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○中島
委員長 これより会議を開きます。
この際、小
委員会設置の件についてお諮りいたします。
恩給等調査のため小
委員十一名からなる
恩給等に関する小
委員会
及び
在外公館にかかわる諸問題を調査するため小
委員十一名からなる
在外公館に関する小
委員会
を、それぞれ設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○中島
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、小
委員及び小
委員長の選任につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○中島
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
小
委員及び小
委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。
また、小
委員及び小
委員長の
辞任の許可及び
補欠選任並びに
委員の
辞任に伴う
補欠選任につきましては、あらかじめ
委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○中島
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――
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○中島
委員長 去る二十日、人事院より、国会に、国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申出が、同日、議長より当
委員会に参考送付されましたので、御報告申し上げます。
――――◇―――――
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-
○後藤田国務大臣 ただいま議題となりました
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
政府におきましては、本年三月三十一日からの定年制度の施行、民間事業における退職金の実情その他の事情を勘案し、国家公務員等の退職手当制度について総合的に再検討した結果、所要の措置を講ずる必要があると認められたので、ここにこの
法律案を提出した次第であります。
次に、
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、定年制度の施行に伴う退職手当に関する規定の整備として、国の歳出予算の常勤職員
給与の日から俸給が支給される職員に対し、定年退職の規定が適用できるよう措置するとともに、勤務延長されて退職する者、定年退職後引き続いて再任用されて退職する者及び既に定年に達していることにより本年三月三十一日に退職する者については、定年により退職する者と同様に取り扱うことといたしております。
第二に、退職手当支給率の改定として、自己都合退職支給率について勤続期間十一年以上十九年以下を二〇%引き下げ、勤続期間二十五年以上二十九年以下を約三%ないし一九%引き上げることとし、また、特に長期の勤続者に係る退職手当支給率について、勤続期間三十一年以上の一年当たり支給割合を約一〇%引き下げることといたしております。
第三に、定年前早期退職者に対する特例措置として、一定年齢以上であり、かつ、勤続期間二十五年以上である者が、定年前にその者の事情によらないで退職することとなった場合には、退職手当の算定の基礎となる俸給月額について特例を設けることといたしております。
第四に、所要の規定の整備として、退職手当の支払いに関する規定、退職手当の支給を受ける遺族に関する規定、退職手当の返納に関する規定等の整備を行うことといたしております。
このほか、附則において、退職手当支給率の改定に伴う経過措置等について規定することといたしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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-
○中島
委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
角屋堅次郎君。
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○角屋
委員 ただいま御提案に相なりました
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案について、まず質疑を展開いたしたいと思います。
国家公務員等の退職手当はもちろんでありますけれども、
給与あるいは年金、これは国家公務員にとっては生活権にかかわる大変重要な問題でございます。
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案につきましても、最近時では五十六年改正、あるいはさかのぼれば四十八年改正、これは重要な改正であったわけでございますが、特に五十六年改正については、御案内のとおり、五十五年に国会に提案をいたしましてから数国会、あるいは廃案になりあるいは継続になり、そしてようやくこれが通ったという経緯がございます。車ほどさように、改正案の内容いかんによっては公務員労働者にとって非常に重大な問題であり、また、我々これを議論する国会としても真剣に受けとめて、これが方策についていろいろ議論しなければならぬ性格を持っておるわけでございます。
そこで、きょうは特に藤波官房長官の出席も求めて若干の点をお伺いをいたしたいと考えておるわけでございますが、これはいわゆる人事院から出します人勧の
実施の問題について、御案内のとおり数年来、凍結がありあるいは抑制があり、今日に来ておるわけであります。そしてこれは、公務員労働者からすればILOに提訴をする、凍結の問題についてもそうでありましたし、また抑制の問題についてもILOに提訴する。それに対してILOからは、一昨年の段階においても昨年の段階においても、内閣に対しまして厳しい勧告をされておる内容を含んでおるわけであります。そういうさなかで、数年来凍結を受けあるいは抑制を受けた人たちが、二十年勤めあるいは三十年勤め、ことしは三月三十一日からいわゆる六十歳定年制が現実に施行されていくという時期を迎えておるわけであります。
今度の国会では、中曽根内閣のこれからとろうとする防衛政策に関連をして、対GNP比一%を守るかどうかということが非常に大きな論議の焦点に相なっておりまして、過般、衆議院予算
委員会においては集中審議も行われたわけであります。野党といたしまして、御案内のとおり、政府の予算案に対して統一修正要求をまとめようということで、関係政党間でいろいろ協議をいたしまして、共産党を除く野党で統一要求をまとめ、これを提案した経緯がございます。きょうの夕刻には政府からしかるべき誠意ある回答を求めるという重要な段階にも相なっておるわけでありますし、また昨日午後、藤波官房長官に対しまして、防衛費問題について社会、公明、社民連三党のそれぞれの責任者から、防衛費削減の強い要求が出てまいっておるわけでございます。
そういう状態の中でございますので、この際、審議に入ります前に、防衛費対GNP比一%枠を政府として今後とも堅持していくのかどうか、あるいは対GNP比一%防衛費問題と人勧とのかかわりというものを政府がどのように考えておるのか、こういう点から議論を展開いたしたいと私は考えておるわけでございます。
御案内のとおり、防衛費対GNP比一%という問題については、これは
昭和五十一年十一月、国防会議及び閣議におきまして「防衛力整備の
実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする。」こういうことが決定されて、歴代内閣はこれを堅持してまいったわけでありまして、我々も、防衛問題について各政党がどういう考え方を持つかということは、問題はそれとは別にして、防衛費対GNP比一%を守るということは我が国の防衛政策上の重要な基本であるという認識のもとに、今日まで対応してまいりました。
今回の国会の論議の過程において、率直に言って、中曽根総理は、防衛費の対GNP比一%を堅持するというところに軸足があるのか、あるいは答弁でも出ておりますように、同じく五十一年に閣議決定になった「防衛計画の大綱」の推進というところに軸足があって、後者の問題推進のためには、情勢いかんによってはGNP比一%枠を変更するというふうにも受け取れる発言をいたしておるわけでありまして、これは重大な態度の変更を示唆するものと言わなければなりません。
この際、内閣の立場から、藤波官房長官に対しまして、防衛費対GNP比一%枠の五十一年閣議決定の点については、あくまでもこれを守っていくという姿勢であるのか、あるいは軸足を「防衛計画の大綱」の推進に置いて、情勢いかんによってはこれを変えていきたいという考え方に軸足があるのか、その辺のところを、予算
委員会の論議を通じあるいは内閣の態度としてどう考えておるかを明らかにしてもらいたい。
-
○藤波国務大臣 五十一年に三木内閣で、防衛費はGNPの一%以内におさめる、こういう閣議の決定をいたしまして、その後、歴代内閣はその方針を貫いてきたところでございます。
今回、衆議院、参議院の本会議の代表質問あるいは予算
委員会等での御質疑に対しまして政府がお答えをいたしてまいっておりますところは、こういう五つのことから成っております。
第一は、歴代内閣はその方針を堅持してまいりました。中曽根内閣におきましてもその方針を遵守してまいりまして、そして
昭和六十年度予算案の編成の際にも、そのことを特に留意をいたしまして、一%以内におさめるように努力をしてきたところでございます。それから、今後ともこの方針を守るように努力をしてまいりたいと存じております。一方、防衛力の整備につきましては、大綱の水準に達するように努力をしていく。これまた歴代内閣が努力をしてきたところでございますが、本内閣におきましてもその努力を進めてまいりたいと存じます。今後どうなるかということにつきましては、GNPがどうなるかといったような不確定な要素がたくさんにございますので、これからの動きを予測することはなかなか難しゅうございます。もし一%を超えるというような事態が生ずることになりますれば、その際にどういうふうにするかということを検討して、国防会議や閣議等の議を経なければなりませんし、また、そのことはよく国民にも御説明をするということでなければならぬと考えておりますが、なおこれは将来のことでございますので、そういう時点になりました段階で検討することになるかと思います。
こういう五つの段落から成ります考え方として、御説明を申し上げてきておるところでございます。
どちらに軸足があるかということにつきましては、なかなか難しい御質問でございまして、全体は、この今申し上げました五つ全体で今の考え方に立っておるものですから、人間の体はみな両足の上に立って体を支えておるわけでございますが、すべてこの五つ全体をひっくるめてお考えをいただいていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
現在どういうふうに考えておるかということは、将来のことは予測できないというふうに考えをまとめておるわけでございますから、現在は一%を守るということを非常に大事に考えて努力を進めてまいりたい、このように考えておるところに重点があるというふうに御理解をいただきたいと思います。
-
○角屋
委員 防衛費の対GNP比一%枠の問題については、
昭和五十一年閣議決定以降、従来の経緯を見ますと、
昭和五十一年対GNP比〇・九〇、以下〇・八八、〇・九〇、〇・九〇、〇・九〇、五十六年には〇・九一、五十七年〇・九三、中曽根内閣登場以降、五十八年〇・九八、本年〇・九九。中曽根内閣登場以降、急ピッチでGNP比一%枠を突破しかねない情勢が生まれてきておるわけであります。しかも、昨年度のいわゆる防衛予算は、一%枠との関係で言えば当初予算二百五十四億円の余地を残しておりましたけれども、今年度の場合は、御案内のとおり、対GNP比との関係においては当初予算においてわずかに八十九億円しかいわゆる余地を残してないという数字にございます。したがって、GNP比一%問題が今年度中にも俎上に上りかねない予算編成を政府みずからまずやっておるというところに、重大な問題があるというふうに受けとめております。
我が国の防衛予算は、御案内のとおり、現在でも、世界の諸外国の防衛予算の関係から見ればソ連、アメリカ等にずっと次ぎまして第八位のポジションを占めておるわけであります。したがって、この防衛予算は、世界のGNPの一割を占める、それの一%枠ということでございますから、予算そのものは国際的に第八位の地位を占めるように、大きな予算スケールを持っておることも間違いないわけであります。
そこで、対GNP比一%枠堅持の問題と関連をして、しばしば総理は、ことしのGNPが最終的にどういうふうになっていくか、あるいは人勧の問題がある等々に触れられておるわけであります。わずか八十九億円しか天井まで残っていない。人勧を
実施するとすれば、これはそれだけではとても防衛庁職員について貯えないということは厳然たる事実であります。ことしの場合に、防衛庁の
給与改善のための一%の費用として、私の手元の資料からいけば百三十二億円リザーブされておると承知をしておるわけであります。そうしますと、八十九億円をそのまま使うとして一・六七%程度の引き上げの予算しかない。それ以上になれば、当然防衛費を削減しなければGNP一%枠にとどめることができないという問題を含んでおるわけであります。
私は、この機会に、いわゆる防衛費のGNP比一%の問題と、次に人勧との問題についてお聞きしたいと思うのであります。これは
給与担当大臣の後藤田長官にも当然かかわる問題でありますけれども、公務員の
給与引き上げの問題については、防衛庁職員も含めて生活の問題である。したがって、人勧の
実施については、数年来凍結あるいは削減がやられてけしからぬ話でありますけれども、これは本来
完全実施すべきものである。ILOからもそういう趣旨の勧告が行われておる。その場合に、先ほど来言いますように、防衛関係費の中で人勧を
完全実施する場合に、GNP比一%を堅持するということからいけば、装備その他の問題を削減してGNP比一%を堅持するということが我々の見解であります。したがって、先ほど申し上げましたように、我が党のみならず公明、社民連とも、本年度の政府の予算案修正に当たっては大幅減税等を含む総合的な予算要求を各党共通の上に立ってやっておりますけれども、特にGNP一%の問題については、人勧
完全実施ということも念頭に置きながら、このGNP一%堅持の立場で防衛費予算の削減を求めたという経緯に相なるわけであります。
私は、ここで、国際情勢そのものに深く触れるつもりはございません。しかし、本年は、米ソの間においてもいわゆる包括的な軍縮交渉が近く始まろうとしておる、従来の緊張激化の方向からデタントの方向に踏み出す期待が持たれておるわけであります。我々も、各政党それぞれ、国際緊張緩和のためには議員外交を通じて努力をしてきている経緯でありますが、米ソの包括的な軍縮交渉を通じて、デタントの扉は開かれているということについて大きな期待を持つわけであります。五十一年度以来堅持してまいりましたGNP一%枠を突破する動きというのは、国際情勢にも逆行する中曽根内閣の動きと言わなければならない、こういうふうにも思うわけであります。
この機会に、防衛費の問題と人勧との問題について、制度上からいっても性格からいっても全然別個の問題であるというのが我々の受けとめ方でありますけれども、内閣としての見解を承っておきたい。
-
○藤波国務大臣 防衛費をGNP一%以内に抑えるという問題と、
人事院勧告に対して政府がどのように態度を決定していくかという問題は別個の問題であるということを、従来も、当内閣
委員会におきます御質疑に対してお答えをしてきておるところでございます。
この六十年度の中でこれをどのように扱っていくかということは非常に難しい問題でございますが、総理からもお答えをいたしておりますように、GNPがどのように推移をしていくか、また、ことしの
人事院勧告がどのような勧告の内容になって出されてきて、それに対して政府がどういうふうに取り組んでいくかというような不確定な問題がなおたくさんにございますので、今、それらを予測して確固たるお答えを申し上げるという段階にないということをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
今、先生御指摘になられましたように、米ソの間で軍縮への交渉が進み、徐々に平和への兆しが高まってきておりますことは非常にありがたいことでありますし、我が国としてもまた、そのことのために努力をしてきておるところでございます。その中で防衛費をどのように構えていくかということは、確かに広い角度からのいろいろな御議論のあるところでございますが、それらの中で、従来も政府が堅持いたしてまいりました一%以内に抑えるということにつきましては、代々の内閣が遵守されてまいりましたように、我が内閣といたしましても、そのことを大事に考えて従来も取り組んできておりますし、その考えは変わっていないわけでございます。
天井との距離が非常に少なくなってきている、このことは、従来もずっとGNPもいろいろなカーブを描いてきておりますから、比較の問題でございますので、だから防衛費がどんどんふえてきておるんだというふうに一概に即断することはどうかと思うのでございますけれども、天井への距離が非常に少なくなってきておるということは、そのぐらいずっと近づいてきておるけれども、それでも歯を食いしばって一%以内におさめようと努力してきた、こういうふうにもまた御理解いただけるのではないかと、なかなかこれは苦労のところでございまして、そういった一面もぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
昨日も社会党、公明党、社民連の皆様方から、ことし
人事院勧告を政府が
完全実施していくと一%を超えるという事態になりかねない、しかし、その節には、従来予算に防衛費として盛り込んでおるものを節約すればいいではないか、こういうふうな御指摘をいただいたところでございます。年々、予算執行の中でいろいろ努力をいたしまして、年度末になって少し節約できたかなと、本当に苦しい思いでそういった努力をしてきておるという経緯はございますけれども、現在、編成をいたしまして御審議を願っております予算案は最上のものだというふうに考えておりますので、今の防衛費が軽々に削れるような内容のものではない、こういうふうに考えておりまして、この御指摘にも簡単にお答えをすることはなかなか難しい、こう思っているところでございます。
繰り返しますが、GNPの推移、ことしの人勧がどのように動いていくかといった不確定の要素がございます。それらの中で、今、先生から御指摘がございましたようなことも十分念頭に置いて、これは別個のものでございますので、それぞれの観点でどう考えていくかということを、結果としてはそれが調整することになるわけでございましょうけれども、それは、一方を決めるために一方が頭にあってそのことがセーブされるということではないということをお答え申し上げて、非常に厳しい課題に向かって取り組んでいくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
-
○角屋
委員 昭和五十九年の人勧は抑制
実施をされたわけでございますけれども、細かい数字に触れませんが、官房長官も御承知のように、防衛庁ではこれを
実施するために装備費その他について削減をして、そして
実施した経緯がございます。それで、防衛費対GNP比一%の問題はあくまでもこれを堅持すべきである。人勧の
完全実施に伴う防衛関係の対GNP比の問題については、これは削減してあくまでも
実施を継続すべきであると基本的に考えております。きのうの要求もそれに基づくものであります。
この際、新しい年度に入っていくわけでございますけれども、人勧が凍結をされあるいは削減をされ、数年来まいっております。ILOとの国際問題にもなっておる。公務員労働者からすれば、人事院制度というもとにおいて公務員労働者の生活と権利が守られていくのかという点に、非難の声が高まっておりまして、新しい制度というものへの転換を模索しなければならぬのじゃないかという強い動きが出てまいっております。
それは後ほど総務長官の方に今後の問題としていろいろお伺いするとして、官房長官、時間の制約もあるようですから、新年度の人勧に対して政府はあくまでも
完全実施ということで臨むと思うのでありますけれども、新年度の人勧
実施の問題についての内閣としての基本方針というものをこの機会に承りたいと考えております。
-
○藤波国務大臣
人事院勧告制度の重要性から考えまして、人事院から勧告が出ました段階で、政府はこれを
完全実施するために最善の努力をしなければいかぬ。御指摘を待つまでもなく、当然のことと考えまして、従来、内閣もその方針を貫いて努力をしてきておるところでございます。
しかし、従来勧告を見送ったりあるいは抑制をするというようなことで公務員の方々に大変な御不満があろうか、こんなふうに思いまして、まことに申しわけない結果で今日まで推移をしてきておる、こういうふうに心の底から申しわけないと思っておるところでございます。
新年度の勧告が出ましたならば、その段階で
完全実施に向けて最善の努力をしてまいりたい、国政全体、いろいろな角度からのいろいろな議論は出ようかと思いますけれども、それらを総合いたしまして
完全実施に向けて誠心誠意取り組んでいくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
-
○角屋
委員 藤波官房長官は日程の関係で非常に制約されておるようでありますので、私の質問は、基本的な見解を受けとめて、内閣として、野党側の要求も含めて今後善処してもらいたいということを強く要求いたしまして、退席されて結構でございます。
総務長官、引き続きでありますが、先ほど申しましたように、公務員労働者の人勧の
実施問題について、一昨々年は凍結、一昨年もいわゆる抑制、引き続き昨年も抑制という経緯で新年度を迎えておるわけでありますが、公務員労働者の場合は、そういう経緯の中で、一昨年も昨年もILOに対して提訴をいたしました。そして、昨年の場合で言えば、三月二十一日に、
人事院勧告不
完全実施に関し、日本政府を相手方とするILO提訴というのを御案内のとおり行ったわけであります。それに対する政府見解等が遷延されておりましたが、それはそれとして、ILOは、この問題について昨年もILO結社の自由
委員会等を中心にいろいろ真剣な論議が行われて、昨年の十一月十二日ILO結社の自由
委員会第二百二十六次報告、第千二百六十三号事件ということで、
委員会の結論並びに
委員会勧告というのが政府に対しまして行われました。
その中で、細かいことについては触れませんけれども、基本的には、労働基本権が制約されておる代償機関としての人事院の勧告というものは本来
完全実施すべきものである、これを数年来抑制しておくということはまことに遺憾であって、そういう立場から、この千二百六十三号事件のILOからの跡告の中では、公務における賃金及び労働条件の決定のための手続及び機構を日本政府が再検討するよう希望を表明したという二百七十三項にかかわる項目がありますし、また最後の結びのところで、労働者が現在享受していない基本権に対して、これらの労働者に適切な代償を与え、かつ、労働者がその雇用条件の決定に参加し得る公務における賃金及び労働条件の決定手続を確立することを政府が可能ならしめるよう本
委員会はかたい希望を表明するということも含めて、
完全実施を政府に要請しておることは御案内のとおりであります。
そこで、今日の時点で、人勧の存否という議論に深く触れるつもりはございません。ただ、
給与担当大臣としての総務長官としては、こういったILOの勧告を受けて、公務員労働者の賃金の決定問題等について、機構の問題等手続の問題も含めて再検討の意思があるのかどうか、あるいは現実に、今の機構でいくということを基本方針とされる場合には、本年の人勧
実施についてはILOの勧告も受けてどういう決意で対応されようとするのか。こういう点について、実力者をもって言われております
給与担当大臣の後藤田さんから明快な答弁を承りたい。
-
○後藤田国務大臣 政府としてはILOの勧告は厳しく受けとめなければならない、かように考えているわけでございますが、今度のILOの御決定も、五十八年二月、五十九年三月と、基本線は変わってないのではないか。つまりそれは、人事院の勧告というものの重要性、それを政府は認識をして
完全実施をすべきでないか、それができないのならば
給与決定方式その他について検討しなければならぬのではなかろうか、こういった従来よりやや踏み込んだ御勧告になっておると私は思います。しかし、私どもとしましては、公務員の
給与決定の方式というのは、第三次の公務員制度審議会の答申もあるし、第二臨調の答申もあるし、何よりも現在の制度を守って
完全実施に向けて政府が最大限の努力をしていくんだ、こういうことが私どもとしては基本的な考え方でございますから、制度そのものを動かそうといったような考え方は今持っておりません。
ただ、こういった従来からの経緯を考えますと、やはり政府が、何といったって公務員の生活に関連をしておる
人事院勧告の、これを一日も早く今のような異例の状態から脱して、固い決意で最大限、国政全般との関連はありますけれども、何よりも
完全実施をやるということに努力をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
-
○角屋
委員 人事院総裁にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、数年来の人勧が凍結、抑制をされてきた経緯の中で、本年の
人事院勧告というものをこれから春闘との見合いの中で調査をし、取りまとめ、通例八月に勧告がなされていくわけでありますけれども、
人事院総裁として人勧
実施に向けての基本的な考え方を承りたいと思います。
-
○
内海政府
委員 今までもたびたび、いろいろな機会に
人事院総裁としての見解を申し上げておりますが、
人事院勧告というものは、全国家公務員にとりましては文字どおり生活にかかわる大事な
給与の問題でございまして、勧告というものは
給与が改善される唯一の機会でございます。それだけに、全国家公務員のこれに対する期待も極めて深刻であり、大きいものと考えております。そういうふうな観点に立ちまして、私どもは、また今年も
人事院勧告をいたしたいと考え、今既に諸般の調査の準備に入っております。
どういうふうな数値になって出るかということにつきましては、今直ちに予想はできませんけれども、昨年度における抑制の結果を反映いたしますから、我々が報告あるいは勧告するそのものも、またそれなりに厳しいものになろうかと思います。
しかしながら、先ほど申しましたように、この
人事院勧告を政府において、あるいは国会において御審議願って私どもの勧告を受け入れていただく、これを完全に
実施していただくということが、公務員の中における秩序の維持あるいは公務員の制度の安定ということにそのままつながることでございますので、私どもは、本年におきましても、精密に科学的に厳しい気持ちを持って勧告の調査に当たり、また勧告をいたさなければならない、こういうふうに考えております。
-
○角屋
委員 本論に入りまして、今回提案をされております
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案について、質疑を続行いたしたいと思います。
今回の改正は、一つは、六十歳定年の
実施に伴う改正が一つでございます。先ほど総務長官の御提案のとおりであります。同時に、この機会に、国家公務員等退職手当制度基本問題研究会、これが五十九年十一月十五日に報告書を出しておりますが、総務庁が大体五年に一回人事院の方にお願いをして、退職金について公務員と民間が一体どういう状態にあるかということを調査してもらって、その調査に基づいて今回の改正、我々から言えば改悪が大半であって、改正というのはごくちょっぴり含まれておる程度と受けとめておりますけれども、そういうものを出してきておるわけであります。
この退職手当制度の改正の問題については、公務員労働者の立場から、日本公務員労働組合共闘会議の丸山議長名をもって、昨年十二月十七日に後藤田総務長官に対して、「退職手当制度見直しに関する要求書」というのが御承知のように提出されております。その中でいろいろ要求項目を言っておるわけでありますけれども、これらの問題をどう受けとめられて
法律提案の経緯になったのか。
それともう一つは、御案内のとおり、今申しました国家公務員等退職手当制度基本問題研究会をつくられ、その報告を求め、そしてそれを今回の改正に当たってどういうふうに生かして提案をされる経緯になったのか。
この二点についてお答えを願いたいと思います。
-
○藤井(良)政府
委員 お答えいたします。
まず、組合の方から出された要求書でございますけれども、この点につきましては、組合の方の意見も十分に勘案しつつこの案の作成に当たったわけでございます。国家公務員等退職手当基本問題研究会というのを、総務長官の私的諮問機関でございますけれども、つくりましたが、この諮問機関の方にも組合の意見というのは十分に伝えでございます。
それで、この国家公務員等退職手当制度基本問題研究会でございますが、これは御承知のように、
昭和五十六年に退職手当法が改正されましたときに、その附則で、
昭和六十年に退職手当を再度見直すようにという規定が設けられているわけでございます。その規定に基づきましてこの研究会をつくり、かつ、職員側あるいは使用者側の意見も十分に配慮して、今回の改正法案を作成したわけでございます。
-
○角屋
委員 今答弁の中にもありましたように改正法附則第十八項、五十六年改正のときに
法律の附則の中に入れて、再検討を求める。かつて、漁業災害補償法が最初政府から提案された際に、私ども党の方からも提案を出し、そして政府の不十分な点については附則再検討条項ということで処理をし、数年後にそれが
実施をされたという経緯がございます。これはいい面における再検討条項で
実施ということでございますが、ただいまもお話が出ましたように、五十六年改正のときの附則十八項、これの再検討規定に基づいて再検討がなされた。それで出てまいりました点の採択すべきものを今回の改正案に出したというふうに、政府としては答弁されたいところでしょう。
先ほども触れました公務員共闘の関係は、十二月十七日の要求の中で、「退職手当は、官公労働者にとって退職後の生活設計に欠かせないものであり、その制度の見直しや支給月数の変更にあたっては、賃金・労働条件の重要な事項として当然にも労使の交渉と合意にもとづいて決めるべきものであります。しかるに政府は、われわれのこの間の申し入れを無視し、この研究会「報告」を「最大限に尊重」して、全面的な制度改悪に着手し、八五年二月にも改悪法案を上程する方針であることを組合側に示しました。」という形で、要求書の具体的な項目の中では、「退職手当制度の見直しにあたっては、必要最小限度のものにとどめ、労働組合との協議・合意に基づいて行うこと。」第二として、「退職手当支給率の切り下げにつながる制度の改悪は行わないこと。また、官民比較の方法については組合との合意にもとづいて行い、取扱いについては慎重を期すこと。 以上にもとづき、見直しの具体的考え方については、事前に組合に提示・協議すること。」こういうことで、こういった問題については公務員労働者との協議・合意あるいは提示・協議を行いというふうなことをしばしば言われておりますけれども、こういったいわゆる公務員労働者側の要求に対してどういうふうに判断をし、提案するまでの経緯があったのか。
-
○藤井(良)政府
委員 先ほども申し上げましたように、退職手当制度基本問題研究会の報告というのは、退職手当について深い学識と経験を有する方々に真剣に検討していただいてまとめたものでございます。したがって非常に貴重な意見でございますから、この意見を念頭に置いたことは事実でございますけれども、私どもとしては、この間におきまして、組合側あるいは各省の管理者側からも十分に意見を聴取しております。特に、参議院の内閣
委員会の附帯決議にも、職員側からの意見を求めるようにというふうな御意見がございましたので、私どもといたしましても、組合の方に四十回近く会っていろいろ話を聞いております。
それで、どういう点に生かされたかということでございますけれども、できるだけ最小限の改正にとどめるということでございまして、例えば退職事由の再編・整理の問題、あるいは勤続二十年・二十五年の区切りについて、あるいは支給率の段差、こういった問題については最小限の改正にとどめるというので、現行どおりとしているわけでございます。ただ、今度定年法が施行されます。あるいは民間の退職手当の変化もございます。こういったような変化も踏まえまして、今回の改正案をまとめたような次第でございます。
-
○角屋
委員 民間企業退職金調査は、総務庁としては人事院に従来のように委託をされて、人事院が実際の調査を行った。その場合に、民間企業退職金制度調査という制度面と、それから民間企業退職金等実態調査、いわゆる退職金の水準面と、両方やられたわけであります。この第二項の点は五十七年の実態に対して五十八年に調査
実施をされたわけであります。そこで、この第二の水準面の調査については、いわゆる五十二年の場合は千五百社程度について
実施をいたしましたが、五十八年調査に当たっては、千人規模以上のものを七百七十二社、三百人から九百九十九人のものを七百七十六社、百人から二百九十九人のものを七百七十四社、締めて二千三百二十二社というものを対象にいたしまして、五十七年度における定年等退職者の実支給退職金額を中心に調査をやった。
そこで、従来もそうでありますけれども、官民比較という場合に、どういう対象に対して、どういう手法で、どういうふうに調査をして、結果を推計するかということが非常に重大な問題でありますけれども、これについては、従来どおり一般職の
給与法行政(一)の適用を受ける職員の勧奨退職による退職手当額を国家公務員等の標準にする、いわゆる行(一)の高卒を基本にして、それと見合う民間の、先ほど申しましたような企業のそれに見合う高校卒とのものと対比をする。これは従来も行(一)高校卒、民間もそれにタイアップするものをやってまいりましたが、この基本方針をそのまま今回の調査といいますか、五十八年の調査でも踏襲されたわけであります。
そこで、高校卒については二十五年、三十年、三十五年、こういったものについて国家公務員と民間企業職員とを対比したら、まあ、まずまずのところであった。ところが、これは人事院に委託をされて調査をすることになったのか、補完調査として総務庁からお命じになったのかは別として、大学卒という点について我々にも資料が届けられております。この大学卒の場合は、勤続二十五年の場合の国家公務員と民間企業とを比較しますと、国家公務員の大学卒の場合は九二%である。三十年の場合は七八%である。三十五年の場合は八八%であるというのを資料の中で提示されておるわけであります。つまり高校卒については、行(一)で従来どおり比較をすると、まあまずまずであった。ところが、大学卒について比較をすると、今言ったように九二、七八、八八という数字が民間との間で、いわゆる国家公務員の大学卒の方が低い、一割以上低い例になっておる。これは単なる参考資料であるのかあるいは補完資料であるのか、あるいはこういう結果についてはどう判断されたかという点について、お答えを願いたい。
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○藤井(良)政府
委員 お答えいたします。
退職手当の官民比較の問題でございますけれども、これは五十六年の改正法の際は、大体高卒を中心にしてやったわけでございます。ただ、高卒を中心にしてやったわけでございますけれども、その際、ほかにもいろいろ調べてみたらどうかというような御意見がございました。したがいまして、そのほかにもいろいろ調べた結果として、先生が今言われた大卒というのが出てきているわけでございます。
ただ、官民比較の基礎となる国家公務員につきましては、行政職俸給表(一)の高卒者が最も標準的なものではないかというふうに考えております。といいますのは、学歴別構成を見ますと、高卒者が退職者の場合には六割近く、在職者の場合でも七割近く占めているからでございます。今回、大学卒の官民比較を初めて行ったわけでございますけれども、学歴別構成における大卒者の占める割合というのは、退職者の場合で一四・四%、在職者の場合でも一六・四%でございまして、極めて少ないというようなことで、いわば参考という意味でお示しした次第でございます。したがいまして、大卒者の実態をもって直ちに国家公務員全体の給付水準を変更すべきものとは考えておりません。公務部内における高卒と大卒ではそれぞれバランスがとれているものの、相当の較差があることは事実でございますので、今後検討してまいりたいというふうに思っております。
なお、念のためにつけ加えておきますと、大卒者と高卒者、これを加重平均いたしますと、大体民間一〇〇に対して公務員が九九ぐらいになっております。
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○角屋
委員 民間準拠とかあるいは公務員と民間との均衡ということを考えていくというのは、これは当然のことだというふうに思いますけれども、我々が調査したのでなしに、総務庁の依頼に基づいて人事院の方で、いわゆる行(一)高卒について従来どおり調査をし、補完的に大学卒の調査をやったところが、いわゆる民間に対して二十五年で九二、三十年で七八、三十五年で八八という結果が出ておるということは、これはやはり重大なことだというふうに思わざるを得ません。私は、これは問題点指摘ということで次に入ってまいりたいと思います。
御案内のとおり、国家公務員等の場合はいわゆる年金というのは老後に重要なウエートを占めるわけであります。ところが、民間の場合は、厚生年金に含めて、最近企業年金というのがやはり非常に進んでまいっております。この企業年金が進んでまいっておりまして、いわゆる厚生年金プラス企業年金という形で老後の生活設計をやろうということ。きょうは労働省の方は社会労働
委員会その他いろいろ繁忙で、企業年金の問題等について、いろいろ労働省の調査等もありますので、それの簡単な説明を聞きながらと思いましたけれども、どうしても出られぬということで、私も了承いたしました。したがって、細かい点には触れませんが、要するに、民間では企業年金というのが大企業の場合も中小企業の場合も導入がどんどん進んできておる。ところが、国家公務員等の場合は、いわゆる共済年金という一本で老後の生活というものに期待をしていかなければいかぬ。
そこで
総務庁長官にお伺いをしたいのは、国家公務員等の場合、いわゆる公的年金というもので老後の生活が大体賄えるというふうにやるのが政府の責任であるというのが私自身の基本認識でございますけれども、民間との均衡調査をやる場合に、一方は退職金と企業年金、それから厚生年金という形にどんどん進行している。場合によっては会社が企業年金を負担するものもあれば、労使折半のものもあれば、いろいろなやり方で企業年金が現実に出てきておる。この基本問題研究会報告の中でも、いわゆるこの民間におけも企業年金とのかかわり合いにおいて将来の検討課題として慎重に検討していくことが必要であるというような、そういう意見が述べられております。やはり私が冒頭に申し上げましたように、国が雇用する国家公務員等については、老後の年金問題、当面これを重視するということを基本に置かなければならぬ。しかし、一方において、民間は厚生年金プラス企業年金という方向にどんどん進んできておる。今後の問題としては年金一元化、統合問題等も出てくるということでございまして、したがって、こういった民間の企業年金の動向との見合いということもありますし、また、公務員労働者のいわゆる第二の人生の生活安定という立場から見ても、これらの問題についてどう考えていく必要があるのかという点について、
総務庁長官からお考えを承りたいと思います。
-
○後藤田国務大臣 最近、御説のように、民間企業で企業退職年金制度を導入するという傾向があるということは承知をいたしております。しかし、この企業退職年金制度を採用しておる企業のほとんどが、退職金について一時金と年金、これの選別といいますか選択といいますか、選択制を採用しておると思います。その際に、現時点ではやはりまだ、大勢としては年金でなくて一時金を選択しておるのが実態であろう、かように考えておるわけでございます。そこで、国家公務員の退職金を年金化するということについては、こういった民間の動きその他も見なければなりませんし、これは今後の検討の課題ではないのかな、私はかように考えておるわけでございます。
なぜ退職金を一時金として設けるようになったかといえば、角屋さん御案内のように、私どもが若いときはこういう制度は実はなかったわけでございますね。しかしながら、当時の物価情勢その他もあったと思いますが、やはり一定年限勤務した人がやめた場合には、生活の態様、それから先の生活の設計、こういうものががらっと変わるわけですから、どうしても退職時にいろいろな関係で金が要るのではないかといったようなことで、今日のような一時金としての退職金を支給する、こういうことになったわけですが、最近の企業年金でこれを年金制度に切りかえたいというのは、やはり社会経済情勢がやや安定してきたからそういうことにまたなりつつあるのかな、かように私は判断しておるのですが、いずれにしても、老後の生活ということは何としてでも最低限は確保してあげなければいかぬわけですから、こういう点でも先行きの検討の課題であろう、私はかように考えておるわけでございます。
-
○角屋
委員 生涯賃金ということがよく言われておるわけであります。これは、この研究会報告の中でもそのことに触れておりまするけれども、日経連が、いわゆる労働問題研究
委員会というところで、毎年、労働問題研究
委員会報告というものを出しております。数年前に、日経連は、生涯賃金の立場から、民間と公務員とのいわゆる賃金・
給与、退職金、年金、これを対比いたしまして、
給与では民間は高いけれども、退職金、年金を総括すると公務員の方が高いという資料を提示いたしました。
問題は、この日経連の数年前の提示は、モデルとしてはいわゆる高卒、しかもこれは二等級。大体高卒で二等級になるというのはデータからいってもわずか八%であって、三等級、四等級が大半を占めておるのに、レアケースの高校卒二等級というものについて対比をいたしまして、
給与は民間の方がいいけれども退職金と年金では公務員の方がいい、こういうものを出して、これに対する中身のモデルのとり方その他についての厳しいことは申し上げませんけれども、生涯賃金問題、それからその中で、日経連からある意味で政府に対して挑戦、ということじゃないと思いますが、この
昭和六十年一月十七日の労働問題研究
委員会報告でも、我々の方からは問題を出したけれども、政府としてはそれにこたえる姿勢がないということも含めて、今度の報告書が出ております。十七ページのそのところを若干読むと、「日経連は、この生涯
給与比較について試算を行ったのであるが、それによると、公務員の生涯
給与は民間企業従業員のそれより八%高かった(
昭和五十七年「労働問題研究
委員会報告」二〇~二一頁)のである。政府は、この日経連の試算について異を唱えるだけであって、自らの手で官民の生涯
給与比較調査をやろうとしない。なぜなのであろうか。」という形で言っておる。人事院は
給与をあずかる担当のどころとして、これに対して、いわゆる日経連は二等級でやっておるけれどもそれはレアケースであって、三等級、四等級であればかくかく、しかじかのデータになる、反論というわけではありませんが、そういうものを出されておる。
この際、総務長官の前に、人事院がそういうことをやられた趣旨はどういうお考えであったのかをまずお聞きしたい。
-
○鹿兒島政府
委員 お答えいたします。
ただいまお話がございました、ことしの一月十七日に労働問題研究
委員会の報告の中に指摘されております八%という問題につきましては、御承知のとおり、
昭和五十五年度時点におきます「官民生涯
給与の比較」ということで、五十七年に発表されたものでございます。
これは御案内のとおり、一つのモデルの計算でございまして、モデルのとり方にはいろいろございますけれども、私どもといたしましては、このモデルを私どもなりに計算いたします場合に、今お話がございましたとおり、国家公務員の高卒の場合には圧倒的大多数が三等級、四等級、五等級、おおむねこの三つのグレードで約九〇%が退職しておるということで、一応そのモデルに基づきます生涯
給与というものを算出いたしまして、日経連が出しました資料に対比をさせてみたということでございます。その結果、日経連の出しました資料に比べますと、国家公務員の方が若干低い数値が出ておるということでございます。
-
○角屋
委員 後藤田総務長官に生涯賃金という問題をどう考えていくかという御答弁を承ります場合に、これは研究会報告では、そういった問題というものについては、検討していくということは必要だろうけれども、当面の問題からすれば、
給与にしても退職金にしても年金にしても、いろいろ生い立ちがあり、性格があり、したがって官民のバランスという問題についてはそれぞれの問題について均衡をとるということで本来いくべきものである、こういう研究会報告も御承知のように出ていますね。
同時に、我々が国家公務員等について考える場合に、最近の状況を見ますと、人事院試験というのが御承知のように国家公務員試験で行われておるわけですけれども、後藤田さんは古い時代の人ですから、高文試験というのを受けられて優秀な成績で内務官僚になられたということでしょうが、例えばこの上級の甲種試験というものの最近の動向を見ますと、受験が非常に、全然どころか急カーブで減ってきておる。これは政府の行政をやっていく国家行政機構の中枢にある人たちなんだが、五十三年から五十九年までの上級甲種の試験の状況のものをもらいますと、五十三年の申し込み者が五万五千九百七十二であったのが、五十四年には五万一千八百九十六、五十五年には四万五千百三十一、五十六年には四万七百七十、五十七年には三万六千八百五十六、五十八年には三万四千八百五十四、五十九年には三万四千八十九、年々こういうカーブでずっと公務員の上級甲種の試験を受ける者が減ってきておる。これは行政官庁をあずかる内閣としては重要な問題だというふうに思うのですね。どちらに行っても、民間に行こうがどうしようがよろしいといえばそれまでだけれども、しかし、いわゆる行政のかなめに将来なっていくべき上級甲種の試験の申し込みが、五万五千九百七十二から五十九年には三万四千八十九まで下がってきておる。もちろん合格者はそれぞれ千三百から千五百台でとっておるわけでありますけれども、申し込みが減ってきておるのは一体どう判断したらいいのか。
いわゆる人勧凍結があったりあるいは削減があったり、あるいは退職金も四十八年のときは当分の間といって二割ちょっと上げてもらったのだけれども、これをまた五十六年に一割に下げるとか、今度のようにまた率の改悪をやろうとかということでありますと、こういった趨勢は余り動かないのじゃないかという感じも率直に言ってしないわけでもない。これは上級だけをとりましたけれども、そういった趨勢は看過できない重要な問題の一つであろうというふうに思います。
生涯賃金という問題がいろいろ言われておって、日経連は事があれば公務員の方が高いとか言っておるけれども、大卒で対比するいわゆる標本についても、それが客観妥当性を持つかということになると疑問があるし、また、先ほどの高卒二等級という問題も随分問題がある。
それはそれとしても、そういう最近の公務員試験の趨勢から見ても、退職金問題あるいは年金問題あるいは
給与問題というのは、優秀な人材を公務員に迎えるという上級の問題ばかりでなしに、全体にそういうのを迎えるという立場から見ても、内閣としては重要に考えていかなければならない問題であると思います。
この問題といわゆる生涯
給与の問題、二つの問題について総務長官からお答え願いたい。
-
○後藤田国務大臣 今、角屋さんのおっしゃった、最近の公務員の上級職ですか、これの受験者の数がだんだん減ってきておる。私も、この原因は精査をしなければならない、看過できない問題であるという認識は持っておるのでございます。
私どもの時代を振り返りましても、受験者の数はそのときどきの民間の景気に非常に影響をして減ったりふえたりすることがあるのは事実でございますが、最近数年減っておるということは真剣に考えなければならない。殊に、民間の場合と公務員の上級職の人の
給与は、実は民間の一流企業ですけれども、大体六割ないし七割くらいで、
給与が大変悪くなっておるのが実態でございます。これに対して日経連その他の方と議論をすることもあるわけですが、それは、しかしながら、民間の人間とお役所の上級者というのは、持つ権限、満足度合いがまるきり違うから
給与は悪くてもいいんだ、こういったような議論をなさる方もいますが、いずれにせよ、私の基本的な考え方は、上級者であろうとそうでない者であろうと、公務員の
給与はできる限りよくすべきである、しかしながら総人件費というものは厳しく考えなければならぬ、かように私は基本的に考えております。
それから、日経連の問題でございますが、先ほど人事院から御答弁がございましたが、いずれにせよ、民間とお役所とでは、昇進昇給の制度とか制度全体が必ずしも民間は一律でありませんので、なかなか比較は難しいと思います。したがって、比べるとすれば、やはり
給与は
給与、退職金は退職金、年金は年金というようなことで比較をする以外に方法がなかろう、この点については第三次の臨調の答申にもそういうようにしなさいということがあるわけでございますが、それらの調査の結果は若干民間の方がいいという人事院の御返答でございますけれども、これまた日経連に行きますとよく議論になるのです。私はそのときには、これは制度が違うからあなた方のおっしゃるように簡単な比較はできませんよ、第一生涯
給与というのは何ですか、生涯
給与というのはお金だけですか、これは厚生施設その他は一体どういうように考えたらいいんだというような問題から始まりまして、まあしかし、比較するとすれば金だけであろうと、しかしその場合にも、おたくの方の例えば退職金なんかの比較で、公務員は二等級でやめるという判断に立っているようでおかしいじゃないかと、それは上級者なら別として、一般職員で二等級なんというのはほとんどおらぬよと、何か七、八%だそうですけれども、大部分は三等とか四等でやめているんだよと、そこらの基礎材料が違うことでとやかく言われることは迷惑だ、それはおかしいということでやっておるのですが、これは私は人事院の調査を信頼している。しかし、これは人事院と民間とよく相談をなさって、そして余り誤解に基づくいろいろな議論が横行することは私はよろしくない。これは人事院にもそういう点はひとつよく話し合いをしてもらいたいな、かように考えております。
-
○角屋
委員 今回の
国家公務員等退職手当法の改正を通じて、第一点としては定年制施行に伴う退職手当の取り扱い、第二点として定年制度施行後における勧奨退職の取り扱い、第三点として定年前早期退職特例措置の新設、第四点としてこれは極めて議論、問題の多い退職手当支給率の改定、その他事項、こういうことになるわけですけれども、私は当初一定の時間をお願いしておりましたが、
理事会の御相談によって、我が党で、私と
元信さんで一緒に二時間でやってもらいたいという
理事会の決定がなされておりますので、私はそのことを決定として尊重いたしまして、あと一点だけで
元信さんと交代をいたしたいというふうに考えております。
今言った改正の中で、特に定年前早期退職特例措置の新設というのをやられるわけであります。これは民間でも、特にオイルショック等を契機にして、四十歳とか四十五歳とか五十歳とかというところで早くやめてもらう、それに対しては優遇措置をとろう、これは民間は種々いろいろな方法でやられるわけでありますけれども、そういう手法をとっておられる。国家公務員等についても定年前早期退職の特例措置を新設しよう、これには定年前一定年齢、これは五十歳以上ということを想定されておるようでございますが、かつ勤続期間が二十五年以上ということで、公務運営上やむを得ない理由によって退職する場合ということで、これには特例俸給月額というものを通常の場合にプラスをして、そして優遇措置を講じながら新しい特例として
実施をしていこう。この新しい
実施の問題について、
元信さんとの時間の関係もありますから深く触れるつもりはありませんが、一部には、これはエリート官僚がこれをひとつ使って、新しい新天地でやっていくというのに使われていくのではないか、あるいは、大体五十歳からと言っているわけでありますし、二十五年以上と言っておるけれども、二十年ではなぜ悪いのかといったような、こういう特例を設ける場合の議論というのはいろいろございます。
私は、この新設というものをやっちゃいかぬというふうには必ずしも思いません。こういうものを新設していくということは、これは考えられることだというふうに受けとめます。
問題は、こういうふうな中身でいいのかどうかということになりますと、異論がございます。また、こういうものを新設する場合には、取り扱いの方針、基準というものがきちっとないとこれはなかなかいけない。公社、公団等にうまく乗っていこうというふうなものはこの特例にはかかりませんよとかなんとかというふうに、きちっとしたけじめをつくる必要がある。これらの問題についてお答えを願って、
元信さんと交代をさせていただきます。
-
○後藤田国務大臣 私も、定年前の特例措置というのは、定年を設けたんだからそれはおかしいじゃないか、それからまた、従来の取り扱いが、角屋さんがおっしゃるように特殊一部の職員だけで、一般の職員は一体どういう扱いになっておったんだ、ここらはひとつ慎重に再検討をしてもらいたいということで、事務当局に再検討を実はこの
法律案をつくる過程でやったわけですよ。ところが、これはやはり私の誤解でございまして、一つは人事管理上の問題があるんですね。これは上も下も関係がないようです。それから同時に、本当にいわゆる上級幹部だけに今までやっておるのかというと、そうではなしに、やはり圧倒的に一般職員が多い。こういうことですから、その誤解はわかったと、しかしながら、定年制度を設けるのに従来のようなルーズな扱いではこれは困るよ、そこでこれに対する歯どめはしっかりしてもらいたいということで、それも事務当局としては検討をして案を持っているようでございますから、それは事務当局から今お答えをさせたいと思います。
-
○藤井(良)政府
委員 今、大臣からもお話がございましたように、法案の作成過程におきまして、大臣から今言われたような指摘があったわけでございます。
従来から、我々といたしましては、勧奨退職に対しまして非常に厳しい措置をとろうと思って努力してきたわけでございますけれども、そこのところがなかなかうまくいっていないで、いろいろ国会でも御議論になったというようないきさつもございます。
私どもといたしましては、今後、勧奨退職の際の記録を十分に整備し、かつ、指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
-
○角屋
委員 以上でもって、
元信さんとバトンタッチをいたします。
ありがとうございました。
-
-
○
元信委員 それでは、角屋議員の質問に関連をいたしまして、
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案その他について、質問をいたしたいと思います。
今お話に出ておりました早期退職の問題でございますが、これは今の冒頭の大臣の提案趣旨の説明の中に、「定年前にその者の事情によらないで退職することとなった場合」と、かなり包括的な表現になっているわけでございます。これは勧奨退職を意味するものだろうというふうに考えますが、まずその点から。
-
○藤井(良)政府
委員 お答えいたします。
大部分は勧奨退職だろうと思いますけれども、そのほかに公務上の死亡あるいは公務上の疾病によって退職するといったような、公務上やむを得ないで退職された場合が含まれると思います。
-
○
元信委員 そういたしますと、勧奨につきましては、国家公務員の定年制を定めたときに、この
法律が施行された後は集団的、組織的な退職勧奨はなくなっていくもの、そう思うという当時の総理大臣の答弁がございました。その点との関連はどうなりましょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 今、先生がおっしゃいましたように、定年制が施行される際の法案の審議の際に、総理答弁といたしまして、今後、集団的、組織的な勧奨退職はなくなるだろうというふうにおっしゃられていたことは事実でございます。その点で、今後、定年制がしかれた後、勧奨退職を一気になくしてしまうかという議論もあったわけでございますけれども、やはり人員構成の新陳代謝を図るためには勧奨退職を残すのがいいのではないか、これは何も管理者側がそう言っているだけじゃなくて、団体の方からもそういう意見が多々寄せられたわけでございます。そういった観点から、私どもといたしましては、定年制施行後におきましても個別的な勧奨退職は残してもよいのではないか、集団的、組織的な勧奨退職はやりませんけれども、個別的な勧奨退職は今後も残していくという考え方でございます。
-
○
元信委員 勧奨退職の種類に集団的、組織的、個別的と三つ挙げられたわけでありますが、具体的にどこがどう違うのか、この際はっきりと承りたいと存じます。
-
○藤井(良)政府
委員 集団的、組織的勧奨退職でございますが、これは定年制がない時代に定年的な機能を果たす勧奨退職の制度でございます。これに対しまして、今後残します個別的勧奨退職と申しますのは、公務上の都合によりやむを得ないで退職していかれる方につきまして、一定年齢を決めないで全く個別に勧奨していくというやり方でございます。集団的、組織的勧奨退職の場合は、それぞれの省庁におきまして一定の年齢を定めて、そこで集団的、組織的に退職勧奨をやっていたわけでありますが、今後はこういうのはやめまして、官側の都合によって、新陳代謝を図るために個別にやめていただくというのが個別的勧奨退職でございます。
-
○
元信委員 それはちょっと、その当時の総理大臣の答弁に対して言い過ぎじゃないですか。その当時の総理大臣は、定年制の導入によって今後は組織的、集団的な退職勧奨はなくなる、こう答弁したわけですね。ところが、あなたの今の答弁では、なに、あそこで言った組織的、集団的な退職勧奨というものは要するに定年制のかわりであったのだから、定年制がしかれればそれはなくなるであろう、そうおっしゃっておるわけです。そうすると、定年制を導入すればなくなるのは当たり前の話であって、これはその当時の総理大臣は、勧奨退職の内容に踏み込んで判断を示されておるんですね。単に、定年制が導入されれば退職勧奨がなくなるであろうというのは、その当時の総理大臣の答弁としては余りにお粗末ということになりはしませんか。
-
○藤井(良)政府
委員 定年制施行後においても組織的、集団的な勧奨退職というのはあり得るんだろうと思います。完全になくなるとは考えられません。省庁によってはそういうことをやるところが出てくるかもしれません。ただ、私どもとしては、そういうものは今後なくなっていくだろう、定年制ができたからにはそういうものがなくなっていって、すべて個別的勧奨に変わるのではないかというふうに考えたということでございます。
-
○
元信委員 そんなことじゃ困るのです。それじや具体的に、どういう省庁でどういうふうに集団的、組織的退職勧奨が残るとあなたは想定しておるのか、それをちょっと教えてください。
-
○藤井(良)政府
委員 これは定年制を
実施してみないとはっきりしたことは今言えませんけれども、一定の技能職員あたりで、年をとって使えなくなってしまったというような方について、組織的、集団的な勧奨退職の余地はあるんだろうと思います。しかし、定年制が施行されている限りにおいては六十歳まで身分保障されているわけですから、これは当然に拒否できるんだろうと思います。しかし、実際上の問題としては、そういうことが完全になくなってしまうかどうかは、これは定年制を施行してみなければわかりませんけれども、そういった事態は十分に想定し得ると思います。我々の指導としては、そういうことをやらさないように指導していくつもりでございます。
-
○
元信委員 そうすると、今おっしゃった集団的、組織的な退職勧奨があり得るとした場合、今度の
法律改正によって改めて規定された、早期退職の優遇特例措置というものは適用になるわけですか。
-
○藤井(良)政府
委員 集団的、組織的な勧奨退職というのは、定年制施行後は総理大臣が言われたようになくなると思いますけれども、もしもあるとすれば、適用になる場合も出てくると思います。
-
○
元信委員 どうも、あれもある、これもある場合があるというのじゃ困るのだけれども、恐らく何か基準を考えておいででそんなことをおっしゃっていると思うので、そんな中途半端なことを言わずに、あるならあるとはっきりおっしゃってください。
-
○藤井(良)政府
委員 定年制を施行をしてみなければそういったものが出てくるかどうかわかりませんけれども、私どもといたしましては、そういうものが出てこないように指導してまいりたいというふうに考えております。
-
○後藤田国務大臣 人事
局長は、定年制を施行してみないとということを心配してああいう答弁をしておると思いますが、政府としては、鈴木総理大臣の答弁のとおりにやるつもりでございます。
-
○
元信委員 ぜひ、そんなようにお願いをしたいと思います。
それから、勧奨退職というのはなかなか微妙なものであると思うのです。この場合、その者の事情によらないで退職するという、そういう場合はもちろん勧奨になると思うのですが、一体だれの権限で勧奨にするものなのか、そこのところはどういうふうにお考えですか。
-
○藤井(良)政府
委員 勧奨退職というのは、通常、任命権者が行うものというふうに考えていいと思います。ただ、実際には任命権者じゃなくて、それぞれの職場の上司が任命権者の委任を受けてやっていくという形になるんだろうと思います。
-
○
元信委員 そこのところにいろいろ微妙なといいますか、さっき長官も御心配になったようなところというのがあるわけなんですね。勧奨退職でやめたはずが、しばらくしたら選挙に出たとか、あるいはまた個人的な借金の始末のためであったとか、そういうものまで勧奨退職の中に入れていたというケースが今まで間々あるものだから、こういうことが問題になるんだろうと思うのです。
そうしますと、先ほど人事
局長の御答弁の中に、今後は記録を整備して、こういうお話がございましたけれども、具体的には、任命権者の決定として、しかし任命権者が全部掌握しているわけじゃありませんから、個別の記録自体というようなものはそれぞれの出先でということになるかと思いますが、具体的にどういうふうに記録を整備するお考えがあるのか、あるいはまた、今申しましたようなさまざまな疑問も出てくるかと思いますので、そういうものは公開される御用意があるのか、その点についてお考えを承ります。
-
○藤井(良)政府
委員 従来、勧奨退職については運用面で極めてルーズな点があったように言われているわけでございます。実際に勧奨したかどうかというのがわからないというような事態もございます、今までは記録をとるようにはなっておりませんので。したがいまして、私どもとしては、今後、勧奨退職に関する記録を整備するとともに退職理由を明確化して、今後問題が起こらないようにしてまいりたいと思います。この点につきまして、今後どういうふうに各省庁の指導を強化していくかにつきましては、現在検討中でございます。
-
○
元信委員 事の性質上、今までの勧奨退職というのは通常肩たたきと言われるように、まことにひそやかな形で、言いかえれば陰湿に行われておったわけでございます。これをもっとオープンなものにして、あなたはこれこれこういうわけであるからこの際やめてもらいたいとはっきり言って、しかもこの人にはだれの決定によってこういうことを言ったというふうにはっきりしておくことが、人事管理上もオープンになるかというふうに思うわけです。今後御検討中ということでありますから、それ以上承っても仕方がないかと思いますが、定年制へ移行したことでもありますから、この際きちんと線が引けるように、とかくいろいろ言われていたようなことが今後ないように、この際ひとつ要望をしておきたいというふうに思います。
それでは、次に参りたいと思いますが、提案理由の第一のところに、国の歳出予算の常勤職員
給与の目から俸給が支給される職員に対しても、定年退職制度と同様の扱いをするというのが法の改正の趣旨の一つであろうかと思いますが、現在、これに該当する職員というのは一体どれくらいいるものか、まずそこから伺います。
-
○藤井(良)政府
委員 これは、御承知のように
昭和三十六年ごろからつくられた制度で、一代限りでずっとやめさせていっております。したがいまして、現在残っておるのは千四十三人でございます。これは非現業の計でございます。一
-
○
元信委員 非現業が千四十三人ということですが、現業はどうですか。
-
-
○
元信委員 この皆さんについて、今度の法改正によって定年制と同様の若干の優遇になろうかというふうに思いますが、私ども承知をしておりますところによりますと、これに該当する職員は、必ずしも国公だけでなくて、地方公務員の中にも若干ですが該当があるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、ここのところのお取り扱いについて御質問するわけでございますが、自治省にきょうおいでを願っておりますが、自治省では、各自治体においてこういう職員がどの程度存在をし、どういう扱いになっているかということをどんなふうに把握されているか、まず伺いたいと思います。
-
○池之内説明員 いわゆる常勤労務者の実態でございますが、地方におきましては、国と異なりまして、必ずしも普遍的なものとして制度としてあるわけじゃございませんので、実際との程度の職員が存在しているかということは把握しておりません。
-
○
元信委員 制度もばらばらでありますし、事の性質上、非常に密度の薄い問題といいますか、あっちに一人、こっちに一人というふうにぱらぱらとあるということは避けられないことだろうと思うのです。しかしながら、そういう人たちについても、国公がこういう措置をした以上、今までのいきさつから見ましても地公についても同様の扱いがされるべきだというふうに思いますが、その点、自治省としては各地方をどのように御指導なさるつもりか、そこの点を伺いたいと存じます。
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○池之内説明員 地方におきましても、国の方の退職手当法の改正がなされた後、政令等の措置がなされる予定でございますので、それらの事項を検討いたしまして、国の常勤労務者と同様の取り扱いができるように指導してまいりたいと思います。
-
○
元信委員 それは大変結構なことでございますが、ただ、この問題は、今国会でもいわゆる日切れ法案としての取り扱いをいたしておるわけでございます。本年三月三十一日までに可決、成立せぬと、さっきお話のございました千三百何がしかの皆さんについては措置ができないということになるわけであります。そうしますと、今自治省からお話がございましたように、本法の成立を待って、並びに政令の制定を待って、各地方にこれを流し、地方はまたそれの該当を探すということになりますと、恐らく各地方における五十九年度予算の中では措置し切れないということが起きてこようかというふうに思うのです。したがって何らかの遡及救済の措置が必要かと思いますが、そういう遡及救済の可能性について御見解を承りたいと思います。
-
○池之内説明員 御指摘のように、国の退手法なり政令がいつ施行されるかただいまのところわかりませんが、地方といたしましては、その後、条例制定並びに必要な予算措置、仮に該当職員があった場合でございますけれども、必要な措置を講じなければならないというのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その時期がいつになるかわかりませんけれども、仮に年度内に条例が成立をしなかったという場合については、今御提言ございましたような方法等につきまして検討してまいりたいと考えております。
-
○
元信委員 可能性の問題として、本年三月三十一日で退職してしまった人の退職金を次の年度に手当てすることが一体できるのかどうか、過年度の人件費ということになりますから、ちょっと技術的にも難しいのじゃないかと思いますが、今自治省から、そうやってやってみるというお話でございますから、ぜひそのための必要な手段を講じて、国、地方の間で均衡を失することのないようにお願いをいたしたいと思います。
自治省に伺いましたので、続けて地方の問題についてちょっと伺いたいと思います。
本法の成立の後、地方を指導するということでございましたが、本法のもう一つの特徴といたしまして、支給率について最高支給月数を〇・八二五でしたか減らすなどの一定の抑制措置があるわけでございますが、そのあたりについては地方をどういうふうに御指導になるのか伺いたいと思うのです。
というのは、先ほどの角屋先生の御質問の中にもありましたように、とかく、生涯賃金というあいまいな概念ですが、公務員は高い、わけても地方は高いということで、どんなことがあっても国を超えてはならぬという、自治省は今までいろいろの御指導はその基調でやっておられましたから、退職金についてもきっとそういう厳しい御指導が、今でもあるわけだから、ますます強まるだろうと思います。
私は、この際ちょっと申し上げておきたいのは、自治省は、例えば賃金をラスパイレス指数でとらえた場合、ラスが突出したところについては起債制限その他の方法によって甚だ強い指導をされてきたわけでございますが、反面、特に町村の職員などを見てまいりますと、ラスパイレス指数が九〇前後なんというようなところがこれは決して珍しくございません。そういうところの退職金を、さなきだに賃金が低いところを今度は月数で抑えてまいりますと、生涯賃金というような観点から見ましても極めて均衡を失する事態が生じるんじゃないか、そんなふうに思われるわけであります。したがって、ここのところは、月数について、従来も自治体ごとに、そこの賃金状況等をかなり勘案して、例えば三等級を使ってない給料表を使っているところもあるわけでございますから、かなり工夫をしているわけで、それを一律に抑制すべきでない、こう考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
-
○池之内説明員 地方公務員の退職手当につきましては、従来から、国家公務員に準ずるようにこういうことで指導してまいったわけでございますけれども、遺憾なことながら、ただいまも御指摘ございましたように、団体によっていろいろ差異がございまして、中には厳しい批判を浴びておる点もあるわけでございます。
そこで、いわゆるラスパイレス指数が非常に低い団体、特に町村を御指摘ではないかと思いますけれども、そういう団体については
給与水準が低いことから退職手当の支給率について弾力的に措置をしたらどうか、こういうような御指摘ではないかと思いますが、先ほどもお話し申し上げましたように、地方公務員の退職手当につきましては、同じ公務員であるという点から国家公務員に準ずるように、こういうことで指導してきておりますし、現実に、退職手当の額は、御案内のとおり、退職時の給料月額に支給率を掛けまして算定された額に決定される、こういう状況でございまして、町村によって
給与が低いということになれば当然退職手当の額も低くなる、これはやむを得ないことではないかというふうに考えます。
したがいまして、御提言がございましたように、ラスパイレスの低い団体につきまして、退職手当支給率を弾力的にするように指導するという考え方は持っておりません。
-
○
元信委員 準ずるように指導をしておるということですが、準ずるというのは一体どういう意味なのか。上の方を下げよということはなかなか熱心に御指導されておるようですが、率でそういうふうに弾力的にやってはいかぬということであれば、今度は額の方で何とかせざるを得ぬだろう、こう思うのです。そうしますと、国に準ずるようにということは、ラスパイレス指数が非常に低いところについては国に接近するようにやる、こういう意味ですか。
-
○池之内説明員 ラスパイレス指数そのものは、御案内のこととは存じますが、いわゆる
給与水準を見る一つの指標でございます。したがいまして、小規模の市町村におきましては、国に準じた
給与制度あるいは
給与制度の運用を行いましても、ラスパイレス指数そのものは一〇〇を切る場合がございます。それは、先ほど御指摘がございましたように、給料表の等級数等が国と異なるというような場合には
給与水準が国を下回るということは、当然そういう場合はあり得るわけでございますし、さらに、小規模の市町村におきましては当該地域の民間の
給与水準が全国の平均に比べて低くなる、こういう状況にございますので、必ずしも、ラスパイレス指数が一〇〇を切るということをもって合理性がない低い
給与水準であるというふうには考えておらないところでございます。
-
○
元信委員 ラスパイレス指数というものの限界をおっしゃるわけでございますが、それはラスパイレスが高いところにも同様のことが言えるわけでありますし、地場賃金との比較について言っても、必ずしも国の水準とその土地の賃金の水準が一致しないというようなことはあるわけで、今のように都合よく、高いところは国の水準に、低いところはラスパイレスの有効性の限界をおっしゃるというようなことではなかなか議論がかみ合いません。
きょうはラスパイレスの議論などしている時間もございませんから、以上をもちまして退職手当に関する質問を終わりまして、あと若干時間がございますので、防衛庁にお越しを願いましたので、防衛庁関係の質問を時間の許す限りやっておきたいと思います。
まず、
昭和五十七年十一月十四日に、ブルーインパルスが浜松基地で墜落事故を起こしました。その後ブルーインパルスの展示飛行が再開されたようでございますが、展示状況について御報告願いたいと思います。
-
○
西廣政府
委員 先生御承知のように、五十七年十一月に事故が起きまして、その後一年ほど、機材の点検、それから安全対策のためのコンピューターによる飛行解析とかあるいは検証飛行といったようなことで、展示をいたしておりませんが、五十八年十一月以降現在までに八回ほど展示飛行をいたしております。
-
○
元信委員 このブルーインパルスの展示飛行の
実施について、
実施主体はだれになるのか、
実施の決定はだれの責任においてなされるのか、それから計画みたいなものはどこで策定されるのか、そのことについて御答弁願います。
-
○
西廣政府
委員 展示飛行する際の手続と申しますか、部内的な手続と航空法上によります手続がございますし、それから展示の内容によっても差がございます。
若干長くなりますが、御説明をいたしますと、まず展示飛行の中身がいわゆる曲技飛行、航空法施行規則の百九十七条の三に規定しております曲技飛行ですが、それが含まれているか否かということで、それが含まれておりますと運輸大臣の承認を得る、もちろん委任をされております者ですが、承認を得るということになります。
そこで、まず部内の手続から申し上げますが、通常、展示飛行をやるということになりますと、部内的には、幕僚監部でつくっておりますその年度の業務計画にのせる、あるいは基地からの航空幕僚長に対する個別の上申によって決めていくということになります。いずれにいたしましても、航空幕僚長の承認を得て展示をするということになります。
ただ、先ほど申しました曲技飛行を含まない展示でございますと、それぞれの航空方面隊司令官なりあるいは飛行教育集団司令官とか、そういった者が航空幕僚長から委任を受けておりますので、その範囲で独自で
実施できるということになります。
そこで、曲技飛行を伴う展示でございますけれども、その場合は、先ほど申した部内的な手続が終わりますと、それに基づきまして行うわけですが、その際に、その行う基地が自衛隊の基地であるかどうかということによってまず違います。自衛隊の基地である場合には、そこの基地の司令から地元の地方航空
局長に申請をして許可を得るという形になりますし、自衛隊の基地以外の飛行場を使って展示飛行するという場合には、航空幕僚長から運輸大臣、あるいは運輸大臣から委任をされている者を含みますが、そちらに申請して許可を得るということになります。
もう一つ特別の場合がありまして、これは通常ブルーインパルスをやっております部隊そのものが所在しておる、松島基地に所在しておるわけですが、この松島基地で曲技飛行の訓練をするという場合には、もう既にそこの飛行教育集団司令官に委任をしておりまして、そこから地方航空
局長に直接申請を出して許可を求めるという形になっております。
-
○
元信委員 曲技飛行をやる場合のことを問題にしているわけで、自衛隊の基地で曲技飛行する場合は、要するに年度業務計画にのせてあるか、そうでなければ基地からの個別の上申で航空幕僚長の許可があればできる、こういうことになるわけですね。
今のお話ですと、当該地方自治体とか地域の住民の意向とかというものはさっぱり反映されぬようなシステムになっているようですが、一体それはどこでどういうふうに判断されるわけですか。
-
○
西廣政府
委員 展示飛行等を行う場合には当然地元の御理解を得なくてはいけませんので、所在する地方公共団体の長なりあるいは地元住民の方の御意見を伺って、そこでやることが適当であるというような内容を添えて上申をして、航空幕僚長がそれを判断をするという形になっております。
-
○
元信委員 その地元の理解があるという判断というのは、例えば基地からの個別の上申というようなケースを考えた場合には、上申の際に既にそれがつけて上げられるという、そういう制度になっていますか。
-
○
西廣政府
委員 先ほど、年度の業務計画にのせている場合と個別の場合とを申し上げましたが、年度の業務計画の場合は年間計画でございますので、その場合は計画の方が先行しておって、
実施に際して地元に対しての折衝をする。個別の場合は、通常地元からの要望その他でやってくる、あるいはそこの基地司令がぜひやりたいということで個別に上がってくるわけでございますから、地元との調整を済ました上で上がってきて、そして航空幕僚長の承認を求めるという二つの姿があろうかと思います。
-
○
元信委員 昨年の十一月に航空自衛隊浜松基地で航空祭があったわけですが、そのときに、ブルーインパルスの展示をすると基地じゃ言いかかって、結局やらなかったわけですね。このケースの場合は、基地から個別の上申がございましたか。
-
○
西廣政府
委員 浜松基地で昨年、地元の基地司令が、地元の一部の方から御要望があったのだと思いますが、ブルーインパルスの展示をやろうかというようにお考えになったようでありますが、この話は最終的に、浜松市長が時期尚早であるということで御反対だということで、中央まで上がらずに取りやめたというように聞いております。
-
○
元信委員 この問題は、私の地元選挙区でございまして、大変な騒動になったわけですね。今、官房長は、地元の一部からの要望があったというふうに、何を根拠にそういうふうにおっしゃるのかよくわかりませんが、お話しでございますが、私どもの承知していることから申しますと、それは逆でして、自衛隊の基地の側から、ぜひやりたいからよろしく頼むということで、基地周辺に働きかけがあったというふうに聞いているわけでございます。
そこで伺うわけでございますが、自衛隊では、この浜松の市長や市議会が反対であるということは明々白々のことであったわけでございますが、その場合に、いわば住民の一部に対して、自衛隊の側からやりたいというような働きかけをする、そういうような性質の働きかけをするのかどうか、自衛隊の方針として伺いたいと思います。
-
○
西廣政府
委員 このブルーインパルスの展示というのは、目的的には、日ごろから戦技研究を通じて高度の飛行技術を研究をしている、その一端を国民にお示しをして、自衛隊に対する理解なり信頼を得るというために非常に効果があるという、一種の広報のための行事になるわけですが、そういう点では部隊そのものが積極的にやりたいということもあろうかと思いますが、同時に、ブルーインパルスに対するファンも大変多うございまして、そういう方からもいろいろと、ぜひやってほしいというようなお申し出もあるというようなことであります。
-
○
元信委員 ちょっと質問の趣旨を取り違えているんじゃないかと思いますが、いいですか、こういうことを言っている。それでは、自衛隊として今広報としてやりたい、ところが地元では、私どものところでは非常に反対が強い、そういった場合に、個別にいろいろと働きかけて、そう言わすと賛成してくれやというようなことをしたという事実があるわけですが、そういうことを方針としてお持ちになっているのかどうか。それとも、もしそういうことがあったとすれば、当該基地のいわば勇み足だというふうにお考えになるのか。そこのところを伺いたいのです。
-
○
西廣政府
委員 今先生のお尋ねは、結局のところ、地方自治体なりあるいは地元の個別の御意見のどちらを先に当たってみるかという話だろうと思うのですが、これは特に決められた手続なり順番があるわけでございませんので、地元の自治会のようなものとかあるいは同好会みたいなところで話があって……(「自衛隊の方針を聞いているんだ。ちゃんと返事しろ」と呼ぶ者あり)そして、そちらの御意見を踏まえて、市長さんなり地方自治体の御意見を聞くという場合もあるでしょうし、まず市長さんから聞くという場合もあろうかと思いますから、方針として、どちらから聞かねばならないというふうには私どもは考えておりません。
-
○
元信委員 余りばかなことを言わぬようにしてもらいたいのだけれども、ブルーインパルスの危険性というのはこの前の事故で明らかになったとおりですね。ファンの頭の上に落ちるわけじゃない。好きな者の頭の上に墜落するわけじゃないんだ。日ごろの騒音にしても、排気ガスにしても、危険にしても、これはあまねく市民一般の問題なのです。基地の周辺とか自治会の上へおっこってくると限ったものじゃないのです。そういうものについて、それは中には好きな人もおります。タデ食う虫も好き好きで、あんなものをと思うようなものを好きだと言う人もあるわけですけれども、そういう人をたきつけでおいて、それから要望が出てきました、市民から要望があるんだからやろうじゃないですかと言って自治体のところへ行く、こういうことになりはしませんか。
問題は、事の性質上、どんな人にでもこれは影響が及ぶわけですから、まず全体を代表するところへ話をかけるというのが私は筋じゃないかと思うのです。それをしないからいろいろ後々混乱が起きて、私は、自衛隊としてもかえってみっともないことになったと思いますよ、司令が断固としてやると言ったのを途中でやめたんですから。原則として、ファンだの周辺の人だのに働きかけるのじゃなくて、まず全体、当該の自治体は最低のことだと思いますけれども、そこからの働きかけを先にやるべきだというふうに思いますよ。いかがでしよう。
-
○
西廣政府
委員 先ほど来申し上げておりますが、ブルーインパルスそのものにつきましては、事故も起きましたので、その後、一年半ほどかけて徹底的に飛行解析をやり、安全対策というものをとり、かつ、各基地の特性等をよく見て、どういう種目をやるかということで、安全対策については万全を期しているということでございますが、今先生お尋ねの地方自治体の御意見を伺うということにつきましては、いずれにしましても、やる場合には、地方自治体の御意見というものを十分伺って、その結果決心をしているということでありまして、決して地方自治体の意向を無視してやるということはございません。
-
○
元信委員 あなた、いつも聞いていることと違う返事をするのは困ったことだと思うのだが、私が言っているのは、そういう基地周辺の住民の一部をたきつけたりして要望を出させる。それから、それを持ってのこのこ自治体へ行くのじゃなくて、やろうという気持ちがあるのであれば、まず先に自治体の了解を求める、これから始めなければならぬのじゃないか、こう言っているのですが、どうなんです。
-
○
西廣政府
委員 決してたきつけるというようなことはないと思いますが、先ほど来申しておりますように、地方自治体の御意見というものはやはり最終的に一番重要でございますから、初めであるか、終わりであるかということはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、私どもは、その御意見を最大限に尊重してまいりたいと申し上げているわけであります。
-
○
元信委員 横を向いて答弁せぬでもいいじゃないかね。
それじゃ、最終的にこれだけは確認をしておきたいと思いますが、とにかく基地所在の地方自治体の同意がなければ絶対にブルーインパルスの展示飛行はしない、間違いないですね。
-
○
西廣政府
委員 地方自治体の御意見は十分尊重してまいります。
-
-
○中島
委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
――――◇―――――
午後一時三分
開議
-
○中島
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鈴切
康雄君。
-
○鈴切
委員 国家公務員退職手当法の一部を改正する
法律案につきまして、いろいろと御質疑を申し上げるわけでございますが、その前に少しお伺いをしておかなければならない問題は、やはり人勧の問題であります。
人勧については、一昨々年は凍結ということ、一昨年は抑制、昨年はやはり抑制ということで、
完全実施が見送られたわけでございます。国家公務員の
給与決定については、第三者機関でありますところの人事院が、民間の調査を基準として勧告を行うことになっております。
人事院勧告が
完全実施されなければ、民間準拠の根拠が失われてしまうばかりか、人事院の存在すらなくなってしまいます。国家公務員の
処遇、
給与、退職金を民間準拠ということで
人事院勧告に基盤を置いている以上、
完全実施をすることを厳しくとらえることは、私は政府の責任であろうかと思います。
公務員の秩序の維持とか公務員の士気という観点から考えたときも、先ほども
人事院総裁からも、今年も勧告を出すという発言があったわけでありますけれども、
総務庁長官は
給与担当大臣として、
人事院勧告尊重という立場で、本年は
完全実施に対してどういう取り組みをされるか、またどのような決意で臨まれるか、それについてお伺いをいたします。
-
○後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく、労働三権制約の代償措置としての
人事院勧告制度でございますから、政府としては、人事院の勧告を完全に
実施していくというのはこれはもう政府の責任であろう、かように考えておりますが、残念ながら、ここ数年、御案内のような抑制措置が講ぜられておりますが、一円も早くこういった事態をなくして、そして
完全実施ができるように持っていきたい、かように考えております。
したがって、いわゆる――いわゆるですが、完全凍結をやりましたから積み残しがまだ三%弱あると思います。しかし、これも六十年度
人事院勧告の中には当然そこにそれが入ってくると思われるわけでございますが、
人事院勧告がどういうようなものになりますかわかりませんが、
完全実施に向けて最大限の努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
もちろん、国政全般との関連の中で考えなければならないという状況でございますが、万々一ことしそれもできないというようなことであれば、いつまでも向けて努力するばかりじゃどうにもならぬということで、御案内のような官房長官の声明も出させていただいて政府の決意ははっきりしておりますから、いずれにいたしましても、
完全実施に向けて最大限の努力をいたします。この点ははっきりとお約束をいたしたい、かように思います。
-
○鈴切
委員 今回、退職手当法の一部改正ということで出されておるわけでございますけれども、公務員にするならば、かなり厳しいなという感じがいたします。従来の六十三・五二五が今回は六十二・七にダウンするわけでございますが、これは民間準拠という形からとるならばこれもやむを得ないのではないかという感じもいたしますけれども、しかし、問題は、
人事院勧告がなされて、それが
完全実施された
給与に基づくところの退職手当であるならば、それはそれなりに私は合理性があるだろうと思うのですけれども、しかし、昨年のように
給与が抑制されてしまっている、言うならば総務庁の手づくりによる
給与に基づいて退職手当が支払われるということになると、これはちょっと問題が別になるだろうというふうに思うのです。
ですから、そういう意味から言って、やはり
人事院勧告というものを
完全実施しなければ退職手当の中にも何か不合理性が生まれてくるのではないだろうかというふうに思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 人事院勧告が
完全実施されればそれにこしたことはないわけでございますけれども、現在、御承知のように見送りだとか抑制が続いております。しかし、私どもといたしましては、私どもが俸給表を作成する際は人事院の配分をできるだけ尊重してやっているわけでございます。したがいまして、人事院の配分を基礎とした俸給表をつくって、それをもって退職手当も計算することになりますし、また、民間もモデル値ではなく実態値をもってこれと比較してまいっておりますので、現在のところ不都合はないものと考えております。
-
○鈴切
委員 そうしますと、六十二・七というのは、言うならば、昨年の総務庁でつくられた
給与法に基づかないで、人事院が勧告をされた
給与の体系によって計算される、こういうことですか。
-
○藤井(良)政府
委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんけれども、六十二・七カ月分というのはいわゆる官民比較の結果出てきた数字でございます。それで、この実際の調査と申しますのは五十七年の調査をやっているわけでございます。五十七年は御承知のように完全見送りの年でございます。その辺いろいろ考慮いたしまして、私ども官民比較をする場合に、公務員の方を計算する場合におきましては、ちょうど五十七年というのは三カ年計画で一〇%削減の第一年目に当たっているわけでございますけれども、私どもの計算方法といたしましては、百分の百十五を基礎として算定しておりますので、その辺は問題はないのではなかろうかというふうに考えております。
-
○鈴切
委員 何か答弁も余りはっきりしないようですけれども、時間の都合がございますので、先に進ませていただきます。
それで、今回、国家公務員等退職手当制度の改正については、
昭和五十六年の法改正の際、「職員が退職した場合に支給する退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給の実情、公務員に関する制度及びその運用の状況その他の事情を勘案して総合的に再検討を行い、その結果必要があると認められる場合には、
昭和六十年度までに所要の措置を講ずるものとする。」という再検討規定が附則に設けられました。政府は、昨年十一月に出されました国家公務員等退職手当制度基本問題研究会の報告及び人事院の民間企業の退職金に関する調査結果を受けて、
国家公務員等退職手当法の一部を改正する
法律案を提出されたわけであります。
そこでお伺いをいたしますが、官民の退職手当を比較した結果の概要というものはどうなっていましようか。
-
○藤井(良)政府
委員 官民の比較の結果でございますが、
昭和五十七年度の実態調査でございますが、これは五十八年にやったわけでございます。
昭和五十七年の実態を五十八年に調査いたしました。それで、その結果に基づきまして、一般職
給与法行政職(一)の適用を受ける職員の勧奨退職による退職手当額を国家公務員等の標準といたしまして、これと民間企業における事務・技術系職員の定年等退職による退職金額とを比較いたしました。その結果、おおむね次のとおりでございます。
勤続二十年以上の勧奨または定年等による退職者の一人当たり平均退職手当額は、国家公務員が千八百十六万円、民間企業職員が千八百四十三万円であり、民間企業職員の退職金の水準を一〇〇とした場合における国家公務員の退職手当の水準は、九九となっております。
また、勤続年数のポイントごとに官民対比をいたしますと、高校卒では二十五年で一〇八、三十年で九九、三十五年で一〇〇、このようになっております。
-
○鈴切
委員 今、官民の比較を高校卒及び大学に分けて考えた場合結果はどうなるのか。確かに高校卒についてはそれなりの配慮がされているわけでありますけれども、大学卒が民間よりも若干低い数値が出たということのようでありますけれども、どうしてそういうふうになったのか。
-
○藤井(良)政府
委員 大学卒につきまして、勤続年数のポイントごとに官民対比をいたしますと、二十五年で九二、三十年で七八、三十五年で八八というふうに、国家公務員の方が低くなっております。
-
○鈴切
委員 それは、どうしてそういうふうな形のアンバランスをそのままにしていたのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 この原因というのはよくつかんでおりませんけれども、恐らく
給与にも関係してきているのではないかと思われます。
したがいまして、私どもといたしましては、今度の水準を定める場合におきましては、この大学卒と高校卒、これを加重平均いたしまして、先ほど申し上げましたような国家公務員が千八百十六万円、それから民間企業職員が千八百四十三万円、それで官民比較をすると、民間企業職員の退職金を一〇〇とした場合における国家公務員の水準は九九と、おおむね均衡がとれているというふうに見ているわけでございます。
-
○鈴切
委員 内容については余りよくわからないじゃ実は困るわけでございまして、やはり人事院の方においての調査というものはそういうところまで詳細に調査をしていただいて原因を突きとめていただかなければ、ただ一〇〇に対して九九の平均でそれでいいというものではない。すなわち、大学から公務員を希望するという者は年々低くなっているという現状を見ても、そういう点については微妙に影響しているんじゃないだろうかと私は思うわけでありまして、そういう点でやはり、ただ内容的にわからないからやむを得ないんだというのではいけない、もっとそういう点についての検討をされなければならないと思うのです。
そこで、民間企業の退職金の調査については、総務庁の依頼もあって人事院で行ったものでありましょうけれども、企業によってその実態は実はばらばらであったはずであります。そうなりますと、やはりモデル賃金と実額との違いというものは恐らく人事院としてもかなり苦労された点があろうと思いますけれども、その点調査というものは十分に行われたという自信がおありでしょうか。
-
○鹿兒島政府
委員 お答えいたします。
私どもの調査は、制度調査と実額調査と二本立てで
実施したわけでございますが、制度の面について申し上げますならば、民間企業の退職金と一口に言われておりますけれども、その内容は、本来の退職金と申しますか、そのものずばりの退職金のほか、あるいは企業年金でありますとか、あるいは加算金でありますとか、さまざまな形態をとっておりますし、企業によりまして必ずしも一様ではありません。そういうものを総体的に把握いたしまして、退職金全体の実支給額を正確に把握するよう我々としては苦労もし、努力をしたつもりでございます。したがいまして、いわゆるモデル退職金でございますが、よくモデルと言われておりますものと実際に支給されました退職金額との間にはかなりの格差があるということで、正確な退職金の支給額を把握するのに我々としては十分努力をしたつもりでございます。
-
○鈴切
委員 民間の企業のモデル賃金と実額については大分違いがある、そのようにおっしゃったわけですが、どのように違うのか。
それからまた、民間の加算制度にはどのようなものがあるのか、調査の結果お調べになったと思いますが、その点はどうでしょう。
-
○鹿兒島政府
委員 私どもが制度面で調査いたしました民間企業は、退職金制度が比較的安定いたしております千人以上の企業、これについて調べたわけでございますが、モデルの場合におきましては、それぞれの企業におきまして、想定されておりますモデルの中から、当面標準的と推定されております数字が回答されることが多いわけでございます。したがって、功労加算金でございますとか、いわゆる属人的な要素の多い加算金の額については、通常の場合には、モデルの場合には回答がしにくいということがございます。
それからさらに、モデル調査は所定の条件別に一社一モデルということが多いわけでございますので、退職者の多い企業も少ない企業も同じウエートで集計されるということになるわけでございまして、そういうことでモデルの場合と実際に支給される額との違いというものが出てくるわけでございますが、私どもといたしましては、こういった事情を考慮いたしまして、民間企業における退職金の調査に当たりましては実支給額を把握することが必要だということで、前回の五十三年調査からそうでございますが、退職者に実際に支給された退職金額を調査したわけでございます。
-
○鈴切
委員 今回の定年制が施行されても、勧奨は残すことになっております。なぜ勧奨を残すような結果になったのか。定年ですと勧奨は必要ないのじゃないかということは、たしか
昭和五十六年の論議等でかなり活発に行われたという経過が実はございました。私は、今までのようなルーズな運用であってはならないだろうというふうに思います。
例えて言うならば、高級官僚が選挙に出るために退職するのは自己都合であるはずでありますけれども、それが勧奨退職の形をとって割り増し等が行われるという例もなきにしもあらず、そういう状況であるということ、私はそれは全くけしからぬことだろうというふうに思います。
そこで、基準をつくって厳格に運用していくべきだというふうに考えますけれども、勧奨の基準についてはどのように考えておられましょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 お答えいたします。
先生が今おっしゃられたように、五十六年の定年法ないしは退手法の審議の際に、勧奨を残すかどうかということが非常に大きな問題になったわけでございます。したがいまして、この点は、我々も、研究会の方にも検討をお願いいたしましたし、また人事管理当局者あるいは職員団体からもいろいろ意見を聴取したわけでございます。その結果、それぞれの組織における新陳代謝を活発にするためには勧奨を残した方がいいのではないかという意見が大多数を占めましたので、勧奨を残すようにしたわけでございます。
この勧奨につきまして、基準を設けて厳格に運用すべきじゃないかということでございますけれども、まさにそのとおりでございまして、公務員の退職手当の運用については、その運用の適正を確保するために所要の措置を講じていきたいと思います。具体的にどういうものを予定しているかと申しますと、退職勧奨に関する記録の整備、退職理由の明確化、各省庁に対する運用の指導強化という点でございますが、その詳細につきましては今検討している段階でございます。
また、先生の御質問にありました高級公務員が選挙に出るため退職するというような場合、勧奨退職はおかしいのじゃないかということでございますけれども、これはまさに御指摘のとおりでございまして、現在におきましても、そのような場合には、自己都合の退職手当を支給するように私どもとしては指導しております。具体的な名前は避けたいと思いますけれども、つい最近そういうようなことが起こりましたけれども、この際も自己都合の退職金を支給しております。
-
○鈴切
委員 各省庁が人事運用問題はおのおのやっているわけであって、人事院とかあるいは総務庁でどうのということはないわけですが、指導についてはそういう指導をしておかなければいけないのじゃないか。いわゆる高級官僚が選挙に出るときなんか、自己都合でやめるのに、それを勧奨なんということで、国の大事なお金を余分に割り増しをするというようなことは私は許されないものであろうと思うのですが、
総務庁長官、それはどうですか。
-
○後藤田国務大臣 一般論として申し上げますれば、退職という事実に着目して、その時点における自己都合なのか、お役所の都合なのかといったことで、勧奨にするかしないか、こういうことを決定するわけですから、一概に全部自己都合であるというふうに断定することはできぬと思いますが、これは従来から国会でも種々論議があり、少なくとも、選挙に立候補するという意図が明々白々たる者に対して、これに勧奨退職ということは、私は、慎重にやってもらわなければならぬし、きつい指導をしたい、こう考えております。
-
○鈴切
委員 そのとおりだと思いますね。いずれにしても、選挙に出るのは人様のことじゃないのですから、自分が出るわけですから、自分の都合によってやめるわけですから、それを勧奨退職手当ということで優遇されて、選挙に幾ら金がかかるか知りませんけれども、そういうようなことは一般通念として国民がなかなか承服しがたい問題だと思うから、それはぜひ是正をしていただきたいと思います。
五十六年の法改正の折に、「組織的・集団的な退職勧奨は、なくしていくものとする。」という附帯決議がつけられたわけでございますけれども、公務員の年齢構成というのは必ずしも平準化しておりません。例えば五十四歳、五十五歳のような場合においてはかなり山になってきているわけでございまして、そういう大きな山になっているその山に対して、人為的にならすということで、五十四、五十五歳の人たちが定年を迎えるまでに、組織的、集団的な退職勧奨を行うことはないだろうと思うけれども、その点、念を押しておかなければならぬと私は思います。
-
○藤井(良)政府
委員 先ほども御質問があったわけでありますけれども、定年制導入後におきましては、組織的、集団的な勧奨退職はなくなっていくものと我々は考えております。今言われました、ちょうど五十四、五歳のところが山になっているわけでございますけれども、この山というのは、御承知のように十年ぐらい前からずっと続いてきた山でございます。この山というのはだんだん低くなっております。昔に比べれば半分ぐらいになっているのじゃないかと思います。したがいまして、この辺の人たちをどうするかの問題につきましては、それぞれの組織でお考えになることだとは思いますけれども、それぞれの新陳代謝を図るという意味において個別的な勧奨は行われると思いますが、今言われたような組織的、集団的な勧奨退職はなくなっていくものと考えております。
-
○鈴切
委員 次に、改正案の内容についてでございますが、「歳出予算の常勤職員
給与の日から俸給が支給される者に対し、定年退職等の規定を適用できるようにする」とありますけれども、規定を適用することとした理由はどういうところにあるのか。また、常勤労務者というのはどういう人たちを指しているのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 常勤労務者とは、先生がおっしゃいましたように、国の一般会計または特別会計の歳出予算の常勤職員の
給与の日から俸給が支給されている人たちのこと空言うわけでございまして、具体的には二カ月の雇用期間による継続雇用される定員外の常勤職員でございます。
今まで、常勤職員につきましても、定年制が我々と同様にございませんでしたので、定年の規定は適用除外になっていたわけでございます。しかし、なぜ適用除外になっていたかと言えば、二カ月の雇用期間が定められていたので、特段、定年退職あるいは勧奨退職をする必要がないという考え方に立っていたのではないかと思います。
ただ、今回は、常勤職員につきましても定年制の規定を適用することにいたしましたので、というのは、定年制の規定が常勤職員にも適用になるから、必然的に定年退職の退職手当を支給するのは当然だろうと思います。それで、あわせてこの際、常勤職員についても勧奨退職をやれるようにしてございます。
それから、二番目に御質問にございました、常勤職員とはどういう職種の人かという御質問でございますけれども、非現業では労務職員、技能職員が最も多うございまして、そのほか医師、薬剤師、エックス線技師、看護婦、こういった方々が現在、在職しておられる常勤職員の職種でございます。
-
○鈴切
委員 たしか
昭和三十六年に閣議で決定をされたことがありますね。そのときには定員外職員の定員化ということで閣議決定が行われたわけでありますが、仕事の内容で判断して定員に組み込む者は入れたけれども、ある種のいわゆる労務者については定員化されなかったということなんですが、本来的から言うならば、やはり定員化して総定員の枠内において計算をしていかなければ、本当のいわゆる国家公務員の数というものはなかなか判明しない。むしろそちらの方に職員が逃げていくというおそれが多分にあるわけですが、そういう点について、総定員法という一つの枠は決まっておるわけでありまして、それが厳しいがために逃げていくという状況について、
総務庁長官は、そういう総定員法の枠という問題についてやはり厳しくとらえなくてはいけないのじゃないかと思うが、その点どうお考えでしょうか。
-
○後藤田国務大臣 この問題は、三十六年に、やはり職種その他の関係で定員内に繰り入れることができるものは繰り入れなさいということで措置をして、その残った方々が今、現業、非現業合わせて千六百余りになっておると思いますが、これは一代限りということで、基本の考え方は、こういった制度はなくしよう、こういうことになっているわけでございます。同時にまた、今の厳しい定員管理のもとにありますから、これを現時点で、総定員法の枠に入れて、そして総定員法の定員枠を上げるといったようなことは考えておりません。
-
○鈴切
委員 国家公務員等退職手当制度基本問題研究会の報告では、常勤労務者は退手法上、「適用条項の一部が制限されている。」と述べられているけれども、それはどういうことなんでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 現行退職手当法上、常勤職員は定員外職員であること及び短期の雇用期間、二カ月の雇用期間の定めのあることから、非常勤職員として位置づけられておりまして、適用条項の制限がございます。すなわち、常勤職員は、現在、他の定員内職員と同様、定年制度の適用がないため、定年退職の規定は適用されない。短期の雇用期間の定めがあることから、雇用更新をしないことにより退職させることができるため、勧奨退職の規定の適用がない。それから第三に、
法律上、予算上も定員の観念がないことから、「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずること」による退職の規定も適用されません。このほか、自己都合、傷病、死亡等による退職の規定は、その退職の実態にかんがみまして、他の定員内職員と同様に適用がございます。
今回の改正におきましては、本年三月三十一日から常勤労務者につきましても定年制度が適用されることとなりますので、他の定員内職員との均衡を考慮して、退職手当法上も定年退職の規定を適用しようとするものでございます。また、繰り返し二十年以上も継続雇用されてきた者に勧奨退職があり得ないとすることは
法律上問題であるという考え方や、あるいは勧奨退職の規定についても適用することが適当であるというふうな研究会の報告を考慮いたしまして、定年制の導入を機会に、先ほど申し上げましたように、勧奨退職の規定も常勤労務者に適用しようとしているものでございます。
-
○鈴切
委員 先ほど、どういう職種だということになりましたところが、御答弁では、寮母とかあるいはまた診療所の看護婦、賄い等というようなお話でございましたけれども、しからば、そういう方に該当する人は全部で何人くらいおられるのでしようか。
-
○藤井(良)政府
委員 常勤労務者は、主として技能労務や医療に関する職種に従事しておりまして、昨年七月現在の在職者数が千三百八十二人でございます。非現業はこのうち千四十二人でございまして、うち労務職員、技能職員が九百四十八人、医師が八人、薬剤師、エックス線技師等が七人、看護婦が八十人でございます。また、現業は三百三十九人でございます。
〔
委員長退席、
宮下委員長代理着席〕
-
○鈴切
委員 既に定年に達していることにより
昭和六十年三月三十一日に退職する者の、国家公務員法の一部を改正する
法律附則第三条の取り扱いについては、退職手当法上、定年により退職する者の退職手当と同様に取り扱うとありますけれども、この規定で六十年三月三十一日に退職する人は何人ぐらいでしようか。
-
○藤井(良)政府
委員 本年三月三十一日における定年退職者の数は、全体で約一万三千名ぐらいと見込まれております。
-
○鈴切
委員 今年、定年退職に伴って一万三千人の人が該当者になるわけでありますけれども、そこで、
総務庁長官にちょっとお聞きしておきたいわけですけれども、行政改革を進める上にはまたともないチャンスであろう。今回、このように一万三千人の方々が定年退職をされるということですから、新規増員の抑制をするためには、そういう意味からいいますと、機構の整理とか仕事の整理をやはりしていきませんと、公務員が減ったことで仕事をそのまま温存をしておけば、やはり公務員に対しての過重な労働が強いられるということになるわけでございますけれども、そういう意味において、今回の一万三千人が退職されるということを契機として、行政改革を進めていく上においてどのように
総務庁長官はお考えであり、また御構想があるのでしょうか。
-
○後藤田国務大臣 今の一万三千というのは、国会職員等いろいろ全部含めてだと思いますが、私どもの対象になっておるのはたしか九千人余りでございます。
そこで、政府としては、こういった厳しい定員管理のさなかでございますから、各省からはいろいろな要求がありますけれども、原則不補充にするという決定をしたわけでございます。なぜ原則がといいますと、職種によってはこれはうまくかみ合わないのですね。例えばお医者さんであるとか、看護婦さんであるとか、学校の先生といったようなのが今度の定年制度でおやめになるといった場合に、これを不補充というわけにはいかぬわけです。そこでうまくかみ合いませんので、原則は不補充であるが、例外は認めざるを得ないということで処理をしたわけでございます。ただ、その場合にも、従来から第六次の定員削減計画がございますから、各省それぞれの事情をよく調査をして、そして全く埋めないというのと、六次の定員の中にこれも含ましてよろしい、あるいはまた補充をしてよろしいといったような区分けをしまして、そして、現在やっておる定員削減をうまくやっていこういこういう処置をやったつもりでございます。
-
○鈴切
委員 臨調の言う総人件費抑制ということは、僕は今の行政改革では必要なことだろう、そう思うのですけれども、それかといって、人勧を抑制をしたり、あるいはまた人勧を凍結するということによる人件費の、言うならば総人件費を抑制するというやり方はいただけない。言うならば、少なくとも効率的な定員という観点に立って、やはり要らないところの人たちは補充をしないという厳密な観点に立って、定員管理をすべきじゃないだろうか。そして、働く者に希望を与えるためにも人勧は
完全実施をしてあげるという形が望ましい方法だと私は思うのですけれども、総人件費抑制という問題についての私の今の考え方に対して、
総務庁長官、どうお思いでしょう。
-
○後藤田国務大臣 その点は、午前中にもちょっとお答えいたしましたが、私は、公務員の
処遇というものは厚くすべきであろう、これは基本の考え方、しかしながら総人件費は抑制をせざるを得ない、こう考えております。
そこで、今おっしゃった、定年等でやめていくのだからその後は不補充にしろとか、こういう意見がございます。といいますのは、今約九十万弱の公務員がおりますが、退職者がどの程度になりますか、二万何人。そこで定員削減計画は五年間で五%。こういうようなことをやっておるわけですが、それらについても、やめる人の半分ぐらいは不補充にしろとか、あるいはまたやめた後は完全不補充にして定員削減しろ、こういう御意見があるのですよ。私はそれも一つの方法だとは思います。かってそういう考え方があったやに聞いておるのですが、これはうまくいかない。それはなぜかというと、各省庁によっていろいろな立場の違いもありますが、先ほど言った職種がかみ合わないということなのです。つまり、やめる人に案外国が必要としている職種の人が多くいるのですよ。お医者さんとか看護婦さん、それから国税の職員とか、こういう人がやめられる。そうすると、これはどうしても埋めなければならないのですね。だから、私は、現実的な定員の厳重な管理といいますか縮減というか、これをやるのは、今政府がやっているような粘り強い年次計画を立てて、そして逐次削減をしていく、これがやはり本筋ではなかろうかな、かように思います。
-
○鈴切
委員 勧奨の方は勧奨で進めるわけでございますけれども、少なくとも来年度末及び再来年度末に定年退職をするという、その線に上ってくるという人は大体どれぐらいでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 ちょっと調べておりませんので、来年度以降の定年退職における退職者の数はわかりません。
-
○鈴切
委員 それはちょっと余りにもずさんじゃないかと感じますね。それはなぜかというと、少なくとも定年退職ということが俎上に上って実際に行われているわけですから、そうなりますと、来年もそれから再来年もあるいは六十五年ぐらいまでは、例えば今の五十五、六歳の方々が定年退職をされるというのはあともう何年しかないわけでございますから、そういう逆算をしたときにこれはおのずと数字が出てくるわけでありまして、そういうことがわからない人事管理ということがこれからの二十一世紀にわたるとらえ方として適当であるかどうかということになると、私はちょっと問題があろうかと思うのですね。その点はやはり何らかのあれで、来年は何名ぐらい、再来年は何名ぐらいという、きちっとした数字はその時点にならないとなかなかわからないにしても、大ざっぱなことはわからないはずはないと思うのですけれども、その点はどうなのでしょう。
-
○藤井(良)政府
委員 今回、初めて、三月三十一日から定年制が施行されるわけでございます。今、退職年齢というのを過去からずっと見てみますと、退職年齢がだんだん伸びつつある、高年齢になりつつある傾向がございます。したがいまして、定年制ができましたときにこれがどういうふうに変化していくか、これは非常につかみにくいのじゃなかろうかと思います。それからまた、今回設けました定年前早期退職の特例でございますけれども、この適用によってどの程度の方がやめていかれるのか、非常につかみにくい状態にあると思います。
しかしながら、先生のお考え方もよくわかりますので、我々としては、実態値はつかみにくいのは当然でございますけれども、推計値みたいなものを何か考えてみたいと思います。
-
○鈴切
委員 これは単純な計算になりますけれども、今年度は、既に定年に達した人たちもまとめて退職するということで一万三千人という数字が出たわけですが、公務員の年齢構成から見ていきますと、現在五十八歳の人が約九千三百人、それから五十九歳の人が約六千二百人いるということから、単純に考えても来年度は約六千人、再来年度は約九千人の定年退職が出るというふうに思われるのですね。勧奨退職はまた別ですから、これはそのときの勧奨のぐあいによって多くなったり少なくなったりするわけですけれども、そういう単純な数字というものについては掌握されていないのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 私どもの方で、在職退職状況年齢別の統計をつくっております。これが最新のものは五十七年の分でございますけれども、その辺から見て、年齢別退職者の数は大体わかると思います。ただ、ことしの場合は六十歳以上の者をみんな退職させるということで、平年よりは多いはずでございます。したがって、来年以降は、現在先生が言われましたように、五十九歳の方あるいは五十八歳の方、こういったのを見ながら推計していくこととなるわけでございますけれども、これに、先ほど申し上げました定年制の要素だとかあるいは定年前早期特例の要素だとか、こういったのを加味して推計していけば、ある程度の線は出てくるのではなかろうかというふうに思います。
-
○鈴切
委員 年齢階層別、性別人員を見ますと、五十八歳から五十九歳が一万五千五百七十四人なんですね。これは五十九年度の調査なんですけれども、五十八歳が約九千三百人、それから五十九歳が約六千二百人、こういう形で統計が出ている以上は、それが一年たてば定年退職の該当者になるわけでして、あと勧奨はわからないだろうと私は申し上げるわけで、一万三千人は、ことしは六十歳以上の方々がおられて、そして今度六十歳の定年を受けるということで、合わせてやったから一万三千人です。そういうふうな人事管理の問題は、もう少し数字的にきちっとしておかないとこれからの将来計画というものはなかなか立たないだろうと思うのですけれども、総務長官、その点どうでしょう。
-
○後藤田国務大臣 先ほど私が申し上げた数字は、既に六十歳を超しておる人が今度やめていただく、こういう数でございますね。
そこで、これから先、一体定年退職者が何名だといえば、人事
局長は専門家ですから、非常に詳しく考えるとなかなかはっきりしない、こういうことでしょうけれども、それは事は極めて簡単なので、年齢構成を見ればそれでもうはっきりする。ただし、その中から当該年の前にやめる人もおるかもしらぬから正確な数は出にくいが、およその推定は年齢構成で計算ができる、私はかように思っておりますから、その点は、必要であれば年齢構成その他の資料はお出しをいたしたい、こう思います。
-
○鈴切
委員 既に定年に達していることにより
昭和六十年三月三十一日に退職する職員の取り扱いについては、さきの報告書では、定年退職と普通退職の両論併記というふうになっておりましたけれども、今回出されてきました法案では、その点全部定年退職という取り扱いにしてしまったのですが、これは少なくとも、六十歳以上でおったということは今まで何回かは勧奨退職を受けているだろう、しかしそれは本人の都合でそれ以上ずっと来たわけでございますから、そういう意味において、いわゆる定年退職との兼ね合いと同じような取り扱いをするということは、公務員全般からいいますとちょっと優遇し過ぎているのじゃないかというような考え方も出てくるのじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えでしょう。
-
○藤井(良)政府
委員 確かに、今先生のおっしゃられたような問題がございます。したがいまして議論が分かれまして、研究会の報告書におきましても両論併記みたいな形になっているわけでございます。
ただ、行政職俸給表の職員あたりでは、従来組織的、集団的な勧奨年齢を六十一歳だとか六十四歳だとか、そういったような定めをしているところがあるわけでございます。したがって、実際問題としてはいつ勧奨されたのか、その辺の記録も明確ではございません。したがいまして、今回は、新しく定年制度を発足させるということも念頭に置きつつ、このような措置をとった次第でございます。
-
○鈴切
委員 今回、六十年三月三十一日に定年を迎えて退職する人と、既に六十歳の定年をオーバーして今回定年退職と同様の取り扱いを受ける人は何人ぐらいずつなんでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 ちょっと今手元に資料を持っていないので、後から調べてお知らせしたいと思います。
-
○鈴切
委員 それはぜひ知らせてください。こういう基本的な問題をずっと掘り下げているわけですから、そういうふうなものの資料がないなんということはちょっと問題だろうと思います。
定年に達した職員が退職したことにより公務上支障を来すことがないようにする制度として、再任用と勤務延長というのがありますね。そこで、再任用と勤務延長の違いというのはどういうことなんでしょうか。
-
○鹿兒島政府
委員 御案内のように、定年制が
実施されるに伴いまして、特例措置として再任用及び勤務延長という制度をそれぞれ設けたわけでございます。
再任用につきましては、一たん定年により退職した、あるいは勤務延長後退職した者を再び新しく採用するという措置でございまして、公務を通じて特にすぐれた知識、技能、経験を公務部内で活用ができるという場合に
実施するということを予定いたしております。
これに対しまして、勤務延長は、定年によって退職することとなります職員を退職させることなく、引き続き任用を続けるという制度でございまして、その職員の職務の特殊性、業務の性質に着目して勤務の延長をするという制度でございまして、原則として一年ずつ最高三年限りということになっております、
-
○鈴切
委員 再任用という問題なんですけれども、再任用ということになりますと一度退職をするわけですね。退職をして若干日にちを置いてまた再雇用、そういうことになろうかと思うのですけれども、再雇用が退職日の翌日の場合はどういうふうな取り扱いになるのでしょうか。例えば、一度退職をして再雇用すれば
給与がダウンするわけですね。そして、再雇用の退職手当というものをやめるときにはもらうわけであって、一度退職のときに退職手当を支給されるわけですね。ところが、再雇用が退職の翌日につながってしまった場合にはどういうふうな計算になるのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 再雇用の場合には、一たん六十歳になったときに定年退職をしていただいて、それからある一定期間を置いて再雇用されるというケースがまず一つあるわけでございます。この場合には、定年退職の退職手当をまず支給し、それから再雇用に係る期間につきましては引き続いておりませんので、再雇用に係る期間の退職手当を支給するということになると思います。これが引き続いております場合には、再雇用された最終の俸給で退職手当を計算するということになると思います。したがいまして、最終の俸給というのは、人事院の方で今額を検討中ということでございますけれども、大体八割ぐらいじゃないかということになりますと、大多数の方が、定年のときに一たん退職手当をもらって、それで再雇用期間については別途に退職手当をもらう方が有利になるのではないかというふうに考えられます。
-
○鈴切
委員 再雇用ということで、それが退職の翌日の場合においては、退職手当の支給が再雇用の就労した時点になるわけですね。そうなりますと、そのときの退職手当の計算は、一度退職してからもらって、それから再雇用して、
給与はダウンして再雇用の退職手当をもらうという金額と、それから、いわゆる再雇用が引き続いて行われた場合には、やめたときの時点ということになりますと、八割ぐらいにダウンをして計算されるということになると、そこはこの人は再雇用されたために幾らか不利益をこうむる、そういうことにはならぬでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 確かに、今の先生が御指摘になりましたように、再雇用期間を通算して退職手当を計算しますと不利になる場合も出てくると思います。したがいまして、そういう場合には、定年退職日に一たん退職していただいて、それから日にちを置いて再雇用していただく、これは本人の選択の問題になろうかと思います。
〔
宮下委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○鈴切
委員 中央労働
委員会では年に一回、退職金・定年制及び年金事情調査を行っております。最近では五十八年六月の調査結果があると思いますけれども、再雇用の場合の退職金の取り扱いについてはどういうふうになっておりましょうか。これは中労委の退職金・定年制及び年金事情調査というのでお答え願いたいと思います。
-
○
伊藤説明員 お答えいたします。
定年後再雇用された者の退職金の計算の方法でございますが、今、先生から御指摘ありました調査によりますと、定年後の期間につきまして別途計算して支給するというものが五六・八%の企業で行われております。それから、再雇用後の期間につきまして退職金を支給しないとするものが四二・六%でございます。それから、定年前の期間と通算するというものは再雇用の場合についてはほとんどケースがございません。
-
○鈴切
委員 それでは、再任用の場合の退職金の取り扱いは国家公務員も民間企業も大差はないようでありますけれども、国家公務員の勤務延長の場合の
給与及び退職手当はどういうふうになっておりましようか。
-
○鹿兒島政府
委員 先ほど申し上げましたように、勤務延長の場合にはそのままの職を保持して勤務を続けるということになりますので、
給与の取り扱い、退職手当の取り扱いは通常の在職者と全く同じでございます。
-
○鈴切
委員 これまた労働省になりますけれども、中央労働
委員会の調査では、勤務延長制度の場合の退職金の取り扱いはどうなっておりましょうか。
-
○
伊藤説明員 同じ調査で、勤務延長の場合の退職金の計算方法について申し上げますと、先ほど申し上げました定年後の期間については別途計算して支給するというものの割合が三〇・三%に落ちております。それから、支給しないとするものも三三・三%で、その割合は落ちておりまして、逆に、定年前と期間を同一に扱って通算して算定する企業の割合が二七・三%と増加しております。
-
○鈴切
委員 国家公務員の退職手当と同じ内容の、定年前と同一条件で勤務期問を通算するというものが、中労委の民間調査の結果では二七・三%と、実は三割にも満たない状態になっております。そこで、これらの法改正は民間の動向を調査して改正されたものであり、今回の勤務延長という問題については、民間準拠という考え方からいくとちょっと時期尚早じゃないだろうか。二七・三%ということで国家公務員にもう既にそれを取り入れてしまったということは、ちょっと時期尚早じゃないかという意見がありますけれども、その点はどうお考えでしょう。
-
○藤井(良)政府
委員 国家公務員の場合の勤務延長でございますが、この勤務延長と申しますのは、職務の特殊性あるいは業務遂行上の特殊な事情によって、職員の退職により公務の運営に著しく支障が生ずるような場合に、官側の方がたって在職してもらうというようなケースでございます。したがいまして、民間の方の勤務延長と必ずしも同一のものと言えるかどうか、その点は疑問ではないかと思います。
民間準拠と申しましても、やはり公務におきましては公務の特殊性がございますので、こういった点も配慮して今回のような結論に達したということでございます。
-
○鈴切
委員 だから、再任用の問題については、定年で打ち切り計算をして退職手当を支給し、定年後の期間は別途支給という、これは再雇用の場合には
給与はダウンという形については、民間企業においても、定年時で打ち切り計算をし、定年後の期間は別途支給するものが五六・八%、これはもう言うならば過半数をオーバーしているからなるほどなということになるわけですけれども、勤務延長の場合においては、定年前と同一条件で延長期間を通算する、
給与はダウンをしないというような取り扱いについて、民間においては定年前と同一条件で通算するのは二七・三%、こういうことですね。となると、二七・三%で既にこういうふうな取り扱いをするということは、民間準拠という立場から言うとやはり若干問題があるのじゃないか。しかも、民間企業において定年前と同一条件で通算をするという二七・三%がこれから大きく伸びていくという要素はまずないだろうということになってきたときに、それを既に制度化するということについては、これはちょっと優遇し過ぎているのじゃないかというような感じがするのですが、その点どうでしょう。
-
○藤井(良)政府
委員 お答えいたします。
先生のおっしゃられるような御意見も当然あると思います。ただ、私どもといたしましては、この勤務延長というのは、先ほど申し上げましたように、職務の特殊性によりまして、この職員にやめられたら公務運営に阻害を来すというような場合に限って勤務延長するわけでございます。官側の方からお願いして在職していただくというのが建前になっておるわけでございまして、これは公務の特殊性からやむを得ないのではないかというふうに考えます。
-
○鈴切
委員 民間においても、
給与をダウンさせないからぜひということは、やはりそれなりに必要性があるからそういうふうにとっているわけですからね。公務だけがということで一概に決めつけてしまうという点にも、やはり問題があるだろう。二七・三%程度でもう制度に入れてしまうというようなやり方をすると、やはり公務員はいいなということで、ほんのわずかな人がそういうことになることによって全体に網がかけられてしまうということは、私は余り適当じゃないだろうと思います。少なくとも五〇%近くになったとか、五〇%をオーバーして、これからそういうふうなシステムがどんどん取り入れられていくというならば、それはそれなりに説得力があると私は思うのですけれども、そういう点について若干私と意見は異にするといいますか、そういうふうな問題についてやはり考えなくちゃならない。
たしか
昭和五十六年度に六十歳定年制が入ったわけですけれども、
昭和五十六年から今日まで、六十歳定年というものはどういう傾向をたどっているでしょうか。それからまた、六十歳以上の定年というものも、高齢化社会を迎えて六十歳ではちょっと早いんじゃないかという声もちまたでは大分あるのですけれども、労働省としてはそういう点についてはどんな調査をされていますか。
-
○
伊藤説明員 現在の六十歳定年の割合につきましては、五十九年一月の調査によりますと、六十歳ちょうどの定年年齢をしいていますところが全体の四八・三%でございまして、六十歳以上というものを含めますと五二・一%になります。
-
○鈴切
委員 そのように実際に何年かたって既にそれが定着をするという見通しがあるならば、それは一つの制度にするということも賢明なやり方ですけれども、民間企業が非常に厳しい状況の中でこれからだんだん減っていくんじゃないかというようなときに、国家公務員だけはというようなそういうことは、ちょっと考えていかなくちゃならぬ問題だろうというように私は思います。
高齢化の進展に対応して定年延長、再雇用、勤務延長などが図られてくるようになってくると思いますが、逆に問題としては、人事の停滞や人件費の増大が出てくるんじゃないだろうか。今後さらに進展していく高齢化社会における人事管理の望ましい姿というものは、政府はどのようにお考えになっていましょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 最近の急速な高齢化社会の到来に伴いまして、公務部内におきましても職員の高齢化、高学歴化等が進んでおります。これらの変化に対応した適切な人事管理を進めていくということは、私どもにとっても一番大切な課題ではないかと思っております。
このため、今年三月三十一日定年制度の施行を踏まえまして、適正な退職管理の一層の推進に努めるとともに、退職準備プログラムの導入等、高齢職員対策の一層の推進を図り、あわせて、人事院における総合的な人事行政施策の検討等を踏まえ、職員の高齢化、高学歴化の進行に応じた職員の採用、昇進、退職等任用のあり方、
給与体系及びその運用のあり方等人事管理全般にわたる諸問題について、長期的展望に立って今後検討してまいりたいというふうに考えております。
-
○鈴切
委員 管理職への昇進や賃金その他待遇条件等、高齢化社会の望ましい人事管理を行うために、今後検討していかなければならない課題をどういうふうにとらえているかということですが、その点はどうお考えでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 これは、今先生の言われたのは非常に難しい問題だろうと思います。高齢者社会の進展に伴いまして、公務におきましても在職期間が非常に長くなるという傾向がございます。今後、定年制がしかれれば、在職年の長期化というのはどういうような影響が出てくるか、これは問題でございますけれども、今までも若干ずつ在職年の長期化という現象が起きております。
これに対処いたすために、先ほど申し上げましたように、まず一つは、適切な退職管理の推進、それから退職準備プログラム、これは退職者に生活設計を与えるための指導要綱でございますが、こういったものをつくって、ある程度の退職管理の適正化を図る。あわせて、先ほど申し上げました在職期間の長期化を踏まえて、採用、昇進、退職、任用全般にわたって、今までのプログラムでいいのかどうか、その辺を反省していく必要があると思いますし、また、
給与上の
処遇についても現在の等級制度でいいのかどうか、そういった点、今後我々としても検討していかざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。
-
○鈴切
委員 これについては、横浜の国立大学の藤田教授が、一つは、高齢者の能力実態の掌握と低下防止策の確立、二番目は、特性を生かす配置、職務、職場の再編成、三番目は、雇用の延長と労働条件の変更、四番目は、退職後の生活設計、こういう問題を挙げているわけですから、ぜひこういう意見等も十分しんしゃくされまして、そして、これからの人事管理というものとこれからの検討課題というものを的確にやはりとらえていただきたいなというふうに思って、これは要望しておきます。
それから、支給率についてお伺いをいたしますけれども、定年・勧奨退職と自己都合退職の整合性を持たせるために、自己都合の支給率を、勤続十一年以上十九年以下については二〇%引き下げるとともに、勤続二十五年以上二十九年以下は三%から一九%引き上げ、特に長期の勤続者に係る支給率については、勤続三十一年以上の一年当たりの支給率を約一〇%引き下げるという措置を講じておりますけれども、どうしてこのように支給率の整合性がない状態になってしまったのか。また、支給率の改定に伴い所要の経過措置を講ずることになっておりますが、どう対処をされていくのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 現行の退職手当法における定年・勧奨の支給率と自己都合の支給率との関係を見ますと、勤続十年以下及び勤続二十五年以上三十年未満におきましては相当の格差があり、勤続十一年以上二十年未満においては一致しております。このようになっているのは、退職手当が長期勤続報償であることにかんがみ、勤続期間が比較的短い十九年以下につきましては支給率を同じくして、特に短い十年以下については自己都合の率をさらに割り減するとともに、勤続期間が二十年以上の場合は、定年退職と自己都合退職とで格差を設けるような考え方をとったからだと思います。
しかしながら、人事院が行いました民間退職金制度調査によりますと、民間企業におきましては、定年退職支給率を一〇〇とした場合の自己都合退職支給率は、勤続年数の期間が短期の場合には格差が大きく、長期になるに従って格差が縮小しているというのが実態のようでございます。要するに、定年支給率と自己都合の支給率とでは、勤続年数が短い場合には格差が大きく、長期になるに従って格差が縮小しているというのが実態でございます。
そこで、このような民間の実情、公務部内の定年・勧奨退職と自己都合との関連等を考えまして、自己都合退職につきまして、十一年以上十九年以下の支給率を切り下げ、二十五年以上二十九年以下の支給率を引き上げ、全体として整合性のとれたものにしたわけでございます。
なお、引き下げ、引き上げの幅にっきましては、勤務年数の長短、当該期間の前後の期間とのバランスを考慮してやっております。
それからなお、これについての経過規定でございますが、その点につきましては、施行日の前日における退職手当、施行日の前日と申しますのは三月三十一日でございますけれども、その施行日の前日において、旧法において受けるべきであった退職手当の額を保障しております。
-
○鈴切
委員 定年前早期退職者に係る退職手当の特例として、定年とその者の年齢との差に相当する年数一年につき二%を超えない範囲内の割合を乗じて得た額を俸給月額に加えるものとしておりますが、その根拠はどこから来たのでしようか。また、二%を超えない範囲内の割合というのはどういうことなんでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 定年前早期特例措置の内容は、まず第一に、一般的に定年まで勤務する意思及び能力を有するにもかかわらず、人事管理上の要請など公務上やむを得ない理由により定年より早期に退職する者と、定年まで勤務して退職する者とのバランスを考慮したわけでございます。
それで、第二に、その者が定年まで勤務したものと仮定した場合において、退職する時点で、通常定期昇給等により上昇が見込まれる俸給月額について特例を設けようという考え方によるものでございます。
二%につきましては、いわゆる一般的な定期昇給率、これは大体平均二%でございますが、この傘と、それから定年まで勤務する場合の人件費、
給与等の節減効果等を総合的に勘案して決めたものでございます。
-
○鈴切
委員 定年になったり、また一定の年齢に達すると昇給が延伸されたり停止されたりするのは、国家公務員も民間企業も同じでありますけれども、民間は、場合によっては二、三割
給与がダウンするところもあります。民間企業における長期勤務者の退職金抑制や合理化方法の実情などについては、人事院の調査結果はどのように出ておりましょうか。
-
○鹿兒島政府
委員 再雇用時の基本給のあり方でございますけれども、これは企業によりましてかなりまちまちでございます。再雇用時の給料が下がる企業が、私どもが調べました再雇用制度を有する企業五百五十四社中四百四十九社ございまして、これは四百四十九社が下がるわけでございますが、そのうち、役職が変わらない場合でも全員一律に下がるというものが六三・四%ございます。それから、全員一律ではなくて人によって異なる企業がございまして、役職が変わらない場合におきましても、下がるものが五三・八%ということになっております。
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○鈴切
委員 退職金も、民間企業では退職一時金制度と退職年金制度を併用するところが多くなりつつあるようですけれども、労働省の退職金制度調査ではどういう結果になっておりましょうか。
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○
伊藤説明員 退職金制度の形態別の変化を申し上げますと、退職金制度を何らかの形で持っておるところは、既に五十年来九〇%を超えておるわけでございますが、そのうち一時金制度のみとする企業の割合でございますが、五十年当時六七・一%でございましたが、現在、五十六年でございますが、五五・四%へ減ってきております。
一方、年金制度を採用している企業がふえておりまして、年金制度だけでやっておるというところが、五十年当時の一二二一%から、五十六年は一八・五%へふえております。
また、退職一時金と年金制度を併用している企業の割合が、同じく五十年の一九・七%から、五十六年には二六・二%と増加をしております。
-
○鈴切
委員 退職金も、民間企業においては、「退職金の年金化が制度的には着実に進んでいるとはいえ、現実には退職一時金として支給されているものが多く、必ずしも定着しているものとは認め難い」と退職手当基本問題研究会の報告では述べているが、その実態はどうなっておりましようか。また、年金化が実態として進まない理由にはどういうものがあるのでしょうか。
-
○鹿兒島政府
委員 私どもが調査いたしました結果によりますと、確かに、前回の調査に比較いたしまして、退職金の年金化をしております割合は、前回が六六%でございましたが今回は八一%ということで、一五ポイントほど増加をいたしております。しかしながら、その中を調べてみますと、選択一時金制度の採用割合は、調整年金につきましては八八・四%、適格年金につきましては九二・五%ということで、圧倒的多数がやはり一時金の選択制度というものをとっております。
その理由につきましては、私どもも詳細明らかではございませんが、恐らくこれは退職者の希望によるものというぐあいに推測をいたしております。
-
○鈴切
委員 大分時間も迫ってきたようでございますが、自治省が来ておられると思いますので、自治省にちょっとお聞きいたします。
近年、行財政改革が叫ばれ、地方自治体の高い
給与、退職金が問題となっておりますが、「自治省は六十年度から、特に是正が遅れている自治体に対して個別指導を強め、具体名を公表したり、地方債の発行を制限したりするなどの強い措置をとっていく方針を決めた。」と新聞に載っておりますけれども、高い
給与、高い退職金の実態に対する自治省の基本的な考え方はどうなっていましょうか。
-
○池之内説明員 今お話しございましたように、自治省といたしましては、従来から、地方公務員の
給与、退職手当につきましては、均衡の原則にのっとりまして、国家公務員に準ずるように、こういうことで指導を重ねてきたところでございます。
それで、今御指摘ございましたように、特に地方公務員の退職手当につきましては、従来から国の制度に倣うように指導を行ってきたところでございますけれども、五十六年度以降、退職手当の支給率が国家公務員を上回っているすべての団体について、その是正を図るようにというような指導を続けてまいりましたし、高
給与団体につきましても、個別指導団体といたしまして約百五十団体を指定いたしまして、指導してまいってきたところでございます。
-
○鈴切
委員 地方自治尊重という立場から言うならば、国と地方との間に若干の相違があるからといって、すべて国並みというわけにはいかないと思います。しかし、地方も、やはり行財政改革ということが叫ばれている現在、他の自治体から比べてかなり突出しているということを許すということも私は好ましくないだろうというふうに思います。このところよく、地方公務員の退職金は民間と比べて優遇されているのではないかという声もないわけではございませんし、それらの住民の批判に対して、監督する自治省も住民の期待にこたえていかなければならないというように私は思います。
それで、地方自治体の退職金が高いと言われている実態はどうなのか。また、支給率はどのくらいなんでしょうか。
-
○池之内説明員 今御指摘ございました退職金の現状でございますが、まず都道府県段階で申し上げますと、現在国の支給率が、今回の改正を除きますと、六十三・五二五でございますが、それを上回る団体は四団体でございます。
それで、具体的に若干申し上げますと、神奈川県が八十九・五二五月、東京都が八十二・五月、これは現在の支給状況でございます。指定都市でございますが、これは十市いずれも国の支給率を上回っております。例えば北九州市では九十月、大阪市が八十九・九二月、こういう状況になっております。
-
○鈴切
委員 しかし、これらの指定都市についても、実際には何らかの改善をしていこうという過程にあるんじゃないでしょうか。
-
○池之内説明員 御指摘のとおりでございまして、ただいま申し上げました例えば東京都は現在八十二・五月でございますが、六十四年からは六十八・〇月に、北九州は九十・〇月ですが、これは七十年から六十六・一七五月に、大阪市は六十四年から七十五・○ということで、いずれの団体におきましても、国並みには至っておりませんけれども、現在適正化の努力を継続しておるところでございます。
-
○鈴切
委員 それらの自治体に対して、自治省としては今後具体的にどのように指導をされていかれようとしておられるのか、その点についてお伺いいたします。
-
○池之内説明員 退職手当の適正化につきましては、先ほど若干申し上げましたけれども、来年度におきまして、国の支給基準を上回っている団体につきましてこれを新たに個別指導団体として指定をして、個別の助言、指導を強化いたしまして適正化を図ってまいりたい、かように考えております。
なお、具体的な指定基準等につぎましては今後検討してまいりたい、かように考えております。
-
○鈴切
委員 そうしますと、そういう団体については、いわゆる基準よりもオーバーしている場合には公表をするというお考えでしょうか。
-
○池之内説明員 当該団体名を公表いたします。
-
○鈴切
委員 人事院総裁、済みません、あなたは一度もきょうはお立ちにならなくて申しわけありません。
そこで、これからいよいよ春闘に入りまして、恐らく民間の労働団体を初めとして非常に盛り上がりを見せるでしょう。その後、人事院においてはいよいよ民間の
給与についてかなり詳細に自信を持って調査に当たるわけでしょうけれども、八月の十日ごろになりますと、人事院の方としても大体その集計がまとまって、政府並びに国会に報告を出されるわけですけれども、しかし、その権威ある
人事院勧告自体が実は今日まで抑制をされ、あるいは凍結をされている。政府及び国会ということでありますけれども、国会においてはいつも、
人事院勧告について
完全実施をせよという声だけが高鳴っているわけでございます。
そこで、それが抑制をされたり凍結をされるという状態において、
人事院総裁は本当に情けないような思いで人勧の行方を見守っていると思いますけれども、しかし、それではちょっと私は何か能が足りないような感じがしてならない。もう少し人事院として、政府並びに国会に要望するにしても、今年はそれなりのやはり重みと、力強さと、それから
人事院総裁の決意というものはこれは非常に大切なことだろうと思うのですが、
人事院総裁はどういうふうに八月十日ごろ出される人勧に対して取り組まれるか、その点についてお伺い申し上げます。
-
○
内海政府
委員 八月に入りますと、勧告という形で国会及び内閣に勧告をいたします。それにつきまして、私どもの考え方あるいはかくあるべしという意見、そういうものは勧告及び報告の中に的確に記載していきたい、こういうふうに思っております。
また、勧告の後におきましてもあるいはその前におきましても、機会を得て、国会及び政府に対しましては強く要望をしていくわけでございますが、なおそれ以上に、私たちでどのようなことをすればどのようなより強い影響を与え得るか、これはまだこれからも一生懸命考えたいと思いますが、いずれにいたしましても、私どもの精根を尽くす努力によって、それを国会及び政府で酌み取っていただいて、ぜひ
完全実施に移っていただきたい、これを願うということがきょうお答えを申し上げる私の決意でございます。
-
○鈴切
委員 時間でございますので、以上をもって終わります。
-
-
○
三浦(久)
委員 まず最初に、
総務庁長官にお尋ねをいたします。
政府並びに自民党は、ここ数年、財政危機というものを口実にいたしまして、公務員労働者にさまざまな犠牲を強要してきたと思います。この内閣
委員会でも、ついこの間審議をいたしましたように、スト権剥奪の代償措置として設けられた
人事院勧告を四年間も連続をして凍結ないしは抑制をする、そしてまた、それだけではなくて、六十年度の
人事院勧告についても抑制という意図を政府はあらわにしているわけであります。これは私は、どんな理由をつけても絶対に容認することのできない問題だというふうに考えております。
また、その上に、財界と政府は、高齢化社会の到来ということを理由といたしまして、年金や退職金の諸制度の見直しというものをキャンペーンをいたしております。そうして、民間労働者の退職金の抑制や退職一時金の分割払い化である企業年金制度、こういうものを導入しつつありますね。
また、他方、公務員労働者には六十歳定年制、これも法制化してしまうとか、また退職手当の削減も今までやってきましたね。そして、高齢者の昇給停止などもやってまいったのであります。
長い間、汗水流して働いてきたいわゆる中高年の職員、こういう人々に、まさに徹底的な攻撃をしかけてきたのがこの数年間のやり方ではなかったかというふうに私は考えております。
今回の法案の内容であります退職手当金の支給率の削減の問題、また制度の改悪なども、やはりこうした公務員攻撃の一環、また中高年職員攻撃の一環であるということは、私は極めて明白だろうというふうに思います。そして、特に今度の退職手当法の改正に当たりましても、退職手当というのは職員にとっては重要な労働条件である、こういうものについても、職員団体との何ら合意を得ることなく、
法律事項だからというので一方的に提案をしてくる、こういうことは、憲法に違反をしている不当労働行為だということをまず最初に指摘をしておきたいというふうに私は思います。
ちょっと前置きが長くなりますけれども、いよいよ今回の退職手当法とも関係のある定年法の施行というのが三月三十一日に迫ってきておりますね。私ども共産党は、この定年制の審議の際にも明確にいたしましたように、これは
法律による定年解雇法案だ、そう言っても過言ではない法案なのだということで、まさに高齢化社会への対応というものにも逆行する措置だということで、厳しく批判をしてきたわけであります。
特に私どもが注目しているのは、この今回の定年制に該当する職員というのは、終戦によって大量に公務員として採用された人々であり、そして、戦後の混乱期の中を一生懸命公務員として働いてきた人たちであります。その働いた当時というのは、もう長官も御承知のとおり、人勧は値切られっぱなしに値切られてきているという状況ですね。公務員というともう低賃金の代名詞というような状況であったわけであります。こういう非常に厳しい劣悪な労働条件のもとで、長い間働いてきたそういう公務員の皆さんというのは、また団塊層というふうに言われ、ポストにも恵まれない、そういう状況で過ごしてきているわけですね。そして、こういう人たちに対していよいよこれでもう終わりだ、終わりという言葉はあれですけれども、いよいよ最後の退職の段階になってきたときに、今度は
法律でもって、定年だからというので退職をさせられる。そして、退職金も先ほど言いましたように値切られる。そして、退職金算定の基礎である人勧も値切られる。そして、ことしからは共済組合費の高額な負担というものも押しつけられる。まさに、私は、そういう意味では、政府によって、今定年退職を迎えている職員というのはずっと苦汁を飲まされ続けた人々だというふうに考えざるを得ないわけなんですね。ですから、こういう人々に対してもっと温かい配慮を国がすべきではないかと思うのですよ。
私は長官にお尋ねしたいのですが、こういう今定年を迎えている職員の人々の心情というものを長官はどういうふうに御理解になっていらっしゃるのか、そのことをまず最初にお尋ねをいたしたいというふうに思います。
-
○後藤田国務大臣 最近は、だんだん高齢化社会を迎えておりますから、公務員の
処遇の問題のみならず、民間のいろいろな制度についても、高齢化対策をどう進めていくかというのが私は国政の大きな課題であろうと思います。
そういったようなことで、年金制度の統合であるとかいろいろなことも手にかけておりますし、あるいは医療保険の問題であるとか各般の措置を進めておるわけでございますが、お尋ねの公務員の問題は、私はやはり、公務員の諸君に安心をして働くことができるような公務員の職場環境を築くということが基本であろう、かように考えておるわけでございます。したがって、今あなたがおっしゃるように、財政状況の厳しいさなかでありますし、行革の過程でもあるといったようなことで、公務員の諸君に御辛抱願っておるということは、私どもとしては本意ではありませんし、できるだけひとつ手厚い
処遇をしなければならぬ、かように考えておるわけで、あなたがおっしゃるような公務員をこの数年攻撃しっぱなしというような気持ちはさらさらございませんから、私どもとしては何とか職場環境を安定したような状況に持っていきたい、これが私の本心でございますから、その点はぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
-
○
三浦(久)
委員 そうしますと、私はやはりこの退職の問題、いろいろな問題がありますね、定年制の問題、退職手当の問題、勤務延長の問題、再採用の問題、いろいろな問題があります。ですから、こういう問題についても、私はやはり職員団体と十分に交渉をして、そして職員団体の意向が十分に反映されるような、そういう手だてをとらなければいけないと思うのですよ。ところが、実際に見てみますと、もう三月三十一日がせっぱ詰まっているのに、この勤務延長の問題にしても再採用の問題にいたしましても、全然交渉しないという省庁が現実にあるのですよ。私は、これは、公務員が安心して働ける職場環境をつくり上げるのだという、そういう
総務庁長官の心とは違っているのじゃないかと思わざるを得ないのですね。特に大蔵省がそうですよ。大蔵省来ていますでしよう。
結局どういうことをやっているかというと、全くテーブルに着かないということは言いません、着いております。しかし、労働者が勤務延長をやってくれ、また再採用の問題をやってくれと言うと、それをただ聞いているだけですね。それについて何らの答えもしない。検討します、途中で聞けば検討中ですと言う。そしていきなり、特にこれは大蔵省の関税局ですけれども、関係の例えば全税関であるとかその他の組合に、十一月九日に結論だけぼんと押しつけているわけですね。ことしの三月三十一日に退職する人々については勤務の延長もしません、そしてまた再採用も一切いたしません、こういうことをぽっと一方的に通告をしている。そして、その後の団体交渉の要求に対しても、全然これに応じようとしていないのですよね。
大蔵省にお尋ねいたしますけれども、こういう定年制に関係をするいわゆる定年制の運用の問題については、関係団体と誠意を持って具体的に交渉すべきだと私は思うのですが、大蔵省いかがでしようか。
-
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
定年制の問題につきましては、かねてから、関税局及び各税関におきまして、職員団体との交渉の場あるいは窓口を通じまして、職員団体の御意向とか御意見を十分に聴取させていただいておるところでございます。
今後の定年制の運用につきましても、私どもといたしましては、定年制の制度の趣旨を踏まえつつ、適正に
実施していきたいと考えているところでございます。
-
○
三浦(久)
委員 職員団体の意向とか要望とかそういうものは十分に拝聴した、こういうことを言われているわけでありますけれども、そういうことはないでしょう。
例えば公務員再採用ですね。国家公務員法八十一条の四ですか、再採用の要件であるいわゆる公務の円滑な遂行を確保するというのですか、経験者を、経験とか能力とかというものを活用して公務の効果的な運営を確保する、そういういわゆる再採用の要件、この問題について、職場の実情というものを勘案しながらその必要性の問題について、それじゃ関係職員団体と協議をしたことはありますか、交渉したことはありますか、どうですか。
-
○五十嵐説明員 再任用の問題だと思いますけれども、再任用の問題については、先生もう先刻御案内のとおり、
法律の要件がございます。この要件については、公務の要請があるかないかというところが要件になっていると考えております。
そこで、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、職員団体の御意見等も重々お伺いしながら、また、税関職場における実態というものをいろいろと総合的に勘案していただいたわけでございますけれども、結論的に申し上げますと、税関職場においてその再任用を活用する、そういった職場実態が見当たらないという結論に達したものでございますので、その点御理解いただきたいと思っております。
-
○
三浦(久)
委員 私は、それはちょっと事実と違うと思うのだよ。交渉したことは私、否定いたしませんよ。だけれども、公務の能率的な運営を確保するために再採用することが必要なのかどうかという問題については、あなたは職場の実態を踏まえながら職員団体と交渉したと言うけれども、そういう事実はないじゃないですか。
確かに、あなたたちが行って、今年度は再採用はしないという結論を下したから、だからそれは、公務の能率的な運営を確保するために必要かどうかの判断をあなたたちはした。職場の実情を踏まえてあなたたちはしたと思う。しなきゃできないのだから。しかし、それはあなたたちが一方的にしただけであって、職場で、例えば門司の税関で、博多の税関で、それじゃ本当に、公務の効率的な運営を確保するために再採用することが必要なのかどうかということを職員団体と一緒になって交渉したことがあるか、検討したことがあるかということを聞いているのですよ。どうですか。
-
○五十嵐説明員 先生おっしゃいますように、私どもといたしましては、職場の実態を十分に勘案しまして、先ほど申し上げましたように、再任用を活用すべき事例が見当たらないという結論に達したわけでございますけれども、その間、職員団体の方々からのいろいろな御要望とか御意見というものは、交渉を通じあるいは窓口を通じ、いろいろと伺わせていただいたわけでございます。
ただ、定年制度の運用につきましては、やはり国家公務員法、
給与法、人事院規則等に基づきまして適正に
実施していく必要があるわけでございまして、再任用を行う要件というものがどういうものであるかということにつきましては、やはり基本的にどういう考え方かということについては、人事院等のお考えもありますし、
法律の解釈、運用につきましては、やはり私どもの方で判断せざるを得ない事柄であろうかと存じております。
-
○
三浦(久)
委員 そうでしょう。だから、そこは職員団体と交渉してないのですよね。公務の能率的な運営を確保するために再採用が必要かどうか、この職場ではどうなのかということについては、あなたたちが自分で判断をしておるのです。これは管理運営事項だというようなことで、自分で判断しておる。そして、その判断した結果だけを職員団体に、十一月九日の日に電話で呼び出してそれで通告しておるのです。そんなやり方は、この前の審議のときの附帯決議にも反するし、政府の方針にも反すると私は言うのですよ。
例えば、ここに議事録がありますけれども、これは五十六年五月二十一日の内閣
委員会、この内閣
委員会での質疑ですよ。定年法の審議のときですけれども、鈴木総理大臣はこう言っておるのですよ。「公正にして円満、円滑な人事運営は人事行政の基本であると考えておりますので、そのために関係職員団体の意見を十分尊重してまいる所存でございます。」また、同じ日ですが、当時の中山国務大臣。「先生お尋ねのこの二法」この二法というのは国家公務員法の改正ですね、定年制の導入。それから退職手当法の改正の問題。「この二法が成立後関係団体との十分な話し合いをやるかということでございますが、もとより円満にかつ公正な人事管理は労使間のきわめて重要な課題でございますから、法案成立後も、私どもといたしましては中央地方を問わず各職員団体との話し合いを行ってまいりたい、このように考えております。」中央交渉だけじゃなくて、いわゆる出先の税関とかそういうところでも、十分に話し合うということを大臣が答弁しているのですよ。それにもかかわらず、あなたたちは、本当に公務の能率的な運営を確保するために必要なのかどうかということ、そのことについては何にも職員団体とは交渉しないで、一方的に結論だけ押しつけてきたというのが今日の実情なんです。ですから、税関でもって職員が座り込みをやったりしていますでしょう。これは公務の円満な遂行ですか。そういうことがないように、職員団体の意見も十分に聞き、具体的に職場環境に応じ、職場の現状に応じて、そして必要性の有無についてもお互いに交渉をして、お互いに納得させていくということが必要じゃありませんか。それを一方的にことしはしないんだと言って、後は一切交渉しない。そんなやり方は、この鈴木総理大臣や中山国務大臣の所見とも違背をしておると思うのですけれども、どういうふうにお考えですか。
-
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
私どもといたしましては、定年制の問題につきましては、これまでも誠心誠意、中央、地方を通じましての、交渉を通じあるいは窓口を通じ、職員団体の御意向というものにつきましては伺ってまいったつもりでございます。
ただ、繰り返しになって大変恐縮なんでございますけれども、やはりこの運用の問題につきましては、国家公務員法、
給与法、人事院規則等々に定められております要件、それに該当するかしないかということが問題でございまして、職員団体からいろいろ、例えば非常に個人的にお気の毒な方について何か再任用していただけないだろうかという御意向もあるわけでございますが、やはり個人的な事情に基づいて再任用を行うというのは、
法律の制度の趣旨からいたしましてなかなか難しい。もろもろのことを考えたのでございますけれども、結論的に申し上げますと、職場実態からいたしましてどうしても今回再任用を行うような事例が見当たらないという実情でございますので、その点御理解をいただきたいと存じております。
-
○
三浦(久)
委員 だから、結論だけを押しつけるのじゃなくて、何でそれなら職員団体に納得させないのですか、あなたたちは。それは交渉してないから、職員団体、というよりもその構成員が納得しようがないのです。全然納得させていない。
先ほどあなたは、こういう問題については当局が判断せざるを得ない、公務の必要性の問題だから当局が自分で判断しなければならない、こう言われましたね。恐らく、これは管理運営事項だからという問題だろうと思う。その問題について、管理運営事項なのかどうか、団体交渉の対象になるのかならないのかという問題は、いろいろ議論は出てくるだろうと私は思うのですよ。しかしそういう議論は差しおいて、結局中山国務大臣にしても鈴木総理大臣にしても、中央、地方を問わず、この定年制の運用の問題についてはじっくり話し合うんだということを言われているわけですから、まず職員団体が納得しないということ、そして座り込みまでやっているという事態、こういうことはまさにあなたたちが十分な話し合いをしていないということの明白な証拠だと私は思うのです。
ほかの省庁、どうやっていますか。再採用の希望者ありますかといってずっと申し込みをさせている、まあそういうアンケートをとる、そして労働組合とも職員団体ともちゃんと協議をしてやっているのですよ。それを何で大蔵省がそういう態度をとらないのですか。私は非常に不思議に思っているのですよ。それで、今からでも遅くないから私はもうちょっと実のある話し合いをすべきだと思うのですよ。
例えば、勤務の延長とかまた再採用という問題は、職員団体の強い要望というものも反映をされて
法律に規定されたものなのですよ。私が言うとうそと言うかもしれませんけれども、人事院、そうじゃないですか。これは前
人事院総裁もそういうことを御答弁なさっておられますね。人事院どうですか。これはやはり職員団体等の強い要望も反映されてできた制度ではないですか。
-
○仙田政府
委員 定年制度の中で、勤務延長なり再任用という制度を採用いたしました。いろいろな背景がありまして採用したわけでございますけれども、私どもは、この定年制度の構想をつくり上げる過程で、関係省庁、関係職員団体の幅広い意見をいろいろ伺いまして、そういうものの結果としてこういう制度を設けたということでございます。
-
○
三浦(久)
委員 大蔵省、ちょっとよく聞いておってくださいよ。大蔵省に聞かせたいために言っているのですから。
五十六年の六月二日、参議院内閣
委員会で当時の斧
任用局長、この方はこう言っていますね。「われわれは、職員団体のそういう反対の御意思でありましたけれども、反対の理由などもよく吟味しまして、再任用でありますとか勤務延長でありますとかというようなこともつけ加えまして意見を申し上げたわけでございまして、こういう意見に基づきまして政府の方で今回法案を提出しておるわけでございます」、こういうふうに言われておりますよ。それから藤井総裁は、「従来の勧奨というものの実態等を踏まえまして、原則定年を決めまする際の年齢の決め方あるいは特定の年齢、原則に対する例外定年というようなものの決め方あるいは先刻来お話に出ております勤務延長なり再雇用というような事柄等につきまして、組合側の意見も十分拝聴し、これを盛り込むという努力はいたしたつもりでございます。」ですから、こういう勤務延長とか再採用というのは組合の強い要望も反映している、これは間違いがないのです。そうであれば、これは職員にとって最も関心の深い問題なんだから、もっと誠意を持って具体的な、そして十分な話し合いを私はすべきだと思うのですが、これからやるかどうか、大蔵省に聞きたいのです。
-
○五十嵐説明員 お答えを申し上げます。
先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、この問題につきましては十分誠意を持って職員団体の御意向を伺ってきたつもりでございます。今後とも、十分誠意を持って、例えば窓口を通じて職員団体の御意向というものは十分拝聴してまいりたいと存じております。
-
○
三浦(久)
委員 今までどおりやるという意味ですか。今までどおりじゃなくて、今までのことは悔い改めて、これからは誠意を持ってやるというならいいけれども、今までも誠意を持ってやっていた、これからもそのとおりだというのじゃ、事態は全然変わらないということじゃないですか。今私が言ったように、労働者の要求を踏まえてこういう再採用とか勤務延長という問題が出てきている。ですから国会の附帯決議が行われたのを、あなたも知っているでしょう。ここにありますけれども、勤務延長の問題とか再採用の問題について特に一項目を設けて、国会が附帯決議をしているのですよ。
読んでみますと、国家公務員法の「第八十一条の王および第八十一条の四の運用に当たっては、勤務実績および関係職員団体の意見を反映する等運用の公正を確保するものとする。」こうなっているのですよ。あなたたちのとっている態度は、この国会の附帯決議にも反していると私は思わざるを得ない。あなたたちに対して関係の職員団体は、勤務延長の問題並びに再採用の問題についてどういう要求をしていますか。してもらわなくてもいいと言っておるのですか。
-
○五十嵐説明員 先生おっしゃいますように、附帯決議がありますことは重々存じ上げております。職員団体の御要望はもちろん、個別のいろいろな御事情のある方々につきまして個別に再任用を行ってほしいというような御要望があることについては存じ上げております。
ただ、個別の事情に基づいて再任用を行うということにつきましては、国家公務員法、人事院規則等にそういう要件は定められていないわけでございまして、そういった御要望につきましては、私ども誠心誠意伺ってはおりますけれども、結論的に申し上げますと、税関職場において公務の能率的運用を確保するために真に必要であるかどうかという点から判断せざるを得ないというところを御理解いただきたいと存じております。
-
○
三浦(久)
委員 私は、もう一回言いますけれども、あなたたち自身が必要なのかどうかということの判断を含めて、職員団体と交渉を持つべきだということを言っているのです。そのことは持てませんか。もう必要ないと当局が一方的に決めたんで、その問題は一切話し合いの対象にはならない、そういうふうにお考えなんですかどうですか。
-
○五十嵐説明員 少なくとも、国家公務員法、人事院規則の解釈がいかにあるべきかということにつきましては、やはり職員団体と協議をして決めるような事柄ではなくて、基本的には
法律、人事院規則の解釈の問題、その解釈の中で、個人的な事情について考慮できるかできないかということについては、やはり個人的な御事情では再任用を行うという要件には合致しないと解釈せざるを得ないと考えております。
-
○
三浦(久)
委員 もう同じ繰り返しになりますからやめますけれども、実際に公務の必要があるかどうかということについてあなたたちは何にも交渉していないんだから、私は、これからでも遅くないから、やはり誠意を持って交渉に応ずるべきだ。その中で、個別的なものについては、これはだめですとかいうのは、堂々と主張したらいいじゃないですか。そういう公務の必要性の問題についても何ら交渉しないで、それで結論だけ押しつけてくるというようなやり方は、私はもう、今までの国会審議とか附帯決議、また各大臣の答弁、御意思、そういうものに違背していると思いますので、再考を強く要望しておきたいというふうに思います。
総務庁長官にもよくお聞きいただきたいのですけれども、これからちょっと法務省とそれから運輸省に、人員削減の問題の実情について一、二聞いてみたいと思うのですが、ちょっとやりとりを聞いておっていただきたいと思うのです。
いわゆる定員がずっと削減されてきまして、私どもとしては、その分だけ自衛官がふえておる、これは非常にけしからぬことだと思っておるわけですが、その人員削減というものが、国民サービスに非常に大きな影響を及ぼして、末端でもって国民に接触している公務員の皆さんは本当に四苦八苦しているということなんですね。そのことを一、二、ちょっと長官にも御認識いただきたいと思って、法務省においでをいただいております。
法務省にお尋ねいたしますけれども、国籍法が改正をされましたですね。そして国籍に関する事務がうんと急増していると思うのですが、その国籍法の改正の内容についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
-
○海老原説明員 お答え申し上げます。
今次の国籍法改正の内容の主要点は次のとおりでございます。
まず第一点は、出生による国籍の取得につきまして、従前の父系血統主義を改めまして、父母両系血統主義を採用したということでございます。
第二点は、準正により日本国民の嫡出子たる身分を取得した者につきまして、届け出による国籍取得の制度という簡易な制度を新設したということでございます。
第三点は、日本国民の配偶者である外国人の帰化条件につき夫と妻とを同一条件にするなど、帰化条件を整備したということでございます。
第四点は、このような父母両系主義をとることによりまして重国籍がふえる状態になりますが、この重国籍の解消または防止のため国籍選択制度を新設いたしまして、並びに、国外で出生した重国籍者につき国籍の留保制度の適用範囲を拡大するなどの措置を講じたことでございます。
第五点は、国籍の離脱につきまして従来必要とされていた官報告示の制度を廃止し、届け出によって効力を生ずることといたしました。
それから第六点といたしまして、この改正法の経過措置といたしまして、改正法施行前に日本国民たる母から出生した子で所定の条件を満たす者につきましては、届け出により国籍を取得し得るとする簡易な制度を新設しております。
以上が主な改正点でございます。
-
○
三浦(久)
委員 そうしますと、例えば今までお父さんが外国人で母親が日本人であったという場合には、外国の国籍ですね。ところが今度は、男女平等だからというので、これは日本の国籍を持つことになる。届け出るということですね。これは三年の経過措置があるというふうに聞いておりますけれども、そういう届け出によって日本人の国籍を取得できる人は大体どのくらいおりましょうか。
-
○海老原説明員 ただいまの御質問は、改正法の経過措置に伴いまして、届け出により国籍の取得ができる人の数ということでございますが、その対象となる人員が何名いるかは、正確な員数を把握できているわけではございません。しかしながら、私どもでここ数年間の日本人女性と外国人男性との婚姻数の平均値あるいは出産率等々から一応推計したところでは、全国で年間二万数千人の方が届け出るのではないかと考えております。ただ、何分、日本国籍を取得するか否かはその各人の意思にかかわることでございますので、この数も不確定な要素でございます。
-
○
三浦(久)
委員 おおよそどのくらいかということで結構だと思うのですが、推定で。
-
○海老原説明員 ただいまお答えいたしましたように、年間二万数千人ぐらいではないかと考えております。
-
○
三浦(久)
委員 ああ、ごめんなさい。そういう二万五千人ぐらいの人々が結局届け出によって国籍を取得しようとしていく。そうすると、そういう事務はどこで扱うのでしようか。法務局で扱うと思うのですが、法務局のどういうところで扱うようになりましょうか。
-
○海老原説明員 お答えいたします。
国籍法施行規則によりまして、届け出は、日本国内の場合、原則として、国籍を取得しようとする者の住所地を管轄する法務局または地方法務局の長を経由してすることとされております。したがいまして、全国に法務局が八庁、地方法務局が四十二庁ございますが、東京、大阪の両法務局では民事行政部国籍課が窓口になり、その余の六法務局では国籍課がございませんので民事行政部戸籍課が、それから他の地方法務局四十二局では戸籍課が、それぞれ国籍取得届け出事件の主な窓口となっております。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、もう大部分のところでは戸籍課というところがやっておりますね。私、法務局の戸籍課の職員と会っていろいろ実情を聞いたのですけれども、とても時間がかかると言うんですね。届け出を受理するぐらいだから余り時間がかからないだろうと思っておったら、一人について約一時間ぐらいかかると言うんですよね。何でそんなに時間がかかるのでしょうか。
-
○海老原説明員 国籍取得の届け出は、その届け出が適法なものであるもの、すなわち
法律上定められました条件を備えており、かつ、適法な手続により届け出られましたときには、その届け出のときに効力を生じまして、その届け出のときから該当者は日本国民となるというものでございます。したがいまして、届け出の際には、それらの条件を備えていることを証するに足る書類が完備している必要がありますし、また、例えば手続的には、十五歳未満の者が国籍を取得しようとしますときには、その法定代理人が届け出る必要があります。さらには、国籍を取得いたしますと戸籍をつくる必要があるわけでございますが、その場合に名前をどのような名前にするかとか、あるいは戸籍にそれ以外に婚姻など記載すべき身分事項がないかなど、いろいろ事前の相談が一緒になされるわけでございます。そのような相談も行われるために相当時間がかかっているという実情でございますが、それがすべて整っておりましたならば、届け出自体は時間がかかるものではございません。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、事前の相談、それにかなり時間がかかるというのですが、戸籍課というのはその相談だけやっているわけじゃありませんね。ほかにもいろいろな仕事があると思うのですけれども、どんな仕事がありますか。
-
○海老原説明員 お答えいたします、
先ほどお話ししましたように、国籍課が置かれております東京、大阪の両法務局の民事行政部戸籍課におきましては国籍事務は取り扱いませんので、市区町村長が管掌いたします戸籍に関する事務の監督事務を所掌しておりますが、それ以外の法務局の民事行政部戸籍課及び地方法務局の戸籍課におきましては、国籍に関する事務のほか、先ほど申しました市区町村長が管掌する戸籍に関する事務の監督事務を所掌しております。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、国籍に関する事務というと、帰化をする場合とか国籍離脱の問題とか今回の届け出の問題とか、いろいろありますですね。それで私、職員に聞きましたら、もう今は毎日毎日この新しい国籍取得の届け出の相談だと言うのですよ。ですからもうほかの事務が全くできない。例えば帰化なんかも扱っていますですね。これはかなり綿密な調査はいろいろやるんでしょうけれども、そういうものに一切手が回らない。ですからもう仕事がたまってしようがないと言うんですよ。そうすると、事務量がうんとふえているわけですから、ほかの戸籍課全体の事務を遂行していくというために、どうしても人員の増加というのが必要になるのじゃないかと私は思うのですけれども、法務省としては、そういう人員増加についての処置はおとりになっていらっしゃるのでしょうか。
-
○海老原説明員 この国籍取得の届け出事件に関しまして人員の増はどうかという御質問でございますが、この届け出事件の中で大きな事務量を占めると予想されますものは、先ほど先生からお話がありましたように、改正法の経過措置として設けられました届け出でございます。これは、外国人を父とし、日本人を母として生まれ、改正法施行前は出生によって日本国籍を取得できなかった者につきまして、その改正法が父母両系主義を採用したこととの均衡から設けられた届け出の制度でございますが、この届け出の制度は、改正法施行後、すなわち本年一月一日から三年間に限って設けられたものでございまして、時限的なものでございます関係から、恒常的な定員処置によって対処するのは相当でないと考えられます。したがいまして、超過勤務手当と賃金職員によって対処することとし、
昭和六十年度予算案でも予定されているところでございます。
-
○
三浦(久)
委員 もう法務局の場合は、登記事務なんかが本当に人員不足で大変な状態ですね。その上に、今度こういう届け出の事務が追加されてきておる。ですから、これにはもう人員をふやすというような余地しかないのですね。ですから
総務庁長官、現場の職員はどう言っているかといいますと、国会は無責任じゃないかと言うんですよ、私の顔を見て。こんなに事務量をふやしておきながら、ほかの仕事を一切できないようにしておきながら、勝手に国籍法改正をしておって、人間をふやすことも何で一緒にやってくれないのか、こういう質問が出るほどですよ。ですから、私は、そのときに、こんな少数政党でもこんなおしかりを受けるのかなと思いましたけれども、本当は後藤田
総務庁長官にそんなことは言えと言いたかったのですが、それは言いませんでしたけれどもね。現場はこうなっておるのですね。ですから、事務量をふやしたらそれなりの人員の手当てはちゃんとしてやるということを、やはり
総務庁長官も御配慮いただかなければならないと思うのですが、いかがでしょう。
-
○後藤田国務大臣 御承知のように、今厳しい定員管理をやっているわけでございますけれども、それが行政サービスの低下になるといったんじゃ、これは問題にならない話なんですね。やはり定員の縮減を図りながら、同時に必要な行政サービスは確保するということでなければならぬわけですね。
ただ、現実を見ますと、世の中はどんどん変わっていくわけですよ。今の御質問もまさにその一つのあらわれだと思いますね。だからそれに対応する必要がある。そうしますと、やはり各省庁あるいはまた、同じ省の中でもそれぞれの部局で繁閑の事情があることは、これまた否定し得ないのですよ。そこらを私どもは考えながら、できる限り内部の配置転換なり合理化で処理をしてもらいたい。しかし、どうしても間に合わぬということであれば、これは、私どもとしては、毎年度の定員査定の際に配慮していくというようなことでして、法務省の関係は、例えば今の登記の事務とかあるいはまた、非常にひどいのは刑務官ですね、看守さん、これなんかが非常に困っておる実情にあるわけですから、こういった点は、私どもとしては、厳しい定員管理だけれども、毎年の査定の際にはできる限りの配慮をしておるつもりでございますから、仰せのように、本当にサービスが間に合わぬじゃないかといったような事態はこれは私どもとしては避けたい、かように考えております。
-
○
三浦(久)
委員 もう一つ、空港の問題でお尋ねしますが、運輸省、お見えでしょうか。
これは福岡空港なんですけれども、ここに消防車がございますね。ところが、その消防車の人員が足りないということを言われているのですね。この福岡空港にはどういう消防車が配置されておるのでしようか。
-
○西村説明員 お答え申し上げます。
福岡空港におきましては、現在、超大型化学消防車、これは航空機事故用に特別注文でつくらせました大変大きなものでございます。これが主力として二台配備されているほか、中型の化学消防車、給水車、それから指令車が各一台、合計五台が配備されておるところでございます。
-
○
三浦(久)
委員 そうしますと、どういう勤務形態になっていますか。今、人員がどのくらいで、どういう勤務形態でやっているか、ちょっと御説明ください。
-
○西村説明員 お答え申し上げます。
現在のところ、福岡空港におきます消防要員は十九名でございます。この勤務形態につきまして、現在、消防でございますから二十四時間体制が原則になっております。したがいまして、旧交代で一台に務めていくということでございまして、この大型化学消防車二台のうち、一台につきましては二人が二交代に当たる、したがいまして一日で八人がつくというような形になっておりますが、残りのものにつきましては、一台につき一人の組ということになっております。十九名でございますのでやや変則的でございますが、そのような形になるわけでございます。
-
○
三浦(久)
委員 三直四交代でやっていますね。そうですね。そうすると、一つのグループがありますね、それは一つが四名で、あと三つのグループは五名ずつで勤務するということになるわけでしょう。そうすると、超大型が二台と中型が一台と指令車が一台、これで四台ですね。給水車が一台で五台ですね。そうすると、各一台に一人ずつしか人が配置されていないということになるのじゃないですか、どうですか。
-
○西村説明員 先ほどの説明で若干言い漏れがございましたが、給水車につきましては委託で処理しておりますので、定員上は給水車には張りつけられておりません。したがいまして、大型化学消防車二台のうち、一台につきましては二人乗務体制、そういう格好でございます。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、超大型車一台について二人乗る場合もある、もう一台は一人しか乗れない、これは人間がいないのだから。そうすると、この超大型車というものを運転手だけで持っていって消火作業をするのですか。今、運転と消火作業と両方やるという体制になっているのですか。
-
○西村説明員 お答え申し上げます。
超大型消防車につきましては、すべての消火装置が運転席で大体自動的に処理し得るようになっております。超大型消防車をごらんいただきますとよくわかるわけでございますが、これは運転席の上に非常に大型の放水銃、これをターレットと申しておりますが、これが運転席からリモートコントロールで自動的に操作できる、そういう設計になっております。したがいまして、運転席に一人おりますれば、車を動かしまして、航空機火災が起こった場合に、所定の位置まで車を進め、そこで車をとめまして、放水にかかるということが可能なわけでございます。一人で乗務した場合には車を移動しながら放水をするということが大変難しくなりますが、一たん車をとめて所定の位置についてから放水するということは可能でございます。したがって、一人乗務でも最低限の機能としては確保できているというふうに私どもは考えております。
-
○
三浦(久)
委員 今のお話ですと、運転して走りながら消火作業をすることはできないというお話ですね。ところが、そういう消火作業というのは初期消火というのが大事なんで、とまって一秒でも早くばっと消火作業に入るというのが大事でしょう。近づきながらさあっと、そういう薬剤の消火液を散布するということが大事じゃないかと私は思うのですね。それが被害を最小限度に食いとめるという措置になるのじゃないかと思うのですが、もう一名でいいというお話なんですか、それとも運転手のほかにもう一人消火作業に当たる人が必要だというふうにお考えになっているのですか、どうなんですか。
-
○西村説明員 お答え申し上げます。
もちろん私ども一名ですべて足りると申し上げているわけではございませんが、一名でも基本的な能力は発揮できるというところまでは何とかいっている。より望ましい状態ということになりますれば、これは二名乗務の方が望ましいわけでございます。そのあたりにつきまして、私ども、毎年政府部内で、これはいろいろ関係方面にお願いを申し上げ、必要な要員の確保につきまして努力をしているということでございます。
-
○
三浦(久)
委員 総務庁長官、お聞きのとおりなんですね。ですから、大型といってこれは物すごく大きなものですね。それがたった一人で運転して、そして万が一のときには消火作業にも当たる、これはもう超人的な能力が要るのじゃないかと思いますね。やはり運転にも気を使わなければならない、消火作業にも気を使わなければならないということでは、私は満足のいく消火作業はできないだろうと思うのです。ですから二人乗務ということを要求しているわけですよ。二人乗務を要求しているけれども、毎年一名ずつしかふえないのです。
もう時間がないから私の方で言いますが、そうすると、いわゆる二人乗務を
実施する場合にはあと十二年間かかるわけですよ。十二年の間に事故がなければいいですよ、事故がない方がいいのですから。しかし、万が一事故があった場合には、やはり運輸省は責任を問われると思いますよ。ですから、そういう安全というのは交通機関を担当する分野においては最も重要な問題ですから、何物にも増して優先度の高い問題ですから、こういうところにも人員の重点的な配分というものを私はぜひお願い申し上げたいと思います。いかがでしようか。
-
○後藤田国務大臣
三浦さんのおっしゃることは私はよくわかるのですけれども、といって、
三浦さんのような考え方だけで対処すると、公務員はふえる一方でございます。やはりそういった必要な面についてはその省庁の中でまず配置転換をやる、配置転換が職種によってできないというのであれば、必要なところには新規採用してよろしい、しかしながら比較的暇なところは定員の削減をやりなさい、これくらいの厳しい定員管理をやらなければ公務員はふえる一方でございますから、御説はよくわかるけれども、そこらは、人をふやす前にまたそれぞれの省庁でとっていただく措置が残っておるのではないか、かように考えます。
-
○
三浦(久)
委員 だんだん本性が出てきたような気がしますけれども、時間がありませんから次へ参ります。
最後にお尋ねしますが、今回の改正では、再任用職員については失業者の退職金というものが支給されないことになっておりますね。失業者の退職金というのは何となく耳なれない言葉なんですけれども、これはどういう制度なのか、ちょっとお答えいただきたい。
-
○藤井(良)政府
委員 国家公務員等につきましては雇用保険法の適用がございませんので、同法の趣旨から見て本来社会保険制度として広く適用さるべき建前のものであり、これら職員といえども、退職後失業している場合には同法の失業給付程度のものはこれを保障する必要がございます。このような趣旨から、退職手当法十条におきまして、失業者の退職手当、言葉は余りよくありませんけれども、国家公務員が退職時に支給された退職手当が雇用保険法の失業給付に満たない場合には、その差額分を特別の退職手当として、失業の認定を受けた日について支給するという制度でございます。
雇用保険法は、労働者が失業した場合に、所要の給付を行うことにより労働者の生活の安定を図り、求職活動を容易にするのを主たる目的としております。国家公務員等は
法律によって身分が保障されており、民間従業員のように景気変動による失業が予想されにくいこともあって、同法の適用対象から除外されているわけでございます。
-
○
三浦(久)
委員 今度の改正で、再任用職員については失業者の退職手当金を支払わないということになっておりますね、括弧書きで。これはどういう理由でしょう。
-
○藤井(良)政府
委員 今回の改正法におきましては、定年退職後勤続期間が引き続かないで再任用された者が退職する場合には、その再任用期間を算定基礎とした退職手当を支給することとし、失業者の退職手当は支給しないことにしております。
その理由は、まず第一に、再任用された者には既に定年退職時において退職手当が支給されており、一般的にはその退職金は相当多額になるものと見込まれること。第二に、公務の運営上著しい支障が生ずると認められる勤務延長の場合、退職金の金額が大きく、失業者の退職手当を支給される場合はほとんどあり得ないことから、再任用者と勤務延長者のバランスを図ること等を考慮したこと。第三に、再任用の場合、定年退職時の退職手当と再任用期間中のみの退職手当とを合わせ考えますれば、失業給付によって補てんされる実質的必要はないというふうに考えたからでございます。
-
○
三浦(久)
委員 勝手に六十歳定年の退職金と一年ないし三年の再採用後の退職金とを足してしまって、それで比べるなんて、そんなことは勝手にはできないはずです。それはまたおいおい質問していきます。
労働省にお尋ねしますけれども、再任用後の一カ月の俸給が仮に二十五万円、これは大体八割に下がりますからね、二十五万円、そして年齢が六十一歳から六十三歳、勤続年数が一年ないし三年、この人の雇用保険の失業手当というのはどのぐらいになりますか。
-
○
佐藤説明員 ただいまの御質問、具体的な数字をお挙げになりましたので、ちょっと計算をしている時間がございませんが、計算の考え方を申しますれば、雇用保険の失業給付の基本手当が今問題になると思いますが、雇用保険が適用になっている人の場合のことを申し上げますと、退職前百八十日の平均賃金に対しまして、その六〇%から八〇%の範囲内で給付率が決まる、その給付率を掛けた額が基本手当として支給をされるわけでございます。
それから支給の日数でございますけれども、これは年齢、それから被保険者であった期間によりまして細かく分かれますので、ただいまの御質問の趣旨に沿いまして、五十五歳以上六十五歳未満であり、被保険者であった期間が十年以上である方の場合を申し上げれば、これは一年の期間の範囲内で三百日を最高限度として支給される、こういうことでございます。
今申し上げましたのは、雇用保険法が適用になる方の場合について申し上げたわけでございます。
-
○
三浦(久)
委員 おたくからちゃんと計算してもらっているものだから、答弁できると思って質問したのですが、おたくのお答えですと、今の設定で百四万五千八百円の失業保険を本来であればもらえるんだという。そうしますと、俸給月額が二十五万円で勤続三年の人の退職手当は七十五万円ですよ。それで、勤続二年の人は五十万円ですよ。そうすると、仮に保険給付の方が百万円としますよ、もう面倒くさいから端数をはしょって。そうしますと、その差額は、勤続三年の人は二十五万円出てくる。二年でやめた人は五十万円の差額が出てくるんですよね。そうすると、本来三年勤めた人は二十五万円のいわゆる失業者の退職手当金をもらえるわけです。そして、二年しか勤めていない人は五十万円の失業保険給付を本来ならもらえることになるわけですね。ところが、今度の改正でもってもらえなくなるわけですね。これはやはり労働者にとっては非常に大きな影響を及ぼすだろうと私は思うんですよね。大体金額はそんなものなのかどうか、ちょっと総務庁でも労働省でも確認してください。
-
○藤井(良)政府
委員 失業手当金の方はちょっとわかりませんけれども、退職手当の方は、三年ならば七十五万円、二年ならば五十万円になります。
-
○中島
委員長 午後四時五分から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後三時三十六分休憩
――――◇―――――
午後四時十三分
開議
-
○中島
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
三浦久君。
-
○
三浦(久)
委員 総務庁にお尋ねいたしますが、再任用職員には失業者の退職手当金が支払われないことになっておりますが、そうだとすると、その職員に雇用保険法をかけさせるのでしょうか。
-
○藤井(良)政府
委員 再雇用の職員については失業者の退職手当を支給しないことになっておるわけでございますけれども、再任用の場合に失業者の退職手当を支給しないのは、前にも申し上げましたように、再任用された者は既に定年退職時において退職手当が支給されておりまして、退職手当というのは一般的に言えば相当多額なものになること、それから再任用者の場合、定年退職時の退職手当と再任用期間中のみの退職手当とを合わせ考えますと、さらに失業保険給付によって補てんする実質的必要性がないというふうに政策的に判断をいたしまして、こういうような措置をとっているわけでございます。
-
○
三浦(久)
委員 何ですか、雇用保険に加入はさせないということですか。それをちょっと、質問に答えてください。
-
○藤井(良)政府
委員 再任用者の場合は雇用保険に加入させないということでございます。ただ、再任用ではなくて、日々雇用の形をとれば雇用保険の加入は可能でございます。
-
○
三浦(久)
委員 労働省にお尋ねしますが、雇用保険法の第五条、ここでは公務員にも雇用保険法というのは適用されるようになっていると思います。そして第六条の第四号で適用除外になっているというふうに思うのですが、そのとおりですか。
-
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、この適用除外の要件というのは、公務員の場合、例えば「国に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法例、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸
給与の内容が、失業給付の内容を超えると認められる者であって、労働省令で定めるもの」、こうなっていますね。それで労働省令の四条で規定されています。そうすると、これはもっと平たく言いますと、退職したときの退職金が失業保険給付を超える者、この者については雇用保険法は適用除外ですよ。しかし逆に裏返して言えば、そういう適用除外の要件に合致しない場合には適用されますよということですね。そうすると、退職金の額が保険給付よりも少ない場合には雇用保険法が適用になるということじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
-
○
佐藤説明員 今お話しのように、退職金の額がその者が雇用保険の被保険者であったとした場合に受けるべき失業給付の総額を下回る場合には適用があるということでございますが、問題はその退職金の額、どういう額とどういう失業給付の額を比べるかということであろうと思います。
今御質問になっておりますのが再任用の問題でございますので、これに当てはめて考えますれば、先ほどの総務庁の御答弁と同じことになるわけでございますけれども、再任用の場合には、定年退職時に受ける退職金とその後の再任用後に受ける退職金とを合わせたものをもって、かつ、失業給付の方も定年前と後を通算したとした場合に受けるべき失業給付の額、これを比較をして適用の有無を定めるべきものというふうに考えております。
-
○
三浦(久)
委員 何でそんな計算の仕方ができるのですか。六十歳定年でやめたときのものと後の三年間勤めた退職金の額とを合算してやるなんて。それからまた、もう一つは、例えばちょっとわかりやすく、二十歳で勤めて、六十歳でやめて、後三年勤めた、四十三年勤めたとします。そうする場合に、あなたの場合には、失業保険金の給付の算定期間は四十三年にするということですね。そして、退職金も六十歳でもらったのと六十三歳でもらったのを一緒にして比較する。そうすると、退職金の額の方が多いから雇用保険法の適用除外だ。こう言われるわけでしょう。何で勝手に足してしまうのですか、勝手に足すことなんてできないでしょう。
-
○
佐藤説明員 この再任用の場合には、再任用後の雇い主といいますか、これは定年前の雇い主と同じでございますし、それから、その職務の内容も制度上大体前と同じような形であるというふうに理解をされるわけでございます。こういう場合ですと、現在民間の労働者、つまり雇用保険法の適用を受けております被保険者につきましても、定年で退職をして、そこで退職金を受けて、それから同じ事業主に再雇用になるケースが多数ございます。その場合に、定年に達したときにその事業主から離職をしたということでその手続をし、さらにすぐその後で、また同じ事業主に雇い入れられたというような手続はしておりませんで、これは前後つながっているものとして取り扱っているわけでございます。そういうこれまでの取り扱いとの整合性を考えますれば、今申し上げたようなことになると思っております。
-
○
三浦(久)
委員 あなたは雇用が継続している、民間の場合にA社に勤めておって、やめてまたA社に勤めた、こういう場合には雇用が継続していると見る。そうすると、今度の場合も、いわゆる再採用の場合も雇用が継続している、そういうふうに見るのですか。
-
○
佐藤説明員 雇用保険法の適用の上ではそういうふうに取り扱うのが適当だと思っております。
-
○
三浦(久)
委員 それはなぜですか。それでは労働省に聞きますが、前の雇用と後の雇用とが継続をしていない、別の雇用だという場合には、後の雇用の退職金が保険給付よりも少ない場合には雇用保険に加入させなければいけませんか。
-
○
佐藤説明員 先ほどの繰り返しになりますが、退職金の額と失業給付の総額とを比較をする場合の算定の仕方としてその前後を通算するということでございまして、したがいまして、退職金の額の方がそれで下回るというような事態が仮に起こるとすれば、これは適用になるというふうに考えております。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、あなたの今の答弁を聞いていると、その再採用の場合には前とずっと雇用が継続している、同一だ、だから二つ合算しちゃっても構わないんだ、退職金の額を合算しても構わないんだ。そしてまた、保険期間も四十三年というふうに定年プラス三年、さっきの設問でいけば四十三年というふうに計算しても構わないんだ、それで保険金と退職金と比較するんだ、こういう話ですね、どうですか。
-
○
佐藤説明員 雇用保険上の取り扱いとしてはさようにすべきものと思っております。
-
○
三浦(久)
委員 人事院にお尋ねしますけれども、私は御説明を聞いて、再採用の場合は新しい身分を取得するんだ、一たんそこでやめてしまいまして、そして新しく身分を取得する、ですから例えば一日あけて雇用される、任用される、そういうふうに聞いておるのです。そしてまた、再採用の場合の
給与も初任給というものをベースにしてやる、それでそれはいろいろな調整の仕方がありますが、ベースは初任給を基礎にしてやるというふうに聞いておるのですが、そのとおりでしょうか。
-
○仙田政府
委員 再任用の場合は、定年により一たん退職した職員で、そこで一たん任用関係が切れまして、間に一日以上日を置くか置かないかという問題はどちらでもいいのですけれども、新たな任用が行われる、こういうことでございます。
給与の関係は
給与局長からお答えいたします。
-
○鹿兒島政府
委員 給与の決定につきましては、中途採用と同じような扱いをいたします。
-
○
三浦(久)
委員 中途採用の扱いとはどういうのですか。
-
○鹿兒島政府
委員 人事院規則九-八に基づきまして、新しくその初任給を決定するということでございます。
-
○
三浦(久)
委員 全然別な雇用なんですよ。そこで雇用が継続していると言えないのですよ。六十歳定年までと再採用の場合に全く雇用が違うのに、何で雇用保険上は同一とみなされるのですか。それをちょっと説明してください。
-
○
佐藤説明員 再任用の場合には、今その性質については御説明があったわけでございますけれども、実際に雇われる、再任用される雇い主といいますか雇用主、それから仕事の内容がほぼ同じであること、それから退職金、これは雇用保険を適用するかどうかは、その退職手当等の額で失業給付に当たる分がカバーされているという考え方で、先ほど御指摘になりました雇用保険の適用除外の制度ができておるわけでございまして、そういう趣旨を全体として考えますれば、退職手当を受けて定年で退職をする、または同じ雇用主にすぐに雇用されるというような場合に、雇用保険上は、そこで雇用関係が切れて一たん退職の手続をして、また同じ事業主に雇われたという手続をするのは、現在民間の被保険者について行っている手続、つまり定年退職のときに退職金を受けて、それでまた再雇用される場合の取り扱いとの均衡、整合性を考えて、先ほど来申し上げておるような取り扱いにしている、こういうことでございます。
-
○
三浦(久)
委員 そうすると、A社に勤めておって、定年でやめてまたA社に勤めた、そういう場合には雇用保険上一たんやめたことにしない。やめたことにしないというのはどういうことですか。保険期間を通算するということでしょう。保険期間を通算する、だから雇用は同一とみなされるのだ、こういうことですか。
-
○
佐藤説明員 定年で退職をしたときに、離職をして被保険者資格を喪失をして、それから次に再雇用になったときに新たに被保険者資格を取得をしだというような取り扱いをしないで、そういう手続を一切やらない、続いたものとして扱う、こういうことでございます。
-
○
三浦(久)
委員 この通算をするというのは、何も同一の事業主に雇われた場合だけじゃないのですよ。通算をするのは、例えばA社に勤めておって、やめて、それでまた一年以内にB社に勤めた、その間に保険給付をもらわなかったという場合には、A社とB社の場合だって雇用保険上は保険期間としてはちゃんと通算するのですよ。その場合に、通算するから雇用は同一だと言いますか。A社に勤めた雇用とB社に勤めた雇用と、雇用保険上は同一だと言うのですか。たまたまA社に勤めて、やめて、そしてまたA社に勤めた、雇用保険が通算する、だから雇用は同一だ、こう言うのだけれども、雇用が同一だから通算するのじゃないのです。また継続だから通算するわけでもないのです。雇用が継続しているとか同一とか、そんなことに関係なく雇用保険法は通算しているじゃありませんか。そうでしょう。
だから、それは、もう一回言いますが、雇用が同一だから通算をするのだとか、雇用が違っているから通算をするのだとか、そんなことじゃないのです。通算をするということは、労働者の保護という観点で通算をしているだけの話です。雇用の継続性とか同一性とかそんなものとは関係なくやられていることであって、保険期間を通算するから雇用は継続しているとか、そんなのは全くへ理屈なんですよ。いいですか。その点あなた、どう思いますか。
-
○
佐藤説明員 私の申し上げているのは、雇用保険法上で言うところの被保険者期間の通算のことを申し上げているわげではございませんで、被保険者の通算ということになりますと、先生が今おっしゃいましたように、A社から別のB社に移った、それで両方の会社で被保険者であったその期間を合わせて受給資格の決定のときに考慮するという制度がございますけれども、私が先ほど以来雇用が継続すると申し上げているのは、同じ事業主の間で一たん雇用が切れたとして、また同じ事業主のところで新たに雇用されて被保険者になった場合は、つまり通算というよりは継続している、全くそういう扱いにするということでございます。
-
○
三浦(久)
委員 だって、人事院は新たな雇用だと言っているでしょう。新たな任用なんですよね。それをあなたが勝手に、何の根拠も示さずに、雇用保険法上は同一の雇用なんだからそれは継続しているとみなす、そんなこと勝手にみなされては困るわけだね。そうでしょう。さっき言ったように、身分が一たんなくなって新たな身分を取得する、そして再任用についての
給与も初任給を計算してやるんだ。それをあなたが勝手に、雇用保険上は同一の雇用ですとか、継続の雇用ですとか、そんなことを勝手に言うことはできないでしよう、あなた。どういう根拠があってそんなことが言えるのですか。どういう根拠があるのですか。
法律上の条文を明示してください。
-
○
佐藤説明員 雇用保険法の六条四号で、先ほど先生もおっしゃいましたように、この場合で言いますと、退職手当の額が失業給付の額を上回る場合に適用除外になるわけでございますけれども、今回の定年退職、再任用という場合を考えてみますと、定年退職のときに退職手当を受ける、これは先ほど総務庁の御説明にもございましたけれども、相当長い期間をカバーする手当であるということでございますので、現在の公務員等の雇用保険法の適用に当たっての制度上の考え方と、今私が申し上げましたやり方とは、私は合っていると思うわけでございます。
-
○
三浦(久)
委員 面倒くさいから、ちょっと一つずつやっておられないのですが、あなたはさっき、退職金の額を算定する場合、六十歳でやめたのと後の延長になった場合と二つ合算する、雇用保険の保険期間を計算する場合も合算するんだ、こう言いましたね。あなた、そう言いましたね。雇用が同一なんだから、継続しているんだから合算するんだ、こう言った。そうすると、公務員の退職金というのはどういう性格を持っていますか。それは失業保険給付も内包しているのじゃありませんか。総務庁、どうですか。
-
○藤井(良)政府
委員 内包しているというよりも、むしろ、失業保険給付に満たない退職手当が出た場合に、それを失業保険の給付の額まで退職金として支払うという考え方だろうと思います。
それで、先ほどから
三浦先生の考え方をお聞きしているわけでございますけれども、私どもの方としては、この再任用という制度を考えます場合に、むしろ本人にとって有利だということで、そこで一たん退職手当をもらった方が、後で
給与の額が下げられてからもらうよりも、本人に有利な選択をさせようという考え方でこの制度をとっているわけでございます。そこのところを御理解願いたいと思います。
-
○
三浦(久)
委員 それはあなた、政策論なんですよね。政策論というのは、そういう意味では、立法理由とかそういうものは私はよくわかりますよ。しかし、少なくとも、そういう行政をやる場合に、
法律をつくるという場合に、他の
法律との整合性というものをこれは考えざるを得ないんだね。そうでしょう。幾らこうやりたいと言ったって、ほかの
法律に違反したらこれはできないのですよ。そういう意味で、私は、
法律の整合性という問題で、失業者の退職手当金を再任用について払わないのであれば、雇用保険法を適用せざるを得ないのではないか、そういうことを御質問しているわけですね。
それで、今あなたは入っておるわけじゃないみたいなことを言ったけれども、あなたの前任者の山地さんはこう言っています。これは五十六年十月二十九日、参議院の内閣
委員会です。こちらの質問、「退職手当法の体系から見ましても、退職手当の中に雇用保険の給付に該当するこの見合うものが含まれていると、こういうことになりますね、当然。」これに対して山地さんは、「そのように私も理解しております。」こう言っているのですよ。
だから、退職手当金というものの中には――確かに退職手当が保険給付より少ない場合にはそれを補てんする。補てんしないと雇用保険法第六条四号の「超える者」いう要件に当たらないから、こういう十条の規定をつくっているわけですよ。しかし、退職手当金が支払われた場合、その失業保険給付よりも多い場合には幾ら失業したって失業保険給付は出ないのですよ。そうでしょう、何年失業していたって。だから、それを説明するために、あなたたちは、退職手当金の中には失業保険給付に見合うものが含まれておるのです、こういう答弁をしているわけですよ。そうじやないのですか。
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○藤井(良)政府
委員 性格的に言って含まれているというふうに見る見方もあると思いますけれども、私どもの方といたしましては、要するに失業者の退職手当と申しますのは、退職手当の額が失業保険金の給付額に満たないときにその額まで退職金を補てんするといいますか、上げてやるという考え方だろうと思います。それで、先ほどから労働省の方から御説明がございましたけれども、我々の考え方と雇用保険法の考え方は大体一致していると思っております。
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○
三浦(久)
委員 それは
法律の精神じゃないよ。あなたたちが一致しているのは政策目的が一致しているというだけであって、法制度そのものの趣旨が一致しているということじゃありませんよ。今、含まれているわけじゃないと言うけれども、山地さんはそう答弁しているじゃないですか。どうなんですか。そんなふうにくるくる、くるくる答弁が変わっちゃ困るのだな。長官に答えてもらってもいいのですよ。
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○藤井(良)政府
委員 先ほどから申し上げておりますように、要するに失業者の退職手当と申しますのは……(
三浦(久)
委員「ちょっと
局長、失業者の退職手当を聞いているのじゃないのですよ。公務員の退職金のことを聞いているのですよ」と呼ぶ)公務員の退職金が失業者の失業給付に満たないような場合には、失業者の退職手当まで引き上げて支払う、したがって包摂しているという見方もできると思います。包摂しているという見方もできないことはないと思いますけれども……
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○
三浦(久)
委員 そうすると、労働省にお尋ねしたいのですけれども、A社というところに勤めていますよ、そしてそこをやめた。やめて、例えば失業保険金をもらった。もらってから、今度B社に勤めた。そういう場合に、これは通算できますか。今度二番目にB社をやめたときの保険期間を、A社とB社の期間、通算をできるのですか。できないでしょう、これは。どうですか。
-
○
佐藤説明員 今おっしゃったような例ですと、通算はいたしません。できません。
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○
三浦(久)
委員 そうすると、あなたは再任用者の場合だけを何で通算するのですか。例えば六十歳定年までの保険期間と、一応保険を掛けたものとみなして、いわゆる保険給付を計算してみなければいかぬから、その場合にあなたは、六十歳までのと、後の三年間を足すと言ったね、さっき。保険期間を計算する場合に。これは足したらいかぬでしょう。六十歳のときに退職金をもらっているのだ。退職金をもらっているというのは、その退職金の中には保険給付が含まれているのだから。一たん退職金をもらい、保険金をもらっていながら、何で定年前の保険期間と定年後の保険期間を通算して、いわゆる六十三歳になったときの失業保険給付を計算するのですか。そんなことはできないでしょう、あなた。どうですか。
-
○
佐藤説明員 雇用保険の給付同士のことでありますと、一たん受給資格をつけて給付を受けたという場合には、その給付を受ける前の被保険者期間を、その後に雇用されて被保険者となった場合の被保険者期間に通算することはできないわけでございますけれども、これは雇用保険の給付同士、雇用保険法の中の話でございます。
今お尋ねの件は、退職手当を受けて、その退職手当の中に失業給付の要素があるという前提のもとで、なぜ後で再任用の場合の退職手当と足すのか、こういうお尋ねだと思いますけれども、被保険者期間の通算の問題は、これは全く雇用保険制度内部の技術的な制度でございまして、その雇用保険と退職手当の関係ということになりますと、公務員の場合には、退職手当の方で失業給付に相当する部分がカバーされておるので雇用保険法の方が引っ込む、こういう関係でございますから、その辺の性質は若干違うと私は思っております。
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○
三浦(久)
委員 そうすると、雇用が継続しているかどうかということは、雇用保険は雇用保険で考える、いわゆる退職法は退職法上で考える、こういうことですか。そうであれば、さっきの人事院の説明じゃないけれども、これははっきり雇用が切れているのであります。雇用がはっきり切れていて、新たに初任給でやっているわけです。そうすれば、それを同一の雇用であるとか継続している雇用だとかと見れないのは当然なんですよ。
それから、今私が指摘したように、あなたの場合には、通算をするのだから同一の継続した雇用だ、こういうふうに言いたい。そのために通算した。しかし、通算ができないものを勝手に通算してやっているのだよね。ですから、雇用保険法上も同一の雇用とみなすということはできないのだ。ましてや国家公務員法上、これも同一の継続した雇用だというふうに見ることができない。そうすると、それは雇用が切断されているわけだから、雇用保険法の問題、退職手当法の問題、そういうものは別々に考えていかなければならないはずなんだよね。再任用者に失業者の退職手当を払うか、それでなければ雇用保険を掛けさせるか、そうしなければ雇用保険法との整合性がとれない、私はそう思うのですよ。その点をちょっと
総務庁長官にお尋ねしたいのです。
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○後藤田国務大臣 大変技術的な問題で、私は正確にお答えができないのじゃないかな、こう思いますが、事務当局が言っているとおりだと私は思っているのですが、どうも雇用保険法のジャンルと公務員の退職手当法のジャンル、そこに何か違いがあるのじゃないかな、実は私はこういう理解をして聞いておったのです。答弁にならぬかもしれませんが。あとは事務当局に答弁させますから。
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○藤井(良)政府
委員 再度繰り返しの答弁になるようで恐縮でございますけれども、退職手当というのは、先生も御存じのように、長年勤続した方の勤続に対する報償として出すというのがその本質的な性格でございます。ただ、非常に短期でやめる方につきましては、社会保険制度としての雇用保険が公務員には適用になっていませんので、その意味において、雇用保険法で言う失業給付に対する差額を退職手当として出しておるということでございます。
先ほども申し上げましたように、再任用というのは、本来は継続してもいいわけですけれども、ただ、継続すると本人にとって不利になるために、そこに一日置いて退職手当を支給しているということを御理解願いたいというふうに思います。
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○
三浦(久)
委員 もう時間がありませんので申し上げたいのですが、私は、この
法律をこの内閣
委員会が可決をするということになりますと、これは雇用保険法との関係で重大な矛盾が出てくるというふうに思わざるを得ないのですね。ですから、労働省が言うように、法的に性格が別な雇用をしゃにむに一つの雇用だ、雇用は継続しているのだというふうにしませんと、これは雇用保険法との関係で整合性がとれないのですよ。なぜならば、雇用保険は公務員にも原則適用なんです。いわゆる退職金の額が雇用保険の失業給付よりも上回っている場合には適用除外、こうなっているだけなんであって、それを下回る場合にはこれは適用しなければならないのです。退職金の方が保険金より少ない場合には雇用保険法を適用しなければいけませんから、退職手当法の十条は雇用保険法の適用除外の要件を満たそうというので、いわゆる十条の失業者の退職手当金というものを出しているわけです。それで、本当は超えてないんだけれども、とんとんは超えているんだという勝手な解釈をして、六条四号の要件を満たさせているわけでしよう。
今度の再任用者については、そこで雇用が切れるんだから、切れればそこだけ三年間で判断しなければならない。三年間で判断すれば、退職金の額というのは保険給付より少ないのです。少なければ、それに対して雇用保険が適用されるか、さもなければ失業者の退職手当金を払って同等に埋めてやらなければならないのですね。そういう手続を何にもしないのです。
時間がないから私は言いっ放しにしますけれども、私は内閣法制局ともいろいろ詰めましたが、答えられないのです。労働省の役人だって、最初に来て、全然答えられないのですから。それで、帰っていってそして上司と相談して、さっきみたいな変なへ理屈をぐじゅぐじゅ言っている。これでは
総務庁長官、聞いていたってわからなかったと思いますよ。
この退職手当法の改正をやる場合に、その十条と雇用保険法との関係というものについて実際には政府は検討してなかったのですよ。それで、私に指摘されましてばたばたやっているけれども、いい知恵がわかないのです。それで無理やりに同一の雇用なんだ、雇用が継続しているんだという牽強付会の議論を今展開しているけれども、しかし、それだって一つ一つ全部論破できるわけです。ですから、雇用が継続してないんだから、私が言うように素直に雇用保険法を適用させるか、失業者の退職手当金を支払うか、さもなくんば
法律を改正するか、どっちかにしなければならないと思うのです。
委員長、ぜひこれは
理事会で少し検討していただきまして、本当に雇用保険法との整合性がとれているのかどうか、その検討の場を
理事会として持っていただきたいというふうに私は思うのです。このままこれを可決しますと、何といいますか、内閣
委員会の権威に関する問題ではなかろうかというふうに私は思っておりますので、ひとつ御考慮いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
終わります。
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○中島
委員長 行政にさらに検討をお願いするとして、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十八分散会
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