○上原
委員 後でその面の
資料は御提示いただきたいと思いますが、要するに、私も、従来の
定年制が施行されてない間に
勧奨的機能を果たしておったものを丸々取っ払えと言っているわけじゃないのです。それはそれなりに、
公務員諸君のいろいろな面で、人生後半の人生設計等々に相当資している面はわかります。ただ、今度の法案改正によってそういう厳しい批判もあるということについては十分気をとめていただいて、運用面でそういうところに比重が向かないようにひとつ御
配慮を賜りたい、この点を注文をつけておきたいと存じます。
そこで、これとの関連もあるわけですが、これも相当同僚
委員の方からお尋ねされてきたことなのですが、
人事院勧告制度のあり方について改めてお尋ねをしておきたいと思うのです。
まず、これは総裁にお尋ねしますが、
人事院月報の一月号、これの「年頭随想」というところにあなたが奇抜なことをおっしゃっている。「力の限りを尽くして精緻な
調査を行い、
公務員の
給与の現状を明らかにし、真情を吐露して
給与の改善を要望した。」それが完全実施できなかったわけで、後段には「残念としか言いようもなく、私の心は今も苦悩にみちている。」拝見すると余り苦悩に満ちているようなお顔もしていらっしゃらないのだが、私の心は苦悩に満ちていると書いている。「しかし、苦悩するだけでは
公務員諸君の期待に応える訳には行かない。本年さらに意を新たにして、不退転の決意で努めたいと思っている。」この後も少し問題ですが、おっしゃっていることはなかなか立派なことなんですね。
しかし、問題は、これは
総務庁長官にも御見解を後でお尋ねしますが、人勧
制度というのは、要するに
公務員の地位というか身分というのは、すべて何でもかんでも
民間準拠というわけにはいかぬと私は思うのです。まずスト権が規制をされて大きな制約を受けている。あるいは政治的にも中立でなければいけないという制約がある。また、
公務員には国民全体に対する奉仕者という社会的職務権限というか分限、地位というものもそれぞれのプレスティージ、権威があると思うのだ。そういう面からすると、何でもかんでも
民間準拠ということで、退手も
給与もあるいはそのほかの勤務条件も律していくということには、いささか納得しかねる面がある。
最近は余り聞こえませんが、四、五年前は、何か
公務員攻撃をしないと正常人でないような感じさえ受けた場合があるのです。先ほどの国鉄問題にしてもしかり。そういう社会的風潮をつくっておいて、人勧というものを凍結をし、半分に値切り、ずっと抑え込んできている。そのことが結果的には、
民間給与も抑制をしてきたという結果になってきているわけです。
したがって、今私が申し上げたこと等
考えて、
人事院総裁、あなたが年頭でこういう御決意をし、本当に苦悩に満ちておるというならば、一昨昨年の五十七年は丸々凍結されて実施見送り、五十八年は六・四七に対して二・〇三、昨年は六・四四に対して三・三七、こういうことに相なったいきさつはいろいろあるにしても、さて六十年度どうするか、これは
公務員労働者にとってはまさに死活の問題ですよ。そういう意味で、この「年頭随想」に書かれた決意と今の心境と、六十年度の人勧に対しては
人事院総裁としてはどういう御決意でやっていくのか、まず決意というか姿勢というか、お
考えを聞かしていただきたいと思うのです。