運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-03-19 第102回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月十九日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 小川 国彦君    理事 田中 恒利君 理事 武田 一夫君       大石 千八君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       保利 耕輔君    松田 九郎君       山崎平八郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    駒谷  明君       水谷  弘君    吉浦 忠治君       菅原喜重郎君    中林 佳子君  出席政府委員         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君  委員外出席者         参  考  人         (全国養蚕農業         協同組合連合会         専務理事)   中島  孝君         参  考  人         (日本製糸協会         会長)     有田  正君         参  考  人         (日本絹人繊織         物工業組合連合         会副理事長)  白杉儀一郎君         参  考  人         (五日町養蚕協         業組合組合員) 西野 重夫君         参  考  人         (京都工芸繊維         大学繊維学部教         授)      菱谷 政種君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   吉田 之久君     稲富 稜人君 同月八日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     上田  哲君   稲富 稜人君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   上田  哲君     日野 市朗君   大内 啓伍君     稲富 稜人君     ————————————— 三月十三日  土地改良事業等に関する請願天野等紹介)  (第二〇九六号)  同(池端清一紹介)(第二〇九七号)  同(浦井洋紹介)(第二〇九八号)  同(小沢和秋紹介)(第二〇九九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一〇〇号)  同(岡田春夫紹介)(第二一〇一号)  同(木島喜兵衛紹介)(第二一〇二号)  同(経塚幸夫紹介)(第二一〇三号)  同(瀬崎博義紹介)(第二一〇四号)  同(田中美智子紹介)(第二一〇五号)  同(武部文紹介)(第二一〇六号)  同(辻第一君紹介)(第二一〇七号)  同(中川利三郎紹介)(第二一〇八号)  同(野間友一紹介)(第二一〇九号)  同(浜西鉄雄紹介)(第二一一〇号)  同(林百郎君紹介)(第二一一一号)  同(東中光雄紹介)(第二一一二号)  同(藤木洋子紹介)(第二一一三号)  同(藤田スミ紹介)(第二一一四号)  同(正森成二君紹介)(第二一一五号)  同(三浦久紹介)(第二一一六号)  同(安田修三紹介)(第二一一七号) 同月十九日  土地改良事業等に関する請願工藤晃紹介)  (第二二六九号)  同(柴田睦夫紹介)(第二二七〇号)  同(島田琢郎紹介)(第二二七一号)  同(八木昇紹介)(第二二七二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二三四〇号)  同(日野市朗紹介)(第二三四一号)  同(小川国彦紹介)(第二三九八号)  農林水産関係予算増額等に関する請願津川武  一君紹介)(第二三九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団  法の一部を改正する法律案内閣提出第三〇号  )      ————◇—————
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として全国養蚕農業協同組合連合会専務理事中島孝君、日本製糸協会会長有田正君、日本絹人繊織物工業組合連合会理事長白杉儀一郎君、五日町養蚕協業組合組合員西野重夫君及び京都工芸繊維大学繊維学部教授菱谷政種君、以上五名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げますが、中島参考人有田参考人白杉参考人西野参考人菱谷参考人順序で、お一人十二分程度意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、中島参考人お願いいたします。
  3. 中島孝

    中島参考人 私、全国養蚕農協連中島でございます。  蚕糸業振興につきましては、先生方、平素より格別な御高配を賜りまして、心より深く感謝申し上げる次第でございます。  まず、繭の生産動向につきまして簡単に御報告申し上げます。  先生方既に御案内のように、年々繭の生産量減少傾向をたどっております。昭和の初期には三十万トン台でございました繭の生産量でございますが、昭和四十年代には十万トン台、五十年代にはさらに減少傾向を強めまして、五十八年には六万一千トンに相なった次第でございます。そして、昨昭和五十九年には、事業団在庫糸の急増、それに伴います制度不安人気惹起等によりまして早急に需給改善の必要が生じまして、私ども政府の御指導のもとに、緊急避難的な措置といたしまして繭の二〇%生産削減に踏み切らざるを得なかったわけでございます。  しかしながら、制度不安人気は一向に衰えませず、八月に至りまして、当時の基準糸価、これは一万四千円でございましたけれども、当時の基準糸価に対しまして糸値はおよそ二千円の下落を見たわけでございます。もちろんこれは先物価格でございます。まさに異常事態が到来したわけでございます。当時、異常変動防止安定下位価格は一万三千二百円でございましたから、これを千円以上も下回る糸値になったわけでございます。制度はここに来て完全に崩壊するであろうと、市中はその話題で沸き返ったわけでございます。  当時、市中の声といたしましては、このままでは制度はつぶれてしまう、また、一部には、強い力で制度を破壊してしまえというような運動も起こりまして、そのため、糸価は月を経るに従いまして安くなったわけでございます。したがいまして、実需者は糸を買い控えて、需要が非常に不活性化をいたしたわけでございます。  もとより、私ども繭生産者といたしましては、繭糸価格中間安定制度の堅持、現行基準糸価の据え置きを掲げまして運動を展開いたしたわけでございます。しかしながら、現実問題といたしましては、この時期、私ども、繭の生産時期でもございましたので、製糸によります基準繭価の保証が非常に問題になったわけでございます。これは先生方案内のとおりでございまして、制度によりまして中間買い入れを保証されているかわりに製糸家養蚕農家に対して基準繭価を保証するということでございまして、私どもがつくった繭は時価いかんにかかわらず一万四千円がらみの繭値、すなわち基準繭価は二千五十円でございましたから二千五十円で製糸が買い取る。しかし一方、買い取った製糸は実際に糸に加工して売らなければいけませんから、その売る価格実勢糸価ということで一万三千円ないし一万二千円で売らざるを得ない。そういうことで、製糸は高い繭を買って安い生糸を売らざるを得ないということで、経営が非常にピンチになったわけでございます。もちろん事業団中間買い入れという措置はございました。これは三万俵でございますけれども、この枠も九月ごろには既に枠が少なくなってまいりまして、枠の拡大が成功しなければその時点で制度は崩壊するという形で、非常に切迫した局面を迎えたわけでございます。  やむなく私どもはいろいろ方法論を検討し、政府にも御相談いたしましたけれども基準となる生糸価格低位になっても安定した養蚕経営をするための頼れる制度の存続がより望まれると判断いたしまして、やむなく期中改定をのまざるを得なかったわけでございます。この結果、糸価レベルは下がりまして、私たち養蚕農家は非常なハンディをしょいました。そのハンディはありましたけれども、昨年の糸値と比べまして、期中改定後には機屋さんが非常に活性化をいたしまして糸を買い付ける動きが出てまいりまして、逆ざやも順ざや化いたしまして、したがって、生糸価格も順調に推移するようになったわけでございます。ちなみに現在の価格は、一万二千円の新基準糸価に対しましておよそ六百円高の実勢で順調に推移いたしております。大きな犠牲を払いましたが、とにもかくにも糸価が順調に推移するようになったわけでございます。  しかしながら、新制度運用につきましては、もちろん私たち生産者といたしましていろいろお願いするべきことがございます。  まず、新制度運用の第一のお願いは、基準となります生糸価格レベルでございます。改正案には安定基準価格となっておりますが、この価格レベル現行のまま六十年度もぜひ据え置いていただきたい。さらに将来にわたりましてお願いすることは、この安定基準価格の設定に当たりましては、養蚕農家経営が安心してできますような価格レベルに、現実の生産条件を十分しんしゃくして決定をいただきたいと思います。生産条件とは、私ども生産費理解いたしております。     〔委員長退席島村委員長代理着席〕  さらにまた、決定した安定基準価格政府の責任で絶対に死守していただきたい。昨年のような、基準糸価がありながら、その下、さらに安定下位価格も割り込むような形には絶対にしてほしくない。新しく設定いたしました価格レベルはあらゆる政策をそこに集中していただきまして守っていただきたいと思います。  次にお願いいたしますことは、事業団在庫生糸の処理の仕方でございます。これは特別売り渡し方法が開かれておると伺っております。時価に悪影響を与えないよう放出するということを厳重にお守りいただきたいと思います。放出に当たりましては生糸価格維持を最優先にしていただきたい。それにはしっかりいたしました需給見通しをお立ていただいて、それにのっとって放出を調整するように御指導いただきたいと思います。事業団在庫生糸放出を優先いたしますと生糸価格低落傾向を示す危険性がございます。したがいまして、糸価状況を見ながら、需給状況を見ながら放出していただきたいと思います。また放出方法等についても、従前の方法はともすれば低位実勢糸価が足を引っ張られるような危険性もございましたので、抜本的な改正をしていただきたいと思います。方法論につきましても御検討をいただければ幸いだと思います。やみくもに定時定量を行いますと非常に危険な糸価状態になることを私ども経験則として承知いたしております。  しかしながら、事業団在庫生糸軽減が急務であることも私たち十分承知いたしております。したがいまして、このかぎを握るのは輸入動向ではなかろうかと私ども生産者は考えております。輸入軽減がすなわち事業団在庫生糸軽減につながるというような確信を私たちは持っておるものでございます。私どもといたしましては、事業団在庫生糸の増大の原因は外国から入りました輸入生糸増加にあると考えております。そこで、新制度運用を一層効果あらしめるためには、何と申しましても輸入削減が必要でございます。もちろん、生糸一元輸入制度は継続していただくという前提でございますけれども輸入削減が絶対必要だと私どもは信じております。  現在、生糸等輸入減少傾向にございます。しかし、絹織物、二次製品等は必ずしもその傾向に乗っておらないわけでございます。例えば絹織物と二次製品をプラスいたしました輸入量昭和五十五年対五十八年で眺めてみますと、昭和五十五年は、生糸に換算いたしまして、私ども全養連の計算では七万五千俵でございます。それが五十八年には七万七千俵と逆にふえております。したがいまして、私どもは是が非でも、事業団在庫が正常に復するまで、当分の間この輸入絹織物等削減を絶対にお願いをいたすわけでございます。  特に、着物地輸入が激増いたしております。輸入絹織物に占めます着物地割合昭和五十五年は二四%でございましたが、昭和五十八年には四三%とおよそ倍増いたしております。また輸入されました着物地の中の自生地の占める割合でございますけれども、これも全養連が計算いたしましたところでは、五十五年が百五十七万反、これは生糸に換算いたしましておよそ二万三千俵でございます。それが五十八年には二百二十五万反、生糸に換算いたしまして三万三千俵と、約一万俵の増加を見ておるわけであります。これら輸入絹織物がふえればふえるほど国内生糸使用量が減少するということは事実でございます。十の需要量がございますれば、四だけ輸入があれば六しか国内生糸は使われません。しかし、輸入が五になれば国内生糸は五しか使われません。そういう形で、残念ながらそれに需要減ということが加味されれば、国内生糸消費量が少なくなるのは当然のことでございます。  また、最近の傾向といたしまして、昨年の繭の生産削限に伴いまして原料繭が非常に逼迫しております。したがいまして、先生方案内のように、現在乾繭の相場が非常に高うございます。その減小を理由にいたしまして一部の業者外国繭輸入要請する動きがございます。私どもといたしましては、昨年血のにじむような思いで二割の生産削減をいたして、やっと需給改善の兆しが見えてきたなと思うときに、繭が足りないから外国の繭を輸入するというのでは余りにも政策整合性がないと思うわけでございます。そういう意味で、生産者といたしましては絶対に反対をいたす所存でございます。慎重に対処していただきたいと思うわけでございます。  以上、運用に当たりまして幾つかの要請を行ってまいりましたけれども、この制度改正によりまして特に期待できる点は、一つには事業団在庫糸及び累積債務について特別勘定を設けて経理する点でございます。二番目は、異常変動防止の廃止に伴いまして、その積立金の一部を蚕糸業振興資金、これは私ども生産者には大変ありがたい資金でございまして、活用させていただいておりますけれども蚕糸業振興資金に組み入れられる点でございます。特に、二の蚕糸業振興資金の活用につきましては、絹の需要増進あるいは繭の生産対策等生産者団体要請を十分考慮して運用していただきたいとお願いするわけでございます。  いずれにいたしましても、新しい制度につきましては、現行中間安定制度根幹維持されるという点と、それから生糸一元輸入措置維持される、私どもはそのように理解いたしております。どうか運用に当たりましては、制度事業団が残って蚕糸業養蚕家がなくならないように万全の御指導をいただきたいと思います。すなわち、蚕糸絹業振興のための制度であるという位置づけをしっかり守って運用をしていただきたいとお願いするわけでございます。  終わりに当たりまして、新しい制度が一日も早く成立いたしまして蚕糸業振興のため力を発揮してくれますことを希望いたしまして、私の意見の陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  4. 島村宜伸

    島村委員長代理 ありがとうございました。  次に、有田参考人お願いいたします。
  5. 有田正

    有田参考人 日本製糸協会会長を務めております有田正でございます。  養蚕製糸とは昔から車の両輪と言っております。先ほどの参考人からのお話と重複する点がございますけれども、御了承をいただきたいと思います。  昨年は、長い間低迷を続けてまいりました糸価、このために蚕糸業並びに絹業大変混乱をいたしました、この生糸価格を期中において改定するという思い切った措置をおとりいただきまして、このために、種々の問題は後に残されましたけれども、しかし一応混乱がおさまりまして、生糸の取引も、一時のような停滞をすることもなく、徐々ではございますけれども流れ出しております。しかしながら、どうしても制度に対します不安感が、いたずらな不安感だと思いますが一部の業界にもございまして、そのためにも価格の安定の実を上げるためにぜひとも早期に法律改定していただき、新しい適切な運用方法を講じていただく、これが今の時期におきまして大変大事なことであろうと私ども思っております。  現在御審議中の改正案につきましては、現在の中間安定制度の考え方を基本として、生糸一元輸入措置は継続して行うという現行制度根幹維持されるものと私ども理解しております。また、異常変動防止措置が廃止されるということは、安定帯の中に糸価維持されるように適切な政策運営を行うという不退転の決意がこの新制度の中に含まれているものと私ども理解をいたしております。事業団におきます蚕糸業振興資金の拡充につきましては、現下最も必要な需要増進のこともございますし、ぜひとも実現をしていただきたいと存じます。また、事業団の赤字補てんの道も開かれる点につきましては、事業団が御高承のように安定制度維持のための中心的な機関であります点にかんがみまして、事業団機能回復のための最緊急事であり、関係法規が一日も早く整備されることを願っております。  ところで、私ども製糸業界のことにちょっと触れさせていただきたいと思いますが、昭和五十年ごろの生糸につきましての国内需要は四十五万俵ございました。一俵は御案内のように六十キロでございます。四十五万俵ぐらいございましたのが、昭和五十八年、昨年度になりますが、二十九万俵というふうに国内需要が減ってまいりました。これにつきまして、我々生糸生産者といたしましても五十年度は約三十三万俵の生糸生産しておりましたが、五十八年度におきましてはわずかに二十万俵、本年度におきましては十八万俵に減少する見込みでございます。また、全国至るところにございました製糸工場も、昭和五十年度は四百二十九工場ございました。これが、五十九年度におきましては百九十五という工場数に減少せざるを得なくなってまいりました。  最近のこととして一言申し上げれば、五十八年、五十九年につきまして我々も機械廃棄しなければならない、父祖伝来引き継いでまいりました製糸機械廃棄するということで、中小の事業もまた大企業も、ともども大幅な機械廃棄を行いました。最初三〇%程度廃棄にとどめようと思いましたが、情勢の悪化とともに廃棄する業者がふえまして、三三・七%の廃棄というところへ踏み込んできております。現在、繭を糸にいたします繰糸機一万四千三百五十一台のうち四千八百三十五台を廃棄いたしまして、残りは九千五百十六台ということになっております。生産の減とともに我々製糸業者生産コストはいちずにアップするのみでございまして、製糸業の今後に問題を残しているところでございます。  法の改正ということでございますので、今後の運用につきまして、以上のような製糸業実情を踏まえまして二、三お願いを申し上げたいと思います。  事業団特別売り渡しの道が開かれましたが、この運用に当たりましては、その価格、数量、放出の時期いかん生糸の値段に与える影響は極めて大きいものがございます。事業団在庫の圧縮の必要性は十分承知いたしておりますけれども糸価への影響を十分に御配慮をいただかないと、養蚕製糸が息の絶えるおそれもございます。この点の御配慮十分お願いをいたしたいと思います。  次に、輸入の問題でございます。生糸絹織物等輸入につきましては、相手のあることでもございまして、困難な事情は十分私どもとしても理解することができます。しかしながら、国内におきまして、南といわず生糸といわず大幅の減産を強いられ、実施せざるを得ないという昨今の事情、並びに、現在事業団に在庫しております国内糸あるいは輸入糸を逐次放出していかなければならないという事情のあります現在、他国からの輸入につきましてはさらに一段と抑制を強めていただくようお願いを申し上げたいと思います。このことによりまして、現在世界一の絹の需要国でございます、絹の業界におきます大事な市場であります日本、この日本に対しまして将来ともに秩序のある輸出が続けられるよう、長い目で見ますと輸出国にとっても大きなプラスになることだと私は思っております。  参考までに一言先生方案内のとおりだと思いますけれども、現在世界生糸生産量は八十九万俵でございます。その中の日本消費量は約二十九万俵あるいは三十万俵。かつては、先ほど申し上げましたように昭和五十年当時は四十数万俵の消費があったわけでございますが、減ったといっても二十九万俵の消費をやっております。世界第一の絹の需要国でございます。この日本におきます生糸動向というものは世界が注視しているところでございます。そういう事情のもとにおきます輸入ということ、また世界一の輸入国でもございます。御参考までに申し上げれば、EC五カ国におきます生糸需要はわずか十万俵でございます。アメリカ、ここにおきます生糸需要も約十万俵でございます。日本は、先ほど申し上げましたようにどんどん減ってきておりますけれども、依然三十万俵近い消費国でございます。今後、蚕糸絹業一体になりまして相互に理解、協力して難局を打開する必要があると考えますけれども、そのためにも価格安定制度の適切な運用お願いをし、蚕糸価格を安定させることを政策の最大の目標としていただきたいと思います。特に価格の安定は、生糸絹製品流通を円滑にするためには絶対に必要なことでございます。  以上、るる申し上げましたが、先ほどもお話が出ておりましたように現在一万二千円という基準糸価が設定されておりますが、六十年度も引き続きこれが維持されるということがまた流通業界に与えます安定感につながるものと私は思いますので、その点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。  大変時間も超過したかと思いますが、以上をもちまして私の御説明とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  6. 島村宜伸

    島村委員長代理 ありがとうございました。  次に、白杉参考人お願いいたします。
  7. 白杉儀一郎

    白杉参考人 私は、生糸消費する国内機屋を代表いたしまして、絹織物業界の現況を御説明申し上げたいと思っております。  ただいま参考人として養蚕専務なり製糸会長がるるお述べになりました。私たち絹業蚕糸一体でなければならないということでございまして、常々連携を保ち、いろいろな形で業界振興に努力をいたしておるわけでございますけれども、いろいろの面で、各論に入ってまいりますと利害が対立する面がたくさん出てきておるのが実情でございます。今、私の傘下におります絹の織機は、昭和五十二年には約十三万台設置をされておって稼働しておったわけでございますけれども、五十二年に第一回廃棄をいたしまして、その後五十七年に第二回の廃棄をいたしまして、現在八万台の織機が動いておるというふうに御理解いただきたいと思っております。今年度また廃棄をいたしたいというふうに考えまして、今アンケートをとっておりますが、一万六千台ほど希望が出ております。いよいよ本申し込みになりますともう少しふえるのではないかというような状況でございまして、最盛期からいきますと五〇%近くまで織機が落ち込んだという状況でございます。  これの原因はいろいろあると思っておりますけれども、私たちが考えております最大の原因は、生糸価格にあるというふうに一点考えておりますし、その生糸価格を利用いたしまして国内の合繊メーカーが絹の分野に非常に侵食してまいっております。この二点が最大の原因だというふうに考えておるわけでございます。  今、生糸は御承知のように一万四千円から一万二千円に下げられたわけでございまして、四カ月ほど推移をいたしましたけれども絹織物業界は何らの活性化も見出すことができ得ない。今の状況は、六十年度のこの価格維持されるということについての不安感が若干ございまして、安定的なものはございますけれども、決してそれは活性化につながっておらないという状況でございます。すなわち、輸入織物をとめるだけの力がないということが一つ言えますし、それから化繊であります。これは会社の名前は、大メーカー、東レであるとか帝人であるとかいろいろとございますけれども、そうしたところで生糸に匹敵するようないろいろな織物が開発されまして、そうしたものが裏地から入ってまいりましたけれども、最近は表地にまでどんどん入ってきておるわけでございまして、これが最大の原因だというふうに私は感じております。  繭は農産物でありまして、しかし、生糸になりますとやはり工業化して織物にしなければ出ていかないという状況でございます。絹織物を織っておる産地は本当に過疎地の日本海に面したところがほとんどでございまして、今、一反織ります標準が、着物一枚ということになりますと、一反織りましてA反が出て千五百円から辛うじて二千円の織り工費という状況でございます。一万二千円に下がりましたけれども生糸価格差五千円近いものからやってまいりますと一反に四千四、五百円価格差が出るわけでございます。私たちは海外の織物を技術の上で負かさざるを得ないと考えましていろいろ新商品の開発をするわけでございますけれども、新商品の開発をいたしますと二カ月とたたないうちに今度は海外でその織物がつくられて出てくるというような状況でございまして、役所の関係で輸入織物にも随分御努力をいただくわけでございますけれども、現在の輸入関係、もうそれ以上大きなものを期待しても無理でないかというところまで私たちは考える段階になってまいったわけでございます。  特に、当初は韓国、台湾、中国でございましたけれども、今はシンガポールであるとか二十数カ国で国内の和装の生産ができるという状況になってまいりまして、今デパートなり市中で取引されておる絹織物は少なくとも五〇%は輸入織物を含んでおるという状況でございます。いかに国内絹織物業者が努力をいたしましても、この生糸価格差を埋めることは到底でき得ないというのが実情で、先ほど申しましたように、絹産地は年々大きな落ち込みをしておるのが現状でございます。私たちも国会の先生方にも陳情を申し上げ、役所にも陳情いたしまして、何とか、日本養蚕の方々の庇護は別途の道を講じていただきたい、絹織物業者を全部つぶしてしまうような政策は何とか変えていただきたいというようなことでいろいろお願いをいたしたわけでございまして、年度の途中に一万四千円から一万二千円に下げていただいたことにつきましては、私たち先生方を初め役所の大変な御努力に対しまして感謝を申し上げるわけでございます。  第一歩をこうしたことで我々の希望に近づけていただきましたけれども、私たち産地の者は、海外と闘う要素のためには、国際価格まで近づかなくても、少なくとも一万円まで下げていただきたいというのが私たちの考え方でございまして、これは、一万円に下げられますと私たちも大きな被害をこうむりますし倒産も続出するようなことがあるかもわかりませんが、その時点からでいきますと海外の七千円の織物とも闘えるという自信を持って努力したわけでございますけれども、結果的には一万二千円ということでございまして、せめてこれが一万一千円になっておったら織物業界にはかなりの活性が望めるのではないかというようなことを考えておるわけでございます。  しかし、先生方の御配慮なり役所の御努力によりまして一万二千円という価格が決まった以上、この価格の安定に私たちも努力いたしますと同時に、いろいろ出ております輸入織物を少しでもとめていただくこともお願いしたいと思っておりますし、また国内生糸消費する一つの消化材料と申しますか、そうした輸入織物と闘う一つの手段として実割り生糸定時定量お願いいたしたいと思っておりますし、また事業団の糸の放出につきましても、市場の混乱のないように、本当に糸を使う者を配慮した糸の出し方をぜひお願いしたいと考えておるわけでございます。  和装業界の売れ行きは非常に厳しいものがございますが、その厳しさ以上に一番大きな影響を受けておりますのは、前段にも申しましたように輸入織物と化合繊の分野から入ってきておるものでございまして、これは何といたしましても、私たちがいろいろの新商品の開発をいたしまして、そして少しでもこれを食いとめていくということにいたしたいと思っておりますし、流通過程をできるだけ短絡化して消費者に安い織物を与えて買っていただくという道にも努力してまいりたいと考えておるわけでございます。  どうか今後とも、蚕糸絹業一体となって、日本絹業が一緒になって進んでいけるような方策をぜひ進めていただくことをこの機会にお願いいたしたいと考えます。  これで私の陳述を終わります。(拍手
  8. 島村宜伸

    島村委員長代理 ありがとうございました。  次に、西野参考人お願いいたします。
  9. 西野重夫

    西野参考人 私は、先ほど紹介をいただきました新潟県の最南端の南魚沼郡六日町大字五日町で実際に蚕を飼っている西野重夫でございます。  このたびの法改正に対しては、下位価格が幾らに決まるのかわからないというこの法改正には本当に困るのだという立場から御意見を申させていただきます。  今、私は田を三町八反、普通畑を一反と蚕を飼って、昨年からはUターンしたせがれと一緒にやっている専業農家でございます。何とか農業を安定したい、稲作だけでは、年一回の収入では、また労力の配分からいっても何とかこれを安定したいということから、いろいろ考えたのでございますが、何しろ私たちのところは日本一の豪雪地帯、今現在でも二メートルからあるところでございますので、本当になかなかいい複合作物がないのでございます。特に四月いっぱいも雪が残るという私たちのところでは、いろいろな考えが聞かされておりますけれども、いい作物がなくておったのでございますが、今から十六年前、町の農協さんにひとつ養蚕をやらないかということで勧めていただきまして、村の仲間と取り組んだのでございます。  仲間三軒と始めたのでございますが、村の近くにある今要らなくなったぼい山を四町歩ばかり開墾いたしまして、そこに桑を植えたのでございます。開墾をやるのは本当にいろいろな苦難なことがございましたが、この開墾の喜びは私たちも本当にうれしく、やる気がいたしました。生きがいがございました。そうして、それも三年くらいでいい桑もできまして、本当に繭もできるようになったのでございます。この仕事は県単事業ということで県も取り上げていただき、資金としては農林公庫や近代化資金を三百万の上、またいろいろなところから融資をしていただきまして本当に助かりました。  町ではこうしたグループが大体五つか六つできましたし、同じ各戸でやっている養蚕農家も三十五、六軒もございます。こういった人たちが交流し合いながら研究し合ってまいりましたが、桑を植えてから大体三年くらいから蚕は飼われるのですが、いい桑も育ちまして繭がとれるようになって、みんな本当にうれしくて一生懸命で取り組んだのでございます。そして、本気になって飼育の改良や増産に取り組んでまいりました。また、町からも稲をつくってはいけないという水平畑を貸していただいて、ここにも桑を植えて本当に立派な桑園になっております。  蚕はなかなか忙しいときもございますので、じいちゃん、ばあちゃんにも手伝っていただいて、年寄りの人からも本当にいい生きがい対策だということで喜ばれたのでございます。一生懸命やっているうちに目標の三トンもとれたり、県や関係の官庁からも何回か優秀賞というようなことで表彰もいただきました。いろいろの燃料関係で要らなくなったぼい山からこんなきれいな繭の山がとれる、この喜びはほかの人にはわかっていただけないのではないかと思うのでございます。指導していただいた関係官庁やこの制度に本当に感謝をしておりました。  これが、大体昭和五十八年ごろから町の製糸工場経営がなかなか大変ということで倒産もいたしまして、そうしたら、私たちの組合もいろいろの経費が上がったというようなことで赤字が出始めました。昨年は、たかが知れた少しな額ですけれども、五百万くらいの売り上げのところに三十二万もの赤字決算となったのでございます。ほかのグループの人たち経営が不振だということで、だんだんとやめて少なくなったのでございます。やれば毎年生まれてくるこのきれいな資源が葬られて、取り組んできた同志の人たちが借金だけ残っているというこの現状、本当に残念でなりません。  ですが、私たちは歯を食いしばって経営の改善と桑の一番問題になっている萎縮病に取り組もうということで申し合わせたのでございますが、今回の繭糸価格の安定法が改正になって今よりももっと安くなる、保証の基準がわからなくなるというような話で、本当にショックなのでございます。行き先の明かりのないのは、特に私たちのように組合でやってチームワークを必要とするところでは、やる気がなくなったときには本当に致命的な問題でございます。致命傷になりかねないのでございます。日本の農業のいいところは、年をとった親を子供が面倒見る、都会に出た妹や弟の困ったときには面倒見る、そうして隣同士で助け合ってよい村づくりをする、そうして歴史をつくる、こういうことではないかと思うのでございます。これがただ経済だけの打算的な考えていくと、私たちの農村は本当にめちゃめちゃになっていくのでございます。  今までいろいろな参考人の方が申されましたし、報道でも繭が余っている話、本当に安い生糸絹織物外国から輸入されている話、需要が少なくなって事業団が十七万俵とかたくさんな在庫があるという話、いろいろな話を聞きますが、このしわ寄せをみんな汗を流して働く農民に押しつけられるのでは、本当に私たちの仲間としてふんまんやる方ないのでございます。私も、娘が欲しがる何十万もする着物の魅力、そうしてあの肌ざわりのよさ、これは忘れることができないのでございます。本当に小さいかわいい蚕に桑をやる、一日一日大きくなる、そうしてやがてはきれいな繭になるこの楽しみ、私たちは本当に蚕を飼いたいのでございます。しかも安定して子供たちも後を継いでいかれる制度にしていただきたいのでございます。  昨日も町の養蚕振興大会がございました。そのときには、本当に再生産のできる制度にしていただきたい、そうして養蚕振興をやろう、こういうことを宣言しました。そうして皆さんから、中央に実情を訴えて、本当によくなった日本に農業が素直に生きていかれる道をあけていただくように訴えてこいと支援をしていただきました。  以上、お願いと私の意見といたします。(拍手
  10. 島村宜伸

    島村委員長代理 ありがとうございました。  次に、菱谷参考人お願いいたします。
  11. 菱谷政種

    菱谷参考人 このたびの繭糸価格安定法改正案についての私の率直な意見をごく簡単に申し上げたいと思います。  蚕糸業価格安定を事業とする事業団が、累積した生糸在庫を処理し、生糸買い入れの過程で発生した多額の借入金を返済していくためには、何らかの処置が必要であると私は考えます。このたび一般会計から援助が得られたわけですから、一刻も早く事業団を再建して、国民の負託にこたえるべきものと考えます。  このため、需要の開発に力点を置いた価格安定制度改正すべきであると考えます。二重安定機構はいろいろ行革とか国民のコンセンサスとの関係もあってやむを得ないと思うわけですが、価格安定については十分に留意していただきたいと思います。  次に、従来生産費に力点を置いた価格安定制度で、需要の急減には弾力性を欠いていたということを反省して、今後は弾力的な運営を望みたいと思います。産業界、というのは養蚕製糸、機織りを含めてですが、産業界も技術革新に努め、価格の低落に耐え得る生産構造、経営構造に改めていく必要があると考えます。  本改正案は、事業団在荷の放出を当面の目標としておりますだけに、このことと国内における生糸生産、繭の生産輸入との関係は、需要動向とにらみ合わせて慎重に配慮していただきたいと思います。総合的な需給計画の立案を望みたいと思います。  基準糸価は建て値制的な性格を持っておりますが、これは在庫との関係で弾力的に調整されることが必要だと思います。改正される安定基準価格についても同様の考え方が必要だと思います。  甚だ簡単ですが、以上をもって私の意見にかえたいと思います。(拍手
  12. 島村宜伸

    島村委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 島村宜伸

    島村委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
  14. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 ただいま五人の参考人から大変貴重な御意見を伺いました。つきましては、その中から二、三の点をお伺いしてみたいと思います。  まず第一に中島参考人でございますが、現在の繭糸価格安定法また安定事業団法の改正については運用を誤らないようにやってもらいたい、そうすれば蚕糸業も何とか運営していかれるのではないか、こういうお話がございました。  ただ、私が非常に心配いたしておりますのは、先ほど西野参考人からもお話がございましたように、今日の一万二千円という生糸基準価格一体今の養蚕農家、全国養蚕組合連合会はいいとお思いになっておられるのか。養蚕が中山間地域の基幹作物として推進されているときに、養蚕連合会は大規模養蚕業を推進していく中で、この中小の養蚕業の方たち一体どういう形で救済なさるのか、その対応というものがあると思います。その点について全養連としてどういう対応をこれからなさっていくのか、その点を私は伺ってみたいと思います。
  15. 中島孝

    中島参考人 大変難しい問題でございます。  まず繭価の問題でございますけれども、新しく改正されますと基準繭価は千七百五十五円になります。やはり私ども生産者としては、一円でも多い繭価を望みます。しかし繭は特殊な作物でございまして、製糸以外には買っていただけません。また、相場の言葉に、余り物に値なしという言葉がございまして、現在事業団に十七万四千俵の在庫がある間は何らかの形で買いたたかれてしまいますから、当面の問題といたしまして、まず事業団の在庫を片づけて、それから実勢糸価を浮上させる努力をすべきであろうと考えるわけでございます。  私どもといたしましては、五十八年の実績から考えまして、オールシルクの需要が三十万俵、生産が十九万俵ということで、供給が十一万俵不足であるという基調は変わらないと思っております。したがいまして、まず事業団の在庫を片づけまして、不足分を今度は国内生産で補うような形の生産状況にしていくべきだと思います。  二番目の、中核養蚕農家と比較的小規模の養蚕農家の扱いでございますけれども、当然私どもは中核養蚕農家だけで養蚕が形成されているとは思っておりません。今までの実情から考えまして、失礼な言い方かもわかりませんけれども養蚕業は比較的小規模な方たちの底辺の支えで、三角形の形で成り立っていると理解いたしております。したがいまして、私どもも複合経営の中でこれら小規模の養蚕農家がうまみのある経営になるような形でいろいろな施策を要求し、また具体的な技術開発をいたさなければならないと考えております。具体的には、とにかく質のよい繭、お米で申せばコシヒカリ、ササニシキというような品質のすぐれた繭をつくることをまず指導の最重点にいたしまして、一粒当たりの単価を上げていくということでこの難局を切り開いていきたいと考えておるわけでございます。  以上でございます。
  16. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 もう一つ、それならば今の一万二千円という価格で、今年の養蚕農家の掃き立て数量は一体減っていくのですか、それとも現状維持で推移するのですか、その点を伺っておきたい。
  17. 中島孝

    中島参考人 先生御指摘のとおり、私の見方では減っていくと思っております。一万二千円、繭価に直しまして千七百五十五円は養蚕農家の満足する値段ではない、実際問題そういうふうに考えております。しかし、諸般の情勢でやむなくこれをのまざるを得ないという形で現在推移しておるのではなかろうかと考えております。
  18. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 次に、有田参考人にお伺いをいたしたいと思います。  現在の安定法の中で新しい制度を取り入れる。しかし、前回、糸価の問題につきましては、期中において糸価改定がされた、この点については新しい適切な運用をされる、こういうようなことをおっしゃっておられました。そこで、製糸業の皆さんは、どうしてもこれから生産コストが上がっていく中で、輸入生糸というものをできるだけ抑えていきたい。しからば輸入生糸をどの程度価格で入れることが可能であるか、またそれに対応して、日本の一万二千円という基準価格というものは一体適正であるか、この点についてお伺いをしてみたいと思います。
  19. 有田正

    有田参考人 新しい制度を取り入れまして、それに伴います新しい運用のやり方をやっていくということでございますが、生産コストはその中でどうしても上がっていく、輸入生糸価格の問題と一万二千円は適正かという点につきましてお答えいたしたいと思います。  輸入生糸につきましては、現在国内におきまして、中国から生糸を入れますと、輸入業者の手数料、その他関税、そういうものを入れまして大体一万八百円、この数字はちょっと私も自信を持ちませんが、そのぐらいじゃないかというふうに思っております。それから、同じ輸入生糸の中でも韓国の輸入生糸はこれではおさまりませんで、一万一千円台でしか入らない。そういうふうに国際的に中国と韓国との値段の差がございます。したがいまして、今先生から御質問がございました、私ども日本国内生糸影響を与えるものといたしましては、逐次御当局の御努力によりまして生糸輸入自身は減ってきておりますし、今後一万二千円という基準糸価が踏襲されますと、韓国は生糸のままではなかなが入ってきにくくなるというふうに私どもは感じております。しかしながら中国の糸は、御案内のように国際価格と申しておりますけれども、リヨン、その他イタリア、スイス、英国、そういうところに売っております値段は大体七千円がらみのところでございまして、日本で一万円台で輸入いたしましても国際価格との間においては高く買っておるのが現状でございます。しかしながら、今申し上げておりますように一万二千円という価格になれば、韓国の糸はなかなか入りにくいものになってきつつあることは事実だと私どもは見ております。  それから、一万二千円は適切かという問題につきまして、私ども国内生産者としての立場からいいますと、かつて十年か十五、六年前までは繭の代金と我々製糸の取り分とが大体七対三ぐらいになっておりまして、繭代が七で製糸が三ぐらいでございました。これを、自動繰糸機その他の機械の改善改良をやることによりまして、製糸の取り分は二でもよろしい、繭代を八払うことにしようという今の状況に大体なってきました。したがいまして、私ども製糸の段階におきましてもコストダウンということが非常に難しい状況になっていることは事実でございますが、それよりも糸価の乱高下によりまして流通が阻害されることの方をむしろ私どもは非常に心配をいたしておりまして、現在基準糸価は一万二千円でございますが、糸価は当限におきましては一万二千七百円というものがついております。したがって、基準糸価は一万二千円であっても実質的に糸価が高くなるように、先ほども御説明申し上げましたように、事業団放出あるいは輸入、こういうものを強く抑えていただくことによって、糸価基準としては一万二千円であっても国内糸価は一万二千円から一万三千円ぐらいの間にとどまるように何とか施策を講じていただきたい、そういうことでございます。  ちょっと御返事になったかどうかわかりません……。
  20. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 それでは西野参考人に伺いたいと思います。  今承りますと、大変に御苦心をされ、しかも十六年前から養蚕業をやったということは、これは稲作転換等も配慮をして新しい適地作物として養蚕業をおやりになった。しかし最近の情勢において繭価は下がる、それから生糸の値段は下がっていく、そこで赤字経営をやらざるを得ない。しかも近代経営をこれからやるんだ、こう言いながらも、養蚕家が順次減っていく、この現状を伺いまして、まさにこれが日本の中山間地の養蚕家の声であり縮図であると私は思っております。  したがいまして西野さんには、これからこういう地域が立ち行くためにはこういう方式を政府にとってもらえば何とか養蚕がやれるんではないだろうかという、その考え方を、要点だけを伺いたいと思います。
  21. 西野重夫

    西野参考人 ただいまの質問にお答えをいたします。  私たち養蚕組合はおととしあたりから赤字決算がどんどん出てきたということで、協同組合でやっておりますと売り上げが幾ら、経費が幾ら、差し引き幾らと赤字がはっきり出てくるわけですが、今のところ何点かの改善目標はございますが、それをやってもなかなか赤字が解消されないのではないかというようなことで、これを切り抜けるにはどうしても各戸に分けて、どんぶり勘定といいますか、そういった農家経済の中でやるより仕方がないのではないかというようなことも実際は考えております。本当はみんなで仲よくやっていきたいのですが、赤字がどんどんと出ていくと、赤字だけ残って、あとは本当ににっちもさっちもいかないということになる、そういった現状から、こんなことを考えております。  それと、これから国に願いたいことは、とにかく蚕を飼えば最低価格これだけは取れるんだ、金になるんだという見通しが欲しいということです。もう一つは、自分たちは豪雪地帯のために、毎年春になると蚕舎をつくり、秋になるとこれをまた壊さなければならない。今までは耐雪型の蚕舎であったのですが、これも豪雪のために何回もつぶされて、本当に経費がかかったので、これを何とかひとつ、恒久的とはいかなくても、毎年そう手をかけなくてもいい施設ができないものか、こういったことをお願いしたいところでございます。
  22. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 時間もわずかになりましたので、白杉織物組合連合会副理事長さんにお願いをしたいと思います。  養蚕と織物、これはお互いに相共同して存立しなければならない立場なんですが、実際的には安い生糸が必要だ、それにはどうしても繭も安くなければ困る、こういうことになりますと、お互いに相反する利益の立場にならざるを得ない。私ども農水におきましても大変この点を苦慮しておるわけでありますが、今伺いますと、産地は大変に苦労はされておる、しかし我々の実態というものは、外国から安い織物が入ってくる、開発してもまたすぐその後から同じものを入れてくる、それではとても太刀打ちはできないんだ、したがって輸入織物の規制をどうしてもしてくれ、そして政府にこの対応をしっかりやってもらいたい。しからばこの対応は、政府でどういう形をとれば皆さんの御要望の線に沿えるのか、これが一つであります。  もう一つは、生糸基準価格を一万円まで下げてもらえればいいのではないだろうか。そういたしますと、実質的には養蚕家は成り立っていかないという実態になると思うのでありますが、一万円まで下げれば実際に他国との競争にも太刀打ちでき得るのか、その点もちょっと伺いたいと思います。
  23. 白杉儀一郎

    白杉参考人 今の一点の輸入織物でございますけれども、私たちは随分通産省に、輸入織物の大幅な削減、時には一時停止をしていただきたいというようなことで、本当に一生懸命取り組んだわけでございますし、蚕糸の方々の御支援もいただいてそういう形で進めてきたわけでございます。海外の輸入の取り決めが平方ヤードで決められておるわけでございまして、当初は海外の各絹織物は、裏地のような軽いものから、スカーフのようなものから入ってきたわけでございますけれども、だんだん技術が向上いたしましたので、だんだん平方メーターを縮めるに従いまして結果的には表生地のものになってきたという状況でございまして、平方ヤードからいきますと、最盛期からいたしますと四〇%近く削減されたというふうに考えますけれども、内容的には九十数%という状況でございまして、今、表生地の産地が全部悲鳴を上げておるというのが実情でございます。  これも、平方メーターの余分に重量制限もしていただきたいということでいろいろ陳情しておりますけれども、今、国のこうした貿易状況から申して、到底これ以上のものは無理だというようなことを言われておるのが実情でございます。しかし少なくとも、こうした蚕糸絹業が大変なときでございますので、ある一定の、事業団の糸がなくなるまでは輸入の停止をやっていただくというようなことができるものなら非常に大きな効果をもたらすということを一点考えております。それから、その間に課徴金のようなことをいろいろととって、それを養蚕の方々に何とか持っていくというようなことはでき得ないものかというようなことを私たちは申し上げたこともあることをつけ加えておきたいと思っております。  それから、一万円ということを申しましたのは、今、表生地産地が特に被害を受けておるのは、韓国、台湾、マカオでありますとか、そういう状況の中におる産地でございます。韓国が海外に輸出される織物については、国産の糸を大体七〇%と輸入してきた糸を三〇%ということを言っておるわけでございまして、それが一万円ぐらいということを言っておるわけであります。しかし、一万円にしていただけば韓国となら対等に闘える、これは輸入のあのものをやっていただいても闘えるという考えで一万円ということを申し上げたわけでございます。リヨンの相場からいきますとまだ三千円ほどの差がございますけれども国内のいろいろな動向、また小ロットの高級品というようなことになってまいりましたので、三千円ぐらいの差なら国内絹織物業者が何とか努力をしていくならば、長い目で見れば恐らく海外とある程度闘える価格になるのじゃないか。  それで、一万四千円から一万二千円に下げていただいたのではまた必ずもう一度下がるということが考えられまして、需要の関係の方々は、言うか言わないかでございますけれども、恐らくこれはどこまで続くかということを考えておるわけなんでありまして、少なくとも一万円まで下げていただくなら、これでもう最低の岩盤に届いたのだということのもとに仮需要も起きてくるだろうと思っておりますし、そういうような業界活性化につながるがためには、非常に大きな打撃ではありますけれども、一度胴体着陸をお願いせざるを得ぬというような考えで一万円を申し上げたわけでございます。  以上でございます。
  24. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 どうもありがとうございました。
  25. 島村宜伸

    島村委員長代理 小川国彦君。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 小川国彦

    小川(国)委員 参考人の皆さんには、それぞれ用務御多忙の中を、また遠路おいでいただきまして大変ありがとうございます。  私ども日本の長い歴史と伝統を持った養蚕製糸、織物、この業というものを一体のものと見て、これが日本の農業、産業として位置づけを保っていけるような、そういうことを強く願っているわけでございます。国会の中でも各党それぞれ一生懸命議論をし、研究を重ねているわけでございますが、きょうは参考人の方々から忌憚のない御意見を承らしていただきたいと存じます。  最初に、全養連の代表の方と五日町からおいでいただいた養蚕協業組合の方にお伺いをしたいのでございますが、日本養蚕農家は二十年前の昭和四十年には五十一万戸あったのが今六十年には十一万戸、この二十年間に五分の一に減少している、しかし、それでも十万ヘクタールの桑畑を持って農業として位置づけをしている、これは私ども非常に重要な意味合いを持っているというふうに思うわけであります。ただしかし、この一、二年の動向を見ますと、特に繭の減産ということがございまして、昨年は二五%減産というようなことが行われました。これが養蚕農家にどういうふうな影響を与えているのか。それからもう一つは、年度途中で二千円の引き下げということが行われたわけでありまして、この打撃というものも全国の養蚕農家、個々の養蚕農家の経済的に相当なマイナス要因になってきているのではないかというふうに思うのでありますが、この減産という問題と糸価の引き下げというものを個々の養蚕農家経済、それから組合、それから全国組織という中でどういうふうに受けとめておられるか、その点をもう一度伺いたいと思います。
  27. 中島孝

    中島参考人 まず減産傾向でございますけれども、これは簡単に申し上げますと、平地にあった桑畑は、平地は水田等の食糧作物に戦時を境にいたしまして移行いたしまして、傾斜地の方へ養蚕が入っていったために減産スピードが強くなったと私ども理解いたしております。  それから、昨年の二割削減に伴いまして、これは養蚕農家に与える心理的なダメージは極めて大きかった、私たちは率直にそのダメージをかぶっておるというのが現実でございます。これによりまして制度不安——今までは私どもは、養蚕農家の方にお話しする場合に、我々は非常に制度に恵まれておって、蚕糸業というのは繭糸価格中間安定制度で守られておって制度不安はないのだということをお話し申し上げてまいったのでございますけれども、昨年非常に大きな制度不安に見舞われてしまいまして、養蚕農家のダメージは現在も続いておるということが言えようかと思います。したがいまして、ことしはかなり減産がされるのではないかと、実は内心非常に心配いたしておるものでございます。  以上でございます。
  28. 小川国彦

    小川(国)委員 同様なことを西野参考人からもお聞きいたしたいと思います。
  29. 西野重夫

    西野参考人 お答えいたします。  養蚕農家の立場といたしまして、とにかく余るんだ、減産をやってくれというような指導がございますが、仲間の人たちがだんだんと経営が不振でやめていく形で、今のは自然に減産を余儀なくされていくのでございますが、やはり自分たちのところが単作稲作地帯で、これに何とか現金収入を合わせ、また、労働配分という点から養蚕を守りたい。それには、ほかのところが一日六千円、今、村の協定が六千六百円ですか、これでも自分たちは今まで四千円なり四千五百円ということで、本当に倍も働くというような格好でやってきた。これもなかなか大変な状態になってきますので、先ほども申しましたように、とにかく一軒の家の経営の中でやったら赤字という点が残らない、その一日の日当が三千円になるか、二千円になるか、それはわかりません、こういう形の中でやはり自分たちはやりたいのだ、続けていきたいのだという気持ちでやっておりますが、これはやはり近代的な設備を持ってやる、せがれも、また後継者の人たちがやっていくというのではもうだめなのだ、本当に政府からもてこ入れしていただいて、施設の点、それから先ほども申しました下位価格の保証、こういった点で守っていただきたい、こういう願いでございます。
  30. 小川国彦

    小川(国)委員 それぞれ、全国の養蚕連傘下の組合員の皆さんや、個々の養蚕農家に与えている影響というものを私ども非常に危惧しておりますし、その意味でも今度の改正というものが制度としてはきちっと維持されなければならぬというふうに強く思っているわけでございます。  続いて、今の減反の問題と、それから二千円の価格引き下げというものが製糸業経営構造にはどういう影響を与えているのか、この点について、日本製糸協会有田会長さん、それから京都工芸繊維大学の菱谷先生、それぞれの方に、製糸業経営構造に、蚕と同じように大変な経営努力はなすっていると思うのですが、生糸価格が二千円引き下げられた、これに対する対応策はどういうふうに取り組んでおられるのか、その効果は上がっているのかどうか。製糸業経営構造という立場から見て、お二方に御見解を例えたらと思います。
  31. 有田正

    有田参考人 先ほどもちょっと申し上げましたように、昨年の十一月に一万四千円の糸価が一万二千円になりました。それ以来まだ実は半年ということで、しかも年度からいいますと五十九年度の生糸年度が今進行中でございますので、今、目新しい影響というものは出ておりません。ただ、今先生からの御指摘がございましたように、この基準糸価の引き下げによりまして繭の値段がある程度下がってくる。そうしますと全国的に減産が行われるであろう。その減産がどういう地区にどういう程度行われるかということが製糸にとって非常に大事な問題でございます。北は東北地方から南は鹿児島あるいは沖縄まで、各地に養蚕農家がありますので、そのどの地区がこの価格改正によって減っていくのか、それがその地元の製糸にいかなる影響を与えるかという、非常に限定された形になると思います。現在、大製糸と言われる製糸も、工場は単一工場になっているのがほとんどでございまして、全国的に三カ所も四カ所も持っているのは一、二の大製糸にすぎませんので、やはりその地域との関係、養蚕農家生産する繭とそれに密接する製糸業との関係、これがすべてのものを決めていくことになろうかと思います。  また、今度もう一つの問題は、その生糸生産費の中に占めます労賃の問題、この辺が、大企業になりますとやはり賃金は比較的に高うございますし、中小の製糸におきましては地元の賃金ベースを基準にされた労賃でございますので、そこにおいては糸価がある程度下がりましてもやっていけるという面は出てまいりまして、影響といたしましては、まことにその地域におきます繭が減ることによって出てくる製糸の廃業あるいは機械廃棄ということと、大製糸におけるこの業界からの撤退というのが逐次今少しずつあらわれてきつつございます。  なお、先ほどちょっと御説明いたしましたように、五十八年、五十九年におきまして約三三%の機械廃棄いたしましたけれども、引き続いて製糸といたしましては、コスト低減その他のためにも機械廃棄をこれからやっていきたい、こういうふうに思っております。  以上でございます。
  32. 菱谷政種

    菱谷参考人 御質問にお答えします。  繭の生産高が減るであろう、つまり繭生産の規模縮小が起こってまいるわけですから、当然それに対して製糸業は規模縮小をして対応していかなければならぬと思います。その製糸業の規模縮小がマクロ的に縮小していくとした場合に、ミクロ的にどういう形になるかというのは別問題だと思うのです。つまり多数工場、例えば組合製糸なんかで二工場ぐらい持っているのはやはりそれを合併するとかして固定費を節減するとかいう方法で、ミクロ的な対応策はまだ残っていると思います。  それから、やはり製糸業というのは、こういう非常に波の荒い産業でして、以前は、山高ければ谷深しという形できたわけです。それに安定制度をはめたわけですけれども、やはりこういう形が起こってまいるわけですから、製糸業というものはそういうものだ、そういう自意識は経営者が本来持っておらなければならぬものだと私は思います。したがいまして、こういったことに対する対応策というものは、経営者は当然心得ていると思いますけれども、やはり今申しましたように企業の合併、統合あるいは合同化あるいは共同化、経営者の主権が多少制約されても経営を残すという形での対応策を考えていかなければならないのではないかと思います。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、絹織物工業組合の白杉さんにお伺いをしたいのでございますが、日本生糸の相場を、これから経営改善とか合理化とかいろいろな形によって国際相場に近づけていく努力というのはしていかなければならぬ。私は、それが非常に困難なことだとは思うのですが、そういうものが国際相場に限りなく近づいていった場合、日本絹織物業というものは国際競争に太刀打ちできる、そういう輸出競争力というものは持てるのかどうかですね。私ども絹織物業を見ておりますと、流通業界が非常に複雑多岐にわたっておりまして、流通構造の流通マージンが六〇%と言われるような状況であるわけなんですね。それで、一〇〇のものが六〇〇とか七〇〇になっている。私、この間、京都の西陣へ参ったら、帯なんかも、メーカーから見ると、消費者が手にするものは三倍になっている。生産者から言わせれば、一反二、三万円の白生地が何で五十万、百万の着物になってしまうのか、こういう疑問というものはあるわけですね。そういう流通の一つの改善の問題と、それからもう一つは、国際競争に立ち向かうその絹織物業界としての体制というものは組めるのかどうか、この点をひとつ伺いたい。
  34. 白杉儀一郎

    白杉参考人 まず一点、輸出競争力ということでございますけれども国内和装の需要の落ち込みということによりまして、やはり海外へ出ていかなければいけないということから、日絹の組織を通じましてずっと海外でも服地の開発等をやっておるわけでございます。輸出については、保税制度という制度を設けていただきまして、着実に年々伸びていっておるという状況を考えてまいりますと、国際価格でありますならば、海外においても国内の技術は十分通用すると考えております。  また、先生の御質問にはなかったわけでございますけれども国内にも絹織物の服地関係の要望が随分ございまして、産地によりますと、国内用の絹織物を開発いたしたいということで随分やっておりますが、これは保税生糸が使えないという状況でございまして、今、コモでありますとか、そういうイタリーあたりの関係と非常に競争しておるわけでございますけれども生糸価格の相違のために私たちが負けておるというような状況がございます。  それから、和装などの流通マージンということでございますけれども、これは先生の御発言のように大変いろいろの複雑な経路があると考えておりまして、私たち、繭、生糸、そして織物の素材をつくっている者は、これは一つのものでありまして、我々の手から離れたものが呉服の分野になってくるということなのでございますけれども、これの流通部門の改善ということは、当然いろいろの関係で今後私たち一体になって取り組まざるを得ぬと考えております。きょうまで我々は、ただ素材をつくっておるだけではいけない、やはり少しでも完成品をつくって、流通を短絡化して少しでも販路を広げていくということにも努力をしていきたいということで、今現実に無地染めなどの簡単なものから取り組んでおるわけでございます。  そういう面で、もう少し生糸価格が安ければ輸入織物とまず闘っていけるということが考えられますし、それから合繊関係が絹の分野に非常に入ってきておるということでございまして、私たちの関係では、大体生糸というものはもの三倍である、それから合繊関係からいきますと七倍ぐらいのものが過去はずっと横並びのような形で出てきておったわけでございますけれども、現在は毛に比べますと七倍におる、また、合繊関係に比べますと十八倍におるという状況でございまして、服地の裏でありますとか女性の下着などでもほとんどそうした化合繊の関係に絹の分野が食われてしまった、国内の大きな合繊メーカーに食われておるということをつけ加えておきたいと思っております。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に菱谷先生にお伺いしたいのでありますが、私ども日本養蚕業、製糸工業、絹織物工業、こういうものは一体として一つの地場産業を形成している、養蚕農業のある地帯に煙突があり、そこに製糸工業から機織り業というものが一つの産地形成をしておる、これは日本の農業と商工業が一体となった一つの理想的な形態をなしているものであって、国内的にも国際的にもこうした絹織物がもっと伸びていくという状況をつくりながら、三者一体の体制というものが望まれるのではないかと思うのですが、その点を学問的に御研究なすっていた見地からどのような御見解をお持ちであるか、それを伺いたいと思います。
  36. 菱谷政種

    菱谷参考人 御質問にお答えします。  蚕糸業は、今まで生糸輸出するということで生糸までの研究というのは非常に進んでいたと思うのです。しかし、現在生糸輸出されておりません。全部国内需要で賄っておるわけです。国内需要というのは、今まで輸出が目標だったものですから、行政的にもそういったものはおくれていると私は見ます。  そういうふうに、生糸から織物、さらに絹製品というふうに内需は展開してきたわけですから、そういう行政的な制度あるいは需要振興の機関、その万般にわたって政府がもっと力を入れるべきではないかと考えます。そうすれば、今まで生糸輸出が非常に盛んであったように、内需振興についても新しい根といいますか組織ができて、それが呼び水となって、新たな需要振興、今度のこの法案は需要振興案だと思いますが、その裏づけとしても私はそういうことを期待したいと思います。
  37. 小川国彦

    小川(国)委員 どうもありがとうございました。
  38. 今井勇

    今井委員長 次に、松沢俊昭君。
  39. 松沢俊昭

    ○松沢委員 参考人の皆さん、大変御苦労さんでございます。  いろいろと御意見を拝聴しておりますし、この前委員会でも法案の審議をやってきたわけでございます。何しろ、今も小川委員の方からお話がございましたように、昭和四十年の初めにおきましては五十万戸以上の養蚕農家がございましたのが、最近では十一万戸程度になってしまったということでありますし、また、この繭糸価格安定法の一部改正の問題につきましても、研究会の答申を受けて出ていることは御承知のとおりでございます。  そこで、研究会の意見の中にどういうのが出ているかということになりますと、縮小合理化の方向でいかなければだめだ、こういう意見があるわけでございます。もう一つの方法といたしましては、主産地の形成、いわゆる中核農家の育成、こういうことで日本養蚕をこれから見通して発展させていく、こういうお話でこの安定法の一部改正というのが出されていると思います。  しかし、この前の委員会でも私申し上げましたが、国際的に繭というものを見た場合、養蚕というものを見た場合どうなっているのか、こういうことになりますと、世界じゅうで八十万俵ぐらい生産されているのじゃないか、そのうち中国が四十万、日本が二十万、あとはよその国がやっているのだ、こういうことなんですね。それをさらにせんじ詰めてみますと、四十七億の人類に一枚ずつ絹の着物を着せるということになりますと二千年から二千五百年かかる勘定になるのじゃないか。そういうことになれば、絹というのは地球的な規模、世界的な規模からするならば大変不足な状況になっているのじゃないか。  そういう世界的な立場から見るならば、もう少し日本養蚕というものを見直して、考え直して、縮小合理化などということでなしに、もっと胸を張って養蚕振興のために業界の皆さんにも頑張ってもらわなければならないし、また、国の行政といたしましてもてこ入れをやって、世界的には非常に不足な絹製品をもっともっと増産する方向に持っていかなければならぬのじゃないか、私はこう考えるわけなんであります。  そういう点で、養蚕生産団体でありますところの中島さん、それから京都工芸繊維大学の菱谷さん、お二人の方から、どんな考え方を持っておられるのかお伺いしたいと思うのです。
  40. 中島孝

    中島参考人 先生のお話、大変心強い話でありがたいお話でございます。私どもは、先生のおっしゃるとおり、どなたかが御指摘があったかもわかりませんけれども、現在まで生糸生産は、主として着物を対象にして生糸生産し開発してまいったと存じております。これからも着物の需要というものは私ども非常に大事にしていくことはもちろんでございますけれども、ともすれば今までは着物の需要だけに甘えておったということを率直に現在反省いたしておるものでございます。  したがいまして、養蚕団体でございます、繭をつくる団体であります全養連も洋装分野の開拓を始めまして、私が着ている背広もシルクが三十数%入った背広でございますけれども、洋装分野の新規用途開発をいたしまして、ただいま努力しておるところであります。そういたしますと、今まで全く開けておらなかった流通の道が開けて、かなり大きな需要を将来期待できるということでございまして、まだまだ私どもは無限にシルクの需要はあるという確信のもとに、とりあえず洋装の分野、それもまたとりあえずシルクスーツの分野の開発を急いでおるということでございまして、先生のおっしゃるように、無限に開発するような意欲で現在おります。  以上でございます。     〔委員長退席島村委員長代理着席
  41. 菱谷政種

    菱谷参考人 お答えします。  日本という国は大体が生糸までということで来たのですけれども、例えばヨーロッパのECなんかを見ますとテキスタイルとアパレル、それも相互に輸出輸入をやっておりますね。そういうように、もっと多角的な産業構造にこの蚕糸業を構造変換していく必要が私はあると思います。そして、そこらで一つの雇用を吸収し、技術革新をしていけば、単に洋装だけにとどまらず、もっと幅広い分野で相互交流、相互依存体制が私はほかの国とも組めると思うのです。生糸輸出を云々という今度の条文改正がございますけれども生糸輸出ということにこだわらず、絹製品を含めた相互依存的な、これもいろいろの国との相互依存体制を組めば、需要の問題は私は十分解決していけるのではないかと思っております。
  42. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大変私の考え方に合うようなお話を聞きまして、大変喜んでおります。ぜひそういう方向で、要するに余り景気の悪い話ばかりやらぬで、もっと景気づけて、生産農家、それから機屋さん、製糸業界の皆さんをひとつ元気づけさせていただきたい、こんなぐあいにお願いを申し上げるわけでございます。  それから、生産地の形成だとかあるいはまた中核農家の育成で養蚕を発展させるというお話でございましたが、私も農家の出身でございますので、昔は米と、大体田植えが終わりますと養蚕をやりまして、そしてそれで現金収入を取りながら、複合経営の状態で養蚕というのがずっと私の地域では発展してきたわけであります。ところが戦後、やはり規模の拡大だとか選択的拡大だとかいうようなことからいたしまして、単品生産の方向で日本の農業生産構造というのは進んできておりますね。  そういうことからいたしまして、養蚕養蚕で生きればいいじゃないか、米は米で生きればいいじゃないか、野菜は野菜で生きればいいじゃないか、果樹は果樹で生きればいい、畜産は畜産で生きればいいじゃないか、こういうぐあいにして、今までの日本の農業経営というか農法というか、そういうものを、特に昭和三十六年の農業基本法が制定されてからばらばらにばらしてしまった。これがすべての農業生産に悪いところの影響を与えているんじゃないか。これは養蚕だけでございませんで、金融の問題で調査に出かけていきましたところが、あれだけの大きな規模の畜産が三割ぐらいもうだめになってしまっているというような状態になっているわけでありますし、養蚕だけじゃないんですね。あるいは果樹なんかにいたしましても、うまくいっているところと悪い状態になっているのは、実はもう雲泥の差になってきております。  ですから、私は、主産地形成というのも、これは全体的に、例えば群馬県あたりというのは今まで伝統があるわけですから、これはやはり生かしていかなければならないと思いますが、しかし、私、新潟県でございますけれども、新潟県の山間地帯などの場合におきましても、蚕は蚕なりに意味があるわけだから、ひとつばらさないで複合経営でやれるような状態、掃き立て量というのもそう大きくなくとも、部落だったらどの農家も時期になると大体蚕さんを飼って現金収入が取れるような、そして年間を通じての労働力の回転というものをやるような経営にもう一回戻していくということが、日本養蚕の発展につながるのじゃないかというふうに実は考えているわけであります。これは養蚕だけでございませんで、鶏にいたしましてもそのとおりだと思うのです。そう大きくしなくともいいから、要するに全部組み合わせたもの、そういう複合経営でやっていくというのが、結局は養鶏にしたところで養蚕にしたところで生き延びられるということになるのじゃないかと思うのです。そしてまた、そのことが生産コストを逆に引き下げるということになるのじゃないかと私は思うのです。  例えば、農舎というのはいろいろな作目が使うことになりますから、減価償却の面からいたしましても、一つのところだけ償却費を必要経費にする必要はないわけでありますから、分散するわけでありますから、したがって生産コストは下がるはずなんであります。規模拡大すると生産コストが下がるという論が今までまかり通ってまいりましたけれども、二十数年の歴史を振り返ってみますと、これはむしろあべこべなんじゃないか、こんなぐあいに私は私なりに考えております。  そういう点につきまして、中島さんあるいはまた西野さん、どのようにお考えになっているかお伺い申し上げたいと思います。
  43. 中島孝

    中島参考人 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、これは私見でございますけれども、単品生産農家の育成ということは、ともすれば国際分業論を誘導する危険性をはらんでおると私も理解いたしております。  したがいまして、日本の国土に合ったような農業を展開する場合には、一方においてはやはり足腰の強い、国際競争力のある大規模経営を目指すことは当然でございますけれども、そこに御指摘のような複合経営を加味いたしまして、従来のすぐれた小農論的な農法を取り入れて農業経営をいたすべきだと私は個人的に考えております。この複合経営の花形が昔から養蚕でございますから、その意味でも養蚕の生きる道はここにあるのではないかと実は考えておる次第でございます。
  44. 西野重夫

    西野参考人 お答えになるかならぬかわかりませんが、実は私のせがれ、去年から農業を継いでくれているんですが、とにかくアメリカへ行ってみたいということで、行ってこいというので最近行ってきたんですが、行って帰ってから、父ちゃん、アメリカの農業もなかなか大変なんだね、本当に二千町歩、三千町歩の大きなところで機械でもってやっている、そのところでさえも大変なんだなということを感じてきて話をしておりましたが、日本の農業のいいところ、先ほども申し上げましたが、自分たちのところは、規模拡大でじゃアメリカさんやほかのところに太刀打ちができるかということになると、なかなかそうはできません。実際に自分がやっていますと、何十町歩、何百町歩というのはこれは太刀打ちできません。  この中で本当に日本の農業のいいところというのは、やはりじいちゃんが忙しいときは手伝ってくれ、せがれの新しい考えについてはおやじが協力し合ってやっていく。どんどんと伸びられるときには確かに近代的な施設も、大きなそうしたやり方も向くとは思いますけれども、これを、生産コストを下げて本当に自分たち経営としていくには、やはりそういった形ではないかという気が最近はしておりまして、仲間の人たちと話をしております。これは養蚕に限らず、水稲の方もそういったことは限られ、今の日本の、そう何十町歩でなくて五町歩なり六町歩、こういった中で村の人たち、商業をやっている人たちの春秋を面倒を見たり携えていくのが本当に日本の農業のいいところなんじゃないかな、そういうことでみんなと話をしております。  特に、ほかの企業やいろいろなところで一日八千円なり一万円取っている人たちと、また自分のうちでやって三千円なり五千円なり、こういったことになろうかと思いますが、その中で、いろいろな働くところ、研究されるところ、努力し合っていかれる生きがいうちでは助け合ってやっていかれる、こういったことでこの危機が救われるんじゃないかという気がしております。  実際、自分たちもその立場で仲間の人たちと、毎年毎年赤字の出ていく現実を見ながら、これをどうするか、その中では若い人たちの望む大きな近代的な施設もこれはうらやましいのでございますが、自分たち経営の中で複合としてこういった養蚕を伸ばしていくには、今の状態としてはこういう状態でなくてはいけないのではないかという気がして話し合っております。  以上。
  45. 松沢俊昭

    ○松沢委員 有田さんにお伺いしますけれども、今、原料繭が五万トンですね。そうすると製糸業界では量が足りないわけですね、仕事をするには。だからお互いに五万トンの繭の取り合いをやるということになりますと、実際に価格というのは上がってきますね。ところが、値段が上がってくるけれども、一方、事業団には十七万俵の生糸があるわけでありますから、ここのところはそう上げるわけにはいかぬということになるわけでありますね。そうなりますと、繭の値段は上がる、生糸の値段は上がらない、こうなりますと製糸業界というのは大変困るという結果になっているのじゃないか。  そういう問題というのは一つにはやはり矛盾であって、この繭糸価格改正法で一体この問題というのは解決がつくのかどうか。私のところにも手紙が来ておりまして、こういう矛盾というものを解決をつけなければ法改正の意味はないじゃないですか、こういう手紙なんです。それについて御意見をひとつお伺いしたいと思います。
  46. 有田正

    有田参考人 最も大事な問題だと私は思っております。したがって、私ども日本生糸の値段は高ければ高いほどいい、これは私ども製糸あるいは養蚕の皆さんが生活していく上において、日本の国民全体の生活水準が上がりました以上、我々も人並みの生活ができるような値段で売りたい、これはみんなの気持ちだろうと思います。  しかしながら、御案内のように、特に中国は安い生糸をつくります、労賃が日本の例えば十分の一と言われるような国におきます生糸生産というのがございますので、我々としてはどうしてもそれを意識しながらの値段を考えていかなければならない。特に、絹業の皆さん方がおっしゃるように、安い糸があれば我々はやっていけるんだ、そういう生糸需要者の気持ちも聞かなければならない、そういう問題がございます。  したがいまして、一万四千円が一万二千円になったことは、養蚕にしても製糸にとりましても大変な問題でございます。まして、今先生御指摘のように、事業団はたくさんの糸をまだ持っておりますが、これを出さなければならないという問題がございます。そうすると、糸価がある程度上がればそれがたたかれる。値段は安くなる。それからまた一方、輸入につきましては、本来絹及び絹織物は自由化品目でございますので、二国間協定という形のもとにおきます輸入調整をやっていただきますが、これにも一つの限度があるということもよく承知しております。したがって、そういう中においての一万二千円という改定でございますので、先ほど申し上げましたようにこれは最低が一万二千円であって、それ以上の値段が出るようにいろいろな施策をやっていただくことが前提になる法案であるというふうに私は思っております。  ただ、我々も日本の国の国民の一人として、日本の現在置かれております、自由貿易というものを標榜しておる国際的な日本の立場もある程度理解していかなければなりません。しかしながら、我々としては、糸価ができるだけ高く、我々の生活がやっていけるような高さになるように需要と供給との関係を調整をしていく我々の責任もある、と同時に、関係団体あるいは行政の皆さん方の御指導もいただかなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
  47. 松沢俊昭

    ○松沢委員 もっといろいろお聞かせをいただきたいと思いましたが、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 島村宜伸

    島村委員長代理 武田一夫君。
  49. 武田一夫

    ○武田委員 公明党の武田でございます。  きょうは朝早くから五人の参考人の皆様には御苦労さまでございます。るる貴重な御意見をちょうだいいたしましたが、私たちは、この法案がより皆さん方の期待に沿うように充実したものにしたいという思いを込めまして、さらにもう一歩いろいろと御意見をちょうだいしたい、こう思います。忌憚のない御意見をどうぞお聞かせをいただきたいと思います。  まず最初に、菱谷参考人にお尋ねをいたします。  絹織物業界活性化の問題、先ほど活性化の方途に非常に悲観的な話が聞かれましたが、私は活性化は非常に重要な問題だと思いますし、また、養蚕農家の将来の活路というものもここでしかと考えていかなければいけないと思うとき、先生としてどういうものが今緊急的に必要であるか、ひとつ御意見をお聞かせをいただきたい、こう思うのでございます。
  50. 菱谷政種

    菱谷参考人 お答えします。  日本という国は非常に賃金の高い国ですから、果たして価格競争でやっていけるかということはいつまでも不安が続くわけでございますね。だから、非価格競争という形で、輸入品と競合しない品目に特化していくとか、あるいはこれだけ知識集約的な国ですから、技術集約的な商品に特化していくということを考えれば、私は活路はまだあるのじゃないかと思います。  具体的にどれだと言われてもちょっと私お答えいたしかねますけれども、こういう知識集約的な国で技術集約的な商品を開発して、需要差別化政策といいますか差別化商品といいますか、そういったものを早く見つける、ほかの国と違った差別化商品を見つける、差別化商品政策というものがとれれば、恐らくそこにそれ独自のマーケットはできると私は思うのです。それはやはり業界も努力していただかないといけませんし、研究機関ももちろんでございますけれども、早く差別化商品を見つけて、そのための技術を普及させるといいますか、そういう体制をとることが私は先決問題だと思っています。こういう非常に知識集約度の高い国ですから、私は必ずできると思っております。  以上です。
  51. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございます。  そこで、中島西野参考人にお尋ねをいたします。  繭の生産の縮小というのは、中山間地域における農業というのは繭を基幹産業としておりますから、非常に農業の経営にとっては重大な問題でございます。私も、地域が宮城県でございますが、非常に山間地域、しかも複合経営が多いということで苦労している皆さん方の努力、自主減反もされて大変な努力をされておるわけでありますが、先ほど話が出た研究会の報告には、養蚕業については、さらに規模の縮小の問題とかあるいはまた合理化の面の努力、これは欠かせない問題である、こういうふうな報告を出しております。  そこで、現状から考えたとき、そうした生産規模の縮小とか合理化というものをするだけの余力をこの農家の皆さん方はお持ちなのかどうか、この点ひとつ伺いたいと思うのでございます。  それからもう一つ、今、菱谷先生からもお話がありましたが、先進的技術の開発、いわゆる技術革新の問題があるわけでありますが、そういう問題というのはどういうふうな状況になっているのか。それによって競争力の強い、いわゆるコスト低減の問題等も可能なものかどうか。現状と今後の見通しをどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
  52. 中島孝

    中島参考人 お答え申し上げます。  まず、前段でございますけれども生産規模の縮小に関連することでございますけれども需給のバランスというのは、この場合、見方といたしまして、特に研究会の見方は輸入数量を固定して需給のバランスを見ておりますから、輸入はもうこれ以上縮められないんだ、それで消費が減れば当然これは生産を縮小せざるを得ない、そういう論法になろうかと思います。この辺も大いに検討する必要があろうかということをまず申し上げたいと思います。  それから、合理化の力を持っておるかということでございますけれども、これは、養蚕はもう既に養蚕以外に適作物がないというところに固定いたしておりますから、何が何でも、はいつくばってでも養蚕をせざるを得ないという農家が大多数でございます。したがいまして、これは自分の経営でございますから、やはり一円でも効率のいいような経営を目指すべく、合理化の努力はこれからも続ける覚悟でございます。  それから、技術革新でございますけれども、農業の技術は、先生方もう御専門ですから御案内のように、非常に時間がかかるわけでございまして、きょう、あすというわけにはまいらないわけでございます。それで、養蚕の場合は条桑育といいまして、今までは桑の葉っぱを摘んで蚕に与えておったものが、ある時期、桑の生理等を勘案いたしまして、枝のまま切って蚕に与える技術が定着いたしまして、それで非常に技術革新を誘導したわけでございますけれども、その以後これにかわるような斬新的な技術がまだ発見されて、また開発されておらないということで、この辺の努力も我々生産者としては研究方面へお願いをしておるところでございます。  以上でございます。
  53. 西野重夫

    西野参考人 それではお答えいたしますが、養蚕農家の活路、余力はあるのかどうか、また、技術革新、こういった問題ですが、先ほどから、今の急場をしのぐにはやはり組合ではなかなか大変で、ひとつ各戸に分けてやらなければというようなことを相談もし、言われたのですが、自分たちの理想とするところは、昔は各農家のうちの庭に、また居間に蚕を飼っていたのですが、これからはそういうわけにはいかないのでございまして、やはり畑の一番真ん中、近いところといいますか効率的なところに施設をつくって、そこでやらなければ、特に若い人たちはもう絶対にこれを嫌うというような要素がございますので、そういったことでやらなくちゃならぬ。できれば、各一軒一軒でそういうのをつくるのでなくて、やはり何人かの人たちが共同で、政府のまたてこ入れ等でそういった施設ができ、みんなで朝八時なり、また夕方は五時と、うんと桑をくれてやる、そういった形で、昔みたいに寝る間も寝ないで桑をくれるようなことはしなくてできるようになりました、そういった施設ができればと、みんなで共同で仲よくそういうことをやれたらなというのが私たちの、今やっていますが、これは理想です。  次に、余力ですが、恐らく余力は、皆そうというわけではございませんが、なかなかありません。借金してまでやると、本当に借金にいつまでも追われて、今の私たちの協同の組合員も赤字だけはどんどん残っていくという形になりますので、この借金を何とか低い利息の中で融資していただく方法、こういったので対応ができれば願いたいのでございます。  技術革新としては、さっきどなたか申されましたか、機械の切断をやった、機械でくれる、そういったのはいろいろございますが、昔は一枚一枚取って桑をくれていたのに、今は枝のままどんどんくれられる。それが蚕沙を取らないで、最後まで手間をかけないでやっていかれる。そして上蔟のときには、自然上蔟といいまして、大体そろえて、下に潜って繭をつくるところはないようにしてまぶしを乗っけて、上蔟の蚕がそれに上る、それをつり上げる、こういった形でしているので、本当に手間は昔の何十分の一ということになっておりますし、まだ考えられる点もありますが、こういった点になお改善を加えたなら、自分たちの水稲に合わせたこういう楽しい養蚕業ができるのではないかという気がしております。
  54. 武田一夫

    ○武田委員 ありがとうございました。  そこで次に、有田、白杉両参考人にお尋ねいたします。  消費拡大の問題、我々いつも論じて、我々自体も一生懸命やっております。私たちもこの委員会に来てからは絹の背広を着るようになりましたし、シャツからいろいろなものも身につけているのでありますが、最近は下着までPRをしているようであります。私はあちこち歩きますと、まだ開拓すれば拡大する要素はたくさんある。日本人というのは、いろいろなそういう新しいものに対する取り組みをしっかりやれば、応ずるだけの、そういう受けるものを持っております。  しかももう一つは、欧米なんというのは非常に高級イメージとして絹を扱うというか使用するという状況、また、そういう意欲も旺盛だと聞いておりますから、そういうような絹の持つイメージを、さらに高い商品として価値あらしめるような対応、これと同時に、値段での競業にも勝てるというような努力をしていけば、海外にもさらに市場拡大もできる、内と外と両方面のそういう絹製品消費拡大、これは非常に重要な課題だと思います。  そういう面に対しましてどういう努力を今までしてきているのか、また、今これからどういうふうな対応をしていこうとしているのか、商品の開発等も含めましてお聞かせをいただきたいな、こういうふうに思うのですが、御両人にお願いいたします。
  55. 有田正

    有田参考人 ただいまの先生のお話はまことに大事な問題でございます。お話がございましたから私も申し上げれば、きょうは実は、上の方から言いますと、背広が全養連さんで開発されてやっております絹ともその他の交織によります背広でございます。それからネクタイが絹であることは御案内のとおり。着ておりますワイシャツも全養連さんの手で売っております、値段が一万円でございますが、ワイシャツでございます。この下に私は絹の肌着を着ておりますし、絹のズボン下を着ております。ふんどしも絹で実はきょうはやってきております。ちょっとお出しするわけにいきませんが、間違いなしに絹のふんどしをしております。こういうことで、絹の宣伝あるいは絹の用途拡大については、我々業者自身がやらなければならないという意識はある程度徹底をいたしております。  それから、先ほどお話が出ましたように、日本におきましては約八五から九〇%の生糸が着物に、和装になっておりますので、そのほかの部門の開拓をひとつやろうじゃないかということで、今申し上げているようないわゆる洋装的なもの、洋服的なものに盛んに今開発をやっておるわけでございます。  農林水産省の大変なお力添えによりまして、事業団の剰余金その他を毎年、着物振興会、これは和装関係の全国的組織の着物の振興会でございますが、そういうところに対しまして大体この七年ぐらいの間に十何億のお金を出しまして、それに同じ程度のお金を着物の販売をやっている皆さん方が出し合って、大きな資金をつくりまして、着物の女王の選出あるいはその他いろんなことをやって宣伝が行われておりますし、また、事業団からのお金をいただき、また、この業界の非常に古い大日本蚕糸会という会がございますが、こういうところの援助もいただきまして、今丸の内にあります蚕業会館の中にジャパンシルク・センターというものもつくらせていただきました。ここにおきまして全国各地の和装関係の商品を二週間交代で展示するとともに、新しく開発しました洋装関係のものを並べまして、ここでひとつ皆さん方にこういうものも絹でできるのかということを見ていただきまして、新しい用途の開発を大いにやろうということでやっております。  特に、国会の先生方につきましては、皆さん方殊のほか絹の需要増進には御配慮いただきまして、各種の展示会、あるいは自民党の皆さん方におきましては自民党本部におきます展示の機会を与えていただく等大変御尽力をいただいております。我々も絹の需要増進こそやるべきだと思っておりますので、今後ともひとつ皆さん方の御援助をお願いいたしたいと思います。  なお、欧州の話がちょっと出ましたけれども、欧州においては、例えば同じデザインのものでも金持ちは絹を使え、その他の人は木綿なりあるいは化繊でよろしい、デザインは全部同じだというふうな非常にはっきりした傾向がございます。日本におきましても、本当にお蚕ぐるみという言葉がありますように、ややぜいたく品だと言われておりますけれども、素材の段階におきましては中国その他から比較いたしましてあるいは高いかもしれませんけれども、加工の場面におきましては、まだまだ日本の絹に関係しているみんなが研究をすれば、最終需要者に渡るときには中国あるいはその他の国と比較いたしまして必ずしもそう高くないものが供給できる余地があるのではないかと私は思っておりますので、その方面については関係の各業界あるいはお役所とも相談しながら今後も進めていきたい、こう思っております。
  56. 白杉儀一郎

    白杉参考人 先生から御指摘のありました業界活性化ということでございますけれども、私たちも、活性化を図らなければだめだということにかんがみまして、いろいろ努力をいたしておるわけでございますけれども、今の状態では活性化がなかなか図れないという状況でございます。すべてのものが需要と供給とのバランスによって価格が決まるわけでございまして、安うなれば多く売れてまいりますし、高うなれば売れなくなってくるわけでございますが、今こうしたことで生糸は一万二千円という価格に据え置かれておりまして、上に上がれば事業団の糸が出てくるんだ、下へ下がれば政府が買い上げられるんだというような状況で、何ら買いだめする必要も何もないのじゃないかというような状況で、全くこうした半統制のような形で、我々の業界活性化を図ろうとしても至難だというようなことを随分感じておるわけでございます。  先ほども申しましたけれども、やはり綿であるとかもであるとか合繊であるとか、そういう繊維の関係もやはり眺めていただかなければ、やはりきょうはものものを着ている人もあれば合繊の混織を着ている者もあるという状況でございまして、そういう面から養蚕に対するもう少しの保障を何かの形で別途に与えていただくということで、末端消費の拡大のためにもう少し活性化を図っていただくようなことができ得ないかと考えておるわけであります。  こうした業界の中ではありますけれども、私たちも先祖から受け継いできた織物業をやっておるわけでございますし、孫子の代まで絹織物を続けたいということを考えておるわけでございまして、こうした中からどうして需要を開拓するかということでありまして、私は丹後の理事長をしておるわけでございますけれども、襟でありますとか服地でありますとか、今出ておりました下着のようなものまで開発させていただいておりますし、ふろしきであるとか名刺に至るまでもそうした絹の関係の開発をいたしまして、何とか絹織物産地を守っていこうということで努力をいたしておるわけでございますけれども、残念ながら素材の産地であるわけでございまして、きょうまで染めという高級呉服の経験がないわけでございますけれども、何とかひとつせめて黒の色無地の紋付というようなものからの販路の拡大をしていきたい、そして、決して絹の紋付の羽織は、着物は高いものではないんだということから、今私の方は四万三千円で販売をしておるわけでございますけれども、そういうところまで努力をしておるわけでございます。  しかし、悲しいかな、そうしたことを華々しくやろうとしますと流通の既存のところから横やりが入ってまいりまして、非常に強い圧迫を受けておりまして、反数の制限を受けるとか、そういう形を受けております。したがって、私たちはそういうところにも、限定でこれは宣伝を兼ねてやっておるんだから了解してもらいたいというようなことをいたしておるわけでございます。また、今度芦田淳先生を丹後の服地の絹開発の顧問に持ってまいりまして、今後は服地関係の高級服地も丹後が染めて完成品にして市場に出していきたいと考えておるわけでございます。  一生懸命努力をしておりますので、蚕糸絹業のこの法律を早く通していただいて、何とかひとつうまく運営が図られますように格段のお力添えをいただきたいと思っております。
  57. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので終わりますが、私たちも一致協力しまして皆さん方の窮状を何とか打開するために頑張りますから、ひとつここで踏ん張って、各界協力し合ってこの伝統産業を生かす努力をしていただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  58. 島村宜伸

  59. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 五人の参考人の方には全く御苦労さんでございます。民社党を代表しまして、参考人の方々に私からも御質問いたしたいと思います。  実は今、日本養蚕業の浮沈にかかわる時代に差しかかって、何としてでもこの産業を後世に守り抜かなければならないという切迫感また使命感に我々立たされておるわけでございます。しかし、養蚕業を取り巻く国際的な環境また国内的な消費を見ましても、全く厳しいわけでございます。こういう観点から、中島参考人西野参考人に質問申し上げます。  繭価が大体どこら辺まで下がっても経営がやっていかれるのか。これは個々の経営形態によって違いますが、西野参考人は、今基準価格をつけるようなとき、基準価格以下をいったんではいかぬというような、そういうような気持ちがあっては大変なんですが、しかし一方では、織物業界の方の代表の白杉参考人からは、むしろ自由化されて安い糸が入ってくれば織物業界は十分に存続できるんだというふうな意見も聞かれるわけでございます。この点ひとつ率直な、自分の経営を背景にして、まず西野参考人からお聞きしたいと思います。
  60. 西野重夫

    西野参考人 お答えいたします。  最低価格がどこらくらいまでやれるのか、こういうことと思いますが、今の価格でさえも私たちの組合でやっている経営上はどんどん赤字が出ております。これが繭一キロがもう二百円なり三百円なり下がっていくと、当然組合としてはやっていけないという結果が出るのであります。  それで、さっきから本当に各戸に分けてどんぶり勘定でやったらということでございますが、これもいろいろな事情でなかなか簡単にできませんし、そうかといって、これは今まで桑を植えたところを、今度はこれがだめだからあっち、今度はこれがいいからすぐできるという産業ではございませんので、私としては続けていきたい。  それにしても、せめて今の最低の一万二千円ですか、一キロの繭がやはり二千円近くしないと、これから若い人も乗っていかないしだんだん落後者も出てくるし、そういったことになるのではないかと思っております。さっき言いましたように、では簡単に変えられるかということで何人かは残ろうかと思いますけれども、今のどんどんと日本の経済が伸びておる中で、若い人たちにしゃばの半分の金で働け、こういうわけにはいかなくなってくるために、今本当に厳しい状態に迫られております。  この繭価がキロ二千円をどんどん下っていくようになると、本当に先が見えているような気がしてならないのでございまして、自分たちとしてはこれを何とかお願いをするとともに、設備とかいろいろの融資とかという点でてこ入れができればという考えでございます。
  61. 中島孝

    中島参考人 農林省の統計情報部の五十八年度の繭一キロ当たりの生産費は三千四百二十八円と伺っております。それから比べますと、新しい基準となる繭の価格千七百五十五円は極めて安いわけでございます。先ほどの先生の御質問のどのぐらいがぎりぎりの限界かということでございますけれども、現在はもうぎりぎりの限界でございます。先ほどの西野さんからのお話のように、千七百五十五円を何とか二千円にするべく、私ども基準となる繭以上の優秀ないい繭をつくりまして価値を高める経営努力をする、そういう方向でしのいでおるところでございます。  以上でございます。
  62. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農林省の繭の生産価格、統計的な数字を言われましても、外国生糸の値段は非常に安いわけでございますから、もう自由化を必然的に受け入れなければならぬ日本の国におきましてそうなりましても、日本養蚕は壊滅でございます。ですから、やはりここら辺で本音を出し合って、国に対応してもらうところは対応してもらう、養蚕業を存続していくにはどうしたらいいか、私は前進的な政策を国に突きつけたいと思う、そういう観点で質問をしているわけでございます。  西野参考人にお伺いしますが、参考人は繭の二等格、上繭、中繭、下繭、くず繭、どのくらいの比率の生産をされておりますか。
  63. 西野重夫

    西野参考人 自分たちの組合の決算ですが、やはり赤字が出ているというようなことで、五十九年度は繭の値が大体二千円の上しておりましたが、その生産費がやはり二千円より上になっているのではないかということでございます。  済みませんが、資料はちょっとございません。
  64. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私も養蚕をやめましてからもう四十年近くなりますが、私のうちでは昔はせんまいわらだをつくっておりました。昔から見ますと養蚕飼育の技術は大変進んでおります。しかし、先ほど中島参考人も昔は複合経営の花形だった養蚕と言うように、複合経営でこれを存続させてきたわけでございます。  今、特選繭をつくることの技術開発、それからくず繭も、これは複合経営の中で見ますと、雪の中で、西野参考人も新潟、私も東北でございますから、副業収入のないところではくず繭なんかをつむぎとかなんとかに持っていく、これは織物業者の方々から見ますと対立的なあり方だとは思うのですが、しかし、養蚕業そのものを残すためには、何かそういう冬の中で、副業もないその労働力をこういうところに振り向けるとか、あるいは先ほどのように、やはり西野参考人が三・八町歩の水田を持っておりますと、残渣、蚕沙、蚕ぷん、そういった上蔟残渣なんかも、飼料にもなります。今のような技術ですと、これは堆肥になるだけかもしれませんが。水田と養蚕あるいは畜産、これも複合的な畜産ですから専業形態でありませんが、こういうものをうまく組み込んでやっていくと、今回二千円を割っても、何とか千七百五十五円とかなんとかというところに落ちつくか、これを守れるのじゃないか。しかし、そのためには国からどういうこれへの政策対応を受けたらいいかということをお聞きしたいわけでございますが、この点について御両人、何かいい政策的な要望はございませんでしょうか。
  65. 西野重夫

    西野参考人 参考になるかどうか知りませんが、私たちが経費がかかっている点と、もう一つは、やはり十五、六年になりますと非常に桑が、萎縮病といいますか、今これで収量が割かれて本当に落ちているわけで、これを植え直さなくてはならぬ、植えかえなくてはならぬ。しかし、今こういった赤字決算になっているので、これがなかなか改植できない。できなければますますだめになっていく。これらが、ただおんぶしろとかだっこしろというのではございませんが、何かの手だてで援助ができればお願いをしたいと思いますし、あとは、自分たちはよく、近くの中魚沼の福島さんですか、あの冬、雪の降るために雪掘りの要らない蚕舎ですか、こういった設備が何とか入れられたらな、こういう考えがございます。  ほかにまだいろいろ改良する機具の点について、改良船底蚕座ですか、あれを試験場から見せていただいて取り入れたのですが、まだまだもうちょっといい機具があるのではないかという気がしておりますので、そういったのをまた試験場あたりを通して教えていただけばと、こういったことでございます。
  66. 中島孝

    中島参考人 まず、生産合理化のための融資等の資金的な援助をぜひこれからも継続してお願いしたいと思います。  それから、技術的な問題につきましては、特に蚕の品種の開発を積極的に行っていただきたい、今までもやっていただいておりますけれども、より積極的に行っていただきたいと思います。これは新しい用途に適するような品種の開発でございます。  それとあと一つは、桑の問題も同然でございますけれども、先ほども触れましたように、能率の悪い桑畑の改植等、生産性を向上させるための技術対応、それから省力経営、手間を省いて効率を落とさないような経営の実現のための機具の開発等、いろいろ要請いたしております。
  67. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、有田参考人白杉参考人菱谷参考人に御質問申し上げますが、何といいましても絹の需要は落ちておりますので、絹製品需要開発が必要でございます。このためには新しい絹製品の素材の開発等もこれは重要な手段でございますが、織物関係で、毛糸のようなシルクとかあるいは生糸の繊維のたんぱくに何らかの加工を加えた麻のシルクのようなものとか、そういう繊維の開発もあるようでございます。  また先ほど、着物、下着あるいは洋服、いろいろな点に開発の余地があるようでございますが、ひとつこれらについての皆さん方の見通しを教えていただければ幸いだと思うわけでございます。
  68. 有田正

    有田参考人 日本生糸につきましては、先生御案内のように、やはり先ほど申し上げましたように九〇%が和装品でありますだけに、例えば着物にするのに適した生糸というものをずっとつくってきているわけでございます。あるいは検査の基準だとかいろいろなものにつきましても、着物になる生糸というのが中心で来ております。しかしながら、洋装というふうなことになりますと、今度は逆に、例えば糸で言えば節の非常に多いものがかえってきれいな洋装のブラウスになるといったようなこともあるわけでございまして、したがって、そういう面においては今まで着物中心であった生糸というものをもう少し違った形の生糸にしていかなければならない、そういうふうに思います。  したがいまして、例えば先ほど私もちょっと申し上げましたが、絹の肌着一つとりましても、これをメリヤス編みにするためには、やはり従来の生糸だけではちょっとメリヤスの機械にかからない。そうすると、何かもう少し柔軟性を与えるようなことを加工しないと絹のメリヤス編みができないといったような、そういう問題もございます。  そういういろいろな問題につきましては、筑波にございます国の試験場その他におきまして大変熱心な研究が行われておりますし、それから、我々業界の一つの団体でございます大日本蚕糸会の研究所、そういうところでもやってくれております。ただ、まことに残念なことに、私ども自身が民間の企業としてはなかなかやりにくいという、もうそれだけの資金的な余裕もないほどやはりくたびれてきているということも事実でございまして、お国のそういう機関あるいは業界のまとまった形でみんながお世話になっている大日本蚕糸会あたりの研究所、こういうところのいろいろな研究にまつことが多いと思います。  と同時に、今度は我々製糸の次の段階、白杉さんあたりのいわゆる機屋さんの段階、さらにはそれを染める段階、そういう一つの段階の皆さん方から、やはり新しく開発されますものについて、こういうものを開発してほしいとか、ああいう糸をつくってほしいとか、そういう注文が出てこなければいけないんじゃないかと思っております。その点につきましては、むしろ今事業団から放出されております、新規用途あるいは試験研究のために事業団の糸が安く放出されておりますけれども、そういうものを利用しての開発が今後は非常に進んでいくのじゃないか、こういうふうに期待をいたしております。
  69. 白杉儀一郎

    白杉参考人 いろいろと開発につきましては努力をいたしております。特に和装関係でございますけれども、しわが寄る、それから縮むというようないろいろの欠点があるわけでございまして、そういう面の解決のためにスモールのようなものをやっていただいたりいろいろのことをやっておるわけでございますけれども、なかなか軌道に乗ることができ得ないような実情でございます。  むしろそれとは逆行いたしまして、非常に憂うべき状況でありますことは、生糸の中に絹紡糸を入れまして、また柞蚕を入れまして、そしてこれも正絹として売れるわけでございまして、正絹一〇〇%、絹一〇〇%ということになるわけなんでございます。生糸を一〇〇%使っている良貨を駆逐するような状況でございまして、それが最初はそう心配するほどの量でなかったわけなんでございますけれども、最近はこれが相当な量になってきているわけでございまして、結果的にそうしたことが何のためにされているかということは、輸入織物と競合する価格の面でそういうことがやられておるわけであります。縦は生糸を使いまして、横糸には絹紡糸を使います、そしてそれを染めまして、消費者の方には生糸一〇〇%のような形で売っておる、これは正絹ということで通るわけなんでございます。  そういうことで、むしろ素材の開発よりも逆の方向でこの一万二千円の価格状況の中では進められておるという状況でございまして、私たちは、今度は、この織物は生糸一〇〇%使用しておるものですよというような表示までしなければならないというところまで最近進んでおるということを申し上げたいと思っております。
  70. 菱谷政種

    菱谷参考人 お答えします。  私、京都におりますが、西陣、丹後、長浜、そういう絹業の活路対策ということでいろいろ勉強させてもらっているのですけれども、そういうところでは、それからそのほかにも織物にするために精練とか染色とかいろいろ京都にもたくさん業界はございます。そういうところでいろいろお話を伺いますと、今までは生糸が最終製品で来たわけですけれども、完全に内需化しまして、そこでいわゆる内需が中心となって、生糸に対する素材要求というものが最近随分出てきているわけなんです。例えば、今まで問題にならなかったようないわゆる汚染繭ですね、そういったものが織物になる場合にしみになるとか、今までは大して問題にならなかったようなことが問題になってきて、つまり、産業構造が変化してきたことによって素材に対する要求が変わってきたわけですね。だから、私は今後こういったことがどんどん進んでいくのではないかと思っておる。今ちょっと、頭にあるのはそれだけです。
  71. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私たち養蚕業、製糸業、織物業ともに発展できるように国会で頑張りたいと思います。  本当に今回はありがとうございました。  以上をもって終わります。
  72. 島村宜伸

    島村委員長代理 中林佳子君。
  73. 中林佳子

    ○中林委員 どうも参考人先生方、ありがとうございました。私が最後の質問者でございますので、よろしくお願いいたします。  絹織物消費者としては一番多く消費している婦人の一人といたしましても、今の養蚕製糸絹業というものがこのまま衰退したのでは大変だという思いに駆られている一人でございます。そういう意味からしても、今こそ本当に皆さんと一緒になって、絹織物需要も拡大することはもちろんですけれども生産者の擁護も含めて、何とか歯どめをかけなければならないということを考えているわけです。特に養蚕製糸絹業というものが山間過疎地の農業生産だとか地域経済の中で非常に重要な位置を占めておりますし、それから、伝統産業ということからしても日本の民族にとって欠くことのできないものであるというふうに思うわけです。  ですからここで、今までずっとお聞きすると随分衰退の一途をたどっているということでございますから、その歯どめ策、これをぜひ何とかしなければならないと思うわけですけれども生産者の立場の中島参考人、あるいは製糸の立場から有田参考人、それから織物の方の立場から白杉参考人の方から、今緊急に一番の歯どめ策は何であるか、何を要望されるかということを最初にお聞きしたいと思います。
  74. 中島孝

    中島参考人 一口で申し上げれば、これは絹織物等需要増進に尽きると思います。やはりたくさん使っていただかなければ生産に弾みがつきませんから、需要増進こそ最大の急務だと思っております。
  75. 有田正

    有田参考人 需要が大分減っているような非常に悲観的な見方ももちろんできますけれども、しかしながら、日本におきまして輸出がまだ盛んだった時代に、日本国内全体におきます生糸消費量は約二十万俵台でございました。したがって、高度成長という時代に一時四十何万俵もの需要があったということであって、現在まだまだ三十万俵近くの需要があるということは、私ども悲観をいたしておりません。  したがいまして、なお需要増進についての各界の御協力を得ながらの努力を進めていけば、必ず需要はある一定限度は回復し得る、私はそういうふうに思っております。一番必要なのは、そういう需要に対する、あるいは絹に対する需要を引き起こすこと、我々のそれについての努力であろうかと思います。
  76. 白杉儀一郎

    白杉参考人 私は、蚕糸絹業一体だと言いながら、ややもいたしますと何か大変離れた意見を言うわけでございますけれども、結果的には私たち織物産地は本当に素材をつくっているわけなんでございまして、韓国も台湾もシンガポールでやっていることもちっとも違わないことをやっているわけなんでございまして、丹後の織物には丹後の表示をすればわかるわけでございますけれども、表示をしなければ、我々業者が見ましても韓国のものだか台湾のものだかわからないというのが実情でございます。  ここにも、「丹後織物」という月に二遍ずつ出します広報なんでございますけれども、「輸入絹織物はほんとに減っているのか……」ということで、これは三月十五日付で出しておるわけなんでございますけれども輸入絹織物は四六%、我々丹後から考えますとこうした輸入がされているわけでございまして、韓国が百万反、丹後を直撃するものだけでも二百二十万五千反が入ってきているという数字をやっているわけなんです。これは通関の統計からいっているものでございまして確実なものだというふうに御理解いただきたいと思っておるわけでございますけれども、何としましても、これは輸入の抑制をやっていただくか、少なくとも対等のもので闘えることをやっていただくかということになるわけでございます。  私はきょうまで農水に、一万一千円に下げていただくなら二〇%の増産はできますということを申しておったわけでございまして、一万円に下げていただくなら、もっと、三〇%、四〇%の生糸消費増加させることは容易だということを考えておるわけでございますので、これを申し上げたいと思っております。
  77. 中林佳子

    ○中林委員 中島参考人西野参考人の方に生産者の方の立場からお伺いしたいのですけれども、今回のこの法律改正案の中で異常変動防止措置が廃止されるという案が出ているわけですね。そして、生産費で安定下位価格を決める、生産費が基準になって八割五分を下ってはならないということがこれまであったのですけれども、その生産費条項も外されるという方向になっているわけですね。  その場合、皆様方にとっての影響、あるいはこの異常変動防止措置を廃止したり生産費というものを基準にしないと一応条文ではなっておりますので、その点についてのお考えがあればお聞きしたいと思います。
  78. 中島孝

    中島参考人 まず、異常変動防止措置の廃止でございますけれども、これはたしか四十一年に中間安定措置がセットされたときに異常変動措置が生まれたと記憶しております。それ以来一度も発動しておらなかったということが一つでございます。それに、私どもは外堀でガードがかたいということで非常に喜んでおったわけでございますけれども、昨年の下げのときには、逆にこの第二番目のダムを目標にして売り浴びせられてしまいまして、そのダムすらも決壊してしまったという事実がございます。したがいまして、私どもは新しく改定されます制度は中間安定措置を堅持するような形で運用されると理解しておりますので、その中間安定の中の安定基準価格政府がきちっと守っていただければ、さしあたり影響はないと理解いたしております。  それから、生産費の基準が外されたということでございますけれども生産条項を勘案ということを明記してありますので、生産条項すなわち生産費と私ども理解いたしております。  以上でございます。
  79. 西野重夫

    西野参考人 お答えをいたします。  自分たち生産者としては、ごく詳しい細かい法律のことは勉強不足のためにわかりませんが、現在の繭一キロ二千円ですか、これも昨年は政府の補助をいただいてというふうな話でございましたが、協同組合でやっておりますとやはりこれでも赤字がはっきり出ておりますので、どうしてもこの価格を今の最低価格ぐらいは守っていただきたい。  特に農業というものは、ただそのとき、その年になってどうするこうするということでなくて、やはり前の年から肥料を買い込み、またいろいろの機具を注文し、作業計画を立てておりますので、蚕を飼えば来年は幾らになるんだ、こういった形でないと本当に困る形でございますので、この下位の価格ですか、これが保証されて繭一キロが二千円を下るということのないようにしていただけないか、こういうことでございます。
  80. 中林佳子

    ○中林委員 それから、今回の改正案の中で生糸の在庫の放出の道が開かれるということになっているわけですけれども、私どもも在庫をなくしていかなければならないという考えはいささかも変わっていないのですけれども、ただ、十七万俵の在庫を大体数年かけて放出するということになりますと、年間大体三万俵ぐらいは放出されるんじゃないか。ということになりますと、やはり時価に大きな影響がどうしても出てこざるを得ないんじゃないかということを思うわけなんです。  そこで、中島参考人にお伺いしたいのですけれども国内の繭生産そのものを維持しながら、放出されて本当に時価影響を与えないだろうかどうだろうかという点、私はやっぱり出てくるというふうに思うのです。そうなると、在庫を減らす何らかの時価影響を与えない別途の方向、こういうお考えをもしお持ちならばお聞かせいただきたいと思うのです。
  81. 中島孝

    中島参考人 端的に申し上げまして、これは輸入削減以外にないと思います。先生御指摘のとおり、輸入を固定いたしまして在庫を例えば三万俵ずつ放出いたしますれば、生産上限に圧迫を受けてくるのは当然のことだと思います。したがいまして、まず輸入削減する。事業団の在庫軽減は非常に大事なことだと私どもも承知いたしておりますから、事業団の在庫が正常に復するまで当分の間輸入削減していただきたい、そのように我々はお願いする次第でございます。これ以外に方法はないと思います。
  82. 中林佳子

    ○中林委員 私の地元、島根県なんですけれども、かなり小規模の養蚕をやっています。そこでも一たんやめてしまうと大変だという話を聞いたんです。そこで西野参考人に、実際生産をなさっていらっしゃる立場から、減産を昨年二〇%やったということなどで桑畑そのものがやはり荒れているところもあるのではないかと思われるのですけれども、それに対する影響といいますか、その辺は何かお聞きになっていたり、また西野さんの御近所の方でそういう経験をお持ちならば、お聞かせをいただきたいと思います。
  83. 西野重夫

    西野参考人 今まで養蚕をやめた畑はどうなっているかというようなお尋ねと思いますが、やめた組合の畑は荒れております。自分たちの村では区画整理で、土改で、ある程度荒れたところも開墾をやって山もつくったということで、水平畑というので稲をつくってはならないというところが百五、六十町歩もあるのですが、そこですら、平場ですら荒れているという状態でございますので、今まで一緒にやった養蚕のグループの桑園はほとんどが荒れておりますし、また個人に分けてやっているところも二、三ございます。組合でやったところは現実のところ荒れております。
  84. 中林佳子

    ○中林委員 最後に、需要増進のためには、和装だけではないにしても、価格そのものが安くなければ国内需要はやっぱり伸びないだろうというように私は思うのです。お恥ずかしい話ながら、私も婦人でありながらなかなか着物が買えないということですが、ただ、このくらいな年になりますと、着物も一年に一回や二回は着てみたいという思いはするわけなんです。  先ほども白杉参考人の方から流通にメスを入れなければならないというお話もあったわけなんですけれども流通段階でどのような合理化が必要なのか、どこにメスを入れればよいかというような具体的なお考えをお持ちならば、ぜひ白杉参考人からその点をお聞きしたいと思いますし、業界だけが努力をするのではなくして、国としてといいますか、政府として流通の問題にメスを入れるべき何かがあるのかどうか、その御提案でもあればお聞かせいただきたいと思います。  また、自分たちが出したものを大変安く買われたのに、娘さんのを買おうと思うともう膨大な価格だというふうに先ほどもおっしゃっておりましたけれども、そういう意味で、生産者から見て、流通の過程でメスを入れるべきものがあるのかないのか、その辺もぜひ中島参考人からはお聞きしたいと思いますし、菱谷先生の方からは、その辺、今の日本流通の問題で何か御提案があればお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  85. 白杉儀一郎

    白杉参考人 流通にメスを入れるというようなことは、私たち流通に向かってまともに物も言いかねるような、そうした力関係にあるわけで、なかなか大問題だというふうに考えておるわけでございますけれども、一番の問題は、和装関係がカジュアル的なものが非常に売れ行きが減退してまいりまして、きょうではフォーマル商品がほとんど主体になっておるという状況でございます。結果的には、数量が落ち込んでまいりましたものを、高価格の商品の開発をいたしまして、そしてそれのリスクを補っていっておるというのが状況でございます。したがいまして、今の着物と申しますのは、ややもいたしますと美術のような、個人個人手がきて、本当に高価なものをつくっておるという状況でございまして、一点求めるのに我々業界でもなかなか至難であるという状況でございます。晴れ着てはございますけれども、やはり全般の水準をもう少し下げることが一つ必要ではないかというようなことも感じておるわけでございます。  しかし、今までの流通状況を考えてまいりますと、そこにメスを入れることがなかなか大変な状況だということでございますけれども、ようやく業界そのもので、これではいかぬのだという声が非常に上がってまいりまして、京都・室町を中心にいたしまして、三点セットで幾らとか五点セットで幾らとかいう買いやすいものがどんどん開発されつつあるということでございまして、これは大変ありがたいことだというふうに考えておるわけであります。  私たち素材産地も、先ほども申しましたように、少しでも完成品をつくりまして、いろいろのルートを求めて販売に努力をして、少しでも活路を開いていきたいということも考えております。  以上で終わります。
  86. 中島孝

    中島参考人 着物が高過ぎるということは、私どもも常日ごろ主張しておる一人でございます。したがいまして、着物の流通に改善を加えてバイパスを通す、これは絶対に必要ではなかろうかと思います。  特に、具体的に申し上げれば、私素人でよくわかりませんけれども、小売業者のマージンが余りにも高いような感じがいたします。売り値の半分ぐらいのマージンを取っておる小売屋さん、呉服屋さんもおるというようなことも伺っているほどでございます。  それから、今、白杉さんから御指摘もございましたように、同じ着物でも振りそで等の高級化志向が非常に多うございまして、このために販路を狭くしておるということも事実であろうかと思います。振りそでは、男で言えばちょうどタキシードと同じようなものだと私は思っております。私どもはタキシードを着る機会もございませんし、勧められてもなかなか買いません。それと同じように、女の方も振りそでを勧められても、一生のうちに何度かしか着るチャンスのない振りそでは、そう気安く買えるわけではないと思います。したがいまして、もっと平常着に力を入れて販売促進をする必要があろうかと思います。  こうして流通を改善して、例えば着物が半値で我々の手に入るような時代になれば、まだまだ着物の需要はふえて、倍ぐらいの需要は出るのではないか、そのように考えております。
  87. 菱谷政種

    菱谷参考人 お答えします。  私、京都におりまして、西陣とか室町の流通構造を見ているのですけれども、非常に同業者が多うございますね。そして品物が同業者から同業者に渡ります。渡るたびに、これはやはり商売、商業ですから、マージンが入ってまいります。そういうようなことが結果的に流通コストを高めていると私は思うのです。だから、その辺をもう少し合理化できないだろうかということが第一点です。  それから、小売なんかも在庫を普通以上にたくさん、これは着物なんかは高額商品ですから、一般商品に比べて在庫の額が高くなるのだろうと思うのですけれども、そういう営業上の危険も負っているわけなんですね。  これは商品の特色に由来するものかとも思うのですけれども、そういう同業者が多いというのは、やはり過去京都が秀吉の時代に、いろいろな業者を集めてそして育成してきた名残がまだ依然として残っておる。そういう同業者間の売買というものを整理すれば、流通コストはもっと下がるのじゃないか。しかし、これは相手があることなので、一概にどうこうということは申せませんですけれども、私の感じをちょっと申し上げました。
  88. 中林佳子

    ○中林委員 どうもありがとうございました。
  89. 島村宜伸

    島村委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位一言御礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四分散会