○水谷
委員 大臣の所信を伺っておりますと、大変力強い決意のほどを述べられておりまして、私もその意気込みに対して、ぜひ
大臣御就任の間所信を貫き通していただきまして、大変な問題を抱えております我が国の
農林水産業の発展のために、より一層の御尽力をお願いしたいと思っております。
所信の端々にその決意のほどがうかがわれるわけでありますが、各
委員からも指摘をされておりますとおり、六十年度の農林水産関係の
予算の
中身につきましては、数字が示すとおり三年連続の超圧縮
予算、このようになってきているわけであります。このようになってきた背景については、私から申し上げるまでもなく、数々の要因があることはよく知っております。
しかしながら、二十一世紀に向けて、人口の増加さらには天然の異常気象等、現実にも
アフリカにおける大変な
飢餓が問題になっている、
食糧に対しては、世界的に将来に対して非常に危機感が漂っている。こういう
状況の中で、我が国の農業、また林業、水産業、これはどれ
一つとっても大切に取り組んでいかなければならない、いわゆる我々人類生存の基盤とも言いますか、最も重要なものである、このように
考えているわけであります。
そこで、私が第一番目に
大臣にお伺いをしていきたいことは、
農林水産省が
日本の
農林水産業の発展のために
責任を持ち、そして
生産者、それから消費者、いわゆる
国民全体に対してその使命を果たして今日まで来られた。大変な御
努力があった。その中で、数々の
施策が実質的には大きな発展の要因にもなってきた。しかし、マクロ的にとらえてみますと、このまま行ったら
日本の
農林水産業はどうなるんだ、こういう大変な
状況に今なっていることは、
大臣もよく御存じのとおりであります。
そこで、今一番必要なのは、
生産者、そして消費者、さらにまた、もっと大きく広げれば農山村、それから都市、そこに住むすべての
人たちの、いわゆる将来の
日本の
農林水産業をどう育て、伸ばし、また、もっと厳しく言えばどう再建をして
日本の
食糧安全保障を確立するかという、この幅広い議論といいますか、
問題点を明確にすると同時に、それぞれの役割を明らかにしながら、どうしたら二十一世紀に向けて
日本の
農林水産業の、足腰、土台のしっかりした産業として立派に立ち上がれる体制を築いていけるかという、このことが私は今一番求められていると思うのであります。
やはり、農林水産関係者だけでどんなに議論をしても外へ飛び出していけない部分がたくさんあります。それからまた、大多数の方が消費者であり
国民であります。そういう
皆さん方の
国民的合意形成をどうつくり上げていくか、私は今それが一番大切であろう、このように
考えるわけであります。その時代時代、限られた国家
予算の中で選択をして、重点的にそれを伸ばしていかなければならない時代環境というのはもちろんあります。しかし、事
食糧に関するこの
農林水産業については、時代がどう変わろうと、これはしっかり取り組んでいかなければならない問題だと私は
考えております。
一つの例を申し上げますと、総理府が昨年の九月に行いました「食料及び農業、農村に関する世論
調査」の結果が発表になっております。標本数五千人、広く都市も農村も、また若い人もお年寄りも全部対象として、無作為抽出法によってその
調査が行われたわけであります。
いろいろ申し上げたいことはございますが、特にこの中で「我が国の食料事情について」の
国民の
皆さんの
認識がどういう形で出てきたか。
日本の
食糧自給率、これについて「
日本の食料
自給率が欧米諸国に比べて低いということを知っていたか」という問いに対して「「知っていた者」は五六・七%で、「知らなかった者」は四三・三%」、こういうデータが出ているわけであります。さらに、こういう数の
一つのベースの上に、「将来の食料事情について」の不安の度合いに対する設問に対して、「
日本の将来の食料事情についてどう思うかを聞いたところ、不安を持っている者が六四・一%(「非常に不安を持っている」一六・六%+「ある
程度不安を持っている」四七・四%)」このように数字が出てきております。
日本の
食糧自給率が欧米諸国に比べて低いということは、これはいわゆる農業に関心を持ち、我々携わっている者はだれでも知っている事実であります。しかしながら、
国民の約半数に近い四三・三%は「知らなかった」、こういう答えが返ってくる。知らないでいながら、なおかつ
日本の
食糧事情について将来不安を持っているという人が六四・一%もいる、これを知ったらもっとこの数は多くなるに決まっているわけであります。今一例を挙げましたが、私は、いわゆる
日本の
農林水産業がどういう実態なのか、
食糧はどうなっているのか、こういう問題に対する我が国
国民全体の御
認識、これは非常に乏しいものだなということをこれがあらわしていると思うのであります。
これが
一つの例でありますが、また、いわゆる消費者の側に立ちますと、もっとコストを下げられないのか、コストを下げられなければ安いものを輸入すればいいじゃないか、農業は過保護だ、こういう議論が私
どもが歩いておっても一斉に上がってくるわけであります。
生産者のどこへ行っても、このまま行ったら後継ぎは当然できない、また我々の住むこの地域社会も大変なことになる、高齢化がますます進むし、兼業化がますます進む中で、本当の農業の担い手はなくなってくる、それぞれみんなこういういろいろな議論が起きてくる。
そういう中で、農水省として、これは一省でできる問題ではないと私も
考えておりますけれ
ども、いわゆる
日本の
農林水産業の将来の発展のために、
国民合意の形成を図っていくために、どのようにして取り組んでおられるのか、具体的にそういう取り組みをどこでどのようにやっておられるのか、初めにお伺いをしたいと思います。