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1985-04-10 第102回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  電気通信に関する小委員       加藤常太郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    関谷 勝嗣君       野中 広務君    吹田  愰君       渡辺 紘三君    伊藤 忠治君       鈴木  強君    武部  文君       竹内 勝彦君    西村 章三君       佐藤 祐弘君  電気通信に関する小委員長   加藤常太郎君     ――――――――――――― 昭和六十年四月十日(水曜日)     午前十時十三分開議 出席委員   委員長 渡辺 紘三君    理事 加藤常太郎君 理事 関谷 勝嗣君    理事 野中 広務君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       谷垣 禎一君    額賀福志郎君       森  美秀君    森  喜朗君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       中村 正男君    松前  仰君       中川 嘉美君    山田 英介君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 左藤  恵君  出席政府委員         郵政政務次官  畑 英次郎君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政大臣官房人         事部長     中村 泰三君         郵政省郵務局長 塩谷  稔君         郵政省貯金局長 奥田 量三君         郵政省簡易保険         局長      大友 昭雄君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信 澤田 茂生君         局長         郵政省放送行政         局長      徳田 修造君 委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 田中 誠二君         郵政大臣官房首         席監察官    陣野 龍志君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     新村 勝雄君   中井  洽君     中村 正雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     伊藤 忠治君   中村 正雄君     中井  洽君 四月三日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     渡辺 嘉藏君   中井  洽君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 嘉藏君     伊藤 忠治君   青山  丘君     中井  洽君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第二  二号)  お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等  の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二三号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺紘三

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 郵政大臣所信表明に関しまして、既に同僚の方からいろいろ質問がございました。私は重複しない点で、その他の何点かの問題について郵政省見解をただしたいと思います。  前の奥田大臣のときにも申し上げましたが、郵政省の戦後の歴史をずっと振り返ってみますと、郵政事業を所管する郵政省の対外的な評価あるいは対内的な各事業のいろいろな問題がこの四十年の間に非常に変わってきた、しかもそれは、急テンポに変わってきましたが、特にここ数年、新しい情報通信産業の問題が俎上に上がりまして、郵政省評価は非常に高くなってきましたし、同時に、これに関するいろいろな業務郵政省に集中してきた、これも事実であります。  しかし現実に、それならば一体、郵政省の三十万の職員はどういう分布状況になっておるだろうか、これを見ますと、郵便事業が約十四万人、貯金が六万六千人、保険が四万六千人、大体これで二十五万を超えるのであります。さらに局長管理者、こういう共通部門皆さんが五万二千人ばかりおられる、大体これで三十万を超すのでありまして、ほとんど九割九分と言っていいほど郵政事業並びにこれを統括する共通部門、こういう形で郵政省組織というものは構成されておるのであります。  今日、情報通信の問題、放送、電波、こうした問題が申し上げるように郵政省の非常に大きな業務一つになったことは否定できませんが、これに関係をしておる職員の数は約三千人。言うならば郵政職員のうち、一%がこの事業に携わっておられる、九九%は相変わらず三事業に従事しておられる、こういう郵政省組織上の構成になっておる、これを我々は忘れてはならぬ、このように思うわけであります。  今郵政省現業官庁から政策官庁へというようなこともいろいろ言われておりますし、私は事実そうだろうと思います。これも大変大事な仕事であります。前大臣にも申し上げましたけれども郵政省設置法はもう明確に郵便事業、そして貯金保険事業という三つを事業として規定づけておるわけであります。電気通信業務であります。この違いは歴然と郵政省組織規程の中にあるわけであります。しかし時代は変わってきたわけですから、そういう意味で、この組織規程が現在の郵政省仕事にぴったりだとはあるいは言えないかもしれません。それはそれとしていろんな御意見があろうし、これは時代が変わってきたわけですからまた何らかの変革があろうと思いますが、現実はそうだということだけは我々は忘れてはならぬ、こう思います。  郵政省がここ数年来いろんな単年度予算をつくられあるいは政策をつくられて、政府部内でいろんな主張をしてこられましたし、努力をしてこられたけれども、残念ながら今日、三事業について目ぼしい政策というものが実行されておらない、これは残念ながら私は認めざるを得ない、このように思います。端的に言うならば限度額あるいは制限額、あるいは新しい貯蓄目玉商品、そういうものについてはここ数年来何らの進展も見ておらない。  一方、放送、衛星、国際放送、そういう問題については、予算折衝の中でクローズアップをされて、大々的な出資が行われてきて若干の成果は上がっておるように見えますが、これとて満足なものではありません。むしろ去年の予算編成の際にあらわれましたような、少額貯蓄課税のような問題が相も変わらず大蔵省から郵政省に対して、言葉は悪いかもしれませんが、攻撃がかかっておる、そういうものの防戦にとらわれて、肝心かなめ郵政事業の新しい分野の政策というものが日の目を見ない、こういうことが現実の姿ではないだろうか、このように思います。  したがって、先ほど数字を申し上げましたが、三十万の職員のうちの九九%が三事業に携わり、現実国民皆さん期待と信頼の中で、国民生活と密接不可分な業務に連日携わっておるわけでありまして、こういう諸君のためにも、あるいは国民皆さんのいろいろなニーズにこたえる面からも、沈滞をした郵政事業についてもっと明確な、しかも国民にはっきりとわかるような政策実現郵政省努力をする責任がある、このように思います。  大臣は久しぶりの部内出身でありまして、現業の様子もよく御承知の方ですから、私が申し上げるまでもなかろうと思いますが、特にまた、放送事業にも携わっておられたわけでありまして、そういう面では、両面を大臣はよく熟知しておられる方だと思います。そういう意味で、今日まで実現できなかったここ数年来の郵便、あるいは貯金保険限度額制限額あるいはシルバー貯金、あるいは運用権の拡大の問題、そういうものについてどういう決意でこれから臨まれようとしておるだろうか、これを最初にお伺いをしたい。
  4. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のように郵政事業は、国民生活に密着した郵便貯金保険、そうしたサービスを郵便局を通じて国民のために奉仕をしなければならない仕事であるということでございます。そういうことによって国民の福祉の増進に努力をしなければならない性格のものでありますが、国の財政状態、また民間の活動と国営事業との関係というふうなものについてのいろいろな問題がございまして、例えば御指摘のような限度額問題一つを取り上げてみましても、これは課税をするかしないかということでは免税の問題がございまして、今、国の財政状況というようなこととのバランスの問題で非常に厳しい抵抗と申しますか、実現することに困難が生じておるわけでございまして、我々の努力が至っていないということについて申しわけないという気持ちでおるわけでありますけれども、今後こうした問題についてもさらに努力をしていかなければならない、このように私は思います。  言葉が悪いかもわかりませんが、攻め込まれてきておるものに対してそれを押し返すのが精いっぱいのようなことで、それからさらに突き進んで一歩も二歩も前進させるということが十分でなかったということについて、省としても反省もし、また、今後これをはね返して国民皆さんのための施策を十分できるような条件づくりをしていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  5. 武部文

    武部委員 確かに大蔵省が今日まで毎年のように、郵政省に対していろいろな問題で攻撃をしかけてきたということは私も承知しております。いろいろ困難な面はあろうと思いますが、先ほど申し上げたように、郵政事業の発展のためにもぜひ郵政省としては、決意を新たにして頑張ってもらわなければならぬ、このように思うわけであります。  そこで、一、二点各局長にお伺いをいたします。  去年の六十年度予算編成の際に政治決着を見ました少額貯蓄非課税の問題です。これは新聞を見てもそうでありますが、どっちも勝った、勝った、郵政省も勝ったと言うし、大蔵省も勝ったと言って、イラン・イラク戦争みたいなもので、ようわからぬのであります。一体どうなっておるのだろうか、こういうふうに思うのです。  この少額貯蓄非課税問題について、郵政省は本当に勝ったと思っているのか。勝ったと思うなら勝ったと思ってどんどん攻めていけばいいので、負けたと思ったらまた巻き返さないかぬし、一体本当に勝ったのか負けたのか、ようわからぬのです、どっちもそう言っておるものだから。ひとつ貯金局長から明確にこの問題について見解を述べていただきたい。
  6. 奥田量三

    奥田政府委員 御指摘の六十年度予算編成過程と申しますか、その前から昨年一年間、この少額貯蓄非課税制度をめぐってさまざまな議論があったわけでございますが、郵政省はその間一貫して、個人の小口の貯蓄が一方では、国民一人一人の生活自助手段として果たしてきた役割、また、その集積が財投を通じて日本の社会資本形成の主力となってきた事柄等にかんがみまして、今後とも少額貯蓄非課税制度は堅持すべきであるという主張をいたしました。また先生方のお力添えもいただきまして、その結果、六十年度予算、税制の決着過程におきまして、少額貯蓄非課税制度の根幹は守ることができたわけでございまして、そういう意味で私どもとしましては、勝ちましたか負けましたか、それは自分ではよくわかりませんけれども郵政省として主張をし、求めてきた少額貯蓄非課税の堅持という基本的な主張は、貫き通すことができたと考えている次第でございます。
  7. 武部文

    武部委員 やっぱり勝ったという自信を持たなければ、これから先は仕事にならぬです。大蔵省は来年が勝負だと言っておるんですよ。我々は我々でまた来年ひとつやったろと言ってやっているのだから、今ここであなた方の方が、この間は勝った、押し出したというところで、やはりそれだけの自信を持ってこれから頑張ってもらわなければいかぬ、こう思います。  総額制限額の問題ですが、これは昭和四十年に百万、四十七年に百五十万、四十八年に三百万になって、十二年間そのまま据え置き、こういうことでは、これは問題にならぬです。そういう意味で、皆さんが毎年努力をされておることはわかりますし、この総額制限額の問題も非常に政治的な内容を持った問題であることは私もよく承知しておりますが、何としてもこれは突破をしてもらわなければならぬ。これは国民の、利用者期待であることは間違いないわけですから、この点はぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  簡易保険も同様であります。四十九年に五百万、五十年に八百万、五十二年に一千万ですから、これとて八年間も据え置き、この加入限度額の問題も今の現実状況から見て、一千万なんというようなことが妥当な金額ではないことはもう百も承知でありますし、局長もそういう気持ちでおられると思いますが、この一千万の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
  8. 大友昭雄

    大友政府委員 簡易保険加入限度額引き上げにつきましては、当委員会におかれまして、つとに改善を図るべき旨の附帯決議をいただいているところでございます。私ども郵政省としましても、昭和六十年度予算編成に当たりまして、省の最重要事項ということで取り組んでまいったわけでございます。関係方面との折衝を鋭意続けたわけでございますが、まことに残念なことでございますが、合意に達することができませんで、予算編成最終段階におきまして、簡易保険事業の実情を踏まえ、成案を得べく両省間で鋭意検討するということで、一応の六十年度予算編成における最終決着点という形になったわけでございます。  先生指摘のとおり、現在の限度額一千万円になりましてから既に八年を経過しております。その間におきます国民生活水準向上等もございますし、また加入者皆様方からも連年、強い引き上げについての要望をいただいているところでございます。私どもとしましては、昨年末の最終決着というものを踏まえながら、具体的な形で引き上げを早期に実現するべく今後、全力を傾注してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  9. 武部文

    武部委員 限度額といい、制限額といい、これは長い間の懸案事項であり、現場の第一線の職員は、この問題の解決に非常に大きな期待を持っておるし、郵政省に対して要望をしておることを私は承知しております。いろいろな困難な状況が、相手があることですからなかなか難しいだろうと思いますが、十二年といい、八年といい、今までの引き上げのテンポからいうと非常に間隔が大きくなってきました。これはぜひ早急に解決をしてもらわなければならぬ問題点だと思いますから、貯金局保険局とも全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。民間生保からあのような働きかけがあり、制限額引き上げに対する反対の請願等も出てきたことを私ども承知しておりますが、これはそれなりの処理をしておるわけですから、ひとつ自信を持ってやっていただきたいと思います。  私は、大臣にひとつこの際お伺いしておきたいと思いますが、歴代の大臣が就任されると、必ずと言っていいほど公約の一つシルバー貯金がございました。どの大臣も就任された直後に新聞記者会見では、シルバー貯金創設、これは大体一千万円くらいの金額を述べておられたわけですが、左藤大臣は一遍もまだそのことをおっしゃっておられませんか。
  10. 左藤恵

    左藤国務大臣 高齢化社会を迎えまして、シルバー貯金という一つの考え方も私は推進していくべきだと思います。  おっしゃるように、課税関係とかいろいろなことがありますけれども老後を安心してやっていただく、しかもそれは、今の例えば年金とかなんかでは十分でない、そして自助努力によってやっていかなければならないときに、そうした貯金を、郵便貯金で例えば一千万円というようなシルバー貯金をすることができるならば、それだけ安心して老後を過ごしていただけるわけでありますので、私はこの問題についても強力に推進すべきだ、このように考えておりまして、今度の予算のときにもこの問題を持ち出したわけでありますけれども、今お話ございましたようないろいろの情勢からこの問題が実現できなかった、非常に残念に思っておりますけれども、私は引き続いてこの問題は省として積極的に取り組んで、来年とにかく一千万円を目標にしてシルバー貯金創設ということを実施したい、このように考えておるところでございます。
  11. 武部文

    武部委員 わかりました。難しい問題ですが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  今度はちょっと視点を変えまして、人事管理というのは非常に難しい問題であります。相手人間ですからなかなか難しい問題ですが、これはたくさんの従業員を抱えた郵政省、三十万の職員を抱えた郵政省としては、この人事管理という問題はおろそかにしてはならぬ重要な課題だと思います。私もずっと郵政省の経過を知っておる者の一人でございますから、そういうことをひとつ参考に振り返りながら、現状の問題点一つ二つ指摘をして、郵政省見解なりを伺いたいと思うのであります。  四月一日付で人事異動がございました。三月三十一日に大量の職員退職をいたしました。これは通例の年度の行事でありますから、ことしはどのぐらいやめるだろうかと思っておりました。同じように電電公社もその時期に退職を発令し、人事発動をしておる、こういう似たり寄ったりのことが起きておるのでございますが、ことしは郵政省は三月と六月末ですか二回の退職を、定年制の施行もございましたので、減らして一回にしたということを聞いておりますが、本年三月三十一日の退職者の数はどのぐらいだったでしょうか。
  12. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 ことしの三月三十一日から定年制が実施されたものでありますから、従来は一般職員並びに管理者につきましても、三月末と六月といいますか、七月期の二回に分けていたものを、一般普通局管理者につきましては、やはり人事異動関係上、七月期に回しまして、その他の管理者、例えば特定郵便局長でありますとか一般職員につきましては、三月三十一日をもちまして退職をするという取り扱いにいたしました。  詳細な数字をちょっと持ち合わせておりませんけれども、約二千弱ではなかったかというふうに考えております。
  13. 武部文

    武部委員 今の数字はちょっと勘違いしておられるのではないでしょうか。全国でどのぐらい退職者があったか。
  14. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 約三千八百名でございます。一般職員と間違えました。
  15. 武部文

    武部委員 今の数字職員という数字ですか、局長は入っていないのですか。
  16. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 郵便局長も入ってございます。
  17. 武部文

    武部委員 退職申し出人数は幾らだったか、御承知でしょうか。――時間の関係で結構です、私は若干調べていますから。  実は、希望退職者の数は非常に多いのであります。退職希望しておる人は非常に多い。退職希望しても退職をさせてもらえない、こういう人数が非常に多い、これは事実であります。電電公社希望退職者全員退職させました。ここに違いがある。それは予算関係だという、これはよくわかります。予算上、希望者全員退職させることが不可能である。しかも、これは優遇退職希望する人が非常に多いわけですから、どこで線を引くか、何歳で線を引くか、これで現場の中では、もうことしはやめさせてもらえるだろうか、ことしは優遇にかかるだろうか、いろいろ自分で最後のときですから、計算をしたりしていろいろ考えて希望申し出るわけですね。それが各郵政局にまとめられて、ところが、なかなかやめさせてもらえない、こういう結果になって、去年よりもおととしよりもことしは特にひどかった、こういう状況になっておるようですが、これは間違いないでしょうか。
  18. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 勧奨退職希望された方が非常に多くて、いわば予算関係上、言葉は悪いのですが、積み残しになった方々が大勢おられるということは事実でございます。しかし総体的に見ますと、約七割くらいの申し出の者に対して勧奨退職が行われておりまして、これは特に五十九年度充足率が低かったということではございません。大体毎年度そのくらいな充足率になっております。
  19. 武部文

    武部委員 正確な数字は、三月三十一日で四月一日の発令、いろいろなことがございましたから、つい一週間ほど前のことですから、なかなか集計も難しかったと思いますが、ちょっと数字に問題があるようですから改めて検討してみてください。私が知っておるところでは、もっと開きがある、希望者がほとんどだめだった、特に女性は非常に年齢が高いところで引かれておるために、希望者がほとんどかからなかった、こういう状況であります。先ほど言うように電電公社全員、例えば中国通信局一つを例にとってみると、どうもあそこだけで千人ぐらい退職を発令しておるということを聞きましたが、やはり格段の差はあるようで、同じ三十万人にしても差がある。  私がなぜこのことを言うかというと、一たん退職希望をして申し出た者は勤労意欲が下がるのですよ。もうやめようと思って意思表示した者が、そのままもう一年か二年残っておれと言われたら、これはちょっと勤労意欲が下がる、これは人間として私は当然のことだと思うのです。どっちみちやめるんだ、こういうことに気持ちの上ではなると思うのですね。そういう意味からいうと、勤続年数の長い、しかも給与の高い人がやめて、そして新進気鋭の若い人が入ってくる、二人分あるいは三人分の予算になるかもしれませんね。長い目で見れば私は、そういう人事というものを今考えなければならぬ時代じゃないだろうか。  予算がないことはわかりますが、毎年このことを言ってきましたけれども、何とかそういう点の差し繰り、そういうものをしてこの際、希望者退職を入れてあげて、そして新しい若い人たちを採用していくという、これはまた職場の活性化のためにも大いに意味があると思うので、簡単にはできぬことかもしれませんが、これはぜひひとつ実現努力をしてもらいたいものだ、このように思います。定年制がしかれましたから、なかなか難しい問題はありましょう、しかし特例もあることですから、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  これに関連をして私は、特定局長の問題をこの際申し上げなければならぬと思います。  郵政省から私がいただいた資料によりますと、三月三十一日付で退職をした特定郵便局長の数は七百七十人、この中で四月一日付で局長後任が発令された者が約六百六十人、こういうことでございました。六百六十人の特定郵便局長が四月一日付で新しく発令されたわけですが、この六百六十人中やめた局長縁故関係にあった者は約百七十人ということを報告を受けました。これが正しい数字がどうかよくわかりませんが、百七十という数字です。六百六十に対して百七十であります。  ある県と言っておきます、ある県で十四名、特定郵便局長退職をいたしました。これに対して、この十四名の局長後任が四月一日付で発令されましたが、そのうち、退職した局長の息子が七人、十四名中半分の七人、局長の子供が局長に任命されておるのであります。これは具体的に県の名前は言いません、こういう事実があります。特定郵便局長任用規程というものは、もう御案内のように公達で出されておりまして、これは昭和二十年に出された公達が今日までずっと、若干の手直しはございましたけれども、今日特定郵便局長任用規程というものは戦後ずっと一貫して生きておるのであります。これに基づいて局長が任用されておるわけであります。  人事部長大臣も御承知だと思いますが、特定局制度というものが戦後いろいろな点で問題になりました。戦前からの特定局が戦後に変わってきましたけれども、いろいろな形で変わったが、その中で、局長の任用という規程は一貫して変わっていない。問題は非常にありますね、渡し切りの問題等は改善をされましたし、いろいろな意味で特定局も改善をされて、四十年のうちには大きく改革された、これは私も否定いたしません、認めます。しかし今申し上げたように、十四名の局長がやめて半分の七名の子供が局長に就任をしておる、これは人事管理上、人事の面で一体どういう影響を職場に与えるだろうか、我々は始終この職場を見ておりますから、そういう面でいろいろなことを考えさせられるのであります。  特定局長の任用は「年齢満二十五年以上ノ者」「相当ノ学識才幹アル者」、こうなっておるのであります。二十五歳以上であれば言うならば、だれでも局長になれる、自由任用制でございます。この自由任用制の規程は戦後ずっと、戦前からもそうでありますが、一貫をして特定郵便局長任用規程として今日まで貫かれておるのであります。これに基づいて今回、七百七十人がやめて六百六十人が採用されたが、百七十人が局長の縁故者である、ここにこの任用規程から来る任用の現実が生まれておる、このように思います。  もちろん局長の息子さんだからといって、十把一からげではありません。立派な子供さんもおるでしょうし、立派な、ここにあるように学識才幹のある方もおられるでしょう。しかし特定局には、皆さんがおつくりになった特定郵便局長代理というものがあるわけです。局長の下に局長代理、御承知のようにその下に主事がおり、主任がおるわけですね、職制はそのようになっておる。一般の当務者の上には四段階にわたって職制がしかれておるのであります。こういう現実の姿を私どもが見たときに、こういう人事がどんな影響を職場に与えるだろうか、職員に与えるだろうかということを無視するわけにはまいらぬのであります。  調べてみますと、この局長退職をして親族、特にこれは息子さんがほとんど任用されていく、そういう条件の一つに局舎があるということです。これも否定のできない事実であります。今、特定郵便局の集配特定局は、国費なりあるいは互助会建設というものがだんだんふえてきまして、もう二十年あるいは三十年も前から始まっていますから、順繰り順繰りでほとんどが国営及び互助会建設で局舎になっています。集配特定局で私費建設というのは本当に数えるほどしかない。一つの県で一つか二つか三つぐらいのものでしょう、その程度にまでなった。これは大変結構なことでありまして、これからもそういう局舎建設を続けてもらわなければなりませんが、無集配特定局はなべて私費局舎であります。私有であります。それと今の私が申し上げた特定郵便局長任用規程というものが結びついておる、こういう格好の中で今申し上げたような任用規程に基づく局長の任用が行われておる、こういうふうに見るのが大体妥当な見方ではないだろうかと思いますが、郵政省としては、私が今申し述べた点についてはどういうお考えでしょうか。
  20. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 先生指摘のありました某県における特定郵便局長の任用に当たりまして、縁故者といいますか、息子さんが五割も占めているというようなことにつきましては私、特定郵便局長の任用権が地方郵政局長にありますので、本省としてはつまびらかにしていないところでありますけれども特定郵便局長の任用に当たりましては、あくまでも選考任用の今日の方針のもとで、その地域において郵政事業を担い得る、地域の信望を担い得る責任感の強い活動力のある人材を簡抜するという方針で臨んでいるわけでありまして、局舎を提供するから特定郵便局長に任用されるということではございません。あくまでも特定郵便局長としてふさわしい人物を特定郵便局長に選考し、任用するという方針で臨んでいるところでございます。
  21. 武部文

    武部委員 公式答弁はそういうことにもなるでしょうが、問題は、やはり現実は無視してはならぬと私どもは思うのです。ですから、個人個人とか個々の名前を申し上げたくないので、やはり一般論として郵政省人事あるいは特定局のあり方、そういうものについては十分なひとつ調査をし、関心を持っていただかないと、これからの事業運営にそれがマイナスになるようなことが起こりかねない、このことを私はおもんぱかって言っておるのであります。  それならば、特定局長代理ということを申し上げました。主事を申し上げました。主任を申し上げました。これはそれぞれの職制で上がっていくわけであります。職場も千差万別で、無集配から集配特定局から普通局からいろいろなところがありますね、人数もまちまちであります。主任は当該の局で任命いたしますが、主事ということになると、これは転勤をしてよその局で主事に任命されていく、こういうやり方をしながら人事を大変うまくというか、慎重にやっておられる、これはそれなりに意味があると思うのです。当該の局に長くおらないで、昇進するんだから隣の局へ行って、そしてそこで苦労してやれ、これも一つの考え方でしょう。ですから私は、それを否定いたしません。そういうやり方が田舎の方では現実にやられておりますね、それはそれなりに成果を上げておると思います。  ところが特定局は、無集配局が今言ったようにまさに世襲、そういうやり方が今申し上げたような数字の中で歴然とあらわれておる。しかもこの人たちは転勤がほとんどない。無集配特定局長の転勤というのは、我々としてはいまだかつて余り耳にしたことがない。そういう世襲制であり、同時に転勤がほとんど行われないという特殊な職場であります。少なくとも十年、二十年、三十年、そういう長い経歴をもって勤め上げた人が、主任から主事になり、そして局長代理に任命されておるわけです。この人たちは最後には局長になって、そこで最後の定年を迎えてやめる。人間ですからお互いにそういう希望を持って勤めておるに違いないと思います。     〔委員長退席、吹田委員長代理着席〕 そういう芽を摘まんじゃならぬと思います。そういう人たちは全く登用されないで、今申し上げたように息子さん、そういう人たちがぼこんと局長に任用されてくる。確かに調べてみますと、それは無集配特定局であります。数が少ないです。ですからそういう局長代理は、二十名とか二十五名とか大きい集配特定局の局長になっていくとか、そういうことを考えておられるに違いないが、それにしても数が余り多くない。この点を考えると、やはり職員期待希望に沿えるような人事郵政省としてはやはり考えておかなければならぬ。これが職員に対して勤労意欲を燃え上がらして一生懸命働いていくための一つの法則であることも間違いないと思うのです。  先ほど人事部長は、局舎のことについて、それとは関係ない、こういうことをおっしゃいました。なるほど公式答弁はそうでなければならぬと思いますが、実はそうではない、ここが問題なのであります。しかし、現実任用規程があのように決められ、局舎は私有局舎であってもこれはいいということが規定上はっきりしておりますから、それは今ここで全部違法だとかそんなことを言うのではない。問題は局舎、その局舎が実は投資になっておる。投資にしても、格好の投資だということは局長の諸君が一番よく知っておるのであります。自分で局舎を建てるが、それはちゃんと郵政省との間に契約を結んで毎月毎月局舎料をもらっておる。その局舎料を計算をしてみると格好な投資になっておる、こういうことは間違いない。  しかも局長の中には、それは不都合を言い方だと思いますが、自分の子供を局長にするためにはこのくらいな投資は先行投資みたいなものだ、こういうことをうそぶいておる連中がおることは間違いないのです。これは限られた人間ですよ、限られた人間だが、そういうことをうそぶいておることを私は耳にいたしました。これも事実であることは間違いない。確かに大した先行投資ではないかもしらぬが、この局舎を自分が持っておるために将来自分の息子を必ず局長にできる、それならばここである程度の投資をしてももとは返ってくるということを口で言っておるのであります。こういう事実があることをぜひひとつ郵政省皆さんも知ってもらいたい。御承知だと思うのですが、そうなんです。  それならば、そういう状況の中でこういう人事が行われて局員がこれに対して一体どういう気持ちを持つだろうか。私はちょっと俸給表を調べてみました。今度発令された、先ほどの十四名のうち七名ということを申し上げました。この七名の局長はほとんど年齢三十歳以下です。この人たちは付近にいないのであります。全部よその局、郵政局があるいは大きな普通局に勤めておって、数年たって帰ってきておる、こういうケースであります。  昔は自由任用制のときに部外者から任用され、大問題になりました。少なくとも地方に土木出張所やいろいろなものがあるが、土木出張所の所長が全くの民間人が登用されたことがあるかといって問題になる、そんな長い歴史がございましたが、これは釈迦に説法で言わなくてもいいと思います。そういう歴史をずっと繰り返してきて、今部外から全く経験のない人がこの任用規程に基づいて登用されることはほんの一、二しかない、そういう状況にまでなったことは私は大きな進歩だと思いますし、結構なことだと思います、一、二例外はありますが。  しかし、それは今形を変えてこういう格好で局長が任用され始めてきた、これは数年来非常に数が多くなってきておるのであります。部外者の任用は、これはやはり世間体があるし、問題がある。何とか郵便局に入れておけというので都会に入れて、三年か五年辛抱してそこへ勤めさしておく、事務官に任用というのはすぐですから。今度の発令を見ると、新聞には事務官と書いてある、何々局事務官。なるほど昔は事務官にはなかなかなれませんでした。十七年くらいたたなければ判任官になれなかった。その時代と全く違う、一年たてばすぐ任官ですから。事務官としてちゃんと新聞に辞令として出ますね。一般の者から見ると、これはなかなか立派な人だなと思えるようになっておる。なっておるが、内容は三年か四年、たかが五、六年の勤続年数しかない人です。先ほどの十四名中の七名はみんなそうなんです。そういう人たち局長になったときにどういう給与になるだろうかと思って調べてみました。  三十歳の一般の平の職員は、局長に任命されますと管理職群の俸給表を適用されますから、ぽんと俸給表が上がりますね。一般当務者で三十歳の人が局長に活用されますと、直ちに三万三千六百円俸給がはね上がるのであります。これに対して今度は管理者手当というものがつきますね、一番少ない管理者手当は本俸の九%。これを合わせますと、三十歳の職員が二人おった、一人はそのまま残っておる、この一人は局長さんの息子で、帰って局長になった、直ちに俸給に五万円の差が出るのであります。これもちゃんと歴然と、俸給表から見るとそうなる。三十五歳、四十歳とずっとやっていきますと、だんだんこれは差が出てきますね。  なるほど管理者には、管理職群の皆さんには、超過勤務手当はないかもしれません。こっちは当務者にはあります。これは働いておるのですから当たり前のことでありまして、それは比較になりません。したがって、ここで同じ年齢で同じときに入って一緒に勤めたが、片一方は局長の息子で我が家に帰って局長になった、本人はそのまま当務者として残っておる。片一方と、局長になられた方との間に俸給麦で最低五万円の差が出てきた、これを一体職員がどう見るだろうか。局長任用の規程はございます。局舎の規程もあります。しかし、少なくとも人事管理の面で、こういう事実が職場の中でいい影響を職員に与えるだろうか、恐らくだれもそう思われないに違いない。そういうことをぜひ考えてもらわなければならぬのであります。  なるほど人事部長の言われるように、局長の任用は地方の郵政局長に権限があります。郵政局が監察局に調査を依頼して、その人物が局長の任用基準に当てはまっておるかどうかということを調査して発令されるというその手願も私は知っております。しかし、現実にあらわれた結果はこういう形になっておる。そうしてこれが、目の前におる者をつかまえては言いませんが、いろいろな形で不平不満となって職場の中に広がったときに、それは事業に対して決してプラスにはならぬと思う。たくさんの例を私は知っておりますが、一々申し上げません。こういうことを考えたときに、特定局長の任用、管理職群の登用という面については、慎重な上にも慎重な配慮をしてやられることが、現業の第一線で働いておる諸君に対する人事管理で最も大切な点ではないだろうか、このように思いました。  たまたまこの四月一日に発令されて、あちこちからそういう意見を聞きました。私は具体的な事実を見て、これならば職場で毎日働いておる連中が不平に思い、不満に思うのも無理はないと思いました。みんな三十歳以下であります、登用された局長の年齢を見ると。しかもそれは、わずか四、五年しか勤めていない。こういう人たちが、二十年、三十年と本当に一生懸命まじめに働いてきた人たちの上にぽんと局長の地位に座るということであります。これは人事のことですから大変難しいことですが、そういうことが少しでも是正されていくような方法を郵政省は、ふだんから各郵政局長に対して十分周知をして、人事管理の面で少しでもそういう不平不満がないようなあり方を考えるように指示すべきだと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  22. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 先生おっしゃるように、何といいましても人事の要請というのは、職員に公平感を与え、将来自分も大いに励んでそういうポストにつきたいという希望が持てるような人事でなければならないと思います。したがいまして、先ほど出ましたけれども、同年齢あるいは年齢が低くても局長なるがゆえに給与が高いというのは、それなりの特定郵便局長としての職務の困難性といいますか、あるいは責任の度合いというようなものによって給与の格付が決まっておりますから、それはそれとして御理解をいただけると思います。いずれにいたしましても、大勢の職員局長としてついていけるといいますか、評価できる人を特定郵便局長に選考するということが大原則であろうと思います。今後とも、先生の御指摘のあったような不満が職場に残ることのないように十分指導してまいりたいと考えております。
  23. 武部文

    武部委員 これは確かに人事問題でございまして、非常に難しい問題であることは百も承知であります。しかし余りにも極端な、だれが見てもおかしい、そして、前の局長が持っておった局舎がある以上、次の後任はあそこの息子さんだというようなことが大っぴらに言われ、また、それを本人が吹聴しているようなあり方はいいことではないと思うのです。たまたま今回の人事をめぐって発令された中にそういう人たちが非常に顕著におった。昔は自由任用制で部外任用でいろいろ問題があった、それを今度は形を変えて、わずか数年でそれにいけるのだというやり方に変わってきた、これは前よりもいいことです。前よりもいいことかもしれぬが、これがベター、ベストとは言われませんね。  そういう意味で、人事問題は慎重の上にも慎重にやってもらわなければならぬし、今後もそういう問題がたくさん起きるだろうと思います。大臣は地方でそういう経験をしてこられたわけですが、今、私が申し上げたことが現実に今この時期に起きておるということについてどのようにお考えでしょうか。     〔吹田委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 左藤恵

    左藤国務大臣 地方によりましては、そういったところがあるのではないかと思います。しかし特定郵便局長というのは、地縁性という問題も重視しなければならないという性格のものではありますけれども、今お話がありましたように、局舎を持っておるイコール局長に任命されるということではなく、事業に対する意欲、識見、経験を持った人が簡抜されていくべきであると考えます。そうしたことで、局舎とかなんとかということが任命につきまして、そのまま特定郵便局長の選考の対象になるということであってはならない。そうじゃなしに、今申しました形でやっていくように、選ぶ方も努力していかなければならないのじゃないかと考えております。
  25. 武部文

    武部委員 この問題はこれで終わります。  監察にお見えいただきましたので、私はこの機会に部内の犯罪についてお伺いしておきたいと思います。  ときどき職員簡易保険なり貯金の横領事件というようなものが新聞に出ます。大変残念なことですが、全国的にそういうものがあることは否定できません。福岡県の赤池の局長のような何億というような犯罪、さらに大阪の泉佐野ですか、この特定局長の横領事件、これは金額が余りにもべらぼうで、期間が非常に長い、これがどうしてみつからなかったのか。赤池の局長のごときは、大変な額を何年にもわたって横領し続け、それをどうして監察が見つけなかったのかということが、私どもから見ると不思議でならぬのです。もう処分も行われ、決着もついたように思いますが、この特定局長一つの局に長年おって、転勤がない、こういうこともまた一つの犯罪の温床にもなっているようにも思います。  それは別として、赤池の事件あるいは大阪の事件、この二つの事件は、近年起きた犯罪の中で最も大きい郵政犯罪の例ですね、この原因、なぜこれが見つからなかったのか、これを述べていただきたい。
  26. 陣野龍志

    陣野説明員 大変残念なことでございますけれども、赤池の局長犯罪に続きまして、昨年は泉佐野の鶴原の郵便局長が大きな事件を起こしております。  これらの犯罪が長期間にわたりまして発覚がおくれたということについてでございますが、態様といたしまして、被疑者が犯行を隠すために、貯金の預払い金を受け渡ししますときに、直接預金者と村々でこれを行いまして、その間第三者がそこに立ち会うというふうなことはない、あるいはまた、払い戻しの請求がありましたときも、自分の資金を立てかえて払い渡すというふうなことですとか、ともかく、こうした金の授受が正規の業務の取り扱いのルートに乗らなかったということでございます。  一方、監察の私どもの考査におきましては、郵便局に保管されております各種の書類等について監査をしましたり、また、お客様から預かっております証書等が正規に作成されているかどうか、こういうものにつきましては、お客様からそうした証書等の引き揚げをいたしましてチェックするということもあるわけでございますが、何せ正規の業務上のルートに乗っておりませんと、そうした証拠書類がない。そうしますと、それ絡みでもって実地調査をするということもないというふうなことで、非常に発覚がおくれたということでございます。  その後、これを契機にいたしまして、考査の方法自体につきましては、実地調査の手法を工夫するとかいろいろと対処してまいっているところでございます。
  27. 武部文

    武部委員 赤池の横領金額と、今の大阪の泉佐野の金額をひとつ……。
  28. 陣野龍志

    陣野説明員 事件の概略をかいつまんで申し上げます。  赤池郵便局事件について申し上げますと、福岡県赤池郵便局の元局長太田敏生が、在職中の昭和五十一年十一月十日から五十七年六月十二日までの間に貯金の預入金、払戻金を横領したものでございまして、合計金額二億九千百五十六万六千八百九十七円となっております。福団地方裁判所で公判審理がございまして、昭和五十九年三月二十一日に被告に懲役六年の判決言い渡しがありまして、確定しております。  それから、大阪府泉佐野市鶴原郵便局の事件でございますが、鶴原郵便局の元局長大野敦夫でございますが、在職中の昭和五十三年五月十三日から五十九年七月九日までの間におきまして、やはり貯金の横領でございますが、合計七千八百四十九万七千五百円を横領いたしております。これは順次、大阪地検の方へ送致をいたしまして、現在、大阪地裁で公判審理中でございます。
  29. 武部文

    武部委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、赤池に至っては六年間もやっておった。手口はまことに巧妙であります。聞いてみると、なかなかうまいことやっておるのですが、うまいことやっておったのでは済まぬのでありまして、こういうことが見抜けなかったということは、何と言われようと、これはやはり郵政省の怠慢であることは間違いない。ですから、まじめにやっておる局長や局員にしてみれば、大変な迷惑なんです。一生懸命まじめにやっておる者は、みんな同じようなことをしておるかと思われて、大変心外なことだろうと思います。  ぜひひとつ監察も、こういう事例が再発しないように、厳重な考査、平時の考査ですね、そういう点をやってもらいたいということを特に最後につけ加えまして、あとはまた先に譲りまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  30. 渡辺紘三

    渡辺委員長 次に、中川嘉美君。
  31. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 昨日政府は、日米通商摩擦の鎮静化を図るために、米国の通信機器等の市場開放要求、これを相当程度盛り込んだ対外経済対策を決定したわけでありますが、しかしながら、今回の対策が講じられたとしても、ドル高であるとかあるいは日米貿易構造等の現状を考えてみますと、我が国の膨大な対米貿易黒字、これが目に見えて減少するとは思えないわけであります。むしろ今後も、通商摩擦というものは続くと考えざるを得ないわけでありますけれども、米国の要求が我が国の輸入障壁の撤廃、こういう貿易条件の自由化に存在することを考えますと、少なくとも今回の対策については、我が国の姿勢を示すものとして速やかに実行に移すべきではないか、このように思うわけです。  特に日米経済摩擦の焦点となった電気通信分野の市場開放、この点に関しても、端末機器の技術基準が米国並みに簡素化されるといったことなど、我が国の市場開放は原則自由の精神で動き出したわけであります。ただ問題は、肝心のこの行動計画の骨格づくりが七月までとなってしまった。これを考えますと、具体的な開放策づくりをなるべく先延ばししようとしている印象を、再び外国に与えてしまう結果になりかねないと私は思うわけですけれども郵政大臣としてはこの辺をどう受けとめておられるか、まずお聞きしてみたいと思います。
  32. 左藤恵

    左藤国務大臣 昨日、経済対策閣僚会議で、この貿易摩擦に対します対処方針というものの決定があったわけでございます。  電気通信の分野につきましては御高承のとおり、かなり早い段階からこの問題についての対策を講じておりまして、まだ一部最終的な詰めをしなければならない問題があるわけでございますけれども、今七月を待たなくても実行に移すといいますかそういうことで、またアメリカ側も、ある程度評価をしていただけるような対策を既に発表しておるところでございますので、これで進んでいくと思いますが、何せ四つの分野というだけでもいろいろ問題があるほかに、その他にもいろいろ関係する広い範囲の貿易摩擦上の、アメリカ側は障害と考えている問題があるわけであります。これを全部国民の中の理解を得ながらやっていくということについては、非常な時間がかかるということで、私はそうしたことで七月を目標にしたものだ、このように考えております。
  33. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、この四つの分野の中でも通信機器の分野というものについては、その中では非常に進んでいるというふうにここで受けとめていいかどうか、もう一度お聞きします。
  34. 左藤恵

    左藤国務大臣 そのとおりだと御理解いただいて結構だと思います。
  35. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 報道によりますと昨日、伊藤忠商事、三井物産、ヒューズ・コミュニケーションズの三社が共同出資で設立された日本通信衛星が、米国のヒューズ・エアクラフト社の通信衛星を購入して通信事業を行うという、こういう第一種電気通信事業の許可申請を出したというふうに報道されておるわけですけれども、この事実確認とともに、政府としての対応について伺っておきたいと思います。
  36. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生おっしゃられました、衛星を利用する会社についての事業許可申請が昨日出でまいりました。私どもこれを受けとめまして今後、事業法の許可基準等に照らして慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  37. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この電気通信事業法の施行による民間の通信衛星ビジネスの申請第一号ということで今回なったわけですけれども、この日本通信衛星が購入しようとする、先ほど申し上げたヒューズ社の新型衛星HS393型の使用周波数はいわゆるKuバンド、こういうふうになっているわけですが、同社が申請したこの周波数のKuバンドの開放問題、これは我が国では地上無線に使われておって、混信などの電波障害が心配されておるわけです。  これまた、きょうの報道によりますと、左藤郵政大臣は中曽根首相との会談で、可能な範囲で米国製衛星にもこの周波数を開放する、それとともに、混信防止装置など技術的な検討を急いで、Kuバンドをなるべく使えるように措置したいのだ、こういうふうに大臣も言っておられます。また、同じく昨日発表された対外経済対策において、通信衛星の購入については、民間企業による外国の通信衛星購入に関して日本輸出入銀行の輸入金融を認める、そして周波数の割り当てはできるだけ早期に行う、このように出ているわけです。言ってみれば、これは非常に結論が急がれているということになるわけです。  これに関連をしまして、去る三月七日の当委員会ですが、私どもの山田委員の質問に対しての電気通信局長の御答弁を引用させていただきますと、「電波の割り当てといいますのは、国際的に各国に割り振られた貴重な財産でございます。これをどういうふうに使うかというのは、国益に関連する、国家主権に関するというような問題でございまして、衛星に使われております通信としてどういう電波を使うかということで、いろいろな国によって使い方が違っております。我が国の」、ここのところが問題だと思いますが、「我が国の場合は、Kaバンドというのを主体にして使っている、これはこれからの衛星通信というものを使っていく場合に一つの主流になっていくであろうというふうに私どもとしては考えております。」これはずっと御答弁が続きますが、最後のところで、「Kuバンドを衛星通信として使うことについての問題点等、これは今後とも検討していきたいな、こういうふうに考えているところでございます。」  引用させていただきましたけれども、「考えているところでございます。」とおっしゃるのですが、今の進んでいる現状からいきますと、やはり早急に検討されなければならない問題じゃないか、こんなふうに思いますが、この点についてこれからどう対応していかれるのか。今のこの御答弁によると、何か大分先の話のような響きがあるのですが、この点どうでしょうか。
  38. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 我が国における衛星通信用の周波数の問題でございますが、先ほど先生が御引用なされました、前回申し上げた私の答弁のところにございますように、世界でCバンドとかあるいはKuバンド、その辺のところが地上回線として非常に広く使われているという事情もございまして、我が国としてはKaバンドというものを開発をし、それが今後主体になっていくであろうということで対応してきているわけでございます。  ただ、Kuバンド自体をとりましても、これ自体も国際的な割りつけと申しましょうか、国際ルールに従いまして、地上回線と衛星通信用と両方に使えるということで割り当てでございます。そして、既に地上用に使われているものがございますけれども、そういったものが耐用年数等によってそれがほかに移行できるというようなことになれば、その辺のところは全体の波の有効利用という観点から、Kuバンドのうち一部については通信衛星用に使うということも可能でございます。  そのほか、現在地上で使われておる波ではございますけれども、それと混信を生じないような措置を講ずることによってそれを利用するという、併用するということも技術的には可能でございまして、一つの方法としては、例えばビルの屋上に小さなパラボラアンテナをつけて、そこで直接送受信をするという仕組みになろうかと思いますけれども、その場合に、アンテナをカバーをいたしまして、他の地上との混信を生じないようにするというような方法も考えられる、これは建物によりいろいろな方法も考えられるわけであります。あるいはそのほか、山陰だとかそういうところに持っていって、そこにおろして、そこから都心の所要のところには地上回線で引っ張っていくというような方法もございます。そういうような形で使えるということはございます。  そうして、そういったものをどういうふうな組み合わせをして使うかということは、まさにこれはその事業者のお客さんとの関係、ニーズ、サービスの内容等によるものでございまして、そういう混信が生じないような方法というものについて需要者側の方が自分の選択において申請をしてくるならば、そういったものが電波法上も認められる対応措置として可能ならば、私どもはそのKuバンドについても衛星通信用に使うということの用意があるということについては、関係の向きにも事業者等にも一応、周波数の現状説明ということでいたしておるところでございます。  なお念のために、Kaバンドにつきましては、これはバンド幅も広いし、今地上で使われているところも少ないということで、これについては上り下り回線ともに支障なく使える幅があるということは、かねてから申し上げているところでございます。
  39. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほどのに戻りますが、Kaバンドが主体であって、通信衛星を使っていく場合の主流となるであろう、そういうふうに以前の御答弁では聞いたわけです。これに対して、今回の新型衛星HS393型にKuバンドを採用するということは、いわば今回の貿易摩擦解消という立場から、従来の電波行政の政策の方向転換ということに踏み切ったのではないか、我々はそういうふうに解釈するわけですが、そういうことを意味するのかどうか、この点をちょっと郵政大臣に伺っておきたいと思います。
  40. 左藤恵

    左藤国務大臣 あくまでもKaバンドを主体として郵政省としては通信衛星の利用に供していきたい、ただKuバンドも、今局長から御説明いたしましたような一つのそういう遮へい的なものを考えて利用するということもできる、また一部は、非常に狭い周波数帯域でありますけれども、そういったところについては使用してもらうことができるという、そういう現実の説明はいたしておりますし、また、そこで通信をされても、今言った条件でやっていただくことについては差し支えないということは、我々としては考えておるところでございまして、別に貿易摩擦の問題があったから方向転換したとか、そういうことではございません。実情を御説明して、郵政省としては周波数帯域として通信衛星用に用意しているのはこういう状態でございますということを申し上げておるので、変更したとかそういうことではございません。
  41. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 国内通信衛星用周波数の表がここにありますが、この概要によりますと、いわゆる米国から購入する衛星については先ほど申したとおり、Kuバンドの周波数割り当ての中に入ってこなければならない、こう思うわけですけれども、現在、公共、公益用として使われている部分等も含めて、果たしてどの周波数に挿入しようとするのかということですね。  聞くところによりますと、郵政省のこれまでの検討結果によると、地上系などと混信のおそれのないKuバンドの帯域幅、これは地球から衛星向けの上り回線用で四百メガヘルツ、衛星から地球向けで下り回線ですね、これは百七十メガヘルツしかない、ヒューズ社の要求する上下ともに五百メガヘルツずつにはとても及ばないということがわかったというふうに言われておりますけれども、この点について、果たしてこれだけの相違が既にここで出てきているわけです。この点、どうなんですか。
  42. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 現在のKuバンドの使用状況等について、上り回線につきましては、ある意味で地上で使われてない、また、そこはそのまま通信衛星を利用しての上り回線として支障がなかろうというものにつきましては、四百メガヘルツ幅を使用することができるということは御指摘のとおりでございます。  じゃ、ほかのところはどうなるんだ、五百メガヘルツが必要だということならば、その分足らないじゃないかということでございます。おっしゃるとおり、何もせずにすぽっと使える部分としては、そういったゆとりはございません。じゃ、どうするのかと言えば、先ほど申しましたように、現在ある、使われている地上系との混信を避けるというような形の措置、これはそういうことが生じないような地域を選ぶ、地点を選ぶということが一つ、あるいはシールドをかけるというような物理的な対策というようなことも含めてでございますが、そういうような方法を講じられるならば、それは使えるであろうということでございまして、そういう方法を講じて、そういう衛星通信を使っての事業を行うかどうかというのは、まさに事業申請者側の負担において考えるべき話でございます。  なお、下り回線につきましても、同様にクリアな部分というのは非常に少のうございます。したがいまして、そういったもの以外の他の地上回線とのぶつかり合いというようなものをどう避けて使っていくかということは、事業者がいろいろ創意工夫を凝らして、そういったことをやっていってもなおかつ、事業としてそういったサービスを提供し得るという御判断ならば、そういう申請をしてくるでございましょうし、そして、それが現実に混信を生じないということが判明すれば、私どもは電波の共用という観点から、これはある意味では電波の有効利用という観点からも認めていって差し支えなかろう、こういう立場にあるということでございます。
  43. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 技術的にそういうふうにうまくいくかどうか、有効に作動するかどうか、これはうまくいかない場合には事業者の責任云々ということで、私としては今の御答弁は、非常に何かリスクはすべて事業者なんだ、我々は知らぬぞというふうに響くわけなんです。  現在のこの地上系の周波数、これは民間衛星が入ってくるために移行整理、こういうことが行われなければならないはずですけれども、現在使われている事業というものは、移行するのに当然費用がかかると私は思います、そういう事態が起きた場合。この点に関して、もしそうであれば今後、具体的にどう対応しようとするのか。検討段階とは思いますけれども、やはりそういう問題というのは、この概要を見る限りにおいては当然、いわゆる移行整理という問題を感ぜざるを得ないわけなんで、その場合に具体的にどう対応されるか、この点はいかがでしょうか。
  44. 左藤恵

    左藤国務大臣 今局長から御説明しましたようなことで、地上系の混信を避けるということですけれども、地上系が現在やっておるところの、例えばKuバンドにつきましては十・七ギガヘルツから十一・七ギガヘルツの間の千メガヘルツ、それからまた十二・二ギガヘルツから十二・五ギガヘルツの三百メガヘルツ、この二つは、これは電電公社、またその他の建設省とか警察とかそういった公共のマイクロウエーブに使っておりますので、これは今申しましたような措置を講じない限り、共用ということはできないと考えております。  それから、その次の十二・五ギガヘルツから十二・五三ギガヘルツというところのわずか三十メガヘルツですが、この帯域にあります公共用の局が十一局あるのですが、これはやはり地上系の機器の耐用年数というものが最長大体八年ぐらいかかると思います。そして、そういった方針を決めましたら、耐用年数が切れたときには移行することができますけれども、そういった保証をしない限りは、ここは通信衛星にそのまま使用させるわけにはいかないところでございます。  それから、その次の百七十あります十二・五三から十二・七、これは三局ありますけれども、これはすぐにも移すことができますので、通信衛星にそのまま使わせることができます。  そして、十二・七ギガヘルツから十二・七五ギガヘルツの間の五十メガヘルツのところにつきましては、これは地上系の放送の中継をやっております。民間放送会社とかあるいはNHKが使っておるわけでありますが、ここにつきましては、仮にもし通信衛星にここを使わせようとするならば、他の周波数帯に移すために大体耐用年数を考えまして十年ぐらい、地上系の機器にはそういった耐用年数があるわけでありますので、そうした後ならば、ここは通信衛星に使用することができるという帯域だ、こういうふうに考えていただいて結構だと思います。
  45. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 じゃ時間がもう間もなく来ますので、最後に一点、絞って伺いたいと思います。  民間の通信衛星購入について、さきに申し上げたとおり、日本通信衛星のほかにあと二事業者、これが名のりを上げていると聞いていますけれども、この日本通信衛星を含めた三社からこの許可申請が出された場合に、これら三社とも許可することになるのかどうか、この点について、まずお答えいただきたいことと、まとめて伺いますが、我が国の電気通信事業の現状から判断をして、例えばこの三社の通信衛星が必要と考えるのかどうか。郵政大臣は以前に、実際に購入できるかどうかは需要の有無にかかっているというふうにも話されているわけです。例えばこの電気通信事業法第十条の需給調整条項というのがありますけれども、これに基づいてこの調整をするということがあるのかどうか、こういった面について最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  46. 左藤恵

    左藤国務大臣 昨日、日本通信衛星株式会社から第一種電気通信事業の許可申請が出たばかりでございまして、今お話がございましたほかの二社については、またそれぞれの事業計画の内容が明らかにされておりませんし、正式の届け出も出ておらないわけでありますが、郵政省といたしましては、そうした申請が出た段階で、具体的な役務の種類とかそういったものを十分慎重に審査した上で、法に定められた手続に従って対処していきたい、このように考えておるわけでございます。  それから今もう一つ、この需給調整というお話がございました。これは郵政省といたしまして、今申しましたように個々の具体的な申請を待って、「電気通信事業の用に共する電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと。」というふうな法の定めもございますので、そういったことも十分考え、競争原理が導入されているという市場の育成という点も、活性化ということも考えなければなりません。私は、ニューメディアとしての通信衛星は今後、需要が非常に飛躍的に増大するとは予測されますけれども、申請された時点で、果たして需要予測の点から見て、そうしたものが個々に申請されて三つとも許可が与えられてそれだけの需要があるのかどうか、これについては私はまだ疑問じゃないか、このように考えております。
  47. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 以上で終わります。
  48. 渡辺紘三

  49. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まず、商工委員会で審議され、もう衆議院におきましては採決され、通過されたわけでございますが、基盤技術研究円滑化法案、これが提出され、それに関して一点だけお伺いしておきたい点がございます。  まず、出資事業それから融資事業、これに関連してテレトピア推進法人、こういったものがございます。このテレトピア推進法人への出資を含む、こう伺っておりますけれども、このテレトピア推進法人というものは一体何ですか、これをまず御答弁ください。
  50. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 テレトピア推進法人と申しますのは、三月五日に全国二十カ所のテレトピア地域を指定させていただきましたけれども、それぞれの地域におかれましては、これからのテレトピア構想を推進し、実現していくために、民間の活力を活用してその支援母体をつくるという構想がございます。その際に、財団法人形式になると思われますが、第三セクターのような形で公共的な法人が設立されました場合に、その法人に対しまして、現在国会で御審議いただいておりますセンター法が成立した暁において、センターの方から出資ができるようなことが認められているところでございます。
  51. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 テレトピア推進法人の実現計画、これの概要に関して、いつどこでどのような規模で考えておるのか、その点まで明らかにさせてください。
  52. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 テレトピア地域の指定は、つい先般の三月五日に行ったばかりでございまして、三月二十七日に全国二十地域から御状況をいただいて、これからの推進の仕方について打ち合わせをさせていただいております。その打ち合わせの結果、これからテレトピア推進法人を発足させる地域が何カ所か御希望があるようでございますが、まだ具体的にそれぞれの設立が行われたということは報告を受けておりませんので、現段階ではどの地域においてテレトピア推進法人ができるか、私どもも見守っている途中でございます。
  53. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それで、いつごろそれが具体的になるのか、もうちょっとはっきりさせてくれませんかね。いつごろになりますか。
  54. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 何地域がでテレトピア推進法人を今年度中にも発足させたい御意向はあるやに承っております。ただ、センターが発足いたしますのは、六十年度予算では六十年の十月一日を予定しておりますので、テレトピア推進法人に対する出資はいずれにいたしましても、今年度の後半以降になる予定でございます。
  55. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 研究所関係でございますが、研究所とか試験所、これが通産省所管のものは、計量研究所とか機械技術研究所とか化学技術研究所等々、かなり幾つかございますが、郵政省所管のものが非常に少ないように思いますが、これは幾つあるのですか、郵政省所管の研究所、試験所というものは。
  56. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 郵政省に所属しております試験研究機関といたしましては、電波研究所一つでございます。当研究所におきまして御承知のとおり、電波伝搬あるいは衛星通信、周波数資源の開発等の研究業務を行うております。
  57. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それで、基盤技術研究促進センターの業務内容、こういったものを見ると、研究所、試験所、積極的に融資事業を行うようになっております。この電気通信の研究所が少ない。今御答弁がございましたように、一つです。今後の高度情報社会への対応というものを考えると、郵政省所管の電波研究所だけでは対応できないのではないか、こういうように考えられます。そこでまた仮称、電気通信基礎技術研究所の設置など具体的な構想というものをもうそろそろ考えていいのではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  58. 左藤恵

    左藤国務大臣 技術立国を目指します日本といたしまして、基盤技術の研究を促進するということは何よりも重要なことであるということは間違いないことでございます。特に高度情報社会の実現に向けて情報通信分野の基礎的な、また先端的な技術の研究開発を推進するということが重要な課題になっておるわけでございますが、その研究開発の促進に当たりまして、官民の役割を分担して明確にしてかかることが大切だ、このように考えております。そこで、技術開発のうちでリスクが高くて収益性の薄いもの、これはやはり国が中心になってやっていかなければならないのではないか、このように思います。民間のみにゆだねておったのでは円滑な技術の開発推進が期待できないということでもありますので、国が主導的に積極的にこの推進に当たっていかなければならないと考えております。  それから、十分に企業化のペースに乗ることが想定できる技術開発につきましては、これは基本的には民間にゆだねた方がいいのではないかと思いますが、そうすると三つ目に、リスクがあるけれども、技術開発に成功すれば収益性が十分期待できる、こういうものも考えられるのじゃないかと思います。これにつきましては、六十年度予算において設立が認められました基盤技術研究促進センターが、リスクマネーの供給など環境条件を整備することによってその開発を促進するということができるのではないか、こういうような必要があるのではないかと考えておるわけでありまして、そうした意味におきまして郵政省としては、基盤技術の研究促進指針というようなものをつくって今後の研究開発の体制を整備していきたい、このように考えておるところでございます。
  59. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、仮称、電気通信基礎技術研究所というようなものを具体的にいつごろどこへつくろうか、こういうようなことをもう発表できる段階でございますか。具体的に名前まで含めて考えておるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  60. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生が御指摘になりましたように、仮称ではございますが、電気通信基礎技術研究所の構想が関西経済連合会の方から昨年の概算要求の段階以降、私ども要望が提出されております。  当初、私どもが構想いたしましたのは、電気通信振興機構というような特殊法人であったわけですが、予算編成過程で、現在の基盤技術研究促進センターという形でこれが結実することになったことは、御承知のとおりでございます。そのような今回の予算に織り込まれました基盤技術研究促進センターが発足いたしますのに対応いたしまして、関西の文化学術研究都市を想定して、その地に電気通信の基礎技術の研究所を置きたいという要望につきまして私ども現在、それを真摯に受けとめているところでございます。  ただ、一挙に土地建物あるいは研究所の内容を充実することは不可能だろうと思われますので、ある程度の長期的なスパンで考えなければならないと思っておりますが、いずれにいたしましても、この基礎技術研究所の業務内容が基盤技術研究促進センターの業務内容とマッチするものでありましたならば、前向きに対処をしたいということでございます。ただ、その前提といたしまして、地元の関係者の方々あるいは民間の企業の方々の御助力、御支援もぜひ得なければならないというふうに考えておるところでございます。
  61. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 今関西から要望があるというものに関して、関西文化学術研究都市建設推進協議会なるものからそちらに要望が出ていると思いますが、もうちょっと、どういうメンバーで、それからどんな要望が出ているのか、明らかにしてください。
  62. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 要望が昨年の十二月十日、まだ概算要求の段階だったわけですが、その段階で関西経済連合会の方から郵政大臣あてに出されております。それは、電気通信の基礎技術研究の必要性にかんがみて、関西文化学術研究都市に当該研究所を設置をしたい、ついては、当時はまだ概算要求の段階でございましたので、電気通信振興機構の業務の一環として御支援願いたいというような内容でございました。  ところが、先ほど申し上げましたように、基盤技術研究促進センターということで民間の活力を最大限に活用する中で国が支援をするという格好になりましたので、現下の情勢を踏まえてその研究所の形態も株式会社形態で考えるべく現在、地元において御検討だと承っております。その検討の場といたしまして、先生が御指摘になりました協議会が先月発足をいたしております。その協議会といたしまして、学識経験者としての大学の教授の方、あるいは関西を中心といたしまして民間の企業の方々、それに郵政省の方からも委員として参加をいたしまして、官民合同でその研究所のあり方について研究を始めたところでございます。これまでに二回の会合を行って今、その骨格をつくりつつあるという段階であるというふうに伺っております。
  63. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政大臣大臣も関西の御出身でございますので、この問題に関してちょっと御所見を最後にお伺いしておきたい。  今、局長から御説明がありましたように、関西文化学術研究都市建設推進協議会、これは代表委員といたしましては関西経済連合会会長、京都府知事、大阪府知事、奈良県知事、京都大学名誉教授等が連ねておりますけれども、「我が国の文化、学術、研究、教育の向上と産業の振興及び近畿圏の均衡ある発展を図るため、京阪奈丘陵における関西文化学術研究都市建設の推進について努力を重ねて」きた。そういう中で「来るべき高度情報社会に対応して、官学産の協力のもとに国際的な電気通信の基礎技術研究を推進し、我が国の電気通信の振興と均衡ある国土の発展を図るため、西日本における学術研究の中核となる関西文化学術研究都市に、電気通信基礎技術研究所(仮称)を、建設していただき」たいという要望で、大臣も御認識をいただいておると思いますけれども、その意味におきまして、今後の高度情報社会というものを担う、そういった意味におきましての重要な研究所ではないか、こう思いますので、通産省所管のものは、私の手元にある資料のものでも相当ございますね、これは十六以上ございます。郵政省が電波研究所一つというのは、バランスの上から考えてもちょっとこれはおかしいわけですね。そういう意味におきまして、ひとつ大臣としてどういうようにこの問題に取り組んでいくのか、御所見を明らかにしていただきたいと思います。
  64. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話のとおり、そうした基礎技術研究というものの重要性ということは、先ほどもお答えを申し上げたところでもございます。通産省の所管の分と、それから郵政省電気通信をということで所管する分と一応、対等の立場でこの研究センターを設置するわけでございます。そういうふうな意味におきましても郵政省としては、これは大いに力を入れてやっていかなければならないということを考えておるわけであります。  そしていま一つ、今お話がございました関西の問題でございますが、今までの日本電信電話公社、新しい日本電信電話株式会社の研究所というものが関東に集中しておるわけでございます。武蔵野、横須賀、厚木、茨城と全部関東平野に散在しておるわけでありまして、そういった意味におきまして、国土の均衡ある発展といいますか、そういう見地からも、西日本にこうしたものを設置してやっていくということには非常な意味があるのじゃないか、このように考えております。  たまたま今、関西経済連合会、そしてまた京都府、大阪府、奈良県の知事さん方、地方自治体、そしてまた大学の関係者、そういった方々がこういった問題について熱心に御審議いただいておるということは、我々はそういう意味で非常に力強いと思っております。そういったことで推進にこれから努力していきたい、このように考えております。
  65. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 附帯業務の問題に関して、NTTが四月一日発足したことに関して若干、ちょっと時間的なものがございますので、簡潔にお伺いしておきたいと思います。  この附帯業務については、郵政省令第二十三号、この省令の第一条に「当該業務に係る収支を明確にした上で、収支相償うように営むものとし、当該業務開始前に次の事項を郵政大臣に届け出なければならない。」として、「業務の内容」「業務の開始の時期」「業務の収支の見込み」「業務を営む理由」を届け出るようになっておりますが、この「収支相償うように」ということはどういう期間を考えておるのか、次に、業務開始前に郵政大臣に届け出るとあるが、この「開始前」ということはどれくらいの幅を考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  66. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 「収支相償う」という点につきましては、これは会社法に対する国会の修正の御趣旨を体して省令で定めたわけでございまして、電電の本来事業の収益をつぎ込む形で附帯業務を行うということになりますれば、電話等の本来事業利用者の利益を損なうということ、いま一点は、民間の同種事業を営む者との公正競争の確保という観点から、こういった修正が行われたものと承知をいたしておるわけでありまして、したがいまして附帯業務を行うに当たりましては、当該業務に要する費用については当該業務の収入によって賄うということを原則にいたしておるわけでございます。  お尋ねのどういう期間かということでございますが、これは必ずしも単年度の収支相償のみを要求しているということではございませんで、当該附帯業務の内容あるいは性格、こういったことを勘案いたしまして、通常の企業活動として認められる合理的な一定の期間という中に収支相償うということが見込まれればよいというふうに考えているところでございます。  なお、届け出の時期ということでございますけれども、今申し上げました国会における修正の御趣旨から考えまして、新会社の営む附帯業務につきましては、行政側がその開始の段階からその内容等を承知しているということが必要であろうということで、業務の開始前に郵政大臣に届け出よということで省令で規定しておるわけでございますが、この時期につきましては、まずは事業体におきましても、いろいろなサービスを行うに当たりましては、準備あるいは周知等を行うわけでございますので、直前に確定するというものでもないと思われます。したがいましてその時期というのは、合理的で常識的に考えられる時期に提出されるものと私どもは考えておるところでございます。
  67. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この届け出に対して郵政省としては、認めないとか、再検討するとか、差し戻すとかいうような行政指導的な要素というのは考えられるのですか。
  68. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 これは届け出でございますので、所定の様式、内容等が整っておればそれを受け付けるということでございます。なお、不備等がございますれば、そういった点については指摘をし、様式に合致したものとして届け出をされるように指導するということはございます。
  69. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこでお伺いしますが、端末機に関して、端末機の取り扱いでございますが、今まで電電としては貸与方式、レンタルで行ってまいりましたが、これからは売り渡し方式が含まれるわけですが、これは附帯業務になりますか。
  70. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 従来のやり方として、端末までサービスをするという方式がとられるのは当然でございますが、売り渡しということも今回、六機開放ということで四月一日からできるようになっているわけであります。そういう分については、新会社が行う場合には、附帯業務として行うということでございます。既に附帯業務として行うという届け出が出ておりまして、そういった形で言うならば、レンタルと附帯業務としての端末の販売ということで新会社としては端末業務に取り組んでいるというところでございます。
  71. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、新電電として、NTTとして端末機の取り扱いがレンタルと売り渡しと二種類になる。そうすると、当該業務を営む場合、収支相償うという先ほどの省令でございますが、収支相償うということからその収支は二本立ての扱いになるのですか。
  72. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 収支といたしましては、届け出の要件としては、附帯業務についての収支を明確にしてもらえばいい、相償うということを資料として提出してもらえばいいということでございます。
  73. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 附帯業務を営む場合、届け出になるわけでございますけれども、その業務内容及び種類といったものが今後拡大していくわけですが、拡大されることに関して郵政省は基本的に、今までの既存の民間業者との問題、何回も御答弁いただいておりますが、共存共栄ということで考えておるわけでございますけれども民間業者との問題というものをどのように調整を図っていくのか、その点をもう一度御答弁いただきたいと思います。
  74. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 いろいろな附帯業務がこれから考えられるというふうに私どもも想像するわけでございますが、これらは類似の民間企業との競合ということが当然考えられます。しかし、新電電自体の特殊法人としての性格等を踏まえて適切にこれが対処されなければならないわけでありまして、国会での法案御審議の節にいろいろ先生から御指摘ございましたように、公正な競争条件のもとで適切に行われることが一番望ましいし、またそういうことによって、それぞれが創意工夫を凝らして、切磋琢磨して、質のいいサービスを安く提供するということが利用者に対する還元にもなるわけでありまして、これが新法のねらいとするところでもございます。  なお、万が一いろいろトラブル等生ずるようなことがあった場合には、私どもといたしましても、そういった事情等については十分耳を傾け、また、適切なアドバイスができるものについては対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 株の公開に関して、四月一日を期してNTTが発足したわけでございますが、大蔵省は株売却益を税外収入として六十年度予算からは外しました。当面売却しないとしております。一方では、新電電の政府保有株式の配当益を産投出資の財源として考えられ、論議が行われましたが、基盤技術研究促進センター設立のための法案など具体的に検討されているわけです。  そうすると、この株の問題をいつまでも、まだ決まっておりませんとか、まだ発表できる段階ではございませんというようなことは言っておれないのですよ。会社設立委員会では資本金が決まりました。それから定款が決まっている。これからの作業として六十一年度予算案決定まで、六十一年度一般会計の税外収入として予算に計上する場合、その予算案に売却株数、それから売却益見込みを明記しなければならない、それは御承知のとおりでございます。そこで大蔵省として、この新電電株の売却に対してはどのように考えているのか、またいつまでに明らかにするのか、最初の売却予定株数はどれくらいを考えておるのか、御説明いただきたいと思います。
  76. 田中誠二

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今回の電電の民営化は、将来の高度情報社会に向けまして、事業の公共性に留意しつつ、民間活力を導入して事業経営の一層の活性化を図ることを目的としているわけでございますけれども、この趣旨からいたしますと、政府がいつまでも全株式を保有するのは望ましくない、そういうことで政府は漸次、株売却を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、具体的な売却時期につきましては、会社の運営、経済の動向というものを総合的に勘案して決定していく必要があるわけでございまして、今後こういった点を十分検討いたしまして、適切な時期に売却を行っていきたいと考えております。電電株式の売却方法等につきましては今後、民間有識者の意見も聞きながら、十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
  77. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そんなことは何回も聞いておることだ。いつごろそれを明らかにするのか、もう時期が来ているのですから、それをはっきりしてください。
  78. 田中誠二

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、電電株式の具体的な売却時期につきましては、諸般のことを十分総合的に勘案いたしまして、適切な時期に売却を行うよう十分検討することにしておりまして、売却方法等につきましても、売却時期との関連等も考慮しながら、今後検討していくべきものだと考えておるところでございます。
  79. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間が大事だから、同じことを何回も言ったってしようがない。六十年度にはもうやらないということははっきりしているんだから、六十一年度はどうするのですか。
  80. 日高壮平

    ○日高説明員 先般の参議院の予算委員会におきまして大蔵大臣も御答弁しておりますけれども、今後この売却をどう進めていくかについては、慎重の上にも慎重を期さなければならない、したがいまして、今の段階でいつごろという予測を申し上げる状況にない、その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
  81. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、大蔵大臣に聞かないとこれは発表できないということだね、大蔵大臣を呼んでこないと。大蔵大臣と審議しないとだめだ、あなた方では無理だということだね。
  82. 日高壮平

    ○日高説明員 先ほど理財局の方から御答弁いたしましたように、この大事な貴重な財産をどういう形で売っていくかにつきましては、民間の有識者の意見などを聞くとかいろいろな手順も踏まなければならない、したがって、まだその検討の結果が済んでいない、まだ検討もされていない、そういう状況でございますから、正直申し上げて、私がこういう御答弁をするのは変でございますけれども、大蔵大臣にお聞きいただいても、今の段階では何とも申し上げる状況にはないということではないかと思います。
  83. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 だから、いつならそれが言えるのですか、私はそれを聞いているのですよ。今の段階は無理なら、では、いつなのか。ことしはだめなのか、来年はいいのか。いや、ことしの下半期はいいんだとか、それぐらい答えられないなら何しに来ているんだかわからない。
  84. 日高壮平

    ○日高説明員 今回の電電株式の処理に関連して所要の法律案を今国会に御提出しているところでございますから、私どもとしてはまず、一日も早くこの関連法案の成立をお願いしたいという気持ちでございます。  なお、具体的にいつかということでございますが、この点につきましては、いろいろな手順を踏んで勉強していかなければいかぬ、その勉強の時間にどのくらいかかるかという点については、今の段階では何とも申し上げられないというところでございます。
  85. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それからもう一点聞いているのは、株式売却数ですが、最初はどの程度まで考えていくのか。これはもう法律で決まっておるのは、三分の二までは売却していくわけです。ところが、最初はどの程度まで考えておるのか、これをまだ答弁していない。
  86. 日高壮平

    ○日高説明員 実際に株式を最初にどのくらい売るかという点につきましては、そのときの株式市場の動向などにもよると思いますし、金融情勢全般の動向にも左右されると思います。また、どういう売り方をするかによっておのずから、その売却量というものも変わってくるかもしれません。したがいまして、一回目にどのくらい売るかという点につきましても、まことに申しわけないのでございますが、今申し上げる段階にはないということでございます。
  87. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではもう時間ですから、六十一年度に関しては、これは一般会計の税外収入として予算に計上することは考えられるのかどうなのか、ここだけ明らかにしてください。
  88. 日高壮平

    ○日高説明員 具体的にいつの年度からという点については、先ほど申し上げたとおりまだ御答弁できる段階にはございませんが、ただ一点だけ申し上げたいのは、私どもが今この国会に御提出しております法律案によりまして、売却益については国債償還の財源に充てるということで、国債整理基金特別会計法の改正を御提出しております。したがいまして、必要な予算措置というものを講ずる必要が出てまいります場合には、一般会計ということではなくて、国債整理基金特別会計の方になるということでございます。
  89. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  90. 渡辺紘三

    渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  91. 渡辺紘三

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。中井洽君。
  92. 中井洽

    中井委員 いわゆる日米通商摩擦の通信機器の分野についての交渉問題について、時間のある限りお尋ねをしたいと思います。もちろん、外交あるいは交渉問題でありますから、中身の言えない問題もあろうかと思いますが、私どもとしましても大変心配をいたしておる問題であります。言える範囲で背景等、御説明を賜りたいと思います。  きのう中曽根総理が一応の日本政府の案を発表いたしました。全体の案はともかく、通信機器の分野については、どういう対応策を政府はとるということで決着を見ようとしておるのか、あるいはその決着でアメリカ政府並びにアメリカ議会、こういったところはほぼ満足する見通しなのか、この点も含めてお答えをいただきます。
  93. 左藤恵

    左藤国務大臣 電気通信分野におきます日米間の諸問題につきまして現在、米国が一番関心を持っておる問題であるわけで、アメリカの特に議会筋におきまして、これらに関連いたしまして保護主義的な法案が提出されるといったようなことで、我が国にとりましても非常に重大な問題になっておるわけでございます。  これまでのアメリカ側との交渉におきまして、一月末の日米次官級協議以降、公式、非公式の話し合いを重ねてまいりました。三月二十五日から二十八日にかけまして小山次官をワシントンに訪問させまして、そして、米国側から示されました十三項目にわたる関心事項について我が国の考え方を改めて説明をいたしました。大体のところにおいで向こうも理解してくれたわけでありますが、四月二日に発表されました国務省、それから商務省、通商代表部の共同ステートメントでは、通信問題については日米が原則的な了解に達したというような表明がなされておるところでございます。  それじゃ何の問題が残っておるかということでございますが、これは端末機器の技術基準の問題につきまして、ネットワークに対する損傷に限るべきかどうかというようなことについて、なお日本とアメリカの意見の食い違いというよりも、そもそもの制度といいますか、向こうのやり方ということが、考え方が違いがあった、こういった点についてもう少し協議したらどうかということで、この問題については引き続いて専門家の会議を十五日から開いて検討していこう、こういうことになっておると思います。  それから、またこれは十三項目には入っておりませんけれども、午前中のこの委員会でもお答え申し上げましたような、衛星の問題について論議がこれから行われるのじゃないか、このように考えておるところでございます。
  94. 中井洽

    中井委員 アメリカ側は一応の満足を表明した、こういうことで、私どもも大変郵政省の御努力を多とするものでありますが、今回の四つのいわゆる材木、通信、医療あるいはエレクトロニクス、こういったことに絞られた交渉は、MOSSアプローチだ、このように言われて、結局、何をやる、これをやる、こういうふうにあけますよということじゃなしに、結果論で量が幾らふえたか、このことによってアメリカ議会あるいはアメリカ政府は評価をするんだ、こういう形での交渉であったと伝えられ、私ども大変心配をいたしております。  今回の日本の対応策によって、アメリカの日本に対する通信機器の輸入量、アメリカの日本に対する輸出量というのはどのくらいふえていくのか、あるいは日米間の通信輸出入の格差というのがどのくらい埋められると郵政省側は予測をされておりますか。
  95. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生指摘になりましたとおり、MOSSアプローチというのは、これまでのパッケージによる方式が必ずしも功を奏さないということで、アメリカの方から四分野に絞って集中的に論議をするという形態で行われたわけでございます。  先ほど大臣が答弁申し上げましたように、電気通信につきましては四月二日の共同声明の中で、満足すべき状態に達したという評価が得られておりますので、制度的な枠組みとしましてはほぼ決着を見たと思っております。あとは、御指摘のアメリカからの輸入がどれだけふえるかでございますが、これは四月一日から日本の電気通信のあらゆる分野が完全に自由化されたわけでございますので、これから先は消費者が、電気通信のあらゆる分野において電気通信のサービスなり通信機器を享受することができるわけでございますので、一にかかってこれからの日本の国民の対応の仕方になるだろうと思います。つまり、今の段階でどれだけの輸入量がふえるかふえないかというようなことにつきましては、まだ私どもとしても成算を持っているわけではございません。
  96. 中井洽

    中井委員 それでは郵政省は、アメリカに対する日本の電気通信業界の輸出量、こういったものは、今の日米間のいろいろな端末機だとかのサービスあるいは品質の高さ、こういったものを見ると、まだまだ日本の輸出というものはふえるとお考えになっていますか。
  97. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ここ三年ばかり日本からアメリカへの電気通信機器が激増しておりますが、その背景の一つといたしまして、もちろんドル高の問題等、一般的な要素もあるほかに、昨年の一月一日にATTが分割されました結果、それまでウエスタン・エレクトリック社から一手に購入しておりましたATTの機器が全世界の市場から調達される形になった、その一環として日本からの洪水輸出がふえたという事情がございます。ATTの分割以降、既に一年以上もたちましたので、そうしたこれまでの洪水輸出の動向につきましては、ある程度傾向は若干鈍化するのではないかという見方もあるわけでございますけれども、日本の技術力等からいたしまして、なおアメリカに対する輸出トレンドが衰えるという予測はどこにもまだあらわれておりません。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  98. 中井洽

    中井委員 そうしますと、今度の交渉の背景にはアメリカ側は、とにかくヨーロッパにおけるアメリカのこれらの四つの分野の製品並みのシェアを少なくとも日本市場で獲得できて当たり前じゃないか、これが獲得できないのは日本がアンフェアなことをやっておるからだ、こういう私どもから見ると随分乱暴というか、迷惑な論議を基礎に交渉に臨んだと伝えられているわけでございます。私どもから見ますと、過去数年間の電電の物資調達がかなり思い切った開放をしておるけれども現実に技術の差あるいは向こうの民間会社の売り込み努力の不足、こういったことがあってなかなか貿易の収支というものは埋まらない。ここのところのギャップがどうしても、日本とアメリカでも、お互いわかっておって議論をしておるのか、わからずに議論をしておるのかわかりませんけれども、埋まらずに、いろいろな分野で摩擦を起こしておると思うのであります。  これからも、日本産業がまだまだいろいろな競争の中で安価に優秀な製品を出して、しかも好景気に沸くアメリカへアメリカへと輸出が続くのはもう必然でありますし、アメリカのいろいろなものを無理して日本政府が幾ら買え買えと言っても、消費者がやはりいいものじゃないと買わない、使いやすいものじゃないと買わない、こういう形でありますから、なかなかギャップというものは埋まらないのじゃないか。これをどのように金額的に埋める努力郵政省としてはなさるおつもりなのか、あるいは、それは仕方がない、ここまで開放努力をしたのだ、もう金額的なものが広がるのだったら仕方がない、このようにお考えになりますか。
  99. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 御指摘のとおり、彼我の間に考え方の髪もかなりございまして、いわゆる文化的、社会的な考え方の相違、ギャップから交渉が今日まで長引いたわけでございます。しかしいずれにいたしましても、私どもは良質で低廉な機器あるいはサービスを内外無差別にあまねく道を開いて、国民に均てんするのが責務だと思っております。その意味におきましては、内外無差別に市場開放をし、簡素、透明な手続に踏み切った次第でございますので、制度的な枠組みとしては私どもはもうできる限りのことをしたというつもりでございますので、この点につきましてはアメリカの理解を得たいというふうに考えております。  現段階では少なくとも、米国の政府筋におかれましては、日本側のそうした努力についておおむね御理解をいただいたと思っておりますが、あと議会の方の保護主義の圧力というものが依然として強いようでございますので、これにつきましては、粘り強く私どもの真意を伝えるように努力していきたいというふうに考えております。
  100. 中井洽

    中井委員 私どももあるいは他党の議員さんもアメリカへ行って、アメリカの議員さんの考えというのは大体知っているわけでありますが、来年は中間選挙もございます。しかも小選挙区であります。共和党と民主党といいましても、そんなに差があるわけじゃありませんから、産業界から言われて、言うことを聞かぬなら票を変えるぞと言われたら大変な圧力になる。日本だと中選挙区ですから、おれは一生懸命頑張ったけれども自民党があかんだとか、何やかんや言っておけばごまかせる面もあるわけでありますが、アメリカの場合にはなかなかそういうわけにいかない。しかも、かなりこの赤字に対して神経質になっておるのは現実でございます。  したがって私どもは、制度的に随分おやりをいただいたし、日本から考えると随分枠を超えてやったなという率直な評価をさしていただいてはおりますが、肝心なのはアメリカがどう考えるかということであろうかと思います。それを具体的な数字で示せというような格好になられたときに、それじゃ日本は一体何をこういう自由主義経済の中で、政府の指導で民間人たちにアメリカのものを買わそうとするのか。きのうは中曽根さんはかっこよく、一人二万五千円ずつくらいもうちょっと買うてくれたらいい、こう言ってやられた。それだったら僕らから言えば、減税してくれたら何ぼでも買うてくれる、こうなるのでありますが、減税政策をおとりになるわけではないわけであります。いい品物を安くという形でやっておれば日本ではいきますが、なかなかそういう形でアメリカの産業界の体質が変わるというわけでもないと思うのであります。  そういった意味で、具体的に日本業界の例えば輸出に対する行き過ぎに対する指導を何かお考えになるのか、あるいは、アメリカの余り得意じゃない通信機器の分野で日本は出ていって、アメリカの得意としておるような通信機器の分野で少し遠慮をするというような、少し種類別の判断をしたらどうだというような業界指導をなさるのか、あるいは、業界、電電公社、国際電電にこれとこれとこれとを買えと、使いもしないのがわかっているのを無理やり買うて数字的なつじつまを少しでも合わそうとなさるのか、僕はこういう幾つかの方法が考えられると思うのであります。こういうことに対してどういう方向をとられようとするのか、大臣、お考えがございましたらお答えをいただきます。
  101. 左藤恵

    左藤国務大臣 必要のないものを無理して買うとかいうことはこれは私はできないことだと思うし、そういうことを行政指導するわけにもいかないと思います。  今まで通信機器の市場の規模をあらわした正確な統計というのはなかなかないのでございます。アメリカの国際貿易委員会によりますと、世界の通信機器の消費におきまして、米国はその約三八%を占めておるのですけれども、日本はそれが九%、たしか八・八だったと思いますが、というような数字で、この言い方から考えれば、アメリカの市場が日本の市場の四倍を超えるような規模があるわけであります。  そうした意味からいいますと、日本の通信機器の市場は大まかに言いまして約一兆円であり、アメリカは四兆円強だ、こういうふうなこともありますので、市場の大小というふうなこともありますので、そうしたことで、どのくらいの数字が日本にアメリカの機器が入ってくるとかいうのじゃなくて、アメリカの市場が非常に大きければ、それだけ日本の商品が輸出されるというようなことにもなるわけでありますので、今お話しのような形で、数字として幾らを目標にしてどれだけ輸入しなければならないとか、そういうことにはならないのじゃないかと思いますけれども、ただ、そういうそれぞれの機関において努力をしていただくということは必要ではなかろうか、私はこのように考えます。
  102. 中井洽

    中井委員 今大臣からお答えをいただきました通信機器の市場云々の問題というのは、非常に大事なことだと私は思います。アメリカにとっては今現在四兆円ある市場、日本には一兆円だ。日本に本当にアメリカの通信機器を売り込もう、買わせようとしておるのか、あるいは、日本が買わないことを理由にアメリカのこの四兆円の市場を閉じようとしておるのか、判断をしなければならぬ。今のアメリカの議会やアメリカ政府の姿勢なんかを見ると、往々にしてこの四兆円の市場から日本を締め出しますよ、あるいはこれに関連して、世界の市場から日本の通信機器を締め出しますよというような空気すら感じられるわけであります。  僕らも余り知っているわけじゃありませんが、伝え聞いたりしますと、アメリカの人たちは、自動車の競争ということあるいは自動車を日本へ売りつけるということはもうあきらめている。それは今、日本へ売りに行ったって競争にならない、それは二十年前ならなったんだ、二十年前のアメリガの自動車が競争力のあるときなら日本に売れたのだ、しかし日本はそのときに市場を閉ざして全然入れなかった、その間に保護をして日本の自動車がアメリカへどんどん来るようになったのだ、この轍を通信の分野では踏まさないのだ、あるいは他の分野でも踏まさないのだ、こういう形の交渉が行われておるのじゃないか、実はこんなことを懸念をするわけでございます。  そういう空気の中で実際、郵政省も大変な御努力を払われたのを私どもは知っております。アメリカは議会あるいは大統領あるいは特使、こういった人たちがほとんど一本の体制で組まれて来られる。しかも日本にマーケットをあけろあけろという形での激しい攻勢である。しかも、その郵政省が交渉される方々は、日本の議会と違って大統領から任命をされた方々、長年役所を積み上げて役所のためにという形でやっておる人たちじゃなしに、大統領に対してどういうポイントを稼ぐかという形で、言い方は悪いのですけれども、やられる人たち。対するこちらの郵政省の側は、本当に積み上げて積み上げてこられた役所の方々。なかなか大転換を遂げる権限もなければ風習、習慣もない、そういう中での交渉であった。  しかも、日本の産業界もあるいは国民もまだまだアメリカの姿勢に対して理解が進んでいない、あるいは、ここまで言っては失礼かもしれませんが、他の官庁との調整すらきちっといっていない。そこへ総理大臣だけがぼこっと先に約束されて、やれ、やれと言っているという図式の中での交渉であったと僕は思うのであります。これからもこういう形の交渉が続けば、何か大変なところへ行くのじゃないかという感じがいたします。  もちろん、私どもはありとあらゆる分野でアメリカの理解を求めていかなければならぬし、説得もしなければならぬし、アメリカの行き過ぎに対しては日本の議会、政府を挙げて激しく抗議もしていかなければならないと思いますが、日本側も、アメリカのこういう状況に柔軟に対応できる形での交渉あるいは体制といったものも考えていかなければいけないと思うのであります。  そういった意味で、国内における総理大臣、あるいは自民党内部と政府、通産省と郵政省との調整、郵政省と外務省との調整、こういったところについて十分お考えをいただいておるだろうか、今までの縄張り意識でおやりになっているのじゃないか、こんなことをついつい心配するわけでございます。そういった点についてお答えがあるとは思いませんけれども、どのようにお思いになるか、大臣の方からお答えいただきます。
  103. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話がございました日米交渉につきましては、一応のところで原則的な了解を得られたわけでありますけれども、とにかく今回の交渉を通じて痛切に感じますことは、日米間の文化的といいますか制度的といいますか、そういうものの差異が非常にありまして、お互いが理解するということに非常に困難を要した。それに、電気通信事業法を御審議いただいて成立させていただいた、それを四月一日には実行しなければいかぬ、政省令をつくっていかなければならないという一つの時間的な制限があったわけであります。  電気通信三法についてのいろいろな問題につきましては、国内的にもいろいろ論議が出ましたけれども、いよいよ対米交渉をする段階においては大体一致しておったと私は思います。その中におきまして今度は、それをアメリカの方で理解してもらうのに非常に手間がかかったというふうなことが確かにあったわけでございますが、いずれにいたしましても、市場開放の原則というものを我々は当然考えて頭に入れて交渉しなければならないわけでございます。そうしたことで、我が国の市場に供給される通信機器、サービスが国民の利益になるような形のものであれば、どんどん入ってきていただいていいわけであります。私はそれが内外無差別、簡素、透明という市場開放の原則だと思います。  そういう立場で交渉してきたわけでありますが、そういうことにつきまして、議会筋が特に厳しいわけでありますけれども、なかなかアメリカ側の御理解が得られなかったのは、少なくとも電気通信の分野におきましては、そうした相互理解が困難だった問題は、制度の違いとか考え方の違いというところにあったのではないかと私は思います。この問題を一応原則的に理解していただいたということであれば、今後こういうことについて十分配慮してやっていけば、あるいはアメリカからの日本の輸入もふえていくのじゃないかと思います。
  104. 中井洽

    中井委員 なかなかお答えにくい面もあろうかと思います。私も大変失礼な質問をしているかもしれません。お許しをいただきたいと思います。  例えば、次官級の交渉の中でアメリカ側が、法令や政令までも論議の対象にしていく、あるいはそれを直せという要求をしていく、こういう形に日本では伝えられているわけであります。そうしますと、例えば国会で私どもがそれを要求しようとあるいは尋ねようと、これは不可侵だ、出せられません、今議論している最中ですという形になっている問題まで、他国の政府から言われて交渉のテーブルの中でやらなければならないのだろうか。アメリカに対するいろいろな思い、理解と同時に、日本人としてこういう当然の思いもあるわけであります。  実際の経過はどうであったのか。本当にこの交渉過程の中であるいは妥協の中で、日本の政令、省令というような政策過程にまで口を出されてそれが曲げられたのか――曲げられたというとおかしいですが、変更があったのだろうか。私どもは電電の法案を随分審議をいたしました。かなりの点で突っ込んだ議論もされたわけであります。何かそういう議論で集約された結論と違う形で日米間で今回の交渉が行われたことがあったのか、そういったことに対してお答えをいただきます。
  105. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 今回の交渉はあくまでも電気通信事業法等、ことしの四月一日から施行されました関係法律の精神にのっとってやらせていただいたつもりでございます。つまり、今回の電気通信事業法等の趣旨が、たびたび国会でも御議論ありましたように、電気通信のあらゆる分野に競争原理を導入する、そして、民間の活力をフルに発揮した形で簡素、透明な手続、基準等をつくるということでございましたので、そういった観点から日米交渉も行ったものでございまして、アメリカからは確かに集約して九項目、そしてさらに、それをブレークダウンして十三項目という形で最終的に出てまいりましたけれども、いずれも今申し上げましたような内外無差別で簡素にして透明な制度をつくるという観点からごらんいただければ、一貫しているということがおわかりいただけるのではないかと思います。つまり、国会におけるこれまでの論議を踏み外したものではないということを御理解賜りたいと存じます。
  106. 中井洽

    中井委員 私はぼんぼん言いなものですから、回りくどいのはなかなか理解できないタイプであります。まあ交渉でまとまったということは大変結構なことだと思いますし、これからも日米間でどんな意見の相違があろうとあくまで話し合って解決していけばいいと思います。私どももアメリカを理解しなければならぬし、アメリカも日本を理解してほしい。しかし、文化の違いを怒られたり、政治制度の違いまで障害だという形で口出しをされ、それが私どもの関与しないところで曲げられていくというのは大変残念だし、悔しい思いもするわけでございます。  今回のこの問題がこういうふうになってきたが、日米間の交渉は四年ほどかかっておるわけでありますし、ことし一年で終わらずに来年もまたあろうかと思いますが、一つには、中曽根総理大臣が一月一日にわざわざ行かなくてもよかったのじゃないか。向こう側は呼びもしないのに来てくれるか、飛んで火に入る夏の虫だという感じでやったみたいに私は感じるわけでございます。また、片一方の大統領は圧倒的な形で再選された。中曽根さんの場合には自民党内の事情これありで、おかしな形での再選だった。それが会談をしたら、片一方の要求ばかりのまざるを得ない。  中曽根さんのふだんの言動から推察すると、官僚機構打破なんということをしょっちゅう言っていますから、場合によっては、この法令、政令づくりということについても総理大臣が踏み込んだ議論をなすったのじゃないか、このようなことも推測するわけでございます。実際は総理大臣が御出席の中で言えばいいんでしょうが、それ以上言いますと失礼に当たりますから、こういう委員会の席であえて申し上げているわけでございますが、そういったことも含めて、郵政省を取り巻く国内の環境が余り整理されていない状況で交渉に応じられた、このことは大変つらいことであったと思うのであります。  これからも業界、政界、官界あるいは総理大臣、与党、いろいろな議論を言うと思いますが、郵政省側は早急にアメリカの状況あるいはアメリカの考えといったものを御説明になられ、認識を統一されると同時に、郵政省の長期的な通信行政に対する姿勢というものを出していかなければならない。長期的な分野でどういう形で対応していくのだ、こういうことをしていかなければならない。短期的な開放策とか短期的な政策だけではなかなかやりくりがいかない、このように考えるわけでありますが、いかがですか。
  107. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 確かに先生が御指摘になりましたとおり、当初私どもが考えたより以上に難航したことは事実でございます。それは先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、文化的なあるいは制度的な意識の差が根底にあったわけでございます。これはどちらがいい、どちらが悪いということではございませんで、認識の相違でございました。長年にわたる制度の仕組みから来るものでございますので、まずそこのところをお互いに理解し合うということが先決でございましたために相当な時日を要したわけですが、少なくとも電気通信分野においては今日まで三カ月の交渉を通じて、ほぼお互いにわかり合えたのではないかと思います。  最終的にもちろん、制度そのものが全般的に同じになるということは不可能だろうと思いますけれども、これからの国際化の時代、特に電気通信のように一つの世界を目指すのが理想だとされておる世界においては、国際的な水準を無視してのこれからの交渉というものはあり得ないと思っておりますので、中曽根総理がきのうもおっしゃっておりましたように、やはり世界的な視野における日本の地位というものを考えながら私ども電気通信行政についても、長期的な観点での検討を続けてまいりたいというふうに考えるところでございます。
  108. 中井洽

    中井委員 結構でございますが、国際的な視野と長期的な観点と同時に、それを郵政省だけはこうだよということではなしに、いわゆる議会あるいは政府の省庁内部、そういったことも含めて十分調整をされ、認識を一にされて、交渉したりあるいは国民にPRをしたりということをもっと御努力をいただきたい。通信機器の分野について郵政省が権限を持ち、そして、郵政省がこの分野の発展を図るために、いろいろな政策をこれからも立案していただくのは当たり前だと僕は思います。しかしそれと別に、対外的なものでやるときに内部での不統一があってはならない、このことを強く申し上げておきます。  アメリカのこういう摩擦と同時に、同じようなことがアジアやEC、こういった分野において起こるということがあり得ないのか、あるいは、アジア各国やEC諸国に対する日本の輸出あるいは向こうからの輸入、こういったものはどういうふうになっているか、お聞かせをいただきます。
  109. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 昨日、政府において決定いたしました対外経済対策の一環に電気通信分野における措置も盛り込まれておりますが、これはあのペーパーからも御判断いただけますとおり、単にアメリカに対してだけ日本政府の方針を宣明したものではございません。EC並びにASEAN諸国等に向けても同じ方針で臨むということを明らかにしたものでございます。その意味におきましては、今後とも私どももアメリカ以外の国にも内外無差別で対応するつもりでございます。  お尋ねのEC等における彼我の貿易の状況でございますが、おおむねヨーロッパ各国は電気通信というものは一元的体制で行っておりますので、日本との関係においては貿易額、相互の輸出入については、余り変動のないまま今日まで終始しております。アメリカのような日本からの洪水輸出というような現象はございません。
  110. 中井洽

    中井委員 その部分を御説明いただけますか。それではEC諸国においては、通信機器で日本のような自由化というものがなされておるのですか、それともEC諸国においては、国々いろいろでしょうが、比較的関税障害というものが設けられておるのか、わかりますか。
  111. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 関税の状況については私、今手元に詳しい資料を持っておりませんが、EC諸国におきましては先ほども申し上げましたように、国あるいは国に準ずる主体が電気通信をほぼ一元的に実施している国が大半でございます。いわば開放体制ではございませんので、国あるいは国に準ずる主体がみずからの判断で輸入を行うという形になっております。先ほど大臣が、アメリカにおいては大体三八%、日本が九%と申し上げたのですが、ECは日本のちょうど倍、大体一六%ぐらいのシェアで推移しております。
  112. 中井洽

    中井委員 特にEC諸国あるいはアジア、これからも日本はアメリカで売れなければヨーロッパだ、アジアだ、こういう形で、日本国内の競争というのをよその国に持ち込んで当たり前だ、いいものを安くサービスよく出しているんだから、向こうの国の消費者も喜んで当たり前だ、こういう発想で売ってまいります。私どもも当然、そうだろうと思います。  しかし同時に、向こうの国々にも会社があり労働者もおり、あるいは独自の文化もあり考えもあるわけでありますから、ヨーロッパでも袋だたき、アジアでも袋だたき、日本の通信機器が優秀なだけに逆に孤立をする。そういうことではなしに、本当にゆっくりゆっくりとした歩みの中で、日本のサービスの行き届いたあるいはきめ細かい生産管理ができた製品が世界じゅうで愛されて使われる、こういう形の業界に対する御指導もいただかなければならないのではないか、このように考えるところであります。  そういった意味大臣、業界に対して今のような形で行っていいのかというようなことを率直に言われて――何も規制せいとかいうことではありません。業界みずからの考え、あるいは、これから世界における日本の通信業界というものを考えたスローダウン、こういったことをお勧めになるあるいはお話し合いになる、こういったお考えがあるかないかを聞いて、この質問を終わります。
  113. 左藤恵

    左藤国務大臣 こちらから積極的にそうしたことを、抑えるようなことをやるべきではないと思います。ただこういったことにつきまして、今回の交渉をいたします段階におきましても、十分日本の業界の理解を得るために我々も努力をいたしまして、電子機械工業会だとか線材の関係の協会とか、そういった工業会筋と十分理解を求めることを話し合いましたので、こういったことを今後とも生かしていきたい、このように考えております。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 中井洽

    中井委員 終わります。
  115. 渡辺紘三

  116. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きのう政府は、日米貿易摩擦を緩和するための対外経済対策を発表したわけです。その中で、一つの大事な分野が通信機器の問題であります。とりわけ、アメリカの衛星購入の問題が目玉だ、そういった報道もありますし、早速きのう、アメリカのヒューズ・コミュニケーションズ社ですか、伊藤忠、三井物産の合弁会社であります日本通信衛星が、第一種電気通信事業の許可申請と無線局免許の申請を出したということであります。アメリカの通信衛星輸入をめぐる動きがいよいよ慌ただしくなってきておるわけです。  私このアメリカの通信衛星購入の一昨年来の流れ、こういうものを見ておりまして、幾つか大事な問題点があると思っておりますので順次、それをお伺いしてまいりたいと思います。  まず最初は、周波数の割り当ての問題であります。これはいきさつがいろいろあったわけでありますけれども、大詰めの経過としましては、四月四日の経済対策閣僚会議で中曽根首相から左藤郵政大臣に、九日に発表する対外経済対策に通信衛星の購入を盛り込む、郵政省としてその方向で周波数割り当てなどを早急に検討するように、こういう指示をされたというふうに伝えられております。そして、その指示を受けて八日に郵政大臣が中曽根首相に会われて、周波数割り当て問題についての郵政省の方針、つまり、これまで主に地上のマイクロウエーブ用に割り当ててきたKuバンドを可能な範囲で米国製衛星にも開放したい、こういう新しい方針を説明されて、了解を得られたというふうに伝えられておるわけでありますが、そのとおり間違いないかどうか、大臣が総理に話された内容を正確に知りたいと思います。
  117. 左藤恵

    左藤国務大臣 今御指摘のようなことで、総理がそういう意味で周波数の事情はどうなっておるのかということをお尋ねになりましたから、それで私が御説明を申し上げたわけです。そのために特別に郵政省として新しく周波数割り当て方針を変えたとかなんとかいうことではございませんで、現在の事情はどうなっているかということについて御説明を申し上げたわけでございます。  それはけさほども御説明申し上げましたように、Kuバンドというのは現在使っておりまして、ほかへすぐに移行できるような情勢にあるといいますか、ほとんどそこが使用されていない、そしてそこは国際的には国内の通信にもまた衛星通信にも使えるというバンドは、百七十メガサイクルしかないわけであります。  さらに先になって、機器の耐用年数が切れた段階において移行させることができるということになれば、相当先の問題なのですが、そこに移すことができるようなものを、可能性があるというところを見てみれば、また別に八十、三十と五十メガサイクルですかの周波数の幅があるわけでありますけれども、それ以外のところにおきましては現在、電電公社のマイクロを中心といたしまして、そのほかにも建設省とかそうした公共用の周波数の割り当てをいたしまして使用いたしておりますために、ほかに衛星には使わすことができない周波数帯があるわけであります。ただ、技術的に特別の配慮をすれば、混信の防除をすれば、そこも使って使えないことはない、そういう周波数帯がある、これは現在の状況としてそういった実情を総理にも御説明を申し上げた、こういうことでございます。  Kaバンドであれば、これは今でもすぐそういう周波数を割り当てても十分使うことができる状況になっている、こういう実情でございます。
  118. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣の御説明では政策の変更ではないんだということですが、私は、やはりどうも従来の政策の変更じゃないかというふうに思っているわけなんです。といいますのも、これまで私たちが承知しておりましたのは、今も大臣もおっしゃったわけですが、日本ではKuバンドは非常に地上の需要が多いし、現在便われておる、だから衛星はKaバンドでいくんだということが大きな筋だったと思うのです。実際、これまでいろいろな機会に出されたものを見ましても、そうなっておるわけです。  これは五十六年に電波利用開発調査研究会実用衛星部会から出された第二世代の実用通信衛星の利用の在り方に関する調査研究報告書というものですが、この中でも、四ギガ、六ギガ、十一ギガ、十五ギガ、ずっと書いてありまして、「周波数帯では、米国と比較し国土の狭あいさも反映して一けた多い中継所密度となっていると推定され、既存の地上系との干渉が生ずる可能性があるため、衛星方式でこれらの周波数帯を使用することは非常に困難である。したがって、地上での利用が少なく、電波の指向性も鋭く、衛星系と地上系の干渉のおそれが少ない準ミリ波帯等の高い周波数の利用が考えられている。」衛星通信としては、基本はこういう方針で来ていたと思うわけです。  実際、現在我が国で使われておる通信衛星も、離島通信などを除いては、準ミリ波帯のしかも高い方、いわゆるKaバンドを使っている、それを突然Kuバンドを衛星に使う、まあ現在も一部使っているのはあるわけですけれども、そこを私は一つの大きな政策の変更だと思うのです。そうじゃないですか。
  119. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生が今御指摘ございましたように、世界的にはそもそも使いやすいところからということで、CバンドそれからKuバンドという形で使っておりまして、現在数多くの通信衛星が上がっておりますけれども、そういう形で使っております。  日本の場合はまさに、今までも何回か御答弁申し上げましたように、Kuバンドというのは我が国におきましては、国土が狭隘であるし都市が集中している、よって通信需要が非常に多いというようなことから、かなりの部分が使われているわけでありますが、しかしKuバンド自体は、地上用の通信に使うだけということで限定されているわけではございませんで、Kuバンドにつきましては、これは衛星用としても一応割り当てられている周波数帯でございます。したがいまして、周波数帯としてこれを利用したいという希望があるならば、利用できる範囲内においては使用を認めていくということは、従来の方針と変わるものではないというふうに私どもは理解をいたしているわけであります。  ただ問題は、Kuバンドを使って大容量の衛星で日本をカバーしようというような場合になりますと、かなりの周波数帯域が必要になってくる。それだけのものが、まあ技術的に申しますといろいろあるのだろうと思いますけれども、連続して一つの五百なら五百という帯域が使えた方が経済的な使い方になるということも言われております。それだけの幅があるかといいますと、大臣が冒頭御説明申し上げましたように、クリアな帯域幅というのは非常に限定されております。  では、そのほかはどうするのだ。そこは厄介だからやめるよといって、ほかのKaバンドをお使いになるなら、それは利用者の自由でございます。ただ、使い方いかんによっては、衛星の特性としまして宇宙のかなたをにらんでおればよろしいということになるわけでありますから、その辺のアンテナをシールドするような技術的な方法がとれるならば、これはもちろんただではございませんので、その経済的負担というのはそれを使う者の採算によってどう判断するかというものになるわけであります。  それと、あるいは最も衛星的な使い方といいますのは、衛星と直接送受信をする、例えばビルの上にアンテナをつけて、そこで送受信ができるというのが一番衛星らしい使い方になるわけでありますけれども、ただそれだけに限らずに、どこかある一地点で、これも山陰等になりますと地上との干渉が避けられる分野というのがございまして、そういうところで受けて、そこからしかるべきところに回線で引っ張っていく、あるいは、既存の電気通信事業者の回線を借りてそこへ引っ張っていくというような方法もあり得るわけです。  したがいまして、どういう方法をとるか、どういう回線設計をするかというのは、サービスを提供する事業者がお客様に対するサービスの仕方、お客様のニーズに応じて考えていくべき問題でございまして、私どもは今までのKuバンドの状況というのは、上り回線、下り回線ともにこういう状況ですよということは、先ほど大臣が御説明申し上げたようなことは、公にいたしておりまして、これを踏まえて、むしろ障害が起きるのは、衛星の方の波が障害を受けるわけであります。地上回線の方は強いわけですから、こちらはむしろ混信が起きるというよりも、衛星を使うものの方が混信を受ける、やられてしまうわけでありますから、そちらをカバーしながら、それでサービスを提供しようということができるならば、それはそれで一つの選択であろうということでありまして、どういう選び方をするかというのは、私どもがこうしろということ、Kuバンドを使えということじゃなくて、使いたいならばこういう状況でございますよ、それ以降はそれぞれの事業者が自分で御判断、考えて自分のリスクにおいて行うという話でございます、ということでございます。  先ほどから申し上げておりますように、Kaバンドについてはまさに日本が開発をしたといってもいいようなバンド、幅でございます。将来は恐らくそういった方向に向いていくだろうと思います。そして、その部分については現在もかなりゆとりがあるわけでございますから、そちらを選べば、それはそういったいろいろな細工をしなくても済むものがあるということでございます。ただ、どういう波を使って、どういう星を選ぶ、使うかというのは、まさに事業を提供する者の選択の問題でございますので、我々はそれを受けて電波行政上あるいは電気通信事業法上どう対応するかというのは今後のこれからの問題である、こういうふうに考えているところでございます。
  120. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ山間につくるとか、今の説明では遮へいするとかいうような場合も、それはその会社側のことなんだということですが、ただ、午前中の御答弁でもあったと思いますが、例えば下りの回線の場合に、一部は移行するというふうなことも考えられているわけですね。衛星放送通信用に全部上げちゃう。やはりそれはひとつそれなりの経費もかかったりするんじゃないかということも思いますし、今の澤田局長の御答弁で、地上の方が影響は少ないというお話がありましたが、上り回線の場合、これは私が聞いているところでは、上りは相当強力な電波を出さなきゃならぬ、だからむしろ上り回線の場合は、地上波への影響、干渉の方が問題なんだというふうに理解をしているのです。  そのあたりをめぐりまして、これはことしの三月二十七日、宇宙通信政策懇談会の報告書というのが出されたわけですね、去年何度がずっとやってこられたのをまとめて、相当膨大なものですが、その中でこういうくだりがあるのです。「現在、電波技術審議会において、衛星通信系と地上通信系との周波数共用に必要な技術的条件を明確にするための審議が進められているが、」以下代表的なものとして、「アンテナの低サイドローブ化」とあって、二番目に「遮へい構造体等の利用」というのがあります。ここでは「遮へい構造体等の設置には技術的かつ経済的な問題があるため、その規模については、所要の干渉低減量を十分考慮に入れ検討することが必要である。」ということが書かれているわけです。このあたり、まだいろいろ技術的な問題を含めて検討中だというふうに読めるのですが、その点はどうなんでしょうか。
  121. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生指摘のとおりでございまして、今我が国においてそういう遮へいの仕組み、構築というようなことについては、技術というものは確立されておりません。聞くところによると、アメリカでは一部そういったようなものが実用化されているというふうにも承知をいたしております。  したがいましてそういったものは、まさにどういった形で障害を受けないようなものができるのかどうなのか、そのコストは一体どうなのかというようなことは、これからもちろん、営業サイドの観点からも、それぞれの事業者が判断していかなければならない問題でありましょうし、また同時に、私どももそういったことについてはいろいろこれからも検討を詰めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  122. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう技術的な問題点もまだ未解決といいますか、安定的でないものもあるということであるわけです。そういうものは、それは解決されていくだろうというふうには思いますが、ここで私がより重要な問題といいますか、というふうに感じておりますのは、今度のKuバンドの開放というのが可能な帯域ですが、一体だれの。ためにやられたかということなんです。  アメリカからの衛星輸入、アメリカからいいますと衛星輸出、それをしやすくするためということははっきりしているわけですが、私が聞いておりますのでは、日本への衛星売り込みをはかっている企業は三社ある。ヒューズ・エアクラフト社とフォード社、それからRCA。それぞれ日本の伊藤忠とか、フォードの場合は三菱ですね、RCAはソニーとか、そういう国内の日本のメーカーとか商社と合弁会社をつくっていろいろ活動しておられるということなんですが、そのうち、フォード系とRCA系はKaバンドでやれるんだというふうに言っておられると聞いているのです。ヒューズだけがぜひKuの方を認めてもらいたい、繰り返し要求してきている、事実はそういうことでしょうか。
  123. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 申請が出てまいっておりますのが、先生指摘のヒューズ系と称しましょうか、日本通信衛星株式会社でございまして、これはKuバンドを使いたいという要求をいたしております。  そのほかにつきましては、まだ正式な申請という形になっておりませんが、今までの私どもの得ました情報等から考えまして、三菱グループが計画をいたしておりますものにつきましては、Kaバンドを使用したい、これが主眼でございます。なお、Kuバンドも使えるならばKuバンドも使用したいという意向もあるやに聞いております。  あと日商岩井、ソニー系のところでございますけれども、これはKaバンドを使用したい、Kuバンドも使えるならKuバンドも使用したいといいますか、ある意味ではハイブリッドといいましょうか、両方併用というようなことも考えているのではなかろうかなというような状況承知をいたしておるというところでございます。
  124. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、常識的に考えて少しおかしいんじゃないかということを思っているわけです。といいますのは、アメリカの企業は、ヒューズにしましてもどこにしましても、日本に対して、ビジネスで言いますと、どうか買ってください、よろしくお願いしますという立場だろうと思うのですね。それなら日本の決まりに合わせるというのが普通だと思うのですよ。当たり前のことだと思うのですね。日本は、先ほどからの御答弁でも明らかなように、先日、また澤田局長の当委員会での御答弁でも、Kaバンドが主流で、今後の発展も大いに期待されるし、幅の余裕もたくさんあるんだということなのに、あえてそれに合わせようとせずにやってきている。  非常に混雑をしておって、Kuでやるためには遮へいをするとか、特別な幾つかの手だて、現在あるNHKとか民放の中継機器を移動させ合うとか、現在公共のも使われているのがありましたね、そういう幾つかの手だてが必要なところにあえて要求してきている。これはおかしいと思うのですね。例えて言うなら、畳敷きの日本の家へ来まして、土足のままで上がらせろと言うようなものじゃないかと私は思うのですよ。その方が自分の方は都合がいいんだ、経験もあるし安く上がるからそうさせろ、これは大変虫のいい話で、全くけしからぬと私は思うのです。  しかもKaバンドは、今答弁にもありましたが、日本の技術人が先駆的に開発した、非常に誇りを持っておられるというふうに私聞いているのですね。そういうことからいって、全くそういうやり方は商売の常識からいっても合わない。どうして日本政府はそういう私から言えば不当な要求に対して毅然とした態度をとらないのか。アメリカはどうか知りませんが、日本はKaバンド主流で衛星通信は考えているんだ、日本に品物を買ってもらいたければそれでやれと言うのが当然じゃないかと私は思うのですが、どうでしょう、大臣
  125. 左藤恵

    左藤国務大臣 Kuバンドも全然使えないとかいうような状態であれば、私はあえて今おっしゃったようなことで開放とかなんとかということをすべきでないと思います。しかし今の状態で百七十メガサイクルの間だけのものならば、そういうことについて、そこは衛星の通信にもこれは国際条約上共用して使ってよろしいということになっておるわけでありますから、使おうと思えば使えるわけでありますから、そういう意味で、それが使いたいということであればまた検討していいのじゃないか。  ただ、今お話がございましたように、Kaの方が非常に余裕があるというか、これは開発されたばかりでありますから、そういうところをこれからどちらかといえば大いに活用してほしいという立場から見ますと、Kaバンドの方が私は本筋といいますか、一番使ってもらいたい周波数帯である、ただKuも、そういうことで周波数帯域が狭いけれども、それだけの利用ができる、こういう形でそこは使ってもらっていい、こういうふうにすべきじゃないか、このように私は考えたところでございます。
  126. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 Kuバンドについてちょっとお聞きしておきたいのですが、今上り下りで四百と百七十ですか、あきがある、これは今後日本の国内需要で、需要が出てくるのじゃないかというふうな見通しはまるでないものなんでしょうか。
  127. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 長期的な需要予測というようなものも私どもいろいろしながら、周波数の割り当てということを計画を立てているところでございます。  だんだんいろいろ使い勝手のいいところは込んでまいるというのは、事実としてそういうことはあろうかと思いますが、しかし、やはりそこでパンク状態が起こらないように、いろいろ今まで使われでないような分野についての、例えば高い周波数帯への移行というようなことで機器の開発を行うというようなことをして、そちらの方に誘導していくということをあわせて電波行政というものをやっているということでございますので、今私どもが考えております上り回線、下り回線として衛星用の通信に使わせてもいいというところについては、それはそういう形のものとして私どもが一応割り当てているところ、こういうふうに御理解いただいて結構だと思います。
  128. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 確認しますが、ただ、今あいているところが使われれば、もうあきはなくなっちやうわけでしょう。
  129. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 衛星としてそういう形で使うという限りにおいては、そこはふさがれるということになるわけであります。また、いろいろな方法で、地域的な条件もございます、したがいましてある地域では、それはまだそのまま使えるという場合もございましょうし、いろいろな組み合わせがあろうかと思いますから、日本全体でそれが全部だめになってしまうというものではございません。
  130. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 しかし、衛星が使う場合は全面的に全国で使いますから、ほかの現在の利用で部分的なあきがあるということはあるかもしれませんが、そういうことです。  この問題は、アメリカの企業はそういう使い方でもいいならいいというようなことであるのですが、しかし、なおかつ私は、どうもアメリカの、特にヒューズ社の要求に押された措置という印象はぬぐえないわけですね。  もう一つ、別の角度からも考えてみたいのですが、今度の周波数の割り当て問題だけでなくて、一昨年来の経過ですね。最初にアメリカの通信衛星購入問題が出たのは一昨年の夏ごろだった、電電公社の資材調達に絡んでそういう話が持ち上がった、これは朝日などの報道であるわけです。それから一昨年秋の日米首脳会談でもそれがどうも話し合われたようだという報道もあります。これは別の東京新聞です。  そういう動きが一昨年にありまして、昨年の四月、対外経済対策、これが決定されたわけです。これも経済摩擦の質的変化を反映したものだというふうに言われているのですが、そこで通信衛星についての新しい方針が出されたというふうに私は理解をしております。それまでは日本政府としては、一九七八年の宇宙開発政策大綱、あれによりまして、衛星は自主技術開発でいくんだということを基本にしてきていたわけですね。ところが、昨年四月の対外経済対策で、電電公社がことしの四月から民営化になるというようなことも見込んでと思われますが、外国からの通信衛星購入の道を開いたということになってきたと思います。  その中で、やはり従来の政策との整合性が問題ですから、「宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、」ということがその中に書かれております。なぜずっと日本がとってきていた宇宙開発の基本政策、それをあえて変えてまで通信衛星輸入の道を開いたのかという問題。しかも、これは午前の大臣の答弁でもあったと思いますが、衛星の技術というのは非常に先端技術ですから、この開発研究というのは将来にとっても大きいわけですね、二十一世紀へ向けて非常に大事な分野なんだということもいろいろなところで強調されておるわけです。  そういう流れがあるわけですが、もう一つ、その間に、去年の初めごろからだと聞いておりますが、去年の初めに、特にヒューズが伊藤忠との提携を始めるとか、それからほかの二社もいろいろな形で市場調査などを進めるというふうに、四月の対外経済対策が発表される、衛星輸入に道を開く政策が発表される以前から、輸入を見込んでの活動が始まっているわけですね。そういう流れの中で政策が発表されるという経過だったと思うわけですが、ここで改めてお聞きしたいと思いますのは、昨年四月の政策変更、これは明らかに変更なわけです、これまで自主開発と言ってきたのを輸入すると言うわけですから。この政策変更はどうしてそういうことが行われたのか、アメリカの要望、要求があったのかどうか。  それからもう一点最後に、関連してですが、その中で言われている整合性を確保するという命題ですけれども、いよいよ輸入が具体化するということになってきまして、整合性の確保というのは具体的にどういうことをやられるのか、それらの点をお聞きします。
  131. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 昨年の四月二十七日に政府が決定いたしました対外経済対策の中で、ただいま御指摘ございましたように、電気通信事業法等が成立することを前提に、民間における衛星購入の道が開かれると書いてございます。これは政府のそれまでとってまいりました衛星に関する自主開発路線を変更したものではございません。今日においてもその方針は変わっておりません。宇宙開発大綱に基づき毎年度決定されます宇宙開発計画の中で、その年その年ごとの自主開発路線というものが今日に至るまで堅持されているところでございます。  ただ、昨年の四月二十七日の対外経済対策の中で、民間における衛星購入の道を開くというふうに打ち出しましたのは、電気通信事業法等の施行によりまして、電気通信のあらゆる分野に新規参入、民間活力を導入するという基本方針が決定されましたために、その一環として宇宙分野においても民間の方々による事業の運営の道を開いたということでございます。
  132. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これも変更でないことを強調されるのですが、これまで衛星は自前でつくるという基本ですからね。国産化率がCSにしてもBSにしても、かなりまだ低いのですけれども、しかし衛星自体が国産でやっていくのだ、もちろん外国から、特にアメリカからの技術とかあるわけですけれども。それを変えて輸入していいというのだから、これは明らかに変更じゃないですか。
  133. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 自主開発路線は現在においても、いささかも変更しておりません。つまり、ECS、現在実用化されておりますCS2における自主化率約六〇%程度だと思いますけれども、既に計画に入っております六十三年度打ち上げ予定のCS3におきましては、八〇%以上が確保される予定でございます。しかも、ロケット技術にいたしましても、日本の大型衛星の打ち上げに向かって整備が進んでいる状況でございます。さらに、その次のスタイルの衛星といたしまして、CS4まで宇宙開発計画の中では既に想定されているわけですが、これらはいずれも、日本政府における宇宙の開発と利用の推進については自主開発を目指すというものに沿ったものでございます。
  134. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 自主開発でやっていく部分はそのまま続けていくのだという答弁にすぎないと思うのですよ。現在CS2もかなりあいているわけでしょう。輸入衛星にお客さんがたくさん乗るようになると、自主開発の方も当然影響が出てくるわけですね。だからその問題は、どうも答弁は実態に合っていないというように指摘をしておきたいと思います。  それから、整合性の問題についての答弁がないのですが、ちょっと時間があれしてきましたので、先へ問題を整理したいと思うのです。  私は結局、ずっと流れを見てみますと、こういうことになるのじゃないか。昨年の四月の対外経済対策、これによって従来の日本の国策であった自主開発、宇宙開発の政策、これを変更して衛星輸入にまず道を開いた。そして今度は、周波数についての政策、これも私はさっきから言っていますように、Kaが主流、基本という点をやはり私は変更したと言うわけですが、変更して今度はヒューズに門戸を開いた、そういう流れになっていると思うわけです。実際にヒューズ社が非常に立ち上がりが素早かったですね、きのう早速申請したということですから。私から言いますと、国策の二重の変更ですね。これを待ち構えていたというのがヒューズ社だったということに客観的にはなると思うのですね。  このヒューズ社ですが、これはカリフォルニアに本社がありまして、レーガン大統領と非常に近い関係だとか、レーガン政権に強い影響力を持っている、そんなことは常識として言われておるわけです。ですから、今回の問題でも日米交渉に当たっても、アメリカが官民一体でやってきているというのが特徴だろうというふうに見ておるわけですが、このヒューズ社なんですが、最近このところ、経営上幾つか問題が起きているというようなことを私は聞いているのですが、その点、聞いておられますか。
  135. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私ども、ヒューズ社のアメリカにおけるいろいろな状況というものについては、十分承知をいたしておりません。
  136. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私聞いておりますといいますか、いろいろなものにも出たりもしておるのですが、こういうことがこのところ起こっているのですね。例えば昨年の六月ですが、これはヒューズ社はミサイルをたくさんつくっていますね、まず、アメリカ海軍に納入する予定になっていましたF14戦闘機装備のミサイルなんですね、AIM54CフェニックスAAMと、それから空対空ミサイルですね、これを海軍が生産性と品質管理に問題が発見された、これが是正されるまでは受領を拒否するということがあったのですね。それから続いて、これは同じ年の八月だったと思いますが、今度は空軍ですね、米空軍も納入予定をしておったのですが、また違う種類のミサイルです。改良フェニックスというのですが、これと対戦車ミサイルを含めた同社製品に対する代金支払いを凍結するというようなことが起きていたり、それに合わせて米国防総省が海軍、空軍のそういう措置を支持して、「ヒューズ社の生産問題が改善されない限り、三軍は同社製品への代金支払いをしないだろう」、こういう援護射撃をするというようなことが相次いで起きているということなんですね。  これがヒューズ社全体から見てどのくらいのウエートのものかということはまた別にあろうかと思いますが、こういうこともありまして、今回の日本への衛星輸入問題についてもいろいろな見方が出ているわけです。ざっくばらんな言い方をしますと、そういう状態にあるヒューズ社の救済というようなことでレーガン大統領も動いたのじゃないかとか、それから日本の新聞で報道されていますので言いますと、そういう米側の動きとは別に、これはビジネスとしては非常に大きなものになるわけですね、大体、衛星本体が七百億か八百億、地上局などを合わせると一千億ぐらいというようなことで大きな商戦になるわけですが、日本のアメリカとのそういう大きな買い物では、これまでも幾つか問題になってきたこともあります。  そういうこともあってと思いますが、例えば「衛星購入は基本的には民間の問題で、政府が介入するには限界がある」というようなことがいろいろ言われたりしておるわけですが、そういう態度で政府、郵政省はやっているという記事なんですけれども、その中でも、しかしそういうふうに言う裏には「一皮めくると、ロッキード事件の影におびえる様子もちらつく。」とか、そういう論評的な記事が出ていたり、あるいはこれは先日、三月二十五日ですが、中曽根首相と自民党の藤尾政調会長との会談の中で、最近の通信衛星購入の動きをめぐっていろいろ話し合われた後、「このため藤尾氏は首相に対して「このままでいくとロッキード、グラマン事件が再現することになりかねない」と指摘した。」というふうなことがあるわけです。  これは新聞報道ですから私は直接確認はしておりませんが、こういう報道が現にあるわけです。そのほかにも幾つも挙げることができます。つまり、ロッキード事件のようなことになる心配、懸念、そういうものが、大きな買い物であるだけに表明されているわけですね。私は絶対そんなことがあってはならぬと思っているわけですが、大臣はその辺どう考えておられるか、ちょっとお聞きをしたい。
  137. 左藤恵

    左藤国務大臣 我々の立場といたしましては、周波数というものの状況を説明するだけのことでありまして、問題は、日本の民間におきまして、そうした通信衛星のトランスポンダーを買うといいますか、そういう通信衛星を輸入してそれを打ち上げて使う、そういう需要者の立場から考えて、お金を出してそういったものを買う必要があるかどうかという、そういう面でいろいろお考えになることではなかろうかと思います。  そういう意味におきまして郵政省として、仮に三社から申請が出たからそれを調整するとか、そういうようなことは全く考えておりません。これはそういったことにおいて申請がどういう形で出てくるかを見た上で、後は周波数の問題として考えることであって、郵政省としてはそれが高いとか安いとか、あるいはその需要があるかないかというようなことまで踏み込んでそうしたことをやる考えは持っておりません。
  138. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ぜひそういうことが起きないようにやってもらいたいということを要望して、次の質問をしたいと思います。  官房長にお聞きしたいわけですが、郵政省は昨年九月に、内閣法制局の第二部長である関守氏を郵政省大臣官房付に併任したと聞いております。何のためにそういうことにしたのか、それから、いつからいつまでの期間そういうことをしたのかということをまずお聞きしたい。
  139. 二木實

    ○二木政府委員 当委員会でもいろいろ御議論ございましたように、最近の電気通信分野は各国におきましても、いろいろな動きがあるわけでございます。アメリカのATTの分割の問題あるいはイギリスの民営化の問題、また、それを取り巻く欧州各国の動き等、いろいろと調査すべき事項があったわけでございますが、法制局に長くおられまして、法制関係の非常なベテランでございます関部長を官房付に併任いたしまして、昨年九月五日から九月二十七日までの二十三日間、欧米各国に出張を依頼したものでございます。
  140. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これは事前に資料要求をいたしまして、アメリカ、イギリス、カナダ、スペイン、ギリシャ、イタリア、オーストリア、オランダ、それだけ回ってきたということだけが回答されてきているわけですが、国名ではなくて、どういう地点へ行かれたのか、これをお知らせ願いたい。
  141. 二木實

    ○二木政府委員 私ども、御提出できる資料はすべて差し上げているわけでございますが、そもそもこの調査をいたす際に、関係先等は部内資料として活用いたしたいという了解のもとに調査に行っておるわけでございますので、調査対象国におきます具体的な訪問先等あるいは訪問された人物等につきまして、答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。
  142. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それは大変奇妙な話だと思うのです。官費で出張した、しかも現在の大きな問題である通信法制の実態調査ということで行ったという説明ですから、これは別に秘密の調査でも何でもないものだと思います。そういう資料を出すのを渋っておられるのは、何かわけがあるのじゃないかと思わざるを得ぬわけです。  時間が余りありませんから、私の方で承知しておるところを読み上げますが、こういうことになっておるのです  まずアメリカから言いますと、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ラスベガスへどういうわけか飛びまして、デンバーで三日間、シカゴ、バッファロー、ナイアガラ、トロント、ワシントン、ニューヨーク、こういうコースで回っておられる。それからヨーロッパヘいきますと、マドリードで三日間、グラナダ、バルセロナ、アテネ、ローマ、ベニス、ウィーン、アムステルダム、ロンドン、東京、これは二十三日間です。  だれが見ても明らかに観光旅行としか見えない。その間、若干会議があるのもわかっております。しかし大半がそういうところを歩いておられる。一体これはどういうことを調査されてきたのか。例えばラスベガスでは一体何を調査してきたのか、答えてもらいたい。
  143. 二木實

    ○二木政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、ATTの分割の問題であるとか、イギリスの民営化の問題であるとか、ヨーロッパ各国でのそういったものの今後のあり方等の調査をしていただいたわけでございますが、その旅行の日程におきまして立ち寄った先、詳細につきましては私ども承知しておりません。
  144. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 承知してないというのはとんでもない話であります。一緒に郵政省調査官が同行しているのです。高田昭義調査官が同行しておるわけです。きのう私は関さんの出席を求めたのですよ。そうしましたら、責任を持って郵政省が答えるからということで、関さんが出れないというのを一応は了解したわけです。だから責任を持って答えてもらわないと困ります。承知してないということは言えないのじゃないですか。二十三日間もこういうような旅行を官費を使って、郵政省職員も行っているわけです。  併任辞令というのも極めて異例のことなんですね。これまで郵政省でこういう形の併任辞令をやったことはありますか。
  145. 二木實

    ○二木政府委員 郵政省の例はほかにないという記憶がございますが、私どもが逆に外務省の仕事で併任されて行ったことは多いわけでございます。
  146. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 関さんという方は法制局で郵政省担当なわけです。ですから、一連の電電法案についてもかかわった方です。この方がどうして九月に二十三日間も使って行かなければならなかったのか、一般的な答弁では全然はっきりしないです。  異例の併任辞令までしてそういうことをする必要があったのかどうか。しかも、郵政省職員が同行しているわけですから、行った先の詳細がわからないなんてそんなばかな話がありますか。当然そういう場合は報告を出すわけでしょう。旅費の計算もするわけでしょう。つかみ金で行ったのですか。旅費の計算をすれば、どういう飛行機でどこからどこまで行ったというのは私どもはわかっているのです。日程がわからぬというばかな話はないじゃないですか。
  147. 二木實

    ○二木政府委員 ATTの研究のために、そのATTの所在都市あるいはワシントンにおいて、関係機関等と打ち合わせをするということを私ども承知しております。ただ、旅行日程の関係は、訪問先との関係で組まれておりますし、また海外出張の場合に、一般的に言いますと、その途中あるいは週末を利用しての立ち寄りもあろうと思います。
  148. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その答弁はむちゃですよ。それじゃこの二十三日間に公的な会議が幾つあったのか、何日にどういうものがあったか、答えてください。
  149. 二木實

    ○二木政府委員 先生の方に提出されております訪問先、訪問国でございますが、そこにおきまして、それぞれ必要な日数を消化したと承知しております。
  150. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 本当にそういう逃げのインチキ答弁ばかりじゃだめですよ。もう一遍読みましょうか。ロサンゼルス、ラスベガス、デンバー、シカゴ、バッファロー、ナイアガラ、マドリード、グラナダ、バルセロナ、アテネ、ローマ、ベニス、ウィーン、こんなことが許されるのですか。どういう場合にこういう目的の併任辞令が出せるのですか。
  151. 二木實

    ○二木政府委員 再三申し上げておりますように、電気通信関係の法制あるいは今後の方針を調査していただくということで、その道の権威であります方に併任辞令を出しまして、郵政省の方から出張いただいたわけでございます。
  152. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういうことで調査をしてもらったというならば、当然報告を求めていると思います。報告書は出されておりますか。
  153. 二木實

    ○二木政府委員 省内で報告会もございましたし、報告書の提出もございました。
  154. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、さっきの答弁はちょっとおかしいのじゃないですか。報告書が出されていて、日程を承知していないというのはどういうわけですか、おかしいじゃないですか。それと、こういう大きな疑惑がありますから、本当にどういう調査をやっていたのか、国民の税金を使ってですから、報告書を提出してもらいたい。
  155. 二木實

    ○二木政府委員 報告会あるいは報告書の中におきまして、それぞれの訪問国における研究の関係はすべて盛られております。なお報告書は、部内の資料として作成されたものでございますので、提出の件は御勘弁願いたいと思います。
  156. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問時間がもう終わりになりましたが、これはお聞きのように大変大事な、黙過できない問題だと私は思うのです。  大臣、最後にきちっと御答弁いただきたいのですが、とにかくこういう本当に観光旅行としか言えない――途中にあるいは公式の日程はあるでしょう、私は若干それも知っています。が、二十三日間アメリカ、ヨーロッパをまたにかけて、金額も相当なものになっていると思います。よりによって観光地ばかりですね、こういうことは許されぬと思うのです。これが通信法制の研究などの名目でいいんだということになれば、今後も郵政省はこういうことをやるのかということになるわけですよ。とんでもない話です。厳重にこういうことがないようにする。実際の調査内容について、何をやってきたのか、大臣の責任で調べてもらいたい、当委員会にも報告してもらいたい、そういうように思うのですが、大臣
  157. 左藤恵

    左藤国務大臣 今のお話で、どういった状況か、私もよく調べてみなければわかりませんが、通信法制とかそういったものの勉強をしてきたという成果というものがあるのかどうかということにつきましても、調査してみたいと思いますし、また、旅行先とかそういうことで疑惑のないような形でそういったことが行われなければならない、このように考えておるところでございます。
  158. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 まだ答弁はちょっと不満ですが、時間ですから終わりますが、委員長に最後にお願いをしておきたいと思います。  この問題は、非常に大事な問題だと思いますので、資料提出問題について理事会で検討をするようにお願いしたい。よろしいですか。
  159. 渡辺紘三

    渡辺委員長 追って協議いたします。
  160. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 では、終わります。      ――――◇―――――
  161. 渡辺紘三

    渡辺委員長 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  電気通信に関する問題等について調査を行うため、小委員十三名からなる電気通信に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任及びその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合の諸手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  165. 渡辺紘三

    渡辺委員長 次に、郵便法の一部を改正する法律案及びお年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府より順次、提案理由の説明を求めます。左藤郵政大臣。     ―――――――――――――  郵便法の一部を改正する法律案  お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  166. 左藤恵

    左藤国務大臣 郵便法の一部を改正する法律案及びお年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、郵便法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、郵便事業の現状等にかんがみ、利用者に対するサービスの向上を図るため、通常郵便物の大きさの制限の緩和、料金後納制度の改善、転送料及び還付料の廃止等の措置を講じようとするものであります。  まず、通常郵便物の大きさの制限の緩和につい  て申し上げます。  現在、通常郵便物の大きさの最大限につきましては、長さ四十センチメートル、幅二十七センチメートル、厚さ十センチメートルとなっておりますが、これを万国郵便条約の大きさに合わせ、長さ六十センチメートル、長さ、幅及び厚さの合計九十センチメートルにするというものであります。  第二は、料金後納制度の改善についてであります。  現在、郵便料金を後納とする場合は、月額利用料金額の二倍以上の担保を提供していただくこととしておりますが、これを省令において定めることとし、弾力的に運用しようとするものであります。  第三は、転送料及び還付料の廃止についてであります。  現在、小包郵便物及び書留郵便物を転送または還付する場合は、それぞれ転送料または還付料をいただくこととしておりますが、これらの料金の納付を要しないこととするものであります。  このほか、最近における多様化した国民のニーズに即し、利用しやすい郵便とするため、郵便の利用上の便益を高める役務を省令の定めるところにより提供することができること等を内容といたしております。  なお、この法律の施行期日は、昭和六十年七月一日といたしております。  次に、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における郵便利用の動向にかんがみ、個人間郵便の利用の促進を図るため、お年玉つき郵便はがきのほかにもくじ引きにより金品を贈るくじ引き番号つきの郵便はがきを発行できることとするとともに、くじ引きにより贈る金品の改善を図る等のため、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律について所要の改正を行おうとするものであります。  まず、くじ引き番号つきの郵便はがきにつきましては、個人間郵便の利用の促進を図るため、年始その他特別の時季の通信にあわせて、くじ引きによりお年玉等として金品を贈るくじ引き番号つきの郵便はがきをお年玉つき郵便はがき以外の郵便はがきでも発行できることといたしております。  また、年始その他特別の時季の通信にあわせて、くじ引きによりお年玉等として贈る金品の単価は、お年玉等つき郵便はがきの料額印面にあらわされた金額の五千倍に相当する額を超えないことといたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日といたしております。  以上が郵便法の一部を改正する法律案及びお年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要であります。  今後とも安定した郵便の送達を確保することはもとより、利用者のニーズに即応したサービスの改善を図り、国民各位の期待にこたえるよう努力していく所存でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  167. 渡辺紘三

    渡辺委員長 以上で両案に対する提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る十七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会      ――――◇―――――