されないまま残っている部分を、何とか自主納付ということで御協力いただく、こういうことで、全国的には十六億円を少し超えますくらいの自主納付の見込みを計上いたしておるわけでございます。  いずれにしましても、各県としてはむしろこの際こういう線に御協力をいただいて国に納付いただいて、まさに今度の改正のねらいでございます特別会計におきます資金調整によりまして、また改めて県の資金所要額については国から新しい制度の貸付額として処理する、こういうような、まさに国と県が両者一体となりました資金の効率的利用ということで何とか御協力いただきたいということでございますので、地域的には先生お尋ねのような事態にございますが、反面、私どもそれぞれの地域での資金需要については今後とも十分対応する、むしろそのためにこそこういう資金調整に御協力いただく、こういうことで、十分留意しながら指導してまいりたいと考えております。
  130. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 最後に、大臣にお尋ねしたいと思います。  先ほど、食糧庁の士気を鼓舞するために大臣に特段の管理行政についての御決意をお伺いしたはずなんですけれども、これもちょっと聞き漏らした部面がありますので、人員の整理、予算の削減、こういうものに対して、大臣がこれ以上とにかく食糧庁の圧縮、こういったものに対しては強い決意で臨むという決意をお聞かせ願いたいと思います。  それから、あわせてお伺いしたいと思うのですが、政府の農政の基本というものは、私は、日本農業規模拡大によってコスト減をしながら、ECに追いつきECを追い越せ、こういうことによって、農基法以降、農業保護論などいろいろある中でも、曲がりなりにも政策的な補助による事業と政策融資によって中核農家づくりというものをやられてきたのだろうというふうに思うわけでございます。  それで、政府の目標どおりになかなか進まないということも現実でございますけれども、それは目標に至る構造改革の中で、何といいましても規模拡大をした後の余剰労働力をそれぞれの地域でどう受けとめるかという、生活を保障する面というものが極めて弱いというところに原因があるのではないか。政策遂行の最も障害になっておりますのが、結果的には小農切り捨てということにつながっておるという問題でございます。ここから、いわゆる一般的な二兼農家が極めて多いという稲作農家現状の中では、農政不信というものが醸し出されてくるのは私はよく理解できるわけであります。  大臣は基本農政というものをここら辺で真剣に練り直すお考えはないのか。二兼農家という一般的な農家にもう一度光を当てていく。日本農業というものはアメリカの農業や他国の農業とは違うのだ、現実に営々孜々として働いておる、農業収入が減る分を必死に農外収入で支えていこうという二兼農家中心に、農業を再編成していくというお考えというのがどうしても必要だろうと思うわけであります。  日本農業を再建し、日本人の食糧は今後すべて日本農家がつくっていかなければいけない、そういう時代がもうすぐそこにやってきておるわけでありますので、安全でしかも価格が安くて質のいいものを消費者に提供するということに全力を尽くすということはもちろんでございますが、そのためには、今申し上げました一般の二兼農家、ここを中核にしながら、今までの日本の農政、中核農家をつくっていかなければいけない、そういう点での軌道修正をしていく時期ではないか、こんなふうに私は思っておるわけであります。  今回の金融三法は、あくまでも今までの路線を何とかして突っ走ろうという傾向がございまして、私はそのために多くの小農の皆さん方が置き去りにされる危険を持っているというように考えるので、大臣の今後に臨む基本的なお考え、このことをお聞きしたいと思うわけであります。  先ほどの食糧庁の士気を鼓舞するという点と二つの点を最後にお伺いしたいと思うわけであります。
  131. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたしますが、最初に士気を鼓舞するということでございます。これは先ほどちょっと申したようなことでございますが、人員、予算ともに改善合理化を図っていますが、食管制度の円滑な運営に必要な人員、予算は確保していきたいと考えております。  それから、先ほどの件でございますが、実は零細小規模農家の切り捨てではないかということでございます。これはもう先生御存じだと思いますが、今回の改正による生産方式の改善についても、先駆的、モデル的なものであることとしておるので、借り受け者についても技術上、経営上の能力と意欲を有することが必要であると考えております。  そんなことでございまして、このような能力と意欲を有する者は、通常、農業に主として従事し、規模拡大土地の効率的利用を志向する中核的な担い手になり得るものであると考えております。そんなことで、実は零細小規模農家につきましては、地域ぐるみで抱えて、そして農業をしていく、こんなことでございまして、毛頭切り捨ては考えておりません、
  132. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これで質問を終わりますけれども、これから構造政策考える場合に、欠落しておる部分というのは、大型農家をつくった反面、そこで余った労働人口といいますか労力を、農業内なり農外なり、その地域にとどめてどこに就労させるか、その構造的な部分というのがどうしても弱いということを指摘されておるわけであります。  今のような工場誘致、農村工業の誘導、そういう手法だけではなかなかできない。東北の場合は白河の関を越えられないという状況であります。秋田や青森、山形、岩手というあそこら辺まできちっと、男子型企業といいますか、出稼ぎをしなくともそこで働ける、ある程度の一定の収入を得られるということであれば、今の政府の政策というのは肯定することができると思います。そこら辺の問題が欠落しておる。したがって、そこがなしに今のような金融三法をいかに推進しても、私はどうしても疑問をぬぐい得ないのであります。  どうかその点、大臣も我々も一緒になって真剣に取り組んでいきたいと思いますし、政府としてもその点の御努力をお願いしたいことを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  133. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  134. 今井勇

    今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の各案に対する審査を続行いたします。  本日は、各案審査のため、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事櫻井誠君、全国漁業協同組合連合会副会長池尻文二君、農林中央金庫専務理事赤羽昭二君及び全国森林組合連合会会長喜多正治君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、各条につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げますが、櫻井参考人、池尻参考人、赤羽参考人、喜多参考人の順序で、お一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、櫻井参考人にお願いいたします。
  135. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 全国農協中央会の櫻井でございます。  金融三法の改正法案の審議に当たりまして若干意見を申し上げたいと思うわけであります。  御承知のとおり、系統農協におきましては五十七年の全国大会におきましてこれからの農業振興方策というものを策定し、現在実践をいたしておりますが、その重点といたしましては、特に地域営農集団の育成あるいは土地利用型作目、稲作におきましてのコストの二割低減、あるいは農協全体で中期的な見通しを持ちまして地域農業振興を図ります地域農業振興計画の策定、実践、あるいは主要な農産物につきまして農家、農協の生産意向を積み上げまして需給の計画化に資したいということで、全国生産販売計画の策定というふうな仕事を進めてまいっております。若干は前進をしつつある、こういうぐあいにみずから評価をいたしておるわけでありますが、一九八五年になりまして、さらに五年後を展望しながらこれからの農業、農村の振興をどうやって図るかということで、現在、ことしの秋の三年に一回の大会を控えまして作業を進めておるところでございます。  一つの大きな課題として考えられますのは、特に輸入農産物が増加をしてまいっております。そういう中で穀物食糧の消費が停滞をしておる。また、国民の農産物の消費志向もだんだん変わってまいりまして、健康、安全、あるいは本物、手づくり志向というふうなものも高まってきておるわけであります。となりますと、第一番の課題は、良質な農産物を低コストで、しかも計画生産をやって供給をし、国内農産物の消費を拡大するということではないかと考えております。  二番目の重点課題は、特に地域内の諸資源、具体的には労働力、土地、機械、施設、それらの資源につきましての有効利用が現在図られていない、農地の遊休化も進んでおる、機械、施設効率利用も図られていないというふうな現状がございます。また、農業経営を見ましても、自分の経営条件に合わない形で農業経営を無理してやるという面もございますので、地域の諸資源を有効に活用いたしまして、経営条件に適合した農業経営の確立を図りたい。  それから、三番目の重点課題として考えておりますのは、労働力の高齢化あるいは定年時帰農者が増加をする、若者が余りいない、あるいは過疎地域拡大をする、こういうことでございまして、一般的に農村の活力が低下をしておるのではないか。いかにして農村社会の活力を向上させまして人間連帯の農村社会をつくるかというふうな重点課題、以上三つぐらいを現在考えまして作業を進めております。  では、具体的にどういう点に力点を置いて方策を考えておるかということでございますが、一つは、水田農業の複合化を推進をしたいということでございます。特に営農集団によります複合、あるいは畜産農家、耕種農家との地域複合、こういったものを促進をいたしまして、水田におきます転作作目の経営観点から見ました定着化を図っていきたいということでございます。  それから畜産関係におきましては、特に林野の利用拡大によります子牛の生産費のダウンあるいは飼料作物の増大、肉牛の地域内での生産一貫体制の確立あるいは適正な規模によります畜産経営の健全化。  また、園芸におきましては、品目、品種の複合を推進いたします団地あるいは経営の確立というふうなことも考えていきたい。特に園芸におきましては品質の向上、それからコスト低下が大事ではないかと考えておるわけであります。  それからもう一点は、系統農協全体として農産物の需給調整対策、計画生産を進めてまいるわけでありますけれども、アウトサイダーに対する規制といいますか、これが極めて大事である。今回の果振法改正で若干そういう面も出てきておるわけでありますが、これにつきましては海外から入ってまいります農産物との需給調整とあわせ、今申し上げましたアウトサイダー対策も大事ではないかと考えております。  それから、もう一点は、活力ある農村地域社会をつくるということでございますが、このためには基盤整備あるいは生活環境整備、さらには地域の特産物の開発、農産物の加工推進、また地域産業を興しまして就業の場を確保する、それから若い人材を育成をし確保しよう、さらには都市と農村の交流をもっと深めたいというふうなことで、現在農協として具体的に実施をいたします方策につきましての検討を進めておるところでございます。  今申し上げましたような今後の農業、農村振興の重点課題に対応いたしまして、国の政策もまた制度金融におきましても役割が確保され、前進をさせていかなければいかぬ、こういうふうに考えるわけでございますが、特にこれまで公庫資金につきましては、基盤整備中心にいたしまして長期低利融資を図っていく、また近代化資金につきましては、経営の安定向上あるいは運転資金供給等で役割を果たしてきたのではないか。それから農業改良資金につきましては、新しい技術の導入等につきまして農家がこれを積極的に導入をするということで、それぞれ三つの制度金融は役割を果たしてきたというふうに考えるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような今後の重点課題に沿いまして、さらに一層の前進が確保されなければならぬ、こんなふうに考えておるわけでございます。  そこで、まず今回の法改正でございますが、第一点の農林漁業金融公庫法改正の問題でございます。  これにつきましては、貸付金利見直しの問題あるいは総合施設資金対象範囲拡大あるいは三・五%資金の一部五%資金への引き上げとか、あるいは加工開発資金の創設というふうなものが提起をされておるわけでありますけれども、本来公庫資金は、先ほど申し上げましたように基盤整備中心長期低利資金を供給する、こういうのが使命でございまして、私どもは三・五%資金がどうなるかということでこれまで要請もし、その後の経過も注目をいたしておったわけでありますけれども、三・五%資金につきましては、その大部分が維持確保されたという点につきましては評価ができるのではないか、ただ、一部三・五%資金の五%資金への格上げといいますか、そういう点があったのは残念なことではなかろうか、こんなふうに考えるわけであります。  第二番目の農業近代化資金改正でございますが、四十八年以来、今回初めて二倍に貸付限度引き上げられる、あるいは五%の特別利率によりますところの地域農業総合整備資金が創設をされる、あるいは情報関係施設につきまして貸付対象範囲拡大をされる、あるいは肥育牛の購入育成資金につきまして償還期限が延長をされるというふうなことは、これまで私どもが政府の方に要望をしてまいった点でございますので、それが実現しておるということで積極的な評価をいたしておるところでございます。  それから改良資金につきましては、資金の全国プールによりまして地域間の需給のアンバラを是正しようというふうなこと、あるいは最近の状態に即応しまして新しい合理的な生産方式を積極的に導入しよう、あるいは小作料の一括前払いを助長いたしまして農地の流動化に資そうということ、あるいは資金枠の拡大、こういう点から農家の要望に沿ったものと評価ができるのではないかと考えておるわけであります。  以上、三法につきまして総括的に申し上げました。厳しい財政事情の中で総体的には評価ができるというふうに考えるわけでありますけれども、依然として利子補給の抑制を図るという財政の圧力も強いと考えておるわけでありまして、形の上では融資重点化あるいは改善という点が見られても、実質的に貸付枠等で後退をしては意味がないのではないかということでございますので、より一層実質的に充実をするということで政府におきましても努力をしていただきたいと考えるわけであります。  そこで、今後検討すべき問題として二、三申し上げたいわけであります。  先ほど申し上げましたように、輸入農産物がふえてくる、農産物価格の変動が極めて激しい、あるいは不作が続いた、こういうようなところでいかにして農家経営を安定させるかが大事であります。単に規模拡大を図ればいいというだけでなくて、現在の拡大されました経営を安定的に維持発展させる、これが極めて大事ではないかと考えておるわけでございまして、系統農協として、地域の複合あるいは個別経営の複合、集団複合といったものを推進してまいりたいと考えておるわけでございます。制度金融の面におきましても農業経営が安定的に発展できるような、もうちょっと具体的に申し上げますと、規模拡大後の経営におきまして、各作目を含みます総合的な経営安定資金というふうなものを考えられていいのではないか、こう思っておるわけであります。  それから二番目は、先ほど申し上げました農村地域活性化を図る一つの手段として農産加工振興を図りたい。これは農協みずからも積極的に取り組みをいたしていくわけでありますけれども、特に地域内で生産されます農林水産物につきまして、地場の産業が私どもの農産物を加工するという場合に、系統資金を原資とする何らかの融資制度といったものがあってもいいのではないかと考えておるところでございます。  三番目に、現在一番大きく問題になっておりますのが農家の負債問題であります。全般的に畜産経営において問題になっておりますけれども、単に畜産経営だけでなくて、ほかの耕種農業経営におきましても問題になりつつあると考えておるわけでございまして、系統農協といたしましてこれからの大きな課題は、これまで無理な規模拡大によって経営の破綻が出てきたという点もございますので、適正規模での経営拡大農家経営管理能力向上のための指導、簿記の記帳の徹底、こういった点に力を注いでまいりたい。また、営農指導体制の面では、単に営農指導部門だけで指導するのではなくて、各事業部門との連携によります総合指導が必要ではないか。それから、作目に応じまして生産から販売までを一貫的に組合員のお世話、対応ができるような、作目別の指導担当部署を確立していくということで、固定化負債が出ないような対策をまず考えていかなければならぬということでございますが、既に固定化負債が出てしまっておる経営も現に相当あるわけでございますので、これにつきましては、各農協において農家の負債実態調査を進めまして、再建計画の樹立、実践指導に当たってまいりたい。特に県段階、全国段階に協議会あるいは本部を設置いたしてこの問題に本格的に取り組みをいたしたいと考えておるところでございます。  したがいまして、国におきましても、特に公庫資金の中の自作農維持資金で再建整備資金があるわけでございますけれども、これについてはさらに枠の拡充をお願いしたいと考えております、つい最近も肉用牛につきまして、三月末に農協系統原資の経営合理化、負債整理の合理化資金の創設もあったわけでございますが、全般的にこの負債対策についての国の援助をお願いしたいと考えておるところでございます。  関連いたしまして、農業信用基金協会あるいは全国の信用保険協会の代位弁済や保険金の支払いが先ほどの固定化負債と関連して急激にふえておりまして、それぞれの基金協会、保険協会で非常に苦労いたしておるところでございますが、基金あるいは準備金の造成について、系統自体も努力してまいりますけれども、政府においてもさらに積極的な支援をお願いしたいと考えておるとろでございます。  以上、かいつまんで私の意見を申し上げさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
  136. 今井勇

    今井委員長 ありがとうございました。  次に、池尻参考人にお願いいたします。
  137. 池尻文二

    ○池尻参考人 池尻でございます。  与えられたテーマの公述に先立ちまして、冒頭に、現在我が国漁業が直面しております現状と課題について若干の所見を述べさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、昨今の日ソ、日米間の漁業問題は、ここに参りまして極めて困難な問題をはらむようになってまいりました。二百海里体制に入り足かけ八年になるわけでありますけれども、これが二百海里の問題の本質といえばそれまでですけれども、我が国遠洋漁業はあすの運命がどうなるかわからないという新たな性格のリスクを背負いながら漁業をせざるを得ないという厳しい状態に直面しておるわけであります。  お手元の公述内容のとおり、我が国漁業にとりまして、石油ショックあるいは二百海里は確かに非常に歴史的な大事件でございました、それでは、このショックが到来までの漁業状態はどうであったかと申しますと、昭和四十年代、つまり日本漁業拡大発展を遂げた時代、世界第一の漁業国への足取りを開始した時代でございますが、その当時、全体として、利用できる資源に対して漁獲努力量が既に過剰になっておりました。逆に申し上げますと、単位漁獲努力量当たりの漁獲量はどの漁業でも確実に低下をし、航海日数が長期化して釣獲率は落ちつつあったわけであります。  この時代には、御案内のとおり漁業金融制度がよく整備され、資金も潤沢でございましたので、漁船の大型化あるいは装備の増強が競争で行われ、漁業者は負債率の上昇でみずからの体質を弱くしつつあったわけであります。したがいまして、本来ならば今言われております生産構造の再編成というテーマ、この時期に減船等を中心とする構造の再編対策というものが私どもの手によって打たれるべきであったわけでございますが、残念ながら当時は高度経済成長時代でございまして、魚価が極めて堅調であったことから、漁業者にとって事態を切実なものとして受けとめないまま、いわゆる漁業の性格がエネルギー資源の多消費型構造のまま、そこに石油ショック、二百海里という大きな重圧が加わって現在の経営を非常に困難にしているという見方が正しいのではないかと思います。そして、この経営危機の打開策としまして、要するに金融対策が主軸の役割を担い、経営維持安定資金あるいは燃油対策資金あるいは国際規制関連の資金等の緊急制度資金措置によりまして、何とか破綻を食いとめてきたのが今日までの漁業実態であろうと思います。  このような現状に対しまして、私どもは、去る五十八年十一月、第一回の全国漁協大会を開きました。第一回と、まだ漁協大会というのは開いてなかったのかと疑問に考える方がありましたけれども、従来は臨時にたびたび漁協大会をやっておりましたが、今後私どもも全中、農協系統に倣いまして、テーマを決めて決議をしてもそれが決議のしっ放しに終わるという過去の戒めの上に立ちまして、この決議を踏まえながら、三カ年でどれだけの実行を示すかということをひとつ決議して、同時に実行というものに尺度を合わせて今後の漁民運動を進めようではないか、そういう意味で第一回としたわけであります。  そのときに、当然私どももこの事態の打開のために、例えば共同意識の高揚とか資源、漁場の自主的な管理、あるいは漁民みずからによって漁業の再建、再構築を図る、あるいは漁民の負託にこたえる漁業協同組合組織の整備、そういういわゆる自己努力というものを大前提にいたしまして、政府に対しましては、いろいろ問題はございますけれども、例えば、そこに書いてございますように、漁業に対する基本政策をひとつ確立してほしい、あるいは漁業経営の維持安定に資するような条件の整備をしてほしい、そして第三番目には組織みずからの整備と漁村環境整備あるいは漁村福祉の充実、こういうテーマを要望して今日に至っておるわけでございます。  そういうような前提に立ちまして、ただいま上程をされております漁業近代化資金助成法並びに農林漁業金融公庫法改正の問題に触れさせていただきたいと思います。  まず、漁業近代化資金制度でございますが、農業近代化資金におくれること八年で私ども漁業近代化資金昭和四十四年に発足いたしまして、今日まで続いておるわけでございます。しかし、貸し出しの過去の実績を見てまいりますと、昭和五十四年がピーク時でございまして、千五十六億円がピークでございましたが、次第次第にこれが後退いたしてまいりまして、五十八年には六百四十五億というところに低迷いたしております。この原因は、そこにも書いておきましたけれども漁業経営の悪化による設備投資意欲の減退によるところが非常に大きいわけでございまして、一方、四十九年度の基本制度改正以来既に十年の月日を経過し、この間、漁船の長期間の使用あるいは漁船建造費等事業費の大幅な高騰、それから漁船の大型化、新測度法が施行されまして見かけのトン数がアップしてまいったわけでございますが、そういうふうに漁業及び制度を取り巻く情勢が大きく変化をしてまいりました。したがいまして、当然にこれらの情勢対応した制度改善を私ども系統組織としてはお願いしてまいったわけでございます。  このたびの融資対象漁船のトン数の限度の引き上げ、あるいは貸付限度引き上げ、さらには漁船の償還期限の延長等を内容とする改正案は、私どもの要望の線に沿ったものでありまして、ぜひともこれが確実に実施されますように諸先生方の御努力にすがりたいと考えておる次第でございます。  なお、この件につきましては二つばかり要望があるわけでございまして、今申し上げました新測度法により代船建造がこれから進んでまいるわけでございますが、新法のもとでは現行で規制されておりますトン数よりすべての漁船が大きくなるわけでございます。しかもそれが漁業種類ごとにいろいろ異なるわけでございますので、将来全部の船が新しい法体系のもとで代船建造が行われましたときには、ぜひともまたもう一遍このトン数の上限の問題というのを見直していただきたいという希望を持っておるわけであります。  それからもう一つは、いわゆる明年度の予算に活力ある漁村の形成を図るためのいろいろの予算措置がなされておりますが、その中に地域漁業総合整備資金制度というものが予定されております。この問題につきましては、いわゆる近代化資金を活用するわけでございますが、私どもも、漁村の活性化、我が国の周辺漁場の整備、資源管理型漁業の展開あるいは栽培漁業の普遍的な展開、計画営為の推進、そういったものの一つの大きな柱をなす金融制度でございますので、ぜひとも将来これが十分芽生えますように諸先生方のお見守りをお願い申し上げる次第でございます。  それから公庫資金でございますがこの金利につきましては、三分五厘資金がアップされておるわけでございまするけれども、当局の非常な配慮によりまして、水産関係では実際的には現行金利がおおむね維持されておりまするので、この点につきましては厚く御礼を申し上げる次第でございます。  一般的に申し上げまして、確かに農業林業が基盤整備資金が非常に多いわけで、私ども漁業、水産の関係では、いわゆる漁船設備、そういった企業性のある投資がありますために、農林業関係金利と比べて漁業金利が高くなっておるわけでございます。この点につきまして全国の漁業者からたびたび不平が漏らされるわけでございますが、先ほども申し上げましたように漁業経営が非常に難渋をきわめており、また日本漁業が再構築を迫られておる時期でもございまするので、将来ともこの金利の負担の軽減に関しましては十分おこたえをしていただきたいと考える次第でございます。  それから、関連をいたしまして大事な点を三点ばかり簡単に申し上げますが、一つは漁業の再編成に関する展望、指針の必要性ということでございます。  先ほど申し上げましたように、漁業の再構築のために、減船を中心とするいわゆる漁獲努力の削減ということが日本漁業にとって避けて通れない問題でございます。現在は遠洋カツオ・マグロあるいは一部のイカ釣り漁業というものがそれを緒につかしただけでございまして、これから近海カツオ・マグロあるいは日本海のマスはえ縄あるいは底びき、あるいは千葉県、静岡県その他のサバのたもすくい、そういったところまで拡充されんとしておりますが、これはなかなか絵に描いたようにいかないわけでございまして、そこにも書いておきましたが、いわゆる共補償という方式でこの構造再編を遂げようとしましても、残る漁業者に非常に負担力が少ないという実態がございまするし、それから同一漁獲対象でいろいろ漁業の許可の種類が分かれておるという問題がございまして、そういう業種間の調整というのが一層困難でございます。例えば千葉のたもすくいのような例を申し上げますと、そのこと自体の合理化あるいは再建案を立ててみましても、問題となっておりますまき網との資源の分配の問題を放置してはなかなかいかないという問題等がございます。そういうふうにいろいろと問題を包蔵しておりまするので、この問題につきましては政府の方でも総合的にいろいろな対策を考えて、再編が進みやすいようにひとつバックアップをしていただきたい、かように考えております。  それから、後刻いろいろ質問があると思いますが、いわゆる不振漁協の対策でございます。  漁協信用事業整備強化対策と銘打っておりますけれども、この中身は不振漁協対策でございます。この不振漁協対策で注目したいのは、終戦後、昭和二十六年に再建整備法、昭和二十八年に連合会を含めての整備促進法、三十五年に漁協整備促進法、四十二年に合併助成法と、一連の再建対策の法律を経過してきたわけでございますが、その当時なぜ再建しなければならなかったかという内容は、御案内のとおり経済の大きな変動にあります。例えば、終戦後、魚の統制が解除になりまして雨後のタケノコのごとく魚を扱う人が非常にふえたわけでございますが、その後雲散霧消してしまって、魚の販売代金が押しなべて固定化債権として漁協系統に残された。そういう大きな経済変動によって生じたものの再建をどうするかということが私ども系統組織のテーマでございました。  二十八年の整促法しかり、三十五年の漁協整備促進法もしかりであったわけですが、今日の時代の一つの特色は、先ほど申し上げました二百海里あるいは石油ショック、そういうようなことの漁業経営へのしわ寄せと申しますか、それを端的に漁協が背負って再建をしなければならないというところが大きな特色ではないかと思います。つまり、Aという、あるいはBという特定の漁業者の再建のしわ寄せが漁協に来ておるものですから、漁業協同組合の組合員が本当に一致した協力の意思を持たなければ、増資をしろ、あるいはその他の協力をしろと言いましても、そこはなかなかひっかかるところが出てまいります。したがって、今日の漁業経営のしわを漁協が受けておるけれども、これを解決しなければやがては我々の経営も困るというような連帯の意識を深めて、自主努力と申しますかそういうところへ持っていって、国、都道府県あるいは系統団体等の援助によってこれを再建させなければならないのではないか、このところが一つ大きな特色でございますので、私ども組織も十分努力をしたいと思いますけれども、そういう観点に立ちました政府の適切な指導を私ども期待するわけでございます。  最後の問題といたしまして中小漁業融資保証保険制度の収支改善の問題がありますが、これはそこに述べてあるとおりで、非常に代弁がふえてまいりまして、中央漁業信用基金の保険収支が急速に悪化をしております。私どももこの強化のためには協力をしなければならないと思いますが、本来この制度というものは国が前面に出て支えなければならない本質を持っております関係上、この問題につきましても、同制度が有効に機能するように期待をいたしたいと思う次第でございます。  なおいろいろ申したいことがございますけれども、時間が参りましたので、私の公述を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  138. 今井勇

    今井委員長 ありがとうございました。  次に、赤羽参考人にお願いいたします。
  139. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 私、農林中央金庫の赤羽でございます。  委員長の御指名に従いまして、農林漁業系統金融の現状制度金融の課題といったような点を中心といたしまして私の意見を申し上げ、御参考に供したいと存じます。  諸先生には常日ごろ農林漁業系統金融につきまして格別の御指導をいただいております。この機会に厚く御礼申し上げます。  農林漁業をめぐる情勢は、御案内のとおりでございまして、農林水産物の消費の鈍化、価格の低迷、生産の伸び悩み、緊迫する国際経済関係等、大変厳しい情勢が続いておりますが、皆様の御支援、御指導を賜りながら、系統諸団体は、これらの情勢に対処すべく鋭意取り組んでまいってきたところでございます。  私ども系統信用事業部門といたしましても、金融面からでき得る限りの対応を行ってまいりました。その間、長期低利制度金融が果たしてきた役割は大きなものがございましたが、今後もますますその重要性が加わってくるものと確信しております。したがいまして、このような情勢の中で、今般制度金融見直しが行われますことの意義は、まことに大きなものがあると存じます。  初めに系統金融の現状について申し上げたいと存じますが、まず農協系統金融について申し上げ、次いで漁協系統金融について申し上げます。  我が国の農業、農村向けの貸し出しは、五十九年三月末現在約十七兆四千億円となっております。このうち系統資金がどの程度分担しているかと申しますと、七五%に当たる十二兆円強ということでございます。また、農林漁業金融公庫が約三兆六千億円貸し出しておりまして、そのうち系統機関が約七割を受託しておりますので、それを合わせますと、我が国の農業、農村向け貸し出しの約九割が系統金融機関の窓口を通して貸し出されているという状況でございます。  このように、農業、農村向けの貸し出しを系統金融機関が積極的に担当してまいりましたが、近年低成長経済の定着、農業、農村をめぐります諸条件の悪化、あるいは他の金融機関との競争激化といったような事情によりまして、農協系統の貸し出しの伸びは全体的に鈍化してまいっております。その結果、農協の貯貸率、すなわち貯金に対します貸し出しの割合も低下の傾向を示しております。  私どもといたしましても、系統資金農業、農村の振興に活用するという観点から営農ローン、住宅ローン、あるいは教育ローンなどといった全国統一型の簡便な融資の仕組みの開発普及、地場の事業資金への対応などに努力してまいりましたし、全国的な規模で農協融資基盤確立運動というものも展開しているところでございます。また信連、農林中金におきましても、こういった事業の企画、推進を積極的に支援する、あるいはみずからも農業関連産業、公共貸し出し等それぞれの組織にふさわしい融資拡充に取り組んでいるところでございます。  次に、漁協系統金融でございますが、我が国の漁業向けの貸し出しは五十九年三月末で約三兆円となっております。このうち半分の約一兆五千億円を漁業系統が分担しておりまして、農林漁業金融公庫資金の受託分と合わせますと、約六割が系統金融機関の窓口を通して貸し出されているということになります、  漁協系統金融におきましても、漁業をめぐる諸条件の悪化等によりまして、貸し出しの伸びが近年鈍化してまいっております。貯貸率の水準は農協系統よりも高こうございますが、農協系統同様に年々低下しているといった状況でございます。  このような事情は、系統資金を原資といたしております農業近代化資金漁業近代化資金の貸し出しにもあらわれておりまして、農業近代化資金融資残高は五十七年度以降、漁業近代化資金は五十六年度以降、毎年前年実績を下回る状態が続いております。  この主な要因といたしましては、機械設備等の投資が一巡したこと、あるいは農業漁業をめぐる諸条件悪化の中で農家や漁家の設備投資が低迷していること等が考えられるわけでありますが、厳しい環境条件下にありましても、近代化等の前向き投資は伸長させる必要がございますので、制度自体にも検討を加え、その活性化を図る必要があるのではないかということで、私どもといたしましても種々検討を重ね、御要請申し上げてまいったところでございます。  今回考えられております農業及び漁業近代化資金制度改正内容は、貸付限度金額引き上げ地域農業漁業総合整備資金の創設、貸付対象漁船のトン数の引き上げ農業漁業生産管理情報処理機具等、貸付対象範囲拡大、肥育牛購入育成資金の償還条件の改善などとなっておりますが、いずれも私どもの要請の線に沿ったものでございます。  本委員会に付託されております農業漁業近代化資金に関する改正法律案内容であります貸付限度額につきましては、農業は四十八年、漁業は四十九年の改正以来据え置かれてまいりましたが、この間、生産資材価格や漁船価格がかなり上昇いたしておりますし、経営規模や漁船の大型化が進む、あるいは農協合併が進行する等、当時に比べまして情勢が大きく変わっておりますので、系統といたしましてもその引き上げ方を強く要請してまいったものでございますので、政令以下の段階の制度改正も含めまして、なるべく速やかに実現いたしますよう切にお願い申し上げる次第でございます。  なお、農林漁業金融公庫資金の整理統合、貸付条件見直し等につきましては、厳しい財政事情下における行財政改革が推進されている中で、政府、特に農林水産省におかれて最大限の御尽力をしていただいたものであるとは存じておりますが、農林水産業をめぐる諸情勢が厳しさを増している折からでございますので、今後とも農林漁業者の負担がふえるといったことがございませんよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。  また、公庫資金民間金融機関が融通困難なものを補完するという本来の趣旨にのっとって運用されますよう特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上申し上げてまいりましたことに関連いたしまして、逐年充実してきておりますところの系統資金が、地域農林漁業振興と、これを支える農山漁村の活性化に一層活用されやすくなるよう制度面についても引き続き御検討をお願いいたしますとともに、資金の円滑な融通を担保する信用保証保険制度充実強化されますよう御検討賜りますことを切望いたしまして、私の意見開陳を終わりたいと存じます。(拍手)
  140. 今井勇

    今井委員長 ありがとうございました。  次に、喜多参考人にお願いいたします。
  141. 喜多正治

    ○喜多参考人 御指名をいただきました全国森林組合連合会の喜多でございます。  常日ごろ諸先生には、私ども林業振興のために格段の御配慮をちょうだいいたしております。この機会をかりまして、まずもって厚くお礼を申し上げたいと存じます。  私ども林業者は、戦後のあの荒廃した中から営々として森林を植え育ててまいったものでございます。その結果、本来の木材の供給はもとよりのことでございますが、国土の保全、特に水資源の涵養等々の公益的な面でいろいろ国のお役に立ったというふうに私どもは信じております。国民経済もこうした一連の山の関係もありまして大きく伸び、生活も非常に向上してまいった、一般に最低そういう認め方はくだすっておるものだろうと私は思っておるのでありますが、最近は非常に厳しい情勢になりました。  御案内のように、数年来木材価格がずっと低下し続けております。それにもかかわらず、木材を生産いたしますための労賃、資材はもう値上がりする一方でございます。このギャップを一体どうすればいいのか、この点が私どもの悩みの最たるものでございます。このまま推移いたしますならば、多大の費用と労力をつぎ込んでまいりました日本の山が放置され、荒廃し、優良な木材の生産がだんだんしにくくなるというふうな心配がございます。同時に、公益的な森林の使命というものが十分達成されにくいということにもなりかねないのでございます。  特に、戦後造林をいたしました一千万ヘクタールという面積の造林でございますが、これが一体どうなるのか。今その九〇%はまだ三十五年生以下のいわば若木でございます。こうした若木は今後相当の期間、保育、間伐等々のためにかなりな経費を出さなくてはいけません、これは経費の出しっ放しでありまして、すぐには返ってきません。返ってくるのはかなり先のことでありまして、その間は経費の出しっ放し。とてもじゃないが、苦しい状態の極限にまで追い込まれようとしておるのが実情でございます。  私どもは、この現状を打開するために、まず木材需要拡大を何とかして図る、同時に木材供給の側の調整もまた考えなくちゃならない、これはもう当然のことでございます。あわせて林道その他の生産基盤を整備する、あるいはまた木材の流通加工体制を合理化する、こういったことが当然必要になってまいりますが、我々はそう人頼りばかりではいけません。まず第一番に自主的に林業経営近代化して、できるだけこうした情勢に負けないように頑張らなくちゃいかぬ。必死になってやっているのが現状でございます。  林業には御案内のように莫大なお金が要りますが、これは何と申しましても農林漁業金融公庫資金さらにまた農林中央金庫の資金、こういった機関によりまして融資を受ける、これが一番の問題点でございまして、私どもはこれが金融の非常に重要な源だというふうに考えております。このたび、こうした林業情勢の中で公庫法改正をされるということでございますが、私どもは非常に重大な関心を持って見守っております。  今回の公庫法改正につきましては、一部金利引き上げ、また低利融資、特に三分五厘融資、これらにつきましての重点的な見直しといった厳しい面が見られることは事実でございます。これにつきましては私ども意見なきにしもあらずです。しかしながら、総括的に申し上げますれば、これは森林林業情勢の将来の進展を見ながら、新しい林政の展開方向に対応しての再編成というふうにも考えられると思うわけでございまして、私どもがかねてから要望した事項もこの中に織り込まれておることもまた事実でございますので、基本的には私は今度の公庫法改正につきましては評価できる内容になっておると申さざるを得ないと思います。  具体的に若干申し上げますと、制度改善充実面では、林業者経営体質の改善強化に資するため、林業経営改善資金貸付対象としての林業経営の複合化に必要な施設追加等々の措置が講ぜられようとしております。  さらにまた、制度整理合理化につきましていろいろ考えられておるのでありまするが、その林地取得資金につきまして、森林施業計画認定者に対しては三分五厘資金を、その他の者には五分資金を、こういうふうに峻別されております。これはやや厳しいように思われますけれども、これも制度の趣旨に照らして考えてみますとやむを得ないものではないかというふうに考えます。  さらに、構造改善事業でございまするが、農業さらにまた漁業、これを一元化いたしまして農林漁業構造改善事業推進資金、こういうことで取り扱いをされることになったようでございます。これは林構事業の要するに円滑な運用という面からいってやむを得ないことではないか、むしろある意味では適切な措置ではないかとさえ考えるのでございます。  我々林業関係者は、近年のこうした森林林業を取り巻いておりまする非常に厳しい情勢のもとで全力を挙げて事態の打開に努力しておるのでございます。先ほども申し上げましたように、自立体制、自分のことは自分で助けて、自分でやらなくちゃいけない、これはもう当然であります。そのつもりでやっておるのでありますけれども、このような自助努力のみでは、残念ながら今の情勢ではおのずから限度がございます。到底それだけでやっていけるものじゃございません、厳しい財政事情の折ではございますけれども日本林業の将来のために、特に森林として日本の各方面に公益的な面で裨益ができまするように、その公益性の発揮のためにこうした林業問題につきましては格別な御関心をお持ちいただきまして、特に林業金融制度充実はもとよりのこと、各種の助成策の一層の充実強化に今後とも特段の御配慮を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。  よろしくお願いを申し上げます、ありがとうございました。(拍手)
  142. 今井勇

    今井委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  143. 今井勇

    今井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
  144. 太田誠一

    ○太田委員 きょうは金融三法について、それぞれ参考人の皆様から貴重なお話を伺いましてまことにありがとうございます。  まず櫻井常務にお聞きしたいのですけれども、今、金融三法の改正の前に、規模拡大ということについてきちんとそれを運動目標として位置づけておられるのかどうか。先ほど規模拡大以後の話はされたのですけれども、私の感じておるところでは規模拡大は十分に行われていないし、その施策も十分でないし、いろいろ言われている割に効果は上がっていないというふうに思っているわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  145. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 若干申し忘れて失礼申し上げました。  五十七年の農協大会におきまして農協の農業振興方策を策定し、現在実践をいたしておりますが、この中におきまして規模拡大につきましては、特に土地利用型につきましては集団の場合は二十ヘクタール、それから東日本で個別経営では五ヘクタール、西日本では三ヘクタールくらいをめどにいたしまして規模拡大を図っていきたい、こういう目標を既に持ちまして現在進めております。先ほど私申し上げましたのは、言ってみれば畜産等におきましてせっかちな、経営条件を余り顧みないで無理に規模拡大をして固定化負債を生ずるという例もございますので、適正な規模での規模拡大を図っていく必要がある、同時に拡大をされました後の経営の持続的な発展、安定という面につきまして金融面の配慮も要るのではなかろうかということを申し上げたわけでございます、
  146. 太田誠一

    ○太田委員 まず、今規模拡大というともちろん二つあるわけで、畜産の場合には施設規模拡大でありますし、また土地利用型の農業であればどうやって耕作面積を集中していくかという面積の拡大の問題になると思うわけです。  まず施設拡大ということですけれども、これまでの総合施設資金貸付対象というのが、今言われたような例えば畜産で言えば、肥育牛であれば五十頭から六十頭ぐらいにまで一気に持っていく自立経営農家というものを目指して貸し付けをしておったのだ、それがどうもそうはいかなくなってきたので、段階的に自立経営を目指して拡大する農家も含めるように今度改正をするのだということなんですけれども、実は今日まで特に畜産あるいは酪農の中で、私ども見ている限りでもかなり過大な設備投資が行われて、それが回収できなくて債務がどんどん累積してくるという事実があるのでこのような改正になったのではないかというふうに私は考えております、その点について、このような調整が余りにも遅過ぎて、つまり低利融資を受けようと思えば規模を必要以上に拡大をしなければいけない、そうでなければそもそも融資の道が開かれていないということが、現に起こってきてから是正されるまでの期間というものが余りにも長過ぎたのではないかというふうに私は思っておりますけれども、その辺はいかがでしょうか。櫻井参考人と赤羽参考人にそれぞれお伺いしたい。
  147. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 確かに先生おっしゃられるように、私どもも言ってみれば無理な規模拡大が今回の固定化負債等の事態を生じておるというふうにも考えるわけでございまして、そういう意味では公庫の中の総合施設資金につきまして段階的な規模拡大という面の配慮が今回されたという点で評価ができるといいますか、余りにも遅過ぎたという面もあろうかと思いますけれども、言ってみれば段階融資につきましてはこれまでもそれなりに政府の方で対応をしてこられたと思いますけれども、今回それを法制面で位置づけをするというところに意義があるのではないか、私はこんな感じもいたしております。と同時に、近代化資金の方で私先ほどちょっと申し上げましたのは、ある一定の規模拡大をされた、それも大きな規模拡大、いきなり自立経営の話ではなくて、一定規模拡大をしました後の各作目をとらえてというのではなくて、総合的な経営安定の例えば五%なら五%の特利資金等の、あるいは五・五でもいいわけですが、そういう仕組み方というのも考えていただいていいのじゃないか。現在は、単に規模拡大していけばいいというのじゃなくて、規模拡大をしました後の経営をいかに健全に持続的に発展させるかという面からの後押しも必要だ。規模拡大するための低利融資だけじゃなくて、規模拡大した後の資金措置も要るのではないかということを申し上げました。
  148. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 今先生御指摘のとおり、総合施設資金は四十三年に、自立経営を目指し、規模拡大等を行おうとする農業者に対して必要な資金を総合的に融通するということで創設されたわけでございますが、その後、御指摘のとおり、当初から大きい規模で無理してやったというふうなことで、結果として先生御指摘のようなことがあったかと思います。そういう面では、今回段階的に規模拡大というふうなことで、そういうケースも借入対象ということになったわけでございます。こうでありますと、大体自分の殻に合わせて規模考え、それで投資をやっていく、それで、それが安定したらさらに次の規模拡大ということになるわけでございますので、そういう面では大変適切な措置ではないかというふうに思うわけでございます、  以上でございます。
  149. 太田誠一

    ○太田委員 先ほど貯貸率、普通は預貸率と言うのですけれども、貯貸率の話が出てきたのですけれども、私の地元の福岡県では、福岡県信連の貯貸率はもう一〇%ぐらいに下がってしまいまして、かつてはこれが四〇%、四五%といった時代もあったわけであります。このような状態で、系統の金融機関というものの経営は一体どうなっていくのだろうか、大変情勢は厳しいと思うのですけれども、いかがでしょうか、赤羽参考人。
  150. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 農協、信連、金庫の貯賃率の現状は今先生御指摘のとおりでございまして、農協段階においても需資の低迷により金利の低下の傾向にあるということでございますし、信連なんかにおきましても同様の傾向にあるわけでございまして、系統トータルとしても調達、運用の不均衡ということが拡大しており、大変問題というふうに考えておるところでございます。金融の自由化の進展ということで、競争激化がますます進むわけでございます。そういう意味で、経営収支の均衡を図っていくというためには、御指摘のとおり、貸し出しの伸長ということを図っていくことが大変重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。  そういう意味で、系統としましても、農業金融の的確な対応はもとより、住宅あるいは生活金融等に対しても積極的に取り組むということにしているわけでございまして、組合員農家のメーンとしての役割を十分発揮してまいりたいというふうに存じているところでございます。御指摘のとおり、福岡県信連は一〇%ということでございますが、最近のこういう農業情勢というふうなことで、農業における需資が低迷しているというふうな状況でございますので、勢い預貸率の低下ということが起きていることは事実でございます。  以上でございます。
  151. 太田誠一

    ○太田委員 きょうは一方的に御意見を伺うわけでありますけれども、要は民間の資金と、つまり系統の資金とそれから公庫資金というものは現に競合しているというふうに聞くわけでありまして、民間の資金であります系統の資金がだぶついている状態で、公庫の方の貸付枠を現状のままでとどめておく必要があるのかどうかというところに非常に疑問を持っているわけであります。  例えば、近代化資金に対して利子補給をしているわけでありますが、それは理屈は同じことであって、公庫資金に対しても、これは公庫そのものがどういう役割を果たしているのかわからないけれども、やはり利子補給を一般会計からしているわけでありまして、一般会計の方の負担は、これは民間の資金を使いましても、あるいは公庫資金を使っても同じことだというふうに私は思うわけなのでありますけれども、このような系統の資金とそれから公庫資金との競合ということについてどういうふうにお考えでしょうか、赤羽参考人。
  152. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 公庫資金とそれから系統資金関係でございますが、公庫資金につきましては、いわゆる公庫目的であります「長期且つ低利資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する」ということになっておるわけでございまして、いわゆる基盤整備であるとかいうふうな大変基礎的な資金がこれに該当するわけでございます。それで、系統資金の方は、それ以外の、一定の政策の範囲内でもありますが、長期の設備資金なり何なりについて近代化資金利用していくというふうなことになるわけでございます。したがって、理念的にはかなり整備されているわけでございますが、その資金の具体的なケースについてはいろいろと重複というふうな問題があるわけでございます、したがいまして、やはり民間の資金を大いに活用するというふうなことをひとつ原則的に考えていただきまして、公庫資金は、先ほど申し上げたような目的からそれを大いに補完する、ないしは民間で対応できないものについて大いに使用していただくというふうなことでやっていただければいいのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  153. 太田誠一

    ○太田委員 これに関連することですけれども公庫資金を、さっき受託融資というふうに言いましたかね、公庫資金融資をするのに系統を通じてされるわけですから、そのときに貸出審査といいますか、農業者向けに融資する際の審査はどこがやっているのですか。
  154. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  受託貸し付けという制度と、それから公庫が直接貸し付ける直貸しの制度と両方ございます。したがって、直貸しの場合には公庫みずから審査するわけでございます。それから受託貸し付けの場合には、私どもそれから信連等で受託している機関が審査することになります。それで、それを踏まえてさらに公庫の方でそれを審査する、こういう格好になってございます。
  155. 太田誠一

    ○太田委員 今の二つの、直貸しと受託貸し付けの割合というのはどういうふうになっておりますか。——わからぬですか。わからなければ大ざっぱなところでいいですけれどもね。言ってなかったから申しわけないけれども、大ざっぱなところで。
  156. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  六六・四%ぐらいになってございます。(太田委員「どちらが」と呼ぶ)民間受託でございます。
  157. 太田誠一

    ○太田委員 実質的な貸出審査といいますか、金融機関の役割というのは貸出審査の部門が非常に大きいと思うわけで、原資の調達については公庫の場合は財投の資金を使っているわけでありますから、実質的に貸出審査の方の仕事は系統でやっておって、そして公庫はただ単に右のものを左に移すだけというふうな感じもあるわけでありまして、そうであれば、もっと民間の資金を活用することを考えるべきだ。これは特に農業関係だけではなくて、すべての分野にわたって、民間資金といいますか、民間の金融機関と公の金融機関というのは競合しているわけでありまして、そういう意味でも、これは今後是正さるべきだというふうに私は考えております。  それと同時に、公庫資金そのものも新たな貸付対象を、新規用途事業資金拡大しよう、農産物の新規用途開発あるいは加工原材料用新品種の開発といった方向に資金融資の道を開こうとしているわけでありますけれども、これは従来の系統資金の運用ということと競合することにならないかどうか。新規貸付対象公庫拡大したことが民間の方の融資を圧迫することにならないかという点についてはいかがですか。
  158. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  食品産業向けの融資は、基本的には系統金融機関を含めた、主に民間金融機関が対応するのが通常の姿であろうと思うわけでございますが、今おっしゃった資金については、国産農林水産物加工需要の増進という面で政策性の極めて高いプロジェクトに限定し、また民間金融機関で対応することが困難なものを対象とすることなど、民間金融の補完の本旨にのっとって運用されると聞いているわけでございまして、大筋において御指摘のようなことにはなるまいと考えておるわけでございます。いずれにしましても、本制度の運用に当たりましては、政府の指導のもとで系統と公庫の十分な相互理解と協調が必要であろうと思うわけでございます。  なお、これとは別に系統資金について、今申し上げたような目的に資するように制度資金を含む系統資金の活用方法についてさらにいろいろと検討していただく必要があるのじゃないかとは思っております。
  159. 太田誠一

    ○太田委員 近代化資金内容についても、本来大変巨額の利子補給を行っているわけでありますから、それは我が国の農政のごくごく基本的な方向に合致するようなところに貸付対象を限定されるべきであると思うわけです。  我が党の中でこの問題が出されたときに一番初めに私が言ったのは、小規模な機械を購入するのにこういう資金を使うような道を開いておく必要があるのかどうかということの疑問を提示したわけでありますが、その点については何ら検討が加えられることなく、全く従来どおりの貸付対象近代化資金の枠だけが拡大したことはまことに残念であるわけです。それは今後も、金融機関の方は一方的にその結論を受け入れるだけですからこれはやむを得ないと思いますけれども、系統金融としてもそのような方向に問題意識を持っていただきたいと思うわけです。政策金融というのはそもそもそういうものであって、対象が何であれ運用していいものではない。それと同時に、融資先に困る、運用に困るという面は、むしろ公庫の方がもう少し引っ込んでその辺のバランスをとるべきではないかと考えておるわけであります。  最後に、櫻井参考人にお伺いしたいのですけれども、今度新たに経営規模拡大資金というものを設け、また特別会計を創設して、全く新しい発想で小作料の一括前払いができるような措置がとられたわけでありますが、今年度についてはわずか十億円でありまして、この程度需要しかないのかと私は思うわけでありますが、このような方策はもっと拡大すべきだと思っておりますが、その辺についての御感想はどうでしょう。
  160. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 経営規模拡大資金につきましては、小作料の一括前払いということで、しかも賃貸借の期間が比較的長いものが望ましい、こういうふうに考えて、それに対する助長をしようということでございますから、私どもとしましては農地流動化の面から非常に望ましい方向であると考えます。  今、先生お尋ねの十億円の枠で果たして需要が満たし得るかどうか、こういう問題ももちろんあろうかと思いますが、実績を見た上で政府の方は対応考えておるのじゃないかと思いますので、弾力的な運用をあわせて政府の方に検討していただきたい、私どもはこんなふうに考えます。
  161. 太田誠一

    ○太田委員 どうもありがとうございました。
  162. 今井勇

    今井委員長 次に、小川国彦君。  発言者に申し上げますが、参考人に対します御指名はできるだけ早目にお願いいたします、
  163. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考人の皆さんには、お忙しい中御苦労さまでございます。  最初に、私ども、今の日本農業なり漁業なり林業なりは、外圧あり内圧あり、それぞれの経営上非常に大きな悩みを持っているという、低迷する状況の中に置かれていると思うわけです。そういう中で今回金融三法の審議をしているわけでございますが、これが金融的な手法の中でどの程度救済できるものか。しかし、世の中、苦しいときにその救済の一番決め手になるのはやはり何といっても金融措置ではなかろうかと思うわけで、今回の改正はやや前進の面は見られるというものの、日本農業なり漁業なり林業の置かれている状況から見ると、これが抜本的な解決になるのかどうかという疑問も率直に感じているわけでございます。  そこで、きょうおいでの櫻井、池尻、赤羽、喜多、各分野の参考人でございますので、それぞれの担当しておられるところでの御見解で結構なのでございますが、まず、今、日本の農協なり漁協なり森林組合、そういう協同組合なり組合を全国的ににらんでみて、経営不振といいますか救済のための努力を要すると思われる組織的な単位としては何割ぐらいのものがあるかということ、もう一つ、農業者漁業者林業者がその構成員としておるわけでありまして、その場合にはどういうふうに判断できるか、非常に大まかな質問で恐縮でございますが、それぞれ御所見の範囲で御答弁いただけたらと思います。
  164. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 農協の経営面での不振状況はどうなっておるかというお尋ねだと思いますが、昭和五十四年度に非常に環境が変化いたしまして、従来農協の剰余金というのは逐年増加をしてまいったのですけれども、その増加が停滞した。それを契機に農協としましては経営の刷新強化を図りましょうということで現在運動を展開いたしておるわけでございますが、欠損組合につきまして、総合農協統計表によりますと、私、正確に記憶をいたしておりませんけれども、四千三百農協の中で四、五十組合ではなかろうか。後で調べまして御連絡申し上げます。  ただ、先ほど申し上げましたように、農家の固定化負債が農協にとりましては固定化債権、流動化しない債権、裏返しでこういうふうになるわけでございますので、もし農家の方が借入金の返済ができないとなりますと、農協にとりましてはかなりな痛手になってくる、特に畜産経営にとりまして。そこで、信用保証保険制度がそれなりにあるわけでありますが、今後の事故率がふえるというふうなものに対応しての制度改善充実が必要ではないか、こんなふうに考えております。
  165. 池尻文二

    ○池尻参考人 信用事業強化対策事業、つまり不振組合対策の対象として現在考えておりまするのは、全体の漁協の数が二千四百三十、これは業種別も含めてございますが、そのうちで大体二百三十五漁協が一応整備対象として今考えられておるわけでございます。したがって、支援、援助の対象は漁協の欠損金としては二百九十七億円、固定化債権としては百九十八億円で、合計四百九十五億円が見込まれる実態にございます。
  166. 喜多正治

    ○喜多参考人 非常に御心配いただきまして本当にありがたいやら、うれしいと言うわけにもいきませんが、大変ありがたいと思っております。  実は、農林漁業と申しましてもその中で一番つらい立場が林業なんです。これはもう先生よく御承知の点だと思います。しかも、林業といいましてもピンからキリまでございまして、それこそ数千町歩の大所有者もおりますれば、またほんのわずかな一握りの山しか持っていないという人もおります。むしろそういった一握りのわずか一ヘクタール、二ヘクタールの林地を持っておる人が大部分なんです。これは先生方よく御承知の点だと思います、それだけに非常に困っております。そういう人たちは共同の力で何とか切り抜ける以外に道がないのです。これは一人一人やれませんもの。  そこで私ども森林組合が、そういった小さな経営者の方々のいわば委託を受けるといいますか、肩がわりといいますか、作業班というものをそれぞれの森林組合が抱えておりまして、今全国で六万五、六千、七万足らずの人間でございますけれども、この作業班が今申しあげたような共同の事業をやっておるわけです。これがようやくにして今、日本林業を支えておるとあえて申し上げても過言ではないくらい、つらい立場でございます。  そういうことでございましたので、私は林業金融については思い切った考え方もございますけれども、きょうはそういう席ではありませんので、先ほど申しましたようなことでありますけれども、どうか格別のひとつ林業に対するそういった面でのお気持ちをお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  167. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農林中金の赤羽専務さんにお伺いしたいと思うのですが、先ほど公庫資金系統資金分野調整の問題について質問が出されたわけでありますが、競合関係実態というものはどういうものが起こっているか、どういうところにあらわれているか。それから、そういう中でもっと余裕のある系統資金を活用したらどうかというようなことも言われているわけですが、その系統資金の活用についてはどういうような意見をお持ちであるか、その点を伺いたいと思います。
  168. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 先ほどもございましたように、公庫資金系統資金分野調整については、はっきりした原則があるわけでございますが、しかしやはり両制度の接点みたいなところがあるわけでございまして、そこら辺になりますとやはり具体的な種類につきましては重複する場面がある、こういうふうなことになろうかと思います。例えば農業関係で申し上げますと、農畜舎あるいは農機具等の資金、それから漁業関係でございますと漁船建造資金などにそういう重複というか競合という面が見られるのじゃないかと思うわけでございます。  こういう重複関係にある資金を比較してみますと、利率なり償還期限なり、条件面では公庫資金の方が有利というふうな状況になっておるわけでございます。しかし財政資金である公庫資金の方は、土地改良あるいは農地取得といったような生産基盤整備のための資金というもの、こういう長期かつ低利資金でなければならないというものを全面的にやっていただいているわけでございまして、そういう意味では十分系統の補完的な機能を果たしていただいていると思うわけでございます。そういうふうな状況でございますので、そういうやや重複というか競合する分野では、系統資金で適切かつ十分に対応が可能であるというふうなものについては、近代化資金中心に系統に極力ゆだねていただきたいというふうな気持ちがしているわけでございます。  それから先生御指摘のとおり、農協系統資金は大変近年充実してまいっているわけでございますので、この資金農業なり農村の振興により一層役立てていただきたいと考えているわけでございます。今回の制度改正に当たりましても、系統資金の活用について御要請も申し上げ、いろいろ御努力をいただいてきたところでありまして、制度改正の趣旨に沿って適切な運用に努め、大いに系統資金をそこで活用をしていただくというふうに努力してまいりたいと思うわけでございます。  それから、今後さらに農業、農村の一層の振興を図るためには、活力ある村づくりや農林水産物需要拡大に資する資金等、幅広い分野についてその活用を図っていくことが必要と考えておりまして、融資制度面、それから保証制度面等において適切な措置を講じていただくよう御配慮をお願いしたいと思っておるわけでございます。  以上でございます。
  169. 小川国彦

    ○小川(国)委員 櫻井参考人にお伺いしたいのですが、最近畜産農家の負債問題が大型化し、長期化し、固定化してきているということで全国的に問題になっているわけです。北海道で特徴的なことと言えば酪農家の負債の多い問題、あるいは東北や九州で見れば牛の肥育とか、そういう農家でかなり大型的な肥育に取り組んでまだ負債の問題がある、あるいは関東近県で言えば養豚、これは最近やや安定ぎみの状況にあるわけですが、これも一歩誤ると借入金が大きいだけに怖い一面を持っている。それから養鶏なども商社のやみ増羽などのために価格の低迷、卵価の低迷というような状況の中で、これも非常に苦境を訴えている状況にあるわけです。  全中は全国組織として、こういう地域的にそれぞれ抱えている、畜産の危機とは別な畜産農家の負債状況の問題ですね、こういう実態に対してどういうふうに取り組んでいかれるのか。先ほど中央の本部なり、また各都道府県にその出先の本部のようなものを置いて取り組むというようなあれをちょっと述べられたのですが、さらにもう一歩進めて、畜産農家の負債問題にどういうふうに系統として対処していくか。それからその際、また金融の問題等としては、国に対してどういうことを畜産農家の負債問題について要望されるというような御希望を持っているか、その辺をひとつ伺いたいと思うのです。
  170. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 先ほども申し上げましたように、負債問題が畜産農家のみならず耕種農家におきましても発生をしてきておるというふうに私ども理解をいたしておるわけでございますが、これにつきましての総合的な農家実態調査が現在ないわけであります。農水省の方で、農家経済調査によります負債というものはそれなりに作目別にもわかるわけでありますけれども、固定化している状況がどうかという点につきましては判明をいたしていないわけです。したがいまして、先ほど申しましたように、固定化負債が出ない前のいわば管理という面について、農協としても農家への指導を強化をしたいということを申し上げたわけでございますが、現に固定化負債が出てしまっておる農家がかなりおるわけでございますので、その実態を調査し、早急に我が方の体制整備をしまして、農協段階、県段階、中央の段階に協議会もしくは本部を置きまして、このための推進を図っていきたいと考えております。まだ細目につきましては十分検討をいたしておりませんが、先ほどもおっしゃいました農協経営にとりましてもかなり重大な問題でございますので取り組みをしたいと思っております。  国につきましては、先ほども申し上げましたけれども、従来公庫資金の中の自作農維持資金、いわゆる再建整備資金措置がされております。今回貸付限度額引き上げ等の問題も措置をされておるわけでございますが、その枠自体をさらに拡大をする必要があろう、私はこんなふうに考えております。  それから、従来の、畜産振興事業団の輸入牛肉の差益を活用いたしました特別の低利資金措置が酪農につきましては六十年度も継続をするというふうになりましたし、それから肉牛につきましては今回、六十年度から五百億の貸付枠、金利は一般が五%、それから特認につきましては三・五%、期間につきましては通常は七カ年、特認につきましては十年というふうな措置が三カ年計画でとられるということでございます。負債整理の援助につきましては、公庫資金からの援助と系統原資を使いましての利子補給による援助と二通りの措置が現在行われておるわけでございますが、私としては公庫のいわゆる再建整備資金拡大をする、こういう方向で対処するのが本来の形ではないか、こんな感じもいたしておるわけでございます。
  171. 小川国彦

    ○小川(国)委員 赤羽参考人に伺いたいのですが、今の全中に対する質問と連動するわけでありますが、今櫻井さんの答弁では畜産農家だけではなくて耕種農家にもかなり大きな負債の状況が見られるということなんです。この固定化している状況については今まだ把握されてないということなんですが、これは実際私ども、農水省の農家経済調査等を見ましても関東とか東北とか、ブロック別にはある程度把握しているという状況があるのですけれども、全国で例えば一年以上の負債、一年以上になれば長期化している、それでそれが固定化してきているという実態は、残念ながら、公庫が貸している、それから系統が貸している、それからまた都道府県がやっておる改良資金があるということで、一体一軒の農家がどのくらい長期の固定化した負債を持っているかというのを集約するところがない、そのために全国的な農家の持っている負債状況というものを的確に把握する状況が今ないわけなんですけれども、その点中金さんの立場でこういう実態についてどういうような把握をしておられるか、あるいはまた御判断を持っておられるか、その点を一つ。  それからあと全漁連の方に、先ほど不振漁協の状態はわかったわけでありますが、この返済不能になっている負債の中で再建整備対象になっている漁業組合なり漁業者に対して金融上どういうような措置が望まれるか、また国にどういう措置を望んでいるか、それからまた今度水産庁で漁業近代化資金助成法というものが一項目、活力ある漁村づくりというのを挙げられたのですが、これが通常金利より〇・五%安い特利制度というものが導入されたということなんですが、その運用に当たってはどういうような要望、意見を持っておられるか、その点を伺って終わりたいと思います。
  172. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えいたします。  今畜産農家及びその他一般農家というふうなお話がございましたが、一般農家の方はおかげさまでそういう多額の負債というのは一般的にはございませんので、畜産農家状況について御回答申し上げます。  畜産農家の負債の実態につきましては実は調査が大変困難というふうなことでございまして、なかなか全畜産農家の調査は実施されていないということでございます。今御指摘のことでございますが、現在までに各団体でサンプル的に調査というふうなことが行われていまして、それによりますとかなりの負債を有しているということがわかるわけでございます。  ちょっと古うございますが、全中が五十六年十二月末時点で実施しました畜産負債状況調査というものがございます。約一万一千戸のサンプル農家の中で畜産負債額がどうなっているかといいますと、年間販売額の一・五倍以上であるものがその農家の中の三一%を占める。それからそれらの農家の一戸当たりの平均負債額は二千五百万円というふうなことになっております。またそのうち肉用牛の肥育農家二千九百四十四戸について見ますと、畜産負債額が年間販売額の一・五倍以上というふうなものが三四%でございます。それらの一戸当たりの平均負債額は三千万円で大変多額の負債を負っておるという状況でございます。  それからもう一つ、全国開拓農業協同組合連合会、全開連と申すものがございますが、そこが昭和六十年一月に一戸当たりの平均飼育頭数百四十九頭というふうな大型経営である開拓系統乳用雄牛肥育農家四百九十二戸について実施した、肉牛肥育経営実態調査というものがございます。それによりますと、昨年三月末の一戸当たりの負債額が六千四百万円、大変な多額に上っているわけでございます。さらに五十九年度は約四〇%の農家が借入金の償還後の収支がマイナスという見込みになっておるというふうなことでございます。  このように、各種サンプル調査によりますと畜産農家の負債額は多額であります。経営改善を図っていくには、農家指導と相まって既往の負債整理対策というものが大変大きな課題というふうに思うわけでございます。  以上でございます。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  173. 池尻文二

    ○池尻参考人 お答えをいたしたいと思います。  本制度対象となる欠損金見合いの組合に対しましては末端金利三%になるように十年以内の償還、うち据え置き二カ年の融資、それから管理債権の見合いにつきましては末端三%で、これも十年の償還で、うち据え置き二カ年でございます。先ほども私公述で触れましたように、この著しい特徴は単に漁協だけの問題ではなくて、漁協と組合員の間というものも措置をしたということでございまして、そのために国、地方公共団体あるいは系統団体、金融機関一緒になって援助をして、組合が抱えております組合員に対する長期にわたる負債の解除というところまで手をつけたというのがこの対象ではないかという点を指摘しておきたいと思います。  それから地域漁業総合整備資金制度の問題でございますが、私はこれを非常に期待をしているわけでございます。まだお役所の方と申しますか、それでははっきりと青写真ができていないようでございますが、私見を申し述べますと、漁場利用の適正化あるいは水産資源の維持増大の問題、それから就業機会の拡大等で、要するに漁村に生きがいを与えていくというところがテーマになる問題、主眼であろうと考えております。  したがって、私常々考えておるのですが、世の中は情報化時代でございますので、やはり資源の管理にいたしましても漁協がコンピューターで常に漁場の情報、データというものを蓄積する、それを漁業権行使計画の基本にするとか、あるいは共同操業で資源管理をする場合に、先達船というものを共同でつくって、それによって漁場の探査なりあるいは適正な資源の把握に努めるとか、あるいは共同の加工場、処理場あるいはレクリエーション等の受け入れ等も考えまして、そういうものを漁村全体として培っていくというような構想にすべきではないかということで、ひとつ今までにないアイデアで今後水産庁とも折衝してみたい、かように考えております。
  174. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 先ほど小川先生の御質問の農協の経営状況でございますが、五十八年度の実績によりますと、四千三百六農協におきまして、当期欠損金を出しました組合が百六十九組合、先ほど四、五十組合と私申し上げましたが、正確には百六十九組合でございます。失礼しました。
  175. 小川国彦

    ○小川(国)委員 どうもありがとうございました。
  176. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 島田琢郎君。
  177. 島田琢郎

    ○島田委員 参考人の皆さん大変御苦労さまです。お話を伺っておりまして、それぞれ大変御苦労をされておられますことに心から敬意を払いたいと思います。  そこで、少しお尋ねをしてみたいことがございますので、私の場合は並んでいらっしゃる順番に一人ずつお聞きをしていきたい、こう思います。  まず、櫻井さんですけれども、先ほどのお話の中に、五十七年に第十六回の全国農協大会をお開きになって、五年間の全国農協の立場でのいろんな目標をお立てになって努力をしてきたというお話がございまして、お聞きする中で、ことしまた秋に五カ年間の計画をもって大会を開いて農協としての方針を決めていきたい、こういうお話でございました。その内容についてもかなり細かにお触れになっておられましたので余り聞くことはないのでありますけれども、輸入農産物がふえてきて、逆にまた食糧全体の消費が落ち込む、とりわけ主要な食糧が落ち込んでいるというのは大変痛い。それは一つは国民の多様化する食生活のあらわれであり、また変化というものが非常に従来になく顕著になっている、こういうことが言えるのであろう、こういう分析をされながら、それに対してコストの安いものを計画的につくっていく、こういう方向を目指したいという、秋に決めようとお考えになっている大まかのアウトラインをお示しになりました。その作物、食料品のコストというのには差がありますけれども、例えば穀物とか牛乳とか、乳製品を含めますが、それから果物であるとか野菜であるとか、これは最低必要とする品目になるわけでありますが、ここを今政府はEC水準にと、こういうようなことを言っているわけであります。農協としてはどういうところを目指して計画生産をおやりになろうとしているのか。  第二点は、地域内の機械にしても施設にしても、有効な利用というものについて積極的に取り組みたいというお話でございました。そして、地域の諸資源をさらに有効に活用していくという方向を目指したい、つまり地域農業振興を目指したいということでございます。私は大賛成であります。しかしながら、櫻井さん、これは言うべくして実行はなかなか難しいのですね、私もこれをやっている一人でありますが、例えば機械の共同利用一つにしてみても、それは有効で安くついていくということはみんなわかっているのだけれども、なかなか共同化は進まない、こういう問題を持っておりますが、この点について有効となり得る具体策をお持ちならひとつお聞かせ願いたい。  それから、高齢化、特に農村社会における高齢化は極めて顕著に進んでおります。また、残念ながら離農も依然としてとまるところを知らない。農村はよくなったよくなったと言うけれども、嫁さん一人もらうのにえらい苦労する。こういう幾つかのファクターが積み重なって、農村は御指摘のように極めて活性化が後退している。つまり活力を失っているとさえ言えるような状況にある。これに対しての具体的なお考えなどを、これは大会にこれからお示しになるのだそうでございますが、お考えの中にどのようなものがおありになるか、まずそこのところをお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  178. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 五十七年の農協大会におきまして、これからの農協としてとるべき農業振興方策というものを策定いたしまして実践をいたしております。  若干経過的に申し上げますと、地域営農集団、特に集団的な土地利用を図りたいということで、一ないし数集落で全農家が参画をいたしまして、地域の労働力、資源の合理的な活用を図りたい、そういう話し合いの場を通じて合意形成をし、その中で集団として生産過程の共同化等も実施をしたいというのが地域営農集団でございますが、現在一万六千集団ぐらいの結成が見られておるわけでございますが、私どもとしましては一農協八集団を目標に、さらにこの育成を図りたい。  それから、稲作のコスト二割低減運動を現在やっておりまして、これにつきましては四十五県で取り組みをいたしておるところでございます。  それから、地域農業振興計画の策定につきましては、全農協で中期の計画をつくっていこうじゃないかということで進めておりますが、現在五八%の農協が計画を持って実践をしておる。これも一〇〇に持っていきたい。  それから、五十七年度から、特に主要な農畜産物につきましていわば生産の計画化というものを進めていく必要があろうというところから、その土地生産の意向がどういうところにあるかということを全国で数量的に積み上げまして、もし供給過剰になるような品目につきましては需給調整を図るように農協を通じて農家指導を徹底する、こういう作業をやっておりますが、これは既に四回実施をいたして、それなりの活用が図られてきておる、こんなふうに考えております。  これからの問題といたしまして、特に輸入農産物が現在増加をいたしておみわけでございますが、国民の胃袋といいますか、カロリー摂取におきましても、大体二千六百キロカロリーあれば十分であるということでございますから、国内農産物の消費を拡大をしないことには農業振興は出てこない。それで国民の志向も、言ってみますと、農畜産物につきましては健康で安全でしかも最近におきましては新鮮なものを、本物を求めておる。若干外国産のものよりも高くてもいい、いいと言うと語弊がございますが、総理府の世論調査等にも、食料、農業問題に対する関心が極めて国民は深いと言います。そういたしますと、いいものをつくってしかも低コストで供給をしなければいかぬ、こういうことでございますので、特に穀物、土地利用型の作物につきましては、言ってみますと、集団的な土地利用による土地、労働力、施設の効率化が極めて大事じゃなかろうか、こんなふうに考えております。  それから酪農経営等につきましては、言ってみれば、もう二十四、五頭の規模でございますので、ある程度西欧水準に頭数規模ではなっておるというような感じもいたします。ただ、西欧の酪農経営に比べますと、草の問題それから急激な規模拡大ということによります投資に伴います金利負担の増加等々の問題があろうかということでございますので、これにつきましては適正な規模によります着実な経営の発展ということが大事じゃないか。それから……
  179. 島田琢郎

    ○島田委員 大変申しわけないのでありますが、櫻井さん、お尋ねしておいて途中で時間がなくなってしまったものだから、私の問題提起は、ぜひそういうものを含めて秋の大会にお示しいただくように御要望に変えさせていただきます。
  180. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 そういうことで、先生の御指摘のような形での方策を現在いろいろ検討いたしておりますので、いずれまたお知恵を拝借したい、こんなふうに考えます。
  181. 島田琢郎

    ○島田委員 まことに申しわけございません。失礼をおわびします。自分で質問しておいて途中で遮るような失礼なことではまことに申しわけありません。  時間が気になってまいりましたので、池尻さん、私、一つだけお聞きしますが、負債整理のための資金がぜひ欲しい、有利な資金が欲しい、こういうお話でございました。今も漁業構造再編整備資金というのがあるわけでありますけれども漁業者の場合はこれまたけたが違う、今のお話でけたが違うようですね。ですから、普通の資金じゃこれはいけないのでしょうが、例えばどれぐらいの額が必要で、金利水準はどれくらいで、償還条件というのはどれぐらいならこの負債整理に耐え得るような資金になるのでしょうか。
  182. 池尻文二

    ○池尻参考人 非常に難しい話でございますが、カツオ・マグロの減船等をやりましたのが一つの実例であったわけですけれども、先ほど申し上げましたように、共補償する残存漁業者は、これは公庫資金が手当てされるわけです。しかし、従来の日本漁業の発展を背負い込んでここまで経営が悪化したという漁業者の実感としましては、やはり十五年ぐらいの単位で、金利は具体的にどうこう申し上げませんけれども、なるべく三%から、そういう思い切った資金でなければ、特に遠洋漁業は最近は非常に困難ではないかというのが実感でございます。
  183. 島田琢郎

    ○島田委員 農業には農業基本法があり、林業には林業基本法がありするのに、大事な、四海海に囲まれた水産国日本と言われながら、漁業基本法もない、また自助努力で頑張っておられる、こういうお話でありまして、涙ぐましく承ったのでありますが、減船補償の法律もない、共補償でやっているなど、国内法が極めて不備なのも漁業日本のアキレス腱だと私は思うのであります。私は、ここをぜひ整備したいと思っている一人でございます。アメリカやソビエトからさんざ二百海里締め出しで嫌がらせを受けたって、こっちは何にもないのであります。ですから、げんこぐらい握らせてくれという気持ちがおありだと思うのですが、どうですか、これは。
  184. 池尻文二

    ○池尻参考人 私ども基本法と言えば沿岸漁業振興法があるわけですが、あれは制定のときから、今島田先生が御指摘の点を私どもも十分主張したわけでございますが、残念ながら基本法という、基本政策という見地に立ちました法律を私ども持ちませんけれども、食糧計画の中で漁業が果たす役割、そういうものを中心に今後の生産計画あるいは消費に対する対応、それについての法を根源にした一つの許可制度等の運用、そういうものの基本的な枠組みというのはぜひ先生方のお力を得て今後努力をしていかなければならないのではないか、かように考えております。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  185. 島田琢郎

    ○島田委員 ぜひ全会一致で、あなたの御期待にこたえるように我々農林水産委員会に所属する者ぐらいは頑張らなければいかぬと私は思っております。応援していただきたいと思っています。  さて、赤羽参考人でございますが、先ほど小川さんから負債整理の問題についてお話がございましたので、おおよそ実態は把握をしていらっしゃるということがわかりました。特に畜産のところは大変手ひどい状態に相なっているようであります。とすれば、この負債対策を具体的には系統としてどう講じていらっしゃるのか、また講じようとお考えになっているのか、お聞かせください。
  186. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  畜産農家の固定化負債対策としては、やはり政策による長期低利資金が必要不可欠というふうに思うわけでございます。  このため、このたびの六十年度の畜産物政策価格決定に当たっての関連施策の中で、肉用牛経営合理化資金の融通と酪農経営負債整理資金の維持、継続融通を取り上げて要請してまいったところでありますが、これらの両制度は先生方の絶大な御支援のおかげをもちまして実現の見通しがついたと承っておるわけでございまして、我々としては、これら両制度を活用し、畜産負債農家経営改善に努めてまいりたいというふうに考えたわけでございます。  これらの施策は、畜産農家及び系統農協の自己努力と相まってその成果が得られるものであるわけでございまして、我々としましても経営指導強化対策ということで、農協段階においては関係部署の担当者から成る指導班を常置し、農家に対して統一的指導ができる体制の普及を図りたいというふうに思っています。また県連におきましても、同様に合同の指導班を設け、より専門性の高い指導が行えるというふうに、全中を中心推進する必要があるというふうに考えております。  具体的な指導内容としましては、畜産専用口座の開設による畜産経営会計の分離、これは畜産特有のことがございますので、やはりこういう会計の分離ということが一つでございます。それから、記帳運動による経営成果の把握と経営の計画性の推進平均払い制度の採用による畜産物価格変動の影響の緩和、それから最近はコンピューターを利用するというふうなことが盛んに行われることになっておりますので、コンピューターによる経営診断の普及等を中心的なテーマとして進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  以上でございます。
  187. 島田琢郎

    ○島田委員 喜多さん、もう本当に一分ちょっとしかなくなった中でお尋ねしなければいけないのでありますが、本当に山の問題、林業の問題は頭が痛い、おっしゃるとおりでありまして、まさに特効薬、妙薬がないので私たちも頭が痛いのであります。しかし、公益性発揮のために有効な助成と融資をせひお願いしたいというお話がございました。  しかし、なかなか山の方の人たちがこの現状の中ではお金を貸してくれ事を挙げるのにもはばかられるというようなありさまではないか。こう思いますと、私自身こうやってお尋ねしながら、国会に籍を置いていてはなはだ恥ずかしい話でありますが、これが決め手だというものがない、ここに私は非常にじくじたる思いをいたしております。これも金融なら思い切った低利の超長期の、そしてよい条件の、こういうことにならないと今の山の活性化は図られないのではないか。そうしますと、今度の金融法の中だけではフォローはできないのではないかと私は思っておりまして、これは後ほどまたいろいろお知恵を拝借しながら特別な方法を考えたいと思っておりますが、一言、こんな私の考え方に対してどうお考えになっていらっしゃるかだけお聞きしたい、こう思います、
  188. 喜多正治

    ○喜多参考人 非常に御同情の深いお尋ねをちょうだいいたしまして、まずもって感謝を申し上げたいと思います。  私どもは非常に苦しい立場ですが、これはやはり自分たちの問題ですからまず自分たちで解決することを考えなくてはいけない、これは当然そうです。人にばかり頼るというようなことでは話になりません。  そこで、実はことしから森林組合体制刷新運動を全国的に展開することを過般の私どもの全国大会で決定いたしました。それこそ真剣になってやろうじゃないか。では、具体的にどうやるんだ。これはいろいろございますが、やはり一番軸は地元の森林組合長であり、常勤役員でございます。でございますが、本当に裸になってやってくれるのは作業班です。森林組合には大体作業班というのが全国にございます。この作業班の諸君が組合員の山を受け持って、共同でいろいろな草刈りから除伐、間伐、そういったものを全部引き受けてやる、そういう制度、これを活発に展開して、まず自分たちの力でやれるだけのことはやろうじゃないか、これでございますが、先生も御指摘になったように、これは自力更生はなかなか至難のわざです。やはり何といっても政府自体が、御当局自体が御同情くださって、それじゃ山の政策をどう展開すれば、基本的な問題として何から手をつければいいのか、これはいろいろございます。私、意見はございますけれども、きょうは何も申し上げません。ぜひひとつそれらの点につきましては先生方からもよろしくお願いを申し上げたい。御当局も見えていらっしゃるようでございますから、私は本当にお願いを申し上げまして、意見になったかどうかわかりませんけれども、よろしくお願いいたします。
  189. 島田琢郎

    ○島田委員 どうもありがとうございました。
  190. 今井勇

    今井委員長 次に、武田一夫君。
  191. 武田一夫

    ○武田委員 きょうは、四人の参考人の皆さんには長時間大変御苦労さまでございます。時間も余りございませんので、要点だけのお答えで結構でございますので、ひとつ御意見、御要望を聞かせていただきたいと思います。  まず最初に櫻井参考人にお尋ねいたします。  今回の金融三法の改正、言われる行財政改革の一つの標的に遭った、中には安上がり農政を志向する一つのあらわれだという批判もあるようでございまして、特に一部三・五%が五%に引き上げというようなことは非常に残念なことでもあるということが先ほど意見の陳述の中にありましたが、これが農業経営の面にいろいろと不都合なものが生じないかどうか、そして今後の農業、農村の振興発展のためにこの金融の改正というものが何か支障を来すものがあるのではないか、そういう心配を私もしているのでございますが、その点につきましてまず御所見をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  192. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 今回公庫法改正におきまして中心となります三・五%資金の一部が五%になるという点につきましては、残念、こういうふうな感じでございます。  そこで、どの程度のものが五%になるのかにつきましては、行政当局の方はほぼ一割程度、こういうふうな話もあるわけでございますが、具体的な三・五から五%にいくものにつきまして、これから事業規模の問題あるいは農地の適正化によりますあっせん基準の要件問題、あるいは一定の事業種類等の問題につきまして、十分行政当局にも緩和の問題を投げかけていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。  全体的には改善点もあるわけでございまして、それなりの評価をいたしておるわけでございまして、今回の改正が、融資が結果的にこれからの経営の安定、拡大に障害になるというふうには考えておりませんで、さらに前段申し上げましたような拡大後の経営安定とか農産加工におきます地場の産業に対する系統原資の融資制度検討の問題とか、いろいろございますので、さらに行政の方にもそれらの検討をお願いしたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  193. 武田一夫

    ○武田委員 構造政策路線に沿った融資というような方向が濃厚でないか。となれば、対象農家の要するに選別が行われる。特に非常に低利融資を必要とする零細農家対象から切り捨てられるのだというような心配がある。そういう零細な農家ほどそういう低利融資が非常に必要じゃないかというようなことを農家の方々の中に行きますと聞かれるわけです。ですから、中核自立農家をつくるということだけの方向に行くと、我々のような者はどうなんだという心配もあるのですが、こういう点についてはいかがお考えでございますか。
  194. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 規模拡大日本農業の方向として進めていかなければならない、こういう点につきましては、前段、系統農協の考え方も申し上げまして、着実に規模拡大させていく、一挙に規模拡大を図るということは問題がある、こういうことを申し上げたわけでございますが、中小の零細農家におきましてもそういう規模拡大の方向に沿って発展をしてまいりたいという農家も多いわけでありますから、そういう農家についての配慮は当然必要である。ただ、例えば一反とか二反とか三反とかいう農家にまで重点的な融資ということはなかなか無理ではないか、こんな感じもいたしております。
  195. 武田一夫

    ○武田委員 それでは次に、池尻参考人にお尋ねをいたします。  私も漁業の大変な状況を宮城県の水産県でございますからよく知っているわけでありますが、いろいろと苦労しながら漁業家は借金づけという感じです。そのしわ寄せが漁協にも大きく障害を与えておる。これをどうするかなということで、私は日本漁業構造の再編というか、新しい青写真を示さなければならぬじゃないか、抜本的な対応が必要だというふうに言っているわけです。  今までは沿岸から沖合、沖合から遠洋と行っていたけれども、逆に遠洋から沖合、沿岸と、こういうふうになって、今度は沿岸の中でのお互いに争いも起こってくるとなると、考えてみますと、非常に農業も大変、そして漁業も大変、そしてそれから最後に山も大変、もうどこにも安心するものがないということを考えますときに、この金融三法の改正によって、やはりどの点を緊急、早急に力を重点的に入れてこういう危機を突破する、そういう糸口にしなければならないか、こういう点の御所見をひとつ聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  196. 池尻文二

    ○池尻参考人 先生おっしゃるとおりであろうと思います。  そこで今般、この金融関係法律改正の問題が浮かんでおるわけでございますが、非常に困難が伴う問題であろうとも、従来漁業経営危機対策で金融が主軸を担ってきたわけでございますが、まず第一に私どもは、いかにして円滑に秩序正しく計画的に、この借金づけと申しますか、債務超過の事態から脱却していくかという、つまり後ろ向き資金のそういうものをいかに整理していくかということを、まず基本考えなければならないのではないかと思います。そのためにこそ、借りかえ資金としての再編整備資金を初め、あるいは共補償資金、漁協協力資金それから漁協の再建整備、こういう一連の措置を絡めて、これに力をかしていかなければならないのではないか。同時に、漁業そのものが持っている使命というものも、これは一日もゆるがせにできない問題もございますので、そういう後ろ向き資金の整理に十分の力をいたしつつ、そしてまた前向きの投資というものを怠ってはならないという考え方に立って、このたびの近代化資金の一部改正それから公庫法の一部改正、こういう問題に連なっていくというふうに理解すべきではないか、こういうふうに受け取っております。
  197. 武田一夫

    ○武田委員 もう一つ池尻参考人にお尋ねしますが、先ほどの意見陳述の中で、沖合、沿岸漁業の再編に当たって、総合的な視点に立った各種漁業の展望を明らかにして、その政策の実現を期してほしいという要望がございましたが、具体的にどういうことをその中身としてお考えでございますか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  198. 池尻文二

    ○池尻参考人 先生、宮城の出身でございますから釈迦に説法と思いますけれども、先ほど申し上げましたように残存業者に共補償能力が、沿岸、沖合性の漁業ですから非常に少ないということ、それから宮城の、仮に小型底びきが構造再編をやろうとしましても、漁業種類、漁業資源はやはり沖合底引きと同一な範疇にあるわけです。それから千葉のたもすくいがまき網との関係をどうするかという問題を抱えておるわけでございまして、沖合、沿岸の再編こそ、非常に口では言いやすく行うことがまことに難しい要素を一面に持っておるわけでございます。  同時に、受信力から見ますとこれまた非常に乏しい漁業者でございますので、これこそやはり債権の保証、そういうものが確実に行われるように、中央漁業信用基金の財政が苦しければそれに対して適当な支援をして、そういう受信能力を補完をしていく、いろいろな総合的な措置を講ずる必要があるのではないか、かように考えております。
  199. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃ一人飛びまして、まず森林問題で喜多参考人に一つお尋ねいたしますが、これから国産材の時代が来ます。そういう時代を迎えまして、厳しい森林、山の問題を、今漁業と同じようにしっかりと手を入れていかないと、これはまた山も破滅の一方に行くのではないかと私は思います。そういうところで、先ほど三法の問題について、公益的機能を果たすという大きな役割を強調されています。私も当然そのことをよく認識しているわけでございますが、そのためにぜひこういう問題はとにかく急いでしかも確実にこの金融三法の中で確立をしてほしい、実現をしてほしいというものがございましたらひとつ聞かしていただきたい。特に私は、流通加工、木材の関連産業が必要とする資金制度充実というのは、今後非常に重要になってくるのじゃないかというふうに思うのですが、この面について何か御要望がございましたらひとつお聞かせを願いたい、こういうふうに思います。
  200. 喜多正治

    ○喜多参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私は、今の日本林業は、社会一般、要するに公益的な面で非常に貢献しておると思っております。今委員長がお召し上がっていらっしゃいます水も、これ山から来たわけでございますね。先生方も御旅行されて十二分に御体験されていることでありますけれども、ヨーロッパへ行きまして、水は買わなければ、買うた水でなければ飲めない、もう水道の水は全部だめだというような目にしばしば私自身も遣わされて感じました。こんなことに日本がなっていいのかどうか。私は、今御意見がございましたけれども、まず第一番に考えたいのは、この水資源。これは山から来る。この水資源に対する政府としての何らかの対応策をやはり考えていただきたい、これが第一番でございます。  それから、先生がおっしゃったいろいろ流通加工の問題、これはもちろん私は賛成でございます。ぜひ先生の御意見のように、そういった面につきましても具体的に対応策がなくちゃならぬ、もう当然だと私は思っております。その辺でひとつ御勘弁をいただきたい。ひとつ御了承いただきたいと思います。
  201. 武田一夫

    ○武田委員 非常に大変な中でも、例えば静岡県の青山組合長さんのような、山村堰堤論などということを掲げまして、ほかから若い連中が、山で仕事をしたいという方々が来て、ことしも何か四人新しい人が入ってきたんだという希望あるそういう組合を抱えている、そういう森林組合もあるわけですね。先ほど、そういうことで自分たちの努力でかなり頑張るのだということを話されまして、私もいたく感銘しているわけでありますが、私たちも一生懸命そういう点の御支援をしたいと思いますので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  最後に、赤羽参考人にお尋ねをいたしますが、この制度資金、なかんずく農林公庫資金と農協一般資金との分野調整の問題、よく交通整理が必要だとかというような話を聞くわけであります。交通整理の問題はどういうふうにしていったらお互いに非常にうまく協調してやっていけるのかということも一つの大きな課題でないかと思うのでございますが、この点についての御見解。それでもし何か新しい構想などを必要とするならば、そういうお考えがあるとすれば、そういうこともあわせて聞かしてもらえれば幸いだと思うのですが、その点についての御意見を伺いたいと思います。
  202. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  農林公庫資金と農協系統資金との関係は、農林公庫資金制度発足以来、公庫目的であります「長期且つ低利資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する」というふうな建前から、施設資金中心とした中長期資金については農協系統資金、それから基盤整備等の大変に政策性が強く、長期かつ低利資金につきましては公庫というふうな基本的な分野調整のもとに運営されてきているというふうに思うわけでございます。  公庫発足以来、大変その面での役割は高く果たしてきたわけでございますが、その後、系統資金が次第に拡充充実してきているというふうな状況でございますので、今申し上げたような基本的な立場に立って民間資金を大いに活用してもらう、それから公庫資金はその民間資金対応できないところを補完するというふうな形で今後もやっていただきたい、そういう意味で系統資金のより一層の有効活用についていろいろと御配意を賜りたい、こういうふうに思うわけでございます。  以上でございます。
  203. 武田一夫

    ○武田委員 最後にもう一回櫻井参考人にお伺いしますが、あちこち歩きますと、農協にお金を納めるのに、貯金しないで銀行に行くというのが何か不一致のような気がするわけでして、これはやはり農協にとっては一つの大きな心配事じゃないかということを考えるとき、この点の今後の対応というのは、これは金融の自由化ということがどんどん入り込んできますと、これは農協自体の一つの大きな問題となってくるのじゃないかと思うのですが、これに対する何か対応とか、こうしてほしい、こうすべきだという御意見をお持ちなら、ちょっと最後に聞かしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  204. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 先生が今御指摘のとおり、最近におきまして、例えば農家の預貯金の中に占めます系統の利用という点につきましては、利用率が低下してきておるのが実態でございます。数字的に私、正確に頭に入っておりませんが、最近におきましては五四%程度利用にとどまっておるということで、これから、言ってみますとますます農家におきましても金利選好が強まる、こういうふうに考えますし、競争が激化をする、こういう状況の中でありますから、基本的には農協が本来持っております組合員に対する最大の奉仕というのが使命でございますので、組合員のために農協がより一層の自己努力を徹底をしていかなければいかぬ、こんなふうに考えております。この面につきましては、国の援助というよりも系統みずからが役職員が燃えて仕事に当たらなければいけない、こんなふうな感じでございます。
  205. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  206. 今井勇

    今井委員長 次に、神田厚君。
  207. 神田厚

    神田委員 参考人の皆さん方には大変貴重な御意見をありがとうございます。  以下、何点か御質問をさせていただきますが、まず最初に、金融三法のこの法案につきまして、この法案がこのまま通ってしまうと何か心配があるというような危惧の念がありましたらその点をお聞かせいただきたい。さらに、積極的に評価ができる部分がありましたならば、これもまたお聞かせをいただきたいと思うのですが、櫻井参考人から順次ひとつお願いをいたします。
  208. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 今回金融三法の改正案が通ってしまうと心配である、こういうふうには考えておりません。公庫資金につきまして三・五%の一部が五%になる、あるいは四・五%が五%になるというふうな点につきましては残念でありますけれども、全体的には改善点も多々ある、また、農家の希望の方向にも沿っておる、こういうことでございますので、心配をすべき点というのはそんなにないのじゃないか、評価できる。ただ、運用につきましてさらに行政当局と融資機関との間での検討、詰めということは必要であろうと考えております。
  209. 池尻文二

    ○池尻参考人 大綱として私は、私どもの希望がほぼ全部かなえられておるのではないか。ただ一点、近代化資金のトン数上限の引き上げの点につきましてはいささか不満の点なきにしもあらずでございますけれども、今法律で代船建造が進行中でございますので、いずれその問題を見きわめたならばまた先生方にも御相談を申し上げたい、かように考えております。
  210. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 私も、この三法、かねて系統でいろいろと御要望申し上げた点を酌んでいただいてでき上がっておりますので、先ほど冒頭陳述にも述べましたとおり、この成立を願っておるものでございます。なお、その際要請したことについてなお満たされない部分は、今後また検討していただけばいいというふうに考えているわけでございます。  以上でございます。
  211. 喜多正治

    ○喜多参考人 先生から御心配いただいたような危惧の点はまずないと私は思います。現状の中ではできるだけうまくまとめ上げたような感じがいたしております。ただ、これは中に入りますと、小さい点ではやはりいろいろございますよ。これは運用の面でまた考えてもらうということになると思います。
  212. 神田厚

    神田委員 特に農業改良資金助成法等の問題では、櫻井参考人にお聞きをしたいのでありますが、貸付体制を心配をする向きがあるわけでありますけれども農家の人が本当に借りやすいような形にうまくなるのだろうかというようなことについてはどういうふうにお考えでありますか。
  213. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 改良資金につきましては六十年度で四百六十億ということで、従来の実績が二百五十億水準であったかと思いますが、かなり枠を拡大しよう、また新たな生産合理化のための方式導入を図ろう、こういうことで評価をいたしておるわけでございますが、具体的な貸し出しに当たりましては、当然農協等に対する協議、相談、それから改良普及員等の指導等がございますので、行政当局と農協とがその後の経営の問題につきましても十分な協議をしました上で、有効的にこの資金が活用されていく、こういうふうな指導を強める必要があろうと考えております。
  214. 神田厚

    神田委員 池尻参考人にお聞きをいたしますが、五十八年十一月に第一回全国漁協大会というものが行われまして、幾つかの要望が出されているわけであります。そういう中で、大変漁業現状が厳しいわけでありますが、二百海里体制下における国の漁業に対する基本政策、展望等を国が示すべきであるというふうな意見もあるようでありますが、その点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  215. 池尻文二

    ○池尻参考人 私は、漁業というものを日本でどういうふうな位置づけにするかということをかねがね考えておりますが、例えば予算の例をとってみますと、国債費を除きますと国全体の予算の一割が農政の予算である、こう言われております。私どももせめて農業予算の一割は欲しいなとかねがね思っておりますけれども、残念ながらその八〇%弱ぐらいのところで、しかも金額は三千億円、しかもその大半は漁港、政策予算というのは推して知るべし。しかもそれで世界に冠たる漁業国を今まで維持しておるわけでございまして、生産一千百万トン、金額にして三兆円、そうしますと、今どき、臨調の精神からいいますとこれほど産業として安い政府が実現されているものはないのではないか。その漁業が、日ソ交渉一つとってみましても、非常に厳しい交渉をしてやっと妥結しますと、一年ほっと一息つくなということで、あすの運命が知れない漁業をやっていかなければならない、これは非常に残念だと思っています。  したがって、簡単に申し上げますと、食糧産業として国はこの漁業にどの程度の期待をするか、もし期待をするとすれば、その計画の基本方針で漁業が受け持つ役割はどの範囲かということを明示をして、それから生産あるいは流通、消費への対応というものを定めるひとつ基本法的なものが欲しいなという考え方でございます。
  216. 神田厚

    神田委員 団体としては、今後の漁業経営対策、新たな展開等について国にそういう要望をしていくと同時に、団体自身としてはどういうふうなことをお考えでありますか。
  217. 池尻文二

    ○池尻参考人 大会の決議で触れましたとおり、私どもの自己努力ということを冒頭に申し上げました。一番の基本は、やはり二十一世紀にわたる漁協運動の戦略として、私どもの漁協を、漁業者の内部改造と申しますか、自己改造と申しますか、それを大きく前面に出さなければ、冒頭申し上げました政府に対する要望だけでは片手落ちだと思っております。  具体的に申し上げますと、漁協という組織が限られた漁場、資源というものを自主的に管理できるかどうか、そのことに尽きると思います。したがって、私ども大会決議の中枢にそのことを据えまして、目下運動を展開中であります。このことが将来の漁業の再構築につながる大きな礎石になる、私はそういうふうに確信をして、運動を続けてまいりたいと思っております。
  218. 神田厚

    神田委員 赤羽参考人にお聞きをいたします。  まず一つは、農業近代化資金の貸し出しが低迷をしているわけでありますが、農業制度金融活性化の策を一体どういうふうにとっていったらいいのか、系統としてどういうふうに考えているか、お答えをいただきたいと思います。  同時に、農業近代化資金の今回の改正案を金庫としてはどういうふうな評価をしておりますのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  219. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えいたします。  農業制度金融活性化ということでございますが、やはり何といいましても、基本農業経営の将来展望が描けるというふうな対策がとられることが基本じゃなかろうかと思うわけでございます。そういうことでありますと、将来展望が開けますので農業投資がさらに活性化するというふうな状況であろうと思います。そういう状況の中で、さらに資金のあれが農家、農協内のニーズに合ったようなものが準備され、それから条件等もそういうものに合ったものがセットされるというふうなことが必要だと思いますし、それからそういう金融制度がつくられた後も、運用面におきまして農家が必要とするときに適宜適切に対応できるというふうな対応が必要だと思うわけでございます。それから、農家が適切に資金選択ができるというふうなわかりやすいメニューというふうなことも必要ではなかろうかと思うわけでございます。  今回の見直しに当たりましても、このような観点から御要請もし、最大限の御努力をいただいていると思っているわけでございます。しかし、残されている問題もございますので、引き続きよろしくお願いしたいと思っているわけでございます。  それから制度の運用面等につきましても、中央レベルはもとより県レベル、市町村レベルにおきましても行政の御配慮をお願いしたいと思っているわけでございます。系統としましてもより一層の努力をしてまいる所存でございます。  次に、近代化資金の今回の改正についてどういうふうな評価ということでございますが、改正事項は、貸付限度の二倍の引き上げ、法改正事項はそういうことでございます。それから政令事項では地域農業総合整備資金の創設、それから農機具等取得資金範囲拡大、それから通達事項では農村環境整備資金範囲拡大、あるいは肥育牛購入育成資金償還期限の延長というふうなことでございまして、いずれも系統サイドから御要請申し上げた事項であります。限度額の引き上げ幅等、要望が十分満たされない面もややあるわけでございますが、今回の改正案につきましては系統としては総体的に評価をいたしているというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  220. 神田厚

    神田委員 最後に喜多参考人にお聞きをしたいのでありますが、市場開放でアメリカからの木材が問題になっております。私どももいろいろ陳情をいただいておりますが、そういうことについて特にこの際御意見がございましたらお聞かせをいただきたいのですが。
  221. 喜多正治

    ○喜多参考人 アメリカからの関税引き下げ、市場開放の要求でございますが、私どもは組織を挙げて絶対反対。何ということだと本当にもう我々は怒りに燃えております。私の組織も実は、つい数日前ですが、全国の代表者会議を開きまして、そこではっきりとした決議をいたしまして、国会の重立った先生方にもずっとお願いに参っておるはずでございます。先生、ひとつよろしくお願いします。私どもから陳情申し上げてお願いしに上がっておるわけでございます。どうかひとつよろしくお願いします。
  222. 神田厚

    神田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  223. 今井勇

    今井委員長 次に、津川武一君、
  224. 津川武一

    ○津川委員 参考人の皆さんには、農漁民、林業者に安い長期資金を供給するために頑張ってくださっておる御努力を高く評価しております。きょうも貴重な意見を聞かしていただいて本当にありがたいと思っております。  そこで、櫻井さんと赤羽さん、お二人に質問でございますが、今度の一部五%、これは先ほど武田委員からも話されたように選別融資になるのです。しかも、資力のある人に重く、弱い人に軽くというのならいいけれども、逆に資力の弱い人に重く、こういうどう見ても方向が違った選別。  もう一つには、そういう選別を通じて農協の幹部と農協全体、職員の間の融和といいますか団結といいますか民主主義といいますか、こういうものにひびが入ってくる、このように心配しているわけであります。  三つ目には、今、農民の金融に関する圧倒的な要求は、金利を安く、安い金利のお金をというときに、農民に金利を上げてやるという、こういうことになって私はまことに残念なのでございます。  そこで、今まで皆さんが残念だとおっしゃってくださいましたが、この点で櫻井さんと赤羽さんが政府自身に今度の法改正で何らかの意見の開陳があったかどうか。私は何か言ってほしかったという感じがするのですが、この点、簡単にお二人からお願いします。
  225. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 系統農協といたしましては、去年の十二月五日にこの金融制度改正に関連をいたしまして政府に対して要請をいたしてきております。具体的には、特に公庫の貸付金利引き上げ等の問題が出ておりましたので、これにつきましては引き上げをしないように、こういうことで要請をしてきたわけでありますが、全体的に財政事情が極めてきついという面も、私ども了承といいますか、それはわかっておるわけでございますが、そういう中で、利子補給抑制の圧力が極めて強いという状況の中で三・五%資金のかなりの部分を維持してきたという点につきましては、農水省も大蔵省相手に頑張ってきた、こんな感じもいたしております。特に農地の取得資金の場合に農地移動適正化あっせん基準に適合する者とか、あるいは土地改良資金の場合には一定の種類の事業をやる者に三・五%は限定するとか、あるいは農業構造の改善資金につきましては事業規模云々、ある一定以上の者、こういうふうなことでございまして、資力がない者について五%資金、こういうふうな要件ではないのでないか、こんなふうにも考えておりますので、この要件につきましては、私どもとしましてもさらに行政当局と折衝してまいりまして詰めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  226. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 ただいま全中の櫻井参考人からお話ししたところでございます。今回の農業制度金融改善に際しましては、十二月五日に三連会長会議を開きまして要請事項をまとめております。その中に、厳しい条件の中で農業振興に取り組んでいる農業者に対し公庫資金の貸出金利引き上げは行わないでくださいということを要請したわけでございます。しかし、今櫻井参考人から申し上げたようないろいろな事情で今回のこういうことになったということでございますが、その部分で農林漁業者の負担増というふうなことになっているわけでございまして、残念というふうに思うわけでございます。
  227. 津川武一

    ○津川委員 櫻井さんのお話にもありましたように、条件整備のために頑張ると言っていましたので、私もそれに力を得て、政府に質問で今度は三・五%を全部するようにまた頑張ってみますから、ひとつよろしくお願いします。  そこで、もう一回赤羽さんにお伺いしますが、先ほど説明の中に、農業、農村向けの貸し出しは十七兆四千億円、それから公庫資金が三兆六千億円、漁業関係が三兆円、これだけ貸し出している。林業にどれくらいあるか。そこで、農、漁、林に貸し出しておるお金をもう一回きちんとまとめてお知らせ願えればありがたいと思います。
  228. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  日銀の経済統計月報というものがございまして、主要金融機関の農業、農村貸出金あるいは漁業貸出金等が統計に載ってございます。五十八年度末でございまするので昨年の三月末でございますが、各機関合わせた貸出総額が十七兆三千六百五十一億ということになってございます。それから水産関係でございますが、漁業貸し出しということで二兆九千九百二十二億というふうなことでございます。それから林業関係でございますが、これは一兆一千二百十一億というふうなことになってございます。  以上でございます。
  229. 津川武一

    ○津川委員 ありがとうございました。二十兆円を超している。これだけのお金を農家林業漁業家に出している。  この農家が貯金している貯金額はどのくらいになっていましょうかしら。
  230. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  十二月末で三十七兆ほどございます。
  231. 津川武一

    ○津川委員 そこで、政府は、農村が苦しいとか金融が苦しい云々言うけれども貯金の方がうんと多い、こういうふうに言って、何か農民の苦しいのに水をかけているような論調も聞こえてくるわけです、農民がもうかっていると。  そこで、櫻井さんにお尋ねしますが、この三十七兆の貯金の中に、都市近郊の農家が宅地開発で売り渡した土地代金を農協に預金している預金がどのくらいありますか。実際に営農して、農業をやってみてそこから出た貯金がどのくらいあるか、この点を明らかにしないと、何か預金、借金の点では不公平な間違った世論を既に起こされている。国民がそんな印象を持っておるので、この際、それを明らかにしていただきたいのです。
  232. 櫻井誠

    ○櫻井参考人 農協貯金につきましては今赤羽参考人から申し上げましたとおりの数字でございますが、具体的な貯金の源泉になりますもののほぼ一五%から二〇%が農業所得でございまして、その他は農外所得による貯金形成、今先生がお尋ねの土地の売却代等もその農外の方に入っておるわけでございます。したがいまして、農業面で農家が非常に所得が潤っている、こういう状態ではございません。また、農家の所得自体を考えましても、一般的にはサラリーマン、勤労者世帯と比べまして農家世帯の所得というか収入が多いのじゃないか、こういうふうな指摘も外部の方からされておるわけでございますが、ただ、比較をいたします場合に基本的に大事でございますのは、就業者が何人で幾らの所得、こういうことでございまして、一人当たりの所得ということで勤労者世帯と比較をしますと農家の方が低い、そういうふうになっておると私は思います。
  233. 津川武一

    ○津川委員 ありがとうございました。私たちもこの点は質疑でもう少し明らかにしていきますが、この点をやはり国民に向かってPRしていただければ、私は、農業農家に対する正しい認識が得られるのじゃないかと思っております。  続いて、池尻さんにお尋ねします。  私の方の鰺ケ沢の漁業協同組合、イカ釣りが四十戸くらいあるのです。借金が二億八千万円。そこでスイカをやってメロンをやって、果物をやって稲をやっていると、頑張れば収入が上がるのです。漁業はそうはいかないのです。何ぼ頑張っても魚がとれなければどうにもならないのです。現にこの鰺ケ沢、一昨年の十二月九十八トン、去年の十二月四十六トンに減っている。一年前の一月には九十八トン、それが二十八トンに減っている。二月は三十三トンが三百キロに落ちちゃった。これは漁民がどうしようもないのだ。どんなに逆立ちしても魚を引っ張ってくるわけにいかない。したがって借金を出してやる。そうすると、守るとすれば、漁獲高が上がらないとどうにもならないのです。ここはひとつぜひ池尻さんに聞いてください、魚がとれるような方策を講じてくださいと。私もわからないのです。  そこでもう一つの問題は、安定的に魚をとっていこうとすれば、この自然を相手の漁法と、もう一つ取り組まなければならぬのは畑なんです。海の畑、栽培漁業、これが半分以上もしくは六割、七割とふえていくと漁業も安定するので、この二点について、池尻さん、非常に心配されているので、方針を伺わせていただければありがたいと思います。
  234. 池尻文二

    ○池尻参考人 非常に難しい質問で、私も答えられないのが正直なところであろうと思いますが、一言申し上げますと、諸先生方どうお考えになるかと思いますが、日本漁業は世界一と申しましたけれども基本的には狩猟の技術、つまりとることに、現在はエレクトロニクスの先端技術を活用してまでもとるというような、いわゆる多収穫技術の粋を集めたのが日本漁業の特色じゃないかと思うのです。そうしますと、狩猟技術から一歩も性格的には出ていないという漁業だろうと思います。これを農業に置きかえてみたら、農業で収穫技術だけが異常に発達したらどうなるかということは自明の理なんでございますが、要するに、種をまくということと耕すということのない産業というのは、やはりこれは行き詰まるのではないか。そのしわ寄せが今借金づけになっておるのではないか。そこで、自主管理とかなんだとか難しいことを私どもは言っておるわけでございますが、そういう観点に立って、今後は日本近海の資源を積極的にふやしていく。今のイカ釣りの話も私は十分わかりますけれども、船員保険も随分たまっておるという話も聞いておりますが、ただ、資源というものは永久になくなるかというと、これがまた不思議なものでございまして、循環的に資源が再生してくるわけでございますから、それまでのつなぎをどう頑張っていただくかということではないか。答弁になりませんけれども質問自体が難しゅうございましたので……。
  235. 津川武一

    ○津川委員 漁民がもう一つ私に、専門家だから池尻さんから聞いてくれと言われたのは、燃油なんです。漁港から買っていくわけ。そして釧路沖まで出ていく。そして帰ってきて、とった魚を漁港に出すと、油代を差し引かれてしまってこっちへ入らない。どうもそこいらの点で、もう少し漁港とその点でしっくりいくと漁業協同組合を守れるんだが、結局、魚をそっちの方に出してやる、そうすると今度は漁港との関係がまずくなってしまう。何とかここのところを、円滑な運営のために何とかならないのかなというのが、また一つのあれでありましたが、ひとつまたお願いします。
  236. 池尻文二

    ○池尻参考人 釈迦に説法でございますが、私ども漁協ではいろんな事業を行って、購買事業もその一つです。したがって、石油を供給する場合に、指導基本といたしまして、漁協には、物によって貸し付けをするな、その金が要るなら、それこそ信用事業対応すべきである、この原理を据えておるわけです。したがって私は、そういうふうな信用事業が裏づけはしていると思いますが、恐らく余裕がないのではないか、かように考えております。
  237. 津川武一

    ○津川委員 最後に喜多さんにお伺いしますが、先ほどアメリカの外材に対する大きな決意を伺わせてもらって、私もつい委員会の中で拍手したわけですが、御苦労さまですが頑張ってください。  そこで、一つだけ質問は、杉を育てるのに四十年から六十年かかる。森林に対する融資の期限が二十年、これでいいかという問題なんです。森林金融で、今の据置期間でいいかという問題、根本的に検討していただかなければならないんじゃないかと思います。一回私は国会の質問の中で、六十年かかるヒバなどという——うちの方のヒバなんというのは百年から百二十年かかる。しかし、植えなければならぬ。そこで五十年、六十年で、中間で政府が茂っておるものを担保にして、売ったもののお金の一部を上げられないか、そうすれば、もう少し育つのにと思っているわけなんですが、この森林に対する融資の期間の問題を、ひとつ喜多さんから教えていただければと思います。お願いします。
  238. 喜多正治

    ○喜多参考人 ただいまの先生の御達見には私も全く同感でございます。ございますが、金融関係というものは、これはもう先生は専門家でお詳しいと思いますからあえて申し上げませんけれども、いろいろほかとのバランスがございます。これは私は林業だけを言うなら、あくまでも最後までそれを主張したいのですが、やはり他産業とのバランスも考え、いろいろな点から判断された結論でございまして、私はそういう意味で賛成だ、こう申し上げたわけでございますが、ひとつ今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
  239. 津川武一

    ○津川委員 以上で終わります。
  240. 今井勇

    今井委員長 以上で本日の参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げたいと思います。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。  次回は、明三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会