○後藤(康)
政府委員 農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を
提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その
内容について若干補足させていただきます。
第一に、農林水産
施策の展開の方向に即した制度の
改善充実についてであります。
その一は、総合
施設資金の貸付
対象の拡大であります。
総合
施設資金は、自立経営農家を
育成するため、
農業経営を総合的に
改善しようとする農業者に対し各種資金を包括的に融通する資金制度として設けられたものであり、現在、自立経営を一挙に
実現する者に対して貸し付けを行っております。
今回の
改正は、農業をめぐる
情勢の変化等により一挙に大幅な経営規模の拡大を図ることが困難となっていること等を踏まえ、今後の我が国農業の中核的担い手として期待される若い農業者が自立経営を目指して段階的に経営規模の拡大等を行う場合にも、総合
施設資金を融通し得ることとしようとするものであります。
なお、この総合
施設資金の貸付
対象の拡大に伴い、貸付
対象がこれと重複することとなる果樹園経営
改善資金及び酪農・肉用牛経営
改善資金につきましては、これを総合
施設資金に統合することとしております。
その二は、林業経営
改善資金の貸付
対象の拡大であります。
近年における我が国森林・林業をめぐる
情勢には極めて厳しいものがあり、木材需要の停滞等を背景とした木材価格の低迷、労賃、諸資材価格の上昇等から林業経営の収益性は悪化しております。一方、我が国の森林資源の
状況は、戦後の造林による人工林がいまだ伐期を迎えていないことから、伐採による収入を期待し得ないのみならず、今後相当の期間において、保育、
管理のための経費を支出していかざるを得ない
状況にあります。
このような
状況を踏まえ、林地取得及び育林のための資金を融通する林業経営
改善資金につきまして、育林期間における林業経営の維持と林業
生産活動の継続に資するため、特用林産物の
生産等経営の複合化に必要となる
施設資金を貸付
対象に加えることとしております。
その三は、卸売市場近代化資金の貸付
対象の拡大であります。
これまで卸売市場近代化資金のうち仲卸業者資金につきましては、中央卸売市場の仲卸業者が貸付
対象となっておりましたが、近年、地方卸売市場の統合
整備による市場規模の拡大等が進む中で、地方卸売市場における仲卸業者の機能の強化が求められている
状況にかんがみ、中央卸売市場以外の卸売市場の仲卸業者についても本資金の融通の道を開くこととしております。
その四は、新規用途
事業資金の
内容の
充実であります。
農林漁業の
生産力の維持
増進のためには、その
生産性の向上とあわせて、農林畜水産物の安定的な販路の
確保等を通じた消費の拡大を図ることが極めて重要であります。
近年の農林畜水産物の需要の動向を見ますと、加工食品、外食向け需要が増大している一方、全体としては需要が伸び悩んでおり、一部品目については過剰問題も生じております。
このような
状況を踏まえ、国産の農林畜水産物の加工需要の
増進を図る
観点に立って、従来、でん粉の新規用途であるブドウ糖の製造加工の
事業に必要な
施設資金を融通してきた新規用途
事業資金につきまして、新規用途開発の
対象を、需給事情等から見て需要の
増進を図ることが特に必要と認められる農林畜水産物とすることとしております。また、加工原材料用の新
品種を使用する製造加工の
事業を営む者に対しても本資金の融通の道を開くとともに、貸付
対象資金について、
施設資金のほか新規用途の開発
導入及び
品種の
育成導入に必要な資金も融通することとしております。
第二に、制度の整理
合理化についてであります。
その一は、三分五厘資金の
融資の重点化であります。
農地等取得、
構造改善事業推進、林地取得の三分五厘資金につきましては、その基本は維持しつつも、資金の効率的
利用の見地から構造政策等の方向に即した重点化を図ることとし、その一部を五分資金とすることとしております。
具体的には、農地等取得資金につきましては当該資金に係る農地等の取得後の面積、農業従事の
状況等に関し主務
大臣の定める要件に適合する者、
構造改善事業推進資金につきましては当該資金に係る
事業に要する金額が主務
大臣の定める額以上となる者、また、林地取得資金につきましては森林施業の
実施に関し主務
大臣の定める要件に適合する者に三分五厘の金利を適用することとし、それ以外の者については五分の金利を適用することとしております。
その二は、農業、林業、沿岸漁業の
構造改善事業の
推進のための資金の統合であります。
すなわち、制度の簡素化にも資するため、
農業構造改善事業推進資金及び沿岸漁業
構造改善事業推進資金と林業の
構造改善事業の
推進のための資金を統合し、農林漁業
構造改善事業推進資金とし、この結果、これまで
共同利用施設資金等で対応してきた林業の
構造改善事業について
計画的に
推進することができるようにするものであります。
その三は、財投金利等に連動して金利改定を行ってまいりました漁船資金、塩業資金、
共同利用施設資金、主務
大臣指定
施設資金、卸売市場近代化資金、新規用途
事業資金及び乳業
施設資金の七資金の法定上限金利の改定であります。
これら七資金につきましては、今後とも財投金利等の
状況に応じた弾力的な金利改定を行っていく必要がありますので、これら資金に係る法定上限金利を過去の財投金利の推移に照らし八分五厘に統一改定することとしております。
さらに、現在では既に
役割を終えたものとして事実上廃止されている沿岸漁船
整備促進資金及び沿岸漁業協業化促進資金の二資金につきましては、今回これを整理することとしております。
このほか、公庫の
理事及び監事の任期につきまして、特殊法人の役員任期の統一の方向を踏まえ、二年とすることとしております。
以上をもちまして、
農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案の提案理由の補足
説明を終わります。